(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エンの共沸組成物及び共沸様組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
C09K5/04 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567683
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021030611
(87)【国際公開番号】W WO2021226051
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ビン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】サラ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ティー・クー
(72)【発明者】
【氏名】ルーシー・エム・クラークソン
(57)【要約】
1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)からなる共沸組成物又は共沸様組成物、ならびにそれらの使用が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む、共沸様組成物。
【請求項2】
1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)とのモル比が、約99対1~約99対1の範囲である、請求項1に記載の共沸様組成物。
【請求項3】
1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)とのモル比が、約10対約70~約90対30の範囲である、請求項1に記載の共沸様組成物。
【請求項4】
1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)とのモル比が、約10対約40~約90対60の範囲である、請求項1に記載の共沸様組成物。
【請求項5】
1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)とのモル比が約10対90である、請求項1に記載の共沸様組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む共沸組成物及び共沸様組成物、並びにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロカーボンベースの流体は、冷媒、エアロゾル噴射剤、発泡剤、熱伝達媒体、ガス状誘電体などを含む、多くの用途において業界で広く使用されている。それに関連する比較的高い地球温暖化係数を含む、これらの流体の一部の使用に関連する環境問題が懸念されるため、オゾン破壊係数が低いかゼロでさえある流体を使用することが望ましい。さらに、沸騰及び蒸発で分別しない単一成分流体又は共沸混合物の使用が望ましい。可燃性などの安全性の問題も、商業用及び住宅用の冷媒の広範な採用を制限する可能性がある。蒸気圧縮HVAC&Rシステム用の冷媒の選択には、性能、安全性、及び環境への影響の間のトレードオフが必要である。しかし、共沸物の形成は容易に予測できないため、新しく、安全で、環境的に安全な非分留混合物の同定は複雑である。
【0003】
業界は、代替案を提供し、CFC及びHCFCの環境的に安全な代替品と考えられるような、新しいフルオロカーボンベースの混合物を絶えず求めている。
【0004】
オゾン層保護のためのモントリオール議定書は、クロロフルオロカーボン(CFC)の使用を段階的に廃止することを義務付けている。HFC-134aのようなハイドロフルオロカーボン(HFC)など、オゾン層により「優しい」材料がクロロフルオロカーボンに取って代わった。後者の化合物は、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスであることが証明されており、気候変動に関する京都議定書によって規制されていた。新しい代替材料であるハイドロフルオロプロペンは、環境的に許容できることが示され、すなわち、オゾン層破壊係数(ODP)がゼロで、許容可能な低GWPを持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、現在のHFCと比較して、オゾン破壊係数が低いかゼロであり、地球温暖化係数が低いという要求を満たす独自の特性を提供でき、冷媒、伝熱流体、発泡剤、溶媒などとして機能することができる新規組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、CFC、HCFC、及びHFCの代替物に対する継続的な必要性を満たすのに役立ついくつかの組成物を開発した。特定の実施形態によれば、本発明は、1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含む共沸組成物又は共沸様組成物を提供する。
【0007】
本発明の好ましい組成物は、低~不燃性であり、比較的低い地球温暖化係数(global warming potentials、「GWP」)を示す傾向がある。したがって、出願人は、そのような組成物が、冷媒、エアロゾル、及びその他の用途において、CFC、HCFC、及びHFC(HCFC-23、HFC-134a、HFC-245fa、HFC-365mfcなど)の代替物を含む、多くの用途において非常に有利に使用できることを認識した。
