(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】運動の変動性、疾病および傷害の予測、ならびに回復準備状態を判定するためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20230605BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G16H50/30
A61B5/11 210
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567092
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 US2021030596
(87)【国際公開番号】W WO2021226040
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520476396
【氏名又は名称】スパルタ ソフトウェア コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー, フィリップ パトリック
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA05
4C038VA11
4C038VB35
4C038VC20
5L099AA04
5L099AA15
(57)【要約】
システム、デバイス、および方法が、運動の変動性データを含むユーザ運動データに基づいて、傷害リスクおよび競技準備状態を判定するために提供される。概して、フォースプレート等のセンサデバイスが、ユーザ運動のある特性を感知するために提供される。センサデバイスに結合されるコンピューティングデバイスが、ユーザ運動の特性を示すセンサデータを受信し、センサデータからの情報を処理および抽出し、処理されたセンサデータをサーバシステムに伝送するように構成されることができる。遠隔サーバシステムは、データベース内で処理されたセンサデータを記憶、集約、および更新するように構成されることができ、また、ユーザ運動に相関する1つ以上の正規化されたスコアを発生させることができる。正規化されたスコアは、傷害に対する感受性および/または通常の活動への復帰に向けた準備状態をユーザに示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの準備状態を査定するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
ユーザの基準体重を測定することと、
バランステストを実施するように前記ユーザに通知することであって、前記バランステストは、フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、ことと、
前記バランステストの間に前記フォースプレートからセンサデータを受信することであって、前記センサデータは、経時的な1つ以上の中心圧運動データを含む、ことと、
前記1つ以上の中心圧運動データの1つ以上の平均を判定することと、
前記1つ以上の平均を遠隔サーバシステムに伝送することと、
前記遠隔サーバシステム上に常駐し、またはそれと通信する、データベースに基づいて、前記1つ以上の平均を正規化することと、
前記1つ以上の正規化された平均に基づいて、運動の変動性スコアを判定することと、
前記1つ以上の正規化された平均に基づいて、疾病および傷害リスクスコアを判定することと、
前記ユーザの査定頻度を判定することと、
少なくとも部分的に、前記運動の変動性スコア、前記疾病および傷害リスクスコア、前記査定頻度に基づいて、準備状態スコアを判定することと、
前記準備状態スコアを前記遠隔サーバシステムから受信し、コンピューティングデバイス上の表示のために出力することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記バランステストは、前記ユーザの両足が前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が開いた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バランステストは、前記ユーザの両足が前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が閉じた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バランステストは、前記ユーザの足のうちの第1の足のみが前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が開いた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バランステストは、前記ユーザの足のうちの第1の足のみが前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が閉じた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の中心圧運動データは、揺動速度および揺動速度周波数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記バランステストを実施するように前記ユーザに通知するステップおよびセンサデータを受信するステップは、複数回繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の平均を判定するステップは、前記複数の繰り返しを横断して1つ以上の力測定値のそれぞれを平均化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の平均を正規化するステップは、ユーザの所定の母集団を有するデータベースに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザの所定の母集団は、ユーザの母集団全体を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザの所定の母集団は、前記ユーザの集団のサブセットを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記サブセットは、性別、体重範囲、年齢範囲、傷害または疾病タイプ、および好ましいスポーツ内でのポジションのうちの少なくとも1つによって分類される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記運動の変動性スコアを判定するステップはさらに、学習機械モデルに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
疾病または傷害を予測するために複合統計分析をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
回復準備状態を予測するために複合統計分析をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複合統計分析は、学習機械を使用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記センサデータから特徴の1つ以上のセットを抽出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記抽出するステップは、生物物理学ベースの分析、統計値/信号処理ベースの分析、および教師なし学習技法のうちの1つを通して行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生物物理学ベースの分析は、バランスをとっている間の所与の時間周期にわたって、前記ユーザに対する前記1つ以上の中心圧の速度の平均的大きさを推定することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記統計値/信号処理ベースの分析は、所与の時間にわたって、センサデータに対するマルチスケールサンプルエントロピの計算を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記教師なし学習技法は、オートエンコーディング時間畳み込みニューラルネットワークを使用することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ユーザの準備状態を査定するためのシステムであって、前記システムは、
コンピューティングデバイスによって、ユーザの基準体重を測定することと、
前記コンピューティングデバイスによって、バランステストを実施するように前記ユーザに通知することであって、前記バランステストは、フォースプレートの定常位置に立つことを含む、ことと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記バランステストの間に、前記フォースプレートからセンサデータを受信することであって、前記センサデータは、経時的な1つ以上の中心圧運動データを含む、ことと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記1つ以上の中心圧運動データの1つ以上の平均を判定することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記1つ以上の平均を前記コンピューティングデバイスに結合されるサーバシステムに伝送することと、
前記サーバシステムによって、前記サーバシステム上に常駐し、またはそれと通信する、データベースに基づいて、前記1つ以上の平均を正規化することと、
前記サーバシステムによって、前記1つ以上の正規化された平均に基づいて、運動の変動性スコアを判定することと、
前記サーバシステムによって、前記1つ以上の正規化された平均に基づいて、疾病および傷害リスクスコアを判定することと、
