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特表2023-524454ATRPによりオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】ATRPによりオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 295/00 20060101AFI20230605BHJP
   C08F 4/72 20060101ALI20230605BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
C08F295/00
C08F4/72
C08F220/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566005
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 US2021030008
(87)【国際公開番号】W WO2021222655
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,272
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】クラソフスキー、アルカジー エル.
(72)【発明者】
【氏名】アウヨン、イヴリン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥーベルト、ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス、アナ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホウ、チエンポー
(72)【発明者】
【氏名】カミンズ、クラーク エイチ.
【テーマコード(参考)】
4J015
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J015DA03
4J015DA08
4J015DA09
4J015DA10
4J015DA13
4J015DA21
4J015DA22
4J015DA23
4J015DA25
4J015DA26
4J026HA11
4J026HA25
4J026HA32
4J026HA43
4J026HB02
4J026HB11
4J026HB25
4J026HB29
4J026HB32
4J026HB44
4J026HB45
4J026HE06
4J100AA00Q
4J100AA02Q
4J100AA03Q
4J100AL03P
4J100AL03Q
4J100AL04P
4J100AL04Q
4J100AL05P
4J100AL05Q
4J100AL69P
4J100AL69Q
4J100CA03
(57)【要約】
本開示は、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するための方法であって、a)アクリレートモノマー、ラジカル移動可能な原子又は基を有する開始剤、遷移金属化合物及び配位子を含む原子移動ラジカル重合(ATRP)材料を組み合わせることによってATRPを行い、それによってマクロ開始剤を形成することと、b)アルファ置換アクリレート及びマクロ開始剤を含む反応材料を組み合わせ、それによってオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、を含む方法に関する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するための方法であって、
a)アクリレートモノマー、ラジカル移動可能な原子又は基を有する開始剤、遷移金属化合物、及び配位子を含む原子移動ラジカル重合(ATRP)材料を組み合わせることによってATRPを行い、それによってマクロ開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート及び前記マクロ開始剤を含む反応材料を組み合わせ、それによって、前記オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記アルファ置換アクリレートが、式(II)を有し、
【化1】
前記アクリレートモノマーが、式(III)を有し、
【化2】
前記開始剤が、式(IV)を有し、
【化3】
前記マクロ開始剤が、式(V)を有し、
ポリアクリレート-(X) (V)
前記オレフィン-アクリレートブロックコポリマーが、式(VI)を有し、
【化4】
式中、
各R1は、独立して水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
各R2は、独立して水素又はメチル基であり、
各Rは、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
mは、1~50であり、
各yは、独立して1~100であり、
各Xは、独立して、ハライド、OR10、SR14、SeR14、-SCN(チオシアネート)、OC(=O)R14、OP(=O)R14、OP(=O)(OR14、OP(=O)OR14、O-N(R14、及びS-C(=S)N(R14からなる群から選択され、R14は、アリール又は直鎖状若しくは分岐状C1~C20アルキル基である、又はN(R14基が存在するとき、2つの前記R14基は結合して、5員、6員又は7員のヘテロ環を形成することができ、R10は、1~20個の炭素原子のアルキルであり、そのうちの水素原子の各々はハライドで独立して置換されていてもよく、
R11、R12、及びR13は各々独立して、H、ハライド、C1~C20アルキル、C3~C8シクロアルキル、C(=Y)R、C(=Y)NR、COCl、OH、CN、C2~C20アルケニル又はアルキニル、オキシラニル、グリシジル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルキレン(アリール置換アルケニル、及びアルケニルは、1つ又は2つのC1~C6アルキル基及び/又はハロゲン原子、好ましくは塩素で置換され得るビニルである)、1個から全ての水素原子がハロゲンで置換されているC1~C6アルキル、並びに、C1~C4アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、C(=Y)R、C(=Y)NR、オキシラニル及びグリシジルからなる群から選択される1~3つの置換基で置換されているC1~C6アルキル、からなる群から選択され、そのため、R11、R12及びR13のうちの2つ以下がHであり、
Yは、NR又はOであり、
は、1~20個の炭素原子のアルキル、1~20個の炭素原子のアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロシクリルオキシであり、R及びRは、独立してH又は1~20個の炭素原子のアルキルである、又はR及びRは互いに結合して、2~5個の炭素原子のアルキレン基を形成することにより3~6員環を形成し、Rは、H、直鎖状又は分岐状C1~C20アルキル及びアリールであり、
「ポリアクリレート」は、前記アクリレートモノマーのATRPから生じるポリアクリレートを表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各Rが、独立して、ポリオレフィニル基である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオレフィニル基が、プロピレン系ポリメリル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)及び工程b)の各々が、40℃~150℃の温度で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法により調製される、オレフィンアクリレートブロックコポリマー。
【請求項10】
式(VI):
【化5】
[式中、
「ポリアクリレート」は、
アクリレートモノマーの原子移動ラジカル重合(ATRP)から生じるポリアクリレートを表し、
R1は、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
Rは、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
mは、1~50であり、
yは、1~100であり、
Xは、ハライド(好ましくはCl、Br、又はI)、OR10、SR14、SeR14、-SCN(チオシアネート)、OC(=O)R14、OP(=O)R14、OP(=O)(OR14、OP(=O)OR14、O-N(R14、及びS-C(=S)N(R14からなる群から選択され、R14は、アリール又は直鎖状若しくは分岐状C1~C20(好ましくはC1~C10)アルキル基である、又はN(R14基が存在するとき、2つの前記R14基は結合して、5員、6員又は7員のヘテロ環を形成することができ、R10は、1~20個の炭素原子のアルキルであり、そのうちの水素原子の各々はハライドで独立して置換され得る]を有する、オレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月30日に出願された米国仮出願第63/018272号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、アクリレートモノマーの原子移動ラジカル重合(atom transfer radical polymerization:ATRP)を用いてオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを合成して、アルファ置換アクリレートモノマー(アルファ-(アルキル)アクリレートモノマー又はアルファ(ポリメリル)アクリレートモノマーなど)とその後反応する官能化ポリアクリレートを調製する方法を対象とする。本方法中、当該技術分野で周知の標準ATRP法を用いた反応に適したアルファ置換アクリレートモノマーは、ATRPによって生成されたポリアクリレートと反応してオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成するモノマーとして採用される。本方法及び得られたオレフィン-アクリレートブロックコポリマーは、本出願の開示まで実現されていない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するための方法を対象とし、本方法は、以下:
