(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】ねじ山付きカニューレ深度リミッタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566376
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021061421
(87)【国際公開番号】W WO2021219853
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スコット・グレゴリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】セプレス・ジョナサン・エム
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ・デビッド・エル
(72)【発明者】
【氏名】コービン・マシュー・エス
(72)【発明者】
【氏名】サベッジ・ジェフリー・エル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF42
4C160FF45
4C160MM22
(57)【要約】
外科用アクセスデバイスアセンブリ。アセンブリは、作業チャネルを有するカニューレと、カニューレの外面に沿って配置され、かつ患者の体腔壁に対してカニューレを安定化するように構成された螺旋組織係合特徴部と、を含む。アセンブリはまた、カニューレと移動可能に結合された深度リミッタも含む。深度リミッタは、深度リミッタの中心軸を中心に延在し、かつ中心軸に対して半径方向内向きに延在している突起を含む、本体部分を含む。本体部分は、微調整構成と粗調整構成との間で、カニューレに対して角移動可能である。微調整構成では、突起は、螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成されている。粗調整構成では、突起は、深度リミッタが軸方向にカニューレに沿って移動可能であるように、螺旋組織係合特徴部を選択的に螺合解除するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレであって、
(i)前記カニューレの中心軸に沿って外科用器具を案内するように構成された作業チャネルと、
(ii)前記カニューレの外面に沿って配設された少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部であって、前記カニューレが患者の体腔壁を通して遠位に挿入されたときに、前記カニューレを前記体腔壁に対して安定化するように構成されている、螺旋組織係合特徴部と、を含む、カニューレと、
(b)前記カニューレと移動可能に結合された深度リミッタであって、前記深度リミッタが、前記深度リミッタの中心軸を中心として延在し、かつ前記深度リミッタの前記中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの突起を含む少なくとも1つの本体部分を備え、前記少なくとも1つの本体部分が、微調整構成と粗調整構成との間で前記カニューレに対して角移動可能であり、前記微調整構成では、前記少なくとも1つの突起が、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成され、前記粗調整構成では、前記少なくとも1つの突起は、前記深度リミッタが前記カニューレに沿って軸方向に並進可能であるように、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除するように構成されている、深度リミッタと、を備えている、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの突起が、複数の円周方向に配置された突起を含む、請求項1に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項3】
前記カニューレが、前記カニューレの前記外面に沿って配設された少なくとも1つの長手方向トラックを含み、前記粗調整構成では、前記少なくとも1つの突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックに選択的に摺動可能に係合するように構成されている、請求項1に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの本体部分が、前記深度リミッタの前記中心軸を中心として互いに対して回転可能な第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、前記少なくとも1つの突起が、前記第1の本体部分によって提供された第1の突起と、前記第2の本体部分によって提供された第2の突起と、を含む、請求項3に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分は、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いに半径方向に位置合わせされたクロック構成と、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いから半径方向にずらされた少なくとも1つのアンクロック構成との間で、前記深度リミッタの前記中心軸を中心として互いに対して回転可能である、請求項4に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記アンクロック構成になることに応答して、前記第1の突起又は前記第2の突起のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成されている、請求項5に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの長手方向トラックが、幅を有し、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記アンクロック構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックの前記幅よりも広い有効幅を有するエンベロープを集合的に占める、請求項6に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記クロック構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックを選択的に摺動可能に係合するように構成されている、請求項5に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの長手方向トラックが、幅を有し、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記クロック構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックの前記幅よりも狭い有効幅を有するエンベロープを集合的に占める、請求項8に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、前記アンクロック構成に向かって付勢されている、請求項5に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの本体部分は、第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分は、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記微調整構成と前記粗調整構成との間でヒンジを中心として互いに対して枢動可能であるように、前記ヒンジによってともに枢動可能に結合されており、前記少なくとも1つの突起が、前記第1の本体部分によって提供された第1の突起と、前記第2の本体部分によって提供された第2の突起と、を含む、請求項1に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項12】
前記粗調整構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部から半径方向外向きに枢動されるように構成されている、請求項11に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項13】
前記ヒンジが、リビングヒンジを含む、請求項11に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項14】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分並びに前記リビングヒンジが、単一部品としてともに一体的に形成されている、請求項13に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、前記微調整構成に向かって付勢されている、請求項11に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項16】
トロカールのカニューレチューブと結合するように構成された深度リミッタであって、前記カニューレチューブが、前記カニューレチューブの外面に沿って配設された少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部を有し、前記深度リミッタが、
(a)第1の本体部分と、
(b)第2の本体部分であって、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が微調整構成と粗調整構成との間で互いに対して移動可能であるように、前記第1の本体部分に移動可能に結合されている、第2の本体部分と、
(c)前記第1の本体部分によって提供され、かつ前記深度リミッタの中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの第1の突起と、
(d)前記第2の本体部分によって提供され、かつ前記深度リミッタの前記中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの第2の突起と、を備え、
前記微調整構成では、前記第1の突起又は前記第2の突起のうちの少なくとも1つが、前記カニューレチューブの前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成され、前記粗調整構成では、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記カニューレチューブの前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除するように構成されている、深度リミッタ。
【請求項17】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分は、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いに半径方向に位置合わせされたクロック構成と、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いから半径方向にずらされた少なくとも1つのアンクロック構成との間で、前記深度リミッタの前記中心軸を中心として互いに対して回転可能であり、前記クロック構成が、前記粗調整構成を少なくとも部分的に画定し、前記アンクロック構成が、前記微調整構成を少なくとも部分的に画定する、請求項16に記載の深度リミッタ。
【請求項18】
前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、前記微調整構成と前記粗調整構成との間で、前記深度リミッタの前記中心軸に対して垂直なヒンジ軸を中心として互いに対して枢動可能である、請求項16に記載の深度リミッタ。
【請求項19】
トロカールとともに深度リミッタを使用する方法であって、前記深度リミッタが、前記深度リミッタの中心軸を中心として延在し、かつ前記深度リミッタの前記中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの突起を有する少なくとも1つの本体部分を含み、前記方法が、
(a)前記少なくとも1つの本体部分を、少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部を有するトロカールのカニューレチューブの周りに位置決めすることと、
(b)前記少なくとも1つの突起が前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合する微調整構成と、前記少なくとも1つの突起が前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除する粗調整構成との間で、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して移動させることと、
(c)前記微調整構成にある間に、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して螺旋状に移動させることと、
(d)前記粗調整構成にある間に、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して並進させることと、を含む、方法。
【請求項20】
前記微調整構成と前記粗調整構成との間で、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して移動させることが、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して角移動させることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2020年5月1日に出願された「Threaded Cannula Depth Limiter」と題する米国仮特許出願第63/018,650号の優先権を主張するものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
いくつかの外科手術処置は、臨床医が患者の腹腔を介して外科手術部位にアクセスすることを必要とし得る。そのようなアクセスを得るために、最初に、腹腔の上にある腹壁組織を通して開口部が形成される。いくつかの外科手術処置(「腹腔鏡」又は「内視鏡的」手術と称される)では、比較的小さい開口部が腹壁組織を介して作製され、次いで、外科手術部位は、開口部内に位置決めされた「トロカール」と一般的に呼ばれるアクセスデバイスを通して挿入された細長い器具でアクセスされる。従来のトロカールは、一般に、カニューレアセンブリと、カニューレアセンブリの作業チャネル内に取り外し可能に受容される閉塞具と、を含む。使用中、閉塞具は、カニューレアセンブリと嵌合され、組み合わされた構造(すなわち、トロカール)は、患者の腹壁を通って下向きに臨床医によって方向付けられ、その結果、閉塞具及びカニューレアセンブリの遠位端部が、腹腔内に延在する。次いで、臨床医は、外科用器具がカニューレアセンブリの作業チャネルを通って下向きに方向付けられ、外科手術部位にアクセスし得るように、カニューレアセンブリから閉塞具を引き抜く。
【0003】
トロカール、その構成要素の単に例示的な変形例及びその他の種類の外科用アクセスデバイスは、2011年7月19日に開示された「Vibratory Trocar」と題する米国特許第7,981,092号、2012年7月24日に交付された「Access Device with Insert」と題する米国特許第8,226,553号、2012年8月28日に交付された「Surgical Access Devices and Methods Providing Seal Movement in Predefined Paths」と題する米国特許第8,251,900号、2013年11月12日に交付された「Absorbing Fluids in a Surgical Access Device」と題する米国特許8,579,807号、2013年10月29日に交付された「Surgical Access Device with Sorbents」と題する米国特許第8,568,362号、2014年1月28日に交付された「Surgical Access Device」と題する米国特許第8,636,686号、2014年4月8日に交付された「Gas Jet Fluid Removal in a Trocar」と題する米国特許第8,690,831号、2019年1月3日に公開された「Method of Suturing a Trocar Path Incision」と題する米国特許出願公開第2019/0000496号において開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
外科用アクセスデバイス及びエンドエフェクタを含む様々な種類の外科用器具及びその他の関連する構成要素が作製され、使用されてきたが、本発明者ら以前には誰も、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの斜視図を示す。
【
図2】分解状態の
図1のカニューレアセンブリ及び閉塞具の側面立面図を示す。
【
図3A】腹壁の組織層を通して臨床医によって操作されている
図1のトロカールの側面断面図を示す。
【
図3B】
図3Aの腹腔内に受容されたトロカールの遠位端部を示す、
図1のトロカールの拡大側面断面図を示す。
【
図3C】
図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示し、閉塞具の取り外し及び除去後に、
図3Aの腹壁内に位置決めされたままのカニューレアセンブリを示す。
【
図3D】
図3Aの腹壁から近位に引き抜かれている
図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示す。
【
図4】組み立てられた状態で示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する別の例示的なトロカールの斜視図を示す。
【
図5】互いから分離された再利用可能なカニューレ及びカニューレアセンブリの使い捨てシールアセンブリを示し、分解状態の閉塞具を示す、分解状態の
図4のカニューレアセンブリ及び閉塞具の斜視図である。
【
図6】カニューレのカニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた例示的な深度リミッタを示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレの斜視図を示す。
【
図8A】深度リミッタが、迅速調整構成にあるように、カニューレチューブの平面と摺動可能に係合された深度リミッタの歯を示す、
図6の深度リミッタの底部立面図を示す。
【
図8B】深度リミッタが、微調整構成にあるように、カニューレチューブの螺旋安定リブと螺合された
図6の深度リミッタの歯を示す、
図8Aと同様の底部立面図を示す。
【
図9A】アンクロック構成にある深度リミッタの第1の本体部分及び第2の本体部分を示し、深度リミッタが微調整構成にあるように、第1の本体部分又は第2の本体部分の少なくとも1つの歯が、カニューレチューブの螺旋安定リブと螺合されている、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
【
図9B】クロック構成にある
図9Aの深度リミッタの第1の本体部分及び第2の本体部分を示し、深度リミッタが迅速調整構成にあるように、第1の本体部分及び第2の本体部分の歯が、どちらも、カニューレチューブの平面と摺動可能に係合されている、
図9Aと同様の斜視図を示す。
【
図10A】深度リミッタが、微調整構成にあるように、アンクロック構成にある
図9Aの深度リミッタの第1の本体部分及び第2の本体部分を示す、カニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた
図9Aの深度リミッタの底部立面図を示す。
【
図10B】クロック構成にある
図9Aの深度リミッタの第1の本体部分及び第2の本体部分を示し、迅速調整構成にある深度リミッタを更に示す、
図10Aと同様の底部立面図を示す。
【
図11】深度リミッタが、迅速調整構成にあるように、カニューレチューブのそれぞれの平面と摺動可能に係合された深度リミッタの2つの歯を示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタの底部立面図を示す。
【
図12】深度リミッタが、迅速調整構成にあるように、カニューレチューブのそれぞれの平面と摺動可能に係合された深度リミッタの3つの歯を示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタの底部立面図を示す。
【
図13】カニューレのカニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタを示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレの斜視図を示す。
【
図15A】深度リミッタが、微調整構成にあるように、カニューレチューブの螺旋安定リブと螺合された
図13の深度リミッタのクリートを示す、
図13の切断線15A-15Aに沿った
図13のカニューレの断面図を示す。
【
図15B】深度リミッタが、迅速調整構成にあるように、螺旋安定リブから半径方向外向きに枢動され、そこから螺合解除された
図13の深度リミッタのクリートを示す、
図15Aと同様の断面図を示す。
【
図16】カニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタを示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレチューブの斜視図を示す。
【
図17】深度リミッタが、微調整構成にあるように、カニューレチューブの螺旋安定リブと螺合された
図16の深度リミッタの歯を示す、
図16の切断線17-17に沿った
図16のカニューレチューブの断面図を示す。
【
図18】カニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタを示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレチューブの斜視図を示す。
【
図20】カニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタを示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレチューブの斜視図を示す。
【
図22】カニューレチューブの周りに選択的に位置決めされた別の例示的な深度リミッタを示す、
図4のトロカールのための別の例示的なカニューレチューブの斜視図を示す。
【
図24】4つの脚を含む別の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
【
