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特表2023-524455RAFT重合によるオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するためのプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】RAFT重合によるオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 295/00 20060101AFI20230605BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
C08F295/00
C08F220/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566017
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 US2021030073
(87)【国際公開番号】W WO2021222694
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,292
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】クラソフスキー、アルカジー エル.
(72)【発明者】
【氏名】アウヨン、イヴリン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥーベルト、ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス、アナ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホウ、チエンポー
(72)【発明者】
【氏名】カミンズ、クラーク エイチ.
【テーマコード(参考)】
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J026HA11
4J026HA22
4J026HA29
4J026HA38
4J026HA40
4J026HB02
4J026HB03
4J026HB04
4J026HB11
4J026HB29
4J026HE06
4J100AA00Q
4J100AA02Q
4J100AA03Q
4J100AL03P
4J100AL03Q
4J100AL04P
4J100AL04Q
4J100AL05P
4J100AL05Q
4J100AL69P
4J100AL69Q
4J100CA03
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA19
(57)【要約】


本開示は、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するためのプロセスに関し、プロセスは、a)アクリレートモノマー、ラジカル開始剤、及びRAFT剤を含むRAFT材料を混合することによって、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を実施し、それによってマクロ開始剤を形成することと、b)アルファ置換アクリレート、ラジカル開始剤、及びマクロ開始剤を含む反応材料を混合し、それによってオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、を含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するためのプロセスであって、
a)アクリレートモノマー、ラジカル開始剤、及びRAFT剤を含むRAFT材料を混合することによって、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を実施し、それによってマクロ開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート、ラジカル開始剤、及び前記マクロ開始剤を含む反応材料を混合し、それによって前記オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記アルファ置換アクリレートが、式(II)を有し、
【化1】
前記アクリレートモノマーが、式(III)を有し、
【化2】
前記RAFT剤が、式(IV)を有し、
【化3】
前記マクロ開始剤が、式(V)を有し、
【化4】
前記オレフィン-アクリレートブロックコポリマーが、式(VI)を有し、
【化5】
式中、
各R1が、独立して、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
各R2が、独立して、水素又はメチル基であり、
各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
R11が、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換された飽和、不飽和、又は芳香族炭素環式環若しくは複素環式環、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシ、及び任意選択的に置換されたジアルキルアミノからなる群から選択され、R11・が、フリーラジカル重合を開始し得るフリーラジカル脱離基であり、
各Zが、水素、塩素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシカルボニル、任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニル(-COOR”)、カルボキシ(-COOH)、任意選択的に置換されたアシルオキシ(-OCR”)、任意選択的に置換されたカルバモイル(-CONR”)、シアノ(-CN)、ジアルキル-又はジアリール-ホスホナト[-P(=O)OR”]、及びジアルキル-又はジアリール-ホスフィナト[-P(=O)R”]からなる群から選択され、
各R”が、独立して、任意選択的に置換されたC1~C18アルキル、C2~C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され、置換基が、独立して、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシアシル、アシルオキシ、カルボキシ(及び塩)、スルホン酸(及び塩)、アルコキシ-又はアリールオキシカルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノからなる群から選択され、
各I・が、独立して、ラジカル開始剤、又はフリーラジカル重合を開始する前記RAFT剤のR11から得られるフリーラジカル脱離基であり、
各nが、独立して、2~500であり、
mが、1~50である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
各Rが、独立して、ポリオレフィニル基である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ポリオレフィニル基が、プロピレン系ポリメリル基である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)及びb)の各々が、40℃~150℃の温度で実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された、オレフィンアクリレートブロックコポリマー。
【請求項10】
式(VI)を有するオレフィン-アクリレートブロックコポリマーであって、
【化6】
式中、
各R1が、独立して、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
R2が、水素又はメチル基であり、
Rが、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
R11が、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換された飽和、不飽和、又は芳香族炭素環式環若しくは複素環式環、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシ、及び任意選択的に置換されたジアルキルアミノからなる群から選択され、R11・が、フリーラジカル重合を開始し得るフリーラジカル脱離基であり、
Zが、水素、塩素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシカルボニル、任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニル(-COOR”)、カルボキシ(-COOH)、任意選択的に置換されたアシルオキシ(-OCR”)、任意選択的に置換されたカルバモイル(-CONR”)、シアノ(-CN)、ジアルキル-又はジアリール-ホスホナト[-P(=O)OR”]、及びジアルキル-又はジアリール-ホスフィナト[-P(=O)R”]からなる群から選択され、
各R”が、独立して、任意選択的に置換されたC1~C18アルキル、C2~C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され、置換基が、独立して、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシアシル、アシルオキシ、カルボキシ(及び塩)、スルホン酸(及び塩)、アルコキシ-又はアリールオキシカルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノからなる群から選択され、
I・が、ラジカル開始剤、又はフリーラジカル重合を開始するRAFT剤のR11から得られるフリーラジカル脱離基であり、
