(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】工具部品の寸法を求めるための工具部品、システム、方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20230605BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
B23Q17/00 F
B23Q17/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567373
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2021060674
(87)【国際公開番号】W WO2021224028
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591106875
【氏名又は名称】セコ ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボーダン, ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】グラブニングスブローテン, ヤン
【テーマコード(参考)】
3C029
【Fターム(参考)】
3C029EE16
3C029EE20
(57)【要約】
本開示は、工具部品(20a、20b、20c、20d)の寸法を求めるために使用される工具部品(20a、20b、20c、20d)上の識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を利用するためのシステム(100)に関し、システム(100)は、機械可読コードを読み取るためのリーダデバイス(10a、10b、10c)と、リーダデバイス(10a、10b、10c)と接続されるように構成された電子デバイス(1a、1b、1c)とを備え、電子デバイス(1a、1b、1c)は、システム(100)に、リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、工具部品(20a、20b、20c、20d)の識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を検出することであって、識別マーカ(40a、40b、40c、40d)が、一意の機械可読コードである、識別マーカを検出することと、リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、識別マーカ(40a、40b、40c、40d)の一意の機械可読コードを読み取ることと、一意の機械可読コードから、工具部品(20a、20b、20c、20d)を製造するときに測定された、工具部品(20a、20b、20c、20d)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データ(idID)を取得することとを行わせるように構成された処理回路(102a、102b、102c)を有する。本開示は、さらに、工具部品(20a、20b、20c、20d)の寸法、および工具部品(20a、20b、20c、20d)に対する寸法を求めるために使用される工具部品(20a、20b、20c、20d)上の識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を利用するための方法およびコンピュータプログラム製品(500)に関する。
【選択図】
図5a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具部品(20a、20b、20c、20d)の寸法を求めるために使用される、前記工具部品(20a、20b、20c、20d)上の識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を利用するためのシステム(100)であって、
機械可読コードを読み取るためのリーダデバイス(10a、10b、10c)と、
前記リーダデバイス(10a、10b、10c)と接続されるように構成された電子デバイス(1a、1b、1c)と
を備え、
前記電子デバイス(1a、1b、1c)が、前記システム(100)に、
前記リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、工具部品(20a、20b、20c、20d)の識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を検出することであって、前記識別マーカ(40a、40b、40c、40d)が、一意の機械可読コードである、識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を検出することと、
前記リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、前記識別マーカ(40a、40b、40c、40d)の前記一意の機械可読コードを読み取ることと、
前記一意の機械可読コードから、前記工具部品(20a、20b、20c、20d)を製造するときに測定された、前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データ(idID)を取得することと
を行わせるように構成された処理回路(102a、102b、102c)を有する、システム(100)。
【請求項2】
前記処理回路(102a、102b、102c)が、前記システム(100)に、
前記工具部品(20a、20b、20c、20d)が機械(50)に取り付けられるとき、前記機械(50)に対する前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の関係を定義する少なくとも第1のアセンブリ寸法を含む機械寸法情報データ(madID)を取得させる
ようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記処理回路(102a、102b、102c)が、前記システム(100)に、
前記個々の寸法情報データ(idID)および前記機械寸法情報データ(madID)に基づいて、前記機械(50)に対する前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の第1のアセンブリ寸法(d)を求めさせる
ようにさらに構成されている、請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記処理回路(102a、102b、102c)が、前記システム(100)に、
前記リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、第1の工具部品(20c)の第1の識別マーカ(40c)と、第2の工具部品(20d)の第2の識別マーカ(40d)とを検出させ、
前記リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、前記第1の識別マーカ(40c)の前記一意の機械可読コードと、前記第2の識別マーカ(40d)の前記一意の機械可読コードとを読み取らせ、
前記第1の識別マーカ(40c)の前記一意の機械可読コードから、前記第1の工具部品(20c)を製造するときに測定された、前記第1の工具部品(20c)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第1の個々の寸法情報データ(1idID)を取得させ、前記第2の識別マーカ(40d)の前記一意の機械可読コードから、前記第2の工具部品(20d)を製造するときに測定された、前記第2の工具部品(20d)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第2の個々の寸法情報データ(2idID)を取得させ、
前記第1の個々の寸法情報データ(1idID)および前記第2の個々の寸法情報データ(2idID)に基づいて、前記第1の工具部品(20c)および前記第2の工具部品(20d)の第2のアセンブリ寸法(L)を求めさせる
ようにさらに構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記処理回路(102a、102b、102c)が、前記システムに、
前記第1の工具部品(20c)が前記第2の工具部品(2d)に取り付けられ、前記第2の工具部品(20d)が機械(50)に取り付けられるとき、少なくとも、前記機械(50)に対する前記第1の工具部品(20c)の関係を定義する第1のアセンブリ寸法と、前記機械(50)に対する前記第2の工具部品(20d)の関係を定義する第2のアセンブリ寸法とを含む機械寸法情報データ(madID)を取得させ、
前記第1の個々の寸法情報データ(1idID)、前記第2の個々の寸法情報データ(2idID)、および前記機械寸法情報データ(madID)に基づいて、前記機械(50)に対する前記第1の工具部品(20c)および前記第2の工具部品(20d)の第3のアセンブリ寸法を求めさせる
ようにさらに構成されている、請求項4に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記個々の寸法情報データ(idID)が、前記識別マーカ(40a、40b、40c、40d)の前記一意の機械可読コードを復号し、復号された情報から、前記個々の寸法情報データ(idID)を取得することによって取得される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記個々の寸法情報データ(idID)が、前記一意の機械可読コードと、前記一意の機械可読コードを備える前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の個々の寸法情報データ(idID)を含む関連データとを比較し、メモリ(103a、103b、103c)から前記個々の寸法情報データ(idID)を取得することによって取得される、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項8】
工具部品(20a、20b、20c、20d)の寸法を求めるために使用される前記工具部品(20a、20b、20c、20d)上の識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を利用するための方法であって、