図25A】トロカールの遠位端部が腹腔内に受容されているときに、深度リミッタの脚が、非展開構成にある、
図1のトロカールのカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された
図24の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
【
図25B】深度リミッタの脚が、カニューレチューブの遠位端部が腹腔内に受容されている展開構成にある、閉塞物の取り外し及び除去後の、閉塞具の
図1のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された
図24の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
【
図26】2つの脚を含む別の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
【
図27】3つの脚を含む別の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
【
図28】ノッチを備えたハブを含む別の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
【
図29A】深度リミッタのハブが可動構成にある、
図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された
図28の深度リミッタの上面図を示す。
【
図29B】深度リミッタの脚が、固定構成にある、閉塞具の取り外し及び除去後の、
図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された
図28の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
【
図30A】深度リミッタの脚が、展開構成にある、
図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された
図28の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
【
図30B】深度リミッタの脚が、展開構成にある、閉塞具の取り外し及び除去後の、
図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された
図28の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
【
図31】流体チャンバ及び4つの脚を含む別の例示的な深度リミッタの上面断面図を示す。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明ともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものと見なされるべきである。
【0008】
本開示を明瞭にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用デバイスを握持する外科医又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、外科医により近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科医からより離れ手配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定することも絶対であることも意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解されよう。
【0009】
更に、任意の数値、又は数値の範囲に関連して本明細書で使用される「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる好適な許容誤差を包含することが意図されている。
【0010】
I.例示的な単回使用及び再利用可能なトロカール
図1~
図5は、単回使用の第1のトロカール(10)及び再利用可能な第2のトロカール(110)の形態の例示的な外科用アクセスデバイスを示し、各々が腹腔鏡外科手術処置において外科手術部位のアクセスを提供するように構成されている。各トロカール(10、110)は、作業チャネル(14、114)を有するカニューレアセンブリ(12、112)と、作業チャネル(14、114)に同軸に、取り外し可能に挿入されるように構成された閉塞具(16、116)と、を含み、その結果、組み立てられたトロカール(10、110)は、例えば、
図3A~
図3Dに関連して以下に記載されるように、患者の腹壁を通って遠位に方向付けられ得る。
【0011】
A.例示的な単回使用トロカール
図1~
図2に示されるように、単回使用トロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)及びシールハウジング(30)を含む。カニューレ(20)及びシールハウジング(30)は協働して、トロカール(10)の中心軸(A)に沿って長手方向に延在する作業チャネル(14)を画定する。特に、作業チャネル(14)は、シールハウジング(30)の中空内部と連通するカニューレ(20)の管腔によって画定される。カニューレアセンブリ(12)は、作業チャネル(14)を通って遠位に細長い外科用器具を受容して、患者の腹腔内の外科手術部位へのアクセスを提供するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、シールハウジング(30)は、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にしながら、患者の腹腔の吹送を維持するように構成されたシールアセンブリを画定する一対のシール構造を収容する。
【0012】
本変形例のカニューレ(20)は、その近位端部にベル形状のハブ(図示せず)と、ハブから遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(24)で終端する細長い円筒チューブ(22)と、を含み得る。カニューレチューブ(22)の外面は、カニューレチューブ(22)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(26)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(26)は、カニューレ(20)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(20)が患者の腹壁に形成された開口部内に位置決めされている間、カニューレ(20)を軸方向及び半径方向に安定化させるのを支援するように構成されている。
【0013】
より具体的には、本実施例の組織把持リブ(26)は、各リブ(26)がリブ(26)の半径方向に最も外側の縁から遠位方向に半径方向内向きに先細になるように、カニューレチューブ(22)の側壁における環状スカラップとして形成される。したがって、リブ(26)の半径方向に最も外側の縁は、カニューレチューブ(22)の非リブ付き近位及び遠位部分と概ね同一平面にある。リブ(26)の結果として生じる構成は、遠位方向への組織層を通るカニューレチューブ(22)の前進を促進し、逆の近位方向への組織層を通るカニューレチューブ(22)の後退に抵抗する。有利には、この構成は、外科手術処置中に患者の腹壁からカニューレチューブ(22)が意図せず引き抜かれることを防ぐ。しかしながら、カニューレチューブ(22)は、トロカール(10)の他の変形例において、様々な他のタイプの組織把持特徴部を備え得ることが理解されよう。例えば、カニューレチューブ(22)は、カニューレチューブ(22)の少なくとも内側部分の周りに延在し、リブ(26)に類似してスカラップ状であり得る、1つ又は2つ以上の螺旋リブの形態の組織把持特徴部を含み得る。
【0014】
カニューレアセンブリ(12)のシールハウジング(30)は、近位ハウジング部分(32)と、近位ハウジング部分(32)が取り外し可能に取り付けられている遠位ハウジング部分(34)と、を含む。近位ハウジング部分(32)は、互いに固定された近位ヘッド(36)及び遠位ベース(38)を含む。遠位ハウジング部分(34)は、カニューレ(20)の近位ハブ(図示せず)を取り囲む遠位シュラウド(40)と、遠位シュラウド(40)の近位端部に固定されたキャッププレート(42)と、それらの間に回転可能に配設され、半径方向外向きに突出するタブ(46)を有するラッチリング(44)と、を含む。ラッチリング(44)は、係止位置と係止解除位置との間でトロカール(10)の中心軸(A)を中心としてタブ(46)を介して選択的に回転可能である。係止位置では、ラッチリング(44)は、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)に係止する。係止解除位置では、ラッチリング(44)は、例えば、遠位ハウジング部分(34)内に収容された遠位シール構造(図示せず)に直接アクセスするために、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)から分離させることを可能にする。いくつかの変形例では、遠位シュラウド(40)は、遠位シュラウド(40)がカニューレ(20)の構成要素であるように、カニューレチューブ(22)の近位端部と一体的に形成され得る。
【0015】
図示されていないが、近位ハウジング部分(32)は、近位(又は「外側」)シール構造を収容し、遠位ハウジング部分(34)は、遠位(又は「内側」)シール構造を収容し、両方ともトロカール(10)の中心軸(A)に沿って配置されている。近位及び遠位シール構造は協働して、外科手術処置中に患者の腹腔の吹送を維持しながら、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にするシールアセンブリを画定する。例えば、近位シール構造は、作業チャネル(14)を介して方向付けられた腹腔鏡外科用器具のシャフトに封止係合するように構成された環状シール部材を含み得る。遠位シール構造は、外科用器具シャフトの不在下で記載されたシールされた作業チャネル(14)を維持するように構成されたダックビルシール部材を含み得る。
【0016】
カニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)の近位端部と動作可能に結合されており、ストップコック(52)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(50)を更に含む。吹送ポート(50)は、二酸化炭素などの吹送流体を、流体源(図示せず)から作業チャネル(14)を通して患者の腹腔内に遠位に方向付けるように構成され、それによって、腔を流体で拡張させる(又は「吹送する」)。腹腔のこの拡張は、改善された容易さで、腹腔鏡外科手術処置を行うための追加の空間を作り出す。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、トロカール(10)の閉塞具(16)は、近位ヘッド(60)と、ヘッド(60)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(62)と、先細遠位先端(64)と、を含む。閉塞具シャフト(62)は、閉塞具先端(64)がカニューレ先端(24)を通って遠位に延在するように、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)内に受容されるように構成されている。閉塞具ヘッド(60)は、ドーム型上部本体(66)と、ベースプレート(68)と、一対のラッチアーム(72)及び対応する一対のラッチボタン(74)を含む作動可能なラッチ部材(70)と、を含む。ラッチアーム(72)は、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)と結合するために、シールハウジングヘッド(36)の上面に形成されたそれぞれのスロット(図示せず)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(74)は、スロットからラッチアーム(72)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(12)からの閉塞具(16)の分離を可能にするように作動可能である。閉塞具(16)は、閉塞具ヘッド(60)及び閉塞具シャフト(62)を通って長手方向に延在し、内部に内視鏡(図示せず)を受容して、患者の腹壁を通したトロカール(10)の挿入中に視覚化を提供するように構成されている中央通路(76)を更に含む。閉塞具ヘッド(60)のクランプレバー(78)は、中央通路(76)内の内視鏡を選択的に固定するように枢動可能である。中央通路(76)及びクランプレバー(78)は、単に任意選択的な特徴部であり、他の変形例では、閉塞具(16)から省略され得る。
【0018】
カニューレアセンブリ(12)及び閉塞具(16)は、患者での単回使用後に配設されるように構成され得る。他の変形例では、トロカール(10)の1つ又は2つ以上の構成要素は、例えば、
図4~
図5のトロカール(110)に関連して以下でより詳細に説明されるように、滅菌及び複数回の再使用に耐えるように好適に構成され得る。
【0019】
B.患者の腹腔内へのトロカールの例示的な展開
図3A~
図3Dは、上述のトロカール(10)を用いて患者の腹壁(2)を通して患者の腹腔(1)にアクセスする例示的な方法を示す。腹壁(2)は、外側の表面層及び内側の深層を含むことが理解されよう。表層には一般に、皮膚(3)の外層と脂肪(4)の内層とが含まれる。一方、より深い層には筋肉の代替的な層(5)及び筋膜(6)が含まれ、筋膜は、表層よりも張力が高く、繊維状で柔軟である。
【0020】
図3Aに示されるように、閉塞具(16)がカニューレアセンブリ(12)内に受容され、シールハウジング(30)に接続された状態で、臨床医は閉塞具ヘッド(60)及びシールハウジング(30)を介してトロカール(10)を操作して、トロカール(10)を前後に回転させながら、閉塞具先端(64)を、皮膚(3)に対して及び腹腔(1)に方向付けて内側に押し付ける。
図3Bに示されるように、トロカール(10)の引き続き内側に押し付けることにより、閉塞具先端(64)及びカニューレ先端(24)を、脂肪の層(4)及び筋膜(5)を通して遠位に、かつ腔(1)の中に更に方向付ける。上述のように、この工程は、閉塞具(16)内に装着された内視鏡(図示せず)によって提供された視覚化によって容易にされ得る。カニューレ(20)が腔(1)への所望の挿入深度に到達すると、臨床医は、ラッチボタン(74)の押し下げを介して閉塞具ヘッド(60)をシールハウジング(30)から解放し、次いで、
図3Cに示されるように、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)から近位に引き抜く。これにより、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)は、腹腔鏡外科手術処置を行うために、それを通って遠位に外科用器具を受容可能にするようになる。上述のように、カニューレチューブ(22)上に設けられた組織係合リブ(26)は、腹壁(2)の組織(3、4、5)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(12)を提供する。腹腔鏡外科手術処置の完了時に、臨床医は、
図3Dに示されるように、シールハウジング(30)を把持し、カニューレアセンブリ(12)を腹壁(2)から近位に引き抜く。
【0021】
C.使い捨てシールアセンブリを有する例示的な再利用可能なトロカール
場合によっては、その1つ又は2つ以上の構成要素が、複数の外科手術処置のために滅菌及び再使用され得るようにトロカールを構成することが望ましい場合があり、一方、1つ又は2つ以上の他の構成要素は、各処置の後に容易かつ経済的に処分され、交換され得る。
図4~
図5は、そのような様式で構成された別の例示的なトロカール(110)を示し、以下に別途記載されるものを除いて、上述のトロカール(10)と構造及び機能が類似している。
【0022】
トロカール(10)と同様に、トロカール(110)は、作業チャネル(114)、及び作業チャネル(114)に沿って同軸にカニューレアセンブリ(112)に挿入されるように構成された閉塞具(116)を有するカニューレアセンブリ(112)を含む。カニューレアセンブリ(112)は、その近位端部にベル形状のハブ(122)、ハブ(122)から遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(126)で終端する細長い円筒チューブ(124)を有するカニューレ(120)を含む。カニューレチューブ(124)の外面は、カニューレチューブ(124)の内側部分に沿って軸方向に配置され、上述のリブ(26)と同様である環状リブ(128)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。
【0023】
カニューレアセンブリ(112)は、シールアセンブリ(130)を更に含む。トロカール(10)のシールハウジング(30)によって画定されたシールアセンブリとは異なり、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)と解放可能に嵌合するように構成されたモジュール式交換可能ユニットとして構成されている。
図5に最もよく示されるように、本実施例のシールアセンブリ(130)は、一般に、上部フレーム部材(132)と、中間フレーム部材(134)と、同軸配置で互いに固定された下部フレーム部材(136)と、を含む。図示されていないが、近位(又は「外側」)シール構造は、上部フレーム部材(132)内に支持され、遠位(又は「内部」)シール構造は、下部フレーム部材(136)内に支持される。そのようなシール構造は、上述のトロカール(10)の近位及び遠位シール構造と構造及び機能において類似し得る。シールアセンブリ(130)は、ストップコック(142)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(140)を更に含む。
【0024】
吹送ポート(140)の遠位のシールアセンブリ(130)の下部分は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)内に着座するように構成されており、その結果、下部分の周りに円周方向に配設された環状シール部材(144)が、カニューレハブ(122)の内面と封止係合している。このようにして、シールアセンブリ(130)の内部は、カニューレ(120)の管腔と流体連通して、吹送流体、外科用器具、及び組織断片がトロカール(10)に関連して概して上述された方式で方向付けられ得るカニューレアセンブリ(112)の作業チャネル(114)を画定する。シールアセンブリ(130)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月28日に公開された、米国特許公開第2019/0090905号、発明の名称「Trocar Seal Assemblies」、及び/又はその開示内容は参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月19日に公開され、「Asymmetric Shaft Seal」と題する米国特許公開第2019/0380742号の1つ又は2つ以上の教示に従って構成され得る。
【0025】
図5に最もよく示されるように、トロカール(110)の閉塞具(116)は、近位ヘッド(150)と、ヘッド(150)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(152)と、シャフト(152)の遠位端部の先細遠位先端(154)と、を含む。閉塞具ヘッド(150)は、ドーム型上部本体(156)と、ベースプレート(158)と、一対のラッチアーム(162)及び対応する一対の下向きに延在するラッチボタン(164)を含む作動可能なラッチ部材(160)と、を含む。ラッチアーム(162)は、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合するために、シールアセンブリ(130)の上部フレーム部材(132)の上面に形成されたそれぞれのスロット(138)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(164)は、スロット(138)からラッチアーム(162)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(112)からの閉塞具(116)の分離を可能にするように作動可能である。
【0026】
本実施例のカニューレ(120)及び閉塞具(116)は、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構成されており、その結果、それらは、複数の外科手術処置のために滅菌及び再使用され得る。対照的に、上述のように、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)から分離され、各処置の後に交換されることを意図した使い捨てユニットとして構成されている。例えば、シールアセンブリ(130)は、上述のトロカール(10)と同様に、シールアセンブリ(130)を単回使用後に処分するのに好適にする価格でシールアセンブリ(130)が容易に製造及び販売され得るように、プラスチック及びゴムを含む様々なポリマー材料で構成され得る。
【0027】
II.例示的なねじ山付き深度リミッタ
場合によっては、臨床医は、単回使用又は再利用可能なトロカール(10、110)が腹壁(2)内に移動し得る深度を制限することを望む場合がある(例えば、トロカール(10、110)を所望の位置に挿入した後)。トロカール(10、110)が腹壁(2)内に移動し得る深度を制限することは、カニューレアセンブリ(12、112)の閉塞具(16、116)及び/又はカニューレ先端(24、126)の遠位先端(64、154)が、腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。トロカール(10、110)の挿入を防止することにより、遠位先端(64、154)及び/又はカニューレ先端(24、126)の腹腔(1)内に収容された解剖学的構造との望ましくない接触が低減され得る。トロカール(10、110)の過剰挿入の防止はまた、腹腔(1)内の利用可能な外科用作業空間を不注意に低減することを回避し得る。
【0028】
単回使用又は再利用可能なトロカール(10、110)が腹壁(2)内に移動し得る深度を限定することに代えて、又はそれに加えて、臨床医は、(例えば、トロカール(10、110)を腹腔(1)の所望の位置に挿入した後に)腹壁(2)に対してトロカール(10、110)を安定化することを望む場合がある。臨床医は、トロカール(10、110)の挿入下で回避することによって、腹壁(2)に対してトロカール(10、110)を安定化させ得る。腹壁(2)への挿入後の腹壁(2)に対する安定化トロカール(10、110)は、臨床医がトロカール(10、110)を解放した後に、トロカール(10、110)が腹壁(2)における挿入点を中心に不用意に枢動するのを防止するのを支援し得る。安定化トロカール(10、110)は、カニューレ先端(24、126)、したがって、外科用器具が、臨床医に便利な選択された作業角度で、トロカール(10、110)を通って遠位に容易に方向付けられ得るように、腹腔(1)に対する所望の位置及び/又は向きで、外科用器具の進入点を腹腔(1)に維持する。
