(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】抗ウイルス剤および避妊薬の送達のための薬物送達システム
(51)【国際特許分類】
A61K 31/57 20060101AFI20230602BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230602BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230602BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20230602BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230602BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230602BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230602BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230602BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230602BHJP
A61P 15/18 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A61K31/57
A61K31/519
A61P43/00 121
A61K9/00
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/12
A61P31/12
A61P15/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567073
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 US2021030032
(87)【国際公開番号】W WO2021225869
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,モーガン・ビー
(72)【発明者】
【氏名】フォスター,セス・ピー
(72)【発明者】
【氏名】バレット,ステファニー・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】コイノフ,アサナス
(72)【発明者】
【氏名】テラー,ライアン・エス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076AA99
4C076BB32
4C076CC35
4C076CC50
4C076DD43
4C076EE06A
4C076EE08A
4C076EE12A
4C076EE22A
4C076EE23
4C076EE26A
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4C076EE31A
4C076EE49
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB06
4C086DA10
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA67
4C086NA12
4C086NA13
4C086ZA86
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、抗ウイルス薬および避妊薬の長時間作用送達のための新規のインプラント薬物送達システムに関する。これらの組成物は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の治療または予防、および妊娠の予防に有用である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント薬物送達システムであって、
(a)生体適合性非侵食性ポリマーと、(i)コア中に10から50重量%の間で存在するイスラトラビル無水物、および(ii)コア中に25から50重量%の間で存在するエトノゲストレルと、を含むコア、および
(b)ポリマーを含む生体適合性非侵食性拡散バリアであって、ここで、拡散バリアは、50μm~300μmの厚さを有する、とを含み、
ここで、前記インプラント薬物送達システムは、皮下に埋め込まれ、そして、
(i)イスラトラビル無水物は、6ヶ月から36ヶ月の期間、0.02ng/mLから300.0ng/mLのイスラトラビルの血漿濃度をもたらす速度でインビボで継続的に放出され、そして、
(ii) エトノゲストレルは、6ヶ月から36ヶ月の期間、0.15ng/mLから1.2ng/mLのエトノゲストレルの血漿濃度をもたらす速度でインビボで継続的に放出される、インプラント薬物送達システム。
【請求項2】
前記イスラトラビル血漿濃度が、0.02ng/mL~30.0ng/mLの間である、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項3】
前記イスラトラビル血漿濃度が、0.02ng/mL~8.0ng/mLの間である、請求項2に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項4】
前記イスラトラビル無水物が、前記コア中に15重量%で存在する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項5】
前記イスラトラビル無水物が、前記コア中に20重量%で存在する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項6】
前記イスラトラビル無水物が、前記コア中に30重量%で存在する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項7】
前記イスラトラビル無水物が、前記コア中に35重量%で存在する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項8】
前記エトノゲストレルが、前記コア中に30重量%で存在する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項9】
前記エトノゲストレルが、前記コア中に35重量%で存在する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項10】
前記エトノゲストレルが、前記コア中に40重量%で存在する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項11】
コア中の生体適合性非侵食性ポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリ(ウレタン)、シリコーン、架橋ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アシル置換酢酸セルロース、部分加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、完全加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、非可塑化ポリ塩化ビニル、架橋ポリ酢酸ビニルホモポリマー、架橋ポリ酢酸ビニルコポリマー、架橋アクリル酸ポリエステル、架橋メタクリル酸ポリエステル、ポリビニルアルキルエーテル、ポリフッ化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、架橋ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アルキレン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリホスファゼン、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項12】
前記コア中の前記生体適合性非侵食性ポリマーがポリ(ウレタン)を含む、請求項11に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項13】
前記拡散バリアが、可溶性充填剤を有する親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーを含む、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項14】
