(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】カニューレの管腔内の気流チャネル及びパターン
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566373
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2021061460
(87)【国際公開番号】W WO2021219878
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スコット・グレゴリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】サベッジ・ジェフリー・エル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF42
4C160FF45
4C160FF60
(57)【要約】
外科用アクセスデバイスは、吹送ポート(140)を有するシールアセンブリ(130)を支持するように構成された近位端部部分を含む。デバイスは、カニューレチューブ(204)であって、近位端部部分から遠位に延在し、かつカニューレチューブ(204)を通って長手方向に延在する管腔(212)を画定する内面(210)を有する、カニューレチューブ(204)を含む。カニューレチューブ(204)は、患者の体腔(1)壁を通って遠位に挿入されるように構成されており、管腔(212)は、患者の体腔(1)にアクセスするためにカニューレチューブ(204)を通って遠位に外科用器具シャフト(252)をガイドするように構成されている。デバイスは、カニューレチューブ(204)の内面(210)に形成されたチャネル(220)を含む。チャネル(220)は、管腔の近位端部と管腔の遠位端部との間で長手方向に延在し、チャネル(220)は、外科用器具シャフト(252)が管腔(212)内に配設されている間、シールアセンブリ(130)の吹送ポート(140)に又は吹送ポート(140)から、内部を通してガスを方向付けるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)吹送ポートを有するシールアセンブリを支持するように構成された近位端部部分と、
(b)カニューレチューブであって、前記近位端部部分から遠位に延在し、かつ前記カニューレチューブを通って長手方向に延在する管腔を画定する内面を有し、前記カニューレチューブが、患者の体腔壁を通って遠位に挿入されるように構成されており、前記管腔が、前記患者の体腔にアクセスするために前記カニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成されている、カニューレチューブと、
(c)前記カニューレチューブの前記内面に形成された少なくとも1つのチャネルであって、前記少なくとも1つのチャネルが、前記管腔の近位端部と前記管腔の遠位端部との間で長手方向に延在し、前記少なくとも1つのチャネルは、外科用器具シャフトが前記管腔内に配設されている間、前記シールアセンブリの前記吹送ポートに又は前記吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【請求項2】
前記内面が、円筒形である、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのチャネルは、少なくとも前記外科用器具シャフトが前記管腔の外側に配設されている間、前記管腔と流体連通する、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのチャネルの近位端部が、前記少なくとも1つのチャネルの遠位端部よりも大きい幅を有する、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのチャネルの幅が、遠位に先細になっている、請求項4に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項6】
前記幅が、前記少なくとも1つのチャネルの近位端部から前記少なくとも1つのチャネルの遠位端部まで均一に先細になっている、請求項5に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのチャネルが、近位チャネル部分及び遠位チャネル部分を含み、前記近位チャネル部分が、前記近位チャネル部分の長さに沿って第1の均一の幅を有し、前記遠位チャネル部分が、前記遠位チャネル部分の長さに沿って第2の均一の幅を有し、前記第1の均一の幅及び前記第2の均一の幅が、互いに異なる、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項8】
前記第1の均一の幅が、前記第2の均一の幅よりも大きい、請求項7に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのチャネルが、前記近位チャネル部分と前記遠位チャネル部分との間に中間チャネル部分を更に含み、前記中間チャネル部分が、前記近位チャネル部分と前記遠位チャネル部分との間の階段状遷移又は先細遷移のうちの少なくとも1つを画定する、請求項7に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのチャネルが、第1のチャネル及び第2のチャネルを備える、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項11】
前記第2のチャネルが、前記第1のチャネルとは直径方向に向かい合っている、請求項10に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのチャネルが、第3のチャネルを更に備え、前記第1のチャネル、前記第2のチャネル、及び前記第3のチャネルが、前記管腔の中心軸を中心として均一な円周間隔で配置されている、請求項10に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのチャネルが、丸みを帯びた横断面プロファイルを有する、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのチャネルが、少なくとも1つの内角を含む、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項15】
前記カニューレチューブの外面に沿って配設された少なくとも1つの組織係合特徴部を更に備え、前記組織係合特徴部は、前記カニューレチューブが前記患者の前記体腔壁を通って遠位に挿入されたときに前記体腔壁に対して前記カニューレチューブを安定化するように構成されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項16】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)吹送ポートを有するシールアセンブリを支持するように構成された近位端部部分と、
(b)前記近位端部部分から遠位に延在し、かつ管腔を画定する内面を有する、カニューレチューブであって、前記管腔が、患者の体腔にアクセスするために前記カニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成されている、カニューレチューブと、
(c)前記内面の半径方向外向きに前記カニューレチューブ内に形成されたチャネルであって、前記チャネルが、前記管腔の近位端部と前記管腔の遠位端部との間で長手方向に延在し、前記チャネルは、外科用器具シャフトが前記管腔内に配設されている間、前記シールアセンブリの前記吹送ポートに又は前記吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されている、チャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【請求項17】
前記チャネルは、少なくとも前記外科用器具シャフトが前記管腔の外側に配設されている間、前記管腔と流体連通する、請求項16に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項18】
前記チャネルの近位端部が、前記チャネルの遠位端部よりも大きい幅を有する、請求項16に記載の外科用アクセスデバイス。
【請求項19】
外科用アクセスデバイスであって、
(a)近位ハブと、
(b)前記近位ハブと結合され、かつ吹送ポートを有する、シールアセンブリと、
(c)カニューレチューブであって、前記近位ハブから遠位に延在し、かつ患者の体腔にアクセスするために前記カニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成された管腔を有し、前記管腔が、第1の直径を有する、カニューレチューブと、
(d)前記カニューレチューブ内に形成されており、かつ前記管腔の近位端部と前記管腔の遠位端部との間で長手方向に延在する、複数のチャネルであって、各チャネルは、外科用器具シャフトが前記管腔内に配設されている間、前記シールアセンブリの前記吹送ポートに又は前記吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されており、前記チャネルが、第2の直径を集合的に画定し、前記第2の直径が、前記管腔の中心軸を通って延在し、かつ前記第1の直径よりも大きい、複数のチャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【請求項20】
各チャネルは、少なくとも前記外科用器具シャフトが前記管腔の外側に配設されている間、前記管腔と流体連通する、請求項19に記載の外科用アクセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2020年5月1日出願の「Airflow Channels and Patterns in Lumen for Cannula」と題された米国仮特許出願第63/018,660号に対する優先権を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
いくつかの外科手術は、臨床医が患者の腹腔を介して外科手術部位にアクセスすることを必要とし得る。そのようなアクセスを得るために、最初に、腹腔の上にある腹壁組織を通して開口部が形成される。いくつかの外科手術では(「腹腔鏡」又は「内視鏡的」手術と称される)、比較的小さい開口部が腹壁組織を介して作製され、次いで、外科手術部位は、開口部内に位置決めされた「トロカール」と一般的に呼ばれるアクセスデバイスを通して挿入された細長い器具でアクセスされる。従来のトロカールは、一般に、カニューレアセンブリと、カニューレアセンブリの作業チャネル内に取り外し可能に受容される閉塞具と、を含む。使用中、閉塞具は、カニューレアセンブリと嵌合され、組み合わされた構造(すなわち、トロカール)は、患者の腹壁を通って下向きに臨床医によって方向付けられ、その結果、閉塞具及びカニューレアセンブリの遠位端部が、腹腔内に延在する。次いで、臨床医は、外科用器具がカニューレアセンブリの作業チャネルを通って下向きに方向付けられ、外科手術部位にアクセスし得るように、カニューレアセンブリから閉塞具を引き抜く。