前記サーバシステムによって、前記ユーザの査定頻度を判定することと、
前記サーバシステムによって、少なくとも部分的に、前記運動の変動性スコア、前記疾病および傷害リスクスコア、前記査定頻度に基づいて、準備状態スコアを判定することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記準備状態スコアを前記サーバシステムから受信し、表示することと
を含む、システム。
【請求項23】
前記バランステストは、前記ユーザの両足が前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が開いた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記バランステストは、前記ユーザの両足が前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が閉じた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記バランステストは、前記ユーザの足のうちの第1の足のみが前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が開いた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記バランステストは、前記ユーザの足のうちの第1の足のみが前記フォースプレート上にあり、前記ユーザの両眼が閉じた状態で、前記フォースプレート上の定常位置に立つことを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記1つ以上の中心圧運動データは、揺動速度および揺動速度周波数を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記バランステストを実施するように前記ユーザに通知するステップおよびセンサデータを受信するステップは、複数回繰り返される、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
前記1つ以上の平均を判定するステップは、前記複数の繰り返しを横断して1つ以上の力測定値のそれぞれを平均化することを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項30】
前記1つ以上の平均を正規化するステップは、ユーザの所定の母集団を有するデータベースに基づく、請求項22に記載のシステム。
【請求項31】
前記ユーザの所定の母集団は、ユーザの母集団全体を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ユーザの所定の母集団は、前記ユーザの集団のサブセットを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記サブセットは、性別、体重範囲、年齢範囲、傷害または疾病タイプ、および好ましいスポーツ内でのポジションのうちの少なくとも1つによって分類される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記運動の変動性スコアを判定するステップはさらに、学習機械モデルに基づく、請求項22に記載のシステム。
【請求項35】
前記サーバシステムによって、疾病または傷害を予測するために複合統計分析を実施することをさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項36】
前記サーバシステムによって、回復準備状態を予測するために複合統計分析を実施することをさらに含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記複合統計分析は、学習機械を使用することを含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記サーバシステムによって、前記センサデータから特徴の1つ以上のセットを抽出することをさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項39】
前記抽出するステップは、生物物理学ベースの分析、統計値/信号処理ベースの分析、および教師なし学習技法のうちの1つを通して行われる、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記生物物理学ベースの分析は、バランスをとっている間の所与の時間周期にわたって、前記ユーザに対する前記1つ以上の中心圧の速度の平均的大きさを推定することを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記統計値/信号処理ベースの分析は、所与の時間にわたって、センサデータに対するマルチスケールサンプルエントロピの計算を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記教師なし学習技法は、オートエンコーディング時間畳み込みニューラルネットワークを使用することを含む、請求項39に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本明細書に説明される主題は、概して、少なくとも部分的に、姿勢バランスデータに基づいて、運動の変動性、疾病および傷害の予測、ならびに回復準備状態を判定するためのシステム、デバイス、および方法に関する。特に、1つ以上の姿勢バランス運動を実施するユーザに関するセンサデータが、1つ以上のセンサによって捕捉され、分析され、母集団データベースまたはそのサブセットを使用して1つ以上のスコアに変換される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
運動学およびセンサ技術の進歩は、研究者が、運動の間のヒトの身体、特に、ヒトの運動の変動性に関する膨大な量のデータを捕捉および研究することを可能にしている。バランスエラースコア化システム(BESS)およびKing-Devick(KD)等の臨床検査が、ベースライン検査のために、加えて、プレーへの復帰基準として、競技母集団において、頻繁に利用される。しかしながら、負傷していない母集団に対するスコアの分布が、床効果を実証し、実質的な評価者間の変動性が存在するため、BESSの感度は、疑問視されてきた。生物力学的検査は、より小さな規模の変化を検出することができるが、これらの臨床検査に対しては検証されてこなかった。
【0003】
ヒトの日常活動のパフォーマンスは、起立または歩行等の単純な運動に基づく。しかしながら、これらのタスクは、下半身の四肢のものを含む、複雑な制御機構を要求する。運動の変動性は、高齢者の母集団からプロの競技者まで、パフォーマンスおよび健康状態における重要因子である。運動の変動性が、バランス制御の間の安定性境界の検出および診査において重要な役割を果たすことは公知である。運動の変動性は、必ずしも不利益であるとは限らない。実際、運動行動における一般的な移行(起立から歩行、歩行から着座等)は、協調を最適化するために変動性の増加を要求する。しかしながら、ヒトの運動の変動性は、最適な範囲を伴う複雑なシステムであり、過剰な変動性か、または十分ではない変動性かのいずれかを伴う個人に有害に影響を及ぼすであろう範囲によって板挟みになる。現在のところ、具体的な母集団に対して最適な範囲を作成するために、バランステストのヒトの運動の変動性を数値化する公知の簡単な方法は存在しない。これらの最適な範囲は、疾病および傷害の予測ならびに回復の追跡において使用され得る。
【0004】
したがって、バランステストのヒトの運動の変動性を数値化し、具体的な母集団に対する最適な範囲を作成するために、少なくとも部分的に姿勢バランスデータの簡易様式の使用に基づいて、運動の変動性、疾病および傷害の予測、ならびに準備状態の回復を客観的に判定するためのシステム、デバイス、および方法に対する必要性が存在する。本検査は、フォースプレートをベースとするソフトウェアプラットフォームを利用してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
本明細書に提供されるものは、少なくとも部分的に、姿勢バランスデータに基づいて、運動の変動性、疾病および傷害の予測、ならびに回復準備状態を判定するためのシステム、デバイス、および方法の例示的実施形態である。特に、1つ以上の姿勢バランス運動を実施するユーザに対するセンサデータは、1つ以上のセンサによって捕捉され、分析され、母集団データベースまたはそのサブセットを使用して、1つ以上のスコアまたは(例えば、血圧および心拍数に類似する)バイタルサインに変換されてもよい。いくつかの実施形態では、4段階の検査が実施されてもよく、両脚開眼バランス、両脚閉眼バランス、片脚開眼バランス、および片脚閉眼バランスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、開示されるシステム、デバイス、および方法は、概して、フォースプレートをベースとするソフトウェアプラットフォームを使用して、簡易様式で、一連のバランステストの間のヒトの運動の変動性を数値化するための能力を含んでもよい。本ソフトウェアは、次いで、進歩または減退を追跡しながら、訓練を誘導し、個人の看護、健康、および健康状態を監視するために使用され得る特定母集団向の最適な範囲を発生させ得る。運動の変動性を有利に測定する。本方法は、特定母集団向のデータベースと対比して、より多くの指向性データならびにより多くの検査条件を検討すること、および最終的には、進度または健康を追跡する能力によって、他の方法に優る。
【0006】
