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特表2023-524396環境中の化学物質を検出するための方法、感知モジュールおよびキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】環境中の化学物質を検出するための方法、感知モジュールおよびキット
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
G01N33/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022563373
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2021059804
(87)【国際公開番号】W WO2021223972
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】20173541.2
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.iPhone
2.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】リップ トビアス
(57)【要約】
本発明は、環境中の特定の化学物質を検出するための方法に関し、方法は、
特定の化学物質を感知するように適合された感知層を提供することと、
単回使用の無線送信機を備える基体層を提供することと、
感知モジュールを形成するために、感知層を基体層に取り付けることと、
感知層によって、環境中の特定の化学物質の量を検出することと、
特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合、感知された特定の化学物質を表すデータを無線送信機を使用して受信装置に送信することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境中の特定の化学物質を検出するための方法であって、
○前記特定の化学物質を感知するように適合された感知層を提供することと、
○単回使用の無線送信機を備える基体層を提供することと、
○感知モジュールを形成するために、前記感知層を前記基体層に取り付けることと、
○前記感知層によって、前記環境中の前記特定の化学物質の量を感知することと、
○前記特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合、前記感知された特定の化学物質を表すデータを前記無線送信機を使用して受信装置に送信することと、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
○前記感知された特定の化学物質を表す前記データを初めて送信した後に、前記感知モジュールを廃棄する工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
○前記感知モジュールの最大寿命を、
■所定の時間間隔の満了と、
■前記感知された特定の化学物質を表す前記データを初めて送信する時と、のうちの最も早い方に設定する工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の方法であって、
○前記感知モジュールにエネルギー源を提供することを含む、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の方法であって、基体層を提供する工程が、
○可撓性の基体層を提供することを含む、方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の方法であって、
○前記無線送信機を起動するために、前記可撓性の基体層の機械的変形によってエネルギーを発生する工程を含む、方法。
【請求項7】
請求項1~6の一項以上に記載の方法であって、感知層を提供する工程が、
○前記感知層を保護層で覆うことを含み、
前記方法が、
○前記環境中の前記特定の化学物質を感知する工程の前に、前記感知層から前記保護層を取り除くことを含む、方法。
【請求項8】
請求項1~7の一項以上に記載の方法であって、
○前記特定の化学物質の第一の閾値を設定すること、または
○前記感知層中の前記特定の化学物質の予め設定された第一の閾値を修正すること、を含む、方法。
【請求項9】
請求項1~8の一項以上に記載の方法であって、
○前記無線送信機に非充電式エネルギー貯蔵ユニットを提供することと、
○前記無線送信機を使用して、前記感知された特定の化学物質を表すデータを前記受信装置に送信することによって、前記非充電式エネルギー貯蔵ユニットを少なくとも部分的に枯渇させることと、を含む、方法。
【請求項10】
請求項1~9の一項以上に記載の方法であって、
○前記感知された特定の化学物質を表す前記データが前記受信装置によって受信されている時に、警告信号を発生することを含む、方法。
【請求項11】
請求項1~10の一項以上に記載の方法であって、
○一連の感知層を提供することであって、前記一連の各感知層が、前記一連の別の感知層によって感知された前記特定の化学物質と異なる特定の化学物質を感知するように適合されている、提供することと、
○感知される所定の特定の化学物質を選択することと、
○前記一連の感知層から、前記選択された化学物質を感知するように適合された感知層を選択することと、含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
○前記一連の感知層から少なくとも二つの感知層を選択することと、
○前記少なくとも二つの感知層を同じ基体層に取り付けることと、を含む、方法。
【請求項13】
環境中の特定の化学物質を検出するための感知モジュールであって、
○前記特定の化学物質を感知するように適合された感知層と、
○前記感知層に取り付けられた基体層であって、
無線送信機と、
前記無線送信機に電気的に接続可能である、かつ前記無線送信機の1回の起動を可能にするのに十分なエネルギー量を含有するように適合された非充電式エネルギー貯蔵ユニットと、を備える、基体層と、を備え、
○前記無線送信機が、前記感知された特定の化学物質を表すデータを送信するように、前記感知層によって感知された前記特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合に、前記無線送信機を前記非充電式エネルギー貯蔵ユニットに接続することによって前記無線送信機を起動させるように適合されたスイッチも備える、感知モジュール。
【請求項14】
環境中の特定の化学物質を検出するためのキットであって、
○共通基部に取り付けられた一連の感知層であって、前記一連の各感知層が、特定の化学物質を感知するように適合されている、一連の感知層と、
○感知モジュールを形成するために、前記一連の前記感知層のうちの少なくとも一つに取り付けられるように適合されている基体層であって、
無線送信機と、
前記無線送信機に電気的に接続可能である、かつ前記無線送信機の1回の起動を可能にするのに十分なエネルギー量を含有するように適合された非充電式エネルギー貯蔵ユニットと、を備える、基体層と、
○前記無線送信機が、前記感知された特定の化学物質を表すデータを送信するように、前記感知層によって感知された前記特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合に、前記無線送信機を前記非充電式エネルギー貯蔵ユニットに接続することによって前記無線送信機を起動させるように適合されたスイッチも備える前記感知モジュールと、
○前記無線送信機によって送信された前記データを受信するように適合された受信装置と、を備える、キット。
【請求項15】
前記基体層が、前記無線送信機を含む起動層と、前記非充電式エネルギー貯蔵ユニットを備えるエネルギー層とを備え、前記起動層およびエネルギー層が互いに取り付けられていて、かつ電気的に接続されている、請求項13に記載の感知モジュールまたは請求項14に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境中の特定の化学物質を検出するための方法、感知モジュールおよびキットに関し、方法およびキットは単回使用の感知モジュールを含む。
【背景技術】
【0002】
