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特表2023-524606ウレタン樹脂からなる遮音層を備えた防音体及びその遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂からなる遮音層を備えた防音体及びその遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20230606BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230606BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20230606BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230606BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20230606BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20230606BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B32B5/18
B05D7/24 303A
B05D7/24 302T
B05D3/12 Z
B05D7/00 B
B05D1/02 Z
B05D5/00 Z
B60R13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528371
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019067033
(87)【国際公開番号】W WO2021126177
(87)【国際公開日】2021-06-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509069892
【氏名又は名称】株式会社HOWA
(71)【出願人】
【識別番号】516284183
【氏名又は名称】コベストロ・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100117503
【弁理士】
【氏名又は名称】間瀬 ▲けい▼一郎
(72)【発明者】
【氏名】伏木 忍
(72)【発明者】
【氏名】浅井 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】ジェニー ジョン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】野田 文彦
【テーマコード(参考)】
3D023
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
3D023BA02
3D023BA03
3D023BB16
3D023BC01
3D023BD04
3D023BD12
3D023BE02
3D023BE06
4D075AA01
4D075AA15
4D075AA71
4D075AA76
4D075BB16X
4D075CA03
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA25
4D075DB11
4D075DB20
4D075DB31
4D075DB32
4D075DB48
4D075DC13
4D075EA05
4D075EB38
4D075EC01
4D075EC13
4F100AK51B
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA23B
4F100DJ00A
4F100EH46B
4F100GB32
4F100JH01
4F100JH01B
(57)【要約】
複数のウレタン用原料をその各液体状態にて防音体の多孔質層の面に沿い塗布して遮音層として製造するようにしたウレタン用原料の塗布による遮音層の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質層と当該多孔質層に積層される遮音層とを有する防音体であって、
前記遮音層は、所定の低目付量範囲以内の目付量を有するようにウレタン樹脂でもって形成されて、前記多孔質層に積層されている遮音層を備えた防音体。
【請求項2】
前記所定の低目付量範囲は、200(g/m2)~2000(g/m2)の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の遮音層を備えた防音体。
【請求項3】
前記防音体は、車体パネルに装着される自動車用防音体であることを特徴とする請求項1または2に記載の遮音層を備えた防音体。
【請求項4】
ポリオール、イソシアネート及び充填材を混合してなる混合液体を噴霧用混合液体として防音体の多孔質層の面に沿いスプレーにより噴霧することにより前記噴霧された混合液体を前記多孔質層の前記面に層状に塗布する塗布工程を備えており、
当該塗布工程において、前記噴霧用混合液体を、その前記噴霧による塗布に伴う硬化に応じ、ウレタン樹脂からなる遮音層として、前記多孔質層の前記面に接着形成して製造するようにした防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。
【請求項5】
前記混合液体の前記噴霧用混合液体としての塗布は、前記遮音層の目付量が、所定の低目付量範囲以内の目付量となるようになされることを特徴とする請求項4に記載の防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。
【請求項6】
ポリオールと充填材とからなる第1混合液体及びイソシアネートと充填材とからなる第2混合液体をウレタン樹脂の原料として別々に準備して、当該第1及び第2の混合液体を混合しながら噴霧用混合液体として防音体の多孔質層の面に沿いスプレーにより噴霧することにより前記噴霧用混合液体を前記多孔質層の前記面に沿い層状に塗布する塗布工程を備えており、
当該塗布工程において、前記噴霧用混合液体を、その前記噴霧による塗布に伴う硬化に応じ、ウレタン樹脂からなる遮音層として、前記多孔質層の前記面に接着形成して製造するようにした防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の混合液体の前記噴霧用混合液体としての塗布は、前記遮音層の目付量が所定の低目付量範囲以内の目付量となるようになされることを特徴とする請求項6に記載の防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。
【請求項8】
粉体状充填材を液体状ポリオールに混合することで前記第1混合液体を形成する第1混合工程と、
粉体状充填材を液体状イソシアネートに混合することで前記第2混合液体を形成する第2混合工程と、
前記第1混合工程にて形成される前記第1混合液体を高圧化して第1高圧混合液体を形成する第1高圧化工程と、
前記第2混合液体を高圧化して第2高圧混合液体を形成する第2高圧化工程とを備えて、
前記塗布工程において、前記第1高圧化工程で形成される前記第1高圧混合液体及び前記第2高圧化工程で形成される前記第2高圧混合液体を混合しながら前記噴霧用混合液体として前記防音体の前記多孔質層の前記面に沿い前記スプレーにより噴霧することにより前記噴霧用混合液体を前記多孔質層の前記面に沿い層状に塗布して、前記噴霧用混合液体を、その前記噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として、前記多孔質層の前記面に接着形成により製造するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の高圧混合液体の前記噴霧用混合液体としての塗布は、前記遮音層の目付量が所定の低目付量範囲以内の目付量となるようになされることを特徴とする請求項8に記載の防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。
