(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】ウイルス感染症の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 33/04 20060101AFI20230602BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230602BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230602BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230602BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230602BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A61K33/04
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/22
A61P31/16
A61P31/18
A61K45/00
A61K9/48
A61K47/02
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566681
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 US2021030591
(87)【国際公開番号】W WO2021226037
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522426629
【氏名又は名称】スルファジェニックス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴホン - ロマニーリョ、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴホン - ソリーリャ、ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB29
4C076BB31
4C076CC35
4C076DD23N
4C076DD24N
4C076DD37A
4C076DD41N
4C076FF34
4C084AA19
4C084MA05
4C084NA05
4C084ZB33
4C086AA01
4C086AA02
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4C086MA55
4C086MA60
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、硫黄リッチ組成物を投与することによるウイルス感染症、例えばエンベロープウイルスによって引き起こされる、感染症の治療を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、エンベロープウイルスによって引き起こされる対象のウイルス感染症を治療又は予防する方法:
前記対象に、90~99.9%(w/w)の元素状α硫黄、0.01~10%(w/w)の高極性成分、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を、前記ウイルス感染症を治療又は予防するのに十分な量及び期間、投与すること。
【請求項2】
エンベロープウイルスがDNAウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
DNAウイルスが、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、又はプレオリポウイルス科(Pleolipoviridae)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ヘルペスウイルス科が、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、又はエプスタイン・バーウイルスであり、あるいは
ポックスウイルス科が、天然痘ウイルス、牛痘ウイルス、羊痘ウイルス、オーフウイルス、サル痘ウイルス、又はワクシニアウイルスである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
エンベロープウイルスがRNAウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
RNAウイルスが、トガウイルス科、アレナウイルス科、フラビウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、コロナウイルス科、ボルナウイルス科、又はアルテリウイルス科である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
トガウイルス科が、風疹ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルス、チクングニアウイルス、マヤロウイルス、オニョンニョンウイルス、Unvaウイルス、又はトナテウイルス(Tonate virus)であり、
アレナウイルス科が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス又はラッサ熱であり、
フラビウイルス科が、デングウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、ウエストナイルウイルス、又はジカウイルスであり、
オルトミクソウイルス科が、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、イサウイルス又はソゴトウイルスであり、
パラミクソウイルス科が、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、牛疫ウイルス、イヌジステンパーウイルス、又はヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)であり、
ブニヤウイルス科が、カリフォルニア脳炎ウイルス、又はシンノンブレウイルスであり、
ラブドウイルス科が、狂犬病ウイルス又は水疱性口内炎ウイルスであり、
フィロウイルス科が、エボラウイルス又はマールブルグウイルスであり、
コロナウイルス科が、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、又はガンマコロナウイルスであり、
ボルナウイルス科が、ボルナ病ウイルスであり、あるいは
アルテリウイルス科が、アルテリウイルス又はウマ動脈炎ウイルスである、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
HPIVが、HPIV-1、HPIV-2、HPIV-3、又はHPIV-4である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ベータコロナウイルスが、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、又は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ベータコロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
エンベロープウイルスが逆転写ウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
逆転写ウイルスが、レトロウイルス科又はヘパドナウイルス科である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
レトロウイルス科が、ヒト免疫不全(HIV)ウイルスであるか、又は
ヘパドナウイルス科が、B型肝炎ウイルスである、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
HIVがHIV-1又はHIV-2である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組成物が、約99%(w/w)のゼロ価硫黄及び約1%(w/w)の高極性成分を含み、前記高極性成分が、硫酸ナトリウム、ポリチオン酸ナトリウム、及びチオ硫酸ナトリウムから選択される、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
高極性成分が、ポリチオン酸ナトリウム、ポリチオン酸カリウム、ポリチオン酸アンモニウム、ポリチオン酸カルシウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、及びラウリン酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
組成物が、元素状α硫黄及び1つ又は複数の高極性成分を、約10~約150部の元素状α硫黄と1部の高極性成分(w/w)との比で、経腸、外用、又は非経口投与のために含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
組成物が経腸投与用に製剤化され、元素状α硫黄及び高極性成分が約400mgの量で一緒に存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
組成物がカプセルである、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
組成物が第2の治療剤を含む、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
第2の治療剤が、抗ウイルス剤、抗ウイルスワクチン、抗真菌剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、栄養補助食品又は鎮痛剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
抗ウイルス剤が、レムデシビル、ファビピラビル、ファビラビル、EIDD-2801、ガリデシビル、SNG001、ロピナビル、リトナビル、又はそれらの組合わせであり、
抗菌剤が、アジスロマイシン又はシプロフラキシンであり、
抗炎症剤が、トシリズマブであり、
抗寄生虫剤が、クロロキン)又はヒドロキシクロロキンであり、
栄養補助食品が、ビタミンCであり、あるいは
鎮痛剤が、アセトアミノフェンである、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
組成物が、
(a)-2酸化状態の硫黄を含む第1の無機化合物を提供することと、
(b)前記第1の無機化合物を、酸性pHで+4酸化状態の硫黄を含む第2の無機化合物と反応させることと、
によって製造され、前記反応させることによる製造された組成物が、
(i)90~99%(w/w)の元素状α硫黄及び0.01~10%(w/w)の高極性成分を含み、
(ii)前記組成物が、硫化水素に容易に生物変換される少なくとも96%の生物活性ゼロ価硫黄を含む、
請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ウイルス感染症は、世界中で多大な健康上の脅威を与える。細菌感染症を治療する場合、多数の抗生物質を単一の感染症に使用することができ、単一の抗生物質を使用して多くの異なる細菌感染症を治療することができる。対照的に、承認された治療はウイルス感染症に限定されている。更に、承認された抗ウイルス薬は狭い標的を有し、しばしば単一のウイルス株に対してのみ有効である。別の課題は、ウイルスが急速に変異し、それによって抗ウイルス療法に対する耐性が生じることである。それらに侵入する特定のウイルスにもかかわらず、哺乳動物細胞は全て同じ基本機構を有する。したがって、有効な抗ウイルス治療薬は、ウイルスに損傷を与えるのに十分高いが、宿主に害を与えるほど高くない用量を必要とする。これらの課題を考慮して、耐性に対する高いバリアを有し、広範囲のウイルス標的にわたって有効な広域抗ウイルス薬を開発する緊急の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、ウイルス感染症を治療するための組成物及び方法を特徴とする。
