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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/73 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
B65D85/73
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020563496
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(85)【翻訳文提出日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2019057179
(87)【国際公開番号】W WO2019211042
(87)【国際公開日】2019-11-07
(31)【優先権主張番号】102018110764.1
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520431306
【氏名又は名称】アルダー メタル ビバレッジ ホールディングス ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨブゲス,ウド
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA03
3E035AB10
3E035BA06
3E035BC03
(57)【要約】
底部(4)と、蓋(5)と、底部(4)を蓋(5)に接続する壁領域(6)とを有するハウジング(3)を少なくとも備えた飲料容器(1)。飲料容器(1)は、液体(9)を部分的に充填可能な第1の容積(7)を有する。飲料容器(1)は、第3の容積(11)を有する圧力容器(10)をさらに備える。圧力容器は第1の容積(7)内に配置される。圧力容器(10)は、第1の容積(7)と第3の容積(11)とを接続する直径0.2ミリメートル未満の穴(12)を少なくとも1つ有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(3)を少なくとも備えた飲料容器(1)であって、
前記ハウジング(3)は、底部(4)と、蓋(5)と、前記底部(4)を前記蓋(5)に接続する壁領域(6)とを有し、
前記飲料容器(1)は、液体(9)を部分的に充填可能な第1の容積(7)を有し、
前記飲料容器(1)は、第3の容積(11)を有する圧力容器(10)をさらに備え、
前記圧力容器は、前記第1の容積(7)内に配置され、
前記圧力容器(10)は、前記第1の容積(7)と第3の容積(11)とを接続し且つ直径0.2ミリメートル未満である穴(12)を少なくとも1つ有するか、又は、
前記第1の容積(7)は、前記底部(4)と前記蓋(5)との間に軸線方向(16)に沿って最大高さ(17)を有するかのいずれかであり、
前記圧力容器(10)は、第1の端部(18)と第2の端部(19)との間に、前記軸線方向(16)に沿って、前記最大高さ(17)の少なくとも50%である長さ(20)を有する
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器(1)であって、
前記圧力容器(10)は複数の穴(12)を有し、
前記穴(12)は全て、直径が0.2ミリメートル未満である
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料容器(1)であって、
飲料容器(1)が直立しているとき、
前記複数の穴(12)のうちの少なくとも2つは、高さ(15)の互いに異なる高さ位置に配置される
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項4】
請求項2及び3のどちらか1項に記載の飲料容器(1)であって、
飲料容器(1)が直立しているとき、
前記複数の穴(12)のうちの少なくとも2つは、高さ(15)の同一高さ位置に配置される
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料容器(1)であって、
飲料容器(1)が直立しているとき、
前記圧力容器(10)の前記第3の容積(11)は、前記蓋(5)に隣接する上方領域(21)内に延在し、