特定の化学物質への曝露を制限することは、人の健康に影響を与える可能性がある。大半の生物にとって有害である可能性のある一部の化学物質と、一部の個人のみにとって危険である可能性がある他の化学物質(例えばアレルギー素因のある人においてアレルギー反応を引き起こす可能性があるアレルゲン)とがある。ダスト、揮発性有機化合物、または花粉などの特定の汚染物質に敏感な個人は、未知の環境に入ると、こうしたアレルギー反応を持つ場合がある。それ故に、アレルギーや呼吸障害のある人にとって、周囲の空気をモニターできない場合、身近な環境を離れることが問題である可能性がある。
【0003】
周知の空気品質モニタリングシステムは概して、部屋に固定して据え付けられている。さらに、空気品質モニタリングシステムは機能するために電源が必要であり、そのためシステムは通常、壁コンセントに接続されている。ユーザーがある場所から別の場所に移動しながら空気の質を分析することを可能にする携帯型空気モニタリング製品も知られている。これらの装置は依然として、充電される必要があり、概してかなりかさばる。
【0004】
従って、携帯性を可能する、環境中の空気品質を検出する(例えば特定の化学物質の存在を検出する)ための方法、感知モジュールおよびキットを有するニーズがある。方法、感知モジュール、およびキットは正確であること、かつ任意の場所にて不良な空気品質(例えば特定の化学物質に起因する不良な空気品質)をユーザーに警告する能力を有することが好ましい。さらに、方法、感知モジュールおよびキットは、比較的に安価であることが好ましい。
【発明の概要】
【0005】
一態様によると、本発明は、環境中の特定の化学物質を検出するための方法に関する。方法は、特定の化学物質を感知するように適合された感知層を提供することを含んでもよい。方法はまた、基体層を提供することを含んでもよく、基体層は単回使用の無線送信機を備える。方法はまた、感知モジュールを形成するために、感知層を基体層に取り付けることを含んでもよい。方法はまた、感知層によって、環境中の特定の化学物質の量を感知することを含んでもよい。さらに、方法は、特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合、感知された特定の化学物質を表すデータを無線送信機を使用して受信装置に送信することを含んでもよい。
【0006】
本発明の方法において、特定の化学物質を感知することは、感知モジュールによって実行される。感知モジュールの層状構造に起因して、感知モジュールの容易な移動は実現可能でありうる。さらに、本発明によると、感知モジュールは単回使用の感知モジュールである。感知モジュールは、単一信号を送信するように適合されている。これは有利なことに、感知モジュール上の必要な電子機器の低減を可能にし、低コストでありながら正確な測定を実現することを可能にする。
【0007】
感知モジュールは感知層を備える。感知層は、特定の化学物質を感知するように適合されている。特定の化学物質は、COまたはCO2などのガス、揮発性有機化合物、ダスト、任意のアレルゲン、またはそれらの組み合わせであってもよい。感知層は、例えば環境中に存在する空気中など、環境中の特定の化学物質の存在を検出するように適合されてもよい。検出する場合、感知層の応答は、特定の化学物質が「存在する」か、または「存在しない」かのいずれかでありうる。この場合、感知層の感知は、実質的にデジタルであり、「存在する」または「存在しない」のいずれかである。感知層は、環境中の特定の化学物質の量を測定するように適合されてもよい。感知層は、例えば環境中に存在する空気中の特定の化学物質の濃度を測定しうる。この場合、感知層の感知はアナログ感知と見なされうる。感知層は、特定の化学物質の存在または不在のみを検出する構成から、特定の化学物質の濃度を測定する構成に切り替える、またはその逆も可能である能力を有するように構成されてもよい。
【0008】
感知層はセンサーを備えることが好ましい。感知層に備えられるセンサーのタイプは、感知される特定の化学物質に依存する。センサーモジュールは、ダストレベルセンサー、CO2濃度センサー、VOC(揮発性有機化合物)濃度センサー、またはその他を含んでもよい。感知層は、センサーが固定される材料のシートをさらに含むことが好ましい。センサーは、例えばインク印刷、蒸着、またはスパッタリングによって、材料のシート上に形成されてもよい。材料のシートはプラスチックシートであることが好ましい。材料のシートは高分子シートを含むことが好ましい。
【0009】
センサーは、半導体金属酸化物ガスセンサーを含んでもよい。センサーは、カーボンナノチューブベースのガスセンサーを含んでもよい。
【0010】
感知層の厚さは、その最も厚い部分で、1ミリメートル~6ミリメートルから成ることが好ましい。厚さによって画定された方向に直角を成す二方向における感知層の最大寸法は、10ミリメートル~100ミリメートル、より好ましくは20ミリメートル~50ミリメートルから成ることが好ましい。
【0011】
特定の化学物質を感知するセンサーに加えて、感知層は他のセンサーを含んでもよい。例えば、感知層は、電磁センサー、生体認証センサー、温度センサー、液体センサー、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0012】
さらに、感知層は、特定の化学物質を感知する単一センサーを含んでもよい。感知層は、同じ特定の化学物質を感知するために複数のセンサーを含んでもよい。さらに、感知層は、異なる特定の化学物質を感知するために複数のセンサーを含んでもよい。
【0013】
感知モジュールは基体層をさらに備える。基体層は無線送信機を含むことが好ましい。無線送信機は、感知層によって実行された感知を表すデータを送信するように適合されている。無線送信器は、データを送信するためのアンテナを備えることが好ましい。無線送信機は、感知された特定の化学物質に関する情報を伝える電磁信号を送信することが好ましい。無線送信機は「単回使用」の無線送信機である。単回使用とは、無線送信機が1回使用されるように設計されていることを意味する。無線送信機の「使用」は、データの送信である。無線送信機は、感知層によって実行された感知を表すデータを1回送信するように構成されている。その後、無線送信機は廃棄されてもよい。単回使用の送信機は、感知層によって実行された感知を表すデータを1回だけ送信する送信機である。データは完全であることが好ましく、すなわち無線送信機は、1回の感知に関連する完全なデータを1回だけ送信する(例えば無線送信機は一つの測定の完全なデータを送信する)。無線送信機は、感知に関連するデータの送信後に、さらなる信号を送信しない。それ故に無線送信機は、第一の信号を送信するために使用されると、もはや使用されない。これは、例えば無線送信機をエネルギー源に接続して取得されることができる。エネルギー源は、感知層によって実行された感知を表すデータを無線送信機によって1回送信するために必要なエネルギー以上のエネルギー量を貯蔵していることが好ましい。エネルギー源は、感知層によって実行された感知を表すデータを無線送信機データによって二回送信するために必要なエネルギー未満のエネルギーを貯蔵している。以下において、無線送信機によって送信された「信号」については、感知層によって実行された感知を表すデータを意味する。
【0014】
無線送信機はトランスポンダーを含んでもよい。
【0015】
感知層は基体層に取り付けられている。例えば、感知層、または基体層は、感知層と基体層を一緒に接着するために、接着剤を備えてもよい。感知層と基体層を一緒に取り付ける任意の他の手段(例えばマイクロ吸引または静電など)も使用することができる。感知層と基体層の間の取り付けは、感知層と基体層の間の電気的接続が確立されるような取り付けであることが好ましい。感知層と基体層の間の電気的接続は、電気信号が基体層から感知層に移動すること、またはその逆も可能にする接続である。
【0016】
基体層の厚さは、その最も厚い部分で、1ミリメートル~6ミリメートルから成ることが好ましい。厚さによって画定された方向に直角を成す二方向における基体層の最大寸法は、10ミリメートル~100ミリメートル、より好ましくは20ミリメートル~50ミリメートルから成ることが好ましい。
【0017】
