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特表2023-524639患者特異的免疫療法用細胞の製造調整システム及び調整方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】患者特異的免疫療法用細胞の製造調整システム及び調整方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20230606BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 35/13 20150101ALI20230606BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230606BHJP
   C07K 14/55 20060101ALN20230606BHJP
   C07K 16/10 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
C12Q1/02
A61K35/13
A61K35/17
C07K14/55
C07K16/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562933
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021028709
(87)【国際公開番号】W WO2021216920
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/155,711
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/013,942
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/159,806
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】519006377
【氏名又は名称】アイオバンス バイオセラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,アン
(72)【発明者】
【氏名】マクリデス,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ランツィ,クリスティン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ05
4B063QQ08
4B063QR72
4B063QR74
4B063QR77
4B063QR90
4B063QS36
4B063QS40
4B063QX01
4B065AA94X
4B065AC20
4B065BC50
4B065BD50
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB63
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA04
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
患者向け増殖細胞療法製剤の製造の調整方法は、上記患者向けの上記細胞療法製剤を増殖させるための細胞注文を受信することと;上記細胞注文に関連する患者固有の識別子または細胞注文識別子を作成することと;上記患者から得られた固形腫瘍の少なくとも一部から上記細胞療法製剤を増殖させるためのプロセスを開始することとを含んでいてもよい。上記増殖プロセスにおける第1の時点の後の第2の時点において、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たさない場合には、上記第2の時点における受け入れパラメータに基いて、上記第1の時点から、細胞増殖技法を使用して上記細胞療法製剤の増殖を再実施するかどうかが判定される。上記増殖のかかる再実施が可能な場合には、上記増殖細胞療法製剤を使用した患者の治療イベントが計画変更される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腫瘍から得られた細胞集団を細胞療法製剤へと増殖させることによる前記細胞療法製剤の製造方法であって、
計算装置によって、前記患者向けに前記細胞集団を増殖させるための細胞注文を受信することと、
前記計算装置によって、前記細胞注文に関連する患者固有の識別子を含む細胞注文識別子を作成することと、
前記細胞療法製剤を製造するためのプロセスを開始することであり、前記プロセスが
製造施設において前記細胞集団を受け入れた後に、前記計算装置によって、その後に得られる増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータに応じて、患者の治療イベントを動的に計画立案することと、
前記得られた細胞集団の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して細胞療法製剤の増殖を開始すること、及び前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、細胞療法の第1の増殖を完了することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記計算装置によって、臨床上決定された、前記患者における前記増殖細胞療法製剤の注入と、前記患者における前記増殖細胞療法製剤の注入の前または後の患者の治療イベントとの間の時間の間隔に基づいて、前記患者の治療イベントを計画変更すること、及び後続の細胞療法製剤の増殖を完了することと
を含む前記プロセスを開始することと
を含む前記方法。
【請求項2】
患者の腫瘍から得られた細胞集団を細胞療法製剤へと増殖させることによる前記細胞療法製剤の製造方法であって、
前記患者向けに前記細胞療法製剤を製造するための細胞注文に基づいて、製造施設において前記患者由来の細胞集団を受け入れることと、
計算装置によって、前記細胞注文に関連する患者固有の識別子を含む細胞注文識別子を作成することと、
前記細胞療法製剤を製造するためのプロセスを開始することであり、前記プロセスが、
前記製造施設において前記細胞集団を受け入れた後に、前記計算装置によって、患者の治療イベントをスケジュール化することと、
前記細胞集団の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して細胞療法製剤の増殖を開始すること、ならびに第1の時点及び前記第1の時点の後の第2の時点で前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが対応する時点に関連する受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記第1の時点における前記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、得られた細胞療法製剤の少なくとも一部から、前記細胞増殖技法を使用して、前記細胞療法製剤の増殖を前記第2の時点まで継続することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記第2の時点における前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、
前記細胞療法製剤の増殖を、前記細胞増殖技法を使用して前記第1の時点から再実施することが、前記第2の時点における受け入れパラメータに基づいて実現可能であるかどうかを判定することと、
前記再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、前記第2の時点で得られた細胞療法製剤の少なくとも一部から、前記細胞増殖技法を使用して前記細胞療法製剤の増殖を再実施して、前記細胞療法製剤を得ることと、
前記計算装置によって、前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖の再実施後の前記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることと、
前記計算装置によって、見積られた前記細胞療法製剤の増殖の完了時間及び前記患者における前記増殖細胞療法製剤の注入の前または後の患者の治療イベントのタイミングに基づいて、前記患者の治療イベントを計画変更すること、及び後続の、前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖を完了することと
を含む前記プロセスを開始することと
を含む前記方法。
【請求項3】
前記細胞療法製剤がT細胞を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞療法製剤が腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の治療イベントが、入院期間、切除日、リンパ球除去日、前記患者に前記細胞療法製剤を注入する注入日、及びIL-2処置日のうちの1つ以上を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすかどうかを判定することが、前記第1及び第2の時点を含む、前記得られた細胞療法製剤の増殖の開始後の複数の時点における、前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記患者の治療イベントを計画変更することが、前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記患者の治療イベントを計画変更することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の治療イベントを計画変更することが、前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記患者の治療イベントを打ち切ることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記細胞療法製剤の後続の増殖を打ち切る、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上の測定を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記細胞増殖技法が急速増殖ステップを含み、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記急速増殖ステップの前の受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、前記増殖細胞療法製剤の製造の完了より前の日でリンパ球除去日を計画立案すること、前記増殖細胞療法製剤の製造の完了後の日に注入日を計画立案すること、及び前記注入日の後にIL-2処置日を計画立案することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で前記細胞療法製剤を培養することを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖の再実施後の前記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることが、前記第2の時点での受け入れパラメータ、及び前記第1の時点から前記細胞療法製剤の増殖を再実施するために使用される細胞集団に関連する受け入れパラメータの一方または両方に基づいて、前記第1の時点から増殖プロセスを完了するのに必要な時間を決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~2のいずれか1項に記載の方法であって、
前記細胞療法製剤を増殖させるための前記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
前記細胞注文を受信したところで、前記患者固有の識別子及び前記細胞注文識別子の一方または両方を含む、前記患者に関連する前記細胞注文を受信したことの確認を前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む前記方法。
【請求項15】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記細胞療法製剤の増殖中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、前記第1及び第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、前記細胞増殖技法及び前記細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者の治療イベントを計画変更したところで、前記患者固有の識別子に関連する前記患者の治療イベントの更新されたスケジュールを前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記完了時間に基づいて、前記患者固有の識別子に関連する集荷依頼をロジスティックスインターフェースに送信することと、
前記完了時間に基づいて、前記患者固有の識別子に関連する前記患者の治療イベントのスケジュールを病院側インターフェースに送信することと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖の再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、
前記計算装置によって、前記患者固有の識別子から前記細胞注文識別子を分離することと、
前記計算装置によって、前記細胞注文に関連する新たな細胞注文識別子を作成すること、及び前記新たな細胞注文識別子を前記患者固有の識別子と関連付けることと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記細胞療法製剤を増殖させるための前記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
前記新たな細胞注文識別子及び前記細胞療法製剤の増殖の見積もられた完了時間を含む前記患者固有の識別子を前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、前記方法。
【請求項20】
前記計算装置によって、前記患者の治療イベントの前記計画変更に基づいて、前記患者の治療イベントに関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールを作成することと、
出荷及びロジスティックスイベントの計画変更に基づいて、前記新たな細胞注文識別子を含む前記患者固有の識別子に関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールをロジスティックスインターフェースに送信することと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかの判定が行われる各時点で、前記計算装置によって、それぞれ個々の時点に対応するフィールドを含む前記新たな細胞注文識別子及び前記判定の結果を、前記患者固有の識別子と関連付けることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記計画立案することが、前記計算装置によって、前記新たな細胞注文識別子を含む前記患者固有の識別子に基づいて前記患者の治療イベントを計画立案することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記再実施することが可能ではないとの判定に呼応して、前記計算装置によって、前記第2の時点の後に計画立案された前記患者の治療イベントを取り消すことをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記患者の治療イベントの取り消しを病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに送信することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記再実施することが実現可能でないとの判定に呼応して、前記増殖細胞療法製剤を廃棄すること、及び前記患者固有の識別子を前記細胞注文識別子から分離することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記計画変更された患者の治療イベントに従って、請求項1に記載の方法によって得られた増殖細胞療法製剤による前記患者の治療方法。
【請求項27】
ある患者向けの細胞療法製剤の製造方法であって、
計算装置において、前記患者向けの前記細胞療法製剤を製造するための細胞注文、複数の製造施設における前記細胞療法製剤を製造するための製造スロットであり、それぞれの製造施設向けの前記製造スロットが、前記それぞれの製造施設に関連する製造業者のコンピュータサブシステムから前記計算装置で受信される前記製造スロット、及び前記細胞療法製剤で前記患者を治療するための患者の治療イベントの仮スケジュールを受信することと、
前記計算装置によって、前記患者の治療イベントの前記仮スケジュールに基づいて、前記細胞療法製剤を製造するための複数の利用可能な製造スロットを決定すること、及びそれらを計画立案ユーザーインターフェースに表示することと、
前記利用可能な製造スロットの1つを選択した後に、医療施設において、前記患者の治療イベントの前記仮スケジュール及び前記利用可能な製造スロットに従って、前記患者から固形腫瘍を得るための処置を前記患者に実施することと、
得られた固形腫瘍を、前記利用可能な製造スロットに従って、前記利用可能な製造スロットに対応する製造施設に移送することと、
前記得られた固形腫瘍を前記製造施設において受け入れたところで、前記得られた固形腫瘍の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して前記細胞療法製剤の製造を開始することと、
前記細胞療法製剤の製造中に、第1の時点及び前記第1の時点の後の第2の時点において、製造された前記細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定し、且つ前記受け入れパラメータが対応する時点に関連する受け入れ基準であり、前記対応する時点に関連するアッセイの結果に基づいて決定される前記受け入れ基準を満たすかどうか判定することと、
前記計算装置によって、前記細胞療法製剤の製造のための製造スケジュール、前記製造施設に対応する製造スロット、及び前記患者の治療イベントの前記仮スケジュールを、前記第1及び第2の時点の一方または両方における前記受け入れ基準を満たすかどうかに基づいて修正することと、
前記第1及び第2の時点における前記受け入れ基準を満たす場合に、修正された製造スケジュールに従って、前記細胞療法製剤の製造を完了することと
を含む前記方法。
【請求項28】
前記製造された細胞療法製剤を前記医療施設に移送することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞注文を受信したところで、前記計算装置によって、前記患者及び前記細胞注文に関連する患者固有の識別子を作成することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記計算装置によって、前記患者固有の識別子、前記細胞注文、前記製造スロット、及び前記利用可能な製造スロットに対応する前記製造施設を含む、前記得られた固形腫瘍の容器用の出荷ラベルを自動的に作成することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記計算装置によって、前記細胞療法製剤を製造するために使用される製造プロセスに対応する、前記製造ラベルが作成された時点、容器を識別するバーコード、前記患者固有の識別子、前記時点で完了した製造ステップ、前記完了したプロセスに関連する受け入れパラメータ、及び前記時点で実施されている製造プロセスを含む、前記得られた固形腫瘍の容器用の製造ラベルを自動的に作成することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞療法製剤がT細胞を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞療法製剤が腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記患者の治療イベントが、入院期間、切除日、リンパ球除去日、前記患者に前記細胞療法製剤を注入する注入日、及びIL-2処置日のうちの1つ以上を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすかどうかを判定することが、前記第1及び第2の時点を含む、受け入れられた細胞療法製剤の増殖の開始後の複数の時点における、前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記計算装置によって、
前記患者の治療イベントを計画変更することと、
後続の細胞療法製剤の増殖を完了することと
をさらに含み、
前記患者の治療イベントを計画変更することが、前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記患者の治療イベントを計画変更することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記患者の治療イベントを計画変更することが、前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記患者の治療イベントを打ち切ることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記細胞療法製剤の後続の増殖を打ち切る、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上の測定を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞増殖技法が急速増殖ステップを含み、
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記急速増殖ステップの前の受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、前記細胞療法製剤の製造の完了より前の日でリンパ球除去日を計画立案すること、前記細胞療法製剤の製造の完了後の日に注入日を計画立案すること、及び前記注入日の後にIL-2処置日を計画立案することと
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で前記細胞療法製剤を培養することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記計算装置によって前記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることをさらに含み、前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖の再実施後の前記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることが、前記第2の時点での受け入れパラメータ、及び前記第1の時点から前記細胞療法製剤の増殖を再実施するために使用される細胞集団に関連する受け入れパラメータの一方または両方に基づいて、前記第1の時点から増殖プロセスを完了するのに必要な時間を決定することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
請求項27に記載の方法であって、
細胞療法製剤を増殖させるための細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
前記細胞注文を受信したところで、患者固有の識別子及び細胞注文識別子の一方または両方を含む、患者に関連する細胞注文を受信したことの確認を病院側インターフェースに送信することをさらに含む前記方法。
【請求項44】
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記細胞療法製剤の増殖中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、前記第1及び第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、前記細胞増殖技法及び前記細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記患者の治療イベントを計画変更したところで、前記患者固有の識別子に関連する前記患者の治療イベントの更新されたスケジュールを前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
完了時間に基づいて、前記患者固有の識別子に関連する集荷依頼をロジスティックスインターフェースに送信することと、
完了時間に基づいて、前記患者固有の識別子に関連する前記患者の治療イベントのスケジュールを病院側インターフェースに送信することと
をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖の再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、
前記計算装置によって、前記患者固有の識別子から前記細胞注文識別子を分離することと、
前記計算装置によって、前記細胞注文に関連する新たな細胞注文識別子を作成すること、及び前記新たな細胞注文識別子を前記患者固有の識別子と関連付けることと
をさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、
前記細胞療法製剤を増殖させるための前記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
前記新たな細胞注文識別子及び前記細胞療法製剤の増殖の見積もられた完了時間を含む前記患者固有の識別子を前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、前記方法。
【請求項49】
前記計算装置によって、前記患者の治療イベントの前記計画変更に基づいて、前記患者の治療イベントに関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールを作成することと、
出荷及びロジスティックスイベントの計画変更に基づいて、前記新たな細胞注文識別子を含む前記患者固有の識別子に関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールをロジスティックスインターフェースに送信することと
をさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすかどうかの判定が行われる各時点で、前記計算装置によって、それぞれ個々の時点に対応するフィールドを含む前記新たな細胞注文識別子及び前記判定の結果を、前記患者固有の識別子と関連付けることをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記計画立案することが、前記計算装置によって、前記新たな細胞注文識別子を含む前記患者固有の識別子に基づいて前記患者の治療イベントを計画立案することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記再実施することが可能ではないとの判定に呼応して、前記計算装置によって、前記第2の時点の後に計画立案された前記患者の治療イベントを取り消すことをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記患者の治療イベントの取り消しを病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに送信することをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記再実施することが実現可能でないとの判定に呼応して、前記増殖細胞療法製剤を廃棄すること、及び前記患者固有の識別子を前記細胞注文識別子から分離することをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記計画変更された患者の治療イベントに従って、請求項27に記載の方法によって得られた前記製造された細胞療法製剤による前記患者の治療方法。
【請求項56】
細胞療法製剤の製造方法であって、
製造施設において、患者から得られた固形腫瘍を受け入れることと、
計算装置によって、前記得られた固形腫瘍の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して前記細胞療法製剤を製造するためのプロセスにおいて使用される製造容器用の、前記患者、前記製造プロセス、及び製造された前記細胞療法製剤の品質に関連する情報を含む製造ラベルを作成することと、
前記細胞療法製剤を製造するためのプロセスであり、
医療施設において、前記患者から固形腫瘍を得るために、前記患者に対して処置を実施することと、
得られた固形腫瘍を製造施設に移送することと、
前記製造施設において前記得られた固形腫瘍を受け入れた後に、計算装置によって、その後に得られる増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータに依存して、患者の治療イベントを動的に計画立案することと、
前記得られた固形腫瘍の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して前記細胞療法製剤の増殖を開始すること、及び複数の時点で前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することと
を含む前記プロセスを開始することと、
前記複数の時点において、前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定するための品質管理アッセイを実施することと、
前記計算装置において、前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを受信することと、
前記計算装置によって、複数の時点のそれぞれに対応する更新された製造ラベルであり、前記更新された製造ラベルは前記製造された細胞療法製剤の品質に関連する更新された情報を含み、前記更新された情報は対応する時点における前記受け入れパラメータを含む、前記製造ラベルを作成することと、
前記計算装置によって、前記複数の時点のそれぞれにおいて前記更新された製造ラベルを読み取ることと、
前記複数の時点のそれぞれにおいて前記更新された製造ラベルから読み取られた情報に基づいて、前記細胞療法製剤の増殖を完了することと
を含む前記方法。
【請求項57】
後続の製造ステップ用の前記更新された製造ラベル上の前記患者に関する情報が、直前の製造ステップの製造ラベル上の前記患者に関する情報と一致しないか、または
前記製造プロセスにおける所与の時点の前記更新された製造ラベル上の受け入れパラメータが、前記製造プロセスの当該の時点の受け入れ基準を満たしていない、
但し、前記受け入れパラメータが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上を含む場合、
前記計算装置によって警告信号を発することをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記患者に関する情報が、患者固有の識別子及び前記患者向けの前記細胞療法製剤を製造するための細胞注文に関連する細胞注文識別子を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で前記細胞療法製剤を培養することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記製造ラベルが、前記患者、前記製造プロセス、及び前記製造された細胞療法製剤の品質に関連する情報をコード化したバーコードを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記製造プロセス中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、第1の時点及び前記第1の時点の後の第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、使用されている前記細胞増殖技法及び前記製造施設での細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
配送業者計算サブシステムを介して、を含む配送状況の情報を受信すること、ならびに、前記配送状況の情報を受信することに呼応して、決定した製造のスケジュールに基いて前記製造された細胞療法製剤を出荷するための出荷スケジュールを決定すること、及び前記製造された細胞療法製剤が入った輸送容器用の出荷ラベルを作成することを、ロジスティックスインターフェースに取り込むことをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記決定された出荷スケジュールに基づいて、ロジスティックス施設に出荷要請を送信することをさらに含む、請求項に61に記載の方法。
【請求項64】
最終的な品質管理アッセイを実施する前に、前記製造された細胞療法製剤が入った輸送容器用の出荷ラベルを作成することをさらに含み、但し、前記出荷ラベルは、最終的な品質管理アッセイが、対応する受け入れラメーターが対応する受け入れ基準を満たすことを示してない限り、前記製造された細胞療法製剤は出荷可能ではないことを示す、請求項に61に記載の方法。
【請求項65】
前記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすと判定したところで、前記細胞療法の製造の完了日を決定することと、
前記計算装置によって、前記完了日に基づいて、患者を治療するための前記細胞療法製剤の使用に対応する前記患者の治療イベントのスケジュールを作成することと、
ロジスティックスインターフェースに、前記完了日に基づいて集荷依頼を送信することと、
病院側インターフェースに、前記患者の治療イベントのスケジュールを送信することと
をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項66】
前記細胞療法製剤がT細胞を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項67】
前記細胞療法製剤が腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項68】
前記患者の治療イベントが、入院期間、切除日、リンパ球除去日、前記患者に前記細胞療法製剤を注入する注入日、及びIL-2処置日のうちの1つ以上を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項69】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすかどうかを判定することが、前記第1及び第2の時点を含む、前記得られた細胞療法製剤の増殖の開始後の複数の時点における、前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項70】
前記計算装置によって、
前記患者の治療イベントを計画変更することと、
後続の細胞療法製剤の増殖を完了することと
をさらに含み、
前記患者の治療イベントを計画変更することが、前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記患者の治療イベントを計画変更することを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記患者の治療イベントを計画変更することが、前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記患者の治療イベントを打ち切ることを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、前記複数の時点のいずれにおいても前記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、前記細胞療法製剤の後続の増殖を打ち切る、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上の測定を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記細胞増殖技法が急速増殖ステップを含み、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、前記急速増殖ステップの前の受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、前記細胞療法製剤の製造の完了より前の日でリンパ球除去日を計画立案すること、前記細胞療法製剤の製造の完了後の日に注入日を計画立案すること、及び前記注入日の後にIL-2処置日を計画立案することと
をさらに含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で前記細胞療法製剤を培養することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項76】
前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖の再実施後の前記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることが、前記第2の時点での受け入れパラメータ、及び前記第1の時点から前記細胞療法製剤の増殖を再実施するために使用される細胞集団に関連する受け入れパラメータの一方または両方に基づいて、前記第1の時点から増殖プロセスを完了するのに必要な時間を決定することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項77】
請求項58に記載の方法であって、
前記細胞療法製剤を増殖させるための前記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
前記細胞注文を受信したところで、前記患者固有の識別子及び前記細胞注文識別子の一方または両方を含む、前記患者に関連する前記細胞注文を受信したことの確認を前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む前記方法。
【請求項78】
前記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが前記細胞療法製剤の増殖中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、前記第1及び第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、前記細胞増殖技法及び前記細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記患者の治療イベントを計画変更したところで、前記患者固有の識別子に関連する前記患者の治療イベントの更新されたスケジュールを前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
完了時間に基づいて、前記患者固有の識別子に関連する集荷依頼をロジスティックスインターフェースに送信することと、
完了時間に基づいて、前記患者固有の識別子に関連する前記患者の治療イベントのスケジュールを病院側インターフェースに送信することと
をさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の時点からの前記細胞療法製剤の増殖の再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、
前記計算装置によって、前記患者固有の識別子から前記細胞注文識別子を分離することと、
前記計算装置によって、前記細胞注文に関連する新たな細胞注文識別子を作成すること、及び前記新たな細胞注文識別子を前記患者固有の識別子と関連付けることと
をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
請求項81に記載の方法であって、
前記細胞療法製剤を増殖させるための前記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
前記新たな細胞注文識別子及び前記細胞療法製剤の増殖の見積もられた完了時間を含む前記患者固有の識別子を前記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、前記方法。
【請求項83】
前記計算装置によって、前記患者の治療イベントの前記計画変更に基づいて、前記患者の治療イベントに関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールを作成することと、
出荷及びロジスティックスイベントの計画変更に基づいて、前記新たな細胞注文識別子を含む前記患者固有の識別子に関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールをロジスティックスインターフェースに送信することと
をさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかの判定が行われる各時点で、前記計算装置によって、それぞれ個々の時点に対応するフィールドを含む前記新たな細胞注文識別子及び前記判定の結果を、前記患者固有の識別子と関連付けることをさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記計画立案することが、前記計算装置によって、前記新たな細胞注文識別子を含む前記患者固有の識別子に基づいて前記患者の治療イベントを計画立案することを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記再実施することが可能ではないとの判定に呼応して、前記計算装置によって、前記第2の時点の後に計画立案された前記患者の治療イベントを取り消すことをさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記患者の治療イベントの取り消しを病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに送信することをさらに含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記再実施することが実現可能でないとの判定に呼応して、前記増殖細胞療法製剤を廃棄すること、及び前記患者固有の識別子を前記細胞注文識別子から分離することをさらに含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記計画変更された患者の治療イベントに従い、請求項56に記載の方法によって得られた前記増殖細胞療法製剤によって前記患者を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年4月22日出願の米国仮出願第63/013,942号、2021年3月2日出願の米国仮出願第63/155,711号、及び2021年3月11日出願の米国仮出願第63/159,806号の優先権を主張し、上記出願のそれぞれは全ての目的に対してその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入を用いた大型の難治性癌の治療は、予後不良の患者に対する強力な治療手法を表す。Gattinoni, et al., Nat. Rev. Immunol. 2006, 6, 383-393。免疫療法の成功には多量のTILが必要であり、商業化に向けてロバストで信頼性のある方法が求められている。これは、細胞拡大培養に伴う技術上、物流上、及び規制上の問題に起因して、実現が課題となっている。IL-2ベースのTIL拡大培養と、それに続く「迅速拡大培養法」(REP:Rapid Expansion Process)が、その速さ及び効率から、TIL拡大培養に好ましい方法となりつつある。Dudley, et al., Science 2002, 298, 850-54;Dudley, et al., J. Clin. Oncol. 2005, 23, 2346-57;Dudley, et al., J. Clin. Oncol. 2008, 26, 5233-39;Riddell, et al., Science 1992, 257, 238-41;Dudley, et al., J. Immunother. 2003, 26, 332-42。REPは14日の期間でTILの1,000倍の拡大をもたらすことができるが、それにはフィーダー細胞として、多くの場合に複数のドナーからの、大過剰の(例えば200倍の)照射した同種異系末梢血単核球(PBMC、単核細胞(MNC)としても知られている)、並びに抗CD3抗体(OKT3)及び高用量のIL-2が必要である。Dudley, et al., J. Immunother. 2003, 26, 332-42。REP処理に供されたTILにより、黒色腫の患者において宿主免疫抑制後に養子細胞療法が成功した。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】同種異系TILを製造するためのさまざまなステップを含む、TILを使用する養子細胞療法を使用する患者の治療におけるさまざまな段階の概略図である。
図2A】TIL製造のためのGEN3プロセスのタイムラインを示す図である。
図2B】2AプロセスとTIL製造のためのGEN3プロセスの1つの実施形態との間の比較を示す図である。
図2C】TIL製造のためのGEN3の実施形態、GEN3.1プロセスの実施形態、及びGEN3.1プロセスの上記に代わる実施形態の間の比較を示す図である。
図3A】ある患者向けのTILの製造を調整するためのシステムのブロックダイアグラムである。
図3B】いくつかの実施形態に係るこれらのプラットフォーム内のこれらの標準に加えて、市販のソフトウェアプラットフォーム上で適宜改変または構築されたシステム300のコンポーネントの目的スキーマを示す図である。
図3C】いくつかの実施形態に係る、製造施設における製造プロセスを通しての、生物学的材料の追跡の概略図である。
図3D】(続き)いくつかの実施形態に係る、製造施設における製造プロセスを通しての、生物学的材料の追跡の概略図である。
図3E】(続き)いくつかの実施形態に係る、製造施設における製造プロセスを通しての、生物学的材料の追跡の概略図である。
図3F】製造プロセスのいくつかの実施形態(例えばGEN3プロセス)に係る、固形腫瘍を得ることから製造プロセスを経て患者への注入までの、細胞療法製剤の移動過程を通じて、COC及びCOIを維持するためのプロセスの概略図である。
図3G】いくつかの実施形態に係る、細胞療法製剤のラベルの代表的な画像である。
図3H】いくつかの実施形態に係る、細胞療法製剤の製造プロセス中に作成されるさまざまな種類のラベルを示す表である。
図3I】いくつかの実施形態に係る、完成品用のラベルの代表的な画像である。
図3J】いくつかの実施形態に係る、完成品用のラベルの代表的な画像である。
図3K】いくつかの実施形態に係る、腫瘍入手の書式の代表的なスクリーンショット画像である。
図3L】いくつかの実施形態に係る、腫瘍入手の書式の代表的なスクリーンショット画像である。
図3M】いくつかの実施形態に係る、腫瘍入手の書式の代表的なスクリーンショット画像である。
図3N】いくつかの実施形態に係る、腫瘍入手の書式の代表的なスクリーンショット画像である。
図3O】いくつかの実施形態に係る、腫瘍入手の書式の代表的なスクリーンショット画像である。
図3P】いくつかの実施形態に係る、腫瘍入手の書式の代表的なスクリーンショット画像である。
図4A】TIL製造プロセスの成功に基づく、患者の治療イベントのスケジュールの決定のフローチャートである。
図4B】TIL製造プロセスの成功に基づく、患者の治療イベントのスケジュールの決定のフローチャートである。
図4C】TIL製造プロセスの成功に基づく、患者の治療イベントのスケジュールの決定の、上記に代わる実施形態のフローチャートである。
図5】TIL製造のための22日間のプロセスであるプロセス2Aの実施形態の図である。
図6】TIL製造のための1Cプロセスと2Aプロセスの実施形態との間の比較を示す図である。
図7】1Cプロセスのタイムラインを示す図である。
図8】2Aプロセスの実施形態の詳細な概略図である。
図9】ステップA~Fの概要を提供する例示的なプロセス2Aチャートを示す。
図10】プロセス1C及びプロセス2Aの例示的な実施形態からのステップA~Fの比較表である。
図11】プロセス1Cの実施形態とプロセス2Aの実施形態の詳細な比較の図である。
【0004】
配列表の簡単な説明
配列番号1はムロモナブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0005】
配列番号2はムロモナブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0006】
配列番号3は組換えヒトIL-2タンパク質のアミノ酸配列である。
【0007】
配列番号4はアルデスロイキンのアミノ酸配列である。
【0008】
配列番号5はIL-2の一形態である。
【0009】
配列番号6はネムバロイキン・アルファ(nemvaleukin alfa)のアミノ酸配列である。
【0010】
配列番号7はIL-2の一形態である。
【0011】
配列番号8はムチンドメインポリペプチドである。
【0012】
配列番号9は組換えヒトIL-4タンパク質のアミノ酸配列である。
【0013】
配列番号10は組換えヒトIL-7タンパク質のアミノ酸配列である。
【0014】
配列番号11は組換えヒトIL-15タンパク質のアミノ酸配列である。
【0015】
配列番号12は組換えヒトIL-21タンパク質のアミノ酸配列である。
【0016】
配列番号13はIL-2配列である。
【0017】
配列番号14はIL-2ムテイン配列である。
【0018】
配列番号15はIL-2ムテイン配列である。
【0019】
配列番号16はIgG.IL2R67A.H1のHCDR1_IL-2である。
【0020】
配列番号17はIgG.IL2R67A.H1のHCDR2である。
【0021】
配列番号18はIgG.IL2R67A.H1のHCDR3である。
【0022】
配列番号19はIgG.IL2R67A.H1のHCDR1_IL-2 Kabatである。
【0023】
配列番号20はIgG.IL2R67A.H1のHCDR2 Kabatである。
【0024】
配列番号21はIgG.IL2R67A.H1のHCDR3 Kabatである。
【0025】
配列番号22はIgG.IL2R67A.H1のHCDR1_IL-2 Clothiaである。
【0026】
配列番号23はIgG.IL2R67A.H1のHCDR2 Clothiaである。
【0027】
配列番号24はIgG.IL2R67A.H1のHCDR3 Clothiaである。
【0028】
配列番号25はIgG.IL2R67A.H1のHCDR1_IL-2 IMGTである。
【0029】
配列番号26はIgG.IL2R67A.H1のHCDR2 IMGTである。
【0030】
配列番号27はIgG.IL2R67A.H1のHCDR3 IMGTである。
【0031】
配列番号28はIgG.IL2R67A.H1のV鎖である。
【0032】
配列番号29はIgG.IL2R67A.H1の重鎖である。
【0033】
配列番号30はIgG.IL2R67A.H1のLCDR1 Kabatである。
【0034】
配列番号31はIgG.IL2R67A.H1のLCDR2 Kabatである。
【0035】
配列番号32はIgG.IL2R67A.H1のLCDR3 Kabatである。
【0036】
配列番号33はIgG.IL2R67A.H1のLCDR1 Clothiaである。
【0037】
配列番号34はIgG.IL2R67A.H1のLCDR2 Clothiaである。
【0038】
配列番号35はIgG.IL2R67A.H1のLCDR3 Clothiaである。
【0039】
配列番号36はV鎖である。
【0040】
配列番号37は軽鎖である。
【0041】
配列番号38は軽鎖である。
【0042】
配列番号39は軽鎖である。
【0043】
配列番号40はヒト4-1BBのアミノ酸配列である。
【0044】
配列番号41はマウス4-1BBのアミノ酸配列である。
【0045】
配列番号42は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の重鎖である。
【0046】
配列番号43は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の軽鎖である。
【0047】
配列番号44は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の重鎖可変領域(V)である。
【0048】
配列番号45は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の軽鎖可変領域(V)である。
【0049】
配列番号46は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の重鎖CDR1である。
【0050】
配列番号47は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の重鎖CDR2である。
【0051】
配列番号48は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の重鎖CDR3である。
【0052】
配列番号49は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の軽鎖CDR1である。
【0053】
配列番号50は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の軽鎖CDR2である。
【0054】
配列番号51は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウトミルマブ(PF-05082566)の軽鎖CDR3である。
【0055】
配列番号52は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の重鎖である。
【0056】
配列番号53は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の軽鎖である。
【0057】
配列番号54は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の重鎖可変領域(V)である。
【0058】
配列番号55は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の軽鎖可変領域(V)である。
【0059】
配列番号56は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の重鎖CDR1である。
【0060】
配列番号57は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の重鎖CDR2である。
【0061】
配列番号58は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の重鎖CDR3である。
【0062】
配列番号59は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の軽鎖CDR1である。
【0063】
配列番号60は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の軽鎖CDR2である。
【0064】
配列番号61は、4-1BBアゴニストモノクローナル抗体であるウレルマブ(BMS-663513)の軽鎖CDR3である。
【0065】
配列番号62はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のFcドメインである。
【0066】
配列番号63はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0067】
配列番号64はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0068】
配列番号65はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0069】
配列番号66はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0070】
配列番号67はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0071】
配列番号68はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0072】
配列番号69はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0073】
配列番号70はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0074】
配列番号71はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0075】
配列番号72はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0076】
配列番号73はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のFcドメインである。
【0077】
配列番号74はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0078】
配列番号75はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0079】
配列番号76はTNFRSFアゴニスト融合タンパク質のリンカーである。
【0080】
配列番号77は4-1BBリガンド(4-1BBL)のアミノ酸配列である。
【0081】
配列番号78は4-1BBLポリペプチドの可溶性部分である。
【0082】
配列番号79は、4-1BBアゴニスト抗体である4B4-1-1バージョン1の重鎖可変領域(V)である。
【0083】
配列番号80は、4-1BBアゴニスト抗体である4B4-1-1バージョン1の軽鎖可変領域(V)である。
【0084】
配列番号81は、4-1BBアゴニスト抗体である4B4-1-1バージョン2の重鎖可変領域(V)である。
【0085】
配列番号82は、4-1BBアゴニスト抗体である4B4-1-1バージョン2の軽鎖可変領域(V)である。
【0086】
配列番号83は、4-1BBアゴニスト抗体であるH39E3-2の重鎖可変領域(V)である。
【0087】
配列番号84は、4-1BBアゴニスト抗体であるH39E3-2の軽鎖可変領域(V)である。
【0088】
配列番号85はヒトOX40のアミノ酸配列である。
【0089】
配列番号86はマウスOX40のアミノ酸配列である。
【0090】
配列番号87は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の重鎖である。
【0091】
配列番号88は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の軽鎖である。
【0092】
配列番号89は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の重鎖可変領域(V)である。
【0093】
配列番号90は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の軽鎖可変領域(V)である。
【0094】
配列番号91は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の重鎖CDR1である。
【0095】
配列番号92は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の重鎖CDR2である。
【0096】
配列番号93は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の重鎖CDR3である。
【0097】
配列番号94は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の軽鎖CDR1である。
【0098】
配列番号95は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の軽鎖CDR2である。
【0099】
配列番号96は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるタボリキシズマブ(MEDI-0562)の軽鎖CDR3である。
【0100】
配列番号97は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の重鎖である。
【0101】
配列番号98は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の軽鎖である。
【0102】
配列番号99は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の重鎖可変領域(V)である。
【0103】
配列番号100は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の軽鎖可変領域(V)である。
【0104】
配列番号101は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の重鎖CDR1である。
【0105】
配列番号102は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の重鎖CDR2である。
【0106】
配列番号103は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の重鎖CDR3である。
【0107】
配列番号104は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の軽鎖CDR1である。
【0108】
配列番号105は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の軽鎖CDR2である。
【0109】
配列番号106は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である11D4の軽鎖CDR3である。
【0110】
配列番号107は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の重鎖である。
【0111】
配列番号108は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の軽鎖である。
【0112】
配列番号109は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の重鎖可変領域(V)である。
【0113】
配列番号110は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の軽鎖可変領域(V)である。
【0114】
配列番号111は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の重鎖CDR1である。
【0115】
配列番号112は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の重鎖CDR2である。
【0116】
配列番号113は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の重鎖CDR3である。
【0117】
配列番号114は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の軽鎖CDR1である。
【0118】
配列番号115は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の軽鎖CDR2である。
【0119】
配列番号116は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である18D8の軽鎖CDR3である。
【0120】
配列番号117は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の重鎖可変領域(V)である。
【0121】
配列番号118は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の軽鎖可変領域(V)である。
【0122】
配列番号119は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の重鎖CDR1である。
【0123】
配列番号120は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の重鎖CDR2である。
【0124】
配列番号121は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の重鎖CDR3である。
【0125】
配列番号122は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の軽鎖CDR1である。
【0126】
配列番号123は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の軽鎖CDR2である。
【0127】
配列番号124は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu119-122の軽鎖CDR3である。
【0128】
配列番号125は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の重鎖可変領域(V)である。
【0129】
配列番号126は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の軽鎖可変領域(V)である。
【0130】
配列番号127は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の重鎖CDR1である。
【0131】
配列番号128は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の重鎖CDR2である。
【0132】
配列番号129は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の重鎖CDR3である。
【0133】
配列番号130は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の軽鎖CDR1である。
【0134】
配列番号131は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の軽鎖CDR2である。
【0135】
配列番号132は、OX40アゴニストモノクローナル抗体であるHu106-222の軽鎖CDR3である。
【0136】
配列番号133はOX40リガンド(OX40L)のアミノ酸配列である。
【0137】
配列番号134はOX40Lポリペプチドの可溶性部分である。
【0138】
配列番号135はOX40Lポリペプチドの別の可溶性部分である。
【0139】
配列番号136は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である008の重鎖可変領域(V)である。
【0140】
配列番号137は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である008の軽鎖可変領域(V)である。
【0141】
配列番号138は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である011の重鎖可変領域(V)である。
【0142】
配列番号139は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である011の軽鎖可変領域(V)である。
【0143】
配列番号140は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である021の重鎖可変領域(V)である。
【0144】
配列番号141は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である021の軽鎖可変領域(V)である。
【0145】
配列番号142は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である023の重鎖可変領域(V)である。
【0146】
配列番号143は、OX40アゴニストモノクローナル抗体である023の軽鎖可変領域(V)である。
【0147】
配列番号144はOX40アゴニストモノクローナル抗体の重鎖可変領域(V)である。
【0148】
配列番号145はOX40アゴニストモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(V)である。
【0149】
配列番号146はOX40アゴニストモノクローナル抗体の重鎖可変領域(V)である。
【0150】
配列番号147はOX40アゴニストモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(V)である。
【0151】
配列番号148はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の重鎖可変領域(V)である。
【0152】
配列番号149はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の重鎖可変領域(V)である。
【0153】
配列番号150はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(V)である。
【0154】
配列番号151はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(V)である。
【0155】
配列番号152はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の重鎖可変領域(V)である。
【0156】
配列番号153はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の重鎖可変領域(V)である。
【0157】
配列番号154はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(V)である。
【0158】
配列番号155はヒト化OX40アゴニストモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(V)である。
【0159】
配列番号156はOX40アゴニストモノクローナル抗体の重鎖可変領域(V)である。
【0160】
配列番号157はOX40アゴニストモノクローナル抗体の軽鎖可変領域(V)である。
【0161】
配列番号158は、PD-1阻害剤であるニボルマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0162】
配列番号159は、PD-1阻害剤であるニボルマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0163】
配列番号160は、PD-1阻害剤であるニボルマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0164】
配列番号161は、PD-1阻害剤であるニボルマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0165】
配列番号162は、PD-1阻害剤であるニボルマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0166】
配列番号163は、PD-1阻害剤であるニボルマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0167】
配列番号164は、PD-1阻害剤であるニボルマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0168】
配列番号165は、PD-1阻害剤であるニボルマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0169】
配列番号166は、PD-1阻害剤であるニボルマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0170】
配列番号167は、PD-1阻害剤であるニボルマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0171】
配列番号168は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0172】
配列番号169は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0173】
配列番号170は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0174】
配列番号171は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0175】
配列番号172は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0176】
配列番号173は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0177】
配列番号174は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0178】
配列番号175は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0179】
配列番号176は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0180】
配列番号177は、PD-1阻害剤であるペムブロリズマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0181】
配列番号178は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0182】
配列番号179は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0183】
配列番号180は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0184】
配列番号181は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0185】
配列番号182は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0186】
配列番号183は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0187】
配列番号184は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0188】
配列番号185は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0189】
配列番号186は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0190】
配列番号187は、PD-L1阻害剤であるデュルバルマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0191】
配列番号188は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0192】
配列番号189は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0193】
配列番号190は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0194】
配列番号191は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0195】
配列番号192は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0196】
配列番号193は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0197】
配列番号194は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0198】
配列番号195は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0199】
配列番号196は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0200】
配列番号197は、PD-L1阻害剤であるアベルマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0201】
配列番号198は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0202】
配列番号199は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0203】
配列番号200は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0204】
配列番号201は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0205】
配列番号202は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0206】
配列番号203は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0207】
配列番号204は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0208】
配列番号205は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0209】
配列番号206は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0210】
配列番号207は、PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0211】
配列番号208は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0212】
配列番号209は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0213】
配列番号210は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0214】
配列番号211は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0215】
配列番号212は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0216】
配列番号213は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0217】
配列番号214は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0218】
配列番号215は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0219】
配列番号216は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0220】
配列番号217は、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0221】
配列番号218は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0222】
配列番号219は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0223】
配列番号220は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0224】
配列番号221は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0225】
配列番号222は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0226】
配列番号223は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0227】
配列番号224は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0228】
配列番号225は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0229】
配列番号226は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0230】
配列番号227は、CTLA-4阻害剤であるトレメリムマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0231】
配列番号228は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの重鎖のアミノ酸配列である。
【0232】
配列番号229は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの軽鎖のアミノ酸配列である。
【0233】
配列番号230は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの重鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0234】
配列番号231は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの軽鎖可変領域(V)のアミノ酸配列である。
【0235】
配列番号232は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの重鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0236】
配列番号233は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの重鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0237】
配列番号234は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの重鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【0238】
配列番号235は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの軽鎖CDR1のアミノ酸配列である。
【0239】
配列番号236は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの軽鎖CDR2のアミノ酸配列である。
【0240】
配列番号237は、CTLA-4阻害剤であるザリフレリマブの軽鎖CDR3のアミノ酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0241】
I.はじめに
急速増殖プロトコル(REP)によってエクスビボで培養されたTILを利用することにより、黒色腫の患者における宿主免疫抑制後の養子細胞療法が成功した。例えば、場合により、腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入の前のリンパ球除去が、制御性T細胞及び免疫系の競合要素(「サイトカインシンク」)の除去による治効の向上において重要な役割を果たすことが判明している。場合によって、ACTを受ける患者を、TILの注入前に、例えばTIL注入の28~25日前に、非骨髄破壊的化学療法によって前処置することにより、ACTの有効性が向上する場合がある。TIL注入後のIL-2治療レジメンが、治療の成功の可能性を向上させる可能性があることも判明している。これらの注入前の処置及び注入後の処置のタイミング及び継続時間は、治療レジメン全体の最終的な有効性を決定する。
【0242】
したがって、さまざまな治療レジメンの計画立案は、それ自体が最終製品の受け入れパラメータに依存するTIL製造プロセスのタイミング及び期間に依存する。現在の輸液の受け入れパラメータは、増殖TIL製剤(本明細書ではREP製剤とも呼ばれる)の、TILの組成(例えば、CD28、CD8、またはCD4陽性)の読み取り値ならびに増殖倍率及び生存率に依拠する。上記REP製剤の増殖倍率及び生存率は、今度は、増殖プロセス中に測定されるさまざまなパラメータに依存する。注入のための許容可能なREP製剤の出力及びタイミングのかかる変動によって、製造施設への腫瘍の輸送のロジスティックス、REP製剤の移送、及びTIL製造プロセスの間のさまざまな患者の治療イベントの計画立案に問題が生じる。
【0243】
さらに、TIL製造プロセスの種々の段階中での細胞生存率及び細胞数などのさまざまなパラメータによって、TIL製造プロセスの最終段階で許容可能な生存率、数値上の倍率、及び最終的な細胞数が得られるように、その後の段階の継続期間が決定される。
【0244】
加えて、製造の遅延、材料の誤表示、及び患者の誤認を回避し、それによって患者の安全性を向上させるために、当該の生物学的材料を、TIL製造プロセス全体を含めて、該物質が当該の患者から取り出される時点から該物質が上記患者に注入される時点まで追跡することが重要である。
【0245】
本開示は、製造プロセスの種々の段階中で測定されたさまざまなパラメータに基づいて、さまざまな患者の治療イベントを動的に計画立案することによって、患者のための増殖した細胞療法製剤の製造プロセスとさまざまな患者の治療イベントとを調整するためのフレームワークを提供する。
【0246】
例えば、一実施形態において、ある患者向けの増殖T細胞の製造の調整方法は、コンピュータ処理によって、上記患者向けのT細胞を増殖させるための細胞注文を受信することと、計算装置によって、上記細胞注文に関連する患者固有の識別子または細胞注文識別子を作成することと、T細胞を増殖させるためのプロセスを開始することとを含んでいてもよい。上記T細胞を増殖させるためのプロセスは、臨床施設において、上記患者からT細胞を得るための処置を上記患者に対して実施することと、得られたT細胞を上記製造施設に移送することとを含んでいてもよい。上記製造施設において得られたT細胞を受け入れた後に、計算装置によって患者の治療イベントが動的に計画立案される。動的な計画立案は、その後に得られる増殖T細胞における受け入れパラメータに依存する。上記得られたT細胞の少なくとも一部からの、細胞増殖技法を使用したT細胞の増殖が開始され、上記増殖T細胞における受け入れパラメータが測定される。
【0247】
別の実施形態において、ある患者向けの増殖細胞療法製剤の製造の調整方法は、計算装置によって、上記患者のための上記細胞療法製剤を増殖させるための細胞注文を受信することと、上記計算装置によって、細胞注文に関連する細胞注文識別子を含む患者固有の識別子を作成することと、上記細胞療法製剤を増殖させるためのプロセスを開始することとを含んでいてもよい。上記細胞療法製剤を増殖させるためのプロセスは、臨床施設において、上記患者から固形腫瘍を得るための処置を上記患者に対して実施することと、得られた固形腫瘍を製造施設に移送することとを含んでいてもよい。上記製造施設において上記固形腫瘍を受け入れた後に、上記計算装置によって上記患者の治療イベントが動的に計画立案される。動的計画立案は、その後に得られる増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータに依存する。上記得られた固形腫瘍の少なくとも一部からの、細胞増殖技法を使用した上記細胞療法製剤の増殖が開始され、上記細胞療法製剤の受け入れパラメータが、第1の時点及び上記第1の時点の後の第2の時点において測定される。上記第1の時点及び第2の時点において、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかが判定される。上記第1の時点において受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たす場合、上記細胞療法製剤の増殖は上記第2の時点まで継続される。上記第2の時点において上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たさない場合、上記細胞増殖技法を使用した上記細胞療法製剤の増殖を上記第1の時点から再実施することができるかどうかが、上記第2の時点における受け入れパラメータに基づいて判定される。上記増殖の再実施が可能であると判定される場合には、上記第2の時点において得られた細胞療法製剤の少なくとも一部からの、上記細胞増殖技法を使用した上記細胞療法製剤の増殖が、上記第1の時点から再実施される。上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施後の、上記細胞療法製剤の増殖の完了時間が見積もられる。上記患者の治療イベントは、上記細胞療法製剤の増殖の見積もられた完了時間、及び上記患者への上記増殖細胞療法製剤の注入の前または後の患者の治療イベントのタイミングに基づいて計画変更される。上記細胞療法製剤の上記その後の増殖は、上記第1の時点から完了される。
【0248】
本開示はさらに、当該生物学的材料が当該患者から取り出される時間から上記患者に注入により戻される時間までの、上記生物学的材料の正確な追跡方法及び追跡システムも提供する。特に、本明細書で開示される方法及びシステムによって、上記生物学的材料の一連のアイデンティティー及び一連の管理の維持が容易になる。
【0249】
例えば、一実施形態において、患者の生物学的材料の追跡方法は、上記患者向けの生物学的材料を製造するための細胞注文を受信することを含んでいてもよい。上記細胞注文を受信したところで、計算装置が上記細胞注文に関連する患者固有の識別子を作成する。上記患者固有の識別子は、患者識別子、細胞注文識別子、注文コード、及び細胞注文ロット番号のうちの1つ以上を含んでいてもよい。次いで、上記患者の生物学的材料は、該生物学的材料が上記患者から取り出される臨床施設から製造施設への上記生物学的材料の輸送中、製造施設での製造プロセス中、及び製造された生物学的材料の、上記製造施設から、上記製造された生物学的材料が戻り、該材料が上記患者固有の識別子を使用して患者に注入される臨床施設への輸送中に追跡を受ける。上記追跡は、計算装置により、出荷及び製造プロセスからの各ステップにおける追跡イベントを記録することを含んでいてもよい。上記追跡イベントの記録は、上記患者の生物学的材料の一連の管理を含む。
【0250】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及された全ての特許及び刊行物は、全体として参照により本明細書において援用される。
【0251】
用語「インビボ」とは、対象の体内で起こる事象を指す。
【0252】
用語「インビトロ」は、対象の体外で起こる事象を指す。インビトロアッセイは、生細胞又は死細胞を利用した細胞ベースのアッセイを包含し、また、インタクトな細胞を利用しない無細胞アッセイも包含し得る。
【0253】
用語「エキソビボ」は、対象の体から摘出された細胞、組織及び/又は臓器の処置又は処置の実施を含む事象を指す。適切には、細胞、組織、及び/又は臓器は、手術又は処置の方法で対象の体に戻される。
【0254】
用語「迅速拡大培養」は、1週間の期間で少なくとも約3倍(又は4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、又は9倍)、より好ましくは1週間の期間で少なくとも約10倍(又は20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、又は90倍)、又は最も好ましくは1週間の期間で少なくとも約100倍の抗原特異的TIL数の増加を意味する。複数の迅速拡大培養プロトコルが以下に記載される。
【0255】
本明細書において「腫瘍浸潤リンパ球」又は「TIL」とは、対象の血流を離れて腫瘍中に遊走した、当初白血球細胞として得られた細胞の集団を意味する。TILとしては、限定はされないが、CD8細胞傷害性T細胞(リンパ球)、Th1及びTh17 CD4T細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞及びM1マクロファージが挙げられる。TILには、初代TIL及び二次TILの両方が含まれる。「初代TIL」は、本明細書に概説されるとおり患者組織試料から得られるものであり(「新鮮に得られた」または「新鮮に単離された」と称されることもある)、及び「二次TIL」は、限定はされないが、バルクTIL、拡大培養TIL(「REP TIL」又は「ポストREP TIL」)を含め、本明細書で考察するとおり拡大培養された又は増殖した任意のTIL細胞集団である。TIL細胞集団は、遺伝子修飾TILを含み得る。
【0256】
本明細書において「細胞集団」(TILを含む)は、共通の形質を共有する多数の細胞を意味する。一般に、集団は、概して数が1×10~1×1010個の範囲であり、異なるTIL集団は異なる数を含む。例えば、IL-2の存在下での初代TILの初期成長は、およそ1×10個の細胞のバルクTIL集団をもたらす。REP拡大培養は、概して1.5×10~1.5×1010個の注入用の細胞集団が提供されるように行われる。いくつかの実施形態において、REP増殖は、2.3×1010~13.7×1010個の細胞集団が生じるように行われる。
【0257】
本明細書において「凍結保存TIL」とは、初代、バルク、または増殖(REP TIL)のいずれかのTILが約-150℃~-60℃の範囲で処理及び保存されることを意味する。一般的な凍結保存方法はまた、実施例を含む本明細書の他の部分にも記載される。明確にするために言えば、「凍結保存TIL」は、初代TILの供給源として用いられ得る凍結組織試料と区別可能なものである。
【0258】
本明細書において「解凍された凍結保存TIL」とは、それまで凍結保存されており、次いで室温、または細胞培養温度もしくはTILを患者に投与することができる温度を含む、但しこれらに限定されない温度に戻すように処理されたTIL集団を意味する。
【0259】
TILは、概して、細胞表面マーカーを使用して生化学的に、または腫瘍に浸潤して治療を達成するその能力によって機能的に定義することもできる。TILは、一般に、以下のバイオマーカー、すなわち、CD4、CD8、TCRα/β、CD27、CD28、CD56、CCR7、CD45Ra、CD95、PD-1、及びCD25のうちの1種以上を発現することによって分類することができる。加えて及びあるいは、TILは、患者への再導入時に固形腫瘍に浸潤するその能力によって機能的に定義することができる。
【0260】
用語「凍結保存培地(cryopreservation media)」または「凍結保存培地(cryopreservation medium)」は、細胞の凍結保存に使用することができる任意の培地を指す。かかる培地としては、7%~10%のDMSOを含む培地を挙げることができる。例示的な培地としては、CryoStor CS10、Hyperthermasol、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。用語「CS10」とは、Stemcell TechnologiesまたはBiolife Solutionsから入手される凍結保存培地を指す。CS10倍地は、商品名「CryoStor(登録商標)CS10」と呼ばれる場合がある。CS10培地は、DMSOを含む無血清、無動物成分培地である。
【0261】
用語「セントラルメモリーT細胞」とは、ヒトにおいてはCD45R0+であり、且つCCR7(CCR7hi)及びCD62L(CD62hi)を構成的に発現するT細胞のサブセットを指す。セントラルメモリーT細胞の表面表現型として、TCR、CD3、CD127(IL-7R)、及びIL-15Rも挙げられる。セントラルメモリーT細胞の転写因子としては、BCL-6、BCL-6B、MBD2、及びBMI1が挙げられる。セントラルメモリーT細胞はTCR惹起後にエフェクター分子としてIL-2及びCD40Lを主に分泌する。セントラルメモリーT細胞は血中のCD4コンパートメントにおいて優勢であり、ヒトにおいてはリンパ節及び扁桃腺で比例的に高濃度化する。
【0262】
用語「エフェクターメモリーT細胞」は、セントラルメモリーT細胞と同様にCD45R0+であるが、CCR7の構成的発現が欠損しており(CCR7lo)、且つCD62L発現が不均一であるかまたは低い(CD62Llo)、ヒトまたは哺乳動物T細胞のサブセットを指す。セントラルメモリーT細胞の表面表現型として、TCR、CD3、CD127(IL-7R)、及びIL-15Rも挙げられる。セントラルメモリーT細胞の転写因子としては、BLIMP1が挙げられる。エフェクターメモリーT細胞は抗原刺激後に、インターフェロン-γ、IL-4、及びIL-5を含む、高レベルの炎症性サイトカインを急速に分泌する。エフェクターメモリーT細胞は血中のCD8コンパートメントにおいて優勢であり、ヒトにおいては、肺、肝臓、及び腸で比例的に高濃度化する。CD8+エフェクターメモリーT細胞は多量のパーフォリンを有する。
【0263】
用語「閉鎖型システム」とは、外部環境に対して閉鎖されているシステムを指す。本発明の方法では、細胞培養方法に適切な任意の閉鎖型システムを用いることができる。閉鎖型システムとしては、例えば閉鎖型Gコンテナが挙げられるが、これに限定はされない。閉鎖型システムに腫瘍セグメントが添加された後は、TILの患者への投与の直前までこのシステムは外部環境に対して開放されない。
【0264】
腫瘍の分断プロセスを記述するために本明細書で使用される、用語「断片化する」、「断片」、及び「断片化された」は、腫瘍組織を破壊する、薄片に切る、分割する、及び細切するなどの、機械的断片化方法、ならびに腫瘍組織の物理的構造を破壊する任意の他の方法を含む。
【0265】
用語「細針吸引」またはFNAとは、試料を採取するが腫瘍を除去または切除しない、腫瘍の試料採取を含む、試料採取または診断処置に使用することができる形式の生検処置を指す。細針吸引では、中空針、例えば25~18ゲージ、を腫瘍または腫瘍を含む領域中に挿入し、液体及び細胞(組織を含む)を得て、さらなる分析または本明細書に記載の増殖に供する。FNAでは、細胞は、組織細胞の組織学的構造を維持することなく取り出される。FNAはTILを含む場合がある。場合によっては、超音波ガイド下細針吸引生検用の針を使用して細針吸引生検が実施される。FNA針は、Becton Dickinson、Covidienなどから市販されている。
【0266】
用語「コア生検」または「コア針生検」とは、試料を採取するが腫瘍を除去または切除しない、腫瘍の試料採取を含む、試料採取または診断処置に使用することができる形式の生検処置を指す。コア生検では、中空針、例えば16~11ゲージ、を腫瘍または腫瘍を含む領域中に挿入し、液体及び細胞(組織を含む)を得て、さらなる分析または本明細書に記載の増殖に供する。コア生検では、FNAと比較して針のサイズが大きいことを考慮すると、細胞を、組織細胞の組織学的構造をある程度維持した状態で取り出すことができる。コア生検用の針は一般に、腫瘍の組織学的構造の少なくとも一部を維持することができるゲージサイズの針である。コア生検はTILを含む場合がある。場合によっては、コア針生検は、Bard Medical、Becton Dickinsonなどから市販されている、生検装置、真空支援コア針生検装置、ステレオガイド下コア針生検装置、超音波ガイド下コア針生検装置、MRIガイド下コア針生検装置を使用して実施される。
【0267】
用語「末梢血単核球」及び「PBMC」は、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)及び単球を含めた、円形の核を有する末梢血細胞を指す。抗原提示細胞(PBMCは抗原提示細胞の一種である)として使用される場合、末梢血単核球は、放射線照射された同種異系末梢血単核球である。
【0268】
用語「末梢血リンパ球」及び「PBL」とは、末梢血から増殖させたT細胞を指す。いくつかの実施形態において、PBLは、ドナー由来の全血またはアフェレシス製剤から分離される。いくつかの実施形態において、PBLは、CD3+ CD45+のT細胞表現型などのT細胞表現型の正の選択または負の選択によって、ドナー由来の全血またはアフェレシス製剤から分離される。
【0269】
用語「抗CD3抗体」は、抗体又はその変異体、例えばモノクローナル抗体であって、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD3受容体に対するヒト、ヒト化、キメラ又はマウス抗体を含むものを指す。抗CD3抗体には、ムロモナブとしても知られるOKT-3が含まれる。抗CD3抗体には、T3及びCD3εとしても知られるUHCT1クローンも含まれる。他の抗CD3抗体には、例えば、オテリキシズマブ、テプリズマブ、及びビジリズマブが含まれる。
【0270】
用語「OKT-3」(本明細書では「OKT3」とも称される)は、成熟T細胞のT細胞抗原受容体におけるCD3受容体に対する、ヒト、ヒト化、キメラ、若しくはマウス抗体を含めたモノクローナル抗体又はそのバイオシミラー若しくは変異体を指し、OKT-3(30ng/mL、MACS GMP CD3 pure、Miltenyi Biotech,Inc.、San Diego, CA, USA)及びムロモナブ又はその変異体、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、若しくはバイオシミラーなど、市販されている形態を含む。ムロモナブの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を表1に提供する(配列番号1及び配列番号2)。OKT-3の産生能を有するハイブリドーマが米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)に寄託されており、ATCC受託番号CRL 8001が付与されている。OKT-3の産生能を有するハイブリドーマはまた、欧州認証細胞培養株保存機関(ECACC:European Collection of Authenticated Cell Cultures)にも寄託されており、カタログ番号86022706が付与されている。

【表1】
【0271】
用語「IL-2」(本明細書では「IL2」とも呼ばれる)は、インターロイキン-2として知られるT細胞増殖因子を指し、そのヒト及び哺乳動物の形態、保存的アミノ酸置換体、グリコフォーム、バイオシミラー、及び変異体を含む、IL-2の全ての形態を含む。IL-2については、例えば、Nelson, J. Immunol. 2004, 172, 3983-88及びMalek, Annu. Rev. Immunol. 2008, 26, 453-79に報告されており、これらの文献の開示は本明細書に援用される。本発明における使用に好適な組換えヒトIL-2のアミノ酸配列を表2に示す(配列番号3)。例えば、用語IL-2には、ヒトの組換え形態のIL-2、例えばアルデスロイキン(PROLEUKIN、1つの使い捨てバイアル当たり2200万IUで複数の供給業者から市販されている)、ならびにCellGenix, Inc.、Portsmouth, NH, USA(CELLGRO GMP)またはProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-209-b)によって工業的に供給されている組換えIL-2の形態及び他の販売業者からの他の市販の均等物が包含される。アルデスロイキン(des-アラニル-1、セリン-125ヒトIL-2)は、分子量が約15kDaの非グリコシル化ヒト組換え形態のIL-2である。本発明における使用に好適なアルデスロイキンのアミノ酸配列を表2に示す(配列番号4)。用語IL-2は、Nektar Therapeutics, South San Francisco, CA, USAから入手可能な、または国際特許出願公開第WO2018/132496A1号の実施例19に記載の方法、もしくは米国特許出願公開第US2019/0275133A1号に記載の方法(上記特許文献の開示は本明細書に援用される)などの、当技術分野で公知の方法によって調製することができる、ペグ化IL2プロドラッグであるベムペガルデスロイキン(NKTR-214、配列番号4に示され、平均で6個のリシン残基が[(2,7-ビス{[メチルポリ(オキシエチレン)]カルバモイル}-9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニルでN置換されているペグ化ヒト組換えIL-2)を含む、本明細書に記載されるペグ化形態のIL-2も包含する。本発明における使用に好適なベムペガルデスロイキン(NKTR-214)及び他のペグ化IL-2が、米国特許出願公開第US2014/0328791A1号及び国際公開第WO2012/065086A1号に記載されている(これらの開示は本明細書に援用される)。本発明における使用に好適な上記に代わる形態の複合化IL-2は、米国特許第4,766,106号、第5,206,344号、第5,089,261号、及び第4,902,502号に記載されており、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。本発明における使用に好適なIL-2の製剤は米国特許第6,706,289号に記載されており、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。
【0272】
いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、Synthorx, Incから入手可能なTHOR-707である。THOR-707の調製及び特性及び本発明における使用に好適な上記に代わるさらなる形態IL-2の形態は、米国特許出願公開第US2020/0181220A1号及び第US2020/0330601A1号に記載されており、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、単離及び精製されたIL-2ポリペプチド、及び、上記単離及び精製されたIL-2ポリペプチドに、K35、T37、R38、T41、F42、K43、F44、Y45、E61、E62、E68、K64、P65、V69、L72、及びY107から選択されるアミノ酸の位置(但し、上記アミノ酸残基の番号付けは配列番号5に対応している)で結合する複合化部分を含む、インターロイキン2(IL-2)複合体である。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸の位置は、T37、R38、T41、F42、F44、Y45、E61、E62、E68、K64、P65、V69、L72、及びY107から選択される。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸の位置は、T37、R38、T41、F42、F44、Y45、E61、E62、E68、P65、V69、L72、及びY107から選択される。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸の位置は、T37、T41、F42、F44、Y45、P65、V69、L72、及びY107から選択される。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸位置は、R38及びK64から選択される。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸の位置は、E61、E62、及びE68から選択される。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸の位置はE62である。いくつかの実施形態において、K35、T37、R38、T41、F42、K43、F44、Y45、E61、E62、E68、K64、P65、V69、L72、及びY107から選択される上記アミノ酸残基は、リシン、システイン、またはヒスチジンにさらに変異される。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸残基はシステインに変異される。いくつかの実施形態において、上記アミノ酸残基はリシンに変異される。いくつかの実施形態において、K35、T37、R38、T41、F42、K43、F44、Y45、E61、E62、E68、K64、P65、V69、L72、及びY107から選択される上記アミノ酸残基は、非天然アミノ酸にさらに変異される。いくつかの実施形態において、上記非天然アミノ酸は、N-アジドエトキシ-L-リシン(AzK)、N-プロパルギルエトキシ-L-リシン(PraK)、BCN-L-リシン、ノルボルネンリシン、TCO-リシン、メチルテトラジンリシン、アリルオキシカルボニルリシン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、2-アミノ-8-オキソオクタン酸、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-アジドメチル-L-フェニルアラニン(pAMF)、p-ヨード-L-フェニルアラニン、m-アセチルフェニルアラニン、2-アミノ-8-オキソノナン酸、p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、3-メチル-フェニルアラニン、L-ドパ、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、O-アリルチロシン、O-メチル-L-チロシン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、ホスホノチロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcp-セリン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、2-アミノ-3-((2-((3-(ベンジルオキシ)-3-オキソプロピル)アミノ)エチル)セラニル)プロパン酸、2-アミノ-3-(フェニルセラニル)プロパン酸、またはセレノシステインを含む。いくつかの実施形態において、上記IL-2複合体は、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、IL-2受容体α(IL-2Rα)サブユニットに対する親和性が低下する。いくつかの実施形態において、上記親和性の低下は、IL-2Rαに対する結合親和性で、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または99%を超える低下である。いくつかの実施形態において、上記低下した親和性は、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、約1/1、1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、1/10、1/30、1/50、1/100、1/200、1/300、1/500、1/1000、またはそれよりも低い。いくつかの実施形態において、上記複合化部分は、IL-2のIL-2Rαとの結合を損なわせるかまたは遮断する。いくつかの実施形態において、上記複合化部分は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、さらなる複合化部分は水溶性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記水溶性ポリマーのそれぞれは独立に、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィン性アルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)、多糖、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン(POZ)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記水溶性ポリマーのそれぞれは独立に、PEGを含む。いくつかの実施形態において、上記PEGは直鎖状PEGまたは分岐鎖状PEGである。いくつかの実施形態において、上記水溶性ポリマーのそれぞれは独立に、多糖を含む。いくつかの実施形態において、上記多糖は、デキストラン、ポリシアル酸(PSA)、ヒアルロン酸(HA)、アミロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸(HS)、デキストリン、またはヒドロキシエチルデンプン(HES)を含む。いくつかの実施形態において、上記水溶性ポリマーのそれぞれは独立に、グリカンを含む。いくつかの実施形態において、上記水溶性ポリマーのそれぞれは独立に、ポリアミンを含む。いくつかの実施形態において、上記複合化部分はタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、上記さらなる複合化部分はタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、上記タンパク質のそれぞれは独立に、アルブミン、トランスフェリン、またはトランスサイレチンを含む。いくつかの実施形態において、上記タンパク質のそれぞれは独立にFc部分を含む。いくつかの実施形態において、上記タンパク質のそれぞれは独立にIgGのFc部分を含む。いくつかの実施形態において、上記複合化部分はポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記さらなる複合化部分はポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドのそれぞれは独立に、XTENペプチド、高グリシンホモアミノ酸ポリマー(HAP)、PASポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(ELP)、CTPペプチド、またはゼラチン様タンパク質(GLK)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記単離及び精製されたIL-2ポリペプチドはグルタミル化によって修飾される。いくつかの実施形態において、上記複合化部分は上記単離及び精製されたIL-2ポリペプチドに直接結合する。いくつかの実施形態において、上記複合化部分は、リンカーを介して上記単離及び精製されたIL-2ポリペプチドに間接的に結合する。いくつかの実施形態において、上記リンカーはホモ二官能性リンカーを含む。いくつかの実施形態において、上記ホモ二官能性リンカーは、Lomant試薬であるジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)(DSP)、3’3’-ジチオビス(プロピオン酸スルホスクシンイミジル)(DTSSP)、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)、スベリン酸ビス(スルホスクシンイミジル)(BS)、酒石酸ジスクシンイミジル(DST)、酒石酸ジスルホスクシンイミジル(スルホDST)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシナート)(EGS)、グルタル酸ジスクシンイミジル(DSG)、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)、アジピミデートジメチル(DMA)、ピメリミデートジメチル(DMP)、スベリミデートジメチル(DMS)、ジメチル-3、3’-ジチオビスプロピオンイミダート(DTBP)、1,4-ジ-(3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド)ブタン(DPDPB)、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(DFDNB)もしくは1,3-ジフルオロ-4,6-ジニトロベンゼンなどのハロゲン化アリール含有化合物、4,4’-ジフルオロ-3,3’-ジニトロフェニルスルホン(DFDNPS)、ビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、o-トルイジン、3,3’-ジメチルベンジジン、ベンジジン、α,α’-p-ジアミノジフェニル、ジヨード-p-キシレンスルホン酸、N,N’-エチレンビス(ヨードアセトアミド)、またはN,N’-ヘキサメチレン-ビス(ヨードアセトアミド)を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーはヘテロ二官能性リンカーを含む。いくつかの実施形態において、上記ヘテロ二官能性リンカーは、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-スクシンイミジル(sPDP)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸長鎖N-スクシンイミジル(LC-sPDP)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸水溶性長鎖N-スクシンイミジル(スルホ-LC-sPDP)、スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルエン(sMPT)、6-[α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサン酸スルホスクシンイミジル(スルホ-LC-sMPT)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(sMCC)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スルホスクシンイミジル(スルホ-sMCC)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBs)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MBs)、(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸N-スクシンイミジル(sIAB)、(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸スルホスクシンイミジル(スルホ-sIAB)、4-(p-マレイミドフェニル)酪酸スクシンイミジル(sMPB)、4-(p-マレイミドフェニル)酪酸スルホスクシンイミジル(スルホ-sMPB)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミドエステル(GMBs)、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBs)、6-((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサン酸スクシンイミジル(sIAX)、6[6-(((ヨードアセチル)アミノ)ヘキサノイル)アミノ]ヘキサン酸スクシンイミジル(slAXX)、4-(((ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(sIAC)、6-(((((4-ヨードアセチル)アミノ)メチル)シクロヘキサン-1-カルボニル)アミノ)ヘキサン酸スクシンイミジル(sIACX)、ヨード酢酸p-ニトロフェニル(NPIA)、4-(4Nマレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)などのカルボニル反応性且つスルフヒドリル反応性の架橋剤、4-(N-


マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシル-ヒドラジド-8(M2C2H)、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH)、N-ヒドロキシスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(NHs-AsA)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル-4-アジドサリチル酸(スルホ-NHs-AsA)、(4-アジドサリチルアミド)ヘキサン酸スルホスクシンイミジル(スルホ-NHs-LC-AsA)、2-(p-アジドサリチルアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸スルホスクシンイミジル(sAsD)、4-アジド安息香酸N-ヒドロキシスクシンイミジル(HsAB)、4-アジド安息香酸N-ヒドロキシスルホスクシンイミジル(スルホ-HsAB)、6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸N-スクシンイミジル(sANPAH)、6-(4’-アジド-2’-ニトロフェニルアミノ)ヘキサン酸スルホスクシンイミジル(スルホ-sANPAH)、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド(ANB-NOs)、2-(m-アジド-o-ニトロベンザミド)-エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸スルホスクシンイミジル(sAND)、4-アジドフェニル-1,3’-ジチオプロピオン酸N-スクシンイミジル(sADP)、4-アジドフェニル-1,3’-ジチオプロピオン酸N-スルホスクシンイミジル(スルホ-sADP)、4-(p-アジドフェニル)酪酸スルホスクシンイミジル(スルホ-sAPB)、2-(7-アジド-4-メチルクマリン-3-アセトアミド)エチル-1,3’-ジチオプロピオン酸スルホスクシンイミジル(sAED)、7-アジド-4-メチルクマリン-3-酢酸スルホスクシンイミジル(スルホ-sAMCA)、ジアゾピルビン酸p-ニトロフェニル(pNPDP)、2-ジアゾ-3,3,3-トリフルオロプロピオン酸p-ニトロフェニル(PNP-DTP)、l-(p-アジドサリチルアミド)-4-(ヨードアセトアミド)ブタン(AsIB)、N-[4-(p-アジドサリチルアミド)ブチル]-3’-(2’-ピリジルジチオ)プロピオンアミド(APDP)、ベンゾフェノン-4-ヨードアセトアミド、p-アジドベンゾイルヒドラジド(ABH)、4-(p-アジドサリチルアミド)ブチルアミン(AsBA)、またはp-アジドフェニルグリオキサール(APG)を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、任意選択でジペプチドリンカーを含む、切断可能なリンカーを含む。いくつかの実施形態において、上記ジペプチドリンカーは、Val-Cit、Phe-Lys、Val-Ala、またはVal-Lysを含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは切断不能のリンカーを含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、任意選択でマレイミドカプロイル(mc)、4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミジル(sMCC)、または4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スルホスクシンイミジル(スルホ-sMCC)を含むマレイミド基を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーはスペーサーをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記スペーサーは、p-アミノベンジルアルコール(PAB)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)、それらの誘導体、または類似体を含む。いくつかの実施形態において、上記複合化部分は、IL-2複合体の血清半減期を延長することが可能である。いくつかの実施形態において、上記さらなる複合化部分は、IL-2複合体の血清半減期を延長することが可能である。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、本明細書に記載のIL-2の形態のいずれかのフラグメントである。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、米国特許出願公開第US2020/0181220A1号及び米国特許出願公開第US2020/0330601Al号に開示されるようにペグ化されている。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む複合化部分に共有結合したN-アジドエトキシ-L-リシン(AzK)を含むIL-2ポリペプチドを含むIL-2複合体であって、上記IL-2ポリペプチドが、配列番号5に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号5内のアミノ酸の位置に関して、K35位、F42位、F44位、K43位、E62位、P65位、R38位、T41位、E68位、Y45位、V69位、またはL72位のアミノ酸が上記AzKによって置換されている上記IL-2複合体である。いくつかの実施形態において、上記IL-2ポリペプチドは、配列番号5に対して1残基のN末端での欠失を含む。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適な上記IL-2の形態は、IL-2Rのアルファ鎖結合性は失われているが、中程度の親和性のIL-2Rベータ-ガンマシグナル伝達複合体への正常な結合は保持している。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適な上記IL-2の形態は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む複合化部分に共有結合したN-アジドエトキシ-L-リシン(AzK)を含むIL-2ポリペプチドを含むIL-2複合体であって、上記IL-2ポリペプチドが、配列番号5に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号5内のアミノ酸の位置に関して、K35位、F42位、F44位、K43位、E62位、P65位、R38位、T41位、E68位、Y45位、V69位、またはL72位のアミノ酸が上記AzKによって置換されている上記IL-2複合体である。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適な上記IL-2の形態は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む複合化部分に共有結合したN-アジドエトキシ-L-リシン(AzK)を含むIL-2ポリペプチドを含むIL-2複合体であって、上記IL-2ポリペプチドが、配列番号5に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号5内のアミノ酸の位置に関して、K35位、F42位、F44位、K43位、E62位、P65位、R38位、T41位、E68位、Y45位、V69位、またはL72位のアミノ酸が上記AzKによって置換されている上記IL-2複合体である。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適な上記IL-2の形態は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む複合化部分に共有結合したN-アジドエトキシ-L-リシン(AzK)を含むIL-2ポリペプチドを含むIL-2複合体であって、上記IL-2ポリペプチドが、配列番号5に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ配列番号5内のアミノ酸の位置に関して、K35位、F42位、F44位、K43位、E62位、P65位、R38位、T41位、E68位、Y45位、V69位、またはL72位のアミノ酸が上記AzKによって置換されている上記IL-2複合体である。
【0273】
いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、Alkermes, Inc.から入手可能な、ALKS-4230(配列番号6)としても知られるネムバロイキン・アルファである。ネムバロイキン・アルファは、ヒトインターロイキン2フラグメント(1~59)、変異体(Cys125>Ser51)、ペプチジルリンカー(60GG61)を介してヒトインターロイキン2フラグメント(62~132)に融合、ペプチジルリンカー(133GSGGGS138)を介してヒトインターロイキン2受容体α鎖フラグメント(139-303)に融合、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で産生、グリコシル化;ヒトインターロイキン2(IL-2)(75~133)-ペプチド[Cys125(51)>Ser]-変異体(1~59)、Gペプチドリンカー(60~61)を介してヒトインターロイキン2(IL-2)(4~74)-ペプチド(62~132)に及びGSGSペプチドリンカー(133~138)を介してヒトインターロイキン2受容体α鎖(IL2Rサブユニットアルファ、IL2Rα、IL2RA)(l~165)-ペプチド(139~303)に融合、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で産生、糖型アルファとしても知られている。ネムバロイキン・アルファのアミノ酸配列を配列番号6に示す。いくつかの実施形態において、ネムバロイキン・アルファは、以下の翻訳後修飾、すなわち、31~116位、141~285位、184~242位、269~301位、166~197位または166~199位、168~199位または168~197位(配列番号6における番号付けを使用)のジスルフィド架橋、及び配列番号6における番号付けを使用したN187位、N206位、T212位のグリコシル化部位を示す。ネムバロイキン・アルファの調製及び特性、ならびに本発明における使用に好適な上記に代わるさらなるIL-2の形態は、米国特許出願公開第US2021/0038684A1号及び米国特許第10,183,979号に記載され、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、配列番号6に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも90%の配列同一性を有するタンパク質である。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、配列番号6に示すアミノ酸配列またはその保存的アミノ酸置換体を有する。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、配列番号7のアミノ酸24~452、またはその変異体、フラグメント、もしくは誘導体を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、配列番号7のアミノ酸24~452、またはそのバリアント、フラグメント、もしくは誘導体に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質である。本発明における使用に好適な他のIL-2の形態は、米国特許第10,183,979号に記載されており、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。任意選択で、いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、ムチンドメインポリペプチドリンカーによって第2の融合パートナーに連結された第1の融合パートナーを含む融合タンパク質であって、上記第1の融合パートナーが、IL-1RαまたはIL-1Rαに対して少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有し、IL-1Rαの受容体アンタゴニスト活性を有するタンパク質であり、上記第2の融合パートナーが、Fc領域を含む免疫グロブリンの全てまたは一部を含み、上記ムチンドメインポリペプチドリンカーが、配列番号8に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、上記融合タンパク質の半減期が、上記ムチンドメインポリペプチドリンカーの非存在下での上記第2の融合タンパク質に対する上記第1の融合タンパク質の融合と比較して向上している上記融合タンパク質である。

【表2】
【0274】
いくつかの実施形態において、本発明における使用に好適なIL-2の形態は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重鎖可変領域(V)、LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む軽鎖可変領域(V)、及び上記VもしくはVのCDR中に合体したIL-2分子またはそのフラグメントを含む抗体サイトカイン合体タンパク質であって、制御性T細胞よりもTエフェクター細胞を優先的に増殖させる上記抗体サイトカイン合体タンパク質を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重鎖可変領域(V)、LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む軽鎖可変領域(V)、及び上記VもしくはVのCDR中に合体したIL-2分子またはそのフラグメントを含み、但し、上記IL-2分子はムテインであり、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、制御性T細胞よりもTエフェクター細胞を優先的に増殖させる。一実施形態において、上記IL-2レジメンは、米国特許出願公開第US2020/0270334A1号に記載されている抗体の投与を含み、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重鎖可変領域(V);LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む軽鎖可変領域(V);及び上記VもしくはVのCDR中に合体したIL-2分子またはそのフラグメントを含み、但し、上記IL-2分子はムテインであり、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、制御性T細胞よりもTエフェクター細胞を優先的に増殖させ、上記抗体は、配列番号39を含むIgGクラス軽鎖及び配列番号38を含むIgGクラス重鎖;配列番号37を含むIgGクラス軽鎖及び配列番号29を含むIgGクラス重鎖;配列番号39を含むIgGクラス軽鎖及び配列番号29を含むIgGクラス重鎖;ならびに配列番号37を含むIgGクラス軽鎖及び配列番号38を含むIgGクラス重鎖からなる群より選択される、IgGクラス重鎖及びIgGクラス軽鎖をさらに含む。
【0275】
一実施形態において、IL-2分子またはそのフラグメントは上記VのHCDR1中に合体され、上記IL-2分子はムテインである。一実施形態において、IL-2分子またはそのフラグメントは、上記VのHCDR2中に合体され、上記IL-2分子はムテインである。一実施形態において、IL-2分子またはそのフラグメントは、上記VのHCDR3に合体され、上記IL-2分子はムテインである。一実施形態において、IL-2分子またはそのフラグメントは、上記VのLCDR1に合体され、上記IL-2分子はムテインである。一実施形態において、IL-2分子またはそのフラグメントは、上記VのLCDR2に合体され、上記IL-2分子はムテインである。一実施形態において、IL-2分子またはそのフラグメントは、上記VのLCDR3に合体され、上記IL-2分子はムテインである。
【0276】
上記IL-2分子の挿入は、上記CDRのN末端領域もしくはその近傍、上記CDRの中間領域、または上記CDRのC末端領域もしくはその近傍であってよい。いくつかの実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、CDR中に組み込まれたIL-2分子を含み、上記IL2の配列は上記CDRの配列をフレームシフトしない。いくつかの実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、CDR中に組み込まれたIL-2分子を含み、上記IL-2の配列はCDR配列の全部または一部を置換する。上記IL-2分子による置換は、上記CDRのN末端領域、上記CDRの中間領域、または上記CDRのC末端領域もしくはその近傍であってよい。上記IL-2分子による置換は、CDR配列のわずか1つもしくは2つのアミノ酸、またはCDR配列全体であってよい。
【0277】
いくつかの実施形態において、IL-2分子は、ペプチドリンカーなしで、CDR配列とIL-2配列の間に、追加のアミノ酸なしでCDR中に直接合体される。いくつかの実施形態において、IL-2分子は、CDR配列とIL-2配列の間に、1つ以上の追加のアミノ酸を有するペプチドリンカーを用いてCDR中に間接的に合体される。
【0278】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のIL-2分子はIL-2ムテインである。場合により、上記IL-2ムテインはR67A置換を含む。いくつかの実施形態において、上記IL-2ムテインは、アミノ酸配列配列番号14または配列番号15を含む。いくつかの実施形態において、上記IL-2ムテインは、米国特許出願公開第US2020/0270334A1号の表1のアミノ酸配列を含み、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。
【0279】
一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号16、配列番号19、配列番号22、及び配列番号25からなる群より選択されるHCDR1を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号7、配列番号10、配列番号13、及び配列番号16からなる群より選択されるHCDR1を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号17、配列番号20、配列番号23、及び配列番号26からなる群より選択されるHCDR2からなる群より選択されるHCDR1を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号18、配列番号21、配列番号24、及び配列番号27からなる群より選択されるHCDR3を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号28のアミノ酸配列を含むV領域を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号36のアミノ酸配列を含むV領域を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号28のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号36のアミノ酸配列を含むV領域を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖領域及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖領域及び配列番号39のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖領域及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖領域及び配列番号39のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、米国特許出願公開第2020/0270334A1号のIgG.IL2F71A.H1またはIgG.IL2R67A.H1、あるいはその変異体、誘導体、もしくはフラグメント、またはその保存的アミノ酸置換体、またはそれに対する少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するタンパク質を含む。一実施形態において、本明細書に記載の抗体サイトカイン合体タンパク質の抗体成分は、免疫グロブリン配列、フレームワーク配列、またはパリビズマブのCDR配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体サイトカイン合体タンパク質の血清半減期は、アルデスロイキンまたは同等の分子などの、但しこれらに限定されない野生型IL-2分子よりも長い。一実施形態において、本明細書に記載の抗体サイトカイン合体タンパク質は、表3に示す配列を有する。

