IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特表2023-524273シリコーン樹脂の組み合わせを含む、ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる化粧用組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】シリコーン樹脂の組み合わせを含む、ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20230602BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A61K8/891
A61Q1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566695
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021038628
(87)【国際公開番号】W WO2022005833
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】16/916,594
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2008714
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョディ・エバンクス
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート・ツンチャオ・ラム
(72)【発明者】
【氏名】ツァン-ミン・フアン
(72)【発明者】
【氏名】フランセス・サン・ジョージ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AD151
4C083BB23
4C083CC11
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
シリコーン樹脂の組み合わせを含む、ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる化粧用組成物、並びにかかる組成物をケラチン物質に塗布する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる化粧用組成物であって、
前記化粧用組成物が少なくとも2つの不混和性成分A及びBを含み、
成分Aが、少なくとも1つのMQ樹脂、少なくとも1つのポリプロピルシルセスキオキサン、及び少なくとも1つの変性MQ樹脂を含み、前記変性MQ樹脂が、少なくとも1つのT単位を含み、
成分Bが、前記組成物の総重量に対して約0.01重量%~90重量%の1つ以上のシリコーン化合物を、約1,000cSt~22,000,000cStの粘度を達成するのに十分な量で含む、化粧用組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの着色剤、好ましくは無機顔料を更に含む、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記組成物の総重量に対して1重量%未満の着色剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの揮発性炭化水素油、好ましくはイソドデカンを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記シリコーン化合物が、シリコーンゴム、シリコーン流体、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
前記変性MQ樹脂がポリメチルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケートである、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)の変性MQ樹脂重量比に対する重量比が約10:1~約1:10である、先行請求項のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
(a)先行請求項のいずれか一項に記載の化粧用組成物と、(b)前記化粧用組成物を収容する少なくとも1つの容器と、(c)少なくとも1つのアプリケータと、を含む、キット。
【請求項9】
前記容器が成分Aと成分Bとを混合するように構成されている、請求項9に記載のキット。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧用組成物をケラチン物質に塗布する方法であって、前記化粧用組成物を混合して、混合された組成物を形成することであって、前記組成物中で、成分Aと成分Bとが一時的に混和している、形成することと、前記混合された組成物を前記ケラチン物質に塗布することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2020年6月30日に出願された米国特許出願第16/916,594号及び2020年8月26日に出願されたフランス特許出願第2008714号に対する優先権の利益に基づき、かつそれを主張するものである。
【0002】
本発明は、シリコーン樹脂の組み合わせを含む、ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる化粧用組成物に関する。かかる組成物は、多段階塗布プロセスに携わることを必要とすることなく、多層化粧品に関連する利益を可能にする。
【背景技術】
【0003】
ファンデーション、リップスティック、及びアイシャドウなどの色素化粧品を含む多くの化粧用組成物は、塗布時に長持ち(long wearing)特性を有するように製剤化されている。残念ながら、これらの組成物の多くは、一般的に、良好な長持ち/耐移り特性、並びに良好な塗布特性、良好な快適特性、及び/又は良好な外観特性(例えば、光沢特性又はマット特性)の両方を有していない。
【0004】
例えば、リップ製品に関して、MQ樹脂などのケイ素樹脂を含む市販の製品が知られている。かかる製品は、良好な長持ち特性及び/又は耐移り性を提供することが知られている。しかしながら、かかる製品は、MQ樹脂によって形成される膜(例えば、マットな外観)のため、塗布特性が悪く、塗布時の感触が悪く(例えば、粗い感触)、光沢又はグロス特性が悪い。したがって、第2の組成物(トップコート)がかかる製品に別個に塗布されて、組成物の不良な特性を改善して、それらの製品を消費者に受け入れられるようにする。更に、製品が引き続き消費者に受け入れられるように、トップコート組成物が継続的に再塗布されなければならず、これは、製品が常にメンテナンス及び再塗布を必要とするため、製品が効果的に「長持ち」しないことを意味する。
【0005】
ファンデーションに関して、かかる製品は、良好な長持ち特性及び/又は耐移り性を提供することができる。しかしながら、かかる長持ち/耐移り性製品は、塗布特性が悪く、かつ/又は塗布時の感触が悪く、マット特性も悪い可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、塗布時に改善された化粧特性、特に、良好な長持ち、感触、輝き、光輝、及び/又はマット特性を有する改善された「シングルステップ」化粧用組成物が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる無水化粧用組成物に関し、本組成物は、塗布前に少なくとも2つの不混和性成分を含み、本組成物は、少なくとも1つの変性MQ樹脂、少なくとも1つのMQ樹脂、及び少なくともポリプロピルシルセスキオキサン樹脂を含む。好ましくは、本組成物は、少なくとも1つの着色剤を更に含む。
【0008】
本発明は、ケラチン物質(例えば、皮膚、毛髪、まつげ、爪、又は唇)を手入れする、ケアする、及び/又はメークアップするのに十分な量で、本発明の組成物をケラチン物質に塗布することによる、ケラチン物質を手入れする、ケアする、及び/又はメークアップする方法にも関する。
【0009】
本発明は、ケラチン物質(例えば、皮膚、毛髪、まつげ、爪、又は唇)の外観を向上させるのに十分な量で、本発明の組成物をケラチン物質に塗布することによる、ケラチン物質の外観を向上させる方法にも関する。
【0010】
本発明は、本発明の組成物をケラチン物質(例えば、皮膚、毛髪、まつげ、爪、又は唇)に塗布する方法であって、不混和性成分が一時的に混和するように本組成物を混合又はブレンドすることと、一時的に混和性の成分を含む本組成物をケラチン物質に塗布することと、を含む、方法にも関する。ケラチン物質に塗布された後、成分が分離して、ケラチン物質上に多層構造を形成する。
【0011】
本発明は、(1)少なくとも1つの容器、(2)少なくとも1つのアプリケータ、及び(3)本発明の少なくとも1つの組成物を含むキットにも関する。好ましくは、少なくとも1つの容器は、本発明の少なくとも1つの組成物中の不混和性成分を混合するように構成されている。
【0012】
前述の概要及び以下の詳細な説明がいずれも単に例示及び説明するためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という表現は、1つ以上を意味し、それ故に、個々の成分も混合物/組み合わせも含む。
【0014】
実施例を除いて、又は別途指示される場合を除いて、成分及び/又は反応条件の量を表す全ての数値は、全ての事例において、指示される数値の10%以内を意味する「約」という用語で修飾されるものとして理解されるべきである。
【0015】
本明細書に表される全ての量又はパーセント濃度は、組成物の総重量に対する重量に基づく量又はパーセントを指す。
【0016】
本明細書で使用される「不混和性成分」の文脈における「不混和性」とは、油及び酢が組成物中で別個の層を形成する油及び酢の混合物と同様に、成分が組成物中で層に視覚的に分離されることを意味する。対照的に、油相及び水相を含むエマルジョンは、エマルジョンが視覚的に分離された層を含まないため、不混和性の油成分及び水成分を含まない。
【0017】
本明細書で使用される、不混和性成分が「一時的に混和する」ように組成物をブレンド又は混合する文脈における「一時的に混和する」とは、ブレンド又は混合後に成分が層に視覚的に分離されないことを意味する。
【0018】
本明細書で使用される「皮膜形成剤(film former)」又は「皮膜形成剤(film forming agent)」とは、ポリマー又は樹脂が塗布される基材上に膜を残すポリマー又は樹脂を意味する。
【0019】
本明細書で使用される「ポリマー」とは、少なくとも2つのモノマーからなる化合物を意味する。
【0020】
本明細書で使用される「置換」とは、少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。置換基の非限定的な例には、酸素原子及び窒素原子などの原子、並びにヒドロキシル基、エーテル基、アルコキシ基、アシルオキシアルキ基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボン酸基、アミン基、アシルアミノ基、アミド基、ハロゲン含有基、エステル基、チオール基、スルホン酸基、チオスルホン酸基、シロキサン基、ヒドロキシアルキル基、及びポリシロキサン基などの官能基が挙げられる。置換基は、更に置換されてもよい。
【0021】
本明細書で使用される「揮発性」とは、約100℃未満の引火点を有することを意味する。
【0022】
本明細書で使用される「不揮発性」とは、約100℃超の引火点を有することを意味する。
【0023】
「無水」とは、組成物が1%未満の水を含むことを意味する。好ましくは、本発明の組成物は、0.5%未満の水を含み、最も好ましくは、水を含まない。
【0024】
本明細書で使用される「耐移り性」とは、例えば飲食中に、別の材料、例えば、ガラス、衣料品、又は皮膚などとの接触によって容易に除去されない組成物によって呈される性質を指す。耐移り性は、かかる耐移り性を評価するための当該技術分野で既知の任意の方法によって評価され得る。例えば、組成物の耐移り性は、「キス」試験によって評価され得る。「キス」試験は、塗布してからある特定の時間の経過後に、例えば、塗布から2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15分後に、組成物を毛髪、皮膚、又は唇などの人間のケラチン物質に塗布し、その後、材料、例えば、紙切れを毛髪、皮膚、又は唇に擦りつけることを含み得る。同様に、組成物の耐移り性は、組成物を毛髪、皮膚、又は唇に塗布した後のある特定の時間の経過後に、着用者から任意の他の基材に移った製品の量、例えば、服を着たときに個体の毛髪、皮膚、又は唇から襟に移った製品の量によって評価され得る。その後、基材(例えば、襟又は紙)に移った組成物の量が評価され、比較され得る。例えば、製品の大部分が着用者の髪、皮膚、又は唇に残っている場合、組成物は耐移り性であり得る。更に、移った量は、市販の組成物などの他の組成物が移った量と比較され得る。本発明の好ましい実施形態では、組成物は、毛髪、皮膚、又は唇から基材にほとんど又はまったく移らない。
