(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】独特のメルトフロー-固有粘度(MFIVI)及び低不飽和を有するエチレンインターポリマー生成物
(51)【国際特許分類】
C08F 210/16 20060101AFI20230605BHJP
C08F 4/6592 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
C08F210/16
C08F4/6592
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567540
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 IB2021053845
(87)【国際公開番号】W WO2021224847
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ゾンロン
(72)【発明者】
【氏名】シブテン、ファザル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】クレゼック、モニカ
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA18Q
4J100AA19Q
4J100CA04
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA04
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4J100DA15
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4J128ED09
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4J128FA07
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA04
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA07
4J128GA08
4J128GA16
(57)【要約】
本開示は、0.05以上0.80以下のメルトフロー-固有粘度指数値MFIVI;-1.51超-1.15以下の4000gの荷重でのメルトフロー分布関数の一次導関数、式1;炭素原子100個当たり0.005以上0.047未満の不飽和の不飽和合計SUMU;及び0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属を含む、エチレンインターポリマー生成物に関する。エチレンインターポリマー生成物は、少なくとも2種のエチレンインターポリマーを含む。エチレンインターポリマー生成物は、0.3~500dg/分のメルトインデックス(I2)、0.855~0.975g/ccの密度及び0~25モルパーセントの1種又は複数種のa-オレフィンにより特徴付けられる。エチレンインターポリマー生成物は、1.7~25の多分散性Mw/Mn;及び1%~98%のCDBI50値を有する。これらのエチレンインターポリマー生成物は、可撓性及び剛性用途における実用性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物であって、以下、a~dを含む、エチレンインターポリマー生成物:
a)式1により定義される0.05以上0.80以下の無次元メルトフロー-固有粘度指数MFIVI
【数1】
(式中、f
二峰性は式2により定義され、
【数2】
前記エチレンインターポリマー生成物の多分散性Pd(式2中)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定され、Pd=M
w/M
nであり、M
w及びM
nは、それぞれ、重量平均及び数平均分子量であり;
補正係数C
f(式2中)は、以下の2つのステップ(i)及び(ii)に従って決定され、
(i)式3により定義される前記エチレンインターポリマー生成物のメルトフロー分布関数
【数3】
が、Log(1/I
n)対Log(荷重)をプロットすることにより決定され、I
nは、ASTM D1238に従い190℃で測定される、21600、10000、6000及び2160グラムの荷重での前記エチレンインターポリマー生成物の測定メルトインデックスであり、
(ii)前記メルトフロー分布関数の一次導関数が、式4により定義され、
【数4】
前記補正係数C
f(式2)は、4000gの荷重での前記一次導関数(式4)の値であり;
コモノマー重量パーセント、コモノマーWt%(式1)は、ASTM D6645に従ってFTIRにより測定される、前記エチレンインターポリマー生成物中のコモノマーの重量パーセントであり、コモノマーWt%が14.95%超である場合、コモノマー係数f
コモノマー(式1)は式5により定義され、コモノマーWt%が14.95%以下である場合、前記コモノマー係数は式6により定義され、
【数5】
前記エチレンインターポリマー生成物のフィッティングされたメルトインデックスI
f(式1)は、4000gの荷重での前記メルトフロー分布関数(式3)の値により決定され;
IV及びM
v(式1)は、それぞれ、3D-SECにより決定される前記エチレンインターポリマー生成物の固有粘度及び粘度平均モル質量である);
b)-1.51超-1.15以下の値を有する、4000gの荷重での前記一次導関数(式4);
【数6】
c)式7により定義される、炭素原子100個当たり0.005以上0.047未満の不飽和の不飽和合計SUM
U
【数7】
式中、I
U、SC
U及びT
Uは、それぞれ、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98により決定される前記エチレンインターポリマー生成物中の炭素100個当たりの内部、側鎖及び末端不飽和の量であり;並びに
d)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属であって、中性子放射化を使用して測定される残留触媒金属。
【請求項2】
第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意選択で第3のエチレンインターポリマーを含む、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項3】
エチレンインターポリマー生成物が、0.3~500dg/分のメルトインデックス及び0.855~0.975g/ccの密度を有し、メルトインデックスは、ASTM D1238(2.16kgの荷重及び190℃)に従って測定され、密度は、ASTM D792に従って測定される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項4】
0~25モルパーセントの1種又は複数種のα-オレフィンをさらに含む、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項5】
1種又は複数種のα-オレフィンがC
3~C
10α-オレフィンを含む、請求項5に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項6】
1種又は複数種のα-オレフィンが、1-ヘキセン、又は1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物である、請求項5に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項7】
エチレンインターポリマー生成物が1.7~25の多分散性M
w/M
nを有し、重量平均分子量M
w及び数平均分子量M
nが従来のサイズ排除クロマトグラフィーを使用して測定される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項8】
エチレンインターポリマー生成物が1%~98%のCDBI
50を有し、CDBI
50がCTREFを使用して測定される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項9】
溶液重合プロセスにより製造される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項10】
前記第1及び前記第2のエチレンインターポリマー、又は前記第1及び前記第3のエチレンインターポリマーが、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成される、請求項2に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項11】
前記架橋メタロセン触媒配合物が、式(I)により定義される成分Aを含む、請求項10に記載のエチレンインターポリマー生成物であって:
【化1】
式中、
Mは、Ti、Hf、又はZrであり;
Gは、C、Si、Ge、Sn、又はPbであり;
Xは、ハロゲン原子であり;
R
6は、出現する毎に、独立して、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、又はC
6~10アリールオキシド基から選択され、これらの基は、直鎖、分岐状若しくは環式であってもよく、又はハロゲン原子、C
1~10アルキル基、C
1~10アルコキシ基、C
6~10アリール、若しくはアリールオキシ基でさらに置換されていてもよく;
R
1は、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基であり;
R
2及びR
3は、独立して、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択され;
R
4及びR
5は、独立して、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択される、
エチレンインターポリマー生成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
溶液重合プロセスは、典型的には、生成されるエチレンホモポリマー又はコポリマーの融点を超える温度で行われる。典型的な溶液重合プロセスにおいて、触媒成分、溶媒、モノマー及び水素は、1つ又は複数の反応器に圧力下で供給される。
【0002】
エチレン重合又はエチレン共重合の場合、反応器温度は80℃~300℃の範囲となり得、一方圧力は一般に3MPag~45MPagの範囲となり得る。生成されたエチレンホモポリマー又はコポリマーは、反応器条件下で溶媒中に溶解したままである。反応器内の溶媒の滞留時間は比較的短く、例えば1秒~20分である。溶液プロセスは、多種多様なエチレンポリマーの生成を可能にする広範なプロセス条件下で動作し得る。反応器の後は、さらなる重合を防止するために、触媒不活性化剤を添加することにより重合反応がクエンチされる。任意選択で、不活性化された溶液は、酸捕捉剤を添加することにより不動態化され得る。不活性化された溶液、又は任意選択で不動態化された溶液は、次いでポリマー回収に送られ、そこでエチレンホモポリマー又はコポリマーがプロセス溶媒、未反応の残留エチレン及び未反応の任意選択のα-オレフィン(単数又は複数)から分離される。
【0003】
溶液重合では、より高い生成速度でエチレンインターポリマーを生成する、すなわち1時間当たりに生成されるエチレンインターポリマーのポンドが増加される改善されたプロセスが必要とされている。より高い生成速度は、溶液重合プラントの収益性を増加させる。本明細書で開示される触媒配合物及び溶液重合プロセスは、この必要性を満たす。
【0004】
溶液重合ではまた、所与の反応器温度で生成されるエチレンインターポリマーの分子量を増加させることが必要である。特定の触媒配合物を仮定して、反応器温度が低下するとポリマー分子量が増加することが当業者に周知である。しかしながら、反応器温度の低下は、溶液の粘度が過度に高くなる場合問題となり得る。その結果、溶液重合では、高い反応器温度(又はより低い反応器粘度)で高分子量エチレンインターポリマーを生成する触媒配合物が必要とされている。本明細書で開示される触媒配合物及び溶液重合プロセスは、この必要性を満たす。
【0005】
溶液重合プロセスではまた、1種又は複数種のα-オレフィンを増大する高分子鎖に組み込む上で非常に効率的な触媒配合物が必要とされている。換言すれば、溶液重合反応器内の所与の[α-オレフィン/エチレン]重量比で、より低密度のエチレン/α-オレフィンコポリマーを生成する触媒配合物が必要とされている。別の表現をすれば、反応器供給物中のより低い[α-オレフィン/エチレン]重量比で特定の密度を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーを生成する触媒配合物が必要とされている。そのような触媒配合物は、利用可能なα-オレフィンを効率的に利用し、溶液プロセスリサイクルストリーム中のα-オレフィンの量を低減する。
【0006】
本明細書に開示される触媒配合物及び溶液プロセスは、様々な最終用途における所望の特性を有する独特のエチレンインターポリマー生成物を生成する。1つの限定されない最終用途は、開示されるエチレンインターポリマー生成物を含む包装フィルムを含む。所望のフィルム特性の限定されない例は、改善された光学特性、より低いシール開始温度及び改善されたホットタック性能を含む。本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物から調製されたフィルムは、改善された特性を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示では、少なくとも2種のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物が開示され、エチレンインターポリマー生成物は、0.05以上0.80以下の範囲の無次元メルトフロー-固有粘度指数MFIVI;-1.51以上-1.15以下の範囲の4000gの荷重でのメルトフロー分布関数の一次導関数、
【数1】
炭素原子100個当たり0.005以上0.047以下の不飽和の範囲の不飽和合計SUM
U、及び0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの範囲の残留触媒金属を有する。エチレンインターポリマー生成物は、0.3~500dg/分のメルトインデックス(I
2)及び0.855~0.975g/ccの密度を有してもよい。実施形態は、1種又は複数種のα-オレフィン、例えば1種又は複数種のC
3~C
10 α-オレフィンを含むエチレンインターポリマー生成物を含む。エチレンインターポリマー生成物のさらなる実施形態は、1.7~25の多分散性M
w/M
nを有し、M
w及びM
nは、それぞれ、従来のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定される重量及び数平均分子量である。エチレンインターポリマー生成物の追加的な実施形態は、1%~98%のCDBI
50を有し、CDBI
50は、CTREFを使用して測定される。
【0008】
実施形態は、少なくとも1種の均一触媒配合物を用いる連続溶液重合プロセスを使用した前記エチレンインターポリマー生成物の製造を含む。好適な均一触媒配合物の一実施形態は、式(I):
【化1】
により定義される成分Aを含む架橋メタロセン触媒配合物であり、式中、Mは、チタン、ハフニウム及びジルコニウムから選択される金属であり;Gは、元素炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ又は鉛であり;Xはハロゲン原子を表し、R
6基は、独立して、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基又はC
6~10アリールオキシド基から選択され、これらの基は、直鎖、分岐状若しくは環式であってもよく、又はハロゲン原子、C
1~10アルキル基、C
1~10アルコキシ基、C
6~10アリール若しくはアリールオキシ基でさらに置換されていてもよく;R
1は、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基を表し;R
2及びR
3は、独立して、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択され;R
4及びR
5は、独立して、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択される。
【0009】
実施形態は、改善された連続溶液重合プロセスを含み、改善されたプロセスは、エチレンインターポリマー生成物を形成するために、架橋メタロセン触媒を使用して、1つ又は複数の反応器内でエチレン及び任意選択で少なくとも1種のα-オレフィンをプロセス溶媒中で重合させるステップを含み、改善されたプロセスは、以下の式により定義される増加した生成速度PRIを有し、
PRI=100×(PRA-PRC)/PRC≧10%
式中、PRAは、改善されたプロセスの生成速度であり、PRCは、架橋メタロセン触媒配合物が非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えられた比較連続溶液重合プロセスの比較生成速度である。
【0010】
追加的な実施形態は、アルモキサン共触媒(成分M);ホウ素イオン性活性剤(成分B);及び任意選択でヒンダードフェノール(成分P)を含む架橋メタロセン触媒配合物を含む。成分M、B及びPの限定されない例は、それぞれ、メチルアルモキサン(MMAO-7)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールを含む。
【0011】
追加的な実施形態は、1種又は複数種のC5~C12アルカンを含むプロセス溶媒、並びに80℃~300℃の温度及び3MPag~45MPagの圧力で動作する2つ以上の反応器を用いる改善されたプロセスを含む。実施形態は、1つ又は複数の反応器内のプロセス溶媒が10秒~720秒の平均反応器滞留時間を有するような反応器条件を含み得る。さらなる実施形態は、1つ又は複数の反応器で用いられる触媒入口温度が20℃~180℃で変動し得るような反応器条件を含み得る。
【0012】
他の実施形態は、エチレンインターポリマー生成物が、架橋メタロセン触媒配合物を使用して、2つ以上の反応器内でエチレン及び任意選択で少なくとも1種のα-オレフィンをプロセス溶媒中で重合させることにより形成される、改善された連続溶液重合プロセスを含み、改善されたプロセスは、以下の(a)及び/又は(b)により特徴付けられる:
(a)エチレンインターポリマー生成物は、以下の式により定義されるように、少なくとも10%の改善(より高い)重量平均分子量M
wを有し、
%改善M
w=100×(M
w
A-M
w
C)/M
w
C≧10%
式中、M
w
Aは、改善されたプロセスを使用して生成されたエチレンインターポリマー生成物の重量平均分子量であり、M
w
Cは、比較エチレンインターポリマー生成物の比較重量平均分子量であり;比較エチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより比較プロセスにおいて生成され;
(b)改善されたプロセスにおいて用いられる[α-オレフィン/エチレン]重量比は、以下の式により定義されるように、少なくとも70%低減され(改善され):
【数2】
式中、(α-オレフィン/エチレン)
Aは、改善されたプロセスに加えられるα-オレフィンの重量を、改善されたプロセスに加えられるエチレンの重量で除したものを表し、目標密度を有するエチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物により生成され;(α-オレフィン/エチレン)
Cは、目標密度を有する比較エチレンインターポリマー生成物を生成するために必要な比較重量比を表し、比較エチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより比較プロセスにおいて合成される。
【0013】
エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、第1及び第2のエチレンインターポリマーを含む。エチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーを含んでもよい。エチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、第1のエチレンインターポリマー及び第3のエチレンインターポリマーを含んでもよい。
【0014】
第1のエチレンインターポリマーは、0.01~200dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し;第1のエチレンインターポリマーは、エチレンインターポリマー生成物の5~100wt.%を構成してもよい。第2のエチレンインターポリマーは、エチレンインターポリマー生成物の0~95wt.%を構成してもよく、0.3~1000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する。第3のエチレンインターポリマーは、エチレンインターポリマー生成物の0~30wt.%を構成してもよく、0.4~2000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する。重量パーセント、wt.%は、第1、第2又は任意選択の第3のエチレンインターポリマーの個々の重量をエチレンインターポリマー生成物の総重量で除したものであり、メルトインデックスは、ASTM D1238(2.16kgの荷重及び190℃)に従って測定され、密度は、ASTM D792に従って測定される。
【0015】
さらなる実施形態において、第1及び第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよく;第1及び第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は70%、他の場合では75%、さらに他の場合では80%であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよく;第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は35%、他の場合では40%、さらに他の場合では45%であってもよい。
【0016】
他の実施形態において、第1及び第2のエチレンインターポリマーのMw/Mnの上限は2.4、他の場合では2.3、さらに他の場合では2.2であってもよく;第1及び第2のエチレンインターポリマーのMw/Mnの下限は1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのMw/Mnの上限は5.0、他の場合では4.8、さらに他の場合では4.5であってもよく;任意選択の第3のエチレンインターポリマーのMw/Mnの下限は1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。
【0017】
本開示において、エチレンインターポリマー中で分岐する長鎖の量は、本開示の式1(下記)により定義されるメルトフロー-固有粘度指数(MFIVI)により特徴付けられる。エチレンインターポリマー生成物は、0.05以上0.80以下の範囲のMFIVI値により特徴付けられる。第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーのMFIVIの上限は0.8以下、他の場合では0.7以下、さらに他の場合では0.6以下であってもよい。第1及び第2のエチレンインターポリマーのMFIVIの下限は、0.05以上であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのMFIVIの下限は-0.05以上、他の場合では-0.025以上、さらに他の場合では0.0、すなわち検出不可能なレベルの長鎖分岐であってもよい。
【0018】
エチレンインターポリマー生成物は、-1.51超-1.15以下の範囲の値を有する4000gの荷重でのメルトフロー分布関数の一次導関数、
【数3】
によりさらに特徴付けられる。4000gの荷重での
【数4】
の計算は、以下で十分に説明される。エチレンインターポリマー生成物の4000gの荷重での
【数5】
の値の下限は-1.510超、他の場合では-1.505以上、さらに他の場合では-1.500以上であってもよい。エチレンインターポリマー生成物の4000gの荷重での
【数6】
の値の上限は-1.15以下、他の場合では-1.20以下、さらに他の場合では-1.25以下であってもよい。
【0019】
本開示では、エチレンインターポリマー生成物中の不飽和の性質を特徴付けるために、炭素原子100個当たり0.005以上0.047未満の不飽和の値を有する不飽和合計SUMUが使用された。SUMUは、以下の式:SUMU=2×IU+SCU+TUに従って計算され、式中、IUは、エチレンインターポリマー生成物中の炭素原子100個(100C)当たりの内部不飽和であり、SCUは側鎖不飽和であり、TUは末端不飽和である。エチレンインターポリマー生成物のSUMUの上限は0.047未満、他の場合では0.046未満、さらに他の場合では0.045未満であってもよい。エチレンインターポリマー生成物のSUMUの下限は0.005以上、他の場合では0.007以上、さらに他の場合では0.010以上であってもよい。
【0020】
本開示では、エチレンインターポリマー中の残留触媒金属の量は、中性子放射化分析「NAA」により特徴付けられた。第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく、第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;一方第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の触媒残渣は、その製造において用いられた触媒を反映していた。架橋メタロセン触媒配合物が使用された場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。非架橋シングルサイト触媒配合物が使用された場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属CR3のppmの上限は3.0ppm、他の場合では2.0ppm、さらに他の場合では1.5ppmであってもよく、第3のエチレンインターポリマー中の金属CR3のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。式(I)又は(II)により定義される種類のメンバーではない嵩高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく、第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。不均一触媒配合物が使用された場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属ZR3のppmの上限は12ppm、他の場合では10ppm、さらに他の場合では8ppmであってもよく;第3のエチレンインターポリマー中の金属ZR3のppmの下限は0.5ppm、他の場合では1ppm、さらに他の場合では3ppmであってもよい。
【0021】
製造される物品の限定されない実施形態は、少なくとも2種のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を含む少なくとも1つの層を備えるフィルムを含み、エチレンインターポリマー生成物は、0.05以上0.80以下の範囲の無次元メルトフロー-固有粘度指数MFIVI;-1.51超-1.15以下の範囲の4000gの荷重でのメルトフロー分布関数の一次導関数、
【数7】
炭素原子100個当たり0.005以上0.047以下の不飽和の不飽和合計SUM
U、及び0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの範囲の残留触媒金属を有する。これらのフィルムの実施形態は、比較フィルムに比べて10%~30%高い45°でのフィルム光沢を有し、及び/又はフィルムは比較フィルムと比較して30%~50%低いフィルムヘーズを有するが、ここで比較フィルムは、架橋メタロセン触媒配合物を用いて合成されたエチレンインターポリマー生成物が、非架橋シングルサイト触媒配合物を用いて合成された比較エチレンインターポリマー生成物で置き換えられることを除いて、同じ組成を有する。
【0022】
追加的なフィルム実施形態は、少なくとも1つの層が少なくとも1種の第2のポリマーをさらに含むフィルムを含み、第2のポリマーは、1種又は複数種のエチレンポリマー、1種又は複数種のプロピレンポリマー、又はエチレンポリマー及びプロピレンポリマーの混合物であってもよい。さらなる実施形態は、0.5ミル~10ミルの全厚を有するフィルムを含む。他の実施形態は、2~11個の層を有する多層フィルムを含み、少なくとも1つの層は、少なくとも1種のエチレンインターポリマー生成物を含む。
【0023】
以下の図は、本開示の選択された実施形態を例示する目的で示されている。本開示における実施形態はこれらの図によって制限されず、例えば、
図3及び4に示される槽の正確な数、又は槽の配置は制限されないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】メルトフロー分布関数、メルトフロー分布関数の一次導関数、I
f(白丸記号)及びC
f(白四角記号)を示す図である。
【
図2】メルトフロー-固有粘度指数(MFIVI)の計算を示す図である。長鎖分岐(LCB)を有さない、又はLCBが検出不可能なエチレンインターポリマーは、参照線上にある。参照線からの偏差は、LCBの存在を示す。
【
図3】1つのCSTR反応器(槽11a)及び1つの管状反応器(槽17)を用いた連続溶液重合プロセスの実施形態を示す図である。
【
図4】2つのCSTR反応器(槽111a及び112a)並びに1つの管状反応器(槽117)を用いた連続溶液重合プロセスの実施形態を示す図である。2つのCSTRは、直列又は並列モードで動作し得る。
【
図5】例14及び比較14における、SECで決定された分子量分布及びGPCFTIRで決定された分岐含有量(BrF、C
6/1000C)を示す図である。
【
図6】エチレンインターポリマー生成物例4の、第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーへのデコンボリューションを示す図である。
【
図7】シール温度の関数としての多層フィルムコールドシール力(ニュートン、N)を示す図である。
【
図8】シール温度の関数としての多層フィルムホットタック力(ニュートン、N)を示す図である。
【
図9】比較Q1~Q4、W1及びW2、並びに以前に開示された例1及び2に対する、エチレンインターポリマー生成物例43~47の不飽和合計及びメルトフロー分布関数の一次導関数の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
用語の定義
例において示されるか又は別様に示される場合を除き、明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、押出し条件等を指す全ての数又は表現は、全ての場合において「約」という用語により修飾されているものとして理解されたい。したがって、逆の意味が指定されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、様々な実施形態が得ようとしている所望の特性に依存して変動し得る概数である。少なくとも、特許請求の範囲の均等論の適用を制限する意図はないが、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効桁数に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。特定の例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、そのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる、ある特定の誤差を本質的に含有する。
【0026】
本明細書において列挙されるいかなる数値範囲も、それに含まれる全ての部分範囲を含むことを意図することが理解されるべきである。例えば、「1~10」の範囲は、列挙される最小値である1と列挙される最大値である10との間(それらの値を含む)の、すなわち1以上の最小値及び10以下の最大値を有する全ての部分範囲を含むことを意図する。開示される数値範囲は連続的であるため、それらは最小値と最大値との間の全ての値を含む。別段に例示されない限り、本明細書において指定される様々な数値範囲は概数である。
【0027】
本明細書において表現される全ての組成範囲は、実際には合計で100パーセント(体積パーセント又は重量パーセント)に制限され、それを超えない。組成物中に複数の成分が存在し得る場合、各成分の最大量の合計は100パーセントを超えることができず、実際に使用される成分の量は最大100パーセントに適合することが理解され、また当業者に容易に理解される。
【0028】
本開示のより完全な理解を確立するために、以下の用語が定義され、添付の図及び様々な実施形態の説明全体と共に使用されるべきである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、それ自体と、又は他のモノマーと化学反応して化学結合し、ポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」という用語は、鎖の一方の末端に二重結合を有する3~20個の炭素原子を含む直鎖炭化水素鎖を有するモノマーを説明するために使用され、これと同等の用語は「直鎖α-オレフィン」である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「エチレンポリマー」という用語は、エチレン及び任意選択で1種又は複数種の追加的なモノマーから生成された高分子を指し、エチレンポリマーを作製するために使用される特定の触媒又は特定のプロセスにかかわらない。ポリエチレンの技術分野では、1種又は複数種の追加的なモノマーは、しばしば「コモノマー(単数又は複数)」と呼ばれ、α-オレフィンを含むことが多い。「ホモポリマー」という用語は、1種類のモノマーのみを含むポリマーを指す。一般的なエチレンポリマーは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、プラストマー及びエラストマーを含む。エチレンポリマーという用語はまた、高圧重合プロセスにおいて生成されたポリマーを含み、その限定されない例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンアルキルアクリラートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、及びエチレンアクリル酸の金属塩(一般的にアイオノマーと呼ばれる)を含む。エチレンポリマーという用語はまた、2~4個のコモノマーを含み得るブロックコポリマーを含む。エチレンポリマーという用語はまた、上述のエチレンポリマーの組合せ又はブレンドを含む。
【0032】
「エチレンインターポリマー」という用語は、高圧重合プロセスにおいて生成されたポリマーを除く「エチレンポリマー」群内のポリマーのサブセットを指し、高圧プロセスにおいて生成されたポリマーの限定されない例は、LDPE及びEVAを含む(後者はエチレン及び酢酸ビニルのコポリマーである)。
【0033】
「不均一エチレンインターポリマー」という用語は、不均一触媒配合物を使用して生成されたエチレンインターポリマー群内のポリマーのサブセットを指し、その限定されない例は、チーグラー・ナッタ又はクロム触媒を含む。