前記上方領域(21)は、前記液体(9)の所定の充填レベル(22)より上に位置する
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料容器(1)であって、
飲料容器(1)が直立しているとき、
前記第1の容積(7)は最下点(23)を少なくとも1つ有し、
前記圧力容器(10)の前記第3の容積(11)は、前記少なくとも1つの穴(12)が前記最下点(23)から最大で5ミリメートル離れて配置されるように、前記底部(4)に隣接する下方領域(24)内に延在する
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料容器(1)であって、
前記底部(4)と前記蓋(5)と前記壁領域(6)とは前記飲料容器(1)の壁(25)を形成し、
前記圧力容器(10)は、少なくとも前記第1の端部(18)又は前記第2の端部(19)が前記飲料容器(1)の前記壁(25)に隣接させて配置され、
これにより、少なくとも軸線方向(16)を基準として、前記第1または第2の端部(18、19)と前記壁(25)との間に当接(26)が形成される
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料容器(1)であって、
前記圧力容器(10)は、前記軸線方向(16)に沿って少なくとも部分的に円筒形状(27)を有し、
前記円筒形状(27)の直径が最大で20ミリメートルである
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の飲料容器(1)であって、
前記圧力容器(10)は最大で0.4ミリメートルの壁厚を有する
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の飲料容器(1)であって、
前記第3の容積(11)を有する前記圧力容器(10)は、前記壁領域(6)に直接隣接して配置される
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の飲料容器(1)であって、
前記圧力容器(10)は、前記第1の容積(7)内に専ら圧力嵌めで固定される
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の飲料容器(1)であって、
前記圧力容器(10)は、弾性変形可能な保持要素(29)によって、前記第1の容積(7)内の位置(28)に固定される
ことを特徴とする飲料容器(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の飲料容器(1)内に配置される圧力容器(10)であって、
前記圧力容器(10)は、直径0.2ミリメートル未満の穴(12)を少なくとも1つ有する
ことを特徴とする圧力容器(10)。
【請求項14】
請求項13に記載の圧力容器(10)であって、
前記圧力容器(10)は、弾性変形可能な保持要素(29)をさらに有し、
前記保持要素(29)は、前記第3の容積(11)の外側に延在しており、
前記圧力容器(10)用に用意された前記飲料容器(1)の壁(25)に前記保持要素(29)をプレテンション方式で配置可能にする形状を有する
ことを特徴とする圧力容器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器、特に(金属製)飲料用缶に関する。飲料容器は、液体などの中身を貯蔵する役割を担う。閉状態(初期状態)において、飲料容器は、周囲に対して、または約1バールの大気圧に対して、陽圧下にある。
【背景技術】
【0002】
これが正に該当するのは、中身が炭酸飲料である飲料用缶において、飲料容器が初回開封前に最大6.2バールの内圧下に置かれ得る場合である。
【0003】
特許文献1は、圧力容器(ウィジェット)が飲料容器の内部に配置されている飲料容器を開示している。ここでは、ガスが圧力容器内に貯蔵されており、飲料容器を開封すると、ガスが圧力容器の穴から出て、飲料容器内に貯蔵されている液体を発泡させる。一般には、ガスは不活性ガスを含んでおり、場合によってはさらに二酸化炭素を含んでいる。この不活性ガスは、窒素等である。圧力容器は、飲料容器の底部領域に配置されており、圧力容器から液体内に流出したガスができる限り大きな容積の液体を発泡させるようになっている。この目的のために、圧力容器は、液体内に完全に沈められている。圧力容器に設けられた少なくとも0.2ミリメートルの直径を有する穴が記載されている。
