(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】PD-1アンタゴニスト、化学放射線療法およびPARP阻害剤の組み合わせを用いた癌の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20230602BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230602BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230602BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20230602BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20230602BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K39/395 T
A61K31/501
A61K31/454
A61K31/55
A61K31/5025
A61K31/519
A61K31/337
A61K33/24
A61K31/282
A61K31/7048
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566684
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021029777
(87)【国際公開番号】W WO2021225851
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】パールマター,ロジャー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ピエタンツァ,マリア・カトリーヌ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA18
4C084AA20
4C084AA21
4C084AA24
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC37
4C086BC50
4C086CB09
4C086CB11
4C086EA11
4C086GA07
4C086GA12
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA26
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA75
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
本明細書では、(a)1以上のプログラム死1タンパク質(PD-1)アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)1以上のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、および任意に(d)1以上の化学療法剤、の組み合わせを使用して癌を治療する方法が提供される。また、本明細書では、(a)PD-1アンタゴニスト;(b)放射線療法、(c)PARP阻害剤;及び任意の(d)化学療法剤、を含む医薬投与のためのキットが提供される。本明細書ではさらに、ヒト患者の癌を治療するための組み合わせの使用が提供され、ここで、該組み合わせは、(a)有効量の1以上のPD-1アンタゴニスト、(b)有効量の放射線療法、(c)有効量のPARP阻害剤、および任意に(d)1以上の化学療法剤を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に以下の組み合わせを投与することを含む、方法:
(a)有効量の1以上のプログラム死1(PD-1)アンタゴニスト;
(b)有効量の放射線療法;
(c)有効量の1以上のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤;および
(d)任意に、有効量の1以上の化学療法剤。
【請求項2】
(c)のPARP阻害薬の各々が、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、又はそれらの製薬的に許容される塩から独立して選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(c)の1つのPARP阻害剤が、1回または複数回投与され、そして、PARP阻害剤が、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PD-1アンタゴニストが、抗PD-1抗体または抗PD-L2抗体である、請求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
(a)の各PD-1アンタゴニストが抗PD-1抗体であり、そして、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから独立して選択されるか;または(a)の各PD-1アンタゴニストが抗PD-L1抗体であり、そして、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよびアベルマブから独立して選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(a)の1つのPD-1アンタゴニストが1回または複数回投与され、そして、前記PD-1アンタゴニストが、ペムブロリズマブおよびニボルマブから選択される抗PD-1抗体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(b)の放射線療法が、約10Gy~約100Gyの線量で、1回以上の分割で投与される胸部放射線療法である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(b)の放射線療法が、約20Gy~約80Gyの線量で、1回以上の分割で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(b)の放射線療法が、約60Gyの線量で、2Gyの線量を30日毎日で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
(a)の1以上のPD-1アンタゴニスト、(b)の放射線療法、(c)の1以上のPARP阻害剤、および(d)の任意の1以上の化学療法剤が、以下に従って投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法:
(1) 有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および任意の有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続いて
(2) 有効量のPARP阻害剤を投与することを含む維持段階。
【請求項12】
(a)の1以上のPD-1アンタゴニスト、(b)の放射線療法、(c)の1以上のPARP阻害剤、および(d)の任意の1以上の化学療法剤が、以下に従って投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法:
(1) 有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および任意の有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続いて
(2) 有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、以下を含む方法:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、放射線療法および化学療法剤は、同時に投与される;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、12ヶ月までに1回または複数回投与され、
ここで、PARP阻害剤は、12ヶ月までに1回または複数回投与される。
【請求項14】
前記PD-1アンタゴニストが、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
治療段階(1)の各PD-1アンタゴニストが、抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブ及びセミプリマブから選択され、そして、
維持段階(2)の各PD-1アンタゴニストが、存在する場合は、抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブ及びセミプリマブから選択される、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
治療段階(1)の各PD-1アンタゴニストが抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブであり;
維持段階(2)の各PD-1アンタゴニストが、存在する場合、抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブであり;
(b)の放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で、複数の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり、そして、
(c)の各PARP阻害剤は、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記任意の化学療法剤が投与される、請求項1~12および14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記化学療法剤が、アドリアマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、エトポシド、イリノテカン、マイトマイシンC、パクリタキセル、ペメトレキセド、プリカマイシン、ポドフィロトキシン、トポテカン、ビンクリスチン、および前記化学療法剤の任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前記化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記化学療法剤が、以下から選択される白金ダブレットである、請求項17に記載の方法:
(1)シスプラチンとペメトレキセドの組み合わせ;
(2)シスプラチンとエトポシドの組み合わせ;および
(3)カルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ。
【請求項21】
前記化学療法剤が、以下から選択される白金ダブレットである、請求項20に記載の方法:
(1)シスプラチン75mg/m
2IVおよびペメトレキセド500mg/m
2IVを3サイクル(サイクル1~3の1日目);
(2)シスプラチン50mg/m
2IV(サイクル1および2の1日目および8日目;サイクル3の8日目および15日目)およびエトポシド50mg/m
2IVを3サイクル(サイクル1および2の1~5日目;サイクル3の8~12日目)
(3)サイクル1の1日目にパクリタキセル200mg/m
2IVとともにカルボプラチンAUC 6mg/mL/分IV;サイクル2及び3の1日目、8日目、15日目にパクリタキセル45mg/m
2IVとともにカルボプラチンAUC 2mg/mL/分IV。
【請求項22】
(a)のPD-1アンタゴニスト、(b)の放射線療法、(c)のPARP阻害剤、および(d)の化学療法剤を以下に従って投与することを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階。
【請求項23】
方法が、
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは1回または複数回投与され;
ここで、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量を1以上の分割で投与され、そして、化学療法剤は、1回または複数回投与される;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、12ヶ月までに1回または複数回投与され、そしてここで、PARP阻害剤は、12ヶ月までに1回または複数回投与される、
ことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
方法が、
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから選択され、
そしてここで、放射線療法は、標準的な胸部放射線療法であり、
ここで、化学療法剤は、アドリアマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、エトポシド、イリノテカン、マイトマイシンC、パクリタキセル、ペメトレキセド、プリカマイシン、ポドフィロトキシン、トポテカン、ビンクリスチン、および前述の化学療法剤の任意の2以上の組み合わせから選択される;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブおよびセミプリマブから選択され、そしてここで、
PARP阻害薬は、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブおよびタラゾパリブ、またはその薬学的に許容される塩から選択される、
ことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記治療段階(1)の前記PD-1アンタゴニストが、50mg~600mgまたは1~4mg/kgの用量で、3~6週間に1回投与される、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記治療段階(1)の前記PD-1アンタゴニストが、200mgまたは2mg/kgの用量で、3週間に1回、IV投与されるペムブロリズマブである、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記治療段階(1)の前記PD-1アンタゴニストが、400mgまたは4mg/kgの用量で6週間に1回、IV投与されるペムブロリズマブである、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記放射線療法が、約20Gy~約80Gyの線量で投与される、請求項17~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
前記放射線療法が、約60Gyの線量を、2Gy線量で30日毎日の分割で投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前記化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前記化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され、そして、3サイクルまでそれぞれの化学療法剤の10~2000mg/m
2の用量で投与される、請求項22に記載の使用。
【請求項32】
前記化学療法剤が、以下から選択される、請求項22に記載の方法:
(1)シスプラチン75mg/m
2IVおよびペメトレキセド500mg/m
2IVを3サイクル(サイクル1~3の1日目);
(2)シスプラチン50mg/m
2IV(サイクル1および2の1日目および8日目;サイクル3の8日目および15日目)およびエトポシド50mg/m
2IVを3サイクル(サイクル1および2の1~5日目;サイクル3の8~12日目)
(3)サイクル1の1日目にパクリタキセル200mg/m
2IVとともにカルボプラチンAUC 6mg/mL/分IV;サイクル2および3の1日目、8日目、15日目にパクリタキセル45mg/m
2IVとともにカルボプラチンAUC 2mg/mL/分IV。
【請求項33】
前記維持段階(2)のPD-1アンタゴニストが、100mg~600mgの用量で、3~6週間に1回投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記維持段階(2)のPD-1アンタゴニストが、200mgの用量で3週間に1回、12ヶ月まで投与されるペムブロリズマブである、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記維持段階(2)のPD-1アンタゴニストが、400mgの用量で6週間に1回、12ヶ月まで投与されるペムブロリズマブである、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記ペムブロリズマブが、400mgの用量で、6週間に1回、12ヶ月まで投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記維持段階(2)のPARP阻害剤が、100mg~600mgの用量で1日2回投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記維持段階(2)のPARP阻害剤が、300mgの用量で1日2回投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記オラパリブまたはその薬学的に許容される塩が、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
方法が、
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、100mg~600mgの用量で3~6週間に1回投与され、
ここで、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で、1以上の分割で投与され、
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m
2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、1以上のサイクルで、100mg~600mgの用量で、3~6週間に1回投与され、そしてここで、
PARP阻害剤は、1以上のサイクルで、100mg~600mgの用量で1日2回投与される、
ことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
方法が、
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、前記PD-1アンタゴニストは、200mgの用量で3週間に1回投与されるペムブロリズマブであり、
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量で、それぞれ2Gy線量の30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり、
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m
2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、200mgの用量で3週間に1回、12ヶ月まで投与されるペムブロリズマブであり;そしてここで、
PARP阻害剤は、300mgの用量で、1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である、
ことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
方法が、
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、400mgの用量で6週間に1回投与されるペムブロリズマブであり、
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量で、それぞれ2Gy線量の30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり、
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m
2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、400mgの用量で6週間に1回、12ヶ月まで投与されるペムブロリズマブであり、そしてここで、
PARP阻害剤は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である、
ことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記治療段階(1)の前記PD-1アンタゴニスト、前記放射線療法および化学療法剤が、同日または異なる日に同時投与される同時療法であり、そして、連続的にまたは同時に投与される、請求項17~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記維持段階(2)の前記PD-1アンタゴニストおよび前記PARP阻害剤が、同日または異なる日に投与され、そして、連続的にまたは同時に投与される、請求項17~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記維持段階(2)の前記PD-1アンタゴニストおよび前記PARP阻害剤が、同日または異なる日に投与され、そして、連続的に投与される、請求項17~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
以下を含む医薬キット:
(a)PD-1アンタゴニスト;
(b)放射線療法の投与に関する指示書;
(c)PARP阻害剤;および
(d)任意に、化学療法剤。
【請求項47】
以下を含む、請求項46に記載の医薬キット::
(a)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから選択されるPD-1アンタゴニスト;
(b)治療段階の一環として放射線療法の投与に関する指示書;
(c)オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブから選択されるPARP阻害薬、またはそれらの製薬的に許容される塩;および
(d)シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセドおよび前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される化学療法剤。
【請求項48】
以下を含む、請求項46に記載の医薬キット:
(a)ペムブロリズマブであるPD-1アンタゴニスト;
(b)治療段階の一部として約20Gy~約80Gyの線量での放射線療法の投与に関する指示書;
(c)オラパリブであるPARP阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;および
(d)以下から選択される化学療法剤:
(1)シスプラチンとペメトレキセドの組み合わせ;
(2)シスプラチンとエトポシドの組み合わせ;および
(3)カルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ。
【請求項49】
(a)PD-1アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)PARP阻害剤、および任意に(d)化学療法剤、を、ヒト患者に投与するための指示書をさらに含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の医薬キット。
【請求項50】