【表3-1】

【表3-2】
【0280】
用語「IL-4」(本明細書では「IL4」とも称される)は、インターロイキン4として知られるサイトカインを指し、これはTh2 T細胞によって産生され、並びに好酸球、好塩基球、及びマスト細胞によって産生される。IL-4は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)のTh2 T細胞への分化を調節する。Steinke and Borish, Respir. Res. 2001, 2, 66-70。IL-4によって活性化されると、続いてTh2 T細胞はポジティブフィードバックループで更なるIL-4を産生する。IL-4はまた、B細胞増殖及びクラスII MHC発現も刺激し、B細胞からのIgE及びIgG発現へのクラススイッチも誘導する。本発明における使用に好適な組換えヒトIL-4は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-211)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号Gibco CTP0043)を含む複数の供給業者から市販されている。本発明における使用に好適な組換えヒトIL-4のアミノ酸配列を表2に示す(配列番号9)。
【0281】
用語「IL-4」(本明細書では「IL4」とも呼ばれる)とは、インターロイキン4として知られるサイトカインを指し、これはTh2 T細胞、ならびに好酸球、好塩基球、及びマスト細胞によって産生される。IL-4は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)のTh2 T細胞への分化を調節する。Steinke and Borish, Respir. Res. 2001, 2, 66-70。Th2 T細胞は、IL-4によって活性化されると、続いてポジティブフィードバックループで更なるIL-4を産生する。IL-4はまた、B細胞の増殖及びクラスII MHC発現も刺激し、B細胞からのIgE及びIgG発現へのクラススイッチも誘導する。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-4は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-211)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号Gibco CTP0043)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-4のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号5)。
【0282】
用語「IL-7」(本明細書では「IL7」とも称される)は、インターロイキン7として知られるグリコシル化組織由来サイトカインを指し、これは間質及び上皮細胞、並びに樹状細胞から入手し得る。Fry and Mackall, Blood 2002, 99, 3892-904。IL-7はT細胞の発達を刺激することができる。IL-7は、IL-7受容体αと共通γ鎖受容体とからなるヘテロ二量体のIL-7受容体に結合し、それが胸腺内でのT細胞発達及び末梢内での生存にとって重要な一連のシグナルとなる。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-7は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-254)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号Gibco PHC0071)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-7のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号6)。
【0283】
用語「IL-15」(本明細書では「IL15」とも称される)は、インターロイキン-15として知られるT細胞成長因子を指し、そのヒト及び哺乳類形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー、及び変異体を含め、あらゆる形態のIL-2が含まれる。IL-15については、例えば、Fehniger and Caligiuri, Blood 2001, 97, 14-32(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。IL-15はβ及びγシグナル伝達受容体サブユニットをIL-2と共有している。組換えヒトIL-15は、分子質量が12.8kDaの、114アミノ酸(及びN末端メチオニン)を含む単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL-15は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-230-b)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-15組換えタンパク質、カタログ番号34-8159-82)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-15のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号7)。
【0284】
用語「IL-21」(本明細書では「IL21」とも称される)は、インターロイキン-21として知られるプレイオトロピックサイトカインタンパク質を指し、そのヒト及び哺乳類形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー、及び変異体を含め、あらゆる形態のIL-21が含まれる。IL-21については、例えば、Spolski and Leonard, Nat. Rev. Drug. Disc. 2014, 13, 379-95(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されている。IL-21は、主としてナチュラルキラーT細胞及び活性化ヒトCD4 T細胞によって産生される。組換えヒトIL-21は、分子質量が15.4kDaの、132アミノ酸を含む単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL-21は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd.、East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-408-b)及びThermoFisher Scientific, Inc.、Waltham, MA, USA(ヒトIL-21組換えタンパク質、カタログ番号14-8219-80)を含め、複数の供給業者から市販されている。本発明での使用に好適な組換えヒトIL-21のアミノ酸配列を表2に提供する(配列番号8)。
【0285】
「抗腫瘍有効量」、「腫瘍阻害有効量」、又は「治療量」が指示されるとき、本発明の組成物の正確な投与量は、医師が、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染又は転移の程度、及び患者(対象)の状態の個体差を考慮して決定することができる。概して、本明細書に記載される腫瘍浸潤リンパ球(例えば、二次TIL又は遺伝子修飾された細胞傷害性リンパ球)を含む医薬組成物は10~1011細胞/kg体重(例えば、10~10、10~1010、10~1011、10~1010、10~1011、10~1011、10~1010、10~1011、10~1010、10~1011、又は10~1010細胞/kg体重)(これらの範囲内にある全ての整数値を含む)の投薬量で投与されてもよいと言うことができる。腫瘍浸潤リンパ球(場合によっては遺伝子修飾された細胞傷害性リンパ球を含む)組成物はまた、これらの投薬量で複数回投与されてもよい。腫瘍浸潤リンパ球(ある場合には、遺伝子的なものを含む)は、免疫療法で一般に公知の注入技法を用いることにより投与し得る(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319: 1676, 1988を参照のこと)。特定の患者に最適な投薬量及び処置レジームは、医学分野の当業者が疾患の徴候に関して患者をモニタし及びそれに応じて処置を調整することにより、容易に決定することができる。
【0286】
用語「血液学的悪性腫瘍」、「血液学的悪性腫瘍」、または関連する意味の用語は、限定はされないが、血液、骨髄、リンパ節、及びリンパ系の組織を含め、哺乳類における造血及びリンパ系組織の癌及び腫瘍を指す。血液学的悪性腫瘍は「液性腫瘍」とも称される。血液学的悪性腫瘍としては、限定はされないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄球性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫が挙げられる。用語「B細胞血液学的悪性腫瘍」は、B細胞を冒す血液学的悪性腫瘍を指す。
【0287】
用語「固形腫瘍」は、通常嚢胞又は液体範囲を含まない異常な組織塊を指す。固形腫瘍は良性又は悪性であり得る。用語「固形腫瘍癌」は、悪性、新生物性、又は癌性の固形腫瘍を指す。固形腫瘍癌としては、限定はされないが、肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、直腸癌、及び膀胱癌など、肉腫、癌腫、及びリンパ腫が挙げられる。固形腫瘍の組織構造は、実質(癌細胞)と、癌細胞が分散するところであって支持微小環境をもたらし得る支持間質細胞とを含む相互依存的組織コンパートメントを含む。
【0288】
用語「液性腫瘍」は、事実上流体である異常な細胞塊を指す。液性腫瘍癌としては、限定はされないが、白血病、骨髄腫、及びリンパ腫、並びに他の血液学的悪性腫瘍が挙げられる。液性腫瘍から入手されるTILはまた、本明細書において骨髄浸潤リンパ球(MIL)とも称され得る。末梢血中を循環する液性腫瘍を含む液性腫瘍から得られるTILは、本明細書においてPBLと呼ばれる場合もある。用語MIL、TIL、及びPBLは本明細書において同義で使用され、当該の細胞が由来する組織の種類に基づいてのみ異なる。
【0289】
用語「微小環境」は、本明細書で使用されるとき、固形腫瘍又は血液学的腫瘍の微小環境全体又は微小環境内の個々の細胞サブセットを指し得る。腫瘍微小環境は、本明細書で使用されるとき、Swartz, et al., Cancer Res., 2012, 72, 2473に記載されるとおり、「新生物形質転換を促進し、腫瘍成長及び浸潤を支援し、腫瘍を宿主免疫から保護し、治療抵抗性を助長し、及び顕性転移が発育するためのニッチを提供する細胞、可溶性因子、シグナル伝達分子、細胞外マトリックス、及び機械的キュー」の複合混合物を指す。腫瘍は、T細胞によって認識されるはずの抗原を発現するが、微小環境による免疫抑制のため、免疫系による腫瘍クリアランスはまれである。
【0290】
本明細書では、用語「動的に計画立案すること」または「動的計画立案」とは、1つ以上のその後のイベントの成果(outcome)または結果(result)に基づいて、行われるイベントの柔軟なスケジュールを作成することを指す場合がある。したがって、患者の治療イベントなどのイベントの予定日は、該予定日の計画を立案した後、但し該イベントの前に実施される1つ以上の製造ステップの成果または結果に基づいて、動的に変更される場合がある。
【0291】
ある実施形態において、本発明は、TIL集団で癌を治療する方法を含み、ここで患者は本発明に係るTILの注入前に骨髄非破壊的化学療法で前処置される。一部の実施形態において、TIL集団が提供されてもよく、ここで患者は、本発明に係るTILの注入前に骨髄非破壊的化学療法で前処置される。ある実施形態において、骨髄非破壊的化学療法は、2日間(TIL注入前27日目及び26日目)のシクロホスファミド60mg/kg/日及び5日間(TIL注入前27~23日目)のフルダラビン25mg/m/日である。ある実施形態において、骨髄非破壊的化学療法及び本発明に係るTIL注入(0日目)の後、患者は生理学的忍容量まで8時間毎に静脈内に720,000IU/kgのIL-2の静脈内注入を受ける。
【0292】
実験的知見から、腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入前のリンパ球枯渇が、調節性T細胞及び免疫系の競合エレメント(「サイトカインシンク」)の除去により、治療有効性の増強において重要な役割を果たすことが指摘される。従って、本発明の一部の実施形態は、本発明のrTILを導入する前に患者に対してリンパ球枯渇ステップ(「免疫抑制コンディショニング」とも称される)を利用する。
【0293】
用語「共投与」、「共投与する」、「~と併用して投与される」、「~と併用して投与する」、「同時の」、及び「並行した」は、本明細書で使用されるとき、両方の医薬品有効成分及び/又はその代謝産物が対象に同じ時点で存在するような対象への2つ以上の医薬品有効成分(本発明の好ましい実施形態において、例えば、複数のTILとの併用での少なくとも1つのカリウムチャネル作動薬)の投与を包含する。共投与には、別個の組成物での同時投与、別個の組成物での異なる時点における投与、又は2つ以上の医薬品有効成分が存在する組成物での投与が含まれる。別個の組成物での同時投与及び両方の薬剤が存在する組成物での投与が好ましい。
【0294】
用語「有効量」又は「治療有効量」は、限定はされないが疾患治療を含めた、意図した適用を達成するのに十分な本明細書に記載されるとおりの化合物又は化合物の組み合わせの量を指す。治療有効量は、意図した適用(インビトロ又はインビボ)、又は治療下の対象及び疾患病態(例えば、対象の体重、年齢及び性別)、疾患病態の重症度、又は投与方法に応じて異なり得る。この用語はまた、標的細胞において特定の応答(例えば、血小板粘着及び/又は細胞遊走の低減)を生じさせるであろう用量にも適用される。具体的な用量は、選択した詳細な化合物、従うべき投与レジメン、化合物が他の化合物と併用して投与されるかどうか、投与タイミング、その投与先の組織、及び化合物を運ぶ物理的デリバリーシステムに応じて異なることになる。
【0295】
用語「治療」、「治療している」、「治療する」などは、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を達成することを指す。効果は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に防ぐという意味で予防的であってもよく、及び/又は疾患及び/又は疾患に起因する有害作用を部分的に又は完全に治癒するという意味で治療的であってもよい。「治療」は、本明細書で使用されるとき、哺乳類、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)疾患の素因があり得るが、まだそれを有するとは診断されてない対象において疾患の発生を防ぐこと;(b)疾患を阻害すること、即ちその発症又は進行を止めること;及び(c)疾患を軽減すること、即ち疾患の退縮を生じさせること及び/又は1つ以上の疾患症状を軽減することが含まれる。「治療」はまた、疾患又は病態がない場合であっても、薬理学的効果を提供するための薬剤の送達を包含することも意図される。例えば、「治療」は、例えばワクチンの場合に、疾患状態がない中で免疫応答を誘発し又は免疫を付与することのできる組成物の送達を包含する。
【0296】
用語「異種」は、核酸又はタンパク質の一部分に関連して使用されるとき、その核酸又はタンパク質が、自然中では互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には組換え産生されて、新規の機能性核酸を作り出すように編成された無関係の遺伝子からの2つ以上の配列、例えば、ある供給源からのプロモーターと別の供給源からのコード領域、又は異なる供給源からのコード領域を有する。同様に、異種タンパク質とは、タンパク質が、自然中では互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列(例えば、融合タンパク質)を含むことを示す。
【0297】
2つ以上の核酸又はポリペプチドの文脈で用語「配列同一性」、「パーセント同一性」、及び「配列パーセント同一性」(又はこれらの同義語、例えば「99%同一」)は、いかなる保存的アミノ酸置換も配列同一性の一部として考慮せず、対応が最大となるように比較及びアラインメント(必要に応じてギャップを導入する)したときに同じである、又は同じであるヌクレオチド若しくはアミノ酸残基を特定の割合だけ有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェア又はアルゴリズムを用いるか、又は目視検査によって測定することができる。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアラインメントを達成するために使用し得る様々なアルゴリズム及びソフトウェアが当該技術分野において公知である。パーセント配列同一性の決定に好適なプログラムとしては、例えば、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)BLASTウェブサイトから利用可能なBLASTプログラムスイートが挙げられる。2つの配列間の比較は、BLASTN又はBLASTPのいずれかのアルゴリズムを使用して行うことができる。BLASTNは核酸配列の比較に使用され、一方、BLASTPはアミノ酸配列の比較に使用される。ALIGN、ALIGN-2(Genentech、South San Francisco, California)又はDNASTARから利用可能なMegAlignが、配列のアラインメントに使用し得る更なる公的に利用可能なソフトウェアプログラムである。当業者は、特定のアラインメントソフトウェアによるアラインメントを最大化するための適切なパラメータを決定することができる。特定の実施形態では、アラインメントソフトウェアのデフォルトパラメータが使用される。
【0298】
本明細書で使用されるとき、用語「変異体」は、限定はされないが、参照タンパク質、参照抗体、または参照融合タンパク質のアミノ酸配列の範囲内の又はそれに隣接する特定の位置における1つ以上の置換、欠失及び/又は付加の点で参照抗体、参照融合タンパク質、または参照融合タンパク質のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含む抗体又は融合タンパク質を包含する。変異体は、参照抗体のアミノ酸配列と比較して、そのアミノ酸配列に1つ以上の保存的置換を含み得る。保存的置換は、例えば、同様の荷電又は非荷電アミノ酸の置換を含み得る。変異体は、参照抗体、参照融合タンパク質、または参照融合タンパク質の抗原に特異的に結合する能力を保持している。変異体という用語はまた、ペグ化抗体又はタンパク質も含む。
【0299】
本明細書において「腫瘍浸潤リンパ球」又は「TIL」とは、対象の血流を離れて腫瘍中に遊走した、当初白血球細胞として得られた細胞の集団を意味する。TILとしては、限定はされないが、CD8細胞傷害性T細胞(リンパ球)、Th1及びTh17 CD4T細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞及びM1マクロファージが挙げられる。TILには、初代TIL及び二次TILの両方が含まれる。「初代TIL」は、本明細書に概説されるとおり患者組織試料から得られるものであり(「新鮮に得られた」または「新鮮に単離された」と称されることもある)、及び「二次TIL」は、限定はされないが、バルクTIL、拡大培養TIL(「REP TIL」)並びに本明細書で考察するとおりの「reREP TIL」を含め、本明細書で考察するとおり拡大培養された又は成長した任意のTIL細胞集団である。reREP TILは、例えば、第2の拡大培養TIL又は第2追加拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含む、図2A及び/または図9のステップDに記載されたものなど)を含み得る。
【0300】
TILは、概して、細胞表面マーカーを使用して生化学的に定義することも、又は腫瘍に浸潤して処置を達成するその能力によって機能的に定義することもできる。TILは、一般に、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を発現することによって分類することができる:CD4、CD8、TCRαβ、CD27、CD28、CD56、CCR7、CD45Ra、CD95、PD-1、及びCD25。加えて、及び或いは、TILは、患者への再導入時に固形腫瘍に浸潤するその能力によって機能的に定義することができる。TILは、更に効力によって特徴付けられてもよく-例えば、TILは、例えばインターフェロン(IFN)遊離が約50pg/mLより高い、約100pg/mLより高い、約150pg/mLより高い、又は約200pg/mLより高い場合に効力があると見なすことができる。例えば、インターフェロン(IFNγ)遊離が約50pg/mLを超える、約100pg/mLを超える、約150pg/mLを超える、約200pg/mLを超える、約300pg/mLを超える、約400pg/mLを超える、約500pg/mLを超える、約600pg/mLを超える、約700pg/mLを超える、約800pg/mLを超える、約900pg/mLを超える、約1000pg/mLを超える場合に、TILSは効力があると見なすことができる。
【0301】
用語「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、ありとあらゆる溶媒、分散剤、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに不活性成分を含むものとする。活性医薬成分のためのかかる薬学的に許容される担体又は薬学的に許容される賦形剤の使用は当該技術分野において周知である。任意の従来の薬学的に許容される担体又は薬学的に許容される賦形剤が活性医薬成分と適合しない場合を除き、本発明の治療用組成物におけるその使用が企図される。他の薬物などの追加の活性医薬成分もまた、記載の組成物及び方法に援用され得る。
【0302】
用語「約」及び「およそ」は、統計的に意味のある値の範囲内を指す。かかる範囲は、所定の値又は範囲の一桁以内、好ましくは50%以内、より好ましくは20%以内、更により好ましくは10%以内、更により好ましくは5%以内であり得る。用語「約」又は「およそ」に含まれる許容変動は、研究中の特定の系に依存し、当業者には容易に理解できる。更に、本明細書で使用される場合、用語「約」及び「およそ」は、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状、及びその他の量及び特性が正確ではないことを意味するが、近似及び/又はより大きい又はより小さい場合があり、必要に応じて、公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に公知の他の因子を反映する。一般に、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状、又は他の量若しくは特性は、明示的にそうであると明記されているか否かにかかわらず、「約」又は「およそ」である。大きく異なるサイズ、形状及び寸法の実施形態が、記載された用語を採用する場合があることに留意されたい。
【0303】
添付の特許請求の範囲で使用される場合、「を含む」、「から本質的になる」、及び「からなる」という移行用語は、記載されていない追加の請求要素又はステップがある場合、それらが特許請求の範囲から除外されることに関して、元の形式及び修正された形式で、特許請求(複数可)の範囲を定義する。用語「を含む」は、包括的又は無制限であることを意図しており、追加の、引用されていない要素、方法、ステップ、又は材料を除外するものではない。用語「からなる」は、特許請求の範囲で指定されたもの以外の要素、ステップ、又は材料を除外し、後者の場合、指定された材料(複数可)に関連する通常の不純物を除外する。用語「から本質的になる」は、特許請求の範囲を特定の要素、ステップ又は材料(複数可)、及び請求された発明の基本的及び新規の特性(複数可)に実質的に影響しないものに限定する。本発明を具体化する本明細書に記載の全ての組成物、方法及びキットは、代替実施形態において、「を含む」、「から本質的になる」、及び「からなる」という移行用語のいずれかによってより具体的に定義され得る。
【0304】
II.TIL製造プロセス(GEN3プロセスの実施形態)
いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、本発明の方法に記載の、T細胞の活性化のプライミングを行う、プライミングである第1の増殖のと、それに続くT細胞の活性化をブーストする急速な第2の増殖により、「より若い」表現型を保持した増殖T細胞の調製が可能になり、それによって、本発明の増殖T細胞は、他の方法によって増殖させたT細胞よりもがん細胞に対するより高い細胞傷害性を示すことが期待される。特に、本発明の方法によって教示される、抗CD3抗体(例えばOKT-3)、IL-2、及び任意選択で抗原提示細胞(APC)への曝露によってプライミングされ、次いで、さらに抗CD-3抗体(例えばOKT-3)、IL-2、及びAPCへのその後の曝露によってブーストされるT細胞の活性化によって、培養中のT細胞の成熟が制限または回避され、成熟度の低い表現型を有するT細胞集団が得られ、培養中の増殖によるT細胞の消耗がより少なくなり、がん細胞に対してより高い細胞傷害性を示すと考えられる。いくつかの実施形態において、上記急速な第2の増殖のステップは、(a)第1の容器、例えばG-REX 100MCS容器中で、約3~4日間、小規模の培養物中でT細胞を培養することによって上記急速な第2の増殖を実施し、次いで(b)上記小規模培養物中の上記T細胞を、上記第1の容器よりも大きな第2の容器、例えば、G-REX 500MCS容器に移し、上記第2の容器において、上記小規模培養物由来のT細胞をより大きな規模の培養物中で約4~7日間培養することによって、培養物のスケールアップを実現するための複数のステップに分割される。いくつかの実施形態において、上記急速増殖のステップは、(a)第1の容器、例えばG-REX 100MCS容器中で、約3~4日間、小規模の培養物中でT細胞を培養することによって上記急速な第2の増殖を実施し、次いで(b)上記小規模培養物から上記T細胞を、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の、上記第1の容器と同サイズの第2の容器に移し、且つ上記容器間で配分し、第2の容器のそれぞれにおいて、かかる第2の容器に移された第1の小規模培養物由来のT細胞の一部を、第2の小規模培養物中で約4~7日間培養することによって、培養物のスケールアウトを実現するための複数のステップに分割される。いくつかの実施形態において、上記急速増殖のステップは、(a)第1の容器、例えばG-REX 100MCS容器中で、約3~4日間、小規模の培養物中でT細胞を培養することによって上記急速な第2の増殖を実施し、次いで(b)上記小規模培養物から上記T細胞を、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の、上記第1の容器よりも大きな第2の容器、例えば、G-REX 500MCS容器に移し、且つ上記容器間で配分し、第2の容器のそれぞれにおいて、かかる第2の容器に移された第1の小規模培養物由来のT細胞の一部を、より大きな規模の培養物中で約4~7日間培養することによって、培養物のスケールアウト及びスケールアップを実現するための複数のステップに分割される。いくつかの実施形態において、上記急速増殖のステップは、(a)第1の容器、例えばG-REX 100MCS容器中で、約4日間、小規模の培養物中でT細胞を培養することによって上記急速な第2の増殖を実施し、次いで(b)上記小規模培養物から上記T細胞を、2、3、または4個の、上記第1の容器よりも大きな第2の容器、例えば、G-REX 500MCS容器に移し、且つ上記容器間で配分し、第2の容器のそれぞれにおいて、かかる第2の容器に移された小規模培養物由来のT細胞の一部を、より大きな規模の培養物中で約5日間培養することによって、培養物のスケールアウト及びスケールアップを実現するための複数のステップに分割される。
【0305】
これらの特徴のいくつかを含む、プロセス3として知られる(本明細書ではGEN3とも呼ばれる)、例としてのTILプロセスを図2A及び2Cならびに/または図9に示し、プロセス2Aに対する本発明のこの実施形態のいくつかの利点を図2Bに記載する。プロセス3の2つの実施形態を図2Cに示す。プロセス2AまたはGen2は、米国特許公開第2018/0280436号にも記載されており、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。プロセス3すなわちGen3は、国際特許出願第PCT/US2019/059718号(その全体が本明細書に援用される)ならびに、本出願に示す図5、6、8、9、10、及び11にも記載されている。
【0306】
いくつかの実施形態において、上記急速な第2の増殖は、プライミングである第1の増殖によって生じたT細胞の活性化が、低下、減退、減衰、または鎮静し始めた後に実施される。
【0307】
いくつかの実施形態において、上記急速な第2の増殖は、プライミングである第1の増殖によって生じたT細胞の活性化が、(約)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%低下した後に実施される。
【0308】
いくつかの実施形態において、上記急速な第2の増殖は、プライミングである第1の増殖によって生じたT細胞の活性化が、(約)1%~100%の範囲の割合で低下した後に実施される。
【0309】
いくつかの実施形態において、上記急速な第2の増殖は、プライミングである第1の増殖によって生じたT細胞の活性化が、(約)1%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または90%~100%の範囲の割合で低下した後に実施される。
【0310】
いくつかの実施形態において、上記急速な第2の増殖は、プライミングである第1の増殖によって生じたT細胞の活性化が、少なくとも(約)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%低下した後に実施される。
【0311】
いくつかの実施形態において、上記急速な第2の増殖は、プライミングである第1の増殖によって生じたT細胞の活性化が、最大で、(約)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%低下した後に実施される。
【0312】
いくつかの実施形態において、上記プライミングである第1の増殖によって生じたT細胞の活性化の低下は、抗原による刺激に応答してT細胞によって遊離するインターフェロンガンマの量の低下よって測定される。T細胞によって遊離するインターフェロンガンマの量が、インターフェロンガンマの初期レベルまたは対照レベルと比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、及び/または75%低下すると、T細胞の活性化が低下していることを示す。T細胞によって遊離するインターフェロンガンマの量が、200pg/mL未満、250pg/mL未満、300pg/mL未満、350pg/mL未満、400pg/mL未満、450pg/mL未満、500pg/mL未満、550pg/mL未満、600pg/mL未満、650pg/mL未満、700pg/mL未満、750pg/mL未満、800pg/mL未満、850pg/mL未満、900pg/mL未満、950pg/mL未満、または1000pg/mL未満に低下すると、T細胞の活性化が低下していることを示す。
【0313】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は、最長で(約)7日または(約)8日間実施される。
【0314】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は、最長で(約)1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、または8日間実施される。
【0315】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、または8日間実施される。
【0316】
いくつかの実施形態において、上記T細胞の第2の急速増殖は、最長で(約)11日間実施される。
【0317】
いくつかの実施形態において、上記T細胞の第2の急速増殖は、最長で(約)1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、または11日間実施される。
【0318】
いくつかの実施形態において、上記T細胞の第2の急速増殖は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、または11日間実施される。
【0319】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は(約)1日~(約)7日間実施され、上記T細胞の第2の急速増殖は(約)1日~(約)11日間実施される。
【0320】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は、最長で(約)1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、または8日間実施され、上記T細胞の第2の急速増殖は、最長で(約)1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、または11日間実施される。
【0321】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は(約)1日~(約)8日間実施され、上記T細胞の第2の急速増殖は(約)1日~(約)9日間実施される。
【0322】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は8日間実施され、上記T細胞の第2の急速増殖は9日間実施される。
【0323】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は(約)1日~(約)7日間実施され、上記T細胞の第2の急速増殖は(約)1日~(約)9日間実施される。
【0324】
いくつかの実施形態において、上記T細胞のプライミングである第1の増殖は7日間実施され、上記T細胞の第2の急速増殖は9日間実施される。
【0325】
いくつかの実施形態において、上記T細胞は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。
【0326】
いくつかの実施形態において、上記T細胞は骨髄浸潤リンパ球(MIL)である。
【0327】
いくつかの実施形態において、上記T細胞は末梢血リンパ球(PBL)である。
【0328】
いくつかの実施形態において、上記T細胞はがんに罹患しているドナーから得られる。
【0329】
いくつかの実施形態において、上記T細胞はがんに罹患している患者から切除された腫瘍から得られたTILである。
【0330】
いくつかの実施形態において、上記T細胞は血液悪性腫瘍に罹患している患者の骨髄から得られたMILである。
【0331】
いくつかの実施形態において、上記T細胞はドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)から得られたPBLである。いくつかの実施形態において、上記ドナーはがんに罹患している。いくつかの実施形態において、上記がんは、黒色腫、卵巣癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウイルスによって生じる癌、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を含む)、神経膠芽腫(GBMを含む)、消化器癌、腎癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記がんは、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウイルスによって生じる癌、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を含む)、神経膠芽腫(GBMを含む)、消化器癌、腎癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記ドナーは腫瘍に罹患している。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は液性腫瘍である。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、上記ドナーは血液悪性腫瘍に罹患している。
【0332】
本開示の特定の態様において、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞は、FICOLL分離などの、任意且つ多数の当業者に公知の技法を使用して、対象から採取された単位血液から得ることができる。好ましい一態様において、一個体の循環血液由来の細胞はアフェレシスによって得られる。アフェレシス製剤は通常、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、その他の有核白血球を含むリンパ球;赤血球;及び血小板を含む。一態様において、アフェレシスによって収取された細胞を洗浄して血漿画分を除去し、任意選択で、その後の処理ステップのために、上記細胞を適宜の緩衝液または培地中に入れておいてもよい。一実施形態において、上記細胞はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。上記に代わる実施形態において、洗浄液にはカルシウムが含まれず、マグネシウムが含まれない場合があり、全てではないにしても多くの二価陽イオンが含まれない場合がある。一態様において、T細胞は、末梢血リンパ球から、赤血球を溶解し、単球を、例えばPERCOLL密度勾配による遠心分離または向流遠心水簸によって除去することによって単離される。
【0333】
いくつかの実施形態において、上記T細胞は、全血から分離されたPBL、またはドナー由来のリンパ球が濃縮されたアフェレシス製剤である。いくつかの実施形態において、上記ドナーはがんに罹患している。いくつかの実施形態において、上記がんは、黒色腫、卵巣癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウイルスによって生じる癌、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を含む)、神経膠芽腫(GBMを含む)、消化器癌、腎癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記がんは、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウイルスによって生じる癌、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を含む)、神経膠芽腫(GBMを含む)、消化器癌、腎癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記ドナーは腫瘍に罹患している。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は液性腫瘍である。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、上記ドナーは血液悪性腫瘍に罹患している。いくつかの実施形態において、上記PBLは、全血またはリンパ球が濃縮されたアフェレシス製剤から、正の選択法または負の選択法を使用する、すなわち、T細胞表現型のマーカー(複数可)、例えば、CD3+ CD45+を使用してPBLを除去する、または非T細胞表現型細胞を除去し、PBLを残すことによって単離される。他の実施形態において、上記PBLは勾配遠心分離によって単離される。ドナーの組織由来のPBLを単離したところで、適宜の数の単離PBL(いくつかの実施形態において、おおよそ1×10個のPBL)を、本明細書に記載のいずれかの方法のプライミングである第1の増殖に従って、プライミングである第1の増殖の培養物中に播種することによって、PBLのプライミングである第1の増殖を開始することができる。
【0334】
本明細書において論じ且つ概説するように、TILは患者試料から採取され、患者に移植する前に、本明細書に記載のTILの増殖プロセスを使用して該TILの数を拡大するように操作される。いくつかの実施形態において、上記TILは、後述するように、任意選択で遺伝子操作されてもよい。いくつかの実施形態において、上記TILは、増殖の前または後に凍結保存されてもよい。解凍したところで、患者に注入する前に再刺激して該TILの代謝を高めてもよい。
【0335】
いくつかの実施形態において、この後ならびに実施例及び図において詳細に論じるように、上記プライミングである第1の増殖(本明細書において前急速増殖(前REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップBとして示すプロセスを含む)は1~8日に短縮され、上記急速な第2の増殖(本明細書において急速増殖プロトコル(REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップDとして示すプロセスを含む)は1~9日に短縮される。いくつかの実施形態において、この後ならびに実施例及び図において詳細に論じるように、プライミングである第1の増殖(本明細書において前急速増殖(前REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップBとして示すプロセスを含む)は1~8日に短縮され、急速な第2の増殖(本明細書において急速増殖プロトコル(REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップDとして示すプロセスを含む)は1~8日に短縮される。いくつかの実施形態において、この後ならびに実施例及び図において詳細に論じるように、プライミングである第1の増殖(本明細書において前急速増殖(前REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップBとして示すプロセスを含む)は1~7日に短縮され、急速な第2の増殖(本明細書において急速増殖プロトコル(REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップDとして示すプロセスを含む)は1~9日に短縮される。いくつかの実施形態において、この後ならびに実施例及び図において詳細に論じるように、プライミングである第1の増殖(本明細書において前急速増殖(前REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップBとして示すプロセスを含む)は1~7日であり、急速な第2の増殖(本明細書において急速増殖プロトコル(REP)と呼ばれるプロセス、ならびに図2AにステップDとして示すプロセスを含む)は1~10日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は8日に短縮され、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は7~9日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は8日であり、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は8~9日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は7日に短縮され、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は7~8日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は8日に短縮され、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は8日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は8日であり、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は9日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は8日であり、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は10日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は7日間であり、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は7~10日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は7日であり、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は8~10日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は7日であり、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は9~10日である。いくつかの実施形態において、プライミングである第1の増殖(例えば、図2AのステップBとして記載される増殖)は7日に短縮され、急速な第2の増殖(例えば、図2AのステップDとして記載される増殖)は7~9日である。いくつかの実施形態において、この後ならびに実施例及び図において詳細に論じるように、プライミングである第1の増殖と急速な第2の増殖との組み合わせ(例えば、図2AのステップB及びステップDとして記載される増殖)は14~16日である。特に、本発明の特定の実施形態は、IL-2の存在下での抗CD3抗体、例えばOKT-3への曝露または少なくともIL-2及び抗CD3抗体、例えばOKT-3の存在下での抗原への曝露によってTILが活性化される、第1の増殖ステップのプライミングを含むことが考えられる。特定の実施形態において、プライミングである第1の増殖ステップにおいて活性化されるTILは、TILの最初の集団、すなわち初代細胞集団である。
【0336】
いくつかの実施形態において、上記TILは、第1の増殖後且つ第2の増殖の前に保存されず、上記TILは直接第2の増殖に移る(例えば、いくつかの実施形態において、図2Aに示すように、ステップBからステップDへの移行の間に保存はされない)。いくつかの実施形態において、上記移行は、本明細書に記載されるように閉鎖型システムで行われる。いくつかの実施形態において、第1の増殖由来のTILである第2のTIL集団は、移行期間なしで第2の増殖に直接移る。
【0337】
いくつかの実施形態において、第1の増殖、例えば、図2Aに係るステップBは、閉鎖型システムバイオリアクター中で実施される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるTILの増殖用の閉鎖型システムが使用される。いくつかの実施形態において、単一のバイオリアクターが使用される。いくつかの実施形態において、使用される上記単一のバイオリアクターは、例えばG-REX-10またはG-REX-100である。いくつかの実施形態において、上記閉鎖型システムバイオリアクターは単一のバイオリアクターである。
【0338】
本明細書において言及される、A、B、Cなどの「ステップ」の呼称は、図2Aにおける非限定的な例に関し、且つ本明細書に記載の特定の非限定的な実施形態に関する。この後及び図2Aにおけるステップの順序は例示であり、ステップの任意の組み合わせもしくは順序、ならびに追加のステップ、ステップの繰り返し、及び/またはステップの省略は、本出願及び本明細書に開示の方法の企図するところである。
【0339】
A.細胞生存率アッセイ
細胞生存率アッセイは、上記プライミングである第1の増殖(初期バルク増殖と称する場合もある)の後に、当技術分野で公知の標準的なアッセイを使用して実施することができる。したがって、特定の実施形態において、本方法は、プライミングである第1の増殖の後に細胞生存率アッセイを実施することを含む。いくつかの実施形態において、細胞生存率アッセイは、上記第2の増殖の後(例えばREPの後)、ならびに最終的な回収の後に行ってもよい。例えば、上記バルクTILの試料に対してトリパンブルー排除アッセイを行ってもよく、該アッセイでは、死細胞が選択的に標識され、生存率の評価が可能になる。生存率の試験に使用する他のアッセイとしては、Alamar Blueアッセイ及びMTTアッセイを挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0340】
1.細胞数、生存率、フローサイトメトリー
いくつかの実施形態において、細胞数及び/または生存率が測定される。CD3、CD4、CD8、及びCD56、ならびに本明細書に開示または記載のいずれかのその他のマーカーなどの、但しこれらに限定されないマーカーの発現は、例えば、BD Biosciences, SanJose, CAから市販されている抗体などの、但しこれらに限定されない抗体を用い、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して測定することができる。上記細胞の計数は、使い捨てのc-chip血球計算盤(VWR, Batavia, IL)を使用し、手動で行うことができ、生存率は、トリパンブルー染色を含む、但しこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の方法を使用して評価することができる。上記細胞生存率は、米国特許出願第15/863,634号に基づいてアッセイすることもでき、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。細胞生存率は、米国特許公開第2018/0280436号または国際特許公開第WO/2018/081473号に基づいてアッセイすることもでき、これらの特許文献は共に、全ての目的に対してそれらの全体が本明細書に援用される。
【0341】
場合によっては、上記バルクTIL集団は、以下に論じるプロトコルを使用して直ちに凍結保存してもよい。あるいは、以下に論じるように、上記バルクTIL集団をREPに供し、次いで凍結保存してもよい。同様に、遺伝子組換えTILが治療に使用されることになる場合には、バルクまたはREP TIL集団は、適切な治療のための遺伝子組換えに供されてもよい。
【0342】
III.TIL製造プロセス(プロセス2Aの実施形態)
これらの特徴のいくつかを含むプロセス2Aとして知られる例示的なTILプロセスを図5に示し、プロセス1Cに対する本発明のこの実施形態の相違点及び利点のいくつかを図6ならびに図11に記載する。プロセス1Cを、比較のために図6、7、及び10に示す。プロセス2Aの一実施形態を図6ならびに図5、9、10、及び11に示す。図10及び11には、例示的な2Aプロセスを例示的な1Cプロセスと比較してさらに示す。
【0343】
本明細書において考察されるとおり、本発明は、患者への移植前に凍結保存TILを再刺激することによりその代謝活性、ひいては相対的健康を増加させることに関するステップ、及び前記代謝的健康の試験方法を含み得る。概して本明細書に概説されるとおり、TILは概して患者試料から採取し、操作することにより、患者への移植前にその数が拡大される。一部の実施形態において、TILは任意選択で以下に考察するとおり遺伝的に操作されてもよい。
【0344】
一部の実施形態において、TILは凍結保存され得る。解凍後、TILは、患者への注入前に、その代謝を高めるために再刺激されてもよい。
【0345】
一部の実施形態において、以下並びに実施例及び図で詳細に考察するとおり、第1の拡大培養(プレREPと称されるプロセス及び図9にステップAとして示されるプロセスを含む)は、3~14日間に短縮され、第2の拡大培養(REPと称されるプロセス及び図9にステップBとして示されるプロセスを含む)は、7~14日間に短縮される。一部の実施形態において、実施例で考察され、図5、6、8、9、10、及び11に示すとおり、第1の拡大培養(例えば、図9のステップBとして記載される拡大培養)は11日間に短縮され、第2の拡大培養(例えば、図9のステップDに記載される拡大培養)は11日間に短縮される。一部の実施形態において、以下並びに実施例及び図で詳細に考察するように、第1の拡大培養及び第2の拡大培養(例えば、図9のステップB及びステップDとして記載される拡大培養)の組み合わせは22日間に短縮される。
【0346】
以下の「ステップ」名A、B、C等は、図9を参照し、且つ本明細書に記載の実施形態を参照する。以下及び図9におけるステップの順序は例示であり、ステップの任意の組み合わせ又は順序、並びに追加のステップ、ステップの繰り返し、及び/又はステップの省略が、本願及び本明細書に開示される方法によって企図される。
【0347】
A.ステップA:患者腫瘍試料を入手する
一般に、TILは初めは患者腫瘍試料から入手され、次に本明細書に記載されるとおりの更なる操作のためより大きい集団へと拡大培養され、任意選択で凍結保存され、本明細書に概説されるとおり再刺激され、及び任意選択でTILの健康の指標として表現型及び代謝パラメータが判定される。
【0348】
患者腫瘍試料は当該技術分野において公知の方法を用いて、概して、外科的切除、針生検、コア生検、小生検、又はその他の、腫瘍とTIL細胞との混合物を含む試料を入手するための手段によって入手されてもよい。いくつかの実施形態において、複数の病巣からの試料採取(multilesional sampling)が使用される。いくつかの実施形態において、外科的切除、針生検、コア生検、小生検、またはその他の、腫瘍とTIL細胞との混合物を含む試料を得るための手段は、複数の病巣からの試料採取(すなわち、当該患者の、1つ以上の腫瘍部位及び/または位置ならびに同一の位置または極めて近接した位置の1つ以上の腫瘍から試料を得ること)を含む。一般に、腫瘍試料は、原発腫瘍、浸潤性腫瘍又は転移性腫瘍を含めた任意の固形腫瘍からであってもよい。腫瘍試料はまた、血液学的悪性腫瘍から入手された腫瘍など、液性腫瘍であってもよい。固形腫瘍は、肺組織の固形腫瘍であってもよい。いくつかの実施形態において、有用なTILは非小細胞肺癌(NSCLC)から得られる。
【0349】
入手後、腫瘍試料は概して鋭的剥離を用いて1~約8mmの小片に断片化され、約2~3mmが特に有用である。いくつかの実施形態において、TILは酵素的腫瘍消化物を使用してこれらの断片から培養される。かかる腫瘍消化物は、酵素培地(例えば、ロズウェルパーク記念研究所(RPMI:Roswell Park Memorial Institute)1640緩衝液、2mMグルタミン酸塩、10mcg/mLゲンタマイシン、30単位/mLのDNアーゼ及び1.0mg/mLのコラゲナーゼ)中でのインキュベーションと、それに続く機械的解離(例えば、組織解離装置を用いる)によって作製されてもよい。腫瘍消化物は、腫瘍を酵素培地中に置き、腫瘍を約1分間機械的に解離した後、続いて5%CO下37℃で30分間インキュベートし、続いてごく小さい組織片しか存在しなくなるまで前述の条件下で機械的解離及びインキュベーションのサイクルを繰り返すことにより作製されてもよい。この処理の終了時、細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有する場合、FICOLL分枝状親水性多糖を使用した密度勾配分離を実施して、それらの細胞を除去し得る。米国特許出願公開第2012/0244133 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものなど、当該技術分野において公知の代替的な方法を用いてもよい。前述の方法のいずれも、TILの拡大培養方法又は癌の治療方法に関して本明細書に記載される任意の実施形態において用いることができる。
【0350】
腫瘍解離酵素混合物は、コラゲナーゼ(コラゲナーゼの任意の配合物または種類を含む)、Accutase(商標)、Accumax(商標)、ヒアルロニダーゼ、中性プロテアーゼ(ディスパーゼ)、キモトリプシン、キモパパイン、トリプシン、カゼイナーゼ、エラスターゼ、パパイン、XIV型プロテアーゼ(プロナーゼ)、デオキシリボヌクレアーゼI(DNアーゼ)、トリプシン阻害剤、任意のその他の解離酵素またはタンパク質分解酵素、及びそれらの任意の組み合わせなどの、但しこれらに限定されない1種以上の解離(消化)酵素を含んでいてもよい。
【0351】
いくつかの実施形態において、上記解離酵素は凍結乾燥酵素から再構成される。いくつかの実施形態において、凍結乾燥酵素は、ある量のHBSSなどの無菌緩衝液中で再構成される。
【0352】
場合により、コラゲナーゼ(動物由来物を含まないコラゲナーゼ1型など)は10mLの無菌HBSSまたは別の緩衝液中で再構成される。凍結乾燥保存酵素は2892PZ U/バイアルの濃度であってよい。いくつかの実施形態において、コラゲナーゼは、5mL~15mLの緩衝液中で再構成される。いくつかの実施形態において、再構成後に、上記コラゲナーゼの原液は、約100PZ U/mL~約400PZ U/mL、例えば、約100PZ U/mL~約400PZ U/mL、約100PZ U/mL~約350PZ U/mL、約100PZ U/mL~約300PZ U/mL、約150PZ U/mL~約400PZ U/mL、約100PZ U/mL、約150PZ U/mL、約200PZ U/mL、約210PZ U/mL、約220PZ U/mL、約230PZ U/mL、約240PZ U/mL、約250PZ U/mL、約260PZ U/mL、約270PZ U/mL、約280PZ U/mL、約289.2PZ U/mL、約300PZ U/mL、約350PZ U/mL、または約400PZ U/mLの範囲である。
【0353】
いくつかの実施形態において、中性プロテアーゼは、1mLの無菌HBSSまたは別の緩衝液中で再構成される。凍結乾燥保存酵素は175DMC U/バイアルの濃度であってよい。いくつかの実施形態において、再構成後に、上記中性プロテアーゼの原液は、約100DMC/mL~約400DMC/mL、例えば、約100DMC/mL~約400DMC/mL、約100DMC/mL~約350DMC/mL、約100DMC/mL~約300DMC/mL、約150DMC/mL~約400DMC/mL、約100DMC/mL、約110DMC/mL、約120DMC/mL、約130DMC/mL、約140DMC/mL、約150DMC/mL、約160DMC/mL、約170DMC/mL、約175DMC/mL、約180DMC/mL、約190DMC/mL、約200DMC/mL、約250DMC/mLmL、約300DMC/mL、約350DMC/mL、または約400DMC/mLの範囲である。
【0354】
いくつかの実施形態において、DNアーゼIは1mLの無菌HBSSまたは別の緩衝液中で再構成される。凍結乾燥保存酵素は4KU/バイアルの濃度であった。いくつかの実施形態において、再構成後に、上記中性プロテアーゼの原液は、約1KU/mL~10KU/mL、例えば、約1KU/mL、約2KU/mL、約3KU/mL、約4KU/mL、約5KU/mL、約6KU/mL、約7KU/mL、約8KU/mL、約9KU/mL、または約10KU/mLの範囲である。
【0355】
いくつかの実施形態において、上記酵素の原液は変動する可能性があり、濃度を測定する必要がある場合がある。いくつかの実施形態において、上記凍結乾燥保存酵素の濃度を検証してもよい。いくつかの実施形態において、消化用カクテルに添加される酵素の最終的な量は、上記測定した保存酵素の濃度に基づいて調整される。
【0356】
いくつかの実施形態において、上記酵素混合物は、約4.7mLの滅菌HBSS中に約10.2ulの中性プロテアーゼ(0.36DMC U/mL)、21.3μLのコラゲナーゼ(1.2PZ/mL)、及び250ulのDNアーゼI(200U/mL)を含む。
【0357】
上記に示したように、いくつかの実施形態において、上記TILは固形腫瘍に由来する。いくつかの実施形態において、上記固形腫瘍は断片化されていない。いくつかの実施形態において、上記固形腫瘍は断片化されておらず、腫瘍全体として酵素消化に供される。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、コラゲナーゼ、DNアーゼ、及びヒアルロニダーゼを含む酵素混合物中で消化される。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、コラゲナーゼ、DNアーゼ、及びヒアルロニダーゼを含む酵素混合物中で1~2時間消化される。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、コラゲナーゼ、DNアーゼ、及びヒアルロニダーゼを含む酵素混合物中、37℃、5% COで1~2時間消化される。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、コラゲナーゼ、DNアーゼ、及びヒアルロニダーゼを含む酵素混合物中、37℃、5% COで、一定に回転させながら1~2時間消化される。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は一定に回転させながら終夜消化される。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は37℃、5% COで、一定に回転させながら終夜消化される。いくつかの実施形態において、腫瘍全体を上記酵素と混合して、腫瘍消化反応混合物を形成する。
【0358】
いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、無菌緩衝液中の上記凍結乾燥酵素で再構成される。いくつかの実施形態において、上記緩衝液は滅菌HBSSである。
【0359】
いくつかの実施形態において、上記酵素混合物はコラゲナーゼを含む。いくつかの実施形態において、上記コラゲナーゼはコラゲナーゼIVである。いくつかの実施形態において、上記コラゲナーゼの作業用原液は、100mg/mLの10×作業用原液である。
【0360】
いくつかの実施形態において、上記酵素混合物はDNアーゼを含む。いくつかの実施形態において、上記DNアーゼの作業用原液は、10,000IU/mLの10×作業用原液である。
【0361】
いくつかの実施形態において、上記酵素混合物はヒアルロニダーゼを含む。いくつかの実施形態において、上記ヒアルロニダーゼの作業用原液は、10mg/mLの10×作業用原液である。
【0362】
いくつかの実施形態において、上記酵素混合物は、10mg/mL コラゲナーゼ、1000IU/mL DNアーゼ、及び1mg/mL ヒアルロニダーゼを含む。
【0363】
いくつかの実施形態において、上記酵素混合物は、10mg/mL コラゲナーゼ、500IU/mL DNアーゼ、及び1mg/mL ヒアルロニダーゼを含む。
【0364】
一般に、採取された細胞懸濁液は「初代細胞集団」又は「新鮮に採取した」細胞集団と呼ばれる。
【0365】
一部の実施形態において、断片化は、例えば剥離並びに消化を含めた物理的断片化を含む。一部の実施形態において、断片化は物理的断片化である。一部の実施形態において、断片化は剥離である。一部の実施形態において、断片化は消化による。一部の実施形態において、TILは初めに、患者から入手された酵素的腫瘍消化物及び腫瘍断片から培養することができる。一実施形態において、TILは初めに、患者から入手された酵素的腫瘍消化物及び腫瘍断片から培養することができる。
【0366】
一部の実施形態において、腫瘍が固形腫瘍である場合、例えばステップA(図1に提供される)における腫瘍試料の入手後に、腫瘍は物理的断片化を受ける。一部の実施形態において、断片化は凍結保存前に行われる。一部の実施形態において、断片化は凍結保存後に行われる。一部の実施形態において、断片化は、腫瘍の入手後に、いかなる凍結保存もなしに行われる。一部の実施形態において、腫瘍は断片化され、第1の拡大培養用の各容器に10、20、30、40個又はそれを超える数の断片又は小片が置かれる。一部の実施形態において、腫瘍は断片化され、第1の拡大培養用の各容器に30又は40個の断片又は小片が置かれる。一部の実施形態において、腫瘍は断片化され、第1の拡大培養用の各容器に40個の断片又は小片が置かれる。一部の実施形態において、複数の断片は、約4~約50個の断片を含み、各断片は約27mmの容積を有する。一部の実施形態において、複数の断片は、約1300mm~約1500mmの総容積を有する約30~約60個の断片を含む。一部の実施形態において、複数の断片は、約1350mmの総容積を有する約50個の断片を含む。一部の実施形態において、複数の断片は、約1g~約1.5gの総質量を有する約50個の断片を含む。一部の実施形態において、複数の断片は、約4個の断片を含む。
【0367】
一部の実施形態において、TILは腫瘍断片から入手される。一部の実施形態において、腫瘍断片は鋭的剥離で入手される。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm~10mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm~8mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約2mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約3mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約4mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約5mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約6mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約7mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約8mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約9mmである。一部の実施形態において、腫瘍断片は約10mmである。いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、1~4mm×1~4mm×1~4mmである。いくつかの実施形態において、腫瘍は1mm×1mm×1mmである。いくつかの実施形態において、腫瘍は2mm×2mm×2mmである。いくつかの実施形態において、腫瘍は3mm×3mm×3mmである。いくつかの実施形態において、腫瘍は4mm×4mm×4mmである。
【0368】
いくつかの実施形態において、上記腫瘍は、それぞれの小片上の出血性組織、壊死性組織、及び/または脂肪組織の量を最小限に抑えるために切除される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、それぞれの小片上の出血性組織の量を最小限に抑えるために切除される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、それぞれの小片上の壊死性組織の量を最小限に抑えるために切除される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、それぞれの小片上の脂肪組織の量を最小限に抑えるために切除される。
【0369】
いくつかの実施形態において、上記腫瘍の断片化は、腫瘍の内部構造を維持するために実施される。いくつかの実施形態において、腫瘍の断片化は、外科用メスを用いた切断動作を行うことなく実施される。一部の実施形態において、TILは腫瘍消化物から入手される。一部の実施形態では、腫瘍消化物は、酵素培地中、例えば限定はされないが、RPMI 1640、2mM GlutaMAX、10mg/mLゲンタマイシン、30U/mL DNアーゼ、及び1.0mg/mLコラゲナーゼ中におけるインキュベーションと、それに続く機械的解離(GentleMACS、Miltenyi Biotec、Auburn, CA)によって作成した。腫瘍を酵素培地に置いた後、腫瘍を約1分間機械的に解離し得る。次に溶液を5%CO下37℃で30分間インキュベートし、次にそれを再び約1分間機械的に破壊し得る。再び5%CO下37℃で30分間インキュベートした後、腫瘍を3度目に約1分間機械的に破壊し得る。一部の実施形態において、3度目の機械的破壊後に大型の組織片が存在した場合、5%CO下37℃での更に30分間のインキュベーションを伴う又は伴わない1回又は2回の更なる機械的解離を試料に適用した。一部の実施形態において、最終回のインキュベーションの終了時に細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有した場合、Ficollを使用した密度勾配分離を実施して、そうした細胞を除去し得る。
【0370】
一部の実施形態において、第1の拡大培養ステップ前の採取された細胞懸濁液は、「初代細胞集団」又は「新鮮に採取した」細胞集団と呼ばれる。
【0371】
一部の実施形態において、細胞は、以下に更に詳細に記載する、同様に図9に例示するステップBに記載の拡大培養に進む前に、任意選択で試料採取後に凍結され、凍結貯蔵されてもよい。
【0372】
1.胸水中のT細胞とTIL
いくつかの実施形態において、上記試料は胸水試料である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のプロセスによる増殖のためのT細胞またはTILの供給源は胸水試料である。いくつかの実施形態において、上記試料は胸水由来の試料である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のプロセスによる増殖のためのT細胞またはTILの供給源は、胸水由来の試料である。例えば、米国特許公開第US2014/0295426号に記載の方法を参照されたく、該特許文献は全ての目的に対してその全体が本明細書に援用される。
【0373】
いくつかの実施形態において、TILを含むことが疑われる及び/もしくはTILを含む任意の胸水(pleural fluid)または胸水(pleural effusion)を使用することができる。かかる試料は、NSCLCもしくはSCLCなどの原発性または転移肺癌に由来する場合がある。いくつかの実施形態において、上記試料は、別の器官、例えば乳房、卵巣、結腸、または前立腺に由来する二次転移癌細胞である場合がある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の増殖方法で使用するための試料は胸膜浸出液である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の増殖方法で使用するための試料は胸膜漏出液である。他の生物学的試料としては、例えば、腹部からの腹水または膵嚢胞液を含む、TILを含有する他の漿液を挙げることができる。腹水と胸水は非常に類似した化学系を含んでおり、腹部及び肺が共に、悪性腫瘍の同一の問題により、胸膜腔及び腹腔内に中皮ライン(mesothelial lines)及び流体形態(fluid forms)を有し、かかる流体は、いくつかの実施形態においてTILを含む。その開示が胸水を例示するいくつかの実施形態において、TILを含む腹水または他の嚢胞液を使用した同様の方法が実施され、類似の結果を得ることができる。
【0374】
いくつかの実施形態において、上記胸水は、患者から直接取り出されたままの未処理の形態である。いくつかの実施形態において、上記未処理の胸水を、接触ステップの前に、EDTA管またはヘパリン管などの標準的な採血管に入れる。いくつかの実施形態において、上未処理の胸水を、接触ステップの前に、標準的なCellSave(登録商標)管(Veridex)に入れる。いくつかの実施形態において、上記試料を、生TILの数の減少を回避するために、患者からの採取の直後にCellSave管に入れる。未処理の胸水中に放置した場合、生TILの数は、4℃であっても24時間以内にかなりの程度まで減少する可能性がある。いくつかの実施形態において、上記試料を、患者から取り出した後、1時間、5時間、10時間、15時間以内、または最長で24時間以内に適宜の採血管に入れる。いくつかの実施形態において、上記試料を、患者から取り出した後、1時間、5時間、10時間、15時間、または最長で24時間以内に4℃の適宜の採血管に入れる。
【0375】
いくつかの実施形態において、選択された対象由来の胸水試料を希釈してもよい。一実施形態において、希釈は胸水対希釈剤が1:10である。別の実施形態において、希釈は胸水対希釈剤が1:9である。別の実施形態において、希釈は胸水対希釈剤が1:8である。別の実施形態において、希釈は胸水対希釈剤が1:5である。別の実施形態において、希釈は胸水対希釈剤が1:2である。別の実施形態において、希釈は胸水対希釈剤が1:1である。いくつかの実施形態において、希釈剤としては、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、別の緩衝液または生理学的に許容される希釈剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記試料を、生TILの減少を回避するために、患者からの採取及び希釈の直後にCellSave管に入れ、未処理の胸水中に放置した場合、上記生TILの減少は、4℃であっても24~48時間以内にかなりの程度で起こる可能性がある。いくつかの実施形態において、上記胸水試料を、患者からの採取及び希釈の後、1時間、5時間、10時間、15時間、24時間、36時間以内、最長で48時間以内に適宜の採血管に入れる。いくつかの実施形態において、胸水試料を、患者からの採取及び希釈の後、1時間、5時間、10時間、15時間、24時間、36時間以内、最長で48時間以内に、4℃の適宜の採血管に入れる。
【0376】
さらに別の実施形態において、胸水試料は、さらなる処理ステップの前に、従来の手段によって濃縮される。いくつかの実施形態において、この胸水の前処理は、本方法を実施する実験室への輸送または後の分析のために(例えば、上記本方法の実施または分析が採取後24~48時間より後の場合)、当該胸水を凍結保存する必要がある状況において好ましい。いくつかの実施形態において、上記胸水試料は、対象から抜き出した後にこの胸水試料を遠心分離し、遠心分離物またはペレットを緩衝液に再懸濁することによって調製される。いくつかの実施形態において、上記胸水試料は、輸送または後の分析及び/または処理のために凍結保存される前に、複数回の遠心分離及び再懸濁に供される。
【0377】
いくつかの実施形態において、胸水試料は、さらなる処理ステップの前に、ろ過法を使用することによって濃縮される。いくつかの実施形態において、接触ステップで使用される胸水試料は、上記胸水が膜を通過することは可能であるが、腫瘍細胞は保持される、既知であり且つ本質的に均一な細孔径を含むフィルターを通して上記胸水をろ過することによって調製される。いくつかの実施形態において、上記膜中の細孔の径は少なくとも4μMであってよい。別の実施形態において、細孔径は5μM以上であってよく、他の実施形態において、6、7、8、9、または10μMのいずれかであってよい。ろ過後に、上記膜によって保持されたTILを含む細胞は、膜から適宜の生理学的に許容される緩衝液中に洗い流されてもよい。次いで、このような方法で濃縮されたTILを含む細胞は、本方法の接触ステップに使用することができる。
【0378】
いくつかの実施形態において、胸水試料(例えば、上記未処理の胸水を含む)、希釈胸水、または再懸濁細胞ペレットを、上記試料中に存在する無核赤血球を差次的に溶解する溶解試薬と接触させる。いくつかの実施形態において、このステップは、上記胸水が実質的な数のRBCを含む状況において、さらなる処理ステップの前に実施される。好適な溶解試薬としては、単一の溶解試薬、もしくは溶解試薬及びクエンチ試薬、または溶解試薬、クエンチ試薬、及び固定化試薬が挙げられる。好適な溶解システムは市販されており、該システムとしてはBD Pharm Lyse(商標)システム(Becton Dickenson)が挙げられる。他の溶解システムとしては、Versalyse(商標)システム、FACSlyse(商標)システム(Becton Dickenson)、Immunoprep(商標)システムもしくはErythrolyse IIシステム(Beckman Coulter, Inc.)、または塩化アンモニウムシステムが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記溶解試薬は、胸水中の、赤血球の効率的な溶解、ならびにTIL及びTILの表現型特性の保存である主要な要件によって異なっていてもよい。溶解のために単一の試薬の使用に加えて、本明細書に記載の方法に有用な溶解システムは、第2の試薬、例えば、本方法の残りのステップ中に上記溶解試薬の効果をクエンチまたは遅延させる試薬、例えば、Stabilyse(商標)試薬(Beckman Coulter, Inc.)を含んでいてもよい。溶解試薬の選択または本方法の好ましい実施に応じて、従来の固定化試薬を使用してもよい。
【0379】
いくつかの実施形態において、本明細書で上記の、未処理の、希釈した、または複数回遠心分離したもしくは処理した胸水試料は、本明細書に提示するようにさらに処理される及び/または増殖される前に、約-140℃の温度で凍結保存される。
【0380】
B.ステップB:第1の拡大培養
1.幼若TIL
一部の実施形態において、本方法は、対象/患者への投与時に複製サイクルを増加させることができる幼若TILを得ることを提供し、したがって、成熟TIL(即ち、被験者/患者への投与前に更に多くの回数の複製を受けたTIL)を超える追加の治療上の利点を提供し得る。幼若TILの特徴が、文献に記載されている。例えば、Donia, at al., Scandinavian Journal of Immunology, 75:157-167 (2012)、Dudley et al., Clin Cancer Res, 16:6122-6131 (2010)、Huang et al., J Immunother, 28(3):258-267 (2005)、Besser et al., Clin Cancer Res, 19(17):OF1-OF9 (2013)、Besser et al., J Immunother 32:415-423 (2009)、Robbins, et al., J Immunol 2004;173:7125-7130、Shen et al., J Immunother, 30:123-129 (2007)、Zhou, et al., J Immunother, 28:53-62 (2005)、及びTran, et al., J Immunother, 31:742-751 (2008)であり、これらは全て、全体として参照により本明細書に援用される。
【0381】
T及びBリンパ球の多様な抗原受容体は、限られているが多数の遺伝子セグメントの体細胞組換えによって産生される。これらの遺伝子セグメントV(可変)、D(多様性)、J(結合)、及びC(定数)は、免疫グロブリン及びT細胞受容体(TCR)の結合特異性及び下流側での適用を決定する。本発明は、T細胞レパートリーの多様性を示し、増加させるTILを生成する方法を提供する。一部の実施形態において、本方法により得られたTILは、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、本方法によって得られたTILは、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILと比較して、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、図10に例示されているように、本方法によって得られたTILは、新鮮に回収したTIL及び/又は、プロセス1Cと称される方法を使用して調製されたTILと比較して、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、第1の拡大培養で得られたTILは、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、多様性の増加は、免疫グロブリンの多様性及び/又はT細胞受容体の多様性の増加である。一部の実施形態において、免疫グロブリンの多様性は、免疫グロブリン重鎖にある。一部の実施形態において、免疫グロブリンの多様性は、免疫グロブリン軽鎖にある。一部の実施形態において、多様性はT細胞受容体にある。一部の実施形態において、多様性は、アルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタ受容体からなる群から選択されるT細胞受容体の1つにある。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)アルファ及び/又はベータの発現が増加する。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)アルファの発現が増加する。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)ベータの発現が増加する。一部の実施形態において、TCRab(即ち、TCRα/β)の発現が増加する。
【0382】
腫瘍断片の剥離又は消化後、例えば、図9のステップAに記載されたように、得られた細胞は、腫瘍及び他の細胞よりもTILの成長に有利な条件下で血清含有IL-2において培養される。一部の実施形態において、腫瘍消化物は、2mLウェルにおいて、不活性化ヒトAB血清を6000IU/mLのIL-2と共に含む培地中でインキュベートされる。この初代細胞集団は、数日、概して3~14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、概して約1×10個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、この初代細胞集団は、7~14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、概して約1×10個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、この初代細胞集団は、10~14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、概して約1×10個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、この初代細胞集団は、約11日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、概して約1×10個のバルクTIL細胞が得られる。
【0383】
好ましい実施形態において、以下及び本明細書で説明するように、初期バルクTIL拡大培養ステップ(例えば、プレREPと称されるプロセスを含み得る図9のステップBで説明したものなど)、その後の、以下ステップDの下及び本明細書に記載されているように、第2の拡大培養(ステップD、高速拡大培養プロトコル(REP)ステップと称されるプロセスを含む)、その後の、任意選択の凍結保存、及びその後の第2のステップD(再刺激REPステップと称されるプロセスを含む)を使用してTILの拡大培養を実施することができる。このプロセスによって得られたTILは、任意選択で、本明細書に記載されるとおり表現型特徴及び代謝パラメータが特徴付けられてもよい。
【0384】
実施形態において、TIL培養が24ウェルプレートで、例えばCostar24ウェル細胞培養クラスター、平底(Corning Incorporated、Corning, NYを使用して開始される場合、各ウェルには、IL-2(6000IU/mL;Chiron Corp.、Emeryville, CA)を含む2mLの完全培地(CM)中、1×10個の腫瘍消化物細胞又は1個の腫瘍断片を播種することができる。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm~10mmである。
【0385】
一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、培養培地の略称である「CM」と称される。一部の実施形態において、ステップBのCMは、10%ヒトAB血清、25mM HEPES、及び10mg/mLゲンタマイシンを添加したGlutaMAX含有RPMI 1640からなる。培養が、40mL容量及び10cmガス透過性シリコン底のガス透過性フラスコ(例えば、G-Rex10;Wilson Wolf Manufacturing, New Brighton, MN)内で開始される実施形態では(図1)、各フラスコに、10~40mLのIL-2含有CM中の10~40×10個の腫瘍消化物生細胞又は5~30個の腫瘍断片をロードした。G-Rex10及び24ウェルプレートのいずれも、加湿インキュベーターにおいて5%CO下37℃でインキュベートし、培養開始から5日後に培地の半分を取り出して、新鮮なCM及びIL-2を補充し、5日目以降は2~3日毎に培地の半分を交換した。
【0386】
腫瘍断片の調製後、得られた細胞(即ち断片)は、腫瘍及び他の細胞よりもTILの成長に有利な条件下で血清含有IL-2において培養される。一部の実施形態において、腫瘍消化物は、2mLウェルにおいて、不活性化ヒトAB血清を6000IU/mLのIL-2と共に含む培地中で(又は、ある場合には、本明細書に概説されるとおり、aAPC細胞集団の存在下で)インキュベートされる。この初代細胞集団は、数日、概して10~14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、概して約1×10個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、第1の拡大培養の間の成長培地はIL-2又はその変異体を含む。一部の実施形態において、ILは組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は、1mgバイアルにつき20~30×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき20×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき25×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態においてIL-2ストック溶液は1mgバイアルにつき30×10IU/mgの比活性を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は4~8×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は5~7×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は6×10IU/mgのIL-2の最終濃度を有する。一部の実施形態において、IL-2ストック溶液は実施例4に記載されるとおり調製される。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約10,000IU/mLのIL-2、約9,000IU/mLのIL-2、約8,000IU/mLのIL-2、約7,000IU/mLのIL-2、約6000IU/mLのIL-2又は約5,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、約9,000IU/mLのIL-2、乃至約5,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、約8,000IU/mLのIL-2、乃至約6,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、約7,000IU/mLのIL-2、乃至約6,000IU/mLのIL-2を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約6,000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-2を更に含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約3000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-2を更に含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約3000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL、又は約8000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、1000~2000IU/mL、2000~3000IU/mL、3000~4000IU/mL、4000~5000IU/mL、5000~6000IU/mL、6000~7000IU/mL、7000~8000IU/mLの間、又は約8000IU/mLのIL-2を含む。
【0387】
一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約500IU/mLのIL-15、約400IU/mLのIL-15、約300IU/mLのIL-15、約200IU/mLのIL-15、約180IU/mLのIL-15、約160IU/mLのIL-15、約140IU/mLのIL-15、約120IU/mLのIL-15、又は約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約500IU/mLのIL-15~約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約400IU/mLのIL-15~約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約300IU/mLのIL-15~約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約200IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約180IU/mLのIL-15を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-15を更に含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は約180IU/mLのIL-15を含む。
【0388】
一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約20IU/mLのIL-21、約15IU/mLのIL-21、約12IU/mLのIL-21、約10IU/mLのIL-21、約5IU/mLのIL-21、約4IU/mLのIL-21、約3IU/mLのIL-21、約2IU/mLのIL-21、約1IU/mLのIL-21、又は約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約20IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約15IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約12IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約10IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約5IU/mLのIL-21~約1IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は約2IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約1IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約0.5IU/mLのIL-21を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-21を更に含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は約1IU/mLのIL-21を含む。
【0389】
一実施形態において、上記細胞培養培地はOKT-3抗体を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、約30ng/mLのOKT-3抗体を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、及び約1μg/mLのOKT-3抗体を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、50ng/mL~100ng/mLのOKT-3抗体を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地はOKT-3抗体を含まない。いくつかの実施形態において、上記OKT-3抗体はムロモナブである。
【0390】
いくつかの実施形態において、上記細胞培養培地は細胞培養培地中に1種以上のTNFRSFアゴニストを含む。いくつかの実施形態において、上記TNFRSFアゴニストは、4-1BBアゴニストを含む。いくつかの実施形態において、上記TNFRSFアゴニストは4-1BBアゴニストであり、上記4-1BBアゴニストは、ウレルマブ、ウトミルマブ、EU-101、融合タンパク質、ならびにそれらのフラグメント、誘導体、変異体、バイオシミラー、及び組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記TNFRSFアゴニストは、0.1μg/mL~100μg/mLの細胞培養培地中の濃度を得るのに十分な濃度で添加される。いくつかの実施形態において、上記TNFRSFアゴニストは、20μg/mL~40μg/mLの細胞培養培地中の濃度を得るのに十分な濃度で添加される。
【0391】
いくつかの実施形態において、上記細胞培養培地は、1種以上のTNFRSFアゴニストに加えて、約3000IU/mLの初期濃度のIL-2及び約30ng/mLの初期濃度のOKT-3抗体をさらに含み、上記細胞培養培地は、1種以上のTNFRSFアゴニストは4-1BBアゴニストを含む。
【0392】
一部の実施形態において、第1の拡大培養培地は、培養培地(culture media)の略称である「CM」と称される。一部の実施形態において、これはCM1(培養培地1)と称される。一部の実施形態において、CMは、10%ヒトAB血清、25mM HEPES、及び10mg/mLゲンタマイシンを添加したGlutaMAX含有RPMI 1640からなる。培養が、40mL容量及び10cmガス透過性シリコン底のガス透過性フラスコ(例えば、G-Rex10;Wilson Wolf Manufacturing、New Brighton, MN)内で開始される実施形態では(図1)、各フラスコに、10~40mLのIL-2含有CM中の10~40×10個の腫瘍消化物生細胞又は5~30個の腫瘍断片をロードした。G-Rex10及び24ウェルプレートのいずれも、加湿インキュベーターにおいて5%CO下37℃でインキュベートし、培養開始から5日後に培地の半分を取り出して、新鮮なCM及びIL-2を補充し、5日目以降は2~3日毎に培地の半分を交換した。一部の実施形態において、CMは、実施例に記載されるCM1であり、実施例5を参照のこと。一部の実施形態において、第1の拡大培養は初期細胞培養培地又は第1の細胞培養培地中で行われる。一部の実施形態において、初期細胞培養培地又は第1の細胞培養培地はIL-2を含む。
【0393】
一部の実施形態において、実施例及び図で考察されているように、第1の拡大培養(例えば、プレREPと称されることもあるものを含み得る、図9のステップBに記載されるプロセスなどを含む)プロセスは3~14日間に短縮される。一部の実施形態において、実施例で考察し、図5、6、8、9、10、及び11並びに、例えば、図9のステップBに記載されている拡大培養を含む、第1の拡大培養(例えば、プレREPと称されることもあるものを含み得る、図9のステップBに記載されるプロセスなどを含む)は7~14日間に短縮される。一部の実施形態において、実施例で考察し、図5、6、8、9、10、及び11に示すように、ステップBの第1の拡大培養は10~14日間に短縮される。一部の実施形態において、実施例で考察し、図5、6、8、9、10、及び11、並びに、例えば、図9のステップBに記載されている拡大培養を含む、第1の拡大培養は11日間に短縮される。
【0394】
一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は1日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は2日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は3日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は4日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は5日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は6日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は7日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は8日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は9日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は10日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は11日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は12日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は13日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は1日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は2日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は3日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は4日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は5日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は6日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は7日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は8日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は9日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は10日~11日間続行され得る。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は11日間続行され得る。
【0395】
一部の実施形態において、IL-2、IL-7、IL-15、及び/又はIL-21の組み合わせが、第1の拡大培養中の組み合わせとして用いられる。一部の実施形態において、IL-2、IL-7、IL-15、及び/又はIL-21、並びにそれらの任意選択の組み合わせは、例えば、図9による、並びに本明細書に記載されているとおり、ステップBプロセス中を含む、第1の拡大培養中に含められ得る。一部の実施形態において、IL-2、IL-15、及びIL-21の組み合わせが、第1の拡大培養中の組み合わせとして用いられる。一部の実施形態において、IL-2、IL-15、及びIL-21、並びにそれらの任意選択の組み合わせは、例えば、図9による、及び本明細書に記載されているとおりステップBプロセス中に含められ得る。
【0396】
一部の実施形態において、図で考察されているように、第1の拡大培養(例えば、プレREPと称される、図9のステップBに記載されるプロセスなどを含む)プロセスは3~14日間に短縮される。一部の実施形態において、図5、6、8、9、10、及び11に示すように、ステップBの第1の拡大培養は7~14日間に短縮される。一部の実施形態において、図5、6、8、9、10、及び11に示すように、ステップBの第1の拡大培養は10~14日間に短縮される。一部の実施形態において、図5、6、8、9、10、及び11に示すように、第1の拡大培養は11日間に短縮される。
【0397】
一部の実施形態において、第1の拡大培養、例えば、図9によるステップBは、閉鎖系バイオリアクターで実施される。一部の実施形態において、本明細書で記載されるとおり、TIL拡大培養のために閉鎖系が用いられる。一部の実施形態において、単一のバイオリアクターが用いられる。一部の実施形態において、用いられる単一のバイオリアクターは、例えば、G-REX-10又はG-REX-100である。一部の実施形態において、閉鎖系バイオリアクターは単一のバイオリアクターである。
【0398】
1.サイトカイン及びその他の添加物
本明細書に記載の増殖方法は、一般に、当技術分野で公知のとおり、高用量のサイトカイン、特にIL-2を含む培地を使用する。
【0399】
あるいは、米国特許出願公開第US2017/0107490A1(該特許文献の開示は本明細書に援用される)に記載されるように、IL-2、IL-15、及びIL-21の2種以上の組み合わせを用いたサイトカインの組み合わせを、TILの急速増殖及び/または第2の増殖に使用することがさらに可能である。従って、例えば、可能性のある組み合わせとしては、IL-2とIL-15、IL-2とIL-21、IL-15とIL-21とIL-2、またはIL-15とIL-21が挙げられ、後者は多くの実施形態において特に使用される。サイトカインの組み合わせの使用は、上記特許文献に記載されるように、リンパ球、特にT細胞の生成に特に好都合である。
【0400】
一実施形態において、ステップBはまた、本明細書の他所に記載されるように、培地にOKT-3抗体またはムロモナブを添加することを含んでいてもよい。一実施形態において、ステップBはまた、本明細書の他所に記載されるように、培地に4-1BBアゴニストを添加することを含んでいてもよい。一実施形態において、ステップBはまた、本明細書の他所に記載されるように、培地にOX-40アゴニストを添加することを含んでいてもよい。他の実施形態において、米国特許出願公開第US2019/0307796A1(該特許文献の開示は本明細書に援用される)に記載されるように、ステップB中に、チアゾリシンジオン化合物などの増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマアゴニストを含む、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマコアクチベーターI-アルファアゴニストなどの添加剤を使用してもよい。
【0401】
C.ステップC:第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行
ある場合には、例えば、図9に示されるように、例えばステップBから得られるTIL集団を含む、第1の拡大培養から得られるバルクTIL集団は、以下本明細書で考察されるプロトコルを使用して、直ちに凍結保存してもよい。或いは、第2のTIL集団と称される第1の拡大培養から得られたTIL集団は、第2の拡大培養(REPと呼ばれることがある拡大培養を含み得る)に供し、その後、以下で考察するように凍結保存してもよい。同様に、遺伝子修飾TILが治療に使用される場合、第1のTIL集団(バルクTIL集団と称されることもある)又は、第2のTIL集団(一部の実施形態において、REP TIL集団と称される集団を含み得る)は、拡大培養の前又は、第1の拡大培養の後で第2の拡大培養の前に、適切な処置のために遺伝子修飾に供してもよい。
【0402】
一部の実施形態において、第1の拡大培養から(例えば、図9に示されるとおりのステップBから)入手されたTILは、選択のためのフェノタイピングまで貯蔵される。一部の実施形態において、第1の拡大培養から(例えば、図9に示されるとおりのステップBから)入手されたTILは、貯蔵されず第2の拡大培養に直接進む。一部の実施形態において、第1の拡大培養から入手されたTILは、第1の拡大培養後、第2の拡大培養前に凍結保存されない。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約3日~14日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約4日~14日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約4日~10日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約7日~14日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから約14日の時点で行われる。
【0403】
一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日の時点で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから1日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1のTIL拡大培養は2日~14日間続行され得る。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから3日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから4日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから5日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから6日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから7日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから8日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから9日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから10日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから11日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから12日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから13日~14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから14日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから1日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから2日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから3日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから4日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから5日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから6日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから7日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから8日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから9日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから10日~11日で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、断片化が行われたときから11日で行われる。
【0404】
一部の実施形態において、TILは第1の拡大培養の後、第2の拡大培養の前に貯蔵されず、TILは第2の拡大培養に直接進む(例えば、一部の実施形態において、図9に示すように、ステップBからステップDへの移行中に貯蔵は行われない)。一部の実施形態において、本明細書に記載されるとおり、移行は閉鎖系で行われる。一部の実施形態において、第1の拡大培養からのTILは、第2のTIL集団からのTILであり、移行期間を伴わず第2の拡大培養に直接進む。
【0405】
一部の実施形態において、第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行は、例えば、図9によるステップCは、閉鎖系バイオリアクターで実施される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるとおり、TIL拡大培養のために閉鎖系が用いられる。一部の実施形態において、単一のバイオリアクターが用いられる。一部の実施形態において、用いられる単一のバイオリアクターは、例えば、G-REX-10又はG-REX-100である。一部の実施形態において、閉鎖系バイオリアクターは単一のバイオリアクターである。
【0406】
D.ステップD: 第2の拡大培養
一部の実施形態において、TIL細胞集団は、例えば、図9に記載のとおり、ステップA及びステップB、並びにステップCと称される移行後、回収及び初期バルク処理の後、数が増加する)。この更なる増加は、本明細書では第2の拡大培養と称され、これは、当該技術分野で一般に迅速拡大培養プロセスと称される拡大培養プロセス(REP、並びに図9のステップDに示されるプロセス)を含み得る。第2の拡大培養は、概して、フィーダー細胞、サイトカイン源、及び抗CD3抗体を含め、幾つもの成分を含むガス透過性容器内の培養培地を使用して達成することができる。
【0407】
一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養又は第2のTIL拡大培養(これはREPと称されることもある拡大培養;並びに図9のステップDに示されるプロセスを含み得る)は、当業者に公知の任意のTILフラスコ又は容器を使用して実施することができる。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約7日~約14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約8日~約14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約9日~約14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約10日~約14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約11日~約14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約12日~約14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約13日~約14日間続行し得る。一部の実施形態において、第2のTIL拡大培養は約14日間続行し得る。
【0408】
ある実施形態において、第2の拡大培養は、本開示の方法(例えば、REPと呼ばれる拡大培養、並びに図9のステップDに示されるプロセスを含む)を使用して、ガス透過性容器内で実施することができる。例えば、TILは、インターロイキン-2(IL-2)又はインターロイキン-15(IL-15)の存在下で非特異的T細胞受容体刺激を用いて迅速に拡大培養することができる。非特異的T細胞受容体刺激としては、例えば、約30ng/mlのOKT3などの抗CD3抗体、マウスモノクローナル抗CD3抗体(Ortho-McNeil, Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech, Auburn, CAから市販されている)又は、UHCT-1(BioLegend, San Diego, CA, USAから市販されている)を挙げることができる。TILは、任意選択で300IU/mL IL-2又はIL-15など、T細胞成長因子の存在下で、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)結合ペプチド、例えば、0.3μΜ MART-1:26-35(27L)又はgpl 00:209-217(210M)など、任意選択でベクターから発現させることのできる、1つ又は複数のエピトープなど、その抗原性部分を含めたがんの1つ以上の抗原を、第2の拡大培養の間に含めることにより、インビトロでのTILの更なる刺激を誘発するように拡大培養することができる。他の好適な抗原としては、例えば、NY-ESO-1、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼ癌抗原、MAGE-A3、SSX-2、及びVEGFR2、又はその抗原性部分を挙げることができる。TILはまた、HLA-A2発現抗原提示細胞にパルスしたがんの同じ1つ又は複数の抗原による再刺激によっても迅速に拡大培養し得る。或いは、TILは、例えば照射自己リンパ球によるか、又は照射HLA-A2+同種異系リンパ球及びIL-2によって更に再刺激することができる。一部の実施形態において、再刺激は、第2の拡大培養の一部として生じる。一部の実施形態において、放射線照射された自己リンパ球の存在下で、又は放射線照射されたHLA-A2+同種リンパ球及びIL-2とともに第2の拡大培養が発生する。
【0409】
ある実施形態において、細胞培養培地はIL-2を更に含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約3000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL、又は約8000IU/mLのIL-2を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、1000~2000IU/mL、2000~3000IU/mL、3000~4000IU/mL、4000~5000IU/mL、5000~6000IU/mL、6000~7000IU/mL、7000~8000IU/mL、又は8000IU/mLの間のIL-2を含む。
【0410】
ある実施形態において、細胞培養培地はOKT3抗体を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約30ng/mLのOKT3抗体を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL、及び約1μg/mLのOKT3抗体を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、0.1ng/mL~1ng/mL、1ng/mL~5ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、30ng/mL~40ng/mL、40ng/mL~50ng/mL、及び50ng/mL~100ng/mLのOKT3抗体を含む。
【0411】
一部の実施形態において、IL-2、IL-7、IL-15、及び/又はIL-21の組み合わせが、第2の拡大培養中の組み合わせとして用いられる。一部の実施形態において、IL-2、IL-7、IL-15、及び/又はIL-21、並びにそれらの任意選択の組み合わせは、例えば、図9による、並びに本明細書に記載されているとおり、ステップDプロセス中を含む、第2の拡大培養中に含められ得る。一部の実施形態において、IL-2、IL-15、及びIL-21の組み合わせが、第2の拡大培養中の組み合わせとして用いられる。一部の実施形態において、IL-2、IL-15、及びIL-21、並びにそれらの任意の組み合わせは、例えば、図9による、及び本明細書に記載されているとおり、ステップDプロセス中に含められ得る。
【0412】
一部の実施形態において、第2の拡大培養は、IL-2、OKT-3、及び抗原提示フィーダー細胞を含む添加細胞培養培地で実施されてもよい。一部の実施形態において、第2の拡大培養は添加細胞培養培地で行われる。一部の実施形態において、添加細胞培養培地は、IL-2、OKT-3、及び抗原提示フィーダー細胞を含む。一部の実施形態において、第2の細胞培養培地は、IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC;抗原提示フィーダー細胞とも称される)を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養は、IL-2、OKT-3、及び抗原提示フィーダー細胞を含む細胞培養培地で生じる(即ち、抗原提示細胞)。
【0413】
一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約500IU/mLのIL-15、約400IU/mLのIL-15、約300IU/mLのIL-15、約200IU/mLのIL-15、約180IU/mLのIL-15、約160IU/mLのIL-15、約140IU/mLのIL-15、約120IU/mLのIL-15、又は約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約500IU/mLのIL-15~約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約400IU/mLのIL-15~約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約300IU/mLのIL-15~約100IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約200IU/mLのIL-15を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約180IU/mLのIL-15を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-15を更に含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は約180IU/mLのIL-15を含む。
【0414】
一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約20IU/mLのIL-21、約15IU/mLのIL-21、約12IU/mLのIL-21、約10IU/mLのIL-21、約5IU/mLのIL-21、約4IU/mLのIL-21、約3IU/mLのIL-21、約2IU/mLのIL-21、約1IU/mLのIL-21、又は約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約20IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約15IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約12IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約10IU/mLのIL-21~約0.5IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約5IU/mLのIL-21~約1IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、第2の拡大培養培地は約2IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約1IU/mLのIL-21を含む。一部の実施形態において、細胞培養培地は約0.5IU/mLのIL-21を含む。ある実施形態において、細胞培養培地はIL-21を更に含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は約1IU/mLのIL-21を含む。
【0415】
一部の実施形態において、抗原提示フィーダー細胞(APC)はPBMCである。ある実施形態において、迅速拡大培養及び/又は第2の拡大培養におけるTILとPBMC及び/又は抗原提示細胞との比は、約1対25、約1対50、約1対100、約1対125、約1対150、約1対175、約1対200、約1対225、約1対250、約1対275、約1対300、約1対325、約1対350、約1対375、約1対400、又は約1対500である。ある実施形態において、迅速拡大培養及び/又は第2の拡大培養におけるTILとPBMCとの比は1対50~1対300である。ある実施形態において、迅速拡大培養及び/又は第2の拡大培養におけるTILとPBMCとの比は1対100~1対200である。
【0416】
一実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養は、バルクTILを150ml培地中の100倍又は200倍過剰の不活性化フィーダー細胞、30mg/mL OKT3抗CD3抗体及び3000IU/mL IL-2と混合してフラスコ内で実施される。細胞を別の成長チャンバに移すまで培地補充が行われる(概して新鮮培地による呼吸を介した3分の2の培地補充)。別の成長チャンバには、以下に更に十分に考察するとおりのG-REXフラスコ及びガス透過性容器が含まれる。
【0417】
一部の実施形態において、第2の拡大培養(REPプロセスと称されるプロセスを含み得る)は、実施例及び図で考察されるように、7~14日間に短縮される。一部の実施形態において、第2の拡大培養は11日間に短縮される。
【0418】
ある実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養は、前述のように(Tran, et al., J. Immunother.2008, 31, 742-51;Dudley, et al., J. Immunother.2003, 26, 332-42)T-175フラスコ及びガス透過性バッグ又はガス透過性培養器具(G-Rexフラスコ)を使用して実施してもよい。一部の実施形態において、第2の拡大培養(迅速拡大培養と称される拡大培養を含む)は、T-175フラスコで実施され、150mLの培地に懸濁した約1×10個のTILを各T-175フラスコに加えてもよい。TILは、IL-2の3000IU/mL及び抗CD3の30ng/mLを添加したCM及びAIM-V培地の1対1の混合物で培養してもよい。T-175フラスコは5%CO下37℃でインキュベートしてもよい。培地の半分は、5日目に、3000IU/mLのIL-2を含む50/50培地を使用して交換されてもよい。一部の実施形態において、7日目に、2つのT-175フラスコからの細胞を3Lバッグに合わせることができ、その300mLのTIL懸濁液に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mlのIL-2を含む300mLのAIM Vを加えた。毎日又は2日毎に各バッグの細胞数をカウントし、新鮮培地を加えて細胞数を0.5~2.0×10細胞/mLに保った。
【0419】
一実施形態において、第2の拡大培養(これはREPと称される拡大培養;並びに図9のステップDに称されるものを含み得る)は、100cmガス透過性シリコン底の500mL容量ガス透過性フラスコ(G-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USAから市販されている)において実施され得、5%ヒトAB血清、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mlの抗CD3(OKT3)を添加した400mLの50/50培地中で5×10又は10×10個のTILをPBMCと培養し得る。G-Rex 100フラスコは5%CO下37℃でインキュベートし得る。5日目、250mLの上清を取り出して遠心ボトルに入れ、1500rpm(491×g)で10分間遠心し得る。5%ヒトAB血清、3000IU/mLのIL-2を含む150mLの新鮮培地にTILペレットを再懸濁し、元のG-Rex 100フラスコに戻し加え得る。G-Rex 100フラスコ内でTILを連続的に拡大培養するときは、7日目に各G-Rex 100のTILを各フラスコ内に存在する300mLの培地に懸濁してもよく、及び細胞懸濁液を3つの100mLアリコートに分割してもよく、それらを3つのG-Rex 100フラスコの播種に使用し得る。次に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを各フラスコに加え得る。G-Rex 100フラスコは5%CO下37℃でインキュベートしてもよく、4日後、各G-Rex100フラスコに3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを加え得る。細胞は培養14日目に回収し得る。
【0420】
一実施形態において、第2の拡大培養(REPと称される拡大培養を含む)は、バルクTILを150ml培地中の100倍又は200倍過剰の不活性化フィーダー細胞、30mg/mL OKT3抗CD3抗体及び3000IU/mL IL-2と混合してフラスコ内で実施される。一部の実施形態において、細胞が別の成長チャンバに移されるまで培地交換が行われる。一部の実施形態において、培地の2/3が新鮮培地による呼吸に置き換えられる。一部の実施形態において、別の成長チャンバには、以下に更に十分に考察するとおりのG-REXフラスコ及びガス透過性容器が含まれる。
【0421】
一実施形態において、第2の拡大培養(REPと称される拡大培養を含む)が実施され、これは優れた腫瘍応答性に関してTILを選択するステップを更に含む。当該技術分野において公知の任意の選択方法を用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2016/0010058 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載される方法が、優れた腫瘍応答性に関するTILの選択に用いられてもよい。
【0422】
任意選択で、第2の拡大培養(REP拡大培養と称される拡大培養を含む)の後に、当該技術分野において公知の標準アッセイを用いて細胞生存率アッセイを実施することができる。例えば、バルクTILの試料に対してトリパンブルー色素排除アッセイを行うことができ、これは死細胞を選択的に標識して生存率の評価を可能にするものである。一部の実施形態では、Cellometer K2自動セルカウンター(Nexcelom Bioscience, Lawrence, MA)を使用してTIL試料をカウントし、生存率を決定することができる。一部の実施形態では、生存率は、例えば実施例15に記載されるCellometer K2 Image Cytometer自動セルカウンタープロトコルに従い決定される。
【0423】
一部の実施形態において、TILの第2の拡大培養(REPと称される拡大培養を含む)は、先述のとおりT-175フラスコ及びガス透過性バッグ(Tran KQ, Zhou J, Durflinger KH, et al., 2008, J Immunother., 31:742-751及びDudley ME, Wunderlich JR, Shelton TE, et al. 2003, J Immunother., 26:332-342)又はガス透過性G-Rexフラスコを使用して実施することができる。一部の実施形態において、第2の拡大培養はフラスコを使用して実施される。一部の実施形態において、第2の拡大培養はガス透過性G-Rexフラスコを使用して実施される。一部の実施形態において、T-175フラスコで実施される第2の拡大培養、及び約1×10個のTILを約150mLの培地中に懸濁し、これを各T-175フラスコに加える。TILは、「フィーダー」細胞としての照射(50Gy)された同種異系PBMCと1対100の比で培養し、及び細胞は、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mLの抗CD3を添加したCMとAIM-V培地との1対1混合物(50/50培地)で培養した。T-175フラスコは5%CO下37℃でインキュベートする。一部の実施形態において、培地の半分は、5日目に3000IU/mLのIL-2を含む50/50培地を使用して交換される。一部の実施形態において、7日目、2つのT-175フラスコからの細胞を3Lバッグに合わせ、その300mLのTIL懸濁液に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2を含む300mLのAIM-Vを加える。毎日又は2日毎に各バッグの細胞数をカウントしてもよく、新鮮培地を加えて細胞数を約0.5~約2.0×10細胞/mLに保ち得る。
【0424】
一部の実施形態において、第2の拡大培養(REPと称される拡大培養を含む)は、100cmガス透過性シリコン底の500mL容量フラスコ(G-Rex 100, Wilson Wolf)において実施され(図1)、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mLの抗CD3を添加した400mLの50/50培地中で約5×10又は10×10個のTILを照射同種異系PBMCと1対100の比で培養する。G-Rex100フラスコは5%CO下37℃でインキュベートされる。一部の実施形態において、5日目に、250mLの上清を取り出して遠心ボトルに入れ、1500rpm(491g)で10分間遠心する。次に3000IU/mLのIL-2を含む150mLの新鮮50/50培地にTILペレットを再懸濁し、元のG-Rex100フラスコに加え戻し得る。TILがG-Rex100フラスコ内で連続的に拡大培養される実施形態では、7日目に各G-Rex100内のTILを各フラスコ内に存在する300mLの培地に懸濁し、及び細胞懸濁液を3つの100mLアリコートに分割しており、それらを3つのG-Rex100フラスコの播種に使用される。次に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを各フラスコに加える。G-Rex100フラスコは5%CO下37℃でインキュベートされ、4日後、各G-Rex100フラスコに3000IU/mLのIL-2を含む150mLのAIM-Vを加える。細胞は培養14日目に回収される。
【0425】
T及びBリンパ球の多様な抗原受容体は、限られているが多数の遺伝子セグメントの体細胞組換えによって産生される。これらの遺伝子セグメントV(可変)、D(多様性)、J(結合)、及びC(定数)は、免疫グロブリン及びT細胞受容体(TCR)の結合特異性及び下流側での適用を決定する。本発明は、T細胞レパートリーの多様性を示し、増加させるTILを生成する方法を提供する。一部の実施形態において、本方法により得られたTILは、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、第2の拡大培養で得られたTILは、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、多様性の増加は、免疫グロブリンの多様性及び/又はT細胞受容体の多様性の増加である。一部の実施形態において、免疫グロブリンの多様性は、免疫グロブリン重鎖にある。一部の実施形態において、免疫グロブリンの多様性は、免疫グロブリン軽鎖にある。一部の実施形態において、多様性はT細胞受容体にある。一部の実施形態において、多様性は、アルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタ受容体からなる群から選択されるT細胞受容体の1つにある。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)アルファ及び/又はベータの発現が増加する。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)アルファの発現が増加する。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)ベータの発現が増加する。一部の実施形態において、TCRab(即ち、TCRα/β)の発現が増加する。
【0426】
一部の実施形態において、第2の拡大培養培地(例えば、CM2又は第2の細胞培養培地と称されることもある)は、以下で更に詳細に考察するとおり、IL-2、OKT-3、並びに抗原提示フィーダー細胞(APC)を含む。
【0427】
一部の実施形態において、第2の拡大培養、例えば、図9によるステップDは、閉鎖系バイオリアクターで実施される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるとおり、TIL拡大培養のために閉鎖系が用いられる。一部の実施形態において、単一のバイオリアクターが用いられる。一部の実施形態において、用いられる単一のバイオリアクターは、例えば、G-REX -10又はG-REX -100である。一部の実施形態において、閉鎖系バイオリアクターは単一のバイオリアクターである。
【0428】
1.フィーダー細胞及び抗原提示細胞
一実施形態では、本明細書に記載の第2の拡大培養手順(例えば、図9のステップDに記載された拡大培養、並びにREPと称される拡大培養を含む)は、REP TIL拡大培養中及び/又は第2の拡大培養中に過剰量のフィーダー細胞が必要である。多くの実施形態において、フィーダー細胞は、健常供血者からの標準的な全血ユニットから入手される末梢血単核球(PBMC)である。PBMCは、Ficoll-Paque勾配分離などの標準方法を用いて入手される。
【0429】
一般に、同種異系PBMCは、照射又は熱処理のいずれかにより不活性化され、実施例、特に放射線照射された同種異系PBMCの複製不能性を評価するための例示的なプロトコルを提供する実施例14に記載されるように、REP手順で使用される。
【0430】
一部の実施形態において、14日目の生細胞の総数がREPの0日目及び/又は第2の拡大培養の0日目に培養(即ち、第2の拡大培養の開始日)に移行した初期の生細胞数より少ない場合、PBMCは複製不能とみなされ、本明細書に記載のTIL拡大培養手順での使用が認められる。例えば、実施例14を参照のこと。
【0431】
一部の実施形態において、OKT3及びIL-2の存在下で培養された生細胞の総数が、7日目及び14日目に、REPの0日目及び/又は第2の拡大培養の0日目(即ち、第2の拡大培養の開始日)に培養に移行した初期の生細胞数から増加していない場合、PBMCは複製不能とみなされ、本明細書に記載のTIL拡大培養手順での使用が認められる。一部の実施形態において、PBMCは、30ng/mlのOKT3抗体及び3000IU/mlのIL-2の存在下で培養される。例えば、実施例13を参照のこと。
【0432】
一部の実施形態において、OKT3及びIL-2の存在下で培養された生細胞の総数が、7日目及び14日目に、REPの0日目及び/又は第2の拡大培養の0日目(即ち、第2の拡大培養の開始日)に培養に移行した初期の生細胞数から増加していない場合、PBMCは複製不能とみなされ、本明細書に記載のTIL拡大培養手順での使用が認められる。一部の実施形態において、PBMCは、5~60ng/mlのOKT3抗体及び1000~6000IU/mlのIL-2の存在下で培養される。一部の実施形態において、PBMCは、10~50ng/mlのOKT3抗体及び2000~5000IU/mlのIL-2の存在下で培養される。一部の実施形態において、PBMCは、20~40ng/mlのOKT3抗体及び2000~4000IU/mlのIL-2の存在下で培養される。一部の実施形態において、PBMCは、25~35ng/mlのOKT3抗体及び2500~3500IU/mlのIL-2の存在下で培養される。
【0433】
一部の実施形態において、抗原提示フィーダー細胞はPBMCである。一部の実施形態において、抗原提示フィーダー細胞は人工抗原提示フィーダー細胞である。ある実施形態において、第2の拡大培養におけるTILと抗原提示フィーダー細胞との比は、約1対25、約1対50、約1対100、約1対125、約1対150、約1対175、約1対200、約1対225、約1対250、約1対275、約1対300、約1対325、約1対350、約1対375、約1対400、又は約1対500である。ある実施形態において、第2の拡大培養におけるTILと抗原提示フィーダー細胞との比は1対50~1対300である。ある実施形態において、第2の拡大培養におけるTILと抗原提示フィーダー細胞との比は1対100~1対200である。
【0434】
ある実施形態において、本明細書に記載の第2の拡大培養手順は、約2.5×10個のフィーダー細胞と約100×10個のTILとの比を必要とする。別の実施形態において、本明細書に記載の第2の拡大培養手順は、約2.5×10個のフィーダー細胞と約50×10個のTILとの比を必要とする。更に別の実施形態において、本明細書に記載の第2の拡大培養手順は、約2.5×10個のフィーダー細胞と約25×10個のTILを必要とする。
【0435】
ある実施形態において、本明細書に記載の第2の拡大培養手順は、第2の拡大培養中に過剰量のフィーダー細胞を必要とする。多くの実施形態において、フィーダー細胞は、健常供血者からの標準的な全血ユニットから入手される末梢血単核球(PBMC)である。PBMCは、Ficoll-Paque勾配分離などの標準方法を用いて入手される。ある実施形態では、PBMCの代わりに人工抗原提示(aAPC)細胞が使用される。
【0436】
一般に、同種異系PBMCは、照射又は熱処理のいずれかによって不活性化され、図5、6、8、9、10、及び11に記載された例示的な手順を含む、本明細書に記載されたTIL拡大培養手順で使用される。
【0437】
ある実施形態において、人工抗原提示細胞は、PBMCの代替として、又はそれと組み合わせて、第2の拡大培養で使用される。
【0438】
2.サイトカイン
本明細書に記載の拡大培養方法は、一般に、当該技術分野において公知のとおり、高用量のサイトカイン、特にIL-2を含む培養培地を使用する。
【0439】
或いは、TILの迅速拡大培養又は第2の拡大培養にサイトカインの組み合わせを使用することが更に可能であり、IL-2、IL-15及びIL-21のうちの2つ以上の組み合わせについては、概して国際公開第2015/189356号及び国際公開第2015/189357号(本明細書によって全体として参照により明示的に援用される)に概説されるとおりである。従って、可能な組み合わせとしては、IL-2とIL-15、IL-2とIL-21、IL-15とIL-21とIL-2、IL-15とIL-21が挙げられ、後者には多くの実施形態において特定の使用が見出される。これらの明細書に記載されるとおり、サイトカインの組み合わせを使用することは、特にリンパ球、詳細にはT細胞の生成に有利である。
【0440】
3.抗CD3抗体
一部の実施形態において、本明細書に記載の拡大培養方法で使用される培養培地(REPと称されるものを含み、例えば、図9を参照のこと)は、抗CD3抗体も含む。抗CD3抗体をIL-2と併用すると、TIL集団においてT細胞活性化及び細胞分裂が誘導される。この効果は完全長抗体並びにFab及びF(ab’)2断片で見ることができ、前者が概して好ましい;例えば、Tsoukas et al., J.Immunol.1985, 135, 1719(本明細書によって全体として参照により援用される)を参照のこと。
【0441】
当業者は理解するであろうとおり、本発明において使用が見出される好適な抗ヒトCD3抗体は、限定はされないが、ネズミ科動物、ヒト、霊長類、ラット、及びイヌ科動物抗体を含めた、様々な哺乳類からの抗ヒトCD3ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含め、幾つも存在する。詳細な実施形態では、OKT3抗CD3抗体が使用される(Ortho-McNeil, Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech, Auburn, CAから市販されている)。
【0442】
E.ステップE:TILを回収する
第2の拡大培養ステップの後、細胞は回収することができる。一部の実施形態において、TILは、例えば、図9に提供されるとおり、1、2、3、4回又はそれ以上の拡大培養ステップの後に回収される。一部の実施形態において、TILは、例えば、図9に提供されるとおり、2回の拡大培養ステップの後に回収される。
【0443】
TILは、例えば遠心によることを含め、任意の適切な且つ無菌の方法で回収することができる。TIL回収方法は当該技術分野において周知であり、本プロセスと共に任意のかかる公知の方法を用いることができる。一部の実施形態において、TILは自動化系を使用して回収される。
【0444】
セルハーベスター及び/又は細胞処理系は、例えば、Fresenius Kabi、Tomtec Life Science、Perkin Elmer、及びInotech Biosystems International, Inc.を含む様々な供給源から市販されている。任意の細胞ベースのハーベスターを本方法で使用することができる。一部の実施形態において、セルハーベスター及び/又は細胞処理系は、膜ベースの細胞ハーベスターである。一部の実施形態において、細胞回収は、LOVO系(Fresenius Kabi製)などの細胞処理系を介して行われる。用語「LOVO細胞処理系」は、滅菌及び/又は閉鎖系環境で、回転膜又は回転フィルターなどの膜又はフィルターを通して細胞を含む溶液を送り出すことができ、ペレット化せず上清又は細胞培養液を除去する連続フロー及び細胞処理を可能にする、あらゆる販売業者によって製造された機器又は装置も指す。一部の実施形態において、セルハーベスター及び/又は細胞処理系は、閉鎖、無菌系で細胞分離、洗浄、流体交換、濃縮、及び/又は他の細胞処理ステップを実施することができる。
【0445】
一部の実施形態において、回収、例えば、図9によるステップEは、閉鎖系バイオリアクターから実施される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるとおり、TIL拡大培養のために閉鎖系が用いられる。一部の実施形態において、単一のバイオリアクターが用いられる。一部の実施形態において、用いられる単一のバイオリアクターは、例えば、G-REX-10又はG-REX-100である。一部の実施形態において、閉鎖系バイオリアクターは単一のバイオリアクターである。
【0446】
F.ステップF:最終的な製剤化及び/又は輸注バッグに移す
図9に例示的順序で提供されるとおりの、且つ上記及び本明細書に詳細に概説されるとおりのステップA~Eが完了した後、細胞は患者への投与における使用のため容器に移される。一部の実施形態において、上記に記載される拡大培養方法を用いて治療上十分な数のTILが入手されると、TILは患者への投与における使用のため容器に移される。
【0447】
ある実施形態において、本開示のAPCを使用して拡大培養したTILは、医薬組成物として患者に投与される。ある実施形態において、医薬組成物は滅菌緩衝液中のTILの懸濁液である。本開示のPBMCを使用して拡大培養したTILは、当該技術分野において公知のとおりの任意の好適な経路によって投与されてよい。一部の実施形態において、T細胞は単回動脈内又は静脈内注入として投与され、これは好ましくは約30~60分間継続される。他の好適な投与経路としては、腹腔内、髄腔内、及びリンパ内が挙げられる。
【0448】
1.医薬組成物、投薬量、及び投与レジメン
ある実施形態において、本開示の方法を使用して拡大培養したTILは、医薬組成物として患者に投与される。ある実施形態において、医薬組成物は滅菌緩衝液中のTILの懸濁液である。本開示のPBMCを使用して拡大培養したTILは、当該技術分野において公知のとおりの任意の好適な経路によって投与されてよい。一部の実施形態において、T細胞は単回動脈内又は静脈内注入として投与され、これは好ましくは約30~60分間継続される。他の好適な投与経路としては、腹腔内、髄腔内、及びリンパ内投与が挙げられる。
【0449】
任意の好適な用量のTILを投与することができる。一部の実施形態において、約2.3×1010~約13.7×1010個のTILが投与され、特にがんが黒色腫である場合、平均約7.8×1010個のTILである。ある実施形態において、約1.2×1010~約4.3×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約3×1010~約12×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約4×1010~約10×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約5×1010~約8×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約6×1010~約8×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、約7×1010~約8×1010個のTILが投与される。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約2.3×1010~約13.7×1010個である。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は、特にがんが黒色腫である場合、約7.8×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約1.2×1010~約4.3×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約3×1010~約12×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約4×1010~約10×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約5×1010~約8×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約6×1010~約8×1010個のTILである。一部の実施形態において、治療上有効な投薬量は約7×1010~約8×1010個のTILである。
【0450】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、及び9×1013個である。ある実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012、及び5×1012~1×1013個の範囲である。
【0451】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、例えば、医薬組成物の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v未満である。
【0452】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25% 19%、18.75%、18.50%、18.25% 18%、17.75%、17.50%、17.25% 17%、16.75%、16.50%、16.25% 16%、15.75%、15.50%、15.25% 15%、14.75%、14.50%、14.25% 14%、13.75%、13.50%、13.25% 13%、12.75%、12.50%、12.25% 12%、11.75%、11.50%、11.25% 11%、10.75%、10.50%、10.25% 10%、9.75%、9.50%、9.25% 9%、8.75%、8.50%、8.25% 8%、7.75%、7.50%、7.25% 7%、6.75%、6.50%、6.25% 6%、5.75%、5.50%、5.25% 5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v超である。
【0453】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%又は約1%~約10%w/w、w/v又はv/vの範囲である。
【0454】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v又はv/vの範囲である。
【0455】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g、又は0.0001g以下である。
【0456】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5、3g、3.5、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g、又は10g超である。
【0457】
本発明の医薬組成物中に提供されるTILは、広い投薬量範囲にわたって有効である。正確な投薬量は、投与経路、化合物の投与形態、治療対象の性別及び年齢、治療対象の体重、並びに主治医の優先的選択及び経験に依存することになる。臨床的に確立されたTILの投薬量もまた、適宜用いられ得る。TILの投薬量など、本明細書の方法を用いて投与される医薬組成物の量は、治療下のヒト又は哺乳類、障害又は病態の重症度、投与速度、医薬品有効成分の性質及び処方医師の裁量に依存することになる。
【0458】
一部の実施形態において、TILは単回用量で投与されてもよい。かかる投与は、注射、例えば静脈内注射によってもよい。一部の実施形態において、TILは複数回用量で投与されてもよい。投与は、年1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は6回超であってもよい。投与は、月1回、2週間に1回、週1回、又は隔日1回であってもよい。TILの投与は必要な限り継続されてもよい。
【0459】
一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、約1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、及び9×1013個である。一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×1010、1×1010~5×1010、5×1010~1×1011、5×1011~1×1012、1×1012~5×1012、及び5×1012~1×1013個の範囲である。
【0460】
一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、約0.01mg/kg~約4.3mg/kg、約0.15mg/kg~約3.6mg/kg、約0.3mg/kg~約3.2mg/kg、約0.35mg/kg~約2.85mg/kg、約0.15mg/kg~約2.85mg/kg、約0.3mg~約2.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1.7mg/kg、約0.15mg/kg~約1.3mg/kg、約0.3mg/kg~約1.15mg/kg、約0.45mg/kg~約1mg/kg、約0.55mg/kg~約0.85mg/kg、約0.65mg/kg~約0.8mg/kg、約0.7mg/kg~約0.75mg/kg、約0.7mg/kg~約2.15mg/kg、約0.85mg/kg~約2mg/kg、約1mg/kg~約1.85mg/kg、約1.15mg/kg~約1.7mg/kg、約1.3mg/kgmg~約1.6mg/kg、約1.35mg/kg~約1.5mg/kg、約2.15mg/kg~約3.6mg/kg、約2.3mg/kg~約3.4mg/kg、約2.4mg/kg~約3.3mg/kg、約2.6mg/kg~約3.15mg/kg、約2.7mg/kg~約3mg/kg、約2.8mg/kg~約3mg/kg、又は約2.85mg/kg~約2.95mg/kgの範囲である。
【0461】
一部の実施形態において、TILの有効投薬量は、約1mg~約500mg、約10mg~約300mg、約20mg~約250mg、約25mg~約200mg、約1mg~約50mg、約5mg~約45mg、約10mg~約40mg、約15mg~約35mg、約20mg~約30mg、約23mg~約28mg、約50mg~約150mg、約60mg~約140mg、約70mg~約130mg、約80mg~約120mg、約90mg~約110mg、又は約95mg~約105mg、約98mg~約102mg、約150mg~約250mg、約160mg~約240mg、約170mg~約230mg、約180mg~約220mg、約190mg~約210mg、約195mg~約205mg、又は約198~約207mgの範囲である。
【0462】
有効量のTILは、鼻腔内及び経皮経路、動脈内注射によること、静脈内、腹腔内、非経口的、筋肉内、皮下、局所、移植によること、又は吸入によることを含め、同様の有用性を有する薬剤について一般に認められている任意の投与方式により、単回用量又は複数回用量のいずれで投与されてもよい。
【0463】
G.任意選択の細胞生存率分析
任意選択で、ステップBの第1の拡大培養の後に、当該技術分野において公知の標準アッセイを用いて細胞生存率アッセイを実施することができる。例えば、バルクTILの試料に対してトリパンブルー色素排除アッセイを行うことができ、これは死細胞を選択的に標識して生存率の評価を可能にするものである。生存率の試験に用いられる他のアッセイとしては、限定はされないが、アラマーブルーアッセイ;及びMTTアッセイを挙げることができる。
【0464】
1.細胞数、生存率、フローサイトメトリー
一部の実施形態において、細胞数及び/又は生存率が測定される。限定はされないが、CD3、CD4、CD8、及びCD56などのマーカー、並びに本明細書に開示又は記載される任意の他のものの発現を抗体によるフローサイトメトリー、例えば限定はされないが、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)を使用してBD Bio-sciences(BD Biosciences、San Jose, CA)から市販されているものによって測定することができる。細胞は、ディスポーザブルc-chip血球計算盤(VWR、Batavia, IL)を使用して手動でカウントすることができ、及び生存率は、限定はされないがトリパンブルー染色を含め、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて評価することができる。
【0465】
ある場合には、バルクTIL集団は、以下で考察するプロトコルを用いて直ちに凍結保存することができる。或いは、バルクTIL集団は、以下で考察するとおり、REPに供し、次に凍結保存してもよい。同様に、療法において遺伝子修飾TILが使用されることになる場合、バルク又はREP TIL集団を好適な治療のための遺伝子修飾に供してもよい。
【0466】
2.細胞培養
ある実施形態において、TILの拡大培養方法は、約5,000mL~約25,000mLの細胞培地、約5,000mL~約10,000mLの細胞培地、又は約5,800mL~約8,700mLの細胞培地を使用することを含み得る。ある実施形態において、TIL数の拡大には1種類以下の細胞培養培地が使用される。任意の好適な細胞培養培地、例えば、AIM-V細胞培地(L-グルタミン、50μM硫酸ストレプトマイシン、及び10μM硫酸ゲンタマイシン)細胞培養培地(Invitrogen、Carlsbad CA)を使用し得る。この点に関して、本発明の方法では有利には、TIL数の拡大に必要な培地の量及び培地の種類の数が減少する。ある実施形態において、TIL数の拡大は、3日又は4日おき以下の頻度で細胞に新鮮細胞培養培地を加える(細胞をフィードするとも称される)ことを含み得る。ガス透過性容器内で細胞の数を拡大すると、細胞の拡大培養に必要なフィーディング頻度が減少することにより細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になる。
【0467】
ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はろ過されていない。ろ過されていない細胞培地を使用すると、細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になり得る。ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はβ-メルカプトエタノール(BME)を含まない。
【0468】
ある実施形態において、哺乳類から腫瘍組織試料を入手すること;細胞培地が中に入った第1のガス透過性容器内で腫瘍組織試料を培養すること;腫瘍組織試料からTILを入手すること;aAPCを使用して細胞培地が中に入った第2のガス透過性容器内でTIL数を約14~約42日間、例えば約28日間拡大することを含む本方法の所要期間。
【0469】
ある実施形態において、TILはガス透過性容器内で拡大培養される。ガス透過性容器は、米国特許出願公開第2005/0106717 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものを含め、当該技術分野において公知の方法、組成物、及び装置を用いたPBMCを使用したTILの拡大培養に用いられている。ある実施形態において、TILはガス透過性バッグ内で拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W25(GE Healthcare)など、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W5(GE Healthcare)としても知られるWAVE Bioreactor Systemなど、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、細胞拡大培養システムは、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、及び約10Lからなる群から選択される容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。ある実施形態において、TILはG-Rexフラスコ(Wilson Wolf Manufacturingから市販されている)において拡大培養することができる。かかる実施形態は、細胞集団を約5×10細胞/cmから10×10~30×10細胞/cmへと拡大培養することを可能にする。ある実施形態において、この拡大培養は、細胞に新鮮な細胞培養培地を加える(細胞をフィードするとも称される)ことなく行われる。ある実施形態において、これは、GRexフラスコ内に約10cmの高さの培地がある限りフィーディングなしである。ある実施形態において、これにフィーディングはないが、1つ以上のサイトカインが加えられる。ある実施形態において、サイトカインは、サイトカインを培地と混合する必要は一切なしにボーラスとして加えることができる。かかる容器、装置、及び方法は当該技術分野において公知で、TILの拡大培養に用いられており、米国特許出願公開第2014/0377739A1号、国際公開第2014/210036 A1号、米国特許出願公開第2013/0115617 A1号、国際公開第2013/188427 A1号、米国特許出願公開第2011/0136228 A1号、米国特許第8,809,050 B2号、国際公開第2011/072088 A2号、米国特許出願公開第2016/0208216 A1号、米国特許出願公開第2012/0244133 A1号、国際公開第2012/129201 A1号、米国特許出願公開第2013/0102075 A1号、米国特許第8,956,860 B2号、国際公開第2013/173835 A1号、米国特許出願公開第2015/0175966 A1号(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものが含まれる。かかるプロセスはまた、Jin et al., J. Immunotherapy, 2012, 35:283-292にも記載されている。任意選択のTIL遺伝子改変
【0470】
一部の実施形態において、TILは任意選択で、限定はされないが、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えば、MAGE-1、HER2、若しくはNY-ESO-1などの腫瘍関連抗原を標的とするTCR、又は腫瘍関連細胞表面分子(例えばメソテリン)若しくは系統限定的細胞表面分子(例えばCD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含め、追加の機能性を含むように遺伝子改変される。
【0471】
H.任意選択のTIL凍結保存
上記で考察したとおり、且つ図9に提供したとおりステップA~Eにおいて例示したとおり、TIL拡大培養プロセス全体を通じて数々の時点で凍結保存を行うことができる。一部の実施形態において、(例えば、図9のステップDに係るとおり)第2の拡大培養後の拡大培養TIL集団が凍結保存されてもよい。凍結保存は、概して、凍結溶液、例えば85%補体不活性化AB血清及び15%ジメチルスルホキシド(DMSO)の中にTIL集団を置くことにより達成し得る。この溶液中の細胞を極低温バイアルに入れ、-80℃で24時間貯蔵し、任意選択で凍結保存のため気体窒素フリーザーに移す。Sadeghi, et al., Acta Oncologica 2013, 52, 978-986を参照のこと。一部の実施形態において、TILは5%DMSOに凍結保存される。一部の実施形態において、TILは細胞培養培地+5%DMSOに凍結保存される。一部の実施形態において、TILは、実施例8及び9に提供される方法に従い凍結保存される。
【0472】
適切な場合、細胞をフリーザーから取り出し、37℃の水浴中で溶液の約5分の4が解凍されるまで解凍する。細胞は概して完全培地中に再懸濁され、任意選択で1回以上洗浄される。一部の実施形態では、当該技術分野において公知のとおり解凍TILをカウントし、生存率に関して評価することができる。
【0473】
I.拡大培養したTILの表現型特徴
一部の実施形態において、TILは拡大培養後に、本明細書及び実施例に記載されるものを含め、多数の表現型マーカーの発現に関して分析される。ある実施形態では、1つ以上の表現型マーカーの発現が調べられる。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップBの第1の拡大培養後に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップCの移行中に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップCに係る移行中且つ凍結保存後に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップDに係る第2の拡大培養後に分析される。一部の実施形態において、TILの表現型特徴は、ステップDに係る2回以上の拡大培養後に分析される。一部の実施形態において、マーカーは、TCRab(すなわち、TCRα/β)、CD57、CD28、CD4、CD27、CD56、CD8a、CD45RA、CD8a、CCR7、CD4、CD3、CD38、及びHLA-DRからなる群から選択される。一部の実施形態において、マーカーは、TCRab(すなわち、TCRα/β)、CD57、CD28、CD4、CD27、CD56、及びCD8aからなる群から選択される。ある実施形態において、マーカーは、CD45RA、CD8a、CCR7、CD4、CD3、CD38、及びHLA-DRからなる群から選択される。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個のマーカーの発現が調べられる。一部の実施形態では、各群から1つ以上のマーカーからの発現が調べられる。一部の実施形態では、解凍TILと比較したとき新鮮TILにおいてHLA-DR、CD38、及びCD69発現のうちの1つ以上が維持される(即ち、統計的に有意な差を呈しない)。一部の実施形態では、解凍TILにおいてTILの活性化状態が維持される。
【0474】
ある実施形態において、1つ以上の調節マーカーの発現が測定される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD137、CD8a、Lag3、CD4、CD3、PD-1、TIM-3、CD69、CD8a、TIGIT、CD4、CD3、KLRG1、及びCD154からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD137、CD8a、Lag3、CD4、CD3、PD-1、及びTIM-3からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD69、CD8a、TIGIT、CD4、CD3、KLRG1、及びCD154からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節分子発現は新鮮TILと比較したとき解凍TILにおいて低下する。一部の実施形態において、調節分子LAG-3及びTIM-3の発現は新鮮TILと比較したとき解凍TILにおいて低下する。一部の実施形態において、CD4、CD8、NK、TCRαβ発現に有意な差はない。一部の実施形態において、解凍TILと比較したとき新鮮TILにおいてCD4、CD8、NK、TCRαβ発現、及び/又はメモリーマーカーに有意な差はない。一部の実施形態において、例えば図9に例示されているように、本明細書で提供される方法によって作製されるTIL、及び/又は例えば、図9で具体化されているもの以外の方法を含む本明細書で提供する以外の他の方法を使用して調製されたTIL間のCD4、CD8、NK、TCRαβ発現には有意な差は無い。
【0475】
一部の実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、回収したTIL集団、及び/又はCD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβ発現に基づく治療用TIL集団の選択は、上記で考察した、又は図9の例を含むいずれのステップ中にも実施されない。一部の実施形態において、CD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβに基づく第1のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβ発現に基づく第2のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβ発現に基づく第3のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβ発現に基づく回収したTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβ発現に基づく治療用TIL集団の選択は実施されない。
【0476】
ある実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、又はCD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβ発現に基づく回収TILの選択は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を治療用TIL集団に拡大培養する方法のステップ(a)~(f)のいずれの間も実施されず、このステップは
(a) 患者から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片に処理することにより、患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること;
(b) 腫瘍断片を閉鎖系に加えること;
(c) IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養し第2のTIL集団を生じさせることにより第1の拡大培養を実施することであって、第1の拡大培養は、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器内で実施され、第1の拡大培養は、第2のTIL集団を得るため約3~14日間行われ、第2のTIL集団の数は、第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(b)からステップ(c)への移行は系を開放せずに発生すること;
(d) 第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が約7~14日間実施され、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比べてエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞の増加サブ集団を含む治療用TIL集団であり、第2の拡大培養は第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器で行われ、及びステップ(c)からステップ(d)への移行は系を開放せずに発生すること;
(e) ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行は、系を開放せずに発生すること;及び
(f) ステップ(e)で回収したTIL集団を輸注バッグに移すことであって、ステップ(e)から(f)への移行は、系を開放せずに発生すること
を含む。
【0477】
ある実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、又はCD4、CD8、及び/又はNK、TCRαβ発現に基づく回収TILの選択は、がんを有する対象の処置を行う方法のステップ(a)~(h)のいずれの間も実施されず、この拡大培養した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含む方法は、
(a) 対象から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片に処理することにより、患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること;
(b) 腫瘍断片を閉鎖系に加えること;
(c) IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養し第2のTIL集団を生じさせることにより第1の拡大培養を実施することであって、第1の拡大培養は、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器内で実施され、第1の拡大培養は、第2のTIL集団を得るため約3~14日間行われ、第2のTIL集団の数は、第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(b)からステップ(c)への移行は系を開放せずに発生すること;
(d) 第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が約7~14日間実施され、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比べてエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞の増加サブ集団を含む治療用TIL集団であり、第2の拡大培養は第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器で行われ、及びステップ(c)からステップ(d)への移行は系を開放せずに発生すること;
(e) ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行は、系を開放せずに発生すること;及び
(f) ステップ(e)で回収したTIL集団を輸注バッグに移すことであって、ステップ(e)から(f)への移行は、系を開放せずに発生すること;
(g) 凍結保存プロセスを使用して、ステップ(f)で回収したTIL集団を含む輸注バッグを任意選択で凍結保存すること;及び
(h) ステップ(g)における輸注バッグから治療上有効な投薬量の第3のTIL集団を患者に投与すること
を含む。
【0478】
一部の実施形態において、メモリーマーカーは、CCR7及びCD62Lからなる群から選択される。
【0479】
一部の実施形態において、解凍TILと比較したときの新鮮TILの生存率は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%である。一部の実施形態において、新鮮TIL及び解凍TILの両方の生存率が、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、又は98%超である。一部の実施形態において、新鮮産物及び解凍産物の両方の生存率が、80%超、81%超、82%超、83%超、84%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、又は90%超である。一部の実施形態において、新鮮産物及び解凍産物の両方の生存率が86%超である。
【0480】
ある実施形態において、再刺激TILはまた、サイトカイン遊離アッセイを用いてサイトカイン遊離に関しても判定することができる。一部の実施形態において、TILは、OKT3か又は自己腫瘍消化物との共培養かのいずれかによる刺激に応答したインターフェロン-7(IFN-7)分泌に関して判定することができる。例えば、OKT3刺激を用いる実施形態では、TILを広範に洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水で希釈した0.1又は1.0μg/mLのOKT3をプレコートした96ウェル平底プレートに0.2mL CM中1×10細胞でデュプリケートウェルを調製する。一晩インキュベートした後、上清を回収し、上清中のIFN-7をELISA(Pierce/Endogen、Woburn, MA)によって測定する。共培養アッセイについては、1×10個のTIL細胞を96ウェルプレートに自己腫瘍細胞と共に(1:1比)置く。24時間のインキュベーション後、上清を回収し、IFN-7遊離を例えばELISAによって定量化することができる。
【0481】
細胞表面バイオマーカーのフローサイトメトリー分析:細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析のため、TIL試料をアリコートに分けた。例えば実施例7、8、及び9を参照のこと。
【0482】
一部の実施形態において、TILは様々な調節マーカーに関して判定されるものである。一部の実施形態において、調節マーカーは、TCRα/β、CD56、CD27、CD28、CD57、CD45RA、CD45RO、CD25、CD127、CD95、IL-2R-、CCR7、CD62L、KLRG1、及びCD122からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーはTCRα/βである。一部の実施形態において、調節マーカーはCD56である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD27である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD28である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD57である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD45RAである。一部の実施形態において、調節マーカーはCD45ROである。一部の実施形態において、調節マーカーはCD25である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD127である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD95である。一部の実施形態において、調節マーカーはIL-2R-である。一部の実施形態において、調節マーカーはCCR7である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD62Lである。一部の実施形態において、調節マーカーはKLRG1である。一部の実施形態において、調節マーカーはCD122である。
【0483】
一実施形態において、拡大培養されたTILは、本明細書及び実施例に記載されるものを含め、多数の表現型マーカーの発現に関して分析される。ある実施形態では、1つ以上の表現型マーカーの発現が調べられる。一部の実施形態において、マーカーは、TCRab(即ち、TCRα/β)、CD57、CD28、CD4、CD27、CD56、CD8a、CD45RA、CD8a、CCR7、CD4、CD3、CD38、及びHLA-DRからなる群から選択される。一部の実施形態において、マーカーは、TCRab(即ち、TCRα/β)、CD57、CD28、CD4、CD27、CD56、及びCD8aからなる群から選択される。ある実施形態において、マーカーは、CD45RA、CD8a、CCR7、CD4、CD3、CD38、及びHLA-DRからなる群から選択される。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個のマーカーの発現が調べられる。一部の実施形態では、各群から1つ以上のマーカーからの発現が調べられる。一部の実施形態では、解凍TILと比較したとき新鮮TILにおいてHLA-DR、CD38、及びCD69発現のうちの1つ以上が維持される(即ち、統計的に有意な差を呈しない)。一部の実施形態では、解凍TILにおいてTILの活性化状態が維持される。
【0484】
ある実施形態において、1つ以上の調節マーカーの発現が測定される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD137、CD8a、Lag3、CD4、CD3、PD1、TIM-3、CD69、CD8a、TIGIT、CD4、CD3、KLRG1、及びCD154からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD137、CD8a、Lag3、CD4、CD3、PD1、及びTIM-3からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節マーカーは、CD69、CD8a、TIGIT、CD4、CD3、KLRG1、及びCD154からなる群から選択される。一部の実施形態において、調節分子発現は新鮮TILと比較したとき解凍TILにおいて低下する。一部の実施形態において、調節分子LAG-3及びTIM-3の発現は新鮮TILと比較したとき解凍TILにおいて低下する。一部の実施形態において、CD4、CD8、NK、TCRαβ発現に有意な差はない。一部の実施形態において、解凍TILと比較したとき新鮮TILにおいてCD4、CD8、NK、TCRαβ発現、及び/又はメモリーマーカーに有意な差はない。
【0485】
一部の実施形態において、メモリーマーカーは、CCR7及びCD62Lからなる群から選択される。
【0486】
一部の実施形態において、解凍TILと比較したときの新鮮TILの生存率は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%である。一部の実施形態において、新鮮TIL及び解凍TILの両方の生存率が、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、又は98%超である。一部の実施形態において、新鮮産物及び解凍産物の両方の生存率が、80%超、81%超、82%超、83%超、84%超、85%超、86%超、87%超、88%超、89%超、又は90%超である。一部の実施形態において、新鮮産物及び解凍産物の両方の生存率が86%超である。
【0487】
ある実施形態において、再刺激TILはまた、サイトカイン遊離アッセイを用いてサイトカイン遊離に関しても判定することができる。一部の実施形態において、TILは、OKT3か又は自己腫瘍消化物との共培養かのいずれかによる刺激に応答したインターフェロン-7(IFN-7)分泌に関して判定することができる。例えば、OKT3刺激を用いる実施形態では、TILを広範に洗浄し、リン酸緩衝生理食塩水で希釈した0.1又は1.0μg/mLのOKT3をプレコートした96ウェル平底プレートに0.2mL CM中1×10細胞でデュプリケートウェルを調製する。一晩インキュベートした後、上清を回収し、上清中のIFN-7をELISA(Pierce/Endogen、Woburn, MA)によって測定する。共培養アッセイについては、1×10個のTIL細胞を96ウェルプレートに自己腫瘍細胞と共に置く(1:1の比率)。24時間のインキュベーション後、上清を回収し、IFN-7遊離を例えばELISAによって定量化することができる。
【0488】
いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、3000pg/10TIL超~300000pg/10TIL以上のグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、3000pg/10TILを超える、5000pg/10TILを超える、7000pg/10TILを超える、9000pg/10TILを超える、11000pg/10TILを超える、13000pg/10TILを超える、15000pg/10TILを超える、17000pg/10TILを超える、19000pg/10TILを超える、20000pg/10TILを超える、40000pg/10TILを超える、60000pg/10TILを超える、80000pg/10TILを超える、100000pg/10TILを超える、120000pg/10TILを超える、140000pg/10TILを超える、160000pg/10TILを超える、180000pg/10TILを超える、200000pg/10TILを超える、220000pg/10TILを超える、240000pg/10TILを超える、260000pg/10TILを超える、280000pg/10TILを超える、300000pg/10TILを超える、またはそれを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、3000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、5000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、7000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、9000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、11000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、13000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、15000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、17000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILある。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、19000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、20000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、40000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、60000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、80000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、100000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、120000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、140000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、160000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、180000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、200000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、220000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、240000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTIL260000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、280000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、300000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、3000pg/10TIL超~300000pg/10TIL以上のグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、3000pg/10TILを超える、5000pg/10TILを超える、7000pg/10TILを超える、9000pg/10TILを超える、11000pg/10TILを超える、13000pg/10TILを超える、15000pg/10TILを超える、17000pg/10TILを超える、19000pg/10TILを超える、20000pg/10TILを超える、40000pg/10TILを超える、60000pg/10TILを超える、80000pg/10TILを超える、100000pg/10TILを超える、120000pg/10TILを超える、140000pg/10TILを超える、160000pg/10TILを超える、180000pg/10TILを超える、200000pg/10TILを超える、220000pg/10TILを超える、240000pg/10TILを超える、260000pg/10TILを超える、280000pg/10TILを超える、300000pg/10TILを超える、またはそれを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、3000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、5000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、7000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、9000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、11000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、


