(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】水分調節組成物および当該水分調節組成物を含有する支持材料
(51)【国際特許分類】
B01J 20/22 20060101AFI20230605BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230605BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20230605BHJP
A24F 25/02 20060101ALI20230605BHJP
B65D 65/40 20060101ALN20230605BHJP
【FI】
B01J20/22 A
B01J20/28 Z
B01J20/30
A24F25/02
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022566345
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2021061758
(87)【国際公開番号】W WO2021224281
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ネアグ クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3E086
4G066
【Fターム(参考)】
3E086AB02
3E086BA04
3E086BA24
3E086BA25
3E086BB90
3E086CA40
3E086DA06
4G066AB06B
4G066AB07B
4G066AB09B
4G066AB15B
4G066AB21B
4G066AB24B
4G066AC01D
4G066AC11B
4G066AC12D
4G066AC16D
4G066AC17D
4G066AC22D
4G066BA03
4G066BA11
4G066BA16
4G066BA25
4G066CA43
4G066DA03
4G066FA12
4G066FA21
4G066FA37
4G066FA38
(57)【要約】
水分調節組成物は、総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物と、総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む水分調節組成物であって、前記少なくとも一つの金属有機構造体化合物が、
フマル酸アルミニウム(C
12H
6Al
2O
12)と、
1,4-ベンゼンジカルボン酸によって相互接続され、かつ実験式[Cr
3(O)X(bdc)
3(H
2O)
2]を有する三量体クロム(III)八面体クラスターを含み、式中、bdcが、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸であり、Xは、OHまたはFである、テレフタル酸クロム金属有機構造体MIL-101(Cr)と、
官能化テレフタル酸クロム金属有機構造体MIL-101(Cr)-Xであって、式中、Xが、電子吸引基(NO
2、SO
3HまたはCl)または電子供与基(NH
2またはCH
3)を指し、好ましくはMIL-101(Cr)-NO
2である、官能化テレフタル酸クロム金属有機構造体MIL-101(Cr)-Xと、
テレフタル酸鉄金属有機構造体MIL-101(Fe)と、
化学式[Cr
3(μ3-O)(H
2O)2(TCPT)1.5Cl]のsocトポロジーCr-soc-金属有機構造体-1が基礎をなすクロム系金属有機構造体であって、式中、TCPTが、テトラトピック3,3”,5,5”-テトラキス(4-カルボキシフェニル)-p-テルフェニルリガンドである、クロム系金属有機構造体と、
Zr(IV)-MOF BUT-46F、BUT-46A、BUT-46W、およびBUT-46B)として示され、好ましくはZr(IV)-MOF BUT-46Aである、希少な低対称9-結合Zr6 MOFを有する等構造Zr(IV)-MOFと、
ハイブリッド微多孔性高結合希土類系金属有機構造体Y-shp-MOF-5であって、式中「shp」が、正方六角形プリズムを指す、ハイブリッド微多孔性高結合希土類系金属有機構造体Y-shp-MOF-5と、
またはこれらの任意の組み合わせ、から成る群内で選ばれ、
かつ、少なくとも一つの結合剤が、デンプン((C
6H
10O
5)n-(H
2O))、アルギン酸((C
6H
8O
6)n)、アルギネート、ポリアクリル酸のコポリマー((C
3H
4O
2)n)、および/またはマレイン酸のコポリマー(HO
2CCH=CHCO
2H)、ポリアスパラギン酸((C
4H
5NO
3)n)、ポリビニルアルコール-co-エチレン(EVOH、C
4H
8O)、ポリビニルアルコール-co-酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド((-CH
2CH
2O-)n)、またはこれらの任意の組み合わせから成る群内で選ばれる、水分調節組成物。
【請求項2】
溶媒と、請求項1に記載の水分調節組成物と、を含む、水分調節溶液であって、前記少なくとも一つの金属有機構造体が、前記水分調節溶液の総体積の約5パーセント~約40パーセントの間を形成し、好ましくは、前記水分調節溶液の前記総体積の約5パーセント~約35パーセントの間を形成し、より好ましくは、前記水分調節溶液の前記総体積の約10パーセント~約30パーセントを形成し、より好ましくは、前記水分調節溶液の前記総体積の約15パーセント~約25パーセントを形成し、かつ前記溶媒が好ましくは水である、水分調節溶液。
【請求項3】
請求項1に記載の水分調節組成物を含む支持材料であって、好ましくは繊維系材料またはプラスチック支持材料である、支持材料。
【請求項4】
前記支持材料が、紙、ボール紙、布地、織物、不織布、ポリマー、ポリマー発泡体、およびポリマーフィルムから成る群内で選ばれる、請求項3に記載の支持材料。
【請求項5】
前記支持材料内に20~300グラム毎平方メートルから成る量の前記水分調節材料をさらに含み、前記少なくとも一つの金属有機構造体と前記少なくとも一つの結合剤との間の前記相対重量比が、好ましくは1:4~3:2から成る、請求項3または4に記載の支持材料。
【請求項6】
前記水分調節組成物が前記支持材料内に含浸される、請求項3または4に記載の支持材料。
【請求項7】
前記支持材料が、繊維系材料またはプラスチック材料で作製された支持層と、前記支持層上に塗布され、かつ請求項1に記載の水分調節組成物を含有するコーティング層と、を備え、それにより、前記支持材料中の前記水分調節材料の量が、20~300グラム毎平方メートルから成る、請求項3または4に記載の支持材料。
【請求項8】
前記支持材料が、10000~900000グラム毎立方メートルの密度を有する発泡支持材料である、請求項3~7のいずれか一項に記載の支持材料。
【請求項9】
請求項3~8のいずれか一項に記載の支持材料を含む、水分調節パッケージ。
【請求項10】
約0.30~約5.00グラム、好ましくは約0.50~約2.50グラム、より好ましくは約0.75~約1.50グラム、より好ましくは約1.00グラムから成る量の少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)を含む、請求項9に記載の水分調節パッケージ。
【請求項11】
請求項1に記載の水分調節組成物を含有する支持材料を調製する方法であって、
a)支持材料を提供する工程と、
b)請求項1に記載の前記水分調節組成物および溶媒を含有する水分調節溶液の含浸浴を提供する工程と、
c)前記支持材料が前記含浸浴の前記溶液で含浸されるまで、前記支持材料を前記含浸浴の中へと浸す工程と、
d)摂氏23度の温度および1気圧の圧力において、前記少なくとも一つの金属有機構造体の対応する収着等温線による、約0~25パーセントから成る相対湿度によって特徴付けられる気水混合物と平衡状態にあることになる水分含量を呈する、前記少なくとも一つの金属有機構造体を含む支持材料を得るように、前記支持材料から前記溶媒を蒸発させるために前記支持材料を乾燥する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の前記水分調節組成物を含有する支持材料を調製する方法であって、
a1)支持材料を提供する工程と、
b1)請求項1に記載の前記水分調節組成物および溶媒を含有する水分調節溶液の含浸浴を提供する工程と、
c1)前記支持材料が前記含浸浴の前記溶液で含浸されるまで、前記支持材料を前記含浸浴の中へと浸す工程と、
d1)前記少なくとも一つの金属有機構造体の水を有しない重量に基づいて約0重量パーセント~25重量パーセントから成る水分含量を呈する前記少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るように、前記支持材料から前記溶媒を蒸発させるために、前記支持材料を乾燥する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、工程c)の後かつ工程d)の前に、または請求項12に記載の方法であって、工程c1)の後かつ工程d1)の前に、
c2)前記支持体から過剰な溶液を除去するために、前記含浸浴の前記溶液で含浸された前記支持材料を計量ロールへと供給する工程と、をさらに含む、方法。
【請求項14】
前記支持材料が、前記含浸浴へと連続的に供給される支持材料のウェブである、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む水分調節組成物であって、前記少なくとも一つの金属有機構造体化合物が、
フマル酸アルミニウム(C
12H
6Al
2O
12)と、
官能化テレフタル酸クロム金属有機構造体、MIL-101(Cr)-Xであって、式中、Xが、電子吸引基(NO
2、SO
3HまたはCl)または電子供与基(NH
2またはCH
3)を指し、好ましくはMIL-101(Cr)-NO
2である、官能化テレフタル酸クロム金属有機構造体MIL-101(Cr)-Xと、
テレフタル酸鉄金属有機構造体MIL-101(Fe)と、
化学式[Cr
3(μ3-O)(H
2O)2(TCPT)1.5Cl]のsocトポロジーCr-soc-金属有機構造体-1が基礎をなすクロム系金属有機構造体であって、式中、TCPTが、テトラトピック3,3”,5,5”-テトラキス(4-カルボキシフェニル)-p-テルフェニルリガンドである、クロム系金属有機構造体と、
Zr(IV)-MOF BUT-46F、BUT-46A、BUT-46W、およびBUT-46B)として示され、好ましくはZr(IV)-MOFs BUT-46Aである、希少な低対称9-結合Zr6 MOFを有する等構造Zr(IV)-MOFと、
ハイブリッド微多孔性高結合希土類系金属有機構造体Y-shp-MOF-5であって、式中「shp」が、正方六角形プリズムを指す、ハイブリッド微多孔性高結合希土類系金属有機構造体Y-shp-MOF-5と、
またはこれらの任意の組み合わせ、から成る群内で選ばれ、
前記少なくとも一つの結合剤が、カルボキシメチルセルロース(CMC、C
6H
7O
2(OH)2CH
2COONa)、ヒドロキシエチルセルロース(C
29H
52O
21)、ヒドロキシプロピルセルロース(C
36H
70O
19)、ポリビニルアルコール((C
2H
