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  • 特表-抗不整脈薬物組成物および製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】抗不整脈薬物組成物および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/472 20060101AFI20230606BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230606BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230606BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61K31/472
A61P9/06
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/04
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558472
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2021079508
(87)【国際公開番号】W WO2021196982
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010246916.0
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520199967
【氏名又は名称】江蘇康縁薬業股▲ぶん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100162765
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 綾
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フゥイ
(72)【発明者】
【氏名】グオ チンミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヂェンヂョン
(72)【発明者】
【氏名】ホー シャオリィェン
(72)【発明者】
【氏名】ドン シュエホン
(72)【発明者】
【氏名】ワン イェンチィゥ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC11
4C076DD28C
4C076DD29C
4C076DD41C
4C076DD45C
4C076DD67
4C076EE16
4C076EE16B
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE32B
4C076EE33
4C076EE33B
4C076EE38
4C076EE38B
4C076EE53C
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF36
4C076GG05
4C076GG12
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC30
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA38
(57)【要約】
本発明は、抗不整脈医薬組成物であって、1-(3-メタンスルホアミドベンジル)-6-メトキシ,7-ベンジルオキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンまたはその薬学的に許容される塩を含む活性成分と、組成物の総重量に対する30%~80%のラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンを含む添加剤と、を含むことを特徴とする。この組成物は、良好な溶出効果を備え、安定性に優れ、臨床により良く応用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗不整脈医薬組成物であって、
1-(3-メタンスルホアミドベンジル)-6-メトキシ,7-ベンジルオキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンまたはその薬学的に許容される塩を含む活性成分と、
組成物の総重量に対する30%~80%のラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンを含む添加剤と、を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項2】
前記ラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンは、組成物の総重量の40%~60%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンの重量比は、1:1.8~2.2:0.9~1.1であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物は、崩壊剤をさらに含み、
前記崩壊剤は、カルボキシメチルデンプンナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、およびクロスポビドンから選択される少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記崩壊剤の含有量は、組成物の総重量に対する1%~30%、好ましくは2.5%~4%であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物は、潤滑剤をさらに含み、
