(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】SARS-COV-2の治療のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/422 20060101AFI20230602BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230602BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230602BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4706 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/7052 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230602BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20230602BHJP
C07D 311/32 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4741 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4375 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/5415 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/585 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/472 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4245 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4025 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/429 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/555 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/215 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/351 20060101ALI20230602BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20230602BHJP
A61K 33/04 20060101ALI20230602BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
A61K31/422
A61K31/353
A61P31/00
A61P31/14
A61K45/00
A61K31/706
A61K31/4706
A61K31/7052
A61K31/4965
A61K31/573
A61K31/55
C07D413/14 CSP
C07D311/32
A61K31/403
A61K31/496
A61K31/475
A61K31/454
A61K31/407
A61K31/44
A61K31/4741
A61K31/4535
A61K31/519
A61K31/5025
A61K31/4375
A61K31/343
A61K31/5415
A61K31/585
A61K31/502
A61K31/472
A61K31/352
A61K31/4245
A61K31/5377
A61K31/4025
A61K31/4745
A61K31/4709
A61K31/429
A61K31/517
A61K31/7076
A61K31/4439
A61K31/445
A61K31/555
A61K31/137
A61K31/381
A61K31/215
A61K31/439
A61K31/4985
A61K31/551
A61K31/351
A61K31/42
A61K33/04
A61K38/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567078
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2021027535
(87)【国際公開番号】W WO2021225767
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】501244222
【氏名又は名称】ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バコフスキー,マリナ・エー
(72)【発明者】
【氏名】ベトラー,ネーサン
(72)【発明者】
【氏名】バートン,デニス・レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】チャタージー,アーナブ・ケー
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ,ケース・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,トーマス・エフ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ピーター・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ,カレン
(72)【発明者】
【氏名】リバ,ローラ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC52
4C063DD03
4C063EE01
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA15
4C084BA31
4C084NA05
4C084ZB321
4C084ZB322
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA05
4C086BA06
4C086BA07
4C086BA08
4C086BB02
4C086BC10
4C086BC12
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC21
4C086BC27
4C086BC30
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4C086BC32
4C086BC39
4C086BC46
4C086BC48
4C086BC50
4C086BC51
4C086BC60
4C086BC67
4C086BC69
4C086BC71
4C086BC82
4C086BC89
4C086CB05
4C086CB06
4C086CB09
4C086CB12
4C086CB22
4C086CB26
4C086CB27
4C086EA11
4C086EA12
4C086EA19
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086HA08
4C086HA11
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA02
4C206FA07
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB32
4C206ZB33
4C206ZC75
(57)【要約】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)等の病原性感染症を有する対象を治療するのに有用な方法が本明細書に開示され、対象が病原体に感染する可能性を低減させ、対象から他の対象への病原体の伝播を減少させるためのものである。方法は、抗感染剤等の追加の薬剤と組み合わされていてもよい、本明細書の表1又は表4に開示される化合物を利用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体による感染を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の以下の表から選択される少なくとも1つの化合物を前記対象に投与することを含む、病原体による感染を有する対象を治療する方法。
【表1】
【請求項2】
病原体による感染を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の以下の表から選択される少なくとも1つの化合物を前記対象に投与することを含む、病原体による感染を有する対象を治療する方法。
【表2】
【請求項3】
前記病原体がコロナウイルスである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記病原体が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
抗感染剤を投与することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗感染剤が抗ウイルス剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗ウイルス剤が、侵入阻害薬、脱コーティング阻害薬、逆転写酵素阻害薬、アンチセンス薬、リボザイム薬、プロテアーゼ阻害薬、集合阻害薬、及び放出阻害薬からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗ウイルス剤が、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ピロナリジン、アジスロマイシン、及びファビピラビルからなる群から選択される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記抗ウイルス剤が、デキサメタゾンと組み合わされていてもよい、アモジアキン、
【化1】
【化2】
(PF-835231)からなる群から選択される、請求書5又は6に記載の方法。
【請求項10】
式RFM-011-200-5による化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化3】
RFM-011-200-5。
【請求項11】
式RFM-007-454-4による化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月5日に出願された米国仮特許出願第62/704,340号、2020年6月19日に出願された第62/705,288号、及び2020年10月30日に出願された第63/107,893号に対する優先権の利益を主張し、これらの出願の開示は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように本開示に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス感染症は、実質的な罹患率及び死亡をもたらし得る。ワクチン接種は一般にいくつかのウイルス感染に対して有効であり得るが、ワクチンは必ずしも特定のウイルスに対して完全に有効であるとは限らない。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する現在知られているワクチンの長期有効性は、特にワクチンの全体的な影響を減少させ得るSARS-CoV-2株の出現を考慮して、まだ決定されていない。したがって、このウイルスの治療及び他者へのその感染の防止は、一部の若年者、高齢者又は免疫無防備状態の集団の間で特に重要になっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、一実施形態では、本開示は、病原体による感染症を有する対象を治療する方法を提供する。この方法は、アピリモド、レムデシビル、及びヒドロキシクロロキンを除く、治療有効量の本明細書に記載の表1又は表4から選択される少なくとも1つの化合物を対象に投与することを含む。
【0004】
様々な実施形態において、病原体はコロナウイルスである。例えば、一実施形態において、コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法は、対象に抗感染剤を投与することを更に含む。抗感染剤は、様々な態様では、抗ウイルス剤、例えば、侵入阻害薬、脱コーティング阻害薬、逆転写酵素阻害薬、アンチセンス薬、リボザイム薬、プロテアーゼ阻害薬、集合阻害薬及び放出阻害薬からなる群から選択されるものである。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤はレムデシビルを含む。
【0006】
本開示の別の実施形態は、式RFM-011-200-5による化合物又はその薬学的に許容される塩である:
【化1】
【0007】
RFM-011-200-5。
【0008】
本開示の更に別の実施形態は、式RFM-007-454-4による化合物又はその薬学的に許容される塩である:
【化2】
【0009】
RFM-007-454-4。
【0010】