4O)x)、またはこれらの任意の組み合わせから成る群内で選ばれる、水分調節組成物。
【請求項16】
溶媒と、請求項15に記載の前記水分調節組成物と、を含む、水分調節溶液であって、前記少なくとも一つの金属有機構造体が、前記水分調節溶液の総体積の約5パーセント~約40パーセントを形成し、好ましくは、前記水分調節溶液の前記総体積の約5パーセント~約35パーセントを形成し、より好ましくは、前記水分調節溶液の前記総体積の約10パーセント~約30パーセントを形成し、より好ましくは、前記水分調節溶液の前記総体積の約15パーセント~約25パーセントを形成し、かつ前記溶媒が好ましくは水である、水分調節溶液。
【請求項17】
請求項15に記載の水分調節組成物を含む支持材料であって、好ましくは繊維系材料またはプラスチック支持材料である、支持材料。
【請求項18】
前記支持材料が、紙、ボール紙、布地、織物、不織布、ポリマー、ポリマー発泡体、およびポリマーフィルムから成る群内で選ばれる、請求項17に記載の支持材料。
【請求項19】
前記支持材料内に20~300グラム毎平方メートルから成る量の前記水分調節材料をさらに含み、前記少なくとも一つの金属有機構造体と、前記少なくとも一つの結合剤との間の前記相対重量比が、好ましくは1:4~3:2から成る、請求項17または18に記載の支持材料。
【請求項20】
前記水分調節組成物が前記支持材料内に含浸される、請求項17または18に記載の支持材料。
【請求項21】
前記支持材料が、繊維系材料またはプラスチック材料で作製された支持層と、前記支持層上に塗布され、かつ請求項1に記載の水分調節組成物を含有するコーティング層と、を備え、それにより、前記支持材料中の前記水分調節材料の量が、20~300グラム毎平方メートルから成る、請求項17または18に記載の支持材料。
【請求項22】
前記支持材料が、10000~900000グラム毎立方メートルの密度を有する発泡支持材料である、請求項17~21のいずれか一項に記載の支持材料。
【請求項23】
請求項18~22のいずれか一項に記載の支持材料を含む、水分調節パッケージ。
【請求項24】
約0.30~約5.00グラム、好ましくは約0.50~約2.50グラム、より好ましくは約0.75~約1.50グラム、より好ましくは約1.00グラムから成る量の少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)を含む、請求項23に記載の水分調節パッケージ。
【請求項25】
請求項15に記載の前記水分調節組成物を含有する支持材料を調製する方法であって、
e)支持材料を提供する工程と、
f)請求項15に記載の前記水分調節組成物および溶媒を含有する水分調節溶液の含浸浴を提供する工程と、
g)前記支持材料が前記含浸浴の前記溶液で含浸されるまで、前記支持材料を前記含浸浴の中へと浸す工程と、
h)摂氏23度の温度および1気圧の圧力において、前記少なくとも一つの金属有機構造体の対応する収着等温線による、約0~25パーセントから成る相対湿度によって特徴付けられる気水混合物と平衡状態にあることになる水分含量を呈する、前記少なくとも一つの金属有機構造体を含む支持材料を得るように、前記支持材料から前記溶媒を蒸発させるために前記支持材料を乾燥する工程と、を含む、方法。
【請求項26】
請求項15に記載の前記水分調節組成物を含有する支持材料を調製する方法であって、
e1)支持材料を提供する工程と、
f1)請求項15に記載の前記水分調節組成物および溶媒を含有する水分調節溶液の含浸浴を提供する工程と、
g1)前記支持材料が前記含浸浴の前記溶液で含浸されるまで、前記支持材料を前記含浸浴の中へと浸す工程と、
h1)前記少なくとも一つの金属有機構造体の水を有しない重量に基づいて約0重量パーセント~25重量パーセントから成る水分含量を呈する前記少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るように、前記支持材料から前記溶媒を蒸発させるために、前記支持材料を乾燥する工程と、を含む、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法であって、工程g)の後かつ工程h)の前に、または請求項26に記載の方法であって、工程g1)の後かつ工程h1)の前に、
g2)前記支持体から過剰な溶液を除去するために、前記含浸浴の前記溶液で含浸された前記支持材料を計量ロールへと供給する工程と、をさらに含む、方法。
【請求項28】
前記支持材料が、前記含浸浴へと連続的に供給される支持材料のウェブである、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、望ましい閉鎖環境内の相対湿度水分を調節するための、または製品の水分含量を調節するための、またはパッケージの内側の相対湿度を調節するための、水分調節組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、水分調節組成物を含有する支持材料にも関する。
【0003】
本発明はさらに、水分調節組成物とともに提供される支持材料を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
多くの製品が、ある特定のレベルの水分含量を有して製造または包装されるが、それらの製品は、経時的に、環境から湿気を吸着する傾向がある。湿気の吸着は、製品の特性を損う。製品の感覚刺激特性および物理的特性もまた、製品の水分含量の増加によって劣化する。
【発明の概要】
【0005】
数多くの製品は、望ましいレベルの水分含量で新鮮さ、または新鮮さの知覚を保持する。新鮮さを維持するために、数多くの製品は、相対湿度の望ましい条件で保存されるべきである。
【0006】
したがって、製品の最終的な使用まで製品の質を保つために、製品の水分含量をある特定のレベルに保持することが必要である。
【0007】
最終的な使用まで製品の特性を最適化するために、発送、流通、貯蔵寿命、および製品使用寿命全体を通して製品の水分含量を制御することが必要である。消費者の体験および消費者の満足度を保つために、製品の質を保つことが必要である。
【0008】
例えば、パッケージ内に収容される製品については、製品の水分含量を、開封前に、および使用中にも、またパッケージ内に残っている製品の最後のユニットまで、制御することが望ましい。
【0009】
湿気の吸着を低減し、かつ望ましい貯蔵寿命を達成するために、湿気の吸着を低減するための異なるバリア材料が提供された数多くの異なる包装解決策が提案されている。
【0010】
もう一方の側面では、これも製品の特性を損うことになる、パッケージ内の製品の高度すぎる乾燥を回避することも必要である。
【0011】
第一の態様では、本発明は、総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物と、総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料と、を含む水分調節組成物を提供する。
【0012】
水分調節組成物が提供される。本発明の水分調節組成物は、定義された範囲の相対湿度で水を吸着する。
【0013】
第二の態様では、本発明は、総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む水分調節組成物と、少なくとも一つの金属有機構造体がその中で水分調節溶液の総体積の約5パーセント~約40パーセントを形成する水分調節溶液を得るような量の溶媒と、を含む水分調節溶液を提供する。
【0014】
水分調節溶液が提供される。本発明の水分調節溶液は、定義された範囲の相対湿度で水を吸着する。
【0015】
本発明の第三の態様では、本発明は、支持材料またはプラスチック支持材料を含む支持材料と、総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む水分調節組成物と、が提供される。
【0016】
支持材料は、支持材料の近くに位置付けられた製品の水分含量を、予め定義された範囲内に保持することを可能にする。
【0017】
第四の態様によると、総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む、水分調節組成物を含有する支持材料を調製するための方法が提供され、本方法は、以下の工程:
支持材料を提供する工程と、
総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物、および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む水分調節組成物と、溶媒と、を有する水分調節溶液を含有する含浸浴を提供する工程と、
支持材料が含浸浴の溶液で含浸されるまで、支持材料を含浸浴の中へと浸す工程と、
摂氏23度の温度および1気圧の圧力において、少なくとも一つの金属有機構造体の対応する収着等温線に従って約0~25パーセントから成る相対湿度によって特徴付けられる気水混合物と平衡状態にあることになる水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るように、支持材料から溶媒を蒸発させるために、支持材料を乾燥する工程と、を含む。
【0018】
本発明の第五の態様では、総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む、水分調節組成物を含有する支持材料を調製するための方法が提供され、本方法は、以下の工程:
支持材料を提供する工程と、
総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物、および総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料を含む水分調節組成物と、溶媒と、を有する水分調節溶液を含有する含浸浴を提供する工程と、
支持材料が含浸浴の溶液で含浸されるまで、支持材料を含浸浴の中へと浸す工程と、
少なくとも一つの金属有機構造体の水を有しない重量に基づいて約0重量パーセント~25重量パーセントから成る水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るように、支持材料から溶媒を蒸発させるために、支持材料を乾燥する工程と、を含む。
【0019】
それ故に、製品の水分含量を調節する、または閉鎖環境の相対湿度を調節するために適切な支持材料が得られる。
【0020】
水分調節組成物、水分調節溶液、および支持材料は、製品の水分含量を制御し、かつ製品の水分含量を定義された範囲内に保持するために使用されてもよい。したがって、製品の質を保つことが可能である。
【0021】
水分調節組成物は、例えば、パッケージのような閉鎖環境内の相対湿度を、予め定義された範囲内に保持することを可能にする。
【0022】
水分調節組成物および水分調節溶液は、パッケージ内の相対湿度を定義された範囲内に保持するために使用されてもよい。したがって、パッケージ内に詰め込まれた製品の水分含量を望ましい範囲内に保持することが可能である。したがって、製品の質を保つことが可能である。
【0023】
一部の製品については、製品の含水量がある特定のレベルを上回って増加する時、または水分含量が低すぎる時のいずれかに、顧客は不良な体験を有する。本発明の水分調節組成物のおかげで、製品の水分含量を予め定義された範囲内に保持し、それ故に製品の感覚刺激特性および製品の消費者に対する体験を最適化することが可能である。
