(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】アルカン及びアルキル芳香族炭化水素を改質するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C07C 5/333 20060101AFI20230605BHJP
B01J 23/62 20060101ALI20230605BHJP
B01J 38/04 20060101ALI20230605BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20230605BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230605BHJP
【FI】
C07C5/333
B01J23/62 Z
B01J38/04 Z
C07C11/06
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567507
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 US2021026639
(87)【国際公開番号】W WO2021225747
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】バオ シャオイン
(72)【発明者】
【氏名】ラットナー ジェームズ アール
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01B
4G169BA06B
4G169BB06B
4G169BC22B
4G169BC75B
4G169CB07
4G169CB63
4G169DA06
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FC08
4H006AA02
4H006AC12
4H006BA11
4H006BA26
4H006BC10
4H006BD60
4H039CA29
4H039CC10
(57)【要約】
炭化水素を改質するための方法。一部の実施形態において、方法は、第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含みうる第1の触媒と接触させて、供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び/又は脱水素環化を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の供給物を含む第1の変換区画流出物を生成することを含んでもよい。方法は、第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含みうる第2の触媒と接触させて、未変換の供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び/又は脱水素環化を引き起こし、追加量の改質された炭化水素及び分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成することも含んでもよい。第2の変換区画流出物の温度は、第1の変換区画流出物の温度を超えていてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段階炭化水素改質方法であって、
(I)第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含む第1の触媒と接触させて、炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含む第1の変換区画流出物を生成するステップ、
(II)第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含む第2の触媒と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成するステップ
を含み、
炭化水素含有供給物が、C
2-C
16直鎖状若しくは分枝状アルカンのうちの1種若しくは複数、C
4-C
16環状アルカンのうちの1種若しくは複数、C
8-C
16アルキル芳香族炭化水素のうちの1種若しくは複数、又はそれらの混合物を含み、
炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物が300℃~850℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物が350℃~900℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物の温度が第1の変換区画流出物の温度を超え、
第1の触媒及び第2の触媒が同じ組成又は異なる組成を有し、
第1の触媒及び第2の触媒がそれぞれ、担体の質量に基づき0.05質量%~6質量%の8~10族元素を含み、
担体が、
担体の質量に基づき、w質量%の2族元素、x質量%の4族元素、y質量%の12族元素、及びz質量%の原子番号21、39、又は57~71を有する元素、のうちの少なくとも1つを含み、w、x、y、及びzが独立に0~100の範囲にあり、
あらゆる2族元素が、担体の質量に基づき質量%mを伴い、
あらゆる4族元素が、担体の質量に基づき質量%nを伴い、
あらゆる12族元素が、担体の質量に基づき質量%pを伴い、
原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素が、担体の質量に基づき質量%qを伴い、
m、n、p、及びqが独立に1~100の範囲の数であり、
担体の質量に基づき合計w/m+x/n+y/p+z/pが1以上であり、
1種又は複数の改質された炭化水素が、脱水素された炭化水素、脱水素芳香族化された炭化水素、脱水素環化された炭化水素、又はそれらの混合物を含む、
多段階炭化水素改質方法。
【請求項2】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが固定床内に配置され、かつ/又は第1の変換区画及び第2の変換区画のうちの少なくとも1つが固定床反応器内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが流動触媒粒子の形態である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
以下:
(i)第1の触媒及び第2の触媒が流動触媒粒子の形態である、及び
(ii)第1及び第2の変換区画が実質的に断熱性である、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
以下:
(i)第1の変換区画内における、第1の触媒の、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~100の範囲にある、
(ii)第2の変換区画内における、第2の触媒の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~50の範囲にある、
(iii)第2の変換区画内における、第1の触媒及び第2の触媒の合わせた量の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、2~150の範囲にある、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
以下:
(i)第1の触媒が炭化水素含有供給物と最初に接触する際、第1の触媒が、第1の変換区画流出物の温度よりも10℃~200℃の範囲高い温度を有する、
(ii)第2の触媒が第1の変換区画流出物と最初に接触する際、第2の触媒が、第2の変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の変換区画及び第2の変換区画が、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置される、請求項4~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させるステップが、コークス化された第1の触媒を生成し、第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させるステップが、コークス化された第2の触媒を生成し、方法が、
(III)コークス化された第1の触媒、コークス化された第2の触媒、又はコークス化された第1の触媒及びコークス化された第2の触媒を、酸化剤と接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、燃焼気体、並びに再生された第1の触媒、再生された第2の触媒、又は再生された第1の触媒及び再生された第2の触媒を生成するステップ
をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ステップ(III)において、以下:
(i)コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、580℃~1,100℃、好ましくは650℃~1,000℃、より好ましくは700℃~900℃、又はより好ましくは750℃~850℃の範囲の温度で接触する、
(ii)コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、5絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは10絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは20絶対kPa~200絶対kPaの範囲の酸化剤分圧下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(IV)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部を、還元気体と接触させて、再生及び還元された第1の触媒、再生及び還元された第2の触媒、又は再生及び還元された第1の触媒並びに再生及び還元された第2の触媒を生成するステップをさらに含む、請求項8又は請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
還元気体が、分子水素、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、水蒸気、分子窒素、アルゴン、二酸化炭素、又はそれらの混合物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(IV)において、以下:
(i)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、450℃~900℃、好ましくは600℃~900℃、より好ましくは620℃~900℃、より好ましくは650℃~850℃、又はより好ましくは670℃~800℃の範囲の温度で接触する、及び
(ii)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、0.01絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは0.1絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは0.5絶対kPa~300絶対kPa、又はより好ましくは1絶対kPa~200絶対kPaの範囲の還元気体分圧下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
以下:
(a)ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2-C
16アルカン、あらゆるC
4-C
16環状アルカン、及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、
(b)ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン、あらゆるC
4-C
16環状アルカン、及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
第1の変換区画流出物の温度が、350℃~700℃、好ましくは400℃~670℃、より好ましくは500℃~620℃、又はより好ましくは520℃~600℃の範囲にある、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
第2の変換区画流出物の温度が、400℃~900℃、好ましくは600℃~800℃、より好ましくは620℃~750℃、又はより好ましくは640℃~725℃の範囲にある、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが助触媒をさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
助触媒が、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大10質量%の助触媒を含む、請求項18又は請求項19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体に配置されたアルカリ金属元素をさらに含む、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
アルカリ金属元素が、Li、Na、K、Rb、Cs、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大5質量%のアルカリ金属元素を含む、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
m、n、p、及びqが、それぞれ1、15、若しくは30に等しいか、又はm=1、n=15、p=15、及びq=1である、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
あらゆる2族元素、あらゆる4族元素、あらゆる12族元素、及び原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素の合わせた量の、第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける8~10族元素に対するモル比が、少なくとも0.18、少なくとも0.19、少なくとも0.24、又は少なくとも0.29である、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、出願日2020年5月08日を有する米国仮出願第63/022,034号及び出願日2020年6月11日を有する欧州特許出願第20179510.1号に対する優先権及びそれらの利益を主張し、それら全ての開示は、それらの全体にわたって参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素を改質するための方法及びシステムに関する。より詳細には本開示は、少なくとも、第1の流出物を生成するための第1の触媒、並びに1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含む第2の流出物を生成するための第2の触媒の存在下で、1種若しくは複数のアルカン及び/又は1種若しくは複数のアルキル芳香族炭化水素を脱水素、脱水素芳香族化、及び/又は脱水素環化するための多段階方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の触媒による脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化は、吸熱性かつ平衡により制限される、産業上重要な化学変換プロセスである。アルカン、例えばC2-C16アルカン、及び/又はアルキル芳香族炭化水素、例えばエチルベンゼンの脱水素は、各種様々な担持された触媒粒子系、例えばPtベース、Crベース、Gaベース、Vベース、Zrベース、Inベース、Wベース、Moベース、Znベース、及びFeベースの系を介して行われうる。既存のプロパン脱水素プロセスの中で、ある特定の方法はアルミナ担持クロミア触媒を使用し、これは、およそ560℃~650℃の温度及び20絶対kPa~50絶対kPaの低圧で得られる、およそ50%(90%のプロピレン選択性で55%のプロパン変換)という最大のプロピレン収率のうちの1つをもたらす。脱水素プロセスの効率を増大させるのにそのような低圧で操作する必要なく、プロピレン収率を増大させることが望ましい。
脱水素プロセスの温度を増大させることは、プロセスの熱力学に従ってプロセスの変換を増大させる一つの手法である。例えば670℃、100絶対kPa、不活性/希釈剤の非存在下では、平衡プロピレン収率がシミュレーションによりおよそ74%と推定されている。しかしそのような高温では、触媒粒子が非常に急速に不活性化し、及び/又はプロピレン選択性が不経済に小さくなる。触媒粒子の急速な不活性化は、触媒粒子に堆積したコークス及び/又は活性相の凝集により引き起こされると考えられる。コークスは酸素含有気体を使用する燃焼により除去可能であるが、活性相の凝集は燃焼プロセスの間に悪化すると考えられ、これにより、触媒粒子の活性及び安定性が急速に低減する。
ゆえに、アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素を脱水素、脱水素芳香族化、及び/又は脱水素環化するための改善された方法及びシステムが必要とされる。本開示はこの、及び他の必要性を充足する。
【発明の概要】
【0004】
アルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素を改質するための多段階方法及びシステムが提供される。一部の実施形態において、多段階炭化水素改質方法は、(I)第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含みうる第1の触媒と接触させて、炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含みうる第1の変換区画流出物を生成することを含んでもよい。方法は、(II)第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含みうる第2の触媒と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含みうる第2の変換区画流出物を生成することも含んでもよい。炭化水素含有供給物は、C2-C16直鎖状若しくは分枝状アルカンのうちの1種若しくは複数、C4-C16環状アルカンのうちの1種若しくは複数、C8-C16アルキル芳香族炭化水素のうちの1種若しくは複数、又はそれらの混合物を含んでもよい。炭化水素含有供給物及び第1の触媒は、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触してよく、炭化水素分圧は、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧である。第1の変換区画流出物及び第2の触媒は、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触してよく、炭化水素分圧は、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧である。第1の変換区画流出物は300℃~850℃の範囲の温度を有していてよい。第2の変換区画流出物は350℃~900℃の範囲の温度を有していてよい。第2の変換区画流出物の温度は第1の変換区画流出物の温度を超えていてよい。第1の触媒及び第2の触媒は同じ組成又は異なる組成を有していてよい。第1の触媒及び第2の触媒はそれぞれ、担体の質量に基づき0.05質量%~6質量%の8~10族元素を含む。担体は、担体の質量に基づき、w質量%の2族元素、x質量%の4族元素、y質量%の12族元素、及びz質量%の原子番号21、39、又は57~71を有する元素、のうちの少なくとも1つを含んでもよく、w、x、y、及びzは独立に0~100の範囲にあり、あらゆる2族元素は、担体の質量に基づき質量%mを伴い、あらゆる4族元素は、担体の質量に基づき質量%nを伴い、あらゆる12族元素は、担体の質量に基づき質量%pを伴い、原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素は、担体の質量に基づき質量%qを伴い、m、n、p、及びqは独立に1~100の範囲の数であり、担体の質量に基づき合計w/m+x/n+y/p+z/pは1以上である。1種又は複数の改質された炭化水素は、脱水素された炭化水素、脱水素芳香族化された炭化水素、脱水素環化された炭化水素、又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0005】
他の実施形態において、多段階炭化水素改質方法は、(I)第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含みうる第1の複数の流動触媒粒子と接触させて、炭化水素含有供給物の第1の部分の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、コークス化された第1の触媒粒子、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含みうる第1の変換区画流出物を生成することを含んでもよい。方法は、(II)第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含みうる第2の複数の流動触媒粒子と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、コークス化された第2の触媒粒子、追加量の改質された炭化水素、及び追加量の分子水素を含みうる第2の変換区画流出物を生成することも含んでもよい。炭化水素含有供給物は、C2-C16直鎖状若しくは分枝状アルカンのうちの1種若しくは複数、C4-C16環状アルカンのうちの1種若しくは複数、C8-C16アルキル芳香族炭化水素のうちの1種若しくは複数、又はそれらの混合物を含んでもよい。炭化水素含有供給物及び第1の複数の流動触媒粒子は、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~2分の範囲の期間接触してよく、炭化水素分圧は、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧である。第1の変換区画流出物及び第2の複数の流動触媒粒子は、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~2分の範囲の期間接触してよく、炭化水素分圧は、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧である。第1の変換区画流出物は300℃~850℃の範囲の温度を有していてよい。第2の変換区画流出物は350℃~900℃の範囲の温度を有していてよい。第2の変換区画流出物の温度は第1の変換区画流出物の温度を超えていてよい。1種又は複数の改質された炭化水素は、脱水素された炭化水素、脱水素芳香族化された炭化水素、脱水素環化された炭化水素、又はそれらの混合物を含んでもよい。方法は、(III)第2の変換区画流出物から、改質された炭化水素及び分子水素に富む第1の気体流、並びにコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子に富む第1の粒子流を得ることも含んでもよい。方法は、(IV)第1の粒子流を第2の粒子流及び第3の粒子流に分割することも含んでもよい。方法は、(V)第2の粒子流を、第1の複数の流動粒子として第1の変換区画へ再循環させることも含んでもよい。方法は、(VI)燃焼区画において第3の粒子流を酸化剤と接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、コークスの乏しい再生された触媒粒子及び燃焼気体を含みうる燃焼流出物を生成することも含んでもよい。方法は、(VII)燃焼流出物から、燃焼気体に富む第2の気体流及び再生された触媒粒子に富む第4の粒子流を得ることも含んでもよい。方法は、(VIII)第4の粒子流を、第2の複数の流動触媒粒子として第2の変換区画へ再循環させることも含んでもよい。
【0006】
一部の実施形態において、多段階炭化水素改質システムは、炭化水素含有供給物を第1の複数の流動触媒粒子と接触させて、炭化水素含有供給物の第1の部分の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、コークス化された第1の触媒粒子、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含みうる第1の変換区画流出物を生成することに適合していてよい第1の変換区画を含んでもよい。システムは、第1の変換区画流出物を第2の複数の流動触媒粒子と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、コークス化された第2の触媒粒子、追加量の改質された炭化水素、及び追加量の分子水素を含みうる第2の変換区画流出物を生成することに適合していてよい第2の変換区画も含んでもよい。システムは、第2の変換区画流出物を、改質された炭化水素及び分子水素に富む第1の気体流、並びにコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子に富む第1の粒子流に分離させることに適合していてよい第1の分離装置も含んでもよい。システムは、第1の粒子流を、第1の粒子流の第1の部分を含みうる第2の粒子流、及び第1の粒子流の第2の部分を含みうる第3の粒子流に分離させることに適合していてよい第2の分離装置も含んでもよい。システムは、第2の粒子流の少なくとも一部を、第1の複数の流動触媒粒子として第1の変換区画に供給することに適合していてよい第1の流路も含んでもよい。システムは、第3の粒子流の少なくとも一部を燃焼区画に供給することに適合していてよい第2の流路も含んでもよい。燃焼区画は、第3の粒子流及び酸化剤を接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、コークスの乏しい再生された触媒粒子及び燃焼気体を含みうる燃焼流出物を生成することに適合していてよい。システムは、燃焼流出物を、燃焼気体に富む第2の気体流、及び再生された触媒粒子に富む第4の粒子流に分離させることに適合していてよい第3の分離装置も含んでもよい。システムは、第4の粒子流の少なくとも一部を、第2の複数の流動触媒粒子として第2の変換区画に供給することに適合していてよい第3の流路も含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、記載されている1又は複数の実施形態に従う、第1の反応器、第2の反応器、再生器、及び還元反応器を含む、炭化水素含有供給物を改質するための例示としてのシステムを描く。
【
図2】
図2は、記載されている1又は複数の実施形態に従う、
図1に示したシステムと同様であるが、さらに追加のコークス化された触媒移送ラインを含む、炭化水素含有供給物を改質するための別の例示としてのシステムを描く。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
