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特表2023-524504ソルビトールデヒドロゲナーゼ欠乏症を処置するためのアルドースレダクターゼ阻害剤
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  • 特表-ソルビトールデヒドロゲナーゼ欠乏症を処置するためのアルドースレダクターゼ阻害剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】ソルビトールデヒドロゲナーゼ欠乏症を処置するためのアルドースレダクターゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230605BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P3/00
A61P43/00 111
A61P27/12
A61P25/00
A61P9/04
A61P13/12
A61P9/10
A61P7/00
A61P3/10
A61K31/502
A61K31/426
A61K31/5025
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566358
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 US2021029286
(87)【国際公開番号】W WO2021222165
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/019,186
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/019,738
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520032826
【氏名又は名称】アプライド セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シェンデルマン, ショーシャナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA33
4C084ZA37
4C084ZA51
4C084ZA81
4C084ZC20
4C084ZC21
4C084ZC35
4C084ZC41
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086BC84
4C086CB09
4C086CB26
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA33
4C086ZA37
4C086ZA51
4C086ZA81
4C086ZC20
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、アルドースレダクターゼ阻害剤を使用する、SDH欠乏症、遺伝性ニューロパチーなどの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害のための方法に関する。本開示はまた、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を有する対象におけるソルビトール蓄積を低下させる方法であって、治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を対象に投与することを含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の処置に使用するための、アルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項2】
前記処置によりソルビトール蓄積が低下する、請求項1に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項3】
前記障害が、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害である、請求項1または2に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項4】
前記障害が、遺伝性SDH欠乏症である、請求項1または2に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項5】
前記障害が、白内障、ニューロパチー、網膜症、心筋症、腎症、細小血管合併症、アテローム性動脈硬化および他の心血管系の合併症、アルブミン尿および糖尿病からなる群から選択される、臨床的特徴または合併症を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項6】
前記障害が、遺伝性ニューロパチーである、請求項1~5のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項7】
前記遺伝性ニューロパチーが、SDH欠乏症に関連する、請求項6に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項8】
前記遺伝性ニューロパチーが、シャルコー-マリー-トゥース病(CMT)である、請求項6または7に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項9】
前記CMTがCMT-2である、請求項6または7に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項10】
前記CMT-2が、遠位遺伝性運動ニューロパチー(neuronopathy)(dHMN)である、請求項9に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項11】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物またはその塩である、請求項1~10のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項12】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、ゾポルレスタットもしくはその塩、またはエパルレスタットもしくはその塩である、請求項1~10のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項13】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(II)の化合物またはその塩である、請求項1~10のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項14】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、以下のもの
【化81】
またはそれらの塩から選択される、請求項13に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項15】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(III)の化合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項16】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、以下のもの
【化82】
またはそれらの塩から選択される、請求項15に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項17】
前記疾患または障害が、ヒトにおけるものである、請求項1~16のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項18】
前記ヒトが糖尿病を有する、請求項17に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項19】
ヒトが、糖尿病の合併症を有する、請求項18に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項20】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Aまたはその塩である、前記請求項のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項21】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Bまたはその塩である、前記請求項のいずれか一項に記載のアルドースレダクターゼ阻害剤。
【請求項22】
対象における、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を投与することを含む、方法。
【請求項23】
前記有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤が、前記対象におけるソルビトール蓄積を低下させるのに十分である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記遺伝性障害が、ソルビトールの代謝を改変する、またはソルビトールの過剰生成を引き起こす障害である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記障害が、遺伝性SDH欠乏症である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項26】
前記障害が、白内障、ニューロパチー、網膜症、心筋症、腎症、細小血管合併症、アテローム性動脈硬化および他の心血管系の合併症、アルブミン尿および糖尿病からなる群から選択される、臨床的特徴または合併症を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記障害が、遺伝性ニューロパチーである、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記遺伝性ニューロパチーが、SDH欠乏症に関連する、またはこれによって引き起こされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記遺伝性ニューロパチーが、シャルコー-マリー-トゥース病(CMT)である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記シャルコー-マリー-トゥースニューロパチータイプ2(CMT-2)である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
前記CMT-2が、遠位遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物またはその塩である、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、ゾポルレスタットもしくはその塩、またはエパルレスタットもしくはその塩である、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(II)の化合物またはその塩である、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、以下のもの
【化83】
またはその塩から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、式(III)の化合物である、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、以下のもの
【化84】
またはその塩から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記対象がヒトである、請求項22~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
それを必要とする前記対象が糖尿病を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
それを必要とする前記対象が、糖尿病の合併症を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Aまたはその塩である、請求項22~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記アルドースレダクターゼ阻害剤が、化合物Bまたはその塩である、請求項22~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を処置するための、アルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)の使用。
【請求項44】
ソルビトールの代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害を処置するための、アルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)の使用。
【請求項45】
遺伝性ニューロパチーを処置するための、アルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)の使用。
【請求項46】
ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を処置する医薬の製造に使用するための、アルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)。
【請求項47】
ソルビトールの代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害を処置する医薬の製造に使用するための、アルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)。
【請求項48】
遺伝性ニューロパチーを処置する医薬の製造に使用するための、アルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)。