【0024】
水分調節組成物内の少なくとも一つの金属有機構造体の重量パーセント、少なくとも一つの結合剤の重量パーセントを適切に選ぶことによって、支持材料の水分含量または製品の水分含量を望ましい範囲内に調整することが可能である。
【0025】
水分調節組成物内の少なくとも一つの金属有機構造体のタイプ、少なくとも一つの結合剤のタイプ、またはその両方を適切に選ぶことによって、支持材料の近くに位置付けられた製品の水分含量を望ましい範囲内に調整することが可能である。
【0026】
それ故に、製品内の、望ましい範囲を超える、水分含量の望ましくない増加が回避される。
【0027】
それ故に、反対に、製品の、望ましい範囲を下回る、水分含量の望ましくない減少が回避される。
【0028】
それ故に、製品の劣化は回避され、また製品の質が保たれる。
【0029】
同様に、水分調節組成物内の金属有機構造体のタイプもしくは重量パーセント、または少なくとも一つの結合剤のタイプもしくは重量パーセントを適切に選ぶことによって、パッケージ内の相対湿度を望ましい範囲内に調整することが可能である。
【0030】
それ故に、パッケージ内側の相対湿度を予め定義された範囲内に保持するよう構成されたパッケージを得ることが可能である。得られたパッケージは、パッケージ内に詰め込まれた製品の水分含量を予め定義された範囲内に保持するように構成される。
【0031】
水分調節組成物は、以下では吸着範囲として示される、定義された相対湿度範囲内で水を吸着する。言い換えれば、水分調節組成物は、相対湿度のほぼ最小閾値~相対湿度のほぼ最大閾値から成る相対湿度の定義された範囲内で水を吸着する。
【0032】
水分調節組成物が水を吸着する相対湿度範囲は、水分調節組成物内で使用される金属有機構造体(複数可)および/または水分調節組成物内で使用される結合剤(複数可)に依存する。
【0033】
水分調節組成物は、相対湿度の最小閾値を下回る限定された量の水のみを吸着する。水分調節組成物は、相対湿度の最大閾値を上回る限定された量の水のみを吸着する。
【0034】
水分調節組成物は、吸着範囲内で、すなわち、相対湿度の最小閾値~相対湿度の最大閾値の相対湿度の範囲内で、少なからぬ量の水を吸着する。金属有機構造体(複数可)、結合剤(複数可)のタイプを選ぶことによって、相対湿度の最小閾値および相対湿度の最大閾値が調整され、またそれ故に吸着範囲の相対湿度値が調整される。
【0035】
それ故に、製品の水分含量を調整することが可能である。
【0036】
金属有機構造体(複数可)、結合剤(複数可)のタイプを選ぶことによって、ある特定の量の水、およびある特定の相対湿度の最小閾値および相対湿度の最大閾値内の水を吸着するように調整された水分調節組成物を得ることが可能である。
【0037】
よって、金属有機構造体(複数可)、結合剤(複数可)のタイプを選び、かつ少なくとも一つの金属有機構造体および少なくとも一つの結合剤の望ましい比を使用することによって、水分調節組成物が実質的に水を吸収する相対湿度の望ましい範囲に適合する収着等温線のS形状によって特徴付けられる水分調節組成物を得ることが可能である。
【0038】
金属有機構造体(複数可)、および結合剤(複数可)のタイプを選ぶことによって、水分調節組成物が実質的に水を吸着する相対湿度範囲が調整される。
【0039】
したがって、金属有機構造体(複数可)、結合剤(複数可)のタイプを選ぶことによって、水分調節組成物を含む支持材料の水分含量、または水分調節組成物を備えるパッケージの内側の相対湿度、または水分調節組成物を備えるパッケージ内に詰め込まれた製品の水分含量が調整される。
【0040】
パッケージ内の製品の水分含量を、開封前に、および使用中にも、またパッケージ内に残っている製品の最後のユニットまで、制御することが可能である。環境的な相対湿度の異なる条件下でさえも、製品の水分含量を制御することが可能である。
【0041】
また、パッケージ内の製品の高度すぎる乾燥、およびパッケージ内の製品の高度すぎる湿潤を回避することも可能である。
【0042】
少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)および結合剤(複数可)を選ぶことで、特定の製品のために適切な水分調節組成物を得ること、製品の水分含量をその製品に対して望ましいレベルに保持することが可能である。
【0043】
吸着範囲内で、水分調節組成物は、使用される金属有機構造体(複数可)、および使用される結合剤(複数可)に依存する効率で水を吸着する。
【0044】
吸着範囲内で、水分調節組成物によって吸着される水の量は、使用される金属有機構造体(複数可)、および使用される結合剤(複数可)に依存する。
【0045】
定義された温度において、化合物の吸着挙動は、平衡相対湿度のパーセントに対する吸着/脱着された水のパーセントの変化を示す、収着等温線として示される曲線によって表される。収着等温線は、ある特定の温度および圧力において得られ、またパーセント平衡相対湿度の関数として、水分調節組成物によって吸着/脱着された水のパーセントを示す。
【0046】
水分調節組成物の収着等温線は、シグモイドの経路、すなわち、「S」の形状に似た曲線を有する。
【0047】
水分調節組成物の収着等温線は、ゼロ相対湿度~相対湿度の最小閾値から成る第一の部分を有する。第一の部分では、水分調節組成物は、少ない量の水を吸着し、また吸着された水は、相対湿度に依存して漸増を有する。吸着された水の量は、水分調節組成物内で使用される金属有機構造体(複数可)、および結合剤(複数可)に依存する。相対湿度の閾値最小値の値は、水分調節組成物で使用される金属有機構造体(複数可)、および結合剤(複数可)に依存する。
【0048】
水分調節組成物の収着等温線は、相対湿度の最大閾値~約100パーセントの相対湿度から成る第二の部分を有する。第二の部分では、水分調節組成物は、少ない量の水を吸着し、また吸着された水は、相対湿度に依存して漸増を有する。吸着された水の量は、水分調節組成物内で使用される金属有機構造体(複数可)、および結合剤(複数可)に依存する。最大閾値相対湿度の値は、水分調節組成物で使用される金属有機構造体(複数可)、および結合剤(複数可)に依存する。
【0049】
水分調節組成物の収着等温線は、相対湿度の最小閾値~相対湿度の最大閾値から成る吸着部分をさらに含む。吸着部分では、水分調節組成物は、第一の部分または第二の部分に対してより多くの量の水を吸着する。吸着部分では、相対湿度に依存して、吸着される水は高度な増加を有する。吸着された水の量は、水分調節組成物内で使用される金属有機構造体(複数可)、および結合剤(複数可)に依存する。
【0050】
相対湿度の最小閾値は、摂氏約23度の温度および1気圧の圧力において約15~45パーセントから成ってもよい。相対湿度の最小閾値は、摂氏約23度の温度および1気圧の圧力において、好ましくは約20~40パーセントから成ってもよい。
【0051】
相対湿度の最大閾値は、摂氏約23度の温度および1気圧の圧力において約25~70パーセントから成ってもよい。相対湿度の最大閾値は、摂氏約23度の温度および1気圧の圧力において好ましくは約30~55パーセントから成ってもよい。
【0052】
吸着部分において吸着された水は、例えば、約5~約105パーセントから成ってもよく、金属有機構造体(複数可)の重量に関して、水のグラム/金属有機構造体(複数可)のグラムの比として表される。
【0053】
金属有機構造体は、水を吸着するうえで非常に効率的な化合物である。
【0054】
少なくとも一つの金属有機構造体は、フマル酸アルミニウム(C12H6Al2O12)であってもよい。
【0055】
少なくとも一つの金属有機構造体は、1,4-ベンゼンジカルボン酸によって相互接続され、かつ実験式[Cr3(O)X(bdc)3(H2O)2]を有する三量体クロム(III)八面体クラスターを含み、式中、bdcが、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸であり、Xが、OHまたはFである、テレフタル酸クロム金属有機構造体MIL-101(Cr)の群内で選ばれてもよい。一バージョンでは、金属有機構造体MIL-101(Cr)は、一般式(Cr3O(OH)(H2O)2(bdc)3を有する。
【0056】
少なくとも一つの金属有機構造体は、官能化テレフタル酸クロム金属有機構造体、MIL-101(Cr)-Xの群内で選ばれてもよく、式中、Xは、電子吸引基(NO2、SO3HまたはCl)または電子供与基(NH2またはCH3)を意味する。
【0057】
少なくとも一つの金属有機構造体は、アミノ官能化テレフタル酸クロム金属有機構造体、MIL-101(Cr)-NO2の群内で選ばれてもよい。
【0058】
少なくとも一つの金属有機構造体は、テレフタル酸鉄金属有機構造体、MIL-101(Fe)の群内で選ばれてもよい。
【0059】
少なくとも一つの金属有機構造体は、化学式[Cr3(μ3-O)(H2O)2(TCPT)1.5Cl]のsocトポロジーCr-soc-金属有機構造体-1が基礎をなすクロム系金属有機構造体の群内で選ばれてもよく、式中、TCPTは、テトラトピック3,3”,5,5”-テトラキス(4-カルボキシフェニル)-p-テルフェニルリガンドである。
【0060】
少なくとも一つの金属有機構造体は、Zr(IV)-MOFs BUT-46F、BUT-46A、BUT-46W、およびBUT-46Bとして示され、好ましくはZr(IV)-MOFs BUT-46Aである、希少な低対称9-結合Zr6クラスターMOFを有する等構造Zr(IV)-MOFの群内で選ばれてもよい。
【0061】
少なくとも一つの金属有機構造体は、ハイブリッド微多孔性高結合希土類系金属有機構造体Y-shp-MOF-5の群内で選ばれてもよく、式中「shp」は、正方六角形プリズムを指す。
【0062】
水分調節組成物は、上記に示す群のうちのいずれか一つの中で選ばれた複数の金属有機構造体化合物を含んでもよい。
【0063】
水分調節組成物または水分調節溶液は、フマル酸アルミニウムおよびMil-101(Cr)を含んでもよい。
【0064】
水分調節組成物または水分調節溶液は、フマル酸アルミニウムおよびMil-101(Fe)を含んでもよい。
【0065】
水分調節組成物または水分調節溶液は、金属有機構造体化合物の総重量に基づいて、約50重量パーセントのフマル酸アルミニウム、および約50重量パーセントのMil-101(Fe)を含んでもよい。
【0066】
任意の他の可能な金属有機構造体が水分調節組成物中に、または水分調節溶液中に使用されてもよいことが理解される。
【0067】
適切な金属有機構造体(複数可)を選ぶことによって、望ましい吸着範囲で水を吸着し、かつ水分含量を望ましいレベルに維持することが可能である。
【0068】
少なくとも一つの結合剤は、少なくとも一つの金属有機構造体の可溶化を改善するための水溶性担体である。
【0069】
結合剤の提供は、吸着作用を改善することを可能にする。さらに、結合剤の存在は、水分調節組成物の望ましい支持材料への結合を増加させる。
【0070】
結合剤は、支持材料上または包装材料上の少なくとも一つの金属有機構造体の結合を改善する。結合剤は、少なくとも一つの金属有機構造体からの水の吸着を強化するように、水が少なくとも一つの金属有機構造体に到達することを可能にする。結合剤はまた、少なくとも一つの金属有機構造体の吸着能力が損なわれることも回避する。
