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特表2023-524514タングカニューレ深度リミッタを傾斜させる
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】タングカニューレ深度リミッタを傾斜させる
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566377
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2021061442
(87)【国際公開番号】W WO2021219866
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,652
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/213,426
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マクレイン・キャメロン・ディー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF42
(57)【要約】
外科用カニューレと共に使用するように構成された深度リミッタは、長手方向軸の周りに延在するボスであって、外科用カニューレを受容するように構成されたボス管腔を有するボス、を有する環状ベースを含む。環状ベースと結合されたラッチアームは、ボスの上にあり、ボス管腔と位置合わせして外科用カニューレを受容するように構成されたアーム開口部を含む。ラッチアームは、解放位置と係止位置との間で環状ベースに対して移動可能である。解放位置において、アーム開口部はボス管腔と同軸に位置付けられ、その結果、ラッチアームは、外科用カニューレに沿った深度リミッタの長手方向の移動を可能にするように構成される。係止位置において、アーム開口部はボス管腔と非同軸に位置付けられ、その結果、ラッチアームは、外科用カニューレに沿った深度リミッタの長手方向の移動を阻止するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用カニューレと共に使用するように構成された深度リミッタであって、
(a)環状ベースであって、
(i)患者に対して位置決めされるように構成された下面と、
(ii)前記深度リミッタの長手方向軸の周りに延在するボスであって、内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたボス管腔を有する、ボスと、を含む、環状ベースと、
(b)前記環状ベースと結合されたラッチアームであって、前記ボスの上にあり、前記ボス管腔と位置合わせして内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたアーム開口部を含む、ラッチアームと、を備え、
前記ラッチアームは、解放位置と係止位置との間で前記環状ベースに対して選択的に移動可能であり、
前記解放位置において、前記アーム開口部は前記ボス管腔と同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは、前記外科用カニューレに沿った前記深度リミッタの長手方向の移動を可能にするように構成され、
前記係止位置において、前記アーム開口部は前記ボス管腔と非同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは前記外科用カニューレの外面に係合し、それによって前記外科用カニューレに沿った前記深度リミッタの長手方向の移動を阻止するように構成されている、深度リミッタ。
【請求項2】
前記解放位置は近位位置であり、前記係止位置は遠位位置である、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項3】
前記ラッチアームは、前記解放位置から離れて前記係止位置に向かって弾性的に付勢されている、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項4】
前記ラッチアームは、ばねアームを備える、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項5】
前記ラッチアームは、ユーザによって係合されて前記ラッチアームを前記解放位置から前記係止位置に移行させるように構成された上向きに湾曲したリップを含む、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項6】
前記ラッチアームは、前記環状ベースから離れて延在する第1のアーム部分と、前記第1のアーム部分から前記中心軸に向かって延在する第2のアーム部分と、を含む、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項7】
前記第2のアーム部分は、前記ラッチアームが前記解放位置にある場合、前記長手方向軸に対して垂直に延在するように構成されている、請求項6に記載の深度リミッタ。
【請求項8】
前記ボスは、前記環状ベースに向かう方向において前記ラッチアームの最大偏向角度を制限するように構成されている、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項9】
前記ボスは近位面を含み、前記近位面は、前記長手方向軸に対して斜めに位置付けられ、前記最大偏向角度で前記ラッチアームと係合するように構成されている、請求項8に記載の深度リミッタ。
【請求項10】
前記環状ベースは、前記環状ベースに結合された前記ラッチアームのベース端に隣接する一対のレリーフ切断特徴部を含み、前記レリーフ切断特徴部は、前記環状ベースに対する前記ラッチアームの偏向を促進するように構成されている、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項11】
前記ラッチアームは、前記アーム開口部の一部分を画定する縁部を含み、前記縁部は、前記外科用カニューレの側部に係合して、それによって前記ラッチアームを前記係止位置に維持するように構成されている、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項12】
前記縁部は、前記外科用カニューレの組織係合特徴部と嵌合するように構成されている、請求項11に記載の深度リミッタ。
【請求項13】
前記環状ベースは丸められた外縁部を含む、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項14】
前記ボス管腔及び前記アーム開口部の各々は、同じ横断面形状を有する、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項15】
前記係止位置は第1の係止位置を備え、前記ラッチアームは、前記第1の係止位置に向かって付勢され、前記第1の係止位置から第2の係止位置まで前記環状ベースに向かって移動可能であり、前記第2の係止位置において、前記アーム開口部は、前記第1の係止位置にあるときよりも大きい程度まで、前記ボス開口部と非同軸である、請求項1に記載の深度リミッタ。
【請求項16】
前記ラッチアームは、前記第2の係止位置において前記ボスに直接接触するように構成されている、請求項15に記載の深度リミッタ。
【請求項17】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレであって、前記カニューレの長手方向軸に沿って外科用器具を誘導するように構成された作業チャネルを有する、カニューレと、
(b)前記カニューレと移動可能に結合された深度リミッタであって、
(i)ベースであって、通路軸に沿って前記ベースを通って延在する通路を有する、ベースと、
(ii)前記ベースと結合されたラッチアームであって、前記ラッチアームは、前記通路の上にあり、開口軸を有するアーム開口部を含み、前記カニューレは、前記通路及び前記アーム開口部内に摺動可能に配設されている、ラッチアームと、を含む、深度リミッタと、を備え、
前記ラッチアームは、解放位置と係止位置との間で前記ベースに対して選択的に移動可能であり、
前記解放位置において、前記深度リミッタが前記カニューレに沿って長手方向に自由に並進するように構成されるように、前記開口軸は前記通路軸と位置合わせされ、
前記係止位置において、前記ラッチアームが前記カニューレの外面に係合し、それによって前記カニューレに対して長手方向に前記深度リミッタを固定するように構成されるように、前記開口軸は前記通路軸と位置合わせされない、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項18】
前記ラッチアームは、前記係止位置に向かって弾性的に付勢されている、請求項17に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項19】
前記ベースは、前記係止位置で前記ラッチアームに当接し、それによって前記ベースに向かう方向において前記ラッチアームの運動範囲を制限するように構成された近位面を含む、請求項17に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【請求項20】
外科用カニューレと共に使用するように構成された深度リミッタであって、
(a)ベースであって、
(i)患者に対して位置決めされるように構成された下面と、
(ii)前記深度リミッタの長手方向軸の周りに延在するボスであって、近位面と、内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたボス管腔と、を有する、ボスと、を含む、ベースと、
(b)前記ベースと結合されたラッチアームであって、前記ボスの上にあり、前記ボス管腔と位置合わせして内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたアーム開口部を含む、ラッチアームと、を備え、
前記ラッチアームは、近位解放位置と遠位係止位置との間で前記ベースに対して選択的に移動可能であり、
前記近位解放位置において、前記アーム開口部は前記ボス管腔と同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは、前記深度リミッタが前記外科用カニューレに沿って並進することを可能にするように構成され、
前記遠位係止位置において、前記ラッチアームは前記ボスの前記近位面に当接するように構成され、前記アーム開口部は前記ボス管腔と非同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは前記外科用カニューレの外面に係合し、それによって前記外科用カニューレに対する前記深度リミッタの並進を阻止するように構成されている、深度リミッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2020年5月1日に出願され、「Tilting Tang Cancula Depth Limiter」と題する米国仮特許出願第63/018,652号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの外科手術は、臨床医が患者の腹腔を介して手術部位にアクセスすることを必要とし得る。そのようなアクセスを得るために、最初に、腹腔の上にある腹壁組織を通して開口部が形成される。いくつかの外科手術では(「腹腔鏡」又は「内視鏡的」手術と称される)、比較的小さい開口部が腹壁組織を介して作製され、次いで、外科手術部位は、開口部内に位置決めされた「トロカール」と一般的に呼ばれるアクセスデバイスを通して挿入された細長い器具でアクセスされる。従来のトロカールは、一般に、カニューレアセンブリと、カニューレアセンブリの作業チャネル内に取り外し可能に受容される閉塞具と、を含む。使用中、閉塞具は、カニューレアセンブリと嵌合され、組み合わされた構造(すなわち、トロカール)は、患者の腹壁を通って下向きに臨床医によって方向付けられ、その結果、閉塞具及びカニューレアセンブリの遠位端部が、腹腔内に延在する。次いで、臨床医は、外科用器具がカニューレアセンブリの作業チャネルを通って下向きに方向付けられ、手術部位にアクセスし得るように、カニューレアセンブリから閉塞具を引き抜く。
【0003】
トロカール、その構成要素の単に例示的な変形例及びその他の種類の手術アクセスデバイスは、2011年7月19日に開示された「Vibratory Trocar」と題する米国特許第7,981,092号、2012年7月24日に交付された「Access Device with Insert」と題する米国特許第8,226,553号、2012年8月28日に交付された「Surgical Access Devices and Methods Providing Seal Movement in Predefined Paths」と題する米国特許第8,251,900号、2013年11月12日に交付された「Absorbing Fluids in a Surgical Access Device」と題する米国特許8,579,807号、2013年10月29日に交付された「Surgical Access Device with Sorbents」と題する米国特許第8,568,362号、2014年1月28日に交付された「Surgical Access Device」と題する米国特許第8,636,686号、2014年4月8日に交付された「Gas Jet Fluid Removal in a Trocar」と題する米国特許第8,690,831号、2019年1月3日に公開された「Method of Suturing a Trocar Path Incision」と題する米国特許出願公開第2019/0000496号において開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