ヒト患者における癌を治療するための組み合わせの使用であって、
該組み合わせが:
(a)有効量の1以上のPD-1アンタゴニスト、
(b)有効量の放射線療法、
(c)有効量のPARP阻害剤、および
(d)任意に、有効量の1以上の化学療法剤、を含む、前記使用。
【請求項51】
前記組み合わせが、以下を含む、請求項50に記載の使用:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階。
【請求項52】
前記組み合わせが、以下を含む、請求項50に記載の使用:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは1回または複数回投与され、
ここで、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で、1以上の分割で投与され、
そしてここで、化学療法剤は、1回または複数回投与される;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって
ここで、PD-1アンタゴニストは、12ヶ月までに1回または複数回投与され;
そしてここで、PARP阻害剤は、12ヶ月までに1回または複数回投与される。
【請求項53】
前記組み合わせが、以下を含む、請求項50に記載の使用:
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、前記PD-1アンタゴニストは、200mgの用量で3週間に1回投与されるペムブロリズマブであり、
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量で、それぞれ2Gy線量の30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり、
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m
2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストであるペムブロリズマブは、200mgの用量で3週間に1回、12ヶ月まで投与され、そしてここで、
PARP阻害剤は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。
【請求項54】
前記組み合わせが、以下を含む、請求項50に記載の使用:
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、400mgの用量で6週間に1回投与されるペムブロリズマブであり;
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量で、それぞれ2Gyの線量を30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり;
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m
2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストであるペムブロリズマブは、400mgの用量で6週間に1回、12ヶ月まで投与され、そしてここで、
PARP阻害剤は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。
【請求項55】
癌が、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、肝細胞癌、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌および腎細胞癌からなる群より選択される、請求項1~54のいずれか一項記載の方法、キット、または使用。
【請求項56】
前記癌がNSCLCである、請求項55に記載の方法、キット、または使用。
【請求項57】
前記癌が、切除不能な、局所的に進行した、ステージIIIのNSCLCである、請求項55に記載の方法、キット、または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(a)1以上のプログラム細胞死1(PD-1)アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)1以上のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、および任意に、(d)1以上の化学療法剤、の組み合わせを使用して癌を治療する方法が本明細書で提供される。
【背景技術】
【0002】
PD-1は、免疫調節および末梢寛容の維持において重要なプレーヤーとして認識されている。PD-1またはそのリガンド(例えば、PD-L1)を標的とする免疫チェックポイント療法は、複数のヒトがんタイプにおける臨床反応の画期的な改善をもたらした(Brahmer et al.、N Engl J Med,366:2455-2465(2012);Garon et al.、N Engl J Med,372:2018-2028(2015);Hamid et al.、N Engl J Med,369:134-144(2013);Robert et al.、Lancet,384:1109-1117(2014);Robert et al.、N Engl J Med,372:2521-2532(2015);Robert et al.、N Engl J Med,372:320-330(2015);Topalian et al.,N Engl J Med,366:2443-2454(2012);Topalian et al.、J Clin Oncol,32:1020-1030(2014);Wolchok et al.、N Engl J Med,369:122-133(2013))。PD-1軸を標的とする免疫療法には、PD-1受容体に対するモノクローナル抗体(例:KEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ)、Merck and Co.Inc.、ケニルワース、ニュージャージー州、OPDIVO(登録商標)(ニボルマブ)、Bristol-Myers Squibb Company、ニュージャージー州プリンストン);LIBTAYO(登録商標)(セミプリマブ)、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.、ニューヨーク州タリータウン;PD-L1リガンドに結合するもの(例えば、TECENTRIQ(登録商標)(アテゾリズマブ)、Genentech、カリフォルニア州サンフランシスコ);IMFINZI(登録商標)(デュルバルマブ)、AstraZeneca Pharmaceuticals LP、デラウェア州ウィルミントン、およびBAVENCIO(登録商標)(アベルマブ)、Pfizer Inc.が含まれる。
【0003】
哺乳動物ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)酵素(113kDaマルチドメインタンパク質)は、DNA一本鎖または二本鎖切断を認識し、迅速に結合する能力を介してDNA損傷のシグナル伝達に関与している(D’Amours、et al、BiochemJ.、342、249-268(1999))。
【0004】
PARPは、遺伝子増幅、細胞分裂、分化、アポトーシス、DNA塩基除去修復を含む様々なDNA関連機能に関与し、テロメア長および染色体安定性にも影響するという結論に至った(dDAdda di Fagagna、et al、Nature Gen、23(1)、76-80(1999))。
【0005】
PARPがDNA修復および他のプロセスを調節するメカニズムに関する研究は、細胞核内のポリ(ADP-リボース)鎖の形成におけるその重要性を確認している(Althaus、FRand Richter、C.、ADP-Ribosylation of Proteins:Enzymology and Biological Significance、Springer-Verlag、Berlin(1987))。DNA結合活性化PARPは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を利用して、トポイソメラーゼ、40ヒストンおよびPARP自体を含む様々な核標的タンパク質上でポリ(ADP-リボース)を合成する(Rhun、et al、BiochemBiophysResCommun.、245、1-10(1998))。
【0006】
ポリ(ADP-リボシル)化も、悪性形質転換と関連している。例えば、PARP活性は、SV40形質転換線維芽細胞の単離された核においてより高いが、白血病細胞および結腸癌細胞の両方が同等の正常白血球および結腸粘膜よりも高い酵素活性を示す(Miwa、et al、Arch.Biochem Biophys.181、313-321(1977);Burzio、et al、Proc.Soc.Proc.Soc.Exp.Bioi.Med.、149、933-938(1975);および、Hirai et al、Cancer Res、43、34413446(1983))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】N Engl J Med,366:2455-2465 (2012)
【非特許文献2】N Engl J Med,372:2018-2028(2015)
【非特許文献3】N Engl J Med,369:134-144(2013)
【非特許文献4】Lancet,384:1109-1117(2014)
【非特許文献5】N Engl J Med,372:2521-2532(2015)
【非特許文献6】N Engl J Med,372:320-330(2015)
【非特許文献7】N Engl J Med,366:2443-2454(2012)
【非特許文献8】J Clin Oncol,32:1020-1030(2014)
【非特許文献9】N Engl J Med,369:122-133(2013))
【非特許文献10】ADP-Ribosylation of Proteins: Enzymology and Biological Significance、Springer-Verlag、Berlin(1987)
【非特許文献11】Biochem.J.、342、249-268(1999)
【非特許文献12】Nature Gen、23(1)、76-80(1999)
【非特許文献13】Arch.Biochem Biophys.181、313-321(1977)
【非特許文献14】Proc.Soc.Proc.Soc.Exp.Bioi.Med.149、933-938(1975)
【非特許文献15】Cancer Res、43、34413446(1983))
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
抗PD-1または抗PD-L1アンタゴニスト抗体の有効性は、他の承認されたまたは実験的な癌治療と組み合わせて投与された場合、増強され得ることが提案されている。しかしながら、PD-1アンタゴニストと組み合わせたどの薬剤が有効であり得るか、または、どの患者が治療の有効性を増強し得るかについての明確なガイドラインはない。したがって、癌に対する強力な免疫応答を生じさせることができる高有効性治療用組み合わせに対する満たされていない必要性が存在する。
【0009】
発明の概要
本明細書に開示されるのは、癌(例えば、乳癌、卵巣癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、または膵臓癌)を治療する方法であって、それを必要とする患者に、(a)有効量の1以上のプログラム死1(PD-1)アンタゴニスト;(b)有効量の放射線療法;(c)有効量の1以上のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤;および、(d)任意に、有効量の1以上の化学療法剤の組み合わせを投与することを含む方法である。
【0010】
一実施形態では、癌を治療する方法は、それを必要とする患者に、(a)PD-1アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)PARP阻害剤、および(d)化学療法剤の組み合わせを投与することを含み:該方法は、
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階、を含む。
【0011】
一実施形態では、癌を治療する方法は:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、1回または複数回投与され;
ここで、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で、1以上の分割で投与され;そしてここで、
化学療法剤は、1回または複数回投与され;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、12ヶ月までに1回または複数回投与され;そしてここで、PARP阻害剤は、12ヶ月までに1回または複数回投与される、ことを含む。
【0012】
また、本明細書では、(a)PD-1アンタゴニスト;(b)放射線療法;(c)PARP阻害剤;および(d)任意に、化学療法剤、を含む、医薬投与のためのキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、切除不能な局所進行ステージIII NSCLC(NSCLC)に対する第一選択治療としての、ペムブロリズマブ+白金ダブレット化学療法剤および同時放射線療法の臨床第II相試験の模式図を示す。
【
図2】
図2は、ステージIII 非小細胞肺癌(NSCLC)における、オラパリブを伴うまたは伴わない、化学放射線同時療法を伴うペムブロリズマブの臨床第III相試験の模式図を示す。
【0014】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、PD-1アンタゴニスト、放射線療法、および任意の化学療法剤を投与することを含む、そのような癌の初期治療後に、PD-1アンタゴニストとPARP阻害剤との組み合わせを、癌の維持療法として使用することにより、改善された有効性を含む、改善された利益を提供することが見出された。
【0015】
本明細書には、(a)有効量の1以上のPD-1アンタゴニスト;(b)有効量の放射線療法;(c)有効量の1以上のPARP阻害剤;および(d)任意の1以上の化学療法剤の組み合わせを、それを必要とする患者に投与することを含む、癌を治療する方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態において、(c)の各PARP阻害剤は、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブおよびタラゾパリブ、またはそれらの薬学的に許容される塩から独立して選択される。
【0017】
方法の一実施形態では、PARP阻害剤は、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態では、PARP阻害剤は、1回または複数回投与される。
【0018】
オラパリブは、4-[3-(4-シクロプロパンカルボニル-ピペラジン-1-カルボニル)-4-フルオロ-ベンジル]-2H-フタラジン-1-オンの化学名を有し、式(I)
【化1】
によって表される。
【0019】
本方法の一実施形態では、PD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体である。別の実施形態では、PD-1アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。この方法の一実施形態では、(a)の各PD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから独立して選択され;(a)の各PD-L1アンタゴニストは、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよびアベルマブから独立して選択される抗PD-L1抗体である。
【0020】
本方法の一実施形態では、(a)のPD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブおよびニボルマブから選択され、1回または複数回投与される。本方法の一実施形態において、(a)の抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。別の実施形態では、ペムブロリズマブは、1回または複数回投与される。
【0021】
本方法の一実施形態において、(b)の放射線療法は、標準的な胸部放射線療法である。
【0022】
一実施形態では、放射線療法は、約1Gy~約150Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0023】
一実施形態では、放射線療法は、約10Gy~約100Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0024】
本方法の一実施形態では、(b)の放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0025】
本方法の一実施形態では、(b)の放射線療法は、約60Gyの線量で、2Gy線量で、30日毎日で投与される。
【0026】
本方法の一実施形態では、(a)の1以上のPD-1アンタゴニスト、(b)の放射線療法、(c)の1以上のPARP阻害剤、および(d)の任意の1以上の化学療法剤は、以下に従って投与される:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および任意の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続く
(2)有効量のPARP阻害剤を投与することを含む維持段階。
【0027】
本方法の一実施形態では、(a)の1以上のPD-1アンタゴニスト、(b)の放射線療法、(c)の1以上のPARP阻害剤、および(d)の任意の1以上の化学療法剤は、以下に従って投与される:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および任意に化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続く
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階。
【0028】
一実施形態では、該方法は:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、放射線療法および化学療法剤は、同時に投与される;およびそれに続く
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、12ヶ月までに1回または複数回投与され;そしてここで、PARP阻害剤は、12ヶ月までに1回または複数回投与される、を含む。
【0029】
本方法の一実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。別の実施形態において、PD-1アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。本方法の一実施形態では、治療段階(1)の各PD-1アンタゴニストは、抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブおよびニボルマブから選択され;そして、維持段階(2)の各PD-1アンタゴニストは、存在する場合、抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブおよびニボルマブから選択される。
【0030】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)の各抗PD-1抗体はペムブロリズマブであり;(2)の各抗PD-1抗体は、存在する場合、ペムブロリズマブであり;(b)の放射線療法は、約20~約80Gyの線量で複数の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり;そして、(c)の各PARP阻害剤は、オラパリブまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0031】
本方法の一実施形態では、任意に化学療法剤が投与される。本方法の一実施形態では、化学療法剤は、アドリアマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、エトポシド、イリノテカン、マイトマイシンC、パクリタキセル、ペメトレキセド、プリカマイシン、ポドフィロトキシン、トポテカン、ビンクリスチン、および前述の化学療法剤の任意の2以上の組み合わせから選択される。
【0032】
前記方法の一実施形態では、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される。
【0033】
本方法の一実施形態では、化学療法剤は、以下から選択される白金ダブレットである:
(1)シスプラチンとペメトレキセドの組み合わせ;
(2)シスプラチンとエトポシドの組み合わせ;および
(3)カルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ。
【0034】
本方法の一実施形態では、化学療法剤は、以下から選択される白金ダブレットである:
(1)シスプラチン75mg/m2静注(IV)およびペメトレキセド500mg/m2静注(IV)を3サイクル(サイクル1~3の1日目);
(2)シスプラチン50mg/m2静注(IV)(サイクル1および2の1日目および8日目;サイクル3の8日目および15日目)およびエトポシド50mg/m2静注(IV)を3サイクル(サイクル1および2の1~5日目;サイクル3の8~12日目)
(3)サイクル1の1日目にパクリタキセル200mg/m2静注(IV)とともにカルボプラチンAUC 6mg/mL/分IV;サイクル2および3の1日目、8日目、15日目にパクリタキセル45mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 2mg/mL/分静注(IV)。
【0035】
一実施形態では、方法は、以下に従って、(a)のPD-1アンタゴニスト、(b)の放射線療法、(c)のPARP阻害剤、および(d)の化学療法剤を投与することを含む:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続く
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階。
【0036】
一実施形態では、該方法は:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、1回または複数回投与され;
ここで、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量の1回または複数回の分割であり;そしてここで、
化学療法剤は、1回または複数回投与される;およびそれに続く
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって、
ここで、PD-1アンタゴニストは、12ヶ月までに1回または複数回投与され;そしてここで、PARP阻害剤は、12ヶ月までに1回または複数回投与される、ことを含む
【0037】
一実施形態では、該方法は:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、前記PD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体であり、そして、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから選択され;