【0008】
さらに、出願人は驚くべきことに、1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の共沸組成物又は共沸様組成物を形成できることを認識した。したがって、他の実施形態では、本発明は、共沸様組成物を生成するのに効果的な量で、1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)とを組み合わせることを含む共沸様組成物の製造方法を提供する。
【0009】
さらに、出願人は、本発明の共沸様組成物が、それらを冷媒組成物として、又は冷媒組成物中及び発泡剤中で使用するのに有利にする特性を示すことを認識した。したがって、さらに他の実施形態において、本発明は、1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の共沸様組成物を含む、冷媒組成物及び/又は発泡剤、ならびに溶媒を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、COSMO-RS2015モデリングを使用したHFO-1122aとR-1234yfの気液平衡プロットである。
【
図2】
図2は、COSMO-RS2017モデリングを使用したHFO-1122aとR-1234yfの気液平衡プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
共沸様組成物
本明細書で使用する「共沸様」という用語は、厳密に共沸である組成物及び共沸混合物のように挙動する組成物の両方を含むことを広い意味で意図している。基本原理から、流体の熱力学的状態は、圧力、温度、液体組成、及び蒸気組成によって定義される。共沸混合物は、液体組成物と蒸気組成物が所定の圧力と温度で等しい2つ以上の成分のシステムである。実際には、これは、共沸混合物の成分が一定の沸騰状態にあり、相変化中に分離できないことを意味する。
【0012】
本発明の共沸様組成物は、新しい共沸様系を形成しない追加の成分、又は最初の蒸留留分にない追加の成分を含むことができる。最初の蒸留留分は、蒸留塔が全還流条件下で定常状態の操作を示した後に行われる最初の留分である。成分の添加が新しい共沸様系を形成して本発明の範囲外となるかどうかを決定する1つの方法は、非共沸混合物を個別の成分に分離すると予想される条件下で、当該成分を含む組成物のサンプルを蒸留することである。添加成分を含む混合物が非共沸様である場合、添加成分は共沸様成分から分別される。混合物が共沸様である場合、定沸点であるか、単一の物質として挙動する混合物成分のすべてを含む有限量の最初の蒸留留分が得られる。
【0013】
このことから、共沸様組成物の別の特徴は、共沸様又は定沸点である、さまざまな割合で同じ成分を含む一連の組成物があることである。そのような組成物はすべて、用語「共沸様」及び「定沸点」によってカバーされることを意図されている。一例として、圧力を変えると、所与の共沸物の組成が、組成物の沸点と同様に、少なくともわずかに変化することがよく知られている。このように、AとBの共沸物は独特のタイプの関係を表すが、温度及び/又は圧力に応じて組成が変化する。したがって、共沸様組成物については、共沸様である様々な比率で同じ成分を含む一連の組成物が存在する。このような組成物はすべて、本明細書で使用される共沸様という用語によってカバーされることを意図されている。
【0014】
共沸物の形成を予測することは不可能であることは、当技術分野において十分に認識されている。予想外のことに、出願人は、1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)との組み合わせが共沸又は共沸様ブレンドを形成することを発見した。
【0015】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明の共沸組成物又は共沸様組成物は、有効な共沸又は共沸様の量の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、好ましくはそれらから本質的になる。本明細書で使用される「有効な共沸様の量」という用語は、他方の成分と組み合わせると、本発明の共沸様組成物の形成をもたらす各成分の量を指す。好ましくは、本共沸様組成物は、約99~約1モル%の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び約1~約99モル%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、好ましくはそれらから本質的になる。より好ましくは、本共沸様組成物は、約10~約70モル%の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び約30~約90モル%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、好ましくはそれらから本質的になる。