(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】可搬型マイクロリアクター用途向けの小型受動崩壊熱除去システム
(51)【国際特許分類】
G21C 1/00 20180101AFI20230605BHJP
G21C 1/32 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G21C1/00 200
G21C1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566353
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2021027950
(87)【国際公開番号】W WO2021221940
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】スワーツ、マシュー、エム
(72)【発明者】
【氏名】トルピアーノ、アンソニー、ジー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・ウィク、ジュリエ、ジェイ
(57)【要約】
原子炉を輸送するためのコンテナが開示される。コンテナは、チャンバーと、チャンバーに流体結合された熱交換器と、非作動状態および作動状態を含むアクチュエーターと、を備えるループサーモサイフォンを備える。アクチュエーターは、自動的に作動状態に移行するように構成されている。移行は原子炉内で発生する事象に基づく。作動媒体が作動状態で原子炉から熱を除去するように構成されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉を輸送するためのコンテナであって、前記コンテナがループサーモサイフォンを備えており、
前記ループサーモサイフォンが、
チャンバーと、
前記チャンバーに流体結合された熱交換器と、
アクチュエーターであって、
非作動状態と、
作動状態とを備え、事象に基づいて前記作動状態に移行するように構成されているアクチュエーターと、を備えており、
作動媒体が前記作動状態で前記原子炉から熱を除去するように構成されている、
コンテナ。
【請求項2】
前記原子炉が複数のヒートパイプを備え、前記チャンバーが前記ヒートパイプの上に配置される、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記原子炉が炉心ブロックを備え、前記チャンバーが前記炉心ブロックと熱的に接触している、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記事象が、前記原子炉が閾値温度に到達すること、またはそれを超えることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記事象が、前記原子炉内の圧力の上昇を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項6】
前記事象が、前記原子炉内の中性子束の増加を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項7】
前記事象が、ユーザーの手入力を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項8】
原子炉を輸送するためのコンテナであって、前記コンテナが閉ループサーモサイフォンを備えており、
前記閉ループサーモサイフォンが、
筐体であって、
ウィックと、
作動媒体と、
前記作動媒体から熱を除去するように構成されている熱交換器と、を備える筐体と、
前記作動媒体が、所定のアクションに基づいて、前記原子炉から熱を除去することを可能にするように構成されている受動熱動アクチュエーターと、を備える、
コンテナ。
【請求項9】
前記原子炉が複数のヒートパイプを備え、前記筐体が前記ヒートパイプの上に配置される、請求項8に記載のコンテナ。
【請求項10】
前記原子炉が炉心ブロックを備え、前記筐体が前記炉心ブロックと熱的に接触している、請求項8に記載のコンテナ。
【請求項11】
前記所定のアクションが、前記原子炉が閾値温度に到達すること、またはそれを超えることを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項12】
前記所定のアクションが、前記原子炉内の圧力の上昇を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項13】
前記所定のアクションが、前記原子炉内の中性子束の増加を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項14】
原子炉を輸送するためのコンテナであって、前記コンテナがループサーモサイフォンを備えており、
前記ループサーモサイフォンが、
作動媒体を備える蒸発器領域であって、前記作動媒体が前記原子炉から熱を吸収するように構成されている、蒸発器領域と、
前記蒸発器領域に流体結合された凝縮器領域であって、前記作動媒体が前記蒸発器領域から前記凝縮器領域に前記吸収された熱を受動的に輸送するように構成されている、凝縮器領域と、
事象が発生するまで前記作動媒体をブロックするように構成されている受動熱動アクチュエーターと、を備える
コンテナ。
【請求項15】
前記事象が、前記原子炉が閾値温度に到達すること、またはそれを超えることを含む、請求項14に記載のコンテナ。
【請求項16】
前記閾値温度が、事故温度閾値に対応する、請求項15に記載のコンテナ。
【請求項17】
前記事象が、前記原子炉内の圧力の上昇を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項18】
前記事象が、前記原子炉内の中性子束の増加を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項19】
前記原子炉が複数のヒートパイプを備え、前記蒸発器領域が前記ヒートパイプの上に配置される、請求項14~18のいずれか一項に記載のコンテナ。
【請求項20】
前記原子炉が炉心ブロックを備え、前記蒸発器領域が前記炉心ブロックと熱的に接触している、請求項14~18のいずれか一項に記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府契約