更なる実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書に記載の表1又は表4から選択される少なくとも1つの化合物、治療有効量の本明細書に記載の抗感染剤、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】初代細胞ベースのHCIアッセイが、SARS-CoV-2感染症に対して活性な化合物を同定する図である。A)簡素化されたアッセイワークフローの図である。B)ジメチルスルホキシド(DMSO)、レムデシビル又はアピリモド処理ウェルからの代表的な画像である。各処理について、ウェル当たりの画像化領域全体(10×対物レンズで撮影され、一緒にまとめた4視野)、並びに白色ボックスで画定された8倍の拡大されたセグメントが示されている。DNAシグナル[4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)]は緑色に着色され、免疫蛍光で可視化されたウイルスはマゼンタに着色されている。感染細胞(矢印)及び非感染細胞(矢じり)が示される。複合画像及び拡大画像には、それぞれ500μm及び50μmのスケールバーが示されている。Raw及び正規化(Norm.)画像から算出した値を示す。C)独立した生物学的実験から得られたSARS-CoV-2アッセイ対照EC
50の箱ひげプロットで、平均を示し、バー及び全てのデータ点を示した図である。ひげは、最小値及び最大値を示す。D)1.9μMのReFRAMEスクリーニングプレートからの正規化データのヒートマップ画像である。感染細胞%及び総細胞数の正規化された活性値をスケールバーに従って示し、化合物及び対照ウェルの密度プロットを示す。DMSO処理ウェルはカラム24にあり、陽性対照処理ウェル(2.5μMレムデシビル、2.5μMアピリモド、又は9.6μMピューロマイシンを含むウェルのブロック)はカラム23にある。各ウェルタイプに関連する値の頻度を表す密度プロットを右側に示す。E)化合物ウェル及び対照ウェルについての1.9μMのReFRAMEスクリーニングデータの分布の図である。F)スクリーンヒット選択閾値の図である。
【
図1B】初代細胞ベースのHCIアッセイが、SARS-CoV-2感染症に対して活性な化合物を同定する図である。A)簡素化されたアッセイワークフローの図である。B)ジメチルスルホキシド(DMSO)、レムデシビル又はアピリモド処理ウェルからの代表的な画像である。各処理について、ウェル当たりの画像化領域全体(10×対物レンズで撮影され、一緒にまとめた4視野)、並びに白色ボックスで画定された8倍の拡大されたセグメントが示されている。DNAシグナル[4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)]は緑色に着色され、免疫蛍光で可視化されたウイルスはマゼンタに着色されている。感染細胞(矢印)及び非感染細胞(矢じり)が示される。複合画像及び拡大画像には、それぞれ500μm及び50μmのスケールバーが示されている。Raw及び正規化(Norm.)画像から算出した値を示す。C)独立した生物学的実験から得られたSARS-CoV-2アッセイ対照EC
50の箱ひげプロットで、平均を示し、バー及び全てのデータ点を示した図である。ひげは、最小値及び最大値を示す。D)1.9μMのReFRAMEスクリーニングプレートからの正規化データのヒートマップ画像である。感染細胞%及び総細胞数の正規化された活性値をスケールバーに従って示し、化合物及び対照ウェルの密度プロットを示す。DMSO処理ウェルはカラム24にあり、陽性対照処理ウェル(2.5μMレムデシビル、2.5μMアピリモド、又は9.6μMピューロマイシンを含むウェルのブロック)はカラム23にある。各ウェルタイプに関連する値の頻度を表す密度プロットを右側に示す。E)化合物ウェル及び対照ウェルについての1.9μMのReFRAMEスクリーニングデータの分布の図である。F)スクリーンヒット選択閾値の図である。
【
図1C】初代細胞ベースのHCIアッセイが、SARS-CoV-2感染症に対して活性な化合物を同定する図である。A)簡素化されたアッセイワークフローの図である。B)ジメチルスルホキシド(DMSO)、レムデシビル又はアピリモド処理ウェルからの代表的な画像である。各処理について、ウェル当たりの画像化領域全体(10×対物レンズで撮影され、一緒にまとめた4視野)、並びに白色ボックスで画定された8倍の拡大されたセグメントが示されている。DNAシグナル[4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)]は緑色に着色され、免疫蛍光で可視化されたウイルスはマゼンタに着色されている。感染細胞(矢印)及び非感染細胞(矢じり)が示される。複合画像及び拡大画像には、それぞれ500μm及び50μmのスケールバーが示されている。Raw及び正規化(Norm.)画像から算出した値を示す。C)独立した生物学的実験から得られたSARS-CoV-2アッセイ対照EC
50の箱ひげプロットで、平均を示し、バー及び全てのデータ点を示した図である。ひげは、最小値及び最大値を示す。D)1.9μMのReFRAMEスクリーニングプレートからの正規化データのヒートマップ画像である。感染細胞%及び総細胞数の正規化された活性値をスケールバーに従って示し、化合物及び対照ウェルの密度プロットを示す。DMSO処理ウェルはカラム24にあり、陽性対照処理ウェル(2.5μMレムデシビル、2.5μMアピリモド、又は9.6μMピューロマイシンを含むウェルのブロック)はカラム23にある。各ウェルタイプに関連する値の頻度を表す密度プロットを右側に示す。E)化合物ウェル及び対照ウェルについての1.9μMのReFRAMEスクリーニングデータの分布の図である。F)スクリーンヒット選択閾値の図である。
【
図1D-1】初代細胞ベースのHCIアッセイが、SARS-CoV-2感染症に対して活性な化合物を同定する図である。A)簡素化されたアッセイワークフローの図である。B)ジメチルスルホキシド(DMSO)、レムデシビル又はアピリモド処理ウェルからの代表的な画像である。各処理について、ウェル当たりの画像化領域全体(10×対物レンズで撮影され、一緒にまとめた4視野)、並びに白色ボックスで画定された8倍の拡大されたセグメントが示されている。DNAシグナル[4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)]は緑色に着色され、免疫蛍光で可視化されたウイルスはマゼンタに着色されている。感染細胞(矢印)及び非感染細胞(矢じり)が示される。複合画像及び拡大画像には、それぞれ500μm及び50μmのスケールバーが示されている。Raw及び正規化(Norm.)画像から算出した値を示す。C)独立した生物学的実験から得られたSARS-CoV-2アッセイ対照EC
50の箱ひげプロットで、平均を示し、バー及び全てのデータ点を示した図である。ひげは、最小値及び最大値を示す。D)1.9μMのReFRAMEスクリーニングプレートからの正規化データのヒートマップ画像である。感染細胞%及び総細胞数の正規化された活性値をスケールバーに従って示し、化合物及び対照ウェルの密度プロットを示す。DMSO処理ウェルはカラム24にあり、陽性対照処理ウェル(2.5μMレムデシビル、2.5μMアピリモド、又は9.6μMピューロマイシンを含むウェルのブロック)はカラム23にある。各ウェルタイプに関連する値の頻度を表す密度プロットを右側に示す。E)化合物ウェル及び対照ウェルについての1.9μMのReFRAMEスクリーニングデータの分布の図である。F)スクリーンヒット選択閾値の図である。
【
図1D-2】初代細胞ベースのHCIアッセイが、SARS-CoV-2感染症に対して活性な化合物を同定する図である。A)簡素化されたアッセイワークフローの図である。B)ジメチルスルホキシド(DMSO)、レムデシビル又はアピリモド処理ウェルからの代表的な画像である。各処理について、ウェル当たりの画像化領域全体(10×対物レンズで撮影され、一緒にまとめた4視野)、並びに白色ボックスで画定された8倍の拡大されたセグメントが示されている。DNAシグナル[4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)]は緑色に着色され、免疫蛍光で可視化されたウイルスはマゼンタに着色されている。感染細胞(矢印)及び非感染細胞(矢じり)が示される。複合画像及び拡大画像には、それぞれ500μm及び50μmのスケールバーが示されている。Raw及び正規化(Norm.)画像から算出した値を示す。C)独立した生物学的実験から得られたSARS-CoV-2アッセイ対照EC
50の箱ひげプロットで、平均を示し、バー及び全てのデータ点を示した図である。ひげは、最小値及び最大値を示す。D)1.9μMのReFRAMEスクリーニングプレートからの正規化データのヒートマップ画像である。感染細胞%及び総細胞数の正規化された活性値をスケールバーに従って示し、化合物及び対照ウェルの密度プロットを示す。DMSO処理ウェルはカラム24にあり、陽性対照処理ウェル(2.5μMレムデシビル、2.5μMアピリモド、又は9.6μMピューロマイシンを含むウェルのブロック)はカラム23にある。各ウェルタイプに関連する値の頻度を表す密度プロットを右側に示す。E)化合物ウェル及び対照ウェルについての1.9μMのReFRAMEスクリーニングデータの分布の図である。F)スクリーンヒット選択閾値の図である。
【
図1E】初代細胞ベースのHCIアッセイが、SARS-CoV-2感染症に対して活性な化合物を同定する図である。A)簡素化されたアッセイワークフローの図である。B)ジメチルスルホキシド(DMSO)、レムデシビル又はアピリモド処理ウェルからの代表的な画像である。各処理について、ウェル当たりの画像化領域全体(10×対物レンズで撮影され、一緒にまとめた4視野)、並びに白色ボックスで画定された8倍の拡大されたセグメントが示されている。DNAシグナル[4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)]は緑色に着色され、免疫蛍光で可視化されたウイルスはマゼンタに着色されている。感染細胞(矢印)及び非感染細胞(矢じり)が示される。複合画像及び拡大画像には、それぞれ500μm及び50μmのスケールバーが示されている。Raw及び正規化(Norm.)画像から算出した値を示す。C)独立した生物学的実験から得られたSARS-CoV-2アッセイ対照EC
50の箱ひげプロットで、平均を示し、バー及び全てのデータ点を示した図である。ひげは、最小値及び最大値を示す。D)1.9μMのReFRAMEスクリーニングプレートからの正規化データのヒートマップ画像である。感染細胞%及び総細胞数の正規化された活性値をスケールバーに従って示し、化合物及び対照ウェルの密度プロットを示す。DMSO処理ウェルはカラム24にあり、陽性対照処理ウェル(2.5μMレムデシビル、2.5μMアピリモド、又は9.6μMピューロマイシンを含むウェルのブロック)はカラム23にある。各ウェルタイプに関連する値の頻度を表す密度プロットを右側に示す。E)化合物ウェル及び対照ウェルについての1.9μMのReFRAMEスクリーニングデータの分布の図である。F)スクリーンヒット選択閾値の図である。
【
図1F】初代細胞ベースのHCIアッセイが、SARS-CoV-2感染症に対して活性な化合物を同定する図である。A)簡素化されたアッセイワークフローの図である。B)ジメチルスルホキシド(DMSO)、レムデシビル又はアピリモド処理ウェルからの代表的な画像である。各処理について、ウェル当たりの画像化領域全体(10×対物レンズで撮影され、一緒にまとめた4視野)、並びに白色ボックスで画定された8倍の拡大されたセグメントが示されている。DNAシグナル[4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)]は緑色に着色され、免疫蛍光で可視化されたウイルスはマゼンタに着色されている。感染細胞(矢印)及び非感染細胞(矢じり)が示される。複合画像及び拡大画像には、それぞれ500μm及び50μmのスケールバーが示されている。Raw及び正規化(Norm.)画像から算出した値を示す。C)独立した生物学的実験から得られたSARS-CoV-2アッセイ対照EC
50の箱ひげプロットで、平均を示し、バー及び全てのデータ点を示した図である。ひげは、最小値及び最大値を示す。D)1.9μMのReFRAMEスクリーニングプレートからの正規化データのヒートマップ画像である。感染細胞%及び総細胞数の正規化された活性値をスケールバーに従って示し、化合物及び対照ウェルの密度プロットを示す。DMSO処理ウェルはカラム24にあり、陽性対照処理ウェル(2.5μMレムデシビル、2.5μMアピリモド、又は9.6μMピューロマイシンを含むウェルのブロック)はカラム23にある。各ウェルタイプに関連する値の頻度を表す密度プロットを右側に示す。E)化合物ウェル及び対照ウェルについての1.9μMのReFRAMEスクリーニングデータの分布の図である。F)スクリーンヒット選択閾値の図である。
【
図2A】抗SARS-CoV-2活性を有する強力かつ選択的な化合物が、ReFRAMEライブラリにおいて同定されている図である。A)発生の臨床段階及び疾患適応症に関するReFRAME再利用ライブラリの組成の図である。B)用量応答の再確認結果、各化合物のSARS-CoV-2 EC
50を、非感染HeLa-ACE2細胞において評価したときのその宿主細胞毒性CC
50に対してプロットした図である。点線は、アッセイ化合物(40μM)及び対照アピリモド及びレムデシビル(10μM)について用量反応試験で試験した最大濃度を表す。対照(黒菱形)及びアッセイ化合物(ピンク菱形)の活性を示す。このヒット再確認の一部としてスクリーニングされたピューロマイシンのReFRAMEライブラリコピーの活性も示される(赤い菱形)。C)レムデシビル、アピリモド及びピューロマイシン対照化合物についてのSARS-CoV-2EC
50(青色)、感染HeLa-ACE2 EC
50(オレンジ色)及び非感染HeLa-ACE2 CC
50用量反応曲線を、ReFRAMEヒット再確認の一部として実行した図である。D)機能的注釈による75種の強力かつ選択的な化合物及び135種の弱活性又は非選択的な化合物の分類の図である。E)アピリモド+レムデシビル薬物相乗ランドスケープの相乗作用分析の代表的な出力(単一複製)は、全体的な相乗作用効果を示している図である(-10<δ<10)。F)レムデシビルと2つの固定濃度のアピリモド(相乗作用実験中のおよそEC