【0071】
水分調節組成物または水分調節溶液の少なくとも一つの結合剤は、デンプン((C6H10O5)n-(H2O))、カルボキシメチルセルロース(CMC、C6H7O2(OH)2CH2COONa)、アルギン酸((C6H8O6)n)、アルギネート、ポリアクリル酸((C3H4O2)n)のコポリマー、メタクリル酸(C4H6O2)のコポリマー、マレイン酸(HO2CCH=CHCO2H)のポリマーおよび/またはコポリマー、ポリアスパラギン酸((C4H5NO3)n)、ヒドロキシエチルセルロース(C29H52O21)、ヒドロキシプロピルセルロース(C36H70O19)、ポリビニルアルコール(C2H4O)x)、ポリビニルアルコール-co-エチレン(EVOH、C4H8O)、ポリビニルアルコール-co-酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド((-CH2CH2O-)n)、ポリエチレンオキシド-co-プロピレンオキシドから成る群内で選ばれてもよい。
【0072】
水分調節組成物または水分調節溶液は、複数の結合剤、例えば、上記に示される化合物の組み合わせを含んでもよい。
【0073】
結合剤の提供は、支持材料上の少なくとも金属有機構造体(複数可)の適用を改善することを可能にする。
【0074】
少なくとも一つの結合剤は、少なくとも一つの金属有機構造体の可溶化を改善するための水溶性担体であってもよい。
【0075】
水分調節組成物または水分調節溶液の少なくとも一つの結合剤は、ジャガイモデンプンであってもよい。
【0076】
任意の他の可能な結合剤が水分調節組成物中に、または水分調節溶液中に使用されてもよいことが理解される。
【0077】
水分調節組成物は、フマル酸アルミニウムおよびジャガイモデンプンを含んでもよい。
【0078】
水分調節組成物は、MIL-101(Cr)およびジャガイモデンプンを含んでもよい。
【0079】
水分調節溶液中の溶媒の量は、少なくとも一つの金属有機構造体および少なくとも一つの結合剤を混合および分散することができるように、水分調節組成物を希釈するために調整される。
【0080】
水分調節溶液中の溶媒の量は、支持材料上にコーティングまたは含浸することによって、水分調節溶液を適用するのに適した範囲の粘度を有する溶液を得るために調整される。
【0081】
水分調節溶液は、水分調節溶液中の水分調節組成物を溶解する溶媒として水を含んでもよい。
【0082】
異なる溶媒もまた、本発明の水分調節溶液中に使用することができる。
【0083】
溶媒は、少なくとも一つの結合剤および少なくとも一つの金属有機構造体を効果的に溶解するように、少なくとも一つの結合剤および少なくとも一つの金属有機構造体と相溶性がある。
【0084】
一部のバージョンでは、水分調節溶液は、少なくとも一つの結合剤および少なくとも一つの金属有機構造体を溶解するための複数の溶媒を含む。
【0085】
水分調節溶液は、有利なことに、水分調節溶液の総体積の約5パーセント~約35パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)を含む。
【0086】
水分調節溶液では、少なくとも一つの金属有機構造体は、水分調節溶液の総体積の約10パーセント~約30パーセントを形成してもよい。
【0087】
水分調節溶液では、少なくとも一つの金属有機構造体は、水分調節溶液の総体積の約15パーセント~約25パーセントを形成してもよい。
【0088】
あるバージョンでは、水分調節溶液は、溶媒として水を含み、また金属有機構造体としてのフマル酸アルミニウムの水分調節溶液の総体積の約20~40パーセントである。好ましくは、水分調節溶液は、フマル酸アルミニウムの水分調節溶液の総体積の約25パーセント~約35パーセントを含み、最も好ましくは、フマル酸アルミニウムの水分調節溶液の総体積の約32パーセントを含む。
【0089】
支持材料は、製品の水分含量を予め定義された範囲で維持する製品を包装するために使用されてもよい。
【0090】
支持材料は、パッケージ内の相対湿度およびパッケージ内にパッケージされた製品の水分含量を予め定義された範囲で維持することを可能にするパッケージを得るために使用されてもよい。支持材料は、パッケージの任意の部品を得るために使用されてもよい。本発明の支持材料は、異なるタイプのパッケージを得るために使用されてもよい。
【0091】
支持材料は、望ましい製品のパッケージを得るために使用される包装材料であってもよい。
【0092】
支持材料は、たばこ含有製品用のパッケージを得るために使用されてもよい。
【0093】
支持材料は、加熱非燃焼式たばこ含有製品用のパッケージを得るために使用されてもよい。
【0094】
支持材料は、繊維系材料を含んでもよい。
【0095】
支持材料は、プラスチック材料を含んでもよい。
【0096】
支持材料は、紙、ボール紙、布地、織物、不織材料、ポリマー、ポリマー発泡体、およびポリマーフィルムを含む群内で選ばれてもよい、
【0097】
支持材料のタイプは、得られるパッケージに依存して選ばれてもよい。
【0098】
水分調節組成物を含む他のタイプの支持材料が使用されてもよいことが理解される。
【0099】
支持材料は、約20~約200グラム毎平方メートルの坪量範囲を有する紙であってもよい。
【0100】
支持材料は、約180~約300グラム毎平方メートルの坪量を有するボール紙であってもよい。
【0101】
支持材料は、約20~300グラム毎平方メートルから成る量の水分調節組成物を含んでもよい。
【0102】
支持材料は、発泡支持材料であってもよい。発泡支持材料は、例えば、デンプン、タンパク質、セルロースのようなバイオポリマーから調製されてもよい。
【0103】
発泡支持材料を調製するために、水分調節組成物および追加的に少なくとも一つの調整剤が支持材料に添加されるように提供される。例えば、木材パルプ繊維、例えば、グリセロールのようなデンプン可塑剤、水が、調整剤として支持材料に添加されてもよい。
【0104】
次いで、発泡支持材料の形成を引き起こすために水蒸気発泡が実行される。
【0105】
その後、ホットプレス成形または水蒸気ベースの押出成形を実施して、望ましい形態の発泡材料を得る。
【0106】
約10000~約900000グラム毎立方メートルの範囲の密度を有する発泡支持材料が得られる。
【0107】
支持材料は、約0.30グラム(±20%)~約5.00グラム(±20%)から成る量の金属有機構造体(複数可)を含んでもよい。
【0108】
支持材料は、約0.50グラム(±20%)~約2.50グラム(±20%)から成る量の金属有機構造体(複数可)を含んでもよい。
【0109】
支持材料は、約0.75グラム(±20%)~約1.50グラム(±20%)から成る量の金属有機構造体(複数可)を含んでもよい。
【0110】
一実施形態では、支持材料は、少なくとも1.00グラム(±20%)の金属有機構造体(複数可)を含む。
【0111】
金属有機構造体(複数可)の量は、支持材料で包まれる製品、または支持材料を混ぜ合わせて作られる製品、および得られるパッケージ内の製品の量に依存する。
【0112】
有利なことに、支持材料は、支持材料を有して得られるパッケージ内に、少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)と、パッケージ内に包装された製品との間の重量比が1:6~1:2から成るような量の少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)を含む。
【0113】
有利なことに、支持材料は、支持材料を有して得られるパッケージ内の、少なくとも金属有機構造体(複数可)の重量が、パッケージ内に包装された製品の重量の約10パーセント~約50パーセントとなるような量の少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)を含む。
【0114】
支持材料は、約1.00グラム(±20%)のフマル酸アルミニウムを含んでもよい。
【0115】
支持材料は、約1.00グラム(±20%)のMIL-101(Cr)を含んでもよい。
【0116】
支持材料は、約1.00グラム(±20%)のMIL-101(Fe)を含んでもよい。
【0117】
支持材料は、約0.50グラム(±20%)のMIL-101(Cr)および約0.50グラム(±20%)のフマル酸アルミニウムを含んでもよい。
【0118】
支持体中のこれらの量の水分調節組成物は、例えば、紙巻たばこパッケージの事例、および加熱非燃焼式たばこ製品のパッケージの事例では、相対湿度を予め定義された範囲内の相対湿度に保持することを可能にする。これらの量の水分調節組成物は、水を効率的に吸着することを可能にする。
【0119】
支持材料は、1:4~3:2から成る金属有機構造体:結合剤の間の相対重量比を有する水分調節組成物を含む。
【0120】
これらの比は、水の効率的な吸着を可能にし、また相対湿度を望ましい範囲に効率的に保持することを可能にする。
【0121】
支持材料は、水分調節組成物で含浸されてもよい。湿式含浸プロセス、または乾式含浸プロセスを使用してもよい。
【0122】
水分調節組成物を支持材料に適用するために、交番電界の使用に基づいて少なくとも一つの金属有機構造体の粉末粒子を帯電させる乾式含浸プロセスは、少なくとも一つの金属有機構造体を、不織材料、織物、紙、および発泡体を含むすべての種類の多孔性支持材料上に堆積させることを可能にする。
【0123】
乾式含浸方法は、粉末形態である水分調節組成物を支持材料内に含浸させることを可能にする。
【0124】
乾式含浸は、例えば、高強度の交番電界によって実行されてもよい。当分野で知られており、かつ使用時に支持材料のために適切な任意の他の乾式含浸方法が使用されてもよい。
【0125】
当分野で知られており、かつ使用時に支持材料のために適切な任意の湿式含浸方法も同様に使用されてもよい。
水分調節組成物を支持材料の中へと含浸させることは、支持材料の厚さ全体を通して水分調節組成物を分散させることを可能にする。
【0126】
支持材料は、水分調節組成物を含有するコーティング層を備えてもよい。
【0127】
支持材料は、水分調節組成物を含有する複数のコーティング層を備えてもよい。
【0128】
コーティング層は、水分調節組成物によって形成されてもよい。
【0129】
支持材料は、支持材料上にコーティング層を形成する水分調節組成物でコーティングされてもよい。コーティング層は、当業界で知られている任意の方法および装置、例えば、表面コーティングの任意の方法を用いて形成されてもよい。
【0130】
このようにして、支持材料の一つの表面は、非常に効率的なやり方で水を吸着する。
【0131】
支持材料には、二つのコーティング層の間に支持材料が介在するように、支持材料の対向する側面の上に提供された水分調節組成物を含有する二つの異なるコーティング層が提供されてもよい。
【0132】
支持材料は、約10マイクロメートル~約80マイクロメートル、好ましくは約15マイクロメートル~70マイクロメートル、より好ましくは約20マイクロメートル~約60マイクロメートルから成る厚さを有する少なくとも一つの水分調節組成物の層を備えてもよい。
【0133】
支持材料は、パッケージの包装要素として使用される包装材料であってもよい。
【0134】
このようにして、その中に包装された製品の水分含量を調整するパッケージを得るために、パッケージの態様または設計を修正する必要はない。
