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特表2023-524573SARS-COV-2スパイクタンパク質に結合する単一ドメイン抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】SARS-COV-2スパイクタンパク質に結合する単一ドメイン抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230605BHJP
   C07K 16/10 20060101ALI20230605BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230605BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230605BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230605BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230605BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230605BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230605BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20230605BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230605BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20230605BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/10
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12Q1/70
C12M1/34 B
C12M1/34 F
A61P31/14
A61K39/395 N
A61K39/395 D
G01N33/569 L
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567557
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 GB2021051069
(87)【国際公開番号】W WO2021224606
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】2006589.2
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2010861.9
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物名・巻数/Nature Structural & Molecular Biology 27 発行年月日/令和2年7月13日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522432435
【氏名又は名称】ザ・ロザリンド・フランクリン・インスティテュート
(71)【出願人】
【識別番号】516348474
【氏名又は名称】ダイアモンド ライト ソース リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507226592
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【弁理士】
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】フオ,ジアーンドーン
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンス,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ナイスミス,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート,デビッド
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB13
4B029BB17
4B029FA05
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ10
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QR72
4B063QR79
4B063QS33
4B063QX01
4B063QX02
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA15
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA29
4H045EA53
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、SARS-CoV-2を標的とする改善された単一ドメイン抗体、コロナウイルスの治療及び/又は予防における前記単一ドメイン抗体の使用、並びに様々な方法、アッセイ及びキットを使用するコロナウイルスの検出及び診断における前記単一ドメイン抗体の使用に関する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、及び60からなる群から選択される相補性決定領域3(CDR3)を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体であって、CDR3のアミノ酸配列が、0~7個のアミノ酸修飾を含む、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項2】
単一抗体ドメインが、
(a)配列番号2を含むCDR2及び配列番号3を含むCDR3;
(b)配列番号5を含むCDR2及び配列番号6を含むCDR3;
(c)配列番号8を含むCDR2及び配列番号9を含むCDR3;
(d)配列番号11を含むCDR2及び配列番号12を含むCDR3;
(e)配列番号14を含むCDR2及び配列番号15を含むCDR3;
(f)配列番号17を含むCDR2及び配列番号18を含むCDR3;
(g)配列番号20を含むCDR2及び配列番号21を含むCDR3;
(h)配列番号23を含むCDR2及び配列番号24を含むCDR3;
(i)配列番号26を含むCDR2及び配列番号27を含むCDR3;
(j)配列番号29を含むCDR2及び配列番号30を含むCDR3;
(k)配列番号32を含むCDR2及び配列番号33を含むCDR3;
(l)配列番号35を含むCDR2及び配列番号36を含むCDR3;
(m)配列番号38を含むCDR2及び配列番号39を含むCDR3;
(n)配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(o)配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(p)配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(q)配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(r)配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3;
(s)配列番号2を含むCDR2及び配列番号45を含むCDR3;
(t)配列番号2を含むCDR2及び配列番号46を含むCDR3;
(u)配列番号2を含むCDR2及び配列番号47を含むCDR3;
(v)配列番号2を含むCDR2及び配列番号48を含むCDR3;
(w)配列番号2を含むCDR2及び配列番号49を含むCDR3;
(x)配列番号2を含むCDR2及び配列番号50を含むCDR3;
(y)配列番号2を含むCDR2及び配列番号51を含むCDR3;
(z)配列番号2を含むCDR2及び配列番号52を含むCDR3;
(aa)配列番号2を含むCDR2及び配列番号53を含むCDR3;
(bb)配列番号2を含むCDR2及び配列番号54を含むCDR3;
(cc)配列番号2を含むCDR2及び配列番号55を含むCDR3;
(dd)配列番号2を含むCDR2及び配列番号56を含むCDR3;
(ee)配列番号2を含むCDR2及び配列番号57を含むCDR3;
(ff)配列番号2を含むCDR2及び配列番号58を含むCDR3;
(gg)配列番号2を含むCDR2及び配列番号59を含むCDR3;
(hh)配列番号2を含むCDR2及び配列番号60を含むCDR3を含み、CDR3のアミノ酸配列が、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列が、0~4個のアミノ酸修飾を含む、請求項1に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項3】
単一抗体ドメインが、
(a)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号3を含むCDR3;
(b)配列番号4を含むCDR1、配列番号5を含むCDR2及び配列番号6を含むCDR3;
(c)配列番号7を含むCDR1、配列番号8を含むCDR2及び配列番号9を含むCDR3;
(d)配列番号10を含むCDR1、配列番号11を含むCDR2及び配列番号12を含むCDR3;
(e)配列番号13を含むCDR1、配列番号14を含むCDR2及び配列番号15を含むCDR3;
(f)配列番号16を含むCDR1、配列番号17を含むCDR2及び配列番号18を含むCDR3;
(g)配列番号19を含むCDR1、配列番号20を含むCDR2及び配列番号21を含むCDR3;
(h)配列番号22を含むCDR1、配列番号23を含むCDR2及び配列番号24を含むCDR3;
(i)配列番号25を含むCDR1、配列番号26を含むCDR2及び配列番号27を含むCDR3;
(j)配列番号28を含むCDR1、配列番号29を含むCDR2及び配列番号30を含むCDR3;
(k)配列番号31を含むCDR1、配列番号32を含むCDR2及び配列番号33を含むCDR3;
(l)配列番号34を含むCDR1、配列番号35を含むCDR2及び配列番号36を含むCDR3;
(m)配列番号37を含むCDR1、配列番号38を含むCDR2及び配列番号39を含むCDR3;
(n)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(o)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(p)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(q)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(r)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3;
(s)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号45を含むCDR3;
(t)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号46を含むCDR3;
(u)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号47を含むCDR3;
(v)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号48を含むCDR3;
(w)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号49を含むCDR3;
(x)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号50を含むCDR3;
(y)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号51を含むCDR3;
(z)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号52を含むCDR3;
(aa)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号53を含むCDR3;
(bb)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号54を含むCDR3;
(cc)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号55を含むCDR3;
(dd)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号56を含むCDR3;
(ee)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号57を含むCDR3;
(ff)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号58を含むCDR3;
(gg)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号59を含むCDR3;
(hh)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号60を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列が、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列が、0~4個のアミノ酸修飾を含み、CDR1のアミノ酸配列が、0~4個のアミノ酸修飾を含む、請求項1に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項4】
アミノ酸修飾が、置換、挿入又は欠失である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項5】
配列番号1を含むCDR1と、配列番号2を含むCDR2と、配列番号40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3とを含む、請求項1~4に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項6】
配列番号1を含むCDR1と、配列番号2を含むCDR2と、配列番号40、41、42、43及び44から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3とを含む。請求項1~4に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項7】
4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)を更に含む、請求項1~6に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項8】
配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106、及び107からなる群から選択される配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項9】
配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、及び99からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体。
【請求項10】
請求項1~9に記載の単一ドメイン抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項10に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項12】
請求項11に記載のベクターを含む宿主細胞又は細胞株。
【請求項13】
請求項12に記載の宿主細胞を、発現ベクターのポリヌクレオチド配列を発現する条件下で、培養培地中で培養する工程を含む、単一ドメイン抗体の産生のための方法。
【請求項14】
請求項1~9に記載の単一ドメイン抗体を含む医薬組成物。
【請求項15】
医療における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の単一ドメイン抗体又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
コロナウイルス感染症の治療又は予防における使用のための、請求項1~9に記載の単一ドメイン抗体又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
コロナウイルスの治療又は予防のための方法であって、治療活性量の、請求項1~9のいずれか一項に記載の単一ドメイン抗体を対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項18】
コロナウイルスの治療における使用のための医薬品の製造における、請求項1~9に記載の単一ドメイン抗体の使用。
【請求項19】
コロナウイルスが、中東呼吸器症候群(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)、及びCOVID-19からなる群から選択される、請求項16に記載の使用のための単一ドメイン抗体、又は請求項17に記載のコロナウイルスの治療若しくは予防のための方法、又は請求項18に記載の単一ドメイン抗体の使用。
【請求項20】
請求項1~9に記載の単一ドメイン抗体を含む医薬デバイスであって、吸入を介した単一ドメイン抗体の送達のために好適である、医薬デバイス。
【請求項21】
対象においてコロナウイルス感染症を診断するための方法であって、
(a)単離された試料を、請求項1~16のいずれか一項に記載の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、
(b)抗体-抗原複合体の数を検出する工程と、
(c)試料中のコロナウイルスの存在を検出する工程とを含み、
複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスの陽性診断を提供する、方法。
【請求項22】
対象においてコロナウイルスタンパク質を検出するための方法であって、
(a)対象から試料を得る工程と、
(b)対象からの試料を、請求項1~16に記載の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、
(c)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、
複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスタンパク質の存在を示す、方法。
【請求項23】
患者からの試料中のコロナウイルスタンパク質を検出するための方法であって、
(a)対象からの試料を、請求項1~16に記載の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、
(b)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、
複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスタンパク質の存在を示す、方法。
【請求項24】
コロナウイルスが、中東呼吸器症候群(MERS-CoV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)、及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-2)からなる群から選択される、請求項21、22又は23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
コロナウイルスの検出のためのアッセイであって、患者から得られた試料を、請求項1~16のいずれか一項に記載の単一ドメイン抗体と接触させる工程を含み、単一ドメイン抗体が、患者試料中のコロナウイルスを選択的に分離するために検出可能な標識又はレポーター分子を含み、任意選択で、アッセイが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)である、アッセイ。
【請求項26】
コロナウイルスの検出のためのキットであって、
(a)検出可能なマーカーと、
(b)請求項1~16のいずれか一項に記載の単一ドメイン抗体とを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SARS-CoV-2を標的とする改善された単一ドメイン抗体、コロナウイルスの治療及び/又は予防における前記単一ドメイン抗体の使用、並びに様々な方法、アッセイ及びキットを使用するコロナウイルスの検出及び診断における前記単一ドメイン抗体の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
単一ドメイン抗体又はナノボディは、ラクダ免疫グロブリン重鎖のみのサブセットに由来する組換え抗原特異的可変ドメイン(VHH)である。それらの小さい分子サイズ、容易な発現、高い親和性及び安定性は合わさって、それらを生物医学における多数の用途を備えたユニークな標的化試薬にする。ナノボディは、診断用試薬の開発のための、及び非侵襲的バイオイメージングで使用するための従来の抗体に代わるものとして登場した。ナノボディの治療可能性は、腫瘍学的及び炎症性疾患を含む多くの適応症で調査されている(Revets,De Baetselierら、2005、Chanier及びChames、2019)。
【0003】
SARS-nコロナウイルス2(SARS-Cov-2)のごく最近の出現(Zhou,Yangら、2020)により、ウイルスの基礎生物学の研究のためのウイルス学において、また可能な抗ウイルス薬としてもナノボディの使用に焦点が絞られた。明らかに、SARS-CoV2の重要なタンパク質の構造-機能関係は、ワクチン及び治療法を開発するために必要である。他のコロナウイルスと共通して、SARS-Cov2の一本鎖プラス鎖RNAゲノムは、4つの主な構造タンパク質、スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)及びヌクレオカプシド(NP)をコードする。これらのうちで、Sタンパク質は、宿主細胞におけるウイルス付着、融合及び侵入において重要な役割意を果たし、ウイルス-受容体結合に関与するN-末端(S1)サブユニット及び膜融合を媒介するC-末端ドメイン(S2)を含む(Li、2016)。SARS-CoV2に対する細胞表面受容体は、関連するコロナウイルスSARS-CoVと同様に、アンジオテンシン変換酵素2(ACE-2)であり、相互作用は、S1においておよそ300個のアミノ酸受容体結合ドメイン(RBD)にマッピングされている(Wan,Shangら、2020、Yan,Zhangら、2020)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、ファージディスプレイ技術によりネイティブラマVHHライブラリーをインビトロでスクリーニングすることによって、RBDに対して高親和性を有する多数のナノボディの驚くべき同定を報告する。本発明者らは、最も高い親和性(Kd=5.2nM)を有し、SARS-CoV-2のACE-2とRBDドメインとの間の相互作用をブロックするVHHの結合特性を解析した。
【0005】
現在、SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患であるCOVID-19に対する治療法はなく、したがって、有効な治療法に対する重要なニーズが存在する。更に、SARS-CoV-2の迅速かつ効率的な検出のための好適なツールが、ウイルスの正確な診断及びモニタリングを可能にするために必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、SARS-CoV-2のS-タンパク質の受容体結合ドメインに特異的に結合する単一ドメイン抗体を提供する。
第1の態様では、相補性決定領域、相補性決定領域3(CDR3)を含む単一ドメイン抗体が提供される。
【0007】
第2の態様では、CDR2及びCDR3を含む単一ドメイン抗体が提供される。
第3の態様では、CDR1、CDR2及びCDR3を含む単一ドメイン抗体が提供される。
【0008】
更なる態様では、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107からなる群から選択される配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。
【0009】
更なる態様では、本発明の単一ドメイン抗体をコードするポリヌクレオチド配列が提供される。
更なる態様では、本発明の単一ドメイン抗体の親和性成熟した変異体が提供される。
【0010】
更なる態様では、本発明の単一ドメイン抗体を産生するための方法が提供される。
更なる態様では、本発明の単一ドメイン抗体を含む医薬組成物が提供される。
更なる態様では、医療における使用のための本発明の単一ドメイン抗体又は本発明の医薬組成物が提供される。
【0011】
更なる態様では、治療活性量の本発明の単一ドメイン抗体を対象に投与する工程を含む、対象におけるコロナウイルスの治療のための方法が提供される。
更なる態様では、コロナウイルスの治療及び/又は予防における使用のための医薬品の製造における本発明の単一ドメイン抗体の使用が提供される。
【0012】
更なる態様では、コロナウイルスタンパク質の検出のための方法が提供される。
更なる態様では、対象においてコロナウイルス感染症を診断するための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が感染を促進する。(a)SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の概略図である。スパイクタンパク質は、S1及びS2サブユニットから構成される。S1ドメインは、赤色で強調されている受容体結合ドメイン(RBD)を含有する。RBDを使用して、三量体スパイク分子は、ヒト細胞上のACE2に結合する。(b)SARS-CoV-2とSARS-CoV-1との間で共有されるRBDの選択された残基が、灰色で強調され(SARS-CoV-2)、明るい灰色のテキストで示されている(SARS-CoV-1)。ACE2と接触する残基は、各配列の太字で強調されている。他の配列の違いは、黒色のテキストで示され、保存的置換は、下のコロン(:)により示されている。H11-H4ナノボディと接触する残基は、ボックスで囲まれている。(c)ラクダ科は、一本鎖の二量体である抗体を有する。定常領域は黒色であり、可変領域は灰色である。VHHドメインがそれ自体で表現される場合、ナノボディと呼ばれる。トポロジー図は、ナノボディが2つのb-シートから構成されていることを示す。3つのループ-相補性決定領域1(CDR1)、CDR2及びCDR3-は、抗原結合を制御し、より濃い灰色で強調されている。