a)アクリレートモノマー、ラジカル移動可能な原子又は基を有する開始剤、遷移金属化合物、及び配位子を含む原子移動ラジカル重合(ATRP)材料を組み合わせることによってATRPを行い、それによってマクロ開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート及びマクロ開始剤を含む反応材料を組み合わせ、それによって、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、
を含む。
【0004】
本開示は、本方法によって調製されるオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを更に対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】それぞれ実施例1のHNMR及び13C NMRスペクトルを示す。
図1B】それぞれ実施例1のHNMR及び13C NMRスペクトルを示す。
図1C】実施例1のGCMSスペクトルを示す。
図1D】実施例1のGCMSスペクトルを示す。
図2A】それぞれ、実施例2についてのH NMR及び拡散NMRスペクトルを示す。
図2B】それぞれ、実施例2についてのH NMR及び拡散NMRスペクトルを示す。
図3A】それぞれ、実施例3についてのH NMRスペクトル及び拡散NMRスペクトルを示す。
図3B】それぞれ、実施例3についてのH NMRスペクトル及び拡散NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
本明細書における元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版及び著作権化された元素周期表を指すものとする。また、族(複数可)へのいずれの言及も、族を番号付けするためのIUPACシステムを使用してその元素周期表に反映された族(複数可)に対するものとする。
【0007】
反対のことが明記されないか、文脈から示唆されないか、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づく。
【0008】
米国特許実務の目的のため、本明細書で参照される任意の特許、特許出願、又は刊行物の内容は、特に当該技術分野における合成技法、定義(本明細書に提供される任意の定義と矛盾しない程度において)、及び一般的な知識の本開示に関して、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる(又は、それらの同等の米国版が、参照によりそのように組み込まれる)。
【0009】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値までの全ての値を含む。明示的な値を含む範囲(例えば、1、又は2、又は3~5、又は6、又は7)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の下位範囲(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6、などのサブ範囲が含まれる)。本明細書に開示される数値範囲は、任意の2つの明示的な値の間の分数を更に含む。
【0010】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、任意の追加の成分、工程、又は手順の存在を、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず除外することを意図しない。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の成分、工程、又は手順を除外する。「~からなる」という用語は、具体的に記述又は列挙されていない任意の成分、工程、又は手順を除外する。「又は」という用語は、別途明記しない限り、列挙された項目を個々に、並びに任意の組み合わせで指す。
【0011】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」などの用語は、脂肪族、芳香族、非環式、環式、多環式、分岐状、非分岐状、飽和、及び不飽和化合物を含む、完全に水素及び炭素で構成される化合物を指す。「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」、「アルキル」、「アルキル基」、「アリール」、「アリール基」などの用語は、全ての構造異性体又は立体異性体を含む全ての可能な異性体を含むことを意図する。
【0012】
「環式」という用語は、ポリマー又は化合物中の一連の原子を指し、そのような一連の原子は、1つ以上の環を含む。したがって、「環式ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上の環を含有するヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「環式ヒドロカルビル基」は、1つ以上の環に加えて、非環式(直鎖状又は分岐状)部分を含有し得る。
【0013】
「ポリマー」という用語は、モノマーのセットを反応させる(すなわち、重合させる)ことによって調製された材料を指し、このセットは、同種(すなわち、1種のみ)のモノマーのセット又は異種(すなわち、2種以上)のモノマーのセットである。本明細書で使用されるポリマーという用語は、同種のモノマーのセットから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、及び以下に定義される「インターポリマー」という用語を含む。
【0014】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。この用語は、「コポリマー」、すなわち、2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマー、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製された、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどのポリマーの両方を含む。この用語はまた、ランダム、ブロック、均一、不均一などのインターポリマーの全ての形態を包含する。
【0015】
「ポリオレフィン」は、モノマーとしてのオレフィンの重合から製造されるポリマーであり、オレフィンモノマーは、少なくとも1つの二重結合を有する炭素及び水素の直鎖状、分岐状、又は環状化合物である。したがって、本明細書で使用される場合、「ポリオレフィン」という用語は、「エチレン系ポリマー」、「プロピレン系ポリマー」、「エチレンホモポリマー」、「プロピレンホモポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」、「ブロック複合体」、「特定のブロック複合体」、「結晶性ブロック複合体」、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、及び「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語を含み、かつ網羅する。
【0016】
「エチレン系ポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有し得る、ポリマーである。「エチレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量のエチレンを重合形態で含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有する、インターポリマーである。「エチレンホモポリマー」は、エチレンに由来する繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を除外しないポリマーである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)、及びアルファ-オレフィンである少なくとも1つのコモノマーを重合形態で含むポリマーを指す。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダム又はブロックインターポリマーであり得る。「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」及び「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」という用語は、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語によって網羅される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(コポリマーの重量に基づいて)、及びアルファ-オレフィンであるコモノマーを重合形態で含むコポリマーを指し、エチレン及びアルファ-オレフィンは唯一の2つのモノマー種類である。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」又は「オレフィンブロックコポリマー」は、エチレン及び1つ以上の共重合性アルファ-オレフィンコモノマーを重合形態で含むインターポリマーを指し、2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント、化学的又は物理的特性が異なるブロック又はセグメントを特徴とする。具体的には、この用語は、直鎖状方式で連結した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント又はグラフト化された様式ではなく、重合した官能基に関して端と端とが連結(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類若しくは程度(アイソタクチック若しくはシンジオタクチック)、領域規則性若しくは領域不規則性、長鎖分岐若しくは超分岐を含む分岐の量、均一性、及び/又は任意の他の化学的若しくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー多分散性(PDI又はMw/Mn)及びブロック長分布の両方の独特の分布を特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例、及びこれを調製するプロセスは、米国特許第7,858,706(B2)号、同8,198,374(B2)号、同8,318,864(B2)号、同8,609,779(B2)号、同8,710,143(B2)号、同8,785,551(B2)号、及び同9,243,090(B2)号に開示されており、その全体が参照として全て本明細書に組み入れられる。
