(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-12
(54)【発明の名称】電気化学セル用鉄含有電極
(51)【国際特許分類】
H01M 4/38 20060101AFI20230605BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230605BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20230605BHJP
H01M 12/08 20060101ALI20230605BHJP
H01M 12/06 20060101ALI20230605BHJP
H01M 4/24 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/62 C
H01M4/48
H01M12/08 K
H01M12/06 D
H01M4/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567687
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 US2021031182
(87)【国際公開番号】W WO2021236347
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521040123
【氏名又は名称】フォーム エナジー インク
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン, マイケル アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】チャン, イェット ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウッドフォード, ウィリアム ヘンリー
【テーマコード(参考)】
5H032
5H050
【Fターム(参考)】
5H032AA01
5H032AS01
5H032CC11
5H032EE02
5H032HH01
5H050AA08
5H050BA11
5H050BA20
5H050CA12
5H050CB02
5H050CB11
5H050DA09
5H050EA12
5H050HA01
(57)【要約】
電気化学セル用電極の材料、設計、および製造方法を開示する。種々の実施形態では、電極は鉄を含む。種々の実施形態は、種々の鉄含有材料を使用するための材料、システム、および方法を含んでもよく、Fe-Ni電池、Fe-MnO
2電池、またはFe-空気電池などのアルカリ電気化学セルにおいて放電状態または部分放電状態から開始する。種々の実施形態は、鉄含有電極を備える電池を含み得る。種々の実施形態では、鉄は、鉄鉱石、鉄精鉱、鉄ペレット、BF等級ペレット、DR等級ペレット、ヘマタイト、マグネタイト、ウスタイト、マルタイト、針鉄鉱、リモナイト、シデライト、パイライト、イルメナイト、スピネルマンガンフェライトなどの種々の形態であってもよい。種々の実施形態では、鉄は、SiO
2、CaOなどの不純物相を含み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、
電解質、および
第2電極を備える電池であって、
前記第1電極および前記第2電極の一方または両方は鉄を含む、電池。
【請求項2】
前記鉄は、鉄鉱石の形態である、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記鉄は、精鉱物の形態である、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記鉄は、ペレット、BF等級ペレット、DR等級ペレット、ヘマタイト、マグネタイト、ウスタイト、マルタイト、針鉄鉱、リモナイト、シデライト、パイライト、イルメナイト、およびスピネルマンガンフェライトから成る群より選択される少なくとも1つの形態である、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記鉄は、少なくとも0.1質量%のSiO
2を更に含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記鉄は、少なくとも0.25質量%のSiO
2を更に含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記鉄は、少なくとも0.5質量%のSiO
2を更に含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記鉄は、少なくとも0.1質量%のCaOを更に含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記鉄は、少なくとも0.25質量%のCaOを更に含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記鉄は、少なくとも0.5質量%のCaOを更に含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電池を1つまたは複数含む、バルクエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
少なくとも24時間にわたって電荷を保持するように構成された長期エネルギー貯蔵システムであって、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池を1つまたは複数含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年5月7日に出願された「Iron-Bearing Electrodes for Electrochemical Cells」という名称の米国特許仮出願第63/021,610号の優先権を主張するものであり、その内容の全体が参照によりあらゆる目的のために本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵技術は、電力網においてますます重要な役割を果たしつつある。最も基本的なレベルでは、こうしたエネルギー貯蔵資産は、配電網における発電および需要をより良好に一致させるための平滑化を提供する。エネルギー貯蔵デバイスにより実施される役務は、数ミリ秒から数年まで、複数のタイムスケールにわたって電力網に有益である。今日、数ミリ秒から数時間までのタイムスケールをサポートすることができるエネルギー貯蔵技術は存在するが、長期および超長期(まとめて、8時間より長い期間)のエネルギー貯蔵システムが必要とされている。
【0003】
この「背景技術」のセクションは、本発明の実施形態に関連付けられる可能性がある当技術分野の種々の態様を紹介することを意図している。したがって、このセクションにおける上述の考察は、本発明をより良好に理解するための枠組みを提供するものであり、先行技術の承認とみなされるべきではない。
【発明の概要】
【0004】
電気化学セル用電極の材料、設計、および製造方法を開示する。種々の実施形態では、電極は鉄を含む。種々の実施形態は、種々の鉄含有材料を使用するための材料、システム、および方法を含んでもよく、Fe-Ni電池、Fe-MnO2電池、またはFe-空気電池などのアルカリ電気化学セルにおいて放電状態または部分放電状態から開始する。種々の実施形態は、鉄含有電極を備える電池を含み得る。種々の実施形態では、鉄は、鉄鉱石、鉄精鉱、鉄ペレット、BF等級ペレット、DR等級ペレット、ヘマタイト、マグネタイト、ウスタイト、マルタイト、針鉄鉱、リモナイト、シデライト、パイライト、イルメナイト、スピネルマンガンフェライトなどの種々の形態であってもよい。種々の実施形態では、鉄は、SiO2、CaOなどの不純物相を含み得る。
【0005】
種々の実施形態は、第1電極と、電解質と、第2電極と、を備える電池を含んでもよく、第1電極および第2電極の一方または両方は鉄を含む。種々の実施形態では、鉄は鉄鉱石の形態である。種々の実施形態では、鉄は、当該技術分野で「鉄鉱石微粉」または「鉄鉱石精鉱」としても知られる精鉱の形態である。種々の実施形態では、鉄は、ペレット、BF等級ペレット、DR等級ペレット、ヘマタイト、マグネタイト、ウスタイト、マルタイト、針鉄鉱、リモナイト、シデライト、パイライト、イルメナイト、およびスピネルマンガンフェライトから成る群より選択される少なくとも1つの形態である。種々の実施形態では、鉄は、少なくとも0.1質量%のSiO2を含む。種々の実施形態では、鉄は、少なくとも0.25質量%のSiO2を含む。種々の実施形態では、鉄は、少なくとも0.5質量%のSiO2を含む。種々の実施形態では、鉄は、少なくとも0.1質量%のCaOを含む。種々の実施形態では、鉄は、少なくとも0.25質量%のCaOを含む。種々の実施形態では、鉄は、少なくとも0.5質量%のCaOを含む。
【0006】
本明細書に組み込まれており、本明細書の一部を構成する添付の図面は、特許請求の範囲の例示的な実施形態を示し、上記に示されている一般的な説明および下記に示されている詳細な説明と共に、特許請求の範囲の特徴を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の種々の実施形態による電気化学セルの概略図である。
【
図2】本開示の種々の実施形態による、球形ペレットおよび金属供給原料を有する複合金属電極を含む電気化学セルの概略図である。
【
図3】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図4】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図5】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図6】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図7】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図8】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図9】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図10】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【
図11】種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる種々の例示的なシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の例および実装への言及は、例示を目的としたものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の実施形態の以下の説明は、本発明をこうした実施形態に限定することを意図しておらず、むしろ当業者による本発明の製作および使用を可能にすることを意図している。
【0009】
以下の例は、本発明の本システムおよび本方法の種々の実施形態を例示するために提供されている。こうした例は、例示を目的としたものであり、予言的である場合があり、限定とみなされるべきではなく、いかなる点でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0010】
添付の図面を参照して種々の実施形態を詳細に説明する。同じまたは類似の部品を参照するために、可能な限り、図面全体にわたって同じ参照番号を使用する。特定の例および実装への言及は、例示を目的としたものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の実施形態の以下の説明は、本発明をこうした実施形態に限定することを意図しておらず、むしろ当業者による本発明の製作および使用を可能にすることを意図している。別様の注記がない限り、添付の図面は、縮尺通りに描画されていない。
【0011】
本明細書で使用される場合、別様の記載がない限り、室温は25℃であり、標準温度および標準圧力は、25℃および1気圧である。別様の明示的な記載がない限り、すべての試験、試験結果、物理的特性、ならびに温度依存性の値、圧力依存性の値、またはその両方である値は、標準周囲温度および圧力で提供されている。
【0012】
一般に、用語「約」は、本明細書で使用される場合、別様の指定がない限り、±10%の変動または範囲、記載の値の取得に関連する実験誤差または機器誤差、好ましくはこれらのうちのより大きな方を包含することを意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、別様の指定がない限り、本明細書の値の範囲の列挙は、範囲内に入る各々別々の値を個別に参照する簡略的な方法としての役目を果たすことを意図しているに過ぎない。本明細書にて別様に指示されていない限り、範囲内の各々個々の値は、本明細書に個々に列挙されているかの如く本明細書に組み込まれる。
【0014】
以下の例は、本発明の本システムおよび方法の種々の実施形態を例示するために提供されている。こうした例は、例示を目的としたものであり、予言的である場合があり、限定とみなされるべきではなく、いかなる点でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0015】
