(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】船舶のロール周期の計算
(51)【国際特許分類】
B63B 39/14 20060101AFI20230606BHJP
B63B 79/10 20200101ALI20230606BHJP
B63B 79/30 20200101ALI20230606BHJP
【FI】
B63B39/14
B63B79/10
B63B79/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564774
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 US2021029755
(87)【国際公開番号】W WO2021222475
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522415759
【氏名又は名称】アサートン ダイナミクス,エルエルシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アサートン,ハンター
(72)【発明者】
【氏名】ザッカーマン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ガーフィールド,ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】ケンペ ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ブローダー,フィリップ
(57)【要約】
船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定すべく可搬検知機器を設置することができる。検知機器は、船舶の動きを検知する1個以上の動きセンサ、船舶のフリーボードを判定する1個以上のフリーボードセンサ、及び1個以上の動きセンサからの動きデータ及び1個以上のフリーボードセンサからのフリーボードデータを処理して少なくとも1個の安定性評価値を判定する計算システムを含んでいてよい。計算システムは、動きデータを時間領域の動きデータから周波数領域の動きデータに変換し、周波数領域の動きデータを処理して船舶の少なくとも1個の安定性評価値及び船舶のフリーボードを判定すべくプログラムされていてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の安定状態を判定する可搬検知機器であって、
(A)前記船舶の動きデータを検知する1個以上の動きセンサと、
(B)前記船舶のフリーボードを判定する1個以上のフリーボードセンサと、
(C)計算システムであって、
(a)前記動きデータを時間領域の動きデータから周波数領域の動きデータに変換し、
(b)前記周波数領域の動きデータを処理して前記船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定し、
(c)前記安定性評価値及び前記フリーボードから前記船舶の安定状態を判定すべくプログラムされた計算システムを含む可搬検知機器。
【請求項2】
前記計算システムが、前記周波数領域の動きデータから前記船舶のロール周期を判定すべくプログラムされている、請求項1に記載の可搬検知機器。
【請求項3】
前記計算システムが、前記周波数領域の動きデータから前記船舶の傾心高を判定すべくプログラムされている、請求項1に記載の可搬検知機器。
【請求項4】
前記1個以上の動きセンサを収納する筐体を含み、前記筐体が船舶に着脱可能に取り付けられるべく構成されている、請求項1に記載の可搬検知機器。
【請求項5】
船舶固有情報の1個以上の入力を受信するためのインターフェースを含んでいる、請求項1に記載の可搬検知機器。
【請求項6】
前記インターフェースが、前記船舶の梁幅、ロール定数、ローリング係数、船舶の種類、最大設計GM、最小設計ロール周期、推定初期化ロール周期、燃料消費に起因するGM又はロール周期の予想日次変化、断面回転半径、幅型、ピッチ、ロール、GM又はロール周期に関する警報パラメータのうち一つ以上を受信すべくプログラムされている、請求項5に記載の可搬検知機器。
【請求項7】
前記計算システムが、ロール周期を前記船舶の傾心高に変換すべくプログラムされている、請求項1に記載の可搬検知機器。
【請求項8】
前記船舶のロール周期及び前記船舶の傾心高の少なくとも一方を表示するディスプレイ、請求項1に記載の可搬検知機器。
【請求項9】
前記ディスプレイが、ある時間にわたる平均又は最大ピッチ及びロール振幅のうち一個以上を表示すべくプログラムされている、請求項8に記載の可搬検知機器。
【請求項10】
前記ディスプレイが前記安定状態を表示すべく構成されている、請求項8に記載の可搬検知機器。
【請求項11】
前記ディスプレイが、前記安定状態をフリーボード対ロール周期のグラフ上に表示すべく構成されている、請求項10に記載の可搬検知機器。
【請求項12】
前記ディスプレイが、1個以上の状態ライトを用いて前記安定状態を表示すべく構成されている、請求項10に記載の可搬検知機器。
【請求項13】
前記計算システムが、前記1個以上のフリーボードセンサから前記計算システムに受信された排水量データを用いて前記船舶の前記安定状態を判定すべくプログラムされている、請求項1に記載の可搬検知機器。
【請求項14】
船舶の安定状態を判定する方法であって、
(A)前記船舶の動きデータを検知する1個以上の動きセンサ、及び前記1個以上の動きセンサからの動きデータを処理して前記船舶のロール周期を判定する計算システムを含む可搬検知機器を前記船舶のある位置に設置することと、
(B)前記検知機器をある時間動作させて前記船舶の前記ロール周期の初期指標を生成することと、
(C)前記船舶のフリーボードを判定することと、
(D)前記ロール周期及び前記フリーボードから前記船舶の安定状態を判定することとを含む方法。
【請求項15】
前記初期指標を生成する時間が5分未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記船舶の前記ロール周期の初期指標を生成することが、前記計算システムにより、前記動きデータを時間領域の動きデータから周波数領域の動きデータに変換することと、前記計算システムにより前記周波数領域の動きデータを処理して前記船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定することとを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記安定状態を判定することが前記船舶の排水量を利用する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記安定状態をフリーボード対ロール周期のグラフで表すことを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