【0003】
一態様では、本発明は、エンベロープウイルスによって引き起こされる対象のウイルス感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。方法は、ウイルス感染症を治療又は予防するのに十分な量及び期間の、90~99.9%(w/w)の元素状α硫黄、0.01~10%(w/w)の高極性成分、並びに薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を有する医薬組成物を対象に投与することを含む。エンベロープウイルスは、DNAウイルス、RNAウイルス、又は逆転写ウイルスであり得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、エンベロープウイルスはDNAウイルスである。DNAウイルスは、例えば、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、又はプレオリポウイルス科(Pleolipoviridae)であり得る。ヘルペスウイルス科は、例えば、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、又はエプスタイン・バーウイルスであり得る。ポックスウイルス科は、例えば、天然痘ウイルス、牛痘ウイルス、羊痘ウイルス、オーフウイルス、サル痘ウイルス、又はワクシニアウイルスであり得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、エンベロープウイルスはRNAウイルスである。RNAウイルスは、例えばトガウイルス科、アレナウイルス科、フラビウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、コロナウイルス科、ボルナウイルス科、又はアルテリウイルス科であり得る。トガウイルス科は、例えば、風疹ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルス、チクングニアウイルス、マヤロウイルス、オニョンニョンウイルス、Unvaウイルス、又はトナテウイルス(Tonate virus)であり得る。アレナウイルス科は、例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス又はラッサ熱であり得る。フラビウイルス科は、例えば、デングウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、ウエストナイルウイルス、又はジカウイルスであり得る。オルトミクソウイルス科は、例えば、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、イサウイルス、又はソゴトウイルスであり得る。パラミクソウイルス科は、例えば、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、牛疫ウイルス、イヌジステンパーウイルス、又はヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)であり得る。HPIVは、例えば、HPIV-1、HPIV-2、HPIV-3、又はHPIV-4であり得る。ブニヤウイルス科は、例えば、カリフォルニア脳炎ウイルス又はシンノンブレウイルスであり得る。ラブドウイルス科は狂犬病ウイルス又は水疱性口内炎ウイルスである。フィロウイルス科は、例えば、エボラウイルス又はマールブルグウイルスであり得る。コロナウイルス科は、例えば、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、又はガンマコロナウイルスであり得る。ベータコロナウイルスは、例えば、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、又は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)であり得る。ボルナウイルス科は、例えば、ボルナ病ウイルスであり得る。アルテリウイルス科は、例えば、アルテリウイルス又はウマ動脈炎ウイルスであり得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、エンベロープウイルスは逆転写ウイルスである。逆転写ウイルスは、例えば、レトロウイルス科又はヘパドナウイルス科であり得る。レトロウイルス科は、例えば、ヒト免疫不全(HIV)ウイルスであり得る。HIVは、HIV-1又はHIV-2であり得る。ヘパドナウイルス科は、例えば、B型肝炎ウイルスであり得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、HIV又はAIDSではないエンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、方法は、ウイルス性肝炎ではないエンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、RSVではないエンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、組成物は、約99%(w/w)のゼロ価硫黄及び約1%(w/w)の高極性成分を含む。高極性成分は、硫酸ナトリウム、ポリチオン酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウムから選択され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、高極性成分は、ポリチオン酸ナトリウム、ポリチオン酸カリウム、ポリチオン酸アンモニウム、ポリチオン酸カルシウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム及びラウリン酸アンモニウムからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物は、元素状α硫黄及び1つ又は複数の高極性成分を、約10~約150部の元素状α硫黄と1部の高極性成分(w/w)との比で、経腸、外用(topical)、又は非経口投与のために含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、組成物は経腸投与用に製剤化され、元素状α硫黄及び高極性成分は、約10mg~約10,000mg、例えば約400mgの量で一緒に存在する。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物はカプセルである。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物は、第2の治療剤を含む。第2の治療剤は、抗ウイルス剤(例えば、抗レトロウイルス薬)、抗ウイルスワクチン、抗真菌剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗寄生虫剤、栄養補助食品又は鎮痛剤であってもよい。抗ウイルス剤は、例えば、レムデシビル(remdesivir)、ファビピラビル(favipiravir)、ファビラビル(favilavir)、EIDD-2801、ガリデシビル(galidesivir)、SNG001、ロピナビル(lopinavir)、リトナビル(ritonavir)、又はそれらの組合わせであり得る。抗菌剤は、例えば、アジスロマイシン(azithromycin)又はシプロフラキシン(ciproflaxin)であり得る。抗炎症剤は、例えば、トシリズマブ(tocilizumab)であり得る。抗寄生虫剤は、例えば、クロロキン(chloroquine)又はヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)であり得る。栄養補助食品は、例えば、ビタミンCであり得る。鎮痛剤は、例えば、アセトアミノフェンであり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物は、-2酸化状態の硫黄を含む第1の無機化合物を提供し、第1の無機化合物を、酸性pHで+4酸化状態の硫黄を含む第2の無機化合物と反応させることによって製造される。反応により、(i)90~99%(w/w)の元素状α硫黄及び0.01~10%(w/w)の高極性成分を含む組成物が生成され、(ii)組成物は、硫化水素に容易に生物変換される少なくとも96%の生物活性ゼロ価硫黄を含む。
【0017】
定義
「元素状α硫黄」とは、式S8を有する斜方晶系元素状硫黄を意味する。元素状α硫黄は、S8(シクロオクタ硫黄分子)として存在するが、S7(シクロヘプタ硫黄分子)及びS6(シクロヘキサ硫黄分子)も含むことができる。
【0018】
「元素状β硫黄」とは、式S8を有し、主にシクロオクタ硫黄分子からなる単斜晶系元素硫黄を意味する。
【0019】
「高極性成分」とは、その分子が少なくとも1つのイオン結合又は1つの高極性共有結合を含む化合物を意味する。高極性成分としては、例えば、ポリチオン酸ナトリウム、ポリチオン酸カリウム、ポリチオン酸アンモニウム、ポリチオン酸カルシウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム及び/又はラウリン酸アンモニウムが挙げられる。高極性成分には、高極性O-H共有結合を含有する分子、例えば、水、アルコール、ポリオール、ポリチオン酸、カルボン酸及び/又はソルビタンモノステアラートも含まれる。高極性成分には、その分子が高極性N-H共有結合を含有する化合物、例えば、第1級アミン、アミノ酸、第1級アミド、ペプチド及びタンパク質が更に含まれる。
【0020】
「ポリチオナート」とは、式-O3S-Sn-SO3
-(例えば、nは1~60、好ましくは1~20、より好ましくは1、2、3、4、5、又は6の整数である)のアニオン又は基を意味する。
【0021】
「ゼロ価硫黄」とは、当業者に周知の合意された規則のセットに従って計算される場合、0の酸化状態を有する硫黄原子を意味する(例えば、各シクロオクタ硫黄分子(S8)は8個のゼロ価硫黄原子を含み、各チオスルファートイオン(S2O3
-2)は1個のゼロ価硫黄原子を含み、各ポリチオナートイオンは「n」個のゼロ価硫黄原子を含む)。ゼロ価硫黄は、サルフェン硫黄化合物中に見出すことができる。
【0022】
「ゼロ価硫黄含有量」とは、元素状α硫黄及び高極性成分、例えば、ポリチオン酸ナトリウム、ポリチオン酸カリウム、ポリチオン酸アンモニウム、ポリチオン酸カルシウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、及び硫酸アンモニウムを含有する組成物中に存在するゼロ価硫黄の量を意味する。
【0023】
「サルフェン硫黄」とは、別の硫黄原子に共有結合した、0又は-1の価数を有する還元酸化状態の不安定で反応性の高い硫黄原子を意味する。サルフェン硫黄化合物は、例えば、ペルスルフィド、ポリスルフィド、ポリチオナート、ポリスルファン、チオタウリン、チオスルファート、及び/又は元素状硫黄を含むことができる。サルフェン硫黄化合物は、シスタチオナーゼ、3-メルカプトピルビン酸硫黄トランスフェラーゼ、及び/又はロダネーゼ等の酵素の関与により、嫌気性システイン硫黄代謝において形成することができる。酵素的H2S生成経路の最後の工程は、一般に、サルフェン硫黄含有種を含む。サルフェン硫黄を含有する化合物は、酵素、例えば、鉄原子又はモリブデン原子を含有するオキシドレダクターゼ、例えば、キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ及びリンゴ酸デヒドロゲナーゼの活性化又は不活性化を介して細胞調節プロセスに関与することができる。