いくつかの手術では、上記のトロカールが患者の体腔壁に挿入される深さを制限することが望ましい場合がある。再利用可能であり、再利用可能及び使い捨てのトロカールの両方と共に使用され得る1つの深度リミッタを有することが更に望ましい場合がある。外科用アクセスデバイス及びエンドエフェクタを含む様々な種類の外科用器具及びその他の関連する構成要素が作製され、使用されてきたが、本発明者ら以前には誰も、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの斜視図を示す。
図2】分解状態の図1のカニューレアセンブリ及び閉塞具の側面立面図を示す。
図3A】腹壁の組織層を通して臨床医によって操作されている図1のトロカールの側面断面図を示す。
図3B図3Aの腹腔内に受容されたトロカールの遠位端部を示す、図1のトロカールの拡大側面断面図を示す。
図3C図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示し、閉塞具の取り外し及び除去後に、図3Aの腹壁内に位置決めされたままのカニューレアセンブリを示す。
図3D図3Aの腹壁から近位に引き抜かれている図1のカニューレアセンブリの側面断面図を示す。
図4】組み立てられた状態に示されているカニューレアセンブリ及び閉塞具を有する例示的なトロカールの別の斜視図を示す。
図5】互いに分離された再利用可能なカニューレ及びカニューレアセンブリの使い捨てシールアセンブリを示し、分解状態の閉塞具を示す、分解状態の図4のカニューレアセンブリ及び閉塞具の斜視図である。
図6図4のカニューレアセンブリのカニューレチューブに結合された例示的な深度リミッタの斜視図を示し、深度リミッタとカニューレチューブとの間の相対的な並進を阻止する初期係止位置にある深度リミッタのラッチアームを示す。
図7】初期係止位置にあるラッチアームを示す、図6の深度リミッタの斜視図である。
図8A図6の深度リミッタ及びカニューレチューブの側面断面図を示し、深度リミッタとカニューレチューブとの間の相対的な並進を阻止する完全な係止位置にあるラッチアームを示す。
図8B図6の深度リミッタ及びカニューレチューブの側面断面図を示し、深度リミッタとカニューレチューブとの間の相対的な並進を可能にする解放位置にあるラッチアームを示す。
図9】第2の例示的な深度リミッタの斜視図を示し、深度リミッタとカニューレチューブとの間の相対的な並進を阻止する初期係止位置にある深度リミッタのラッチアームを示す。
図10】初期係止位置にあるラッチアームを示す、図9の深度リミッタの側面断面図である。
図11】第3の例示的な深度リミッタの斜視図を示し、深度リミッタとトロカールのカニューレチューブとの間の相対的な並進を可能にする解放位置にある深度リミッタのラッチアームを示す。
図12A図4のカニューレチューブと結合された図11の深度リミッタの側面断面図であり、深度リミッタとカニューレチューブとの間の相対的な並進を可能にするための解放位置にあるラッチアームを示す。
図12B図11の深度リミッタ及び図4のカニューレチューブの側面断面図であり、深度リミッタとカニューレチューブとの間の相対的な並進を阻止する係止位置にあるラッチアームを示す。
図13】4つの脚を含む第4の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
図14A】トロカールの遠位端部が腹腔内に受容されているときに、深度リミッタの脚が、非展開構成にある、図1のトロカールのカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された図13の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
図14B】深度リミッタの脚が、カニューレチューブの遠位端部が腹腔内に受容されている展開構成にある、閉塞物の取り外し及び除去後の、閉塞具の図1のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された図13の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
図15】2つの脚を含む第5の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
図16】3つの脚を含む第6の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
図17】ノッチを備えたハブを含む第7の例示的な深度リミッタの斜視図を示す。
図18A図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された図17の深度リミッタの上面図を示し、深度リミッタのハブは可動構成にある。
図18B】深度リミッタの脚が、固定構成にある、閉塞具の取り外し及び除去後の、図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された図17の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
図19A】深度リミッタの脚が、展開構成にある、図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された図17の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
図19B】深度リミッタの脚が、展開構成にある、閉塞物の取り外し及び除去後の、閉塞具の図5のカニューレアセンブリのカニューレチューブと結合された図17の深度リミッタの部分側面断面図を示す。
図20】流体チャンバ及び4つの脚を含む第8の例示的な深度リミッタの上面断面図を示す。
【0006】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明ともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものと見なされるべきである。
【0008】
本開示を明瞭にするために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用デバイスを握持する外科医又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、外科医により近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科医からより離れ手配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定することも絶対であることも意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解されよう。
【0009】
更に、任意の数値、又は数値の範囲に関連して本明細書で使用される「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる好適な許容誤差を包含することが意図されている。
【0010】
I.例示的な単回使用及び再利用可能なトロカール
図1図5は、単回使用の第1のトロカール(10)及び再利用可能な第2のトロカール(110)の形態の例示的な外科用アクセスデバイスを示し、各々が腹腔鏡外科手術において手術部位のアクセスを提供するように構成されている。各トロカール(10、110)は、作業チャネル(14、114)を有するカニューレアセンブリ(12、112)と、作業チャネル(14、114)に同軸に、取り外し可能に挿入されるように構成された閉塞具(16、116)と、を含み、その結果、組み立てられたトロカール(10、110)は、例えば、図3A図3Dに関連して以下に記載されるように、患者の腹壁を通って遠位に方向付けられ得る。
【0011】
A.例示的な単回使用トロカール
図1図2に示すように、単回使用トロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)及びシールハウジング(30)を含む。カニューレ(20)及びシールハウジング(30)は協働して、トロカール(10)の中心軸(A)に沿って長手方向に延在する作業チャネル(14)を画定する。特に、作業チャネル(14)は、シールハウジング(30)の中空内部と連通するカニューレ(20)の管腔によって画定される。カニューレアセンブリ(12)は、作業チャネル(14)を通って遠位に細長い外科用器具を受容して、患者の腹腔内の外科部位へのアクセスを提供するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、シールハウジング(30)は、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にしながら、患者の腹腔の吹送を維持するように構成されたシールアセンブリを画定する一対のシール構造を収容する。
【0012】
本変形例のカニューレ(20)は、その近位端部にベル形状のハブ(図示せず)と、ハブから遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(24)で終端する細長い円筒カニューレチューブ(22)と、を含み得る。カニューレチューブ(22)の外面は、カニューレチューブ(22)の内側部分に沿って軸方向に配置された環状リブ(26)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。リブ(26)は、カニューレ(20)が挿入される腹壁組織の層を把持し、それによって、カニューレ(20)が患者の腹壁に形成された開口部内に位置決めされている間に、カニューレ(20)を軸方向及び半径方向に安定化するのを支援するように構成されている。
【0013】
より具体的には、本実施例の組織把持リブ(26)は、各リブ(26)がリブ(26)の半径方向に最も外側の縁から遠位方向に半径方向内向きに先細になるように、カニューレチューブ(22)の側壁における環状スカラップとして形成される。したがって、リブ(26)の半径方向に最も外側の縁は、カニューレチューブ(22)の非リブ付き近位及び遠位部分と概ね同一平面にある。結果として生じるリブ(26)の構成は、遠位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の前進を促進し、逆の近位方向に組織層を通るカニューレチューブ(22)の後退に抵抗する。有利には、この構成は、外科手術中に患者の腹壁からのカニューレチューブ(22)の意図しない引き抜きから保護する。しかしながら、カニューレチューブ(22)は、トロカール(10)の他の変形例において、様々な他のタイプの組織把持特徴部を備え得ることが理解されよう。例えば、カニューレチューブ(22)は、カニューレチューブ(22)の少なくとも内側部分の周りに延在し、リブ(26)に類似してスカラップされ得る、1つ又は2つ以上の螺旋リブの形態の組織把持特徴部を含み得る。
【0014】
カニューレアセンブリ(12)のシールハウジング(30)は、近位ハウジング部分(32)と、近位ハウジング部分(32)が取り外し可能に取り付けられている遠位ハウジング部分(34)と、を含む。近位ハウジング部分(32)は、互いに固定されたシールハウジングヘッド(36)及び遠位ベース(38)を含む。遠位ハウジング部分(34)は、カニューレ(20)の近位ハブ(図示せず)を取り囲む遠位シュラウド(40)と、遠位シュラウド(40)の近位端部に固定されたキャッププレート(42)と、それらの間に回転可能に配設され、半径方向外向きに突出するタブ(46)を有するラッチリング(44)と、を含む。ラッチリング(44)は、係止位置と係止解除位置との間でトロカール(10)の中心軸(A)を中心としてタブ(46)を介して選択的に回転可能である。係止位置では、ラッチリング(44)は、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)に係止する。係止解除位置では、ラッチリング(44)は、例えば、遠位ハウジング部分(34)内に収容された遠位シール構造(図示せず)に直接アクセスするために、近位ハウジング部分(32)を遠位ハウジング部分(34)から分離させることを可能にする。いくつかの変形例では、遠位シュラウド(40)は、遠位シュラウド(40)がカニューレ(20)の構成要素であるように、カニューレチューブ(22)の近位端部と一体的に形成され得る。
【0015】
図示されていないが、近位ハウジング部分(32)は、近位(又は「外側」)シール構造を収容し、遠位ハウジング部分(34)は、遠位(又は「内側」)シール構造を収容し、両方ともトロカール(10)の中心軸(A)に沿って配置されている。近位及び遠位シール構造は協働して、外科手術処置中に患者の腹腔の吹送を維持しながら、作業チャネル(14)に沿った外科用器具及び組織断片の通過を可能にするシールアセンブリを画定する。例えば、近位シール構造は、作業チャネル(14)を介して向けられた腹腔鏡外科用器具のシャフトに封止係合するように構成された環状シール部材を含み得る。遠位シール構造は、外科用器具シャフトの不在下で記載されたシールされた作業チャネル(14)を維持するように構成されたダックビルシール部材を含み得る。
【0016】