【0003】
トロカール、その構成要素の単に例示的な変形例及びその他の種類の手術アクセスデバイスは、2011年7月19日に開示された「Vibratory Trocar」と題する米国特許第7,981,092号、2012年7月24日に交付された「Access Device with Insert」と題する米国特許第8,226,553号、2012年8月28日に交付された「Surgical Access Devices and Methods Providing Seal Movement in Predefined Paths」と題する米国特許第8,251,900号、2013年11月12日に交付された「Absorbing Fluids in a Surgical Access Device」と題する米国特許8,579,807号、2013年10月29日に交付された「Surgical Access Device with Sorbents」と題する米国特許第8,568,362号、2014年1月28日に交付された「Surgical Access Device」と題する米国特許第8,636,686号、2014年4月8日に交付された「Gas Jet Fluid Removal in a Trocar」と題する米国特許第8,690,831号、2019年1月3日に公開された「Method of Suturing a Trocar Path Incision」と題する米国特許出願公開第2019/0000496号において開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
外科用アクセスデバイス及びエンドエフェクタを含む様々な種類の外科用器具及びその他の関連する構成要素が作製され、使用されてきたが、本発明者ら以前には誰も、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの斜視図を示す。
【
図2】分解状態の
図1のカニューレアセンブリ及び閉塞具の側面立面図を示す。
【
図3A】腹壁の組織層を通して臨床医によって操作されている
図1のトロカールの側面断面図を示す。
【
図3B】
図3Aの腹腔内に受容されたトロカールの遠位端部を示す、
図1のトロカールの拡大側面断面図を示す。
【
図3C】
図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示し、閉塞具の取り外し及び除去後に、
図3Aの腹壁内に位置決めされたままのカニューレアセンブリを示す。
【
図3D】
図3Aの腹壁から近位に引き抜かれている
図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示す。
【
図4】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの別の斜視図を示す。
【
図5】互いに分離された再使用可能なカニューレ及びカニューレアセンブリの使い捨てシールアセンブリを示し、分解状態の閉塞具を示す、分解状態の
図4のカニューレアセンブリ及び閉塞具の斜視図である。
【
図6】カニューレのチューブの円筒内面に形成された一対のガス流チャネルを有する例示的なカニューレの斜視図を図示する。
【
図7】カニューレの管腔内に配設された外科用器具シャフトを示す、
図6の切断線7-7に沿った、
図6のカニューレの上面断面図を図示する。
【
図8】トロカールの作業チャネル内に配設された外科用器具シャフトを示し、かつカニューレの開いた遠位端部とトロカールの近位に位置する吹送ポートとの間のチャネルを通る例示的なガスの流れを示す、
図6のカニューレを含む例示的なトロカールの側面断面図を図示する。
【
図9】その円筒内面に形成された複数のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図10】その円筒内面に形成された単一のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図11】その円筒内面に形成された複数のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図12】その円筒内面に形成された複数のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図13】その円筒内面に形成された単一のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図14】その円筒内面に形成された単一のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図15】その円筒内面に形成された複数のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図16】その円筒内面に形成された単一のガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレチューブの上面断面図を図示する。
【
図17】カニューレチューブの円筒内面に形成された複数の先細ガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレの斜視図を図示する。
【
図18】カニューレチューブの管腔内に配設された外科用器具シャフトを示す、
図17のカニューレチューブの上面立面図を図示する。
【
図19】カニューレチューブの円筒内面に形成された複数の階段状ガス流チャネルを有する別の例示的なカニューレの斜視図を図示する。
【
図20A】カニューレチューブの外面に沿って位置付けられた仮定の切断線を示す、
図19のカニューレチューブの斜視図を図示する。
【
図20B】階段状ガス流チャネルの追加の詳細を示す、カニューレチューブが、
図20Aの切断線に沿って切断され、かつ
図20Aに示される方向に展開されている、単に仮定の構成で
図19のカニューレチューブの斜視図を図示する。
【
図21】カニューレチューブの管腔内に配設された外科用器具シャフトを示す、
図19のカニューレチューブの上面立面図を図示する。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明ともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【0008】
本開示を明瞭にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用デバイスを握持する外科医又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、外科医により近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科医からより離れ手配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定することも絶対であることも意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解されよう。
【0009】
更に、任意の数値、又は数値の範囲に関連して本明細書で使用される「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる好適な許容誤差を包含することが意図されている。
【0010】
I.例示的な単回使用及び再使用可能なトロカール
図1~
図5は、単回使用の第1のトロカール(10)及び再使用可能な第2のトロカール(110)の形態の例示的な外科用アクセスデバイスを示し、各々が腹腔鏡外科手術において外科手術部位のアクセスを提供するように構成されている。各トロカール(10、110)は、作業チャネル(14、114)を有するカニューレアセンブリ(12、112)と、作業チャネル(14、114)に同軸に、取り外し可能に挿入されるように構成された閉塞具(16、116)と、を含み、その結果、組み立てられたトロカール(10、110)は、例えば、
図3A~
図3Dに関連して以下に記載されるように、患者の腹壁を通って遠位に方向付けられ得る。
【0011】
A.例示的な単回使用トロカール
図1~
図2に示すように、単回使用トロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)及びシールハウジング(30)を含む。カニューレ(20)及びシールハウジング(30)は協働して、トロカール(10)の中心軸(A)に沿って長手方向に延在する作業チャネル(14)を画定する。特に、作業チャネル(14)は、シールハウジング(30)の中空内部と連通するカニューレ(20)の管腔によって画定される。カニューレアセンブリ(12)は、作業チャネル(14)を通って遠位に細長い外科用器具を受容して、患者の腹腔内の外科手術部位へのアクセスを提供するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、シールハウジング(30)は、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にしながら、患者の腹腔の吹送を維持するように構成されたシールアセンブリを画定する一対のシール構造を収容する。
【0012】
本変形例のカニューレ(20)は、その近位端部にベル形状のハブ(図示せず)と、ハブから遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(24)で終端する細長い円筒チューブ(22)と、を含み得る。カニューレチューブ(22)の外面は、カニューレチューブ(22)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(26)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(26)は、カニューレ(20)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(20)が患者の腹壁に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(20)を軸方向及び半径方向に安定化するのを支援するように構成されている。
【0013】
より具体的には、本実施例の組織把持リブ(26)は、各リブ(26)がリブ(26)の半径方向に最も外側の縁から遠位方向に半径方向内向きに先細になるように、カニューレチューブ(22)の側壁における環状スカラップとして形成される。したがって、リブ(26)の半径方向に最も外側の縁は、カニューレチューブ(22)の非リブ付き近位及び遠位部分と概ね同一平面にある。結果として生じるリブ(26)の構成は、遠位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の前進を促進し、逆の近位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の後退に抵抗する。有利には、この構成は、外科手術中に患者の腹壁からのカニューレチューブ(22)の意図しない引き抜きから保護する。しかしながら、カニューレチューブ(22)は、トロカール(10)の他の変形例において、様々な他のタイプの組織把持特徴部を備え得ることが理解されよう。例えば、カニューレチューブ(22)は、カニューレチューブ(22)の少なくとも内側部分の周りに延在し、リブ(26)に類似してスカラップされ得る、1つ又は2つ以上の螺旋リブの形態の組織把持特徴部を含み得る。