【0024】
「経腸」とは、消化管の任意の部分を含む投与を意味する。経腸投与には、例えば、錠剤、カプセル又は滴剤の形態の経口による投与、胃栄養供給チューブ、十二指腸栄養供給チューブによる投与、又は直腸投与が含まれ得る。
【0025】
「外用」(topical)とは、局所的(local)又は全身的な、とくに皮膚上、吸入、点眼薬及び/又は点耳薬である投与を意味する。
【0026】
「非経口」とは、経口摂取以外の手段、とくに液体の形態の体内への注射によって本発明の組成物を投与することを意味する。非経口投与には、例えば、静脈内、動脈内、骨内注入、筋肉内、脳内、脳室内及び皮下投与が含まれ得る。
【0027】
「抗炎症薬」とは、炎症を軽減することによって作用する薬剤又は物質を意味する。
【0028】
「栄養補助食品」とは、食事を補完し、不足している可能性がある、又は人の食事で十分な量で摂取されない可能性があるビタミン、ミネラル、繊維、脂肪酸、又はアミノ酸等の栄養素を提供することを意図した食品補助食品又は栄養補助食品である薬剤、物質、及び/又は物質の混合物を意味する。
【0029】
「無機」とは、有機化合物ではない化合物を意味する。
【0030】
「酸化状態」とは、当業者に周知の合意された一連の規則に従って電子を計数したときに原子が有すると推測され得る電荷として定義される物質の分子中の原子の酸化の程度の尺度を意味する。
【0031】
「酸」とは、アレニウス酸、ブレンステッド-ローリー酸、及び/又はルイス酸を意味する。アレニウス酸は、水に溶解するとヒドロニウムイオンの濃度を上昇させる物質である。ブレンステッド-ローリー酸は、ブレンステッド-ローリー塩基にプロトンを供与する種である。ルイス酸は、他の種から電子対を受け取る種である。
【0032】
「硫化水素」とは、哺乳動物の体の多くの細胞によって少量で産生され、多数の生物学的シグナル伝達機能を有する、式H2Sを有する化合物を意味する(例えば、平滑筋の弛緩剤、血管拡張剤は、NMDA受容体の応答を増加させ、長期増強及び記憶形成への関与を促進する)。
【0033】
「硫化水素レベルを増加させる」とは、対照参照試料と比較して、哺乳動物の体内で生成される硫化水素のレベルを(例えば、酵素シスタチオニンβ-シンターゼ及びシスタチオニンγ-リアーゼによってシステインから)、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%増加させることを意味する。硫化水素のレベルは、当技術分野で公知の任意の有用な方法を使用して決定することができる。
【0034】
「治療する」とは、疾患又は障害に対抗し、臨床結果等の有益な又は所望の結果を得る目的で、患者を管理レジメンに供することを意味する。有益な又は所望の結果には、生活の質の改善、1つ又は複数の症状又は状態の緩和又は改善、疾患、障害又は状態の程度の減少、疾患、障害、又は状態の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患、障害又は状態の伝播の予防、疾患、障害、又は状態の進行を遅延又は遅くさせること、疾患、障害又は状態の改善又は緩和、検出可能であろうと検出不能であろうと、(部分的であろうと全体的であろうと)寛解が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0035】
「対象」とは、哺乳動物(例えば、ヒト又は非ヒト)を意味する。
【0036】
薬剤の「有効量」とは、有益な又は所望の結果(例えば、ウイルス感染症の治療)をもたらすのに十分な薬剤の量、及び組成物を投与しない場合の硫化水素及び/又はサルフェン硫黄のレベルと比較して、インビボで硫化水素及び/又はサルフェン硫黄のレベルの増加を達成するのに十分な組成物の量を意味する。
【0037】
「組成物」とは、本明細書に記載される物質を含むシステムを意味し、場合により許容される賦形剤と共に製剤化され、哺乳動物の疾患の治療のための、又は一般的な健康を促進及び維持するための治療レジメンの一部として政府規制機関の承認を得て製造又は販売される。医薬組成物は、例えば、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ジェルキャップ、又はシロップ)で経口投与用、外用投与用(例えば、クリーム、ゲル、ローション、又は軟膏として)、静脈内投与用(例えば、粒子塞栓がなく、静脈内使用に適した溶媒系中の滅菌溶液又はコロイド分散液として)、又は本明細書中に記載される任意の他の配合物中に製剤化することができる。
【0038】
「許容される賦形剤」又は「許容される担体」とは、本明細書に記載される物質以外の任意の材料を意味し(例えば、活性物質及び/又は物質を懸濁又は溶解することができるビヒクル、例えばワセリン及びポリエチレングリコール)、患者において非毒性及び非炎症性であるという特性を有する。賦形剤としては、例えば、付着防止剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング、圧縮助剤、崩壊剤、染料(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤又はコーティング、フレーバ、香料、流動促進剤(流動増強剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁剤又は分散剤、コロイド安定剤、甘味料、及び水が挙げられ得る。例示的な賦形剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(コーン)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、及びキシリトールが含まれるが、これらに限定されない。賦形剤はまた、希釈剤(例えば、生理食塩水及び水性緩衝液)、水性担体、及び非水性担体、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、及び注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含み得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、列挙された値の±10%を意味する。
【0040】
「コロナウイルス」は、ヒトに感染し、呼吸器感染症を引き起こすウイルスである。コロナウイルスは、対象において肺炎を引き起こし得、限定されないが、中東呼吸器症候群(MERS)(MERS-CoVとしても知られる)を引き起こすベータコロナウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)(SARS-CoVとしても知られる)を引き起こすベータコロナウイルス、及びCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2が挙げられ、呼吸器疾患は、肺炎及び呼吸不全に進行し得る発熱、咳、及び息切れを特徴とする。
【0041】
本明細書で使用される場合、「エンベロープウイルス」という用語は、脂質二重層エンベロープを有するウイルスを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「DNAウイルス」という用語は、その遺伝物質としてDNAを有し、DNA依存性DNAポリメラーゼを使用して複製するウイルスを指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「RNAウイルス」という用語は、その遺伝物質としてRNAを有し、RNA依存性RNAポリメラーゼを使用して複製するウイルスを指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「逆転写ウイルス」という用語は、その遺伝物質としてRNAを有し、逆転写酵素を使用して複製するウイルスを指す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、エンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療するための組成物及び方法を特徴とする。本明細書に記載の組成物は、エンベロープウイルスに対してとくに有用な高バイオアベイラビリティの硫化水素プロドラッグを含む。本発明のバイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物は、硫化水素に容易に生物変換される少なくとも96%の生物活性ゼロ価硫黄を含有する。エンベロープウイルスは、感染細胞の外膜に由来する脂質二重層によって封入される。一般に、ウイルスは、宿主細胞標的薬に対して耐性であるウイルス標的薬に対して耐性になることがより容易である。硫化水素及び/又は硫化水素由来のサルフェン硫黄は、ウイルスエンベロープを標的とする。その結果、エンベロープウイルスが、例えば突然変異を介して、本明細書に記載の組成物に対する耐性を発現することは困難であり得る。更に、組成物は、ウイルス感染症によって誘発される酸化ストレスから細胞を保護し、例えばウイルス感染症を有するか又は有するリスクがある対象の免疫系を増強し得る。組成物及び方法は、以下により詳細に記載される。
【0046】
硫黄リッチ組成物
バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物の調製
一実施形態では、バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物を、以下に概説する手順Iによって得て、バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄を含む2.7kgロットの組成物を調製する。出発材料を表1に列挙し、適切な機器を表2に列挙する。
【表1】
【表2】
【0047】
手順I
小分けにして、激しく撹拌しながら、4.890kgのNa2S2O5を、高トルクスターラ(ディスプレイに示す7~8)を取り付けた200Lの主反応容器に含まれる20Lの蒸留水に添加する。添加は3~5分かけて行うことが望ましく、粉末が塊を形成しないよう努める必要がある。低トルクスターラを取り付けた80Lの補助反応容器に含まれる15Lの蒸留水に7.090kgのNaHS.xH2Oを溶解させる。Kitasato-Buchnerアセンブリを使用して減圧下で3枚のWhatman#1濾紙を通してNaHS溶液を濾過する。濾液を19L容器に回収する。なお、濾紙には、通常、微量の不純物しか保持されない。
【0048】
次に、80L補助反応容器をすすぎ、濾過したNaHS溶液を19L容器から80L補助反応容器に移す。濾過したNaHS溶液を含む80Lの補助反応容器に30Lの蒸留水を添加する。10L容器に入った2.25kgの氷及び2.25kgの蒸留水の撹拌混合物に1.458kgの濃硫酸(98%)を注ぐ。次の2つの工程は同時に行われるべきであり、40分間継続するべきである。撹拌されたNaHS溶液を含む補助反応容器に600mlのNa2S2O5溶液を一度に注ぎ、よく撹拌しながら同じ容器に(添加漏斗から)希硫酸溶液(5.958kg)の添加を開始する。撹拌すると、プロペラまで下がる渦が生じるはずである。フルフェースマスク(酸吸収カートリッジを取り付けた)を着用し、Na2S2O5溶液を含む主反応容器に氷2.5kgを添加する。少量ずつ激しく撹拌しながら濃硫酸(4.95kg)を注ぎ始める。溶液が加熱するのを防ぐために、酸を氷と交互に添加する。両方の反応容器内の溶液の温度を測定する。200Lの主反応容器内の溶液(Na2S2O5+H2SO4)の温度は約0℃でなければならず、80Lの補助反応容器内の溶液(NaHS+少量のNa2S2O5+H2SO4)は30~35℃でなければならない。氷5kgを200Lの反応容器(Na2S2O5+H2SO4)に充填し、次いで、激しく撹拌しながら(ディスプレイに示されている速度スケールで24.5~25)、80Lの補助反応容器(NaHS+少量のNa2S2O5+H2SO4)に含まれる溶液をその中に流す。この操作には約10分かかるはずであり、撹拌するとプロペラまで下がる渦が生じるはずである。2つの溶液を混合すると、反応混合物は無色からカナリヤ色の黄色になり、流動性が増加し、いくらかの泡立ちがあり、黄色がかった沈殿物が分離する。反応混合物の最終温度及びそのpHを測定する。温度は25~30℃であるべきであり、pHは3に近くあるべきである。90分間激しく撹拌し続ける。撹拌すると、プロペラまで下がる渦が生じるはずである。