【0020】
「ブロック複合体」(「block composite、BC」)という用語は、3つのポリマー成分:(i)エチレン系ポリマー(ethylene-based polymer、EP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、10mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(alpha-olefin-based polymer、AOP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、90mol%超のアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、(iii)エチレンブロック(EB)及びアルファ-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含む、ポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、ブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファーオレフィンブロックは、ブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である。加えて、ブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示のブロック複合体の非限定的な例、及びこれを調製するプロセスは、米国特許第8,686,087号及び同第8,716,400号に開示されており、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0021】
「特定のブロック複合体」(「specified block composite、SBC」)という用語は、3つのポリマー成分:(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、78mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、61mol%~90mol%のアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、(iii)エチレンブロック(EB)及びアルファ-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含む、ポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、特定のブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファーオレフィンブロックは、特定のブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である。加えて、特定のブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の特定のブロック複合体の非限定的な例、並びにそれを調製するためのプロセスは、国際公開第2017/044547号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
「結晶性ブロック複合体」(「CBC」)という用語は、3つの成分、すなわち、(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づくエチレン含有量が90モル%を超える結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と、(ii)結晶性アルファ-オレフィン系コポリマー(crystalline alpha-olefin based copolymer、CAOP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、90mol%超のアルファ-オレフィン含有量を有する結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と、(iii)結晶性エチレンブロック(crystalline ethylene block、CEB)及び結晶性アルファ-オレフィンブロック(crystalline alpha-olefin block、CAOB)を含むブロックコポリマーと、を含む、ポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのCEBは、結晶性ブロック複合体の成分(i)のCEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのCAOBは、結晶性ブロック複合体の成分(ii)のCAOPと同じ組成である。加えて、結晶性ブロック複合体中のCEPの量とCAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の結晶性ブロック複合体の非限定的な例、及びこれを調製するプロセスは、米国特許第8,822,598(B2)号及び国際公開第2016/01028961(A1)号に開示されており、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0023】
「プロピレン系ポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合プロピレンを含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有し得る、ポリマーである。「プロピレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量のプロピレンを重合形態で含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有する、インターポリマーである。「プロピレンホモポリマー」は、プロピレンに由来する繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を除外しないポリマーである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのプロピレン(インターポリマーの重量に基づく)、及びアルファ-オレフィン(ここで、エチレンはアルファ-オレフィンとみなされる)である少なくとも1つのコモノマーを重合形態で含むポリマーを指す。プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダム又はブロックインターポリマーであり得る。「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、過半重量パーセントのプロピレン(コポリマーの重量に基づいて)、及びアルファ-オレフィンであるコモノマーを重合形態で含むコポリマーを指し、プロピレン及びアルファ-オレフィンは唯一の2つのモノマー種類である。プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0026】
「ポリメリル」、「ポリメリル基」などの用語は、1つの水素を欠くポリマーを指す。
【0027】
「ポリオレフィニル」、「ポリオレフィニル基」などの用語は、1つの水素を欠くポリオレフィンを指す。
【0028】
原子移動ラジカル重合(ATRP)
本開示の方法の工程a)は、ATRPを介して官能化ポリアクリレートを形成することを対象とする。具体的には、本方法の工程a)は、アクリレートモノマー、ラジカル移動可能な原子又は基を有する開始剤、遷移金属化合物、及び配位子を含むATRP材料を組み合わせることによってATRPを行い、それによってマクロ開始剤を形成することを対象とする。工程a)のATRPに適した技術及び条件は当技術分野で知られており、例えば、Macromolecules,33,4039-4047,2000及び米国特許第5,945,491号に記載のものが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。実際、ATRP材料の開始剤、遷移金属化合物、及び配位子の各々は、当技術分野で知られており、例えば、米国特許第5,945,491号に開示されている。
【0029】
特定の実施形態では、工程a)のアクリレートモノマーは、式(III)を有し、
【化1】
式中、R1は水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、R2は水素又はメチル基である。
【0030】
特定の実施形態では、R1は、直鎖状、分岐状、又は環状であり得るC1~C30ヒドロカルビル基である。更なる実施形態では、R1は、直鎖状、分岐状、又は環状であり得るC1~C30アルキル基である。例えば、R1は、1~30個の炭素原子、又は1~20個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状、又は環状アルキル基であり得る。
【0031】
特定の実施形態では、開始剤は、式(IV)を有し:
【化2】
式中、