概して、コンピューティングデバイスが、提供され、ローカルコンピューティングデバイスは、1つ以上のヒトの運動の種々の特性を感知するように適合される、1つ以上のセンサに通信可能に結合される。例えば、コンピューティングデバイスは、1つ以上のセンサに結合されるローカルデバイスであってもよい。特性は、例えば、複数の床反力を含むことができる。1つ以上のセンサは、フォースプレートのもの等の単一の筐体内に含まれることができる。それに1つ以上のセンサが結合される、コンピューティングデバイスはまた、他のコンポーネントの中でもとりわけ、通信回路、1つ以上のプロセッサ、および1つ以上のプロセッサに結合されるメモリを含むことができる。メモリは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態を判定するための種々の方法ステップを実施させる、命令を記憶するように構成される。例えば、コンピューティングデバイスは、1つ以上のヒトの運動の種々の特性を示すセンサデータを受信および処理し、順に、処理されたセンサデータを、例えば、遠隔サーバシステムであり得るサーバシステムに伝送するように構成されることができる。コンピューティングデバイスはまた、1つ以上のユーザプロファイルを処理し、更新し、サーバシステムに伝送するように構成されることができる。ユーザプロファイルは、1人以上の関連付けられる、ユーザに関する1つ以上のヒトの運動査定の日付、時間、および頻度と関連付けられるデータを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、例えば、遠隔サーバシステムであり得るサーバシステムは、処理されたセンサデータおよびユーザプロファイルデータを受信および記憶するために提供され、また、例えば、運動の変動性スコア、疾病および傷害リスクスコア、準備状態スコア、ならびに1つ以上のヒトの運動と関連付けられる処理されたセンサデータに相関する他の正規化されたスコアを含む、1つ以上のスコアをローカルコンピューティングデバイスに返送するために構成されることができる。いくつかの実施形態では、その結果として生じる揺動速度、前後方向の(AP)揺動速度、内外方向の(ML)揺動速度、およびAPおよびMLの両方向における揺動速度周波数を含む、複数の変数が、分析されてもよい。いくつかの実施形態では、疾病および傷害リスクは、例えば、転倒からの脳震盪のリスクを含んでもよい。
【0008】
運動の変動性スコアならびに疾病および傷害リスクスコアは、少なくとも部分的に、処理されたセンサデータの1つ以上の差分値に基づくことができる。準備状態スコアは、少なくとも部分的に、運動の変動性スコア、疾病および傷害リスクスコア、ならびにヒトの運動査定の頻度に基づくことができる。スコアは、Tスコアであり得、これは、体重別、性別別、好ましいスポーツ別、スポーツ内での好ましいポジション別、運動の変動性別、または疾病および傷害リスク別等、種々の因子によって正規化されることができる。ユーザが競技者であるとき、Tスコアもまた、好ましいスポーツ別およびスポーツ内での好ましいポジションによって正規化されることができる。加えて、遠隔サーバシステムは、定義済みの母集団およびユーザプロファイルに関する種々のヒトの運動の特性を示す記憶された処理されたセンサデータを含むデータベースを含む、またはそれに通信可能に結合されることができる。この点で、下記にさらに詳細に説明されるように、運動の変動性スコア、疾病および傷害リスクスコア、準備状態スコア、ならびに正規化されたスコアは、例えば、いくつか例を挙げると、転倒に対する感受性、傷害、以前の活動への復帰に向けた進度、特定のスポーツに対する適合性、および/または所与の時間に特定の活動を実施する、またはスポーツをプレーするための準備状態等の種々の客観的かつ実用的なデータをヘルスケア提供者、コーチ、マネージャ、患者、または競技者に提供することができる。準備状態は、少なくとも活動を実施するための個人の可用性および能力を含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される変数は、1つ以上の特性評価特徴を含んでもよい。本変数は、例えば、疾病および傷害リスクならびに運動の変動性を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、本システムは、査定または走査からの時系列データを処理し、特徴の1つ以上のセットを抽出してもよい。本特徴は、様々な技法を通して抽出されてもよく、機械学習モデルのための入力として使用されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、本システムは、走査から抽出された特徴の所与のセットに対して、個人のための相対的な傷害リスクを予測するために、訓練された傷害リスクモデルを含んでもよい。本モデルは、それと走査データが関連付けられる周期と関連付けられる傷害事象データを使用して訓練されてもよい。
【0012】
入手および処理されたセンサデータの完全性を確実にするために、いくつかのデータ検証方法もまた、提供される。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザが運動の変動性テストを実施することに先立って、ユーザの測定された体重が、記憶された基準体重と比較される。体重不整合が、検出される場合、例えば、測定された体重が、不正確である、またはユーザが、自身を誤認している場合、ユーザは、再び体重を測定するように命令される。他の実施形態では、1つ以上の所定の体重閾値が、検出し得るユーザ運動の間に監視され、これは、例えば、ユーザがフォースプレートから早期に降りたこと、またはユーザが十分な時間を伴ってフォースプレート上に依然として立っていないことを検出することができる。なおも他の実施形態では、最終データチェックが、処理されたセンサデータが、遠隔サーバシステムに伝送される前に実施され、これは、破損ファイルを検出するために使用されることができる。これらおよび他のデータ検証システムおよび方法が、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として組み込まれる、米国特許第9,682,280号、第9,737,758号、第9,223,855号、第10,471,290号、ならびにPCT特許出願第PCT/US18/40687号、第PCT/US18/55163号、および第PCT/US19/35361号に説明されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、センサはまた、いくつか例を挙げると、加速度計、慣性センサ、心拍数センサ等を含む。
【0014】
いくつかの例示的用途では、本開示は、脳卒中後に苦しんでいる人を監視する際に使用されてもよい。脳卒中は、典型的には、片側の衰弱および不十分な協調を引き起こす。仮に、ある人が脳卒中を患っているとすると、最初に、バランステストの両脚開眼条件を使用して検査されるであろう。例えば、本検査は、20秒毎に4回の試行を含むであろう。健康および脳卒中特有の母集団のデータベースを使用して、個人のスコアは、その運動の変動性が、高すぎる、低すぎる、または容認可能な範囲内にあるかどうかを判定するために比較されてもよい。進度を追跡し、患者が回復したか、または付加的な治療を要求するかどうかを判定するために、患者は、毎日検査されてもよい。スコアが、ある検査条件(例えば、両脚開眼)に対して正常な容認可能な範囲内にあるとき、患者は、次の検査条件(例えば、両脚閉眼、片脚開眼、片脚閉眼)に進んでもよい。着目変数は、検査条件を横断して同一のままであってもよく、各条件は、特定母集団向の理想的な範囲を有してもよい。患者は、動的制御および変動性の改良を最適化するように訓練プロトコルを通して援助されてもよい。
【0015】
本明細書に添付され、全ての目的のために、参照することによって全体として本明細書によって組み込まれる付属Aに説明される、それらのシステム、方法、およびデバイス等のいくつかの他の例示的用途では、本開示は、脳震盪を検出し、回復状態を監視するために使用されてもよい。他の用途は、いくつか例を挙げると、小児の成長の監視、脳震盪、下腿の負傷、膝の負傷の予測およびリハビリテーションの監視を含んでもよい。
【0016】
いくつかの例示的用途では、本開示は、(例えば、診療所、介護付き住宅、リハビリテーション施設等において)神経学的疾患を伴う母集団を治療するために使用されてもよい。
【0017】
本明細書に説明されるこれらの実施形態およびその他は、コンピュータ支援生体力学の分野、特に、コンピュータベースの動力学および運動学的分析の分野における改良である。本明細書に説明される主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点が、以下の図ならびに詳細な説明の考察に応じて、当業者に明白となるであろう。これらのデバイスの種々の構成は、実施例にすぎない実施形態として説明される。全てのそのような付加的システム、デバイス、方法、特徴、および利点は、本説明内に含まれ、本明細書に説明される主題の範囲内であり、付随の請求項によって保護されることを意図している。例示的実施形態の特徴は、請求項にそれらの特徴の明確な列挙がない限り、いかようにも添付される請求項を限定すると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
その構造および動作の両方に関して本明細書に記載される主題の詳細は、同様の参照番号が同様の部分を指す、付随の図の精査によって明白であり得る。図のコンポーネントは、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、主題の原理を図示することに重点が置かれている。さらに、全ての図示は、概念を伝えることを意図しており、相対的サイズ、形状、および他の詳細な属性は、文字通りに、または精密にではなく、概略的に図示され得る。
【0019】
【
図1】
図1は、そのそれぞれが、センサデバイス、ネットワーク、およびデータベースを含む遠隔サーバシステムに結合され得る、1つ以上のローカルコンピューティングデバイスのシステム概観である。
【0020】
【
図2】