前記拡散バリアが、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、架橋ポリ(ビニルアルコール)、非可塑化ポリ塩化ビニル、架橋ポリ酢酸ビニルホモポリマー、架橋ポリ酢酸ビニルコポリマー、架橋アクリル酸ポリエステル、架橋メタクリル酸ポリエステル、ポリビニルアルキルエーテル、ポリフッ化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、架橋ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アルキレン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アシル置換セルロースアセテート、部分加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、完全加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ(エステル)、ポリホスファゼン、クロロスルホン化ポリオレフィン、それらの組み合わせよりなる群から選択されるポリマーを含む、請求項13に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項15】
前記拡散バリアが、ポリ(ウレタン)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アシル置換セルロースアセテート、部分加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、完全加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ(エステル)、ポリホスファゼン、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択されるポリマーを含む、請求項14に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項16】
前記拡散バリアがポリ(ウレタン)を含む、請求項15に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項17】
前記ポリ(ウレタン)が、1重量%~20重量%の吸水率を有する、請求項16に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項18】
前記拡散バリアが、ポリエチレングリコール、クエン酸、およびポロキサマーからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項13に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項19】
前記拡散バリアが、100μm~200μmの厚さを有する、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項20】
前記コアおよび前記生体適合性非侵食性拡散バリアの両方がポリ(ウレタン)を含む、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項21】
前記コアおよび前記生体適合性非侵食性拡散バリアが、共押出によって調製され、そして、前記共押出が、130℃~190℃の温度で実施される、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項22】
前記共押出が、130℃~160℃の温度で実施される、請求項21に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項23】
前記コアおよび前記生体適合性非侵食性拡散バリアが、射出成形によって調製され、そして、前記射出成形が、130℃~190℃の温度で実施される、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項24】
前記射出成形が、150℃~160℃の温度で実施される、請求項23に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項25】
前記イスラトラビル無水物が、Cu Kα線を用いて得られた粉末x線回折において、少なくとも回折角度2θ(±0.2°)11.79、12.39、14.70および15.51にピークを有する粉末x線回折パターンを特徴とする、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項26】
1重量%~20重量%の放射線不透過性材料を含む、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項27】
前記イスラトラビルが、24ヶ月~36ヶ月の期間、治療濃度で放出される、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項28】
前記エトノゲストレルが、24ヶ月~36ヶ月の期間、避妊濃度で放出される、請求項1に記載のインプラント薬物送達システム。
【請求項29】
請求項1に記載のインプラント薬物送達システムを用いてHIV感染を治療または予防し、妊娠を予防する方法。
【請求項30】
インプラント薬物送達システムであって:
(a) 生体適合性非侵食性ポリマーと、(i)コア中に15から35重量%で存在するイスラトラビル、および(ii)コア中に30から40重量%で存在するエトノゲストレルと、そして、任意に
(b)ポリマーを含む生体適合性非侵食性拡散バリアであって、ここで、拡散バリアは、50μm~300μmの厚さを有する、とを含み、
ここで、30日目に、
(i) イスラトラビルは、0.020mgから0.050mgのイスラトラビルの濃度をもたらす速度でインビトロで放出され、そして、
(ii) エトノゲストレルは、0.025mgから0.050mgのエトノゲストレルの濃度をもたらす速度でインビトロで放出される、
インプラント薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1990年代半ばにおける高活性抗レトロウイルス療法(HAART)の開発は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)I型感染症の臨床ケアを変容させた。HAARTレジメンは非常に有効な治療法であることが証明されており、HIV感染患者におけるHIVウイルス量を有意に減少させ、それにより、疾患の進展を遅らせ、HIV関連の罹患率および死亡率を減少させる。しかし、HAARTの治療の成功は、患者によるレジメンの遵守に直接関連している。適切なレベルの抗レトロウイルス薬の組み合わせが血液中で維持されない限り、ウイルス変異が発生し、同じ治療クラスの分子に対する治療抵抗性および交差抵抗性をもたらし、したがって、治療の長期的有効性が危険にさらされる。様々な臨床試験により、遵守の比較的わずかな失敗を伴う治療有効性の低下が示されている。Musiimeによる研究では、95%を超えるアドヒアランスを有する患者の81人%がウイルス抑制を示し、80~90%のアドヒアランスを有する患者の50人%のみが成功したことが明らかにされた。Musiime,S.,et al.,Adherence to Highly Active Antiretroviral Treatment in HIV-Infected Rwandan Women.PLOS one 2011,6,(11),1-6を参照されたい。注目すべきことに、70%未満の接着性であった患者の6人%のみが、ウイルスマーカーの改善を示した。したがって、低付着性は、HIV-1感染の治療における治療的失敗の主な原因である。
【0002】
それにもかかわらず、HAARTレジメンの遵守率は、依然として最適とは程遠い。HAARTの様々な特徴は、アドヒアランスを特に困難にする。治療レジメンは複雑であり、多くの場合、1日の異なる時間に毎日複数の薬物を摂取することを必要とし、多くは、食物摂取に厳しい要件を伴う。多くのHAART薬物はまた、悪心、下痢、頭痛、および末梢神経障害を含む不快な副作用を有する。社会的および心理的要因もまた、遵守に悪影響を及ぼす可能性がある。患者は、忘却、HIV陽性と同定される恐れを含む生活様式因子、および治療の生涯にわたる治療疲労が全て遵守の失敗に寄与することを報告する。
【0003】