【0014】
カニューレアセンブリ(12)のシールハウジング(30)は、近位ハウジング部分(32)と、近位ハウジング部分(32)が取り外し可能に取り付けられている遠位ハウジング部分(34)と、を含む。近位ハウジング部分(32)は、近位ヘッド(36)と、ともに固定された遠位ベース(38)と、を含む。遠位ハウジング部分(34)は、カニューレ(20)の近位ハブ(図示せず)を取り囲む遠位シュラウド(40)と、遠位シュラウド(40)の近位端部に固定されたキャッププレート(42)と、それらの間に回転可能に配設され、半径方向外向きに突出するタブ(46)を有するラッチリング(44)と、を含む。ラッチリング(44)は、係止位置と係止解除位置との間でトロカール(10)の中心軸(A)を中心としてタブ(46)を介して選択的に回転可能である。係止位置では、ラッチリング(44)は、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)に係止する。係止解除位置では、ラッチリング(44)は、例えば、遠位ハウジング部分(34)内に収容された遠位シール構造(図示せず)に直接アクセスするために、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)から分離させることを可能にする。いくつかの変形例では、遠位シュラウド(40)は、遠位シュラウド(40)がカニューレ(20)の構成要素であるように、カニューレチューブ(22)の近位端部と一体的に形成され得る。
【0015】
図示されていないが、近位ハウジング部分(32)は、近位(又は「外側」)シール構造を収容し、遠位ハウジング部分(34)は、遠位(又は「内側」)シール構造を収容し、両方ともトロカール(10)の中心軸(A)に沿って配置されている。近位及び遠位シール構造は協働して、外科手術処置中に患者の腹腔の吹送を維持しながら、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にするシールアセンブリを画定する。例えば、近位シール構造は、作業チャネル(14)を介して向けられた腹腔鏡外科用器具のシャフトに封止係合するように構成された環状シール部材を含み得る。遠位シール構造は、外科用器具シャフトの不在下で記載されたシールされた作業チャネル(14)を維持するように構成されたダックビルシール部材を含み得る。
【0016】
カニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)の近位端部と動作可能に結合されており、ストップコック(52)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(50)を更に含む。吹送ポート(50)は、二酸化炭素などの吹送流体を、流体源(図示せず)から作業チャネル(14)を通して患者の腹腔内に遠位に方向付けるように構成され、それによって、腔を流体で拡張(又は「吹送する」)。腹腔のこの拡張は、改善された容易さで、腹腔鏡外科手術を行うための追加の空間を作り出す。
【0017】
図1及び
図2に示すように、トロカール(10)の閉塞具(16)は、近位ヘッド(60)と、ヘッド(60)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(62)と、先細遠位先端(64)と、を含む。閉塞具シャフト(62)は、閉塞具先端(64)がカニューレ先端(24)を通って遠位に延在するように、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)内に受容されるように構成されている。閉塞具ヘッド(60)は、ドーム型上部本体(66)と、ベースプレート(68)と、一対のラッチアーム(72)及び対応する一対のラッチボタン(74)を含む作動可能なラッチ部材(70)と、を含む。ラッチアーム(72)は、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)と結合するために、シールハウジングヘッド(36)の上面に形成されたそれぞれのスロット(図示せず)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(74)は、スロットからラッチアーム(72)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(12)からの閉塞具(16)の分離を可能にするように作動可能である。閉塞具(16)は、閉塞具ヘッド(60)及び閉塞具シャフト(62)を通って長手方向に延在する中央通路(76)を更に含み、その中に内視鏡(図示せず)を受容して、患者の腹壁を通るトロカール(10)の挿入中に視覚化を提供するように構成されている。閉塞具ヘッド(60)のクランプレバー(78)は、中央通路(76)内の内視鏡を選択的に固定するように枢動可能である。中央通路(76)及びクランプレバー(78)は、単に任意選択的な特徴部であり、他の変形例では、閉塞具(16)から省略され得る。
【0018】
カニューレアセンブリ(12)及び閉塞具(16)は、患者との単回使用後に処分されるように構築され得る。他の変形例では、トロカール(10)の1つ又は2つ以上の構成要素は、例えば、
図4~
図5のトロカール(110)に関連して以下でより詳細に説明されるように、滅菌及び複数の再使用に耐えるように好適に構築され得る。
【0019】
B.患者の腹腔内のトロカールの例示的な展開
図3A~
図3Dは、上述のトロカール(10)を用いて患者の腹壁(2)を通して患者の腹腔(1)にアクセスする例示的な方法を示す。腹壁(2)は、外側の表面層及び内側の深層を含むことが理解されよう。表層には一般に、皮膚(3)の外層と脂肪(4)の内層とが含まれる。一方、より深い層には筋肉の代替的な層(5)及び筋膜(6)が含まれ、筋膜は、表層よりも張力が高く、繊維状で柔軟である。
【0020】
図3Aに示すように、閉塞具(16)がカニューレアセンブリ(12)内に受容され、シールハウジング(30)に接続された状態で、臨床医は閉塞具ヘッド(60)及びシールハウジング(30)を介してトロカール(10)を操作して、トロカール(10)を前後に回転させながら、閉塞具先端(64)を、皮膚(3)に対して及び腹腔(1)に方向付けて内側に押し付ける。
図3Bに示すように、トロカール(10)の引き続き内側に押し付けることにより、閉塞具先端(64)及びカニューレ先端(24)を、脂肪の層(4)及び筋膜(5)を通して遠位に、かつ腔(1)の中に更に方向付ける。上述のように、このステップは、閉塞具(16)内に装着された内視鏡(図示せず)によって提供された視覚化によって容易にされ得る。カニューレ(20)が腔(1)への所望の挿入深度に到達すると、臨床医は、ラッチボタン(74)の押し下げを介して閉塞具ヘッド(60)をシールハウジング(30)から解放し、次いで、
図3Cに示されるように、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)から近位に引き出す。これにより、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)は、腹腔鏡外科手術を行うために、内部を通して遠位に外科用器具を自由に受容するようになる。上述のように、カニューレチューブ(22)上に設けられた組織係合リブ(26)は、腹壁(2)の組織(3、4、5)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(12)を提供する。腹腔鏡外科手術の完了時に、臨床医は、
図3Dに示されるように、シールハウジング(30)を把持し、カニューレアセンブリ(12)を腹壁(2)から近位に引き抜く。
【0021】
C.使い捨てシールアセンブリを有する例示的な再使用可能なトロカール
場合によっては、その1つ又は2つ以上の構成要素が、複数の外科手術のために滅菌及び再使用され得るようにトロカールを構成することが望ましい場合があり、一方、1つ又は2つ以上の他の構成要素は、各処置の後に容易かつ経済的に処分され、交換され得る。
図4~
図5は、そのような様式で構成された別の例示的なトロカール(110)を示し、以下に別途記載されるものを除いて、上述のトロカール(10)と構造及び機能が類似している。
【0022】
トロカール(10)と同様に、トロカール(110)は、作業チャネル(114)、及び作業チャネル(114)に沿って同軸にカニューレアセンブリ(112)に挿入されるように構成された閉塞具(116)を有するカニューレアセンブリ(112)を含む。カニューレアセンブリ(112)は、その近位端部にベル形状のハブ(122)、ハブ(122)から遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(126)で終端する細長い円筒チューブ(124)を有するカニューレ(120)を含む。カニューレチューブ(124)の外面は、カニューレチューブ(124)の内側部分に沿って軸方向に配置され、上述のリブ(26)と同様である環状リブ(128)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。
【0023】
カニューレアセンブリ(112)は、シールアセンブリ(130)を更に含む。トロカール(10)のシールハウジング(30)によって画定されたシールアセンブリとは異なり、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)と解放可能に嵌合するように構成されたモジュール式交換可能ユニットとして構築されている。
図5に最もよく示されるように、本実施例のシールアセンブリ(130)は、一般に、上部フレーム部材(132)と、中間フレーム部材(134)と、同軸配置で互いに固定された下部フレーム部材(136)と、を含む。図示されていないが、近位(又は「外側」)シール構造は、上部フレーム部材(132)内に支持され、遠位(又は「内部」)シール構造は、下部フレーム部材(136)内に支持される。そのようなシール構造は、上述のトロカール(10)の近位及び遠位シール構造と構造及び機能において類似し得る。シールアセンブリ(130)は、ストップコック(142)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(140)を更に含む。
【0024】