【請求項10】
前記所定の低目付量範囲は、200(g/m2)~2000(g/m2)の範囲であることを特徴とする請求項5、7または9に記載の防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。
【請求項11】
前記第1混合液体における前記充填材の混合量は、10(wt%)~70(wt%)の範囲以内の値となっており、前記第2混合液体における前記充填材の混合量は、10(wt%)~70(wt%)の範囲以内の値となっており、
前記第1混合液体の前記第2混合液体に対する体積比は、所定体積比範囲2~5以内の値となっていることを特徴とする請求項6または8に記載の防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン樹脂からなる遮音層を備えた防音体及びその遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮音層に共通する遮音シートとしては、下記特許文献1に記載の自動車用遮音シートが提案されている。この遮音シートは、樹脂類と高比重充填材等を用いて製造される。
【0003】
具体的には、当該遮音シートは、カレンダーロール法或いはTダイ押し出し法により溶融化合物をシート化することにより製造される。この製造にあたり、溶融化合物は、オレフィン系樹脂及び高比重充填材に粘着防止材や着色剤を添加し、これらを均一に混合して形成される。ここで、カレンダーロール法では、溶融化合物がカレンダーロールによりシート状に形成される。
【0004】
また、Tダイ押し出し法では、溶融化合物が、押し出し型によりシート状に形成されて、遮音シートとして製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平第10-168255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように製造される遮音シートが、例えば、自動車等の内部空間に用いられる場合には、当該内部空間が狭いこと及び良好な遮音性の確保が望まれることから、遮音シートとしては、可能な限り薄くかつ可能な限り重いことが要求される。
【0007】
しかしながら、当該遮音シートが薄すぎると、当該遮音シートは、ロールを介し冷却される過程において、ちぎれたり、破れたりして破損するおそれがあることから、遮音シートとして作動し得なくなる。
【0008】
また、上述のように製造される遮音シートを、例えば、フェルト層等の吸音層に積層するにあたっては、手作業でもって遮音シートを吸音層に貼り付けることによって、当該遮音層が吸音層に積層される。従って、作業性が非常に悪い。このような問題は、遮音層が薄い程より重要である。
【0009】
しかも、上述のように遮音シートを手作業でもって吸音層に貼り付けることから、遮音シートの製造と当該遮音シートの吸音層への積層とが、別々の工程で行われる。従って、作業効率が極めてよくない。
【0010】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、ウレタン樹脂の有用性に着目して、ウレタン樹脂からなる遮音層を備えた防音体を提供することを主たる目的とする。
【0011】
また、本発明は、以上のようなことに対処するため、当該防音体の多孔質層の面に沿いウレタン樹脂用原料を液体状態にて塗布し遮音層として製造するようにした防音体におけるウレタン樹脂用原料の塗布による遮音層の製造方法を提供することをもう1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題の解決にあたり、遮音層を備えた防音体は、多孔質層及び当該多孔質層に積層される遮音層を備える。
【0013】
当該遮音層は、所定の低目付量範囲以内の目付量を有するようにウレタン樹脂でもって形成されて、多孔質層に積層されている。
【0014】
このような構成によれば、遮音層は、ウレタン樹脂でもって、所定の低目付量範囲以内の目付量を有するように形成されて、多孔質層に積層されている。従って、防音体は、多孔質層からの騒音に対する遮音層の遮音性能のもと、優れた遮音効果を発揮し得るとともに、非常に軽量な防音体として提供され得る。
【0015】
ここで、上記所定の低目付量範囲は、200(g/m2)~2000(g/m2)の範囲であることから、上述した本発明の作用効果がより一層首尾よく確保され得る。
【0016】
また、上述した防音体は、車体パネルに装着される自動車用防音体であってもよい。
【0017】
また、上記課題の解決にあたり、本発明に係る防音体におけるウレタン樹脂用原料の塗布による遮音層の製造方法は、
ポリオール、イソシアネート及び充填材を混合してなる混合液体を噴霧用混合液体として防音体の多孔質層の面に沿いスプレーにより噴霧することにより、当該噴霧する混合液体を多孔質層の面に層状に塗布する塗布工程を備えており、
当該塗布工程において、上記噴霧用混合液体は、その上記噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として、多孔質層の上記面に接着形成される。
【0018】
このような構成によれば、防音体における遮音層の製造にあたり、塗布工程において、ポリオール、イソシアネート及び充填材を混合して形成してなる混合液体は、噴霧用混合液体として多孔質層の面に沿いスプレーにより噴霧されるとともに層状に塗布される。
【0019】
然る後、噴霧用混合液体は、その噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として防音体の多孔質層の面に接着形成されて製造される。
【0020】
その結果、遮音層を多孔質層に手作業で積層するというような面倒な手順を伴うことなく、遮音層を多孔質層の面に接着形成して製造することが可能となる。
【0021】
また、上述のように噴霧用混合液体は、その噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として、多孔質層の面に接着形成して製造される。従って、ポリオール、イソシアネート及び充填材に基づくウレタン樹脂からなる遮音層の製造と、当該遮音層の多孔質層の面に対する接着とが、同時に達成され得る。このことは、遮音層の製造と当該遮音層の多孔質層に対する積層とを別々の手順で行うこともなく、作業効率の改善につながることを意味する。
【0022】
ここで、上記混合液体の上記噴霧用混合液体としての塗布は、遮音層の目付量が所定の低目付量範囲以内の目付量となるようになされてもよい。
【0023】
このような構成によれば、遮音層は、所定の低目付量範囲以内の目付量を有するように製造される。従って、このように当該遮音層を製造してなる防音体は、多孔質層からの騒音に対する遮音層の遮音性能のもと、優れた防音効果を発揮し得るとともに、非常に軽量な防音体として製造され得る。
【0024】
また、本発明に係る防音体における遮音層のウレタン樹脂用原料の塗布による製造方法は、
ポリオールと充填材とからなる第1混合液体及びイソシアネートと充填材とからなる第2混合液体を、ウレタン樹脂の原料として別々に準備して、当該第1及び第2の混合液体を混合しながら噴霧用混合液体として防音体の多孔質層の面に沿いスプレーにより噴霧して、当該噴霧用混合液体を多孔質層の面に沿い層状に塗布する塗布工程を備えている。
【0025】
当該塗布工程において、上記噴霧用混合液体は、その上記噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として、多孔質層の上記面に接着形成されて製造されるようにした。