図2A】実験室で成熟させたナノボディは、高い親和性でRBD及びスパイクタンパク質に結合する。(a)H11のCDR3領域の変異誘発による成熟は、H11-D4及びH11-H4をもたらした。親からの5つの変化は、太字で示されている。(b)5nMの親和性でRBD(チップ上のRBD-Fcとして固定化された)に結合されたH11-H4を示すSPRセンサーグラムである。繰り返し実験は図6Cに示され、H11-D4データは図6Dに提供される。(c)RBDは、ACE2(チップ上のACE2-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合はなく、H11-H4とACE2とがRBDへの結合で競合することを示している。RBDの代わりにスパイクタンパク質を使用しても、同様の結果が観察された。抗体E08R(抗Caspr2 Fab)を、陰性対照として使用した。H11-D4についてのデータは、図6Eに提供されている。(d)RBDは、CR3022(チップ上のCR3022-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合は同様なオンとオフレートで発生し、H11-H4とCR3022とがRBD上の異なるエピトープを認識することを示している。RBD H11-H4混合物に対する応答はより大きく、CR3022へのH11-H4-RBD複合体の結合と一致した。抗体E08Rをまた、陰性対照として使用した。スパイクタンパク質は、H11-H4の存在又は非存在下でCR3022への結合を示した。H11-D4についてのデータは、図6Fに提供される。(e)ITC測定は、12±1.5nMのKD及びH11-H4とRBDとの会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Aに提供されている。(f)ITC測定は、44±3nMのKD及びスパイクタンパク質とH11-H4との会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Bに提供されている。
図2B】実験室で成熟させたナノボディは、高い親和性でRBD及びスパイクタンパク質に結合する。(a)H11のCDR3領域の変異誘発による成熟は、H11-D4及びH11-H4をもたらした。親からの5つの変化は、太字で示されている。(b)5nMの親和性でRBD(チップ上のRBD-Fcとして固定化された)に結合されたH11-H4を示すSPRセンサーグラムである。繰り返し実験は図6Cに示され、H11-D4データは図6Dに提供される。(c)RBDは、ACE2(チップ上のACE2-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合はなく、H11-H4とACE2とがRBDへの結合で競合することを示している。RBDの代わりにスパイクタンパク質を使用しても、同様の結果が観察された。抗体E08R(抗Caspr2 Fab)を、陰性対照として使用した。H11-D4についてのデータは、図6Eに提供されている。(d)RBDは、CR3022(チップ上のCR3022-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合は同様なオンとオフレートで発生し、H11-H4とCR3022とがRBD上の異なるエピトープを認識することを示している。RBD H11-H4混合物に対する応答はより大きく、CR3022へのH11-H4-RBD複合体の結合と一致した。抗体E08Rをまた、陰性対照として使用した。スパイクタンパク質は、H11-H4の存在又は非存在下でCR3022への結合を示した。H11-D4についてのデータは、図6Fに提供される。(e)ITC測定は、12±1.5nMのKD及びH11-H4とRBDとの会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Aに提供されている。(f)ITC測定は、44±3nMのKD及びスパイクタンパク質とH11-H4との会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Bに提供されている。
図2C】実験室で成熟させたナノボディは、高い親和性でRBD及びスパイクタンパク質に結合する。(a)H11のCDR3領域の変異誘発による成熟は、H11-D4及びH11-H4をもたらした。親からの5つの変化は、太字で示されている。(b)5nMの親和性でRBD(チップ上のRBD-Fcとして固定化された)に結合されたH11-H4を示すSPRセンサーグラムである。繰り返し実験は図6Cに示され、H11-D4データは図6Dに提供される。(c)RBDは、ACE2(チップ上のACE2-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合はなく、H11-H4とACE2とがRBDへの結合で競合することを示している。RBDの代わりにスパイクタンパク質を使用しても、同様の結果が観察された。抗体E08R(抗Caspr2 Fab)を、陰性対照として使用した。H11-D4についてのデータは、図6Eに提供されている。(d)RBDは、CR3022(チップ上のCR3022-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合は同様なオンとオフレートで発生し、H11-H4とCR3022とがRBD上の異なるエピトープを認識することを示している。RBD H11-H4混合物に対する応答はより大きく、CR3022へのH11-H4-RBD複合体の結合と一致した。抗体E08Rをまた、陰性対照として使用した。スパイクタンパク質は、H11-H4の存在又は非存在下でCR3022への結合を示した。H11-D4についてのデータは、図6Fに提供される。(e)ITC測定は、12±1.5nMのKD及びH11-H4とRBDとの会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Aに提供されている。(f)ITC測定は、44±3nMのKD及びスパイクタンパク質とH11-H4との会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Bに提供されている。
図2D】実験室で成熟させたナノボディは、高い親和性でRBD及びスパイクタンパク質に結合する。(a)H11のCDR3領域の変異誘発による成熟は、H11-D4及びH11-H4をもたらした。親からの5つの変化は、太字で示されている。(b)5nMの親和性でRBD(チップ上のRBD-Fcとして固定化された)に結合されたH11-H4を示すSPRセンサーグラムである。繰り返し実験は図6Cに示され、H11-D4データは図6Dに提供される。(c)RBDは、ACE2(チップ上のACE2-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合はなく、H11-H4とACE2とがRBDへの結合で競合することを示している。RBDの代わりにスパイクタンパク質を使用しても、同様の結果が観察された。抗体E08R(抗Caspr2 Fab)を、陰性対照として使用した。H11-D4についてのデータは、図6Eに提供されている。(d)RBDは、CR3022(チップ上のCR3022-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合は同様なオンとオフレートで発生し、H11-H4とCR3022とがRBD上の異なるエピトープを認識することを示している。RBD H11-H4混合物に対する応答はより大きく、CR3022へのH11-H4-RBD複合体の結合と一致した。抗体E08Rをまた、陰性対照として使用した。スパイクタンパク質は、H11-H4の存在又は非存在下でCR3022への結合を示した。H11-D4についてのデータは、図6Fに提供される。(e)ITC測定は、12±1.5nMのKD及びH11-H4とRBDとの会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Aに提供されている。(f)ITC測定は、44±3nMのKD及びスパイクタンパク質とH11-H4との会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Bに提供されている。
図2E】実験室で成熟させたナノボディは、高い親和性でRBD及びスパイクタンパク質に結合する。(a)H11のCDR3領域の変異誘発による成熟は、H11-D4及びH11-H4をもたらした。親からの5つの変化は、太字で示されている。(b)5nMの親和性でRBD(チップ上のRBD-Fcとして固定化された)に結合されたH11-H4を示すSPRセンサーグラムである。繰り返し実験は図6Cに示され、H11-D4データは図6Dに提供される。(c)RBDは、ACE2(チップ上のACE2-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合はなく、H11-H4とACE2とがRBDへの結合で競合することを示している。RBDの代わりにスパイクタンパク質を使用しても、同様の結果が観察された。抗体E08R(抗Caspr2 Fab)を、陰性対照として使用した。H11-D4についてのデータは、図6Eに提供されている。(d)RBDは、CR3022(チップ上のCR3022-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合は同様なオンとオフレートで発生し、H11-H4とCR3022とがRBD上の異なるエピトープを認識することを示している。RBD H11-H4混合物に対する応答はより大きく、CR3022へのH11-H4-RBD複合体の結合と一致した。抗体E08Rをまた、陰性対照として使用した。スパイクタンパク質は、H11-H4の存在又は非存在下でCR3022への結合を示した。H11-D4についてのデータは、図6Fに提供される。(e)ITC測定は、12±1.5nMのKD及びH11-H4とRBDとの会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Aに提供されている。(f)ITC測定は、44±3nMのKD及びスパイクタンパク質とH11-H4との会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Bに提供されている。
図2F】実験室で成熟させたナノボディは、高い親和性でRBD及びスパイクタンパク質に結合する。(a)H11のCDR3領域の変異誘発による成熟は、H11-D4及びH11-H4をもたらした。親からの5つの変化は、太字で示されている。(b)5nMの親和性でRBD(チップ上のRBD-Fcとして固定化された)に結合されたH11-H4を示すSPRセンサーグラムである。繰り返し実験は図6Cに示され、H11-D4データは図6Dに提供される。(c)RBDは、ACE2(チップ上のACE2-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合はなく、H11-H4とACE2とがRBDへの結合で競合することを示している。RBDの代わりにスパイクタンパク質を使用しても、同様の結果が観察された。抗体E08R(抗Caspr2 Fab)を、陰性対照として使用した。H11-D4についてのデータは、図6Eに提供されている。(d)RBDは、CR3022(チップ上のCR3022-Fcとして固定化された)で結合された。RBDがH11-H4と予混合された場合、結合は同様なオンとオフレートで発生し、H11-H4とCR3022とがRBD上の異なるエピトープを認識することを示している。RBD H11-H4混合物に対する応答はより大きく、CR3022へのH11-H4-RBD複合体の結合と一致した。抗体E08Rをまた、陰性対照として使用した。スパイクタンパク質は、H11-H4の存在又は非存在下でCR3022への結合を示した。H11-D4についてのデータは、図6Fに提供される。(e)ITC測定は、12±1.5nMのKD及びH11-H4とRBDとの会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Aに提供されている。(f)ITC測定は、44±3nMのKD及びスパイクタンパク質とH11-H4との会合の1:1の比を示す。H11-D4についての反復及びデータは、図7Bに提供されている。
図3A】H11-H4のインビトロ生物学的活性である。(a)H11-H4-Fc、インビトロアッセイで使用されたIgG1 Fc融合体の概略図である。(b)ビオチン化RBDを被分析物と様々な割合で混合し、次いでヒトACE2を安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化RBDの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(c)ビオチン化ACE2-Fcを被分析物と様々な割合で混合し、次いでRBDを安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化ACE2-Fcの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(d)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)及びH11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)は、生きた野生型ウイルスの強力な中和を示す。95%信頼区間は、破線で示される。生データのプロットは図8に示されている。(e)H11-H4-Fcは、オックスフォードにおけるVero細胞ベースのアッセイで生きた野生型ウイルスの同様な中和(ND50 4nM)を示す。CR3022は、このアッセイシステムでは陽性対照として示され、以前の報告と同様である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。実験プレートは、図8に示されている。
図3B】H11-H4のインビトロ生物学的活性である。(a)H11-H4-Fc、インビトロアッセイで使用されたIgG1 Fc融合体の概略図である。(b)ビオチン化RBDを被分析物と様々な割合で混合し、次いでヒトACE2を安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化RBDの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(c)ビオチン化ACE2-Fcを被分析物と様々な割合で混合し、次いでRBDを安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化ACE2-Fcの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(d)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)及びH11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)は、生きた野生型ウイルスの強力な中和を示す。95%信頼区間は、破線で示される。生データのプロットは図8に示されている。(e)H11-H4-Fcは、オックスフォードにおけるVero細胞ベースのアッセイで生きた野生型ウイルスの同様な中和(ND50 4nM)を示す。CR3022は、このアッセイシステムでは陽性対照として示され、以前の報告と同様である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。実験プレートは、図8に示されている。
図3C】H11-H4のインビトロ生物学的活性である。(a)H11-H4-Fc、インビトロアッセイで使用されたIgG1 Fc融合体の概略図である。(b)ビオチン化RBDを被分析物と様々な割合で混合し、次いでヒトACE2を安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化RBDの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(c)ビオチン化ACE2-Fcを被分析物と様々な割合で混合し、次いでRBDを安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化ACE2-Fcの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(d)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)及びH11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)は、生きた野生型ウイルスの強力な中和を示す。95%信頼区間は、破線で示される。生データのプロットは図8に示されている。(e)H11-H4-Fcは、オックスフォードにおけるVero細胞ベースのアッセイで生きた野生型ウイルスの同様な中和(ND50 4nM)を示す。CR3022は、このアッセイシステムでは陽性対照として示され、以前の報告と同様である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。実験プレートは、図8に示されている。
図3D】H11-H4のインビトロ生物学的活性である。(a)H11-H4-Fc、インビトロアッセイで使用されたIgG1 Fc融合体の概略図である。(b)ビオチン化RBDを被分析物と様々な割合で混合し、次いでヒトACE2を安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化RBDの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(c)ビオチン化ACE2-Fcを被分析物と様々な割合で混合し、次いでRBDを安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化ACE2-Fcの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(d)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)及びH11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)は、生きた野生型ウイルスの強力な中和を示す。95%信頼区間は、破線で示される。生データのプロットは図8に示されている。(e)H11-H4-Fcは、オックスフォードにおけるVero細胞ベースのアッセイで生きた野生型ウイルスの同様な中和(ND50 4nM)を示す。CR3022は、このアッセイシステムでは陽性対照として示され、以前の報告と同様である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。実験プレートは、図8に示されている。
図3E】H11-H4のインビトロ生物学的活性である。(a)H11-H4-Fc、インビトロアッセイで使用されたIgG1 Fc融合体の概略図である。(b)ビオチン化RBDを被分析物と様々な割合で混合し、次いでヒトACE2を安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化RBDの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(c)ビオチン化ACE2-Fcを被分析物と様々な割合で混合し、次いでRBDを安定して発現するMDCKSIAT1細胞に添加した。結合したビオチン化ACE2-Fcの量を測定した。実験は二通りで行われ、平均値±SDが示される。(d)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)及びH11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)は、生きた野生型ウイルスの強力な中和を示す。95%信頼区間は、破線で示される。生データのプロットは図8に示されている。(e)H11-H4-Fcは、オックスフォードにおけるVero細胞ベースのアッセイで生きた野生型ウイルスの同様な中和(ND50 4nM)を示す。CR3022は、このアッセイシステムでは陽性対照として示され、以前の報告と同様である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。実験プレートは、図8に示されている。
図4A】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図4B】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図4C】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図4D】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図4E】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図4F】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図4G】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図4H】スパイク及びRBDに結合したH11-H4の構造生物学である。(a)1つのH11-H4ナノボディに結合した3本の鎖の各々を有するスパイク(S1)三量体のEM構造である。スパイクの「アップ型」配置単量体は、そのRBDが赤色で強調されて明るいピンクで着色されている。他の単量体は、全体的に淡いシアン及び小麦色で着色されている。スパイクの各単量体は、1つのH11-H4ナノボディに結合しており、3つのH11-H4ナノボディは黄色で着色されている。(b)H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD複合体の結晶構造は、RBD(赤色)を介して重ね合わされ、両方のナノボディが同じRBDエピトープを認識することを示している。H11-D4は、オレンジ色で着色され、H11-H4は黄色で着色されている。(c)H11-H4とH11-D4との間には7°のピボットがあり、これは、ナノボディがシフトしていることを意味する。(d)H11-H4のループCDR1、CDR2及びCDR3は、認識を制御し、マゼンタで着色されている。(e)図4で示される構造の90°の回転であり、RBDと接触している残基を示す。H11-H4残基は、炭素原子が黄色で、窒素原子が青色で、酸素原子が赤色で着色されて、黄色でラベル付けされている。RBDは、濃い灰色で強調された接触点(<4.0Å)を有する白色表面として示されている。(f)H11-H4(省略されている)と接触したRBD残基を示す、図4cと同じ図である。選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、他の原子が図4cのように着色されて、ラベル付けされている。(g)H11-H4(灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述するLigPlotである。水素結合は、黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は、明るい灰色の破線で示されている。(h)H11-H4のCDR2のArg52がRBDのPhe490に積み重なり、Glu484と塩接触する。加えて、主鎖Ser103(図では側鎖は省略されている)及びTyr109への水素結合を作製する。
図5A】H11-H4及びCR3022は、RBDに対する異なる結合エピトープを有し、追加の中和活性を示す。(a)H11-H4-RBD複合体のRBDドメイン(図4eのように着色された)とRBD-ACE2複合体10(淡い青色で着色されたACE2)とを使用する重ね合わせである。H11-H4がRBDに結合するとき、これは立体衝突(steric clash)によりACE2結合を妨害する。(b)ACE2にのみ関与するRBDの領域は、H11-H4によって認識されるその領域との小さな重複を有する。RBDは、分子表面として示され、ACE2とだけ接触しているそれらの領域が、濃い青色で強調されており、一方H11-H4とだけ接触しているものが赤色で強調されている。RBDと接触するACE2の2つのヘリックス及びターンはカートーンで示され、図5aのように着色されている。H11-H4のCDR1、2及び3はラベル付けされ、カートーンで示され、黄色で着色されている。両方の結合部位に大きく寄与するTyr489及びGln493は、淡い緑色で強調されている。(c)三元複合体H11-D4-RBD-CR3022は、ナノボディ及び抗体が、完全に異なるエピトープを認識することを示す。CR3022は、淡いピンク及びサーモンピンクで着色され、その他は図4bのように着色されている。(d)84nMの一定濃度でのCR3022の存在下のH11-H4-Fcについての中和アッセイである。灰色の実線は、中和剤を含まない対照値を表す。破線は、それぞれ、対照に対して50%及び10%である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。H11-H4-Fc中和曲線及び2nMの測定されたND50は、加法性を示す。実験プレートは、図9Dに示されている。
図5B】H11-H4及びCR3022は、RBDに対する異なる結合エピトープを有し、追加の中和活性を示す。(a)H11-H4-RBD複合体のRBDドメイン(図4eのように着色された)とRBD-ACE2複合体10(淡い青色で着色されたACE2)とを使用する重ね合わせである。H11-H4がRBDに結合するとき、これは立体衝突(steric clash)によりACE2結合を妨害する。(b)ACE2にのみ関与するRBDの領域は、H11-H4によって認識されるその領域との小さな重複を有する。RBDは、分子表面として示され、ACE2とだけ接触しているそれらの領域が、濃い青色で強調されており、一方H11-H4とだけ接触しているものが赤色で強調されている。RBDと接触するACE2の2つのヘリックス及びターンはカートーンで示され、図5aのように着色されている。H11-H4のCDR1、2及び3はラベル付けされ、カートーンで示され、黄色で着色されている。両方の結合部位に大きく寄与するTyr489及びGln493は、淡い緑色で強調されている。(c)三元複合体H11-D4-RBD-CR3022は、ナノボディ及び抗体が、完全に異なるエピトープを認識することを示す。CR3022は、淡いピンク及びサーモンピンクで着色され、その他は図4bのように着色されている。(d)84nMの一定濃度でのCR3022の存在下のH11-H4-Fcについての中和アッセイである。灰色の実線は、中和剤を含まない対照値を表す。破線は、それぞれ、対照に対して50%及び10%である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。H11-H4-Fc中和曲線及び2nMの測定されたND50は、加法性を示す。実験プレートは、図9Dに示されている。