図2は、ローカルコンピューティングデバイスのある例示的実施形態のブロック図である。
【0021】
【
図3A】
図3Aは、遠隔サーバシステムのある例示的実施形態のブロック図である。
【0022】
【
図4-1】
図4Aは、ユーザの疾病および傷害リスクスコアを査定するための例示的実施形態方法を描写する、フローチャート図である。
【0023】
【
図4-2】
図4B-4Iは、
図4Aの例示的実施形態方法におけるあるステップを描写する、絵画図である。
【0024】
【
図5】
図5は、あるユーザに対して計算されたメトリックを図示する、例示的グラフィカルユーザインターフェースである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
本主題が、詳細に説明される前に、本開示は、本明細書に説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。また、本明細書に使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示の範囲が、添付される請求項によってのみ限定されるであろうため、限定であることを意図していないことを理解されたい。
【0026】
本明細書および添付される請求項に使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別様に明確に示さない限り、複数指示物を含む。
【0027】
概して、本開示の実施形態は、少なくとも部分的に、姿勢バランスデータに基づいて、運動の変動性、疾病および傷害予測、ならびに回復準備状態を判定するためのシステム、デバイス、および方法を含む。いくつかの実施形態では、回復準備状態は、ウォーキング、ランニング、スポーツにおけるプレー等を含む事故に先立ってヒトのタスクを再開するための準備状態を含み得る。故に、多くの実施形態は、1つ以上のローカルコンピューティングデバイスに結合される、1つ以上のセンサデバイスを含むことができ、1つ以上のセンサデバイスは、ユーザによって実施されるヒトの運動の種々の特性を測定するように構成される。加えて、多くの実施形態は、ユーザの母集団に関する種々のユーザ運動と関連付けられる処理されたセンサデータを記憶するように構成されるデータベースを含む、またはそれと通信可能に結合され得る、遠隔サーバシステムを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、例えば、フォースプレートは、ユーザがフォースプレート上にバランスポーズで立つことと関連付けられる、結果として生じる揺動速度および速度周波数を測定するように構成されることができる。本明細書にさらに詳細に説明されるように、ユーザは、種々の様式、例えば、両脚開眼、両脚閉眼、片脚開眼、片脚閉眼で立っていてもよい。結果として生じる揺動速度および速度周波数は、遠隔サーバシステムに伝送され、続けて、結果として生じる揺動速度および速度周波数に相関する1つ以上の正規化されたスコアが、ローカルコンピューティングデバイス上に表示される。これらの実施形態では、正規化されたスコアは、ユーザ運動の変動性およびバランス安定性を反映することができる。
【0029】
他の実施形態では、フォースプレートは、運動の変動性およびバランスの安定性および所定の比率の基準体重内で安定させるための時間を測定するように構成されることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、遠隔サーバシステムは、いくつか例を挙げると、例えば、傷害、例えば、脳震盪を予測するために、リハビリテーション治療を改良するために、ならびに回復準備状態を予測および判定するために機械学習を使用する複合統計分析を含んでもよい。
【0031】
加えて、本開示はまた、1つ以上のセンサによって入手されるデータを検証するためのシステムおよび方法を含み、例えば、とりわけ、体重不整合プロセス、体重偏差プロセス、揺動速度および速度周波数プロセス、早期終了条件監視プロセス、および最終データチェックプロセスを含むことができ、そのそれぞれが、下記にさらに詳細に説明される。本明細書に開示される実施形態は、ローカルコンピューティングデバイスを含むことができ、そのそれぞれは、場所非依存性、すなわち、クラウドベースである遠隔サーバシステムと通信する。当業者はまた、本明細書に開示される実施形態がまた、ローカルコンピューティングデバイスを含み得、そのそれぞれが、1つ以上のローカルコンピューティングデバイスと同一の建物および/またはローカルエリアネットワーク上に位置する遠隔サーバシステムと通信することを理解するであろう。これらの実施形態では、1つ以上のローカルコンピューティングデバイスと同一の建物および/またはローカルエリアネットワーク上に位置する遠隔サーバシステムはまた、患者および競技者の母集団と関連付けられる処理されたセンサデータを含有するデータベースを、場所非依存性、すなわち、クラウドベースである集中遠隔サーバシステム上に常駐する、またはそれと結合されるデータベースと同期させるように構成されることができる。
【0032】
さらに、本明細書に開示される方法のあらゆる実施形態に関して、それらの実施形態のそれぞれを実施することが可能なシステムおよびデバイスが、本開示の範囲内で網羅される。例えば、センサデバイス、ローカルコンピューティングデバイス、および遠隔サーバシステムの実施形態が、開示され、これらのデバイスおよびシステムは、それぞれ、任意および全ての方法ステップを実施する、または任意および全ての方法ステップの実行を促進し得る、1つ以上のセンサ、アナログ/デジタル変換器、1つ以上のプロセッサ、命令を記憶するためのメモリ、ディスプレイ、記憶デバイス、通信回路(有線および/または無線通信のため)、ならびに/もしくは電源を有することができる。
【0033】
本開示の実施形態は、コンピュータベースの動力学および運動学的分析の分野における従来モードに優る改良を提供する。これらの改良は、例えば、いくつかのみ例を挙げると、コンピュータリソースの最適化、改良されたデータ正確度、および改良されたデータ完全性を含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、ローカルコンピューティングデバイスのメモリ内に記憶される命令(例えば、ソフトウェア)は、ローカルコンピューティングデバイスの1つ以上のプロセッサに、センサデバイス(例えば、フォースプレート)から受信された1つ以上のユーザ運動と関連付けられるセンサデータからのある特性を処理および抽出させ、処理されたセンサデータを遠隔サーバシステムに伝送させることができる。続けて、遠隔サーバシステムは、処理されたセンサデータを受信および記憶し、ユーザ運動に相関する1つ以上の正規化されたスコアをローカルコンピューティングデバイスに返す。正規化されたスコアは、例えば、Tスコアであり、ローカルコンピューティングデバイス上で読み易いフォーマット、例えば、縦棒チャートにおいて表示されることができる。ローカルコンピューティングデバイス上のセンサデータは、続けて、破棄されることができる。したがって、実施形態の一側面によると、メモリおよびハードドライブスペースは、センサデータが、恒久的に記憶される必要がないため、ローカルコンピューティングデバイスにおいて節約される。同様に、遠隔サーバシステムは、処理されたセンサデータ(すなわち、抽出された値)のみを記憶する必要があり、未加工センサデータを処理または記憶するように要求されず、それによって、メモリ、ハードドライブスペース、および処理能力を節約する。したがって、コンピュータリソースは、ローカルコンピューティングデバイスならびに遠隔サーバシステムの両方において有意に節約されることができる。
【0034】
開示される実施形態はまた、データ正確度およびデータ完全性におけるコンピュータ関連改良を反映する。いくつかの実施形態では、例えば、遠隔サーバシステムは、患者および競技者の母集団に相関する処理されたセンサデータを記憶するためのデータベースを含む、またはそれと通信可能に結合される。開示される実施形態の一側面によると、遠隔サーバシステムは、場所非依存性(すなわち、クラウドベース)であり、複数の地理的に分散したエリアに位置し得る、複数のローカルコンピューティングデバイスから処理されたセンサデータを集約するように構成されることができる。遠隔サーバシステムはまた、データベース内に含有される母集団データに基づいて、正規化されたスコアを各ローカルコンピューティングシステムに提供することができる。正規化されたスコアはまた、例えば、性別別、体重別、スポーツ別、またはスポーツ内でのポジション別カテゴリに従って正規化されることができる。データベース内に含有される母集団データを連続的に集約および更新することによって、遠隔サーバシステムは、カスタマイズ可能であり、動的に発生される、正確なスコアをユーザに提供するように構成されることができる。
【0035】
開示される実施形態の別の側面によると、データ完全性における改良もまた、センサデータの入手の間のデータ検証プロセスを通して提供される。下記にさらに詳細に説明されるように、データ検証プロセスは、例えば、とりわけ、体重不整合プロセス、体重偏差プロセス、揺動速度および速度周波数プロセス、早期終了条件監視プロセス、体重検証プロセス、最小速度プロセス、最小速度周波数プロセス、および最終データチェックプロセスを含むことができる。これらのプロセスのそれぞれならびにその他は、遠隔サーバシステムによって処理されたセンサデータを処理および受信することに先立って、入手されたセンサデータが、正確であることを確実にするように構成される。他のセンサデータ検証プロセスが、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として組み込まれる、米国特許出願第62/528,866号に説明されている。
【0036】