本発明の実施形態の主題である、または本発明の実施形態に関連付けられる新規で画期的なプロセス、材料、性能、または他の有益な特徴および特性の根底にある理論を提供または表明する必要はないことに留意されたい。それにもかかわらず、当分野の技術を更に進歩させるため、本明細書には種々の理論が提供されている。本明細書に示されている理論は、別様の明示的な記載がない限り、いかなる点でも本特許請求された発明に与えられる保護の範囲を限定、制限、または狭めるものではない。こうした理論は、本発明の利用には必要でない場合、または実践されない場合がある。さらに、本発明は、本発明の方法、物品、材料、デバイス、およびシステムの実施形態の機能-特徴を説明するための、新しくこれまで知られていなかった理論に結び付き得ることが理解される。そのような後に開発される理論は、本発明に与えられる保護の範囲を限定するものではない。
【0016】
本明細書に示されているシステム、設備、技術、方法、活動、および稼動の種々の実施形態は、本明細書に示されているものに加えて、種々の他の活動および他の分野で使用することができる。加えて、そうした実施形態は、例えば、将来において開発され得る他の設備または活動と共に、および本明細書の教示に基づいて部分的に変更され得る既存の設備または活動と共に、使用することができる。さらに、本明細書に示されている種々の実施形態および例は、全体的にまたは部分的に、および異なる種々の組み合わせで、互いと共に使用することができる。したがって、例えば、本明細書の種々の実施形態で提供される構成は、互いと共に使用することができ;本発明に与えられる保護の範囲は、特定の実施形態、例、または特定の図の実施形態に示されている特定の実施形態、構成、または配置に限定されるべきではない。
【0017】
本発明の実施形態は、長期および超長期低コストエネルギー貯蔵のための装置、システム、および方法を含む。本明細書では、「長期」および/または「超長期」は、8時間のエネルギー貯蔵期間、8時間~20時間の範囲のエネルギー貯蔵期間、20時間のエネルギー貯蔵期間、20時間~24時間の範囲のエネルギー貯蔵期間、24時間のエネルギー貯蔵期間、24時間~1週間の範囲のエネルギー貯蔵期間、1週間~1年の範囲のエネルギー貯蔵期間(例えば、数日から数週間、数か月まで)など、8時間以上のエネルギー貯蔵期間を指し得る。換言すれば、「長期」および/または「超長期」エネルギー貯蔵セルとは、数日、数週間、または数シーズンにわたってエネルギーを貯蔵するように構成し得る電気化学セルを指す。例えば、電気化学セルは、日光が豊富であり太陽光発電が電力網必要性を上回る夏季月間中に太陽電池で発電されるエネルギーを貯蔵し、日光が、電力網必要性を満たすのに不十分となり得る冬季月間中に、貯蔵されたエネルギーを放電するように構成されていてもよい。
【0018】
図1は、本開示の種々の実施形態による電池(またはセル)100の概略図である。
図1を参照すると、電池100は、正極(空気電極103など)、負極102、液体電解質104、および集電体106が配置されている容器101を含み得る。液体電解質104により、電極103と負極102とが隔てられていてもよい。具体例として、電池100、正極(例えば、空気電極103)、電解質104、負極102、および/または集電体106は、米国特許出願公開第2020/0036002号明細書、米国特許出願公開第2021/0028452号明細書、および/または米国特許出願公開第2021/0028457号明細書に記載されている任意の電池、正極(例えば、空気電極)、電解質、負極、および/または集電体であってもよく、これら3つの出願全ての全内容は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に援用される。1つまたは複数の電池100は、長期エネルギー貯蔵システム、超長期エネルギー貯蔵システムなどのエネルギー貯蔵システム内で互いに接続されていてもよい。
【0019】
種々の実施形態では、電解質104は、当該技術分野で公知の任意の電解質、例えば、鉄アルカリ電池に有用な任意の電解質であってもよい。集電体106は、負極102と電気的に接続されている導電性プレートの形態であってもよい。しかしながら、集電体106は、他の構成を有していてもよい。
【0020】
種々の実施形態では、負極102は、多孔性鉄などの多孔性金属から形成されてもよく、および/または多孔性金属を含んでもよい。種々の実施形態では、負極102は、アルカリ鉄電極などのアルカリ電極であってもよい。種々の実施形態では、負極102は、金属性ペレット105、例えば、鉄を含む金属性ペレット105を含んでいてもよい。したがって、ペレット105は、鉄含有ペレットと呼ばれる場合がある。ペレット105は、互いに電気的に接続されていてもよく、1つまたは複数の層に配置されて、負極102を形成してもよい。ペレット105は、
図1に示されているように球形であってもよい。本明細書で使用される場合、「球形」という用語は、そのすべての表面点がその中心から等距離にある三次元物体に似ているが、実際にはすべての表面点が中心から等距離になくともよい任意の丸みを帯びた形態を記述するために使用される。別の言い方をすると、「球形」は、完全な球体である形状、および完全な球体でなくともよい一般的な球体、例えばボールの外観を有してもよい形状を包含する。しかしながら、本開示は、いかなる特定のペレット105形状にも限定されない。例えば、ペレット105は、ブリケット形状であってもよい。加えて、ペレット105は、ペレット全体として例示されているが、破砕ペレットの断片であってもよい。種々の実施形態では、ペレット105は、タコナイトまたはマグネタイトまたはヘマタイトなどの鉄鉱石ペレットから生産してもよい。種々の実施形態では、ペレット105は、鉄鉱石ペレットを還元して、鉄金属(Fe
0)、ウスタイト(FeO)、またはこれらの組合せなどの、より金属性(より還元された、酸化度がより低い)材料を形成することにより生産することができる。種々の非限定的な実施形態では、ペレット105は、還元タコナイト、直接還元(「DR」)タコナイト、直接還元鉄(「DRI」)ペレット、またはこれらの任意の組合せであってもよい。種々の実施形態では、ペレット105を床に充填して負極102を形成することにより、個々のペレット105間にマクロ孔を作出することができる。加えて、種々の実施形態では、個々のペレット105は各々、多孔性の、例えばマイクロ多孔性の表面を有してもよい。ペレット105の表面のマイクロ孔は、ペレット105が滑らかな球体である場合よりも、各々個々のペレット105に対してより大きな表面積を提供することができる。ペレット105の孔サイズは様々であってもよい。
【0021】
鉄電極(例えば、負電極102)の反応性に関するあらゆる特定の理論やモデルに限定されることなく、アルカリ電解質中での鉄電極の酸化に関して考えられるスキームは以下の2つの反応ステップ(表1の反応1および反応2)に従って進行し得る。追加のまたは異なる反応生成物が生じ得るが(そのうちの1つは下記の表1の反応3に記載)、反応を経た電圧および体積変化の特徴は金属性鉄に関するあらゆる酸化生成物に共通している。すなわち、全ての酸化生成物は、標準水素電極(SHE)などの標準対照に対して測定したときに、金属鉄よりも低い電位を有し、同様に、酸化生成物は、ゼロ価の鉄よりも低いモル体積を有する。
【0022】
【0023】
表2Aおよび2Bは、電池及び金属空気電池などのアルカリ鉄系電気化学セルにおいて、負極活性物質102として使用され得る選択された鉄含有材料のいくつかの主要な物理的特性を示す。ピリング-ベドワース比とは、ある金属酸化物の基本セルの体積と、(酸化物が形成される)対応する金属の基本セルの体積との比であり、反応の1工程における正味の体積変化の尺度である。表2Aおよび2Bでは、鉄金属から特定の鉄含有相への変換について、ピリング-ベドワース比を計算している。特性は、表2Aおよび2Bの一番左の列に収載している。
【0024】
【0025】
【0026】
鉄系材料を負極(例えば、負極102)として用いた電気化学セル(例えば、電池100)は、充電状態、放電状態、又は充電中間状態のいずれかで組み立ててもよい。例えば、組み立て時のセル中で活性物質として金属性鉄を使用すると、充電状態で組み立てを開始することになる。対照的に、組み立て時のセル中でヘマタイト(Fe2O3)を使用して開始すると、放電状態で組み立てを開始することになる。組み立て時のセル中でFe(OH)2を使用して開始すると、充電中間状態での開始が構築される。
【0027】
種々の実施形態は、種々の鉄含有材料を使用するための材料、システム、および方法を含み、Fe-Ni電池、Fe-MnO2電池、またはFe-空気電池などのアルカリ電気化学セル(例えば、電池100)において放電状態または部分放電状態から開始する。本発明のある特定の実施形態では、鉄含有材料は鉄鉱石としても公知の特定の鉄含有鉱物を含む。特定の例では、Mnに富む鉱石は、「マンガン含有(manganiferous)鉱石」と称する。表3には、その鉱物名、一般的に対応する化学式、および鉄の典型的な重量パーセントに従って、鉄含有材料の様々な一般的鉱物形成物の非限定的例が記載されている。鉄鉱石は、1種以上のこのような鉄含有鉱物、並びに鉄を含む任意の他の天然鉱物形成物を含んでもよい。
【0028】
【0029】
鉄鉱石は、SiO2、Al2O3、TiO2、CaO、MgOなどの不純物相と共に、表3に記載の鉱物形成物など(但し、これらに限定されない)の鉄含有材料を含んでもよい。これらの不純物相を総称して、当技術分野では「脈石」相と呼ぶ。鉄鉱石を採掘し、必要に応じて精鉱または選鉱し、溶鉱炉による還元、直接還元プロセス(シャフト炉還元、回転炉床、線形炉床、回転窯、または流動床還元など)が挙げられるがこれらに限定されない後続の処理のための高Fe含有物(一般的に、60重量%Feより大)を生成する。還元前の加工または分類の主な段階は以下を含む:
1)鉱石の採掘。鉱石は一般に、鉄含有量に従って分類し、低等級、中等級、または高等級に分類することもある;
2)鉱石の直接出荷;
3)鉱石の選鉱(「精鉱」または「ペレット供給」);および
4)ペレット化(塊成化プロセス)。本明細書では、一般的な出力を、直接還元等級(DR等級)、および溶鉱炉等級(BR等級)と称する。
【0030】
本明細書では、用語「鉱石」は、採掘した材料を指すために使用される。用語「精鉱物」は、Fe重量分率を増加させるために脈石相を優先的に除去した加工済み鉱石を指す。これらの精鉱物は一般的に(常にではないが)粉末状またはスラリー状である。様々な鉄鉱石および精鉱物の典型的な組成を表4に示す。
【0031】
【0032】
鉱石源は、その組成に従って命名されることもあれば(例えば、「ヘマタイト」または「マグネタイト」)、他の場合には、特定の地質学的形成に従って命名されることもある。例えば、米国での一般的な鉄鉱石源の1つは「タコナイト」と呼ばれ、これは、鉱物形態のマグネタイト、ヘマタイト、チャート、シデライト、グリーナライト、ミネソタアイト、およびスチルプノメランを含む比較的等級の低い鉄鉱石である。タコナイトは一般的に、鉄分Feが20~35重量%で採掘される。鉄分が少ないため、タコナイトは通常、選鉱する(鉄分は脈石相の除去により増加する)。タコナイトの選鉱は、鉱石を破砕および粉砕して微粉末にした後、浮上選鉱や磁力選鉱で分離して、原料タコナイト鉱石より鉄分の重量パーセントが高い「精鉱物」を形成する。次いで、この粉末をベントナイト粘土などの結合剤と混合し、ペレット状に塊成化する。ペレットに含まれる残留脈石の含有量に応じて、ペレットを溶鉱炉等級(BF等級)または直接還元等級(DR等級)に分類してもよい。DR等級ペレットの典型的な組成を表5に示す。
【0033】
【0034】
BF等級ペレットの典型的な組成を表6に示す。
【0035】
【0036】
高品質の鉄鉱石は、採掘時にFe含有量が高く、選鉱を必要としない場合がある。これらは「直接出荷鉱石」と称される。
【0037】
本発明の一態様は、電池100などの電気化学セルにおける鉄鉱石材料の使用である。本発明の別の態様は、電池100などの電気化学セルにおける活性物質としての精鉱物の使用である。本発明の別の態様は、電池100などの電気化学セルにおける、ペレット105などのBF等級ペレットの使用である。本発明の別の態様は、電池100など電気化学セルにおける、ペレット105などのDR等級ペレットの使用である。本発明の別の態様は、電池100などの電気化学セルにおける、鉄鉱石、精鉱物、BF等級ペレット、及びDR等級ペレットの組合せ及びバリエーションの使用である。本発明の態様によれば、鉄鉱石は、一次(「使い捨て」ともいう)または二次(「充電式」ともいう)タイプの蓄電池を含む、電池100などの電気化学セルにおいて酸化還元活性電極として有益に使用される。
【0038】
本発明の別の態様では、鉄鉱石材料は、電池100のような電気化学デバイスにおける性能を最適化する鉄含有相の存在を優先的に促進するような方法で加工してもよい。このように改善し得る性能指標には、比容量(mAh/gで測定)、動力学的過電位、クーロン効率、サイクル寿命、カレンダー寿命が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一例として、上述した鉄鉱石ペレット105(BF等級とDR等級との両方)は、そのようなペレット105が主に製鋼に使用するために製造されるので、一般的にはヘマタイトの存在を促進する方法で加工する。鉄鉱石材料は上述したように選鉱し、マグネタイトとヘマタイトの両方を含む精鉱物を生成する。結合剤と混合し、塊成化してペレットを形成した後、これらのペレットを、以下を担う「硬結」(induration)と呼ばれる熱処理工程に供する: 1)ペレットを焼結して機械的強度を向上させること;及び 2)マグネタイトをヘマタイトに変換すること。製鋼中(例えば、溶鉱炉中、または直接還元プロセス中)にこれらのペレットを使用するために最適化したプロセスに従った相変換を促進するための時間、温度、および雰囲気を選択する。しかし、ヘマタイトはマグネタイトよりはるかに導電性が低く、ヘマタイトはマグネタイトより電気化学的に還元することが難しいと思われる。