ここで、前記放射線療法は、標準的な胸部放射線療法であり、
ここで、化学療法剤は、アドリアマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、エトポシド、イリノテカン、マイトマイシンC、パクリタキセル、ペメトレキセド、プリカマイシン、ポドフィロトキシン、トポテカン、ビンクリスチン、および前述の化学療法剤の2つの組み合わせから選択される;およびそれに続く
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体であり、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから選択され;そしてここで、
PARP阻害剤は、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、およびタラゾパリブ、またはその薬学的に許容される塩から選択される、
ことを含む。
【0038】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)のPD-1アンタゴニストは、50mg~600mgまたは1~4mg/kgの用量で3~6週間に1回投与される。
【0039】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)のPD-1アンタゴニストは、200mgまたは2mg/kgIVの用量で3週間に1回内投与されるペムブロリズマブである。
【0040】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)のPD-1アンタゴニストは、400mgまたは4mg/kgIVの用量で6週間に1回内投与されるペムブロリズマブである。
【0041】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)のPD-1アンタゴニストは、ニボルマブであり、240mgIVの用量で、2週間に1回投与される。
【0042】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)のPD-1アンタゴニストは、ニボルマブであり、480mgIVの用量で、4週間に1回投与される。
【0043】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)のPD-1アンタゴニストは、セミプリマブであり、350mgIVの用量で、3週間毎に投与される。
【0044】
本方法の一実施形態では、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で投与される。
【0045】
本方法の一実施形態では、放射線療法は、約60Gyの線量で、2Gy線量を30日毎日の分割で投与される。
【0046】
本方法の一実施形態では、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される。
【0047】
本方法の一実施形態では、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセドおよび前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m2の用量で3サイクルまで投与される。
【0048】
本方法の一実施形態では、化学療法剤は、以下から選択される;
(1)シスプラチン75mg/m2IVおよびペメトレキセド500mg/m2IVを3サイクル(サイクル1~3の1日目);
(2)シスプラチン50mg/m2IV(サイクル1および2の1日目および8日目;サイクル3の8日目および15日目)およびエトポシド50mg/m2IVを3サイクル(サイクル1および2の1~5日目;サイクル3の8~12日目)
(3)サイクル1の1日目にパクリタキセル200mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 6mg/mL/分IV;サイクル2および3の1日目、8日目、15日目にパクリタキセル45mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 2mg/mL/分IV。
【0049】
本方法の一実施形態では、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストは、100mg~600mgの用量で、3~6週間に1回投与される。
【0050】
本方法の一実施形態において、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストはペムブロリズマブであり、200mgの用量で、3週間に1回、12ヶ月まで投与される。
【0051】
本方法の一実施形態では、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストは、ペムブロリズマブであり、200mgまたは2mg/kgIVの用量で、3週間に1回、12ヶ月まで投与される。
【0052】
本方法の一実施形態において、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストはペムブロリズマブであり、200mgIVの用量で、3週間に1回、12ヶ月まで投与される。
【0053】
本方法の一実施形態において、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストはペムブロリズマブであり、400mgの用量で、3週間に1回、12ヶ月まで投与される。
【0054】
本方法の一実施形態において、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストは、400mgまたは4mg/kgIVの用量で、6週間に1回、12ヶ月まで投与されるペムブロリズマブである。
【0055】
本方法の一実施形態では、ペムブロリズマブは、400mgの用量で、6週間に1回、12ヶ月まで投与される。
【0056】
本方法の一実施形態では、維持段階(2)のPARP阻害剤は、100mg~600mgの用量で1日2回投与される。
【0057】
本方法の一実施形態において、維持段階(2)のPARP阻害剤はオラパリブまたはその薬学的に許容される塩であり、300mgの用量で1日2回投与される。
【0058】
本方法の一実施形態では、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与される。
【0059】
一実施形態では、該方法は:
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、3~6週間に1回投与され;
ここで、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で、1以上の分割で投与され;
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され、そして、それぞれの化学療法剤の10~200mg/m2の用量で3サイクルまで投与され、およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、1以上のサイクルで3~6週間に1回投与され、そしてここで、
PARP阻害剤は、100mg~600mgの用量で1日2回、1以上のサイクルで投与される、
ことを含む。
【0060】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)および/または維持段階(2)のPD-1アンタゴニストは、100mg~600mgの用量で3~6週間に1回投与される。
【0061】
一実施形態では、該方法は:
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、前記PD-1アンタゴニストは、200mgの用量で3週間に1回投与されるペムブロリズマブであり;
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量を、2Gy線量の30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり;
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され、そして、それぞれの化学療法剤の10~200mg/m2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、200mgの用量で3週間に1回、12ヶ月まで投与されるペムブロリズマブであり;
そしてここで、PARP阻害剤は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である、
ことを含む。
【0062】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)および/または維持段階(2)のPD-1アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。
【0063】
一実施形態では、該方法は:
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、400mgの用量で6週間に1回投与されるペムブロリズマブであり;
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量を、2Gy線量の30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり;
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~200mg/m2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)抗PD-1抗体であるPD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、400mgの用量で6週間に1回、12ヶ月まで投与されるペムブロリズマブであり;
そしてここで、PARP阻害剤は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である、
ことを含む。
【0064】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)および/または維持段階(2)のPD-1アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。
【0065】
本方法の一実施形態では、治療段階(1)のPD-1アンタゴニスト、放射線療法および化学療法剤は、同日または異なる日に投与される同時療法であり、そして、連続的にまたは同時に投与される。
【0066】
本方法の一実施形態では、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストおよびPARP阻害剤は、同日または異なる日に投与され、そして、連続的にまたは同時に投与される。
【0067】
本方法の一実施形態では、維持段階(2)のPD-1アンタゴニストおよびPARP阻害剤は、同日または異なる日に投与され、そして、連続的に投与される。
【0068】
一実施形態では、本明細書では医薬投与のためのキットが提供され、該キットは:
(a)PD-1アンタゴニスト;
(b)放射線療法の投与に関する指示書;
(c)PARP阻害剤;および
(d)任意に、化学療法剤、
を含む。
【0069】
一実施形態では、キットは、(a)PD-1アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)PARP阻害剤、および任意の(d)化学療法剤、をヒト患者に投与するための指示書をさらに含む。
【0070】
一実施形態では、ここでは医薬投与のためのキットが提供され、該キットは:
(a)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから選択されるPD-1アンタゴニスト;
(b)治療段階の一環として放射線療法の投与に関する指示書;
(c)オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブから選択されるPARP阻害薬、またはそれらの製薬的に許容される塩;
(d)シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセドおよび前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される化学療法剤、を含む。
【0071】
一実施形態では、ここでは医薬投与のためのキットが提供され、該キットは:
(a)ペムブロリズマブであるPD-1アンタゴニスト;
(b)治療段階の一部としての約20Gy~約80Gyの線量での放射線療法の投与に関する指示書;
(c)オラパリブであるPARP阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;および
(d)以下から選択される化学療法剤:
(1)シスプラチンとペメトレキセドの組み合わせ;
(2)シスプラチンとエトポシドの組み合わせ;および
(3)カルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、
を含む。
【0072】
キットの一実施形態では、キットは、(a)PD-1アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)PARP阻害剤、および任意に(d)化学療法剤をヒト患者に投与するための指示書をさらに含む。
【0073】
本方法の一実施形態では、癌は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、肝細胞癌、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌および腎細胞癌からなる群から選択される。
【0074】
本方法の一実施形態では、癌はNSCLCである。
【0075】
本方法の一実施形態では、癌は、切除不能、局所進行、ステージIIIのNSCLCである。
【0076】
一実施形態では、癌は転移性である。
【0077】
別の実施形態では、癌は再発している。
【0078】
別の実施形態では、癌は難治性である。
【0079】
さらに別の実施形態では、癌は再発性であり、難治性である。
【0080】
一実施形態では、癌は膀胱癌である。
【0081】
別の実施形態では、癌は乳癌である。
【0082】
別の実施形態では、癌は結腸直腸癌である。
【0083】
別の実施形態では、癌は肝細胞癌である。
【0084】
別の実施形態では、癌は黒色腫である。
【0085】
別の実施形態では、癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0086】
別の実施形態では、癌は卵巣癌である。
【0087】
別の実施形態では、癌は膵臓癌である。
【0088】
別の実施形態では、癌は前立腺癌である。
【0089】
別の実施形態では、癌は腎細胞癌である。
【0090】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。別の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0091】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0092】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0093】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト抗体である。
【0094】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト抗体である。
【0095】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はペムブロリズマブである。
【0096】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はニボルマブである。
【0097】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はセミプリマブである。
【0098】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はアテゾリズマブである。
【0099】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はデュルバルマブである。
【0100】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はアベルマブである。
【0101】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、ヒト患者に200mgまたは2mg/kgのペムブロリズマブが投与され、ペムブロリズマブは、3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者は、200mgのペムブロリズマブを3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者は、3週間に1回、2mg/kgのペムブロリズマブを投与される。
【0102】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、ヒト患者は、240mgまたは3mg/kgのニボルマブを2週間に1回、または480mgのニボルマブを4週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者は、240mgのニボルマブを2週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者は、2週間に1回、3mg/kgのニボルマブを投与される。一実施形態では、ヒト患者は、4週間に1回、480mgのニボルマブを投与される。
【0103】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、ヒト患者は、350mgのセミプリマブが投与され、セミプリマブは3週間に1回投与される。
【0104】
本文書で提供される方法またはキットの一実施形態では、ヒト患者は、アベルマ800mgが投与され、アバルマブは2週間に1回投与される。
【0105】
本明細書で提供される方法またはキットの一実施形態では、ヒト患者は840mgのアテゾリズマブが投与され、アテゾリズマブは2週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者は、1200mgのアテゾリズマブが投与され、アテゾリズマブは3週間に1回投与される。一実施形態ではヒト患者は、1680mgのアテゾリズマブを投与され、アテゾリズマブは4週間に1回投与される。
【0106】
本明細書に提供される方法またはキットの一実施形態において、ヒト患者には10mg/kgのデュルバルマブが投与され、デュルバルマブは2週間に1回投与される。1つの実施形態において、ヒト患者は、1500mgのデュルバルマブが投与され、デュルバルマブは3週間に1回投与される。別の実施形態では、ヒト患者は、1500mgのデュルバルマブが投与され、デュルバルマブは、4週間に1回投与される。
【0107】
本明細書に記載の様々な方法のさらに他の実施形態では、ヒト患者は、100、150、200、250、300、350、400、450、500、または550mgのオラパリブ、またはその薬学的に許容される塩が、1日2回投与される。
【0108】
したがって、一実施形態では、ヒト患者に、以下が投与される:
治療段階において
(a)200mg、240mg、または2mg/kgのペムブロリズマブを3週間に1回、
(b)約60Gyの線量を、2Gyの線量で30日毎日の放射線療法;
(c)3週間に1回の化学療法剤を3サイクル;
およびそれに続いて、以下を投与することを含む維持段階:
(d)200mg、240mg、または2mg/kgのペムブロリズマブを3週間に1回、12か月まで;
(e)オラパリブ400mgを、1日2回、12か月まで。
【0109】
定義
特定の技術用語および科学用語は、以下に具体的に定義される。本明細書の他の箇所で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される全ての他の技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。
【0110】
「約」は数値的に定義されたパラメータ(例えば、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、オラパリブ、放射線療法もしくは化学療法剤の投与量、または本明細書に記載される併用療法による治療期間の長さ)を修飾するために使用される場合、パラメータがそのパラメータについて記載された数値または範囲の10%以下であることを意味し;適切な場合、記載されたパラメータは、最も近い整数に四捨五入され得る。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kg~5.5mg/kgの間で変動し得る。
【0111】
添付の特許請求の範囲を含めて、本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」のような単数形の語は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、それらの対応する複数形の言及を含む。
【0112】
「投与」または「投与する」という用語は、体外に存在する物質(例えば、本明細書に記載の抗PD-1抗体、オラパリブ、化学療法剤、または放射線)を、例えば、経口、粘膜、皮内、静脈内、皮下、筋肉内送達、および/または本明細書に記載のもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法によって、患者に注射するか、または或いは物理的に送達する行為を指す。
【0113】
「有効量」という用語は、ヒト患者などの患者に投与された場合に、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する化合物の量を指す。有効量は、化合物の投与に関連する毒性および安全性の考慮を必ずしも含まない。当業者は、本明細書に開示される有効量の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物により、その障害に現在罹患している患者を治療することによってまたはその障害に罹患している可能性が高い患者を予防的に治療することによって、PD-1酵素活性またはPARP酵素活性に関連する生理学的障害に影響し得ることが認識される。放射線療法または化学療法剤に適用される場合、「有効量」という用語は、ヒト患者などの患者に放射線療法または化学療法剤を施すときに研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって求められている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する放射線療法または化学療法剤の用量を指す。
【0114】
