(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】スマートロック
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20230605BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20230605BHJP
E05B 59/00 20060101ALI20230605BHJP
E05F 7/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B65/06 C
E05B59/00
E05F7/00 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548164
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2021052908
(87)【国際公開番号】W WO2021156497
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522314278
【氏名又は名称】グルー・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】GLUE AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キング,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ビラーリアル,アンドニ
(72)【発明者】
【氏名】カーソン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リデル,サラ
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA01
2E250BB08
2E250CC18
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
(57)【要約】
ドアを施錠するためのスマートロックは、ドアに取り付け可能なハウジングと、ハウジングに配置され、ロック機構をロック位置とロック解除位置との間に駆動するように構成されたアクチュエータとを備え、ロック機構は、傾斜前面を有するラッチボルトを含み、ラッチボルトは、ロック機構がロック位置に位置するときにドアを閉鎖できるように、付勢手段によって提供された付勢力に抗して後退できるように構成され、ハウジングに配置され、アクチュエータの動作を制御するための信号を無線で受信するように構成された受信器と、ドアが移動し始めることを示す信号を生成するようにドアに専ら取り付け可能なセンサと、ドアが移動し始めることを示す信号を受信するように構成されたコントローラとを備え、コントローラは、ドアが移動し始めることを示す信号に応答して、アクチュエータを制御することによって、ロック機構を駆動するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを施錠するためのスマートロックであって、
前記ドアに取り付け可能なハウジングと、
前記ハウジングに配置され、ロック機構をロック位置とロック解除位置との間に駆動するように構成されたアクチュエータとを備え、前記ロック機構は、傾斜前面を有するラッチボルトを含み、前記ラッチボルトは、前記ロック機構が前記ロック位置に位置するときに前記ドアを閉鎖可能にするように、付勢手段によって提供された付勢力に抗して後退できるように構成され、
前記ハウジングに配置され、前記アクチュエータの動作を制御するための信号を無線で受信するように構成された受信器と、
前記ドアが移動し始めることを示す信号を生成するように前記ドアに専ら取り付け可能なセンサと、
前記ドアが移動し始めることを示す前記信号を受信するように構成されたコントローラとを備え、前記コントローラは、前記ドアが移動し始めることを示す前記信号に応答して、前記アクチュエータを制御することによって、前記ロック機構を駆動するように構成されている、スマートロック。
【請求項2】
前記センサは、1つ以上の加速度計を含む、請求項1に記載のスマートロック。
【請求項3】
前記センサは、慣性測定ユニット、好ましくは6軸慣性測定ユニットを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項4】
ロック命令またはロック解除命令を受信するためのユーザ入力部をさらに備え、
前記コントローラは、
前記命令を受信し、前記ドアが移動し始めることを示す前記信号を監視し、
前記命令および前記ドアが移動し始めることを示す前記信号を受信したことに応答して、前記アクチュエータを制御することによって、前記ロック機構を駆動するように構成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項5】
前記コントローラは、前記ドアが移動し始めることを示す前記信号を受信した後の所定の期間中に、前記ロック機構を駆動するように構成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ドアが移動し始めることを示す前記信号が閾値を超えるときに、前記ロック機構を駆動するように構成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項7】
前記閾値は、前記ドアがその全開移動量の少なくとも5%、好ましくはその全開移動量の少なくとも15%、より好ましくはその全開移動量の少なくとも25%を超えたことに対応する、請求項6に記載のスマートロック。
【請求項8】
前記センサは、前記ハウジングの移動量または前記ドアの移動量のうちの1つを検出するように構成されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項9】
前記スマートロックは、リムロックであり、前記ロック機構を備える、先行する請求項のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項10】
前記ラッチボルトは、前記ロック機構が前記ロック位置に位置するときに前記ハウジングから突出する第1の位置と、前記ロック機構が前記ロック解除位置に位置するときに前記ハウジング内に保持される第2の位置との間に移動可能である、請求項9に記載のスマートロック。
【請求項11】
前記ラッチボルトは、付勢手段によって前記第1の位置に向かって付勢され、
前記アクチュエータのストールトルクは、前記アクチュエータが前記付勢手段の前記付勢力に抗して前記ラッチボルトを前記第2の位置に保持するようなものである、請求項10に記載のスマートロック。
【請求項12】