新たなHIV治療介入は、治療の複雑さ、投薬の頻度、および/または薬剤の副作用を低減することによって、アドヒアランスを改善することを目的とする。1ヶ月またはそれ以上のオーダーで、より少ない頻度の投与を可能にする長時間作用型注射可能(LAI)な薬物製剤は、遵守課題に対処するためのますます魅力的な選択肢である。しかし、承認されており、そして、治験中の抗レトロウイルス薬の大部分は、長時間作用型注射製剤としての再製剤にはあまり適していない。これは、大部分が従来の薬物懸濁液としてのそれらの製剤を制限する最適以下の物理化学的特性、ならびに不十分な抗ウイルス力のため、高い月1回の投薬必要量をもたらす。カボテグラビルまたはリルピビリンについてさえ、月1回の投与を支持する薬物動態学的プロファイルを達成するために、2つの薬物は、長時間作用性注射製剤として研究されているが、大注射容量および複数注射が必要とされる。例えば、Spreen,W.R.,et al.,Long-acting injectable antiretrovirals for HIV treatment and prevention. Current Opinion in Hiv and Aids 2013,8,(6),565-571;Rajoli,R.K.R.,et al.,Physiologically Based Pharmacokinetic Modelling to Inform Development of Intramuscular Long-Acting Nanoformulations for HIV.、Clinical Pharmacokinetics 2015,54,(6),639-650;Baert,L.,et al.,Development of a long-acting injectable formulation with nanoparticles of rilpivirine(TMC278) for HIV treatment.、European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 2009,72,(3),502-508;Van’t Klooster,G.,et al.,Pharmacokinetics and Disposition of Rilpivirine(TMC278) Nanosuspension as a Long-Acting Injectable Antiretroviral Formulation. Antimicrobial Agents and Chemotherapy 2010,54,(5),2042-2050を参照のこと。したがって、実用的な注射容量で、かつ限られた数の注射で、多様な物理化学的特性を有する分子のために、長期間の薬物動態特性を送達することができる新規な製剤アプローチが非常に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2005090349号
【特許文献2】US2005/0215512号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】PLOS one 2011,6,(11),1-6
【非特許文献2】Current Opinion in Hiv and Aids 2013,8,(6),565-571
【非特許文献3】Clinical Pharmacokinetics 2015,54,(6),639-650
【非特許文献4】European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 2009,72,(3),502-508
【非特許文献5】Antimicrobial Agents and Chemotherapy 2010,54,(5),2042-2050
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
Nexplanon(登録商標)などの避妊用インプラントは、妊娠を予防する可逆的避妊の長期形態である。しかしながら、避妊用インプラントは、HIVなどの性感染症を治療または予防しない。可逆的避妊をHIV感染の治療または予防と組み合わせるインプラントが非常に望ましい。
【0007】
発明の概要
本発明は、抗ウイルス薬および避妊薬の長時間作用型送達のための新規なインプラント薬物送達システムに関する。これらの組成物は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の治療または予防および妊娠の予防に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の装置および方法を用いて生成された、イスラトラビルの無水物結晶形態の粉末X線回折(「PXRD」)パターンのグラフである。グラフは、回折角2シータ(2θ)(度)に対する1秒当たりのカウント数によって定義されるピークの強度をプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、抗ウイルス薬および避妊薬の長時間作用型送達のための新規なインプラント薬物送達システムに関する。新規なインプラント薬物送達系は、ポリマー、抗ウイルス剤および避妊薬を含む。これらのインプラント薬物送達システムは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の治療または予防、および、避妊に有用である。本発明はさらに、本明細書に記載の新規なインプラント薬物送達システムを用いてHIV感染および妊娠を治療および予防する方法に関する。
【0010】
本発明の新規なインプラント送達システムは、分散または溶解した薬物を有するモノリシックマトリックスを生成するための生体適合性非侵食性ポリマーを含む。ポリマーマトリックスの化学的特性は、薬物放出特性の範囲を達成するように調整され、投薬の持続時間を延長する機会を提供する。本発明の一実施形態では、新規なインプラント送達システムは、固体薬物懸濁液として製剤化するのに適していない高い水溶解度または非晶質相のものを含む、広いスペクトルの物理化学的特性を有する分子と適合する。
【0011】
特に、本発明は、以下を含む新規なインプラント薬物送達システムに関する:
(a)生体適合性非侵食性ポリマーと、(i)コア中に10から50重量%で存在するイスラトラビル無水物、および(ii)コア中に25から50重量%で存在するエトノゲストレルと、を含むコア、および
(b)ポリマーを含む生体適合性非侵食性拡散バリアであって、ここで、拡散バリアは、50μm~300μmの厚さを有する、とを含み、
ここで、前記インプラント薬物送達システムは皮下に埋め込まれ、そして、
(i)イスラトラビル無水物は、6ヶ月から36ヶ月の期間、0.02ng/mLから300.0ng/mLのイスラトラビルの血漿濃度をもたらす速度でインビボで継続的に放出され、そして、
(ii) エトノゲストレルは、6ヶ月から36ヶ月の期間、0.15ng/mLから1.2ng/mLのエトノゲストレルの血漿濃度をもたらす速度でインビボで継続的に放出される。
【0012】
別の態様では、本発明は、インプラントを含むインプラント薬物送達システムに関し、インプラント薬物送達システムは、以下を含むコアを含み:
(a) 生体適合性非侵食性ポリマー、
(b) コア中に15重量%から35重量%で存在するイスラトラビル無水物、および
(c) コア中に30重量%から40重量%で存在するエトノゲストレル、
ここで、前記インプラント薬物送達システムは皮下に埋め込まれ、そして、6か月から36か月の期間、イスラトラビルは、0.02ng/mLから300.0ng/mLのイスラトラビルの血漿濃度をもたらす速度でインビボで継続的に放出され、そして、エトノゲストレルは、0.15ng/mLから1.2ng/mLのエトノゲストレルの血漿濃度をもたらす速度でインビボで継続的に放出される。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「生体適合性非侵食性ポリマー」は、生物系の存在下での分解(化学的及び物理的の両方)に対して十分に耐性であるポリマー材料を指す。生体適合性非侵食性ポリマーは使用環境による化学的および/または物理的破壊に対して十分に耐性があり、その結果、ポリマーは、放出期間を通して本質的に無傷(intact)のままである。非侵食性ポリマーは一般に疎水性であり、そのため、哺乳動物の体などの水性環境に置かれたときに適切な期間その完全性を保持し、使用前に長期間保存するのに十分に安定である。本発明において有用な非侵食性ポリマーは、インビボで長期間、典型的には数ヶ月または数年間無傷のままである。ポリマー中に封入された結晶性粒子からの溶解した薬物の放出は、ポリマーを通した拡散を介して、または持続的にポリマーマトリックス中に形成されたチャネルおよび細孔を介して、経時的に起こる。放出速度は、薬物充填率、ポリマーの多孔性、埋め込み型デバイスの構造、またはポリマーの疎水性を変更することによって、または埋め込み型デバイスの外部に拡散バリアを追加することによって、変更することができる。