以下、特許請求の範囲に記載の本発明を理解する目的で本明細書で採用される好ましい実施形態及び定義を含めて、本発明の様々な特定の実施形態、バージョン及び例を記載する。以下の詳細な説明には特定の好ましい実施形態を記載するが、当業者には十分了解されるように、これらの実施形態は単に代表例であり、本発明は他の方法で実施し得る。侵害を決定する目的から、本発明の範囲については、添付の特許請求の範囲のいずれか1又は複数の請求項が、列挙されているものと等価なその均等物、及び要素又は制限を含めて参照される。本「発明」への言及はすべて、特許請求の範囲に定義されている本発明の必ずしもすべてではないが1以上を意味し得る。
【0009】
この開示において、プロセスは少なくとも1つの「ステップ」を含むとして記載される。各々のステップはプロセス中一回又は連続的若しくは不連続的に複数回行われ得る活動又は作動であると理解されたい。反対に述べられるか又は文脈が明らかに他を示さない限り、プロセスの多数のステップは述べられた順序で1又は複数の他のステップと重複したりしなかったりして連続的に、又は場合によって他のいかなる順序で行ってもよい。加えて、同一又は異なるバッチの材料に関して1以上又はさらにはすべてのステップを同時に行ってもよい。例えば、連続プロセスにおいて、プロセスの第1のステップがプロセスの初期に供給されたばかりの原料に対して行われる間に、同時に第2のステップが第1のステップのより早いときにプロセスに供給された原料を処理した結果の中間の材料に対して行われてもよい。好ましくは、ステップは記載された順序で行われる。
他に示されない限り、この開示において量を示すすべての数はすべての場合に用語「約」により修飾されていると理解されたい。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用される正確な数値は特定の実施形態を構成すると理解されるべきである。実施例におけるデータの精確さを保証するべく努力をした。しかしながら、測定されるデータは測定値を得るのに使用した技術及び/又は機器の制限のため一定のレベルの誤差をもともと含有するものであると理解するべきである。
ある種の実施形態及び特徴は本明細書で1組の上限の数字及び1組の下限の数字を用いて記載される。他に示されない限り、任意の2つの値の組合せ、例えば、任意の下限値と任意の上限値の組合せ、任意の2つの下限値の組合せ、及び/又は任意の2つの上限値の組合せを含む範囲が考えられると了解するべきである。
【0010】
不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書で使用されるとき、反対に規定されているか又は文脈が明らかに他を示さない限り、「少なくとも1つ」を意味する。したがって、「反応器」又は「変換区画」を使用する実施形態は、反対に規定されているか又は文脈が1つだけの反応器又は変換区画を使用することを明らかに示さない限り、1つ、2つ又はそれ以上の反応器又は変換区画を使用する実施形態を包含する。
本明細書で使用される用語「上に」及び「下に」;「上へ」及び「下へ」;「上の」及び「下の」;「上向き」及び「下向き」;「上方」及び「下方」;並びにその他類似の用語はお互いの相対的な位置を指し、それを使用する装置及び方法は様々な角度又は配向で等しく有効であり得るので特定の空間的配向を意味することを意図していない。
【0011】
用語「炭化水素」は(i)水素及び炭素原子からなるいずれかの化合物又は(ii)2種若しくはそれ以上の(i)のかかる化合物いずれかの混合物を意味する。nが正の整数である場合の用語「Cn炭化水素」は、(i)その分子内に炭素原子を総数nで含むいずれかの炭化水素化合物、又は(ii)2種若しくはそれ以上の(i)のかかる炭化水素化合物のいずれかの混合物を意味する。したがって、C2炭化水素はエタン、エチレン、アセチレン、又はこれらの化合物の少なくとも2種の任意の割合の混合物であってもよい。m及びnが正の整数であり、m<nである場合の「Cm-Cn炭化水素」(Cm to Cn hydrocarbon)又は「Cm-Cn炭化水素」(Cm-Cn hydrocarbon)は、Cm、Cm+1、Cm+2、…、Cn-1、Cn炭化水素のいずれか、又はこれらの2種若しくはそれ以上のあらゆる混合物を意味する。したがって、「C2-C3炭化水素」(C2 to C3 hydrocarbon)又は「C2-C3炭化水素」(C2-C3 hydrocarbon)はエタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、プロパジエン、シクロプロパン、及びこれらの2種又はそれ以上の任意の成分間割合のあらゆる混合物のいずれかであってもよい。「飽和C2-C3炭化水素」はエタン、プロパン、シクロプロパン、又はこれらの2種若しくはそれ以上の任意の割合のいずれかの混合物であってもよい。「Cn+炭化水素」は(i)その分子内に少なくともnの総数で炭素原子を含むいずれかの炭化水素化合物、又は(ii)2種若しくはそれ以上の(i)のかかる炭化水素化合物のいずれかの混合物を意味する。「Cn-炭化水素」は(i)その分子内に最大nの総数で炭素原子を含むいずれかの炭化水素化合物、又は(ii)2種若しくはそれ以上の(i)のかかる炭化水素化合物のいずれかの混合物を意味する。「Cm炭化水素流」は本質的にCm炭化水素からなる炭化水素流を意味する。「Cm-Cn炭化水素流」は本質的にCm-Cn炭化水素からなる炭化水素流を意味する。
この開示の目的から、元素の命名はHawley's Condensed Chemical Dictionary, 16th Ed., John Wiley & Sons, Inc., (2016), Appendix Vに規定されている版の元素の周期表(新表記による)に従う。例えば、8族元素はFeを含み、9族元素はCoを含み、10族元素はNiを含む。用語「半金属」は、本明細書で使用されるとき、元素:B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びAtを意味する。この開示において、所与の元素が存在するとして示されるとき、他に規定されるか又は文脈により明らかに他が示されない限り、その元素は元素状態で又はそのいずれかの化学的化合物として存在することができる。
【0012】
用語「アルカン」は飽和炭化水素を意味する。用語「環式アルカン」はその分子構造内に環状の炭素環を含む飽和炭化水素を意味する。アルカンは直鎖状、分枝状、又は環状であってよい。
【0013】
用語「芳香族」はその当技術分野で認められた範囲に従って理解されるべきであり、アルキル置換された及び置換されていない単核及び多核化合物を含む。
【0014】
用語「富む」は、「X富化」又は「Xに富む」のような表現で使用されるとき、デバイス、例えば変換区画から得られる出て行く流れに関して、その流れが誘導された同じデバイスに供給された供給材料中より高い濃度で物質Xをその流れが含むことを意味する。用語「乏しい」は、「Xが乏しい」又は「Xに乏しい」のような表現で使用されるとき、デバイス、例えば変換区画から得られる出て行く流れに関して、その流れが誘導された同じデバイスに供給された供給材料中より低い濃度で物質Xをその流れが含むことを意味する。
【0015】
用語「選択性」は、触媒反応における特定の化合物の(炭素モル基準の)生産に関する。一例として、表現「アルカン炭化水素変換反応はオレフィン炭化水素に対して100%選択性を有する」は反応で変換されるアルカン炭化水素(炭素モル基準)の100%がオレフィン炭化水素に変換されることを意味する。特定の反応物質に関して使用されるとき、用語「変換」は反応で消費される反応物質の量を意味する。例えば、特定の反応物質がプロパンであるとき、100%変換はプロパンの100%が反応で消費されることを意味する。収率(炭素モル基準)は変換×選択性である。別の例で、特定の反応物質がプロパンであるとき、1モルのプロパンが1モルのメタンと1モルのエチレンに変換すれば、メタンに対する選択性は33.3%であり、エチレンに対する選択性は66.7%である。
【0016】
用語「第1の変換区画流出物」、「第2の変換区画流出物」、及び「中間変換区画流出物」、まとめて「変換区画流出物」は流体成分、すなわち気体及び/又は液体成分をいい、変換区画流出物中に存在することができる固体成分、例えば流動触媒粒子を排除する。それ故に、変換区画流出物の温度について論じるとき、その温度は流体成分、すなわち気体及び/又は液体成分の温度をいい、固体成分の温度ではない。
【0017】
用語「実質的に断熱性」は、第1の変換区画、第2の変換区画、及び任意の1又は複数の中間変換区画について記載するために使用されるとき、変換区画が避けられない周囲への熱損失を除いて断熱性であることを意味する。
【0018】
概観
炭化水素含有供給物は、限定されることはないが、1又は複数のアルカン、例えば、C2-C16直鎖状又は分枝状アルカン及び/又はC4-C16環式アルカン、及び/又は1又は複数のアルキル芳香族炭化水素、例えば、C8-C16アルキル芳香族炭化水素であってもよいか、又は含むことができる。いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%の水蒸気を含んでもよい。他の実施形態において、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計体積に基づき、<0.1体積%の水蒸気を含むことができるか、又は水蒸気を含まないことができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は、第1の変換区画内で担体上に配置された1種又は複数の8~10族元素、例えばPtを含む第1の触媒と接触させて、炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含むことができる第1の変換区画流出物を生成することができる。1種又は複数の改質された炭化水素は1種又は複数の脱水素された炭化水素、1種又は複数の脱水素芳香族化された炭化水素、1種又は複数の脱水素環化された炭化水素、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。炭化水素含有供給物と第1の触媒は少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触させることができ、ここで炭化水素分圧は炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧である。第1の変換区画流出物は300℃~850℃の範囲の温度を有することができる。
第1の変換区画流出物は、第2の変換区画内で担体上に配置された1種又は複数の8~10族元素、例えばPtを含む第2の触媒と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含むことができる第2の変換区画流出物を生成することができる。第1の触媒中の8~10族元素及び第2の触媒中の8~10族元素は同一又は異なることができると理解されるべきである。第1の変換区画流出物と第2の触媒は少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触させることができ、ここで炭化水素分圧は第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧である。第2の変換区画流出物は350℃~900℃の範囲の温度を有することができる。
固定床反応器の場合、所与の変換区画から回収される流出物の温度は、少なくとも部分的に、反応熱、所与の変換区画に供給された供給物の温度/流量/熱容量、及び供給物と接触する前の所与の変換区画内の触媒の(非定常プロセスに対する)温度/質量/熱容量に依存すると認識するべきである。流動床反応器の場合、所与の変換区画流出物の温度は、少なくとも部分的に、反応熱、所与の変換区画に供給された供給物の温度/流量/熱容量、及び所与の変換区画に導入された触媒供給物の温度/質量流量/熱容量に依存すると認識するべきである。したがって、いくつかの実施形態において、第1の変換区画流出物は、炭化水素含有供給物が第1の触媒と接触する際、第1の触媒の温度より高いことができる温度で第2の触媒と接触させることができる。それ故に、第2の変換区画流出物の温度は第1の変換区画流出物の温度より高いことができる。例えば、第2の変換区画流出物の温度は第1の変換区画流出物の温度より30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、又は80℃~90℃、100℃、110℃、120℃、150℃、又は170℃高いことができる。
【0020】
流動床反応器の場合、流出物の温度は触媒の温度だけでなく触媒の流量のような他の要因にも依存し;固定床反応器(非定常プロセス)の場合、流出物の温度は触媒の温度だけでなく反応器中の触媒の質量のような他の要因にも依存すると理解されるべきである。それ故、他の実施形態において、第1の変換区画流出物は炭化水素含有供給物が第1の触媒と接触する際の第1の触媒の温度より低いことができる温度で第2の触媒と接触させることができるが、第2の変換区画流出物の温度はそれでも第1の変換区画流出物の温度より高いことができる。例えば、第2の変換区画流出物の温度は第1の変換区画流出物の温度より30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、又は80℃~90℃、100℃、110℃、120℃、150℃、又は170℃高いことができる。
【0021】
驚くべきことに、そして予想外なことに、炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させて第1の温度を有する第1の変換区画流出物を生成し、続いて第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させて第2の温度を有する第2の変換区画流出物を生成すると(ここで、第2の温度は第1の温度より高く、第1の触媒及び第2の触媒は同じ組成を有する)、同じ炭化水素含有供給物を、単一の変換区画流出物が第2の変換区画流出物と同じ温度を有するように単一の変換内で第1及び第2の触媒と同じ組成を有する触媒と接触させることと比較して、所望の改質された炭化水素、例えばプロピレンの収率を有意に増大することができるということが発見された。また、驚くべきことに、そして予想外なことに、炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させて第1の温度を有する第1の変換区画流出物を生成し、続いて第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させて第2の温度を有する第2の変換区画流出物を生成すると(ここで、第2の温度は第1の温度より高く、第1の触媒及び第2の触媒は同じ組成を有する)、同じ炭化水素含有供給物を、単一の変換区画流出物が第2の変換区画流出物と同じ温度を有するように単一の変換区画内で第1及び第2の触媒と同じ組成を有する触媒と接触させることと比較して、所望の改質された炭化水素、例えばプロピレンの選択性を有意に増大することができるということが発見された。
【0022】
理論に縛られることは望まないが、第1の変換区画が部分的に改質された炭化水素を生成すると信じられる。例えば、改質されるべき炭化水素がプロパンであれば、第1の変換区画流出物はいくらかのプロピレンを含むが、もし第1の変換区画内の温度がより高かったならばプロピレン又は他の変換生成物に変換されたであろう比較的に大量の未変換プロパンも含む。炭化水素含有供給物を第1の変換区画内で部分的に改質することのみが、第2の変換区画流出物の温度が第1の変換区画流出物の温度より高くなる、第2の温度で作動する第2の変換区画内での熱分解による影響の受け易さが有意に低下した第1の変換区画流出物を生成すると信じられる。
【0023】
また、非常に高いプロピレン収率が本明細書に記載されているプロセス及び触媒によって得られた。いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物がプロパンを含み、改質された炭化水素がプロピレンを含むとき、炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させ、第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させると、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも55%、少なくとも57%、少なくとも60%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも65%、少なくとも67%、又は少なくとも69%のプロピレン収率を少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で生じることができる。他の実施形態において、炭化水素含有供給物が炭化水素含有供給物の合計体積に基づき少なくとも70体積%のプロパンを含むとき、炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させ、第1の変換区画流出物を少なくとも20絶対kPaのプロパン分圧下で第2の触媒と接触させると、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも55%、少なくとも57%、少なくとも60%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも65%、少なくとも67%、又は少なくとも69%のプロピレン収率を少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で得ることができる。プロピレン収率はさらに少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のプロピレン選択性で少なくとも70%、少なくとも72%、少なくとも75%、少なくとも77%、少なくとも80%、又は少なくとも82%に増大することができると信じられる。いくつかの実施形態において、プロピレン収率は炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させて≦620℃、≦610℃、≦600℃、≦590℃、又は≦580℃の温度を有する第1の変換区画流出物を生成し、第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させて≧620℃、≧630℃、≧640℃、≧650℃、≧655℃、≧660℃、≧670℃、≧680℃、≧690℃、≧700℃、≧715℃、≧725℃、≧735℃、又は≧750℃の温度を有する第2の変換区画流出物を生成することにより得ることができる。かかる処理条件下でのかかる高いプロピレン収率は8~10族元素、例えばPtを含む第1及び第2の触媒で可能であるとは考えられなかった。
【0024】
炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させ、第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させると、コークス化された第1の触媒及びコークス化された第2の触媒を生成することができる。コークス化された第1の触媒の少なくとも一部及び/又はコークス化された第2の触媒の少なくとも一部を1種又は複数の酸化体と接触させてコークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、再生されたコークスに乏しい第1の触媒及び/又は再生されたコークスに乏しい第2の触媒並びに燃焼気体を生成することができる。いくつかの実施形態において、プロセスは再生された第1の触媒の少なくとも一部及び/又は再生された第2の触媒の少なくとも一部を還元気体と接触させて再生され還元された第1の触媒及び/又は再生され還元された第2の触媒を生成することを含んでもよい。
【0025】
多段階炭化水素改質方法
炭化水素含有供給物は、あらゆる好適な第1の変換区画内で第1の触媒と接触させて、炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含み得る第1の変換区画流出物を生成することができる。第1の変換区画流出物は、あらゆる好適な第2の変換区画内で第2の触媒と接触させて、第1の変換区画流出物中の未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び追加量の分子水素を含み得る第2の変換区画流出物を生成することができる。一部の実施形態では、第2の変換区画流出物の温度は、第1の変換区画流出物の温度より高くてもよい。
【0026】
一部の実施形態では、方法は、1つ又は複数の中間温度で、1種又は複数の中間変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された1種又は複数の8~10族元素、例えばPtを含む1つ又は複数の中間触媒と接触させて、第1の変換区画流出物中の未変換の炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、未変換の炭化水素含有供給物並びに追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含み得る1種又は複数の中間変換区画流出物を生成するステップであって、最後の中間変換区画流出物が、第2の変換区画の第2の触媒と接触する、ステップを含んでいてもよい。1つ又は複数の中間触媒中の8~10族元素は互いに同じであっても、異なっていてもよく、第1の触媒中の8~10族元素に対して同じであっても、異なっていてもよく、第2の触媒中の8~10族元素に対して同じであっても、異なっていてもよい。一部の実施形態では、中間変換区画の数は1、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上であり得る。一部の実施形態では、あらゆる中間変換区画内における中間変換区画流出物の温度は、第1の変換区画流出物又は前の中間変換区画流出物の温度と比べて上昇し得、最後の中間変換区画流出物は、第2の変換区画流出物の温度より低い温度を有する。そのようなものとして、一部の実施形態では、所与の中間変換区画流出物の温度は、(i)第1の変換区画流出物の温度又は(ii)所与の中間変換区画流出物より前のあらゆる中間変換区画流出物の温度より5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃又は50℃~55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃又は120℃高くてもよい。第2の変換区画流出物の温度は、あらゆる中間変換流出物の温度より高くてもよい。
【0027】
一部の実施形態では、第1の変換区画、第2の変換区画及びあらゆる中間変換区画はすべて、別個の反応器内に位置し得る。他の実施形態では、第1の変換区画、第2の変換区画及びあらゆる中間変換区画はすべて、温度勾配が反応器の入口から出口にかけて上昇するように操作される単一の反応器、例えば上昇管反応器又は下降管反応器内に位置し得る。他の実施形態では、第1の変換区画及び任意の1つ又は複数の中間変換区画は、第1の反応器及び第2の変換区画内に位置し得、1つ又は複数の中間変換区画は、第2の反応器内に位置していてもよい。
【0028】
一部の実施形態では、第1の触媒及び第2の触媒及びあらゆる任意の中間触媒のうちの少なくとも1つは、固定床内に配置され得る。一部の実施形態では、第1の変換区画及び第2の変換区画及びあらゆる任意の中間変換区画は、固定床反応器又は別個の固定床反応器内に配置され得る。一部の実施形態では、第1の変換区画及び第2の変換区画及びあらゆる任意の中間変換区画は、1つ又は複数の逆流反応器内に配置され得る。
【0029】
一部の実施形態では、第1の触媒、第2の触媒及びあらゆる任意の中間触媒の少なくとも1つは、流動触媒粒子の形態であり得る。一部の実施形態では、第1の触媒、第2の触媒及びあらゆる中間触媒がすべて流動触媒粒子の形態である場合、炭化水素含有供給物、第1の変換区画流出物及びあらゆる中間変換区画流出物は、流動床反応器で一般に利用される連続式プロセス内に配置される変換区画内で接触することができる。一部の実施形態では、第1の変換区画及び第2の変換区画及びあらゆる任意の中間変換区画は、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置され得る。少なくとも1つの実施形態では、第1の変換区画が上昇管反応器内に配置され得、第2の変換区画が下降管反応器内に配置され得、又は第1の変換区画が下降管反応器内に配置され得、第2の変換区画が上昇管反応器内に配置され得る。あらゆる中間変換区画が存在する場合、中間変換区画は下降管反応器及び/又は上昇管反応器に配置され得る。他の実施形態では、第1の変換区画は第1のボルテックス反応器内に配置され得、第2の変換区画は第2のボルテックス反応器内に配置され得、あらゆる任意の中間変換区画は、1つ又は複数の中間ボルテックス反応器に配置され得る。好適なボルテックス反応器は、Chemical Engineering and Processing 85 (2014) 256-290に記載されるものを含み得る。他の実施形態では、第1の変換区画、第2の変換区画及びあらゆる中間変換区画は、1つ又は複数の反応器内に配置され得、流動触媒粒子が、炭化水素含有供給物との接触中に比較的密な乱流流動床を形成することを可能にし得る。比較的密な乱流流動床は、通気床と乱流床の遷移間の臨界速度と称される遷移速度を上回るが、触媒粒子が例えば上昇管反応器に搬送される高速流動状態を画定する輸送速度を下回る気体空塔速度での流動床を指す。
【0030】
いくつもの反応器が順次に及び/又は並行して操作され得る。いずれか2種類以上の反応器が、互いに組み合わせて用いられ得る。一部の実施形態では、好適な反応器は、高い気体速度の上昇管反応器、高い気体速度の下降管反応器、ボルテックス反応器、第1の端部若しくは下端部(第1の変換区画)に比較的密な流動触媒床及び第2の端部若しくは上端部(第2の変換区画)に位置する上昇管内に比較的密でない流動触媒を有する反応器、並行して及び/若しくは順次に操作される複数の上昇管反応器及び/若しくは下降管反応器、又はこれらの組合せであり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。短い気体滞留時間は、より高い生成物選択性を達成することができ(以下の実施例5+6対実施例2+3を参照のこと)、短い気体滞留時間は好ましくは高い気体速度の反応器で達成されることが見出された。
【0031】
一部の実施形態では、触媒が流動触媒粒子の形態である場合、第1の流動触媒粒子、第2の流動触媒粒子及びあらゆる中間流動触媒粒子は、キャリア流体又は輸送流体を介して、例えば第1の変換区画に送り込まれる、あらゆる中間変換区画に送り込まれる、第2の変換区画に送り込まれる、燃焼区画に送り込まれる、還元区画に送り込まれる、2つ以上の位置を接続する導管を通して輸送されるなど、反応システム中を空気圧で移動することができる。輸送流体は、希釈剤、気体状の反応物のうちの1種又は複数、すなわち1種又は複数のC2-C16アルカン、1種又は複数のC8-C16アルキル芳香族炭化水素又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。好適な輸送流体は、分子水素、分子窒素、揮発性炭化水素、例えばメタン(CH4)、エタン(C2H6)及び/又はプロパン(C3H8)、アルゴン(Ar)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)並びにこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。輸送流体の量は、触媒粒子を流動状態で維持するのに、かつ触媒粒子をある位置、例えば燃焼区画又は再生区画から第2の位置、例えば第1の変換区画又は第2の変換区画に輸送するのに十分であり得る。一部の実施形態では、流動触媒粒子の輸送流体に対する質量比は、5、10、15又は20~50、60、80、90又は100の範囲にあり得る。輸送流体の注入地点は、いずれか2つの区画又は他の位置、例えば燃焼区画と第2の変換区画又は再生区画と第2の変換区画を接続するあらゆる1種又は複数の移送ラインに沿った複数の地点に形成され得る。