吹送ポート(140)の遠位のシールアセンブリ(130)の下部分は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)内に着座するように構成されており、その結果、下部分の周りに円周方向に配設された環状シール部材(144)が、カニューレハブ(122)の内面と封止係合している。このようにして、シールアセンブリ(130)の内部は、カニューレ(120)の管腔と流体連通して、吹送流体、外科用器具、及び組織断片がトロカール(10)に関連して概して上述された方式で方向付けられ得るカニューレアセンブリ(112)の作業チャネル(114)を画定する。シールアセンブリ(130)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月28日に公開された、米国特許出願公開第2019/0090905号、発明の名称「Trocar Seal Assemblies」、及び/又はその開示内容は参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月19日に公開され、「Asymmetric Shaft Seal」と題する米国特許出願公開第2019/0380742号の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成され得る。
【0025】
図5に最もよく示されるように、トロカール(110)の閉塞具(116)は、近位ヘッド(150)と、ヘッド(150)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(152)と、シャフト(152)の遠位端部の先細遠位先端(154)と、を含む。閉塞具ヘッド(150)は、ドーム型上部本体(156)と、ベースプレート(158)と、一対のラッチアーム(162)及び対応する一対の下向きに延在するラッチボタン(164)を含む作動可能なラッチ部材(160)と、を含む。ラッチアーム(162)は、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合するために、シールアセンブリ(130)の上部フレーム部材(132)の上面に形成されたそれぞれのスロット(138)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(164)は、スロット(138)からラッチアーム(162)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(112)からの閉塞具(116)の分離を可能にするように作動可能である。
【0026】
本実施例のカニューレ(120)及び閉塞具(116)は、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構築されており、その結果、それらは、複数の外科手術のために滅菌及び再使用され得る。対照的に、上述のように、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)から分離され、各処置の後に交換されることを意図した使い捨てユニットとして構築されている。例えば、シールアセンブリ(130)は、シールアセンブリ(130)が、上述のトロカール(10)と同様に、シールアセンブリ(130)を処分するのに好適にする価格で容易に製造及び販売され得るように、プラスチック及びゴムを含む様々なポリマー材料で構築され得る。
【0027】
II.統合されたガス流チャネルを有する例示的なカニューレ
いくつかの腹腔鏡外科手術は、無線周波数(RF)エネルギーを組織に適用し、それによって、組織を切断及びシールするための電気手術器具、熱エネルギーを組織に適用し、それによって、組織を焼灼するための電気焼灼器具、超音波エネルギーを組織に適用し、それによって、組織をシール及び/若しくは切断するための超音波器具、又はエネルギーを組織に適用する他の器具の使用を含む。そのような器具の使用は、患者の腹腔(1)内で煙を発生させ得る。腹腔(1)から適切に排出されない限り、そのような煙は、集合し、腹腔(1)内に位置付けられた1つ又は2つ以上の内視鏡(図示せず)を介して外科手術部位を視覚化する外科医の能力を最終的に不明瞭化し得る。
【0028】
比較的大きい直径のシャフトを有する外科用器具がカニューレアセンブリ(12、112)の作業チャネル(14、114)内に位置付けられるそのような処置の間、腹腔(1)内の煙は、カニューレ管腔を近位に、かつ吹送ポート(50、140)を外向きに通過することを器具シャフトによって少なくとも部分的に妨げられ得る。これは、上記に論じられた望ましくない視覚不明瞭条件を結果的にもたらす。したがって、比較的大きい直径の器具シャフトがカニューレ管腔内に位置付けられたときに、腹腔(1)からの煙の排出を容易にする特徴を有するカニューレ(20、120)を提供することが望ましい場合がある。そのような特徴は、腹腔(1)の吹送された状態の維持を容易にするが、一方で、比較的大きい直径のそのような器具シャフトがカニューレ管腔とともに位置付けられることが望ましい場合もある。
【0029】
図6~
図21と関連して以下に説明される例示的なガス流チャネル特徴は、上記に説明されたカニューレ(20、120)などの、使い捨て単回使用カニューレ及び滅菌可能な複数回使用カニューレに同様に適用され得ることが理解されるであろう。
【0030】
A.均一な幅のガス流チャネルを有するカニューレ
図6~
図8は、最大許容直径のシャフトを有する外科用器具がカニューレ(200)を通って遠位に方向付けられたときでも、腹腔(1)からの煙の排出を容易にするように、並びに腹腔(1)の維持吹送を容易にするように構成された例示的なカニューレ(200)を示す。カニューレ(200)は、以下に別途説明される点を除いて、上記に説明されたカニューレ(120)と同様である。
【0031】
カニューレアセンブリ(200)は、近位端部にベル形状ハブ(202)と、ハブ(202)から遠位に延在し、かつ角度付き遠位先端(206)で終端する、細長い円筒チューブ(204)と、を含む。カニューレチューブ(204)の外面は、上記に説明されたリブ(26、128)と構造及び機能が同様である環状リブ(208)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。カニューレチューブ(204)は、カニューレ(200)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(212)を画定する円筒内面(210)を含む。カニューレ管腔(212)は、上記に説明されたシールアセンブリ(130)と同様であり得るシールアセンブリ(図示せず)と協働して、対応するトロカールカニューレアセンブリの作業チャネルを画定するように構成されており、それにより、カニューレ管腔(212)は、内部を通して、かつ中にカニューレチューブ(204)が位置付けられている患者の腹腔(1)内に、遠位に外科用器具シャフトを受容及びガイドするように構成されている。
【0032】
上記に説明されたカニューレ(20、120)とは異なり、本例のカニューレ(200)は、円筒内面(210)に形成された一対のガス流チャネル(220)を含む。
図7及び
図8と関連して以下により詳細に説明されるように、ガス流チャネル(220)は、外科用器具シャフトがカニューレ管腔(212)内に配設されている外科手術中に、腹腔(1)からの近位に方向付けられた煙の排出、又は代替的に、腹腔(1)の遠位に方向付けられた維持吹送を容易にするように構成されている。ガス流チャネル(220)は、カニューレハブ(202)の内部に開口するカニューレ管腔(212)の近位端部と、遠位先端(206)を通って開口するカニューレ管腔(212)の遠位端部との間で長手方向に延在する。本変形例では、チャネル(220)は、一対で提供され、直径方向に向かい合っている位置に配置されているが、チャネル(220)は、例えば、以下でより詳細に説明されるように、他の変形例では、様々な他の量及び配置で提供され得ることが理解されるであろう。
【0033】
示される例では、チャネル(220)は、各々、それらのそれぞれの長さに沿って略均一な横断面形状及びサイズを有する。より具体的には、
図7に最良に示されるように、本例のチャネル(220)は、各々、それらのそれぞれの長さに沿って、均一なサイズの丸みを帯びた略半円横断面形状を有する。チャネル(220)は、例えば、以下でより詳細に説明されるように、他の変形例では、様々な他の均一又は不均一な断面形状及びサイズを備え得ることが理解されるであろう。いくつかの例では、チャネル(220)の近位端部は、1つ又は2つ以上の丸み又は面取りを介してなど、カニューレチューブ(204)の近位面に滑らかに遷移して、管腔(212)内への外科用器具シャフトの遠位挿入と干渉することを防止し得る(例えば、ばり取り)。チャネル(220)は、機械加工若しくはブローチ加工、スタンピング、又は3D印刷などの除去プロセスを含む、任意の好適な様式で内面(210)に形成され得る。
【0034】
示されるように、チャネル(220)は、各チャネル(220)が、中心軸(C)に対して内面(210)からチューブ(204)内に半径方向外向きに延在し、かつ少なくとも管腔(212)内のいかなる外科用器具シャフトも不在下で、管腔(212)と流体連通しているように、内面(210)内に各々形成される。結果として、管腔(212)及びチャネル(220)は、カニューレチューブ(204)の近位及び遠位端部の間で長手方向に延在する単一の連続孔を集合的に画定し得る。したがって、チャネル(220)は、管腔(212)が外科用器具シャフトによって占有されるか否かにかかわらず、かつそのようなシャフトの断面寸法にかかわらず、そのような孔を通る1つ又は2つ以上のガス流路を少なくとも部分的に画定するように構成され得る。そのようなガス流路は、管腔(212)が外科用器具シャフトによって完全に占有されているときでも、経路が維持されるため、「恒久的」とみなされ得る。
【0035】
これに関して、
図7に示されるように、管腔(212)は、第1の直径(D1)を形成し、チャネル(220)は、中心軸(C)を通って延在し、かつ第1の直径(D1)よりも大きい、第2の有効直径(D2)を集合的に形成する。管腔(212)の第1の直径(D1)は、第1の直径(D1)と実質的に等しいか又はわずかに小さい、上限又は最大許容の第3の直径(D3)に制約された様々な断面寸法のシャフトを有する外科用器具を収容するようにサイズ決定され、そのため、そのようなシャフトは、そのような最大許容の第3の直径(D3)を有するシャフト(252)を含む例示的な外科用器具(250)を含む、好適な許容度で管腔(212)内で摺動可能であり得る。したがって、シャフト(252)は、外科用器具(250)が、対応するトロカールカニューレアセンブリの作業チャネル内に位置付けられたときに、管腔(212)を実質的に占有し得、結果として、近位又は遠位方向のいずれかで、管腔(212)を通るガス(例えば、煙及び/又は吹送ガス)の流れを実質的に妨害し得る。チャネル(220)は、管腔(212)を少なくとも部分的に回避又は迂回しながら、近位又は遠位方向のいずれかで、内部を通るそのようなガスの流れを許容するように構成され得る。
【0036】
