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特表2023-524350不安定で食物に不適合な活性成分を食品に送達するための安定な食品グレードのマイクロカプセル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】不安定で食物に不適合な活性成分を食品に送達するための安定な食品グレードのマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230605BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230605BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20230605BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20230605BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20230605BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230605BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20230605BHJP
   A23P 10/35 20160101ALI20230605BHJP
   B01J 13/08 20060101ALN20230605BHJP
【FI】
A23L5/00 C
A61K9/50
A61K9/107
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/46
A23L33/115
A23L33/15
A23L33/105
A23L33/16
A23P10/35
B01J13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552752
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 IL2021050228
(87)【国際公開番号】W WO2021176445
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/983,919
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522348310
【氏名又は名称】ニューバーシス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クビトニツキ,エマ
(72)【発明者】
【氏名】スニール,ラム
(72)【発明者】
【氏名】ムサ,サナ
(72)【発明者】
【氏名】パルイ,イレーナ
(72)【発明者】
【氏名】プリバロワ,オルガ
(72)【発明者】
【氏名】リティネツキ,インナ
(72)【発明者】
【氏名】ビーリ,イェホヤダ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B048
4C076
4G005
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB06
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE04
4B018MD05
4B018MD07
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4B018MD17
4B018MD23
4B018MD24
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4B018MD36
4B018MD37
4B018MD48
4B018ME14
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4B035LG01
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4G005AB25
4G005BA06
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4G005DB02X
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4G005DB23X
4G005DB27X
4G005EA01
4G005EA03
(57)【要約】
少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された安定な食品グレードのマイクロカプセル、食品工業におけるそのようなマイクロカプセルの使用、食品、サプリメント食品、食用物品、及びそのようなマイクロカプセルを含む原材料が、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された、安定な食品グレードのマイクロカプセルであって、少なくとも1種の活性物質が、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とし;マイクロカプセルが、ポリマーシェル及びコアを含み、シェルが、水及び/又は油不浸透性であり、不活性材料で作製されており、少なくとも1種の活性物質を含む組成物が、マイクロカプセルのコアの内側に封入されている、マイクロカプセル。
【請求項2】
コアの内側に封入されている少なくとも1種の活性物質が、隔離されている、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
コアの内側に封入されている少なくとも1種の活性物質が、その構造及び/又は生物学的活性を保持している、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
特定の放出プロファイルを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
マイクロカプセルを含む食品の消費時に、少なくとも1種の活性物質が、吸収部位において、及び/又は作用部位において、マイクロカプセルから放出される、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
少なくとも1種の活性物質が、複数の生体分子を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
少なくとも1種の活性物質が、酸化しやすい、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項8】
少なくとも1種の活性物質が、不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、又はそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載のマイクロカプセル。
【請求項9】
少なくとも1種の活性物質が、不飽和オメガ-3長鎖脂肪酸、不飽和オメガ-6長鎖脂肪酸、不飽和オメガ-7長鎖脂肪酸、不飽和オメガ-9長鎖脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸、トリエン脂肪酸、アルファ-リノレン酸(ALA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1種を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項10】
少なくとも1種の活性物質が、魚油、海産油、オキアミ油、藻類油、植物性油(vegetable oil)及び植物油(plant oil)からなる群から選択される、請求項11に記載のマイクロカプセル。
【請求項11】
少なくとも1種の活性物質が、ビタミンのうちの少なくとも1種を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項12】
ビタミンが、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンF、B群のビタミン、コエンザイムQ10、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載のマイクロカプセル。
【請求項13】
少なくとも1種の活性物質が、金属又はその誘導体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項14】
金属が、鉄又はその誘導体、亜鉛又はその誘導体、銅又はその誘導体、セレン又はその誘導体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載のマイクロカプセル。
【請求項15】
少なくとも1種の活性物質が、天然の及び/若しくは植物性の抽出物、又はそれらの誘導体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項16】
抽出物が、アルテア(Althea)抽出物、アンジェリカ(Angelica)抽出物、アニス(Anise)抽出物、アルニカ(Arnica)抽出物、アロニア(Aronia)抽出物、アストラガルス(Astragalus)抽出物、バジル(Basil)抽出物、カルダモン(Cardamom)抽出物、カモミール(Chamomile)抽出物、セロリー(Celery)種子抽出物、クローブ(Cloves)抽出物、シナモン(Cinnamon)抽出物、コリアンダー(Coriander)抽出物、コーンシルク(Cornsilk)抽出物、エチナセア(Echinacea)抽出物、ユーカリプタス(Eucalyptus)抽出物、フェンネル(Fennel)抽出物、ガーリック(Garlic)抽出物、ギンコ・ビロバ(Ginkgo Biloba)抽出物、ジンセン(Ginseng)抽出物、ジンジャー(Ginger)抽出物、レモン・グラス(Lemon grass)抽出物、リコリス(Licorice)抽出物、メリッサ(Melissa)抽出物、メンタ(Mentha)抽出物、オニオン(Onion)抽出物、パースリー(Parsley)抽出物、パッシフローラ(Passiflora)抽出物、ペッパー(Pepper)抽出物、プランタゴ(Plantago)抽出物、ローズマリー(Rosemary)抽出物、タイム(Thyme)抽出物、ターメリック(Turmeric)抽出物、サルビア(Salvia)抽出物、シーバックソーン(Sea-buckthorn)抽出物、アサ(Hemp)抽出物、カンナビス(Cannabis)抽出物、アラリア(Alaria)抽出物、ブラッダーラック(Bladderwrack)抽出物、ダルス(Dulse)抽出物、アイリッシュモス(Irish Moss)抽出物、ケルプ(Kelp)抽出物、ラミナリア(Laminaria)抽出物、ラヴァー(Laver)抽出物、ロックウィード(Rockweed)抽出物、シーレタス(Sea Lettuce)抽出物、スピルリナ(Spirulina)抽出物、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載のマイクロカプセル。
【請求項17】
コアの内側に封入された少なくとも1種の活性物質の濃度が、マイクロカプセルの少なくとも5重量%である、請求項1~16のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項18】
コアの内側に封入された少なくとも1種の活性物質の濃度が、マイクロカプセルの5重量%~80重量%である、請求項17に記載のマイクロカプセル。
【請求項19】
少なくとも1種の活性物質の望ましくない味及び/又は臭気が、マイクロカプセルによって本質的にマスキングされている、請求項1~18のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項20】
少なくとも1種の活性物質の放出プロファイルが、延長放出プロファイル、遅延放出プロファイル、持続放出プロファイル及び即時放出プロファイルから選択される、請求項4~19のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項21】
シェルのポリマーが、エチルセルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸酪酸カルボキシメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、アルギネート及びアルギネート系ポリマー、ゼイン、カゼイン、ホエイタンパク質、シェラック、カラゲナン、キトサン、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、シクロデクストリン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ガッティガム、カラヤガム、寒天、フルセララン、ポリラクチド、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ポリ-D,L-乳酸(PDLLA)、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(D,L-乳酸)、メトキシポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(D,L-乳酸)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項22】