nが、2~500であり、
mが、1~50である、オレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/018292号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、アクリレートモノマーの可逆的付加開裂連鎖移動(reversible addition-fragmentation chain-transfer、RAFT)重合を使用して、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを合成して、官能化ポリアクリレートを調製するプロセスに関し、この官能化ポリアクリレートは、その後、アルファ置換アクリレートモノマー(アルファ-(アルキル)アクリレートモノマー又はアルファ-(ポリメリル)アクリレートモノマーなど)と反応する。プロセス中、当該技術分野で既知の標準RAFTプロセスを使用した反応に適したアルファ置換アクリレートモノマーは、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成するために、RAFTによって生成されたポリアクリレートと反応するモノマーとして用いられる。このプロセス及び得られたオレフィン-アクリレートブロックコポリマーは、本出願の開示まで実現されていない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するためのプロセスに関し、プロセスは、
a)アクリレートモノマー、ラジカル開始剤、及びRAFT剤を含むRAFT材料を混合することによって、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を実施し、それによってマクロ開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート、ラジカル開始剤、及びマクロ開始剤を含む反応材料を混合し、それによってオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、を含む。
【0004】
本開示は更に、本プロセスによって調製されたオレフィン-アクリレートブロックコポリマーに関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】それぞれ実施例1のH NMR及び13C NMRスペクトルを示す。
図1B】それぞれ実施例1のH NMR及び13C NMRスペクトルを示す。
図1C】実施例1のGCMSスペクトルを示す。
図1D】実施例1のGCMSスペクトルを示す。
図2A】それぞれ実施例2のH NMR及び拡散NMRスペクトルを示す。
図2B】それぞれ実施例2のH NMR及び拡散NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
本明細書における元素周期表へのすべての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版及び著作権化された元素周期表を指すものとする。また、族へのいずれの言及も、族を番号付けするためのIUPACシステムを使用してその元素周期表に反映された族に対するものとする。
【0007】
反対のことが明記されないか、文脈から示唆されないか、又は当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づく。
【0008】
米国特許実務の目的のため、本明細書で参照される任意の特許、特許出願、又は刊行物の内容は、特に当該技術分野における合成技法、定義(本明細書に提供される任意の定義と矛盾しない程度において)、及び一般的な知識の本開示に関して、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる(又は、それらの同等の米国版が、参照によりそのように組み込まれる)。
【0009】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値までのすべての値を含む。明示的な値を含む範囲(例えば、1、又は2、又は3~5、又は6、又は7)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の下位範囲(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6、などのサブ範囲が含まれる)。本明細書に開示される数値範囲は、任意の2つの明示的な値の間の分数を更に含む。
【0010】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、又は手順の存在を、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず除外することを意図しない。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の成分、ステップ、又は手順を除外する。「~からなる」という用語は、具体的に記述又は列挙されていない任意の成分、ステップ、又は手順を除外する。「又は」という用語は、別途明記しない限り、列挙された項目を個々に、並びに任意の組み合わせで指す。
【0011】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」などの用語は、脂肪族、芳香族、非環式、環式、多環式、分岐状、非分岐状、飽和、及び不飽和化合物を含む、完全に水素及び炭素で構成される化合物を指す。「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」、「アルキル」、「アルキル基」、「アリール」、「アリール基」などの用語は、すべての構造異性体又は立体異性体を含むすべての可能な異性体を含むことを意図する。
【0012】
「環式」という用語は、ポリマー又は化合物中の一連の原子を指し、そのような一連の原子は、1つ以上の環を含む。したがって、「環式ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上の環を含有するヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「環式ヒドロカルビル基」は、1つ以上の環に加えて、非環式(線状又は分岐状)部分を含有し得る。
【0013】
「ポリマー」という用語は、モノマーのセットを反応させる(すなわち、重合させる)ことによって調製された材料を指し、このセットは、同種(すなわち、1種のみ)のモノマーのセット又は異種(すなわち、2種以上)のモノマーのセットである。本明細書で使用されるポリマーという用語は、同種のモノマーのセットから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、及び以下に定義される「インターポリマー」という用語を含む。
【0014】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。この用語は、「コポリマー」、すなわち、2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマー、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製された、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどのポリマーの両方を含む。この用語はまた、ランダム、ブロック、均一、不均一などのインターポリマーのすべての形態を包含する。
【0015】
「ポリオレフィン」は、モノマーとしてのオレフィンの重合から製造されるポリマーであり、オレフィンモノマーは、少なくとも1つの二重結合を有する炭素及び水素の線状、分岐状、又は環式化合物である。したがって、本明細書で使用される場合、「ポリオレフィン」という用語は、「エチレン系ポリマー」、「プロピレン系ポリマー」、「エチレンホモポリマー」、「プロピレンホモポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」、「ブロック複合体」、「特定のブロック複合体」、「結晶性ブロック複合体」、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、及び「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語を含み、かつ網羅する。
【0016】