本開示の改良は、ヒトの運動データに基づいて、運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態を判定するためのコンピュータベースのシステムに必然的に根差し、コンピュータベースの動力学および運動学的分析の存在を別にして、そうでなければ存在し得ない技術的課題の解決を対象とする。加えて、本明細書に開示される実施形態のうちの多くは、ユーザ運動データを入手、検証、および分析するために利用されるデバイス、コンポーネント、ならびに方法ステップの特定の配列および組み合わせにおける発明的概念を反映する。開示される実施形態の他の特徴および利点が、下記にさらに議論される。
【0037】
しかしながら、実施形態のこれらの側面を詳細に説明する前に、最初に、その全てが本明細書に説明される実施形態と併用され得る、例えば、ヒトの運動データに基づいて、運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態を判定するためのシステム内に存在し得るデバイスの実施例、ならびにそれらの動作の実施例を説明することが、望ましい。
【0038】
(運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態を判定するためのシステムの例示的実施形態)
図1は、本開示の実施形態と併用され得る、少なくとも部分的に、姿勢バランスデータに基づいて、運動の変動性、疾病および傷害予測、ならびに回復準備状態を判定するためのシステム100のある例示的実施形態を描写する、概念図である。システム100は、1つ以上のコンピューティングデバイス110からデータを受信するように構成され、該コンピューティングデバイス110とインターフェースをとるためのフロントエンドサーバ162と、フロントエンドサーバ162およびデータベース168の両方とインターフェースをとるバックエンドサーバ164とを備え得る、遠隔サーバシステム160を含む。遠隔サーバシステム160は、地理的に分散した場所における種々のコンピューティングデバイス110によってアクセス可能である、場所非依存性サーバシステム(例えば、クラウドベース)であり得る。フロントエンドサーバ162は、ローカルエリアネットワークを経由してバックエンドサーバ164と通信することができ、また、ネットワーク150を経由する有線または無線通信を含み得る、通信経路155を経由してコンピューティングデバイス110と通信することができる。本明細書に開示される実施形態のうちの多くでは、ネットワーク150は、インターネットであり得る。しかしながら、他の実施形態では、ネットワーク150はまた、イントラネット、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、仮想私設ネットワーク、セルラーネットワーク、または任意の他のタイプの有線もしくは無線ネットワークのうちの1つ以上を備えることができる。さらに、フロントエンドサーバ162およびバックエンドサーバ164は、2つの離散デバイスとして
図1に描写されるが、当業者は、それらのデバイスの機能性およびサービスが、単一の集中デバイス上に実装され得る、または代替では、地理的に分散した場所における複数の離散デバイスを横断して分散され得ることを認識するであろう。同様に、当業者は、本明細書に開示され、
図1に示されるような実施形態におけるサーバの表現が、物理サーバおよび仮想サーバ(または「仮想マシン」)の両方を網羅することを意図することを認識するであろう。
【0039】
依然として
図1を参照すると、1つ以上のローカルコンピューティングデバイス110が、センサデバイス112からセンサデータを受信し、センサデータからの値を処理および抽出し、処理されたセンサデータをネットワーク150を経由して遠隔サーバシステム160に伝送するために提供される。ローカルコンピューティングデバイス110は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、または任意の他の類似するコンピューティングデバイスであり得、そのそれぞれは、ユーザによって実施される1つ以上の運動(例えば、バランス運動)を感知するように構成される、センサデバイス112に通信可能に結合されることができる。センサデバイス112は、有線または無線通信リンクを介してローカルコンピューティングデバイス110に接続されることができる。加えて、
図1に示されるように、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、またはウェアラブルコンピューティングデバイス等のモバイルコンピューティングデバイス130もまた、有線または無線通信リンクを通してローカルコンピューティングデバイス110に通信可能に結合されることができる。モバイルコンピューティングデバイス130は、通信経路135を通してコンピューティングデバイス110を介してセンサデバイス112に、およびそれからデータを送信および受信するように構成されることができる。しかしながら、他の実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス130は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy、802.11x、UHF、NFC、または任意の他の標準無線通信プロトコルを通してセンサデバイス112と直接通信するように構成されることができる。実施形態のうちのいくつかでは、モバイルコンピューティングデバイス130は、Androidおよび/またはiOS等のモバイルオペレーティングシステムに従って動作するように構成される。ローカルコンピューティングデバイス110は、前述で説明されるように、インターネット、イントラネット、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、仮想私設ネットワーク、セルラーネットワーク、または任意の他のタイプの有線もしくは無線ネットワークを備え得る、ネットワーク150を通して通信経路145を経由してデータを伝送および受信するように構成されることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、ローカルサーバシステム140が、ローカルコンピューティングデバイス110と同一のローカルエリアネットワーク上に常駐することができる。ローカルサーバシステム140は、ローカルコンピューティングデバイス110から処理されたセンサデータを受信および記憶し、順に、ローカルで記憶された揺動速度および速度周波数スコア、疾病および傷害リスクスコア、準備状態スコア、ならびに他の正規化されたスコアを通信経路143を経由してローカルコンピューティングデバイス110に伝送することができる。ローカルサーバシステム140はまた、ローカルデータベースを遠隔サーバシステム160のデータベース168と同期させることができる。この点で、ローカルサーバシステム140は、ローカルコンピューティングデバイス110と遠隔サーバシステム160との間のプロキシまたは媒介としての役割を果たすことができる。ある事例では、本トポロジは、高度なセキュリティが、ローカルコンピューティングデバイス110および/またはその上にローカルコンピューティングデバイス110ならびにローカルサーバシステム140が常駐するローカルエリアネットワークのために必要とされる場合等に好ましくあり得る。例えば、ローカルコンピューティングデバイス110の所有者が、ローカルコンピューティングデバイス110を通して収集された処理されたセンサデータのうちのいずれかまたはいくつかが、複数のテナントによって共有され得る遠隔サーバシステム168に伝送されることを可能にすることを所望しない場合がある。他の事例では、本トポロジは、例えば、センサデータが、ローカルサーバシステム140においてローカルで処理され得る場合に、コンピューティング性能が、改良され得る場合に好ましくあり得る。それらの状況下で、ローカルサーバシステム140は、ゲートウェイとしての役割を果たし、ローカルデータベースと遠隔サーバシステム160のデータベース168の一方向同期または選択的同期を実行することができる。
【0041】
(ローカルコンピューティングデバイスの例示的実施形態)
図2は、ローカルコンピューティングデバイス110のある例示的実施形態を描写する、ブロック図である。ローカルコンピューティングデバイス110は、例えば、汎用中央処理ユニット(「CPU」)、グラフィックス処理ユニット(「GPU」)、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、特定用途向け標準品(「ASSP」)、システムオンチップ(「SOC」)、プログラマブル論理デバイス(「PLD」)、または他の類似するコンポーネントのうちの1つ以上を備え得る、1つ以上のプロセッサ220を含むことができる。プロセッサ220は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラ、もしくはそれらの組み合わせを備えることができ、各コンポーネントは、離散チップであり、またはいくつかの異なるチップ(およびその一部)の間で分散されることができ、集合的に、ユーザ運動データを入手、検証、および分析するための処理能力の大部分を有することができる。ローカルコンピューティングデバイス110はまた、非一過性メモリ、RAM、フラッシュ、または他のタイプのメモリを備え得る、メモリ230を含むことができる。さらに、ローカルコンピューティングデバイス110は、1つ以上の大容量記憶デバイス240と、出力/ディスプレイコンポーネント250と、1つ以上の無線および/または有線ネットワークインターフェースを含み得る、通信回路260と、通信回路260に結合される、アンテナ265と、センサデバイスから受信されたアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される、アナログ/デジタル変換器コンポーネント280と、そのそれぞれが、有線または無線接続を介してローカルコンピューティングデバイス110に通信可能に結合され得る、キーボード、マウス、トラックパッド、タッチパッド、マイクロホン、および他のユーザ入力デバイスを含み得る、入力デバイスコンポーネント270とを含むことができる。