少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項23】
少なくとも1種の抗酸化剤が、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸、カルノシン酸、アノキソマー、カロテノイド、BHT、BHA及びパルミチン酸アスコルビルからなる群から選択される、請求項22に記載のマイクロカプセル。
【請求項24】
少なくとも1種の着香剤をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項25】
少なくとも1種の着香剤が、天然着香剤又は天然同一性着香剤である、請求項24に記載のマイクロカプセル。
【請求項26】
天然同一性着香物質が、シトラル、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、ケイ皮アルデヒド、プロピオン酸エチル、アントラニル酸メチル、リモネン、デカジエン酸エチル、ヘキサン酸アリル、エチルマルトール、エチルバニリン及びサリチル酸メチルからなる群から選択される、請求項25に記載のマイクロカプセル。
【請求項27】
少なくとも1種の着色料をさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項28】
少なくとも1種の着色料が、アナトー、カルミン、コチニール抽出物、ニワトコ、リコペン、スピルリナ(Spirulina)抽出物(青色顔料)、パプリカ、クルクミン、ブドウ色抽出物、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アントシアニン、脱水ビート(ビート粉末)、ビートルート抽出物、β-アポ-8’-カロテナール、カロテノイド、ニンジン油、Brilliant Blue FCF、5,5’-インディゴジスルホン酸ナトリウム塩(インディゴカルミン)、Fast Green FCF(N-エチル-N-[4-[[4-[エチル[(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](4-ヒドロキシ-2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3スルホベンゼンメタンアミニウムヒドロキシド)、エリスロシン、アルラレッドAC、タートラジン、サンセットイエローFCF(二ナトリウム2-ヒドロキシ-1-(4-スルホナトフェニルアゾ)ナフタレン-6-スルホネート)からなる群から選択される、請求項27に記載のマイクロカプセル。
【請求項29】
10μm~400μmのサイズを有する、請求項1~28のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、物品。
【請求項31】
複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルが、同一の含有量を有する、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
異なる含有量を有する安定な食品グレードのマイクロカプセルの混合物を含む、請求項30に記載の物品。
【請求項33】
分散体、硬質シェルカプセル、軟質ゲルカプセル、シロップ、果汁、ショット、溶液、クリーム、シェイク、グミ、ゼリー、ドリンク、バー、チューインガム、インスタント粉末、粉末、カクテル、トローチ、チョコレート、ジャム、ピーナツバター、ペースト、人工肉、人工魚、プリント食品及び酪農製品からなる群から選択される、請求項30~32のいずれか一項に記載の物品。
【請求項34】
サプリメント食品である、請求項30~32のいずれか一項に記載の物品。
【請求項35】
請求項1~29のいずれか一項に記載の少なくとも1種の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とする少なくとも1種の活性物質を消費用食品に送達するためのシステム。
【請求項36】
食用物質、及び請求項1~29のいずれか一項に記載の一定量の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、消費用食品。
【請求項37】
食用物質が、液体形態、固体形態又は半固体形態である、請求項36に記載の食品。
【請求項38】
強化食品である、請求項36又は37に記載の食品。
【請求項39】
機能性食品である、請求項36~38のいずれかに記載の食品。
【請求項40】
ビーガン食品である、請求項36~39のいずれか一項に記載の食品。
【請求項41】
ベジタリアン食品である、請求項36~39のいずれか一項に記載の食品。
【請求項42】
自然食品である、請求項36~38のいずれか一項に記載の食品。
【請求項43】
天然源からの成分を含む、請求項36~42のいずれか一項に記載の食品。
【請求項44】
食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない味及び/若しくは臭気を有することを特徴とする少なくとも1種の活性物質で富化された食品の調製の方法であって、a)請求項1~29のいずれか一項に記載の複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを用意するステップ;並びにb)請求項1~29のいずれか一項に記載の複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを食品に導入するステップを含み、それにより少なくとも1種の活性物質で富化された食品を得る、方法。
【請求項45】
請求項1~29のいずれか一項に記載の一定量の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、消費用食品の製造のための、食品グレードの原材料。
【請求項46】
天然源からの構成成分を含む、請求項45に記載の食品グレードの原材料。
【請求項47】
ビーガンである、請求項45又は46に記載の食品グレードの原材料。
【請求項48】
ベジタリアンである、請求項45又は46に記載の食品グレードの原材料。
【請求項49】
請求項1~29のいずれか一項に記載の、複数の食品グレードの安定なマイクロカプセル。
【請求項50】
請求項49に記載の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルを貯蔵する及び/又は放出するように構成された、装置。
【請求項51】
容量ボトル、容量容器、容量パッケージ、サッシェ、噴霧容器、噴霧ボトル及びディスペンサからなる群から選択される、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
請求項49に記載の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルの所定量を貯蔵する及び/又は放出するように構成された、請求項50又は51に記載の装置。
【請求項53】
請求項49に記載の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルの所定量を放出するように構成されたアセンブリであって、
a.チャンバを受け入れる容器及び分配要素を備えた収容部、並びに
b.チャンバを受け入れる容器中に挿入されるように、かつ分配要素と動作可能で係合するように構成された、マイクロカプセルを含む取り外し可能な封止容器
を備え、
容器が、分配要素と動作可能で係合するときに、分配要素が封止容器から複数のマイクロカプセルの所定量を放出するように構成された、
アセンブリ。
【請求項54】
請求項53に記載のアセンブリと共に使用されるように構成された、請求項49に記載の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルを含む、封止容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、食品及び/又はサプリメント食品中の生物学的に活性な成分に関し、より正確には、改善された性質を有するマイクロカプセルの形態にある送達システムを含む、食品及び/又はサプリメント食品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品及び/又はサプリメント食品中で使用されている多くの生物学的に活性な物質は、それらの臭気、味又は一定の物理的性質に起因して、不安定であり、又は食物に不適合である。したがって、そのような物質は、「隔離された」形態において食品中に取り込まれて、そのようにして外の攻撃からそれらを防護し、及び/又はそれらの望ましくない性質をマスキングする必要がある。換言すると、所望の活性物質は、該物質の活性/構造/栄養価を未変化のままとしながら、食品の性能を変更することなく食物中に送達されるべきである。
【0003】
そのような物質の最も一般的な例の1つが、多価不飽和脂肪酸を含有する、酸化され得る油である。過去数十年にわたり、健康の専門家は、不飽和脂肪に富む食事を推奨してきた。不飽和脂肪酸は、ヒトの体内で、代謝及び構造的プロセスの生理学において必要不可欠な役割を果たし、有益な健康上の効果を有している。不飽和脂肪酸の生物学的作用は多様であり、様々な治療上の利点を生成する。広範な研究は、異なる機序と関連する、冠動脈疾患を防ぐ不飽和脂肪酸の多様な能力と関係づけてきており、これには、生理的恒常性を維持するためのエイコサノイド生合成における深い関与、及び調節遺伝子の転写を調節するための核受容体タンパク質との相互作用が挙げられる。不飽和脂肪酸を含有する植物性油及び海産油は、食品工業において、それらの自然で安全な状態、消費者による広い受容、及び多次元の機能的性質のために、ますます関心を得ている。オメガ-3及びオメガ-6などの多価不飽和酸のタイプ及び源は、それらの量/濃度と同じくらい重要である。植物性源からの最も一般的な不飽和油は、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸及びγ-リノレン酸であり、これらは長鎖脂肪酸を欠いている。大量のオメガ-3長鎖多価不飽和脂肪酸のために、海産油及び藻類油が、最も需要が高い。
【0004】
多価不飽和脂肪酸(PUFA)での食品の強化が、それらの取り込みを増加させるための良好な代替法と見られているが、PUFAでの食物の富化は技術的に難しい。これは、高温処理条件下で調製される、及び/又は比較的長い周囲貯蔵寿命を有することが企図されている食物にとって、とりわけ真である。マイクロカプセル化は、上記の困難を克服するのに用いられるツールのうちの1つであり、食品工業において広く用いられている。噴霧乾燥が、多価不飽和脂肪酸のマイクロカプセル化のために最も一般的に使用されている技術であるが;いくつかの研究はまた、この技術の欠点も指摘してきた。エマルションの単純な噴霧乾燥は、噴霧乾燥中に、及びさらなる貯蔵中に形成されたアロマ活性化合物の低い臭気の閾値のために、食物中での使用に好適なマイクロカプセルをもたらさない。非常に高い温度における乾燥の媒体としての空気の使用は、多孔質構造を有する粒子を生成する。きわめて少量の表面の油でさえ、不快な臭気の発現へと至らせる。加えて、噴霧乾燥された粉末粒子は容易に酸化を受けることができ、このため貯蔵寿命が減少する。例えば、噴霧乾燥された魚油粉末は、貯蔵時に、純粋な魚油と比べて、より酸化されやすい。多くの場合、さらなるコーティングは、悪臭の発現を必ずしも阻止せず、コーティング材料のタイプが、感覚プロファイルに著しく影響を及ぼすおそれがある。噴霧乾燥されたPUFA粉末は、パン、及びいくつかの他の貯蔵寿命の短い製品などの製品中では首尾よくいったが、貯蔵寿命の長い製品中でのそれらの安定性は不良なままである。押出技術は、500~1000μmの範囲内の粒径を有するマイクロカプセルへと至らせ、これは多くの食品に含ませるには大きすぎる。このことは、100μm超の粒径が口当たりに影響を及ぼすという事実に起因する。複合的なコアセルベーション技術はまた、いくつかの欠点を伴う。この技術で形成されたコアセルベートは、pHのきわめて狭い範囲下で安定である。現在の方法は、正電荷ポリマーとしてゼラチンを主に使用するが、動物由来のゼラチンは、ベジタリアンの人々に許容されず、また宗教的な理由から許容されない。
【0005】
ほとんどのカプセル化方法が、タンパク質、糖、変性デンプン、ゼラチン及びガムなどの水溶性の壁形成材料を使用している。しかしながら、カプセル化のこれらのタイプは、食品との接触時に、カプセル化された不飽和脂肪酸又は油源の不溶及びそれに続く分解のために、水を含有する又は高い水活性を有する食品中の不飽和脂肪酸を防護するには好適でない。水が、ほとんどの食物のための処理操作及び貯蔵操作の段階のうちの1つ以上において関与するため、水溶性マトリックス中のカプセル化は、不飽和脂肪酸の安定性を改善するために、又は生物活性剤の保留及び指示された放出を制御するために、限定された適用性を有する。したがって、生物学的に活性な成分を食品中へ送達するための改善された方法は、長らく、満足されていない必要性のままであることが明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の要旨)