カニューレアセンブリ(12)は、カニューレ(20)の近位端部と動作可能に結合されており、ストップコック(52)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(50)を更に含む。吹送ポート(50)は、二酸化炭素などの吹送流体を、流体源(図示せず)から作業チャネル(14)を通して患者の腹腔内に遠位に方向付けるように構成され、それによって、腔を流体で拡張(又は「吹送する」)。腹腔のこの拡張は、改善された容易さで、腹腔鏡外科手術を行うための追加の空間を作り出す。
【0017】
図1及び図2に示すように、トロカール(10)の閉塞具(16)は、閉塞具ヘッド(60)と、ヘッド(60)から遠位に延在する細長い円筒閉塞具シャフト(62)と、先細遠位閉塞具先端(64)と、を含む。閉塞具シャフト(62)は、閉塞具先端(64)がカニューレ先端(24)を通って遠位に延在するように、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)内に受容されるように構成されている。閉塞具ヘッド(60)は、ドーム型上部本体(66)と、ベースプレート(68)と、一対のラッチアーム(72)及び対応する一対のラッチボタン(74)を含む作動可能なラッチ部材(70)と、を含む。ラッチアーム(72)は、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)と結合するために、シールハウジングヘッド(36)の上面に形成されたそれぞれのスロット(図示せず)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(74)は、スロットからラッチアーム(72)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(12)からの閉塞具(16)の分離を可能にするように作動可能である。閉塞具(16)は、閉塞具ヘッド(60)及び閉塞具シャフト(62)を通って長手方向に延在する中央通路(76)を更に含み、その中に内視鏡(図示せず)を受容して、患者の腹壁を通してトロカール(10)の挿入中に視覚化を提供するように構成されている。閉塞具ヘッド(60)のクランプレバー(78)は、中央通路(76)内の内視鏡を選択的に固定するように枢動可能である。中央通路(76)及びクランプレバー(78)は、単に任意選択的な特徴部であり、他の変形例では、閉塞具(16)から省略され得る。
【0018】
カニューレアセンブリ(12)及び閉塞具(16)は、患者との単回使用後に配設されるように構成され得る。他の変形例では、トロカール(10)の1つ又は2つ以上の構成要素は、例えば、図4図5のトロカール(110)に関連して以下でより詳細に説明されるように、滅菌及び複数の再使用に耐えるように好適に構成され得る。
【0019】
B.患者の腹腔内のトロカールの例示的な展開
図3A図3Dは、上述のトロカール(10)を用いて患者の腹壁(2)を通して患者の腹腔(1)にアクセスする例示的な方法を示す。腹壁(2)は、外側の表面層及び内側の深層を含むことが理解されよう。表層には一般に、皮膚(3)の外層と脂肪(4)の内層とが含まれる。一方、より深い層には筋肉の代替的な層(5)及び筋膜(6)が含まれ、筋膜は、表層よりも張力が高く、繊維状で柔軟である。
【0020】
図3Aに示すように、閉塞具(16)がカニューレアセンブリ(12)内に受容され、シールハウジング(30)に接続された状態で、臨床医は閉塞具ヘッド(60)及びシールハウジング(30)を介してトロカール(10)を操作して、トロカール(10)を前後に回転させながら、閉塞具先端(64)を、皮膚(3)に対して及び腹腔(1)に方向付けて内側に押し付ける。図3Bに示すように、トロカール(10)の引き続き内側に押し付けることにより、閉塞具先端(64)及びカニューレ先端(24)を、脂肪の層(4)及び筋膜(6)を通して遠位に、かつ腔(1)の中に更に方向付ける。上述のように、このステップは、閉塞具(16)内に装着された内視鏡(図示せず)によって提供された視覚化によって容易にされ得る。カニューレ(20)が腔(1)への所望の挿入深度に到達すると、臨床医は、ラッチボタン(74)の押し下げを介して閉塞具ヘッド(60)をシールハウジング(30)から解放し、次いで、図3Cに示されるように、閉塞具(16)をカニューレアセンブリ(12)から近位に引き出す。これにより、カニューレアセンブリ(12)の作業チャネル(14)は、腹腔鏡外科手術を行うために、それを通って遠位に外科用器具を受容可能にするようになる。上述のように、カニューレチューブ(22)上に設けられた組織把持リブ(26)は、腹壁(2)の組織(3、4、5、6)の層を把持し、したがって、腹壁(2)に対して少なくとも最小の安定度を有するカニューレアセンブリ(12)を提供する。腹腔鏡外科手術の完了時に、臨床医は、図3Dに示されるように、シールハウジング(30)を把持し、カニューレアセンブリ(12)を腹壁(2)から近位に引き抜く。
【0021】
C.使い捨てシールアセンブリを有する例示的な再利用可能なトロカール
場合によっては、その1つ又は2つ以上の構成要素が、複数の外科手術のために滅菌及び再利用され得るようにトロカールを構成することが望ましい場合があり、一方、1つ又は2つ以上の他の構成要素は、各手順の後に容易かつ経済的に処分され、交換され得る。図4図5は、そのような様式で構成された別の例示的なトロカール(110)を示し、以下に別途記載されるものを除いて、上述のトロカール(10)と構造及び機能が類似している。
【0022】
トロカール(10)と同様に、トロカール(110)は、作業チャネル(114)、及び作業チャネル(114)に沿って同軸にカニューレアセンブリ(112)に挿入されるように構成された閉塞具(116)を有するカニューレアセンブリ(112)を含む。カニューレアセンブリ(112)は、その近位端部にベル形状の近位ハブ(122)と、近位ハブ(122)から遠位に延在し、角度付きカニューレ先端(126)で終端する細長い円筒カニューレチューブ(124)と、を有するカニューレ(120)を含む。カニューレチューブ(124)の外面は、カニューレチューブ(124)の内側部分に沿って軸方向に配置され、上述のリブ(26)と同様である環状リブ(128)の形態の複数の組織把持特徴部を含む。
【0023】
カニューレアセンブリ(112)は、シールアセンブリ(130)を更に含む。トロカール(10)のシールハウジング(30)によって画定されたシールアセンブリとは異なり、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)と解放可能に嵌合するように構成されたモジュール式交換可能ユニットとして構成されている。図5に最もよく示されるように、本実施例のシールアセンブリ(130)は、一般に、上部フレーム部材(132)と、中間フレーム部材(134)と、同軸配置で互いに固定された下部フレーム部材(136)と、を含む。図示されていないが、近位(又は「外側」)シール構造は、上部フレーム部材(132)内に支持され、遠位(又は「内部」)シール構造は、下部フレーム部材(136)内に支持される。そのようなシール構造は、上述のトロカール(10)の近位及び遠位シール構造と構造及び機能において類似し得る。シールアセンブリ(130)は、ストップコック(142)の形態の調整可能なバルブを有する吹送ポート(140)を更に含む。
【0024】
吹送ポート(140)の遠位のシールアセンブリ(130)の下部分は、カニューレ(120)の近位ハブ(122)内に着座するように構成されており、その結果、下部分の周りに円周方向に配設された環状シール部材(144)が、近位ハブ(122)の内面と封止係合している。このようにして、シールアセンブリ(130)の内部は、カニューレ(120)の管腔と流体連通して、吹送流体、外科用器具、及び組織断片がトロカール(10)に関連して概して上述された方式で方向付けられ得るカニューレアセンブリ(112)の作業チャネル(114)を画定する。シールアセンブリ(130)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月28日に公開された、米国特許公開第2019/0090905号、発明の名称「Trocar Seal Assemblies」、及び/又はその開示内容は参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月19日に公開され、「Asymmetric Shaft Seal」と題する米国特許公開第2019/0380742号の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成され得る。
【0025】
図5に最もよく示されるように、トロカール(110)の閉塞具(116)は、近位閉塞具ヘッド(150)と、閉塞具ヘッド(150)から遠位に延在する細長い円筒シャフト(152)と、シャフト(152)の遠位端部の先細遠位先端(154)と、を含む。閉塞具ヘッド(150)は、ドーム型上部本体(156)と、ベースプレート(158)と、一対のラッチアーム(162)及び対応する一対の下向きに延在するラッチボタン(164)を含む作動可能なラッチ部材(160)と、を含む。ラッチアーム(162)は、閉塞具(116)をカニューレアセンブリ(112)と結合するために、シールアセンブリ(130)の上部フレーム部材(132)の上面に形成されたそれぞれのスロット(138)内に捕捉されるように構成されている。ラッチボタン(164)は、スロット(138)からラッチアーム(162)を解放し、それによって、カニューレアセンブリ(112)からの閉塞具(116)の分離を可能にするように作動可能である。
【0026】
本実施例のカニューレ(120)及び閉塞具(116)は、外科用鋼などの堅牢な材料で好適に構成されており、その結果、それらは、複数の外科手術のために滅菌及び再利用され得る。対照的に、上述のように、シールアセンブリ(130)は、カニューレ(120)から分離され、各手順の後に交換されることを意図した使い捨てユニットとして構成されている。例えば、シールアセンブリ(130)は、シールアセンブリ(130)が、上述のトロカール(10)と同様に、シールアセンブリ(130)を処分するのに好適にする価格で容易に製造及び販売され得るように、プラスチック及びゴムを含む様々なポリマー材料で構成され得る。
【0027】
II.例示的なカニューレ深度リミッタ
場合によっては、臨床医は、単回使用又は再利用可能なトロカール(10、110)が腹壁(2)内に移動し得る深度を制限することを望む場合がある(例えば、トロカール(10、110)を所望の位置に挿入した後)。トロカール(10、110)が腹壁(2)内に移動し得る深度を制限することは、閉塞具遠位先端(64)が、腹腔(1)に所望されるよりも深く不用意に進入することを防止するのを支援し得る。トロカール(10、110)の過剰挿入の防止はまた、腹腔(1)内の利用可能な作業空間を不注意に低減することを回避し得る。
【0028】
あるいは、又は加えて、臨床医は、(例えば、トロカール(10、110)を腹腔(1)の所望の位置に挿入した後に)腹壁(2)に対してトロカール(10、110)を安定化することを望む場合がある。臨床医は、トロカール(10、110)の挿入下で回避することによって、腹壁(2)に対してトロカール(10、110)を安定化させ得る。腹壁(2)への挿入後の腹壁(2)に対する安定化トロカール(10、110)は、臨床医がトロカール(10、110)を解放した後に、トロカール(10、110)が腹壁(2)における挿入点を中心に不用意に枢動するのを防止するのを支援し得る。安定化トロカール(10、110)は、カニューレチューブ(22、124)、したがって、外科用器具が、臨床医に便利な選択された作業角度で、トロカール(10、110)を通って遠位に容易に方向付けられ得るように、腹腔(1)に対する所望の位置及び/又は向きで、外科用器具の進入点を腹腔(1)に維持する。また、限られた数のボイド及び凹部を有する再利用可能な深度制限デバイスを設計することが望ましい場合がある。この設計は、製造プロセスを簡素化し、外科用器具を消毒及び洗浄するのを助ける。
【0029】
A.ばねラッチアームを有する第1の例示的な深度リミッタ
図6は、トロカール(110)のカニューレチューブ(124)に結合された深度リミッタ(200)の一例を示す。図示されていないが、深度(200)もトロカール(10)と共に使用され得ることが理解されよう。以下でより詳細に説明されるように、深度リミッタ(200)は、トロカール(10、110)が腹壁(2)内に遠位に移動し得る深度を選択的に制限し得る。
【0030】
図7図8Bに最もよく示されるように、本変形例の深度リミッタ(200)は、環状ベース(220)に一体的に結合されたラッチアーム(218)を含む。環状ベース(220)は、可撓性であり、弾性特性を有するラッチアーム(218)に対して比較的剛性である。特に、ラッチアーム(218)は、図6図7に示される初期係止位置と、図8Aに示される完全係止位置と、図8Bに示される解放位置との間でベース(220)に対して弾性的に偏向可能であるばねアームの形態である。
【0031】