【0042】
本開示の実施形態のうちの多くでは、入力デバイスコンポーネント270はまた、運動の変動性を含む、ユーザ運動の種々の特性を感知するように構成される、1つ以上のセンサを備え得る、センサデバイス112を含むことができる。多くの実施形態では、例えば、センサデバイス112は、単一の筐体内に1つ以上の圧電センサを含む、フォースプレートを備えることができ、1つ以上の圧電センサは、1つ以上のバランス運動が、ユーザによって実施される間、床反力を測定するように適合される。いくつかの実施形態では、センサデバイス112は、単一の筐体内に1つ以上の歪みゲージセンサを含む、フォースプレートを備えることができる。なおも他の実施形態では、センサデバイス112は、第1のタイプのセンサから受信されたデータが、第2のタイプのセンサから受信されたデータを裏付けるために使用され得る、複数のタイプのセンサを含むことができる。例えば、センサデバイス112は、前述で説明されるような1つ以上の圧電センサと、加えて、ユーザの履物の一部の中に埋設される1つ以上の加速度計とを含む、フォースプレートを備えることができる。圧電センサおよび加速度計からのセンサデータは、ユーザによって実施される1つ以上のバランス運動の種々の特性を判定し、裏付けるために、ローカルコンピューティングデバイス110によって相関される、時間同期される、および/または多重化されることができる。当業者によって理解されるように、前述のコンポーネントは、1つ以上の機能的デバイスを作製するための様式で、電気的かつ通信可能に結合される。
【0043】
いくつかの実施形態では、センサデバイス112は、ユーザの身体上に着用される1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0044】
依然として
図2を参照すると、ローカルコンピューティングデバイス110の通信回路260は、遠隔サーバシステム160と直接、またはローカルサーバシステム140を介して通信するように構成されることができる。本明細書に開示される実施形態のうちの多くでは、ローカルコンピューティングデバイス110は、ユーザが1つ以上のバランステストを実施することに応答して、センサデバイス112によって発生されるセンサデータを受信するように構成される。受信されたセンサデータは、処理され、遠隔サーバシステム160に伝送されることができ、これは、順に、揺動速度および速度周波数、疾病および傷害リスクスコア、準備状態スコア、またはユーザによって実施されるバランステストに相関する1つ以上の正規化されたスコア等の1つ以上のスコアをローカルコンピューティングデバイス110に伝送する。いくつかの実施形態では、受信されたセンサデータは、ローカルサーバシステム140において処理され、遠隔サーバシステム160と同期されることができる。本明細書に開示される実施形態のうちの多くでは、スコアは、ローカルコンピューティングデバイス110上のユーザインターフェースを通して視覚的に表示されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、スコアは、縦棒チャート等の読み易いフォーマットにおいて視覚的に表示される、Tスコアであり得る。他の実施形態では、正規化されたスコアは、時間の関数としてプロットされる線として描写されることができる。これらのグラフィカルユーザインターフェースならびに他の視覚表現は、ローカルコンピューティングデバイス110のメモリ230内に常駐する、例えば、ローカルでインストールされたアプリケーションの形態における命令に応答して、プロセッサ220によって発生されることができる。
【0045】
前述で説明されるように、ローカルコンピューティングデバイス110は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはワークステーションとして
図2に表される。しかしながら、いくつかの実施形態では、1つ以上のローカルコンピューティングデバイス110はまた、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピューティングデバイス、スマートフォン、携帯情報端末、ウェアラブルコンピューティングデバイス、または他のモバイルコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0046】
(遠隔サーバシステムの例示的実施形態)
図3Aは、1つ以上のサーバを備え、フロントエンドサーバ162と、バックエンドサーバ164とを含み得る、遠隔サーバシステム160のある例示的実施形態を描写する、ブロック図である。略図に示されるように、サーバ162、164はそれぞれ、それぞれ、出力/ディスプレイコンポーネント(325、375)と、1つ以上のプロセッサ(305、355)と、非一過性メモリ、RAM、フラッシュ、または他のタイプのメモリを含む、メモリ(310、360)と、無線および有線ネットワークインターフェースの両方を含み得る、通信回路(320、370)と、大容量記憶デバイス(315、365)と、キーボード、マウス、トラックパッド、タッチパッド、マイクロホン、および他のユーザ入力デバイスを含み得る、入力デバイス(330、380)とを含むことができる。1つ以上のプロセッサ(305、355)は、例えば、汎用CPU、GPU、ASIC、FPGA、ASSP、SOC、PLD、および他の類似するコンポーネントを含むことができ、さらに、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラを備えることができ、そのそれぞれは、離散チップである、またはいくつかの異なるチップ(およびその一部)の間で分散されることができる。当業者によって理解されるように、これらのコンポーネントは、機能的デバイスを作製するための様式で、電気的かつ通信可能に結合される。
【0047】
いくつかの実施形態では、フロントエンドサーバ162は、通信回路320が、フロントエンドサーバ162が1つ以上のローカルコンピューティングデバイスならびにバックエンドサーバ164と通信することを可能にする単一のネットワークインターフェースを提供するように構成されることができる。他の実施形態では、フロントエンドサーバ162は、通信回路320が、強化されたセキュリティ、監視、およびトラフィックシェーピングならびに管理を提供するための2つの離散ネットワークインターフェースを提供するように構成されることができる。加えて、殆どの実施形態では、フロントエンドサーバ162は、1つ以上のプロセッサ305によって実行されると、1つ以上のプロセッサ305に、1つ以上のローカルコンピューティングデバイスから処理されたセンサデータを受信させ、データベース168に処理されたセンサデータを記憶させ、ユーザ運動と関連付けられる1つ以上のスコアを発生させ、ローカルコンピューティングデバイスに伝送させる、メモリ310内に記憶される命令を含む。加えて、メモリ内に記憶される命令はさらに、1つ以上のプロセッサに、以下のルーチン、すなわち、性別別、年齢別、体重別、好ましいスポーツ別、および/または好ましいスポーツ内でのポジション別を含む、種々のカテゴリによって処理されたセンサデータを集約すること、前述のカテゴリのうちの1つ以上に関するユーザ運動と関連付けられる正規化されたスコアを発生させ、記憶すること、1つ以上のローカルコンピューティングデバイスから新しく受信された処理されたセンサデータに基づいて、スコアを更新すること、ならびにデータベース168とローカルサーバシステム上に常駐する1つ以上のデータベースとの間の同期を実施することのうちの1つ以上を実施させることができる。
【0048】
依然として
図3Aを参照すると、サーバ164は、ユーザ運動の1つ以上の特性を示す処理されたセンサデータを記憶するためのデータベース168を含むことができる。いくつかの実施形態では、データベース168は、バックエンドサーバ164上に常駐することができる。他の実施形態では、データベース168は、例えば、それにバックエンドサーバ164が通信可能に結合される、ストレージエリアネットワークに分散される、またはその一部であり得る。バックエンドサーバ164はまた、フロントエンドサーバ162への、およびそれからの通信を促進するように構成され得る、通信回路370を含むことができる。フロントエンドサーバ162の構成と同様に、多くの実施形態では、強化されたセキュリティ、監視、およびトラフィックシェーピングならびに管理を提供するために、通信回路370は、有線または無線のいずれかで、単一のネットワークインターフェースを含むことができる、もしくは他の実施形態では、通信回路370は、有線または無線のいずれかで、複数のネットワークインターフェースを含むことができる。
【0049】
(運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態を判定するための方法の例示的実施形態)
本明細書に説明されるものは、運動の変動性データを含むユーザ運動データに基づいて、ユーザの疾病および傷害リスクを判定するための方法ならびにシステムの例示的実施形態である。
【0050】
図4Aは、中心足圧データを含むユーザ運動データに基づいて、ユーザの運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態スコアを判定するための方法400のある例示的実施形態の概観を描写する、フロー図である。当業者は、本明細書に開示される方法ステップが、ローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスのメモリ内に記憶される命令を含み得、命令は、ローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、本明細書に開示されるステップを実施させ得ることを理解するであろう。