【0135】
パッケージは、水分調節組成物を備える支持材料で作製された少なくとも一つの包装要素を備えてもよい。
【0136】
パッケージは、水分調節組成物を備える支持材料で作製された複数の包装要素を備えてもよい。
【0137】
追加的に、水分調節組成物を備える支持材料をパッケージに追加する、例えば、パッケージの中へと挿入してもよい。
【0138】
パッケージは、約0.30~約5.00グラムから成る量の金属有機構造体(複数可)を含むことが好ましい。パッケージは、約0.50~約2.50グラムから成る量の金属有機構造体(複数可)を含むことがより好ましい。パッケージは、約0.75~約1.50グラムから成る量の金属有機構造体(複数可)を備えてもよい。
【0139】
有利なことに、パッケージは、少なくとも一つの金属有機構造体(複数可)と、パッケージ内に包装された製品との間の重量比が1:6~1:2から成るような量の金属有機構造体(複数可)を含む。
【0140】
有利なことに、パッケージは、少なくとも金属有機構造体(複数可)の量が、パッケージ内に包装された製品の重量の約10パーセント~約50パーセントとなるような量の金属有機構造体(複数可)を備える。
【0141】
パッケージは、約1.00グラム(±20%)のフマル酸アルミニウムを含んでもよい。
【0142】
パッケージは、約1.00グラム(±20%)のMIL-101(Cr)を含んでもよい。
【0143】
パッケージは、約1.00グラム(±20%)のMIL-101(Fe)を含んでもよい。
【0144】
パッケージは、約0.50グラムのMIL-101(Cr)および約0.50グラム(±20%)のフマル酸アルミニウムを含んでもよい。
【0145】
パッケージは、たばこ製品またはニコチン含有製品用のパッケージであってもよい。
【0146】
水分含量が調節される製品は、水分含量レベルを予め定義された範囲内に保持することが望ましい任意の種類の製品であってもよい。水分含量が調節される製品は、水分含量のレベルが製品の特性に関連する任意の種類の製品であってもよい。
【0147】
有利なことに、製品は、約1重量パーセント~約15重量パーセント、好ましくは約1.5重量パーセント~10重量パーセント、から成る望ましいレベルの水分含量を有する製品である。
【0148】
製品は、「加熱非燃焼式」製品、または紙巻たばこ、または任意のタイプのたばこ含有製品とすることができる。
【0149】
水分調節組成物を含む含浸浴は、総乾燥重量基準で20~60重量パーセントの少なくとも一つの金属有機構造体化合物と、総乾燥重量基準で80~40重量パーセントの少なくとも一つの結合剤材料と、溶媒と、を含む。含浸浴は、溶解物質として水をさらに含んでもよい。
【0150】
支持材料を含浸浴内に浸すことによって、支持材料は含浸浴の溶液で含浸される。含浸浴の組成物のおかげで、乾燥後、約30グラム毎平方メートル~約300グラム毎平方メートルの少なくとも一つの金属有機構造体を有する支持材料を得ることが可能である。
【0151】
支持材料が含浸浴で飽和されるまで、支持材料は含浸浴の溶液内に浸されてもよい。
【0152】
支持材料を含浸浴の溶液の中へと浸した後、方法は、支持材料から過剰な溶液を除去し、その後に支持材料を乾燥するために、含浸浴の溶液で含浸された支持材料を計量ロールに供給することができる。
【0153】
乾燥工程では、摂氏23度の温度および1気圧の圧力において、少なくとも一つの金属有機構造体の対応する収着等温線に従って約0~20パーセントから成る相対湿度によって特徴付けられる気水混合物と平衡状態にあることになる水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るために、支持材料は乾燥されてもよい。
【0154】
乾燥工程では、摂氏23度の温度および1気圧の圧力において、少なくとも一つの金属有機構造体の対応する収着等温線に従って約0~10パーセントから成る相対湿度によって特徴付けられる気水混合物と平衡状態にあることになる水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るために、支持材料は乾燥されてもよい。
【0155】
乾燥工程では、摂氏23度の温度および1気圧の圧力において、少なくとも一つの金属有機構造体の対応する収着等温線に従って約0~5パーセントから成る相対湿度によって特徴付けられる気水混合物と平衡状態にあることになる水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るために、支持材料は乾燥されてもよい。
【0156】
摂氏23度の温度および1気圧の圧力において、少なくとも一つの金属有機構造体の収着等温線の相対湿度の最小閾値より低い相対湿度を有する気水混合物と平衡状態にあることになる水分含量を有する支持材料を得るように、支持材料は乾燥される。
【0157】
乾燥工程では、少なくとも一つの金属有機構造体の水を有しない重量に基づいて約0重量パーセント~20重量パーセントから成る水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るように、支持材料から溶媒を蒸発させるために、支持材料は乾燥される。
【0158】
乾燥工程では、少なくとも一つの金属有機構造体の水を有しない重量に基づいて約0重量パーセント~10重量パーセントから成る水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るように、支持材料から溶媒を蒸発させるために、支持材料は乾燥される。
【0159】
乾燥工程では、少なくとも一つの金属有機構造体の水を有しない重量に基づいて約0重量パーセント~5重量パーセントから成る水分含量を呈する少なくとも一つの金属有機構造体を備える支持材料を得るように、支持材料から溶媒を蒸発させるために、支持材料は乾燥される。
【0160】
支持材料は、含浸浴に連続的に供給される材料のウェブとすることができる。
【0161】
支持材料は、含浸浴に供給される材料のシートとすることができる。
【0162】
水分調節組成物を含有する支持材料の調製は、当業界で知られている他の方法を用いて実施されてもよい。
【0163】
水分調節組成物を含む支持材料は、当業界で知られている任意の使用可能な技術によって得られてもよい。
【0164】
吸着は、本明細書では、気体、液体、または溶解した固体から表面への原子、イオン、または分子の接着を示す。このプロセスは、吸着剤の表面上に吸着質のフィルムを生成する。吸収は、流体(被吸収物質)が、それぞれ液体または固体(吸収剤)によって溶解されるか、または液体または固体を透過するプロセスを意味する。収着という用語は、両方のプロセスを包含する。
【0165】
本明細書では、吸着という用語は、「吸着」プロセスおよび「吸収」プロセスの両方を示すために使用される。同様に、本明細書では、用語「吸着する」は、「吸着する」プロセスおよび「吸収する」プロセスの両方を示すために使用される。
【0166】
本明細書では、「吸着等温線」の定義は、「水分収着等温線」、すなわち、平衡状態における材料の含水量と、平衡相対湿度との間の関係を意味する。各相対湿度値について、吸着等温線は、所与の一定温度における対応する含水量値を示す。
【0167】
相対湿度は、所与の温度における水の平衡蒸気圧に対する水蒸気の分圧の比であり、そしてこれは通常はパーセントで表される。相対湿度は、系の温度および圧力に依存する。ここで相対湿度は、摂氏約23度の温度および大気圧、すなわち、1気圧において測定される。気水混合物の相対湿度(RH)は、所与の温度における、純水の平坦な表面上での、水の平衡蒸気圧(p*H2O)に対する混合物中の水蒸気の分圧(pH2O)の比:RH=pH2O/p*H2Oとして定義される。
【0168】
本明細書では、材料内に含有される水の量は、材料の「含水量」または「水分含量」として示される。水分含量は、0(完全な乾燥)~飽和時の材料の空隙率の値の範囲とすることができる比として表現される。これは、体積基準または質量(重量)基準で与えられる可能性がある。本出願では、これは質量基準で示され、すなわち、水分含量は、材料内部に含有される水の質量と水を有しない材料自体の質量との間の比である。
【0169】
有機構造体(MOF)は、金属イオンまたは有機リガンドに配位されて潜在的な空間を含有する一次元、二次元、または三次元の構造を形成するクラスターから成る化合物のクラスである。金属有機構造体(MOF)には、2ナノメートル未満の寸法を有する空孔が提供され、また結晶性を有し、非常に安定である。金属有機構造体は、軽量であり、かつ傑出した表面積を有する多孔性材料である。
【0170】
「水を有しない金属有機構造体」という定義を用いて、水がまったくない、乾燥状態における金属有機構造体が示される。
【0171】
ここで「結合剤」は、金属有機構造体(複数可)、および可能性のある支持材料へと結合することができる任意の化合物を意味する。
【0172】
本明細書で使用される場合、「調整剤」という用語は、特性、例えば、少なくとも一つの金属有機構造体の可溶性、結合剤の可溶性、金属有機構造体と結合剤との間の化学的結合、支持材料への接着等を改善するために、水分調節組成物または溶液に添加することができる任意の添加物を意味する。
【0173】
本明細書で使用される場合、「支持材料」という用語は、製品のための支持体として、またはパッケージを調製するために使用することができる任意の材料を意味する。
【0174】
「繊維系支持材料」は、繊維を含む材料を意味する。繊維系支持材料は、任意のタイプの繊維、例えばセルロース繊維を含んでもよい。
【0175】
ここで使用される場合、「含浸浴」という定義は、溶媒を有する溶液と、含浸浴中に溶解された化合物とを収容し、かつ支持材料がその中に浸されてもよい浴を意味する。支持材料は、含浸浴の溶液で含浸され、また含浸浴中に含有される溶液を吸着する。
【0176】
本明細書で使用される場合、「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0177】
本明細書で示される場合、定義「ウェブ」は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有し、かつ長さが幅より実質的に大きく、通常リールに巻かれる、層状の要素を意味する。
【0178】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【
図1】
図1は、摂氏23度および1気圧の圧力におけるフマル酸アルミニウムのサンプルの収着等温線を示す。
【
図2】
図2は、摂氏23度および1気圧の圧力におけるMIL-101のサンプルの収着等温線を示す。
【
図3】
図3は、実施例で調製されたパッケージの一部の経時的なパーセント相対湿度を示す。
【
図4】
図4は、
図3の実施例のパッケージのサンプルスティックの経時的な水分含量のパーセントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0180】
図1および
図2では、それぞれ、フマル酸アルミニウムおよびMIL-101(Cr)の収着等温線が報告される。
【0181】
数多くの化合物は、定義された湿度、温度、および圧力条件で水を吸着する。
【0182】
