(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】ドライアイ、マイボーム腺機能不全および涙腺機能不全を治療するための多機能性リガンドの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4741 20060101AFI20230605BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20230605BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230605BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230605BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230605BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230605BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230605BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230605BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A61K31/4741
A61P27/04
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61K9/08
A61K9/06
A61K47/32
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564565
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2021059813
(87)【国際公開番号】W WO2021213891
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521532592
【氏名又は名称】エイチフォー オーファン ファーマ
【氏名又は名称原語表記】H4 ORPHAN PHARMA
(71)【出願人】
【識別番号】522413696
【氏名又は名称】ガエタン テラス
【氏名又は名称原語表記】Gaetan TERRASSE
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ガエタン テラス
(72)【発明者】
【氏名】ビュール,キャサリン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076EE09X
4C076EE37X
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA28
4C086MA58
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB15
(57)【要約】
本発明は、ドライアイ、マイボーム腺機能不全および涙腺機能不全を治療するための、イソキノリン多機能性リガンドであるアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライアイ症候群の治療に使用するためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
ドライアイ症候群における痛みの治療に使用するための、請求項1に記載のアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
グジュロー・シェーグレン病に関連するドライアイ症候群の治療に使用するための、請求項1に記載のアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
関節リウマチまたは全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に関連するドライアイ症候群の治療に使用するための、請求項1に記載のアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
カルボマー系保湿剤またはヒアルロン酸系潤滑剤と組み合わされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
メチルの少なくとも1つにおいて重水素化メチルで置換されていることを特徴とする、ドライアイ症候群の治療に使用するためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
点眼剤または眼軟膏の形態でパッケージングされることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能性リガンドの使用に関し、より具体的には、ドライアイ症候群ならびにマイボーム腺および涙腺の機能不全を治療するための、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンの左旋性(levorotatory)および右旋性(dextrorotatory)のエナンチオマーの使用に関する。
【0002】