本発明の主な目的は、生物学的に活性な成分の、食品及びサプリメント食品への、新しく、改善された送達システム、並びに食品工業におけるそれらの使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された、安定な食品グレードのマイクロカプセルであって、前記少なくとも1種の活性物質が、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とし;前記マイクロカプセルが、ポリマーシェル及びコアを含み、シェルが、水及び/又は油不浸透性であり、不活性材料で作製されており、少なくとも1種の活性物質を含む組成物が、マイクロカプセルのコアの内側に封入されている、マイクロカプセルを提供する。
【0008】
本発明は、少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された、複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む物品であって、前記少なくとも1種の活性物質が、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とし;前記マイクロカプセルが、ポリマーシェル及びコアを含み、シェルが、水及び/又は油不浸透性であり、不活性材料で作製されており、少なくとも1種の活性物質を含む組成物が、マイクロカプセルのコアの内側に封入されている、物品をさらに提供する。
【0009】
本発明は、少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された、少なくとも1種の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とする少なくとも1種の活性物質を、消費用食品に送達するためのシステムであって、前記少なくとも1種の活性物質が、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とし;前記マイクロカプセルが、ポリマーシェル及びコアを含み、シェルが、水及び/又は油不浸透性であり、不活性材料で作製されており、少なくとも1種の活性物質を含む組成物が、マイクロカプセルのコアの内側に封入されている、システムをさらに提供する。
【0010】
本発明は、少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された、食用物質及び一定量の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、消費用食品であって、前記少なくとも1種の活性物質が、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とし;前記マイクロカプセルが、ポリマーシェル及びコアを含み、シェルが、水及び/又は油不浸透性であり、不活性材料で作製されており、少なくとも1種の活性物質を含む組成物が、マイクロカプセルのコアの内側に封入されている、食品をさらに提供する。
【0011】
本発明は、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない味及び/若しくは臭気を有することを特徴とする少なくとも1種の活性物質で富化された食品の調製の方法であって、前記方法が、a)本発明の複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを用意するステップ;及びb)本発明の複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを食品に導入するステップを含み、それにより少なくとも1種の活性物質で富化された食品を得る、方法を提供する。
【0012】
本発明は、消費用食品の製造のための食品グレードの原材料であって、前記原材料が、少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された、一定量の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含み、前記少なくとも1種の活性物質が、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とし;前記マイクロカプセルが、ポリマーシェル及びコアを含み、シェルが、水及び/又は油不浸透性であり、不活性材料で作製されており、少なくとも1種の活性物質を含む組成物が、マイクロカプセルのコアの内側に封入されている、原材料をさらに提供する。
【0013】
本発明は、本発明の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルをさらに提供する。
【0014】
本発明は、本発明の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルを貯蔵する、及び/又は放出するように構成された装置をさらに提供する。
【0015】
本発明は、本発明の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルの所定量を放出するように構成されたアセンブリであって、
a.チャンバ及び分配要素を受け入れる容器を備えた収容部、並びに
b.チャンバを受け入れる容器中に挿入されて、分配要素と動作可能で係合するように構成された、マイクロカプセルを含む取り外し可能な封止容器
を備え、
該容器が、分配要素と動作可能で係合するとき、前記分配要素が前記封止容器から複数のマイクロカプセルの所定量を放出するように構成された、
アセンブリを、さらに提供する。
【0016】
本発明は、本発明のアセンブリと共に用いられるように構成された、本発明の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルを含む封止容器を、さらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】エチルセルロースのポリマーシェルを有する50%オメガ-3オイルマイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図2A】Ethocel100のポリマーシェルを有する50%のオメガ-3マイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図2B】Ethocel45のポリマーシェルを有する50%オメガ-3マイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図2C】Ethocel10のポリマーシェルを有する50%オメガ-3マイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図3】10%ゼイン及び40%エチルセルロースのポリマーシェルを有する50%オメガ-3マイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図4A】エチルセルロースを含むポリマーシェルを有する50%オメガ-3マイクロカプセルの、760×拡大率でのSEM画像の例示的な実施形態を示す。
図4B】20%シェラック及び30%エチルセルロースを含むポリマーシェルを有する50%オメガ-3マイクロカプセル(実施例4)の、500×拡大率でのSEM画像の例示的な実施形態を示す。
図5A】pH1.2にある溶解系1中の、実施例1及び実施例2に従って調製し、続いてpH6.8にある系2中に溶解した、異なるタイプのマイクロカプセルからのオメガ-3オイルの放出の例示的な実施形態を示す。
図5B】pH1.2にある溶解系1中の、異なる鎖長のポリマーで得られたマイクロカプセル(実施例2)からのオメガ-3オイルの放出の例示的な実施形態を示す。
図5C】溶解試験の出発点(時間ゼロ)における50%オメガ-3オイルを含む未変化マイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図5D】系2(pH6.8)中の、溶解試験の最終点における50%オメガ-3オイルを含むマイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図6A】オメガ-3オイルのマイクロカプセルを含む、工業的に製造したグミ(グミ(3g)の各ユニットはDHA100mgを含有する)の例示的な実施形態を示す。
図6B】グミ中の、本発明のオメガ-3オイルマイクロカプセルの分散体の、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図6C】グミから分離された、本発明のオメガ-3オイルマイクロカプセルの、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図7A】ヨーグルト中の、本発明のマイクロカプセルの分散体の、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図7B】競合企業によって製造された、ヨーグルト中の、オメガ-3オイルを含有するマイクロカプセルの分散体の、10×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図8】ヘルシーバー中の、本発明のオメガ-3オイルマイクロカプセルの分散体の、4×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図9A】オメガ-3オイル酸化の第2の揮発性代謝物の標準物の、SPME GC-MSクロマトグラムの例示的な実施形態を示す。
図9B】本発明のマイクロカプセル(サンプルA)中の、及び元のオメガ-3オイル(サンプルB)中の、脂質酸化の第2の揮発性代謝物の含有量の例示的な実施形態を示す。
図10A】10%の酸化亜鉛を含むマイクロカプセルの、4×拡大率での光学顕微鏡画像の例示的な実施形態を示す。
図10B】10%の酸化亜鉛を含むマイクロカプセルの、3700×拡大率でのSEM画像の例示的な実施形態を示す。
図11】本発明のアセンブリの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、今より、本発明の実施形態が示される添付の実施例及び図を参照しながら、これ以降、より完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具体化されてもよく、ここに示す実施形態に限定されると解釈すべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的で完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように、提供される。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の活性物質を含む組成物を食品に送達するように設計された、安定な食品グレードのマイクロカプセルであって、前記少なくとも1種の活性物質が、食物に不適合であり、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とし;前記マイクロカプセルが、ポリマーシェル及びコアを含み、シェルが、水及び/又は油に不浸透性であり、不活性材料で作製されており、少なくとも1種の活性物質を含む組成物が、マイクロカプセルのコアの内側に封入されている、マイクロカプセルを提供する。本明細書で使用されるとき、用語「食物に不適合である」は、その臭気、味、色、又は任意の他の関連するパラメータ及び/若しくは特性に起因して、使用に好適でない又は使用が不可能である活性成分であると、限定なしで理解されることが意味される。用語「活性物質」は、本明細書で使用されるとき、健康又は任意の他の有益性を消費者に提供する任意の物質を限定なしで指す。一実施形態において、コアの内側に封入された少なくとも1種の活性物質は、隔離されている。別の実施形態において、コアの内側に封入された少なくとも1種の活性物質は、その構造及び/又は生物学的活性を保持している。本明細書で使用されるとき、用語「生物学的活性」は、標的において規定された生物学的効果を達成する特定の分子実体の能力を限定なしで指し、その効果を生成するのに必要とされるその実体の作用強度又は濃度の点から測定される。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、本発明のマイクロカプセルは、特定の放出プロファイルを有する。一実施形態において、マイクロカプセルを含む食品の消費時に、少なくとも1種の活性物質が、吸収部位において、及び/又は作用部位において、マイクロカプセルから放出される。別の実施形態において、少なくとも1種の活性物質の放出プロファイルは、延長放出プロファイル、遅延放出プロファイル、持続放出プロファイル及び即時放出プロファイルから選択される。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の活性物質は、複数の生体分子を含む。本発明の文脈において、用語「生体分子」は、上に定義した生物学的活性を有する任意の分子実体を指す。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセルは、10μm~400μmのサイズを有する。