30及びEC
65)との間の付加反応の図である。技術的な三連の中央値+/-semを示す。
【
図2B】抗SARS-CoV-2活性を有する強力かつ選択的な化合物が、ReFRAMEライブラリにおいて同定されている図である。A)発生の臨床段階及び疾患適応症に関するReFRAME再利用ライブラリの組成の図である。B)用量応答の再確認結果、各化合物のSARS-CoV-2 EC
50を、非感染HeLa-ACE2細胞において評価したときのその宿主細胞毒性CC
50に対してプロットした図である。点線は、アッセイ化合物(40μM)及び対照アピリモド及びレムデシビル(10μM)について用量反応試験で試験した最大濃度を表す。対照(黒菱形)及びアッセイ化合物(ピンク菱形)の活性を示す。このヒット再確認の一部としてスクリーニングされたピューロマイシンのReFRAMEライブラリコピーの活性も示される(赤い菱形)。C)レムデシビル、アピリモド及びピューロマイシン対照化合物についてのSARS-CoV-2EC
50(青色)、感染HeLa-ACE2 EC
50(オレンジ色)及び非感染HeLa-ACE2 CC
50用量反応曲線を、ReFRAMEヒット再確認の一部として実行した図である。D)機能的注釈による75種の強力かつ選択的な化合物及び135種の弱活性又は非選択的な化合物の分類の図である。E)アピリモド+レムデシビル薬物相乗ランドスケープの相乗作用分析の代表的な出力(単一複製)は、全体的な相乗作用効果を示している図である(-10<δ<10)。F)レムデシビルと2つの固定濃度のアピリモド(相乗作用実験中のおよそEC
30及びEC
65)との間の付加反応の図である。技術的な三連の中央値+/-semを示す。
【
図2C】抗SARS-CoV-2活性を有する強力かつ選択的な化合物が、ReFRAMEライブラリにおいて同定されている図である。A)発生の臨床段階及び疾患適応症に関するReFRAME再利用ライブラリの組成の図である。B)用量応答の再確認結果、各化合物のSARS-CoV-2 EC
50を、非感染HeLa-ACE2細胞において評価したときのその宿主細胞毒性CC
50に対してプロットした図である。点線は、アッセイ化合物(40μM)及び対照アピリモド及びレムデシビル(10μM)について用量反応試験で試験した最大濃度を表す。対照(黒菱形)及びアッセイ化合物(ピンク菱形)の活性を示す。このヒット再確認の一部としてスクリーニングされたピューロマイシンのReFRAMEライブラリコピーの活性も示される(赤い菱形)。C)レムデシビル、アピリモド及びピューロマイシン対照化合物についてのSARS-CoV-2EC
50(青色)、感染HeLa-ACE2 EC
50(オレンジ色)及び非感染HeLa-ACE2 CC
50用量反応曲線を、ReFRAMEヒット再確認の一部として実行した図である。D)機能的注釈による75種の強力かつ選択的な化合物及び135種の弱活性又は非選択的な化合物の分類の図である。E)アピリモド+レムデシビル薬物相乗ランドスケープの相乗作用分析の代表的な出力(単一複製)は、全体的な相乗作用効果を示している図である(-10<δ<10)。F)レムデシビルと2つの固定濃度のアピリモド(相乗作用実験中のおよそEC
30及びEC
65)との間の付加反応の図である。技術的な三連の中央値+/-semを示す。
【
図2D】抗SARS-CoV-2活性を有する強力かつ選択的な化合物が、ReFRAMEライブラリにおいて同定されている図である。A)発生の臨床段階及び疾患適応症に関するReFRAME再利用ライブラリの組成の図である。B)用量応答の再確認結果、各化合物のSARS-CoV-2 EC
50を、非感染HeLa-ACE2細胞において評価したときのその宿主細胞毒性CC
50に対してプロットした図である。点線は、アッセイ化合物(40μM)及び対照アピリモド及びレムデシビル(10μM)について用量反応試験で試験した最大濃度を表す。対照(黒菱形)及びアッセイ化合物(ピンク菱形)の活性を示す。このヒット再確認の一部としてスクリーニングされたピューロマイシンのReFRAMEライブラリコピーの活性も示される(赤い菱形)。C)レムデシビル、アピリモド及びピューロマイシン対照化合物についてのSARS-CoV-2EC
50(青色)、感染HeLa-ACE2 EC
50(オレンジ色)及び非感染HeLa-ACE2 CC
50用量反応曲線を、ReFRAMEヒット再確認の一部として実行した図である。D)機能的注釈による75種の強力かつ選択的な化合物及び135種の弱活性又は非選択的な化合物の分類の図である。E)アピリモド+レムデシビル薬物相乗ランドスケープの相乗作用分析の代表的な出力(単一複製)は、全体的な相乗作用効果を示している図である(-10<δ<10)。F)レムデシビルと2つの固定濃度のアピリモド(相乗作用実験中のおよそEC
30及びEC
65)との間の付加反応の図である。技術的な三連の中央値+/-semを示す。
【
図2E】抗SARS-CoV-2活性を有する強力かつ選択的な化合物が、ReFRAMEライブラリにおいて同定されている図である。A)発生の臨床段階及び疾患適応症に関するReFRAME再利用ライブラリの組成の図である。B)用量応答の再確認結果、各化合物のSARS-CoV-2 EC
50を、非感染HeLa-ACE2細胞において評価したときのその宿主細胞毒性CC
50に対してプロットした図である。点線は、アッセイ化合物(40μM)及び対照アピリモド及びレムデシビル(10μM)について用量反応試験で試験した最大濃度を表す。対照(黒菱形)及びアッセイ化合物(ピンク菱形)の活性を示す。このヒット再確認の一部としてスクリーニングされたピューロマイシンのReFRAMEライブラリコピーの活性も示される(赤い菱形)。C)レムデシビル、アピリモド及びピューロマイシン対照化合物についてのSARS-CoV-2EC
50(青色)、感染HeLa-ACE2 EC
50(オレンジ色)及び非感染HeLa-ACE2 CC
50用量反応曲線を、ReFRAMEヒット再確認の一部として実行した図である。D)機能的注釈による75種の強力かつ選択的な化合物及び135種の弱活性又は非選択的な化合物の分類の図である。E)アピリモド+レムデシビル薬物相乗ランドスケープの相乗作用分析の代表的な出力(単一複製)は、全体的な相乗作用効果を示している図である(-10<δ<10)。F)レムデシビルと2つの固定濃度のアピリモド(相乗作用実験中のおよそEC
30及びEC
65)との間の付加反応の図である。技術的な三連の中央値+/-semを示す。
【
図2F】抗SARS-CoV-2活性を有する強力かつ選択的な化合物が、ReFRAMEライブラリにおいて同定されている図である。A)発生の臨床段階及び疾患適応症に関するReFRAME再利用ライブラリの組成の図である。B)用量応答の再確認結果、各化合物のSARS-CoV-2 EC
50を、非感染HeLa-ACE2細胞において評価したときのその宿主細胞毒性CC
50に対してプロットした図である。点線は、アッセイ化合物(40μM)及び対照アピリモド及びレムデシビル(10μM)について用量反応試験で試験した最大濃度を表す。対照(黒菱形)及びアッセイ化合物(ピンク菱形)の活性を示す。このヒット再確認の一部としてスクリーニングされたピューロマイシンのReFRAMEライブラリコピーの活性も示される(赤い菱形)。C)レムデシビル、アピリモド及びピューロマイシン対照化合物についてのSARS-CoV-2EC
50(青色)、感染HeLa-ACE2 EC
50(オレンジ色)及び非感染HeLa-ACE2 CC
50用量反応曲線を、ReFRAMEヒット再確認の一部として実行した図である。D)機能的注釈による75種の強力かつ選択的な化合物及び135種の弱活性又は非選択的な化合物の分類の図である。E)アピリモド+レムデシビル薬物相乗ランドスケープの相乗作用分析の代表的な出力(単一複製)は、全体的な相乗作用効果を示している図である(-10<δ<10)。F)レムデシビルと2つの固定濃度のアピリモド(相乗作用実験中のおよそEC
30及びEC
65)との間の付加反応の図である。技術的な三連の中央値+/-semを示す。
【
図3】対照化合物EC
50に対するMOIの効果の図である。SARS-CoV-2/HeLa-ACE2アッセイにおけるレムデシビル、アピリモド、及びピューロマイシン対照の活性を、1~26の範囲のMOIを用いて評価した。示されたMOIにおける各化合物のEC
50を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、部分的には、SARS-CoV-2等の病原性感染症を有する対象を治療する方法に関する。2019年12月上旬に、重度の急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が、COVID-19と呼ばれる重度の肺炎様症状の数が急速に増加する原因であると特定された(Huang,C.et al.Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan,China.Lancet 395,497-506,doi:10.1016/S0140-6736(20)30183-5(2020))。それ以来、SARS-CoV-2が世界保健機関(WHO)からそのパンデミック状況を正式に与えられている。2021年2月10日現在、SARS-CoV-2は世界中に拡散し、223の異なる国において、106,555,200人を超える確認された感染症を引き起こし、2,333,440人を超える死亡が報告されている(Organization,W.H.Vol.2020(ed World Health Organization)(World Health Organization,2020))。いくつかの有効な抗SARS-CoV-2ワクチンの開発がパンデミックの制御に寄与することは疑いないが、ワクチンの一部をあまり有効でなくするエスケープ突然変異を有するSARS-CoV-2株の出現及び全体的に制限されたCOVID-19ワクチンの世界的供給は、治療的介入を特定するための継続的な努力の根拠となる。しかし、研究団体の多大な努力にもかかわらず、COVID-19の抗ウイルス治療の選択肢は依然として非常に限られている。これらには、重症又は重篤なCOVID-19を有する患者の治療に対するデキサメタゾン等のコルチコステロイドが含まれる(Group,R.C.et al.Dexamethasone in Hospitalized Patients with Covid-N Engl J Med,doi:10.1056/NEJMoa2021436(2020)and the intravenously-delivered antiviral remdesivir(de Wit,E.et al.Prophylactic and therapeutic remdesivir(GS-5734)treatment in the rhesus macaque model of MERS-CoV infection.Proc Natl Acad Sci U S A 117,6771-6776,doi:10.1073/pnas.1922083117(2020);Sheahan,T.P.et al.Broad-spectrum antiviral GS-5734 inhibits both epidemic and zoonotic coronaviruses.Sci Transl Med 9,doi:10.1126/scitranslmed.aal3653(2017);Lo,M.K.et al.GS-5734 and its parent nucleoside analog inhibit Filo-,Pneumo-,and Paramyxoviruses.Sci Rep 7,43395,doi:10.1038/srep43395(2017))。広範な抗ウイルス活性を有するヌクレオチド類似体プロドラッグであるレムデシビル及びRdRp阻害剤は、第III相適応COVID-19治療試験で陽性臨床エンドポイントを実証した(回復までの時間の中央値は15から11日間に短縮され(Health,N.I.o.(2020))、アメリカ食品医薬品局による入院COVID-19患者の治療のためのその緊急使用許可を正当化した(Administration,U.S.F.D.(ed U.S.Food&Drug Administration)(U.S.Food&Drug Administration,2020)。しかしながら、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル及びインターフェロンレジメンと一緒になって、大規模な多施設WHO SOLIDARITY試験で入院COVID-19患者の死亡率を低下させることが最近できなかった(Pan,H.et al.Repurposed antiviral drugs for COVID-19-interim WHO SOLIDARITY trial results.medRxiv,2020.2010.2015.20209817,doi:10.1101/2020.10.15.20209817(2020))。本開示はまた、部分的に、2つの異なる細胞ベースのSARS-CoV-2感染アッセイ及びレムデシビル増強フォーマットにおける大規模な薬物ライブラリ(ReFRAME)のスクリーニング、並びに二次直交アッセイにおける同定されたヒットのプロファイリングに関する。このスクリーニングカスケード及びその後のヒット優先順位付けは、SARS-CoV-2の強力な阻害剤として有望なヒットMK-4482を同定及び検証し、インビトロ所見はSARS-CoV-2感染のインビボハムスターモデルに変換された。これらの研究で特定された他のヒットは、コロナウイルス複製経路を解明するための治療及びツールへの再利用に有用である。
【0013】
定義
本明細書で使用される場合、そうではないと特定されない限り、「化合物」という用語は、化合物又はその薬学的に許容される塩、立体異性体、及び/又は互変異性体を包含するという点で包括的である。したがって、例えば、本明細書中に記載の化合物は、その化合物の互変異性体の薬学的に許容され得る塩を含む。