【0026】
このような構成によれば、遮音層の製造にあたり、ポリオールと充填材とからなる第1混合液体及びイソシアネートと充填材とからなる第2混合液体が、ウレタン樹脂の原料として、別々に準備される。
【0027】
そして、塗布工程において、当該第1及び第2の混合液体が、混合されながら噴霧用混合液体として多孔質層の面に沿いスプレーにより噴霧されることにより層状に塗布され、そして、当該噴霧用混合液体が、その上記噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として、多孔質層の面に沿い接着形成されて製造される。
【0028】
このように、予め別々に準備してなる第1及び第2の混合液体を噴霧用混合液体として混合しながら多孔質層の面に沿いスプレーにより噴霧することにより、当該噴霧用混合液体を、その噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として、多孔質層の面に接着形成により製造するようにした。従って、遮音層を多孔質層に手作業で積層するというような面倒な手順を伴うことなく、遮音層を多孔質層の面に接着するように製造することが可能である。このようなことは、第1混合液体及び第2混合液体の混合噴霧に伴う塗布によって遮音層を層状に製造することから、遮音層が薄くても成立し得る。
【0029】
また、上述のように、ウレタン樹脂からなる遮音層が、第1混合液体及び第2混合液体の混合噴霧に伴う塗布によって、多孔質部材に接着により形成される。このため、第1混合液体及び第2混合液体に基づくウレタン樹脂による遮音層の形成と、当該遮音層の多孔質部材の面に対する接着とが、同時になされ得る。このことは、遮音層の形成と当該遮音層の多孔質部材に対する積層とを別々の作業で行うこともなく、作業効率の改善につながる。
【0030】
ここで、第1及び第2の混合液体の上記噴霧用混合液体としての塗布は、遮音層の目付量が、所定の低目付量範囲以内の目付量となるようになされ得る。
【0031】
このような構成によれば、遮音層は、所定の低目付量範囲以内の目付量を有するように製造される。従って、このように製造してなる当該遮音層を有する防音体は、多孔質層からの騒音に対する遮音層の遮音性能のもと、優れた遮音効果を発揮し得るとともに、非常に軽量な防音体として提供され得る。
【0032】
また、本発明において、
粉体状充填材を液体状ポリオールに混合することで上記第1混合液体を形成する第1混合工程と、
粉体状充填材を液体状イソシアネートに混合することで上記第2混合液体を形成する第2混合工程と、
第1混合工程にて形成される上記第1混合液体の圧力を高圧化して第1高圧混合液体を形成する第1高圧化工程と、
上記第2混合液体の圧力を高圧化して第2高圧混合液体を形成する第2高圧化工程とを備える。
【0033】
塗布工程において、第1高圧化工程で形成される上記第1高圧混合液体及び第2高圧化工程で形成される上記第2高圧混合液体は、上記噴霧用混合液体として混合されるとともに多孔質部材の上記面に沿いスプレーにより噴霧されて多孔質部材の上記面に沿い層状に塗布される。そして、当該噴霧用混合液体は、その上記噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として多孔質部材の上記面に接着により形成されるようにした。
【0034】
上述のような構成によれば、上述した本発明と同様の作用効果が次のような手順により達成され得る。
【0035】
当該手順において、第1混合液体及び第2混合液体をウレタン樹脂の原料として予め準備することなく、第1混合液体が第1混合工程において液体状ポリオール及び粉体状充填材を混合することにより形成されるとともに、第2混合液体が第2混合工程において液体状イソシアネート及び粉体状充填材を混合することにより形成される。
【0036】
ついで、第1混合液体が第1高圧化工程において第1高圧混合液体として形成されるとともに、第2混合液体が第2高圧化工程において第2高圧混合液体として形成される。
【0037】
然る後、塗布工程において、第1高圧化工程にて形成される第1高圧混合液体及び第2高圧化工程にて形成される第2高圧混合液体が混合されて多孔質部材の面に沿い噴霧用混合液体としてスプレーの噴霧により層状に塗布される。
【0038】
噴霧用混合液体が、その噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、多孔質部材の面にウレタン樹脂からなる遮音層として接着により形成されても、上述した本発明と同様の作用効果が達成され得る。
【0039】
ここで、第1及び第2の高圧混合液体の噴霧用混合液体としての塗布は、遮音層の目付量が、上述した所定の低目付量範囲以内の目付量となるようになされ得る。
【0040】
このような構成によれば、遮音層は、所定の低目付量範囲以内の目付量を有するように製造される。従って、このように製造される当該遮音層を有する防音体は、多孔質層からの騒音に対する遮音層の遮音性能のもと、優れた遮音効果を発揮し得るとともに、非常に軽量な防音体として製造され得る。
【0041】
また、上述した所定の低目付量範囲は、200(g/m2)~2000(g/m2)の範囲であってもよい。このような構成によれば、上述した本発明の作用効果がより一層成功裏に達成され得る。
【0042】
また、上述した本発明において、上記第1混合液体における上記充填材の混合量は、10(wt%)~70(wt%)の範囲以内の値となっており、上記第2混合液体における上記充填材の混合量は、10(wt%)~70(wt%)の範囲以内の値となっており、
上記第1混合液体の上記第2混合液体に対する体積比は、所定体積比範囲2~5以内の値となっている。
【0043】
このような構成によれば、第1混合液体及び第2混合液体との混合液体が、イソシネートの硬化剤としての硬化作用のもとに、硬化して適正なウレタン樹脂となり、それによって、当該ウレタン樹脂からなる遮音層として多孔質部材の面に接着形成され得る。その結果、本発明の作用効果がより一層成功裏に達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態が適用されるダッシュサイレンサーを搭載してなる自動車の模式的部分概略断面図である。
図2図1のダッシュサイレンサーの拡大正面図である。
図3図2の3-3線に沿うダッシュサイレンサーの縦断面図である。
図4】上記実施形態においてウレタン用原料をその液体状態にて多孔質部材に塗布する構成を示すブロック図である。
図5図4のスプレーガンをその側面からみた状態にて模式的に示す部分破断断面図である。
図6図4のスプレーガンをその上面からみた状態にて模式的に示す部分破断断面図である。
図7図5のスプレーガンを当該図5の7-7線に沿いみた状態にて模式的に示す断面図である。
図8】上記実施形態においてウレタン用原料をその液体状態にて多孔質部材に塗布する工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態が適用されるダッシュサイレンサー(以下、ダッシュサイレンサーDSという)を搭載してなる自動車を示している。当該自動車は、エンジンルーム10及び車室20を備えており、車室20は、当該自動車において、エンジンルーム10に後続して設けられている。
【0047】
エンジンEは、図1にて示すごとく、エンジンルーム10内に配設されており、このエンジンEは、当該自動車の左右両側前輪FW(図1では、左側前輪FWのみを示す)の間にてエンジンルーム10の底壁(図示しない)上に配設されている。なお、車室20内には、前側座席Sが、フロアカーペット40(後述する)を介し車室20の床壁21上に配設されている。
【0048】