【0029】
したがって、上述した深度制限及び耐傾斜の利益を提供するデバイスをトロカール(10、110)に提供することが望ましい場合がある。更に、トロカール(10、110)に対するデバイスの位置の微調整及び粗調整の両方、又は迅速な位置調整を可能にする1つ又は2つ以上の特徴部をそのようなデバイスに提供することが望ましい場合がある。
【0030】
A.安定ねじ切り歯を備えた例示的な深度リミッタ
図6は、その近位端部のベル形状のハブ(122a)と、ハブ(122a)から遠位に延在してカニューレ先端(126a)で終端する細長い円筒チューブ(124a)と、を有する、トロカール(110)のための代替のカニューレ(120a)を示す。カニューレチューブ(124a)の外面は、カニューレチューブ(124a)の内側部分の周りに延在する螺旋リブ(128a)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(128a)は、カニューレ(120a)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(120a)が患者の腹壁(2)に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(120a)を軸方向及び半径方向に安定化するのを支援するように構成されている。
図8A~
図8Bに示されるように、リブ(128a)は、各々が、その半径方向内側の谷とその半径方向外側の山との間に画定された半径方向高さ(H1)を有し得、また、リブ(128a)の外側の山の間に直径方向に延在するカニューレチューブ(124a)の内側部分の主外部断面寸法(M1)を集合的に形成し得る。
図8A及び
図8Bに最良に示されるように、リブ(128a)は更に、リブ(128a)の内側の谷の間に直径方向に延在するカニューレチューブ(124a)の内側部分の副外部断面寸法(M2)を集合的に形成し得る。
【0031】
示される例では、カニューレチューブ(124a)の外面はまた、カニューレチューブ(124a)の内側部分及び遠位部分が略D字形状の外形を有するように、カニューレチューブ(124a)の内側部分及び遠位部分に沿って長手方向又は軸方向に延在する平面(170a)の形態のトラックを含む。より具体的には、平面(170a)は、リブ(128a)が平面(170a)の幅(W1)だけ円周方向に互いから遮断又は離間されるように、軸方向長さ(L)に沿ってカニューレ先端(126a)から最近位リブ(128a)まで延在し、また、略円周方向幅(W1)に沿って各リブ(128a)の谷の間に延在する。したがって、螺旋リブ(128a)は、別様に、カニューレチューブ(124a)の周りに単一の連続した螺旋ねじ山を集合的に画定するのに対して、本実施例の螺旋リブ(128a)は、互いに対して不連続である。一例では、平面(170a)は、単一の連続した螺旋リブをカニューレチューブ(124a)上に形成した後にその上へ機械加工されて、そのような螺旋リブを示される複数のリブ(128a)に分け得る。本実施例のカニューレ(120a)は、上述のカニューレ(120)及び閉塞具(116)と同様に、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構成され得、その結果、カニューレ(120a)は、複数の外科手術処置のために滅菌及び再使用され得る。
【0032】
図6は、トロカール(110)のカニューレチューブ(124a)に選択的に結合された第1の例示的な深度リミッタ(200)を更に示す。以下でより詳細に説明されるように、深度リミッタ(200)は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に移動し得る深度を選択的に制限し得る。
【0033】
図7~
図8Bに最良に示されるように、深度リミッタ(200)は、少なくとも1つの迅速(すなわち、粗)調整構成(例えば、
図8A)と少なくとも1つの微調整構成(例えば、
図8B)との間でカニューレチューブ(124a)に対して回転可能な本体部分(202)を含む。一例では、本体部分(202)は、1種又は2種以上のプラスチックを含むポリマー材料から成型され得る。そのような構造により、深度リミッタ(200)を使い捨てユニットと見なすことができ、カニューレ(120a)から分離され、各処置後に交換されることが意図される。例えば、そのような構造により、上述のトロカール(10)及びシールアセンブリ(130)と同様に、単回使用後に深度リミッタ(200)を処分するのに好適にする価格で、深度リミッタ(200)を容易に製造及び販売することを可能にし得る。他の変形例では、深度リミッタ(200)の1つ又は2つ以上の部分は、深度リミッタを滅菌可能かつ複数の外科手術処置のために再利用可能にするのに好適な外科用鋼又は他の材料から形成され得る。
【0034】
示される例では、深度リミッタ(200)は、略中空でトップハット形状の外形を有する。この目的のために、本体部分(202)は、遠位円筒ハブ(210)と、そこから半径方向外向きに延在する近位略環状フランジ(212)と、を含む。ハブ(210)は、深度リミッタ(200)の中心軸(C)に沿って長手方向に延在する略円筒形のボア(214)を画定し、また、ボア(214)の周辺縁から半径方向内向きに延在し、かつカニューレチューブ(124a)のリブ(128a)に選択的に螺合し、カニューレチューブ(124a)の平面(170a)に選択的に摺動可能に係合するように構成された、少なくとも1つの平坦な歯(220)を含む。単一の歯(220)が示されているが、以下に記載されるように、複数の歯(220)が、ボア(214)に沿って軸方向に(例えば、歯(220)がリブ(128a)に同時に螺合することが可能であり得るように、リブ(128a)の間の軸方向間隔に対応する距離だけ軸方向に互いから離間される)及び/又はボアの周りに円周方向に配置され得ることが理解されるであろう。以下でより詳細に説明されるように、示されるフランジ(212)は、迅速調整と微調整構成との間で本体部分(202)を回転させるためなどの、本体部分(202)を効果的かつ人間工学的に操作するために把持される本体部分(202)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供するように構成された、一対の直径方向に反対側にある指グリップ(230)を含む。
【0035】
これに関して、
図8A及び
図8Bに最良に示されるように、ボア(214)は、ボア(214)がカニューレチューブ(124a)の少なくとも内側部分を移動可能に受容するようにサイズ決定され得るように、中心軸(C)を通って直径方向に延在し、かつカニューレチューブ(124a)の内側部分の主外部断面寸法(M1)に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに大きい、内部断面寸法(D1)を有し得る。
【0036】
歯(220)は、歯(220)が、リブ(128a)の山に対して半径方向内向きに、かつリブ(128a)の谷に対して半径方向外向きに延在するようにサイズ決定され得るように、その内側の谷とその外側の山との間に画定され、かつリブ(128a)の高さ(H1)に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに低い、半径方向高さ(H2)を有し得る。
【0037】
歯(220)はまた、歯(220)が、リブ(128a)の間で受容されるようにサイズ決定され得るように、その近位端部と遠位端部との間に画定され、かつ隣接したリブの間の軸方向間隔に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに小さい、軸方向厚さ(図示せず)も有し得る。
【0038】
歯(220)は、歯(220)がリブ(128a)の外側で平面(170a)と半径方向に又は角度的に位置合わせされるようにサイズ決定され得るように、その横方向縁の間に画定され、かつ平面(170a)の幅(W1)に実質的に等しいか、又はそれよりも狭い、略円周方向幅(W2)を更に有し得る。このようにして、歯(220)は、リブ(128a)と選択的に嵌合又は螺合して、カニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の回転をカニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の相対的に微細な軸方向調整に変換するように構成され得、また、平面(170a)に選択的に摺動可能に係合して、カニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の相対的に粗い又は迅速な軸方向調整を可能にするように更に構成され得る。
【0039】
より具体的には、
図8Aに示されるように、深度リミッタ(200)が迅速調整構成にあるときに、歯(220)は、平面(170a)と半径方向に位置合わせされ、かつ略平行であり得、また、歯(220)が平面(170a)と摺動可能に係合され、リブ(128a)から螺合解除されるように、リブ(128a)から半径方向にずらされ得る。歯(220)と平面(170a)との間の相互作用は、深度リミッタ(200)をカニューレチューブ(124a)に対して並進可能にすることを可能にすることなどによって、カニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の迅速な軸方向の移動を可能にするように構成され得る。
【0040】
図8Bに示されるように、深度リミッタ(200)が微調整構成にあるときに、歯(220)は、歯(220)がリブ(128a)と螺合され、かつ平面(170a)から摺動可能に係合解除されるように、リブ(128a)と少なくとも部分的に半径方向に位置合わせされ得、かつ平面(170a)から少なくとも部分的に半径方向にずらされ得る。歯(220)とリブ(128a)との間の相互作用は、深度リミッタ(200)をカニューレチューブ(124a)に対して回転可能な螺旋状の移動に制限することなどによって、カニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の軸方向の移動を制限するように、及び/又はカニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の微細な軸方向の移動を可能にするように構成され得る。
【0041】
指グリップ(230)は、迅速調整構成にある間、及び/又は深度リミッタ(200)がカニューレチューブ(124a)に対して螺旋状に移動している間、カニューレチューブ(124a)に対して深度リミッタ(200)を効果的かつ人間工学的に並進させるために把持される本体部分(202)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供するように構成され得、一方で、微調整構成にある間は、加えて、迅速調整構成と微調整構成との間で本体部分(202)を効果的かつ人間工学的に回転させるために把持される本体部分(202)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供する。
【0042】
動作中、
図8A及び
図8Bを引き続き参照すると、深度リミッタ(200)は、トロカール(110)の患者の腹腔(1)内への展開の前に、カニューレチューブ(124a)がボア(214)内で受容されるように、トロカール(110)のカニューレチューブ(124a)の周りに最初に位置決めされ得る。トロカール(110)の腹腔(1)内への展開中、本体部分(202)は、所望され得るように、迅速調整構成又は微調整構成のいずれかにあり得る。
【0043】
場合によっては、臨床医は、展開中のトロカール(110)のカニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の迅速な軸方向の移動を可能にすることを望む場合がある。したがって、臨床医は、本体部分(202)を迅速調整構成に維持することを選択し得る。本体部分(202)を迅速調整構成に維持することによって、歯(220)は、リブ(128a)によって拘束されなくなり得る。より具体的には、
図8Aに示されるように、歯(220)は、平面(170a)と半径方向に位置合わせされて、トロカール(110)のカニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の並進を可能にし得る。
【0044】
他の場合には、臨床医は、展開中のトロカール(110)のカニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の軸方向の移動を制限することを望む場合がある。例えば、臨床医は、腔(1)内のカニューレ(120a)の所望の挿入深度に対応する、カニューレチューブ(124a)に沿った所定の軸方向場所に深度リミッタ(200)を位置決めすることを望む場合がある。したがって、臨床医は、本体部分(202)を、迅速調整構成から微調整構成に向かって、カニューレチューブ(124a)に対して回転させることを選択し得る。この目的のために、臨床医は、指グリップ(230)を介するなどして、深度リミッタ(200)を操作して、本体部分(202)を微調整構成に向かって効果的かつ人間工学的に回転させ得る。本体部分(202)を微調整構成に向かって回転させることによって、歯(220)は、リブ(128a)によって螺旋運動に制限され得る。より具体的には、
図8Bに示されるように、歯(220)は、リブ(128a)と少なくとも部分的に半径方向に位置合わせされて、実質的に深度リミッタ(200)のカニューレチューブ(124a)に対する螺旋運動だけを可能にし得る。深度リミッタ(200)が所定の軸方向の場所に達すると、臨床医は、まだ微調整構成にある間に、深度リミッタ(200)を解放し、それによって、歯(220)とリブ(128a)との間の螺合により、深度リミッタ(200)を所定の軸方向の場所に維持することを可能にし得る。
【0045】
深度リミッタ(200)が、軸方向に制限された状態又は制限されていない状態のいずれかにおいてカニューレチューブ(124a)の周りに位置決めされることによって、臨床医は、
図3A及び
図3Bに関して上述したように、カニューレ(120a)を腔(1)において所望の挿入深度に位置決めするために、トロカール(110)を患者の腹腔(1)に展開し得る。腔(1)内のカニューレ(120a)の所望の挿入深度に対応するカニューレチューブ(124a)に沿った所定の軸方向場所で、深度リミッタ(200)が展開中にカニューレチューブ(124a)に固定される場合、深度リミッタ(200)の遠位ハブ(210)と腹壁(2)との間の接触は、カニューレ(120a)が腔(1)において所望の挿入深度に達したことの視覚的指示及び/又は触覚的指示を臨床医に提供し得る。このようにして、深度リミッタ(200)は、閉塞具(116)の遠位先端(154)及び/又はカニューレアセンブリ(112)のカニューレ先端(126a)が、展開中に腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。他の場合では、カニューレ(120a)が腔(1)において所望の挿入深度に位置決めされた後、深度リミッタ(200)が、カニューレチューブ(124a)に固定され得る。
【0046】
場合によっては、深度リミッタ(200)がカニューレチューブ(124a)にすでに固定された後、カニューレチューブ(124a)に沿った深度リミッタ(200)の軸方向の場所を迅速に調整することが望ましい場合がある。したがって、臨床医は、深度リミッタ(200)を選択的に操作して、本体部分(202)を微調整構成から迅速調整構成に向かってカニューレチューブ(124a)に対して回転させ得、その後、本体部分(202)を新しい軸方向の場所までカニューレチューブ(124a)に対して並進させ得る。深度リミッタ(200)が新しい軸方向の場所に達すると、臨床医は、深度リミッタ(200)を選択的に操作して、本体部分(202)を迅速調整構成から微調整構成までカニューレチューブ(124a)に対して回転させて、その後、微調整構成にある間に深度リミッタ(200)を解放し、それによって、歯(220)とリブ(128a)との間の螺合が、深度リミッタ(200)を新しい軸方向の場所に維持することを可能にする。
【0047】
場合によっては、深度リミッタ(200)がカニューレチューブ(124a)にすでに固定された後、カニューレチューブ(124a)に沿った深度リミッタ(200)の軸方向の場所を微調整することが望ましい場合がある。したがって、深度リミッタ(200)が微調整構成にある状態で、臨床医は、本体部分(202)をカニューレチューブ(124a)に対して螺旋状に移動させて、カニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の軸方向の場所を微調整し得る。そのような移動中、臨床医は、(例えば、深度リミッタ(200)が、短時間迅速調整構成に置かれるように)平面(170a)の周りの歯(220)の軌道として、所望の螺旋経路に沿って本体部分(202)を慎重に移動させ続けて、歯(220)が、平面(170a)に沿って不用意に軸方向に摺動すること、又はリブ(128a)を「スキップすること」を防止し、それによって、深度リミッタ(200)が、カニューレチューブ(124a)に対して突然並進することを防止し得る。深度リミッタ(200)が微調整された軸方向の場所に達すると、臨床医は、微調整構成にある間に、深度リミッタ(200)を解放し、それによって、歯(220)とリブ(128a)との間の螺合が、深度リミッタ(200)を微調整された軸方向の場所に維持することを可能にし得る。
【0048】
したがって、臨床医は、深度リミッタ(200)の軸方向の場所をカニューレチューブ(124a)に沿って調整し得、その後、微調整構成にある間に、単に深度リミッタ(200)を解放することによって、深度リミッタ(200)をカニューレチューブ(124a)に再固定し得る。
【0049】
深度リミッタ(200)は、深度リミッタ(200)の遠位ハブ(210)が腹壁(2)に載置されている腹腔鏡外科手術処置の実行中に、カニューレチューブ(124a)に結合されたままであり得る。このようにして、深度リミッタ(200)は、腹腔鏡外科手術処置の実行中に、カニューレアセンブリ(112)のカニューレ先端(126a)が、腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。
【0050】
腹腔鏡外科手術処置の完了時に、深度リミッタ(200)は、カニューレアセンブリ(112)とともに腹壁(2)から近位に引き抜かれ得る。深度リミッタ(200)は、上述のように本体部分(202)を迅速調整構成に向かってカニューレチューブ(124a)に対して回転させ、その後、深度リミッタ(200)をカニューレチューブ(124a)に対して遠位に並進させることによって、カニューレチューブ(124a)から迅速に除去され得る。一例では、深度リミッタ(200)は、単回の腹腔鏡外科手術処置の完了後に単に処分され得る。
【0051】
B.安定ねじ切り歯を備えた例示的なツーピース深度リミッタ
場合によっては、微調整構成から迅速調整構成への不用意な移行を防止するために、クロック機構を有するカニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。
【0052】
図9A~
図10Bは、ハブ(図示せず)から遠位に延在し、カニューレ先端(図示せず)で終端する細長い円筒チューブ(124b)を有する、トロカール(110)の別の代替のカニューレ(120b)を示す。カニューレチューブ(124b)の外面は、カニューレチューブ(124b)の内側部分の周りに延在する螺旋リブ(128b)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(128b)は、カニューレ(120b)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(120b)が患者の腹壁(2)に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(120b)を軸方向及び半径方向に安定化させるのを支援するように構成されている。
図10A及び
図10Bに最良に示されるように、リブ(128b)は、各々が、その半径方向内側の谷とその半径方向外側の山との間に画定された半径方向高さ(H1)を有し得、また、リブ(128b)の外側の山の間に直径方向に延在するカニューレチューブ(124b)の内側部分の主外部断面寸法(M1)を集合的に形成し得、更に、リブ(128b)の内側の谷の間に直径方向に延在するカニューレチューブ(124b)の内側部分の副外部断面寸法(M2)を集合的に形成し得る。
【0053】
示される例では、カニューレチューブ(124b)の外面はまた、少なくともカニューレチューブ(124b)の内側部分が略D字形状の外形を有するように、少なくともカニューレチューブ(124b)の内側部分に沿って長手方向又は軸方向に延在する平面(170b)の形態のトラックも含む。より具体的には、平面(170b)は、リブ(128b)が平面(170b)の幅(W1)だけ円周方向に互いから中断又は離間されるように、軸方向長さに沿ってカニューレ先端から最近位リブ(128b)まで延在し、また、略円周方向幅(W1)に沿って各リブ(128b)の谷の間に延在する。一例では、平面(170b)は、単一の連続した螺旋リブをカニューレチューブ(124b)上に形成した後にその上へ機械加工されて、そのような螺旋リブを示される複数のリブ(128b)に分け得る。本実施例のカニューレ(120b)は、上述のカニューレ(120b)及び閉塞具(116)と同様に、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構成され得、その結果、カニューレ(120b)は、複数の外科手術処置のために滅菌及び再使用され得る。
【0054】
図9A~
図10Bは、トロカール(110)のカニューレチューブ(124b)に選択的に結合される第2の例示的な深度リミッタ(300)を更に示す。深度リミッタ(200)と同様に、深度リミッタ(300)は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に移動し得る深度を選択的に制限し得る。
【0055】
示されるように、深度リミッタ(300)は、少なくとも1つの迅速調整構成(例えば、
図9B及び
図10B)と少なくとも1つの微調整構成(例えば、
図9A及び
図10A)との間でカニューレチューブ(124a)に対して回転可能であり、更に、半径方向に位置合わせされた又は「クロック」構成(例えば、
図9B及び
図10B)と少なくとも1つの半径方向にずらされた又は「アンクロック」構成(例えば、
図9A及び