【0032】
炭化水素含有供給物及び第1の触媒は接触して、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、630℃、640℃又は650℃~660℃、670℃、680℃、690℃、700℃、725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃又は850℃の範囲の温度を有し得る第1の変換区画流出物を生成することができる。一部の実施形態では、炭化水素含有供給物及び第1の触媒は接触して、≦800℃、≦750℃、≦700℃、≦650℃、≦620℃、≦600℃、≦590℃又は≦580℃の温度を有し得る第1の変換区画流出物を生成することができる。炭化水素含有供給物及び第1の触媒は、0.1秒、0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、30秒、45秒又は1分~5分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間又は3時間の範囲の期間接触することができる。
【0033】
炭化水素含有供給物及び第1の触媒は、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で接触することができ、炭化水素分圧は、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計分圧である。一部の実施形態では、炭化水素含有供給物及び第1の触媒の接触中の炭化水素分圧は、20絶対kPa、50絶対kPa、100絶対kPa、少なくとも150kPa、少なくとも200kPa、300絶対kPa、500絶対kPa、750絶対kPa又は1,000絶対kPa~1,500絶対kPa、2,500絶対kPa、4,000絶対kPa、5,000絶対kPa、7,000絶対kPa、8,500絶対kPa又は10,000絶対kPaの範囲にあり得、炭化水素分圧は、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計分圧である。他の実施形態では、炭化水素含有供給物及び第1の触媒の接触中の炭化水素分圧は、20絶対kPa、50絶対kPa、100絶対kPa、150絶対kPa、200絶対kPa、250絶対kPa又は300絶対kPa~500絶対kPa、600絶対kPa、700絶対kPa、800絶対kPa、900絶対kPa又は1,000絶対kPaの範囲にあり得、炭化水素分圧は、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計分圧である。
【0034】
一部の実施形態では、炭化水素含有供給物は、炭化水素含有供給物の合計体積に基づき少なくとも60体積%、少なくとも65体積%、少なくとも70体積%、少なくとも75体積%、少なくとも80体積%、少なくとも85体積%、少なくとも90体積%、少なくとも95体積%又は少なくとも99体積%の単一のC2-C16アルカン、例えばプロパンを含み得る。炭化水素含有供給物及び第1の触媒は、少なくとも20絶対kPa、少なくとも50絶対kPa、少なくとも100絶対kPa、少なくとも150絶対kPa、少なくとも250絶対kPa、少なくとも300絶対kPa、少なくとも400絶対kPa、少なくとも500絶対kPa又は少なくとも1,000絶対kPaの単一のC2-C16アルカン、例えばプロパン圧力下で接触することができる。
【0035】
炭化水素含有供給物は、改質方法を行うのに効果的なあらゆる質量空間速度(WHSV)で、第1の変換区画内で第1の触媒と接触することができる。一部の実施形態では、第1の変換区画内におけるWHSVは、0.01時間-1、0.1時間-1、1時間-1、2時間-1、5時間-1、10時間-1、20時間-1、30時間-1又は50時間-1~100時間-1、250時間-1、500時間-1又は1,000時間-1であり得る。
【0036】
一部の実施形態では、炭化水素改質方法が、流動化された又はさもなければ移動する第1の触媒粒子を含む場合、第1の変換区画内における、第1の触媒粒子の、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、質量対質量に基づいて1、3、5、10、15、20、25、30又は40~50、60、70、80、90、100、110、125又は150の範囲にあり得る。一部の実施形態では、炭化水素改質方法が流動化された又はさもなければ移動する第1の触媒粒子を含む場合、第1の変換区画に導入される第1の触媒粒子の温度は、第1の変換区画流出物の温度より10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃又は80℃~100℃、115℃、130℃、150℃、175℃又は200℃高い範囲にあり得る。他の実施形態では、炭化水素改質方法が、流動化された又はさもなければ移動する第1の触媒粒子を含む場合、第1の変換区画内における、第1の触媒粒子の、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、10~100又は15~80又は20~70又は25~60の範囲にあり得、第1の変換区画に導入される第1の触媒粒子の温度は、第1の変換区画流出物の温度より10℃、20℃、30℃又は40℃~70℃、80℃、90℃又は100℃高い範囲にあり得る。
【0037】
第1の変換区画流出物及び第2の触媒は接触して、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、630℃、640℃、650℃、660℃、670℃、680℃、690℃又は700℃~725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃又は900℃の範囲の温度を有し得る第2の変換区画流出物を生成することができる。一部の実施形態では、第1の変換区画流出物及び第2の触媒は接触して、少なくとも600℃、少なくとも620℃、少なくとも630℃、少なくとも640℃、少なくとも650℃、少なくとも660℃、少なくとも670℃、少なくとも680℃、少なくとも690℃又は少なくとも700℃~725℃、750℃、760℃、780℃、800℃、825℃、850℃、875℃又は900℃の温度を有し得る第2の変換区画流出物を生成することができる。一部の実施形態では、第1の変換区画流出物及び第2の触媒は、0.1秒、0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、30秒、45秒又は1分~5分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間又は3時間の範囲の期間接触することができる。
【0038】
第1の変換区画流出物及び第2の触媒は、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で接触することができ、炭化水素分圧は、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計分圧である。一部の実施形態では、第1の変換区画流出物及び第2の触媒の接触中の炭化水素分圧は、20絶対kPa、50絶対kPa、100絶対kPa、少なくとも150kPa、少なくとも200kPa、300絶対kPa、500絶対kPa、750絶対kPa又は1,000絶対kPa~1,500絶対kPa、2,500絶対kPa、4,000絶対kPa、5,000絶対kPa、7,000絶対kPa、8,500絶対kPa又は10,000絶対kPaの範囲にあり得、炭化水素分圧は、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計分圧である。他の実施形態では、第1の変換区画流出物及び第2の触媒の接触中の炭化水素分圧は、20絶対kPa、50絶対kPa、100絶対kPa、150絶対kPa、200絶対kPa、250絶対kPa又は300絶対kPa~500絶対kPa、600絶対kPa、700絶対kPa、800絶対kPa、900絶対kPa又は1,000絶対kPaの範囲にあり得、炭化水素分圧は、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計分圧である。
【0039】
一部の実施形態では、第1の変換区画中の炭化水素の変換は、第1の変換区画流出物中の改質された炭化水素、あらゆるC2-C16アルカン、あらゆるC4-C16環状アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計体積に基づき10%、15%、20%又は25%~30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%又は65%の範囲にあり得る。第1の変換区画流出物及び第2の触媒は、少なくとも20絶対kPa、少なくとも50絶対kPa、少なくとも100絶対kPa、少なくとも150絶対kPa、少なくとも250絶対kPa、少なくとも300絶対kPa、少なくとも400絶対kPa、少なくとも500絶対kPa又は少なくとも1,000絶対kPaの単一のC2-C16アルカン、例えばプロパン圧力下で接触することができる。
【0040】
第1の変換区画流出物は、改質方法を行うのに効果的なあらゆる質量空間速度(WHSV)で、第2の変換区画内で第2の触媒と接触することができる。一部の実施形態では、第2の変換区画内におけるWHSVは、0.01時間-1、0.1時間-1、1時間-1、2時間-1、5時間-1、10時間-1、20時間-1、30時間-1又は50時間-1~100時間-1、250時間-1、500時間-1又は1,000時間-1であり得る。一部の実施形態では、炭化水素改質方法が、流動化された又はさもなければ移動する第2の触媒粒子を含む場合、第2の変換区画内における、第2の触媒粒子の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、質量対質量に基づいて1、3、5、10、15、20又は25~30、40、50、60又は70の範囲にあり得る。一部の実施形態では、炭化水素改質方法が、流動化された又はさもなければ移動する第1の触媒粒子及び第2の触媒粒子を含む場合、第2の変換区画内における、第1の触媒粒子及び第2の触媒粒子の合わせた量の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、質量対質量に基づいて2、3、5、10、15、20、25、30又は40~50、60、70、80、90、100、110、125、150、170、200又は220の範囲にあり得る。
【0041】
一部の実施形態では、炭化水素方法が、流動化された又はさもなければ移動する第1の触媒粒子及び第2の触媒粒子を含む場合、第2の変換区画内における、第1の触媒粒子の、あらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する質量比は、第2の変換区画内における、第2の触媒粒子の、あらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する質量比より大きくてもよい。一部の実施形態では、炭化水素改質方法が流動化された又はさもなければ移動する第2の触媒粒子を含む場合、第2の変換区画に導入される第2の触媒粒子の温度は、第1の変換区画流出物の温度より30℃、50℃、100℃又は150℃~200℃、250℃、275℃又は300℃高い範囲にあり得る。
【0042】
一部の実施形態では、改質方法が1つ又は複数の中間変換区画を含む場合、方法条件は、第1の変換区画及び/又は第2の変換区画内における方法条件と実質的に同じであり得る。一部の実施形態では、1つ又は複数の中間変換区画から回収された流出物の温度は、第1の変換区画流出物の温度より高く、第2の変換区画流出物の温度より低くてもよい。一部の実施形態では、改質方法が2つ以上の中間変換区画を含む場合、連続する中間変換区画中の流出物の温度は、先行する中間変換区画流出物より高くてもよい。一部の実施形態では、炭化水素改質方法が、流動化された又はさもなければ移動する1つ又は複数の中間触媒粒子を含む場合、各1つ又は複数の中間触媒粒子の、第1の変換区画流出物又はあらゆる先行する中間変換区画流出物中各々のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、質量対質量に基づいて1、3、5、10、15、20、25、30又は40~50、60、70、80、90、100、110、125又は150の範囲にあり得る。一部の実施形態では、炭化水素改質方法が、流動化された又はさもなければ移動する第1の触媒粒子、1つ又は複数の中間触媒粒子及び第2の触媒粒子を含む場合、第2の変換区画内における、第1の触媒粒子、1つ又は複数の中間触媒粒子及び第2の触媒粒子の合わせた量の、第1の変換区画流出物又は最後の中間変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、質量対質量に基づいて3、5、10、15、20、25、30又は40~50、60、70、80、90、100、110、125、150、175、200、250又は300の範囲にあり得る。
【0043】
一部の実施形態では、炭化水素改質方法が流動化された又はさもなければ移動する第1の触媒粒子、任意で1つ又は複数の中間触媒粒子及び第2の触媒粒子を含む場合、第2の変換区画内における、第2の触媒粒子の、第1の変換区画流出物又は最後の中間変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、質量対質量に基づいて1、5、10、15又は20~30、40、45又は50の範囲にあり得る;第2の変換区画内における、第1の触媒粒子、あらゆる中間触媒粒子及び第2の触媒粒子の合わせた量の、第1の変換区画流出物又は最後の中間変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比は、質量対質量に基づいて3、5、10、15、20、25、30又は35~45、50、60、70又は80の範囲にあり得、第2の変換区画に導入される第1の触媒粒子、あらゆる中間触媒粒子及び第2の触媒粒子の合わせた混合物の温度は、第2の変換区画流出物の温度より5℃、7℃、10℃又は15℃~20℃、30℃、40℃又は50℃高い範囲にあり得る。
【0044】
一部の実施形態では、第1の触媒、あらゆる中間触媒及び/又は第2の触媒が流動触媒粒子の形態である場合、第1の変換区画、あらゆる中間変換区画及び/又は第2の変換区画内における流動触媒粒子の少なくとも一部は、除去され得、熱注入装置に送り込まれ得、そこで触媒粒子は加熱され得、加熱された触媒粒子は変換区画に送り返され得る。熱は、触媒粒子を間接的に加熱するために典型的には用いられる電気ヒーター又はあらゆる他の好適なヒーターを介して提供されるあらゆる好適な熱移送媒体から間接的に移送され得る。別の実施形態では、変換区画のうちの1つ又は複数内で温度勾配を引き起こす方法は、反応物及び触媒の向流を有するためであり得る。触媒の温度は、反応の吸熱により反応器を通過する間に低下する一方で、生成物/反応物の温度は、反応器の他端から入るより熱い触媒により反応器を通過する間に上昇する。このような向流は、国際公開第WO2014/081545号に記載されるように行われ得る。一部の実施形態では、第1の触媒、あらゆる中間触媒及び第2の触媒が流動触媒粒子の形態である場合、第1の変換区画、あらゆる中間変換区画及び第2の変換区画内における変換反応は、変換区画から環境への自然な熱損失とは別に変換区画からの加熱又は除熱がないように実質的に断熱的に行われ得る。第1の変換区画、あらゆる中間変換区画及び第2の変換区画内における反応に必要とされる熱は、変換区画を流れる第1の触媒、あらゆる中間触媒及び第2の触媒から発生し得る。
【0045】
他の実施形態では、熱が、変換区画内に直接加えられ得る。そのようなものとして、熱は、第1の変換区画、あらゆる中間変換区画及び/又は第2の変換区画のうちの1つ又は複数に注入され得、そこで触媒は、充填床内に配置される流動触媒粒子の形態、モノリシック構造の形態などである。一部の実施形態では、1つ又は複数のチューブ又はチャネルは、変換区画内に埋め込まれ得、又はさもなければそこに位置し得、加熱流体は、チューブ又はチャネルを流れ、熱を変換区画のうちの1つ又は複数に間接的に移送することができる。他の実施形態では、電気発熱体が、熱を変換区画のうちの1つ又は複数内に供給するために用いられ得る。他の実施形態では、1種又は複数の加熱ジャケットが、変換区画のうちの1つ又は複数の周囲に配置されて、熱を変換区画に移送することができる。他の実施形態では、第1の触媒、あらゆる中間触媒及び第2の触媒が1つ又は複数の固定床反応器内に配置される場合、触媒及び/又は不活性固体は、変換区画内で起こる脱水素、脱水素芳香族化及び/又は脱水素環化反応と別のサイクルで加熱され得る。このような加熱は、酸化剤、例えば空気の存在下での第1の触媒、あらゆる中間触媒及び第2の触媒に配置されたコークスの燃焼から、並びに/又は補助燃料の燃焼から発生し得る。固体を十分に加熱した後、反応器は循環して、脱水素、脱水素芳香族化及び/又は脱水素環化反応に戻り得る。燃焼気体の流れと反応気体の流れが逆方向である場合、これは逆流反応器と称される。任意の補助燃料は、分子水素、メタン、エタン、プロパン又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。任意の補助燃料は、不活性気体、例えばアルゴン、ネオン、ヘリウム、分子窒素、メタン又はこれらの混合物と混合され得る。
【0046】
一部の実施形態では、第1の触媒、あらゆる中間触媒及び/又は第2の触媒が、流動触媒粒子の形態である場合、変換区画流出物は、あらゆる好適な装置を介してコークス化された触媒から分離又はさもなければ得ることができる。一部の実施形態では、変換区画流出物は、1個又は複数の固体-気体衝突分離装置、例えば1個又は複数のサイクロン分離装置を介して分離することができ、又はさもなければ得ることができる。一部の実施形態では、サイクロン分離装置は、正圧構造と負圧構造の両方を含む2段階又は「連結」構造であり得、又はこれを含み得る。一部の実施形態では、好適なサイクロン分離装置は、米国特許第4,502,947号;第4,985,136号;及び第5,248,411号に開示されるものを含み得る。他の実施形態では、コークス化された触媒粒子及び変換区画流出物は、触媒粒子を重力を介して一方向に流れるようにし、気体成分を他方向に流れるようにすることができる「T」型導管を介して変換区画流出物から得ることができる。
【0047】
炭化水素含有供給物と第1の触媒との接触、第1の変換区画流出物と第2の触媒若しくは中間触媒との接触、又は第1の変換区画流出物若しくは中間変換区画流出物と第2の触媒との接触は、コークス化された第1の触媒、コークス化された中間触媒及びコークス化された第2の触媒を生成することができる。コークス化された第1の触媒、あらゆるコークス化された中間触媒及び/又はコークス化された第2の触媒の活性が所望の最小量を下回って低下する場合、コークス化された第1の触媒若しくは少なくともその一部、コークス化された中間触媒若しくは少なくともその一部、並びに/又はコークス化された第2の触媒若しくは少なくともその一部は、特定の反応器の構造に応じて、各変換区画内で又は変換区画とは別の離れた燃焼区画内で、1種又は複数の酸化剤と接触することができ、触媒は固定床又は流動粒子中に存在して、各々コークス及び燃焼気体が不足した再生された第1の触媒、再生された中間触媒、及び/又は再生された第2の触媒を生成する。
【0048】
酸化剤は、分子酸素(O2)、オゾン(O3)、二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。簡単にし説明しやすくするために、用語「コークス化された触媒」は、コークス化された触媒の燃焼及び任意で再生された触媒の還元のための方法条件を説明するのに用いられる。コークス化された触媒が、コークス化された第1の触媒、あらゆるコークス化された中間触媒、コークス化された第2の触媒、又は触媒があらゆる形態の流動粒子である場合、第1の触媒、あらゆる中間触媒及び第2の触媒の場合はコークス化された第1の触媒、あらゆるコークス化された中間触媒及びコークス化された第2の触媒の混合物であり得るか、又はこれらを含み得ることが理解されるべきである。一部の実施形態では、コークス化された触媒上のコークスを100%燃焼するのに必要とされる量を超える酸化剤の量が、触媒からのコークスの除去速度を上げるために用いられ得ることにより、コークスの除去に必要とされる時間が短縮され、所与の期間内に生成される改質された生成物の収率を増加させることができる。
【0049】
コークス化された触媒及び酸化剤は、500℃、550℃、580℃、600℃、650℃、700℃、750℃又は800℃~900℃、950℃、1,000℃、1,050℃又は1,100℃の範囲の温度で互いに接触して、再生された触媒を生成することができる。一部の実施形態では、コークス化された触媒及び酸化剤は、500℃~1,100℃、600℃~1,000℃、650℃~950℃、700℃~900℃又は750℃~850℃の範囲の温度で互いに接触して、再生された触媒を生成することができる。
コークス化された触媒及び酸化剤は、≦2時間、≦1時間、≦30分、≦10分、≦5分、≦1分、≦30秒、≦10秒、≦5秒又は≦1秒の期間互いに接触することができる。例えば、コークス化された触媒及び酸化剤は、2秒~2時間の範囲の期間互いに接触することができる。一部の実施形態では、コークス化された触媒及び酸化剤は、触媒に配置されたあらゆるコークスを≧50質量%、≧75質量%若しくは≧90質量%又は>99%除去するのに十分な期間接触することができる。
【0050】
コークス化された触媒及び酸化剤は、5絶対kPa、10絶対kPa、15絶対kPa、20絶対kPa、50絶対kPa、100絶対kPa、300絶対kPa、500絶対kPa、750絶対kPa又は1,000絶対kPa~1,500絶対kPa、2,500絶対kPa、4,000絶対kPa、5,000絶対kPa、7,000絶対kPa、8,500絶対kPa又は10,000絶対kPaの範囲の酸化剤分圧下で互いに接触することができる。他の実施形態では、コークス化された触媒との接触中の酸化剤分圧は、5絶対kPa、10絶対kPa、15絶対kPa、20絶対kPa又は50絶対kPa~100絶対kPa、150絶対kPa、200絶対kPa、250絶対kPa、300絶対kPa~500絶対kPa、600絶対kPa、700絶対kPa、800絶対kPa、900絶対kPa又は1,000絶対kPaの範囲にあり、再生された触媒を生成することができる。
【0051】
一部の実施形態では、コークス化された触媒粒子に加えて、1種又は複数の補助燃料も、各変換区画内又は燃焼区画内で、酸化剤と接触して、補助燃料の少なくとも一部の燃焼を引き起こし、熱及び追加の燃焼気体を発生させることができる。任意の補助燃料は、分子水素(H2)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。任意の補助燃料は、不活性気体、例えばアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、分子窒素(N2)又はこれらの混合物と混合され得る。
【0052】
理論に拘束されることは望まないが、コークス化された触媒に配置された8~10族元素、例えばPtの少なくとも一部は、炭化水素含有供給物、第1の変換区画流出物及びあらゆる中間変換区画流出物との接触前の触媒と比較して凝集し得ると考えられる。コークス化された触媒上のコークスの少なくとも一部の燃焼中、8~10族元素の少なくとも一部は、担体の周囲に再分散され得ると考えられる。あらゆる凝集された8~10族元素の少なくとも一部を再分散は、活性を高め、多数のサイクルにわたって触媒の安定性を向上させることができる。
【0053】
一部の実施形態では、再生された触媒中の8~10族元素、例えばPtの少なくとも一部は、炭化水素含有供給物、第1の変換区画流出物、あらゆる中間変換区画流出物と接触させた触媒中の8~10族元素と比較して、かつコークス化された触媒中の8~10族元素と比較して高い酸化状態であり得る。本明細書で開示される再生された触媒は、炭化水素含有供給物、第1の変換区画流出物又はあらゆる中間変換区画流出物との再接触前に追加の還元ステップを経た後、活性及び選択性の向上を示すことができる。そのようなものとして、上述のように、一部の実施形態では、方法は、再生された触媒の少なくとも一部を還元気体と接触させて、再生及び還元された触媒を生成することを含み得る。好適な還元気体(還元剤)は、分子水素(H2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、エチレン(C2H4)、プロピレン(C3H6)、水蒸気又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、還元気体は、不活性気体、例えばアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、分子窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)又はこれらの混合物と混合され得る。このような実施形態では、再生及び還元された触媒中の8~10族元素の少なくとも一部は、再生された触媒中の8~10族元素と比較して、より低い酸化状態、例えば元素状態に還元され得る。
【0054】
一部の実施形態では、再生された触媒及び還元気体は、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃、620℃、650℃又は670℃~720℃、750℃、800℃又は900℃の範囲の温度で接触することができる。他の実施形態では、再生された触媒及び還元気体は、実質的に断熱的に接触することができ、すなわち熱が、接触中に意図的に加えられるか又は除去されることはないが、熱を再生された触媒から供給できるように、一部の熱は環境に失われ得る。再生された触媒及び還元気体は、0.1秒、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒又は1分~10分、30分又は60分の範囲の期間接触することができる。再生された触媒及び還元気体は、0.01絶対kPa、0.1絶対kPa、0.5絶対kPa、1絶対kPa、5絶対kPa、10絶対kPa、20絶対kPa、50絶対kPa又は100絶対kPa、300絶対kPa、500絶対kPa、750絶対kPa又は1,000絶対kPa~1,500絶対kPa、2,500絶対kPa、4,000絶対kPa、5,000絶対kPa、7,000絶対kPa、8,500絶対kPa又は10,000絶対kPaの還元剤分圧で接触することができる。他の実施形態では、再生された触媒との接触中の還元剤分圧は、0.01絶対kPa、0.1絶対kPa、0.5絶対kPa、1絶対kPa、5絶対kPa、10絶対kPa、20絶対kPa、50絶対kPa、100絶対kPa、150絶対kPa、200絶対kPa、250絶対kPa又は300絶対kPa~500絶対kPa、600絶対kPa、700絶対kPa、800絶対kPa、900絶対kPa又は1,000絶対kPaの範囲にあり、再生及び還元された触媒を生成することができる。