【0034】
「均一エチレンインターポリマー」という用語は、均一触媒配合物を使用して生成されたエチレンインターポリマー群内のポリマーのサブセットを指す。典型的には、均一エチレンインターポリマーは、狭い分子量分布、例えば2.8未満のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)Mw/Mn値を有し、Mw及びMnは、それぞれ重量及び数平均分子量を指す。一方、不均一エチレンインターポリマーのMw/Mnは、典型的には均一エチレンインターポリマーのMw/Mnより大きい。一般に、均一エチレンインターポリマーはまた狭いコモノマー分布を有し、すなわち、分子量分布内の各高分子は同様のコモノマー含有量を有する。しばしば、コモノマーがエチレンインターポリマー中にどのように分布しているかを定量するために、また異なる触媒又はプロセスで生成されたエチレンインターポリマーを区別するために、組成分布幅指数「CDBI」が使用される。「CDBI50」は、その組成が中央コモノマー組成の50%以内であるエチレンインターポリマーのパーセントとして定義され、この定義は、Exxon Chemical Patents Inc.に譲渡された米国特許第5,206,075号に記載のものと一致している。エチレンインターポリマーのCDBI50は、TREF曲線(昇温溶出分別)から計算され得、TREF法は、Wildら、J. Polym. Sci.、Part B、Polym. Phys.、Vol. 20(3)、441~455頁に記載されている。典型的には、均一エチレンインターポリマーのCDBI50は、約70%超である。一方、不均一エチレンインターポリマーを含むα-オレフィンのCDBI50は、一般に、均一エチレンインターポリマーのCDBI50より低い。2種類以上の均一エチレンインターポリマー(コモノマー含有量が異なる)のブレンドは、70%未満のCDBI50を有し得、本開示では、そのようなブレンドは、均一ブレンド又は均一組成物と呼ばれ得る。同様に、2種類以上の均一エチレンインターポリマー(重量平均分子量(Mw)が異なる)のブレンドは、2.8以上のMw/Mnを有し得、本開示では、そのようなブレンドは、均一ブレンド又は均一組成物と呼ばれ得る。
【0035】
本開示では、「均一エチレンインターポリマー」という用語は、直鎖均一エチレンインターポリマー及び実質的に直鎖の均一エチレンインターポリマーの両方を指す。当技術分野において、直鎖均一エチレンインターポリマーは、一般に、長鎖分岐を有さない、又は検出不可能な量の長鎖分岐を有すると想定され、一方、実質的に直鎖のエチレンインターポリマーは、一般に、炭素原子1000個当たり約0.01超~約3.0個の長鎖分岐を有すると想定される。長鎖分岐は、本質的に高分子である、すなわち長鎖分岐が結合する高分子と長さが類似している。
【0036】
本開示では、「均一触媒」という用語は、均一触媒により生成されたポリマーの特性により定義される。より具体的には、触媒は、狭い分子量分布(2.8未満のSEC Mw/Mn値)及び狭いコモノマー分布(CDBI50>70%)を有する均一エチレンインターポリマーを生成する場合、均一触媒である。均一触媒は、当技術分野において周知である。均一触媒種の2つのサブセットは、非架橋メタロセン触媒及び架橋メタロセン触媒を含む。非架橋メタロセン触媒は、触媒金属に結合した2つの嵩高い配位子により特徴付けられ、その限定されない例は、ビス(イソプロピル-シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドを含む。架橋メタロセン触媒では、2つの嵩高い配位子が一緒に共有結合(架橋)しており、その限定されない例は、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル(fuorenyl))ハフニウムジクロリドを含み、ジフェニルメチレン基は、シクロペンタジエニル及びフルオレニル配位子に一緒に結合又は架橋している。均一触媒種の2つの追加的なサブセットは、非架橋及び架橋シングルサイト触媒を含む。本開示では、シングルサイト触媒は、触媒金属に結合した1つの嵩高い配位子のみを有するものとして特徴付けられる。非架橋シングルサイト触媒の限定されない例は、シクロペンタジエニルトリ(tert-ブチル)ホスフィンイミンチタンジクロリドを含む。架橋シングルサイト触媒の限定されない例は、[C5(CH3)4-Si(CH3)2-N(tBu)]チタンジクロリドを含み、-Si(CH3)2基は、架橋基として機能する。
【0037】
本明細書において、「ポリオレフィン」という用語は、エチレンポリマー及びプロピレンポリマーを含み;プロピレンポリマーの限定されない例は、アイソタクチック、シンジオタクチック及びアタクチックプロピレンホモポリマー、少なくとも1つのコモノマー(例えばα-オレフィン)を含むランダムプロピレンコポリマー並びにインパクトポリプロピレンコポリマー又はヘテロ相ポリプロピレンコポリマーを含む。
【0038】
「熱可塑性」という用語は、加熱されると液体となり、圧力下で流動し、冷却されると固化するポリマーを指す。熱可塑性ポリマーは、エチレンポリマー及びプラスチック産業において使用される他のポリマーを含み、フィルム用途において一般的に使用される他のポリマーの限定されない例は、バリア樹脂(EVOH)、結合樹脂(tie resin)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド等を含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「単層フィルム」という用語は、1種又は複数種の熱可塑性物質の単一層を含むフィルムを指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基(radical)」又は「ヒドロカルビル基(group)」という用語は、1つの水素が欠乏した水素及び炭素を含む直鎖、分岐状又は環式の脂肪族、オレフィン性、アセチレン性及びアリール(芳香族)基を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アルキル基」は、1つの水素基が欠乏した直鎖、分岐状及び環式パラフィン基を含み、その限定されない例は、メチル(-CH3)及びエチル(-CH2CH3)基を含む。「アルケニル基」という用語は、1つの水素基が欠乏した少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖、分岐状及び環式炭化水素を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アリール」基という用語は、フェニル、ナフチル、ピリジル及び分子が芳香環構造を有する他の基を含み、その限定されない例は、ナフチレン、フェナントレン及びアントラセンを含む。「アリールアルキル」基は、そこからぶら下がったアリール基を有するアルキル基であり、その限定されない例は、ベンジル、フェネチル及びトリルメチルを含み、「アルキルアリール」は、そこからぶら下がった1つ又は複数のアルキル基を有するアリール基であり、その限定されない例は、トリル、キシリル、メシチル及びクミルを含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という語句は、炭素に結合し得る、炭素及び水素以外の任意の原子を含む。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含む炭化水素基であり、同じ又は異なるヘテロ原子の1つ又は複数を含み得る。一実施形態において、ヘテロ原子含有基は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含むヒドロカルビル基である。ヘテロ原子含有基の限定されない例は、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリン(oxoazoline)複素環、オキサゾリン、チオエーテル等の基を含む。「複素環」という用語は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含む炭素骨格を有する環系を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、非置換という用語に続く分子群に水素基が結合していることを意味する。「置換」という用語は、この用語に続く基が、基内の任意の位置で1つ又は複数の水素基を置き換えた1つ又は複数の部分を有することを意味し、この部分の限定されない例は、ハロゲン基(F、Cl、Br)、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基、及びそれらの組合せを含む。置換アルキル及びアリールの限定されない例は、アシル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル(carbomoyl)基、アルキル-及びジアルキル-カルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基及びそれらの組合せを含む。
【0045】
本明細書において、「R1」という用語及びその上付き形式「R1」は、連続溶液重合プロセスにおける第1の反応器を指し、R1は、記号R1とは異なることが理解され、後者は化学式中で使用され、例えばヒドロカルビル基を表す。同様に、「R2」という用語及びその上付き形式「R2」は、第2の反応器を指し、「R3」という用語及びその上付き形式「R3」は、第3の反応器を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「オリゴマー」という用語は、低分子量のエチレンポリマー、例えば、約2000~3000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有するエチレンポリマーを指す。オリゴマーの他の一般的に使用される用語は、「ワックス」又は「グリース」を含む。本明細書で使用される場合、「軽質留分不純物」という用語は、連続溶液重合プロセス内の様々な槽及びプロセスストリーム中に存在し得る比較的低沸点の化合物を指し、その限定されない例は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、窒素、CO2、クロロエタン、HCl等を含む。
【0047】
実施形態の説明
連続溶液重合プロセスを改善する必要がある。例えば、所与の反応器温度で生成されるエチレンインターポリマーの分子量を増加させることが必要である。さらに、溶液重合では、1種又は複数種のα-オレフィンを増大する高分子鎖に組み込む上で非常に効率的な触媒配合物が必要とされている。別様に表現すれば、反応器供給物中のより低い(α-オレフィン/エチレン)比で特定の密度を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーを生成する触媒配合物が必要とされている。さらに、製造品への変換後に改善された特性を有するエチレンインターポリマー生成物が必要とされている。
【0048】
本明細書に開示される実施形態において、「架橋メタロセン触媒配合物」が、少なくとも2つの溶液重合反応器内で用いられた。この触媒配合物は、式(I)により定義される嵩高い配位子-金属錯体である「成分A」を含んでいた。
【化2】
【0049】
式(I)中:Mの限定されない例は、第4族金属、すなわちチタン、ジルコニウム及びハフニウムを含み;Gの限定されない例は、第14族元素、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ及び鉛を含み;Xは、ハロゲン原子、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表し;R6基は、独立して、水素原子、C1~20ヒドロカルビル基、C1~20アルコキシ基又はC6~10アリールオキシド基(これらの基は、直鎖、分岐状若しくは環式であってもよく、又はハロゲン原子、C1~10アルキル基、C1~10アルコキシ基、C6~10アリール若しくはアリールオキシ基でさらに置換されていてもよい)から選択され;R1は、水素原子、C1~20ヒドロカルビル基、C1~20アルコキシ基、C6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC3~30炭素原子を含むアルキルシリル基を表し;R2及びR3は、独立して、水素原子、C1~20ヒドロカルビル基、C1~20アルコキシ基、C6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択され;R4及びR5は、独立して、水素原子、C1~20ヒドロカルビル基、C1~20アルコキシ基、C6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択される。
【0050】
当技術分野において、式(I)に示されるX(R6)基に対して一般的に使用される用語は、「脱離基」、すなわち式(I)から除去されて1種又は複数種のオレフィンを重合させることができる触媒種を形成し得る任意の配位子である。X(R6)基に対する同等の用語は、「活性化可能な配位子」である。式(I)に示されるX(R6)基のさらなる限定されない例は、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシラート及びジエン等の弱塩基を含む。別の実施形態において、2つのR6基は、縮合環又は環系の一部を形成し得る。
【0051】
成分Aのさらなる実施形態は、式(I)に示される構造の構造異性体、光学異性体又は鏡像異性体(メソ及びラセミ異性体)、並びにそれらの混合物を含む。限定として解釈されるべきではないが、成分Aの2つの種は、分子式[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfCl2]を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル(fuorenyl))ハフニウムジクロリド;及び分子式[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfMe2]を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル(fuorenyl))ハフニウムジメチルを含む。
【0052】
エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、(i)架橋メタロセン触媒を使用して製造された第1及び第2のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物;又は(ii)架橋メタロセン触媒配合物を使用して製造された第1及び第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物;又は(iii)架橋メタロセン触媒を使用して製造された第1及び第2のエチレンインターポリマー、並びに均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を使用して製造された第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を含む。実施形態は、第1、第2及び第3の反応器での、それぞれ第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーの製造を含む。第1及び第2の反応器は、直列又は並列モードで動作し得る。直列モードでは、第1の反応器からの流出物は、第2の反応器に直接流入する。一方、並列モードでは、第1の反応器からの流出物は第2の反応器を迂回し、第1及び第2の反応器からの流出物は、第2の反応器の下流で合わせられる。任意選択の第3の反応器内で、多種多様な触媒配合物が用いられ得る。第3の反応器内で用いられる触媒配合物の限定されない例は、上述の架橋メタロセン触媒配合物、後述の非架橋シングルサイト触媒配合物、式(I)(上記)若しくは式(II)(下記)により定義される種類のメンバーではない嵩高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物、又は不均一触媒配合物を含む。不均一触媒配合物の限定されない例は、チーグラー・ナッタ又はクロム触媒配合物を含む。
【0053】
本明細書に開示される比較1の試料、例えば比較1a及び1bでは、「非架橋シングルサイト触媒配合物」が2つの溶液重合反応器内で用いられた。この触媒配合物は、式(II)により定義される、以降で「成分C」と呼ばれる嵩高い配位子-金属錯体を含んでいた。
(LA)aM(PI)b(Q)n (II)
【0054】
式(II)中:(LA)は、嵩高い配位子を表し;Mは、金属原子を表し;PIは、ホスフィンイミン配位子を表し;Qは、脱離基を表し;aは、0又は1であり;bは、1又は2であり;(a+b)=2であり;nは、1又は2であり;(a+b+n)の合計は、金属Mの原子価(valance)に等しい。式(II)中のMの限定されない例は、第4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムを含む。
【0055】
式(II)中の嵩高い配位子LAの限定されない例は、非置換又は置換シクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型配位子、ヘテロ原子置換及び/又はヘテロ原子含有シクロペンタジエニル型配位子を含む。追加的な限定されない例は、シクロペンタフェナントレンイル配位子、非置換又は置換インデニル配位子、ベンズインデニル配位子、非置換又は置換フルオレニル配位子、オクタヒドロフルオレニル配位子、シクロオクタテトラエンジイル配位子、シクロペンタシクロドデセン配位子、アゼニル配位子、アズレン配位子、ペンタレン配位子、ホスホイル配位子、ホスフィンイミン、ピロリル配位子、ピロゾリル配位子、カルバゾリル配位子、ボラベンゼン配位子等を含み、これにはその水素化型、例えばテトラヒドロインデニル配位子が含まれる。他の実施形態において、LAは、金属Mにη-結合することができる任意の他の配位子構造であってもよく、そのような実施形態は、金属Mへのη3-結合及びη5-結合の両方を含む。他の実施形態において、LAは、炭素原子と組み合わさって開環、非環式又は縮合環又は環系、例えばヘテロシクロペンタジエニル補助配位子を形成する、1種又は複数種のヘテロ原子、例えば窒素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、硫黄及びリンを含んでもよい。LAの他の限定されない実施形態は、嵩高いアミド、リン化物、アルコキシド、アリールオキシド、イミド、カルボリド(carbolide)、ボロリド(borollide)、ポルフィリン、フタロシアニン、コリン及び他のポリアゾ大環状分子(polyazomacrocycle)を含む。
【0056】
ホスフィンイミン配位子PIは、式(III)により定義される。
(Rp)3P=N- (III)
式中、Rp基は、独立して、水素原子;ハロゲン原子;非置換又は1個若しくは複数のハロゲン原子で置換されたC1~20ヒドロカルビル基;C1~8アルコキシ基;C6~10アリール基;C6~10アリールオキシ基;アミド基;式-Si(Rs)3のシリル基から選択され、Rs基は、独立して、水素原子、C1~8アルキル若しくはアルコキシ基、C6~10アリール基、C6~10アリールオキシ基、又は式-Ge(RG)3のゲルマニル基から選択され、RG基は、この段落でRsが定義されるように定義される。
【0057】
脱離基Qは、式(II)から除去されて、1種又は複数種のオレフィンを重合させることができる触媒種を形成し得る任意の配位子である。いくつかの実施形態において、Qは、Mへのシグマ結合を有するモノアニオン性不安定リガンドである。金属の酸化状態に依存して、nの値は、式(II)が中性の嵩高い配位子-金属錯体を表すように1又は2である。Q配位子の限定されない例は、水素原子、ハロゲン、C1~20ヒドロカルビル基、C1~20アルコキシ基、C5~10アリールオキシド基を含み、これらの基は、直鎖、分岐状若しくは環式であってもよく、又はハロゲン原子、C1~10アルキル基、C1~10アルコキシ基、C6~10アリール(arly)若しくはアリールオキシ基によりさらに置換されていてもよい。Q配位子のさらなる限定されない例は、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシラート、ジエン、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基等の弱塩基を含む。別の実施形態において、2つのQ配位子は、縮合環又は環系の一部を形成し得る。
【0058】
成分Cのさらなる実施形態は、式(II)に示される嵩高い配位子-金属錯体の構造異性体、光学異性体又は鏡像異性体(メソ及びラセミ異性体)、並びにそれらの混合物を含む。
【0059】
限定として解釈されるべきではないが、成分Cの2つの種は、分子式[Cp[(t-Bu)3PN]TiCl2]を有するシクロペンタジエニルトリ(tert-ブチル)ホスフィンイミンチタンジクロリド;及び分子式[Cp[(イソプロピル)3PN]TiCl2]を有するシクロペンタジエニルトリ(イソプロピル)ホスフィンイミンチタンジクロリドを含む。
【0060】
架橋メタロセン触媒配合物は、成分A(上で定義されている)、成分MA、成分BA及び成分PAを含む。成分M、B及びPは以下で定義され、上付き文字「A」は、それぞれの成分が成分Aを含む触媒配合物、すなわち架橋メタロセン触媒配合物の一部であったという事実を示す。
【0061】
本開示では、比較エチレンインターポリマー生成物は、非架橋シングルサイト触媒配合物を用いることにより調製された。これらの比較試料では、非架橋シングルサイト触媒配合物により架橋メタロセン触媒配合物が置き換えられた。非架橋シングルサイト触媒配合物は、成分C(上で定義されている)、成分MC、成分BC及び成分PCを含む。成分M、B及びPは以下で定義され、上付き文字「C」は、それぞれの成分が成分Cを含む触媒配合物、すなわち非架橋シングルサイト触媒配合物の一部であったという事実を示した。
【0062】
触媒成分M、B及びPは、独立して、各触媒配合物に選択される。より明確には、成分MA及びMCは、同じ化合物であっても又はなくてもよく、成分BA及びBCは、同じ化合物であっても又はなくてもよく、成分PA及びPCは、同じ化合物であっても又はなくてもよい。さらに、触媒活性は、各触媒配合物中の成分のモル比を独立して調節することにより最適化された。
【0063】
成分M、B及びPは特に限定されず、すなわち、後述するように多種多様な成分が使用され得る。
【0064】
成分Mは、成分A又は成分Cを、エチレン又はエチレン及びα-オレフィンの混合物を効果的に重合させて高分子量エチレンインターポリマーを生成するカチオン性錯体に活性化する共触媒として機能した。架橋メタロセン触媒配合物及び非架橋シングルサイト触媒配合物では、それぞれの成分Mは独立して様々な化合物から選択されたが、当業者は、本開示における実施形態が開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。成分Mに好適な化合物は、アルモキサン共触媒を含んでいた(アルモキサンの同等の用語はアルミノキサンである)。アルモキサン共触媒の正確な構造は不確かであるが、対象となる専門家は、それが一般式(IV)の繰り返し単位を含むオリゴマー種であったことで一般に意見が一致している。
(R)2AlO-(Al(R)-O)n-Al(R)2 (IV)
式中、R基は、1~20個の炭素原子を含む同じ又は異なる直鎖、分岐状又は環式ヒドロカルビル基であってもよく、nは、0~約50である。アルモキサンの限定されない例は、メチルアルミノキサン(又はMMAO-7)であったが、式(IV)中の各R基はメチル基である。
【0065】
成分Bは、イオン性活性剤であった。一般に、イオン性活性剤は、カチオン及び嵩高いアニオンで構成され、後者は実質的に非配位性である。
【0066】
架橋メタロセン触媒配合物及び非架橋シングルサイト触媒配合物では、それぞれの成分Bは独立して様々な化合物から選択されたが、当業者は、本開示における実施形態が開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。成分Bの限定されない例は、4つの配位子がホウ素原子に結合した4配位性であるホウ素イオン性活性剤であった。ホウ素イオン性活性剤の限定されない例は、下記で示される以下の式(V)及び(VI)を含んでいた。
[R5]+[B(R7)4]- (V)
式中、Bは、ホウ素原子を表し、R5は、芳香族ヒドロカルビル(例えばトリフェニルメチルカチオン)であり、各R7は、独立して、非置換であるか又はフッ素原子、非置換若しくはフッ素原子により置換されたC1~4アルキル若しくはアルコキシ基から選択される3~5つの置換基で置換されたフェニル基;及び式-Si(R9)3のシリル基から選択され、各R9は、独立して、水素原子及びC1~4アルキル基から選択された;並びに式(VI)の化合物:
[(R8)tZH]+[B(R7)4]- (VI)
式中、Bは、ホウ素原子であり、Hは、水素原子であり、Zは、窒素又はリン原子であり、tは、2又は3であり、R8は、C1~8アルキル基、非置換であるか若しくは最大3つのC1~4アルキル基により置換されたフェニル基から選択され、又は、1つのR8が窒素原子と一緒になってアニリニウム基を形成してもよく、R7は、式(VI)において上で定義された通りであった。
【0067】
式(V)及び(VI)の両方において、R7の限定されない例は、ペンタフルオロフェニル基であった。一般に、ホウ素イオン性活性剤は、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素の塩として説明され得、その限定されない例は、アニリニウム及びトリチル(又はトリフェニルメチリウム)によるテトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素のアニリニウム、カルボニウム、オキソニウム、ホスホニウム及びスルホニウム塩を含む。イオン性活性剤の追加的な限定されない例は、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルボラート、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラート、及びベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5テトラフルオロフェニル)ボラートを含んでいた。容易に入手可能な市販のイオン性活性剤は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、及びトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラートを含んでいた。
【0068】
成分Pは、ヒンダードフェノールであり、それぞれの触媒配合物中の任意選択の成分である。架橋メタロセン触媒配合物及び非架橋シングルサイト触媒配合物では、それぞれの成分Pは独立して様々な化合物から選択されたが、当業者は、本開示における実施形態が開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。ヒンダードフェノールの限定されない例は、ブチル化フェノール系酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、2,4-ジ-tert-ブチル-6-エチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナートを含んでいた。
【0069】
以下で十分に説明されるように、配合物中の4つの成分、すなわち成分A、成分MA、成分BA及び任意選択で成分PAの量及びモル比を最適化することにより、極めて活性な架橋メタロセン触媒配合物が生成された。極めて活性なとは、ごく少量の触媒配合物から極めて大量のエチレンインターポリマーが生成されることを意味する。同様に、配合物中の4つの成分、すなわち成分C、成分MC、成分BC及び任意選択で成分PCの量及びモル比を最適化することにより、極めて活性な非架橋シングルサイト触媒配合物(比較触媒配合物)が生成された。
【0070】
本開示では、第3のエチレンインターポリマーを合成するために、任意選択の第3の反応器内で不均一触媒配合物が用いられ得る。不均一触媒配合物の限定されない例は、チーグラー・ナッタ及びクロム触媒配合物を含む。チーグラー・ナッタ触媒配合物の限定されない例は、「インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物」又は「バッチチーグラー・ナッタ触媒配合物」を含む。「インライン」という用語は、少量の活性チーグラー・ナッタ触媒の連続合成及びこの触媒の第3の反応器への即時の注入を指し、エチレン及び1種又は複数種の任意選択のα-オレフィンが重合されて、任意選択の第3のエチレンインターポリマーが形成された。「バッチ」という用語は、連続動作する溶液重合プロセスの外部の、又はそれから分離された1つ又は複数の混合槽内でのはるかに大量の触媒又はプロ触媒の合成を指す。調製されたら、バッチチーグラー・ナッタ触媒配合物、又はバッチチーグラー・ナッタプロ触媒は、触媒貯蔵タンクに移送された。「プロ触媒」という用語は、不活性触媒配合物(エチレン重合に対して不活性)を指したが、プロ触媒は、アルキルアルミニウム共触媒の添加により活性触媒に変換された。必要に応じて、プロ触媒は、貯蔵タンクから少なくとも1つの連続動作反応器にポンピングされたが、そこで活性触媒がエチレン及び1種又は複数種の任意選択のα-オレフィンを重合させてエチレンインターポリマーを形成する。プロ触媒は、反応器内で、又は反応器の外部で活性触媒に変換され得る。
【0071】
活性チーグラー・ナッタ触媒配合物を合成するために、多種多様な化合物が使用され得る。以下は、活性チーグラー・ナッタ触媒配合物を生成するために組み合わせることができる様々な化合物を説明している。当業者は、本開示における実施形態が、開示される特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0072】
活性チーグラー・ナッタ触媒配合物は、マグネシウム化合物、塩化物化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム共触媒及びアルミニウムアルキルから形成され得る。本開示では、「成分(v)」という用語はマグネシウム化合物と同等であり、「成分(vi)」という用語は塩化物化合物と同等であり、「成分(vii)」という用語は金属化合物と同等であり、「成分(viii)」という用語はアルキルアルミニウム共触媒と同等であり、「成分(ix)」という用語はアルミニウムアルキルと同等である。当業者に理解されるように、チーグラー・ナッタ触媒配合物は、追加的な成分を含んでもよく、追加的な成分の限定されない例は、電子供与体、例えばアミン又はエーテルである。
【0073】
活性インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物の限定されない例は、以下のように調製され得る。第1のステップにおいて、マグネシウム化合物(成分(v))の溶液を、塩化物化合物(成分(vi))の溶液と反応させ、溶液中に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の限定されない例は、Mg(R1)2を含み、式中、R1基は、1~10個の炭素原子を含む同じ又は異なる直鎖、分岐状又は環式ヒドロカルビル基であってもよい。塩化物化合物の限定されない例は、R2Clを含み、式中、R2は、水素原子、又は1~10個の炭素原子を含む直鎖、分岐状又は環式ヒドロカルビル基を表す。第1のステップにおいて、マグネシウム化合物の溶液はまた、アルミニウムアルキル(成分(ix))を含んでもよい。アルミニウムアルキルの限定されない例は、Al(R3)3を含み、式中、R3基は、1~10個の炭素原子を含む同じ又は異なる直鎖、分岐状又は環式ヒドロカルビル基であってもよい。第2のステップにおいて、金属化合物(成分(vii))の溶液を、塩化マグネシウムの溶液に添加し、金属化合物を塩化マグネシウム上に担持させる。好適な金属化合物の限定されない例は、M(X)n又はMO(X)nを含み、式中、Mは、周期表の第4~第8族から選択される金属、又は第4~第8族から選択される金属の混合物を表し、Oは酸素を表し、Xは塩化物又は臭化物を表し、nは、金属の酸化状態を満たす3~6の整数である。好適な金属化合物の追加的な限定されない例は、第4~第8族金属アルキル、金属アルコキシド(これは金属アルキルをアルコールと反応させることにより調製され得る)、及びハロゲン化物、アルキル及びアルコキシド配位子の混合物を含む混合配位子金属化合物を含む。第3のステップにおいて、アルキルアルミニウム共触媒(成分(viii))の溶液を、塩化マグネシウム上に担持された金属化合物に添加する。式(VII)により表現されるように、多種多様なアルキルアルミニウム共触媒が好適である。
Al(R4)p(OR5)q(X)r (VII)
式中、R4基は、1~10個の炭素原子を有する同じ又は異なるヒドロカルビル基であってもよく;OR5基は、同じ又は異なるアルコキシ又はアリールオキシ基であってもよく、R5は、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり;Xは、塩化物又は臭化物であり;(p+q+r)=3であるが、但しpは0超である。一般的に使用されるアルキルアルミニウム共触媒の限定されない例は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド又はブロミド、ジブチルアルミニウムクロリド又はブロミド、及びエチルアルミニウムジクロリド又はジブロミドを含む。
【0074】
活性インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を合成するための上記段落で説明されたプロセスは、様々な溶媒中で行うことができ、溶媒の限定されない例は、直鎖又は分岐状C5~C12アルカン又はそれらの混合物を含む。
【0075】
活性インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を生成するために、5つの成分(v)~(ix)の量及びモル比は、後述のように最適化される。
【0076】
不均一触媒配合物の追加的な実施形態は、「金属化合物」がクロム化合物である配合物を含み、その限定されない例は、シリルクロマート、酸化クロム及びクロモセンを含む。いくつかの実施形態において、クロム化合物は、シリカ又はアルミナ等の金属酸化物上に担持される。クロムを含有する不均一触媒配合物はまた共触媒を含み得、共触媒の限定されない例は、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン及びジアルコキシアルキルアルミニウム化合物等を含む。
【0077】
LCBは、当業者に周知のポリエチレンにおける構造的特徴である。従来、LCBの量を定量する3つの方法、すなわち核磁気共鳴分光法(NMR)(例えばJ.C. Randall、J Macromol. Sci., Rev. Macromol. Chem. Phys. 1989、29、201を参照されたい);DRI、粘度計及び低角レーザ光散乱検出器を備えるトリプル検知SEC(例えばW.W. Yau及びD.R. Hill、Int. J. Polym. Anal. Charact. 1996; 2:151を参照されたい);並びにレオロジー(例えばW.W. Graessley、Acc. Chem. Res. 1977、10、332~339を参照されたい)がある。長鎖分岐は、本質的に高分子であり、すなわちNMRスペクトル、トリプル検知SEC実験又はレオロジー実験において観察されるのに十分長い。
【0078】