【0014】
したがって、身体によって吸収され得ない任意のポリマーを使用して、本発明のインプラント薬物送達システムを製造することができる。本発明の生体適合性非侵食性ポリマーとしては、限定されるものではないが、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリ(ウレタン)、シリコーン、架橋ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アシル置換酢酸セルロース、部分加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、完全加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、非可塑化ポリ塩化ビニル、架橋ポリ酢酸ビニルホモポリマー、架橋ポリ酢酸ビニルコポリマー、架橋アクリル酸ポリエステル、架橋メタクリル酸ポリエステル、ポリビニルアルキルエーテル、ポリフッ化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、架橋ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アルキレン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリホスファゼン、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびそれらの組み合わせを含む。本発明の一クラスでは、生体適合性非侵食性ポリマーは、ポリ(ウレタン)である。本発明のサブクラスにおいて、生体適合性非侵食性ポリマーは、疎水性ポリ(ウレタン)である。
【0015】
本発明の別のクラスでは、生体適合性非侵食性ポリマーがポリ(ウレタン)とエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)との組み合わせである。
【0016】
本発明の別のクラスでは、生体適合性非侵食性ポリマーは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)である。本発明のサブクラスでは、生体適合性非侵食性ポリマーは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニル9%)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニル15%)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニル28%)およびエチレン酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニル33%)からなる群から選択される。本発明のさらなるサブクラスでは、生体適合性非侵食性ポリマーは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニル9%)である。本発明のさらなるサブクラスでは、生体適合性非侵食性ポリマーは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニル15%)である。
【0017】
本発明の一クラスではコア中の生体適合性非侵食性ポリマーと生体適合性非侵食性バリアのポリマーは、同一のポリマー、または同一のポリマーの組合せである。本発明のサブクラスにおいて、コア中の生体適合性非侵食性ポリマーおよび生体適合性非侵食性拡散バリアのポリマーは、両方ともポリ(ウレタン)である。本発明の別のサブクラスではコア中の生体適合性非侵食性ポリマーと生体適合性非侵食性拡散バリアのポリマーは、いずれもエチレン酢酸ビニルである。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「拡散バリア」は薬物に対して透過性であり、放出速度をさらに調節するためにコアの少なくとも一部分の上に配置されるか、又はそれを包み込むバリアを指す。例えば、薬物を含まない生体適合性非侵食性ポリマー材料、またはインプラント送達システムの残りの部分よりも低い薬物負荷を有する生体適合性非侵食性ポリマー材料を、拡散バリアとして使用することができる。拡散バリアは、例えば、コアとの共押出、射出成形、または当技術分野で知られている他の方法によって形成されてもよい。
【0019】
本発明の拡散バリアは、可溶性充填剤を有する親水性ポリマーまたは疎水性ポリマーを含む。本発明の一実施形態では、拡散バリアは、拡散バリアの親水性を増加させ、したがってエトノゲストレルおよびイスラトラビルの放出を調節するための添加剤を含むことができる。適切な添加剤としてはポリエチレングリコール、クエン酸、およびポロキサマーを含み、これらに限定されない。
【0020】
本発明の拡散バリアに使用するのに適したポリマーとしては、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、架橋ポリ(ビニルアルコール)、非可塑化ポリ塩化ビニル、架橋ポリ酢酸ビニルホモポリマー、架橋ポリ酢酸ビニルコポリマー、架橋アクリル酸ポリエステル、架橋メタクリル酸ポリエステル、ポリビニルアルキルエーテル、ポリフッ化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、架橋ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アルキレン)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アシル置換セルロースアセテート、部分加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、完全加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ(エステル)、ポリホスファゼン、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびそれらの組み合わせを含み、これらに限定されない。本発明の一クラスでは、拡散バリアは、親水性ポリ(ウレタン)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、アシル置換セルロースアセテート、部分加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、完全加水分解アルキレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ(エステル)、ポリホスファゼン、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される。本発明のサブクラスにおいて、拡散バリアは親水性ポリ(ウレタン)を含む。本発明のさらなるサブクラスにおいて、親水性ポリ(ウレタン)は、1重量%~100重量%の吸水率を有する。本発明のさらなるサブクラスにおいて、ポリ(ウレタン)は、1重量%~20重量%の吸水率(watar uptake)を有する。
【0021】
本発明の一実施形態では、拡散バリアは、50μm~300μmの厚さを有する。実施形態の一クラスにおいて、拡散バリアは、50μm~200μmの厚さを有する。実施形態の別のクラスでは、拡散バリアが100μm~200μmの厚さを有する。
【0022】
本発明の一実施形態では、拡散バリアは、抗ウイルス薬、エトノゲストレル、または抗ウイルス薬およびエトノゲストレルの両方を含有する。本実施形態の一クラスにおいて、拡散バリアは、イスラトラビル無水物を含む。実施形態の別のクラスでは、拡散バリアはエトノゲストレルを含む。本実施形態の別の種類では、拡散バリアは、イスラトラビル無水物およびエトノゲストレルを含む。
【0023】
本発明の一実施形態では、用語「生体適合性非侵食性ポリマー中に分散または溶解する」は、混合され、次いでホットメルト押出成形される薬物およびポリマーを指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「連続的に放出される」という用語は、所望の治療濃度または予防濃度を達成するために、長期間にわたって十分な速度で生体適合性非侵食性ポリマーから放出される薬物を指す。本発明のインプラント薬物送達システムは、一般に、インビボで、時には初期バースト後に、薬物の線形放出動態を示す。中核のイスラトラビル無水物は、血球やプラズマなどの水性媒体に曝されるとイスラトラビル一水和物に変わり、その後、溶解し、放出される。インビボで濃度を測定する場合、それは、溶解した分子であるイスラトラビルの濃度であり、それが測定される。