1個以上のステータスライトを用いて前記安定状態を表示することを含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
1個以上のサードパーティセンサを含む船舶用サードパーティシステムと直接又は間接的に通信して前記1個以上のサードパーティセンサから未加工の動きデータ及び前記1個以上のサードパーティセンサからフリーボードデータを受信し、前記動きデータを前記船舶のロール周期又は前記船舶の傾心高の少なくとも一方を含む少なくとも1個の安定性評価値に変換し、前記安定性評価値と前記フリーボードデータを組み合わせて前記船舶の安定状態を判定すべくプログラムされている少なくとも1個の装置を含むシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1個の装置が、前記少なくとも1個の安定性評価値及び前記安定状態のうち1個以上を前記サードパーティシステムに伝送すべくプログラムされている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定する方法であって、
(A)前記船舶の動きデータを検知する1個以上の動きセンサ、及び前記1個以上の動きセンサからの動きデータを処理して前記船舶のロール周期を判定する計算システムを含む可搬検知機器を前記船舶のある位置に設置することと、
(B)前記検知機器をある時間動作させて前記船舶の前記ロール周期の指標を生成することと、
(C)前記検知されたロール周期の精度又は正確さを確認することと、
(D)前記ロール周期から前記船舶の前記少なくとも1個の安定性評価値を判定することとを含む方法。
【請求項23】
生成されているデータの品質の表現をユーザーに提示する信号妥当性から健全性値を導くことを含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
健全性データが、前記データの1個以上の視覚的描写、1個以上の可聴警報、及び/又は1個以上の緊急通知として提示可能であることを含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記船舶の前記ロール周期の前記指標を生成することが、前記計算システムにより、前記動きデータを時間領域の動きデータから周波数領域の動きデータに変換することと、前記計算システムにより前記周波数領域の動きデータを処理して前記船舶の前記ロール周期を判定することとを含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記周波数領域の動きデータから前記ロール周期の正規化されたエネルギー分散を判定して前記正規化されたエネルギー分散をフィルタアルゴリズムへの入力として提供することを含み、前記正規化されたエネルギー分散が、前記判定されたロール周期を以前の測定値に対してどの程度重み付けするかの指標を提供する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記船舶のフリーボードを判定すること、及び前記ロール周期及び前記フリーボードから前記船舶の安定状態を判定することを含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1個のプロセッサにより実行可能な命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令が実行されたならば、前記少なくとも1個のプロセッサに、1個以上のサードパーティセンサを含む船舶用サードパーティシステムと直接又は間接的に通信して、前記1個以上のサードパーティセンサから未加工の動きデータ及び前記1個以上のサードパーティセンサからフリーボードデータを受信し、前記動きデータを前記船舶のロール周期又は前記船舶の傾心高の少なくとも一方を含む少なくとも1個の安定性評価値に変換し、前記安定性評価値と前記フリーボードデータを組み合わせて前記船舶の安定状態を判定させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
実行されたならば、前記少なくとも1個のプロセッサに、前記動きデータを時間領域の動きデータから周波数領域の動きデータに変換し、前記周波数領域の動きデータを処理して前記船舶の前記少なくとも1個の安定性評価値を判定させる命令を含んでいる、請求項29に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2020年4月28日出願の米国仮特許出願第63/016483号の優先権を主張するものであり、その全内容を本明細書に引用している。
【0002】
発明の分野
本発明は、海上船舶の安定性を判定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
海上活動において、船舶の安定性は明らかに重要な要素である。現行の船舶モデリングシステムは安定性を近似するのに数学及び設計図の寸法しか用いていない。
図1A、1Bに、船の安定性の背後にある理論を示している。
図1Aにおいて、水域120に浮かぶ船舶110は、
図1Bに示すように、船舶の浮力中心が船舶の横傾斜に伴い振り子のように回転する中心点である傾心M112を有している。これは一般に、横傾斜角が10度未満の場合にのみ成り立つ。船舶は重心G114及び浮力中心B116を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
傾心高(GM)は、船舶の航海士が浮体の安定性を評価するための最重要な安定性評価値である。傾心高は、浮体の重心(G)と傾心(M)の直線距離であって浮体の初期静的安定性を反映する。傾心高は、商船、漁船、旅客フェリー等、重心Gが頻繁に変化する船舶で特に重要である。傾心高はまた、船舶が損傷した際にも極めて重要になる。全ての船が自身のGMの「安全範囲」を有している。GMが低過ぎれば安定性が損なわれ、高過ぎれば「急激な」ローリング動作で実際に人員が負傷する恐れがある。
【0005】
人が船舶に出会って当該船舶に乗り続けても、及び/又は当該船舶を操船しても安全か否かを素早く判断できることが望まれる状況が多いであろう。例えば、捜索及び救助又は法執行活動において、船舶の設計又は積載状態が事前に知られていない船舶への乗船を求められる場合がある。
【0006】
現行のGMモデリングシステムは、高価、面倒、及び相当の訓練を要する。更に、当該システムは多くの入力を必要とするため、正確な評価を素早く得ることは事実上不可能である。例えば、米国海軍洪水災害管理システム(FCCS)は、燃料及び水タンクのレベル、貨物及び人員に関する知識、往々にして憶測による又は不完全な被害報告、及び不正確な恐れがある積荷計画等を必要とする。当該システムは購入価格が極めて高額であるため、小規模な運用では使用できない。