図5C】H11-H4及びCR3022は、RBDに対する異なる結合エピトープを有し、追加の中和活性を示す。(a)H11-H4-RBD複合体のRBDドメイン(図4eのように着色された)とRBD-ACE2複合体10(淡い青色で着色されたACE2)とを使用する重ね合わせである。H11-H4がRBDに結合するとき、これは立体衝突(steric clash)によりACE2結合を妨害する。(b)ACE2にのみ関与するRBDの領域は、H11-H4によって認識されるその領域との小さな重複を有する。RBDは、分子表面として示され、ACE2とだけ接触しているそれらの領域が、濃い青色で強調されており、一方H11-H4とだけ接触しているものが赤色で強調されている。RBDと接触するACE2の2つのヘリックス及びターンはカートーンで示され、図5aのように着色されている。H11-H4のCDR1、2及び3はラベル付けされ、カートーンで示され、黄色で着色されている。両方の結合部位に大きく寄与するTyr489及びGln493は、淡い緑色で強調されている。(c)三元複合体H11-D4-RBD-CR3022は、ナノボディ及び抗体が、完全に異なるエピトープを認識することを示す。CR3022は、淡いピンク及びサーモンピンクで着色され、その他は図4bのように着色されている。(d)84nMの一定濃度でのCR3022の存在下のH11-H4-Fcについての中和アッセイである。灰色の実線は、中和剤を含まない対照値を表す。破線は、それぞれ、対照に対して50%及び10%である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。H11-H4-Fc中和曲線及び2nMの測定されたND50は、加法性を示す。実験プレートは、図9Dに示されている。
図5D】H11-H4及びCR3022は、RBDに対する異なる結合エピトープを有し、追加の中和活性を示す。(a)H11-H4-RBD複合体のRBDドメイン(図4eのように着色された)とRBD-ACE2複合体10(淡い青色で着色されたACE2)とを使用する重ね合わせである。H11-H4がRBDに結合するとき、これは立体衝突(steric clash)によりACE2結合を妨害する。(b)ACE2にのみ関与するRBDの領域は、H11-H4によって認識されるその領域との小さな重複を有する。RBDは、分子表面として示され、ACE2とだけ接触しているそれらの領域が、濃い青色で強調されており、一方H11-H4とだけ接触しているものが赤色で強調されている。RBDと接触するACE2の2つのヘリックス及びターンはカートーンで示され、図5aのように着色されている。H11-H4のCDR1、2及び3はラベル付けされ、カートーンで示され、黄色で着色されている。両方の結合部位に大きく寄与するTyr489及びGln493は、淡い緑色で強調されている。(c)三元複合体H11-D4-RBD-CR3022は、ナノボディ及び抗体が、完全に異なるエピトープを認識することを示す。CR3022は、淡いピンク及びサーモンピンクで着色され、その他は図4bのように着色されている。(d)84nMの一定濃度でのCR3022の存在下のH11-H4-Fcについての中和アッセイである。灰色の実線は、中和剤を含まない対照値を表す。破線は、それぞれ、対照に対して50%及び10%である。データは、n=2の技術的反復の平均値及び標準偏差として表される。H11-H4-Fc中和曲線及び2nMの測定されたND50は、加法性を示す。実験プレートは、図9Dに示されている。
図6A】RBDに結合するナノボディの生物物理学である。(a)ネイティブライブラリースクリーンから同定されたH11親ナノボディについての生センサーグラムである。(b)H11親ナノボディのKDの計算である。(c)図2Bの繰り返し、RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(d)RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(e)被分析物のチップ上に固定されたACE2-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2C)挙動した。(f)被分析物のチップ上に固定されたCR2022-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2D)挙動した。
図6B】RBDに結合するナノボディの生物物理学である。(a)ネイティブライブラリースクリーンから同定されたH11親ナノボディについての生センサーグラムである。(b)H11親ナノボディのKDの計算である。(c)図2Bの繰り返し、RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(d)RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(e)被分析物のチップ上に固定されたACE2-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2C)挙動した。(f)被分析物のチップ上に固定されたCR2022-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2D)挙動した。
図6C】RBDに結合するナノボディの生物物理学である。(a)ネイティブライブラリースクリーンから同定されたH11親ナノボディについての生センサーグラムである。(b)H11親ナノボディのKDの計算である。(c)図2Bの繰り返し、RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(d)RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(e)被分析物のチップ上に固定されたACE2-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2C)挙動した。(f)被分析物のチップ上に固定されたCR2022-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2D)挙動した。
図6D】RBDに結合するナノボディの生物物理学である。(a)ネイティブライブラリースクリーンから同定されたH11親ナノボディについての生センサーグラムである。(b)H11親ナノボディのKDの計算である。(c)図2Bの繰り返し、RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(d)RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(e)被分析物のチップ上に固定されたACE2-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2C)挙動した。(f)被分析物のチップ上に固定されたCR2022-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2D)挙動した。
図6E】RBDに結合するナノボディの生物物理学である。(a)ネイティブライブラリースクリーンから同定されたH11親ナノボディについての生センサーグラムである。(b)H11親ナノボディのKDの計算である。(c)図2Bの繰り返し、RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(d)RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(e)被分析物のチップ上に固定されたACE2-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2C)挙動した。(f)被分析物のチップ上に固定されたCR2022-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2D)挙動した。
図6F】RBDに結合するナノボディの生物物理学である。(a)ネイティブライブラリースクリーンから同定されたH11親ナノボディについての生センサーグラムである。(b)H11親ナノボディのKDの計算である。(c)図2Bの繰り返し、RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(d)RBD-Fcに結合するH11-H4についてのセンサーグラムである。(e)被分析物のチップ上に固定されたACE2-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2C)挙動した。(f)被分析物のチップ上に固定されたCR2022-Fcへの結合である。H11-D4は、H11-H4と同じように(図2D)挙動した。
図7A-1】RBD又はスパイクに結合するナノボディのITC測定である。(a)RBDに結合するH11-H4及びH11-D4の3つの独立したITC測定である。誤差は、図2Dに示されるものを含む、3つの独立した実験に対するs.e.mである。(b)上記の通りであるが、スパイクタンパク質を有する。
図7A-2】RBD又はスパイクに結合するナノボディのITC測定である。(a)RBDに結合するH11-H4及びH11-D4の3つの独立したITC測定である。誤差は、図2Dに示されるものを含む、3つの独立した実験に対するs.e.mである。(b)上記の通りであるが、スパイクタンパク質を有する。
図7B-1】RBD又はスパイクに結合するナノボディのITC測定である。(a)RBDに結合するH11-H4及びH11-D4の3つの独立したITC測定である。誤差は、図2Dに示されるものを含む、3つの独立した実験に対するs.e.mである。(b)上記の通りであるが、スパイクタンパク質を有する。
図7B-2】RBD又はスパイクに結合するナノボディのITC測定である。(a)RBDに結合するH11-H4及びH11-D4の3つの独立したITC測定である。誤差は、図2Dに示されるものを含む、3つの独立した実験に対するs.e.mである。(b)上記の通りであるが、スパイクタンパク質を有する。
図8A】英国公衆衛生庁での生きたウイルスの中和である。ウイルスから生じるプラークの減少パーセンテージを、(a)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)(b)H11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)の(左から右に)増加する濃度に対してプロットする。信頼区間は、破線で示されている。図3d、e、5dでは、感染%(感染%=100-プラーク減少%)は、薬剤の減少する(左から右)濃度に対してプロットされる。(c)コード付きの実験プレートを下に記載する。ウイルスによって引き起こされたプラークが見える。
図8B】英国公衆衛生庁での生きたウイルスの中和である。ウイルスから生じるプラークの減少パーセンテージを、(a)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)(b)H11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)の(左から右に)増加する濃度に対してプロットする。信頼区間は、破線で示されている。図3d、e、5dでは、感染%(感染%=100-プラーク減少%)は、薬剤の減少する(左から右)濃度に対してプロットされる。(c)コード付きの実験プレートを下に記載する。ウイルスによって引き起こされたプラークが見える。
図8C】英国公衆衛生庁での生きたウイルスの中和である。ウイルスから生じるプラークの減少パーセンテージを、(a)H11-H4-Fc(6nM、95%CI 3~9nM)(b)H11-D4-Fc(18nM、95%CI 9~68nM)の(左から右に)増加する濃度に対してプロットする。信頼区間は、破線で示されている。図3d、e、5dでは、感染%(感染%=100-プラーク減少%)は、薬剤の減少する(左から右)濃度に対してプロットされる。(c)コード付きの実験プレートを下に記載する。ウイルスによって引き起こされたプラークが見える。
図9A】オックスフォード大学での生きたウイルスの中和である。中和剤の濃度を行全体で一定に保ち、後続の行で減少させた。薬剤を高ウイルス濃度及び低ウイルス濃度に対してテストした。(a)薬剤を含まない対照プレートである。(b)CR3022である。(c)H11-H4-Fcである。(d)H11-H4-Fcを変化させ、CR3022を84nMで一定に保った。左側の画像は、ペンカウンティング前のプラークを示し、右側の画像はペンカウントを示す。
図9B】オックスフォード大学での生きたウイルスの中和である。中和剤の濃度を行全体で一定に保ち、後続の行で減少させた。薬剤を高ウイルス濃度及び低ウイルス濃度に対してテストした。(a)薬剤を含まない対照プレートである。(b)CR3022である。(c)H11-H4-Fcである。(d)H11-H4-Fcを変化させ、CR3022を84nMで一定に保った。左側の画像は、ペンカウンティング前のプラークを示し、右側の画像はペンカウントを示す。
図9C】オックスフォード大学での生きたウイルスの中和である。中和剤の濃度を行全体で一定に保ち、後続の行で減少させた。薬剤を高ウイルス濃度及び低ウイルス濃度に対してテストした。(a)薬剤を含まない対照プレートである。(b)CR3022である。(c)H11-H4-Fcである。(d)H11-H4-Fcを変化させ、CR3022を84nMで一定に保った。左側の画像は、ペンカウンティング前のプラークを示し、右側の画像はペンカウントを示す。
図9D】オックスフォード大学での生きたウイルスの中和である。中和剤の濃度を行全体で一定に保ち、後続の行で減少させた。薬剤を高ウイルス濃度及び低ウイルス濃度に対してテストした。(a)薬剤を含まない対照プレートである。(b)CR3022である。(c)H11-H4-Fcである。(d)H11-H4-Fcを変化させ、CR3022を84nMで一定に保った。左側の画像は、ペンカウンティング前のプラークを示し、右側の画像はペンカウントを示す。
図10A】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10B】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10C】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10D】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10E】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10F】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10G】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10H】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図10I】H11-H4-スパイク複合体のクライオ(Cryo)-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで4sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで4sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~iで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11A】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11B】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11C】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11D】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11E】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11F】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11G】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11H】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図11I】H11-D4-スパイク複合体のクライオ-EMである。(a)H11-H4-スパイク(SARS-CoV-2由来)複合体の無バイアス2Dクラス平均である。(b)更なる処理のために選択された2Dクラス平均である。(c)FSC基準を使用する推定分解能である。(d)最終マップのための粒子配向分布は、好ましい配向を示さなかった。(e)最終クライオ-EMマップ(局所分解能に従ってシェーディング)である。(f)複合体のリボンダイヤグラム(キメラで3.8sで輪郭を描いた灰色のボリュームとして示されたクライオ-EMマップ)である。(g、h、i)キメラで3.8sで輪郭を描いた、RBDに結合した3つのH11-H4ナノボディの各々についてのリボンを用いたクライオ-EM密度である。パネルf~lで使用されたクライオ-EMマップは、LocScaleを使用する精密化座標に基づいてスケーリングされたその振幅を有していた。
図12A】クライオ-EMナノボディ-スパイク複合体の更なる解析である。(a)H11-D4-スパイク複合体は、図4aのように着色されている。(b)表面で示され、図4aで着色されたH11-H4-スパイク複合体は、ダウン型サブユニットに結合したH11-H4とアップ型RBDとの間に相互作用があることを明らかにした。(c)図9aで示された相互作用の大写し図である。濃い青色で示されているのは、スパイク構造(6vyb13)からのダウン型RBDである。ダウン型RBDは、約2Åだけシフトしている。(d)H11-H4に結合したスパイクの閉鎖構造から構築されたモデルは、崩壊がないことを示し、ナノボディがこの形態も認識することを示している。モデルは、スパイクの閉鎖形態(6vxx13)のEM構造上にH11-H4 RBD複合体を重ね合わせることによって構築した。
図12B】クライオ-EMナノボディ-スパイク複合体の更なる解析である。(a)H11-D4-スパイク複合体は、図4aのように着色されている。(b)表面で示され、図4aで着色されたH11-H4-スパイク複合体は、ダウン型サブユニットに結合したH11-H4とアップ型RBDとの間に相互作用があることを明らかにした。(c)図9aで示された相互作用の大写し図である。濃い青色で示されているのは、スパイク構造(6vyb13)からのダウン型RBDである。ダウン型RBDは、約2Åだけシフトしている。(d)H11-H4に結合したスパイクの閉鎖構造から構築されたモデルは、崩壊がないことを示し、ナノボディがこの形態も認識することを示している。モデルは、スパイクの閉鎖形態(6vxx13)のEM構造上にH11-H4 RBD複合体を重ね合わせることによって構築した。
図12C】クライオ-EMナノボディ-スパイク複合体の更なる解析である。(a)H11-D4-スパイク複合体は、図4aのように着色されている。(b)表面で示され、図4aで着色されたH11-H4-スパイク複合体は、ダウン型サブユニットに結合したH11-H4とアップ型RBDとの間に相互作用があることを明らかにした。(c)図9aで示された相互作用の大写し図である。濃い青色で示されているのは、スパイク構造(6vyb13)からのダウン型RBDである。ダウン型RBDは、約2Åだけシフトしている。(d)H11-H4に結合したスパイクの閉鎖構造から構築されたモデルは、崩壊がないことを示し、ナノボディがこの形態も認識することを示している。モデルは、スパイクの閉鎖形態(6vxx13)のEM構造上にH11-H4 RBD複合体を重ね合わせることによって構築した。
図12D】クライオ-EMナノボディ-スパイク複合体の更なる解析である。(a)H11-D4-スパイク複合体は、図4aのように着色されている。(b)表面で示され、図4aで着色されたH11-H4-スパイク複合体は、ダウン型サブユニットに結合したH11-H4とアップ型RBDとの間に相互作用があることを明らかにした。(c)図9aで示された相互作用の大写し図である。濃い青色で示されているのは、スパイク構造(6vyb13)からのダウン型RBDである。ダウン型RBDは、約2Åだけシフトしている。(d)H11-H4に結合したスパイクの閉鎖構造から構築されたモデルは、崩壊がないことを示し、ナノボディがこの形態も認識することを示している。モデルは、スパイクの閉鎖形態(6vxx13)のEM構造上にH11-H4 RBD複合体を重ね合わせることによって構築した。
図13A】ナノボディ-RBD結晶構造の更なる構造解析である。(a)ACE2との複合体からのRBD(明るい灰色で着色されたPDB 6m0j)とH11-H4との複合体からのRBDを重ね合わせる。示された残基484~510を使用することによって、RBD内にヒンジ運動がおこる。このヒンジの結果として、His519のCαは2.1Åシフトした。(b)H11-H4の結合は、ACE2複合体10、11からのRBDのVal483における局所シフトをもたらす。(c)H11-H4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。(d)H11-D4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。
図13B】ナノボディ-RBD結晶構造の更なる構造解析である。(a)ACE2との複合体からのRBD(明るい灰色で着色されたPDB 6m0j)とH11-H4との複合体からのRBDを重ね合わせる。示された残基484~510を使用することによって、RBD内にヒンジ運動がおこる。このヒンジの結果として、His519のCαは2.1Åシフトした。(b)H11-H4の結合は、ACE2複合体10、11からのRBDのVal483における局所シフトをもたらす。(c)H11-H4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。(d)H11-D4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。
図13C】ナノボディ-RBD結晶構造の更なる構造解析である。(a)ACE2との複合体からのRBD(明るい灰色で着色されたPDB 6m0j)とH11-H4との複合体からのRBDを重ね合わせる。示された残基484~510を使用することによって、RBD内にヒンジ運動がおこる。このヒンジの結果として、His519のCαは2.1Åシフトした。(b)H11-H4の結合は、ACE2複合体10、11からのRBDのVal483における局所シフトをもたらす。(c)H11-H4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。(d)H11-D4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。
図13D】ナノボディ-RBD結晶構造の更なる構造解析である。(a)ACE2との複合体からのRBD(明るい灰色で着色されたPDB 6m0j)とH11-H4との複合体からのRBDを重ね合わせる。示された残基484~510を使用することによって、RBD内にヒンジ運動がおこる。このヒンジの結果として、His519のCαは2.1Åシフトした。(b)H11-H4の結合は、ACE2複合体10、11からのRBDのVal483における局所シフトをもたらす。(c)H11-H4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。(d)H11-D4-RBD界面における残基に対して2sで輪郭を描いた2Fo-Fc電子密度マップである。
図14A】H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体、VHH7 MERS RBD複合体及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキング(Crystal packing)の解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行b-シート型相互作用を明らかにした。 [図14A]H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体18(PDB 6YLA)、VHH72 SARS-CoV-1 RBD複合体25(PDB 6WAQ)及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキングの解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行β-シート型相互作用を明らかにした。
図14B】H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体、VHH7 MERS RBD複合体及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキング(Crystal packing)の解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行b-シート型相互作用を明らかにした。 [図14B]H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体18(PDB 6YLA)、VHH72 SARS-CoV-1 RBD複合体25(PDB 6WAQ)及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキングの解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行β-シート型相互作用を明らかにした。