初期及び完全係止位置の各々において、ラッチアーム(218)は、カニューレチューブ(124)の外面(例えば、環状リブ(128))と摩擦係合するように構成され、それによって、深度リミッタ(200)とカニューレチューブ(124)との間の相対的な並進を阻止する。対照的に、解放位置のラッチアーム(218)は、深度リミッタ(200)とカニューレチューブ(124)との間の相対的な並進を可能にするように構成される。以下に記載されるように、完全係止位置は、初期係止位置よりもラッチアーム(218)とカニューレチューブ(124)との間のより大きな摩擦係合を提供し、したがって、深度リミッタ(200)とカニューレチューブ(124)との間に加えられる相対的な軸方向負荷に対してより大きな抵抗を提供する。本実施例のラッチアーム(218)は、ラッチアーム(218)がユーザによってベース(220)に向かって下向きに(すなわち、遠位に)完全係止位置に向かって初期係止位置に向かって、又はベース(220)から上向きに(すなわち、近位に)解放位置に偏向され得るように、弾性的に付勢される。
【0032】
深度リミッタ(200)は、任意の1つ又は2つ以上の好適な材料で構成され得る。例えば、深度リミッタ(200)は、外科用ステンレス鋼などの外科的に安全な金属、又は代替的には高分子材料で構成され得る。金属の構造は、深度リミッタ(200)を滅菌可能にすることになり、複数の外科手術のために再利用可能であることが理解されるであろう。比較すると、プラスチックの構造は、上述のトロカール(10)及びシールアセンブリ(130)と同様に、単回使用後に処分するのに適した深度リミッタ(200)を提供し得る。本実施例では、環状ベース(220)及びラッチアーム(218)は、一体的な部品として一緒に形成される。この一体的な部品は、例えば、金属スタンピング、付加製造、ダイカスト、又は射出成形などの1つ又は2つ以上の好適な製造プロセスによって形成され得る。深度リミッタ(200)の他の変形例では、1つ又は2つ以上の構成要素を別々に形成し、次いで一緒に結合することができる。
【0033】
示される本実施例では、環状ベース(220)は、円筒形中央ボス(222)と、中央ボス(222)から半径方向外向きに、かつ中央ボス(222)の周りに円周方向に延在する環状ハブ(224)と、を含む。中央ボス(222)は、ボス管腔(226)を含み、ベース(220)の中心軸(A中心)に沿って近位面(228)から外向きに広がった遠位部分(230)まで遠位に延在し、遠位部分は他の変形例では広がっていなくてもよい。近位面(228)は、中心軸(A中心)に対して斜めに配置され、図8Aに示すように、完全係止位置でラッチアーム(218)の停止部として機能する。特に、近位面(228)は、ラッチアーム(218)が最大偏向角度(MA)を超えて遠位に偏向され、それによって、ラッチアーム(218)の不要な塑性変形及び/又は過剰な摩擦係合とそれによるカニューレチューブ(124)又はラッチアーム(218)への損傷を防止する。中央ボス(222)の軸方向高さ及び近位面(228)の角度は、ラッチアーム(218)の所定の最大偏向角度(MA)及び/又はカニューレチューブ(124)との所定の摩擦係合を可能にするように選択され得、この基準は、深度リミッタ(200)及び/又はカニューレチューブ(124)の材料組成に少なくとも部分的に基づいて選択され得ることが理解されよう。ボス管腔(226)は、カニューレアセンブリ(12、112)のカニューレチューブ(22、124)を摺動可能に受容するようにサイズ決めされている。環状ハブ(224)は、中央ボス(222)の遠位部分(230)から外縁部(234)に向かって外向きに延在し、これは、患者の腹壁(2)との非外傷性相互作用を確実にするために、示されるように近位に丸められ得る。
【0034】
本変形例に示される環状ベース(220)は、概ね円形の形状を有するが、環状ベース(220)は、他の変形例では、例えば楕円形、長方形、又は三角形などの様々な他の形状で形成され得る。環状ハブ(224)は、概ね平面状であり、かつ中央ボス直径(CB)よりも大きいベース直径(DB)を有する下面(232)を有する。深度リミッタ(200)が患者の腹壁(2)のトロカール経路切開部を通って遠位に通過するのを防止するように適切にサイズ決めされているベース直径(DB)。下面(232)は、図示のように滑らかであってもよく、又はカニューレチューブ(22、124)を腹壁(2)内に直立状態に維持するのを更に助けるためにテクスチャ(図示せず)又は別の表面効果(図示せず)で構成されてもよい。
【0035】
示される例では、環状ベース(220)の外縁部(234)は、中央ボス(222)から半径方向外向きに位置し、患者の皮膚から離れて、かつラッチアーム(218)に向かってカールされる(又は「丸められる」)。したがって、外縁部(234)は、環状ベース(220)の剛性を増加させ、患者の快適性のために滑らかな輪郭を提供することができる。更に、外縁部(234)の曲線部分(236)は、臨床医が外縁部(234)をより容易に把持することができるように、ユーザ把持機構として機能し得る。外縁部(234)は、ラッチアーム(218)の第1の曲げ(244)の両側に位置する一対のレリーフ切断特徴部(238)を含む。レリーフ切断特徴部(238)は、ベース(220)に対するラッチアーム(218)の第1の曲げ(244)の弾性的な偏向を促進する。レリーフ切断特徴部(238)は、ラッチアーム(218)がラッチアーム(218)に剛性を追加する外縁部(234)と当接しないため、ラッチアーム(218)が追加の柔軟性を有することを可能にする。
【0036】
図7に示すように、ラッチアーム(218)は、第1のアーム部分(240)と第2のアーム部分(242)とを有する。第1のアーム部分(240)は、レリーフ切断特徴部(238)の対の間の第1の曲げ(244)において環状ベース(220)に取り付けられている。第1の曲げ(244)は、中心軸(A中心)に概ね平行であり、環状ベース(220)によって画定される平面に対して垂直である。第1のアーム部分(240)は、第1の曲げ(244)から第2の曲げ(246)まで近位に延在する。
【0037】
第2の曲げ(246)は、第1のアーム部分(240)を、第1のアーム部分(240)に対して概ね垂直に延在する第2のアーム部分(242)と接合する。具体的には、第2のアーム部分(242)は、ベース(220)から離れて近位方向に湾曲するタング(252)を有する自由端(248)まで中心軸(A中心)に向かって半径方向内側に延在し、ベース(220)に対してラッチアーム(218)を偏向させるために使用されるによって把持され得る。示されるように、第2のアーム部分(242)は、中央ボス(222)の近位面(228)の上にあり、ラッチアーム(218)の解放位置においてボス管腔(226)と同軸に位置合わせするように構成されたアーム開口部(250)を含む。
【0038】
本実施例では、アーム開口部(250)は、ボス管腔(226)及びカニューレチューブ(22、124)と同じ断面形状を有する。示されるように、ボス管腔(226)及びアーム開口部(250)の両方は、本変形例においては円形の横断面形状を有する。いくつかの他の変形例では、ボス管腔(226)及びアーム開口部(250)は、異なる横断面形状を有し得る。
【0039】
図8A及び図8Bに示されるように、アーム開口部(250)は、第2のアーム部分(242)に垂直であり、アーム開口部(250)内に同心円状に位置するアーム軸(Aアーム)を有する。アーム開口部(250)は、アーム開口部(250)の内縁部(254)の形態の係合特徴部を含む。係合特徴部は、ラッチアーム(218)が初期係止位置又は完全係止位置のうちの1つにあり、それによって深度リミッタ(200)とカニューレチューブ(22、124)との間の相対的な長手方向の動きを阻止するときに、アーム開口部(250)がカニューレチューブ(22、124)のリブ(26、128)に摩擦係合するのを容易にする。場合によっては、この係合特徴部は、リブ(26、128)に相補的な幾何学形状を更に含み得る。例えば、係合特徴部は、リブ(26、128)の凹部と嵌合する隆起部分(図示せず)を更に含み得、係合特徴部は、リブ(26、128)の隆起部分と嵌合する凹部(図示せず)を有し得る。いくつかの変形例では、係合特徴部は、リブ(26、128)と嵌合する環状バンド(図示せず)を含み得る。更に他の変形例では、係合特徴部は、カニューレチューブ(22、124)上に形成された螺旋リブ(図示せず)に相補的な幾何学形状を含み得る。係止位置における本実施例のラッチアーム(218)は、1つ又は2つ以上の組織係合特徴部を欠く(例えば、リブ(26、128)と同様の)滑らかな外面を有するカニューレチューブに摩擦係合するようにも適切に構成されていることが理解されよう。
【0040】
上記のように、本実施例のラッチアーム(218)は、解放位置から初期係止位置に向かって弾性的に付勢される。解放位置は近位位置であり、初期係止位置は遠位位置である。ラッチアーム(218)は、示されるように、ばねアームの形態であり得る。他の実施形態では、ラッチアーム(218)は、ばね(図示せず)などの独立した付勢部材又は当業者に明らかな別の特徴部によって、初期係止位置又は代替的に完全係止位置に向かって付勢され得る。更に他の実施形態(図示せず)では、ラッチアーム(218)は、解放位置に向かって付勢され得る。図示されているラッチアーム(218)は、平坦な長方形の断面プロファイルを有して示されている。いくつかの変形例では、ラッチアーム(218)は、湾曲した長方形の断面プロファイルなどの弓形の断面プロファイルを有し得る。そのような変形例では、ラッチアーム(218)は、剛性が増加し、したがってその休止位置(例えば、初期係止位置)に向かって弾性バイアスが増加し得る。
【0041】
図8Aは、ラッチアーム(218)が完全な係止位置に遠位に押し下げられて、それによって、最大の摩擦係合度でカニューレチューブ(22、124)と係合していることを示す。図8Aに示されるように、ラッチアーム(218)が完全係止位置にあるとき、アーム開口部(250)は、対応する軸(Aアーム、A中心)が互いに対して角度が付くように、ボス管腔(226)に対して非同軸である。加えて、上述のように、第2のアーム部分(242)の下面は、中央ボス(222)の近位面(228)に直接接触する。
【0042】
図8Bは、ラッチアーム(218)を係止位置(例えば、図6図8A参照)から環状ベース(220)から近位に離れて解放位置に作動させるためにタング(252)を介して持ち上げられているラッチアーム(218)を示す。この移行中、ラッチアーム(218)は、第1の曲げ(244)及び/又は第2の曲げ(246)での及びその周りでの偏向を介して環状ベース(220)に対して偏向する。アーム軸(Aアーム)が中心軸(A中心)と同軸に位置合わせされ、それによりアーム開口部(250)がボス管腔(226)と同軸に位置合わせされる場合、ラッチアーム(218)は解放位置にある(図8B参照)。解放位置では、第2のアーム部分(242)は、一般に、中心軸(A中心)に対して概ね垂直であり、したがって、環状ベース(220)と概ね平行であり、深度リミッタ(200)は、カニューレチューブ(22、124)に沿って自由に並進する。
【0043】
深度リミッタ(200)が臨床医によってカニューレチューブ(22、124)に沿って所望の長手方向位置に配置されると、臨床医は、タング(252)を解放することができる。それに応答して、ラッチアーム(218)は、環状ベース(220)に向かって初期係止位置(図6参照)に弾性的に戻り、それによって、選択された長手方向位置においてカニューレチューブ(22、124)と、カニューレチューブ(22、124)に対する深度リミッタ(200)とを摩擦係合する。臨床医が、選択された長手方向位置で深度リミッタ(200)をより確実に係止することを望む場合、臨床医は次に、タング(252)を下向きに押し下げて、ラッチアーム(218)を図8Aに示され、上述された完全係止位置に押し込むことができる。
【0044】
ラッチアーム(218)は、初期係止位置(図6図7参照)と完全係止位置(図8Aを参照)との間で様々な程度の係止位置を有し得る。深度リミッタ(200)を第1の係止位置(例えば、初期係止位置)から第2の係止位置(例えば、完全係止位置)まで遠位に並進させるために、臨床医は、タング(252)に遠位力を加え、これにより、ラッチアーム(218)とカニューレチューブ(22、124)との間の摩擦係合の程度及びしたがって係止力を増加させる。
【0045】
初期係止位置におけるラッチアーム(218)とカニューレチューブ(22、124)との間の摩擦係合の程度は、例えば、患者の腹壁(2)を通る対応するカニューレアセンブリ(12、112)の遠位挿入中に深度リミッタ(200)とカニューレチューブ(22、124)との間に加えられる低い相対的な軸方向荷重に抵抗するのに十分に高いことが理解されよう。いくつかの変形例では、初期係止位置におけるこの摩擦係合の程度はまた、臨床医が、最初にラッチアーム(218)を解放位置に持ち上げることなく、カニューレチューブ(22、124)から深度リミッタ(200)を意図的に引き抜くことを可能にするのに十分低くてもよい。例えば、臨床医は、一方の手でカニューレアセンブリ(12、112)を把持し、他方の手で深度リミッタ(200)の環状ベース(220)を把持することによってカニューレチューブ(22、124)からカニューレアセンブリ(12、112)を近位に引っ張り、同時に環状ベース(220)を遠位に引っ張ることによって、深度リミッタ(200)を取り外すことができる。このプロセスは、ラッチアーム(218)を自動的に解放位置まで押し込み、したがって、深度リミッタ(200)がカニューレチューブ(22、124)に沿って遠位方向に並進することを可能にする。
【0046】
B.ばねラッチアームを有する第2の例示的な深度リミッタ