前記アクチュエータの前記ストールトルクは、前記ラッチボルトが前記第2の位置に位置するときに前記付勢手段の前記付勢力によって前記アクチュエータに加えられたトルクよりも大きい、請求項11に記載のスマートロック。
【請求項13】
前記ラッチボルトは、前記ラッチボルトが前記第2の位置に位置するときに前記アクチュエータを収容するように構成された凹部を含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項14】
前記ラッチボルトは、14mm~20mmのボルトスローを有する、請求項10から13のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項15】
前記スマートロックは、サッシュ植込ロックであり、
前記ロック機構は、前記ドアの内部に収容されるように構成され、デッドボルトをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のスマートロック。
【請求項16】
前記ロック機構の前記ロック位置は、前記ラッチボルトが使用時に前記ドアから突出するように構成された第1のロック位置と、前記ラッチボルトおよび前記デッドボルトが使用時に前記ドアから突出するように構成された第2のロック位置とを含む、請求項15に記載のスマートロック。
【請求項17】
前記ロック機構は、使用時に、前記第2のロック位置から、前記第1のロック位置および前記開錠位置へ順番に移動可能であるように構成されている、請求項16に記載のスマートロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、改良されたスマートロックに関し、具体的には、傾斜前面を有するラッチボルトを含む改良されたロック、例えば、リムロックまたはサッシュ植込ロックに関する。
【背景技術】
【0002】
リムロックは、ドアまたは物体の表面(またはリム)、典型的には内面に取り付けられるように設計された、傾斜前面を有するラッチボルトを含む従来のロックである。ドアの場合、この内面は、家または部屋の内部からアクセス可能な面である。リムロックは、ドアまたは物体の穴に設置される植込ロックとは対照的である。
【0003】
典型的には、リムロックは、ドアに取り付けられたリムロック本体またはハウジングを含む。ボルトが、このハウジングから延在する。このボルトは、典型的には、外部のキーおよび内部のハンドルの両方によって駆動されることができる。キープが、コンパニオン部品として提供され、典型的にはドアフレームに取り付けられる。キープは、ドアの開放を防止するために、リムロック本体のボルトを収容するための穴を含む。
【0004】
例示的なリムロックは、US4313320AおよびUS3006179Aに記載されている。
【0005】
サッシュ植込ロックとは、デッドボルトと、傾斜前面を有するラッチボルトとの両方を含む特殊な植込ロックである。
【0006】
いわゆる「スマート」ロック、例えば、ヨーロッパシリンダロックまたは他の植込ロックは、特定種類のロックの市場に参入し始めている。しかしながら、これのロックは、異なる検討を必要とするリムロックに容易に乗り換えできない。
【0007】
スマートロックとは、典型的には、スマートフォンなどの認証された遠隔装置から命令を受信すると、無線プロトコルおよび暗号鍵を用いて認証プロセスを実行することによって、ドアに対してロックおよびロック解除動作を実行するように設計された電気機械式ロックである。また、スマートロックは、アクセスまたはアクセス試みを監視し、必要に応じて遠隔装置に警告を送信することができる。スマートロックは、スマートホームの一部として使用されてもよい。
【0008】
CN105952278Aは、機械的な指紋式ロックシリンダおよび実装方法を開示している。
【0009】
CN105155935Aは、トリガロック式ドアを開示している。
CN106930618Aは、ロックシリンダ制御システムおよび方法を開示している。
【0010】
DE202009010418Uは、アクセス開口部を閉じるための可動ドアリーフを有するドアを開示している。
【0011】
FR3066214Aは、電気的に自律的なロックにエネルギー貯蔵手段(18)を設ける方法を開示している。
【0012】
JPH08270292Aは、ドアロックを制御するための制御部に接続された加速度センサ、車速度センサおよびドアロックモータを開示している。
【0013】
US2012/0091737Aは、地震の初期震動を検出し、破壊的な地動が発生する前にキャビネットドアを自動的にロックするための装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、改良されたスマートロック、例えば、植込ロックとして動作するスマートリムロック、スマート植込ロック、または改造されたスマートロックが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の説明
本発明は、請求項1に記載のスマートロックを提供する。
【0016】
これによって、フレームまたは周囲領域に追加の部品を取り付けて整列する必要がなく、ドアのみに取り付けられた部品を用いてドアの状態を検知することができる。すなわち、センサは、ドアフレームに部品を取り付ける必要がなく、ドアの移動を検出することができる。ドアに専ら取り付けるということは、フレームなどの固定要素に別の部品を取り付けないことを意味する。
【0017】
センサは、1つ以上の加速度計を含んでもよい。センサのみをドアに設置した場合、加速度計は、移動の検出に特に便利である。
【0018】
センサは、慣性測定ユニット、好ましくは6軸慣性測定ユニットを含んでもよい。これによって、高精度でドアの移動を提供する。
【0019】
スマートロックは、ロック命令を受信するためのユーザ入力部をさらに備えてもよい。コントローラは、ロック命令を受信し、ドアが移動し始めることを示す信号を監視し、ロック命令およびドアが移動し始めることを示す信号を受信したことに応答して、アクチュエータを制御することによって、ロック機構を駆動するように構成されている。これによって、ユーザは、例えば、家から出る時にドアのロックをトリガすることができる。ドアが移動し始めることは、ドアの開閉方向に沿った移動であってもよい。
【0020】
コントローラは、ドアが開き始めることを示す信号を受信した後の所定の期間中に、ロック機構を駆動するように構成されてもよい。この遅延は、ロックが不適切な時間に作動され、正しくロックされないリスクを低減することができる。
【0021】
コントローラは、ドアが開き始めることを示す信号が閾値を超えるときに、ロック機構を駆動するように構成することができる。この閾値は、ドアの移動量に対応してもよい。このことは、ドアの初期移動がロック機構を誤ってトリガすることを防止する。