有効量はさらに、細胞、組織、または対象に、単独でまたは組み合わせて投与された場合に、癌の1以上の症状または癌の進行において測定可能な改善を引き起こすのに有効である化合物または療法の量を指す。有効量はさらに、症状の少なくとも部分的な改善、例えば、腫瘍の縮小または排除、腫瘍増殖の欠如、生存時間の増加をもたらすのに十分な化合物または療法の単独または組み合わせの量を指す。有効量は、少なくとも10%;通常は少なくとも20%;好ましくは少なくとも約30%;より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%の診断尺度またはパラメータの改善をもたらし得る。疾患の重症度を評価するために主観的尺度が使用される場合、有効量はまた、主観的尺度の改善をもたらすことができる。単独または組み合わせて投与される本発明の化合物、療法、組み合わせおよび組成物の毒性および治療有効性は、任意の数の系または手段によって決定することができる。例えば、毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数(LD50/ED50)である。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための用量の範囲を処方する際に使用することができる。そのような化合物または療法の用量は、単独または組み合わせで、好ましくは毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、使用される投薬形態および投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。
【0115】
「PD-1アンタゴニスト」は、細胞(例えば、癌細胞)上に発現されるPD-L1の、異なる細胞(例えば、T細胞、B細胞またはNatural Killer T(NKT細胞)などの免疫細胞)上に発現されるPD-L1への結合を遮断し、好ましくは細胞(例えば、癌細胞)上に発現されるPD-L2の、PD-1を発現する細胞(例えば、免疫細胞がPD-1を発現する)への結合を遮断する任意の化学化合物または生物学的分子を意味するものであり、PD-1およびそのリガンドの別名または同義語は、PD-1についてはPDCD1、PD1、CD279およびSLEB2;PD-L1についてはPDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4、CD274およびB7-H;PD-L2についてはPDCD1L2、PDL2、B7-DC、BtdcおよびCD273を含む。ヒト個体が治療される処置方法、医薬および開示される使用のいずれかにおいて、PD-1アンタゴニストは、ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合を遮断し、好ましくは、ヒトPD-L1およびPD-L2の両方のヒトPD-1への結合を遮断する。ヒトPD-1アミノ酸配列は、NCBI遺伝子座番号:NP_005009に見出すことができる。ヒトPD-L1およびPD-L2アミノ酸配列は、それぞれNCBI遺伝子座番号:NP_054862およびNP_079515に見出すことができる。PD-1アンタゴニストという用語は、抗PD-1抗体および抗PD-L1抗体を含む。
【0116】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、所望の生物学的活性または結合活性を示す任意の形態の免疫グロブリン分子を指す。したがって、それは最も広い意味で使用され、具体的にはモノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト化、完全ヒト抗体、およびキメラ抗体を含むが、これらに限定されない。「親抗体」は、ヒト治療薬として使用するための抗体のヒト化などの意図される使用のための抗体の修飾の前に、免疫系を抗原に曝露することによって得られる抗体である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、別段の指定がない限り、特異的結合についてインタクトな抗体と競合するその任意の抗原結合部分、抗原結合部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成も包含する。
【0117】
一般に、基本抗体構造単位は四量体を含む。各四量体はポリペプチド鎖の2つの同一の対を含み、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、インタクトな抗体は、2つの結合部位を有する。重鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を規定し得る。典型的には、ヒト軽鎖は、κおよびλ軽鎖として分類される。さらに、ヒト重鎖は、典型的にはμ、δ、γ、α、またはεとして分類され、抗体のアイソタイプを、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと定義する。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology Ch.7(Paul、W.、ed.、2nd edRaven Press、N.Y(1989)を参照されたい。
【0118】
本明細書で使用される「可変領域」または「V領域」または「V鎖」は、様々な抗体間で配列が可変であるIgG鎖の断片を意味する。抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を、単独でまたは組み合わせて指す。重鎖の可変領域は、「VH」と称され得る。軽鎖の可変領域は、「VL」と称され得る。典型的には、重鎖および軽鎖の両方の可変領域は、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する相補性決定領域(CDR)とも称される3つの超可変領域を含む。CDRは、通常、フレームワーク領域によって整列され、特異的エピトープへの結合を可能にする。一般に、N末端からC末端まで、軽鎖および重鎖の両方の可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest、Kabat、et al.;National Institutes of Health、Bethesda、Md;5th ed.;NIH Publ.米国特許第91-3242号(1991);Kabat(1978)、Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabat、et al、(1977)、J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothiaら、(1987)、J.Mol.Biol.196:901-917、またはChothia、et al、(1989)Nature、342:878-883を参照のこと。
【0119】
「CDR」は、抗体VHβ-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2、またはH3)のうちの1つ、または抗体VLβ-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2、またはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は当業者に周知であり、例えば、Kabatによって、抗体可変ドメイン内の大部分の超可変性の領域として定義されている。CDR領域配列はまた、Chothiaによって、保存されたβシートフレームワークの一部ではない残基として構造的に定義されており、したがって、異なるコンフォメーションに適応することができる。両方の用語は、当技術分野において十分に認識されている。CDR領域配列は、AbM、Contact、およびIMGTによっても定義されている。標準抗体可変領域内のCDRの位置は、多数の構造の比較によって決定されている(Al-Lazikani et al、1997、J.Mol.Biol.273:927-48;Morea et al、2000、Methods、20:267-79)。超可変領域内の残基の数は、異なる抗体において変化するので、カノニカル位置に対するさらなる残基は、カノニカル可変領域ナンバリングスキーム(Al-Lazikani et al、前述)における残基数の隣に、a、b、cなどで従来通りナンバリングされる。そのような命名法は、同様に当業者に周知である。例えば、KabatナンバリングおよびIMGT固有ナンバリングシステムを含むナンバリングシステム間の対応は当業者に周知であり、以下の表1に示される。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムによって定義される通りである。他の実施形態では、CDRは、IMGTナンバリングシステムによって定義される通りである。さらに他の実施形態では、CDRは、AbMナンバリングシステムによって定義される通りである。さらに他の実施形態では、CDRは、Chothiaナンバリングシステムによって定義される通りである。さらに他の実施形態では、CDRは、コンタクト番号付けシステムによって定義される通りである。
【0120】
【0121】
「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種(例えば、ヒト)に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する配列を含み、一方、鎖の残りは、所望の生物学的活性を示す限り、別の種(例えば、マウス)に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属するか、およびそのような抗体の断片を含む抗体を指す。
【0122】
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列またはその誘導体を含む抗体を指す。ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、またはマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生される場合、マウス炭水化物鎖を含み得る。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」は、それぞれ、マウスまたはラット免疫グロブリン配列またはその誘導体のみを含む抗体を指す。
【0123】
「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えば、マウス)抗体ならびにヒト抗体由来の配列を含有する抗体の形態を指す。このような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンの配列のそれである。ヒト化抗体は、場合により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含む。接頭辞「hum」、「hu」、または「h」は、ヒト化抗体を親げっ歯類抗体と区別するために必要な場合、抗体クローン名に付加され得る。げっ歯類抗体のヒト化形態は、一般に、親げっ歯類抗体の同じCDR配列を含むが、親和性を増加させるため、ヒト化抗体の安定性を増加させるため、または他の理由で、特定のアミノ酸置換が含まれてもよい。
【0124】
「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」は、本明細書で使用される場合、実質的に均質な抗体の集団を指し、すなわち、その集団を含む抗体分子は、少量で存在し得る可能性のある天然に存在する突然変異を除いてアミノ酸配列が同一である。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的にはそれらの可変ドメイン中に異なるアミノ酸配列を有する多数の異なる抗体、特に、異なるエピトープに特異的であることが多いそれらのCDRを含む。改変語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示しており、任意の特定の方法による抗体の生産が必要であるとは解釈されない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al(1975)、Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法によって作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」はまた、Clackson et al.(1991) Nature 352:624-628、および、Marks et al.(1991) J.Mol.Biol.222:581-597に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。例えば、Presta(2005) J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
【0125】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体のフラグメント、例えば、1以上のCDR領域を保持するフラグメントを指す。PD-1に「特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質と比較してPD-1に優先的に結合するが、この特異性は絶対的な結合特異性を必要としない抗体である。抗体は、その結合が試料中の標的タンパク質の存在を決定する場合、例えば、偽陽性などの望ましくない結果を生じることなく、その意図される標的に対して「特異的」であると考えられる。抗体またはその結合フラグメントは、非標的タンパク質との親和性よりも少なくとも2倍大きく、好ましくは少なくとも10倍大きく、より好ましくは少なくとも20倍大きく、最も好ましくは少なくとも100倍大きい親和性で標的タンパク質に結合する。
【0126】
抗原結合部分としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、CDRを含む断片、および一本鎖可変断片抗体(scFv)、ならびに抗原(例えば、PD-1)に特異的抗原結合を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが挙げられる。抗体は、IgG、IgA、またはIgM(またはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体を含み、抗体は、任意の特定のクラスである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分類され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。種々のクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および3次元構造は周知である。
【0127】
本明細書で使用するとき、用語「少なくとも1つの」又は用語「1以上の」は、それぞれ、リストから選択された単一の用語、及びリストから選択された2つ以上の用語の混合物を含む。
【0128】
本明細書で使用される場合、用語「免疫応答」は、以下:特異的免疫応答、非特異的免疫応答、特異的応答および非特異的応答の両方、自然応答、一次免疫応答、適応免疫、二次免疫応答、記憶免疫応答、免疫細胞活性化、免疫細胞増殖、免疫細胞分化、およびサイトカイン発現のうちの任意の1以上に関する。
【0129】
本明細書で使用される「対象」(あるいは「患者」)という用語は、治療、観察、または実験の対象であった哺乳動物を指す。哺乳動物は、男性または女性であり得る。哺乳動物はヒト、ウシ(bovine)(例えば、ウシ(cow))、ブタ(porcine)(例えば、ブタ(pig))、ヒツジ(ovine)(例えば、ヒツジ(sheep))、カプラ(capra)(例えば、ヤギ(goat))、ウマ(equine)(例えば、ウマ(horse))、イヌ(canine)(例えば、飼いイヌ(domestic dog))、ネコ(feline)(例えば、イエネコ(house cat))、ウサギ(lagomorphs)(例えば、ウサギ(rabbit))、げっ歯類(例えば、ラットまたはマウス)、プロシオン・ロトール(例えば、アライグマ)からなる群から選択される1以上であり得る。特定の実施態様において、対象はヒトを指す。
【0130】
本明細書で使用される「それを必要とする対象」という用語は、本明細書で定義される癌と診断されるか、または癌を有することが疑われる対象を指す。
【0131】
本開示によって提供される治療剤および組成物は、任意の適切な経腸経路または非経口投与経路を介して投与することができる。用語「経腸経路」投与は、胃腸管の任意の部分を介する投与を指す。経腸経路の例としては、経口、粘膜、頬側、および直腸経路、または胃内経路が挙げられる。「非経口経路」投与は、経腸経路以外の投与経路を指す。投与の非経口経路の例としては、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、膀胱内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内、皮下、または局所投与が挙げられる。本開示の治療剤および組成物は、経口摂取、経鼻胃管、胃瘻チューブ、注射、注入、埋め込み型注入ポンプ、および浸透圧ポンプなどの任意の適切な方法を使用して投与することができる。投与の適切な経路および方法は、使用される特定の治療剤、所望の吸収速度、使用される特定の製剤または剤形、治療される障害の種類または重症度、特定の作用部位、および患者の症状などの多くの因子に応じて変動し得、当業者によって容易に選択され得る。
【0132】
抗体(例えば、抗PD-1抗体)または抗体内のアミノ酸領域に関して使用される場合の「変異体」という用語は、天然または非修飾配列と比較して、1以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、または約1~約5)のアミノ酸配列置換、欠失、および/または付加を含むペプチドまたはポリペプチドを指し得る。例えば、抗PD-1抗体の変異体は、1以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、または約1~約5など)の、天然または以前に修飾されていない抗PD-1抗体のアミノ酸配列への変化から生じ得る。変異体は、天然に存在してもよく、または人工的に構築されてもよい。ポリペプチド変異体は、変異体をコードする対応する核酸分子から調製され得る。特定の実施形態では、抗体変異体(例えば、抗PD-1抗体変異体)は、少なくとも抗体機能活性を保持する。特定の実施形態では、抗PD-1抗体変異体は、PD-1に結合し、かつ/またはPD-1活性に拮抗する。
【0133】
「保存的に修飾された変異体」または「保存的置換」は、タンパク質の生物学的活性または他の所望の特性、例えば抗原親和性および/または特異性を変更することなく頻繁に変更を行うことができるような、タンパク質中のアミノ酸の、類似の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格コンホメーションおよび剛性など)を有する他のアミノ酸との置換を指す。当業者は、一般にポリペプチドの非必須領域における単一アミノ酸置換が生物学的活性を実質的に変化させないことを認識する(例えば、Watson et al(1987)Molecular Biology of Gene、The Benjamin/Cummings Pub.Co.、p224(第4版)を参照されたい)。さらに、構造的または機能的に類似のアミノ酸の置換は、生物学的活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換を以下の表2に示す。
【0134】
【0135】
「相同性」は、2つのポリペプチド配列が最適に整列された場合のそれらの間の配列類似性を指す。比較される2つの配列の両方における位置が同じアミノ酸モノマーサブユニットによって占有される場合、例えば、2つの異なるAbの軽鎖CDRにおける位置がアラニンによって占有される場合、2つのAbは、その位置で相同である。相同性のパーセントは、2つの配列によって共有される相同位置の数を、比較される位置の総数×100で割ったものである。例えば、配列が最適に整列されたときに、2つの配列中の10個の位置のうちの8個が一致する場合、2つの配列は80%相同である。一般に、比較は、最大パーセント相同性を与えるように2つの配列を整列する場合に行われる。例えば、比較はBLASTアルゴリズムによって実行することができ、アルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間で最大の一致を与えるように選択される。
【0136】
以下の参考文献は、配列分析にしばしば使用されるBLASTアルゴリズムに関する:BLAST ALGORITHMS:Altschul,S.F.,et al.,(1990) J.Mol.Biol.215:403-410;Gish,W.,et al.,(1993) Nature Genet.3:266-272;Madden,T.L.,et al.,(1996) Meth.Enzymol.266:131-141;Altschul,S.F.,et al.,(1997) Nucleic Acids Res.25:3389-3402;Zhang,J.,et al.,(1997)Genome Res.7:649-656; Wootton,J.C.,et al.,(1993) Comput. Chem. 17:149-163;Hancock,J.M.et al.,(1994) Comput.Appl.Biosci.10:67-70;ALIGNMENT SCORING SYSTEMS:Dayhoff,M.O.,et al.,“A model of evolutionary change in proteins.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978) vol. 5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.345-352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.,et al.,“Matrices for detecting distant relationships.” in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3.”M.O.Dayhoff(ed.),pp.353-358, Natl.Biomed.Res.Found.,Washington, DC;Altschul,S.F.,(1991) J.Mol.Biol.219:555-565;States,D.J.,et al.,(1991) Methods 3:66-70;Henikoff,S.,et al.,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919; Altschul,S.F.,et al.,(1993) J.Mol. Evol.36:290-300;ALIGNMENT STATISTICS:Karlin,S.,et al.,(1990) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268;Karlin,S.,et al.,(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877;Dembo,A.,et al.,(1994) Ann.Prob.22:2022-2039;and Altschul,S.F.“Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.”in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai,ed.),(1997)pp.1-14,Plenum,New York.