【0014】
本開示において、「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される有機又は無機の酸又は塩基の塩である。代表的な薬学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、水溶性及び水不溶性塩、例えば、アセタート、アムソナート(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホナート)、ベンゼンスルホナート、ベンゾナート、ビカルボナート、ビスルファート、ビタルトラート、ボラート、臭化物、ブチラート、カルシウム、エデト酸カルシウム、カムシラート、カルボナート、塩化物、シトラート、クラブラリエート、二塩酸塩、エデタート、エジシラート、エストラート、エシラート、フィウナラート、グルセプタート、グルコナート、グルタマート、グリコリルアルサニラート、ヘキサフルオロホスファート、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトアート、ヨウ化物、イソチオナート、ラクタート、ラクテトビオナート、ラウラート、マラート、マレアート、マンデラート、メシラート、メチルブロミド、メチルニトラート、メチルスルファート、ムケート、ナプシラート、ニトラート、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエート、オレエート、オキサラート、パルミタート、パモエート(1,1-メチレン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエート、アインボナート)、パントテナート、ホスファート/ジホスファート、ピクラート、ポリガラクツロナート、プロピオナート、p-トルエンスルホナート、サリシラート、ステアラート、スアセタート、スクシナート、スルファート、スルホサリツラート、スラメート、タンナート、タルトラート、テオクラート、トシラート、トリエチヨージド、及びバレラート塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、その構造中に2つ以上の荷電原子を有することができる。この場合、薬学的に許容され得る塩は、複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/又は1つ以上の対イオンを有することができる。
【0015】
「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、疾患又は疾患に関連する症状の改善又は根絶を指す。様々な実施形態では、この用語は、そのような疾患を有する患者への本明細書に記載の1つ又は複数の予防的又は治療的化合物の投与から生じる疾患の広がり又は悪化を最小限に抑えることを指す。
【0016】
「予防する」、「予防すること」、及び「予防」という用語は、本明細書に記載の化合物の投与に起因する患者における疾患の発症、再発、又は伝播の予防を指す。
【0017】
「有効量」という用語は、疾患の治療若しくは予防において治療上若しくは予防上の利益を提供するか、又は疾患に関連する症状を遅延若しくは最小化するのに十分な、本明細書に記載の化合物又は他の活性成分の量を指す。更に、本明細書に記載の化合物に関する治療有効量は、疾患の治療又は予防において治療上の利益を提供する治療剤の量を単独で、又は他の療法と組み合わせて意味する。本明細書に記載の化合物に関連して使用される場合、この用語は、全体的な治療を改善し、疾患の症状若しくは原因を軽減若しくは回避し、又は別の治療剤の治療有効性を増強するか、又は別の治療剤と相乗的である量を包含し得る。
【0018】
「患者」又は「対象」には、ヒト、ウシ、ウマ、ヒツジ、子羊、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ又はモルモット等の動物が含まれる。いくつかの実施形態によれば、動物は、非霊長類及び霊長類(例えば、サル及びヒト)等の哺乳動物である。一実施形態では、患者はヒト、例えばヒト乳児、小児、青年又は成人である。本開示では、「患者」及び「対象」という用語は互換的に使用される。
【0019】
スクリーニングアッセイ及び方法
ReFRAME(Repurposing,Focused Rescue,and Accelerated Medchem)薬物コレクションは、ヒトへの直接使用に適していることが示された12,000個近くの小分子薬物を含む広範な薬物再利用ライブラリであり(5)、更なる単剤療法として、又はレムデシビルと組み合わせて有効性を更に高め、薬物耐性の可能性を減らすのに有用であり得る新しい治療法を発見する豊富な資源を提供する。ヒト細胞におけるSARS-CoV-2の侵入又は複製を阻害し得るこのライブラリ中の化合物を同定するために、本発明者等は、ヒトSARS-CoV-2受容体、アンジオテンシン変換酵素2、又はACE2(HeLa-ACE2)を発現するHeLa細胞を使用してハイコンテンツイメージング(HCI)384ウェルフォーマットアッセイを開発した。このアッセイでは、HeLa-ACE2細胞を目的の化合物の存在下でSARS-CoV-2ウイルスに感染させ、24時間後にウイルス感染を定量する(
図1、パネルA)。アッセイは、ウイルスに曝露された患者から精製された血清を用いたSARS-CoV-2タンパク質の免疫蛍光検出に依存し、これは宿主細胞核染色と一緒になって、各ウェル中の感染細胞パーセントの定量化を可能にする(
図1、パネルB)。
【0020】
エボラに対する活性が報告され、SARS-CoV-2に対する活性が疑われるか又は以前に検証された化合物:レムデシビル(GS-5734)(6)(EC
50=194±20nM、5回の独立した実験の平均±sem)及びPIKfyve阻害剤アピリモド(EC
50=50±11nM、4回の独立した実験の平均±sem)(
図1、パネルB)を使用してアッセイを検証した。高濃度のレムデシビルは、感染細胞をほぼ完全に排除することができ(
図1、パネルC)、本発明者等は、これを陽性対照として2.5μMの濃度で使用し、データはこれ及び中性DMSO対照ウェルに対して正規化した。アピリモドはレムデシビルよりも強力であったが、レムデシビルと比較してわずかに低い最大有効性を有していた(最高有効濃度で85~90%の非感染細胞)。更に、本発明者等は、陽性対照として細胞傷害性タンパク質合成阻害剤ピューロマイシンを用いて、1ウェル当たりの総細胞数を定量することによって感染との関連で化合物毒性を評価した(平均EC
50=547±27nM、5回の独立した実験の平均±sem、HeLa-ACE2 CC
50=2.45±0.23μM、5回の独立した実験の平均±sem)。特に、付随する細胞数の増加は、おそらく感染細胞の増殖の減少に起因する、レムデシビル及びアピリモドの抗ウイルス活性と一致した(
図1、パネルB~E)。感染多重度を変更すると、同じ実験で対照化合物の効力に中程度の効果があり、レムデシビルのEC
50はMOI=1からMOI=26に2.7倍増加し、アピリモドのEC
50は3.7倍増加したが、ピューロマイシンのEC
50は増加しなかった(
図3)。
【0021】
開発されたアッセイを使用して、本発明者等はパイロットスクリーニングを実行して、コロナウイルス感染症に対する治療可能性が疑われる148個の小分子の活性を評価した(7)(RZ’=0.84)。本発明者等は、EC
50<9.6μMの19個の化合物を同定し、非感染HeLa-ACE2の24時間生存/死亡アッセイから得られたデータに基づいて、これらのうち10個が選択的であった(非感染HeLa-ACE2 CC
50/SARS-CoV-2EC
50>10又は非感染HeLa-ACE2 CC
50>40μM)(表1)。これには、アッセイで「再発見」された多数のアピリモド(EC
50=184nM、CC
50>40μM)及びレムデシビル(EC
50=300nM CC
50>40μM)のライブラリ/スクリーニングが含まれた。アピリモド及びレムデシビルのより高いEC
50は、新たに調製した対照粉末ストックと比較して、スクリーニングデッキ内の経時的なわずかな分解に起因する可能性が高い。
【表1】
【0022】
本発明者等は、1.9μM及び9.6μMの最終濃度で12,000化合物ReFRAME再利用ライブラリをスクリーニングした。アッセイ品質は、以下の表2に示すように、両方のスクリーニングを通して維持された(それぞれ0.87及び0.72のRZ’)。
【表2】
【0023】
更に、DMSOビヒクル-(中性対照)、レムデシビル-(陽性対照)、アピリモド-及びピューロマイシン-(毒性対照)処理ウェルの活性プロファイルにおいて明確な区別が明らかであった(
図1、パネルD及びE)。ヒット選択は、ウェル当たりの感染細胞数の>50%の減少(中性対照マイナス阻害剤に対して正規化された<-50%の活性)及びウェル当たりの総細胞数に基づく<40%の毒性(10μMピューロマイシンを含む、化合物活性に対して正規化された>-40%の活性)の実証に基づいており(
図1、パネルE及びF)、1.9μMでの61の一次ヒット及び9.6μMのスクリーニング濃度での266の一次ヒット(それぞれ0.51及び2.24%のヒット率)を同定し、合計311ヒットであった。
【0024】
ReFRAMEライブラリの一次スクリーニングのヒット率は高かったが(2.51%)、この生物活性小分子の集合では予想外ではなく、その多くは承認された薬物であるか、又は開発の臨床段階にあり、広範な適応症に使用されている(
図2、パネルA)。主要なヒットの効力及び選択性を再確認及び評価するために、本発明者等は、9.6μMの最高濃度を有する10点1:3希釈用量応答形式で325個の利用可能な化合物を試験した。これらのうち、233(71.7%)がSARS-CoV-2に対してEC
50<9.6μMで活性を示し、更に42(12.9%)が弱い活性を示した(EC
50>9.6μM)。しかしながら、一次スクリーニングヒットの多くはまた、細胞傷害性であり、非感染HeLa-ACE2細胞で決定されるような許容できないほど低い選択比(非感染CC
50/EC
50<10)を伴った(表3、
図2、パネルB)。
【表3】
【0025】
ウイルスは複製のために宿主機構に依存するため、抗ウイルス活性を有する化合物の多くが重要な宿主プロセスにも影響を及ぼすことは予想外ではなかった。興味深いことに、タンパク質合成阻害剤ピューロマイシン及び更にはヒドロキシクロロキンのような化合物によるウイルス感染の減少は、感染の状況では細胞の健康に利益を提供したが非感染細胞では提供しなかったため、この毒性は感染細胞では遮蔽されることがあった(
図2、パネルC)。
【0026】
小規模パイロットとReFRAMEスクリーニングとの間で、本発明者等は、76個(2つの異なるロットのGW-803430として75個のユニークが同定された)の強力な(EC
50<9.6μM)及び選択的な(CC
50/EC
50>10又はCC
50>39.8μM)化合物と、135個の化合物であって、活性が弱い(EC
50>9.6μM)か、又は強力であるが十分に選択的ではない(EC
50<9.6μM、CC
50/EC
50<10)化合物を同定した(
図2パネルB及びD、表1)。上位4つのクラスの強力かつ選択的な化合物は、腫瘍崩壊性化合物、イオンチャネル調節剤、抗精神病剤及び受容体結合化合物であった(
図2、パネルD)。弱い活性又は非選択的ヒットの場合、上位4つのカテゴリーは、同様に腫瘍崩壊性化合物、イオンチャネル調節剤、抗精神病剤並びにシグナル伝達調節剤を含んでいた。強力かつ選択的なヒットのうちの5番目は腫瘍崩壊薬として分類することができ、急速に増殖する細胞に存在する宿主細胞プロセスへのウイルスの依存を更に反映している。抗精神病、心血管、更には抗寄生虫(顧みられない熱帯病)クラスに属する化合物の同定は、これらの分子のいくつかのカチオン性両親媒性の性質、及び酸性の細胞内区画に蓄積し、それに影響を及ぼすそれらの能力を反映し得る(例えば後期エンドソーム/リソソーム)。結果として生じるリソソーム内経路の調節不全及び脂質ホメオスタシスは、ウイルスの侵入及び/又は複製を損なうことが示唆されており(8)、この作用様式は、両方とも本発明者等のスクリーニングにおいてSARS-CoV-2に対する強力かつ選択的なヒットとしてここで特定されたアミオダロン及びヒドロキシクロロキンについて企図されている(表1及び3)。本発明者等はまた、エボラウイルス感染を阻害することが以前に見出された化合物のクラスである2つの選択的エストロゲン受容体調整剤(バゼドキシフェン、EC
50=3.47μM及びラロキシフェンEC
50=4.13μM)を同定した(9)。
【0027】
本明細書に記載の方法又は組成物のいずれかで使用するための更なる実施形態は、ReFRAMEスクリーニングからの更なる再確認されたヒットを含む。これらは、本明細書に記載のSARS-CoV-2/HeLa-ACE2ハイコンテンツスクリーニングアッセイ及びSARS-CoV-2/Calu-3ハイコンテンツスクリーニングアッセイ(実施例を参照)からの対応するデータと共に表4に提示される。
【表4】
【0028】
特定されたヒットの中でも、様々な実施形態によれば、治療薬としての比較的高い曝露又は長い使用履歴のために、ハロファントリンHCl、アミオダロン、メシル酸ネルフィナビル、シンペレビル、マニジピン、及びオザニモドの経口薬が新たに特定され、承認されており、したがって動物モデルでの更なる有効性判定後にCOVID-19治療として迅速に再利用される可能性がある。例えば、ウイルスプロテアーゼ阻害薬であるネルフィナビル及びシメプレビルは、優れた曝露を示す。
【0029】