本発明は、NK1受容体に対する活性のみならず膜貫通コンダクタンス制御因子(transmembrane conductance regulator)(CFTR)の調節因子に対する活性も有する多機能性リガンドの、マイボーム腺や涙腺の機能不全、およびより一般的にはドライアイ症候群の治療のための使用、ならびに医薬組成物および治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ドライアイ症候群は、2007年のドライアイワークショップにより、眼表面の潜在的な損傷を伴う不快感、視覚障害、および涙液層の不安定性の症状を引き起こす、涙および眼表面の多因子疾患として定義される。眼表面は多かれ少なかれ角膜炎を生じ、それは角膜潰瘍をもたらし得る。涙液層の浸透圧の上昇および眼表面の炎症を伴う。多くの異なる原因論があり、従来は、涙の流量の減少により生じるドライアイ症候群(例えば、グジュロー・シェーグレン(Gougerot-Sjogren)症候群)と、涙の過剰蒸発によるドライアイ症候群とに区別される。
【0004】
マイボーム腺機能不全(MGD)は、ドライアイ疾患(DED)の最も一般的な原因である。2011のワークショップは、マイボーム腺機能不全(MGD)も定義した。瞼の炎症、微生物の成長、関連する皮膚障害、および潜在的に重篤な角膜合併症は、MGDを複雑な多因子性障害とする。マイボーム腺炎はそれ自体が一つの疾患と考えることができる。MGDは、眼瞼の炎症、結膜炎、角膜障害、微生物学的変化、および涙液層の不安定性から生じるDEDという5つの異なる病態生理学的メカニズムの組み合わせから生じる不均一な疾患と思われる。MGDおよびDEDの両方の病態を「悪循環」により説明することができ、DEDおよびMGDの根底にある病態生理学的メカニズムは相互に影響し合い、二重の悪循環をもたらす。この二重の悪循環がドライアイを引き起こし、その治療を困難にする。
【0005】
ドライアイ症候群は、涙液層の恒常性の喪失をもたらし、様々な眼症状を引き起こす、多因子性で複雑な眼表面疾患である。DEDが視覚機能、生活の質、および経済的負担に及ぼす負の影響はよく認識されている(非特許文献1)。多くの患者において、この疾患は慢性的であり、長期的な治療を必要とする。
【0006】
DEDの有病率は高く、世界的には成人人口の5~50%と推定され、高齢化に伴い経済的負担も増加すると予測される。世界的に、DEDの初期管理に眼潤滑剤がしばしば使用されているが、この疾患の根本的な原因には対処していない。過去20年間、DEDの異なる別個の病態生理学的経路を標的とした、潜在的により効果的な眼薬理学的薬剤が研究されてきたが、これらの努力は、ごくわずかな新薬の承認をもたらしただけである。主な承認された治療薬は、北アメリカにおける0.05%シクロスポリンA眼科用エマルション(レスタシス(Restasis)(登録商標);Allergan社、カリフォルニア州アーバイン、米国)および5.0%リフィテグラスト(lifitegrast)点眼液(シードラ(Xiidra)(登録商標);Shire社,レキシントン,米国)、欧州におけるカチオン性エマルション(Ikervis(登録商標); 参天製薬、大阪、日本)、アジアにおける3%ジクアホソル点眼液(ジクアス(Diquas)(登録商標);参天製薬、大阪、日本)、および2%レバミピド懸濁性点眼液(ムコスタ(Mucosta)(登録商標); 大塚製薬、東京、日本)の単位用量製剤が挙げられる。米国(2018年8月)では、シクロスポリンA 0.09%のナノミセル製剤(セクア(Cequa)(登録商標);Sun Pharmaceuticals、ムンバイ、インド)が、DEDの患者の涙の産生量を増やす目的で承認されている。全体として、これらの薬剤は眼表面の炎症を低減するかまたは涙液層を安定化させるが、涙液欠乏性(Aqueous Deficient)ドライアイ(ADDE)または蒸発性(evaporative)ドライアイ(EDE)の患者にどの薬剤が最も適しているか分かっていない。グジュロー・シェーグレン(Gougerot-Sjogren)症候群(SGS)は、重度の角膜炎の原因となり得る涙腺の進行性破壊による眼球乾燥症を伴う。GSSは、外分泌腺の進行性で、変性性で、炎症性の関与を特徴とする慢性自己免疫疾患であり、関節、皮膚、肺、腎臓、または末梢神経に様々な影響を及ぼす全身性疾患に関連し得る。この疾患の病態生理は、CD4+T細胞およびB細胞による唾液腺および涙腺への浸潤を特徴とする。これらのリンパ球の局所的な活性化および増殖は、慢性炎症状態を維持する炎症誘発性サイトカインの放出、ならびに自己抗体の分泌を誘発し、最終的に上皮細胞のアポトーシスによる死に至る。
【0007】
ドライアイ症候群の通常の初期管理は、病因に関わらず、以下に基づく:
- 促進因子(薬物、環境因子、防腐剤(特に第四級アンモニウム)を含む点眼剤)の可能な限りの是正;および
- 涙液代替品(点眼液、ゲル、および他の2つの方法で失敗した後に使用される医療デバイスの粘弾性溶液での人工涙液)による補充療法(replacement therapy)。
【0008】
ドライアイは一旦発症すると、補充療法にもかかわらず進行し、角膜を含むすべての眼表面組織の損傷が進行する炎症の悪循環の概念に従って、自己持続するようになる。重症の場合、ドライアイは、角膜に大きな損傷(または角膜炎)もたらし、それは眼の表面の異物感やヒリヒリ感から、視力低下を伴う永続的な痛みまで、様々な症状を引き起こす。ドライアイの重症度は、角膜炎の程度、炎症成分、および痛みのある眼症状に関係する。
【0009】
ドライアイの原因となる悪循環の原因を治療するために、いくつかの薬理学的標的を治療する必要がある。これを実現するのが多機能性リガンドである。多機能性リガンドは、その名の通り、複数の薬理学的標的に対して活性を発揮する。効果を発揮するためには、多機能性リガンドは、受容体への親和性が低く、複数の薬理学的標的に対してバランスよく拡散することを可能にする。その親和性は、100ナノモル濃度(nM)~1マイクロモル濃度(μM)の間であることが多い。本発明者らは、トリトクアリンが多機能性リガンドとして挙動し、CFTRとNK1という2つの薬物標的に対して活性を有することを実証した。
【0010】