(S1a)リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、工具部品(20a、20b、20c、20d)の識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を検出することであって、前記識別マーカ(40a、40b、40c、40d)が、一意の機械可読コードである、識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を検出することと、
(S2a)前記リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、前記識別マーカ(40a、40b、40c、40d)の前記一意の機械可読コードを読み取ることと、
(S3a)前記一意の機械可読コードから、前記工具部品(20a、20b、20c、20d)を製造するときに測定された、前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データ(idID)を取得することと
を含む、方法。
【請求項9】
(S4)前記工具部品(20a、20b、20c、20d)が機械(50)に取り付けられるとき、前記機械(50)に対する前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の関係を定義する少なくとも第1のアセンブリ寸法を含む機械寸法情報データ(madID)を取得すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(S5a)前記個々の寸法情報データ(idID)および前記機械寸法情報データ(madID)に基づいて、前記機械(50)に対する前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の第1のアセンブリ寸法(d)を求めること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(S1b)前記リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、第1の工具部品(20c)の第1の識別マーカ(40c)と、第2の工具部品(20d)の第2の識別マーカ(40d)とを検出することと、
(S2b)前記リーダデバイス(10a、10b、10c)によって、前記第1の識別マーカ(40c)の前記一意の機械可読コードと、前記第2の識別マーカ(40d)の前記一意の機械可読コードとを読み取ることと、
(S3b)前記第1の識別マーカ(40c)の前記一意の機械可読コードから、前記第1の工具部品(20c)を製造するときに測定された、前記第1の工具部品(20c)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第1の個々の寸法情報データ(1idID)を取得し、前記第2の識別マーカ(40d)の前記一意の機械可読コードから、前記第2の工具部品(20d)を製造するときに測定された、前記第2の工具部品(20d)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第2の個々の寸法情報データ(2idID)を取得することと、
(S5b)前記第1の個々の寸法情報データ(1idID)および前記第2の個々の寸法情報データ(2idID)に基づいて、前記第1の工具部品(20c)および前記第2の工具部品(20d)の第2のアセンブリ寸法(L)を求めることと
をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(S6)前記第1の工具部品(20c)が前記第2の工具部品(2d)に取り付けられ、前記第2の工具部品(20d)が機械(50)に取り付けられるとき、少なくとも、前記機械(50)に対する前記第1の工具部品(20c)の関係を定義する第1のアセンブリ寸法と、前記機械(50)に対する前記第2の工具部品(20d)の関係を定義する第2のアセンブリ寸法とを含む機械寸法情報データ(madID)を取得することと、
(S7)前記第1の個々の寸法情報データ(1idID)、前記第2の個々の寸法情報データ(2idID)、および前記機械寸法情報データ(madID)に基づいて、前記機械(50)に対する前記第1の工具部品(20c)および前記第2の工具部品(20d)の第3のアセンブリ寸法を求めることと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記個々の寸法情報データ(idID)が、
前記識別マーカ(40a、40b、40c、40d)の前記一意の機械可読コードを復号し、復号された情報から、前記個々の寸法情報データ(idID)を取得することによって、および/または
前記一意の機械可読コードと、前記一意の機械可読コードを備える前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の個々の寸法情報データ(idID)を含む関連データとを比較し、メモリ(103a、103b、103c)から前記個々の寸法情報データ(idID)を取得することによって
取得される、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
プログラム命令を含むコンピュータプログラムをその上に有する非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品(500)であって、前記コンピュータプログラムが、処理回路(102a、102b、102c)内にロード可能であり、前記コンピュータプログラムが前記処理回路(102a、102b、102c)によって実行されるとき、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成されている、コンピュータプログラム製品(500)。
【請求項15】
工具部品(20a、20b、20c、20d)に配置された識別マーカ(40a、40b、40c、40d)を備える、切削工具(18)用の工具部品(20a、20b、20c、20d)であって、前記識別マーカ(40a、40b、40c、40d)が、個々の寸法情報データ(idID)を含む一意の機械可読コードであり、前記個々の寸法情報データ(idID)が、前記工具部品(20a、20b、20c、20d)を製造するときに測定された、前記工具部品(20a、20b、20c、20d)の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含み、前記機械可読コードが、リーダデバイス(10a、10b、10c)によって読み取られ、前記リーダデバイス(10a、10b、10c)と通信するように構成された電子デバイス(1a、1b、1c)によって復号されるように構成されている、工具部品(20a、20b、20c、20d)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工具部品の寸法を求めるために工具部品上の識別マーカを利用するための工具部品、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、複数の機械操作が工具の使用を伴う。たとえば、機械操作中の材料の正確な処理のために、機械操作で使用される工具が所望の場所にあることが重要である。今日、機械操作においては工具の多くの手作業がある。
【0003】
機械操作の一例は、切削工具による機械操作中に材料の部片から切りくずを除去するように構成される切削工具を用いる機械による操作である。この例では、切削用の機械は、切削工具部品を用いた機械操作を開始する前に、複数の工具部品を所望の場所に配置することを必要とし得る。この例では、切削工具は、複数の工具部品、たとえば一定のツールホルダと、ツールホルダに取り付けられた1つまたは複数の一定の切削インサートとを備え得る。さらに、切削インサートは複数の切刃を有し得、したがって、たとえば切削工具による機械操作中に材料の部片から切刃までの正しい距離が使用されるように、各切削インサートを一定の場所のツールホルダに配置する必要があり得る。
【0004】
多くの場合、機械のオペレータは、機械操作が開始され得る前に、工具部品を配置し、工具部品が所望の場所にあることを検証する必要がある。切削工具の例では、したがって切削機械のオペレータは、たとえば切削インサートの切刃が所望の場所にあることを検証する必要がある。これは、機械操作がオペレータによって開始され得る前に、多くの場合、外観検査によって、時には機械のオペレータによる手動測定によって行われる。
【0005】
したがって、今日、機械操作、具体的には複数の複雑な連続する機械操作での時間の大部分は、工具が機械に取り付けられるとき、たとえば機械、および/または工具部品によって処理すべき材料に対して工具部品を位置決めすることに費やされる。これは、各操作の間の工具部品の交換に関して費やされる時間を含む。
【0006】
現在の手法の第1の欠点は、切削工具が誤って配置され、したがって望ましくない場所に配置され得、その結果、切削工具を用いた機械操作中に材料の部片から切削工具の切刃までの誤った距離が使用され、それによって切削工具と材料の部片の両方に対する深刻な損傷が引き起こされ得ることである。
【0007】
現在の手法の第2の欠点は、機械操作前に工具部品が望ましい場所に配置されることをオペレータが検証する場合であっても、ヒューマンエラー要素が機械操作で工具部品の誤った配置を招き得る1つの要素であることである。
【0008】
現在の手法の第3の欠点は、工具部品が機械に取り付けられるとき、たとえば、機械、および/または工具部品によって処理すべき材料に対して工具部品を位置決めすることに多くの時間が費やされることである。この時間はコストがかかり、製品の全製造工程に時間を増し加える。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの実施形態の目的は、上記または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決もしくは軽減し、緩和し、または解消することである。
【0010】
今日、特定の工具部品の寸法は、寸法値±一定の公差値として文書化され得る。多くの場合、特定の工具部品を製造するとき、製造工程自体はそれほど精密ではないことがあり、したがってそれぞれの製造される工具部品は、所望の寸法値の一定の公差以内、すなわち一定の公差値以内の真の寸法を有することになる。
【0011】