感知層は、第一の表面および第二の表面を画定し、基体層は、感知層の第一の表面に取り付けられていることが好ましい。基体層は、第一の表面および第二の表面を画定し、基体層の第二の表面は、感知層の第一の表面に取り付けられていることが好ましい。感知層の第一の表面の領域は形状において、基体層の第二の表面の領域と実質的に同一であることが好ましい。感知層の第一の表面の領域は寸法において、基体層の第二の表面の領域と実質的に同一であることが好ましい。感知層の第一の表面および基体層の第二の表面は一致していて、重ね合わせられた時に実質的に厳密に一致することが好ましい。感知層の第一の表面と基体層の第二の表面の間に、接着剤層が介在することが好ましい。
【0018】
さらに、方法は、特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合、感知された化学物質を表すデータを無線送信機を使用して受信装置に送信することを含んでもよい。データの送信は1回のみ行われることが好ましい。無線送信機が、感知された化学物質を表すデータを初めて送信すると、無線送信機はもはやデータを送信しない。
【0019】
特定の化学物質の「量」は、測定された量、または「存在」または「不在」の表示のいずれかであってもよい。従って、「特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る」とは、環境空気中の特定の化学物質の測定された量(MQ)(例えば濃度)が、第一の閾値(FT)を上回る、または下回ることを意味しうる。
【0020】
MQ>FTまたはMQ<FT。
【0021】
「特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る」はまた、特定の化学物質が存在する(閾値を上回る)か、または存在しない(閾値を下回る)ことを意味しうる。
【0022】
例えば、ユーザーは特定のアレルゲンに対するアレルギーを有する。感知モジュールは、空気中の特定のアレルゲンの濃度を感知してもよく、濃度が第一の閾値よりも高い場合、感知モジュールは、感知されたアレルゲンを表すデータを受信装置に送信してもよい。受信装置は、例えば携帯電話であってもよい。受信装置は、アレルゲンが比較的に「高い」濃度で環境中に存在することをユーザーに警告しうる。量を測定することとは別の方法として、感知モジュールは、こうしたアレルゲンの任意の存在が環境中に感知されるとすぐに、アレルゲンの濃度にかかわらず、感知されたアレルゲンに関連するデータを受信装置に送信しうる。
【0023】
感知モジュールは、部屋に存在する特定のガスの量を感知しうる。ガスが酸素である場合、感知装置は、環境中の酸素の濃度が第一の閾値を下回るとすぐに、感知された酸素に関連するデータを送信しうるが、その理由は、低すぎる酸素量がヒトに有害でありうるからである。
【0024】
第一の閾値は調整可能であることが好ましい。方法は、第一の閾値を調整する工程を含みうる。第一の閾値は、ユーザーのニーズに応じて(例えばユーザーのアレルギー感受性に応じて)調整されてもよい。それ故に、第一の閾値は、要求に応じて上昇または低下させることができる。第一の閾値は、受信装置を使用して設定または修正されうる。ユーザーは、所望の第一の閾値を入力してもよく、または既に設定された第一の閾値を修正して、受信装置に新しい値を入力してもよい。受信装置は、信号を感知層に送信して、受信装置に入力された入力に基づいて第一の閾値を設定してもよい。
環境中に特定の化学物質が「存在しない」という事実は、物質が感知層によって検出されることができないほどに低い濃度を有することを意味し、それ故に「存在しない」とは、選択された感知層の感度または解像度に依存する量で、特定の化学物質のほんのわずかが現実には存在することを意味しうる。
【0025】
感知層によって検出される特定の化学物質の量が第一の閾値を上回るか、または下回る場合、感知された特定の化学物質を表すデータは、無線送信機を使用して、感知モジュールから受信装置に送信される。データが送信された後、無線送信機を再び使用することはできない。
【0026】
受信装置は、感知モジュールの外部であることが好ましい。受信装置は、無線環境で動作または通信するように構成された任意のタイプの装置であってもよい。例として、受信装置は、無線信号を送信または受信するように構成されていてもよく、受信装置にはユーザー機器、移動端末、固定または携帯加入者ユニット、ポケットベル、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、iPhone、ノートパソコン、ネットブック、パーソナルコンピュータ、無線センサー、消費者電子機器、当技術分野で周知のその他の送信器/受信器が挙げられてもよい。受信装置は人に、または機械にも接続されることができる。
【0027】
無線送信機によって送信されたデータは、特定の化学物質の量の情報、または特定の化学物質の有無の情報を含みうる。
【0028】
受信装置は、無線送信機によって送信されたデータを受信するように適合された受信機を含むことが好ましい。受信装置は、受信データを精緻化するよう適合された制御ユニットを含むことが好ましい。受信装置は、受信データまたは精緻化された受信データを可視化するための表示装置を含むことが好ましい。
【0029】
無線送信機によってデータを送信するために、無線送信機は起動されていることが好ましい。無線送信機を「起動」するということは、無線送信機を機能させることを意味し、無線送信機の機能は信号を送信することである。従って、無線送信機の起動は、無線送信機による信号の送信を引き起こす。無線送信機は、感知された特定の化学物質を表すデータを信号として送信するよう構成されている。この場合、「信号」は、感知層によって実行された感知を表すデータを意味する。無線送信機を起動するために、感知モジュールはエネルギー源を備えることが好ましい。エネルギー源は、独立型のエネルギー源であることが好ましい。独立型のエネルギー源は、他のハードウェアと独立して機能することができる。この場合、感知モジュール中に存在するエネルギー源は、感知モジュールの外部の追加的なエネルギー源を使用することなく、無線送信機によって感知された化学物質に関連するデータの送信のために十分なエネルギーを生成できることを意味する。
【0030】
エネルギー源は、基体層に備えられていることが好ましい。エネルギー源は、基体層に統合されていることが好ましい。エネルギー源はまた、エネルギー源によって充電されるように適合されたエネルギー貯蔵ユニットを備えてもよい。エネルギー源は、エネルギー貯蔵ユニットのみから成ってもよく、これは充電された時に、エネルギー源として機能する。エネルギー源は、エネルギー貯蔵ユニットを充電するために使用されてもよい。エネルギー源は、エネルギー貯蔵ユニットを1回充電するように適合されていることが好ましい。エネルギー貯蔵ユニットは、再充電可能でないことが好ましい。
【0031】
エネルギー源は、例えば圧電装置、ソーラーパネル、熱電発電機またはゼーベック発電機であってもよい。エネルギー源は、例えば電流などの電気信号を発生することが好ましい。エネルギー源によって発生された電気エネルギーは、エネルギー貯蔵ユニットに貯蔵されうる。
【0032】
エネルギー源またはエネルギー貯蔵ユニットは、1ボルト~5ボルト、より好ましくは1.5ボルト~2ボルトから成る電圧を発生しうる。エネルギー源またはエネルギー貯蔵ユニットは、50ナノアンペア~500ナノアンペア、より好ましくは150ナノアンペア~250ナノアンペアから成る電流を発生しうる。
【0033】
無線送信機を起動するために、感知された特定の化学物質に関連するデータを無線送信機が受信装置に送信できるように、エネルギー源によって生成されたエネルギーまたはエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵されたエネルギーは無線送信機に送信されることが好ましい。
【0034】
感知された特定の化学物質に関連するデータが無線アンテナによって受信装置に送信された後、第一の閾値に達した場合、無線アンテナは再利用されない。本発明によると、感知モジュールは単回使用の感知モジュールであり、そのため、感知された化学物質のデータを含む信号が送信された後に、その感知モジュールはもはや使用されない。一つの測定に関するが一つの信号のみが送信される。
【0035】