別の実施形態では、化合物は、選択的スフィンゴシン-1-ホスファート(S1P1)受容体調整剤オザニモドである。選択的S1P1アゴニストは、感染部位での炎症を減少させる(肺内皮細胞によるサイトカインの放出及び肺へのリンパ球の浸潤を減少させる)ことによってマウスモデルにおいてインフルエンザウイルス感染に対する有意な防御を提供することが示されており(10)、したがってオザニモドは、直接作用型抗ウイルス薬の優れた組み合わせパートナとして役立ち得る。
【0030】
別の実施形態によれば、本明細書中に記載の方法で投与される化合物は、優れた曝露(Cmax約684μM)を有する承認された薬物アミオダロン、又は曝露は低いが高血圧患者のCOVID-19疾患の転帰を改善し得る承認されたカルシウムチャネル遮断薬マニジピンである。アミオダロンは、インビトロスクリーニングにおいて広域抗ウイルス活性を有すると更に同定されている(11)。
【0031】
アピリモド(フィロウイルスについて見出される、エンドリソソーム輸送の破壊によるウイルス侵入を阻害し得るアッセイコントロール(12))、プロテアーゼ阻害薬NCO 700(カテプシンB)及びデュタカチブ(カテプシンK)等の様々な開発段階の19種の他の化合物は、ウイルス侵入にも影響を与える可能性があり、全てそれらの効力又は薬物動態学的プロファイルのために有効性を示すことができる(表3)。これらのほとんどは、非常に強力なアピリモドを除いて、レムデシビルの効力を超えない1μMを超える中程度のEC50を有していた。
【0032】
本開示はまた、いくつかの実施形態では、病原体感染が対象において生じる可能性を低減するか、又は感染対象から他の対象への病原体の伝染を低減する方法を提供する。この方法は、対象に、本明細書に記載の少なくとも1つの抗感染剤と組み合わされていてもよい、表1又は表4に列挙された少なくとも1つの化合物を投与することを含む。
【0033】
併用療法
様々な実施形態において、本開示の方法は、抗感染剤を投与することを更に含む。抗感染剤は、同じ製剤又は剤形等で、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物(表1及び表4)と同時に投与することができる。あるいは、抗感染剤は、化合物の前又は後に投与することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、抗感染剤は、侵入阻害薬(エンフビルチドを含む)、脱コーティング阻害薬(アマンタジン、リマンタジン、及びプレコナリルを含む)、逆転写酵素阻害薬(アシクロビル、ジドブジン、及びラミブジンを含む)、アンチセンス薬(フォミビルセンを含む)、リボザイム薬、プロテアーゼ阻害薬、集合阻害薬(リファンピシンを含む)、及び放出阻害薬からなる群から選択される。
【0035】
いくつかの実施形態において、更なる薬剤は、デキサメタゾン、アモジアキンである。
【化3】
【化4】
【0036】
いくつかの実施形態では、追加の抗感染剤は抗ウイルス剤である。いくつかの実施形態では、抗ウイルス剤は、アバカビル、アシクロビル(Aciclovir)、アデホビル、アマンタジン、アンプリゲン、アンプレナビル(アゲネラーゼ)、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、バラビル、バロキサビルマルボシル(Xofluza)、ビクタルビー、ボセプレビル(ビクトレリス)、シドホビル、コビシスタット(Tybost)、コンビビル、ダクラタスビル(ダクルインザ)、ダルナビル、デラビルジン、デスコビ、ジダノシン、ドコサノール、ドルテグラビル、ドラビリン(ピフェルトロ)、エコリバー、エドクスジン、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エトラビリン(Intelence)、ファンシクロビル、ファビピラビル(T-705;6-フルオロ-3-ヒドロキシ-2-ピラジンカルボキサミド)、フォミビルセン、フォサプレナビル、フォスカネット、フォスフォネット、融合阻害剤、ガンシクロビル(Cytovene)、イバシタビン、イバリズマブ(Trogarzo)、イドクスウリジン、イミキモド、イムノビル、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、インターフェロンI型、インターフェロンII型、インターフェロンIII型、インターフェロン、ラミブジン、レテルモビル(Prevymis)、ロピナビル、ロビリド、マラビロック、メチサゾン、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル、ニタゾキサニド、ノルビル、ヌクレオシド類似体、オセルタミビル(タミフル)、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペンシクロビル、ペラミビル(ラピバブ)、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害薬(薬理学)、ピラミジン、ラルテグラビル、レムデシビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リルピビリン(エデュラント)、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、シメプレビル(オリシオ)、ソホスブビル、スタブジン、相乗的エンハンサー(抗レトロウイルス)、テラプレビル、テルビブジン(タイゼカ)、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、テノホビル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、トルバダ、バラシクロビル(バルトレックス)、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル(Relenza)及びジドブジンからなる群から選択される。
【0037】
静脈内投与の必要性及びレムデシビルの潜在的に限られた有効性により、代替療法又は補充療法の更なる調査が促された。したがって、様々な実施形態によれば、本開示は、併用療法におけるレムデシビルとのパートナとして本明細書に開示される化合物を提供する。
【0038】
本明細書に開示される併用療法は、いずれか又は両方の併用パートナの薬物用量を減少させながら治療の有効性を増加させることができ、したがって、より高い用量の投与に関連し得る副作用を予防することができる。薬物の組み合わせはまた、薬物耐性の獲得を遅らせることができる。相加的相互作用の予想を超える併用療法の活性の増加として定義される薬物相乗効果はまれであり、更に相加効果自体が治療レジメンを改善することができる。逆に、拮抗作用、化合物が独立して作用した場合に予想されるものを超える組み合わせ全体の活性の阻害は、望ましくない特性である。
【0039】
したがって、FDAに承認されたレムデシビルヒットとReFRAMEヒットとの間の相乗的、相加的、及び拮抗的相互作用を特定するために、本発明者等はチェッカーボード実験で相乗的相互作用研究を行い、11ヒットの用量応答に対するレムデシビルの完全用量応答を、10×10マトリックスにおける魅力的な安全性及び薬物動態学的プロファイルと比較した(
図2、パネルE)。本発明者等は、ゼロ相互作用効力モデル(ZIP)(14)を使用して試験した化合物間の相互作用を評価するためにRの相乗作用ファインダーパッケージ(13)を使用し、δスコア>10は相乗作用の可能性を示し、δ<-10は拮抗作用を示し、-10と10の間のδは相加的な相互作用を示唆する。結果は、いくつかの例示的な組み合わせが相加的であることを示した(
図2、パネルE及びF、表1)。
【0040】
このスクリーニングではまた、ヌクレオシド類似体リボプリン(悪心及び手術部位感染症の治療のための抗新生物剤として以前に研究されたN6-イソペンテニルアデノシン、並びに処方された出生前/出生後マルチビタミン/ミネラル錠剤であるCitraNatal 90 DHAの成分)及び葉酸拮抗薬10デアザアミノプテリン(現在開発の第II相段階にある抗新生物化合物)が、レムデシビルの活性と相乗作用する活性を有するとして特定された。両化合物の相乗効果は、特定の濃度にわたって観察され、3次元相乗作用スコアランドスケープ内のピークとして示された。
【0041】
リボプリンは試験した濃度範囲にわたって最大(100%)の有効性を達成したが、レムデシビルのEC2の添加はそのEC50を12μMから3.6μMにシフトさせ、レムデシビルのEC24の添加はその効力をEC50=1.6μMまで更に増加させた。10-デアザアミノプテリンは、試験した濃度範囲にわたってわずか40%の最大有効性を示したが、レムデシビルのEC2の添加は最大有効性の40%からほぼ65%への増加を引き起こし(2%のシフトが予想される)、レムデシビルのEC24の添加は組み合わせの最大有効性を40%から>80%に増加させた。
【0042】
医薬組成物
本開示は、様々な実施形態において、治療有効量の本明細書に記載の表1又は表4から選択される少なくとも1つの化合物、治療有効量の本明細書に記載の抗感染剤、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的配合の許容される慣例に従って、1つ又は複数の追加の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、アジュバント、安定剤、乳化剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、及び香味付与剤を更に含む。
【0043】
本開示の医薬組成物は、優良医療実務と一致する様式で製剤化され、適量に分けられ、投与される。これに関連して考慮すべき因子には、処置される特定の障害、処置される特定の対象、対象の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に知られている他の因子が含まれる。
【0044】
併用療法の全ての有効成分を含む、投与される化合物の「治療有効量」は、そのような考慮事項によって左右され、抗感染性、例えば抗ウイルス効果を誘発するのに必要な最小量である。そのような量は、正常細胞又は対象全体に対して毒性である量未満であり得る。一般に、投与される本開示の化合物の初期治療有効量は、約0.01~約200mg/kg又は約0.1~約20mg/kg患者体重/日の範囲であり、典型的な初期範囲は約0.3~約15mg/kg/日である。経口単位剤形、例えば錠剤及びカプセル剤は、約1mg~約1000mgの本開示の化合物を含有し得る。別の実施形態では、そのような剤形は、約50mg~約500mgの本開示の化合物を含有する。更に別の実施形態では、そのような剤形は、約25mg~約200mgの本開示の化合物を含有する。更に別の実施形態では、そのような剤形は、約10mg~約100mgの本開示の化合物を含有する。更なる実施形態では、そのような剤形は、約5mg~約50mgの本開示の化合物を含有する。
【0045】
組成物は、投与単位製剤で経口、局所、非経口、吸入若しくはスプレー又は直腸投与することができる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術を含む。
【0046】
本開示による適切な経口組成物には、錠剤、トローチ、薬用ドロップ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬質又は軟質カプセル、シロップ又はエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本開示の化合物又はその薬学的に許容される立体異性体、塩若しくは互変異性体及び薬学的に許容される担体を含む単一単位投与量に適した医薬組成物が本開示の範囲内に含まれる。
【0048】
経口使用に適した組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができる。例えば、化合物の液体製剤は、アルギナーゼ阻害剤の薬学的に洗練された口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有する。
【0049】
錠剤組成物については、非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合した本開示の化合物を錠剤の製造に使用する。そのような賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤;造粒崩壊剤、例えばコーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアカシア;及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクが挙げられるがこれらに限定されない。錠剤はコーティングされていなくてもよく、又は胃腸管での崩壊及び吸収を遅延させ、それによって所望の期間にわたって持続的な治療作用を提供するために公知のコーティング技術によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を使用することができる。
【0050】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセルとして、又は活性成分が水若しくは油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0051】
水性懸濁液の場合、本開示の化合物は、安定な懸濁液を維持するのに適した賦形剤と混合される。そのような賦形剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
経口懸濁液はまた、分散剤又は湿潤剤、例えば天然ホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートを含有し得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn-プロピルp-ヒドロキシ安息香酸、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及び1つ以上の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンを含有し得る。