【請求項49】
活性成分としてアルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)を投与することを含む、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を処置するための、医薬組成物。
【請求項50】
活性成分としてアルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)を投与することを含む、ソルビトールの代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害を処置するための、医薬組成物。
【請求項51】
活性成分としてアルドースレダクターゼ阻害剤(ARI)を投与することを含む、遺伝性ニューロパチーを処置するための、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、それらの両方の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる、2020年5月1日出願の米国特許出願第63/019,186号、および2020年5月4日出願の米国特許出願第63/019,738号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)は、中鎖デヒドロゲナーゼ/レダクターゼタンパク質ファミリーのメンバーであり、グルコース代謝のポリオール経路の第2の酵素である。この経路では、細胞中のグルコース濃度が高くなり過ぎると、アルドースレダクターゼ(AR)は、補因子としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を使用して、グルコースをソルビトールへと還元する。次に、ソルビトールは、補因子としてのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を使用するソルビトールデヒドロゲナーゼによって、フルクトースに酸化される(Tang et al., (2012), Frontiers in Pharmacology, 3;87)。SDHは、ほとんどすべての哺乳動物組織において発現される。
【0003】
ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症、およびソルビタール代謝に関与する酵素の他の遺伝性欠乏またはソルビタールレベルを上昇させる遺伝性状態は、とりわけ、眼、中枢神経系および腎臓への損傷を特徴とする。SDH欠乏症とは、酵素の欠乏のために、ソルビトールをフルクトースに分解することができないことを特徴とする遺伝性状態である。ソルビトールは、性質が高度に親水性のアルコールであり、容易に細胞膜を通過して拡散せず、したがって、細胞内に蓄積する。
【0004】
SDH欠乏症の臨床的な作用は、浸透圧による膨潤、膜透過性の変化およびまた酸化ストレスをもたらすソルビトールの蓄積に起因しており、それによって、組織が損傷する。同文献。実際に、ソルビトールの過剰形成は、眼、中枢神経系および腎臓への損傷にリンクしている。同文献。例えば、アルドースレダクターゼ活性の上昇による細胞内ソルビトールの蓄積は、白内障、網膜症、腎症およびニューロパチーなどの糖尿病の様々な二次合併症の発症に関与している。
ソルビトール蓄積に関連する合併症は、現在では、治癒法が存在しない。したがって、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害およびまたは代謝障害の処置および/または管理のための方法が必要であることが認識されているが、満たされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tang et al., (2012), Frontiers in Pharmacology, 3;87
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示は、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症、アルドースレダクターゼ活性の上昇、フルクトキナーゼ欠乏症などの、ソルビトールの代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害およびまたは代謝障害を処置する方法に関する。本方法は、それを必要とする対象に治療有効量のアルドースレダクターゼ(AR)阻害剤を投与することを含む。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、ARの阻害は、網膜、坐骨神経、脊髄、肝臓および腎臓などの組織における、ソルビトールの蓄積を低下させることができると考えられる。
【0007】
本開示はまた、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を有する対象におけるソルビトール蓄積を低下させる方法であって、治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を対象に投与することを含む、方法に関する。
【0008】
一部の実施形態では、本開示は、遺伝性障害を有する対象におけるソルビトール蓄積を低下させる方法であって、治療有効量のアルドースレダクターゼ阻害剤を対象に投与することを含む、方法に関する。
【0009】
遺伝性障害は、ソルビトールの代謝を改変する、またはソルビトールの過剰生成を引き起こす任意の障害である。
【0010】
本開示はまた、シャルコー-マリー-トゥースニューロパチータイプ1(CMT1)、脱髄性末梢ニューロパチー、またはシャルコー-マリー-トゥースニューロパチータイプ2(CMT2)、軸索性(非脱髄性)末梢ニューロパチーを含むシャルコー-マリー-トゥース病(CMT)などの、遺伝性ニューロパチーを処置する方法に関する。一部の態様では、CMT2は、遠位遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)である。
【0011】
例では、本方法は、それを必要とする対象に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。例では、本方法は、それを必要とする対象に治療有効量の式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む。一部の態様では、投与されるAR阻害剤は、ポナルレスタット(ponalrestat)、エパルレスタット、ソルビニルもしくはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル(statil)、ベルベリンまたはSPR-210ではない。例では、本方法は、エパルレスタットの投与を除外する。
【0012】
他の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象におけるソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を処置する方法であって、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物などのAR阻害剤および薬学的に許容される担体を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0013】
他の実施形態では、本開示は、それを必要とする対象におけるソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を処置する方法であって、治療有効量の
(a)式(I)~(VI)の化合物および薬学的に許容される担体、ならびに
(b)アルポナルレスタット(alponalrestat)、エパルレスタット、ソルビニルもしくはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210のうちの1つまたは複数
を投与することを含む、方法に関する。
【0014】
他の実施形態では、本開示は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の処置におけるAR阻害剤の使用に関する。
【0015】
他の実施形態では、本開示は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する医薬を製造するための、AR阻害剤の使用に関する。
【0016】
本開示はまた、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置するための、AR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物)の使用に関する。
【0017】
本開示はまた、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する医薬を製造するための、AR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物)に関する。
【0018】
本開示はまた、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置するための、AR阻害剤(例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物)を活性成分として含有する医薬製剤に関する。
【0019】
さらに別の態様では、本開示は、糖尿病、糖尿病に起因する合併症などの他の様々な障害の処置であって、ソルビトールの過剰形成が糖尿病合併症の発生および進行に直接リンクしている、処置に関する。このような障害は、以下に限定されないが、「糖」白内障、高血糖症、糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパチー、糖尿病性網膜症などを含むことができる。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、糖尿病対象における高いグルコースレベルは、ポリオール経路を作動させ、グルコースが、ARによりソルビトールに変換され、次に、ソルビトールは、フルクトースに変換されると考えられる。グルコースは、ソルビトールが酸化されるよりもよりも速く還元されるので、正味の作用は、オスモライトであるソルビトールの細胞内蓄積である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】図は、ソルビタールデヒドロゲナーゼ欠乏症(SORD)を有する患者に由来する線維芽細胞が、健常な志願者に由来する線維芽細胞と比べ、ソルビタールレベルが上昇していることを示す、ヒストグラムである。アルドースレダクターゼ阻害剤である化合物Aおよび化合物BによるSORD線維芽細胞の処置により、SORD線維芽細胞におけるソルビトールレベルが低下する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
これより、様々な態様を、本明細書のこれ以降に一層完全に記載する。しかし、このような態様は、多数の異なる形態で具現化され得、本明細書において説明されている実施形態に限定されると解釈するべきではなく、むしろ、これらの実施形態が本開示を徹底的かつ完全にするように提示されている。
【0022】
本開示は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置するための、AR阻害剤の使用に関する。
【0023】
値の範囲が本開示に提示されている場合、その範囲の上限値と下限値との間の介在値の各々、および明記されているそのような範囲における任意の他の明記されている値または介在値が、本開示の範囲内に包含されることが意図される。例えば、1μM~8μMの範囲が明記されている場合、2μM、3μM、4μM、5μM、6μMおよび7μM、ならびに1μMより高いまたはそれに等しい範囲、および8μM未満またはそれに等しい範囲が、やはり明示的に開示されることが意図されている。
【0024】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が他に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「式(I)の化合物」と言う場合、単一化合物、および2つまたはそれより多い同じまたは異なる化合物を含む。「賦形剤」と言う場合、単一賦形剤、および2種またはそれより多い同じまたは異なる賦形剤を含むなどである。
【0025】
本開示の文脈が他に示さない限り、または下記の解釈と一致しないことがない限り、語「約」は、その値のプラスまたはマイナス10%の範囲を意味し、例えば、「約50」は、45~55を意味し、「約25,000」は、22,500~27,500を意味する、などである。例えば、「約49、約50、約55」などの数値の列挙では、「約50」は、前の値と後の値との間の間隔の半分未満まで拡張した範囲、例えば、49.5より大きく、52.5より小さいことを意味する。さらに、言い回し、「約ある値未満」または「約ある値よりも大きい」とは、本明細書において提示されている用語「約」の定義を鑑みて理解すべきである。
【0026】
様々な実施形態の完全、簡潔および明瞭な記載を提示するために、本開示は、一層広い開示の様々な構成成分、構成成分の群、範囲および他の要素の説明を含む。本開示の追加的な実施形態を提示するよう、このような要素を様々に組み合わせることができることが意図されている。群の範囲内の任意の部分範囲、または部分範囲の組合せを含む、任意の開示されている群の個々のメンバーを含むいずれの開示されている特徴(例えば、置換基、アナログ、化合物、構造、構成成分)も、何らかの理由のために、本開示から、または本開示のいずれかの実施形態から除外されてもよいことがやはり意図されている。
【0027】
本開示の様々な実施形態は、以下の番号付けした段落に詳細にさらに記載されている。
I.方法
【0028】