感知された特定の化学物質に関連するデータの送信後、例えばエネルギー貯蔵ユニットなどのエネルギー源は実質的に枯渇することが好ましい。無線送信機を再び起動するために、かつ感知された特定の化学物質に関連する他のデータを受信装置に送信するために必要な別のエネルギー量を発生するために、それ以上のエネルギーを生成できないことが好ましい。それ故に、無線送信機は、例えば単一の測定値に関連するデータを送信するために、1回だけ起動されることができる。例えば、エネルギー源は、無線送信機を1回起動するのに十分な(ただし二回起動するのに十分ではない)エネルギー量を含有する電池を含む。電池は再充電可能でないことがより好ましい。従って無線送信機は、再度起動して送信を可能にするのに十分なエネルギーがないため、データの形態で別の信号を送信することができない。エネルギー貯蔵ユニットは、完全に枯渇していない場合があるが、依然として幾らかのエネルギーを含有してもよい。しかし、この残りのエネルギーは、無線送信機の二回目の起動に十分でない。
【0036】
感知モジュールが単回使用であるという事実は、比較的に安価な感知モジュールの実現を可能にする。相互に取り付けられた二つの層(感知層および基体層)を有する感知モジュールの構成は、その封じ込められた寸法に起因して、例えば服または付属品に取り付けた、容易に移動可能な感知モジュールの実現を可能にする。層構成は、比較的に薄く控えめな感知モジュールを形成する。しかしながら、感知モジュール中の無線送信機は、感知された化学物質に関連する信号を受信装置に送信するために、依然として起動される必要がある。この起動は、エネルギー源によって行われることができる。しかし、エネルギー源は、存在する場合、比較的に「小さい」必要があり、そうでなければ層状感知モジュール内に収まらないであろう。第一の信号が送信された後に(すなわち、感知された特定の化学物質に関連するデータが1回送信された後に)、感知モジュールが使い果たされているという事実は、無線送信機を1回だけ起動させるのに十分な量のエネルギーを生成するために、エネルギー源を寸法設定することを可能にする。次に、「小さい」エネルギー量を必要とすることは、比較的に小さいかつ安価なエネルギー源を選択することを可能にする。さらに、感知モジュールは、データが送信されるまでのみ機能する必要があるので、感知モジュールを形成する様々な構成要素もまた、比較的に短い寿命を有する可能性がある。それ故に本発明の方法は、比較的に小さいかつ安価な感知モジュールによって実行されることができる。
【0037】
方法は、感知された特定の化学物質を表すデータを初めて送信した後に、感知モジュールを廃棄することを含んでもよい。感知された特定の化学物質の第一の信号が送信された後、感知モジュールをそれ以上使用できないため、廃棄することができる。
【0038】
方法は、感知モジュールの最大寿命を設定することを含むことが好ましい。感知モジュールの最大寿命は、所定の時間間隔の満了と、感知された特定の化学物質を表すデータを初めて送信する時とのうちの最も早い方に設定されることが好ましい。方法は、感知モジュールの最大寿命に達した時に、感知モジュールを廃棄することを含むことがより好ましい。起こりうることは、感知モジュールが、化学物質に関連するデータをしばらくの間、受信装置に送信しないことである。例えば、化学物質の量が、第一の閾値を上回る(または下回る)間に比較的に長く留まる場合があり、無線送信機の起動は行われない。しかしながら、述べた通り、感知装置は「安価な」装置であることが好ましく、そのすべての構成要素の機能は、所定の時間間隔後に保証されない場合がある。従って、感知モジュールは、感知モジュールが所定の時間間隔以上の時間にわたり持続する時も廃棄されてもよい。所定の時間間隔は、受信装置を使用して設定されてもよい。それ故に感知モジュールは、所定の時間間隔が経過した時に、廃棄されてもよい(感知された特定の化学物質に関連するデータが無線送信機によって送信される前に、感知モジュールの廃棄が行われる場合)。最大寿命は、所定の時間間隔と、感知された特定の化学物質に関連するデータを無線送信機が送信する時に終了する時間間隔との2つの間隔の間で、「最初の二つの満了」として選択されることができる。最大寿命は、所定の時間間隔の満了と、感知された特定の化学物質に関連するデータを無線送信機が送信する時とうちの最も早い方によって決定されることが好ましい。
【0039】
方法は、感知モジュールにエネルギー源を提供することを含むことが好ましい。感知された特定の化学物質に関連するデータを送信するために必要なエネルギーを無線送信機が有するように無線送信機を起動するために、感知モジュールはエネルギー源を備えることが好ましい。エネルギー源は、基体層に統合されていることが好ましい。エネルギー源は、独立型のエネルギー源であることが好ましい。エネルギー源は、感知された特定の化学物質のデータを無線送信機によって送信する工程に十分なエネルギー量を提供するように適合されていることが好ましい。エネルギー源は、感知された特定の化学物質のデータを無線送信機によって1回だけ送信する工程に十分なエネルギー量を提供するように適合されていることが好ましい。
【0040】
基体層を提供する工程は、可撓性の基体層を提供することを含むことが好ましい。感知層を提供する工程は、可撓性の感知層を提供する工程を含むことが好ましい。可撓性の基体層、または可撓性の感知層、または好ましくはこれらの両方を有する感知モジュールは、衣類などの幾つかの品目に容易に取り付け可能であることが好ましい。このようにして、必要に応じてどこにでも容易に移動されてもよい。
【0041】
方法は、無線送信機を起動するために、可撓性の基体層の機械的変形によってエネルギーを発生する工程を含むことがより好ましい。方法は、発生されたエネルギーを無線送信機に供給することを含むことがさらにより好ましい。可撓性の基体層の可撓性は、エネルギー発生器として使用されてもよい。基体層の変形は、例えば圧電効果などの物理的効果を使用してエネルギーを発生するために使用されてもよい。変形によって発生されたエネルギーは、無線送信機を起動するために、かつ感知された特定の化学物質に関連するデータを送信するために使用されてもよい。機械的変形によって発生されたエネルギーは、使用される前に貯蔵されてもよい。
【0042】
感知層を提供する工程は、感知層を保護層で覆うことを含むことが好ましい。方法は、環境中の特定の化学物質を感知する工程の前に、感知層から保護層を取り除く工程を含むことが好ましい。感知モジュールが本発明の方法に従って使用される時、特定の化学物質の感知は、ユーザーがそれを望む時、すなわち例えばユーザーが新しい環境に到達した時に行われることが望ましい。感知モジュールが貯蔵されている時、またはランダムな環境にある時に行われる化学物質の測定は概して、ユーザーにとって有用でない。従って、保護層を感知モジュールの感知層に施すことが好ましい。保護層は、二重の作用を有することが好ましい。第一に、保護層は、感知層、好ましくはセンサーを損傷から保護しうる。例えば感知層が他の物体を引っ掻くか、またはそれに当たると、損傷が生じうる。さらに、保護層は、感知層が感知の作用を行うことを防止しうる。従って、感知層が保護層によって覆われている間、感知層は特定の化学物質を感知することができない。感知モジュールの所定の時間間隔は、保護層が感知層から取り除かれている時に開始することが好ましい。
【0043】
方法は、感知モジュールの所定の時間間隔を設定することと、保護層が感知モジュールから取り除かれている時から感知モジュールの所定の時間間隔を開始することとを含むことが好ましい。感知モジュールの最大寿命を計算するために、所定の時間間隔を使用する。それ故に、保護層を取り除くことは、所定の時間間隔の開始を表す。感知モジュールの寿命を計算するために、所定の時間間隔を使用してもよい。
【0044】
方法は、特定の化学物質の第一の閾値を設定すること、または感知層中の特定の化学物質の予め設定された第一の閾値を修正することを含むことが好ましい。感知された化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合、無線送信機は感知された特定の化学物質に関連するデータを受信装置に送信する。この第一の閾値は固定されてもよく、すなわち一度設定され、その後は変更不可能であってもよく、またはユーザーのニーズに従って調整されてもよい。さらに、第一の閾値は、感知モジュールが例えば工場で作製される時に設定されてもよく、またはユーザーによって設定されてもよい。
【0045】