【0025】
本明細書で使用される「付着性」とは、塗布後に基材に付着する組成物によって呈される性質を指す。付着性は、かかる付着性を評価するための当該技術分野で既知の任意の方法によって評価され得る。例えば、付着特性について試験されるサンプルを、バイオスキン基材又はByko-Charts黒色スクラブパネルP122-10N(6.50×17.00インチ)などの表面上に堆積させることができる。乾燥させた後、一切れのASTMクロスハッチテープ(Permacel 99/PA-28060/51596)をサンプル上に配置し、180°角度で除去することができる。その後、どのくらいのサンプルがテープに付着するかを決定することができる。例えば、1~3の尺度などの評定尺度を使用して、基材からテープへのサンプルの除去の程度を評価することができ、ここで、1は本質的に除去なしであり、2はいくらかの除去であり、3は本質的に完全な除去である。
【0026】
本明細書で使用される「耐擦り落ち性」という用語は、物理的摩耗、例えば、手若しくは服又は他の物理的相互作用で人間の皮膚を擦ることを指す。これは、皮膚上に活性成分を保持する能力、又は摩耗若しくは他の物理的相互作用による皮膚若しくは基材、例えば、Byko-Charts黒色スクラブパネルP122-10N(6.50×17.00インチ)若しくはバイオスキンからの活性成分の除去を防止する能力として説明することもできる。
【0027】
本明細書で使用される組成物における「グロス」は、60°で測定される、100中35以上、例えば、40、好ましくは、45、55、60、又は65(それらの間の全ての範囲及び部分範囲、例えば、35~65、40~65などを含む)の平均グロスを有する組成物を指す。
【0028】
「平均グロス」という用語は、グロス計測器を使用して、例えば、自動散布器を使用して黒色パネル上に1mLのドローダウンにより20μm~500μmの厚さで試験される組成物の層を散布することによって測定することができるグロスを意味する。堆積物を室温で24時間又は48時間などの一定の期間乾燥させることができ、その後、microTRI-GLOSSという参照名のByk Gardnerグロス計測器を使用してグロスが60°で測定される。この測定(0~100の間)が少なくとも3回繰り返され、少なくとも3回の平均値が平均グロスである。
【0029】
本明細書で使用される「長持ち」組成物とは、長時間後に肉眼で見られる色が塗布時と同じ又は実質的に同じままである組成物を指す。長持ち特性は、かかる特性を評価するための当該技術分野で既知の任意の方法によって評価され得る。例えば、長持ち性は、組成物を皮膚に塗布し、かつ長時間後に組成物の色を評価することを含む試験によって評価され得る。例えば、組成物の色は、皮膚に塗布した直後に評価されてもよく、その後、これらの特徴がある特定の時間後に再評価され、比較され得る。更に、これらの特徴は、市販の組成物などの他の組成物と比較して評価され得る。あるいは又は加えて、長持ち特性は、サンプルを塗布し、それを乾燥させ、その後、サンプルを摩耗させて、サンプルの除去/損失を決定することによって評価され得る。
【0030】
本発明の化粧用組成物及び方法は、本明細書に記載の本発明の本質的な要素及び制限、並びに本明細書に記載の又は別様にパーソナルケアで有用な任意の追加の又は任意選択的な成分、構成要素、又は制限を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になることができる。
【0031】
多層構造を形成することができる組成物
本発明の様々な実施形態によれば、シリコーン樹脂の組み合わせを含む、ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる化粧用組成物が提供される。かかる組成物は、多段階塗布プロセスに携わることを必要とすることなく、多層化粧品に関連する利益を可能にする。例えば、かかる組成物は、ファンデーション、下地、アイシャドウ、及び他の皮膚用組成物として好適であり得、かつ/又はリップスティック、リップグロス、リップバーム、及び他の唇用組成物として好適であり得る。
【0032】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、本発明の化粧用組成物は、以下で「成分A」及び「成分B」と称される少なくとも2つの構成成分を含む。1つ以上の実施形態では、成分A及び成分Bはいずれもシリコーンを含む。成分Aは、例えば、シリコーン樹脂の組み合わせを含み得る。成分Bは、例えば、シリコーンゴムを含み得る。
【0033】
成分Aは、組成物をケラチン物質に塗布した後にケラチン物質に最も近い多層構造の層を形成する本発明の組成物の成分である。多層構造のこの層は、以下で「層A」と称される。好ましい実施形態によれば、成分A/層Aは、成分A/層Aとケラチン物質との間の表面エネルギー特性のため、ケラチン物質の表面に対して親和性を有する。
【0034】
成分Bは、組成物をケラチン物質に塗布した後にケラチン物質から最も遠い多層構造の層を形成する本発明の組成物の成分である。多層構造のこの層は、以下で「層B」と称される。好ましい実施形態によれば、成分B/層Bは、空気界面に対して親和性を有する。
【0035】
本発明によれば、成分A及び成分Bを指す本明細書に記載の全ての重量及び重量比は、これらの成分中の活性材料(すなわち、不揮発性材料)の量を指す。同様に、層A及び層Bを指す本明細書に記載の全ての重量及び重量比は、揮発性溶媒の蒸発後に層A及び層Bに存在する活性材料の量を指す。
【0036】
ケラチン物質に塗布する前に、成分A及び成分Bは、本発明の組成物中で不混和性である。好ましくは、不混和性成分の不混和性は、組成物が静止しているときのそれらの2つの成分間の非相溶性、ケラチン物質に塗布された後のそれらの2つの成分間の非相溶性、又はそれらの両方に起因する。
【0037】
1つ以上の実施形態では、不混和性成分の不混和性は、例えば、成分の粘度、ガラス転移温度、界面張力、溶解パラメータ、密度、及び/若しくは化学的/構造的非相溶性の差異、並びに/又は温度及び/若しくは圧力によって誘導される差異などの差異に起因する。
【0038】
例えば、組成物が静止しているときの不混和性成分の不混和性は、例えば、化学的/構造的非相溶性、成分間の界面張力の差異、例えば、相互に相溶性の溶媒中の相間の界面張力の差異、粘度の差異、各相中のポリマーのガラス転移温度の差異、並びに/又は温度及び/若しくは圧力によって誘導される差異などに起因し得る。
【0039】
例えば、組成物が塗布されているときの不混和性成分の不混和性は、例えば、化学的/構造的非相溶性、成分間の界面張力の差異、溶媒が蒸発した後の成分の密度の差異、並びに/又は温度及び/若しくは圧力によって誘導される差異に起因し得る。
【0040】
1つ以上の実施形態では、ケラチン物質に塗布する直前及び/又はケラチン物質に塗布している間、本発明の組成物は、本発明の組成物をケラチン物質に塗布したときに成分Aと成分Bとが一時的に混和するように混合又はブレンドされる。
【0041】
本発明の組成物がケラチン物質に塗布された後、成分Aは成分Bから分離する。組成物が塗布されたケラチン物質上で乾燥すると、不混和性成分A及び成分Bは、それぞれ、例えば、以下のケラチン物質上に層A及び層Bを含む多層構造を形成する。
【表1】
【0042】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、本発明の組成物がケラチン物質に塗布された後、成分Bは、水平な層Bをもたらす、すなわち、層Bは、層Bが組成物に光沢を付与する屈折特性を有し得るように、平面である。これらの実施形態によれば、成分Bはセルフレベリング特性を有し、これにより、塗布後に水平な層Bがもたらされる。かかる組成物の光沢は、所望される場合、高屈折率特性を有する1つ以上の光沢又はグロス増強剤を添加することによって増強することができる。あるいは、かかる組成物は、1つ以上のマット化剤を添加することによってマット特性が提供され得る。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物がケラチン物質に塗布された後、成分Bは、水平ではない層Bをもたらす、すなわち、層Bは、層Bが組成物にマット特性を付与するように、平面ではない。これらの実施形態によれば、成分Bは、セルフレベリング特性を有さず、これにより、塗布後に水平ではない層Bがもたらされる。かかる組成物のマット特性は、所望される場合、1つ以上のマット化剤を添加することによって増強することができる。あるいは、かかる組成物は、高屈折率特性を有する1つ以上の光沢又は光輝又はグロス増強剤を付加することによって光沢又は光輝又はグロス特性が提供され得る。本組成物の別の利点は、ベース層/下地として使用される場合、組成物のセルフレベリング性質により平滑化表面が提供され得、それにより、皮膚欠陥の外観が減少し得ることである。
【0044】
本発明によれば、多層構造は、層A及び層Bを含む。ある特定の事例では、成分比率、成分濃度、溶媒蒸発特性、及びポリマーのTgなどの要因に応じて、これらの層は、ケラチン物質に塗布された後に互いにわずかに混合されてもよく、結果として、層Aがより多量のA及びより少量のBを有し、かつ/あるいは層Bがより多量のB及び/又はより少量のAを有するようになる。好ましくは、層Aは、層Bの40%以下、好ましくは層Bの30%以下、好ましくは層Bの20%以下、好ましくは層Bの10%以下、好ましくは層Bの5%以下(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)を含む。同様に、好ましくは、層Bは、層Aの40%以下、好ましくは層Aの30%以下、好ましくは層Aの20%以下、好ましくは層Bの10%以下、好ましくは層Aの5%以下(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)を含む。
【0045】
ケラチン物質に塗布された後の成分A及び成分Bの分離に影響を及ぼす要因には、例えば、基材の表面エネルギー、各成分の密度、溶媒の蒸発特性、皮膜形成剤のTg、及び/又は皮膜形成剤の粘度を含むが、これらに限定されない、上述の特性が挙げられ得る。
【0046】
いずれの特定の理論にも拘束されることを望まないが、成分Aは、成分Bと比較して成分Aが塗布されるケラチン物質の表面エネルギー特性により近い表面エネルギー特性を有すると考えられる。例えば、皮膚の表面エネルギーは36mN/mであると推定される。したがって、成分Aが約36mN/mの表面エネルギーを有する場合、成分Aは皮膚に移動することができると考えられる。成分Bは、好ましくは、より低い表面エネルギーを有し、それが空気界面に向かって移動する可能性を高める。
【0047】
いずれの特定の理論にも拘束されることを望まないが、成分A及び成分Bの界面張力は、相分離(具体的には、塗布後に成分Aと成分Bとが分離する速度)に影響を及ぼすと考えられる。かかる相分離は、上述の差異、例えば、成分Aと成分Bとの温度の差異、成分Aと成分BとのTgの差異(成分のTgが高いほど、相分離にかかる時間が長くなる)、皮膜形成剤の重量分率の差異、及び/又は成分Aと成分Bとの圧力の差異などの差異の影響を受ける可能性があると考えられる。
【0048】
かかる差異は以下でも更に論じられる。
【0049】
ガラス転移温度(Tg)
好ましい実施形態によれば、成分A及び/又は成分Bは、60℃未満、好ましくは55℃未満、好ましくは50℃未満、好ましくは人間の正常体温(98.6°F又は37℃)未満の少なくとも1つのガラス転移温度を有するシリコーン樹脂の組み合わせを含む。
【0050】
Tgを決定する好ましい方法は、層から全ての揮発性溶媒を除去し、示差走査熱量測定によってTgを決定することである。
【0051】
密度
好ましい実施形態によれば、成分A及び成分Bは異なる密度特性を有し、その差異により、成分Aと成分Bとが本発明の組成物中で不混和性になる。好ましくは、成分A/層A及び成分B/層Bは、0.001~1kg/m、好ましくは0.005~0.8kg/m、好ましくは0.01~0.6kg/m(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の密度差を有する。