また、当該自動車は、ダッシュパネル30(ダッシュボード30ともいう)を備えており、当該ダッシュパネル30は、図1にて示す縦断面湾曲形状を有するように形成されている。このように構成してなる当該ダッシュパネル30は、図1にて示すごとく、エンジンルーム10と車室20との境界にて配設されて、当該エンジンルーム10及び車室20を相互に区画している。
【0049】
フロアカーペット40は、カーペット本体部41及び前側カーペット部42でもって形成されており、カーペット本体部41は、車室20内に位置する前側座席Sと床壁21との間にて床壁21に沿いその前後方向に敷かれている。前側カーペット部42は、カーペット本体部41の前端部の上側部位からダッシュサイレンサーDSの下部上に沿うように前方へ延出することで、ダッシュサイレンサーDSの下部上に積層されている。なお、カーペット本体部41は、その前端部の下側部位にて、ダッシュサイレンサーDSの下端部に当接している。
【0050】
ダッシュサイレンサーDSは、防音体としての役割を果たす。当該ダッシュサイレンサーDSは、ダッシュパネル30と同様の縦断面湾曲形状にて、当該ダッシュパネル30に沿い車室20側から装着されている。なお、本実施形態では、ダッシュサイレンサーDSの外形形状は、ダッシュパネル30の外形形状とほぼ同一となっている(図2参照)。
【0051】
当該ダッシュサイレンサーDSは、図3にて示すごとく、吸音層50及び遮音層60を備えている。吸音層50は、車室20の内側からダッシュパネル30に沿い装着されているもので、当該吸音層50は、フェルトでもって形成されている。なお、吸音層50は、フェルトに限ることなく、多孔質材料からなるものであればよく、これに伴い、多孔質層ともいえる。
【0052】
遮音層60は、吸音層50を介しダッシュパネル30に対向するように、後述のごとく、ウレタン樹脂でもって、所定の低目付量の範囲以内の目付量にて当該吸音層50に沿い積層されている。なお、当該所定の低目付量の範囲以内の目付量は、遮音層60の厚さ分布に応じて上記所定の低目付量の範囲以内で変化している。また、本実施形態において、上述の所定の低目付量の範囲は、200(g/m2)~2000(g/m2)の範囲に設定されている。これにより、遮音層60が、従来よりも軽量化されるとともに良好な遮音性能を発揮し得る。
【0053】
次に、ウレタン樹脂用原料を被塗布部材Mに塗布するに要する構成を表す塗布システム100を図4に基づき説明する。本実施形態において、被塗布部材Mは、ダッシュサイレンサーDSの吸音層50をいう。なお、塗布システム100としては、例えば、グラコ株式会社製HFR計量システムが挙げられる。
【0054】
塗布システム100は、ポリオールシステム部100a及びイソシアネートシステム部100bを備えている。ポリオールシステム部100aは、ポリオール供給源110a、充填材供給源110b及び撹拌装置110cを有する。
【0055】
ポリオール供給源110aは、液体状のポリオールを貯留してなるもので、当該ポリオール供給源110aは、液体状のポリオールを撹拌装置110cに対し供給可能となっている。ここで、液体状のポリオールの撹拌装置100cに対する供給量は、ポリオール供給源110aにおいて調整可能となっている。なお、ポリオール供給源110aにおけるポリオールの供給量の調整は、例えば、ポリオール供給源110aの撹拌装置100cへの供給口部(図示しない)の開度を調整する機構(例えば、開度調整弁)でもって行う。
【0056】
充填材供給源110bは、粉体状の硫酸バリウム或いは炭酸カルシウムを貯留しており、当該充填材供給源110bは、粉体状の硫酸バリウムを撹拌装置100cに対し供給可能となっている。ここで、粉体状の硫酸バリウムの撹拌装置100cに対する供給量は、充填材供給源110bにおいて調整可能となっている。なお、充填材供給源110bにおける硫酸バリウムの供給量の調整は、例えば、充填材供給源110bの撹拌装置110cへの供給口部(図示しない)の開度を調整する機構(例えば、開度調整弁)でもって行う。
【0057】
撹拌装置110cは、その作動に伴い、ポリオール供給源110aからその供給口部及び配管P1を介し供給される液体状のポリオール及び充填材供給源110bからその供給口部及び配管P2を介し供給される粉体状の硫酸バリウムの双方を相互に一様に混合するように撹拌して、液体状のポリオールと粉体状の硫酸バリウムとの混合液体(以下、ポリオール硫酸バリウム混合液体ともいう)を形成する。
【0058】
また、ポリオールシステム部100aは、タンク120a及び高圧ポンプ120bを有している。タンク120aは、配管P3を介し撹拌装置110cからポリオール硫酸バリウム混合液体を供給されて収容する。本実施形態では、当該タンク120aはエア入りタンクにより構成されており、当該タンク120aは、撹拌装置110cから供給されるポリオール硫酸バリウム混合液体の脈動をエア圧により抑制して安定したポリオール硫酸バリウム混合液体として収容する。
【0059】
高圧ポンプ120bは、その作動に伴い、タンク120aから配管P4を介しポリオール硫酸バリウム混合液体を吸入して高圧化する。ついで、高圧ポンプ120bは、当該ポリオール硫酸バリウム混合液体を、高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体としてホースP5を介し噴霧装置150(後述する)に吐出する。
【0060】
一方、イソシアネートシステム部100bは、イソシアネート供給源130a、充填材供給源130b及び撹拌装置130cを有している。イソシアネート供給源130aは、液体状のイソシアネートを貯留してなるもので、当該イソシアネート供給源130aは、液体状のイソシアネートを撹拌装置130cに対し供給可能となっている。
【0061】
ここで、液体状のイソシアネートの撹拌装置130cに対する供給量は、イソシアネート供給源130aにおいて調整可能となっている。なお、イソシアネート供給源130aにおけるイソシアネートの供給量の調整は、例えば、イソシアネート供給源130aの撹拌装置130cへの供給口部(図示しない)の開度を調整する機構(例えば、開度調整弁)でもって行う。
【0062】
充填材供給源130bは、充填材の1種である粉体状の硫酸バリウムを貯留しており、当該充填材供給源130bは、粉体状の硫酸バリウムを撹拌装置130cに対し供給可能となっている。ここで、粉体状の硫酸バリウムの撹拌装置130cに対する供給量は、充填材供給源130bにおいて調整可能となっている。なお、充填材供給源130bにおける硫酸バリウムの供給量の調整は、例えば、充填材供給源130bの撹拌装置130cへの供給口部(図示しない)の開度を調整する機構(例えば、開度調整弁)でもって行う。
【0063】
撹拌装置130cは、その作動に伴い、イソシアネート供給源130aからその供給口部及び配管Q1を介し液体状のイソシアネートを供給されるとともに充填材供給源130bからその供給口部及び配管Q2を介し粉体状の硫酸バリウムを供給される。次いで、当該撹拌装置130cは、これら液体状のイソシアネート及び粉体状の硫酸バリウムを相互に一様に混合するように撹拌して液体状のイソシアネートと粉体状の硫酸バリウムとの混合液体(以下、イソシアネート硫酸バリウム混合液体ともいう)を形成する。
【0064】
また、イソシアネートシステム部100bは、タンク140a及び高圧ポンプ140bを有している。タンク140aは、配管Q3を介し撹拌装置130cから液体状のイソシアネート硫酸バリウム混合液体を供給されて収容する。本実施形態では、当該タンク140aは、タンク120aと同様にエア入りタンクにより構成されており、当該タンク140aは、撹拌装置130cから供給されるイソシアネート硫酸バリウム混合液体の脈動をエア圧により抑制して、当該混合液体を、安定したイソシアネート硫酸バリウム混合液体として収容する。