13000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、15000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、17000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、19000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、20000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、40000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、60000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、80000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、100000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、120000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、140000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、160000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、180000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、200000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、220000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、240000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、260000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、280000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、300000pg/10TILを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。
【0489】
いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、1000pg/ml超~300000pg/ml以上のグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、1000pg/mlを超える、2000pg/mlを超える、3000pg/mlを超える、4000pg/mlを超える、5000pg/mlを超える、6000pg/mlを超える、7000pg/mlを超える、8000pg/mlを超える、9000pg/mlを超える、10000pg/mlを超える、20000pg/mlを超える、30000pg/mlを超える、40000pg/mlを超える、50000pg/mlを超える、60000pg/mlを超える、70000pg/mlを超える、80000pg/mlを超える、90000pg/mlを超える、100000pg/ml超える、またはそれを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、1000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、2000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、3000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、4000pg/mlを超えるグランザイムB示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、5000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、6000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、7000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、8000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、9000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、10000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、20000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、30000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、40000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、50000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、60000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、70000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、80000pg/ml超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、90000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、100000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、120000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、140000pg/mlを超えるグランザイムBを示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、160000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、180000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、200000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、220000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、240000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、260000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、280000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、300000pg/mlを超えるグランザイムBの分泌を示すTILである。
【0490】
いくつかの実施形態において、本発明の増殖方法は、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9に示すTILを含む、非増殖TIL集団と比較して、インビトロでのグランザイムBの分泌の増加を示す増殖TIL集団を産生する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも1倍~50倍以上増加する。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍以上増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも1倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも2倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも3倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも4倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも5倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも6倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも7倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも8倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも9倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも10倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも20倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも30倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも40倍増加する。いくつかの実施形態において、本発明の増殖TIL集団のグランザイムBの分泌は、非増殖TIL集団と比較して、少なくとも50倍増加する。
【0491】
一部の実施形態において、表現型の特徴付けは、凍結保存後に調べられる。
【0492】
J.拡大培養したTILの代謝的健康
再刺激したTILは、新鮮に採取したTIL及び/又は解凍後のTILのいずれと比較したときも、基礎解糖の有意な亢進によって特徴付けられる。ある実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、回収TIL集団、及び/又はCD8発現に基づく治療用TIL集団の選択は、上記で考察した、又は図9の例を含むいずれのステップ中にも実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく第1のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく第2のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく第3のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく回収TIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく治療用TIL集団の選択は実施されない。
【0493】
ある実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、又はCD8発現に基づく回収TILの選択は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を治療用TIL集団に拡大培養する方法のステップ(a)~(f)のいずれの間も実施されず、このステップは、
(a) 患者から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片に処理することにより、患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること;
(b) 腫瘍断片を閉鎖系に加えること;
(c) IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養し第2のTIL集団を生じさせることにより第1の拡大培養を実施することであって、第1の拡大培養は、第1ガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器内で実施され、第1の拡大培養は、第2のTIL集団を得るため約3~14日間行われ、第2のTIL集団の数は、第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(b)からステップ(c)への移行は系を開放せずに発生すること;
(d) 第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が約7~14日間実施され、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比べてエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞の増加サブ集団を含む治療用TIL集団であり、第2の拡大培養は第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器で行われ、及びステップ(c)からステップ(d)への移行は系を開放せずに発生すること;
(e) ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行は、系を開放せずに発生すること;及び
(f) ステップ(e)で回収したTIL集団を輸注バッグに移すことであって、ステップ(e)から(f)への移行は、系を開放せずに発生すること
を含む。
【0494】
ある実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、又はCD8発現に基づく回収TILの選択は、がんを有する対象の処置を行う方法のステップ(a)~(h)のいずれの間も実施されず、この拡大培養した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含む方法は、
(a) 対象から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片に処理することにより、患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること;
(b) 腫瘍断片を閉鎖系に加えること;
(c) IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養し第2のTIL集団を生じさせることにより第1の拡大培養を実施することであって、第1の拡大培養は、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器内で実施され、第1の拡大培養は、第2のTIL集団を得るため約3~14日間行われ、第2のTIL集団の数は、第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(b)からステップ(c)への移行は系を開放せずに発生すること;
(d) 第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が約7~14日間実施され、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比べてエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞の増加サブ集団を含むT細胞治療用TIL集団であり、第2の拡大培養は第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器で行われ、及びステップ(c)からステップ(d)への移行は系を開放せずに発生すること;
(e) ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行は、系を開放せずに発生すること;及び
(f) ステップ(e)で回収したTIL集団を輸注バッグに移すことであって、ステップ(e)から(f)への移行は、系を開放せずに発生すること;
(g) 凍結保存プロセスを使用して、ステップ(f)で回収したTIL集団を含む輸注バッグを任意選択で凍結保存すること;及び
(h) ステップ(g)における輸注バッグから治療上有効な投薬量の第3のTIL集団を患者に投与すること
を含む。
【0495】
本明細書に記載された方法によって調製されたTILは、例えば、新鮮に採取したTIL及び/又は、例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILと比較して、基礎解糖の有意な差に特徴付けられる。ある実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、回収TIL集団、及び/又はCD8発現に基づく治療用TIL集団の選択は、上記で考察した、又は図9の例を含むいずれのステップ中にも実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく第1のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく第2のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく第3のTIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく回収TIL集団の選択は実施されない。一部の実施形態において、CD8発現に基づく治療用TIL集団の選択は実施されない。ある実施形態において、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、又はCD8発現に基づく回収TILの選択は、ステップ(a)~(h)のいずれの間も実施されない。
【0496】
本開示の異なる方法で拡大培養したTILについて、予備呼吸容量(SRC)及び解糖予備能を判定することができる。Seahorse XF細胞ミトストレステストは、ミトコンドリアにおける電子伝達鎖の成分を標的にする呼吸調節因子を用いて細胞の酸素消費速度(OCR)を直接測定することによりミトコンドリア機能を測定する。試験化合物(オリゴマイシン、FCCP、及びロテノンとアンチマイシンAとの混合物、以下に記載する)を連続的に注入して、それぞれ、ATP産生、最大呼吸、及び非ミトコンドリア呼吸を測定する。次にこれらのパラメータ及び基礎呼吸を使用してプロトンリーク及び予備呼吸容量を計算する。各調節因子が電子伝達鎖の特異的成分を標的にする。オリゴマイシンはATPシンターゼ(複合体V)を阻害し、オリゴマイシン注射後のOCRの低下は、細胞性ATP産生に関連するミトコンドリア呼吸と相関する。カルボニルシアニド-4(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)は、プロトン勾配を破綻させてミトコンドリア膜電位を破壊する脱共役剤である。結果として、電子伝達鎖を通じた電子流が抑制されず、複合体IVによって酸素が最大限に消費される。ひいてはFCCPの刺激を受けたOCRを使用して、最大呼吸と基礎呼吸との差として定義される予備呼吸容量を計算することができる。予備呼吸容量(SRC)は、細胞がエネルギー要求の増加に応答する能力の尺度である。第3の注射は、複合体I阻害薬であるロテノンと、複合体III阻害薬であるアンチマイシンAとの混合物である。この組み合わせはミトコンドリア呼吸を遮断し、ミトコンドリア外部の過程によってドライブされる非ミトコンドリア呼吸の計算を可能にする。一部の実施形態において、比較は、例えば、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILに対するものである。
【0497】
一部の実施形態において、代謝アッセイは基礎呼吸である。一般に、第2の拡大培養TILは、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の基礎呼吸速度を有する。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の約60%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の約70%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の約80%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の約90%~約99%である。一部の実施形態において、基礎呼吸速度は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の約95%~約99%である。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度と統計的に有意な差のない基礎呼吸速度を有する。一部の実施形態において、比較は、例えば新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILに対するものである。
【0498】
一部の実施形態において、代謝アッセイは予備呼吸容量である。一般に、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の予備呼吸容量を有する。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約50%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約60%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約70%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約80%~約99%である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約90%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、予備呼吸容量は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約95%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILの基礎呼吸速度とは統計的に有意な差を呈しない予備呼吸容量を有する。
【0499】
一般に、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の予備呼吸容量を有する。一部の実施形態において、測定される代謝アッセイは解糖予備能である。一部の実施形態において、代謝アッセイは予備呼吸容量である。細胞(呼吸)代謝を測定するため、細胞をミトコンドリア呼吸及び解糖の阻害薬で処理して、以下の尺度からなるTILの代謝プロファイルを決定した:ベースライン酸化的リン酸化(OCRによる測定時)、予備呼吸容量、ベースライン解糖活性(ECARによる測定時)、及び解糖予備能。代謝プロファイルは、ミトコンドリアATP産生の遮断時に細胞が解糖を遂行する能力を決定することが可能な、Seahorseコンビネーションミトコンドリア/解糖ストレステストアッセイ(Agilent(登録商標)から市販されているキットを含む)を用いて実施した。一部の実施形態において、細胞がグルコース飢餓状態にあり、次にグルコースを注入し、続いてストレス作用剤を注入する。一部の実施形態において、ストレス作用剤は、オリゴマイシン、FCCP、ロテノン、アンチマイシンA及び/又は2-デオキシグルコース(2-DG)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態において、オリゴマイシンは10mMで加えられる。一部の実施形態において、FCCPは10mMで加えられる。一部の実施形態において、ロテノンは2.5mMで加えられる。一部の実施形態において、アンチマイシンAは2.5mMで加えられる。一部の実施形態において、2-デオキシグルコース(2-DG)は500mMで加えられる。一部の実施形態において、解糖能、解糖予備能、及び/又は非解糖酸性化が測定される。一般に、TILは、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の解糖予備能を有する。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約60%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約70%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約80%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約90%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約95%~約99%の基礎呼吸速度である。
【0500】
一部の実施形態において、代謝アッセイは基礎解糖である。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILに比べて少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍の基礎解糖の増加を有する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILと比べて約2倍~約10倍の基礎解糖の増加を有する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILと比べて約2倍~約8倍の基礎解糖の増加を有する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILと比べて約3倍~約7倍の基礎解糖の増加を有する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILと比べて約2倍~約4倍の基礎解糖の増加を有する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTIL及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILと比べて約2倍~約3倍の基礎解糖の増加を有する。
【0501】
一般に、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度及び/又は、例えば、図9に具体化されるもの以外の方法を含む、本明細書で提供するもの以外の他の方法を使用して調整したTILの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の解糖予備能を有する。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約50%~約99%である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約60%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約70%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約80%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILの約90%~約99%の基礎呼吸速度である。一部の実施形態において、解糖予備能は、新鮮に採取したTILの基礎呼吸速度の約95%~約99%である。
【0502】
グランザイムB産生:グランザイムBは、TILが標的細胞を死滅させる能力の別の尺度である。CD3、CD28、及びCD137/4-1BBに対する抗体を使用して上記に記載したとおり再刺激した培地上清について、そのグランザイムBレベルもまた、Human Granzyme B DuoSet ELISA Kit(R & D Systems、Minneapolis, MN)を製造者の指示に従い使用して評価した。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)はグランザイムB産生が増加する。一部の実施形態において、第2の拡大培養TIL又は第2の追加の拡大培養TIL(例えば、reREP TILと称されるTILを含め、図9のステップDに記載されるものなど)は細胞傷害活性が増加する。
【0503】
一部の実施形態において、テロメア長は、細胞生存率及び/又は細胞機能の尺度として使用することができる。一部の実施形態において、テロメアは、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILと比較して、驚くべきことに、本発明によって作製されたTILと同一の長さであった。テロメア長の測定:ゲノムDNA及び細胞学的調製物中のテロメア長を測定するために、様々な方法が使用されてきた。テロメア制限フラグメント(TRF)分析は、テロメア長を測定するための究極の判断基準である(de Lange et al., 1990)。ただし、TRFの主な制限は、大量のDNA(1.5^g)を必要とすることである。テロメア長の測定に広く使用されている2つの技術、即ち、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH;Agilent Technologies、Santa Clara、CA)及び定量的PCRを本発明で用いてもよい。一部の実施形態において、ステップAで初めに回収したTILと、例えば図9に提供されたステップDから拡大培養したTILとの間でテロメア長に変化はない。
【0504】
いくつかの実施形態において、上記TILは、グランザイムB、パーフォリン、及びグラニュライシンからなる群より選択される1種以上のマーカーを発現する。いくつかの実施形態において、TILはグランザイムBを発現する。いくつかの実施形態において、TILはパーフォリンを発現する。いくつかの実施形態において、TILはグラニュライシンを発現する。
【0505】
一実施形態において、サイトカイン遊離アッセイを使用して、再刺激TILのサイトカイン遊離を評価することもできる。いくつかの実施形態において、TILのインターフェロン-γ(IFN-γ)の分泌を評価することができる。いくつかの実施形態において、上記IFN-γの分泌はELISAアッセイによって測定される。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は、上記急速な第2の増殖ステップの後、例えば図2A~2C(特に、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9)に示すステップDの後に、ELISAアッセイによって測定される。いくつかの実施形態において、TILの健康状態はIFN-ガンマ(IFN-γ)の分泌によって測定される。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は活性なTILであることを示す。いくつかの実施形態において、IFN-γ産生の効力アッセイが使用される。IFN-γ産生は細胞傷害能の別の尺度である。IFN-γ産生は、CD3、CD28、及びCD137/4-1BBに対する抗体で刺激されたTILの、培地中のサイトカインIFN-γのレベルを測定することによって測定することができる。これらの刺激されたTIL由来の培地中のIFN-γのレベルは、IFN-γ遊離を測定することによって測定することができる。いくつかの実施形態において、例えば、図2A~2C(特に、例えば図2A)に示す2Aプロセス中のステップDと比較した、例えば、図2A~2C(特に、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9)に示すGen3プロセス中のステップDのTILにおけるIFN-γ産生の増加は、ステップDのTILの細胞傷害能の増加を示している。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は、1倍、2倍、3倍、4倍、または5倍以上増加する。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は1倍増加する。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は2倍増加する。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は3倍増加する。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は4倍増加する。いくつかの実施形態において、IFN-γの分泌は5倍増加する。いくつかの実施形態において、IFN-γは、Quantikine ELISAキットを使用して測定される。いくつかの実施形態において、エクスビボのTILにおけるIFN-γが測定される。いくつかの実施形態において、例えば、図2Bの方法を含む本発明の方法によって産生されたTILを含む、エクスビボのTILにおけるIFN-γが測定される。
【0506】
いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、または5倍以上のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも1倍多いIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも2倍多いIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも3倍多いIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも4倍多いIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも5倍多いIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、
【0507】
いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも100pg/ml~約1000pg/mL以上のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも200pg/ml、少なくとも250pg/ml、少なくとも300pg/ml、少なくとも350pg/ml、少なくとも400pg/ml、少なくとも450pg/ml、少なくとも500pg/ml、少なくとも550pg/ml、少なくとも600pg/ml、少なくとも650pg/ml、少なくとも700pg/ml、少なくとも750pg/ml、少なくとも800pg/ml、少なくとも850pg/ml、少なくとも900pg/ml、少なくとも950pg/ml、または少なくとも1000pg/mL以上のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも200pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも200pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも300pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも400pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも500pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも600pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも700pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも800pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも900pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも1000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも2000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも3000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも4000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも5000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも6000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも7000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも8000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも9000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも10,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも15,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも20,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも25,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも30,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも35,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも40,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも45,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも50,000pg/mlのIFN-γの分泌が可能なTILである。
【0508】
いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも100pg/ml/5e5細胞~約1000pg/ml/5e5細胞以上のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも200pg/ml/5e5細胞、少なくとも250pg/ml/5e5細胞、少なくとも300pg/ml/5e5細胞、少なくとも350pg/ml/5e5細胞、少なくとも400pg/ml/5e5細胞、少なくとも450pg/ml/5e5細胞、少なくとも500pg/ml/5e5細胞、少なくとも550pg/ml/5e5細胞、少なくとも600pg/ml/5e5細胞、少なくとも650pg/ml/5e5細胞、少なくとも700pg/ml/5e5細胞、少なくとも750pg/ml/5e5細胞、少なくとも800pg/ml/5e5細胞、少なくとも850pg/ml/5e5細胞、少なくとも900pg/ml/5e5細胞、少なくとも950pg/ml/5e5細胞、または少なくとも1000pg/ml/5e5細胞以上のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも200pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも200pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも300pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも400pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも500pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも600pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも700pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも800pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも900pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも1000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも2000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも3000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも4000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも5000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも6000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも7000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも8000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも9000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも10,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも15,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも20,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも25,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも30,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも35,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも40,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも45,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも50,000pg/ml/5e5細胞のIFN-γの分泌が可能なTILである。
【0509】
いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、IFN-γの分泌と比較して、高くとも1/1、1/2、1/3、1/4、または1/5以下の低さのTFN-α(すなわち、TFN-アルファ)の分泌レベルが可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、IFN-γの分泌と比較して、高くとも1/1以下の低さのTFN-αの分泌レベルが可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、IFN-γの分泌と比較して、高くとも1/2以下の低さのTFN-αの分泌レベルが可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、IFN-γの分泌と比較して、高くとも1/3以下の低さのTFN-αの分泌レベルが可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、INF-γの分泌と比較して、高くとも1/4以下の低さのTFN-αの分泌レベルが可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、IFN-γの分泌と比較して、高くとも1/5以下の低さのTNF-αの分泌レベルが可能なTILである。
【0510】
いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも200pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも500pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも1000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも2000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも3000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも4000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも5000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも6000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも7000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも8000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。いくつかの実施形態において、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILは、少なくとも9000pg/ml/5e5細胞~約10,000pg/ml/5e5細胞以上のTNF-α(すなわち、TNF-アルファ)の分泌が可能なTILである。
【0511】
いくつかの実施形態において、IFN-γ及びグランザイムBのレベルを測定して、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILの表現型特性を判定する。いくつかの実施形態において、IFN-γ及びTNF-αのレベルを測定して、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILの表現型特性を判定する。いくつかの実施形態において、グランザイムB及びTNF-αのレベルを測定して、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILの表現型特性を判定する。いくつかの実施形態において、IFN-γ、グランザイムB、及びTNF-αのレベルを測定して、例えば、図2A及び/または図2B及び/または図2C及び/または図9の方法を含む、本発明の増殖方法によって産生されるTILの表現型特性を判定する。
【0512】
一部の実施形態において、標的細胞を溶解するTILの細胞傷害能は、高感度の用量依存的方法でTILの細胞傷害能を測定するTILアッセイのための生物発光リダイレクト溶解アッセイ(効力アッセイ)に従って、生物発光細胞株P815(クローンG6)とのTILの共培養アッセイを使用して評価された。
【0513】
一部の実施形態において、本方法は、上記に記載したとおりの方法を用いた、TIL生存率を評価するためのアッセイを含む。一部の実施形態において、TILは、例えば図9に提供されるとおりのものを含め、上記で考察したとおり拡大培養される。一部の実施形態において、TILは、生存率の評価前に凍結保存される。一部の実施形態において、生存率評価は、第1の拡大培養、第2の拡大培養、及び追加の第2の拡大培養の実施前にTILを解凍することを含む。一部の実施形態において、本方法は、TIL集団の細胞増殖、細胞毒性、細胞死、及び/又はその他の生存率に関連する事項を評価するためのアッセイを提供する。生存率は、上記に記載されるTIL代謝アッセイのいずれか並びに当該技術分野において公知の細胞生存率の評価について公知の任意の方法によって測定することができる。一部の実施形態において、本方法は、図9に例示されるものを含め、本明細書に記載される方法を用いて拡大培養されたTILの細胞増殖、細胞毒性、細胞死、及び/又はその他の生存率に関連する事項を評価するためのアッセイを提供する。
【0514】
本発明はまた、TIL生存率を決定するためのアッセイ方法も提供する。一部の実施形態において、TILは、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILと比較して同等の生存率を有する。一部の実施形態において、TILは、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILと比較して生存率が増加した。本開示は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)をより大きいTIL集団に拡大培養することによりTILの生存率をアッセイする方法も提供し、この方法は、
(i)予め拡大培養された第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で前記第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団が第2のTIL集団より少なくとも100倍数が多く、及び第3のTIL集団を入手するために第2の拡大培養が少なくとも14日間実施され、第3のTIL集団が第2のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含み、及び第3の集団が生存率に関して更にアッセイされること
を含む。
【0515】
一部の実施形態において、本方法は、
(iv)第3のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、追加のOKT-3、及び追加のAPCを添加することにより追加の第2の拡大培養を実施することを更に含み、ここで追加の第2の拡大培養は、ステップ(iii)で入手されたよりも大きいTIL集団を入手するため少なくとも14日間実施され、より大きいTIL集団は第3のTIL集団と比べて増加したエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞サブ集団を含み、及び第3の集団は生存率に関して更にアッセイされる。
【0516】
一部の実施形態において、ステップ(i)の前に、細胞は凍結保存される。
【0517】
一部の実施形態において、細胞はステップ(i)の実施前に解凍される。
【0518】
一部の実施形態において、分析に十分なTILを入手するため、ステップ(iv)が1~4回繰り返される。
【0519】
一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約40日~約50日の期間内に実施される。
【0520】
一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約48日の期間内に実施される。
【0521】
一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約42日~約45日の期間内に実施される。
【0522】
一部の実施形態において、ステップ(i)~(iii)又は(iv)は約44日以内に実施される。
【0523】
一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(iv)からの細胞は、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する。
【0524】
一部の実施形態において、抗原提示細胞は末梢血単核球(PBMC)である。
【0525】
一部の実施形態において、PBMCはステップ(iii)において9~17日目のいずれかに細胞培養物に加えられる。
【0526】
一部の実施形態において、ステップ(iv)のより大きいTIL集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞、及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0527】
一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0528】
一部の実施形態において、APCは人工APC(aAPC)である。
【0529】
一部の実施形態において、本方法は、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0530】
一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0531】
一部の実施形態において、本方法は、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップを更に含む。
【0532】
一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0533】
一部の実施形態において、TILは生存率に関してアッセイされる。
【0534】
一部の実施形態において、TILは凍結保存後に生存率に関してアッセイされる。
【0535】
一部の実施形態において、TILは凍結保存後及びステップ(iv)の後に生存率に関してアッセイされる。
【0536】
T及びBリンパ球の多様な抗原受容体は、限られているが多数の遺伝子セグメントの体細胞組換えによって産生される。これらの遺伝子セグメントV(可変)、D(多様性)、J(結合)、及びC(定数)は、免疫グロブリン及びT細胞受容体(TCR)の結合特異性及び下流側での適用を決定する。本発明は、T細胞レパートリーの多様性を示し、増加させるTILを生成する方法を提供する(ポリクローナル性と称されることがある)。一部の実施形態において、T細胞レパートリーの多様性の増加は、新鮮に採取したTIL及び/又は例えば、図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILと比較して生存率が増加した。一部の実施形態において、本方法により得られたTILは、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、第1の拡大培養で得られたTILは、T細胞レパートリー多様性の増加を示す。一部の実施形態において、多様性の増加は、免疫グロブリンの多様性及び/又はT細胞受容体の多様性の増加である。一部の実施形態において、免疫グロブリンの多様性は、免疫グロブリン重鎖にある。一部の実施形態において、免疫グロブリンの多様性は、免疫グロブリン軽鎖にある。一部の実施形態において、多様性はT細胞受容体にある。一部の実施形態において、多様性は、アルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタ受容体からなる群から選択されるT細胞受容体の1つにある。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)アルファ及び/又はベータの発現が増加する。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)アルファの発現が増加する。一部の実施形態において、T細胞受容体(TCR)ベータの発現が増加する。一部の実施形態において、TCRab(即ち、TCRα/β)の発現が増加する。
【0537】
本開示によれば、TILの生存率をアッセイする方法及び/又は対象への投与における更なる使用。一部の実施形態において、腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltratitng lymphocyte)(TIL)をアッセイする方法は、
(i)第1のTIL集団を入手すること;
(ii)IL-2を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団を培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせること;及び
(iii)第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することにより第2の拡大培養を実施して第3のTIL集団を生じさせることであって、第3のTIL集団の数が第2のTIL集団より少なくとも50倍多いこと;
(iv)第3のTIL集団を回収し、洗浄し、及び凍結保存すること;
(v)凍結保存TILを極低温で貯蔵すること;
(vi)第3のTIL集団を解凍して解凍された第3のTIL集団を提供すること;及び
(vii)第3の集団の細胞培養培地にIL-2、OKT-3、及びAPCを添加することにより、解凍された第3のTIL集団の一部の追加の第2の拡大培養を少なくとも3日の追加の拡大培養期間(reREP期間と称されることがある)にわたって実施することであって、この第3の拡大培養を実施して第4のTIL集団を入手し、第4のTIL集団中のTIL数を第3のTIL集団中のTIL数と比較して比を求めること;
(viii)ステップ(vii)の比に基づき、解凍されたTIL集団が患者への投与に好適かどうかを決定すること;
(ix)ステップ(viii)において第4のTIL集団中のTIL数と第3のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、治療上有効な投薬量の解凍された第3のTIL集団を患者に投与すること
を含む。
【0538】
一部の実施形態において、追加の拡大培養期間(reREP期間と称されることがある)は、第4のTIL集団中のTIL数と第3のTIL集団中のTIL数との比が50:1より大きくなるまで実施される。
【0539】
一部の実施形態において、治療上有効な投薬量となるのに十分なTILの数は約2.3×1010~約13.7×1010個である。
【0540】
一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約40日~約50日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約42日~約48日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約42日~約45日の期間内に実施される。一部の実施形態において、ステップ(i)~(vii)は約44日以内に実施される。
【0541】
一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(vii)からの細胞は、CD4、CD8、及びTCRαβを新鮮採取細胞と同程度に発現する。一部の実施形態において細胞はTILである。
【0542】
一部の実施形態において、抗原提示細胞は末梢血単核球(PBMC)である。一部の実施形態において、PBMCはステップ(iii)において9~17日目のいずれかに細胞培養物に加えられる。
【0543】
一部の実施形態において、ステップ(iii)又は(vii)のより大きいTIL集団中のエフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞は、第3の細胞集団中のエフェクターT細胞、及び/又はセントラルメモリーT細胞と比べて、CD27の発現、CD28の発現、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を呈する。
【0544】
一部の実施形態において、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞はCD57発現の増加及びCD56発現の減少を呈する。
【0545】
一部の実施形態において、APCは人工APC(aAPC)である。
【0546】
一部の実施形態において、高親和性T細胞受容体をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップ。
【0547】
一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0548】
一部の実施形態において、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合した単鎖可変断片抗体を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含む発現ベクターで第1のTIL集団を形質導入するステップ。
【0549】
一部の実施形態において、形質導入ステップはステップ(i)の前に行われる。
【0550】
一部の実施形態において、TILはステップ(vii)の後に生存率に関してアッセイされる。
【0551】
本開示はまた、更なるTILのアッセイ方法も提供する。一部の実施形態において、本開示は、TILのアッセイ方法を提供し、この方法は、
(i)第1の凍結保存TIL集団の一部を入手すること;
(ii)第1の凍結保存TIL集団の一部を解凍すること;
(iii)IL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を含む細胞培養培地中で第1のTIL集団の一部を少なくとも3日の追加の拡大培養期間((reREP期間と称されることがある)にわたって培養することにより第1の拡大培養を実施して第2のTIL集団を生じさせることであって、第1のTIL集団からの一部を第2のTIL集団と比較してTIL数の比を求め、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比が5:1より大きいこと;
(iv)ステップ(iii)の比に基づき、第1のTIL集団が患者への治療的投与における使用に好適かどうかを決定すること;
(v)ステップ(iv)において第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団中のTIL数との比が5:1より大きいと決定されるとき、第1のTIL集団が治療的投与における使用に好適であると決定すること
を含む。
【0552】
一部の実施形態において、第2のTIL集団中のTIL数と第1のTIL集団の一部のTIL数との比は50:1より大きい。
【0553】
一部の実施形態において、本方法は、本明細書に提供される任意の実施形態に記載されるとおりの方法によりステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体の拡大培養を実施することを更に含む。
【0554】
一部の実施形態において、本方法は、ステップ(i)からの第1の凍結保存TIL集団全体を患者に投与することを更に含む。
【0555】
K.TIL製造用閉鎖系
本発明は、TIL培養プロセス中の閉鎖系の使用を提供する。かかる閉鎖系は、微生物汚染の防止及び/又は削減を可能にし、使用するフラスコの数が少なくなり、コスト削減が可能となる。一部の実施形態において、閉鎖系は2つの容器を使用する。
【0556】
かかる閉鎖系は、当該技術分野で公知であり、例えば、http://www.fda.gov/cber/guidelines.htm及びhttps://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/Blood/ucm076779.htm.に記載されている。
【0557】
FDAのウェブサイトで提供されているように、滅菌方法を備えた閉鎖系は公知であり、詳細に記載されている。https://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/Blood/ucm076779.htmを参照のこと。上記で参照され、以下の関連箇所にて提供されている。
【0558】
序論
滅菌接続装置(STCD:Sterile Connecting Device)は、互換性のある2つの配管の間に滅菌溶接を産生する。この手順により、様々な直径の容器及びチューブを滅菌接続できる。このガイダンスでは、これらの装置の使用に関する推奨管理基準と手順について記載する。このガイダンスは、滅菌接続装置の製造業者がマーケティングの承認又は認可を得るためにFDAに提出しなければならないデータ又は情報は取り扱っていない。また、表示方法において許可されていない目的で承認又は認可された滅菌接続装置を使用すると、米連邦食品医薬品化粧品法下で、装置が粗悪品及び不正表示品と見なされる可能性があることに注意することも重要である。
【0559】
1.FDA推奨事項
FDA認可のSTCDを日常的に使用することを提案する血液製剤の製造業者は、各血液製剤の標準操作手順(SOP:Standard Operating Procedure)マニュアルに、かかる使用に関する情報を組み込む必要がある。これらの記載には、記録管理、製品追跡、チューブ溶接品質管理、ソフトウェア及び使い捨て用品のロット番号(追加する要素の販売業者を含む)が含まれていなければならない。品質管理手順には、各溶接の完全性試験を含めなくてはならない。
【0560】
2.STCDの適用
ユーザは、装置の使用により、安全性と有効性が実証されていない規制製品の新製品を作成したり、構成を大幅に変更したりする可能性があることに注意する必要がある。ライセンスの対象となる「新製品」については、SOPの提出に加え、申請書又は申請書の補足資料をFDAに提出する必要がある。一般に、細胞組成を含むプーリング又は混合は、ライセンス適用又は適用の追加の提出及び承認を必要とする製品の変更を表す。かかる適用及び適用の追加には、「新製品」が提案された日付の期間全体にわたって意図された使用に対して安全且つ効果的であることを実証するデータ及び製造手順の説明を含める必要がある。
【0561】
以下の論評は、FDAが認可又は承認したSTCDのより一般的な使用に関するガイダンスとして提供されている。
【0562】
L.血液採血セットへの新しい針又は小さい針の追加
手順の開始前にSTCDを使用して針を追加すること(全血液採取、血小板フェレーシス、又は元血漿採取)は、機能的に閉鎖系を開放するものとは見なされない。手順中に針を追加する場合は、液体充填チューブの溶接が承認されているSTCDのみを使用する必要がある。溶接の完全性試験を満たす場合、STCDの使用は機能的に閉鎖系を開放するものとは見なされない。
【0563】
血小板、開放系で調製されたフェレーシスには24時間の期限が表示され、機能的閉鎖系で調製された血小板、フェレーシス製品には5日間の期限が表示される必要がある(Revised Guideline for Collection of Platelets, Pheresis, October 7, 1988を参照のこと)。
【0564】
追加されたチューブと針の販売業者と仕様は、血液センターのSOPと記録に記載する必要がある。針を追加するためのSTCDの使用は、認可された施設が事前承認を必要とする製造の大きな変化を表すものではない。
【0565】
M.成分の調製のためのSTCDの使用
STCDを使用して追加する成分調製バッグを取り付ける場合、移送パックの販売業者を特定し、血液ユニット番号とABO/Rhの適切な検証を識別する記録を適切に維持する必要がある。全ての血液及び血液成分に適切な表示をする必要がある(21 CFR 606.121)。
例:
・新鮮凍結血漿からクリオプレシピテート抗血友病因子を産生するため、4枚目のバッグを全血採取トリプルパックに追加する。
・赤血球ユニットへの添加剤溶液の接続。
・成分の製造での使用のためにFDAで認可されたインラインフィルターの追加。
・血小板フェレーシスハーネスへの第3の保管容器の追加。
・上記の用途では、手順を作成して記録を保持する必要があるが、手順を決めるために使用権者がFDAの承認を得る必要はない。
【0566】
1.血液製剤をプールするためのSTCDの使用
全血採取から調製された血小板をプールするためにSTCDを適切に使用することにより、一般的に使用されるスパイク及びポートの入り口からの潜在的な汚染を取り除くことができる。輸血の直前実施されるプーリングは、かかる適切な使用の例である。プールされた血小板は、プール後4時間以内に投与しなくてはならない(21 CFR 606.122(l)(2)を参照)。
【0567】
ただし、プーリング及びその後の保管は、無作為のドナーユニットの管理と比較してリスクを高める可能性があり、ある汚染されたユニットが投与前に他のユニットと共にプールされ、貯蔵される場合、投与される総細菌接種量は、追加量における複製の結果として増加する可能性がある。したがって、血小板を4時間を超えるプール及び貯蔵するためのSTCDの推奨使用は、かかるプーリングがリスク増加と関連しているか否かを十分に解決するデータによって裏付けられるべきである。
【0568】
かかる血小板のプーリングは、新製品の製造を構成する。
【0569】
血小板を含むプーリング又は混合は、保管期間が4時間を超える場合、新製品の製造と見なされ、ライセンス申請又は申請補足資料の提出と承認が必要となる。
【0570】
2.小児用の使用及び分割ユニット用のアリコートを調製するためのSTCDの使用
STCDを使用して調製された全血、赤血球、新鮮凍結血漿の小児用ユニット及び分割ユニットは、以下の条件を満たす場合、生物製剤承認申請(BLA:Biologics License Application)の補足資料が必要な新製品とは見なさない。
製造業者は、使用する各抗凝固剤の承認を含む、元の(即ち、分割されていない)製品について、承認された生物製剤承認又は追加ライセンスを有している必要がある。
表示は、配布前に確認及び承認のために提出する必要がある。表記は、FDA Form 2567、Transmittal of Labels and Circularsの所見欄に基づいて行う必要がある。
準備中の成分の保管が承認された最終産物容器を使用する必要がある。
【0571】
認可を受けて製造された血小板には、少なくとも5.5×(10)10個の血小板が含まれていなくてはならない(21 CFR 640.24(c))。免許で製造された血小板、フェレーシスには、少なくとも3.0×(10)11の血小板が含まれていなくてはならない(Revised Guideline for the Collection of Platelets, Pheresis, October 7, 1988を参照)。
【0572】
STCDを使用して全血採取及び自動化されたヘマフェレーシス手順によって調製された血漿及び血小板から分割された製品を調製する場合に従うべき手順には、以下の説明を含める必要がある。
・FDAが認可したSTCDでアフェレーシスハーネス又は収集容器を改良する方法。
・スプリット血漿又は全血製剤の最小量。
・スプリット血小板フェレーシス製剤の容積及び血小板濃度。
・製剤の保管時間。製剤は承認された容器に入れ、かかる容器の表示に記載されている保管時間に合わせる必要がある。
・血液センターの記録において分割された製品に表示を付けて追跡するために使用する方法。
【0573】
注記:アリコートの表示手順は、必要に応じて、全ての成分の追跡及び不良品回収を許可するのに十分な手順記帳に明確に記載する必要がある。
【0574】
3.自動化された血漿交換手順中追加の生理食塩水ライン又は抗凝固剤ラインの接続ためのSTCDの使用
手順を作成して機器製造業者の使用指示に従って記録を保持する必要があるが、手順を決めるために使用権者がFDAの承認を得る必要はない。
【0575】
4.処理液の取り付けのためのSTCDの使用
STCDを使用して、洗浄液又は凍結赤血球製剤に処理液の入った容器を取り付ける場合、得られた産物の定められた期日期間は24時間であるが、より長い期間をサポートするCBERへの承認申請書又は申請補足資料の書式で提供される場合に限る(21 CFR 610.53(c))。免除又は変更は、CBERセンター長から書面で承認されなければならない(21 CFR 610.53(d))。
【0576】
5.FDA認可済み白血球除去フィルターを追加するためのSTCDの使用
一部の白血球除去フィルターは、全血採取系に一体的に取り付けられていない。保管前ろ過にSTCDを使用する手順は、フィルター製造業者の使用指示に従わなくてはならない。
【0577】
交付前に白血球が減少した場合、製造上の重要な変化と見なされる。したがって、STCDを使用して調製された新しい白血球削減製品の場合、製造業者は生物製剤承認申請(21 CFR 601.2)又は事前承認申請補足資料をFDA(21 CFR 601.12)に提出する必要がある。
【0578】
血液製剤容器から試験用試料を取り出すためのSTCDの使用(例えば、血小板又は血小板の容器から血小板の試料を取り出すためのSTCDの使用、交差適合用のフェレーシスなど)。
【0579】
試料回収後の産物の容積及び/又は細胞数が元の表示又は情報の回状に記載されているものと異なる場合、製剤の表示は新しい容積及び/又は細胞数を反映すべく修正しなくてはならない。例えば、血小板1単位中の血小板数を5.5×(10)10未満に減少させる試料は取り出してはならない(21 CFR 640.24 (c))。
【0580】
6.FDAガイダンスからの追加情報
FDAガイダンスでは、一般的なガイダンスに加え、STCD使用を申し入れるFDAへの申請書及び申請補足資料の提出のための仕様に関する具体的な情報及び例を示す。STCDの適切な使用に関してさらなる疑問が生じた場合は、FDA生物製剤評価センター血液研究・審査課まで質問すること。
【0581】
一部の実施形態において、閉鎖系は、腫瘍断片が得られた時点からTILが患者への投与又は凍結保存の準備が整うまで1つの容器を使用する。一部の実施形態において、2つの容器が使用される場合、第1の容器は閉鎖型Gコンテナであり、TIL集団は遠心され、第1の閉鎖型Gコンテナを開かずに輸注バッグに移される。一部の実施形態において、2つの容器が使用される場合、輸注バッグは、HypoThermosol含有輸注バッグである。閉鎖系又は閉鎖TIL細胞培養系は、腫瘍試料及び/又は腫瘍断片が追加されると、系が外側からしっかりと密閉され、細菌、真菌、及び/又はその他の微生物汚染がない閉鎖環境を形成する。
【0582】
一部の実施形態において、微生物汚染の減少は約5%~約100%である。一部の実施形態において、微生物汚染の減少は約5%~約95%である。一部の実施形態において、微生物汚染の減少は約5%~約90%である。一部の実施形態において、微生物汚染の減少は約10%~約90%である。一部の実施形態において、微生物汚染の減少は約15%~約85%である。一部の実施形態において、微生物汚染の減少は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約99%、又は約100%である。
【0583】
閉鎖系は、微生物汚染の不在下及び/又は大幅に減少させTILを成長させる。
【0584】
更に、TIL細胞培養環境のpH、二酸化炭素分圧及び酸素分圧は、細胞が培養されるにつれてそれぞれ変化する。したがって、たとえ細胞培養に適した培地が流通していても、TIL成長に最適な環境として閉鎖環境を常に維持する必要がある。このため、閉鎖環境の培養液内のpH、二酸化炭素分圧及び酸素分圧の物理的要因は、センサーによって監視され、そのセンサーの信号は、培養環境の入口に設置されたガス交換器の制御に使用され、閉鎖環境のガス分圧は、細胞培養環境を最適化するため、培養液の変化に従ってリアルタイムで調整されることが望ましい。一部の実施形態において、本発明は、閉鎖環境への入口に、閉鎖環境のpH、二酸化炭素分圧及び酸素分圧を測定し、監視装置からの信号に基づいてガス濃度を自動的に調整することにより、細胞培養環境を最適化する監視装置を備えたガス交換器を一体化した閉鎖細胞培養系を提供する。
【0585】
一部の実施形態において、閉鎖環境内の圧力は連続的又は断続的に制御される。つまり、閉鎖環境内の圧力は、例えば、圧力維持装置によって変化させることができ、即ち、空間が、陽圧状態のTILの成長に適していることを保証するか、又は陰圧状態の流体の滲出を促進し、ひいては、細胞成長を促進することを確実にする。更に、断続的に負圧を加えることにより、閉鎖環境の容積の一時的な収縮によって閉鎖環境内の循環液を均一且つ効率的に交換することが可能である。
【0586】
一部の実施形態において、TILの成長に最適な培養成分を置換又は追加することができ、IL-2及び/又はOKT3などの要因、並びに組み合わせを追加してもよい。
【0587】
N.細胞培養
ある実施形態において、TILの拡大培養方法は、上記で考察され図9で例示されているものを含み、約5,000mL~約25,000mLの細胞培地、約5,000mL~約10,000mLの細胞培地、又は約5,800mL~約8,700mLの細胞培地を使用することを含み得る。一部の実施形態において、培地は、例えば、実施例21に記載されるように、無血清培地である。一部の実施形態において、第1の拡大培養の培地は無血清である。一部の実施形態において、第2の拡大培養の培地は無血清である。一部の実施形態において、第1及び第2の拡大培養の培地は双方とも無血清である。ある実施形態において、TIL数の拡大には1種類以下の細胞培養培地が使用される。任意の好適な細胞培養培地、例えば、AIM-V細胞培地(L-グルタミン、50μM硫酸ストレプトマイシン、及び10μM硫酸ゲンタマイシン)細胞培養培地(Invitrogen、Carlsbad CA)を使用し得る。この点に関して、本発明の方法では有利には、TIL数の拡大に必要な培地の量及び培地の種類の数が減少する。ある実施形態において、TIL数の拡大は、3日又は4日に1回以下の頻度で細胞をフィードすることを含み得る。ガス透過性容器内で細胞の数を拡大すると、細胞の拡大培養に必要なフィーディング頻度が減少することにより細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になる。
【0588】
ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はろ過されていない。ろ過されていない細胞培地を使用すると、細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になり得る。ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はβ-メルカプトエタノール(BME)を含まない。
【0589】
ある実施形態において、哺乳類から腫瘍組織試料を入手すること;細胞培地が中に入った第1のガス透過性容器内で腫瘍組織試料を培養すること;腫瘍組織試料からTILを入手すること;細胞培地を含有する第2のガス透過性容器内でTIL数を約7~14日間、例えば約11日間拡大することを含む本方法の所要期間。一部の実施形態において、プレREPは約7~14日間、例えば、約11日間である。一部の実施形態において、REPは約7~14日間、例えば、約11日間である。
【0590】
ある実施形態において、TILはガス透過性容器内で拡大培養される。ガス透過性容器は、米国特許出願公開第2005/0106717 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものを含め、当該技術分野において公知の方法、組成物、及び装置を用いたPBMCを使用したTILの拡大培養に用いられている。ある実施形態において、TILはガス透過性バッグ内で拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W25(GE Healthcare)など、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W5(GE Healthcare)としても知られるWAVE Bioreactor Systemなど、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、細胞拡大培養システムは、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、及び約10Lからなる群から選択される容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。
【0591】
ある実施形態において、TILはG-Rexフラスコ(Wilson Wolf Manufacturingから市販されている)において拡大培養することができる。かかる実施形態は、細胞集団を約5×10細胞/cmから10×10~30×10細胞/cmへと拡大培養することを可能にする。一実施形態では、これはフィーディングを伴わない。ある実施形態において、これは、G-Rexフラスコ内に約10cmの高さの培地がある限りフィーディングなしである。ある実施形態において、これにフィーディングはないが、1つ以上のサイトカインが加えられる。ある実施形態において、サイトカインは、サイトカインを培地と混合する必要は一切なしにボーラスとして加えることができる。かかる容器、装置、及び方法は当該技術分野において公知で、TILの拡大培養に用いられており、米国特許出願公開第2014/0377739A1号、国際公開第2014/210036 A1号、米国特許出願公開第2013/0115617 A1号、国際公開第2013/188427 A1号、米国特許出願公開第2011/0136228 A1号、米国特許第8,809,050 B2号、国際公開第2011/072088 A2号、米国特許出願公開第2016/0208216 A1号、米国特許出願公開第2012/0244133 A1号、国際公開第2012/129201 A1号、米国特許出願公開第2013/0102075 A1号、米国特許第8,956,860 B2号、国際公開第2013/173835 A1号、米国特許出願公開第2015/0175966 A1号(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものが含まれる。かかるプロセスはまた、Jin et al., J.Immunotherapy, 2012, 35:283-292にも記載されている。
【0592】
O.任意選択のTIL遺伝子改変
一部の実施形態において、TILは任意選択で、限定はされないが、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えば、MAGE-1、HER2、若しくはNY-ESO-1などの腫瘍関連抗原を標的とするTCR、又は腫瘍関連細胞表面分子(例えばメソテリン)若しくは系統限定的細胞表面分子(例えばCD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含め、追加の機能性を含むように遺伝子改変される。
【0593】
P.任意選択のTIL凍結保存
バルクTIL集団又はTILの拡大培養集団のいずれかを、必要に応じて凍結保存できる。一部の実施形態において、治療用TIL集団で凍結保存が行われる。一部の実施形態において、凍結保存は、第2の拡大培養後に回収したTILで生じる。一部の実施形態において、図9の例示的ステップFのTILで凍結保存が行われる。一部の実施形態において、TILは輸注バッグ中に凍結保存される。一部の実施形態において、TILは、輸注バッグでの置換前に凍結保存される。一部の実施形態において、TILは、凍結保存されるが輸注バッグ中には置かれない。一部の実施形態において、凍結保存は凍結保存培地を使用して実施される。一部の実施形態において、凍結保存培地は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する。これは、概して、凍結溶液、例えば85%補体不活性化AB血清及び15%ジメチルスルホキシド(DMSO)の中にTIL集団を入れることにより達成される。この溶液中の細胞を極低温バイアルに入れ、-80℃で24時間貯蔵し、任意選択で凍結保存のため気体窒素フリーザーに移す。Sadeghi, et al., Acta Oncologica 2013, 52, 978-986を参照のこと。
【0594】
適切な場合、細胞をフリーザーから取り出し、37℃の水浴中で溶液の約5分の4が解凍されるまで解凍する。細胞は概して完全培地中に再懸濁され、任意選択で1回以上洗浄される。一部の実施形態では、当該技術分野において公知のとおり解凍TILをカウントし、生存率に関して評価することができる。
【0595】
好ましい実施態様において、TILの集団はCS10凍結保存培地(CryoStor 10、BioLife Solutions)を用いて凍結保存される。好ましい実施態様において、TILの集団は凍結保存培地(ジメチルスルホキシド(DMSO)を含有する)を用いて凍結保存される。好ましい実施形態において、TILの集団は、1:1(容積:容積)の比のCS10及び細胞培養培地を用いて凍結保存される。好ましい実施形態において、TILの集団は、約1:1(容積:容積)の比のCS10及び細胞培養培地を使用し、更に追加のIL-2を含んで凍結保存される。
【0596】
上記でステップA~Eにおいて考察したとおり、TIL拡大培養プロセス全体を通じて数々の時点で凍結保存を行うことができる。一部の実施形態において、ステップBに係る第1の拡大培養後のバルクTIL集団又はステップDに係る1回以上の第2の拡大培養後の拡大培養TIL集団が凍結保存されてもよい。凍結保存は、概して、凍結溶液、例えば85%補体不活性化AB血清及び15%ジメチルスルホキシド(DMSO)の中にTIL集団を置くことにより達成し得る。この溶液中の細胞を極低温バイアルに入れ、-80℃で24時間貯蔵し、任意選択で凍結保存のため気体窒素フリーザーに移す。Sadeghi, et al., Acta Oncologica 2013, 52, 978-986を参照のこと。
【0597】
適切な場合、細胞をフリーザーから取り出し、37℃の水浴中で溶液の約5分の4が解凍されるまで解凍する。細胞は概して完全培地中に再懸濁され、任意選択で1回以上洗浄される。一部の実施形態では、当該技術分野において公知のとおり解凍TILをカウントし、生存率に関して評価することができる。
【0598】
ある場合には、ステップBのTIL集団は、以下で考察するプロトコルを用いて直ちに凍結保存することができる。或いは、バルクTIL集団にステップC及びステップDを施し、ステップD後に凍結保存することができる。同様に、遺伝子修飾TILを治療に使用する場合、ステップB又はステップDのTIL集団は、適切な処置のため遺伝子修飾の対象となり得る。
【0599】
Q.任意選択の細胞生存率分析
任意選択で、第1の拡大培養(初めのバルク拡大培養と称されることがある)の後に、当該技術分野において公知の標準アッセイを用いて細胞生存率アッセイを実施することができる。例えば、バルクTILの試料に対してトリパンブルー色素排除アッセイを行うことができ、これは死細胞を選択的に標識して生存率の評価を可能にするものである。生存率の試験に用いられる他のアッセイとしては、限定はされないが、アラマーブルーアッセイ;及びMTTアッセイを挙げることができる。
【0600】
1.細胞数、生存率、フローサイトメトリー
一部の実施形態において、細胞数及び/又は生存率が測定される。限定はされないが、CD3、CD4、CD8、及びCD56などのマーカー、並びに本明細書に開示又は記載される任意の他のものの発現を抗体によるフローサイトメトリー、例えば限定はされないが、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)を使用してBD Bio-sciences(BD Biosciences、San Jose, CA)から市販されているものによって測定することができる。細胞は、ディスポーザブルc-chip血球計算盤(VWR、Batavia, IL)を使用して手動でカウントすることができ、及び生存率は、限定はされないがトリパンブルー染色を含め、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて評価することができる。
【0601】
ある場合には、バルクTIL集団は、以下で考察するプロトコルを用いて直ちに凍結保存することができる。或いは、バルクTIL集団は、以下で考察するとおり、REPに供し、次に凍結保存してもよい。同様に、療法において遺伝子修飾TILが使用されることになる場合、バルク又はREP TIL集団を好適な処置のための遺伝子修飾に供してもよい。
【0602】
2.細胞培養
ある実施形態において、TILの拡大培養方法は、約5,000mL~約25,000mLの細胞培地、約5,000mL~約10,000mLの細胞培地、又は約5,800mL~約8,700mLの細胞培地を使用することを含み得る。ある実施形態において、TIL数の拡大には1種類以下の細胞培養培地が使用される。任意の好適な細胞培養培地、例えば、AIM-V細胞培地(L-グルタミン、50μM硫酸ストレプトマイシン、及び10μM硫酸ゲンタマイシン)細胞培養培地(Invitrogen、Carlsbad CA)を使用し得る。この点に関して、本発明の方法では有利には、TIL数の拡大に必要な培地の量及び培地の種類の数が減少する。ある実施形態において、TIL数の拡大は、3日又は4日に1回以下の頻度で細胞をフィードすることを含み得る。ガス透過性容器内で細胞の数を拡大すると、細胞の拡大培養に必要なフィーディング頻度が減少することにより細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になる。
【0603】
ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はろ過されていない。ろ過されていない細胞培地を使用すると、細胞の数の拡大に必要な手順が簡便になり得る。ある実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地はβ-メルカプトエタノール(BME)を含まない。
【0604】
ある実施形態において、哺乳類から腫瘍組織試料を入手すること;細胞培地が中に入った第1のガス透過性容器内で腫瘍組織試料を培養すること;腫瘍組織試料からTILを入手すること;aAPCを使用して細胞培地が中に入った第2のガス透過性容器内でTIL数を約14~約42日間、例えば約28日間拡大することを含む本方法の所要期間。
【0605】
ある実施形態において、TILはガス透過性容器内で拡大培養される。ガス透過性容器は、米国特許出願公開第2005/0106717 A1号(この開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものを含め、当該技術分野において公知の方法、組成物、及び装置を用いたPBMCを使用したTILの拡大培養に用いられている。ある実施形態において、TILはガス透過性バッグ内で拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W25(GE Healthcare)など、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W5(GE Healthcare)としても知られるWAVE Bioreactor Systemなど、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。ある実施形態において、細胞拡大培養システムは、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、及び約10Lからなる群から選択される容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。
【0606】
ある実施形態において、TILはG-Rexフラスコ(Wilson Wolf Manufacturingから市販されている)において拡大培養することができる。かかる実施形態は、細胞集団を約5×10細胞/cmから10×10~30×10細胞/cmへと拡大培養することを可能にする。一実施形態では、これはフィーディングを伴わない。ある実施形態において、これは、G-Rexフラスコ内に約10cmの高さの培地がある限りフィーディングなしである。ある実施形態において、これにフィーディングはないが、1つ以上のサイトカインが加えられる。ある実施形態において、サイトカインは、サイトカインを培地と混合する必要は一切なしにボーラスとして加えることができる。かかる容器、装置、及び方法は当該技術分野において公知で、TILの拡大培養に用いられており、米国特許出願公開第2014/0377739A1号、国際公開第2014/210036 A1号、米国特許出願公開第2013/0115617 A1号、国際公開第2013/188427 A1号、米国特許出願公開第2011/0136228 A1号、米国特許第8,809,050 B2号、国際公開第2011/072088 A2号、米国特許出願公開第2016/0208216 A1号、米国特許出願公開第2012/0244133 A1号、国際公開第2012/129201 A1号、米国特許出願公開第2013/0102075 A1号、米国特許第8,956,860 B2号、国際公開第2013/173835 A1号、米国特許出願公開第2015/0175966 A1号(これらの開示は参照により本明細書に援用される)に記載されるものが含まれる。かかるプロセスはまた、Jin et al., J.Immunotherapy, 2012, 35:283-292にも記載されている。任意選択のTIL遺伝子改変
【0607】
一部の実施形態において、TILは任意選択で、限定はされないが、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えば、MAGE-1、HER2、若しくはNY-ESO-1などの腫瘍関連抗原を標的とするTCR、又は腫瘍関連細胞表面分子(例えばメソテリン)若しくは系統限定的細胞表面分子(例えばCD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含め、追加の機能性を含むように遺伝子改変される。
【0608】
IV.患者の処置方法
処置方法は、最初のTIL収集及びTILの培養から始まる。かかる方法については、両方ともに当該技術分野において、例えばJin et al., J.Immunotherapy, 2012, 35(3):283-292(全体として参照により本明細書に援用される)により記載されている。処置方法の実施形態は、実施例を含む以下のセクション全体で説明される。
【0609】
本明細書に記載の方法、例えば上記のステップA~Fに記載の方法を含む、又は上記のステップA~Fに記載の方法(又、図2A及び/または図9に示すものなど)に従って作製された拡大培養TILは、がん患者の処置における特定の使用(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Goff, et al., J. Clinical Oncology, 2016, 34(20):2389-239、並びに補足内容)が見出される。一部の実施形態では、TILは、先述のとおり転移性黒色腫の寄託切除物から成長させた(Dudley, et al., J Immunother., 2003, 26:332-342を参照のこと;全体として参照により本明細書に援用される)。新鮮腫瘍は無菌条件下で剥離し得る。正式な病理解析のため、代表試料を収集し得る。2mm~3mmの単一の断片が使用され得る。一部の実施形態において、患者1人当たり5、10、15、20、25又は30の試料を入手する。一部の実施形態において、患者1人当たり20、25、又は30の試料を入手する。一部の実施形態において、患者1人当たり20、22、24、26、又は28の試料を入手する。一部の実施形態において、患者1人当たり24の試料を入手する。試料を24ウェルプレートの個々のウェルに置き、高用量IL-2(6,000IU/mL)を含む成長培地中に維持し、腫瘍の破壊及び/又はTILの増殖に関してモニタし得る。処理後に生細胞が残っている任意の腫瘍を酵素消化して単一細胞懸濁液にし、本明細書に記載されるとおり凍結保存し得る。
【0610】
一部の実施形態において、表現型分析(CD3、CD4、CD8、及びCD56)のため拡大培養TILをサンプリングし、利用可能な場合には自己腫瘍に対して試験し得る。TILは、一晩の共培養によりインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベル>200pg/mL及びバックグラウンドの2倍となった場合に応答性であると見なすことができる。(Goff, et al., J Immunother., 2010, 33:840-847;全体として参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態において、自己応答性又は十分な成長パターンのエビデンスを有する培養物が、迅速拡大培養(REP)と称されることもある第2の拡大培養を含め、第2の拡大培養(例えば、図2A及び/または図9のステップDにおいて提供されるとおりの第2の拡大培養)に選択され得る。一部の実施形態において、高い自己応答性(例えば、第2の拡大培養中の高い増殖)を有する拡大培養TILが、追加の第2の拡大培養に選択される。一部の実施形態において、自己応答性(例えば、図2A及び/または図9のステップDに提供されるとおりの第2の拡大培養中の高い増殖)を有するTILが、図2A及び/または図9のステップDに係る追加の第2の拡大培養に選択される。
【0611】
一部の実施形態において、患者はACT(養子細胞移入)に直接移されず、例えば、一部の実施形態において、腫瘍採取後及び/又は第1の拡大培養後、細胞はすぐには利用されない。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、患者への投与の2日前に解凍することができる。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、患者への投与の1日前に解凍することができる。一部の実施形態において、TILは凍結保存し、患者への投与の直前に解凍することができる。
【0612】
輸注バッグTILの凍結保存試料の細胞表現型は、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CCR7、及びCD45RA(BD BioSciences)に関するフローサイトメトリー(例えば、FlowJo)、並びに本明細書に記載される方法のいずれかによって分析することができる。血清サイトカインは標準的な酵素結合免疫吸着アッセイ法を用いることにより測定した。血清IFN-gの上昇は、>100pg/mL、且つ血清IFN-γのベースラインレベルよりも少なくとも4倍、または少なくとも3倍、または少なくとも2倍、または少なくとも1倍高いことと定義することができる。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>1000pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>200pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>250pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>300pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>350pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>400pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>450pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>500pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>550pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>600pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>650pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>700pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>750pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>800pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>850pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>900pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>950pg/mLと定義される。いくつかの実施形態において、血清IFN-γの上昇とは>1000pg/mLと定義される。
【0613】
一部の実施形態において、本明細書で提供される方法、例えば図2A及び/または図9に例示される方法により作製されるTILは、TILの臨床有効性の驚くべき改善を提供する。一部の実施形態において、本明細書で提供される方法、例えば図2A及び/または図9に例示される方法により作製されるTILは、例えば図2A及び/または図9に例示される方法以外の方法を含む、本明細書に記載されるもの以外の方法により作製されるTILに比べて臨床有効性が増加する。一部の実施形態において、本明細書に記載されているもの以外の方法は、プロセス1C及び/又はジェネレーション1(Gen1)と称される方法を含む。一部の実施形態において、有効性の増加は、DCR、ORR、及び/又は他の臨床応答によって測定される。一部の実施形態において、本明細書で提供される方法、例えば図2A及び/または図9に例示される方法により作製されるTILは、例えば図2A及び/または図9に例示される方法以外の、例えばGen1プロセスを含む、本明細書に記載されるもの以外の方法により作製されるTILと同様の応答時間及び安全プロファイルを示す。
【0614】
一部の実施形態において、IFN-ガンマ(IFN-γ)は、処置有効性及び/又は臨床有効性の増加の指標である。一部の実施形態において、TILで処置された被験者の血液中のIFN-γは、活性TILの指標である。一部の実施形態において、IFN-γ産生の効力アッセイが用いられる。IFN-γ産生は、細胞傷害能のもう1つの尺度である。IFN-γ産生は、本発明の方法、例えば、図2A及び/または図9に例示されるものを含む方法により調製されたTILで処置された対象の血液、血清、又はTILエキソビボ中のサイトカインIFN-γのレベルを決定することにより測定できる。一部の実施形態において、IFN-γの増加は、本発明の方法により作製されたTILで処置された患者における処置有効性の指標である。一部の実施形態において、IFN-γは、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、1倍、2倍、3倍、4倍、又は5倍以上増加する。一部の実施形態において、IFN-γ分泌は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供される以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、1倍増加する。一部の実施形態において、IFN-γ分泌は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して2倍増加する。一部の実施形態において、IFN-γ分泌は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して3倍増加する。一部の実施形態において、IFN-γ分泌は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して4倍増加する。一部の実施形態において、IFN-γ分泌は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して5倍増加する。一部の実施形態において、IFN-γはQuantikine ELISA kitを使用して測定される。一部の実施形態において、IFN-γは、例えば図2A及び/または図9に記載されるものを含む、本発明の方法により調製されたTILで処置された対象のTILエキソビボで測定される。一部の実施形態において、IFN-γは、例えば図2A及び/または図9に記載されるものを含む、本発明の方法により調製されたTILで処置された対象の血液で測定される。一部の実施形態において、IFN-γは、例えば図2A及び/または図9に記載されるものを含む、本発明の方法により調製されたTILで処置された対象のTIL血清で測定される。
【0615】
一部の実施形態において、例えば図2A及び/または図9に記載されるものを含む本発明の方法により調製されたTILは、例えば図2A及び/または図9に例示されない、例えばプロセス1Cメソッドと称されるものを含む他の方法により作製されるTILと比較してポリクローナル性の増加を示す。一部の実施形態において、有意に改善されたポリクローナル性及び/又は増加したポリクローナル性は、処置有効性及び/又は臨床有効性の増加の指標である。一部の実施形態において、ポリクローナル性とは、T細胞レパートリーの多様性を指す。一部の実施形態において、ポリクローナル性の増加は、本発明の方法に作製されたTILを投与された患者に関する処置有効性の指標である。一部の実施形態において、ポリクローナル性は、例えば、図2A及び/または図9に具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILと比較して1倍、2倍、10倍、100倍、500倍、又は1000倍増加する。一部の実施形態において、ポリクローナル性は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、1倍増加する。一部の実施形態において、ポリクローナル性は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、2倍増加する。一部の実施形態において、ポリクローナル性は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、10倍増加する。一部の実施形態において、ポリクローナル性は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、100倍増加する。一部の実施形態において、ポリクローナル性は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、500倍増加する。一部の実施形態において、ポリクローナル性は、未処置患者と比較して、及び/又は、例えば、図2A及び/または図9で具体化された方法以外の方法を含む、本明細書で提供する以外の方法を使用して調製されたTILで処置された患者と比較して、1000倍増加する。
【0616】
有効性の尺度には、当該技術分野において公知であり、本明細書に記載されるように、疾患制御率(DCR:Disease Control Rate)並びに全奏効率(ORR:Overall Response Rate)が含まれ得る。
【0617】
A.がんの処置方法
本明細書に記載の組成物及び方法は、疾患の処置方法で使用することができる。一実施形態において、それらは、成人の患者または小児の患者のがんなどの、過剰成長性障害の処置に使用するためのものである。それらはまた、本明細書及び以下の段落に記載されているとおりその他の障害の処置に使用されてもよい。
【0618】
一部の実施形態において、過剰成長性障害はがんである。一部の実施形態において、過剰成長性障害は固形腫瘍癌である。一部の実施形態において、固形腫瘍癌は、肛門癌、膀胱癌、乳癌(トリプルネガティブ乳癌を含む)、骨癌、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって生じる癌、中枢神経系関連癌(上衣腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、松果体芽腫、及び原始神経外胚葉性腫瘍を含む)、子宮頸癌(扁平上皮子宮頸癌、腺扁平上皮子宮頸癌、及び子宮頸部腺癌を含む)、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、食道胃接合部癌、胃癌、消化器癌、消化管間質腫瘍、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、下咽頭癌、喉頭癌、鼻咽頭癌、中咽頭癌、及び咽頭癌を含む)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(非小細胞肺癌(NSCLC)及び小細胞肺癌を含む)、黒色腫(ブドウ膜黒色腫、脈絡膜黒色腫、毛様体黒色腫、または虹彩黒色腫を含む)、中皮腫(悪性肋膜中皮腫を含む)、卵巣癌、膵臓癌(膵性管腺癌を含む)、陰茎癌、直腸癌、腎癌、腎細胞癌、肉腫(ユーイング肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、及びその他の骨及び軟部組織肉腫を含む)、甲状腺癌(退形成甲状腺癌を含む)、子宮癌、ならびに膣癌からなる群より選択される。
【0619】
いくつかの実施形態において、上記過剰増殖性障害は血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態において、上記血液悪性腫瘍は、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、ろ胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、及び多発性骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記がんが血液悪性腫瘍である上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上のCCRを発現するように改変されたTIL、MIL、またはPBLを使用するがん患者の治療方法であって、上記がんが血液悪性腫瘍である上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上のCCRを発現するように改変されたMILまたはPBLを使用するがん患者の治療方法であって、上記がんが血液悪性腫瘍である上記治療方法を含む。
【0620】
一実施形態において、上記がんは、再発した、または化学療法、放射線療法、もしくは免疫療法を含む少なくとも1種の以前の療法による治療に対して難治性である、固形腫瘍癌及び血液悪性腫瘍を含む前述のがんの1種である。一実施形態において、上記がんは、再発した、または化学療法、放射線療法、及び/または免疫療法を含む少なくとも2種の以前の療法による治療に対して難治性である前述のがんの1種である。一実施形態において、上記がんは、再発した、または化学療法、放射線療法、及び/または免疫療法を含む少なくとも3種の以前の療法による治療に対して難治性である前述のがんの1種である。
【0621】
いくつかの実施形態において、上記がんは、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)癌またはミスマッチ修復欠損(dMMR)癌である。MSI-H癌及びdMMR癌ならびにそれらに対する検査は、Kawakami, et al., Curr. Treat. Options Oncol. 2015, 16, 30(上記文献の開示は本明細書に援用される)に報告されている。
【0622】
いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上のCCRを発現するように改変されたTIL、MIL、またはPBLを使用するがん患者の治療方法であって、上記患者がヒトである上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上のCCRを発現するように改変されたTIL、MIL、またはPBLを使用するがん患者の治療方法であって、上記患者が非ヒトである上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上のCCRを発現するように改変されたTIL、MIL、またはPBLを使用するがん患者の治療方法であって、上記患者が伴侶動物である上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、1種以上のCCRを発現するように改変されたTIL、MIL、またはPBLを使用するがん患者の治療方法であって、上記患者が霊長類の、ウマ科の、イヌ科の、またはネコ科の動物である上記治療方法を含む。
【0623】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記がんがBRAF阻害剤及び/またはMEK阻害剤による治療に対して難治性である上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記がんが、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、ソラフェニブ、及び薬学的に許容されるそれらの塩または溶媒和物からなる群より選択されるBRAF阻害剤による治療に対して難治性である上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記がんが、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、ピマセルチニブ、レファメチニブ、及び薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群より選択されるMEK阻害剤による治療に対して難治性である上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記がんが、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ、ソラフェニブ、及び薬学的に許容されるそれらの塩または溶媒和物からなる群より選択されるBRAF阻害剤、ならびにトラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、ピマセルチニブ、レファメチニブ、及び薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群より選択されるMEK阻害剤による治療に対して難治性である上記治療方法を含む。
【0624】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記がんが小児癌である上記治療方法を含む。
【0625】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記がんがブドウ膜黒色腫である上記治療方法を含む。
【0626】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記ブドウ膜黒色腫が脈絡膜黒色腫、毛様体黒色腫、または虹彩黒色腫である上記治療方法を含む。
【0627】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記小児癌が神経芽細胞腫である上記治療方法を含む。
【0628】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記小児癌が肉腫である上記治療方法を含む。
【0629】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記肉腫が骨肉腫である上記治療方法を含む。
【0630】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記肉腫が軟部組織肉腫である上記治療方法を含む。
【0631】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記軟部組織肉腫が横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、または原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)である上記治療方法を含む。
【0632】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記小児癌が中枢神経系(CNS)関連癌である上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、上記小児癌は化学療法による治療に対して難治性である。いくつかの実施形態において、上記小児癌は放射線療法による治療に対して難治性である。いくつかの実施形態において、上記小児癌はジヌツキシマブによる治療に対して難治性である。
【0633】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん患者の治療方法であって、上記CNS関連癌が髄芽腫、松果体芽腫、神経膠腫、上衣腫、または神経膠芽腫である上記治療方法を含む。
【0634】
本明細書に記載の組成物及び方法は、がんの治療方法であって、上記がんが、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体による以前の治療に対して難治性または抵抗性である上記治療方法に使用してもよい。いくつかの実施形態において、患者は、抗PD-1または抗PD-L1抗体による一次治療に対して難治性の患者である。いくつかの実施形態において、上記患者は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体に対して以前の応答を示さない。いくつかの実施形態において、上記患者は、抗PD-1または抗PD-L1抗体に対する以前の応答を示し、その後、患者のがんが進行する。いくつかの実施形態において、上記がんは、少なくとも1種の化学療法剤との併用での抗CTLA-4抗体及び/または抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体に対して難治性である。いくつかの実施形態において、以前の化学療法剤は、カルボプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、及び/またはシスプラチンである。いくつかの以前の実施形態において、上記化学療法剤(複数可)はプラチナダブレット化学療法剤である。いくつかの実施形態において、上記プラチナダブレット療法剤は、シスプラチン及びカルボプラチンからなる群より選択される第1の化学療法剤と、ビノレルビン、ゲムシタビン、及びタキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、またはナブパクリタキセルを含む)からなる群より選択される第2の化学療法剤とを含む。いくつかの実施形態において、上記プラチナダブレット療法剤はペメトレキセドとの併用である。
【0635】
いくつかの実施形態において、上記NSCLCは、PD-L1陰性である、及び/またはPD-L1の発現が、本明細書の他の箇所に記載されるtumor proportion score (TPS)で1%未満であるがんを有する患者に由来する。
【0636】
いくつかの実施形態において、上記NSCLCは、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、白金ダブレット療法剤とを含む併用療法であって、上記プラチナダブレット療法剤が、
【0637】
i)シスプラチン及びカルボプラチンからなる群より選択される第1の化学療法剤と、
【0638】
ii)ビノレルビン、ゲムシタビン、及びタキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、もしくはナブパクリタキセルを含む)からなる群より選択される第2の化学療法剤と
を含む上記併用療法に対して難治性である。
【0639】
いくつかの実施形態において、上記NSCLCは、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、ペメトレキセドと、プラチナダブレット療法剤とを含む併用療法であって、上記プラチナダブレット療法剤が、
【0640】
i)シスプラチン及びカルボプラチンからなる群より選択される第1の化学療法剤と、
【0641】
ii)ビノレルビン、ゲムシタビン、及びタキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、もしくはナブパクリタキセルを含む)からなる群より選択される第2の化学療法剤と
を含む上記併用療法に対して難治性である。
【0642】
いくつかの実施形態において、上記NSCLCは抗PD-1抗体による治療を受けている。いくつかの実施形態において、上記NSCLCは抗PD-L1抗体による治療を受けている。いくつかの実施形態において、上記NSCLCの患者は治療未経験である。いくつかの実施形態において、上記NSCLCは抗PD-1抗体による治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記NSCLCは抗PD-L1抗体による治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記NSCLCは以前化学療法剤による治療を受けていた。いくつかの実施形態において、上記NSCLCは以前化学療法剤による治療を受けていたが、今は化学療法剤による治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記NSCLCは抗PD-1/PD-L1治療未経験である。いくつかの実施形態において、上記NSCLCの患者はPD-L1の発現が低い。いくつかの実施形態において、上記NSCLCの患者は、治療未経験のNSCLCを有するか、または化学療法による治療後であるが抗PD-1/PD-L1治療未経験である。いくつかの実施形態において、上記NSCLCの患者は、治療未経験であるか、または化学療法による治療後であるが抗PD-1/PD-L1治療未経験であり、且つPD-L1の発現が低い。いくつかの実施形態において、上記NSCLCの患者はベースラインにおいて巨大腫瘤病変を有する。いくつかの実施形態において、上記対象は、ベースラインにおいて巨大腫瘤病変を有し、且つPD-L1の発現が低い。いくつかの実施形態において、上記NSCLCの患者は検出可能にPD-L1を発現しない。いくつかの実施形態において、上記NSCLCの患者は、治療未経験であるか、または化学療法による治療後であるが抗PD-1/PD-L1治療未経験であり、且つ検出可能にPD-L1を発現しない。いくつかの実施形態において、上記患者は、ベースラインにおいて巨大腫瘤病変を有し、且つ検出可能にPD-L1を発現しない。いくつかの実施形態において、PD-L1の発現が低い及び/またはベースラインにおいて巨大腫瘤病変を有する上記NSCLCの患者は、治療未経験のNSCLCを有するか、または化学療法後(例えば、化学療法剤後)であるが抗PD-1/PD-L1治療未経験である。いくつかの実施形態において、横断面または前頭面のいずれかで測定した最大腫瘍径が7cmを超える巨大腫瘤病変が適応である。いくつかの実施形態において、短軸径が20mm以上である腫脹リンパ節がある場合の巨大腫瘤病変が適応である。いくつかの実施形態において、上記化学療法剤はNSCLCに対する標準治療薬を含む。
【0643】
いくつかの実施形態において、PD-L1の発現は、tumor proportion score (TPS)によって測定される。いくつかの実施形態において、上記難治性NSCLC腫瘍に罹患した対象のtumor proportion score (TPS)は1%未満である。いくつかの実施形態において、難治性NSCLC腫瘍に罹患した対象のTPSは1%以上である。いくつかの実施形態において、難治性NSCLC腫瘍に罹患した対象は以前に抗PD-1抗体及び/または抗PD-L1抗体による治療を受けており、tumor proportion scoreは上記抗PD-1抗体及び/または抗PD-L1抗体による治療の前に測定された。いくつかの実施形態において、難治性NSCLC腫瘍に罹患した対象は以前に抗PD-1抗体及による治療を受けており、tumor proportion scoreは上記抗PD-L1抗体による治療の前に測定された。
【0644】
いくつかの実施形態において、本発明の方法によって調製されたTIL(例えば、図1に記載されたTILを含む)は、例えば、プロセス1Cの方法と呼ばれる方法などの、図1に例示されていない方法を含む他の方法によって産生されたTILと比較して、多クローン性の増加を示す。いくつかの実施形態において、有意に向上した多クローン性及び/または増加した多クローン性は、がん治療の治効及び/または臨床的有効性の増加の指標である。いくつかの実施形態において、多クローン性とはT細胞レパートリーの多様性を指す。いくつかの実施形態において、ポリクローナリティの増加は、本発明の方法によって産生されたTILの投与に関する治効の指標とすることができる。いくつかの実施形態において、例えば、図1で具体化される方法以外の方法を含む、本明細書において提供される方法以外の他の方法によって調製されたTILと比較して、ポリクローナリティが、1倍、2倍、10倍、100倍、500倍、または1000倍増加する。いくつかの実施形態において、未治療の患者と比較して及び/または、例えば、図1で具体化される方法以外の方法を含む、本明細書において提供される方法以外の他の方法によって調製されたTILによる治療を受けた患者と比較して、ポリクローナリティが1倍増加する。いくつかの実施形態において、未治療の患者と比較して及び/または、例えば、図1で具体化される方法以外の方法を含む、本明細書において提供される方法以外の他の方法によって調製されたTILによる治療を受けた患者と比較して、ポリクローナリティが2倍増加する。いくつかの実施形態において、未治療の患者と比較して及び/または、例えば、図1で具体化される方法以外の方法を含む、本明細書において提供される方法以外の他の方法によって調製されたTILによる治療を受けた患者と比較して、ポリクローナリティが10倍増加する。いくつかの実施形態において、未治療の患者と比較して及び/または、例えば、図1で具体化される方法以外の方法を含む、本明細書において提供される方法以外の他の方法によって調製されたTILによる治療を受けた患者と比較して、ポリクローナリティが100倍増加する。いくつかの実施形態において、未治療の患者と比較して及び/または、例えば、図1で具体化される方法以外の方法を含む、本明細書において提供される方法以外の他の方法によって調製されたTILによる治療を受けた患者と比較して、ポリクローナリティが500倍増加する。いくつかの実施形態において、未治療の患者と比較して及び/または、例えば、図1で具体化される方法以外の方法を含む、本明細書において提供される方法以外の他の方法によって調製されたTILによる治療を受けた患者と比較して、ポリクローナリティが1000倍増加する。
【0645】
いくつかの実施形態において、PD-L1の発現は、本明細書に記載の1種以上の試験方法を使用したtumor proportion scoreによって測定される。いくつかの実施形態において、上記NSCLC腫瘍に罹患した対象または患者のtumor proportion score (TPS)は1%未満である。いくつかの実施形態において、上記NSCLC腫瘍のTPSは1%以上である。いくつかの実施形態において、上記NSCLC腫瘍に罹患した対象または患者は以前に抗PD-1抗体及び/または抗PD-L1抗体による治療を受けており、tumor proportion scoreは上記抗PD-1抗体及び/または抗PD-L1抗体による治療の前に測定された。いくつかの実施形態において、上記NSCLC腫瘍に罹患した対象または患者は以前に抗PD-L1抗体による治療を受けており、tumor proportion scoreは上記抗PD-L1抗体による治療の前に測定された。いくつかの実施形態において、上記難治性または抵抗性NSCLC腫瘍に罹患した対象または患者のtumor proportion score (TPS)は1%未満である。いくつかの実施形態において、上記難治性または抵抗性NSCLC腫瘍に罹患した対象または患者のTPSは1%以上である。いくつかの実施形態において、上記難治性または抵抗性NSCLC腫瘍に罹患した対象または患者は以前に抗PD-1抗体及び/または抗PD-L1抗体による治療を受けており、tumor proportion scoreは上記抗PD-1抗体及び/または抗PD-L1抗体による治療の前に測定された。いくつかの実施形態において、上記難治性または抵抗性NSCLC腫瘍に罹患した対象または患者は抗PD-L1抗体による治療を受けており、tumor proportion scoreは上記抗PD-L1抗体による治療の前に測定された。
【0646】
いくつかの実施形態において、上記NSCLCは、NSCLCが示すtumor proportion score (TPS)、すなわち、抗PD-1療法もしくは抗PD-L1療法の前に採取された患者由来の生腫瘍細胞のうちの、任意の強度での部分的なまたは完全な、PD-L1タンパク質に対する膜染色を示す細胞のパーセンテージが1%未満である(TPSが1%未満の)NSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、及び0.01%未満からなる群より選択されるTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.9%、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、約0.1%、約0.09%、約0.08%、約0.07%、約0.06%、約0.05%、約0.04%、約0.03%、約0.02%、約0.01%からなる群より選択されるTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~1%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.9%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.8%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.7%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.6%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.5%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.4%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.3%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.2%のTPSを示すNSCLCである。一実施形態において、上記NSCLCは0%~0.1%のTPSを示すNSCLCである。TPSは、Hirsch, et al. J. Thorac. Oncol. 2017, 12, 208-222に記載の方法、あるいはペムブロリズマブもしくはその他の抗PD-1療法剤または抗PD-L1療法剤による治療の前のTPSの測定に使用される方法などの、当技術分野において公知の方法によって測定することができる。米国食品医薬品局によって承認されたTPSの測定方法も使用することができる。いくつかの実施形態において、上記PD-L1はエキソソームPD-L1である。いくつかの実施形態において、上記PD-L1は循環腫瘍細胞上に存在する。
【0647】
いくつかの実施形態において、上記部分的な膜染色としては、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%以上の部分的な膜染色が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記完全な膜染色としては、約100%の膜染色が挙げられる。
【0648】
いくつかの実施形態において、PD-L1に関する試験は、患者の血清中のPD-L1レベルを測定することを含んでいてもよい。これらの実施形態において、患者の血清中のPD-L1の測定により、腫瘍の不均一性の不確実性及び一連の生検に対する患者不快感が取り除かれる。
【0649】
いくつかの実施形態において、ベースラインまたは標準レベルと比較した可溶性PD-L1の上昇は、NSCLCにおける予後悪化と相関する。例えば、Okuma, et al., Clinical Lung Cancer, 2018, 19, 410-417;Vecchiarelli, et al., Oncotarget, 2018, 9, 17554-17563を参照されたい。いくつかの実施形態において、上記PD-L1はエキソソームPD-L1である。いくつかの実施形態において、上記PD-L1は循環腫瘍細胞上に存在する。
【0650】
一実施形態において、本発明は、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法を必要とする対象または患者に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を投与することによる非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法であって、上記対象または患者が、
【0651】
所定のPD-L1のtumor proportion score(TPS)が1%未満であること、
【0652】
PD-L1のTPSスコアが1%~49%であること、または
【0653】
所定の、1種以上のドライバー変異が存在しないこと
の少なくとも1つを有し、
【0654】
但し、上記ドライバー変異は、EGFR変異、EGFR挿入、EGFRエクソン20変異、KRAS変異、BRAF変異、ALK変異、c-ROS変異(ROS1変異)、ROS1融合、RET変異、RET融合、ERBB2変異、ERBB2増幅、BRCA変異、MAP2K1変異、PIK3CA、CDKN2A、PTEN変異、UMD変異、NRAS変異、KRAS変異、NF1変異、MET変異、METスプライス及び/またはMETシグナル伝達の変化、TP53変異、CREBBP変異、KMT2C変異、KMT2D変異、ARID1A変異、RBI変異、ATM変異、SETD2変異、aFLT3変異、PTPN11変異、FGFR1変異、EP300変異、MYC変異、EZH2変異、JAK2変異、FBXW7変異、CCND3変異、ならびにGNA11変異からなる群より選択され、
【0655】
(a)上記対象もしくは患者から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片へと処理することにより、上記対象または患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること及び/あるいは受け入れることと、
【0656】
(b)上記第1のTIL集団を閉鎖型システム中に加えることと、
【0657】
(c)IL-2を含む細胞培養培地中で上記第1のTIL集団を培養することによって第1の増殖を実施して、第2のTIL集団を産生させることであって、上記第1の増殖が、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、上記第1の増殖が約3~14日間実施されて上記第2のTIL集団を得て、上記第2のTIL集団の数が、上記第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(b)からステップ(c)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第1の増殖を実施して第2のTIL集団を産生させることと、
【0658】
(d)上記第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することによって第2の増殖を実施して、第3のTIL集団を産生させることであって、上記第2の増殖が約7~14日間実施されて上記第3のTIL集団を得て、上記第3のTIL集団が治療用TIL集団であり、上記第2の増殖が第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、ステップ(c)からステップ(d)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第2の増殖を実施して第3のTIL集団を産生させることと、
【0659】
(e)ステップ(d)から得られた上記治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記治療用TIL集団を回収することと、
【0660】
(f)ステップ(e)から回収したTIL集団を輸注バッグに移送することであって、ステップ(e)から(f)への移送が上記システムを開放することなく行われる、上記移送することと
【0661】
(g)ステップ(f)から回収したTIL集団が入った輸注バッグを、凍結保存プロセスを使用して凍結保存することと、
【0662】
(h)ステップ(g)における輸注バッグから治療有効用量の上記第3のTIL集団を上記患者に投与することと
を含む、上記治療方法を提供する。
【0663】
一実施形態において、本発明は、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法を必要とする患者に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を投与することによる非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法であって、
【0664】
(a)上記患者の腫瘍のPD-L1の発現及びPD-L1のtumor proportion score (TPS)を試験することと、
【0665】
(b)上記患者に1種以上のドライバー変異が存在しないことを試験することであって、上記ドライバー変異が、EGFR変異、EGFR挿入、EGFRエクソン20変異、KRAS変異、BRAF変異、ALK変異、c-ROS変異(ROS1変異)、ROS1融合、RET変異、RET融合、ERBB2変異、ERBB2増幅、BRCA変異、MAP2K1変異、PIK3CA、CDKN2A、PTEN変異、UMD変異、NRAS変異、KRAS変異、NF1変異、MET変異、METスプライス及び/またはMETシグナル伝達の変化、TP53変異、CREBBP変異、KMT2C変異、KMT2D変異、ARID1A変異、RBI変異、ATM変異、SETD2変異、aFLT3変異、PTPN11変異、FGFR1変異、EP300変異、MYC変異、EZH2変異、JAK2変異、FBXW7変異、CCND3変異、ならびにGNA11変異からなる群より選択される、上記試験することと、
【0666】
(c)上記患者のPD-L1のTPSスコアが約1%~約49%であることを測定すること、及び上記患者にはドライバー変異も存在しないことを測定することと、
【0667】
(d)上記対象から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片へと処理することにより、上記対象もしくは患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること及び/または受け入れることと、
【0668】
(e)上記第1のTIL集団を閉鎖型システム中に加えることと、
【0669】
(f)IL-2を含む細胞培養培地中で上記第1のTIL集団を培養ことによって第1の増殖を実施して、第2のTIL集団を産生させることであって、上記第1の増殖が、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、上記第1の増殖が約3~14日間実施されて上記第2のTIL集団を得て、上記第2のTIL集団の数が、上記第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(e)からステップ(f)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第1の増殖を実施して第2のTIL集団を産生させることと、
【0670】
(g)上記第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することによって第2の増殖を実施して、第3のTIL集団を産生させることであって、上記第2の増殖が約7~14日間実施されて上記第3のTIL集団を得て、上記第3のTIL集団が治療用TIL集団であり、上記第2の増殖が第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、ステップ(f)からステップ(g)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第2の増殖を実施して第3のTIL集団を産生させることと、
【0671】
(h)ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記治療用TIL集団を回収することと、
【0672】
(i)ステップ(e)から回収したTIL集団を輸注バッグに移送することであって、ステップ(e)から(f)への移送が上記システムを開放することなく行われる、上記移送することと
【0673】
(j)ステップ(f)から回収したTIL集団が入った輸注バッグを、凍結保存プロセスを使用して凍結保存することと、
【0674】
(k)ステップ(g)における輸注バッグから治療有効用量の上記第3のTIL集団を上記対象または患者に投与することと
を含む、上記治療方法を提供する。
【0675】
一実施形態において、本発明は、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法を必要とする患者に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を投与することによる非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法であって、
【0676】
(a)上記患者の腫瘍のPD-L1の発現及びPD-L1のtumor proportion score (TPS)を試験することと、
【0677】
(b)上記患者に1種以上のドライバー変異が存在しないことを試験することであって、上記ドライバー変異が、EGFR変異、EGFR挿入、EGFRエクソン20変異、KRAS変異、BRAF変異、ALK変異、c-ROS変異(ROS1変異)、ROS1融合、RET変異、RET融合、ERBB2変異、ERBB2増幅、BRCA変異、MAP2K1変異、PIK3CA、CDKN2A、PTEN変異、UMD変異、NRAS変異、KRAS変異、NF1変異、MET変異、METスプライス及び/またはMETシグナル伝達の変化、TP53変異、CREBBP変異、KMT2C変異、KMT2D変異、ARID1A変異、RBI変異、ATM変異、SETD2変異、aFLT3変異、PTPN11変異、FGFR1変異、EP300変異、MYC変異、EZH2変異、JAK2変異、FBXW7変異、CCND3変異、ならびにGNA11変異からなる群より選択される、上記試験することと、
【0678】
(c)上記患者のPD-L1のTPSスコアが約1%未満であることを測定すること、及び上記患者にはドライバー変異も存在しないことを測定することと、
【0679】
(d)上記対象から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片へと処理することにより、上記対象もしくは患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること及び/または受け入れることと、
【0680】
(e)上記第1のTIL集団を閉鎖型システム中に加えることと、
【0681】
(f)IL-2を含む細胞培養培地中で上記第1のTIL集団を培養することによって第1の増殖を実施して、第2のTIL集団を産生させることであって、上記第1の増殖が、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、上記第1の増殖が約3~14日間実施されて上記第2のTIL集団を得て、上記第2のTIL集団の数が、上記第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(e)からステップ(f)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第1の増殖を実施して第2のTIL集団を産生させることと、
【0682】
(g)上記第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することによって第2の増殖を実施して、第3のTIL集団を産生させることであって、上記第2の増殖が約7~14日間実施されて上記第3のTIL集団を得て、上記第3のTIL集団が治療用TIL集団であり、上記第2の増殖が第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、ステップ(f)からステップ(g)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第2の増殖を実施して第3のTIL集団を産生させることと、
【0683】
(h)ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記治療用TIL集団を回収することと、
【0684】
(i)ステップ(e)から回収したTIL集団を輸注バッグに移送することであって、ステップ(e)から(f)への移送が上記システムを開放することなく行われる、上記移送することと
【0685】
(j)ステップ(f)から回収したTIL集団が入った輸注バッグを、凍結保存プロセスを使用して凍結保存することと、
【0686】
(k)ステップ(g)における輸注バッグから治療有効用量の上記第3のTIL集団を上記対象または患者に投与することと
を含む、上記治療方法を提供する。
【0687】
一実施形態において、本発明は、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法を必要とする患者に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を投与することによる非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法であって、
【0688】
(a)上記患者の腫瘍のPD-L1の発現及びPD-L1のtumor proportion score (TPS)を試験することと、
【0689】
(b)上記患者に1種以上のドライバー変異が存在しないことを試験することであって、上記ドライバー変異が、EGFR変異、EGFR挿入、KRAS変異、BRAF変異、ALK変異、c-ROS変異(ROS1変異)、ROS1融合、RET変異、またはRET融合からなる群より選択される、上記試験することと、
【0690】
(c)上記患者のPD-L1のTPSスコアが約1%~約49%であることを測定すること、及び上記患者にはドライバー変異も存在しないことを測定することと、
【0691】
(d)上記対象から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片へと処理することにより、上記対象もしくは患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること及び/または受け入れることと、
【0692】
(e)上記第1のTIL集団を閉鎖型システム中に加えることと、
【0693】
(f)IL-2を含む細胞培養培地中で上記第1のTIL集団を培養することによって第1の増殖を実施して、第2のTIL集団を産生させることであって、上記第1の増殖が、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、上記第1の増殖が約3~14日間実施されて上記第2のTIL集団を得て、上記第2のTIL集団の数が、上記第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(e)からステップ(f)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第1の増殖を実施して第2のTIL集団を産生させることと、
【0694】
(g)上記第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することによって第2の増殖を実施して、第3のTIL集団を産生させることであって、上記第2の増殖が約7~14日間実施されて上記第3のTIL集団を得て、上記第3のTIL集団が治療用TIL集団であり、上記第2の増殖が第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、ステップ(f)からステップ(g)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第2の増殖を実施して第3のTIL集団を産生させることと、
【0695】
(h)ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記治療用TIL集団を回収することと、
【0696】
(i)ステップ(e)から回収したTIL集団を輸注バッグに移送することであって、ステップ(e)から(f)への移送が上記システムを開放することなく行われる、上記移送することと
【0697】
(j)ステップ(f)から回収したTIL集団が入った輸注バッグを、凍結保存プロセスを使用して凍結保存することと、
【0698】
(k)ステップ(g)における輸注バッグから治療有効用量の上記第3のTIL集団を上記対象または患者に投与することと
を含む、上記治療方法を提供する。
【0699】
一実施形態において、本発明は、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法を必要とする患者に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を投与することによる非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法であって、
【0700】
(a)上記患者の腫瘍のPD-L1の発現及びPD-L1のtumor proportion score (TPS)を試験することと、
【0701】
(b)上記患者に1種以上のドライバー変異が存在しないことを試験することであって、上記ドライバー変異が、EGFR変異、EGFR挿入、KRAS変異、BRAF変異、ALK変異、c-ROS変異(ROS1変異)、ROS1融合、RET変異、またはRET融合からなる群より選択される、上記試験することと、
【0702】
(c)上記患者のPD-L1のTPSスコアが約1%未満であることを測定すること、及び上記患者にはドライバー変異も存在しないことを測定することと、
【0703】
(d)上記対象から得られた腫瘍試料を複数の腫瘍断片へと処理することにより、上記対象もしくは患者から切除された腫瘍から第1のTIL集団を得ること及び/または受け入れることと、
【0704】
(e)上記第1のTIL集団を閉鎖型システム中に加えることと、
【0705】
(f)IL-2を含む細胞培養培地中で上記第1のTIL集団を培養することによって第1の増殖を実施して、第2のTIL集団を産生させることであって、上記第1の増殖が、第1のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、上記第1の増殖が約3~14日間実施されて上記第2のTIL集団を得て、上記第2のTIL集団の数が、上記第1のTIL集団よりも少なくとも50倍多く、ステップ(e)からステップ(f)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第1の増殖を実施して第2のTIL集団を産生させることと、
【0706】
(g)上記第2のTIL集団の細胞培養培地に追加のIL-2、OKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を添加することによって第2の増殖を実施して、第3のTIL集団を産生させることであって、上記第2の増殖が約7~14日間実施されて上記第3のTIL集団を得て、上記第3のTIL集団が治療用TIL集団であり、上記第2の増殖が第2のガス透過性表面積を提供する閉鎖型容器中で実施され、ステップ(f)からステップ(g)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記第2の増殖を実施して第3のTIL集団を産生させることと、
【0707】
(h)ステップ(d)から得られた治療用TIL集団を回収することであって、ステップ(d)からステップ(e)への移行が上記システムを開放することなく行われる、上記治療用TIL集団を回収することと、
【0708】
(i)ステップ(e)から回収したTIL集団を輸注バッグに移送することであって、ステップ(e)から(f)への移送が上記システムを開放することなく行われる、上記移送することと
【0709】
(j)ステップ(f)から回収したTIL集団が入った輸注バッグを、凍結保存プロセスを使用して凍結保存することと、
【0710】
(k)ステップ(g)における輸注バッグから治療有効用量の上記第3のTIL集団を上記対象または患者に投与することと
を含む、上記治療方法を提供する。
【0711】
別の実施形態において、本発明は、がんを有する対象の治療方法であって、上記対象に治療有効用量の本明細書に記載の治療用TIL集団を投与することを含む上記治療方法を提供する。
【0712】
別の実施形態において、本発明は、がんを有する対象の治療方法であって、上記対象に治療有効用量の本明細書に記載のTIL組成物を投与することを含む上記治療方法を提供する。
【0713】
別の実施形態において、本発明は、治療有効用量の本明細書に記載の治療用TIL集団及びTIL組成物をそれぞれ投与する前に、上記非骨髄破壊的リンパ球除去レジメンが施されるように改変された、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法を提供する。
【0714】
別の実施形態において、本発明は、上記非骨髄破壊的リンパ球除去レジメンが、シクロホスファミドを60mg/m/日の用量で2日間投与するステップと、続いてフルダラビンを25mg/m/日の用量で5日間投与するステップとを含むように改変された、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法を提供する。
【0715】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記対象への上記TIL細胞の投与の翌日に開始する高用量IL-2レジメンで上記対象を治療するステップをさらに含むように改変された上記治療方法を提供する。
【0716】
別の実施形態において、本発明は、上記高用量IL-2レジメンが、8時間毎に15分間のボーラス静脈内注入としての600,000または720,000IU/kgの、許容量に達するまでの投与を含むように改変された、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法を提供する。
【0717】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが固形腫瘍であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0718】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウイルスによって生じる癌、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を含む)、神経膠芽腫(GBMを含む)、消化器癌、腎癌、または腎細胞癌であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0719】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが、黒色腫、HNSCC、子宮頸癌、NSCLC、神経膠芽腫(GBMを含む)、及び消化器癌であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0720】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが黒色腫であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0721】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんがHNSCCであるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0722】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが子宮頸癌であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0723】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんがNSCLCであるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0724】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが神経膠芽腫(GBMを含む)であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0725】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが消化器癌であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0726】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが高頻度変異癌であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0727】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のがんを有する対象の治療方法であって、上記がんが小児高頻度変異癌であるように改変された、上記治療方法を提供する。
【0728】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の治療用TIL集団であって、がんを有する対象に治療有効用量の上記治療用TIL集団を投与することを含む上記対象の治療方法に使用するための、上記治療用TIL集団を提供する。
【0729】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のTIL組成物であって、がんを有する対象に治療有効用量の上記TIL組成物を投与することを含む上記対象の治療方法に使用するための、上記TIL組成物を提供する。
【0730】
別の実施形態において、本発明は、上記対象に治療有効用量の本明細書に記載の治療用TIL集団及び本明細書に記載のTIL組成物を投与する前に、上記対象に非骨髄破壊的リンパ球除去レジメンが施されるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団及び本明細書に記載のTIL組成物を提供する。
【0731】
別の実施形態において、本発明は、上記非骨髄破壊的リンパ球除去レジメンが、シクロホスファミドを60mg/m/日の用量で2日間投与するステップと、続いてフルダラビンを25mg/m/日の用量で5日間投与するステップとを含むように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0732】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物であって、患者への上記TIL細胞の投与の翌日に開始する高用量IL-2レジメンで上記患者を治療するステップをさらに含むように改変された上記治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0733】
別の実施形態において、本発明は、上記高用量IL-2レジメンが、8時間毎に15分間のボーラス静脈内注入としての600,000もしくは720,000IU/kgの、許容量に達するまでの投与を含むように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0734】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが固形腫瘍であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0735】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが、黒色腫、卵巣癌、子宮頸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺癌、膀胱癌、乳癌、ヒトパピローマウイルスによって生じる癌、頭頸部癌(頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を含む)、神経膠芽腫(GBMを含む)、消化器癌、腎癌、もしくは腎細胞癌であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0736】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが、黒色腫、HNSCC、子宮頸癌、NSCLC、神経膠芽腫(GBMを含む)、及び消化器癌であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0737】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが黒色腫であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0738】
別の実施形態において、本発明は、上記がんがHNSCCであるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0739】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが子宮頸癌であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0740】
別の実施形態において、本発明は、上記がんがNSCLCであるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0741】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが神経膠芽腫であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0742】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが消化器癌であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0743】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが高頻度変異癌であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0744】
別の実施形態において、本発明は、上記がんが小児高頻度変異癌であるように改変された、本明細書に記載の治療用TIL集団またはTIL組成物を提供する。
【0745】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の治療用TIL集団の、対象に治療有効用量の上記治療用TIL集団を投与することを含む上記対象のがんの治療方法への使用を提供する。
【0746】
別の実施形態において、本発明は、先行する段落のいずれかに記載のTIL組成物の、対象に治療有効用量の上記TIL組成物を投与することを含む上記対象のがんの治療方法への使用を提供する。
【0747】
別の実施形態において、本発明は、患者に非骨髄破壊的リンパ球除去レジメンを施し、その後、対象に治療有効用量の先行する段落のいずれかに記載の治療用TIL集団または治療有効用量の本明細書に記載のTIL組成物を投与することを含む、上記患者のがんの治療方法における、本明細書に記載の治療用TIL集団または本明細書に記載のTIL組成物の使用を提供する。
【0748】
1.ドライバー変異に基づくがんの治療方法
本明細書では、語句「ドライバー変異」及び/または「治療につながる変異(actionable mutation)」及び/または「発がん性ドライバー変異」とは、一般的に発がん性ドライバー(すなわち、がんドライバーまたはがん誘導因子)と考えられる変異を指す。1種以上のこれらの変異の存在は、従来、標的療法の標的として利用されてきた。多くの場合、ドライバー変異は、例えばチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む標的治療用部分による治療に向けて検査及び/または分析される。かかるドライバー変異は、いくつかの実施形態において、第一選択治療に対する応答に強い影響を与えるまたは影響を及ぼす可能性がある。本明細書に記載のTILによる治療方法及びTIL組成物は、かかるドライバー変異が患者または対象に存在するかどうかにかかわらず、治療に対して有効である。かかるドライバー変異は、全エキソーム配列決定または特定のドライバー変異の検出を狙った方法を含む、当技術分野で公知の任意の方法によって試験し、測定することができる。
【0749】
いくつかの実施形態において、上記がんは、1種以上のドライバー変異が存在するまたは存在しないがんである。いくつかの実施形態において、上記がんは、1種以上のドライバー変異が存在する。いくつかの実施形態において、上記がんは、1種以上のドライバー変異が存在しない。いくつかの実施形態において、上記がんは、1種以上のドライバー変異の有無について分析が行われている。いくつかの実施形態において、上記1種以上のドライバー変異は存在しない。いくつかの実施形態において、がん治療は、1種以上のドライバー変異の有無とは無関係である。いくつかの実施形態において、上記がんは、EGFR変異、EGFR挿入、EGFRエクソン20、KRAS変異、BRAF変異、BRAF V600E変異、BRAF V600K変異、BRAF V600変異、ALK変異、c-ROS変異(ROS1変異)、ROS1融合、RET変異、RET融合、ERBB2変異、ERBB2増幅、BRCA変異、MAP2K1変異、PIK3CA、CDKN2A、PTEN変異、UMD変異、NRAS変異、KRAS変異、NF1変異、MET変異、METスプライス及び/またはMETシグナル伝達の変化、TP53変異、CREBBP変異、KMT2C変異、KMT2D変異、ARID1A変異、RB1変異、ATM変異、SETD2変異、FLT3変異、PTPN11変異、FGFR1変異、EP300変異、MYC変異、EZH2変異、JAK2変異、FBXW7変異、CCND3変異、及びGNA11変異からなる群より選択される1種以上のドライバー変異を示す。いくつかの実施形態において、上記がんが示すPD-L1のTPSは1%未満であり、且つ所定の、1種以上のドライバー変異が存在しない。
【0750】
いくつかの実施形態において、上記がんは、EGFR阻害剤、BRAF阻害剤、ALK阻害剤、c-Ros阻害剤、RET阻害剤、ERBB2阻害剤、BRCA阻害剤、MAP2K1阻害剤、PIK3CA阻害剤、CDKN2A阻害剤、PTEN阻害剤、UMD阻害剤、NRAS阻害剤、KRAS阻害剤、NF1阻害剤、MET阻害剤、TP53阻害剤、CREBBP阻害剤、KMT2C阻害剤、KMT2D変異、ARID1A変異、RBI阻害剤、ATM阻害剤、SETD2阻害剤、FLT3阻害剤、PTPN11阻害剤、FGFR1阻害剤、EP300阻害剤、MYC阻害剤、EZH2阻害剤、JAK2阻害剤、FBXW7阻害剤、CCND3阻害剤、及びGNA11阻害剤による治療に対して適応ではないがんである。
【0751】
いくつかの実施形態において、上記がんが示すPD-L1のTPSは1%未満であり、且つ上記がんは、EGFR阻害剤、BRAF阻害剤、ALK阻害剤、c-Ros阻害剤、RET阻害剤、ERBB2阻害剤、BRCA阻害剤、MAP2K1阻害剤、PIK3CA阻害剤、CDKN2A阻害剤、PTEN阻害剤、UMD阻害剤、NRAS阻害剤、KRAS阻害剤、NF1阻害剤、MET阻害剤、TP53阻害剤、CREBBP阻害剤、KMT2C阻害剤、KMT2D変異、ARID1A変異、RBI阻害剤、ATM阻害剤、SETD2阻害剤、FLT3阻害剤、PTPN11阻害剤、FGFR1阻害剤、EP300阻害剤、MYC阻害剤、EZH2阻害剤、JAK2阻害剤、FBXW7阻害剤、CCND3阻害剤、及びGNA11阻害剤による治療に対して適応ではないがんである。
【0752】
いくつかの実施形態において、上記がんはNSCLCであり、EGFR変異によってNSCLCから小細胞肺癌(SCLC)へと腫瘍が転化する。
【0753】
いくつかの実施形態において、がん(またはその生検)は高腫瘍変異負荷(高TMB;>10mut/kb)及び/または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI高)を示す。いくつかの実施形態において、上記がん(またはその生検)は高腫瘍変異負荷(高TMB;>10mut/kb)を示す。いくつかの実施形態において、がん(またはその生検)は高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI高)を示す。腫瘍変異負荷を評価するための方法及びシステムは当技術分野で公知である。かかる方法及びシステムの例示的な開示は、米国特許第9,792,403号、米国特許出願公開第US2018/0363066A1号、国際特許出願公開第WO2013/070634A1号及び第WO2018/106884A1号、ならびにMetzker, Nature Biotechnol. Rev. 2010, 11, 31-46に記載され、上記文献のそれぞれは本明細書に援用される。
【0754】
いくつかの実施形態において、EGFR変異としては、例えば、T790M、Ex19欠失、L858R、エクソン20挿入、欠失E709-T710挿入D、I744_K745挿入KIPVAI、K745_E746挿入TPVAIK、E709X、E709K、E709A、エクソン18欠失、G719X、G719A、G719S、L861Q、S768I、L747P、A763_764挿入FQEA、D770_N771挿入NPG、A763_764挿入FQEA、P772_H773挿入DNPエクソン20挿入、H773_V774挿入NPHエクソン20挿入、S768I、D770_N771挿入SVD、V769_D770挿入ASV、p.K745_E746挿入IPVAIK、p.K745_E746挿入TPVAIK、p.I744_K745挿入KIPVAI、D770_N771挿入NPG、P772_H773挿入PNP、A763_Y764挿入FQEA、及び/またはEGFRキナーゼドメイン重複(EGFR-KDD)が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態において、EGFR変異は、T790M、Ex19欠失、L858R、エクソン20挿入、欠失E709-T710挿入D、I744_K745挿入KIPVAI、K745_E746挿入TPVAIK、E709X、E709K、E709A、エクソン18欠失、G719X、G719A、G719S、L861Q、S768I、L747P、A763_764挿入FQEA、D770_N771挿入NPG、A763_764挿入FQEA、P772_H773挿入DNPエクソン20挿入、H773_V774挿入NPHエクソン20挿入、S768I、D770_N771挿入SVD、V769_D770挿入ASV、p.K745_E746挿入IPVAIK、p.K745_E746挿入TPVAIK、p.I744_K745挿入KIPVAI、D770_N771挿入NPG、P772_H773挿入PNP、A763_Y764挿入FQEA、及びEGFRキナーゼドメイン重複(EGFR-KDD)からなる群より選択される。
【0755】
いくつかの実施形態において、EGFR変異は、L858R/T790M、Ex19欠失/T790M、G719X/L861Q、G719X/S768I(もしくはS768I/G719X)、S768I/L858R、L858R/E709A、及び/またはE746_T751欠失挿入A+T790Mを含む、但しこれらに限定されない二重変異である。いくつかの実施形態において、EGFR変異は、L858R/T790M、Exl9欠失/T790M、G719X/L861Q、G719X/S768I(またはS768I/G719X)、S768I/L858R、L858R/E709A、及びE746_T751欠失挿入A+T790Mからなる群より選択される二重変異である。EGFR変異に関するさらなる特性及び方法は、国際特許出願公開第WO2010/020618A1号記載され、上記特許文献は本明細書に援用される。
【0756】
いくつかの実施形態において、上記ALK変異体としては、EML4-ALK変異体1(AB274722.1;BAF73611.1)、EML4-ALK変異体2(AB275889.1;BAF73612.1)、EML4-ALK変異体3a(AB374361.1;BAG55003.1)、EML4-ALK変異体3b(AB374362.1;BAG55004.1)、EML4-ALK変異体4(AB374363.1;BAG75147.1)、EML4-ALK変異体5a(AB374364.1;BAG75148.1)、EML4-ALK変異体5b(AB374365.1;BAG75149.1)、EML4-ALK変異体6(AB462411.1;BAH57335.1)、EML4-ALK変異体7(AB462412.1;BAH57336.1)、KIF5B-ALK(AB462413.1;BAH57337.1)、NPM-ALK、TPM3-ALK、TFGXL-ALK、TEGL-ALK、TFGS-ALK、A11C-ALK、CLTC-ALK、MSN-ALK、TPM4-ALK、MYH9-ALK、RANBP2-ALK、AL017-ALK、及びCARS-ALKが挙げられるが、これらに限定はされない(例えば、Pulford et al., (2004) J. Cell. Physiol. 199:330-358を参照のこと)。さらに、当業者であれば、ALKキナーゼとその融合パートナーの間での特定の融合事象に応じて、ALKキナーゼ変異体が生じることを理解しよう(例えば、Horn and Pao, J. Clin. Oncol. 2009, 27, 4247-4253(上記文献の開示は本明細書に援用される)に報告されているように、EML4は、少なくとも2、6a、6b、13、14、及び/または15において融合する場合がある)。
【0757】
さらなるALK変異の例は米国特許第9,018,230号及び第9,458,508号に開示され、上記特許文献は本明細書に援用される。
【0758】
いくつかの実施形態において、本発明のROS1変異はROS1融合であり、ROS1融合においては、ROS1タンパク質のキナーゼドメインを含むROS1ポリペプチドの一部(またはそれをコードするポリヌクレオチド)が別のポリペプチド(またはそれをコードするポリヌクレオチド)の全てまたは一部に融合しており、その2番目のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの名称が融合体の名称に付される。いくつかの実施形態において、上記ROS1変異は、好ましくは、SLC34A2-ROS1(ROS1エクソン32及び34に融合したSLC34A2エクソン13欠失2046及び4)、CD74-ROS1(ROS1エクソン32及び34に融合したCD74エクソン6)、EZR-ROS1(ROS1エクソン34に融合したEZRエクソン10)、TPM3-ROS1(ROS1エクソン35に融合したTPM3エクソン8)、LRIG3-ROS1(ROS1エクソン35に融合したLRIG3エクソン16)、SDC4-ROS1(ROS1エクソン32に融合したSDC4エクソン2及び4ならびにROS1エクソン34に融合したSDC4エクソン4)、FIG-ROS1としても知られるGOPC-ROS1、(ROS1エクソン35に融合したGOPCエクソン8及びROS1エクソン36に融合したGOPCエクソン4)、ならびにROS1G2032Rとしても知られるG2032Rからなる群より選択されるROS1融合タンパク質の指標である、ROS1融合タンパク質(例えば、IHCによる)及び/またはROS1融合遺伝子(例えば、FISHによる)、及び/またはROS1 mRNA(例えば、qRT-PCRによる)として測定される。
【0759】
ROS1変異及びROS融合のさらなる開示は、米国特許出願公開第US2010/0221737A1号、第US2015/0056193A1号、及び第US2010/0143918A1号、ならびに国際特許出願公開第WO2010/093928A1号に記載され、上記特許文献のそれぞれは本明細書に援用される。いくつかの実施形態において、上記RET変異はRET融合または点変異である。
【0760】
いくつかの実施形態において、RET点変異としては、H6650、K666E、K666M、S686N、G691S、R694Q、M700L、V706M、V706A、E713K、G736R、G748C、A750P、S765P、P766S、E768Q、E768D、L769L、R770Q、D771N、N777S、V7781、Q781R、L790F、Y791F、Y791N、V804L、V804M、V804E、E805K、E806C、Y806E、Y806F、Y806S、Y806G、Y806C、E818K、S819I、G823E、Y826M、R833C、P841L、P841P、E843D、R844W、R844Q、R844L、M848T、1852M、A866W、R873W、A876V、L881V、A883F、A883S、A883T、E884K、R886W、S891A、R8970、D898V、E901K、5904F、S904C2、K907E、K907M、R908K、G911D、R912P、R912QM918T、M918V、M918L6、A919V、E921K、S922P、S922Y、T930M、F961L、R972G、R982C、M1009V、D1017N、V10416、及びM1064Tが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0761】
いくつかの実施形態において、RET融合は、RETと、BCR、BCR、CLIP1、KIFSB、CCDC6、PTClex9、NCOA4、TRIM33、ERC1、FGFRIOP、MBD1、RAB61P2、PRKARIA、TRIM24、KTN1、GOLGA5、HOOK3、KIAA1468、TRIM27、AKAP13、FKBP15、SPECCIL、TBL1XR1、CEP55、CUX1、ACBD5、MYH13、PIBF1、KIAA1217、及びMPRIPからなる群より選択される融合パートナーとの間の融合である。
【0762】
RET変異のさらなる開示は、米国特許第10035789号に記載され、上記特許文献は本記載をもってその全体が援用される。
【0763】
いくつかの実施形態において、BRAF変異はBRAF V600E/K変異である。他の実施形態において、上記BRAF変異は非V600E/K変異である。
【0764】
いくつかの実施形態において、上記非V600E/KBRAF変異は、キナーゼ活性化変異、キナーゼ障害変異、またはキナーゼ未知変異、及びそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、キナーゼ活性化変異は、R462I、1463S、G464E、G464R、G464V、G466A、G469A、N58 is、E586K、F595L、L597Q、L597R、L5975、L597V、A598V、T599E、V600R、K601E、5602D、A728V、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、キナーゼ障害変異は、G466E、G466R、G466V、Y472C、K483M、D594A、D594E、D594G、D594H、D594N、D594V、G596R、T599A、5602A、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、キナーゼ未知変異は、T4401、5467L、G469E、G469R、G4695、G469V、L584F、L588F、V600K601欠失挿入E、56051、Q609L、E611Q、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記非V600E/K BRAF変異は、D594、G469、K601E、L597、T599重複、L485W、F247L、G466V、BRAF融合、BRAF-AGAP3再構成、BRAFエクソン15スライス変異体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0765】
いくつかの実施形態において、Met変異としては、点変異、欠失変異、挿入変異、反転、異常なスプライシング、ミスセンス変異、またはc-Metタンパク質の少なくとも1つの生物活性の増加、チロシンキナーゼ活性、例えば、向上した受容体ホモログ二量化、形成のリガンド結合、body及びヘテロ二量体の亢進などを生じさせる遺伝子増幅(gene magnification that causes the increase of at least one bioactivity of c-Met protein, the tyrosine kinase activity such as improved, receptor homolog dimerization Ligand binding of formation, enhancing of body and heterodimer etc.)が挙げられる。上記Met変異の位置は、c-Met遺伝子の任意の部分であってよい。一実施形態において、上記変異は、c-MET遺伝子によってコードされるc-Metタンパク質のキナーゼドメイン中にある。いくつかの実施形態において、上記c-Met変異は、N375、V13、V923、R175、V136、L229、S323、R988、S1058/T1010、及びE168における点変異である。
【0766】
いくつかの実施形態において、ERBB2変異は、ERBB2のアミノ酸配列における点変異である。いくつかの実施形態において、上記ERBB2の点変異は、アミノ酸置換を生じる点変異、mRNAスプライシングを生じる点変異、または上流領域における点変異である。ここで、上記変異は、Q568E、P601R、I628M、P885S、R143Q、R434Q、及びE874Kからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を生じさせるヌクレオチド変異を含む。
【0767】
いくつかの実施形態において、ERBB2変異はERBB2の増幅である。いくつかの実施形態において、上記ERBB2増幅は、V659E、G309A、G309E、S310F、D769H、D769Y、V777L、P780挿入、P780-Y781挿入GSP、V842I、R896C、K753E、及びL755Sからなる群より選択される点変異を含み、これらは、ポリメラーゼ連鎖反応または他の配列決定技法、例えば、Bose, et al., Cancer Discov. 2013, 3(2), 224-237;及びZuo, et al. Clin Cancer Res. 2016, 22(19), 4859-4869(上記文献の開示は本明細書に援用される)に報告されている技法によって検出することができる。
【0768】
いくつかの実施形態において、BRCA変異は、BRCA1及び/またはBRCA2、好ましくはBRCA1における、及び/または1種以上の他の遺伝子であって、該遺伝子のタンパク質産物がDNA損傷部位でBRCA1及び/またはBRCA2と会合する上記遺伝子(ATM、ATR、Chk2、H2AX、53BP1、NFBD1、Mre11、Rad50、Nibrin、BRCA1関連RINGドメイン(BARD1)、Abraxas、及びMSH2を含む)における変異である。これらの遺伝子の1つ以上の変異によって、BRCA1及び/またはBRCA2の変異を模倣する遺伝子発現パターンが生じる可能性がある。
【0769】
特定の実施形態において、BRCA変異は非同義変異を含む。いくつかの実施形態において、BRCA変異はナンセンス変異を含む。いくつかの実施形態において、上記BRCA変異はフレームシフト変異を含む。いくつかの実施形態において、上記BRCA変異はスプライシング変異を含む。いくつかの実施形態において、BRCA変異は、変異mRNAとして、最終的には変異タンパク質として発現される。いくつかの実施形態において、BRCA1/2タンパク質は機能性である。他の実施形態において、BRCA1/2タンパク質は活性が低下している。他の実施形態において、BRCA1/2タンパク質は非機能性である。
【0770】
本明細書で置換に関して使用される場合、変異に関する」記号「=」は、一般に、同義置換、サイレントコドン、及び/またはサイレント置換を指す。特に、同義置換(サイレント置換またはサイレントコドンとも呼ばれる)は、タンパク質をコードする遺伝子のエクソンにおいて、1つのヌクレオチド塩基が別のヌクレオチド塩基に置換されることを指し、この場合、生成するアミノ酸配列は改変されない。これは、遺伝コードが「縮重」している、すなわち、いくつかのアミノ酸が複数の3塩基対コドンによってコードされているという事実に起因する。所与のアミノ酸に対するコドンの一部には、同一のアミノ酸をコードする他のコドンと1塩基対のみが異なるものがあるために、野生型塩基がそれに代わる塩基の1種に置換される点変異においても、遺伝子の翻訳中に伸長するポリペプチド鎖中に同一のアミノ酸が組み込まれることになる。いくつかの実施形態において、非コードDNAに影響を及ぼす同義置換及び同義変異は多くの場合サイレント変異と見なされる。但し、上記変異がサイレントで影響を受けない場合は必ずしもこの限りではない。例えば、同義変異は、転写、スプライシング、mRNA輸送、及び翻訳に影響を与える可能性があり、それらのいずれかによって得られる表現型が変化し、上記同義変異が非サイレントになる可能性がある。稀なコドンに対するtRNAの基質特異性が、翻訳のタイミング、延いてはタンパク質の共翻訳フォールディングに影響を与える可能性がある。このことは、多くの種で観測されているコドン使用バイアスに現れている。非同義置換/非同義変異により、恣意的に、保存的(類似した物理化学的特性をもつアミノ酸への変化)、半保存的(例えば、負荷電のアミノ酸から正荷電のアミノ酸へ)、または急進的(radical)(大幅に異なるアミノ酸)として分類される場合があるアミノ酸の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記BRCA変異は、P871L、K1183R、D693N、S1634G、E1038G、S1040N、S694=(=:サイレンスコドン)、M1673I、Q356R、S1436=、L771=、K654Sfs*47、S198N、R496H、R841W、R1347G、H619N、S1533I、L30=、A622V、Y655Vfs*18、R496C、E597K、R1443*、E23Vfs*17、L30F、Ell1Gfs*3、K339Rfs*2、L512F、D693N、P871S、S1140G、Q1240*、P1770S、R7=、L52F、T176M、A224S、L347=、S561F、E597*、K820E、K893Rfs*107、E962K、M1014I、R1028H、E1258D、E1346K、R1347T、L1439F、H1472R、Q1488*、S1572C、E1602K、R1610C、L1621=、Q1625*、Q1625=、D1754N、R1772Q、R1856*、及びそれらの任意の組み合わせを含む、但しこれらに限定されないBRCA1変異である。
【0771】
いくつかの実施形態において、BRCA変異は、V2466A、N289H、N991D、S455=(=:サイレンスコドン)、N372H、H743=、V1269=、S2414=、V2171=、L1521=、T3033Nfs*ll、K1132=、T3033Lfs*29、R2842C、N1784Tfs*7、K3326*、K3326*、D1420Y、I605Yfs*9、I3412V、A2951T、T3085Nfs*26、R2645Nfs*3、S1013*、T1915M、F3090=、V3244I、A1393V、R2034C、L1356=、E2981Rfs*37、N1784Kfs*3、K3416Nfs*ll、K1691Nfs*15、S1982Rfs*22、及びそれらの任意の組み合わせを含む、但しこれらに限定されないBRCA2変異である。
【0772】
いくつかの実施形態において、NRAS変異としては、E63K、Q61R、Q61K、G12D、G13D、Q61R、Q61L、Q61K、G12S、G12C、G13R、Q61H、G12V、G12A、Q61L、G13V、Q61H、G12R、G13C、Q61P、G13S、G12D、G13A、G13D、A18T、Q61X、G60E、G12S、Q61=(=:サイレンスコドン)、Q61E、Q61R、A146T、A59T、A59D、Q61=、R68T、A146T、G12A、E62Q、G75=、A91V、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0773】
E132Kいくつかの実施形態において、PIK3CA変異としては、置換変異、欠失変異、及び挿入変異が挙げられる。いくつかの実施形態において、変異は、PIK3CAのヘリカルドメインにおいて及びそのキナーゼにおいて、他の実施形態において、PIK3CAのP85BDドメインにおいて発生する。いくつかの実施形態において、上記PIK3CA変異は、エクソン1、2、4、5、7、9、13、18、及び20に存在する。いくつかの実施形態において、上記PIK3CA変異はエクソン9及び20に存在する。さらに他の実施形態において、上記PIK3CA変異は上記に挙げた任意の変異の組み合わせである。これらのエクソンの任意の組み合わせを、任意選択で他のエクソンの試験と組み合わせて試験してもよい。変異の試験は、コード配列全体に沿って行うことも、または変異がクラスター化されていることが判明している領域に集中して行うこともできる。変異の特定のホットスポットが、PIK3CAコード配列のヌクレオチド位置1624、1633、1636、及び3140で発生する。
【0774】
いくつかの実施形態において、PIK3CA変異のサイズは小さく、1~3ヌクレオチドの範囲である。いくつかの実施形態において、上記PIK3CA変異としては、G1624A、G1633A、C1636A、A3140G、G113A、T1258C、G3129T、C3139T、E542K、E545K、Q546R、H1047L、H1047R、及びG2702Tが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0775】
いくつかの実施形態において、MAP2K1変異は体細胞MAP2K1変異であり、任意選択で、MEK1レベルを上方制御するMAP2K1変異である。いくつかの実施形態において、上記MAP2K1変異は、HRAS、KRAS、NRAS、ARAF、BRAF、RAF1、MAP2K2、MAPK1、MAPK3、MAP3K3を含む、RAS/MAPK経路に関連する1つ以上の遺伝子における変異である。特定の実施形態において、上記MAP2K1変異は、RASA、PTEN、ENG、ACVRL1、SMAD4、GDF2、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の遺伝子に存在する。
【0776】
いくつかの実施形態において、MAP2K1変異としては、P124S、Q56P、K57N、E203K、G237*、P124L、G128D、D67N、K57E、E102_I103欠失、C121S、K57T、K57N、Q56P、P124L、K57N、G128V、Q58_E62欠失、F53L、I126=、I103_K104欠失、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0777】
いくつかの実施形態において、KRAS変異は非同義変異を含む。いくつかの実施形態において、KRAS変異はナンセンス変異を含む。いくつかの実施形態において、KRAS変異はフレームシフト変異を含む。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、スプライシング変異を含む。いくつかの実施形態において、KRAS変異は、変異体mRNAとして、最終的には変異タンパク質として発現される。いくつかの実施形態において、変異KRASタンパク質は機能性である。他の実施形態において、変異KRASタンパク質は活性が低下している。他の実施形態において、変異KRASタンパク質は非機能性である。
【0778】
いくつかの実施形態において、KRAS変異としては、G12D、G12V、G13D、G12C、G12A、G12S、G12R、G13C、Q61H、A146T、Q61R、Q61H、Q61L、G13S、146V、Q61K、G13R、G12F、K117N、G13A、G13V、A59T、V14I、K117N、Q22K、Q61P、A146P、G13D、L19F、L19F、Q61K、G12V、G60=、G12=、G13=、A18D、T58I、Q61E、E63K、G12L、G13V、A59G、G60D、G10R、G10重複、D57N、A59E、V14G、D33E、G12I、G13重複、及びそれらの任意の組み合わせ(但し、=はサイレンスコード化を示す)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0779】
いくつかの実施形態において、NF1変異変異としては、置換変異、欠失変異、ミスセンス変異、異常なスプライシング変異、及び挿入変異が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記NF1変異は機能喪失(LOF)変異である。いくつかの実施形態において、上記NF1変異は、R1947X(C5839T)、R304X、エクソン37変異、エクソン4b変異、エクソン7変異、エクソン10b変異、及びエクソン10c変異(例えば、1570G→T、E524X)からなる群より選択される。
【0780】
いくつかの実施形態において、CDKN2A変異としては、R24P、D108G、D108N、D108Y、G125R、P114L、R80*、R58*、H83Y、W110*、P114L、E88*、W110*、E120*、D108Y、D84Y、D84N、E69*、P81L、Q50*、L78Hfs*41、D108N、S12*、P48L、E61*、Y44*、E88K、R80*、D84G、L16Pfs*9、Y129*、D108H、A148T、A36G、A102V、W15*、H83R、A57V、E33*、D74Y、A76V、E153K、D74N、H83D、V82M、R58*、Y129*、El19*、Y44*、D74A、T18_A19重複、Y44Lfs*76、L32_L37欠失、V28_E33欠失、D14_L16欠失、A68T、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0781】
いくつかの実施形態において、PTEN変異は非同義変異を含む。いくつかの実施形態において、上記PTEN変異はナンセンス変異を含む。いくつかの実施形態において、上記PTEN変異はフレームシフト変異を含む。いくつかの実施形態において、上記PTEN変異はスプライシング変異を含む。いくつかの実施形態において、変異PTENは、mRNAとして、最終的にはタンパク質として発現される。いくつかの実施形態において、上記変異PTENタンパク質は機能性である。他の実施形態において、上記変異PTENタンパク質は活性が低下している。他の実施形態において、上記変異PTENタンパク質は非機能性である。いくつかの実施形態において、上記PTEN変異としては、R130Q、R130G、T319*、R233*、R130*、K267Rfs*9、N323Mfs*21、N323Kfs*2、R173C、R173H、R335*、Q171*、Q245*、E7*、D268Gfs*30、R130Q、Q214*、R130L、C136R、Q298*、Q17*、H93R、P248Tfs*5、I33欠失、R233*、E299*、G132D、Y68H、T319Kfs*24、N329Kfs*14、V166Sfs*14、V290*、T319Nfs*6、R142W、P38S、A126T、H61R、F278L、S229*、R130P、G129R、R130Qfs*4、P246L、R130*、G165R、C136Y、R173C、I101T、Y155C、D92E、K164Rfs*3、N184Efs*6、G129E、R130G、G36R、F341V、H123Y、C124S、M35VG127E、G165E、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0782】
いくつかの実施形態において、TP53変異としては、R175H、G245S、R248Q、R248W、R249S、R273C、R273H、R282W、C135Y、C141Y、P151S、V157F、R158L、Y163C、V173L、V173M、C176F、H179R、H179Y、H179Q、Y205C、Y220C、Y234C、M237I、C238Y、S241F、G245D、G245C、R248L、R249M、V272M、R273L、R278L、R280T、E285K、E286K、R158H、C176Y、I195T、G214R、G245V、G266R、G266E、P278S、R280K、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかのさらなる実施形態において、上記TP53変異は、G245S、R249S、R273C、R273H、C141Y、V157F、R158L、Y163C、V173L、V173M、Y205C、Y220C、G245C、R249M、V272M、R273L、及びE286Kからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記TP53変異は上記の変異の1種以上を含む。
【0783】
いくつかの実施形態において、CREBBP変異としては、R1446C、R1446H、S1680欠失、I1084Sfs*15、P1948L、I1084Nfs*3、?R386*、S893L、R1341*、P1423Lfs*36、P1488L、Y1503H、R1664C、A1824T、R1173*、R1360*、Y1450C、H2228D、S71L、P928=、D1435N、W1502C、Y1503D、R483*、R601Q、S945L、R1103*、R1288W、R1392*、C1408Y、D1435G、R1446L、H1485Y、Q1491K、Q96*、L361M、L524Wfs*6、Q540*、Q1073*、A1100V、R1169C、C1237Y、R1347W、G1411E、W1472C、I1483F、P1488T、R1498*、Y1503F、Q1856*、R1985C、R2104C、S2328L、V2349=、S2377L、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0784】
いくつかの実施形態において、KMT2C変異としては、D348N、P350=、R380L、C391*、P309S、C988F、Y987H、S990G、K2797Rfs*26、V346=、R894Q、R284Q、S806=、R1690=、P986=、A1685S、G315S、Q755*、R909K、T316S、S772L、G838S、L291F、P335=,C988F,Q2680=,E765G,K339N,Y816*,R526P,N729D,G845E,I817Nfs*ll,G892R,Cl103*,S3660L,F4496Lfs*21,G315C,R886C,D348N,S793=,V919L,R2481S、R2884*、R4549C、M305Dfs*28、T316S、P377=、I455M、T820I、S965=、S730Y、P860S、Q873Hfs*40、R904*、R2610Q、R4478*、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0785】
いくつかの実施形態において、KMT2D変異としては、L1419P、E640D、E541D、E455D、T2131P、K1420R、P2354Lfs*30、G2493=、Q3612=、I942=、T1195Hfs*17、P4170=、P1194H、G1235Vfs*95、P4563=、P647Hfs*283、L449_P457欠失、P3557=、Q3603=、R1702*、P648Tfs*2、R5501*、R4198*、R4484*、R83Q、R1903*、R2685*、R4282*、L5326=、R5432W、R2734*、Q2800*、R2830*、Q3745重複、S4010P、R4904*、G5182Afs*61、R5214H、R1615*、Q2380*、R2687*、R2771*、V3089Wfs*30、Q3799Gfs*212、R4536*、R5030C、R5048C、R5432Q、A221Lfs*40、A476T、A2119Lfs*25、P2557L、R2801*、Q3913*、R4420W、G4641=、R5097*、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0786】
いくつかの実施形態において、ARID1A変異としては、C884*(*:ナンセンス変異)、E966K、Q1411*、F1720fs(fs:フレームシフト)、G1847fs、C1874fs、D1957E、Q1430、R1721fs、G1255E、G284fs、R1722*、M274fs、G1847fs、P559fs、R1276*、Q2176fs、H203fs、A591fs、Q1322*、S2264*、Q586*、Q548Fs、及びN756fs挙げられるが、これらに限定はされない。
【0787】
いくつかの実施形態において、RBI変異としては、R320X、R467X、R579X、R455X、R358X、R251X、R787X、R552X、R255X、R556X、Y790X、Q575X、E323X、R661W、R579*、R455*、R556*.R787*、R661W、R445*、R467*、Q217*、Q471*、W195*、Q395*、I680T、E137*、R255*、Q344*、Q62*、E440K、A488V、P777Lfs*33、E322K、R656W、G617Rfs*36、C221*、E440*、Q93*、Q504*、E125*、S834*、E323*、Q685*、S829*、W516*、G435*、Q257*、E79*、S567L、V654M、V654Sfs*14、G100Efs*11、K715*、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0788】
いくつかの実施形態において、ATM変異は、10744A>G;10744A>G;11482G>A;IVS3-558A>T;146C>G;381欠失A;IVS8-3欠失GT;1028欠失AAAA;1120C>T;1930挿入16;IVS16+2T>C;2572T>C;IVS21+1G>A;3085欠失A;3381欠失TGAC;3602欠失TT;4052欠失T;4396C>T;5188C>T;5290欠失C;5546欠失T;5791G>CCT;6047A>G;IVS44-1G>T;6672欠失GC/6677欠失TACG;6736欠失11/6749欠失7;7159挿入AGCC;7671欠失GTTT;7705欠失l4;7865C>T;7979欠失TGT;8177C>T;8545C>T;8565T>A;IVS64+1G>T;及び9010欠失28を含む、但しこれらに限定されないATM遺伝子配列における変異である。
【0789】
本発明のいくつかの実施形態において、SETD2変異は、NCBIアクセッション番号NM_014159のmRNA配列の転写開始コドンの位置が1に設定される場合の、SETD2タンパク質をコードする遺伝子配列の変化である。いくつかの実施形態において、7558番目のG(グアニン)がT(チミン)に置換され、4774番目のC(シトシン)がTに置換され、1210番目のA(アデニン)がTに置換され、4883番目のTがGに置換され、5290番目のCがTに置換され、7072番目のCがTに置換され、4144番目のGがTに置換され、1297のCがTに置換され、755番目のTがGに置換され、7261のTがGに置換され、6700がTに置換され、2536番目のCがTに置換され、7438番目のCがT置換に置換され、または、3866位にAの挿入があり、6712位にTの挿入があり、7572位にTの挿入があり、913番目のAの欠失があり、5619番目のCの欠失があり、塩基4603~4604の欠失があり、1番目の塩基の欠失があり、1936番目のCの欠失があり、3094~3118塩基の欠失があり、5289位にAの挿入があり、且つ6323~6333塩基の欠失がある。
【0790】
いくつかの実施形態において、FLT3変異としては、(Q569_E648)挿入、D835X、(Q569_E648)欠失挿入、(D835_I836)、D835Y、D835V、D835Y、D835H、T227M、I836欠失、N676K、D835E、Y597_E598挿入DYVDFREY、D835E、D835欠失、F594_D600重複、A680V、D839G、D96=、D835H、V491L、D835E、Q989*、D835V、L561=、I836欠失、P986Afs*27、D7G、D324N、S451F、D835N、L576P、Y597_E598挿入DVDFREY、V491L、N841T、D324N、Y572C、R595_L601重複、K663R、N676K、F691L、D835A、I836H、N841K、S993L、L832F、I836M、A66V、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0791】
いくつかの実施形態において、PTPN11変異としては、E76K、A72V、A72T、D61Y、D61V、G60V、E69K、E76G、G507V、S506L、G507A、T73I、E76A、E76Q、S506P、D61N、F71L、E76V、F71L、A72D、V432M、T472M、P495L、N58Y、F285S、S506A、S189A、A465T、R502W、G507R、T511K、D61H、D61G、G507E、G60R、G60A、Q514L、E139D、Y197D*、N308D、Q514H、Q514H、N58S、E123D、L206=、A465G、P495S、G507R、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0792】
いくつかの実施形態において、FGFR1変異としては、N577K、K687E、N577K、D166欠失、T371M、R476W、T350=、E498K、N577D、D683G、R87C、A154D、N303=、A374V、D550=、S633=、V695L、G728=、R765W、P803S、W19C、P56=、R113C、V149I、S158L、D166重複R220C、N224Kfs*8、D249N、R281W、R281Q、A299S、S424L、S461F、S467F、R506Q、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0793】
いくつかの実施形態において、EP300変異としては、D1399N、Y1414C、M1470Cfs*26、Y1111*、H2324Pfs*55、R1627W、N2209_Q2213欠失挿入K、Q2268欠失、L415P、M1470Nfs*3、E1514K、C1201Y、P1452L、S952*、C1164Y、D1399Y、S507G、Q824*、D1507N、H2324Tfs*29、P925T、P1440L、W1466C、P1502L、A1629V、R1645*、N1700Tfs*9、P1869L、Q65*、A171V、R202*、R580Q、A627V、Q1082*、N1236Kfs*2、N1286S、R1312*、R1356*、C1385F、H1451L、R1462*、Y1467N、Y1467H、R1478H、R1627Q、R86*、R370H、R397*、R754C、P842S、I997V、E1014*、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0794】
いくつかの実施形態において、MYC変異変異としては、E61T、E68I、R74Q、R75N、W135E、W136E、V394D、L420P、W96E、V325D、L351P、N末端で41アミノ酸が欠失したMYCタンパク質(dN2MYC)、N26S、S161L、P74L、V7M、F153S、E54D、P246、L164V、P74S、A59V、T73I、P72T、T73A、H374R、P17S、T73N、S264N、P72S、Q52欠失、S21T、P74A、S107N、P75S、S77P、P261S、P74Q、S190R、A59T、F153C、P75H、T73I、S77F、N11S、S21N、P78L、P72L、N9K、S190N、S267F、T73P、P78S、G105D、S187C、L71M、Q10H、L191x、Q50x、L191F、R25K、F130L、Y27S、D195N、D2G、V20A、V6G、V20I、D2H、P75A、G152D、P74T、C40Y、E8K、Q48x、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0795】
いくつかの実施形態において、EZH2変異はヒストンのメチル化パターンの変化と関連している。いくつかの実施形態において、EZH2変異の変異によって、アミノ酸Y641(Y646、触媒ドメインと同等)がF、N、H、SまたはCのいずれかに変換され、それによりH3K27が過剰にトリメチル化され、リンパ腫形が駆動される。いくつかの実施形態において、上記EZH2変異は、EZH2 SETドメイン変異、EZH2の過剰発現、他のPRC2サブユニットの過剰発現、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)の機能喪失変異、及びMLL2の機能喪失を含む。EZH2 Y646変異に対してヘテロ接合である細胞によって、EZH2タンパク質に対してホモ接合性の野生型(WT)である細胞、またはY646変異に対してホモ接合性である細胞と比較して、H3K27が過剰にトリメチル化される。
【0796】
いくつかの実施形態において、EZH2変異としては、Y646F、Y646N、D185H、Y646F、Y646S、Y646H、R690H、Y646X、E745K、Y646C、V626M、V679M、R690H、R684H、A682G、E249K、G159R、R288Q、N322S、A692V、R690C、D730*(挿入フレームシフト)、S695L、R684C、M667T、R288*、S644*、D192N、K550T、Q653E、D664G、R347Q、Y646C、G660R、R213C、A255T、S538L、N693K、I55M、R561H、A692V、K515R、Y733*、R63*、Q570*、Q328*、R25Q、T467P A656V、T573I、C571Y、E725K、R16W、P577L、F145S、V680M、G686D、G135R、K634E、S652F、R298C、G648E、R566H、L149R、R502Q、Y731D、R313W、N675K、S652C、T374Hfs*3、N152Ifs*15、E401Kfs*22、K406Mfs*17、E246*、S624C、I146T、V626M、L674S、H694R、A581S、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0797】
いくつかの実施形態において、JAK2変異はJAK2遺伝子中の変異であり、G1920T変異、G1920T/C1922T変異、またはG1920A変異との組み合わせでのT1923C変異が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態において、JAK2変異は、V617F、V617I、R683G、N542_E543欠失、E543_D544欠失、R683S、R683X、F537_K539欠失挿入L(フレーム内欠失)、K539L、N1108S、R1113H、R1063H、R487C、I540Mfs*3(欠失-フレームシフト)、R867Q、K539L、G571S、R1113C、R938Q、R228Q、L830*、E1080*、K539L、C618R、R564Q、D1036H、L1088S、H538Nfs*4、D873N、V392M、I682F、L393V、M535I、C618R、T875N、L611V、D319N、L611S、G921S、H538Y、S1035L、及びそれらの組み合わせを含む、但しこれらに限定されない、1つ以上の置換を含む変異JAK2タンパク質である。
【0798】
いくつかの実施形態において、FBXW7変異は、W244*(*:停止コドン)、R222*、R278*、E192A、S282*、E113D、R465H/C、726+1G>Aスプライス、R505C、R479Q、R465C、R367*、R499Vfs*25(fs*:フレームシフト)、R658*、D600Y、D520N、D520Y、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される点変異である。さらなる実施形態において、上記FBXW7変異は、R479Q及びS582L、R465H及びS582L、D520N、D520Y及びR14Q、ならびにR367*及びS582Lを含む、但しこれらに限定されない、二重または三重変異である。
【0799】
いくつかの実施形態において、CCND3変異としては、S259A、R271Pfs*53(挿入によるフレームシフト)、E51*、Q260*、P199S、T283A、T283P、V287D、D286_T288欠失、R271Gfs*33、Q276*、R241Q、D238G、R33P、I290K、I290T、I290R、P267fs、P284S、P284L、P100S、E253D、S262I、R14W、R114L、D238N、A266E、R167W、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0800】
いくつかの実施形態において、GNA11変異としては、Q209L、R183C、T257=、R183C、G208Afs*16、Q209H、R183C、Q209P、Q209R、Q209H、?T96=、R210W、R256Q、T334=、G48D、S53G、Q209P、R213Q、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態において、上記GNA11変異は、エクソン4に2つの変異、例えば、VI82の変異及びT175の変異、またはエクソン5に1つ以上の変異を有する。
【0801】
2.PD-1阻害剤及びPD-L1阻害剤との併用
いくつかの実施形態において、がん患者に提供されるTIL療法は、治療用TIL集団単独による治療を含んでいてもよく、またはTILと1種以上のPD-1阻害剤及び/またはPD-L1阻害剤とを含む併用治療を含んでいてもよい。
【0802】
プログラム死1(PD-1)は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)T細胞、活性化単球、及び樹状細胞によって発現される288アミノ酸の膜貫通免疫チェックポイント受容体タンパク質である。CD279としても知られるPD-1は、CD28ファミリーに属し、ヒトにおいては第2染色体上のPdcdl遺伝子によってコードされる。PD-1は、1つの免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリードメイン、膜貫通領域、及び免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)及び免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフ(ITSM)を含む細胞内ドメインから構成される。Keir, et al., Annu. Rev. Immunol. 2008, 26, 677-704によって報告されているように、PD-1ならびにそのリガンド(PD-L1及びPD-L2)は免疫寛容において重要な役割を果たす。PD-1はT細胞免疫応答を負に制御する抑制シグナルを与える。PD-L1(B7-H1またはCD274としても知られる)及びPD-L2(B7-DCまたはCD273としても知られる)は腫瘍細胞上及び間質細胞上で発現し、これらの細胞はPD-1を発現する活性化T細胞に遭遇する可能性があり、これがT細胞の免疫抑制に繋がる。PD-L1は、ヒト9番染色体上のCd274遺伝子によってコードされる290アミノ酸の膜貫通タンパク質である。Topalian, et al., N. Eng. J. Med. 2012, 366, 2443-54に報告されているような最近の臨床研究において実証されているように、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、及び/またはPD-L2阻害剤の使用によってPD-1とそのリガンドであるPD-L1及びPD-L2との間の相互作用を遮断することにより、免疫耐性を克服することができる。PD-L1は多くの腫瘍細胞株上で発現する一方、PD-L2は主として樹状細胞及び少数の腫瘍細胞株上で発現する。PD-1は、T細胞(活性化後にPD-1を誘導的に発現する)に加えて、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、活性化単球、及び樹状細胞上でも発現する。
【0803】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、当技術分野で公知の任意のPD-1阻害剤またはPD-1遮断剤であってよい。特に、上記のPD-1阻害剤またはPD-1遮断剤は、以下の段落でより詳細に説明するPD-1阻害剤または遮断剤の1種である。用語「阻害剤」、「アンタゴニスト」、及び「遮断剤」は、本明細書では、PD-1阻害剤に関して同義で使用される。疑義を避けるために申し述べるが、抗体であるPD-1阻害剤に対する本明細書での言及は、化合物またはその抗原結合フラグメント、変異体、コンジュゲート、もしくはバイオシミラーを指す場合がある。疑義を避けるために申し述べるが、本明細書でのPD-1阻害剤への言及は、小分子化合物またはその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを指す場合もある。
【0804】
好ましい実施形態において、上記PD-1阻害剤は、抗体(すなわち、抗PD-1抗体)、そのFabフラグメント、または単鎖可変フラグメント(scFv)を含むそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はポリクローナル抗体である。好ましい実施形態において、上記PD-1阻害剤はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤は、PD-1との結合に関して競合する、及び/またはPD-1上のエピトープに結合する。一実施形態において、上記抗体は、PD-1との結合につ関して競合する、及び/またはPD-1上のエピトープに結合する。
【0805】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤は、約100pM以下のKD(結合解離定数)でヒトPD-1に結合する、約90pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約80pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約70pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約60pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約50pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約40pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約30pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約20pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、約10pM以下のKDでヒトPD-1に結合する、または約1pM以下のKDでヒトPD-1に結合するPD-1阻害剤である。
【0806】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤は、約7.5×10l/M・s以上のkassoc(結合速度定数)でヒトPD-1に結合する、約7.5×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-1に結合する、約8×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-1に結合する、約8.5×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-1に結合する、約9×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-1に結合する、約9.5×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-1に結合する、または約1×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-1に結合するPD-1阻害剤である。
【0807】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤は、約2×10-5l/s以下のkdissoc(解離速度定数)でヒトPD-1に結合する、約2.1×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.2×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.3×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.4×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.5×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.6×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.7×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.8×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、約2.9×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合する、または約3×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-1に結合するPD-1阻害剤である。
【0808】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤は、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約10nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約9nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約8nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約7nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約6nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約5nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約4nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約3nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約2nM以下のIC50で遮断または阻害する、あるいはヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を約1nM以下のIC50で遮断または阻害するPD-1阻害剤である。
【0809】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb Co.からOPDIVOとして市販されている)、またはそのバイオシミラー、抗原結合フラグメント、コンジュゲート、もしくは変異体である。ニボルマブはPD-1受容体を遮断する完全ヒトIgG4抗体である。一実施形態において、上記抗PD-1抗体は免疫グロブリンG4κ抗(ヒトCD274)抗体である。ニボルマブは、Chemical Abstracts Service(CAS)登録番号946414-94-4が割り当てられており、5C4、BMS-936558、MDX-1106、及びONO-4538としても知られている。ニボルマブの調製及び特性は、米国特許第8,008,449号及び国際特許公開第WO2006/121168号に記載されており、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。さまざまな形態のがんにおけるニボルマブの臨床上の安全性及び有効性は、Wang, et al., Cancer Immunol. Res. 2014, 2, 846-56;Page, et al., Ann. Rev. Med., 2014, 65, 185-202;及びWeber, et al., J. Clin. Oncology, 2013, 31, 4311-4318(上記文献の開示は本明細書に援用される)に報告されている。ニボルマブのアミノ酸配列を表18に示す。ニボルマブは、22-96、140-196、254-314、360-418、22’’-96’’、140’’-196’’、254’’-314’’、及び360’’-418’’に重鎖内ジスルフィド結合;23’-88’、134’-194’、23’’’-88’’’、及び134’’’-194’’’に軽鎖内ジスルフィド結合;127-214’、127’’-214’’’に重鎖-軽鎖間ジスルフィド結合、219-219’’及び222-222’’に重鎖-重鎖間ジスルフィド結合;ならびに290、290’’にN-グリコシル化部位(H CH2 84.4)を含む。
【0810】
一実施形態において、PD-1阻害剤は、配列番号158に示す重鎖及び配列番号159に示す軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号158及び配列番号159に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号158及び配列番号159に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号158及び配列番号159に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号158及び配列番号159に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号158及び配列番号159に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号463及び配列番号159に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0811】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、ニボルマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、上記PD-1阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号160に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、上記PD-1阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号161に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号160及び配列番号161に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号160及び配列番号161に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるVH及びVL領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号160及び配列番号161に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号160及び配列番号161に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号160及び配列番号161に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるVH及びVL領域を含む。
【0812】
一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号162、配列番号163、及び配列番号164に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号165、配列番号166、及び配列番号167に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、PD-1上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0813】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、ニボルマブに関する抗PD-1バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗PD-1抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はニボルマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗PD-1抗体であり、上記抗PD-1抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はニボルマブである。上記抗PD-1抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はニボルマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はニボルマブである。
【表4】
【0814】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はニボルマブまたはそのバイオシミラーであり、ニボルマブは約0.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はニボルマブまたはそのバイオシミラーであり、ニボルマブは約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2mg/kg、2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、または約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0815】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はニボルマブまたはそのバイオシミラーであり、ニボルマブは約200mg~約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はニボルマブまたはそのバイオシミラーであり、ニボルマブは、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、または約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0816】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はニボルマブまたはそのバイオシミラーであり、ニボルマブは2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、または6週間毎に投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0817】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除不能な黒色腫または転移黒色腫を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除不能な黒色腫または転移黒色腫を治療するために投与され、2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除不能な黒色腫または転移黒色腫を治療するために投与され、4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除不能な黒色腫または転移黒色腫を治療するために投与され、約1mg/kgで投与され、続いて同日にイピリムマブ3mg/kgが投与され、これが3週間毎に4回繰り返され、次いで2週間毎に240mgまたは4週間毎に480mgが投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与はIL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0818】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは黒色腫のアジュバント治療のために投与される。いくつかの実施形態において、黒色腫のアジュバント治療のために、2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、黒色腫のアジュバント治療のために、4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0819】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、転移非小細胞肺癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、転移非小細胞肺癌を治療するために、2週間毎に約3mg/kgで、6週間毎に約1mg/kgのイピリムマブと共に投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、転移非小細胞肺癌を治療するために、3週間毎に約360mgで、6週間毎に1mg/kgのイピリムマブ及び2サイクルのプラチナダブレット化学療法と共に投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、転移非小細胞肺癌を治療するために、2週間毎に約240mgまたは4週間毎に480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0820】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、小細胞肺癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、小細胞肺癌を治療するために、2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0821】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、悪性胸膜中皮腫を治療するために、3週間毎に約360mgで、6週間毎に1mg/kgのイピリムマブと共に投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0822】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは進行腎細胞癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、進行腎細胞癌を治療するために2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、進行腎細胞癌を治療するために4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、進行腎細胞癌を治療するために約3mg/kgで投与され、続いて同日にイピリムマブが1mg/kgで投与され、これが3週間毎に4回繰り返され、次いで2週間毎に240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、進行腎細胞癌を治療するために約3mg/kgで投与され、続いて同日にイピリムマブが1mg/kgで投与され、これが3週間毎に4回繰り返され、次いで、2週間毎に240mgまたは4週間毎に480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0823】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは古典的ホジキンリンパ腫を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、古典的ホジキンリンパ腫を治療するために2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、古典的ホジキンリンパ腫を治療するために4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0824】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、頭頸部の再発または転移扁平上皮癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、頭頸部の再発または転移扁平上皮癌を治療するために2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、頭頸部の再発または転移扁平上皮癌を治療するために4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0825】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、局所進行または転移尿路上皮癌を治療するために2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、局所進行または転移尿路上皮癌を治療するために4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与はIL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブはまた、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0826】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、成人患者及び小児患者における高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、40kg以上の成人患者及び小児患者における高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために、2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、40kg以上の成人患者及び小児患者における高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために、4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0827】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、40kg未満の小児患者における高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために、2週間毎に約3mg/kgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、40kg以上の成人患者及び小児患者における高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために、約3mg/kgで投与され、続いて同日にイピリムマブが1mg/kgで投与され、これが3週間毎に4回繰り返され、次いで2週間毎に240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、40kg以上の成人患者及び小児患者における高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために、約3mg/kgで投与され、続いて同日にイピリムマブが1mg/kgで投与され、これが3週間毎に4回繰り返され、次いで4週間毎に480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0828】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは、肝細胞癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、肝細胞癌を治療するために2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、肝細胞癌を治療するために4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、肝細胞癌を治療するために、約1mg/kgで投与され、続いて同日にイピリムマブが3mg/kgで投与され、これが3週間毎に4回繰り返され、次いで2週間毎に240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、肝細胞癌を治療するために、約1mg/kgで投与され、続いて同日にイピリムマブが3mg/kgで投与され、これが3週間毎に4回繰り返され、次いで4週間毎に480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0829】
いくつかの実施形態において、ニボルマブは食道扁平上皮癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、食道扁平上皮癌を治療するために、2週間毎に約240mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、食道扁平上皮癌を治療するために、4週間毎に約480mgで投与される。いくつかの実施形態において、ニボルマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ニボルマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ニボルマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0830】
別の実施形態において、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USAからKEYTRUDAとして市販されている)、またはその抗原結合フラグメント、コンジュゲート、もしくは変異体を含む。ペムブロリズマブにはCAS登録番号1374853-91-4が割り当てられており、ランブロリズマブ、MK-3475、及びSCH-900475としても知られる。ペムブロリズマブは、免疫グロブリンG4、抗(ヒトタンパク質PDCD1(プログラム細胞死1))(ヒト-Mus musculusモノクローナル重鎖)、ヒト-Mus musculusモノクローナル軽鎖とのジスルフィド、二量体(immunoglobulin G4, anti-(human protein PDCD1 (programmed cell death 1)) (human-Mus musculus monoclonal heavy chain), disulfide with human-Mus musculus monoclonal light chain, dimer)構造を有する。ペムブロリズマブの上記構造は、免疫グロブリンG4、抗(ヒトプログラム細胞死1);ヒト化マウスモノクローナル[228-L-プロリン(H10-S>P)]γ4重鎖(134-218’)-ヒト化マウスモノクローナルκ軽鎖とのジスルフィド二量体(226-226’’:229-229’’)-ビスジスルフィド(immunoglobulin G4, anti-(human programmed cell death 1);humanized mouse monoclonal [228-L-proline(H10-S>P)]γ4 heavy chain (134-218’)-disulfide with humanized mouse monoclonal κ light chain dimer (226-226’’:229-229’’)-bisdisulfide)として記述することもできる。ペムブロリズマブの特性、使用、及び調製は、国際特許公開第WO2008/156712A1号、米国特許第8,354,509号、米国特許出願公開第US2010/0266617A1号、第US2013/0108651A1号、及び第US2013/0109843A2号に記載されており、これらの開示は本明細書に援用される。さまざまな形態のがんにおけるペムブロリズマブの臨床上の安全性及び有効性は、Fuerst, Oncology Times, 2014, 36, 35-36;Robert, et al., Lancet, 2014, 384, 1109-17;及びThomas, et al., Exp. Opin. Biol. Ther., 2014, 14, 1061-1064に報告されている。ペンブロリズマブのアミノ酸配列を表19に示す。ペンブロリズマブは、以下のジスルフィド架橋、すなわち、22-96、22’’-96’’、23’-92’、23’’’-92’’’、134-218’、134’’-218’’’、138’-198’、138’’’-198’’’、147-203、147’’-203’’、226-226’’、229-229’’、261-321、261’’-321’’、367-425、及び367’’-425’’、ならびに以下のグリコシル化部位(N)、すなわち、Asn-297及びAsn-297’’を含む。ペムブロリズマブは、Fc領域中に安定化S228P変異を有するIgG4/κイソ型であり、この変異がIgG4ヒンジ領域に挿入されることによって、IgG4抗体に関して一般的に観測される半分子の形成が防止される。ペムブロリズマブは、各重鎖のFcドメイン内のAsn297で不均一にグリコシル化されており、インタクトな抗体の分子量は約149kDaである。ペムブロリズマブの主たる糖型はフコシル化アガラクト二分岐型グリカン(G0F)である。
【0831】
一実施形態において、PD-1阻害剤は、配列番号168によって示す重鎖及び配列番号169によって示す軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号168及び配列番号169に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号168及び配列番号169に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号168及び配列番号169に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号168及び配列番号169に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号168及び配列番号169に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号168及び配列番号169に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0832】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、上記PD-1阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号170に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、PD-1阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号171に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号170及び配列番号171に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号170及び配列番号171に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号170及び配列番号171に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号170及び配列番号171に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号170及び配列番号171に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるV及びV領域を含む。
【0833】
一実施形態において、PD-1阻害剤は、それぞれ配列番号172、配列番号173、及び配列番号174に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号175、配列番号176、及び配列番号177に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、PD-1上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0834】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、ペムブロリズマブに関する抗PD-1バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗PD-1抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はペムブロリズマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗PD-1抗体であり、上記抗PD-1抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はペムブロリズマブである。上記抗PD-1抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はペムブロリズマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はペムブロリズマブである。