【0022】
閾値は、ドアがその全開移動量の少なくとも5%、好ましくはその全開移動量の少なくとも15%、より好ましくはその全開移動量の少なくとも25%を超えたことに対応し得る。この閾値は、ドアが開いていることを示す適切な値であってもよい。
【0023】
センサは、ハウジングの移動量またはドアの移動量のうちの1つを検出するように構成されてもよい。これらのいずれかは、ドアの開放が始まったことを判断するのに適している。
【0024】
ロック機構は、ボルトを備えてもよい。このボルトは、ロック機構がロック位置に位置するときにスマートロックのハウジングから突出する第1の位置と、ロック機構がロック解除位置に位置するときにハウジング内に保持される第2の位置との間で移動可能である。これは、スマートロックを、既存のロック機構が単にスマートロックによって制御されるアダプタキットと区別する。このような使用事例において、スマートロックは、一般的にコントローラのみとして機能し、ドアを閉めるまたは施錠するための機構に関与しない。
【0025】
ボルトは、付勢手段によって第1の位置に向かって付勢され、アクチュエータのストールトルクは、アクチュエータが付勢手段の力に抗してボルトを第2の位置に保持するようなものであってもよい。これによって、モータが追加の電力を消費することなく、スマートロックを後退した第2の位置にラッチするまたは一時的に保持することができ、バッテリ寿命を維持することができる。
【0026】
アクチュエータのストールトルクは、ボルトが第2の位置に位置するときに付勢手段の付勢力によってアクチュエータに加えられたトルクよりも大きくてもよい。このストールトルクは、付勢力によって克服されず、したがって、追加の電力を消費することなく、スマートロックを後退した第2の位置にラッチするまたは一時的に保持することを可能にし、バッテリ寿命を維持することができる。
【0027】
ボルトは、ラッチボルトが第2の位置に位置するときにアクチュエータを収容するように配置された凹部を備えることができる。これによって、部品をハウジング内に効果的に取り付けると共に、ボルトの長さを最大化することができる。また、バッテリ、回路基板、コントローラ、受信器、および/または送信器を含むがこれらに限定されない1つ以上の他の部品は、第2の位置でこの凹部に収容されてもよい。
【0028】
ボルトは、14mm~20mmのボルトスロー(bolt throw)を有してもよい。このようなボルトスローは、高レベルのセキュリティを提供する。
【0029】
スマートロックは、リムロックであってもよく、ロック機構を備えてもよい。リムロック構成の場合、アクチュエータおよびロック機構は、ハウジング内に収容され、ドアの表面に取り付けられてもよい。これは、ロック機構がドアの内部に配置される植込ロックとは対照的である。使用時、ユーザは、ラッチボルトが伸長位置に位置するときにドアを押して閉じる。ラッチボルトの傾斜面がキープまたはストライクプレートに接触すると、ラッチボルトは、付勢力に抗して押し戻される。ラッチボルトがキープまたはストライクプレートと完全に整列されると、付勢力は、ラッチボルトを伸長位置に戻し、ドアをロックする。
【0030】
ロックは、植込ロックであってもよい。ロック機構は、ドアの内部に収容され、デッドボルトをさらに備える。植込ロックの例は、デッドボルトと、傾斜面を有するラッチボルトとを含むサッシュ植込ロックである。したがって、このようなロックに運動検知を適用することができる。このようなロックにおいて、ロック機構は、スマートロックの一部ではなく、その代わりにドアの部品である。
【0031】
ロックがサッシュ植込ロックである場合、ロック機構のロック位置は、ラッチボルトがドアから突出する第1のロック位置と、ラッチボルトおよびデッドボルトがドアから突出する第2のロック位置とを含んでもよい。したがって、ロックは、複数のセキュリティレベルを提供することができる。
【0032】
ロックがサッシュ植込ロックである場合、ロック機構は、第2のロック位置から、第1のロック位置および開錠位置へ順番に移動可能である。すなわち、まず、デッドボルトは、完全ロック位置から後退して、その後、傾斜面を有するラッチボルトは、後退する。これは、両方のボルトが同じ機構によって制御され得ることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】本発明に係るスマートリムロックを示す斜視図である。
【
図3】
図2のスマートリムロックを示す断面図である。
【
図4】
図2のスマートリムロックを示すさらなる断面図である。
【
図5A】キーを介して操作される
図2のスマートリムロックを示す上面図である(参照を容易にするために、部品を省略している)。
【
図5B】キーを介して操作される
図2のスマートリムロックを示す上面図である(参照を容易にするために、部品を省略している)。
【
図6A】キーを介して操作される
図2のスマートリムロックを示す上面図である(参照を容易にするために、部品を省略している)。
【
図6B】キーを介して操作される
図2のスマートリムロックを示す上面図である(参照を容易にするために、部品を省略している)。
【
図7A】キーを介して操作される
図2のスマートリムロックを示す上面図である(参照を容易にするために、部品を省略している)。
【
図7B】キーを介して操作される
図2のスマートリムロックを示す上面図である(参照を容易にするために、部品を省略している)。
【
図8】変更されたモータカムを有するスマートリムロックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
図1は、4313320Aから変更された従来のリムロックを示す。US4313320Aが「教室」機能と言われるものの実施例を具体的に記載しているが、リムロックの基本的な動作原理は、同様である。理解すべきことは、本発明に関連して検討された改良のいくつかがリムロック100に特有であるが、必要に応じて、任意の改良を他の種類のロック、例えば植込ロックに適用してもよいことである。
【0035】
リムロック(rim lock)100は、リムロック本体10とキープ(keep)20とを備える。リムロック本体10は、ドア30などのクロージャに取り付けられる。リムロック本体10は、一般的に、リムロック100のハウジング10として称されてもよい。ドア30は、部屋に進入するためのドアであってもよく、または戸棚、金庫もしくは任意の他の好適なクロージャのドアであってもよい。リムロック本体10は、取り付け手段、例えば裏板12を貫通するねじを介して、ドア30に取り付けられる。リムロック本体10をドア30に直接に取り付けてもよい。しかしながら、最良の実施は、裏板12を使用することである。リムロック本体10は、任意の既知の機構を介して裏板12にスナップ嵌められまたは取り付けられてもよい。