設定された温度値における各材料または化合物について、平衡条件において、化合物または材料の含水量と平衡相対湿度との間の関係は、曲線、いわゆる水分収着等温線によってグラフを用いて表示することができる。
【0183】
水分収着等温線は、各相対湿度値に対する、所与の一定の温度における対応する含水量値を示す。
【0184】
温度が変化すると、温度に対する平衡条件が変化するため、吸着等温線の経路も変化する。通常、温度が上昇すると、材料はより少ない水を保持し、また、反対に、温度が低下すると、材料はより多くの水を保持することができる。
【0185】
材料または化合物が変化する場合、吸着挙動もまた変化する。
【0186】
吸着等温線は、相対湿度の変化に対する材料の水の取り込みの尺度を提供する。
【0187】
図1を参照すると、70ミリグラムの純粋なフマル酸アルミニウムのサンプルを使用して、摂氏23度および1気圧の圧力で得られたフマル酸アルミニウムの吸着等温線が報告されている。
【0188】
純粋なフマル酸アルミニウムの摂氏23度および1気圧での吸着等温線分析を、Belsorp aqua 3マシン(MicrotracBEL Corp.、日本)内で実行した。
【0189】
分析前に、0.01キロパスカルの真空で、Belprep IIマシン(MicrotracBEL Corp.、日本)の容器内にサンプルを置き、そしてアルゴンで数回パージすることによって、フマル酸アルミニウムを活性化した。
【0190】
次いで、サンプルを二時間で摂氏200度まで加熱し、そしてサンプルの含水量を約1重量パーセントに低減するためにこの温度で8時間保持した。
【0191】
冷却後、容器をアルゴンで充填し、Belsorp aqua 3マシン内に置いた。
【0192】
次いで、容器の相対湿度を経時的に変化させ、そして
図1の収着等温線を得るように、フマル酸アルミニウムのサンプルの水の取り込みが記録される。測定は、摂氏23度の実験室温度にて、1気圧の圧力で行われた。
【0193】
同じ手順を純粋なMIL-101(Cr)のサンプルに対して繰り返して、
図2の吸着等温線を得た。
【0194】
図2を参照すると、70ミリグラムの純粋なMIL-101(Cr)のサンプルを使用して、摂氏23度および1気圧の圧力で得られたMIL-101(Cr)のサンプルの吸着等温線が報告されている。
【0195】
フマル酸アルミニウムおよびMIL-101(Cr)は、NovoMOF,AG(スイス)から購入した。
【0196】
図1は、横座標(x軸)にパーセント相対湿度、縦座標(y軸)に水吸着のパーセントを報告する。水吸着は、重量パーセント、すなわち、吸着された水の重量/フマル酸アルミニウムまたはMIL-101(Cr)の重量として示される。
【0197】
フマル酸アルミニウムの吸着等温線は、S字形の経路を有する。
【0198】
図1を具体的に参照すると、フマル酸アルミニウムの吸着等温線10は、フマル酸アルミニウムが約1~5パーセントの水を吸着し、またフマル酸アルミニウムによって吸着される水が相対湿度に依存して漸増を有する、ゼロ相対湿度~相対湿度の最小閾値13から成る第一の部分11を含む。
【0199】
フマル酸アルミニウムの収着等温線10は、フマル酸アルミニウムが相対湿度の増加に対して少量の水を吸着する、相対湿度の最大閾値14~100パーセントの相対湿度から成る第二の部分12を含む。第二の部分では、フマル酸アルミニウムは、約35~約54パーセントの水を吸着する。吸着される水は、相対湿度に依存して漸増を有する。
【0200】
相対湿度の最小閾値13は約20パーセントであり、相対湿度の最大閾値14は約34パーセントである。
【0201】
収着等温線10は、相対湿度の最小閾値13~相対湿度の最大閾値14から成る吸着部分15を含む。吸着部分15では、フマル酸アルミニウムは、第一の部分11または第二の部分12において吸着される水の量に対してより多量の水を吸着する。吸着部分15では、相対湿度に依存して、吸着される水は大きい増加を有する。
【0202】
収着等温線10の傾斜を考慮すると、第一の部分および第二の部分における傾斜は、吸着部分における傾斜より小さい。吸着部分15では、相対湿度の増加に追従して吸着される水の増加は、第一の部分11または第二の部分12における相対湿度の増加に追従して吸着される水の増加よりかなり大きい。
【0203】
吸着部分15では、フマル酸アルミニウムは、約5~約35パーセントの水を吸着する。
【0204】
図2は、MIL-101(Cr)に対する収着等温線を報告し、横座標(x軸)にパーセント相対湿度、縦座標(y軸)に水吸着のパーセントを報告する。水吸着は、重量パーセント、すなわち、吸着された水の重量/フマル酸アルミニウムまたはMIL-101(Cr)の重量として示される。MIL-101(Cr)の収着等温線も、S字形の経路を有する。
【0205】
図1の特徴に対応する特徴は、明瞭化のために、異なる対応する参照番号で示される。
【0206】
MIL-101(Cr)の収着等温線20は、MIL-101(Cr)が約1~5パーセントの水を吸着し、MIL-101(Cr)によって吸着される水が相対湿度に依存して漸増を有する、ゼロ相対湿度~相対湿度の最小閾値23から成る第一の部分21を含む。
【0207】
MIL-101(Cr)の収着等温線20は、MIL-101(Cr)が約110~約127パーセントの水を吸着し、また吸着される水が相対湿度に依存して漸増を有する、最大閾値相対湿度24~100パーセントの相対湿度から成る第二の部分22を含む。
【0208】
相対湿度の最小閾値23は約37パーセントであり、相対湿度の最大閾値24は約48パーセントである。
【0209】
収着等温線20は、相対湿度の最小閾値23~相対湿度の最大閾値24から成る吸着部分25を含む。吸着部分25では、MIL-101(Cr)は、相対湿度が増加した時、第一の部分21または第二の部分22において吸着される水の量に対してより多量の水を吸着する。吸着部分25では、相対湿度に依存して、吸着される水は大きい増加を呈する。
【0210】
吸着部分25では、MIL-101(Cr)は、約5~約110パーセントの水を吸着する。
【0211】
フマル酸アルミニウムおよびMIL-101(Cr)のいずれも、吸着部分15、25において、相対湿度の各増加に対して水の吸着の増加があることを示す。
【0212】
フマル酸アルミニウム、およびMIL-101(Cr)の吸着部分は、相対湿度の異なる最小閾値~最大閾値から成り、こうした閾値は、具体的な材料に依存する。
【0213】
吸着部分においてフマル酸アルミニウムおよびMIL-101(Cr)によって吸着される水は、具体的な水分調節組成物に依存するため、異なる。
【0214】
本発明によるいくつかの水分調節組成物および水分調節溶液が調製されている。
【0215】
次いで、調製された水分調節組成物または水分調節溶液は、包装材料と結合されている。次いで、水分調節組成物を含有する包装材料の少なくとも一部分は、加熱非燃焼式製品、すなわち、燃焼されるのではなく、加熱される使用が意図されるたばこ由来製品用のパッケージ内に挿入される。追加的に、定義された量の一つ以上の金属有機構造体を収容するいくつかの多孔性パウチが調製され、そして加熱非燃焼式製品パッケージ内に同様に挿入された。
【0216】
パッケージ内の経時的な相対湿度およびパッケージ内に詰め込まれた製品における水分含量が測定された。
【0217】
試験のために、Philip Morris Internationalによって提供されるHEETSパッケージが使用された。HEETSパッケージは、加熱非燃焼式製品(HEETS)として20本のたばこスティックを収容する。HeatStickとしても知られるHEETSは、IQOSホルダー(Philip Morris International製)とともに排他的に使用されることが意図される、特別に設計された加熱式たばこユニットである。HEETSは、たばこプラグ、中空アセテート管、ポリマーフィルムフィルター、セルロースアセテートマウスピースフィルター、ならびに外部の紙および口側端の紙を含む要素で作り上げられる。HEETSでは、たばこは加熱されるが燃焼しない。たばこの燃焼から煙が生じる代わりに、ユーザーに対してエアロゾルが放出される。
【0218】
パッケージ内に収容されたスティックの使用を意図するユーザーからのHEETパッケージの開封に似ているように、HEETパッケージから外部ポリプロピレンフィルムおよび内部束紙の上部を除去した。追加的に、20本のスティックのうち10本のスティックをHEETパッケージから取り出した。
【0219】
本発明のいくつかの水分調節製品の挙動を試験するために、水分調節製品が、いくつかの異なるやり方(すなわち:パッケージ内に挿入されたボール紙のシート上にコーティングされた、またはパッケージの中へと挿入された発泡紙のシート上に含浸された)で、HEETSパッケージに追加された。追加的に、金属有機構造体(複数可)を収容する純粋なパウチが調製され、そしてパッケージの中へと挿入された。
【0220】
追加的に、いかなる水分調節製品も全くない一部の参照パッケージが、比較の目的のために調製され、試験された。
【0221】
試験では、調製されたパッケージの相対湿度が測定され、またパッケージ内のスティックの水分含量も測定された。
【0222】
HEETSパッケージは、異なる特徴または風味を有するたばこスティックを収容してもよい。
【0223】
明瞭化のために、水分調節組成物が全くない異なるHEETSパッケージが、水分調節組成物または少なくとも一つの金属有機構造体を備える対応するHEETSパッケージと比較された。このようにして、同じタイプのHEETSパッケージに対する水分調節組成物、または少なくとも一つの金属有機構造体の明確な効果が得られた。
【0224】
また、パッケージの内側の相対湿度を測定するために、データロガーを有するPlug and track Hygro Button(PROGESPLUS、フランス)もHEETSパッケージ内側に定置された。パッケージは、最終的に各々アルミニウム袋内に密封された。
【0225】
Hygro Button相対湿度分析器をパッケージ内に定置する前に、試験の前、および試験の持続時間中のパッケージ内側の相対湿度を測定するように、ボタンはPROGESPLUSソフトウェアを用いて構成された。
【0226】
内蔵データロガーを有するHygro Buttonは、5分毎に相対湿度を測定し、そして時間に対する相対湿度を示すグラフがPROGESPLUSソフトウエアから抽出された。
【0227】
各スティックのたばこプラグの含水量は、分析器Titrando 901(Metrohm AG、スイス)および分析天秤XP205(Mettler Toledo、スイス)と併せてKarl Fischer法(ASTM E203 - 16に類似)を使用して決定された。各スティックのたばこプラグの水分含量は、摂氏110度でスティックを加熱することによって、オーブンを使用して抽出された。
【0228】
抽出した蒸気は、加熱された移送ラインを通る気流と共に滴定セルに移送され、含水量が滴定によって定量的に決定された。メタノールが、分析の精度を向上させるために使用された。エンドポイントは、電位差測定法によって測定され、結果は重量パーセントで与えられる。
【0229】
実験的な試験では、金属有機構造体の量は、グラムで、小数点以下二桁の有効桁を有して示され、金属有機構造体の量の値は、二桁の有効桁に丸められる。
【0230】
実験試験
実施例1、5、15