図10A)との間で互いに対して回転可能である、第1の本体部分(302)と、第2の本体部分(304)と、を含む。一例では、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)は、各々が、1種又は2種以上のプラスチックを含むポリマー材料から成型され得る。そのような構造により、深度リミッタ(300)を使い捨てユニットと見なすことができ、カニューレ(120b)から分離され、各処置後に交換されることが意図される。例えば、そのような構造により、上述のトロカール(10)及びシールアセンブリ(130)と同様に、単回使用後に深度リミッタ(300)を処分するのに好適にする価格で、深度リミッタ(300)を容易に製造及び販売することを可能にし得る。他の変形例では、深度リミッタ(300)の1つ又は2つ以上の部分は、深度リミッタを滅菌可能かつ複数の外科手術処置のために再利用可能にするのに好適な外科用鋼又は他の材料から形成され得る。
【0056】
示される例では、深度リミッタ(300)は、略中空でトップハット形状の外形を有する。この目的のために、第1の本体部分(302)は、遠位円筒ハブ(310)と、そこから半径方向外向きに延在する近位略環状フランジ(312)と、を含む。ハブ(310)は、深度リミッタ(300)の中心軸(C)に沿って長手方向に延在する略円筒形のボア(314)を画定し、また、ボア(314)の周辺縁から半径方向内向きに延在し、かつカニューレチューブ(124b)のリブ(128b)に選択的に螺合し、カニューレチューブ(124b)の平面(170b)に選択的に摺動可能に係合するように構成された少なくとも1つの第1の平坦な歯(320)を含む。単一の第1の歯(320)が示されているが、以下に記載されるように、複数の第1の歯(320)が、ボア(314)に沿って軸方向に(例えば、第1の歯(320)がリブ(128b)に同時に螺合することが可能であり得るように、リブ(128b)の間の軸方向間隔に対応する距離だけ軸方向に互いから離間される)及び/又はボアの周りに円周方向に配置され得ることが理解されるであろう。以下でより詳細に説明されるように、示されるフランジ(312)は、迅速調整と微調整構成との間で第1の本体部分(302)を回転させるためなどの、第1の本体部分(302)を効果的かつ人間工学的に操作するために把持される第1の本体部分(302)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供するように構成された、一対の直径方向に反対側にある指グリップ(330)を含む。
【0057】
同様に、第2の本体部分(304)は、深度リミッタ(300)の中心軸(C)に沿って長手方向に延在する略円筒形のボア(342)を画定する略環状カラー(340)を含む。
図10Aに最良に示されるように、カラー(340)は、ボア(342)の周辺縁から半径方向内向きに延在する半環状レッジ(352)から半径方向内向きに延在し、かつカニューレチューブ(124b)のリブ(128b)に選択的に螺合し、カニューレチューブ(124b)の平面(170b)に選択的に摺動可能に係合するように構成された、少なくとも1つの第2の平坦な歯(350)を含む。単一の第2の歯(350)が示されているが、以下に記載されるように、複数の第2の歯(350)が、ボア(342)に沿って軸方向に(例えば、第2の歯(350)がリブ(128b)に同時に螺合することが可能であり得るように、リブ(128b)の間の軸方向間隔に対応する距離だけ軸方向に互いから離間される)及び/又はボアの周りに円周方向に配置され得ることが理解されるであろう。以下でより詳細に説明されるように、示されるカラー(340)は、迅速調整と微調整構成との間で第2の本体部分(304)を回転させるためなどの、第2の本体部分(304)を効果的かつ人間工学的に操作するために把持される第2の本体部分(304)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供するように構成された、一対の直径方向に反対側にある指グリップ(360)を含む。
【0058】
これに関して、
図10A及び
図10Bに最良に示されるように、第1の本体部分(302)のボア(314)は、ボア(314)がカニューレチューブ(124b)の少なくとも内側部分を移動可能に受容するようにサイズ決定され得るように、中心軸(C)を通って直径方向に延在し、かつカニューレチューブ(124b)の内側部分の主外部断面寸法(M1)に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに大きい、内部断面寸法(D1)を有し得る。
【0059】
第1の歯(320)は、第1の歯(320)が、リブ(128b)の山に対して半径方向内向きに、かつリブ(128b)の谷に対して半径方向外向きに延在するようにサイズ決定され得るように、第1の歯(320)の内側の谷と第1の歯(320)の外側の山との間に画定され、かつリブ(128b)の高さ(H1)に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに低い、半径方向高さ(H2)を有し得る。
【0060】
第1の歯(320)はまた、第1の歯(320)がリブ(128b)の間で受容されるようにサイズ決定され得るように、第1の歯(320)の近位端部と第1の歯(320)の遠位端部との間に画定され、かつ隣接したリブの間の軸方向間隔に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに小さい、軸方向厚さ(図示せず)も有し得る。
【0061】
第1の歯(320)は、第1の歯(320)がリブ(128b)の外側で平面(170b)と半径方向に又は角度的に位置合わせされるようにサイズ決定され得るように、その横方向縁の間に画定され、かつ平面(170b)の幅(W1)に実質的に等しいか、又はそれよりも狭い、略円周方向幅(W2)を更に有し得る。このようにして、第1の歯(320)は、リブ(128b)と選択的に嵌合又は螺合して、カニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の回転をカニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の相対的に微細な軸方向調整に変換するように構成され得、また、平面(170b)に選択的に摺動可能に係合して、カニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の相対的に粗い又は迅速な軸方向調整を可能にするように更に構成され得る。
【0062】
図10A及び
図10Bの引き続き参照すると、第2の本体部分(304)のボア(342)は、ボア(342)がハブ(310)を回転可能に受容するようにサイズ決定され得るように、中心軸(C)を通って直径方向に延在し、かつハブ(310)の外部断面寸法(D3)に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに大きい内部断面寸法(D2)を有し得る。一例では、第1の本体部分(302)は、ハブ(310)を通ってボア(314)からその外面まで半径方向に、かつ少なくとも部分的にその周りに円周方向に延在する、スロット(図示せず)を含み得る。以下で更に詳細に説明するように、そのようなスロットは、第2の歯(350)が、ボア(314)内へ半径方向内向きに延在し、かつ第1の歯(320)に対して回転することを可能にするように、第2の本体部分(304)のレッジ(352)及び/又は第2の歯(350)を回転可能に受容するように構成され得る。
【0063】
第2の歯(350)は、第2の歯(350)が、リブ(128b)の山に対して半径方向内向きに、かつリブ(128b)の谷に対して半径方向外向きに延在するようにサイズ決定され得るように、第2の歯(350)の内側の谷と第2の歯(350)の外側の山との間に画定され、かつリブ(128b)の高さ(H1)に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに低い、半径方向高さ(H3)を有し得る。例えば、第2の歯(350)の高さ(H3)は、半径方向に互いに位置合わせされたときに第1の歯(320)及び第2の歯(350)が半径方向に同一の領域を占め得るように、第1の歯(320)の高さ(H2)に実質的に等しくてもよい。
【0064】
第2の歯(350)はまた、第2の歯(350)がリブ(128b)の間で受容されるようにサイズ決定され得るように、第2の歯(350)の近位端部と第2の歯(350)の遠位端部との間に画定され、かつ隣接したリブの間の軸方向間隔に実質的に等しいか、又はそれよりもわずかに小さい、軸方向厚さ(図示せず)も有し得る。例えば、第2の歯(350)の厚さは、第1の歯(320)の厚さに実質的に等しくてもよい。
【0065】
第2の歯(350)は、第2の歯(350)がリブ(128b)の外側で平面(170b)と半径方向に又は角度的に位置合わせされるようにサイズ決定され得るように、その横方向縁の間に画定され、かつ平面(170b)の幅(W1)に実質的に等しいか、又はそれよりも狭い、略円周方向幅(W3)を更に有し得る。例えば、第2の歯(350)の幅(W3)は、半径方向に互いに位置合わせされたときに第1の歯(320)及び第2の歯(350)が円周方向に同一の領域を占め得るように、第1の歯(320)の幅(W2)に実質的に等しくてもよい。このようにして、第1の歯(320)と同様に、第2の歯(350)は、リブ(128b)と選択的に嵌合又は螺合して、カニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の回転をカニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の相対的に微細な軸方向調整に変換するように構成され得、また、平面(170b)に選択的に摺動可能に係合して、カニューレチューブ(124a)に対する深度リミッタ(200)の相対的に粗い又は迅速な軸方向調整を可能にするように更に構成され得る。一例では、歯(320、350)は、歯(320、350)がリブ(128b)を同時に螺合することが可能であり得るように、リブ(128b)の間の軸方向間隔に対応する距離だけ軸方向に互いから離間され得る。
【0066】
より具体的には、
図10Aに示されるように、深度リミッタ(300)が微調整構成にあるときに、第1の歯(320)又は第2の歯(350)のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの歯(320、350)がリブ(128b)と螺合され、かつ平面(170b)から摺動可能に係合解除されるように、リブ(128b)と少なくとも部分的に半径方向に位置合わせされ得、かつ平面(170b)から少なくとも部分的に半径方向にずらされ得る。この目的のために、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)は、歯(320、350)が互いから半径方向にずらされるように、ロック解除構成になり、それによって、少なくとも1つの歯(350)がリブ(128b)と螺合され、一方で、他の歯(320)がリブ(128b)から螺合解除されることを可能にし得る。少なくとも1つの歯(320、350)とリブ(128b)との間の相互作用は、深度リミッタ(300)をカニューレチューブ(124b)に対する螺旋状の移動に制限することなどによって、カニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の軸方向の移動を制限するように、及び/又はカニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の微細な軸方向の移動を可能にするように構成され得る。
【0067】
図10Bに示されるように、深度リミッタ(300)が迅速調整構成にあるときに、両方の歯(320、350)は、平面(170b)と半径方向に位置合わせされ、かつ略平行であり得、また、両方の歯(320、350)が平面(170b)と摺動可能に係合され、リブ(128b)から螺合解除されるように、リブ(128b)から半径方向にずらされ得る。この目的のために、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)は、互いに半径方向に位置合わせされた歯(320、350)を備えたクロック構成にあり、それによって、両方の歯(320、350)を平面(170b)と摺動可能に係合することを可能にし得る。両方の歯(320、350)と平面(170b)との間の相互作用は、深度リミッタ(300)をカニューレチューブ(124b)に対して並進可能にすることを可能にすることなどによって、カニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の迅速な軸方向の移動を可能にするように構成され得る。
【0068】
一例では、歯(320、350)の幅(W2、W3)は、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)が半径方向に互いにずらされた歯(320、350)を有する少なくとも1つのアンクロック構成にあるときに、少なくとも1つの歯(320、350)がリブ(128b)と螺合され、かつ平面(170b)から摺動可能に係合解除されるように構成されるように、互いに対して、かつ平面(170b)の幅(W1)に対してサイズ決定され得る。例えば、歯(320、350)の幅(W2、W3)は、歯(320、350)が半径方向に互いにずらされたときに、歯(320、350)が平面(170b)の幅(W1)よりも広い有効又は累積幅を有する円周方向エンベロープを集合的に占めるようにサイズ決定され得る。このようにして、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をアンクロック構成に置くことは、深度リミッタ(300)を微調整構成に置くことに対応し得る。言い換えれば、深度リミッタ(300)は、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)がアンクロック構成にある間、迅速調整構成に置かれることを阻止され得る。したがって、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をアンクロック構成に置くことにより、深度リミッタ(300)が微調整構成から迅速調整構成に不用意に移行することが阻止され、それによって、歯(320、350)がリブ(128b)の間でその周りを旋回する間に不用意に平面(170b)に沿って軸方向に摺動すること、又はリブ(128b)を「スキップする」ことを防止することなどによって、深度リミッタ(300)のカニューレチューブ(124b)に対する螺旋状の移動中に、深度リミッタ(300)が、カニューレチューブ(124b)に対して突然並進することが阻止され得る。
【0069】
歯(320、350)の幅(W2、W3)はまた、歯(320、350)が互いに半径方向に位置合わせされたクロック構成に第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)があるときに、両方の歯(320、350)が平面(170b)と摺動可能に係合するように構成されるように、互いに対して、かつ平面(170b)の幅(W1)に対してサイズ決定され得る。例えば、上述のように、歯(320、350)の幅(W2、W3)は、互いに等しくてもよい。同様に、歯(320、350)の高さ(H2、H3)は、上述のように、歯(320、350)が半径方向に互いに位置合わせされたときに、歯(320、350)が、互いの上に軸方向に横たわり、それによって、歯(320、350)の幅(W2、W3)の一方又は両方以下であり、したがって、平面(170b)の幅(W1)よりも狭い幅を有する円周方向エンベロープを占め得るように、互いに等しくてもよい。このようにして、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をクロック構成に置くことにより、深度リミッタ(300)が迅速調整構成に置かれることが可能になり得る。
【0070】
一例では、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)は、歯(320、350)が自然に半径方向に互いにずらされるように、アンクロック構成に向かって互いに対して付勢され得る。これに関して、深度リミッタ(300)は、第1の本体部分(302)と第2の本体部分(304)との間に位置決めされ、かつ第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をアンクロック構成に向かって付勢するように構成された、トーションばね(図示せず)などの弾性付勢部材を含み得る。代替的に、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)は、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をアンクロック構成に向かって付勢するように構成されたカム表面(図示せず)を含み得る。いずれの場合でも、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)のそのような付勢は、深度リミッタ(300)を微調整構成に向かって効果的に付勢することによって、深度リミッタ(300)の微調整構成から迅速調整構成への不用意な移行を阻止するのを支援し得る。
【0071】
指グリップ(330、360)は、クロック構成とアンクロック構成との間で本体部分(302、304)を互いに対して、かつ/又は迅速調整と微調整構成との間で本体部分(302、304)を集合的に効果的かつ人間工学的に回転させるために把持される本体部分(302、304)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供することに加え、迅速調整構成にある間は、カニューレチューブ(124b)に対して深度リミッタ(300)を効果的かつ人間工学的に並進させるため、かつ/又は微調整構成にある間は、深度リミッタ(300)をカニューレチューブ(124b)に対して螺旋状に移動させるために把持される本体部分(302、304)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供するように構成され得る。
【0072】
動作中、
図10A及び
図10Bを引き続き参照すると、深度リミッタ(300)は最初は、トロカール(110)の患者の腹腔(1)内への展開の前に、カニューレチューブ(124b)がボア(314)内に受容されるように、トロカール(110)のカニューレチューブ(124b)の周りに位置決めされ得る。トロカール(110)の腹腔(1)内への展開中、本体部分(302、304)は、所望され得るように、迅速調整構成若しくは微調整構成のいずれか、及び/又はクロック構成若しくはアンクロック構成のいずれかにあり得る。
【0073】
場合によっては、臨床医は、展開中にトロカール(110)のカニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の迅速な軸方向の移動を可能にすることを望む場合がある。したがって、臨床医は、本体部分(302、304)をクロック構成及び迅速調整構成に維持することを選択し得る。本体部分(302、304)をクロック構成及び迅速調整構成に維持することによって、両方の歯(320、350)は、リブ(128b)によって拘束されなくなり得る。より具体的には、
図10Bに示されるように、両方の歯(320、350)は、半径方向に平面(170b)と位置合わせされて、トロカール(110)のカニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の並進を可能にし得る。
【0074】
他の場合には、臨床医は、展開中にトロカール(110)のカニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の軸方向の移動を制限することを望む場合がある。例えば、臨床医は、腔(1)内のカニューレ(120b)の所望の挿入深度に対応する、カニューレチューブ(124b)に沿った所定の軸方向場所に深度リミッタ(300)を位置決めすることを望む場合がある。したがって、臨床医は、少なくとも1つの本体部分(302、304)を、迅速調整構成から微調整構成に向かって、カニューレチューブ(124b)に対して回転させることを選択し得る。この目的のために、臨床医は、指グリップ(330、360)を介してなどにより、深度リミッタ(300)を操作して、少なくとも1つの本体部分(302、304)を微調整構成に向かって効果的かつ人間工学的に回転させ得る。一例では、そのような操作は、本体部分(302、304)をアンクロック構成まで互いに対して回転させることを含み得る。少なくとも1つの本体部分(302、304)を微調整構成に向かって回転させることによって、少なくとも1つの歯(320、350)は、リブ(128b)によって螺旋状の移動に制限され得る。より具体的には、
図10Aに示されるように、少なくとも1つの歯(320、350)は、リブ(128b)と少なくとも部分的に半径方向に位置合わせされて、実質的に、カニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の螺旋状の移動だけを可能にし得る。深度リミッタ(300)が所定の軸方向の場所に達すると、臨床医は、まだ微調整構成にある間に、深度リミッタ(300)を解放し、それによって、少なくとも1つの歯(320、350)とリブ(128b)との間の螺合が、深度リミッタ(300)を所定の軸方向の場所に維持することを可能にし得る。一例では、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をアンクロック構成に向かって付勢することは、臨床医によって解放されたときに、深度リミッタ(300)を微調整構成に維持するのを支援し得る。
【0075】
深度リミッタ(300)が、軸方向に制限された状態又は制限されていない状態のいずれかにおいてカニューレチューブ(124b)の周りに位置決めされることによって、臨床医は、
図3A及び
図3Bに関して上述したように、カニューレ(120b)を腔(1)において所望の挿入深度に位置決めするために、トロカール(110)を患者の腹腔(1)に展開し得る。腔(1)内のカニューレ(120b)の所望の挿入深度に対応するカニューレチューブ(124b)に沿った所定の軸方向場所で、深度リミッタ(300)がカニューレチューブ(124b)に固定される場合、深度リミッタ(300)の遠位ハブ(310)と腹壁(2)との間の接触は、カニューレ(120b)が腔(1)において所望の挿入深度に達したことの視覚的指示及び/又は触覚的指示を臨床医に提供し得る。このようにして、深度リミッタ(300)は、閉塞具(116)の遠位先端(154)及び/又はカニューレアセンブリ(112)のカニューレ先端(図示せず)が、展開中に腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。他の場合では、カニューレ(120b)が腔(1)において所望の挿入深度に位置決めされた後、深度リミッタ(300)が、カニューレチューブ(124b)に固定され得る。