【0049】
反応混合物を室温で24時間静置する。この段階の終わりに、黄色がかった沈殿物は、比較的コンパクトな塊の形態で容器の底部にあるはずである。沈殿物を乱すことなく、デカンテーション又はサイフォンによって液相を可能な限り異なる容器に移す。反応容器内に残った材料(約20L)を40Lのプラスチック又はガラス容器に移し、1時間撹拌して均一なスラリーを得る。Buchner-Kitasatoアセンブリを使用して、#1Whatman濾紙を通してスラリーを濾過する。濾過ケークを1Lの蒸留水で、又は濾液が酸性を示さなくなるまで洗浄する。チャネリングを防止するために、濾過ケークが亀裂を発生させる前に洗浄を行うべきである。洗浄直後に、更に10分間真空を適用し続ける。過乾燥は、非常にコンパクトな濾過ケークをもたらし、その後の工程に大きな困難をもたらす。ゴム又はプラスチックの濾過ダム(又は同様の装置)の使用が推奨される。比較的乾燥した濾過ケークを10Lのプラスチック容器に移し、7Lの純粋な無水エタノールを添加する。全ての固体が懸濁するまで撹拌し、1時間撹拌し続ける。懸濁液が濃すぎる場合、より多くの無水エタノールを添加する。懸濁液を#1Whatman濾紙を通して濾過し、濾過ケークを無水エタノール200mlで洗浄し、ゴムダムを上に置き、真空を10分以内適用し続ける。過乾燥は、非常にコンパクトな濾過ケークをもたらし、その後の工程に大きな困難をもたらす。濾過ケークを、室温空気乾燥のために大型ガラス又はステンレス鋼トレイに移す。約4日間、又は恒量になり、エタノール臭がなくなるまで乾燥させる。乾燥生成物は、容易に砕けやすい塊と微細な粉末とからなる材料である。塊を分解し、材料が325標準ふるいを通過することを確実にするためにふるいにかける。
【0050】
手順Iにより、約99%のゼロ価硫黄及び約1%の高極性成分(例えば、硫酸ナトリウム及び微量のポリチオン酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウム)を含有する生成物(SG1002とも呼ばれるSG-1002)が得られる。
いくつかの実施形態では、手順Iの変形を使用して、同様の材料を得ることができる。そのような手順には、それだけに限らないが、以下が含まれる。
【0051】
手順II
硫化水素ナトリウムの代わりに硫化ナトリウムを使用し、手順Iに詳述されているプロセスに従って、酸の量を増加させる等、当業者に周知のルールに従って反応物の量を調整する。
【0052】
手順III
メタ亜硫酸水素ナトリウムの代わりに亜硫酸ナトリウムを使用し、手順Iに詳述されているプロセスに従って、当業者に周知の規則に従って反応物の量を調整する。
【0053】
手順IV
硫化水素ナトリウムの代わりに硫化ナトリウムを使用し、メタ亜硫酸水素ナトリウムの代わりに硫化ナトリウムを使用し、手順Iに詳述したプロセスに従って、当業者に周知のルールに従って反応物の量を調整する。
【0054】
手順V
濃硫酸の代わりに濃塩酸を使用し、1モル当たりのモルで置き換え、手順Iに詳述されているプロセスに従う。
【0055】
手順VI
濃硫酸の代わりに濃塩酸を使用し、1モル当たりのモルで置き換え、手順IIに詳述されているプロセスに従う。
【0056】
手順VII
濃硫酸の代わりに濃塩酸を使用し、1モル当たりのモルで置き換え、手順IIIに詳述されているプロセスに従う。
【0057】
手順VIII
濃硫酸の代わりに濃塩酸を使用し、1モル当たりのモルで置き換え、手順IVに詳述されているプロセスに従う。
【0058】
手順IX
ナトリウム塩の代わりにカリウム塩を使用し、当業者に周知のルールに従って、手順Iに詳述されているプロセスに従って試薬の量を調整する。
【0059】
いくつかの実施形態では、手順で使用される反応物は、マイナス2の酸化状態の硫黄を含む任意の化合物及びプラス4の酸化状態の硫黄を含む別の化合物、並びに場合により酸及び/又は触媒(複数可)を含むことができる。
【0060】
他の実施形態では、真空補助濾過は、圧力補助濾過及び/又は遠心分離に置き換えられてもよい。他の実施形態では、密閉型反応器を使用してもよく、熱交換冷却システムを氷の添加に置き換えてもよく、噴霧乾燥を空気乾燥に置き換えてもよく、1つ及び/又は複数の工程(例えば、アルコールによる洗浄)を省略してもよい。より大きな又はより小さな規模の操作を含む実施形態も本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0061】
バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物の特性決定
乾燥したふるい分けされた生成物の標準的な収量は、以下の特性を有する2.7kgの不透明で無臭の、ふわふわした淡黄色の微結晶性粉末である。
・融解範囲:平均融解温度は、約117℃~約121℃±2~3℃(例えば、融解は、118~120℃、116~119℃、又は119~120℃の間に起こる)である。
・ゼロ価硫黄含有量(w/w):90~99.9%(例えば、91%、92%、93.5%、94%、96%、96.5%、97.1%、97.5%、98%、98.6%、98.9%、又は99.5%)
・元素状α硫黄含有量(w/w):90~99.9%(例えば、91%、92%、93.5%、94%、96%、97.1%、97.5%、98%、98.6%、98.9%、又は99.5%)
・高極性成分(w/w):0.01~10%(例えば、0.02%、0.1%、0.25%、0.5%、0.8%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、5.5%、6%、7%、8%、9%、9.5%、又は9.9%)
・25℃の水への溶解度:0%
・二硫化炭素中の溶解度:87~97%
・見かけ密度(タップ):約0.6g/ml
・メジアン粒径分布:約26~約33μm(例えば、26.5、27、27.3、28、28.5、29、29.5、30、31.3、32、32.5、又は32.9)
・ナトリウム含量:約0.03%
・酸素含有量(差):約0.12%
【0062】
手順Iに従って得られた組成物は、ゼロ価硫黄に富む微結晶からなり、二硫化炭素に対するその溶解度は、α-硫黄(菱形硫黄)の溶解度よりも低く、測定可能な量のナトリウム及び酸素を含有する。組成物のX線回折パターンは、α硫黄のX線回折パターンと一致する。
【0063】
本明細書に記載のデータを取得するために使用される方法は、以下を含む。組成物の二硫化炭素への溶解度は、最終生成物0.500gに6mLの二硫化炭素を添加し、残渣の重量を決定することによって得た。ゼロ価硫黄含有量は、S8中の全ての硫黄原子をチオスルファートに変換するが、Na+-O3S-Sn-SO3-Na+中の(n-1)個の硫黄原子のみを亜硫酸分解によって変換するという事実を補正しない亜硫酸分解によって測定した。ナトリウム含有量は、Galbraith Laboratories,USA(GLI手順ME-70)によって決定した。粒径分布は、Horiba Instruments製のPartica LA-950レーザー回折粒径分析器を使用して測定した。
【0064】
いかなる仮説によっても制限されることなく、上記材料の高いバイオアベイラビリティは、結晶表面の親水性と関連している可能性があり、これは、-SO3Na及び/又は=SO3Na2等の高極性基の存在に関連し得る。これらの基は、ポリチオナート分子(Na+-O3S-Sn-SO3
-Na+、例えば、n=1、2、又は3)、チオスルファート、又はスルファートに存在する基であり得る。-SO3Na等の高極性基は、水和水の分子と会合してもよく、いくつかの状況下では、カチオン交換を受けて、例えば-SO3H基を生成し得る。更に、この特有の微結晶性材料の表面の親水性は、純粋なα又はβ元素硫黄の結晶の表面の疎水性とは全く対照的である。対照的に、純粋なα元素又はβ元素の硫黄は、二硫化炭素に完全に可溶性である。また、いかなる仮説又は理論によっても制限されることなく、通常のα硫黄の低いバイオアベイラビリティは、その表面の疎水性に直接関係している可能性が高い。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物は、α硫黄に富むが親水性表面を有するように常に修飾された粒子を含むマイクロ又はナノサイズであり得る。同様の組成物も本発明の範囲内であり、当技術分野で公知の任意の化学的、電気化学的、メカノケミカル、ソノケミカル、光化学的、マイクロ波支援、生化学的及び/又は生物工学的プロセスによって得ることができる。元素状β硫黄及び表面修飾極性基を含む組成物は、本発明の実施形態を更に構成する。確立されているように、元素状α硫黄は、加熱されるとβ硫黄に変換され、逆もまた同様である。
【0066】
バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物中のゼロ価硫黄含有量の決定
一態様では、本発明の組成物のゼロ価硫黄含有量は、α硫黄、チオ硫酸ナトリウム及びポリチオン酸ナトリウム中のゼロ価硫黄のパーセンテージ(w/w)を測定するために本明細書に記載の方法を使用して決定することができる。本明細書に記載のゼロ価硫黄含有量を決定するための亜硫酸分解法は、式(ii)に示すように、ポリチオナート分子の亜硫酸分解がトリチオナートで停止するという事実を補正しないため、各ポリチオナート分子に存在するゼロ価硫黄原子の1つは、亜硫酸分解から逃げ、チオスルファートに変換されない(式(ii))。しかしながら、本明細書に開示される組成物のナトリウム含有量は少ないため、ゼロ価硫黄%の計算に導入される誤差はそれに応じて小さい。亜硫酸分解の詳細な分析は、Koh et al.,Anal.Sci.6:3-14,1990に記載されている。
【0067】
亜硫酸分解反応式(i)及び(ii)は、Morris et al.,Anal.Chem.20:1037-1039,1948の元素硫黄の定量的決定の速度論的方法のように処理した。本明細書に記載の亜硫酸分解方法は、亜硫酸分解触媒としてのn-ヘキサデシルピリジニウムクロリドの使用を含むいくつかの方法で、Morris et al.の方法と比較して改善されている。
式(i) S8+8SO3
2-→8S2O3
2-
式(ii) -O3S-Sn-SO3
-+(n-1)SO3
2-→(n-1)S2O3
2-+-O3S-S-SO3
-
【0068】
試薬溶液及び溶液の調製方法を表3に示す。
【表3】
【0069】
ゼロ価硫黄含有量を決定するために、組成物0.160g±10mgを250mLの三角フラスコに秤量する。フラスコに15%のNa2SO3溶液100mLを添加する。フラスコを水浴に入れ、水が沸騰するまで加熱する。次いで、0.5mLの1%ヘキサデシルピリジニウムクロリド一水和物溶液を添加し、固体が完全に消失するまで加熱を継続する。フラスコ内の内容物を室温まで冷却し、内部に磁気撹拌棒を配置する。撹拌しながら、15mLのホルムアルデヒド溶液、25mLの6N溶液、10mLの10%KI溶液、及び1mLの0.5%可溶性デンプン指示溶液を添加する。得られた溶液は無色であるべきである。フラスコ内の内容物を、25mLビュレットを用いて0.2NのKIO3溶液で滴定する。滴定を開始すると、フラスコの内容物は琥珀色になるが、色はすぐに消える。当量点に近づくにつれて、限度を超えないように非常に注意する。滴定溶液の液滴が色の変化を生じないとき、最終点に達する。
式(iii):滴定反応IO3
-+5I-+6H++6S2O3
2-→6I-+3S4O6
2-+3H2O
式(iv):
ゼロ価硫黄%*=(VKIO3(mL)xNKIO3x32.07x100)/(1000xサンプル重量(g))