場合によっては、ラッチアーム(218)が中央ボス(222)の近位面(228)によって最大偏向角度(MA)に制限されない、カニューレ深度リミッタ(200)の変形例を提供することが望ましい場合がある。図9図10は、そのような構成を呈する別の例示的な深度リミッタ(300)を示す。以下でより詳細に説明されるように、深度リミッタ(300)は、トロカール(10、110)が腹壁(2)内に遠位に移動し得る深度を選択的に制限し得る。深度リミッタ(300)は、本明細書に明示的に記載されている場合を除いて、上記の深度リミッタ(200)と実質的に同様である。
【0047】
深度リミッタ(200)と同様に、深度リミッタ(300)は、環状ベース(320)に枢動可能に結合されたラッチアーム(318)を含む。ラッチアーム(318)は、環状ベース(320)に対して可撓性であり、解放位置から少なくとも1つの初期係止位置まで、更には完全係止位置まで移動され得る。環状ベース(320)は、比較的剛性であり、中央ボス(322)及び環状ハブ(324)を含む。中央ボス(322)は、近位面(328)から遠位部分(330)まで中心軸(A中心)に沿って遠位に延在するボス管腔(326)を画定する。環状ハブ(324)は、外縁部(334)まで半径方向に延在する下面(332)を含む。外縁部(334)は、ラッチアーム(318)の近位にある一対のレリーフ切断特徴部(338)を有する。
【0048】
ラッチアーム(318)は、第1の曲げ(344)において一対のレリーフ切断特徴部(338)の間で外縁部(334)に動作可能に取り付けられている。第1の曲げ(344)は、第1のアーム部分(340)を環状ベース(320)に取り付ける。第1のアーム部分(340)は、第2の曲げ(346)まで近位に延在する。第2の曲げ(346)は、中心軸(A中心)を横切って湾曲し、第2のアーム部分(342)に取り付けられている。第2のアーム部分(342)は、中心軸(A中心)に向かって延在し、中央ボス(322)の上にある。第2のアーム部分(342)は、アーム開口部(350)を画定し、タング(352)を含む。アーム開口部(350)は、アーム開口部(350)内の中心に位置し、環状ベース(320)に垂直なアーム軸(Aアーム)を有する。アーム開口部(350)は、係合特徴部(図示せず)を有し得る内縁部(354)を有する。ラッチアーム(218)と同様に、ラッチアーム(318)は、図9及び図10に示される初期係止位置に向かって弾性的に付勢される。
【0049】
深度リミッタ(300)は、中央ボス(322)が中央ボス(222)よりも短い軸方向高さで、かつ環状ベース(332)に概ね平行である近位面(328)で形成されるという点で、深度リミッタ(200)とは異なる。結果として、中央ボス(322)の近位面(328)は、深度リミッタ(300)がカニューレチューブ(22、124)と結合されたときに、ラッチアーム(318)を最大偏向角度(MA)に制限しない。具体的には、ラッチアーム(318)は、完全係止位置では近位面(328)と係合するように構成されていない。ラッチアーム(318)は、アーム軸(Aアーム)が最大偏向角度(MA)にあり得るが、最大偏向角度(MA)は、近位面(328)によって画定されない。むしろ、使用中のラッチアーム(318)の最大偏向角度(MA)は、ラッチアーム(318)がカニューレチューブ(22、124)の外面との最大可能な摩擦係合を達成する点によって画定され得る。深度リミッタ(300)のこの構成は、深度リミッタ(200)と実質的に同様に機能し得るが、中央ボス(322)の形状が単純化されているため、製造がより容易である。
【0050】
C.枢動可能なラッチアームを有する第3の例示的な深度リミッタ
場合によっては、遠位方向に先細になり、剛性であり、かつ係止位置に向かって弾性的に付勢されるラッチアームを含むハウジングを有するカニューレ深度リミッタを提供することが望ましい場合がある。図11図12Bは、このように構成された例示的な深度リミッタ(400)を示す。以下でより詳細に説明されるように、深度リミッタ(400)は、トロカール(10、110)が腹壁(2)内に移動し得る深度を選択的に制限し得る。深度リミッタ(200、300)と同様に、深度リミッタ(400)は、ハウジング(420)に枢動可能に結合されたラッチアーム(418)を含み、ラッチアーム(418)は、係止位置に弾性的に付勢される。ラッチアーム(418)は、深度リミッタ(200)の内縁部(254)と同様の内縁部(454)を有するアーム開口部(450)を含む。いくつかの変形例では、内縁部(454)は、カニューレチューブ(22、124)のリブ(26、128)に、相補的な幾何学的特徴を有する係止機構(図示せず)を含み得る。ラッチアーム(418)は、ラッチアーム(418)が深度リミッタ(400)とカニューレチューブ(22、124)との間の相対的な長手方向の動きを可能にする解放位置(図12Aを参照)と、ラッチアーム(418)が深度リミッタ(400)とカニューレチューブ(22、124)との間の相対的な長手方向の動きを阻止する少なくとも1つの係止位置(図12Bを参照)との間で並進するように、親指又は指で操作され得る。
【0051】
深度リミッタ(400)は、深度リミッタ(400)がラッチアーム(418)を少なくとも部分的に収容するハウジング(420)を含み、ラッチアーム(418)の付勢が圧縮ばね(460)の形態で示される独立した付勢部材によって提供されるという点で、深度リミッタ(200)とは異なる。ハウジング(420)は、カニューレチューブ(22、124)に対してラッチアーム(418)を支持することができる任意の好適な形状を有し得る。示される例では、ハウジング(420)は、遠位円錐台形部分(462)及び近位円筒形部分(464)を含む。近位円筒形部分(464)の近位端は、再利用可能なカニューレアセンブリ(112)のハブ(122)などのトロカールカニューレハブの遠位端と嵌合するように、又は他の方法で使い捨てカニューレアセンブリ(12)のシールアセンブリ(30)などのトロカールシールアセンブリの遠位端と嵌合するように、適切に輪郭形成され得る。
【0052】
円錐台形部分(462)は、切頭遠位面(466)と円錐部分(468)とを含む。切頭面(466)は、ハウジング(420)によって画定された本体の内部に開口し、中心軸(A中心)に沿って位置し、トロカール(10、110)のカニューレチューブ(22、124)を摺動可能に受容するようにサイズ決めされた遠位ボア(470)を画定する。円錐部分(468)は、切頭面(466)から中心軸(A中心)に沿って近位に延在する。円錐部分(468)は、遠位に位置する第1の直径(472)から近位に位置する第2の直径(474)まで先細になっている。第1の直径(472)は、第2の直径(474)に対して小さい。円筒形部分(464)は、外壁(476)、内壁(478)、枢動点(480)、及び近位面(482)を含む。外壁(476)は、円錐部分(468)の第2の直径(474)から中心軸(A中心)に沿って近位面(482)まで近位に延在する。外壁(476)は、その全長にわたって第2の直径(474)を有する。近位面(482)は、円筒形部分(464)の上部を部分的に覆い、近位面(482)の内側に位置するばね保持器(484)を含む。ばね保持器(484)は、ばね(460)を近位面(482)の内側に固定するための中央ピン(486)、環状凹部(488)、又はロックタブ(図示せず)を含み得る。ばね保持器(484)は、ばね(460)がハウジング(420)の近位面(482)から不注意に排出されるのを防止する。
【0053】
円筒形部分(464)は、中心軸(A中心)の第1の側部(S1)上に位置するレリーフスロット(490)を画定する。レリーフスロット(490)は、一対の垂直面(492)と、内壁(478)から外壁(476)まで半径方向に延在する水平面(494)と、を含む。水平面(494)は、近位面(482)の遠位の垂直面(492)の対を接続する。水平面(494)は、最大偏向角度(MA)で完全係止位置のラッチアーム(418)と係合するように先細になっていてもよい。レリーフスロット(490)は、ラッチアーム(418)が、内壁(478)によって画定された円を通って半径方向外向きに枢動点(480)を中心として枢動し、更に外壁(476)によって画定された円を通過することを可能にするようにサイズ決めされる。レリーフスロット(490)は、解放位置(図12A参照)から係止位置(図12B参照)までの全運動範囲でラッチアーム(418)を受容するようにサイズ決めされる。
【0054】
枢動点(480)は、第1の側部(S1)及びレリーフスロット(490)の反対側の中心軸(A中心)の第2の側部(S2)においてラッチアーム(418)に枢動可能に結合する。枢動点(480)は、動作可能に内壁(478)に取り付けられている。本変形例では、枢動点(480)は、内壁(478)と一体である。枢動点(480)は、スナップフィッティング(図示せず)、ピン(図示せず)、横方向ボア(図示せず)、リビングヒンジ(図示せず)、又は当業者に明らかな平面移動部を剛性ハウジングに枢動可能に結合することができる任意の他の構造を含み得る。
【0055】
ラッチアーム(418)は、第1のアーム部分(440)と第2のアーム部分(442)とを有する。第1のアーム部分(440)は、枢動特徴部(496)、ばね係合特徴部(498)、アーム開口部(450)、及び第1の曲げ(444)を含む。枢動特徴部(496)は、枢動点(480)に枢動可能に結合する。第1のアーム部分(440)は、枢動特徴部(496)から自由端(448)まで延在する。第1のアーム部分(440)は、遠位ボア(470)の上にある円形アーム開口部(450)を画定する。アーム開口部(450)は、アーム開口部(450)内の中央に位置するアーム軸(Aアーム)を含む。
【0056】
ばね係合特徴部(498)(図12A図12B参照)は、ばね(460)の位置に対応する第1のアーム部分(440)の上部の中心軸(A中心)の第2の側部(S2)に配置される。本変形例では、深度リミッタ(400)は、初期係止位置に付勢される(図12A参照)。ばね係合特徴部(498)は、中央ピン、環状凹部(図示せず)、ロックタブ(図示せず)、又は当業者に明らかなばね(460)を固定し得る任意の他の構造を含み得る。
【0057】
他の変形例では、ばね係合特徴部(498)は、第1のアーム部分(440)の下部に位置し、深度リミッタ(400)を解放位置に付勢するために同様に位置するばね保持器(484)に対応し得る。更に他の変形例では、ばね係合特徴部(498)は、中心軸(A中心)の第1の側部(S1)上に配置されてもよい。
【0058】
第2のアーム部分(442)は、第1の曲げ(444)から近位方向に自由端(448)まで延在する。第2のアーム部分(442)は、弓形又は平坦である断面を有し得る。第2のアーム部分(442)が弓形の断面を有する場合、水平面(494)も弓形である。自由端(448)は、第2のアーム部分(442)に対してわずかな曲げを有するタング(452)を含む。
【0059】
図12Aは、近位解放位置に保持されている深度リミッタ(400)のラッチアーム(418)を示す。図12Bに示される係止位置から、臨床医は、親指又は指を使用して、タング(452)を枢動点(480)の周りで弓形近位方向にカニューレチューブ(22、124)に向かって回転させ、それによって圧縮ばね(460)の対向する付勢を克服する。ラッチアーム(418)は、ばね保持器(484)とばね係合特徴部(498)との間のばね(460)を圧縮する。第1のアーム部分(440)が中心軸(A中心)に対してほぼ垂直な角度に枢動すると、アーム開口部(450)は、アーム軸(アーム)が中心軸(A中心)と同軸になるように遠位ボア(470)と同心に位置合わせされる。アーム開口部(450)の内縁部(454)は、もはやカニューレチューブ(22、124)と係合することはなく、それによって、深度リミッタ(400)をカニューレチューブ(22、124)に沿って軸方向に移動させることができる。
【0060】
図12Bは、係止位置にある深度リミッタ(400)のラッチアーム(418)を示す。ラッチアーム(418)は、ユーザの親指又は指をタング(452)から解放することによって、図12Aの解放位置から係止位置に移行する。解放されると、ばね(460)は、ばね係合特徴部(498)を遠位に付勢し、それによって、第1のアーム部分(440)を枢動点(480)の周りで回転させる。アーム開口部(450)の内縁部(454)は、アーム軸(Aアーム)がもはや中心軸(A中心)と位置合わせされないときにカニューレチューブ(22、124)に再係合し、それによって深度リミッタ(400)をカニューレチューブ(22、124)に対して軸方向に係止する。いくつかの変形例では、深度リミッタ(400)は、臨床医によってラッチアーム(418)が戻り止め位置から離れるように作動されるまで、ラッチアーム(418)を解放位置及び/又は係止位置に解放可能に維持するように構成された1つ又は2つ以上の戻り止め特徴部(図示せず)を更に含み得る。
【0061】
いくつかの変形例では、ラッチアーム(418)は、初期係止位置及び完全係止位置などの複数の係止位置間でハウジング(420)に対して移動可能であり得る。例えば、図11及び図12Bに示されるラッチアーム(418)の位置は初期係止位置を構成することができ、ラッチアーム(418)は、親指又は指でタング(452)を更に遠位方向及び半径方向外側に押すことによって、完全係止位置に更に移行することができる。ラッチアーム(418)は、第2のアーム部分(442)が最大偏向角度(MA)で水平面(494)に係合するまで弓形の様態で枢動点(480)を中心に回転する。水平面(494)は、内縁部(454)がカニューレチューブ(22、124)と過度に係合するのを防止する。アーム軸(Aアーム)は、中心軸(中心)に対して更に角度が付けられ、アーム開口部(450)と遠位ボア(470)との位置合わせの程度を低くする。中心軸(A中心)とアーム軸(Aアーム)との間の位置合わせの差が大きくなると、ラッチアーム(418)の内縁部(454)とカニューレチューブ(22、124)の外面との間の摩擦係合及び結果として生じる係止力が大きくなる。
