IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィの特許一覧

<>
  • 特表-過電圧保護を備えるランプドライバ 図1A
  • 特表-過電圧保護を備えるランプドライバ 図1B
  • 特表-過電圧保護を備えるランプドライバ 図2
  • 特表-過電圧保護を備えるランプドライバ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】過電圧保護を備えるランプドライバ
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20230605BHJP
   H05B 45/382 20200101ALI20230605BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20230605BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20230605BHJP
   H05B 45/34 20200101ALI20230605BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/382
H05B45/345
H05B45/14
H05B45/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565756
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2021060492
(87)【国際公開番号】W WO2021219477
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】20171738.6
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.DALI
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ボーデグラヴェン タイメン コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】エルフェリッヒ ラインホルト
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA34
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA24
3K273EA25
3K273EA35
3K273EA44
3K273FA06
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA24
3K273FA27
3K273FA28
3K273FA30
3K273FA38
3K273GA18
3K273GA28
3K273GA29
(57)【要約】
ランプドライバは、ランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給する。二次側にある電流調整回路が、電流調整モードにあるときにドライバによる使用のためのフィードバック信号を供給する。過電圧保護回路が、出力電圧の過電圧状態を検出し、前記過電圧状態の検出中、前記フィードバック信号を変調する。その場合、結果として生じる前記出力電圧の変調に基づいて、前記過電圧状態が、より容易に認識されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側回路と、
出力電圧及び出力電流をLEDランプ負荷に供給するための、前記一次側回路から絶縁される二次側回路と、
前記二次側回路から前記一次側回路にフィードバック信号を供給するための絶縁フィードバックユニットと、
電流調整モード及び電圧調整モードを有する絶縁ドライバ回路とを有するランプドライバであって、
前記二次側回路が、
前記出力電流を検知するための電流センサを含む電流調整回路であって、検知される前記出力電流に基づいて前記フィードバック信号を供給するためのものである電流調整回路と、
前記出力電圧の過電圧状態を検出するための過電圧保護回路と、
前記過電圧状態の検出中、前記フィードバック信号を変調するための変調器とを有し、
前記一次側回路が、
過電圧保護モード中の前記出力電圧の変調に基づいて前記過電圧状態を認識するよう適合されるコントローラを有するランプドライバ。
【請求項2】
前記変調器が、発振回路を有する請求項1に記載のランプドライバ。
【請求項3】
前記発振回路が、オペアンプ発振回路を有する請求項2に記載のランプドライバ。
【請求項4】
前記過電圧保護回路が、前記出力電圧に接続される抵抗分割器と、前記抵抗分割器の出力を、最大出力電圧を表す基準電圧と比較するための過電圧比較回路とを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項5】