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセロール、ラウリル硫酸ナトリウム、水素化植物油、微粉シリカゲル、タルク粉、およびコロイダルシリカから選択される少なくとも1種類であり、好ましくは、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイダルシリカの少なくとも1種類であり、
前記潤滑剤の含有量は、組成物の総重量に対する0.5%~5%、好ましくは0.7%であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物は、前記活性成分と前記添加剤とを混合造粒して乾燥工程を経た後に得られる、顆粒剤、錠剤、またはカプセル剤であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、接着剤をさらに含み、
前記接着剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、およびメチルセルロースから選択される少なくとも1種類であり、前記接着剤の含有量は、組成物の総重量に対する0.5%~10%、好ましくは1.25%であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の医薬組成物の製造方法であって、
a)活性成分をラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンと混合して篩にかけることと、
b)湿式造粒を行うことと、
c)動的乾燥することと、
d)整粒して総混合することと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記医薬組成物が錠剤である場合、
重量比43.6:13.2:26.4:13.2部で、1-(3-メタンスルホアミドベンジル)-6-メトキシ,7-ベンジルオキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン酸塩、ラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンを秤量して均一に混合した後に、80メッシュの篩にかけることと、
3%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの75%エタノール溶液を添加して軟材を製造し、20メッシュの篩にかけて造粒することと、
熱風循環オーブンを用いて、50℃で送風乾燥することと、
20メッシュの篩を用いて整粒することと、
整粒後の乾燥粒子に、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム2.9部とステアリン酸マグネシウム0.7部を添加して混合することと、
打錠することと、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤の分野に属し、より具体的には、抗不整脈医薬組成物および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
突発性心臓死(SCD)は、心臓血管疾患による死亡の主な原因の一つである。SCDの起因は心筋電気生理不安定による規則正しい心拍数の消失であり、最も深刻なのは心室頻拍(VT、ventricular tachycardia)と心室細動(VF、vetricalar fibrillation)である。
【0003】
特許文献であるZL200710181295.7には、1-(3-メタンスルホアミドベンジル)-6-メトキシ,7-ベンジルオキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(以下、化合物Aと略称する)またはその塩が開示されており、III群抗不整脈薬として知られており、活動電位持続時間を延長し、心室頻拍および心室細動に有効であるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、安定性が良好でありながら、溶出が迅速な抗不整脈医薬組成物およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明に係る医薬組成物であって、
1-(3-メタンスルホアミドベンジル)-6-メトキシ,7-ベンジルオキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンまたはその薬学的に許容される塩を含む活性成分と、
組成物の総重量に対する30%~80%のラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンを含む添加剤と、を含む。
【0006】
さらに、前記ラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンは、組成物の総重量の40%~60%を占める。
【0007】
好ましくは、前記ラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンの重量比は、1:1.8~2.2:0.9~1.1であり、好ましくは、1:1.9~2.1:0.9~1.1である。より好ましくは、1:2:1である。
【0008】
さらに、前記医薬組成物は、崩壊剤をさらに含み、
前記崩壊剤は、カルボキシメチルデンプンナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、およびクロスポビドンから選択される少なくとも1種類である。
【0009】
さらに、前記崩壊剤の含有量は、組成物の総重量に対する1%~30%、好ましくは2~20wt%、より好ましくは2.5%~4%である。
【0010】
さらに、前記医薬組成物は、潤滑剤をさらに含み、
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセロール、ラウリル硫酸ナトリウム、水素化植物油、微粉シリカゲル、タルク粉、およびコロイダルシリカから選択される少なくとも1種類であり、好ましくは、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイダルシリカの少なくとも1種類である。