NMRによるLCB分析の限界は、6炭素原子以上の分岐の分岐長を区別することができないことである(したがって、NMRは、側鎖分岐としてヘキシル基を有するエチレン/1-オクテンコポリマーにおけるLCBの特性評価に使用できない)。
【0079】
トリプル検知SEC法は、固有粘度([η])を測定する(W.W. Yau、D. Gillespie、Analytical and Polymer Science, TAPPI Polymers, Laminations, and Coatings Conference Proceedings、Chicago 2000;2:699又はF. Beer、G. Capaccio、L.J. Rose、J. Appl. Polym. Sci. 1999、73:2807又はP.M. Wood-Adams、J.M. Dealy、A.W. deGroot、O.D. Redwine、Macromolecules 2000;33:7489を参照されたい)。分岐状ポリマーの固有粘度([η]b)と、同じ分子量の直鎖ポリマーの固有粘度([η]l)とを参照することにより、分岐特性評価に粘度分岐指標因子(viscosity branching index factor)g’(g’=[η]b/[η]l)を使用した。しかしながら、単鎖分岐(SCB)及び長鎖分岐(LCB)の両方が固有粘度([η])に寄与し、エチレン/1-オクテンコポリマーではなくエチレン/1-ブテン及びエチレン/1-ヘキセンコポリマーへのSCBの寄与を分離する取り組みがなされた(Lueら、米国特許第6,870,010B1号を参照されたい)。
【0080】
本開示では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーにおける長鎖分岐の量を定量するための新たな方法が開発された。この新たな方法は、対象となる樹脂のメルトフローインデックス(MI)及び固有粘度(IV)に相関し、樹脂中のLCBの程度を定量するためのメルトフロー-固有粘度指数(MFIVI)と呼ばれる新たなパラメータを定義する。この新たな方法では、モル質量及びモル質量分布、モル質量分布における二峰性、コモノマーの種類及び含有量の影響が取り除かれ、異なるエチレンインターポリマー中の長鎖分岐の量の定量が可能となった。
【0081】
メルトフロー-固有粘度指数(MFIVI)は、以下の式、式1により定義される。
【数8】
【0082】
式1中の様々なパラメータは、以下の段落で十分に説明される。
【0083】
式1中のf
二峰性パラメータは、式(2)により定義される。
【数9】
【0084】
式(2)中、パラメータPdは、対象となるエチレンインターポリマーの多分散性を定量し、Pdは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定される従来の多分散性、すなわちPd=Mw/Mnであり、Mw及びMnは、それぞれ重量及び数平均分子量である。
【0085】
式2中のパラメータC
fは、対象となるエチレンインターポリマーの補正係数であり、以下の2つのステップ手順(ステップ(i)及び(ii))に従って決定される。ステップ(i)において、式(3)により定義されるメルトフロー分布関数Log(1/I
n)が、対象となるエチレンインターポリマーに対して決定される。
【数10】
【0086】
メルトフロー分布関数は、Log(1/I
n)対Log(荷重)をプロットすることにより決定され、I
nは、対象となるエチレンインターポリマーの21600、10000、6000及び2160グラムの荷重での測定メルトインデックスである(ASTM D1238に従い190℃で測定される)。
図1中の点線は、それぞれ0.84371、0.93083及び-0.35128のβ
0、β
1及びβ
2値を有する例1のメルトフロー分布関数を示しており、最小二乗回帰R
2値は0.99983であった。表1は、エチレンインターポリマー生成物(例1、2及び44)、並びに比較Q1~Q4、W1及びW2のメルトフロー分布関数を記録したものである。ステップ(ii)では、メルトフロー分布関数の一次導関数が式4に従い計算された。
【数11】
【0087】
図1中の実線は、例1のメルトフロー分布関数の一次導関数(式4)を示す。補正係数C
f(式2中)は、4000gの荷重での一次導関数(式4)の値である。例1の場合、C
f値は、
図1中の白四角記号により示されるように-1.600であった(Log(4000)=3.6021)。表2Bは、例1、2及び44、並びに比較Q1、Q3、Q4、W1及びW2のC
f値を記録したものである。
【0088】
本開示のエチレンインターポリマー生成物は、-1.51以上-1.15以下の値を有する4000gの荷重でのメルトフロー分布関数の一次導関数、
【数12】
により特徴付けられる。
【0089】
式1に戻ると、パラメータI
fは、フィッティングされたメルトインデックスを表す。
図1中の白丸記号は、例1のI
f値を示す。より一般的には、対象となる任意のエチレンインターポリマーにおいて、I
f値は、4000gの荷重でのメルトフロー分布関数(式3)の値により決定される。表2Bは、例1、2及び44、並びに比較Q1、Q3、Q4、W1及びW2のI
f値を記録したものである。
【0090】
式1中、パラメータであるコモノマーWt%は、ASTM D6645に従ってFTIRにより測定される対象となるエチレンインターポリマー中のコモノマーの重量パーセントである。表2Bは、例1、2及び44、並びに比較Q1、Q3、Q4、W1及びW2のコモノマーWt%値を記録したものである。
【0091】
式1中に現れるパラメータf
コモノマーを参照する。式1中で使用されるf
コモノマー値は、コモノマーWt%値により決定され、具体的には、コモノマーWt%が14.95%超である場合、式1中で使用されるf
コモノマー値は式5により決定され、コモノマーWt%が14.95%以下である場合、式1中で使用されるf
コモノマー値は式6により決定される。
【数13】
【0092】
最後に、式1中のパラメータIV及びMvは、それぞれ、3D-SECにより決定される対象となるエチレンインターポリマーの固有粘度及び粘度平均モル質量を表す。3D-SEC手順は、本開示で十分に説明されている。表2Bは、例1、2及び44、並びに比較Q1、Q3及びQ4のIV及びMv値を記録したものである。
【0093】
図2は、式1において上述されたメルトフロー-固有粘度指数(MFIVI)の計算を示す。MFIVIは、エチレンインターポリマー中の長鎖分岐(LCB)の程度の定量を可能にする。
図2中、上で定義された項
【数14】
は横座標(X)上にプロットされ、上で定義された項
【数15】
は縦座標(Y)上にプロットされた。LCBを有さない(又はLCBが検出不可能である)エチレンインターポリマーは、
図2に示される参照線ウィンドウ、すなわちY=0.2191X+0.2917(±0.0197)により定義され、より具体的には、直線関係Y=0.2191X+0.2917により定義される実線、並びに上の破線(Y=0.2191X+0.3114)及び下の一点鎖線(Y=0.2191X+0.2720)により定義される。この参照ウィンドウは、長鎖分岐を含まなかった45のエチレンインターポリマーを表す。
図2の明確性を改善するために、ほとんどの参照樹脂は
図2にプロットされていないが、参照樹脂は表2Aに開示されている。参照樹脂は、1.97~13.5の範囲のM
w/M
n値を有し、C
8若しくはC
6若しくはC
4α-オレフィンを含む、又はα-オレフィンを含まず、チーグラー・ナッタ、均一及び混合(チーグラー・ナッタ+均一)触媒配合物を使用して、溶液、気相又はスラリープロセスで生成された。
【0094】
本開示では、LCBを有さない(又はLCBが検出不可能な)樹脂は、表2Aから明らかなように0.05未満のMFIVI値により特徴付けられ、参照樹脂は-0.042~0.043の範囲のMFIVI値を有していた。比較1a(黒三角記号)、MFIVI=0.037(表2B);及び比較T(黒菱形)、MFIVI=-0.005(表2C)の2つの参照樹脂が
図2にプロットされている。比較1aは、NOVA Chemicals Corporation、カルガリー、アルバータからSURPASS(登録商標)FPs117-Cとして市販されている、溶液二反応器プロセスにおいて非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して生成されたエチレン/1-オクテンインターポリマーであった。比較Tは、ExxonMobil Chemical Company、スプリング、テキサスから入手可能なEXCEED(登録商標)1018であったが、これは気相プロセスにおいてシングルサイト触媒配合物を使用して生成されたエチレン/1-ヘキセンインターポリマーである。
【0095】
本開示のエチレンインターポリマー生成物は、0.05以上0.80以下のMFIVI値から明らかなように、長鎖分岐の存在により特徴付けられる。表2Bに示されるように、エチレンインターポリマー生成物例44、1及び2は、それぞれ0.294、0.293及び0.313のMFIVI値から明らかなように、長鎖分岐を含んでいた。
図2に示されるように、例1及び2(白丸)は参照線からの著しい偏差を示し、LCBの存在を実証している。例44、1及び2を製造するために使用された溶液重合プロセス条件は、表5A及び5Bに開示されている。
【0096】
表2Bに示されるように、比較Q1、Q3及びQ4は、0.05以上のMFIVI値及び
図2中の参照からの著しい偏差(白四角)から明らかなように、長鎖分岐を含んでいた。比較Qは、Borealis、ウィーン、オーストリアから入手可能な市販製品であり、具体的には、比較Q1はQUEO(登録商標)0201であり、比較Q3はQUEO 0203であり、比較Q4はQUEO 1001であった。比較W1及びW2のMFIVI値は決定されなかったが、これらの試料は長鎖分岐を含み(すなわちMFIVI値≧0.05)、比較W1及びW2は、それぞれ、ExxonMobil Chemical Company、スプリング、テキサスから市販されているEXACT(登録商標)201及びEXACT 201HSの試料であった。追加的な比較試料は表2Cに示されている。比較R1はLCBを含み、MFIVI=0.298であり、
図2において参照線からの著しい偏差を示した(白菱形)。比較R1は、The Dow Chemical Company、ミッドランド、ミシガンから入手可能なAFFINITY(登録商標)PL1880Gと呼ばれる市販製品であった。比較S1及びS2はLCBを含み、それぞれ0.403及び0.582のMFIVI値を有し、参照線からの著しい偏差を示した(
図2、黒丸)。長鎖分岐比較S1及びS2は、ExxonMobil Chemical Company、スプリング、テキサスから入手可能なENABLE(登録商標)と呼ばれる市販製品であり、具体的には、それぞれENABLE 20-05HH及びEnable 27-03であった。比較UはLCBを含み、MFIVI=0.249であり、
図2において参照線からの著しい偏差を示した。比較Uは、The Dow Chemical Company、ミッドランド、ミシガンから入手可能なELITE(登録商標)AT 6202というコードの市販製品であった。比較V2a及びV2bは、それぞれ0.102及び0.099のMFIVI値から明らかなようにLCBを含み、
図2において参照線からの著しい偏差を示した(ダッシュ記号)。比較V2a及びV2bは、The Dow Chemical Company、ミッドランド、ミシガンから入手可能なELITE 5100Gと呼ばれる市販製品の2つの試料であった。
【0097】
表3は、炭素100個(100C)当たりの内部(I
U)、側鎖(SC
U)及び末端(T
U)不飽和の量、並びに式7により定義されるSUMUを開示している。
【数16】
【0098】
エチレンインターポリマー生成物例44は、0.036不飽和/100CのSUMU値(すなわち<0.047)を有していたが、以前に開示されたエチレンインターポリマー生成物例1及び2は、それぞれ0.0360及び0.0350不飽和/100CのSUMU値を有していた。比較は、0.047以上のSUMU値を有していた。本開示のエチレンインターポリマー生成物は、炭素原子100個当たり0.005以上0.047未満の不飽和の範囲の不飽和合計値(SUMU)により特徴付けられる。
【0099】
溶液重合プロセス
連続溶液重合プロセスの実施形態を、
図3及び
図4に示す。
図3及び
図4は限定として解釈されるべきではなく、実施形態は、示された槽の正確な配置に限定されず、又は良好な数の槽に分解されることが理解される。簡潔に説明すると、
図3は、1つの連続撹拌タンク式反応器(CSTR)に続く管状反応器を示し、
図4は、2つのCSTRに続く任意選択の管状反応器を示す。
図3及び
図4における点線は、連続重合プロセスの任意選択の機能を示す。本開示では、管状反応器17(
図3)又は117(
図4)の同等の用語は、「第3の反応器」又は「R3」であったが、第3のエチレンインターポリマーがこの反応器内で生成されてもよく、又は生成されなくてもよい。
【0100】
図3において、プロセス溶媒1、エチレン2及び任意選択のα-オレフィン3が組み合わされて反応器供給ストリームRF1が生成され、これが反応器11aに流入する。組み合わされた反応器供給ストリームRF1が形成されることは特に重要ではなく、すなわち、反応器供給ストリームは、ストリーム1~3が独立して反応器11aに注入される実施形態を含む全ての可能な組合せで組み合わされ得る。任意選択で、ストリーム4を介して水素が反応器11aに注入されてもよく、水素は、一般に、反応器11a内で生成された第1のエチレンインターポリマーの分子量を制御するために添加される。反応器11aは、反応器の外部にあるモータ及び反応器内の攪拌器を含む撹拌アセンブリ11bにより連続撹拌される。
【0101】
架橋メタロセン触媒配合物は、ストリーム5eを介して反応器11aに注入される。触媒成分ストリーム5d、5c、5b及び任意選択の5aは、それぞれ、イオン性活性剤(成分B)、嵩高い配位子-金属錯体(成分A)、アルモキサン共触媒(成分M)及び任意選択のヒンダードフェノール(成分P)を指す。触媒成分ストリームは、ストリーム5a~5dが独立して反応器11aに注入される実施形態を含む全ての可能な構成で配置され得る。各触媒成分は、触媒成分溶媒に溶解される。成分A、B、M及びPの触媒成分溶媒は、同じ又は異なってもよい。触媒成分溶媒は、触媒成分の組合せがいかなるプロセスストリーム中でも沈殿物を生成しないように、例えばストリーム5e中で触媒成分の沈殿物を生成しないように選択される。本開示では、「第1の均一触媒アセンブリ」という用語は、架橋メタロセン触媒配合物を第1の反応器11aに送達するように機能する、ストリーム5a~5e、流量コントローラ及びタンク(
図3には示さず)の組合せを指す。架橋メタロセン触媒配合物の最適化は以下で説明される。
【0102】
反応器11aは、プロセス溶媒中に溶解した第1のエチレンインターポリマー、並びに未反応エチレン、未反応α-オレフィン(存在する場合)、未反応水素(存在する場合)、活性触媒、不活性化触媒、残留触媒成分及び他の不純物(存在する場合)を含む、第1の出口ストリームであるストリーム11cを生成する。
【0103】
第1の出口ストリームであるストリーム11cは、管状反応器17に入る。「管状反応器」という用語は、その従来の意味、すなわち単純な管であることを伝えるように意図され、長さ/直径(L/D)比は少なくとも10/1である。以下の反応器供給ストリームが管状反応器17に注入される:プロセス溶媒13、エチレン14及びα-オレフィン15。
図3に示されるように、ストリーム13、14及び15は、組み合わされて反応器供給ストリームRF3を形成してもよく、後者は反応器17に注入される。ストリームRF3が形成されることは特に重要ではなく、すなわち、反応器供給ストリームは、全ての可能な組合せで組み合わされ得る。任意選択で、ストリーム16を介して水素が反応器17に注入されてもよい。架橋メタロセン触媒配合物は、ストリーム40を介して反応器17に注入される。
図3中のストリーム40は、「第2の均一触媒アセンブリ」からの出力を表し、第2の均一触媒アセンブリの一実施形態は、上述の第1の均一触媒アセンブリと同様であり、すなわち、同様のストリーム、流量コントローラ及び槽を有する。
【0104】
反応器17では、第3のエチレンインターポリマーが形成される。第3のエチレンインターポリマーは、様々な動作モードを使用して形成され得、その限定されない例は以下を含む:(a)反応器17に入る残留エチレン、残留した任意選択のα-オレフィン及び残留活性触媒が反応して、第3のエチレンインターポリマーを形成する、又は(b)新鮮なプロセス溶媒13、新鮮なエチレン14及び任意選択の新鮮なα-オレフィン15が反応器17に添加され、反応器17に入る残留活性触媒が第3のエチレンインターポリマーを形成する、又は(c)新鮮な触媒配合物が反応器17に添加されて、残留エチレン及び残留した任意選択のα-オレフィンを重合させ、第3のエチレンインターポリマーを形成する、又は(d)新鮮なプロセス溶媒13、エチレン14、任意選択のα-オレフィン15及び新鮮な触媒配合物が反応器17に添加されて、第3のエチレンインターポリマーを形成する。反応器17の流出物は、出口ストリーム17bを介して出る。タンク18Bからの触媒不活性化剤が反応器出口ストリーム17bに添加され、不活性化溶液ストリーム19を形成する。不活性化溶液は減圧デバイス20及び熱交換器21を通過する。任意選択で、タンク22を介して不動態化剤が添加され、不動態化溶液ストリーム23を形成してもよい。ストリーム23は、減圧デバイス24を通過し、第1の蒸気/液体分離器25に入る。以降、「V/L」は蒸気/液体と同等である。エチレンインターポリマーに富み、また残留エチレン、残留した任意選択のα-オレフィン及び触媒残渣も含む溶液を含む第1の塔底ストリーム27;並びに、エチレン、プロセス溶媒、任意選択のα-オレフィン、任意選択の水素、オリゴマー及び存在する場合には軽質留分不純物を含む第1のガス状塔頂ストリーム26の2つのストリームが、第1のV/L分離器内で形成される。
【0105】
第1の塔底ストリームは、第2のV/L分離器28に入る。第2のV/L分離器では、第1の塔底ストリーム27に比べてエチレンインターポリマー生成物に富み、プロセス溶媒がより少ない溶液を含む第2の塔底ストリーム30;並びに、プロセス溶媒、任意選択のα-オレフィン、エチレン、オリゴマー及び存在する場合には軽質留分不純物を含む第2のガス状塔頂ストリーム29の2つのストリームが形成される。
【0106】
第2の塔底ストリーム30は、第3のV/L分離器31に流入する。第3のV/L分離器では、エチレンインターポリマー生成物、不活性化触媒残渣及び5重量%未満の残留プロセス溶媒を含む生成物ストリーム33;並びに、プロセス溶媒、任意選択のα-オレフィン及び存在する場合には軽質留分不純物を本質的に含む第3のガス状塔頂ストリーム32の2つのストリームが形成される。
【0107】
実施形態はまた、減圧下で動作する、すなわち動作圧力が大気圧より低い1つ若しくは複数のV/L分離器の使用、及び/又は脱揮(devolitization)プロセス中に熱が加えられる、すなわちV/L分離器の1つ若しくは複数の上流、若しくはその中で1つ若しくは複数の熱交換器が用いられる実施形態を含む。そのような実施形態は、エチレンインターポリマー生成物中の残留揮発性物質が500ppm未満となるような残留プロセス溶媒及びコモノマーの除去を容易にする。
【0108】
生成物ストリーム33は、ポリマー回収動作に進む。ポリマー回収動作の限定されない例は、溶融エチレンインターポリマー生成物をペレタイザに押し込む1つ又は複数のギヤポンプ、単軸スクリュー押出機又は2軸スクリュー押出機を含む。他の実施形態は、エチレンインターポリマー生成物中の揮発性物質が500ppm未満となるように残留プロセス溶媒及び任意選択のα-オレフィンが除去され得る、脱揮押出機の使用を含む。ペレット化されると、固化したエチレンインターポリマー生成物は、典型的には生成物サイロに運搬される。
【0109】
図3に示される第1、第2及び第3のガス状塔頂ストリーム(それぞれストリーム26、29及び32)は蒸留塔に送られ、そこで溶媒、エチレン及び任意選択のα-オレフィンがリサイクルのために分離され;又は、第1、第2及び第3のガス状塔頂ストリームは反応器にリサイクルされ;又は、第1、第2及び第3のガス状塔頂ストリームの一部は反応器にリサイクルされ、残りの部分は蒸留塔に送られる。
【0110】
図4は、2つのCSTR反応器及び任意選択の管状反応器を用いた連続溶液重合プロセスの実施形態を示す。プロセス溶媒101、エチレン102及び任意選択のα-オレフィン103が組み合わされて反応器供給ストリームRF101が生成され、これが反応器111aに流入する。任意選択で、ストリーム104を介して水素が反応器111aに注入されてもよい。反応器111aは、撹拌アセンブリ111bにより連続撹拌される。
【0111】
第1の架橋メタロセン触媒配合物は、ストリーム105eを介して反応器111aに注入される。触媒成分ストリーム105d、105c、105b及び任意選択の105aは、それぞれ、イオン性活性剤(成分B
1、上付き文字「
1」は第1の反応器を指す)、嵩高い配位子-金属錯体(成分A
1)、アルモキサン共触媒(成分M
1)及び任意選択のヒンダードフェノール(成分P
1)を含む。各触媒成分は、触媒成分溶媒に溶解される。成分A
1、B
1、M
1及びP
1の触媒成分溶媒は、同じ又は異なってもよい。
図4において、第1の均一触媒アセンブリは、活性架橋メタロセン触媒配合物を反応器111aに送達するように機能する、ストリーム105a~105e、流量コントローラ及びタンクの組合せを指す。
【0112】
反応器111aは、プロセス溶媒に溶解した第1のエチレンインターポリマーを含む第1の出口ストリームであるストリーム111cを生成する。
図4は、反応器111a及び112aが直列又は並列モードで動作し得る2つの実施形態を含む。直列モードでは、ストリーム111c(第1の出口ストリーム)の100%が流量コントローラ111dを通過してストリーム111eを形成し、これが反応器112aに入る。一方、並列モードでは、ストリーム111cの100%が流量コントローラ111fを通過してストリーム111gを形成する。ストリーム111gは反応器112aを迂回し、ストリーム112c(第2の出口ストリーム)と組み合わされて、ストリーム112d(第3の出口ストリーム)を形成する。
【0113】
新鮮な反応器供給ストリームが反応器112aに注入され;プロセス溶媒106、エチレン107及び任意選択のα-オレフィン108が組み合わされて、反応器供給ストリームRF102を生成する。ストリームRF102が形成されることは重要ではなく、すなわち、反応器供給ストリームは、各ストリームを独立して反応器に注入することを含む全ての可能な組合せで組み合わされ得る。任意選択で、第2のエチレンインターポリマーの分子量を制御するために、ストリーム109を介して水素が反応器112aに注入されてもよい。反応器112aは、反応器の外部にあるモータ及び反応器内の攪拌器を含む撹拌アセンブリ112bにより連続撹拌される。
【0114】
図4に示されるように、第2の架橋メタロセン触媒配合物は、ストリーム110eを介して反応器112aに注入され、第2のエチレンインターポリマーが反応器112a内で形成される。触媒成分ストリーム110d、110c、110b及び110aは、それぞれ、イオン性活性剤成分B
2(上付き文字「
2」は第2の反応器を指す)、嵩高い配位子-金属錯体(成分A
2)、アルモキサン共触媒(成分M
2)及び任意選択のヒンダードフェノール(成分P
2)を含む。触媒成分ストリームは、ストリーム110a~110dが独立して反応器111aに注入される実施形態を含む全ての可能な構成で配置され得る。各触媒成分は、触媒成分溶媒に溶解される。
【0115】
式(I)は、触媒成分Aの種類を定義しているが、反応器112aで用いられる成分A
2は、反応器111aで用いられる触媒成分A
1と同じ又は異なってもよい。同様に、触媒成分B
2及びB
1、触媒成分M
2及びM
1並びに触媒成分P
2及びP
1の化学組成は、同じ又は異なってもよい。本開示では、「第2の均一触媒アセンブリ」という用語は、第2の架橋メタロセン触媒配合物を第2の反応器、
図4における反応器112aに送達するように機能する、ストリーム110a~110e、流量コントローラ及びタンクの組合せを指す。第1及び第2の架橋メタロセン触媒配合物の最適化を以下で説明する。
【0116】
図4には示されていないが、追加的な実施形態は、ストリーム105aの一部が反応器111aに注入され、ストリーム105aの残りの部分が反応器112aに注入されるように、ストリーム105aを2つのストリームに分割することを含む。換言すれば、第1の架橋メタロセン触媒配合物は、両方の反応器に注入される。
【0117】
反応器111a及び112aが直列モードで動作する場合、第2の出口ストリーム112cは、プロセス溶媒に溶解した第2のエチレンインターポリマー及び第1のエチレンインターポリマー;並びに未反応エチレン、未反応α-オレフィン(存在する場合)、未反応水素(存在する場合)、活性触媒、不活性化触媒、触媒成分及び他の不純物(存在する場合)を含む。任意選択で、第2の出口ストリーム112cは、触媒不活性化剤タンク118Aから触媒不活性化剤Aを加えることにより不活性化されて、不活性化溶液Aストリーム112eを形成するが、この場合、
図4は、二反応器溶液プロセスがデフォルトとなる。第2の出口ストリーム112cが不活性化されない場合、第2の出口ストリームは管状反応器117に入る。
【0118】
反応器111a及び112aが並列モードで動作する場合、第2の出口ストリーム112cは、プロセス溶媒に溶解した第2のエチレンインターポリマーを含む。第2の出口ストリーム112cは、ストリーム111gと組み合わされて第3の出口ストリーム112dを形成し、後者は、プロセス溶媒に溶解した第2のエチレンインターポリマー及び第1のエチレンインターポリマーを含む。任意選択で、第3の出口ストリーム112dは、触媒不活性化剤タンク118Aから触媒不活性化剤Aを加えることにより不活性化されて、不活性化溶液Aストリーム112eを形成する。第3の出口ストリーム112dが不活性化されない場合、第3の出口ストリーム112dは管状反応器117に入る。
【0119】
任意選択で、以下の反応器供給ストリームの1つ又は複数が管状反応器117に注入されてもよい:プロセス溶媒113、エチレン114及びα-オレフィン115。
図4に示されるように、ストリーム113、114及び115は、組み合わされて反応器供給ストリームRF103を形成し、反応器117に注入されてもよい。ストリームRF103が形成されることは特に重要ではなく、すなわち、反応器供給ストリームは、全ての可能な組合せで組み合わされ得る。任意選択で、ストリーム116を介して水素が反応器117に注入されてもよい。
【0120】
任意選択で、均一又は不均一触媒配合物が反応器117に注入されてもよい。均一触媒配合物の限定されない例は、架橋メタロセン触媒配合物、非架橋シングルサイト触媒配合物、又は嵩高い配位子-金属錯体が式(I)若しくは式(II)により定義される種類のメンバーではない均一触媒配合物を含む。
図4中のストリーム140は、「第3の均一触媒アセンブリ」からの出力を表す。第3の均一触媒アセンブリの一実施形態は、上述の第1の均一触媒アセンブリと同様であり、すなわち、同様のストリーム、流量コントローラ及び槽を有する。
【0121】
図4において、ストリーム134a~134hは、「不均一触媒アセンブリ」を表す。一実施形態において、インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物は、不均一触媒アセンブリ内で生成される。インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を含む成分は、ストリーム134a、134b、134c及び134dを介して導入される。ストリーム134aはアルミニウムアルキル及びマグネシウム化合物のブレンドを含有し、ストリーム134bは塩化物化合物を含有し、ストリーム134cは金属化合物を含有し、ストリーム134dはアルキルアルミニウム共触媒を含有する。インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物の最適化は、上述されている。効率的なインラインチーグラー・ナッタ触媒配合物は、以下のモル比:(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)又は(ix)/(v);(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)又は(vi)/(v);(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)又は(viii)/(vii);及び(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)又は(ix)/(vii);並びにこれらの化合物が反応及び平衡化しなければならない時間を最適化することにより形成される。
【0122】
ストリーム134aにおける(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)モル比の上限は70、いくつかの場合では50、他の場合では30であってもよい。(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)モル比の下限は3.0、いくつかの場合では5.0、他の場合では10であってもよい。ストリーム134bは、プロセス溶媒中の塩化物化合物、成分(vi)の溶液を含有する。ストリーム134bは、ストリーム134aと組み合わされ、ストリーム134a及び134bを混合することにより塩化マグネシウム触媒担体が生成される。効率的なインラインチーグラー・ナッタ触媒(オレフィン重合において効率的)を生成するために、(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)モル比が最適化される。(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)モル比の上限は4、いくつかの場合では3.5、他の場合では3.0であってもよい。(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)モル比の下限は1.0、いくつかの場合では1.5、他の場合では1.9であってもよい。塩化物化合物の添加とストリーム134cを介した金属化合物(成分(vii))の添加との間の時間が制御され、以降ではHUT-1(第1のホールドアップ時間)と称される。HUT-1は、ストリーム134a及び134bが平衡化し、塩化マグネシウム担体を形成する時間である。HUT-1の上限は70秒、いくつかの場合では60秒、他の場合では50秒であってもよい。HUT-1の下限は5秒、いくつかの場合では10秒、他の場合では20秒であってもよい。HUT-1は、ストリーム134b注入ポートとストリーム134c注入ポートとの間の導管の長さを調節することにより、並びにストリーム134a及び134bの流速を制御することにより制御される。成分(vii)の添加とストリーム134dを介したアルキルアルミニウム共触媒、成分(viii)の添加との間の時間が制御され、以降ではHUT-2(第2のホールドアップ時間)と称される。HUT-2は、塩化マグネシウム担体及びストリーム134cが反応及び平衡化する時間である。HUT-2の上限は50秒、いくつかの場合では35秒、他の場合では25秒であってもよい。HUT-2の下限は2秒、いくつかの場合では6秒、他の場合では10秒であってもよい。HUT-2は、ストリーム134c注入ポートとストリーム134d注入ポートとの間の導管の長さを調節することにより、並びにストリーム134a、134b及び134cの流速を制御することにより制御される。添加されるアルキルアルミニウム共触媒の量は、効率的な触媒を生成するように最適化されるが、これは、(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比、又は(viii)/(vii)モル比を調節することにより達成される。(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比の上限は10、いくつかの場合では7.5、他の場合では6.0であってもよい。(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比の下限は0、いくつかの場合では1.0、他の場合では2.0であってもよい。さらに、アルキルアルミニウム共触媒の添加と反応器117へのインラインチーグラー・ナッタ触媒配合物の注入との間の時間が制御され、以降ではHUT-3(第3のホールドアップ時間)と称される。HUT-3は、ストリーム134dが混合及び平衡化して、インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を形成する時間である。HUT-3の上限は15秒、いくつかの場合では10秒、他の場合では8秒であってもよい。HUT-3の下限は0.5秒、いくつかの場合では1秒、他の場合では2秒であってもよい。HUT-3は、反応器117におけるストリーム134d注入ポートと触媒注入ポートとの間の導管の長さを調節することにより、並びにストリーム134a~134dの流速を制御することにより制御される。
図4に示されるように、任意選択で、ストリーム134d、アルキルアルミニウム共触媒の100%が、ストリーム134hを介して反応器117に直接注入されてもよい。任意選択で、ストリーム134dの一部がストリーム134hを介して反応器117に直接注入され、ストリーム134dの残りの部分がストリーム134eを介して反応器117に注入されてもよい。
【0123】
反応器17に添加されるインライン不均一触媒配合物の量は、反応器溶液中の金属化合物(成分(vii))のパーツパーミリオン(ppm)として表現され、以降では「R3(vii)(ppm)」と称される。R3(vii)(ppm)の上限は10ppm、いくつかの場合では8ppm、他の場合では6ppmであってもよい。R3(vii)(ppm)の下限は、いくつかの場合では0.5ppm、他の場合では1ppm、さらに他の場合では2ppmであってもよい。反応器17における(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)モル比、又は(ix)/(vii)モル比もまた制御される。反応器における(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)モル比の上限は2、いくつかの場合では1.5、他の場合では1.0であってもよい。(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)モル比の下限は0.05、いくつかの場合では0.075、他の場合では0.1であってもよい。
【0124】
インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を調製及び反応器117に送達するために用いられるストリーム、すなわちストリーム134a~134hの任意の組合せが加熱又は冷却されてもよく、いくつかの場合では、ストリーム134a~134hの温度上限は90℃、他の場合では80℃、さらに他の場合では70℃であってもよく、いくつかの場合では、温度下限は20℃、他の場合では35℃、さらに他の場合では50℃であってもよい。
【0125】
第3のエチレンインターポリマーは、反応器117内で形成してもよく、又は形成しなくてもよい。第3のエチレンインターポリマーは、触媒不活性化剤Aが触媒不活性化剤タンク118Aを介して反応器117の上流に添加される場合、形成しない。第3のエチレンインターポリマーは、触媒不活性化剤Bが触媒不活性化剤タンク118Bを介して反応器117の下流に添加される場合、形成される。反応器117内で生成される任意選択の第3のエチレンインターポリマーは、上述のように様々な動作モードを使用して形成され得るが、但し、触媒不活性化剤Aは反応器117の上流に添加されない。