【0051】
図4Aの上部に示されるように、本方法は、ステップ402において、ユーザに、センサデバイスを踏むように命令することを含む。ステップ404において、ユーザの基準体重が、測定される。いくつかの実施形態では、基準体重は、ユーザまたは別の人物によって手動で入力されることができる。ステップ406において、視覚またはオーディオ通知が、ローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスによって出力され、バランスタスクを実施する、例えば、両眼を開いてセンサデバイス上に両足で立つ、両眼を閉じてセンサデバイス上に両足で立つ、両眼を開いてセンサデバイス上に片足(左または右)で立つ、両眼を閉じてセンサデバイス上に片足(左または右)で立つようにユーザに命令する(
図4B-4Iに示されるように)。
【0052】
ステップ408において、ユーザが、要求されたポジションにいる間、ローカルコンピューティングデバイスは、センサデバイスからセンサデータを受信し、センサデータは、時間の関数としてユーザによって発生される力を示す。いくつかの実施形態では、センサデータは、少なくともこれらの測定値、すなわち、(1)揺動速度および(2)揺動速度周波数を含む。これらの測定値は、(
図4B-4Iの482、484、486、および488によって示されるように)少なくとも部分的に中心足圧の運動の読取から基づく。いくつかの実施形態では、力の測定値は、例えば、走査の持続時間にわたってミリ秒毎に捕捉されてもよい。これらの未加工測定値の時間順序シーケンスは、時系列データと称され得る。いくつかの実施形態では、本システムは、全てのセンサに対して、一区画のセンサデータを受信し、次いで、2方向における垂直力および中心圧のためにそのデータを時系列に変換する。本システムは、その区画に対するメトリックを計算し得る。本メトリックは、例えば、中心圧の平均的速度(揺動速度)、各時系列のマルチスケールサンプルエントロピ、ベクトル符号化計算、および内外方向の体重移行を含んでもよい。
【0053】
ステップ412において、付加的繰り返しが、要求されると判定される場合、本方法は、ステップ406に戻り、視覚またはオーディオ通知が、ローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスによって出力され、バランスタスクの別の繰り返しを実施するようにユーザに命令する。いくつかの実施形態では、休息周期が、ステップ412の後に差し挟まれることができ、その間、ユーザは、ステップ406において再びテストを実施するように通知される前に、短い時間周期(例えば、10秒)にわたって休息し、前回のタスクから回復することができる。いくつかの他の実施形態では、6回のタスク(テスト)が、要求される。当業者は、本繰り返し数が、網羅的であることを意味せず、他の繰り返し数も、完全に本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0054】
いかなる繰り返しも、残っていないと判定される場合、ステップ416において、ローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスは、繰り返しの間に入手されたセンサデータ測定値の平均を判定する。例えば、平均的(1)揺動速度および(2)揺動速度周波数値が、全ての繰り返しに対して計算されることができる。ステップ420において、平均化されたセンサデータ測定値が、遠隔サーバシステムに伝送される。いくつかの実施形態では、ローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスが、データを遠隔サーバシステムに伝送することを許可されることを確実にするために、伝送に先立って、認証ステップが、ステップ416の後に差し挟まれることができる。いくつかの実施形態では、認証ステップは、ユーザがローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスにおいてパスワードを入力することを要求する等、手動であり得る。他の実施形態では、認証ステップは、公開または秘密キー交換を通して自動化されることができる。
【0055】
依然として
図4Aを参照すると、ステップ424において、1つ以上の平均的センサデータ測定値が、少なくとも部分的に、遠隔サーバシステム上に常駐する、またはそれと通信するデータベース内に記憶される患者または競技者の所定の母集団に関するセンサデータ測定値に基づいて、正規化されることができる。いくつかの実施形態では、患者または競技者の所定の母集団は、関連するデータがデータベース内に記憶される、患者または競技者の母集団全体を含むことができる。他の実施形態では、患者または競技者の所定の母集団は、母集団全体のサブセットを含むことができる。患者または競技者のサブセットは、性別、体重範囲、年齢範囲、傷害または疾病タイプ、および(競技者に対して)好ましいスポーツ内でのポジションによって分類されることができる。当業者は、これらの実施例が、網羅的であることを意味せず、データベース内の母集団データの他のサブセットも、完全に本開示の範囲内であることを理解するであろう。加えて、本開示の実施形態のうちの多くでは、正規化された値の判定は、フロントエンドサーバまたはバックエンドサーバのうちのいずれかによる遠隔サーバシステムの1つ以上のプロセッサによって実施されることができる。しかしながら、他の実施形態では、正規化された値の判定は、例えば、ローカルサーバシステム(
図1に示されるような)によって、またはローカルもしくはモバイルコンピューティングデバイス自体によって等、任意の場所で実施されることができる。
【0056】
本開示の実施形態の一側面によると、正規化された値は、Tスコアであり得る。Tスコアは、ユーザが未加工値(例えば、処理されたセンサデータ)をとり、これを標準化されたスコアに変換することを可能にし、これは、ユーザが関連する競技者の母集団内で自身の査定をコンテキスト化することを可能にする。標準化されたスコアは、典型的には、以下の方程式によって表されるように、関連する母集団データからの平均値および標準偏差値を使用することによって判定される。
【数1】
式中、zは、標準スコアであり、xは、未加工スコア(すなわち、処理されたセンサデータ)であり、μは、関連する母集団の平均値であり、σは、関連する母集団の標準偏差である。Tスコアは、50の平均値および10の標準偏差を有するように偏移ならびにスケーリングされた標準zスコアである。標準zスコアは、以下の方程式によってTスコアに変換されることができる。
T=(z×10)+50
【0057】
この点で、Tスコアは、有意義かつ理解することが容易であることの両方となる。他の標準化された測度(例えば、zスコア)と異なり、Tスコアは、常時、正であり、典型的には、整数を含む。加えて、50を超えるTスコアは、平均を上回り、50を下回るTスコアは、平均を下回り、10の各増分は、平均値から離れる1標準偏差を表す。
【0058】
正の数として示されるが、Tスコアはまた、負の数でもあり得る。
【0059】
ステップ428において、1つ以上のスコアが、少なくとも部分的に、正規化された値に基づいて判定されることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つ以上のスコアは、1つ以上の学習機械アルゴリズムを使用して計算されることができる。
【0061】
ステップ430において、正規化されたスコアが、ローカルまたはモバイルコンピューティングデバイスによって受信され、グラフィカルユーザインターフェースにおいて表示されることができる。
図5は、例示的メトリック(特徴)を示す、あるユーザに対する結果を図示する例示的グラフィカルユーザインターフェース500である。本実施例では、インターフェースは、ユーザの氏名および写真、体質量、体重、左半身体重、左COPx(中外方向のx軸に沿った中心圧)偏移、左揺動速度平均値、右半身体重、右COPx偏移、および右揺動速度平均値等の受信および計算された情報を含んでもよい。表示された情報はまた、例えば、左マルチスケールCOPxエントロピ、左マルチスケールCOPy(前後方向のy軸に沿った中心圧)エントロピ、左マルチスケール垂直エントロピ、右マルチスケールCOPxエントロピ、右マルチスケールCOPyエントロピ、および右マルチスケール垂直エントロピを含む、マルチスケールサンプルエントロピ計算値を含んでもよい。
【0062】
図5の実施例に示されるように、本システムは、ユーザが別の走査を実施する(選択肢512)、またはユーザのプロファイルを閲覧する(選択肢514)ことを可能にし得る。または、本システムは、別のユーザを走査するように設定されてもよい(選択肢510)。
【0063】
いくつかの実施形態では、運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態の判定からのデータは、データベース内に記憶される。データは、査定の時間におけるユーザの体重、平均化されたセンサ値測定値、正規化された値、スコア、査定の日時、および
図5に示されるような他のデータのうちの1つ以上を含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、遠隔サーバシステムは、例えば、疾病または傷害、例えば、脳震盪を予測するために、リハビリテーション治療を改良するために、ならびに回復準備状態を予測および判定するために機械学習を使用する複合統計分析を含んでもよい。これらの実施形態では、本システムは、査定または走査からの時系列データを処理し、その時系列データから特徴の1つ以上のセットを抽出してもよい。本特徴は、様々な技法を通して抽出されてもよい。特徴は、ひいては、機械学習モデル、例えば、疾病および傷害リスクを予測するためのモデルのための入力であってもよい。本技法は、例えば、以下を含んでもよい。