20本の加熱非燃焼式用のたばこスティックを収容するHEETSパッケージが提供された。
【0231】
20本のスティックのうち10本のスティックをHEETSパッケージから取り出した。パッケージの内側の相対湿度を測定するために、データロガーを有するPlug and track Hygro Button(PROGESPLUS、フランス)がHEETSパッケージ内側に定置された。パッケージは、最終的に各々アルミニウム袋内に密封された。Hygro Button相対湿度分析器をパッケージ内に定置する前に、試験の前、および試験の持続時間中のパッケージ内側の相対湿度を測定するように、ボタンはPROGESPLUSソフトウェアを用いて構成された。内蔵データロガーを有するHygro Buttonは、5分毎に相対湿度を測定し、そして時間の関数として相対湿度を示すグラフがPROGESPLUSソフトウェアから抽出された。
【0232】
各スティックのたばこプラグの含水量は、分析器Titrando 901(Metrohm AG、スイス)および分析天秤XP205(Mettler Toledo、スイス)と併せてKarl Fischer法(ASTM E203 - 16に類似)を使用して決定された。各スティックのたばこプラグの水分含量は、摂氏110度でスティックを加熱することによって、オーブンを使用して抽出された。
【0233】
実施例2
1.00グラムのデンプン、4.70グラムの水、0.25グラムのグリセロール、および0.50グラムのフマル酸アルミニウムを含有する水分調節溶液が調製された。
【0234】
フマル酸アルミニウムは、NovoMOF, AG(スイス)から購入した。
【0235】
グリセロール(HOCH2CH(OH)CH2OH)は、Sigma Aldrich(スイス)から購入した。
【0236】
ジャガイモデンプン((C6H10O5)n)は、PanReac AppliChemから購入した。
【0237】
0.50グラムのフマル酸アルミニウムを篩い分けし、そして可溶性ジャガイモデンプンと混合した。次いで、均質に混合された粒子を、グリセロールが前もって添加されている蒸留水中に溶解した。
【0238】
得られた水分調節溶液を、水浴中で摂氏85度まで加熱し、そして磁気攪拌下でこの温度にて45分間保持した。その後、溶液を摂氏約20~30度の温度まで冷却した。
【0239】
次いで、水分調節溶液を繊維系支持材料の上にコーティングした。
【0240】
繊維系支持材料は、VTT-Technical Research Centre(フィンランド)から購入した400キログラム毎立方メートルの密度、および120グラム毎平方メートルの坪量を有する、低密度発泡紙である。
【0241】
繊維系支持材料を、Chemical Instruments Inc.製のEZ coater EC200、ロッド番号8を用いてコーティングし、0.00635メートル毎秒の速度を使用して20マイクロメートルの厚さの層をもたらした。
【0242】
溶液を熱源から除去した30分後に第一の層が完了した。溶媒を蒸発した後、第二の層コーティングが塗布され、次いで、溶媒が第二の層から蒸発した後、第三の層コーティングが再度塗布される。このようにして、約60マイクロメートルの層が得られる。コーティングは、支持材料の両方の表面上になされる。
【0243】
次いで、コーティングされた支持材料は、室温において、かつ室温相対湿度で乾燥された。その後、コーティングされた支持材料を、さらに支持材料を乾燥させるために、Froilabo製のオーブン内に、摂氏80度で3時間定置した。乾燥工程後の包装材料の水分含量は、環境条件(摂氏23度、1気圧)での収着等温線におけるフマル酸アルミニウムの相対湿度の最小閾値に対応する水分含量を下回るべきである。
【0244】
乾燥した後、繊維系支持材料は、4センチメートル×6.5センチメートルのより小さいシートに切断された。
【0245】
その後、各シートを、さらなる分析までアルミニウム袋内に密封された。
【0246】
相対湿度を分析するために、外部ポリプロピレンフィルムの上部、内部束紙、およびパッケージからの10本のスティックの上部を除去した後、二枚のシートがHEETSパッケージ内に定置された。
【0247】
このようにして、HEETSの各パッケージ当たり約0.20グラムの金属有機構造体(複数可)の含有量が得られる。これは、実施例2として以下に示される。
【0248】
また、パッケージの内側の相対湿度を測定するために、データロガーを有するPlug and track Hygro Button(PROGESPLUS、フランス)もパッケージ内側に定置された。パッケージは、最終的にアルミニウム袋内に密封された。
【0249】
実施例3
実施例2による水分調節溶液が調製された。
【0250】
次いで、水分調節溶液を支持体の上へと含浸させた。
【0251】
Invercote Lenato(Iggesund、スウェーデン)から購入した240グラム毎平方メートルの密度を有するボール紙が使用された。
【0252】
ボール紙を4センチメートル×6.5センチメートルのシートへと切断した。ボール紙のシートが水分調節溶液で含浸されるように、シートは、得られた水分調節溶液に浸され、かつ30分間保持された。
シートは、約0.155グラムのフマル酸アルミニウムを含んで得られた。
【0253】
その後、ボール紙のシートは、乾燥するために、摂氏80度で3時間、オーブン内に定置された。乾燥工程後の包装材料の水分含量は、環境条件(摂氏23度、1気圧)での収着等温線におけるフマル酸アルミニウムの相対湿度の最小閾値に対応する水分含量を下回るべきである。乾燥した含浸したシートは、さらなる分析までアルミニウム袋内で保存した。
【0254】
相対湿度を分析するために、各HEETSパッケージ内に約0.31グラムのフマル酸アルミニウムが得られるように、外部ポリプロピレンフィルムの上部、内部束紙の上部、およびパッケージからの10本のスティックの上部を除去した後、二枚の含浸したシートがHEETSパッケージ内に定置された。これは、実施例3として以下に示される。
【0255】
また、パッケージの内側の相対湿度を測定するために、データロガーを有するPlug and track Hygro Button(PROGESPLUS、フランス)もHEETSパッケージ内側に定置された。パッケージは、最終的にアルミニウム袋内に密封された。
【0256】
さらなる実施例
比較のために、結合剤が全くない、いくつかの金属有機構造体溶液が調製された。金属有機構造体溶液は、多孔性パウチへと吸着され、または挿入された。
【0257】
1グラムのフマル酸アルミニウムを含有する多孔性パウチが調製され、そして二つのタイプのHEETSパッケージ内に位置付けられた。これらのサンプルは、それぞれ実施例4および16として以下に示される。
【0258】
それぞれ0.20グラム、0.50グラム、および1.00グラムのMIL-101 Feを含有する多孔性パウチが調製された。これらのサンプルは、それぞれ実施例9~11として以下に示される。
【0259】
それぞれ0.20グラム、0.50グラム、および1.00グラムのMIL-101 Crを含有する多孔性パウチが調製された。これらのサンプルは、それぞれ実施例6~8として以下に示される。1グラムのMIL-101 Crを有するさらなるパウチが調製され、そして実施例17として以下に示され、かつ別のHEETSパッケージ内に位置付けられる。
【0260】
複数の金属有機構造体を含有する金属有機構造体多孔性パウチも調製された。
【0261】
0.50グラムのフマル酸アルミニウムおよび0.50グラムのMIL-101 Feを含有する多孔性パウチも調製された。このサンプルは、実施例18として以下に示される。
【0262】
0.50グラムのフマル酸アルミニウムおよび0.50グラムのMIL-101 Crを含有する多孔性パウチも調製された。このサンプルは、実施例19として以下に示される。
【0263】
相対湿度を分析するために、外部ポリプロピレンフィルムの上部、内部束紙、およびパッケージからの10本のスティックの上部を除去した後、各多孔性パウチがHEETSパッケージ内に定置された。
【0264】
また、パッケージの内側の相対湿度を測定するために、データロガーを有するPlug and track Hygro Button(PROGESPLUS、フランス)もパッケージ内側に定置された。パッケージは、最終的にアルミニウム袋内に密封され、アルミニウム袋は数日間閉じたままにされた。パッケージは、パッケージ内側の相対湿度が安定するまでアルミニウム袋内に保持された。通常は、数時間で十分である。
【0265】
下記に報告される表1では、分析されたパッケージが要約され、明瞭化のために、実施例番号および吸着のやり方を示している。
【0266】
相対湿度は、以下の異なるHEETSパッケージ内で測定された:
水分調節組成物3を含有するHEETSパッケージ、実施例2および3、
一つ以上の金属有機構造体を含有するHEETSパッケージ、実施例4、6~11、および16~19、
HEETSパッケージ内に金属有機構造体が全くない、実施例1、5および15。
【0267】
【0268】
測定
時間T0として示されるある特定の時間において、上記で考察され、かつ表1に報告される実施例1~19に従って調製されたすべてのパッケージを開封し、そしてアルミニウム袋を、摂氏30度にて、相対湿度75パーセントで人工気候室内に定置した。
【0269】
各パッケージから3本のスティックを取り出し、そして表1の各実施例の3本のスティックと一緒にさらなるアルミニウム袋内に密封した。
【0270】
2、4、6、8、24、および48時間後、1本のスティックを各パッケージから取り出し、そして各パッケージ内のスティックが終了するまで、同じ実施例、それ故に同じパッケージからのその他のスティックとともにアルミニウム袋内に密封した。
【0271】
次いで、すべてのスティックをKarl Fischer法によって分析して、下記に説明するように、パッケージから取り出した異なるスティックの含水量を測定した。実験全体の間に、各パッケージ内の相対湿度の進化を、下記に説明するように記録した。
【0272】
相対湿度分析
上記に示したように、パッケージの内側の相対湿度を測定するために、データロガーを有するPlug and track Hygro Button(PROGESPLUS、フランス)がパッケージ内側に定置された。Hygro Button相対湿度分析器をパッケージ内に定置する前に、試験の前、および試験の持続時間中のパッケージ内側の相対湿度を測定するように、ボタンはPROGESPLUSソフトウェアを用いて構成された。内蔵データロガーを有するHygro buttonは、5分毎に相対湿度を測定し、そして時間に対する相対湿度を示すグラフがPROGESPLUSソフトウェアから抽出された。
【0273】
実施例15~19のパッケージについて得られた結果を
図3に報告し、また下記で考察する。
【0274】
含水量分析
各スティックのたばこプラグの含水量は、分析器Titrando 901(Metrohm AG、スイス)および分析天秤XP205(Mettler Toledo、スイス)と併せてKarl Fischer法(ASTM E203 - 16に類似)を使用して決定された。各スティックのたばこプラグ内に含有される水は、摂氏110度でスティックを加熱することによって、オーブンを使用して抽出された。
【0275】
抽出した蒸気は、加熱搬送ラインを通して空気流と共に滴定セルに搬送され、含水量が滴定によって定量される。