【0004】
飲料容器内の液体用の容積は、この圧力容器により減少する。
【0005】
このような飲料容器を改良することと、液体をできる限り均一に且つ一様に発泡させるように配置することについて、常に需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0227213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的の一つは、従来技術における既存の諸問題を少なくとも部分的に解決することであり、特に、液体又は安定した発泡体をできる限り均一に且つ一様に発泡させることを実現できる飲料容器を提供することである。同時に、飲料容器内の、液体用に使用可能な容積を、できる限り効率的に利用することも意図している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、請求項1の特徴による飲料容器によって達成される。従属請求項には、飲料容器のさらに有利な実施形態を記載する。なお、従属請求項に個々に列挙されている特徴は、技術的に有意な方法で互いに組み合わせ可能であり、本発明のさらなる実施形態を規定し得る。さらに、これらの請求項に記載の特徴は、明細書本文においてより詳しく規定及び説明されており、本発明の更なる好適な実施形態が提示されている。
【0009】
(金属製)飲料容器であって、底部と、蓋と、底部を蓋に接続する(円筒形の)壁領域とを有する(初期状態において密封されている)ハウジングを少なくとも備えた飲料容器を提案する。この飲料容器は、第1の容積を有し、この第1の容積は、液体(の第2の容積)で部分的に充填可能である(または、初期状態において充填されている)。飲料容器は、第3の容積を有する圧力容器をさらに備える。前記圧力容器は、第1の容積内に配置される。
・圧力容器は、第1の容積と第3の容積とを接続する穴を少なくとも1つ有し、この穴は、直径0.2ミリメートル未満、特に0・18ミリメートル未満、好ましくは0.15ミリメートル未満、特に好ましくは0.12ミリメートル未満、特に極めて好ましくは0.1ミリメートル以下(特に少なくとも0.05ミリメートル)であるか、又は、
・第1の容積は、底部と蓋との間に軸線方向に沿って最大高さを有し、圧力容器は、第1の端部と第2の端部との間に、軸線方向に沿って、この最大高さの少なくとも50%である長さ、特に少なくとも75%である長さ、好ましくは少なくとも85%である長さを有するか、又は、
その両方が成り立つ。
【0010】
初期状態において、飲料容器は、特に第1圧力下にある。この第1圧力は、周囲の第2圧力より大きい(第2圧力は、特に最大で1.1バールであり、少なくとも2.5バールであることが好ましい)。飲料容器が初期状態にある限り、これら容積(第1の容積、第2の容積、第3の容積)の圧力は、いずれの場合も、特に等しい。
【0011】
初期状態において、圧力容器は、ガスで(おそらく一部をさらに液体で)少なくとも部分的に充填されている。飲料容器が開封されて周囲と圧力が等しくなると、少なくともガスが(おそらく液体も)第3の容積から少なくとも1つの穴を通って液体内に流出する。
【0012】
飲料容器は、特に飲料用の缶である。
【0013】
飲料容器が直立状態にあるとき、重力の方向を基準として底部は最下部にあり、蓋は最上部にある。特に、壁領域は、(飲料容器が直立しているとき)重力の方向に(ほぼ)平行な軸線方向に沿って、底部と蓋との間に延在しており、底部及び蓋の全周に周方向に延在している。
【0014】
第1の容積は、特に0.1リットルと5リットルの間、好ましくは最大で3リットル、特に好ましくは最大で1.5リットルである。
【0015】
第2の容積は、第1の容積よりも、特に1%~10%小さく、好ましくは1%~5%小さい。
【0016】
第3の容積は、第1の容積の特に1%~5%であり、好ましくは1%~3%である。
【0017】
特に、第2の容積と第3の容積との和は、第1の容積より少なくとも1%小さい。
【0018】