【0052】
温度
好ましい実施形態によれば、成分A及び成分Bは温度の影響を受け、その影響により、成分A及び成分Bが、50℃未満の温度で安定しているとみなされるエマルジョンとは異なり、当該技術分野で既知の所定の時間にわたって、かかる条件下で、本発明の組成物中で不混和性になる。
【0053】
重量分率
好ましい実施形態によれば、成分A及び/又は成分Bは、例えば、臨界エンタングルメント分子量(M)を有する皮膜形成剤などの少なくとも1つのポリマーを含み、これにより、以下のようになる。
【0054】
成分A中に存在する場合、少なくとも1つのポリマーは、wMw未満のMを有し、式中、wがポリマーの重量分率であり、Mwがポリマーの分子量である。
【0055】
成分B中に存在する場合、少なくとも1つのポリマーは、10g/mol以上のwMw以下のMを有する。
【0056】
更に、好ましい実施形態によれば、成分B中の少なくとも1つのポリマーの粘度は、350cSt超、好ましくは500cSt超、好ましくは750cSt超、好ましくは1000cSt超(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。
【0057】
成分
成分A及び成分Bは、主に層A及び層Bに関連する異なる官能性に基づいて、様々な点で異なり得る。例えば、層Aが耐移り性又は付着機能を果たす場合、成分Aの成分は、耐移り性又は付着を達成するように選択することができる。同様に、層Aが色増強機能を果たす場合、少なくとも1つの着色剤が成分Aに添加され得る。また、例えば、層Bがグロス若しくは光沢増強機能を果たし、かつ/又はより良好な感触を提供し(例えば、より快適な感触を提供し)、かつ/又は色移りを阻止するバリア層を提供する場合、成分Bの成分は、グロス、光沢、快適、及び/又はバリア層特性を達成するように選択することができる。しかしながら、層A及び層Bの界面では、層Aの界面が層Bにより関連する特性(例えば、光沢)を有し得る一方で、層Bが層Aにより関連する特性(例えば、付着性)を有し得ることを理解されたい。
【0058】
好ましい実施形態によれば、成分Aは、シリコーン樹脂の組み合わせ、及び任意選択的に少なくとも1つの着色剤を含み、層Aは、付着、耐移り性、及び/又は色特性を多層構造に提供する。かかる実施形態によれば、成分Bは、少なくとも1つの光沢増強剤、少なくとも1つの快適剤、及び/又は少なくとも1つのバリア剤を含み得、層Bは、光沢、快適、及び/又はバリア特性を多層構造に提供する。
【0059】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、1%未満のフッ素化化合物を含む。
【0060】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、0.5%未満のフッ素化化合物を含む。
【0061】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、フッ素化化合物を含まない。
【0062】
好ましい実施形態によれば、同じ溶媒のうちの少なくとも1つが成分A及び成分Bに使用される。好ましくは、各成分中に存在する全溶媒のうち、各成分の大部分が同じである。
【0063】
好ましい実施形態によれば、成分Aの成分Bに対する重量比は、例えば、1:50~1.5:1、1:75~1.5:1、1:50~1.5:1、1:20~1.5:1、1:50~50:1、1:75~20:1、1:50~10:1、又は1:20~10:1(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。
【0064】
成分A及び/又は成分Bに添加される許容される成分の例は、以下で論じられる。
【0065】
シリコーン樹脂の組み合わせ
本発明によれば、少なくとも1つの変性MQ樹脂、少なくとも1つのMQ樹脂、及び少なくとも1つのポリプロピルシルセスキオキサン樹脂を含む組成物が提供される。
【0066】
本明細書で使用される場合、「樹脂」という用語は、架橋又は非架橋三次元構造を意味する。シリコーン樹脂命名法は、当該技術分野で「MDTQ」命名法として知られており、それにより、シリコーン樹脂がポリマーを構成する様々なモノマーシロキサン単位に従って説明される。
【0067】
「MDTQ」の文字は各々、異なる種類の単位を意味する。文字Mは、単官能性単位(CHSiO1/2を意味する。この単位は、単位がポリマーの一部である場合、シリコーン原子が1つの酸素のみを共有するため、単官能性であるとみなされる。「M」単位は、以下の構造で表すことができる。
【化1】
【0068】
M単位のメチル基のうちの少なくとも1つが別の基によって置き換えられて、例えば、以下の構造で表される式[R(CH]SiO1/2を有する単位を得ることができる。
【化2】
【0069】
式中、Rは、メチル基以外の基から選択される。メチル基以外のかかる基の非限定的な例には、メチル基以外のアルキル基、アルケン基、アルキン基、ヒドロキシル基、チオール基、エステル基、酸基、エーテル基が挙げられ、メチル基以外の基は更に置換され得る。
【0070】
記号Dは、二官能性単位(CHSiO2/2を意味し、ここで、シリコーン原子に結合した2つの酸素原子は、ポリマーの残りの部分への結合に使用される。ジメチコンオイルの主要な構成要素である「D」単位は、以下のように表すことができる。
【化3】
【0071】
D単位のメチル基のうちの少なくとも1つは、別の基によって置き換えられて、例えば、式[R(CH)]SiO2/2を有する単位を得ることができる。
【0072】
記号Tは、三官能性単位(CH)SiO3/2を意味し、以下のように表すことができる。
【化4】
【0073】
T単位のメチル基のうちの少なくとも1つは、別の基によって置き換えられて、例えば、式[R]SiO3/2を有する単位を得ることができる。
【0074】
最後に、文字Qは、ケイ素原子が4つの水素原子に結合しており、これらの4つの水素原子自体がポリマーの残りの部分に結合している四官能性単位SiO4/2を意味する。
【0075】
したがって、膨大な数の異なるシリコーンポリマーを製造することができる。更に、潜在的なシリコーンポリマーの各々の特性が、モノマーの種類、置換の種類、ポリマー鎖のサイズ、架橋の程度、及び任意の側鎖のサイズに応じて変化することが当業者には明らかであろう。
【0076】
MQ樹脂、別名、トリメチルシロキシシリケートは、以下の式で表され得る。
[(CHSiO](SiO4/2
【0077】
(すなわち、MQ単位)式中、x及びyは、例えば、10~150、好ましくは20~120、好ましくは40~100、好ましくは50~80の範囲であり得る。
【0078】
Wacker、Momentive Performance Materials、Grant Industries、Siltech、Milliken、及びDow Corningから入手可能な樹脂MQは、許容される市販のトリメチルシロキシシリケートの一例である。更に、トリメチルシロキシシリケートは、Momentive Performance(商標名SR1000)及びWacker(商標名TMS 803)から市販されている。MQ樹脂も、例えば、シクロメチコンなどの溶媒中に含まれた状態でDow Chemicalから市販されている。しかしながら、本発明によれば、MQ樹脂は、100%活性材料の形態で使用されてもよい、すなわち、溶媒中に含まれた状態で使用されなくてもよい。
【0079】
その一方で、シルセスキオキサンは、以下の式で表され得る。
(RSiO3/2.x
【0080】
(すなわち、T単位)式中、xは、例えば、2~3から最大数千の範囲の値を有し得る。
【0081】
ポリプロピルシルセスキオキサンは、Rがプロピル基であるシルセスキオキサンである。これらの化合物及びそれらの合成は、例えば、全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許出願第WO2005/075567号に記載されている。
【0082】
言及され得る市販のポリプロピルシルセスキオキサン樹脂の例には、Dow Corning 670 Fluid又は680 Fluidという参照名でDow Corningによって販売されているものが挙げられる。典型的には、かかる市販の製品は、揮発性炭化水素油などの揮発性油又はD5などの揮発性シリコーン油中に希釈されたポリプロピルシルセスキオキサンである。Dow Corning 670 Fluid及び680 Fluidは、一般式RSiO(4-n)/2を有し、式中、Rが独立して、水素原子及び3つの炭素原子を含む一価炭化水素基から選択され、80モル%超のRがプロピル基であり、nが、1.0~1.4の値であり、60モル%超のコポリマーがRSiO3/2単位を含み、かつ0.2~10重量%、例えば、1~4重量%、好ましくは5~10重量%、より好ましくは6~8重量%のヒドロキシル又はアルコキシ含有量を有する。好ましくは、ポリプロピルシルセスキオキサン樹脂は、約5,000、7,000、10,000、15,000、20,000、25,000~約30,000、50,000、75,000、100,000g/molの分子量、及び約37℃未満、約-100、-50、-37、又は-20~約37℃のTgを有する。
【0083】
好ましくは、少なくとも1つのMQ樹脂と少なくとも1つのポリプロピルシルセスキオキサン樹脂は、本発明の組成物に添加する前にブレンドされる。かかる市販の樹脂の例には、イソドデカン中のポリプロピルシルセスキオキサンが挙げられる。
【0084】
変性MQ樹脂は、M単位を有するメチル基のうちの少なくとも1つが上述の別の基によって置き換えられるMQ樹脂である。好ましくは、少なくとも1つのM単位は、T単位によって置き換えられる。かかる置き換えに好適なT単位には、式((R)SiO3/2(T単位)のポリシルセスキオキサンが挙げられるが、これらに限定されず、式中、xが100超であり、R基が独立して、メチル又は上で定義される他の置換基、Rがメチル基であるポリシルセスキオキサンであるポリメチルシルセスキオキサン、Rがプロピル基であるポリプロピルシルセスキオキサン、及びRがフェニル基であるポリフェニルシルセスキオキサンであり得る。好ましくは、MQ樹脂は、1つ以上のポリメチルシルセスキオキサンで変性されている。かかるT変性MQ樹脂の例は、Grant IndustriesのGRANRESIN MQI-T50である。
【0085】
好ましい実施形態によれば、(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)の変性MQ樹脂に対する重量比は、約10:1~約1:10、好ましくは約5:1~約1:5、好ましくは約3:1~約1:3、好ましくは約2:1~約1:2(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。
【0086】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物中に存在する(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)の量は、組成物の総重量に対して約5重量%~約45重量%、好ましくは約7重量%~約40重量%、好ましくは約10重量%~約35重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。
【0087】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物中に存在するMQ樹脂の量は、組成物の総重量に対して約2.5重量%~約30重量%、好ましくは約3.5重量%~約26重量%、好ましくは約5重量%~約22重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。
【0088】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物中に存在するポリプロピルシルセスキオキサンの量は、組成物の総重量に対して約2.5重量%~約15重量%、好ましくは約3.5重量%~約14重量%、好ましくは約5重量%~約13重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。
【0089】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物中に存在する変性MQ樹脂の量は、組成物の総重量に対して約5重量%~約45重量%、好ましくは約7重量%~約40重量%、好ましくは約10重量%~約35重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。