【0055】
再生された触媒、再生及び還元された触媒、新しい若しくは新鮮な触媒の少なくとも一部又はこれらの混合物は、各変換区画内で追加量の炭化水素含有供給物、第1の変換区画流出物及びあらゆる中間変換区画流出物と接触して、追加の流出物及び追加のコークス化された触媒を生成することができる。
【0056】
一部の実施形態では、1種又は複数の追加の供給物、例えば1種又は複数の掃引流体は、炭化水素含有供給物と酸化剤の流れの間、酸化剤と用いられる場合任意の還元気体の間、酸化剤と追加の炭化水素含有供給物の間、及び/又は還元気体と追加の炭化水素含有供給物の間で利用できる。掃引流体は、とりわけ、望ましくない材料、例えば煤を含む非燃焼粒子を変換区画から一層又はさもなければ付勢することができる。一部の実施形態では、追加の供給物は、脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化、燃焼並びに/又は還元条件下で不活性であり得る。好適な掃引流体は、分子窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、一酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、方法が掃引流体を利用する場合、掃引流体が用いられる持続時間又は期間は、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒又は1分~10分、30分又は60分の範囲にあり得る。
【0057】
担体に配置された8~10族元素、例えばPtを含む第1の触媒、中間触媒及び第2の触媒が、各サイクル時間が≦3時間続く多数のサイクル、例えば少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも100サイクル、少なくとも125サイクル、少なくとも150サイクル、少なくとも175サイクル又は少なくとも200サイクル後十分に活性かつ安定なままであり得ることが驚くべきことにかつ意外にも発見された。第1のサイクルは、第2の触媒と第1の変換区画流出物又は最後の中間変換区画流出物との接触、続いてコークス化された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆるコークス化された中間触媒の少なくとも一部、コークス化された第2の触媒の少なくとも一部又はこれらの混合物と少なくとも酸化剤との接触時に開始して、再生された第2の触媒又は少なくとも酸化剤及び任意の還元気体を生成し、再生及び還元された第2の触媒を生成し、第1のサイクルは、再生された第2の触媒又は再生及び還元された第2の触媒粒子と追加量の第1の変換区画流出物又は最後の中間変換区画流出物との接触時に終了する。第2の及び各その後のサイクルは、再生された第2の触媒又は再生及び還元された第2の触媒及び追加量の第1の変換区画流出物又は最後の中間変換区画流出物の接触時に開始し、第2の及び各その後のサイクルは、追加の若しくはその後の再生された第2の触媒又は再生及び還元された第2の触媒と追加量の第1の変換区画流出物又は最後の中間変換区画流出物との接触時に終了する。
【0058】
一部の実施形態では、触媒の性能が安定した後(時には、最初の数サイクルは、性能が比較的不良な場合も又は比較的良好な場合もあるが、性能は最終的に安定し得る)、該方法は、炭化水素含有供給物、第1の変換区画流出物及びあらゆる中間変換区画流出物と最初に接触させたとき、≧75%、≧80%、≧85%若しくは≧90%又は>95%の改質された炭化水素選択性、例えばプロピレンでの改質された炭化水素生成物収率、例えば炭化水素含有供給物がプロパンを含む場合プロピレンをもたらし得、最後のサイクル(合計で少なくとも15サイクル)の終了時、≧75%、≧80%、≧85%若しくは≧90%又は>95%の改質された炭化水素選択性、例えばプロピレンでの第1の改質された炭化水素生成物収率の少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%又は少なくとも100%であり得る第2の改質された炭化水素生成物収率を有し得る。この発見前、8~10族元素、例えばPtを活性成分として有する触媒は、ハロゲンの添加を必要としない簡単な酸化再生を含む非常に多数の短いサイクルに曝された場合、十分な活性かつ安定性を維持しないと考えられていた。
【0059】
一部の実施形態では、第1の触媒、第2の触媒及びあらゆる中間触媒が流動触媒粒子の形態である場合、触媒粒子は、変換区画流出物と共に各変換区画中を移動することができる。このような実施形態では、気体流は改質された炭化水素に富み、粒子流はコークス化された触媒粒子に富み、すなわちコークス化された第1の触媒、あらゆるコークス化された中間触媒及びコークス化された第2の触媒は、第2の変換区画流出物から得ることができる。一部の実施形態では、コークス化された触媒粒子に富む粒子流中のコークス化された触媒粒子の第1の部分は、コークス化された触媒粒子の第1の部分の再生のために燃焼区画に送り込まれ得、コークス化された触媒粒子の第2の部分は再循環して、第1の変換区画及び/又は中間変換区画のうちの1つ若しくは複数に直接戻り得る。他の実施形態では、コークス化された触媒粒子に富む粒子流中のコークス化された触媒粒子の第1の部分は、コークス化された触媒粒子の第1の部分の再生のために燃焼区画に送り込まれ得、コークス化された触媒粒子の第2の部分は再循環して、第1の変換区画及び/又は1つ若しくは複数の中間変換区画に直接戻り得、コークス化された触媒粒子の第3の部分は、還元区画に送り込まれ得る。これらの実施形態のいずれかでは、連続的に又は断続的に、コークス化された触媒粒子の一部、再生された触媒粒子の一部並びに/又は再生及び還元された触媒粒子の一部が、プロセスから除去され得、新しい又は補充触媒粒子が、プロセスに導入され得る。触媒粒子の除去は、触媒粒子が不活性になる大きさに崩壊するか、又は炭化水素含有供給物を望ましくない変換速度で変換し始めるときに行われ得る。
【0060】
一部の実施形態では、1種又は複数の追加の供給物、例えば1種又は複数の剥離流体は、あらゆる同伴された気体成分の少なくとも一部を触媒から除去するために利用できる。一部の例では、コークス化された触媒は、酸化剤及び/又は還元気体との接触前に剥離流体と接触して、あらゆる同伴された改質された炭化水素及び/又は分子水素及び/又は他の気体成分の少なくとも一部を除去することができる。同様に、再生された触媒粒子並びに/又は再生及び還元された触媒粒子は、剥離気体と接触して、あらゆる同伴された燃焼気体又は還元気体の少なくとも一部をそこから除去することができる。一部の実施形態では、剥離気体は、脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化、燃焼並びに/又は還元条件下で不活性であり得る。好適な剥離流体は、分子窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)、メタン(CH4)又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。剥離気体は、コークス化された触媒粒子、再生された触媒粒子並びに/又は再生及び還元された触媒粒子と、触媒粒子1m3あたり約0.01m3~10m3の剥離気体の体積比で接触することができる。
【0061】
一部の実施形態では、炭化水素含有供給物が希釈気体と混合され、上昇管の第1の端部に向かって上昇管内に配置された第1の変換区画内で加熱及び流動化された第1の触媒粒子と接触することができる上昇管構造が実現され得る。希釈気体は、分子窒素、メタン、水蒸気、分子水素又はこれらの混合物であり得るか、又はこれらを含み得るが、これらに限定されない。複合気体は、第1の変換区画中を流れる混合物として接触及び反応しながら、流動化された第1の触媒粒子を第1の変換区画中に対流させるか、又はさもなければそれを通って搬送して、改質された炭化水素、分子水素、コークス化された触媒粒子及び未変換の炭化水素含有供給物を含む第1の変換区画流出物を生成することができる。第2の触媒粒子は、第1の変換区画と上昇管の第2の端部との間の上昇管内に配置された第2の変換区画に送り込まれ得る。合わせた第1の変換区画流出物、第1の触媒及び第2の触媒は、第2の変換区画中を流れる混合物として接触及び反応しながら、流動化された第1の触媒粒子及び流動化された第2の触媒粒子を第2の変換区画中で対流させるか、又はさもなければそれを通って搬送して、追加量の改質された炭化水素及び分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成することができる。この実施形態では、1つ又は複数の中間変換区画は、第1の変換区画と第2の変換区画との間の上昇管内に配置されてもよい。
【0062】
第1の変換区画内における炭化水素含有供給物及び流動化された第1の触媒粒子の滞留時間は、1種又は複数の改質された炭化水素への炭化水素含有供給物の所望の変換を達成するのに十分であり得る。第2の変換区画内における第1の変換区画流出物、流動化された第1の触媒粒子及び流動化された第2の触媒粒子の滞留時間は、追加の改質された炭化水素への未変換の炭化水素含有供給物の所望の変換を達成するのに十分であり得る。改質された炭化水素及び流動化された第1及び第2の触媒粒子は、気体-固体分離装置の使用により分離され得、そこで気体は、回収のために送出され得、触媒粒子が回収され得る。加工及び寸法を含む上昇管の詳細設計は、少なくとも一部は、意図される化学に依存し得るが、典型的には平均的な気体組成下で4.5m/秒を超える速度を必要とし得る。炭化水素の熱分解を低減するために、変換流出物は、固体-気体分離前であるが、炭化水素含有供給物の所望の変換が達成された後、いくつかの異なる方法のうちの1つ又は複数を介してクエンチされ得る。このような方法は、冷却媒体、例えば水蒸気を第2の変換区画流出物に直接注入するステップ、第2の変換区画流出物を熱交換器に通すステップなどを含み得る。気体-固体分離装置後の気体生成物はまた、熱分解を回避又は低減するために同様の方法を用いてクエンチされ得る。
【0063】
本明細書に開示される方法を行うために修正され得るいくつかのシステムは、当技術分野で周知のシステム、例えば米国特許第3,888,762号;第7,102,050号;第7,195,741号;第7,122,160号;及び第8,653,317号;米国特許出願公開第2004/0082824号;第2008/0194891号;及びWO公開WO2001/85872;WO2004/029178;及びWO2005/077867に開示される流動反応器を含み得る。
【0064】
触媒粒子
第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒は各々担体の合計質量に基づき0.05質量%、0.1質量%、0.2質量%、0.5質量%、又は1質量%~2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、又は6質量%の8~10族元素を含むことができる。いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒は担体の合計質量に基づき>0.025質量%、>0.05質量%、>0.1質量%、>0.13質量%、>0.15質量%、>0.17質量%、>0.2質量%、>0.2質量%、>0.23、>0.25質量%、>0.27質量%、又は>0.3質量%及び<0.5質量%、<1質量%、<2質量%、<3質量%、<4質量%、<5質量%、又は<6質量%の8~10族元素を含むことができる。いくつかの実施形態において、8~10族元素は、限定されることはないが、Fe、Co、Ni、Ru、Pd、Os、Ir、Pt、これらの組合せ、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、8~10族元素はPtであってもよいか又は含むことができる。
【0065】
第1の触媒、第2の触媒、及びいずれかの中間の触媒の各々における担体は、限定されることはないが、4、12、20~22、30、38~40、48、又は56~71の原子番号を有する1種又は複数の元素であってもよいか又は含むことができる。別の言い方でいうと、第1の触媒、第2の触媒、及びいずれかの中間の触媒の各々における担体は、1種又は複数の2族元素、1種又は複数の4族元素、1種又は複数の12族元素、21、39、又は57~71の原子番号を有する1種又は複数の元素、これらの組合せ、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。いくつかの実施形態において、2族元素、4族元素、12族元素、及び/又は21、39、又は57~71の原子番号を有する元素はその元素形態で存在することができる。他の実施形態において、2族元素、4族元素、12族元素、及び/又は21、39、又は57~71の原子番号を有する元素は化合物の形態で存在することができる。例えば、2族元素、4族元素、12族元素、及び/又は21、39、又は57~71の原子番号を有する元素は酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、又はケイ化物として存在することができる。いくつかの実施形態において、2族元素、4族元素、12族元素、及び/又は21、39、又は57~71の原子番号を有する元素を含む任意の2種又はそれ以上の化合物の混合物はいろいろな形態で存在することができる。例えば、第1の化合物は酸化物であってもよく、第2の化合物はアルミン酸塩であってもよく、ここで第1の化合物及び第2の化合物はお互いに同一又は異なる2族元素、4族元素、12族元素、及び/又は21、39、又は57~71の原子番号を有する元素を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒の各々における担体は:担体の質量に基づきw質量%の2族元素、x質量%の4族元素、y質量%の12族元素、及びz質量%の21、39、又は57~71の原子番号を有する元素、のうちの少なくとも1つであるか又は含むことができ、ここでw、x、y、及びzは独立して0~100の範囲である。第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒の各々の担体中に存在する任意の2族元素は担体の質量に基づき質量%mを伴うことができ、第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒の各々の担体中に存在する任意の4族元素は担体の質量に基づき質量%nを伴うことができ、第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒の各々の担体中に存在する任意の12族元素は担体の質量に基づき質量%pを伴うことができ、第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒の各々の担体中に存在する21、39、又は57~71の原子番号を有する任意の元素は担体の質量に基づき質量%qを伴うことができ、ここでm、n、p、及びqは独立して1~100の範囲である数であってもよい。いくつかの実施形態において、合計w/m+x/n+y/p+z/pは第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒の各々の担体の質量に基づき少なくとも1であってもよい。他の実施形態において、合計w/m+x/n+y/p+z/pは第1の触媒、第2の触媒、及びあらゆる中間の触媒の各々の担体の質量に基づき少なくとも1、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも24、少なくとも48、又は少なくとも60であってもよい。他の実施形態において、合計w/m+x/n+y/p+z/pは1、2、3、4、5、6、7、又は8~10、12、16、24、30、48、又は60の範囲であってもよい。他の実施形態において、合計w/m+x/n+y/p+z/pは1~2、2~4、4~6、6~8、8~12、12~24、24~48、又は48~60の範囲であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、mは2、4、6、8、10、12、14、16、18、及び20から選択される10の値のうちの1つであってもよく;nは2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24から選択される12の値のうち1つであってもよく;pは2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24から選択される12の値のうちの1つであってもよく;qは2、4、6、10、14、18、22、26、30、34、38、及び40から選択される12の値のうちの1つであってもよく、ここでm、n、p、及びqは17,280(10×12×12×12)の異なる組合せがあるようなあらゆる組合せであってもよい。他の実施形態において、mは2、7、10、又は20に等しいことができ、nは2、10、20、又は25であってもよく、pは2、10、20、又は25であってもよく、qは2、10、30、又は40であってもよく、ここでm、n、p、及びqは256(4×4×4×4)の異なる組合せがあるようなあらゆる組合せであってもよい。いくつかの実施形態において、m、n、p、及びqは各々2、10、15、又は30に等しいことができる。他の実施形態において、mは7に等しいことができ、nは10に等しいことができ、pは10に等しいことができ、qは10に等しいことができる。他の実施形態において、mは7に等しいことができ、nは20に等しいことができ、pは20に等しいことができ、qは10に等しいことができる。他の実施形態において、mは10に等しいことができ、nは20に等しいことができ、pは20に等しいことができ、qは30に等しいことができる。他の実施形態において、mは7に等しいことができ、nは10に等しいことができ、pは10に等しいことができ、qは30に等しいことができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、w、x、y、及びzは独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100であってもよく、ここでw、x、y、zの合計は≦100である。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体が2族元素を含むとき、2族元素の8~10族元素に対するモル比は0.24、0.5、1、10、50、100、300、450、600、800、1,000、1,200、1,500、1,700、又は2,000~3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、又は9,500の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体が4族元素を含むとき、4族元素の8~10族元素に対するモル比は0.18、0.3、0.5、1、10、50、100、又は200~300、400、500、600、700、又は810の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体が12族元素を含むとき、12族元素の8~10族元素に対するモル比は0.29、0.5、1、10、50、又は100~200、300、400、500、又は590の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体が21、39、又は57~71の原子番号を有する元素を含むとき、21、39、又は57~71の原子番号を有する元素の8~10族元素に対するモル比は0.19、0.5、1、10、50、100、又は150~200、250、300、350、400、又は438の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体が2、4、又は12族元素及び21、39、又は57~71の原子番号を有する元素の2種又はそれ以上を含むとき、あらゆる2族元素、あらゆる4族元素、あらゆる12族元素、及び21、39、又は57~71の原子番号を有するあらゆる元素の合わせた量の8~10族元素に対するモル比は0.18、0.5、1、10、50、100、300、450、600、800、1,000、1,200、1,500、1,700、又は2,000~3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、又は9,500の範囲であってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体は、限定されることはないが、以下の化合物の1種又は複数であってもよいか又は含むことができる:すなわち、MguZn1-uO(ここでuは正の数である);ZnvAl2O3+v(vは正の数);MgwAl2O3+w(wは正の数);CaxAl2O3+x(xは正の数);SryAl2O3+y(yは正の数);BazAl2O3+z(zは正の数)、BeO;MgO;CaO;BaO;SrO;BeCO3;MgCO3;CaCO3;SrCO3、BaCO3;ZrO2;ZrC;ZrN;ZrSiO4;CaZrO3;Ca7ZrAl6O18;TiO2;TiC;TiN;TiSiO4;CaTiO3;Ca7Al6O18;HfO2;HfC;HfN;HfSiO4;HfZrO3;Ca7HfAl6O18;ZnO;Zn3(PO4)2;Zn(ClO3)2;ZnSO4;B2O6Zn3;Zn3N2;;ZnCO3;CeO2;Y2O3;La2O3;Sc2O3;Pr6O11;CePO4;CeZrO4;CeAlO3;BaCeO3;CePO4;イットリア安定化ZrO2;1種又は複数のマグネシウムクロム酸塩、1種又は複数のマグネシウムタングステン酸塩、1種又は複数のマグネシウムモリブデン酸塩、これらの組合せ、及びこれらの混合物。
【0071】
MguZn1-uO(uは正の数)は、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体として又は担体の成分として存在するならば1、2、3、又は6~12、25、50、又は100の範囲のMgのZnに対するモル比を有することができる。ZnvAl2O3+v(vは正の数)は、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体として又は担体の成分として存在するならば0.05、0.3、又は0.6~0.9、1.5、又は3の範囲のZnのAlに対するモル比を有することができる。MgwAl2O3+w(wは正の数)は、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体として又は担体の成分として存在するならば1、2、3、4、又は5~6、7、8、9、又は10の範囲のMgのAlに対するモル比を有することができる。CaxAl2O3+x(xは正の数)は、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体として又は担体の成分として存在するならば1:12、1:4、1:2、2:3、5:6、1:1、12:14、又は1.5:1の範囲のCaのAlに対するモル比を有することができる。いくつかの実施形態において、CaxAl2O3+xはアルミン酸塩三カルシウム、ヘプタアルミン酸ドデカカルシウム、アルミン酸モノカルシウム、ジアルミン酸モノカルシウム、ヘキサアルミン酸モノカルシウム、アルミン酸二カルシウム、トリアルミン酸ペンタカルシウム、トリアルミン酸テトラカルシウム、又はこれらの任意の混合物を含むことができる。SryAl2O3+y(yは正の数)は、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体として又は担体の成分として存在するならば0.05、0.3、又は0.6~0.9、1.5、又は3の範囲のSrのAlに対するモル比を有することができる。BazAl2O3+z(zは正の数)は、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体として又は担体の成分として存在するならば0.05、0.3、又は0.6~0.9、1.5、又は3のBaのAlに対するモル比を有することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体はまた、限定されることはないが、5、6、7、11、13、14、15、及び16族から選択される少なくとも1種の金属元素及び/又は少なくとも1種の半金属元素及び/又はそれらの少なくとも1種の化合物も含むことができる。第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体が5、6、7、11、13、14、15、及び16族から選択される金属元素及び/又は半金属元素を含む化合物も含むならば、化合物は酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、又はケイ化物として担体中に存在することができる。いくつかの実施形態において、5、6、7、11、13、14、15、及び16族から選択される金属元素及び/又は半金属元素を含む適切な化合物は、限定されないが、以下:B2O3、AlBO3、Al2O3、SiO2、SiC、Si3N4、アルミノケイ酸塩、VO、V2O3、VO2、V2O5、Ga2O3、In2O3、Mn2O3、Mn3O4、MnO、1種又は複数のモリブデン酸化物、1種又は複数のタングステン酸化物、1種又は複数のゼオライト、並びにこれらの混合物及び組合せのうちの1種又は複数であってもよいか又は含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体はまたその上に配置された1種又は複数の助触媒も含むことができる。助触媒は、限定されることはないが、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、これらの組合せ、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。それ故に、助触媒は第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の成分として存在するならば、担体の一成分として、担体上に配置された助触媒として、又は担体の一成分及び担体上に配置された助触媒の両方として存在することができる。いくつかの実施形態において、助触媒は8~10族元素、例えばPtを伴うことができる。例えば、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体上に配置された助触媒及び8~10族元素は担体上に分散させることができる8~10族元素-助触媒クラスターを形成することができる。助触媒は、存在するならば、所与の改質された炭化水素に対する触媒の選択性/活性/寿命を改良することができる。いくつかの実施形態において、助触媒の添加は炭化水素含有供給物がプロパンを含むとき触媒粒子のプロピレン選択性を改良することができる。第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒は担体の質量に基づき0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、又は1質量%~3質量%、5質量%、7質量%、又は10質量%の量で助触媒を含むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体はまた、担体上に配置された1種又は複数のアルカリ金属元素も含むことができる。アルカリ金属元素は、存在するならば、限定されることはないが、Li、Na、K、Rb、Cs、これらの組合せ、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。少なくともいくつかの実施形態において、アルカリ金属元素はK及び/又はCsであってもよいか又は含むことができる。アルカリ金属元素は、存在するならば、所与の改質された炭化水素に対する触媒粒子の選択性を改良することができる。第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒は担体の質量に基づき0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、又は1質量%~2質量%、3質量%、4質量%、又は5質量%の量でアルカリ金属元素を含むことができる。