本発明は、米国エネルギー省により授与された契約DE-NE0008853に基づく政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月1日に出願された米国仮特許出願第63/018,539号の優先権を主張し、これによりその内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、概ねマイクロリアクターを搬送するために使用されるコンテナに関し、より具体的には、マイクロリアクターから熱を除去するように構成される受動熱システムに関する。
【背景技術】
【0004】
電力エネルギー市場は、集中型と分散型に分けられる。集中型市場は、大規模な(数百MWeの範囲の)発電機、および大容量で高密度の送電および配電ネットワークに基づいている。分散型またはオフグリッド市場は、代わりに、通常は小規模な局地的配電ネットワークまたはマイクログリッドに接続される小型発電機(<15MWe)に依存している。現在、遠隔地のアーティックコミュニティ、遠隔地の鉱山、軍事基地、および島のコミュニティが分散型市場の例である。現在、オフグリッド市場におけるエネルギーは、主にディーゼル発電機によって供給されている。これは、高い電気代、化石燃料への依存、負荷制限、複雑な燃料供給ロジスティクス、およびインフラの老朽化につながる。オフグリッド市場の厳しい要件には、手頃な価格、信頼性、柔軟性、レジリエンシー、持続可能性(クリーンエネルギー)、エネルギー安全保障、ならびに迅速な設置および最小限のメンテナンス作業が含まれる。これら全ての要求は、原子力エネルギーで対処することができる。
【0005】
マイクロリアクターは、10MWe未満を発電することができ、遠隔用途に展開できる原子炉である。これらのマイクロリアクターは、比較的小さな容器に包装され、人員の積極的な関与なしに動作し、かつ従来の原子力発電所よりも長期間、燃料補給/交換することなく動作することができる。そのようなマイクロリアクターの一つは、Westinghouse Electric Companyにより設計された、eVinciマイクロリアクタシステムである。マイクロリアクターの他の例は、「HIGH TEMPERATURE HYDRIDE MODERATOR ENABLING COMPACT AND HIGHER POWER DENSITY CORES IN NUCLEAR MICRO-REACTORS」と題する共同所有の米国仮出願公開第62/984,591号、および、米国特許出願公開第2016/0027536号として公開された「MOBILE HEAT PIPE COOLED FAST REACTOR SYSTEM」と題する米国特許出願第14/773,405号に記載され、両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
マイクロリアクターは、従来の輸送方法、例えば、CONEX ISOコンテナを使用して輸送できるように設計されている。これらの設計は、通常、
図1に例示されるISO 668輸送コンテナを利用する。
【0007】
マイクロリアクターの崩壊熱は自己調整される必要があり、「放置」安全性を確保するために受動崩壊熱除去システムが必要である。崩壊熱除去システムは、マイクロリアクター輸送パッケージの全体的なサイズおよび重量に有意な影響を与える可能性がある。
【0008】
ここで
図2を参照すると、輸送コンテナ101内に配置されたマイクロリアクター100の断面図が例示されている。マイクロリアクター100は、原子炉キャニスター104内に収容されるモノリス炉心ブロック102を備える。モノリス炉心ブロック102は、複数の炉心ブロック108および複数の原子炉停止モジュール110を備える炉心106を備えることができる。モノリス炉心ブロック102は、複数の制御ドラム112によって囲まれることができ、各制御ドラム112は、中性子吸収体セクション114および中性子反射体セクション116を備える。上記のモノリス炉心ブロック102および炉心106は、共同所有の米国仮出願公開第62/984,591号により詳細に記載されており、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
マイクロリアクター100は、モノリス炉心ブロック102の原子炉キャニスター104の周りに配置される中性子遮蔽体118およびガンマ線遮蔽体120をさらに備えることができる。空隙122は、原子炉キャニスター104と中性子遮蔽体118との間に画成される。
【0010】
図2を引き続き参照すると、崩壊熱除去システムの概念設計が例示される。(破線矢印によって示される)気流は、自然対流によって空隙122を通って原子炉キャニスター104の周囲に向けられる。しかし、崩壊熱除去システムのこの方法は、かなりの幾何学的設置面積を必要とする。さらに、小型輸送コンテナ101は、十分な浮力流を駆動させるために、原子炉キャニスター104の周りの空気流を高所にある排気筒、つまり出口ダクト126に導く複雑な入口チャネル、つまりダクト124を必要とする。
【0011】
マイクロリアクターの幾何学的制約は、
図2に例示される概念設計に示されるように、浮力駆動空気の流路および自然対流を利用する受動空冷システムを設置するために利用可能なスペースを制限する。さらに、気流を促進するための外部排気筒126が設計されることでより大きな標的が形成されるので、マイクロリアクター100の安全性を外部の脅威からの危険にさらすことになる。排気筒126に損傷が発生した場合、それにより気流が妨げられ、冷却の有効性が低下する可能性がある。これらの課題は、マイクロリアクター100を潜在的に危険な状況に置く可能性がある。運転時の過渡事象および設計基準事象は、マイクロリアクターから十分な熱を除去するために、高熱流束、高流量、および大きな表面積を必要とするが、これは、
図1および2に示される典型的な構成では得られない。
【0012】
受動崩壊熱除去システムの外観サイズを減少させる、熱流束能力を高めた解決策が必要である。外的事象に対応できる小型受動熱除去システムは、マイクロリアクターの展開を可能にする上で大きな影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0013】
様々な実施形態では、原子炉を輸送するためのコンテナが開示される。コンテナは、チャンバーと、チャンバーに流体結合された熱交換器と、非作動状態および作動状態を含むアクチュエーターと、を備えるループサーモサイフォンを備える。アクチュエーターは、自動的に作動状態に移行するように構成されている。移行は原子炉内で発生する事象に基づく。作動媒体が作動状態で原子炉から熱を除去するように構成されている。