【0137】
本明細書で使用される「RECIST 1.1反応基準」は、標的病変または非標的病変について、Eisenhauer、E.A.ら、Eur.J. Cancer 45:228-247 (2009)に記載される定義を意味し、必要に応じて、応答が測定されている内容に基づく。
【0138】
「持続的反応」は、本明細書に記載されるように、治療の停止後の持続的な治療作用を意味する。本方法のいくつかの実施形態では、持続応答が治療期間と少なくとも同じ、または治療期間よりも少なくとも1.5、2.0、2.5または3倍長い期間を有する。
【0139】
本明細書で使用される、癌を「治療する」または「治療すること」は、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)、放射線療法、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤(例えば、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩)、および任意の化学療法剤を、癌を有するかまたは癌と診断された対象に、少なくとも1つの正の治療効果を達成するために、たとえば、がん細胞の数の減少、腫瘍のサイズの縮小、末梢臓器へのがん細胞の浸潤率の低下、または腫瘍の転移または腫瘍の増殖率の低下を達成するために、投与することを意味する。そのような「治療」は、本明細書に記載の癌の進行の減速、中断、停止、制御、または停止をもたらし得るが、必ずしも癌または癌の症状の完全な排除を示すものではない。癌における正の治療効果は、多くの方法で測定することができる(W.A.Weber,J.Nucl.Med.50:1S-10S(2009)を参照)。例えば、腫瘍増殖阻害に関して、NCI基準によれば、T/C≦42%が抗腫瘍活性の最小レベルである。T/C<10%は高い抗腫瘍活性レベルと見なされ、T/C(%)=治療された腫瘍体積の中央値/対照の腫瘍体積の中央値×100となる。方法のいくつかの実施形態では、本開示の併用療法によって達成される治療は、部分奏効(PR)、完全奏効(CR)、全奏効(OR)、無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、および全生存期間(OS)のいずれかである。「腫瘍進行までの時間」とも呼ばれるPFSは、治療中および治療後にがんが増殖しない時間を示し、患者がCRまたはPRを経験した時間、並びに、患者が安定した疾患を経験した時間の長さ(SD)を含む。DFSとは、治療中および治療後に患者が無病状態を維持する時間の長さを指す。OSは、ナイーブまたは未治療の個人または患者と比較した平均余命の延長を指す。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法に対する応答は、RECIST 1.1応答基準を使用して評価されるPR、CR、PFS、DFS、またはORのいずれかである。癌患者を治療するのに有効な本開示の併用療法の治療レジメンは、患者の疾患症状、年齢、および体重などの要因、対象において抗癌応答を誘発する療法の能力に応じて変化し得る。本開示の態様のいずれかの実施形態は、すべての対象において正の治療効果を達成するのに有効ではないかもしれないが、スチューデントのt検定、カイ2検定、MannandWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、Jonckheere-Terpstra検定、およびWilcoxon検定など、当技術分野で知られている任意の統計検定テストによって決定されるように、統計的に有意な数の被験者でそうする必要がある。
【0140】
本明細書で使用される場合、「併用」、「併用療法」および「治療的併用」という用語は、少なくとも1つのPD-1アンタゴニスト(例えば、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)、少なくとも1つの放射線療法、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤(例えば、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩)、および任意の1つの化学療法剤が、それぞれ重複する期間にわたって協調して患者に投与される処置を指す。
【0141】
少なくとも1つのPD-1アンタゴニスト(例えば、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)(「PD-1アンタゴニスト処置」)による治療期間は、患者が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)による処置を受ける期間;すなわち、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(またはその抗原結合フラグメント)または抗PD-L1モノクローナル抗体(またはその抗原結合フラグメント)の初回投与から治療サイクルの最終日までの期間である。
【0142】
放射線療法による治療期間は、患者が放射線療法による治療を受ける期間、すなわち、放射線療法による最初の治療から治療サイクルの最終日までの期間である。
【0143】
同様に、化学療法剤による治療期間は、患者が化学療法剤による治療を受ける期間、すなわち、化学療法剤による最初の治療から治療サイクルの最終日までの期間である。
【0144】
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤(例えば、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩)による治療期間(「PARP阻害剤治療」)は、患者がPARP阻害剤による治療を受ける期間、すなわち、PARP阻害剤による最初の投薬から治療サイクルの最終日までの期間である。
【0145】
本明細書に記載される方法および治療的組み合わせにおいて、方法は、一般に治療段階、続いて維持段階を含む。
【0146】
治療段階の間、PD-1アンタゴニスト治療(例えば、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片による治療)は、放射線療法治療と少なくとも1日重複し;化学療法剤が投与される場合、化学療法治療と少なくとも1日重複し;そしてPARP阻害剤治療と少なくとも1日重複する。本方法のある特定の実施形態では、PD-1アンタゴニスト、放射線療法、任意に化学療法剤、およびPARP阻害剤治療は、同じ期間である。いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニスト治療は、放射線療法、および/または任意の化学療法剤の前に開始する。他の実施形態では、PD-1アンタゴニスト治療は、放射線療法および/または任意の化学療法剤の後に開始する。さらに他の実施形態では、放射線療法および/または任意の化学療法剤は、PD-1アンタゴニスト治療の前に開始する。特定の実施形態では、PD-1アンタゴニスト治療は、放射線療法および/または任意の化学療法剤の終了前に終了する。他の実施形態では、PD-1アンタゴニスト治療は、放射線療法および/または任意の化学療法剤の終了後に終了する。
【0147】
維持段階の間、PD-1アンタゴニスト治療は、PARP阻害剤治療と少なくとも1日重複する。ある特定の実施形態では、PD-1アンタゴニスト治療およびPARP阻害剤治療は、同じ期間である。いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニスト治療は、PARP阻害剤治療の前に開始する。他の実施形態では、PD-1アンタゴニスト治療は、PARP阻害剤治療の後に開始する。
【0148】
「治療レジメン」、「投薬プロトコル」および「投薬レジメン」という用語は、本開示の併用療法における各治療剤の投与の用量およびタイミングを指すために互換的に使用される。
【0149】
「腫瘍」は、癌と診断されたまたは癌を有することが疑われる対象に適用される場合、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。腫瘍の非限定的な例としては、固形腫瘍(例えば、肉腫(例えば、軟骨肉腫)、癌腫(例えば、結腸癌腫)、芽腫(例えば、肝芽腫)など)および血液腫瘍(例えば、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、リンパ腫(例えば、DLBCL)、多発性骨髄腫(MM)など)が挙げられる。
【0150】
「腫瘍体積」または「腫瘍サイズ」という用語は、腫瘍の長さおよび幅として測定することができる腫瘍の総サイズを指す。腫瘍サイズは、例えば被検体からの除去時に、例えば、カリパーを使用して、または、例えば、骨スキャン、超音波、CTもしくはMRIスキャンなどの撮像技術を使用して、体内にある間に腫瘍の寸法を測定することなど、当技術分野で公知の様々な方法によって決定され得る。
【0151】
反対のことが明示的に記載されない限り、本明細書に引用されるすべての範囲は包括的であり、すなわち、範囲は、範囲の上限および下限の値ならびにその間のすべての値を含む。一例として、本明細書に記載される温度範囲、百分率、等価物の範囲などは、範囲の上限および下限、ならびにそれらの間の連続体における任意の値を含む。本明細書で提供される数値、および用語「約」の使用は、±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±10%の変更およびそれらの数値等価物を含み得る。すべての範囲はまた、必ずしも明示的に記載されているわけではないが、すべての含まれる部分範囲を含むことが意図される。例えば、3~7日の範囲は、3、4、5、6、および7日を含むことを意図する。さらに、本明細書で使用される「または」という用語は、適切な場合、組み合わせることができる代替物を意味し、すなわち、「または」という用語は、各列挙された代替物ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0152】
本開示の態様または実施形態がマーカッシュグループまたは代替物の他のグループ化に関して説明される場合、本開示は、全体として列挙されるグループ全体だけでなく、グループの各メンバー、個別に、およびメイングループのすべての可能なサブグループも包含するだけでなく、グループメンバーのうちの1以上が欠いたメイングループも包含する。本開示はまた、特許請求の範囲におけるグループメンバーのいずれか1以上の明示的排除を意図する。
【0153】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先される。本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数または整数の群の包含を意味するが、任意の他の整数または整数の群の除外を意味しないと理解される。文脈によって別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。用語「例えば」または「例えば」に続く任意の例は、網羅的または限定的であることを意味しない。
【0154】
例示的な方法および材料が本明細書に記載されているが、本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料も、本開示の実施または試験において使用することができる。材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0155】
PD-1アンタゴニスト
PD-L1のPD-1への結合を遮断し、好ましくはPD-L2のPD-1への結合も遮断する任意の化学化合物または生物学的分子を含む、本明細書に開示される様々な方法およびキットにおいて使用することができるPD-1アンタゴニストが本明細書において提供される。
【0156】
PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチド、またはPD-1エピトープに結合し、PD-1とそのリガンドPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を遮断する任意のモノクローナル抗体を使用することができる。いくつかの態様において、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチド、またはPD-1エピトープに結合し、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチドまたはPD-1エピトープに結合し、PD-1とPD-L2との間の相互作用を遮断する。さらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチドまたはPD-1エピトープに結合し、PD-1とPD-L1との間の相互作用およびPD-1とPD-L2との間の相互作用を遮断する。
【0157】
PD-L1ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド断片、PD-L1ペプチド、またはPD-L1エピトープに結合し、PD-L1とPD-1との間の相互作用を遮断する任意のモノクローナル抗体を使用することもできる。
【0158】
特定の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、ティスレリズマブ、カンレリズマブ、トリパリマブ、ピジリズマブ(米国特許第7,332,582号)、AMP-514(MedImmune LLC、Gaithersburg、MD)、PDR001(米国特許第9,683,048号)、BGB-A317(米国特許第8,735,553号)、およびMGA012(MacroGenics、Rockville、MD)からなる群から選択される。1つの実施形態において、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、ペムブロリズマブである。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はニボルマブである。別の実施形態において、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、セミプリマブである。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、ピジリズマブである。一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、AMP-514である。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、PDR001である。さらに別の実施形態において、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、BGB-A317である。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、MGA012である。
【0159】
いくつかの態様において、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、US7488802、US7521051、US8008449、US8354509、US8168757、WO2004/004771、WO2004/072286、WO2004/056875、US2011/0271358、およびWO2008/156712に開示されている任意の抗体、その抗原結合断片、またはその変異体であり得、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
本明細書に記載の様々な方法、キットおよび使用において使用することができるヒトPD-L1に結合するモノクローナル抗体の例は、US8383796に開示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。記載される様々な方法、キットおよび使用においてPD-1アンタゴニストとして有用な特異的抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体としては、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、およびBMS-936559が挙げられる。
【0161】
本明細書に記載の様々な方法、キットおよび使用において有用な他のPD-1アンタゴニストには、PD-1またはPD-L1に特異的に結合し、好ましくはヒトPD-1またはヒトPD-L1に特異的に結合する免疫接着分子、例えば、免疫グロブリン分子のFc領域などの定常領域に融合したPD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD-1結合部分を含む融合タンパク質が含まれる。PD-1に特異的に結合する免疫接着分子の例は、WO2010/027827およびWO2011/066342に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の様々な方法、キットおよび使用においてPD-1アンタゴニストとして有用な特定の融合タンパク質としては、PD-L2-Fc融合タンパク質であり、ヒトPD-1に結合するAMP-224(B7-DCIgとしても知られる)が挙げられる。
【0162】
様々な実施形態において、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のアミノ酸配列の変異体を含む。変異体アミノ酸配列は、1、2、3、4または5個のアミノ酸置換、欠失、および/または付加を有することを除いて、参照配列と同一である。いくつかの実施形態において、置換、欠失および/または付加は、CDR中に存在する。いくつかの実施形態において、置換、欠失および/または付加は、フレームワーク領域内にある。特定の実施形態では、アミノ酸置換のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたは5つは、保存的置換である。
【0163】
一実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVLvの1つと少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVL領域を有し、PD-1またはPD-L1への特異的結合を示す。別の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVHドメインの1つと少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVHドメインを有し、PD-1またはPD-L1への特異的結合を示す。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVLドメインの1つと少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVLドメインと、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVHドメインの1つと少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVHvとを有し、PD-1またはPD-L1に特異的結合を示す。
【0164】
一実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVLドメインの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失および/または付加を有するVLドメインを有し、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。別の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載される抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVHドメインの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、および/または付加を有するVHドメインを有し、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVLドメインの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、および/または付加を有するVLドメインと、本明細書に記載の抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1抗体のVHドメインの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、および/または付加を有するVHドメインとを有し、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。
【0165】
様々な実施形態において、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリンから選択される。好ましくは、抗体はIgG抗体である。IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む、IgGの任意のアイソタイプを使用することができる。様々な定常ドメインが、本明細書で提供されるVLおよびVH領域に付加され得る。例えば、本発明の抗体(または断片)の特定の意図される使用が変化したエフェクター機能を必要とする場合、IgG1以外の重鎖定常ドメインを使用することができる。IgG1抗体は長い半減期、および補体活性化および抗体依存性細胞傷害性などのエフェクター機能を提供するが、そのような活性は、抗体のすべての使用に望ましいとは限らない。そのような場合、例えば、IgG4定常ドメインを使用することができる。様々な実施形態において、重鎖定常ドメインは、抗体の望ましい特性を生成するための1以上のアミノ酸変異(例えば、S228P変異を伴うIgG4)を含む。これらの所望の特徴には、修飾されたエフェクター機能、物理的または化学的安定性、抗体の半減期などが含まれるが、これらに限定されない。
【0166】
通常、本明細書に開示される抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体およびその抗原結合断片のアミノ酸配列変異体は、基準抗体または抗原結合断片(例えば、重鎖、軽鎖、VH、VL、またはヒト化配列)のアミノ酸配列と少なくとも75%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95、98、または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。配列に関する同一性または相同性は、本明細書では配列を整列させ、必要であれば最大パーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮しない、参照配列と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。抗体配列中のN末端、C末端、または内部伸長、欠失、または挿入のいずれも、配列同一性または相同性に影響を及ぼすと解釈されないものとする。
【0167】
配列同一性は、2つの配列が最適に整列される場合、2つのポリペプチドのアミノ酸が同等の位置で同じである程度を指す。配列同一性はBLASTアルゴリズムを用いて決定することができ、ここで、アルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間で最大の一致を与えるように選択される。以下の参考文献は、配列分析にしばしば使用されるBLASTアルゴリズムに関する:BLAST ALGORITHMS:Altschul,S.F.,et al.,(1990) J.Mol.Biol.215:403-410;Gish,W.,et al.,(1993) Nature Genet.3:266-272;Madden,T.L.,et al.,(1996) Meth.Enzymol.266:131-141;Altschul,S.F.,et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402;Zhang,J.,et al.,(1997) Genome Res.7:649-656;Wootton,J.C.,et al.,(1993) Comput.Chem.17:149-163;Hancock,J.M.et al.,(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67-70;ALIGNMENT SCORING SYSTEMS:Dayhoff,M.O.,et al.,“A model of evolutionary change in proteins.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978) vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.345-352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.,et al.,“Matrices for detecting distant relationships.” in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978) vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.353-358,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington, DC;Altschul,S.F.,(1991) J.Mol.Biol.219:555-565;States,D.J.,et al.,(1991) Methods 3:66-70;Henikoff,S.,et al.,(1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915-10919;Altschul,S.F.,et al.,(1993) J.Mol.Evol.36:290-300;ALIGNMENT STATISTICS:Karlin,S.,et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268;Karlin,S.,et al.,(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877;Dembo,A.,et al.,(1994) Ann.Prob.22:2022-2039;and Altschul,S.F.“Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.”in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai,ed.),(1997) pp.1-14,Plenum,New York.