飲料容器の開封は、原則として、蓋に設けられた可動の開口部によって行われる。特に、開口部は再密封できないか、又は、開口部の再密封によって、初期状態において支配的であった陽圧を復元することはできない。
【0019】
驚くべきことに、相対的に小さな穴によって泡の形成を大幅に向上できることが証明された。特に、圧力容器内のガスは相対的に長時間にわたって放出されるので、より一様な泡の形成を観察できる。さらに、全体としてより均質でより安定した泡を生成できるように、液体中での泡の形成に影響を及ぼすことができる。特に明らかになったのは、より良好な泡の形成のおかげで、第3の容積をさらに縮小できることである。泡の形成を実現するために圧力容器内に必要とされるガスの量は、これまで必要とされた量より少ない。それに応じて、第2の容積を増やし、第3の容積を減らすことができるので、より多くの液体を飲料容器内に貯蔵できる。
【0020】
圧力容器は、複数の穴を有してもよい。特に、穴は全て、直径が0.2ミリメートル未満、特に0.18ミリメートル未満、好ましくは0.15ミリメートル未満、特に好ましくは0.12ミリメートル未満、特に極めて好ましくは0.1ミリメートル以下(特に少なくとも0.05ミリメートル)である。複数の穴を設けることで、泡の形成に効果的に影響を及ぼすことができる。特に、液体の相対的に大きな部分容積すなわち第2の容積をこのように活性化できる。
【0021】
特に、飲料容器が直立しているとき、複数の穴のうちの少なくとも2つが、互いに異なる高さ位置に配置される。
【0022】
飲料容器は、特に底部から蓋に向って軸線方向に沿って延在している。軸線方向は、壁領域に平行に延びることが好ましい。特に、飲料容器は、ほぼ円筒形の形状であり、(例えば第1の容積を開閉するための構造物や、蓋に設けられた構造物は別として)軸線方向に平行に延在する回転軸または対称軸を有する。
【0023】
高さは、特に軸線方向に沿って延在しており、第1の容積の底部の領域にある最下点から蓋の領域にある最上点に向かって延在する。軸線方向に沿って測定された、最下点と最上点との間の距離は、最大高さと呼ぶ。1つの穴などが位置する高さの値は、高さ位置と呼ぶ。
【0024】
特に、飲料容器が直立しているとき、複数の穴のうちの少なくとも2つが、高さが同一の高さ位置に配置される。
【0025】
第1の容積は、特に底部と蓋との間に、軸線方向に沿って最大高さを有する。圧力容器は、最大高さの少なくとも50%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、である長さを第1の端部と第2の端部との間に軸線方向に沿って有する。
【0026】
この長さは、最大高さの少なくとも90%または少なくとも95%であることが特に好ましい。
【0027】
別の実施形態においては、この長さは、最大高さの98%、またはほぼ100%(例えば少なくとも99.5%)である。
【0028】
特に、飲料容器が直立しているとき、圧力容器の第3の容積は、蓋に隣接する上方領域内まで上方に延在する。この上方領域は、液体の所定の充填レベルより上に位置する。
【0029】
第3の容積が上方領域内に突出することにより、第2の容積を第1の容積に対してさらに増大させることが可能になる。
【0030】
特に、飲料容器が直立しているとき、第1の容積は、最下点を少なくとも1つ有する。圧力容器の第3の容積は、少なくとも1つの穴が最下点から最大で10ミリメートル、特に最大で8ミリメートル、好ましくは最大で6ミリメートル、特に好ましくは最大で4ミリメートル、離れて配置されるように、底部に隣接する下方領域内に延在する。特に、最下点からの距離が小さいことが必要であり、これは、圧力容器の少なくとも壁厚によって事前に決定される。
【0031】
飲料容器内の従来のガス充填式圧力容器は、底部に対して、及び壁領域に対して、原則として中心にあるように配置されていた。ここで、これらの圧力容器は、第1の容積内まで(通常)湾曲している底部に当接して配置されており、必要に応じて、そこに接着剤で固締されていた。湾曲した底部に配置されていることにより、圧力容器の穴が第1の容積の最下点から相対的に大きな距離に配置されることは避けられない。しかしながら、これまでは、飲料容器内に貯蔵されている液体の相対的に小さな部分容積しか泡の形成のために刺激できなかった。
【0032】