【0126】
直列モードでは、反応器117は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー及び任意選択で第3のエチレンインターポリマーを含む第3の出口ストリーム117bを生成する。
図4に示されるように、触媒不活性化剤Bは、触媒不活性化剤タンク118Bを介して第3の出口ストリーム117bに添加されて不活性化溶液Bストリーム119を生成し得るが、但し、触媒不活性化剤Aが反応器117の上流に添加された場合、触媒不活性化剤Bは添加されない。上述のように、触媒不活性化剤Aが添加された場合、不活性化溶液A(ストリーム112e)は、管状反応器117を出るストリーム117bと同等である。
【0127】
並列モードでは、反応器117は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー及び任意選択で第3のエチレンインターポリマーを含む第4の出口ストリーム117bを生成する(上述のように、並列モードでは、ストリーム112dは第3の出口ストリームである)。
図4に示されるように、並列モードでは、触媒不活性化剤Bは、触媒不活性化剤タンク118Bを介して第4の出口ストリーム117bに添加されて不活性化溶液Bストリーム119を生するが、但し、触媒不活性化剤Aが反応器117の上流に添加された場合、触媒不活性化剤Bは添加されない。
【0128】
図4において、不活性化溶液A(ストリーム112e)又はB(ストリーム119)は、減圧デバイス120及び熱交換器121を通過する。任意選択で、タンク122を介して不動態化剤が添加され、不動態化溶液123を形成してもよい。
【0129】
不活性化溶液A、不活性化溶液B又は不動態化溶液123は、減圧デバイス124を通過し、第1のV/L分離器125に入る。第1のV/L分離器では、エチレンインターポリマーに富む溶液を含む第1の塔底ストリーム127、並びにエチレン、溶媒、任意選択のα-オレフィン及び任意選択の水素に富む第1のガス状塔頂ストリーム126の2つのストリームが形成される。
【0130】
第1の塔底ストリームは、第2のV/L分離器128に入る。第2のV/L分離器では、第1の塔底ストリーム127に比べてエチレンインターポリマーに富み、プロセス溶媒がより少ない溶液を含む第2の塔底ストリーム130;並びに第2のガス状塔頂ストリーム129の2つのストリームが形成される。
【0131】
第2の塔底ストリーム130は、第3のV/L分離器131に流入する。第3のV/L分離器では、エチレンインターポリマー生成物、不活性化触媒残渣及び5重量%未満の残留プロセス溶媒を含む生成物ストリーム133;並びに第3のガス状塔頂ストリーム132の2つのストリームが形成される。生成物ストリーム133は、ポリマー回収動作に進む。
【0132】
他の実施形態は、減圧下で動作する、すなわち動作圧力が大気圧より低い1つ若しくは複数のV/L分離器の使用、及び/又は脱揮(devolitization)プロセス中に熱が加えられる、すなわちV/L分離器の1つ若しくは複数の上流、若しくはその中で1つ若しくは複数の熱交換器が用いられる実施形態を含む。そのような実施形態は、エチレンインターポリマー生成物中の残留揮発性物質が500ppm未満となるような残留プロセス溶媒及びコモノマーの除去を容易にする。
【0133】
生成物ストリーム133は、ポリマー回収動作に進む。ポリマー回収動作の限定されない例は、溶融エチレンインターポリマー生成物をペレタイザに押し込む1つ又は複数のギヤポンプ、単軸スクリュー押出機又は2軸スクリュー押出機を含む。他の実施形態は、エチレンインターポリマー生成物中の揮発性物質が500ppm未満となるように残留プロセス溶媒及び任意選択のα-オレフィンが除去され得る、脱揮押出機の使用を含む。ペレット化されると、固化したエチレンインターポリマー生成物は、典型的には生成物サイロに運搬される。
【0134】
成分A、成分M、成分B及び成分Pの4つの触媒成分のそれぞれの割合を最適化することにより、極めて活性な架橋メタロセン触媒配合物が生成された。「極めて活性な」という用語は、触媒配合物がオレフィンからポリオレフィンへの変換において非常に効率的であることを意味する。実際には、最適化の目的は、以下の比率を最大化することである:(消費される触媒のポンド)当たりの(生成されるエチレンインターポリマー生成物のポンド)。単一のCSTRの場合、反応器R1に添加される嵩高い配位子-金属錯体、成分Aの量は、R1内の溶液の全質量における成分Aのパーツパーミリオン(ppm)、すなわち表5Aに列挙されるような「R1触媒(ppm)」として表現された。成分Aのppmの上限は5、いくつかの場合では3、他の場合では2であってもよい。成分Aのppmの下限は0.02、いくつかの場合では0.05、他の場合では0.1であってもよい。2つのCSTRの場合、R1及びR2に添加される成分Aの量が制御され、R1及びR2における成分Aのパーツパーミリオン(ppm)として表現され、任意選択で、R3に添加される成分Aの量が制御され、R3における成分Aのパーツパーミリオン(ppm)として表現された。
【0135】
R1に添加される触媒成分B、イオン性活性剤の割合は、R1溶液における(イオン性活性剤)/(成分A)モル比([B]/[A])を制御することにより最適化された。R1([B]/[A])の上限は10、いくつかの場合では5、他の場合では2であってもよい。R1([B]/[A])の下限は0.3、いくつかの場合では0.5、他の場合では1.0であってもよい。触媒成分Mの割合は、R1溶液における(アルモキサン)/(成分A)モル比([M]/[A])を制御することにより最適化された。アルモキサン共触媒は、一般に、成分Aに対してモル過剰で添加された。R1([M]/[A])の上限は300、いくつかの場合では200、他の場合では100であってもよい。R1([M]/[A])の下限は1、いくつかの場合では10、他の場合では30であってもよい。触媒成分P(ヒンダードフェノール)のR1への添加は任意選択的である。添加される場合、成分Pの割合は、R1における(ヒンダードフェノール)/(アルモキサン)([P]/[M])モル比を制御することにより最適化された。R1([P]/[M])の上限は1、いくつかの場合では0.75、他の場合では0.5であってもよい。R1([P]/[M])の下限は0.0、いくつかの場合では0.1、他の場合では0.2であってもよい。
【0136】
2つのCSTR及び2つの均一触媒アセンブリを用いる実施形態において、第1の架橋メタロセン触媒配合物とは独立して、第2の架橋メタロセン触媒配合物が調製され、上述のように最適化されてもよい。任意選択で、架橋メタロセン触媒配合物が管状反応器内で用いられ、上述のように最適化されてもよい。
【0137】
図3及び
図4に示される連続溶液プロセスの実施形態において、様々な溶媒がプロセス溶媒として使用されてもよく、限定されない例は、直鎖、分岐状又は環式C
5~C
12アルカンを含む。α-オレフィンの限定されない例は、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン及び1-デセンを含む。好適な触媒成分溶媒は、脂肪族及び芳香族炭化水素を含む。脂肪族触媒成分溶媒の限定されない例は、直鎖、分岐状又は環式C
5~12脂肪族炭化水素、例えばペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、水素化ナフサ、又はそれらの組合せを含む。芳香族触媒成分溶媒の限定されない例は、ベンゼン、トルエン(メチルベンゼン)、エチルベンゼン、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)、キシレン異性体の混合物、ヘメリテン(hemellitene)(1,2,3-トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4-トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トリメチルベンゼン異性体の混合物、プレヘニテン(prehenitene)(1,2,3,4-テトラメチルベンゼン)、ジュレン(1,2,3,5-テトラメチルベンゼン)、テトラメチルベンゼン異性体の混合物、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン及びそれらの組合せを含む。
【0138】
反応器供給ストリーム(溶媒、モノマー、α-オレフィン、水素、触媒配合物等)は、触媒不活性化毒を実質的に含まないものでなければならないことが当業者に周知であり、毒の限定されない例は、微量の酸素化物、例えば水、脂肪酸、アルコール、ケトン及びアルデヒドを含む。そのような毒は、標準的な精製の慣例を用いて反応器供給ストリームから除去され、その限定されない例は、溶媒、エチレン及びα-オレフィン等の精製のための分子篩床、アルミナ床及び酸素除去触媒を含む。
【0139】
図3に示される第1の反応器、又は
図4に示される第1及び第2の反応器を参照すると、供給ストリーム、より具体的には
図3中のストリーム1~4並びに
図4中のストリーム101~104及び106~109の任意の組合せが加熱又は冷却されてもよい。反応器供給ストリーム温度の上限は90℃、他の場合では80℃、さらに他の場合では70℃であってもよい。反応器供給ストリーム温度の下限は20℃、他の場合では35℃、さらに他の場合では50℃であってもよい。
【0140】
管状反応器に供給されるストリーム、例えば
図3中のストリーム13~16、及び
図4中のストリーム113~116の任意の組合せが加熱又は冷却されてもよい。いくつかの場合において、管状反応器供給ストリームは調質される、すなわち管状反応器供給ストリームは少なくとも周囲温度超まで加熱される。管状反応器供給ストリームの上限温度は、いくつかの場合では200℃、他の場合では170℃、さらに他の場合では140℃であり、管状反応器供給ストリームの下限温度は、いくつかの場合では60℃、他の場合では90℃、さらに他の場合では120℃であるが、但し、管状反応器供給ストリームの温度は、管状反応器に入るプロセスストリームの温度より低い。
【0141】
溶液重合反応器、例えば
図4中の槽111a(R1)及び112a(R2)の動作温度は、広範囲にわたり変動し得る。例えば、反応器温度の上限は、いくつかの場合では300℃、他の場合では280℃、さらに他の場合では260℃であってもよく、下限は、いくつかの場合では80℃、他の場合では100℃、さらに他の場合では125℃であってもよい。第2の反応器、反応器112a(R2)は、第1の反応器111a(R1)より高い温度で動作する。これらの2つの反応器の間の最大の温度差(T
R2-T
R1)は、いくつかの場合では120℃、他の場合では100℃、さらに他の場合では80℃であり、最小の(T
R2-T
R1)は、いくつかの場合では1℃、他の場合では5℃、さらに他の場合では10℃である。任意選択の管状反応器、反応器117(R3)は、いくつかの場合ではR2より100℃高い温度、他の場合ではR2より60℃高い温度、さらに他の場合ではR2より10℃高い温度、代替の場合では0℃高い温度、すなわちR2と同じ温度で動作してもよい。任意選択のR3内の温度は、その長さに沿って増加してもよい。R3の入口と出口との間の最大の温度差は、いくつかの場合では100℃、他の場合では60℃、さらに他の場合では40℃である。R3の入口と出口との間の最小の温度差は、いくつかの場合では0℃、他の場合では3℃、さらに他の場合では10℃である。いくつかの場合ではR3は断熱様式で動作し、他の場合ではR3は加熱される。
【0142】
重合反応器内の圧力は、重合溶液を単一相溶液として維持するのに、及び上流圧力を提供してポリマー溶液を反応器から熱交換器を通してポリマー回収動作まで押し出すのに十分高くなるべきである。
図3及び
図4に示される実施形態を参照すると、溶液重合反応器の動作圧力は、広範囲にわたり変動し得る。例えば、反応器圧力の上限は、いくつかの場合では45MPag、他の場合では30MPag、さらに他の場合では20MPagであってもよく、下限は、いくつかの場合では3MPag、他の場合では5MPag、さらに他の場合では7MPagであってもよい。
【0143】
図3及び
図4に示される実施形態を参照すると、第1のV/L分離器に入る前に、不活性化溶液A、不活性化溶液B又は不動態化溶液は、いくつかの場合では300℃、他の場合では290℃、さらに他の場合では280℃の最高温度を有してもよく、最低温度は、いくつかの場合では150℃、他の場合では200℃、さらに他の場合では220℃であってもよい。第1のV/L分離器に入る直前に、不活性化溶液A、不活性化溶液B又は不動態化溶液は、いくつかの場合では40MPag、他の場合では25MPag、さらなる場合では15MPagの最高圧力を有してもよく、最低圧力は、いくつかの場合では1.5MPag、他の場合では5MPag、さらに他の場合では6MPagであってもよい。
【0144】
第1のV/L分離器(
図3及び
図4中のそれぞれ槽25及び125)は、比較的広範囲の温度及び圧力にわたり動作し得る。例えば、第1のV/L分離器の最高動作温度は、いくつかの場合では300℃、他の場合では285℃、さらに他の場合では270℃であってもよく、最低動作温度は、いくつかの場合では100℃、他の場合では140℃、さらに他の場合では170℃であってもよい。第1のV/L分離器の最高動作圧力は、いくつかの場合では20MPag、他の場合では10MPag、さらに他の場合では5MPagであってもよく、最低動作圧力は、いくつかの場合では1MPag、他の場合では2MPag、さらに他の場合では3MPagであってもよい。
【0145】
第2のV/L分離器は、比較的広範囲の温度及び圧力にわたり動作し得る。例えば、第2のV/L分離器の最高動作温度は、いくつかの場合では300℃、他の場合では250℃、さらに他の場合では200℃であってもよく、最低動作温度は、いくつかの場合では100℃、他の場合では125℃、さらに他の場合では150℃であってもよい。第2のV/L分離器の最高動作圧力は、いくつかの場合では1000kPag、他の場合では900kPag、さらに他の場合では800kPagであってもよく、最低動作圧力は、いくつかの場合では10kPag、他の場合では20kPag、さらに他の場合では30kPagであってもよい。
【0146】
第3のV/L分離器(
図3及び
図4中のそれぞれ槽31及び131)は、比較的広範囲の温度及び圧力にわたり動作し得る。例えば、第3のV/L分離器の最高動作温度は、いくつかの場合では300℃、他の場合では250℃、さらに他の場合では200℃であってもよく、最低動作温度は、いくつかの場合では100℃、他の場合では125℃、さらに他の場合では150℃であってもよい。第3のV/L分離器の最高動作圧力は、いくつかの場合では500kPag、他の場合では150kPag、さらに他の場合では100kPagであってもよく、最低動作圧力は、いくつかの場合では1kPag、他の場合では10kPag、さらに他の場合では25kPagであってもよい。
【0147】
図3及び
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態は、3つのV/L分離器を示す。しかしながら、連続溶液重合実施形態は、少なくとも1つのV/L分離器を備える構成を含み得る。
【0148】
連続溶液重合プロセスにおいて生成されたエチレンインターポリマー生成物は、当業者には周知の従来の脱揮システムを使用して回収され得、その限定されない例は、フラッシュ脱揮システム及び脱揮押出機を含む。
【0149】
任意の反応器形状又は設計を、
図4中の反応器111a(R1)及び反応器112a(R2)に使用することができ、その限定されない例は、非撹拌又は撹拌球形、円筒形又はタンク様槽、及び管状反応器又は再循環ループ反応器を含む。R1の商業規模の最大容積は、いくつかの場合では約20,000ガロン(約75,710L)、他の場合では約10,000ガロン(約37,850L)、さらに他の場合では約5,000ガロン(約18,930L)であってもよい。商業規模では、R1の最小容積は、いくつかの場合では約100ガロン(約379L)、他の場合では約500ガロン(約1,893L)、さらに他の場合では約1,000ガロン(約3,785L)であってもよい。パイロットプラント規模では、反応器容積は、典型的にははるかに小さく、例えばパイロット規模でのR1の容積は、約2ガロン未満(約7.6L未満)であり得る。本開示では、反応器R2の容積は、反応器R1の容積のパーセントとして表現される。R2の容積の上限は、いくつかの場合ではR1の約600%、他の場合ではR1の約400%、さらに他の場合ではR1の約200%であってもよい。明確性のために、R1の容積が5,000ガロンであり、R2がR1の容積の200%である場合、R2は10,000ガロンの容積を有する。R2の容積の下限は、いくつかの場合ではR1の約50%、他の場合ではR1の約100%、さらに他の場合ではR1の約150%であってもよい。連続撹拌槽反応器の場合、撹拌速度は広範囲にわたり変動し得、いくつかの場合では約10rpm~約2000rpm、他の場合では約100~約1500rpm、さらに他の場合では約200~約1300rpmであってもよい。本開示では、管状反応器であるR3の容積は、反応器R2の容積のパーセントとして表現される。R3の容積の上限は、いくつかの場合ではR2の約500%、他の場合ではR2の約300%、さらに他の場合ではR2の約100%であってもよい。R3の容積の下限は、いくつかの場合ではR2の約3%、他の場合ではR2の約10%、さらに他の場合ではR2の約50%であってもよい。
【0150】
化学工業の技術分野において一般的に使用されるパラメータである「平均反応器滞留時間」は、反応器滞留時間分布の一次モーメントにより定義され、反応器滞留時間分布は、流体要素が反応器内で費やす時間を説明する確率分布関数である。平均反応器滞留時間は、プロセス流速並びに反応器混合、設計及び容量に依存して広く変動し得る。R1内の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、いくつかの場合では600秒、他の場合では360秒、さらに他の場合では180秒であってもよい。R1内の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、いくつかの場合では10秒、他の場合では20秒、さらに他の場合では40秒であってもよい。R2内の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、いくつかの場合では720秒、他の場合では480秒、さらに他の場合では240秒であってもよい。R2内の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、いくつかの場合では10秒、他の場合では30秒、さらに他の場合では60秒であってもよい。R3内の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、いくつかの場合では600秒、他の場合では360秒、さらに他の場合では180秒であってもよい。R3内の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、いくつかの場合では1秒、他の場合では5秒、さらに他の場合では10秒であってもよい。
【0151】
任意選択で、追加的な反応器(例えばCSTR、ループ又は管等)が、
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態に追加されてもよい。本開示では、反応器の数は特に重要ではない。
【0152】
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の動作において、プロセスに供給されるエチレンの総量は、3つの反応器R1、R2及びR3の間で分配又は分割され得る。この動作変数はエチレン分割(ES)と称され、すなわち、「ES
R1」、「ES
R2」及び「ES
R3」は、それぞれR1、R2及びR3に注入されるエチレンの重量パーセントを指すが、但し、ES
R1+ES
R2+ES
R3=100%である。これは、以下のストリームにおけるエチレン流速を調節することにより達成される:ストリーム102(R1)、ストリーム107(R2)及びストリーム114(R3)。ES
R1の上限は、いくつかの場合では約60%、他の場合では約55%、さらに他の場合では約50%であり、ES
R1の下限は、いくつかの場合では約10%、他の場合では約15%、さらに他の場合では約20%である。ES
R2の上限は、いくつかの場合では約90%、他の場合では約80%、さらに他の場合では約70%であり、ES
R2の下限は、いくつかの場合では約20%、他の場合では約30%、さらに他の場合では約40%である。ES
R3の上限は、いくつかの場合では約30%、他の場合では約25%、さらに他の場合では約20%であり、ES
R3の下限は、いくつかの場合では0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。
【0153】
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の動作において、各反応器内のエチレン濃度もまた制御される。反応器1内のエチレン濃度は、以降ではEC
R1と称されるが、反応器1内のエチレンの重量を、反応器1に添加される全ての総重量で除したものとして定義され、EC
R2及びEC
R3も同様に定義される。反応器(EC
R1又はEC
R2又はEC
R3)内のエチレン濃度は、いくつかの場合では約7重量パーセント(wt.%)~約25wt.%、他の場合では約8wt.%~約20wt.%、さらに他の場合では約9wt.%~約17wt.%で変動し得る。
【0154】
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の動作において、各反応器内で変換されるエチレンの総量が監視される。「Q
R1」という用語は、触媒配合物によりエチレンインターポリマーに変換される、R1に添加されるエチレンのパーセントを指す。同様に、Q
R2及びQ
R3は、それぞれの反応器内でエチレンインターポリマーに変換された、R2及びR3に添加されたエチレンのパーセントを表す。エチレン変換率は、様々なプロセス条件、例えば触媒濃度、触媒配合物、不純物及び毒に依存して大幅に変動し得る。Q
R1及びQ
R2の両方の上限は、いくつかの場合では約99%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%であり、Q
R1及びQ
R2の両方の下限は、いくつかの場合では約65%、他の場合では約70%、さらに他の場合では約75%である。Q
R3の上限は、いくつかの場合では約99%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%であり、Q
R3の下限は、いくつかの場合では0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。「Q
T」という用語は、連続溶液重合プラント全体にわたる総合的又は全体的エチレン変換率を表し、すなわち、Q
T=100×[インターポリマー生成物中のエチレンの重量]/([インターポリマー生成物中のエチレンの重量]+[未反応エチレンの重量])である。Q
Tの上限は、いくつかの場合では約99%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%であり、Q
Tの下限は、いくつかの場合では約75%、他の場合では約80%、さらに他の場合では約85%である。
【0155】
図4を参照すると、任意選択で、α-オレフィンが連続溶液重合プロセスに添加されてもよい。添加される場合、α-オレフィンは、R1、R2及びR3の間で配分又は分割されてもよい。この動作変数はコモノマー(α-オレフィン)分割(CS)と称され、すなわち、「CS
R1」、「CS
R2」及び「CS
R3」は、それぞれR1、R2及びR3に注入されるα-オレフィンコモノマーの重量パーセントを指すが、但し、CS
R1+CS
R2+CS
R3=100%である。これは、以下のストリームにおけるα-オレフィン流速を調節することにより達成される:ストリーム103(R1)、ストリーム108(R2)及びストリーム115(R3)。CS
R1の上限は、いくつかの場合では100%(すなわちα-オレフィンの100%がR1に注入される)、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%である。CS
R1の下限は、いくつかの場合では0%(R1内で生成されるエチレンホモポリマー)、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。CS
R2の上限は、いくつかの場合では約100%(すなわちα-オレフィンの100%が反応器2に注入される)、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%である。CS
R2の下限は、いくつかの場合では0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。CS
R3の上限は、いくつかの場合では100%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%である。CS
R3の下限は、いくつかの場合では0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。
【0156】
本開示に記載の連続重合プロセスにおいて、重合は、触媒不活性化剤を添加することにより終了される。
図4における実施形態は、(a)触媒不活性化剤タンク118Aから触媒不活性化剤Aを添加することにより管状反応器の上流で、又は(b)触媒不活性化剤タンク118Bから触媒不活性化剤Bを添加することにより管状反応器の下流で生じる触媒不活性化を示している。触媒不活性化剤タンク118A及び181Bは、未処理(100%)の触媒不活性化剤、溶媒中の触媒不活性化剤の溶液、又は溶媒中の触媒不活性化剤のスラリーを含み得る。触媒不活性化剤A及びBの化学組成は、同じ又は異なってもよい。好適な溶媒の限定されない例は、直鎖又は分岐状C
5~C
12アルカンを含む。本開示では、触媒不活性化剤がどのように添加されるかは特に重要ではない。添加されると、触媒不活性化剤は、活性触媒種を不活性形態に変化させることにより重合反応を実質的に停止させる。好適な不活性化剤は当技術分野において周知であり、その限定されない例は、アミン(例えば、Zborilらの米国特許第4,803,259号);カルボン酸のアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩(例えば、Machanらの米国特許第4,105,609号);水(例えば、Bernierらの米国特許第4,731,438号);ハイドロタルサイト、アルコール及びカルボン酸(例えば、Miyataの米国特許第4,379,882号);又はそれらの組合せ(Sibtainらの米国特許第6,180,730号)を含む。本開示では、添加される触媒不活性化剤の量は、以下の触媒不活性化剤モル比:0.3≦(触媒不活性化剤)/((全触媒金属)+(アルキルアルミニウム共触媒)+(アルミニウムアルキル))≦2.0により決定され、全触媒金属は、溶液プロセスに添加される触媒金属の総モルである。触媒不活性化剤モル比の上限は2、いくつかの場合では1.5、他の場合では0.75であってもよい。触媒不活性化剤モル比の下限は0.3、いくつかの場合では0.35、さらに他の場合では0.4であってもよい。一般に、触媒不活性化剤は、触媒が不活性化され重合反応がクエンチされるような最小限の量で添加される。
【0157】
不動態化剤又は酸捕捉剤が不活性化溶液A又はBに添加されて、不動態化溶液、すなわち
図4に示されるような不動態化溶液ストリーム123を形成してもよい。任意選択の不動態化剤タンク122は、未処理(100%)の不動態化剤、溶媒中の不動態化剤の溶液、又は溶媒中の不動態化剤のスラリーを含み得る。好適な溶媒の限定されない例は、直鎖又は分岐状C
5~C
12アルカンを含む。本開示では、不動態化剤がどのように添加されるかは特に重要ではない。好適な不動態化剤は当技術分野において周知であり、その限定されない例は、カルボン酸又はハイドロタルサイトのアルカリ又はアルカリ土類金属塩を含む。添加される不動態化剤の量は、広範囲にわたり変動し得る。添加される不動態化剤の量は、溶液プロセスに添加される塩化物化合物、すなわち塩化物化合物である「化合物(vi)」、及び不均一触媒配合物を製造するために使用された金属化合物である「化合物(vii)」の総モルにより決定された。(不動態化剤)/(全塩化物)モル比の上限は15、いくつかの場合では13、及び他の場合では11であってもよい。(不動態化剤)/(全塩化物)モル比の下限は約5、いくつかの場合では約7、さらに他の場合では約9であってもよい。一般に、不動態化剤は、不活性化溶液を実質的に不動態化するための最小限の量で添加される。
【0158】
本開示では、比較溶液プロセスにおいて非架橋シングルサイト触媒配合物が用いられ、比較エチレンインターポリマー生成物が生成された。4つの触媒成分、すなわち成分C、成分MC(上付き文字「C」は非架橋シングルサイト触媒配合物を示す)、成分BC及び成分PCのそれぞれの割合を最適化することにより、極めて活性な非架橋シングルサイト触媒配合物が生成された。
【0159】
1つのCSTRの場合、第1の反応器(R1)に添加される嵩高い配位子金属錯体、成分Cの量は、R1内の溶液の全質量における成分Cのパーツパーミリオン(ppm)、すなわち「R1触媒(ppm)」として表現された。2つのCSTRの場合、R1及びR2に添加される成分Cの量が制御され、R1及びR2における成分Cのパーツパーミリオン(ppm)として表現され、任意選択で、R3に添加される成分Cの量が制御され、R3における成分Cのパーツパーミリオン(ppm)として表現された。任意の反応器における成分Cのppmの上限は5、いくつかの場合では3、他の場合では2であってもよい。任意の反応器における成分Cのppmの下限は0.02、いくつかの場合では0.05、他の場合では0.1であってもよい。
【0160】
触媒成分BCの割合は、反応器における(イオン性活性剤)/(嵩高い配位子-金属錯体)モル比([BC]/[C])を制御することにより最適化された。反応器([BC]/[C])の上限は10、いくつかの場合では5、他の場合では2であってもよい。反応器([BC]/[C])の下限は0.3、いくつかの場合では0.5、他の場合では1.0であってもよい。触媒成分MCの割合は、反応器における(アルモキサン)/(嵩高い配位子-金属錯体)モル比([MC]/[C])を制御することにより最適化された。アルモキサン共触媒は、一般に、嵩高い配位子-金属錯体に対してモル過剰で添加された。反応器([MC]/[C])モル比の上限は1000、いくつかの場合では500、他の場合では200であってもよい。反応器([MC]/[C])モル比の下限は1、いくつかの場合では10、他の場合では30であってもよい。触媒成分PCの添加は任意選択的である。添加される場合、成分PCの割合は、任意の反応器における(ヒンダードフェノール)/(アルモキサン)モル比([PC]/[MC])を制御することにより最適化された。反応器([PC]/[MC])モル比の上限は1.0、いくつかの場合では0.75、他の場合では0.5であってもよい。反応器([PC]/[MC])モル比の下限は0.0、いくつかの場合では0.1、他の場合では0.2であってもよい。
【0161】
インターポリマー
第1のエチレンインターポリマーは、架橋メタロセン触媒配合物により合成された。
図3に示される実施形態を参照すると、任意選択のα-オレフィンが反応器11a(R1)に添加されない場合、第1のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーである。α-オレフィンが添加される場合、以下の重量比が、第1のエチレンインターポリマーの密度を制御するための1つのパラメータである:((α-オレフィン)/(エチレン))
R1。((α-オレフィン)/(エチレン))
R1の上限は約3、他の場合では約2、さらに他の場合では約1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))
R1の下限は0、他の場合では約0.25、さらに他の場合では約0.5であってもよい。以降では、記号「σ
1」は、R1、すなわち
図3中の反応器11a又は
図4中の反応器111a内で生成される第1のエチレンインターポリマーの密度を指す。σ
1の上限は0.975g/cc、いくつかの場合では0.965g/cc、他の場合では0.955g/ccであってもよい。σ
1の下限は0.855g/cc、いくつかの場合では0.865g/cc、他の場合では0.875g/ccであってもよい。密度は、第1のエチレンインターポリマー中の1種又は複数種のα-オレフィンの含有量が増加すると減少する。α-オレフィン含有量は、第1のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントとして表現される。第1のエチレンインターポリマー中のα-オレフィン(単数又は複数)のモルパーセントの上限は25%、いくつかの場合では23%、他の場合では20%であってもよい。第1のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は0%であり、すなわち溶液重合プロセスにα-オレフィンが添加されず、第1のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。
【0162】
エチレンインターポリマーのCDBI50(Composition Distribution Branching Index、組成分布分岐指数)を決定するための方法は、当業者に周知である。パーセントとして表現されるCDBI50は、コモノマー(α-オレフィン)組成物が中央コモノマー組成物の50%以内であるエチレンインターポリマーのパーセントとして定義された。また、均一触媒配合物を用いて生成されたエチレンインターポリマーのCDBI50は、不均一触媒配合物を用いて生成されたα-オレフィン含有エチレンインターポリマーのCDBI50に比べてより高いこともまた、当業者に周知である。第1のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよい。第1のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は70%、他の場合では75%、さらに他の場合では80%であってもよい。
【0163】
第1のエチレンインターポリマーのMw/Mnの上限は2.4、他の場合では2.3、さらに他の場合では2.2であってもよい。第1のエチレンインターポリマーのMw/Mnの下限は1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。
【0164】
第1のエチレンインターポリマーは、上記(式1)で十分に説明されたように、メルトフロー-固有粘度指数値MFIVIにより特徴付けられる長鎖分岐を含む。第1のエチレンインターポリマーのMFIVIの上限は0.8、他の場合では0.7、さらに他の場合では0.6であってもよい。第1のエチレンインターポリマーのMFIVIの下限は、0.05以上である。
【0165】
第1のエチレンインターポリマーは、0.005以上0.047未満の不飽和/100Cの範囲の不飽和合計SUMU(式7)を有する。第1のエチレンインターポリマーのSUMU値の上限は0.047未満、他の場合では0.046未満、さらに他の場合では0.045未満の不飽和/100Cであってもよい。第1のエチレンインターポリマーのSUMU値の下限は0.0050以上、他の場合では0.007以上、さらに他の場合では0.010以上の不飽和/100Cであってもよい。