【0014】
様々な実施形態では、原子炉を輸送するためのコンテナが開示される。コンテナは、筐体と、筐体に流体結合された熱交換器と、受動熱動アクチュエーターと、を備える閉ループサーモサイフォンを備える。筐体はウィックおよび作動媒体を備える。受動熱動アクチュエーターは、原子炉内で発生する所定のアクションに基づいて作動媒体が原子炉から熱を除去できるように構成されている。
【0015】
様々な実施形態では、原子炉を輸送するためのコンテナが開示される。コンテナは、作動媒体を含む蒸発器領域と、蒸発器領域に流体結合された凝縮器領域と、受動熱動アクチュエーターと、を備えるループサーモサイフォンを備える。作動媒体はが原子炉から熱を吸収するように構成されている。作動媒体が吸収した熱を蒸発器領域から凝縮器領域に受動的に輸送するように構成されている。受動熱動アクチュエーターは、原子炉内で事象が発生するまで作動媒体をブロックするように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に説明される実施形態のさまざまな特徴は、その利点とともに、以下の添付図面と併せて行われる以下の説明に従って理解され得る。
【0017】
【
図1】
図1は、輸送コンテナ内に配置されたマイクロリアクターである。
【
図2】
図2は、崩壊熱除去システムの概念設計を有する輸送コンテナ内のマイクロリアクターの断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の少なくとも一つの態様による、原子炉を輸送するためのコンテナである。
【
図4】
図4は、本開示の少なくとも一つの態様による、原子炉を輸送するための別のコンテナである。
【0018】
対応する参照文字は、数個の図全体を通して対応する部分を示す。本明細書に記載される例証は、本発明の様々な実施形態を一つの形態で例示し、そのような例証は、いかなる様式によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に説明され、かつ添付の図面に例示される実施形態の全体的な構造、機能、製造、および使用の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。周知の動作、構成要素、および要素は、本明細書に説明される実施形態を不明瞭にしないために、詳細に説明されていない。読み手は、本明細書に説明および例示される実施形態が非限定的な例であることを理解し、したがって、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は、代表的および例示的であり得ることが理解され得る。それに対する変形および変更は、特許請求の範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0020】
ここで
図3を参照すると、本開示の少なくとも一つの態様による、原子炉202を輸送するためのコンテナ200が例示されている。コンテナ200は、原子炉202を輸送することができる任意の好適なコンテナ、例えば、上述のCONEX ISOコンテナを含むことができる。原子炉202は、炉心204、一次熱交換器206、および一次冷却システム208を含むことができる。一実施形態では、一次冷却システム208は、気密封止された二相熱伝達部品である複数のヒートパイプ210を含むことができる。一実施形態では、ヒートパイプ210を使用することにより、作動流体(例えば、水、液体カリウム、ナトリウム、またはアルカリ金属)の相変化操作を用いて、原子炉の一次側(蒸発器セクション)から原子炉の二次側(凝縮器セクション)に熱を伝達することができる。動作中、作動流体は、蒸発器セクション内の熱を吸収し、蒸発することができる。気化潜熱を持った飽和蒸気は、凝縮器セクションに向かって流れ、潜熱を放出して凝縮する。次に、凝縮された液体は、毛管作用によってウィックを通って蒸発器セクションに戻る。一実施形態では、ヒートパイプを使用することにより、炉心204から熱を除去するために流体をポンプ輸送する必要をなくす。
【0021】
図3を引き続き参照すると、コンテナ200は、事象の後に崩壊熱を原子炉202から逃がすループサーモサイフォン212を含むことができる。一例として、事象は、二次冷却の喪失である可能性がある。本開示で企図されている他の事象は、以下でより詳細に説明される。ループサーモサイフォン212は、蒸発領域214、凝縮器領域216、および(破線矢印によって例示される)作動流体または媒体、例えばアルカリ金属を備える閉ループシステムであり、蒸発領域214から凝縮器領域216へ崩壊熱を輸送できる。
【0022】
サーモサイフォン212の蒸発領域214は、蒸発チャンバーまたは筐体218を含むことができる。原子炉202からの崩壊熱を蒸発チャンバー218内に配置される作動媒体に伝達することができるように、蒸発チャンバー218を原子炉202と熱的に連通させることができる。一実施形態では、蒸発チャンバー218は、ヒートパイプ210の上に設置可能である。別の実施形態では、蒸発チャンバー218は、原子炉202の炉心ブロックと熱的に接触可能である。別の実施形態では、蒸発チャンバー218は、原子炉キャニスターと熱的に接触可能である。別の実施形態では、蒸発チャンバー218は、熱除去のために炉心ブロックまたは原子炉キャニスターのいずれかまたは全ての側面に接続することができる。別の実施形態では、蒸発チャンバーは分割され、原子炉202の複数の位置に接続することができる。蒸発チャンバー202は、崩壊熱除去のための多様な熱経路を提供する。
【0023】
動作前に、ループサーモサイフォン212を排気し、上述したように、作動媒体、例えばアルカリ金属で充填することができる。動作中、一次熱交換器206および/または炉心204に接続する領域内に作動媒体を隔離することによって、作動媒体を液体/蒸気状態に維持することができる。これは、一実施形態では一例として上述したように、ヒートパイプ218に対して蒸発チャンバー218を選択的に配置することによって達成することができる。一実施形態では、蒸発チャンバー218は、一次熱交換器206に一体的に取り付けることができる。
【0024】