【0076】
いくつかの場合では、深度リミッタ(300)がすでにカニューレチューブ(124b)に固定された後、カニューレチューブ(124b)に沿った深度リミッタ(300)の軸方向の場所を迅速に調整することが望ましい場合がある。したがって、臨床医は、深度リミッタ(300)を選択的に操作して、本体部分(302、304)をアンクロック構成からクロック構成まで互いに対して、及び微調整構成から迅速調整構成までカニューレチューブ(124b)に対して回転させ得、その後、本体部分(302、304)を新しい軸方向の場所までカニューレチューブ(124b)に対して並進させ得る。深度リミッタ(300)が新しい軸方向の場所に達すると、臨床医は、深度リミッタ(300)を選択的に操作して、本体部分(302、304)を迅速調整構成から微調整構成までカニューレチューブ(124b)に対して回転させて、本体部分(302、304)をクロック構成からアンクロック構成まで互いに対して回転させることを含み得、その後、微調整構成にある間に深度リミッタ(300)を解放し、それによって、少なくとも1つの歯(320、350)とリブ(128b)との間の螺合が、深度リミッタ(300)を新しい軸方向の場所に維持することを可能にし得る。一例では、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をアンクロック構成に向かって付勢することは、臨床医によって解放されたときに、深度リミッタ(300)を迅速調整構成から微調整構成まで自動的に移行させ得る。
【0077】
場合によっては、深度リミッタ(300)がすでにカニューレチューブ(124b)に固定された後、カニューレチューブ(124b)に沿った深度リミッタ(300)の軸方向の場所を微調整することが望ましい場合がある。したがって、アンクロック構成にある第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)を含み得る、微調整構成にある深度リミッタ(300)によって、臨床医は、本体部分(302、304)をカニューレチューブ(124b)に対して螺旋状に移動させて、カニューレチューブ(124b)に対する深度リミッタ(300)の軸方向の場所を微調整し得る。そのような移動中、本体部分(302、304)は、少なくとも平面(170b)の周りの一方又は両方の歯(320、350)の軌道としてアンクロック構成にあって、深度リミッタ(300)が、短時間迅速調整構成に置かれることを阻止し、したがって、歯(320、350)が、平面(170b)に沿って不用意に軸方向に摺動すること、又はリブ(128b)を「スキップすること」を防止し、それによって、深度リミッタ(300)が、カニューレチューブ(124b)に対して突然並進することを防止し得る。深度リミッタ(300)が微調整された軸方向の場所に達すると、臨床医は、アンクロック構成にある第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)を含み得る、微調整構成にある間に、深度リミッタ(300)を解放し、それによって、少なくとも1つの歯(320、350)とリブ(128b)との間の螺合が、深度リミッタ(300)を微調整された軸方向の場所に維持することを可能にし得る。一例では、第1の本体部分(302)及び第2の本体部分(304)をアンクロック構成に向かって付勢することは、臨床医によって解放されるときに、深度リミッタ(300)を微調整構成に維持するのを支援し得る。
【0078】
したがって、臨床医は、深度リミッタ(300)の軸方向の場所をカニューレチューブ(124b)に沿って調整し得、その後、微調整構成及び/又はアンクロック構成にある間に、単に深度リミッタ(300)を解放することによって、深度リミッタ(300)をカニューレチューブ(124b)に再固定し得る。
【0079】
深度リミッタ(300)は、深度リミッタ(300)の遠位ハブ(310)が腹壁(2)に載置されている腹腔鏡外科手術処置の実行中に、カニューレチューブ(124b)に結合されたままであり得る。このようにして、深度リミッタ(300)は、腹腔鏡外科手術処置の実行中に、カニューレアセンブリ(112)のカニューレ先端(図示せず)が、腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。
【0080】
腹腔鏡外科手術処置の完了時に、深度リミッタ(300)は、カニューレアセンブリ(112)とともに腹壁(2)から近位に引き抜かれ得る。深度リミッタ(300)は、上述のように本体部分(302、304)をクロック構成に向かって互いに対して、及び迅速調整構成に向かってカニューレチューブ(124b)に対して回転させ、その後、深度リミッタ(300)をカニューレチューブ(124b)に対して遠位に並進させることによって、カニューレチューブ(124b)から迅速に除去され得る。一例では、深度リミッタ(300)は、単回の腹腔鏡外科手術処置の完了後に単に処分され得る。
【0081】
C.2つの安定ねじ切り歯を備えた例示的な深度リミッタ
場合によっては、深度リミッタを迅速調整構成に移行させるためのカニューレチューブに対する回転の改善された安定性及び低減された回転度を有する、カニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。
【0082】
図11は、カニューレ先端(126c)で終端し、螺旋リブ(128c)の形態の複数の組織把持特徴部を含む細長い円筒チューブ(124c)を有する、トロカール(110)の別の代替のカニューレ(120c)を示す。カニューレチューブ(124c)は、カニューレチューブ(124c)が、直径方向に対向する平面(170c)の形態の一対のトラックを含むことを除いて、カニューレチューブ(124a)と略同様である。
【0083】
図11は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に進入し得る深度を選択的に制限するための、トロカール(110)のカニューレチューブ(124c)に選択的に結合された第3の例示的な深度リミッタ(400)を更に示す。深度リミッタ(400)は、深度リミッタ(200)と実質的に同様であり、様々な同様の特徴部を含む。したがって、異なる特徴部だけを以下に記載する。
【0084】
本変形例の深度リミッタ(400)は、遠位円筒ハブ(410)と、そこから半径方向外向きに延在する近位の略環状フランジ(212)と、を含む、本体部分(402)を含む。ハブ(410)は、略円筒形のボア(414)を画定し、また、ハブ(410)が、ボア(414)の周辺縁から半径方向内向きに延在し、かつカニューレチューブ(124c)のリブ(128c)に選択的に螺合し、カニューレチューブ(124c)の平面(170c)に選択的に摺動可能に係合するように構成された一対の直径方向に対向する平坦な歯(420)を含むことを除いて、ハブ(210)と略同様である。
【0085】
平面(170c)及び歯(420)の対を提供することによって、カニューレチューブ(124c)及び深度リミッタ(400)は、協働して、深度リミッタ(400)のカニューレチューブ(124c)に対する改善された安定性を提供し、かつ深度リミッタ(400)を微調整構成から示される迅速調整構成へと移行させるための、深度リミッタ(400)とカニューレチューブ(124c)との間の低減された相対回転度を提供し得る。
【0086】
D.3つの安定ねじ切り歯を備えた例示的な深度リミッタ
場合によっては、深度リミッタを迅速調整構成に移行させるためのカニューレチューブに対する回転の更に改善された安定性及び更に低減された回転度を有する、カニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。
【0087】
図12は、カニューレ先端(126d)で終端し、螺旋リブ(128d)の形態の複数の組織把持特徴部を含む細長い円筒チューブ(124d)を有する、トロカール(110)の別の代替のカニューレ(120d)を示す。カニューレチューブ(124d)は、カニューレチューブ(124d)が、円周方向に等間隔に配置される3つの平面(170d)の形態のトラックを含むことを除いて、カニューレチューブ(124a)と略同様である。
【0088】
図12は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に進入し得る深度を選択的に制限するための、トロカール(110)のカニューレチューブ(124d)に選択的に結合された第4の例示的な深度リミッタ(500)を更に示す。深度リミッタ(500)は、深度リミッタ(200)と実質的に同様であり、様々な同様の特徴部を含む。したがって、異なる特徴部だけを以下に記載する。
【0089】
本変形例の深度リミッタ(500)は、遠位円筒ハブ(510)と、そこから半径方向外向きに延在する近位の略環状フランジ(212)と、を含む、本体部分(502)を含む。ハブ(510)は、略円筒形のボア(514)を画定し、また、ハブ(510)が、円周方向に等間隔に配置され、ボア(514)の周辺縁から半径方向に延在し、かつカニューレチューブ(124d)のリブ(128d)に選択的に螺合し、カニューレチューブ(124d)の平面(170d)に選択的に摺動可能に係合するように構成された一対の直径方向に対向する3つの平坦な歯(520)を含むことを除いて、ハブ(210)と略同様である。
【0090】
3組の平面(170d)及び歯(520)を提供することによって、カニューレチューブ(124d)及び深度リミッタ(500)は、協働して、深度リミッタ(500)のカニューレチューブ(124d)に対する更に改善された安定性を提供し、かつ深度リミッタ(500)を微調整構成から示される迅速調整構成へと移行させるための、深度リミッタ(500)とカニューレチューブ(124d)との間の更に低減された相対回転度を提供し得る。
【0091】
歯(220、320、350、420、520)が、カニューレチューブ(124a、124b、124c、124d)のリブ(128a、128b、128c、128d)に選択的に螺合し、カニューレチューブ(124a、124b、124c、124d)の平面(170a、170b、170c、170d)に選択的に摺動可能に係合することを可能にするために、任意の好適な数の平面(170a、170b、170c、170d)及び歯(220、320、350、420、520)が提供され得ることが理解されるであろう。例えば、平面(170a、170b、170c、170d)及び歯(220、320、350、420、520)は、3:3、3:1、2:2、2:1、又は1:1の比率で、又は任意の他の好適な比率で提供され得る。
【0092】
E.リビングヒンジを備えた例示的なねじ山付き深度リミッタ
場合によっては、上述の深度リミッタ(200、300、400、500)の迅速調整構成とは異なる迅速調整構成を備えたカニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。
【0093】
図13は、その近位端部のベル形状のハブ(122e)と、ハブ(122e)から遠位に延在してカニューレ先端(126e)で終端する細長い円筒チューブ(124e)と、を有する、トロカール(110)のための代替のカニューレ(120e)を示す。カニューレチューブ(124e)の外面は、カニューレチューブ(124e)の内側部分の周りに延在する螺旋リブ(128e)の形態の少なくとも1つの組織把持特徴部を含む。リブ(128e)は、カニューレ(120e)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(120e)が患者の腹壁(2)に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(120e)を軸方向及び半径方向に安定化するのを支援するように構成されている。カニューレチューブ(124e)の外面はまた、カニューレチューブ(124e)の近位部分の周りに延在し、リブ(128e)と同様に構成されている補助螺旋リブ(129e)を含み、その目的は、以下に記載される。本実施例のカニューレ(120e)は、上述のカニューレ(120)及び閉塞具(116)と同様に、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構成され得、その結果、カニューレ(120e)は、複数の外科手術処置のために滅菌及び再使用され得る。
【0094】
図13は、トロカール(110)のカニューレチューブ(124e)に選択的に結合された第5の例示的な深度リミッタ(600)を更に示す。以下でより詳細に説明されるように、深度リミッタ(600)は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に移動し得る深度を選択的に制限し得る。
【0095】
図14~
図15Bに最もよく示されるように、深度リミッタ(600)は、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)が少なくとも1つの微調整構成(例えば、
図15A)と少なくとも1つの迅速調整構成(例えば、
図15B)との間で互いに対して枢動可能であるように、第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)によって、互いに枢動可能に結合された第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を含む。示される例では、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)並びに第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)は、単一部品としてともに一体的に形成されている。例えば、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)並びに第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)は、1種又は2種以上のプラスチックを含むポリマー材料などから、単一の構成要素としてともに成型され得る。そのような構造により、深度リミッタ(600)を使い捨てユニットと見なすことができ、カニューレ(120e)から分離され、各処置後に交換されることが意図される。例えば、そのような構造により、上述のトロカール(10)及びシールアセンブリ(130)と同様に、単回使用後に深度リミッタ(600)を処分するのに好適にする価格で、深度リミッタ(600)を容易に製造及び販売することを可能にし得る。他の変形例では、深度リミッタ(600)の1つ又は2つ以上の部分は、深度リミッタを滅菌可能かつ複数の外科手術処置のために再利用可能にするのに好適な外科用鋼又は他の材料から形成され得る。いずれにしても、示される第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)は、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)と同じ材料の薄肉部分を含み、その結果、第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)が「リビング」ヒンジと見なされ得るように、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)がその周りに屈曲することが可能になる。
【0096】
示される例では、深度リミッタ(600)は、略中空の円錐台形の外形を有する。この目的のために、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)は、それぞれ、第1の略C字形状の近位壁(610)及び第2の略C字形状の近位壁(612)、第1の略C字形状の遠位壁(614)及び第2の略C字形状の遠位壁(616)、並びに第1の略C字形状の内壁(620)及び第2の略C字形状の内壁(622)を含む。示されるように、第1の近位壁(610)及び第2の近位壁(612)は、半径方向外向きに相対的に位置決めされ、第1の遠位壁(614)及び第2の遠位壁(616)は、半径方向内向きに相対的に位置決めされ、第1の内壁(620)及び第2の内壁(622)は、それぞれ、第1の近位壁(610)及び第2の近位壁(612)から第1の遠位壁(614)及び第2の遠位壁(616)まで遠位方向に半径方向内向きに先細である。第1のヒンジ(206)及び第2のヒンジ(208)は、第1の内側壁(620)と第2の内側壁(622)との間のそれぞれの境界面において第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)の外側端の間に位置決めされて、深度リミッタ(600)の中心軸(C)に対して垂直なヒンジ軸を集合的に画定し、その結果、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)が迅速調整構成にあるときに、第1の近位壁(610)及び第2の近位壁(612)は、第1のヒンジ(206)及び第2のヒンジ(208)を中心に互いに向かって枢動するように構成され、第1の遠位壁(614)及び第2の遠位壁(616)は、第1のヒンジ(206)及び第2のヒンジ(208)を中心として互いに離れる方向に枢動するように構成されている。このようにして、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)は、変形可能な略円錐台形のボア(630)を集合的に画定し、ボア(630)は、深度リミッタ(600)の中心軸(C)に沿って長手方向に延在し、また、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)が微調整構成にあるときに、相対的に締め付ける構成を有する略円筒形の遠位ボア部分(632)を含み、また、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)が迅速調整構成にあるときに相対的に締め付けない構成を有する。
【0097】
図15A及び
図15Bに最良に示されるように、第1の遠位壁(614)及び第2の遠位壁(616)は、遠位ボア部分(632)の周辺縁から半径方向内向きに延在し、かつカニューレチューブ(124e)のリブ(128e)に選択的に螺合するように構成された、第1の半螺旋クリート(640)及び第2の半螺旋クリート(642)をそれぞれ含む。これに関して、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)は、少なくとも第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)が微調整構成にあるときに、クリート(640、642)がリブ(128e)に同時に螺合することを可能にし得るように、リブ(128e)によって画定されたものと同様の螺旋経路を集合的に画定し得る。示される第1の近位壁(610)及び第2の近位壁(612)は、それぞれが第1の指グリップ(650)及び第2の指グリップ(652)とも見なされ得、第1のヒンジ(606)と第2のヒンジ(608)との間の略中央に、かつ互いに対して近位に位置付けられた、直径方向に反対側にある第1の縫合糸結びポスト及び第2の縫合糸結びポストを含む。以下でより詳細に説明されるように、第1の指グリップ(650)及び第2の指グリップ(652)は、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)を中心として迅速調整構成に向かって互いに対して効果的かつ人間工学的に枢動させるために互いに向かって握り締められる、又は挟持される第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供するように構成されている。
【0098】
より具体的には、
図15Aに示されるように、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)が微調整構成にあるときに、第1の遠位壁(614)及び第2の遠位壁(616)は、第1の有効断面寸法を集合的に形成し得、これは、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)がリブ(128e)と螺合することを可能にするように、中心軸(C)を通って直径方向に延在し、また、リブ(128e)と中心軸(C)から実質的に同じ半径方向距離に、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)を位置決めするようにサイズ決定される。クリート(640、642)とリブ(128e)との間の相互作用は、深度リミッタ(600)をカニューレチューブ(124e)に対して螺旋状の移動に制限することなどによって、深度リミッタ(600)のカニューレチューブ(124e)に対する軸方向の移動を制限するように、及び/又は深度リミッタ(600)のカニューレチューブ(124e)に対する微細な軸方向の移動を可能にするように構成され得る。
【0099】
図15Bに示されるように、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)が迅速調整構成にあるときに、第1の遠位壁(614)及び第2の遠位壁(616)は、第2の有効断面寸法を集合的に形成し得、第2の有効断面寸法は、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)がリブ(128e)と螺合することを阻止するように、中心軸(C)を通って直径方向に延在し、また、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)をリブ(128e)に対して半径方向外向きに位置決めするようにサイズ決定される。リブ(128e)からのクリート(640、642)の係合解除は、深度リミッタ(600)がカニューレチューブ(124e)に対して並進可能であることを可能にすることなどによって、深度リミッタ(600)のカニューレチューブ(124e)に対する迅速な軸方向の移動を可能し得る。
【0100】
指グリップ(650、652)は、迅速調整構成にある間、及び/又は深度リミッタ(600)がカニューレチューブ(124e)に対して螺旋状に移動している間、カニューレチューブ(124e)に対して深度リミッタ(600)を効果的かつ人間工学的に並進させるために把持される第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供するように構成され得、一方で、微調整構成にある間は、加えて、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)を中心として迅速調整構成に向かって互いに対して効果的かつ人間工学的に枢動させるためにともに握り締められる、又は挟持される第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)上の場所の視覚的指示及び/又は触覚的指示をユーザに提供する。
【0101】