【0166】
第1のエチレンインターポリマーは、第1の反応器に注入された架橋メタロセン触媒配合物の化学組成を反映する「残留触媒金属」を含有していた。残留触媒金属は、中性子放射化分析(NAA)、すなわち第1のエチレンインターポリマー中の触媒金属のパーツパーミリオン(ppm)により定量され、触媒金属は成分A(式(I))中の金属に由来したが、この金属は「金属AR1」と称される。金属AR1の限定されない例は、第4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムを含む。1つのインターポリマー、すなわち第1のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物の場合、残留触媒金属は、エチレンインターポリマー生成物中のppm金属AR1に等しい。第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよい。第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0167】
R1に添加される水素の量は、連続溶液プロセスにおいて、以降でI
2
1と称されるメルトインデックスが異なる第1のエチレンインターポリマーが生成され得る広い範囲にわたり変動し得る(メルトインデックスはASTM D1238で概説される手順に従い、2.16kgの荷重を使用して190℃で測定される)。これは、ストリーム4(
図3)又はストリーム104(
図4)における水素流速を調節することにより達成される。反応器に添加される水素の量は、(例えば)反応器R1内の全質量に対するR1内の水素のパーツパーミリオン(ppm)として表現され、以降でH
2
R1(ppm)と称される。いくつかの場合では、H
2
R1(ppm)は100ppm~0ppm、他の場合では50ppm~0ppm、代替の場合では20~0、さらに他の場合では2ppm~0ppmの範囲である。I
2
1の上限は200dg/分、いくつかの場合では100dg/分、他の場合では50dg/分、さらに他の場合では1dg/分であってもよい。I
2
1の下限は0.01dg/分、いくつかの場合では0.05dg/分、他の場合では0.1dg/分、さらに他の場合では0.5dg/分であってもよい。
【0168】
エチレンインターポリマー生成物中の第1のエチレンインターポリマーの重量パーセント(wt.%)の上限は100wt.%、いくつかの場合では60wt.%、他の場合では55wt%、さらに他の場合では50wt.%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の第1のエチレンインターポリマーのwt.%の下限は5wt.%、他の場合では8wt.%、さらに他の場合では10wt.%であってもよい。
【0169】
図4を参照すると、第2のエチレンインターポリマーは、架橋メタロセン触媒配合物を第2の溶液重合反応器112a(又はR2)に注入することにより合成された。新鮮なα-オレフィンストリーム108を介して、又はストリーム111e中で反応器111a(R1)から持ち越されて(直列モード)任意選択のα-オレフィンが反応器112a(R2)に添加されない場合、第2のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。R2内にα-オレフィンが存在した場合、以下の重量比が、第2のエチレンインターポリマーの密度を制御するための1つのパラメータであった:((α-オレフィン)/(エチレン))
R2。((α-オレフィン)/(エチレン))
R2の上限は3、他の場合では2、さらに他の場合では1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))
R2の下限は0、他の場合では0.25、さらに他の場合では0.5であってもよい。以降では、記号「σ
2」は、第2のエチレンインターポリマーの密度を指す。σ
2の上限は0.975g/cc、いくつかの場合では0.965g/cc、他の場合では0.955g/ccであってもよい。σ
2の下限は0.855g/cc、いくつかの場合では0.865g/cc、他の場合では0.875g/ccであってもよい。第2のエチレンインターポリマー中の1種又は複数種のα-オレフィンのモルパーセントの上限は25%、いくつかの場合では23%、他の場合では20%であってもよい。第2のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は0%であり、すなわち溶液重合プロセスにα-オレフィンが添加されず、第2のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。
【0170】
第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよい。第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は70%、他の場合では75%、さらに他の場合では80%であってもよい。
【0171】
第2のエチレンインターポリマーのMw/Mnの上限は2.4、他の場合では2.3、さらに他の場合では2.2であってもよい。第2のエチレンインターポリマーのMw/Mnの下限は1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。
【0172】
第2のエチレンインターポリマーは、上記(式1)で十分に説明されたように、メルトフロー-固有粘度指数値MFIVIにより特徴付けられる長鎖分岐を含む。第2のエチレンインターポリマーのMFIVIの上限は0.8、他の場合では0.7、さらに他の場合では0.6であってもよい。第2のエチレンインターポリマーのMFIVIの下限は、0.05以上である。
【0173】
第2のエチレンインターポリマーは、0.005以上0.047未満の不飽和/100Cの範囲の不飽和合計SUMU(式7)を有する。第2のエチレンインターポリマーのSUMU値の上限は0.047未満、他の場合では0.046未満、さらに他の場合では0.045未満の不飽和/100Cであってもよい。第2のエチレンインターポリマーのSUMU値の下限は0.0050以上、他の場合では0.007以上、さらに他の場合では0.010以上の不飽和/100Cであってもよい。
【0174】
第2のエチレンインターポリマー中の触媒残渣は、R2において用いられた架橋メタロセン触媒配合物の量又はR2において用いられた成分Aの量を反映する。第2の反応器において用いられた「金属AR2」を含む成分A(式(I))の種は、第1の反応器において用いられた成分Aの種と異なってもよい。第2のエチレンインターポリマーの純粋試料の場合、第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;一方第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0175】
図4に示される実施形態を参照すると、R2に添加される水素の量は、連続溶液重合プロセスにおいて、以降でI
2
2と称されるメルトインデックスが異なる第2のエチレンインターポリマーが生成され得る広い範囲にわたり変動し得る。これは、ストリーム109における水素流速を調節することにより達成される。添加される水素の量は、反応器R2内の全質量に対するR2内の水素のパーツパーミリオン(ppm)として表現され、以降でH
2
R2(ppm)と称される。いくつかの場合では、H
2
R2(ppm)は100ppm~0ppm、いくつかの場合では50ppm~0ppm、他の場合では20~0、さらに他の場合では2ppm~0ppmの範囲である。I
2
2の上限は1000dg/分、いくつかの場合では750dg/分、他の場合では500dg/分、さらに他の場合では200dg/分であってもよい。I
2
2の下限は0.3dg/分、いくつかの場合では0.4dg/分、他の場合では0.5dg/分、さらに他の場合では0.6dg/分であってもよい。
【0176】
エチレンインターポリマー生成物中の第2のエチレンインターポリマーの重量パーセント(wt.%)の上限は95wt.%、他の場合では92wt.%、さらに他の場合では90wt.%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の第2のエチレンインターポリマーのwt.%の下限は0wt.%、いくつかの場合では20wt.%、他の場合では30wt%、さらに他の場合では40wt.%であってもよい。
【0177】
図3を参照すると、反応器17内で第3のエチレンインターポリマーが生成された。
図4を参照すると、触媒不活性化剤が反応器117の上流で添加されなかった場合、反応器117内で第3のエチレンインターポリマーが生成された。α-オレフィンが添加されなかった場合、第3のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。R3内にα-オレフィンが存在した場合、以下の重量比が、第3のエチレンインターポリマーの密度を決定付ける1つのパラメータであった:((α-オレフィン)/(エチレン))
R3。((α-オレフィン)/(エチレン))
R3の上限は3、他の場合では2、さらに他の場合では1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))
R3の下限は0、他の場合では0.25、さらに他の場合では0.5であってもよい。以降では、記号「σ
3」は、第3のエチレンインターポリマーの密度を指す。σ
3の上限は0.975g/cc、いくつかの場合では0.965g/cc、他の場合では0.955g/ccであってもよい。σ
3の下限は0.855g/cc、いくつかの場合では0.865g/cc、他の場合では0.875g/ccであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の1種又は複数種のα-オレフィンのモルパーセントの上限は25%、いくつかの場合では23%、他の場合では20%であってもよい。第3のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は0%であり、すなわち溶液重合プロセスにα-オレフィンが添加されず、第3のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。
【0178】
図4を参照すると、以下の均一触媒配合物の1つ又は複数がR3に注入され得る:架橋メタロセン触媒配合物、非架橋シングルサイト触媒配合物、又は式(I)若しくは式(II)により定義される種類のメンバーではない嵩高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物。
図4は、ストリーム140を介した反応器117への均一触媒配合物の注入を示す。本開示は、不均一触媒配合物が第3の反応器(R3)に注入された実施形態を含む。
図4において、不均一触媒アセンブリ(ストリーム134a~134e及び134h)が、オンラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を生成及び反応器117に注入するために用いられる。
【0179】
第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよい。任意選択の第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は35%、他の場合では40%、さらに他の場合では45%であってもよい。
【0180】
第3のエチレンインターポリマーのMw/Mnの上限は5.0、他の場合では4.8、さらに他の場合では4.5であってもよい。任意選択の第3のエチレンインターポリマーのMw/Mnの下限は1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。
【0181】
第3のエチレンインターポリマーを合成するために架橋メタロセン触媒配合物が第3の反応器において用いられた場合、第3のエチレンインターポリマーは、0.05以上0.80以下の範囲のメルトフロー-固有粘度指数値、MFIVI(式1)により特徴付けられる長鎖分岐を有し、第3のエチレンインターポリマーのMFIVIの上限は0.8、他の場合では0.7、さらに他の場合では0.6であってもよく、第3のエチレンインターポリマーのMFIVIの下限は0.05以上である。任意選択で、第3のエチレンインターポリマーは、長鎖分岐を生成しない触媒配合物(すなわち架橋メタロセン触媒配合物ではない)を使用して合成されてもよく、この場合、第3のエチレンインターポリマーのMFIVIの上限は0.05、他の場合では0.025、さらに他の場合では0.0であってもよく、第3のエチレンインターポリマーのMFIVIの下限は-0.05、他の場合では-0.025、さらに他の場合では0.0、すなわち検出不可能なレベルの長鎖分岐であってもよい。
【0182】
第3のエチレンインターポリマーを合成するために架橋メタロセン触媒配合物が第3の反応器において用いられた場合、第3のエチレンインターポリマーは、0.005以上0.047未満の範囲の不飽和合計SUMU(式7)により特徴付けられた。第3のエチレンインターポリマーのSUMU値の上限は0.047未満、他の場合では0.046未満、さらに他の場合では0.045未満であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのSUMU値の下限は0.0050以上、他の場合では0.007以上、さらに他の場合では0.010以上であってもよい。任意選択で、第3のエチレンインターポリマーは、第3のエチレンインターポリマーが0.005以上0.047未満の範囲の不飽和合計SUMUにより特徴付けられるような代替の触媒配合物(架橋メタロセン触媒配合物ではない)を使用して合成されてもよい。
【0183】
第3のエチレンインターポリマー中の触媒残渣は、その製造において用いられた触媒を反映する。架橋メタロセン触媒配合物が使用された場合、第3の反応器において用いられる「金属AR3」を含む成分A(式(I))の種類は、R1、又はR1及びR2において用いられる種類と異なってもよい。換言すれば、R3において用いられる触媒金属は、R1及び/又はR2において用いられる触媒金属と異なってもよい。第3のエチレンインターポリマーの純粋試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;一方第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0184】
第3のエチレンインターポリマーは、成分C及び触媒「金属CR3」を含む非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して合成されてもよい。金属CR3の限定されない例は、第4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムを含む。第3のエチレンインターポリマーの純粋試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属CR3のppmの上限は3.0ppm、他の場合では2.0ppm、さらに他の場合では1.5ppmであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の金属CR3のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0185】
第3のエチレンインターポリマーは、式(I)又は式(II)により定義される種類のメンバーではない、金属「BR3」を含む嵩高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物を使用して合成されてもよい。金属BR3の限定されない例は、第4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムを含む。第3のエチレンインターポリマーの純粋試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0186】
第3のエチレンインターポリマーは、不均一触媒配合物を使用して合成されてもよく、
図4は、インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物が反応器117に注入された限定されない例を示す。インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物は、金属化合物(成分(vii))を含み、「金属Z
R3」という用語は、この化合物中の金属を指す。金属Z
R3の限定されない例は、周期表の第4族~第8族から選択される金属を含む。第3のエチレンインターポリマーの純粋試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属Z
R3のppmの上限は12ppm、他の場合では10ppm、さらに他の場合では8ppmであってもよく;一方第3のエチレンインターポリマー中の金属Z
R3のppmの下限は0.5ppm、他の場合では1ppm、さらに他の場合では3ppmであってもよい。
【0187】
図3及び
図4に示される実施形態を参照すると、任意選択の水素が、それぞれストリーム16又はストリーム116を介して、それぞれ管状反応器17又は117に注入され得る。R3に添加される水素の量は、広範囲にわたり変動し得る。以降でH
2
R3(ppm)と称されるR3内の水素の量を調節することにより、連続溶液プロセスは、以降でI
2
3と称されるメルトインデックスが広く異なる第3のエチレンインターポリマーを生成することができる。R3に添加される任意選択の水素の量は、100ppm~0ppm、いくつかの場合では50ppm~0ppm、他の場合では20~0、さらに他の場合では2ppm~0ppmの範囲である。I
2
3の上限は2000dg/分、いくつかの場合では1500dg/分、他の場合では1000dg/分、さらに他の場合では500dg/分であってもよい。I
2
3の下限は0.4dg/分、いくつかの場合では0.6dg/分、他の場合では0.8dg/分、さらに他の場合では1.0dg/分であってもよい。
【0188】
エチレンインターポリマー生成物中の任意選択の第3のエチレンインターポリマーの重量パーセント(wt.%)の上限は30wt.%、他の場合では25wt.%、さらに他の場合では20wt.%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の任意選択の第3のエチレンインターポリマーのwt.%の下限は0wt.%、他の場合では5wt.%、さらに他の場合では10wt.%であってもよい。
【0189】
本開示の最終エチレンインターポリマー生成物を参照する。本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物の実施形態は、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成された少なくとも2種のエチレンインターポリマーを含む。エチレンインターポリマー生成物の追加的な実施形態は、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成された少なくとも2種のエチレンインターポリマー、及び第3のエチレンインターポリマーを含み、第3のエチレンインターポリマーは、エチレンインターポリマーが製造され得る任意の触媒配合物により合成され得、その限定されない例は、架橋メタロセン触媒、非架橋シングルサイト触媒配合物、本開示の式(I)若しくは式(II)により定義される種類のメンバーではない嵩高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物、又は不均一触媒配合物、例えばチーグラー・ナッタ触媒配合物を含む。
【0190】
エチレンインターポリマー生成物の密度(ρf)の上限は0.975g/cc、いくつかの場合では0.965g/cc、他の場合では0.955g/ccであってもよい。エチレンインターポリマー生成物の密度の下限は0.855g/cc、いくつかの場合では0.865g/cc、他の場合では0.875g/ccであってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の1種又は複数種のα-オレフィンのモルパーセントの上限は25%、いくつかの場合では23%、他の場合では20%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は0%であり、すなわち溶液重合プロセスにα-オレフィンが添加されず、エチレンインターポリマー生成物はエチレンホモポリマーであった。
【0191】
エチレンインターポリマー生成物のCDBI50の上限は98%、他の場合では90%、さらに他の場合では85%であってもよい。連続溶液重合プロセスにα-オレフィンが添加されない場合、97%のCDBI50を有するエチレンインターポリマー生成物が生じ得、この場合、エチレンインターポリマー生成物はエチレンホモポリマーである。エチレンインターポリマー生成物のCDBI50の下限は1%、他の場合では2%、さらに他の場合では3%であってもよい。
【0192】
エチレンインターポリマー生成物のMw/Mnの上限及び下限は、使用されるプロセス条件に依存する。エチレンインターポリマー生成物のMw/Mnの上限は25、他の場合では20、さらに他の場合では15であってもよく;エチレンインターポリマー生成物のMw/Mnの下限は1.8、他の場合では1.9、さらに他の場合では2.0であってもよい。
【0193】
本開示のエチレンインターポリマー生成物は、0.05以上0.80以下の範囲のメルトフロー-固有粘度指数MFIVI(式1)により特徴付けられる長鎖分岐を含む。エチレンインターポリマー生成物のMFIVIの上限は0.8、他の場合では0.7、さらに他の場合では0.6であってもよい。エチレンインターポリマー生成物のMFIVIの下限は、0.05以上である。
【0194】
エチレンインターポリマー生成物は、-1.51以上-1.15以下の値を有する4000gの荷重でのメルトフロー分布関数の一次導関数
【数17】
によりさらに特徴付けられる。4000gの荷重でのメルトフロー分布関数及び
【数18】
の計算は、上記で十分に説明されており、値は表1に開示されている。エチレンインターポリマー生成物の4000gの荷重での
【数19】
の値の上限は-1.15以下、他の場合では-1.20以下、さらに他の場合では-1.25以下であってもよい。エチレンインターポリマー生成物の4000gの荷重での
【数20】
の値の下限は-1.510以上、他の場合では-1.505以上、さらに他の場合では-1.500以上であってもよい。
【0195】
本開示のエチレンインターポリマー生成物は、不飽和合計SUMU(式7)により特徴付けられる。エチレンインターポリマー生成物は、0.005以上0.047未満の範囲のSUMU値を有する。エチレンインターポリマー生成物のSUMU値の上限は0.047未満、他の場合では0.046未満、さらに他の場合では0.045未満であってもよい。エチレンインターポリマー生成物のSUMU値の下限は0.0050以上、他の場合では0.007以上、さらに他の場合では0.010以上であってもよい。エチレンインターポリマー生成物例44は、0.036不飽和/100CのSUMU値を有しており、例44キャンペーン(例43~47)における5つの試料は、0.0366±0.0015不飽和/100Cの平均SUMU値及び0.032~0.041不飽和/100Cの3-σ範囲、すなわち99.73パーセントの正規分布変数を有していた。
【0196】
図9は、比較Q1~Q4、W1及びW2、並びに以前に開示された例1及び2に対する、例43~47における4000gの荷重でのメルトフロー分布関数の一次導関数(式4):
【数21】
を横座標に、及び不飽和合計SUM
U(式7)を縦座標にプロットしたものである。本開示のエチレンインターポリマー生成物、例43~47は、0.047不飽和/100C未満のSUM
U値を有し、一方比較は、0.047不飽和/100C以上のSUM
U値を有する。以前に開示された例1及び2は、0.047不飽和/100C未満のSUM
U値を有する。本開示のエチレンインターポリマー生成物、例43~47は、-1.51超の4000gの荷重での
【数22】
の値を有し、一方以前に開示された例1及び2は、-1.51以下の4000gの荷重での
【数23】
の値を有する。比較は、-1.51超の4000gの荷重での
【数24】
の値を有する。
【0197】
表4は、中性子放射化分析(NAA)により決定される、エチレンインターポリマー生成物例43~47キャンペーンにおける残留触媒金属の典型的な量(約1.5±0.3ppm Hf)だけでなく、比較並びに以前に開示された例1及び2における残留触媒金属の量を開示している。例43~47において、同じ架橋メタロセン触媒配合物が、反応器111a及び112aに注入された(
図4)。比較Q1~Q4は、Hf系触媒配合物を使用して製造され、0.24~0.34ppmのHf及び検出不可能なTiを含んでいた。比較2及び比較3は、第1の反応器でHf系触媒配合物を使用して、及び第2の反応器でTi系触媒配合物を使用して製造された。表4中の残りの比較は、様々なTi系触媒配合物により生成され、すなわち比較R、S、U、V、1、4及び5では、Ti含有量は0.14~7.14ppm Tiの範囲であった。
【0198】
2つの反応器において同じ種類の成分Aが用いられた実施形態では、エチレンインターポリマー生成物中の残留触媒金属の上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく、エチレンインターポリマー生成物中の残留触媒金属の下限は0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0199】
3つの反応器が動作しており、各反応器において異なる種類の成分A(異なる金属を有する)、例えばAR1、AR1、及びAR1が用いられた実施形態では、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR1のppmの上限は3.0ppm、他の場合では2.5ppm、さらに他の場合では2.0ppmであってもよく、一方エチレンインターポリマー生成物中の金属AR1のppmの下限は0.0015ppm、他の場合では0.005ppm、さらに他の場合では0.01ppmであってもよく、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR2のppmの上限は5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく、一方エチレンインターポリマー生成物中の金属AR2のppmの下限は0.003ppm、他の場合では0.01ppm、さらに他の場合では0.015ppmであってもよく、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR3のppmの上限は1.5ppm、他の場合では1.25ppm、さらに他の場合では1.0ppmであってもよく、一方金属AR3のppmの下限は0ppmであってもよい。
【0200】
金属CR3を含む非架橋シングルサイト触媒配合物が管状反応器に注入された実施形態では、エチレンインターポリマー生成物中の金属CR3のppmの上限は1.0ppm、他の場合では0.8ppm、さらに他の場合では0.5ppmであってもよい。金属BR3を含む均一触媒配合物が管状反応器に注入された実施形態では、エチレンインターポリマー生成物中の金属BR3のppmの上限は1.5ppm、他の場合では1.25ppm、さらに他の場合では1.0ppmであってもよい。金属ZR3を含む不均一触媒配合物が管状反応器に注入された実施形態では、エチレンインターポリマー生成物中の金属ZR3のppmの上限は3.5ppm、他の場合では3ppm、さらに他の場合では2.5ppmであってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の金属AR3、CR3、BR3又はZR3のppmの下限は、0.0であった。
【0201】
エチレンインターポリマー生成物のメルトインデックスの上限は500dg/分、いくつかの場合では400dg/分、他の場合では300dg/分、さらに他の場合では200dg/分であってもよい。エチレンインターポリマー生成物のメルトインデックスの下限は0.3dg/分、いくつかの場合では0.4dg/分、他の場合では0.5dg/分、さらに他の場合では0.6dg/分であってもよい。
【0202】
製造品
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、単層又は多層フィルム等の可撓性製造品に変換され得る。そのようなフィルムを調製するためのプロセスの限定されない例は、ブローフィルムプロセス、ダブルバブルプロセス、トリプルバブルプロセス、キャストフィルムプロセス、テンターフレームプロセス、及び流れ方向配向(MDO)プロセスを含む。
【0203】
ブローフィルム押出しプロセスでは、押出機が熱可塑性物質又は熱可塑性物質ブレンドを加熱、溶融、混合及び運搬する。融解したら、熱可塑性物質は、環状ダイに押し通されて熱可塑性チューブを生成する。共押出しの場合、複数の押出機を用いて多層熱可塑性チューブを生成する。押出しプロセスの温度は、主として加工されている熱可塑性物質又は熱可塑性物質ブレンドによって、例えば熱可塑性物質の融点又はガラス転移温度、及び溶融物の所望の粘度によって決定される。ポリオレフィンの場合、典型的な押出し温度は、330°F~550°F(166℃~288℃)である。環状ダイから出た後、熱可塑性チューブは、空気で膨張され、冷却され、固化され、ニップローラの対を通して引き出される。空気膨張のために、チューブの直径が増加して所望のサイズのバブルを形成する。ニップローラの引き出し動作のために、バブルは流れ方向に延伸される。したがって、バブルは、膨張する空気がバブルの直径を増加させる幅方向(TD)、及びニップローラがバブルを延伸する流れ方向(MD)の2方向に延伸される。その結果、ブローフィルムの物性は典型的には異方性であり、すなわち物性はMD及びTD方向で異なり、例えば、フィルム引裂き強度及び引張特性が典型的にはMD及びTDで異なる。いくつかの先行技術文献において、「横方向」又は「CD」という用語が使用されているが、これらの用語は、本開示において使用されている「幅方向」又は「TD」という用語と同等である。ブローフィルムプロセスでは、空気はまた外部バブル周縁にも吹き付けられて、熱可塑性物質が環状ダイから出る際にそれを冷却する。フィルムの最終幅は、膨張する空気又は内部バブル圧力を制御することにより、換言すればバブル直径を増加又は減少させることにより決定される。フィルム厚は、主として、引き下ろし速度を制御するためにニップローラの速度を増加又は減少させることにより制御される。ニップローラから出た後、バブル又はチューブは萎み、流れ方向に切られることでシートが形成されてもよい。各シートは、フィルムのロールに巻かれてもよい。各ロールは、さらに切られて所望の幅のフィルムが形成されてもよい。フィルムの各ロールは、以下で説明されるような様々な消費者製品にさらに加工される。
【0204】
キャストフィルムプロセスは、単一又は複数の押出機が使用され得るという点で同様であるが、様々な熱可塑性材料がフラットダイに量り入れられ、チューブではなく単層又は多層シートに押し出される。キャストフィルムプロセスでは、押し出されたシートは、冷却ロール上で固化される。
【0205】
ダブルバブルプロセスでは、第1のブローフィルムバブルが形成及び冷却され、次いで第1のバブルが加熱及び再膨張されて第2のブローフィルムバブルを形成し、これがその後冷却される。本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物はまた、トリプルバブルブロープロセスにも好適である。開示されるエチレンインターポリマー生成物に好適なさらなるフィルム変換プロセスは、流れ方向配向(MDO)ステップを含むプロセス、例えば、フィルムをブロー又はフィルムをキャストし、フィルムを急冷し、次いでフィルムチューブ又はフィルムシートを任意の延伸比でMDOプロセスに供することを含むプロセスを含む。さらに、本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物フィルムは、テンターフレームプロセス、及び二軸配向を導入する他のプロセスにおける使用に好適である。
【0206】
最終用途に応じて、開示されるエチレンインターポリマー生成物は、広範囲の厚さにわたるフィルムに変換され得る。限定されない例は、厚さが0.5ミル(13μm)~4ミル(102μm)の範囲となり得る食品包装フィルム、及びフィルム厚が2ミル(51μm)~10ミル(254μm)の範囲となり得る重袋を含む。
【0207】
単層フィルムにおける単層は、2種以上のエチレンインターポリマー生成物及び/又は1種若しくは複数種の追加的なポリマーを含んでもよく、追加的なポリマーの限定されない例は、エチレンポリマー及びプロピレンポリマーを含む。単層フィルムにおけるエチレンインターポリマー生成物の重量パーセントの下限は3wt.%、他の場合では10wt.%、さらに他の場合では30wt.%であってもよい。単層フィルムにおけるエチレンインターポリマー生成物の重量パーセントの上限は100wt.%、他の場合では90wt.%、さらに他の場合では70wt.%であってもよい。
【0208】
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物はまた、多層フィルムの1つ又は複数の層で使用されてもよく、多層フィルムの限定されない例は、3層、5層、7層、9層、11層又はそれ以上の層を含む。開示されるエチレンインターポリマー生成物はまた、マイクロ積層ダイ及び/又はフィードブロックを用いるプロセスにおける使用に好適であり、そのようなプロセスは、多くの層を有するフィルムを生成することができ、限定されない例は、10~10,000層を含む。
【0209】
多層フィルム内の特定の層(エチレンインターポリマー生成物を含む)の厚さは、全多層フィルム厚の5%、他の場合では15%、さらに他の場合では30%であってもよい。他の実施形態において、多層フィルム内の特定の層(エチレンインターポリマー生成物を含む)の厚さは、全多層フィルム厚の95%、他の場合では80%、さらに他の場合では65%であってもよい。多層フィルムのそれぞれの個々の層は、2種以上のエチレンインターポリマー生成物及び/又は追加的な熱可塑性物質を含んでもよい。
【0210】
追加的な実施形態は、ラミネーション及びコーティングを含み、開示されるエチレンインターポリマー生成物を含む単層又は多層フィルムは、押出しラミネーション又は接着ラミネーション又は押出しコーティングされる。押出しラミネーション又は接着ラミネーションでは、2つ以上の基板が、それぞれ熱可塑性物質又は接着剤で互いに接合される。押出しコーティングでは、熱可塑性物質が基板の表面に塗布される。これらのプロセスは、当業者に周知である。多くの場合、接着ラミネーション又は押出しラミネーションは異種材料を接合するために使用され、その限定されない例は、紙ウェブの熱可塑性物質ウェブへの接合、又はアルミニウム箔含有ウェブの熱可塑性物質ウェブへの接合、又は化学的に不適合性の2種の熱可塑性物質ウェブの接合、例えばエチレンインターポリマー生成物含有ウェブのポリエステル若しくはポリアミドウェブへの接合を含む。ラミネーションの前に、開示されるエチレンインターポリマー生成物(単数又は複数)を含むウェブは、単層又は多層であってもよい。ラミネーションの前に、個々のウェブは、接合を改善するために表面処理されてもよく、表面処理の限定されない例はコロナ処理である。一次ウェブ又はフィルムが、二次ウェブを有する上表面、下表面、又は上表面と下表面の両方にラミネートされてもよい。二次ウェブ及び三次ウェブが一次ウェブにラミネートされてもよく、二次及び三次ウェブは化学組成が異なる。限定されない例として、二次又は三次ウェブは、ポリアミド、ポリエステル及びポリプロピレン、又はEVOH等のバリア樹脂層を含むウェブを含んでもよい。そのようなウェブはまた、蒸着バリア層、例えば酸化ケイ素(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlOx)薄層を含んでもよい。多層ウェブ(又はフィルム)は、3層、5層、7層、9層、11層又はそれ以上の層を含んでもよい。