【0011】
具体的には、前記潤滑剤の含有量は、組成物の総重量に対する0.5%~5%、好ましくは0.7%である。
【0012】
具体的には、前記医薬組成物は、前記活性成分と前記添加剤とを混合造粒して乾燥工程を経た後に得られる、顆粒剤、錠剤、またはカプセル剤であってもよい。
【0013】
さらに、前記活性成分の含有量は、組成物の総重量に対する5%~70%であり、好ましくは10%~50%であり、より好ましくは20~45%である。前記医薬組成物が錠剤である場合、1錠当たりの活性成分の含有量は、0.1~1000mgであり、好ましくは10~500mgであり、より好ましくは50~300mgであり、さらに好ましくは100mgである。
【0014】
さらに、前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩またはリン酸塩であってもよい。
【0015】
さらに、前記医薬組成物は、接着剤をさらに含み、
前記接着剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、およびメチルセルロースから選択される少なくとも1種類であり、前記接着剤の含有量は、組成物の総重量に対する0.5%~10%、好ましくは0.9%である。
【0016】
より好ましくは、前記医薬組成物の処方重量比は、以下の通りである。
成分 使用量
化合物B 43.6
ラクトース 13.2
微結晶セルロース 26.4
プレゲル化デンプン 13.2
架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.9
【0017】
ここで、化合物Bは、化合物Aのリン酸塩である。
【0018】
また、本発明は、前記のいずれか1項に記載の医薬組成物の抗不整脈における用途である。
【0019】
また、本発明は、前記医薬組成物の製造方法であって、
e)活性成分をラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンと混合して篩にかけることと、
f)湿式造粒を行うことと、
g)乾燥することと、
h)整粒して総混合することと、を含む。
【0020】
具体的には、前記乾燥は、静的乾燥または流動化乾燥を用いる。
【0021】
具体的には、前記造粒方式は、高速剪断造粒法または流動層床噴霧造粒法を用いる。
【0022】
さらに、前記医薬組成物が錠剤である場合、前記方法は、
重量比43.6:13.2:26.4:13.2部で、1-(3-メタンスルホアミドベンジル)-6-メトキシ,7-ベンジルオキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン酸塩、ラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンを秤量して均一に混合した後に、80メッシュの篩にかけることと、
3%のヒドロキシプロピルメチルセルロースの75%エタノール溶液を添加して軟材を製造し、20メッシュの篩にかけて造粒することと、
熱風循環オーブンを用いて、50℃で送風乾燥することと、
20メッシュの篩を用いて整粒することと、
整粒後の乾燥粒子に、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム2.9部とステアリン酸マグネシウム0.7部を添加して混合することと、
打錠することと、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、各添加剤の種類と使用量の配合比をスクリーニングし、最終的に溶出が速く、安定性が良い医薬組成物が得られる。前記医薬組成物中の活性成分の溶出度(%)は、0.01mol/L塩酸の溶液媒体の条件下で、30minで80%以上に達する。また、この医薬組成物の製造プロセスは簡単であり、より大量生産プロセスに適している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る医薬組成物の水を溶出媒体とする溶出曲線である。
図2】本発明に係る医薬組成物の0.01mol/L塩酸を溶出媒体とする溶出曲線である。
図3】本発明に係る医薬組成物のpH4.0酢酸緩衝塩を溶出媒体とする溶出曲線である。
図4】本発明に係る医薬組成物のpH6.8リン酸緩衝塩を溶出媒体とする溶出曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
研究により、化合物Aおよびその塩を医薬組成物に調製する際、湿度と熱度のある条件下では薬物が分解され、同時に医薬組成物の吸湿により薬物溶出度が低下し、製剤工業での大量生産に困難をもたらすことが分かった。これに基づいて、本発明は、安定性が良好でありながら溶出が迅速な抗不整脈医薬組成物およびその製造方法を提供する。
【0026】
本発明を以下の実施例および試験例に基づいてより具体的に説明する。これらの実施例および試験例は説明する目的のためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するために使用されない。
【実施例
【0027】
1.充填剤の種類の選択
化合物Aのリン酸塩(以下、化合物Bと略称する)、ラクトース、微結晶セルロース、プレゲル化デンプンを、表1中の割合に従って湿法で造粒し、3%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(50cp)60%エタノール溶液を接着剤として造粒、乾燥処理を行った。その後、乾燥粒子(水分3%未満)を整粒し、さらに処方量の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとステアリン酸マグネシウムを添加して均一に混合した後、1錠当たりに化合物B100mgを含む標準で打錠した。ここで、溶出度は、中国薬局方2015版4部付録0931における溶出度測定第2法(パドル法)による1000mlの0.01mol/L塩酸溶液を用いた溶出度測定(以下同じ)に基づいて測定した。