「エチレン系ポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有し得る、ポリマーである。「エチレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量のエチレンを重合形態で含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有する、インターポリマーである。「エチレンホモポリマー」は、エチレンに由来する繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を除外しないポリマーである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)、及びアルファ-オレフィンである少なくとも1つのコモノマーを重合形態で含むポリマーを指す。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダム又はブロックインターポリマーであり得る。「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」及び「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」という用語は、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語によって網羅される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(コポリマーの重量に基づいて)、及びアルファ-オレフィンであるコモノマーを重合形態で含むコポリマーを指し、エチレン及びアルファ-オレフィンは唯一の2つのモノマー種類である。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」又は「オレフィンブロックコポリマー」は、エチレン及び1つ以上の共重合性アルファ-オレフィンコモノマーを重合形態で含むインターポリマーを指し、2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント、化学的又は物理的特性が異なるブロック又はセグメントを特徴とする。具体的には、この用語は、線状方式で連結した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント又はグラフト化された様式ではなく、重合した官能基に関して端と端とが連結(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類若しくは程度(アイソタクチック若しくはシンジオタクチック)、領域規則性若しくは領域不規則性、長鎖分岐若しくは超分岐を含む分岐の量、均一性、及び/又は任意の他の化学的若しくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー多分散性(PDI又はMw/Mn)及びブロック長分布の両方の独特の分布を特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例、及びこれを調製するプロセスは、米国特許第7,858,706(B2)号、同第8,198,374(B2)号、同第8,318,864(B2)号、同第8,609,779(B2)号、同第8,710,143(B2)号、同第8,785,551(B2)号、及び同第9,243,090(B2)号に開示されており、その全体が参照としてすべて本明細書に組み入れられる。
【0020】
「ブロック複合体」(「block composite、BC」)という用語は、3つのポリマー成分:(i)エチレン系ポリマー(ethylene-based polymer、EP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、10mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(alpha-olefin-based polymer、AOP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、90mol%超のアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、(iii)エチレンブロック(EB)及びアルファ-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含む、ポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、ブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ-オレフィンブロックは、ブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である。加えて、ブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示のブロック複合体の非限定的な例、及びこれを調製するプロセスは、米国特許第8,686,087号及び同第8,716,400号に開示されており、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0021】
「特定のブロック複合体」(「specified block composite、SBC」)という用語は、3つのポリマー成分:(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、78mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、61mol%~90mol%のアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、(iii)エチレンブロック(EB)及びアルファ-オレフィンブロック(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含む、ポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、特定のブロック複合体の成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ-オレフィンブロックは、特定のブロック複合体の成分(ii)のAOPと同じ組成である。加えて、特定のブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の特定のブロック複合体の非限定的な例、並びにそれを調製するためのプロセスは、国際公開第2017/044547号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
「結晶性ブロック複合体」(「CBC」)という用語は、3つの成分、すなわち、(i)結晶性エチレン系ポリマー(CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づくエチレン含有量が90モル%を超える結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と、(ii)結晶性アルファ-オレフィン系コポリマー(crystalline alpha-olefin based copolymer、CAOP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、90mol%超のアルファ-オレフィン含有量を有する結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と、(iii)結晶性エチレンブロック(crystalline ethylene block、CEB)及び結晶性アルファ-オレフィンブロック(crystalline alpha-olefin block、CAOB)を含むブロックコポリマーと、を含む、ポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのCEBは、結晶性ブロック複合体の成分(i)のCEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのCAOBは、結晶性ブロック複合体の成分(ii)のCAOPと同じ組成である。加えて、結晶性ブロック複合体中のCEPの量とCAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の結晶性ブロック複合体の非限定的な例、及びこれを調製するプロセスは、米国特許第8,822,598(B2)号及び国際公開第2016/01028961(A1)号に開示されており、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0023】
「プロピレン系ポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合プロピレンを含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有し得る、ポリマーである。「プロピレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量のプロピレンを重合形態で含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有する、インターポリマーである。「プロピレンホモポリマー」は、プロピレンに由来する繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を除外しないポリマーである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのプロピレン(インターポリマーの重量に基づく)、及びアルファ-オレフィン(ここで、エチレンはアルファ-オレフィンとみなされる)である少なくとも1つのコモノマーを重合形態で含むポリマーを指す。プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダム又はブロックインターポリマーであり得る。「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、過半重量パーセントのプロピレン(コポリマーの重量に基づいて)、及びアルファ-オレフィンであるコモノマーを重合形態で含むコポリマーを指し、プロピレン及びアルファ-オレフィンは唯一の2つのモノマー種類である。プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0026】
「ポリメリル」、「ポリメリル基」などの用語は、1つの水素を欠くポリマーを指す。
【0027】
「ポリオレフィニル」、「ポリオレフィニル基」などの用語は、1つの水素を欠くポリオレフィンを指す。
【0028】
RAFT重合