【0025】
HIVウイルス感染またはAIDSに関して本明細書で使用される「治療する」または「治療」という用語は、HIV感染またはAIDSの重症度を阻害すること、すなわち、HIV感染またはAIDSまたはその臨床症状の発症を阻止または低減すること、またはHIV感染またはAIDSを軽減すること、すなわち、HIV感染またはAIDSまたはその臨床症状の重症度の退縮を引き起こすことを含む。
【0026】
HIVウイルス感染またはAIDSに関して本明細書で使用される「予防する」または「予防」という用語は、HIV感染またはAIDSの可能性または重症度を低減することを指す。
【0027】
本明細書で使用される「避妊」という用語は、妊娠の予防を指す。
【0028】
任意に、本発明の新規インプラント送達システムは、放射線不透過性構成要素をさらに含むことができる。放射線不透過性成分は、インプラントをX線可視化させる。放射線不透過性成分は、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化ビスマス、タンタル、タングステンまたは白金などの当技術分野で公知の任意のそのような要素であり得る。特定の実施形態では、放射線不透過性成分は、硫酸バリウムである。
【0029】
実施形態において、放射線不透過性材料は、1重量%~30重量%である。別の実施形態では、放射線不透過性材料は、1重量%~20重量%である。別の実施形態では、放射線不透過性材料は、4重量%~25重量%である。さらなる実施形態において、放射線不透過性材料は、6重量%~20重量%である。別の実施形態において、放射線不透過性材料は、約4重量%~15重量%である。別の実施形態において、放射線不透過性材料は、約8重量%~15重量%である。
【0030】
放射線不透過性材料は、インプラントからのイスラトラビル無水物やエトノゲストレルの放出に影響を与えない。
【0031】
本発明の新規なインプラント送達システムは、抗ウイルス剤および避妊薬を含む。適切な抗ウイルス剤としては、抗HIV剤を含む。
【0032】
「抗HIV剤」は、HIV逆転写酵素もしくはHIV複製もしくは感染に必要とされる別の酵素の阻害、またはHIV感染の予防、および/またはAIDSの発症もしくは進行の治療、予防もしくは遅延に直接的または間接的に有効である任意の薬剤である。抗HIV剤は、HIV感染もしくはAIDSおよび/またはそれから生じるもしくはそれに関連する疾患もしくは状態の治療、予防、または発症もしくは進行の遅延に有効であることが理解される。本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムで使用するための適切な抗ウイルス剤としては、例えば、以下のように表Aに列挙されるものを含む:
【0033】
【0034】
表に列挙される薬物のいくつかは、塩の形態で使用することができ、例えば、硫酸アバカビル、メシル酸デラビルジン、硫酸インジナビル、硫酸アタザナビル、メシル酸ネルフィナビル、メシル酸サキナビルである。
【0035】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムにおける抗ウイルス剤は、例えば、第63版(2009年)および以前の版などのPhysicians’ Desk Referenceの版に記載される用量を含む、当技術分野で報告される従来の用量範囲およびレジメンで使用される。他の実施形態では、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システム中の抗ウイルス剤は、それらの従来の用量範囲よりも低い用量で使用される。他の実施形態では、本明細書に記載のインプラント薬物送達システム中の抗ウイルス剤がそれらの従来の用量範囲よりも高い用量で使用される。
【0036】
本発明の実施形態において、抗ウイルス剤は、侵入阻害剤、融合阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤であり得る。本発明の一クラスにおいて、抗ウイルス剤はヌクレオシド逆転写酵素阻害剤である。
【0037】
本発明の一実施形態では、抗ウイルス剤は、ヌクレオシド逆転写酵素転位阻害剤(NRTTI)である。本発明の一クラスでは、NRTTIはイスラトラビルである。本発明のサブクラスでは、NRTTIはイスラトラビル無水物である。
【0038】
イスラトラビル(ISL)は、4’-エチニル-2-フルオロ-2’-デオキシアデノシンおよびEFdAとしても知られており、以下の化学構造を有する:
【化1】
【0039】
HIV逆転写酵素を阻害するための4’-エチニル-2-フルオロ-2’-デオキシアデノシンの製造および能力は2005年9月29日に公開されたPCT国際出願WO2005090349および2005年9月29日に公開された米国特許出願公開第2005/0215512号に記載されており、これらはいずれもヤマサであり、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
ISLの無水物結晶形態のPXRDパターンは
図1に示され、2019年12月16日に出願された同時係属出願PCT/US2019/066436に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。したがって、本開示の一態様では、実質的に
図1に示される粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形態が提供される。これらのプロファイルと一致するピーク位置(2θx軸上)を以下の表に示す(±0.2°2θ)。これらのPXRDピークの位置は、ISLの無水物結晶形態の特徴である。したがって、別の態様では、ISLの無水物結晶形態は、以下の表に列挙されるピーク位置の各々、±0.2°2θを有する粉末x線回折パターンによって特徴付けられる。
【0041】
【0042】
したがって、一態様では、ISLの無水物結晶形態は、上記の表に列挙されたピーク位置の各々、±0.2°2θを有する粉末x線回折パターンによって特徴付けられる。
【0043】
別の態様では、ISLの無水物結晶形態は、上の表に列挙された2θ値±0.2°2θのうちの2以上を含む粉末x線回折パターンを特徴とする。
【0044】
別の態様では、ISLの無水物結晶形態は、上の表に列挙された2θ値±0.2°2θのうちの3以上を含む粉末x線回折パターンを特徴とする。
【0045】
別の態様では、ISLの無水物結晶形態は、上の表に列挙された2θ値±0.2°2θのうちの4以上を含む粉末x線回折パターンを特徴とする。
【0046】
別の態様では、ISLの無水物結晶形態は、上の表に列挙された2θ値±0.2°2θのうちの6以上を含む粉末x線回折パターンによって特徴付けられる。
【0047】
別の態様では、ISLの無水物結晶形態が上記の表に列挙された2θ値±0.2°2θのうちの9以上を含む粉末x線回折パターンを特徴とする。
【0048】
別の態様では、ISLの無水物結晶形態が上の表に列挙された2θ値±0.2°2θのうちの12以上を含む粉末x線回折パターンを特徴とする。
【0049】
さらなる態様では、ISLの無水物結晶形態の最も特徴的な上記の表および/または
図1に示されるPXRDピーク位置を選択し、「診断ピークセット」としてグループ分けして、この結晶形態を他のものと便利に区別することができる。そのような特徴的なピークの選択は、診断ピークセットとラベル付けされた列の上の表に示されている。
【0050】
したがって、別の態様では、上記の表の診断ピークセット1に列挙された2θ値のそれぞれの±0.2°2θを含む粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形態が提供される。
【0051】
別の態様では、上記の表の診断ピークセット2に列挙された2θ値のそれぞれの±0.2°2θを含む粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形が提供される。
【0052】
別の態様では、上記の表の診断ピークセット3に列挙された2θ値のそれぞれの±0.2°2θを含む粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形が提供される。