例えば、シャフト(252)が管腔(212)を通るガスの流れを部分的にのみ妨害するように、器具シャフト(252)の第3の直径(D3)が管腔(212)の第1の直径(D1)よりも明らかに小さい場合、チャネル(220)及び管腔(212)の非占有部分は、管腔(212)のみの非占有部分によって画定されるガス流路に対するガスの流れを改善するために、カニューレチューブ(204)の近位及び遠位端部の間で長手方向に延在する単一の拡大されたガス流路を集合的に画定し得る。シャフト(252)が管腔(212)を通るガスの流れを完全に妨害するように、シャフト(252)の第3の直径(D3)が管腔(212)の第1の直径(D1)と実質的に等しい場合、チャネル(220)は、管腔(212)の完全な閉塞にもかかわらずガスの流れを許容するために、カニューレチューブ(204)の近位及び遠位端部の間でシャフト(252)の外面に沿って長手方向に各々延在する別個のガス流路を画定し得る。
【0037】
より具体的には、
図8に示されるように、チャネル(220)は、それぞれ、第1の矢印(A1)及び第2の矢印(A2)によって示される第1のガス流路及び第2のガス流路を画定し得、各々は、カニューレチューブ(204)の近位及び遠位端部の間のシャフト(252)の外面に沿って長手方向に延在する。カニューレ(200)がシールアセンブリ(130)に結合されて、カニューレアセンブリ(260)を形成するとき、第1のガス流路及び第2のガス流路は、第3の矢印(A3)によって示される第3のガス流路内に一緒にまとまり、カニューレハブ(202)とシールアセンブリ(130)との中及びそれらの間に提供された環状チャンバ及び接続通路によって集合的に画定され得る。示されるように、第3のガス流路は、シールアセンブリ(130)の吹送ポート(140)を通って外向きに通過し得る。これに関して、第3のガス流路は、吹送ポート(140)と結合し、かつ吹送流体源及び/又は真空源と流体連通するように構成されたルアーロック嵌合(図示せず)の孔によって部分的に画定され得る。一例では、ハブ(202)は、第3のガス流路との第1のガス流路及び第2のガス流路の各々の間の流体連通を提供することを補助するために、チャネル(220)と半径方向に位置合わせされたノッチ(270)を含み得る。
【0038】
上記に説明された第1のガス流路、第2のガス流路、及び第3のガス流路の各々は、ガスが、第1の流路及び第2の流路から第3のガス流路に近位に方向付けられ、かつ吹送ポート(140)を介して排出されることを許容するとともに、代替的に、ガスが、吹送ポート(140)を介して導入され、かつ第3の流路から第1の流路及び第2の流路に遠位に方向付けられることを許容するように、双方向であり得る。したがって、カニューレ管腔(212)は、外科用器具シャフト(252)によって占有されているが、一方で、煙などの望ましくない流体は、腹腔(1)からの排出のために第1のガス流路、第2のガス流路、及び第3のガス流路に沿って近位に方向付けられ得るか、又は二酸化炭素などの吹送流体は、腹腔(1)の維持吹送を提供するために、第1の流路、第2の流路、及び第3の流路に沿って遠位に方向付けられ得る。上記に説明された腹腔(1)からの煙の近位排出、及び上記に説明された腹腔(1)への膨張ガスの遠位供給は、相互に排他的な措置であり得、その結果、処置中にガス流チャネル(220)は、任意の選択された時点で、内部を通る煙又は吹送ガスのうちの一方のみを方向付け得ることが理解されるであろう。
【0039】
このようにして、ガス流チャネル(220)は、外科用器具シャフト(252)の第3の直径(D3)が、排出及び/又は吹送のためにカニューレチューブ(204)の孔を通る少なくとも1つの開いたガス流路を維持しながら、カニューレ管腔(212)の第1の直径(D1)に対して最大化されることを可能にし得る。言い換えると、チャネル(220)は、管腔(212)の第1の直径(D1)によって外科用器具シャフト(252)に課されるサイズ制約と干渉することなく、カニューレチューブ(204)の孔を通る少なくとも1つのガス流路を提供し得る。したがって、カニューレチューブ(204)の内面(210)は、チャネル(220)間の様々な接触点で最大許容の第3の直径(D3)を有するシャフト(252)を半径方向に接触させて拘束し、それによって、恒久的な第1のガス流路及び第2のガス流路がチャネル(220)によって開いた状態に維持されている間に、中心軸(C)に対するセンタリングシャフト(252)を補助するように構成されたままであり得る。
【0040】
一例では、ガス流チャネル(220)は、第1のガス流路及び第2のガス流路が第3のガス流路と比較して、及び/又はそれと流体連通している他の上流/下流流路と比較して、相対的に狭窄されないように、第3のガス流路を画定する孔及び/又は通路に対してサイズ決めされ得る。例えば、吹送ポート(140)と結合されたルアーロック嵌合の孔は、管腔(212)が外科用シャフト(252)によって占有されたときでも、チャネル(220)よりも大きい流体狭窄を画定し得る。したがって、近位又は遠位のいずれかに第1のガス流路、第2のガス流路、及び第3のガス流路に沿って方向付けられた流体は、第1又は第2のガス流路のいずれかを横断している間よりも、第3のガス流路及び/又はそのような他の上流/下流流路を横断している間に、より大きい流体狭窄を経験し得る。このようにして、ガスは、管腔(212)が外科用器具シャフトによって占有されるか否かにかかわらず、かつそのようなシャフトの断面寸法にかかわらず、管腔(212)及びガス流路(220)を含む、吹送ポート(140)とカニューレチューブ(204)の孔との間で予測可能かつ一貫して移動し得る。
【0041】
手術中、カニューレ(200)は、
図3A及び
図3Bに関して上記に説明されたように、患者の腹腔(1)内の所望の挿入深度に位置付けられて、腹腔鏡外科手術の実施を許容し得る。処置は、管腔(212)がシャフト(252)によって少なくとも部分的に占有されるように、外科用器具(250)のシャフト(252)をカニューレ管腔(212)内に遠位に挿入することを含み得る。一例では、処置はまた、器具(250)を介して組織に無線周波数(RF)エネルギー及び/又は熱エネルギーを適用することと、第1のガス流路、第2のガス流路、及び第3のガス流路に沿ってカニューレチューブ(204)の孔を通って近位に、かつ吹送ポート(140)を通って外向きに、そのようなエネルギー適用によって腹腔(1)内で発生した煙を排出することと、を含み得る。別の例では、処置は、吹送ポート(140)を介して、二酸化炭素などの吹送流体を導入することと、そのような吹送流体を第3のガス流路を通して、かつ第1のガス流路及び第2のガス流路に沿って、カニューレチューブ(204)の孔を通して腹腔(1)内に方向付けて、腹腔(1)の吹送状態の維持を容易にすることと、を含み得る。
【0042】
B.代替的なガス流チャネルプロファイル及び配置
いくつかの事例では、上記に説明されたカニューレ(200)のものとは異なる量及び配置でその内側円筒表面に提供されたガス流チャネルを有するカニューレを提供することが望ましい場合がある。
図9~
図16に関連して以下に説明される例示的なカニューレ(300、400、500、600、700、800、900、1000)の各々は、最大許容直径のシャフトを有する外科用器具が内部を通して遠位に方向付けられているときでも、腹腔(1)からの煙の排出を容易にするとともに、腹腔(1)の維持吹送を容易にするように構成されており、各々は、以下に別途説明されることを除いて、上記に説明されたカニューレ(200)と同様である。
【0043】
図9は、カニューレ(300)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(312)を画定する円筒内面(310)を含む細長い円筒チューブ(304)を含む第2の例示的なカニューレ(300)を示す。カニューレ(300)はまた、円筒内面(310)に形成された複数のガス流チャネル(320)を含む。本変形例では、4つのチャネル(320)が、中心軸(C)を中心として均一な円周間隔で配置されている。本例のチャネル(320)は、各々、丸みを帯びた、略半円横断面形状を有する。これに関して、各チャネル(320)によって画定される円形プロファイルの中心点は、内面(310)によって画定される円形プロファイル上に実質的に位置付けられる。言い換えると、各チャネル(320)によって画定される円形プロファイルの中心点は、内面(310)によって画定される円形プロファイルとして、中心軸(C)から同じ半径方向距離に位置付けられる。
【0044】
図10は、カニューレ(400)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(412)を画定する円筒内面(410)を含む細長い円筒チューブ(404)を含む第3の例示的なカニューレ(400)を示す。カニューレ(400)はまた、円筒内面(410)に形成された単一のガス流チャネル(420)を含む。本例のチャネル(420)は、丸みを帯びた、略C字形横断面形状を有する。これに関して、チャネル(420)によって画定される円形プロファイルの中心点は、中心軸(C)に対して内面(410)によって画定される円形プロファイルから半径方向外向きに位置付けられる。
【0045】
図11は、カニューレ(500)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(512)を画定する円筒内面(510)を含む細長い円筒チューブ(504)を含む第4の例示的なカニューレ(500)を示す。カニューレ(500)はまた、円筒内面(510)に形成された複数のガス流チャネル(520)を含む。本変形例では、4つのチャネル(520)が、中心軸(C)を中心として均一な円周間隔で配置されている。本例のチャネル(520)は、各々、鋭い、略L字形横断面形状を有する。これに関して、各チャネル(520)は、内角(522)を含む。結果として、チャネル(520)は、略正方形横断面を集合的に有する。
【0046】
図12は、カニューレ(600)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(612)を画定する円筒内面(610)を含む細長い円筒チューブ(604)を含む第5の例示的なカニューレ(600)を示す。カニューレ(600)はまた、円筒内面(610)に形成された複数のガス流チャネル(620)を含む。本変形例では、6つのチャネル(620)が、中心軸(C)を中心として均一な円周間隔で配置されている。本例のチャネル(620)は、各々、概して鈍角に屈曲したL字形横断面形状を有する。これに関して、各チャネル(620)は、内角(622)を含む。結果として、チャネル(620)は、略六角形横断面を有する。
【0047】
図13は、カニューレ(700)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(712)を画定する円筒内面(710)を含む細長い円筒チューブ(704)を含む第6の例示的なカニューレ(700)を示す。カニューレ(700)はまた、円筒内面(710)に形成された単一のガス流チャネル(720)を含む。本例のチャネル(720)は、概して鈍角に屈曲したL字形横断面形状を有する。これに関して、チャネル(720)は、略接線方向に内面(710)と交差し、内角(722)を含む。結果として、チャネル(720)及び管腔(712)は、略涙滴形横断面を集合的に有する。