本開示のプロセスの工程a)は、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を介して官能化ポリアクリレートを形成することに関する。具体的には、本プロセスの工程a)は、アクリレートモノマー、ラジカル開始剤、及びRAFT剤を含むRAFT材料を混合することによって、RAFT重合を実施し、それによってマクロ開始剤を形成することに関する。工程a)のRAFT重合に好適な技法及び条件は、当該技術分野で既知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,747,111号及び国際公開第98/01478号に記載されているものが挙げられる。
【0029】
ある特定の実施形態では、工程a)のアクリレートモノマーは、式(III)を有し、
【0030】
【化1】
式中、R1は、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、R2は、水素又はメチル基である。
【0031】
特定の実施形態では、R1は、線状、分岐状、又は環式であり得るC1~C30ヒドロカルビル基である。更なる実施形態では、R1は、線状、分岐状、又は環式であり得るC1~C30アルキル基である。例えば、R1は、1~30個の炭素原子、又は1~20個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子を含む線状、分岐、又は環式アルキル基であり得る。
【0032】
ある特定の実施形態では、RAFT剤は、式(IV)を有し、
【0033】
【化2】
式中、
R11は、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換された飽和、不飽和、又は芳香族炭素環式環若しくは複素環式環、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシ、及び任意選択的に置換されたジアルキルアミノからなる群から選択され、R11・は、フリーラジカル重合を開始し得るフリーラジカル脱離基であり、
Zは、水素、塩素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシカルボニル、任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニル(-COOR”)、カルボキシ(-COOH)、任意選択的に置換されたアシルオキシ(-OCR”)、任意選択的に置換されたカルバモイル(-CONR”)、シアノ(-CN)、ジアルキル-又はジアリール-ホスホナト[-P(=O)OR”]、及びジアルキル-又はジアリール-ホスフィナト[-P(=O)R”]からなる群から選択され、及び
R”は、任意選択的に置換されたC1~C18アルキル、C2~C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され、置換基は、独立して、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシアシル、アシルオキシ、カルボキシ(及び塩)、スルホン酸(及び塩)、アルコキシ-又はアリールオキシカルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノからなる群から選択され、
式(IV)のRAFT剤の例としては、米国特許第6,747,111(B2)号、及び国際公開第98/01478号に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
ラジカル開始剤は、フリーラジカルの供給源であり、本開示の好適なラジカル開始剤は、モノマーに付加して成長ラジカルを生成するフリーラジカルを提供する化合物である。成長ラジカルは、1つ以上のモノマー単位を付加したラジカル種であり、更なるモノマー単位を付加することが可能である。
【0035】
開始ラジカルの供給源は、モノマーに付加して成長ラジカルを生成するフリーラジカルを提供するフリーラジカルを生成する任意の好適な方法であり得る。これは、好適な化合物の熱誘起ホモリティック切断(パーオキサイド、パーオキシエステル、又はアゾ化合物など)、モノマーからの自然発生、レドックス開始系、光化学開始系、又は電子線、X線、若しくはγ線などの高エネルギー放射線などの供給源を含む。開始系は、反応条件下で、実験の条件下で、開始剤又は開始ラジカルと移動剤との実質的に有害な相互作用が存在しないように選択される。開始剤はまた、反応媒体又はモノマー混合物中に必要な溶解性を有する必要がある。
【0036】
本開示の好適なラジカル開始剤の例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シアノ-2-ブタン)、ジメチル2,2’-アゾビス(メチルイソブチレート)、4.4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン-1-オール)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(1,1)-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-ヒドロキシエチル]-プロピオンアミド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチラミジン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチラミン)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(イソブチラミド)二水和物、2,2’-アゾビス(2,2,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-アミルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ジクミルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、カリウムパーオキシジスルフェート、アンモニウムパーオキシジスルフェート、ジ-t-ブチルハイポニトリル、又はジクミルハイポニトリルなどのアゾ化合物及びパーオキサイドが挙げられる。
【0037】
フリーラジカルはまた、光化学によって、レドックス開始系から、又はこれらの方法の組み合わせによって、モノマーから熱的に生成され得る。光化学開始剤系は、反応媒体又はモノマー混合物への必要な溶解性を有し、重合条件下でラジカル生成のための適切な量子収量を有するように選択される。例としては、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキサイド、及び光レドックス系が挙げられる。レドックス開始剤系は、反応媒体又はモノマー混合物への必要な溶解性を有し、重合条件下でラジカル生成のための適切な率を有するように選択され、これらの開始系としては、以下の酸化剤及び還元剤の組み合わせを挙げることができる:
酸化剤:カリウムパーオキシジスルフェート、過酸化水素、t-ブチルヒドロパーオキサイド。
還元剤:鉄(II)、チタン(III)、チオ亜硫酸カリウム、重亜硫酸カリウム。
【0038】
他の好適な開始系は、他のテキストに記載されている。例えば、Moad and Solomon「The Chemistry of Free Radical Polymerization」,Pergamon,London,1995,pp 53-95を参照されたい。
【0039】
ある特定の実施形態では、工程a)で形成されたマクロ開始剤は、式(V)を有し、
【0040】
【化3】
式中
R1は、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
R2は、水素又はメチル基であり、
Zは、水素、塩素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシカルボニル、任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニル(-COOR”)、カルボキシ(-COOH)、任意選択的に置換されたアシルオキシ(-OCR”)、任意選択的に置換されたカルバモイル(-CONR”)、シアノ(-CN)、ジアルキル-又はジアリール-ホスホナト[-P(=O)OR”]、及びジアルキル-又はジアリール-ホスフィナト[-P(=O)R”]からなる群から選択され、
R”は、任意選択的に置換されたC1~C18アルキル、C2~C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され、置換基が、独立して、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシアシル、アシルオキシ、カルボキシ(及び塩)、スルホン酸(及び塩)、アルコキシ-又はアリールオキシカルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノからなる群から選択され、
I・は、フリーラジカル開始剤、又はフリーラジカル重合を開始するRAFT剤のR11から得られるフリーラジカル脱離基であり、
nは、2~500である。
【0041】
式(V)のマクロ開始剤のR1は、式(III)のアクリレートモノマーのR1と同じである(かつ、式(III)のアクリレートモノマーのR1の任意の実施形態であり得る)。
【0042】
ある特定の実施形態では、本方法の工程a)は、ニートな状態で実施されてもよい。更なる実施形態では、本方法の工程a)におけるRAFT材料は、炭化水素溶媒などの溶媒を更に含む。
【0043】
ある特定の実施形態では、本プロピレンの工程a)は、RAFT重合に好適である温度で実施される。例えば、限定するものではないが、本プロセスの工程a)は、40~150℃の温度で実施され得る。
【0044】
工程a)におけるRAFT材料の量及び比は、調整可能であり得、当業者によって知られているであろう。
【0045】
アルファ置換アクリレートとの反応