【0075】
触媒調製
第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の担体の調製はいずれかの公知のプロセスによって達成することができる。説明の簡単さ及び容易さのため、マグネシウム及びアルミニウムの混合酸化物(Mg(Al)O又はMgO/Al2O3)を含む適切な担体の調製についてより詳細に記載する。触媒合成技術は周知であり、以下の記載は説明のためのものであり、担体又は第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒のいずれかの合成を限定すると考えるべきではない。いくつかの実施形態において、MgO/Al2O3混合酸化物担体を作成するために、Mg及びAl前駆体、例えばMg(NO3)2及びAl(NO3)3を互いに混合し、例えば、ボールミル処理し、続いてか焼することができる。別の実施形態において、2つの前駆体をH2Oに溶かし、乾燥するまで(熱をかけてもよい)撹拌し、続いてか焼することができる。もう1つ別の実施形態においては、2つの前駆体をH2Oに溶かし、続いて塩基及び炭酸塩、例えば、NaOH/Na2CO3を加えてハイドロタルサイトを生成させた後か焼することができる。別の実施形態において、市販用のMgO及びAl2O3を混合しボールミル処理してもよい。もう1つ別の実施形態において、Mg(NO3)2前駆体をH2Oに溶かすことができ、その溶液を既存の担体、例えば、Al2O3担体に含侵させることができ、これを乾燥しか焼することができる。もう1つ別の実施形態において、Mg(NO3)2からのMgをイオン吸着によって既存のAl2O3担体上にロードし、続いて液体-固体分離し、乾燥し、か焼することができる。
【0076】
8~10族金属及び任意の助触媒及び/又は任意のアルカリ金属元素はいずれか公知の技術により混合酸化物担体上にロードし得る。例えば、1種又は複数の8~10族元素前駆体、例えば、クロロ白金酸、硝酸テトラアミン白金、及び/又は水酸化テトラアミン白金、1種又は複数の助触媒前駆体(使用するならば)、例えば、SnCl4及び/又はAgNO3のような塩、及び1種又は複数のアルカリ金属元素前駆体(使用するならば)、例えば、KNO3、KCl、及び/又はNaClを水に溶かすことができる。その溶液を担体上に含侵させ、続いて乾燥しか焼することができる。いくつかの実施形態において、8~10族元素前駆体及び任意に助触媒前駆体及び/又はアルカリ金属元素前駆体は、同時に、又は別途乾燥及び/又はか焼ステップにより分離された順に担体上にロードすることができる。他の実施形態において、8~10族元素及び、任意に助触媒及び/又はアルカリ金属元素は、前駆体を揮発させ担体上に付着させるという化学蒸着により担体上にロードし、続いてか焼することができる。他の実施形態において、8~10族元素前駆体及び、任意に、助触媒前駆体及び/又はアルカリ金属前駆体は、イオン吸着により担体上にロードし、続いて液体-固体分離し、乾燥し、か焼することができる。任意に、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒はまた、担体、8~10族金属活性相及び助触媒の前駆体をすべて一緒に、合成を補助する他の添加剤を加えて又は加えないで、混合し、乾燥又は湿らせ、続いて乾燥しか焼するというワンポット合成方法を用いて合成することもできる。
【0077】
本明細書に開示されている第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒を調製するのに使用することができる適切なプロセスとして、米国特許第4,788,371号、同第4,962,265号、同第5,922,925号、同第8,653,317号;欧州特許第0098622号;Journal of Catalysis 94 (1985), pp. 547-557; 及び/又は Applied Catalysis 54 (1989), pp. 79-90に記載されているプロセスを挙げることができる。
【0078】
合成された第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡で検査されたとき、一次粒子、一次粒子の凝集塊(agglomerate)、一次粒子の凝集体(aggregate)、又はこれらの組合せとして見えることができる。一次粒子、一次粒子の凝集塊及び一次粒子の凝集体はPowder Technology 181 (2008) 292-300に記載されている。合成された第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒中の一次粒子は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡で検査されたとき、0.2nm、0.5nm、1nm、5nm、10nm、25nm、30nm、40nm 50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、又は500nm~1μm、10μm、25μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、400μm、又は500μmの範囲の平均断面長又は平均粒径、例えば、球形のときの直径を有することができる。いくつかの実施形態において、合成された第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒中の一次粒子は透過型電子顕微鏡で測定して0.2nm~500μm、0.5nm~300μm、1nm~200μm、2nm~100μm、2nm~500nm、又は2nm~100nmの平均粒径を有することができる。
【0079】
合成された第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒は0.1m2/g、1m2/g、10m2/g、又は100m2/g~500m2/g、800m2/g、1,000m2/g、又は1,500m2/gの範囲の表面積を有することができる。第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の表面積は350℃で4時間粉末のガス抜きをした後Micromeritics 3flex機器による窒素の吸着-脱着(液体窒素の温度、7.7K)を用いてBrunauer-Emmett-Teller(BET)法に従って測定することができる。方法に関するさらなる情報は、例えば、“Characterization of Porous Solids and Powders: Surface Area, Pore Size and Density,” S. Lowell et al., Springer, 2004に見ることができる。
【0080】
合成された第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒はいろいろな短いサイクル(≦3時間)の炭化水素改質プロセスに1又は複数の適当な形態に形成することができる。或いは、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒中の担体は8~10族元素及び、任意の助触媒及び/又はアルカリ金属元素の添加前にいろいろな短いサイクルの炭化水素改質プロセスに適当な形態に形成することができる。形成中、1種又は複数の結合剤及び/又は添加剤を第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒及び/又は担体に加えて、最終的に生産されプロセスで使用される第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒の化学的/物理的性質を改良することができる。結合剤/添加剤は、限定されないが、シリカ、シリカゾル、シリカ-アルミナ、アルミナ、アルミニウムクロルハイドロール(chlorhydrol)、解膠アルミナ、アルミノケイ酸塩、スメクタイト、カオリン、酸処理メタカオリン、イライト、緑泥石(chlorite)、アタパルジャイト、柱状層間粘土(pillared interlayered clay)及び混合層粘土、シラン、アルコキシシラン、アリールオキシシラン、アシルオキシシラン、オキシイミノシラン、ハロシラン、アミノオキシシラン、アミノシラン、アミドシラン、シラザン、シリコーン、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒は周知の噴霧乾燥プロセスによって調合して乾燥した触媒粒子を生成させることができる。20μm、40μm、又は50μm~80μm、90μm、又は100μmの範囲の平均断面積を有する噴霧乾燥した触媒粒子がFCC型流体床反応器で通例使用される。噴霧乾燥した触媒粒子を作成するために、担体、8~10族元素、及び任意の追加の成分、例えば、助触媒及び/又はアルカリ金属を噴霧乾燥及びか焼の前にスラリー内の結合剤/添加剤と共にスラリーに作成することができる。或いは、8~10族元素、及び任意の追加の成分、例えば、助触媒及び/又はアルカリ金属を作成された担体に加えて調合された触媒を生産することができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、作成された第1の触媒、第2の触媒、及び/又はいずれかの中間の触媒は0.5g/cm3、0.7g/cm3、0.9g/cm3、1g/cm3、1.2g/cm3、又は1.3g/cm3~1.5g/cm3、1.8g/cm3、2g/cm3、2.3g/cm3、2.5g/cm3、2.7g/cm3、又は3g/cm3の範囲の粒子密度を有することができる。「粒子密度」は細孔容積を含む触媒粒子の密度(g/cm3)を意味し、水銀ポロシメトリーにより測定することができる。触媒粒子の粒子密度はUOP578-11に従って測定することができる。いくつかの実施形態において、触媒粒子はGeldart A定義と一致する平均粒径及び粒子密度を有することができる。
【0083】
炭化水素含有供給物
C2-C16アルカンは、限定されないが、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、2,2,3-トリメチルブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、n-プロピルシクロペンタン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。例えば、炭化水素含有供給物は、脱水素されてプロピレンを生成することができるプロパン、及び/又は脱水素されてイソブチレンを生成することができるイソブタンを含むことができる。もう1つ別の例で、炭化水素含有供給物は、触媒粒子と接触するとき気相であってもよい液化石油ガス(LPガス)を含むことができる。いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物中の炭化水素は実質的に単一のアルカン、例えばプロパンからなることができる。いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のすべての炭化水素の合計質量に基づき≧50mol%、≧75mol%、≧95mol%、≧98mol%、又は≧99mol%の単一のC2-C16アルカン、例えばプロパンを含むことができる。いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物の合計体積に基づき少なくとも50体積%、少なくとも55体積%、少なくとも60体積%、少なくとも65体積%、少なくとも70体積%、少なくとも75体積%、少なくとも80体積%、少なくとも85体積%、少なくとも90体積%、少なくとも95体積%、少なくとも97体積%、又は少なくとも99体積%の単一のC2-C16アルカン、例えばプロパンを含むことができる。
【0084】
C8-C16アルキル芳香族炭化水素は、限定されないが、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、1種又は複数のエチルトルエン、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のすべての炭化水素の合計質量に基づき≧50mol%、≧75mol%、≧95mol%、≧98mol%、又は≧99mol%の単一のC8-C16アルキル芳香族化合物、例えばエチルベンゼンを含むことができる。いくつかの実施形態において、エチルベンゼンは脱水素されてスチレンを生成することができる。それ故、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されているプロセスはプロパンの脱水素、ブタンの脱水素、イソブタンの脱水素、ペンタンの脱水素、ペンタンのシクロペンタジエンへの脱水素環化、ナフサ改質、エチルベンゼンの脱水素、エチルトルエンの脱水素、などを含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は1種又は複数の希釈ガスで希釈することができる。適切な希釈剤は、限定されないが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素分子、二酸化炭素、メタン、分子水素、又はこれらの混合物であってもよいか又は含むことができる。炭化水素含有供給物が希釈剤を含むならば、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計体積に基づき0.1体積%、0.5体積%、1体積%、又は2体積%~3体積%、8体積%、16体積%、又は32体積%の希釈剤を含むことができる。希釈剤が分子水素を含むとき、分子水素の、あらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合わせた量に対するモル比は0.1、0.3、0.5、0.7、又は1~2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の範囲であってもよい。いくつかの実施形態において、希釈剤を使用するならば、希釈剤は炭化水素含有供給物と混合するか、及び/又は希釈剤を変換区画に供給するための専用の1又は複数の入口を介して別の供給材料として変換区画に導入又はその他 供給することができる。同様に、炭化水素含有供給物もまた、炭化水素含有供給物を変換区画に供給するための1又は複数の専用の入口を介して変換区画に導入することもできる。
【0086】
いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は水蒸気を実質的に含まない、例えば、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計体積に基づき<0.1体積%の水蒸気であってもよい。他の実施形態において、炭化水素含有供給物は水蒸気を含むことができる。例えば、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計体積に基づき0.1体積%、0.3体積%、0.5体積%、0.7体積%、1体積%、3体積%、又は5体積%~10体積%、15体積%、20体積%、25体積%、30体積%、35体積%、40体積%、45体積%、又は50体積%の水蒸気を含むことができる。他の実施形態において、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計体積に基づき≦50体積%、≦45体積%、≦40体積%、≦35体積%、≦30体積%、≦25体積%、≦20体積%、又は≦15体積%の水蒸気を含むことができる。他の実施形態において、炭化水素含有供給物は炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計体積に基づき少なくとも1体積%、少なくとも3体積%、少なくとも5体積%、少なくとも10体積%、少なくとも15体積%、少なくとも20体積%、少なくとも25体積%、又は少なくとも30体積%の水蒸気を含むことができる。希釈剤と同様に、水蒸気が変換区画に供給されるならば、水蒸気は炭化水素含有供給物の一成分として、又は水蒸気を変換区画内に導入するために専用の1又は複数の別の入口を介して変換区画に供給することができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物はイオウを含むことができる。例えば、炭化水素含有供給物は0.5ppm、1ppm、5ppm、10ppm、20ppm 30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、又は80ppm~100ppm、150ppm、200ppm、300ppm、400ppm、又は500ppmの範囲のイオウを含むことができる。他の実施形態において、炭化水素含有供給物は1ppm~10ppm、10ppm~20ppm、20ppm~50ppm、50ppm~100ppm、又は100ppm~500ppmの範囲のイオウを含んでいることができる。イオウは、炭化水素含有供給物中に存在するならば、限定されることはないが、H2S、ジメチルジスルフィド、1種又は複数のメルカプタン、又はこれらの任意の混合物であってもよいか又は含むことができる。いくつかの実施形態において、イオウは別の供給材料として、使用するならば希釈剤の一成分として、及び/又は使用するならば水蒸気の一成分として変換区画内に導入することができる。
【0088】
炭化水素含有供給物は分子状酸素を実質的に含まないか又は含まないことができる。いくつかの実施形態において、炭化水素含有供給物は≦5mol%、≦3mol%、又は≦1mol%の分子状酸素(O2)を含むことができる。実質的に分子状酸素を含まない炭化水素含有供給物を提供すると、他の場合には炭化水素含有供給物中のアルカン及び/又はアルキル芳香族炭化水素の少なくとも一部を消費する酸化カップリング反応を実質的に抑制すると考えられる。
【0089】
改質された炭化水素の回収及び使用
改質された炭化水素は少なくとも1種の改質された炭化水素、例えば、オレフィン、水、未反応炭化水素、未反応の分子水素、等を含むことができる。改質された炭化水素はいずれかの都合のよいプロセスを用いて、例えば、1又は複数の慣用のプロセスにより回収するか又はその他で得ることができる。1つのかかるプロセスは、流出物を冷却して存在し得る水及び重質の炭化水素の少なくとも一部を凝縮させ、オレフィン及びあらゆる未反応のアルカン又はアルキル芳香族化合物を主に蒸気相内に残すことを含むことができる。オレフィン及び未反応のアルカン又はアルキル芳香族炭化水素は次いで1又は複数の分離装置ドラムで反応生成物から除去することができる。例えば、1又は複数のスプリッターを使用して脱水素された産物を未反応の炭化水素含有供給物から分離することができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、回収されたオレフィン、例えばプロピレンはポリマーを生産するのに使用することができ、例えば回収されたプロピレンは重合させて、回収されたプロピレンに由来するセグメント又は単位を有するポリマー、例えばポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー、等を生産することができる。回収されたイソブテンは、例えば、1種又は複数の酸素化物、例えばメチルtert-ブチルエーテル、燃料添加物、例えばジイソブテン、合成エラストマー性ポリマー、例えばブチルゴム、等を生産するのに使用することができる。
【0091】
代表的な実施形態
図1は、1又は複数の実施形態に従って第1の反応器又は第1の変換区画101、第2の反応器又は第2の変換区画103、再生器又は燃焼区画105、及び任意の還元反応器又は還元区画107を含むライン111で炭化水素含有供給物を改質するための実例としてのシステムを描く。システムはまた、気体-固体分離装置又は分離区画108及び触媒スプリッター又は触媒スプリッター区画109も含むことができる。第1の変換区画101及び第2の変換区画103は別の変換区画として示されているが、第1及び第2の変換区画101、103を単一の反応器内、例えば、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置することができる。ライン111を介する炭化水素含有供給物は第1の変換区画101内に導入することができる。いくつかの実施形態において、ライン111を介する炭化水素含有供給物は上昇管反応器の底部端又は下降管反応器の頂部端に導入することができる。いくつかの実施形態において、ライン113を介する共反応物質、例えば、水蒸気(H
2O)、及び/又は希釈ガスをライン111で炭化水素含有供給物と混合することができる。炭化水素含有供給物及び任意の共反応物質及び/又は希釈ガスはライン110を介して第1の変換区画101に導入される再循環された触媒粒子の流れと混合するか又はその他接触させることができる。再循環された触媒粒子は第2の変換区画103に導入することができるライン139の再生及び還元された触媒粒子より低い温度を有することができる。炭化水素含有供給物は再循環された触媒粒子の存在下で反応し、第1の変換区画101を通って移動するので、任意に追加の炭化水素含有供給物及び/又は追加の共反応物質及び/又は希釈ガスを第1の変換区画101に導入することができる。第1の変換区画101から出てライン115を介する第1の変換区画流出物はコークス化された触媒粒子及び1種又は複数の改質された炭化水素、未反応炭化水素、分子水素、及びその他あらゆる気体成分に富む気体流を含むことができる。いくつかの実施形態において、プロパンの脱水素の場合、ライン115における第1の変換区画流出物の温度は<620℃、<610℃、<600℃、<590℃、<580℃又は<570℃であってもよい。
【0092】
ライン115を介する第1の変換区画流出物及びライン139を介する再生及び還元された触媒粒子は第2の変換区画103に導入することができる。ライン139の再生及び還元された触媒粒子は、第2の変換区画103に導入されるとき、ライン115の第1の変換区画流出物中のコークス化された触媒粒子より高い温度を有することができる。いくつかの実施形態において、ある量の炭化水素含有供給物はライン115の改質された炭化水素に変換されており、未変換の炭化水素含有供給物の熱分解は低減し、一方で第2の変換区画内で温度を上昇させることができる。ライン117の第2の変換区画流出物はコークス化された触媒粒子並びに1種又は複数の改質された炭化水素、未反応炭化水素、分子水素、及びその他の気体成分に富む気体流を含むことができる。いくつかの実施形態において、ライン117の第2の変換区画流出物の温度は>620℃、>630℃、>640℃、>650℃、>660℃、>670℃又は>680℃であってもよい。
【0093】
いくつかの実施形態において、第1の変換区画101及び第2の変換区画103は上昇管反応器のいろいろな部分内にあることができる。ライン111の炭化水素含有供給物、任意の希釈ガス113、ライン110の再循環された触媒粒子は上昇管反応器の底部で入ることができる。ライン139を介する再生及び還元された触媒粒子は上昇管の中央部分の固体注入点を通って入ることができる。この実施形態において、第1の変換区画101は上昇管反応器の底部から上昇管の中央部分の固体注入点までであり、第2の変換区画103は上昇管反応器の中央部分の固体注入点から上昇管反応器の頂部までであろう。
いくつかの実施形態において、第1の変換区画101は第1の温度を有するライン115の第1の変換区画流出物を生成するように構成されるか又は適合することができ、第2の変換区画103は第2の温度を有するライン117の第2の変換区画流出物を生成するように構成されるか又は適合することができる。ここで第2の温度は第1の温度より高いことができる。いくつかの実施形態において、ライン115の第1の変換区画流出物の温度は350℃、400℃、500℃、又は520℃~600℃、620℃、670℃、又は700℃の範囲であってもよく、ライン117の第2の変換区画流出物の温度は400℃、600℃、650℃、又は660℃~725℃、750℃、800℃、又は900℃の範囲であってもよい。
【0094】
ライン117の第2の変換区画流出物中に含有される気体成分及びコークス化された触媒粒子は1又は複数の気体-固体分離区画108を介して分離されて、ライン119を介する1種又は複数の改質された炭化水素、未反応炭化水素、分子水素、及びあらゆるその他の気体成分に富む第1の気体流、並びにライン121を介するコークス化された触媒粒子に富む第1の粒子流を生成することができる。かかる分離区画108は第2の変換区画103の外側に示されているが、分離区画108はまた第2の変換区画103の内側に位置することもできる。
【0095】
ライン119を介する第1の気体流は産物回収に送り、追加の処理ステップに付すことができる。ライン121を介する第1の粒子流は触媒スプリッター区画109に導入することができ、第1の触媒粒子流の第1の部分を含むことができる第2の粒子流は上述したようにライン110を介して第1の変換区画101に再循環させることができる。ライン123を介するコークス化された触媒粒子の第2の部分を含むことができる第3の粒子流は燃焼区画105に導入することができる。燃焼区画は反応器内に配置することができ、そこでコークス化された触媒粒子はライン125を介して導入される酸化体、例えば空気と接触して触媒粒子の表面に配置されたコークスの少なくとも一部を燃焼させることができる。いくつかの実施形態において、ライン127を介して任意の補充燃料も燃焼区画105に導入することができる。補充燃料が燃焼して、燃焼区画105内の再生された触媒粒子を、第1及び第2の変換区画101、103内で起こる吸熱反応を支えるのに所望の温度にさらに加熱することができる追加の熱を生成することができる。
【0096】
燃焼区画105内で気体-固体分離デバイスを使用して、再生された触媒粒子を燃焼気体から分離して、ライン129を介する燃焼気体に富む第2の気体水蒸気及びライン131を介する再生された触媒粒子に富む第2の粒子流を生成することができる。いくつかの実施形態において、微細な触媒粒子を含有することができるライン129の燃焼気体は微細な触媒粒子の回収、熱回収、又は廃棄のための第2の分離デバイスに向かうことができる。