【表5】
【0835】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーであり、ペムブロリズマブは約0.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーであり、ペムブロリズマブは約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、または約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0836】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーであり、ペムブロリズマブは約200mg~約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーであり、ペムブロリズマブは、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、または約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0837】
いくつかの実施形態において、上記PD-1阻害剤はペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーであり、ペムブロリズマブは2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、または6週間毎に投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0838】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは黒色腫を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは黒色腫を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは黒色腫を治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0839】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブはNSCLCを治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブはNSCLCを治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブはNSCLCを治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0840】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは小細胞肺癌(SCLC)を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブはSCLCを治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態においSCLCて、ペムブロリズマブはNSCLCを治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0841】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブはHNSCCを治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブはHNSCCを治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0842】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは古典的ホジキンリンパ腫(cHL)または原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)または原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)を治療するために、成人に対して6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)または原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)を治療するために、小児に対して3週間毎に約2mg/kg(最大200mg)で投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブはま切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0843】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、尿路上皮癌を治療するために3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、尿路上皮癌を治療するために6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0844】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)癌を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、MSI-HまたはdMMR癌を治療するために、成人に対して6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、MSI-HまたはdMMR癌を治療するために、小児に対して3週間毎に約2mg/kg(最大200mg)で投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与はIL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0845】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)結腸直腸癌(CRC)を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、MSI-HまたはdMMR CRCを治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0846】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、胃癌を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、胃癌を治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0847】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、食道癌を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、食道癌を治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0848】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、子宮頸癌を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、子宮頸癌を治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0849】
いくつかの実施形態において、ペンブロリズマブは、肝細胞癌(HCC)を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、HCCを治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0850】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、メルケル細胞癌(MCC)を治療するために、成人に対して3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、MCCを治療するために、成人に対して6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、MCCを治療するために、小児に対して、3週間毎に約2mg/kg(最大200mg)で投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0851】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、腎細胞癌(RCC)を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、RCCを治療するために、アキシチニブ5mgが1日2回経口投与されると共に、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0852】
いくつかの実施形態において、ペンブロリズマブは、子宮内膜癌を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、子宮内膜癌を治療するために、MSI-HまたはdMMRではない腫瘍に対して、レンバチニブ20mgが1日1回経口投与されると共に、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0853】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、腫瘍変異負荷高値(TMB-H)癌を治療するために、成人に対して3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、TMB-H癌を治療するために、成人に対して6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、TMB-H癌を治療するために、小児に対して3週間毎に約2mg/kg(最大200mg)で投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0854】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、皮膚有棘細胞癌(cSCC)を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、cSCCを治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0855】
いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を治療するために、3週間毎に約200mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、TNBCを治療するために、6週間毎に約400mgで投与される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0856】
一実施形態において、患者または対象が成人、すなわち、成人の適応症の治療である場合、6週間毎に400mgの追加の投薬レジメンを採用してもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、3、4、または5日後に開始される。いくつかの実施形態において、上記ペムブロリズマブの投与は、IL-2投与の1、2、または3日後に開始される。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブは、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に投与されてもよい。
【0857】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、抗m-PD-1クローンJ43(カタログ番号BE0033-2)及びRMP1-14(カタログ番号BE0146)(Bio X Cell, Inc., West Lebanon, NH, USA)などの市販の抗PD-1モノクローナル抗体である。多くの市販の抗PD-1抗体が当業者に公知である。
【0858】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、米国特許第8,354,509号または米国特許出願公開第2010/0266617A1号、第2013/0108651A1号、第2013/0109843A2号に開示される抗体であり、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、米国特許第8,287,856号、第8,580,247号、及び第8,168,757号、ならびに米国特許出願公開第2009/0028857A1号、第2010/0285013A1号、第2013/0022600A1号、及び第2011/0008369A1号に記載の抗PD-1抗体であり、上記特許文献の教示は、本記述をもって援用される。別の実施形態において、上記PD-1阻害剤は、米国特許第8,735,553B1号に開示の抗PD-1抗体であり、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、CT-011としても知られるピジリズマブであり、これは米国特許第8,686,119号に記載され、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。
【0859】
一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、米国特許第8,907,053号、第9,096,642号、及び第9,044,442号、ならびに米国特許出願公開第US2015/0087581号に記載されるものなどの、小分子またはペプチド、もしくはペプチド誘導体;米国特許出願公開第2015/0073024号に記載のものなどの1,2,4-オキサジアゾール化合物及び誘導体;米国特許出願公開第2015/0073042号に記載のものなどの環状ペプチド模倣化合物及び誘導体;米国特許出願公開第2015/0125491号に記載のものなどの環状化合物及び誘導体;国際特許出願公開第WO2015/033301号に記載のものなどの1,3,4-オキサジアゾール及び1,3,4-チアジアゾール化合物及び誘導体;国際特許出願公開第WO2015/036927号及び第WO2015/04490号に記載のものなどのペプチド系化合物及び誘導体;あるいは米国特許出願公開第US2014/0294898号に記載のものなどの大環状ペプチド系化合物及び誘導体であってよく、上記特許文献のそれぞれの開示は、本記述をもってそれらの全体が援用される。一実施形態において、上記PD-1阻害剤は、Regeneron, Inc.から市販されているセミプリマブである。
【0860】
一実施形態において、上記PD-L1またはPD-L2阻害剤は、当技術分野で公知の任意のPD-L1またはPD-L2阻害剤、アンタゴニスト、または遮断剤であってよい。特に、上記PD-L1またはPD-L2阻害剤は、以下の段落でより詳細に説明するPD-L1またはPD-L2阻害剤、アンタゴニスト、または遮断剤の1種である。本明細書では、用語「阻害剤」、「アンタゴニスト」、及び「遮断剤」は、PD-L1及びPD-L2阻害剤に関して同義で使用される。疑義を避けるために申し述べるが、本明細書では、抗体であるPD-L1またはPD-L2阻害剤への言及は、化合物またはその抗原結合フラグメント、変異体、コンジュゲート、もしくはバイオシミラーを指す場合がある。疑義を避けるために申し述べるが、本明細書では、PD-L1またはPD-L2阻害剤への言及は、化合物またはその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを指す場合がある。
【0861】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物、プロセス、及び方法は、PD-L1またはPD-L2阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、上記PD-L1またはPD-L2阻害剤は小分子である。好ましい実施形態において、上記PD-L1またはPD-L2阻害剤は、抗体(すなわち、抗PD-1抗体)、そのFabフラグメント、または単鎖可変フラグメント(scFv)を含むそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、上記PD-L1またはPD-L2阻害剤はポリクローナル抗体である。好ましい実施形態において、上記PD-L1またはPD-L2阻害剤はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、上記PD-L1もしくはPD-L2阻害剤は、PD-L1もしくはPD-L2との結合に関して競合し、且つ/またはPD-L1もしくはPD-L2上のエピトープに結合する。一実施形態において、上記抗体は、PD-L1もしくはPD-L2との結合に関して競合し、且つ/またはPD-L1もしくはPD-L2上のエピトープに結合する。
【0862】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるPD-L1阻害剤は、当該化合物がPD-L2受容体を含む他の受容体と結合もしくは相互作用する濃度よりも実質的に低い濃度で、該化合物がPD-L1と結合または相互作用するという点で、PD-L1に対して選択的である。特定の実施形態において、上記化合物は、該化合物がPD-L2受容体と結合する結合定数よりも少なくとも約2倍高い、約3倍高い、約5倍高い、約10倍高い、約20倍高い、約30倍高い、約50倍高い、約100倍高い、約200倍高い、約300倍高い、または約500倍高い結合定数でPD-L1受容体と結合する。
【0863】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるPD-L2阻害剤は、当該化合物がPD-L1受容体を含む他の受容体と結合もしくは相互作用する濃度よりも実質的に低い濃度で、該化合物がPD-L2と結合または相互作用するという点で、PD-L2に対して選択的である。特定の実施形態において、上記化合物は、該化合物がPD-L1受容体と結合する結合定数よりも少なくとも約2倍高い、約3倍高い、約5倍高い、約10倍高い、約20倍高い、約30倍高い、約50倍高い、約100倍高い、約200倍高い、約300倍高い、または約500倍高い結合定数でPD-L2受容体と結合する。
【0864】
いかなる理論にも拘束されるものではないが、腫瘍細胞はPD-L1を発現し、T細胞はPD-1を発現すると考えられている。但し、腫瘍細胞によるPD-L1の発現は、PD-1阻害剤もしくは遮断剤またはPD-L1阻害剤もしくは遮断剤の有効性にとって必要あるものではない。一実施形態において、腫瘍細胞はPD-L1を発現する。別の実施形態において、腫瘍細胞はPD-L1を発現しない。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載のものなどのPD-1抗体とPD-L1抗体との組み合わせを、TILと組み合わせることを含んでいてもよい。PD-1抗体及びPD-L1抗体とTILとの組み合わせの投与は、同時であっても逐次的であってもよい。
【0865】
いくつかの実施形態において、上記PD-L1阻害剤及び/またはPD-L2阻害剤は、約100pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約90pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約80pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約70pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約60pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約50pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約40pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、または約30pM以下のKDでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する上記阻害剤である。
【0866】
いくつかの実施形態において、上記PD-L1阻害剤及び/またはPD-L2阻害剤は、約7.5×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約8×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約8.5×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約9×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、約9.5×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する、または約1×10l/M・s以上のkassocでヒトPD-L1及び/もしくはPD-L2に結合する上記阻害剤である。
【0867】
いくつかの実施形態において、上記PD-L1阻害剤及び/またはPD-L2阻害剤は、約2×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1もしくはPD-L2に結合する、約2.1×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1に結合する、約2.2×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1に結合する、約2.3×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1に結合する、約2.4×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1に結合する、約2.5×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1に結合する、約2.6×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1に結合する、約2.7×-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1もしくはPD-L2に結合する、または約3×10-5l/s以下のkdissocでヒトPD-L1もしくはPD-L2に結合する上記阻害剤である。
【0868】
いくつかの実施形態において、上記PD-L1阻害剤及び/またはPD-L2阻害剤は、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約10nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約9nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約8nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約7nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約6nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約5nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約4nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約3nM以下のIC50で遮断または阻害する、ヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約2nM以下のIC50で遮断または阻害する、あるいはヒトPD-L1もしくはヒトPD-L2のヒトPD-1への結合を、約1nM以下のIC50で遮断または阻害する上記阻害剤である。
【0869】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、MEDI4736としても知られるデュルバルマブ(AstraZeneca plc.の子会社であるMedimmune, LLC, Gaithersburg, Marylandから市販されている)、またはその抗原結合フラグメント、コンジュゲート、または変異体である。一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、米国特許第8,779,108号または米国特許出願公開第2013/0034559号に開示の抗体であり、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。デュルバルマブの臨床上の効果は、Page, et al., Ann. Rev. Med., 2014, 65, 185-202;Brahmer, et al., J. Clin. Oncol. 2014, 32, 5s (supplement, abstract 8021);及びMcDermott, et al., Cancer Treatment Rev., 2014, 40, 1056-64に報告されている。デュルバルマブの調製及び特性は米国特許第8,779,108号に記載されており、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。デュルバルマブのアミノ酸配列を表20に示す。デュルバルマブモノクローナル抗体は、22-96、22’’-96’’、23’-89’、23’’’-89’’’、135’-195’、135’’’-195’’’、148-204、148’’-204’’、215’-224、215’’’-224’’、230-230’’、233-233’’、265-325、265’’-325’’、371-429、及び371’’-429’にジスルフィド結合、ならびにAsn-301及びAsn-301’’にN-グリコシル化部位を含む。
【0870】
一実施形態において、PD-L1阻害剤は、配列番号178によって示す重鎖及び配列番号179によって示す軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ、配列番号178及び配列番号179に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号178及び配列番号179に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号178及び配列番号179に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号178及び配列番号179に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号178及び配列番号179に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号178及び配列番号179に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0871】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、デュルバルマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、上記PD-L1阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号180に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、PD-L1阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号181に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号180及び配列番号181に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号180及び配列番号181に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号180及び配列番号181に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号180及び配列番号181に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号180及び配列番号181に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるV及びV領域を含む。
【0872】
一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号182、配列番号183、及び配列番号184に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号185、配列番号186、及び配列番号187に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、PD-L1上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0873】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、デュルバルマブに関する抗PD-L1バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗PD-L1抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はデュルバルマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗PD-L1抗体であり、上記抗PD-L1抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はデュルバルマブである。上記抗PD-L1抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はデュルバルマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はデュルバルマブである。