【0039】
本発明の一実施形態では、熱処理工程などの、これらの熱加工工程を排除してもよく、これはマグネタイト分率の増加を可能にし;このような未硬結ペレットは、当技術分野では「グリーンペレット」又は「グリーン体」と呼ばれることもある。
【0040】
別の実施形態では、熱処理工程などの加工条件は、ペレットを焼結するために選択してもよいが、マグネタイトの相分率を最大にするような方法で選択してもよい。ある特定の実施形態では、硬結工程は、マグネタイトがヘマタイトへと酸化するように酸素への曝露を含む。酸化工程の分圧は、ヘマタイト領域に入ることなく、マグネタイト領域に留まるように制御してもよい。ある特定の実施形態では、時間および温度は、焼結を促進するが鉄鉱石粒の粗大化を最小限に抑え、一次粒子サイズが微細なままとなるように選択する。ある特定の実施形態では、マグネタイト粒の一次粒子サイズは500ミクロン(ミクロン=10-6m)未満、または100ミクロン未満、または50ミクロン未満である。
【0041】
ある特定の実施形態では、鉄鉱石はその後、熱化学的還元により、負極102、正極103などの電極へと加工される。一部の実施形態では、還元は、酸化鉄が金属性鉄へとほぼ完全に還元されるように進行してもよい。酸化鉄の金属性鉄へのほぼ完全な還元は、数多くの工業的熱化学的鉄還元プロセスの目標である。
【0042】
他の実施形態では、鉄鉱石は金属性鉄へと不完全に還元する。このような不完全に還元した生成物が鉄電池に特に有用である理由はいくつかある。第一に、鉄の還元中に作出される酸化物相のいくつかは半導性であり、したがって、鉄電極材料中の電子伝導体として有用な役目を果たすことができる。例えば、マグネタイトは、室温付近で相当程度に導電性である。ウスタイトはマグネタイトより導電性が低いものの、ほとんどの酸化物に比べて依然として導電性が高い。一部の実施形態では、ウスタイトおよびマグネタイトの半導性性質を活用して、金属性鉄との複合体であってもよい電池電極を形成することができる。また、部分的に還元された生成物は、より電気化学的に活性であり得る。本発明者らは、いくつかの状況で、ウスタイトが金属性鉄より電気化学的に活性であることを確認した。ウスタイトは、金属性鉄より酸化状態が高いため、熱化学的に還元するコストが低い可能性がある。従って、ウスタイトは電池電極(例えば、電極102、103など)の成分として金属性鉄より安価かつ高性能である可能性がある。
【0043】
一態様では、アルカリ鉄電池(例えば、100)の負極(例えば、102)は、従来、直接還元プロセス又は溶鉱炉プロセスに供されていたヘマタイトから成る硬結ペレットから生産されてもよい。ペレットは、炭化水素および鉄の直接還元の分野で公知である他の還元ガスの適切な混合物により、垂直シャフト炉で還元することができる。還元プロセスは、最大で95%の金属化が達成されたときに終了してもよい(金属化は、酸化状態において完全に金属性である鉄原子の割合を記述するために、鉄の直接還元の分野で使用される用語である)。一部の場合では、金属化が0%と低く、電池(例えば、100)の代替投入材料として大量のマグネタイトおよびウスタイトが産出される、より低い金属化が好ましい場合がある。電極102を形成するペレットの床105のように、得られた部分的に還元されたペレット、塊、破片、または他の粒子を、鉄電極材料としての役目を果たすように充填して粒子の床にすることができる。電極材料は、全部が酸化鉄からなっていてもよく、マグネタイトおよびウスタイトの混合物を主に含んでいてもよい。
【0044】
本発明の電極、デバイス、およびシステムを構成する鉄鉱石材料は広範囲の純度を有してもよく、実際に、精製した鉄源から合成した鉄含有材料と比較して、比較的高い不純物濃度を有してもよい。表7は、鉄鉱石中の、比較的一般的に見られる不純物のいくつか、および不純物の重量パーセントでの典型的な濃度範囲を収載している。本発明のいくつかの態様では、上記鉄鉱石材料は、そのような天然の不純物を単独で、または組み合わせて、少なくとも最小量有してもよい。
【0045】
【0046】
そのような用途に鉄鉱石を使用することの非限定的な利点は、低コスト、および鉱石の広範な利用可能性である。そのような鉱石の使用は、特定の物理的および化学的特性のために鉱石を選択することを排除するものではなく、鉱石の更なる処理(精鉱物、BF等級ペレット、およびDR等級ペレットの例のように)を排除するものでもない。
【0047】
ある特定の実施形態では、アルカリ性電解質を用いた電気化学セルにおいて、更なる性能上の利点を得るために、特定の不純物相の存在を優先的に増加させる。例えば、アルカリ性電解質は、二酸化炭素(CO2)と反応して炭酸アニオン(CO3
2-)を形成するが、これは当技術分野では、そのような電解質の劣化機序として周知である。CaOは水と接触すると反応し、CaO+H2O→Ca(OH)2に従って、Ca(OH)2を形成する。Ca(OH)2は、CO3
2-と反応し、炭酸塩をCaCO3として捕捉し、水酸化物イオンOH-を放出することが知られている。このように、鉄材料にCaOが存在することで、炭酸塩の溝ができ、アルカリ性電解質から炭酸塩を掻き出す。類似の反応は、MgOおよびBaOも使用できる。ある特定の実施形態では、CaOの質量分率は、最大の炭酸塩補足能力が得られるように可能な限り高くなるように選択する。
【0048】
種々の実施形態では、本発明の電極(例えば、102、103など)およびデバイスは、鉄鉱石に加えて、他の材料を含んでもよい。本発明の電極(例えば、102、103など)は、上記鉄鉱石、またはDRIペレットおよび/もしくは金属微粉もしくは削りくずなどのより小さい金属粒子と混合した鉱石を含み得る複合体から構成してもよい。例えば、
図2に示すように、負極102は、タコナイトから成る球状ペレット105、および導電材料から成るより小さい金属粒子組成物202を含んでもよい。
図2は、本開示の種々の実施形態による電池200の概略図である。電池200は、電池100に類似しているため、電池100と電池200との間の相違のみを詳細に説明するものとする。ペレット105のバルク鉄供給原料として使用される低コストタコナイトペレットと導電性添加剤202とを組み合わせることにより、電池200の組み立て時の導電性電極を形成するコストが削減され得る。他の例として、複合金属電極アーキテクチャは、より大きな鉄鉱石ペレット(例えば、タコナイト、DRI、海綿鉄、アトマイズ鉄など)および金属微粉または削りくず(例えば、DRI、タコナイト、海綿鉄、アトマイズ鉄などの微粉または削りくず)などのより小さな金属粒子組成物などの、異なるサイズの鉄鉱石粒子の混合物を含んでもよい。
【0049】
本明細書の目的で使用する鉄鉱石は、特定の物理的特徴を改善するために選択するか、または更に加工もしくは処理してもよい。これらの特徴には、導電性の向上、表面または界面の反応速度の向上、ならびに表2Aおよび2Bに示すピリング-ベドワース比によって少なくとも部分的に特徴付けられるサイクル中の電気化学的変換により誘発される体積変化の調節が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
一部の実施形態では、導電性材料が個々のペレット間に分散されるように、導電性繊維、ワイヤ、メッシュ、またはシートをペレットに追加することにより、金属電極の電気伝導率を増加させる。例えば、導電性繊維、ワイヤ、メッシュ、またはシートを、導電性添加剤202の一部として追加してもよい。一実施形態では、導電性繊維は銅または鉄を含む。別の実施形態では、繊維はチョップドファイバーである。別の実施形態では、繊維は鉄であり、その直径は、電池の放電および充電に伴って可逆的に酸化および還元される鉄の厚さよりも大きくなるように選択する。従って、繊維の内部は、電極(例えば、102)として金属性鉄のままであり、上記繊維はセル(例えば、200)の電気化学反応に関与し、電極内の金属導電路を維持する。別の実施形態では、電極(例えば、200)を製造する際、上記繊維を鉄鉱石に焼結する。
【0051】
他の実施形態では、導電性添加剤(例えば、202)を、鉄を含む鉱物形成物に添加する。特定の科学的解釈に囚われることなく、酸化還元活性のある鉄部位との間で電子を運搬するための電子導伝性経路を提供することにより、上記導電性添加剤は鉄の電気化学反応を促進してもよい。上記導電性添加剤は、金属、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、およびカーボンブラック、高構造のカーボンブラック、グラファイトカーボン、カーボンファイバー、カーボンマイクロファイバー、気相成長カーボンファイバー(VGCF)などの炭素の同素体、「バッキーボール」などのフラーレンカーボン、カーボンナノチューブ(CNT)、マルチウォールカーボンナノチューブ(MWNT)、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)、グラフェンシートまたはグラフェンシートの集合体、およびフラーレン断片を含む材料などの、ほぼ全ての電子導伝性材料であってもよいが、これらに限定されるものではない。電子伝導性ポリマーは、ポリアニリンまたはポリアセチレン系の導電性ポリマーまたはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(p-フェニレン)、ポリ(トリフェニレン)、ポリアズレン、ポリフルオレン、ポリナフタレン、ポリアントラセン、ポリフラン、ポリカルバゾール、テトラチアフルバレン置換ポリスチレン、フェロセン置換ポリエチレン、カルバゾール置換ポリエチレン、ポリオキシフェナジン、ポリアセン、またはポリ(ヘテロアセン)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
一部の実施形態では、導電性添加剤(例えば、202)は、鉱石または金属塩を含む。一部の実施形態では、上記鉱石または金属塩は、熱化学的または電気化学的に還元して、より高い電子伝導性形態となる。一部の実施形態では、上記より高い電子伝導性形態は、金属酸化物などの金属塩、または金属を含む。一部の実施形態では、導電性添加剤をもたらす鉱石または金属塩は、電極を構成する鉄鉱石または鉱物または塩より形成物の負極自由エネルギーが小さい(即ち、より不活性(noble)である)ように選択し、鉄鉱石または鉱物または塩より優先的に還元してもよい。非限定的な例として、導電性添加剤を構成する金属は、金属形態への熱化学的還元により、金属の出発鉱石または鉱物形態から形成してもよい。一部の実施形態では、導電性添加剤は、Ni、Co、Cu、Zn、Sn、真鍮、青銅、またはAgを含む。
【0053】
ある特定の実施形態では、導電性添加剤(例えば、202)は銅を含み、鉄鉱石に銅鉱石を添加し、その後、混合物を、ある温度および還元ガス環境で加熱し、それにより銅鉱石を金属性銅へと還元することによって製造される。任意で、還元環境は水素ガスを含んでもよい。一部の実施形態では、銅は鉄鉱石の表面を濡らし、鉄鉱石に浸透するか、または部分的に浸透する。任意で、電極(例えば、102)は、固体の銅がその後に鉄鉱石をディウェッティングできるように、銅の融点未満に熱処理してもよい。
【0054】
別のそのような実施形態では、金属銅および鉄鉱石、または銅鉱石および鉄鉱石を熱処理して共焼結し、金属銅成分により提供される高電子伝導性を有する複合電極(例えば、102)を製造する。
【0055】
一部の実施形態では、導電性添加剤および鉄鉱石材料は、物理的に近接させて配列し、寸法調整し、電極(例えば、102)の酸化還元活性微小領域への電子およびイオンの輸送を改善する。一部の実施形態では、導電性添加剤は、電極(例えば、102)を介して連続的な浸透ネットワークを形成してもよい。他の実施形態では、鉄鉱石は粒子の形態であり、導電性添加剤は粒子の表面をほぼ被覆している。一部の実施形態では、導電性添加剤では、鉄鉱石と導電性添加剤を合わせた体積が、20体積%未満、好ましくは10体積%未満、更に好ましくは5体積%未満であることが好ましい。
【0056】
導電性添加剤(例えば、202)の添加により電子伝導性が改善されたとしても、鉄鉱石の粒子径などの他の要素が電気化学反応の速度に影響を与え、それに対応して電極(例えば、102)の充放電速度や効率にも影響を与える可能性がある。微粒子は電気化学反応のための表面積が大きく、電子またはイオン輸送のための断面積寸法が小さく、それにより電気化学反応の速度が向上する可能性があるが、微粒子は運転中に形成される可能性のある不動態化(即ち、電気絶縁)表面層の影響を受けやすく、採掘した材料から形成するには、よりコストがかかる可能性がある。本論の目的では、一次粒子サイズは、一般に内部空隙のない中実粒子のサイズと考え、二次粒子サイズは、結合した一次粒子の集合体のサイズと考える。従って、先に言及した鉄鉱石材料のペレットは二次粒子を構成する。一部の実施形態では、本発明の電極、デバイス、およびシステムを構成する鉄鉱石一次粒子または鉄鉱石二次粒子の平均粒子サイズは、約325メッシュサイズ(約44マイクロメートル未満)に相当する。他の実施形態では、鉄鉱石粒子の平均一次粒子サイズは約10マイクロメートル未満である。一部の実施形態では、鉄鉱石粒子の一次粒子サイズは約10マイクロメートル超、好ましくは約15マイクロメートル超、更に好ましくは約20マイクロメートル超である。