本プロセスの工程b)は、工程a)において調製された官能化ポリアクリレートを、アルファ-(アルキル)アクリレート又はアルファ-(ポリメリル)アクリレートなどのアルファ置換アクリレートと反応させて、オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することに関する。具体的には、本プロセスの工程b)は、アルファ置換アクリレート、ラジカル開始剤、及び式(V)のマクロ開始剤を含む反応材料を混合し、それによってオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することに関する。
【0046】
ある特定の実施形態では、アルファ置換アクリレートは、式(II)を有し、
【0047】
【化4】
式中、Rは、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
R1は、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基である。
【0048】
R1は、前述のような任意の実施形態であり得る。
【0049】
ある特定の実施形態では、Rは、C1~C26ヒドロカルビル基である。RがC1~C26ヒドロカルビル基である実施形態では、Rは、線状、分岐、又は環式であり得るC1~C26アルキル基であり得る。例えば、Rは、1~26個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子を含む線状、分岐、又は環式アルキル基であり得る。
【0050】
更なる実施形態では、Rは、ポリオレフィニル基である。ある特定の実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、365g/mol超の数平均分子量を有する。更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、365g/mol~10,000,000g/mol超、又は365g/mol~5,000,000g/mol超、又は365g/mol~1,000,000g/mol超、又は365g/mol~750,000g/mol超、又は365g/mol~500,000g/mol超、又は365g/mol~250,000g/mol超の数平均分子量を有する。
【0051】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有する。
【0052】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0053】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn又はPDI)を有する。
【0054】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリメリル基である。
【0055】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン及び少なくとも1つのC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリメル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0056】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンコポリメル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0057】
ある特定の実施形態では、Rは、本明細書で定義されるようなエチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー又はオレフィンブロックコポリメル基である。
【0058】
更なる実施形態では、Rは、本明細書で定義されるブロック複合体、特定のブロック複合体、又は結晶質ブロック複合体のポリメリル基である。
【0059】
ある特定の実施形態では、Rは、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリメリル基である。
【0060】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン又はC3~C30アルファ-オレフィンであるプロピレン及び少なくとも1つのコモノマーに由来する単位を含む、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0061】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン又はC3~C30アルファ-オレフィンであるプロピレン及びコモノマーに由来する単位を含む、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであり得る。
【0062】
式(II)のアルファ置換アクリレートは、任意の好適なプロセスによって調製され得る。式(II)のアルファ置換アクリレートを調製するための非限定的な方法は、同時係属中の米国仮特許出願第62/954,941号及び同第62/954,956号に開示されている方法である。例えば、式(II)のアルファ置換アクリレートは、アルファ-(ハロメチル)アクリレートを含む材料と、式RZn又はRAl(式中、Rは本明細書で定義されるとおりである)の有機金属化合物と、を混合することによって、調製され得る。このような非限定的なプロセスでは、求核置換反応が起こり、これによって、ハロゲンは、式RZn又はRAlの有機金属化合物のRによって置換される脱離基である。
【0063】
ある特定の実施形態では、本プロセスの得られたオレフィン-アクリレートブロックコポリマーは、式(VI)を有する。
【0064】
【化5】
【0065】
明らかに、式(VI)のオレフィン-アクリレートブロックコポリマーのR、R1、R2、I、Z、及びnの各々は、本プロセスの工程a)及びb)に関連して上記で定義されたとおりであり、mは、1~50である。m=1である場合、ブロックコポリマーは、線状オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーである。m>1である場合、櫛形ブロックコポリマーが形成される。
【0066】
ある特定の実施形態では、本方法の工程b)は、ニートな状態で実施されてもよい。更なる実施形態では、本プロセスの工程b)における反応材料は、炭化水素溶媒などの溶媒を更に含む。
【0067】
例えば、限定するものではないが、本プロセスの工程(c)は、40~150℃の温度で実施されてもよい。
【0068】
工程b)における反応材料の量及び比は、調整可能であり得、当業者によって知られているであろう。
【0069】
本プロセスは、以下のスキームによって記載され得るが、これらに限定されない。
【0070】
【化6】
【0071】
本開示の特定の実施形態は、以下を含むが、これらに限定されない。
【0072】
実施形態1.オレフィン-アクリレートブロックコポリマーを調製するためのプロセスであって、
a)アクリレートモノマー、ラジカル開始剤、及びRAFT剤を含むRAFT材料を混合することによって、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)を実施し、それによってマクロ開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート、ラジカル開始剤、及びマクロ開始剤を含む反応材料を混合し、それによってオレフィン-アクリレートブロックコポリマーを形成することと、を含む、プロセス。
【0073】
実施形態2.
アルファ置換アクリレートが、式(II)を有し、
【0074】
【化7】
アクリレートモノマーが、式(III)を有し、
【0075】
【化8】
RAFT剤が、式(IV)を有し、
【0076】
【化9】
マクロ開始剤が、式(V)を有し、
【0077】
【化10】
オレフィン-アクリレートブロックコポリマーが、式(VI)を有し、
【0078】
【化11】
式中、
各R1が、独立して、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
各R2が、独立して、水素又はメチル基であり、
各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
R11が、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換された飽和、不飽和、又は芳香族炭素環式環若しくは複素環式環、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシ、及び任意選択的に置換されたジアルキルアミノからなる群から選択され、R11・が、フリーラジカル重合を開始し得るフリーラジカル脱離基であり、
各Zが、水素、塩素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシカルボニル、任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニル(-COOR”)、カルボキシ(-COOH)、任意選択的に置換されたアシルオキシ(-OCR”)、任意選択的に置換されたカルバモイル(-CONR”)、シアノ(-CN)、ジアルキル-又はジアリール-ホスホナト[-P(=O)OR”]、及びジアルキル-又はジアリール-ホスフィナト[-P(=O)R”]からなる群から選択され、