【0065】
高圧ポンプ140bは、その作動に伴い、配管Q4を介しタンク140aからイソシアネート硫酸バリウム混合液体を吸入して高圧化する。次に、当該高圧ポンプ140bは、当該イソシアネート硫酸バリウムを、高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体としてホースQ5を介し噴霧装置150に吐出する。なお、高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、上述した高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体と共に噴霧装置150による噴霧が良好になされるような高圧の混合液体である。
【0066】
噴霧装置150は、ミキシングタイプのスプレーガンにより構成されており、当該噴霧装置150は、図5図7のいずれかにて示すごとく、ガン本体150a、混合器150b及びノズル150cを備えている。以下、本実施形態では、噴霧装置150は、スプレーガン150またはスプレー150ともいう。なお、噴霧装置150は、スプレーガン150に限ることなく、当該スプレーガン150と同様の機能を有するスプレーであってもよい。
【0067】
当該噴霧装置150において、ガン本体150aは、図5及び図6にて示すごとく、ケーシング151と、把手152とを備えている。ケーシング151は、上下両壁151a、151b、左右両壁151c、151d及び前後両壁151e、151fでもって、直方体状に形成されている。把手152は、ケーシング151の下壁151bの後部から下方へ延出されている。
【0068】
また、ガン本体150aは、図5図7から分かるように、上側通路153及び下側通路154を備えている。これら上側通路153及び下側通路154は、ケーシング151内にてその後壁151fから前壁151eにかけて配設されている。
【0069】
上側通路153は、基端側通路部153a、中側通路部153b及び先端側通路部153cを有している。基端側通路部153aは、図5及び図6から分かるように、ケーシング151の中心軸よりも上右側にて右壁151dに平行にケーシング151の後壁151fから前壁151eに向けて延出されている。当該基端側通路部153aは、その延出端開孔部にて、ケーシング151の前側内部に位置している。
【0070】
また、当該基端側通路部153aの基端開孔部は、高圧ポンプ120bから延出するホースP5の延出端開孔部にケーシング151の後壁151fを通り連通している。これに伴い、高圧ポンプ120bは、高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体を、ホースP5を通り上側通路153の基端側通路部153a内に圧送する。
【0071】
中側通路部153bは、図6にて示すごとく、基端側通路部153aの延出端開孔部からケーシング151の左壁151c側へL字状に折れ曲がって延出している。これに伴い、基端側通路部153a内に圧送される高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体は、さらに、基端側通路部153aの延出端開孔部から中側通路部153b内に圧送される。なお、当該中側通路部153bは、その延出端開孔部にて、ケーシング151の中心軸の直上に位置している。
【0072】
先端側通路部153cは、図6にて示すごとく、中側通路部153bの延出端開孔部からケーシング151の前壁151eに向けL字状に折れ曲がって延出されている。これに伴い、先端側通路部153cは、その延出端開孔部にて、ケーシング151の中心軸の直上にて、混合器150bの後側開孔部に連通している。これにより、中側通路部153b内に圧送される高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体は、さらに、先端側通路部153cを通り混合器150bの内部にその後側開孔部を介し圧送される。
【0073】
本実施形態では、上側通路153の基端側通路部153a内に圧送される高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体は、後述のように上側弁部を閉弁した状態にあるとき、図4及び図6のいずれかにて示すごとく、分岐通路部153f、ホースP6、逆止弁120c及び配管P7を通り配管P3内に戻るようになっている。これは、噴霧装置150の非噴霧状態における高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体の無駄を抑制するためである。
【0074】
ここで、分岐通路部153fは、基端側通路部153aの中間部位から分岐してケーシング151の右壁151d、ホースP6及び逆止弁120cを通り配管P7に連通可能に接続されている。なお、逆止弁120cは、ホースP6から配管P7への高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体の流動を可能にし、そして、配管P7からホースP6へ高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体の流動を阻止する。
【0075】
下側通路154は、図5図7のいずれかにて示すごとく、基端側通路部154a、中側通路部154b及び先端側通路部154cを有している。基端側通路部154aは、図5及び図6から分かるように、ケーシング151の中心軸よりも上左側にて左壁151cに平行にケーシング151の後壁151fから前壁151eに向けて延出されている。当該基端側通路部154aは、その延出端開孔部にて、ケーシング151の前側内部に位置している。
【0076】
また、当該基端側通路部154aは、その基端開孔部にて、ケーシング151の後壁151fを通り、高圧ポンプ140bから延出するホースQ5の延出端開孔部に連通している。これに伴い、高圧ポンプ140bは、高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体を、ホースQ5を通り下側通路154の基端側通路部154a内に圧送する。
【0077】
中側通路部154bは、基端側通路部154aの延出端開孔部からケーシング151の右壁151d側へL字状に折れ曲がって延出している。そして、当該中側通路部154bは、その延出端開孔部にて、上側通路153の中側通路部153bの延出端開孔部の直下に位置している。ここで、基端側通路部154a内に圧送される高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、さらに、基端側通路部154aからその延出端開孔部を介し中側通路部154b内に圧送される。
【0078】
先端側通路部154cは、上側通路153の先端側通路部153cの直下に位置して、中側通路部154bの延出端開孔部からケーシング151の前壁151eに向けL字状に折れ曲がって延出されている。これに伴い、先端側通路部154cは、その延出端開孔部にて、右側通路153の先端側通路部153cの直下にて、混合器150bの上記後側開孔部に連通している。
【0079】
これにより、中側通路部154b内に圧送される高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、さらに、先端側通路部154c及び混合器150bの後側開孔部を通り混合器150b内に圧送される。
【0080】
本実施形態では、下側通路154の基端側通路部154a内に圧送される高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、後述のように下側弁部が閉弁した状態にあるとき、分岐通路部154f、ホースQ6、逆止弁140c及び配管Q7を通り配管Q3内に戻るようになっている。これは、噴霧装置150の非噴霧状態における高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体の無駄を抑制するためである。