図3を引き続き参照すると、ループサーモサイフォン212の凝縮器領域216は、熱交換器220を含むことができる。熱交換器220は、内部流路、例えばパイプまたは管222、224によって蒸発チャンバー218と流体結合させることができる。原子炉202から熱を吸収した後、作動媒体は、流路222を通って凝縮器領域216の熱交換器220に流れることができる。熱交換器216をコンテナ200の外面に配置することにより、熱交換器220の選択された位置に応じて、作動媒体内に吸収された熱を空気、地面、または水域に伝達することができる。空冷については、熱交換器220の外部全体での空気の自然対流により、究極のヒートシンクが提供される。吸収した熱を放出した後、作動媒体は、流路224を通って蒸発チャンバー218に向かって流れて戻り、上記の崩壊熱除去プロセスを繰り返すことができる。
【0025】
一実施形態では、熱交換器220を、コンテナ200の出荷前に取り付けることができる。別の実施形態では、熱交換器220を、コンテナ200の構造体内に組み込むことができる。様々な実施形態では、熱交換器220は、フィン(図示せず)を利用することができ、これにより、熱交換器220の表面積を増加させ、熱を周囲の環境に伝達する熱交換器220の有効性能を向上させることができる。一実施形態では、フィン付き熱交換器自体の構造的能力により、コンテナ200の側面パネルとしての利用が可能であるる。
【0026】
一つの熱交換器220が示されて説明されているが、ループサーモサイフォン212が複数の熱交換器220を含むことにより、原子炉202から熱を除去するループサーモサイフォン212の能力をさらに向上させることができる。一例として、
図4は、本開示の少なくとも一態様による、原子炉202を輸送するための別のコンテナ300を例示する。コンテナ300は、流路222、224が流路が分割されて流路322、324を含むことを除いて、上記のループサーモサイフォン212と同様のループサーモサイフォン312を含むことができ、これにより、蒸発チャンバー218は、第二の熱交換器312を有する第二の凝縮器領域316と流体結合される。第二の熱交換器320を組み込むことにより、原子炉202から熱を効果的に除去するためのループサーモサイフォン312の能力を向上させることができる。一実施形態では、ループサーモサイフォン312は、作動媒体が熱を熱交換器220、320に選択的に輸送するように、流路222、224、322、324を選択的に開いてもよく、これは以下でより詳細に説明される。熱交換器220の有効性を向上させる他の手段が企図されている。
【0027】
ループサーモサイフォン212は、複数のアクチュエーター226、228をさらに含むことができる。
図3に示すように、ループサーモサイフォン212は、蒸発チャンバー218の第一の端部上に配置される第一のアクチュエーター226と、蒸発チャンバー218の第二の端部上に配置される第二のアクチュエーター228とを含む。アクチュエーター226、228は、非作動構成または状態と、作動構成または状態との間で構成可能である。作動構成では、アクチュエーター226、228が、作動媒体がループサーモサイフォン212内で流れることを可能にし、作動媒体が原子炉202から熱交換器220に熱を輸送することを可能にする。非作動構成では、アクチュエーター226、228が、作動媒体を蒸発チャンバー218内に維持することを可能にする。別の言い方をすると、非作動構成では、アクチュエーター226、228は、作動媒体が熱を原子炉202から熱交換器220に輸送するのを防止またはブロックすることができる。
【0028】
アクチュエーター226、228は、上記のように、原子炉202内で発生する所定の一つまたは複数の事象、例えば二次冷却の喪失に基づいて、非作動構成と作動構成との間で動的にまたは自動的に移行する受動アクチュエーターであることができる。所定の事象が充足される、到達する、または超えられると、アクチュエーター226、228は、作動媒体が原子炉202から熱を除去できるように、作動構成に自動的に移行することができる。原子炉202を通常の動作状態にするのに十分な量の熱が反応器202から除去されるか、または別の所定の事象が発生すると、アクチュエーター226、228は、非作動構成に自動的に移行し、作動媒体が原子炉202からさらに熱を除去するのを防止またはブロックすることができる。アクチュエーター226、228が非作動構成と作動構成との間で受動的かつ動的に移行する能力により、ループサーモサイフォン212は、人間の介入なしに「必要に応じて」原子炉202から熱を除去することができる。
【0029】
様々な他の実施形態では、アクチュエーター226、228は、非作動構成と作動構成との間で移行するように外部的に制御可能である。例示的な一実施形態では、アクチュエーター226、228は、原子炉202の外部の事象、例えば、アクチュエーター226、228を非作動構成と作動構成との間で移行させることができる手動入力をユーザーが行うこと、に基づいて、非作動構成と作動構成との間で移行することができる。一実施形態では、センサーによって、原子炉内の様々なパラメーター、例えば、温度、圧力、中性子束、水素量を検出することができる。ユーザーは、これらのパラメーターを監視し、アクチュエーター226、228を制御して非作動構成と作動構成との間で移行させ、原子炉202から除去される熱の量を制御することができる。
【0030】
再び
図4を参照すると、上述のように、ループサーモサイフォン312は、二つ以上の熱交換器、例えば二つの熱交換器220、320を含むことができる。上記と同様に、ループサーモサイフォン312は、作動媒体が熱を熱交換器220に伝達することを可能にするために、非作動構成と作動構成との間で動的にまたは自動的に移行することができる、複数のアクチュエーター226、228を含むことができる。さらに、ループサーモサイフォン312は、作動媒体が熱を熱交換器320に伝達できるように、非作動構成と作動構成との間で動的にまたは自動的に移行することができる、別の複数のアクチュエーター326、328を含むことができる。アクチュエーター226、228、326、328は、作動媒体が熱を熱交換器220、320に選択的に伝達できるように、非作動構成と作動構成との間で選択的に移行することができる。このような一実施形態では、アクチュエーター226、228が、例えば第一の閾値温度に達するような第一の事象が発生する場合、作動位置に移行することができ、アクチュエーター326、328が、例えば第二の、より高い閾値温度に達するような第二の事象が発生した場合、作動位置に移行することができる。