各R”が、独立して、任意選択的に置換されたC1~C18アルキル、C2~C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され、置換基が、独立して、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシアシル、アシルオキシ、カルボキシ(及び塩)、スルホン酸(及び塩)、アルコキシ-又はアリールオキシカルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノからなる群から選択され、
各I・が、独立して、ラジカル開始剤、又はフリーラジカル重合を開始するRAFT剤のR11から得られるフリーラジカル脱離基であり、
各nが、独立して、2~500であり、
mが、1~50である、実施形態1に記載のプロセス。
【0079】
実施形態3.各R1が、独立して、線状、分岐状、又は環式であるC1~C30、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態1又は2に記載のプロセス。
【0080】
実施形態4.各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のプロセス。
【0081】
実施形態5.各Rが、独立して、線状、分岐状、又は環式であるC1~C26、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態4に記載のプロセス。
【0082】
実施形態6.各Rが、独立して、ポリオレフィニル基である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のプロセス。
【0083】
実施形態7.ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、実施形態6に記載のプロセス。
【0084】
実施形態8.ポリオレフィニル基が、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリメリル基である、実施形態7に記載のプロセス。
【0085】
実施形態9.ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンから誘導された単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態7に記載のプロセス。
【0086】
実施形態10.ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンから誘導された単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態7に記載のプロセス。
【0087】
実施形態11.C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態9又は10に記載のプロセス。
【0088】
実施形態12.ポリオレフィニル基が、エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリメリル基である、実施形態7に記載のプロセス。
【0089】
実施形態13.ポリオレフィニル基が、ブロック複合体、特定のブロック複合体、及び結晶質ブロック複合体のポリメリル基からなる群から選択される、実施形態6に記載の方法。
【0090】
実施形態14.ポリオレフィニル基が、プロピレン系ポリメリル基である、実施形態6に記載のプロセス。
【0091】
実施形態15.ポリオレフィニル基が、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリメリル基である、実施形態14に記載のプロセス。
【0092】
実施形態16.ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態14に記載のプロセス。
【0093】
実施形態17.ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態14に記載のプロセス。
【0094】
実施形態18.C4~C30アルファ-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態16又は17に記載のプロセス。
【0095】
実施形態19.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態6~18のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態20.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、365g/mol~10,000,000g/mol超、又は365g/mol~5,000,000g/mol超、又は365g/mol~1,000,000g/mol超、又は365g/mol~750,000g/mol超、又は365g/mol~500,000g/mol超、又は365g/mol~250,000g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態6~19のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態21.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有する、実施形態6~20のいずれか1つに記載のプロセス。
【0098】
実施形態22.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、実施形態6~21のいずれか1つに記載のプロセス。
【0099】
実施形態23.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn)を有する、実施形態6~22のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態24.mが、1である、実施形態2~23のいずれか1つに記載のプロセス。
【0101】
実施形態25.工程a)及びb)の各々が、40℃~150℃の温度で実施される、実施形態1~24のいずれか1つに記載のプロセス。
【0102】
実施形態26.アルファ置換アクリレートが、アルファ-(ハロメチル)アクリレートを含む出発材料と、式RZn又はRAlの有機金属化合物と、を混合することを含むプロセスによって調製され、アルファ-(ハロメチル)アクリレートが、式(I)を有し、
【0103】
【化12】
式中、
Xが、ハロゲン化物であり、R及びR1が、上記に定義されたとおりである、実施形態1~25のいずれか1つに記載のプロセス。
【0104】
実施形態27.各ラジカル開始剤が、アゾ化合物又はパーオキサイドである、実施形態1~26のいずれか1つに記載のプロセス。
【0105】
実施形態28.RAFT材料及び/又は反応材料が、溶媒を更に含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載のプロセス。
【0106】
実施形態29.式(VI)を有するオレフィン-アクリレートブロックコポリマーであって、
【0107】
【化13】
式中、
各R1が、独立して、水素又はC1~C30ヒドロカルビル基であり、
R2が、水素又はメチル基であり、
Rが、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり、
R11が、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換された飽和、不飽和、又は芳香族炭素環式環若しくは複素環式環、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシ、及び任意選択的に置換されたジアルキルアミノからなる群から選択され、R11・が、フリーラジカル重合を開始し得るフリーラジカル脱離基であり、
Zが、水素、塩素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたアルキルチオ、任意選択的に置換されたアルコキシカルボニル、任意選択的に置換されたアリールオキシカルボニル(-COOR”)、カルボキシ(-COOH)、任意選択的に置換されたアシルオキシ(-OCR”)、任意選択的に置換されたカルバモイル(-CONR”)、シアノ(-CN)、ジアルキル-又はジアリール-ホスホナト[-P(=O)OR”]、及びジアルキル-又はジアリール-ホスフィナト[-P(=O)R”]からなる群から選択され、
各R”が、独立して、任意選択的に置換されたC1~C18アルキル、C2~C18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され、置換基が、独立して、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシアシル、アシルオキシ、カルボキシ(及び塩)、スルホン酸(及び塩)、アルコキシ-又はアリールオキシカルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノからなる群から選択され、
I・が、ラジカル開始剤、又はフリーラジカル重合を開始するRAFT剤のR11から得られるフリーラジカル脱離基であり、
nが、2~500であり、
mが、1~50である、オレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0108】
実施形態30.各R1が、独立して、線状、分岐状、又は環式であるC1~C30、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態29に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0109】
実施形態31.Rが、C1~C26ヒドロカルビル基である、実施形態29又は30に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0110】