前記過電圧保護回路が、前記抵抗分割器の抵抗器を選択的に短絡し、それによって、前記過電圧比較回路への入力を変更するための短絡スイッチを有し、前記短絡スイッチが、前記変調器によって制御される請求項4に記載のランプドライバ。
【請求項6】
前記電流調整回路が、前記LEDランプ負荷と直列に接続するための電流検出抵抗器と、前記電流検出抵抗器の電圧から得られる電圧を、目標電流を表す基準電圧と比較するための電流調整比較回路とを有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項7】
前記過電圧保護回路が、前記電流調整比較回路の入力にバイアス信号を供給することによって、前記フィードバック信号を適応させるよう構成される請求項6に記載のランプドライバ。
【請求項8】
前記バイアス信号が、前記変調器によって変調される請求項7に記載のランプドライバ。
【請求項9】
前記絶縁ドライバ回路が、DALIドライバを有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項10】
前記過電圧保護回路が、開回路LEDランプ負荷を検出するためのものである請求項1乃至9のいずれか一項に記載のランプドライバ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のランプドライバと、
前記LEDランプ負荷を含むLED装置とを有する照明システム。
【請求項12】
照明器具に組み込まれる請求項11に記載の照明システム。
【請求項13】
二次側回路を使用して、LEDランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給するステップと、
前記二次側回路から一次側回路にフィードバック信号を供給するステップと、
検知される出力電流に基づいて前記二次側回路から前記一次側回路にフィードバック信号を供給することによって、電流調整を実施するステップと、
前記出力電圧の過電圧状態があるかどうかを検出し、過電圧状態がある場合には、前記過電圧状態の検出中、前記フィードバック信号を変調するステップと、
過電圧保護モード中の前記出力電圧の変調に基づいて一次側において前記過電圧状態を認識するステップとを有するランプ駆動方法。
【請求項14】
前記過電圧状態を検出するステップが、前記出力電圧に接続される抵抗分割器の出力を、最大出力電圧を表す基準電圧と比較するステップを有し、前記変調するステップが、前記抵抗分割器の抵抗器を選択的に短絡するステップを有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電流調整を実施するステップが、前記出力電流を表す電圧を、目標電流を表す基準電圧と比較するステップを有し、前記フィードバック信号を適応させるステップが、前記出力電流を表す電圧を比較するときにバイアス信号を供給するステップを有する請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、調整電流がランプに供給される場合の使用のための、過電圧保護を備えるランプドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、家庭用及び商業用アプリケーションにおいて、ますます主要な照明技術となっている。
【0003】
LEDは電流駆動デバイスであり、従って、LEDドライバは、多くの場合、調整出力電流を供給するよう設計される。しかしながら、ドライバが、調整電流を(例えば、LED装置が接続されていない、又は開回路故障モードを備える)開回路(open circuit)に供給しようとする場合には、電圧が、許容できないレベルまで上昇する。
【0004】
それ故、過電圧保護機能を実施することが知られている。例えば、出力電圧が、最大レベルを超えて上昇する場合には、ドライバは、電圧調整モードに切り替わることができる、且つ/又は安全遮断機能を実施することができる。
【0005】
ランプ側でこの過電圧モードを検出し、この状態を報告するフィードバック信号を供給することが望ましい。実際、DALIドライバの場合、ランプ故障の開負荷状態を検出する必要がある。
【0006】
公差(tolerance)がある、過電圧レベルと、最大LED電圧レベルとは、互いに非常に近くなる場合がある。例えば、58Vが、最大出力電圧であって、前記最大出力電圧を上回ると過電圧保護が作動される最大出力電圧の例である。電圧は、60Vを超えないよう要求され得る。しかしながら、54Vが、最大規定出力電圧である可能性があり、これは、通常の状態において、56Vに達する可能性がある。このことは、出力電圧の検出に基づいて一方の動作モードと他方の動作モードとを識別するのに、約4Vの小さな電圧ヘッドルームしか残されていないこと意味する。
【0007】
このことは、とりわけ単純な出力電圧測定しか実施されていない場合に、LEDドライバの一次側において、電圧検知だけでの過電圧保護の作動の検出を非常に困難にする。