【0048】
図14は、カニューレ(800)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(812)を画定する円筒内面(810)を含む細長い円筒チューブ(804)を含む第7の例示的なカニューレ(800)を示す。カニューレ(800)はまた、円筒内面(810)に形成された単一のガス流チャネル(820)を含む。本例のチャネル(820)は、略矩形キー溝形横断面形状を有する。これに関して、チャネル(820)は、一対の内角(822)を含む。
【0049】
図15は、カニューレ(900)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(912)を画定する円筒内面(910)を含む細長い円筒チューブ(904)を含む第8の例示的なカニューレ(900)を示す。カニューレ(900)はまた、円筒内面(910)に形成された複数のガス流チャネル(920)を含む。本変形例では、チャネル(920)は、一対で提供され、直径方向に向かい合っている位置に配置されている。本例のチャネル(920)は、各々、略矩形キー溝形横断面形状を有する。これに関して、チャネル(920)は、各々、一対の内角(922)を含む。
【0050】
図16は、カニューレ(1000)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(1012)を画定する円筒内面(1010)を含む細長い円筒チューブ(1004)を含む第9の例示的なカニューレ(1000)を示す。カニューレ(1000)はまた、円筒内面(1010)に形成された単一のガス流チャネル(1020)を含む。本例のチャネル(1020)は、概して円周方向に延在するスロット形横断面形状を有する。これに関して、チャネル(820)は、一対の内角(1022)を含む。
【0051】
C.遠位端部幅よりも大きい近位端部幅を有するガス流チャネルを有するカニューレ
いくつかの事例では、トロカールカニューレを、対応するカニューレアセンブリが外科医によって一時的に放されたときに、患者の腹壁(2)に対する望ましくない傾き又は傾斜に耐性があるように構成することが望ましい場合があり、それにより、カニューレアセンブリは、処置全体を通して外科手術部位と軸方向に位置合わせされたままである。
図17~
図21と関連して以下に説明される例示的なカニューレ(1100、1200)の各々は、以下に別途説明されることを除いて、上記に説明されたカニューレ(200)と同様である。例えば、以下に説明される例示的なカニューレ(1100、1200)の各々は、上記に説明されたカニューレ(200、300、400、500、600、700、800、900、1000)と比較して、カニューレチューブ(1104、1204)に沿って更に遠位に、カニューレ(1100、1200)の質量中心、したがって、重心を位置付けるように構築されているガス流チャネルを含む。有利には、重心のこの遠位の再配置は、枢動点として作用する、腹壁(2)内に位置付けられたカニューレ(1100、1200)の部分を中心として加わる「傾き」トルクを効果的に低減し、それによって、外科医によって放されたときのカニューレ(1100、1200)の望ましくない傾きを低減する。
【0052】
1.先細ガス流チャネルを有するカニューレ
図17及び
図18は、近位端部にベル形状ハブ(1102)と、ハブ(1102)から遠位に延在し、かつ角度付き遠位先端(1106)で終端する、細長い円筒チューブ(1104)と、を含む、第10の例示的なカニューレ(1100)を示す。カニューレチューブ(1104)の外面は、上述のリブ(26、128)と構造及び機能が類似している環状リブ(1108)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。カニューレチューブ(1104)は、カニューレ(1100)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(1112)を画定する円筒内面(1110)を含む。
【0053】
カニューレ(1100)はまた、円筒内面(1110)に形成された複数のガス流チャネル(1120)を含む。ガス流チャネル(1120)は、
図6~
図8と関連して上記に説明されたものと同様の様式で、外科用器具シャフトがカニューレ管腔(1112)内に配設されている外科手術中に、腹腔(1)からの近位に方向付けられた煙の排出、又は代替的に、腹腔(1)の遠位に方向付けられた維持吹送を容易にするように構成されている。ガス流チャネル(1120)は、カニューレハブ(1102)の内部に開口するカニューレ管腔(1112)の近位端部と、遠位先端(1106)を通って開口するカニューレ管腔(1112)の遠位端部との間で長手方向に延在する。本変形例では、4つのチャネル(1120)は、中心軸(C)を中心として均一な円周間隔で配置されているが、チャネル(1120)は、例えば、以下でより詳細に説明されるように、他の変形例では、様々な他の量及び配置で提供され得ることが理解されるであろう。
【0054】
示される例では、チャネル(1120)は、各々、それらのそれぞれの長さに沿って略不均一な横断面形状及び/又はサイズを有する。より具体的には、本例のチャネル(1120)は、各々、それらのそれぞれの長さに沿って、不均一なサイズの概して円周方向に延在するスロット形横断面形状を有する。これに関して、
図18に最良に示されるように、チャネル(1120)は、各々、第1の円周方向幅(W1)を有する近位端部と、第1の幅(W1)よりも小さい第2の円周方向幅(W2)を有する遠位端部と、を含む。本例では、各チャネル(1120)は、その近位端部におけるチャネル(1120)の円周方向に最も広い部分から、その遠位端部におけるチャネル(1120)の円周方向に最も狭い部分まで、遠位方向に円周方向内向きに先細になっている。言い換えると、各チャネル(1120)の幅は、チャネル(1120)の近位端部からチャネル(1120)の遠位端部まで遠位かつ均一に先細になっている。チャネル(1120)は、例えば、以下でより詳細に説明されるように、その遠位端部に対するその近位端部におけるチャネル(1120)の増大したサイズ決め(例えば、幅の拡大)を結果的にもたらす他の変形例では、様々な他の不均一な断面形状及び/又はサイズを備え得ることが理解されるであろう。
【0055】
その遠位端部に対するその近位端部における各チャネル(1120)のそのような増大したサイズ決めは、カニューレチューブ(1104)が、その近位端部又はその近くで比較的低減された量の材料、及びその遠位端部又はその近くで比較的増加した量の材料を含むことを可能にし得る。結果として、カニューレ(1100)の重量分布は、カニューレ(1100)の質量中心、したがって、重心が、上記に説明されたカニューレ(200、300、400、500、600、700、800、900、1000)と比較して、カニューレチューブ(1104)に沿って更に遠位に位置し得るように、遠位にシフトされ得る。このようにして、チャネル(1120)は、腹壁(2)内に位置付けられたカニューレ(1100)の部分を中心としてカニューレ(1100)によって加えられる「傾き」トルクを効果的に低減し、それによって、外科医によって放されたときに、カニューレ(1100)の望ましくない傾きを低減するように構成され得る。
【0056】
手術中、カニューレ(1100)は、
図3A及び
図3Bに関して上記に説明されたように、患者の腹腔(1)内の所望の挿入深度に位置付けられて、腹腔鏡外科手術の実施を許容し得る。処置は、管腔(1112)がシャフト(252)によって少なくとも部分的に占有されるように、外科用器具(250)のシャフト(252)を管腔(1112)内に遠位に挿入することを含み得る。一例では、処置はまた、
図8に関して上記に説明されたように、無線周波数(RF)エネルギー及び/又は熱エネルギー適用によって、腹腔(1)内で発生した煙を排出することを含み得る。別の例では、処置は、
図8に関して上記に説明されたように、腹腔(1)の吹送状態の維持を容易にするために、二酸化炭素などの吹送流体を腹腔(1)内に導入することを含み得る。いずれの場合でも、カニューレ(1100)の比較的遠位の重心は、患者の腹壁(2)又はその近く(例えば、カニューレ1100の有効な枢動点)に位置付けられ、それによって、望ましくない傾きに抵抗して、外科医がカニューレアセンブリを少なくとも一時的に放し得る事例でも、対応するカニューレアセンブリが、内視鏡外科手術の実施全体を通して外科手術部位と軸方向に位置合わせされたままになることを可能にし得る。
【0057】
2.階段状ガス流チャネルを有するカニューレ
図19~
図21は、近位端部にベル形状ハブ(1202)と、ハブ(1202)から遠位に延在し、かつ角度付き遠位先端(1206)で終端する、細長い円筒チューブ(1204)と、を含む、第11の例示的なカニューレ(1200)を示す。カニューレチューブ(1204)の外面は、上記に説明されたリブ(26、128)と構造及び機能と同様である環状リブ(1208)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。カニューレチューブ(1204)は、カニューレ(1200)を通って中心軸(C)に沿って長手方向に延在する管腔(1212)を画定する円筒内面(1210)を含む。
【0058】
カニューレ(1200)はまた、円筒内面(1210)に形成された複数のガス流チャネル(1220)を含む。ガス流チャネル(1220)は、外科用器具シャフトが
図6~
図8と関連して上記に説明されたものと同様の様式でカニューレ管腔(1212)内で配設されている間の外科手術中、腹腔(1)からの近位に方向付けられた煙の排出、又は代替的に、腹腔(1)の遠位に方向付けられた維持吹送を容易にするように構成されており、かつ
図17及び
図18と関連して上記に説明されたものと同様の様式で、腹壁(2)内に位置付けられたカニューレ(1200)の部分を中心としてカニューレ(1200)によって加えられる「傾き」トルクを効果的に低減するように更に構成されている。ガス流チャネル(1220)は、カニューレハブ(1202)の内部に開口するカニューレ管腔(1212)の近位端部と、遠位先端(1206)を通って開口するカニューレ管腔(1212)の遠位端部との間で長手方向に延在する。本変形例では、4つのチャネル(1220)は、中心軸(C)を中心として均一な円周間隔で配置されているが、チャネル(1220)は、例えば、以下でより詳細に説明されるように、他の変形例では、様々な他の量及び配置で提供され得ることが理解されるであろう。
【0059】
示される例では、チャネル(1220)は、各々、それらのそれぞれの長さに沿って略不均一な横断面形状及び/又はサイズを有する。より具体的には、本例のチャネル(1220)は、各々、それらのそれぞれの長さに沿って、不均一なサイズの概して円周方向に延在するスロット形横断面形状を有する。これに関して、
図20B及び