Xは、ハライド(好ましくはCl、Br、又はI)、OR10、SR14、SeR14、-SCN(チオシアネート)、OC(=O)R14、OP(=O)R14、OP(=O)(OR14、OP(=O)OR14、O-N(R14、及びS-C(=S)N(R14からなる群から選択され、R14は、アリール又は直鎖状若しくは分岐状C1~C20(好ましくはC1~C10)アルキル基である、又はN(R14基が存在するとき、2つのR14基は結合して、5員、6員又は7員のヘテロ環を形成することができ、R10は、1~20個の炭素原子のアルキルであり、そのうちの水素原子の各々はハライドで独立して置換されていてもよく、
R11、R12、及びR13は各々独立して、H、ハライド、C1~C20アルキル(好ましくはC1~C10アルキル、より好ましくはC1~C6アルキル)、C3~C8シクロアルキル、C(=Y)R、C(=Y)NR、COCl、OH(好ましくはR11、R12及びR13のうちの1つのみがOH)、CN、C2~C20アルケニル又はアルキニル(好ましくはC2~C6アルケニル又はアルキニル、より好ましくはビニル)、オキシラニル、グリシジル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルキレン(アリール置換アルケニル、及びアルケニルは、1つ又は2つのC1~C6アルキル基及び/又はハロゲン原子、好ましくは塩素で置換され得るビニルである)、1個から全ての水素原子(好ましくは1個)がハロゲン(好ましくは、1個以上の水素原子が置換されているフッ素又は塩素、好ましくは1個の水素原子が置換されているフッ素、塩素又は臭素)で置換されているC1~C6アルキル、並びに、C1~C4アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、C(=Y)R、C(=Y)NR、オキシラニル及びグリシジルからなる群から選択される1~3つの置換基(好ましくは1つ)で置換されているC1~C6アルキル、からなる群から選択され、そのため、R11、R12及びR13のうちの2つ以下がHであり(好ましくは、R11、R12及びR13のうちの1つ以下がHであり)、
Yは、NR又はO(好ましくはO)であり、また、
は、1~20個の炭素原子のアルキル、1~20個の炭素原子のアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロシクリルオキシであり、R及びRは、独立してH又は1~20個の炭素原子のアルキルである、又はR及びRは互いに結合して、2~5個の炭素原子のアルキレン基を形成することにより3~6員環を形成し、Rは、H、直鎖状又は分岐状C1~C20アルキル及びアリールである。
【0032】
アルキル、シクロアルキル、又はアルキル置換アリール基がR11、R12及びR13のうちの1つとして選択されるとき、アルキル基は更にハロゲンで置換され得る。したがって、開始剤が分岐又は星型(コ)ポリマーの出発分子として機能することが可能である。好ましい例は、R11、R12及びR13のうちの1つが、1~5個のC~Cアルキル置換基で置換されたフェニルであり、それらの各々が独立してハロゲンで更に置換され得る。
【0033】
本開示の工程a)の遷移金属化合物は、開始剤及び休止ポリマー鎖とのレドックスサイクルに関与することができるが、ポリマー鎖と直接炭素-金属結合を形成しない任意の遷移金属化合物であり得る。好ましい遷移金属化合物は、式M Q+X’のものであり、式中、M Q+は、Cu1+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ru2+、Ru3+、Cr2+、Cr3+、Mo、Mo、Mo2+、Mo3+、W2+、W3+、Rh3+、Rh4+、Co、CO2+、Re2+、Re3+、Ni、Ni、Mn3+、Mn4+、V2+、V3+、Zn、Zn2+、Au、Au2+、Ag及びAg2+からなる群から選択され得、X’は、ハロゲン、C1~C20-アルコキシ、(SO1/2、(PO1/3、(HPO1/2、(HPO)、トリフレート、SCN(チオシアネート)、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、アリールスルホネート(好ましくはベンゼンスルホネート又はトルエンスルホネート)、SeR14、CN及びR15COからなる群から選択され、R14は、上記で規定したとおりであり、R15は、H又は直鎖状若しくは分岐状C1~C20アルキル基(好ましくはメチル)、安息香酸誘導体、アリール又はハロゲンで1~5回(好ましくはフッ素又は塩素で1~3回)置換され得るヘテロアリール基であり、Qは、金属の形式電荷(例えば、0≦Q≦7)である。
【0034】
本開示では、任意の遷移金属化合物が適しているが、ヨウ化銅、臭化銅、又は塩化銅などの遷移金属ハロゲン化物が好ましい。
【0035】
本開示での使用に適した配位子としては、シグマ結合を介して遷移金属に配位することができる1つ以上の窒素、酸素、リン及び/又は硫黄原子を有する配位子、並びにパイ結合を介して遷移金属に配位することができる2つ以上の炭素原子を含有する配位子が挙げられる。好ましいN-、O-、P-及びS-含有配位子は、以下の式のうちの1つを有し得る:
16-Z’-R17
16-Z’-(R18-Z’)-R17
式中、
16及びR17は、H、C1~C20アルキル、アリール、ヘテロシクリル、及びC1~C6アルコキシで置換されたC1~C6アルキル、C1~C4ジアルキルアミノ、C(=Y)R、C=Y)R及びYC(=Y)Rからなる群から独立して選択され、Y、R、R、R、及びRは、上記で規定したとおりであり、又は
16及びR17は結合して、飽和、不飽和又はヘテロ環を形成することができ、
Z’はO、S、NR19又はPR19であり、R19は、R16及びR17と同じ群から選択され、
各R18は、独立して、各Z’への共有結合が隣接位置(例えば、1,2配置)又はベータ位(例えば、1,3配置)にあるC2~C4アルキレン(アルカンジイル)及びC2~C4アルケニレン、並びに各Z’への共有結合が隣接位置にあるC3~C8シクロアルカンジイル、C3~C8シクロアルケンジイル、アレーンジイル及びヘテロシクリレンからなる群から選択される、二価の基であり、
Lは、1~6である。
【0036】
上記の配位子に加えて、R16-Z’及びR17-Z’の各々は、Z’が結合しているR18基と環を形成し、連結又は縮合したヘテロ環系を形成することができる。あるいは、R16及び/又はR17がヘテロシクリルであるとき、Z’は、Z’について上記で与えられた規定に加えて、共有結合(一重でも二重でもよい)、CH2、又はR16及び/又はR17に縮合した4~7員環であり得る。本配位子の例示的な環系としては、ビピリジン、ビピロール、1,10-フェナントロリン、クリプタンド、クラウンエーテルなどが挙げられ、Z’はPR19であり、R19はC1~C20-アルコキシでもあり得る。
【0037】
好適な配位子として挙げられるものは、カルボニル含有部分、イミン含有部分又はチオケトン含有部分などの2位又は2位及び6位に置換基を含むピリジン誘導体である。
【0038】
また、本開示に好適な配位子として挙げられるものは、CO(一酸化炭素)、ポルフィリン及びポルフィセンであり、後者の2つは、1~6個(好ましくは1~4個)のハロゲン原子、C1~C6アルキル基、C1~C6-アルコキシ基、C1~C6アルコキシカルボニル、アリール基、ヘテロシクリル基、及び1~3個のハロゲンで更に置換されたC1~C6アルキル基で置換され得る。
【0039】
本発明での使用に適した更なる配位子としては、式R2021C(C(=Y)Rの化合物が挙げられ、式中、Y及びRは上記で規定したとおりであり、R20及びR21の各々は、H、ハロゲン、C1~C20アルキル、アリール及びヘテロシクリルからなる群から独立して選択され、R20及びR21は結合して、C3~C8シクロアルキル環又は水素化(すなわち、還元、非芳香族又は部分的若しくは完全飽和)芳香環若しくはヘテロ環を形成することができ、これらのいずれか(H及びハロゲンを除く)は、1~5個、好ましくは1~3個のC1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基、ハロゲン原子及び/又はアリール基で更に置換され得る。好ましくは、R20及びR21のうちの1つは、H又は負電荷である。
【0040】
追加の好適な配位子としては、例えば、エチレンジアミン及びプロピレンジアミン(これらは両方とも、アミノ窒素原子上で、C1~C4アルキル基又はカルボキシメチル基で1~4回置換され得る);アミノエタノール及びアミノプロパノール(これらは両方とも、酸素原子及び/又は窒素原子上で、C1~C4アルキル基で1~3回置換され得る);エチレングリコール及びプロピレングリコール(これらは両方とも、酸素原子上で、C1~C4アルキル基で1回又は2回置換され得る);ジグリム、トリグリム、テトラグリム等が挙げられる。
【0041】
好適な炭素系配位子としては、アレーン及びシクロペンタジエニル配位子が挙げられる。好ましい炭素系配位子としては、ベンゼン(1~6個のC1~C4アルキル基、例えばメチルで置換され得る)及びシクロペンタジエニル(1~5個のメチル基で置換され得るか、又はエチレン若しくはプロピレン鎖を介して第2のシクロペンタジエニル配位子に連結され得る)が挙げられる。シクロペンタジエニル配位子が使用される場合、遷移金属化合物中に対アニオン(X’)を含む必要はない場合がある。
【0042】
好ましい配位子としては、非置換及び置換ピリジン及びビピリジン、アセトニトリル、(R10O)P、PR10 、1,10-フェナントロリン、ポルフィリン、K222などのクリプタンド、18-クラウン-6などのクラウンエーテル、並びにクラウンエーテルの窒素又は硫黄類似体が挙げられる。最も好ましい配位子は、置換ビピリジン、ビピリジン及び(R10O)Pである。このような配位子の例(但し、これらに限定されない)は、2,2’-ビピリジン、2,2’-ビピリジンのp-アルキル置換誘導体、又は2,2’-ビピリジンのp-アルコキシ置換誘導体である。
【0043】
開始剤、遷移金属化合物及び配位子のモル比は、1/0.01/0.02~1/4/12の範囲であり得る。
【0044】
特定の実施形態では、工程a)で形成されたマクロ開始剤は、式(V)を有し:
ポリアクリレート-(X) (V)、
式中、
「ポリアクリレート」は、アクリレートモノマー(III)のATRPから生じるポリアクリレートを表し、Xは、本明細書で規定したとおりであり(好ましくはCl、Br、又はI)、yは、1~100である。