このことは、特定の工具部品のすべての個体が寸法値±一定の公差値である寸法を有することを意味する。このことは、それぞれの個々の工具部品についての真の寸法は、公差値のために、異なる個々の工具部品の間で異なることを意味する。
【0012】
したがって、この文書化された寸法は、ある範囲で使用され得るが、それでもなお、個々の工具部品がたとえば機械操作で使用される前に、それぞれの個々の工具部品について公差値を測定しなければならないことになる。このことは、たとえば個々の工具部品の厳密な寸法を検証することに関して時間を費やす必要があることを意味する。
【0013】
工具部品は、たとえば切削インサート、切刃、フライス工具部品、ドリリング工具部品、ドリルチャック、フライスカッタチャック、またはツールホルダであり得る。
【0014】
したがって、前述の欠点に伴って、たとえば工具部品をたとえば機械および/または材料に対して位置決めすることに関して費やされる時間を最小限に抑え、たとえば機械操作での処理のために工具部品を一定の場所に配置するとき、ヒューマンエラーの危険を最小限に抑えるために、特定の個々の工具部品の厳密な寸法を知ることが求められている。
【0015】
したがって、ヒューマンエラーの危険を低減し、たとえば機械および/または材料に対して工具部品を位置決めするための代替手法が求められている。
【0016】
本発明者らは、ヒューマンエラーの危険を低減し、所望の工具部品がたとえば機械および/または材料に対して所望の場所に配置されることを検証するために必要とされる時間も削減する解決策を思いついた。以下では、態様および実施形態が提示され、ヒューマンエラーの危険を低減し、たとえば機械および/または材料に対して工具部品を位置決めするための代替手法が説明される。
【0017】
第1の態様によれば、工具部品の寸法を求めるために使用される工具部品上の識別マーカを利用するためのシステムが提供され、システムは、機械可読コードを読み取るためのリーダデバイスと、リーダデバイスと接続されるように構成された電子デバイスとを備え、電子デバイスは、システムに、リーダデバイスによって、工具部品の識別マーカを検出することであって、識別マーカが、一意の機械可読コードである、識別マーカを検出することと、リーダデバイスによって、識別マーカの一意の機械可読コードを読み取ることと、一意の機械可読コードから、工具部品を製造するときに測定された、工具部品の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データを取得することとを行わせるように構成された処理回路を有する。
【0018】
識別マーカは、たとえば知的所有権のある機械可読コード、オープンソース機械可読コード、2次元コード、3次元コード、イメージ、Quick Responseコード、High Capacity Colored Two Dimensional Code、European Article Numberコード、DataMatrixコード、またはMaxiCodeであり得る。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、識別マーカは工具部品にエッチングされる。いくつかの実施形態によれば、識別マーカは、工具部品に取り付けられたステッカである。いくつかの実施形態によれば、識別マーカが工具部品に塗装される。
【0020】
この態様に伴う一利点は、個々の工具部品を製造するときに測定された個々の寸法が、たとえば工具部品顧客の所での個々の工具部品の使用中に取得および使用され得、それによって、たとえば工具部品顧客の所での機械操作における工具部品の使用の前または間に、寸法値±一定の公差値のみに関連付けられる工具部品に伴う必要に応じて、たとえば、後の時点で工具部品の個々の寸法を測定する必要がなくなり、それによって時間が節約され、測定精度が改善され、たとえば人間のオペレータによって引き起こされる測定誤差が低減されることである。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、システムに、工具部品が機械に取り付けられるとき、機械に対する工具部品の関係を定義する少なくとも第1のアセンブリ寸法を含む機械寸法情報データを取得させるようにさらに構成される。
【0022】
この実施形態に伴う一利点は、工具部品が機械で組み立てられるとき、機械に関する寸法情報を用いて、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得ることである。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、個々の寸法情報データおよび機械寸法情報データに基づいて、機械に対する工具部品の第1のアセンブリ寸法を求めるようにさらに構成される。
【0024】
この実施形態に伴う一利点は、機械に対する工具部品の第1のアセンブリ寸法、たとえば機械に対する工具部品の位置を求めるために、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得ることである。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、システムに、リーダデバイスによって、第1の工具部品の第1の識別マーカと、第2の工具部品の第2の識別マーカとを検出させ、リーダデバイスによって、第1の識別マーカの一意の機械可読コードと、第2の識別マーカの一意の機械可読コードとを読み取らせ、第1の識別マーカの一意の機械可読コードから、第1の工具部品を製造するときに測定された、第1の工具部品の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第1の個々の寸法情報データを取得させ、第2の識別マーカの一意の機械可読コードから、第2の工具部品を製造するときに測定された、第2の工具部品の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第2の個々の寸法情報データを取得させ、第1の個々の寸法情報データおよび第2の個々の寸法情報データに基づいて、第1の工具部品および第2の工具部品の第2のアセンブリ寸法を求めさせるようにさらに構成される。
【0026】
この実施形態に伴う一利点は、たとえば第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられるとき、第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得ることである。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、システムに、第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられ、第2の工具部品が機械に取り付けられるとき、少なくとも、機械に対する第1の工具部品の関係を定義する第1のアセンブリ寸法と、機械に対する第2の工具部品の関係を定義する第2のアセンブリ寸法とを含む機械寸法情報データを取得させ、第1の個々の寸法情報データ、第2の個々の寸法情報データ、および機械寸法情報データに基づいて、機械に対する第1の工具部品および第2の工具部品の第3のアセンブリ寸法を求めさせるようにさらに構成される。
【0028】
この実施形態に伴う一利点は、第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられ、第2の工具部品が機械に取り付けられるとき、機械に対する第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得、たとえば、機械の既知の基準点または軸から第1の工具部品の縁部までの距離が求められることである。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データは、識別マーカの一意の機械可読コードを復号し、復号された情報から、個々の寸法情報データを取得することによって取得される。
【0030】
この実施形態に伴う一利点は、個々の寸法についての情報が符号化され、工具部品上で利用可能である一意の機械可読コード自体の中に記憶され得ることである。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データは、一意の機械可読コードと、一意の機械可読コードを備える工具部品の個々の寸法情報データを含む関連データとを比較し、メモリから個々の寸法情報データを取得することによって取得される。
【0032】
この実施形態に伴う一利点は、個々の寸法についての情報が、たとえばリモートメモリであるメモリ内に記憶され得、情報データが、工具部品製造業者によって工具部品顧客のために記憶され、管理され得ることである。
【0033】
第2の態様によれば、工具部品の寸法を求めるために使用される工具部品上の識別マーカを利用するための方法が提供される。方法は、リーダデバイスによって、工具部品の識別マーカを検出するステップであって、識別マーカが一意の機械可読コードであるステップを含む。方法は、リーダデバイスによって、識別マーカの一意の機械可読コードを読み取るステップと、一意の機械可読コードから、工具部品を製造するときに測定された、工具部品の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データを取得するステップとをさらに含む。
【0034】
この態様に伴う一利点は、個々の工具部品を製造するときに測定された個々の寸法が、たとえば工具部品顧客の所での個々の工具部品の使用中に取得および使用され得、それによって、たとえば工具部品顧客の所での機械操作における工具部品の使用の前または間に、寸法値±一定の公差値のみに関連付けられる工具部品に伴う必要に応じて、たとえば、後の時点で工具部品の個々の寸法を測定する必要がなくなり、それによって時間が節約され、測定精度が改善され、たとえば人間のオペレータによって引き起こされる測定誤差が低減されることである。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、方法は、工具部品が機械に取り付けられるとき、機械に対する工具部品の関係を定義する少なくとも第1のアセンブリ寸法を含む機械寸法情報データを取得するステップをさらに含む。
【0036】