図14C】H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体、VHH7 MERS RBD複合体及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキング(Crystal packing)の解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行b-シート型相互作用を明らかにした。 [図14C]H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体18(PDB 6YLA)、VHH72 SARS-CoV-1 RBD複合体25(PDB 6WAQ)及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキングの解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行β-シート型相互作用を明らかにした。
図14D】H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体、VHH7 MERS RBD複合体及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキング(Crystal packing)の解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行b-シート型相互作用を明らかにした。 [図14D]H11-H4及びVHH72は、異なるエピトープを認識する。(a)VHH72(黒色)及びH11-H4(黄色)は、RBD(赤色)上の異なるエピトープを認識する。(b)VHH72及びCR3022のエピトープ(薄いピンク及び薄紫色)は重複している。CR3002 RBD複合体18(PDB 6YLA)、VHH72 SARS-CoV-1 RBD複合体25(PDB 6WAQ)及びH11-H4-RBD複合体からのRBDを重ね合わせることによって図を作成した。(c)H11-H4-RBD複合体中のクリスタルパッキングの解析は、結晶接触がRBD上の同じエピトープを使用することを明らかにした。H11-H4によって使用される結晶接触面は、VHH72によって使用されるものとは異なる(ナノボディは、ナノボディの中心を通過する垂直軸の周りで180°だけ回転している)。(d)結晶接触の大写し図は、逆平行β-シート型相互作用を明らかにした。
図15A】RBDドメインに結合したH11-D4ナノボディの構造である。(a)H11-D4-RBD複合体の結晶構造である。エピトープ認識を制御するループCDR1、CDR2及びCDR3は、濃い灰色で強調されている。(b)パネルに示された構造の90°の回転であり、RBDと接触する残基を示している。RBDは、接点(4.0Å)を有する表面として示されている。(c)LigPlot42は、H11-D4(明るい灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述する。結晶構造に規則正しく整っていないArg27は、この解析には含まれなかった。水素結合は黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は薄い灰色の破線で示されている。(d)パネルbでのものと同じ図は、H11-D4と接触するRBD残基を示す。選択されたRBDは、残基は、炭素が灰色で着色されて、黒色でラベル付けされている。
図15B】RBDドメインに結合したH11-D4ナノボディの構造である。(a)H11-D4-RBD複合体の結晶構造である。エピトープ認識を制御するループCDR1、CDR2及びCDR3は、濃い灰色で強調されている。(b)パネルに示された構造の90°の回転であり、RBDと接触する残基を示している。RBDは、接点(4.0Å)を有する表面として示されている。(c)LigPlot42は、H11-D4(明るい灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述する。結晶構造に規則正しく整っていないArg27は、この解析には含まれなかった。水素結合は黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は薄い灰色の破線で示されている。(d)パネルbでのものと同じ図は、H11-D4と接触するRBD残基を示す。選択されたRBDは、残基は、炭素が灰色で着色されて、黒色でラベル付けされている。
図15C】RBDドメインに結合したH11-D4ナノボディの構造である。(a)H11-D4-RBD複合体の結晶構造である。エピトープ認識を制御するループCDR1、CDR2及びCDR3は、濃い灰色で強調されている。(b)パネルに示された構造の90°の回転であり、RBDと接触する残基を示している。RBDは、接点(4.0Å)を有する表面として示されている。(c)LigPlot42は、H11-D4(明るい灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述する。結晶構造に規則正しく整っていないArg27は、この解析には含まれなかった。水素結合は黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は薄い灰色の破線で示されている。(d)パネルbでのものと同じ図は、H11-D4と接触するRBD残基を示す。選択されたRBDは、残基は、炭素が灰色で着色されて、黒色でラベル付けされている。
図15D】RBDドメインに結合したH11-D4ナノボディの構造である。(a)H11-D4-RBD複合体の結晶構造である。エピトープ認識を制御するループCDR1、CDR2及びCDR3は、濃い灰色で強調されている。(b)パネルに示された構造の90°の回転であり、RBDと接触する残基を示している。RBDは、接点(4.0Å)を有する表面として示されている。(c)LigPlot42は、H11-D4(明るい灰色で示された残基、上部)とRBD(黒色で示された残基、下部)との間の相互作用を詳述する。結晶構造に規則正しく整っていないArg27は、この解析には含まれなかった。水素結合は黒色の破線で示され、ファンデルワールス相互作用は薄い灰色の破線で示されている。(d)パネルbでのものと同じ図は、H11-D4と接触するRBD残基を示す。選択されたRBDは、残基は、炭素が灰色で着色されて、黒色でラベル付けされている。
図16A】H11-D4-RBD複合体を安定化する重要な相互作用である。(a)RBD中のTyr449の芳香族環は、Asn101においてH11-D4上の疎水性パッチに対して積み重なる。(b)H11-H4のArg52及びCDR2は、RBDのPhe490に対して積み重なり、Glu484との塩ブリッジ接点を作製する。加えて、これはSer103及びTyr109に対する水素結合を作製する。(c)Arg98は、RBDとは接触しないCDR3ループ内でだけ変化し、その代わりに、この残基はループ構造を安定化する。(d)H11-D4のGlu108、Arg103及びTrp113は、CDR3ループを安定化するうえで重要な役割を果たす。
図16B】H11-D4-RBD複合体を安定化する重要な相互作用である。(a)RBD中のTyr449の芳香族環は、Asn101においてH11-D4上の疎水性パッチに対して積み重なる。(b)H11-H4のArg52及びCDR2は、RBDのPhe490に対して積み重なり、Glu484との塩ブリッジ接点を作製する。加えて、これはSer103及びTyr109に対する水素結合を作製する。(c)Arg98は、RBDとは接触しないCDR3ループ内でだけ変化し、その代わりに、この残基はループ構造を安定化する。(d)H11-D4のGlu108、Arg103及びTrp113は、CDR3ループを安定化するうえで重要な役割を果たす。
図16C】H11-D4-RBD複合体を安定化する重要な相互作用である。(a)RBD中のTyr449の芳香族環は、Asn101においてH11-D4上の疎水性パッチに対して積み重なる。(b)H11-H4のArg52及びCDR2は、RBDのPhe490に対して積み重なり、Glu484との塩ブリッジ接点を作製する。加えて、これはSer103及びTyr109に対する水素結合を作製する。(c)Arg98は、RBDとは接触しないCDR3ループ内でだけ変化し、その代わりに、この残基はループ構造を安定化する。(d)H11-D4のGlu108、Arg103及びTrp113は、CDR3ループを安定化するうえで重要な役割を果たす。
図16D】H11-D4-RBD複合体を安定化する重要な相互作用である。(a)RBD中のTyr449の芳香族環は、Asn101においてH11-D4上の疎水性パッチに対して積み重なる。(b)H11-H4のArg52及びCDR2は、RBDのPhe490に対して積み重なり、Glu484との塩ブリッジ接点を作製する。加えて、これはSer103及びTyr109に対する水素結合を作製する。(c)Arg98は、RBDとは接触しないCDR3ループ内でだけ変化し、その代わりに、この残基はループ構造を安定化する。(d)H11-D4のGlu108、Arg103及びTrp113は、CDR3ループを安定化するうえで重要な役割を果たす。
図17】SARS-2受容体結合ドメインとナノボディH11との間の相互作用である。精製されたRBD(レーン1)、精製されたNb H11(レーン2)及びサイズ排除カラムから共溶出されたRBD-Nb11のSDS pageは、1:1の複合体への組み立てを示している。
図18A】(a)NbRBD_H11-D4のセンサチップに固定化されたACE2-Fc IgGとの競合アッセイである。NbRBD_H11-D4は、RBDへの結合についてACE-2と競合する。(b)NbRBD_H11-D4のセンサチップに固定化されたCR3022 IgGとの競合アッセイである。E08R Fabは、陰性対照である。NbRBD_H11-D4は、RBDへの結合についてCR3022とは競合しない。
図18B】(a)NbRBD_H11-D4のセンサチップに固定化されたACE2-Fc IgGとの競合アッセイである。NbRBD_H11-D4は、RBDへの結合についてACE-2と競合する。(b)NbRBD_H11-D4のセンサチップに固定化されたCR3022 IgGとの競合アッセイである。E08R Fabは、陰性対照である。NbRBD_H11-D4は、RBDへの結合についてCR3022とは競合しない。
図19A】(a)スパイクS1三量体中の全ての3つのRBDは、NBRBD_H11-D4と結合する。「アップ型」配置の鎖は、RBDが赤色で強調され、結合したナノボディが黄色で強調されて、オレンジ色で着色されている。S1タンパク質の「ダウン型」鎖のうちの1つは、淡い青色で着色され、ナノボディは薄い紫色で着色されており、他の「ダウン型」鎖は、その結合したナノボディが褐色で着色されて、緑色で着色されている。(b)NBRBD_H11-D4 RBD界面を形成する残基の大写し図であり選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、酸素が赤色、窒素が青色で着色されて、黒色でラベル付けされている。選択されたNBRBD_H11-D4原子は、炭素が黄色で、他の原子がRBDとして着色されて、黄色でラベル付けされている。
図19B】(a)スパイクS1三量体中の全ての3つのRBDは、NBRBD_H11-D4と結合する。「アップ型」配置の鎖は、RBDが赤色で強調され、結合したナノボディが黄色で強調されて、オレンジ色で着色されている。S1タンパク質の「ダウン型」鎖のうちの1つは、淡い青色で着色され、ナノボディは薄い紫色で着色されており、他の「ダウン型」鎖は、その結合したナノボディが褐色で着色されて、緑色で着色されている。(b)NBRBD_H11-D4 RBD界面を形成する残基の大写し図であり選択されたRBD残基は、炭素が灰色で着色され、酸素が赤色、窒素が青色で着色されて、黒色でラベル付けされている。選択されたNBRBD_H11-D4原子は、炭素が黄色で、他の原子がRBDとして着色されて、黄色でラベル付けされている。
図20】NBRBD_H11-D4とRBDとの間の相互作用を詳述するLigplot(Laskowski and Swindells,2011)である。
図21】三元複合体CDR3022、RBD及びNBRBD_H11-D4は、ナノボディ及び抗体が、完全に異なるエピトープを認識することを示す。
図22図21に示された三元複合体からのNBRBD_H11-D4及びRBDのRBD ACE-2複合体との重ね合わせ{Wan et al.2020,#55974}は、NBRBD_H11-D4がRBDに結合するとき、それが立体衝突によりACE-2がRBDに結合することを妨害することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
SARS-CoV-2に対する様々な抗体及び単一ドメイン抗体が知られており、例えば、それらは、CN111303279、CN111647076、CN111333722である(Wu et al.,2020(Cell Host & Microbe,vol. 27,pg 891-898,14.05.2020)及びDong et al.,2020(Emerging Microbes and Infections vol 9(1),pg 1034-1036,22.05.2020)。SARS-CoV又は関連するMERS-CoVのSタンパク質に対して作られたナノボディを含む抗体は、両方ともウイルス-受容体結合絵をブロックし、場合によっては、インビトロ及びインビボの両方でウイルスを中和することが示されている(Zhu,Chakrabortiら、2007、Zhao,Heら、2018)。感染患者由来の抗体がSタンパク質に結合することも示されている(Jan ter Meulen Edward N.van den Brink Leo L.M.Poon 2006、Prabakaran,Ganら、2006、Zhu,Chakrabortiら、2007)。SARS-CoV2の病原性におけるSタンパク質の役割、及びワクチン並びに治療薬開発のための標的としての可能性(Du、Heら、2009)を考慮して、本発明者らは、構造及び機能研究のために、ウイルスのRBDに対する単一ドメイン抗体を産生することに焦点を当てた。
【0015】
本明細書で使用される「保存的置換」は、タンパク質の機能(例えば、特定の標的に、特に、本発明の範疇におけるSARS-CoV-2のコロナウイルススパイクタンパク質に結合する能力、又は対象において免疫応答を引き起こすための能力)に重要な影響を及ぼさないアミノ酸置換を指す。当業者であれば、アミノ酸の特性を容易に理解し、得られたポリペプチドの特性に重要な変更を与えることなく保存的置換を容易に行うことができる。保尊的置換の例を、以下の表に提供する。
【0016】
【表1】
【0017】
本明細書で使用される「欠失」は、ポリペプチド配列中のアミノ酸の除去(すなわち、アミノ酸配列の長さが1つのアミノ酸だけ短くなるように、1つのアミノ酸がいかなるアミノ酸でも置き換えられないこと)を指す。欠失は、ポリヌクレオチド配列に言及することができ、ポリヌクレオチド配列からの1つの核酸の除去(ポリヌクレオチド配列の長さが1つの核酸だけ短くなるように、1つの核酸がいかなる核酸でも置き換えられないこと)を指す場合もある。
【0018】
本明細書で使用される「同一性」は、ポリヌクレオチド配列の2つ以上のポリペプチドを比較することによって決定されるような、2つの配列が関連している程度である。同一性は、2つの配列がどの程度一致するかの測定値を提供するための2つの配列の関連度を使用して決定することができる。ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を比較するための多数のプログラムが、当業者に周知であり、例えば、限定されないが、様々なBLAST及びCLUSTALプログラムがある。パーセンテージ同一性を使用して、配列同一性を定量化することができる。パーセンテージ同一性を計算するために、2つの配列(ポリペプチド又はヌクレオチド)が最適にアラインされる(すなわち、2つの配列が各対応する位置で最大数の同一の残基を有し、したがって最大のパーセンテージ同一性を有するように配置され)、各位置のアミノ酸又は核酸残基がその位置での対応するアミノ酸又は核酸と比較される。場合によっては、最適な配列アラインメントは、配列中に空間(複数可)を挿入し第2の配列に最適に適合させることによって達成することができる。同一のアミノ酸残基又はヌクレオチドの数は、パーセンテージ同一性を提供し、すなわち、10個の残基のうちの9個の残基が、比較されている2つの配列の間で同一である場合、同一性%は、90%である。パーセンテージ同一性は、一般に、比較される2つの配列の完全長に沿って計算される。
【0019】
「挿入」はポリペプチド配列中のアミノ酸の付加を指す(すなわち、1つのアミノ酸の挿入は、アミノ酸配列の長さが1つのアミノ酸だけ長くなるように、1つの新しいアミノ酸が既存のアミノ酸配列中に付加されることを意味する)。挿入は、ポリヌクレオチド配列に言及することができ、ポリヌクレオチド配列への1つの核酸の付加を指す場合もある(核酸の長さが1つのアミノ酸だけ長くなるように、1つの新しい核酸が既存のポリヌクレオチド配列に付加されることを意味する)。
【0020】
本明細書で使用される「修飾」は、ポリペプチド配列中のアミノ酸残基の変更を指す。修飾は、本明細書で定義されるように、置換、欠失又は挿入であり得る。修飾はまた、ポリヌクレオチド配列に言及することができる。
【0021】
本明細書で使用される「単一ドメイン抗体」は、抗体の重鎖の可変領域を指し、この可変領域は、ラクダ科免疫グロブリンの重鎖のみの(すなわち、軽鎖を欠いている)サブセットに由来する。単一ドメイン抗体という用語は、(ラクダ科heavy-chain-only抗体の可変ドメイン、VHH)及びNanobody(登録商標)と互換的に使用され得る。本発明の範疇において、単一ドメイン抗体は、この名ウイルス、好ましくはSAR-CoV-2のスパイクタンパク質に結合することができる単一重鎖可変領域を指すように使用される。抗体は、本明細書に記載されるように、親和性成熟され、ヒト化又は修飾され得る。この単一ドメイン抗体は、他の成分と結合することができる。
【0022】
本明細書で使用される「置換」は、アミノ酸の異なるアミノ酸との置き換えを指す。置換は又ポリヌクレオチド配列に言及することができ、すなわち、1つの核酸の異なる核酸との置き換えを指す。置換は、上で定義されたように、保存的置換であり得る。
【0023】
本発明の単一ドメイン抗体は、SARS-CoV-2のSタンパク質の受容体結合ドメインに対して積極的な結合を有する13個のVHH配列、すなわち、NbRBD_H11、NbRBD_A7、NbRBD_F9、NbRBD_C10、NbRBD_B11、NbRDB_E11、NbRBD_D1、NbRBD_zi-7、NbRBD_F5、NbRBD_G11、NbRBD_B4、NbRBD_G9及びNbRBD_C7(それぞれ、アミノ酸配列は配列番号61~73で提供され、ポリヌクレオチド配列は、配列番号74~86で提供される)に基づく。NbRBD_H11の親和性成熟バージョンも提供されており、すなわち、NbRBD_H11-D4、NbRBD_H11-H4、NbRBD_H11-H6、NbRBD_H11-A10、NbRBD_H11-B5、NbRBD_H11-A7、NbRBD_H11-F7、NbRBD_H11-F6、NbRBD_H11-zi-8、NbRBD_H11-D1、NbRBD_H11-A9、NbRBD_H11-C6、NbRBD_H11-E3、NbRBD_H11-F4、NbRBD_H11-C5、NbRBD_H11-C2、NbRBD_H11-B11、NbRBD_H11-A3、NbRBD_H11-D12、NbRBD_H11-D6及びNbRBD_H11-F8である(それぞれ、アミノ酸配列は配列番号87~107で提供され、ポリヌクレオチド配列は、配列番号108~128で提供される)。
【0024】
特定されたCDRのアミノ酸配列を定義するために、特定のアミノ酸配列が本明細書に提供される。便宜上、これらを、以下の表1及び表2にリストする。これらの特定されたCDR配列を含む本発明の単一ドメイン抗体は、本明細書に詳説されるように1つ以上の修飾を含み得、コロナウイルスペプチドに対する、好ましくは、SARS-CoV-2のSタンパク質の受容体結合ドメインに対する結合親和性を保持する。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
一態様では、相補性決定領域、相補性決定領域3(CDR3)を含む単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、単一ドメインが、CDR1、相補性決定領域2(CDR2)又は相補性決定領域3(CDR3)から選択される相補性決定領域を含むように提供される。一実施形態では、単一ドメイン抗体が、CDR1、CDR2又はCDR3から選択される少なくとも1つの相補性決定領域を含むように提供される。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、CDR1、CDR2又はCDR3から選択される少なくとも2つの相補性決定領域を含む。一実施形態では、単一ドメイン抗体が、3つの相補性決定領域:CDR1、CDR2、及びCDR3を含むように提供される。
【0028】
一実施形態では、配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60からなる群から選択される相補性決定領域3(CDR3)を含む単一ドメイン抗体が提供され、CDR3のアミノ酸配列は、0~10個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60からなる群から選択される相補性決定領域3(CDR3)を含む単一ドメイン抗体が提供され、CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR3領域は、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個及び0~1個のアミノ酸修飾を含む。修飾は、置換、欠失、又は挿入であり得る。一実施形態では、修飾は置換である。
【0029】
一実施形態では、配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60からなる群から選択される相補性決定領域3(CDR3)を含む単一ドメイン抗体が提供され、配列番号3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60のアミノ酸配列のCDR3領域は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、配列番号12、15、18、27、30、33及び36のアミノ酸配列のCDR3領域は、0~5個のアミノ酸修飾を含み、配列番号9、24及び39のアミノ酸配列のCDR3領域は、0~3個のアミノ酸修飾を含む。
【0030】
好ましい実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60からなる群から選択される相補性決定領域3(CDR3)を含み、CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、相補性決定領域3(CDR3)は、40、41、42、43及び44からなる群から選択される。最も好ましい実施形態では、相補性決定領域3(CDR3)は、配列番号41である。一実施形態では、CDR3は、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。修飾は、置換、欠失、又は挿入であり得る。一実施形態では、修飾は置換である。
【0031】
一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、CDR2領域を更に含み得る。CDR2領域は、本明細書に開示される配列番号に従って定義され得る。更なる実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、CDR1領域及びCDR2領域を更に含み得る。CDR1領域及びCDR2領域は、本明細書に開示される配列番号に従って定義され得る。各実施形態では、単一ドメイン抗体は、4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)を更に含んでもよい。
【0032】
一態様では、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が、提供され、単一抗体ドメインは、
(a)配列番号2を含むCDR2及び配列番号3を含むCDR3;
(b)配列番号5を含むCDR2及び配列番号6を含むCDR3;
(c)配列番号8を含むCDR2及び配列番号9を含むCDR3;
(d)配列番号11を含むCDR2及び配列番号12を含むCDR3;
(e)配列番号14を含むCDR2及び配列番号15を含むCDR3;
(f)配列番号17を含むCDR2及び配列番号18を含むCDR3;
(g)配列番号20を含むCDR2及び配列番号21を含むCDR3;
(h)配列番号23を含むCDR2及び配列番号24を含むCDR3;
(i)配列番号26を含むCDR2及び配列番号27を含むCDR3;
(j)配列番号29を含むCDR2及び配列番号30を含むCDR3;
(k)配列番号32を含むCDR2及び配列番号33を含むCDR3;
(l)配列番号35を含むCDR2及び配列番号36を含むCDR3;
(m)配列番号38を含むCDR2及び配列番号39を含むCDR3;
(n)配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(o)配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(p)配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(q)配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(r)配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3;
(s)配列番号2を含むCDR2及び配列番号45を含むCDR3;
(t)配列番号2を含むCDR2及び配列番号46を含むCDR3;
(u)配列番号2を含むCDR2及び配列番号47を含むCDR3;
(v)配列番号2を含むCDR2及び配列番号48を含むCDR3;
(w)配列番号2を含むCDR2及び配列番号49を含むCDR3;
(x)配列番号2を含むCDR2及び配列番号50を含むCDR3;
(y)配列番号2を含むCDR2及び配列番号51を含むCDR3;
(z)配列番号2を含むCDR2及び配列番号52を含むCDR3;
(aa)配列番号2を含むCDR2及び配列番号53を含むCDR3;
(bb)配列番号2を含むCDR2及び配列番号54を含むCDR3;
(cc)配列番号2を含むCDR2及び配列番号55を含むCDR3;
(dd)配列番号2を含むCDR2及び配列番号56を含むCDR3;