図21に最良に示されるように、チャネル(1220)は、各々、その長さに沿って第3の均一な円周方向幅(W3)を有する近位チャネル部分(1220p)と、その長さに沿って第4の均一な円周方向幅(W4)を有し、かつ第3の幅(W3)よりも小さい遠位チャネル部分(1220d)と、を含む。本例では、各チャネル(1220)は、近位チャネル部分(1220p)と遠位チャネル部分(1220d)との間の階段状遷移を画定する中間チャネル部分(1220m)を更に含み、それにより、各チャネル(1220)は、その近位端部におけるチャネル(1120)の円周方向に最も広い部分から、その遠位端部におけるチャネル(1120)の円周方向に最も狭い部分まで、遠位方向に円周方向内向きに階段状である。
【0060】
例示された中間チャネル部分(1220m)は、各々、それぞれの近位チャネル部分(1220p)と遠位チャネル部分(1220d)との間の階段状遷移を画定するが、一方で、中間チャネル部分(1220m)の一部又は全部は、代替的に、それぞれの近位チャネル部分(1220p)と遠位チャネル部分(1220d)との間の先細遷移を画定し得ることが理解されるであろう。本変形例では、単一の中間チャネル部分(1220m)が各チャネル(1220)に提供されるが、複数の中間チャネル部分(1220m)は、近位部分(1220p)と遠位チャネル部分(1220d)との間の多段階の階段状及び/又は先細遷移を画定するために他の変形例で提供され得ることが理解されるであろう。
【0061】
カニューレ(1100)と同様に、その遠位端部に対するその近位端部における各チャネル(1220)の増大したサイズ決めは、カニューレチューブ(1204)が、その近位端部又はその近くで比較的低減された量の材料、かつその遠位端部又はその近くで比較的増加した量の材料を含むことを可能にし得る。結果として、カニューレ(1200)の重量分布は、カニューレ(1200)の質量中心、したがって、重心が、上記に説明されたカニューレ(200、300、400、500、600、700、800、900、1000)と比較して、カニューレチューブ(1204)に沿って更に遠位に位置し得るように、遠位にシフトされ得る。このようにして、チャネル(1220)は、腹壁(2)内に位置付けられたカニューレ(1200)の部分を中心としてカニューレ(1200)によって加えられる「傾き」トルクを効果的に低減し、それによって、外科医によって放されたときに、カニューレ(1200)の望ましくない傾きを低減するように構成され得る。
【0062】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、一部の変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してもよいことも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例1】
【0063】
外科用アクセスデバイスであって、(a)吹送ポートを有するシールアセンブリを支持するように構成された近位端部部分と、(b)カニューレチューブであって、近位端部部分から遠位に延在し、かつカニューレチューブを通って長手方向に延在する管腔を画定する内面を有し、カニューレチューブが、患者の体腔壁を通って遠位に挿入されるように構成されており、管腔が、患者の体腔にアクセスするためにカニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成されている、カニューレチューブと、(c)カニューレチューブの内面に形成された少なくとも1つのチャネルであって、少なくとも1つのチャネルが、管腔の近位端部と管腔の遠位端部との間で長手方向に延在し、少なくとも1つのチャネルは、外科用器具シャフトが管腔内に配設されている間、シールアセンブリの吹送ポートに又は吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【実施例2】
【0064】
内面が、円筒形である、実施例1に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例3】
【0065】
少なくとも1つのチャネルは、少なくとも外科用器具シャフトが管腔の外側に配設されている間、管腔と流体連通する、実施例1又は2に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例4】
【0066】
少なくとも1つのチャネルの近位端部が、少なくとも1つのチャネルの遠位端部よりも大きい幅を有する、実施例1~3のいずれかに記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例5】
【0067】
少なくとも1つのチャネルの幅が、遠位に先細になっている、実施例4に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例6】
【0068】
幅が、少なくとも1つのチャネルの近位端部から少なくとも1つのチャネルの遠位端部まで均一に先細になっている、実施例5に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例7】
【0069】
少なくとも1つのチャネルが、近位チャネル部分及び遠位チャネル部分を含み、近位チャネル部分が、近位チャネル部分の長さに沿って第1の均一の幅を有し、遠位チャネル部分が、遠位チャネル部分の長さに沿って第2の均一の幅を有し、第1の均一の幅及び第2の均一の幅が、互いに異なる、実施例1~3のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例8】
【0070】
第1の均一の幅が、第2の均一の幅よりも大きい、実施例7に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例9】
【0071】
少なくとも1つのチャネルが、近位チャネル部分と遠位チャネル部分との間に中間チャネル部分を更に含み、中間チャネル部分が、近位チャネル部分と遠位チャネル部分との間の階段状遷移又は先細遷移のうちの少なくとも1つを画定する、実施例7又は8に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例10】
【0072】
少なくとも1つのチャネルが、第1のチャネル及び第2のチャネルを備える、実施例1~9のいずれかに記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例11】
【0073】
第2のチャネルが、第1のチャネルとは直径方向に向かい合っている、実施例10に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例12】
【0074】
少なくとも1つのチャネルが、第3のチャネルを更に備え、第1のチャネル、第2のチャネル、及び第3のチャネルが、管腔の中心軸を中心として均一な円周間隔で配置されている、実施例10に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例13】
【0075】
少なくとも1つのチャネルが、丸みを帯びた横断面プロファイルを有する、実施例1~12のいずれかに記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例14】
【0076】
少なくとも1つのチャネルが、少なくとも1つの内角を含む、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例15】
【0077】
カニューレチューブの外面に沿って配設された少なくとも1つの組織係合特徴部を更に備え、組織係合特徴部は、カニューレチューブが患者の体腔壁を通って遠位に挿入されたときに体腔壁に対してカニューレチューブを安定化するように構成されている、実施例1~14のいずれかに記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例16】
【0078】
外科用アクセスデバイスであって、(a)吹送ポートを有するシールアセンブリを支持するように構成された近位端部部分と、(b)近位端部部分から遠位に延在し、かつ管腔を画定する内面を有する、カニューレチューブであって、管腔が、患者の体腔にアクセスするためにカニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成されている、カニューレチューブと、(c)内面の半径方向外向きにカニューレチューブ内に形成されたチャネルであって、チャネルが、管腔の近位端部と管腔の遠位端部との間で長手方向に延在し、チャネルは、外科用器具シャフトが管腔内に配設されている間、シールアセンブリの吹送ポートに又は吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されている、チャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【実施例17】
【0079】
チャネルは、少なくとも外科用器具シャフトが管腔の外側に配設されている間、管腔と流体連通する、実施例16に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例18】
【0080】
チャネルの近位端部が、チャネルの遠位端部よりも大きい幅を有する、実施例16又は17に記載の外科用アクセスデバイス。
【実施例19】
【0081】
外科用アクセスデバイスであって、(a)近位ハブと、(b)近位ハブと結合され、かつ吹送ポートを有する、シールアセンブリと、(c)カニューレチューブであって、近位ハブから遠位に延在し、かつ患者の体腔にアクセスするためにカニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成された管腔を有し、管腔が、第1の直径を有する、カニューレチューブと、(d)カニューレチューブ内に形成されており、かつ管腔の近位端部と管腔の遠位端部との間で長手方向に延在する、複数のチャネルであって、各チャネルは、外科用器具シャフトが管腔内に配設されている間、シールアセンブリの吹送ポートに又は吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されており、チャネルが、第2の直径を集合的に画定し、第2の直径が、管腔の中心軸を通って延在し、かつ第1の直径よりも大きい、複数のチャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
【実施例20】
【0082】
各チャネルは、少なくとも前記外科用器具シャフトが前記管腔の外側に配設されている間、前記管腔と流体連通する、実施例19に記載の外科用アクセスデバイス。
【0083】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0084】