この実施形態に伴う一利点は、工具部品が機械で組み立てられるとき、機械に関する寸法情報を用いて、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得ることである。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、方法は、個々の寸法情報データおよび機械寸法情報データに基づいて、機械に対する工具部品の第1のアセンブリ寸法を求めるステップをさらに含む。
【0038】
この実施形態に伴う一利点は、機械に対する工具部品の第1のアセンブリ寸法、たとえば機械に対する工具部品の位置を求めるために、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得ることである。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、方法は、リーダデバイスによって、第1の工具部品の第1の識別マーカと、第2の工具部品の第2の識別マーカとを検出することと、リーダデバイスによって、第1の識別マーカの一意の機械可読コードと、第2の識別マーカの一意の機械可読コードとを読み取ることと、第1の識別マーカの一意の機械可読コードから、第1の工具部品を製造するときに測定された、第1の工具部品の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第1の個々の寸法情報データを取得し、第2の識別マーカの一意の機械可読コードから、第2の工具部品を製造するときに測定された、第2の工具部品の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第2の個々の寸法情報データを取得することと、第1の個々の寸法情報データおよび第2の個々の寸法情報データに基づいて、第1の工具部品および第2の工具部品の第2のアセンブリ寸法を求めることとをさらに含む。
【0040】
この実施形態に伴う一利点は、たとえば第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられるとき、第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得ることである。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、方法は、第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられ、第2の工具部品が機械に取り付けられるとき、少なくとも、機械に対する第1の工具部品の関係を定義する第1のアセンブリ寸法と、機械に対する第2の工具部品の関係を定義する第2のアセンブリ寸法とを含む機械寸法情報データを取得することと、第1の個々の寸法情報データ、第2の個々の寸法情報データ、および機械寸法情報データに基づいて、機械に対する第1の工具部品および第2の工具部品の第3のアセンブリ寸法を求めることとをさらに含む。
【0042】
この実施形態に伴う一利点は、第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられ、第2の工具部品が機械に取り付けられるとき、機械に対する第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得、たとえば、機械の既知の基準点または軸から第1の工具部品の縁部までの距離が求められることである。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データは、識別マーカの一意の機械可読コードを復号し、復号された情報から、個々の寸法情報データを取得することによって、および/または、一意の機械可読コードと、一意の機械可読コードを備える工具部品の個々の寸法情報データを含む関連データとを比較し、メモリから個々の寸法情報データを取得することによって取得される。
【0044】
この実施形態に伴う一利点は、個々の寸法についての情報が符号化され、工具部品上で利用可能である一意の機械可読コード自体の中に記憶され得ることである。
【0045】
個々の寸法についての情報が、たとえばリモートメモリ103cであるメモリ103a、103b、103c内に記憶されることに伴う一利点は、個々の寸法が工具部品製造業者によって工具部品顧客のために管理され得ることである。
【0046】
第3の態様によれば、プログラム命令を含むコンピュータプログラムをその上に有する非一時的コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムが、処理回路内にロード可能であり、コンピュータプログラムが処理回路によって実行されるとき、方法を実行させるように構成される、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0047】
第4の態様によれば、工具部品に配置された識別マーカを備える、切削工具用の工具部品であって、識別マーカが、個々の寸法情報データを含む一意の機械可読コードであり、個々の寸法情報データが、工具部品を製造するときに測定された、工具部品の少なくとも1つの個々に測定された寸法を含み、機械可読コードが、リーダデバイスによって読み取られ、リーダデバイスと通信するように構成された電子デバイスによって復号されるように構成される工具部品が提供される。
【0048】
この態様に伴う一利点は、それぞれの個々の工具部品が、その特定の工具部品についての個々の寸法情報データを含む一意の機械可読コードを備えることである。これにより、たとえば、後の時点で、たとえば機械操作における工具部品の使用中に、工具部品の寸法を測定する必要がなくなり、それによって時間が節約され、たとえば人間によって引き起こされる測定誤差が低減される。別の利点は、個々の寸法情報データがデバイスによって取得され得、それによって、たとえば機械による個々の寸法情報データの使用が可能となり、同時に人間の対話の必要が限定され、それによってヒューマンエラーの危険が最小限に抑えられることである。
【0049】
第2から第4の態様の効果および特徴は、第1の態様に関連して上記で説明したものと大部分は類似している。第1の態様に関して述べた実施形態は、第2から第4の態様と大部分は両立する。
【0050】
本開示は、以下で与えられる詳細な説明から明らかとなるであろう。詳細な説明および特定の例は、単なる例として本開示の好ましい実施形態を開示する。詳細な説明の指示から、変更および修正が本開示の範囲内内で行われ得ることを当業者は理解されたい。
【0051】
したがって、本明細書で開示される開示は、記載のデバイスの特定の構成部品、または記載の方法のステップに限定されないことを理解されたい。そのようなデバイスおよび方法には様々なものがあり得るからである。本明細書で用いられる用語は特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定のためのものではないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲では、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、文脈が別段に明示的に規定するのでない限り、要素のうちの1つまたは複数があることを意味するためのものであることに留意されたい。したがって、たとえば、「ユニット(a unit)」または「前記ユニット(the unit)」に対する言及は、いくつかのデバイスなどを含み得る。さらに、「備える」、「含む」、および類似の用語は、他の要素またはステップを除外しない。
【0052】
添付の図面と共に考慮するとき、本開示の例示的実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明を参照することにより、上記の目的、ならびに本開示の追加の目的、特徴、および利点がより完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本開示の一実施形態による例示的工具部品を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、少なくとも1つの切刃を有する切削インサートの形の例示的工具部品を示す図である。
【
図3a-3c】本開示の実施形態による、様々な工具部品の例示的な個々の寸法を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、機械に取り付けられた例示的組立て後工具部品を示す図である。
【
図5a】本開示の実施形態による例示的システムを示す図である。
【
図5b】本開示の実施形態による例示的システムを示す図である。
【
図5c】本開示の実施形態による例示的システムを示す図である。
【
図6a-6b】本開示の実施形態による、関連する個々の寸法情報データの例示的概略データ関係を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態による例示的方法ステップの流れ図である。
【
図8】本開示の実施形態による例示的コンピュータプログラム製品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示の好ましい例示的実施形態が示される添付の図面を参照しながら、本開示がこれから説明される。しかしながら、本開示は他の形態で実施され得、本明細書で開示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。開示される実施形態は、当業者に本開示の範囲を完全に伝達するように提供される。
【0055】
機械操作で使用するための例示的工具部品が、例示のために、従来技術および本開示の態様を視覚化し、例示するために説明される。本開示の態様が任意の機械操作での任意の工具部品に適用され得ることを理解されたい。
【0056】
実施例、および以下の説明では、切削用の工具部品が開示される。例示的機械操作は、機械操作中に材料の部片から切りくずを除去するために使用される切削工具を備える機械に関係する。本明細書で説明される材料の部片は通常、処理すべき金属の工作物を含み得るが、材料は、プラスチック材料、石材、木材などの任意の他の材料であり得る。本明細書で説明される機械は通常、フライス盤、旋盤、穴あけ機械、ねじ切盤、または工具部品によって材料の部片を処理するように構成された任意の他の機械を含み得る。
【0057】
図1は、切削工具18の例示的工具部品20a、20b、20c、20dを示す。この例では、