【0008】
LEDドライバは、多くの場合、一次側と二次側とを備える、絶縁ドライバである。それ故、一次側から二次側への出力状態を表す信号のフィードバックは、光アイソレータなどの絶縁フィードバック要素を使用して行われる。
【0009】
上記の問題に対処する或る選択肢は、一次側において十分に正確な電圧測定を行うこと、又は絶縁にわたる別のフィードバックインターフェースを追加することである。しかしながら、これらは相対的に高価な選択肢である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故、ドライバのコスト又は複雑さを大幅に増加させることなく、電圧調整、所謂過電圧保護と、電流調整との間の差を一次側で検出する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0012】
本発明の或る態様による例によれば、
一次側回路と、
出力電圧及び出力電流をランプ負荷に供給するための、前記一次側回路から絶縁される二次側回路と、
前記二次側回路から前記一次側回路にフィードバック信号を供給するための絶縁フィードバックユニットと、
電流調整モード及び電圧調整モードを有する絶縁ドライバ回路とを有するランプドライバであって、
前記二次側回路が、
前記電流調整モードにあるときに前記絶縁ドライバによる使用のために、検知される出力電流に基づいて前記フィードバック信号を供給するための電流調整回路と、
前記出力電圧の過電圧状態を検出するための過電圧保護回路と、
前記過電圧状態の検出中、前記フィードバック信号を変調するための変調器とを有し、
前記一次側回路が、
過電圧保護モード中の前記出力電圧の変調に基づいて前記過電圧状態を認識するよう適合されるコントローラを有するランプドライバが提供される。
【0013】
このランプドライバは、通常の電流調整のために、又は過電圧状態があるときの電圧制御であって、それによって電圧調整モードを実施する電圧制御のために使用されることができる単一のフィードバック信号を生成する。前記ドライバが、前記一次側において、(たとえ出力において同様の電圧が存在し得るとしても)前記通常の電流制御と前記過電圧保護とをより明確に識別することを可能にするために、前記フィードバック信号に変調が適用される。この変調は、前記電圧制御中に行われ、それによって、変調出力電圧をもたらす。この変調は、前記一次側においてより容易に検出されることができる。
【0014】
前記変調器は、例えば、発振回路を有する。これは、周期的に変化する出力信号を生成するために使用されることができる低コストの回路を提供する。
【0015】
前記発振回路は、例えば、オペアンプ発振回路を有する。
【0016】
前記過電圧保護回路は、前記出力電圧に接続される抵抗分割器と、前記抵抗分割器の出力を、最大出力電圧を表す基準電圧と比較するための過電圧比較回路とを有してもよい。
【0017】
従って、前記出力電圧が最大電圧レベルに達したかどうかを判定するために、前記出力電圧のスケーリングされたもの(scaled version)が、基準電圧と比較される。
【0018】
その場合、前記過電圧保護回路は、前記抵抗分割器の抵抗器を選択的に短絡し、それによって、前記過電圧比較回路への入力を変更するための短絡スイッチを有してもよく、前記短絡スイッチは、前記変調器によって制御される。前記抵抗分割器内の抵抗器を短絡することによって、前記抵抗分割器の出力電圧が変更され、従って、前記フィードバック信号が、前記電圧調整が異なる出力電圧をもたらすように、変えられる。
【0019】
前記電流調整回路は、例えば、前記ランプ負荷と直列に接続するための検出抵抗器の形態の電流センサと、前記電流検出抵抗器の電圧から得られる電圧を、目標電流を表す基準電圧と比較するための電流調整比較回路とを有する。従って、目標電流からの偏差がフィードバック信号として供給され、過電圧保護信号は必要とされない。
【0020】
その場合、前記過電圧保護回路は、前記電流調整比較回路の入力にバイアス信号を供給することによって、前記フィードバック信号を適応させるよう構成されてもよい。従って、このバイアス信号は、電圧調整が実施されるように前記電流フィードバック信号の通常動作を中断させる。
【0021】
前記絶縁ドライバ回路は、例えば、DALIドライバを有する。前記過電圧保護回路は、例えば、開回路ランプ負荷を検出するためのものである。
【0022】
本発明は、
上記で規定されているようなランプドライバと、
前記ランプ負荷を含むLED装置とを有する照明システムも提供する。
【0023】
この照明システムは、例えば、照明器具に組み込まれる。
【0024】
本発明は、
二次側回路を使用して、ランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給するステップと、
前記二次側回路から一次側回路にフィードバック信号を供給するステップと、