【表6】
【0874】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、MSB0010718C(Merck KGaA/EMD Seronoから市販されている)としても知られるアベルマブ、またはその抗原結合フラグメント、コンジュゲート、もしくは変異体である。アベルマブの調製及び特性は、米国特許出願公開第2014/0341917A1号に記載され、その開示は具体的に本明細書に援用される。アベルマブのアミノ酸配列を表21に示す。アベルマブは、22-96、147-203、264-324、370-428、22’’-96’’、147’’-203’’、264’’-324’’、及び370’’-428’’に重鎖内ジスルフィド結合(C23~C104);22’-90’、138’-197’、22’’’-90’’’、及び138’’’-197’’’に軽鎖内ジスルフィド結合(C23-C104);223-215’及び223’’-215’’’に重鎖-軽鎖内ジスルフィド結合(h 5-CL 126);229-229’’及び232-232’’に重鎖-重鎖内ジスルフィド結合(h 11、h 14);300、300’’にN-グリコシル化部位(H CH2 N84.4);フコシル化された複雑な二アンテナCHO型グリカン;ならびに450及び450’にH CHS K2 C末端リシンクリッピングを有する。
【0875】
一実施形態において、PD-L1阻害剤は、配列番号188によって示す重鎖及び配列番号189によって示す軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ、配列番号188及び配列番号189に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号188及び配列番号189に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号188及び配列番号189に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号188及び配列番号189に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号188及び配列番号189に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号188及び配列番号189に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0876】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、アベルマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、上記PD-L1阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号190に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、PD-L1阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号191に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号190及び配列番号191に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号190及び配列番号191に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号190及び配列番号191に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号190及び配列番号191に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号190及び配列番号191に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるV及びV領域を含む。
【0877】
一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号192、配列番号193、及び配列番号194に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号195、配列番号196、及び配列番号197に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、PD-L1上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0878】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、アベルマブに関する抗PD-L1バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗PD-L1抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアベルマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗PD-L1抗体であり、上記抗PD-L1抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアベルマブである。上記抗PD-L1抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアベルマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアベルマブである。

【表7】
【0879】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、MPDL3280AまたはRG7446としても知られるアテゾリズマブ(Genentech, Inc., Roche Holding AGの子会社, Basel, Switzerlnd)からTECENTRIQとして市販されている)、またはその抗原結合フラグメント、コンジュゲート、もしくはその変異体である。一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は米国特許第8,217,149号に開示の抗体であり、上記特許文献の開示は本明細書に具体的に援用される。一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、米国特許出願公開第2010/0203056A1号、第2013/0045200A1号、第2013/0045201A1号、第2013/0045202A1号、または第2014/0065135A1号に開示された抗体であり、それらの開示は本明細書に具体的に援用される。アテゾリズマブの調製及び特性は米国特許第8,217,149号に記載されており、その開示は本明細書に援用される。アテゾリズマブのアミノ酸配列を表22に示す。アテゾリズマブは、22-96、145-201、262-322、368-426、22’’-96’’、145’’-201’’、262’’-322’’、及び368’’-426’’に重鎖内ジスルフィド結合(C23-C104);23’-88’、134’-194’、23’’’-88’’’、及び134’’’-194’’’に軽鎖内ジスルフィド結合(C23-C104);221-214’及び221’’-214’’’に重鎖-軽鎖内ジスルフィド結合(h5-CL 126);227-227’’及び230-230’’に重鎖-重鎖内ジスルフィド結合(h 11、h 14);ならびに298及び298’にN-グリコシル化部位(H CH2 N84.4>A)を有する。
【0880】
一実施形態において、PD-L1阻害剤は、配列番号198によって示す重鎖及び配列番号199によって示す軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ、配列番号198及び配列番号199に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号198及び配列番号199に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号198及び配列番号199に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号198及び配列番号199に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号198及び配列番号199に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号198及び配列番号199に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0881】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、上記PD-L1阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号200に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、PD-L1阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号201に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号200及び配列番号201に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号200及び配列番号201に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号200及び配列番号201に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号200及び配列番号201に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号200及び配列番号201に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるV及びV領域を含む。
【0882】
一実施形態において、PD-L1阻害剤は、それぞれ配列番号202、配列番号203、及び配列番号204に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号205、配列番号206、及び配列番号207に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、PD-L1上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0883】
一実施形態において、上記PD-L1阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、アテゾリズマブに関する抗PD-L1バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗PD-L1抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアテゾリズマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗PD-L1抗体であり、上記抗PD-L1抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアテゾリズマブである。上記抗PD-L1抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアテゾリズマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はアテゾリズマブである。

【表8】
【0884】
一実施形態において、PD-L1阻害剤としては、米国特許出願公開第US2014/0341917A1号に記載の抗体が挙げられ、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。別の実施形態において、PD-L1との結合に関してこれらの抗体のいずれかと競合する抗体も含まれる。一実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、BMS-935559としても知られるMDX-1105であり、これは米国特許第7,943,743号に開示され、その開示は本明細書に援用される。一実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、米国特許第7,943,743号(本明細書に援用される)に開示の抗PD-L1抗体から選択される。
【0885】
一実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、INVIVOMAB抗m-PD-L1クローン10F.9G2(カタログ番号BE0101, Bio X Cell, Inc., West Lebanon, NH, USA)などの市販のモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記抗PD-L1抗体は、AFFYMETRIX EBIOSCIENCE(MIH1)などの市販のモノクローナル抗体である。多くの市販の抗PD-L1抗体が当業者に公知である。
【0886】
一実施形態において、上記抗PD-L2抗体は、BIOLEGEND 24F.10C12マウスIgG2a、κイソ型(カタログ番号329602 Biolegend, Inc., San Diego, CA)、SIGMA抗PD-L2抗体(カタログ番号SAB3500395, Sigma-Aldrich Co., St. Louis, MO)、または当業者に公知の他の市販の抗PD-L2抗体などの、市販のモノクローナル抗体である。
【0887】
いくつかの実施形態において、本発明は、TILレジメンを施すステップを含むがんの患者の治療方法であって、上記TILレジメンが、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含み、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを投与するステップをさらに含む、上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、及び(ii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを含む組成物を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、及び(ii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを含むキットを含む。
【0888】
3.CTLA-4阻害剤との併用
いくつかの実施形態において、がん患者に提供されるTIL療法は、治療用TIL集団単独による治療を含んでいてもよく、またはTILと1種以上のCTLA-4阻害剤とを含む併用治療を含んでいてもよい。
【0889】
細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)は、免疫グロブリンスーパーファミリーの構成因子であり、ヘルパーT細胞の表面上で発現する。CTLA-4は、CD28依存性T細胞活性化の負の制御因子であり、適応免疫応答のチェックポイントとして機能する。T細胞共刺激タンパク質CD28と同様に、CTLA-4結合抗原は細胞上にCD80及びCD86を提示する。CTLA-4は抑制シグナルをT細胞に送達する一方、CD28は刺激シグナルを送達する。ヒトCTLA-4に対するヒト抗体は、ウイルス感染症及び細菌感染症の治療または予防、及びがんの治療などの、多くの疾患状態における免疫刺激モジュレーターとして記載されている(WO01/14424及びWO00/37504)。イピリムマブ(MDX-010)及びトレメリムマブ(CP-675,206)を含む、但しこれらに限定されない多数の完全ヒト抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体(mAb)が、種々の固形腫瘍の治療に関する治験において検討されている。
【0890】
いくつかの実施形態において、CTLA-4阻害剤は、当技術分野で公知の任意のCTLA-4阻害剤または遮断剤であってよい。特に、上記CTLA-4阻害剤は、以下の段落でより詳細に説明するCTLA-4阻害剤または遮断剤の1種である。本明細書では、用語「阻害剤」、「アンタゴニスト」、及び「遮断剤」は、CTLA-4阻害剤に関して同義で使用される。疑義を避けるために申し述べるが、抗体であるCTLA-4に対する本明細書での言及は、化合物またはその抗原結合フラグメント、変異体、コンジュゲート、もしくはバイオシミラーを指す場合がある。疑義を避けるために申し述べるが、本明細書でのCTLA-4への言及は、小分子化合物またはその薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、水和物、共結晶、もしくはプロドラッグを指す場合もある。
【0891】
本発明の方法における使用に好適なCTLA-4阻害剤としては、抗CTLA-4抗体、ヒト抗CTLA-4抗体、マウス抗CTLA-4抗体、哺乳動物抗CTLA-4抗体、ヒト化抗CTLA-4抗体、モノクローナル抗CTLA-4抗体、ポリクローナル抗CTLA-4抗体、キメラ抗CTLA-4抗体、MDX-010(イピリムマブ)、トレメリムマブ、抗CD28抗体、抗-CTLA-4アドネクチン、抗CTLA-4ドメイン抗体、単鎖抗CTLA-4フラグメント、重鎖抗CTLA-4フラグメント、軽鎖抗CTLA-4フラグメント、共刺激経路を刺激するCTLA-4の阻害剤、PCT公開第WO2001/014424号に開示の抗体、PCT公開第WO2004/035607号に開示の抗体、米国公開第2005/0201994号に開示の抗体、登録欧州特許第EP1212422B1号に開示の抗体が挙げられるが、これらに限定はされない(上記特許文献のそれぞれの開示は本明細書に援用される)。さらなるCTLA-4抗体は、第5,811,097号、第5,855,887号、第6,051,227号、及び第6,984,720号;PCT公開第WO01/14424号及び第WO00/37504号;ならびに米国公開第2002/0039581号及び第2002/086014号に記載され、上記特許文献のそれぞれの開示は本明細書に援用される。本発明の方法で使用することができる他の抗CTLA-4抗体としては、例えば、WO98/42752;米国特許第6,682,736号及び第6,207,156号;Hurwitz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95(17):10067-10071 (1998);Camacho et al., J. Clin. Oncology, 22(145): Abstract No. 2505 (2004) (antibody CP-675206);Mokyr et al., Cancer Res., 58:5301-5304 (1998)、ならびに米国特許第5,977,318号、第6,682,736号、第7,109,003号、及び第7,132,281号に開示の抗CTLA-4抗体が挙げられ、上記文献のそれぞれの開示は本明細書に援用される。
【0892】
さらなるCTLA-4阻害剤としては、以下、すなわち、CD28抗原のその同族リガンドに結合する能力を破壊すること、CTLA-4のその同族リガンドに結合する能力を阻害すること、共刺激経路を介してT細胞応答を増大させること、B7のCD28及び/またはCTLA-4に結合する能力を妨害すること、B7の共刺激経路を活性化する能力を妨害すること、CD80のCD28及び/またはCTLA-4に結合する能力を妨害すること、CD80の共刺激経路を活性化する能力を妨害すること、CD86のCD28及び/またはCTLA-4に結合する能力を妨害すること、CD86の共刺激経路を活性化する能力を妨害すること、ならびに共刺激経路が全般的に活性化されることを妨害することができる任意の阻害剤が挙げられるが、これらに限定はされない。これには必然的に、他のCTLA-4阻害剤がある中で、共刺激経路の他の構成因子がある中で、CD28、CD80、CD86、CTLA-4の小分子阻害剤;共刺激経路の他の構成因子がある中で、CD28、CD80、CD86、CTLA-4に対する抗体;共刺激経路の他の構成因子がある中で、CD28、CD80、CD86、CTLA-4に対するアンチセンス分子;;共刺激経路の他の構成因子がある中で、CD28、CD80、CD86、CTLA-4に対するアドネクチン;共刺激経路の他の構成因子がある中で、CD28、CD80、CD86、CTLA-4のRNAi阻害剤(一本鎖及び二本鎖の両方)を含む。
【0893】
いくつかの実施形態において、CTLA-4阻害剤は、約10-6M以下、10-7M以下、10-8M以下、10-9M以下、10-10M以下未満、10-11M以下、10-12M以下、例えば、10-13M~10-16M、またはエンドポイントとして上述の値のいずれか2つを有する任意の範囲内のKでCTLA-4に結合する。いくつかの実施形態において、CTLA-4阻害剤は、同一のアッセイを使用して比較した場合に、イピリムマブのKの10倍以下のKでCTLA-4に結合する。いくつかの実施形態において、CTLA-4阻害剤は、同一のアッセイを使用して比較した場合に、イピリムマブのKとほぼ同一かまたはそれよりも小さい(例えば、最小で1/10の小ささ、または最小で1/100の小ささ)のKでCTLA-4に結合する。いくつかの実施形態において、CTLA-4阻害剤による、CTLA-4のCD80またはCD86に対する結合の阻害のIC50値は、同一のアッセイを使用して比較した場合に、イピリムマブによって媒介されるCTLA-4のそれぞれCD80またはCD86に対する結合の阻害のIC50値の10倍以下である。いくつかの実施形態において、CTLA-4阻害剤による、CTLA-4のCD80またはCD86に対する結合の阻害のIC50値は、同一のアッセイを使用して比較した場合に、イピリムマブによって媒介されるCTLA-4のそれぞれCD80またはCD86に対する結合の阻害のIC50値とほぼ同一かまたはそれよりも小さい(例えば、最小で1/10の小ささ、または最小で1/100の小ささ)。
【0894】
いくつかの実施形態において、CTLA-4阻害剤は、適宜の対照に対して、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは100%、例えば、50%~75%、75%~90%、もしくは90%~100%、CTLA-4の発現を阻害する、及び/またはその生物学的活性を低下させるのに十分な量で使用される。いくつかの実施形態において、CTLA-4経路阻害剤は、適宜の対照に対して、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは100%、例えば、適宜の対照に対して、50%~75%、75%~90%、もしくは90%~100%、CTLA-4のCD80もしくはCD86、または両方に対する結合を低減することによって、CTLA-4の生物学的活性を低下させるのに十分な量で使用される。対象となる薬剤の効果を評価または定量化する文脈における好適な対照は、一般的には、上記対象の薬剤、例えばCTLA-4経路阻害剤に暴露されていない、もしくは該薬剤で処理されていない(またはごくわずかな量に曝露されたもしくはごくわずかな量で処理された)同等の生物学的系(例えば、細胞または対象)である。いくつかの実施形態において、生物学的系はそれ自体の対照の役割を果たしてもよい(例えば、当該の生物学的系を、当該薬剤への曝露または該薬剤による処理の前に評価し、曝露または処理を開始したまたは該処理が終了した後の状態と比較してもよい)。いくつかの実施形態において、バックグラウンドの(historical)対照を使用してもよい。
【0895】
一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(Bristol-Myers Squibb Co.からYervoyとして市販されている)、またはそのバイオシミラー、抗原結合フラグメント、コンジュゲート、もしくは変異体である。当技術分野で公知のように、イピリムマブとは、機能性のヒトレパートリーを生成するための重鎖及び軽鎖をコードするヒト遺伝子を有するトランスジェニックマウスに由来する完全ヒトIgG1κ抗体である抗CTLA-4抗体を指す。イピリムマブは、そのCAS登録番号477202-00-9及びPCT公開第WO01/14424号(その全体が全ての目的に対して本明細書に援用される)によって参照することもできる。イピリムマブは抗体10D1として開示されている。詳細には、イピリムマブは、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む(配列番号211を含む軽鎖可変領域及び配列番号210を含む重鎖可変領域を有する)。イピリムマブの医薬組成物としては、イピリムマブ及び1種以上の希釈剤、ビヒクル、または賦形剤を含む全ての薬学的に許容される組成物が挙げられる。イピリムマブを含む医薬組成物の例は、国際特許出願公開第WO2007/67959号に記載されている。イピリムマブは静脈内(IV)投与することができる。
【0896】
一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、配列番号208によって示す重鎖及び配列番号209によって示す軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号208及び配列番号209に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号208及び配列番号209に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号208及び配列番号209に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号208及び配列番号209に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号208及び配列番号209に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号208及び配列番号209に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0897】
一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号210に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、CTLA-4阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号211に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号210及び配列番号211に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号210及び配列番号211に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号210及び配列番号211に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号210及び配列番号211に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号210及び配列番号211に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるV及びV領域を含む。
【0898】
一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号212、配列番号213、及び配列番号214に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号215、配列番号216、及び配列番号217に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、CTLA-4上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0899】
一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、イピリムマブに関する抗CTLA-4バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗CTLA-4抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はイピリムマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。イピリムマブのアミノ酸配列を表23に示す。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗CTLA-4抗体であり、上記抗CTLA-4抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はイピリムマブである。上記抗CTLA-4抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はイピリムマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はイピリムマブである。

【表9】
【0900】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はイピリムマブまたはそのバイオシミラーであり、イピリムマブは約0.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はイピリムマブまたはそのバイオシミラーであり、イピリムマブは、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、または約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0901】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はイピリムマブまたはそのバイオシミラーであり、イピリムマブは約200mg~約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はイピリムマブまたはそのバイオシミラーであり、イピリムマブは、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、または約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0902】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はイピリムマブまたはそのバイオシミラーであり、イピリムマブは、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、または6週間毎に投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0903】
いくつかの実施形態において、イピリムマブは、切除不能または転移黒色腫を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、切除不能または転移黒色腫を治療するために、3週間毎に約 mg/kgで最大4回投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0904】
いくつかの実施形態において、イピリムマブは黒色腫のアジュバント治療のために投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、黒色腫のアジュバント治療のために、3週間毎に約10mg/kgで4回投与され、その後、12週間毎に10mg/kgで最大3年間投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0905】
いくつかの実施形態において、イピリムマブは進行腎細胞癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、進行腎細胞癌を治療するために、ニボルマブ3mg/kgが投与されるのと同日の直後に約1mg/kgで投与され、これが3週間毎に4回繰り返される。いくつかの実施形態において、上記併用の4回の投与を完了した後に、ニボルマブは、進行腎細胞癌及び/または腎細胞癌用の標準的な投薬レジメンに従って、単剤として投与されてもよい。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0906】
いくつかの実施形態において、イピリムマブは、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌を治療するために、ニボルマブ3mg/kgが30分間にわたって静脈内投与されるのと同日の直後に、約1mg/kgで30分間にわたって静脈内投与され、これが3週間毎に4回繰り返される。いくつかの実施形態において、上記併用の4回の投与を完了した後に、ニボルマブを、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)転移結腸直腸癌用の標準的な投薬レジメンに従って推奨されるように、単剤として投与する。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0907】
いくつかの実施形態において、イピリムマブは、肝細胞癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、肝細胞癌を治療するために、ニボルマブ1mg/kgが30分間にわたって静脈内投与されるのと同日の直後に、約3mg/kgで30分間にわたって静脈内投与され、これが3週間毎に4回繰り返される。いくつかの実施形態において、上記併用の4回の投与を完了した後に、ニボルマブを、肝細胞癌用の標準的な投薬レジメンに従って単剤として投与する。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0908】
いくつかの実施形態において、イピリムマブは、転移非小細胞肺癌を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、転移非小細胞肺癌を治療するために、2週間毎のニボルマブ3mg/kgと共に、6週間毎に約1mg/kgで投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、転移非小細胞肺癌を治療するために、3週間毎のニボルマブ360mg及び2サイクルのプラチナダブレット化学療法と共に、6週間毎に約1mg/kgで投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0909】
いくつかの実施形態において、イピリムマブは、悪性胸膜中皮腫を治療するために投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブは、悪性胸膜中皮腫を治療するために、3週間毎のニボルマブ360mgと共に、6週間毎に約1mg/kgで投与される。いくつかの実施形態において、イピリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記イピリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0910】
トレメリムマブ(CP-675,206としても知られる)は、完全ヒトIgG2モノクローナル抗体であり、CAS番号745013-59-6を有する。トレメリムマブは、米国特許第6,682,736号(本明細書に援用される)において抗体11.2.1として開示される。トレメリムマブの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号218及び219に示す。トレメリムマブは、黒色腫及び乳がんを含む種々の腫瘍の治療に関する治験において検討されており、上記治験において、トレメリムマブは、4週間または12週間毎に単回投与または複数回投与のいずれかとして、0.01~15mg/kgの用量範囲で静脈内投与された。本発明によって提供されるレジメンでは、トレメリムマブは局所投与、特に皮内投与または皮下投与される。皮内投与または皮下投与されるトレメリムマブの有効量は、通常、一人当り5~200mg/回の範囲である。いくつかの実施形態において、トレメリムマブの有効量は、一人当り10~150mg/回の範囲である。いくつかの特定の実施形態において、トレメリムマブの有効量は、一人当り約10、25、37.5、40、50、75、100、125、150、175、または200mg/回である。
【0911】
一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、配列番号218によって示す重鎖及び配列番号219によって示す軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号218及び配列番号219に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号218及び配列番号219に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号218及び配列番号219に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号218及び配列番号219に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号218及び配列番号219に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号218及び配列番号219に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0912】
一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、トレメリムマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号220に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、上記CTLA-4阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号221に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号220及び配列番号221に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号220及び配列番号221に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号220及び配列番号221に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号220及び配列番号221に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号220及び配列番号221に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるV及びV領域を含む。
【0913】
一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号222、配列番号223、及び配列番号224に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号225、配列番号226、及び配列番号227に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、CTLA-4上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0914】
一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、トレメリムマブに関する抗CTLA-4バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗CTLA-4抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はトレメリムマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。トレメリムマブのアミノ酸配列を表24に示す。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗CTLA-4抗体であり、上記抗CTLA-4抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はトレメリムマブである。上記抗CTLA-4抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はトレメリムマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はトレメリムマブである。

【表10】
【0915】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はトレメリムマブまたはそのバイオシミラーであり、トレメリムマブは約0.5mg/kg~約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はトレメリムマブまたはそのバイオシミラーであり、トレメリムマブは、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、2.5mg/kg、約3mg/kg、約3.5mg/kg、約4mg/kg、約4.5mg/kg、約5mg/kg、約5.5mg/kg、約6mg/kg、約6.5mg/kg、約7mg/kg、約7.5mg/kg、約8mg/kg、約8.5mg/kg、約9mg/kg、約9.5mg/kg、または約10mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、トレメリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記トレメリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0916】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はトレメリムマブまたはそのバイオシミラーであり、トレメリムマブは約200mg~約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はトレメリムマブまたはそのバイオシミラーであり、トレメリムマブは、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、または約500mgの用量で投与される。いくつかの実施形態において、トレメリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記トレメリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0917】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤はトレメリムマブまたはそのバイオシミラーであり、トレメリムマブは、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、または6週間毎に投与される。いくつかの実施形態において、トレメリムマブの投与は、切除の1、2、3、4、または5週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。いくつかの実施形態において、上記トレメリムマブの投与は、切除の1、2、または3週間前(すなわち、対象または患者から腫瘍試料を得る前)に開始される。
【0918】
一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、Agenus製ザリフレリマブ、またはそのバイオシミラー、抗原結合フラグメント、コンジュゲート、もしくは変異体である。ザリフレリマブは完全ヒトモノクローナル抗体である。ザリフレリマブには、Chemical Abstracts Service(CAS)登録番号2148321-69-9が割り当てられており、AGEN1884としても知られている。ザリフレリマブの調製及び特性は、米国特許第10,144,779号及び米国特許出願公開第US2020/0024350A1号に記載され、上記特許文献の開示は本明細書に援用される。
【0919】
一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、配列番号228によって示す重鎖及び配列番号229によって示す軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号228及び配列番号229に示す配列、またはそれらの抗原結合フラグメント、Fabフラグメント、単鎖可変フラグメント(scFv)、変異体、もしくはコンジュゲートを有する重鎖及び軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号228及び配列番号229に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号228及び配列番号229に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号228及び配列番号229に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号228及び配列番号229に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号228及び配列番号229に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一である重鎖ならびに軽鎖を含む。
【0920】
一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、ザリフレリマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたは可変領域(VR)を含む。一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤の重鎖可変領域(V)は、配列番号230に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含み、上記CTLA-4阻害剤の軽鎖可変領域(V)は、配列番号231に示す配列、またはその保存的アミノ酸置換体を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号230及び配列番号231に示す配列とそれぞれ少なくとも99%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号230及び配列番号231に示す配列とそれぞれ少なくとも98%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号230及び配列番号231に示す配列とそれぞれ少なくとも97%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号230及び配列番号231に示す配列とそれぞれ少なくとも96%同一であるV及びV領域を含む。一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号230及び配列番号231に示す配列とそれぞれ少なくとも95%同一であるV及びV領域を含む。
【0921】
一実施形態において、CTLA-4阻害剤は、それぞれ配列番号232、配列番号233、及び配列番号234に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびに、それぞれ配列番号235、配列番号236、及び配列番号237に示す配列、またはそれらの保存的アミノ酸置換体を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。一実施形態において、上記抗体は、上述の抗体のいずれかとして、CTLA-4上の同一のエピトープへの結合に関して競合する及び/または上記エピトープに結合する。
【0922】
一実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、医薬品規制当局によって承認された、ザリフレリマブに関するCTLA-4バイオシミラーモノクローナル抗体である。一実施形態において、上記バイオシミラーは、基準医薬品もしくは基準生物学的産物のアミノ酸配列に対して、少なくとも97%の配列同一性、例えば、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記基準医薬品もしくは基準生物学的産物と比較して、1つ以上の翻訳後修飾を含む抗CTLA-4抗体を含み、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はザリフレリマブである。いくつかの実施形態において、上記1つ以上の翻訳後修飾は、グリコシル化、酸化、脱アミド化、及び切断のうちの1つ以上から選択される。ザリフレリマブのアミノ酸配列を表25に示す。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、承認されたまたは承認申請された抗CTLA-4抗体であり、上記抗CTLA-4抗体は、基準医薬品または基準生物学的産物の製剤とは異なる製剤で提供され、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はザリフレリマブである。上記抗CTLA-4抗体は、米国FDA及び/または欧州連合のEMAなどの医薬品規制当局によって承認されていてもよい。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは、1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はザリフレリマブである。いくつかの実施形態において、上記バイオシミラーは1種以上の賦形剤をさらに含む組成物として提供され、上記1種以上の賦形剤は、基準医薬品もしくは基準生物学的産物に含まれる賦形剤と同一であるかまたは異なり、但し、上記基準医薬品または基準生物学的産物はザリフレリマブである。

【表11】
【0923】
さらなる抗CTLA-4抗体の例としては、当業者に公知のAGEN1181、BMS-986218、BCD-145、ONC-392、CS1002、REGN4659、及びADG116が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0924】
いくつかの実施形態において、上記抗CTLA-4抗体は、以下の特許公開公報、すなわち、US2019/0048096、US2020/0223907、US2019/0201334、US2019/0201334、US2005/0201994、EP1212422Bl、WO2018/204760、WO2018/204760、WO2001/014424、WO2004/035607、WO2003/086459、WO2012/120125、WO2000/037504、WO2009/100140、WO2006/09649、WO2005/092380、WO2007/123737、WO2006/029219、WO2010/0979597、WO2006/12168、及びWO1997/020574(上記特許文献のそれぞれは本明細書に援用される)のいずれかに開示される抗CTLA-4抗体である。さらなるCTLA-4抗体は、米国特許第5,811,097、第5,855,887号、第6,051,227号、及び第6,984,720号;PCT公開第WO01/14424号及び第WO00/37504号;米国公開第2002/0039581号及び第2002/086014号、ならびに/または米国特許第5,977,318号、第6,682,736号、第7,109,003号、及び第7,132,281号(上記特許文献のそれぞれは本明細書に援用される)に記載される。いくつかの実施形態において、上記抗CTLA-4抗体は、例えば、WO98/42752;米国特許第6,682,736号及び第6,207,156号;Hurwitz, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95, 10067-10071 (1998);Camacho, et al., J. Clin. Oncol., 2004, 22, 145 (Abstract No. 2505 (2004) (antibody CP-675206);またはMokyr, et al., Cancer Res., 1998, 58, 5301-5304 (1998)(これらの文献のそれぞれは本明細書に援用される)に開示される抗CTLA-4抗体である。
【0925】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、WO1996/040915(本明細書に援用される)に開示されるCTLA-4リガンドである。
【0926】
いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、CTLA-4発現の核酸阻害剤である。例えば、抗CTLA-4 RNAi分子は、PCT公開第WO1999/032619号及び第WO2001/029058号;米国公開第2003/0051263号、第2003/0055020号、第2003/0056235号、第2004/265839号、第2005/0100913号、第2006/0024798号、第2008/0050342号、第2008/0081373号、第2008/0248576号、及び第2008/055443号;ならびに/または米国特許第6,506,559号、第7,282,564号、第7,538,095号、及び第7,560,438号(本明細書に援用される)に記載の分子の形態をとる場合がある。場合によっては、上記抗CTLA-4RNAi分子は、欧州特許第EP1309726号(本明細書に援用される)に記載の二本鎖RNAi分子の形態をとる。場合によっては、上記抗CTLA-4RNAi分子は、米国特許第7,056,704号及び第7,078,196号(本明細書に援用される)に記載の二本鎖RNAi分子の形態をとる。いくつかの実施形態において、上記CTLA-4阻害剤は、国際特許出願公開第WO2004/081021号(本明細書に援用される)に記載のアプタマーである。
【0927】
他の実施形態において、本発明の抗CTLA-4RNAi分子は、米国特許第5,898,031号、第6,107,094号、第7,432,249号、及び第7,432,250号、ならびに欧州出願第EP0928290号(本明細書に援用される)に記載のRNA分子である。
【0928】
いくつかの実施形態において、本発明は、TILレジメンを施すステップを含むがんの患者の治療方法であって、上記TILレジメンが、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含み、CTLA-4阻害剤を投与するステップをさらに含む、上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、及び(ii)CTLA-4阻害剤を含む組成物を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、及び(ii)CTLA-4阻害剤を含むキットを含む。
【0929】
いくつかの実施形態において、本発明は、TILレジメンを施すステップを含むがんの患者の治療方法であって、上記TILレジメンが、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含み、CTLA-4阻害剤と、PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを投与するステップをさらに含む、上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)CTLA-4阻害剤、及び(iii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを含む組成物を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)CTLA-4阻害剤、及び(iii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを含むキットを含む。
【0930】
4.患者のリンパ球除去プレコンディショニング
ある実施形態において、本発明は、TIL集団でがんを処置する方法を含み、ここで患者は本開示に係るTILの注入前に骨髄非破壊的化学療法で前処置される。ある実施形態において、本発明は、骨髄非破壊的化学療法で前処置された患者のがん処置に使用するためのTILの集団を含む。ある実施形態において、TILの集団は注入による投与用である。ある実施形態において、骨髄非破壊的化学療法は、2日間(TIL注入前27日目及び26日目)のシクロホスファミド60mg/kg/日及び5日間(TIL注入前27~23日目)のフルダラビン25mg/m/日である。ある実施形態において、骨髄非破壊的化学療法及び本開示に係るTIL注入(0日目)の後、患者は生理学的忍容量まで8時間毎に静脈内に720,000IU/kgのIL-2(アルデスロイキン、PROLEUKINとして市販)の静脈内注入を受ける。特定の実施形態では、TILの集団は、IL-2と組み合わせてがんを処置するのに使用され、IL-2はTILの集団の後に投与される。
【0931】
実験的知見から、腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入前のリンパ球枯渇が、調節性T細胞及び免疫系の競合エレメント(「サイトカインシンク」)の除去により、処置有効性の増強において重要な役割を果たすことが指摘される。従って、本発明の一部の実施形態は、本発明のTILを導入する前に患者に対してリンパ球枯渇ステップ(「免疫抑制コンディショニング」とも称される)を利用する。
【0932】
一般に、リンパ球枯渇はフルダラビン又はシクロホスファミド(その活性型はマホスファミドと称される)及びこれらの組み合わせの投与を使用して行われる。かかる方法については、Gassner, et al., Cancer Immunol.Immunother.2011, 60, 75-85, Muranski, et al., Nat.Clin.Pract.Oncol., 2006, 3, 668-681, Dudley, et al., J. Clin.Oncol.2008, 26, 5233-5239、及びDudley, et al., J. Clin.Oncol.2005, 23, 2346-2357(これらは全て、本明細書において全体として参照により援用される)に記載されている。
【0933】
一部の実施形態において、フルダラビンは0.5μg/ml~10μg/mLフルダラビンの濃度で投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは1μg/mLフルダラビンの濃度で投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日間又はそれ以上にわたり投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは、10mg/kg/日、15mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日、又は45mg/kg/日の投薬量で投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は35mg/kg/日で2~7日間にわたり投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は35mg/kg/日で4~5日間にわたり投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は25mg/kg/日で4~5日間にわたり投与される。
【0934】
一部の実施形態において、活性型のシクロホスファミドであるマホスファミドは、シクロホスファミドの投与による0.5μg/mL~10μg/mLの濃度で得られる。一部の実施形態において、活性型のシクロホスファミドであるマホスファミドは、シクロホスファミドの投与による1μg/mLの濃度で得られる。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日間又はそれ以上にわたり投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、100mg/m/日、150mg/m/日、175mg/m/日、200mg/m/日、225mg/m/日、250mg/m/日、275mg/m/日、又は300mg/m/日の投薬量で投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは静脈内に(即ち、i.v.)投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は35mg/kg/日で2~7日間にわたり投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は250mg/m/日、i.v.で4~5日間にわたり投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は250mg/m/日、i.v.で4日間にわたり投与される。
【0935】
一部の実施形態において、リンパ球枯渇は、フルダラビン及びシクロホスファミドの患者に併せて投与することで実施される。一部の実施形態において、4日間にわたってフルダラビンは25mg/m2/日、i.v.で投与され、シクロホスファミドは250mg/m/日、i.v.で投与される。
【0936】
ある実施形態において、リンパ球枯渇は、60mg/m/日の用量で2日間のシクロホスファミドの投与ステップと、それに続く25mg/m/日の用量で5日間のフルダラビンの投与により実施される。
【0937】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、60mg/m/日の用量で2日間のシクロホスファミドの投与と、25mg/m/日の用量で5日間のフルダラビンの投与とによって実施され、但し、最初の2日間はシクロホスファミドとフルダラビンの両方が投与され、リンパ球除去は全部で5日間で実施される。
【0938】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、約50mg/m/日の用量で2日間のシクロホスファミドの投与と、約25mg/m/日の用量で5日間のフルダラビンの投与とによって実施され、但し、最初の2日間はシクロホスファミドとフルダラビンの両方が投与され、リンパ球除去は全部で5日間で実施される。
【0939】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、約50mg/m/日の用量で2日間のシクロホスファミドの投与と、約20mg/m/日の用量で5日間のフルダラビンの投与とによって実施され、但し、最初の2日間はシクロホスファミドとフルダラビンの両方が投与され、リンパ球除去は全部で5日間で実施される。
【0940】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、約40mg/m/日の用量で2日間のシクロホスファミドの投与と、約20mg/m/日の用量で5日間のフルダラビンの投与とによって実施され、但し、最初の2日間はシクロホスファミドとフルダラビンの両方が投与され、リンパ球除去は全部で5日間で実施される。
【0941】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、約40mg/m/日の用量で2日間のシクロホスファミドの投与と、約15mg/m/日の用量で5日間のフルダラビンの投与とによって実施され、但し、最初の2日間はシクロホスファミドとフルダラビンの両方が投与され、リンパ球除去は全部で5日間で実施される。
【0942】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、60mg/m/日の用量のシクロホスファミド及び25mg/m/日の用量のフルダラビンの2日間の投与と、それに続く25mg/m2/日の用量のフルダラビンの3日間の投与とによって実施される。
【0943】
一実施形態において、シクロホスファミドはメスナと共に投与される。一実施形態において、メスナは15mg/kgで投与される。メスナが注入される実施形態において、且つ連続的に注入される場合、メスナは、シクロホスファミドの各用量と同時に開始され、シクロホスファミドと共に約2時間にわたって注入され(-5日目及び/または-4日目)、その後残りの22時間は3mg/kg/時間の速度で、24時間にわたって注入されてもよい。
【0944】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、患者への第3のTIL集団の投与の翌日に開始される、IL-2レジメンを使用して患者を処置するステップを含む。
【0945】
一実施形態において、上記リンパ球除去は、患者への第3のTIL集団の投与と同日に開始される、IL-2レジメンを使用して患者を処置するステップを含む。
【0946】
いくつかの実施形態において、上記リンパ球除去は、5日のプレコンディショニング処置を含む。いくつかの実施形態において、上記の「日」は、-5日目~-1日、または0日目~4日目として示される。いくつかの実施形態において、上記レジメンは、-5日目及び-4日目(すなわち、0日目及び1日目)のシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態において、上記レジメンは、-5日目及び-4日目(すなわち、0日目及び1日目)の静脈内投与シクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態において、上記レジメンは、-5日目及び-4日目(すなわち、0日目及び1日目)の60mg/kgでの静脈内投与シクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態において、シクロホスファミドはメスナと共に投与される。いくつかの実施形態において、上記レジメンはフルダラビンをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記レジメンは静脈内投与フルダラビンをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記レジメンは25mg/mの静脈内投与フルダラビンをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記レジメンは-5日目及び-1日目(すなわち、0日目~4日目)の25mg/mの静脈内投与フルダラビンをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記レジメンは-5日目及び-1日目(すなわち、0日目~4日目)の25mg/mの静脈内投与フルダラビンをさらに含む。
【0947】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは、60mg/m/日の用量のシクロホスファミド及び25mg/m/日の用量のフルダラビンの2日間の投与、ならびにそれに続く25mg/m/日の用量のフルダラビンの5日間の投与のステップを含む。
【0948】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは、60mg/m/日の用量のシクロホスファミド及び25mg/m/日の用量のフルダラビンの2日間の投与、ならびにそれに続く25mg/m/日の用量のフルダラビンの3日間の投与のステップを含む。
【0949】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表26に従って施される。
【表12】
【0950】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表27に従って施される。
【表13】
【0951】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表28に従って施される。