【0031】
一実施形態では、アクチュエーター226、228、326、328は、熱動アクチュエーター、例えば米国特許第10,047,730号に記載される熱動アクチュエーターアセンブリを備えてもよく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの熱動アクチュエーター、または他の類似の熱動アクチュエーターは、原子炉202内の単一点の温度に基づいて、非作動構成と作動構成との間で移行するように設計されることができる。別の実施形態では、熱動アクチュエーターは、原子炉202内の複数の点における温度に基づいて、非作動構成と作動構成との間で遷移することができる。
【0032】
一実施形態では、熱動アクチュエーターは、閾値温度に達する、またはそれを超える原子炉202内の温度に基づいて作動構成に移行し、原子炉202内の温度が閾値温度に達する、またはその温度未満に低下することに基づいて非作動位置に移行することができる。一実施形態では、閾値温度は、過渡事象または事故事象レベルの温度閾値に対応することができる。別の実施形態では、アクチュエーター226、228、326、328は、溶融プラグを備えることができる。溶融プラグは、溶融プラグが接触する可能性があるループサーモサイフォン212、312内の作動媒体および他の材料に適合する材料を含むことができる。動作中、アクチュエーター226、228、326、328の溶融温度への温度上昇、またはそれを超える温度上昇により、アクチュエーター226、228、326、328は非作動構成から作動構成へ移行する。
【0033】
温度閾値に基づいてループサーモサイフォン212、312内の流路を効果的に開くことができる他のタイプのアクチュエーターが、本開示で企図されている。一実施形態では、アクチュエーター226、228、326、328は、熱膨張増幅に基づいて流路を開くように作動することができる。このタイプのアクチュエーターは、通常冷却機能の低下を示す温度上昇に合わせて調整できる。
【0034】
温度以外のパラメーターに基づいてループサーモサイフォン212、312内の流路を効果的に開くことができる他のタイプのアクチュエーターが、本開示で企図されている。一実施形態では、アクチュエーター226、228、326、328は、原子炉202内に配置された二水素化物減速材のカプセルと連結可能なバルブを備えることができる。水素が減速材から放出される場合、原子炉202内の圧力が増加することになる。原子炉202内の圧力が圧力閾値に達するか、または超えると、バルブは作動構成に移行して、原子炉202の受動冷却を開始することができる。一実施形態では、バルブによってループサーモサイフォン212内で可能な受動冷却の量を、原子炉202内で検出される圧力に基づかせることができる。一例として、受動冷却の量は、圧力閾値を超えて原子炉202内で検出される圧力の関数であることができる。原子炉202内の圧力が圧力閾値に達する、または圧力閾値未満に低下する場合、バルブは非作動構成に移行し、さらなる受動冷却を防止することができる。
【0035】
別の実施形態では、アクチュエーター226、228、326、328は、中性子検出器に連結することができる。中性子検出器は、中性子束の検出量を中性子束閾値と比較することができる。検出された中性子束が中性子束閾値に達するか、または超える場合、中性子検出器がアクチュエーター226、228、326、328に電気信号を送信することにより、ループサーモサイフォン212、312による原子炉202からの受動熱除去を開始することができる。一実施形態では、アクチュエーター226、228、326、328によってループサーモサイフォン212、312内で可能なる受動冷却量を、原子炉202内で検出される中性子束の量に基づかせることができる。一例として、受動冷却量は、原子炉202内で検出される中性子束の関数であることができる。原子炉202内の中性子束が中性子束の閾値に達するか、または中性子束の閾値未満に低下する場合、アクチュエーター226、228、326、328は非作動構成に移行し、さらなる受動冷却を防止することができる。
【0036】
上記のアクチュエーター226、228、326、328は、原子炉202内で発生する単一の事象またはアクション、例えば、圧力閾値、温度閾値、または中性子束閾値を超えること、に基づいて、作動構成と非作動構成との間で移行するものとして説明されたが、アクチュエーター226、228、326、328は、原子炉202内の複数の事象を監視することができる。その結果、アクチュエーター226、228、326、328は、原子炉内の複数の事象またはアクションの組み合わせに基づいて、作動構成と非作動構成との間で移行可能である。
【0037】
適切なアクチュエーター226、228、326、328を使用することにより、必要な場合に原子炉202から受動熱除去を効果的に増加させ、必要でない場合に原子炉202から受動熱除去を低減させることができる。これにより、通常動作中には必要とされない環境への寄生的な廃熱の量が削減/排除されることになる。
【0038】
図3を参照すると、受動熱動アクチュエーター226、228が作動すると、作動媒体は蒸発チャンバー218内を上方に向かって流れ、流路222を経由して熱交換器220に向かって流れることができる。作動媒体は凝縮し始め、熱交換器220内の内部流路に熱を伝達する。上述したように、熱交換器220の位置に応じて、熱を空気、地面、または水域に伝えることができる。そして、受動熱動アクチュエーター226、228が作動位置に留まる限り、凝縮された作動媒体は流れ、流路224を経由して蒸発チャンバー218に戻ることができ、凝縮された作動媒体は原子炉202内の熱によって再加熱され、上記のプロセスを繰り返すことができる。上記のプロセスは、ループサーモサイフォン312でも実質的に同様である。
【0039】
システムの熱質量および初期条件に応じて、作動媒体は、熱交換器220、320内で凝固する場合がある。最終的な構成要素のサイズ設定に応じて、凝縮潜熱は、システムを作動媒体の凝固点より高く加熱するのに十分である場合がある。これが達成できない場合、一実施形態では、小さな予熱器(図示せず)を熱交換器220、320内に設置することにより、温度を常に作動媒体の凝固温度より高く維持することができる。この温度は原子炉の動作温度よりもはるかに低く、容易に達成できる。事故状況の後に小型の予熱器によって熱を供給する必要はない。