【0007】
求められているのは、船舶の安定性情報を計算するための改良された装置、システム、及び方法である。
【0008】
発明の一実施形態の概要
本発明の1個以上の実施形態の利点
本発明の各種の実施形態は以下の1個以上の利点を、全てではないにせよ実現し得る。
浮体の安定性評価値を計算する能力、
船舶の安定性の高速計算の実行、
実時間測定データを使用して、船舶の安定性評価値を取得する能力、
船舶の安定性を判断する費用対効果の高い装置の提供、
船舶の安定性測定値を取得すべく船舶に素早く取り付け可能な可搬機器の提供、
船から船へ移動する個人又はチームで所有可能な低価格機器の提供、
船舶の現在の積載状態の安全性を素早く評価すべくロール周期及び/又は傾心高と組み合わせて利用可能な船舶の残留安定性を素早く評価する能力の提供。
【0009】
これら及び他の利点は、本明細書、請求項、及び要約書の以下の部分を参照することにより理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態の簡単な説明
本発明の一態様において、船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定する可搬検知機器を提供する。検知機器は、船舶の動きを検知する1個以上の動きセンサと、船舶のフリーボードを判定する1個以上のフリーボードセンサと、少なくとも1個の安定性評価値を判定すべく1個以上の動きセンサからの動きデータ及び1個以上のフリーボードセンサからのフリーボードデータを処理する計算システムを含んでいてよい。計算システムは、動きデータを時間領域の動きデータから周波数領域の動きデータに変換し、周波数領域の動きデータを処理して船舶の少なくとも1個の安定性評価値及び船舶のフリーボードを判定すべくプログラムされていてよい。
【0011】
一実施形態において、動きデータをロール周期データに変換できる。
【0012】
一実施形態において、可搬検知機器は、船舶に取り外し可能に取り付け可能な筐体を含んでいてよく、筐体は、1個以上の動きセンサ及び計算システムを収納する。
【0013】
一実施形態において、可搬検知機器は船舶の梁幅の入力を受信するためのインターフェースを含んでいてよい。
【0014】
一実施形態において、計算システムはロール周期を船舶の傾心高に変換すべくプログラムされている。
【0015】
一実施形態において、可搬検知機器は、船舶のロール周期及び船舶の傾心高の少なくとも一方を表示するディスプレイを含んでいてよい。
【0016】
本発明の一態様において、船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定する方法を提供する。本方法は、船舶のある位置に可搬検知機器を設置することを含んでいてよく、検知機器は、船舶の動きを検知する1個以上の動きセンサと、1個以上の動きセンサからの動きデータを処理して船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定する計算システムとを含んでいる。本方法は、検知機器を一定時間動作させて船舶のロール周期の初期表示を生成すること、船舶のフリーボードを判定すること、及びロール周期及びフリーボードから船舶の安定状態を判定することを含んでいてよい。
【0017】
一実施形態において、初期表示を行う周期は5分未満である。
【0018】
一態様において、1個以上のサードパーティセンサから未加工の動きデータ及びフリーボードデータを受信し、動きデータを、船舶のロール周期又は船舶の傾心高の少なくとも一方を含む少なくとも1個の安定性評価値に変換し、安定性評価値とフリーボードデータを組み合わせて船舶の安定状態を判定する1個以上のサードパーティセンサを含む船舶用サードパーティシステムと直接又は間接的に通信すべくプログラムされた少なくとも1個の機器を含むシステムを提供する。
【0019】
一態様において、船舶の少なくとも一方の安定性評価値を判定する方法を提供する。本方法は、船舶のある位置に可搬検知機器を設置することを含んでいてよく、可搬検知機器は、船舶の動きデータを検知する1個以上の動きセンサと、1個以上の動きセンサからの動きデータを処理して船舶のロール周期を判定する計算システムを含んでいる。検知機器を一定時間動作させて船舶のロール周期の表示を生成することができる。本方法は更に、検知されたロール周期の精度又は正確さを確認すること、及びロール周期から船舶の少なくとも1個の安定性評価値を判定することを含んでいてよい。
【0020】
一態様において、実行時に、少なくとも1個のプロセッサに、1個以上のサードパーティセンサを含む船舶用サードパーティシステムと直接又は間接的に通信して1個以上のサードパーティセンサから未加工の動きデータ及び1個以上のサードパーティセンサからフリーボードデータを受信し、前記動きデータを、前記船舶のロール周期又は前記船舶の傾心高の少なくとも一方を含む少なくとも1個の安定性評価値に変換して、前記安定性評価値と前記フリーボードデータとを組み合わせて前記船舶の安定状態を判定させる少なくとも1個のプロセッサにより実行可能な命令を含むコンピュータ可読媒体を提供する。
【0021】
上の記述は、以下の詳細な記述に対する理解が深まり、本発明の当分野への寄与がより正しく評価されるよう、本発明の一実施形態の概要の骨子を開示する。本発明の実施形態のいくつかは、上の概要に列挙した特徴又は特性の全てを含んでいない場合がある。無論、以下に記述されて請求項の主題を形成する本発明の追加的な特徴も存在する。この点で、本発明の少なくとも1個の好適な実施形態を詳細に説明する前に、本発明の応用範囲が以下の記述に開示する、又は図面に示す要素の構造の及び配置の詳細事項に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の複数の実施形態も可能であり、及び様々な仕方で実施及び実行可能である。また、本明細書で採用している語句及び用語は説明目的に過ぎず、本発明を限定するものと考えてはならないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
【
図1A】安定性評価値が縦方向に並んでいる状態の船舶の安定性評価値を示す。
【
図1B】船舶が横傾斜しており、安定性評価値が縦方向に並んでいない船舶の安定性評価値を示す。
【
図2】筐体内の安定性評価システムの要素を模式的に示す。
【
図3】時間領域における動きデータのグラフを実質的に示す。
【
図4】周波数領域におけるエネルギーデータの周期に対するグラフを実質的に示す。
【
図5】ロール周期データを生成する処理を実質的に示す。
【
図6】ロール周期計算の経時的変化を示すグラフを実質的に示す。
【