一般に、本開示は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する方法であって、それを必要とする対象にアルドースレダクターゼ活性を阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む、方法に関する。本化合物は、低分子化合物(例えば、5kDaまたはそれ未満のサイズを有する)、生物学的薬剤(例えば、アルドースレダクターゼを指向する阻害性RNA)またはそれらの組合せなどの、AR活性を阻害する任意の好適な化合物とすることができる。好ましくは、AR阻害剤は、低分子化合物である。好適な低分子AR阻害剤は、当分野で公知であり、本明細書において開示されている。低分子AR阻害剤には、ポナルレスタット、ソルビニル、ソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリン、SPR-210、ゾポルレスタット、エパルレスタット、US8,916,563、US9,650,383、US10,150,779に開示されている化合物、および本明細書において開示されている化合物が含まれる。本発明において使用するための好ましいAR阻害剤には、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、米国特許第10,150,779号に開示されている化合物、および本明細書において開示されている化合物が含まれる。AR阻害剤は、薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、および1個または複数の原子の安定な同位体、例えば、水素の代わりに重水素を含有する化合物を含む、任意の好適な分子形態で投与され得る。
【0029】
一例では、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する方法は、それを必要とする対象に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
【0030】
一例では、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する方法は、それを必要とする対象に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
【0031】
一例では、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する方法は、それを必要とする対象に治療有効量のアルドースレダクターゼを投与することを含み、アルドースレダクターゼ阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210ではない。特定の実施形態では、本明細書において開示されているソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症を処置する方法は、エパルレスタットの投与を含まない。
【0032】
一例では、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置する方法は、それを必要とする対象に治療有効量の式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む。ある特定の例では、投与される化合物は化合物Aであるか、または投与される化合物は、化合物Bであるか、または化合物Aもしくは化合物Bの生理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグである。
【化1】
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「処置すること(treating)」とは、治癒的または緩和的(例えば、疾患もしくは疾患症状を制御または軽減する)治療法を指す。これは、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の症状、臨床的兆候および根本病理を、対象の状態を改善するまたは安定させるように、反転させる、低下させる、停止させる、または遅延させることを含み得る。したがって、本方法は、例えば、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症の合併症(例えば、症状および臨床的兆候)の処置、ならびに/またはソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症の合併症(例えば、症状および臨床的兆候)の処置および予防を含む、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を処置するために使用することができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の重症度を軽減または改善する量などの、投与の条件下で、所望の治療効果を達成するのに十分な化合物の量であり、これは、ソルビトールのレベルの低下をもたらす、細胞におけるソルビトールおよび/もしくはソルビタール蓄積のレベルの上昇に関連する状態もしくは症状の進行を予防する、またはSDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するもしくはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/もしくは代謝障害の処置もしくは管理のための別の治療法の治療効果(複数可)を増強する、または他の方法で、改善する。治療有効量は、処置されている対象におけるソルビトールを低下させる量とすることができる。投与される実際の量は、例えば、対象の年齢、体重、性別、一般的な健康および薬物への耐容性、疾患の重症度、選択した剤形、投与経路および他の要因に基づいて、通常の知識を有する臨床医によって決定され得る。通常、投与されるAR阻害剤の量は、約1.0~10mg/kgなどの、1日あたり体重1kgあたり約0.5~約60mgである。
【0035】
本明細書において開示されている方法を実施する一部の例では、治療有効量は、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはそれより高く、例えば、約100%(例えば、処置前レベルとの比較)、細胞内アルドースレダクターゼ活性を低下させるのに十分な量である。治療有効量は、少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはそれより高く、例えば、約100%(例えば、処置前レベルとの比較)、ソルビトールレベルを低下させる量とすることができる。治療有効量は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害により、対象におけるソルビトールレベルを正常化するのに十分となり得る。
【0036】
「対象」は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害を有する任意の動物、特に、哺乳動物とすることができ、以下に決して限定されないが、ヒト、家庭動物、例えばネコまたはイヌ対象、家畜、例えば以下に限定されないが、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、鳥類およびブタ対象、野生動物(野生にいるかまたは動物園にいるかに関わらない)、研究または実験動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコなど、鳥類の種、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、鳴鳥などを含むことができる。通常、本明細書において開示されている方法を使用して処置されるヒト対象は、例えば、新生児として、酵素的もしくは遺伝的スクリーニングにより、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するもしくはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/もしくは代謝障害と診断される、ならびに/または組織中にソルビトールの蓄積を有する。
【0037】
本開示はまた、対象における、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の臨床的特徴または合併症のうちの少なくとも1つの予防または処置に関する。小児、青年または成人において現れ得る代表的な臨床的特徴または合併症には、例えば、白内障、ニューロパチー、網膜症、心筋症、腎症、細小血管合併症、アテローム性動脈硬化および他の心血管系の合併症、アルブミン尿および糖尿病が含まれる。
【0038】
特定の態様では、本開示は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の臨床的特徴または合併症を処置する方法に関し、それを必要とする対象に治療有効量のゾポルレスタットを投与することを含む。
【0039】
一例では、本開示は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の臨床的特徴または合併症を処置する方法に関し、それを必要とする対象に治療有効量のエパルレスタットを投与することを含む。
【0040】
一例では、本開示は、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールの過剰生成を引き起こす遺伝性障害および/または代謝障害の臨床的特徴または合併症を処置する方法に関し、それを必要とする対象に治療有効量の式(I)~(VI)のいずれか1つの化合物を投与することを含む。
【0041】
一部の実施形態では、前述の方法は、1種または複数種のAR阻害剤を含む製剤を投与することにより実施される。製剤は、所望の処置期間の間、それを必要とする対象に、1日1回、1日2回、1日3回または1日4回、投与するように適合され得る。通常、本製剤は、数週間、数か月間、数年間または数十年間の経過にわたり、長期投与するように適合されている。さらに他の実施形態では、本方法は、数週間にわたり投与するように適合されている製剤を投与することによって行われる。通常、本方法は、数年間または数十年間にわたり投与するように適合されている製剤を投与することによって行われる。
II.AR阻害剤
【0042】
好適な低分子AR阻害剤は、当分野で公知であり、本明細書において開示されている。低分子AR阻害剤には、ポナルレスタット、ソルビニル、ソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリン、SPR-210、ゾポルレスタット、エパルレスタット、US8,916,563、US9,650,383、WO2012/009553に開示されている化合物、および本明細書において開示されている化合物が含まれる。本発明において使用するための好ましいAR阻害剤である、ゾポルレスタット、エパルレスタット、米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、WO2017/038505、米国特許第10,150,779号に開示されている化合物、および本明細書において開示されている化合物。米国特許第8,916,563号、米国特許第9,650,383号、米国特許第10,150,779号、WO2012/009553およびWO2017/038505の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれており、本明細書において記載されている方法に使用するのに好適な化合物を開示する。
式(I)および(II)の化合物
【0043】
一例では、AR阻害剤は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグおよび溶媒和物
【化2】
【0044】
(式中、
【0045】
は、H、(C~C)-アルキル、(C~C)-ヒドロキシアルキルまたは(C~C)-アミノアルキルであり、
【0046】
は、NまたはCRであり、
【0047】
は、NまたはCRであり、
【0048】
は、NまたはCRであり、
【0049】
は、NまたはCRであり、但し、X、X、XまたはXのうちの2つまたは3つは、Nであり、
【0050】
Yは、結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルであり、
【0051】
Zは、
【化3】
であり、
【0052】
は、NR11、O、SまたはCHであり、
【0053】
は、NまたはCHであり、
【0054】
は、NR11、OまたはSであり、
【0055】
~R10は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルもしくは(C~C)-アルキルスルホニルであるか、またはR~Rのうちの2つもしくはR~R10のうちの2つは、一緒になって、(C~C)-アルキレンジオキシであり、
【0056】
11は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである)
である。
【0057】
Zが、
【化4】
であるか、またはZが、
【化5】
であるという表示は、
【0058】
Zが、
【化6】
である場合は、
【0059】
式(I)の化合物は、
【化7】
を包含し、
【0060】
Zが、
【化8】
である場合は、
【0061】
式(I)の化合物は、
【化9】
を包含することを示すことが当業者によって認識されよう。
【0062】
ある特定の実施形態では、Rは、水素または(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、tert-ブチルである。
【0063】
ある特定の実施形態では、R~R10は、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R~R10は、独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0064】
ある特定の実施形態では、R~Rは、水素である。
【0065】
ある特定の実施形態では、R~R10は、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R~R10は、独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0066】
ある特定の実施形態では、R~R10は、水素である。
【0067】
ある特定の実施形態では、Rは、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Rは、ハロアルキルである。
【0068】