(ee)配列番号2を含むCDR2及び配列番号57を含むCDR3;
(ff)配列番号2を含むCDR2及び配列番号58を含むCDR3;
(gg)配列番号2を含むCDR2及び配列番号59を含むCDR3;
(hh)配列番号2を含むCDR2及び配列番号60を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列は、0~4個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR3領域は、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR2領域は、0~3個、0~2個、0~4個、0~1個のアミノ酸修飾を含む。
【0033】
一実施形態では、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供され、単一抗体ドメインは、
(a)配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(b)配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(c)配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(d)配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(e)配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3;
(f)配列番号2を含むCDR2及び配列番号45を含むCDR3;
(g)配列番号2を含むCDR2及び配列番号46を含むCDR3;
(h)配列番号2を含むCDR2及び配列番号47を含むCDR3;
(i)配列番号2を含むCDR2及び配列番号48を含むCDR3;
(j)配列番号2を含むCDR2及び配列番号49を含むCDR3;
(k)配列番号2を含むCDR2及び配列番号50を含むCDR3;
(l)配列番号2を含むCDR2及び配列番号51を含むCDR3;
(m)配列番号2を含むCDR2及び配列番号52を含むCDR3;
(n)配列番号2を含むCDR2及び配列番号53を含むCDR3;
(o)配列番号2を含むCDR2及び配列番号54を含むCDR3;
(p)配列番号2を含むCDR2及び配列番号55を含むCDR3;
(q)配列番号2を含むCDR2及び配列番号56を含むCDR3;
(r)配列番号2を含むCDR2及び配列番号57を含むCDR3;
(s)配列番号2を含むCDR2及び配列番号58を含むCDR3;
(t)配列番号2を含むCDR2及び配列番号59を含むCDR3;
(u)配列番号2を含むCDR2及び配列番号60を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列は、0~4個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR3領域は、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR2領域は、0~3個、0~2個、0~4個、0~1個のアミノ酸修飾を含む。
【0034】
一実施形態では、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供され、単一抗体ドメインは、
(a)配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(b)配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(c)配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(d)配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(e)配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列は、0~4個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR3領域は、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR2領域は、0~3個、0~2個、0~4個、0~1個のアミノ酸修飾を含む。
【0035】
一実施形態では、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供され、単一抗体ドメインは、
(a)配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列は、0~4個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR3領域は、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR2領域は、0~3個、0~2個、0~4個、0~1個のアミノ酸修飾を含む。
【0036】
一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、CDR1領域を更に含み得る。CDR1領域は、本明細書に開示される配列番号に従って定義され得る。各実施形態では、単一ドメイン抗体は、4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)を更に含んでもよい。
【0037】
一態様では、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供され、単一抗体ドメインは、
(a)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号3を含むCDR3;
(b)配列番号4を含むCDR1、配列番号5を含むCDR2及び配列番号6を含むCDR3;
(c)配列番号7を含むCDR1、配列番号8を含むCDR2及び配列番号9を含むCDR3;
(d)配列番号10を含むCDR1、配列番号11を含むCDR2及び配列番号12を含むCDR3;
(e)配列番号13を含むCDR1、配列番号14を含むCDR2及び配列番号15を含むCDR3;
(f)配列番号16を含むCDR1、配列番号17を含むCDR2及び配列番号18を含むCDR3;
(g)配列番号19を含むCDR1、配列番号20を含むCDR2及び配列番号21を含むCDR3;
(h)配列番号22を含むCDR1、配列番号23を含むCDR2及び配列番号24を含むCDR3;
(i)配列番号25を含むCDR1、配列番号26を含むCDR2及び配列番号27を含むCDR3;
(j)配列番号28を含むCDR1、配列番号29を含むCDR2及び配列番号30を含むCDR3;
(k)配列番号31を含むCDR1、配列番号32を含むCDR2及び配列番号33を含むCDR3;
(l)配列番号34を含むCDR1、配列番号35を含むCDR2及び配列番号36を含むCDR3;
(m)配列番号37を含むCDR1、配列番号38を含むCDR2及び配列番号39を含むCDR3;
(n)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(o)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(p)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(q)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(r)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3;
(s)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号45を含むCDR3;
(t)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号46を含むCDR3;
(u)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号47を含むCDR3;
(v)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号48を含むCDR3;
(w)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号49を含むCDR3;
(x)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号50を含むCDR3;
(y)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号51を含むCDR3;
(z)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号52を含むCDR3;
(aa)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号53を含むCDR3;
(bb)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号54を含むCDR3;
(cc)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号55を含むCDR3;
(dd)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号56を含むCDR3;
(ee)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号57を含むCDR3;
(ff)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号58を含むCDR3;
(gg)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号59を含むCDR3;
(hh)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号60を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列は、0~4個のアミノ酸修飾を含み、CDR1のアミノ酸配列は、0~4のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR3領域は、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR2領域は、0~3個、0~2個、0~4個、0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR1領域は、0~3個、0~2個、0~4個、0~1個のアミノ酸修飾を含む。
【0038】
一態様では、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供され、単一抗体ドメインは、
(a)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(b)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(c)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(d)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(e)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3;
(f)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号45を含むCDR3;
(g)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号46を含むCDR3;
(h)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号47を含むCDR3;
(i)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号48を含むCDR3;
(j)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号49を含むCDR3;
(k)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号50を含むCDR3;
(l)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号51を含むCDR3;
(m)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号52を含むCDR3;
(n)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号53を含むCDR3;
(o)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号54を含むCDR3;
(p)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号55を含むCDR3;
(q)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号56を含むCDR3;
(r)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号57を含むCDR3;
(s)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号58を含むCDR3;
(t)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号59を含むCDR3;
(u)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号60を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列は、0~4個のアミノ酸修飾を含み、CDR1のアミノ酸配列は、0~4のアミノ酸修飾を含む。
【0039】
一態様では、抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供され、単一抗体ドメインは、
(a)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号40を含むCDR3;
(b)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号41を含むCDR3;
(c)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号42を含むCDR3;
(d)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号43を含むCDR3;
(e)配列番号1を含むCDR1、配列番号2を含むCDR2及び配列番号44を含むCDR3を含み、
CDR3のアミノ酸配列は、0~7個のアミノ酸修飾を含み、CDR2のアミノ酸配列は、0~4個のアミノ酸修飾を含み、CDR1のアミノ酸配列は、0~4のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR3は、配列番号41である。
【0040】
一実施形態では、配列番号1を含むCDR1と、配列番号2を含むCDR2と、配列番号40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3とを含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。
【0041】
一実施形態では、配列番号1を含むCDR1と、配列番号2を含むCDR2と、配列番号40、41、42、43及び44から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3とを含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、配列番号1を含むCDR1と、配列番号2を含むCDR2と、配列番号41を含むCDR3とを含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。
【0042】
一実施形態では、一本鎖抗体は、4つのフレームワーク領域を含む。フレームワーク領域はCDR配列を分離する。一実施形態では、4つのフレームワーク領域は、フレームワーク領域1(FR1)、フレームワーク領域2(FR2)、フレームワーク領域3(FR3)、及びフレームワーク領域4(FR4)であり、CDR1、CDR2及びCDR3の間に散在している(すなわち、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4)。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、4つのフレームワーク(FR1、FR2、FR3及びFR4)と3つのCDR(CDR1、CDR2及びCDR3)を含むか、又はそれらから本質的になる。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、4つのフレームワーク(FR1、FR2、FR3及びFR4)と3つのCDR(CDR1、CDR2及びCDR3)からなる。
【0043】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾は、CDR領域(単数又は複数)中にある。他の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾は、フレームワーク領域中にあり、すなわち、CDR領域(単数又は複数)中にはない。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾は、CDR領域(単数又は複数)中にある。他の実施形態では、1つ以上のポリヌクレオチド酸修飾は、フレームワーク領域中にあり、すなわち、CDR領域(単数又は複数)中にはない。
【0044】
一実施形態では、CDR3領域は、0~7個、0~6個、0~5個、0~4個、0~3個、0~2個及び0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR2領域は、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態では、CDR1領域は、0~4個、0~3個、0~2個又は0~1個のアミノ酸修飾を含む。修飾は、置換、欠失又は挿入であり得る。一実施形態では、修飾は置換である。
【0045】
一実施形態では、1つ以上の修飾を含む本発明の単一ドメイン抗体は、いかなる修飾も含まない特定された配列と実質的に等しいか、又はそれよりも良好な(例えば、低いKd値)である、SARS-CoV-2のSタンパク質の受容体結合ドメインに対する結合親和性を有する。
【0046】
一態様では、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。これらの配列の各々は、3つのCDR領域(CDR1、CDR2及びCDR3)と4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)とを含む。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107からなる群から選択される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の同一性を有し、任意選択で、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有する。一実施形態では、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、配列番号61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107を含むか、又はそれらから本質的になる抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。
【0047】
本明細書及び全体にわたって、少なくともは、いくつかの実施形態では、列挙されたパーセンテージから100%までを意味する。例えば、少なくとも75%は、いくつかの実施形態では、75%~100%を意味する。
【0048】
一態様では、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。これらの配列の各々は、3つのCDR領域(CDR1、CDR2及びCDR3)と4つのフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)とを含み、CDR3領域は、親和性成熟されている。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107からなる群から選択される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の同一性を有し、任意選択で、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有する。一実施形態では、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、101、102、103、104、105、106及び107を含むか、又はそれらから本質的になる抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。
【0049】
一態様では、配列番号87、88、89、90及び91からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号87、88、89、90及び91からなる群から選択される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の同一性を有し、任意選択で、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有する。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号87、88、89、90及び91からなる群から選択される。
【0050】
一態様では、配列番号88と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体である。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号88と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の同一性を有し、任意選択で、75~100%、80~100%、85~100%、90~100%、91~100%、92~100%、93~100%、94~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%の同一性を有する。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号88である。
【0051】
一態様では、本発明の単一ドメイン抗体をコードするポリヌクレオチド配列が提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、DNA又はRNAである。そのような核酸配列は、遺伝子構築物の形態であり得る。
【0052】
一実施形態では、配列番号74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128からなる群から選択される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の同一性を有する。一実施形態では、配列番号74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、配列番号74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128からなるか、又はそれらから本質的になる抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。
【0053】
一実施形態では、配列番号108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128からなる群から選択される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の同一性を有する。一実施形態では、配列番号108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128を含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、配列番号108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127及び128からなるか、又はそれらから本質的になる抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。
【0054】
一実施形態では、配列番号108、109、110、111及び112からなる群から選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む抗SARS-CoV-2単一ドメイン抗体が提供される。一実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号108、109、110、111及び112からなる群から選択される配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の同一性を有する。一実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号108、109、110、111及び112からなる群から選択される。一実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号109である。
【0055】