図7】ロール周期計算アルゴリズムの主ルーティンを実質的に示す。
【
図8】時間領域データを周波数領域データに変換するロール周期計算アルゴリズムの変換ルーティンを実質的に示す。
【
図9】ロール周期及び傾心高の計算のためカルマンフィルタを実行するフィルタルーティンを実質的に示す。
【
図11】船舶のフリーボードの模式図を実質的に示す。
【
図12】フリーボード対ロール周期図の一例を実質的に示す。
【
図13】測定値の標準偏差及びエネルギー分散データの表を実質的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の特定の実施形態の説明
複数の好適な実施形態に関する以下の詳細な記述において、本出願の一部を構成する添付図面を参照する。これらの図面は、本発明を実施できる特定の実施形態を図示している。本発明の範囲から逸脱することなく、他の複数の実施形態を利用して構造的な変更がなされ得ることを理解されたい。
【0024】
現行の船舶モデリングシステムは安定性を近似するのに数学及び設計図の寸法しか用いていない。本開示の複数の実施形態において、様々なセンサからの実時間測定値を船舶の安定性の計算に変換可能な装置を提供する。履歴情報及び不完全な又は憶測による報告ではなく実時間データに基づくことにより、安定性評価の精度及び有効性を向上させることができる。
【0025】
図2に、本出願の一実施形態による、船舶の安定性を評価する安定性評価システム200を示す。システム200は、1個以上の動きセンサ212を収納する筐体210を含んでいる。動きセンサ212は、浮遊船舶の振動を検出して船舶のロール速度を判定可能な任意の適当な動きセンサを含んでいてよい。信号処理システムを形成する計算要素がセンサから動きデータを受信し、動きデータを処理してロール周期に変換する。ロール速度(通常ラジアン/秒)は典型的に基本動きセンサの出力の一つであり、処理を一切必要としない。実際のロールデータ(通常はラジアン単位)は膨大な処理を必要とする場合がある。ロール速度、ロール(及び加速度並びに磁気計データ)は全て、ロール周期に変換可能な評価値として用いられてよい。
【0026】
ロール周期は次式により船舶の傾心高(GM)に関連付けられる。
【数1】
但し、
T=ロール周期
k=回転半径(船舶の型幅梁「幅」で近似可能)
g=重力加速度(9.81m/s
2)
GM=傾心高
【0027】
k値の導出に用いる「型幅」は梁幅と同様であるが、より精密な測定値を提供する。「型幅」は、プレーティングの内殻ストレーキの内側で測定された船の最長梁、又は幅であると考えられ、通常は船体中央で生じる。一実施形態において、kは梁幅から導出可能である。
【0028】
様々なレベルの知見を有するユーザーには自身の船舶の梁、又は型幅、或いは実際の断面回転半径が知られていよう。計算システムは、ロールデータ時間の計算に用いる梁、型幅、又は断面回転半径のいずれもユーザーが入力できるようにするインターフェースを有していてよい。
【0029】
式1は、ロール周期と傾心高の逆比例関係を示す。従って、ロール周期を船舶の安定性の指標として用いることができる。重要な点は、船舶が荷重の増減、荷重の位置の移動、船体への損傷等に起因する船舶の状態の変化に伴うロール周期の変化が、船舶が安定化又は不安定化している指標を与えることができ、及び重大な不安定性が生じる前の指標又は予測として利用できることである。
【0030】
上の式1は、ロール周期の計算において断面回転半径kを利用する。代替的な一実施形態において、ロール周期は次式から計算できる。
【数2】
但し、
B=型幅(又は梁幅)、及び
Cはプログラムの初期設定時に入力されて以降は変更されない、異なる種類の船舶用の準標準定数である。
【0031】
式2は式1よりも全般的に粗いが、両式共に有意味な傾心高の計算の実行に用いることができる。
【0032】
一実施形態において、動きセンサは、基本的な信号処理を行う簡単な振り子であってよい。より発展した実施形態において、動きセンサは、1個以上のジャイロ及び/又は加速度計が組み込まれた1個以上の微小電気機械システム(MEMS)を含んでいてよい。特定の実施形態において、MEMSセンサは、3軸9自由度の動き検出を行うセンサを含んでいてよい。動きセンサは、動きを検出して出力信号を信号処理システムに提供することができる。
【0033】
信号処理システムに含まれる計算要素は、少なくとも1個のプロセッサ214と、当該プロセッサに動作可能に関連付けられた少なくとも1個のメモリ216を含む一体化された専用のコンピュータであってよい。メモリ216は、プロセッサ(群)により実行可能なプログラム、アプリケーション、ライブラリ、命令セットを保存できるストレージメモリ、すなわち読取専用メモリを含んでいてよい。メモリ216はまた、プログラム、アプリケーション、命令セット等の実行に用いるランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでいてよい。
【0034】
一実施形態において、コンピュータシステムは、1個以上のセンサ212から入力信号、特にロール速度データ、加速度計データ、磁気計データ、又は計算されたロールデータを受信し、当該信号を処理して船舶の安定性の指標を示すのに役立つ1個以上のパラメータ、評価値又は出力に変換すべくプログラムされている。
【0035】
一実施形態において、センサシステム及び計算要素は、単一の一体化されたユニット内、例えば単一の筐体210内に収納される。当該単一ユニットは、例えば電池からの電源218を有していても、又は例えば従来の電源プラグを介して、或いはユニバーサルシリアルバス(USB)プラグを介して、船舶の電源に接続するための外部電源に接続するための1個以上の電源ポートを有していてもよい。
【0036】
検知部200は、較正データ、実行回数、船舶梁幅、既知の最短ロール周期、既知の最大傾心高、又は安定性評価値の計算の実行に必要な他の任意の情報を含む入力データをユーザーが提供できるようにするユーザーインターフェース220を含んでいてよい。検知部200は、ロール周期、時間経過に伴うロール周期、傾心高、又は動きセンサのデータから導出可能な他の評価値等の出力を表示するディスプレイ222を含んでいてよい。追加的な評価値として、非限定的に、現在のピッチ及びロール値を含んでいてよい(すなわち、船舶は現在8度のローリング及び6度のピッチングを行っていて、過去5分間での最大ロールは9.2、最大ピッチは7であった)。このような評価値は、各船舶がピッチ及びロールの限度を有しているため、ヘリコプターの発進又は回収等の安定性を要する操船を試みている船舶には有用な場合がある。検知部200はまた、外部機器から検知部200にデータを受信可能にする、及び/又は検知部200からデータを送信可能にする通信モジュール224も含んでいてよい。
【0037】