さらにより好ましくは、本共沸様組成物は、約10~約40モル%の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び約60~約99モル%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、好ましくはそれらから本質的になる。より好ましくは、本共沸組成物は、40モル%の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び約60モル%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、好ましくはそれらから本質的になる。特に明記しない限り、本明細書に開示されるモル%は、組成物中の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の総モル数に基づく。
【0016】
本発明の共沸様組成物は、有効な共沸又は共沸様の量の1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を組み合わせることによって製造することができる。2つ以上の成分を組み合わせて組成物を形成する当技術分野で知られている多種多様な方法のいずれも、共沸様組成物を製造する本方法での使用に適合させることができる。例えば、1-クロロ-1,2ジフルオロエチレン(R-1122a)と2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)は、バッチ又は連続反応及び/又はプロセスの一部として、あるいは、2つ以上のそのようなステップの組み合わせを介して、手動及び/又は機械で混合、ブレンド、又は接触させることができる。本明細書の開示に照らして、当業者は、過度の実験を行うことなく、本発明に従って共沸様組成物を容易に調製することができる。
【0017】
組成物の添加物
本発明の共沸組成物又は共沸様組成物は、安定剤、金属不動態化剤、腐食防止剤などを含む様々な任意の添加剤のいずれかをさらに含むことができる。
【0018】
特定の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、潤滑剤をさらに含む。様々な従来の潤滑剤のいずれも、本発明の組成物に使用することができる。潤滑剤の重要な要件は、冷媒システムで使用する場合、コンプレッサーが潤滑されるようにシステムのコンプレッサーに戻る十分な潤滑剤がなければならないことである。したがって、所与のシステムに対する潤滑剤の適合性は、一部は冷媒/潤滑剤の特性によって決定され、一部はそれが使用される予定のシステムの特性によって決定される。適切な潤滑剤の例には、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル(ポリアルキレングリコール、PAGオイルなどを含む)などが含まれる。パラフィン油又はナフテン油を含む鉱油は市販されている。市販の鉱物油には、WitcoのWitco LP250(登録商標)、Shrieve ChemicalのZerol300(登録商標)、WitcoのSunisco3GS、及びCalumetのCalumet R015が含まれる。市販のアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。市販のエステルには、Emery2917(登録商標)及びHatcol2370(登録商標)として入手可能なネオペンチルグリコールジペラルゴネートが含まれる。他の有用なエステルには、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが含まれる。好ましい潤滑剤には、ポリアルキレングリコール及びエステルが含まれる。特定のより好ましい潤滑剤には、ポリアルキレングリコールが含まれる。
【0019】
組成物の用途
本組成物は、広範囲の用途において有用性を有する。例えば、本発明の一実施形態は、本共沸様組成物を含む冷媒組成物に関する。
【0020】
本発明の冷媒組成物は、空調、冷蔵、ヒートポンプ、チラー、HVACシステムなどを含む多種多様な冷蔵システムのいずれにも使用することができる。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、例えば、元々HCFC-12又はHFC-134aなどのHCFC又はHFC冷媒と共に使用するために設計された冷蔵システムで使用される。本発明の好ましい組成物は、HFC-134a及び他のHFC冷媒の望ましい特性の多くを示す傾向があり、これには、従来のHFC冷媒と同程度又はそれよりも低いGWPと、そのような冷媒と同程度又は類似の容量がある。さらに、本発明の組成物の比較的一定の沸点の性質により、多くの用途で冷媒として使用するために、特定の従来のHFCよりもさらに望ましいものとなる。
【0021】
特定の他の好ましい実施形態では、本組成物は、元々HFC冷媒と共に使用するために設計された冷蔵システムで使用される。本発明の好ましい冷蔵組成物は、従来CHC冷媒と共に使用される潤滑剤(鉱物油、シリコーン油、ポリアルキレングリコール油など)を含む冷蔵システムで使用することができ、又はHFC冷媒と共に伝統的に使用される他の潤滑剤と共に使用することができる。本明細書で使用する「冷蔵システム」という用語は、一般に、冷却を提供するために冷媒を使用する任意のシステム若しくは装置、又はそのようなシステム若しくは装置の任意の部品若しくは部分を指す。このような冷蔵システムには、例えば、エアコン、電気冷蔵庫、チラー、輸送用冷蔵システム、業務用冷蔵システムなどが含まれる。