【0053】
別の態様では、上記の表の診断ピークセット4に列挙された2θ値のそれぞれの±0.2°2θを含む粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形が提供される。
【0054】
別の態様では、上記の表の診断ピークセット1、および、診断ピークセット2、診断ピークセット3、および/または診断ピークセット4のうちの任意の1以上に列挙された2θ値、±0.2°2θのそれぞれを含む粉末x線回折パターンによって特徴付けられるISLの無水物結晶形が提供される。
【0055】
別の態様では、上記の表の診断ピークセット2、および、診断ピークセット1、診断ピークセット3、および/または診断ピークセット4のうちの任意の1以上に列挙された2θ値、±0.2°2θのそれぞれを含む粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形が提供される。
【0056】
別の態様では、上記の表の診断ピークセット3、および、診断ピークセット1、診断ピークセット2、および/または診断ピークセット4のうちの任意の1以上に列挙された2θ値、±0.2°2θのそれぞれを含む粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形が提供される。
【0057】
別の態様では、上記の表の診断ピークセット4、および、診断ピークセット1、診断ピークセット2、および/または診断ピークセット3のうちの任意の1以上に列挙された2θ値、±0.2°2θのそれぞれを含む粉末x線回折パターンを特徴とするISLの無水物結晶形が提供される。
【0058】
別の態様では、ISLの無水物結晶形態は、
図1に示されるようなPXRDスペクトルによって特徴付けられる。
【0059】
さらに別の態様では、ISLの無水物結晶形態は、単独でまたは本明細書に記載されるISLの無水物形態の他の特徴付けのいずれかと組み合わせて、上述のPXRD特徴ピークおよび/または
図1に示されるデータを特徴とする。
【0060】
3-ケトデソゲストレルとしても知られるエトノゲストレル(ETO)は、排卵を防止するホルモンである。そのため、避妊に有用である。
【0061】
本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの一実施形態では、エトノゲストレルは、25重量%~50重量%の間でコア中に存在する。本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムの実施形態の一クラスでは、エトノゲストレルは、30重量%~45重量%の間でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの別の実施形態では、エトノゲストレルは、30重量%でコア中に存在する。他の実施形態では、エトノゲストレルは、約35重量%でコア中に存在する。他の実施形態では、エトノゲストレルは、40重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの一実施形態では、イスララビル無水物は、10重量%~50重量%の間でコア中に存在する。本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムの実施形態の一クラスでは、イスラトラビル無水物は、10重量%~35重量%の間でコア中に存在する。本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムの実施形態のサブクラスでは、イスラトラビル無水物は、15重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの実施形態の別のサブクラスでは、イスラトラビル無水物は、約20重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの実施形態の別のサブクラスでは、イスラトラビル無水物は、約30重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの実施形態の別のサブクラスでは、イスラトラビル無水物は、35重量%でコア中に存在する。
【0062】
本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの一例として、イスラトラビル無水物は、15重量%でコア中に存在し、エトノゲストレルは、35重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの別の例として、イスラトラビル無水物は、15重量%でコア中に存在し、エトノゲストレルは、30重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの別の例として、イスラトラビル無水物は、20重量%でコア中に存在し、エトノゲストレルは、40重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの一例として、イスラトラビル無水物は、30重量%でコア中に存在し、エトノゲストレルは、30重量%でコア中に存在する。本明細書に記載のインプラント薬物送達システムの一例として、イスラトラビル無水物は、35重量%でコア中に存在し、エトノゲストレルは、35重量%でコア中に存在する。
【0063】
本発明のインプラント薬物送達システムは、押し出しプロセスを用いて製造することができ、ここで、粉砕された生体適合性非侵食性ポリマーは、抗ウイルス剤とブレンドされ、溶融され、棒状構造に押し出される。ロッドは、所望の長さの個々の移植可能なデバイスに切断され、使用前に包装され、滅菌される。移植可能なポリマー非侵食性マトリックス中に治療化合物をカプセル化するための他の方法は、当業者に公知である。このような方法としては、溶媒キャスティングが挙げられる(米国特許第4,883,666号、同第5,114,719号および同第5,601835号を参照されたい)。当業者は、特定のタイプの患者または臨床用途に望ましい形状、サイズ、薬物負荷、および放出動態に応じて、そのようなインプラント薬物送達システムを調製する適切な方法を容易に決定することができるのであろう。
【0064】
本発明のインプラント薬物送達システムは、コアと生体適合性非侵食性拡散バリアとの共押出プロセスを用いて製造することができる。本発明の一実施形態では、コアおよび生体適合性非侵食性拡散バリアが共押出によって調製され、共押出は、130℃~190℃の温度で実施される。本発明の一クラスでは、生体適合性非侵食性ポリマーコアおよび生体適合性非侵食性拡散バリアは、共押出によって調製され、共押出は130℃~160℃の温度で実施される。本発明の別の実施形態では、コアは、130~190℃の温度での射出成形プロセスによって調製され、生体適合性非侵食性拡散バリアは、130~190℃の温度および5~30トンの力でのオーバーモールドプロセスによって実施される。本発明のサブクラスでは、ポリマーコアは射出成形によって調製され、射出成形は、150~160℃の温度で実施され、生体適合性非侵食性拡散バリアは、150~160℃の温度および10~20トンの力でのオーバーモールドプロセスによって実施される。
【0065】
インプラント薬物送達システムのサイズおよび形状は、所望の総用量を達成するように修正され得る。本発明のインプラント薬物送達システムは、多くの場合、長さが0.5cm~10cmである。本発明の一実施形態では、インプラント薬物送達システムは、長さが1.5cm~5cmである。本実施形態の一クラスでは、インプラント薬物送達システムは、長さが2cm~5cmである。実施形態のサブクラスでは、インプラント薬物送達システムは、長さが約2cm~4cmである。本発明のインプラント薬物送達システムは、多くの場合、直径が0.5mm~7mmである。本発明の一実施形態では、インプラント薬物送達システムは、直径が1.5mm~5mmである。実施形態の一クラスでは、インプラント薬物送達システムは、直径が2mm~5mmである。実施形態のサブクラスでは、インプラント薬物送達システムは、直径が約2mm~4mmである。
【0066】