本発明の単一ドメイン抗体は、SARS-CoV-2のSタンパク質の受容体結合ドメインに結合する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質の受容体結合ドメインのアンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE2受容体)への結合を阻害し、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質の受容体結合ドメインのACE2受容体への結合が、少なくとも10%、任意選択で、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%少なくとも95%又は100%阻害される。ACE2受容体への結合のパーセンテージ阻害は、表面プラズモン共鳴が挙げられるが、これに限定されない、当業者に十分に理解される多くの方法で測定することができる。
【0056】
コロナウイルススパイクタンパク質とその標的との間の相互作用を妨害することによって、本発明の単一ドメイン抗体は、SARS-CoV-2感染を中和することができる。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、100μM未満、10μM未満、5μM未満、1μM未満、0.5μM未満、0.1μM未満、又は0.01μM未満のND50値(ND50=感染細胞の数を50%だけ低減させる抗体の濃度)を有する。
【0057】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、0.1μM未満、10pM未満、5pMのND50値を有する。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、0.1μM未満、10pM未満、5pM未満、1pM未満、0.5pM未満、又は0.1pM未満のND50値を有する。ND50は、本明細書に開示されるものを含む、任意の標準的な中和アッセイを使用して決定することができる。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、非中和SARS-CoV-2感染拡大を防止することができる。
【0058】
一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、100nM未満、50nM未満、20nM未満、10nM未満、9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、又は0.1nM未満のSARS-CoV-2スパイクタンパク質、特にスパイクタンパク質の受容体結合ドメインに対するKd値を有する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、100pM未満、10pM未満、5pM未満、1pM未満、0.5pM未満、又は0.1pM未満のSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対するKd値を有する。抗体の結合親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴を含む、いくつかの標準的な周知の技術に従って測定することができる。一実施形態では、本明細書に特定される1つ以上の修飾を有する本発明の単一ドメイン抗体は、1つ以上の修飾を含まない対応する単一ドメイン抗体の結合親和性値の20%以内である(1つ以上の修飾を含まない対応する単一ドメイン抗体の結合親和性値を20%下回るか又は20%上回る範囲内である)結合親和性値を有する。一実施形態では、本明細書に特定される1つ以上の修飾を有する本発明の単一ドメイン抗体の結合親和性値は、1つ以上の修飾を含まない対応する単一ドメイン抗体の結合親和性値の10%以内、任意選択で5%、4%、3%、2%、又は1%以内である。
【0059】
更に、本発明の単一ドメイン抗体は、コロナウイルス性を調節、低減又は防ぐことができる。本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルスの標的宿主細胞への融合を調節、遮断又は阻害することができる。本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルスの標的宿主細胞への侵入を調節、遮断又は阻害することができる。
【0060】
一態様では、本発明の単一ドメイン抗体の親和性成熟された変異体が提供される。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体のCDR1が、親和性成熟される。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体のCDR2が、親和性成熟される。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体のCDR3が、親和性成熟される。一実施形態では、CDR3が親和性成熟され、CDR1又はCDR2のいずれかも親和性成熟される。一実施形態では、CDR3が親和性成熟され、CDR2も親和性成熟される。一実施形態では、CDR3が親和性成熟され、CDR1も親和性成熟される。一実施形態では、CDR1、CDR2及びCDR3の各々が親和性成熟される。一実施形態では、フレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は4つ全てが親和性成熟される。一実施形態では、CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3及びFR4の各々が、親和性成熟される。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体の親和性成熟された変異体の親和性は、それが誘導された親抗体よりも高い、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)に対する親和性を有する。
【0061】
配列番号40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60のCDR3配列は、配列番号3のCDR3配列の親和性成熟されたバリアント(NbRBD_H11)である。驚くべきことに、本発明の単一ドメイン抗体のCDR3領域の7つのアミノ酸長の領域中の変動が、SARS-CoV-1スパイクタンパク質に対する特に改善された親和性をもたらし、7つのアミノ酸配列がCDR3配列における2番目のアミノ酸から開始して、配列における8番目のアミノ酸で終了する(すなわち、1位は、CDR3配列の開始アラニン(A)を指す)ことが発見された。一実施形態では、CDR3領域は、CDR3の7つのアミノ酸長領域中に修飾を含み、7つのアミノ酸長領域は、CDR3の2位で開始し、CDR3の8位で終了する。
【0062】
一態様では、本発明のヒト化単一ドメイン抗体が提供される。ヒト化は、抗体のアミノ酸配列の修飾を必要とする。本発明の単一ドメイン抗体の免疫原性を低減させる方法としては、例えば、部位特異的変異導入による、抗体フレームワーク足場へのCDRグラフティング又は可変表面残基のリモデリングが挙げられる。ナノボディ(登録商標)のヒト化の方法は当業者に既知であり、例えば、Vinckeら、2009を参照されたい。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体のCDR1がヒト化されている。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体のCDR2がヒト化されている。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体のCDR3がヒト化されている。一実施形態では、CDR1、CDR2及びCDR3のうちの少なくとも1つ又は少なくとも2つがヒト化されている。一実施形態では、CDR1、CDR2及びCDR3の各々がヒト化されている。一実施形態では、フレームワーク領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ又は4つ全てがヒト化されている。一実施形態では、CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3及びFR4の各々がヒト化されている。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、例えば、より良好な抗原結合を保持するために、保存的にヒト化されている。
【0063】
一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、Fc領域に融合又は結合されている。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、scFv領域に融合又は結合されている。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、二価又は多価抗体である。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、二重特異性又は多重特異性抗体である。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、キメラ抗体である。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、2本のVHH鎖を構成し、このVHH鎖は、本明細書に開示される単一ドメイン抗体のいずれかであり得る。一実施形態では、本発明の配列を含む免疫学的に活性な分子(抗体、ポリペプチド又は免疫グロブリン分子が提供され)、例えば、免疫グロブリンアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)及びそれらのアイソタイプサブクラス;Fab、F(ab’)2、Fv、scFv、sAb、Fdなどの抗原結合ドメインを含む断片;並びにダイアボディである。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体を含むタンパク質又は融合発現産物が提供される。
【0064】
一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体を発現するのに好適なベクターが提供される。ベクターは、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、ファージ又は人工染色体であり得る。一態様では、発現ベクター又はプラスミドを含む宿主細胞であって、発現ベクター又はプラスミドが、本発明のポリヌクレオチドを含む、宿主細胞が提供される。一実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞のゲノム内に組み込まれた本発明のポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、宿主細胞は、原核細胞、例えば、細菌細胞、又は真核細胞、例えば、酵母細胞若しくは哺乳動物細胞である。一実施形態では、宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)細胞又はCHO細胞である。
【0065】
一態様では、(a)本明細書に提供される宿主細胞を、単一ドメイン抗体を産生するのに好適な条件下で培養して、単一ドメイン抗体を含有する培養物を得る工程と、(b)前記単一ドメイン抗体を培養物から単離する工程とを含む、本発明の単一ドメイン抗体を産生するための方法が提供される。
【0066】
本発明の一態様は、上で定義された本発明の単一ドメイン抗体を組成物又は医薬組成物で提供する。組成物は、本発明の単一ドメイン抗体を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができる。
【0067】
一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体を含む医薬組成物が提供される。医薬組成物は、人間医学及び獣医学においてヒト又は動物の使用のためのものであり得る。医薬組成物は、投与の経路に従って製剤化され得る。一実施形態では、医薬組成物は、経口、鼻腔、眼、口腔、膣、直腸、経皮、静脈内、筋肉内、又は皮下投与用に製剤化される。好ましい投与経路では、医薬組成物は、吸入による投与用に、任意選択で鼻孔吸入又は経口吸入用に製剤化される。この形態の医薬組成物は、エアロゾル、微粒子又は微粉を含み得る。
【0068】
一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、任意選択で、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、任意選択で、1つ以上の薬学的に許容されるアジュバントを含む。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、任意選択で、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合される。そのような医薬組成物の異なる形態に好適な賦形剤の例は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients,2nd Edition,(1994)、A Wade and PJ Weller編集で見出すことができる。
【0069】
組成物又は医薬組成物は、1つ以上の追加の成分を含んでもよい。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む。一実施形態では、担体は、肺送達に好適である。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、治療活性剤を更に含む。
【0070】
一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、タンパク質又は生物学的活性分子に接合若しくは結合(conjugated)されてもよい。一実施形態では、組成物又は医薬組成物は、融合タンパク質の一部であり、1つ以上のタンパク質又は生物学的活性分子に融合される。タンパク質又は生物学的活性分子は、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質、スプリット蛍光タンパク質(すなわち、薬物の存在下で一緒に結合する2つ以上の部分に分割する)、スプリット生物発光タンパク質、バイオセンサー、蛍光バイオセンサー、スプリット若しくはヒンジ付きバイオセンサーであり得る。
【0071】
一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体を含むワクチンが提供される。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体をコードするポリヌクレオチドを含むワクチンが提供される。
【0072】
本発明の組成物、医薬組成物、及びワクチンは、対象において免疫応答、好ましくはSARS-CoV-2に対する免疫応答を引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、免疫応答は、病魚免疫応答である。いくつかの実施形態では、免疫応答は、対象においてSARS-CoV-2の症状又は重症度を低減させる。
【0073】
いくつかの実施形態では、限定されないが、H11-H4-Fcが含まれる、本発明の抗体の投与は、非中和ウイルスが複製及び/又は蔓延することを防止若しくは実質的に低減する。これは、プラーク減少中和試験データによって裏付けられ:限定されないが、H11-H4-Fcが含まれる、本発明の抗体の存在下において、形成されるプラークは、通常予想されるものよりも強い差異(図9)。いくつかの実施形態では、限定されないが、H11-H4-Fcが含まれる、本発明の抗体は、陽性対照、例えば、CR3022の存在下のものよりも5%小さいプラークを形成することが可能である。いくつかの実施形態では、プラークは、陽性対照(例えば、CR3022)の存在下のものよりも10%小さく、いくつかの実施形態では、プラークは陽性対照(例えば、CR3022)の存在下のものよりも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%小さい。
【0074】
医薬デバイス、例えば、本発明の医薬組成物を投与するのに好適な吸入器も提供される。一実施形態では、医薬デバイス、例えば吸入器は、本発明の単一ドメイン抗体を含む。
本発明の単一ドメイン抗体を提供するキットも提供される。そのようなキットは、使用説明書及び/又は追加の薬学的に活性な成分を含み得る。単一ドメイン抗体と追加の薬学的に活性な成分とは、一緒に製剤化されてもよく、又はあるいは、いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体と追加の薬学的に活性な成分とは、キット内に別個に存在してもよい。
【0075】
一態様では、医療における使用のための本発明の単一ドメイン抗体又は本発明の医薬組成物が提供される。本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルスを治療するために、任意選択で、中東呼吸器症候群(MERS-CoV)又は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)を治療するために、好ましくはCOVID-19を治療するために使用することができる。本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2のスパイクタンパク質のその標的、アンジオテンシン変換酵素2受容体との間の相互作用をブロック又は修正するために使用することができる。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2のスパイクタンパク質のその標的、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体との結合をブロック、低減又は阻害する。スパイクタンパク質とその標的との間の相互作用を妨害することによって、本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルスを中和することができ、及び/又はコロナウイルス感染力を調節、低減若しくは防止することができる。本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルスの標的宿主細胞への融合を調節、ブロック又は阻害することができる。本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルスの標的宿主細胞への侵入を調節、ブロック又は阻害することができる。
【0076】
本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物は、コロナウイルス感染症、特にCOVID-19感染症の治療又は予防に使用することができる。一実施形態では、コロナウイルス感染症、任意選択で、中東呼吸器症候群(MERS-CoV)又は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)、好ましくはCOVID-19の治療又は予防における使用のための、本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物が提供される。一実施形態では、COVID-19の治療又は予防における使用のための、本発明の単一ドメイン抗体又は医薬組成物が提供される。
【0077】
一態様では、治療活性量の本発明の単一ドメイン抗体を対象に投与する工程を含む、対象におけるコロナウイルスの治療のための方法が提供される。一実施形態では、対象は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0078】
一態様では、コロナウイルスの治療及び/又は予防における使用のための医薬品の製造における、本発明の単一ドメイン抗体の使用が提供される。一実施形態では、コロナウイルスの治療における使用のための医薬品の製造における、本発明の単一ドメイン抗体の使用が提供される。
【0079】
一実施形態では、コロナウイルスは、MERS-CoV、SARS-CoV-1及びCOVID-19からなる群から選択される。一実施形態では、コロナウイルスはCOVID-19である。本発明は、COVID-19の重篤な症状を表す対象を治療することに関し、又はあるいはCOVID-19のより軽度の症状を示す対象を治療することに関する。いくつかの実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、コロナウイルス感染症と関連するサイトカインストームを治療するために有用である。
【0080】
一実施形態では、MERS-CoV、SARS-CoV-1及びSARS-CoV-2などのコロナウイルスタンパク質の検出のための方法が提供される。好ましい実施形態では、SARS-CoV-2タンパク質の検出のための方法が提供される。一実施形態では、コロナウイルスSタンパク質の存在を検出するための方法が提供される。一実施形態では、SARS-CoV-2のSタンパク質の存在を検出するための方法が提供される。
【0081】
一実施形態では、試料中のコロナウイルスタンパク質を検出するための方法が提供され、この方法は、(a)試料を本発明の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、(b)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、複合体の存在が、コロナウイルスタンパク質の存在を示す。方法の工程(a)において、試料は、抗体-抗原複合体が形成するのに好適な条件下で、単一ドメイン抗体と接触される。抗原は、コロナウイルスタンパク質である。一実施形態では、コロナウイルスSタンパク質の存在を検出するための方法が提供される。一実施形態では、SARS-CoV-2のSタンパク質、任意選択で、Sタンパク質の受容体結合ドメインの存在を検出するための方法が提供される。
【0082】
試料は、生体試料、任意選択で、血液、血清、鼻汁、唾液、血漿、尿又はせき髄液などの退役であり得る。一実施形態では、生体試料は、咽頭・鼻腔ぬぐいを使用して得られた体液である。試料は、哺乳動物、好ましくはヒトから得ることができるか、又は単離することができる。一実施形態では、試料は、コロナウイルスを保有することが疑われる対象から得られるか、又は単離される。
【0083】
試料中のコロナウイルスタンパク質の存在を検出することは、対象がコロナウイルスに感染していることの明確な表示を与える。一実施形態では、検出の方法の結果は、コロナウイルスに関して対象を診断するために使用される。検出の方法におけるコロナウイルスタンパク質の存在は、コロナウイルスに対する陽性診断を提供する。検出の方法はまた、コロナウイルス感染症の感染に関する予後予測を提供するために使用されてもよい。
【0084】
一実施形態では、対象においてコロナウイルスタンパク質を検出するための方法が提供され、この方法は、(a)本発明の単一ドメイン抗体を対象に投与する工程と、(b)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスタンパク質の存在を示す。一実施形態では、対象においてコロナウイルスタンパク質を検出するための方法が提供され、この方法は、(a)本発明の単一ドメイン抗体を対象に投与する工程と、(b)対象から試料を得、試料を本発明の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、(c)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスタンパク質の存在を示す。抗原は、コロナウイルスタンパク質である。一実施形態では、対象においてコロナウイルスタンパク質を検出するための方法が提供され、この方法は、(a)対象から試料を得る工程と、(b)対象からの試料を本発明の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、(c)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスタンパク質の存在を示す。試料は、単離された(すなわち、対象から以前に得られた)試料であり得る。
【0085】
一態様では、対象においてコロナウイルス感染症を診断するための方法が提供され、この方法は、(a)本発明の単一ドメイン抗体を対象に投与する工程と、(b)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスの陽性診断を提供する。一実施形態では、対象においてコロナウイルス感染症を診断するための方法が提供され、この方法は、(a)本発明の単一ドメイン抗体を対象に投与する工程と、(b)対象から試料を得、試料を本発明の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、(c)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスの陽性診断を提供する。一実施形態では、対象においてコロナウイルス感染症を診断するための方法が提供され、この方法は、(a)対象から試料を得る工程と、(b)対象からの試料を本発明の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、(c)抗体-抗原複合体を検出する工程とを含み、複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスの陽性診断を提供する。一実施形態では、対象においてコロナウイルス感染症を診断するための方法が提供され、この方法は、(a)試料を本発明の単一ドメイン抗体と接触させる工程と、(b)抗体-ポリペプチド複合体の数を検出する工程と、(c)試料中のコロナウイルスの存在を検出する工程とを含み、複合体の存在が、対象におけるコロナウイルスの陽性診断を提供する。試料は、単離された(すなわち、対象から以前に得られた)試料であり得る。
【0086】
一実施形態では、本方法は、試料を抗体-抗原複合体のレベルについて参照試料値と比較する工程を含む。参照試料値を上回る抗原-抗体複合体値は、コロナウイルス感染症の明確な表示を与える。試料は、単離された(すなわち、対象から以前に得られた)試料であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体は、放射性標識マーカー、イメージングマーカー、MRI-マーカー、蛍光マーカー又は他の検出可能なマーカーなどのマーカーを更に含んでもよい。そのような抗体は、対象における抗体のリアルタイムの検出を可能にするために、本明細書に記載の検出又は診断法の各々で使用され得る。そのような抗体はまた、対象から単離若しくは得られた組織又は血液試料などの試料中の抗体の検出を可能にするために、本明細書に記載の検出又は診断法の各々で使用され得る。
【0088】