CFTRは多機能性タンパク質である。CFTRタンパク質はABCトランスポータースーパーファミリーのメンバーであり、生物の全てのドメイン(細菌、古細菌および真核生物)において見出される。CFTRは、イオンチャネルとしての立場およびその独特な制御ドメイン(R)の存在によって、このスーパーファミリーの他のすべてのメンバーと区別される。CFTRは上皮細胞における塩化物イオンおよびチオシアネートイオンに対して透過性のチャネルを形成する。チャネル制御とは独立した他の機能を説明する:ATP輸送、エキソサイトーシス/エンドサイトーシス現象の調節、細胞内小器官のpH調節。
【0011】
ドライアイ症候群では、涙腺からの涙の産生を回復させるだけでなく、角膜上皮からの電解質の分泌も回復させる必要がある。
【0012】
2001年に公開された論文において、CFTRはウサギの不死化角膜上皮細胞株における電解質分泌に関与していることが示されている(非特許文献2)。それだけでなく、涙腺の分泌にも影響を与える(非特許文献3)。この論文で著者らは、CFTRモジュレーターが、正常なCFTRを有するマウスにおいて涙液の分泌を増加させることができることを示す。
【0013】
CFTRは、分泌性上皮細胞を含めて様々な細胞タイプで発現されるcAMP/ATP媒介陰イオンチャネルであり、膜を横切る陰イオンの流れを制御するとともに、他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を制御する。上皮細胞において、正常なCFTRの機能は、呼吸器および消化器、さらには眼組織を含む、全身の電解質輸送を維持するために不可欠である。CFTRは、約1480個のアミノ酸で構成されており、それぞれが6つの膜貫通ヘリックスとヌクレオチド結合ドメインを含む膜貫通ドメインの繰り返しで構成されるタンパク質を形成している。2つの膜貫通ドメインは、チャネルの活性と細胞のトラフィッキングを制御するいくつかのリン酸化部位を含む大きな極性制御ドメイン[R]によって連結されている。
【0014】
塩化物輸送は、頂端膜(apical membrane)に存在するENaCおよびCFTR、ならびに細胞の側底面(basolateral surface)に発現されるNa+およびK+ATPaseならびにCl-チャネルの協調した活性によって生じる。内腔側での二次性能動塩化物輸送により、細胞内塩化物の蓄積が生じ、その塩化物はCl-チャネルを介して受動的に細胞外に出ることができ、それにより、基底極から頂端極への輸送が生じる。したがって、おそらく能動的に輸送されない水は、ナトリウムおよび塩化物の流れによって生じる経上皮浸透圧勾配に従って上皮を横切って輸送される。
【0015】
CFTRの不十分な機能による影響と思われるドライアイ症候群の原因を治療するために、正常なCFTR機能を調節および活性化する新規な治療法を見いだす必要がある。
【0016】
一方で、最近の証拠は、ドライアイの一部の症状が慢性神経障害によってよりよく表され得ることを示唆している。
【0017】
神経原性メカニズムが、慢性的な眼表面の炎症において重要な役割を果たしている可能性がある。症状は、神経病理学的変化に関連する急性から慢性への移行をもたらす眼感覚神経の繰り返される損傷に関連している可能性がある。これらの神経障害性変化は、ドライアイの痛みの原因でもある。
【0018】
サブスタンスPは、この神経原性炎症に関与すると考えられている。Stern MEら(非特許文献4)。
【0019】
ドライアイ症候群における神経原性炎症は完全には解明されていないが、確かに重要な形で関与している(非特許文献5)。
【0020】
したがって、ドライアイ症候群の悪循環を断ち切るために、CFTRの調節とサブスタンスPの阻害の両方を行うことは興味深いことである。サブスタンスPは、NK1受容体の活性化の後に分泌される。トリトクアリンに代表される多機能リガンドは、NK1アンタゴニストとして作用し、したがってサブスタンスPの分泌抑制剤である。特許文献1は、結膜炎などの免疫系疾患の治療におけるトリトクアリンを開示している。
【0021】
Hollandら(非特許文献6)は、ドライアイ症候群の治療のための様々な局所化合物を記載している。
【0022】
Floresら(非特許文献7)は、涙の分泌を増加させ、特にシェーグレン症候群を含むドライアイ症候群を予防する低分子CFTR活性化剤を開示しているが、トリトクアリンについては開示していない。
【0023】
特許文献2は、線維性疾患、特に嚢胞性線維症の治療におけるトリトクアリンの使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公開第2007/117704号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2659890号明細書
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Efficacy of topical ophthalmic drugs in the treatment of dry eye disease: A systematic literature review. Holland EJ, et al. Ocul Surf. 2019
【非特許文献2】Invest Ophthalmol Vis Sci. 2001 Sep Activation of a CFTR-mediated chloride current in a rabbit corneal epithelial cell line. Al-Nakkash L
【非特許文献3】Invest Ophthalmol Vis Sci. 2018 Jan Novel Insight Into the Role of CFTR in Lacrimal Gland Duct Function in Mice. Berczeli O.