【0057】
一般に、鉄鉱石のペレット化形態を含む本発明の鉄鉱石電極(例えば、102)を構成する二次粒子は、少なくとも2つの理由から、相当な多孔度を有するべきである。第1に、多孔度は、電気化学セルの電解質による電極二次粒子またはペレットの浸透を可能にする。第2に、放電状態(酸化状態)と充電状態(還元状態)の間でサイクルするため、この多孔度は鉄鉱石材料の体積変化にも適応している。表2Aおよび2Bに示すように、鉄含有鉱物のピリング-ベドワース比は2~5倍である。従って、導電性添加剤および鉄鉱石材料を含む電極(例えば、102)の、その後の電池(例えば、100、200)の電気化学的動作による体積変化を含まない多孔度は、体積比で、好ましくは10%~80%、より好ましくは20%~70%、更に好ましくは30%~50%である。一部の実施形態では、上記多孔度の少なくとも70%、好ましくは80%超、更に好ましくは90%超が液体電解質(例えば、104)で満たされる。
【0058】
一部の実施形態では、導電性添加剤は、鉄鉱石の粒子が存在する空洞を有する多孔性構造を形成し、それにより鉄鉱石粒子を囲む自由体積が膨張および収縮することが可能になり、その一方で、鉄鉱石粒子は導電性添加剤(例えば、202)の連続構造に電気的に接続したままである。いくつかのそのような構造では、多孔質導電性構造の空洞は等軸である。他の実施形態では、空洞は非等軸であり、1次元的に管形状に伸長しているか、または2次元的に様々なアスペクト比のプレート状の空洞を形成するように伸長していてもよい。
【0059】
一部の実施形態では、本発明の電極(例えば、102)は、鉄鉱石と、電極(例えば、102)に弾性コンプライアンスを提供する添加材料とを含む複合体であり、それにより、放電および充電中に酸化還元活性物質の膨張および収縮を繰り返すことが可能になる。一部の実施形態では、添加材料は、ポリマーまたはポリマー結合剤である。いくつかの例では、導電性添加剤(例えば、202)は上記コンプライアンス材料でもある。種々の実施形態における使用に好適なポリマー結合剤の例としては:カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na-CMC)、カルボキシメチルセルロースリチウム(Li-CMC)、カルボキシメチルセルロースカリウム(K-CMC)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)が挙げられる。一部の実施形態では、ポリマー結合剤は電子伝導性でもあり、そのようなポリマーの例には、トランス-ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリ(p-フェニレン)、ポリアニリン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)が挙げられる。
【0060】
直接還元鉄(DRI)の、電気化学システム(例えば、電池(またはセル)など)における材料としての使用、電気化学システム(例えば、電池(またはセル)など)の成分としての使用、およびこれらの組合せおよび変形に関して種々の実施形態を考察する。種々の実施形態では、DRIは、天然のまたは加工された鉄鉱石の還元から得られる材料から生産されていてもよく、またはそのような材料であってもよく、そのような還元は、鉄の溶融温度に到達することなく実施される。種々の実施形態では、鉄鉱石は、タコナイトまたはマグネタイトまたはヘマタイトまたは針鉄鉱などであってもよい。種々の実施形態では、DRIは、球形または実質的に球形であってもよいペレットの形態であってもよい。種々の実施形態では、DRIは、多孔性であってもよく、開口および/または閉鎖内孔を含有してもよい。種々の実施形態では、DRIは、熱間または冷間ブリケッティングによって更に加工された材料を含んでいてもよい。種々の実施形態では、DRIは、鉄鉱石ペレットを還元して、鉄金属(Fe0)、ウスタイト(FeO)、または鉄金属および残留酸化相を含む複合ペレットなどの、より金属性(より還元された、酸化度がより低い)材料を形成することにより生産することができる。種々の非限定的な実施形態では、DRIは、還元鉄鉱石タコナイト、直接還元(「DR」)タコナイト、還元「溶鉱炉(BF)等級」ペレット、還元「電気アーク炉(EAF)等級」ペレット、「冷間直接還元鉄(CDRI)」ペレット、直接還元鉄(「DRI」)ペレット、ホットブリケット鉄(HBI)、またはこれらの任意の組合せであってもよい。製鉄製鋼業界では、DRIは「海綿鉄」と呼ばれることもあり、その使用は、特にインドで一般的である。電極材料として使用することを含む、本明細書に記載の種々の実施形態で使用するためのDRI材料の例示的な実施形態を含む、鉄材料の実施形態は、以下の表8に記載のような材料特性の1つ、2つ以上、またはすべてを有してもよい。表8を含む本明細書で使用される場合、以下の用語は、別様の明示的な記載がない限り、以下の意味を有する:「比表面積」は、単位質量当たりの材料の総表面積を意味し、多孔性構造の孔の表面積を含む;「炭素含有量」または「炭素(重量%)」は、DRIの総質量のパーセントとしての総炭素の質量を意味する;「セメンタイト含有量」または「セメンタイト(重量%)」は、DRIの総質量のパーセントとしてのFe3Cの質量を意味する;「総Fe(重量%)」は、DRIの総質量のパーセントとしての鉄すべての質量を意味する;「金属Fe(重量%)」は、DRIの総質量のパーセントとしての、Fe0状態の鉄の質量を意味する;「金属化」は、鉄すべての質量のパーセントとして、Fe0状態の鉄の質量を意味する。本明細書で使用される場合、重量パーセンテージおよび容積パーセンテージならびに見掛け密度は、別様の記載がない限り、孔に浸潤している電解質または孔内の一過性の添加物を一切除外すると理解される。
【0061】
【0062】
*比表面積は、好ましくは、ブルナウアー・エメット・テラー吸着法(「BET」)により決定され、より好ましくは、BETは、ISO9277に示されている通りである(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。メチレンブルー(MB)染色、エチレングリコールモノエチルエーテル(EGME)吸着、錯イオン吸着の動電学的分析、およびタンパク質保持(PR)法などの他の試験を使用して、BET結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0063】
**実際の密度は、好ましくは、ヘリウム(He)比重瓶法により決定され、より好ましくはISO12154に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。実際の密度は、当技術分野では「真密度」または「骨格密度」とも呼ばれる場合がある。
【0064】
***見掛け密度は、好ましくは、水に浸漬することにより決定され、より好ましくはISO15968に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。多孔度は、見掛け密度の実際の密度に対する比として規定することができる。
【0065】
【0066】
****d孔、90%容積は、好ましくは水銀(Hg)圧入ポロシメトリーにより決定され、より好ましくはISO15901-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ガス吸着などの他の試験を使用して、Hg圧入結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。d孔、90%容積は、それよりも大きな孔直径に総孔容積の90%が存在する孔直径である。
【0067】
*****d孔、50%表面積は、好ましくは水銀(Hg)圧入ポロシメトリーにより決定され、より好ましくはISO15901-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ガス吸着などの他の試験を使用して、Hg圧入結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。d孔、50%表面積は、それよりも大きな孔直径に自由表面積の50%が存在する孔直径である。
【0068】
#総Fe(重量%)は、好ましくは二クロム酸塩滴定法により決定され、より好ましくは、ASTM E246-10に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。塩化スズ(II)還元後の滴定法、塩化チタン(III)還元後の滴定法、誘導結合プラズマ(ICP)分光分析法などの他の試験を使用して、二クロム酸塩滴定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0069】
##金属Fe(重量%)は、好ましくは塩化鉄(III)滴定法により決定され、より好ましくは、ISO16878に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。臭素-メタノール滴定法などの他の試験を使用して、塩化鉄(III)滴定法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。
【0070】
###金属化(%)は、好ましくは、金属Feの総Feに対する比により決定され、各々は、好ましくは、前述の方法により決定される。
【0071】
####炭素(重量%)は、好ましくは、誘導炉で燃焼させた後の赤外線吸収により決定され、より好ましくは、ISO9556に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ASTM E1019-18に示されているものなどの種々の燃焼および不活性ガス溶融技法などの他の試験を使用して、誘導炉で燃焼させた後の赤外線吸収と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0072】
#####Fe2+(重量%)は、好ましくは滴定法により決定され、より好ましくは、ASTM D3872-05に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。メスバウアー分光法、X線吸収分光法などの他の試験を使用して、滴定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0073】
$Fe3+(重量%)は、好ましくは、総Fe(重量%)、金属Fe(重量%)、Fe2+(重量%)、およびFe3+(重量%)間またはこれら内の物質収支関係性により決定される。具体的には、総Fe(重量%)=金属Fe(重量%)+Fe2+(重量%)+Fe3+(重量%)という等式は、質量保存の法則により真でなければならならず、したがって、Fe3+(重量%)は、Fe3+(重量%)=総Fe(重量%)-金属Fe(重量%)-Fe2+(重量%)として計算することができる。
【0074】
$$SiO2(重量%)は、好ましくは、重量測定法により決定され、より好ましくは、ISO2598-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。還元モリブドケイ酸塩分光光度法、X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、重量測定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。ある特定方法では、SiO2重量%は、直接的には決定されず、むしろSi濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、SiO2の化学量論を前提としてSiO2重量%が計算される。つまり、Si:Oのモル比は1:2であることが前提とされる。
【0075】
$$$フェライト(重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0076】
$$$$ウスタイト(FeO、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0077】
$$$$$針鉄鉱(FeOOH、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0078】
+セメンタイト(Fe3C、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0079】
加えて、電極材料として使用することを含む、本明細書に記載の種々の実施形態で使用するための、鉄材料の実施形態(例えば、DRI材料の実施形態を含む)は、表8Aに示されているような、以下の特性、特徴、または特色の1つまたは複数を有してもよい(1つの行または1つの列の値は、異なる行または列の値と共に存在してもよいことに留意されたい)。
【0080】
【0081】
!総Fe(重量%)は、好ましくは二クロム酸塩滴定法により決定され、より好ましくは、ASTM E246-10に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。塩化スズ(II)還元後の滴定法、塩化チタン(III)還元後の滴定法、誘導結合プラズマ(ICP)分光分析法などの他の試験を使用して、二クロム酸塩滴定法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。
【0082】