【0211】
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、1つ又は複数のフィルム(単層又は多層)を含む広範囲の製造品において使用され得る。そのような製造品の限定されない例は、食品包装フィルム(生及び冷凍食品、液体、並びに顆粒状食品)、自立式パウチ、レトルト用包装及びバッグインボックス包装;バリアフィルム(酸素、水分、芳香、油等)及び調整雰囲気包装;簡易及び丈夫な収縮フィルム及びラップ、コレーション収縮フィルム、パレット収縮フィルム、収縮バッグ、収縮バンドリング及び収縮シュラウド;簡易及び丈夫な延伸フィルム、ハンドストレッチラップ(hand stretch wrap)、機械ストレッチラップ(machine stretch wrap)及びストレッチフードフィルム(stretch hood film);高透明度フィルム;重袋;家庭用ラップ、オーバーラップフィルム及びサンドイッチ用の袋;工業用及び施設用フィルム、ゴミ袋、缶ライナー、雑誌用オーバーラップ、新聞袋、郵便袋、大袋及び封筒、バブルラップ、カーペットフィルム、家具用袋、衣類用袋、硬貨用の袋、自動車パネルフィルム;ガウン、ドレーピング及び手術着等の医療用途;建築用フィルム及びシート、アスファルトフィルム、断熱袋、マスキングフィルム、造園用のフィルム及び袋;都市ごみ処理及び採鉱用途のジオメンブレンライナー;バッチインクルージョンバッグ(batch inclusion bag);農業用フィルム、マルチフィルム及びグリーンハウスフィルム;店内包装、セルフサービス袋、洋品店用の袋、買い物袋、持ち帰り用の袋及びTシャツ用の袋;配向フィルム、流れ方向配向(MDO)フィルム、二軸配向フィルム、及び配向ポリプロピレン(OPP)フィルムにおける機能的フィルム層、例えばシーラント及び/又は強靭層を含む。少なくとも1種のエチレンインターポリマー生成物含む1つ又は複数のフィルムを含む追加的な製造品は、ラミネート及び/又は多層フィルム;多層フィルム及び複合材におけるシーラント及びタイ層;紙とのラミネーション;アルミニウム箔ラミネート又は真空蒸着アルミニウムを含むラミネート;ポリアミドラミネート;ポリエステルラミネート;押出しコーティングラミネート;並びにホットメルト接着剤配合物を含む。この段落で要約される製造品は、開示されるエチレンインターポリマー生成物の少なくとも1つの実施形態を含む少なくとも1つのフィルム(単層又は多層)を含む。
【0212】
所望のフィルム物性(単層又は多層)は、典型的には、対象となる用途に依存する。望ましいフィルム特性の限定されない例は、光学特性(光沢、ヘーズ及び透明度)、ダート衝撃、エルメンドルフ引裂度、弾性係数(1%及び2%割線弾性係数)、引張特性(降伏強度、破断強度、破断時伸び、靭性等)、ヒートシール特性(ヒートシール開始温度、SIT、及びホットタック)を含む。パウチ様包装内に市販製品(液体、固体、ペースト、パーツ等)を装填及びシールする高速縦型及び横型製袋充填プロセスにおいては、特定のホットタック及びヒートシール特性が望まれる。
【0213】
所望のフィルム物性に加えて、開示されるエチレンインターポリマー生成物がフィルムライン上で加工が容易であることが望ましい。当業者は、「加工性」という用語を使用して、より低い加工性を有するポリマーに対して改善された加工性を有するポリマーを区別することが多い。加工性を定量するために一般的に使用される評価基準は押出し圧力であり、より具体的には、改善された加工性を有するポリマーは、より加工性の低いポリマーに比べてより低い押出し圧力を有する(ブローフィルム又はキャストフィルム押出しライン上で)。
【0214】
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、例えば本明細書に開示される比較1の生成物に比べて、改善されたバブル安定性を有する。改善されたバブル安定性によって、より高い生成速度で単層又は多層フィルムを生成することができる。センチニュートン(cN)で測定される溶融強度は、バブル安定性の評価基準としてしばしば使用され、すなわち、溶融強度が高いほどバブル安定性が高い。
【0215】
このセクションに記載される製造品において使用されるフィルムは、その使用目的に応じて、添加剤及びアジュバントを任意選択で含んでもよい。添加剤及びアジュバントの限定されない例は、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、充填材料、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核形成剤及びそれらの組合せを含む。
【0216】
本明細書に開示されるプロセスはまた、剛性の用途又は剛性の物品における使用のための所望の物性の有用な組合せを有するエチレンインターポリマー生成物を作製することができる。剛性の物品の限定されない例は、総菜用容器、マーガリンのタブ型容器、飲料カップ及び農産物トレイ;家庭用及び工業用容器、カップ、ボトル、ペール、クレート、タンク、ドラム、バンパー、蓋、工業用バルク容器、工業用槽、材料取り扱い用容器、ボトルキャップライナー、ボトルキャップ、一体ヒンジ型クロージャ;玩具、遊具、娯楽器具、ボート、海洋及び保安機器;ワイヤ及びケーブル用途、例えば電力ケーブル、通信ケーブル及び導管;可撓性チューブ及びホース;圧力パイプ及び非圧力パイプ市場の両方を含むパイプ用途、例えば天然ガス分配、給水本管、屋内配管、雨水管、下水管、波形パイプ及び導管;発泡シート又はバンフォームから製造された発泡物品;軍用の包装(装備及びインスタント食品);パーソナルケア包装、おむつ及び衛生製品;化粧品、医薬品及び医療用包装;並びにトラックベッドライナー、パレット及び自動車用の荷敷きを含む。この段落で要約されている剛性製造品は、本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物の1種若しくは複数種、又は本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物の少なくとも1種と少なくとも1種の他の熱可塑性物質とのブレンドを含む。
【0217】
そのような剛性製造品は、以下の限定されないプロセスを使用して製作され得る:射出成形、圧縮成形、ブロー成形、回転成形、異形押出し、パイプ押出し、シート熱成形、及び化学的又は物理的起泡剤を用いた発泡プロセス。
【0218】
剛性製造品の所望の物性は、対象となる用途に依存する。所望の特性の限定されない例は、曲げ弾性係数(1%及び2%割線弾性係数);引張靱性;環境応力亀裂抵抗(ESCR);低速亀裂成長抵抗(PENT);摩耗抵抗;ショア硬度;荷重たわみ温度;VICAT軟化点;IZOD衝撃強度;ARM衝撃抵抗;シャルピー衝撃抵抗;並びに色(白色度及び/又は黄色度)を含む。
【0219】
このセクションに記載される剛性製造品は、その使用目的に応じて、添加剤及びアジュバントを任意選択で含んでもよい。添加剤及びアジュバントの限定されない例は、酸化防止剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、充填材料、熱安定剤、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核形成剤及びそれらの組合せを含む。
【0220】
実施形態の説明
以下の段落は、開示されるエチレンインターポリマー生成物の実施形態を開示する。
【0221】
少なくとも2種のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物であって、
a)式1により定義される0.05以上0.80以下の無次元メルトフロー-固有粘度指数MFIVI
【数25】
式中、f
二峰性は式2により定義され、
【数26】
前記エチレンインターポリマー生成物の多分散性Pd(式2中)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定され、Pd=M
w/M
nであり、M
w及びM
nは、それぞれ重量平均及び数平均分子量であり;
補正係数C
f(式2中)は、以下の2つのステップ(i)及び(ii)に従って決定され、
(i)式3により定義される前記エチレンインターポリマー生成物のメルトフロー分布関数
【数27】
が、Log(1/I
n)対Log(荷重)をプロットすることにより決定され、I
nは、ASTM D1238に従い190℃で測定される、21600、10000、6000及び2160グラムの荷重での前記エチレンインターポリマー生成物の測定メルトインデックスであり、
(ii)前記メルトフロー分布関数の一次導関数が、式4により定義され、
【数28】
前記補正係数C
f(式1)は、4000gの荷重での前記一次導関数(式4)の値であり;
コモノマー重量パーセント、コモノマーWt%(式1)は、ASTM D6645に従ってFTIRにより測定される、前記エチレンインターポリマー生成物中のコモノマーの重量パーセントであり、コモノマーWt%が14.95%超である場合、コモノマー係数f
コモノマー(式1)は式5により定義され、コモノマーWt%が14.95%以下である場合、前記コモノマー係数は式6により定義され、
【数29】
前記エチレンインターポリマー生成物のフィッティングされたメルトインデックスI
f(式1)は、4000gの荷重での前記メルトフロー分布関数(式3)の値により決定され;
IV及びM
v(式1)は、それぞれ、3D-SECにより決定される前記エチレンインターポリマー生成物の固有粘度及び粘度平均モル質量である;
b)-1.51超-1.15以下の値を有する、4000gの荷重での一次導関数(式4);
【数30】
c)式7により定義される、炭素原子100個当たり0.005以上0.047未満の不飽和の不飽和合計SUM
U
【数31】
式中、I
U、SC
U及びT
Uは、それぞれ、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98により決定される前記エチレンインターポリマー生成物中の炭素100個当たりの内部、側鎖及び末端不飽和の量である;並びに
d)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属であって、中性子放射化を使用して測定される残留触媒金属を含む、エチレンインターポリマー生成物。
【0222】
エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、(i)架橋メタロセン触媒を使用して製造された第1及び第2のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物;又は(ii)架橋メタロセン触媒配合物を使用して製造された第1及び第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物;又は(iii)架橋メタロセン触媒を使用して製造された第1及び第2のエチレンインターポリマー、並びに均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を使用して製造された第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を含む。開示されるエチレンインターポリマー生成物は、0.01~200dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する5~60重量パーセントの第1のエチレンインターポリマー;0.3~1000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する20~95重量パーセントの第2のエチレンインターポリマー;並びに任意選択で、0.5~2000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する0~30重量パーセントの第3のエチレンインターポリマーを含んでもよく、重量パーセントは、前記第1、前記第2又は前記任意選択の第3のエチレンインターポリマーの重量を、個々に前記エチレンインターポリマー生成物の重量で除したものである。開示されるエチレンインターポリマー生成物の実施形態は、約0.3~約500dg/分のメルトインデックス、約0.855~約0.975g/ccの密度、約1.7~約25のM
w/M
n及び約1%~約98%のCDBI
50を有してもよい。エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、0~約25モルパーセントの1種又は複数種のα-オレフィンを含んでもよく、α-オレフィンの限定されない例は、C
3~C
10α-オレフィン又はこれらのα-オレフィンのブレンドを含む。開示されるエチレンインターポリマー生成物は、1つ又は複数の反応器を用いた溶液重合プロセスにおいて製造され得る。架橋メタロセン触媒配合物の実施形態は、式(I):
【化3】
により定義される成分Aを含み、式中、Mは、チタン、ハフニウム及びジルコニウムから選択される金属であり;Gは、元素炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ又は鉛であり;Xはハロゲン原子を表し、R
6基は、独立して、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基又はC
6~10アリールオキシド基から選択され、これらの基は、直鎖、分岐状若しくは環式であってもよく、又はハロゲン原子、C
1~10アルキル基、C
1~10アルコキシ基、C
6~10アリール若しくはアリールオキシ基でさらに置換されていてもよく;R
1は、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、又はC
6~10アリールオキシド基を表し;R
2及びR
3は、独立して、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基又はC
6~10アリールオキシド基から選択され;R
4及びR
5は、独立して、水素原子、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基若しくはC
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択される。架橋メタロセン触媒配合物は、アルモキサン共触媒を含む成分M;ホウ素イオン性活性剤を含む成分B;及び任意選択で、ヒンダードフェノールを含む成分Pをさらに含んでもよい。
【0223】
式(I)、(Ia)の種類は、第1のエチレンインターポリマーを合成するために使用され得、式(I)、(Ib)の種類は、第2又は第3のエチレンインターポリマーを合成するために使用され得、(Ia)及び(Ib)の種類は、同じ又は異なってもよい。
【0224】
第3のエチレンインターポリマーは、均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を使用して合成され得、均一触媒配合物の限定されない例は、架橋メタロセン触媒配合物又は非架橋シングルサイト触媒配合物を含み、不均一触媒配合物の限定されない例は、インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物又はバッチチーグラー・ナッタ触媒配合物を含む。
【0225】
他の実施形態は、i)エチレン、プロセス溶媒、架橋メタロセン触媒配合物、任意選択で1種又は複数種のα-オレフィン及び任意選択で水素を第1の反応器に注入して、前記プロセス溶媒中の第1のエチレンインターポリマーを含む第1の出口ストリームを生成するステップと;ii)前記第1の出口ストリームを第2の反応器内に通し、エチレン、前記プロセス溶媒、前記架橋メタロセン触媒配合物、任意選択で1種又は複数種のα-オレフィン及び任意選択で水素を前記第2の反応器に注入して、前記プロセス溶媒中の第2のエチレンインターポリマー及び前記第1のエチレンインターポリマーを含む第2の出口ストリームを生成するステップと;iii)前記第2の出口ストリームを第3の反応器内に通し、任意選択で、エチレン、プロセス溶媒、1種又は複数種のα-オレフィン、水素及び均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を前記第3の反応器に注入して、前記プロセス溶媒中の第3のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー及び前記第1のエチレンインターポリマーを含む第3の出口ストリームを生成するステップと;iv)前記第3の出口ストリームを相分離して、前記第1のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー及び前記任意選択の第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を回収するステップとを含む連続溶液重合プロセスを含み、前記連続溶液重合プロセスは、(a)及び/又は(b)を有することにより改善される:
(a)以下の式により定義される、少なくとも70%の低減[α-オレフィン/エチレン]重量比
【数32】
式中、(α-オレフィン/エチレン)
Aは、前記第1の反応器に添加される前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加される前記エチレンの重量で除すことにより計算され、目標密度を有する前記第1のエチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物により生成され;(α-オレフィン/エチレン)
Cは、前記第1の反応器に添加される前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加される前記エチレンの重量で除すことにより計算され、前記目標密度を有する対照エチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより生成される;
(b)以下の式により定義される、少なくとも5%の改善重量平均分子量
%改善M
w=100%×(M
w
A-M
w
C)/M
w
C≧10%
式中、M
w
Aは、前記第1のエチレンインターポリマーの重量平均分子量であり、M
w
Cは、比較エチレンインターポリマーの重量平均分子量であり;前記比較エチレンインターポリマーは、前記第1の反応器において、前記架橋メタロセン触媒配合物を前記非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより生成される。このプロセスの追加的なステップは、a)任意選択で、前記第2の反応器の下流で触媒不活性化剤Aを前記第2の出口ストリームに添加して、不活性化溶液Aを形成するステップ;b)前記第3の反応器の下流で触媒不活性化剤Bを前記第3の出口ストリームに添加して、不活性化溶液Bを形成するステップ(但し、ステップa)において前記触媒不活性化剤Aが添加される場合はステップb)は飛ばされる);c)前記不活性化溶液A又はBを相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収するステップを含み得る。不均一触媒配合物が第3の反応器に添加される場合、追加的なプロセスステップは、d)前記不活性化溶液A又はBに不動態化剤を添加して、不動態化溶液を形成するステップ(但し、前記不均一触媒配合物が前記第3の反応器に添加されない場合はステップd)は飛ばされる);及びe)前記不活性化溶液A若しくはB、又は前記不動態化溶液を相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収するステップを含み得る。架橋メタロセン触媒配合物は、嵩高い配位子-金属錯体「成分A」;アルモキサン共触媒を含む成分M;ホウ素イオン性活性剤を含む成分B;及び任意選択で、ヒンダードフェノールを含む成分Pを含んでもよく、以下のモル比が用いられてもよい:約0.3:1~約10:1の前記成分B対前記成分Aのモル比;約1:1~約300:1の前記成分M対前記成分Aのモル比;及び0.0:1~約1:1の前記任意選択の成分P対前記成分M
Aのモル比。成分M、B及びPの限定されない例は、それぞれ、メチルアルモキサン(MMAO-7)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールを含む。プロセスは、前記第1の反応器及び任意選択で前記第2の反応器への、約20℃~約70℃の触媒入口温度での前記架橋メタロセン触媒配合物の注入をさらに含んでもよく、任意選択で、前記成分M及び前記成分Pは、前記架橋メタロセン触媒配合物から削除され、式Al(R
1)
n(OR
2)
o(式中、(R
1)基は、1~10個の炭素原子を有する同じ又は異なるヒドロカルビル基であってもよく;(OR
2)基は、同じ又は異なるアルコキシ又はアリールオキシ基であってもよく、R
2は、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり;(n+o)=3であるが、但しnは0より大きい)により定義される成分Jで置き換えられてもよい。任意選択で、前記架橋メタロセン触媒配合物は、80℃~180℃の触媒入口温度で前記反応器に注入されてもよい。任意選択で、前記第3の反応器に注入される前記均一触媒配合物は、前記架橋メタロセン配合物、前記シングルサイト触媒配合物、又は嵩高い金属-配位子錯体が式(I)若しくは(II)により定義される種類のメンバーではない均一触媒配合物である。任意選択で、前記第3の反応器に注入される前記不均一触媒配合物は、インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物又はバッチチーグラー・ナッタ触媒配合物である。インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物は、i)インライン不均一触媒アセンブリにおいて、ストリームS1及びストリームS2を組み合わせることにより第1の生成物混合物を形成し、前記第1の生成物混合物をHUT-1秒間平衡化するステップであって、前記ストリームS1は、前記プロセス溶媒中のマグネシウム化合物及びアルミニウムアルキルを含み、前記ストリームS2は、前記プロセス溶媒中の塩化物化合物を含むステップと;ii)前記インライン不均一触媒アセンブリにおいて、前記第1の生成物混合物をストリームS3と組み合わせることにより第2の生成物混合物を形成し、前記第2の生成物混合物をHUT-2秒間平衡化するステップであって、前記ストリームS3は、前記プロセス溶媒中の金属化合物を含むステップと;iii)前記インライン不均一触媒アセンブリにおいて、前記第2の生成物混合物をストリームS4と組み合わせることにより前記インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を形成し、前記インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物をHUT-3秒間平衡化してから、前記第3の反応器に注入するステップであって、前記ストリームS4は、前記プロセス溶媒中のアルキルアルミニウム共触媒を含むステップと;iv)任意選択で、ステップiii)が飛ばされ、前記インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物が前記第3の反応器内で形成され、前記第2の生成物混合物がさらにHUT-3秒間平衡化されて前記第3の反応器に注入され、前記ストリームS4が独立して前記第3の反応器に注入されるステップとを含む、インラインプロセスにおいて形成される。典型的なホールドアップ時間は以下を含む:前記HUT-1は約5秒~約70秒であり、前記HUT-2は約2秒~約50秒であり、前記HUT-3は約0.5~約15秒である。また、前記インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物及び任意選択で前記第2の生成物混合物は、約20℃~約70℃の触媒入口温度で注入される。インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物は以下を含み得る:i)前記マグネシウム化合物は式Mg(R
1)
2(式中、R
1基は同じ又は異なってもよい)により定義され;ii)前記アルミニウムアルキルは、式Al(R
3)
3(式中、R
3基は同じ又は異なってもよい)により定義され;iii)前記塩化物化合物は、式R
2Clにより定義され;iv)前記金属化合物は、式M(X)
n又はMO(X)
n(式中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム又はそれらの混合物を表し、Oは酸素を表し、Xは塩化物又は臭化物を表し、nは、金属Mの酸化状態を満たす整数である)により定義され;v)前記アルキルアルミニウム共触媒は、式Al(R
4)
p(OR
5)
q(X)
r(式中、R
4基は同じ又は異なってもよく、OR
5基は同じ又は異なってもよく、(p+q+r)=3であり、但しpは0より大きく;R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し;任意選択で、R
2は水素原子であってもよい)により定義される。インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物は、3.0:1~70:1の前記第3の反応器内の前記アルミニウムアルキル対前記マグネシウム化合物のモル比;1.0:1~4.0:1の前記第3の反応器内の前記塩化物化合物対前記マグネシウム化合物のモル比;0:1~10:1の前記第3の反応器内の前記アルキルアルミニウム共触媒対前記金属化合物のモル比;及び0.05:1~2:1の前記第3の反応器内の前記アルミニウムアルキル対前記金属化合物のモル比を含んでもよい。この段落に記載されるプロセス実施形態において、プロセス溶媒は、1種又は複数種のC
5~C
12アルカンであってもよく、前記第1、第2及び第3の反応器は、80℃~300℃の温度、及び3MPag~45MPagの圧力で動作し得る。前記第1の反応器内のプロセス溶媒は、約10秒~約600秒の平均反応器滞留時間を有し、前記第2の反応器内の前記プロセス溶媒は、約10秒~約720秒の平均反応器滞留時間を有する。プロセスはまた、1℃~120℃の範囲の反応器温度差(T
R2-T
R1)を有してもよく、T
R2は、前記第2の反応器内の溶液の温度であり、T
R1は、前記第1の反応器内の溶液の温度である。前記任意選択のα-オレフィンは、C
3~C
10α-オレフィンの1種又は複数種であってもよい。エチレンインターポリマー生成物は、この段落で開示された溶液重合プロセスの実施形態を用いて生成され得る。
【0226】
他の実施形態は、i)エチレン、プロセス溶媒、架橋メタロセン触媒配合物、任意選択で1種又は複数種のα-オレフィン及び任意選択で水素を第1の反応器に注入して、前記プロセス溶媒中の第1のエチレンインターポリマーを含む第1の出口ストリームを生成するステップと;ii)エチレン、前記プロセス溶媒、前記架橋メタロセン触媒配合物、任意選択で1種又は複数種のα-オレフィン、及び任意選択で水素を第2の反応器に注入して、前記プロセス溶媒中の第2のエチレンインターポリマーを含む第2の出口ストリームを生成するステップと;iii)前記第1及び前記第2の出口ストリームを組み合わせて、第3の出口ストリームを形成するステップと;iv)前記第3の出口ストリームを第3の反応器内に通し、任意選択で、エチレン、プロセス溶媒、1種又は複数種のα-オレフィン、水素及び均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を前記第3の反応器に注入して、前記プロセス溶媒中の任意選択の第3のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー及び前記第1のエチレンインターポリマーを含む第4の出口ストリームを生成するステップと;v)前記第4の出口ストリームを相分離して、前記第1のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー及び前記任意選択の第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を回収するステップとを含む連続溶液重合プロセスを含み、前記連続溶液重合プロセスは、以下の1つ又は複数、すなわち(a)及び/又は(b)を有することにより改善される:
(a)以下の式により定義される、少なくとも70%の低減[α-オレフィン/エチレン]重量比
【数33】
式中、(α-オレフィン/エチレン)
Aは、前記第1の反応器に添加される前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加される前記エチレンの重量で除すことにより計算され、目標密度を有する前記第1のエチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物により生成され;(α-オレフィン/エチレン)
Cは、前記第1の反応器に添加される前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加される前記エチレンの重量で除すことにより計算され、前記目標密度を有する対照エチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより生成される;
(b)以下の式により定義される、少なくとも5%の改善重量平均分子量
%改善M
w=100%×(M
w
A-M
w
C)/M
w
C≧5%
式中、M
w
Aは、前記第1のエチレンインターポリマーの重量平均分子量であり、M
w
Cは、比較エチレンインターポリマーの重量平均分子量であり;前記比較エチレンインターポリマーは、前記第1の反応器において、前記架橋メタロセン触媒配合物を前記非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより生成される。
【0227】
このプロセスの追加的なステップは、a)任意選択で、前記第2の反応器の下流で触媒不活性化剤Aを前記第3の出口ストリームに添加して、不活性化溶液Aを形成するステップ;b)前記第3の反応器の下流で触媒不活性化剤Bを前記第4の出口ストリームに添加して、不活性化溶液Bを形成するステップ(但し、ステップa)において前記触媒不活性化剤Aが添加される場合はステップb)は飛ばされる);c)前記不活性化溶液A又はBを相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収するステップを含み得る。不均一触媒配合物が第3の反応器に添加される場合、追加的なプロセスステップは、d)前記不活性化溶液A又はBに不動態化剤を添加して、不動態化溶液を形成するステップ(但し、前記不均一触媒配合物が前記第3の反応器に添加されない場合は、ステップd)は飛ばされる);及びe)前記不活性化溶液A若しくはB、又は前記不動態化溶液を相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収するステップを含み得る。エチレンインターポリマー生成物は、この段落で開示された溶液重合プロセスの実施形態を用いて生成され得る。
【0228】
本開示の追加的な実施形態は、実施形態F、すなわち、少なくとも2種のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を含む少なくとも1つの層を含むフィルムを含み、前記エチレンインターポリマー生成物は、以下a~dを含む:
a)式1により定義される0.05以上0.80以下の無次元メルトフロー-固有粘度指数MFIVI
【数34】
式中、f
二峰性は式2により定義され、
f
二峰性=10
(-0.94831×Log(Pd)-0.94322×Cf-0.71879) (式2)
前記エチレンインターポリマー生成物の多分散性Pd(式2中)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定され、Pd=M
w/M
nであり、M
w及びM
nは、それぞれ、重量平均及び数平均分子量であり;
補正係数C
f(式2中)は、以下の2つのステップ(i)及び(ii)に従って決定され、
(i)式3により定義される前記エチレンインターポリマー生成物のメルトフロー分布関数
【数35】
が、Log(1/I
n)対Log(荷重)をプロットすることにより決定され、I
nは、ASTM D1238に従い190℃で測定される、21600、10000、6000及び2160グラムの荷重での前記エチレンインターポリマー生成物の測定メルトインデックスであり、
(ii)前記メルトフロー分布関数の一次導関数が、式4により定義され、
【数36】
前記補正係数C
f(式2)は、4000gの荷重での前記一次導関数(式4)の値であり;
コモノマー重量パーセント、コモノマーWt%(式1)は、ASTM D6645に従ってFTIRにより測定される、前記エチレンインターポリマー生成物中のコモノマーの重量パーセントであり、コモノマーWt%が14.95%超である場合、コモノマー係数f
コモノマー(式1)は式5により定義され、コモノマーWt%が14.95%以下である場合、前記コモノマー係数は式6により定義され、
【数37】
前記エチレンインターポリマー生成物のフィッティングされたメルトインデックスI
f(式1)は、4000gの荷重での前記メルトフロー分布関数(式3)の値により決定され;
IV及びM
v(式1)は、それぞれ、3D-SECにより決定される前記エチレンインターポリマー生成物の固有粘度及び粘度平均モル質量である;
b)-1.51以上-1.15以下の値を有する、4000gの荷重での前記一次導関数(式4);
【数38】
c)式7により定義される、炭素原子100個当たり0.005以上0.047未満の不飽和の不飽和合計SUM
U
【数39】
式中、I
U、SC
U及びT
Uは、それぞれ、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98により決定される前記エチレンインターポリマー生成物中の炭素100個当たりの内部、側鎖及び末端不飽和の量である;並びに
d)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属であって、中性子放射化を使用して測定される残留触媒金属。
【0229】
実施形態Fにおいて、エチレンインターポリマー生成物は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意選択で第3のエチレンインターポリマーを含み、第1及び第2のエチレンインターポリマー又は第1及び第3のエチレンインターポリマーは、式(I)により定義される成分Aを含む架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成され:
【化4】
式中、
Mは、Ti、Hf、又はZrであり;
Gは、C、Si、Ge、Sn、又はPbであり;
Xは、ハロゲン原子であり;
R
6は、出現する毎に、独立して、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、又はC
6~10アリールオキシド基から選択され、これらの基は、直鎖、分岐状若しくは環式であってもよく、又はハロゲン原子、C
1~10アルキル基、C
1~10アルコキシ基、C
6~10アリール、若しくはアリールオキシ基でさらに置換されていてもよく;
R