【0062】
D.第4の例示的な深度リミッタ
図13は、第4の例示的な深度リミッタ(1010)の斜視図を示す。深度リミッタ(1010)は、ハブ(1012)と、複数の脚(1014)と、を含む。深度リミッタ(1010)は、上述の深度リミッタ(200、300、400)と組み合わせて使用され得る。ハブ(1012)は略正方形の形状であるように示されているが、ハブ(1012)の他の形状も想定される。示されるように、ハブ(1012)は、それを通って完全に延在するアパーチャ(1016)を含む。アパーチャ(1016)は、把持面(1018)を含み得る。把持面(1018)は、カニューレ(20)のカニューレチューブ(22)によって画定された長手方向軸に平行に延在し得る。図13図14Bは、図1のトロカール(10)のカニューレチューブ(22)を参照して深度リミッタ(1010)を説明しているが、他のカニューレチューブ(例えば、カニューレチューブ(124))も使用され得る。把持面(1018)は、平滑又は非平滑であり得る。図13に示すように、把持面(1018)は、リブ(26)などのカニューレ(20)の一部分に摩擦係合し得る平滑面を含む。あるいは、把持面(1018)は、カニューレチューブ(22)に係止係合するための1つ又は2つ以上の特徴部を含み得る非平滑面を含み得る。言い換えれば、深度リミッタ(1010)は、嵌合ねじ(ナットのような)を用いてカニューレ(20)に固定されるか、又は適切な量の干渉嵌合を有するスカラップカニューレに固定され得る。深度リミッタ(1010)のそのようなねじは、螺旋状又は非螺旋状(例えば、スカラップ)であり得る。例えば、把持面(1018)は、カニューレ(20)のリブ(26)の少なくとも1つと係止係合するように構成された少なくとも1つの歯を含み得る。
【0063】
脚(1014)は、ハブ(1012)から半径方向に離れて移動する一定の断面積を有し得る。しかしながら、脚(1014)は、不均一な断面を有し得る。例えば、脚(1014)の1つ又は2つ以上の端部は、下向きの力を分配するためのカップ状の部分(1020)を含み得る。示されるように、脚(1014)は、ほぼ90度分離されている。より多い又はより少ない脚(1014)も想定される。
【0064】
深度リミッタ(1010)は、耐先端抵抗のためにトロカール(10)に追加の安定性を提供し得る。深度リミッタ(1010)は、脚(1014)を使用して突然の傾斜を制限し、それによって、カニューレ(20)を安定化するように構成され得る。深度リミッタ(1010)は、本体への偶発的な過剰な挿入を防止するように構成されているが、トロカール(10)を安定化するためにトロカール(10)の軸外傾斜の変位及び/又は速度も制限する。この安定化は、各脚(1014)の機械的ばね効果を使用して達成され得る。脚(1014)は、脚(1014)が外向きに撓むことを可能にし、トロカール(10)が傾けようとする各方向における可変量のばね抵抗を引き起こす。例えば、脚(1014)は、減少した質量部分(例えば、リビングヒンジ部分)を有してもよく、かつ/又は脚(1014)の固有のばね力に依存してもよい。脚(1014)は、患者の身体壁に接触して、カニューレ(120)の上方の先端を防止するか、又は少なくとも減速させることができる。
【0065】
図14A図14Bは、深度リミッタ(1010)を示す。しかしながら、図14A図14Bの教示はまた、以下で詳細に説明される深度リミッタ(1110、1210)に適用され得る。図14Aは、図1のトロカール(10)のカニューレアセンブリ(12)のカニューレチューブ(22)と結合された図13の深度リミッタ(1010)の部分側面断面図を示し、深度リミッタ(1010)の脚(1014)は、トロカール(10)の遠位端部が腹腔(1)内に受容されるときに、非展開構成にある。図14Aの非展開構成(例えば、休止構成)では、脚(1014)は下向きに湾曲していてもよい。深度リミッタ(1010)が腹壁(2)に押し付けられると、脚(1014)はより平らに曲がり、腹壁(2)及びカニューレ(20)に対する反応ばね力を提供する。脚(1014)がより平坦に曲がる程度は、ユーザによって制御され得る。例えば、追加の力(例えば、ユーザによる下向きの手の圧力)は、深度リミッタ(1010)が腹壁(2)に隣接して配設されるまで、脚(1014)をより平らに曲げることができる。脚(1014)の平坦性が増加するにつれて、カニューレ(20)に対する反応力の量も増加し得、これにより、係止力が増加する。例えば、ユーザが部分的に(しかし完全にではない)展開構成に深度リミッタ(1010)を押し下げると、脚(1014)は、ある程度の展開を有し得る。更に、次いで、ユーザが軸外負荷を適用する場合、脚(1014)のうちの1つ又は2つ以上は、他の脚(1014)よりも更に押し下げられ得るが、軸外負荷の取り外し時に、脚(1014)を均一化し、制御された方法で中心のホーム位置に戻すことができる。
【0066】
図14Bは、閉塞具(16)の取り外し及び除去後の、図1のカニューレアセンブリ(12)のカニューレチューブ(22)と結合された図13の深度リミッタ(1010)の部分側面断面図を示し、深度リミッタ(1010)の脚(1014)は、カニューレチューブ(22)の遠位端部が腹腔(1)内に受容されている、展開構成にある。展開構成では、脚(1014)は、トロカール(10)が達成することができる回転変位/傾斜の量を低減することができ、また、トロカール(10)がその傾斜を達成することができる速度を低減することができる(すなわち、体内で突然の偶発的な動きを妨げる)。カニューレチューブ(22)から深度リミッタ(1010)を完全に展開するために、ユーザは、腹壁(2)の深度リミッタ(1010)の圧縮/クランプ力を十分に低減させて、ユーザが深度リミッタ(1010)を手で引き戻すことができるように、カニューレ(20)を腹壁(2)から後退させることができる。深度リミッタ(1010)は、使い捨て又は再利用可能であり得る。
【0067】
E.第5の例示的な深度リミッタ
図15は、深度リミッタ(1010)と同様の第5の例示的な深度リミッタ(1110)を示す。深度リミッタ(1110)は、ハブ(1012)と同様のハブ(1112)と、脚(1014)と同様の脚(1114)と、アパーチャ(1016)と同様のアパーチャ(1116)と、把持面(1018)と同様のアパーチャ(1116)の把持面(1118)と、を含む。脚(1114)は、カップ状の部分(1020)と同様のカップ状の部分(1120)を含み得る。4つの脚(1014)を含むように示される深度リミッタ(1010)とは異なり、深度リミッタ(1110)は、2つの脚(1114)を含む。例えば、脚(1114)は、ほぼ180度分離され得る。脚(1114)は、図14A図14Bを参照して上に示した脚(1014)と同様に撓む。
【0068】
F.第6の例示的な深度リミッタ
図16は、深度リミッタ(1010、1110)と同様の第6の例示的な深度リミッタ(1210)を示す。深度リミッタ(1210)は、ハブ(1012)と同様のハブ(1212)と、脚(1014)と同様の脚(1214)と、アパーチャ(1016)と同様のアパーチャ(1216)と、把持面(1018)と同様のアパーチャ(1216)の把持面(1218)と、を含む。脚(1114)は、カップ状の部分(1020)と同様のカップ状の部分(1220)を含み得る。4つの脚(1014)を含むように示される深度リミッタ(1010)とは異なり、深度リミッタ(1210)は、3つの脚(1214)を含む。例えば、脚(1214)は、ハブ(1212)の周りでほぼ120度だけ均一に円周方向に分離され得る。しかしながら、脚(1214)は、不均一に分離され得る。場合によっては、3つ又は4つの脚(1014、1214、1314、1414)の使用は、更なる安定性及び人間工学を可能にして、ユーザ(U)のフィンガーグリップを可能にすることができる。脚(1214)は、図14A図14Bを参照して上に示した脚(1014)と同様に撓み得る。
【0069】
G.第7の例示的な深度リミッタ
図17図19Bは、第7の例示的な深度リミッタ(1310)を示す。特に、図17は、深度リミッタ(1310)の斜視図を示す。示されるように、深度リミッタ(1310)は、ハブ(1312)と、ハブ(1312)から延在する複数の脚(1314)と、を含む。深度リミッタ(1310)は、上述の深度リミッタ(200、300、400)のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせて使用され得る。ハブ(1312)は略円筒形であるように示されているが、ハブ(1312)の他の形状も想定される。示されるように、ハブ(1312)は、アパーチャ(1316)と、複数のノッチ(1318)と、を含む。ノッチ(1318)は、可動構成から固定構成に深度リミッタ(1310)を変換することができる。
【0070】
アパーチャ(1316)は、固定構成でカニューレチューブ(124)の外面と結合するように構成された把持面(1320)を含む。把持面(1320)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)によって画定された長手方向軸に平行に延在し得る。図18A図19Bは、トロカール(110)のカニューレチューブ(124)を参照して深度リミッタ(1310)を説明しているが、他のカニューレチューブ(例えば、カニューレチューブ(22))も使用され得る。把持面(1320)は、平滑又は非平滑であり得る。図17に示すように、把持面(1320)は、固定構成においてカニューレ(120)のリブ(128)と摩擦係合する平滑面を含み得る。あるいは、把持面(1320)は、カニューレチューブ(124)に係止係合するための1つ又は2つ以上の特徴部を含み得る非平滑面を含み得る。深度リミッタ(1310)のハブ(1312)は、嵌合ねじ(ナットのような)でカニューレ(120)に固定され得るか、又は干渉嵌合を使用して、スカラップカニューレに固定され得る。ねじは、螺旋状又は非螺旋状(例えば、スカラップ)であり得る。例えば、把持面(1320)は、カニューレ(120)のリブ(128)の少なくとも1つと係止係合するように構成された少なくとも1つの歯を含み得る。例えば、ノッチ(1318)は、その脚(1314)に適切な力が作用して、把持面(1320)をカニューレ(120)上でより緊密にクランプさせるときに、各脚(1314)が選択的に折り畳まれ得るように、深度リミッタ(1310)のハブ(1312)において形成され得る。したがって、深度リミッタ(1310)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)の挿入深度を制限し、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)の安定制御を提供することができる。
【0071】
脚(1314)は、ハブ(1312)から半径方向に離れて移動する略先細の断面を有し得る。例えば、脚(1314)のうちの1つ又は2つ以上の端部は、下向きの力を分配するための遠位パッド(1122)を含み得る。示されるように、脚(1314)は、ほぼ90度分離されている。脚(1314)は、不均一に分離され得る。更に、より多くの又はより少ない脚(1314)も想定される(深度リミッタ(1310、1410)に関連付けられた図16図17に示されるものと同様)。深度リミッタ(1310)は、耐先端抵抗のためにトロカール(110)に追加の安定性を提供し得る。深度リミッタ(1310)は、脚(1314)を使用して突然の傾斜を制限し、それによって、カニューレ(120)を安定化するように構成され得る。脚(1314)は、身体壁に接触して、カニューレ(120)の上方の先端を防止するか、又は少なくとも減速させることができる。
【0072】
図18A及び図19Aは、可動構成における深度リミッタ(1310)を示す。特に、図18Aは、深度リミッタ(1310)のハブ(1312)が可動構成にある、図5のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された図17の深度リミッタ(1310)の上面図を示す。図19Aは、深度リミッタ(1310)の脚(1314)が可動構成にある、図5のトロカール(112)のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された図17の深度リミッタ(1310)の部分側面断面図を示す。図18A及び図19Aの可動構成では、把持面(1320)は、カニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)の外径に対する深度リミッタ(1310)の軸方向の移動を可能にする第2の有効直径(ED2)を集合的に形成する。可動構成では、休止構成と見なされ、脚(1314)は、下向きに湾曲している。腹壁(2)に押し付けられると、脚(1314)はより平坦に曲がり、腹壁(2)及びカニューレ(120)に対する反応力を提供する。
【0073】