【0090】
本発明の組成物が、任意選択的に、上述のシリコーン樹脂の組み合わせに加えて、当該技術分野で既知の他の皮膜形成剤を更に含み得ることを理解されたい。しかしながら、好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、上述のシリコーン樹脂の組み合わせ以外の皮膜形成剤を含まない。他の皮膜形成剤が存在する場合、皮膜形成剤は、好ましくは、それらが見つけられる成分の総重量の約0.05重量%~約20重量%、好ましくは0.1重量%~15重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在する。
【0091】
シリコーン化合物
1つ以上の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つのシリコーン化合物を含む。好ましくは、成分Bは、皮膜形成剤ではない1つ以上のシリコーン化合物を含む。また、好ましくは、少なくとも1つのシリコーン化合物は、別の成分中の皮膜形成剤の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する。したがって、例えば、成分Bが皮膜形成剤ではない少なくとも1つのシリコーン化合物を含む場合、シリコーン化合物は、好ましくは、成分A中の皮膜形成剤よりも低い表面エネルギーを有する。
【0092】
シリコーン化合物は、例えば、最低1つの酸素、更なる実施形態では、2つの酸素に結合したケイ素を含むポリマー化合物であり得る。いくつかの実施形態では、ケイ素は、メチル、エチル、プロピル、及びフェニルなどの炭化水素(例えば、C1-22直鎖状、分岐状、及び/又はアリール)に結合している。1つ以上の実施形態では、シリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。いくつかの実施形態では、シリコーン化合物自体は、直鎖状、分岐状、又は樹枝状であってもよい。更なる実施形態では、シリコーン化合物は、直鎖状又は実質的に直鎖状である。1つ以上の実施形態では、シリコーン化合物は、炭化水素、アルコール、エステル、酸、ケトン、アミン、アミド、エポキシ、ビニル性(例えば、アルケン又はアルキン基)、ハロゲン、水素化物などからなる群から選択される鎖終結を含む。例えば、シリコーン化合物がポリジメチルシロキサンを含む実施形態では、化合物は、-OH又はメチル基で終結した鎖末端であってもよい。
【0093】
1つ以上の実施形態では、「シリコーン化合物」という用語は、シリコーンゴム、シリコーン流体、及びシリコーンワックスを含むが、これらに限定されない。存在する場合、シリコーン化合物は、組成物に特性を付与し得る(例えば、光沢又は艶消し性質を向上させ得る)。1つ以上の実施形態では、シリコーン化合物は、約1,000cSt超及び/又は約22,000,000cSt未満の粘度を達成するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態では、粘度は、約1,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、又は60,000cSt~約100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、又は22,000,000cStの範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である。本発明の組成物中に存在するシリコーン化合物の組み合わせに特に好ましい粘度範囲は、20,000cSt~800,000cStであり、25,000cSt~750,000cStが最も好ましい。
【0094】
光沢/光輝増強剤
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの光沢増強剤を、成分A、成分B、又はそれらの両方に添加することができる。好ましくは、光沢増強剤は、層のセルフレベリングを容易にする薬剤、高屈折率を有する薬剤剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。以下に記載されるように、かかる光沢増強剤は、上述のシリコーン化合物であり得る。
【0095】
皮膚用の組成物、具体的には、ファンデーション組成物の場合、かかる光沢増強剤は、本明細書に記載の組成物に発光及び/又は露状効果を付与し得る。例えば、ファンデーションの1つのトレンドは、完全にマットな外観ではなく、露状/輝きファンデーション(特に長持ちする輝き)である。これは、通常、油又は真珠をフォーミュラに添加することによって達成されるが、かかるフォーミュラは長持ちしない場合がある。本明細書に記載の組成物は、同時に長持ちする露状/発光外観の両方をもたらし得る。
【0096】
好適な光沢増強剤には、約1.45~約1.60の範囲の屈折率を有し、かつ好ましくは15,000未満、好ましくは10,000未満、好ましくは2,000未満の重量平均分子量を有する化合物が挙げられる。かかる薬剤の例には、フェニル化シリコーン、例えば、「ABIL AV 8853」という商標名でGoldschmidtから市販されているもの、「DC 554」、「DC 555」、「DC 556」、及び「SF 558」という商標名でDow Corningから市販されているもの、並びに「SILBIONE 70633 V 30」という商標名でRhone-Poulencから市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
好適なフェニル化シリコーンの更なる例には、Wacker Siliconesから市販されているもの、例えば、25℃でおよそ20cStの粘度を有するフェニル化シリコーンであるBELSIL PDM 20、25℃でおよそ200cStの粘度を有するフェニル化シリコーンであるBELSIL PDM 200、25℃でおよそ1000cStの粘度を有するフェニル化シリコーンであるBELSIL PDM 1000が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
好適な光沢増強剤の更なる例には、ポリシクロペンタジエン、ポリプロピレングリコール)ジベンゾエート(nD=1.5345)、アミノプロピルフェニルトリメチコン(nD=1.49~1.51)、ExxonMobilからPURESYN 4E68として市販されているペンタエリスリチルテトラオレエート(nD=1.473)、及びCroda Inc.からCRODAMOL STSとして市販されているPPG-3ベンジルエーテルミリステート(nD=1.4696)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
特に好ましい光沢増強剤は、フェニル化シリコーン、例えば、フェニルトリメチコン及びトリメチルペンタフェニルトリシロキサン、並びにエステル、例えば、ペンタエリスリチルテトラオレエート及びPPG-3ベンジルエーテルミリステートである。
【0100】
好適な光沢増強剤には、本発明の組成物にセルフレベリング特性を提供するものが挙げられる。かかる組成物の好適な例には、以下に論じられるシリコーンゴムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
シリコーンゴムは、以下の式に相当し得る。
【化5】
【0102】
式中、
、R、R11、及びR12は同一又は異なるものであり、各々、1~6個の炭素原子を含むアルキルラジカルから選択され、
及びR10は同一又は異なるものであり、各々、1~6個の炭素原子を含むアルキルラジカル及びアリールラジカルから選択され、
Xは、1~6個の炭素原子を含むアルキルラジカル、ヒドロキシルラジカル、及びビニルラジカルから選択され、
n及びpは、シリコーンゴムに、350cSt~50,000,000cSt、好ましくは500cSt~40,000,000cSt、好ましくは750cSt~30,000,000cSt、好ましくは850cSt~20,000,000cSt、好ましくは950cSt~18,000,000cSt、好ましくは1000cSt~10,000,000cSt(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の粘度を与えるように選択される。
【0103】
一般に、n及びpは各々、0~10,000、例えば、0~5,000の範囲の値を取ることができる。
【0104】
本発明に従って使用することができるシリコーンゴムのうち、以下のものが言及され得る:
置換基R~R12及びXがメチル基を表し、pが0であり、nが2,700である、例えば、SE30という名称でGeneral Electric社により販売されているか、又は製造された製品、
置換基R~R12及びXがメチル基を表し、pが0であり、nが2,300である、例えば、AK 500 000という名称でWacker社により販売されているか、又は製造された製品、
置換基R~R12がメチル基を表し、置換基Xがヒドロキシル基を表し、pが0であり、nが2,700である(シクロペンタシロキサン中13%溶液)、例えば、Dow Corning社によりQ2-1401の名称で販売されているか、又は製造された製品、
置換基R~R12がメチル基を表し、置換基Xがヒドロキシル基を表し、pが0であり、nが2,700である(ポリジメチルシロキサン中13%溶液)、例えば、Dow Corning社によりQ2-1403の名称で販売されているか、又は製造された製品、並びに
置換基R、R、R11、R12、及びXはメチル基を表し、置換基R及びR10はアリール基を表し、これにより、ゴムの分子量が約600,000になる、例えば、Rhone-Poulenc(Rhodia Chimie)社により761の名称で販売されているか、又は製造された製品。
【0105】
好ましい実施形態では、シリコーンゴムは、以下の式に相当する。
【化6】
【0106】
この式中、末端Siはメチル以外のものである可能性もあり、R基が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、ヘキシル、ビニル、アリル、シコヘキシル、フェニル、及びそれらの混合物から選択される直鎖状、分岐状、及び/又は官能化であり得る1~6個の炭素原子を有するアルキルであるように、繰り返しSi上の置換で表され得る。本発明で用いられるシリコーンゴムは、式R’のトリオルガノシリル基によって終結され得、式中、R’は、1~6個の炭素原子を有する一価炭化水素ラジカル、ヒドロキシル基、アルコキシル基、及びそれらの混合物である。
【0107】
好ましい実施形態によれば、成分B/層Bは、少なくとも1つの光沢(グロス)増強剤を含む。
【0108】
好ましい実施形態によれば、成分B/層Bは、層Aと層Bとの間及び/又は層Bと空気との間により平らな界面をもたらすセルフレベリング特性を有し、このより平らな界面により、組成物の光沢を増強する層Bに光回折、光屈折、及び/又は光反射特性がもたらされる。
【0109】
本発明の好ましい実施形態によれば、シリコーン流体(例えば、上記のフェニル化シリコーン)及び/又はシリコーンゴムなどの少なくとも2つのシリコーン化合物が本発明の組成物中に存在する。
【0110】
好ましい実施形態によれば、存在する場合、シリコーンゴムなどの層のセルフレベリングを容易にする薬剤は、好ましくは、組成物の総重量の約0.01重量%~約90重量%、好ましくは1重量%~85重量%、好ましくは5重量%~80重量%(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在する。
【0111】
好ましい実施形態によれば、存在する場合、フェニル化シリコーン油などの高屈折率を有する薬剤は、好ましくは、組成物の総重量の約0.05重量%~約90重量%、好ましくは0.1重量%~75重量%、好ましくは1重量%~50重量%(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在する。
【0112】
本発明の好ましい実施形態によれば、シリコーン流体(例えば、上記のフェニル化シリコーン)及び/又はシリコーンゴムなどの少なくとも2つのシリコーン化合物が本発明の組成物中に存在する。
【0113】
好ましい実施形態によれば、光沢増強剤は、好ましくは、組成物の総重量の約0.05重量%~約90重量%、好ましくは0.1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~35重量%(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在する。