1は、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基であり;
R
2及びR
3は、独立して、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択され;
R
4及びR
5は、独立して、H、C
1~20ヒドロカルビル基、C
1~20アルコキシ基、C
6~10アリールオキシド基、又は少なくとも1個のケイ素原子及びC
3~30炭素原子を含むアルキルシリル基から選択され、
式(I)、(Ia)の種類は、前記第1のエチレンインターポリマーを合成するために使用され、式(I)、(Ib)の種類は、前記第2又は前記第3のエチレンインターポリマーを合成するために使用され、(Ia)及び(Ib)の種類は、同じ又は異なってもよい。
【0230】
実施形態Fのフィルムは、
a)第1及び第2のエチレンインターポリマー、又は第1及び第3のエチレンインターポリマーが比較エチレンインターポリマーで置き換えられていることを除いて同じ組成の比較フィルムに比べて10%~30%高い45°でのフィルム光沢;
b)比較フィルムと比較して30%~50%低いフィルムヘーズ
の1つ又は複数により特徴付けられ得、
比較エチレンインターポリマーは、第1及び第2のエチレンインターポリマー、又は第1及び第3のエチレンインターポリマーを製造するために使用される架橋メタロセン触媒配合物を、非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより合成される。
【0231】
実施形態Fにおけるエチレンインターポリマー生成物は、0.3~500dg/分のメルトインデックス、0.855~0.975g/ccの密度、及び0~25モルパーセントのα-オレフィン含有量により特徴付けられ得、好適なα-オレフィンは、C3~C10α-オレフィン、又は1-ヘキセン及び1-オクテン等のα-オレフィンのブレンドを含み、エチレンインターポリマー生成物は、1.7~25の多分散性Mw/Mn、及び1%~98%のCDBI50を有し得る。実施形態Fは、少なくとも1種の第2のポリマーをさらに含む少なくとも1つの層を含んでもよく、好適な第2のポリマーは、エチレンポリマー、例えばエチレンポリマー若しくはプロピレンポリマー、又はそれらの混合物を含む。実施形態Fのフィルムは、0.5ミル~10ミルの厚さを有してもよい。実施形態Fのフィルムは、2~11個の層を含んでもよく、少なくとも1つの層は、前記エチレンインターポリマー生成物を含む。
【0232】
試験方法
試験の前に、各検査試料を23±2℃及び50±10%相対湿度で少なくとも24時間調整し、その後23±2℃及び50±10%相対湿度で試験を行った。ここで、「ASTM条件」という用語は、23±2℃及び50±10%相対湿度で維持される実験室を指し、試験される検査試料は、試験前にこの実験室内で少なくとも24時間調整された。ASTMは、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)を指す。
【0233】
密度
エチレンインターポリマー生成物の密度は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を用いて決定した。
【0234】
メルトインデックス
エチレンインターポリマー生成物のメルトインデックスは、ASTM D1238(2013年8月1日)を用いて決定した。2.16kg、6.48kg、10kg及び21.6kgの重量を使用して、それぞれメルトインデックスI2、I6、I10及びI21を190℃で測定した。ここで、「応力指数」という用語又はその頭文字「S.Ex」は、
S.Ex.=log(I6/I2)/log(6480/2160)
の関係により定義され、式中、I6及びI2は、それぞれ6.48kg及び2.16kgの荷重を使用して190℃で測定されたメルトフローレートである。
【0235】
従来のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
エチレンインターポリマー生成物試料(ポリマー)を1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、炉内で150℃で4時間ホイール上で回転させることにより、ポリマー溶液(1~3mg/mL)を調製した。酸化分解に対してポリマーを安定化するために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。4つのSHODEX(登録商標)カラム(HT803、HT804、HT805及びHT806)を備えたPL220高温クロマトグラフィーユニットで、移動相としてTCBを1.0mL/分の流速で使用してポリマー溶液を140℃でクロマトグラフィー処理し、濃度検出器として示差屈折率(DRI)を用いた。BHTを250ppmの濃度で移動相に添加し、SECカラムを酸化分解から保護した。試料注入体積は200μLであった。SECカラムを、狭い分布のポリスチレン標準で較正した。ASTM標準試験法D6474-12(2012年12月)に記載のように、Mark-Houwinkの式を用いてポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。SEC生データをCirrus GPCソフトウェアで処理し、モル質量平均(Mn、Mw、Mz)及びモル質量分布(例えば多分散性Mw/Mn)を生成した。ポリエチレンの技術分野では、SECと同等の一般的に使用される用語はGPC、すなわちゲル透過クロマトグラフィーである。
【0236】
トリプル検知サイズ排除クロマトグラフィー(3D-SEC)
エチレンインターポリマー生成物試料(ポリマー)を1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、炉内で150℃で4時間ホイール上で回転させることにより、ポリマー溶液(1~3mg/mL)を調製した。酸化分解に対してポリマーを安定化するために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。示差屈折率(DRI)検出器、デュアルアングル光散乱検出器(15度及び90度)、並びに示差粘度計を備えたPL220高温クロマトグラフィーユニットで、試料溶液を140℃でクロマトグラフィー処理したが、後者の信号により式1(上記)中の固有粘度IVを決定することができる。使用したSECカラムは、4つのSHODEXカラム(HT803、HT804、HT805及びHT806)、又は4つのPL混合ALS若しくはBLSカラムのいずれかであった。TCBは1.0mL/分の流速での移動相であり、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加して、SECカラムを酸化分解から保護した。試料注入体積は200μLであった。SEC生データをCIRRUS(登録商標)GPCソフトウェアで処理し、絶対モル質量及び固有粘度([η])を生成した。「絶対」モル質量という用語は、3D-SECで決定された絶対モル質量を、従来のSECにより決定されたモル質量から区別するために使用した。3D-SECにより決定された粘度平均モル質量Mvを式1(上記)で使用して、MFIVI(式1)を決定した。
【0237】
GPC-FTIR
エチレンインターポリマー生成物(ポリマー)を1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、炉内で150℃で4時間ホイール上で回転させることにより、ポリマー溶液(2~4mg/mL)を調製した。酸化分解に対してポリマーを安定化するために、酸化防止剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。4つのSHODEXカラム(HT803、HT804、HT805及びHT806)を備えたWaters GPC 150Cクロマトグラフィーユニットで、移動相としてTCBを1.0mL/分の流速で使用して試料溶液を140℃でクロマトグラフィー処理し、検出システムとしてFTIR分光計及び加熱移送ラインを通してクロマトグラフィーユニットに結合された加熱FTIRフロースルーセルを用いた。BHTを250ppmの濃度で移動相に添加し、SECカラムを酸化分解から保護した。試料注入体積は300μLであった。生FTIRスペクトルをOPUS FTIRソフトウェアで処理し、ポリマー濃度及びメチル含有量を、OPUSと関連付けられたChemometric Software(PLS技術)でリアルタイムで計算した。次いで、ポリマー濃度及びメチル含有量を取得し、CIRRUS GPCソフトウェアでベースライン補正した。SECカラムを、狭い分布のポリスチレン標準で較正した。ASTM標準試験法D6474に記載のように、Mark-Houwinkの式を用いてポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。参照により本明細書に組み込まれるPaul J. DesLauriers、Polymer 43、159~170頁(2002)に記載のように、PLS技術により予測されたポリマー濃度及びメチル含有量に基づいて、コモノマー含有量を計算した。
【0238】
GPC-FTIR法は全メチル含有量を測定し、これは各高分子鎖の末端に位置するメチル基、すなわちメチル末端基を含む。したがって、生GPC-FTIRデータは、メチル末端基からの寄与を差し引くことにより補正されなければならない。より明確には、生GPC-FTIRデータは、短鎖分岐(SCB)の量を過大評価し、この過大評価は、分子量(M)が減少するにつれて増加する。本開示では、生GPC-FTIRデータは、2-メチル補正を使用して補正された。所与の分子量(M)において、メチル末端基の数(NE)は、式:NE=28000/Mを使用して計算され、NE(M依存性)が生GPC-FTIRデータから差し引かれて、SCB/1000C(2-メチル補正)GPC-FTIRデータが生成された。
【0239】
組成分布分岐指数(CDBI)
開示された例及び比較例の、以降でCDBIと称される「組成分布分岐指数」は、以降でCTREFと称されるIR検出器を備えたCRYSTAF/TREF 200+ユニットを使用して測定した。頭文字「TREF」は、昇温溶出分別を指す。CTREFは、PolymerChar S.A.(Valencia Technology Park、Gustave Eiffel、8、Paterna、E-46980 Valencia、Spain)により供給された。CTREFはTREFモードで動作したが、これは溶出温度、Co/Ho比(コポリマー/ホモポリマー比)及びCDBI(組成分布幅指数)、すなわちCDBI50及びCDBI25の関数としてのポリマー試料の化学組成を生成する。ポリマー試料(80~100mg)をCTREFの反応槽内に入れた。反応槽に35mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、溶液を150℃に2時間加熱することによりポリマーを溶解した。次いで、溶液のアリコート(1.5mL)を、ステンレススチールビーズが充填されたCTREFカラムに投入した。試料が投入されたカラムを、110℃で45分間安定化させた。次いで、0.09℃/分の冷却速度で30℃まで温度を降下させることにより、カラム内でポリマーを溶液から結晶化させた。次いで、カラムを30℃で30分間平衡化した。次いで、カラムを0.25℃/分の加熱速度で30℃から120℃に徐々に加熱しながら、TCBを0.75mL/分でカラムを通して流すことで、結晶化したポリマーをカラムから溶出した。Polymer Charソフトウェア、Excelスプレッドシート及び独自開発したCTREFソフトウェアを使用して、生CTREFデータを処理した。CDBI50は、その組成が中央コモノマー(α-オレフィン)組成物の50%以内であるポリマーのパーセントとして定義され、CDBI50は、米国特許第5,376,439号に記載のように、組成分布曲線及び組成分布曲線の正規化累積積分から計算された。当業者は、CTREF溶出温度をコモノマー含有量、すなわち特定の温度で溶出するエチレン/α-オレフィンポリマー分画中のコモノマーの量に変換するには、較正曲線が必要であることを理解するであろう。そのような較正曲線の生成は、先行技術、例えば参照により全体が本明細書に組み込まれるWildら、J. Polym. Sci.、パートB、Polym. Phys.、第20巻(3)、441~455頁において説明されている。CDBI25も同様に計算され、CDBI25は、その組成が中央コモノマー組成物の25%以内であるポリマーのパーセントとして定義される。各試料分析の終わりに、CTREFカラムを30分間清浄化したが、具体的には、160℃のCTREFカラム温度で、TCBをカラムに30分間流す(0.75mL/分)ことにより清浄化した。CTREFデコンボリューションを行い、以下の式を使用して第1のエチレンインターポリマーの分岐の量(BrF(#C6/1000C))及び密度を決定した:BrF(#C6/1000C)=74.29-0.7598(TP
CTREF)(式中、TP
CTREFは、CTREFクロマトグラムにおける第1のエチレンインターポリマーのピーク溶出温度である)、及びBrF(#C6/1000C)=9341.8(ρ1)2-17766(ρ1)+8446.8(式中、ρ1は、第1のエチレンインターポリマーの密度である)。第2のエチレンインターポリマーのBrF(#C6/1000C)及び密度は、エチレンインターポリマー生成物の全体的なBrF(#C6/1000C)及び密度を考慮して、ブレンド規則を用いて決定した。第2及び第3のエチレンインターポリマーのBrF(#C6/1000C)及び密度は、同じであると想定した。
【0240】
中性子放射化(元素分析)
以降でN.A.A.と称される中性子放射化分析を使用して、以下のようにエチレンインターポリマー生成物中の触媒残渣を決定した。放射線バイアル(超高純度ポリエチレンで構成される、7mL内容積)に、エチレンインターポリマー生成物試料を充填し、試料重量を記録した。空気圧式移送システムを使用して、試料をSLOWPOKE(商標)原子炉(Atomic Energy of Canada Limited、Ottawa、Ontario、Canada)内に入れ、半減期が短い元素(例えばTi、V、Al、Mg及びCl)の場合30~600秒、又は半減期が長い元素(例えばZr、Hf、Cr、Fe及びNi)の場合3~5時間照射した。反応炉内の平均熱中性子束は、5×1011/cm2/秒であった。照射後、試料を反応炉から引き出し、エージングして放射能を崩壊させた。半減期が短い元素は300秒間エージングし、又は半減期が長い元素は数日間エージングした。エージング後、ゲルマニウム半導体ガンマ線検出器(OrtecモデルGEM55185、Advanced Measurement Technology Inc.、Oak Ridge、TN、USA)及びマルチチャネル分析器(OrtecモデルDSPEC Pro)を使用して、試料のガンマ線スペクトルを記録した。試料中の各元素の量をガンマ線スペクトルから計算し、エチレンインターポリマー生成物試料の総重量に対するパーツパーミリオンで記録した。N.A.A.システムをSpecpure標準(所望の元素(純度99%超)の1000ppm溶液)で較正した。1mLの溶液(対象となる元素)を15mm×800mmの長方形の濾紙にピペットで滴下し、空気乾燥した。次いで濾紙を1.4mLのポリエチレン照射バイアル内に入れ、N.A.A.システムにより分析した。標準を使用してN.A.A.手順の感度を決定した(カウント/μgで)。
【0241】
不飽和
エチレンインターポリマー生成物中の不飽和基、すなわち二重結合の量は、ASTM D3124-98(2011年3月公開)及びASTM D6248-98(2012年7月公開)に従って決定した。エチレンインターポリマー生成物試料を、a)まず一晩の二硫化炭素抽出に供して、分析に干渉し得る添加物を除去し、b)試料(ペレット、フィルム又は顆粒形態)を均一な厚さ(0.5mm)のプラークにプレスし、c)プラークをFTIRにより分析して、末端(ビニル)及び内部不飽和(トランス-ビニレン)の量を定量し、d)試料プラークを臭素化してFTIRにより再分析し、側鎖不飽和(ビニリデン)の量を定量した。これらの基のIR共鳴は、それぞれ908cm-1、965cm-1及び888cm-1に現れた。この手順はベールの法則:A=abdcに基づいており、式中、aは測定されている特定の不飽和の吸光係数であり、bはプラークの厚さであり、dはプラークの密度であり、cは選択された不飽和である。実験的には、プラークの密度及び厚さよりも重量及び面積が測定される。
【0242】
コモノマー(α-オレフィン)含有量:フーリエ変換赤外(FTIR)分光法
エチレンインターポリマー生成物中のコモノマーの量をFTIRにより決定し、CH3#/1000C(炭素原子1000個当たりのメチル分岐の数)の次元を有する短鎖分岐(SCB)含有量として報告した。この試験は、圧縮成形ポリマープラーク及びThermo-Nicolet 750 Magna-IR Spectrophotometerを使用するASTM D6645-01(2001)に従って完了した。ポリマープラークは、ASTM D4703-16(2016年4月)に従い、圧縮成形デバイス(Wabash-Genesis Seriesプレス)を使用して調製された。
【0243】
動的機械分析(DMA)
微小ひずみ振幅下での振動剪断測定を行って、10%のひずみ振幅及び0.02~126rad/秒の周波数範囲にわたり、10当たり5点で、N2雰囲気下190℃で直線粘弾性関数を得た。5°のコーン角、137μmの切頭、及び25mmの直径を有するコーン-平面ジオメトリを使用して、TA Instruments DHR3応力制御レオメータにより周波数掃引実験を行った。この実験では、正弦ひずみ波を適用し、直線粘弾性関数に関して応力応答を分析した。DMA周波数掃引結果に基づくゼロ剪断速度粘度(η0)を、Ellisモデル(R.B. Birdら、「Dynamics of Polymer Liquids. Volume 1: Fluid Mechanics」 Wiley-Interscience Publications (1987)、228頁を参照されたい)又はCarreau-Yasudaモデル(K. Yasuda(1979) PhD論文、IT Cambridgeを参照されたい)により予測した。
【0244】
本開示では、ずり流動化τ(秒-1)の開始を、3パラメータEllisモデル(η0、τ及びη)を190℃ DMAデータ(複素粘度(η*)対周波数(ω)):すなわち(η*=η0/(1+(ω/τ)(n-1))にフィッティングすることにより決定した。
【0245】
J/molの次元を有する流動活性化エネルギー(FAE)もまた決定した。Rheometrics RDSIIを使用してデータを生成し、そこからFAEを計算したが、具体的には、4つの異なる温度(160℃、175℃、190℃及び205℃)での溶融粘度流動曲線(10当たり7データ点で0.05~100rad/秒)を測定した。参照温度として190℃を使用して、時間-温度-重ね合わせシフト(time-temperature-superposition shift)を行ってシフト因子を得た。流動曲線のTTS(時間-温度重ね合わせ(Markovitz, H.、「レオロジーにおける重ね合わせ(Superposition in Rheology)」、J. Polym. Sci.、Polymer Symposium Series 50、431~456(1975)を参照されたい)シフティング、並びにRheoPlus及びOrchestratorソフトウェアによる各温度のゼロ剪断粘度へのアレニウスの式のフィッティングを使用して、各試料のFAEを計算した。
【0246】
クリープ試験
Anton Paar MCR 501レオメータにより、N2雰囲気下、25mm平行プレートジオメトリを使用して190℃でクリープ測定を行った。この実験では、厚さ1.8mmの圧縮成形された円形プラークを、予熱された上部及び下部測定固定具の間に設置し、熱平衡に到達させた。次いで上部プレートを1.5mmの試験ギャップサイズの50μm上まで下ろした。この時点で過剰の材料を切り落とし、上部固定具を測定ギャップサイズまで下ろした。試料投入及び切り落としの後10分の待機時間を適用することにより、残留応力がひずみのドリフトを引き起こすのを回避した。クリープ実験において、剪断応力を瞬間的に0Paから20Paに増加させ、時間に対してひずみを記録した。試料は一定の剪断応力下で変形し続け、最終的に定常ひずみ速度に達した。クリープデータは、弾性係数の逆数の単位を有するクリープコンプライアンス(J(t))に関して報告された。定常クリープ様式におけるJ(t)の傾きの逆数を使用して、クリープ実験の最後の10%時間ウィンドウにおけるデータ点の直線回帰に基づいてゼロ剪断速度粘度を計算した。
【0247】
試料がクリープ試験中に分解したかどうかを決定するために、0.1~100rad/秒の周波数範囲にわたりクリープ段階の前後で微小ひずみ振幅(10%)下での周波数掃引実験を行った。クリープ段階の前後における0.1rad/秒での複素粘度の大きさの差を、熱分解の指標として使用した。クリープで決定されたゼロ剪断速度粘度を許容可能と考えるには、差は5%未満であるべきである。クリープ実験では、DMAで決定されたη
0ではなくクリープで決定されたη
0が使用された場合、線形エチレンインターポリマーに対する
図2に示される参照線もまた有効であることが確認された。
【0248】
溶融強度
センチニュートン(cN)の次元を有する加速引き取り(Accelerated-Haul-Off、AHO)溶融強度(MS)を、15mmのバレル直径、2mm直径のフラットダイ及び10:1のL/D比を有し、10,000psi(68.95MPa)の圧力変換機を備えたRosand RH-7キャピラリレオメータ(Malvern Instruments Ltd、Worcestershire、UKから入手可能)で測定した。ポリマー溶融物を一定速度(190℃で5.33mm/分の一定ピストン速度)下でキャピラリダイを通して押し出し、これにより押出しポリマーフィラメントが形成された。次いでポリマーフィラメントをローラのセットに通過させ、断裂するまで引き取り速度を増加させて延伸した。より具体的には、初期ポリマーフィラメント速度を、50~80m/分2の一定加速度で0m/分からポリマーフィラメントが断裂するまで増加させた。この実験中、ローラに対する力を常に測定したが、最初は力が急速に上昇し、次いでフィラメントが断裂する前にプラトーに達した。力対時間の曲線のプラトー領域における力の最大値が、センチニュートン(cN)で測定されるポリマーの溶融強度として定義された。
【0249】
Vicat軟化点(温度)
エチレンインターポリマー生成物のVicat軟化点は、ASTM D1525-07(2009年12月公開)に従って決定した。この試験は、試料がASTM D1525-07試験条件、すなわち加熱速度B(120±10℃/時間)及び938グラム荷重(10±0.2N荷重)に供された場合に特定のニードル貫通が生じる温度を決定する。
【0250】
熱たわみ温度
エチレンインターポリマー生成物の熱たわみ温度は、ASTM D648-07(2007年3月1日承認)に従って決定した。熱たわみ温度は、0.455MPa(66PSI)応力を成形エチレンインターポリマープラーク(3.175mm(0.125in)厚)の中央に印加するたわみツールが、プラークが一定速度で媒体中で加熱された際にそれを0.25mm(0.010in)たわませる温度である。
【0251】
曲げ特性
曲げ特性、すなわち曲げ割線及び接線弾性係数並びに曲げ強度は、ASTM D790-10(2010年4月公開)を使用して決定した。
【0252】
フィルムダート衝撃
フィルムダート衝撃強度は、ASTM D1709-09 Method A(2009年5月1日)を使用して決定した。本開示では、ダート衝撃試験は、直径1.5インチ(38mm)の半球状ヘッドのダートを使用した。
【0253】
フィルム断裂
フィルム「断裂」、すなわちフィルムを破断するために必要なエネルギー(J/mm)は、ASTM D5748-95(最初は1995年に採用、2012年に再承認)を使用して決定した。
【0254】
フィルムLub-Tef断裂
特別設計されたTeflonプローブを20in/分の断裂速度で使用して「Lub-Tef断裂」試験を行ったが、この試験の目的は、単層エチレンインターポリマー生成物フィルムの断裂抵抗性を決定することであった。MTS Testworks 4ソフトウェアを備えたMTS Insight/Instron Model 5 SL Universal Testing Machineを使用し、MTS 1000N又は5000Nロードセルを使用した。フィルム試料は、試験前に少なくとも24時間ASTMに従い調整した。ブローフィルムのロールを考慮して、フィルムロール平置き寸法の長さを有する4.25インチの試料を幅方向に切断し、フィルムの外側にラベルを付す(プローブはフィルムの外側に衝撃を与える)。Teflonコーティング断裂プローブを装着し、試験速度を20インチ/分に設定する。フィルム試料をクランプに装着し、フィルムの中央に1cm3の潤滑剤を置く。クロスヘッドが開始試験位置にあるときに、ロードセルフレーム上のリミットスイッチをクロスヘッドの10インチ下及び上に設定する。フィルム試料の厚さを測定及び記録し、断裂試験を始める(開始する)。次の試験の前に、プローブヘッドを十分に清浄化する。少なくとも5回の一貫した断裂結果、すなわち10%未満の標準偏差が得られるまで繰り返す。使用した潤滑剤は、Cardinal Health Inc.、1000 Tesma Way、Vaughan、ON L4K 5R8 Canadaから入手可能な水溶性の個人用潤滑剤、Muko Lubricating Jellyであった。プローブヘッドは、平端な先端を有する1.4インチコーン形状を有する機械加工されたTeflonであった。
【0255】
フィルム引張特性
ASTM D882-12(2012年8月1日)を使用して以下のフィルム引張特性を決定した:引張破断強度(MPa)、破断時伸び(%)、引張降伏強度(MPa)及び降伏点引張伸び(%)。引張特性は、ブローフィルムの流れ方向(MD)及び幅方向(TD)の両方で測定した。
【0256】
フィルム割線弾性係数
割線弾性係数は、フィルム剛性の尺度である。割線弾性係数は、ASTM D882に従って決定した。割線弾性係数は、応力-ひずみ曲線上の2点間に引かれた直線、すなわち割線の傾きである。応力-ひずみ曲線上の第1の点は原点、すなわち原点に対応する点(ゼロパーセントひずみ及びゼロ応力の点)であり、応力-ひずみ曲線上の第2の点は、1%のひずみに対応する点であり、これらの2つの点を考慮して1%割線弾性係数が計算され、単位面積当たりの力(MPa)を単位として表現される。2%割線弾性係数も同様に計算される。ポリエチレンの応力-ひずみ関係はフックの法則に従わない、すなわちポリエチレンの応力-ひずみ挙動はその粘弾性の性質に起因して非線形であるため、この方法は計算フィルム弾性率に使用される。割線弾性係数は、200lbfロードセルを備えた従来のInstron引張試験機を使用して測定した。試験用に、長さ14インチ、幅1インチ及び厚さ1ミルの寸法で単層フィルム試料のストリップを切り出し、試料の縁部に刻み目又は切れ目がないことを確認した。フィルム試料を、流れ方向(MD)及び幅方向(TD)の両方で切断し、試験した。ASTM条件を使用して試料を調整した。手持ち型マイクロメータを用いて各フィルムの厚さを正確に測定し、Instronソフトウェアに試料名とともに入力した。グリップ間隔を10インチとして試料をInstronに投入し、1インチ/分の速度で引き出してひずみ-ひずみ曲線を生成した。Instronソフトウェアを使用して、1%及び2%割線弾性係数を計算した。
【0257】
フィルムエルメンドルフ引裂き
フィルム引裂性能は、ASTM D1922-09(2009年5月1日)により決定したが、引裂きと同等の用語は「エルメンドルフ引裂き」である。フィルム引裂きは、ブローフィルムの流れ方向(MD)及び幅方向(TD)の両方で測定した。
【0258】
フィルム断裂伝播引裂き
ブローフィルムの断裂伝播引裂抵抗性は、ASTM D2582-09(2009年5月1日)を使用して決定した。この試験は、かぎ裂きに対する、又はより正確には動的な断裂及び引裂きをもたらすその断裂の伝播に対するブローフィルムの抵抗性を測定する。断裂伝播引裂抵抗性は、ブローフィルムの流れ方向(MD)及び幅方向(TD)で測定した。
【0259】
フィルム光学特性
フィルム光学特性は以下のように測定した:ヘーズ、ASTM D1003-13(2013年11月15日)、及び光沢、ASTM D2457-13(2013年4月1日)。
【0260】
フィルムDynatup衝撃
機器を用いた衝撃試験を、Illinois Test Works Inc.、Santa Barbara、CA、USAから購入したDynatup衝撃試験機と呼ばれる機械で行ったが、当業者はしばしばこの試験をDynatup衝撃試験と呼ぶ。試験は、以下の手順に従って完了した。ブローフィルムのロールから幅5インチ(12.7cm)及び長さ6インチ(15.2cm)のストリップを切り出すことにより、試験試料を作製する。フィルムは厚さ1ミルであった。試験前に、手持ち型マイクロメータを用いて各試料の厚さを正確に測定し、記録した。ASTM条件を使用した。空気圧式クランプを使用して、試験試料を9250 Dynatup Impact落下塔/試験機に装着した。付属のアレンボルトを使用して、Dynatupタップ#1、直径0.5インチ(1.3cm)をクロスヘッドに取り付けた。試験前に、クロスヘッドを、フィルム衝撃速度が10.9±0.1ft/秒となるような高さまで上げた。以下となるように重量をクロスヘッドに印加した:1)クロスヘッド減速、又はタップ減速は、試験の始まりからピーク荷重の点まで20%以下である、及び2)タップは検査試料を貫通しなければならない。タップがフィルムを貫通しない場合、衝突速度を増加させるためにクロスヘッドに追加の重量を加える。各試験中、Dynatup Impulse Data Acquisition System Softwareが実験データ(荷重(lb)対時間)を収集した。少なくとも5つのフィルム試料を試験し、ソフトウェアが以下の平均値を報告する:「Dynatup最大(Max)荷重(lb)」、すなわち衝撃試験中に測定された最高荷重;「Dynatup全エネルギー(ft・lb)」、すなわち試験の開始から試験の終了(試料の断裂)までの荷重曲線下面積;及び「最大荷重でのDynatup全エネルギー(ft・lb)」、すなわち試験の開始から最大荷重点までの荷重曲線下面積。
【0261】
コールドシール強度
3.5ミル(88.9μm)9層フィルムのコールドシール強度は、従来のInstron引張試験機を使用して測定した。この試験では、ある温度範囲にわたり2つの多層フィルムをシールし(層1対層1)、次いで引張試験前にシールを少なくとも24時間、73°F(23℃)でエージングした。コールドシール強度試験では、以下のパラメータを使用した:1インチ(25.4mm)のフィルム検査試料の幅;0.5秒のフィルムシーリング時間;0.27N/mm2のフィルムシーリング圧力;90℃~170℃の温度範囲及び5℃又は10℃の温度増分。エージング後、以下の引張パラメータを使用してシール強度を決定した:12in/分(30.48cm/分)の引き出し(クロスヘッド)速度;0.39in(0.99cm)のグリップ間隔;シールに対して90°の引き出し方向。また各多層フィルムの4~8つの試料を各温度増分で試験し、平均値を計算した。コールドシール試験では、シール開始温度(SIT)を℃で記録したが、SITは、シール強度が8.8N/inに達する温度であった。
【0262】
フィルムホットタック強度
3.5ミル(88.9μm)9層フィルムのホットタック強度は、J&Bホットタック試験機(Jbi Hot Tack、Geloeslaan 30、B-3630 Maamechelen、Belgiumから市販されている)を使用して測定した。ホットタック試験では、2つのフィルムを互いにヒートシールした直後に、すなわちポリオレフィンが半溶融状態にあるときにポリマー対ポリマーシールの強度を測定する。この試験は、自動包装機、例えば垂直又は水平型の充填及びシール機器でのヒートシールをシミュレートする。J&Bホットタック試験では、以下のパラメータを使用した:1インチ(25.4mm)のフィルム検査試料の幅;0.5秒のフィルムシーリング時間;0.27N/mm2のフィルムシーリング圧力;0.5秒のシール時間、0.5秒の冷却時間;7.9in/秒(200mm/秒)のフィルム剥離速度;90℃~170℃の温度範囲;5℃又は10℃の温度増分。また各多層フィルムの4~8つの試料を各温度増分で試験し、平均値を計算した。本開示では、℃で測定されるホットタック開始(HTO)温度は、ホットタック力が1Nに達する温度であった。さらに、最大ホットタック力(Max.HTF)を記録し、すなわちホットタック実験中の最大ホットタック力(N)を記録し、Max.HTFが観察された温度(℃)もまた同様に記録した。
【0263】
フィルムヘキサン抽出物
ヘキサン抽出物は、フィルム中のヘキサン抽出可能材料の量が重量測定法により決定される連邦規制基準(Code of Federal Registration)21 CFR §177.1520 Para(c)3.1及び3.2に従って決定した。詳細には、2.5グラムの3.5ミル(89μm)単層フィルムをステンレススチールバスケットに入れ、フィルム及びバスケットを秤量した(wi)。バスケット内にある間にフィルムを49.5℃で2時間n-ヘキサンで抽出し、真空炉内で80℃で2時間乾燥させ、デシケータ内で30分間冷却し、秤量した(wf)。重量のパーセント損失が、パーセントヘキサン抽出物(wC6)である:wC6=100×(wi-wf)/wi。
【実施例】
【0264】
パイロットプラント重合
以下の例は、本開示の選択された実施形態を例示することを目的として示され、以降で示される例は示された特許請求の範囲を制限しないことが理解される。エチレンインターポリマー生成物の例は、以下に記載のように連続溶液プロセスパイロットプラントにおいて調製した。
【0265】
例44及び1及び2の溶液プロセス条件は表5A及び5Bに要約されており、直列で構成された2つのCSTR反応器(R1及びR2)を使用した。R1圧力は14MPa~18MPaで変動し、R2は、R1からR2への連続流動を容易にするためにより低い圧力で動作した。CSTRは、反応器内容物が十分に混合される条件を与えるために撹拌した。プロセスは、新鮮なプロセス溶媒、エチレン、1-オクテン及び水素を反応器に供給することにより連続的に動作した。メチルペンタンをプロセス溶媒として使用した(メチルペンタン異性体の市販のブレンド)。第1のCSTR反応器(R1)の容積は3.2ガロン(12L)であり、第2のCSTR反応器(R2)の容積は5.8ガロン(22L)であり、管状反応器(R3)の容積は0.58ガロン(2.2L)であった。
【0266】
以下の成分を使用して架橋メタロセン触媒配合物を調製した:成分A、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチル、[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfMe2](略称CpF-2);成分M、メチルアルミノキサン(MMAO-07);成分B、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート;及び成分P、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール。以下の触媒成分溶媒を使用した:成分M及びPに対してメチルペンタン;並びに成分A及びBに対してキシレン。
【0267】