図18B及び図19Bは、可動構成における深度リミッタ(1310)を示す。特に、図18Bは、深度リミッタ(1310)の脚(1314)が固定構成にある、閉塞具(116)の取り外し及び除去後の、図5のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された図17の深度リミッタ(1310)の部分側面断面図を示す。図19Bは、深度リミッタ(1310)の脚(1314)が固定構成にある、閉塞具(116)の取り外し及び除去後の、図5のトロカール(112)のカニューレアセンブリ(112)のカニューレチューブ(124)と結合された図17の深度リミッタ(1310)の部分側面断面図を示す。固定構成では、ノッチ(1318)は、狭いアパーチャ(1316)に強制的に閉鎖され得る。脚(1314)は、トロカール(110))が示すことができる回転変位/傾斜の量を低減することができ、また、トロカール(110)がその傾斜を前提とすることができる速度を低減することができる(すなわち、体内で突然の動きを妨げる)。固定構成では、把持面(1320)は、カニューレ(120)に直接接触することによって、カニューレ(120)に対する深度リミッタ(1310)の軸方向の移動を制限する第1の有効直径(ED1)を集合的に形成する。深度リミッタ(1310)は、使い捨て又は再利用可能であり得る。
【0074】
H.第8の例示的な深度リミッタ
図20は、第8の例示的な深度リミッタ(1410)の上面断面図を示す。深度リミッタ(1410)は、ハブ(1412)と、ハブ(1412)から延在する複数の脚(1414)と、を含む。深度リミッタ(1410)は、上述の深度リミッタ(200、300、400)のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせて使用され得る。いくつかの変形例では、ハブ(1412)は、略円筒形状であり得る。示されるように、ハブ(1412)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)を受容するように構成されたアパーチャ(1416)を含む。示されるように、脚(1414)は、ほぼ90度分離され得る。しかしながら、脚(1414)は、不均一に分離され得る。更に、より多くの又はより少ない脚(1414)も想定される(深度リミッタ(1110、1210)に関連付けられた図14図15に示されるものと同様)。
【0075】
深度リミッタ(1410)は、ハブ(1412)及び脚(1414)内に配設され得る流体チャンバ(1418)を含む。例えば、流体チャンバ(1418)は、ハブ(1412)及び脚(1414)によって完全に封入され得る。流体チャンバは、狭い部分(1422)を含む複数の流体通路(1420)を含み得る。狭い部分(1422)は、一般にハブ(1412)と脚(1414)との間に配設され得る。狭い部分(1422)は、ハブ(1412)と脚(1414)との間の流れを調節する。言い換えれば、流体チャンバ(1418)は、各脚(1414)のベースに流れの制限領域を形成する狭い部分(1422)と備える脚(1414)に一体化され得る。示されるように、脚(1414)のうちの1つ又は2つ以上の端部は、圧縮構成(C)から拡張構成(E)まで延在するように構成された広範な部分(1424)を含み得る。深度リミッタ(1410)は、耐先端抵抗のためにトロカール(110)に追加の安定性を提供し得る。追加の傾斜力が各独立した脚(1414)に作用すると、流体は、他の脚(1414)に再分配され得るが、流体は、これらの狭い部分(1422)によって制限され得、したがって、トロカール(110)の傾斜に減衰効果をもたらす。この減衰効果は、トロカール(110)が傾斜する速度を調節することができる。結果として、深度リミッタ(1410)は、脚(1414)間の制限された流体の流れを介して、トロカール(110)の突然の傾斜を制限し、それによって、カニューレ(120)を安定化させることができる。
【0076】
アパーチャ(1416)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)の外面と結合し得る把持面(1426)を含む。把持面(1426)は、カニューレ(120)のカニューレチューブ(124)によって画定された長手方向軸に平行に延在し得る。把持面(1426)は、平滑又は非平滑であり得る。図20に示すように、把持面(1426)は、カニューレ(120)のリブ(128)に摩擦係合する平滑面を含み得る。あるいは、把持面(1426)は、カニューレチューブ(124)に係止係合するための1つ又は2つ以上の特徴部を含み得る非平滑面を含み得る。例えば、深度リミッタ(1410)のハブ(1412)は、嵌合ねじ(ナットのような)を使用して、カニューレ(120)に固定され得るか、又はスカラップカニューレに固定され得る。ねじは、螺旋状又は非螺旋状(例えば、スカラップ)であり得る。例えば、把持面(1426)は、カニューレ(120)のリブ(128)の少なくとも1つと係止係合するように構成された少なくとも1つの歯を含み得る。深度リミッタ(1410)は、使い捨てであり得る
【0077】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、一部の変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してもよいことも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であると見なされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものと見なされるべきではない。
【実施例1】
【0078】
外科用カニューレと共に使用するように構成された深度リミッタであって、(a)環状ベースであって、(i)患者に対して位置決めされるように構成された下面と、(ii)深度リミッタの長手方向軸の周りに延在するボスであって、内部を通して外科用カニューレを受容するように構成されたボス管腔を有する、ボスと、を含む、環状ベースと、(b)環状ベースと結合されたラッチアームであって、ボスの上にあり、ボス管腔と位置合わせして内部を通して外科用カニューレを受容するように構成されたアーム開口部を含む、ラッチアームと、を備え、ラッチアームは、解放位置と係止位置との間で環状ベースに対して選択的に移動可能であり、解放位置において、アーム開口部はボス管腔と同軸に位置付けられ、その結果、ラッチアームは、外科用カニューレに沿った深度リミッタの長手方向の移動を可能にするように構成され、係止位置において、アーム開口部はボス管腔と非同軸に位置付けられ、その結果、ラッチアームは外科用カニューレの外面に係合し、それによって外科用カニューレに沿った深度リミッタの長手方向の移動を阻止するように構成されている、深度リミッタ。
【実施例2】
【0079】
解放位置は近位位置であり、係止位置は遠位位置である、実施例1に記載の深度リミッタ。
【実施例3】
【0080】
ラッチアームは、解放位置から離れて係止位置に向かって弾性的に付勢されている、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例4】
【0081】
ラッチアームは、ばねアームを備える、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例5】
【0082】
ラッチアームは、ユーザによって係合されてラッチアームを解放位置から係止位置に移行させるように構成された上向きに湾曲したリップを含む、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例6】
【0083】
ラッチアームは、環状ベースから離れて延在する第1のアーム部分と、第1のアーム部分から中心軸に向かって延在する第2のアーム部分と、を含む、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例7】
【0084】
第2のアーム部分は、ラッチアームが解放位置にある場合、長手方向軸に対して垂直に延在するように構成されている、実施例6に記載の深度リミッタ。
【実施例8】
【0085】
ボスは、環状ベースに向かう方向においてラッチアームの最大偏向角度を制限するように構成されている、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例9】
【0086】
ボスは近位面を含み、近位面は、長手方向軸に対して斜めに位置付けられ、最大偏向角度でラッチアームと係合するように構成されている、実施例8に記載の深度リミッタ。
【実施例10】
【0087】
環状ベースは、環状ベースに結合されたラッチアームのベース端に隣接する一対のレリーフ切断特徴部を含み、レリーフ切断特徴部は、環状ベースに対するラッチアームの偏向を促進するように構成されている、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例11】
【0088】
ラッチアームは、アーム開口部の一部分を画定する縁部を含み、縁部は、外科用カニューレの側部に係合して、それによってラッチアームを係止位置に維持するように構成されている、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例12】
【0089】
縁部は、外科用カニューレの組織係合特徴部と嵌合するように構成されている、実施例11に記載の深度リミッタ。
【実施例13】
【0090】
環状ベースは丸められた外縁部を含む、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例14】
【0091】
ボス管腔及びアーム開口部の各々は、同じ横断面形状を有する、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例15】
【0092】
係止位置は第1の係止位置を備え、ラッチアームは、第1の係止位置に向かって付勢され、第1の係止位置から第2の係止位置まで環状ベースに向かって移動可能であり、第2の係止位置において、アーム開口部は、第1の係止位置にあるときよりも大きい程度まで、ボス開口部と非同軸である、先行する実施例のいずれか1つに記載の深度リミッタ。
【実施例16】
【0093】
ラッチアームは、第2の係止位置においてボスに直接接触するように構成されている、実施例15に記載の深度リミッタ。
【実施例17】
【0094】
外科用アクセスデバイスアセンブリであって、(a)カニューレであって、カニューレの長手方向軸に沿って外科用器具を誘導するように構成された作業チャネルを有する、カニューレと、(b)カニューレと移動可能に結合された深度リミッタであって、(i)ベースであって、通路軸に沿ってベースを通って延在する通路を有する、ベースと、(ii)ベースと結合されたラッチアームであって、ラッチアームは、通路の上にあり、開口軸を有するアーム開口部を含み、カニューレは、通路及びアーム開口部内に摺動可能に配設されている、ラッチアームと、を含む、深度リミッタと、を備え、ラッチアームは、解放位置と係止位置との間でベースに対して選択的に移動可能であり、解放位置において、深度リミッタがカニューレに沿って長手方向に自由に並進するように構成されるように、開口軸は通路軸と位置合わせされ、係止位置において、ラッチアームがカニューレの外面に係合し、それによってカニューレに対して長手方向に深度リミッタを固定するように構成されるように、開口軸は通路軸と位置合わせされない、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例18】
【0095】
ラッチアームは、係止位置に向かって弾性的に付勢されている、実施例17に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例19】
【0096】
ベースは、係止位置でラッチアームに当接し、それによってベースに向かう方向においてラッチアームの運動範囲を制限するように構成された近位面を含む、実施例17から18のいずれか1つに記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
【実施例20】
【0097】
外科用カニューレと共に使用するように構成された深度リミッタであって、(a)ベースであって、(i)患者に対して位置決めされるように構成された下面と、(ii)深度リミッタの長手方向軸の周りに延在するボスであって、近位面と、内部を通して外科用カニューレを受容するように構成されたボス管腔と、を有する、ボスと、を含む、ベースと、(b)ベースと結合されたラッチアームであって、ボスの上にあり、ボス管腔と位置合わせして内部を通して外科用カニューレを受容するように構成されたアーム開口部を含む、ラッチアームと、を備え、ラッチアームは、近位解放位置と遠位係止位置との間でベースに対して選択的に移動可能であり、近位解放位置において、アーム開口部はボス管腔と同軸に位置付けられ、その結果、ラッチアームは、深度リミッタが外科用カニューレに沿って並進することを可能にするように構成され、遠位係止位置において、ラッチアームはボスの近位面に当接するように構成され、アーム開口部はボス管腔と非同軸に位置付けられ、その結果、ラッチアームは外科用カニューレの外面に係合し、それによって外科用カニューレに対する深度リミッタの並進を阻止するように構成されている、深度リミッタ。
【0098】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者には容易に明らかとなるであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0099】