【0081】
ここで、分岐通路部154fは、基端側通路部154aの中間部位から分岐してケーシング151の左壁151c、ホースQ6及び逆止弁140cを通り配管Q7に連通可能に接続されている。なお、逆止弁140cは、ホースQ6から配管Q7への高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体の流動を可能にし、また、配管P7からホースP6への高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体の流動を阻止する。
【0082】
また、ガン本体150aは、図5図7のいずれかにて示すごとく、帯状レバー155、上側弁体156及び下側弁体157を備えている。帯状レバー155は、その基端部155aにて、ケーシング151の上壁151aの左右方向中央前側部位に前後方向に回動可能に支持されている。そして、当該帯状レバー155は、その基端部155aから前後方向に傾動可能に下方へ延出され、かつ、さらに、下壁151bに形成してなる挿通穴部h(図5参照)を通りその下側へ延出されている。
【0083】
これにより、把手152を握った手によりその指をレバー155の延出部にかけて後方へ引くことで、レバー155は、その基端部155aを支点として、バネ(図示しない)に抗して後方へ傾動する。一方、レバー155は、その基端部155aを支点として、上記バネの弾性復帰力を受けて前方へ傾動する。
【0084】
上側弁体156は、弁体部156aと、軸部156bとを備えている。軸部156bは、レバー155の基端部155a側中間部位に形成してなる貫通穴部155bを通るように、弁体部156aの後端部から同軸的に延出されている。ここで、当該軸部156bは、レバー155の貫通穴部155b内にて当該貫通穴部155bの内周部と相対傾動可能に連結されている。
【0085】
これに伴い、弁体部156aは、上側通路153の中側通路部153bの延出端部に形成してなる貫通穴部153d(図6参照)を通り先端側通路部153cの延出基端開孔部に着座可能となっている。なお、中側通路部153bの貫通穴部153dの内周面部と弁体部156aの外周面部との間は、シール(図示しない)により液密的にシールされている。
【0086】
ここで、レバー155がその開放状態にあるとき、上側弁体156は、その弁体部156aにて、前側への傾動状態にあるレバー155により前側へ押されて、先端側通路部153cの延出基端開孔部(以下、環状弁座部153eという)に着座している。このことは、上側弁体156は、弁体部156aと環状着座部153eからなる上側弁部を閉弁して、中側通路部153bから先端側通路部153cへの高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体の圧送を遮断することを意味する。
【0087】
一方、レバー155が上述のごとく後方へ傾動したとき、上側弁体156は、軸部156bにて前側へ引かれ、そして、弁体部156aにて環状弁座部153dから分離することにより上記上側弁部を開く。その結果、中側通路部153bから先端側通路部153cへ高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体を圧送することが可能となる。
【0088】
また、下側弁体157は、図5及び図7のいずれかにて示すごとく、弁体部157aと、軸部157bとを備えている。軸部157bは、レバー155の基端部155a側中間部位のうち貫通穴部155bの下側部位に形成してなる貫通穴部155c(図5参照)を通るように、弁体部157aの後端部から同軸的に延出されている。ここで、当該軸部157bは、レバー155の貫通穴部155c内にて当該貫通穴部155cの内周部と相対傾動可能に連結されている。
【0089】
これに伴い、弁体部157aは、下側通路154の中側通路部154bの延出端部に形成してなる貫通穴部154d(図7参照)を通り先端側通路部154cの延出基端開孔部に着座可能となっている。なお、中側通路部154bの貫通穴部154dの内周面部と弁体部157aの外周面部との間は、シール(図示しない)により液密的にシールされている。
【0090】
ここで、レバー155がその開放状態にあるとき、下側弁体157は、弁体部157aにて、前側への傾動状態にあるレバー155により前側へ押されて、先端側通路部154cの延出基端開孔部(以下、環状弁座部154eという)に着座している。このことは、下側弁体157は、弁体部157aと環状着座部154eからなる下側弁部を閉弁して、中側通路部154bから先端側通路部154cへの高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体の圧送を遮断することを意味する。
【0091】
一方、レバー155が上述のごとく後方へ傾動すると、下側弁体157は、軸部157bにて前側へ引かれて、弁体部157aにて環状弁座部154eから分離して上記下側弁部を開く。その結果、中側通路部154bから先端側通路部154cへの高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体の圧送が可能となる。
【0092】
なお、本実施形態では、噴霧装置150の持ち運びの自由度を高めるように、各ホースP5、P6、Q5及びQ6は、十分な長さの全長を有する。
【0093】
混合器150bは、その後部にて、ケーシング151の前壁151eの中央部に組み付けられている。当該混合器150bは、その後開孔部を介し、上側通路153の先端側通路部153cを通り高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体を圧送されるとともに下側通路154の先端側通路部154cを通り高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体を圧送されて、これら高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体を一様に混合する。
【0094】
当該混合器150bとしては、例えば、マーキュリー・サプライ・システムス株式会社製のスタティックミキサー(静的混合器)が採用されている。なお、混合器150bは、高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体を一様に混合する機能を有する混合器である限り、上述のマーキュリー・サプライ・システムス株式会社製のスタティックミキサーに代えて、どのようなスタティックミキサーであってもよく、また、スタティックミキサーに代えて、ダイナミックミキサー(動的混合器)であってもよい。
【0095】
ノズル150cは、混合器150bの前端中央部からその前方へ延出するように当該混合器150cに連結されている。当該ノズル150cは、混合器150bにより一様に混合されて当該混合器150bから吐出される高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体を、ウレタン樹脂用原料液体として、噴霧或いは霧の形にて噴射するようになっている。
【0096】
次に、遮音層の形成方法について、図4図8を参照して説明する。図8のポリオール及び充填材の供給工程S11において、ポリオールがポリオール供給源110aから配管P1を通り撹拌装置110cに供給されるとともに、硫酸バリウムが充填材供給源110bから配管P2を通り撹拌装置110cに供給される。
【0097】