【0053】
油性懸濁液は、本開示の化合物を植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油、又は流動パラフィン等の鉱油に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、硬質パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。
【0054】
上記のような甘味剤及び香味剤を添加して、口当たりのよい経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸等の酸化防止剤の添加によって保存され得る。
【0055】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1つ以上の防腐剤と混合した本開示の化合物を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上述したものによって例示される。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤及び着色剤も存在し得る。
【0056】
本開示の医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油若しくは落花生油、又は鉱油、例えば流動パラフィン若しくはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するガム、例えばアラビアガム又はトラガカントガム、天然に存在するホスファチド、例えばダイズ、レシチン、並びに脂肪酸及びヘキシトールに由来するエステル又は部分エステル、無水物、例えばソルビタンモノオレエート、及び当該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合ジオン生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルジョンはまた、甘味剤及び香味剤を含有し得る。
【0057】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースと共に製剤化され得る。そのような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、並びに香味剤及び着色剤を含有し得る。医薬組成物は、滅菌注射剤、水性懸濁液又は油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上記の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用され得る許容され得るビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。更に、滅菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を使用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0058】
本開示の化合物はまた、化合物の直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融解して薬物を放出する、適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。そのような材料は、ココアバター及びポリエチレングリコールである。
【0059】
非経口投与のための組成物は、滅菌培地中で投与される。使用されるビヒクル及び製剤中の薬物の濃度に応じて、非経口製剤は、懸濁液又は溶解した薬物を含有する溶液のいずれかであり得る。局所麻酔薬、保存剤及び緩衝剤等のアジュバントを非経口組成物に添加することもできる。
【0060】
[実施例]
以下の実施例は、例示であり、本明細書に記載の組成物、方法、及び製剤の範囲に限定されない。
【0061】
ウイルス生成。Vero E6細胞(ATCC CRL-1586)を、10%FBS、1×PenStrep(Corning20-002-CL)、2mMのL-グルタミン(Corning 25-005-CL)を含有する完全DMEM(Corning 15-013-CV)を含むT225フラスコに37℃、5%CO2で一晩播種した。フラスコ内の培地を除去し、完全DMEM中の2mLのSARS-CoV-2株USA-WA1/2020(BEI Resources NR-52281)を0.5のMOIでフラスコに添加し、34℃、5%CO2で30分間インキュベートした。インキュベーション後、30mLの完全DMEMをフラスコに添加した。次いで、フラスコを34℃のインキュベータ内に5%CO2で5日間置いた。感染後5日目に上清を回収し、1,000×gで5分間遠心分離した。上清を0.22μMフィルターで濾過し、-80℃で保存した。
【0062】
ReFRAMEライブラリ:化合物管理、薬物アノテーション及びスクリーンデータアクセス。ReFRAMEライブラリコレクションは、高品質ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解したほぼ12,000個の高純度化合物(>95%)からなる。化合物の品質管理は、必要に応じて液体クロマトグラフィー-質量分析及び/又は1H-NMRによって行った。低濃度(2~10μM)及び高濃度(10~50μM)のスクリーニング形式をサポートするために、ライブラリを2mM及び10mMの2つの濃度で調製した。エコー認定された384ウェル低デッドボリューム+マイクロプレート(LP-0200-BC;Labcyte Inc.)をライブラリソースプレートとして使用して、Echo 555リキッドハンドラ(Labcyte Inc.)による音響伝達をサポートした。DMSOに溶解しない化合物を水にプレートした(129個の化合物)。DMSOへの長期溶解性を欠く化合物を、沈殿を避けるために分注直前に懸濁した(71個の化合物)。
【0063】
関連する化合物の注釈(表1)は、3つの広く使用されている市販の薬物競争知能データベース:Clarivate Integrity,GVK Excelra GoStar、及びCiteline Pharmaprojectsによって支持されている。利用可能な場合、アノテーションデータは、臨床開発の状況及び達成された開発の最高段階、作用機序、1又は複数の薬物適応症、及び投与経路を含み得る。
【0064】
HeLa-ACE2安定細胞株。HeLa-ACE2細胞を、ヒトACE2レンチウイルスの形質導入によって作製した。レンチウイルスは、Lipofectamine2000(Thermo Fisher Scientific、11668019)を使用して、pBOB-hACE2構築物及びレンチウイルスパッケージングプラスミドpMDL、pREV及びpVSV-G(Addgene)によるHEK293T細胞の同時トランスフェクションによって作製した。トランスフェクションの48時間後に上清を回収し、次いで、予め播種したHeLa細胞を形質導入するために使用した。形質導入の12時間後、安定な細胞株を回収し、スケールアップし、保存した。細胞を、10%FBS(Gibco、10438026)及び1×ピルビン酸ナトリウム(Gibco、11360070)を含むDMEM(Gibco、11965-092)中、37℃、5%CO2で維持した。
【0065】
SARS-CoV-2/HeLa-ACE2高含有量スクリーニングアッセイ。化合物を384ウェルμ透明底プレート(Greiner,Part.No.781090-2B)に音響的に移した。HeLa-ACE2細胞を、ウェル当たり1.0×103細胞の密度で、2%FBSを含む13μLのDMEMに播種した。プレートした細胞をBSL3施設に輸送し、そこで、粉末再確認のために0.65に調整した、一次スクリーニングのためのアッセイ感染多重度(MOI)=2.2で、アッセイ培地で希釈した13μLのSARS-CoV-2をウェル当たり添加した。プレートを34℃、5%CO2で24時間インキュベートし、次いで、4%ホルムアルデヒドの最終濃度で34℃、5%CO2で1時間固定した。プレートを固定とその後の一次及び二次抗体染色との間に1×PBS0.05%Tween20で洗浄した。Perm/Wash緩衝液(BD Biosciences554723)で1:500に希釈したヒトポリクローナル血漿をプレートに添加し、室温で2時間インキュベートした。SuperBlock T20(PBS)緩衝液(Thermo Fisher Scientific37515)中8μg/mL(1:250希釈)のヤギ抗ヒトH+Lコンジュゲート化Alexa488(Thermo Fisher Scientific A11013)を8μMのantifade-46-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI;Thermo Fisher Scientific D1306)と共にプレートに添加し、暗所で室温で1時間インキュベートした。プレートを、10×対物レンズを有するImageXpress Micro Confocal High-Content Imaging System(Molecular Devices)を使用して画像化し、ウェル当たり4つの視野を画像化した。画像を、宿主細胞核(画像中の細胞の総数)を同定するDAPI染色及び感染細胞の同定をもたらすSARS-CoV-2免疫蛍光シグナルを用いて、多波長細胞スコアリングアプリケーションモジュール(MetaXpress)を使用して分析した。
【0066】
添加時間(TOA)アッセイ。HeLa-ACE2細胞を、アッセイ培地(2%FBSを含むDMEM)に懸濁したSARS-CoV-2に、1.5のMOIで、34℃、5%CO2で1時間感染させ、次いで、PBSで十分に洗浄し、標準的なHeLa-ACE2感染アッセイの場合と同様に、化合物を予めスポットしたアッセイ用384ウェルプレートに播種した。時間経過実験のために、細胞を4、5、6、7、8、10、11、12及び24hpiの最終濃度の4%ホルムアルデヒドで固定し、標準的な感染アッセイの場合と同様に染色及び画像化して、TOAアッセイの最適な時点を決定した。細胞を10hpiに固定して、TOAアッセイを同じ様式で行った。
【0067】
Calu-3ハイコンテンツスクリーニングアッセイ。アッセイは、以下の例外を除いて、HeLa-ACE2アッセイについて概説したように実施される。Calu-3細胞(ATCC HTB-55)(NCATS/NIHのDr.及びScripps ResearchのDr.Juan Carlos de la Torreからの善意の贈与)を、アッセイ培地(2%FBSを含むMEM)に20μL/ウェルで5,000細胞の密度で播種し、アッセイ培地で希釈したSARS-CoV-2を、0.75~1のMOIで添加して、約30~60%の感染細胞を達成した。プレートを34℃、5%CO2で48時間インキュベートし、次いで、4%ホルムアルデヒドの最終濃度で固定した。固定した細胞を染色し、HeLa-ACE2アッセイと同様に画像化した。
【0068】
非感染宿主細胞傷害性カウンタースクリーニング。HeLa-ACE2細胞の場合、化合物を1,536ウェルμクリアプレート(Greiner Part、No.789091)に音響的に移した。HeLa-ACE2細胞を感染アッセイについて記載されるように維持し、2%FBSを含むDMEM中400細胞/ウェルでアッセイ準備プレートに播種し、プレートを37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。細胞生存率を評価するために、Image-iT DEADグリーン試薬(Thermo Fisher)を製造者の説明書に従って使用した。細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、DAPIで対比染色した。10×対物レンズを有するImageXpressマイクロ共焦点ハイコンテンツイメージングシステム(Molecular Devices)を使用して固定細胞を画像化し、Live Deadアプリケーションモジュール(MetaXpress)を使用して取得した画像においてウェル当たりの全生細胞を定量化した。
【0069】
Calu-3細胞の場合、アッセイ培地(2%FBSを含むMEM)にCalu-3細胞をウェル当たり5μL当たり600細胞の密度で播種する前に、化合物を1,536ウェルプレート(Corning No.9006BC)に音響的に移した。プレートを37℃、5%CO2で48時間インキュベートした。細胞生存率を評価するために、水に希釈した2μLの50%Cell-Titer Glo(Promega No G7573)を細胞に添加し、EnVision Plate Reader(Perkin Elmer)で発光を測定した。
【0070】
HepG2(ATCC HB-8065)及びHEK293T(ATCC CRL-3216)哺乳動物細胞株を、加湿組織培養インキュベータにおいて、10%熱不活性化HyClone FBS(GE Healthcare Life Sciences)、100IUペニシリン及び100mg/mLストレプトマイシン(Gibco)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Gibco)中、37℃、5%CO2で維持した。ヒット化合物の哺乳動物毒性をアッセイするために、750個のHepG2及び375個のHEK293T細胞/ウェルを、40μMで開始する3倍段階希釈で音響的に転移させた化合物を含有する1536ウェル白色組織培養処理固体底板(Corning、9006BC)中のアッセイ培地(DMEM、2%FBS、100IUペニシリン及び100mg/mLストレプトマイシン)にそれぞれ播種した。72時間のインキュベーション後、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega NoG7573)を用いて、Calu-3細胞の場合と同様に細胞生存率を定量した。