【表14】
【0952】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表29に従って施される。
【表15】
【0953】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表30に従って施される。
【表16】
【0954】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表31に従って施される。
【表17】
【0955】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表32に従って施される。
【表18】
【0956】
いくつかの実施形態において、上記骨髄非破壊性リンパ球除去レジメンは表33に従って施される。
【表19】
【0957】
いくつかの実施形態において、骨髄破壊的リンパ球除去レジメンの上述の実施形態と共に使用されるTIL注入液は、本明細書に記載の、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含む、本明細書に記載の任意のTIL組成物であってよく、上記TIL注入液に代えてのMIL及びPBLの注入液、ならびに、本明細書に記載のIL-2レジメンの追加及び併用療法剤(例えばPD-1及びPD-L1阻害剤など)の投与を含んでいてもよい。
【0958】
5.IL-2レジメン
ある実施形態において、IL-2レジメンは、高用量IL-2レジメンを含み、治療用TIL集団の治療有効部分を投与した1日後から静脈内投与され始めた、高用量IL-2レジメンはアルデスロイキン又はそのバイオシミラー若しくはそれらの変異体を含み、アルデロイキン又はそのバイオシミラー若しくは変異体が忍容量まで8時間毎に15分ボーラス静脈内注入を使用して、最大14用量で、0.037mg/kg又は0.044mg/kg IU/kg(患者の体重)の用量で投与される。9日間の休息の後、このスケジュールを更に14回、合計で最大28回まで繰り返してもよい。いくつかの実施形態において、IL-2は、1回、2回、3回、4回、5回、または6回投与される。いくつかの実施形態において、IL-2は、最大用量で最大6回投与される。
【0959】
ある実施形態において、IL-2レジメンは、漸減性IL-2レジメンを含む。漸減性IL-2レジメンは、O’Day, et al., J. Clin.Oncol.1999, 17, 2752-61及びEton, et al., Cancer 2000, 88, 1703-9に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に援用される。ある実施形態において、漸減性IL-2レジメンは、18×10 IU/mのアルデスロイキンまたはそのバイオシミラーもしくは変異体の6時間にわたる静脈内投与、それに続く18×106 IU/mの12時間にわたる静脈内投与、その後18×10 IU/mの24時間にわたる静脈内投与、その後4.5×10 IU/m2の72時間にわたる静脈内投与を含む。この処置サイクルは、最大4サイクル、28日毎に繰り返してもよい。ある実施形態において、漸減性IL-2レジメンは、1日目の18,000,000IU/m、2日目の9,000,000IU/m、3日目及び4日目の4,500,000IU/mを含む。
【0960】
一実施形態において、上記IL-2レジメンは低用量IL-2レジメンを含む。Dominguez-Villar and Hafler, Nat. Immunology 2000, 19, 665-673;Hartemann, et al., Lancet Diabetes Endocrinol. 2013, 1, 295-305;及びRosenzwaig, et al., Ann. Rheum. Dis. 2019, 78, 209-217(それらの開示は本明細書に援用される)に報告される低用量IL-2レジメンを含む、本技術分野で公知の、任意の低用量IL-2レジメンを使用することができる。一実施形態において、低用量IL-2レジメンは、24時間当たり18×10 IU/mのアルデスロイキンまたはそのバイオシミラーもしくは変異体を、5日間連続注入として投与し、続く2~6日間はIL-2療法を実施せず、続いて任意選択で、24時間当たり18×10 IU/mの連続注入として、さらに5日間、アルデスロイキンまたはそのバイオシミラーもしくは変異体を静脈内投与し、続く3週間は任意選択でIL-2療法を実施せず、その後追加のサイクルを施してもよい。
【0961】
一実施形態において、上記IL-2レジメンは、0.10mg/日~50mg/日の用量で、1、2、4、6、7、14、または21日毎にペグ化IL-2を投与することを含む。一実施形態において、上記IL-2レジメンは、0.10mg/日~50mg/日の用量で、1、2、4、6、7、14、または21日毎に、ベンペガルデスロイキン、またはそのフラグメント、変異体、もしくはバイオシミラーを投与することを含む。
【0962】
一実施形態において、上記IL-2レジメンは、0.10mg/日~50mg/日の用量で、1、2、4、6、7、14、または21日毎に、THOR-707、またはそのフラグメント、変異体、もしくはバイオシミラーを投与することを含む。
【0963】
一実施形態において、上記IL-2レジメンは、0.10mg/日~50mg/日の用量で、1、2、4、6、7、14、または21日毎に、ネムバロイキンアルファ、またはそのフラグメント、変異体、もしくはバイオシミラーを投与することを含む。
【0964】
一実施形態において、上記IL-2レジメンは、抗体骨格上に合体したIL-2フラグメントの投与を含む。一実施形態において、上記IL-2レジメンは、IL-2低親和性受容体に結合した抗体-サイトカイン合体タンパク質の投与を含む。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重鎖可変領域(V);LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む軽鎖可変領域(V);及び上記VもしくはVのCDR中に合体したIL-2分子またはそのフラグメントを含み、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、制御性T細胞に対してTエフェクター細胞を優先的に増殖させる。一実施形態において、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重鎖可変領域(V);LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む軽鎖可変領域(V);及び上記VもしくはVのCDR中に合体したIL-2分子またはそのフラグメントを含み、上記IL-2分子はムテインであり、上記抗体サイトカイン合体タンパク質は、制御性T細胞よりもTエフェクター細胞を優先的に増殖する。一実施形態において、上記IL-2レジメンは、配列番号29及び配列番号38からなる群より選択される重鎖と、配列番号37及び配列番号39からなる群より選択される軽鎖とを含む抗体、またはそのフラグメント、変異体、もしくはバイオシミラーを、0.10mg/日~50mg/日の用量で、1、2、4、6、7、14、または21日毎に投与することを含む。
【0965】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体サイトカイン合体タンパク質は、アルデスロイキン(Proleukin(登録商標))または同等の分子などの、但しこれに限定されない野生型IL-2分子よりも長い血清半減期を有する。
【0966】
いくつかの実施形態において、骨髄破壊的リンパ球除去レジメンの上述の実施形態と共に使用されるTIL注入液は、本明細書に記載の任意のTIL組成物であってよく、上記TIL注入液に代えてのMIL及びPBLの注入液、ならびに、本明細書に記載のIL-2レジメンの追加及び併用療法剤(例えばPD-1及びPD-L1阻害剤など)の投与を含んでいてもよい。
【0967】
いくつかの実施形態において、本発明は、TILレジメンを施すステップを含むがんの患者の治療方法であって、上記TILレジメンが、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含み、IL-2レジメンを施すステップをさらに含む、上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、及び(ii)IL-2レジメンを含む組成物を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、及び(ii)IL-2レジメンを含むキットを含む。
【0968】
いくつかの実施形態において、本発明は、TILレジメンを施すステップを含むがんの患者の治療方法であって、上記TILレジメンが、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含み、IL-2レジメンを施す及びPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを投与するステップをさらに含む、上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)IL-2レジメン、及び(iii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを含む組成物を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)IL-2レジメン、及び(iii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを含むキットを含む。
【0969】
いくつかの実施形態において、本発明は、TILレジメンを施すステップを含むがんの患者の治療方法であって、上記TILレジメンが、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含み、CTLA-4阻害剤を投与し、IL-2レジメンを施すステップをさらに含む、上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)CTLA-4阻害剤、及び(iii)IL-2レジメンを含む組成物を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)CTLA-4阻害剤、及び(iii)IL-2レジメンを含むキットを含む。
【0970】
いくつかの実施形態において、本発明は、TILレジメンを施すステップを含むがんの患者の治療方法であって、上記TILレジメンが、CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物を含み、IL-2レジメンを施し、CTLA-4阻害剤及びPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれかを投与するステップをさらに含む、上記治療方法を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)IL-2レジメン、(iii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれか、及び(iv)CTLA-4阻害剤を含む組成物を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、(i)CCRを発現するように遺伝子組換えされたTIL産物、(ii)IL-2レジメン、(iii)PD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤のいずれか、及び(iv)CTLA-4阻害剤を含むキットを含む。
【0971】
B.養子細胞移入
養子細胞移入(ACT)は有効な形態の免疫療法であり、抗腫瘍活性を有する免疫細胞をがん患者に移入することを含む。ACTは、抗腫瘍活性を有するリンパ球のインビトロ同定、それらの細胞の数を増やすインビトロ拡大培養、及びがん担持宿主へのその注入を伴う治療手法である。養子移入に使用されるリンパ球は、切除された腫瘍の間質に由来してもよい(腫瘍浸潤リンパ球又はTIL)。ACT用のTILは、本明細書に記載されるとおり調製することができる。一部の実施形態において、TILは、例えば図2A及び/または図9に記載されるとおりの方法により調製される。TILはまた、抗腫瘍T細胞受容体(TCR)又はキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている場合には血液から誘導されてもよく、混合リンパ球腫瘍細胞培養物(MLTC)でエンリッチされてもよく、又は自己抗原提示細胞及び腫瘍由来ペプチドを使用してクローニングされてもよい。注入しようとするがん担持宿主にリンパ球が由来するACTは、自家ACTと称される。米国特許出願公開第2011/0052530号は、主に転移性黒色腫に罹患している患者の治療に向けた、がん退縮を促進するため養子細胞療法を実施する方法に関する(これらの方法に関して全体として参照により援用される)。一部の実施形態において、TILは、本明細書に記載されるとおり投与することができる。一部の実施形態において、TILは単回用量で投与することができる。かかる投与は、注射、例えば静脈内注射によってもよい。一部の実施形態において、TIL及び/又は細胞傷害性リンパ球は複数回用量で投与されてもよい。投与は、年1回、2回、3回、4回、5回、6回、又は6回超であってもよい。投与は、月1回、2週間に1回、週1回、又は隔日1回であってもよい。TIL及び/又は細胞傷害性リンパ球の投与は必要な限り継続されてもよい。
【0972】
V.細胞増殖産物の製造と患者の治療イベントの調整
本明細書において論じるように、患者からの腫瘍切除からTIL製造の完了までのタイミングは、例えば、患者から入手可能な腫瘍のサイズ、製造の種々の段階の終点における細胞数、製造の種々の段階に要する日数等を含むいくつかの因子に応じて変化する。結果として、患者のさまざまな治療イベントのスケジュール化にはある程度の柔軟性が必要である。いくつかの実施形態において、患者の治療イベントにはリンパ球除去が含まれる。いくつかの実施形態において、患者の治療イベントにはTIL注入が含まれる。いくつかの実施形態において、患者の治療イベントには白血球除去処置が含まれる。いくつかの実施形態において、患者の治療イベントにはIL-2レジメンの投与を含む。いくつかの実施形態において、患者の治療イベントには腫瘍切除が含まれる。いくつかの実施形態において、患者の治療イベントには術後の処置のための入院滞在が含まれる。
【0973】
本開示の一態様は、本明細書に開示の方法を実施するためのシステムを提供する。上記システムは、患者ポータル、製造ポータル、臨床医ポータル、及びロジスティックスポータルを含んでいてもよい。上記患者ポータルにより、患者または患者に関連する人(例えば、介護者、後見人、または法的に認められた代理人)(本明細書では便宜上「患者」と総称する)が、患者の治療イベントのスケジュールに関する情報にアクセスできるようになる。上記患者ポータルでは、患者がこの情報にアクセスするために認証情報を提供する必要がある場合がある。上記患者ポータルにより、患者は、例えば住所または他の個人情報などの、患者に関する情報を編集することも可能である。
【0974】
上記臨床医ポータル(病院側インターフェースとも呼ばれる)により、診療施設(すなわち、診療施設職員)が、患者、製造プロセス、製造施設、ロジスティクス提供者に関する情報、ならびに当該診療施設において行われた、もしくは行われる予定のさまざまな患者の治療イベントに関する情報にアクセスする及び/または上記情報を編集することが可能になる。
【0975】
上記製造ポータルは、病院側インターフェース及びロジスティクスポータル/ロジスティクスインターフェースと通信して、製造プロセス及び/または製造スロットの利用可能性に関する情報を決定及び伝達する。製造ポータルにより、本明細書に開示の種々の製造ステップにおいて更新された品質情報を含む製造ラベルの作成も可能になる。
【0976】
本明細書では、ロジスティクスインターフェースとも呼ばれるロジスティクスポータルは、製造ポータル及び病院側インターフェースと通信して、例えば、製造スケジュール、製造スロットの利用可能性、及び材料のタイムリーな出荷を容易にするための患者の治療イベントのスケジュールを含む、材料(すなわち、固形腫瘍、または製造された細胞療法製剤)の出荷スケジュールに関する情報を診療施設と製造施設の間で交換する。
【0977】
本明細書で開示のさまざまな方法を実施するためのシステムは、独自のコンピュータプログラムを実装するか、または例えばVineti、Salesforce.com、Salesforce Health Cloud、IQVIA、TracSel、及びSAPなどの市販のソフトウェアを適宜に修正することのいずれかにより、計算システムに実装することができる。
【0978】
上記システムを適切に実装し、本明細書に開示の1つ以上の方法を実行するように市販のソフトウェアプラットフォームを修正することにより、上記プラットフォームは、該プラットフォームの当初の設計の対象になっていなかったプロセスを実行することができる。換言すれば、いくつかの実施形態において、上記修正は、当該プラットフォームによって提供されるさまざまなツールの特殊な使い方に基づくことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示のさまざまな方法を実行するためのシステムは、物流業務の自動化を可能にする企業資源計画(enterprise resource planning)(ERP)システムと製造業務の自動化を可能にする製造実行システム(manufacturing execution system)(MES)とを統合するフレームワークプログラムなどのソフトウェアプラットフォームを含んでいてもよい。かかるフレームワークプログラムの例は米国特許第7,343,605号に記載されており、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。
【0979】
例えば、MESアプリケーションと共に、企業コントロールレベル(enterprise control level)(企業資源計画レベル(Enterprise Resource Planning level))及び自動化レベル(コントロールレベル)からのアプリケーションも、フレームワークプログラムを介して統合し、ワークステーションを介して監視または管理することができる(例えば、臨床施設、製造施設、または配送施設における)。したがって、フレームワークプログラムは、患者の登録、腫瘍の入手、製造施設への腫瘍の輸送、治療用または増殖細胞療法製剤の製造、治療用細胞療法製剤の臨床施設への輸送、患者への治療の実施、及びその後の患者の治療イベントを含む患者の治療プロセス全体のための統合プラットフォームを形成することができる。上記企業コントロールレベル、上記MESレベル、及び上記自動化レベルとは異なるアプリケーションを、上記フレームワークプログラムによって、アダプター及び/またはラッパーを用いて簡単に且つ費用効果的に統合することができる。したがって、上記フレームワークプログラムを、ミドルウェアプラットフォーム及び製造アプリケーション統合ツールと見なす必要がある。エンドユーザー(例えば、ケースマネージャー)は、ワークステーションを介して監視対象のアプリケーションのそれぞれのステータスを確認する、及び上記アプリケーションのデータ及びメソッドにアクセスすることもできる。さらに、エンドユーザーは、このアクセスによってアプリケーションを相互に接続することができる。
【0980】
したがって、上記フレームワークプログラムによって、第1に、異なる企業レベル由来のアプリケーションの垂直統合を実現することが可能になり、第2に、上記フレームワークプログラムによって、MESレベルでのアプリケーションの水平統合が可能になる。
【0981】
例えば、上記プラットフォーム中への情報の保存を可能にするソフトウェアベースのケースオブジェクトは、保存される情報のタイプの全体的なデフィニションである。例えば、既製のプラットフォーム中のソフトウェアベースのケースオブジェクトにより、顧客からの問い合わせに関する情報の保存が可能になる。かかるオブジェクトの場合、そのタイプのデータの特定のインスタンスに関する情報を格納する複数のレコードが存在する場合がある。したがって、個人のトレーニングについての問い合わせに関する情報を格納するケースレコードと、別の個人のコンフィギュレーションに関する情報を格納する別のケースレコードが出力される。これらのオブジェクトは、例えば、患者、当該の患者に関する患者の治療イベント、及び対応するスケジュールに関する情報を格納するようにカスタマイズすることができる。
【0982】
同様に、既製のプラットフォーム内で提供される、通知及びアラートなどの自動化されたアクション、及びビジネスロジックアクションなどのワークフロールールを修正して、スケジュール及びプロセスステップの変更、例えば、製造プロセスの変更、ならびにそれに伴う製造スケジュール、製造スロットの利用可能性、及びQA試験の結果に基づく患者の治療イベントのスケジュールの変更などをトリガーすることができる。
【0983】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、米国特許第10,747,209号及び米国特許第7,799,273号(それらの全体が本明細書に援用される)に記載されるものなどの、製造プロセスの間に起こり得る障害発生時点を判定するための品質保証機能を提供する。
【0984】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、その全体が本明細書に援用される米国特許第8,491,839号に記載されるものなどの、患者から得られた固形腫瘍(またはそのフラグメント)から最終的な細胞療法製剤を製造するプロセス中に作成された電子的バッチ記録の完全性を維持するように構成されたデータシステムを提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、治療用T細胞集団などの増殖細胞療法製剤を産生する細胞製造プロセスにおける使用に適合したアプリケーションソフトウェアを備える。上記アプリケーションソフトウェアは、ガス透過性装置などのセル製造用の閉鎖型システムに含まれる複数の装置を制御するように構成される。
【0985】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、本明細書に開示のアプリケーションソフトウェア及び細胞製造方法を統合して、複数のエンドユーザーによって使用される包括的な検証プロトコル及び品質保証プロトコルを提供し、それによってシステムからコンパイルされたデータが解析され且つ使用されて、品質保証プロトコル及び検証プロトコルが達成されているかどうかを判断する。
【0986】
いくつかの実施形態において、本システムは、上記アプリケーションソフトウェアを複数の製品ライン及び/または複数の細胞製造施設に適用し、それによって、複数の細胞製造ライン及び複数の製品ラインが同一システムを使用して監視及び制御される。
【0987】
いくつかの実施形態において、本システムが、本明細書に記載の方法を細胞製造プロセスの細胞培養システムのバッチ最適化に実行され、それにより、該細胞培養システムによってコンパイルされたデータが規定時間外に継続的に追跡され、上記データが当該細胞培養システムを解析するのに使用される。さらに、上記データは統合され、当該細胞製造プロセス全体の品質管理プロセスを解析するのに使用される。
【0988】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムにより、最終的な細胞療法製剤を製造するプロセスのさまざまなステップを実行するためのワークステーションの設計が可能になる。上記ワークステーションは、前のステップに関連するデータの検証が可能になり、実行中のプロセスの完全性を保証し、可能な場合には是正措置を講じることができるように構成することができる。かかるワークステーション設計の例は米国特許第8,041,444号に記載され、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。
【0989】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、病院施設と、該病院施設で得られた固形腫瘍から細胞療法製剤を製造することが可能なさまざまな製造業者との間の調整を、上記さまざまな製造業者における利用可能な製造スケジュールへのアクセスを提供することによって可能にする。かかる調整を可能にするシステムの例は、米国特許第8,069,071号に記載され、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。
【0990】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、上記細胞療法製剤の製造に関連するさまざまなエンティティが、該細胞療法製剤の製造及び輸送に関する情報に対してリアルタイムでアクセスする(然るべき許可を得て)ことを可能にするクラウドベースのアーキテクチャに基づいている。かかるクラウドベースのアーキテクチャの例は、米国特許第9,965,562号に記載され、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。
【0991】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、患者からの腫瘍の取得、得られた腫瘍からの細胞療法製剤の製造、ならびに上記腫瘍及び細胞療法製剤の輸送に関連する職員が、米国特許出願公開第2004/0243260号(その全体が本明細書に援用される)に記載されるような、プロセス制御及び承認のための電子署名を使用して、自証する(identify themselves)及び自証する(authenticate themselves)ことを可能にする。
【0992】
いくつかの実施形態において、本システムは、該システム中に顧客関係管理(CRM)サブシステムをさらに含んでいてもまたは組み込んでいてもよい。上記CRMサブシステムは、例えば、医師、病院施設、看護師、請求者、取引先担当者などのさまざまな関係者に関する情報を保管してもよい。上記情報は上記CRMサブシステムによって維持され、1つの統合されたファンネル(funnel)における関係者の単一の見解(view)の維持が可能になり、これにより、システム内でプライバシーコンプライアンスに基づいた方法で、潜在顧客及び関係者のプラットフォームベースの単一ファンネルの見解(single-funnel view)を共有することができる。当事者間の関係に関連する情報は、分散型マルチマスター、マルチスレーブ、もしくはピアツーピアのコンテキストで、個人を特定することができる情報を削除することによって部分的にまたは完全に匿名で、1つ以上の分散型スレーブあるいはピアCRMシステムに分配することができる。かかるCRMサブシステムの1例が、米国特許出願公開第US2014/0244351号、米国特許第US8,489,451号、及び米国特許第US9,342,292号に開示され、上記特許文献のそれぞれは、その全体が本明細書に援用される。
【0993】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムは、リアルタイムの医療イベント及び/または製造イベントによってトリガーされるメッセージを受信、処理、及びルーティングするための中央イベント処理サブシステムを含むネットワークを提供するように動作可能であってよい。上記中央イベント処理システムは、例えば、医療イベントに関連する患者情報を識別し、当該患者情報を、健康計画、臨床現場の場所、TIL製造施設、及び/またはロジスティクスプロバイダーのうちの1つ以上と照合してもよい。医療イベント及び/または製造イベントを利害関係者と照合すると、上記中央イベント処理サブシステムは、上記医療イベント及び/または製造イベントに関する情報の少なくとも一部を1人以上の利害関係者に、当該トリガーイベントの短期間のうちに(例えば、ほぼリアルタイムで)発信する。例えば、各関係者に関連する規則に基づいて、上記中央イベント処理サブシステムは情報を発信し、且つ/または関係者に警告もしくは通知を発真して、当該利害関係者に上記医療イベントを認識させてもよい。かかる中央イベント処理サブシステムの例は米国特許出願公開第2014/0372147号及び米国特許第10,242,060号に記載されており、上記特許文献のそれぞれはその全体が本明細書に援用される。
【0994】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示のシステムは、例えば、腫瘍の切除、リンパ球除去、白血球除去、TILの注入、及び/もしくはIL-2レジメン、または本明細書に開示のその他の患者の治療イベントなどの患者の治療イベントを含むがん治療レジメンのワークフローを選択するように動作可能である。上記ワークフローを選択すると、本システムは、患者に代わって細胞注入療法に対応する注文書を作成することができ、上記細胞注入療法に対応する注文書は、細胞注文及び上記がん治療に対応する特定の治療レジメンの依頼のうちの少なくとも1つを含む。かかるワークフロー選択サブシステムの例は、米国特許出願公開第US2014/0088985号に開示されており、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。
【0995】
いくつかの実施形態において、本システムは、患者もしくは患者の代理人とのテキスト通信または音声通信の前に、リモートアクセスデバイスの認証を含むサービス依頼の認証を含んでいてもよい電話サブシステムを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、上記認証は、取外し型アクセスデバイスを自動的に認証することによって、または患者(もしくは代理人)に質問をすることによって実施されてもよい。かかる電話サブシステム及び認証方法の例は米国特許出願公開第US2019/0026747号に開示されており、上記特許文献はその全体が本明細書に援用される。
【0996】
A.細胞増殖産物の製造の調整システム
本開示の実施形態は、例えば、ある患者用のT細胞またはTILなどの細胞療法製剤の製造を調整し、且つ製造プロセスのさまざまな段階、ならびにさまざまな患者の治療イベントを、上記製造プロセスのさまざまな段階の進行及び成否に基づいて動的に計画立案するための方法ならびにシステムを含む。
【0997】
本明細書に記載の方法及びシステムは、免疫療法手順中に、患者固有の生物学的試料に対する連続的且つ自動的なchain of custody及びchain of identityを提供する、既存のシステムを超える特定の技術的利点を提供し、利害関係者-患者、医師、製造者、及びその他の医療関係者など-が、上記免疫療法手順の現在の相及び該手順中の患者の生体試料の状況を迅速に理解し、追跡するために使用することができるコンピュータ化された情報ポータルを創出するように、さらに動作可能である。chain of custody及びchain of identityを維持する能力の欠如-生命を脅かす病気に対処している患者にとって計り知れないほど深刻な場合がある、製造プロセスにおける遅延につながる。
【0998】
本開示の実施形態により、製造プロセス(QA、製造、リリース試験、及び出荷の最終決定を含む)中の上記生物学的材料のchain of custody及び最終製品の配送プロセス(出荷及び注入施設への配送を含む)中の上記生物学的材料のchain of custodyの維持が可能になる。本開示の実施形態により、継続的に且つ絶え間なくchain of custodyを特定の患者に連携させることがさらに可能になり、それによって、製造の全ての相において当該患者と当該生物学的材料との間の完全なchain of identityが保証される。
【0999】
上記COC及びCOIの維持は、患者から、輸送、製造プロセス、輸送を経て患者に戻る、上記生物学的材料の全体の行程の間の各イベントを、細胞注文識別子及び患者固有の識別子(該識別子は当該患者に特有である)と関連付け、且つ上記行程全体の間の各イベントを追跡することによって実施される。
【1000】
さらに、本明細書に記載の方法及びシステムは、患者からの生体組織の取得を製造プロセスと統合し且つ同期させる、ならびに生体組織の取得から細胞療法製剤の投与及びその後の治療イベントまでの各ステップをCOC及びCOIに関して監査する能力を提供するように動作可能である。
【1001】
本明細書に記載の方法及びシステムは、さらに、患者から生体組織を取得するためのロジスティックス、選択された製造施設への上記生体組織の配送、上記選択された製造施設における細胞療法製剤の製造、及び上記製造施設から患者の治療を行う診療施設への上記細胞療法製剤の配送を調整するように動作可能である。
【1002】
図3Aは、本開示の実施形態に係る、ある患者向けの細胞療法製剤の製造を調整するためのシステムのブロックダイアグラムを示す。いくつかの実施形態において、図3Aの構成要素によって実行される機能は、単一の構成要素に統合されてもよい。また、いくつかの実施形態において、図3Aの1つ以上の構成要素によって実行される機能は、図3Aの他の構成要素によって実行されてもよい。
【1003】
図3Aを参照すると、システム300は、病院側インターフェース110、イベントスケジューラ120、ロジスティックスインターフェース(本明細書では配送ポータルとも呼ばれる)130、及び/または製造ポータル140を含んでいてもよい。病院側インターフェース110、イベントスケジューラ120、ロジスティックスインターフェース130、及び製造ポータル140のそれぞれは、例えば、LAN、WAN(例えば、インターネット)、及び/または移動体通信ネットワークなどの通信ネットワークを使用して、上記他の3つと通信する。
【1004】
いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110、イベントスケジューラ120、ロジスティックスインターフェース130、製造ポータル140、及び対応するモジュール(例えば、図3に示す)は、例えば、Vineti、Salesforce.com、Salesforce Health Cloud、IQVIA、TracSel、及びSAPによって提供されるものなどの市販のソフトウェアプラットフォーム上で適宜に改変または構築される。
【1005】
病院側インターフェース110は、患者の治療の実施、例えば、本明細書に開示のがんの治療の提供に対して責任を負う病院または他の施設と関連していてもよく、または上記と情報交換してもよい。いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110は、患者から固形腫瘍を取得し、上記固形腫瘍またはそのフラグメントから細胞療法製剤を得る手順を実施する臨床施設に関連付けられる。いくつかの実施形態において、上記臨床施設は、上記固形腫瘍を得ることのみの機能を果たし、上記固形腫瘍またはそのフラグメントから細胞療法製剤を得るプロセスは製造施設において実施されてもよい。
【1006】
いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110は、製造施設から得られた増殖細胞療法製剤の注入を実施し、患者にその後の看護及び/または任意の事前もしくは後続の治療を提供する病院に関連付けられる。上記病院もしくは診療所の臨床医または従業員は、病院側インターフェース110を介してシステム300と情報交換することができる。
【1007】
いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110は、例えば、デスクトップコンピュータ、クラウドサーバ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイス、またはハードウェアモジュール及び、プロセッサ上で動作し且つメモリと情報交換するソフトウェアモジュールを備える任意の他の計算装置などの、1つ以上の計算装置を備える。病院側インターフェース110は、有線または無線接続を介して、病院もしくは臨床施設で操作される、または病院もしくは臨床施設に関連する計算装置に接続されていてもよい。
【1008】
いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110は、患者からの摘出時から患者への注入時までの患者由来の生物学的材料(例えば、患者由来の腫瘍、患者から得られたT細胞、T細胞増殖プロセスのさまざまな段階の増殖T細胞)を追跡するように構成された追跡モジュール112を備えていてもよい。
【1009】
いくつかの実施形態において、患者がTIL注入治療に登録されると、該患者向けの増殖細胞療法製剤の製造のための細胞注文が起草され、上記細胞注文に関連する細胞注文識別子が作成される。いくつかの実施形態において、上記細胞注文に従って注文書が作成され、病院施設からシステムにアップロードされる。いくつかの実施形態において、本システムは、注文書を作成及び/またはアップロードするためのインターフェースを備えていてもよい。
【1010】
さらに、当該患者に特有である患者固有の識別子が作成され、上記細胞注文識別子に関連付けられる。いくつかの実施形態において、上記患者固有の識別子は、例えば、患者毎に順に追加される単一の文字(A~Z)である、連続する接尾辞を有する患者ID番号を含んでいてもよい。上記患者固有の識別子は、本システム中で一意的である。いくつかの実施形態において、上記患者固有の識別子は、特定のペルソナにのみ可視であってもよい(本明細書の他所で詳述)。いくつかの実施形態において、上記患者固有の識別子は、上記患者の生物学的材料ならびに上記製造された生物学的材料の行程を通じて、印刷される全てのラベルに印刷される。いくつかの実施形態において、上記患者固有の識別子は、全てのシステムユーザーに対して読取り専用である。換言すれば、上記患者固有の識別子は、いくつかの実施形態において、一度作成されたら編集することができない。
【1011】
いくつかの実施形態において、上記細胞注文識別子は、例えば、一意的な患者識別子、細胞注文識別子、注文コード、細胞注文ロット番号、さまざまな時点における1つ以上の受け入れパラメータの値、さまざまな時点における受け入れ基準が満たされているかどうかを示す1つ以上の指標、またはそれらの組み合わせなどの情報を含んでいてもよい。
【1012】
いくつかの実施形態において、上記細胞注文識別子及び上記患者固有の識別子は、当該患者に関連するいずれかの生物学的材料(例えば、当該患者から摘出された固形腫瘍、その断片、そこから抽出された細胞療法産物、もしくは上記細胞療法産物の増殖から得られる増殖細胞療法製剤)の管理が変わるまたは処理を受ける各点で読み取られる。読み取られたそれぞれは、当該患者からの摘出時から該患者への注入時までのプロセス全体で、追跡モジュール112によって記録され且つ検証されてもよい。プロセス全体の間の各ステップにおける患者固有の識別子の検証により、上記製剤のchain of identity(COI)が保証される一方プロセス全体の間の各ステップにおける細胞注文識別子の検証により、上記製剤のchain of custody(COC)が保証される。COI及びCOCの維持に関する詳細は、本明細書の別の他所で説明される。
【1013】
いくつかの実施形態において、上記読み取られた情報は病院施設によって作成される注文書で検証される。例えば、出荷が製造施設で受け入れられると、出荷コンテナ上のラベルが読み取られてもよく、且つ該ラベル上の情報が注文書と照合されて正確性が保証されてもよい。いくつかの実施形態において、上記検証の結果が本システム内に記録される。
【1014】
追跡モジュール112が図3Aに示され、且つ本明細書において、病院側インターフェース110の一部として説明されているが、該追跡モジュール112は、いくつかの実施形態において、プロセッサ及びメモリを有するスタンドアローンの計算装置として実装されていてもよい。同様に、上記追跡モジュール112は、いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュール(例えば、クラウドサーバ上に格納される)として実装されていてもよい。
【1015】
いくつかの実施形態において、上記病院側インターフェース110は、患者アクセスモジュール116を介して制限されたアクセスを患者に提供し、該患者が治療手順及び対応するスケジュールに関する情報を取得できるようにしてもよい。上記患者アクセスモジュール116はまた、上記患者が、例えば、個人識別情報、保険情報、及び臨床医のための自分の健康状態に関する情報など、自分自身に関する情報を提供できるようにすることもできる。
【1016】
上記病院側インターフェース110は、臨床施設の職員が所定のプロトコルに従って患者から固形腫瘍を得ること、及び上記患者から固形腫瘍を得る処置に関する情報を入力することができるように動作可能な入手モジュール114をさらに備えていてもよい。上記固形腫瘍を得る処置に関する情報は、いくつかの実施形態において、規制要件への準拠を保証するための事後監査を可能にするために保管されてもよい。
【1017】
いくつかの実施形態において、入手モジュール114は、臨床施設の職員が、固形腫瘍及び当該患者から固形腫瘍を得るために使用されるプロセスに関する情報を製造施設に提供することをさらに可能にしてもよい。臨床施設も固形腫瘍から細胞療法製剤を得ることが可能な実施形態において、入手モジュール114は、臨床施設の職員が、例えば、上記細胞療法製剤を得るために使用したプロセスまたは手順、及び得られた胞療法製剤に対して実施した品質管理アッセイの結果などの、得られた細胞療法製剤に関する情報を製造施設に提供することをさらに可能にしてもよい。
【1018】
いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110は、製造調整モジュール118をさらに備えていてもよい。製造調整モジュール118は、臨床施設におけるユーザーが、例えば、1つ以上の製造施設のそれぞれにおける製造スロットの利用可能性及び利用可能な機能などの、1つ以上の製造施設に関する情報を得ることができるように動作可能である。製造調整モジュール118は、臨床施設におけるユーザーが、選択された製造施設での製造スロットの予約を調整し、且つロジスティックスインターフェース130を介してロジスティックスプロバイダと調整して、固形腫瘍、そのフラグメント、または患者から得た細胞療法製剤の輸送を手配することをさらに可能にする。製造調整モジュール118は、臨床施設におけるユーザーが、製造ポータル140を介して、製造プロセス及び/または製造プロセス中に実施される品質管理アッセイに関する情報を得ることをさらに可能にする。
【1019】
イベントスケジューラ120は、臨床施設及び製造施設で実施されるさまざまな活動を調整するように動作可能である。それに加えてまたまたはそれに代えて、イベントスケジューラ120は、臨床施設及び製造施設、細胞療法製剤を製造する施設、例えば、細胞療法製剤の増殖が行われる施設の間での細胞療法製剤の輸送を容易にするように、さまざまな活動の計画立案に関する情報をロジスティックスプロバイダに提供してもよい。以下でより詳細に説明するように、細胞療法製剤の製造の間に行われる種々のイベントに基づいて、上記イベントスケジューラは、他のイベント(複数可)を行う必要がある場合に、動的に計画立案するように構成されている。
【1020】
いくつかの実施形態において、イベントスケジューラ120は、例えば、デスクトップコンピュータ、サーバ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイス、またはハードウェアモジュール及び、プロセッサ上で動作し且つメモリと情報交換するソフトウェアモジュールを備える任意の他の計算装置などの計算装置122を備える。上記ハードウェアモジュール及び/またはソフトウェアモジュールは、受け入れ判定モジュール123及び計画立案モジュール125を備える。いくつかの実施形態において、計算装置122は、病院インターフェース110、製造ポータル140、及びロジスティックスインターフェース130を介してアクセス可能なクラウドサーバであってもよい。イベントスケジューラ120は、有線または無線接続を介して、製造施設及び/または病院施設において操作される、または製造施設及び/または病院施設に関連する計算装置に接続されていてもよい。
【1021】
図3Aにおいて、受け入れ判定モジュール123はイベントスケジューラ120の一部として示されているが、受け入れ判定モジュール123は製造ポータル140の一部として実装されてもよいことを理解されたい。あるいは、モジュール123は、例えば、クラウドサーバ上でホストされるスタンドアローンのソフトウェアモジュールとして実装されてもよい。
【1022】
ロジスティックスインターフェースまたは配送ポータル130は、例えば、配送業務もしくは荷物処理業務などのロジスティックスプロバイダと関連付けられ得るか、またはそれらと情報交換してもよい。
【1023】
いくつかの実施形態において、ロジスティックスインターフェース130は、例えば、デスクトップコンピュータ、クラウドサーバ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイス、またはハードウェアモジュール及び、プロセッサ上で動作し且つメモリと情報交換するソフトウェアモジュールを備える任意の他の計算装置などの計算装置を備える。ロジスティックスインターフェース130は、インターネットなどのネットワークを介した有線または無線接続を介して、ロジスティックスプロバイダにおいて操作される、またはロジスティックスプロバイダに関連する計算装置に接続されていてもよい。
【1024】
製造ポータル140は、増殖細胞療法製剤を製造する製造施設に関連付けられていてもよい。製造ポータル140は、製造施設の職員が、例えば、chain of identity及びchain of custodyを維持すること、製造中に実施される品質管理アッセイに関する情報を記録すること、さまざまなプロセス間の移行を記録すること、及び増殖プロセス中の細胞療法製剤の容器用のラベルを提供することを含む、増殖細胞製剤の製造中のさまざまなプロセスを制御するならびに記録することが可能になるように動作可能である。
【1025】
いくつかの実施形態において、製造ポータル140は、例えば、デスクトップコンピュータ、クラウドサーバ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイス、またはハードウェアモジュール及び、プロセッサ上で動作し且つメモリと情報交換するソフトウェアモジュールを備える任意の他の計算装置などの計算装置を備える。製造ポータル140は、有線または無線接続を介して、製造施設において操作される、または製造施設に関連する計算装置に接続されていてもよい。
【1026】
いくつかの実施形態において、製造ポータル140は、ラベル表示モジュール142及びCOC/COIモジュール144を備える。ラベル表示モジュール142は、製造施設の職員が増殖細胞療法製剤を製造するプロセス(本明細書において増殖プロセスとも呼ばれる)中に細胞療法製剤を搬送する容器用のラベルを作成することができるように動作可能である。ラベルは、例えば、患者固有の識別子、上記容器を取り扱う、及び/または増殖プロセスの現在及び/もしくは以前のステップを実施する職員に関する識別子、以前のステップで実施された品質管理アッセイの結果、ラベルを作成する理由に関連する理由コード、患者固有の識別子によって細胞療法製剤を識別するバーコードまたは2Dコード(例えばQRコード)、ならびに他の適宜の情報などの情報を含んでいてもよい。
【1027】
COC/COIモジュール144は、製造施設に関連するユーザーが、増殖プロセス中にchain of custodyの監査を維持うることができるように動作可能である。COC/COIモジュール144は、製造施設に関連するユーザーが、増殖しつつある細胞療法製剤に関連する患者のchain of identityの監査を維持できるように、さらに動作可能である。
【1028】
図3Bは、市販のソフトウェアプラットフォーム内の標準の構成要素に加えて、これらのプラットフォーム上で適宜に改変または構築されたシステム300の構成要素の目的スキーマを示す。例えば、市販のソフトウェアプラットフォームは、患者アクセス(例えば、患者識別子、患者連絡先情報、患者認証情報などを含む)、治療計画(例えば、患者の治療イベント初期スケジュールを含む)、臨床医アクセス(例えば、臨床医識別子、及び臨床医認証情報)、ならびに製造アクセス(例えば、製造施設の連絡先情報)に対応する内蔵オブジェクトを有していてもよい。
【1029】
一方、当該患者から固形腫瘍を得るための処置に関連する腫瘍入手フォーム、増殖細胞療法製剤の製造に使用されるプロセスに関する情報及び得られた固形腫瘍の処理の方法に関する情報を含む製造注文、1つ以上の製造施設での製造スケジュール、プロセス全体の監査を可能にするためのラベル監査証跡などのオブジェクトは、システム300に関連する特定の機能を提供するように、上記内蔵オブジェクトとインターフェースで接続するように特注されてもよい。
【1030】
上記特注オブジェクトと上記内蔵オブジェクトは、当該患者からの固形腫瘍の取得から該患者への増殖細胞療法製剤の注入までの全てのイベントを通じて、COC及びCOIを維持し且つ監査することを可能にするように、システム300中で互いに情報交換するように構成される。上記特注オブジェクトは上記内蔵オブジェクトと共同して、製造プロセスの進行状況に基づいて、患者の治療イベント及び関連するロジスティックスを同様に計画立案する。
【1031】
例えば、いくつかの実施形態において、ロットの記録及びラベル監査証跡などの特注オブジェクトをシステム300中に提供してもよい。これらの特注オブジェクトは、特注のワークフロー自動化及び特注のユーザープロファイルに加えて、市販のソフトウェアプラットフォームに、例えば、市販のソフトウェアプラットフォーム内では当初想定されていなかった場合がある、COC/COIの維持、監査機能、製造の実績に基づく患者の治療イベントの動的計画立案、製造の実績に基づくラベルの作成、及び/または製造の実績と入手との間の情報交換などの機能を付与する。腫瘍入手処置、COC及びCOIの維持、ならびに製造プロセス中のラベルの作成に関する上記特注オブジェクトと上記内蔵オブジェクトとの間の情報交換のさらなる詳細は、本明細書の他所に記載される。
【1032】
B.COC及びCOIの維持のための特注オブジェクトと内蔵オブジェクトとの間の情報交換
図3C~3Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、製造施設における製造プロセスを通しての生物学的材料の追跡の概略図である。いくつかの実施形態において、まず、臨床施設で患者から得られた腫瘍試料が製造施設に配送される際に、出荷ラベルが読み取られ、この読み取りから得られた腫瘍試料情報がシステム上の対応するコンピュータベースのオブジェクトに関連付けられる。上記情報としては、細胞注文識別子、患者固有の識別子、腫瘍切除の時期、腫瘍切除に使用されるプロセス、切除後の腫瘍の保存に使用されるプロセス、及び上記腫瘍由来の細胞療法製剤の増殖に使用されると予想されるプロセスを挙げることができるが、これらに限定はされない。上記読み取りから得られる患者関連情報が、製造施設で別個に受信された(例えば、製造ポータル140を介して)細胞注文により検証されると、上記腫瘍はシステム中に製造施設で受信されたものとして示され、chain of custodyは製造施設に渡される。製造プロセスを通じてchain of custody及びchain of identityが如何にして維持されるかについての詳細は、本明細書の他所に記載される。
【1033】
次に、腫瘍を移動させて品質の確認が行われる。品質チェックの間に、上記読み取りから受け取られた腫瘍関連情報がさらに検証され、腫瘍試料が必要な品質基準を満たしていることを確認する。このプロセスで検証される情報としては、例えば、腫瘍切除に使用されるプロセスならびに切除後の腫瘍の保管及び出荷に使用されるプロセスに関する情報が挙げられる。腫瘍切除に使用されるプロセスに関連する上記情報としては、例えば、本明細書の他所でさらに詳細に説明する腫瘍入手形態から処理されるさまざまなフィールドを挙げることができる。上記腫瘍が品質基準を満たしていると見なされると、対応するラベルが読み取られ、対応するオブジェクトが更新される。オブジェクトに含まれる更新された情報は、例えば、病院施設ならびにロジスティックスプロバイダ(本明細書では配送業者施設とも呼ばれる)を含むシステム全体を通してアクセス可能である。いくつかの実施形態において、病院施設及び配送業者施設に関連するさまざまなプロセスが、上記更新されたオブジェクトに基づいて更新される。
【1034】
次いで上記腫瘍は製造に移される。次に、ゼロ日目のバッチ記録ラベルが読み取られ、適切な腫瘍試料が製造に移されており、且つ適切な製造プロセスによって処理されることとなることを検証する。次いで、腫瘍は適宜のフラスコ(当該患者向けの腫瘍を処理する増殖プロセス用の培地及び試薬を含む)に移され、フラスコのラベルが読み取られる。対応するオブジェクトが、上記読み取りから得られる情報を適宜のタイムスタンプと共に使用して更新される。
【1035】
次いで、0日目のフラスコをインキュベータ室に手動で移動させ、そこから製造室に移動させる。製造室では、フラスコのラベルが再度読み取られ、該ラベルに含まれる情報が記録される。上記フラスコのラベルからの情報も使用され、適切な製造プロセスが守られていることを保証する。
【1036】
最初の必要な時間(例えば、図3Cに示される11日間)の後に、後に続く特定の製造プロセスに基づいて、フラスコに播種を行う。播種プロセス中に、フラスコを製造室から取り出す必要がある場合がある。かかる場合には、フラスコのラベルが読み取られ、フラスコが製造室を出る前後にバッチ記録が更新される。上記前後の読み取りからの情報は、さらなるプロセスが実施される前に照合される。
【1037】
上記播種プロセスに続いて、フラスコが製造室に再導入される。播種プロセスに続く製造室への再導入の前後にフラスコのラベルが読み取られ、バッチ記録が更新される。読み取り前後の情報を照合して、正しいフラスコが使用されていること、及び細胞療法製剤をさらに処理するために適切な後続プロセスが使用されていることを確認する。
【1038】
第2の必要な時間の後(例えば、図3Cに示す16日目)に、細胞は、播種したフラスコから複数のバッグ(例えば、図3Cに示す5つのバッグ)に分割される。バッグのそれぞれのラベルが、製造室に再導入される前後に読み取られ、バッチ記録及び対応するオブジェクトが適宜に更新される。上記読み取り前後の情報を使用して、細胞注文に従って細胞がフラスコから分割されること、及びバッグが適宜の製造プロセスを使用してさらに処理されることを検証する。
【1039】
いくつかの実施形態において、上記第1及び第2の必要な時間に品質アッセイが実施され、製造プロセスが細胞注文に従って進行し、所定のスケジュールに従っていることを保証する。かかる実施形態において、上記品質管理アッセイの結果も上記読み取られる情報に含まれてもよい。対応する読み取りからかかる情報を得たところで、対応する時点で得られた細胞療法製剤の品質が特定の品質基準を満たさないと判断される場合には、バッチ記録及び対応するオブジェクトがそれに応じて更新される。必要に応じて、製造プロセスのスケジュールも更新される。いくつかの実施形態において、上記更新されたスケジュールが病院施設ならびに配送業者に伝達され、その結果、病院施設及び配送業者によって実施されることになっている、対応するプロセスのスケジュールが適宜に更新されてもよい。製造スケジュールがいつ、どのように更新されるかについての詳細は本明細書の他所に記載される。
【1040】
次いで、上記製造プロセスは、複数のバッグ中で所定の終点まで(スケジュールどおりに、または適宜に修正されたスケジュール及び/または中間ステップで)継続される。いくつかの実施形態において、上記複数のバッグのうちの1つの細胞を使用して、最終的な増殖細胞療法製剤に対する品質アッセイを実施する。次に、品質アッセイから選択されたバッグならびに最終製品として出荷されることになる細胞が入ったバッグにラベルが貼付され、バッチ記録及び対応するオブジェクトを更新するために上記ラベルが読み取られる。
【1041】
次いで、最終製品として出荷されることになるバッグは、カセットに入れられ、冷凍されて病院施設へ輸送される。カセットのラベルが読み取られ、バッチ記録が対応するオブジェクトと共に更新される。次に、品質管理アッセイを実施するために使用されことになるバッグのラベルが読み取られ、バッチ記録及び対応するオブジェクトが更新され、上記バッグが品質管理ステーションに移動される。品質管理アッセイの結果が得られたところで、その結果が読み取られ、バッチ記録及び対応するオブジェクトが更新される。
【1042】
いくつかの実施形態において、上記最終製品として出荷されることになるバッグは、当該バッグ中の製剤が、品質アッセイの結果がまだ入手できないために、治療での使用に関して未だ承認を受けていないとの警告を付して、配送業者に(及び最終的には病院施設に)出荷されてもよい。かかる実施形態において、品質アッセイの結果が得られると、対応するオブジェクトがリアルタイムで更新され、それにより最終的な細胞療法製剤を患者に送達するのに要する時間が短縮される。
【1043】
品質アッセイの結果が、最終的な細胞療法製剤が当該患者の治療上の使用に関して承認されたことを示したところで、カセットが読み取られ、バッチ記録及び対応するオブジェクトが更新される。次いで、カセットに輸送のための準備または処理が行われ、ロジスティックスプロバイダ(すなわち配送業者)に引き渡され、読み取りが行われ、chain of custodyが配送業者に渡されたことを示す。
【1044】
次に上記配送業者は、上記最終的な細胞療法製剤を病院施設に輸送し、そこでラベルが再度読み取られ、chain of custodyが病院施設に渡されたことを示す。製造施設及び配送業者が、上記最終的な細胞療法製剤が病院施設に送達されたことの通知を受けるように、バッチ記録及び対応するオブジェクトが更新される。
【1045】
C.製造プロセス中の細胞療法製剤のラベル表示、ならびにchain of custody及びchain of identityの維持
図3Fは、本製造プロセスのいくつかの実施形態(例えば、GEN 2プロセス、またはGEN 3プロセス)に係る、固形腫瘍を得ることから本製造プロセスを経て患者への注入までの、細胞療法製剤の行程を通じてのCOC及びCOIの維持のためのプロセスの概略図である。いくつかの実施形態において、まず、病院側インターフェース110が、病院側インターフェース110に接続された病院の従業員(例えば登録看護師)から患者に関する情報を受信する。患者に関する情報としては、健康保険に関する情報、個人識別情報、健康関連情報、患者登録情報(例えば同意書)、または当該患者の識別及び看護に役立つ可能性のある患者に関するその他の任意の情報を挙げることができる。
【1046】
病院の従業員、例えば臨床医が患者を例えばTIL注入療法の候補者として決定した後に、上記患者は、病院側インターフェース110に接続されたコンピュータを介して、TIL注入療法を進めることに対する同意を提示してもよい。
【1047】
次いで、上記病院の従業員は、イベントスケジューラ120を介して、上記患者向けのTIL注入療法剤を注文してもよい。次いで、上記病院の請求部門の従業員が、ロジスティックスインターフェース130を介して、上記患者向けのTIL注入療法剤の注文書を発行してもよい。上記TIL注入療法剤の注文及び注文書は、病院側インターフェース110に送信されてもよい。病院側インターフェース110は、上記注文及び注文書の受信を確認するのみならず、イベントスケジューラ120に細胞注文を発行する前に、患者の登録及び同意が完了していることを確認してもよい。同様に、病院側インターフェースは、保険提供者と通信して、さまざまな患者の治療イベントが計画立案されていることを通知し、支払いを処理するために保険提供者に患者の治療イベントのスケジュールを提供してもよい。
【1048】
次に、患者固有の識別子が細胞注文に関連付けられ、且つ全ての処理ステップ及び/または出荷ステップにおいて患者に関連する生物学的材料に添付して、本明細書でさらに詳述される生物学的材料の中断のないchain of custody及びchain of identityの追跡を可能にすることができる。患者固有の識別子はまた、治療レジメン全体を通して当該患者を追跡するために、患者のみならず、異なる患者治療プロセスを施すために使用される治療機器に関連付けられてもよい。
【1049】
患者固有の識別子はまた、さまざまな患者の治療イベントに伴う支払いの処理を可能にするように、病院側インターフェース110を介して保険提供者に伝達されてもよい。患者固有の識別子は、配送ポータル130を介して配送業者にさらに伝達され、配送業者が、輸送されている生物学的物質に関連する患者のアイデンティティを検証できるようにしてもよい。
【1050】
本明細書に開示のさまざまな実施形態において、計画立案モジュール125と病院側インターフェース110、製造ポータル140、またはロジスティックスインターフェース130との間の、製造イベント及び/または患者の治療イベントのスケジュールに関するいずれの通信(変更されたか否か)も、処理されている及び計画立案されている細胞注文に関連する患者固有の識別子を伴う。患者固有の識別子を含むかかる通信により、病院側インターフェース110、製造ポータル140、及びロジスティックスインターフェース130は、生物学的材料を正確に処理し、追跡し、且つ識別することが可能になり、それによって生物学的材料または患者の誤認が回避され、且つ患者の安全が向上する。
【1051】
さらに、本明細書で詳細に説明するように、患者固有の識別子は、増殖プロセスを通じてCOC/COIの維持を可能にし、且つ規制上の要件の遵守のための事後監査を可能にするための、増殖プロセス中に使用される容器用のラベルを作成するために使用される。
【1052】
いくつかの実施形態において、患者固有の識別子は、chain of identity/chain of custodyを追跡するため、ならびにイベント履歴を追跡するためにも使用されるように構成された細胞注文識別子に含まれていてもよい。いくつかの実施形態において、細胞注文識別子は、患者固有の識別子に加えて、処理ステップを経てきた患者由来の生物学的材料にそれぞれ対応するいくつかの証印またはフィールドを含んでいてもよい。図3Gは、いくつかの実施形態に係る細胞療法製剤用のラベルの代表的な画像である。いくつかの実施形態において、上記ラベルは、細胞注文識別子350、2Dコード(例えば、QRコード)362、理由フィールド370、及び製品フィールド380を含む。細胞注文識別子350は、例えば、患者氏名354、患者固有の識別子352、患者の生年月日(例えば、さらなる検証用)356、病院関連患者識別子358、及び製造ロット番号360を含んでいてもよい。
【1053】
したがって、上記ラベルによって、COI/COCの維持が可能になり、また臨床治療センターでの腫瘍切除由来の材料の追跡、腫瘍材料の製造施設への出荷、全ての工程内試料及び最終製品試料の試験を含む製造、医薬品の臨床治療センターへの出荷、及び医薬品の注入の追跡も可能になる。
【1054】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍を得ることから本製造プロセスを経て患者への注入までの、細胞療法製剤の行程中の異なる時点で、図3Hに示すものなどの異なるラベルが作成されてもよい。上記異なる時点で作成されたラベルは、図3Gに示すラベルに含まれる追加のまたは異なる情報を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、細胞増殖プロセス中に作成され、例えば、細胞増殖プロセス中に使用される容器に貼付されるラベルは、さまざまな時点に対応するフィールド、及びそれぞれの時点で行われる、増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかの判定の結果を含んでいてもよい。
【1055】
したがって、本プロセスの任意の段階で、上記ラベルは(患者固有の識別子を介して)患者に関する情報を提供し、それによりchain of identity及びchain of custodyの維持が可能になる。上記ラベルはまた、関連する生物学的材料が経てきたさまざまな処理ステップに関する情報を提供してもよく、これによりchain of custodyの記録ならびにイベント履歴が、例えば、監査目的で提供される。
【1056】
したがって、システム300は、細胞療法製剤の製造プロセス及びサプライチェーン全体にわたってCOI及びCOCを維持するように構成されてもよい。さらに、システム300は、21 CFR Part 11, HIPAA (Health Insurance Portability and Accountability Act)、及びGDPR (General Data Protection Regulation)の規制を満たし、且つデータが安全に保護されることを保証する保護手段を備えるように構成されていてもよい。
【1057】
機密データへのアクセスを限定及び制限するために、システム300は、いくつかの実施形態において、ユーザーベースの役割によるアクセス制御を実装する。いくつかの実施形態において、上記ラベル上には該ラベルの作成時のタイムスタンプが含まれていてもよい。
【1058】
いくつかの実施形態において、追跡モジュールを介して追跡されている細胞注文識別子は、例えば、さまざまな出荷/輸送イベント、さまざまな製造プロセスイベント、及び/もしくは治療レジメンにおけるさまざまなステップに関連する証印またはフィールドをさらに含んでいてもよい。これらの証印またはフィールドは、ラベル上に印刷されていなくてもよいが、患者に関連する生物学的材料の追跡ならびに治療の進行の追跡のために、追跡モジュールによって作成または追加される。かかる実施形態において、所与のインデックスまたはフィールドが変更または更新される全てのステップにおいて、特定のステップの完了時間を示すタイムスタンプが、細胞注文識別子に関連付けられてもよくまたは付加されてもよい。かかる更新された細胞注文識別子中に含まれる情報は、本明細書の他所で詳細に論じるように、患者の治療イベントを動的に計画変更するために使用されてもよい。
【1059】
1.製造プロセス中の細胞療法製剤のラベル表示
再度図3Fを参照すると、いくつかの実施形態において、細胞注文識別子は、読取り可能なラベル上に印刷され、バーコードまたはQRコード(もしくは2Dコード)に関連付けられて、腫瘍切除から自家製剤の注入までの識別の適切な検証が可能になる。上記ラベルは、上記生物学的材料ならびに上記治療レジメンに関連する対象に貼付されてもよい。例えば、患者固有の識別子を含む上記ラベルは、切除された腫瘍を病院または臨床施設からTIL製造施設に搬送する容器、TIL製造設備及び製造のさまざまなステップ中の容器、増殖TILを病院または臨床施設に返送するための輸送容器、さまざまな治療イベントに関連する機器、またはそれらの任意の組み合わせに貼付されてもよい。
【1060】
例えば、いくつかの実装形態において、患者は、病院側インターフェース110の患者アクセスモジュール116を介して本システムに入ることができ、登録される。追跡可能な患者情報のシステム内における登録及び取得時に、患者固有の識別子(COI番号)が本システムによって患者に割り当てられてもよい。上記患者固有の識別子の割り当てにより、切除日及び製造スロットの計画立案が可能になる。
【1061】
本システム内での製造スロットの計画立案により、細胞注文書の作成及び製造施設におけるロット番号の割り当てがトリガーされる。
【1062】
腫瘍切除の前に、臨床施設は本システムにアクセスし、正しい患者識別を確認し、腫瘍ボトルラベル及び腫瘍荷主ラベルを作成してもよい。上記ラベルは、細胞注文識別子に加えて患者固有の識別子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、患者固有の識別子は、細胞注文識別子内のフィールドであってもよい。
【1063】
追跡モジュール112において、腫瘍切除に続いてchain of custodyが開始される。次いで、ラベル表示された腫瘍ボトルが出荷部門に預けられ、配送業者に引き渡されて製造施設に輸送される。システム300に統合された配送業者のシステムにおいて、配送業者が荷主ラベル上の細胞注文番号が発送注文書の細胞注文番号と一致することを検証することから、chain of custodyが継続し、それによって、治療センターと製造施設との間の腫瘍のリアルタイムでの追跡が行われる。
【1064】
配送業者への腫瘍の送達時に、本システム内で送達の証明が行われてもよい。腫瘍を受け入れたところで、製造担当者は、製造モジュール140においてCOC/COIモジュール144を介してシステムに製造ロット番号を入力する。患者記録(製造調整モジュール118を介して利用可能になっている)をプルアップし、腫瘍ボトルのラベルがシステム中に読み取られ、患者固有の識別子が製造ロット番号に関連付けられていることを検証する。検証されたところで、COCは製造施設に引き渡される。
【1065】
製造施設の職員が本システムに入ってもよく、本システムでは、ラベル表示モジュール142によって、細胞注文を含む仕掛品(WIP)ラベルの作成が可能になる。事後の記録の監査を容易にするために、上記WIPラベルは、バッチ記録に添付され、且つ細胞培養フラスコに貼付されてもよい。図3Gは一実施形態に係るWIPラベルの代表的な画像である。図3Hは、一実施形態に係る異なるWIP型のラベル及びそれぞれの型のラベルに含まれる情報を示す。
【1066】
次に、製造担当者は、製造プロセス中の重要な移行ポイントでラベルを読み取って、細胞増殖フラスコ上の細胞注文識別子番号がバッチ記録と一致することを検証し、製造プロセス全体にわたってCOIが維持されることを保証する。
【1067】
さらに、各品質管理(QC)試料は、得られた結果がその後対応するバッチ記録にリンクされることを保証するように、COI番号を含むそれ自体のラベルを有することになる。製造プロセスが完了したところで、ラベル表示モジュール142は完成した製品用のラベルを作成してもよい。図3I及び3Jは完成した製品用のラベルの例である。
【1068】
図3I及び3Jに示すように、これらの完成した製品用のラベルには、氏名354、生年月日(DOB)356、及び患者固有の識別子352を含む独自の患者IDが含まれる。完成した製品用のラベルは最終製品に貼付され、バッチ記録とラベルの両方が読み取られて、製造施設内のCOI及び完全なchain of custodyを保証する。
【1069】
完成した製品は、一致する患者固有の識別子を含む同一の細胞注文識別子と共に出荷部門に預けられ、検証され、配送業者に移され、治療センターに送達されて、注入される。次いで配送業者は、輸送容器上の細胞注文識別子及び患者固有の識別子が、ロジスティックスインターフェース130を介して受信した配送業者のシステム中の細胞注文及び患者情報と一致することを検証し、それによって、製造施設と治療センター間のそれぞれの医薬製品ロットの略リアルタイムでの追跡を行ってもよい。この時点で、COCは製造施設から配送業者に移転される。
【1070】
配送業者は完成した製品を治療センターに配送し、患者への注入が行われる。配送業者は、ロジスティックスインターフェース130を介して配達証明(POD)を開始してもよく、COCが配送業者から治療センターに引き渡される。COIは、治療センターにおける上記製品の患者への注入をもって終了する。
【1071】
本明細書で論じるように、各処理ステップの後に、病院側インターフェース110、イベントスケジューラ120、製造ポータル140、及びロジスティックスインターフェース130の間で患者固有の識別子を通信することにより、全ての関係者(例えば、臨床施設、製造施設、及びロジスティックスプロバイダ)は、当該生物学的材料のchain of custodyならびにchain of identityの記録を受信し、且つ該生物学的材料が経てきたさまざまなプロセスステップの記録も受信する。
【1072】
したがって、ラベルを介して固形腫瘍に与えられる患者固有の識別子及び細胞注文により、患者の安全ならびに規制遵守(FDA監査など)のために必要なchain of custody及びchain of identityを維持するように、出荷の追跡が可能になる。
【1073】
2.製造プロセスが変更される場合のラベルの調整
固形腫瘍が製造施設で受け入れられたところで、細胞療法製剤の製造が細胞注文に従って開始される。例えば、固形腫瘍の少なくとも一部を、細胞増殖技法を使用して細胞療法製剤を製造するために使用することができる。
【1074】
いくつかの実施形態において、製造施設に関連するコンピュータサブシステム、例えばラベル表示モジュール142は、第2のラベルを、細胞増殖に使用される固形腫瘍の一部に関連付けるように印刷させてもよい。第2のラベルは、患者固有の識別子及び細胞注文識別子を含んでいてもよい。第2のラベルにより、chain of custody及びchain of identityを維持するための細胞療法製剤の追跡が更に可能になる。
【1075】
続いて、細胞療法製剤の製造中に、さまざまな時点で製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが測定される。次いで、上記受け入れパラメータが受け入れ判定モジュール123で比較されて、特定の時点で測定された上記受け入れパラメータが、対応する時点での受け入れ基準を満たすかどうかを判定する。上記受け入れパラメータは、本明細書に開示される任意且つ適宜の方法またはプロセスによって測定することができる。さらに、上記受け入れ基準は、本明細書に開示される任意の受け入れ基準であってよい。
【1076】
いくつかの実施形態において、上記受け入れパラメータの測定結果、及び該受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすかどうかは、本明細書の他所で開示するように、細胞注文識別子に付加されてもよい。いくつかの実施形態において、上記受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすか(または満たさないか)の判定結果に基づいて、第3のラベルがされてもよい。
【1077】
例えば、第2の時点での受け入れパラメータが第2の時点での受け入れ基準を満たさない場合には、第3のラベルは、製造プロセス中に使用される容器用に、第2時点での受け入れパラメータが第2の時点での受け入れ基準を満たさないとの情報、及び第2の時点での受け入れ基準が満たされない理由を伝達するための「理由コード」を含むように作成される。
【1078】
さらに、第2の時点で得られた細胞療法製剤を、第2の時点での受け入れ基準を満たす細胞療法製剤を適切に得るために、第2の時点よりも前の第1の時点から再処理してもよいと判定された場合、第3のラベルは、例えば、本明細書の他所で開示される新たなまたは更新された細胞注文識別子などの情報を含んでいてもよい。かかる場合には、第3のラベルは、第2の時点での受け入れ基準が満たされない理由、及び当該細胞療法製剤を第1の時点から再処理することが適切である理由に関する情報を伝達するための「理由コード」をさらに含んでいてもよい。
【1079】
次に、受け入れ判定モジュール123において判定される、1つ以上の時点での受け入れ基準が満たされるかどうかに基づき、細胞療法製剤の製造に関する製造スケジュールが適宜に修正されて、本明細書の他所において論じられる更新された製造スケジュールを作成する。さらに、当該製造施設における製造スロットの利用可能性も、細胞療法製剤の製造の現在のスケジュールの変更(変更がある場合)を反映するように、適宜に修正される。次いで、当該製造施設における製造スロットの利用可能性の変更または更新が、計算装置に通信されてもよい。さらに、患者の治療イベントの仮スケジュールも、更新された製造スケジュールに基づいて修正される場合があり、患者の治療イベントの更新されたスケジュールが計算装置に通信されてもよい。
【1080】
次いで、上記更新された製造スケジュールに従って、細胞療法製剤の製造が完了する。
【1081】
いくつかの実施形態において、受け入れパラメータが測定される複数の時点のそれぞれに対応する製造ラベルが作成される。それぞれの時点における製造ラベルは、製造された細胞療法製剤の品質に関連する更新された情報を含んでいてもよい。上記更新された情報は、対応する時点での受け入れパラメータ、及び/または上記受け入れパラメータがその時点における受け入れ基準を満たすかどうかを含んでいてもよい。
【1082】
さらに、いくつかの実施形態において、製造プロセスを制御するコントローラは、更新された製造ラベルを読取り、その後の処理ステップを決定するように構成されてもよい。例えば、第2の時点でのQA試験後の更新された製造ラベルが、細胞療法製剤が特定の受け入れ基準を満たしていないことを示しているが、細胞療法製剤が第1の時点から再処理されてもよい場合に、上記コントローラは製造プロセスの適宜の変更を行ってもよい。さらに、更新されたラベルの情報に基づいて、製造スケジュール、製造スロットの利用可能性、及び患者の治療イベントのスケジュールに対する適宜の変更も行われる。当業者であれば、上記更新された製造ラベルは、製造された細胞療法製剤の品質に関する情報ならびにchain of identity及びchain of custodyを容易にするための理由コードに加えて、細胞注文識別子及び患者固有の識別子を含んでいてもよいことを理解しよう。
【1083】
当業者であれば、上記更新された製造ラベルを読取ることから得られる、製造スケジュール、製造スロットの利用可能性、及び患者の治療イベントのスケジュールの変更に関する情報が、病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに通信されて、対応する計算装置が、それらのエンティティに関連するそれぞれのスケジュールに対応する変更を行うことを可能にする。
【1084】
D.細胞療法製剤の製造と患者の治療イベントとの調整
図4A及び4Bは、本開示の実施形態に係る、ある患者向けのTILの製造の調整方法のフローチャートを示す。いくつかの実施形態において、図4A及び4Bに示す方法は、全体として図3Aに示すシステム上で実行されるが、いくつかの実施形態において、図4A及び4Bに示す方法は、図3Aに示すシステムの一部によって実行される。いくつかの実施形態において、イベントスケジューラ120は、例えば、S305で、病院側インターフェース110から、上記患者向けに細胞療法製剤、例えばT細胞を増殖させるための細胞注文、及び細胞注文に関連する患者固有の識別子を受信する。
【1085】
いくつかの実施形態において、患者固有の識別子またはそれに代えて細胞注文識別子は、追跡モジュール112ではなく、例えばS310において、イベントスケジューラ120によって作成される。
【1086】
細胞注文は、例えば、患者識別情報、さまざまな患者の治療イベントの目標日、及び/または最終的な増殖TIL製造製品の目標パラメータなどの情報を含んでいてもよい。細胞注文が受信されたところで、イベントスケジューラ120は、患者固有の識別子に対応する細胞注文が受信されたことを示す確認を病院側インターフェース110に送信してもよい。患者固有の識別子がイベントスケジューラ120によって作成される実施形態において、イベントスケジューラ120は、上記患者向けの細胞注文が受信されたことを示す確認を送信し、患者固有の識別子または細胞注文識別子を病院側インターフェース110に提供してもよい。さらに、イベントスケジューラ120は、受信した細胞注文に基づく患者の治療イベントの目標スケジュールを送信してもよい。
【1087】
さらに、イベントスケジューラ120は、患者固有の識別子を含む開始依頼を、例えば、S315において、病院側インターフェース110に、例えば、臨床施設に送信して、患者に対する処置を実施して、該患者から固形腫瘍を得て、取得した固形腫瘍を製造施設に移送する配送業者の回収時間を計画立案する。本明細書で論じるように、上記処置としては、患者から腫瘍の一部を取り出すための腫瘍生検が挙げることができるが、これに限定はされない。いくつかの実施形態において、イベントスケジューラ120は、病院側インターフェース110を使用して従業員から処置日を受信してもよい。これに呼応して、イベントスケジューラ120は、必要に応じて、上記従業員に用品(例えば、腫瘍切除キット、需要輸送容器、または冷凍輸送容器)を注文し、且つ該用品を患者固有の識別子と関連付けするように促してもよい。
【1088】
固形腫瘍を得るための処置が実施され、例えばS320で上記固形腫瘍が出荷された後、且つ上記得られた固形腫瘍が製造施設で受け入れられたところで、計画立案モジュール125は、例えばS325で、さまざまな製造イベントならびにさまざまな患者の治療イベントを動的に計画立案し、且つ各イベントを患者固有の識別子と関連付ける。いくつかの実施形態において、計画立案モジュール125は、得られた固形腫瘍を受け取る前、例えば、病院側インターフェース110から、患者から固形腫瘍を得るための処置の計画立案に関する情報を受信したときなどに、製造イベント及び患者の治療イベントのスケジュールを決定し、且つ各イベントを患者固有の識別子と関連付ける。
【1089】
さまざまな製造イベントのスケジュールが患者固有の識別子に関連付けられ、且つ上記スケジュールは、対応する、さまざまな製造ステップ(例えば、図2A、2B、もしくは2C及び/または図9に示すステップA~F)が実施される目標日、ならびに対応するTIL製造プロセス完了の目標日を含んでいてもよい。本明細書で論じるように、さまざまな製造ステップの目標日は、受け入れた腫瘍のサイズ、所与のステップを開始する前の細胞数、所与のステップの終了時の細胞数の倍率、所与のステップの間に特定の細胞数の倍率を達成するのに要する日数、及び/またはその他の因子などの因子に依存する場合がある。
【1090】
さまざまな患者の治療イベントのスケジュールは、患者固有の識別子に関連するさまざまな患者の治療イベントの目標日、例えば、TIL注入の目標日、リンパ球除去日、入院期間、IL-2注入レジメンのスケジュール、及び/またはその他の類似の治療関連の日付などを含んでいてもよい。本明細書で論じるように、患者の治療イベントのスケジュールは、製造イベントのスケジュール、特にTILの製造完了日に依存する。いくつかの実施形態において、さまざまな患者の治療イベントのスケジュールが、患者固有の識別子と共に病院側インターフェース110に送信されてもよい。
【1091】
計画立案モジュール125は、種々の製造ステップの進行及び成否に基づいて製造イベントのスケジュールならびに患者の治療イベントのスケジュールを動的に変更するように構成される。例えば、種々のステップにおける増殖細胞療法製剤に関連する受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかに応じて、後続の製造ステップを開始する日を変更する必要があり、それによって今度は目標完了日が変更され、結果として、患者の治療イベントの日が、例えば、図4Bまたは4Cに示す方法を使用して変更する必要が生じる。
【1092】
受け入れ判定モジュール123は、増殖細胞療法製剤に関連する受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかを判定する。受け入れパラメータとしては、細胞数、細胞生存率、無菌性、mycoplasma数、CD3数、CD5数、インターフェロンγ(INF-γ)産生、エンドトキシンアッセイの結果、グラム染色アッセイの結果等が挙げられるが、これらに限定はされない。これらの受け入れパラメータの一部または全ては、当該受け入れパラメータが測定されるステップに応じて、受け入れ基準を満たす必要がある場合がある。例えば、プライミングである第1の増殖の終了時(本明細書では第1の時点とも呼ばれる)、例えば、増殖の開始から11日目において、受け入れ基準は、細胞数が少なくとも5×10生存細胞である必要があることである場合がある。種々のステップにおける受け入れ基準は、増殖を実施するために使用されるプロセス(例えば、Gen 2、Gen 3、Gen 3.1など)にも依存する。
【1093】
したがって、受け入れ判定モジュール123は、受け入れパラメータが、増殖を実施するために使用されるプロセスに応じて、増殖開始後の2つ以上の異なる時点で特定の受け入れ基準を満たすかどうかを判定してもよい。換言すれば、受け入れ判定モジュール123が、本明細書においてQA試験とも呼ばれる品質試験を、異なる指定された時点のそれぞれで実施して次の活動指針を決定し、且つ計画立案モジュール125が、受け入れ判定モジュール123から得られたQA試験の結果に基づいて、後続の製造ステップ及び患者の治療イベントを動的に計画立案する。
【1094】
Gen 2、Gen 2様、及びGen 3プロセスの最終製品試験の受け入れパラメータ及び受け入れ基準の一例を表Bに示す。
【1095】