!!SiO2(重量%)は、好ましくは、重量測定法により決定され、より好ましくは、ISO2598-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。還元モリブドケイ酸塩分光光度法、X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、重量測定法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。ある特定方法では、SiO2重量%は、直接的には決定されず、むしろSi濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、SiO2の化学量論を前提としてSiO2重量%が計算される。つまり、Si:Oのモル比は1:2であることが前提とされる。
【0083】
!!!Al2O3(重量%)は、好ましくは、フレーム原子吸光分析法により決定され、より好ましくはISO4688-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、フレーム原子吸光分析法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。ある特定の方法では、Al2O3重量%は、直接的には決定されず、むしろAl濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、Al2O3の化学量論を前提としてAl2O3重量%が計算される。つまり、Al:Oのモル比は2:3であることが前提とされる。
【0084】
!!!!MgO(重量%)は、好ましくは、フレーム原子吸光分析法により決定され、より好ましくはISO10204に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、フレーム原子吸光分析法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。ある特定の方法では、MgO重量%は、直接的には決定されず、むしろMg濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、MgOの化学量論を前提としてMgO重量%が計算される。つまり、Mg:Oのモル比は1:1であることが前提とされる。
【0085】
!!!!!CaO(重量%)は、好ましくは、フレーム原子吸光分析法により決定され、より好ましくはISO10203に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、フレーム原子吸光分析法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。ある特定の方法では、CaO重量%は、直接的には決定されず、むしろCa濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、CaOの化学量論を前提としてCaO重量%が計算される。つまり、Ca:Oのモル比は1:1であることが前提とされる。
【0086】
&TiO2(重量%)は、好ましくは、ジアンチピリルメタン分光光度法により決定され、より好ましくは、ISO4691に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、ジアンチピリルメタン分光光度法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。ある特定の方法では、TiO2重量%は、直接的には決定されず、むしろTi濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、TiO2の化学量論を前提としてTiO2重量%が計算される。つまり、Ti:Oのモル比は1:2であることが前提とされる。
【0087】
&&実際の密度は、好ましくは、ヘリウム(He)比重瓶法により決定され、より好ましくはISO12154に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。実際の密度は、当技術分野では「真密度」または「骨格密度」とも呼ばれる場合がある。
【0088】
&&&見掛け密度は、好ましくは、水に浸漬することにより決定され、より好ましくはISO15968に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0089】
&&&&かさ密度(kg/m3)は、好ましくは、その表面がすり切り一杯になるまで既知容積の入れ物に導入された試験部分の質量を測定することにより決定され、より好ましくはISO3852の方法2に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、質量測定法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0090】
&&&&&多孔度は、好ましくは、見掛け密度の実際の密度に対する比により決定される。
【0091】
【0092】
また、表8Aに示される特性は、表8の特性と共に、それに加えて、またはその代わりに、実施形態に存在してよい。また、こうした特性のより大きな値およびより小さな値が、種々の実施形態に存在してよい。
【0093】
実施形態では、ペレットの比表面積は、約0.05m2/g~約35m2/g、約0.1m2/g~約5m2/g、約0.5m2/g~約10m2/g、約0.2m2/g~約5m2/g、約1m2/g~約5m2/g、約1m2/g~約20m2/gであってもよく、約1m2/gよりも大きくともよく、約2m2/gよりも大きくともよく、約5m2/g未満であってもよく、約15m2/g未満であってもよく、約20m2/g未満であってもよく、ならびにこれらの組合せおよびバリエーションであってもよく、ならびにより大きな値、およびより小さな値であってもよい。
【0094】
一般に、鉄鉱石ペレットは、鉄鉱石を破砕するか、粉砕するか、または製粉して、微細な粉末状の形態にすることにより生産され、次いで、粉砕操作により遊離する不純物相(いわゆる「脈石」)を除去することにより精鉱される。一般に、鉱石をより微細な(より小さな)粒子サイズに粉砕すると、得られる精鉱物の純度が増加する。次いで、精鉱物は、ペレット化またはボール化プロセスにより(例えば、ドラム式または円板式ペレタイザーを使用して)ペレットへと成形される。一般に、より高純度の鉱石ペレットを生産するには、より多くのエネルギー入力が必要である。鉄鉱石ペレットは、一般的に、溶鉱炉(BF)等級ペレットおよび直接還元(DR等級)(電気アーク炉(EAF)等級とも呼ばれることがある)の2つの主要な範疇で市販または販売されており、主な違いはSiO2の含有量であり、他の不純物相は、DR等級ペレットと比べてBF等級ペレットの方がより多い。DR等級ペレットまたは供給原料の典型的で重要な仕様は、質量パーセントによる総Fe含有量が67重量%など63~69重量%の範囲であること、および質量パーセントによるSiO2含有量が1重量%など3重量%未満であることである。BF等級ペレットまたは供給原料の典型的で重要な仕様は、質量パーセントによる総Fe含有量が63重量%など60~67重量%の範囲であること、および質量パーセントによるSiO2含有量が4重量%など2~8重量%の範囲であることである。
【0095】
ある特定の実施形態では、DRIは、「溶鉱炉」ペレットの還元により生産することができ、その場合、得られるDRIは、下記の表9に記載のような材料特性を有してもよい。ペレットの生産に必要な入力エネルギーがより少なく、これは完成品のコストがより低いことであると言い換えられるため、還元BF等級DRIの使用が有利であり得る。
【0096】
【0097】
*比表面積は、好ましくは、ブルナウアー・エメット・テラー吸着法(「BET」)により決定され、より好ましくは、BETは、ISO9277に示されている通りである(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。メチレンブルー(MB)染色、エチレングリコールモノエチルエーテル(EGME)吸着、錯イオン吸着の動電学的分析、およびタンパク質保持(PR)法などの他の試験を使用して、BET結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0098】
**実際の密度は、好ましくは、ヘリウム(He)比重瓶法により決定され、より好ましくはISO12154に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。実際の密度は、当技術分野では「真密度」または「骨格密度」とも呼ばれる場合がある。
【0099】
***見掛け密度は、好ましくは、水に浸漬することにより決定され、より好ましくはISO15968に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。多孔度は、見掛け密度の実際の密度に対する比として規定することができる。
【0100】
【0101】
****d孔、90%容積は、好ましくは水銀(Hg)圧入ポロシメトリーにより決定され、より好ましくはISO15901-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ガス吸着などの他の試験を使用して、Hg圧入結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。d孔、90%容積は、それよりも大きな孔直径に総孔容積の90%が存在する孔直径である。
【0102】
*****d孔、50%表面積は、好ましくは水銀(Hg)圧入ポロシメトリーにより決定され、より好ましくはISO15901-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ガス吸着などの他の試験を使用して、Hg圧入結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。d孔、50%表面積は、それよりも大きな孔直径に自由表面積の50%が存在する孔直径である。
【0103】
#総Fe(重量%)は、好ましくは二クロム酸塩滴定法により決定され、より好ましくは、ASTM E246-10に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。塩化スズ(II)還元後の滴定法、塩化チタン(III)還元後の滴定法、誘導結合プラズマ(ICP)分光分析法などの他の試験を使用して、二クロム酸塩滴定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0104】
##金属Fe(重量%)は、好ましくは塩化鉄(III)滴定法により決定され、より好ましくは、ISO16878に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。臭素-メタノール滴定法などの他の試験を使用して、塩化鉄(III)滴定法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。
【0105】
###金属化(%)は、好ましくは、金属Feの総Feに対する比により決定され、各々は、好ましくは、前述の方法により決定される。
【0106】
####炭素(重量%)は、好ましくは、誘導炉で燃焼させた後の赤外線吸収により決定され、より好ましくは、ISO9556に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ASTM E1019-18に示されているものなどの種々の燃焼および不活性ガス溶融技法などの他の試験を使用して、誘導炉で燃焼させた後の赤外線吸収と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0107】
#####Fe2+(重量%)は、好ましくは滴定法により決定され、より好ましくは、ASTM D3872-05に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。メスバウアー分光法、X線吸収分光法などの他の試験を使用して、滴定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0108】
$Fe3+(重量%)は、好ましくは、総Fe(重量%)、金属Fe(重量%)、Fe2+(重量%)、およびFe3+(重量%)間またはこれら内の物質収支関係性により決定される。具体的には、総Fe(重量%)=金属Fe(重量%)+Fe2+(重量%)+Fe3+(重量%)という等式は、質量保存の法則により真でなければならならず、したがって、Fe3+(重量%)は、Fe3+(重量%)=総Fe(重量%)-金属Fe(重量%)-Fe2+(重量%)として計算することができる。
【0109】
$$SiO2(重量%)は、好ましくは、重量測定法により決定され、より好ましくは、ISO2598-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。還元モリブドケイ酸塩分光光度法、X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、重量測定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。ある特定方法では、SiO2重量%は、直接的には決定されず、むしろSi濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、SiO2の化学量論を前提としてSiO2重量%が計算される。つまり、Si:Oのモル比は1:2であることが前提とされる。