成分C、シクロペンタジエニルトリ(tert-ブチル)ホスフィンイミンチタンジクロリド[Cp[(t-Bu)3PN]TiCl2](略称PIC-1);成分M、メチルアルミノキサン(MMAO-07);成分B、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート;及び成分P、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールを含む非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して、比較エチレンインターポリマー生成物を製造した。以下の触媒成分溶媒を使用した:成分M及びPに対してメチルペンタン;並びに成分A及びBに対してキシレン。
【0268】
例44の場合、表5Aは、反応器1(R1)内のCpF-2の量が0.33ppm、すなわち「R1触媒(ppm)」であったことを示している。架橋メタロセン触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比及びR1触媒入口温度を調節することにより最適化された。表5Aに示されるように、最適化されたモル比は、([M]/[A])、すなわち[(MMAO-07)/(CpF-2)];([P]/]M])、すなわち[(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール)/(MMAO-07)];及び([B]/[A])、すなわち[(トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート)/(CpF-2)]であった。より明確には、例44(表5A)において、R1内でのモル比は、R1([M]/[A])=50;R1([P]/[M])=0.42;及びR1([B]/[A])=1.21であった。表5Bに示されるように、例44の場合R1触媒入口温度は30.2℃であった。例44では、第2の架橋メタロセン触媒配合物を第2の反応器(R2)に注入した。表5A及び5Bは、追加のプロセスパラメータ、例えば反応器間のエチレン及び1-オクテン分割、並びに反応器温度及びエチレン変換率等を開示している。
【0269】
反応器内の溶媒の平均滞留時間は、主に各反応器を通って流動する溶媒の量、及び溶液プロセスを通って流動する溶媒の総量により影響され、表5A及び5Bに示される例に対する代表的又は典型的な値は以下の通りである:平均反応器滞留時間は、R1内で61秒、R2内で73秒、0.58ガロン(2.2L)容積のR3で7.3秒であった。
【0270】
連続溶液重合プロセスにおける重合は、管状反応器(R3)から出る第3の出口ストリームに触媒不活性化剤を添加することにより終了した。使用した触媒不活性化剤は、P&G Chemicals、Cincinnati、OH、U.S.Aから市販されているオクタン酸(カプリル酸)であった。触媒不活性化剤は、添加される脂肪酸のモルが重合プロセスに添加される触媒金属及びアルミニウムの総モル量の50%であるように添加された。
【0271】
2段階脱揮(devolitizing)プロセスを使用して、プロセス溶媒からエチレンインターポリマー生成物を回収した。すなわち、2つの蒸気/液体分離器を使用し、第2の塔底ストリーム(第2のV/L分離器から)をギヤポンプ/ペレタイザの組合せに通過させた。
【0272】
ペレット化の前に、エチレンインターポリマー生成物の重量に基づいて500ppmのIRGANOX(登録商標)1076(一次酸化防止剤)及び500ppmのIRGAFOS(登録商標)168(二次酸化防止剤)を添加することにより、エチレンインターポリマー生成物を安定化した。酸化防止剤をプロセス溶媒に溶解し、第1のV/L分離器と第2のV/L分離器との間に添加した。
【0273】
例44(
図9)は、上述の溶液パイロットプラントで調製したが、架橋メタロセン触媒配合物を反応器1及び2に注入し、エチレン分割(ES)はES
R1=30%、ES
R2=50%及びES
R3=20%であり、オクテン分割はOS
R1=49.5%、OS
R2=40.5%及びOS
R3=10%であり、最終エチレンインターポリマー生成物は、1.25dg/分のメルトインデックス、0.9113g/ccの密度及び31.7のメルトフロー比(I
21/I
2)を有していた。例43及び45~47(
図9)は、例44と同じ溶液パイロットプラントキャンペーンにおいて調製したが、様々なプロセス条件、例えばオクテン分割(OS)を変更した。
【0274】
例1、2及び44を特性評価し、結果を表6Aに示す。表6Aはまた、例1及び2に関して上述された架橋メタロセン触媒配合物及び反応器構成を使用した同じ溶液パイロットプラントで調製された例4~6及び15を開示している。表6Aにおいて、「FAE(J/mol)」という用語は、実験の項で説明された流動活性化エネルギーであり;「MS(cN)」は溶融強度であり;τ(秒-1)」はずり流動化のレオロジー的開始を開示している。
【0275】
表6Bは、比較エチレンインターポリマー生成物の特性評価を示している。比較1aはSURPASS FPs117-Cであり、比較2aは、第1の反応器で架橋メタロセン触媒配合物、及び第2の反応器で非架橋シングルサイト触媒配合物を使用した溶液パイロットプラントで生成され、比較3aは、第1の反応器で架橋メタロセン触媒配合物、及び第2の反応器でインラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を使用した溶液パイロットプラントで生成され、比較4aはSURPASS VPsK914であり、比較5aはSCLAIR(登録商標)FP120であり、比較14~16は、反応器1及び2で非架橋シングルサイト触媒配合物を使用した溶液パイロットプラントで生成された。
【0276】
表6Cは、追加の比較試料の特性評価を示している。比較Q1~Q4はQUEO製品であり、具体的にはそれぞれQUEO0201、QUEO8201、QUEO0203及びQUEO1001であった。残りの比較試料は次の通りであった:比較R1はAFFINITY PL1880であり;比較S1はENABLE 20-05HHであり;比較T1はEXCEED 1018CAであり;比較U1はELITE AT6202であり;比較V1はELITE 5401Gであった。
【0277】
連続溶液重合プロセスを改善する必要性、例えば生成速度を増加させる必要性があり、生成速度は、1時間当たりに生成されるエチレンインターポリマー生成物のキログラムである。表7A及び7Bは、約1.0dg/分のメルトインデックス(I2)及び約0.9175g/ccの密度を有する生成物を生成した直列二反応器溶液重合プロセス条件を開示している。改善された連続溶液重合プロセスは、表7Aの例6により示されている。例6は、架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を反応器1及び2に注入することにより溶液パイロットプラント(上述)で生成されたエチレンインターポリマー生成物であった。
【0278】
比較連続溶液重合プロセスは、表7Aの比較8により示されている。比較8は、非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)を反応器1及び2に注入することにより同じ溶液パイロットプラントで生成された比較エチレンインターポリマー生成物であった。改善されたプロセスは93.0kg/時間の生成速度PRAを有していたが、対照的に、比較プロセスは81.3kg/時間の比較生成速度PRCを有していた。改善されたプロセスは、14.5%の増加した生成速度PRIを有していた、すなわち
PRI=100×(PRA-PRC)/PRC=100×((93.0-81.3)/81.3)=14.5%
であった。
【0279】
表8A及び8Bは、約0.8dg/分の小数のメルトインデックス(I2)及び約0.9145g/ccの密度を有する生成物を生成した直列二反応器溶液重合プロセス条件を開示している。例5は架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成したが、対照的に、比較9は非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して合成した。例5の場合、改善された連続溶液重合プロセスは93.9kg/時間の生成速度PRAを有していたが、対照的に、比較プロセスは79.4kg/時間の比較生成速度PRCを有していた。改善されたプロセスは、18.3%の増加した生成速度PRIを有していた。
【0280】
連続溶液重合プロセスを改善する必要性、例えば特定の反応器温度で生成されるエチレンインターポリマー生成物の分子量を増加させる必要性がある。さらに、溶液重合では、α-オレフィンを増大する高分子鎖に効率的に組み込む触媒配合物が必要とされている。別の表現をすれば、反応器内のより低い(α-オレフィン/エチレン)比で特定の密度を有するエチレンインターポリマー生成物を生成する触媒配合物が必要とされている。
【0281】
表9は、架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を使用して製造された例10、及び非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)を使用してシミュレートされた比較10sの溶液重合条件を比較したものである。例10は、1つのCSTR反応器を使用した連続溶液プロセスパイロットプラント(上述)で生成された。例10に比べて、比較10sは、同じ反応器構成、同じ反応器温度(165℃)、同じ水素濃度(4ppm)、同じエチレン変換率(90%(Q
T))を使用してコンピュータによりシミュレートされ、[α-オレフィン/エチレン]比は、例10と同じ分岐頻度(約16C
6/1000C)を有するエチレンインターポリマー生成物を生成するように調節された。表9を考慮すると、例10は、比較10sに比べて改善された溶液重合プロセス、すなわち改善された「%低減[α-オレフィン/エチレン]」比の結果を特徴付けていることが明らかである。詳細には、例10の[α-オレフィン/エチレン]
A重量比は、比較10sの[α-オレフィン/エチレン]
C重量比に比べて83.8%低かった(改善された)、すなわち、
【数40】
であって、式中、上付き文字
Aは触媒成分A(式(I))を表し、上付き文字
Cは触媒成分C(式(II))を表す。さらに、架橋メタロセン触媒配合物は、「%改善M
w」をもたらした。詳細には、例10の重量平均分子量(M
w
A)は、比較10sの重量平均分子量(M
w
C)に比べて73.6%高かった(改善された)、すなわち
%改善M
w=100×(M
w
A-M
w
C)/M
w
C
%改善M
w=100×(82720-47655)/47655=73.6%
であった。
【0282】
同様に、表9はまた、架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を使用して製造された例11の溶液重合条件を、非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)を使用したシミュレートされた比較10sの溶液重合条件と比較したものである。例11及び比較11sは、同じ反応器構成、同じ反応器温度(165℃)、同じ水素濃度(6ppm)、同じエチレン変換率(85%(QT))を使用してそれぞれ製造又はシミュレーションされ、各[α-オレフィン/エチレン]比は、ほぼ同じ分岐頻度(約21.5C6/1000C)を有するエチレンインターポリマー生成物を生成するように調節された。例11の[α-オレフィン/エチレン]A重量比は、比較11sの[α-オレフィン/エチレン]Cに比べて72.7%低かった(改善された)。さらに、例11の重量平均分子量(Mw
A)は、表9に示されるように、比較11sの重量平均分子量(Mw
C)に比べて199%高かった(改善された)。
【0283】
表10は、表9に比べてより高い及びより低い反応器温度での溶液重合プロセスデータを要約している。例えば、190℃の反応器温度において、例12をシミュレートされた比較12sと比較することができる。例12の[α-オレフィン/エチレン]A重量比は、比較12sの[α-オレフィン/エチレン]C重量比に比べて90.8%低かった(改善された)。さらに、例12の重量平均分子量(Mw
A)は、表10に示されるように、比較12sの重量平均分子量(Mw
C)に比べて70.4%高かった(改善された)。
【0284】
表10では、例13をシミュレートされた比較13sと比較することができ、ともに反応器温度は143℃である。例13の[α-オレフィン/エチレン]A重量比は、比較13sの[α-オレフィン/エチレン]Cに比べて88.9%低く(改善され)、例13の重量平均分子量(Mw
A)は、比較13sの重量平均分子量(Mw
C)に比べて182%高かった(改善された)。
【0285】
表11A及び11Bは、例14及び比較14の二反応器溶液重合条件を比較したものである。表11Aは反応器1のプロセス条件を開示し、表11Bは反応器2のプロセス条件を開示している。例14は、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成された第1のエチレンインターポリマー及び非架橋シングルサイト触媒を使用して合成された第2のエチレンインターポリマーを含有する、二反応器エチレンインターポリマー生成物であった。比較14は、第1及び第2のエチレンインターポリマーの両方が非架橋シングルサイト触媒を使用して合成された比較二反応器エチレンインターポリマー生成物であった。表11Aは、反応器温度(118.7℃±0.7%)及びエチレン変換率(80.0%)が例14及び比較14で同じであったことを示しているが、架橋メタロセン触媒配合物の場合、非架橋シングルサイト触媒配合物に比べて、すなわち2.76の重量分率に比べて87.3%低い(α-オレフィン/エチレン)重量分率、すなわち0.35重量分率が第1の反応器で使用された。さらに、反応器1において使用された水素の量は、架橋メタロセン触媒配合物を使用した場合、非架橋シングルサイト触媒配合物に比べて3倍高かった。当業者は、水素がオレフィン重合においてMw(又はメルトインデックス)を制御するために使用されること、すなわち増大する高分子を停止させ、エチレンインターポリマーの分子量を低減する上で水素が非常に効果的であることを認識している。
【0286】
表12は、SECデコンボリューション結果を要約しており、すなわち、二反応器の例14及び比較14を第1及び第2のエチレンインターポリマーにデコンボリューションした。表12は、第1のエチレンインターポリマーの重量平均分子量(Mw)が例14及び比較14で同様であったこと、すなわち例14では249,902Mw及び比較14では275,490Mwであったことを示しており、このMwの類似性は、前者を生成するために3ppmの水素が使用され、後者を生成するために水素が使用されなかった場合であっても得られた。換言すれば、表12のデータを考慮すると、架橋メタロセン触媒配合物は、非架橋シングルサイト触媒配合物に比べて、一定の重合温度、エチレン変換率及び水素濃度においてより高い分子量のエチレンインターポリマーを生成したことが明らかであった。
【0287】
表12はまた、架橋メタロセン触媒配合物が、非架橋シングルサイト触媒配合物(すなわち22.9BrF(C6/1000C))に比べてより多くのα-オレフィンを第1のエチレンインターポリマーに組み込んだこと(すなわち例14において27.8BrF(C6/1000C)を示しているが、この分岐頻度の差は、表11Aに示されるように、後者に比べて前者を生成するためにはるかに少ないα-オレフィンが使用された場合であっても生じたことに留意されたい。換言すれば、架橋メタロセン触媒配合物は、非架橋シングルサイト触媒配合物に比べて、α-オレフィンを増大する高分子に組み込む上ではるかに効率的である。
【0288】
図5は、例14及び比較14のSECで決定された分子量分布、並びに分子量の関数としてのGPC-FTIRで決定された分岐頻度を比較したものである。例14の分岐分布曲線(BrF)は、第1のエチレンインターポリマーのα-オレフィン含有量、すなわち27.8C
6/1000C(第1のエチレンインターポリマー密度0.8965g/cc)及び第2のエチレンインターポリマーのα-オレフィン含有量、すなわち0.924C
6/1000C(0.9575g/cc)における大きな差を示している。このインターポリマー密度の大きな差、すなわちΔρ=0.0610g/cc=(ρ
2-ρ
1)(式中、ρ
2は第2のエチレンインターポリマーの密度であり、ρ
1は第1のエチレンインターポリマーの密度である)は、例14が並列反応器モードにおいて、並びに反応器1及び2で異なる触媒を使用して生成されたことを反映している。より高いΔρ’は、いくつかの最終用途において有利であり、1つの限定されない例は、フィルム靭性を維持又は改善しながらのより高いフィルム剛性を含む。一方、表12に示されるように、比較14のΔρは一桁低く、すなわち0.0062g/ccであった。
【0289】
図6は、例4の実験的に測定されたSECクロマトグラムの、3つの成分、すなわち第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー及び第3のエチレンインターポリマーへのデコンボリューションを示す。例4は、表13において特性評価されている。例4は、架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を使用した溶液パイロットプラント(上述)において生成され、第3の反応器の容積は2.2リットルであった。より明確には、生成直後、エチレンインターポリマー生成物例4は、以下の全体的な値を有していた:0.87dg/分のI
2、0.9112g/ccの密度及びSECで測定された105449のM
w(7.53M
w/M
n)。
図6及び表13に示されるように、例4は、230042のM
w及び16.3C
6/1000Cの分岐含有量を有する37wt.%の第1のエチレンインターポリマー、22418のM
w及び21.3C
6/1000Cの分岐含有量を有する57wt.%の第2のエチレンインターポリマー、並びに22418のM
w及び21.3C
6/1000Cの分岐含有量を有する6wt.%の第3のエチレンインターポリマーを含有していた(分岐含有量は、GPC-FTIRデータのデコンボリューションにより決定された)。第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーの分子量分布は、フローリー分布、すなわちM
w/M
n=2.0により特徴付けられた。表13は、同じく架橋メタロセン触媒配合物を使用した溶液パイロットプラントで生成された2つの追加の試料、例5及び6を開示している。例5及び6のSEC及びGPC-FTIR曲線もまた、表13に示されるように、第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーにデコンボリューションした。
【0290】
連続重合ユニット(CPU)
小規模連続溶液重合を、以降でCPUと称される連続重合ユニットで行った。これらの実験は、1つの反応器内での架橋メタロセン触媒配合物(成分Aを含有、CpF-1)の性能を非架橋シングルサイト触媒配合物(成分Cを含有、PIC-1)の性能と比較したものである。
【0291】
CPUの単一の反応器は71.5mLの連続撹拌されたCSTRであり、重合は160℃で行われ、反応器圧力は約10.5MPaであった。CPUは、下流側重合反応器より5℃低い温度で動作する20mLの上流側混合チャンバを含んでいた。上流側混合チャンバは、エチレン、任意選択のα-オレフィン及びプロセス溶媒の一部を予熱するために使用された。触媒供給物及び残りの溶媒は、連続プロセスとして重合反応器に直接添加した。重合反応器への全流速は、27mL/分で一定に保持した。架橋メタロセン触媒配合物の成分(成分A、成分M、成分B及び成分P)を直接重合反応器に添加して、連続重合プロセスを維持した。より具体的には、成分A及び成分Bは、キシレン中で予め混合して反応器に直接注入し、成分M及び任意選択の成分Pは、プロセス溶媒中で予め混合して反応器に直接注入した。比較実験では、非架橋シングルサイト触媒配合物の成分(成分C、成分M、成分B及び成分P)を直接重合反応器に添加して、連続重合プロセスを維持した。より具体的には、成分C及び成分Bは、キシレン中で予め混合して反応器に直接注入し、成分M及び任意選択の成分Pは、プロセス溶媒中で予め混合して反応器内に直接注入した。例では、使用された成分AはCpF-1[(2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfCl2]であった。比較では、使用された成分CはPIC-1([Cp[(t-Bu)3PN]TiCl2])であった。成分M、B及びPは、それぞれ、メチルアルモキサン(MMAO-07)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールであった。注入後、触媒は、エチレン及び任意選択のα-オレフィンコモノマーの存在下でin situ(重合反応器内)で活性化された。成分Mは、([M]/[A])又は([M]/[C])のモル比が約80であるように添加し;成分Bは、([M]/[A])又は([M]/[C])のモル比が約1.0であるように添加し;成分Pは、([P]/[M])のモル比が約0.4であるように添加した。
【0292】
エチレンは、較正された熱質量流量計により反応器に供給し、重合反応器の前に反応溶媒に溶解した。任意選択のα-オレフィン(コモノマー、すなわち1-オクテン)は、重合反応器に入る前にエチレンと予め混合したが、(1-オクテン)/(エチレン)重量比は0~約6.0で変動した。エチレンは、反応器内のエチレン濃度が約7~約15重量%で変動するように反応器内に供給したが、重量%はエチレンの重量を反応器内容物の総重量で除したものである。内部反応温度は、重合媒体中で熱電対により監視し、目標設定点±0.5℃に制御した。溶媒、モノマー及びコモノマーストリームは全て、反応器内に入る前にCPUシステムにより精製された。
【0293】
エチレン変換率Q
CPU、すなわち変換されたエチレンの分率をオンラインガスクロマトグラフ(GC)により決定し、[L/(mmol・分)]の次元を有する重合活性K
p
CPUを以下のように定義した:
【数41】
式中、HUT
CPUは、分(min)の次元を有する重合反応器内の空間速度の逆数(ホールドアップ時間)であり;[触媒]は、チタン又はハフニウムのmmol/Lで表される重合反応器内の触媒の濃度であった。CPU実験では、Q
CPUは約90%で一定に保持され、HUT
CPUは約2.5分で一定に保持された。反応器の下流では、圧力は大気圧まで低減された。エチレンインターポリマー生成物は、プロセス溶媒中のスラリーとして回収し、その後真空炉内での蒸発により乾燥してから特性決定した。
【0294】
ほぼ一定のメルトインデックス及び密度でエチレンインターポリマー生成物を合成するようにCPU条件を調節し、より具体的には、架橋メタロセン触媒配合物を使用してエチレンインターポリマー生成物を合成し、非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して比較エチレンインターポリマー生成物を合成した。表14の各行により示されるように、「%改善Mw」は、架橋メタロセン触媒配合物で生成されたエチレンインターポリマー生成物のMw
A及び非架橋シングルサイト触媒配合物で生成された比較エチレンインターポリマー生成物のMw
Cを比較すると、少なくとも10%であった。
【0295】
表15に示されるように、エチレンインターポリマー生成物が目標密度で生成されるように、反応器の(α-オレフィン/エチレン)重量比を調節する必要があった。より明確には、架橋メタロセン触媒配合物を使用して、目標密度でエチレンインターポリマー生成物を合成するために(α-オレフィン/エチレン)Aが必要であり、また非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して、目標密度で比較エチレンインターポリマー生成物を合成するために(α-オレフィン/エチレン)Cが必要であった。表15の各行により示されるように、架橋メタロセン触媒配合物は、対照非架橋シングルサイト触媒配合物に比べて改善(低減)された(α-オレフィン/エチレン)重量比での連続溶液重合プロセスの動作を可能にし、すなわち、%低減[α-オレフィン/エチレン]重量比は少なくとも-70%であった。
【0296】
エチレンインターポリマー生成物例60もまた、上述のCPUで生成された。例60は、本質的にエラストマー性であった低密度生成物を生成する、CpF-2((2,7-tBu2Flu)Ph2C(Cp)HfMe2)を含有する架橋メタロセン触媒配合物の能力を実証しており、すなわち例60は以下のように特徴付けられた:0.8567g/cc、72.9BrF C6/1000C、14.6モルパーセントの1-オクテン及び40.6重量パーセントの1-オクテン。
【0297】
単層フィルム
エチレンインターポリマー生成物例1及び2並びに比較15及び16の単層ブローフィルム試料を、表16に開示されるように調製した。例1及び2は以前に説明されており、比較15及び16は、非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)をR1及びR2(直列モード)に注入することにより生成されたパイロットプラント試料であった。単層ブローフィルムは、バリアスクリュー;35ミル(0.089cm)のダイギャップを有する低圧4インチ(10.16cm)直径ダイ;及びWestern Polymer Airリングを備えるGloucester押出機、2.5インチ(6.45cm)バレル直径、24/1 L/D(バレル長/バレル直径)で製造した。押出機は、以下のスクリーンパックを備えていた:20/40/60/80/20メッシュ。押出機スクリュー速度を調節することにより、約100lb/時(45.4kg/時)の一定出力速度で約1.0ミル(25.4μm)厚のブローフィルムを製造し、冷却空気を調節することによりフロストライン高さ(FLH)を16~18インチ(40.64~45.72cm)に維持した。追加のブローフィルム処理条件は、表16に開示されている。
【0298】
表16を考慮すると、例1及び2のブローフィルム押出し圧力は、比較15及び16に比べて-16%~-29%低かったことが明らかである。より低いブローフィルム押出機圧力は、ブローフィルムラインの出力(lb/時)が押出機圧力により制限され得るため有利であった。さらに、例1及び2の押出機アンペアは、比較15及び16に比べて-10%~-26%低かった。より低いブローフィルム押出機アンペアは、本明細書で開示されるエチレンインターポリマー生成物が使用される場合、ブローフィルムラインの電力消費が低減され得るため有利であった。
【0299】
単層フィルム物性は、例1及び2並びに比較15及び16の選択された物性とともに表17に開示されている。高い溶融強度を有するエチレンインターポリマー生成物がブローフィルム変換プロセスにおいて有利であった。すなわち、ブローフィルム出力はブローフィルムのバブル不安定性により制限されることが多く、バブル安定性は樹脂溶融強度が増加するにつれて改善する。例1及び2の溶融強度(センチニュートン(cN)で測定される)は、比較15及び16に比べて25%~65%高かった。例1及び2の流動活性化エネルギー(kJ/mol)は、比較15及び16に比べて42%~66%高かった。より高い流動活性化エネルギーが望ましいが、その理由は、そのような樹脂が押出し温度の変化により応答性となるため、例えば、より高い流動活性化エネルギーを考慮すると、押出機温度の所与の増加とともに樹脂粘度がより急速に減少する(押出機圧力及びアンペアを減少させる)ためである。
【0300】
望ましいフィルム物性は、フィルム光学特性、例えば低いフィルムヘーズ及び45°での高いフィルム光沢を含む。光学特性は、ポリエチレンフィルム内に包装された品を消費者が購入する場合に重要である。詳細には、より良好な接触及び/又は透視鮮明度を有する包装は、より低い内部フィルムヘーズ及びより高いフィルム光沢又はきらめきを有する。フィルムの光学特性は、消費者による製品品質の認識に相関する。表17を考慮すると、例1及び2のヘーズは、比較15及び16に比べて-40%~-45%低く(改善され)、例1及び2の45°フィルム光沢は、比較15及び16に比べて16%~21%高かった(改善された)ことが明らかであった。追加のブローフィルム物性は、表17に要約されている。
【0301】
多層フィルム
Brampton Engineering(Brampton ON、Canada)から市販されている9層ラインで多層フィルムを製造した。製造された9層フィルムの構造を表18に示す。層1は、試験下のシーラント樹脂を含有していた。より具体的には、層1が6250ppmの抗ブロッキング剤(シリカ(珪藻土))、1500ppmのスリップ剤(エルカ酸アミド)及び1500ppmの加工助剤(フルオロポリマー化合物)を含有するように、層1は91.5wt%のシーラント樹脂、2.5wt.%の抗ブロッキング剤マスターバッチ、3wt.%のスリップ剤マスターバッチ及び3wt.%の加工助剤マスターバッチを含有しており、添加剤マスターバッチキャリア樹脂はLLDPE、約2メルトインデックス(I2)及び約0.918g/ccであった。層1は内側層であり、すなわち、ブローフィルムライン上に多層フィルムが製造された際にバブルの内側にあった。9層フィルムの全厚は3.5ミルで一定に保持され、層1の厚さは0.385ミル(9.8μm)、すなわち3.5ミルの11%であった(表18)。層1~4及び6~8は、約0.917g/ccの密度及び約0.60dg/分のメルトインデックス(I2)を有する、NOVA Chemicals Corporationから入手可能なエチレン/1-オクテンコポリマーであるSURPASS FPs016-Cを含有していた。層4、6及び8はまた、0.912g/ccの密度及び2.7dg/分のメルトインデックス(I2)を有する、DuPont Packaging & Industrial Polymersから入手可能な無水マレイン酸グラフトLLDPEである20wt.%のBYNEL(登録商標)41E710を含有していた。層5及び9は、1.1dg/分のメルトインデックス(I2)を有する、BASF Corporationから入手可能なナイロン(ポリアミド6/66)であるUltramid C40Lを含有していた。多層ダイ技術は、パンケーキダイ、FLEX-STACK共押出ダイ(SCD)からなっており、プレートの両側に流路が機械加工され、ダイ工具直径は6.3インチであり、本開示では85ミルのダイギャップが一貫して使用され、フィルムは2.5のブローアップ比(BUR)で製造され、ラインの出力速度は250lb/時で一定に保持された。9台の押出機の仕様は以下の通りである:1.5in直径のスクリュー、30/1の長さ対直径比、単一フライトを有する7-ポリエチレンスクリュー及びMADDDOX(登録商標)ミキサー、2-ナイロンスクリュー、押出機は空冷され、20-H.P.モータを備え、全ての押出機が重量式ブレンダを備えていた。ニップ及び折り畳み式フレームは、ニップの直下にDECATEX水平振動引き取り及びパール冷却スラット(pearl cooling slat)を含んでいた。ラインは、タレットワインダ及び振動スリッタナイフを備えていた。表19は、使用された温度設定を要約している。全てのダイ温度、すなわち層セクション、マンドレル底部、マンドレル、内側リップ及び外側リップは480°Fで一定に維持された。
【0302】
エンドユーザは、いくつかのフィルム特性の改善及び/又は特定のバランスを望む場合が多い。その限定されない例は、光学特性、所与の密度での融点、ヒートシール及びホットタック特性等を含む。詳細には、包装産業において、フィルムのヒートシール及びホットタック特性を改善することが必要とされている。例えば、剛性、靭性及び光学特性等の他のフィルム物性を維持又は改善しながら、シール開始温度(SIT)を低くし、ホットタックウィンドウを広げることが特に望ましい。
【0303】
表20は、(i)~(iv)で符号化された4つの9層フィルムのコールドシールデータ及びシール開始温度(SIT)を開示している。シーラント層であるフィルム(i)の層1は、70wt.%の例1及び30wt.%の比較5の二元ブレンドを含有しており、後者はSCLAIR FP120(0.920g/cc及び1.0I
2)であり、層1はまた上述のような添加剤を含有していた。フィルム(i)の層1は、約0.909g/ccのブレンド密度を有していた。驚くべきことに、
図7に示されるように、フィルム(i)及び比較フィルム(ii)のコールドシール曲線は本質的に同等であり、これは、フィルム(ii)の層1が0.906g/ccであったことから驚くべきことである。さらに、表20に示されるように、フィルム(i)及び(ii)のSITは本質的に同等、すなわちそれぞれ92.4℃及び92.2℃であり、これも、層1の密度の差、すなわちそれぞれ0.909g/cc対0.906g/ccであることを考慮すると驚くべきことである。より明確には、ポリエチレンフィルムの技術分野には、シール開始温度(SIT)がフィルム(すなわちシーラント層)密度が増加するにつれて増加することを開示している例が豊富に存在し、
図7はこの傾向を証明しており、すなわち、0.914g/ccの層1の密度を有するフィルム(iv)のコールドシール曲線はより高い温度にシフトし、102.5℃ SITのSITをもたらした(表20)。
【0304】
図7及び表20は、本明細書で開示されるエチレンインターポリマー生成物の少なくとも2つの利点、具体的には、(a)一定のSITでは、より高い密度を有するフィルム(又は層)は、より低密度の比較フィルムに比べてより剛性であり、より容易に包装機器を通して加工されるため、そのようなフィルム(又は層)が望ましいこと(フィルム(i))、及び(b)本明細書で開示されるエチレンインターポリマー生成物は、より高密度のLLDPEで希釈され得る、すなわちシーラント樹脂配合物の全体的なコストが低減され得ることを実証している。
【0305】
パウチ様包装内に製品(液体、固体、ペースト、パーツ等)が装填及びシールされる高速縦型及び横型製袋充填プロセスにおいては、特定のホットタック特性が望まれる。例えば、包装業界では、広いホットタックウィンドウを有するシーラント樹脂が必要とされており、すなわち、そのような樹脂は、包装機器で様々なパラメータが変更されても一貫して漏れ防止包装を生成する。さらに、可能な限り低い温度でホットタック開始温度(HTO(℃))が生じることが望ましい。また、高温でも十分なシール強度が維持されるような高温ホットタックが望ましい。低いホットタック特性は、多くの場合包装ライン製品速度を制限する。
【0306】
表21は、ホットタックデータ、ホットタック開始(HTO)温度、及び9層フィルムが不良であった様式に関する注釈を開示している。驚くべきことに、フィルム(iii)及び(ii)のHTO温度は同様、すなわちそれぞれ86.3℃及び86.8℃であったが、これは、層1の密度の差、すなわちそれぞれ0.913g/cc及び0.906g/ccであることを考慮すると驚くべきことである。ポリエチレンフィルムの技術分野では、フィルム(又は層)密度が増加するにつれてフィルム(又は層)のHTO温度が増加することが開示されているため、これは驚くべきことである。例5を含むフィルム(iii)及び比較15を含むフィルム(ii)のホットタック曲線を、
図8に示す。例5(フィルム(iii))の密度がより高くても、例5のホットタックウィンドウの幅は比較15(フィルム(ii))と同様であった。
【0307】
【表1】
【表2A】
【表2B】
【表2C】
【表3】
【表4】
【表5A】
【表5B】
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【表7A】
【表7B】
【表8A】
【表8B】
【表9】
【表10】
【表11A】
【表11B】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【産業上の利用可能性】
【0308】
本明細書で開示されるエチレンインターポリマー生成物は、可撓性用途から剛性用途まで、広範な製造品において産業上の利用可能性を有する。
【国際調査報告】