【0114】
マット増強剤(マット化剤)
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのマット増強剤を、成分A、成分B、又はそれらの両方に添加することができる。成分Bに関して、成分Bがセルフレベリングではないか、かつ/又は層Bが上記の組成物にマット特性を付与する屈折特性を有するかにかかわらず、少なくとも1つのマット増強剤を添加することができる。
【0115】
好適なマット増強剤には、マット化充填剤、例えば、タルク、シリカ、シリコーンエラストマー、及びポリアミドなど、並びにワックス、例えば、蜜蝋及びCopernicia cerifera(カルナバ)ワックスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
好ましい実施形態によれば、マット増強剤は、好ましくは、組成物の総重量の約0.05重量%~約90重量%、好ましくは0.1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~35重量%(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在する。
【0117】
着色剤
本発明の1つ以上の実施形態によれば、少なくとも1つの着色剤を更に含む組成物が提供される。好ましくは、かかる着色組成物は、例えば、ファンデーション又はアイシャドウなどの化粧用組成物であり得る。かかる実施形態によれば、少なくとも1つの着色剤は、顔料、染料、真珠顔料、及び真珠光沢化剤から選択され得る。
【0118】
本発明に従って使用され得る顔料は、白色、有色、無機、有機、ポリマー、非ポリマー、コーティング、及び非コーティング顔料から選択され得る。鉱物顔料の代表的な例には、二酸化チタン、任意選択的に表面処理された、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、及びフェリックブルーが挙げられる。有機顔料の代表的な例には、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、並びにコチニールカルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、及びアルミニウムベースのレーキが挙げられる。
【0119】
本発明に有用な無機顔料の代表的な例には、CI 77,891という参照名でカラーインデックスにコード化されたルチル又はアナターゼ二酸化チタン、CI 77,499、77,492、及び77,491という参照名でコード化された黒色、黄色、赤色、及び茶色酸化鉄、マンガンバイオレット(CI 77,742)、ウルトラマリンブルー(CI 77,007)、酸化クロム(CI 77,288)、水和クロム(CI 77,289)、及びフェリックブルー(CI 77,510)、並びにそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0120】
本発明に有用な有機顔料及びレーキの代表的な例には、D&C Red No.19(CI 45,170)、D&C Red No.9(CI 15,585)、D&C Red No.21(CI 45,380)、D&C Orange No.4(CI 15,510)、D&C Orange No.5(CI 45,370)、D&C Red No.27(CI 45,410)、D&C Red No.13(CI 15,630)、D&C Red No.7(CI 15,850)、D&C Red No.6(CI 15,850)、D&C Yellow No.5(CI 19,140)、D&C Red No.36(CI 12,085)、D&C Orange No.10(CI 45,425)、D&C Yellow No.6(CI 15,985)、D&C Red No.30(CI 73,360)、D&C Red No.3(CI 45,430)、及びコチニールカルミン(CI 75,570)、並びにそれらの混合物ベースの染料又はレーキが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
本発明に有用な真珠光沢顔料の代表的な例には、白色真珠光沢顔料、例えば、酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン、オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化チタン被覆雲母、有色真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を有するチタン雲母、フェリックブルーを有するチタン雲母、酸化クロムを有するチタン雲母など、上述のタイプの有機顔料を有するチタン雲母、並びにオキシ塩化ビスマスベースのもの、並びにそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0122】
本発明に従って使用され得る真珠顔料は、白色真珠顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマス被覆雲母、有色真珠顔料、例えば、酸化鉄を有するチタン雲母、フェリックブルー又は酸化クロムを有するチタン雲母、上述のものから選択される有機顔料を有するチタン雲母、及びオキシ塩化ビスマスベースの真珠顔料から選択され得る。真珠顔料は、存在する場合、組成物の総重量の最大50重量%、例えば、0.1重量%~20%重量%、好ましくは0.1重量%~15重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の濃度で組成物中に存在する。
【0123】
存在する場合、着色剤は、組成物の総重量の最大50重量%、例えば、0.01重量%~40重量%、更に0.1重量%~30重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の濃度で組成物中に存在し得る。ある特定の製品の場合、真珠顔料を含む顔料は、例えば、組成物の最大50重量%に相当し得る。
【0124】
着色剤(例えば、無機若しくは有機顔料若しくは真珠光沢化剤)を含まない実施形態、又は比較的少量の着色剤を有する実施形態は、皮膚の下地として好適であり得る。本明細書で使用される場合、「下地」又は「アンダーコート」とは、後続の化粧品層を塗布する前にケラチン物質(例えば、皮膚又は唇)上に塗られる準備コーティングである。下地塗りは、これらの後続の層の表面へのより良好な付着を可能にし、それらの耐久性を高めることができる。例えば、皮膚又は他のケラチン物質に下地を塗ることにより、特に長持ちさせるという点で、それらの物質に更なる保護を提供することもできる。皮膚又は他のケラチン物質に下地を塗ることにより、着用期間を通して、色褪せ、皺寄り、継続的な色強度から後続の化粧品層、特に本明細書に開示される組成物を含むものの完全性を保つのを助けることもできる。加えて、下地は、多くの場合、均一なアンダーコートを提供することができ、結果として、以下のコートの色及び質感の均一性の増加がもたらされる。したがって、かかる下地は、例えば、滑らかさを増加させ得るか、又は他の組成物がより良好に付着するのを助け得る、別のファンデーション又はアイシャドウ組成物のベースとして機能し得る。かかる下地は、マット化剤又はエラストマー(例えば、シリコーンエラストマー)を含む場合もある。
【0125】
あるいは、着色剤(例えば、無機若しくは有機顔料若しくは真珠光沢化剤)を含まない実施形態、又は比較的少量の着色剤を有する実施形態は、例えば、リップ組成物又はファンデーションへの塗布用の組成物などのトップコートとして好適であり得る。本明細書で使用される場合、「トップコート」とは、化粧品をケラチン物質(例えば、唇又は皮膚)に塗布した後に、先行の化粧品層上に塗られるコーティングである。
【0126】
あるいは、着色剤(例えば、無機若しくは有機顔料若しくは真珠光沢化剤)を含まない実施形態、又は比較的少量の着色剤を有する実施形態は、ケラチン物質への塗布用のトップコートでも下地でもなく、独立した製品であり得る。
【0127】
前述の実施形態によれば、本発明の組成物は、1%未満の着色剤を含む。
【0128】
前述の実施形態によれば、本発明の組成物は、0.5%未満の着色剤を含む。
【0129】
前述の実施形態によれば、本発明の組成物は、着色剤を含まない。
【0130】
本発明の組成物は、少なくとも1つの脂肪性物質を更に含み得る。好適な脂肪性物質には、油及び/又はワックスが挙げられる。「油」とは、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である任意の非水性媒体を意味する。本開示の目的のための「ワックス」とは、周囲温度(25℃)で固体であり、かつ固体から、30℃超、例えば、45℃超(150℃もの高温であり得る)の融解温度、周囲温度で0.5MPa超の硬度、及び固体状態で異方性結晶組織を有する液体状態に可逆的に変化する親油性脂肪族化合物である。ワックスをその融解温度にすることにより、ワックス自体を担体として使用することが可能であり、かつ/又はワックスを油と混合させて微視的に均質な混合物を形成することが可能である。
【0131】
好適な油には、揮発性油及び/又は不揮発性油が挙げられる。かかる油は、シリコーン油及び/又は炭化水素油を含むが、これらに限定されない任意の許容される油であり得る。
【0132】
ある特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、好ましくは1つ以上の揮発性シリコーン油を含む。かかる揮発性シリコーン油の例には、室温で6cSt以下の粘度を有し、かつ2~7個のシリコン原子を有する直鎖状又は環状シリコーン油が挙げられ、これらのシリコーンは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基で任意選択的に置換される。本発明に使用され得る特定の油には、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物が挙げられる。使用され得る他の揮発性油には、94℃の引火点を有するShin Etsu製の市販品である、6cStの粘度を有するKF 96Aが挙げられる。好ましくは、揮発性シリコーン油は、少なくとも40℃の引火点を有する。
【0133】
揮発性シリコーン油の非限定的な例が以下の表1に列記される。
【表2】
【0134】
更に、揮発性直鎖状シリコーン油が本発明に用いられ得る。好適な揮発性直鎖シリコーン油には、内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,338,839号及びWO03/042221に記載のものが挙げられる。一実施形態では、揮発性直鎖シリコーン油は、デカメチルテトラシロキサンである。別の実施形態では、デカメチルテトラシロキサンは、デカメチルテトラシロキサンよりも揮発性の高い別の溶媒と更に組み合わせられる。
【0135】
本発明のある特定の実施形態によれば、本組成物は、好ましくは1つ以上の揮発性非シリコーン油を含み、揮発性炭化水素油、揮発性エステル、及び揮発性エーテルから選択され得る。かかる揮発性非シリコーン油の例には、8~16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素油及びそれらの混合物、特に分岐状C~C16アルカン、例えば、C~C16イソアルカン(別名、イソパラフィン)、イソヘキサデカン、イソドデカン、イソデカン、並びに例えば、Isopar又はPermethylという商標名で販売されている油が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、揮発性非シリコーン油は、少なくとも40℃の引火点を有する。
【0136】
揮発性非シリコーン揮発性油の非限定的な例が以下の表2に提供される。
【表3】
【0137】
溶媒/油の揮発性は、内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,338,839号に記載の蒸発速度を使用して決定することができる。
【0138】
本発明のある特定の実施形態によれば、本組成物は、少なくとも1つの不揮発性油を含む。本発明に使用され得る不揮発性油の例には、以下などの極性油が挙げられるが、これらに限定されない:
-グリセロール脂肪酸エステルからなる高トリグリセリド含有量を有する炭化水素ベースの植物油(その脂肪酸は様々な鎖長を有し得、これらの鎖は直鎖状又は分岐状及び飽和又は不飽和である可能性があり、これらの油は、特に、小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、カリテバター、ヒマシ油、スイートアーモンド油、マカダミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、ブラックカラント種子油、マツヨイグサ油、キビ油、大麦油、キノア油、オリーブ油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、トケイソウ油、若しくはジャコウバラ油、又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社から販売されているもの若しくはDynamit Nobel社からMiglyol 810、812、及び818という商標名で販売されているものである)、
-式RCOORの合成油又はエステル(式中、Rが、7~19個の炭素原子などの1~40個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状高級脂肪酸残基を表し、Rが、3~20個の炭素原子などの1~40個の炭素原子を有する分岐状炭化水素ベースの鎖を表し、R+Rが10以上であり、例えば、パーセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、C12~C15安息香酸アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、2-パルミチン酸エチルヘキシル、及びオクタン酸、デカン酸、又はリシノール酸アルコール又はポリアルコール、水酸化エステル、例えば、乳酸イソステアリル又はリンゴ酸ジイソステアリル、並びにペンタエリスリトールエステルである)、
-10~40個の炭素原子を有する合成エーテル、
-C~C26脂肪族アルコール、例えば、オレイルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びセタリーアルコール、並びに
-それらの混合物。
【0139】
更に、本発明に使用され得る不揮発性油の例には、ポリオレフィン、具体的には、ワセリン(ペトロラタム)、パラフィン油、スクアラン、スクアレン、水素化ポリイソブテン、水素化ポリデセン、ポリブテン、鉱油、ペンタヒドロスクアレン、並びにそれらの混合物を含む、分岐状及び非分岐状炭化水素及び炭化水素ワックスなどの非極性油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
1つ以上の実施形態では、本発明の化粧用組成物は、少なくとも1つの高粘度エステルも含み得る。これらの例には、糖及び関連物質のC~C30モノエステル及びポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。これらのエステルは、糖又はポリオール部分及び1つ以上のカルボン酸部分に由来する。構成酸及び糖に応じて、これらのエステルは、室温で液体又は固体のいずれかの形態であり得る。好適な液体エステルには、テトラオレイン酸グルコース、大豆油脂肪酸(不飽和)のグルコーステトラエステル、混合大豆油脂肪酸のマンノーステトラエステル、オレイン酸のガラクトーステトラエステル、リノール酸のアラビノーステトラエステル、テトラリノール酸キシロース、ペンタオレイン酸ガラクトース、テトラオレイン酸ソルビトール、不飽和大豆油脂肪酸のソルビトールヘキサエステル、ペンタオレイン酸キシリトール、テトラオレイン酸スクロース、ペンタオレイン酸スクロース、ヘキサオレイン酸スクロース、ヘプタオレイン酸スクロース、オクタオレイン酸スクロース、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な固体エステルには、カルボン酸エステル部分が1:2のモル比でパルミトレイン酸エステル及びアラキジン酸エステルであるソルビトールヘキサエステル、カルボン酸エステル部分が1:3のモル比でリノール酸エステル及びベヘン酸エステルであるラフィノースオクタエステル、エステル化カルボン酸部分が3:4のモル比でヒマワリ種子油脂肪酸及びリグノセリン酸エステルであるマルトースヘプタエステル、エステル化カルボン酸部分が2:6のモル比でオレイン酸エステル及びベヘン酸エステルであるスクロースオクタエステル、並びにエステル化カルボン酸部分が1:3:4のモル比でラウリン酸エステル、リノール酸エステル、及びベヘン酸エステルであるスクロースオクタエステルが挙げられ得るが、これらに限定されない。一実施形態では、エステルは、エステル化度が7~8であり、かつ脂肪酸部分がC18モノ不飽和及び/又はジ不飽和かつベヘン酸であり、不飽和物:ベヘン酸のモル比が1:7~3:5であるスクロースポリエステルである。別の実施形態では、糖ポリエステルは、分子内に約7個のベヘン酸脂肪酸部分及び約1個のオレイン酸部分が存在するスクロースオクタエステルである。他の材料は、スクロース綿実油又は大豆油脂肪酸エステルを含み得る。
【0141】
1つ以上の実施形態では、高粘度エステルは、イソ酪酸酢酸スクロースを含む。好適なイソ酪酸酢酸スクロース化合物の一例は、Eastman(登録商標)(Kingsport,Tenn)から市販されているSAIB-100(登録商標)である。このエステルは、30℃で約100,000cpsの粘度を有し、20℃で約1.5の屈折率を有する。
【0142】
アクリルポリマー
好ましい実施形態によれば、存在する場合、少なくとも1つの油は、組成物の総重量に基づいて約5~約60重量%、より好ましくは約10~約50重量%、最も好ましくは約15~約35重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で本発明の組成物中に存在する。
【0143】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1つのワックスを更に含む。本開示に従って使用することができるワックスの好適な例には、化粧品分野で一般に使用されているものが挙げられ、これらには、天然由来のもの、例えば、蜜蝋、カルナバワックス、カンデリラワックス、オウリクリワックス、ジャパンワックス、コルク繊維ワックス又はサトウキビワックス、ライスワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、褐炭ワックス又は微結晶ワックス、セレシン又はオゾケライト、及び水素化ヒマシ油又はホホバ油などの水素化油、エチレンの重合又は共重合により得られるポリエチレンワックスなどの合成ワックス、並びにフィッシャー・トロプシュワックス、又は他の脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸オクタコサニル、30℃、例えば45℃でコンクリートであるグリセリドが含まれる。
【0144】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1つのシリコーンワックスを更に含む。好適なシリコーンワックスの例には、10~45個の範囲の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ鎖を有するアルキル又はアルコキシジメチコン、30℃で固体であり、かつエステル鎖が少なくとも10個の炭素原子を有するポリ(ジ)メチルスリオキサンエステル、HEST 2T-4Sという名称でHetereneにより販売されているか、又は製造されたジ(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、式(RR’SiO1/2(R”SiO3/2(式中、x及びyが0.05~0.95の値を有し、Rが1~8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基、又はアミノ基であり、Rが9~40個の炭素原子を有する一価炭化水素であり、R”が1~8個の炭素原子を有する一価炭化水素基、アリール基である)を有する少なくとも40モル%のシロキシ単位を含むアルキル化アクリル酸シリコーンコポリマーワックス(例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2007/0149703号に開示されているものであり、C30~C45アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサンが具体的な例である)、及びそれらの混合物などのシリコーンワックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1つの長鎖アルコールワックスを更に含む。好ましくは、少なくとも1つの長鎖アルコールワックスは、約20~約60個の炭素原子、最も好ましくは約30~約50個の炭素原子の平均炭素鎖長を有する。長鎖アルコールワックスの好適な例には、例えば、Performacol 350、425、及び550などのPerformacol商標名でBaker Hughesから市販されているアルコールワックスが挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましくは、長鎖アルコールワックスは、約93℃~約105℃の範囲の融解温度を有する。
【0146】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、1%未満のワックスを含む。
【0147】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、0.5%未満のワックスを含む。
【0148】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、ワックスを含まない。
【0149】
存在する場合、ワックス(複数可)は、組成物の総重量に対して1~30重量%、例えば、2~20重量%、例えば、3~10重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の量で存在し得る。
【0150】
追加の添加剤
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、皮膚又は唇などのケラチン物質に塗布するための組成物である。これらの実施形態によれば、本発明の組成物は、例えば、水、活性成分、保湿剤、界面活性剤、及び充填剤などの化粧用組成物中で典型的に見つけられる成分を含むことができる。したがって、本発明の組成物は、考慮されている分野で通常使用されているいずれの添加剤も含むことができる。例えば、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)などの分散剤、抗酸化剤、精油、日焼け止め剤、防腐剤、香料、充填剤、中和剤、化粧用皮膚科活性剤、例えば、皮膚軟化剤、保湿剤、ビタミン、必須脂肪酸、界面活性剤、シリコーンエラストマー、増粘剤、ゲル化剤、粒子、ペースト状化合物、粘度増加剤などを添加することができる。かかる成分の非包括的な一覧は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0170586号で見つけることができる。好適な追加の成分の更なる例は、参照により本出願に組み込まれている他の参考文献で見つけることができる。かかる追加の成分のなお更なる例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(9th ed.2002)で見つけることができる。
【0151】
当業者であれば、本発明による組成物の有利な特性が想定される添加の悪影響を受けないように、又はその悪影響を実質的に受けないように、任意選択的な追加の添加剤及び/又はそれらの量を注意深く選択するであろう。
【0152】
これらの物質は、所望の特性、例えば、稠度又は質感を有する組成物を調製するために、当業者によって様々に選択され得る。
【0153】
これらの添加剤は、組成物の総重量に対して0%~99%(0.01%~90%など)、更に0.1%~50%(存在する場合)(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)などの割合で組成物中に存在し得る。
【0154】
1つ以上の実施形態では、本発明の組成物は、美容的又は皮膚科学的に許容されるものである、すなわち、生理学的に許容される非毒性媒体を含み、かつ人間の皮膚に塗布することができるものであるべきである。
【0155】
具体的には、油相に好適なゲル化剤には、親油性粘土又は親水性粘土が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