ただし、現在提案されている、高さに沿って延在する圧力容器は、半径方向へのその広がりが相対的に小さいため、底部に対して又は第1の容積に対して、偏心配置することも可能である。したがって、圧力容器を、壁領域に特に(直接)隣接させて配置し、飲料容器のコアベベル(Kernschrage、湾曲した底部の周囲に通常延在する飲料容器の最下縁)内まで延在させることが可能になる。
【0033】
少なくとも1つの穴を最下点から近距離に配置すると、圧力容器から流出する少なくともガスにより第2の容積の相対的に大きな部分容積を活性化できる。
【0034】
特に、圧力容器は飲料容器の両コアベベル内まで延在するので、該圧力容器は、両コアベベルによって、少なくとも半径方向に対してその位置に固定される(すなわち、両コアベベル内まで延在する)。
【0035】
特に、圧力容器は、少なくとも一端において、好ましくは両端において、飲料容器によって(特に飲料容器のみによって)、弾性的に変形してもよい(この変形は、一方のコアベベルによって又は両方のコアベベルによって行われることが好ましい)。その結果、圧力容器は、周方向に対しても、両コアベベル内の且つ第1の容積内のその位置に固定される。
【0036】
特に、圧力容器は、少なくとも第1の端部又は第2の端部が飲料容器の壁(例えば、底部、蓋、又は、壁領域)に(直接)隣接して配置され、これにより、少なくとも軸線方向を基準として、第1及び第2の端部と壁との間が当接する。特に、圧力容器が軸線方向に沿ってさらに変位すると、壁に接触している圧力容器の端部の少なくとも1つが、半径方向に又は周方向に変位するように、圧力容器は壁に対して配置される。この文脈においては、隣接しているとは、特に、端部が壁から最大で2ミリメートルの距離に配置されていることを意味する。さらに、直接隣接しているとは、端部が壁に接触していることを意味する。
【0037】
特に、両方の端部はいずれも、壁に(直接)隣接して配置され、これにより、軸線方向に沿って圧力容器がさらに動いてしまうことが少なくとも制限される。
【0038】
特に、飲料容器に対して圧力容器が移動したことによって圧力容器が外れてしまったり、雑音が発生したりするのを防止できる。
【0039】
特に、圧力容器は、(第1の端部と第2の端部との間に)軸線方向に沿って少なくとも部分的に(好ましくは全体的に)円筒形状を有する。この円筒形状の直径は、最大で20ミリメートル、好ましくは最大で15ミリメートル、特に好ましくは最大で13ミリメートルである。特に、この直径は、少なくとも5ミリメートル、好ましくは少なくとも10ミリメートルである。
【0040】
圧力容器は、特に、最大で0.4ミリメートル、好ましくは最大で0.3ミリメートル、特に好ましくは最大で0.25ミリメートルの壁厚を有する。
【0041】
圧力容器に使用される材料は、特にプラスチックを含み、特にPP(ポリプロピレン)を含む。特に、圧力容器は、ハウジングとは異なる材料から製作される。
【0042】
特に、圧力容器は、初期状態において特に両側に開口端を有する(例えば、ストロー又は飲用ストローのような)(円筒形の)筒から製作される。圧力容器を製作するには、筒を必要な長さに切断し、その後又は同時に、この必要な長さに切断された筒の両端を閉じる。最後に、少なくとも1つの穴が形成される。
【0043】
特に、この穴は、例えば針を使用して開けられる、すなわち穿刺される。直径0.1ミリメートルの穴を形成するために、例えば直径0.14ミリメートルの針を使用することができる。穴の直径がより小さければ、穿刺作業中において圧力容器の材料は、部分的に弾性変形する。
【0044】
特に、多数の部品が必要とされる場合は、再現可能な方法で穴の穿刺を行ってもよい。
【0045】
射出成形による製作後に穴が打ち抜き工程によって形成される公知の容器に比べ、穿刺は、相対的に小さな穴を再現可能な方法で製作できる。
【0046】
特に、第3の容積を有する圧力容器は、壁領域に直接隣接して配置される。
【0047】
圧力容器は、第1の容積内の位置に専ら圧力嵌めで固定可能である。特に、飲料容器への圧力容器を固定するのに、接着剤を使用していない。したがって、この接着剤も飲料容器の製作における原価要素であるが、食品に使用しても安全な接着剤を使用する必要がない。
【0048】
あるいは、接着剤を使用して、一体として接合された態様で、圧力容器を飲料容器の壁に(特に壁領域に)接続することもできる。