一実施形態では、コロナウイルスを検出するためのアッセイが提供され、アッセイは、(a)患者から得られた試料を、本発明の単一ドメイン抗体と接触させる工程を含み、単一ドメイン抗体は、患者試料中のコロナウイルスを選択的に単離するために検出可能な標識又はレポーター分子を含む。一実施形態では、コロナウイルスを検出するためのアッセイが提供され、アッセイは、(a)患者から得られた試料を、本発明の単一ドメイン抗体及びバイオセンサー、任意選択で蛍光又はヒンジ付きバイオセンサーを含む融合タンパク質と接触させる工程を含む。アッセイは、例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)であり得る。検出可能な標識又はレポーター分子は、蛍光分子若しくは化学分子(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、若しくはローダミン)、バイオセンサー、放射性同位元素、又は酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ又はルシフェラーゼ)であり得る。
【0089】
一実施形態では、キットが提供され、キットは、(a)検出可能なマーカーと、(b)本発明の単一ドメイン抗体とを含む。検出可能な標識又はレポーター分子は、蛍光分子若しくは化学分子(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、若しくはローダミン)、バイオセンサー、任意選択で蛍光若しくはヒンジ付きバイセンサー、又は放射性同位元素、又は酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ又はルシフェラーゼ)であり得る。
【0090】
本明細書に記載の方法は、インビトロ又はエクスビボで行われ得る。本明細書に記載の方法は、インビボでも実施され得る。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して説明される。
【実施例
【0091】
方法
タンパク質産生
残基682-685(フリン切断部位)でのRRAR>GSAS及び残基986-987でのKV>PPの変異、並びにC末端でのT4フィブリチン三量体化ドメイン、HRV3C切断部位、6xHisタグ、及びのTwin-Strepタグの包含{Wrappら、2020}を有するSARS-CoV-2スパイク糖タンパク質外部ドメインのアミノ酸1~1208コードする遺伝子を合成し、AgelとXhoI制限部位の間でpHL-secベクターにサブクローニングした。クローンの有効性を、配列決定によって確認した。
【0092】
組換えスパイク外部ドメインを、HEK293S GnTI細胞(ATCC CRL-3022)での30℃で9日間の一過性トランスフェクションによって発現した。条件培地を、2xPBS緩衝液に対して透析した。スパイク外部ドメインを、コバルトを充填したTalon樹脂(Takara Bio)を使用した固定化金属親和性クロマトグラフィー、続いて150mMのNaCl、10mMのHEPES(pH8.0)、0.02%のNaNでHiLoad 16/60 Superdex200カラム4℃を使用するサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。スパイク細胞外ドメインを含む最終画分を還元SDS-PAGEにより特定し、プールし、100kDaのMWCO濃縮器(Amicon Ultra,Merck)を使用して濃縮し、16℃で保存した。
【0093】
SARS-CoV2(Genbank MN908947)の受容体結合ドメイン(RBDアミノ酸330~532)、及びヒトアンジオテンシン変換酵素2(ACE-2アミノ酸19~615)のコドン最適化Genblock(IDT Technology)をC末端BirA-His6タグ及びpOPINTTGneo-3C-Fcを組み込むベクターpOPINTTGneo(Nettleship、Watsonら、2015)に挿入して、ヒトIgG FcへのC末端融合体を作製した。組換えRBDとCR3022 FabフラグメントをExpi293(商標)(ThermoFisher Scientific,UK)で一過性に発現させ、タンパク質を、AKTAxpress(GE Healthcare,UK)で実装した自動化したプロトコル、続いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4の緩衝液を使用したSuperdex200 10/300GLカラムを使用して、固定化金属親和性によって培養上清から精製した(Nettleship、Rahman-Huqら、2009)。ビオチンタンパク質リガーゼ(Avidity LLC,Co,USA)とのインキュベーションにより、精製タンパク質をインビトロでビオチン化した。
NbNH11の親和性成熟
NbNH11のCDR3中の変異を、7対のフォワードプライマー及びリバースプライマーフォワードプライマー(H11_AM_CDR3_R1-7と組み合わせたH11_AM_CDR3_F1-7)を使用したPCRによって導入した。変異断片をプライマーH11_Phd_F及びH11_Phd_Rで増幅し(表3a)、SfiI制限酵素で消化し、pADL-23cファージミド(Antibody Design Laboratories,San Diego CA,USA)にクローニングした。連結されたベクターをエレクトロポレーションによりTG1細胞に形質転換して、約2×10個の独立したクローンからなるファージライブラリーを得た。ライブラリーのバイオパニングを2ラウンド、それぞれ5nM及び1nMのRBDで上述されたように実施し、陽性ファージをELISAによって特定し、配列決定した。
【0094】
【表4】
【0095】
【表5-1】
【0096】
【表5-2】
【0097】
単一ドメイン抗体の産生
選択されたクローンから増幅したファージミドをWK6 E.Coli株に形質転換し、TB培地(100pg/mLのアンピシリン及び1mMのMgCl2を補充)で増殖させ、OD約1.2で1mMのIPTGによるタンパク質発現を誘導させながら、225rpm及び37℃で振盪し、225rpm及び20℃で震盪しながら一晩増殖させた。細菌細胞をペレット化し、TES緩衝液(0.2mMのTris、pH8、0.5mMのEDTA、0.5Mのスクロース)に一晩再懸濁し、続いてTES/4緩衝液(水で4倍に希釈したTES)に2時間懸濁した。16800rpm及び4℃での遠心分離によって上清を回収し、続いてGF緩衝液(20mMのTris、pH7.5及び150mMのNaCl)で10倍に希釈した。タンパク質を、AKTAxpress(GE Healthcare、UK)(Nettleship、Watsonら、2015)で実装した自動化したプロトコル、続いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4の緩衝液を使用して、Hiload 16/60Superdex75又はSuperdex7510/300GLカラムを使用して、固定化された金属親和性によって精製した。単一ドメイン抗体のFc融合体を生成するために、配列をpOPINTTG-3C-Fcに挿入し、ACE-2及びRBDについて記載したようにタンパク質を精製した。
【0098】
VHHライブラリースクリーニング
ベクターpADL-20c中で構築され、約1×1010個の独立したクローンを含むVHHファージディスプレイライブラリー(Abcore Inc.Ramona,CA,USA)を、2×TYA(100μg/mLのアンピシリンを添加した2×TY)に接種し、M13ヘルパーファージに感染させて、VHH提示ファージのライブラリーを得た。SARS-CoV-2 RBDに特異的なVHHを表示するファージは、Dynabeads(商標)M-280(Thermo Fisher Scientific)で捕捉することにより、それぞれ50nM及び5nMのRBDで2回のバイオパニングを行った後に濃縮した。パニングの各ラウンドで、最初にDynabeadsとファージをStartingBlock(商標)(PBS)ブロッキング緩衝液(Thermo Fisher Scientific)で30分間ブロックし、ファージをRBDと1時間インキュベートし、次いで、Dynabeads(Thermo Fisher Scientific)と5分間インキュベートし、その後、0.05%のTween20を添加したPBSで6回、PBSで1回洗浄した。保持されたファージを、TBSC緩衝液(10mMのTris、pH7.4、137mMのNaCl、1mMのCaCl2)及び1mg/mLのトリプシン(Sigma-Aldrich)との30分間のインキュベーションにより溶出した。収集したファージを指数関数的に増殖するTG1 E.Coli中で増幅し、100μg/mLのアンピシリンを添加した 2×TY寒天プレートに播種した。パニングの各ラウンド後の濃縮は、細胞培養物を10倍連続希釈液でプレーティングすることによって決定した。2回目のパンニングの後、93個の個々のクローンを採取して2×TYAに接種し、250rpm及び37℃で振盪しながら一晩増殖させた。翌日、一晩培養したものを用いて2×TYAに接種し、M13ヘルパーファージに感染させて、クローンVHH提示ファージを得た。
【0099】
酵素結合免疫吸着測定法
マイクロタイタープレート(Greiner、高~中結合)のウェルを、PBS pH7.4中の5μg/mLのニュートラアビジンで、4℃にて一晩コーティングした。翌日、ウェルを50nMのビオチン化RBDでコーティングし、次いで、PBS pH7.4中の3%粉乳でブロックした。クローンファージの上清を各ウェルに添加し、ウェルをHRP結合抗M13(GE Healthcare)と共にインキュベートすることによって、結合を検出した。洗浄後、100μLのTMB基質(SeraCare)を添加し、405nMでの吸光度を、Microplate Absorbance Readerを用いて測定した。
【0100】
SPR及び等温滴定熱量測定(ITC)
Biacore T200(GE Healthcare)を使用して SPR実験を実施した。全てのアッセイは、25℃で0.005%(v/v)のSurfactant P20(GE Healthcare)を補充したPBS pH7.4のランニング緩衝液を使用して、Sensor Chip Protein A(GE Healthcare)を使用して実行した。
【0101】
SARS-CoV-2 RBDに対するナノボディH11の結合親和性を決定するために、センサチップの試料フローセルにRBD-Fcを固定した。参照フローセルは空のままにした。ナノボディH11を、2.5μMからの連続2倍希釈によって調製した8つの濃度範囲で、30μL/分の流速で、会合時間60秒及び解離時間60秒で、2つのフローセルに注入した。データを1:1結合モデルに適合させ、GraphPad Prism8を使用してKを計算した。
【0102】
SARS-CoV-2 RBDとナノボディH11-H4/H11-D4との間の結合動態を決定するために、センサチップの試料フローセルにRBD-Fcを固定化した。参照フローセルは空のままにした。ナノボディH11-H4/H11-D4を2つのフローセルに、結合時間60秒、解離時間60秒のシングルサイクル動力学プログラムを使用して、30μL/分の流量で、50nMから連続2倍希釈して調製した5つの濃度範囲で注入した。バックグラウンド減算のために同じプログラムを使用して、ランニング緩衝液も注入した。Biacore T200 Evaluation Software3.1を使用して、全てのデータを1:1結合モデルに適合させた。
【0103】
CR3022-Fc又はACE2-Fcをリガンドとして使用した競合アッセイでは、約1000RUのCR3022-Fc又はACE2-Fcを固定化させた。以下の試料を注入した:(1)1μMのナノボディH11-H4/H11-D4と0.1μMのRBDの混合物;(2)1μMのE08R(抗 Caspr2 Fab)Fabと0.1μMのRBDの混合物;(3)0.1μMのRBD;(4)1μMのナノボディH11-H4/H11-D4と0.1μMのスパイクの混合物;(5)1μMのE08R Fabと0.1μMのスパイクの混合物;(6)0.1μMのスパイク;(7)1μMのナノボディH11-H4/H11-D4;(8)1μMのE08R Fab。全ての注入は、結合時間60秒、解離時間600秒で実行した。全ての曲線は、GraphPad Prism8を使用してプロットした。
【0104】
ITC測定を、25℃でiTC200 MicroCalorimeter(GE Healthcare)を使用して実行した。スパイク、RBD、及びナノボディを調製し、同じ緩衝液、すなわちPBSで透析した。ナノボディは、約72μMのナノボディ及び6μMのスパイク、又は250μMのナノボディ及び25μMのRBDに対応するスパイク又はRBD溶液中で滴定した。各実験を、0.4μLの最初の注入と、750rpmで攪拌しながら、スパイク又はRBDのいずれかを含むセルへの2.4μLのナノボディ溶液の16回の注入で構成した。Origin科学的グラフ作成及び分析ソフトウェアパッケージ(OriginLab)を使用して、データの取得と分析を実行した。データ分析は、以下のパラメータを使用して結合等温線と最良適合を生成することにより実行した:n(サイトの数)、ΔH(カロリー/モル)、ΔS(カロリー/モル/℃)、及びK(モル-1の結合定数)。データ分析の後、Kを解離定数(K)(nM)に変換した。
【0105】
ACE2ブロッキング及び中和実験
MDCK-SIAT1細胞を、第2世代レンチウイルスベクターシステムを使用して、コドン最適化されたヒトACE2 cDNA(NM_021804.1)で安定してトランスフェクトし、FACSが高度に発現する集団についてソーティングした。アッセイの前日に、平底の96ウェルプレートに細胞(ウェル当たり3×10個)を播種した。RBD-6H(アミノ酸340-538;NITN.GPKK)を、EZ-link Sulfo-NHS-Biotin (A39256;Life Technologies)を使用して化学的にビオチン化した。分析物と対照の連続半対数希釈(1μM~0.1nMの範囲)は、30μLのU底96ウェルプレートで実行した。等量の25nMのビオチン化RBDを添加し、得られた各混合液50μLをMDCK-ACE2細胞に1時間添加した。次いで、PBS/0.1%のBSA(37525;Thermo Fisher Scientific)で1:1,600に希釈した第2層のストレプトアビジン-HRP(S911、Life Technologies)を添加し、1時間インキュベートした。次いで、プレートをPBSで4回洗浄し、POD基質(11484281001、Roche)を5分間添加することによってシグナルを発生させた後、1M H2SO4で停止させた。プレートを、Clariostarプレートリーダーで、OD450で読み取った。対照分析物(非ブロッキング抗インフルエンザN1抗体)を使用して最大のシグナルを取得し、PBSのみのウェルを使用してバックグラウンドを決定した。グラフを、ビオチン化RBDのACE2への結合%としてプロットした。結合%=(X-Min)/(Max-Min)*100、式中、X=競合成分の測定値、Min=結合剤ビオチン化RBD-6Hを含まない緩衝液、Max=ビオチン化RBD-6Hのみ。ACE2に対するナノボディの50%での阻害濃度(IC50)は、非線形回帰[阻害剤]対GraphPad Prism8を使用した正規化された応答曲線適合を使用して決定した。
【0106】
MDCK-SIAT1細胞を、ヘマグルチニンH7(A/HongKong/125/2017)(EPI977395)の膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインに、第2世代レンチウイルスベクターシステムを使用して、表面発現用の短いリンカー(配列TGSGGSGKLSSGYKDVILWFSFGASCFILLAIVMGLVFICVKNGNMRCTICI)を介して融合されたRBD(アミノ酸340-538NITN.GPKK)を用いて安定的にトランスフェクトした。CR3022抗体を用いてRBD発現細胞をFACSソーティングした。アッセイの前日に、平底の96ウェルプレートに細胞(ウェル当たり3×10個)を播種した。ACE2-Fcは上記のようにビオチン化した。分析物と対照の連続半対数希釈(1μM~0.1nMの範囲)を、30μLのU底96ウェルプレートで実行した。5nMの30μLのビオチン化Ace2-Fcを、滴定した分析物に添加した。細胞をPBSで洗浄し、50μLのACE2と検体の各混合物を細胞に移し、室温で1時間インキュベートした。次いで、細胞をPBSで洗浄し、1:1,600に希釈した第2層のストレプトアビジン-HRP(S911、Life Technologies)と共に1時間インキュベートし、上記のように発色させた。グラフを、RBD へのビオチン化ACE2の結合%としてプロットした。結合%=(X-Min)/(Max-Min)100、式中、X=競合する成分の測定値、Min=結合剤ビオチン化ACE2-Fcを含まない緩衝液、Max=ビオチン化ACE2-Fcのみ。ACE2に対するナノボディの50%での阻害濃度(IC50)は、非線形回帰[阻害剤]対GraphPad Prism8を使用した正規化された応答曲線適合を使用して決定した。
【0107】
英国公衆衛生局のプラーク減少中和試験では、933pfu/mL(70pfu/50μL)の濃度に希釈し、96ウェルV底プレートで抗体希釈を2 倍にする、1%のウシ胎児血清(FBS)(Life Technologies)及び25mMのHEPES緩衝液(Sigma,Dorset,UK)を含有する、最小必須培地(MEM)(Life Technologies,California,USA)に50:50で混合したSARS-CoV-2(オーストラリア/VIC01/2020)43を使用した。プレートを加湿ボックス内で、37℃で1時間インキュベートして、中和させた。その後、ウイルス抗体混合物を、10%(v/v)FBSを含むMEMで培養されたVero E6細胞(ECACC 85020206;PHE、UK)のコンフルエントな単層を含む、ダルベッコのPBSで2回洗浄された24ウェルプレートのウェルに移した。加湿ボックス内で、37℃で更に1時間、ウイルスを細胞に吸着させ、1.5%のカルボキシメチルセルロース(Sigma)、4%(v/v)のFBS、及び25mMのHEPES緩衝液を含むMEMを細胞に重ねた。加湿ボックス内で、37℃で5日間インキュベートした後、プレートを20%のホルマリン/PBS(v/v)で一晩固定化し、水道水で洗浄した後、0.2%のクリスタルバイオレット溶液(Sigma)で染色し、プラークをカウントした。中間点プロビット分析(統計計算とグラフィックス用にRプログラミング言語で記述)を、SARS-CoV-2ウイルスプラークをウイルスのみの対照(n=5)と比較して50%(ND50)減少させるために必要な抗体の希釈を決定するために使用した。Rで使用されるスクリプトは、以前に報告されたソーススクリプト44に基づいていた。抗体の希釈液を2回繰り返して実行し、PRNTアッセイの内部陽性対照も、SARS-CoV-2を中和することが知られている熱不活化(56℃で30分間)されたヒトMERS回復期血清の試料(英国国立生物基準管理研究所)を使用して2回実行した。プレートを図8cに示す。
【0108】
オックスフォードでのプラーク減少中和試験は、確立された方法論45を使用してSARS-CoV-2 Victoria/01/202043の継代4を使用して実施した。簡単に説明すると、ウイルスストック(9.75×10pfu/mL)を10倍及び100倍に希釈し、測定について、H11-H4の最終濃度が100、32、10、3.2nMになるように、1%のFBSを含むダルベッコ変法イーグル培地(D1;100μL)をD1で希釈したナノボディ-Fc(100μL)と混合した。陽性対照として、CR3022を333、167、84及び42nMを含む溶液を調製した。各実験は、24ウェル組織培養プレートで3回実施した。プレートを室温で30分間インキュベートし、D1中のVero E6細胞の単一細胞懸濁液0.5mLを5×10/mLで添加した。プレートを37℃で更に2時間インキュベートした後、カルボキシメチルセルロース(1.5%)を添加した0.5mLのD1を重ねた。得られた培養物を37℃で更に4日間インキュベートした後、酢酸/メタノール中のアミドブラックで細胞単層を染色してプラークを明らかにした(図9a、b、c、d)。CR3022とH11-H4が相加性であるかどうかを調べるために、100、32、10、3.2nMのH11-H4の溶液をそれぞれ、最終濃度84nMのCR3022と30分間インキュベートした。得られた混合物を上記のように3回の実験で分析し、ウェルを図9dに示す。
【0109】
細胞株
オックスフォードの中和には、Vero Ccl-81(元々はATCCからの株由来)を使用した。PHE中和には、ECACCから購入したVeroE6 細胞を使用した。細胞ベースの競合アッセイでは、商用供給源(Sigma-Aldrich)に由来する MDCK-SIAT1細胞を使用した。全ての哺乳動物タンパク質発現は、購入した293Expi細胞(ThermoFisher Scientific)及びE.coli細胞を使用して実行した。
【0110】
スパイクを有するナノボディ複合体、調製、及びクライオ-EMデータ収集
10mMのHepes、pH8、150mMのNaClで精製したスパイクタンパク質を50mMのTris、pH7、150mMのNaClで精製されたH11-H4とモル比1:3.6(スパイク三量体:ナノボディ)で、16℃で一晩インキュベートした。スパイクタンパク質は、最終濃度1mg/mL で使用した。混合物を、グリッド調製前に16℃で、21000gで遠心分離した。H11-D4-スパイクについては、モル比1:6(スパイク三量体:ナノボディ)の混合物を20℃で10分間インキュベートした。
【0111】
得られたH11-D4-スパイク試料3μLを、次いで、20秒間高で新たにグロー放電された穴あきカーボンコーティングされた200メッシュ銅グリッド(C-Flat,CF-2/1,Protochips)に塗布した(Plasma Cleaner PDC-002-CE,Harrick Plasma)。4.5℃、相対湿度100%で、ビトロボット濾紙(グレード595,Ted Pella Inc.)を使用して、-1のブロッティング力で6秒間ブロッティングすることにより、過剰な液体を除去した。次いで、ブロットされたグリッドを、Vitrobot Mark IV(Thermo Fisher Scientific)を使用して直ちに急速冷凍した。
【0112】
凍結したグリッドを、300kVでTitan Krios G2(Thermo Fisher Scientific)で撮像する前に、200kVで動作するGlacios顕微鏡(Thermo Fisher Scientific)で最初にスクリーニングした。ムービー(各40フレーム)を、カスタムEPUバージョン2.5(Thermo Fisher Scientific)を使用した超分解能計数モードで、K3検出器(Gatan)で、圧縮tiff形式で収集した(表4)。
【0113】
【表6】
【0114】
Relion(v3.1)46と5×5のパッチベースのアラインメントを使用して、2×ビニングした超分解能ムービーのモーション補正とアラインメントを実行した。フルフレームの重み付けされていない顕微鏡写真のCTF推定を、GCTF(v1.06)を使用して実行し、非テンプレート駆動の粒子ピッキングを、cryoSPARC(v2.14.1-live)47内で実行し、その後、複数回の2D分類を実行した。スパイク三量体と一致する結果の2Dクラス平均を、C1対称性を使用した2D及び3D分類の更なるラウンドの前に、テンプレート駆動の粒子ピッキングに使用した。最も人口の多いクラスから得られたマップは、カスタムpyEMスクリプト48(csparc2star.py、https://github.com/asarnow/pyem)を使用してRelion形式のstarファイルに変換する前に、cryoSPARCでシャープ化し、Relion内で更にCTFを精密化した。
【0115】
スパイクの初期モデルをPDB 6VXX26を使用して生成し、剛体をChimera49、続いてCoot50を使用してマップに適合した。H11-D4-RBD結晶構造をCootの裸のスパイクモデルに重ね、密度に適合するかどうかをチェックした。各サブユニットのサブドメインに分割されたS1/S2ドメイン(残基27~307;308~321及び591~700;322~333及び529~590;701~1147)を、次いで、最終的な相関係数0.8をもたらすReadySet51を使用して水素原子を追加したPHENIX51による最終的な実空間の精密化の前に、Coot50に独立してリジッドボディ適合させた。H11-D4-RBD結晶構造を、密度のためにスパイクの精密化中に参照構造の制約として使用した。Coot50での手動検査とPHENIX51での実空間の精密化を経て、最終モデルが完成した。データ処理及び精密化の統計を表4に示す。
【0116】
H11-H4スパイク試料では、SPT Labtechプロトタイプ300メッシュ1.2/2.0ナノワイヤグリッドを使用し、非常に再現性の高い長方形のバー断面を使用した。ナノワイヤを活性化するために、グリッドを 90 秒間ローでグロー放電させた(Plasma Cleaner PDC-002-CE,Harrick Plasma)。Chameleon EPシステム(SPT Labtech)を使用して、81%の相対湿度及び周囲温度で、約6nLの複合体をグリッドに適用した。
【0117】
凍結したグリッドをスクリーニングし、300kVで動作するBioquatum-K3検出器(Gatan,UK)を備えたTitan Krios G2(Thermo Fisher Scientific)を使用してデータを収集しました。ムービー(各50フレーム)を、カスタムEPUバージョン2.5(Thermo Fisher Scientific)を使用して超解像計数モードで、圧縮tiff形式で収集した。
【0118】
ムービーの2D分類までの処理は、eBICで実装されたRelion_IT.py処理パイプラインを使用して自動的に行った。詳細には、5×5のパッチベースのアラインメントを備えた Relion(v3.08)46を使用して、2×ビニングされた超分解能ムービーのモーション補正とアラインメントを実行した。フルフレームの重み付けされていない顕微鏡写真のCTF推定は、GCTF(v1.06)を使用して実行され、非テンプレート駆動の粒子ピッキングをcrYOLO52内で実行し、続いて2D分類を実行した。スパイク複合体と一致する詳細を明確に示す最良の2Dクラスを、更に処理するために選択した。3D分類を、60Åにローパスフィルターをかけたemd_21374を使用して行った。当初、データはC3として処理したが、RBDとナノボディ密度が低かったため、C1に緩和した。最高のC1 3Dクラスを選択し、Relion内での更なる精密化、CTF精密化、及び粒子研磨を行った。
【0119】