ある特定の実施形態では、Rは、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Rは、ハロアルキルである。
【0069】
ある特定の実施形態では、Yは、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Yは、C=OまたはC=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Oである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。
【0070】
ある特定の実施形態では、Aは、NR11、SまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、NR11またはOである。ある特定の実施形態では、Aは、NR11またはSである。ある特定の実施形態では、Aは、NR11である。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、Aは、Sである。
【0071】
ある特定の実施形態では、Aは、NまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、Nである。ある特定の実施形態では、Aは、CHである。
【0072】
ある特定の実施形態では、Aは、OまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、Aは、Sである。
【0073】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、窒素である。
【0074】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、窒素である。
【0075】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、窒素である。
【0076】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、窒素である。
【0077】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、窒素である。
【0078】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、窒素である。
【0079】
ある特定の実施形態では、Zは、
【化10】
である。
【0080】
ある特定の実施形態では、Zは、
【化11】
である。
【0081】
ある特定の実施形態では、Rは、水素または(C~C)-アルキルであり、
【0082】
およびXは、Nであり、
【0083】
は、CRであり、
【0084】
は、CRであり、
【0085】
Yは、C=Oであり、
【0086】
Zは、
【化12】
であり、
【0087】
は、NR11、OまたはSであり、
【0088】
は、Nであり、
【0089】
は、OまたはSであり、
【0090】
およびRは、水素であり、
【0091】
~R10は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルまたは(C~C)-アルキルスルホニルであり、
【0092】
11は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0093】
ある特定の実施形態では、Rは、水素またはtert-ブチルであり、
【0094】
およびXは、Nであり、
【0095】
は、CRであり、
【0096】
は、CRであり、
【0097】
Yは、C=Oであり、
【0098】
Zは、
【化13】
であり、
【0099】
は、NR11、OまたはSであり、
【0100】
は、Nであり、
【0101】
は、OまたはSであり、
【0102】
およびRは、水素であり、
【0103】
~R10は、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
【0104】
11は、水素、(C~C)-アルキルまたはC(O)O-tert-ブチルである。
【0105】
ある特定の実施形態では、Rは、水素またはtert-ブチルであり、
【0106】
およびXは、Nであり、
【0107】
は、CHであり、
【0108】
は、CHであり、
【0109】
Yは、C=Oであり、
【0110】
Zは、
【化14】
であり、
【0111】
は、NR11、OまたはSであり、
【0112】
は、Nであり、
【0113】
は、OまたはSであり、
【0114】
、RおよびR10は、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
【0115】
は、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
【0116】
11は、水素またはメチルである。
【0117】
ある特定の実施形態では、Rは、水素またはtert-ブチルであり、
【0118】
およびXは、Nであり、
【0119】
は、CHであり、
【0120】
は、CHであり、
【0121】
Yは、C=Oであり、
【0122】
Zは、
【化15】
であり、
【0123】
は、NR11、OまたはSであり、
【0124】
は、Nであり、
【0125】
は、OまたはSであり、
【0126】
、RおよびR10は、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
【0127】
は、塩素またはトリフルオロメチルであり、
【0128】
11は、水素またはメチルである。
【0129】
ある特定の実施形態では、AR阻害剤は、式(II)の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物:
【化16】
【0130】
(式中、R、R~RおよびYは、式(I)に記載されている通りであり、好ましくは、Rは、水素または(C~C)-アルキルであり、Yは、C=Oである)である。例示的な式(II)の化合物は、以下およびその塩:
【化17】
を含む。
式(III)の化合物
【0131】
AR阻害剤は、式(III)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグおよび溶媒和物
【0132】
【化18】
【0133】
(式中、
【0134】
は、COまたはCO であり、
【0135】
は、H、(C~C)-アルキル、(C~C)-ヒドロキシアルキルまたは(C~C)-アミノアルキルであり、
【0136】
は、Hまたはハロゲンであり、
【0137】
は、Hまたはハロゲンであり、
【0138】
Yは、結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルであり、
【0139】
Zは、
【化19】
であり、
【0140】
は、NR、O、SまたはCHであり、
【0141】
は、NまたはCHであり、
【0142】
は、NR、OまたはSであり、
【0143】
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルまたは(C~C)-アルキルスルホニルであり、
【0144】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルであり、
【0145】
は、対イオンである)
とすることができる。
【0146】
Zが、
【0147】
【化20】
であるか、またはZが、
【0148】
【化21】
であるという表示は、
Zが、
【0149】
【化22】
である場合は、式(III)の化合物は、
【化23】
を包含すると理解され、Zが、
【化24】
である場合は、式(I)の化合物は、
【化25】
を包含すると理解されることを示すことが当業者によって認識されよう。
【0150】
ある特定の実施形態では、Rは、COまたはCO である。ある特定の実施形態では、Rは、COである。ある特定の実施形態では、Rは、CO である。
【0151】
ある特定の実施形態では、Rは、水素または(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素または(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素または(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素、メチルまたはエチルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素またはメチルである。ある特定の実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。ある特定の実施形態では、Rは、メチルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、(C~C)-n-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、tert-ブチルである。
【0152】
ある特定の実施形態では、R~Rは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルまたは(C~C)-アルキルスルホニルである。
【0153】
ある特定の実施形態では、R~Rは、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R~Rは、独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0154】
ある特定の実施形態では、R~Rは、水素である。ある特定の実施形態では、R、RおよびRは、水素である。
【0155】
ある特定の実施形態では、Rは、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Rは、ハロアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、CFである。
【0156】
ある特定の実施形態では、R~Rは、水素である。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、ハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、CFである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、Fである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、Clである。
【0157】
ある特定の実施形態では、Yは、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Yは、C=OまたはC=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Oである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。
【0158】
ある特定の実施形態では、Aは、NR、O、SまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、NR、OまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、NR、SまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、NRまたはOである。ある特定の実施形態では、Aは、NRまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、NRである。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、Aは、Sである。
【0159】
ある特定の実施形態では、Aは、NまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、Nである。ある特定の実施形態では、Aは、CHである。
【0160】
ある特定の実施形態では、Aは、NR、OまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、Aは、Sである。ある特定の実施形態では、Aは、NRである。
【0161】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、水素である。
【0162】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、XおよびXは、Clである。
【0163】
ある特定の実施形態では、XおよびXは、独立して、水素またはハロゲンである。ある特定の実施形態では、Xは、水素であり、Xは、Clである。ある特定の実施形態では、Xは、Clであり、Xは、水素である。
【0164】
ある特定の実施形態では、Zは、
【化26】
である。
【0165】
ある特定の実施形態では、Zは、
【化27】
である。
【0166】
ある特定の実施形態では、Rは、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cn-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cn-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-n-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-n-アルキルである。
【0167】
ある特定の実施形態では、Rは、COであり、
【0168】
は、Hまたは(C~C)-アルキルであり、
【0169】
は、Hであり、
【0170】
は、Hであり、
【0171】
Yは、C=Oであり、
【0172】
Zは、
【化28】
であり、
【0173】
は、NR、OまたはSであり、
【0174】
は、Nであり、
【0175】
は、OまたはSであり、
【0176】
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルまたは(C~C)-アルキルスルホニルであり、
【0177】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0178】