*亜硫酸分解を受けやすい
【0070】
状態及び障害
本明細書に記載の組成物は、ウイルス感染症、例えばエンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療するために使用することができる。エンベロープウイルスは、DNAウイルス、RNAウイルス、又は逆転写ウイルスであり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、エンベロープウイルスはDNAウイルスである。DNAウイルスは、例えば、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス科、又はプレオリポウイルス科(Pleolipoviridae)であり得る。ヘルペスウイルス科は、例えば、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、又はエプスタイン・バーウイルスであり得る。ポックスウイルス科は、例えば、天然痘ウイルス、牛痘ウイルス、羊痘ウイルス、オーフウイルス、サル痘ウイルス、又はワクシニアウイルスであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、エンベロープウイルスはRNAウイルスである。RNAウイルスは、例えばトガウイルス科、アレナウイルス科、フラビウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、コロナウイルス科、ボルナウイルス科、又はアルテリウイルス科であり得る。トガウイルス科は、例えば、風疹ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルス、チクングニアウイルス、マヤロウイルス、オニョンニョンウイルス、Unvaウイルス、又はトナテウイルス(Tonate virus)であり得る。アレナウイルス科は、例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス又はラッサ熱であり得る。フラビウイルス科は、例えば、デングウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、ウエストナイルウイルス、又はジカウイルスであり得る。オルトミクソウイルス科は、例えば、インフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、イサウイルス、又はソゴトウイルスであり得る。パラミクソウイルス科は、例えば、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、牛疫ウイルス、イヌジステンパーウイルス、又はヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)であり得る。HPIVは、例えば、HPIV-1、HPIV-2、HPIV-3、又はHPIV-4であり得る。ブニヤウイルス科は、例えば、カリフォルニア脳炎ウイルス又はシンノンブレウイルスであり得る。ラブドウイルス科は狂犬病ウイルス又は水疱性口内炎ウイルスである。フィロウイルス科は、例えば、エボラウイルス又はマールブルグウイルスであり得る。コロナウイルス科は、例えば、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、デルタコロナウイルス、又はガンマコロナウイルスであり得る。ベータコロナウイルスは、例えば、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、又は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)であり得る。ボルナウイルス科は、例えば、ボルナ病ウイルスであり得る。アルテリウイルス科は、例えば、アルテリウイルス又はウマ動脈炎ウイルスであり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、エンベロープウイルスは逆転写ウイルスである。逆転写ウイルスは、例えば、レトロウイルス科又はヘパドナウイルス科であり得る。レトロウイルス科は、例えば、ヒト免疫不全(HIV)ウイルスであり得る。HIVは、HIV-1又はHIV-2であり得る。ヘパドナウイルス科は、例えば、B型肝炎ウイルスであり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、方法は、HIV又はAIDSではないエンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療することを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、方法は、ウイルス性肝炎ではないエンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療することを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、方法は、RSVではないエンベロープウイルスによって引き起こされるウイルス感染症を治療することを含む。
【0077】
ベータコロナウイルス感染症
本明細書に記載される医薬組成物は、ベータコロナウイルス(例えば、MERS-CoV、SARS-CoV、又はSARS-CoV-2)感染症を治療するために使用され得る。ベータコロナウイルスは、肺外病変を伴う気道感染症を引き起こすコロナウイルスの一種である。ベータコロナウイルスは、4つの系統、系統A(HCoV-OC43及びHCoV-HKU1を含む)、系統B(SARS、SARS-CoV-2を含む)、系統C(BtCoV-HKU4、BtCoV-HKU5、及びMERSを含む)、及び系統D(BtCoV-HKU9を含む)に更に分類することができる。これらのウイルスはヒト集団で流行しており、新生児、高齢者、及び基礎疾患を有する個人ではより重篤な疾患を引き起こし、これらの集団では下気道感染の発生率がより高い。
【0078】
SARS-CoV-2感染症
本明細書に記載される医薬組成物は、SARS-CoV-2コロナウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症であるSARS-CoV-2感染症COVID-19を治療するために使用され得る。SARS-CoV-2は、人から人へ(例えば、互いに密接に接触している人(例えば、6フィート以内))、及びSARS-CoV-2ウイルスに感染した人が咳又はくしゃみをしたときに生成される呼吸器飛沫を介して広がる可能性があり、飛沫は別の人と接触し(例えば、鼻、口、目に接触する、及び/又は肺に吸入される)、それによって人をウイルスに曝露する可能性がある。人がウイルスで汚染された表面に触れ、次いで自分の口、鼻、又は目に触れることによってSARS-CoV-2に曝露されることも可能であり得る。COVID-19の症状の発症前の潜伏期間は、SARS-CoV-2への曝露後約2~14日である。疾患の症状には、発熱、咳、及び呼吸困難が含まれ得る。症状の重症度は、軽度(例えば、報告された症状なし)から、死に至る病状を含む重度の病状にまで及び得る。高齢者及び基礎疾患を有する全ての年齢の人は、重篤な病状を発症するリスクが高い。疾患を有すると診断された人に曝露された人、最近COVID-19の大流行を経験している場所に旅行した人、高齢者、又は免疫無防備状態場合、対象はCOVID-19を有するリスクがあり得る。対象は、症状又は診断試験(例えば、ELISA、SARS-CoV-2抗体を検出するための側方流動クロマトグラフィーイムノアッセイ、又はAbbot ID NOW(商標)プラットフォーム)に基づいて、当業者によってCOVID-19を有すると診断され得る。
【0079】
医薬組成物
本明細書に記載の方法は、バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物、あるいは本明細書に記載のバイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物の1つ及び第2の治療剤(例えば、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬(例えば、抗レトロウイルス薬)、及び/又は栄養補助食品)の組合わせを含有する医薬組成物を投与することを含む。
【0080】
医薬組成物は、当技術分野で公知の様々な方法によって投与することができる。当業者によって理解されるように、投与経路及び/又は投与様式は、所望の結果に応じて変化する。本医薬組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために、非経口投与、鼻腔内投与、外用投与、経口投与、又は局所投与、例えば経皮的手段等、のために製剤化することができる。医薬組成物は、非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下注射によって)、又は経口摂取によって、又は血管若しくは癌状態によって影響を受ける領域での外用適用若しくは関節内注射によって投与することができる。追加の投与経路には、血管内、動脈内、腫瘍内、腹腔内、脳室内、硬膜内、並びに経鼻、眼、強膜内、眼窩内、直腸、外用、又はエアロゾル吸入投与が含まれる。デポー注射又は侵食性インプラント又は成分等の手段による持続放出投与もまた、本発明にとくに含まれる。したがって、本発明は、許容される担体、好ましくは水性担体、例えば水、緩衝水、生理食塩水、PBS等に、溶解、コロイド分散又は懸濁された上述の薬剤を含む非経口投与用組成物を提供する。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤、等張性調整剤、湿潤剤、洗剤等の生理学的条件に近似するために必要とされる薬学的に許容される補助物質を含有し得る。
【0081】
治療用組成物は、溶液、コロイド分散液、懸濁液、エマルジョン、注入装置、又は移植用送達装置の形態であってもよく、又はそのまま使用されるか、又は使用前に水若しくは別の適切なビヒクルで再構成される乾燥粉末として提供されてもよい。組成物は、経口投与用の錠剤、カプセル剤(例えば、硬ゼラチンカプセル及び軟ゼラチンカプセル)、液体又は持続放出錠剤の形態であり得、又は静脈内、髄腔内、皮下若しくは非経口投与用の液体、又は外用投与用のクリーム若しくは軟膏、又は外用投与用のポリマー若しくは他の徐放性ビヒクルとすることができる。
【0082】
製剤を作製するための当技術分野で周知の方法は、例えば、2018年に公開された、Remington’s Pharmaceutical Sciences(2012,22nd ed.)and in The United States Pharmacopeia:The National Formulary(USP 41 NF 36)に見出される。非経口投与のための製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、生理食塩水、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、植物起源の油、又は水素化ナフタレンを含有し得る。生体適合性の生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを使用して、物質の放出を制御することができる。ナノ粒子製剤(例えば、生分解性ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子、リポソーム)を使用して、物質の体内分布を制御することができる。他の潜在的に有用な送達系としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、髄腔内ポンプ、埋込み型注入系及びリポソームが挙げられる。製剤中の物質の濃度は、投与される薬物の投与量及び投与経路を含むいくつかの要因に応じて変化する。
【0083】