検知される出力電流に基づいて前記二次側回路から前記一次側回路にフィードバック信号を供給することによって、電流調整を実施するステップと、
前記出力電圧の過電圧状態があるかどうかを検出し、過電圧状態がある場合には、前記過電圧状態の検出中、前記フィードバック信号を変調するステップと、
過電圧保護モード中の前記出力電圧の変調に基づいて一次側において前記過電圧状態を認識するステップとを有するランプ駆動方法も提供する。
【0025】
この方法は、低い精度の電圧検知構成要素を用いても、単一のフィードバック信号を用いて、前記一次側において前記過電圧状態を認識することを可能にする。
【0026】
前記過電圧状態を検出するステップは、例えば、前記出力電圧に接続される抵抗分割器の出力を、最大出力電圧を表す基準電圧と比較するステップを有し、前記変調するステップは、前記抵抗分割器の抵抗器を選択的に短絡するステップを有する。
【0027】
電流調整を実施するステップは、例えば、前記出力電流を表す電圧を、目標電流を表す基準電圧と比較するステップを有し、前記フィードバック信号を適応させるステップは、前記出力電流を表す電圧を比較するときにバイアス信号を供給するステップを有する。
【0028】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1A】本発明の或る例による照明回路を示す。
図1B】本発明の或る例による照明回路を示す。
図2】出力電圧に適用される変調の例を示す。
図3】ランプ駆動方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図を参照して本発明について説明する。
【0031】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0032】
本発明は、ランプ負荷に出力電圧及び出力電流を供給するランプドライバを提供する。二次側にある電流調整回路が、電流調整モードにあるときにドライバによる使用のためのフィードバック信号を供給する。過電圧保護回路が、出力電圧の過電圧状態を検出し、過電圧状態の検出中、フィードバック信号を変調する。これは、電圧調整を実施する。その場合、結果として生じる出力電圧の変調に基づいて、過電圧状態が、より容易に認識されることができる。
【0033】
図1A及び1Bは、本発明の或る例による照明回路を示している。図1A図1Bとは、ノードXによって接続され、LED電圧V_LED+によっても接続される。
【0034】
図1Aは、ランプ負荷LEDと、絶縁の左側に示されている一次側回路PSC、及び絶縁の右側に示されている、従って、一次側回路から絶縁される二次側回路SSCを含む、ランプドライバの第1部分とを示している。一次側回路は、例えば安全コンデンサを介して照明器具に接続される、接地接続GNDを有し、二次側回路は、仮想の(virtual)二次側接地SGNDを有する。
【0035】
絶縁ドライバ回路は、一次側DPと、二次側DSとを有する。任意の適切なドライバトポロジが使用され得る。絶縁は、トランスによって形成される。
【0036】
本明細書においては、「絶縁」という用語、ひいては、「絶縁体」又は「電気絶縁体(electrical isolator)」という用語は、直接的な電力レベル伝送(direct electrical power-level transfer)を防止するあらゆる手段を意味する。電気絶縁体は、例えば、電界と磁界との間及び磁界と電界との間の移行において電力が伝送されるトランスである。絶縁ドライバは、例えば、フライバックコンバータ、ブースト一体型フライバック(boost-integrated flyback)(BiFRED)コンバータ、LLC又はLCCコンバータなどのようなトランスベースのコンバータであり、これらにおいては、ドライバ出力は入力電力に直接アクセスすることができない。代わりに、入力は、トランスの一次巻線に接続され、出力は、トランスの二次巻線に接続され、2つの巻線は、電力レベルの電気的結合のために磁気的にしか結合されない。
【0037】
ドライバは、(例えば所望のランプの明るさに対応する)所望の出力電流を供給するようスイッチングが制御される電流調整モードと、(例えば安全モードとしての)電圧調整モードとを有する。
【0038】
ドライバは、二次側における出力電圧を測定するための一次側手段も有する。二次側の電圧は、例えば、二次側の反射電圧を一次側に与える補助巻線によって測定される。別のやり方は、LLCコンバータの場合にスイッチング周波数を測定するものである。周波数だけでなく、電流設定も、既知である場合には、二次側電圧は、ソフトウェア及びマイクロコントローラを使用して計算されることができる。これらの方法は、あまり正確ではなく、従って、二次側電圧の正確な測定には適していない。
【0039】