方法は、非充電式エネルギー貯蔵ユニットを感知モジュールに提供することを含むことが好ましい。本方法は、無線送信機を使用して、特定の化学物質を表すデータを受信装置に送信することによって、非充電式エネルギー貯蔵ユニットを枯渇させることをさらに含むことが好ましい。感知モジュールは非充電式エネルギー貯蔵ユニットを備えてもよく、これは、エネルギー貯蔵ユニットの枯渇後に再充電できない(または再充電されないはずである)エネルギー貯蔵ユニットを意味する。感知モジュールは、エネルギー源および非充電式エネルギーユニットを備え、エネルギー源は、非充電式エネルギーユニットを1回充電するように適合されていることが好ましい。次に、非充電式エネルギーユニットは、感知された化学物質に関連するデータが送信される時に無線送信機を起動するために、無線送信機に電気的に接続されていることが好ましい。例えば、非充電式エネルギーユニットはコンデンサを含んでもよい。コンデンサは、三つのコンデンサ層を含んでもよい。三つのコンデンサ層は、誘電体層によって分離された第一の導電層および第二の導電層を含んでもよい。これらの層の材料は当技術分野で周知である。エネルギー源は圧電装置を含むことが好ましい。圧電装置は第一の電極層および第二の電極層を含むことが好ましい。圧電装置は、第一の電極層と第二の電極層の間に挟まれた圧電ナノ複合層を含むことが好ましい。圧電ナノ複合層は、BaTiO3、ZnO、MoS2、またはWSe2のうちの一つ以上から成る複合物を含むことが好ましい。
【0046】
方法は、感知された特定の化学物質を表すデータが受信装置によって受信されている時に、警告信号を発生することを含むことが好ましい。感知された特定の化学物質に関連するデータが受信装置に到達した時、それは化学物質の量が第一の閾値を超えたか、またはそれよりも低いことを意味する。これは次に、感知モジュールが位置する環境中に、ユーザーにとって危険の可能性があることを意味しうる。この可能性をユーザーに警告するために、警告信号が発せられてもよい。例えば、警告信号は受信装置によって発せられてもよい。警告信号は、音響信号、例えば警報などの大きい音響音であってもよい。警告信号は、視覚的信号、例えば特定の色の点滅光であってもよい。 警告信号は、ビデオ音響信号であってもよい。さらに、警告信号は、受信装置の振動を含んでもよい。設定された時間間隔後に警告信号が遮断されない場合、方法は、受信装置によって選択された電話番号またはIPアドレスにつなげる工程を含んでもよい。
【0047】
方法は、一連の感知層を提供することを含み、一連の各感知層は、一連の別の感知層によって感知された特定の化学物質と異なる特定の化学物質を感知するように適合されていることが好ましい。方法は、感知される特定の化学物質を選択することを含むことが好ましい。方法は、選択された特定の化学物質に対する感知層を一連の感知層から選択することを含むことが好ましい。本発明の方法は、二つ以上の化学物質を感知するために使用されてもよい。複数の特定の化学物質を感知するために、かつ各感知された特定の化学物質を表すデータを送信するために、感知された特定の化学物質が閾値を上回る、または下回る場合、一連の感知層が提供される。一連の各感知層は、一連の他の感知層によって感知された特定の化学物質と異なる、特定の化学物質を感知するように適合されていることが好ましい。一連の各感知層に対して、閾値が設定されていることが好ましい。例えば、セットがN個の感知層を含む場合、N個の閾値が設定される。一連のN個の感知層の第iの感知層によって感知された特定の化学物質の量が、第iの閾値を上回る、または下回る場合、無線送信機はその後、第iの感知層によって感知された特定の化学物質に関連するデータを送信する。N個の閾値の一部は、調整可能であることが好ましい。N個の閾値のすべての閾値は、調整可能であることが好ましい。このようにして、ユーザーのニーズに対して最適化された感知モジュールが形成されてもよい。
【0048】
一連の感知層を提供する工程は、感知層によって感知された特定の化学物質を識別する機械可読コードを一連の各感知層に提供することを含むことが好ましい。どの特定の化学物質が、一連のどの感知層によって感知されているかを容易に識別するために、または感知層を容易に識別するために、一連の一部の感知層は機械可読コードを含む。おそらく、一連のすべての感知層は、機械可読コードを含む。機械可読しるしは、バーコードを含んでもよい。バーコードは、線形または一次元(1D)バーコードを含んでもよい。さらに、バーコードは、マトリクスコードまたは二次元(2D)バーコードと呼ばれる幾何学的パターンを含んでもよい。バーコードは、バーコードを持つ感知層によって感知された特定の化学物質についてのデータを表す。
【0049】
一連の感知層を提供する工程は、感知層によって感知された特定の化学物質を識別する人間可読コードを一連の各感知層に提供することを含んでもよい。感知層によって感知された特定の化学物質の名称は、感知層上に記載されてもよい。
【0050】
方法は、受信装置によって機械可読しるしをスキャンすることを含むことがより好ましい。一次元バーコードは、バーコードリーダーと呼ばれる光学スキャナによって読み取られうることが好ましい。二次元バーコードは、カメラを含む受信装置上のアプリケーションソフトウェアを使用して読み出されるか、または脱構築されることができる。この特性を有する受信装置の一例は、例えばスマートフォンである。
【0051】
方法は、一連の感知層から少なくとも二つの感知層を選択することと、少なくとも二つの感知層を同じ基体層に取り付けることとを含むことが好ましい。感知モジュールは、例えば同じ無線送信機、または同じエネルギー源もしくは同じ非充電式エネルギー貯蔵ユニットなど、同じリソースを使用して、幾つかの異なる特定の化学物質を感知しうる。このように、感知モジュールは比較的に小さい寸法を有し、比較的に安価である。
【0052】
別の態様によると、本発明は、特定の化学物質を感知するように適合された感知層を備える、環境中の特定の化学物質を検出するための感知モジュールに関する。感知モジュールは、感知層に取り付けられた基体層をさらに備えてもよい。基体層は無線送信機を備えてもよい。基体層は、無線送信機に電気的に接続可能である、かつ無線送信機の1回の起動を可能にするのに十分なエネルギー量を含有するように適合された非充電式エネルギー貯蔵ユニットを備えてもよい。感知モジュールはまた、無線送信機が、特定の化学物質を表すデータを送信するように、感知層によって感知された特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合に、無線送信機を非充電式エネルギー貯蔵ユニットに接続することによって無線送信機を起動させるように適合されたスイッチを備えてもよい。
【0053】
別の態様によると、本発明は、環境中の特定の化学物質を検出するためのキットに関する。キットは、共通基部に取り付けられた一連の感知層を備え、各感知層は、特定の化学物質を感知するように適合されている。キットはまた、基体層を備えてもよく、基体層は、感知モジュールを形成するために、一連の感知層のうちの少なくとも一つに取り付けられるように適合されている。基体層は無線送信機を備えてもよい。基体層は、無線送信機に電気的に接続可能である、かつ無線送信機の1回の起動を可能にするのに十分なエネルギー量を含有するように適合された非充電式エネルギー貯蔵ユニットを備えてもよい。感知モジュールはまた、無線送信機が、感知された特定の化学物質を表すデータを送信するように、感知層によって感知された特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合に、無線送信機を非充電式エネルギー貯蔵ユニットに接続することによって無線送信機を起動させるように適合されたスイッチを備えてもよい。キットはまた、無線送信機によって送信されたデータを受信するように適合された受信装置を備えてもよい。
【0054】
感知モジュールおよびキットの特徴および利点は、本発明の方法の説明を参照して既に詳細に記載されていて、ここでは繰り返さない。
【0055】
無線送信機はトランスポンダーを備えることが好ましい。無線送信機はアンテナを備えることが好ましい。トランスポンダーはトランスポンダーチップを備えることが好ましい。
【0056】