【0110】
$$$フェライト(重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0111】
$$$$ウスタイト(FeO、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0112】
$$$$$針鉄鉱(FeOOH、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0113】
+セメンタイト(Fe3C、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0114】
また、表9に示されている特性は、表8および/または表8Aの特性と共に、それに加えて、またはその代わりに、実施形態に存在してもよい。また、こうした特性のより大きな値およびより小さな値が、種々の実施形態に存在してよい。
【0115】
ある特定の実施形態では、DRIは、DR等級ペレットの還元により生産することができ、その場合、得られるDRIは、下記の表10に記載のような材料特性を有してもよい。ペレット中のFe含有量がより高く、それにより電池のエネルギー密度が増加するため、還元DR等級DRIの使用が有利であり得る。
【0116】
【0117】
*比表面積は、好ましくは、ブルナウアー・エメット・テラー吸着法(「BET」)により決定され、より好ましくは、BETは、ISO9277に示されている通りである(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。メチレンブルー(MB)染色、エチレングリコールモノエチルエーテル(EGME)吸着、錯イオン吸着の動電学的分析、およびタンパク質保持(PR)法などの他の試験を使用して、BET結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0118】
**実際の密度は、好ましくは、ヘリウム(He)比重瓶法により決定され、より好ましくはISO12154に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。実際の密度は、当技術分野では「真密度」または「骨格密度」とも呼ばれる場合がある。
【0119】
***見掛け密度は、好ましくは、水に浸漬することにより決定され、より好ましくはISO15968に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。他の試験を使用して、He比重瓶法の結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。多孔度は、見掛け密度の実際の密度に対する比として規定することができる。
【0120】
【0121】
****d孔、90%容積は、好ましくは水銀(Hg)圧入ポロシメトリーにより決定され、より好ましくはISO15901-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ガス吸着などの他の試験を使用して、Hg圧入結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。d孔、90%容積は、それよりも大きな孔直径に総孔容積の90%が存在する孔直径である。
【0122】
*****d孔、50%表面積は、好ましくは水銀(Hg)圧入ポロシメトリーにより決定され、より好ましくはISO15901-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ガス吸着などの他の試験を使用して、Hg圧入結果と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。d孔、50%表面積は、それよりも大きな孔直径に自由表面積の50%が存在する孔直径である。
【0123】
#総Fe(重量%)は、好ましくは二クロム酸塩滴定法により決定され、より好ましくは、ASTM E246-10に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。塩化スズ(II)還元後の滴定法、塩化チタン(III)還元後の滴定法、誘導結合プラズマ(ICP)分光分析法などの他の試験を使用して、二クロム酸塩滴定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0124】
##金属Fe(重量%)は、好ましくは塩化鉄(III)滴定法により決定され、より好ましくは、ISO16878に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。臭素-メタノール滴定法などの他の試験を使用して、塩化鉄(III)滴定法と相関させることができる結果を提供できることが認識されている。
【0125】
###金属化(%)は、好ましくは、金属Feの総Feに対する比により決定され、各々は、好ましくは、前述の方法により決定される。
【0126】
####炭素(重量%)は、好ましくは、誘導炉で燃焼させた後の赤外線吸収により決定され、より好ましくは、ISO9556に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ASTM E1019-18に示されているものなどの種々の燃焼および不活性ガス溶融技法などの他の試験を使用して、誘導炉で燃焼させた後の赤外線吸収と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0127】
#####Fe2+(重量%)は、好ましくは滴定法により決定され、より好ましくは、ASTM D3872-05に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。メスバウアー分光法、X線吸収分光法などの他の試験を使用して、滴定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。
【0128】
$Fe3+(重量%)は、好ましくは、総Fe(重量%)、金属Fe(重量%)、Fe2+(重量%)、およびFe3+(重量%)間またはこれら内の物質収支関係性により決定される。具体的には、総Fe(重量%)=金属Fe(重量%)+Fe2+(重量%)+Fe3+(重量%)という等式は、質量保存の法則により真でなければならならず、したがって、Fe3+(重量%)は、Fe3+(重量%)=総Fe(重量%)-金属Fe(重量%)-Fe2+(重量%)として計算することができる。
【0129】
$$SiO2(重量%)は、好ましくは、重量測定法により決定され、より好ましくは、ISO2598-1に示されているように決定される(この文献の開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる)。還元モリブドケイ酸塩分光光度法、X線回折(XRD)などの他の試験を使用して、重量測定法と相関させることができる結果を提供することができることが認識されている。ある特定方法では、SiO2重量%は、直接的には決定されず、むしろSi濃度(中性種およびイオン種を含む)が測定され、SiO2の化学量論を前提としてSiO2重量%が計算される。つまり、Si:Oのモル比は1:2であることが前提とされる。
【0130】
$$$フェライト(重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0131】
$$$$ウスタイト(FeO、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0132】
$$$$$針鉄鉱(FeOOH、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0133】
+セメンタイト(Fe3C、重量%、XRD)は、好ましくは、X線回折(XRD)により決定される。
【0134】
また、表10に示される特性は、表8、表8A、および/または表9の特性と共に、それに加えて、またはその代わりに、実施形態に存在してもよい。また、こうした特性のより大きな値およびより小さな値が、種々の実施形態に存在してよい。
【0135】
種々の実施形態は、長期エネルギー貯蔵(LODES)システム、短期エネルギー貯蔵(SDES)システムなどの、バルクエネルギー貯蔵システムで使用するためのデバイスおよび/または方法を提供することができる。一例として、種々の実施形態は、LODESシステム用の電池などの、バルクエネルギー貯蔵システム用の電池を提供することができる。再生可能なエネルギー源は、益々普及しつつあり、費用効果が高くなりつつある。 しかしながら、多数の再生可能なエネルギー源は、再生可能なエネルギー源の採用を妨げる断続性問題に直面する。 再生可能なエネルギー源には断続的傾向があることの影響は、再生可能なエネルギー源を、LODESシステム、SDESシステムなどのバルクエネルギー貯蔵システムと対にすることにより軽減することができる。 複合型発電、送電、貯蔵システム(例えば、バルクエネルギー貯蔵システムと対になっている再生可能発電源、ならびに発電プラントおよび/またはバルクエネルギー貯蔵システムのいずれかにおける送電設備を有する発電プラント)の採用を支援するため、本明細書に記載されている種々の実施形態デバイスおよび方法など、そのような複合型発電、送電、および貯蔵システムの設計および稼動を支援するためのデバイスおよび方法が必要とされる。
【0136】
複合型発電、送電、および貯蔵システムは、1つまたは複数の発電源(例えば、1つまたは複数の再生可能発電源、1つまたは複数の非再生可能発電源、再生可能発電源および非再生可能発電源の組合せなど)、1つまたは複数の送電設備、および1つまたは複数のバルクエネルギー貯蔵システムを含む発電プラントであってもよい。発電プラントおよび/またはバルクエネルギー貯蔵システムのいずれかにおける送電設備は、発電および貯蔵システムと共に同時最適化される場合もあり、または発電および貯蔵システムの設計および稼動に制約を課す場合もある。複合型発電、送電、および貯蔵システムは、種々の設計および稼動上の制約下で、種々の出力目標を満たすように構成することができる。
【0137】
図3~11は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様を、LODESシステム、SDESシステムなどのバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用できる種々の例示的なシステムを示す。例えば
図1~2を参照して本明細書に記載されている種々の実施形態を、LODESシステム、SDESシステムなどのバルクエネルギー貯蔵システム用の電池として使用することができ、および/または本明細書に記載の種々の電極を、バルクエネルギー貯蔵システムの部品として使用することができる。本明細書で使用される場合、「LODESシステム」という用語は、24時間の持続時間、24時間~50時間の持続期間、50時間よりも長い持続期間、24時間~150時間の持続期間、150時間よりも長い持続期間、24時間~200時間の持続期間、200時間よりも長い持続期間、24時間~500時間の持続期間、500時間よりも長い持続期間など、24時間(h)またはそれよりも長い定格持続時間(エネルギー/電力比)を有することができるように構成されたバルクエネルギー貯蔵システムを意味する。
【0138】
図3は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。LODESシステム304は、風力発電基地302および1つまたは複数の送電設備306と電気的に接続されていてもよい。風力発電基地302は、送電設備306と電気的に接続されていてもよい。送電設備306は、配電網308と電気的に接続されていてもよい。風力発電基地302は、電力を発電することができ、風力発電基地302は、発電した電力をLODESシステム304および/または送電設備306に出力することができる。LODESシステム304は、風力発電基地302および/または送電設備306から受け取った電力を貯蔵することができる。LODESシステム304は、貯蔵された電力を送電設備306に出力することができる。送電設備306は、風力発電基地302およびLODESシステム304の一方または両方から受け取った電力を配電網308に出力することができ、および/または配電網308から電力を受け取り、その電力をLODESシステム304に出力することができる。風力発電基地302、LODESシステム304、および送電設備306は一緒になって、複合型発電、送電、および貯蔵システムであってもよい発電プラント300を構成することができる。風力発電基地302により発電された電力は、送電設備306を介して配電網308に直接送給されてもよく、またはまずLODESシステム304に貯蔵されてもよい。ある特定の場合では、配電網308に供給される電力は、全部が風力発電基地302から送られてもよく、全部がLODESシステム304から送られてもよく、または風力発電基地302およびLODESシステム304の組合せから送られてもよい。複合型風力発電基地302およびLODESシステム304発電プラント300からの電力の配電は、所定の長期(複数日またはさらに複数年)スケジュールに従って制御してもよく、または前日(24時間前通知)市場にしたがって制御してもよく、または時間前市場に従って制御してもよく、またはリアルタイム価格設定シグナルに応じて制御してもよい。
【0139】