ここで、硫酸バリウムのポリオールに対する混合量は、第1所定混合量範囲以内の混合量60(wt%)に設定してある。これに伴い、液体状のポリオールの混合量は、40(wt%)となっている。本実施形態において、上述の第1所定混合量範囲は、10(wt%)~70(wt%)であり、より好ましくは、40(wt%)~60(wt%)である。
【0098】
硫酸バリウムのポリオールに対する混合量の下限を10(wt%)としたのは、10(wt%)未満の混合量では、硫酸バリウムとしての必要な比重を確保できないためである。一方、硫酸バリウムのポリオールに対する混合量の上限を70(wt%)としたのは、70(wt%)を超える混合量では、ポリオールに対する硫酸バリウムとしての割合が過剰になって、粘度が高くなりすぎるためである。
【0099】
ついで、ポリオール充填材混合液体の形成工程S12において、ポリオール供給源110aからのポリオール及び充填材供給源110bからの充填材としての硫酸バリウムが、撹拌装置110cにより撹拌されるとともに相互に一様に混合されて、ポリオール硫酸バリウム混合液体として形成される。これに関連して、次のタンクへの供給工程S13において、ポリオール硫酸バリウム混合液体が、撹拌装置110cから配管P3を通りタンク120aに供給されて当該タンク120aにより保存される。
【0100】
然る後、ポリオール充填材混合液体の高圧化工程S14において、上述のようにタンク120aに収容されるポリオール硫酸バリウム混合液体が、配管P4を通り高圧ポンプ120bにより吸入されて、高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体として高圧化される。
【0101】
このような高圧化後、次のスプレーへの吐出工程S15において、高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体が、高圧ポンプ120bによって、ホースP5を介しスプレー150に吐出される。
【0102】
一方、図8のイソシアネート及び充填材の供給工程S21において、イソシアネートがイソシアネート供給源130aから配管Q1を通り撹拌装置130cに供給されるとともに、硫酸バリウムが充填材供給源130bから配管Q2を通り撹拌装置130cに供給される。
【0103】
ここで、イソシアネートがポリオールとは質量を異にするものの、硫酸バリウムのイソシアネートに対する混合量は、第2所定混合量範囲以内の混合量60(wt%)に設定してある。これに伴い、液体状のイソシアネートの混合量は、40(wt%)となっている。本実施形態において、上述の第2所定混合量範囲は、第1所定混合量範囲と同様に、10(wt%)~70(wt%)であり、より好ましくは、40(wt%)~60(wt%)である。
【0104】
硫酸バリウムのイソシアネートに対する混合量の下限を10(wt%)としたのは、10(wt%)未満の混合量では、硫酸バリウムとしての比重を適正には確保できないためである。一方、硫酸バリウムのイソシアネートに対する混合量の上限を70(wt%)としたのは、70(wt%)を超える混合量では、硫酸バリウムとしての割合が過剰になって粘度が高くなりすぎるためである。
【0105】
ついで、イソシアネート充填材混合液体の形成工程S22において、イソシアネート供給源130aからのイソシアネート及び充填材供給源130bからの硫酸バリウムが、撹拌装置130cにより撹拌され相互に一様に混合されて、イソシアネート硫酸バリウム混合液体として形成される。これに関連して、次のタンクへの供給工程S23において、イソシアネート硫酸バリウム混合液体が、撹拌装置130cから配管Q3を通りタンク140aに供給されて保存される。
【0106】
このようにタンク140aに保存されるイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、配管Q4を通り高圧ポンプ140bにより吸入され、イソシアネート硫酸バリウム混合液体の高圧化工程S24において高圧化される。このように高圧化されるイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、スプレーガンへの吐出工程S25において、高圧ポンプ140bによって、高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体として、ホースQ5を介し噴霧装置150に吐出される。
【0107】
上述のように各高圧ポンプによるスプレーへの吐出工程S15、S25の処理がなされると、上述のように高圧ポンプ120bからスプレー150に吐出される高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体は、ガン本体150aの上側通路153の基端側通路部153a内に圧送される。一方、上述のように高圧ポンプ140bからスプレーガン150に吐出される高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、ガン本体150aの下側通路154の基端側通路部154a内に圧送される。
【0108】
現段階では、ガン本体150aの上側弁部及び下側弁部が共に閉弁されている。これに伴い、基端側通路部153a内に圧送される高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体は、分岐路部153f、ホースP6、逆止弁120c及び配管P7を介し配管P3に戻る。一方、基端側通路部154a内に圧送される高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体は、分岐路部154f、ホースQ6、逆止弁140c及び配管Q7を介し配管Q3に戻る。これにより、スプレー150の噴霧による塗布に必要な準備が整う。
【0109】
このような状態において、次のスプレーによる噴霧工程S6の処理がなされる。まず、作業者が、その片手によりスプレー150の把手152を把持する。ついで、当該作業者は、スプレー150を、そのノズル150cにて被塗布部材Mである吸音層50に対向するように維持する。
【0110】
然る後、作業者がその片手の指をスプレー150のレバー155にかけて引くと、当該レバー155は、その基端部155aを支点として後方へ傾動する。このようなレバー155の後方への傾動に伴い、上側弁体156が、後方へ移動し、弁体部156aにて、環状弁座部153eから分離して上側弁部を開くとともに、下側弁体157が、後方へ移動し、弁体部157aにて、環状弁座部154eから分離して下側弁部を開く。
【0111】
このように上側弁部及び下側弁部が共に開くと、上側通路153の基端側通路部153a内の高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体が、中側通路部153b、環状弁座部153e及び先端側通路部153eを通り混合器150c内にその上記後側開孔部を通して圧送されるとともに、下側通路154の基端側通路部154a内の高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体が、中側通路部154b、環状弁座部154e及び先端側通路部153eを通り混合器150c内にその後側開孔部を通して圧送される。
【0112】
かくして、高圧のポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧のイソシアネート硫酸バリウム混合液体が、混合器150bによりその内部にて一様に混合されて、噴霧用混合液体として、ノズル150cから被吐出部材Mである吸音層50の後面に噴霧される。ここで、作業者が、噴霧用混合液体を、吸音層50の全面に亘り、所定の厚さとなるように噴霧すべく、スプレー150を移動する。このようにして、噴霧用混合液体が、吸音層50の後面の全体に亘る噴霧でもって塗布される。
【0113】