基体層は、無線送信機を含む起動層と、非充電式エネルギー貯蔵ユニットを備えるエネルギー層とを備え、起動層およびエネルギー層は互いに取り付けられていて、かつ電気的に接続されていることが好ましい。基体層は多層であることが好ましい。多層基体層の各層は、特定の機能を有する。エネルギー層は、無線送信機にエネルギーを供給するための非充電式エネルギー貯蔵ユニットを含むことが好ましい。起動層は、感知された化学物質に関連するデータを送信するための無線送信機を含むことが好ましい。異なる層における機能の分離は、感知モジュールの作製の簡略化をもたらしうる。
【0057】
非充電式エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギーを貯蔵するコンデンサを備えることが好ましい。コンデンサは三層構造を備えることが好ましい。
【0058】
感知層は、感知層を覆う保護層を備えることが好ましい。
【0059】
基体層は、エネルギー源を備えることが好ましい。エネルギー層は、エネルギー源を備えることが好ましい。エネルギー源は、エネルギー層に統合されていることが好ましい。エネルギー源は、非充電式エネルギー貯蔵ユニットを充電するように適合されていることが好ましい。
【0060】
エネルギー源は、圧電装置を備えることが好ましい。
【0061】
一連の各感知層は、感知層によって感知された特定の化学物質に関する情報を含む機械可読コードを含むことが好ましい。一連の各感知層は、感知層によって感知された特定の化学物質に関する情報を含む人間可読コードを含むことが好ましい。
【0062】
「エネルギー貯蔵ユニット」は、エネルギーを貯蔵するように適合されたユニットである。エネルギー貯蔵とは、後で使用するために、ある時に生成されたエネルギーを捕捉することである。エネルギーを貯蔵する装置は、例えば電池であってもよい。エネルギーは複数の形態でもたらされうるが、本文脈において、貯蔵されたエネルギーは、電磁エネルギーまたは電気化学エネルギーであることが好ましい。「非充電式」エネルギー貯蔵ユニットは、1回使用されて廃棄されるように設計されたエネルギー貯蔵ユニットである。非充電式エネルギー貯蔵ユニットは、例えば電力で再充電されてはいけない、および再利用されてはいけない。
【0063】
「無線送信機」は、アンテナで信号を伝える電磁波を生成する電子装置である。送信機自体は、アンテナに流される無線周波数交流電流を発生しうる。この交流電流によって励起された時、アンテナは電波などの電磁波を放射する。
【0064】
本文脈における「層」は、他の二つの寸法よりも少なくとも10分の1小さい厚さを有するシート材料を画定する。その他の二つの寸法は、シートの厚さよりも1桁大きいことが好ましい。
【0065】
本文脈における「可撓性」は、力がかけられている時に壊れることなく形状を変える層の能力を意味する。
【0066】
化学物質を「感知する」という用語は、化学物質を検出する、または測定する、またはその両方を意味する。従って、「感知する」は概して、化学物質に関するセンサーの活動を定義し、感知の工程におけるセンサーの出力がデジタルまたはアナログである場合を包含する。
【0067】
以下の「化学物質」とは、化学元素、化合物、または合金などの明確な化学組成を有する任意の材料を意味する。これは分子を含んでもよい。
【0068】
本テキストにおいて、動詞の「comprise(含む)」および「include(含む)」は同義語であり、両方とも特徴の非網羅的リストを示す。動詞「consist(から成る)」は、網羅的なリストを示す。
【0069】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0070】
[実施例1]
環境中の特定の化学物質を検出するための方法であって、
○特定の化学物質を感知するように適合された感知層を提供することと、
○単回使用の無線送信機を備える基体層を提供することと、
○感知モジュールを形成するために、感知層を基体層に取り付けることと、
○感知層によって、環境中の特定の化学物質の量を感知することと、
○特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合、感知された特定の化学物質を表すデータを無線送信機を使用して受信装置に送信することと、を含む、方法。
【0071】
[実施例2]
実施例1に記載の方法であって、
○感知された特定の化学物質を表すデータを初めて送信した後に、感知モジュールを廃棄する工程を含む、方法。
【0072】
[実施例3]
実施例1または実施例2に記載の方法であって、
○感知モジュールの最大寿命を、
■所定の時間間隔の満了と、
■感知された特定の化学物質を表すデータを初めて送信する時と、のうちの最も早い方に設定する工程を含む、方法。
【0073】
[実施例4]
実施例1~3のいずれかに記載の方法であって、
○感知モジュールにエネルギー源を提供することを含む、方法。
【0074】
[実施例5]
実施例1~4のいずれかに記載の方法であって、基体層を提供する工程が、
○可撓性の基体層を提供することを含む、方法。
【0075】
[実施例6]
実施例4および実施例5に記載の方法であって、
○無線送信機を起動するために、可撓性の基体層の機械的変形によってエネルギーを発生する工程を含む、方法。
【0076】
[実施例7]
実施例6に記載の方法であって、
○発生されたエネルギーを無線送信機に供給することを含む、方法。
【0077】
[実施例8]
実施例1~7の一つ以上に記載の方法であって、感知層を提供する工程が、
○感知層を保護層で覆うことを含み、
方法が、
○環境中の特定の化学物質を感知する工程の前に、感知層から保護層を取り除くことを含む、方法。
【0078】
[実施例9]
実施例1~8の一つ以上に記載の方法であって、
○特定の化学物質の第一の閾値を設定すること、または
○感知層中の特定の化学物質の予め設定された第一の閾値を修正すること、を含む、方法。
【0079】
[実施例10]
実施例1~9の一つ以上に記載の方法であって、
○無線送信機に非充電式エネルギー貯蔵ユニットを提供することと、
○無線送信機を使用して、感知された特定の化学物質を表すデータを受信装置に送信することによって、非充電式エネルギー貯蔵ユニットを少なくとも部分的に枯渇させることと、を含む、方法。
【0080】
[実施例11]
実施例1~10の一つ以上に記載の方法であって、
○感知された特定の化学物質を表すデータが受信装置によって受信されている時に、警告信号を発生することを含む、方法。
【0081】
[実施例12]
実施例1~11の一つ以上に記載の方法であって、
○一連の感知層を提供することであって、一連の各感知層が、一連の別の感知層によって感知された特定の化学物質と異なる特定の化学物質を感知するように適合されている、提供することと、
○感知される所定の特定の化学物質を選択することと、
○一連の感知層から、選択された化学物質を感知するように適合された感知層を選択することと、含む、方法。
【0082】
[実施例13]
実施例12に記載の方法であって、一連の感知層を提供する工程が、
○感知層によって感知された特定の化学物質を識別する機械可読コードを一連の各感知層に提供することを含む、方法。
【0083】
[実施例14]
実施例13に記載の方法であって、
○受信装置によって機械可読コードをスキャンする工程を含む、方法。
【0084】
[実施例15]
実施例12~14の一つ以上に記載の方法であって、
○一連の感知層から少なくとも二つの感知層を選択することと、
○少なくとも二つの感知層を同じ基体層に取り付けることと、を含む、方法。
【0085】
[実施例16]
環境中の特定の化学物質を検出するための感知モジュールであって、
○特定の化学物質を感知するように適合された感知層と、
○感知層に取り付けられた基体層であって、
無線送信機と、
無線送信機に電気的に接続可能である、かつ無線送信機の1回の起動を可能にするのに十分なエネルギー量を含有するように適合された非充電式エネルギー貯蔵ユニットと、を備える、基体層と、を備え、
○無線送信機が、感知された特定の化学物質を表すデータを送信するように、感知層によって感知された特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合に、無線送信機を非充電式エネルギー貯蔵ユニットに接続することによって無線送信機を起動させるように適合されたスイッチも備える、感知モジュール。
【0086】
[実施例16]
無線送信機がトランスポンダーを備える、実施例15に記載の感知モジュール。