一実施形態において、マイクロカプセルは、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm;90μm;95μm、100μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、210μm、215μm、220μm、225μm、230μm、235μm、240μm、245μm、250μm、255μm、260μm、265μm、270μm、275μm、280μm、285μm、290μm、295μm、300μm、310μm、315μm、320μm、325μm、330μm、335μm、340μm、345μm、350μm、355μm、360μm、365μm、370μm、375μm、380μm、385μm、390μm、395μm及び400μmのサイズを有する。用語「マイクロカプセル」は、本明細書で使用されるとき、壁形成材料として働くポリマーシェル、及びマイクロカプセルのコア内のカプセル化された活性成分からなる球形の微粒子を限定なしで指す。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の活性物質は、ビタミンを含む。ビタミンの非限定的な列挙には、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンF及びビタミンE、B群のビタミン、コエンザイムQ10、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の活性物質は、天然の及び/又は植物性の抽出物又はそれらの誘導体を含む。抽出物の非限定的な列挙には、アルテア(Althea)抽出物、アンジェリカ(Angelica)抽出物、アニス(Anise)抽出物、アルニカ(Arnica)抽出物、アロニア(Aronia)抽出物、アストラガルス(Astragalus)抽出物、バジル(Basil)抽出物、カルダモン(Cardamom)抽出物、カモミール(Chamomile)抽出物、セロリー(Celery)種子抽出物、クローブ(Cloves)抽出物、シナモン(Cinnamon)抽出物、コリアンダー(Coriander)抽出物、コーンシルク(Cornsilk)抽出物、エチナセア(Echinacea)抽出物、ユーカリプタス(Eucalyptus)抽出物、フェンネル(Fennel)抽出物、ガーリック(Garlic)抽出物、ギンコ・ビロバ(Ginkgo Biloba)抽出物、ジンセン(Ginseng)抽出物、ジンジャー(Ginger)抽出物、レモン・グラス(Lemon grass)抽出物、リコリス(Licorice)抽出物、メリッサ(Melissa)抽出物、メンタ(Mentha)抽出物、オニオン(Onion)抽出物、パースリー(Parsley)抽出物、パッシフローラ(Passiflora)抽出物、ペッパー(Pepper)抽出物、プランタゴ(Plantago)抽出物、ローズマリー(Rosemary)抽出物、タイム(Thyme)抽出物、ターメリック(Turmeric)抽出物、サルビア(Salvia)抽出物、シーバックソーン(Sea-buckthorn)抽出物、アサ(Hemp)抽出物、カンナビス(Cannabis)抽出物、アラリア(Alaria)抽出物、ブラッダーラック(Bladderwrack)抽出物、ダルス(Dulse)抽出物、アイリッシュモス(Irish Moss)抽出物、ケルプ(Kelp)抽出物、ラミナリア(Laminaria)抽出物、ラヴァー(Laver)抽出物、ロックウィード(Rockweed)抽出物、シーレタス(Sea Lettuce)抽出物、スピルリナ(Spirulina)抽出物、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一実施形態において、少なくとも1種の活性物質は、単離物、個々の化合物である。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の活性物質は、金属又はその誘導体を含む。金属及びそれらの誘導体の非限定的な列挙には、鉄又はその誘導体、亜鉛又はその誘導体、銅又はその誘導体、セレン又はその誘導体、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の活性物質は、酸化しやすい。本明細書で使用されるとき、用語「酸化しやすい物質」又は「酸化し得る物質」は、互換性があり、酸素との化学反応を受け得る物質を集合的に指し、物質は、恒常的な化学的組成及び特徴的な性質を有する物質の形態である。それは、化学結合を壊さずには成分に分離され得ない。一実施形態において、酸化し得る物質は、不飽和及び/又は多価不飽和脂肪酸を含む。一実施形態において、酸化し得る物質は、魚油、海産油、オキアミ油、藻類油、植物性油(vegetable oil)及び植物油(plant oil)からなる群から選択される。別の実施形態において、少なくとも1種の活性物質は、以下のうちの少なくとも1種を含む:不飽和オメガ-3長鎖脂肪酸、不飽和オメガ-6長鎖脂肪酸、不飽和オメガ-7長鎖脂肪酸、不飽和オメガ-9長鎖脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸、トリエン脂肪酸、アルファ-リノレン酸(ALA)、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、及びこれらの任意の組み合わせ。用語「オメガ-3」は、本明細書で使用されるとき、個々の多価不飽和脂肪酸、例えばエイコサペンタエン酸(EPA)、ステアリドン酸(SDA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アルファ-リノレン酸(ALA)、並びにこうしたものを含むそれらのエステル及び油を限定なしで指す。用語「オメガ-6」は、本明細書で使用されるとき、個々の多価不飽和脂肪酸、γ-リノレン酸(GLA)、リノール酸(LA)、アラキドン酸(ARA)、共役リノール酸(CLA)、及びそうしたものを含む任意の油を限定なしで指す。用語「オメガ-3」、「オメガ-3脂肪酸(複数可)」、「オメガ-3脂肪」、「オメガ-3オイル」などは、オメガ-3脂肪酸、及びトリグリセリドを含むがこれらに限定されないこれらの脂肪酸の生物学的に関連するエステルを指す。これらの用語はまた、オメガ-3含有油(例えば海産由来の油及び植物由来の油)、油から実質的に精製されたオメガ-3脂肪酸、及び合成的に調製されたオメガ-3を包含することが意味される。用語「オメガ-7」は、本明細書で使用されるとき、個々の不飽和脂肪酸パルミトレイン(9-ヘキサデカン)酸、バクセン(11-オクタデセン)酸、ルーメン(オクタデカ-9,11-ジエン)酸、パウリン(13-エイコセン)酸、及びそうしたものを含む油を限定なしで指す。用語「オメガ-9」は、本明細書で使用されるとき、個々のオレイン酸、及びそうしたものを含む油、並びにエルカ酸から実質的に精製された油を限定なしで指す。本明細書で使用されるとき、用語「オメガ-6」、「オメガ-6脂肪酸(複数可)」、「オメガ-6脂肪」、「オメガ-6オイル」などは、オメガ-6脂肪酸、及びオメガ-6含有油を指す。用語「魚油」は、本明細書で使用されるとき、タラ、タラの肝臓、メンハーデン、イワシ、サケ、アンチョビ、ニシン及びサバが挙げられるがこれらに限定されない任意の魚若しくは魚の部分からの油、又は任意の魚若しくは魚の部分からの油のブレンドを限定なしで指す。用語「海産油由来」は、本明細書で使用されるとき、魚、オキアミ、プランクトン又は甲殻類などの海の動物から得られた材料を指す。用語「植物由来」は、本明細書で使用されるとき、植物又は植物の部分、例えば種子、実、ナッツ又は葉から得られた材料であると理解されることが意味される。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、コアの内側に封入された少なくとも1種の活性物質の濃度は、マイクロカプセルの少なくとも5重量%である。一実施形態において、コアの内側に封入された少なくとも1種の活性物質の濃度は、マイクロカプセルの5重量%~80重量%である。一実施形態において、コアの内側に封入された少なくとも1種の活性物質の濃度は、マイクロカプセルの、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%及び80重量%である。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1種の活性物質の望ましくない味及び/又は臭気は、マイクロカプセルによって本質的にマスキングされる。用語「本質的にマスキングされる」は、活性物質の望ましくない臭気及び/又は味が著しく低減されることから完全に除去されることまでであるときの状況であることが、限定なしで理解されることが意味される。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、シェルのポリマーは、エチルセルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸酪酸カルボキシメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、アルギネート及びアルギネート系ポリマー(例えば、Aquateric(登録商標)N100)、ゼイン、カゼイン、ホエイタンパク質、シェラック、カラゲナン、キトサン、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、シクロデクストリン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ガッティガム、カラヤガム、寒天、フルセララン、ポリラクチド、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ポリ-D,L-乳酸(PDLLA)、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(D,L-乳酸)、メトキシポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(D,L-乳酸)、又はそれらの任意の組み合わせを含めたポリマーの非限定的な列挙から選択される。一実施形態において、ポリマー系は、可食性である。別の実施形態において、ポリマー系は、消化されたときに、マイクロカプセル化された活性成分を放出するように設計されている。一実施形態において、ポリマーは優しい味を有する。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、コアは、少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む。使用され得る抗酸化剤の非限定的な列挙には、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸、カルノシン酸、アノキサマー、カロテノイド、BHT、BHA及びパルミチン酸アスコルビル、又は好適であると見出され得る任意の他の抗酸化剤が挙げられる。いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセルは、少なくとも1種の可塑剤をさらに含む。使用され得る可塑剤の非限定的な列挙には、ココナツ脂、カカオ脂、パラフィン油、シリコーン(silicon)油、脂肪酸のトリグリセリド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸トリエチルアセチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ビーズワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、米ぬかワックス、又は好適であると見出され得る任意の他の可塑剤が挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセルは、少なくとも1種の保存料をさらに含む。保存料の非限定的な列挙には、クローブ油、オレガノ油、ローズマリー油、タイム油、マスタード油、シナモン油、又はこの油からの個々の抗菌化合物、例えば1,8-シネオール、カンファー、ピネン、安息香酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、二酸化硫黄、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、又は好適であると見出され得る任意の他の保存料が挙げられる。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセルは、少なくとも1種の着香剤をさらに含む。着香剤の非限定的な列挙には、天然着香物質又は天然同一性着香物質、例えばシトラル、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、ケイ皮アルデヒド、プロピオン酸エチル、アントラニル酸メチル、リモネン、デカジエン酸エチル、ヘキサン酸アリル、エチルマルトール、エチルバニリン、サリチル酸メチル、又は好適であると見出され得る任意の他の着香剤が挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、マイクロカプセルは、少なくとも1種の食物着色料をさらに含む。