【0168】
いくつかの実施形態において、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体は、ヒト抗体である。他の実施形態において、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体は、ヒト化抗体である。
【0169】
いくつかの実施形態において、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の軽鎖は、ヒトκ骨格を有する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の軽鎖は、ヒトλ骨格を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG1骨格を有する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG2骨格を有する。さらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG3骨格を有する。さらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG4骨格を有する。
【0171】
いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG1変異体骨格を有する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG2変異体骨格を有する。さらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG3変異体骨格を有する。その他の実施形態において、抗ヒトPD-1または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG4変異体(例えば、S228P変異を有するIgG4)骨格を有する。
【0172】
放射線療法
本明細書に開示される様々な方法およびキットについて本明細書に提供される「放射線療法」(radiotherapy)または「放射線療法」(radiation therapy)という用語は、当技術分野で周知のように電離放射線のビームの使用による癌または腫瘍の治療を指す。
【0173】
放射線療法は、外部ビーム放射線療法または内部ビーム放射線療法として与えられる高エネルギーx線を使用して、がん細胞のさらなる増殖を防止または低減し、またはがん細胞におけるアポトーシスを引き起こす。放射線療法は、癌細胞および健康な細胞の両方に影響を及ぼし得るが、健康な細胞は、放射線の効果に耐えるかまたはその効果から回復することがより良好にできる。
【0174】
一実施形態では、放射線療法は、任意の化学療法剤および/または有効量のPD-1アンタゴニストの投与と組み合わせて投与される。
【0175】
一実施形態では、放射線療法は、対象が化学療法剤および/または治療有効量のPD-1アンタゴニストを含む治療レジメンを開始または終了する前、その間、または後に投与され得る。
【0176】
一実施形態では、放射線療法は、化学療法剤と同時に投与される。
【0177】
放射線療法は、一般に約1Gy~約200Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0178】
一実施形態では、放射線療法は、約10Gy~約150Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0179】
一実施形態では、放射線療法は、約20Gy~約100Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0180】
一実施形態では、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0181】
一実施形態では、放射線療法は、約60Gyの線量で1回以上の分割で投与される。
【0182】
一実施形態では、放射線療法は、約60Gyの線量で、2Gy線量の30日毎日で投与される。
【0183】
標準胸部放射線療法
この研究に参加者を含める前に、放射線腫瘍医は、ベースラインでの腫瘍が治療可能であると予想され、治療体積が指定された正常組織制約を有意に超える可能性が低いことを確実にするために、ベースラインの胸部コンピュータ断層撮影(CT)スキャン(予備計画CTシミュレーションを考慮してもよい)を評価する。
【0184】
全ての群の参加者は、≧6メガボルト(MV)ビームエネルギーで動作する線形加速器上で、標準化3D等角放射線療法(3DCRT)または強度変調放射線療法(IMRT)技術を使用して、同時胸部放射線療法を受ける。可能であれば6MV光子が好ましく、10MV光子も使用され得る。10MVより高い光子エネルギーの使用は許容されるが、6~10MVエネルギーが好ましい。胸部放射線療法の目標総線量は、60Gyを2Gy線量の30日毎日の分割である。放射線照射中は、休日及び週末を除き、計画的な休憩をとるべきではない。プロトン処理は認められない。
【0185】
4次元CTスキャン(4DCT)シミュレーションが好ましい。4DCTスキャンシミュレーションが利用可能でない場合、標準的な非4DCT CTシミュレーションは、モーション管理技法を用いて許可される。フルオロデオキシグルコース(FDG)-陽電子放射断層撮影(PET)/CTを治療計画(すなわち画像融合)に組み込むべきである。
【0186】
直交X線、コーンビームコンピュータ断層撮影法(CBCT)、レール上CT、または磁気共鳴画像法(MRI)ガイダンスを使用する毎日の画像誘導放射線療法(IGRT)は、放射線技術にかかわらず、全ての参加者に使用される。CBCTが好ましい。
【0187】
参加者は、1週間に5日間、1日1回の分割、2Gy/分割で治療を受け、30分割で60Gyの目標線量になる。計画標的体積(PTV)全体を毎日で60Gyまで治療しなければならない。腫瘍体積の変化を調整するための再シミュレーションは、提供される線量制約を達成するための再計画で適切な場合に実施することができる。化学療法剤およびペムブロリズマブの用量2は、胸部放射線療法の最初の週に投与される。化学療法剤と放射線療法の両方を同じ施設/場所で実施する場合は、化学療法剤の完了後30~60分以内に、特に胸部放射線療法の1日目に放射線療法を実施することが推奨される。放射線療法が別個の場所に送達される場合、ロジスティックの考慮は、化学療法剤の投与前に送達される放射線療法をもたらし得る。胸部放射線療法および/または化学療法剤が管理上の理由(例、休日または天候)で遅延する日には、胸部放射線療法の計画線量が十分に行われていれば、これは治験実施計画書違反とはみなされない。
【0188】
化学療法剤
任意の化学療法剤は、本明細書に開示される様々な方法およびキットにおいて使用され、任意の化学療法剤は、放射線療法および/またはPD-1アンタゴニストなどの他の処置と組み合わせて、治療段階において使用され得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストで治療する対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)は、化学療法剤(例えば、白金ベースの化学療法剤)で治療される。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、アクチノマイシン、オールトランスレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、または任意の2以上の化学療法剤の組み合わせである。
【0190】
いくつかのそのような実施形態では、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチンなどの白金系化学療法剤、または前述の化学療法剤の任意の2以上の組み合わせである。
【0191】
一実施形態では、任意の化学療法剤が投与され、アドリアマイシン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、エトポシド、イリノテカン、マイトマイシンC、パクリタキセル、ペメトレキセド、プリカマイシン、ポドフィロトキシン、トポテカン、ビンクリスチン、および前述の化学療法剤の任意の2以上から選択される。
【0192】
一実施形態では、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される。
【0193】
一実施形態では、化学療法剤は、以下から選択される白金ダブレットである:
(1)シスプラチンとペメトレキセドの組み合わせ;
(2)シスプラチンとエトポシドの組み合わせ;および
(3)カルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ。
【0194】
一実施形態では、化学療法剤は、以下から選択される白金ダブレットである:
(1)シスプラチン75mg/m2IVおよびペメトレキセド500mg/m2IVを3サイクル(サイクル1~3の1日目);
(2)シスプラチン50mg/m2IV(サイクル1および2の1日目および8日目;サイクル3の8日目および15日目)およびエトポシド50mg/m2IVを3サイクル(サイクル1および2の1~5日目;サイクル3の8~12日目)
(3)サイクル1の1日目にパクリタキセル200mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 6mg/mL/分IV;サイクル2および3の1日目、8日目、15日目にパクリタキセル45mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 2mg/mL/分IV。
【0195】
一実施形態では、化学療法剤は、放射線療法と同時に投与される。
【0196】
一実施形態では、パクリタキセル注入の前に、すべての参加者に、経口または静脈内コルチコステロイド、ジフェンヒドラミン、およびH2アンタゴニストを前投与すべきである。
【0197】
一実施形態では、ペメトレキセド注入の前に、すべての参加者は、ビタミンB12、葉酸およびデキサメタゾンの適切な補給を受けるべきである。
【0198】
一実施形態では、全ての参加者は、局所承認ラベルに従って適切なコルチコステロイド前投薬を受けるべきである。
【0199】
一実施形態では、追加の前投薬およびシスプラチンの前後の水分補給が、標準的な実施に従って投与されるべきである。
【0200】
PARP阻害剤による治療
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)酵素は、NAD+を切断し、ニコチンアミドを放出し、ADP-リボース単位を連続的に付加してADP-リボースポリマーを形成する酵素のファミリーである。
【0201】
したがって、PARP酵素の活性化は、細胞NAD+レベル(例えば、NAD+消費者としてのPARP)の枯渇をもたらし得、下流標的のADP-リボシル化を介する細胞シグナル伝達を媒介する。PARP-1は、DNA二本鎖または一本鎖切断に結合することによって活性化される亜鉛フィンガーDNA結合酵素である。抗アルキル化剤は、腫瘍細胞のNAD+含量を枯渇させ得ることが知られており、PARPの発見7は、この現象を説明した。(PARP Inhibitors and Cancer TherapyCurtin Nin Poly ADP RibosylationedAlexander Burke、Lands Bioscience and Springer Bioscience、2006: 218-233)。抗アルキル化剤は、DNA修復経路の一部であるPARP-1を活性化するDNA鎖切断を誘導する。PARP-1による核タンパク質のポリ7-ADPリボシル化は、DNA損傷を、DNA修復(例えば、塩基除去修復(BER)経路による)を活性化することができる細胞内シグナルに変換するか;または、あまりに広範囲であり、効率的に修復することができないDNA損傷の存在下で細胞死を誘発する。
【0202】
PARP-2は触媒ドメインを含み、ポリ(ADPリボシル)化反応を触媒することができる。PARP-2は、PARP-1と同様の自己変更特性を表す。このタンパク質はインビボで核に局在し、アルキル化剤または過酸化水素で処理したPARP-1欠損細胞で観察される残留ポリ(ADP‐リボース)合成を説明する。PARPを阻害するいくつかの薬剤(例えば、主にPARP-1を阻害することを目的とする薬剤)はまた、PARP-2を阻害し得る(例えば、ニラパリブ)。
【0203】
DNA損傷応答(例えば、遺伝毒性ストレスに応答したDNAの修復)におけるPARP酵素の役割は、PARP阻害剤が有用な抗癌剤であり得るという説得力のある示唆につながっている。PARP阻害剤は、BRCA-1および/またはBRCA-2欠損癌などの相同組換えDNA修復経路における生殖系列または散発性欠損に起因する癌の治療に特に有効であり得る。
【0204】
前臨床のex vivoおよびインビボ実験は、相同組換え(HR)DNA修復経路において重要であることが知られているBRCA-1および/またはBRCA-2遺伝子のホモ接合性不活性化により、PARP阻害剤が、腫瘍に対して選択的に細胞傷害性であることを示唆している。BRCA-1および/またはBRCA-2に欠陥のある癌で単剤としてPARP阻害剤を使用する生物学的根拠は、損傷したDNAの塩基除去修復(BER)のためのPARP-1およびPARP-2の要件である。一本鎖DNA切断が形成されると、PARP-1とPARP-2は病変部位に結合し、活性化され、ヒストンを含むクロマチンに関連するいくつかのタンパク質にADP-リボースの長いポリマー(PAR鎖)を付加することを触媒する。これにより、クロマチンが弛緩し、DNA切断にアクセスして修復するDNA修復因子が迅速に動員される。正常な細胞は毎日最大10,000個のDNA欠陥を修復するが、一本鎖切断はDNA損傷の最も一般的な形態である。BER経路に欠陥があるCelisは、修復されていない一本鎖切断でS期に入る。既存の一本鎖切断は、複製機構が切断を通過する際に二本鎖切断に変換される。S期に存在する二重鎖切断は、エラーのないHR経路によって優先的に修復される。BRCA-1やBRCA-2のようなHRに必要な遺伝子が不活性化された細胞は、S期に停止した複製フォークを蓄積し、エラーを起こしやすい非相同末端結合(NHEJ)を使用して損傷したDNAを修復する可能性がある。S期を完了できないこと(複製フォークの失速による)と、NHEJによるエラーが発生しやすい修復の両方が、細胞死に寄与すると考えられている。
【0205】
理論に拘束されることを望むものではないが、PARP阻害剤による処置は、DNA修復経路の欠損(例えば、BRCA-1および/またはBRCA-2の不活性化)を有する癌細胞のサブセットを選択的に死滅させ得ると仮定される。例えば、生殖系列BRCA変異を有する患者において生じる腫瘍は、欠損した相同組換えDNA修復経路を有し、ゲノム完全性の維持のために、PARP阻害剤によって遮断される経路であるBERにますます依存するのであろう。相補的DNA修復経路に既存の欠損を有する腫瘍において1つのDNA修復経路を遮断するためにPARP阻害剤を使用することによって死を誘導するこの概念は、合成致死性と呼ばれる。
【0206】
PARP阻害剤の治療可能性は、PARP阻害剤がHR欠損腫瘍において単剤療法活性を有するだけでなく、シスプラチン、カルボプラチン、アルキル化剤およびメチル化剤、放射線療法、ならびにトポイソメラーゼI阻害剤などの他の薬剤と組み合わせて前臨床モデルにおいても有効であるという観察によってさらに拡大される。PARP阻害のみがHR欠損癌(内因性DNA損傷による)における細胞死に十分である単独療法の理論的根拠とは対照的に、PARPは、標準的な細胞傷害性化学療法剤によって誘導されるDNA損傷の修復に必要である。ある場合にはPARPの特異的な役割は知られていないが、PARPは捕捉されたトポイソメラーゼI/イリノテカン複合体をDNAから放出するのに必要であることが知られている。テモゾロミド誘導性DNA損傷は、修復タンパク質を動員するためにPARPを必要とするBER経路によって修復される。毒性を有意に増加させることなく癌治療を増強または相乗する併用療法は、卵巣癌患者を含む癌患者に実質的な利益を提供する。
【0207】
適切なPARP阻害剤
理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に開示される様々な方法およびキットのための本明細書に提供されるPARP阻害剤(例えば、PARP-1/2阻害剤)による処置は、DNA修復におけるそれらの欠損を活用することによって、癌細胞型のサブセットを選択的に死滅させ得る。ヒト癌は、DNA修復における根底にある欠陥に起因して、ゲノム不安定性および突然変異率の増加を示す。これらの欠損は癌細胞を残りのDNA修復経路により依存的にし、これらの経路を標的とすることは、正常細胞よりも腫瘍細胞の生存に影響を及ぼすと予想される。
【0208】
一実施形態では、PARP阻害剤は、ABT-767、AZD2461、BGB-290、BGP15、CEP8983、CEP9722、DR2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR3162)、IMP4297、INO1001、JPI289、JPI547、モノクローナル抗体B3-LysPE40コンジュゲート、MP124、ニラパリブ(ZEJULA)、NU 1025、NU1064、NU1076、NU1085、オラパリブ、ONO2231、PD128763、R503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)、SBP101、SC101914、シミパリブ、タラゾパリブ(BMN-673))、ベリパリブ(ABT-888)、およびWW46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール、または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0209】
一実施形態では、PARP阻害剤は小分子である。一実施形態では、PARP阻害剤は抗体剤である。一実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、薬剤の組み合わせである。
【0210】
一実施形態では、PARP阻害剤は、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。一実施形態では、PARP阻害剤は、薬学的に許容される塩として調製することができる。一実施形態では、塩形態は、溶媒和または水和多形形態として存在し得る。
【0211】
一実施形態では、PARP阻害剤は、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブおよびタラゾパリブ、またはそれらの製薬的に許容可能な塩から選択される。
【0212】
一実施形態では、PARP阻害剤は、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態では、PARP阻害剤はオラパリブである。
【0213】
オラパリブ
オラパリブ(AZD2281、KU-0059436)は、強力なPARP阻害剤(PARP1、2、および3)であり、単剤療法として、ならびに、化学療法剤、電離放射線ならびに新規薬剤および免疫療法を含む他の抗癌剤との併用のために、開発されている。PARP阻害は、DNA修復機構の欠損を有する腫瘍を標的とするための新規なアプローチである。PARP酵素は、DNA一本鎖切断(SSB)を修復するために必須である。PARPを阻害することはSSBの持続性をもたらし、これは次いで、DNA複製のプロセス中により深刻なDNA二本鎖切断(DSB)に変換される。細胞分裂の過程において、DSBは、相同組換え修復(HRR)によって正常細胞において効率的に修復され得る。乳癌感受性遺伝子1/2(BRCA1/2)変異を有する乳癌患者における卵巣癌などの相同組換え欠損(HRD)を有する腫瘍は、DNA異常が蓄積することにつれて細胞に致死的となり得るDNA傷害を正確に修復することができない。そのような腫瘍型において、オラパリブは、現在利用可能な化学療法レジメンと比較して、潜在的に有効で毒性の低い癌治療を提供し得る。オラパリブは、SSBの部位でDNA上のPARPの不活性型を捕捉し、それによってそれらの修復を妨げる。
【0214】
用法・用量
さらに、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)、放射線療法、任意の化学療法剤、およびPARP阻害剤(例えば、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩)の組み合わせを使用して、癌(例えば、NSCLC)を治療するための投薬レジメンおよび投与経路が、本明細書に開示される様々な方法およびキットのために提供される。
【0215】