【0040】
原子炉202の冷却要求に応じて、自然対流によって駆動されるループサーモサイフォン212、312の熱性能を、蒸発器チャンバー218内に、管またはより複雑な蒸気チャンバー形状のウィックを設置することによって、高めることができる。一実施形態では、ウィックはメッシュウィックを含むことができる。一実施形態では、ウィックは押出成形ウィックを含むことができる。一実施形態では、ウィックは、「INTERNAL HYDROFORMING METHOD FOR MANUFACTURING HEAT PIPE WICKS」と題する米国特許出願第16/853,270号、および「INTERNAL HYDROFORMING METHOD FOR MANUFACTURING HEAT PIPE WICKS UTILIZING A HOLLOW MANDREL AND SHEATH」と題する米国仮特許出願第63/012,725号に記載されている液圧成形ウィックを含むことができ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一実施形態では、例として、ウィックは、任意の好適な形状、例えば、星、円、または正方形であることができる。別の実施形態では、ウィックは、蒸発器チャンバー218と熱交換器220、320とを流体結合させる流路222、224、322、324内に設置可能である。別の実施形態では、ウィックは、熱交換器220、320内に設置可能である。一実施形態では、例として、ウィックは、ループサーモサイフォンの様々な構成要素、例えば、蒸発器チャンバー218、流路222、224、322、324、または熱交換器220、320の内側表面上に旋条を含むことができる。これらの機能強化により、流れ回路に毛管ポンピングを追加することによって、ループサーモサイフォン212、312の熱伝達能力を向上させることができる。
【0041】
過渡事象または事故による自動調整原子炉の動的応答は、ループサーモサイフォン212、312の受動熱除去によって決まる。追加の熱容量は、作動媒体貯留部を過渡事象および設計基準事故に必要とされる必要な熱容量に調整することによって、ループサーモサイフォン212、312に組み込むことができる。熱交換器220、320の周囲または内部で物質が溶けるようにして、熱容量を追加することもできる。熱除去速度は、熱交換器のサイズを調整することにより調整可能である。さらに、熱交換機の特定のセクションのみが選択的に熱を除去できるようにして、熱除去速度を調整することができる。選択されたセクションを特定の原子炉パラメーターで作動させることにより、熱除去速度が過渡現象または事故によって必要とされる熱除去速度に確実に相当するようにできる。
【0042】
上記の発明により、原子炉の自然対流冷却経路としての、非常に限定的な内部空気流路への依存が減る。一例として、フィン付き熱交換器を利用すると、ループサーモサイフォンによる熱除去能力が大幅に向上させることができる。上述の発明は、受動熱除去システム全体の幾何学的サイズの要件を減らすことができる。このようにフィン付き熱交換器を利用するマイクロリアクター技術を可能にし、それをISOコンテナーパネルの構造機能と組み合わせることができる。上述の発明により、熱交換器をコンテナに、またはコンテナ近傍に設置することができる。これにより、最終ヒートシンクとして、利用可能性に応じて空気、土壌、または水域を利用できるようになる。上記のループサーモサイフォンの熱効率、フィン付き熱交換器のサイズ設定、および作動媒体の熱容量の利用は、過渡事象および事故に必要とされる動的熱応答に適合するように設計可能である。さらに、上記の発明には可動部品がなく、それは、能動部品、例えばファンまたはポンプを使用する冷却システムと比較して、故障の可能性を大幅に減少させる。
【実施例】
【0043】
本明細書に説明される主題のさまざまな態様が、以下の実施例に記載される。
【0044】
実施例1
原子炉を輸送するためのコンテナであって、コンテナはループサーモサイフォンを備えており、ループサーモサイフォンは、チャンバー、チャンバーに流体結合された熱交換器、および非作動状態と作動状態とを含むアクチュエーターを備える、コンテナ。アクチュエーターは、自動的に作動状態に移行するように構成されている。移行は原子炉内で発生する事象に基づく。作動媒体が作動状態で原子炉から熱を除去するように構成されている。
【0045】
実施例2
原子炉が複数のヒートパイプを備え、チャンバーがヒートパイプの上に配置される、実施例1に記載のコンテナ。
【0046】
実施例3
原子炉が炉心ブロックを備え、チャンバーが炉心ブロックと熱的に接触している、実施例1に記載のコンテナ。
【0047】
実施例4
事象が、原子炉が閾値温度に到達すること、またはそれを超えることを含む、実施例1~3のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0048】
実施例5
事象が、原子炉内の圧力の上昇を含む、実施例1~4のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0049】
実施例6
事象が、原子炉内の中性子束の増加を含む、実施例1~5のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0050】
実施例7
チャンバーがウィックを備える、実施例1~6のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0051】
実施例8
原子炉を輸送するためのコンテナであって、コンテナは閉ループサーモサイフォンを備えており、閉ループサーモサイフォンは、筐体、筐体に流体結合された熱交換器、および受動熱動アクチュエーターを備える、コンテナ。筐体はウィックおよび作動媒体を備える。受動熱動アクチュエーターは、原子炉内で発生する所定のアクションに基づいて、作動媒体が原子炉から熱を除去することを可能にするように構成されている。
【0052】
実施例9
原子炉が複数のヒートパイプを備え、筐体がヒートパイプの上に配置される、実施例8に記載のコンテナ。
【0053】
実施例10
原子炉が炉心ブロックを備え、筐体が炉心ブロックと熱的に接触している、実施例8に記載のコンテナ。
【0054】
実施例11
所定のアクションが、原子炉が閾値温度に到達すること、またはそれを超えることを含む、実施例8~10のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0055】