本発明の食物着色料の非限定的な列挙には、アナトー、カルミン、コチニール抽出物、ニワトコ、リコペン、スピルリナ抽出物(青色顔料)、パプリカ、クルクミン、ブドウ色抽出物、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アントシアニン、脱水ビート(ビート粉末)、ビートルート抽出物、β-アポ-8’-カロテナール、カロテノイド、ニンジン油、Brilliant Blue FCF、5,5’-インディゴジスルホン酸ナトリウム塩(インディゴカルミン)、Fast Green FCF(N-エチル-N-[4-[[4-[エチル[(3-スルホフェニル)メチル]アミノ]フェニル](4-ヒドロキシ-2-スルホフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-3-スルホベンゼンメタンアミニウムヒドロキシド)、エリスロシン、アルラレッドAC、タートラジン、サンセットイエローFCF(二ナトリウム2-ヒドロキシ-1-(4-スルホナトフェニルアゾ)ナフタレン-6-スルホネート)が挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本発明の複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む物品を提供する。一実施形態において、物品は、同一の活性物質含有量を有する複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む。別の実施形態において、物品は、異なる活性物質含有量を有する安定な食品グレードのマイクロカプセルの混合物を含む。一実施形態において、物品は、限定なしで、分散体、硬質シェルカプセル、軟質ゲルカプセル、シロップ、果汁、ショット、溶液、クリーム、シェイク、グミ、ゼリー、ドリンク、ムース、バター、ケーキ、バー、チューインガム、インスタント粉末、粉末、カクテル、トローチ、チョコレート、ジャム、ピーナツバター、ペースト、人工肉、人工魚、プリント食品及び酪農製品でもよい。本明細書で使用されるとき、用語「プリント食品」は、植物性マトリックス上でインキュベートされて、増殖し、分化し、相互作用して、実際の食物のテクスチャ及び品質を実現させる、プリントされた生細胞を限定なしで指す。本明細書で使用されるとき、用語「酪農製品」は、哺乳動物、例えば家畜、水牛、ヤギ、ヒツジ及びラクダの乳から生成される又はそれらを含有するタイプの食物を限定なしで指す。酪農製品には、ヨーグルト、チーズ及びバター等の数多くの食用品が挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本発明の少なくとも1種の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、食物に適合性がなく、及び/又は分解しやすく、及び/又は消費用食品への望ましくない臭気及び/若しくは味を有することを特徴とする少なくとも1種の活性物質の送達システムを提供する。本明細書で使用されるとき、用語「分解しやすい」は、多様なストレス要因下での分解に対する物質の高い脆弱性を限定なしで指す。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、食用物質、及び本発明の一定量の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、消費用食品を提供する。一実施形態において、食品は強化食品である。一実施形態において、食用物質は液体形態にある。別の実施形態において、食用物質は固体形態にある。別の実施形態において、食用物質は半固体形態にある。一実施形態において、食品はビーガン製品である。一実施形態において、食品はベジタリアン製品である。一実施形態において、食品は天然製品である。一実施形態において、食品は天然源及び/又は植物源からのものである。本明細書で使用されるとき、用語「天然製品」は、生きている有機物によって生成された生成物、すなわち天然に見出される生成物を限定なしで指す。最も広い意味において、天然製品には、生命によって生成された任意の物質が挙げられる。天然製品は、微生物、植物及び動物の、細胞、組織、分泌物から得られ得る。用語「天然源」は、本明細書で使用されるとき、微生物、植物及び動物の、細胞、組織、分泌物を限定なしで指す。一実施形態において、食品は機能性食品である。本明細書で使用されるとき、用語「ビーガン製品」は、動物成分又は動物由来成分を含有しない製品を限定なしで指す。本明細書で使用されるとき、用語「ベジタリアン製品」は、肉、及び動物組織製品を含まないことによってベジタリアン標準に合致する製品を限定なしで指す。本明細書で使用されるとき、用語「半固体形態」は、固体と液体との間にある状態を限定なしで指す。半固体の別の名称は、疑似固体である。顕微鏡規模において、それは、より一般の固体のようではない無秩序な構造を有する。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、食物に適合性がなく、及び/又は分解しやすく、及び/又は望ましくない味及び/若しくは臭気を有することを特徴とする少なくとも1種の活性物質で富化された食品の調製の方法であって、前記方法が、a)本発明の複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを用意するステップ;及びb)本発明のいずれか1種の、複数の安定な食品グレードのマイクロカプセルを食品に導入するステップを含み、それにより少なくとも1種の所望の活性成分で富化された食品を得る、方法を提供する。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、消費用食品の製造のための原材料であって、本発明の一定量の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む、原材料を提供する。一実施形態において、原材料はビーガンである。一実施形態において、原材料はベジタリアンである。一実施形態において、原材料は、消費用食品の製造のための食品グレードのプレミックスであり、前記プレミックスは、本発明の所望量の安定な食品グレードのマイクロカプセルを含む。本明細書で使用されるとき、用語「プレミックス」は、使用の前に又はさらなる加工の前に混合された食品グレードの成分のブレンドを限定なしで指す。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本発明の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルを提供する。
【0040】
本発明のマイクロカプセルは、すぐ使える製品及び/又はパッケージング、すぐ食べられる食物、パッケージング、並びにエンドユーザーによる手作業の適用のための製品、所望の食物へのマイクロカプセルの適用のためにエンドユーザーによって使用されるように設計された、均一な粒子分布及び/又は特定の所定の用量を達成するための装置を限定なしで含めた、多くの方法において使用され得る。装置は、手動、自動又は半自動とすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、装置は、限定なしで、本発明のマイクロカプセルの貯蔵に好適であり、本発明のマイクロカプセルを単回用量及び/又は多回用量として所望の食物中に適用するのに好適な、容量向けのボトル及び/若しくはボックス及び/若しくはパッケージ及び/若しくは容器;サッシェ;噴霧ボトル及び/若しくはボックス、ディスペンサ、又は任意の他の装置及び/若しくはパッケージ手段とすることができる。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本発明の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルの所定量を放出するように構成されたアセンブリであって、前記アセンブリが、a.チャンバを受け入れる容器及び分散要素を備えた収容部、並びにb.チャンバを受け入れる容器中に挿入されて分配要素と動作可能で係合するように構成された、マイクロカプセルを含む取り外し可能な封止容器を備え;該容器が分配要素と動作可能で係合するときに、前記分配要素が前記封止容器から複数のマイクロカプセルの所定量を放出するように構成されている、アセンブリを提供する。今より、本発明のアセンブリの例示的な実施形態を示す図11が参照される。本発明のアセンブリは、本発明のマイクロカプセルの所望量を放出するように設計されたディスペンサである。チャンバを受け入れる容器は、容器が、チャンバを受け入れる容器中に一旦挿入されたら、それが分散要素に結合することになるように、容器を収容するように設計されている。分散要素は、任意の適当な方法において、及びマイクロカプセルの所望量を効果的に放出することを可能にする任意の好適な機械的機構において、操作され得る。例えば、マイクロカプセルの放出は、分配要素の回転によって操作され得る。本発明のディスペンサは、容器が、チャンバを受け入れる容器中に一旦挿入されたら、封止容器を開くように設計されたツールを含有し得る。ディスペンサ又はその部品は、当技術分野で既知の任意の好適な材料で作製され得る。ディスペンサの容器受け入れチャンバは、特定のサイズ及び/又は形状の容器を収容することができる。あるいは、ディスペンサの容器受け入れチャンバは、調節可能であり、したがって複数の容器と共に使用され得る。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、本発明の複数の食品グレードの安定なマイクロカプセルを含んで本発明のアセンブリと共に使用されるように構成された封止容器を提供する。本発明の容器は、任意の好適な材料で作製され得る。容器又はその部品は、生分解性材料で作製され得る。容器は再使用され得る。
【0044】
本明細書で開示されるのは、本発明のマイクロカプセル化されたオメガ-3を含む食用物品である。添加物質を含有するマイクロカプセルは、食用物品を食べる又は飲む際に消費者に送達されることになる。開示される食用物品は、消費者によって消費され得る(例えば、食べられる、飲まれる又は消化される)任意の物品でもよい。食用物品が、美味であり、人気のある食用物品であることが望ましい。広く受け入れられる食用物品を使用することによって、添加オメガ-3についての食事レジメン又は投与レジメンを有する服薬遵守が向上され得る。例示的な食用物品には、栄養バー、チョコレート、焼き菓子、例えばクッキー、クラッカー、パイ、スナックケーキ、パン及びドウが挙げられるがこれらに限定されない。食品は、すぐ飲める飲料、又は飲用に液体で再溶解されることになる乾燥形態において提供され得る。食品は、ヨーグルト、シリアル、チーズ、又は他のタイプの携帯型食品でもよいと思われる。好ましくは、食品は、栄養バー及び酪農製品である。多様な好ましい実施形態において、本発明は、生物活性剤の放出に関する。食品加工の間、最終食品を貯蔵し、次いでヒトによる食物又は飲料製品の消化時に、送達システムは、未変化で安定なままである。本発明の送達システムは、これらの活性物質の吸収部位において活性物質の放出に達することを可能にする。送達システムは、胃の胃液の酸性環境(pHは、典型的には1.5~3.5の範囲内にある)において実質的に解離しない。送達システムは、生物活性剤を小腸(下部消化管、pH>6)内でpH制御して実質的に放出し、そのためマイクロカプセル化された生物活性剤の生物学的利用能及び総体的生理的効能を増強させる。不飽和脂肪酸マイクロカプセルの所望量が、本明細書に記載の食品に提供される。添加されることになる量は、特定の用途に適するように多様であり、少なくとも部分的に、味、貯蔵寿命、栄養価、承認された効能レベル、限定的健康強調表示、及びそれらの組み合わせに基づき得る。例えば、米国食品医薬品局(FDA)栄養成分表示必要量に合致させるために、食品の提供1回当たり少なくとも32mgのオメガ-3脂肪酸(EPAとDHAとの組み合わせ)、又は食品の提供1回当たり少なくとも300mgのオメガ-3脂肪酸を付与することが望ましいことがある。不飽和脂肪酸マイクロカプセルは、食品中で十分に混合されて比較的均一な分布を付与するが、混合は、食物配合物中の不飽和脂肪酸マイクロカプセルの懸濁に限定されない。例えば、不飽和脂肪酸は、粉末飲料ミックス又は粉末乳(例えばIncolac(登録商標)、Nesquik(登録商標)、又はカフェインの飲料ミックスGFuel(登録商標))と、粉末形態において混合されて、実質的に等しくブレンドされた粉末製品を形成し得る。本発明の実践において、オメガ-3、オメガ-6、オメガ-7及びオメガ-9の各脂肪酸、並びに不飽和脂肪酸の油源、例えばフラックスシード油、オリーブ油、クルミ油、マカダミア油、シーバックソーン油、ルリジサ油、ヒマワリ油、ダイズ油、カシューナッツ油、ピーナツ油、アボカド油、海産油、又はそれらのブレンドのうちのいずれかが使用され得る。海産油には、アンチョビ、ニシン、イワシ、メンハーデン、サケ、マス及びサバ並びにオキアミの各油が挙げられるがこれらに限定されない。本発明のマイクロカプセルは、オメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸との混合物を、1:4の比で、最も好ましくは1:1の比で含み得る。本発明は、食品を製造する方法に関する。