本明細書に開示されるPD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント)、放射線療法、任意の化学療法剤またはポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤(例えば、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩)は、例えば、毎日、週1~7回、毎週、毎週、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、毎月、隔月、四半期ごと、半年ごと、毎年など、投与される用量によって投与され得る。用量(dose)は、例えば、静脈内、皮下、局所、経口、経鼻、直腸、筋肉内、脳内、脊髄内、または吸入によって投与され得る。特定の実施形態では、用量は静脈内投与される。ある特定の実施形態では、用量は、皮下投与される。特定の実施形態では、用量は経口投与される。治療間隔の総用量は、一般に少なくとも0.05μg/kg体重、より一般的には少なくとも0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.25mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/ml、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kgまたはそれ以上である。用量はまた、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300μg/mLまたはそれ以上などの、対象の血清中の抗体(例えば、抗PD-1抗体)またはその抗原結合断片の所定の標的濃度を達成するために提供され得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)は、10、20、50、80、100、200、300、400、500、1000または2500mg/対象で、毎週、隔週、3週、4週間毎、5週間毎、6週間毎、毎月、隔月、または四半期毎に皮下または静脈内投与される。いくつかの特定の方法では、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)の用量は、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.05mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.2mg/kg~約9mg/kg、約0.3mg/kg~約8mg/kg、約0.4mg/kg~約7mg/kg、約0.5mg/kg~約6mg/kg、約0.6mg/kg~約5mg/ 1。0mg/kg~約1。5mg/kg、約1.0mg/kg~約2.0mg/kg、約1.0mg/kg~約3.0mg/kg、または約2.0mg/kg~約4.0mg/kgである。いくつかの特定の方法では、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)の用量は、約10mg~約500mg、約25mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約200mg~約500mg、約150mg~約250mg、約175mg~約250mg、約200mg~約250mg、約150mg~約240mg、約175mg~約240mg、または約200mg~約240mgである。いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)の用量は、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、240mg、250mg、300mg、400mg、または500mgである。
【0217】
本明細書に記載の様々な方法のいくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態において、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ペムブロリズマブであり、ヒト患者に、200mg、または、2mg/kgのペムブロリズマブが投与され、ペムブロリズマブは、3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者は、200mgのペムブロリズマブを3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者は、3週間に1回、2mg/kgのペムブロリズマブを投与される。
【0218】
ここに記載されている種々の実施形態において、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ペムブロリズマブであり、ヒト患者に400mgペムブロリズマブが投与され、ペムブロリズマブは6週間に1回投与される。
【0219】
本明細書に記載の様々な方法の他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はニボルマブであり、ヒト患者に240mgまたは3mg/kgのニボルマブが投与され、ニボルマブは、2週間に1回投与される。1つの特定の実施形態において、ヒト患者は、2週間に1回、240mgのニボルマブを投与される。1つの特定の実施形態において、ヒト患者は、2週間に1回、3mg/kgのニボルマブが投与される。本明細書に記載の様々な方法の他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はニボルマブであり、ヒト患者に480mgのニボルマブが投与され、ニボルマブは4週間に1回投与される。
【0220】
本明細書に記載の様々な方法のさらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はセミプリマブであり、ヒト患者に350mgのセミプリマブが投与され、セミプリマブは3週間に1回投与される。
【0221】
本明細書で提供される方法またはキットのいくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片である。
【0222】
本願明細書に提供される方法又はキットのいくつかの実施形態において、抗PD-L1抗原結合フラグメントはアベルマブであり、ヒト患者に800mgのアベルマブが投与され、アベルマブは2週間に1回投与される。
【0223】
本明細書で提供される方法またはキットの他の実施形態において、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片は、アテゾリズマブであり、ヒト患者に840mgのアテゾリズマブが投与され、アテゾリズマブは2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヒト患者に、1200mgのアテゾリズマブが投与され、アテゾリズマブは3週間に1回投与される。さらに他の実施形態では、ヒト患者に1680mgのアテゾリズマブが投与され、アテゾリズマブは4週間に1回投与される。
【0224】
本明細書において提供される方法またはキットのなおさらなる実施形態において、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片はデュルバルマブであり、ヒト患者に10mg/kgのデュルバルマブが投与され、デュルバルマブは2週間に1回投与される。1つの実施形態において、ヒト患者に1500mgのデュルバルマブが投与され、デュルバルマブは3週間に1回投与される。別の実施形態では、ヒト患者に1500mgのデュルバルマブが投与され、デュルバルマブは4週間に1回投与される。
【0225】
特定の実施形態において、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤(例えば、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩)は、経口投与される。いくつかの実施形態において、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤(例えば、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩)は、オラパリブとして、それぞれ100、150、200、250、300、350、400、450、500または550mgの1日用量で投与される。特定の実施形態において、PARP阻害剤はオラパリブである。
【0226】
本明細書に開示される併用療法の一部としてのPARP阻害剤治療のための総用量は、一般に、1日2回、少なくとも10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mgまたは1,000mgである。
【0227】
一実施形態では、PARP阻害剤は、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩であり、本明細書に開示される併用療法の一部として、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mgまたは800mgの用量で1日2回投与される。
【0228】
別の実施形態において、PARP阻害剤はオラパリブまたはその薬学的に許容される塩であり、本明細書に開示される併用療法の一部として、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mgまたは600mgの用量で1日2回投与される。
【0229】
別の実施形態において、PARP阻害剤はオラパリブまたはその薬学的に許容される塩であり、本明細書に開示される併用療法の一部として、300mg、350mg、400mg、450mgまたは500mgの用量で1日2回投与される。
【0230】
別の実施形態において、PARP阻害剤はオラパリブまたはその薬学的に許容される塩であり、本明細書に開示される併用療法の一部として、350mg、400mgまたは450mgの用量で1日2回投与される。
【0231】
別の実施形態において、PARP阻害剤はオラパリブまたはその薬学的に許容される塩であり、本明細書に開示される併用療法の一部として、400mgの用量で1日2回投与される。
【0232】
約1Gy~約200Gyの放射線療法の総線量が、治療サイクル当たり1回以上の分割で、一般に本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~20回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~15回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~10回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~5回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の放射線療法治療サイクルが投与される。
【0233】
一実施形態では、約1Gy~約150Gyの放射線療法の総線量が、治療サイクルあたり1回以上の分割で、本明細書に開示される方法およびキットのための併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~15回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~10回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~5回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の放射線療法治療サイクルが投与される。
【0234】
一実施形態では、約10Gy~約100Gyの放射線療法の総線量が、治療サイクルあたり1回以上の分割で、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~10回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~5回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の放射線療法治療サイクルが投与される。
【0235】
一実施形態では、約20Gy~約80Gyの放射線療法の総線量が、治療サイクルあたり1回以上の分割で、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~5回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~4回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の放射線療法治療サイクルが投与される。
【0236】
一実施形態では、約60Gyの放射線療法の総線量が、治療サイクルあたり1回以上の分割で、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~5回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~4回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の放射線療法治療サイクルが投与される。
【0237】
一実施形態では、約60Gyの放射線療法の総線量が、治療サイクル当たり2Gy線量で30日毎日、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~5回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~4回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の放射線療法治療サイクルが投与される。
【0238】
治療サイクルあたり1~5000mg/m2または1~100mg/mL/分AUCの総用量のそれぞれの化学療法剤を、本明細書に開示される方法およびキットのための併用療法の一部として投与することができる。一実施形態では、1~15回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~10回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の化学療法剤治療サイクルが投与される。
【0239】
一実施形態では、治療サイクルあたり5~2000mg/m2の総用量のそれぞれの化学療法剤が、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~15回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~10回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の化学療法剤治療サイクルが投与される。
【0240】
一実施形態では、治療サイクルあたり10~1000mg/m2の総用量のそれぞれの化学療法剤が、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~10回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~5回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の化学療法剤治療サイクルが投与される。
【0241】
一実施形態では、治療サイクルあたり10~500mg/m2の総用量のそれぞれの化学療法剤が、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~10回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~5回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の化学療法剤治療サイクルが投与される。
【0242】
一実施形態では、治療サイクルあたりそれぞれの化学療法剤の1~50mg/mL/分AUCの総用量が、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~5回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の化学療法剤治療サイクルが投与される。
【0243】
一実施形態では、治療サイクルあたりそれぞれの化学療法剤の1~10mg/mL/分AUCの総用量が、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~5回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の化学療法剤治療サイクルが投与される。
【0244】
一実施形態では、治療サイクルあたりそれぞれの化学療法剤の5~10mg/mL/分AUCの総用量が、本明細書に開示される併用療法の一部として投与される。一実施形態では、1~5回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~3回の放射線治療サイクルが投与される。一実施形態では、1~2回の化学療法剤治療サイクルが投与される。一実施形態では、1回の化学療法剤治療サイクルが投与される。
【0245】
一実施形態では、以下から選択される併用化学療法剤が投与される:
(1)シスプラチン75mg/m2IVおよびペメトレキセド500mg/m2IVを3サイクル(サイクル1~3の1日目);
(2)シスプラチン50mg/m2IV(サイクル1および2の1日目および8日目;サイクル3の8日目および15日目)およびエトポシド50mg/m2IVを3サイクル(サイクル1および2の1~5日目;サイクル3の8~12日目)
(3)サイクル1の1日目にパクリタキセル200mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 6mg/mL/分IV;サイクル2および3の1日目、8日目、15日目にパクリタキセル45mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 2mg/mL/分IV。
【0246】
医薬キット
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される治療剤(例えば、PD-1アンタゴニスト、放射線療法、化学療法剤、及びオラパリブ、又はそれらの医薬組成物)を含む医薬キットであり、適切な包装材料に包装される。キットは、任意に、その中の構成要素の説明またはその構成要素のインビトロ、インビボ、またはエクスビボでの使用のための指示書を含むラベルまたは添付文書(packaging Insert)を含む。
【0247】
一実施形態において、医薬キットは:
(a)PD-1アンタゴニスト;
(b)放射線療法の投与に関する指示書;
(c)PARP阻害剤;および
(d)任意の化学療法剤、
を含む。
【0248】
一実施形態において、PD-1アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。別の実施形態において、PD-1アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。
【0249】
一実施形態において、医薬キットは:
(a)ぺムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブから選択される抗PD-1抗体;
(b)治療段階の一環として放射線療法の投与に関する指示書;
(c)オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブから選択されるPARP阻害薬、またはそれらの製薬的に許容される塩;
(d)シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセドおよび前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される化学療法剤、
を含む。
【0250】
一実施形態において、医薬キットは:
(a)アテゾリズマブ、デュルバルマブおよびアベルマブから選択される抗PD-L1抗体;
(b)治療段階の一環として放射線療法の投与に関する指示書;
(c)オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブから選択されるPARP阻害薬、またはそれらの製薬的に許容される塩;
(d)シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセドおよび前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択される化学療法剤、
を含む。
【0251】
一実施形態において、医薬キットは:
(a)ペムブロリズマブである抗PD1抗体;
(b)治療段階の一部として約20Gy~約80Gyの線量での放射線療法の投与に関する指示書;
(c)オラパリブであるPARP阻害剤、またはその薬学的に許容される塩;および
(d)以下から選択される化学療法剤:
(1)シスプラチンとペメトレキセドの組み合わせ;
(2)シスプラチンとエトポシドの組み合わせ;および
(3)カルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、
を含む。
【0252】
一実施形態では、上記の医薬キットは、ヒト患者に、(a)PD-1アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)PARP阻害剤、および任意の(d)化学療法剤、を投与するための指示書をさらに含む。
【0253】
一実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗PD1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。一実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ペムブロリズマブである。一実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ニボルマブである。一実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、セミプリマブである。