ある特定の実施形態では、Rは、COであり、
【0179】
は、Hまたはtert-ブチルであり、
【0180】
は、Hであり、
【0181】
は、Hであり、
【0182】
Yは、C=Oであり、
【0183】
Zは、
【化29】
であり、
【0184】
は、NR、OまたはSであり、
【0185】
は、Nであり、
【0186】
は、OまたはSであり、
【0187】
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり、
【0188】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0189】
ある特定の実施形態では、Rは、COであり、
【0190】
は、Hまたはtert-ブチルであり、
【0191】
は、Hであり、
【0192】
は、Hであり、
【0193】
Yは、C=Oであり、
【0194】
Zは、
【化30】
であり、
【0195】
は、NR、OまたはSであり、
【0196】
は、Nであり、
【0197】
は、OまたはSであり、
【0198】
、RおよびRは、水素であり、
【0199】
は、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
【0200】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0201】
ある特定の実施形態では、Rは、COであり、
【0202】
は、Hまたは(C~C)-アルキルであり、
【0203】
は、ハロゲンであり、
【0204】
は、ハロゲンであり、
【0205】
Yは、C=Oであり、
【0206】
Zは、
【化31】
であり、
【0207】
は、NR、OまたはSであり、
【0208】
は、Nであり、
【0209】
は、OまたはSであり、
【0210】
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルまたは(C~C)-アルキルスルホニルであり、
【0211】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0212】
ある特定の実施形態では、Rは、COであり、
【0213】
は、Hまたはtert-ブチルであり、
【0214】
は、ハロゲンであり、
【0215】
は、ハロゲンであり、
【0216】
Yは、C=Oであり、
【0217】
Zは、
【化32】
であり、
【0218】
は、NR、OまたはSであり、
【0219】
は、Nであり、
【0220】
は、OまたはSであり、
【0221】
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり、
【0222】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0223】
ある特定の実施形態では、Rは、COであり、
【0224】
は、Hまたはtert-ブチルであり、
【0225】
は、Clであり、
【0226】
は、Clであり、
【0227】
Yは、C=Oであり、
【0228】
Zは、
【化33】
であり、
【0229】
は、NR、OまたはSであり、
【0230】
は、Nであり、
【0231】
は、OまたはSであり、
【0232】
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、ハロアルキルであり、
【0233】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0234】
ある特定の実施形態では、Rは、COであり、
【0235】
は、Hまたはtert-ブチルであり、
【0236】
は、Clであり、
【0237】
は、Clであり、
【0238】
Yは、C=Oであり、
【0239】
Zは、
【化34】
であり、
【0240】
は、NR、OまたはSであり、
【0241】
は、Nであり、
【0242】
は、OまたはSであり、
【0243】
、RおよびRは、水素であり、
【0244】
は、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
【0245】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0246】
ある特定の実施形態では、式(III)の化合物は、
【化35】
からなる群から選択される。
【0247】
ある特定の実施形態では、式(III)の化合物は、
【化36】
または薬学的に許容されるその塩である。
【0248】
ある特定の実施形態では、式(III)の化合物は、
【化37】
または薬学的に許容されるその塩である。
式(IV)、(V)および(VI)の化合物
【0249】
AR阻害剤は、式(IV)の化合物、または薬学的に許容されるその塩および溶媒和物
【0250】
【化38】
【0251】
(式中、
【0252】
は、Hまたはハロゲンであり、
【0253】
は、Hまたはハロゲンであり、
【0254】
Yは、結合、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルであり、
【0255】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0256】
【化39】
を形成し、
【0257】
式中、
【0258】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンであり、
【0259】
Zは、
【化40】
であり、
【0260】
は、NR、O、SまたはCHであり、
【0261】
は、NまたはCHであり、
【0262】
は、NR、OまたはSであり、
【0263】
~Rは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルまたは(C~C)-アルキルスルホニルであり、
【0264】
は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである)
とすることができる。
【0265】
~Cアルキレン上の好適な置換基は、1つまたは複数のアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオを含む。好ましい置換C~Cアルキレンは、置換エチレンである。より好ましい置換C~Cアルキレンは、-C(CHC(CH-である。
【0266】
Zが、
【0267】
【化41】
であるか、またはZが、
【化42】
であるという表示は、Zが、
【化43】
である場合は、式(IV)の化合物は、
【化44】
を包含することが理解され、
【0268】
Zが、
【化45】
である場合は、式(IV)の化合物は、
【化46】
および
【化47】
【0269】
(式中、
【0270】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0271】
【化48】
を形成し、
【0272】
式中、
【0273】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンである)
を包含することが理解されることを示すことが当業者によって認識されよう。
【0274】
ある特定の実施形態では、式(IV)のR~Rは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルまたは(C~C)-アルキルスルホニルである。
【0275】
ある特定の実施形態では、式(IV)のR~Rは、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R~Rは、独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
【0276】
ある特定の実施形態では、式(IV)のR~Rは、水素である。ある特定の実施形態では、R、RおよびRは、水素である。
【0277】
ある特定の実施形態では、式(IV)のRは、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、Rは、ハロアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、CFである。
【0278】
ある特定の実施形態では、式(IV)のR~Rは、水素である。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、ハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、CFである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、Fである。ある特定の実施形態では、R、R、Rは、水素であり、Rは、Clである。
【0279】
ある特定の実施形態では、式(IV)のYは、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Yは、C=OまたはC=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Oである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。
【0280】
ある特定の実施形態では、式(IV)のAは、NR、O、SまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、NR、OまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、NR、SまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、NRまたはOである。ある特定の実施形態では、Aは、NRまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、NRである。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、Aは、Sである。
【0281】
ある特定の実施形態では、式(IV)のAは、NまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、Nである。ある特定の実施形態では、Aは、CHである。
【0282】
ある特定の実施形態では、式(IV)のAは、NR、OまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、式(IV)のAは、Sである。ある特定の実施形態では、Aは、NRである。
【0283】
ある特定の実施形態では、式(IV)のXおよびXは、水素である。
【0284】
ある特定の実施形態では、式(IV)のXおよびXは、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、XおよびXは、Clである。
【0285】
ある特定の実施形態では、式(IV)のXおよびXは、独立して、水素またはハロゲンである。ある特定の実施形態では、Xは、水素であり、Xは、Clである。ある特定の実施形態では、Xは、Clであり、Xは、水素である。
【0286】
ある特定の実施形態では、式(IV)のZは、
【化49】
である。
【0287】
ある特定の実施形態では、式(IV)のZは、
【化50】
である。
【0288】
ある特定の実施形態では、式(IV)のRは、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cn-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C~Cn-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-n-アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、C(O)O-(C~C)-n-アルキルである。
【0289】
ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0290】
【化51】
【0291】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり、
【0292】
式中、
【0293】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0294】
【化52】
を形成し、
【0295】
式中、
【0296】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンである。
【0297】
ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0298】
【化53】
【0299】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり、
【0300】
式中、
【0301】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0302】
【化54】
を形成し、
【0303】
式中、
【0304】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンである。
【0305】
ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0306】
【化55】
【0307】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり、
【0308】
式中、
【0309】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0310】
【化56】
を形成し、
【0311】
式中、
【0312】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンである。
【0313】
ある特定の実施形態では、式(IV)の化合物は、
【0314】
【化57】
【0315】
【化58】
【0316】
【化59】
【0317】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり、
【0318】
式中、
【0319】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0320】