図1に示されるように、工具部品20a、20b、20cは切削インサート21a、21b、21cであり、工具部品20dはツールホルダ22である。この例では、ツールホルダ22は、それぞれ位置「A」、「B」、「C」と示されるツールホルダ22の場所で切削インサート21a、21b、21cを受けるように配置される。
【0058】
さらに、
図1に示される例では、各切削インサート21a、21b、21cは少なくとも1つの切刃を備える。
図2は、少なくとも1つの切刃を備える切削インサート21cの形の例示的工具部品20cを示す。この例では、
図1および
図2を参照すると、各切削インサート21a、21b、21cの各切刃が、材料の部片から切りくずを除去するために使用されるように構成される。
【0059】
多くの場合、機械のオペレータは、機械操作を開始することができる前に、工具部品20a、20b、20c、20dを配置し、工具部品20a、20b、20c、20dが所望の場所にあることを検証する必要がある。したがって、切削工具18の例では、
図1に示されるように、切削機械のオペレータは、たとえば切削インサート21a、21b、21cの切刃が所望の場所にあることを検証する必要がある。これは多くの場合、機械操作がオペレータによって開始することができる前に、外観検査によって行われ、時には機械のオペレータの手動測定によって行われる。
【0060】
今日、たとえば、
図1に示されるように、ツールホルダ回転軸AXtから、各切削インサート21a、21b、21cの各切刃までの距離が、機械のオペレータによる手動測定によって求められ得る。別の例では、機械のオペレータが、材料の部片に対して一定の位置に切刃を配置し、たとえばツールホルダ回転軸AXtから切削インサート21a、21b、21cの切刃までの距離を求めるために、機械操作を開始する前に切刃を材料の部片と接触させておく。
【0061】
前述のように、現在の手法の第1の欠点は、切削工具18が誤って配置され、したがって望ましくない場所に配置され得、その結果、切削工具18を用いた機械操作中に材料の部片から切削インサート21a、21b、21cの切刃までの誤った距離が使用され、それによって切削工具18と材料の部片の両方に対する深刻な損傷が引き起こされ得ることである。
【0062】
前述のように、現在の手法の第2の欠点は、機械操作前に工具部品20a、20b、20c、20dが望ましい場所に配置されることをオペレータが検証する場合であっても、ヒューマンエラー要素が機械操作で工具部品20a、20b、20c、20dの誤った配置を招き得る1つの要素であることである。
【0063】
前述のように、現在の手法の第3の欠点は、工具部品20a、20b、20c、20dが機械に取り付けられるとき、たとえば、機械、および/または工具部品20a、20b、20c、20dによって処理すべき材料に対して工具部品20a、20b、20c、20dを位置決めすることに多くの時間が費やされることである。この時間はコストがかかり、製品の全製造工程に時間を増し加える。
【0064】
いくつかの実施形態の目的は、上記または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決もしくは軽減し、緩和し、または解消することである。
【0065】
今日、特定の工具部品の寸法は、寸法値±一定の公差値として文書化され得る。多くの場合、特定の工具部品を製造するとき、製造工程自体はそれほど精密ではないことがあり、したがってそれぞれの製造される工具部品は、所望の寸法値の一定の公差以内、すなわち一定の公差値以内の真の寸法を有することになる。
【0066】
このことは、特定の工具部品のすべての個体が寸法値±一定の公差値である寸法を有することを意味する。このことは、それぞれの個々の工具部品についての真の寸法は、公差値のために、異なる個々の工具部品の間で異なることを意味する。
【0067】
したがって、この文書化された寸法は、ある範囲で使用され得るが、それでもなお、個々の工具部品がたとえば機械操作で使用される前に、個々の工具部品について公差値を測定しなければならないことになる。このことは、たとえば個々の工具部品の厳密な寸法を検証することに関して時間を費やす必要があることを意味する。
【0068】
したがって、前述の欠点に伴って、たとえば工具部品をたとえば機械および/または材料に対して位置決めすることに関して費やされる時間を最小限に抑え、たとえば機械操作での処理のために工具部品を一定の場所に配置するとき、ヒューマンエラーの危険を最小限に抑えるために、特定の個々の工具部品の厳密な寸法を知ることが求められている。
【0069】
したがって、ヒューマンエラーの危険を低減し、たとえば機械および/または材料に対して工具部品を位置決めするための代替手法が求められている。本発明者らは、ヒューマンエラーの危険を低減し、所望の工具部品がたとえば機械および/または材料に対して所望の場所に配置されることを検証するために必要とされる時間も削減する解決策を思いついた。以下では、態様および実施形態が提示され、ヒューマンエラーの危険を低減し、たとえば機械および/または材料に対して工具部品を位置決めするための代替手法が説明される。
【0070】
再び
図1を参照すると、
図1は、本開示の一実施形態による例示的工具部品20a、20b、20c、20dを示す。
【0071】
本開示の第1の態様は、切削工具18用の工具部品20a、20b、20c、20dを示す。いくつかの実施形態によれば、工具部品20a、20b、20c、20dは、切削インサート、切刃、フライス工具部品、ドリリング工具部品、ドリルチャック、フライスカッタチャック、またはツールホルダのいずれかである。工具部品20a、20b、20c、20dは、工具部品20a、20b、20c、20dに配置された識別マーカ40a、40b、40c、40dを備える。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、識別マーカ40a、40b、40c、40dは、知的所有権のある機械可読コード、オープンソース機械可読コード、2次元コード、3次元コード、イメージ、Quick Responseコード、High Capacity Colored Two Dimensional Code、European Article Numberコード、DataMatrixコード、またはMaxiCodeの少なくともいずれか、あるいは少なくともいずれかの組合せである。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、識別マーカ40a、40b、40c、40dは工具部品20a、20b、20c、20dにエッチングされる。いくつかの実施形態によれば、識別マーカ40a、40b、40c、40dは、工具部品20a、20b、20c、20dに取り付けられたステッカである。いくつかの実施形態によれば、識別マーカ40a、40b、40c、40dが工具部品20a、20b、20c、20dに塗装される。
【0074】
識別マーカ40a、40b、40c、40dは、個々の寸法情報データidIDに関連付けられる一意の機械可読コードであり、個々の寸法情報データidIDは、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む。言い換えれば、各工具部品20a、20b、20c、20dの各識別マーカ40a、40b、40c、40dは固有であり、したがって他の工具部品20a、20b、20c、20dは全く同じ識別マーカ40a、40b、40c、40dを有さないことになる。これにより、識別マーカ40a、40b、40c、40dを個々の寸法情報データidIDに関連付けることが可能となる。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データidIDは、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに一定の工具部品温度で測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む。いくつかの実施形態によれば、工具部品20a、20b、20c、20dの個々に測定された寸法は、一定の温度での寸法である。一例では、工具部品の寸法は、工具部品の温度に応じて変動し得、たとえば工具部品は高温で膨張し得る。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、個々に測定された寸法が、測定機械によって自動的に、および/またはオペレータによって測定工具により手動で測定される。
【0077】
したがって、この実施形態では、それぞれの個々の工具部品が一意の機械可読コードを備え、一意の機械可読コードが、その特定の個々の工具部品についての個々の寸法情報データidIDに関連付けられ得る。これにより、たとえば、後の時点で、たとえば機械操作における工具部品の使用中に、工具部品20a、20b、20c、20dの寸法を測定する必要がなくなり、それによって時間が節約され、たとえば人間によって引き起こされる測定誤差が低減される。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、工具部品20a、20b、20c、20dは切削インサート21a、21b、21cであり、個々の寸法情報データidIDは、切削インサート21a、21b、21cを製造するときに測定された、切削インサート21a、21b、21cの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む。
【0079】
図2は、本開示の一実施形態による、少なくとも1つの切刃を有する切削インサート21cの形の例示的工具部品20cを示す。
図2に示されるように、例示的工具部品20cは、工具部品20cに配置された識別マーカ40cを備える。
【0080】
図3a~
図3bは、本開示の一実施形態による、切削インサート21cの例示的な個々の寸法を示す。
図3aでは、高さhおよび幅wが示されている。
図3bでは、切削インサート21cの中心から切削インサート21cの第1の切刃までの寸法「a」が示されている。
図3bでは、切削インサート21cの中心から切削インサート21cの第2の切刃までの寸法「b」が示されている。
図3bでは、切削インサート21cの中心から切削インサート21cの第3の切刃までの寸法「c」が示されている。
【0081】
図3cは、本開示の一実施形態による、工具部品20dの例示的な個々の寸法を示す。
図3cに示されるように、例示的工具部品20dは、工具部品20dに配置された識別マーカ40dを備える。