【表20】
【1096】
図4Bを参照すると、一実施形態において、細胞療法製剤の増殖の開始に続いて、受け入れ判定モジュール123は、例えばS402で、第1の時点の増殖細胞療法製剤が、第1の時点(例えば、図2A及び/または図9に示すステップBの後)に関連するQA試験に合格するかどうかを判定する。例えばS404で、細胞がQA試験に合格しないとの判定に際して、受け入れ判定モジュール123は、汚染に起因して細胞がQA試験に合格しないかどうかを判定する。汚染に起因して細胞がQA試験に合格しなかった場合、例えばS422で、当該ケースは中止の可能性について検討が行われる。
【1097】
一方、汚染以外の理由、例えば、細胞数が少ないまたは生存率が低いなどの理由で細胞がQA試験に合格しなかった場合、計画立案モジュール125は、例えばS408で、進行中のステップを細胞がQA試験に合格しなかった理由に応じた時間延長し、且つ最終的な回収の結果を検討してもよい。いくつかの実施形態において、進行中のステップをある時間延長した結果として、後続の全ての製造ステップ及び患者の治療イベントが計画変更されてもよい。
【1098】
あるいは、計画立案モジュール125は、製造プロセスの完了が可能性として遅延することを考慮して、または製造された細胞療法製剤を可能性として低温凍結することを考慮して、製造の完了から細胞療法製剤の注入までの間の遅れを許容するように、患者の治療イベントのみを計画変更してもよい。いくつかの実施形態において、細胞療法製剤は患者のT細胞を含むことが理解されよう。いくつかの実施形態において、細胞療法製剤は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。したがって、本明細書における議論において、簡潔にすることを目的に、細胞療法製剤を同義でT細胞またはTILと呼ぶ場合がある。
【1099】
例えば、場合により、細胞療法製剤は、第1の時点でQA試験に合格しなかったにもかかわらず、最終QA試験に合格する場合がある。かかる場合には、製造イベント及び患者の治療イベントの理想的なスケジュールから逸脱し、不必要な患者の治療を回避するように、最終的なQA試験が実施されるまでリンパ除去を遅らせることが賢明な場合がある。したがって、細胞が第1の時点でQA試験に合格しなかった理由に応じて、S418で、患者の治療イベントのスケジュールが患者の治療イベントの理想的なスケジュールから逸脱する必要があるかどうかが判定される。患者の治療イベントのスケジュールが理想的なスケジュールから逸脱する必要があるとの判定に際して、計画立案モジュール125は、例えばS420で、リンパ球除去ならびに後続の患者の治療イベントを計画変更しても(すなわち遅延させても)よく、さらに任意選択で、製造プロセスの完了に続いて低温凍結ステップを計画立案してもよい。
【1100】
再度S402を参照すると、細胞が第1の時点でQA試験に合格する場合、製造プロセスまたは患者の治療イベントのスケジュールに対する変更は必要ない。次いで、受け入れ判定モジュール123は、例えばS406で、第2の時点における増殖T細胞が第2の時点(例えば、図2A及び/もしくは図9に示すステップCまたはステップDの後)に関連するQA試験に合格するかどうかを判定する。
【1101】
第2の時点で細胞がQA試験に合格しない場合、受け入れ判定モジュール123は、例えばS404で、細胞が汚染に起因してQA試験に合格しなかったかどうかを判定する。細胞が汚染に起因してQA試験に合格しなかった場合には、例えばS422で、当該ケースは中止の可能性について検討が行われる。
【1102】
一方、汚染以外の理由、例えば、細胞数が少ないまたは生存率が低いなどの理由で細胞がQA試験に合格しなかった場合、計画立案モジュール125は、例えばS408で、進行中のステップを細胞がQA試験に合格しなかった理由に応じた時間延長し、且つ最終的な回収の結果を検討してもよい。いくつかの実施形態において、進行中のステップをある時間延長した結果として、後続の全ての製造ステップ及び患者の治療イベントが計画変更されてもよい。
【1103】
あるいは、計画立案モジュール125は、製造プロセスの完了が可能性として遅延することを考慮して、または製造されたTILを可能性として低温凍結することを考慮して、製造の完了からTILの注入までの間の遅れを許容するように、患者の治療イベントのみを計画変更する。
【1104】
例えば、場合により、細胞は、第2の時点でQA試験に合格しなかったにもかかわらず、最終QA試験に合格する場合がある。かかる場合には、患者の治療イベントの理想的な事前に決定されたスケジュール(本明細書ではゴールデンパスの(of the golden path)とも呼ばれる)から逸脱し、不必要な患者の治療を回避するように、最終的なQA試験が実施されるまでリンパ除去を遅らせることが賢明な場合がある。したがって、細胞が第2の時点でQA試験に合格しなかった理由に応じて、計画立案モジュール125が、例えばS420で、リンパ球除去ならびに後続の患者の治療イベントを計画変更しても(すなわち遅延させても)よく、製造プロセスの完了に続いて低温凍結ステップをさらに計画立案してもよい。
【1105】
いくつかの実施形態において、細胞が第1または第2の時点でQA試験に不合格になる場合には、患者固有の識別子は、細胞がそれぞれの時点でQA試験に不合格になったことを識別するように更新されてもよく、病院側インターフェース110及びロジスティックインターフェース130に、当該患者に対する患者の治療イベント(患者固有の識別子に関連する)をキャンセルするまたは遅らせる必要がある可能性があることが通知される。患者の治療イベントのスケジュールが事前に決定されたスケジュール(例えば、ゴールデンパススケジュール)から逸脱しており、且つ患者の治療イベントが計画変更されている場合、病院側インターフェース110及びロジスティックスインターフェース130に、患者固有の識別子に対応するスケジュールが更新されたことことが通知され、且つ上記更新されたスケジュールが病院側インターフェース110及びロジスティックスインターフェース130に通信される。
【1106】
かかる通知により、臨床施設または病院は、患者の治療イベントのさまざまなスケジュールを適宜に調整し、ならびに適切な人員の利用可能性、及びそれぞれの患者の治療イベントに必要な施設と機器の利用可能性に関連する必要なロジスティックスの手配を行うことが可能になる。上記通知によって、病院または臨床施設が患者の治療イベントのスケジュールの変更を患者に知らせることがさらに容易になる場合がある。あるいは、イベントスケジューラ120及び/または病院側インターフェース110は、当該患者と直接通信して、患者の治療イベントのスケジュールの変更を患者に通知し、該患者が、変更されたスケジュールに従って患者の治療イベントを手配することに関して、病院または臨床施設と調製することを可能にしてもよい。
【1107】
いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110は、支払いを処理するための適宜の措置が講じられるように、更新されたスケジュールを保険提供者にさらに通信してもよい。
【1108】
同様に、上記通知により、ロジスティックスプロバイダ(複数可)は、例えば、適宜の配送ボックスの手配、及び生物学的材料を取り扱うための適切な人員の利用可能性などの、生物学的材料の出荷の計画変更のための必要な手配を行ってもよい。
【1109】
再度S406を参照すると、細胞が第2の時点でのQA試験に合格する場合、計画立案モジュール125は、患者の治療イベントのスケジュールを維持してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、計画立案モジュール125は、例えばS410で、病院側インターフェース110に、事前に決定されたスケジュールに基づいて患者にリンパ球除去処置を施すことができるという通信を、製造プロセスがなおも遅れる場合、または目的の最終製品が得られない場合の、低いがゼロではない確率が存在するとの注意と共に行ってもよい。かかる通信は、図4Bでは「リスクを伴うリンパ球除去」と呼んでいる。かかる状況では、製造プロセスまたは患者の治療イベントのスケジュールに変更は行われない。
【1110】
次に、受け入れ判定モジュール123は、例えばS412で、第3の時点における増殖T細胞が第3の時点(例えば、図2A及び/もしくは図9に示すステップDまたはステップEの後)に関連するQA試験に合格するかどうかを判定する。
【1111】
細胞が第3の時点のQA試験に合格する場合には、増殖細胞は、目標のTIL注入日に製品出荷の準備ができていると見なされる。かかる場合には、計画立案モジュール125は、例えばS424で、病院側インターフェース110に、患者の治療イベントが目標スケジュールで継続されることを通知する。換言すれば、スケジュールの変更はない。
【1112】
一方、細胞が第3の時点のQA試験に合格しない場合には、例えばS414で、製品影響評価が(例えば、治療を施す医師または最高医療責任者によって)実施され、第3の時点のQA試験に合格しなかった理由に応じて、当該増殖細胞を注入用に提供することができるか、または治療を中止するかを判定する。上記製品影響評価時に、例えばS416で、利用可能な製品による治療を継続することに関連する特定のリスクが存在する可能性があるとの注意を払って治療を進めることができると判断される場合には、例えばS424で、患者の治療イベントのスケジュールを何ら変更することなく、当該増殖細胞の出荷が承認される。
【1113】
図4Cを参照すると、一実施形態において、細胞療法製剤の増殖の開始に続いて、受け入れ判定モジュール123は、例えばS402で、増殖細胞療法製剤が第1の時点で、第1の時点(例えば、図2A及び/または図9に示すステップBの後)に関連するQA試験に合格するかどうかを判定する。例えばS404での、細胞が第1の時点でQA試験に合格しないとの判定に際し、受け入れ判定モジュール123は、細胞が汚染に起因してQA試験に合格しなかったのかどうかを判定する。細胞が汚染に起因してQA試験に合格しなかった場合には、例えばS422で、当該ケースは中止の可能性について検討が行われる。
【1114】
一方、汚染以外の理由、例えば、細胞数が少ないまたは生存率が低いなどの理由で細胞がQA試験に合格しなかった場合、計画立案モジュール125は、例えばS408で、進行中のステップを細胞がQA試験に合格しなかった理由に応じた時間延長し、且つ最終的な回収の結果を検討してもよい。いくつかの実施形態において、進行中のステップをある時間延長した結果として、後続の全ての製造ステップ及び患者の治療イベントが計画変更されてもよい。
【1115】
S402を再度参照すると、細胞が第1の時点でQA試験に合格する場合、製造プロセスのスケジュールまたは患者の治療イベントの変更は行われない。次いで、受け入れ判定モジュール123は、例えば、S406で、第2の時点における増殖T細胞が、第2の時点(例えば、図2A及び/もしくは図9に示すステップCまたはステップDの後)に関連するQA試験に合格するかどうかを判定する。
【1116】
細胞が第2の時点でQA試験に合格しない場合には、受け入れ判定モジュール123は、例えばS404’で、細胞が汚染に起因してQA試験に合格しなかったのかどうかを判定する。細胞が汚染に起因してQA試験に合格しなかった場合には、例えばS422で、当該ケースは中止の可能性について検討が行われる。
【1117】
一方、汚染以外の理由、例えば、細胞数が少ないまたは生存率が低いなどの理由で細胞がQA試験に合格しなかった場合には、受け入れ判定モジュール123は、例えばS458で、第2の時点で得られた細胞療法製剤が、第1の時点から細胞製造プロセスを再実施して、第2の時点における受け入れ基準を満たす受け入れパラメータを有する第2の時点での細胞療法製剤を得ることが可能であるのに十分な品質の製剤であるかどうかを判定する。かかる判定は、第2の時点で得られた細胞療法製剤の受け入れパラメータに基づいて行うことができる。例として、第2の時点での受け入れパラメータが、第2の時点での総生細胞数を除く全ての受け入れ基準を満たす場合には、第1の時点と第2の時点の間の細胞製造プロセスを再実施して、必要な生細胞数を得ることが実行可能である可能性がある。
【1118】
第1の時点からのセル製造プロセスの再実施が実行可能でないと判断される場合には、例えばS422で、当該ケースは中止の可能性について検討が行われる。
【1119】
一方、第1の時点と第2の時点との間の細胞製造プロセスの再実施が実行可能であると判定される場合には、計画立案モジュール125が、例えばS460で、上記第1の時点と第2の時点との間のプロセスの再実施後の細胞製造プロセスの完了時間を推定する。第1の時点と第2の時点との間で細胞製造プロセスを再実施するのに必要な時間は、第2の時点で得られた細胞療法製剤の受け入れパラメータに基づいて推定することができることが理解されよう。したがって、第1の時点からのプロセスの再実施を含む、本細胞増殖プロセスを完了するのに必要な時間は、第2の時点で得られた細胞療法製剤の受け入れパラメータに依存する可能性がある。
【1120】
次いで、計画立案モジュール125は、第2の時点で得られた細胞療法製剤の受け入れパラメータに基づいて、第1の時点から細胞製造プロセスを再実施した結果として、後続の全ての製造ステップ及び患者の治療イベントを計画変更してもよい。例えば、計画立案モジュール125は、製造プロセスの完了が遅延することを考慮して、または製造されたTILを可能性として低温凍結することを考慮して、製造の完了からTILの注入までの間の遅れを許容するように、患者の治療イベントのみを計画変更してもよい。
【1121】
一方、第2の時点で得られた細胞療法製剤の受け入れパラメータが全ての受け入れ基準を満たす場合には、細胞製造プロセスは当初計画された通りに継続することができる。
【1122】
当業者であれば、かかる再実施が実行可能であるとの判定に際して、第1の時点から細胞製造プロセスを再実施した後も更に、繰り返された第2の時点(本明細書では新たな第2の時点とも呼ばれる)で得られる細胞療法製剤の受け入れパラメータが測定されることを理解しよう。次いで、第2の時点を過ぎて細胞製造プロセスを継続する前に、上記繰り返された第2の時点における受け入れパラメータ(本細胞製造プロセスにおける当初の第2の時点とは異なる可能性がある)が、第2の時点の受け入れ基準を満たすかどうかが再度判定される。
【1123】
次に、いくつかの実施形態において、継続されるプロセスは、図4Bに示されるものと同一の経路「B」をたどる。例えば、場合により、細胞は、第2の時点でQA試験に合格しなかったにもかかわらず、最終QA試験に合格する場合がある。かかる場合には、患者の治療イベントの理想的な事前に決定されたスケジュール(本明細書ではゴールデンパスのとも呼ばれる)から逸脱し、不必要な患者の治療を回避するように、最終的なQA試験が実施されるまでリンパ除去を遅らせることが賢明な場合がある。したがって、細胞が第2の時点でQA試験に合格しなかった理由に応じて、計画立案モジュール125が、例えばS420で、リンパ球除去ならびに後続の患者の治療イベントを計画変更しても(すなわち遅延させても)よく、製造プロセスの完了に続いて低温凍結ステップをさらに計画立案してもよい。
【1124】
当業者であれば、細胞製造プロセスが受け入れパラメータを測定するためのいくつかの時点を有し、それらの受け入れパラメータがそれらの対応する時点における受け入れ基準を満たすかどうかを判定する場合、ステップを再実施することが実行可能である可能性があることを理解しよう。したがって、用語「第1の時点」及び「第2の時点」は、必ずしも受け入れパラメータが測定される数字上第1及び第2の時点を言い表すものではない。代わりに、上記「第1の時点」とは、細胞製造プロセス中の時点であって、その後の時点での受け入れパラメータが受け入れ基準を満たさない場合に、上記時点から細胞製造プロセスのステップを再実施することが実行可能である可能性がある上記時点を指す。例えば、1Cプロセス(図6を参照のこと)において、上記第1及び第2の時点は、それぞれ27日目及び30日目、それぞれ30日目及び36日目、またはそれぞれ36日目及び43日目であってよい。同様に、2Aプロセス(図6を参照のこと)において、上記第1及び第2の時点は、それぞれ11日目及び16日目、またはそれぞれ16日目及び22日目であってよい。
【1125】
いくつかの実施形態において、細胞が第1または第2の時点でQA試験に不合格になる場合には、患者固有の識別子は、細胞がそれぞれの時点でQA試験に不合格になったことを識別するように更新されてもよく、病院側インターフェース110及びロジスティックインターフェース130に、当該患者に対する患者の治療イベント(患者固有の識別子に関連する)をキャンセルするまたは遅らせる必要がある可能性があることが通知される。
【1126】
第1の時点からの細胞製造プロセスの再実施が実行可能である場合、細胞療法製剤の製造スケジュールが理想的なスケジュールから逸脱する可能性があることから、患者の治療イベントのスケジュールも事前に決定されたスケジュール(例えば、ゴールデンパススケジュール)から逸脱する。したがって、計画立案モジュールは、患者の治療イベントを計画変更し、病院側インターフェース110及びロジスティックスインターフェース130に、患者固有の識別子に対応するスケジュールが更新されたことことが通知される。上記更新されたスケジュールは病院側インターフェース110及びロジスティックスインターフェース130に通信される。
【1127】
本明細書において論じるように、スケジュールの変更に関するかかる通知により、臨床施設または病院は、患者の治療イベントのさまざまなスケジュールを適宜に調整することが可能になる。さらに、適切な人員の利用可能性、及びそれぞれの患者の治療イベントに必要な施設と機器の利用可能性に関連する必要なロジスティックスの手配を行うことができる。上記通知によって、病院または臨床施設が患者の治療イベントのスケジュールの変更を患者に知らせることがさらに容易になる場合がある。あるいは、イベントスケジューラ120及び/または病院側インターフェース110は、当該患者と直接通信して、患者の治療イベントのスケジュールの変更を患者に通知し、該患者が、変更されたスケジュールに従って患者の治療イベントを手配することに関して、病院または臨床施設と調製することを可能にしてもよい。
【1128】
いくつかの実施形態において、病院側インターフェース110は、支払いを処理するための適宜の措置をとることができるように、更新されたスケジュールを保険提供者にさらに通信してもよい。
【1129】
同様に、上記通知により、ロジスティックスプロバイダ(複数可)は、例えば、適宜の配送ボックスの手配、及び生物学的材料を取り扱うための適切な人員の利用可能性などの、生物学的材料の出荷の計画変更のための必要な手配を行ってもよい。
【1130】
いくつかの実施形態において、治療が中止されない限り、計画立案モジュール125は、ロジスティックスインターフェース130と通信して、さまざまな時点でのQA試験の結果に基づいて決定された完了日に基づいて集荷注文を提示する。次いでロジスティックスインターフェース130は、ロジスティックスプロバイダ(図示せず)と通信して、増殖TILを適時に集荷して病院または臨床施設に出荷し、その後患者の治療(例えば注入)を行うために適宜の手配を行う。例えば、いくつかの実施形態において、ロジスティックスプロバイダは、計画立案された患者の治療イベントの一定の日数の前に、生物学的試料を取り扱うための専用容器を病院または臨床施設に出荷する必要がある場合がある。
【1131】
同様に、増殖細胞がQA試験に合格すると判定される場合には、計画立案モジュール125は、計画立案された完了日及び患者の治療イベントのスケジュール(すなわち、更新されたスケジュール)を病院側インターフェース110に伝達する。一方、治療が中止されるべきであると判定される場合には、計画立案モジュール125は、治療が中止されるべきであることを病院側インターフェース110と通信する。
【1132】
いくつかの実施形態において、患者の治療イベントの計画変更に際して、患者の治療イベントの更新されたスケジュールが、関連する患者固有の識別子とともに病院側インターフェース110に送信される。
【1133】
いくつかの実施形態において、細胞製造プロセスのステップを第1の時点から再実施することが実行可能であると判定される場合には、細胞注文識別子と患者固有の識別子との間の関連付けが更新されてもよい。例えば、細胞療法製剤の増殖を第1の時点から再実施することが実行可能であるとの判定に際し、細胞注文識別子は患者固有の識別子から分離される。細胞注文に関連する新たな細胞注文識別子が作成されてもよく、且つ患者固有の識別子が該新たな細胞注文識別子に関連付けられる。上記新たな細胞注文識別子は、いくつかの実施形態において、第2の時点で測定された受け入れパラメータに基づいて作成することができる。上記細胞注文識別子は、いくつかの実施形態において、細胞療法製剤の受け入れパラメータが測定される各時点に対応するフィールドを含んでいてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、上記細胞注文識別子は、例えば、どの受け入れパラメータが受け入れ基準を満たしているか、及び当該受け入れパラメータの値を含む、受け入れパラメータが受け入れ基準を満たしているかどうかの判定の結果も含んでいてよい。
【1134】
いくつかの実施形態において、患者固有の識別子、上記新たな細胞注文識別子、及び細胞療法製剤の増殖の推定完了時間が病院側インターフェースに送信され、病院側インターフェースが細胞療法製剤を追跡すること及び細胞療法製剤を患者に関連付けることが可能になる。
【1135】
細胞注文識別子に含まれるさまざまなフィールドが、計画立案モジュール125が、患者の治療イベントならびに、さまざまな時点で作成される更新されたまたは新たな細胞注文識別子に基づいて、患者の治療イベントに関連付けられる出荷イベント及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールを決定することを可能にしてもよい。次いで、上記新たなスケジュールが、関連する患者固有の識別子と共にロジスティックスインターフェースに送信される。患者固有の識別子及び更新されたまたは新たな細胞注文識別子はまた、いくつかの実施形態において、細胞療法製剤のchain of custody及びchain of identityを維持するように、新たなスケジュールと共にロジスティックスインターフェースに送信されてもよい。
【1136】
いくつかの実施形態において、例えば、第2の時点での受け入れパラメータが受け入れ基準の特定の閾値を満たさないために、細胞製造プロセスのステップの再実施が実行可能でないと判定された場合には、第2の時点より後の患者の治療はキャンセルされてもよい。かかる実施形態において、上記患者の治療のキャンセルは、病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに通信される。いくつかの実施形態において、増殖細胞療法製剤は、細胞製造プロセスのステップの再実施が実行可能でないと判定される際に処分されてもよい。例えば、生存可能な増殖細胞療法製剤の入手が可能ではない場合に、細胞製造プロセスのステップを再実施することができないと、細胞療法製剤の注入が不可能になる。したがって、第2の時点の後に患者の治療イベントを継続することは、(例えば、健康上の結果の観点から、または経済的結果の観点から、またはその両方の観点から)患者にとって有害である可能性がある。さらに、第2の時点で測定された受け入れパラメータに基づいて、第2の時点での増殖細胞療法製剤をさらに使用することができないと判定された場合(例えば、第2の時点での細胞療法製剤が汚染されているか、他の特定の受け入れ基準を満たさない場合)、細胞療法製剤は処分されてもよい。かかる場合には、細胞注文識別子は患者固有の識別子から分離される。
【1137】
E.製造施設間の製造スロットの調整
本開示のさらなる態様において、ある患者向けの細胞療法製剤の製造方法が開示される。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記患者向けの細胞療法製剤を製造するための細胞注文を受信することを含む。上記細胞注文は、臨床施設に関連する計算装置で受信されてもよい。上記細胞注文は、例えば病院側インターフェース110を介して受信されてもよい。いくつかの実施形態において、上記計算装置は、上記細胞注文を受信すると、患者固有の識別子及び細胞注文識別子を作成し、上記患者固有の識別子及び細胞注文識別子を上記細胞注文に関連付けてもよい。
【1138】
上記計算装置は、上記細胞注文に加えて、細胞療法製剤を製造するための複数の製造施設における製造スロットを受信してもよい。例えば、上記計算装置が、上記計算装置による問い合わせに応答した製造スロットに関する情報を受信することができるように、例えばインターネットを介して、複数の製造施設に関連するコンピュータサブシステムに通信可能に結合されていてもよい。それぞれの製造施設の製造スロットは、当該製造施設が細胞注文に従って細胞療法製剤を製造することが可能であるための、該製造施設における機器及び人員の利用可能性を示すことができる。
【1139】
上記計算装置は、細胞療法製剤によって当該の患者を治療するための、患者の治療イベントの仮スケジュールをさらに受信してもよい。上記仮スケジュールは、細胞療法製剤が、本明細書の他所で議論される製造プロセス中の各製造ステップにおけるQA基準を満たすことを仮定した、細胞療法製剤を製造する理想的なスケジュールに基づいて決定されてもよい。
【1140】
細胞注文、製造スロット、及び患者の治療イベントの仮スケジュールを受信したところで、上記計算装置は、計画立案ユーザーインターフェースにおいて、患者の治療イベントの上記仮スケジュールに基づいて、細胞療法製剤を製造するための複数の利用可能な製造スロットを決定し、且つ表示してもよい。上記利用可能な製造スロットは、例えば、臨床施設の所在地、それぞれの製造施設の所在地、それぞれの製造施設と臨床施設との間で細胞療法製剤を輸送するためのロジスティックスプロバイダの利用可能性、患者の治療イベントに関連する必要な治療手順を実施するための、臨床施設における臨床職員の利用可能性、及びそれぞれの場所における細胞療法製剤の到着及び/または使用のタイミングに影響を与える可能性のあるいずれかの他の要因などの要因に基づいて決定される。
【1141】
次に、利用可能な製造スロットの1つが、計算装置を操作する者によって、または自動的に計算装置によって選択される。利用可能な製造スロットが選択されたところで、例えば医療施設において、適宜の処置を実施することにより、患者から固形腫瘍を得ることができる。上記処置は、仮スケジュールに従って、且つそれぞれの製造施設への固形腫瘍の出荷のタイミング及びロジスティックスプロバイダの利用可能性を考慮して、利用可能な製造スロットに基づいて実施することができる。いくつかの実施形態において、上記計算装置は、固形腫瘍に関連付けられる第1の荷主ラベル(例えば、図3Hの1行目を参照のこと)の印刷を開始してもよい。第1の荷主ラベルは、患者固有の識別子及び細胞注文識別子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、第1のラベルは、臨床施設、選択された製造施設、及びロジスティックスプロバイダに関する情報をさらに含んでいてもよい。さらに、第1の製品ラベル(例えば、図3Hの2行目を参照のこと)が製品容器に関連付けられる。第1の製品ラベルの例を図3Gに示す。
【1142】
次いで、固形腫瘍は、当該製造スロットの利用可能性に従って、選択された製造施設に移送される。当業者であれば、固形腫瘍は生細胞を含むことから、選択された製造施設への固形腫瘍の到着のタイミングは、製造ステップを許容される時間枠で開始することができるように、当該製造スロットの利用可能性と慎重に調整される必要があることを理解しよう。したがって、臨床施設から選択された製造施設への固形腫瘍の移送は、ロジスティックプロバイダの利用可能性、ならびにかかる移送に影響を与える可能性のある他の要因に基づいて慎重に調整される必要がある。例えば、場合により、予期することが可能な天候に関係するまたは交通機関による遅延が生じる場合があり、したがって、それに応じて移送スケジュールが調整されてもよい。他の場合には、移送の遅延が予測できない場合もある。しかし、かかる場合であっても、臨床施設から選択された製造施設への固形腫瘍の移送は、他の適宜の方法で調整されてもよい。
【1143】
F.腫瘍入手プロトコル
再度図3Aを参照すると、システム300の病院側インターフェースは、臨床施設の職員が所定のプロトコルに従って患者から固形腫瘍を得て、患者から固形腫瘍を得るための手順に関する情報を入力することを可能にする腫瘍入手モジュール114を備える。
【1144】
いくつかの実施形態において、上記入手モジュール114は、患者から固形腫瘍(またはそのフラグメント)を得るプロセス、及び該固形腫瘍を製造施設へ輸送するために準備するプロセス中に適切な手順に従うことを保証するために、臨床施設の職員によって使用される腫瘍入手フォームを備える。図3K~3Pは、本開示のいくつかの実施形態に係る腫瘍入手フォームの代表的なスクリーンショットである。上記腫瘍入手フォームは、いくつかの実施形態において、患者から腫瘍を得る専門家が実施する手順に関する情報を入力することを求めてもよい。入力された情報は、必要に応じて事後監査のためのバッチ記録の更新に使用されてもよい。
【1145】
さらに、上記バッチ記録に含まれる情報は本システム全体でアクセス可能である(適切な許可を得て)ことから、腫瘍を得るために従うプロセスに関する情報は、製造施設の職員にも利用可能である。いくつかの実施形態において、製造施設の職員は、製造施設で受け入れた生物学的材料が、さらなる処理に適していることを保証するための品質管理手段として、腫瘍を得るためのプロセスに関連する情報にアクセスすることができる。
【1146】
いくつかの実施形態において、上記腫瘍入手フォームは、上記専門家がプロセスの次のステップに進むことができるようになる前に、特定の基準が満たされていることを求めるスマートフォーム機能を備える。例えば、上記専門家は、プロセス中に使用される細胞培養培地に関する、有効期限などの情報を入力することを求められてもよく、有効期限が現在の日付より前である場合には、腫瘍入手モジュール114が上記専門家に警告してもよい。さらに、腫瘍入手モジュール114は、上記専門家がプロセスに関するさらなる情報を入力することを許可しない場合があり、それにより上記専門家はプロセスを中止せざるを得なくなる。
【1147】
同様に、上記腫瘍入手フォームは、上記専門家が後続のステップまたは手順に関する情報を入力することを可能にする前に、特定のステップまたは手順を実施済みであることを求めてもよい。したがって、上記入手モジュール114は、上記専門家が特定のステップを抜かすまたはとばすことなく特定のプロトコルに従うことを求める。
【1148】
いくつかの実施形態において、上記入手モジュール114は、製造施設への輸送のために得られた腫瘍を配送業者に渡すことを可能にする前に、当該腫瘍入手フォームが検証されることを求めてもよい。この検証要件は、腫瘍を得る際に適切なプロトコル及び手順が確実に守られるようにするフェイルセーフとして機能する。いくつかの実施形態において、上記入手モジュール114は、腫瘍入手フォームを検証する人物が、腫瘍入手フォームに情報を入力する人物と同一でないことを求めてもよい。かかる検証要件により、適切な規制要件の遵守も保証される。
【1149】
G.患者支援サービス
本開示の実施形態は、移動、健康管理、健康保険、返済、及び他の治療関連サービスの支援において、患者または患者の代理人(本明細書では患者と総称する)とインターフェースで接続する患者支援サービスを可能にするように、さらに動作可能である。上記患者支援サービスは、いくつかの実施形態において、製造プロセス及びCOC/COIプロセスにアクセス可能な(適切な許可を得て)電話インターフェース及びペルソナとインターフェース)とインターフェースで接続することができる。本明細書で使用される用語ペルソナとは、ユーザーの種類を指す。所与のペルソナには、本システム及び本システム内の情報への特定のレベルのアクセスが提供され、上記ペルソナは特定の機能にアクセスすることができる。本システム内のペルソナとしては、コミュニティペルソナ(Community Persona)、組織入手ペルソナ(Tissue Procurement Persona)、製造ペルソナ(Manufacturer Persona)、患者支援ペルソナ(Patient Support Persona)、患者ペルソナ(Patient Persona)、及び健康システムユーザーペルソナ(Health System User persona)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【1150】
コミュニティペルソナは、患者に治療処置を提供するセンターの職員がアクセス可能なコミュニティユーザーに関連する。コミュニティペルソナのユーザーとしては、例えば、細胞療法コーディネータ、骨髄移植の看護師、病院の請求部門などが挙げられる。コミュニティペルソナのユーザーに関連する機能としては、新規患者の登録、患者の登録データの更新、患者向けのTIL注文依頼書の作成及び送信、切除日の計画立案または変更、ゴールデンパスの日付の表示、最終製品の配送日の表示、病院の注文書のアップロード、患者の同意書のアップロード、患者支援オプションへの患者の登録、介護者記録の表示及び更新、承認のための腫瘍入手フォームの記入及び提出、腫瘍入手フォームの承認、腫瘍入手フォームの印刷、腫瘍入手フォームのアップロード、ならびに培地ボトルラベル及び腫瘍荷主ラベルの印刷が挙げられるが、これらに限定はされない。
【1151】
製造ペルソナに関連するユーザーとしては、腫瘍受け入れ担当者、品質管理担当者、製造プロセス担当者、及び最終製品包装担当者が挙げられる。製造ペルソナに関連する機能としては、ロット番号の入力、利用可能な及び予約済みの製造スロットの表示、工程内ラベル、最終製品ラベル、及び出荷ラベルの印刷ならびに読み取りが挙げられるが、これらに限定はされない。
【1152】
腫瘍入手ペルソナに関連するユーザーとしては、例えば、外科医及び骨髄移植看護師が挙げられる。腫瘍入手ペルソナに関連する機能としては、腫瘍入手フォームの記入、承認のための腫瘍入手フォームの提出、腫瘍入手フォームの承認、腫瘍入手フォームの印刷、及び腫瘍入手フォームのアップロードを挙げることができるが、これらに限定はされない。
【1153】
患者支援ペルソナのユーザーとしては、患者支援担当者、患者カウンセラー、病院の請求部門管理者、病院の保険管理者などを挙げることができるが、これらに限定はされない。患者支援ペルソナに関連する機能としては、患者支援サービスのケースの表示、ケースへのファイルのアップロード、ケースへの注釈付け、ケースのケースマネージャーへの転送などを挙げることができるが、これらに限定はされない。
【1154】
本システムのいくつかの実施形態において、特定の種類の情報に特定のペルソナがアクセス可能である。いくつかの実施形態において、上記情報は、特定の種類の機能を実施する場合にのみ、特定のペルソナのユーザーがアクセス可能であり、他の種類の機能を実施する場合にはアクセス不可の場合がある。例えば、いくつかの実施形態において、COC/COI及び製造プロセスの情報は、患者支援ペルソナを介して病院の請求部門管理者及び/または病院の保険管理者がアクセス可能であってよいが、患者カウンセラーは閲覧不可である。いくつかの実施形態において、製造及びCOC/COIの情報は、例えば、患者の治療イベントの計画立案、計画立案プロセスによる患者の支援、及び/または患者の治療イベントのための輸送での患者の支援の機能を実施する患者支援担当者が閲覧可能であってよいが、同担当者による編集は不可である。
【1155】
例えば、いくつかの実施形態において、患者の腫瘍から得られた細胞集団を細胞療法製剤へと増殖させることによる細胞療法製剤の製造方法は、
上記患者向けに上記細胞療法製剤を製造するための細胞注文に基づいて、製造施設において上記患者由来の細胞集団を受け入れることと、
計算装置によって、上記細胞注文に関連する細胞注文識別子を含む患者固有の識別子を作成することと、
上記細胞療法製剤を製造するためのプロセスであって、
上記製造施設において上記細胞集団を受け入れた後に、上記計算装置によって、患者の治療イベントを計画立案することと、
上記細胞集団の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して細胞療法製剤の増殖を開始すること、ならびに第1の時点及び上記第1の時点の後の第2の時点で上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが対応する時点に関連する受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記第1の時点における受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、得られた細胞療法製剤の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して、細胞療法製剤の増殖を上記第2の時点まで継続することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記第2の時点における受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、
上記細胞療法製剤の増殖を、上記細胞増殖技法を使用して上記第1の時点から再実施することが、上記第2の時点における受け入れパラメータに基づいて実現可能であるかどうかを判定することと、
上記再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、上記第2の時点で得られた細胞療法製剤の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して細胞療法製剤の増殖を再実施して、細胞療法製剤を得ることと、
上記計算装置によって、上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施後の上記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることと、
上記計算装置によって、見積られた上記細胞療法製剤の増殖の完了時間及び上記患者における上記増殖細胞療法製剤の注入の前または後の患者の治療イベントのタイミングに基づいて、上記患者の治療イベントを計画変更すること、及び後続の、上記第1の時点からの細胞療法製剤の増殖を完了することと、
を含む上記プロセスを開始することと、
例えば、移動、健康管理、健康保険、返済、及び他の治療関連サービスの支援などの患者支援サービスを提供することと
を含む。
【1156】
VI.その他の考慮事項
【1157】
上記に示す例は、本発明の組成物、システム及び方法の実施形態をどのように作成及び使用すればよいかについて当業者に完全な開示及び説明を付与するために提供され、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定することは意図されない。当業者には明らかな本発明を実施するための上述の態様の変形例は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書において言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する技術分野の当業者の技能水準の指標である。
【1158】
全ての見出し及びセクション表示は、明確にするために、且つあくまでも参考として使用され、いかなる形であっても限定するものと考えられてはならない。例えば、当業者は、異なる見出し及びセクションからの様々な態様を本明細書に記載される本発明の趣旨及び範囲に従い適宜組み合わせることの有用性を理解するであろう。
【1159】
本明細書に引用する全ての参考文献は、各個別の刊行物または特許または特許出願があらゆる目的から全体として参照により援用されると具体的且つ個別的に指示されたものとみなすのと同程度に、本明細書によって全体として及びあらゆる目的から参照により本明細書に援用される。
【1160】
当業者には明らかであろうとおり、本願の多くの改良及び変形をその趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載される具体的な実施形態及び例は単に例として提供され、本願は、特許請求の範囲に認められる均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
【1161】
本開示の態様のさまざまな例が、便宜上番号付きの条項(1、2、3など)として記載される。これらは例として提示しており、本主題の技術を限定するものではない。図及び参照番号の識別を、単に例として且つ例証を目的として以下にきさいしており、上記条項はそれらの識別によって限定されない。
【1162】
第1項 患者の腫瘍から得られた細胞集団を細胞療法製剤へと増殖させることによる上記細胞療法製剤の製造方法であって、
上記患者向けに上記細胞療法製剤を製造するための細胞注文に基づいて、製造施設において上記患者由来の細胞集団を受け入れることと、
計算装置によって、上記細胞注文に関連する細胞注文識別子を含む患者固有の識別子を作成することと、
上記細胞療法製剤を製造するためのプロセスを開始することであり、上記プロセスが、
上記製造施設において上記細胞集団を受け入れた後に、上記計算装置によって、患者の治療イベントを計画立案することと、
上記細胞集団の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して上記細胞療法製剤の増殖を開始すること、ならびに第1の時点及び上記第1の時点の後の第2の時点で上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが対応する時点に関連する受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記第1の時点における受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、得られた細胞療法製剤の少なくとも一部から、上記細胞増殖技法を使用して、上記細胞療法製剤の増殖を上記第2の時点まで継続することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記第2の時点における受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、
上記細胞療法製剤の増殖を、上記細胞増殖技法を使用して上記第1の時点から再実施することが、上記第2の時点における受け入れパラメータに基づいて実現可能であるかどうかを判定することと、
上記再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、上記第2の時点で得られた細胞療法製剤の少なくとも一部から、上記細胞増殖技法を使用して上記細胞療法製剤の増殖を再実施して、上記細胞療法製剤を得ることと、
上記計算装置によって、上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施後の上記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることと、
上記計算装置によって、見積られた上記細胞療法製剤の増殖の完了時間及び上記患者における上記増殖細胞療法製剤の注入の前または後の上記患者の治療イベントのタイミングに基づいて、上記患者の治療イベントを計画変更すること、及び後続の、上記第1の時点からの細胞療法製剤の増殖を完了することと
を含む上記プロセスを開始することと
を含む上記方法。
【1163】
第2項 上記細胞療法製剤がT細胞を含む、第1項に記載の方法。
【1164】
第3項 上記細胞療法製剤が腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、第1項に記載の方法。
【1165】
第4項 上記患者の治療イベントが、入院期間、切除日、リンパ球除去日、上記患者に上記細胞療法製剤を注入する注入日、及びIL-2処置日のうちの1つ以上を含む、第1項に記載の方法。
【1166】
第5項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすかどうかを判定することが、上記第1及び第2の時点を含む、上記得られた細胞療法製剤の増殖の開始後の複数の時点における、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することを含む、第1項に記載の方法。
【1167】
第6項 上記患者の治療イベントを計画変更することが、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記患者の治療イベントを計画変更することを含む、第5項に記載の方法。
【1168】
第7項 上記患者の治療イベントを計画変更することが、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記患者の治療イベントを打ち切ることを含む、第5項に記載の方法。
【1169】
第8項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記細胞療法製剤の後続の増殖を打ち切る、第5項に記載の方法。
【1170】
第9項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上の測定を含む、第8項に記載の方法。
【1171】
第10項 上記細胞増殖技法が急速増殖ステップを含み、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記急速増殖ステップの前の受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、上記増殖細胞療法製剤の製造の完了より前の日でリンパ球除去日を計画立案すること、上記増殖細胞療法製剤の製造の完了後の日に注入日を計画立案すること、及び上記注入日の後にIL-2処置日を計画立案することと
をさらに含む、第9項に記載の方法。
【1172】
第11項 上記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で上記細胞療法製剤を培養することを含む、第1項に記載の方法。
【1173】
第12項 上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施後の上記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることが、上記第2の時点での受け入れパラメータ、及び上記第1の時点から上記細胞療法製剤の増殖を再実施するために使用される細胞集団に関連する受け入れパラメータの一方または両方に基づいて、上記第1の時点から増殖プロセスを完了するのに必要な時間を決定することを含む、第1項に記載の方法。
【1174】
第13項 第1項に記載の方法であって、
上記細胞療法製剤を増殖させるための細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
上記細胞注文を受信したところで、上記患者固有の識別子及び上記細胞注文識別子の一方または両方を含む、上記患者に関連する上記細胞注文を受信したことの確認を上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む上記方法。
【1175】
第14項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記細胞療法製剤の増殖中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、上記第1及び第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、上記細胞増殖技法及び上記細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、第13項に記載の方法。
【1176】
第15項 上記患者の治療イベントを計画変更したところで、上記患者固有の識別子に関連する上記患者の治療イベントの更新されたスケジュールを上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、第13項に記載の方法。
【1177】
第16項 上記完了時間に基づいて、上記患者固有の識別子に関連する集荷依頼をロジスティックスインターフェースに送信することと、
上記完了時間に基づいて、上記患者固有の識別子に関連する上記患者の治療イベントのスケジュールを病院側インターフェースに送信することと
をさらに含む、第15項に記載の方法。
【1178】
第17項 上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、
上記計算装置によって、上記患者固有の識別子から上記細胞注文識別子を分離することと、
上記計算装置によって、上記細胞注文に関連する新たな細胞注文識別子を作成すること、及び上記新たな細胞注文識別子を上記患者固有の識別子と関連付けることと
をさらに含む、第16項に記載の方法。
【1179】
第18項 第17項に記載の方法であって、
上記細胞療法製剤を増殖させるための上記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
上記新たな細胞注文識別子及び上記細胞療法製剤の増殖の見積もられた完了時間を含む上記患者固有の識別子を上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、上記方法。
【1180】
第19項 上記計算装置によって、上記患者の治療イベントの上記計画変更に基づいて、上記患者の治療イベントに関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールを作成することと、
出荷及びロジスティックスイベントの計画変更に基づいて、上記新たな細胞注文識別子を含む上記患者固有の識別子に関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールをロジスティックスインターフェースに送信することと
をさらに含む、第17項に記載の方法。
【1181】
第20項 受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかの判定が行われる各時点で、上記計算装置によって、それぞれ個々の時点に対応するフィールドを含む上記新たな細胞注文識別子及び上記判定の結果を、上記患者固有の識別子と関連付けることをさらに含む、第17項に記載の方法。
【1182】
第21項 上記計画立案することが、上記計算装置によって、上記新たな細胞注文識別子を含む上記患者固有の識別子に基づいて上記患者の治療イベントを計画立案することを含む、第20項に記載の方法。
【1183】
第22項 上記再実施することが可能ではないとの判定に呼応して、上記計算装置によって、上記第2の時点の後に計画立案された上記患者の治療イベントを取り消すことをさらに含む、第21項に記載の方法。
【1184】
第23項 上記患者の治療イベントの取り消しを病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに送信することをさらに含む、第22項に記載の方法。
【1185】
第24項 上記再実施することが実現可能でないとの判定に呼応して、上記増殖細胞療法製剤を廃棄すること、及び上記患者固有の識別子を上記細胞注文識別子から分離することをさらに含む、第23項に記載の方法。
【1186】
第25項 上記計画変更された患者の治療イベントに従って、第1項に記載の方法によって得られた増殖細胞療法製剤による上記患者の治療方法。
【1187】
第26項 ある患者向けの細胞療法製剤の製造方法であって、
計算装置において、上記患者向けの上記細胞療法製剤を製造するための細胞注文、複数の製造施設における上記細胞療法製剤を製造するための製造スロットであり、それぞれの製造施設向けの製造スロットが、上記それぞれの製造施設に関連する製造業者のコンピュータサブシステムから上記計算装置で受信される上記製造スロット、及び上記細胞療法製剤で上記患者を治療するための患者の治療イベントの仮スケジュールを受信することと、
上記計算装置によって、上記患者の治療イベントの上記仮スケジュールに基づいて、上記細胞療法製剤を製造するための複数の利用可能な製造スロットを決定すること、及びそれらを計画立案ユーザーインターフェースに表示することと、
上記利用可能な製造スロットの1つを選択した後に、医療施設において、上記患者の治療イベントの仮スケジュール及び利用可能な製造スロットに従って、上記患者から固形腫瘍を得るための処置を上記患者に実施することと、
得られた固形腫瘍を、上記利用可能な製造スロットに従って、上記利用可能な製造スロットに対応する製造施設に移送することと、
上記得られた固形腫瘍を上記製造施設において受け入れたところで、上記得られた固形腫瘍の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して上記細胞療法製剤の製造を開始することと、
上記細胞療法製剤の製造中に、第1の時点及び上記第1の時点の後の第2の時点において、製造された上記細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定し、且つ上記受け入れパラメータが対応する時点に関連する受け入れ基準であり、上記対応する時点に関連するアッセイの結果に基づいて決定される上記受け入れ基準を満たすかどうか判定することと、
上記計算装置によって、上記細胞療法製剤の製造のための製造スケジュール、上記製造施設に対応する製造スロット、及び上記患者の治療イベントの上記仮スケジュールを、上記第1及び第2の時点の一方または両方における上記受け入れ基準を満たすかどうかに基づいて修正することと、
上記第1及び第2の時点における上記受け入れ基準を満たす場合に、修正された製造スケジュールに従って、上記細胞療法製剤の製造を完了することと
を含む上記方法。
【1188】
第27項 上記製造された細胞療法製剤を上記医療施設に移送することをさらに含む、第26項に記載の方法。
【1189】
第28項 上記細胞注文を受信したところで、上記計算装置によって、上記患者及び上記細胞注文に関連する患者固有の識別子を作成することをさらに含む、第26項に記載の方法。
【1190】
第29項 上記計算装置によって、上記患者固有の識別子、上記細胞注文、上記製造スロット、及び上記利用可能な製造スロットに対応する上記製造施設を含む、上記得られた固形腫瘍の容器用の出荷ラベルを自動的に作成することをさらに含む、第28項に記載の方法。
【1191】
第30項 上記計算装置によって、上記細胞療法製剤を製造するために使用される製造プロセスに対応する、上記製造ラベルが作成された時点、容器を識別するバーコード、上記患者固有の識別子、上記時点で完了した製造ステップ、上記完了したプロセスに関連する受け入れパラメータ、及び上記時点で実施されている製造プロセスを含む、上記得られた固形腫瘍の容器用の製造ラベルを自動的に作成することをさらに含む、第29項に記載の方法。
【1192】
第31項 上記細胞療法製剤がT細胞を含む、第26項に記載の方法。
【1193】
第32項 上記細胞療法製剤が腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、第26項に記載の方法。
【1194】
第33項 上記患者の治療イベントが、入院期間、切除日、リンパ球除去日、上記患者に上記細胞療法製剤を注入する注入日、及びIL-2処置日のうちの1つ以上を含む、第26項に記載の方法。
【1195】
第34項 上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすかどうかを判定することが、上記第1及び第2の時点を含む、受け入れられた細胞療法製剤の増殖の開始後の複数の時点における、上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することを含む、第26項に記載の方法。
【1196】
第35項 上記計算装置によって、
上記患者の治療イベントを計画変更することと、
後続の細胞療法製剤の増殖を完了することと
をさらに含み、
上記患者の治療イベントを計画変更することが、上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記患者の治療イベントを計画変更することを含む、第34項に記載の方法。
【1197】
第36項 上記患者の治療イベントを計画変更することが、上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記患者の治療イベントを打ち切ることを含む、第34項に記載の方法。
【1198】
第37項 上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記細胞療法製剤の後続の増殖を打ち切る、第34項に記載の方法。
【1199】
第38項 上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上の測定を含む、第37項に記載の方法。
【1200】
第39項 上記細胞増殖技法が急速増殖ステップを含み、
上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記急速増殖ステップの前の受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、上記細胞療法製剤の製造の完了より前の日でリンパ球除去日を計画立案すること、上記細胞療法製剤の製造の完了後の日に注入日を計画立案すること、及び上記注入日の後にIL-2処置日を計画立案することと
をさらに含む、第38項に記載の方法
【1201】
第40項 上記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で上記細胞療法製剤を培養することを含む、第26項に記載の方法。
【1202】
第41項 上記計算装置によって上記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることをさらに含み、上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施後の上記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることが、上記第2の時点での受け入れパラメータ、及び上記第1の時点から上記細胞療法製剤の増殖を再実施するために使用される細胞集団に関連する受け入れパラメータの一方または両方に基づいて、上記第1の時点から増殖プロセスを完了するのに必要な時間を決定することを含む、第26項に記載の方法。
【1203】
第42項 第29項に記載の方法であって、
上記細胞療法製剤を増殖させるための上記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
上記細胞注文を受信したところで、上記患者固有の識別子及び上記細胞注文識別子の一方または両方を含む、上記患者に関連する細胞注文を受信したことの確認を上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む上記方法。
【1204】
第43項 上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記細胞療法製剤の増殖中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、上記第1及び第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、上記細胞増殖技法及び上記細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、第42項に記載の方法。
【1205】
第44項 上記患者の治療イベントを計画変更したところで、上記患者固有の識別子に関連する上記患者の治療イベントの更新されたスケジュールを上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、第43項に記載の方法。
【1206】
第45項 完了時間に基づいて、上記患者固有の識別子に関連する集荷依頼をロジスティックスインターフェースに送信することと、
完了時間に基づいて、上記患者固有の識別子に関連する上記患者の治療イベントのスケジュールを病院側インターフェースに送信することと
をさらに含む、第44項に記載の方法。
【1207】
第46項 上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、
上記計算装置によって、上記患者固有の識別子から上記細胞注文識別子を分離することと、
上記計算装置によって、上記細胞注文に関連する新たな細胞注文識別子を作成すること、及び上記新たな細胞注文識別子を上記患者固有の識別子と関連付けることと
をさらに含む、第45項に記載の方法。
【1208】
第47項 第46項に記載の方法であって、
上記細胞療法製剤を増殖させるための上記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
上記新たな細胞注文識別子及び上記細胞療法製剤の増殖の見積もられた完了時間を含む上記患者固有の識別子を上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、上記方法。
【1209】
第48項 以下をさらに含む、第47項に記載の方法:
【1210】
上記計算装置によって、上記患者の治療イベントの上記計画変更に基づいて、上記患者の治療イベントに関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールを作成することと、
出荷及びロジスティックスイベントの計画変更に基づいて、上記新たな細胞注文識別子を含む上記患者固有の識別子に関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールをロジスティックスインターフェースに送信すること。
【1211】
第49項 受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすかどうかの判定が行われる各時点で、上記計算装置によって、それぞれ個々の時点に対応するフィールドを含む上記新たな細胞注文識別子及び上記判定の結果を、上記患者固有の識別子と関連付けることをさらに含む、第48項に記載の方法。
【1212】
第50項 上記計画立案することが、上記計算装置によって、上記新たな細胞注文識別子を含む上記患者固有の識別子に基づいて上記患者の治療イベントを計画立案することを含む、第49項に記載の方法。
【1213】
第51項 上記再実施することが可能ではないとの判定に呼応して、上記計算装置によって、上記第2の時点の後に計画立案された上記患者の治療イベントを取り消すことをさらに含む、第50項に記載の方法。
【1214】
第52項 上記患者の治療イベントの取り消しを病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに送信することをさらに含む、第51項に記載の方法。
【1215】
第53項 上記再実施することが実現可能でないとの判定に呼応して、上記増殖細胞療法製剤を廃棄すること、及び上記患者固有の識別子を上記細胞注文識別子から分離することをさらに含む、第52項に記載の方法。
【1216】
第54項 上記計画変更された患者の治療イベントに従って、第26項に記載の方法によって得られた上記製造された細胞療法製剤による上記患者の治療方法。
【1217】
第55項
製造施設において、患者から得られた固形腫瘍を受け入れることと、
計算装置によって、上記得られた固形腫瘍の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して細胞療法製剤を製造するためのプロセスにおいて使用される製造容器用の、上記患者、上記製造プロセス、及び製造された上記細胞療法製剤の品質に関連する情報を含む製造ラベルを作成することと、
上記細胞療法製剤を製造するためのプロセスを開始することと、を含む細胞療法製剤の製造方法であって、
前記プロセスが、
医療施設において、上記患者から固形腫瘍を得るために、上記患者に対して処置を実施することと、
得られた固形腫瘍を製造施設に移送することと、
上記製造施設において上記得られた固形腫瘍を受け入れた後に、計算装置によって、その後に得られる増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータに依存して、患者の治療イベントを動的に計画立案することと、
上記得られた固形腫瘍の少なくとも一部から、細胞増殖技法を使用して上記細胞療法製剤の増殖を開始すること、及び複数の時点で上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することと
を含む上記プロセスを開始することと、
上記複数の時点において、上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定するための品質管理アッセイを実施することと、
上記計算装置において、上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータを受信することと、
上記計算装置によって、上記複数の時点のそれぞれに対応する更新された製造ラベルであり、上記更新された製造ラベルは上記製造された細胞療法製剤の品質に関連する更新された情報を含み、上記更新された情報は対応する時点における上記受け入れパラメータを含む、上記製造ラベルを作成することと、
上記計算装置によって、上記複数の時点のそれぞれにおいて上記更新された製造ラベルを読取ることと、
上記複数の時点のそれぞれにおいて上記更新された製造ラベルから読取られた情報に基づいて、上記細胞療法製剤の増殖を完了することと、を含む、前記方法。
【1218】
第56項 後続の製造ステップ用の上記更新された製造ラベル上の上記患者に関する情報が、直前の製造ステップの製造ラベル上の上記患者に関する情報と一致しないか、または
上記製造プロセスにおける所与の時点の上記更新された製造ラベル上の受け入れパラメータが、上記製造プロセスの当該の時点の受け入れ基準を満たしていない、
但し、上記受け入れパラメータが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上を含む場合、
上記計算装置によって警告信号を発することをさらに含む、第55項に記載の方法。
【1219】
第57項 上記患者に関する情報が、患者固有の識別子及び上記患者向けの上記細胞療法製剤を製造するための細胞注文に関連する細胞注文識別子を含む、第55項に記載の方法。
【1220】
第58項 上記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で上記細胞療法製剤を培養することを含む、第55項に記載の方法。
【1221】
第59項 上記製造ラベルが、上記患者、上記製造プロセス、及び上記製造された細胞療法製剤の品質に関連する情報をコード化したバーコードを含む、第55項に記載の方法。
【1222】
第60項 上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記製造プロセス中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、第1の時点及び上記第1の時点の後の第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、使用されている細胞増殖技法及び製造施設での細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、第56項に記載の方法。
【1223】
第61項 配送業者計算サブシステムを介して、を含む配送状況の情報を受信すること、ならびに、上記配送状況の情報を受信することに呼応して、決定した製造のスケジュールに基いて上記製造された細胞療法製剤を出荷するための出荷スケジュールを決定すること、及び上記製造された細胞療法製剤が入った輸送容器用の出荷ラベルを作成することを、ロジスティックスインターフェースに取り込むことをさらに含む、第60項に記載の方法。
【1224】
第62項 上記決定された出荷スケジュールに基づいて、ロジスティックス施設に出荷要請を送信することをさらに含む、第60項に記載の方法。
【1225】
第63項 最終的な品質管理アッセイを実施する前に、上記製造された細胞療法製剤が入った輸送容器用の出荷ラベルを作成することをさらに含み、但し、上記出荷ラベルは、上記最終的な品質管理アッセイの結果が、対応する受け入れパラメータが対応する受け入れ基準を満たすことを示してない限り、上記製造された細胞療法製剤は出荷可能ではないことを示す、第60項に記載の方法。
【1226】
第64項 上記製造された細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすと判定したところで、上記細胞療法の製造の完了日を決定することと、
上記計算装置によって、上記完了日に基づいて、患者を治療するための上記細胞療法製剤の使用に対応する上記患者の治療イベントのスケジュールを作成することと、
ロジスティックスインターフェースに、上記完了日に基づいて集荷依頼を送信することと、
病院側インターフェースに、上記患者の治療イベントのスケジュールを送信することと
をさらに含む、第56項に記載の方法。
【1227】
第65項 上記細胞療法製剤がT細胞を含む、第55項に記載の方法。
【1228】
第66項 上記細胞療法製剤が腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む、第55項に記載の方法。
【1229】
第67項 上記患者の治療イベントが、入院期間、切除日、リンパ球除去日、上記患者に上記細胞療法製剤を注入する注入日、及びIL-2処置日のうちの1つ以上を含む、第55項に記載の方法。
【1230】
第68項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすかどうかを判定することが、上記第1及び第2の時点を含む、上記得られた細胞療法製剤の増殖の開始後の複数の時点における、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することを含む、第56項に記載の方法。
【1231】
第69項 上記計算装置によって、
上記患者の治療イベントを計画変更することと、
後続の細胞療法製剤の増殖を完了することと
をさらに含み、
上記患者の治療イベントを計画変更することが、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記患者の治療イベントを計画変更することを含む、第68項に記載の方法。
【1232】
第70項 上記患者の治療イベントを計画変更することが、上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記患者の治療イベントを打ち切ることを含む、第68項に記載の方法。
【1233】
第71項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、汚染に起因して、上記複数の時点のいずれにおいても上記受け入れ基準を満たさないとの判定に呼応して、上記細胞療法製剤の後続の増殖を打ち切る、第68項に記載の方法。
【1234】
第72項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータを測定することが、生存率、無菌性、細胞数、mycoplasma数、CD3数、エンドトキシンアッセイの結果、及びグラム染色アッセイの結果のうちの1つ以上の測定を含む、第71項に記載の方法。
【1235】
第73項 上記細胞増殖技法が急速増殖ステップを含み、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが、上記急速増殖ステップの前の受け入れ基準を満たすかどうかを判定することと、
上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記受け入れ基準を満たすとの判定に呼応して、上記細胞療法製剤の製造の完了より前の日でリンパ球除去日を計画立案すること、上記細胞療法製剤の製造の完了後の日に注入日を計画立案すること、及び上記注入日の後にIL-2処置日を計画立案することと
をさらに含む、第72項に記載の方法。
【1236】
第74項 上記細胞増殖技法が単一の閉鎖型容器バイオリアクター中で上記細胞療法製剤を培養することを含む、第55項に記載の方法。
【1237】
第75項 上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施後の上記細胞療法製剤の増殖の完了時間を見積ることが、上記第2の時点での受け入れパラメータ、及び上記第1の時点から上記細胞療法製剤の増殖を再実施するために使用される細胞集団に関連する受け入れパラメータの一方または両方に基づいて、上記第1の時点から増殖プロセスを完了するのに必要な時間を決定することを含む、第55項に記載の方法。
【1238】
第76項 第57項に記載の方法であって、
上記細胞療法製剤を増殖させるための細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
上記細胞注文を受信したところで、上記患者固有の識別子及び上記細胞注文識別子の一方または両方を含む、上記患者に関連する細胞注文を受信したことの確認を上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む上記方法。
【1239】
第77項 上記増殖細胞療法製剤の受け入れパラメータが上記細胞療法製剤の増殖中の受け入れ基準を満たすかどうかを判定するための、上記第1及び第2の時点を含む複数の時点に対応する一連の日付を、上記細胞増殖技法及び上記細胞注文の受信時に応じて計画立案することをさらに含む、第76項に記載の方法。
【1240】
第78項 上記患者の治療イベントを計画変更したところで、上記患者固有の識別子に関連する上記患者の治療イベントの更新されたスケジュールを上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、第76項に記載の方法。
【1241】
第79項 完了時間に基づいて、上記患者固有の識別子に関連する集荷依頼をロジスティックスインターフェースに送信することと、
完了時間に基づいて、上記患者固有の識別子に関連する上記患者の治療イベントのスケジュールを病院側インターフェースに送信することと
をさらに含む、第78項に記載の方法。
【1242】
第80項 上記第1の時点からの上記細胞療法製剤の増殖の再実施が実現可能であるとの判定に呼応して、
上記計算装置によって、上記患者固有の識別子から上記細胞注文識別子を分離することと、
上記計算装置によって、上記細胞注文に関連する新たな細胞注文識別子を作成すること、及び上記新たな細胞注文識別子を上記患者固有の識別子と関連付けることと
をさらに含む、第79項に記載の方法。
【1243】
第81項 第80項に記載の方法であって、
上記細胞療法製剤を増殖させるための上記細胞注文が病院側インターフェースから受信され、
上記新たな細胞注文識別子及び上記細胞療法製剤の増殖の見積もられた完了時間を含む上記患者固有の識別子を上記病院側インターフェースに送信することをさらに含む、上記方法。
【1244】
第82項 上記計算装置によって、上記患者の治療イベントの上記計画変更に基づいて、上記患者の治療イベントに関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールを作成することと、
出荷及びロジスティックスイベントの計画変更に基づいて、上記新たな細胞注文識別子を含む上記患者固有の識別子に関連する出荷及びロジスティックスイベントの新たなスケジュールをロジスティックスインターフェースに送信することと
をさらに含む、第80項に記載の方法。
【1245】
第83項 受け入れパラメータが特定の受け入れ基準を満たすかどうかの判定が行われる各時点で、上記計算装置によって、それぞれ個々の時点に対応するフィールドを含む上記新たな細胞注文識別子及び上記判定の結果を、上記患者固有の識別子と関連付けることをさらに含む、第80項に記載の方法。
【1246】
第84項 上記計画立案することが、上記計算装置によって、上記新たな細胞注文識別子を含む上記患者固有の識別子に基づいて上記患者の治療イベントを計画立案することを含む、第83項に記載の方法。
【1247】
第85項 上記再実施することが可能ではないとの判定に呼応して、上記計算装置によって、上記第2の時点の後に計画立案された上記患者の治療イベントを取り消すことをさらに含む、第84項に記載の方法。
【1248】
第86項 上記患者の治療イベントの取り消しを病院側インターフェース及びロジスティックスインターフェースに送信することをさらに含む、第85項に記載の方法。
【1249】
第87項 上記再実施することが実現可能でないとの判定に呼応して、上記増殖細胞療法製剤を廃棄すること、及び上記患者固有の識別子を上記細胞注文識別子から分離することをさらに含む、第86項に記載の方法。
【1250】
第88項 上記計画変更された患者の治療イベントに従い、第55項に記載の方法によって得られた上記増殖細胞療法製剤によって上記患者を治療する方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図3P
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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【国際調査報告】