【0087】
[実施例17]
基体層が、無線送信機を含む起動層と、非充電式エネルギー貯蔵ユニットを備えるエネルギー層とを備え、起動層およびエネルギー層が互いに取り付けられていて、かつ電気的に接続されている、実施例15または実施例16に記載の感知モジュール。
【0088】
[実施例18]
非充電式エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギーを貯蔵するためのコンデンサを備える、実施例15~17の一つ以上に記載の感知モジュール。
【0089】
[実施例19]
実施例15~18の一つ以上に記載の感知モジュールであって、感知層が、
○感知層を覆う保護層を備える、感知モジュール。
【0090】
[実施例20]
基体層がエネルギー源を備える、実施例15~19の一つ以上に記載の感知モジュール。
【0091】
[実施例21]
エネルギー源が圧電装置を備える、実施例15~20の一つ以上に記載の感知モジュール。
【0092】
[実施例22]
環境中の特定の化学物質を検出するためのキットであって、
○共通基部に取り付けられた一連の感知層であって、一連の各感知層が、特定の化学物質を感知するように適合されている、一連の感知層と、
○感知モジュールを形成するために、一連の感知層のうちの少なくとも一つに取り付けられるように適合されている基体層であって、
無線送信機と、
無線送信機に電気的に接続可能である、かつ無線送信機の1回の起動を可能にするのに十分なエネルギー量を含有するように適合された非充電式エネルギー貯蔵ユニットと、を備える、基体層と
○無線送信機が、感知された量の特定の化学物質を表すデータを送信するように、感知層によって感知された特定の化学物質の量が第一の閾値を上回る、または下回る場合に、無線送信機を非充電式エネルギー貯蔵ユニットに接続することによって無線送信機を起動させるように適合されたスイッチも備える前記感知モジュールと、
○無線送信機によって送信されたデータを受信するように適合された受信装置と、を備える、キット。
【0093】
[実施例23]
無線送信機がトランスポンダーを備える、実施例22に記載のキット。
【0094】
[実施例24]
基体層が、無線送信機を含む起動層と、非充電式エネルギー貯蔵ユニットを備えるエネルギー層とを備え、起動層およびエネルギー層が互いに取り付けられていて、かつ電気的に接続されている、実施例22または実施例23に記載のキット。
【0095】
[実施例25]
非充電式エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギーを貯蔵するためのコンデンサを備える、実施例22~24の一つ以上に記載のキット。
【0096】
[実施例26]
実施例22~25の一つ以上に記載のキットであって、感知層が、
○感知層を覆う保護層を備える、キット。
【0097】
[実施例27]
基体層がエネルギー源を備える、実施例22~26の一つ以上に記載のキット。
【0098】
[実施例28]
エネルギー源が圧電装置を備える、実施例22~27の一つ以上に記載のキット。
【0099】
[実施例29]
一連の各感知層が、感知層によって感知された特定の化学物質に関する情報を含む機械可読しるしを含む、実施例22~28の一つ以上に記載のキット。
【0100】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1図1は、本発明の感知モジュールの可能な使用の概略図である。
図2図2は、部分的に分解された構成の本発明の感知モジュールの概略上面図である。
図3図3は、図3の感知モジュールのより詳細な図である。
図4図4は、図2および図3の感知モジュールの一部分の上面図である。
図5図5は、図2および図3の感知モジュールの異なる部分の上面図である。
図6図6は、本発明の感知モジュールの異なる一実施形態の上面図である。
図7図7は、異なる構成の図6の感知モジュールの上面図である。
図8図8は、本発明の方法に従って動作する、図6および図7の感知モジュールの上面図である。
図9図9は、本発明に従って実現されたキットである。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図1に描写され、1で示された、環境中の化学物質の存在を検出するための感知モジュール。感知モジュール1は、可撓性の様式で、ユーザー2の周りの屋内および屋外の環境空気の質を検査するために使用されてもよい。
【0103】
そのために、感知モジュール1は、任意の品目、表面または物体上に貼り付けられることができる。貼り付けは、接着ボンド、面ファスナーまたは粘着ゴム締め具、または他(図面に図示せず)によって行われてもよい。感知モジュールは無線送信機3を含む。感知モジュール1は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)に組み込まれていることが好ましい。PANまたは任意の他のネットワークによって、感知モジュール1は、化学物質が感知モジュールの周辺に存在するか、または予め設定された閾値を上回って、または下回って存在する場合に、ユーザー2に警告できる、スマートフォン、スマートウォッチ、またはスマート空気清浄機などのスマートデバイス4に接続されてもよい。
【0104】
感知モジュール1は、以下に詳述の通り、単回使用の感知モジュール1である。
【0105】
ここで図2を参照すると、感知モジュール1は、基体層200、および少なくとも一つの感知層300を備える。基体層200および感知層300はシート状であり、同じ寸法および幾何学形状を有することが好ましい。上面図で、基体層200および感知層300は実質的に長方形であることが好ましい。基体層200および感知層300は、基体層が基体層上に接着する、またはその逆も可能であるように、相互に取り付けられていることが好ましい。それらの寸法は、40ミリメートル×40ミリメートル×3ミリメートルであり、最小の寸法は、それらの厚さであることが好ましい。
【0106】
基体層200は、任意の品目、表面または物体に接着するために、表面のうちの一つ、つまり感知層300に取り付けられた表面に対向する表面上に接着剤層(図面に図示せず)を含んでもよい。感知層300も、基体層200に接着するために、その表面のうちの一つ上に接着剤層を含んでもよい。基体層200と感知層300の間の接続は、二つの層の間に導電接続が確立されている接続である。
【0107】
感知モジュール1を形成する二つの層200、300が明瞭にする目的で、相互に分離されている図2において見て分かる通り、感知層300と基体層200の両方は、感知層および基体層がどのように一緒に貼り付けられなければならないかを予め画定する「丸みのある」隅角201と、「切断された」隅角301とを含む。層200と層300の両方における同じ隅角201と隅角301を一致させることによって、ユーザーは、基体層200および感知層300を正確に一緒に取り付けることを確実にすることができる。
【0108】
ここで図3を参照すると、基体層200は起動層210とエネルギー層220とを備える。起動層210およびエネルギー層220は、二つの層210、220の間に電気的接続が存在するように相互に取り付けられている。起動層210およびエネルギー層220は重なっている。
【0109】
起動層210およびエネルギー層220は図4において、より詳細に描写されている。起動層210は可撓性のプラスチック基体211を備える。可撓性のプラスチック基体211上に、無線送信機3が形成されている。無線送信機3はトランスポンダー212を含んでもよい。トランスポンダーは、カップリングアンテナ212aおよびトランスポンダーチップ212bを備える。トランスポンダー212は、ワイヤ214を介してスイッチ215に接続されている。
【0110】
エネルギー層220はエネルギー源を備える。エネルギー源は圧電ナノ複合材料層222を含む。圧電ナノ複合材料層222は、二つの可撓性の金属被覆プラスチック基体221の間に位置するBaTiO3、ZnO、MoS2、またはWSe2の複合材料で作製された層によって形成されてもよい。この構成によって、エネルギー層220は、機械的変形から電気エネルギーを発生することができる。感知モジュール1を任意の品目、表面、または物体上に貼り付けるプロセスにおいて、エネルギーモジュール1、および次にエネルギー層220は、場合によっては曲げられていて、電気エネルギーを発生することができる。機械的変形によって発生されたエネルギーを貯蔵するために、エネルギー層220は可撓性のコンデンサ223をさらに備える。可撓性のコンデンサ223は、誘電体層としてZrO2を有するナイロン膜またはポリエチレンナフタレート基体の層を備えることが好ましい。それによって、エネルギー層220は概して、約1.5~2ボルトおよび150~250ナノアンペアの出力を発生することができる。