図3cの例での工具部品20dはツールホルダ22である。
図3cでは、ツールホルダ22のツールホルダ軸AXtの中心から、切削インサート21a、21b、21cを受けるように構成された切削インサート取付け地点の中心までの寸法「d」が示されている。
【0082】
図4は、本開示の一実施形態による、機械50に取り付けられた例示的組立て後工具部品20a、20b、20c、20dを示す。
図4では、共通の測定地点を有する2つの寸法を示すために、切削インサート21cの中心から切削インサート21cの第1の切刃までの寸法「a」が、ツールホルダ22のツールホルダ軸AXtの中心から切削インサート取付け地点の中心までの寸法「d」と共に示されている。
【0083】
したがって、この実施形態では、たとえば機械操作で処理すべき材料の部片に対する、切削インサート21cのより高速でより信頼性の高い位置決めのために、切削インサート21cを製造するときに測定された、その特定の切削インサート21cの個々に測定された寸法が、たとえば製造工程中に使用され得る。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データidIDが機械可読コード内に符号化され、機械可読コードが、リーダデバイス10a、10b、10cによって読み取られ、リーダデバイス10a、10b、10cと通信するように構成された電子デバイス1a、1b、1cによって復号されるように構成される。
【0085】
したがって、この実施形態では、個々の寸法情報データがデバイスによって取得され得、それによって、たとえば機械による個々の寸法情報データの使用が可能となり、同時に人間の対話の必要が限定され、それによってヒューマンエラーの危険が最小限に抑えられる。
【0086】
図5a~
図5cはそれぞれ、本開示の一実施形態による例示的システムを示す。システム100は、機械可読コードを読み取るためのリーダデバイス10a、10b、10cを備える。いくつかの実施形態によれば、リーダデバイス10a、10b、10cは、カメラベースのリーダ、ビデオカメラリーダ、フォトダイオードを備えるペン型リーダ、レーザスキャナ、電荷結合デバイスリーダ、またはセルフォンカメラのいずれかである。いくつかの実施形態によれば、リーダデバイス10a、10b、10cは、電子デバイス内に一体化された構成要素、スタンドアロン構成要素である。リーダデバイス10a、10b、10cは、機械50による機械操作での工具部品20a、20b、20c、20dの使用中に、工具部品20a、20b、20c、20dに配置された機械可読コードを読み取るように構成される。
【0087】
システム100は、リーダデバイス10a、10b、10cと接続されるように構成された電子デバイス1a、1b、1cをさらに備える。いくつかの実施形態によれば、電子デバイスはポータブル電子デバイス1aである。いくつかの実施形態によれば、電子デバイスはローカル電子デバイス1bである。いくつかの実施形態によれば、電子デバイスはリモート電子デバイス1cである。いくつかの実施形態によれば、電子デバイス1a、1b、1cは、通信ネットワーク60に接続されるように構成される。
【0088】
図5aは、スマートフォン、タブレット、セルラフォン、フィーチャフォン、または任意のポータブル電子デバイスの形の電子デバイス1aを示す。一例として、
図5aに示されるように、リーダデバイス10aはスマートフォン1aのカメラである。この例では、電子デバイス1aは、機械操作のために工具部品20a、20b、20c、20dを準備するときに機械オペレータによって保持されるスマートフォンである。電子デバイスはまた、たとえば
図5bに示されるように機械50の一部として設置された、ローカル電子デバイス1bであり得る。一例として、
図5bに示されるように、リーダデバイス10bは、電子デバイス1bに接続され、機械50の一部として設置されたスタンドアロンリーダデバイスである。いくつかの実施形態によれば、電子デバイスは、
図5cに示されるように、通信ネットワーク60を介してリーダデバイス10cに接続されたリモートサーバ1cである。一例では、機械50は、たとえば工場内のリモート位置から操作される。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、通信ネットワーク60はワイヤレス通信ネットワークである。いくつかの実施形態によれば、ワイヤレス通信ネットワークは、ワイヤレスローカルエリアネットワーク、WLAN、Bluetooth(商標)、ZigBee、超広帯域(UWB)、無線周波数識別(RFID)、または類似のネットワークなどの標準化ワイヤレスローカルエリアネットワークである。いくつかの実施形態によれば、ワイヤレス通信ネットワークは、Global System for Mobile Communication(GSM)、拡張GSM、General Packet Radio Service(GPRS)、Enhanced Data Rates for GSM Evolution、EDGE、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、Long Term Evolution(LTE)、狭帯域IoT、5G、Worldwide Interoperability for Microwave Access、WiMAX、またはUltra Mobile Broadband(UWB)、または類似のネットワークなどの標準化ワイヤレス広域ネットワークである。いくつかの実施形態によれば、ワイヤレス通信ネットワークはまた、ワイヤレスローカルエリアネットワークとワイヤレス広域ネットワークの両方の組合せであり得る。いくつかの実施形態によれば、通信ネットワーク60は、ワイヤード通信ネットワークとワイヤレス通信ネットワークの組合せであり得る。いくつかの実施形態によれば、通信ネットワーク60は一般のインターネットプロトコルによって定義される。
【0090】
電子デバイス1a、1b、1cは、システム100に、リーダデバイス10a、10b、10cによって、工具部品20a、20b、20c、20dの識別マーカ40a、40b、40c、40dを検出させるように構成された処理回路102a、102b、102cを有し、識別マーカ40a、40b、40c、40dは一意の機械可読コードである。
【0091】
処理回路102a、102b、102cは、リーダデバイス10a、10b、10cによって、識別マーカ40a、40b、40c、40dの一意の機械可読コードを読み取り、一意の機械可読コードから、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データidIDを取得するようにさらに構成される。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、電子デバイス1a、1b、1cはメモリ103a、103b、103cをさらに備える。いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データidIDはメモリ103a、103b、103c内に記憶される。
【0093】
したがって、この実施形態では、個々の工具部品を製造するときに測定された個々の寸法が、リーダデバイスを使用して取得され、たとえば工具部品顧客の所での個々の工具部品の使用中に使用され得、それによって、寸法値±一定の公差値のみに関連付けられる工具部品に伴う必要に応じて、たとえば、後の時点で工具部品の個々の寸法を測定する必要がなくなる。これにより、工具部品顧客の所での機械操作での工具部品の使用前および/または使用中の時間が節約され、さらには測定精度が改善され、たとえば人間のオペレータによって引き起こされる測定誤差が低減される。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、処理回路102a、102b、102cは、システム100に、工具部品20a、20b、20c、20dが機械50に取り付けられるとき、機械50に対する工具部品20a、20b、20c、20dの関係を定義する少なくとも第1のアセンブリ寸法を含む機械寸法情報データmadIDを取得させるようにさらに構成される。
【0095】
したがって、この実施形態では、工具部品が機械で組み立てられるとき、機械に関する寸法情報、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得る。
【0096】
図4は、機械50に取り付けられた例示的組立て後工具部品20a、20b、20c、20dを示す。いくつかの実施形態によれば、第1の工具部品が、第2の工具部品によって機械50に取り付けられる。いくつかの実施形態によれば、工具部品が、ツールホルダ22によって機械50に取り付けられる。
図4の例では、工具部品20a、20b、20cがツールホルダ22に取り付けられ、ツールホルダ22が機械50に取り付けられる。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、機械寸法情報データmadIDが、処理回路102a、102b、102cに接続可能なメモリ103a、103b、103cから取得される。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、機械寸法情報データmadIDは、電子デバイス1a、1b、1cのユーザインターフェース400a、400b、400cを介する機械寸法情報データmadIDの手動入力、または電子デバイス1a、1b、1cに接続可能な機械50による機械寸法情報データmadIDの自動入力を介しての少なくともいずれかを介して取得される。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、機械寸法情報データmadIDは、工具部品20a、20b、20c、20dが機械50に取り付けられるときの、機械50に対する工具部品20a、20b、20c、20dの所定の寸法関係および/または所定の角度関係を含む。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、機械寸法情報データmadIDは、工具部品20a、20b、20c、20dの所定の工具基準軸AXtに対する機械の所定の機械基準軸AXmの角度関係を含む。