【0028】
表1 充填剤の種類の考察
【表1】
【0029】
結論:処方1~処方6の中で、ラクトース-微結晶粒子とラクトース-プレゲル化デンプンの造粒は硬すぎて、粒子微粉量は少なく、錠剤の外観に影響した。ラクトース-微結晶粒子は、崩壊が速く溶出度が良いが、付着した。ラクトース-プレゲル化デンプン粒子は、崩壊が遅く、ラクトース使用量の増加に伴い溶出度が増加したが、付着した。処方7~処方9では、微結晶-プレゲル化デンプンは、崩壊が速く、付着しなかったが、微粉量が多かった。そこで、次にラクトース、微結晶セルロースおよびプレゲル化デンプンの異なる割合が、錠剤の成形性および溶出度に与える影響を考察した。
【0030】
2.充填剤の割合の選択
化合物B、ラクトース、微結晶セルロース、プレゲル化デンプンを、表2に示す割合に従って湿法で造粒し、3%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(50cp)60%エタノール溶液を接着剤として造粒、乾燥処理を行った。その後、乾燥粒子(水分3%未満)を整粒し、さらに処方量の架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとステアリン酸マグネシウムを添加して均一に混合した後、1錠当たりに化合物A100mgを含む標準で打錠した。
【0031】
表2 充填剤の異なる割合の考察
【表2】
【0032】
結論:処方10および処方11は、ラクトース含有量が高く、得られた錠剤粒子が硬く、錠剤面が粗かった。処方12~処方13の粒子は均一で、錠剤面が平らで滑らかだった。処方12は、プレゲル化デンプンの割合が大きく、崩壊と溶出に影響したため、溶出度が高くなっており、処方12が好ましい。
【0033】
3.崩壊剤の種類の考察
化合物B、ラクトース、微結晶セルロース、プレゲル化デンプンを、表3に示す割合に従って湿法で造粒し、3%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(50cp)75%エタノール溶液を接着剤として造粒、乾燥処理を行った。その後、乾燥粒子(水分3%未満)を整粒し、さらに表3に示す、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム/カルボキシメチルスターチナトリウム/クロスポビドンとステアリン酸マグネシウムを添加して均一に混合した後、1錠当たりに化合物A100mgを含む標準で打錠した。
【0034】
表3 崩壊剤の考察
【表3】
【0035】
結論:粒子性状、溶出現象および溶出度の結果から見ると、処方14が好ましい。崩壊剤を決定した上で、充填剤の使用量をさらにスクリーニングした。
【0036】
4.充填剤の使用量の選択
化合物B、ラクトース、微結晶セルロース、プレゲル化デンプンを、表4に示す割合に従って湿法で造粒し、3%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(50cp)75%エタノール溶液を接着剤として造粒、乾燥処理を行った。その後、乾燥粒子(水分3%未満)を整粒し、さらに架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとステアリン酸マグネシウムを添加して均一に混合した後、1錠当たりに化合物A100mgを含む標準で打錠した。
【0037】
表4 充填剤の使用量の選択
【表4】
【0038】
結果:粒子性状、溶出現象および溶出度の結果から見ると、処方14が好ましい。
【0039】
処方14と処方19に従って、それぞれ2ロットのサンプルを調製し、各ロット500錠を、高温(60℃)、高湿(75%RH)または光照射(4500Lx)の条件下で30日間放置した。影響因子試験の試験結果では、高温または光照射の条件下では、処方14と処方19の溶出度、関連物質および含有量に、明らかな変化はなかった。しかし、高湿条件下において、処方14と比較して、処方19の錠剤の外観は、やや膨張しており、その溶出度は明らかに低下していた。
【0040】
結論:上記処方スクリーニングおよび影響因子試験により、処方14の粒子の流動性、錠剤の外観、溶出現象、溶出度、および安定性が比較的良いため、処方14を好ましい処方と確定した。
【0041】
事前に決定した処方14に基づいて、ロット番号:ロットA、ロットB、ロットCの3つのロットの化合物B錠を調製し、各ロット3000錠について、品質研究を行った。製剤の品質研究を終えた後、続いてロット番号:ロット1、ロット2、ロット3の3つのロットの化合物B錠を調製し、各ロット10000錠について、安定性研究を行った。
【0042】
5.処方および調製工程
処方:
成分 使用量
化合物B 43.6
ラクトース 13.2
微結晶セルロース 26.4
プレゲル化デンプン 13.2
架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.9
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
ステアリン酸マグネシウム 0.7
合計 100
単位:質量%
【0043】
調製工程:
(I)前処理
化合物B、ラクトース、微結晶セルロース、およびプレゲル化デンプンを均一に混合した後、80メッシュの篩にかけて、準備物とした。
【0044】
(II)造粒
前処理された原添加剤を、3%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(50cp)の75%エタノール溶液に添加して軟材を製造し、20メッシュの篩にかけて造粒した。
【0045】
(III)乾燥
熱風循環オーブンを用いて、50℃で送風乾燥し、30分ごとに粒子をひっくり返した。高速水分測定器を用いて粒子水分を測定し、水分が2.0%~3.0%になる時、乾燥を終了し、材料を収集した。