【0022】
本発明の冷媒組成物を冷蔵システムに導入するための広範囲の方法のいずれも、本発明で使用することができる。例えば、ある方法は、冷蔵システムの低圧側に冷媒容器を取り付け、冷蔵システムのコンプレッサーを作動させて冷媒をシステムに引き込むことを含む。そのような実施形態では、システムに入る冷媒組成物の量を監視できるように、冷媒容器を秤の上に置くことができる。所望の量の冷媒組成物がシステムに導入されると、充填が停止される。あるいは、当業者に知られている広範囲の帯電ツールが市販されている。したがって、上記の開示に照らして、当業者は、過度の実験を行うことなく、本発明による冷蔵システムに本発明の冷媒組成物を容易に導入することができる。
【0023】
特定の他の実施形態によれば、本発明は、本発明の冷媒を含む冷蔵システム、並びに本発明の組成物を凝縮及び/又は蒸発させることによって加熱又は冷却を行う方法を提供する。特定の好ましい実施形態では、本発明による物品を冷却する方法は、本発明の共沸様組成物を含む冷媒組成物を凝縮し、その後、冷却すべき物品の近くで前記冷媒組成物を蒸発させることを含む。物品を加熱する特定の好ましい方法は、本発明の共沸様組成物を含む冷媒組成物を加熱すべき物品の近くで凝縮させ、その後、前記冷媒組成物を蒸発させることを含む。本明細書の開示に照らして、当業者は、過度の実験を行うことなく、本発明による物品を容易に加熱及び冷却することができる。
【0024】
別の実施形態では、本発明の共沸様組成物は、噴霧可能な組成物中の噴射剤として、単独で、又は既知の噴射剤と組み合わせて使用することができる。噴射剤組成物は、本発明の共沸様組成物を含み、より好ましくは本質的にそれらからなり、さらにより好ましくはそれらからなる。不活性成分、溶媒、及び他の材料と一緒に噴霧される活性成分も、噴霧可能な混合物中に存在し得る。好ましくは、噴霧可能な組成物はエアロゾルである。噴霧される適切な活性物質には、デオドラント、香水、ヘアスプレー、クレンザー、研磨剤などの化粧品素材、及び喘息や口臭防止薬などの医薬品が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明の1つ以上の共沸様組成物を含む発泡剤に関する。他の実施形態では、本発明は、発泡性組成物、好ましくはポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、及びフォームの製造方法を提供する。そのような発泡体の実施形態では、本共沸様組成物の1つ以上が発泡性組成物中に発泡剤として含まれ、この組成物は、当技術分野で周知のように、適切な条件下で反応して発泡し、フォーム又は気泡構造を形成することができる1つ又は複数の追加成分を含むことが好ましい。当技術分野で周知の方法のいずれかを、本発明の発泡体の実施形態に従って使用するか、又は使用するように適合させることができる。
【0026】
本発明の別の実施形態は、以下のような、発泡熱可塑性製品を調製する方法に関するものである:発泡性ポリマー組成物を構成する成分を任意の順序でブレンドすることにより、発泡性ポリマー組成物を調製する。典型的には、発泡性ポリマー組成物は、ポリマー樹脂を可塑化し、次いで発泡剤組成物の成分を初期圧力でブレンドすることによって調製される。ポリマー樹脂を可塑化する一般的なプロセスは、熱可塑化であり、これは、ポリマー樹脂を十分に加熱して軟化させ、発泡剤組成物にブレンドすることを含む。一般に、熱可塑化は、熱可塑性ポリマー樹脂をそのガラス転移温度(Tg)、若しくは結晶性ポリマーについては溶融温度(Tm)まで、又はその近くまで加熱することを伴う。
【0027】
本共沸様組成物の他の用途には、溶媒、洗浄剤などとしての使用が含まれる。例としては、蒸気脱脂、精密洗浄、電子機器洗浄、乾燥洗浄、溶剤エッチング洗浄、潤滑剤及び離型剤を付着させるためのキャリア溶剤、及びその他の溶剤又は表面処理が挙げられる。当業者は、過度の実験を行うことなく、本組成物をそのような用途に使用するために容易に適合させることができる。
【実施例】
【0028】
大気圧での平衡液体と蒸気のモル分率を判断し、冷媒R-1234yfを使用して共沸及び/又は共沸様混合物が得られるかどうかを判断するために、主成分がシス-HFO-1122aとトランス-HFO-1122aの混合冷媒をCOSMO-RSでモデル化した。COSMO-RS(Conductor like Screening Model for Real Solvents)は、分子の熱力学的特性を予測するために使用される量子化学モデルである。COSMOthermの2015年と2017年版を利用して、表1、
図1及び2に示すシミュレーション結果を得た。モデルの両方のパラメーター化は、R-1122aのシス(Z)異性体とトランス(E)異性体の間の沸点に識別可能な違いを示していない。モデルは、モデルのパラメーター化に応じて、約10/90又は40/60のモル比でHFO-1122aとR-1234yfの間の潜在的な共沸物を示している。HFO-1122aの異性体は、共沸比に影響を与えないようである。このモデルは、HFO-1122aとR-1234yfの間の潜在的な共沸物のような組み合わせが、約10/90~40/60のモル比であると示している。
【0029】
【国際調査報告】