該方法は、予備処理して中間体食品(プレミックス)を形成するステップ、マイクロカプセル化した不飽和脂肪酸の所望量を中間体食品に添加するステップ、及び中間体食品を混合して不飽和脂肪酸を中間体食品中に分散させるステップを含む。任意選択的に、該方法は、中間体食品を低温殺菌して食品を形成するステップ、及び食品を後処理するステップを含むことができる。後処理は、パッケージングのために製品を調製するステップを含んでよい。中間体食品は、溶液又は半固形若しくは固形混合物でもよい。本発明は、固形混合物若しくは半固形物又は液体でもよいと思われる生成混合物を混合することによって、生成混合物、及び生成混合物中に分散したマイクロカプセル化された不飽和脂肪酸の所望量を含む食品に関する。添加するステップは、マイクロカプセル化された不飽和脂肪酸を、例えば粉末混合を用いることによって中間体食品に添加することを含んでよい。混合するステップは、マイクロカプセル化された不飽和脂肪酸を中間体食品内に分散させて、例えば剪断ミキサーを用いて実質的に均質なブレンドを形成することを含んでよい。本明細書において提供される他の方法は、その製造前に、マイクロカプセルを、食用品を調製する方法において使用される1種以上の成分と混合することを包含し得る。代替的な又は付加的な方法は、完成した食品をマイクロカプセルと接触させるステップを含む。例えば、マイクロカプセルを、食用品のための調味料と混合し得る。上記の方法は、マイクロカプセルを、予備均質化された組成物に添加する任意の特定の方法に限定されない。例えば、マイクロカプセルは、予備均質化された組成物中に、手作業で導入され得る又は注入され得る。別法では、マイクロカプセルは、予備均質化された組成物中にポンピングされてもよく、又は供給ホッパーを介して添加されてもよい。予備均質化された組成物に送達ビヒクルを添加する他の好適な方法は、当技術分野において既知である。混合はまた、機械撹拌機、磁気撹拌機、振とう機、気体と混合する装置、超音波を用いる混合、振とうなどであるがこれらに限定されない、当技術分野において既知の方法によっても実施され得る。マイクロカプセル化された不飽和脂肪酸を使用するとき、これらの組成物は、食品を得る方法の間の著しい破壊なしで食品中に取り込まれ得る。詳細には、本発明のマイクロカプセルは、(食用品のパッケージング、輸送及び貯蔵を含めた)食用品の製造中の破損に耐性がある。マイクロカプセルは、食品のテクスチャ及び稠度が魅力的でないようにさせないサイズ及びテクスチャを有する。不飽和脂肪酸マイクロカプセルを含めた本発明の完成食品は、製品が受ける処理のレベル、パッケージングのタイプ、及び製品をパッケージングするのに使用される材料に応じて、周囲条件下、約2~12か月、おそらくは最大で24か月の長い貯蔵寿命を有し得る。マイクロカプセル化方法は、溶媒除去方法に基づかせ得る。食品における用途のためのマイクロカプセルの製造の例示的方法は、以下のステップを含む:a)不飽和脂肪酸を、任意選択的に抗酸化剤、可塑剤、香料、保存料、他の添加剤、又はそれらの混合物と一緒に、水と部分的に混和性である酢酸エチルに溶解させ又は分散させ、かつ、エチルセルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸酪酸カルボキシメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、アルギネート及びアルギネート系ポリマー(例えばAquateric(登録商標)N100)、ゼイン、カゼイン、ホエイタンパク質、シェラック、カラゲナン、キトサン、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、シクロデクストリン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ガッティガム、カラヤガム、寒天、フルセララン、ポリラクチド、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ポリ-D,L-乳酸(PDLLA)、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(D,L-乳酸)、メトキシポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(D,L-乳酸)、若しくはそれらの組み合わせからなる群から選択される壁形成ポリマーと一緒に、前記物質を溶解させ又は分散させて有機溶液を形成することができるステップ;b)前記有機溶媒で飽和させた、乳化剤を含む水性連続相を調製するステップ;c)撹拌しながら(a)において得られた有機溶液又は分散体を(b)において得られた水性連続相中に注入してエマルションを形成するステップ;d)過剰量の水(一般に約20:1過剰である)を(c)において得られたエマルションに添加して、エマルションからの有機溶媒の抽出を開始し、任意選択的に、溶媒のさらなる除去のために、及び固体マイクロカプセル(本明細書で、これ以降、「コアマイクロカプセル」)の形成のためにインキュベートするステップ;e)コアマイクロカプセルを、アルコールの水溶液中に浸漬させ、コアマイクロカプセルを分離し、200℃を超えない温度にて乾燥させ、このようにして単層マイクロカプセルを得るステップ。一実施形態において、内部コアマイクロカプセルのポリマーと外部シェルのポリマーとは、同一であっても異なっていてもよい。単層マイクロカプセルを覆う第2の層は、溶媒除去方法の、コアセルベーション、流動床、又はシクロデクストリン中への包含と組み合わせた使用によっても達成され得る。この付加的なバリアコーティングは、送達システムの性質を修正し、プログラムされた放出を付与することを可能にする。本発明のマイクロカプセルは、食品における用途が意図されている。そのような使用は、それらの機械的性質の点から、マイクロカプセルのユニークな設計を要請する。マイクロカプセルは、シェルの破壊を回避するのに、また食品製造の技術分野で既知の技術的方法の間に含有量を実現させるのに、十分硬質でなければならない。そのような機械的性質は、適当な壁形成材料を選ぶことによって達成される。加えて、好適な可塑剤の選択、及びそのパーセンテージの決定が、別の重要な要素である。可塑剤は、天然の油及び脂肪(例えば、カカオ脂、ココナツ脂、アボカド油)、シリコーン油、パラフィン油、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリエチルアセチル、脂肪酸のトリグリセリド(例えば、トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多種のワックス(例えば、ビーズワックス、キャンデリラ、カルナウバ及び米ぬかの各ワックス)、並びにそれらの混合物から選択され得る。本発明のマイクロカプセル中の可塑剤の存在は、それらの機械的性質に影響を及ぼし、そのため、それらの使用及び効率に正の影響を及ぼす。そのような乳化剤は、単独で又はそれらの組み合わせで、のいずれかで使用され得る。可塑剤の濃度は、約1%~約10%の範囲から選択してもよく、好ましくは約1%~約6%の範囲内にある。本発明のマイクロカプセルは、少なくとも1種の抗酸化物をさらに含んでよい。本開示に好適な抗酸化剤の例には、α-トコフェロール(ビタミンE)、EDTAカルシウム二ナトリウム、酢酸アルファトコフェリル、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)、CoQ10、アノキソマーが挙げられるがこれらに限定されない。抗酸化剤の他の例には、アスコルビン酸及び薬学的に許容されるその塩、例えばアスコルビン酸ナトリウム、薬学的に許容されるアスコルビン酸のエステル、含まれるのは脂肪酸エステル結合体、没食子酸プロピル、クエン酸及び薬学的に許容されるその塩、リンゴ酸及び薬学的に許容されるその塩である。抗酸化剤のさらなる非限定的な例には、天然の抗酸化剤、例えば植物由来の抽出物又は油、例えばローズマリー属(Rosmarinus)(ローズマリー)、オレガヌム(Oreganum)、タイムス(Thymus)及びアルテミシア属(Artemisia)(タラゴン)、並びに/又は個々の天然化合物、例えばルテイン、ゼアキサンタン、β-カロテンが挙げられる。抗酸化剤は、最終マイクロカプセルの1~10重量%の量において使用され得る。本発明のマイクロカプセルは、少なくとも1種の保存料をさらに含んでよい。保存料は、植物由来の精油、例えばクローブ油、オレガノ油、ローズマリー油、タイム油、マスタード油、シナモン油、又はこの油からの個々の抗菌化合物、例えば1,8-シネオール、カンファー、ピネンなどから選択され得る。保存料はまた、安息香酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、二酸化硫黄、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムから選択され得る。本発明のマイクロカプセルは、天然の
着香物質、又は天然同一性着香物質、例えばシトラル、酢酸イソアミル、ベンズアルデヒド、ケイ皮アルデヒド、プロピオン酸エチル、アントラニル酸メチル、リモネン、デカジエン酸エチル、ヘキサン酸アリル、エチルマルトール、エチルバニリン、サリチル酸メチルから選択される少なくとも1種の着香剤をさらに含んでよい。第2の段階において、水性連続相は、酢酸エチルによって飽和され、適当な乳化剤が水性相に添加され得る。使用され得る乳化剤の例には、ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸ラウリル、エトキシル化ソルベート、例えばTween-20及びTween-60、ポリグリセロール及びポリ(エチレングリコール)、並びにそれらのエステル及びエーテルなどが限定なしで挙げられる。そのような乳化剤は、単独か、又はそれらの組み合わせか、のいずれかで使用され得る。乳化剤の濃度は、約0.1%~約10%の範囲から選択されてよく、好ましくは約0.1%~約5%の範囲内にある。微量の溶媒を除去するために、ろ過後に得られたマイクロカプセルは、10%エタノール溶液中に浸漬され、それにより酢酸エチル残渣がマイクロカプセルから除去されることを引き起こす。そのような条件下、マイクロカプセル内に存在する酢酸エチル残渣は、マイクロカプセルから外の媒質へと急速に移行し、マイクロカプセル中5000ppm未満の残っている微量の溶媒は、良好に、許容されるFDA範囲内である。本発明の方法は、容易にスケーラブルである。工業規模の製造において、マイクロカプセルの分離後、有機相は、蒸留によって水性相から除去され得る。そのため、水と有機相との両方が再利用され得る。本明細書に記載のマイクロカプセルは、概して、高い有効充填量、すなわちマイクロカプセル粉末1グラム当たり高いパーセンテージのオメガ-3オイルと、構造的強度とを、それ自体において組み合わせる。例えば、記載されるマイクロカプセルは、均質化の方法に耐えるのに十分強力である。加えて、記載されるマイクロカプセル中の不飽和脂肪酸の含有量は、マイクロカプセルの、約20~約80重量%、約50~約80重量%、又は約60重量%でもよい。マイクロカプセルの形成中の酸化の防止は、不活性ガスの存在下、光から防護され、及び/又は無菌条件下、真空下で該方法を実施することによって達成され得る。ヒト消費用に形成されたマイクロカプセルは、通常の食物性工業方法、具体的には当技術分野で既知の操作に耐性をもつべきである。本発明のマイクロカプセルは、単位操作に供することができ、例えば:無菌化、均質化、低温殺菌化、オゾン化、(天然又は合成のいずれかの)化学的抗菌製品の使用である。その微生物学的安定剤は工業的方法において添加することができ、したがって、特定の実施形態において、マイクロカプセル及び/又はマイクロカプセルを含有する食物配合物の相の内部において、微生物学的品質の点からの安定剤材料が見出される。本発明のマイクロカプセルは、乳又は他の液体酪農食品中で再溶解されるとき、とりわけ良好な貯蔵寿命安定性及び味を有し得る。本発明のマイクロカプセルは、形態学、サイズ及びサイズ分布、油のカプセル化効率及びpH感受性の点から特徴付けられる。
【実施例
【0045】
[実施例1] エチルセルロース中の、マイクロカプセル化したオメガ-3藻類油の調製
50%オメガ-3藻類油を含むマイクロカプセル20gを調製した。酢酸エチル40mlで飽和させた水道水260mlの水性連続相へ、乳化剤としてポリビニルアルコール(PVA)を添加した。有機相を、酢酸エチル100ml中エチルセルロース10gから調製した。次いで、オメガ-3藻類油10g、及びBHT0.2g及びカカオ脂0.2gを有機相に添加し、混合物を室温にて撹拌して、均質な溶液を得た。得られた有機相を、400~450rpmにおいて30分間撹拌しながら水性相中に注入して、均質なエマルションを形成した。このエマルションを水4リットル中に注入し、得られた混合物を400rpmにおいて20分間撹拌し、次いで室温にて一晩保持した。マイクロカプセルをろ過し、洗浄し、次いで20℃以下の温度にて空気乾燥させた。マイクロカプセルの平均直径は80~150μmであった。カプセル化の効率は94%であった。
【0046】
結果:
得られたマイクロカプセルは、50%のオメガ-3藻類油を含有していた。図1は、エチルセルロースのポリマーシェルを有する50%のオメガ-3オイルマイクロカプセルの顕微鏡画像を明示する。
【0047】
検討
同じ方法により、任意の脂溶性活性成分がマイクロカプセル化され得る。結果として、これらのマイクロカプセルは、油の安定性を向上させ、貯蔵寿命を延ばし、製品の貯蔵中の明瞭な悪臭の発現を阻止する。