【0045】
特定の実施形態では、本方法の工程a)は、ニートな状態で行われてもよい。更なる実施形態では、本方法の工程a)におけるATRP材料は、溶媒を更に含む。
【0046】
特定の実施形態では、本方法の工程a)は、ATRPに適した温度で行われる。例えば、限定するものではないが、本方法の工程a)は、40~150℃の温度で行われてもよい。
【0047】
工程a)におけるATRP材料の量及び比は調整可能であり得、当業者には知られている。
【0048】
アルファ置換アクリレートとの反応
本方法の工程b)は、工程a)で調製された官能化ポリアクリレートを、アルファ(アルキル)アクリレート又はアルファ(ポリメリル)アクリレートなどのアルファ置換アクリレートと反応させて、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することを対象とする。具体的には、本方法の工程b)は、式(V)のアルファ置換アクリレート及びマクロ開始剤を含む反応材料を組み合わせ、それによって、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することを対象とする。
【0049】
特定の実施形態では、アルファ置換アクリレートは、式(II)を有し:
【化3】
式中、Rは、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
R1は、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基である。
【0050】
R1は、前述の任意の実施形態であってもよい。
【0051】
特定の実施形態では、Rは、C1~C26ヒドロカルビル基である。RがC1~C26ヒドロカルビル基である実施形態では、Rは、直鎖状、分岐状、又は環状であり得るC1~C26アルキル基であり得る。例えば、Rは、1~26個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状、又は環状アルキル基であり得る。
【0052】
更なる実施形態では、Rは、ポリオレフィニル基である。特定の実施形態では、Rは、R-Hの特性によって規定され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、365g/mol超の数平均分子量を有する。更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって規定され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、365g/mol~10,000,000g/mol超、又は365g/mol~5,000,000g/mol超、又は365g/mol~1,000,000g/mol超、又は365g/mol~750,000g/mol超、又は365g/mol~500,000g/mol超、又は365g/mol~250,000g/mol超の数平均分子量を有する。
【0053】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって規定され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有する。
【0054】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって規定され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0055】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって規定され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn又はPDI)を有する。
【0056】
特定の実施形態では、Rは、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリメリル基である。
【0057】
特定の実施形態では、Rは、エチレン及び少なくとも1つのC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0058】
特定の実施形態では、Rは、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0059】
特定の実施形態では、Rは、本明細書で規定されるようなエチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリメリル又はオレフィンブロックコポリメリル基である。
【0060】
更なる実施形態では、Rは、本明細書で規定されるブロック複合体、特定のブロック複合体、又は結晶質ブロック複合体のポリメリル基である。
【0061】
特定の実施形態では、Rは、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリメリル基である。
【0062】
特定の実施形態では、Rは、エチレン又はC3~C30アルファ-オレフィンであるプロピレン及び少なくとも1つのコモノマーに由来する単位を含む、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0063】
特定の実施形態では、Rは、エチレン又はC3~C30アルファ-オレフィンであるプロピレン及びコモノマーに由来する単位を含む、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0064】
式(II)のアルファ置換アクリレートは、任意の好適な方法によって調製され得る。式(II)のアルファ置換アクリレートを調製するための非限定的な方法は、同時係属中の米国仮特許出願第62/954,941号及び同第62/954,956号に開示されている方法である。例えば、式(II)のアルファ置換アクリレートは、アルファ-(ハロメチル)アクリレートを含む材料と、式RZn又はRAl(式中、Rは本明細書で規定されるとおりである)の有機金属化合物とを組み合わせることによって、調製され得る。このような非限定的な方法では、求核置換反応が起こり、そこで、ハロゲンは、式RZn又はRAlの有機金属化合物のRで置き換えられる脱離基である。
【0065】
特定の実施形態では、本方法の得られたオレフィン-アクリレートブロックコポリマーは、式(VI)を有する。
【化4】
【0066】
「ポリアクリレート」、R、R1、X、及びyの各々は、本明細書で規定されるとおりであり、mは1~50である。
【0067】
式(VI)で見られるように、本開示の方法を介して調製されるオレフィン-アクリレートブロックコポリマーのポリマー構造は変化し得る。ポリマー構造の例としては、直鎖状ジブロックコポリマー、超分岐状ジブロックコポリマー、多分岐状ジブロックコポリマー、及びくし状/ブラシ状ジブロックコポリマーが挙げられる。例えば、工程b)において、単官能性ATRP開始剤が使用されるとき(y=1)、1当量のアルファ置換アクリレートをマクロ開始剤に添加することにより、直鎖状ジブロックコポリマーが調製され、「m」当量のアルファ置換アクリレートをマクロ開始剤に添加することにより、くし状ポリオレフィンブロックを有するジブロックコポリマーが調製される。
【0068】
特定の実施形態では、本方法の工程b)は、ニートな状態で行われてもよい。更なる実施形態では、本方法の工程b)における反応材料は、溶媒を更に含む。
【0069】
例えば、限定するものではないが、本方法の工程b)は、40~150℃の温度で行われてもよい。
【0070】
工程b)における反応材料の量及び比は調整可能であり得、当業者に知られている。
【0071】
本方法は、以下のスキームに記載され得るが、これに限定されるものではない。
【化5】
【0072】
本開示の特定の実施形態は、以下を含むが、これらに限定されない。
1. オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するための方法であって、
a)アクリレートモノマー、ラジカル移動可能な原子又は基を有する開始剤、遷移金属化合物、及び配位子を含む原子移動ラジカル重合(ATRP)材料を組み合わせることによってATRPを行い、それによってマクロ開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート及びマクロ開始剤を含む反応材料を組み合わせ、それによって、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、
を含む、方法。
2. アルファ置換アクリレートが、式(II)を有し、
【化6】
アクリレートモノマーが、式(III)を有し、
【化7】
開始剤が、式(IV)を有し、
【化8】
マクロ開始剤が、式(V)を有し、
ポリアクリレート-(X) (V)
オレフィン-アクリレートブロックコポリマーが、式(VI)を有し、
【化9】
式中、
各R1は、独立して水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
各R2は、独立して水素又はメチル基であり、
各Rは、独立してC1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
mは、1~50であり、
各yは、独立して1~100であり、
各Xは、独立して、ハライド(好ましくはCl、Br、又はI)、OR10、SR14、SeR14、-SCN(チオシアネート)、OC(=O)R14、OP(=O)R14、OP(=O)(OR14、OP(=O)OR14、O-N(R14、及びS-C(=S)N(R14からなる群から選択され、R14は、アリール又は直鎖状若しくは分岐C1~C20(好ましくはC1~C10)アルキル基である、又はN(R14基が存在するとき、2つのR14基は結合して、5員、6員又は7員のヘテロ環を形成することができ、R10は、1~20個の炭素原子のアルキルであり、そのうちの水素原子の各々はハライドで独立して置換されていてもよく、