発電プラント300の稼動の1つの例として、LODESシステム304を使用して、風力発電基地302により生産された電力を再整形し、「安定」させることができる。1つのそのような例では、風力発電基地302は、260メガワット(MW)のピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、106MWの電力定格(容量)、150時間(h)の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および15,900メガワット時(MWh)の定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、300MWのピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、106MWの電力定格、200時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および21,200MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、176MWのピーク発電出力(容量)および53%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、88MWの電力定格(容量)、150時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および13,200MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、277MWのピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、97MWの電力定格(容量)、50時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および4,850MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、315MWのピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、110MWの電力定格(容量)、25時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および2,750MWhの定格エネルギーを有してもよい。
【0140】
図4は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。
図4のシステムは、光起電力(PV)基地402が風力発電基地302の代わりに使用されていてもよいことを除いて、
図3のシステムと同様であってもよい。LODESシステム304は、PV基地402および1つまたは複数の送電設備306と電気的に接続されていてもよい。PV基地402は、送電設備306と電気的に接続されていてもよい。送電設備306は、配電網308と電気的に接続されていてもよい。PV基地402は、電力を発電することができ、PV基地402は、発電した電力をLODESシステム304および/または送電設備306に出力することができる。LODESシステム304は、PV基地402および/または送電設備306から受け取った電力を貯蔵することができる。LODESシステム304は、貯蔵された電力を送電設備306に出力することができる。送電設備306は、PV基地402およびLODESシステム304の一方または両方から受け取った電力を配電網308に出力することができ、および/または配電網308から電力を受け取り、その電力をLODESシステム304に出力することができる。PV基地402、LODESシステム304、および送電設備306は一緒になって、複合型発電、送電、および貯蔵システムであってもよい発電プラント400を構成することができる。PV基地402により発電された電力は、送電設備306を介して配電網308に直接送給されもよく、またはまずLODESシステム304に貯蔵されてもよい。ある特定の場合では、配電網308に供給される電力は、全部がPV基地402から送られてもよく、全部がLODESシステム304から送られてもよく、またはPV基地402およびLODESシステム304の組合せから送られてもよい。複合型PV基地402およびLODESシステム304発電プラント400からの電力の配電は、所定の長期(複数日またはさらに複数年)スケジュールに従って制御してもよく、または前日(24時間前通知)市場に従って制御してもよく、または時間前市場に従って制御してもよく、またはリアルタイム価格設定シグナルに応じて制御してもよい。
【0141】
発電プラント400の稼動の1つの例として、LODESシステム304を使用して、PV基地402により生産された電力を再整形し、「安定」させることができる。1つのそのような例では、PV基地402は、490MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、340MWの電力定格(容量)、150時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および51,000MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、PV基地402は、680MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、410MWの電力定格(容量)、200時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および82,000MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、PV基地402は、330MWのピーク発電出力(容量)および31%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、215MWの電力定格(容量)、150時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および32,250MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、PV基地402は、510MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、380MWの電力定格(容量)、50時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および19,000MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、PV基地402は、630MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、380MWの電力定格(容量)、25時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および9,500MWhの定格エネルギーを有してもよい。
【0142】
図5は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。
図5のシステムは、風力発電基地302および光起電力(PV)基地402が両方とも、発電プラント500において一緒に作動する発電装置であってもよいことを除いて、
図3および
図4のシステムと類似していてもよい。PV基地402、風力発電基地302、LODESシステム304、および送電設備306は一緒になって、複合型の発電、送電、および貯蔵システムであってもよい発電プラント500を構成することができる。PV基地402および/または風力発電基地302により発電された電力は、送電設備306を介して配電網308に直接送給されもよく、またはまずLODESシステム304に貯蔵されてもよい。ある特定の場合では、配電網308に供給される電力は、全部がPV基地402から送られてもよく、全部が風力発電基地302から送られてもよく、全部がLODESシステム304から送られてもよく、またはPV基地402、風力発電基地302、およびLODESシステム304の組合せから送られてもよい。複合型風力発電基地302、PV基地402、およびLODESシステム304発電プラント500からの電力の配電は、所定の長期(複数日またはさらに複数年)スケジュールに従って制御してもよく、または前日(24時間前通知)市場にしたがって制御してもよく、または時間前市場に従って制御してもよく、またはリアルタイム価格設定シグナルに応じて制御してもよい。
【0143】
発電プラント500の稼動の1つの例として、LODESシステム304を使用して、風力発電基地302およびPV基地402により生産された電力を再整形し、「安定」させることができる。1つのそのような例では、風力発電基地302は、126MWのピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよく、PV基地402は、126MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、63MWの電力定格(容量)、150時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および9,450MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、170MWのピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよく、PV基地402は、110MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、57MWの電力定格(容量)、200時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および11,400MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、105MWのピーク発電出力(容量)および51%の設備利用率(CF)を有してもよく、PV基地402は、70MWのピーク発電出力(容量)および31%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、61MWの電力定格(容量)、150時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および9,150MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、135MWのピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよく、PV基地402は、90MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、68MWの電力定格(容量)、50時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および3,400MWhの定格エネルギーを有してもよい。別のそのような例では、風力発電基地302は、144MWのピーク発電出力(容量)および41%の設備利用率(CF)を有してもよく、PV基地402は、96MWのピーク発電出力(容量)および24%の設備利用率(CF)を有してもよい。LODESシステム304は、72MWの電力定格(容量)、25時間の定格持続時間(エネルギー/電力比)、および1,800MWhの定格エネルギーを有してもよい。
【0144】
図6は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。LODESシステム304は、1つまたは複数の送電設備306と電気的に接続されていてもよい。このようにして、LODESシステム304は、「スタンドアロン」様式で稼動して、市場価格付近でエネルギーをサヤ取り売買(arbiter)すること、および/または送電制約を回避することができる。LODESシステム304は、1つまたは複数の送電設備306と電気的に接続されていてもよい。送電設備306は、配電網308と電気的に接続されていてもよい。LODESシステム304は、送電設備306から受け取った電力を貯蔵することができる。LODESシステム304は、貯蔵された電力を送電設備306に出力することができる。送電設備306は、LODESシステム304から受け取った電力を配電網308に出力することができ、および/または配電網308から電力を受け取り、その電力をLODESシステム304に出力することができる。
【0145】
LODESシステム304および送電設備306は一緒になって、発電プラント600を構成することができる。一例として、発電プラント600は、電力消費に近い、送電制約の下流に位置していてもよい。そのような例示的な下流に位置する発電プラント600では、LODESシステム304は、24時間から500時間の持続時間を有してもよく、送電容量が顧客に役務を提供するのに十分でない時点でピーク電力消費をサポートするために、1年に1回または複数回の完全放電を起こしてもよい。加えて、そのような例示的な下流に位置する発電プラント600では、LODESシステム304は、夜間電気価格と昼間電気価格との差をサヤ取り売買し、顧客への電気役務の全体的なコストを削減するために、数回の浅い放電(毎日またはより高い頻度で)を起こしてもよい。さらなる例として、発電プラント600は、発電に近い、送電制約の上流に位置していてもよい。そのような例示的な上流に位置する発電プラント600では、LODESシステム304は、24時間~500時間の持続時間を有してもよく、顧客に電気を分配するのに送電容量が十分ではない時点で過剰発電を吸収するために、1年に1回または複数回の完全充電を起こしてもよい。加えて、そのような例示的な上流に位置する発電プラント600では、LODESシステム304は、夜間電気価格と昼間電気価格との差をサヤ取り売買し、発電設備の出力の価値を最大化するために、数回の浅い充放電(毎日またはより高い頻度で)を起こしてもよい。