いくつかの例では、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)は、微調整構成に向かって付勢され得る。例えば、第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)に組み込まれたトーションばね部材(図示せず)、又は第1の近位壁(610)と第2の近位壁(612)との間に直接位置決めされた外部ばね部材(図示せず)などを介して、第1の遠位壁(614)及び第2の遠位壁(616)が、互いに向かって弾性的に付勢され得、第1の近位壁(610)及び第2の近位壁(612)が、互いに離れるように弾性的に付勢され得る。他の例では、第1のヒンジ(606)及び第2のヒンジ(608)は、各々が、第1の近位壁(610)及び第2の近位壁(612)の横方向端部の外側端においてそれらに対向する弾性的な付勢を付与するのに好適な形状及び厚さを有するリビングヒンジとして構成され得る。このようにして、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)は、第1の指グリップ(650)及び第2の指グリップ(652)に外部の力が印加されていないことに応答して、迅速調整構成から微調整構成に向かって自動的に移動するように構成され得る。
【0102】
一例では、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)は、使用前にハブ(122e)の近くのカニューレチューブ(124e)に沿った近位軸方向の場所に深度リミッタ(600)を格納するなどのために、カニューレチューブ(124e)の補助リブ(129e)に選択的に螺合するように構成されている。
【0103】
動作中、
図15A及び
図15Bを引き続き参照すると、深度リミッタ(600)は、トロカール(110)の患者の腹腔(1)内への展開の前に、カニューレチューブ(124e)がボア(630)内で受容されるように、トロカール(110)のカニューレチューブ(124e)の周りに最初に位置決めされ得る。トロカール(110)の腹腔(1)内への展開中、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)は、所望され得るように、迅速調整構成又は微調整構成のいずれかにあり得る。
【0104】
場合によっては、臨床医は、展開中のトロカール(110)のカニューレチューブ(124e)に対する深度リミッタ(600)の迅速な軸方向の移動を可能にすることを望む場合がある。したがって、臨床医は、微調整構成から迅速調整構成に向かって第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を移動させることを選択し得る。この目的のために、臨床医は、
図15Bにおいて第1の矢印(A1)及び第2の矢印(A2)によって示されるように、臨床医の親指及び指を介して、第1の指グリップ(650)及び第2の指グリップ(652)を互いに向かって握り締めて、又は挟持して、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を迅速調整構成に向かって効果的かつ人間工学的に移動させ得る。第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を迅速調整構成に維持することによって、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)がリブ(128e)によって拘束されなくなり得る。より具体的には、
図15Bに示されるように、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)は、リブ(128e)に対して半径方向外向きに位置決めされて、トロカール(110)のカニューレチューブ(124e)に対する深度リミッタ(600)の並進を可能にし得る。
【0105】
他の場合には、臨床医は、展開中のトロカール(110)のカニューレチューブ(124e)に対する深度リミッタ(600)の軸方向の移動を制限することを望む場合がある。例えば、臨床医は、腔(1)内のカニューレ(120e)の所望の挿入深度に対応する、カニューレチューブ(124e)に沿った所定の軸方向場所に深度リミッタ(600)を位置決めすることを望む場合がある。したがって、臨床医は、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を、迅速調整構成から微調整構成に向かって移動させることを選択し得る。一例では、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を微調整構成に向かって付勢することは、そのような移動を支援し得る。第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を微調整構成に向かって移動させることによって、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)は、リブ(128e)によって螺旋状の移動に制限され得る。より具体的には、
図15Aに示されるように、第1のクリート(640)及び第2のクリート(642)は、リブ(128e)と中心軸(C)から実質的に同じ半径方向距離に位置決めされて、実質的にカニューレチューブ(124e)に対する深度リミッタ(600)の螺旋状の移動だけを可能にし得る。深度リミッタ(600)が所定の軸方向の場所に達すると、臨床医は、まだ微調整構成にある間に、深度リミッタ(600)を解放し、それによって、クリート(640、642)とリブ(128e)との間の螺合が、深度リミッタ(600)を所定の軸方向の場所に維持することを可能にし得る。
【0106】
深度リミッタ(600)が、軸方向に制限された状態又は制限されていない状態のいずれかにおいてカニューレチューブ(124e)の周りに位置決めされることによって、臨床医は、
図3A及び
図3Bに関して上述したように、カニューレ(120e)を腔(1)において所望の挿入深度に位置決めするために、トロカール(110)を患者の腹腔(1)に展開し得る。腔(1)内のカニューレ(120e)の所望の挿入深度に対応するカニューレチューブ(124e)に沿った所定の軸方向の場所で、深度リミッタ(600)がカニューレチューブ(124e)に固定される場合、深度リミッタ(600)の遠位壁(614、616)と腹壁(2)との間の接触は、カニューレ(120e)が腔(1)において所望の挿入深度に達したことの視覚的指示及び/又は触覚的指示を臨床医に提供し得る。このようにして、深度リミッタ(600)は、閉塞具(116)の遠位先端(154)及び/又はカニューレアセンブリ(112)のカニューレ先端(126e)が、展開中に腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。他の場合では、カニューレ(120e)が腔(1)において所望の挿入深度に位置決めされた後、深度リミッタ(600)が、カニューレチューブ(124e)に固定され得る。
【0107】
場合によっては、深度リミッタ(600)がすでにカニューレチューブ(124e)に固定された後、カニューレチューブ(124e)に沿った深度リミッタ(600)の軸方向の場所を迅速に調整することが望ましい場合がある。したがって、臨床医は、深度リミッタ(600)を選択的に操作して、本体部分(602、604)を微調整構成から迅速調整構成まで互いに対して枢動させ得、その後、本体部分(602、604)を新しい軸方向の場所までカニューレチューブ(124e)に対して並進させ得る。深度リミッタ(600)が新しい軸方向の場所に達すると、臨床医は、深度リミッタ(600)を選択的に操作して、本体部分(602、604)を迅速調整構成から微調整構成まで互いに対して回転させて、その後、微調整構成にある間に深度リミッタ(300)を解放し、それによって、クリート(640、642)とリブ(128e)との間の螺合が、深度リミッタ(600)を新しい軸方向の場所に維持することを可能にする。一例では、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を微調整構成に向かって付勢することは、臨床医によって解放されたときに、深度リミッタ(600)を迅速調整構成から微調整構成まで自動的に移行させ得る。
【0108】
場合によっては、深度リミッタ(600)がカニューレチューブ(124e)にすでに固定された後、カニューレチューブ(124e)に沿った深度リミッタ(600)の軸方向の場所を微調整することが望ましい場合がある。したがって、微調整構成にある深度リミッタ(600)によって、臨床医は、本体部分(602、604)をカニューレチューブ(124e)に対して螺旋状に移動させて、カニューレチューブ(124e)に対する深度リミッタ(600)の軸方向の場所を微調整し得る。深度リミッタ(600)が微調整された軸方向の場所に達すると、臨床医は、微調整構成にある間に、深度リミッタ(600)を解放し、それによって、クリート(640、642)とリブ(128e)との間の螺合が、深度リミッタ(600)を微調整された軸方向の場所に維持することを可能にし得る。一例では、第1の本体部分(602)及び第2の本体部分(604)を微調整構成に向かって付勢することは、臨床医によって解放されたときに、深度リミッタ(600)を微調整構成に維持するのを支援し得る。
【0109】
したがって、臨床医は、深度リミッタ(600)の軸方向の場所をカニューレチューブ(124e)に沿って調整し得、その後、微調整構成にある間に、単に深度リミッタ(600)を解放することによって、深度リミッタ(600)をカニューレチューブ(124e)に再固定し得る。
【0110】
深度リミッタ(600)は、深度リミッタ(600)の遠位壁(614、616)が腹壁(2)に載置されている腹腔鏡外科手術処置の実行中に、カニューレチューブ(124e)に結合されたままであり得る。このようにして、深度リミッタ(600)は、腹腔鏡外科手術処置の実行中に、カニューレアセンブリ(112)のカニューレ先端(126e)が、腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。
【0111】
腹腔鏡外科手術処置の完了時に、深度リミッタ(600)は、カニューレアセンブリ(112)とともに腹壁(2)から近位に引き抜かれ得る。深度リミッタ(600)は、上述のように本体部分(602、604)を迅速調整構成に向かって互いに対して回転させ、その後、深度リミッタ(600)をカニューレチューブ(124e)に対して遠位に並進させることによって、カニューレチューブ(124e)から迅速に除去され得る。一例では、深度リミッタ(600)は、単回の腹腔鏡外科手術処置の完了後に単に処分され得る。
【0112】
F.半鋸刃安定ねじ山を備えた例示的な深度リミッタ及びカニューレチューブ
場合によっては、微調整構成にあるときに深度リミッタの軸方向の場所を調整するためのカニューレチューブに対する低減された回転度を有し、かつカニューレチューブによって深度リミッタに印加される挿入力よりも大きい保持力を有する、カニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。
【0113】
図16及び
図17は、カニューレ先端(126f)で終端し、螺旋リブ(128f)の形態の複数の組織把持特徴部を含む、トロカール(110)の別の代替のカニューレチューブ(124f)を示す。例えば、カニューレチューブ(124f)は、カニューレチューブ(124f)が、その上に提供された深度識別表示(172f)を備え、腔(1)に対するカニューレチューブ(124f)の挿入深度の視覚的指示を提供するように構成された一対の直径方向に対向するチャネル(170f)(1つを示す)の形態のトラックを含むことを除いて、カニューレチューブ(124a)と略同様である。チャネル(170f)は、上述の平面(170a、170b、170c、170d)を実質的に同様に機能する。更に、リブ(128f)は、交互リブ(128f)が互いから180度オフセットされ、互いに1/2ピッチずれているような二条構成を有する。
図17に最良に示されるように、各リブ(128f)は、半鋸刃構成を有する。
【0114】
図16及び
図17は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に進入し得る深度を選択的に制限するための、トロカール(110)のカニューレチューブ(124f)に選択的に結合された第6の例示的な深度リミッタ(700)を更に示す。深度リミッタ(700)は、深度リミッタ(200)と実質的に同様であり、様々な同様の特徴部を含む。したがって、異なる特徴部だけを以下に記載する。
【0115】
本変形例の深度リミッタ(700)は、略円筒形のボア(714)を画定し、また、ボア(714)の周辺縁から半径方向内向きに延在する複数の歯(720)を含み、カニューレチューブ(124f)の交流リブ(128f)に選択的に螺合し、かつカニューレチューブ(124f)のチャネル(170f)を選択的に摺動可能に係合するように構成された、円筒ハブ(710)を含む。
【0116】
一対のチャネル(170f)及び複数の歯(720)を提供することによって、カニューレチューブ(124f)及び深度リミッタ(700)は、協働して、カニューレチューブ(124f)に対する深度リミッタ(700)の改善された安定性を提供し、かつ深度リミッタ(700)を例示される微調整構成から迅速調整構成へと移行させるための深度リミッタ(700)とカニューレチューブ(124f)との間の低減された相対回転度を提供し得る。交互リブ(128f)に螺合するように構成された二条構成及び歯(720)を有するリブ(128f)を提供することによって、カニューレチューブ(124f)及び深度リミッタ(700)は、協働して、微調整構成にあるときに深度リミッタ(700)の軸方向の場所を調整するための深度リミッタ(700)とカニューレチューブ(124f)との間の低減された相対回転度(例えば、増加した1回転当たりの軸方向の調整)を提供し得る。半鋸刃構成を有するリブ(128f)を提供することによって、カニューレチューブ(124f)は、深度リミッタ(700)に対する挿入力よりも大きい保持力を印加し得る。
【0117】
G.複数のオフセットされた安定ねじ山を備えた例示的な深度リミッタ及びカニューレチューブ
場合によっては、深度リミッタの軸方向の場所を調整するためのカニューレチューブに対する更に低減された回転度を有し、かつカニューレチューブからの深度リミッタの不用意な係合解除を防止するための保持機構を有する、カニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。
【0118】
図18は、カニューレ先端(126g)で終端するトロカール(110)のための別の代替のカニューレチューブ(124g)を示す。カニューレチューブ(124g)は、カニューレチューブ(124g)が、平面を省略していること、及び互いに90度オフセットされ、互いから1/4ピッチずれた4つの螺旋リブ(128g)の形態の複数の組織把持特徴部を含むことを除いて、カニューレチューブ(124a)と略同様である。更に、カニューレチューブ(124g)は、リブ(128g)の主外部断面寸法から遠位方向に半径方向内向きに先細であり、かつそれぞれのノッチ(133g)によって互いから離間された、4つの挿入ランプ(131g)を含む。各ノッチ(133g)は、対応するリブ(128g)の遠位の条と略半径方向に位置合わせされる。
【0119】
図18は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に進入し得る深度を選択的に制限するための、トロカール(110)のカニューレチューブ(124g)に選択的に結合された第7の例示的な深度リミッタ(800)を更に示す。深度リミッタ(800)は、深度リミッタ(200)と実質的に同様であり、様々な同様の特徴部を含む。したがって、異なる特徴部だけを以下に記載する。
【0120】
図17に最良に示されるように、本変形例の深度リミッタ(800)は、略円筒形のボア(814)を画定し、また、ボア(814)の周辺縁から半径方向内向きに延在する4組の(2組を示す)4つの半径方向に位置合わせされた歯(820)を含み、カニューレチューブ(124g)のそれぞれのリブ(128g)に選択的に螺合するように構成された、円筒ハブ(810)を含む。歯(820)の組は、互いから90度オフセットされ、リブ(128g)のピッチの1/4に等しいピッチを有する。歯(820)は、各々が、それぞれのノッチ(133g)によって摺動可能に受容されるようにサイズ決定される。
【0121】
4つのリブ(128g)及びそれぞれのリブ(128g)に螺合するように構成された4組の歯(820)を提供することによって、カニューレチューブ(124g)及び深度リミッタ(800)は、協働して、深度リミッタ(800)の軸方向の場所を調整するための深度リミッタ(800)とカニューレチューブ(124g)との間の更に低減された相対回転度を(例えば、増加した1回転当たりの軸方向の調整)提供し得る。また、ランプ(131g)及びノッチ(133g)を提供することによって、カニューレチューブ(124g)は、深度リミッタ(800)と協働して、歯(820)をノッチ(133g)に通過させることによって、深度リミッタ(800)とカニューレチューブ(124g)との組立及び意図的な分解を可能にし、一方で、カニューレチューブ(124g)からの深度リミッタ(800)の不用意な係合解除を防止し得る。
【0122】
H.安定ねじ切りタブを備えた例示的な深度リミッタ
場合によっては、深度リミッタの軸方向の場所を調整するためのカニューレチューブに対する低減された回転度を有し、かつ改善された操作可能性を有する、カニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。
【0123】
図20は、カニューレ先端(126h)で終端するトロカール(110)の別の代替のカニューレチューブ(124h)を示す。カニューレチューブ(124h)は、カニューレチューブ(124h)が、平面を省略していること、及び互いから180度オフセットされ、互いに1/2ピッチずれた2つの螺旋リブ(128h)の形態の複数の組織把持特徴部を含むことを除いて、カニューレチューブ(124a)と略同様である。一例では、リブ(128h)は、カニューレチューブ(124h)上にハイドロフォームされ得る。リブ(128h)は、機械加工又は成型などの任意の他の好適な様式でカニューレチューブ(124h)に形成され得ることが理解されるであろう。同様に、カニューレチューブ(124h)は、ハイドロフォームされ得るか、又は最初に平板を引き抜き、その後、平板自体を円筒構成に溶接することなどによる、任意の他の好適な様式で製造され得る。
【0124】
図20は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に進入し得る深度を選択的に制限するための、トロカール(110)のカニューレチューブ(124h)に選択的に結合された第8の例示的な深度リミッタ(900)を更に示す。深度リミッタ(900)は、深度リミッタ(200)と実質的に同様であり、様々な同様の特徴部を含む。したがって、異なる特徴部だけを以下に記載する。
【0125】
図21に最良に示されるように、本変形例の深度リミッタ(900)は、略円筒形のボア(914)を画定し、また、ボア(914)の周辺縁から半径方向内向きに延在する一対の直径方向に対向するタブ(920)を含み、カニューレチューブ(124h)のリブ(128h)に選択的に螺合するように構成された、X字形状のハブ(910)を含む。
【0126】
一対のリブ(128h)及びタブ(920)を提供することによって、カニューレチューブ(124h)及び深度リミッタ(900)は、協働して、カニューレチューブ(124h)に対する深度リミッタ(900)の改善された安定性を提供し、かつ深度リミッタ(900)の軸方向の場所を調整するための深度リミッタ(900)とカニューレチューブ(124h)との間の低減された相対回転度(例えば、増加した1回転当たりの軸方向の調整)を提供し得る。また、X字形状のハブ(910)を提供することによって、深度リミッタ(900)は、改善された操作可能性を提供し得る。
【0127】
I.安定リブ及び深度リミッタ-把持ねじ山を備えた例示的な深度リミッタ及びカニューレチューブ
場合によっては、深度リミッタの軸方向の場所を調整するためのカニューレチューブに対する更に低減された回転度を有するカニューレ深度リミッタを提供し、そのような深度リミッタが、カニューレチューブの安定リブの代わりにカニューレチューブ上の専用のねじ山に係合するように構成されていることが望ましい場合がある。
【0128】
図22は、カニューレ先端(126i)で終端するトロカール(110)の別の代替のカニューレチューブ(124i)を示す。カニューレチューブ(124i)は、カニューレチューブ(124i)が、平面を省略していること、及びカニューレチューブ(124i)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(128i)の形態であり、上述のリブ(26、128)と同様である複数の組織把持用特徴部を含むことを除いて、カニューレチューブ(124a)と略同様である。更に、カニューレチューブ(124i)は、ねじ山(135i)がリブ(128i)に部分的に重なるように、カニューレチューブ(124i)の内側近位及び近位部分に沿って軸方向に配置された、半径方向に位置合わせされた4組の(3組を示す)螺旋ねじ山(135i)を含む。ねじ山(135i)の組は、互いから90度オフセットされ、1/4のピッチずれている。
【0129】
図22は、トロカール(110)が腹壁(2)内に遠位に進入し得る深度を選択的に制限するための、トロカール(110)のカニューレチューブ(124i)に選択的に結合された第9の例示的な深度リミッタ(1000)を更に示す。深度リミッタ(1000)は、深度リミッタ(200)と実質的に同様であり、様々な同様の特徴部を含む。したがって、異なる特徴部だけを以下に記載する。
【0130】
図23に最良に示されるように、本変形例の深度リミッタ(1000)は、略円筒形のボア(1004)を画定し、また、ボア(914)の周辺縁から半径方向内向きに延在する螺旋ねじ山(1006)を含み、カニューレチューブ(124i)のねじ山(135i)に選択的に螺合するように構成された、蝶ナット形状のハブ(1002)を含む。
【0131】
リブ(128i)ではなくねじ山(135i)に螺合するように構成された4組のねじ山(135i)及び螺旋ねじ山(1006)を提供することによって、カニューレチューブ(124i)及び深度リミッタ(1000)は、協働して、深度リミッタ(1000)の軸方向の場所を調整するための深度リミッタ(1000)とカニューレチューブ(124i)との間の低減された相対回転度(例えば、増加した1回転当たりの軸方向の調整)を提供し得、また、ねじ山(135i)によって生じる組織への低減された侵襲度を提供し、一方で、ねじ山(135i)がリブ(128i)と合致することを更に可能にし得る。
【0132】
J.第10の例示的な深度リミッタ