実施形態32.Rが、線状、分岐状、又は環式であるC1~C26、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態31に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0111】
実施形態33.Rが、ポリオレフィニル基である、実施形態29又は30に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0112】
実施形態34.ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、実施形態33に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0113】
実施形態35.ポリオレフィニル基が、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0114】
実施形態36.ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンから誘導された単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0115】
実施形態37.ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンから誘導された単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0116】
実施形態38.C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態36又は37に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0117】
実施形態39.ポリオレフィニル基が、エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリメリル基である、実施形態34に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0118】
実施形態40.ポリオレフィニル基が、ブロック複合体、特定のブロック複合体、及び結晶質ブロック複合体のポリメリル基からなる群から選択される、実施形態33に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0119】
実施形態41.ポリオレフィニル基がプロピレン系ポリメリル基である、実施形態33に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0120】
実施形態42.ポリオレフィニル基が、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリメリル基である、実施形態41に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0121】
実施形態43.ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態41に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0122】
実施形態44.ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態41に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0123】
実施形態45.C4~C30アルファ-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態43又は44に記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0124】
実施形態46.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態33~45のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0125】
実施形態47.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、365g/mol超~10,000,000g/mol、又は365g/mol超~5,000,000g/mol、又は365g/mol超~1,000,000g/mol、又は365g/mol超~750,000g/mol、又は365g/mol超~500,000g/mol、又は365g/mol超~250,000g/molの数平均分子量を有する、実施形態33~46のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0126】
実施形態48.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有し、
ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、実施形態33~47のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0127】
実施形態49.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義され得、R-Hが、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn)を有する、実施形態33~48のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0128】
実施形態50.mが、1である、実施形態33~49のいずれか1つに記載のオレフィン-アクリレートブロックコポリマー。
【0129】
試験方法
密度:
密度は、ASTM D-792の方法Bに従って測定する。
【0130】
メルトインデックス:
メルトインデックス(I)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分当たりに溶出したグラムで報告した。
【0131】
GPC
以下に従ってGPCを介して、試料ポリマーのそれらの特性について試験した。
【0132】
分子量(Molecular Weight、MW)及び分子量分布(Molecular Weight Distribution、MWD)の決定に、PolymerChar Inc(Valencia,Spain)からの赤外線濃度検出器(IR-5)からなる高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステム(GPC IR)を使用した。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(trichlorobenzene、TCB)であった。オートサンプラーコンパートメントを、160℃で稼働し、カラムコンパートメントを150℃で稼働した。使用したカラムは、4つのPolymer Laboratories Mixed A LS、20ミクロンカラムであった。クロマトグラフィー溶媒(TCB)及び試料調製溶媒は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)及び窒素を散布した同じ溶媒源からであった。試料は、TCB中で2mg/mLの濃度で調製した。160℃で2時間、ポリマー試料を穏やかに振とうした。注入量は200μlであり、流速は1.0ml/分であった。
【0133】
GPCカラムセットの較正を、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて実施した。標準物質の分子量は、580~8,400,000g/molの範囲であり、6つの「カクテル」混合物に配置され、個々の分子量間に少なくとも一桁の間隔があった。
【0134】
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を実行することによって、GPCカラムセットを較正した。標準物質の分子量(Mw)は、1モル当たり580-8,400,000グラム(g/mol)の範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有された。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも一桁の間隔を有した。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入した。ポリスチレン標準物質を、1,000,000g/mol以上の分子量について50mLの溶媒中0.025g、及び1,000,000g/mol未満の分子量について50mLの溶媒中0.05gで調製した。ポリスチレン標準物質を、80℃で30分間穏やかに撹拌しながら溶解した。狭い標準混合物を最初に、かつ分解を最小限に抑えるために最高分子量(Mw)成分を減少させる順序で実行した。ポリスチレン標準ピーク分子量は、Mark-Houwink定数を用いてポリエチレンMwに変換した。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度に関する2つの線状基準通常較正を構築するために2つの値を使用した。
【0135】
ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の式を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり)。
ポリエチレン=A(Mポリスチレン (1)
【0136】
式中、Bは、1.0の値を有し、Aの実験的に決定された値は、約0.41である。
【0137】