更に、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上は、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP1]号(「Pinch-To-Release Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP2]号(「Multi-Diameter Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP3]号(「Pinch-To-Clamp Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP4]号(「Universal Size Multi-Walled Elastomer Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP5]号(「Threaded Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP6]号(「Tilting Tang Cannula Depth Limiter」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP7]号(「Two Piece Separable Obturator」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP8]号(「Latchless Obturator with Interference Fit Feature」と題された)、本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP9]号(「Balancing Feature for Reusable Trocar」と題された)、及び/又は本出願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP11]号(「Stabilizer for Surgical Shafts or Cannulas」と題された)に開示された教示のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。これらの特許出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0086】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家によって行われる従来の医療処置及び手術に適用するだけでなく、ロボット支援医療処置及び手術にも適用することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、Intuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどのロボット外科用システムに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日発行の「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0087】
上述のデバイスの変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整施設において、又は処置の直前にユーザによって、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0088】
単に例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させることがある。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の他の技術を用いて滅菌することができる。
【0089】
本発明の様々な実施形態を示し記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであり、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0090】
〔実施の態様〕
(1) 外科用アクセスデバイスであって、
(a)吹送ポートを有するシールアセンブリを支持するように構成された近位端部部分と、
(b)カニューレチューブであって、前記近位端部部分から遠位に延在し、かつ前記カニューレチューブを通って長手方向に延在する管腔を画定する内面を有し、前記カニューレチューブが、患者の体腔壁を通って遠位に挿入されるように構成されており、前記管腔が、前記患者の体腔にアクセスするために前記カニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成されている、カニューレチューブと、
(c)前記カニューレチューブの前記内面に形成された少なくとも1つのチャネルであって、前記少なくとも1つのチャネルが、前記管腔の近位端部と前記管腔の遠位端部との間で長手方向に延在し、前記少なくとも1つのチャネルは、外科用器具シャフトが前記管腔内に配設されている間、前記シールアセンブリの前記吹送ポートに又は前記吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
(2) 前記内面が、円筒形である、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(3) 前記少なくとも1つのチャネルは、少なくとも前記外科用器具シャフトが前記管腔の外側に配設されている間、前記管腔と流体連通する、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(4) 前記少なくとも1つのチャネルの近位端部が、前記少なくとも1つのチャネルの遠位端部よりも大きい幅を有する、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(5) 前記少なくとも1つのチャネルの幅が、遠位に先細になっている、実施態様4に記載の外科用アクセスデバイス。
【0091】
(6) 前記幅が、前記少なくとも1つのチャネルの近位端部から前記少なくとも1つのチャネルの遠位端部まで均一に先細になっている、実施態様5に記載の外科用アクセスデバイス。
(7) 前記少なくとも1つのチャネルが、近位チャネル部分及び遠位チャネル部分を含み、前記近位チャネル部分が、前記近位チャネル部分の長さに沿って第1の均一の幅を有し、前記遠位チャネル部分が、前記遠位チャネル部分の長さに沿って第2の均一の幅を有し、前記第1の均一の幅及び前記第2の均一の幅が、互いに異なる、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(8) 前記第1の均一の幅が、前記第2の均一の幅よりも大きい、実施態様7に記載の外科用アクセスデバイス。
(9) 前記少なくとも1つのチャネルが、前記近位チャネル部分と前記遠位チャネル部分との間に中間チャネル部分を更に含み、前記中間チャネル部分が、前記近位チャネル部分と前記遠位チャネル部分との間の階段状遷移又は先細遷移のうちの少なくとも1つを画定する、実施態様7に記載の外科用アクセスデバイス。
(10) 前記少なくとも1つのチャネルが、第1のチャネル及び第2のチャネルを備える、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
【0092】
(11) 前記第2のチャネルが、前記第1のチャネルとは直径方向に向かい合っている、実施態様10に記載の外科用アクセスデバイス。
(12) 前記少なくとも1つのチャネルが、第3のチャネルを更に備え、前記第1のチャネル、前記第2のチャネル、及び前記第3のチャネルが、前記管腔の中心軸を中心として均一な円周間隔で配置されている、実施態様10に記載の外科用アクセスデバイス。
(13) 前記少なくとも1つのチャネルが、丸みを帯びた横断面プロファイルを有する、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(14) 前記少なくとも1つのチャネルが、少なくとも1つの内角を含む、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
(15) 前記カニューレチューブの外面に沿って配設された少なくとも1つの組織係合特徴部を更に備え、前記組織係合特徴部は、前記カニューレチューブが前記患者の前記体腔壁を通って遠位に挿入されたときに前記体腔壁に対して前記カニューレチューブを安定化するように構成されている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイス。
【0093】
(16) 外科用アクセスデバイスであって、
(a)吹送ポートを有するシールアセンブリを支持するように構成された近位端部部分と、
(b)前記近位端部部分から遠位に延在し、かつ管腔を画定する内面を有する、カニューレチューブであって、前記管腔が、患者の体腔にアクセスするために前記カニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成されている、カニューレチューブと、
(c)前記内面の半径方向外向きに前記カニューレチューブ内に形成されたチャネルであって、前記チャネルが、前記管腔の近位端部と前記管腔の遠位端部との間で長手方向に延在し、前記チャネルは、外科用器具シャフトが前記管腔内に配設されている間、前記シールアセンブリの前記吹送ポートに又は前記吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されている、チャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
(17) 前記チャネルは、少なくとも前記外科用器具シャフトが前記管腔の外側に配設されている間、前記管腔と流体連通する、実施態様16に記載の外科用アクセスデバイス。
(18) 前記チャネルの近位端部が、前記チャネルの遠位端部よりも大きい幅を有する、実施態様16に記載の外科用アクセスデバイス。
(19) 外科用アクセスデバイスであって、
(a)近位ハブと、
(b)前記近位ハブと結合され、かつ吹送ポートを有する、シールアセンブリと、
(c)カニューレチューブであって、前記近位ハブから遠位に延在し、かつ患者の体腔にアクセスするために前記カニューレチューブを通って遠位に外科用器具シャフトをガイドするように構成された管腔を有し、前記管腔が、第1の直径を有する、カニューレチューブと、
(d)前記カニューレチューブ内に形成されており、かつ前記管腔の近位端部と前記管腔の遠位端部との間で長手方向に延在する、複数のチャネルであって、各チャネルは、外科用器具シャフトが前記管腔内に配設されている間、前記シールアセンブリの前記吹送ポートに又は前記吹送ポートからのうちの少なくとも一方で、内部を通してガスを方向付けるように構成されており、前記チャネルが、第2の直径を集合的に画定し、前記第2の直径が、前記管腔の中心軸を通って延在し、かつ前記第1の直径よりも大きい、複数のチャネルと、を備える、外科用アクセスデバイス。
(20) 各チャネルは、少なくとも前記外科用器具シャフトが前記管腔の外側に配設されている間、前記管腔と流体連通する、実施態様19に記載の外科用アクセスデバイス。
【国際調査報告】