【0276】
メタノールが、分析の精度を向上させるために使用される。
【0277】
エンドポイントは、電位差測定法によって測定され、また結果は重量パーセントで与えられる。
【0278】
各時間間隔でスティックの各々のパーセント含水量を分析して、実施例で使用される吸着材料(複数可)の吸着能力を決定する。
【0279】
実施例15~19のスティックから得られた結果を
図4に報告し、また下記で考察する。
【0280】
結果
金属有機構造体の使用を伴うHEETSパッケージ、および金属有機構造体の使用を伴わないHEETSパッケージの内側について、それらが密封された瞬間から、開封されて摂氏30度および75パーセント相対湿度で二日間保持されるまでの、相対湿度の変化を
図3に示す。
【0281】
図3は、横座標(x軸)に時間(単位は時間[h])、縦座標(y軸)に相対湿度のパーセントを報告する。
曲線30は、実施例15の、水分調節組成物を有しないHEETSパッケージの内側の経時的なパーセント相対湿度の変化を示す。曲線40は、実施例16の、純粋なフマル酸アルミニウム水分調節組成物を有するHEETSパッケージの内側の経時的なパーセント相対湿度の変化を示す。曲線50は、実施例18の、フマル酸アルミニウム0.50グラムおよびMIL 101 Fe 0.50グラムの水分調節組成物を有するHEETSパッケージの内側の経時的なパーセント相対湿度の変化を示す。曲線60は、実施例19の、フマル酸アルミニウム0.50グラムおよびMIL 101 Cr 0.50グラムの水分調節組成物を有するHEETSパッケージの内側の経時的なパーセント相対湿度の変化を示す。曲線70は、実施例17の、MIL 101 Cr 1.00グラムの水分調節組成物を有するHEETSパッケージの内側の経時的なパーセント相対湿度の変化を示す。
曲線30から明らかであるように、金属有機構造体が全くないパッケージ内のレベルまたは相対湿度は、吸着材料が提供されたパッケージ内より高い。
【0282】
金属有機構造体が全くないパッケージの最初の開封時には、相対湿度パーセントの急激な増加が見られる。
【0283】
少なくとも金属有機構造体が提供されたパッケージは、金属有機構造体が全くないパッケージと比較して、より低いレベルの相対湿度を有する。実施例17、18、および19のパッケージは、最初の開封から48時間後でさえも、金属有機構造体が全くないパッケージより低いレベルの湿度を維持する。
【0284】
曲線30から明らかであるように、実施例15のパッケージでは、保管中のパッケージ内側の相対湿度は約50パーセントである。パッケージが開封されると、相対湿度は、約24時間後、最高で試験における環境相対湿度である75パーセントまで劇的に増加する。曲線30から明らかなように、パッケージ内側の相対湿度の増加は直線的ではなく、パッケージ上に残されたボール紙および包装フィルムの一部がバリアとして機能するため、また入ってくる水蒸気の一部がスティックによって吸着されるため、パッケージ内側の相対湿度は即座に75パーセントに達しない。
【0285】
図3から明らかなように、パッケージの内側の相対湿度の変化は、パッケージの開封後、S字形の経路を有する。
【0286】
曲線40、50、60、および70を分析すると、閉じられたパッケージおよび開封されたパッケージの両方での、相対湿度のレベルに対する金属有機構造体の影響を明瞭に見ることができる。参照と比較すると、金属有機構造体を有するパッケージの相対湿度はより低く、またパッケージ内の金属有機構造体が多いほど、パッケージ内の相対湿度は低くなる。
【0287】
例えば、実施例18によって得られる相対湿度は、実施例17および実施例16で得られる相対湿度の中間である。
【0288】
したがって、異なる金属有機構造体を選び、かつ混合することによって、パッケージ内の相対湿度は調整されてもよい。
【0289】
特に、相対湿度の最小閾値および相対湿度の最大閾値、そしてそれ故に、収着等温線の吸着部分を調整することが可能である。次いで、収着等温線の吸着部分において吸着される水を調整することが可能である。
【0290】
同様に、様々な時間間隔で試験中に取り出されたスティックサンプルのたばこプラグの含水量を、Karl Fischer分析を通して決定した。結果は
図4で見ることができる。
図4は、横座標(x軸)に時間(単位は時間[h])、縦座標(y軸)にスティックの含水量のパーセントを報告する。
【0291】
異なる実施例におけるたばこプラグの含水量は、対応する実施例のパッケージの相対湿度を反映する。
【0292】
図4では、80によって、金属有機構造体が全くない実施例15のパッケージ内の経時的なたばこプラグの含水量を表す曲線が示され、81は、1gのフマル酸アルミニウムを有する実施例16のパッケージ内の経時的なたばこプラグの含水量を表す曲線であり、82は、実施例17のパッケージ内の経時的なたばこプラグの含水量を表す曲線であり、83は、実施例18のパッケージ内の経時的なたばこプラグの含水量を表す曲線であり、84は、実施例19のパッケージ内の経時的なたばこプラグの含水量を表す曲線である。
【0293】
下記に報告する表2は、試験したすべての実施例について得られたすべての結果を要約する。
【0294】
表2では、各実施例について、第一の列に、金属有機構造体(複数可)の量、第二の列に、開封前のパッケージ内の相対湿度のパーセント、第三の列に、開封前のスティックの水の初期含有量のパーセントが示される。第四の列には、パッケージが実験条件下で開封された後に、スティックが11パーセントの含水量に達するのに必要な時間が報告される。表2の第五の列には、実験条件:摂氏30度、1気圧の圧力、および75パーセントの相対湿度における、パッケージ内の48時間後の相対湿度のパーセントが報告される。表2の第六の列には、実験条件、すなわち、摂氏30度、1気圧の圧力、および75パーセントの相対湿度における、スティック内の48時間後の含水量のパーセントが報告される。
結果を下記に報告される表2内に要約する。
【0295】
【0296】
結果
調製された水分調節組成物は、S字形の吸着等温線を呈する。
【0297】
調製された水分調節組成物の吸着等温線は、相対湿度の増加、すなわち実験条件におけるパッケージの開封後に、吸着された水の急激かつ大幅な増加を呈する。
【0298】
金属有機構造体、または複数の金属有機構造体の組み合わせを選ぶことによって、水分調節組成物の吸着挙動を、望ましいニーズおよび相対湿度のレベルに調整することができる。使用される金属有機構造体(複数可)を選ぶことによって、水分調節組成物が水を吸収する相対湿度のレベル、そして、したがって、水分調節組成物を含有するパッケージ内の相対湿度またはパッケージ内に包装された製品の含水量が調整される。
【0299】
したがって、異なる用途に依存して、パッケージ内の望ましいレベルの相対湿度を保持するために適切な特定の水分調節組成物を使用することが可能である。
【0300】
製品の望ましいレベルの水分含量を知ることにより、望ましいレベルの水分含量を維持することを可能にする、水分調節組成物を選ぶことが可能である。また、望ましいレベルの水分含量を維持するために使用される支持材料および/または支持材料の量を選ぶことも可能である。
【0301】
また、結合剤(複数可)の存在が、金属有機構造体(複数可)の支持体の上への適用を改善することも実証されている。
【0302】
試験はまた、少量の金属有機構造体(複数可)でさえも、相対湿度を望ましい範囲内に効果的に維持することも実証した。
【0303】
HEETSスティックが製造され、そして包装された時、パッケージ内の相対湿度はおおよそ8~10パーセントである。本発明の水分調整組成物または少なくとも一つの金属有機構造体は、たばこプラグの水分含量がおおよそ望ましいレベルに保持されるように調整されている。
【0304】
異なるレベルの水分含量を有する製品に対して、異なる水分調節組成物が使用されてもよい。
【0305】
したがって、水分含量が調節されるべき異なるパッケージまたは製品に依存して、パッケージ内の望ましいレベルの相対湿度、および製品内の望ましいレベルの水分含量を保持するために適切な特定の水分調節組成物を選ぶことが可能である。
【0306】
したがって、異なる製品に依存して、製品内の望ましいレベルの水分含量を保持するために適切な特定の水分調節組成物を使用することが可能である。
【0307】
製品の望ましいレベルの水分含量を知ることにより、望ましいレベルの水分含量を維持することを可能にする、水分調節組成物を選ぶことが可能である。
【0308】
試験はまた、本発明の水分調節組成物を用いて、製品の高すぎる乾燥および製品の高すぎる湿潤も防止されることも実証した。
【0309】
表2から明らかであるように、開封前に、本発明の水分調整組成物または少なくとも一つの金属有機構造体を含有するパッケージ内では、たばこプラグの水分含量は、本発明の水分調整組成物または少なくとも一つの金属有機構造体を有しない対応するパッケージ内のたばこプラグの水分含量より低い。
【0310】
これは、開封から48時間後にも、本発明の水分調整組成物または少なくとも一つの金属有機構造体を含有するパッケージ内では、たばこプラグの水分含量は、本発明の水分調整組成物または少なくとも一つの金属有機構造体を有しない対応するパッケージ内のたばこプラグの水分含量より低いことが確認される。
【0311】
本発明の水分調節組成物または少なくとも一つの金属有機構造体を用いて、たばこプラグの水分含量は、水分含量の高すぎる低減も回避するように調整される。
【0312】
試験はまた、水分調節組成物を包装材料上に含浸させることによって、または水分調節組成物を支持材料上にコーティングすること、または水分調節組成物を多孔性パウチの上にも塗布すること、のいずれかによって、水吸着の効果が得られる場合があることも実証する。
【0313】
試験はまた、既存の従来のHEETSパッケージが、水分調節組成物が提供された支持材料を添加することによって改善される場合があることも実証した。
【0314】
したがって、数多くの異なる製品の従来のパッケージは、同様のやり方で改善される場合がある。
【0315】
試験はまた、水分調節組成物を選ぶことによって、たばこまたはニコチン含有製品の水分含量を、異なるたばこまたはニコチン含有製品に対しては異なる可能性もある望ましいレベルに調整することが可能であることも実証した。
【0316】
水分調節組成物は、ある特定の量で、かつある特定の相対湿度の最小閾値を上回る水を吸収するように調整することができる活性層を生成するように作用する。
【0317】
よって、正しい水分調節組成物を選択し、かつ金属有機構造体(複数可)の望ましい混合を選択することによって、望ましいS形状を有する吸着等温線を得ることが可能である。たばこまたはニコチン含有製品の望ましい水分含量に適合する吸着等温線を得ることが可能である。
【0318】
追加的に、正しい水分調節製品を選択し、かつ金属有機構造体(複数可)の望ましい混合物を選択することによって、たばこまたはニコチン含有製品の含水量を望ましくないやり方で改変しない水分調節製品、そしてそれ故に包装材料を得ることが可能である。
【0319】
最小閾値より高い相対湿度で水を吸着する水分調節製品を得ることも可能である。貯蔵寿命の間に、すなわち、最初の開封前に、たばこまたはニコチン含有製品の高すぎる乾燥を回避することもさらに可能である。
【国際調査報告】