【0036】
ドア30の反対側には、リムロック100を操作するためのキーを受け入れるキー穴を有するキープレート(key plate)14が設けられている。キーシリンダ(key cylinder)16が、このキープレート14から延在している。このキーシリンダ16は、正しいキーがキー穴に挿入されて回されると回転するように、既知の原理に従って動作する典型的なバレルシリンダである。テールピース(tail piece)18が、キーシリンダ14から延在している。このテールピース18は、キーシリンダ16に挿入されたキーが回されると回動する。キーシリンダ16は、ドア12に形成されたボア内に延在し、テールピース18は、そこから延在し、裏板12を貫通してリムロック本体10の残りの部分に進入する。
【0037】
キープ20は、ドア30のフレーム40に取り付けられている。代替的には、キープ20は、ドアのフレーム40の内部に設けられてもよい。フレーム40は、特別に設計されたドアフレームであってもよく、または単にドア30に隣接する周囲面であってもよい。キープ20は、ボルト11を収容するように構成された穴22を含む。キープ20がボルト11を収容しているときに、リムロック100は、ドア30の開放を制限または阻止する。
【0038】
ボルト11は、リムロック本体10内のロック機構50によって、ロック(または施錠)位置とロック解除(または開錠)位置との間で作動される。このロック機構50は、キー穴に挿入されたキーによってまたは当技術分野でサムターン(thumb turn)17として知られているハンドル17の回転によって、駆動されてもよい。
【0039】
ボルト11の後部には、横スロットが形成されている。この横スロットは、ドロープレート(draw plate)53の前端を収容する。ドロープレート53の頭部は、例えば一対のピンによってボルトに取り付けられている。しかしながら、これは、特定の設計の具体例であり、多くの他の変形例も可能である。例えば、ドロープレート53は、ボルト11と一体に形成されてもよい。
【0040】
クランクアーム57が、サムターン17と共に回転するように取り付けられている。クランクピン56が、ボルトのドロープレート53の平面を通って延在している。これによって、サムターン17の回転は、ドロープレート53を動かして、ボルト11を後退させる。
【0041】
同様に、テールピース18は、T字形カム54に取り付けられ、T字形カム54は、リムロック本体10に回転可能に取り付けられている。このカム54は、カムアーム55を備えている。カムアーム55は、クランクピン56に係合し、キーと共に回転することによって、ドロープレート53を動かして、ボルト11を後退させる。カムアーム55は、中央部分から延在するT字形のウィングを形成する。
【0042】
この場合、ロック機構50は、サムターン17またはキーシリンダ14のいずれかによって駆動されてもよい。
【0043】
本発明に係るリムロック100の斜視図は、
図2に示されている。この図から分かるように、リムロック100は、一般的に、従来技術のリムロック100と同様に、リム本体またはハウジング10と、キープ20とを備える。特に明記しない限り、スマートリムロック100の共通の特徴は、
図1の従来技術のリムロック100に関連して説明したものと同様である。リムロックと「スマート」リムロックとの重要な違いは、スマートリムロックが、アクチュエータと、アクチュエータの動作を制御するための信号を無線で受信するように構成された受信器とを含むことである。これによって、スマートリムロック100は、例えば、IOT(Internet of Things)に接続することができる。したがって、ユーザは、遠隔装置を介してスマートリムロック100を遠隔に制御することができ、ハンドル17またはキーを介して手動でスマートリムロック100をローカルに制御することができる。例えば、ユーザは、ユーザのスマートフォン上のアプリケーション(アプリ)を用いて、スマートリムロック100を駆動することができる。
【0044】
図3および4は、
図2のリムロック100を示す断面図である。リムロック100は、ラッチボルト(latch bolt)11を備え、ラッチボルトは、簡略のためにボルト11と呼ばれ、スローアーム(throw arm)52に接続される。スローアーム52は、ボルト11と一体に形成されてもよく、またはボルト11に取り付けられる別個の部品として形成されてもよい。スローアーム52は、2つのスローアーム52Aを含む中央本体として形成される。2つのスローアーム52Aは、中央本体の両側から延在し、ボルト11から離れてリム本体10の内部に進入する。ボルト11とスローアーム52とは、ロック機構を形成する。ロック機構は、1つ以上のスローアーム52を含んでもよい。
【0045】
ボルト11は、ドア30の開放を防止するようにボルト11がキープ20の穴22内に延在する第1の位置(
図3に示され、ロック位置として知られている)と、ドア30を開くことができるようにボルト11がキープ20から後退される第2の位置(ロック解除位置としても知られている)との間で移動可能である。ボルト11は、1つ以上の付勢手段によってロック位置に向かって付勢される。1つ以上の付勢手段は、1つ以上のバネ15などの弾性部材であってもよいが、付勢力を提供する任意の要素、例えば磁石であってもよい。
【0046】
ボルト11は、14mm~20mmまたは少なくとも20mmのボルトスローを有してもよい。他のサイズのボルトスローを使用してもよいが、他のサイズのボルトスローは、一般的に安全ではないロックをもたらすため、単一のロックとしてドアに使用されるべきではない。ボルトスローは、キーの動作によってボルト11をキープ20から後退させるときに、ボルト11が移動する距離である。すなわち、ボルトスローは、ボルト11が本体10からキープ20の内部に延在する量である。一般的により長いボルトスローがより安全なロックに対応するため、この範囲のボルトスローは、リムロック100が現在の標準の最高セキュリティレベルに準拠することを可能にする。具体的には、これは、例えばスマートロックの標準である英国標準BS3621、またはBS8621、またはTS621であってもよい。リムロック100は、関連標準の最高レベルを準拠している場合、ドア30上の単独ロックとして使用されてもよい。そうでない場合、追加の5レバー植込スロックなどの二次ロックが必要とされ得る。特に、多くの保険会社は、家庭およびコンテンツ保険を有効にするために、BS3621に準拠したロックをドア30に設置することを必要とする。
【0047】
ボルト11を後退させるときに、全てのボルトスローをリムロック本体10に収容する必要がある。(例えば、