【0254】
一実施形態では、PARP阻害剤は、オラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態では、PARP阻害剤は、ニラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0255】
上記のPD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体)、放射線療法、化学療法剤、またはPARP阻害剤の用量は、本明細書の様々なキットで使用することができる。
【0256】
一実施形態では、キットは、特定の治療期間(例えば、1、2、3、4、5、6、12、24、36、48、52週間など)に十分な各成分の用量を含む。例えば、キットは、ペムブロリズマブの200mgの投薬量、3サイクルの治療のための化学療法剤の投薬量を含むことができ、これは、3週間の治療段階に十分である。
【0257】
いくつかの実施形態では、キットは、容器、分割瓶、または分割箔包装などの構成要素を別々に保持するための手段を含む。本開示のキットは、異なる剤形、例えば、経口および非経口の投薬、異なる投与間隔での別個の組成物の投薬、または互いに対する別個の組成物の滴定のために使用することができる。
【0258】
癌を治療するための治療的組み合わせの使用
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒト患者における癌(例えば、NSCLC)を治療するための治療的組み合わせの使用であり、ここで、該治療的組み合わせは、以下を含む:
(a)有効量の1以上のプログラム細胞死1(PD-1)またはプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)アンタゴニスト、
(b)有効量の放射線療法、
(c)有効量のPARP阻害剤、および任意に、
(d)有効量の1以上の化学療法剤。
【0259】
これらの使用は、本明細書に開示される様々な方法およびキットに用いることができる。
【0260】
一実施形態では、ヒト患者における癌を治療するための治療的組み合わせの使用は、(a)PD-1アンタゴニスト、(b)放射線療法、(c)PARP阻害剤、および(d)化学療法剤を、以下の通りに投与することを含む:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階。
【0261】
一実施形態では、ヒト患者における癌を治療するための治療的組み合わせの使用は、以下で投与することを含む:
(1)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量の放射線療法および有効量の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは1回または複数回投与され;
ここで、放射線療法は、約20Gy~約80Gyの線量で、1以上の分割で投与され、そして
ここで、化学療法剤は、1回または複数回投与される;およびそれに続いて
(2)有効量のPD-1アンタゴニストを、有効量のPARPインヒビターと組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、12ヶ月までに1回または複数回投与され;そしてここで、
PARP阻害剤は、12ヶ月までに1回または複数回投与される。
【0262】
一実施形態では、ヒト患者における癌を治療するための治療的組み合わせの使用は、以下を含む:
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、前記PD-1アンタゴニストは、200mgの用量で3週間に1回投与されるペムブロリズマブであり;
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量を、それぞれ2Gy線量の30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり;
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され、そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストであるペムブロリズマブは、200mgの用量で3週間に1回、12ヶ月まで投与され、そしてここで、
PARP阻害剤は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0263】
一実施形態では、ヒト患者における癌を治療するための治療的組み合わせの使用は、以下を含む:
(1)PD-1アンタゴニストを、放射線療法および化学療法剤と組み合わせて投与することを含む治療段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストは、400mgの用量で6週間に1回投与されるペムブロリズマブであり;
ここで、放射線療法は、約60Gyの線量で、それぞれ2Gy線量の30日毎日の分割で投与される標準的な胸部放射線療法であり;
ここで、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド、パクリタキセル、ペメトレキセド、および前述の化学療法剤の任意の2つの組み合わせから選択され;そして、それぞれの化学療法剤の10~2000mg/m2の用量で3サイクルまで投与され;およびそれに続いて
(2)PD-1アンタゴニストを、PARP阻害剤と組み合わせて投与することを含む維持段階であって;
ここで、PD-1アンタゴニストであるペムブロリズマブは400mgの用量で6週間に1回、12ヶ月まで投与され、そしてここで、
PARP阻害剤は、300mgの用量で1日2回、12ヶ月まで投与されるオラパリブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0264】
本明細書に開示される方法、キットまたは使用の一実施形態において、癌は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、肝細胞癌、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌および腎細胞癌からなる群から選択される。
【0265】
一実施形態では、癌はNSCLCである。
【0266】
一実施形態では、癌は、切除不能な、局所的に進行した、ステージIIIのNSCLCである。
【0267】
本明細書にさらに開示されるのは、本明細書に開示される以下を含む任意の組み合わせまたは治療的組み合わせの使用であって、該組み合わせは:
(a)有効量の1以上のプログラム死1(PD-1)アンタゴニスト;
(b)有効量の放射線療法;
(c)有効量の1以上のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤;および
(d)任意に、有効量の1以上の化学療法剤、を含むか;
または、癌の治療用の医薬の製造のための上記の組み合わせである。
【0268】
一実施形態では、本発明は、本明細書に開示される以下を含む組み合わせまたは治療用組み合わせを提供する:
(a)有効量の1以上のプログラム死1(PD-1)アンタゴニスト;
(b)有効量の放射線療法;
(c)有効量の1以上のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤;および
(d)任意に、有効量の1以上の化学療法剤;
または、癌の治療において使用のための上記の組み合わせである。
【0269】
本発明の多くの実施形態が記載されている。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされ得ることが理解されるのであろう。各実施形態は、そのような組み合わせが実施形態の説明と一致する限り、1以上の他の実施形態と組み合わせることができることがさらに理解されるのであろう。
【0270】
実施例
本明細書に開示される実施例は、例示のために提供され、限定されるものではない。
【0271】
実施例1:切除不能な局所進行ステージIII非小細胞肺癌(NSCLC)患者における白金ダブレット化学療法剤および放射線療法と併用したペムブロリズマブの第2相臨床試験
放射線療法(CCRT)を伴う同時白金ダブレット化学療法剤は、切除不能なステージIIIのNSCLC患者に対する標準治療であるが、CCRTは遠隔再発のリスクを低下させず、5年生存率が低い。
【0272】
以下の表は、全ての処置された患者のベースライン特性を提供する(2020年1月3日のデータカットオフ日)。
【0273】
これは非無作為化非盲検試験である。
図1に試験の概略を示す。主要目的は、盲検独立中央レビュー(BICR)による固形腫瘍(RECIST)バージョン1.1における奏効率評価基準あたりの全奏効率(ORR)である。副次的目的は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および安全性である。主要な適格基準は
図1に示したとおりであり、ステージIIIA-C、切除不能、局所進行、病理学的に確認された未治療のNSCLC;RECIST v1.1に基づく測定可能な疾患;イースタンコオペレーティブ オンコロジーグループ(ECOG)の性能状況0または1;適切な肺機能;および7日以内に全身免疫抑制療法の既往がないことが含まれる。
【0274】
【0275】
以下の表は、RECIST v1.1、≧15週間の追跡調査を受けた患者(2020年1月3日のデータカットオフ日)当たりの、BICRによるORRおよび奏効期間/有効性を提供する。
【0276】
【0277】
PFSおよびOSは、少なくとも15週間の追跡を受けた患者において評価された。上記の表に示されるように、データカットオフ時に、いずれのコホートにおいても、疾患進行を経験したかまたは死亡した患者は、ほとんどいなかった。6ヵ月時点の無増悪生存率は両コホートとも80%を超えており、6ヵ月時点の全生存率は、コホートAで87%、コホートBで95%であった。いずれのコホートにおいても、無増悪生存期間中央値および全生存率には達していなかった。
【0278】
試験の副次的主要目的はグレード≧3の肺炎の発生率であり、追跡期間にかかわらず、登録された全ての患者において評価された(以下の表を参照のこと)。どちらのコホートにおいても、グレード≧3の肺炎の割合は10%未満であった。コホートBの1人の患者は間質性肺疾患を有し、残りの患者は肺炎または放射線肺炎のいずれかを有していた。他の有害事象の発現率は、NSCLCを対象とした他のペムブロリズマブ単剤療法試験で報告された発現率と一致した。免疫介在性の有害事象および注入反応(治験責任医師による治験薬投与の帰属にかかわらず)は、コホートAの患者の47%およびコホートBの患者の27%で発生し、コホートAの患者の15%およびコホートBの患者の8%がグレード2~5の免疫介在性の有害事象または注入反応を経験した。
【0279】
【0280】
上記から分かるように、ペムブロリズマブ+CCRTは、切除不能な局所進行ステージIIIのNSCLC患者において有望な抗腫瘍活性を示す。両コホートのORRは50%を超えた。奏効が得られたほとんどの患者で、推定奏効期間は6ヵ月以上であった。ペムブロリズマブ+CCRTを受けた患者における有害事象の発生率は、ステージIIIのNSCLCおよびペムブロリズマブ単独療法について確立されたCCRTの毒性プロファイルと一致していた(例えば、Yoon、SM World J Clin Oncol 2017;8-20およびMok T、et al、Lancet 2019;393:1819-1830を参照されたい)。グレード≧3の肺炎の観察された割合は、CCRTと組み合わせた免疫療法について予想される範囲内であった(例えば、Peters S、et al、Lung Cancer、2019;133:83-87を参照されたい)。
【0281】
実施例2:放射線療法および化学療法剤と組み合わせて抗PD-1抗体を投与し、続いてNSCLC患者において抗PD-1抗体およびオラパリブを投与する臨床第III相試験
本研究の目的は、切除不能な局所進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、化学放射線療法とペムブロリズマブと、オラパリブプラセボ(第1群)またはオラパリブ(第2群)の併用療法と、同時化学放射線療法とデュルバルマブ(第3群)の併用療法の有効性および安全性を評価することである。アーム1および2は二重盲検デザインで試験し、アーム3は、オープンラベルとする。臨床試験の概略を
図2に示す。
【0282】
主要アウトカム指標には、盲検独立中央レビュー(BICR)により評価される固形腫瘍バージョン1.1(RECIST 1.1)の奏効評価基準に従った最大約48ヵ月の無増悪生存期間(PFS)が含まれる。PFSは、ランダム化から、何らかの原因による疾患の進行または死亡が最初に立証されるまでのいずれか早い方の時間として定義される。全生存期間(OS)、最長約72ヶ月も、主要アウトカム指標である。OSは、任意の原因による無作為化から死亡までの時間である。
【0283】
副次的評価項目は、下表のとおりである:
【0284】
【0285】
試験デザイン
すべての参加者を、3つの研究群(A群、B群、およびC群)に無作為化し(1:1:1)、以下の介入を受ける:
【0286】
A群
参加者は、白金ダブレット化学療法剤および同時基準の徹底的放射線療法(60Gyを2Gyで分割、サイクル2および3期間)の3サイクル併用で、ペムブロリズマブ200mg IV Q3Wを受け、次いでペムブロリズマブとマッチングオラパリブプラセボを、12ヶ月間、または特定の中止基準が満たされるまで受け取る。
【0287】
B群
参加者はペムブロリズマブ200mg IV Q3Wを、3サイクルの白金ダブレット化学療法剤および標準的胸部放射線療法(60Gyを2Gyの分割;サイクル2および3期間)と併用し、続いてペムブロリズマブ+オラパリブ(300mg BID)を、12ヶ月間または特定の中止基準が満たされるまで、併用する。
【0288】
C群
参加者は、白金ダブレット化学療法剤および同時標準胸部放射線療法(60Gyを2Gyの分割;サイクル2および3期間)を、3サイクル受け、続いて12か月間または特定の中止基準を満たすまで、デュルバルマブ10mg/kg Q2Wを受ける。
【0289】
白金ダブレットの選択肢(治験責任医師の選択による)は、以下のとおりである:
(1)シスプラチン75mg/m2IVおよびペメトレキセド500mg/m2IVを3サイクル(サイクル1~3の1日目);
(2)シスプラチン50mg/m2IV(サイクル1および2の1日目および8日目;サイクル3の8日目および15日目)およびエトポシド50mg/m2IVを3サイクル(サイクル1および2の1~5日目;サイクル3の8~12日目)
(3)サイクル1の1日目にパクリタキセル200mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 6mg/mL/分IV;サイクル2および3の1日目、8日目、15日目にパクリタキセル45mg/m2IVとともにカルボプラチンAUC 2mg/mL/分IV。
【0290】
選択基準
参加者は、以下の基準の全てが適用される場合にのみ、研究に含めることが適格である:
・ 病理学的(組織学的または細胞学的)に確認されたNSCLCを有する;
・ American Joint Committee on Cancer Version 8によるステージIIIA、ステージIIIBまたはステージIIIC NSCLCを有する;
・ ステージIII NSCLCに対して治癒目的の手術を受けることができない;
・ ステージIV NSCLCを示す転移性疾患の証拠はない;
・ RECIST 1.1で定義される測定可能な疾患を有する;
・ ステージIII NSCLCに対する前治療(化学療法剤、標的療法または放射線療法)を受けていない;
・ 腫瘍組織サンプル(組織生検[コア、切開、または切除])を提供している;
・ Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG)Performance Status(PS)が、研究介入の最初の投与前7日以内に評価されると、0または1である;
・ 6ヶ月以上の余命がある;
・ 男性参加者は避妊法の使用に同意し、治療期間中および治験薬の最終投与後少なくとも180日間は精子の提供を控えなければならない;
・ 女性参加者は妊娠しておらず、授乳していない場合に参加する資格があり、治療期間中および治験薬の最終投与後、少なくとも180日間、避妊を行うことに同意する;
・ 肺機能検査が適切である;
・ 適切な臓器機能を有する
・ 文書によるインフォームド・コンセントを提出している。
【0291】
除外基準
以下の基準のいずれかが適用される場合、参加者は研究から除外される:
・ 小細胞肺癌または小細胞要素の存在を伴う混合腫瘍を有する;
・ 骨髄異形成症候群(MDS)/急性骨髄性白血病(AML)を示唆する病歴、現在の診断または特徴を有する;
・ 過去3ヵ月間に体重減少が10%以上(ベースラインから)であった;
・ 胸部への放射線療法(食道、縦隔、乳癌に対する放射線療法を含む)を以前に受けたことがある;
・ 抗プログラム細胞死1(ant-PD-1)、抗プログラム細胞死リガンド1(anti-PD-L1)、または抗プログラム細胞死リガンド2(anti-PD-L2)剤を用いて、または別の刺激性もしくは共阻害性T細胞受容体を指向する薬剤を用いて、以前の治療を受けている;
・ オラパリブまたは他のポリアデノシン5’ジホスホリボース(polyADP ribose)重合(PARP)阻害剤による以前の治療を受けている;
・ 治験薬の初回投与の4週間未満前に、大手術を受けたことがある(血管アクセスの配置を除く);
・ 研究中に他の形態の抗腫瘍療法を必要とすることが期待される;
・ 治験薬の初回投与前30日以内に生ワクチンを接種した;
・ コロニー刺激因子(例えば、顆粒球コロニー刺激因子[GCSF]、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子[GM-CSF]または組換えエリスロポエチン)を治験薬初回投与前28日以内に投与した;
・ 現在、試験期間中に中止できないCYP3A4の強力な(フェノバルビタール、エンザルタミド、フェニトイン、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、カルバマゼピン、ネビラピン、セントジョンズワート)または中等度の(例えば、ボセンタン、エファビレンツ、モダフィニル)誘導を受けている;
・ 現在、試験期間中に中止できない強力な(例えば、イトラコナゾール、テリスロマイシン、クラリスロマイシン、リトナビルまたはコビシスタットでブーストされたプロテアーゼ阻害剤、インジナビル、サキナビル、ネルフィナビル、ボセプレビル、テラプレビル)、または、中等度の(例えば、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ジルチアゼム、フルコナゾール、ベラパミル)、チトクロームP450(CYP)3A4の阻害剤のいずれかを受けている;
・ ペメトレキセドの投与の少なくとも2日前、投与中、および投与後2日間、アスピリンまたは他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を中断することができない;
・ ペメトレキセドの投与中に葉酸、ビタミンB12、およびデキサメタゾンを摂取することができない/望まない;
・ 治験薬の治験に現在参加している、もしくは参加している、または治験薬の初回投与前4週間以内に治験機器を使用している;
・ 研究者によって判断された、制御されていない、潜在的に可逆的な心臓状態を示す安静時心電図(ECG)がある、または先天性QT延長症候群がある;
・ 免疫不全の診断を受けているか、または研究介入の初回投与前7日以内に慢性全身性ステロイド療法または他の任意の形態の免疫抑制療法を受けている;
・ 皮膚の基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、表在性膀胱がんを除いて、過去5年以内に進行中または積極的な治療を必要とする既知の追加の悪性腫瘍がある、または、治癒の可能性がある治療を受けた上皮内癌(例、乳癌、上皮内子宮頸癌);
・ 試験介入および/またはその賦形剤のいずれかに対して重度の過敏症(≧グレード3)を有する;
・ 過去2年間に全身治療を必要とした活動性自己免疫疾患を有する;
・ ステロイドを必要とする(非感染性)肺炎/間質性肺疾患、または、現在の肺炎/間質性肺疾患を患っている;
・ 全身療法を必要とする活動性感染を有する;
・ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既往症がある;
・ B型肝炎または既知の活動性C型肝炎ウイルス感染の既往症がある;
・ 活動性結核(TB;Mycobacterium tuberculosis)を有し、治療を受けている;
・ 治験の結果を混乱させたり、治験の全期間参加を妨げたり、治験責任医師の意見に参加する参加者の最善の利益にならなかったりする状態、治療法、または検査室の異常の病歴または現在の証拠がある;
・ 治験責任(分担)医師の見解によれば、重篤で制御不能な医学的障害または非悪性全身性疾患のため、医学的リスクが低いと考えられる;
・ 被験者が試験の要求事項に協力する能力を妨げる既知の精神医学的または物質乱用障害を有する;
・ 経口投与される医薬品を飲み込むことができないか、または吸収に影響を及ぼす胃腸障害を有する;
・ 妊娠中または授乳中、または妊娠を期待している、または研究の予測期間内に子供を父親にする予定であり、スクリーニング訪問から開始して、研究治療の最後の投与の180日後まで;
・ 同種組織/固形臓器移植を受けている。
【国際調査報告】