【0111】
図5に図示の通り、感知層300は、透明で可撓性のプラスチック基体310と、化学物質を測定または検出するように適合されたセンサー320とを含む。センサー320は概して、インク印刷、スパッタリング、または蒸着によって基体310に施されている。感知層300上の所与の空間量に応じて、幾つかのセンサー320が基体310に施されうることが好ましい。
【0112】
図6に示す実施形態において、感知モジュール1は、同じ基体層200に取り付けられた幾つかの感知層300を備える。各感知層300は、異なる化学物質を感知するように適合されていることが好ましい。描写された実施形態において、基体層200は四つの感知層300を含んでもよい。例えば、感知層300は重ねて取り付けられてもよいが、下の層のセンサー320が、重なった感知層300の基体310によって覆われないようにし、結果として、すべてのセンサー320が、異なる化学物質を適切に測定およびモニターすることができるのを確実にするために、各感知層300は基体310に切り抜き323を含んでもよい。例えば、図6において、四つの異なる感知層300が存在してもよく、これは四つの異なる化学物質(四つの異なる汚染物質など)を検出することができる。
【0113】
各センサー320に対して、閾値が関連付けられていることが好ましい。閾値は、センサーによって測定された化学物質を指す。
感知層300中に存在するセンサー320は、例えばカーボンナノチューブセンサーまたは金属酸化物センサーであってもよい。異なる化学物質のためのセンサーはまた、同じ感知層300の同じ基体310にも施されることができ、それによって、各個々のセンサーは、特定の汚染物質および対応する閾値レベルを担当することができる。
【0114】
センサー320は、例えばOR回路によって、基体層200のスイッチ215と、および感知層300の接触領域330と電気的に相互接続されている。
UV光、温度に応答するバイオセンサーまたはセンサーのような、他のセンサー(図面に図示せず)が、感知層300の基体310上に位置してもよいが、可撓性のプラスチック基体310への統合がもたらされていることが条件である。
【0115】
図7に示す通り、感知層300のセンサー320は、保護フィルム350によって封止されてもよい。これによって、センサー320は保護フィルム350によって保護されうる。さらに、センサー320が保護フィルム350によって覆われている時、化学物質の測定は不可能である。それ故に、感知モジュール1は、意図しない測定から守られていて、保護フィルム350が取り除かれている時にのみ化学物質(複数可)をモニターしうる。
各感知層300は、QRコード340(図6および図8を参照)を含んでもよく、これは例えば、保護フィルム350上に刻印されてもよい。センサー320の仕様と、センサーによって検出された化学物質のタイプとの情報は、QRコード340に含まれうる。代替的な一実施形態において、QRコード340は、感知モジュール1の別のスキャン可能領域に刻印されている。
【0116】
感知モジュール1は、図9に描写の通り、キット100を使用して形成されてもよい。
【0117】
キット100は、同じ基体120上に複数の感知層300を含むステッカーセット110を含んでもよい。同じ基体120中のステッカーセットはまた、複数の基体層200を備える。図9に示す通り、それによって、すべての層200、300は基体120の上に貼り付けられる(例えばボンディングペーパーなど)。
【0118】
各感知層300は、感知するように適合されている、化学物質を示すQRコード340を含むことが好ましい。ユーザーは、自分の特定の状況に適合された個々の感知モジュール1を作成してもよい。
【0119】
このようにして、ユーザーは、一つ以上の選択された感知層300を取り除き、ベース層200(これも基体120からも取り除かれている)の上に貼り付けてもよい。幾つかの感知層300を、基体層200の上に重ねて貼り付けることができる。所望の感知層300をステッカーセット110から選択するために、ユーザーはQRコード340をスキャンして、目的の化学物質に対する所望のセンサー320を検出しうる。
【0120】
四つの異なる感知層300を含むキット100から作成された感知モジュール1を図8に示す。
感知モジュール1の機能は以下の通りである。
【0121】
感知モジュール1は既に提供されているか、またはキット100から適切な感知層300を選択することによってユーザーによって作成されている。次いで、選択された感知層300は、基体層200に取り付けられている。
【0122】
センサーモジュール1を起動するために、保護フィルム350が取り除かれている。
【0123】
センサーモジュール1は、構成される必要がありうる。構成は、QRコード340を読み取るスマートデバイス4を使用して行われてもよい。スマートデバイスは、例えば感知モジュール1中に存在する各センサー320の閾値を設定しうる。
【0124】
感知モジュール1の構成の後、ユーザーは、特定の化学物質(選択された感知層によって測定された化学物質)の存在を検出するために、ユーザーが空気をモニターしたい任意の環境を選択し、任意の品目、表面または物体上にセンサーモジュール1を貼り付けてもよい。スマートデバイス4は、感知モジュール1によって送信された信号6(図1および図8に概略的に図示)を受信するように適合されている。
【0125】
保護フィルム350を引き剥がすことによって、感知モジュール1が起動されて、センサー320は、選択された化学物質の存在および量の測定を開始する。ある特定の時点で、ある特定の化学物質(汚染物質など)が、設定された閾値を超える量であることがスマートデバイス4によって検出された場合、警報信号6が感知モジュール1によってユーザーのスマートデバイス4に送信される。これは図8および図1に概略的に示されている。図8において、スマートウォッチ、スマートフォン、またはスピーカーなど、幾つかのスマートデバイス4が描写されている。
【0126】
信号6をスマートデバイス4に送信するために、送信機3が使用されている。センサー320によって測定された任意の化学物質について、選択された閾値に到達すると、スイッチ215は閉じる。スイッチ215が閉じられている時、エネルギー層220は、エネルギー源によって以前に充電されているコンデンサ223に貯蔵されたエネルギーを起動層210に供給する。コンデンサ223から来るエネルギーは、トランスポンダー212のアンテナ212aを起動するのに十分であり、それ故に警報信号6を送信するのに十分である。
【0127】
これによって、感知モジュール1は、いかなる外部電源にも依存せず、充電される必要がなく、従って、より可撓性の方法で使用されることができる。
【0128】
コンデンサ223が再充電可能ではないという事実に起因して、信号がアンテナ212aによって送信された後の感知モジュール1は再利用可能ではない。それ故に感知モジュールは、廃棄されることが好ましい。感知モジュール1は実に、単回使用であり、信号がスマートデバイス4に送信される時まで、またその時に使用されることができる。
【0129】
アレルギー反応および呼吸反応の効果および影響は人によって異なるため、モニターされる空気汚染物質の閾値レベルは、接続されたスマートデバイスを介してユーザーによって特定の要件に適合されることができる。それによって、感知モジュールは単回使用のために設定されていて、(ユーザーにとって)有害な化学物質が検出された場合、警告信号をユーザーに送信した後に、その機能を果している。結果として、ユーザーは、来たるアレルギー反応または空気汚染による健康へのさらなる影響を避けることができる。
【0130】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±10パーセントとして理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】