図1の)従来のリムロックでは、リムロック本体10の内部には大量の空きスペースがあるため、これは、特に問題にならない。しかしながら、本発明のスマートリムロック100は、アクチュエータ60(特定の実施形態では、アクチュエータ60は、モータ60であるが、任意の他の好適なアクチュエータ60を使用することができる)、バッテリ61、ならびに関連する回路および機構を収容する必要がある。
【0048】
したがって、本発明において、ボルト11の芯を取り抜くことによって凹部11Aを形成する。ボルト11がロック解除位置に後退させられたときに、凹部11Aは、モータ60を収容する。言い換えると、ボルト11は、従来技術のロックのフルサイズの頭部と、頭部から延在する薄い本体部分11Bとによって形成される。薄い本体部分11Bは、10mm未満の厚さ、好ましくは5mm未満の厚さを有してもよい。
【0049】
使用時、様々なカムは、スローアーム52Aと係合することによって、ボルト11を後退させる。ロック機構50は、(モータカム64としても知られている)アクチュエータカム64、(サムターンカム74としても知られている)ハンドルカム74およびキーカム84の各々によって個別に駆動されてもよい。これらのカムの各々は、概ね一致する回転軸に沿って回転できるように、リムロック本体10内に取り付けられている。この回転軸は、ラッチ11の移動方向を概ね横断するまたはラッチ11の移動方向に対して概ね垂直である。カム64、74および84の各々は、リムロック100内で独立して回転可能である。キーカム84は、ドア30に最も近く配置され、ハンドルカム74は、ドア30に最も遠く配置されている。モータカム64は、キーカム84とハンドルカム74との間に配置されている。
【0050】
スマートリムロック100は、コントローラ、メモリ、プロセッサ、無線通信を行うための受信器、および無線通信を行うための送信器などをさらに含んでもよい。コントローラは、モータ60の作動を制御することによって、ボルト11をロック解除位置とロック位置との間で移動させることができる。受信器は、ボルト11をロック解除位置とロック位置との間で移動させるユーザ命令を無線で受信することができる。無線通信は、任意の好適なプロトコル、例えば、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Li-Fi、またはこれらの任意の組み合わせを介して行われてもよい。ユーザ命令は、好ましくはコンパニオンアプリケーションを介して、スマートモバイルフォンなどのユーザの遠隔装置から直接に送信されてもよい。代替的にまたは追加的に、スマートリムロック100は、ユーザの遠隔装置と通信しているスマートハブと通信することができる。
【0051】
受信器の接続性を改善するために、スマートリムロック100の裏板12は、通信プロトコルに対して比較的伝導性である材料で形成されてもよい。例えば、裏板12は、ガラス充填ポリカーボネートなどのプラスチックで形成されてもよい。
【0052】
図5Aおよび5B、6Aおよび6B、ならびに7Aおよび7Bは、サムターン開錠動作、モータ開錠動作、およびキー開錠動作を各々示している。これらの図面の各々において、各々の機構をより容易に視認するように、付勢部材15は、表示されていない。同様の理由で、アクチュエータまたはモータ60は、
図6Aを除いて各図面から省略されている。モータ60は、カム64、74、84のいずれかの間に配置されてもよい。
【0053】
図5Aは、(ハンドルとしても知られている)サムターン17を介したリムロック100の開錠を示す部分断面図である。上述したように、サムターンカム74は、リムロック本体10の内部に回転可能に取り付けられている。サムターンカム74は、1つ以上の径方向に延在する突起76を含む。径方向に延在する突起76は、サムターンカム74が回転されるときにスローアーム52Aと係合するように構成される。使用時、サムターン17は、ユーザによって回転される。これにより、サムターンカム74も同様に回転する。サムターンカム74が回転すると、
図5Bに示すように、突起76は、スローアーム52Aと係合することによって、ロック機構を駆動して、ボルト11を後退させる。サムターンカム74と、サムターン17およびサムターンカム74を動作可能に連結するための部品とは、サムターン機構またはハンドル機構を形成する。
【0054】
図5Aおよび5Bの例で示すように、サムターン突起76は、いずれかの方向に沿ってサムターンカム76を回転することによってボルト11を後退させることができる程度に、サムターンカム74の円周にわたって延在する。図示された例は、2つのサムターン突起76を有するが、同様のサムターンカム76の円周範囲にわたって延在し得る単一のサムターン突起76を用いて、同様の効果を達成することができる。
【0055】
クラッチアーム94が設けられ、スニブ92によって駆動される。このクラッチアーム94は、スマートロック100が強制的に開けられる(こじ開けられる)ことを防止するように動作する。
図5Bに示すように、クラッチアーム94は、キーカム74との係合を解除する位置に向かって付勢される。この位置において、スニブ92は、スマートロック100から最も伸長した位置にある。ドアが閉められると、スニブ92は、キープ20の面と係合することによって強制的に後退させられる。スニブ92の移動は、クラッチアーム94を
図6Aに示される位置まで移動させ、そこでキーカム64と係合させる。この位置において、クラッチアーム94は、ボルト11の移動を阻止する。クラッチアーム94のさらなる構成は、
図8に示され、以下に説明される。
【0056】
図6Aおよび6Bは、モータ60を用いたロック機構の作動を示す。モータの出力軸には、かさ歯車62が取り付けられている。このかさ歯車62は、モータカム64上の対応するギア付き表面と係合する。したがって、モータ60の動作は、かさ歯車62を回転するように駆動し、したがってモータカム64を回転するように駆動する。モータカム64には、モータカム突起66が設けられている。モータカム64が回転すると、モータカム突起66は、スローアーム52と係合して、ボルト11をロック解除位置に退避させる。モータかさ歯車62とモータカム64とは、モータ機構を形成する。モータカム突起66は、モータカム64がいずれかの方向に沿って回転することによってロック機構を駆動できるように成形され得るという点でサムターン突起76に類似し得るが、これは必須ではない。代わりに、以下に説明するように、単一の方向に沿ってボルト11を駆動する動作をモータカム64に持たせることによって、追加の機能をスマートロック100に付与することができる。
【0057】
スマートロック100を