【0046】
(IV)整粒
20メッシュの篩にかけて整粒した。
【0047】
(V)総混合
整粒後の乾燥粒子に、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムとステアリン酸マグネシウムを添加して、材料バッグで5分間混合した。
【0048】
(VI)打錠
13mm×6.5mmの楕円形金型打錠機を用いて、錠剤の重量制御:重量差異は±5.0%に制御し、脆性破砕度は0.7%未満となるように制御した。
【0049】
(VII)コーティング
コーティングによる重量増加は約3%であった。
【0050】
(VIII)白プラスチックボトル包装
電磁誘導アルミニウム箔封止機で封止し、アルミニウムで密封して、清潔な見た目とした。
【0051】
6.品質検査データ
上記工程に基づき、3つのロットのパイロットプラントサンプルを調製した。各ロット1万錠についての主な検査項目を表5に示す。
【0052】
表5 化合物B錠の主な項目の検査結果
【表5】
【0053】
3つのロットのサンプル検査の主要項目の結果から見ると、本品の工程は比較的安定していた。
【0054】
7.製剤の関連特性
(1)溶出曲線
中国薬局方2015版4部付録0931における溶出度測定第2法(パドル法)に基づき溶出度測定を行った。1000mlの0.01mol/L塩酸溶液、pH4.0酢酸緩衝塩、pH6.8リン酸緩衝塩、または水のそれぞれを溶出媒体として、37.0±0.5℃、50rpmのパドル速度で溶出試験を行った。異なる溶出媒体中の4つのロットの製剤の溶出曲線を比較した。
【0055】
4種類の溶出媒体の溶出曲線図を添付した。本品は、0.01mol/L塩酸溶液、pH4.0酢酸緩衝塩、またはpH6.8リン酸緩衝塩を溶出媒体とすると15分で85%以上溶出し、水を溶出媒体としても15分で85%近く溶出した。
【0056】
(2)関連物質
3つのロットの関連物質の検査結果を表6に示す。
【0057】
表6 3つのロットの化合物B錠の関連物質の測定結果
【表6】
【0058】
本品の原料の性質は、比較的に安定しており、製剤中の原料と添加剤の相溶性は比較的良く、単一不純物は0.1%を超えておらず、3つのロットの製剤の関連物質はすべて規定に適合している。
【0059】
(3)安定性
(I)影響因子試験
ロット番号:ロット1、ロット量:1万錠、仕様:0.1g、包装:経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル。
【0060】
表7 影響試験の考察結果
【表7】
【0061】
結論:化合物B錠の高温、高湿、光照射の条件下での0、5、10、30日間の試験結果:サンプルの性状、関連物質、溶出度、含有量は、0日と比べて顕著な変化がなかった。
【0062】
(II)加速試験
ロット番号:ロット1、ロット量:1万錠、仕様:0.1g、包装:経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル、考察条件:40℃±2℃、RH75%±5%。
【0063】
表8 加速安定性考察-ロット1
【表8】
【0064】
ロット番号:ロット2、ロット量:1万錠、仕様:0.1g、包装:経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル、考察条件:40℃±2℃、RH75%±5%。
【0065】
表9 加速安定性考察-ロット2
【表9】
【0066】
ロット番号:ロット3、ロット量:1万錠、仕様:0.1g、包装:経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル、考察条件:40℃±2℃、RH75%±5%。
【0067】
表10 加速安定性考察-ロット3
【表10】
【0068】
まとめ:化合物B錠の3つのロットサンプルの6ヶ月間の安定性試験の結果:本品の性状、関連物質、溶出度、および含有量は、0月と比べて、各検査指標は明らかな変化が見られず、本品の加速安定性試験の結果が良好であることを示した。
【0069】
(III)長期試験
ロット番号:ロット1、ロット量:1万錠、仕様:0.1g、包装:経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル、考察条件:30℃±2℃、RH65%±5%。
【0070】
表11 長期安定性考察-ロット1
【表11】
【0071】
ロット番号:ロット2、ロット量:1万錠、仕様:0.1g、包装:経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル、考察条件:30℃±2℃、RH65%±5%。
【0072】
表12 長期安定性考察-ロット2
【表12】
【0073】
ロット番号:ロット3、ロット量:1万錠、仕様:0.1g、包装:経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル、考察条件:30℃±2℃、RH65%±5%。
【0074】
表13 長期安定性考察-ロット3
【表13】
【0075】
まとめ:化合物B錠の3つのロットサンプルの長期12ヶ月安定性試験の結果:本品の性状、関連物質、溶出度、および含有量は、0月と比べて、各検査指標は明らかな変化が見られず、本品の長期安定性試験の結果が良好であることを示した。
【0076】
結論:本発明の化合物B錠の3つのロットサンプルの加速6ケ月および長期12ケ月の安定性試験により、本品は、既定した包装条件下(経口固体薬用高密度ポリエチレンボトル)で密封保存すると、サンプルの安定性を良好に保証できることが示された。
【0077】
なお、当業者は、本明細書の内容を参考にして、プロセスパラメータを適切に改善することができ、すべての類似した置換および変更は当業者にとって明らかであり、それらは本発明に含まれるものと見なされる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】