本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムは、21日、28日、31日、4週間、6週間、8週間、12週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月または36ヶ月の期間にわたって、治療濃度でイスラトラビルを放出することができる。本発明の一実施形態では、イスラトラビルは、1日当たり0.02~8.0mgの平均速度で、治療濃度で放出される。本発明の一実施形態では、イスラトラビルは、6ヶ月~36ヶ月の間の期間、治療濃度で放出される。実施形態の一クラスでは、イスラトラビルは、6ヶ月~12ヶ月の間の期間、治療濃度で放出される。実施形態の別のクラスでは、イスラトラビルは、24ヶ月~36ヶ月の間の期間、治療濃度で放出される。本発明の一実施形態では、イスラトラビルは、6ヶ月~36ヶ月の間の期間、予防濃度で放出される。実施形態の一クラスにおいて、イスラトラビルは、6ヶ月~12ヶ月の間の期間、予防濃度で放出される。本実施形態の別のクラスでは、イスラトラビルは、24ヶ月~36ヶ月の間の期間、予防濃度で放出される。
【0067】
本明細書に記載のインプラント薬物送達システムは、21日、28日、31日、4週間、6週間、8週間、12週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月または36ヶ月の期間にわたって、避妊濃度でエトノゲストレルを放出することができる。本発明の一実施形態では、エトノゲストレルは、1日当たり25~70μgの間の平均速度で、避妊濃度で放出される。本発明の一実施形態では、エトノゲストレルは、6ヶ月~36ヶ月の間の期間、避妊薬濃度で放出される。実施形態の一クラスにおいて、エトノゲストレルは、6ヶ月~12ヶ月の間の期間、避妊濃度で放出される。本実施形態の別のクラスでは、エトノゲストレルは、24ヶ月~36ヶ月の間の期間、避妊濃度で放出される。
【0068】
1以上のインプラントを使用して、所望の治療的、予防的または避妊的投薬を達成することができる。本発明の一実施形態では、1以上のインプラントを使用して、1年までの期間にわたって、治療的、予防的または避妊的投薬を達成することができる。本発明の別の実施形態では、1以上のインプラントを使用して、2年までの期間、治療的、予防的または避妊的投薬を達成することができる。
【0069】
ここに記述されているインプラント薬物送達システムは、イスラトラビルを放出し、その結果、0.02ng/mlから300ng/mlのイスラトラビルの血漿濃度をもたらすことができる。本発明の一実施形態では、本明細書に記載のインプラント薬物送達システムは、イスラトラビルを放出し、その結果、0.02ng/mL~300ng/mLのイスラトラビルの血漿濃度をもたらすことができる。実施形態の一クラスにおいて、本明細書に記載されるインプラント薬物送達システムは、イスラトラビルを放出し、その結果、0.02ng/mL~15.0ng/mLのイスラトラビルの血漿濃度をもたらすことができる。実施形態の別の区分において、ここに記載されたインプラント薬物送達システムは、イスラトラビル無水物を放出し、その結果、0.02ng/mlから8.0ng/mlのイスラトラビルの血漿濃度をもたらすことができる。実施形態のサブクラスでは、本明細書に記載のインプラント薬物送達システムは、イスラトラビル無水物を放出し、0.1ng/mL~1.0ng/mLのイスラトラビルの血漿濃度をもたらすことができる。
【0070】
本発明のインプラント薬物送達システムは、第5~6週において、60~70μg/日の放出速度でエトノゲストレルを放出することができ、これは、第1年の終わりに約35~45mcg/日に、第2年の終わりに約30~40μg/日に、次いで第3年の終わりに約25~30μg/日に減少する。
【0071】
一実施形態では、平均(±SD)最大血清エトノゲストレル濃度は1200(±604)pg/mLであり、これは挿入後最初の2週間以内に到達する。平均(±SD)血清エトノゲストレル濃度は経時的に徐々に減少し、12ヶ月で202(±55)pg/mL、24ヶ月で164(±58)pg/mL、および36ヶ月で138(±43)pg/mLに低下する。別の実施形態では、平均(±SD)最大血清エトノゲストレル濃度は1145(±577)pg/mLであり、挿入後最初の2週間以内に到達する。平均(±SD)血清エトノゲストレル濃度は経時的に徐々に減少し、12か月で223(±73)pg/mL、24か月で172(±77)pg/mL、36か月で153(±52)pg/mLに低下した。
【0072】
本発明は、以下を含むインプラント薬物送達システムも含む:
(a) 生体適合性非侵食性ポリマーと、(i)15から35重量%の間でコア中に存在するイスラトラビル、および(ii)30から40重量%の間でコア中に存在するエトノゲストレルと、そして、任意に
(b)ポリマーを含む生体適合性非侵食性拡散バリアであって、ここで、拡散バリアは、50μm~300μmの厚さを有する、とを含み、
ここで、30日目に、
(i) イスラトラビルは、0.020mgから0.050mgの間のイスラトラビルの濃度をもたらす速度で、インビトロで放出され、そして、
(ii) エトノゲストレルは、0.025mgから0.050mgのエトノゲストレルの濃度をもたらす速度で、インビトロで放出される。本発明の一クラスでは、30日目に、イスラトラビルは、0.027mgから0.042mgの間のイスラトラビルの濃度をもたらす速度でインビトロに放出される。本発明の別のクラスでは、30日目に、エトノゲストレルが、インビトロで0.031mg~0.046mgのエトノゲストレルの濃度をもたらす速度で放出される。
【0073】
以下の実施例は、本発明を例示する目的で与えられ、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0074】
実施例1
60重量%のイスラトラビル無水物および放射線不透過剤を含有するインプラント薬物送達システムの調製
マトリックス(コアのみ)インプラントを、押出射出成形プロセスを用いて調製した。疎水性、脂肪族熱可塑性ポリウレタンおよび無水物形態のイスラトラビルを、60重量%のISLおよび放射線不透過剤として10重量%の硫酸バリウムとブレンドした。プレブレンドを、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmのスクリュー速度、40~350Ncmのトルクで、二軸押出機で配合し、次いで再造粒し、混合した。混合物を、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmでのスクリュー速度、および100~350Ncmでのトルクで、二軸押出機を用いて溶融押出しして、直径1.8±0.1mmのフィラメントを形成した。押出フィラメントを長さ50±2mmに切断し、150~160℃および10~20トンで圧縮成形した。次いで、予め形成されたフィラメントをフラッシュでトリミングし、最終長さ40±2mmに切断して、熱可塑性ポリウレタン中にイスラトラビルの最終マトリックスインプラントを形成した。
【0075】
リザーバ(マトリックス+拡散バリア)インプラントは、上記のようにすでに形成されたマトリックスフィラメントと、5%または10%の公称(nominal)吸水チューブの予備押出親水性膨潤熱可塑性ポリウレタンとを使用して調製した。押出チューブを、コア材料の予め形成されたフィラメント上に配置し、次いで、拡散バリアを有する試料をオーバーモールド機に配置し、180~190℃および8~12トンで圧縮成形して、コアおよび拡散バリアを結合させ、最終長さ40±2mmに切断した。
【0076】
実施例2
60重量%エトノゲストレルおよび放射線不透過剤を含有するインプラント薬物送達システムの調製
マトリックスインプラントを、押出射出成形プロセスを用いて調製した。疎水性脂肪族熱可塑性ポリウレタンおよびエトノゲストレルを、60重量%のETOおよび放射線不透過剤として10重量%の硫酸バリウムとブレンドした。プレブレンドを、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmのスクリュー速度、30~90Ncmのトルクで、二軸押出機で配合し、次いで再造粒し、混合した。混合物を、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmのスクリュー速度、および30~60Ncmのトルクで、二軸押出機を用いて溶融押出しして、直径1.8±0.1mmのフィラメントを形成した。押出フィラメントを長さ50±2mmに切断し、150~160℃および10~20トンで圧縮成形した。次いで、予め形成されたフィラメントをフラッシュ(flash)でトリミングし、最終長さ40±2mmに切断して、熱可塑性ポリウレタン中にエトノゲストレルの最終マトリックスインプラントを形成した。
【0077】