R11、R12、及びR13は各々独立して、H、ハライド、C1~C20アルキル(好ましくはC1~C10アルキル、より好ましくはC1~C6アルキル)、C3~C8シクロアルキル、C(=Y)R、C(=Y)NR、COCl、OH(好ましくはR11、R12及びR13のうちの1つのみがOH)、CN、C2~C20アルケニル又はアルキニル(好ましくはC2~C6アルケニル又はアルキニル、より好ましくはビニル)、オキシラニル、グリシジル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アラルキレン(アリール置換アルケニル、及びアルケニルは、1つ又は2つのC1~C6アルキル基及び/又はハロゲン原子、好ましくは塩素で置換され得るビニルである)、1個から全ての水素原子(好ましくは1個)がハロゲン(好ましくは、1個以上の水素原子が置換されているフッ素又は塩素、好ましくは1個の水素原子が置換されているフッ素、塩素又は臭素)で置換されているC1~C6アルキル、並びに、C1~C4アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、C(=Y)R、C(=Y)NR、オキシラニル及びグリシジルからなる群から選択される1~3つの置換基(好ましくは1つ)で置換されているC1~C6アルキル、からなる群から選択され、そのため、R11、R12及びR13のうちの2つ以下がHであり(好ましくは、R11、R12及びR13のうちの1つ以下がHであり)、
Yは、NR又はO(好ましくはO)であり、
は、1~20個の炭素原子のアルキル、1~20個の炭素原子のアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロシクリルオキシであり、R及びRは、独立してH又は1~20個の炭素原子のアルキルである、又はR及びRは互いに結合して、2~5個の炭素原子のアルキレン基を形成することにより3~6員環を形成し、Rは、H、直鎖状又は分岐状C1~C20アルキル及びアリールであり、
「ポリアクリレート」は、アクリレートモノマーのATRPから生じるポリアクリレートを表す、
実施形態1に記載の方法。
3. 各R1が、独立して、C1~C30、又はC1~C10、又はC1~C8、直鎖状、分岐状、若しくは環式であるアルキル基である、実施形態1又は2に記載の方法。
4. 各Rが、独立して、C1~C30ヒドロカルビル基である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
5. 各Rが、独立して、直鎖状、分岐状、又は環状であるC1~C26、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態4に記載の方法。
6. 各Rが、独立して、ポリオレフィニル基である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
7. ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、実施形態6に記載の方法。
8. ポリオレフィニル基が、エチレンに由来する単位を含むエチレンホモポリメリル基である、実施形態7に記載の方法。
9. ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態7に記載の方法。
10. ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態7に記載の方法。
11. C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態9又は10に記載の方法。
12. ポリオレフィニル基が、エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリメリル基である、実施形態7に記載の方法。
13. ポリオレフィニル基が、ブロック複合体、特定のブロック複合体、及び結晶質ブロック複合体のポリメリル基からなる群から選択される、実施形態6に記載の方法。
14. ポリオレフィニル基が、プロピレン系ポリメリル基である、実施形態6に記載の方法。
15. ポリオレフィニル基が、プロピレンに由来する単位を含むプロピレンホモポリメリル基である、実施形態14に記載の方法。
16. ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかに由来する単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンインター
17. ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかに由来する単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態14に記載の方法。
18. C4~C30アルファ-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態16又は17に記載の方法。
19. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態6~18のいずれか1つに記載の方法。
20. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、365g/mol~10,000,000g/mol超、又は365g/mol~5,000,000g/mol超、又は365g/mol~1,000,000g/mol超、又は365g/mol~750,000g/mol超、又は365g/mol~500,000g/mol超、又は365g/mol~250,000g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態6~19のいずれか1つに記載の方法。
21. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有する、実施形態6~20のいずれか1つに記載の方法。
22. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、実施形態6~21のいずれか1つに記載の方法。
23. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn)を有する、実施形態6~22のいずれか1つに記載の方法。
24. yが1であり、mが1である、実施形態2~23のいずれか1つに記載の方法。
25. 工程a)及び工程b)の各々が、40℃~150℃の温度で行われる、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
26. アルファ置換アクリレートが、アルファ-(ハロメチル)アクリレートを含む出発材料と、式RZn又はRAlの有機金属化合物とを合わせることを含む方法によって調製され、アルファ-(ハロメチル)アクリレートは、式(I):
【化10】
[式中、
Xはハライドであり、R及びR1は上記で規定したとおりである]を有する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
27. 遷移金属化合物が、遷移金属ハロゲン化物であり、配位子が、遷移金属化合物にシグマ結合若しくはパイ結合で配位するN-、O-、P-、若しくはS含有配位子、又は遷移金属化合物にパイ結合で配位できる任意のC含有化合物である、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
28. ATRP材料及び/又は反応材料が、溶媒を更に含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29. 式(VI):
【化11】
[式中、
「ポリアクリレート」は、
アクリレートモノマーの原子移動ラジカル重合(ATRP)から生じるポリアクリレートを表し、
R1は、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
Rは、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
mは、1~50であり、
yは、1~100であり、
Xは、ハライド(好ましくはCl、Br、又はI)、OR10、SR14、SeR14、-SCN(チオシアネート)、OC(=O)R14、OP(=O)R14、OP(=O)(OR14、OP(=O)OR14、O-N(R14、及びS-C(=S)N(R14からなる群から選択され、R14は、アリール又は直鎖状若しくは分岐状C1~C20(好ましくはC1~C10)アルキル基である、又はN(R14基が存在するとき、2つのR14基は結合して、5員、6員又は7員のヘテロ環を形成することができ、R10は、1~20個の炭素原子のアルキルであり、そのうちの水素原子の各々はハライドで独立して置換され得る]を有する、オレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
30. 各R1が、独立して、直鎖状、分岐状、又は環状であるC1~C30、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態29に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
31. Rが、C1~C26ヒドロカルビル基である、実施形態29又は30に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
32. Rが、直鎖状、分岐状、又は環状であるC1~C26、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態31に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
33. Rが、ポリオレフィニル基である、実施形態29又は30に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
34. ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、実施形態33に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
35. ポリオレフィニル基が、エチレンに由来する単位を含むエチレンホモポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
36. ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
37. ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
38. C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態36又は37のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
39. ポリオレフィニル基が、エチレン/アルファオレフィンマルチブロックインターポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
40. ポリオレフィニル基が、ブロック複合体、特定のブロック複合体、及び結晶性ブロック複合体のポリメリル基からなる群から選択される、実施形態33に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
41. ポリオレフィニル基が、プロピレン系ポリメリル基である、実施形態33に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
42. ポリオレフィニル基が、プロピレンに由来する単位を含むプロピレンホモポリメリル基である、実施形態41に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
43. ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかに由来する単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態41に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
44. ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかに由来する単位を含むプロピレン/アルファオレフィンコポリメリル基である、実施形態41に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
45. C4~C30アルファオレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態43又は44のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
46. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態33~45のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
47. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、365g/mol~10,000,000g/mol超、又は365g/mol~5,000,000g/mol超、又は365g/mol~1,000,000g/mol超、又は365g/mol~750,000g/mol超、又は365g/mol~500,000g/mol超、又は365g/mol~250,000g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態33~46のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
48. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有し、
ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、実施形態33~47のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
49. ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって規定することができ、R-Hが、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn)を有する、実施形態33~48のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
50. yが1であり、mが1である、実施形態33~49のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
51. アクリレートモノマーが、式(III):
【化12】
[式中、R1は水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、R2は水素又はメチル基である]を有する、実施形態33~50のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0073】
試験方法
密度:
密度は、ASTM D-792の方法Bに従って測定する。
【0074】
メルトインデックス:
メルトインデックス(I)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラムで報告した。
【0075】
GPC
以下に従ってGPCを介して、試料ポリマーのそれらの特性について試験した。
【0076】
分子量(MW)及び分子量分布(MWD)の決定に、PolymerChar Inc(Valencia,Spain)からの赤外線濃度検出器(IR-5)からなる高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステム(Gel Permeation Chromatography、GPC IR)を使用した。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)であった。オートサンプラーコンパートメントを、160℃で稼働し、カラムコンパートメントを150℃で稼働した。使用したカラムは、4つのPolymer Laboratories Mixed A LS、20ミクロンカラムであった。クロマトグラフィー溶媒(TCB)及び試料調製溶媒は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及び窒素を散布した同じ溶媒源からであった。試料は、TCB中で2mg/mLの濃度で調製した。160℃で2時間、ポリマー試料を穏やかに振とうした。注入量は200μLであり、流速は1.0ml/分であった。
【0077】
GPCカラムセットの較正を、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行った。標準物質の分子量は、580~8,400,000g/molの範囲であり、6つの「カクテル」混合物に配置され、個々の分子量間に少なくとも一桁の間隔があった。
【0078】
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を実行することによって、GPCカラムセットを較正した。標準物質の分子量(Mw)は、1モル当たり580-8,400,000グラム(g/mol)の範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有された。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも一桁の間隔を有した。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入した。ポリスチレン標準物質を、1,000,000g/mol以上の分子量について50mLの溶媒中0.025g、及び1,000,000g/mol未満の分子量について50mLの溶媒中0.05gで調製した。ポリスチレン標準物質を、30分間、静かに撹拌しながら80℃で溶解した。狭い標準混合物を最初に、かつ分解を最小限に抑えるために最高分子量(Mw)成分を減少させる順序で実行した。ポリスチレン標準ピーク分子量は、Mark-Houwink定数を用いてポリエチレンMwに変換した。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度に関する2つの直鎖状基準通常較正を構築するために2つの値を使用した。
【0079】
ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の式を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり)。
ポリエチレン=A(Mポリスチレン (1)
【0080】
式中、Bは、1.0の値を有し、Aの実験的に決定された値は、約0.41である。
【0081】
三次多項式が使用され、方程式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン等価較正点を、それらの観察されたポリスチレン標準の溶出堆積に適合させた。
【0082】
数平均、重量平均、及びz平均分子量を、以下の式に従って計算した。
【数1】
【0083】
式中、Wfは、i番目の成分の重量分率であり、Mは、i番目の成分の分子量である。
【0084】
MWDを、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率として表した。
【0085】
正確なA値を、式(3)を使用して計算されたMw及び対応する保持堆積多項式が、標準直鎖状ポリエチレンホモポリマー参照物の既知のMw値120,000g/molに一致するまで、式(1)のA値を調整することによって決定した。
【0086】