更に、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上は、第[代理人整理番号参照番号END9247USNP1](「Pinch-To-Release Cannula Depth Limiter」と題され、本願と同日に出願された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP2](「Multi-Diameter Cannula Depth Limiter」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP3](「Pinch-To-Clamp Cannula Depth Limiter」と題され、本願と同日に出願された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP4](「Universal Size Multi-Walled Elastomer Cannula Depth Limiter」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP5](「Threaded Cannula Depth Limiter」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP7](「Two Piece Separable Obturator」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP8](「Latchless Obturator with Interference Fit Feature」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP9]号(「Balancing Feature for Reusable Trocar」と題された)、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人整理番号参照番号END9247USNP10](「Airflow Channels and Patterns in Lumen for Cannula」と題された)、及び/又は、第[代理人整理番号参照番号END9247USNP11](「Stabilizer for Surgical Shafts or Cannulas」と題された)に開示された教示のうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。これらの特許出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0101】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家によって行われる従来の医療処置及び手術に適用するだけでなく、ロボット支援医療処置及び手術にも適用することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、Intuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどのロボット外科用システムに容易に組み込むことができる。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日発行の「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年7月22日発行の「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号、2013年7月9日発行の「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日に発行された、「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日に発行された、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0102】
上述のデバイスの変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整することができる。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整施設において、又は処置の直前にユーザによって、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0103】
単に例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させることがある。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、ベータ線若しくはガンマ線、エチレンオキシド、又は蒸気を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の任意の他の技術を用いて滅菌することができる。
【0104】
本発明の様々な実施形態を示し記載したが、当業者による適切な修正により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、幾何学的形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであり、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) 外科用カニューレと共に使用するように構成された深度リミッタであって、
(a)環状ベースであって、
(i)患者に対して位置決めされるように構成された下面と、
(ii)前記深度リミッタの長手方向軸の周りに延在するボスであって、内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたボス管腔を有する、ボスと、を含む、環状ベースと、
(b)前記環状ベースと結合されたラッチアームであって、前記ボスの上にあり、前記ボス管腔と位置合わせして内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたアーム開口部を含む、ラッチアームと、を備え、
前記ラッチアームは、解放位置と係止位置との間で前記環状ベースに対して選択的に移動可能であり、
前記解放位置において、前記アーム開口部は前記ボス管腔と同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは、前記外科用カニューレに沿った前記深度リミッタの長手方向の移動を可能にするように構成され、
前記係止位置において、前記アーム開口部は前記ボス管腔と非同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは前記外科用カニューレの外面に係合し、それによって前記外科用カニューレに沿った前記深度リミッタの長手方向の移動を阻止するように構成されている、深度リミッタ。
(2) 前記解放位置は近位位置であり、前記係止位置は遠位位置である、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(3) 前記ラッチアームは、前記解放位置から離れて前記係止位置に向かって弾性的に付勢されている、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(4) 前記ラッチアームは、ばねアームを備える、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(5) 前記ラッチアームは、ユーザによって係合されて前記ラッチアームを前記解放位置から前記係止位置に移行させるように構成された上向きに湾曲したリップを含む、実施態様1に記載の深度リミッタ。
【0106】
(6) 前記ラッチアームは、前記環状ベースから離れて延在する第1のアーム部分と、前記第1のアーム部分から前記中心軸に向かって延在する第2のアーム部分と、を含む、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(7) 前記第2のアーム部分は、前記ラッチアームが前記解放位置にある場合、前記長手方向軸に対して垂直に延在するように構成されている、実施態様6に記載の深度リミッタ。
(8) 前記ボスは、前記環状ベースに向かう方向において前記ラッチアームの最大偏向角度を制限するように構成されている、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(9) 前記ボスは近位面を含み、前記近位面は、前記長手方向軸に対して斜めに位置付けられ、前記最大偏向角度で前記ラッチアームと係合するように構成されている、実施態様8に記載の深度リミッタ。
(10) 前記環状ベースは、前記環状ベースに結合された前記ラッチアームのベース端に隣接する一対のレリーフ切断特徴部を含み、前記レリーフ切断特徴部は、前記環状ベースに対する前記ラッチアームの偏向を促進するように構成されている、実施態様1に記載の深度リミッタ。
【0107】
(11) 前記ラッチアームは、前記アーム開口部の一部分を画定する縁部を含み、前記縁部は、前記外科用カニューレの側部に係合して、それによって前記ラッチアームを前記係止位置に維持するように構成されている、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(12) 前記縁部は、前記外科用カニューレの組織係合特徴部と嵌合するように構成されている、実施態様11に記載の深度リミッタ。
(13) 前記環状ベースは丸められた外縁部を含む、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(14) 前記ボス管腔及び前記アーム開口部の各々は、同じ横断面形状を有する、実施態様1に記載の深度リミッタ。
(15) 前記係止位置は第1の係止位置を備え、前記ラッチアームは、前記第1の係止位置に向かって付勢され、前記第1の係止位置から第2の係止位置まで前記環状ベースに向かって移動可能であり、前記第2の係止位置において、前記アーム開口部は、前記第1の係止位置にあるときよりも大きい程度まで、前記ボス開口部と非同軸である、実施態様1に記載の深度リミッタ。
【0108】
(16) 前記ラッチアームは、前記第2の係止位置において前記ボスに直接接触するように構成されている、実施態様15に記載の深度リミッタ。
(17) 外科用アクセスデバイスアセンブリであって、
(a)カニューレであって、前記カニューレの長手方向軸に沿って外科用器具を誘導するように構成された作業チャネルを有する、カニューレと、
(b)前記カニューレと移動可能に結合された深度リミッタであって、
(i)ベースであって、通路軸に沿って前記ベースを通って延在する通路を有する、ベースと、
(ii)前記ベースと結合されたラッチアームであって、前記ラッチアームは、前記通路の上にあり、開口軸を有するアーム開口部を含み、前記カニューレは、前記通路及び前記アーム開口部内に摺動可能に配設されている、ラッチアームと、を含む、深度リミッタと、を備え、
前記ラッチアームは、解放位置と係止位置との間で前記ベースに対して選択的に移動可能であり、
前記解放位置において、前記深度リミッタが前記カニューレに沿って長手方向に自由に並進するように構成されるように、前記開口軸は前記通路軸と位置合わせされ、
前記係止位置において、前記ラッチアームが前記カニューレの外面に係合し、それによって前記カニューレに対して長手方向に前記深度リミッタを固定するように構成されるように、前記開口軸は前記通路軸と位置合わせされない、外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(18) 前記ラッチアームは、前記係止位置に向かって弾性的に付勢されている、実施態様17に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(19) 前記ベースは、前記係止位置で前記ラッチアームに当接し、それによって前記ベースに向かう方向において前記ラッチアームの運動範囲を制限するように構成された近位面を含む、実施態様17に記載の外科用アクセスデバイスアセンブリ。
(20) 外科用カニューレと共に使用するように構成された深度リミッタであって、
(a)ベースであって、
(i)患者に対して位置決めされるように構成された下面と、
(ii)前記深度リミッタの長手方向軸の周りに延在するボスであって、近位面と、内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたボス管腔と、を有する、ボスと、を含む、ベースと、
(b)前記ベースと結合されたラッチアームであって、前記ボスの上にあり、前記ボス管腔と位置合わせして内部を通して前記外科用カニューレを受容するように構成されたアーム開口部を含む、ラッチアームと、を備え、
前記ラッチアームは、近位解放位置と遠位係止位置との間で前記ベースに対して選択的に移動可能であり、
前記近位解放位置において、前記アーム開口部は前記ボス管腔と同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは、前記深度リミッタが前記外科用カニューレに沿って並進することを可能にするように構成され、
前記遠位係止位置において、前記ラッチアームは前記ボスの前記近位面に当接するように構成され、前記アーム開口部は前記ボス管腔と非同軸に位置付けられ、その結果、前記ラッチアームは前記外科用カニューレの外面に係合し、それによって前記外科用カニューレに対する前記深度リミッタの並進を阻止するように構成されている、深度リミッタ。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
【国際調査報告】