三次多項式が使用され、方程式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン等価較正点を、それらの観察されたポリスチレン標準の溶出堆積に適合させた。
【0138】
数平均、重量平均、及びz平均分子量を、以下の式に従って計算した。
【0139】
【数1】
【0140】
式中、Wfは、i番目の成分の重量分率であり、Mは、i番目の成分の分子量である。
【0141】
MWDを、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率として表した。
【0142】
正確なA値を、式(3)を使用して計算されたMw及び対応する保持堆積多項式が、標準線状ポリエチレンホモポリマー参照物の既知のMw値120,000g/molに一致するまで、式(1)のA値を調整することによって決定した。
【0143】
GPCシステムは、搭載型示差屈折率検出器(RI)を装備した、Waters(Milford,Mass.)150℃高温クロマトグラフ(他の好適な高温GPC器材としては、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)モデル210及びモデル220が挙げられる)からなる。追加の検出器としては、Polymer ChAR(Valencia,Spain)のIR4赤外線検出器、Precision Detectors(Amherst,Mass.)2角レーザー光散乱検出器モデル2040、及びViscotek(Houston,Tex.)150R 4-キャピラリー溶液粘度計が挙げられ得る。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D-GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度角又は90度角のいずれかを計算の目的のために使用した。
【0144】
データ収集を、Viscotek TriSECソフトウェア、バージョン3及び4つのチャネルのViscotek Data Manager DM400を使用して実施した。このシステムには、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっていた。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラム又は4つの20ミクロンの混合細孔サイズパッキングの30cmのPolymer Labカラムなどの好適な高温GPC(MixA LS、Polymer Lab)カラムを使用することができた。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で稼働させ、カラムコンパートメントを150℃で稼働させた。試料を50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製した。クロマトグラフ溶媒及び試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒に窒素を散布した。ポリエチレン試料を160℃で4時間(4時間)穏やかに撹拌した。注入量は200マイクロリットル(μL)であった。GPCを通る流量を、1mL/分に設定した。
【0145】
NMR(13C及びH):
NMR分析を、クロロホルム又はベンゼンなどの標準NMR溶媒を使用して室温で実施し、データをVarian 500MHz分光計で取得した。
【0146】
拡散NMR:実験は2048スキャン及び15秒の繰り返し時間を採用した。スペクトルは90ppmを中心とし、240ppmの帯域幅を覆った。自己拡散係数(D)は、二重刺激エコーを備えたパルス磁場勾配NMRを使用して1H及び13C検出拡散によって測定されて、熱対流による任意のアーチファクトを軽減した。一般に、本方法は、磁場の空間変動、すなわち磁場勾配(g)を利用して、明確に定義された時間間隔の間に分子アンサンブルの空間位置を物理的に標識し、それによって、NMRピーク強度を各分子の自己拡散(D)に結合させた。Dは、Stejskal-Tanner等式を使用して定量化され(式5)、式中、I及びI0は、勾配の有無にかかわらずNMRシグナル強度を表す。γは、核のジャイロ磁気比、gは、勾配強度であり、δは、勾配パルス持続時間であり、Δは、拡散時間である。同じ分子からのピークが同じDをもたらす必要があることを念頭に置いて、そのような方法は、スペクトル分解能を摂動することなく、各ピークに関連するDによるNMRピークの固有の分離を可能にする。この方法は、本質的にまた、サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography、SEC)の類似体とみなすこともでき、すなわち大分子は早期に遅延/溶出するか、又はその逆である。したがって、測定は、D末端対D骨格を比較することによって、ポリマー骨格が、特定の末端基によってキャッピングされているかどうかを示す分子間情報を明示的に提供する。
【0147】
【数2】
【0148】
GCMS:
電子衝撃イオン化(electron impact ionization、EI)を用いたタンデムガスクロマトグラフィー/低分解能質量分析を、Agilent Technologies 5975不活性XL質量選択検出器及びAgilent Technologies Capillaryカラム(HP1MS、15m×0.25mm、0.25ミクロン)を装備したAgilent Technologies 6890Nシリーズガスクロマトグラフ上で70eVで、以下に関して実施する
プログラムされた方法:
50℃で0.5分間のオーブン平衡化時間
次いで、200℃まで25℃/分、及び5分間保持
実行時間11分
【実施例
【0149】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を例示することを意図しており、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【0150】
特に明記しない限り、すべての材料及び試薬は、例えば、Sigma Aldrichから市販されている。
【0151】
実施例1
【0152】
【化14】
【0153】
実施例1の反応を、不活性窒素雰囲気グローブボックス下で、例示的かつ非限定的である上記の反応スキームに従って実施した。Isopar(商標)E(1.76mmol)中0.30Mジオクチル亜鉛溶液5.88mLを20mLバイアルに加えた。溶液を60℃に加熱した。0.500gのメチル2-(クロロメチル)アクリレート(3.72mmol、2当量)を熱いジオクチル亜鉛溶液に滴下した。ゆっくりと滴下する過程で、溶液は淡褐色から透明になり、可視白色沈殿物によって濁った。数分後、沈殿物はバイアルの底に粘着性の黄色残渣として沈降した。60℃で48時間後、NMR内部標準としてヘキサメチルベンゼン(0.511mmol)83mgを加えた。NMR変換率は62.6%と算出された。NMR分析を図1A及び図1Bに示す。図1C及び図1Dに見られるように、反応アリコートのGC-MSは、所望の生成物の形成を示した(より低い保持時間ピークはIsopar(商標)Eに対応する)。反応物を水でクエンチした。Zn塩及び内部標準を除去するための精製は、2%酢酸エチルのヘキサン混合物で溶出するカラムクロマトグラフィーによって行った。405mgの生成物を単離した(51%)。
【0154】
実施例2
【0155】
【化15】
【0156】
反応を窒素雰囲気グローブボックス内で実施した。t-ブチルアクリレートを反応開始前にアルミナカートリッジに通過させて、抑制剤を除去した。t-ブチルアクリレート(4mL、27.6mmol)、トルエン中の0.2MのAIBN(0.140mL、0.028mmol、0.001等量)、4-シアノ-4-(((ドデシルチオ)カルボノチオイル)チオ)ペンタン酸(0.113g、0.280mmol,0.01等量)を、撹拌棒を備えた20mLのバイアルに添加した。反応混合物を60℃に加熱し、H NMRによって監視した。3時間後、反応混合物は、非常に粘性のある黄色の液体に変化した。グローブボックスから取り出し、バイアルを空気に曝すことによって、反応をクエンチした。粘性液体を15mLのTHFに溶解して、ポリマーを再溶解した。THF溶液をドライアイス/アセトン浴中で約300mLの冷ヘキサンに添加することによってポリマーを沈殿させ、液体を迅速にデカントし、ドライアイス浴に依然として浸漬させたまま、瓶の底部に黄色の固体を回収した。ポリマーをクロロベンゼンで洗浄して過剰なヘキサンを除去し、シュレンクラインで一晩乾燥させた。
【0157】
続いて、ポリマーをグローブボックスに戻し、約3mLのトルエン中に溶解した。トルエン溶液を、バイアルからキャップを外して10分間撹拌することにより、ポリマーを脱気した。実施例1で調製された化合物を添加し、週末にわたって60℃に加熱した後、NMRは、反応があまり進行していないことを示した。追加の59uLの0.2MのAIBNを添加し、60℃で加熱し続ける。NMRは、再度反応を示さなかった。追加の2mLのトルエンを反応混合物に添加して粘度を減少させた。59uLの0.2MのAIBNを添加し、反応物を60℃に加熱した。48時間後、メチンシグナルの相対強度の減少によって、反応が起こったように思われた。
【0158】
ドライアイス/アセトン浴で冷却された冷ヘキサンに添加することによって、ポリマーを沈殿させた。ポリマーは、ヘキサンがドライアイス浴のわずかに外側で温められるとすぐに、粘性物に戻った黄色の固体であった。溶媒をロータバップ及びシュレンクライン(50℃)で除去した。実施例2のNMR及び拡散NMRスペクトルを、それぞれ図2A及び2Bにおいて提供する。以下の表1は、実施例2の反応前後の特定のデータを提供する。
【0159】
【表1】
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
【国際調査報告】