筐体210は、筐体を船舶に着脱可能に固定するアタッチメントを有していてよい。例えば、筐体は、船舶上の適当なプラグ、フック、ねじ、又は同様の突起に検知ユニットを掛けられるようにする鍵穴を有していてよい。他の複数の実施形態において、筐体210は、船舶に設けられた携帯電話ドッキングステーション等のドッキングステーションと係合可能である。アタッチメントは、筐体がロール速度データの測定に適した向きに船舶に固定されるように配置されていてよい。向きは重要であり、従って、センサ部210に、ピッチ及びロールが正確に検出されていることを保証すべく、船の長手(前後)軸と整列する機器筐体(電話、タブレット等)の指定された軸を画定する1以上の印又は標識が設けられていてよい。船上のほぼどの位置でも有意味な測定が可能であるため、船上での位置はさほど重要ではない。その上で、センサ部がいずれかの位置に恒久的に設置されていれば、当該特定位置に合わせてアルゴリズムを最適化することは可能であろうが、これは基本動作には不要である。
【0038】
代替的な一実施形態において、センサ部は計算要素から分離されていてよい。センサ部は、有線(例:USB又は同様のシリアルライン)又は無線(例:Bluetooth、RF、WiFi、インターネット)通信チャネルを介してコンピュータ部に出力信号を伝送する通信モジュールを含んでいてよい。センサ部は、自身の内部電源、例えば電池、又は船舶の電源から、或いはコンピュータ部から、例えばUSB接続を介して電力供給を受けるための電源ポートを有していてよい。センサ部210は、1個以上のフリーボードセンサ226を含んでいてよく、その機能について以下に述べる。フリーボードセンサは、フリーボードセンサの特定の形式に応じて、センサ部の筐体内に組み込まれていても、船舶上の所要位置に分散されていてもよい。分散型フリーボードセンサが配置されている場合、フリーボードセンサ226は、有線又は無線手段によりセンサ部と通信することができる。センサ部210はまた、後述するようなロールドリフト較正等の較正機能を含む様々な機能に利用できる傾斜計228を含んでいてよい。
【0039】
MEMSセンサは、記録された動きを処理して度毎秒、度、又は等価な次元で表されるロールデータに変換することができる。一実施形態において、複数のセンサがロール速度を半秒毎に記録する。
図3に、時間330に対するロール速度320の例示的なグラフ310を示す。このデータは、数学的な変換動作により時間領域から周波数領域へ変換されて記録時間当たりのエネルギーを表現することができる。変換動作は、但し非限定的に、フーリエ変換、高速フーリエ変換(FFT)、高速離散フーリエ変換、最適フーリエ変換、離散フーリエ変換、ウェルチ法、自己相関等を含んでいてよい。一実施形態において、4分毎のデータのブロックが高速フーリエ変換処理により変換される。
図4に、
図3のロール速度対時間グラフのFFTにより導かれた周期430対エネルギー420の例示的なグラフ410を示している。未加工データをフィルタリングして平滑化された出力440を提供することができる。一実施形態において、フィルタリングされたデータ440は、単純移動平均フィルタ、重み付き移動平均フィルタ、線形回帰モデル、指数平滑化、カルマン又は同様のフィルタを含んでいてよい。ロール周期は、周波数領域で最も高いエネルギーを有する時間450である。信号の妥当性は、多くの異なる方法により確認することができる。一実施形態において、信号の散布度を評価することができ、得られた最強の信号の周期の分散又は標準偏差により信号の妥当性の指標が得られる。高レベルの信号散布度は信号の妥当性が低いことを示し、低レベルの信号散布度は信号の妥当性が高いことを示すであろう。別の実施形態において、エネルギー分散が評価され、最強の信号のエネルギーの分散又は標準偏差が利用できる。高レベルのエネルギー分散は信号の妥当性が高いことを示し、低レベルのエネルギー分散は信号の妥当性が低いことを示す。エネルギー分散の場合、妥当性の数値は、エネルギー分散を最強信号のエネルギーで除算することにより正規化できる。一実施形態において、上位10個の信号を評価して信号の散布度又はエネルギー分散を判定することができる。
【0040】
コンピュータシステムの信号処理機能を示す特定のシステム500を
図5に示している。MEMSセンサ502により生成された信号は、関心対象のデータを選択すべくデータに対して初期ウィンドウ/フィルタリング動作504を実行する信号処理コンピュータで受信され、これらの動作は時間領域520内で生起する。フィルタリングされた信号は次いで、当該データを時間領域から周波数領域530に変換するフーリエ(又は他の同様の)変換506を受ける。変換されたデータは次いで、船舶のロール周期512を計算するエネルギー解析508及びカルマンフィルタ510に供せられてよい。カルマンフィルタは時間経過に伴いデータを「知的に」処理する。カルマンフィルタは特定のパラメータにより、ロール周期の変化速度及びロール周期の境界を設定することができる。これは、(エネルギー解析508における)信号の妥当性を考慮して各データ入力が正確である確率を判定して最適なデータ出力を提供するものである。カルマンフィルタについて記述しているが、他のデータ処理技術を用いて最終結果を補強することもできる。例えば、重み付き移動平均フィルタ、又は線形回帰モデルを用いてもよい。式1で要求されるk値、又は式2のC値の近似に使用可能な船舶の梁幅及び種類の入力評価値を用いて、ロール周期データを更に処理して、船舶の傾心高GM及び他の健全性データ514の計算で使用することができる。健全性値は、上述の信号妥当性から導かれても、又はカルマンフィルタにより生成されてもよく、生成されているデータの質の表現、すなわち正確なロール周期データが生成されている信頼度のレベルをユーザーに示す。健全性データは、データの1個以上の視覚的表現、1個以上の可聴警報、及び/又は1個以上の緊急通知として提示されてよい。
【0041】
実際には、信号妥当性評価は、測定精度対正規化エネルギー分散(NEV)の確率的評価である。信号妥当性はユーザー体験にとり重要であるが、記録可能な大量の偽データも存在するため処理にとっても重要である。様々な実施形態において、カルマンフィルタ(又は等価なフィルタ)はFFT後のアルゴリズムの基幹であり、各新規データ点で確率的妥当性値514を必要とする。例えば、FFTによりロール周期が7秒であることを示していればNEVは0.3になる。NEV=0.3で得られた測定値が真に7秒である確率(NEV=0.3での測定値の巨大なサンプル集合の標準偏差の形式で)を記述する表を信号妥当性評価で利用することができる。
図13に表の一例を示す。
図13の表データを標準偏差対NEVのプロットとして
図14にグラフ化した。NEVは、カルマンフィルタに、以前の測定値に対して新規のロール周期をどの程度重み付けすべきかを通知する。正規化されたエネルギー分散は、様々な船舶間で変換される確率的妥当性値を提供する。