図6Bに示されるロック解除位置に保持することによって、ロック100をラッチすることができる。これは、ユーザがドア20をロックしたくないときに、例えば、ユーザがゴミを取り出すために一時的に出て行くときに使用されてもよい。典型的には、これは、リムロック100の面上に設けられた機械式ボタンによって達成される。この機械式ボタンは、室内のみから操作することができる。上述したように、ばね15は、ボルト11をロック位置に向かって付勢するように作用している。したがって、ボルト11を
図6Bのロック解除位置に保持するために、ばね15によって提供される付勢力を克服する必要がある。これは、モータ60から一定の出力を提供することによって達成され得るが、このことは、追加のエネルギー使用を必要とするため、バッテリ61をより速く消耗してしまう。
【0058】
代わりに、モータストールトルクが付勢部材15の力からモータに与えられたトルクよりも大きくなるように、モータ60および付勢部材15を選択することが好ましい。これによって、モータ60は、追加の電力を引き出すことなく、ボルト11をロック解除位置に保持することができる。例えば、モータストールトルクは、0.25Nmより大きい範囲、好ましくは0.275Nmより大きい範囲、最も好ましくは0.29Nmより大きい範囲にある。当然ながら、特定のモータトルクの値は、選択された付勢部材14および特定の機構に基づいて選択されなければならない。このようなモータストールトルクの値は、例えば、2.5Nm範囲の対向トルクを与える付勢部材14に対して好適であり得る。モータ60を接続するためのギアは、この範囲までギアアップするように選択されてもよい。この場合、付勢部材14は、10N~11Nの範囲の力を提供してもよい。ボルトスローと同様に、特定の標準のセキュリティレベルを満たすために、付勢力の最小値を規定してもよい。
【0059】
このラッチ位置は、ユーザがリムロック100またはユーザの携帯電話などの遠隔装置上のボタン19を押して、信号をリムロック100に送信することによって、トリガすることができる。
図2に示すように、ボタン19は、例えばサムターン17に設けられてもよい。スマートロック100は、ユーザのスマートフォンまたはスマートハブなどの遠隔装置と通信するための送信器を含んでもよい。これにより、スマートロック100は、ラッチが係合されたときにユーザに警告または通知を送信することによって、ドア20が誤ってラッチされるままに置かれる可能性を低減することができる。
【0060】
図7Aおよび7Bは、キーによって駆動されるときのリムロック100の動作を示す。キーカム84は、キーシリンダ16のテールピース18に接続されている。具体的には、スロットを設けることによって、キーシリンダのテールピース18を収容することができる。正しいキーがキー穴に挿入されて回されると、テールピース18が回転する。これによって、カム84も回転する。カム84は、キーカム突起86を備え、キーカム突起86は、サムターンカム74およびモータカム64と同様に、ドローアーム52Aと係合することによって、ボルト11を後退させる。テールピース18とキーカム84との接続部とキーカム84とは、キー機構を形成する。
【0061】
リムロック100の安全性を高めるためには、リムロック100を、サムターン17またはキーシリンダ16の一方または両方がボルト11をロック位置から移動できない状態に設置することが好ましい。例えば、ユーザは、夜間、侵入者が正しいキーを有してもドア30を開けることができないようにキーシリンダ16を無効にしたい場合がある。これは、例えば、第三者がキーを借用した場合に有用であり得る。また、ユーザは、家から長期間離れているときに、サムターン17を無効にしたい場合がある。これは、別の入口(例えば、窓)から家に侵入した侵入者がドア30から出ることを防止する。このことは、侵入者が最初に侵入した入口から搬出することが困難な高価値品物、例えば大型テレビを盗むことをより困難にすることができる。
【0062】
本発明に係るスマートリムロック100は、キーシリンダ16またはサムターン17のいずれかがロック機構を駆動してボルト11をロック解除位置に移動させることを防止するために、キー機構またはハンドル機構をロック機構から係合解除することができる。具体的には、これは、モータカム64を移動することによって達成されてもよい。
【0063】
具体的には、モータカム64は、サムターンカム74およびキーカム84の一方または両方をロック機構から係合解除するために、ボルト11を開くために回転する方向と反対方向に回転されてもよい。例えば、サムターンカム74またはキーカム84は、それらの回転軸の方向に沿って移動されてもよい。この移動によって、カム74および84は、スローアーム52Aとの整列から外れる。したがって、カム74および84は、スローアーム52Aと係合せず、リムロック100内で自由に回転することができる。したがって、カム74および84は、スローアーム52Aと係合しないため、回転されてもボルト11をロック解除位置に移動しない。
【0064】
これは、モータカム64上に1つ以上の傾斜面を設けることによって達成されてもよい。これらの傾斜面は、サムターンカム74および/またはキーカム84上の対応する表面と係合することによって、サムターンカム74および/またはキーカム84をスローアーム52Aとの整列から外すことができる。サムターンカム74および/またはキーカム84は、整列から外されると、スマートロック100のハウジング上の突起と係合することができる。これによって、サムターンカム74および/またはキーカム84のさらなる移動または回転は、防止される。
【0065】
代替的にまたは追加的に、モータカム64上にフック付き面を設けてもよい。このフック付き面は、クラッチアーム94と係合することができるため、サムターンカム74および/またはキーカム84を定位置に保持することができる。この構成の一例は、
図8に示され、以下で説明される。
【0066】
したがって、サムターン17および/またはキーシリンダ16は、ロック機構の制御から効果的に解除されてもよい。
【0067】
図8は、上述した構成のいずれにも適用され得るクラッチアーム94およびモータカム64のさらなる構成を示している。スマートロック100は、概ね上記の通りであり、様々なカムの動作は、上記の通りである。
【0068】
モータカム64には、突起66が設けられ、突起66は、スローアーム52と係合することによってボルト11をロック解除位置に退避させる。
図8に示されるモータカム64は、
図5A~7Bのモータカム64と比較して反対方向(
図8の反時計回り)に回転する。この回転は、基本的にスマートロック100の動作に影響を与えない。
【0069】