図4に示される例では、工具部品20dは、この例では機械基準軸AXmと共有される所定の工具基準軸AXtを有し、したがって所定の工具基準軸AXtに対する機械の所定の機械基準軸AXmの角度関係は0度である。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、機械寸法情報データmadIDは、工具部品20a、20b、20c、20dの所定の工具基準軸AXtに対する機械の所定の機械基準軸AXmの距離関係を含む。
図4に示される例では、機械の所定の機械基準軸AXmと工具部品20dの所定の工具基準軸AXtとの間に距離はない。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、処理回路102a、102b、102cは、システム100に、第1の個々の寸法情報データ1idIDおよび機械寸法情報データmadIDに基づいて、機械50に対する工具部品20a、20b、20c、20dの第1のアセンブリ寸法dを決定させるようにさらに構成される。
【0103】
一例として、
図4に示されるものを参照すると、機械の所定の機械基準軸AXmと工具部品20cの所定の工具基準軸との間の距離は、工具部品20cが取り付けられる、工具部品20dのアセンブリ地点に対する距離dである。
【0104】
したがって、この実施形態では、機械に対する工具部品の第1のアセンブリ寸法、たとえば機械に対する工具部品の位置を求めるために、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得る。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、処理回路102a、102b、102cは、システム100に、リーダデバイス10a、10b、10cによって、第1の工具部品20cの第1の識別マーカ40cと、第2の工具部品20dの第2の識別マーカ40dとを検出させ、リーダデバイス10a、10b、10cによって、第1の識別マーカ40cの一意の機械可読コードと、第2の識別マーカ40dの一意の機械可読コードとを読み取らせるようにさらに構成される。処理回路102a、102b、102cは、第1の識別マーカ40cの一意の機械可読コードから、第1の工具部品20cを製造するときに測定された、第1の工具部品20cの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第1の個々の寸法情報データ1idIDを取得し、第2の識別マーカ40dの一意の機械可読コードから、第2の工具部品20dを製造するときに測定された、第2の工具部品20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第2の個々の寸法情報データ2idIDを取得するようにさらに構成される。処理回路102a、102b、102cは、第1の個々の寸法情報データ1idIDおよび第2の個々の寸法情報データ2idIDに基づいて、第1の工具部品20cおよび第2の工具部品20dの第2のアセンブリ寸法Lを求めるようにさらに構成される。
【0106】
したがって、この実施形態では、たとえば第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられるとき、第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得る。
【0107】
図4に示される例では、第1の工具部品20cおよび第2の工具部品20dの第2のアセンブリ寸法Lは、第2の個々の寸法情報データ2idIDの寸法dと、第1の個々の寸法情報データ1idIDの寸法aの和を含む。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、第1の工具部品20cは、第2の工具部品20dに取り付けられるように構成され、第2の工具部品20dは、機械50に取り付けられるように構成され、処理回路102a、102b、102cは、システム100に、第1の個々の寸法情報データ1idID、第2の個々の寸法情報データ2idID、および機械寸法情報データmadIDに基づいて、機械50に対する第1の工具部品20cおよび第2の工具部品20dの第3のアセンブリ寸法を求めさせるようにさらに構成される。
【0109】
図4に示される例では、第1の工具部品20cおよび第2の工具部品20dの第3のアセンブリ寸法は、第2の個々の寸法情報データ2idIDの寸法dと、第1の個々の寸法情報データ1idIDの寸法aの和を含み、この例では、機械寸法情報データmadIDは、第2の工具部品20dが機械50に取り付けられるとき、第2の工具部品20dの所定の工具基準軸AXtと共通となるように機械基準軸AXmを定義する。
【0110】
図示されていない、いくつかの実施形態によれば、機械50に対する第1の工具部品20cおよび第2の工具部品20dの第1のアセンブリ寸法は、所定の工具基準軸AXtと機械の所定の機械基準軸AXmとの間のオフセット距離qにさらに基づく。いくつかの実施形態によれば、所定の工具基準軸AXtと機械の所定の機械基準軸AXmとの間のオフセット距離qは、工具および機械寸法データを含むメモリ103a、103b、103cから取得される。
【0111】
図示されていない別の例では、機械寸法情報データmadIDは、第2の工具部品20dが機械50に取り付けられるとき、第2の工具部品20dの所定の工具基準軸AXtからのオフセット距離qとなるように機械基準軸AXmを定義し、したがって機械基準軸AXmに対する第3のアセンブリ寸法は、q+d+aである。
【0112】
したがって、この実施形態では、第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられ、第2の工具部品が機械に取り付けられるとき、機械に対する第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得、たとえば、機械の既知の基準点または軸から第1の工具部品の縁部までの距離が求められる。
【0113】
一例として、
図4を参照すると、切削インサート21cの形の工具部品による機械操作が、機械50に対して固定位置にある材料の部片70から切りくずを除去するために使用される。材料の部片70に対する切削インサート21cの切刃の一定の場所が必要とされる。この場所は、切削インサート21cが機械50および/または材料の部片70に対してどのように配置されるかに関して求められ得る。
図4を参照すると、一例として、材料の部片70に対する切削インサート21cの切刃の場所が、材料の部片70と固定機械基準点Mrefとの間の距離Pにあるように求められる。切削インサート21cを交換するとき、材料の部片70に対する、同一の距離Pの、新しい切削インサートの新しい切刃の空間内の同一の位置が望ましい。新しい切削インサートをツールホルダ22上に装着するとき、前の切削インサートと全く同じ寸法の新しい切削インサートを使用することにより、またはたとえば、機械基準軸AXmの位置を機械50によって調節することにより、距離Pが達成され得、その結果、新しい切削インサートの新しい切刃が、材料の部片70と機械基準点Mrefとの間の距離Pにあるように求められる。この例では、距離Pを求めることは、機械50に対する切削インサート21cおよびツールホルダ22の第2のアセンブリ寸法Lをまず知ることによって達成され得る。機械50に対する関係は、このケースでは固定機械基準点Mrefに関する、機械寸法情報データmadIDに基づく。次いで、新しい切削インサートの第1の個々の寸法情報データ1idID、およびツールホルダ22の第2の個々の寸法情報データ2idIDが、機械基準軸AXmの位置を調節するために機械50によって使用され、その結果、新しい切削インサートの新しい切刃が、材料の部片70と機械基準点Mrefとの間の距離Pにある空間内の位置となるように求められる。
【0114】
図6a~
図6bは、関連する個々の寸法情報データの例示的概略データ関係を示す。
図6aは、一意の機械可読コード「AA0002」を有する例示的識別マーカを示す。いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データidIDは、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの複数の個々に測定された寸法を含む。一意の機械可読コード「AA0002」を有する例示的識別マーカは、個々の寸法情報データidID、摂氏20度でa=9.0525mm、摂氏20度でb=9.0520mm、摂氏20度でc=9.0531mmに関連付けられる。寸法a、b、およびcは、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの個々に測定された寸法の例である。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、工具部品20a、20b、20c、20dの個々に測定された寸法は、一定の温度での寸法である。一例として、工具部品の寸法は、工具部品の温度に応じて変動し得、たとえば工具部品は高温で膨張し得る。いくつかの実施形態によれば、工具部品20a、20b、20c、20dの個々に測定された寸法は、一定の温度での寸法、および/または一定の温度での寸法を求めるための関数に対する関係である。いくつかの実施形態によれば、一定の温度での工具部品の寸法の膨張があらかじめ求められ、個々の寸法情報データidIDの部分である。
図6aでは、摂氏800度で寸法a=9.0550mm、摂氏700度で寸法a=9.0545mmである。この情報は、工具部品20a、20b、20c、20dが一定の温度を有するときの寸法を求めるために使用され得る。
【0116】
図6bは、一意の機械可読コード「BB2342」を有する例示的識別マーカを示す。一意の機械可読コード「BB2342」を有する例示的識別マーカは、個々の寸法情報データidID、摂氏20度でd=52.052mm、摂氏800度でd=52.0560mm、および摂氏700度でd=52.0545に関連付けられる。
【0117】