ドライバは、ランプ負荷LEDに出力電圧V_LED+及び出力電流I_LEDを供給する。絶縁フィードバックユニットOP_ISOLは、二次側回路から一次側回路にフィードバック信号を供給するためのものである。
【0040】
図1Aは、電流調整モードにあるときに絶縁ドライバによる使用のために、検知される出力電流I_LEDに基づいてフィードバック信号を生成するための、二次側回路の電流調整回路を示している。
【0041】
電流調整回路は、ランプ負荷LEDと直列に接続される検出抵抗器Rsenseの形態の電流センサを有する。従って、検出抵抗器の両端の電圧は、出力電流を表す。
【0042】
測定電圧は、ローパスフィルタR1、C1を通して比較器U1に供給される。比較器は、入力抵抗器R2と負帰還抵抗器R3とを有し、それによって、比較器の利得を規定する。
【0043】
電流を表す測定電圧は、比較器U1の反転端子に供給される。非反転端子には、抵抗器及びコンデンサのスケーリング及びフィルタ回路を通して、入力抵抗器R4を通して、目標電流を表す基準電圧V(I_LEDtarget)が供給される。
【0044】
従って、目標電流からの偏差がフィードバック信号として供給され、過電圧保護信号は必要とされない。
【0045】
比較器U1の出力が、フィードバック信号を規定する。ノードXは、通常の電流調整中には、何の役割も果たさない。従って、回路の通常動作は、図1Aから理解される。
【0046】
図1Bは、二次側回路の更なる構成要素を示している。
【0047】
出力電圧V_LED+の過電圧状態を検出し、過電圧状態の間、電圧制御を提供するようフィードバック信号を適応させるために、過電圧保護回路が設けられる。
【0048】
過電圧保護回路は、出力電圧V_LED+に接続される抵抗分割器R5、R6、R7を有する。R5とR6との間の第1タップにおける電圧が、抵抗分割器のこの出力を、最大出力電圧を表す基準電圧と比較するための過電圧比較器U2に供給される。この基準電圧は、5V電圧源VSEC_5Vとして示されている。抵抗分割器のスケーリングは、5Vの基準電圧が最大出力電圧を表すのに適切な値であることを意味する。従って、出力電圧が最大電圧レベルに達したかどうかを判定するために、出力電圧のスケーリングされたものが、基準電圧と比較される。
【0049】
比較器U2の非反転入力において基準電圧に達しない場合には、ノードXに接続される出力は低いままであり、ノードXは、上記で説明したように図1Aの回路の動作においては何の役割を果たさない。例えば、ダイオードD1、D2が、如何なるバイアス電流の注入も防止する。
【0050】
比較器U2の非反転入力において基準電圧に達する場合には、ノードXに接続される出力は高くなる。その場合、バイアス電流が、ダイオードD1及びD2を通して比較器U1の反転端子に注入される。ドライバは、比較器U1の出力における電圧の減少を、電流の減少の要求と解釈する。
【0051】
具体的には、ノードXにおける信号の増加は、抵抗器R1及びR2を通した電圧降下の減少をもたらし、これは、検知抵抗の両端の電圧を減少させ、LED電流を減少させる。全開負荷(total open load)がある場合、ノードXにおける信号は、LED電流がゼロになるまで増加する。
【0052】
この期間中、出力電圧は、過電圧保護回路の比較結果に依存するレベルに調整される。具体的には、前記電圧は、抵抗分割器R5、R6、R7によって検知される電圧が基準電圧に一致するように、調整される。従って、一次側において同じフィードバック制御を使用して電圧制限機能が実施される。
【0053】
DALI規格においては、ドライバが過電圧保護モードにあることを示す要求がある。時として、これは、ドライバの要件によっても要求される。
【0054】
DALIマイクロコントローラは、ドライバの一次側に配置されることから、過電圧保護を示すもの(indication)も、ドライバの一次側にある必要がある。電流及び電圧調整はドライバの二次側に位置し、故に、過電圧保護モードを示すマイクロコントローラへの直接入力はない。
【0055】
本発明によれば、過電圧状態の間のフィードバック信号の変調は、過電圧状態が一次側においてより容易に検出されることができるように、結果として生じる出力電圧を変調するために使用される。
【0056】
過電圧保護回路は、抵抗分割器の抵抗器R7を選択的に短絡し、それによって、過電圧比較回路U2への入力を変更するための短絡スイッチT3を更に有する。
【0057】
通常の電流調整モード中は、5V電圧源VSEC_5V、2つの抵抗R8及びR9、並びにダイオードD3によって、T3はオンにされる。
【0058】
図1Bは、過電圧状態の検出中にフィードバック信号を変調するためのオペアンプU3をベースとした変調器回路も示している。この例における変調器回路は、正及び負のフィードバック経路を規定する抵抗器及びコンデンサをベースとした標準的な発振回路を有する。
【0059】