【0049】
あるいは、接着剤を使用して、圧力容器を飲料容器の壁に(特に壁領域に)接続してもよい。この場合、圧力容器は、飲料容器の各コアベベル内まで延在すること等によって、さらに少なくとも半径方向に対してその位置に固定されるか、又は、(少なくとも弾性変形の結果として又は保持要素によって等により)圧力嵌めで、その位置に固定される。
【0050】
圧力容器は、弾性変形可能な保持要素によって、第1の容積内の位置に固定されることが好ましい。フィルム条片等の保持要素は、圧力容器と共に飲料容器内に配置される前に、(超音波溶接、接着、一体成形等により)圧力容器に接続される。保持要素は、特に、変形された状態で飲料容器に入れられ、そこで好ましくは自動的に弾性変形する。特に、保持要素は、飲料容器の壁に、好ましくは壁領域に、自らを押し付け、保持要素のさらなるプレテンションで圧力容器を固定する。このプレテンションは、特に、保持要素を飲料容器に圧力嵌めで接続する。
【0051】
飲料容器の充填及び圧力容器の充填は、公知の方法で行うことができ、例えば以下のように行うことができる。
・蓋のないハウジングを用意する。
・穴を有し且つ必要に応じて保持要素を有する圧力容器を用意する。
・必要に応じて保持要素によって又は接着剤等を使用して、圧力容器をハウジング内に配置する。
・ハウジングに液体(第2の容積)を充填する。
・(第2の容積から特に最大で第1の容積まで)ハウジングに、(必要に応じて少なくとも部分的に液化した)不活性ガス等を充填する。
・ハウジングを蓋で(気密に)閉じ、飲料容器を形成する。
・底部が(重力の方向に対して)上を向くように、且つ、少なくとも1つの穴が第1の容積の液体充填レベルより上に配置されるように、飲料容器を上下逆さにする。
・不活性ガスを穴から圧力容器に充填する。不活性ガスは、加熱されると閉じられた飲料容器内で膨張する。
・飲料容器を初期状態で提供する。
【0052】
既出の飲料容器内に配置される圧力容器が提案される。この圧力容器は、直径0.2ミリメートル未満の穴を少なくとも1つ有する。
【0053】
特に、圧力容器は、弾性変形可能な保持要素をさらに有する。この保持要素は、第3の容積の外側に延在し、圧力容器用に用意された飲料容器の壁に保持要素をプレテンション方式で配置可能にする形状を有する。
【0054】
飲料容器に関する記述は圧力容器に等しく当てはまり、この逆も成り立つ。
【0055】
念のため、ここで使用されている序数詞(「第1」、「第2」、「第3」、…)は、主に(単に)いくつかの類似の物体、変数、工程を区別する役割を果たしているだけであり、すなわち、特に、これら物体、変数、工程の依存関係や順序の如何なるものも、必ずしも規定するものではない。何らかの依存関係や順序が必要とされる場合、これは本願明細書において明示的に規定されているか、又は、当業者が具体的に説明されている実施形態を検討することにより明らかである。
【0056】
以下においては、本発明及び技術分野を、図に基づいてより詳細に説明する。提示シアタ例示的な実施形態については、本発明を制限する意図はないことに留意されたい。特に、特段の記載がある場合を除き、これらの図に説明されている状況の部分的側面を取り出して本願明細書及び図の少なくとも一方からの他の構成要素及び洞察と組み合わせることも可能である。同一の参照符号は同一の物体を示している。したがって、場合によっては、複数の異なる図からの補足説明を参考にできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】蓋がない状態の飲料容器と、圧力容器と、保持要素とを、それぞれ斜視図で示す。
図2】圧力容器を製作するための筒を斜視図で示す。
図3】圧力容器を保持要素と共に斜視図で示す。
図4図1に示す飲料容器を、組み付け途中の図3に示す圧力容器とともに斜視図で示す。
図5図4に示す飲料容器を、組み付けられた圧力容器とともに斜視図で示す。
図6】飲料容器を、保持要素のない圧力容器とともに斜視図で示す。
図7】初期状態の飲料容器を側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、蓋5がない状態の飲料容器1と、圧力容器10と、保持要素29とを、それぞれ斜視図で示したものである。
【0059】