【0042】
動き量が極めて小さい状態において、誤って高いNEV値が生じる場合がある。これに対処すべく、EV(エネルギー分散)カットオフを利用することができる。EV<0.009の場合、測定値は、
図13の表に示すようにNEV<0.1(極めて低い精度)であったように扱われる。
図13の表では、StDevが0.3~0.4に増加している点に注意されたい。これは異常と思われ、より多くのデータを取り込むことで改善されよう。
【0043】
図2のシステムは、船舶に素早く設置でき、船舶の安定性及び健全性の初期評価を約4分以内に提供すべく動作可能な可搬システムを提供する。最新の動きセンサ、デジタル信号処理機能、及び航海工学の組み合わせにより、船舶の安全性を向上させる正確及び経験的な安定性監視システムを実現する。予測的計算を検証することにより救命実時間解析を実行できるため、未知の安定性問題の早期警告、損傷後の正確及び即時の安定性計算を行うことができる。これらの初期安定性評価は、軍、救助、及び法執行機関の乗船チームが、構造及び安定性が未知の船舶で行動する際に保護することができる。他のユーザーとして、船舶間を移動して不慣れな船舶の初期的及び迅速な評価を所望する船長等であろう。本システムは可搬であるが、船舶に恒久的に設置されていてもよい。
【0044】
初期評価に加え、本システムは、動的な状況、例えば、乗船、進行中の損傷、浸水、船舶への積み込み又は積み下ろし、変化する海面状態及び天候、氷の蓄積による船舶の健全性の変化があれば素早く計算し、必要ならば大惨事が生じる前に対応可能なように、変化している動作データを実時間で提供することができる。一実施形態において、連続ロール周期を計算して時間経過に従い表示することができる。
図6に、フィルタリングされた出力640を含む時間630対ロール周期620のグラフ610を示す。一実施形態において、フィルタリングされた出力は、13分間での重み付き移動平均を含んでいてよい。13分間での平均周期は、短期的影響を平滑化するのに充分長いが、潜在的悪条件が平均内に埋没するのを防ぐのに充分短いと考えられる。代替的又は追加的に、カルマンフィルタが実装されていてよい。必要に応じてロール周期を傾心高GMその他の健全性データで置き換えてよい。
【0045】
本システムは、ロール周期又は傾心高の閾値が検出された場合に、通知、警報、警告等を生成すべくプログラムされていてよい。閾値レベルは、固定値又は絶対値ではなく船舶に依存していてよく、及びユーザーの快適性レベルに基づいていてよい。ロール周期又は傾心高の監視は、現在の値の監視だけでなく、時間経過に伴う変化を検出して傾向データを用いて安定性の問題を発生前に予測することを含んでいてよい。
【0046】
上述のように、本明細書に記述するシステムを用いて船舶の安定性及び健全性を迅速に評価することができる。捜索及び救助及び/又は法執行活動中に船舶に関する事前の知識は一切必要とされない。本システムは従って、安定性が疑われる船舶にいる脆弱な乗船チーム人員を保護することができる。大きな損傷を受けている間、評価クルーが損傷を探している間、即時に安定性レポートが取得できる。いかなる船舶であっても、現在の技術では対処できない未知の損傷が生じた可能性又は測定不能な氷の蓄積が生じている可能性がある。従って、全ての船舶が本明細書に記述するようなロール周期検知機器の恩恵が受けられる。特定の利点として、ロール周期検知機器の構築コストが低いため、多くのより小型の船舶からアクセス可能な、及び/又は船から船へ移動し得る船長及び同様の海事関係者等の個人又はチームによる特定の使用目的でアクセス可能な装置にすることができる。
【0047】
本明細書に記述するシステムは様々な形式で実装可能である。小型船舶、乗船チーム等に理想的な基本的な実装において、ロール周期検知機器は寸法が約6”×2”×3”のボックス内に完全に収納可能である。当該ボックスは、動きセンサ、少なくとも1個のプロセッサ及びメモリ、付随する電子機器及び電源を含んでいてよい。代替的な実施形態において、検知機器は、機器内蔵の動きセンサ、処理能力及びメモリを利用するiPhone/iPad又はAndroid電話又はタブレット等のスマートフォンであってよい。電源は、内部電池であっても、又はUSBその他の電源による船舶電源への接続であってもよい。メモリは、本明細書に記述するロール周期検知機器の機能を実行するアプリケーションソフトウェアを保存することができる。ボックスは、較正データを含む必要なデータをユーザーが入力できるようにするインターフェース及び入力機器を含んでいてよい。特に、ユーザーは、傾心高の計算で使用する対象船舶の梁幅だけでなく最小の設計ロール周期(又は最大の設計GM)も入力してよい。インターフェースを介して入力可能な他の船舶固有パラメータとして、非限定的に、ロール定数、ローリング係数、船舶の種類、推定初期化ロール周期、燃料消費に起因するGM又はロール周期の予想される日々の変動、断面回転半径、型幅、ピッチ、ロール、GM又はロール周期に係る警報パラメータ等を含んでいてよい。
【0048】
ボックスは、実時間ロール周期及び/又は傾心高を表示する簡単なディスプレイを含んでいてよい。全条件下で、ロール周期は船舶操縦士にとって有用な数値である。GMはロール周期に従い変化し、同様に有用であるが、より小さいロール振幅(典型的に<10度程度)下でのみロール周期から容易に導くことができる。ソフトウェアは、アルゴリズムが10度超のロールを検知した場合、GMの更新を停止するが常にロール周期を提供すべくカットオフ値を含むようにプログラムされていてよい。カットオフ値は、ユーザー設定可能なパラメータであってよいが、規定値のカットオフがシステムにプログラムされていてもよい。
【0049】
ディスプレイは、安定性評価値を、ある時間での平均又は最大ピッチ及びロール振幅のうち1個以上を含むがこれらに限定されない他の有用な表現又は形式で表示すべくプログラムされてよい。
【0050】
ボックスは、動きセンサ、計算要素及びディスプレイに電力供給すべく、交換可能及び/又は充電可能な電池を含む内部電源及び関連電子機器を含んでいてよい。代替的に、ボックスは、外部電源に接続する電源ポートを含んでいてよい。センサ部は、船舶への取り付けを容易にする取り付け部品を備えていてよい。これらの取り付け部品はクリップ、ブラケット、接着剤、面ファスナー(Velcro)等を含んでいてよい。使用時に、ユーザーは、ロール周期検知機器ボックスを船舶に取り付け、当該機器を約5~15分間動作させて初期結果を取得する。これによりユーザーはリスク解析を経た情報に基づく意思決定を行うための実時間データを有している。例えば、船長(及び機関員)は通常、安定性及びロール周期に関して高度の訓練を受けている。リスク管理の一例として、高ロール周期(低GM)で運航している船舶がある。船長は、船舶が当日の好天時に入港する場合はその状況を受け入れてよい。船舶が入港までに3日要し、危険な嵐を通過する潜在的可能性がある場合、船長は安定性を向上させるためにタンクにバラストを積むことを決断する場合がある。