【非特許文献4】The Pathology of Dry Eye: The Interaction Between the Ocular Surface and Lacrimal Glands, Cornea 1998 November
【非特許文献5】J Investig Allergol Clin Immunol. 2018 Sep Neuropathic Pain and Itch Mechanisms Underlying Allergic Conjunctivitis. Kuruvilla M et al
【非特許文献6】OCULAR SURFACE, vol. 17, no. 3, 1 July 2019, pages 412-423
【非特許文献7】The FASEB Journal, vol. 30, no. 5, 1 May 2016, pages 1789-1797
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、多機能性リガンドの使用に関し、特に、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンの左旋性および右旋性のエナンチオマーならびにそれらの薬学的に許容される塩を含む、イソキノリン系化合物を含む多機能性リガンドの使用に関する。
【0027】
本発明者らは、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩の、正常なCFTRの調節およびNK1受容体に作用する多機能性リガンドとしての驚くべき特性を発見した。
【0028】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物の少なくとも1つおよび/またはその薬学的に許容される塩の少なくとも1つを含む医薬組成物に関し、それら組成物は、少なくとも1つの他の医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredient)および/または少なくとも1つの賦形剤をさらに含むことができる。本発明は、また、ドライアイ症候群、ならびにグジュロー・シェーグレン(Gougerot-Sjogren)病を治療する方法であって、本明細書に記載の化合物の少なくとも1つおよび/またはその薬学的に許容される塩の少なくとも1つを、任意選択で少なくとも1つの追加成分を含む医薬組成物の一部として、それを必要とする対象に投与することを含む方法に関する。
【0029】
トリトクアリン(tritoqualine)は、ヒスチジン脱炭酸酵素に対するその阻害作用により、抗アレルギー活性を有することが知られている。しかしながら、この活性は非常に弱く、様々な臨床症状、鼻炎、蕁麻疹、皮膚炎、肥満細胞症に対してそれが有する多数の特性を説明するものではない。
【0030】
本発明者らは、トリトクアリンが、ドライアイを治療するための2つの重要な標的であるCFTRおよびNK1受容体に対して非常に重要な作用を有することを実証した。多くの特許がトリトクアリンに基づき出願されているが、ドライアイ症候群の治療におけるその活性について言及しているものはない。
【0031】
トリトクアリンは、分子量500のベンジルイソキノリンである。この化合物は、炭素14または重水素化化合物のいずれかを含む化合物で修飾または置換することができる。
【0032】
同位体標識された化合物および塩は、様々な方法で使用することができる。これらは、薬物および/または基質上の組織分布試験などの様々な種類の試験に適している場合がある。例えば、トリチウムおよび/または炭素14で標識された化合物は、比較的簡単に調製でき、また検出性にも優れているため、基質ベースの組織分布試験などの様々な種類の試験に特に有用である。例えば、重水素標識製品は治療上有用であり、非重水素標識化合物を超える潜在的な治療上の利点を有する。一般に、重水素標識化合物および塩は、速度論的同位体効果により、非重水素標識化合物よりも高い代謝安定性を有することができる。高い代謝安定性は、生体内(in vivo)での半減期の延長や低用量化に直結し、それが望ましい場合がある。同位体標識化合物および塩は、一般に、EP3352757などに記載されているような既知の合成スキームに記載された手順に従って調製することができる。したがって、非重水素化メチルを重水素化メチルに置き換えることは容易である。
【0033】
トリトクアリンは、白色の結晶性粉末である。水に不溶性であり;ベンゼンおよびアセトンに難溶性である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】最大効果に対する%で表される、頂端極でのトリトクアリンの活性。
【
図3】最大効果に対する%で表される、基底極でのトリトクアリンの活性。