特定の投与経路によって本発明の組成物を投与するために、組成物をその不活性化を防止するための材料でコーティングするか、又は組成物をその不活性化を防止するための材料と共投与することが必要な場合がある。例えば、組成物は、適切な担体、例えばリポソーム又は希釈剤中で対象に投与され得る。薬学的に許容され得る希釈剤には、生理食塩水及び水性緩衝液が含まれる。リポソームには、水中油中水型CGFエマルジョン並びに従来のリポソームが含まれる(Strejan et al.,J.Neuroimmunol.7:27-41,1984)が含まれる。薬学的に許容され得る担体としては、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射コロイド溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野で公知であり、任意の従来の媒体又は薬剤が活性物質と適合しない場合を除いて本発明に含まれる。補助活性物質も組成物に組み込むことができる。
【0084】
治療用組成物は、典型的には、製造及び貯蔵の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、懸濁液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ワセリン(例えば、VASELINE(登録商標))、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及び異なる割合(例えば、本明細書に記載の分散媒中、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%)で配合されたそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。コロイド分散液は、当技術分野で周知の薬剤の添加によって安定化され得る。
【0085】
本明細書に記載の組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌されてもよく、又は滅菌濾過されてもよい。得られた水性分散液は、そのまま使用するために包装されてもよく、又は凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9又は6~8、最も好ましくは7~8、例えば7~7.5である。固体又は半固体形態の得られた組成物は、各々が一定量の組成物を含有する複数の単回用量単位で、例えば錠剤又はカプセルの密封包装で包装され得る。固体形態の組成物はまた、外用的に適用可能なクリーム又は軟膏用に設計された圧搾可能なチューブ等の可撓性量の容器に包装することができる。
【0086】
本発明のいくつかの製剤には、例えば100mg~400mgの本発明のバイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物を含有する硬質ゼラチンカプセルの調製、約5~20%(5.5%、6%、6.5%、7%、8%、10%、15%、17%、又は19%)の本発明のバイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物とワセリン(例えば、Vaseline(登録商標))若しくはポリエチレングリコールとの懸濁液の調製、又は約5~20%(5.5%、6%、6.5%、7%、8%、10%、15%、17%、又は19%)の本発明のバイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物の水若しくは油中コロイド分散液が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
滅菌注射用コロイド懸濁液は、必要に応じて、上に列挙した材料の1つ又は組合わせを含む適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を組み込み、必要に応じて任意選択で、滅菌精密濾過を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒体及び上に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療的又は予防的応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、又は治療的又は予防的状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減少又は増加させてもよい。例えば、本発明の組成物は、皮下注射によって週に1回若しくは2回、又は皮下注射によって月に1回若しくは2回投与され得る。
【0088】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、非経口組成物を投薬単位形態で製剤化することがとくに有利である。本明細書で使用される投薬単位形態は、治療される対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療効果又は予防効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を、必要に応じて必要とされる薬学的担体と組み合わせて含有する。本発明の投与単位形態の仕様は、(a)活性物質の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果又は予防効果、並びに(b)個体における感受性に対する、治療のためにそのような活性物質を配合する技術に固有の制限によって決定され、それらに直接依存する。
【0089】
本発明の物質を医薬品としてヒト及び動物に投与する場合、それらは単独で、又は例えば1~100%(より好ましくは、10~100%、例えば90~100%)の有効成分を含有する医薬組成物として、場合により1種又は複数の薬学的に許容される担体又は賦形剤と組み合わせて投与することができる。
【0090】
有効量を含有する組成物は、予防的治療又は治療的治療のために投与することができる。予防的適用では、組成物は、ウイルス感染症の発症に対する臨床的に決定された素因又は感受性の増加を有する患者に投与することができる。本発明の組成物は、ウイルス感染症の発症を遅延させる、減少させる、又は好ましくは予防するのに十分な量で患者(例えば、ヒト)に投与することができる。治療用途では、ウイルス感染症に既に罹患している患者(例えば、ヒト)に、ウイルス感染症及びその合併症(例えば、ウイルス感染症の症状、例えば咳又は肺炎)の症状を治癒又は少なくとも部分的に停止させるのに十分な量の組成物を投与する。この目的を達成するのに十分な量は、「治療有効用量」、ウイルス感染症に関連する何らかの症状を実質的に改善するのに十分な化合物の量として定義される。例えば、ウイルス感染症の治療では、疾患又は状態の任意の症状を減少させる、予防する、遅延させる、抑制する、又は停止させる薬剤又は物質が治療上有効であろう。薬剤又は物質の治療有効量は、疾患又は状態を治癒させることを要しないが、疾患又は状態に対する治療が提供されて、疾患又は状態の発症が遅延され、妨げられ、若しくは防止され、又は疾患若しくは状態の症状が改善され、又は疾患若しくは状態の用語が変更され、又は例えば、個体において重症度が低下し、若しくは回復が加速される。
【0091】
本発明の物質及び製剤を他の薬剤との併用療法で投与する場合、それらを個体に連続的又は同時に投与することができる。あるいは、医薬組成物は、本明細書に記載されるような薬学的に許容される賦形剤と任意に会合した、本明細書に記載される物質又は製剤と、当技術分野で公知の別の治療薬又は予防薬との組合わせを含むことができる。
【0092】
製剤化された薬剤は、キットとして一緒に包装することができる。非限定的な例としては、例えば、2つの丸剤、丸剤及び粉末、坐剤及びバイアル内の液体、2つの外用クリーム等を含むキットが挙げられる。キットは、粉末形態を再構成するためのバイアル、注射用シリンジ、カスタマイズされたIV送達システム、吸入器等、患者への単位用量の投与を補助する任意の成分を含むことができる。更に、単位用量キットは、組成物の調製及び投与のための説明書を含むことができる。キットは、1名の患者に対する単回使用単位用量、特定の患者に対する複数回使用(一定用量で、又は治療が進行するにつれて個々の化合物の効力が変化し得る)として製造され得、又はキットは、複数の患者への投与に適した複数回用量を含み得る(「バルク包装」)。キット構成要素は、カートン、ブリスターパック、ボトル、チューブ等に組み立てることができる。
【0093】
投与量
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化される。本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者にとって毒性でなく、特定の患者、組成物、及び投与様式に対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るように変化し得る。選択される投与量レベルは、使用される本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、使用される特定の薬剤の吸収速度、治療の期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、物質、及び/又は材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態及び以前の病歴、並びに医学分野で周知の同様の因子を含む様々な薬物動態学的因子に依存する。当業者であれば、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師又は獣医師は、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで医薬組成物に使用される本発明の物質の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させることができる。一般に、本発明の組成物の適切な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最小用量である物質の量である。そのような有効用量は、一般に、上記の因子に依存する。治療用組成物の有効1日用量は、1日を通して適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6又はそれ以上のサブ用量として、任意選択的に単位剤形で投与され得る。
【0094】