【0071】
SARS-CoV-2一次ALI HBECモデル。正常な初代ヒト気管支上皮細胞(HBEC)(Lonza)を、1μmのPETフィルター(Sigma)を備えたMillicell-96細胞培養インサートプレート内で、気液界面で、PneumaCult(商標)-ALI培地(Stemcell Technologies)を用いて少なくとも4週間培養した。簡単に説明すると、HBECを最初に細胞培養フラスコで増殖させた後、PneumaCult(商標)-Ex Plus培地に浸してウェル当たり10,000個の細胞を播種した。1週間後、細胞をPneuma Cult(商標)-ALI培地に切り替え、培地を頂端面から除去した。気液界面を維持し、培地を2~3日ごとに少なくとも4週間交換して、細胞の分化を可能にした。感染前に、頂端面をDPBSで1回すすぎ、化合物を基底外側チャンバーに添加した。20,000PFU SARS-CoV-2株USA-WA1/2020を50μLのPBS中で頂端面に添加し、2時間インキュベートした。次いで、接種材料を除去し、細胞をDPBSで1回すすいだ。培地を交換し、新鮮な化合物を感染の24時間後及び48時間後に添加した。感染後72時間で、頂端表面に100μLのDPBSを15分間添加することによって頂端洗浄液を回収した。RNAを、PureLink(商標)Pro 96Viral RNA/DNA Purification Kit(Thermo Fisher)を使用して頂端洗浄液から単離し、SuperScript(商標)III Platinum(商標)One-Step qRT-PCR Kit(Thermo Fisher)及び2019-nCoV N1 CDCプライマー及びプローブセット(Integrated DNA Technologies)を使用するRT-qPCRによってウイルスRNAレベルについて分析した。ストックウイルスの連続希釈物からRNAを単離することによって標準曲線を作成し、各試料のPFU当量/mLを決定するために使用した。次いで、ウイルス量減少を、中性DMSO対照と比較して各実験化合物処置について決定し、対数スケールでプロットした。細胞傷害性を、細胞傷害性検出キット(LDH)(Sigma)を製造者の説明書に従って使用して側底培地中のLDH活性を測定することによって評価した。実験試料について平均値を取り、陽性対照ピューロマイシンのパーセンテージとして示した。抗ウイルス性及び細胞傷害性の読出しの両方について、技術的な三連を行った。
【0072】
ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2有効性モデル。8週齢のゴールデンシリアンハムスター(Charles River)(群当たり5匹)に、示されるように経口(PO)で投薬した。最初の投与の4時間後、100μLのDMEM中の動物当たり106個の総PFUの鼻腔内設置によってハムスターを感染させた。ハムスターに化合物を1日2回(BID)投与し、試験期間中体重を測定した。感染後5日目に、ハムスターを屠殺し、肺組織を分析のために単離した。研究プロトコルは承認され、Scripps Research IACUC Protocol#20-0003に従って実施された。
【0073】
肺ウイルス力価測定。100μm細胞ストレーナー(Myriad2825-8367)を使用してDMEM2%FCS中で器官をホモジナイズすることによって、SARS-CoV2力価を測定した。均質化された器官を6段階にわたって1:10で滴定し、Vero細胞上に重層した。37℃で1時間インキュベートした後、DMEMオーバーレイ中1%メチルセルロースを添加し、細胞を37℃で3日間インキュベートした。細胞を4%PFAで固定し、プラークをクリスタルバイオレット染色によって計数した。
【0074】
薬物動態学的研究。薬物動態研究は、IACUCガイドライン(IACUCプロトコル#09-0004-5)に従って、Scripps Research Institute’s Animal Models Coreで実施した。8週齢の雄のシリアンハムスター(Charles River)(1群当たり3匹)に、各化合物及び製剤について示されるようにPOを投与した。各試験物の血漿濃度を48時間まで監視した。薬物動態試験及び有効性試験の両方のために、ネルフィナビルを10%DMSO/90%トウモロコシ油に製剤化し、MK-4482を10%PEG400/2.5%Cremaphor RH40に製剤化した。
【0075】
ハムスター肺RNA分析。非感染(U、n=2)、ビヒクル処理(V、n=4)及びMK-4482処理(T、n=4)試料からのハムスター肺を、RNASeqプラットフォームを用いて分析した。パイソンパッケージscipy.stats.median_absolute_deviationを使用して、全ての遺伝子について平均絶対偏差(MAD)を計算する。StepMinerアルゴリズムSahoo,D.,Dill,D.L.,Tibshirani,R.&Plevritis,S.K.Extracting binary signals from microarray time-course data.Nucleic Acids Res 35,3705-3712,doi:10.1093/nar/gkm284(2007)を適用して、22,284個の遺伝子を14,939個までフィルタリングする高いMAD値を選択した。StepMinerアルゴリズムを再度適用して、14,939を8,617遺伝子までフィルタリングした。パイソンseabornクラスターマップライブラリ機能を用いて、これらの8,617個の遺伝子に対して階層的凝集クラスタリング分析を行った。差次的発現分析を、DESeq227(MK-4482処理対ビヒクル処理試料)を使用して行い、調整されたp値<0.1及び倍数変化の|log2|>1を適用して、アップレギュレーション/ダウンレギュレーションされた遺伝子を同定する。組換え経路分析(Fabregat,A.et al.The Reactome Pathway Knowledgebase.Nucleic Acids Res 46,D649-D655,doi:10.1093/nar/gkx1132(2018))を実施して、遺伝子セットに濃縮された高レベルの生物学的プロセスを同定した。x軸として-log10(fdr)を有する棒グラフを使用して、濃縮された生物学的プロセスの有意性を実証する。
【0076】
RNASeq。RNA配列決定ライブラリを、25年以前に正確に記載されたように、TruSeq Unique Dual Indexes(Illumina,San Diego,CA)により、Illumina TruSeq Stranded Total RNA Library Prep Goldを使用して作製した。簡潔には、RNA剪断時間を5分に変更することを除いて、サンプルを製造者の指示に従って処理した。得られたライブラリを多重化し、University of California San Diegoのthe Institute of Genomic Medicine(IGM)によりIllumina NovaSeq 6000上でサンプル当たり約25~4000万リードの深さまで100塩基対(bp)の対末端(PE100)で配列決定した。bcl2fastq v2.20 Conversion Software(Illumina,San Diego,CA)を用いて試料を逆多重化した。RNAseqデータを、kallisto(version 0.45.0),Mesocricetus auratus genome(MesAur1.0)を使用して処理した。tximport及びbiomaRt Rパッケージを使用して、遺伝子レベルTPM値及び遺伝子注釈を計算した。カスタムパイソンスクリプトを使用してデータを編成し、TPM>1の場合はlog2(TPM)を使用し、TPM<=1の場合はTPM-1を使用してログを削減した。ハムスター試験のために、カリストインデックスをMesocricetus_auratus.MesAur1.0.ncrna.fa.gz+Mesocricetus_auratus MesAur1.0cdna.all.fa.gzで調製した。生データ及び処理されたデータは、Gene Expression Omnibus(NCBI GEOからの係属中のGSEID)に寄託される。
【0077】
ハムスター肺の病理組織学/濾液の定量化。ImageJソフトウェアを使用して、H&E染色スライド画像を定量化する(倍率20倍)。画像を最初に8ビットに変換し(画像>種類>8ビット)、それらの閾値を調整し(画像>調整>閾値)、暗い染色核のみを確実に検出するために70~80%の閾値を選択する。閾値化後、画像をマスクに変換し(プロセス>バイナリ>マスクに変換)、デフォルト設定で解析し(解析>粒子を解析)、表示結果を追加してアウトラインを示し、出力をGraphPad Prism(V9.0.0)にエクスポートし、ノンパラメトリック両側マン・ホイットニー統計検定を使用して有意性を計算した。
【0078】
データ分析。MetaXpress(バージョン6.5.4.532)を用いて、高コンテンツ画像解析を行った。一次インビトロスクリーニング及び宿主細胞傷害性カウンタースクリーニングのデータをGenedata Screener、バージョン16.0.3-Standardにアップロードした。HeLa-ACE2データを、中性(DMSO)マイナス阻害剤対照(HeLa-ACE2細胞における抗ウイルス効果については2.4μMレムデシビル及び感染宿主細胞毒性については10μMピューロマイシン)に対して正規化した。Calu-3感染アッセイデータを、中性(DMSO)マイナス阻害剤対照(10μMレムデシビル)に対して正規化し、Calu-3細胞数の読出しについては、全細胞を刺激因子(10μMレムデシビル)マイナス中性対照(DMSO)に対して正規化した。非感染宿主細胞傷害性カウンタースクリーニングのために、40μMピューロマイシン(Sigma)をHeLa-ACE2、HepG2及びHEK293T細胞における陽性(阻害性)対照として使用し、30μMピューロマイシン(Sigma)をCalu-3細胞に対する陽性(阻害性)対照として使用した。用量応答実験のために、化合物を異なるアッセイプレート上で技術的な三連で試験し、用量曲線を4つのパラメータヒル式でフィッティングした。技術的複製データを、中央凝縮を用いて分析した。複数の独立した生物学的実験で得られた化合物活性(EC50及びCC50)について、幾何平均及び幾何標準偏差を報告する。Rの相乗ファインダーパッケージ(バージョン3.6.3)を相乗効果分析に使用した((Ianevski,A.,He,L.,Aittokallio,T.&Tang,J.SynergyFinder:a web application for analyzing drug combination dose-response matrix data.Bioinformatics 33,2413-2415,doi:10.1093/bioinformatics/btx162(2017))。幾何平均は、全ての値の対数(底10)を計算し、これらの対数の平均を計算し、その平均の逆対数をとることによって計算した。幾何標準偏差は、対数変換された個々の値の標準偏差をとり、その標準偏差の逆対数をとることによって計算した。幾何標準偏差は単位なしの比率であり、+/-.の代わりに×÷として報告される。すなわち、報告された0.123μM×÷1.276について、標準偏差範囲は0.096μM~0.157μM(すなわち、0.123μM÷1.276~0.123μM×1.276)である。
【0079】
SARS-CoV-2に対する高スループットCalu-3表現型ReFRAMEスクリーニング。比較的迅速な24時間HeLa-ACE2アッセイを補完し、ヒットを優先順位付けするために、本発明者等は、同じ抗体検出及び同様のアッセイワークフローに依存するCalu-3細胞を使用して、第二のより生理学的に関連する感染アッセイを開発し、SARS-CoV-2感染(hpi)後48時間で読み出した(上述)。Calu-3は、ACE2受容体と宿主セリンプロテアーゼTMPRSS2の両方を内因的に発現するヒト肺上皮細胞であり、これはSARS-CoV-2スパイクタンパク質のプロセシング及び宿主細胞へのウイルス侵入に必要であり(Hoffmann,M.et al.SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor.Cell 181,271-280 e278,doi:10.1016/j.cell.2020.02.052(2020))、一方、TMPRSS2発現を欠くHeLa-ACE2細胞における強い感染は、コロナウイルスの一般的に認識されている機構であるエンドソームのカテプシン媒介性ウイルス侵入経路に依存する可能性が高い(Yang,N.&Shen,H.M.Targeting the Endocytic Pathway and Autophagy Process as a Novel Therapeutic Strategy in COVID-19.Int J Biol Sci 16,1724-1731,doi:10.7150/ijbs.45498(2020))。
【0080】
レムデシビルは、Calu-3細胞において活性であり(EC50=444nM×÷1.514(n=4))、TMPRSS2阻害剤メシル酸ナファモスタットと同様であった(EC50=24nM×÷1.55(n=3))。HeLa-ACE2スクリーニングとは対照的に、Calu-3アッセイでは細胞変性効果がより顕著であった(MOIがより高く、使用されるインキュベーション時間がより長いためと思われる)。結果として、抗ウイルス化合物はまた、細胞をウイルス誘導性細胞死から保護し、化合物抗ウイルス活性に関連する第2の測定基準を提供した。注目すべきことに、52回のHeLa-ACE2 ReFRAMEヒットの大部分は、Calu-3細胞ベースのアッセイでは活性でなかった(58%、30/52)か、又は選択的でなかった。