【化60】
を形成し、
【0321】
式中、
【0322】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンである。
【0323】
別の態様では、アルドースレダクターゼ阻害剤は、式(V)の化合物
【0324】
【化61】
【0325】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり、
【0326】
式中、
【0327】
は、NまたはCRであり、
【0328】
は、NまたはCRであり、
【0329】
は、NまたはCR10であり、
【0330】
は、NまたはCR11であり、但し、X、X、XまたはXのうちの2つまたは3つは、Nであることを条件とし、
【0331】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0332】
【化62】
を形成し、
【0333】
式中、
【0334】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンであり、
【0335】
は、
【化63】
であり、
【0336】
は、NR16、O、SまたはCHであり、
【0337】
は、NまたはCHであり、
【0338】
は、NR16、OまたはSであり、
【0339】
~R15は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C~C)-アルキル、(C~C)-アルコキシ、(C~C)-アルキルチオ、(C~C)-アルキルスルフィニルもしくは(C~C)-アルキルスルホニルであるか、またはR~R11のうちの2つもしくはR12~R15のうちの2つが一緒になって、(C~C)-アルキレンジオキシであり、
【0340】
16は、水素、C~CアルキルまたはC(O)O-(C~C)-アルキルである。
【0341】
~Cアルキレン上の好適な置換基は、1つまたは複数のアルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオを含む。好ましい置換C~Cアルキレンは、置換エチレンである。より好ましい置換C~Cアルキレンは、-C(CHC(CH-である。
【0342】
Zが、
【0343】
【化64】
であるか、またはZが、
【化65】
であるという表示は、Zが、
【化66】
である場合は、式(V)の化合物は、
【化67】
を包含することが理解され、Zが、
【化68】
である場合は、式(V)の化合物は、
【化69】
を包含することが理解されることを示すことが当業者によって認識されよう。
【0344】
式(V)の一部の化合物では、R~R15は、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、例えば、R~R15は、独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF)である。
【0345】
式(V)の他の化合物では、R~R11は、水素である。
【0346】
式(V)の化合物のある特定の実施形態では、R12~R15は、独立して、水素、ハロゲンまたはハロアルキルであり、例えば、R12~R15は、独立して、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF)である。
【0347】
ある特定の実施形態では、式(V)のR12~R15は、水素である。
【0348】
ある特定の実施形態では、式(V)のR13は、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R13は、水素である。ある特定の実施形態では、R13は、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、R13は、ハロアルキルである。
【0349】
ある特定の実施形態では、式(V)のR14は、水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある特定の実施形態では、R14は、水素である。ある特定の実施形態では、R14は、ハロゲンである。ある特定の実施形態では、R14は、ハロアルキルである。
【0350】
ある特定の実施形態では、式(V)のYは、C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。ある特定の実施形態では、Yは、C=OまたはC=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Oである。ある特定の実施形態では、Yは、C=Sである。ある特定の実施形態では、Yは、C=NHまたはC=N(C~C)-アルキルである。
【0351】
ある特定の実施形態では、式(V)のAは、NR16、SまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、NR16またはOである。ある特定の実施形態では、Aは、NR16またはSである。ある特定の実施形態では、Aは、NR16である。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、Aは、Sである。
【0352】
ある特定の実施形態では、式(V)のAは、NまたはCHである。ある特定の実施形態では、Aは、Nである。ある特定の実施形態では、Aは、CHである。
【0353】
ある特定の実施形態では、式(V)のAは、OまたはSである。ある特定の実施形態では、Aは、Oである。ある特定の実施形態では、Aは、Sである。
【0354】
ある特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは、窒素である。
【0355】
ある特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは、窒素である。
【0356】
ある特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは、窒素である。
【0357】
ある特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは、窒素である。
【0358】
ある特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは、窒素である。
【0359】
ある特定の実施形態では、式(V)のXおよびXは、窒素である。
【0360】
ある特定の実施形態では、式(V)のZは、
【化70】
である。
【0361】
ある特定の実施形態では、式(V)のZは、
【化71】
である。
【0362】
一部の実施形態では、式(V)は、
【0363】
【化72】
【0364】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり、
【0365】
式中、
【0366】
14は、水素、ハロゲンまたはトリハロアルキル(例えば、-CF)であり、
【0367】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0368】
【化73】
を形成し、
【0369】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンである。
【0370】
実施形態では、式(V)の化合物は、
【0371】
【化74】
【0372】
【化75】
【0373】
【化76】
【0374】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
【0375】
一態様では、アルドースレダクターゼ阻害剤は、式(VI)の化合物
【0376】
【化77】
【0377】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物であり、
【0378】
式中、
【0379】
およびZは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシからなる群から独立して選択されるか、またはZとZは、それらが結合しているホウ素原子と一緒になって、
【0380】
【化78】
を形成し、
【0381】
式中、
【0382】
Xは、置換または無置換のC~Cアルキレンである。
【0383】
実施形態では、式(VI)のアルドースレダクターゼ阻害剤は、
【化79】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
【0384】
実施形態では、式(VI)のAH阻害剤は、
【化80】
または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物である。
【0385】
用語「アルキル」とは、本明細書で使用される場合、他に示さない限り、直鎖、分枝鎖、単環式の部分もしくは多環式部分、またはそれらの組合せを有する一価の脂肪族炭化水素ラジカルを指し、このラジカルは、直鎖、分枝鎖、単環式の部分もしくは多環環式部分、またはそれらの組合せの1個または複数の炭素において、各炭素につき1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されており、1つまたは複数の置換基は、独立して、C~C10 アルキルである。「アルキル」基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニルなどが含まれる。
【0386】
用語「ハロゲン」または「ハロ-」は、本明細書で使用される場合、塩素(Cl)、フッ素(F)、ヨウ素(I)または臭素(Br)を意味する。
【0387】
本明細書で使用される場合、用語「アシル」は、RCO-タイプのラジカルを表示するため、広義で使用され、この場合、Rは、置換または無置換の、飽和または不飽和の、アルキル、アラルキル、アリール、脂環式または複素環式ラジカルであってもよい有機ラジカルを表すか、あるいは別に定義すれば、用語「アシル」は、カルボン酸ラジカルのOH基が、カルボン酸の分子から除去された場合に残る一価ラジカルを幅広く表示するために使用される。
【0388】
用語「アルコキシ」は、式-O-Rの基を表すために使用され、Rは、ハロゲンなどの置換基を必要に応じて含有する、アルキル基である。好ましくは、用語「アルコキシ」は、1~6個の炭素原子のアルキル基を有するアルコキシを表すために使用される。最も好ましくは、用語「アルコキシ」は、メトキシまたはエトキシなどの、1~3個の炭素原子のアルキル基を有するアルコキシを表すために使用される。
【0389】
用語「シクロアルキル基」は、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを特定するために本明細書において使用される。
【0390】
用語「溶媒和物」は、本明細書で使用される場合、好適な溶媒の分子が結晶格子に取り込まれている、化合物または薬学的に許容されるその塩を意味する。好適な溶媒は、投与される投薬量で生理学的に耐容可能である。好適な溶媒の例は、エタノール、水などである。水が溶媒である場合、その分子は「水和物」と呼ばれる。
【0391】
「プロドラッグ」とは、in vivoで親薬物に変換される薬剤を指す。いくつかの状況では、プロドラッグは、親薬物よりも投与が容易であるので、プロドラッグが有用なことが多い。プロドラッグは、例えば、経口投与によって生体利用可能である一方、親薬物は、それほど生体利用可能ではないか、または生体利用可能ではないかのどちらかである。プロドラッグはまた、親薬物よりも、医薬組成物への溶解度が改善されている。例えば、化合物は、体液中、例えば血流中で、加水分解によって切り離される保護基を有し、こうして、活性化合物を放出するか、または体液中で酸化もしくは還元されて、化合物を放出する。用語「プロドラッグ」は、例えば、式(I)の化合物の酸官能基などの官能基に適用されてもよい。プロドラッグは、酸基が、例えばエステルまたはアミドとしてマスクされている構造から構成されてもよい。プロドラッグのさらなる例は、本明細書において議論されている。参照により組み込まれる、Alexander et al. (J. Med. Chem. 1988, 31, 318)も参照されたい。プロドラッグの例には、以下に限定されないが、生加水分解可能なアミド、生加水分解可能なエステル、生加水分解可能なカルバメート、生加水分解可能な炭酸エステルおよび生加水分解可能なリン酸エステルのアナログなどの、生加水分解可能な部分を含む、化合物の誘導体および代謝産物を含む。プロドラッグはまた、例えば、The Practice of Medicinal Chemistry (Camille Wermuth, ed., 1999, Academic Press)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。ある特定の実施形態では、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することによって、都合よく形成される。プロドラッグは、通常、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers Gmfh)(それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって記載されているものなどの、周知の方法を使用して調製することができる。式Iの化合物の生加水分解可能な部分は、(a)該化合物の生物活性を損なわないが、その化合物に、摂取、作用期間または作用の発生などの、in vivoでの有利な特性を付与することができる、または(b)生物学的に不活性なことがあるが、in vivoで生物活性な化合物に変換される。生加水分解可能なエステルの例には、以下に限定されないが、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステルおよびコリンエステルが含まれる。生加水分解可能なアミドの例には、以下に限定されないが、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが含まれる。生加水分解可能なカルバメートの例には、以下に限定されないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式および複素芳香族アミン、ならびにポリエーテルアミンが含まれる。
【0392】