【0048】
[実施例2] 異なる鎖長を有するポリマーの、マイクロカプセルの性質に対する影響
A.異なる鎖長を有するエチルセルロースのポリマーを、50%オメガ-3藻類油のカプセル化について評価した。Ethocel10、Ethocel20、Ethocel45及びEthocel100(DuPont)を使用した。カプセルの調製を、実施例1と同じ方法において実施した。得られたマイクロカプセルは、形態学的に、その結果として性質が異なる。ポリマー鎖長の延長は、カプセル表面の平滑性を低下させる。図2A図2Cは、3種のマイクロカプセルの光学顕微鏡画像を示す。
【0049】
B.4種のこれらのマイクロカプセルを、感覚受容の性質の評価のために、グミ配合物中に取り込んだ。オメガ-3オイルの11%のマイクロカプセルをペクチン中に取り込み、75℃に加熱し、3分間撹拌し、次いで50%クエン酸水溶液0.02gを添加し、撹拌した。グミ3gの1ユニット当たりのDHAの含有量を、100mgであると算出した。該配合物をデンプン粉末へと移行させ、乾燥のために、室温にて一晩保持した。
【0050】
結果:
試験パラメータは以下とした:a)グミを食べている間のマイクロカプセルの感覚、b)グミ中のオメガ-3オイルの元の臭気及び味のマスキング。独自の感覚スクリーニング方法、ASTM E1627-19,Standard Practice for Sensory Evaluation of Edible Oils and Fatsを用いた。7人のトレーニングした味見パネルが、感覚評価を実施した。マイクロカプセルの硬さのレベルをポリマーについて決定し、Ethocel100>Ethocel45>Ethocel20>Ethocel10であった。Ethocel10の場合、グミにおけるマイクロカプセルの感覚は決定しなかった。加えて、典型的なオメガ-3オイルの味も特定のオメガ-3オイルの臭気も、使用した全てのポリマーについて決定しなかった。マイクロカプセルの画像を、図2A~Dによって提示する。
【0051】
[実施例3] エチルセルロース及びゼインの組成物中のマイクロカプセル化したオメガ-3藻類油の調製
50%のオメガ-3藻類油を含むマイクロカプセル10gを、40%のエチルセルロース及び10%のゼインを含むポリマーの組成物を用いて調製した。
【0052】
水性連続相は、酢酸エチル20mlで飽和させた水道水120mlとし、乳化剤としてPVAを添加した。有機相を、エチルセルロース4g、酢酸エチル40ml中オメガ-3オイル5g、及び85%水性エタノール中10%ゼイン溶液10gから調製し、混合物を撹拌して、均質な分散液を得た。得られた有機相を、30分間撹拌しながら水性相中に注入して、均質なエマルションを形成した。このエマルションを水2.0リットル中に移した。得られた混合物を、200rpmにおいて室温にて20分間撹拌した。マイクロカプセルをろ過した。次いで、マイクロカプセルを、低温の10%水性エタノール60ml中へ移し、再度撹拌し、ろ過した。マイクロカプセルを真空オーブン中で乾燥させた。この方法の収率は87%であった。粒径-80~200ミクロン。
【0053】
結果
ゼインの添加は、実施例1及び2において得られたカプセルよりも平滑な表面を有するマイクロカプセルを得ることを可能にする。図3は、ゼインを有するマイクロカプセルの光学顕微鏡画像を明示する。
【0054】
[実施例4] エチルセルロース及びシェラックのポリマーの組成物中の、マイクロカプセル化したオメガ-3藻類油の調製
50%のオメガ-3藻類油を含む複合マイクロカプセル20gを、30%のエチルセルロース及び20%のシェラックを用いて調製した。水性連続相は、酢酸エチル30mlで飽和させた水道水200mlとし、乳化剤としてPVAを添加した。有機相を、エチルセルロース6g、酢酸エチル70ml中オメガ-3藻類油10g、及び脱ワックスしたシェラック4gのエタノール溶液20mlから調製した。混合物を撹拌して完全に溶解させた。得られた有機相を、30分間撹拌しながら水性相中に注入して、均質なエマルションを得て、次いでエマルションを水2.5l中に移した。マイクロカプセルを真空下でろ過し、低温の10%水性エタノール中に入れ、10分間撹拌し、再度ろ過し、真空オーブン中で乾燥させた。この方法の収率は95%である。粒径-100~200ミクロン。
【0055】
結果
これらのマイクロカプセルの形態学及び性質(硬さ、壊れやすさ、放出のプロファイル、味/臭気をマスキングする能力及びオメガ-3オイルの防護)が、主に実施例1,2及び3において得たマイクロカプセルと異なっていることを見出した。腸管コーティング材料としてのシェラックの使用は、特定の製品のために調整されたプログラムされた実現させる性質を有するカプセルを創製することを可能にする。図4Aは、エチルセルロース中に封入された50%のオメガ-3藻類油を含むマイクロカプセル(実施例1)のSEM画像を明示する。図4Bは、30%のエチルセルロース及び20%のシェラック中に封入された50%オメガ-3を含むマイクロカプセルのSEM画像を明示する。
【0056】
[実施例5] マイクロカプセルからのオメガ-3オイルの放出
マイクロカプセルからのオメガ-3オイルの放出を評価するために、USP<711>溶解修正試験を適用した。油の放出の効率を改善させるために、0.25%のTween20を溶解媒質に添加した。放出試験のための2種の溶解媒質を使用した:系1-0.1Mの塩酸、pH1.2;系2-0.1Mのリン酸緩衝液、pH6.8。
【0057】
実験A
2種のサンプルを試験した:実施例1のマイクロカプセル(プロトタイプ1)、及び実施例4のマイクロカプセル(プロトタイプ2)。マイクロカプセル200mgを、系1の溶解媒質900ml中、200rpmにおいて37.5℃にて撹拌した。3時間後、マイクロカプセルをろ過し、次いで蒸留水で洗浄した。マイクロカプセルを空気乾燥させ、次いでカプセル中に残っているオメガ-3の含有量をUV分光光度法によって測定した。サンプルを、マイクロカプセル約10~15mgを25ml容量フラスコ中メタノール1mlに溶解して調製し、次いでn-ヘキサンで容積まで充填し、210nmにおいて測定した。カプセル中の残っているオメガ-3オイルの量に基づいて、系1中の油の放出の程度を算出した。系1における放出は、実験3時間後に、試験したカプセルの両方のタイプについて約18%であった。
【0058】
系1からろ過したカプセルを、系2の溶解媒質900ml中に移し、37.5℃にてさらに3時間撹拌した。マイクロカプセルをろ過し、蒸留水で洗浄し、空気乾燥させた。マイクロカプセル中に残っているオメガ-3オイルの含有量を、本明細書で上に記載した通り測定した。
【0059】
結果
系2中の、エチルセルロース中のカプセル化したオメガ-3オイル(プロトタイプ1)の放出は25%であり、その一方で、複合マイクロカプセル(プロトタイプ2)からのオメガ-3オイルの放出は72%であった。プロトタイプ1のマイクロカプセルからのオメガ-3オイルの放出と、プロトタイプ2のマイクロカプセルからのオメガ-3オイルの放出との間の比較を、図5Aに付与する。
【0060】
検討
(シェラックのような)ポリマーの、マイクロカプセルのポリマー壁中に入れることの使用は、人体の意図した部位における、本発明のマイクロカプセルからのオメガ-3オイルの制御した放出を可能にする。
【0061】
実験B:
異なる鎖長のエチルセルロースを用いた、実施例2に従って得たマイクロカプセルからのオメガ-3オイルの放出。マイクロカプセルを、Ethocel100、Ethocel45、Ethocel20及びEthocel10を使用して調製した。放出の程度を、実施例5Aに記載の系1を使用して、10時間評価した。
【0062】
結果
異なる鎖長のポリマーを使用して得た4種のマイクロカプセルからの、放出したオメガ-3の代表的なグラフを、図5Bに付与する。エチルセルロースの鎖長の延長は、異なるレベルの放出、及びポリマーの鎖長における放出のレベルの依存を明示した。
【0063】
検討
オメガ-3オイルの放出の方法は、実施例5Aに記載の通り、試験前、試験後にマイクロカプセルの顕微鏡観察によって明示することができる。マイクロカプセルを、実施例4(プロトタイプ2)に記載の方法において調製した。放出前の未変化カプセルを、図5Cに示す。系1と系2との両方における放出後、カプセルは、図5Dに示す通り空であるように見える。
【0064】
[実施例6] マイクロカプセル化したオメガ-3オイルを含むグミ
オメガ-3オイルのマイクロカプセル(実施例1)を含むグミを、工業規模において製造した。グミ3gの1ユニット当たりのDHAの含有量を、100mgであると算出した。グミ画像を図6Aに提示する。顕微鏡検査下で、図6Bに示す通り、グミ中に取り込んだマイクロカプセルが、元の形状を保持し、カプセルの内側のオメガ-3オイルを保存し、防護することが判明した。完全性及び含有量を研究するために、マイクロカプセルをグミから水中へ分離した。分離し乾燥させたマイクロカプセルを、オメガ-3オイルの含有量について、実施例5において上に記載した手順に従ってUV分光光度法を用いて試験した。グミから分離したマイクロカプセル中に残っているオメガ-3オイルの量は、97~98%であった。グミから分離した未変化カプセルは、図6Cに明示する通り、元の形状を保持し、カプセルの内側のオメガ3を保持し、防護した。
【0065】
[実施例7] マイクロカプセル化したオメガ-3オイルを含むヨーグルト
実施例3において得たオメガ-3オイルの11%のマイクロカプセルを、市販のヨーグルト中に取り込んだ。市販のヨーグルト(200g)1パッケージ当たりのDHAの含有量を、100mgであると算出した。冷蔵庫(4℃)中で2週間貯蔵した後、ヨーグルトの感覚の性質及び感覚受容の性質を試験した。マイクロカプセルの不快な感覚、オメガ-3オイルの典型的な臭気及び味は、本発明のマイクロカプセルを含むヨーグルトのサンプルにおいて検出しなかった。
【0066】
異なる技術によって製造したオメガ-3オイルを含むマイクロカプセル、及び市場から購入したオメガ-3オイルを含むマイクロカプセル(競合企業のサンプル)を、同じヨーグルトの、他のポーションとした。明白な差を、顕微鏡観察を用いて、サンプル(図7A及び図7B)と比較しながら明示した。
【0067】
結果
本発明のマイクロカプセルは、元の形状を保ち、オメガ-3をヨーグルト中に浸出させることなくカプセルの内側に保ち、その一方で、マイクロカプセル化の他の技術によって(競合企業によって)製造されたマイクロカプセルは、部分的に溶解し、オメガ-3オイルをヨーグルト中に放出し、これは、感覚受容試験が証明する。
【0068】
[実施例8] マイクロカプセル化したオメガ-3オイルを含むヘルシーバー
オメガ-3オイルのマイクロカプセル(実施例4)を含むヘルシーバーを、工業規模において製造した。ヘルシーバー(30g)1ユニット当たりのDHAの含有量を、250mgであると算出した。ヘルシーバー用の配合物を、刻んだデーツ、レーズン、刻んだクルミ又はカシューナッツ、ゴマ種子、ヒマワリ種子から調製した。これらの成分を、マイクロカプセル化したオメガ-3と、50℃にて2時間混合した。オメガ-3オイルマイクロカプセルヘルシーバーの分布を図8に示す。
【0069】
結果
顕微鏡検査下、マイクロカプセルが、その元の形状を保持し、カプセルの内側のオメガ-3オイルを防護することを見出した。
【0070】
[実施例9] HS-SPME/GC-MSを介した第2の揮発性脂質酸化生成物の分析
マイクロカプセル化したオメガ-3オイルの安定性を、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)と組み合わせた固体相マイクロ抽出(SPME)を用いて試験した。この方法は、分解性の酸化に起因して形成された揮発性有機化合物(VOC)を画定し定量化するのに役立つ。不飽和脂肪酸の分解反応からの大多数のVOC、例えばアルデヒドは、低い臭気の閾値を保有する。油の酸化レベルは、異なる化学種、特にプロパナール、2-ペンテナール、3-ヘキサナール、2,4-ヘプタジエナール、1-ペンテン-3-オン及び1-ペンテン-3-オールの存在に基づいて規定され得る。これらの種の外観は、マイクロカプセル化したオメガ-3の酸敗及び悪臭の発現を規定し得る。25、50及び100ppmの濃度にある標準物の混合物(Merck)を、n-ヘキサン中で調製した。
【0071】
本発明のマイクロカプセル、サンプルAを、これらのカプセル、サンプルBの調製のための原材料として使用した元のオメガ-3藻類油と比較した。サンプルAを、実施例1に付与した手順に従って調製した。両方のサンプルを室温にて1か月間貯蔵した。SPME-fiber(DVB/CAR/PDMS;ジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサン、Supelco)を、20mlバイアルのヘッドスペース中に入れ、これを、オメガ-3オイル250mgを含む、又は元のオメガ-3オイル250μLを有する、又は標準物の混合物200μlを有する、マイクロカプセルサンプル500mgで充填し、ブチルゴム/PTFE隔壁を用いて封止した。抽出を、45℃にて40分間実施した。分析物をSPME fiberから、250℃にて180秒間、脱着させた。注入はスプリットレスであり、全体の系が、キャリアガスとしてのヘリウムを伴って2mL/分の定常流において残った。分離を、DB-624シアノプロピルフェニル/ポリジメチルシロキサンのキャピラリーカラム(30m×0.32mm×0.2μm)において実施した。温度プログラムは以下とした:40℃の恒温にて5分間保持した後、温度を2℃/分ずつ60℃の温度まで上げた。2分間等温保持した後、温度を10℃/分の率において120℃まで上げた。最後に、温度を40℃/分の加熱率において260℃まで上げた。最終温度を10分間保った。移送ライン温度を280℃に設定し、電子イオン化質量分析を70eVにおいて実施した。溶媒遅延の1分後、m/z35~300の全てのイオンをプロットし(SCANモード)、分析した標準物の典型的な画分を、選択したイオンモードにおいて記録した。各標準物を個々に注入し、比較の保持時間を算出した。加えて、スペクトルを、NIST98及びWileyスペクトルライブラリにあるものと比較した。次いで、標準物の混合物を注入した。各分析物の保持時間(Rt)を表1に付与する。