治療投与量レベルは、例えば、約10mg~約10,000mg(例えば、約10mg~約100mg、例えば、約10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、又は100mg、例えば、約100mg~約1000mg、例えば、約200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、又は1,000mg、例えば、約1,000mg~約2,000mg、例えば、約1,100mg、1,200mg、1,300mg、1,400mg、1,500mg、1,600mg、1,700mg、1,800mg、1,900mg、又は2,000mg、例えば、約2,000mg~約3,000mg、例えば、約2,100mg、2,200mg、2,300mg、2,400mg、2,500mg、2,600mg、2,700mg、2,800mg、2,900mg、又は3,000mg、例えば、約3,000mg~約4,000mg、例えば、約3,100mg、3,200mg、3,300mg、3,400mg、3,500mg、3,600mg、3,700mg、3,800mg、3,900mg、又は4,000mg、例えば、約4,000mg~約5,000mg、例えば、約4,100mg、4,200mg、4,300mg、4,400mg、4,500mg、4,600mg、4,700mg、4,800mg、4,900mg、又は5,000mg、例えば、約5,000mg~約6,000mg、例えば、約5,100mg、5,200mg、5,300g、5,400mg、5,500mg、5,600mg、5,700mg、5,800mg、5,900mg、又は6,000mg、例えば、約6,000mg~約7,000mg、例えば、約6,100mg、6,200mg、6,300mg、6,400mg、6,500mg、6,600mg、6,700mg、6,800mg、6,900mg、又は7,000mg、例えば、約7,000mg~約8,000mg、例えば、約7,100mg、7,200mg、7,300mg、7,400mg、7,500mg、7,600mg、7,700mg、7,800mg、7,900mg、又は8,000mg、例えば、約8,000mg~約9,000mg、例えば、約8,100mg、8,200mg、8,300mg、8,400mg、8,500mg、8,600mg、8,700mg、8,800mg、8,900mg、又は9,000mg、例えば、約9,000mg~約10,000mg、例えば、約9,100mg、9,200mg、9,300mg、9,400mg、9,500mg、9,600mg、9,700mg、9,800mg、9,900mg、又は10,000mg)の活性ゼロ価硫黄リッチ組成物を含み得る。いくつかの実施形態では、治療投与量レベルは、本明細書に記載の症状、症候群及び病理学的状態のほとんどに罹患した平均体重の成人に経口投与される、1日当たり約800mg~約1,600mg(例えば、約800mg、850mg、900mg、1,000mg、1,050mg、1,100mg、1,200mg、1,300mg、1,400mg、1,450mg、1,500mg、1,550mg、又は1,600mg)の活性ゼロ価硫黄リッチ組成物である。いくつかの実施形態では、予防投与量レベルは約100mg~約1,200mg(例えば、約100mg、110mg、140mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、460mg、700mg、750mg、800mg、900mg、1,000mg、1,100mg、1,150mg、又は1,200mg)である。いくつかの実施形態では、経口投与量レベルは、平均体重の成人に対して約2,400mg/日以上(例えば、約2,450mg、2,500mg、3,000mg、3,500mg、4,000mg、8,000mg、又は10,000mg)である。小児、例えば癌を有する小児については、用量を漸増することができる(例えば、下痢又は悪心等の胃腸毒性の徴候が現れるまで、用量を徐々に漸増してもよい。)。好ましい実施形態では、バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物は、経口投与にとって極めて安全であり、ほとんどの患者は治療が進行するにつれてより高い投与量に耐えることができる。
【0095】
他の実施形態では、本発明のバイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物は、外用投与に安全である。外用投与のための許容可能な剤形は、バイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物を含有するクリーム、ローション、ペースト、ゲル及び/又は軟膏として製剤化することができる。
【0096】
ヒト対象への投与に適した最終剤形は、薬理学的に活性な薬剤としてバイオアベイラビリティが高いゼロ価硫黄リッチ組成物の1つを含んでもよく、又は他の活性剤、例えば、α-リポ酸、カルニチン、酒石酸カルニチン、フマル酸カルニチン、コエンザイムQ10、セレン、α-ケトグルタル酸、α-ケトグルタル酸カリウム、α-ケトグルタル酸ジエチル、オキサロ酢酸、オキサロ酢酸ナトリウム、オキサロ酢酸ジエチル、2-オキソ-3-(エトキシカルボニル)-ペンタノジオン酸ジエチルエステル、L-シスチン、パラセタモール、サルファ薬、NSAID、コルチコステロイド、タウリン、ビタミン、プレバイオティクス、別の抗癌薬、限定するものではないが、別のマイトカン(例えば、ミトコンドリア電子伝達鎖を標的とする薬物)、アルキル化剤(例えば、プロカルバジン、ダカルバジン、アルトレタミン、シスプラチン)、メトトレキサート、プリン拮抗薬(例えば、フルオロウラシル、シタラビン、アザシチジン)(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン、ペントスタチン)、ピリミジン拮抗薬(フルオロウラシル、シタラビン、アザシチジン)、植物アルカロイド(例えば、ビンブラスチン、エトポシド、トポテカン)、ホルモン剤(例えば、タモキシフェン、フルタミド)、抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシン、ブレオマイシン)、及びマイトカン(例えば、ジクロロ酢酸ナトリウム及び3-ブロモピルビン酸)を更に含んでいてもよい。
【0097】
併用療法
本発明は、本明細書に記載の組成物及び1種又は複数の追加の治療剤を対象に投与することによって、対象のウイルス感染症を治療又は予防する方法を提供する。対象が2つ以上の薬剤の併用療法で治療される場合、薬剤は連続的に(例えば、1日間隔、2日間隔、3日間隔、1週間間隔、1ヶ月間隔、6ヶ月間隔、又はそれ以上)又は実質的に同時に(例えば、1日以内)投与され得る。2つ以上の薬剤は、単一の医薬組成物として製剤化されてもよく、又は別々の医薬組成物として投与されてもよい。2つ以上の薬剤は、異なる投与経路の同じ投与経路によって投与され得る。2つ以上の薬剤は、同じ頻度又は異なる頻度で投与され得る。
【0098】
抗ウイルス剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1つ又は複数の抗ウイルス剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はレムデシビル(remdesivir)である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はファビピラビル(favipiravir)である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はファビラビル(favilavir)である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はEIDD-2801である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤は、ガリデシビル(galidesivir)である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はSNG001である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤は、ロピナビル(lopinavir)、リトナビル(ritonavir)、又はロピナビル(lopinavir)とリトナビル(ritonavir)との組合わせである。いくつかの実施形態では、抗ウイルス薬はロピナビル(lopinavir)である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス薬はリトナビル(ritonavir)である。
【0099】
抗ウイルスワクチン
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ワクチン(例えば、ウイルス、例えばベータコロナウイルスに対して指向される対象において免疫応答を誘発する組成物、例えば、SARS-CoVワクチン、SARC-CoV-2ワクチン又はMERS-CoVワクチン)と組み合わせて投与される。ワクチンは、組成物と実質的に同時に(例えば、同じ医薬組成物中又は別々の医薬組成物中)投与され得るか、又は組成物の前又は後に(例えば、1日以内、2日以内、5日以内、1週間以内、2週間以内、3週間以内、1ヶ月以内、2ヶ月以内、6ヶ月以内、又は12ヶ月以内、又はそれを超える)投与され得る。
【0100】
抗真菌剤
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される組成物は、1つ又は複数の抗真菌剤と組み合わせて投与される。感染症の治療を必要とする対象における感染症の治療のための上記併用療法のいくつかの実施形態では、抗真菌剤は、アニデュラフンギン(anidulafungin)、カスポフンギン(caspofungin)、ミカフンギン(micafungin)、アムホテリシンB(amphotericin B)、カンジシジン(candicidin)、フィリピン(filipin)、ハマイシン(hamycin)、ナタマイシン(natamycin)、ナイスタチン(nystatin)、リモシジン(rimocidin)、ビフォナゾール(bifonazole)、ブトコナゾール(butoconazole)、クロトリマゾール(clotrimazole)、エコナゾール(econazole)、フェンチコナゾール(fenticonazole)、イソコナゾール(isoconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)、ルリコナゾール(luliconazole)、ミコナゾール(miconazole)、オモコナゾール(omoconazole)、オキシコナゾール(oxiconazole)、セルタコナゾール(sertaconazole)、スルコナゾール(sulconazole)、チオコナゾール(tioconazole)、トリアゾール(triazole)、アルバコナゾール(albaconazole)、エフィナコナゾール(efinaconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、フルコナゾール(fluconazole)、イサブコナゾール(isavuconazole)、イトラコナゾール(itraconazole)、ポサコナゾール(posaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ラブコナゾール(ravuconazole)、テルコナゾール(terconazole)、ボリコナゾール(voriconazole)、アバフンギン(abafungin)、アモロールフィン(amorolfin)、ブテナフィン(butenafine)、ナフチフィン(naftifine)、テルビナフィン(terbinafine)、シクロピロックス(ciclopirox)、フルシトシン(flucytosine)、グリセオフルビン(griseofulvin)、トルナフタート(tolnaftate)又はウンデシレン酸(undecylenic acid)である。
【0101】