スパイク-H11-D4構造からの座標を、キメラ49のスパイク-H11-H4クライオ-EM密度にリジッドボディドッキングし、次いで、CCP-EM GUI53、54を介してRefMac5、及び最終的な相関係数0.78をもたらすcootを手動で介入を使用して数回のゼリーボディ精密化メントで精密化した。クライオ-EMマップのナノボディ密度の分解能が限られているため、最終モデルでは、精密化されたナノボディ構造をドッキングしたH11-H4-RBD結晶構造に置き換えた。最後に、キメラ49を使用してナノボディを剛体としてクライオ-EM密度にドッキングし、その位置を最適化した。データ処理及び精密化の統計を表4に示す。
【0120】
H11-D4-RBD-CR3022及びH11-H4-RBD-CR3022結晶構造
精製RBD、Fab CR3022及びH11-D4をモル比1:1:1で最終濃度約7mg/mLまで一緒に混合し、室温で1時間インキュベートした。最初のスクリーニングを、ナノリットルシッティングドロップ蒸気拡散法を使用して96ウェルプレートで実行した。最良の結晶を、0.1 Mのクエン酸三ナトリウム二水和物、pH5.0、10%(w/v)のポリエチレングリコール6000を含む条件で成長させた。
【0121】
精製RBD、Fab CR3022、及びナノボディH11-H4を1:1:.11のモル比で混合し、室温で1時間インキュベートし、ゲル濾過カラムにかけた。最初のスクリーニングを、ナノリットルシッティングドロップ蒸気拡散法を使用して96ウェルプレートで実行した。上記のように、20mg/mLのH11-H4-RBD-CR3022複合体0.1μLを0.1μLの結晶化緩衝液と混合することにより、最良の結晶が成長させた。結晶を70~75%の貯蔵器溶液と20~25%のグリセロールを含む凍結保護剤に数秒間浸し、ループに取り付け、英国ダイヤモンド光源のビームラインI03でのデータ収集前に液体窒素で凍結させた。
【0122】
H11-D4-RBD-CR3022の2つの結晶形態が得た(表5)。収集した第1の形態については、それぞれ360°の3つの結晶をマージして、78倍の冗長性を有する3.3Åの分解能の最終データセットを得た。第2の形態は後に現れ、データは異方性であったが、単結晶から2.7Åを生成した。H11-H4-RBD-CR3022の単結晶を採取した。
【0123】
【表7】
【0124】
データを、自動化されたデータ処理プログラムXia2-dials55、56で索引付け、統合、スケーリングした。H11-D4-RBD-CR3022 複合体の第1の結晶の結晶構造を、(PDB 6YLA18)とナノボディ9G8(PDB 4KRP57)を使用した分子置換によって解明した。その後、H11-D4-RBD及びH11-H4-RBD複合体の高分解能構造が利用可能になり、その後の溶液で使用した。電子密度H11-H4-RBD-CR3022は、低分解能のH11-D4-RBD-CR3022構造に見られるように、ナノボディには不十分であり;研究の比較的低い分解能の反映であった。
【0125】
モデルの再構築をCOOT50で行い、最初にPHENIX51で精密化し、次いで、PDB-REDO59、MOLPROBITY60、及びTLSMDサーバ61によって支援されたREFMAC558で精密化した。
【0126】
H11-H4-RBD及びH11-D4-RBD結晶構造
各ナノボディを2.9mg/mLの8.7mgのRBDとナノボディ:RBD1.1:1のモル比で混合し、複合体を2rpmで攪拌しながら冷蔵室で3時間インキュベートした。複合体中のRBDは、0.4mgのEndoHグリコシダーゼを添加することによって脱グリコシル化し、2rpmで攪拌しながら室温で一晩インキュベートした。次いで、混合物を5kDaのMWCO濃縮器で1mLに濃縮し、50mMのTris、pH7、150mMのNaCl中のSuperdex200 10/300(GE)を使用してゲル濾過に注入した。ピーク画分をプールし、5kDaのMWCO濃縮器を使用して10 mg/mL、18mg/mL、及び29mg/mLに濃縮した。
【0127】
結晶化スクリーニングを、HarwellのDiamond/RCaH/RFI HTP結晶化施設で実施した。H11-D4-RBD の結晶を、0.2Mの酢酸ナトリウム三水和物、0.1MのMES、pH6.0、20%(w/v)のPEG8000を含む結晶化緩衝液0.1μLと0.2μLの18 mg/mLの複合体を混合することにより、シッティングドロップ蒸気拡散法を使用して20℃で成長させた。H11-D4-RBD結晶は一晩で成長し、30%(v/v) のエチレングリコールを含む母液を含む溶液でフラッシュ冷却されました。H11-H4-RBDの結晶を18mg/mLの複合体を0.2Mの硫酸リチウム、0.1MのBis Tris、pH5.5、25%(w/v)のPEG3350を含む結晶化緩衝液0.1μLと混合することにより、シッティングドロップ蒸気拡散法を使用して20℃で成長させた。H11-H4-RBDの結晶は一晩で成長し、30%(v/v)のPEG400を含む母液を含む溶液でフラッシュ冷却した。回折データも収集され、ダイヤモンド光源(DLS)のビームラインI03で処理した。H11-D-RBD構造は、上記の三元複合体からのRBD及びH11-D4モノマーを使用した分子置換によって解明した。三元複合体について上記に記載されるように精製を行った。H11-H4-RBD複合体は、H11-D4-RBD複合体を使用して解明した。X線データの収集と構造の精密化に関する統計を表5に示す。両方の複合体の電子密度を図13c、dに示す。
【0128】
H11-D4 RBD複合体の構造解析
H11-H4-RBD複合体とH11-D4-RBD複合体の高分解能により、両者の微妙な違いが明らかになった。主な記事はH11-H4-RBDに焦点を当てており、このノートではH11-D4-RBDを分析している。H11-D4-RBD複合体(図15A)では、CDR1は界面にほとんど寄与していない(図15A)。CDR2では、残基Arg52、Ser54及びSer57がRBDと接触している(図15A及び15B)。CDR3から、Glu100-Leu106がRBDと接触する(図15B)。2つのタンパク質間の全ての接触を図15Cに示す。H11-D4と接触するRBDの表面は、Lys444-Phe456及びGly482-Ser494によって形成される(図15D)。RBD配列のこれら2つの延伸は、埋もれた表面積の90%以上を構成し、H11-D4と全ての水素結合を形成する(図15C)。
【0129】
RBDのTyr449の芳香環は、Asn101のH11-D4上の疎水性パッチに対してスタックする(図16A)。RBD残基Glu484(二価塩橋)及びPhe490(p-カチオン相互作用28)を含む相互作用のネットワークの中心に位置する、H11-D4のCDR2からのArg52の重要な役割に注目する(図16B)。Arg52は、Arg103、Ser104の主鎖カルボニル、及びTyr109の側鎖に水素結合を形成するため、H11のCDR3ループのコンフォメーションを安定化する役割も果たしているようである(図16B)。成熟中に変化したH11-D4CDR3領域の7残基の延伸は、複合体によって埋められた表面積の60%以上に寄与し、RBDへの5つの水素結合を形成する(図16C)。Arg98は、RBDと接触しないCDR3ループの唯一の成熟変化である(図16C)。むしろ、この残基はGlu100に塩橋をかけ、CDR1のいくつかの残基に水素結合を形成し、CDR3及びCDR1ループの順序付けに重要であることを示唆している。H11-D4のTrp112は、CDR3領域の構造にとっても重要であると思われる相互作用である、Arg103-Asp108塩橋に対してスタックする2つのコンフォメーションを採用する(図16D)。
【0130】
結果
スパイク結合ナノボディの同定
SARS-CoV-2スパイクの精製RBDを使用して、インビトロでのファージディスプレイ技術によりナイーブラマVHHライブラリーでその結合パートナーを特定した。RBDに結合するいくつかのナノボディを特定した。H11と名付けた最も緊密に結合するナノボディのKは1μM未満であった(図6a、b)。ランダム変異誘発アプローチを使用して、CDR3内の5つの残基でH11及び互いに異なる2つの親和性成熟変異体、H11-D4及びH11-H4を特定した(図1c、2a)。H11-H4及びH11-D4は、それぞれ5nM及び10nMの推定Kで表面プラズモン共鳴(SPR)によってRBDに結合することが示された(図2b、図6c、d)。ACE2-Fcが固定化され、RBDの結合がH11-H4又はH11-D4の存在下又は非存在下でモニタリングされるSPRベースの競合アッセイを実行し;同様の実験で、スパイクの結合もモニタリングした(RBDの代わりに)。両方のナノボディは、RBDとスパイクの両方のACE2への結合を阻害した(図2c、図6e)。これは、ナノボディエピトープがスパイクの RBD上のACE2結合部位と重複していることを示唆している。CR3022-Fcを固定し、RBDの結合を測定したとき、H11-H4又はH11-D4の有無にかかわらず、RBDがCR3022に結合することが分かった(図2d、図6f)。これは、CR3022とナノボディがRBD上の非重複エピトープを認識したことを示している。スパイクでこの実験を繰り返すと、H11-H4の存在下及び非存在下でも結合を示した(図2d、図6f)。
【0131】
結合の化学量論と熱力学は、等温滴定熱量測定によって特徴付けられた。H11-H4は12±1.5nMのKでRBDに結合し、H11-D4は39±2nMのKで結合し、両方とも1:1の化学量論を示した(図2e、図7a)。全長三量体スパイクを使用したとき、1:1ナノボディ:モノマー(3:1のナノボディ:スパイク)の化学量論比で単一の結合イベントが観察され、H11-H4では44±3nMのK、H11-D4では79±2nMのKであった(図2f、図7b)。エンタルピーが増加したにもかかわらず、H11-D4は、結合時のエントロピーペナルティが増加した結果、H11-H4よりも弱く結合した。両方のナノボディのスパイクとRBDを比較すると、同じエンタルピーエントロピー補償が観察される。スパイクタンパク質が、溶液中で複数のコンフォメーション状態で存在することが提示しているが26、ITCは単純な結合曲線を示した(図2f)。ナノボディが存在する全てのコンフォメーション状態に均等に結合しているか、これらの状態間の平衡が結合イベントよりも速かったかのいずれかである。オン率が非常に高いことを考えると、後者の可能性は低いと思われる(図2b)。
【0132】
RBD結合についてACE2と競合する二価Fc-ナノボディ融合体
ナノボディをヒトIgG1のFcドメインに融合させて、二価結合が可能なホモ二量体キメラタンパク質を生成した(図3a)。これらのコンストラクトがACE2のRBDへの結合をブロックする能力を2つのアッセイで試験した。
【0133】
第1のアッセイでは、ヒトACE2を安定的に発現するMDCK-SIAT1細胞(MDCK-ACE2)をプレートに播種し、RBDの結合をブロックする様々な分析物(H11-H4-Fc、H11-D4-Fc、ACE2-Fc、CR302218、及びVHH72-Fc)の能力を測定した(図3b)。VHH7225は、SARS-CoV-2のスパイクに対して交差反応性である、SARS-CoV-1のスパイクで免疫したラマから分離されたナノボディである。MDCK-ACE2細胞結合アッセイは、H11-H4-Fcについて61nM、H11-D4-Fcについて161nM、及びVHH72-Fc25について262nMのIC50をもたらした。
【0134】
第2の競合アッセイでは、分析物(H11-H4-Fc、H11-D4-Fc、ACE2-Fc、CR302218、VHH72-Fc25)を、表面にRBDを発現したMDCK細胞へのACE2の結合をブロックする能力について評価した(図3c)。このアッセイは、H11-H4-Fcについて34nM、H11-D4-Fcについて28nM、VHH72-Fc25について33nMのIC50をもたらした。予想通り、CR3022はRBD-ACE2相互作用をブロックしないため、どちらのアッセイでも強い応答を示さない17、18
【0135】
H11-H4-Fc及びH11-D4-Fcのウイルスの中和
キメラ融合を、SARS-CoV-2ウイルスの英国公衆衛生研究所でのプラーク減少中和試験で試験し、H11-H4-FcのND50は6nM(95%信頼区間(CI)3~9nM)、H11-D4-FcのND50は18nM(95%のCI9~68nM)を示した(図3d、図8)。H11-H4-Fcの中和をオックスフォード大学で再現し、4nMのND50が得られた。CR3022を陽性対照として使用し、これらの条件下で、以前の報告と同様に93nMのND50が観察された18図3e)。生のプレートを図9に示し、H11-H4-Fcの存在下で小さなプラーク表現型が観察されたが、陽性対照CR3022では観察されなかった。これは、H11-H4-Fcが中和されていないウイルスの拡散を防ぐ能力があることを示しているため、特に驚くべきことである。
【0136】
我々のアッセイ法は、英国の基準に沿って、細胞とのインキュベーション後にウイルスと中和剤を除去しなかったことに注意する必要がある。一部のラボでは、アッセイ中にウイルスと中和剤を除去する中和アッセイプロトコルが報告されているが、正確なプロトコルの違いが、CR3022中和の報告された違いの原因である可能性がある17、18
【0137】
ナノボディ-スパイク及びナノボディ-RBD複合体の構造
ナノボディをそれぞれ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の精製された融合前に安定化された外部ドメイン13(スパイク(三量体):ナノボディ=1:4)と室温でインキュベートし、その後、クライオEMグリッド上でガラス化した。スパイクのこのバリアントのクライオEM単一粒子構造は、主に3つのRBDの「アップ-ダウン-ダウン型」配置を持つ三量体であることが示されている13。データの収集と処理(表4、図10、11)の後、マップは、H11-D4及びH11-H4複合体(図10、11)の3つのRBD 全てで追加の密度を明確に同定した。クーロンポテンシャルマップの改善により、両方の構造の各RBDでナノボディを追加の密度に適合させることができた(表4、オンライン法、図4a及び図10、11、12a)。「アップ型」のRBDに結合したナノボディの密度は弱いが、それでも明確に識別できるが、「ダウン型」のRBDに結合したナノボディの密度はより明確である(図10、6)。H11-H4-スパイク複合体(図4a)とH11-D4-スパイク複合体(図12a)の構造は、分解能が高いため区別できない(表4)。ここでは、親和性の高いナノボディであるH11-H4との複合体に焦点を当てて記載する。
【0138】
ナノボディと接触しているRBDの領域は、ナノボディ複合体で秩序化されているが、EM融合前に安定化されたホロスパイク構造(PDB 6VSB、6VYB、6VXX)では無秩序であり、詳細な分析はできない。しかしながら、ナノボディ-スパイク複合体では、「アップ型」RBD(サブユニットA)が「ダウン」RBD(サブユニットC)に結合しているナノボディと接触し;ホロスパイクにはないものに接触することに注目した(図12b)。これらの接触は、非複合体と比較した場合、RBDドメインのシフトをもたらした13、26図12c)。以前のレポート26と一致して、ホロスパイクタンパク質のグリッド上に2つの形態(「スリーダウン型」及び「ワンアップツーダウン型」)の混合物が見られた。ナノボディの存在下では、「ワンアップツーダウン型」形態のみが観察され、ナノボディ結合がコンフォメーションの不均一性を低減したことを示している。RBDと比較した場合、追加の相互作用がこの観察と、スパイクへのナノボディの結合で観察されるより高いエンタルピーとより大きなエントロピーペナルティの原因であることを示唆している(図2e、f)。
【0139】
ナノボディは、CDR1、CDR2、及びCDR3と呼ばれる3つの可変ループに依存して、抗原結合部位を形成する(図1c)。認識の分子基盤への洞察を得るために、H11-H4-SARS-CoV-2 RBD複合体及びH11-D4-SARS-CoV-2 RBD複合体の結晶構造をそれぞれ1.85及び1.80Åの分解能で決定した(表5)。どちらの結晶構造も、非対称ユニットに複合体のコピーが1つある。2つの複合体の重ね合わせにより、両方のナノボディが同じエピトープを認識することが確認された(図4b)。構造を比較すると、複合体全体が平均二乗偏差322 個のCα原子で1.0Å、個々のRBDが平均二乗偏差195個のCα原子で0.5Å、個々のナノボディが平均二乗偏差127個のCα原子で0.4Å重なっていることが分かる。より高い複合体についての平均二乗偏差は、互いに対するナノボディの7°ピボット運動から生じているためである(図4c)。複合体間の類似性が非常に高いことを考慮して、H11-H4-RBD複合体に再び焦点を当てて記載した(図4d)。CDR3ループの配列変化により、H11-D4-RBD複合体と比較して違いがあり、H11-D4-RBD界面の詳細な説明は、図15~16及び「H11-D4 RBP複合体の構造解析」に記載している。
【0140】
複合体では、H11-H4のCDR1ループはインターフェイスにほとんど寄与していない(図4e)。CDR2から、残基Arg52、Ser54、及びSer57がRBDと接触している(図4d、e)。CDR3、His100からLeu106まで、成熟中に変更された領域がRBDと接触した(図4d、e)。H11-H4に接触するRBDの表面は、Lys444からPhe456まで及びGly482からSer494までよって形成される(図4f)。RBD配列のこれら2つの延伸は、埋もれた表面積の90%を構成し、H11-H4と全ての水素結合を形成する(図4g)。これらの直接的な接触に加えて、複数の架橋水分子がある。驚いたことには、PISAサーバ27が、どちらのナノボディ及びRBD複合体も安定しているとは特定しない。
【0141】
H11-H4のCDR2に由来するArg52は、二価の塩結合を形成したRBD残基Glu484やπ-カチオン相互作用を形成したPhe490 など、相互作用のネットワークの中心にあることが分かった28図4h)。Arg52はまた、Ser103の主鎖カルボニルとTyr109の側鎖に水素結合を形成し(図4h)、CDR3ループの立体構造を安定化させる可能性がある。成熟中に変化したH11-H4 CDR3領域の7残基延伸は、複合体によって埋められた表面積の60%以上に寄与し、RBDに5つの水素結合を形成する(図4g)。
【0142】
H11-D4-RBD複合体を使用して、スパイク26の「ダウン」(閉じた)形態に結合した3つのナノボディのモデルを作出した(図12d)。このモデルはいかなる衝突を開示しておらず、単純なITC曲線と一致する全てのコンフォメーション状態でナノボディがスパイクタンパク質に結合することを示唆している(図2e)。
【0143】
他のRBDバインダと比較したナノボディエピトープ
H11-H4-RBD複合体へのRBD-ACE2複合体29、30の重ね合わせは、生物物理学(図2c)、プレートアッセイ(図3b、c)及び中和実験(図3d)と一致するH11-H4が、ACE2がRBDに結合するのを防ぐ(図5a)ことを明らかにするこれは、主にRBDと接触していないH11-H4の領域とACE2の領域(RBDと接触していない)の間のファンデルワールス衝突によるものである(図5a)。興味深いことに、RBD上のH11-H4の接触面は、ACE2の接触面とわずかに重なっているだけである(図1b、図5b)。RBD-ACE2複合体との比較29、30は、RBDの残基445-500がH11-H4結合時に固定ユニットとして移動するように見えることを明らかにしている(図13a)。RBDのVal483を中心とするループの構造は、H11-H4の結合により変化した(図13b)。
【0144】
異なるエピトープを認識する抗体及び/又はナノボディの組み合わせから生じる相加効果及び相乗効果の可能性を考えると、三元複合体H11-H4-RBD-CR3022(3.3Å)及びH11-D4-RBD-CR3022(2.7Å)の結晶が得られた(表5)。構造は類似しており、より分解能の高いH11-D4-RBD-CR3022複合体に注目する。予想どおり、ナノボディと抗体は重複しないエピトープに結合する(図5c)。更に、H11-D4-RBD-CR3022三元複合体とH11-D4-RBD 複合体及びRBD-CR3022複合体の両方との比較17、18は、ナノボディの結合が抗体の認識を混乱させず、逆もまた同様であることを示した。これは、CR3022がRBDとナノボディRBD複合体に等しくよく結合することを示す生物物理学的分析と一致している(図2d、図6f)。
【0145】
考察
ウイルスのライフサイクル中、スパイク三量体は、全て「ダウン型」配置と混合された「アップダウン型」状態の間の平衡状態で存在すると想定される13。スパイクタンパク質は、RBDが「アップ型」状態のACE2にだけ結合でき11、これにより三量体が解離する。SARS-CoV-2スパイクは、SARS-CoV-1スパイクよりも10倍~20倍高い親和性(約15nMのK)でACE2に結合する。これは、より高い感染性を促進することが提案されている事実である13、31。SARS-CoV-1に対して同定されてきた中和抗体は、Spikeタンパク質のRBDに結合し、多くはACE2結合をブロックすることによって結合するが32、CR3022は異なる機構で動作する18。我々は、CDR3ループ内の5つの残基で配列が異なるH11-H4とH11-D4の2つのナノボディを同定し(図2a)、特性にいくつかの微妙な違いを示した(図2、3)。H11-H4 ナノボディはRBDに対してより高い親和性を有しているため(図2e、f)、議論はこのバリアントに焦点を当てているが、明示的に述べられていない限り、H11-D4に対しても同様に有効である。
【0146】
H11-H4がRBDに高い親和性で結合し(図2b、e、f)、ACE2結合をブロックし(図2c、3b、c)、ウイルスを中和する(図3d、e)ことを示した。我々の分析は、H11-H4がスパイク内のRBDの「オールダウン型」及び「ツーダウンワンアップ型」コンフォメーションの両方に結合することを示唆している(図4a及び図2c)。H11-H4によって認識されるSARS-CoV-2RBD上のエピトープは、ACE2結合領域とごく限られた程度しか重複していない(図5a、b)。SARS-CoV-2RBDのこの領域は、SARS-CoV-1 RBDと比較すると、いくつかの配列の変更がある(図1b)。SARS-CoV-1RBD構造のPro469-Pro470ターンは、SARS-CoV-2のVal483-Glu484の構造とは大きく異なる。SARS-CoV-1とSARS-CoV-2の間の追加の配列と構造の変化(Tyr442->Leu455、Trp476->Phe490、Asn479->Gln493)が組み合わさって、非常に異なるエピトープを提示し、H11-H4の交差反応性を排除すると考えられる。SARS-CoV-1とSARS-CoV-2の間のH11-H4 エピトープの保存の欠如は、ACE2受容体結合を保持しているがH11-H4又はその類縁体(relatives)によって認識されなくなったSARS-CoV-2バリアントが出現する可能性を高める。可能性の高いエスケープ変異の少なくともいくつかは、SARS-CoV-2の親和性の増加に重要な相互作用であるACE2の裂け目(cleft)に挿入されるPhe486の位置を乱す可能性がある30。ナイーブライブラリーのスクリーニングから成熟及び徹底的な特性評価までの迅速なパイプラインは、H11-H4を回避したSARS-CoV-2ウイルスに対して新しいナノボディを生成できる可能性を提供する。
【0147】
交差反応性(SARS-CoV-1 K 7nM及びSARS-CoV-2 K 40nM)ナノボディVHH72の特徴付けが最近報告され25。このナノボディはACE2結合をブロックし、SARS-CoV-2シュードウイルスに対して中和活性(ND50 0.2μg/mL)を示す25。VHH72とSARS-CoV25由来のRBDとの複合体の結晶構造は、VHH72がH11-H4によって結合されるものとは異なるエピトープを認識することを示した(図14A)。VHH72が結合するエピトープは、CR302218が結合するエピトープと部分的に重複し(図14B)、複合体中のH11-H4とRBDとの間の結晶接触で見られる(図14C及び14D)。CR3022 のように、ACE2結合をブロックせずにウイルスを中和する別の抗体も公開されているが34、それ以上の構造の詳細はない。SARS-CoV-2ウイルスに対する強力な中和活性を持つヒト化ナノボディ(Vero細胞で最も強力なND50 17~36nM)が報告されている35。これらのナノボディの全てではないが、一部がACE2結合をブロックし、その作用機序に関する分子的洞察は報告されていない35。プレプリントでは、偽ウイルスを中和し、ACE2結合をブロックするラマ抗体Ty1が報告されているが36、EM構造の座標は利用できなかった。
【0148】
回復期血清の使用は、SARS-CoV37及び最近ではSARS-CoV-29の重症患者で臨床的に有望であることを示しており;そのような受動免疫療法には、医学において長い歴史がある38。実験室で製造された試薬を使用すると、ヒト血清の使用に起因する感染リスクの一部が回避され、少量で投与できる。治療法としての抗体の使用は十分に確立されているが、ナノボディは、1つのCaplacizumab23が承認されて現在臨床試験に入ったばかりである。ナノボディの直接注射は、コブラ毒中毒のマウスモデルでも有望であることが示している39。ラクダ科動物のVHH ドメインは、ヒトのカウンターパートで高度に保存されており、それらの免疫原性は低いと提示しているが40、ヒト化戦略は十分に開発されている41
【0149】
インビボでの半減期を延長し、活性を強化するために、様々な手段でナノボディを多量体化できる22。インビトロでの結合アッセイ(図3b、c)及び中和実験(図3d、e)のために、二量体Fc融合コンストラクト(図3a)を作出した。CR3022抗体17、18はH11-H4とは異なるエピトープを認識したため(図2d、5c)、H11-H4とCR3022の組み合わせを調査した(CR3022濃度は84nMに固定)。これらのアッセイ条件下で、相加効果の証拠を観察した(図5d)。そのような相加的な組み合わせは、ウイルスが変異によって回避する傾向を減らすためのよく知られた戦略である。
【0150】
この研究は、ナノボディ成熟技術を転換して、出現するウイルスの脅威に対してリアルタイムで高度中和剤を生成することができることを確立している。このアプローチは、動物免疫化アプローチによって同定されたものに対して相補的なエピトープを同定するのに有用であり得る。H11-H4及びH11-D4ナノボディは、重症のCOVID-19患者の受動免疫化のために供与された実験室で合成された中和抗体のカクテルで適用され得る。
【0151】
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図1
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【配列表】
2023524573000001.app
【国際調査報告】