モータカム64は、フック68をさらに備える。クラッチアーム94がキーカム84と係合する位置に位置する(すなわち、ドア30が閉められ、スマートロック100がロック位置に位置する)ときに、フック68がクラッチアーム94と係合するようにモータカム64を回転することができる。
図8に示すように、フック68は、クラッチアーム94と係合して、クラッチアームをこの位置に保持する。このため、キーカム84が回転してスマートロック100を開錠することができない。フック68と係合するためのモータカム64の回転は、ボルト11を駆動するためのモータカム64の回転と反対方向であってもよい。
【0070】
クラッチアーム94は、肩部をさらに備えてもよい。この肩部は、クラッチアーム94がキーカム84に係合するときに、ロック位置でボルト11のスローアーム52Aの少なくとも1つに当接する。これにより、クラッチアーム94は、ボルト11の移動を物理的に阻止することができる。
【0071】
ボルト11がラッチ位置に位置する(すなわち、開錠イベント後にモータ60によって保持される)ときに、ユーザは、ドアを閉めた後に施錠するように指示したい場合がある。例えば、これは、誰かがアプリを使用してボルト11をロック解除位置に移動したが、今やドア30を施錠したい場合に適切である。代替的には、施錠されたドア30に近づくユーザは、ドアを開けたいというユーザ入力をスマートロック100に送信することができる。
【0072】
これを達成するために、リムロック100は、ユーザ入力の受信によってトリガされ得る所定の時間遅延の後に、ボルト11をロック解除位置からロック位置に駆動する、またはロック位置からロック解除位置に駆動するためのタイマを含んでもよい。しかしながら、これは、多くの使用事例にとって不適切であり得る。例えば、ユーザがリムロック100を開錠する信号を送信するときにドア30の近くにいない場合、この所定の時間遅延は、ユーザがドア30に到達する前に終了してしまう可能性がある。これは、例えば、ユーザが自動車から買い物などの品物を搬送している場合に発生する可能性がある。逆に、ユーザが開錠命令を送信するときにドア30に非常に近い場合、ユーザは、ドア30を開けて通過し、所定時間が終了する前にドアを閉めることができる。これは、ドア30がロック位置から跳ね戻ることを意味する。したがって、所定の時間が終了する時に、ボルト11は、キープ20と整列されない。したがって、ボルト11は、ロック位置に移動されるときにキープ20内に保持されず、したがってドア30は、施錠されない。
【0073】
これを解決するために、リムロック100は、ドア30またはドア30に取り付けられた要素の動きを検出することができる1つ以上のセンサを備えることができる。具体的には、センサは、ドアが開け始めるときを検出することができる。これは、対応するセンサまたはセンサ素子をドア30およびフレーム40の両側に設けることによって達成され得るが、センサまたはセンサ素子の間の一貫した整列を必要とするため、好ましい解決策ではない。さらに、これらのセンサまたはセンサ素子の追加は、コストおよび複雑さを増大させる。多くの顧客は、ドアまたはフレームに別のものを設置することを望まず、一部のドアフレームは、その厚さまたは額縁形状によって別のものを設置することができない。
【0074】
代わりに、本発明によれば、ドア30の移動は、ドア30に単独でまたは専ら取り付けられた部品によって検知される。すなわち、独立型センサシステムは、追加のセンサを他の場所に取り付ける必要がなく、ドア30の移動を検出することができる。当然ながら、他のパラメータを検出するための追加のセンサを他の場所に取り付けてもよい。
【0075】
ドア30の移動が検知された後、コントローラは、モータ60を制御してロック機構を駆動することによって、ボルト11をロック位置に移動することができる。この実施例において、ボルト11は、ラッチ形状を有する。すなわち、ボルト11は、傾斜前面を有する。これによって、ボルト11がロック位置に位置するときに、傾斜前面がキープ20の面に対して摺動することによってボルト11を付勢部材15に対して後退させるため、ドア30を閉めることができる。具体的には、ドアを閉める動作中にキープ20に最初に接触するボルト11の面は、キープ20の第1の接触点と20°~70°の間の角度を形成することができる。この角度は、30°~60°であってもよい。
【0076】
すなわち、ボルト11は、その移動平面に沿った方向から見たときに、略直方体の断面形状を有してもよい。したがって、ボルト11は、直台形の角柱であってもよい。当然ながら、厳密な数学形状からの逸脱は、依然として本発明に含まれる。傾斜面は、直線ではなく曲線であってもよい。この場合、関連する角度は、この曲線の接線に基づいて定義されてもよい。ボルト11がキープ20の穴22と整列されると、付勢部材15は、ボルト11をロック位置に戻し、ドア30をロックする。これは、能動的な動きであってもよく、または付勢力によるものであってもよい。したがって、ユーザは、この位置から押すことによってドア30を閉めることができる。
【0077】
具体的には、ロックは、ドア30の閉めを検出するための加速度計を備えてもよい。加速度計は、ドア30またはロック内の部品の加速度を検知することによって、ドア30の移動を検出することができる。加速度計は、6軸慣性測定ユニットなどの慣性測定ユニットの一部であってもよい。代替的には、ドア30の移動を検出するための任意の適切なセンサ、例えばコンパスを使用してもよい。
【0078】
特定の実施形態において、スマートリムロック100は、所定の時間遅延を使用してもよい。例えば、センサからの信号は、ドア30が開け始めたことを示してもよく、ボルト11がロック位置に駆動される前に時間遅延が始まってもよい。
【0079】
コントローラは、複数回の開放を反復的に実行するようにユーザに指示し、信号を記録し、信号を何らかのメモリに記憶することによって、センサからの信号に基づいて特定のドア30の開放を「学習する」ことができる。将来の開放イベントにおいて、センサから受信された信号を記憶された信号と比較することによって、開放イベントを識別することができる。
【0080】
ロック機構を駆動するためにドア30が開け始めたことを決定するこの方法は、リムロックまたは他のロックであることに拘わらず、任意のスマートロックにより広く適用されてもよい。例えば、この方法は、植込ロック用のスマートロックに適用されてもよい。スマートリムロック100は、ドア30がまだ閉じているときの小さな移動を区別するために、ドアがいつ閾値移動量を通過したかを判断することができる。例えば、スマートリムロック100は、ドア30がその全開移動量の5%、好ましくはその全開移動量の少なくとも15%、より好ましくはその全開移動量の少なくとも25%に対応する閾値を超えたことを監視することができる。
【0081】