実施例12
所定のアクションが原子炉内の圧力の上昇を含む、実施例8~11のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0056】
実施例13
所定のアクションが原子炉内の中性子束の増加を含む、実施例8~12のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0057】
実施例14
原子炉を輸送するためのコンテナであって、コンテナはループサーモサイフォンを備えており、ループサーモサイフォンは、作動媒体を備える蒸発器領域、蒸発器領域に流体結合された凝縮器領域、および受動熱動アクチュエーターを備える、コンテナ。作動媒体が原子炉から熱を吸収するように構成されている。作動媒体が吸収した熱を蒸発器領域から凝縮器領域に受動的に輸送するように構成されている。受動熱動アクチュエーターは、原子炉内で事象が発生するまで作動媒体をブロックするように構成されている。
【0058】
実施例15
事象が、原子炉が閾値温度に到達すること、またはそれを超えることを含む、実施例14に記載のコンテナ。
【0059】
実施例16
閾値温度が、事故温度閾値に対応する、実施例15に記載のコンテナ。
【0060】
実施例17
事象が原子炉内の圧力の上昇を含む、実施例14~16のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0061】
実施例18
事象が、原子炉内の中性子束の増加を含む、実施例14~17のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0062】
実施例19
原子炉が複数のヒートパイプを備え、蒸発器領域がヒートパイプの上に配置される、実施例14~18のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0063】
実施例20
原子炉が炉心ブロックを備え、蒸発器領域が炉心ブロックと熱的に接触している、実施例14~18のいずれか一つに記載のコンテナ。
【0064】
上記の開示から明らかなように別途具体的に記載されていない限り、上記の開示全体を通して、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する考察は、コンピュータシステム、あるいはコンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理的(電子的)な量として表されるデータを、コンピュータシステムメモリもしくはレジスタ、または他のそのような情報記憶、伝送、もしくはディスプレイデバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータに操作および変換する、同様の電子コンピューティングデバイスの作用およびプロセスを指す。
【0065】
一つ以上の構成要素は、本明細書では、「するように構成されている」、「するように構成可能な」、「するように動作可能な/動作性の」、「適合された/適合可能な」、「することができる」、「するように順応可能な/順応された」などと言及され得る。当業者は、文脈が別途要求しない限り、「するように構成されている」が、概して、能動状態の構成要素および/または非能動状態の構成要素および/または待機状態の構成要素を包含し得ることを認識するであろう。
【0066】
当業者は、概して、本明細書、および特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語が、概して、「オープンな」用語として意図されていること(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(include)」という用語は、「含むが、限定されない」と解釈されるべきである、など)を認識するであろう。導入される請求項の列挙の特定の数が意図される場合、そのような意図は、特許請求の範囲に明示的に列挙されることになり、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解の支援として、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するための、「少なくとも一つ」および「一つまたは複数」という導入句の使用を含有し得る。しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の列挙の導入が、そのような導入される請求項の列挙を含有する任意の特定の請求項を、同じ請求項が導入句の「一つまたは複数」または「少なくとも一つ」および「a」または「an」などの不定冠詞を含むときでさえ、一つのそのような列挙のみを含む請求項に限定することを暗示するものとして解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には、「少なくとも一つ」または「一つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の記述を導入するために使用される定冠詞の使用についても同様である。
【0067】
さらに、導入された請求項の記述の特定の数が明示的に記述される場合でも、当業者は、そのような記述が通常、少なくとも記述された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語句がない「二つの記述」のあからさまな記述は、通常、少なくとも二つの記述、または二つ以上の記述を意味する。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも一つ」に類似した慣例が使用される、そのような事例では、一般的に、そのような構造は、当業者が、慣例(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも一つを有するシステム」は、限定されるものではないが、A単独、B単独、C単独、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/またはA、B、およびCを一緒に有するなどのシステムを含むであろう)を理解するであろうという意味で意図される。