【
図4】μA/cm
2で表される、頂端極における涙腺上皮細胞に対するトリトクアリンの効果(A=フォルスコリン(Forskolin);B=トリトクアリン;C=Inh 172)。
【
図5】μA/cm
2で表される、基底極における涙腺上皮細胞に対するトリトクアリンの効果(A=フォルスコリン;B=トリトクアリン;C=Inh 172)。
【
図7】NK1受容体に対するトリトクアリンの親和性曲線。
【
図8】トリトクアリンによるNK1受容体の阻害パーセンテージ。
【
図9】サブスタンスPによる好塩基球の脱顆粒を示すフローサイトメトリー分析(CD63+およびCCR3+)。
【
図10】サブスタンスP(10μM)の作用を阻害することによるトリトクアリン(10μM)による好塩基球の脱顆粒の抑制。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明者らは、変異のないCFTR調節のヒト細胞モデルにおいてトリトクアリンの驚くべき意外な特性を明らかにした。
【0036】
したがって、本発明は、涙腺およびマイボーム腺の上皮細胞の分泌物の減少に関連する疾患の治療に使用するための、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0037】
したがって、本発明はまた、ドライアイ症候群の治療に使用するための、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0038】
したがって、本発明は、グジュロー・シェーグレン(Gougerot-Sjogren)病および関節リウマチまたは全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に付随して生じる二次性グジュロー・シェーグレン症候群に関連するドライアイ症候群の治療に使用するための、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0039】
好ましい一実施形態によれば、本発明は、ドライアイ症候群における痛みの治療に使用するための、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0040】
好ましい一実施形態によれば、本発明は、ドライアイ症候群における使用のためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関し、点眼剤または眼軟膏の形態で投与されることを特徴とする。1つの好ましい実施形態によると、本発明は、ドライアイ症候群における使用のためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関し、0.1ミリグラム~5ミリグラムの用量で点眼剤の形態で投与されることを特徴とする。
【0041】
好ましい一実施形態によれば、本発明は、ドライアイ症候群における使用のためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関し、ヒアルロン酸またはカルボマーに基づく保湿剤および潤滑剤と関連して点眼剤の形態で投与されることを特徴とする。
【0042】
好ましい一実施形態によれば、本発明は、ドライアイ症候群の治療に使用するためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関し、メチルの少なくとも1つにおいて重水素化メチルで置換されていることを特徴とする。
【0043】
本発明はまた、角膜、涙腺およびマイボーム腺の上皮細胞の頂端および基底極の両方におけるイオン輸送を改善するのに使用するための、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩は、薬物動態を改善するためにそのメチルにおいて重水素置換メチルによって置換されている点において注目すべきである。
【0045】
本発明の好ましい一実施形態によれば、アミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリン、およびその薬学的に許容される塩は、0.1ミリグラム~5ミリグラム/日の用量でドライアイ症候群の治療に使用するためのものである。
【0046】
本発明の好ましい一態様によれば、ドライアイ症候群の治療に使用するためのアミノ-7トリエトキシ-4,5,6オキソ-1ジヒドロ-1,3イソベンゾフラニル-3)-1メトキシ-8メチル-2メチレンジオキシ-6,7テトラヒドロ-2,3,4イソキノリンまたはトリトクアリンおよびその薬学的に許容される塩は、点眼剤または眼軟膏の形態でパッケージングされるという点において注目すべきである。
【実施例】
【0047】