リザーバーインプラントは、上記のようにすでに形成されたマトリックスフィラメントと、5%または10%の公称吸水チューブの予備押出親水性膨潤熱可塑性ポリウレタンとを使用して調製した。押出チューブを、コア材料の予め形成されたフィラメント上に配置し、次いで、拡散バリアを有する試料をオーバーモールド機に配置し、180~190℃および8~12トンで圧縮成形して、コアおよび拡散バリアを結合させ、最終長さ40±2mmに切断した。
【0078】
実施例3
15重量%イスラトラビル無水物、35%エトノゲストレル、および放射線不透過剤を含むインプラント薬物送達システムの調製
マトリックスインプラントを、押出射出成形プロセスを用いて調製した。疎水性脂肪族熱可塑性ポリウレタン(TPU)を、15重量%のイスラトラビル無水物、35重量%のエトノゲストレルおよび放射線不透過剤として10重量%の硫酸バリウムとブレンドした。プレブレンドを、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmのスクリュー速度、30~60Ncmのトルクで、二軸押出機で配合し、次いで再造粒し、混合した。混合物を、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmのスクリュー速度、および20~40Ncmのトルクで二軸押出機を用いて溶融押出しして、直径1.8±0.1mmのフィラメントを形成した。押出フィラメントを、長さ50±2mmに切断し、150~160℃および10~20トンで圧縮成形した。次いで、予め形成されたフィラメントをフラッシュでトリミングし、最終長さ40±2mmに切断して、熱可塑性ポリウレタン中にイスラトラビル+エトノゲストレルの組み合わせインプラントを作製した。
【0079】
リザーバインプラントは、上述のようにすでに形成されたマトリックスフィラメントと、拡散バリア材料としての5%または10%の公称吸水チューブの予備押出親水性膨潤熱可塑性ポリウレタンとを使用して調製した。押出チューブを、コア材料の予め形成されたフィラメント上に配置し、次いで、拡散バリアを有する試料をオーバーモールド機に配置し、180~190℃および8~12トンで圧縮成形して、コアおよび拡散バリアを結合させ、最終長さ40±2mmに切断した。
【0080】
イスラトラビルおよびエトノゲストレルのインビトロ放出速度を、Agilent 400-DS USP Apparatus 7(App7)を用いて決定した。完全なインプラントを、メッシュ末端を有するPEEKバスケット(Agilent部品番号33-9046)に入れ、App7デバイスのインキュベーション容器中の10mlの1xリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に浸漬した。37℃の一定温度が維持され、システムによって監視された。試料を、浸漬高さ2cmで毎分20ディップ(dpm)の速度で、PBS培地内でインキュベートした。App7は1.2mLの試料を24時間ごとに1回除去し、それをHPLCバイアルに充填した。サンプリング工程後、システムにより毎日(24時間)完全培地(10mL)交換を行った。試料を(U)HPLC(PDA検出器を有するWaters H-Class Acquity)によってアッセイした。1μL容量の分析を、60℃に維持したHSS C18重力カラム(100x2.1mm、1.8μm)を用いて、244nm(ETO)および261nm(ISL)で行った。移動相Aは、水:ACN(95:5v/v)であり、移動相Bは、以下に列挙する勾配に従って、流速0.750mL/分でACNを含む。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
実施例4
イスラトラビルおよびエトノゲストレルの薬物動態試験
イスラトラビルとエトノゲストレルの個体長期作用非経口(LAP)製剤の単一皮下配置後のラットにおける探索的化学動力学研究において、イスラトラビルとエトノゲストレルのインビボ放出プロファイルを評価した。試験期間は60日であった。10%WUシース(上記の通り)を有するマトリックスインプラントおよびリザーバーインプラントの両方を移植した。各用量群は、4匹の雄動物からなった。4つの異なる薬物負荷の組み合わせが、各製剤の場合において研究された。
【0086】
ヒトにおけるイスラトラビル-エトノゲストレル インビボ放出速度の予測値をラットの化学動力学データに基づいて推定した。60日目までの毎日の放出速度(単位:ug/日)を、各化合物について観察された静脈内データに対する観察された血漿濃度プロファイルの解析によって推定し、それぞれのインプラントおよび静脈内用量について補正した。ヒトにおける予測されるインビボ放出速度を以下の表に示す。
【0087】
【0088】
【0089】
実施例5
20重量%のイスラトラビル、40%のエトノゲストレル、および放射線不透過剤を含むインプラント薬物送達システムの調製
マトリックスインプラントを、押出射出成形プロセスを用いて調製した。疎水性脂肪族熱可塑性ポリウレタン、イスラトラビル無水物形態およびエトノゲストレルを、20重量%ISL、40重量%ETOおよび放射線不透過剤として10重量%硫酸バリウムとブレンドした。プレブレンドを、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmのスクリュー速度、20~40Ncmのトルクで二軸押出機で配合し、次いで再造粒し、混合した。混合物を、150~160℃の範囲の温度、50~60rpmのスクリュー速度、および20~90Ncmのトルクで二軸押出機を用いて溶融押出しして、直径1.8±0.1mmのフィラメントを形成した。押出フィラメントを長さ50±2mmに切断し、150~160℃および10~20トンで圧縮成形した。次いで、予め形成されたフィラメントをフラッシュでトリミングし、最終長さ40±2mmに切断して、熱可塑性ポリウレタン中にイスラトラビル+エトノゲストレルの組み合わせインプラントを作製した。
【0090】
リザーバーインプラントは、上記のようにすでに形成されたマトリックスフィラメントと、拡散バリアのための5%または10%の公称吸水チューブの予備押出親水性膨潤熱可塑性ポリウレタンとを使用して調製した。押出チューブを、コア材料の予め形成されたフィラメント上に配置し、次いで、拡散バリアを有する試料をオーバーモールド機に配置し、180~190℃および8~12トンで圧縮成形して、コアおよび拡散バリアを結合させ、最終長さ40±2mmに切断した。
【0091】
比較例1
70重量%のイスラトラビル無水物および放射性不透過性薬剤を含有するインプラント薬物送達システムの調製
粉砕されたポリマー、および無水形態のイスラトラビルを70重量%のISLで、疎水性脂肪族熱可塑性ポリウレタン中に、10重量%の硫酸バリウムを放射線不透過剤としてブレンドした。プレブレンドは、100~180℃の範囲の温度、20~30rpmのスクリュー速度で二軸押出機を用いて溶融押出成形されたが、高いダイ圧力およびスクリュートルクのために成功裏に加工することができなかった。
【0092】
比較例2
60重量%のイスラトラビル一水和物および放射線不透過剤を含有するインプラント薬物送達システムの調製
粉砕されたポリマー、および一水和物形態のイスラトラビルを60重量%のISLで、疎水性脂肪族熱可塑性ポリウレタン中に、10重量%の硫酸バリウムを放射線不透過剤としてブレンドした。プレブレンドは、100~180℃の範囲の温度、20~30rpmのスクリュー速度で二軸押出機を用いて溶融押出成形されたが、高いダイ圧力およびスクリュートルクのために成功裏に加工することができなかった。
【0093】
比較例3
60重量%のイスラトラビル一水和物およびEVA28+親水性TPU拡散バリアーを含む放射線不透過剤を含むインプラント薬物送達システムの調製
インプラントは、押出プロセスを用いて調製した。粉砕されたポリマー、および一水和物形態のイスラトラビルを、ポリエチレン酢酸ビニル、28%酢酸ビニル(EVA28)および放射線不透過剤としての10重量%硫酸バリウム中、60wt%ISLでブレンドした。プレブレンドを、二軸押出機を用いて100~160℃の範囲の温度、20~30rpmのスクリュー速度で溶融押出し、次いでペレット化した。その後、ペレットを篩にかけ、そして滑沢し、その後、温度130~160℃、およびねじ速度20~25rpmで2±0.05mmの直径フィラメントを形成する2つの一ねじ押出機との共押出によって調製された5%の公称吸水拡散バリアの内側に核を形成し、その後、0.05~0.25mmの拡散バリアの厚さまで切断し、40±2mmの長さに切断した。これらの試料をリン酸緩衝生理食塩水に浸漬すると、拡散バリアは、場合によってはおそらくコアと拡散バリアとの間の不十分な接着に起因して、膨張し、層間剥離した。
【国際調査報告】