用語「塩」は、当分野で周知の、いずれかの好適な有機および無機対イオンから誘導される塩を含み、例として、上述のアミノ酸の塩酸塩もしくは臭化水素酸塩、またはアルカリ性塩もしくは酸性塩を含む。この用語は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ナフタレン-2スルホン酸および他の酸を含む無機または有機酸から誘導される塩、および例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウムまたはテトラフルオロボレートを含む無機または有機塩基から誘導される塩を含むことが意図される。例示的な薬学的に許容される塩は、例えば、Berge, et al, (J. Pharm. Sci. 1977, 66(1), 1);および米国特許第6,570,013号および同第4,939,140号(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出される。薬学的に許容される塩はまた、化合物:酸の比がそれぞれ、2:1である、半塩を包含することが意図されている。例示的な半塩は、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、シュウ酸、アジピン酸およびクエン酸などの、2つのカルボン酸基を含む酸から誘導される塩である。他の例示的な半塩は、硫酸などの二プロトン性鉱酸から誘導される塩である。例示的な好ましい半塩には、以下に限定されないが、ヘミマレイン酸塩、ヘミフマル酸塩およびヘミコハク酸塩が含まれる。
【0393】
用語「酸」は、薬学的に許容される無機または有機酸のすべてを企図する。無機酸は、臭化水素酸および塩酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸ならびに硝酸などの鉱酸を含む。有機酸は、すべての薬学的に許容される脂肪族、脂環式および芳香族の、カルボン酸、二カルボン酸、三カルボン酸および脂肪酸を含む。好ましい酸は、直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和C~C20脂肪族カルボン酸であり、これらは、ハロゲンによって、またはヒドロキシル基によって必要に応じて置換されているか、あるいはC~C12芳香族カルボン酸である。このような酸の例は、炭酸、ギ酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、吉草酸、グリコール酸および乳酸などのアルファ-ヒドロキシ酸、クロロ酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸およびサリチル酸である。二カルボン酸の例は、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸およびマレイン酸を含む。トリカルボン酸の例は、クエン酸である。脂肪酸は、4~24個の炭素原子を有する、薬学的に許容される飽和もしくは不飽和脂肪族または芳香族カルボン酸のすべてを含む。例は、酪酸、イソ酪酸、sec-酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびフェニルステリック酸(phenylsteric acid)である。他の酸には、グルコン酸、グルコヘプトン酸(glycoheptonic acid)およびラクトビオン酸を含む。
III.組成物
【0394】
本化合物は、医薬組成物などの好適な組成物の形態で投与することができる。医薬組成物は、生理的に許容され、通常、活性化合物および担体を含む。用語「担体」とは、化合物が一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指す。このような医薬用担体の非限定例は、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などの、石油、動物、植物または合成起源のものを含む、水および油などの液体を含む。医薬用担体はまた、生理食塩水、アカシアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、ウレアなどとすることができる。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤および着色剤を使用することができる。好適な医薬用担体の他の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Alfonso Gennaro ed., Krieger Publishing Company (1997));Remington's: The Science and Practice of Pharmacy, 21stEd. (Lippincot, Williams & Wilkins (2005));Modern Pharmaceutics, vol. 121 (Gilbert Banker and Christopher Rhodes, CRC Press (2002))(それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0395】
本組成物は、生理的におよび/または薬学的に許容される、錠剤、カプセル剤、溶液剤、エマルション剤、懸濁液剤、ゲル剤、ゾル剤またはコロイド剤などの所望の形態にあることができる。所望の場合、担体は、緩衝剤、例えば、アルカリ緩衝剤、例えば、アンモニウム緩衝剤、酸性緩衝剤、例えば、エタン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酢酸塩など、またはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンおよびフェニルアラニンなどの双性イオン性緩衝剤、クレブスリンゲル緩衝剤、TRIS、MES、ADA、ACES、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、TAPSO、アセトアミドグリシン、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、TRIZMA、グリシンアミド、グリシル-グリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPSおよびCABSを含むことができる。
【0396】
組成物が液体形態にある実施形態では、担体は、以下に限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組合せを含む、溶媒または分散媒とすることができる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング剤の使用によって、例えば液体ポリオールまたは脂質などの担体中での分散による必要な粒子サイズの維持によって、例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用によって、あるいはこのような方法のそれらの組合せによって維持され得る。所望の場合、例えば、糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組合せなどの張度調整剤が含まれ得る。一部の実施形態では、本組成物は等張性である。
【0397】
本組成物はまた、許容される界面活性剤、共溶媒、エモリエント剤、pHおよびオスモル濃度を調節するための作用剤、ならびに/または1種もしくは複数種の構成成分の酸化を抑制するための抗酸化剤などの追加成分を含んでもよい。
【0398】
本組成物は、眼(眼周囲および硝子体内投与を含む)、経口、非経口、鼻内、肛門、膣、局所、皮下、静脈内、動脈内、髄腔内および腹腔内への投与などの、任意の好適な経路によって投与するよう調製され得る。したがって、髄腔内投与が選択肢となり、臨床医によって選択され得る(例えば、アルドースレダクターゼ阻害剤が、中枢神経系への浸透剤ではない場合)が、アルドースレダクターゼ阻害剤は、髄腔内投与されないことが一般に好ましい。経口組成物は、食事の食物と一緒に、直接、摂取されてもよい。経口投与に好ましい担体は、不活性希釈剤、食用担体またはそれらの組合せを含む。薬学的に許容される担体の例は、例えば、水または生理食塩水溶液、ポリエチレングリコールなどのポリマー、炭水化物およびその誘導体、油、脂肪酸またはアルコールを含むことができる。例えば、洗剤などの界面活性剤もまた、本製剤での使用に好適である。界面活性剤の具体例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、もしくはソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチンもしくはカルボキシメチルセルロースナトリウム;またはアクリル誘導体、例えばメタクリレートなど、陰イオン性界面活性剤、例えばステアリン酸アルカリ塩、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムもしくはステアリン酸アンモニウム;ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸トリエタノールアミン;アルキル硫酸塩、特に、ラウリル硫酸ナトリウムおよびセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;または脂肪酸、特にココナッツ油から誘導されるもの、陽イオン性界面活性剤、例えば、式NR’R’’R’’’R’’’’Y’’の水溶性四級アンモニウム塩(式中、Rラジカルは、同じであるかまたは異なる、必要に応じてヒドロキシル化されている炭化水素ラジカルであり、Y’’は、ハロゲン化物、硫酸イオンおよびスルホン酸の陰イオンなどの強酸の陰イオンである;臭化セチルトリメチルアンモニウムは、使用することができる陽イオン性界面活性剤の1つである)、式NR’R’R’’のアミン塩(式中、Rラジカルは、同じであるかまたは異なる、必要に応じてヒドロキシル化されている炭化水素ラジカルである;オクタデシルアミン塩酸塩は、使用することができる陽イオン性界面活性剤の1つである)、非イオン性界面活性剤、例えば、必要に応じて、ソルビタンのポリオキシエチレン化エステル、特に、ポリソルベート80、またはポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、もしくはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、両性界面活性剤、例えば、ベタインの置換ラウリル化合物を含む。
【0399】
所望の場合、経口組成物は、1種または複数種の結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤およびそれらの組合せを含んでもよい。ある特定の実施形態では、組成物は、例えば、トラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプン、ゼラチンもしくはそれらの組合せなどの結合剤;例えば、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムもしくはそれらの組合せなど賦形剤;例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルギン酸もしくはそれらの組合せなどの崩壊剤;例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;例えば、スクロース、ラクトース、サッカリンもしくはそれらの組合せなどの甘味剤;例えば、ペパーミント、ウインターグリーンのオイル、チェリー香料、オレンジ香料などの着香剤などのうちの1種または複数種、あるいは上述もののうちの2種またはそれより多くのものを含有するそれらの組合せを含んでもよい。
【0400】
投与の他の様式に好適なさらなる製剤は、坐剤を含む。さらに、注射用滅菌溶液が、適切な溶媒を使用して調製され得る。一般に、分散液は、基礎分散媒および/または他の成分を含有する滅菌ビヒクルに、様々な滅菌済みアミノ酸構成成分を取り込ませることによって調製される。任意の所望の投与様式に好適な製剤化方法は、当分野において周知である(一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990を参照されたい)。
【0401】
典型的な薬学的に許容される組成物は、0.01~約1重量%または約0.05~約0.5重量%などの約0.01~約2重量%の範囲の濃度で、AR阻害剤および/または薬学的に許容されるその塩を含有することができる。本組成物は、溶液剤、懸濁液剤、軟膏剤またはカプセル剤などとして製剤化することができる。本医薬組成物は、水溶液として調製することができ、保存剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、安定剤、粘度改変性成分などの追加の構成成分を含有することができる。他の等価な投与様式は、米国特許第4,939,140号に見出すことができる。
【0402】
対象に投与される場合、AR阻害剤および薬学的に許容される担体は、滅菌とすることができる。好適な医薬用担体はまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、ポリエチレングリコール300、水、エタノール、ポリソルベート20などの賦形剤を含んでもよい。本発明の組成物はまた、所望の場合、湿潤剤、または乳化剤、またはpH緩衝化剤を少量、含有してもよい。
【0403】
本開示の医薬製剤は、薬学において周知の方法によって調製される。必要に応じて、1種または複数種の副成分(例えば、緩衝剤、着香剤、表面活性剤など)も添加される。担体の選択は、化合物の溶解度および化学的性質、選択した投与経路、および標準的な薬務によって決定される。
【0404】
一部の実施形態では、本組成物は、錠剤、カプセル剤または単回用量用バイアルなどの単位剤形にある。好適な単位用量、すなわち治療有効量は、選択された化合物の投与が適応される条件の各々にとって適切に設計された臨床試験の間に決定されてもよく、望ましい臨床的エンドポイントに応じて、当然ながら様々になろう。
【0405】
本開示の化合物および/または組成物のいずれも、本化合物および/または組成物を含むキット中で供給されてもよい。したがって、一実施形態では、本開示の化合物および/または組成物は、同じパッケージまたは個別のパッケージに、担体、および必要に応じて、治療的または予防的な最終使用のためのキットを使用するための使用説明書を含むキットで供給される。