ここで、飲料容器1は、ハウジング3を備え、このハウジング3は、底部4と、底部4を蓋5に接続する円筒形の壁領域6とを有する(図7を参照)。飲料容器1は、第1の容積7を有し、この第1の容積7は、第2の容積8の液体9で部分的に充填される。
【0060】
飲料容器1は、底部4から蓋5に向かって軸線方向16に沿って延在している。軸線方向16は、円筒形の壁領域6に平行に延びている。飲料容器1は、ほぼ円筒形であり、(蓋の構造や、第1の容積7を開/閉するための構造は別として)軸線方向16に平行に延在する回転軸又は対称軸を有する。
【0061】
圧力容器10は、第1の端部18から第2の端部19に向かって長さ20にわたって軸線方向16に沿って延在している。圧力容器10は、直径0.2ミリメートル未満の(円形の)穴12を有する。
【0062】
圧力容器10は、第1の端部18と第2の端部19との間に、軸線方向16に沿って少なくとも部分的に円筒形状27を有する。円筒形状27の直径は、大きくとも20ミリメートルである。
【0063】
さらに、弾性変形可能な保持要素29が設けられる。この保持要素29は、圧力容器10の第3の容積11の外側に延在しており、圧力容器10用に設けられた飲料容器1の壁25に保持要素29をプレテンション方式で配置可能にする形状を有する。
【0064】
図2は、圧力容器10を製作するための筒を斜視図で示したものである。圧力容器10は、初期状態において両側に開口端を有する(例えば、ストロー又は飲用ストローのような)円筒状の筒から製作可能である。圧力容器10を製作するには、筒を必要な長さに切断し、その後又は切断と同時に、必要な長さに切断された筒の両端を閉じる。最後に又は必要な長さに切断する前に、穴12を形成する。
【0065】
図3は、圧力容器10を保持要素29と共に斜視図で示したものである。フィルム条片等の保持要素29が、飲料容器1内に配置される前の圧力容器10に接続される(超音波溶接、接着、一体成形等による)。保持要素29は、図のように弾性変形した状態で飲料容器1に入れられ、そこで好ましくは自動的に弾性変形する。
【0066】
図4は、図1に示す飲料容器1を、組み付け途中の図3に示す圧力容器とともに斜視図で示したものである。保持要素29は、図のように弾性変形した状態で飲料容器1に入れられ、そこで好ましくは自動的に弾性変形する(図5を参照)。
【0067】
図5は、図4による飲料容器1を、組み付けられた圧力容器10とともに斜視図で示したものである。保持要素29は、飲料容器1の壁25(ここでは壁領域6)に自らを押し付け、保持要素29のさらなるプレテンションで圧力容器10を固定する。このプレテンションは、保持要素29を飲料容器1に圧力嵌めで接続する。圧力容器10は、弾性変形可能な保持要素29によって第1の容積7内の位置28に固定される。
【0068】
図6は、飲料容器1を、保持要素29のない圧力容器10とともに斜視図で示したものである。ここで、圧力容器10は、接着剤33によって壁領域6上の位置28に固定されている。
【0069】
図7は、初期状態2の飲料容器1を側面図で示したものである。初期状態2において、飲料容器1は、底部4と、蓋5と、底部4を蓋5に接続する(円筒形の)壁領域6とを有する密封されたハウジング3を有する。飲料容器1は第1の容積7を有し、この第1の容積7は、第2の容積8の液体9で部分的に充填される。飲料容器1は、第3の容積11を有する圧力容器10をさらに備え、この圧力容器10は、第1の容積7内に配置される。圧力容器10は、穴12を有する。初期状態2において、飲料容器1は、第1圧力下にあり、この第1圧力は、周囲13の第2圧力より大きい。初期状態2において、圧力容器10は、ガス14で(おそらく一部をさらに液体9で)少なくとも部分的に充填されている。飲料容器1が開封されて周囲13と圧力が等しくなると、少なくともガス14が(おそらく液体9も)第3の容積11から穴12を通って液体9内に流出する。
【0070】
飲料容器1が直立状態にあるとき(ここでは、飲料容器1は蓋5の上に立っている状態で図示されている)、重力の方向を基準として底部4は最下部にあり、蓋5は最上部にある。壁領域6は、(飲料容器1が直立しているとき)重力の方向に平行な軸線方向16に沿って、底部4と蓋5との間に延在しており、底部4及び蓋5の全周に円周方向31に延在している。