【0097】
ライン131を介する再生された触媒粒子及びライン137を介する任意の還元気体を任意の還元区画107に導入することができる。再生された触媒粒子は還元区画107内で還元気体と接触して再生及び還元された触媒粒子を生成することができる。還元区画107内で、気体-固体分離デバイスを使用して、再生及び還元された触媒粒子を還元気体から分離して、ライン135を介する第3の気体流及びライン139を介する再生及び還元された触媒粒子に富む第4の粒子流を提供することができる。ライン135を介して回収される気体流は、少なくとも部分的にその組成に依存して、システムから除去することができ、又は燃料ガスとして燃焼区画105に供給されてもよいし、又は再生及び還元された触媒粒子から分離されることなく再生及び還元された触媒粒子と共に第2の変換区画に運ばれてもよい。いくつかの実施形態において、ライン131に含有される再生された触媒粒子は還元区画107に入る前に冷却することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、1又は複数の中間変換区画が第1の変換区画101と第2の変換区画103との間に位置することができる。ライン139の再生及び還元された触媒は同一流速又は異なる流速の多数の流れに分割され、1又は複数の中間変換区画に入ることができる。再生及び還元された触媒粒子の多数の流れはまた中間変換区画に入る前に個別に冷却/加熱することもできる。いくつかの実施形態において、第2の変換区画103に導入される再生及び還元された触媒粒子は、1又は複数の中間変換区画が存在するとき、さらに加熱することができるか又は直接第2の変換区画103に導入することができ、再生及び還元された触媒は1又は複数の中間変換区画への導入に先立って冷却される。異なる温度で作動する多数の燃焼区画105及び多数の任意の還元区画107を使用して異なる温度を有する触媒流を作り出してもよい。異なる温度の触媒流を異なる反応区画に供給することができ、その結果として各々の反応区画を出る流れの温度は流れの方向に沿って上昇して上昇管又は下降管反応器の長さに沿って温度勾配を作り出す。ライン121、110、123、125、及び129の触媒粒子はキャリヤー流体又は輸送流体を介して空気圧により反応システムを通って移動することができる。いくつかの実施形態において、キャリヤー流体は水蒸気であってもよいか又は含むことができる。
【0099】
図2は、1又は複数の実施形態に従う、
図1に示したシステムと同様であるが、さらに追加のコークス化された触媒移送ライン201を含むライン111の炭化水素含有供給物を改質するための別の実例としてのシステムを描く。いくつかの実施形態において、コークス化された触媒粒子は触媒スプリッター区画109内でライン201を介する追加のコークス化された触媒粒子流にさらに分離されることができる。示されているように、ライン201を介する追加のコークス化された触媒粒子流はライン131の再生された触媒粒子と混合され還元区画107に導入されることができる。ライン131でコークス化された触媒粒子の一部を再生された触媒粒子と混合することにより、還元区画107に導入される粒子流の温度を任意の還元区画107への導入前に低下させることができる。任意の還元区画107が存在しないとき、コークス化された触媒粒子と再生された触媒粒子の混合物は第2の変換区画103に導入することができる。
【実施例】
【0100】
以上の考察は以下の非限定的実施例を参照してさらに記載することができる。
【0101】
(実施例1-3)
二変換区画反応器の利益を立証するために実験室実験を行った。81mol%のプロパン、9mol%のAr及び10mol%の水からなる炭化水素含有供給物を用いて~100絶対kPaで固定床実験を行った。
【0102】
ガスクロマトグラフ(GC)を使用して反応器流出物の組成を測定した。次いで反応器流出物中の各成分の濃度を用いてC3H6収率及び選択性を計算した。これらの実施例で報告するC3H6収率及び選択性は炭素モルに基づいて計算した。
各実施例において、一定量の触媒Mcatを適当な量の石英/SiC希釈剤と混合し、石英反応器に装填した。希釈剤の量は、触媒床(触媒+希釈剤)が石英反応器の等温区画と重なり、作動中触媒床が大部分等温であるように決定された。反応器の死容積は石英チップ/ロッドで満たした。
触媒は以下の手順に従って調製した:80質量%MgO及び20質量%Al2O3のMgO-Al2O3混合金属酸化物である2.3gのPURALOX(登録商標)MG 80/150(Sasol)を取っておいた。0.103gの塩化スズ(IV)五水和物(Acros Organics)、0.0184gのクロロ白金酸六水和物(BioXtra)、及び1.725mlの水を小さいガラスバイアル内で混合して溶液を作成した。PURALOX(登録商標)MG80/150に溶液を含侵させ、含侵したPURALOX(登録商標)MGを110℃で6時間乾燥し、800℃で12時間か焼した。最終生成物は名目上0.3質量%のPt及び1.5質量%のSnを含有していた。
【0103】
実施例1は表1に規定される実験条件の単一の変換区画からなっていた。温度、単位時間当たりの質量空間速度(WHSV)、及び均一気相滞留時間はそれぞれ670℃、4.7時-1、及び3.4秒であった。WHSVは供給材料中のC3H8の質量流量を反応器内の触媒の質量Mcatで割って定義された。均一気相滞留時間は実験温度及び圧力での容積供給材料流量を等温区画のボイドスペースで割ることによって計算された。
【0104】
実施例2及び3は直列につながれた二区画反応器の第1の変換区画及び第2の変換区画を表す。2つの区画の触媒充填及び反応器パッキンは同じであった。第1の変換区画及び第2の変換区画の温度はそれぞれ580℃及び670℃であった。二変換区画反応器の合わせたWHSVは4.7時-1であり、これは実施例1の単一区画反応器と同じであった。二変換区画反応器の合わせた均一気相滞留時間は580℃又は670℃のどちらが計算に使用されたかに依存して3.4~3.7秒であった。
【0105】
【表1】
単一変換区画反応器(実施例1)、二変換区画反応器の第1の区画(実施例2)、及び二変換区画反応器の第2の区画(実施例2+3)から出る流出物のC
3H
6収率及びC
3H
6選択性値を下記表2に示す。
【0106】
【表2】
実施例1と実施例2+3を比較することにより、二変換区画反応器がC
3H
6収率及びC
3H
6選択性をそれぞれ~5.5%及び~5.4%増大したことが分かる。二変換区画反応器の第1の区画(実施例2)からの流出物は部分的に脱水素された混合物であり、副生成物への選択性損失が最小であった。
【0107】
(実施例4-6)
実施例4-6は、均一気相滞留時間が短くなり(表3参照)、変換区画に使用した触媒の質量が倍増した以外実施例1-3と同様であった。
【0108】
【表3】
単一変換区画反応器(実施例4)、二変換区画反応器の第1の区画(実施例5)、及び二変換区画反応器の第2の区画(実施例5+6)から出る流出物のC
3H
6収率及びC
3H
6選択性値を下記表4に示す。
【0109】
【表4】
実施例4と実施例5+6を比較することにより、二変換区画反応器がC
3H
6収率及びC
3H
6選択性をそれぞれ~2.6%及び~4.2%増大したことが分かる。
【0110】
(実施例7-9)
実施例7-9は、WHSVが低減し、変換区画に使用した触媒の質量が倍増した(表5参照)以外実施例1-3と同様である。
【0111】
【表5】
単一変換区画反応器(実施例7)、二変換区画反応器の第1の区画(実施例8)、及び二変換区画反応器の第2の区画(実施例8+9)から出る流出物のC
3H
6収率及びC
3H
6選択性値を下記表6に示す。
【0112】
【表6】
実施例7と実施例8+9の比較は、二区画反応器構想がC
3H
6収率及びC
3H
6選択性をそれぞれ~4.3%及び~4.6%増大したことを示す。
【0113】
(実施例8)
予言的な実施例で、工学計算を行って、
図1に示した実施形態を用いたプロパンのプロピレンへの脱水素の実行可能な1組の反応条件を決定する。この実施例において、変換区画(101)及び(103)は断熱である。炭化水素含有供給物は570℃で90mol%のプロパン及び10mol%の水の混合物で、全流量137トン/時である。第2の変換区画(103)の出口における圧力は124絶対kPaである。第1の変換区画(101)の出口における温度は620℃で、プロパンの変換は55.0%である。第2の変換区画(103)の出口における温度は670℃で、プロパンの全変換は69.8%である。表7はこれらの区画温度及びプロパン変換を達成する一組の触媒流量及び温度を示す。この実施例での計算では、コークスの産生量は無視し、すべての非選択的反応は第1の反応区画で起こると仮定したことに留意されたい。これらの仮定が全熱収支及び実行可能な例の立証に有意な影響を有するとは期待されない。
【0114】
【0115】
本開示は、以下の態様及び/又は実施形態のうちの1つ又は複数をさらに含んでもよい。
E1.多段階炭化水素改質方法であって、
(I)第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含む第1の触媒と接触させて、炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含む第1の変換区画流出物を生成するステップ、
(II)第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含む第2の触媒と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成するステップ
を含み、
炭化水素含有供給物が、C2-C16直鎖状若しくは分枝状アルカンのうちの1種若しくは複数、C4-C16環状アルカンのうちの1種若しくは複数、C8-C16アルキル芳香族炭化水素のうちの1種若しくは複数、又はそれらの混合物を含み、
炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物が300℃~850℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物が350℃~900℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物の温度が第1の変換区画流出物の温度を超え、
第1の触媒及び第2の触媒が同じ組成又は異なる組成を有し、
第1の触媒及び第2の触媒がそれぞれ、担体の質量に基づき0.05質量%~6質量%の8~10族元素を含み、
担体が、
担体の質量に基づき、w質量%の2族元素、x質量%の4族元素、y質量%の12族元素、及びz質量%の原子番号21、39、又は57~71を有する元素、のうちの少なくとも1つを含み、w、x、y、及びzが独立に0~100の範囲にあり、
あらゆる2族元素が、担体の質量に基づき質量%mを伴い、
あらゆる4族元素が、担体の質量に基づき質量%nを伴い、
あらゆる12族元素が、担体の質量に基づき質量%pを伴い、
原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素が、担体の質量に基づき質量%qを伴い、
m、n、p、及びqが独立に1~100の範囲の数であり、
担体の質量に基づき合計w/m+x/n+y/p+z/pが1以上であり、
1種又は複数の改質された炭化水素が、脱水素された炭化水素、脱水素芳香族化された炭化水素、脱水素環化された炭化水素、又はそれらの混合物を含む、
多段階炭化水素改質方法。
E2.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが固定床内に配置される、E1の方法。
E3.第1の変換区画及び第2の変換区画が固定床反応器内に配置される、E1又はE2の方法。
E4.第1の変換区画及び第2の変換区画が逆流反応器内に配置される、E1又はE2の方法。
【0116】
E5.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが流動触媒粒子の形態である、E1又はE2の方法。
E6.第1の触媒及び第2の触媒が流動触媒粒子の形態である、E1の方法。
E7.第1及び第2の変換区画が実質的に断熱性である、E6の方法。
E8.第1の変換区画内における、第1の触媒の、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~100の範囲にある、E6又はE7の方法。
E9.第2の変換区画内における、第2の触媒の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~50の範囲にある、E6~E8のいずれかの方法。
【0117】
E10.第2の変換区画内における、第1の触媒及び第2の触媒の合わせた量の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、2~150の範囲にある、E6~E9のいずれかの方法。
E11.第1の触媒が炭化水素含有供給物と最初に接触する際、第1の触媒が、第1の変換区画流出物の温度よりも10℃~200℃の範囲高い温度を有する、E6~E10のいずれかの方法。
E12.第2の触媒が第1の変換区画流出物と最初に接触する際、第2の触媒が、第2の変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、E6~E11のいずれかの方法。
E13.第1の変換区画及び第2の変換区画が、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置される、E6~E12のいずれかの方法。
E14.第1の変換区画が第1のボルテックス反応器内に配置され、第2の変換区画が第2のボルテックス反応器内に配置される、E6~E12のいずれかの方法。
【0118】
E15.ステップ(I)後、ステップ(II)前に、以下のステップ:
(Ia)1つ又は複数の中間変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含む1つ又は複数の中間触媒と接触させて、第1の変換区画流出物中の未変換の炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1つ又は複数のコークス化された中間触媒、並びに1つ又は複数の中間温度を有し、未変換の炭化水素含有供給物及び追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含む1つ又は複数の中間変換区画流出物を生成するステップをさらに含み、最後の中間変換区画流出物が、ステップ(II)において第2の変換区画中で第2の触媒と接触する、
E1~E14のいずれかの方法。
E16.1つ又は複数の中間変換区画流出物の1つ又は複数の中間温度が、第1の変換区画流出物の温度を超え、第2の変換区画流出物の温度が、1つ又は複数の中間変換区画流出物の1つ又は複数の中間温度を超える、E15の方法。
E17.1つ又は複数の中間触媒が1つ又は複数の固定床内に配置される、E15の方法。
E18.1つ又は複数の中間変換区画が1つ又は複数の固定床反応器内に配置される、E15の方法。
E19.1つ又は複数の中間変換区画が逆流反応器内に配置される、E15の方法。
【0119】
E20.1つ又は複数の中間触媒が流動触媒粒子の形態である、E15の方法。
E21.1つ又は複数の中間変換区画が実質的に断熱性である、E20の方法。
E22.1つ又は複数の中間変換区画のそれぞれ内における、1つ又は複数の中間触媒のそれぞれの、あらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~50の範囲にある、E20又はE21の方法。
E23.第1の触媒、1つ又は複数の中間触媒、及び第2の触媒の合わせた量の、第2の変換区画内における最後の中間変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、3~300の範囲にある、E20~E22のいずれかの方法。
E24.1つ又は複数の中間触媒のそれぞれが第1の変換区画流出物又は直前の中間変換区画流出物と最初に接触する際、1つ又は複数の中間触媒のそれぞれが、第1の変換区画流出物又は直前の中間変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、E20~E23のいずれかの方法。
【0120】
E25.第2の触媒が最後の中間変換区画流出物と最初に接触する際、第2の触媒が、第2の変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、E20~E23のいずれかの方法。
E26.1つ又は複数の中間変換区画が、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置される、E20~E25のいずれかの方法。
E27.1つ又は複数の中間変換区画が、1つ又は複数の中間ボルテックス反応器内に配置される、E20~E25のいずれかの方法。
E28.炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させるステップが、コークス化された第1の触媒を生成し、第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させるステップが、コークス化された第2の触媒を生成し、方法が、
(III)コークス化された第1の触媒、コークス化された第2の触媒、又はコークス化された第1の触媒及びコークス化された第2の触媒を、酸化剤と接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、燃焼気体、並びに再生された第1の触媒、再生された第2の触媒、又は再生された第1の触媒及び再生された第2の触媒を生成するステップ
をさらに含む、E1~E27のいずれかの方法。
E29.ステップ(III)において、コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、580℃~1,100℃、好ましくは650℃~1,000℃、より好ましくは700℃~900℃、又はより好ましくは750℃~850℃の範囲の温度で接触する、E28の方法。
【0121】
E30.ステップ(III)において、コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、5絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは10絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは20絶対kPa~200絶対kPaの範囲の酸化剤分圧下で接触する、E28又はE29の方法。
E31.(IV)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部を、還元気体と接触させて、再生及び還元された第1の触媒、再生及び還元された第2の触媒、又は再生及び還元された第1の触媒並びに再生及び還元された第2の触媒を生成するステップをさらに含む、E28~30のいずれかの方法。
E32.還元気体が、分子水素、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、水蒸気、分子窒素、アルゴン、二酸化炭素、又はそれらの混合物を含む、E31の方法。
E33.コークス化された第1の触媒及びコークス化された第2の触媒がそれぞれ、担体に配置された凝集した8~10族元素を含み、担体上で凝集した8~10族元素の少なくとも一部が、ステップ(III)におけるコークスの燃焼中に担体周囲に再分散される、E28~E32のいずれかの方法。
E34.ステップ(IV)において、あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、450℃~900℃、好ましくは600℃~900℃、より好ましくは620℃~900℃、より好ましくは650℃~850℃、又はより好ましくは670℃~800℃の範囲の温度で接触する、E31~E33のいずれかの方法。
【0122】
E35.ステップ(IV)において、あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、0.01絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは0.1絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは0.5絶対kPa~300絶対kPa、又はより好ましくは1絶対kPa~200絶対kPaの範囲の還元気体分圧下で接触する、E31~E34のいずれかの方法。
E36.ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン、あらゆるC4-C16環状アルカン、及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、E1~E35のいずれかの方法。
E37.ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン、あらゆるC4-C16環状アルカン、及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、E1~E36のいずれかの方法。
E38.第1の変換区画流出物の温度が、350℃~700℃、好ましくは400℃~670℃、より好ましくは500℃~620℃、又はより好ましくは520℃~600℃の範囲にある、E1~E37のいずれかの方法。
E39.ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、E1~E38のいずれかの方法。
【0123】
E40.第2の変換区画流出物の温度が、400℃~900℃、好ましくは600℃~800℃、より好ましくは620℃~750℃、又はより好ましくは640℃~725℃の範囲にある、E1~E39のいずれかの方法。
E41.ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、E1~E40のいずれかの方法。
E42.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが助触媒をさらに含む、E1~E41のいずれかの方法。
E43.助触媒が、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、E42の方法。
E44.助触媒が担体に配置される、E42又はE43の方法。
【0124】
E45.助触媒が8~10族元素を伴う、E42~E44のいずれかの方法。
E46.助触媒及び8~10族元素が、担体に分散された8~10族元素-助触媒クラスターを形成する、E42~E45のいずれかの方法。
E47.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大10質量%の助触媒を含む、E42~E46のいずれかの方法。
E48.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体に配置されたアルカリ金属元素をさらに含む、E1~E47のいずれかの方法。
E49.アルカリ金属元素が、Li、Na、K、Rb、Cs、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、E48の方法。
【0125】
E50.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大5質量%のアルカリ金属元素を含む、E48又はE49の方法。
E51.m、n、p、及びqが、それぞれ1、15、若しくは30に等しい、又はm=1、n=15、p=15、及びq=1である、E1~E50のいずれかの方法。
E52.あらゆる2族元素、あらゆる4族元素、あらゆる12族元素、及び原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素の合わせた量の、第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける8~10族元素に対するモル比が、少なくとも0.18、少なくとも0.19、少なくとも0.24、又は少なくとも0.29である、E1~E51のいずれかの方法。
E53.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける担体が、5、6、7、11、13、14、15、及び16族から選択される少なくとも1種の金属元素又は半金属元素を含む少なくとも1種の化合物をさらに含む、E1~E52のいずれかの方法。
E54.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける担体中に存在する、あらゆる2族元素の少なくとも一部、あらゆる4族元素の少なくとも一部、あらゆる12族元素の少なくとも一部、及び原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素の少なくとも一部が、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物である、E1~E53のいずれかの方法。
【0126】
E55.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける担体が、以下:MguZn1-uO、ここでuは正の数である;ZnvAl2O3+v、ここでvは正の数である;MgwAl2O3+w、ここでwは正の数である;CaxAl2O3+x、ここでxは正の数である;SryAl2O3+y、ここでyは正の数である;BazAl2O3+z、ここでzは正の数である;BeO;MgO;CaO;BaO;SrO;BeCO3;MgCO3;CaCO3;SrCO3、BaCO3;ZrO2;ZrC;ZrN;ZrSiO4;CaZrO3;Ca7ZrAl6O18;TiO2;TiC;TiN;TiSiO4;CaTiO3;Ca7Al6O18;HfO2;HfC;HfN;HfSiO4;HfZrO3;Ca7HfAl6O18;ZnO;Zn3(PO4)2;Zn(ClO3)2;ZnSO4;B2O6Zn3;Zn3N2;;ZnCO3;CeO2;Y2O3;La2O3;Sc2O3;Pr6O11;CePO4;CeZrO4;CeAlO3;BaCeO3;CePO4;イットリア安定化ZrO2;それらの組み合わせ、及びそれらの混合物、のうちの1種又は複数を含む、E1~E54のいずれかの方法。
E56.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける担体が、以下:B2O3;Al2O3;SiO2;SiC;Si3N4;アルミノケイ酸塩;VO;V2O3;VO2;V2O5;Ga2O3;In2O3;Mn2O3;Mn3O4;MnO;ゼオライト;それらの組み合わせ;及びそれらの混合物、のうちの1種又は複数をさらに含む、E1~E55のいずれかの方法。
E57.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける担体が、そこに配置された8~10族元素を含む複数の一次粒子の形態である、E1~E56のいずれかの方法。
E58.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、透過型電子顕微鏡により測定されると、0.2nm~500μm、好ましくは0.5nm~300μm、より好ましくは1nm~200μm、より好ましくは5nm~100μm、さらにより好ましくは2nm~100nmの範囲の平均断面長さを有する一次粒子を含む、E1~E57のいずれかの方法。
