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特表2023-524305造形用コンパウンドおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-09
(54)【発明の名称】造形用コンパウンドおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20230602BHJP
   C08K 5/12 20060101ALI20230602BHJP
   C08K 5/11 20060101ALI20230602BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230602BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
C08L27/06
C08K5/12
C08K5/11
C08K3/34
C08K3/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567436
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2021025152
(87)【国際公開番号】W WO2021223908
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】102020002686.9
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314006226
【氏名又は名称】ステッドラー マルス ゲーエムーベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】STAEDTLER Mars GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Moosaeckerstrasse 3, D-90427 Nuernberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ザビナ ヘルデゲン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベルツナー
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BD031
4J002DE147
4J002DJ007
4J002DJ017
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002EG076
4J002EH096
4J002EH126
4J002EH146
4J002EQ018
4J002FD017
4J002FD026
4J002FD098
4J002GB01
4J002GC00
4J002GN00
(57)【要約】
本発明は、少なくともバインダーと可塑剤とからなる、オーブンで硬化させることができる造形用コンパウンドであって、バインダーおよび可塑剤が、プラスチゾルとして形成されており、プラスチゾルが、実質的にPVCと可塑剤とから構成されており、コンパウンドの可塑剤の全含有量が32~60重量%である、コンパウンドに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバインダーと可塑剤とからなる、オーブンで硬化させることができる造形用コンパウンドであって、前記バインダーおよび前記可塑剤は、プラスチゾルとして形成されており、前記プラスチゾルは、実質的にPVCと可塑剤とから構成されている、コンパウンドにおいて、前記コンパウンドの可塑剤の全含有量が32~60重量%であることを特徴とする、コンパウンド。
【請求項2】
好ましい一実施形態での前記可塑剤の全含有量が35~55重量%である、請求項1記載のコンパウンド。
【請求項3】
前記可塑剤が、フタレート不含および/またはフタレート含有可塑剤として形成されている、請求項1または2記載のコンパウンド。
【請求項4】
前記フタレート不含の可塑剤が、クエン酸をベースとして、アジピン酸をベースとしておよび/または安息香酸エステルをベースとして構成されている、請求項1または2記載のコンパウンド。
【請求項5】
好ましく使用される前記フタレート不含の可塑剤が、クエン酸アセチルトリブチル、アセチルクエン酸トリ(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリデシル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、モノグリセリドの酢酸エステル、安息香酸塩、または前記物質の少なくとも2つの混合物である、請求項3記載のコンパウンド。
【請求項6】
前記コンパウンドが、少なくとも
20~68重量% バインダー
32~60重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤
0~20重量% 他の添加物
から構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のコンパウンド。
【請求項7】
前記充填剤が無機および/または有機である、請求項1から6までのいずれか1項記載のコンパウンド。
【請求項8】
前記充填剤が、カオリン、タルク、チョーク、シリカ、水酸化アルミニウム、粉末クレイおよび/または軽量充填剤である、請求項1から7までのいずれか1項記載のコンパウンド。
【請求項9】