【0051】
より大型のシステム、例えばより大型の軍艦及び商船の場合、ロール周期検知機器は、既存の船載動きセンサから未加工データを受信して有用なロール周期データに変換する、及び/又は動きセンサデータ及び/又はロール周期解析データを外部計算システムに伝送可能な通信モジュールを有していてよい。当該外部計算システムは、船舶に設置されていてよい。代替的に、データは陸上の処理ステーションに伝送されてもよい。向上した計算能力、すなわち船載又は陸上では、より徹底的な計算が可能になり、より厳しい電力要件を有する場合があり、2~40秒等、積載状態に基づいてロール周期が大幅に変動し得る大型船舶で特に、より高い健全性ロール周期及び傾心高を含むより高度に洗練された動き解析をユーザーに提供することができる。短いロール周期では高いサンプル周波数が必要であるのに対し、長いロール周期では大きいサンプルサイズを必要とするため、これらの範囲内で更新を実行するのに要する時間が増大する。
【0052】
コーチングされた傾斜実験
傾斜実験は、船舶の初期安定性、又は傾心高(GM)を判定する極めて重要な試験である。傾斜実験は、港内でドックラインを緩めて実施され、既知の値(W)の錘を追加、除去、又は船舶の横方向に特定距離(d)だけ移動させた場合の船舶の精密な横傾斜を観察するものである。船舶の排水量は、フリーボード測定値及び/又は喫水観測値から分かる。既知の錘Wが移動された距離(d)が既知で船舶の排水量も既知のため、GMを判定することができる。典型的に、横傾斜の変化の複数の観測と錘の位置の複数回の変化の相関を求めるべく錘を数回(通常8回)移動させて結果を検証する。
【0053】
傾斜実験を採用することにより船舶のGMを調べる間に、船舶を動揺させることによりロール周期を調べることにより、ユーザーは当該特定の荷重条件に対するロール係数Cの値を知ることができる。これは、可能性として船舶の進行中に、後でGMとロール周期の相関を求める試みに際して極めて役立ち得る。ロール係数は、例えば上の式2における値「C」のように様々な用途がある。
【0054】
フリーボード測定
初期安定性は、船体の重心(G)と傾心(M)の距離である傾心高により判定される。復元アームは、風、海面状態等により生じた横傾斜アームに対抗して船舶を直立状態に維持する安定化モーメントである。船舶の例示的な安定性曲線1000(
図10)は、船舶を横傾斜力に打ち勝たせる「残留」復元エネルギーである残留安定性を示している。残留安定性について考慮すべき重要な点は、船舶が享受する残留安定性の量に直接影響する船舶のフリーボード(f)1102(
図11)である。フリーボードは船舶の排水量(d)1104で表される。排水量が増加するにつれてフリーボードは減少する。また、船体が横傾斜するにつれてフリーボードは片側で減少(反対側で増加)する(
図1B)。重量が増加するにつれて排水量が増加し、初期安定度(GM)は重量が加えられた船舶の位置に応じて増加又は減少する。しかし、いずれの場合も、重量が増加すれば船舶のフリーボードは減少する。フリーボードの減少が初期安定性に影響する場合もしない場合もあるが、一般に残留安定性に悪影響を及ぼし、海水が甲板又は船内に侵入しやすくなるため、様々な横傾斜角で復元アームが減少する。一方の軸でロール周期(又は傾心高)を、他方の軸でフリーボードを示すグラフを生成することが可能である。典型的に、このようなチャートは、造船業者から提供されるか又は造船技師により生成されるか又は生成可能であろう。
【0055】
図12に示す例示的な形式のチャートは次いで、船舶の異なる荷重状態に関してフリーボード及びロール周期(又は傾心高)を前提として受容可能な安定性領域及び受容できない安定性領域を示している。異なる荷重状態が、例えば運航中の燃料レベルの変化、トロール漁船の漁獲ベイへの積載、新規設備の追加、船舶内の荷重のシフト等に基づいて生じ得る。例えば
図12に3個の別々のプロットを示している。プロット(a)はタンクが満杯の船舶の場合におけるフリーボードとロール周期の安全及び不安全な組み合わせを示し、プロット(b)は満杯タンクが半分(例:半数のタンクが完全に空)の場合における安全及び不安全な領域を示し、プロット(c)は全てのタンクがほぼ空の状態の場合を示していてよい。
【0056】
本発明の一態様において、フリーボードを判定する検知機器を提供する。検知機器は、船舶の主デッキから船体外部の水位1108までの距離を測定する1個以上の距離計を含んでいてよい。当該センサは、主デッキに取り付けられた測距センサであっても、又は船体外部に取り付けられた1個又は複数のリニア流体センサであってもよい。また、船体の内部に取り付けられていて船体の反対側の液体の存在を検知可能な1個又は複数のセンサであってよい。また、船体外側の喫水線より下の特定箇所に取り付けられた圧力センサであってよく、圧力を検出し、従って船体の当該特定箇所の喫水線下の深さの判定に用いることができる。圧力情報を操作してフリーボードを判定することができる。判定された船舶のフリーボード、又は残留安定性は次いで、ロール周期及び傾心高と合わせて、船舶の現在の積載状態の安全性を素早く評価するのに用いることができる。
【0057】
一実施形態において、検知部210のプロセッサ214は、
図12のフリーボード対ロール周期の関係によりプログラムされていて、燃料荷重、漁獲レベル、乗客レベル等、進行中の排水量関連データを受信できる。ロール周期が計算されるにつれて、プロセッサ214は、フリーボード計算を取り込んで船舶の現在の安定状態の表示を出力する。安定状態は、例えば、ディスプレイ222に表示可能な
図12のチャート上の位置、安定性が充分か不充分かの二値表示(例えば、状態ライト又は可聴警報により提示)、点灯したライトの個数等の形式で安定状態の表示を行う複数のライトを含み得るステータスバーとして示すことができる。
【0058】
ロールドリフト
絶対的な外部測定値が入力されない「孤立」センサパッケージを用いる場合、ドリフトするロール、又は横傾斜の解決に付随する技術的課題がある。孤立センサパッケージの一例が、典型的な9自由度のセンサパッケージがある。この状況を引き起こすのは、船舶の動きの乱れから磁場干渉又は電磁干渉にわたる様々な原因が可能である。この状況に対する一つの可能な解は、ロール/横傾斜に対する解の確定に必要な外部較正を周期的に実行する専用の振り子、又は改良された流体傾斜計を実装することである。
【0059】