E59.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける8~10族元素が担体に配置され、その結果8~10族元素が、ステップ(I)及び(II)のうちの少なくとも1つにおいて、脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こす触媒粒子の活性成分となる、E1~E58のいずれかの方法。
【0127】
E60.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける担体が、0.1m2/g~1,500m2/g、好ましくは1m2/g~1,000m2/g、より好ましくは10m2/g~800m2/g、又はより好ましくは100m2/g~500m2/gの範囲の表面積を有する、E1~E59のいずれかの方法。
E61.炭化水素含有供給物が、エタン、プロパン、イソブタン、ブタン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチルエチルベンゼン、又はそれらの混合物を含む、E1~E60のいずれかの方法。
E62.多段階炭化水素改質方法であって、
(I)第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含む第1の複数の流動触媒粒子と接触させて、炭化水素含有供給物の第1の部分の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、コークス化された第1の触媒粒子、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含む第1の変換区画流出物を生成するステップ、
(II)第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含む第2の複数の流動触媒粒子と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、コークス化された第2の触媒粒子、追加量の改質された炭化水素、及び追加量の分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成するステップであって、
炭化水素含有供給物が、C2-C16直鎖状若しくは分枝状アルカンのうちの1種若しくは複数、C4-C16環状アルカンのうちの1種若しくは複数、C8-C16アルキル芳香族炭化水素のうちの1種若しくは複数、又はそれらの混合物を含み、
炭化水素含有供給物及び第1の複数の流動触媒粒子が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~2分の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物及び第2の複数の流動触媒粒子が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~2分の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物が300℃~850℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物が350℃~900℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物の温度が第1の変換区画流出物の温度を超え、
1種又は複数の改質された炭化水素が、脱水素された炭化水素、脱水素芳香族化された炭化水素、脱水素環化された炭化水素、又はそれらの混合物を含む、
ステップ、
(III)第2の変換区画流出物から、改質された炭化水素及び分子水素に富む第1の気体流、並びにコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子に富む第1の粒子流を得るステップ、
(IV)第1の粒子流を第2の粒子流及び第3の粒子流に分割するステップ、
(V)第2の粒子流を、第1の複数の流動粒子として第1の変換区画へ再循環させるステップ、
(VI)燃焼区画において第3の粒子流を酸化剤と接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、コークスの乏しい再生された触媒粒子及び燃焼気体を含む燃焼流出物を生成するステップ、
(VII)燃焼流出物から、燃焼気体に富む第2の気体流及び再生された触媒粒子に富む第4の粒子流を得るステップ、並びに
(VIII)第4の粒子流を、第2の複数の流動触媒粒子として第2の変換区画へ再循環させるステップ
を含む、多段階炭化水素改質方法。
63.ステップ(VII)後、ステップ(VIII)前に、以下のステップ:
(VIIa)第4の粒子流の少なくとも一部を還元気体と接触させて、再生及び還元された触媒粒子を生成するステップをさらに含み、再生及び還元された触媒粒子が、ステップ(VIII)において第2の複数の流動触媒粒子として第2の変換区画へ再循環される、
E62の方法。
E64.再生及び還元された触媒粒子中の8~10族元素の少なくとも一部が、再生された触媒粒子中の8~10族元素と比較して小さい酸化状態である、E63の方法。
【0128】
E65.ステップ(VIIa)において、再生された触媒粒子及び還元気体が、450℃~900℃、好ましくは600℃~900℃、より好ましくは620℃~900℃、より好ましくは650℃~850℃、又はより好ましくは670℃~800℃の範囲の温度で接触する、E63又はE64の方法。
E66.ステップ(VIIa)において、再生された触媒粒子及び還元気体が、0.01絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは0.1絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは0.5絶対kPa~300絶対kPa、又はより好ましくは1絶対kPa~200絶対kPaの範囲の還元気体分圧下で接触する、E63~E65のいずれかの方法。
E67.還元気体が、分子水素、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、水蒸気、分子窒素、アルゴン、二酸化炭素、又はそれらの混合物を含む、E63~E66のいずれかの方法。
E68.ステップ(IV)が、第1の粒子流から第5の粒子流を分離させるステップをさらに含み、方法が、第4の粒子流を第5の粒子流と接触させて、合わせた粒子流を生成するステップをさらに含む、E62~E67のいずれかの方法。
E69.第1及び第2の変換区画が実質的に断熱性である、E62~E68のいずれかの方法。
【0129】
E70.第1の変換区画内における、第1の複数の流動触媒粒子の、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~100の範囲にある、E62~E69のいずれかの方法。
E71.第2の変換区画内における、第2の複数の流動触媒粒子の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~50の範囲にある、E62~E70のいずれかの方法。
E72.第2の変換区画内における、第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子の合わせた量の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、2~150の範囲にある、E62~E71のいずれかの方法。
E73.第1の複数の流動触媒粒子が炭化水素含有供給物と最初に接触する際、第1の複数の流動触媒粒子が、第1の変換区画流出物の温度よりも10℃~200℃の範囲高い温度を有する、E62~E72のいずれかの方法。
E74.第2の複数の流動触媒粒子が第1の変換区画流出物と最初に接触する際、第2の複数の流動触媒粒子が、第2の変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、E62~E73のいずれかの方法。
【0130】
E75.ステップ(I)後、ステップ(II)前に、以下のステップ:
(Ia)1つ又は複数の中間変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含む1つ又は複数の中間の複数の流動触媒粒子と接触させて、第1の変換区画流出物中の未変換の炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1つ又は複数のコークス化された中間の複数の流動触媒粒子、並びに1つ又は複数の中間温度を有し、未変換の炭化水素含有供給物及び追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含む1つ又は複数の中間変換区画流出物を生成するステップをさらに含み、最後の中間変換区画流出物が、ステップ(II)において第2の変換区画中で第2の触媒と接触する、
E62~E74のいずれかの方法。
E76.1つ又は複数の中間変換区画が、1つ若しくは複数の上昇管反応器又は1つ若しくは複数の下降管反応器内に配置される、E75の方法。
E77.1つ又は複数の中間変換区画が1つ又は複数の中間ボルテックス反応器内に配置される、E76の方法。
E78.1つ又は複数の中間変換区画が実質的に断熱性である、E75~E77のいずれかの方法。
E79.1つ又は複数の中間変換区画のそれぞれ内における、1つ又は複数の中間の複数の流動触媒粒子のそれぞれの、あらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~50の範囲にある、E75~E78のいずれかの方法。
【0131】
E80.第2の変換区画内における、第1の複数の流動触媒粒子、1つ又は複数の中間の複数の流動触媒粒子、及び第2の複数の流動触媒粒子の合わせた量の、最後の中間変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、3~300の範囲にある、E75~E79のいずれかの方法。
E81.1つ又は複数の中間の複数の流動触媒粒子のそれぞれが第1の変換区画流出物又は直前の中間変換区画流出物と最初に接触する際、1つ又は複数の中間の複数の流動触媒粒子のそれぞれが、第1の変換区画流出物又は直前の中間変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、E75~E80のいずれかの方法。
E82.第2の複数の流動触媒粒子が最後の中間変換区画流出物と最初に接触する際、第2の複数の流動触媒粒子が、第2の変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、E75~E81のいずれかの方法。
E83.第1の複数の流動触媒粒子が、炭化水素含有供給物と最初に接触する際に第1の変換区画流出物の温度を超える温度を有し、その結果第1の変換区画内においてその温度を達成するのに必要な熱が第1の複数の流動触媒粒子によりもたらされ、
第2の複数の流動触媒粒子が、第1の変換区画流出物と最初に接触する際に第2の変換区画流出物の温度を超える温度を有し、その結果第2の変換区画内においてその温度を達成するのに必要な熱が第2の複数の流動触媒粒子によりもたらされる、
E62~E82のいずれかの方法。
E84.炭化水素含有供給物が、エタン、プロパン、イソブタン、ブタン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチルエチルベンゼン、又はそれらの混合物を含む、E62~E83のいずれかの方法。
【0132】
E85.炭化水素含有供給物及び第1の複数の流動触媒粒子が、ステップ(I)において、0.1秒~1.5分、好ましくは0.5秒~1分、又はより好ましくは1秒~30秒の範囲の期間接触する、E62~E84のいずれかの方法。
E86.第1の複数の流動触媒粒子の、あらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16芳香族炭化水素の合わせた量に対する質量比が、1~150、好ましくは5~100、又はより好ましくは10~80の範囲にある、E62~E85のいずれかの方法。
E87.炭化水素含有供給物が、ステップ(I)において、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16芳香族炭化水素の質量に基づき、0.1hr-1~100hr-1、好ましくは0.2hr-1~64hr-1、又はより好ましくは0.4hr-1~32hr-1の範囲の質量空間速度で第1の複数の流動触媒粒子に接触する、E62~E86のいずれかの方法。
E88.第1の変換区画流出物の温度が、350℃~700℃、好ましくは400℃~670℃、より好ましくは500℃~620℃、又はより好ましくは520℃~600℃の範囲にある、E62~E87のいずれかの方法。
E89.ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の複数の流動触媒粒子が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、E62~E88のいずれかの方法。
【0133】
E90.ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の複数の流動触媒粒子が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC2-C16アルカン、あらゆるC4-C16環状アルカン、及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、E62~E89のいずれかの方法。
E91.第1の変換区画流出物及び第2の複数の流動触媒粒子が、ステップ(II)において、0.1秒~1.5分、好ましくは0.5秒~1分、又はより好ましくは1秒~30秒の範囲の期間接触する、E62~E90のいずれかの方法。
E92.第2の複数の流動触媒粒子の、あらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16芳香族炭化水素の合わせた量に対する質量比が、1~150、好ましくは5~100、又はより好ましくは10~80の範囲にある、E62~E91のいずれかの方法。
E93.第1の変換区画流出物が、ステップ(II)において、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン及びあらゆるC8-C16芳香族炭化水素の質量に基づき、0.1hr-1~100hr-1、好ましくは0.2hr-1~64hr-1、又はより好ましくは0.4hr-1~32hr-1の範囲の質量空間速度で第1の複数の流動触媒粒子に接触する、E62~E92のいずれかの方法。
E94.第2の変換区画流出物の温度が、400℃~900℃、好ましくは600℃~800℃、より好ましくは650℃~750℃、又はより好ましくは660℃~725℃の範囲にある、E62~E92のいずれかの方法。
【0134】
E95.ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の複数の流動触媒粒子が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、E62~E94のいずれかの方法。
E96.ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の複数の流動触媒粒子が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC2-C16アルカン、あらゆるC4-C16環状アルカン、及びあらゆるC8-C16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、E62~E95のいずれかの方法。
E97.ステップ(VI)において、第3の粒子流及び酸化剤が、580℃~1,100℃、好ましくは650℃~1,000℃、より好ましくは700℃~900℃、又はより好ましくは750℃~850℃の範囲の温度で接触する、E62~E96のいずれかの方法。
E98.ステップ(VI)において、第3の粒子流及び酸化剤が、5絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは10絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは20絶対kPa~100絶対kPaの範囲の酸化剤分圧下で接触する、E62~E97のいずれかの方法。
E99.第1の複数の流動触媒及び第2の複数の流動触媒がそれぞれ、担体の質量に基づき0.05質量%~6質量%の8~10族元素を含み、
担体が、
担体の質量に基づき、w質量%の2族元素、x質量%の4族元素、y質量%の12族元素、及びz質量%の原子番号21、39、又は57~71を有する元素、のうちの少なくとも1つを含み、w、x、y、及びzが独立に0~100の範囲にあり、
あらゆる2族元素が、担体の質量に基づき質量%mを伴い、
あらゆる4族元素が、担体の質量に基づき質量%nを伴い、
あらゆる12族元素が、担体の質量に基づき質量%pを伴い、
原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素が、担体の質量に基づき質量%qを伴い、
m、n、p、及びqが独立に1~100の範囲の数であり、
担体の質量に基づき合計w/m+x/n+y/p+z/pが1以上である、
E62~E98のいずれかの方法。
【0135】
E100.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つが助触媒をさらに含む、E62~E99のいずれかの方法。
E101.助触媒が、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、E100の方法。
E102.助触媒が担体に配置される、E100又はE101の方法。
E103.助触媒が8~10族元素を伴う、E100~E102のいずれかの方法。
E104.助触媒及び8~10族元素が、担体に分散された8~10族元素-助触媒クラスターを形成する、E100~E103のいずれかの方法。
【0136】
E105.第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大10質量%の助触媒を含む、E100~E104のいずれかの方法。
E106.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つが、担体に配置されたアルカリ金属元素をさらに含む、E100~E105のいずれかの方法。
E107.アルカリ金属元素が、Li、Na、K、Rb、Cs、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、E106の方法。
E108.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大5質量%のアルカリ金属元素を含む、E106又はE107の方法。
E109.m、n、p、及びqが、それぞれ1、15、若しくは30に等しいか、m=1、n=15、p=15、及びq=1である、E99~E108のいずれかの方法。
【0137】
E110.あらゆる2族元素、あらゆる4族元素、あらゆる12族元素、及び原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素の合わせた量の、第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける8~10族元素に対するモル比が、少なくとも0.18、少なくとも0.19、少なくとも0.24、又は少なくとも0.29である、E99~E109のいずれかの方法。
E111.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける担体が、5、6、7、11、13、14、15、及び16族から選択される少なくとも1種の金属元素又は半金属元素を含む少なくとも1種の化合物をさらに含む、E99~E110のいずれかの方法。
E112.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける担体中に存在する、あらゆる2族元素の少なくとも一部、あらゆる4族元素の少なくとも一部、あらゆる12族元素の少なくとも一部、及び原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素の少なくとも一部が、酸化物、リン酸塩、ハロゲン化物、ハロゲン酸塩、硫酸塩、硫化物、ホウ酸塩、窒化物、炭化物、アルミン酸塩、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、メタリン酸塩、セレン化物、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、亜クロム酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、又はケイ化物である、E99~E111のいずれかの方法。
E113.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける担体が、以下:MguZn1-uO、ここでuは正の数である;ZnvAl2O3+v、ここでvは正の数である;MgwAl2O3+w、ここでwは正の数である;CaxAl2O3+x、ここでxは正の数である;SryAl2O3+y、ここでyは正の数である;BazAl2O3+z、ここでzは正の数である;BeO;MgO;CaO;BaO;SrO;BeCO3;MgCO3;CaCO3;SrCO3、BaCO3;ZrO2;ZrC;ZrN;ZrSiO4;CaZrO3;Ca7ZrAl6O18;TiO2;TiC;TiN;TiSiO4;CaTiO3;Ca7Al6O18;HfO2;HfC;HfN;HfSiO4;HfZrO3;Ca7HfAl6O18;ZnO;Zn3(PO4)2;Zn(ClO3)2;ZnSO4;B2O6Zn3;Zn3N2;;ZnCO3;CeO2;Y2O3;La2O3;Sc2O3;Pr6O11;CePO4;CeZrO4;CeAlO3;BaCeO3;CePO4;イットリア安定化ZrO2;それらの組み合わせ、及びそれらの混合物、のうちの1種又は複数を含む、E62~E112のいずれかの方法。
E114.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける担体が、以下:B2O3;Al2O3;SiO2;SiC;Si3N4;アルミノケイ酸塩;VO;V2O3;VO2;V2O5;Ga2O3;In2O3;Mn2O3;Mn3O4;MnO;ゼオライト;それらの組み合わせ;及びそれらの混合物、のうちの1種又は複数をさらに含む、E62~E113のいずれかの方法。
【0138】
E115.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける担体が、そこに配置された8~10族元素を含む複数の一次粒子の形態である、E62~E114のいずれかの方法。
E116.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つが、透過型電子顕微鏡により測定されると、0.2nm~500μm、好ましくは0.5nm~300μm、より好ましくは1nm~200μm、より好ましくは5nm~100μm、さらにより好ましくは2nm~100nmの範囲の平均断面長さを有する一次粒子を含む、E62~E114のいずれかの方法。
E117.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける8~10族元素が担体に配置され、その結果8~10族元素が、ステップ(I)及び(II)のうちの少なくとも1つにおいて、脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こす触媒粒子の活性成分となる、E62~E116のいずれかの方法。
E118.第1の複数の流動触媒粒子及び第2の複数の流動触媒粒子のうちの少なくとも1つにおける担体が、0.1m2/g~1,500m2/g、好ましくは1m2/g~1,000m2/g、より好ましくは10m2/g~800m2/g、又はより好ましくは100m2/g~500m2/gの範囲の表面積を有する、E62~E117のいずれかの方法。
E119.触媒粒子が、0.5g/cm3~3g/cm3、0.7g/cm3~2g/cm3、又は0.8g/cm3~1.4g/cm3の範囲の粒子密度を有する、E62~E118のいずれかの方法。
【0139】
E120.触媒粒子が、Geldart A定義と一致するサイズ及び粒子密度を有する、E62~E119のいずれかの方法。
E121.多段階炭化水素改質システムであって、
炭化水素含有供給物を第1の複数の流動触媒粒子と接触させて、炭化水素含有供給物の第1の部分の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、第1のコークス化された触媒粒子、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含む第1の変換区画流出物を生成することに適合した第1の変換区画、
第1の変換区画流出物を第2の複数の流動触媒粒子と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、第2のコークス化された触媒粒子、追加量の改質された炭化水素、及び追加量の分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成することに適合した第2の変換区画、
第2の変換区画流出物を、改質された炭化水素及び分子水素に富む第1の気体流、並びに第1のコークス化された触媒粒子及び第2のコークス化された触媒粒子に富む第1の粒子流に分離させることに適合した第1の分離装置、
第1の粒子流を、第1の粒子流の第1の部分を含む第2の粒子流、及び第1の粒子流の第2の部分を含む第3の粒子流に分離させることに適合した第2の分離装置、
第2の粒子流の少なくとも一部を、第1の複数の流動触媒粒子として第1の変換区画に供給することに適合した第1の流路、
第3の粒子流の少なくとも一部を燃焼区画に供給することに適合した第2の流路、第3の粒子流及び酸化剤を接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、コークスの乏しい再生された触媒粒子及び燃焼気体を含む燃焼流出物を生成することに適合した燃焼区画、
燃焼流出物を、燃焼気体に富む第2の気体流、及び再生された触媒粒子に富む第4の粒子流に分離させることに適合した第3の分離装置、並びに
第4の粒子流の少なくとも一部を、第2の複数の流動触媒粒子として第2の変換区画に供給することに適合した第3の流路
を含む、多段階炭化水素改質システム。
E122.第4の粒子流の少なくとも一部を還元気体と接触させて、再生及び還元された触媒粒子を生成することに適合した還元区画をさらに含み、再生及び還元された触媒粒子の少なくとも一部が、第3の流路を介して第2の変換区画に供給される、E121のシステム。
E123.第1の変換区画が、第1の温度を有する第1の変換区画流出物を生成することにさらに適合しており、第2の変換区画が、第2の温度を有する第2の変換区画流出物を生成することにさらに適合しており、第2の変換区画流出物の温度が第1の変換区画流出物の温度を超える、E121又は122のシステム。
E124.第1の変換区画及び第2の変換区画が、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置される、E121~E123のいずれかのシステム。