IV.併用療法
【0406】
本明細書に記載されている方法は、AR阻害剤およびさらに1種の追加的な治療剤の投与を含む。追加的な治療剤は、AR阻害剤の前に、これと同時に、またはこの後であるが、AR阻害剤および追加的な治療剤の薬理学的活性の重なりを実現する方法で投与され得る。追加的な治療剤は、例えば、第2のアルドースレダクターゼ阻害剤、抗酸化剤、またはそれらの両方とすることができる。
【0407】
例えば、第2のアルドースレダクターゼは、例えば、米国特許第5,677,342号;同第5,155,259号;同第4,939,140号;US US2006/0293265;およびRoy et al.,(Diabetes Research and Clinical Practice, 10, Issue 1, 91 -97, 1990);ならびにそれらに引用されている参照文献に記載されている化合物とすることができ、それらの各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。アルドースレダクターゼ阻害剤は、例えば、米国特許第4,939,140号;同第6,159,976号;および同第6,570,013号に記載されている通り、例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、ベルベリンおよびソルビニルを含む。好ましくは、第2のアルドースレダクターゼ阻害剤は、ポナルレスタット、エパルレスタット、ソルビニルまたはソルビノール、イミレスタット、AND-138、CT-112、ゾポルレスタット、ゼナレスタット、BAL-AR18、AD-5467、M-79175、トルレスタット、アルコニル、スタチル、ベルベリンまたはSPR-210から選択される。
【0408】
投与することができる他の治療剤には、例えば、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾンもしくはトリアムシノロンアセトニド(triamcinalone acetinide)、またはイブプロフェンもしくはフルルビプロフェン(flubiproben)などの非コルチコステロイド抗炎症化合物が含まれる。同様に、ビタミンおよびミネラル、例えば、亜鉛、および微量栄養素が、共投与され得る。さらに、ケルセチン、ラベンダスチンA、エルブスタチンおよびヘルビマイシンAのような天然タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、ならびにチルホスチン(例えば、AG490、AG17、AG213(RG50864)、AG18、AG82、AG494、AG825、AG879、AG1112、AG1296、AG1478、AG126、RG13022、RG14620およびAG555)、ジヒドロキシベンジリデンマロノニトリルおよびジメトキシベンジリデンマロノニトリル、ラベンダスチンAのアナログ(例えば、AG814およびAG957)、キナゾリン(例えば、AG1478)、4,5-ジアニリノフタルイミドおよびチアゾリジンジオンのような合成タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含む、タンパク質チロシンキナーゼ経路の阻害剤が、ゲニステインまたはそのアナログ、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩と共投与され得る(Levitzki et al., Science 267: 1782-1788 (1995);およびCunningham et al., Anti- Cancer Drug Design 7: 365-384 (1992)を参照されたい)。この点では、ゲニステインの潜在的に有用な誘導体には、Mazurekらの米国特許第5,637,703号に記載されているものが含まれる。Dobrusinらの米国特許第5,464,961号に記載されているものなどの、セレノインドール(2-チオインドール)および関連ジスルフィドセレン化合物が、有用なタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤である。所与の成長因子、例えば、VEGFに特異的なモノクローナル抗体などの成長因子に対する中和タンパク質(例えば、Aiello et al., PNAS USA 92: 10457-10461 (1995)を参照されたい)またはホスホチロシン(Dhar et al., Mol. Pharmacol. 37: 519-525 (1990))が共投与され得る。共投与され得る他の様々な化合物には、タンパク質キナーゼCの阻害剤(例えば、米国特許第5,719,175号および同第5,710,145号を参照されたい)、サイトカインモジュレーター、内皮細胞に特異的な増殖の阻害剤、例えば、トロンボスポンジン、内皮細胞に特異的な阻害性成長因子、例えば、TNFα、抗増殖性ペプチド、例えば、SPARCおよびプロリフェリン(prolferin)様ペプチド、グルタミン酸受容体拮抗薬、アミノグアニジン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えば、アンジオテンシンII、カルシウムチャネル遮断薬、y-テクトリゲニン、ST638、ソマトスタチンアナログ、例えば、SMS201-995、モノシアロガングリオシドGM1、チクロピジン、神経栄養性成長因子、メチル-2,5-ジヒドロキシシンナメート、血管新生阻害剤、例えば、組換えEPO、スルホニルウレア経口血糖降下剤、例えば、グリクラジド(非インスリン依存性糖尿病)、ST638(Asahi et al., FEBS Letter 309: 10-14 (1992))、サリドマイド、ニカルジピン塩酸塩、アスピリン、ピセアタンノール、スタウロスポリン、アドリアマイシン、エピデルスタチン、(+)-アエロプリシニン-1、フェナゾシン、ハロメチルケトン、抗脂質異常症剤、例えば、エトフィブラート、クロルプロマジン、スピンゴシンおよびレチノイン酸ならびにそのアナログ(Burke et al., Drugs of the Future 17 (2): 119-131 (1992);およびTomlinson et al., Pharmac. Ther. 54: 151-194 (1992))が含まれる。
【0409】
本開示は、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症によって引き起こされるまたはこれに関連する、疾患状況および/または状態を処置する方法における、式(I)~(VI)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用をさらに提供する。別の実施形態では、本開示は、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症によって引き起こされるまたはこれに関連する、疾患状況および/または状態を処置する方法における、式(I)~(VI)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用であって、(a)このような処置を必要とする対象を特定するステップ、(b)式(I)~(VI)の化合物または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグを用意するステップ、ならびに(c)このような処置を必要とする対象における、疾患状況または状態を処置する、抑制するおよび/または予防する治療有効量の式(I)~(VI)の前記化合物を投与するステップを含む、使用に関する。
【0410】
別の実施形態では、本開示は、ソルビトール-デヒドロゲナーゼ(SDH)欠乏症によって引き起こされるまたはこれに関連する、疾患状況および/または状態を処置する方法における、式(I)~(VI)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグの使用であって、(a)このような処置を必要とする対象を特定するステップ、(ii)式(I)~(VI)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグもしくは互変異性体を含む組成物を用意するステップ、ならびに(iii)このような処置を必要とする対象における、疾患状況または状態を処置する、抑制するおよび/または予防する治療有効量の前記組成物を投与するステップを含む、使用に関する。
【0411】
上述の実施形態では、本化合物または組成物は、好ましくは経口使用される。
【0412】
他に定義しない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語はすべて、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【実施例
【0413】
アルドースレダクターゼ阻害剤は、ソルビトールデヒドロゲナーゼ活性により、患者からのヒト線維芽細胞におけるソルビトールレベルを低下させる
【0414】
線維芽細胞は、正常なヒトボランティアまたはソルビトールデヒドロゲナーゼ欠乏症と確認された患者の皮膚生検から得た(両アレルc.757delG)。10%ウシ胎児血清、ペニシリンおよびストレプトマイシン(Gibco)を補給したダルベッコ改変イーグル培地(ThermoFisher)において、三連で線維芽細胞を培養した。細胞を加湿インキュベーター中、5%CO2、37℃で成長させた。非同期細胞培養物をほぼ80%の集密度まで成長させ、次に、72時間、ビヒクル、化合物A(100uM)または化合物B(10uM)により処理した。ビヒクル、化合物Aまたは化合物Bを含有する培地を24時間ごとに交換した。
【0415】
ソルビトールおよびタンパク質をヒト線維芽細胞の溶解物から決定した。タンパク質測定のために、線維芽細胞を採集し、プロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有するRIPA緩衝液(ThermoFisher)に溶解し、Bioruptor超音波照射装置(Diagenode)を使用して、5分間、超音波処理した。タンパク質定量を、Coomassieアッセイを使用して行った。ソルビトール決定のために、UPLC-タンデム質量分析法(MS/MS)(Waters Acquity UPLCおよびTQD質量分析計)を使用し、線維芽細胞を採集し、RIPA緩衝液(ThermoFisher)に溶解し、Bioruptor超音波照射装置(Diagenode)を使用して、5分間、超音波処理した。細胞溶解物を、4℃で10分間、13,000gで遠心分離し、タンパク質の定量およびソルビトール測定のため、上清を採集した。ソルビトール測定のために、溶解物にアセトニトリル(1:5)によりタンパク質沈殿を施し、アセトニトリル/水(50:50)により10倍に希釈し、Oasis HLBカートリッジ(10mg/ml)で清浄した後に、UPLCシステムに注入(3ul)した。UPLC条件は、以下の通りとした:カラム:BHE amid 1.7um(2.1×100mm)、88℃;溶離液A:アセトニトリル90%/水5%/イソプロパノール5%;溶離液B:アセトニトリル80%/水20%;グラジエント溶出、0分時に100%Aから3.6分間で100%Bまで;流速0.45ml/分。ソルビトールの保持時間は、2.7分であった。この方法の直線性は、0.25~50mgl-1の間で評価した。MS/MS条件は、以下の通りとした:インターフェース、ネガティブイオンモードでのエレクトロスプレーインターフェース;多重反応モニタリング取得、m/z180.0→88.9(CV24、CE15)。検出限界(シグナル対ノイズ比=3)は、0.03mgl-1であった。ソルビトールレベルを、タンパク質濃度に正規化した。
【0416】
結果
【0417】
研究結果は、SDH欠乏症を有する患者からのヒト線維芽細胞は、ソルビトールのレベルが劇的に上昇することを実証した。線維芽細胞および他の細胞タイプにおけるソルビトールのレベルのこのような上昇は、浸透圧による膨潤、膜透過性の変化および酸化ストレスをもたらし、シャルコー-マリー-トゥース病(CMT1、および特にCMT2)などのSDH欠乏症および運動神経に主に影響を及ぼすCMT2の形態である遠位遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)に関連する遺伝性ニューロパチーを含む、細胞および組織損傷をもたらす。研究結果は、アルドースレダクターゼ活性の阻害剤によってSDH欠乏症を有する患者に由来する線維芽細胞を処置することにより、細胞におけるソルビトールのレベルが低下することを実証している。図を参照されたい。ビヒクル対象と比べて、化合物Aによる処置は、ソルビトールレベルを78%低下させ、化合物Bによる処置は、ソルビトールレベルを75%低下させた。データは、アルドースレダクターゼ阻害剤が、SDH欠乏症などの、ソルビトール代謝を改変するまたはソルビトールのレベルの上昇を引き起こす遺伝性および代謝障害、ならびにCMT2およびdHMNなどのニューロパチーを含む関連する臨床的特徴および合併症を処置するために使用することができることを実証している。
【0418】
本明細書に記載されているものと類似のまたは等価な方法および物質を、本開示の実施または試験に使用することができるが、好適な方法および物質が、上述の段落に記載されている。さらに、該物質および方法は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。本明細書において引用されている、米国特許、および公開または未公開の米国特許出願のすべてが、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において引用されている外国の公開特許および特許出願のすべてが、参照により本明細書に本明細書に組み込まれる。本明細書において引用されている公開されている参照文献、文書、原稿、科学文献のすべてが、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において参照されている科学データベース(例えば、PUBMED、NCBI、GENBANK、EBI)に関する、すべての識別子および寄託番号は、参照により本明細書に組み込まれている。
図1
【国際調査報告】