また、ドア30の運動検知を用いて、例えば、ドアが例えば力によって乱暴に開けられたか否かを判断することができる。コントローラは、ドアが移動し始めること、およびロック機構が作動していないことを検出することができる。これは、例えばユーザの遠隔装置への通知または警告をトリガすることができる。
【0082】
多くの状況において、本発明のスマートリムロック100を用いて、ユーザの既存の標準リムロックを交換することができる。例えば、ユーザは、既存のリムロックをスマートリムロック100にアップグレードすることができる。このようなシナリオでは、ユーザは、自身のキーを変更したくない場合がある。したがって、本発明に係るスマートリムロック100を用いて、キーシリンダ16を交換することなく、既存のリムロックを交換することができる。
【0083】
既存のリムロックを交換するために、以下のステップを行うことができる。まず、従来のリムロックのリムロック本体10を裏板12から取り外す。典型的には、リムロック本体10の取り外しは、従来のリムロックの全ての機構を取り外す。次に、ドア30から裏板12を取り外す。キーシリンダ12は、ドア30の内部に保持され、取り外されない。次いで、本発明のスマートリムロック100に適した新しい裏板12をドア30に取り付ける。この場合、既存のリムロックと新しいスマートリムロック100との間のボルト面のオーバーハングの差に対処するために、ドア30をチゼルする必要がある。上述したように、スマートリムロック100の裏板12は、従来のリムロック100の裏板12よりも無線信号に対して伝導性が高くてもよい。
【0084】
新しい裏板12をドア30に取り付けた後、スマートリムロック100のリムロック本体10を裏板12に取り付けることができる。リムロック本体10は、従来のキーシリンダ16のテールピース18を収容するために、キー機構に設けられた開口部を有する。
【0085】
従来のリムロックのキープ20は、スマートリムロック100のラッチ11と整列される場合、交換される必要がないが、互換性を確保するために、スマートリムロック100のキープ20で交換されることが好ましい。
【0086】
したがって、スマートリムロック100は、キーシリンダ16を交換する必要なく、従来のリムロックを交換するようにドア30に取り付けられる。これによって、ユーザは、キーを交換する必要なくスマート機能を達成する。
【0087】
これは、本発明に係るスマートリムロック100が、キーシリンダ16を含まないスタンドアローン製品として販売され得ることを意味する。代替的にまたは追加的に、キーシリンダ16を含むスマートリムロック100のキットが販売されてもよい。
【0088】
具体的には、既存のリムロックをスマートリムロック100に交換する方法は、裏板12からハウジング10を取り外すステップと、ドア30から裏板12を取り外すステップとを含むことができる。この場合、既存のリムロックのキーシリンダ16を残してもよい。次に、スマートリムロック裏板12をドア30に取り付ける。その後、スマートリムロック100をスマートリムロック裏板12に取り付ける。スマートリムロックを裏板12に取り付けることは、テールピース18が動作可能な接続でスマートリムロック100によって収容され、キーシリンダ12の作動がスマートリムロック100のキー機構を駆動するように行われる。
【0089】
上述したように、ドア30の運動検知は、リムロックだけでなく、他の種類のスマートロックに適用されてもよい。他の種類のスマートロックの特定の例は、サッシュ植込ロックである。このようなロックは、両方とも単一のテールピース18によって制御され得るデッドボルトおよびラッチボルト11を含む。ラッチボルト11は、特に伸長位置に向かって付勢され得るという点で、上述したラッチボルト11と概ね同様である。デッドボルトは、傾斜面を含まず、概ね矩形の直方体である。リムロックとは異なり、ラッチボルト11およびロック機構は、リムロックのハウジング10ではなく、ドア30内に保持される。したがって、ラッチボルト11は、キープ20またはドアフレームに形成され得るストライクプレート内に収容される、ドア30の側面から突出する。
【0090】
サッシュ植込ロックが完全ロック位置に位置するときに、デッドボルトおよびラッチボルト11の両方が伸長し、ドア30をロックする。これは、ロック機構50の第2のロック位置である。テールピース18が回転すると、デッドボルトが後退するが、ラッチボルト11が依然として伸長する。これは、ロック機構50の第1のロック位置である。テールピース18のさらなる回転は、ロック機構50がロック解除位置に位置するようにラッチボルト11の後退を引き起こす。ユーザは、キーシリンダ16内のキーを用いてこれを行う場合、キーをシリンダ16内に保持し、付勢力に抗してラッチボルト11を後退位置に維持する。
【0091】
アクチュエータ60を介してサッシュ植込ロックのロック機構が作動されると、アクチュエータ60は、ロック機構50を駆動し、デッドボルトを後退させた後、ラッチボルト11を後退させる。アクチュエータ60がオフにされた場合、付勢力は、ラッチボルト11を伸長位置に戻す。ドア30がまだ開いていない場合、例えばユーザがロック解除をトリガしたが、ドア30をすぐに開く準備ができていなかった場合、ラッチボルト11は、キープ20の内部に戻るように伸長し、ドア30の開放を防止する。
【0092】
したがって、リムロック100と同様に、サッシュ植込ロックは、ドア30またはドア30に取り付けられた素子の移動を検出することができる1つ以上のセンサを備えることができる。これは、概ねリムロック100に関連して上述したものと同様に動作する。
【0093】
ユーザは、アクチュエータ60をトリガして、サッシュ植込ロックを開錠する。これにより、アクチュエータ60は、テールピースまたはロックシリンダを回転させて、デッドボルトを後退させた後、ラッチボルト11を後退させる。次いで、モータ60のストールトルクを利用して、ラッチボルト11を付勢力に抗して後退位置に保持する。ドア30の移動を検知した後、コントローラは、モータ60を制御して、ロック機構を駆動することによって、ラッチボルト11をロック位置に移動させることができる。これは、能動的な動きであってもよく、または付勢力によるものであってもよい。すなわち、モータ60は、ラッチボルト11を中立位置に駆動することができ、その後付勢力は、ラッチボルト11を中立位置から完全伸長位置に移動させることができる。これによって、ユーザは、ドア30を閉めるように押すことを可能にし、その後、アクチュエータは、ドアを完全にロックするようにデッドボルトを駆動し続けることができる。
【0094】
検知機構は、上記で説明したものであってもよく、含まれる任意の好適な変形例および実施例を含んでもよい。この意味で、運動検知は、リムロック以外のロック種類に適用されてもよい。
【国際調査報告】