【0065】
-生物物理学ベースの分析。いくつかの実施形態では、本技法は、例えば、片脚で、バランスをとっている間の所与の時間周期にわたって、対象に対する中心圧の速度の平均的大きさを推定することを含んでもよい。
【0066】
-統計値/信号処理ベースの分析。いくつかの実施形態では、本技法は、時系列信号に対するマルチスケールサンプルエントロピの計算を含んでもよい。時系列信号は、例えば、座標軸に沿った垂直力および中心圧を含んでもよい。
【0067】
-教師なし学習技法。いくつかの実施形態では、これらの技法は、時系列データの区画から特徴のセットを抽出するために、オートエンコーディング時間畳み込みニューラルネットワークを使用することを含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、本システムは、訓練された傷害リスクモデルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本モデルは、例えば、人工ニューラルネットワークモデル化技法を使用して訓練され、走査(例えば、バランス走査)から抽出された特徴の所与のセットに対して、個人のための相対的な傷害リスクを推測してもよい。いくつかの実施形態では、本モデルは、それと走査データが関連付けられる、周期と関連付けられる傷害事象データを使用して訓練されてもよい。
【0069】
図4B-4Iは、ユーザの運動の変動性、疾病および傷害リスク、ならびに回復準備状態スコアが判定される、方法400のあるステップを描写する、絵画図である。
図4Bは、両眼を開いた状態でフォースプレート112上に立ち、その上で定常状態に留まるユーザを示す、絵画図である。
図4Cは、
図4Bにおけるユーザが、フォースプレート112上で定常状態に留まるときの中心圧の運動を示すグラフ482である。本運動のグラフ表現482は、フォースプレート112によって感知および記録されたデータを表す。示されるように、ユーザは、両眼を開いた状態で立ち、定常状態に留まっているが、依然として、ユーザの中心バランス、例えば、重心における運動が存在する。グラフ表現482は、ユーザの足の中心において記録された身体揺動運動を示す。いくつかの実施形態では、フォースプレート上の足からの圧力の変化が、感知、記録、および測定されてもよい。本明細書に説明されるように、フォースプレートは、例えば、ミリ秒毎に、時系列データとして運動を感知および記録してもよい。
【0070】
図4Dは、両眼を閉じた状態でフォースプレート112上に立ち、その上で定常状態に留まるユーザを示す、絵画図である。
図4Eは、
図4Dにおけるユーザが、フォースプレート112上で定常状態に留まるときの中心圧の運動を示すグラフ484である。本運動のグラフ表現484は、フォースプレート112によって感知および記録されたデータを表す。示されるように、ユーザは、両眼を閉じた状態で立ち、定常状態に留まっているが、依然として、ユーザの重心における運動が存在する。グラフ表現484は、ユーザの足の中心において記録された身体揺動運動を示す。いくつかの実施形態では、フォースプレート上の足からの圧力の変化が、感知、記録、および測定されてもよい。本明細書に説明されるように、フォースプレートは、例えば、ミリ秒毎に、時系列データとして運動を感知および記録してもよい。
【0071】
図4Fは、両眼を開いた状態で片足でフォースプレート112上に立ち、その上で定常状態に留まるユーザを示す、絵画図である。
図4Gは、
図4Fにおけるユーザが、フォースプレート112上で定常状態に留まるときの中心圧の運動を示すグラフ486である。本運動のグラフ表現486は、フォースプレート112によって感知および記録されたデータを表す。示されるように、ユーザは、両眼を開いた状態で片脚で立ち、定常状態に留まっているため、ユーザの重心における運動が存在する(例えば、ユーザは、バランスを失い、バランスを獲得し、取り戻そうとする)。グラフ表現486は、ユーザの足の中心において記録された身体揺動運動を示す。いくつかの実施形態では、フォースプレート上の足からの圧力の変化が、感知、記録、および測定されてもよい。本明細書に説明されるように、フォースプレートは、例えば、ミリ秒毎に、時系列データとして運動を感知および記録してもよい。
【0072】
図4Hは、両眼を閉じた状態で片足でフォースプレート112上に立ち、その上で定常状態に留まるユーザを示す、絵画図である。
図4Iは、
図4Hにおけるユーザが、フォースプレート112上で定常状態に留まるときの中心圧の運動を示すグラフ488である。本運動のグラフ表現488は、フォースプレート112によって感知および記録されたデータを表す。示されるように、ユーザは、両眼を閉じた状態で片脚で立ち、定常状態に留まっているため、ユーザの重心における運動が存在する(例えば、ユーザは、バランスを失い、バランスを獲得し、取り戻そうとする)。グラフ表現488は、ユーザの足の中心において記録された身体揺動運動を示す。いくつかの実施形態では、フォースプレート上の足からの圧力の変化が、感知、記録、および測定されてもよい。本明細書に説明されるように、フォースプレートは、例えば、ミリ秒毎に、時系列データとして運動を感知および記録してもよい。
【0073】
図4B-4Iは、具体的直立ポジションを描写するが、これらのポジションは、例証的かつ非排他的であることを意味する。例えば、
図4Fおよび4Hにおけるユーザは、異なる足で立ってもよい。実際には、当業者は、他の直立ポジションも、完全に本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0074】
(回復準備状態を判定するための方法の例示的実施形態)
いくつかの実施形態では、回復準備状態スコアが、疾病または疾病および傷害前の活動または複数の活動に復帰するための患者の能力を示すことができる。患者が競技者である場合、回復準備状態スコアが、査定日にスポーツに参加するための、1人以上のユーザ、例えば、競技者または競技チームの可用性および能力を示すことができる。いくつかの実施形態では、準備状態スコアは、少なくとも部分的に、同日に判定されたユーザの疾病または傷害リスクスコア、運動の変動性スコア、およびユーザが最後の所定の時間長内に実施した査定の頻度または走査に基づいて判定される。ユーザのグループに関する準備状態が、特定の日付の各個々のユーザの準備状態を平均化することによって判定されることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、ユーザに関するユーザの経時的な全体的な個々の準備状態スコアが、ユーザの履歴準備状態スコアを平均化することによって判定されることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、グループ準備状態スコアが、グループ内の全てのユーザの準備状態スコアを平均化することによって判定されることができる。
【0077】
また、本明細書に提供される任意の実施形態に関して説明される全ての特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップが、任意の他の実施形態からのものと自由に組み合わせ可能かつ代用可能であることを意図していることに留意されたい。ある特徴、要素、コンポーネント、機能、またはステップが、1つの実施形態のみに関して説明される場合、その特徴、要素、コンポーネント、機能、またはステップは、別様に明示的に記載されない限り、本明細書に説明される全ての他の実施形態と併用され得ることを理解されたい。本段落は、したがって、以下の説明が、特定の事例において、そのような組み合わせまたは代用が可能性として考えられると明示的に記載しない場合であっても、任意の時点で、異なる実施形態からの特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップを組み合わせる、または1つの実施形態からの特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップを別の実施形態のもので代用する、請求項の導入のための先行基礎および書面による支援としての役割を果たす。全ての可能性として考えられる組み合わせおよび代用の明確な列挙は、特に、あらゆるそのような組み合わせおよび代用の許容性が、当業者によって容易に認識されるであろうことを前提として、過度に負担となることが、明示的に認められる。
【0078】
本明細書に開示される実施形態が、メモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体を含む、もしくはそれと関連して動作する範囲について、そのメモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体は、非一過性である。故に、メモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体が、1つ以上の請求項によって網羅される範囲について、そのメモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体は、非一過性のみである。
【0079】
実施形態は、種々の修正および代替形態の影響を受けるが、その具体的実施例が、図面に示され、本明細書に詳細に説明される。しかしながら、これらの実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではなく、それとは反対に、これらの実施形態は、本開示の精神内に該当する全ての修正、均等物、および代替物を網羅するものであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素、ならびにその範囲内ではない特徴、機能、ステップ、または要素によって請求項の発明的範囲を定義する否定的限定が、請求項内に列挙される、またはそれに追加され得る。
【国際調査報告】