「親水性粘土」という用語は、水中で膨張することができる粘土を意味し、この粘土は水中で膨張し、水和後にコロイド分散体を形成する。これらの粘土は、それ自体が既に周知の製品であり、例えば、書籍「Mineralogie des argiles」(S.Caillere,S.Henin,M.Rautureau,2nd edition 1982,Masson)に記載されており、その教示は参照により本明細書に含まれる。粘土は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、及びリチウムカチオン、並びにそれらの混合物から選択され得るカチオンを含むケイ酸塩である。言及され得るかかる製品の例には、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、ベイデルライト、及びサポナイトなどのスメクタイトファミリーの粘土が挙げられ、バーミキュライトファミリー、スチーブンサイトファミリー、及びクロライトファミリーの粘土も挙げられる。これらの粘土は、天然由来又は合成由来のものであり得る。
【0157】
言及され得る親水性粘土には、サポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、及びベイデルライトなどのスメクタイト製品が挙げられる。言及され得る親水性粘土には、合成ヘクトライト(別名、ラポナイト)、例えば、Laponite XLG、Laponite RD、及びLaponite RDSという名称でLaporte社から販売されている製品(これらの製品はケイ酸マグネシウムナトリウム、具体的には、ケイ酸マグネシウムナトリウムリチウムである)、ベントナイト、例えば、Bentone HCという名称でRheox社から販売されている製品、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、具体的には、水和ケイ酸アルミニウムマグネシウム、例えば、Veegum Ultra、Veegum HS、及びVeegum DGTという名称でVanderbilt社から販売されている製品、又はケイ酸カルシウム、具体的には、Micro-cel Cという名称で企業から販売されている合成形態の製品が挙げられる。
【0158】
「親油性粘土」という用語は、親油性培地中で膨張することができる粘土を意味し、この粘土は培地中で膨張し、それ故に、コロイド分散体を形成する。言及され得る親油性粘土の例には、改質ケイ酸マグネシウム(RheoxのBentone Gel VS38)などの改質粘土、及びC10~C22脂肪酸塩化アンモニウムで改質されたヘクトライト、例えば、Bentone 38 CEという名称でRheox社から販売されている又はBentone 38V(登録商標)という名称でElementis社から販売されている塩化ジステアリルジメチルアンモニウムで改質されたヘクトライト(CTFA名:ジステアジモニウムヘクトライト)が挙げられる。
【0159】
具体的には、使用され得るゲル化剤のうち、シリカ粒子が言及され得る。好ましくは、シリカ粒子は、ヒュームドシリカ粒子である。
【0160】
好適なシリカには、粒径が1ミクロン未満、好ましくは500nm未満、好ましくは100nm未満、好ましくは5nm~30nm(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)である疎水性シリカ、例えば、任意選択的に疎水性表面処理された発熱性シリカが挙げられるが、これらに限定されない。実際には、シリカ表面上に存在するシラノール基の数の減少をもたらす化学反応によってシリカ表面を化学的に改質することが可能である。注目すべきことに、シラノール基を疎水性基で置き換えることができ、その後、疎水性シリカが得られる。疎水性基は、以下であり得る。
【0161】
トリメチルシロキシル基(注目すべきことに、ヘキサメチルジシラザンの存在下で発熱性シリカの処理によって得られる)。このような方法で処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)により、「シリカシリレート」と呼ばれる。これらは、例えば、Degussa社の「AEROSIL R812(登録商標)」、Cabot社の「CAB-O-SIL TS-530(登録商標)」という参照名で販売されている。
【0162】
ジメチルシリルオキシル基又はポリジメチルシロキサン基(注目すべきことに、ポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下で発熱性シリカの処理によって得られる)。このような方法で処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)により、「シリカジメチルシリレート」と呼ばれる。例えば、Degussa社の「AEROSIL R972(登録商標)」、「AEROSIL R974(登録商標)」、Cabot社の「CAB-O-SIL TS-610(登録商標)」、「CAB-O-SIL TS-720(登録商標)」という参照名で販売されている。
【0163】
好適な皮膚軟化剤には、天然油及び合成油、例えば、鉱油、植物油、及び動物油、脂肪及びワックス、脂肪アルコール及び脂肪酸、並びにそれらのエステル、(ポリ)アルキレングリコールのエステル及びエーテル、ペトロラタム及びスクアランなどの炭化水素、ラノリンアルコール及びその誘導体、動物及び植物トリグリセリド、並びにステアリルアルコールが挙げられ得るが、これらに限定されない。非限定的な例には、エステル類、例えば、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル(Alzo Inc.(Sayreville,N.J.)から市販されているWICKENOL 151など)、C12~C15安息香酸アルキル(Innospec Active ChemicalsのFINSOLV TNなど)、トリカプリル/カプリン酸グリセリド、テトラオクタン酸ペンタエリスリトール、鉱油、ジプロピレングリコールジベンゾエート、PPG-15ステアリルエーテルベンゾエート、PPG-2-ミリスチルエーテルプロピオネート、エチルメチコン、ジエチルヘキシルシクロヘキサン、植物由来の炭化水素ベースの油、例えば、4~10個の炭素原子を有する液体脂肪酸トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シアバター油、カプリリルグリコール、合成エステル及びエーテル、具体的には、合成脂肪酸エステル及びエーテル、例えば、パーセリンオイル、2-オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリン酸イソステアリル、水酸化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、若しくはクエン酸トリイソセチル、脂肪アルコールヘプタノエート、オクタノエート、若しくはデカノエート、ポリオールエステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、及びジイソノナン酸ジエチレングリコール、ペンタエリスリトールエステル、例えば、テトライソステアリン酸ペンタエリトリチル、サルコシン酸イソプロピルラウロイル、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えば、パールリームオイル、並びに/又はCetiol UTの参照名でBASF社から販売されているn-ウンデカンとn-トリデカンの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
好ましくは、皮膚軟化剤は、存在する場合、組成物の総重量に基づいて、一般に約0.1重量%~約20重量%、好ましくは約0.25重量%~約15重量%、より好ましくは約0.5重量%~約10重量%の範囲(それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)の活性物質の量で本発明の組成物中に存在する。
【0165】
皮膚組成物に好適な防腐剤には、クロロフェネシン、ソルビン酸、エチレンジニトリロ四酢酸二ナトリウム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、フィチン酸、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。熱保護組成物は、一般に、熱保護組成物の総重量100重量%に基づいて、約0.001重量%~約20重量%の防腐剤を含む。別の態様では、本組成物は、熱保護組成物の総重量100重量%に基づいて、約0.1重量%~約10重量%の防腐剤を含む。
【0166】
本組成物は、任意選択的にUVフィルターも含み得る。UVフィルターは、紫外線放射を阻止するためのそれらの使用について当該技術分野で周知である。例えば、UVフィルターは、1つ以上の有機UVフィルター及び/又は1つ以上の無機UVフィルターであり得る。UVフィルターの非限定的な例には、以下が挙げられる:
i.難溶性UVフィルター(水又は油のいずれにも認識できるほどに溶解しない)、例えば、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、トリス-ビフェニルトリアジン、メタノン、1,1’-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェン-イル]-、及びそれらの混合物、
ii.油溶性有機UVフィルター(油又は有機溶媒に少なくとも部分的に溶解する)、例えば、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMBM)、オキシベンゾン、スリソベンゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(DBT)、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルメトキシシンナメート(EHMC)、エチルヘキシルサリチレート(EHS)、エチルヘキシルトリアゾン(EHT)、ホモサラート、イソアミルp-メトキシシンナメート、4-メチルベンジリデンカンファーオクトクリレン(OCR)、ポリシリコーン-15、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(DHHB)、
iii.無機UVフィルター、例えば、酸化チタン及び酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウム、並びに
iv.水溶性UVフィルター、例えば、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PBSA)、スリソベンゾンナトリウム塩、ベンジジレンカンファースルホン酸、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、シノキサート、フェニルジベンジルミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、PABA、及びPEG-25 PABA。
【0167】
いくつかの事例では、UVフィルターは、パラアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン又はアミノベンゾフェノン、アントラニル酸誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、ベンジリデンカンファー誘導体、フェニルベンズイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ビスレゾルシニルトリアジン、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロネート誘導体、4,4-ジアリールブタジエン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、メロシアニン、マロニトリル若しくはマロン酸ジフェニルブタジエン誘導体、カルコン、又はそれらの混合物のうちの1つ以上である。
【0168】
好適なUVフィルターは、UVA放射及びUVB放射の両方から保護する広域UVフィルター、又はUVA放射若しくはUVB放射から保護するUVフィルターを含むことができる。いくつかの事例では、1つ以上のUVフィルターは、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、コーティングされた又はコーティングされていない酸化亜鉛、エチルヘキシルメトキシシンナメート、イソアミルメトキシシンナメート、ホモサレートエチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、ポリシリコーン-15、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メンチルアントラニレート、及びエチルヘキシルジメチルPABAであり得る。