【0072】
【表1】
【0073】
結果
標準物のクロマトグラムが、図9Aに存在する。図9Bにおけるグラフは、サンプルA及びサンプルB中の脂質酸化の第2の揮発性代謝物の含有量を表す。以下の表に示す通り、4種の分析物のみを、両方のサンプル-ヘキサナール、E-2-ペンテナール、1-ペンテン-3-オール及び2,4-ヘプタジエナールにおいて決定した。プロパナールは、エージングしたサンプルBのみにおいて決定した。分析物1-ペンテン-3-オンは、表2に示す通り、サンプルのうちのいずれかにおいても見出さなかった。
【0074】
【表2】
【0075】
結果は、サンプルAの悪臭の不在を明示した感覚受容の臭気分析とよく相関している。本発明のマイクロカプセルは、オメガ-3オイルを、酸化的分解から、及びそれに続く悪臭の発現から、効果的に防護した。
【0076】
[実施例10] エチルセルロース中のマイクロカプセル化した酸化亜鉛の調製
潜在的な抗ウイルス剤としての酸化亜鉛のマイクロカプセル化は、チューインガム中への取り込み、及び口腔中でのさらに持続する放出を可能にし得る。
【0077】
10%の酸化亜鉛を含むマイクロカプセル60gを調製した。水性連続相を、酢酸エチル200mlで飽和させた水道水1400ml、及び乳化剤としてのPVAから調製した。有機相を、酢酸エチル550ml中の、エチルセルロース45g及び可塑剤としてのトリアセチン9gから、完全に溶解するまで撹拌して調製した。次いで、酢酸エチル50ml中の酸化亜鉛6gの別に調製したサスペンションを、有機相に添加した。得られた有機相を30分間撹拌しながら水性相中に注入して、均質なエマルションを形成した。このエマルションを水15リットル中に注入し、得られた混合物を撹拌し、次いで室温にて一晩保持した。水及び酢酸エチルを含有する液体のデカンテーション後、マイクロカプセルの残っているサスペンションを真空下でろ過し、真空オーブン中で乾燥させた。この方法の収率は95%であった。粒径-50~80ミクロン。図10Aは、酸化亜鉛を含むマイクロカプセルの顕微鏡画像を示す。図10Bは、酸化亜鉛を含むマイクロカプセルのSEM画像を示す。
【0078】
[実施例11] エチルセルロース中のマイクロカプセル化したシナモン油の調製
食品グレードのシナモン油は、抗菌活性及び抗ウイルス活性を保有する。シナモン油のマイクロカプセル化は、臭気及び味(test)のマスキング効果を可能にし、シナモン油を含むマイクロカプセルを、油の品質及び安定性に対する処理の負の影響なしに、チューインガム又は他の製品中へ取り込むことを可能にする。
【0079】
10%のシナモン油を含むマイクロカプセル20gを調製した。水性連続相を、酢酸エチル40mlで飽和させた水道水260mlから調製し、乳化剤としてPVAを添加した。有機相を、酢酸エチル100ml中の、エチルセルロース18g及びシナモン油2gから、完全に溶解するまで撹拌して調製した。得られた有機相を、撹拌しながら水性相中に注入して、均質なエマルションを形成した。このエマルションを、水3リットル中に注入した。得られた混合物を30分間撹拌し、次いで一晩保持した。マイクロカプセルをろ過し、真空オーブン中で乾燥させた。この方法の収率は96%であった。粒径-80~200ミクロン。
【0080】
[実施例12] エチルセルロース中の、マイクロカプセル化したアサ油の調製
アサ種子油は人気が上がっており、その理由は、それが、現在進行中の体の研究を通じて確認された、多く挙げられる健康上の有益性をもたらすためである。CBD(カンナビジオール)に加え、アサ油は、多量のオメガ-6脂肪及びオメガ-3脂肪、並びに全9種の必須アミノ酸を含有する。全ての油のように、アサ油は酸化を引き起こし、油の効能を変更させるおそれがある熱、空気及び光に脆弱である。マイクロカプセル化は、アサ油を、望ましくない環境及び処理の影響から防護する。
【0081】
50%のアサ油を含むマイクロカプセル20gを調製した。水性連続相は、酢酸エチル40mlで飽和させた水道水260mlからなり、PVAを乳化剤として添加した。有機相を、酢酸エチル100ml中、エチルセルロース10g、アサ油10g及びリン酸トリカルシウム0.2gから、完全に溶解するまで撹拌して調製した。得られた有機相を、室温にて撹拌しながら水性相中に注入して、均質なエマルションを形成した。このエマルションを、水4リットル中に移し、得られた混合物を30分間撹拌し、次いで一晩保持した。水と酢酸エチルとの混合物の注意深いデカンテーションの後、マイクロカプセルの残っているサスペンションをろ過し、真空オーブン中で乾燥させた。この方法の収率は94%である。粒径-80~150ミクロン。
【0082】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのみであり、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数形も同様に含むことが意図される。用語「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」が、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分及び/又はそれらの群若しくは組み合わせの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分及び/又はそれらの群若しくは組み合わせの存在又は追加を排除しないことが、さらに理解される。本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む、挙げられる(includes)」、「含む、挙げられる(including)」、「有する(having)」及びそれらの接合体は、「挙げられるがそれらに限定されない」を意味する。用語「からなる」は、「挙げられ、それらに限定される」を意味する。
【0083】
本明細書で使用されるとき、用語「及び/又は」は、伴っている列挙された項目のうちの、任意の及び全ての可能な組み合わせ、又はそれらのうちの1つ以上を含み、かつ代替(「又は」)で解釈されるとき、組み合わせの欠如を含む。
【0084】
別段の定義がされていない限り、本明細書において用いられる(技術用語及び科学的用語を含めた)全ての用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。通常用いられる辞書において定義されているものなどの用語が、本明細書及び特許請求の範囲の文脈におけるそれらの意味と一貫した意味を有し、本明細書においてそのように明白に定義されていない限り、理想化された又は過度に公的な意味において解釈されるべきではないと、解釈されるべきである。周知の機能又は構造は、簡潔さ及び/若しくは明解さのために、詳細に記載されないことがある。
【0085】
第1の、第2のなどの用語が、本明細書において、多種の要素、成分、領域、層及び/又は部門を記載するのに用いられ得るが、これらの要素、成分、領域、層及び/又は部門が、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解される。むしろ、これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層及び/又は部門を、別の要素、成分、領域、層及び/又は部門から区別するためにのみ使用される。
【0086】
ある要素が、別の要素の「上にある」、それに「取り付けられている(attached)」、「動作可能に結合されている」、「動作可能に連結されている(linked)」、「動作可能に係合されている」、「接続されている(connected)」、「結合されている」、「接触している」などと称されるとき、それが、直接的に、その別の要素の上にある、それに取り付けられている、接続されている、動作可能に結合されている、動作可能に係合されている、結合されている、及び/若しくは接触していることができ、又は介在要素もまた存在し得ることが理解される。対照的に、要素が、別の要素と「直接、接触している」と称されるとき、介在要素は、存在しない。
【0087】
明解さのために別々の実施形態の文脈において記載されている本発明の一定の特徴はまた、単一の実施形態における組み合わせにおいて提供され得る。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴はまた、別々に若しくは任意の好適な部分組み合わせにおいて提供してもよく、又は本発明の任意の他の記載された実施形態において好適なものとして提供してもよい。様々な実施形態の文脈において記載されている一定の特徴は、該実施形態がこれらの要素なしで動作不能でない限り、これらの実施形態の必須の特徴であるとは考えられない。
【0088】
本出願の全体にわたり、本発明の様々な実施形態は、範囲形式において提供され得る。範囲形式における記載が、単に好都合及び簡潔さのためであり、本発明の範囲における柔軟性のない限界であると解釈されるべきでないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、具体的に開示されている全ての可能な部分範囲、及びその範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、特に開示されている部分範囲、例えば1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、及びその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5及び6を有すると考えられるべきである。このことは、範囲の広さとは関係なく当てはまる。
【0089】
数値範囲が本明細書において示されているときはいつでも、それは、示された範囲内の任意の引用された数値(小数又は整数)を含むことが意味される。第1の示す数と第2の示す数と「の間の範囲/の間の範囲である」という句、及び第1の示す数「から」第2の示す数「まで」の「範囲/範囲である」は、本明細書において互換的に用いられ、第1の示す数及び第2の示す数を含み、それらの間の全ての小数及び整数を含むことが意味される。
【0090】
用語「約」が使用されるときはいつでも、それは、測定可能な値、例えば量、持続期間などを指すことが意味され、特定の値から±20%、±10%、±5%、±1%又は±0.1%の差異を包含することが意味され、その理由は、そのような差異が、開示されている方法を実施するのに適当であるためである。
【0091】
本明細書で使用されるとき、用語「方法」は、化学の、薬理学の、生物学の、生化学の及び医学の各技術分野の実践者らに既知であるか、又は実践者らによって既知の方法、手段、技術及び手順から直ちに展開されるか、のいずれかである方法、手段、技術及び手順が挙げられるがそれらに限定されない所与の仕事を達成するための方法、手段、技術及び手順を指す。
【0092】
これらの刊行物の本開示においてそれらの全容が挙げられている、全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照物は、本発明が属している最新技術をより完全に説明するために、参照により本出願に組み込む。紛争の場合、定義を含めた特許明細書が優先する。加えて、材料、方法及び実施例は、例示のためのみであり、限定することは意図されていない。本出願の全体にわたって、様々な刊行物、公開されている特許出願、及び公開されている特許が参照される。
【0093】
本発明が、本明細書で上に具体的に示されて記載されたものに限定されないことが、当業者によって認められる。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、本明細書に上記された多様な特徴の組み合わせと部分組み合わせとの両方を含み、またそれらの変形及び修正を含み、これは、前述の記載の読み取り時に、当業者に起こると考えられる。本発明の一定の特徴が本明細書において示され記載されてきたが、多くの修正、置き換え、変更及び等価物が、当業者に起こり得る。したがって、添付の特許請求の範囲が、全てのそのような修正及び変更をカバーすることが意図され、本発明の真の趣旨内に落とし込まれることが理解されることになる。様々な実施形態が提示されてきた。これらの実施形態のそれぞれは、当然ながら、提示されている他の実施形態からの特徴を含んでもよく、具体的に記載されていない実施形態が、本明細書に記載の様々な特徴を含み得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】