図24は、第10の例示的な深度リミッタ(1010)の斜視図を示す。深度リミッタ(1010)は、ハブ(1012)と、複数の脚(1014)と、を含む。深度リミッタ(1010)は、上述の深度リミッタ(200、300、400、500、600、700、800、900、1000)と組み合わせて使用され得る。ハブ(1012)は略正方形の形状であるように示されているが、ハブ(1012)の他の形状も想定される。示されるように、ハブ(1012)は、それを通って完全に延在するアパーチャ(1016)を含む。アパーチャ(1016)は、把持面(1018)を含み得る。把持面(1018)は、カニューレ(20)のカニューレチューブ(22)によって画定された長手方向軸に平行に延在し得る。
図24~
図25Bは、
図1のトロカール(10)のカニューレチューブ(22)を参照して深度リミッタ(1010)を説明しているが、他のカニューレチューブ(例えば、カニューレチューブ(124))も使用され得る。把持面(1018)は、平滑又は非平滑であり得る。
図24に示されるように、把持面(1018)は、リブ(26)などのカニューレ(20)の一部分に摩擦係合し得る平滑面を含む。あるいは、把持面(1018)は、カニューレチューブ(22)に係止係合するための1つ又は2つ以上の特徴部を含み得る非平滑面を含み得る。言い換えれば、深度リミッタ(1010)は、嵌合ねじ(ナットのような)を用いてカニューレ(20)に固定されるか、又は適切な量の干渉嵌合を有するスカラップカニューレに固定され得る。深度リミッタ(1010)のそのようなねじは、螺旋状又は非螺旋状(例えば、スカラップ)であり得る。例えば、把持面(1018)は、カニューレ(20)のリブ(26)の少なくとも1つと係止係合するように構成された少なくとも1つの歯を含み得る。
【0133】
脚(1014)は、ハブ(1012)から半径方向に離れて移動する一定の断面積を有し得る。しかしながら、脚(1014)は、不均一な断面を有し得る。例えば、脚(1014)の1つ又は2つ以上の端部は、下向きの力を分配するためのカップ状の部分(1020)を含み得る。示されるように、脚(1014)は、ほぼ90度分離されている。より多い又はより少ない脚(1014)も想定される。
【0134】
深度リミッタ(1010)は、耐先端抵抗のためにトロカール(10)に追加の安定性を提供し得る。深度リミッタ(1010)は、脚(1014)を使用して突然の傾斜を制限し、それによって、カニューレ(20)を安定化するように構成され得る。深度リミッタ(1010)は、本体への偶発的な過剰な挿入を防止するように構成されているが、トロカール(10)を安定化するためにトロカール(10)の軸外傾斜の変位及び/又は速度も制限する。この安定化は、各脚(1014)の機械的ばね効果を使用して達成され得る。脚(1014)は、脚(1014)が外向きに撓むことを可能にし、各方向トロカール(10)における可変量のばね抵抗を傾けさせることを可能にする減少した質量を有し得る。例えば、脚(1014)は、減少した質量部分(例えば、リビングヒンジ部分)を有してもよく、かつ/又は脚(1014)の固有のばね力に依存してもよい。脚(1014)は、患者の身体壁に接触して、カニューレ(20)の上方の先端を防止するか、又は少なくとも減速させることができる。
【0135】
図25A~
図25Bは、深度リミッタ(1010)を示す。しかしながら、
図25A~
図25Bの教示はまた、以下で詳細に説明される深度リミッタ(1110、1210)にも適用され得る。
図25Aは、
図1のトロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)のカニューレチューブ(22)と結合された
図24の深度リミッタ(1010)の部分側面断面図を示し、深度リミッタ(1010)の脚(1014)は、トロカール(10)の遠位端部が腹腔(1)内で受容されたときに、非展開構成にある。
図25Aの非展開構成(例えば、休止構成)では、脚(1014)は、下向きに湾曲し得る。深度リミッタ(1010)が腹壁(2)に押し付けられると、脚(1014)はより平らに曲がり、腹壁(2)及びカニューレ(20)に対する反応ばね力を提供する。脚(1014)がより平坦に曲がる程度は、ユーザによって制御され得る。例えば、追加の力(例えば、ユーザによる下向きの手の圧力)は、深度リミッタ(1010)が腹壁(2)に隣接して配設されるまで、脚(1014)をより平らに曲げることができる。脚(1014)の平坦性が増加するにつれて、カニューレ(20)に対する反応力の量も増加し得、これにより、係止力が増加する。例えば、ユーザが部分的に(しかし完全にではない)展開構成に深度リミッタ(1010)を押し下げると、脚(1014)は、ある程度の展開を有し得る。更に、次いで、ユーザが軸外負荷を適用する場合、脚(1014)のうちの1つ又は2つ以上は、他の脚(1014)よりも更に押し下げられ得るが、軸外負荷の除去時に、脚(1014)を均一化し、制御された方法で中心のホーム位置に戻すことができる。
【0136】
図25Bは、閉塞具(16)の取り外し及び除去後の、
図1のカニューレアセンブリ(12)のカニューレチューブ(22)と結合された
図24の深度リミッタ(1010)の部分側面断面図を示し、深度リミッタ(1010)の脚(1014)は、カニューレチューブ(22)の遠位端部が腹腔(1)内に受容されている、展開構成にある。展開構成では、脚(1014)は、トロカール(10)が達成することができる回転変位/傾斜の量を低減することができ、また、トロカール(10)がその傾斜を達成することができる速度を低減することができる(すなわち、体内で突然の偶発的な動きを妨げる)。カニューレチューブ(22)から深度リミッタ(1010)を完全に展開するために、ユーザは、腹壁(2)の深度リミッタ(1010)の圧縮/クランプ力を十分に低減させて、ユーザが深度リミッタ(1010)を手で引き戻すことができるように、カニューレ(20)を腹壁(2)から後退させることができる。深度リミッタ(1010)は、使い捨て又は再利用可能であり得る。
【0137】
K.第11の例示的な深度リミッタ
図26は、深度リミッタ(1010)と同様である第11の例示的な深度リミッタ(1110)を示す。深度リミッタ(1110)は、ハブ(1012)と同様のハブ(1112)と、脚(1014)と同様の脚(1114)と、アパーチャ(1016)と同様のアパーチャ(1116)と、把持面(1018)と同様のアパーチャ(1116)の把持面(1118)と、を含む。脚(1114)は、カップ状の部分(1020)と同様のカップ状の部分(1120)を含み得る。4つの脚(1014)を含むように示される深度リミッタ(1010)とは異なり、深度リミッタ(1110)は、2つの脚(1114)を含む。例えば、脚(1114)は、ほぼ180度分離され得る。脚(1014)は、
図25A~
図25Bを参照して上に示した脚(1114)と同様に撓む。
【0138】
L.第12の例示的な深度リミッタ
図27は、深度リミッタ(1010、1110)と同様の第12の例示的な深度リミッタ(1210)を示す。深度リミッタ(1210)は、ハブ(1012)と同様のハブ(1212)と、脚(1014)と同様の脚(1214)と、アパーチャ(1016)と同様のアパーチャ(1216)と、把持面(1018)と同様のアパーチャ(1216)の把持面(1218)と、を含む。脚(1114)は、カップ状の部分(1020)と同様のカップ状の部分(1220)を含み得る。4つの脚(1014)を含むように示される深度リミッタ(1010)とは異なり、深度リミッタ(1210)は、3つの脚(1214)を含む。例えば、脚(1214)は、ハブ(1212)の周りでほぼ120度だけ均一に円周方向に分離され得る。しかしながら、脚(1214)は、不均一に分離され得る。場合によっては、3つ又は4つの脚(1014、1214、1314、1414)の使用は、更なる安定性及び人間工学を可能にして、ユーザ(U)のフィンガーグリップを可能にすることができる。脚(1214)は、
図25A~
図25Bを参照して上に示した脚(1014)と同様に撓み得る。
【0139】
M.第13の例示的な深度リミッタ
図28~
図30Bは、第13の例示的な深度リミッタ(1310)を示す。特に、
図28は、深部リミッタ(1310)の斜視図を示す。示されるように、深度リミッタ(1310)は、ハブ(1312)と、ハブ(1312)から延在する複数の脚(1314)と、を含む。深度リミッタ(1310)は、上述の深度リミッタ(200、300、400、500、600、700、800、900、1000)のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせて使用され得る。ハブ(1312)は略円筒形であるように示されているが、ハブ(1312)の他の形状も想定される。示されるように、ハブ(1312)は、アパーチャ(1316)と、複数のノッチ(1318)と、を含む。ノッチ(1318)は、可動構成から固定構成に深度リミッタ(1310)を変換することができる。
【0140】
アパーチャ(1316)は、固定構成でカニューレチューブ(124)の外面と結合するように構成された把持面(1320)を含む。把持面(1320)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)によって画定された長手方向軸に平行に延在し得る。
図28~
図30Bは、トロカール(110)のカニューレチューブ(124)を参照して深度リミッタ(1310)を説明しているが、他のカニューレチューブ(例えば、カニューレチューブ(22))も使用され得る。把持面(1320)は、平滑又は非平滑であり得る。
図28に示されるように、把持面(1320)は、固定構成においてカニューレ(120)のリブ(128)と摩擦係合する平滑面を含み得る。あるいは、把持面(1320)は、カニューレチューブ(124)に係止係合するための1つ又は2つ以上の特徴部を含み得る非平滑面を含み得る。深度リミッタ(1310)のハブ(1312)は、嵌合ねじ(ナットのような)でカニューレ(120)に固定され得るか、又は干渉嵌合を使用して、スカラップカニューレに固定され得る。ねじは、螺旋状又は非螺旋状(例えば、スカラップ)であり得る。例えば、把持面(1320)は、カニューレ(120)のリブ(128)の少なくとも1つと係止係合するように構成された少なくとも1つの歯を含み得る。例えば、ノッチ(1318)は、その脚(1314)に適切な力が作用して、把持面(1320)をカニューレ(120)上でより緊密にクランプさせるときに、各脚(1314)が選択的に折り畳まれ得るように、深度リミッタ(1310)のハブ(1312)において形成され得る。したがって、深度リミッタ(1310)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)の挿入深度を制限し、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)の安定制御を提供することができる。
【0141】
脚(1314)は、ハブ(1312)から半径方向に離れて移動する略先細の断面を有し得る。例えば、脚(1314)のうちの1つ又は2つ以上の端部は、下向きの力を分配するための遠位パッド(1322)を含み得る。示されるように、脚(1314)は、ほぼ90度分離されている。脚(1314)は、不均一に分離され得る。更に、より多くの又はより少ない脚(1314)も想定される(深度リミッタ(1110、1210)に関連付けられた
図26~
図27に示されるものと同様)。深度リミッタ(1310)は、耐先端抵抗のためにトロカール(110)に追加の安定性を提供し得る。深度リミッタ(1310)は、脚(1314)を使用して突然の傾斜を制限し、それによって、カニューレ(120)を安定化するように構成され得る。脚(1314)は、身体壁に接触して、カニューレ(120)の上方の先端を防止するか、又は少なくとも減速させることができる。
【0142】
図29A及び
図30Aは、可動構成における深度リミッタ(1310)を示す。特に、
図29Aは、深度リミッタ(1310)のハブ(1312)が可動構成にある、
図5のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された
図28の深度リミッタ(1310)の上面図を示す。
図30Aは、深度リミッタ(1310)の脚(1314)が可動構成にある、
図5のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された
図28の深度リミッタ(1310)の部分側面断面図を示す。
図29A及び
図30Aの可動構成では、把持面(1320)は、カニューレ(112)のカニューレチューブ(124)の外径に対する深度リミッタ(1310)の軸方向の移動を可能にする第2の有効直径(ED2)を形成する。可動構成では、休止構成と見なされ、脚(1314)は、下向きに湾曲している。腹壁(2)に押し付けられると、脚(1314)はより平坦に曲がり、腹壁(2)及びカニューレ(120)に対する反応力を提供する。
【0143】
図29B及び
図30Bは、固定構成における深度リミッタ(1310)を示す。特に、
図29Bは、深度リミッタ(1310)の脚(1314)が固定構成にある、閉塞具(116)の取り外し及び除去後の、
図5のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された
図28の深度リミッタ(1310)の部分側面断面図を示す。
図30Bは、深度リミッタ(1310)の脚(1314)が固定構成にある、閉塞具(116)の取り外し及び除去後の、
図5のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された
図28の深度リミッタ(1310)の部分側面断面図を示す。固定構成では、ノッチ(1318)は、狭いアパーチャ(1316)に強制的に閉鎖され得る。脚(1314)は、トロカール(110)が示すことができる回転変位/傾斜の量を低減することができ、また、トロカール(110)がその傾斜を前提とすることができる速度を低減することができる(すなわち、体内で突然の動きを妨げる)。固定構成では、把持面(1320)は、カニューレ(120)に直接接触することによって、カニューレ(120)に対する深度リミッタ(1310)の軸方向の移動を制限する第1の有効直径(ED1)を集合的に形成する。深度リミッタ(1310)は、使い捨て又は再利用可能であり得る。
【0144】
N.第14の例示的な深度リミッタ
図31は、第14の例示的な深度リミッタ(1410)の上面断面図を示す。深度リミッタ(1410)は、ハブ(1412)と、ハブ(1412)から延在する複数の脚(1414)と、を含む。深度リミッタ(1410)は、上述の深度リミッタ(200、300、400、500、600、700、800、900、1000)のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせて使用され得る。いくつかの変形例では、ハブ(1412)は、略円筒形状であり得る。示されるように、ハブ(1412)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)を受容するように構成されたアパーチャ(1416)を含む。示されるように、脚(1414)は、ほぼ90度分離され得る。しかしながら、脚(1414)は、不均一に分離され得る。更に、
図26~
図27に示される深度リミッタ(1110、1210)と同様に、より多くの又はより少ない脚(1414)も想定される。
【0145】
深度リミッタ(1410)は、ハブ(1412)及び脚(1414)内に配設され得る流体チャンバ(1418)を含む。例えば、流体チャンバ(1418)は、ハブ(1412)及び脚(1414)によって完全に封入され得る。流体チャンバは、狭い部分(1422)を含む複数の流体通路(1420)を含み得る。狭い部分(1422)は、一般にハブ(1412)と脚(1414)との間に配設され得る。狭い部分(1422)は、ハブ(1412)と脚(1414)との間の流れを調節する。言い換えれば、流体チャンバ(1418)は、各脚(1414)の基部に流れの制限領域を形成する狭い部分(1422)と備える脚(1414)に一体化され得る。示されるように、脚(1414)のうちの1つ又は2つ以上の端部は、圧縮構成(C)から拡張構成(E)まで延在するように構成された広範な部分(1424)を含み得る。深度リミッタ(1410)は、耐先端抵抗のためにトロカール(110)に追加の安定性を提供し得る。追加の傾斜力が各独立した脚(1414)に作用すると、流体は、他の脚(1414)に再分配され得るが、流体は、これらの制限された領域(1422)によって制限され得、したがって、トロカール(110)の傾斜に減衰効果をもたらす。この減衰効果は、トロカール(110)が傾斜する速度を調節することができる。結果として、深度リミッタ(1410)は、脚(1414)間の制限された流体の流れを介して、トロカール(110)の突然の傾斜を制限し、それによって、カニューレ(120)を安定化させることができる。
【0146】
アパーチャ(1416)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)の外面と結合し得る把持面(1426)を含む。把持面(1426)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)によって画定された長手方向軸に平行に延在し得る。把持面(1426)は、平滑又は非平滑であり得る。
図31に示されるように、把持面(1426)は、カニューレ(120)のリブ(128)に摩擦係合する平滑面を含み得る。あるいは、把持面(1426)は、カニューレチューブ(124)に係止係合するための1つ又は2つ以上の特徴部を含み得る非平滑面を含み得る。例えば、深度リミッタ(1410)のハブ(1412)は、嵌合ねじ(ナットのような)を使用して、カニューレ(120)に固定され得るか、又はスカラップカニューレに固定され得る。ねじは、螺旋状又は非螺旋状(例えば、スカラップ)であり得る。例えば、把持面(1426)は、カニューレ(120)のリブ(128)の少なくとも1つと係止係合するように構成された少なくとも1つの歯を含み得る。深度リミッタ(1410)は、使い捨てであり得る。
【0147】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、一部の変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してもよいことも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であると見なされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものと見なされるべきではない。
【実施例1】
【0148】
(a)カニューレであって、(i)カニューレの中心軸に沿って外科用器具を案内するように構成された作業チャネルと、(ii)カニューレの外面に沿って配設された少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部であって、カニューレが患者の体腔壁を通して遠位に挿入されたときに、カニューレを体腔壁に対して安定化するように構成されている、螺旋組織係合特徴部と、を含む、カニューレと、(b)カニューレと移動可能に結合された深度リミッタであって、深度リミッタが、深度リミッタの中心軸を中心として延在し、かつ深度リミッタの中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの突起を含む、少なくとも1つの本体部分を備え、少なくとも1つの本体部分が、微調整構成と粗調整構成との間でカニューレに対して角移動可能であり、微調整構成では、少なくとも1つの突起が、少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成され、粗調整構成では、少なくとも1つの突起は、深度リミッタがカニューレに沿って軸方向に並進可能であるように、少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除するように構成されている、深度リミッタと、を備えている、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例2】
【0149】
少なくとも1つの突起が、複数の円周方向に配置された突起を含む、実施例1に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例3】
【0150】
カニューレが、カニューレの外面に沿って配設された少なくとも1つの長手方向トラックを含み、粗調整構成では、少なくとも1つの突起が、少なくとも1つの長手方向トラックに選択的に摺動可能に係合するように構成されている、実施例1又は2に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例4】
【0151】
少なくとも1つの本体部分が、深度リミッタの中心軸を中心として互いに対して回転可能な第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、少なくとも1つの突起が、第1の本体部分によって提供された第1の突起と、第2の本体部分によって提供された第2の突起と、を含む、実施例3に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例5】
【0152】
第1の本体部分及び第2の本体部分が、第1の突起及び第2の突起が互いに半径方向に位置合わせされたクロック構成と、第1の突起及び第2の突起が互いから半径方向にずらされた少なくとも1つのアンクロック構成との間で、深度リミッタの中心軸を中心として互いに対して回転可能である、実施例4に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例6】
【0153】
第1の本体部分及び第2の本体部分がアンクロック構成になることに応答して、第1の突起又は第2の突起のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成されている、実施例5に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例7】
【0154】
少なくとも1つの長手方向トラックが、幅を有し、第1の本体部分及び第2の本体部分がアンクロック構成にあるときに、第1の突起及び第2の突起が、少なくとも1つの長手方向トラックの幅よりも広い有効幅を有するエンベロープを集合的に占める、実施例6に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例8】
【0155】
第1の本体部分及び第2の本体部分がクロック構成にあるときに、第1の突起及び第2の突起が、少なくとも1つの長手方向トラックを選択的に摺動可能に係合するように構成されている、実施例5~7のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例9】
【0156】