【0071】
第1の容積7の底部4の領域にある(特に、図のように、飲料容器1のコアベベルにある)最下点23から、蓋5の領域にある(特に、飲料容器1のコアベベルにある)最上点30に向かって、軸線方向16に沿って、高さ15が延在する。軸線方向16に沿って測定された、最下点23と最上点30との間の距離は、最大高さ17と呼ぶ。穴12は、高さ15の1つの高さ位置に、すなわち高さの或る値に、配置される。
【0072】
飲料容器1が図示のように直立している(上下逆さに立っている)とき、圧力容器10の第3の容積11は、底部4に隣接する下方領域24内に延在しており、下方領域24は液体9の充填レベル22より上に位置付けられている。
【0073】
圧力容器10の第3の容積11は、底部4に隣接する下方領域24内に延在する。その結果、1つの穴12が、最下点23から軸線方向16に沿って最大で5ミリメートル離れた位置に配置される。
【0074】
現在提案されている、高さ15に沿って延在する圧力容器10は、半径方向32へのその広がりが相対的に小さいため、底部4に対して又は第1の容積7に対して、偏心配置可能である。したがって、圧力容器10を壁領域6に直接隣接させて配置し、飲料容器1の(好ましくは両方の)コアベベル内まで延在させることが可能である(コアベベルとは、図のように、湾曲した底部4の周囲に延在する飲料容器1の最下縁であり、飲料容器1の最上縁すなわち蓋5の周囲か、又は、蓋5と壁領域6との間であり且つここでは環状をなす接続部の周囲か、いずれかも形成され得る)。
【0075】
穴12を最下点23の近距離に配置することによって、圧力容器10から流出する少なくともガス14により第2の容積8の相対的に大きな部分容積を活性化できる。
【0076】
圧力容器10は、第3の容積11を壁領域6に直接隣接させて配置される。圧力容器10は、第1の端部18及び第2の端部1のいずれも飲料容器1の壁25(例えば、底部4、蓋5、又は、壁領域6)に直接隣接させて配置され、これにより、軸線方向16を基準として、第1及び第2の端部18、19いずれも壁25との間に当接26が形成される。したがって、圧力容器10が軸線方向16に沿ってさらに変位すると、壁25に接触している圧力容器10の第1及び第2の端部18、19の少なくとも一方が、半径方向32に又は周方向31に変位するように、圧力容器10は壁25に対して配置される。
【0077】
このように、圧力容器10を、少なくとも半径方向32に対して、コアベベル内のその位置28に固定できる。飲料容器1の充填及び圧力容器10の充填は、公知の方法で行うことができ、例えば以下のように、行うことができる。
・蓋5のないハウジング3を用意する(図1の左側を参照)。
・穴12を有し且つ必要に応じて保持要素29を有する圧力容器10を用意する(図3を参照)。
・必要に応じて保持要素29によって(図4及び図5を参照)又は接着剤33等を使用して(図6を参照)、圧力容器10をハウジング3内に配置する。
・ハウジング3に液体9(第2の容積8)を充填する。
・(第2の容積8から最大で第1の容積7まで)ハウジング3に、(必要に応じて少なくとも部分的に液化した)不活性ガス14等を充填する。
・ハウジング3を蓋5で(気密に)閉じ、飲料容器1を形成する。
・底部4が(重力の方向に対して)上を向くように、且つ、穴12が第1の容積7の液体9の充填レベル22より上に配置されるように、飲料容器1を上下逆さにする(図7を参照)。
・不活性ガス14を穴12から圧力容器10に充填する。不活性ガス14は、加熱されると閉じられた飲料容器1内で膨張する(図7を参照)。
・飲料容器1を初期状態2で提供する(図7を参照)。
【符号の説明】
【0078】
1 飲料容器
2 初期状態
3 ハウジング
4 底部
5 蓋
6 壁領域
7 第1の容積
8 第2の容積
9 液体
10 圧力容器
11 第3の容積
12 穴
13 周囲
14 ガス
15 高さ
16 軸線方向
17 最大高さ
18 第1の端部
19 第2の端部
20 長さ
21 上方領域
22 充填レベル
23 最下点
24 下方領域
25 壁
26 当接
27 形状
28 位置
29 保持要素
30 最上点
31 周方向
32 半径方向
33 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】