CFTR調節に対するこの作用を研究するために、本発明者らは、1950年代末にデンマーク人のHans H. Ussingが発明したUssingチャンバ法を使用した。この技術は、制御された温度および培地条件下で目的組織を数時間生存したまま維持できるため、上皮を介したイオン交換を調べることを可能にする。組織を2つのハーフチャンバの間に配置することで、頂端側コンパートメント(器官の内腔に相当する)と側底側コンパートメント(血液コンパートメントに相当する)を画定し、組織を介したこれら2つのコンパートメント間の交換を調べることを可能にする。
【0048】
この技術は日常的に使用されており、イオン輸送の薬理学的アプローチ、ならびに上皮細胞からのイオン分泌に関連して治療上興味深い分子を探索するのに特に適合している。これは、経皮電流(短絡電流と呼ばれ、Iseで示される)を測定することを含む。Iseは、上皮の単位面積に対するアンペア(μA/cm2でのIse)で表される。in vivoに近い条件を模倣するために、液-液界面および次いで気-液界面で、10~15日間、多孔質フィルター上で細胞を培養する。培養中、経上皮抵抗を定期的に測定する。この抵抗値(数百Ω)が高いほど、上皮組織は連続し、分極化され、したがって密である。気(頂端側)-液(側底側)界面において、上皮細胞は分極してタイト(密)なマットを形成しており、これをUssingチャンバ法で調べることができる。我々は、6つの実験を並行して行うことを可能にする6つのPhysiologie Instrument(登録商標)キュベットを備えたシステムを使用した。
【0049】
研究では、以下の材料および分子を使用した:
アミロライド:最終濃度100μM;100mMのストック溶液、水溶媒(供給元:Sigma(登録商標))。
フォルスコリン:最終濃度0.05μM;1mMのストック溶液、DMSO溶媒(供給元:Sigma(登録商標))。
ゲニステイン:最終濃度30μM;30mMのストック溶液、DMSO溶媒(供給元:Sigma(登録商標))。
CFTR inh172:最終濃度10μM;10mMのストック溶液、DMSO溶媒(供給元:Fisher(登録商標))。
UTP:最終濃度100μM;100mMのストック溶液、DMSO溶媒(供給元:Sigma(登録商標))。
【0050】
我々は、Ussingチャンバに適した支持体を含む様々な媒体および試薬:Snapwell(Fisher(登録商標))、培養培地(Gibco(登録商標))、SVF(Gibco(登録商標))、ピューロマイシン(Gibco(登録商標))、T75培養フラスコ(Fisher(登録商標))を使用した。
【0051】
トリトクアリンは、CFTRに対して驚くべき作用を有し、これは知られていない。角膜上皮細胞または腺上皮細胞のCFTRに対するトリトクアリンの活性について言及した刊行物または特許はない。
【0052】
本発明者らは、USSINGチャンバを使用して、腺上皮細胞のCFTRに対するトリトクアリンの活性を分析した。
【0053】
非変異CFTRを発現するヒト上皮細胞に使用される標準プロトコル:
- アミロライド(ENaCチャネル阻害剤、100μM)の存在下で、10μMのトリトクアリン分子の添加、次いでCFTR inh172(10μM、CFTR阻害剤)の添加、次いでUTP(100μM、カルシウム感受性Cl輸送を活性化することにより実験を検証する)の添加での短絡電流の測定。
- アミロライド(100μM)およびフォルスコリン(0.05μM、細胞内cAMPの活性化剤)の存在下で、10μMのトリトクアリン分子の添加、次いでCFTR inh172(10μM)の添加、次いでUTP(100μM)の添加での短絡電流の測定。
- CFTR Inh172(10μM)の存在下で、トリトクアリンおよびフォルスコリン(0.05μM)の添加、次いでUTPの添加での短絡電流の測定。
【0054】
本発明者らはDMSO中の100μMのストック溶液を調製した。化合物を100μLずつアリコートし、-20℃で保存した。
【0055】
トリトクアリンを、非変異細胞に対して10μMの用量でUSSING細胞に添加した(
図5)。
【0056】
頂端側での非変異上皮細胞に対するトリトクアリンの効果は、差分が16から20超(μA/cm2で表される)に増加することから有意である。
【0057】
フォルスコリンの添加は、20から27(μA/cm2で表される)に電位を変化させる。
【0058】
Inh172の添加は細胞電位を完全に遮断する。
【0059】
トリトクアリンは、非変異CFTRを発現する涙腺上皮細胞における細胞電位を活性化する。この効果は、フォルスコリンの効果と相加的である。
【0060】
頂端側での非変異涙腺上皮細胞に対するトリトクアリンの効果は、差分が6.5から7.5超(μA/cm2で表される)に増加することから有意である。フォルスコリンの添加は、3.5から6.5(μA/cm2で表される)に電位を変化させる。