【0146】
図7は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。LODESシステム304は、データセンター、工場などの商業および産業(C&I)顧客702と電気的に接続されていてもよい。LODESシステム304は、1つまたは複数の送電設備306と電気的に接続されていてもよい。送電設備306は、配電網308と電気的に接続されていてもよい。送電設備306は、配電網308から電力を受け取り、その電力をLODESシステム304に出力することができる。LODESシステム304は、送電設備306から受け取った電力を貯蔵することができる。LODESシステム304は、貯蔵された電力をC&I顧客702に出力することができる。このようにして、LODESシステム304は、配電網308から購入した電力を再整形して、C&I顧客702の消費パターンに一致させるように稼動することができる。
【0147】
LODESシステム304および送電設備306は一緒になって、発電プラント700を構成することができる。一例として、発電プラント700は、電気消費の近く、すなわち、配電網308とC&I顧客702との間など、C&I顧客702の近くに位置してもよい。そのような例では、LODESシステム304は、24時間~500時間の持続時間を有してもよく、電力がより安価である時点で市場から電力を購入し、それによりLODESシステム304を充電してもよい。次いで、LODESシステム304は、市場価格が高価な時点で放電してC&I顧客702に電力を提供し、したがってC&I顧客702の市場購入を相殺することができる。代替的な構成として、発電プラント700は、配電網308とC&I顧客702との間に位置するのではなく、PV基地、風力発電基地などの再生可能資源と再生可能資源に接続されていてもよい送電設備306との間に位置していてもよい。そのような代替的な例では、LODESシステム304は、24時間~500時間の持続時間を有してもよく、LODESシステム304は、再生可能出力が利用可能であり得る時点で充電されてもよい。次いで、LODESシステム304は、C&I顧客702の電力需要の一部または全部をカバーするように放電して、C&I顧客702に再生可能な発電された電気を提供することができる。
【0148】
図8は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。LODESシステム304は、風力発電基地302および1つまたは複数の送電設備306と電気的に接続されていてもよい。風力発電基地302は、送電設備306と電気的に接続されていてもよい。送電設備306は、C&I顧客702と電気的に接続されていてもよい。風力発電基地302は、電力を発電することができ、風力発電基地302は、発電した電力をLODESシステム304および/または送電設備306に出力することができる。LODESシステム304は、風力発電基地302から受け取った電力を貯蔵することができる。
【0149】
LODESシステム304は、貯蔵された電力を送電設備306に出力することができる。送信設備306は、風力発電基地302およびLODESシステム304の一方または両方から受け取った電力をC&I顧客702に出力することができる。風力発電基地302、LODESシステム304、および送電設備306は一緒になって、複合型発電、送電、および貯蔵システムであってもよい発電プラント800を構成することができる。風力発電基地302により発電された電力は、送電設備306を介してC&I顧客702に直接送給されてもよく、またはまずLODESシステム304に貯蔵されてもよい。ある特定の場合では、C&I顧客702に供給される電力は、全部が風力発電基地302から送られてもよく、全部がLODESシステム304から送られてもよく、または風力発電基地302およびLODESシステム304の組合せから送られてもよい。LODESシステム304を使用して、風力発電基地302により発電された電気を再整形して、C&I顧客702の消費パターンに一致させてもよい。1つのそのような例では、LODESシステム304は、24時間~500時間の持続時間を有してもよく、風力発電基地302による再生可能発電がC&I顧客702負荷を超えた場合、充電してもよい。次いで、風力発電基地302による再生可能発電がC&I顧客702負荷を下回った場合、C&I顧客702電気消費の一部または全部を相殺する安定的な再生可能プロファイルをC&I顧客702に提供するように、LODESシステム304を放電してもよい。
【0150】
図9は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。LODESシステム304は、大量の再生可能発電をマイクログリッドに統合し、例えば、PV基地402および風力発電基地302による再生可能発電の出力を、例えば、火力発電プラント902(例えば、ガスプラント、石炭プラント、ディーゼル発電装置セットなど、または火力発電法の組合せ)による既存の火力発電と調和させ、利用可能率が高い場合は再生可能発電および火力発電がC&I顧客702負荷を供給する発電プラント900の一部であってもよい。発電プラント900および火力発電プラント902により構成されるマイクログリッドなどのマイクログリッドは、90%またはそれよりも高い利用可能率を提供することができる。PV基地402および/または風力発電基地302により発電された電力は、C&I顧客702に直接送給されてもよく、またはまずLODESシステム304に貯蔵されてもよい。
【0151】
ある特定の場合では、C&I顧客702に供給される電力は、全部がPV基地402から送られてもよく、全部が風力発電基地302から送られてもよく、全部がLODESシステム304から送られてもよく、全部が火力発電プラント902から送られてもよく、またはPV基地402、風力発電基地302、LODESシステム304、および/もしくは火力発電プラント902の任意の組合せから送られてもよい。一例として、発電プラント900のLODESシステム304は、24時間~500時間の持続時間を有してもよい。具体的な例として、C&I顧客702負荷は、ピークが100MWであってもよく、LODESシステム304は、電力定格が14MWおよび持続時間が150時間であってもよく、天然ガスのコストは、$6/100万英熱量(MMBTU)であってもよく、再生可能占有率は58%であってもよい。別の具体的な例として、C&I顧客702負荷は、ピークが100MWであってもよく、LODESシステム304は、電力定格が25MWおよび持続時間が150時間であってもよく、天然ガスのコストは、$8/100万英熱量(MMBTU)であってもよく、再生可能占有率は65%であってもよい。
【0152】
図10は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。LODESシステム304を使用すると、原子力発電プラント1002(または、火力、バイオマスなどの他の柔軟性のない発電施設、ならびに/または1時間で定格電力の50%未満のランプ速度および80%またはそれよりも高い設備利用率を有する任意の他のタイプの発電プラント)を強化して、複合型LODESシステム304および原子力発電プラント1002により構成される発電プラント1000の複合出力に柔軟性を加えることができる。原子力発電プラント1002は、高い設備利用率および最高効率点で稼動することができ、LODESシステム304は、顧客電気消費および/または電気の市場価格を一致させるように原子力発電プラント1002の出力を効果的に再整形するように充放電することができる。一例として、発電プラント1000のLODESシステム304は、24時間~500時間の持続時間を有してもよい。1つの具体的な例では、原子力発電プラント1002は、1,000MWの定格出力を有してもよく、原子力発電プラント1002は、電気の市場価格の下落のため、長期間の最小安定発電または操業停止さえも強制される場合がある。LODESシステム304は、市場価格の下落時の施設操業停止を回避し、充電することができ、その後、LODESシステム304は、市場価格の高騰時に放電し、総出力発電を回復させることができる。
【0153】
図11は、種々の実施形態の1つまたは複数の態様をバルクエネルギー貯蔵システムの一部として使用することができる例示的なシステムを示す。具体的な例として、種々の実施形態の1つまたは複数の態様が組み込まれたバルクエネルギー貯蔵システムは、LODESシステム304であってもよい。一例として、LODESシステム304は、本明細書に記載されている種々の実施形態の電池、本明細書に記載されている種々の電極などを含んでいてもよい。LODESシステム304は、SDESシステム1102と連携して稼動することができる。LODESシステム304およびSDESシステム1102は一緒になって、発電プラント1100を構成してもよい。一例として、LODESシステム304およびSDESシステム1102は、同時最適化することができ、それによりLODESシステム304は、複数日変動(例えば、市場価格、再生可能発電、電気消費など複数日変動)にわたる長期バックアップおよび/またはブリッジングを含む種々の役務を提供することができる。SDESシステム1102は、日中変動(例えば、市場価格、再生可能発電、電気消費などの日中変動)にわたる迅速な補助役務(例えば、電圧制御、周波数調整など)および/またはブリッジングを含む種々の役務を提供することができる。SDESシステム1102は、10時間未満の持続時間および80%よりも大きな往復効率を有してもよい。LODESシステム304は、24時間~500時間の持続時間および40%よりも大きな往復効率を有してもよい。1つのそのような例では、LODESシステム304は、150時間の持続時間を有してもよく、最大で1週間の再生可能発電不足について顧客電気消費をサポートすることができる。また、LODESシステム304は、日中の発電不足事象中の顧客の電気消費をサポートして、SDESシステム1102の容量を強化することができる。さらに、SDESシステム1102は、日中の発電不足事象中に顧客に供給し、電力調整ならびに電圧制御および周波数調整などの品質役務を提供することができる。
【0154】
種々の実施形態の態様を例示するために、以下に種々の実施例を示す。実施例1.第1電極と、電解質と、第2電極と、を備える電池であって、第1電極および第2電極の一方または両方は鉄を含む、電池。実施例2.鉄は、鉄鉱石の形態である、実施例1に記載の電池。実施例3.鉄は、精鉱物の形態である、実施例1に記載の電池。実施例4.鉄は、ペレット、BF等級ペレット、DR等級ペレット、ヘマタイト、マグネタイト、ウスタイト、マルタイト、針鉄鉱、リモナイト、シデライト、パイライト、イルメナイト、およびスピネルマンガンフェライトから成る群より選択される少なくとも1つの形態である、実施例1に記載の電池。実施例5.鉄は、少なくとも0.1質量%のSiO2を更に含む、実施例2~4のいずれかに記載の電池。実施例6.鉄は、少なくとも0.25質量%のSiO2を更に含む、実施例2~4のいずれかに記載の電池。実施例7.鉄は、少なくとも0.5質量%のSiO2を更に含む、実施例2~4のいずれかに記載の電池。実施例8.鉄は、少なくとも0.1質量%のCaOを更に含む、実施例2~4のいずれかに記載の電池。実施例9.鉄は、少なくとも0.25質量%のCaOを更に含む、実施例2~4のいずれかに記載の電池。実施例10.鉄は、少なくとも0.5質量%のCaOを更に含む、実施例2~4のいずれかに記載の電池。
【0155】
上述の方法に関する記載は、説明のための例として提供されているに過ぎず、種々の実施形態のステップが、提示されている順序で実施されなければならないことを要求または示唆することを意図するものではない。当業者であれば理解することになるが、上述の実施形態におけるステップの順序は、任意の順序で実施することができる。「その後に」、「次いで」、「次に」などの単語は、必ずしもステップの順序を限定することを意図したものではなく、こうした単語は、方法の記載にわたって読者をガイドするために使用されている場合がある。さらに、例えば、冠詞「a」、「an」、または「the」を使用した、単数形の特許請求要素への言及はすべて、要素を単数形に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0156】
さらに、本明細書に記載されている任意の実施形態の任意のステップは、任意の他の実施形態にて使用することができる。本開示の態様の前出の記載は、当業者が本発明を製作または使用することを可能にするために提供されている。こうした態様に対する種々の改変は、当業者であれば直ちに明らかになり、本明細書で規定されている基本原理は、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書で示される態様に限定されることを意図しておらず、本明細書で開示される原理および新規特徴と一致する最も幅広い範囲が与えられるべきである。
【国際調査報告】