ノードXが低い状態の通常の電流調整モード中は、T1は、オフにされ、T2は、5V電圧源VSEC_5V、並びに2つの抵抗R8及びR9によってオンにされる。これは、オペアンプU3の非反転入力を接地にプル(pull)し、従って、発振回路の発振を抑制する。オペアンプU3の出力は低いままであり、T3のゲートにおける電圧は、T3がオンにされたままにするのに十分である。
【0060】
ノードXが高電圧にある状態で、ドライバが電圧調整モードにあるときは、トランジスタT1は導通する。このことはT2のゲートを接地にプルし、T2はオフになる。ダイオードD3は、トランジスタT3を発振器の出力以外の回路から絶縁する。
【0061】
次いで、変調器、即ち、発振回路が、もはやトランジスタT2によって抑制されないので、オンにされる。次いで、短絡スイッチT3が変調器によって制御される。抵抗分割器内の抵抗器を短絡することによって、抵抗分割器の出力電圧が変更され、従って、フィードバック信号が変えられる。
【0062】
従って、電圧調整機能は、出力電圧V_LED+の異なる制御値をもたらす。
【0063】
T3がオンであるときは、比較器U2に供給される電圧は高く、T3がオフであるときは、比較器に供給される電圧は低い。従って、ノードXにおける電圧は変調を有する。この変調は、電圧調整機能に、出力電圧V_LED+を変調させる。とりわけ、変調信号は、電流調整比較器U1の入力に変調バイアス信号を供給する。これは、抵抗分割器の構成の変化に対応する、変調出力電圧をもたらす。
【0064】
次いで、変調出力電圧は、一次側において、過電圧モードを示すものとして認識される。
【0065】
従って、ランプドライバは、通常の電流調整のために使用されることができる、又は過電圧状態を示すよう、電圧調整中に出力電圧を変調するために使用されることができる単一のフィードバック信号を生成する。従って、前記出力電圧は、一次側回路が通常の電流調整と過電圧保護とをより明確に識別することを可能にする。
【0066】
絶縁ドライバ回路は、例えば、DALIドライバを有し、過電圧保護回路は、例えば、開回路ランプ負荷を検出するためのものである。
【0067】
図2は、最初は、通常の電流調整中の出力電圧V_LED+を示しており、次いで、過電圧保護中に変調フィードバック信号が供給されるときの出力電圧を示している。出力電圧V_LED+は、例えば、電圧調整機能に異なるフィードバック制御信号が供給される結果として、OVPロー、例えば40Vと、OVPハイ、例えば60Vとの間で振動する。
【0068】
発振周期は、出力バッファコンデンサと小さな信号回路の電力消費とによって形成される放電時定数より大きくなるよう適合される。従って、変調出力電圧は、2つのレベルの間で切り替わる前に2つのレベルにおいて安定することができる。
【0069】
この変調は、DALIインターフェースのためにこの情報を処理するためのマイクロコントローラの最小及び最大検出によって、非絶縁/一次側において簡単に確認されることができる。
【0070】
本発明は、絶縁LEDドライバの一次側においては、出力電圧は、開負荷(例えば、ランプ故障)と、高いLED電圧による定格動作とを識別するのに十分に正確には検出されることができないという問題に対処する。出力電圧の電圧変調は、一次側の出力電圧測定手段によって容易に検出されることができ、例えば一次側のマイクロコントローラによって、ランプ故障モードと容易に評価されることができる。
【0071】
2つのレベルが明らかに異なり得ることから、相対的に不正確な一次側出力電圧測定によっても、定格動作と故障モードとの識別が可能になる。
【0072】
図3は、
ステップ30において、二次側回路を使用して、ランプ負荷に出力電圧V_LED+と出力電流I_LEDとを供給すること、
ステップ32において、二次側回路から一次側回路にフィードバック信号を供給すること、及び
ステップ34において、検知される出力電流に基づいて二次側回路から一次側回路にフィードバック信号を供給することによって、電流調整を実施することを含むランプ駆動方法を示している。
【0073】
ステップ36においては、出力電圧の過電圧状態があるかどうかの検出がある。過電圧状態がある場合には、ステップ38において、過電圧状態の検出中、フィードバック信号が変調される。
【0074】
このフィードバック信号の変調は、ドライバの電圧調整機能により、変調出力電圧をもたらす。ステップ40においては、過電圧保護モード中の出力電圧の変調に基づいて一次側において過電圧状態が認識される。
【0075】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0076】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0077】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。
【0078】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
【国際調査報告】