これに伴い、塗布してなる混合噴霧液体からなる層が、硬化することで、遮音層60として吸音層50に接着形成される。
【0114】
以上述べたように、遮音層60が上述のような塗布により吸音層50に沿い接着形成されることで、ダッシュサイレンサーDSの形成が完了する。
【0115】
上述のようにダッシュサイレンサーDSの形成を完了した後、当該自動車においてエンジンEがその作動に伴いエンジン音を発生すると、当該エンジン音は、騒音として、ダッシュパネル30を通り、ダッシュサイレンサーDSに入射する。すると、当該騒音は、吸音層50により吸音された後遮音層60に入射する。これに伴い、吸音層50からの騒音は、遮音層60により遮音される。
【0116】
上述したように、本実施形態においては、遮音層60の形成にあたり、ポリオール硫酸バリウム混合液体及びイソシアネート硫酸バリウム混合液体を、ウレタン樹脂の原料として、別々に準備する。ついで、これらポリオール硫酸バリウム混合液体及びイソシアネート硫酸バリウム混合液体を、高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体として噴霧装置150に圧送する。
【0117】
その後、当該高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体を噴霧装置150により一様に混合して被塗布部材Mである吸音層50に噴霧して塗布することで、遮音層60として吸音層50に接着形成するようにした。従って、遮音層60が、その形成と同時に、吸音層50に積層され得る。
【0118】
ここで、上述のごとく、ポリオール硫酸バリウム混合液体における液体状ポリオール及び粉体状硫酸バリウムの各混合量は、それぞれ、40(wt%)及び60(wt%)であり、同様に、イソシアネート硫酸バリウム混合液体における液体状イソシアネート及び粉体状硫酸バリウムの各混合量も、それぞれ、40(wt%)及び60(wt%)である。これにより、ポリオール硫酸バリウム混合液体及びイソシアネート硫酸バリウム混合液体の各重量は、適正に確保されている。
【0119】
従って、高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体が噴霧装置150により混合されて吸音層50に噴霧されることで、当該ポリオール硫酸バリウム混合液体とイソシアネート硫酸バリウム混合液体との混合液体が、イソシアネートの硬化剤としての硬化作用のもとに、硬化して、適正なウレタン樹脂となり、それによって、遮音層60として吸音層50に接着形成される。このことは、遮音層60が、その形成と同時に、吸音層50に積層されることを意味する。従って、ダッシュサイレンサーDSの形成のための作業効率が著しく改善され得る。
【0120】
ここで、高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体を予め混合してなる混合液体を噴霧装置150に圧送するのではなく、当該高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体を別々に噴霧装置150に圧送して、当該噴霧装置150自身により高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体を混合しながら噴霧する。かくして、高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体の混合とこの混合のもとにおける液体の噴霧とが、噴霧装置150により、相互に時間をおくことなく連続して行われる。
【0121】
これに伴い、高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体の混合液体が、吸音層50に対する噴霧により塗布完了までの間に、硬化することなく優れた流動性を維持し得る。このことは、上述した噴霧による塗布が正常に行われて、遮音層60を形成するウレタン樹脂の生成が適正に達成され得ることを意味する。
【0122】
また、高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体及び高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体からなる混合液体を、噴霧装置150による噴霧で行うようにした。このため、手作業により遮音層60を吸音層50に積層するというような面倒な作業を伴うことがない。
【0123】
また、このように噴霧装置150の噴霧による塗布が行われる。従って、遮音層50は薄くても正常に形成され得る。
【0124】
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられ得る。
(1)本発明の実施にあたり、上記実施形態にて述べた高圧ポンプ120b或いは140bに代えて、例えば、油圧シリンダーを採用し、当該油圧シリンダーにより、タンク120aからのポリオール硫酸バリウム混合液体或いはタンク140aからのイソシアネート硫酸バリウム混合液体を高圧化し、高圧ポリオール硫酸バリウム混合液体或いは高圧イソシアネート硫酸バリウム混合液体として噴霧装置150に吐出するようにしてもよい。
(2)本発明の実施にあたり、硫酸バリウムのポリオールに対する混合量は、硫酸バリウムのイソシアネートに対する混合量とは、上記実施形態にて述べたように同一でなくてもよい。例えば、硫酸バリウムのポリオールに対する混合量を多くして硫酸バリウムのイソシアネートに対する混合量を少なくするようにしてもよく、また、両混合量をその逆にしてもよく、両混合量の一方を2倍にして他方の混合量を零にしてもよい。要するに、ポリオール硫酸バリウムの混合液体及びイソシアネート硫酸バリウム混合液体の双方における硫酸バリウムの量の総和が所定の量であるとともに、噴霧装置150への高圧ポンプ120bや140bからのポリオール硫酸バリウムの混合液体やイソシアネート硫酸バリウム混合液体が適正な流動性を維持できる限り、上述した両混合量は、どのように変えても構わない。
(3)本発明の実施にあたり、充填材は、硫酸バリウムに代えて、炭酸カルシウムであってもよい。また、液状のポリオールに混合される充填材が硫酸バリウムであり、液状のイソシアネートに混合される充填材は炭酸カルシウムであってもよい。
(4)本発明の実施にあたり、上記実施形態にて述べたポリオール硫酸バリウム混合液体及びイソシアネート硫酸バリウム混合液体を、ウレタン樹脂の原料として、別々に準備して各タンク120a、140aに保存しておき、当該タンク120a内のポリオール硫酸バリウム混合液体及びタンク140a内のイソシアネート硫酸バリウム混合液体を、それぞれ、各高圧ポンプ120b、140bにより高圧化しながら噴霧装置150に圧送するようにして、各撹拌装置110c、130cを廃止するようにしてもよい。
(5)本発明の実施にあたり、ポリオール、イソシアネート及び硫酸バリウムを混合することにより準備される混合液体を噴霧用混合液体として吸音層の面に沿いスプレーにより噴霧することにより層状に塗布する塗布工程を備えて、当該塗布工程において、噴霧用混合液体を、その噴霧による塗布に伴う硬化に応じて、ウレタン樹脂からなる遮音層として、吸音層の面に接着形成するようにしてもよい。
(6)本発明の実施にあたり、上記実施形態にて述べた吸音層40の形成材料は、上記実施形態にて述べたフェルトに限ることなく、PETやウール等の有機繊維、グラスウール等の無機繊維の構造材料或いはウレタンフォーム等の多孔質合成樹脂材料であってもよい。
(7)本発明の実施にあたり、ダッシュサイレンサーに限ることなく、各種の自動車用サイレンサーやその他の防音体に本発明を適用してもよい。



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】