【0140】
E125.第1の変換区画が第1のボルテックス反応器内に配置され、第2の変換区画が第2のボルテックス反応器内に配置される、E121~E124のいずれかのシステム。
E126.第1の変換区画が、第1の温度を有する第1の変換区画流出物を生成することに適合しており、第2の変換区画が、第2の温度を有する第2の変換区画流出物を生成することに適合しており、第2の温度が第1の温度を超える、E121~E124のいずれかのシステム。
E127.第1の変換区画流出物の温度が、350℃~700℃、好ましくは400℃~670℃、より好ましくは500℃~620℃、又はより好ましくは520℃~600℃の範囲にあり、第2の変換区画流出物の温度が、400℃~900℃、好ましくは600℃~800℃、より好ましくは650℃~750℃、又はより好ましくは660℃~725℃の範囲にある、E126のシステム。
E128.第1の変換区画流出物を1つ又は複数の中間の複数の流動触媒粒子と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、コークス化された中間触媒粒子、追加量の改質された炭化水素、及び追加量の分子水素を含む中間変換区画流出物を生成することに適合した1つ又は複数の中間変換区画をさらに含み、第2の変換区画が、中間変換区画流出物を第2の複数の流動触媒粒子と接触させることに適合している、E121~E125のいずれかのシステム。
E129.1つ又は複数の中間変換区画が、1つ又は複数の中間変換区画温度を有する1つ又は複数の変換区画流出物を生成することに適合しており、1つ又は複数の中間変換区画温度が第1の変換区画流出物の温度を超え、第2の変換区画流出物の温度未満である、E128のシステム。
【0141】
E130.第1の変換区画、1つ又は複数の中間変換区画、及び第2の変換区画が、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置される、E128又はE129のシステム。
E131.第1の変換区画が第1のボルテックス反応器内に配置され、1つ又は複数の中間変換区画が1つ又は複数の中間ボルテックス反応器内に配置され、第2の変換区画が第2のボルテックス反応器内に配置される、E128又はE129のシステム。
【0142】
各種用語は先に定義されている。特許請求の範囲において使用される用語が先に定義されていない範囲では、用語は、少なくとも1つの印刷済み出版物又は発行済み特許において反映される、当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えられるべきである。さらに、本出願において引用される全ての特許、試験手順、及び他の文書は、そのような開示が本出願と矛盾しない範囲で、そのような組み込みが認められる全ての権限について参照により完全に組み込まれる。
【0143】
前述のものは本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及びさらなる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されてよく、その範囲は以下の特許請求の範囲により決定される。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段階炭化水素改質方法であって、
(I)第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含む第1の触媒と接触させて、炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含む第1の変換区画流出物を生成するステップ、
(II)第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含む第2の触媒と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成するステップ
を含み、
炭化水素含有供給物が、C
2-C
16直鎖状若しくは分枝状アルカンのうちの1種若しくは複数、C
4-C
16環状アルカンのうちの1種若しくは複数、C
8-C
16アルキル芳香族炭化水素のうちの1種若しくは複数、又はそれらの混合物を含み、
炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物が300℃~850℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物が350℃~900℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物の温度が第1の変換区画流出物の温度を超え、
第1の触媒及び第2の触媒が同じ組成又は異なる組成を有し、
第1の触媒及び第2の触媒がそれぞれ、担体の質量に基づき0.05質量%~6質量%の8~10族元素を含み、
担体が、
担体の質量に基づき、w質量%の2族元素、x質量%の4族元素、y質量%の12族元素、及びz質量%の原子番号21、39、又は57~71を有する元素、のうちの少なくとも1つを含み、w、x、y、及びzが独立に0~100の範囲にあり、
あらゆる2族元素が、担体の質量に基づき質量%mを伴い、
あらゆる4族元素が、担体の質量に基づき質量%nを伴い、
あらゆる12族元素が、担体の質量に基づき質量%pを伴い、
原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素が、担体の質量に基づき質量%qを伴い、
m、n、p、及びqが独立に1~100の範囲の数であり、
担体の質量に基づき合計w/m+x/n+y/p+z/
qが1以上であり、
1種又は複数の改質された炭化水素が、脱水素された炭化水素、脱水素芳香族化された炭化水素、脱水素環化された炭化水素、又はそれらの混合物を含む、
多段階炭化水素改質方法。
【請求項2】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが固定床内に配置され、かつ/又は第1の変換区画及び第2の変換区画のうちの少なくとも1つが固定床反応器内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが流動触媒粒子の形態である、請求項1
に記載の方法。
【請求項4】
以下:
(i)第1の触媒及び第2の触媒が流動触媒粒子の形態である、及び
(ii)第1及び第2の変換区画が実質的に断熱性である、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
以下:
(i)第1の変換区画内における、第1の触媒の、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~100の範囲にある、
(ii)第2の変換区画内における、第2の触媒の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~50の範囲にある、
(iii)第2の変換区画内における、第1の触媒及び第2の触媒の合わせた量の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、2~150の範囲にある、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
以下:
(i)第1の触媒が炭化水素含有供給物と最初に接触する際、第1の触媒が、第1の変換区画流出物の温度よりも10℃~200℃の範囲高い温度を有する、
(ii)第2の触媒が第1の変換区画流出物と最初に接触する際、第2の触媒が、第2の変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の変換区画及び第2の変換区画が、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置される、請求項4~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させるステップが、コークス化された第1の触媒を生成し、第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させるステップが、コークス化された第2の触媒を生成し、方法が、
(III)コークス化された第1の触媒、コークス化された第2の触媒、又はコークス化された第1の触媒及びコークス化された第2の触媒を、酸化剤と接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、燃焼気体、並びに再生された第1の触媒、再生された第2の触媒、又は再生された第1の触媒及び再生された第2の触媒を生成するステップ
をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ステップ(III)において、以下:
(i)コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、580℃~1,100℃
の範囲の温度で接触する、
(ii)コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、5絶対kPa~1,000絶対kPa
の範囲の酸化剤分圧下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
(IV)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部を、還元気体と接触させて、再生及び還元された第1の触媒、再生及び還元された第2の触媒、又は再生及び還元された第1の触媒並びに再生及び還元された第2の触媒を生成するステップをさらに含む、請求項8又は請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ステップ(IV)において、以下:
(i)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、450℃~900℃
の範囲の温度で接触する、及び
(ii)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、0.01絶対kPa~1,000絶対kPa
の範囲の還元気体分圧下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項10
に記載の方法。
【請求項12】
以下:
(a)ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2-C
16アルカン、あらゆるC
4-C
16環状アルカン、及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%
の量の水蒸気の存在下で接触する、
(b)ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2-C
16アルカン、あらゆるC
4-C
16環状アルカン、及びあらゆるC
8-C
16アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%
の量の水蒸気の存在下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1~
11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
以下:
(i)第1の変換区画流出物の温度が、350℃~700℃、
(ii)第2の変換区画流出物の温度が、400℃~900℃の範囲にある、
(iii)ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、20絶対kPa~1,000絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、の範囲にある、
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1~
12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
m、n、p、及びqが、それぞれ1、15、若しくは30に等しいか、又はm=1、n=15、p=15、及びq=1である、請求項1~
13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
あらゆる2族元素、あらゆる4族元素、あらゆる12族元素、及び原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素の合わせた量の、第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける8~10族元素に対するモル比が、少なくとも0.18
である、請求項1~
14のいずれかに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0143】
前述のものは本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及びさらなる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されてよく、その範囲は以下の特許請求の範囲により決定される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕多段階炭化水素改質方法であって、
(I)第1の変換区画内で、炭化水素含有供給物を、担体に配置された8~10族元素を含む第1の触媒と接触させて、炭化水素含有供給物の一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、1種又は複数の改質された炭化水素、分子水素、及び未変換の炭化水素含有供給物を含む第1の変換区画流出物を生成するステップ、
(II)第2の変換区画内で、第1の変換区画流出物を、担体に配置された8~10族元素を含む第2の触媒と接触させて、未変換の炭化水素含有供給物の少なくとも一部の脱水素、脱水素芳香族化、及び脱水素環化のうちの1種又は複数を引き起こし、追加量の1種又は複数の改質された炭化水素及び分子水素を含む第2の変換区画流出物を生成するステップ
を含み、
炭化水素含有供給物が、C
2
-C
16
直鎖状若しくは分枝状アルカンのうちの1種若しくは複数、C
4
-C
16
環状アルカンのうちの1種若しくは複数、C
8
-C
16
アルキル芳香族炭化水素のうちの1種若しくは複数、又はそれらの混合物を含み、
炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2
-C
16
アルカン及びあらゆるC
8
-C
16
アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、少なくとも20絶対kPaの炭化水素分圧下で0.1秒~3時間の範囲の期間接触し、炭化水素分圧が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2
-C
16
アルカン及びあらゆるC
8
-C
16
アルキル芳香族炭化水素の合計分圧であり、
第1の変換区画流出物が300℃~850℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物が350℃~900℃の範囲の温度を有し、
第2の変換区画流出物の温度が第1の変換区画流出物の温度を超え、
第1の触媒及び第2の触媒が同じ組成又は異なる組成を有し、
第1の触媒及び第2の触媒がそれぞれ、担体の質量に基づき0.05質量%~6質量%の8~10族元素を含み、
担体が、
担体の質量に基づき、w質量%の2族元素、x質量%の4族元素、y質量%の12族元素、及びz質量%の原子番号21、39、又は57~71を有する元素、のうちの少なくとも1つを含み、w、x、y、及びzが独立に0~100の範囲にあり、
あらゆる2族元素が、担体の質量に基づき質量%mを伴い、
あらゆる4族元素が、担体の質量に基づき質量%nを伴い、
あらゆる12族元素が、担体の質量に基づき質量%pを伴い、
原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素が、担体の質量に基づき質量%qを伴い、
m、n、p、及びqが独立に1~100の範囲の数であり、
担体の質量に基づき合計w/m+x/n+y/p+z/qが1以上であり、
1種又は複数の改質された炭化水素が、脱水素された炭化水素、脱水素芳香族化された炭化水素、脱水素環化された炭化水素、又はそれらの混合物を含む、
多段階炭化水素改質方法。
〔2〕第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが固定床内に配置され、かつ/又は第1の変換区画及び第2の変換区画のうちの少なくとも1つが固定床反応器内に配置される、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが流動触媒粒子の形態である、前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕以下:
(i)第1の触媒及び第2の触媒が流動触媒粒子の形態である、
(ii)第1及び第2の変換区画が実質的に断熱性である、
のうちの少なくとも1つが満たされる、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕以下:
(i)第1の変換区画内における、第1の触媒の、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2
-C
16
アルカン及びあらゆるC
8
-C
16
アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~100の範囲にある、
(ii)第2の変換区画内における、第2の触媒の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2
-C
16
アルカン及びあらゆるC
8
-C
16
アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、質量対質量に基づいて1~50の範囲にある、
(iii)第2の変換区画内における、第1の触媒及び第2の触媒の合わせた量の、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2
-C
16
アルカン及びあらゆるC
8
-C
16
アルキル芳香族の合わせた量に対する比が、2~150の範囲にある、
のうちの少なくとも1つが満たされる、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕以下:
(i)第1の触媒が炭化水素含有供給物と最初に接触する際、第1の触媒が、第1の変換区画流出物の温度よりも10℃~200℃の範囲高い温度を有する、
(ii)第2の触媒が第1の変換区画流出物と最初に接触する際、第2の触媒が、第2の変換区画流出物の温度よりも30℃~300℃の範囲高い温度を有する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、前記〔4〕又は前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕第1の変換区画及び第2の変換区画が、上昇管反応器又は下降管反応器内に配置される、前記〔4〕~〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕炭化水素含有供給物を第1の触媒と接触させるステップが、コークス化された第1の触媒を生成し、第1の変換区画流出物を第2の触媒と接触させるステップが、コークス化された第2の触媒を生成し、方法が、
(III)コークス化された第1の触媒、コークス化された第2の触媒、又はコークス化された第1の触媒及びコークス化された第2の触媒を、酸化剤と接触させて、コークスの少なくとも一部の燃焼を引き起こし、燃焼気体、並びに再生された第1の触媒、再生された第2の触媒、又は再生された第1の触媒及び再生された第2の触媒を生成するステップ
をさらに含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕ステップ(III)において、以下:
(i)コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、580℃~1,100℃、好ましくは650℃~1,000℃、より好ましくは700℃~900℃、又はより好ましくは750℃~850℃の範囲の温度で接触する、
(ii)コークス化された第1の触媒粒子、コークス化された第2の触媒粒子、又はコークス化された第1の触媒粒子及びコークス化された第2の触媒粒子、並びに酸化剤が、5絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは10絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは20絶対kPa~200絶対kPaの範囲の酸化剤分圧下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕(IV)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部を、還元気体と接触させて、再生及び還元された第1の触媒、再生及び還元された第2の触媒、又は再生及び還元された第1の触媒並びに再生及び還元された第2の触媒を生成するステップをさらに含む、前記〔8〕又は前記〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕還元気体が、分子水素、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、水蒸気、分子窒素、アルゴン、二酸化炭素、又はそれらの混合物を含む、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕ステップ(IV)において、以下:
(i)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、450℃~900℃、好ましくは600℃~900℃、より好ましくは620℃~900℃、より好ましくは650℃~850℃、又はより好ましくは670℃~800℃の範囲の温度で接触する、
(ii)あらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部、あらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、又はあらゆる再生された第1の触媒の少なくとも一部及びあらゆる再生された第2の触媒の少なくとも一部、並びに還元気体が、0.01絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは0.1絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは0.5絶対kPa~300絶対kPa、又はより好ましくは1絶対kPa~200絶対kPaの範囲の還元気体分圧下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、前記〔10〕又は前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕以下:
(a)ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、炭化水素含有供給物中のあらゆるC
2
-C
16
アルカン、あらゆるC
4
-C
16
環状アルカン、及びあらゆるC
8
-C
16
アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、
(b)ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、第1の変換区画流出物中のあらゆるC
2
-C
16
アルカン、あらゆるC
4
-C
16
環状アルカン、及びあらゆるC
8
-C
16
アルキル芳香族の合計体積に基づき、0.1体積%~50体積%、好ましくは0.5体積%~30体積%、又はより好ましくは1体積%~15体積%の量の水蒸気の存在下で接触する、
のうちの少なくとも1つが満たされる、前記〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の方法。
〔14〕第1の変換区画流出物の温度が、350℃~700℃、好ましくは400℃~670℃、より好ましくは500℃~620℃、又はより好ましくは520℃~600℃の範囲にある、前記〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の方法。
〔15〕ステップ(I)において、炭化水素含有供給物及び第1の触媒が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、前記〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔16〕第2の変換区画流出物の温度が、400℃~900℃、好ましくは600℃~800℃、より好ましくは620℃~750℃、又はより好ましくは640℃~725℃の範囲にある、前記〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の方法。
〔17〕ステップ(II)において、第1の変換区画流出物及び第2の触媒が、20絶対kPa~1,000絶対kPa、好ましくは50絶対kPa~500絶対kPa、又はより好ましくは70絶対kPa~300絶対kPaの範囲の炭化水素分圧下で接触する、前記〔1〕~〔16〕のいずれかに記載の方法。
〔18〕第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが助触媒をさらに含む、前記〔1〕~〔17〕のいずれかに記載の方法。
〔19〕助触媒が、Sn、Ga、Zn、Ge、In、Re、Ag、Au、Cu、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大10質量%の助触媒を含む、前記〔18〕又は前記〔19〕のいずれかに記載の方法。
〔21〕第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体に配置されたアルカリ金属元素をさらに含む、前記〔1〕~〔20〕のいずれかに記載の方法。
〔22〕アルカリ金属元素が、Li、Na、K、Rb、Cs、それらの組み合わせ、又はそれらの混合物を含む、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つが、担体の合計質量に基づき最大5質量%のアルカリ金属元素を含む、前記〔21〕又は前記〔22〕に記載の方法。
〔24〕m、n、p、及びqが、それぞれ1、15、若しくは30に等しいか、又はm=1、n=15、p=15、及びq=1である、前記〔1〕~〔23〕のいずれかに記載の方法。
〔25〕あらゆる2族元素、あらゆる4族元素、あらゆる12族元素、及び原子番号21、39、又は57~71を有するあらゆる元素の合わせた量の、第1の触媒及び第2の触媒のうちの少なくとも1つにおける8~10族元素に対するモル比が、少なくとも0.18、少なくとも0.19、少なくとも0.24、又は少なくとも0.29である、前記〔1〕~〔24〕のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】