いくつかの実施形態によれば、システム100は、工具部品20a、20b、20c、20dの現在温度を求めるように構成された温度センサデバイスを備え、処理回路102a、102b、102cは、システム100に、一意の機械可読コードから、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データidIDを取得させるように構成され、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法はさらに、工具部品20a、20b、20c、20dの現在温度に依存する。いくつかの実施形態によれば、温度センサデバイスは、赤外線カメラまたは温度計のいずれかである。いくつかの実施形態によれば、リーダデバイス10a、10b、10cは、工具部品20a、20b、20c、20dの現在温度を取得するように構成される。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、第2の工具部品20dが機械寸法情報データmadID内に含まれる機械50に取り付けられるとき、第2の工具部品20dは、機械の所定の機械基準軸AXmに対する既知の関係を有する所定の工具基準軸AXtを有する。いくつかの実施形態によれば、所定の工具基準軸AXtは、機械の所定の機械基準軸AXmと共通であり、機械の所定の機械基準軸AXmに対して垂直であり、または平行である。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、機械の所定の機械基準軸AXmは、第2の工具部品20dが機械50内に挿入されるとき、第2の工具部品20dの回転によって定義される。いくつかの実施形態によれば、機械の基準軸AXmは、機械50内に挿入される工作物の回転によって定義される。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データidIDは、識別マーカ40a、40b、40c、40dの一意の機械可読コードを復号し、復号された情報から、個々の寸法情報データidIDを取得することによって取得される。
【0121】
したがって、この実施形態では、個々の寸法についての情報が符号化され、工具部品上で利用可能である一意の機械可読コード自体の中に記憶され得る。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データidIDは、一意の機械可読コードと、一意の機械可読コードを備える工具部品20a、20b、20c、20dの個々の寸法情報データidIDを含む関連データシステムとを比較し、メモリ103a、103b、103cから個々の寸法情報データidIDを取得することによって取得される。
【0123】
したがって、この実施形態では、個々の寸法についての情報が、たとえばリモートメモリ400cであるメモリ内に記憶され得、情報データidIDが、工具部品製造業者によって工具部品顧客のために記憶され、管理され得る。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、処理回路102a、102b、102cは、システム100に、電子デバイス1a、1b、1cのユーザインターフェース400a、400b、400cを介して、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を出力させるようにさらに構成される。
【0125】
いくつかの実施形態によれば、処理回路102a、102b、102cは、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を、電子デバイス1a、1b、1cに接続可能な、工具部品20a、20b、20c、20dの動作を実施するように構成された機械に入力データとして出力するようにさらに構成される。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、処理回路102a、102b、102cは、システム100に、機械寸法情報データmadIDに基づいて、電子デバイス1a、1b、1cのユーザインターフェース400a、400b、400cを介して、工具部品20cの一部までの求めた距離を出力させるようにさらに構成される。
【0127】
図7は、本開示の一実施形態による例示的方法ステップの流れ図を示す。方法は、リーダデバイス10a、10b、10cによって、工具部品20a、20b、20c、20dの識別マーカ40a、40b、40c、40dを検出するステップS1aであって、識別マーカ40a、40b、40c、40dが一意の機械可読コードであるステップS1aと、リーダデバイス10a、10b、10cによって、識別マーカ40a、40b、40c、40dの一意の機械可読コードを読み取るステップS2aと、一意の機械可読コードから、工具部品20a、20b、20c、20dを製造するときに測定された、工具部品20a、20b、20c、20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む個々の寸法情報データidIDを取得するステップS3aとを含む。
【0128】
したがって、この実施形態では、それぞれの個々の工具部品が一意の機械可読コードを備え、一意の機械可読コードが、その特定の個々の工具部品についての個々の寸法情報データidIDに関連付けられ得る。これにより、たとえば、後の時点で、たとえば機械における工具部品の使用中に、工具部品20a、20b、20c、20dの寸法を測定する必要がなくなる。
【0129】
いくつかの実施形態によれば、方法は、工具部品20a、20b、20c、20dが機械50に取り付けられるとき、機械50に対する工具部品20a、20b、20c、20dの関係を定義する少なくとも第1のアセンブリ寸法を含む機械寸法情報データmadIDを取得するステップS4をさらに含む。
【0130】
したがって、この実施形態では、工具部品が機械で組み立てられるとき、機械に関する寸法情報、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得る。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、方法は、第1の個々の寸法情報データ1idIDおよび機械寸法情報データmadIDに基づいて、機械50に対する工具部品20a、20b、20c、20dの第1のアセンブリ寸法dを求めるステップS5aをさらに含む。
【0132】
したがって、この実施形態では、機械に対する工具部品の第1のアセンブリ寸法、たとえば機械に対する工具部品の位置を求めるために、工具部品の個々の寸法が、機械に関する既知の寸法と組み合わせて使用され得る。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、方法は、リーダデバイス10a、10b、10cによって、第1の工具部品20cの第1の識別マーカ40cと、第2の工具部品20dの第2の識別マーカ40dとを検出するステップS1bと、リーダデバイス10a、10b、10cによって、第1の識別マーカ40cの一意の機械可読コードと、第2の識別マーカ40dの一意の機械可読コードとを読み取るステップS2bとをさらに含む。方法は、第1の識別マーカ40cの一意の機械可読コードから、第1の工具部品20cを製造するときに測定された、第1の工具部品20cの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第1の個々の寸法情報データ1idIDを取得し、第2の識別マーカ40dの一意の機械可読コードから、第2の工具部品20dを製造するときに測定された、第2の工具部品20dの少なくとも1つの個々に測定された寸法を含む第2の個々の寸法情報データ2idIDを取得するステップS3bをさらに含む。方法は、第1の個々の寸法情報データ1idIDおよび第2の個々の寸法情報データ2idIDに基づいて、第1の工具部品20cおよび第2の工具部品20dの第2のアセンブリ寸法Lを求めるステップS5bをさらに含む。
【0134】
したがって、この実施形態では、たとえば第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられるとき、第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得る。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、方法は、第1の個々の寸法情報データ1idID、第2の個々の寸法情報データ2idID、および機械寸法情報データmadIDに基づいて、機械50に対する第1の工具部品20cおよび第2の工具部品20dの第3のアセンブリ寸法を求めるステップをさらに含む。
【0136】
したがって、この実施形態では、第1の工具部品が第2の工具部品に取り付けられ、第2の工具部品が機械に取り付けられるとき、機械に対する第1の工具部品および第2の工具部品のアセンブリ寸法が求められ得、たとえば、機械の既知の基準点または軸から第1の工具部品の縁部までの距離が求められる。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、個々の寸法情報データidIDは、識別マーカ40a、40b、40c、40dの一意の機械可読コードを復号し、復号された情報から、個々の寸法情報データidIDを取得することによって、および/または、一意の機械可読コードと、一意の機械可読コードを備える工具部品20a、20b、20c、20dの個々の寸法情報データidIDを含む関連データ方法とを比較し、メモリ103a、103b、103cから個々の寸法情報データidIDを取得することによって取得される。
【0138】
したがって、この実施形態では、個々の寸法についての情報が符号化され、工具部品上で利用可能である一意の機械可読コード自体の中に記憶され得る。
【0139】
さらに、個々の寸法についての情報が、たとえばリモートメモリ103cであるメモリ103a、103b、103c内に記憶されることは、個々の寸法が工具部品製造業者によって工具部品顧客のために管理され得ることである。
【0140】
図8は、本開示の第3の態様によるコンピュータプログラム製品500を示す。コンピュータプログラム製品500は、プログラム命令を含むコンピュータプログラムをその上に有する非一時的コンピュータ可読媒体を含み、コンピュータプログラムが、処理回路102a、102b、102c内にロード可能であり、コンピュータプログラムが処理回路102a、102b、102cによって実行されるとき、方法を実行させるように構成される。
【0141】
本開示は前述の好ましい実施形態に限定されないことを当業者は理解されたい。添付の特許請求の範囲内で修正および変形が可能であることを当業者はさらに理解されたい。さらに、図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の調査から、開示される実施形態に対する変形が、当業者によって、特許請求される開示を実施する際に理解および実施され得る。
【国際調査報告】