着色剤が、顔料として、粉末顔料として、好ましくはアゾ不含着色顔料、エフェクト顔料および/またはアゾ不含被覆染料として存在する、請求項1から8までのいずれか1項記載のコンパウンド。
【請求項10】
請求項1記載の造形用コンパウンドの製造方法において、前記方法/プロセスは、
PVC粉末と、ある量の可塑剤とを、必要に応じて他の添加物および/または添加剤とともに混合工程に供し、前記混合工程を約55~70℃の混合温度で行う
というように構成されていることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブンで硬化させることができる造形用コンパウンドおよび該造形用コンパウンドの製造方法に関する。
【0002】
物品の成形および造形用の、可塑性でかつオーブンで硬化させることができるコンパウンドは、原理的には知られている。
【0003】
造形用コンパウンドとは、いわゆるクレイであると理解され、あるいはポリマー含有コンパウンドの場合にはポリマークレイとも理解される。
【0004】
例えば独国特許発明第2515757号明細書から、可塑性であり、手で変形させることができ、かつ加熱により硬化させることができるコンパウンドが知られている。このようなコンパウンドは実質的に、ポリ塩化ビニル(PVC)と、充填剤と、フタレート含有可塑剤とからなる。
【0005】
さらに、独国特許出願公開第102005059143号明細書から、フタレート含有可塑剤を使用していない造形用コンパウンドが知られている。
【0006】
先行技術によるこのようなコンパウンドの欠点は、このようなコンパウンドにはエージングに対する耐久性がなく、また造形用コンパウンドのブロックが、包装未開封の場合であっても長期保存時に硬度の増加を示すことである。それにより、使用者が造形用コンパウンドを混練することが困難となる。これはまだエージングの理想的な事例である。なぜならば、長期保存により、手で混練することができなくなり、造形ブロックが使用できなくなることさえあるためである。これは、コンパウンド中の可塑剤が室温ですでに相互作用を示すことに起因し得る。これは、未硬化状態のPVC含有造形用コンパウンドのエージングプロセスと称される。先行技術による造形用コンパウンドの場合、粉末状の原料が20~30℃の温度で可塑剤と混合される。この場合、25~30重量%の可塑剤吸収量が達成される。時間の経過とともに、例えば長期保存時に個々のPVCアグロメレートが崩壊するとPVC粒子の表面積が増加するため、これによりまた可塑剤が必要となる。PVC粒子間の間隙にそれまで蓄積されていた可塑剤は、造形用コンパウンドのソフトな混練/練り込み挙動に大きく関与するが、こうした可塑剤は、この場合もはや存在しない。その代わり、可塑剤は、崩壊したアグロメレートの新たに生成された表面に蓄積される。その結果、この現象により、未硬化の造形用コンパウンドの硬度が時間の経過とともに増加する。
【0007】
したがって本発明の課題は、冒頭で挙げられた欠点を有しない造形または成形用コンパウンドを創作するとともに、特に未硬化状態のPVC含有造形用コンパウンドの保存時のエージングプロセスを最小限に抑え、ひいてはより高い保存安定性を保証することである。
【0008】
本発明の課題はさらに、オーブン硬化後の造形用コンパウンドの柔軟性を高めるとともに、必要に応じて硬化コンパウンドの透明性をガラスのような透明性まで向上させることである。
【0009】
さらに本発明の課題は、そのようなコンパウンドを製造することができる方法を創作することである。
【0010】
この課題は、請求項1および請求項9に包含される特徴によって解決される。本発明によるコンパウンドの有利な実施形態および発展形態は、他の請求項に包含される。
【0011】
オーブンで硬化させることができる本発明による造形用コンパウンドは、少なくともバインダーと可塑剤とからなり、バインダーは、プラスチゾルとして存在し、プラスチゾルは実質的に、PVCと、可塑剤と、任意に他の添加物質および/または添加剤とから構成される。造形用コンパウンドは、他の添加物質および/または添加剤として、例えば少なくとも1つの充填剤を含むことができる。混合物中の可塑剤の含有量が、可塑剤が一方ではPVC粒子の表面に蓄積され、他方では内容物中の固体粒子間の間隙に蓄積されて混練可能な抵抗が形成されるように調整されると、造形可能なコンパウンドが生じる。可塑剤の含有量が少なすぎる場合、すなわち、可塑剤が固体粒子の表面にのみ蓄積されており、追加で間隙には存在していない場合には、コンパウンドが硬すぎるか、あるいは非常に混練しにくいものとなる。一方で、固体粒子の表面も固体粒子間の間隙も完全に可塑剤で覆われているか、あるいはさらには可塑剤の過飽和状態である場合には、得られる造形用コンパウンドの流動性が高すぎるため、もはや造形することができなくなる。
【0012】
このように造形された物品および物体を永続的に固体である状態に移行させるには、熱を供給することが必要である。これは、いわゆるオーブン硬化と呼ばれるものである。ここで硬化工程を担うのが可塑剤あるいは可塑剤分であり、これはPVCとの相互作用によりコンパウンドを硬化させる。しかし、可塑剤は、室温保存ですでにPVC粒子またはPVC固体粒子に対してある程度の親和性を示し、一部がアグロメレートからなるPVC粒子を崩壊させ、その結果、新たな表面/表面領域を生成することが判明している。間隙に蓄積されていた可塑剤は、この新たに生成された表面を通って、この新たに生成された表面に移行する。その結果、間隙に液状の可塑剤成分がなく混練性が低下するため、造形用コンパウンドの硬度が増加する。
【0013】