少なくとも1つの長手方向トラックが、幅を有し、第1の本体部分及び第2の本体部分がクロック構成にあるときに、第1の突起及び第2の突起が、少なくとも1つの長手方向トラックの幅よりも狭い有効幅を有するエンベロープを集合的に占める、実施例8に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例10】
【0157】
第1の本体部分及び第2の本体部分が、アンクロック構成に向かって付勢されている、実施例5~9のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例11】
【0158】
少なくとも1つの本体部分が、第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、第1の本体部分及び第2の本体部分は、第1の本体部分及び第2の本体部分が微調整構成と粗調整構成との間でヒンジを中心として互いに対して枢動可能であるように、ヒンジによってともに枢動可能に結合されており、少なくとも1つの突起が、第1の本体部分によって提供された第1の突起と、第2の本体部分によって提供された第2の突起と、を含む、実施例1~10のいずれか1つに記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例12】
【0159】
粗調整構成にあるときに、第1の突起及び第2の突起が、少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部から半径方向外向きに枢動されるように構成されている、実施例11に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例13】
【0160】
ヒンジが、リビングヒンジを含む、実施例11~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例14】
【0161】
第1の本体部分及び第2の本体部分並びにリビングヒンジが、単一部品としてともに一体的に形成されている、実施例13に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例15】
【0162】
第1の本体部分及び第2の本体部分が、微調整構成に向かって付勢されている、実施例11~14のいずれか1つ又は2つ以上に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例16】
【0163】
トロカールのカニューレチューブと結合するように構成された深度リミッタであって、カニューレチューブが、カニューレチューブの外面に沿って配設された少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部を有し、深度リミッタが、(a)第1の本体部分と、(b)第1の本体部分及び第2の本体部分が微調整構成と粗調整構成との間で互いに対して移動可能であるように第1の本体部分に移動可能に結合されている、第2の本体部分と、(c)第1の本体部分によって提供され、かつ深度リミッタの中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの第1の突起と、(d)第2の本体部分によって提供され、かつ深度リミッタの中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの第2の突起と、を備え、微調整構成では、第1の突起又は第2の突起のうちの少なくとも1つが、カニューレチューブの少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成され、粗調整構成では、第1の突起及び第2の突起が、カニューレチューブの少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除するように構成されている、深度リミッタ。
【実施例17】
【0164】
第1の本体部分及び第2の本体部分は、第1の突起及び第2の突起が互いに半径方向に位置合わせされたクロック構成と、第1の突起及び第2の突起が互いから半径方向にずらされた少なくとも1つのアンクロック構成との間で、深度リミッタの中心軸を中心として互いに対して回転可能であり、クロック構成が、粗調整構成を少なくとも部分的に画定し、アンクロック構成が、微調整構成を少なくとも部分的に画定する、実施例16に記載の深度リミッタ。
【実施例18】
【0165】
第1の本体部分及び第2の本体部分が、微調整構成と粗調整構成との間で、深度リミッタの中心軸に対して垂直なヒンジ軸を中心として互いに対して枢動可能である、実施例16に記載の深度リミッタ。
【実施例19】
【0166】
トロカールとともに深度リミッタを使用する方法であって、深度リミッタが、深度リミッタの中心軸を中心として延在し、かつ深度リミッタの中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの突起を有する、少なくとも1つの本体部分を含み、方法が、(a)少なくとも1つの本体部分を、少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部を有するトロカールのカニューレチューブの周りに位置決めすることと、(b)少なくとも1つの突起が少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合する微調整構成と、少なくとも1つの突起が少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除する粗調整構成との間で、少なくとも1つの本体部分をカニューレチューブに対して移動させることと、(c)微調整構成にある間に、少なくとも1つの本体部分をカニューレチューブに対して螺旋状に移動させることと、(d)粗調整構成にある間に、少なくとも1つの本体部分をカニューレチューブに対して並進させることと、を含む、方法。
【実施例20】
【0167】
微調整構成と粗調整構成との間で、少なくとも1つの本体部分をカニューレチューブに対して移動させることが、少なくとも1つの本体部分をカニューレチューブに対して角移動させることを含む、実施例19に記載の方法。
【0168】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0169】
更に、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上は、第[代理人整理番号参照番号END9247USNP1](「Pinch-To-Release Cannula Depth Limiter」と題され、本願と同日に出願された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP2](「Multi-Diameter Cannula Depth Limiter」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP3](「Pinch-To-Clamp Cannula Depth Limiter」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP4](「Universal Size Multi-Walled Elastomer Cannula Depth Limiter」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP6](「Tilting Tang Cannula Depth Limiter」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP7](「Two Piece Separable Obturator」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP8](「Latchless Obturator with Interference Fit Feature」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP9]号(「Balancing Feature for Reusable Trocar」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP10](「Airflow Channels and Patterns in Lumen for Cannula」と題された)、及び/又は、第[代理人整理番号参照番号END9247USNP11、(「Stabilizer for Surgical Shafts or Cannulas」と題された)に開示された教示のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。これらの特許出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0171】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家によって行われる従来の医療処置及び手術に適用するだけでなく、ロボット支援医療処置及び手術にも適用することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、Intuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどのロボット外科用システムに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日に発行された、「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日に発行された、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0172】
上述のデバイスの変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整施設において、又は処置の直前にユーザによって、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0173】
単に例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させることがある。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の他の技術を用いて滅菌することができる。
【0174】
本発明の様々な実施形態を示し記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであり、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0175】
〔実施の態様〕
(1) 外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレであって、
(i)前記カニューレの中心軸に沿って外科用器具を案内するように構成された作業チャネルと、
(ii)前記カニューレの外面に沿って配設された少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部であって、前記カニューレが患者の体腔壁を通して遠位に挿入されたときに、前記カニューレを前記体腔壁に対して安定化するように構成されている、螺旋組織係合特徴部と、を含む、カニューレと、
(b)前記カニューレと移動可能に結合された深度リミッタであって、前記深度リミッタが、前記深度リミッタの中心軸を中心として延在し、かつ前記深度リミッタの前記中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの突起を含む少なくとも1つの本体部分を備え、前記少なくとも1つの本体部分が、微調整構成と粗調整構成との間で前記カニューレに対して角移動可能であり、前記微調整構成では、前記少なくとも1つの突起が、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成され、前記粗調整構成では、前記少なくとも1つの突起は、前記深度リミッタが前記カニューレに沿って軸方向に並進可能であるように、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除するように構成されている、深度リミッタと、を備えている、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(2) 前記少なくとも1つの突起が、複数の円周方向に配置された突起を含む、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(3) 前記カニューレが、前記カニューレの前記外面に沿って配設された少なくとも1つの長手方向トラックを含み、前記粗調整構成では、前記少なくとも1つの突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックに選択的に摺動可能に係合するように構成されている、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(4) 前記少なくとも1つの本体部分が、前記深度リミッタの前記中心軸を中心として互いに対して回転可能な第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、前記少なくとも1つの突起が、前記第1の本体部分によって提供された第1の突起と、前記第2の本体部分によって提供された第2の突起と、を含む、実施態様3に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(5) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分は、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いに半径方向に位置合わせされたクロック構成(clocked configuration)と、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いから半径方向にずらされた少なくとも1つのアンクロック構成(unclocked configuration)との間で、前記深度リミッタの前記中心軸を中心として互いに対して回転可能である、実施態様4に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【0176】
(6) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記アンクロック構成になることに応答して、前記第1の突起又は前記第2の突起のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成されている、実施態様5に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(7) 前記少なくとも1つの長手方向トラックが、幅を有し、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記アンクロック構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックの前記幅よりも広い有効幅を有するエンベロープを集合的に占める、実施態様6に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(8) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記クロック構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックを選択的に摺動可能に係合するように構成されている、実施態様5に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(9) 前記少なくとも1つの長手方向トラックが、幅を有し、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記クロック構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの長手方向トラックの前記幅よりも狭い有効幅を有するエンベロープを集合的に占める、実施態様8に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(10) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、前記アンクロック構成に向かって付勢されている、実施態様5に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【0177】
(11) 前記少なくとも1つの本体部分は、第1の本体部分及び第2の本体部分を含み、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分は、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が前記微調整構成と前記粗調整構成との間でヒンジを中心として互いに対して枢動可能であるように、前記ヒンジによってともに枢動可能に結合されており、前記少なくとも1つの突起が、前記第1の本体部分によって提供された第1の突起と、前記第2の本体部分によって提供された第2の突起と、を含む、実施態様1に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(12) 前記粗調整構成にあるときに、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部から半径方向外向きに枢動されるように構成されている、実施態様11に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(13) 前記ヒンジが、リビングヒンジを含む、実施態様11に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(14) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分並びに前記リビングヒンジが、単一部品としてともに一体的に形成されている、実施態様13に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(15) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、前記微調整構成に向かって付勢されている、実施態様11に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【0178】
(16) トロカールのカニューレチューブと結合するように構成された深度リミッタであって、前記カニューレチューブが、前記カニューレチューブの外面に沿って配設された少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部を有し、前記深度リミッタが、
(a)第1の本体部分と、
(b)第2の本体部分であって、前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が微調整構成と粗調整構成との間で互いに対して移動可能であるように、前記第1の本体部分に移動可能に結合されている、第2の本体部分と、
(c)前記第1の本体部分によって提供され、かつ前記深度リミッタの中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの第1の突起と、
(d)前記第2の本体部分によって提供され、かつ前記深度リミッタの前記中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの第2の突起と、を備え、
前記微調整構成では、前記第1の突起又は前記第2の突起のうちの少なくとも1つが、前記カニューレチューブの前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合するように構成され、前記粗調整構成では、前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記カニューレチューブの前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除するように構成されている、深度リミッタ。
(17) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分は、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いに半径方向に位置合わせされたクロック構成と、前記第1の突起及び前記第2の突起が互いから半径方向にずらされた少なくとも1つのアンクロック構成との間で、前記深度リミッタの前記中心軸を中心として互いに対して回転可能であり、前記クロック構成が、前記粗調整構成を少なくとも部分的に画定し、前記アンクロック構成が、前記微調整構成を少なくとも部分的に画定する、実施態様16に記載の深度リミッタ。
(18) 前記第1の本体部分及び前記第2の本体部分が、前記微調整構成と前記粗調整構成との間で、前記深度リミッタの前記中心軸に対して垂直なヒンジ軸を中心として互いに対して枢動可能である、実施態様16に記載の深度リミッタ。
(19) トロカールとともに深度リミッタを使用する方法であって、前記深度リミッタが、前記深度リミッタの中心軸を中心として延在し、かつ前記深度リミッタの前記中心軸に対して半径方向内向きに延在する少なくとも1つの突起を有する少なくとも1つの本体部分を含み、前記方法が、
(a)前記少なくとも1つの本体部分を、少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部を有するトロカールのカニューレチューブの周りに位置決めすることと、
(b)前記少なくとも1つの突起が前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部に選択的に螺合する微調整構成と、前記少なくとも1つの突起が前記少なくとも1つの螺旋組織係合特徴部と選択的に螺合解除する粗調整構成との間で、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して移動させることと、
(c)前記微調整構成にある間に、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して螺旋状に移動させることと、
(d)前記粗調整構成にある間に、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して並進させることと、を含む、方法。
(20) 前記微調整構成と前記粗調整構成との間で、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して移動させることが、前記少なくとも1つの本体部分を前記カニューレチューブに対して角移動させることを含む、実施態様19に記載の方法。
【国際調査報告】