【0081】
HeLa-ACE2及びCalu-3細胞における活性の重複の制限により、Calu-3細胞を用いたReFRAMEライブラリの再スクリーニングが促された。スクリーニングを2.5μMの最終濃度で実施し、RZ’=0.744であり、感染の>50%の阻害、感染の<80%の細胞毒性又は>40%の阻害、及び細胞数の>40%の増加(ウイルス誘導性細胞死からの保護)を示す235の主要ヒットが同定された。これらのうち、145は、用量応答形式で試験した場合に中程度に活性であったが(EC50<10μM)、しかし、42のみがまた選択的であった(CC50/EC50>10又はCC50>30μM)。88個の推定ヒット化合物を新鮮な粉末ストック(CC50/EC50>5又はCC50>30μM、CC50/EC50<5であるが、非感染細胞傷害性アッセイで50%未満の減少があり、EC50<1μMを有する3つの追加の化合物が感染細胞数読み出しで保護を示す)として試験するために選択し、87個が強力であると再確認され、41個がCalu-3細胞においても選択的であると再確認された。再確認された41個のCalu-3ReFRAMEヒットを同様にHeLa-ACE2感染アッセイで再試験した。これらのうち、63%(26/41)はHeLa-ACE2細胞においてSARS-CoV-2に対して不活性であったが、34%(14/41)は活性であるが強く細胞傷害性であり、非感染HeLa-ACE2細胞においてCC50は3μM未満であった。エンドソームカテプシン媒介侵入阻害剤の同定。Calu-3アッセイにおけるHeLa-ACE2 ReFRAMEヒットの限定された活性の1つの可能性のある供給源は、各細胞株においてウイルスによって使用される侵入機構であるため、本発明者等は、HeLa-ACE2細胞における添加時間(TOA)アッセイを確立し、ReFRAMEヒットの中で、TMPRSS2侵入の文脈において活性である可能性が低いカテプシン媒介性ウイルス侵入阻害剤を同定した。最初に感染の動態を決定するために、HeLa-ACE2細胞をSARS-CoV-2に1時間感染させ、その後、吸着していないウイルスを洗い流し、細胞をDMSO、ヒドロキシクロロキン、アピリモド又はレムデシビルの存在下、10μMの最終濃度で384ウェルプレートに蒔いた。ウェル中の細胞を示されるように4hpiから24hpiまで固定し、各時点での感染細胞パーセントを定量した。
【0082】
レムデシビルを除く全ての処置において、ウイルス感染は、6hpiでの抗体染色によって最初に明らかとなり、10hpiから12hpiでほぼ最大レベルに達した。1hpiで治療を開始した場合のアピリモド及びヒドロキシクロロキンの両方の活性の喪失は、これらの化合物がHeLa-ACE2細胞へのウイルス侵入をブロックする一方で、レムデシビル治療は、その直接的な抗ウイルス作用機序と一致して、1hpiで治療を開始したにもかかわらず、感染を効果的にブロックしたことを示す。
【0083】
これらの結果に基づいて、本発明者等は、用量応答における全てのHeLa-ACE2 ReFRAMEヒットの活性を評価したTOAアッセイ(上記)において、複製サイクルを制限するために10hpiの時点を使用した。本発明者等は、TOAアッセイにおけるそれらの活性の低下、すなわち標準的な24時間とTOAアッセイとの間の>10のEC50比に基づいて、Calu-3細胞において不活性であった化合物の33%(10/30)がHeLa-ACE2における侵入阻害剤であることを見出した。対照的に、Calu-3細胞においても活性であった化合物(EC50<10μM)は、その閾値において進入阻害剤として明確に分類することができなかった。オシメルチニブ及びMK-2206はそれぞれ>8の比を有し、これらがHeLa-ACE2細胞におけるウイルス侵入に関与し得ることを示唆したが、Calu-3細胞におけるそれらの抗ウイルス活性は非特異的であった(SI<2)。
【0084】
ReFRAMEヒット優先順位付け及び検証。ReFRAMEライブラリは、生物活性小分子の集合体であり、その多くは承認された薬物又は開発の臨床段階にあり、多種多様な適応症に使用される。HeLa-ACE2スクリーニングで粉末として再確認された上位5クラスの強力かつ選択的な化合物は、腫瘍崩壊性化合物(9)、イオンチャネル調節剤(7)、抗炎症剤(5)、抗ウイルス剤(5)及びシグナル伝達調節剤(5)であったが、Calu-3スクリーニングでは、上位5クラスはシグナル伝達調節剤(14)、腫瘍崩壊性化合物(11)、プロテアーゼ阻害薬(7)、抗生物質(3)及びイオンチャネル調節剤(3)であった。両方のスクリーニングにおける強力かつ選択的なヒットのうちの5番目は、急速に増殖する細胞に存在する宿主細胞プロセスへのウイルスの依存を反映して、腫瘍崩壊薬として分類され得る。HeLa-ACE2細胞において排他的に抗精神病及び抗寄生虫(顧みられない熱帯病)クラスに属する化合物の同定は、これらの分子のいくつかのカチオン性の両親媒性の性質、及び酸性の細胞内区画に蓄積し、それに影響を及ぼすそれらの能力を反映し得る(例えば後期エンドソーム/リソソーム)。エンドリソソーム経路の結果として生じる調節不全及び脂質ホメオスタシスは、ウイルスの侵入及び/又は複製を損なうことが示唆されている(Salata,C.,Calistri,A.,Parolin,C.,Baritussio,A.&Palu,G.Antiviral activity of cationic amphiphilic drugs.Expert Rev Anti Infect Ther 15,483-492,doi:10.1080/14787210.2017.1305888(2017))、この作用様式は、いずれもHeLa-ACE2スクリーニングにおいてSARS-CoV-2に対する強力かつ選択的なヒットとして特定された、アミオダロン及びヒドロキシクロロキンについて推測されている。しかしながら、ヒドロキシクロロキンのみが本発明者等のアッセイにおいて侵入阻害剤として同定された。
【0085】
本発明者等の一次スクリーニングでヒットとして同定された化合物から、高い関心対象の化合物は、HeLa-ACE2及びCalu-3アッセイの両方で活性及び選択性であり、HeLa-ACE2細胞における侵入阻害剤として分類されなかったレムデシビルのプロファイルのようなプロファイルを有する化合物であった。プロドラッグMK-4482の親であるN-ヒドロキシシチジンは、MK-4482自体はインビトロで活性ではなかったが、おそらくMK-4482をその活性形態に変える代謝の欠如のために、そのプロファイルと一致した。
【0086】
更に、Calu-3において活性であるが、HeLa-ACE2細胞において活性ではないナファモスタットメシラート、TMPRSS2阻害剤等の化合物は、感染の進行モデルにおいて活性である可能性を有していた。逆に、Calu-3細胞において活性でないHeLa-ACE2細胞における侵入阻害剤(例えば、アピリモド、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン)の優先順位を下げた。発明者らの優先順位付けに基づいて、発明者らは、感染の直交気液界面初代ヒト気管支上皮細胞(ALI-HBEC)モデルにおいてSARS-CoV-2に対する代表的なヒットの活性を試験した。これらの分化した気道細胞は、高レベルのACE2及びTMPRSS2の両方を発現する。予想通り、レムデシビル及びメシル酸ナファモスタットは、ALI-HBECにおいてウイルス複製を阻害したが、アピリモドは阻害しなかった。更に、メシル酸ネルフィナビル、MK-4482及びその親N-ヒドロキシシチジンは全て、72hpiで頂端ウイルス量の1log超の減少を引き起こした。これらの結果は、ヒット優先順位付けの本発明者等のモデルと一致した。
【0087】
全体として、本発明者等は、承認された経口薬ハロファントリンHCl、メシル酸ネルフィナビル、シメプレビル、及びマニジピンを、両方のアッセイにおけるそれらの活性、並びに治療薬としてのそれらの比較的高い曝露量又は長い使用歴のために最も関心の高いヒットとして特定し、したがって動物モデルにおける更なる有効性評価後にCOVID-19治療として迅速に再利用される可能性を特定した。ウイルスプロテアーゼ阻害薬のネルフィナビル及びシメプレビルは、良好な血漿曝露を報告しており、それらの記載された作用様式に基づいて、それらはSARS-CoV-2を直接阻害し得る。承認されたカルシウムチャネル遮断薬のマニジピンは、血漿曝露が低いが、患者のCOVID-19疾患の転帰を改善する可能性があり得る。様々な開発段階の9つの他の化合物もまた、スクリーニングアッセイにおける効力又は薬物動態プロファイルのために有効性を示す可能性が高い(表を参照のこと)。TO-195及びRWJ-56423は両方ともトリプシン阻害剤であり、アボラルスタットはウイルス侵入を阻止し得るCalu-3細胞において活性なカリクレイン阻害剤である。p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)阻害剤、LY222820/メシル酸ラリメチニブは、HeLa-ACE2スクリーニング及びCalu-3スクリーニングの両方で活性であり、p38 MAPK23の阻害を介して他のコロナウイルスの複製を阻害することが以前に示された。したがって、p38MAPKは、コロナウイルス複製を阻害するための重要な宿主標的であり得る。注目すべきことに、プロドラッグMK-4482の親であるN-ヒドロキシシチジン(モルヌピラビル、EIDD-2801)は、HeLa-ACE2アッセイ及びCalu-3アッセイの両方において強力かつ選択的なヒットであった。MK-4482は、Ridgeback Biotherapeutics及びMerckによってCOVID-19患者の治療において現在評価されている経口抗ウイルスヌクレオシド類似体である。
【0088】
MK-4482経口投与は、SARS-CoV-2感染に対して完全に防御的である。ALI-HBEC初代細胞モデルにおける実証されたインビトロ効力並びにネルフィナビル及びMK-4482/N-ヒドロキシシチジンの十分な曝露(ネルフィナビルの単回500mg/kg PO用量では約3時間のCalu-3SARS-CoV-2のEC50の時間、MK-4482の単回500mg/kg PO用量では7時間以上のHeLa-ACE2及びCalu-3EC50の時間)のために、SARS-CoV-2感染のゴールデンシリアンハムスター動物モデルにおけるネルフィナビル及びMK-4482の有効性を調査した。用量依存的保護を評価するために、ネルフィナビルを500mg/kg BID(1日2回)でPO送達し、MK-4482を500mg/kg、150mg/kg及び50mg/kg BIDでPO送達した。一致したビヒクルのみの懸濁液を対照として使用した。最初の処置の4時間後、動物を鼻腔内投与によって1×106PFUのSARS-CoV-2(USA-WA1/2020)でチャレンジした。疾患進行の尺度として動物の体重を毎日測定し、感染の5日目に肺組織を単離してウイルス力価、肺組織学及び遺伝子発現プロファイルを決定した。ネルフィナビルは、おそらくハムスターにおける不十分な血漿曝露に起因して、体重減少及びウイルス複製から動物を保護することができなかった。しかし、MK-4482は、500mg/kgで動物を重度の体重減少から保護し、平均して感染5日目において開始体重の97%であった。150mg/kg群及び50mg/kg群は、感染の5日目にビヒクル対照85%と比較して、それぞれその開始重量の平均89%及び90%の減量による部分的な保護を示した。
【0089】
体重減少との相関を分析するために、クリスタルバイオレットに基づくプラークアッセイを使用して、5日目の肺試料から相対的ウイルス力価を決定した。500mg/kg及び150mg/kgの用量は、肺において検出不能な生存ウイルス力価を有し、ウイルス複製からの完全な保護を示した。50mg/kg群は平均4.5×103PFU/肺であり、平均4.5×105PFU/肺のビヒクル対照群と比較して中程度に良好な有効性(99%のウイルス減少)を示した。
【0090】
500mg/kg処置群における体重減少及びウイルス血症からの保護は、ハムスター肺に対するRNA Seq分析、引き続いて教師なし階層的クラスタリングによって決定されるように、宿主免疫応答からのほぼ完全な保護に関連していた;MK-4482処理(500mg/kg)試料を非感染試料と一緒にクラスター化した。DESeq2分析により、感染したビヒクル処理肺が、インターフェロンシグナル伝達及びインターフェロン刺激遺伝子を含む、COVID-19において上方制御されると報告されている経路に関連する66個の遺伝子の発現を誘導することが確認された(Tindle,C.et al.Adult Stem Cell-derived Complete Lung Organoid Models Emulate Lung Disease in COVID-19.bioRxiv,doi:10.1101/2020.10.17.344002(2020);Sahoo,D.et al.AI-guided discovery of the invariant host response to viral pandemics.bioRxiv,doi:10.1101/2020.09.21.305698(2020))。最後に、組織学的検査により、MK-4482処置ハムスターの肺が保護され、非感染動物の組織によりよく似ていることが確認された。全く対照的に、ビヒクル処置対照群の肺組織の検査は、肺胞腔の閉塞及び圧倒的な免疫細胞浸潤を明らかにした。
【0091】
本開示において引用される参考文献の番号
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参照による組込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】