本発明によるコンパウンドの特別な利点は、本発明による方法により、より高温で、より多量の可塑剤を用いて混合することにより、アグロメレートの崩壊(=エージングプロセス)を製造プロセスに前倒しできることである。これにより、結果的に、例えば「製造プロセス時のエージングプロセス」の開始後にさらに可塑剤を狙いどおりに添加することによって、未硬化コンパウンドの保存安定性あるいは経時的な硬度増加が改善される。さらなる利点として、造形用コンパウンド中の可塑剤の割合/含有量の増加によって、硬化プロセス時に系内でゲル化する能力が向上し、ひいてはオーブン硬化後により大きな弾性が生じることが判明した。驚くべきことに、より高い温度とそれに伴う可塑剤含有量で混合し、充填剤および/または添加剤の使用を低減することによって、オーブン硬化後の透明性を著しく高めることができることが判明した。
【0014】
使用されるバインダーは、実質的にPVCとして存在しており、このバインダーと、添加された可塑剤とが、プラスチゾルを形成する。ここで、PVCは、特に乳化剤含有または乳化剤不含の乳化PVC、懸濁PVCおよびマイクロビーズ懸濁PVC、または個々のPVCタイプの混合物として存在することができる。
【0015】
可塑剤としては、フタレート不含および/またはフタレート含有可塑剤を使用することができる。可塑剤の全含有量は、32~60重量%、好ましい一実施形態では35~55重量%、特に好ましい一実施形態では38~52重量%である。
【0016】
フタレート不含の可塑剤は、クエン酸をベースとして、アジピン酸をベースとしておよび/または安息香酸エステルをベースとして構成されている。フタレート不含の可塑剤は、例えば、クエン酸アセチルトリブチル、アセチルクエン酸トリ(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリデシル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸トリエチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、モノグリセリドの酢酸エステル、安息香酸塩、または前記物質の少なくとも2つの混合物である。可塑剤は、さらに安息香酸塩または安息香酸エステルの群に属することができる。例として、2,2,4-トリエチル-1,3-ペンタンジイルジベンゾエートおよびその誘導体、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールモノベンゾエートおよび/またはプロピレングリコールジベンゾエートが挙げられる。前述のすべての可塑剤の任意の混合物が可能である。
【0017】
フタレート含有可塑剤としては、例示的に、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレートおよびジブチルフタレートが挙げられる。フタレート含有可塑剤の任意の混合物が可能である。また、フタレート不含の可塑剤とフタレート含有可塑剤とからなる可塑剤混合物を使用することも可能である。
【0018】
本発明の特に好ましい一実施形態は、フタレート含有可塑剤を含まないコンパウンドである。
【0019】
安定剤は、PVCの安定性を向上させ、すなわち、特に塩化水素の脱離を防ぐ。この目的で、特に金属カルシウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、ナトリウムおよびカリウムの無機塩および有機塩、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸スズおよび/または金属塩の混合物が使用される。
【0020】
充填剤としては、粒子径が250μm未満、好ましくは100μm未満である無機および/または有機充填剤、例えば、カオリン、チョーク、シリカ、タルク、水酸化アルミニウムおよび/または粉末クレイが実質的に使用される。さらなる充填剤として、金属光輝材、光輝性粉末および光輝性フレークまたは前記物質の混合物が存在してもよく、これにより、例えば特別な光学効果が達成される。充填剤として、いわゆる軽量充填剤を使用してもよく、また言及した他の充填剤をブレンドしてもよい。軽量充填剤の例は、例えば3M社またはLehmann & Voss社製の中空球体、特に中空微小ガラス球である。軽量充填剤の含有量に応じて、所望の密度を設定することができ、これは有利には0.3~1.1g/mlの範囲である。また、市販の軽量充填剤のサイズも自由に選択でき、そのサイズは、好ましくは10~400μmの範囲である。さらに、ポリマー系充填剤を使用することも可能である。この群の例として、PAMA、PMMAおよび/またはポリエチレンが挙げられる。
【0021】
着色剤として、顔料が、純粋な形態で、粉末顔料として、好ましくはアゾ不含着色顔料、エフェクト顔料および/またはアゾ不含被覆染料として存在することができる。多数の可能な着色顔料の選択肢として、ピグメントイエロー14(C.I.21095)、ピグメントレッド254(C.I.56110)、ピグメントオレンジ34(C.I.21110)、ピグメントレッド122(C.I.73915)、ピグメントグリーン7(C.I.74260)、ピグメントホワイト6(C.I.77891)、ピグメントブラック7(C.I.77266)、ピグメントレッド101(C.I.77491)、ピグメントバイオレット23(C.I.51319)、ピグメントブルー29(C.I.77007)、ピグメントイエロー185(C.I.56290)、ピグメントイエロー1(C.I.11680)、ピグメントレッド48:2(C.I.15865:2)、ピグメントレッド53:1(C.I.15585:1)、ピグメントオレンジ34(C.I.21115)、ピグメントイエロー83(C.I.21108)およびピグメントブルー15(C.I.74160)が挙げられる。これらの着色剤の添加により、造形用コンパウンドに鮮やかな外観が付与される。さらなる着色剤として、真珠光沢顔料、マイカ・鉄金属光沢顔料、ポリエステル光輝性顔料および発光顔料が提示される。