【0169】
更に、UVフィルターの組み合わせが使用され得る。例えば、UVフィルターの組み合わせは、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,107,843号に記載される、オクトクリレン、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3)、オクチサラート(エチルヘキシルサリチレート)、及びホモサラートであり得る。
【0170】
方法
本発明の好ましい実施形態によれば、ケラチン物質、例えば、皮膚又は唇を手入れする、ケアする、及び/又はメークアップするのに十分な量で、本発明の組成物をケラチン物質に塗布することによる、ケラチン物質を手入れする、ケアする、及び/又はメークアップする方法が提供される。好ましくは、ケラチン物質を「メークアップする」ことは、ケラチン物質に色を提供するのに十分な量で、少なくとも1つの着色剤をケラチン物質に塗布することを含む。
【0171】
更に他の好ましい実施形態によれば、ケラチン物質の外観を向上させるのに十分な量で、本発明の組成物をケラチン物質に塗布することによる、ケラチン物質の外観を向上させる方法が提供される。
【0172】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物をケラチン物質(例えば、皮膚又は唇)に塗布する方法であって、不混和性成分が一時的に混和するように本組成物を混合又はブレンドすることと、一時的に混和性の成分を含む本組成物をケラチン物質に塗布することと、を含む、方法が提供される。1つ以上の実施形態では、組成物は、混合パック内で混合されてもよく、又は手で混合されてもよい。ケラチン物質に塗布された後、成分が分離して、ケラチン物質上に多層構造を形成する。
【0173】
本発明の好ましい実施形態によれば、キットは、(1)少なくとも1つの容器、(2)少なくとも1つのアプリケータ、及び(3)ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる少なくとも1つの組成物を含み、この組成物は、塗布前に少なくとも2つの不混和性成分を含む。
【0174】
前述の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、ケラチン物質を手入れする、ケアする、及び/若しくはメークアップするか、ケラチン物質に関連する欠陥、皮膚欠陥、若しくは変色を覆う若しくは隠すか、又はケラチン物質の外観を向上させるのに十分な量で、ケラチン物質の所望の領域に局所的に塗布される。本組成物は、必要に応じて、好ましくは1日1回、所望の領域に塗布されてもよく、その後、好ましくは、衣類又は他の物体などとの接触に曝される前に乾燥させてもよい。好ましくは、本組成物を約4分以下、より好ましくは約2分以下乾燥させる。
【0175】
また、前述の好ましい実施形態によれば、組成物は、好ましくは、化粧用組成物に好適な容器に収容される。かかる容器の好適な形状には、例えば、正方形、長方形、ピラミッド形、楕円形、円形、半球形などの任意の幾何学的形状が挙げられるが、これらに限定されない。更に、容器は、可撓性材料で作製されていても非可撓性材料で作製されていてもよい。
【0176】
同様に、化粧用組成物の塗布に好適ないずれのアプリケータも本発明に従って使用することができ、アプリケータのタイプの好適な例には、ブラシ、スティック、パッド、ローラーボールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
好ましくは、前述の好ましい実施形態によれば、(1)不混和性成分が一時的に混和するように、容器が本発明の組成物を混合若しくはブレンドすることができるか、(2)不混和性成分が一時的に混和するように、アプリケータが本発明の組成物を混合若しくはブレンドすることができるか、又は(3)不混和性成分が一時的に混和するように、容器とアプリケータとが協働して本発明の組成物を混合若しくはブレンドすることができるかのいずれかである。例えば、可撓性容器は、その可撓性により、不混和性成分が一時的に混和するように本発明の組成物を一時的に混合若しくはブレンドするように操作されたときに十分な力を生み出すことができるか、アプリケータは、その設計により、不混和性成分が一時的に混和するように本発明の組成物を一時的に混合若しくはブレンドするために容器から引き抜かれたときに十分な力を生み出すことができるか、又は(3)可撓性容器及びアプリケータは、それらの相乗的設計要素により、不混和性成分が一時的に混和するように本発明の組成物を一時的に混合若しくはレンドするためにアプリケータが容器から引き抜かれたときに十分な力を生み出すことができる。
【0178】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、リップスティック、リップグロス、又はリップパームなどの唇に塗布するためのリップ組成物である。これらの実施形態によれば、本発明の組成物は、例えば、着色剤、ワックス、及びゲル化剤などのリップ組成物中で典型的に見つけられる成分を含むことができる。更に、本組成物は、水を含む可能性も無水である可能性もある。また、本組成物は、固体である可能性も非固体である可能性もある。
【0179】
好ましい実施形態には、以下が挙げられる。
1.ケラチン物質への塗布後に多層構造を形成することができる化粧用組成物であって、
化粧用組成物が少なくとも2つの不混和性成分A及びBを含み、
成分Aが、少なくとも1つのMQ樹脂、少なくとも1つのポリプロピルシルセスキオキサン、及び少なくとも1つの変性MQ樹脂を含み、変性MQ樹脂が、少なくとも1つのT単位を含み、
成分Bが、組成物の総重量に対して約0.01重量%~90重量%の1つ以上のシリコーン化合物を、約1,000cSt~22,000,000cStの粘度を達成するのに十分な量で含む、化粧用組成物。
2.少なくとも1つの着色剤、好ましくは無機顔料を更に含む、先行実施形態に記載の化粧用組成物。
3.組成物が、組成物の総重量に対して1重量%未満の着色剤を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の化粧用組成物。
4.少なくとも1つの揮発性炭化水素油、好ましくはイソドデカンを更に含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の化粧用組成物。
5.シリコーン化合物が、シリコーンゴム、シリコーン流体、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の化粧用組成物。
6.変性MQ樹脂がポリメチルシルセスキオキサン/トリメチルシロキシシリケートである、先行実施形態のいずれか1つに記載の化粧用組成物。
7.(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)の変性MQ樹脂重量比に対する重量比が約10:1~約1:10である、先行実施形態のいずれか1つに記載の化粧用組成物。
8.(a)先行実施形態のいずれか1つに記載の化粧用組成物と、(b)化粧用組成物を収容する少なくとも1つの容器と、(c)少なくとも1つのアプリケータと、を含む、キット。
9.容器が成分Aと成分Bとを混合するように構成されている、先行実施形態に記載のキット。
10.上記の実施形態1~7のいずれか1つに記載の化粧用組成物、好ましくは、上記の実施形態8又は9に記載のキットの一部をケラチン物質に塗布する方法であって、化粧用組成物を混合して、混合された組成物を形成することであって、組成物中で、成分Aと成分Bとが一時的に混和している、形成することと、混合された組成物をケラチン物質に塗布することと、を含む、方法。
【0180】
別途指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、全ての事例において「約」という用語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対のことが指示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0181】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の実施例に示される数値は、できるだけ正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、本質的に、それぞれの測定値で見つけられる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を含む。以下の実施例は、結果として範囲を限定することなく本発明を例証するよう意図されている。パーセンテージは、重量に基づいて提供される。
【0182】
実施例1-組成物
以下の指定範囲内に入る組成物を調製し、分析した。
【表4】
【0183】
特に注目すべきことに、発明組成物Cは、1:1の(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)の変性MQ樹脂に対する重量比を有し、発明組成物Dは、2:1の(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)の変性MQ樹脂に対する重量比を有した。
【0184】
比較組成物Aは、変性MQ樹脂を含まなかった。比較組成物Bは、MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサンを含まなかった。比較組成物Eは、変性MQ樹脂、MQ樹脂、又はポリプロピルシルセスキオキサンのいずれも含まなかった。
【0185】
組成物A~Dは全て、重量基準で同量のシリコーン樹脂を含んだ。
【0186】
実施例2-試験
実施例1からの組成物を長持ち特性について試験した。オリーブ油、人工唾液、及び酢酸が長持ち特性に及ぼす影響について、以下のように定量的評価を行った。
【0187】
摩耗紙上に1mLのドローダウンを調製し、フィルムを周囲温度で48時間静置させた。
【0188】
ASTMテープを使用して、フィルムに指圧をわずかに加えて180度の角度でフィルムの右側を横断させ、フィルムを穏やかに除去した。
【0189】
フィルム上で、液滴を各サンプル上に配置した。オリーブ油4滴(上に2滴、下に2滴)を使用した。この手順(合計4滴)を人工唾液及び酢酸でも繰り返した。液滴が重なり合わないように配置した。
【0190】
液滴を10分間静置させ、その後、コットンパッドで15回拭き取った。
【0191】
この試験を二連で行った。以下の数値評点システムを使用した:1~3のスケールを結果に割り当て、1が、移りが最も少ない/最も良いフィルム特性であり、3が、移りが最も多い/最も悪いフィルム特性であった。
【0192】
結果(二連実行の平均として報告したもの)を以下の表に報告する。
【表5】
【0193】
各サンプルを、フィルム自体でのその長持ち特性(フィルムのどのくらいが擦り落とされたか)について分析し、拭き取りに使用したコットンパッドへのフィルムの移りについても分析した。上記の表では、「コットン」とは、コットンパッドへの移りに関連する試験を指す。
【0194】
比較組成物Aは、オリーブ油の存在下でいくらかの崩壊を呈し、ASTMテープへの移りも呈した。比較組成物Bは、劣った長持ちプロファイルを呈し、平均長持ちが3のうち2であった。このサンプルは、オリーブ油、唾液、及び酢酸に関して、並びにコットンパッドへの移りに関して、比較組成物Aと比較して低い性能を示した。また、ASTMテープ移りに関して比較組成物Aと同様の性能を示した。
【0195】
発明組成物C(1:1の比率)は、驚くべきことに、優れた長持ちプロファイルを示し、平均長持ちが3のうち1.22であった。興味深いことに、発明組成物Cにおけるフィルムの油による崩壊は、比較組成物A及びBよりも良好であった。
【0196】
発明組成物D(2:1の比率)は、発明組成物Cと同様の優れた長持ちプロファイルを示し、平均長持ちが3のうち1.21であり、シリコーン樹脂の組み合わせにより、改善された長持ちプロファイルが提供されたことを示す。
【0197】
我々は、発明組成物中の(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)の変性MQ樹脂に対する比率を1:1及び2:1にすることにより、(MQ樹脂+ポリプロピルシルセスキオキサン)のみ又は変性MQ樹脂のみのいずれよりも著しく良好に機能したことを示した。
【国際調査報告】