【0061】
Inh172の添加は細胞電位を完全に遮断する。
【0062】
結論として、トリトクアリンは、涙腺上皮細胞におけるイオン輸送を活性化する。この効果は、CFTRのイオン輸送を特異的に阻害するinh172によって阻止される。
【0063】
トリトクアリンは、非変異CFTRを介してイオン輸送を促進することができる分子であると考えられる。
【0064】
次に、頂端極および基底極の両方におけるトリトクアリンの有効用量を決定した。結果は、頂端極について3.42±0.19μMのEC50活性であり、基底極について4.87±0.27μMのEC50である(
図2、
図3)。
【0065】
したがって、トリトクアリンは、グジュロー・シェーグレン(Gougerot-Sjogren)病の患者だけでなく、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの特定の自己免疫疾患に関連するいわゆる「二次性」のグジュロー・シェーグレン症候群の患者も含め、ドライアイの病態が確認された患者の涙液分泌機能を改善することができる。
【0066】
本発明者らはまた、NK1アゴニスト(サブスタンスP-供給元:Sigma-Aldrich)を使用して、NK1受容体に対するトリトクアリンの活性を実証した。
【0067】
Heuilletらにより記載された方法に従いNK1受容体においてトリトクアリンを試験した(Characterization of a human NK1 tachykinin receptor in the astrocytoma cell line U 373 MG. Heuillet E et al. Neurochem. 1993 Mar)。
【0068】
この試験はトリトクアリンの親和性を示し、それは97%に等しく、Kiは1.4×10
-7に等しい。
図7は、NK1受容体に対するトリトクアリンの親和性曲線およびKiを正確に示している。
図8は、NK1受容体との親和性のパーセンテージを示す。トリトクアリンは、この実験において、NK1受容体アンタゴニストであると思われる。NK1アゴニストを用いることにより、NK1受容体が好塩基球活性化経路に関与することが確認されている。
【0069】
本発明者らは、CAST Kit-Flow(www.buhlmannlabs.ch/products-solutions/cellular-allergy/flow-cast/)を使用して、好塩基球の脱顆粒の抑制に対するトリトクアリンの作用を試験した。脱顆粒のマーカーはCD63である。好塩基球が活性化すると、細胞質内の顆粒に結合したCD63マーカーが細胞質膜と融合する。次いで、それらは細胞の表面で発現される:その結果、活性化された好塩基球はCD63+になる。CD63に加えて、好塩基球に特異的な別のマーカー(CCR3(ケモカイン受容体3))により、より良好に標的化することが可能になる。後者は常にこのタイプの細胞によって発現される。したがって、好塩基球の脱顆粒は、フローサイトメトリーウィンドウにおいてCD63+およびCCR3+であると同定される。
【0070】
第1のステップにおいて、2人の患者から試料を採取した。10μmolの用量でサブスタンスPを試験した。この実験では、驚くべきことに、70%の好塩基球にCD63が存在することが見出された。
図9は、サブスタンスPを好塩基球と共にインキュベートしたときの脱顆粒の強度を示し、これは、サブスタンスPが好塩基球の脱顆粒を引き起こしたことを意味する。
【0071】
第2のステップでは、サブスタンスPにより誘導される脱顆粒をトリトクアリンが阻止するか否かを決定するために、以下の実験を系統的に行った:FcεRI抗体なしでトリトクアリンを10μmolの用量でインキュベートし、次いでサブスタンスPをチューブに入れた。30分後、各チューブにおける脱顆粒は陰性対照と同様に約7%であった。
図10は、トリトクアリンが、サブスタンスPにより引き起こされた好塩基球の脱顆粒の活性化を阻止することを示す。トリトクアリンは、NK1受容体における拮抗(アンタゴニスト)作用を介して脱顆粒を抑制する驚くべき作用を有していると言える。
【0072】
したがって、ドライアイにおいて、トリトクアリンはサブスタンスPの阻害を介して2つの作用:好塩基球への作用とドライアイの神経学的な悪循環への作用:を有すると考えられる。すなわち、トリトクアリンは、NK1への作用を通して、2つの相補的な作用:1つは好塩基球の脱顆粒の抑制に関連する炎症に対する作用であり、もう1つは神経学的な悪循環に対する作用:を有することになる。このように、CFTRおよびサブスタンスPに対するトリトクアリンの2つの薬理作用により、ドライアイに対するトリトクアリンの局所作用は注目に値するものであり、驚くべきものであると思われる。
【国際調査報告】