GPCシステムは、搭載型示差屈折率検出器(RI)を装備した、Waters(Milford,Mass.)150℃高温クロマトグラフ(他の好適な高温GPC器材としては、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)モデル210及びモデル220が挙げられる)からなる。追加の検出器としては、Polymer ChAR(Valencia,Spain)のIR4赤外線検出器、Precision Detectors(Amherst,Mass.)2角レーザー光散乱検出器モデル2040、及びViscotek(Houston,Tex.)150R 4-キャピラリー溶液粘度計が挙げられ得る。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D-GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度角又は90度角のいずれかを計算の目的のために使用した。
【0087】
データ収集を、Viscotek TriSECソフトウェア、バージョン3及び4つのチャネルのViscotek Data Manager DM400を使用して行った。このシステムには、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっていた。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラム又は4つの20ミクロンの混合細孔サイズパッキングの30cmのPolymer Labカラムなどの好適な高温GPC(MixA LS、Polymer Lab)カラムを使用することができた。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で稼働させ、カラムコンパートメントを150℃で稼働させた。試料を50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製した。クロマトグラフ溶媒及び試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒に窒素を散布した。ポリエチレン試料を160℃で4時間(4時間)穏やかに撹拌した。注入量は200マイクロリットル(μL)であった。GPCを通る流量を、1ml/分に設定した。
【0088】
NMR(13C及びH):
NMR分析を、クロロホルム又はベンゼンなどの標準NMR溶媒を使用して室温で行い、データをVarian 500MHz分光計で取得した。
【0089】
拡散NMR:実験は2048スキャン及び15秒の繰り返し時間を採用した。スペクトルは90ppmを中心とし、240ppmの帯域幅を覆った。自己拡散係数(D)は、二重刺激エコーを備えたパルス場勾配NMRを用いて1H及び13C検出された拡散によって測定されて、熱対流による任意のアーチファクトを軽減した。一般に、本方法は、磁場の空間変動、すなわち磁場勾配(g)を利用して、明確に定義された時間間隔の間に分子アンサンブルの空間位置を物理的に標識し、それによって、NMRピーク強度を各分子の自己拡散(D)に結合させた。Dは、Stejskal-Tanner式(Eq.5)[式中、IとI0は勾配の有無にかかわらずNMR信号強度を表す]を用いて定量化される。γは核の磁気回転比、gは勾配強度、δは勾配パルス持続時間、Δは拡散時間である。同じ分子からのピークが同じDをもたらす必要があることを念頭に置いて、そのような方法は、スペクトル分解能を摂動することなく、各ピークに関連するDによるNMRピークの固有の分離を可能にする。この方法は、本質的にまた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の類似体と見なすこともでき、すなわち大分子は早期に遅延/溶出するか、又はその逆である。したがって、測定は、DendとDbackboneを比較することにより、ポリマー骨格が特定の末端基によってキャップされているかどうかを明らかにするための明確な分子間情報を提供する。
【数2】
【0090】
GCMS:
電子衝撃イオン化(EI)を用いたタンデムガスクロマトグラフィー/低分解能質量分析を、Agilent Technologies 5975不活性XL質量選択検出器及びAgilent Technologies Capillaryカラム(HP1MS、15m×0.25mm、0.25ミクロン)を装備したAgilent Technologies 6890Nシリーズガスクロマトグラフ上、70eVで、以下に関して行う:
プログラムされた方法:
50℃で0.5分間のオーブン平衡化時間
次いで、200℃まで25℃/分、及び5分間保持
実行時間11分
【実施例
【0091】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を例示することを意図しており、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【0092】
特に明記しない限り、全ての材料及び試薬は、例えば、SigmaAldrichから市販されている。
実施例1
【化13】
【0093】
実施例1の反応を、不活性窒素雰囲気グローブボックス下で、例示的かつ非限定的である上記の反応スキームに従って行った。Isopar(商標)E(1.76mmol)中0.30Mジオクチル亜鉛溶液5.88mLを20mLバイアルに加えた。溶液を60℃に加熱した。0.500gのメチル2-(クロロメチル)アクリレート(3.72mmol、2当量)を熱いジオクチル亜鉛溶液に滴下した。ゆっくりと滴下する過程で、溶液は淡褐色から透明になり、可視白色沈殿物によって濁った。数分後、沈殿物はバイアルの底に粘着性の黄色残渣として沈降した。60℃で48時間後、NMR内部標準としてヘキサメチルベンゼン(0.511mmol)83mgを加えた。NMR変換率は62.6%と算出された。NMR分析を図1A及び図1Bに示す。図1C及び図1Dに見られるように、反応アリコートのGC-MSは、所望の生成物の形成を示した(より低い保持時間ピークはIsopar(商標)Eに対応する)。反応物を水でクエンチした。Zn塩及び内部標準を除去するための精製は、2%酢酸エチルのヘキサン混合物で溶出するカラムクロマトグラフィーによって行った。405mgの生成物を単離した(51%)。
実施例2
【化14】
【0094】
Macromolecules vol 33,4039-4047,2000に記載されているATRP手順に従って、窒素雰囲気グローブボックス内で反応を行った。反応開始前にt-BAをアルミナカートリッジに通し、阻害剤を除去した。CuBr(78.2mg、0.545mmol)、CuBr2(6.0mg、0.027mmol)、及び1,3,5-トリメトキシベンゼン(9mg、0.054mmol)を乾燥した20mLバイアルに加えた。脱酸素化アセトン(1mL)を加えた後、t-BA(4.0mL、27.6mmol)を加えた。PMDETA(120μL、0.575mmol)を加え、Cu錯体が形成されるまで溶液を約20分間撹拌した。錯体形成後、2-ブロモプロピオン酸メチル(121μL、1.09mmol)をフラスコに加え、初期試料を取り出し、バイアルを55℃に加熱した。重合が起こったことを示す粘度の増加が観察された。NMRによって決定してモノマーの大部分が反応した後、2-メチレンウンデカン酸メチル(0.232g、1.09mmol)を加え、反応物を55℃で一晩撹拌したままにした。
【0095】
NMR(図2A及び2Bに見られるように)によると、実施例1で調製された化合物は全て、一晩の反応後に反応していた。約10mLのTHFをバイアルに加えてポリマーを溶解し、反応混合物をアルミナカラムに通して銅触媒を除去した。ポリマーを冷ヘキサンにクラッシュさせる試みは失敗した。ロータリーエバポレータで溶媒を除去し、粘稠な黄色ポリマーを得た。ポリマーをクロロベンゼンで洗浄して過剰のヘキサン及びTHFを除去し、真空下、70℃で一晩乾燥させた。
【0096】
GPCによる:Mw=3726、Mn=3125、及びPDI=1.19。
実施例3
【化15】
【0097】
Macromolecules vol 33,4039-4047,2000に記載されているATRP手順に従って、窒素雰囲気グローブボックス内で反応を行った。反応開始前にt-BAをアルミナカートリッジに通し、阻害剤を除去した。CuBr(78.2mg、0.545mmol)及びCuBr2(6.0mg、0.027mmol)を乾燥した20mLバイアルに加えた。脱酸素化アセトン(1mL)を加えた後、t-BA(4.0mL、27.6mmol)を加えた。PMDETA(120μL、0.575mmol)を加え、Cu錯体が形成されるまで溶液を約20分間撹拌した。錯体形成後、2-ブロモプロピオン酸メチル(61μL、0.547mmol)をフラスコに加え、初期試料を取り出し、バイアルを60℃に加熱した。3時間後、全てのモノマーが反応する前に、THFを反応混合物に添加し、溶液をアルミナプラグに通過させてCu触媒を除去することにより、反応を停止させた。ロータリーエバポレータでTHFを除去し、続いてシュレンクラインで週末にかけて70℃で乾燥させて、THFの大部分を除去した。乾燥後のポリマーはピンク色の固体(2.18g)であった。フラスコをグローブボックスに戻し、脱気したアセトン10mLを加えた。ポリ(t-ブチルアクリレート)の0.044M溶液を次の工程に使用した。
【0098】
CuBr(0.015g、0.1046mmol)、2-メチレンウンデカン酸メチル(0.026g、0.122mmol)、及び1mLの脱気アセトンを、撹拌棒を備えた20mLバイアルに加えた。PMDETA(0.023mL、0.110mmol)を加え、混合物を20分間撹拌した。ポリ(t-ブチルアクリレート)マクロ開始剤溶液2.37mLをシリンジから反応バイアルに注入した。初期試料を取り出し、反応を55℃で撹拌させた。一晩反応させた後、NMRは約30%の変換を示した。アセトン溶媒を窒素で一部除去し、反応物の濃度を高めた。
【0099】
36時間後、加熱ブロックからバイアルを取り出し、約20mLのTHFを加え、溶液をアルミナのプラグに通して銅触媒を除去することにより、反応を停止させた。ポリマーを冷ヘキサンにクラッシュさせる試みは失敗した。ロータリーエバポレータで溶液を乾燥させ、クロロベンゼンで洗浄して過剰のヘキサン及びTHFを除去し、真空下、70℃で一晩乾燥させた。
【0100】
実施例3のNMRスペクトルは、図3A及び図3Bに見られる。
【0101】
GPCによる:Mw=6906、Mn=5795、及びPDI=1.19。1H NMRによる:Mn=5250。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
【国際調査報告】