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも一つ」に類似した慣例が使用される、そのような事例では、一般的に、そのような構造は、当業者が慣例(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも一つを有するシステム」は、限定されるものではないが、A単独、B単独、C単独、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/またはA、B、およびCを一緒に有するなどのシステムを含むであろう)を理解するであろうという意味で意図される。説明、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、二つ以上の代替的な用語を提示する典型的な選言的な単語および/または語句は、文脈が別途指示しない限り、用語のうちの一つ、用語のうちのいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図することが理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「AまたはB」という語句は、典型的には、「A」もしくは「B」または「AおよびB」の可能性を含むことが理解されるであろう。
【0068】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、その中に列挙された動作が一般に任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、さまざまな動作フロー図が配列で提示されるが、さまざまな動作は、例示されるもの以外の他の順序で実施され得るか、または同時に実施され得ることが理解されるべきである。そのような代替的な順序付けの例としては、文脈が別途指示しない限り、重複、交互配置、中断、再順序付け、増分、予備、補足、同時、逆、または他のさまざまな順序付けが挙げられ得る。さらに、文脈が別途指示しない限り、「に応答する」、「に関連する」、または他の過去形形容詞などの用語は、一般に、そのような変形を除外することを意図していない。
【0069】
「一つの態様」、「一態様」、「一例証」、「一つの例証」などへの任意の参照は、態様に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも一つの態様に含まれることを意味することに留意すべきである。従って、本明細書全体を通して、さまざまな箇所における「一つの態様では」、「一態様では」、「一例証では」、および「一つの例証では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ態様を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、一つまたは複数の態様では、任意の適切な方法で組み合わせられ得る。
【0070】
本明細書において参照され、および/または任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、または他の開示資料は、それらの資料が本明細書に矛盾しない範囲内で、参照により本明細書に組み込まれる。従って、かつ必要な範囲において、本明細書に明示的に記載される本開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する資料に優先する。参照により本明細書に組み込まれると言及されるが、既存の定義、記述、または本明細書に記載される他の開示資料と矛盾する、あらゆる資料、またはそれらの一部分は、その組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾がない範囲でのみ、組み込まれることになる。
【0071】
「備える、含む(comprise)」(ならびに「comprises」および「comprising」などのcompriseの任意の形態)、「有する(have)」(ならびに「has」および「having」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(ならびに「includes」および「including」などのincludeの任意の形態)、「含有する(contain)」(ならびに「contains」および「containing」などのcontainの任意の形態)という用語は、オープンエンドの連結動詞である。結果として、一つまたは複数の要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」システムは、それらの一つまたは複数の要素を保有するが、それらの一つまたは複数の要素のみを保有することに限定されない。同様に、一つまたは複数の特徴を「含む」、「有する」、「含む」、または「含有する」システム、デバイス、または装置の要素は、それらの一つまたは複数の特徴を保有するが、それらの一つまたは複数の特徴のみを保有することに限定されない。
【0072】
本開示で使用される用語「実質的に」、「約」、または「およそ」は、別段の指定がない限り、当業者によって決定される特定の値についての許容可能な誤差を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるかに部分的に依存する。いくつかの実施形態では、用語「実質的に」、「約」、または「およそ」は、1、2、3、または4の標準偏差以内を意味する。いくつかの実施形態では、用語「実質的に」、「約」、または「およそ」は、所与の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内を意味する。
【0073】
要約すると、本明細書に説明される概念を採用することから結果的に生じる多数の利益が説明される。一つまたは複数の形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提示される。これは、開示される正確な形態を網羅または限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、修正または変形が可能である。一つまたは複数の形態は、原理および実践的適用を例示するために選択および説明され、それによって、当業者がさまざまな形態を、および企図される特定の使用に好適なさまざまな修正を用いて利用することを可能にする。本明細書で提出された特許請求の範囲は、全体的な範囲を定義することが意図される。
【国際調査報告】