抗菌剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物はいずれも、1つ又は複数の抗菌剤と組み合わせて投与される。感染症の治療を必要とする対象における感染症の治療のための上記併用療法のいくつかの実施形態では、抗菌剤は、アミカシン(amikacin)、ゲンタマイシン(gentamicin)、カナマイシン(kanamycin)、ネオマイシン(neomycin)、ネチルマイシン(netilmicin)、トブラマイシン(tobramycin)、パロモマイシン(paromomycin)、ストレプトマイシン(streptomycin)、スペクチノマイシン(spectinomycin)、ゲルダナマイシン(geldanamycin)、ヘルビマイシン(herbimycin)、リファキシミン(rifaximin)、ロラカルベフ(loracarbef)、エルタペネム(ertapenem)、ドリペネム(doripenem)、イミペネム/シラスタチン(imipenem/cilastatin)、メロペネム(meropenem)、セファドロキシル(cefadroxil)、セファゾリン(cefazolin)、セファロチン(cefalotin)、セファレキシン(cefalexin)、セファクロル(cefaclor)、セファマンドール(cefamandole)、セフォキシチン(cefoxitin)、セフプロジル(cefprozil)、セフロキシム(cefuroxime)、セフィキシム(cefixime)、セフジニル(cefdinir)、セフジトレン(cefditoren)、セフォペラゾン(cefoperazone)、セフォタキシム(cefotaxime)、セフォポドキシム(cefpodoxime)、セフタジジム(ceftazidime)、セプチブテン(ceftibuten)、セフチゾキシム(ceftizoxime)、セフトリアキソン(ceftriaxone)、セフェピム(cefepime)、セフタロリンフォサミル(ceftaroline fosamil)、セフトビプロール(ceftobiprole)、テイコプラニン(teicoplanin)、バンコマイシン(vancomycin)、テラバンシン(telavancin)、ダルババンシン(dalbavancin)、オリタバンシン(oritavancin)、クリンダマイシン(clindamycin)、リンコマイシン(lincomycin)、ダプトマイシン(daptomycin)、アジスロマイシン(azithromycin)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、ジリスロマイシン(dirithromycin)、エリスロマイシン(erythromycin)、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、トロレアンドマイシン(troleandomycin)、テリスロマイシン(telithromycin)、スピラマイシン(spiramycin)、アズトレオナム(aztreonam)、フラゾリドン(furazolidone)、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、リネゾリド(linezolid)、ポシゾリド(posizolid)、ラデゾリド(radezolid)、トレゾリド(torezolid)、アモキシシリン(amoxicillin)、アンピシリン(ampicillin)、アズシリン(azlocillin)、カルベニシリン(carbenicillin)、クロキサシリン(cloxacillin)、ジクロキサシリン(dicloxacillin)、フルクロキサシリン(flucloxacillin)、メズロシリン(mezlocillin)、メチシリン(methicillin)、ナフシリン(nafcillin)、オキサシリン(oxacillin)、ペニシリンg(penicillin g)、ペニシリンv(penicillin v)、ピペラシリン(piperacillin)、ペニシリンg(penicillin g)、テモシリン(temocillin)、チカルシリン(ticarcillin)、アモキシシリンクラブラナート(amoxicillin clavulanate)、アンピシリン/スルバクタム(ampicillin/sulbactam)、ピペラシリン/タゾバクタム(piperacillin/tazobactam)、チカルシリン/クラブラナート(ticarcillin/clavulanate)、バシトラシン(bacitracin)、コリスチン(colistin)、ポリミキシンb(polymyxin b)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、エノキサシン(enoxacin)、ガチフロキサシン(gatifloxacin)、ゲミフロキサシン(gemifloxacin)、レボフロキサシン(levofloxacin)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、ナリジクス酸(nalidixic acid)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、オフロキサシン(ofloxacin)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、グレパフロキサシン(grepafloxacin)、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、テマフロキサシン(temafloxacin)、マフェニド(mafenide)、スルファセタミド(sulfacetamide)、スルファジアジン(sulfadiazine)、スルファジアジン銀(silver sulfadiazine)、スルファジメトキシン(sulfadimethoxine)、スルファメチゾール(sulfamethizole)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)、スルファニルイミド(sulfanilimide)、スルファサラジン(sulfasalazine)、スルフィソキサゾール(sulfisoxazole)、トリメトプリム-スルファメトキサゾール(trimethoprim-sulfamethoxazole)(tmp-smx)、スルホンアミドクリソイジン(sulfonamidochrysoidine)、デメクロサイクリン(demeclocycline)、ドキシサイクリン(doxycycline)、ミノサイクリン(minocycline)、オキシテトラサイクリン(oxytetracycline)、テトラサイクリン(tetracycline,)、クロファジミン(clofazimine)、ダプソン(dapsone)、カプレオマイシン(capreomycin)、シクロセリン(cycloserine)、エタンブトール(bs)(ethambutol(bs))、エチオンアミド(ethionamide)、イソニアジド(isoniazid)、ピラジナミド(pyrazinamide)、リファンピシン(rifampicin)、リファブチン(rifabutin)、リファペンチン(rifapentine)、ストレプトマイシン(streptomycin)、アルスフェナミン(arsphenamine)、クロラムフェニコール(chloramphenicol)、ホスホマイシン(fosfomycin)、フシジン酸(fusidic acid)、メトロニダゾール(metronidazole)、ムピロシン(mupirocin)、プラテンシマイシン(platensimycin)、キヌプリスチン/ダルホプリスチン(quinupristin/dalfopristin)、チアンフェニコール(thiamphenicol)、チゲサイクリン(tigecycline)、チニダゾール(tinidazole)、及びトリメトプリム(trimethoprim)である。いくつかの実施形態では、抗菌剤はアジスロマイシン(azithromycin)である。いくつかの実施形態では、抗菌剤はシプロフラキシン(ciproflaxin)である。前述のリストは、感染症の治療のための当業者に公知の抗菌剤の例示であることを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0102】
抗炎症剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、1つ又は複数の抗炎症剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はトシリズマブ(tocilizumab)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はサリルマブ(Sarilumab)である。いくつかの実施形態では、抗炎症性は、AmnioBoostである。いくつかの実施形態では、抗炎症剤は、レフルノミド(leflunomide)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はメトトレキサート(methotrexate)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はスルファサラジン(sulfasalazine)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はアバテルセプト(abatercept)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はリツキシマブ(rituximab)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はトシリズマブ(tocilizumab)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はアナキンラ(anakinra)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はアダリムマブ(adalimumab)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はエタネルセプト(etanercept)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はインフリキシマブ(infliximab)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はセルトリズマブペゴール(certolizumab)である。いくつかの実施形態では、抗炎症剤はゴリムマブ(golimumab)である。
【0103】
抗寄生虫剤
いくつかの実施形態では、抗寄生虫剤はヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)である。いくつかの実施形態では、抗寄生虫剤はクロロキン(chloroquine)である。
【0104】
栄養補助食品
組成物は、一般的な健康を促進及び/又は維持するために、1つ又は複数の栄養補助食品と組み合わせて投与され得る。栄養補助食品の例には、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B7、B9、B12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンK)、ミネラル(例えば、カリウム、塩素、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレン及びモリブデン)、ハーブ又は植物(例えば、St.John’s-wort,kava,Shilajit、及び中国薬草)、アミノ酸(例えば、グリシン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、トリプトファン及びフェニルアラニン)、並びに上記についての、あらゆる濃縮物、構成成分、抽出物、及び/又は組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
鎮痛剤
組成物は、鎮痛剤又は解熱剤と組み合わせて投与され得る。例えば、組成物は、アセトアミノフェンと共に投与され得る。組成物は、イブプロフェンと共に投与され得る。
【0106】
他の実施形態
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は更なる修正が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、及び本開示からのそのような逸脱を含む本発明の任意の変形、使用、又は適合を網羅することを意図しており、本発明が関連する技術分野内の既知の又は慣習的な実施態様に含まれ、上述の本質的な特徴に適用され得ることが理解されよう。
【0107】
全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許又は特許出願がその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】