【0022】
ここで、様々に着色された混練コンパウンドを、さらに任意に互いにブレンド、混合または混練して、マーブリング効果を得ることもできることが判明している。
【0023】
以下、本発明につき、構成例およびいくつかの配合例を用いてより詳細に説明する。
【0024】
構成例1
20~68重量% バインダー
32~60重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤
0~20重量% 他の添加物
【0025】
構成例2 好ましい組成
40~68重量% バインダー
35~55重量% 可塑剤
0~20重量% 充填剤
0~20重量% 他の添加物
【0026】
構成例3 特に好ましい組成
45~63重量% バインダー
38~52重量% 可塑剤
0~17重量% 充填剤
0~15重量% 他の添加物
【0027】
安定剤、補助安定剤、着色剤および/または充填剤は、必要に応じて使用可能な他の添加物質の例である。
【0028】
配合例1 黄色に着色された造形用コンパウンド
51重量% E-PVCおよびS-PVC
42重量% ATBCをベースとする可塑剤
6重量% 安定剤
0.5重量% 充填剤
0.5重量% ピグメントイエロー83
【0029】
配合例 2 硬化後に透明である造形用コンパウンド
48重量% E-PVCおよびS-PVC
52重量% ATBCをベースとする可塑剤
【0030】
先行技術 独国特許出願公開第102005059143号明細書に記載の比較配合
59重量% PVC
24重量% クエン酸をベースとする可塑剤
1重量% 安定剤
7重量% 補助安定剤
4重量% 充填剤
1重量% ピグメントレッド254
【0031】
好ましく使用されるフタレート不含の可塑剤は、クエン酸および/またはアジピン酸をベースとして構成されている。
【0032】
コンパウンドの所望のコンシステンシーは、バインダー含有量および/または可塑剤含有量を変えることによって容易に調整することができる。
【0033】
本発明につき、以下の表を用いてより詳細に説明する。
【0034】
【表1】
【0035】
先行技術と比較して、オーブンでまだ硬化させていない本願明細書に記載のコンパウンドは、40℃で経時保存(30日または90日)した場合、表1に示すように硬度の増加が著しく少ないことが判明した。
【0036】
【表2】
【0037】
これらの高い破断強度は、「テクスチャアナライザー」を用いて求め、確認することができた。長さ10cm、直径1cmの丸棒破断片を試験体として製造する。
【0038】
以下に、このような造形用コンパウンドを製造するための本発明による方法を説明する。
【0039】
本発明による方法の背景として、コンパウンド中の個々の成分の混合工程が、約55~70℃、好ましくは約58~65℃の高温で行われることが前提とされる。その結果、すでに混合工程の時点でアグロメレートの崩壊が開始され、それにより、より高含有量の可塑剤がPVCの固相に添加されるか、あるいは添加することができる。このアグロメレートの崩壊により新たな表面が早期に生成されるため、すでに混合プロセスの時点でより多くの可塑剤を添加/導入することができる。
【0040】
本発明によるコンパウンドの製造方法/プロセスは、以下のように説明することができる。本プロセスでは、PVC粉末と、ある量の可塑剤とを、必要に応じて他の添加物および/または添加剤とともに約55~70℃の混合温度での混合工程に供する。
【0041】
本方法におけるコンパウンドの成分は、
20~68重量% バインダー
32~60重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤、および
0~20重量% 他の添加物
である。
【0042】
本方法におけるコンパウンドの好ましい成分は、
40~68重量% バインダー
35~55重量% 可塑剤
0~40重量% 充填剤、および
0~20重量% 他の添加物
である。
【0043】
本方法におけるコンパウンドの特に好ましい成分は、
45~63重量% バインダー
38~52重量% 可塑剤
0~17重量% 充填剤
0~15重量% 他の添加物
である。
【0044】
造形用コンパウンドのPVC系により多くの量の可塑剤を添加/導入することで、造形用コンパウンドの硬度の経時的な増加が抑えられ、ひいては保存安定性が大幅に向上する。
【0045】
驚くべきことに、PVC粉末に添加される可塑剤の量が多いほど、硬化プロセス後に得られるコンパウンドの柔軟性が高くなることが判明した。この可塑剤の含有量が多いと、硬化コンパウンドの柔軟性が有意に/著しく増加する。さらに、驚くべきことに、本発明による方法によって、より高い透明性も達成できることが判明した。
【0046】
本発明によるコンパウンドは、可塑性であり、手で変形させることができ、かつ加熱により硬化させることができるコンパウンドの製造において、子供が使用するための、ならびに工芸品および/または工業製品およびそれから製造される製品、例えば印鑑や宝飾品を製造するための造形用コンパウンドとして使用される。
【0047】
本コンパウンドまたは造形用コンパウンドはさらに、医療分野において、触覚能力の訓練やリハビリを目的とした治療目的で使用される。
【0048】
本発明によるコンパウンドを用いて製造された物品および物体は、成形により物品および物体を造形した後に、熱の作用により硬化される。
【国際調査報告】