一実施形態において、センサ部210は、ロールドリフトの較正及び再較正に使用可能な形式の傾斜計228を含んでいてよい。具体的な一実施形態において、従来の流体充満傾斜計には2個の電極が取り付けられていて、導電性の錘が中心線を通過したならば回路が閉じて船舶がその瞬間は垂直であったことをシステムに通知する。また、携帯電話のカメラレンズに従来の流体充満傾斜計が設置された同様の構成が可能である。船舶が垂直に通過するにつれて、錘がカメラからの光を遮り、その瞬間に船舶が垂直であることをシステムに示す。また、磁石が備えた振り子を実装してもよい。船舶が垂直に通過するにつれて、磁石は磁気ピックアップを通過し、回路を閉じて、船舶が垂直であることをシステムに示す。最後に、振り子のピボット支点に電位計を取り付けて、ロール及び横傾斜の完全な情報をシステムに常時提供する。
【0060】
図7~9に、ロール周期又は傾心高の計算を実行するアルゴリズムのサブルーティンのフロー図を示す。RPSDとラベル付けされたアルゴリズムは、船舶の内部動きセンサ又はサードパーティセンサから未加工の動きデータを受信する。RPSDアルゴリズムは、(複数の異なる種類)未加工動きデータを、誤差の共分散値を伴うカルマン融合されたロール周期及び傾心高の解に変換する。初期データ行列(MS1A及びML1A)は、レートジャイロ、横方向加速度、絶対方位ロールを含むがこれらに限定されない動きデータの列を含んでいる。
【0061】
「Main」ルーティンとラベル付けされた最初のルーティンを
図7のフロー図に示す。「Main」ルーティンは、
-センサデータの組を収集して行列に編集する。
-完全行列を、信号ベクトルを生成する変換ルーティンに渡す。
-各信号の強度を解析して、適当な信号を各々のカルマンフィルタルーティン(ロール周期フィルタ及び/又は傾心高フィルタ)に渡し、
-結果的に変換された情報をユーザーに提示する。
【0062】
変換ルーティンを
図8に示す。変換ルーティンは、完全データ行列を時間領域から周波数領域へ変換する。可能な変換方式として高速離散フーリエ変換、最適フーリエ変換、離散フーリエ変換、ウェルチ法、自己相関等がある。
【0063】
図9に示すカルマンルーティンは、二つの関数KLMgm及びKLMrpを含んでいる。これら二つの関数は、ロール周期及び傾心高(GM)の各々の出力変数に対して最適な二乗平均推定を行うカルマンフィルタを実行する。
【0064】
以下にロール周期及び/又は傾心高(GM)の計算に使用可能
図7~9のルーティンに関するRPSDアルゴリズムの擬似コードを与える。
【0065】
擬似コードは以下のように変数を定義する。
変数:
入力(同じくグローバル変数):**全てメートル単位、長さもメートル**必須
B:船舶の梁(梁の代わりに型幅が与えられる場合あり)
任意選択
C:ロール係数 --- 既定値は0.7(メートル単位の場合)
T:船舶の種類(8種から選択) ---既定値はnil、より良い既定値Cが可能
G:最大設計GM --- 既定値は5.0メートル
e:最小設計ロール周期 --- 既定値はC*B/sqrt(G) q:推定初期化ロール周期 --- 既定値はe
D:燃料消費に起因するGMの1日当たりの変化予想 --- 既定値は0
R:ロール振幅警報閾値 --- 既定値はnil
P:ピッチ振幅警報閾値 --- 既定値はnil
S:GM警報閾値 --- 既定値はnil
r:ロール周期警報閾値 --- 既定値はnil
【0066】
チューニングパラメータ(グローバル変数も)
Ih:健全性閾値 - 更なる処理/ユーザーへの提示用の最小ロール周期健全性図(周波数領域における)
--- 既定値は2.5
Ra:ロール振幅閾値 - ユーザー用にGMを計算して提供するための最大ロール振幅(時間領域における) --- 既定値は10度
Rb:ロール周波数バイアス - 最小ロール周期が必ず観察されるようユーザーが提供する(又はシステムが計算した)eに適用される調整 --- 既定値は0.9
Sf:センササンプル周波数 - センサから受信した時系列データバッチの周波数 --- 既定値は10Hz **当該アルゴリズムの制御外の可能性あり、最小値5hzを指定**
Me:条件E下で周期を観察するために変換される最小ロール周期 --- 既定値は5
Sp:充分なロール周期精度及び更新を保証すべく、二つの同時データキャプチャイベントを開始するロール周期閾値
-- 既定値は30
【0067】
グローバル変数:
Rol:各反復でカルマンフィルタから受信した既知又は信頼できるロール周期の単一10進数。船の合理的な最小ロール周期で初期化。
- Rol=qとして初期化
- カルマンフィルタにより更新
GMc:各反復でカルマンフィルタから受信した既知又は信頼できるロール周期の単一10進数。船の合理的な最小ロール周期で初期化。
- Rol=qとして初期化
- カルマンフィルタにより更新
Egm:GMフィルタの「Pk」カルマン誤差共分散 - GM解の健全性値としてユーザーに渡される
Erp:「Pk」ロール周期フィルタのカルマン誤差共分散 - ロール周期解の健全性値としてユーザーに渡される
Lco:ローパスフィルタカットオフ周波数 - ローパスフィルタは、時間から周波数領域への変換の前にLcoよりも高い周波数(低い周期)の値を全て除去
- Leo=e*Rb
【0068】
関数型変数
関数 MAIN
記述:
センサの読み取りを指令し、TRANS関数及び二つのカルマン関数の呼び出しを扱う
【0069】
長ロール周期の条件下(当該システムがピークで動作しなければならない)で、同時データ取得の実行が必要な場合がある。その場合、SHORT行列(MSA1)をLONG行列(MLAl)と共に構築す。MSA1は常に生成され、生成に1~22分要する。MLAlはRol>=Spのとき生成され、生成には1~60分要する。
BS1A:バッチサイズ1 - パーシング未実施の短データ行列SSI内のデータ点の個数を表す整数
--- Rolに基づきMSCAから抽出
MS1A:パーシング未実施の短データを含むN列BS1A行の行列
--- センサから受信(DATAQを介して)
FS2A:短周波数2 - 変換前にパーシングされた後の短データの所望周波数
--- Rolに基づきMSCAから抽出
BL1A:バッチサイズ1 - パーシング未実施の長データ行列ML1内のデータ点の個数を表す整数
--- Rolに基づきMSCAから抽出
BS2A:バッチサイズ2 - パーシングされた短データ行列内のデータ点の個数を表す整数
--- Rolに基づきMSCAから抽出
BL2A:バッチサイズ2 - パーシングされた長データ行列内のデータ点の個数を表す整数
--- Rolに基づきMLCAから抽出
MLlA:パーシング未実施の長データを含む3列BL1A行の行列。列はMS1Aと同じデータを含む。
--- センサから受信(DATAQを介して)
FL2A:長周波数2 - 変換前にパーシングされた後の長データの所望周波数
--- Rolに基づきMLCAから抽出
Matl:完全な行列を変換機能に送信する行列処理変数
MenR:絶対方位ロール解の計算された平均振幅(ML1A又はMS1Aで与えるような)。すなわち、現在の船のロール状態。
MenP:絶対方位ピッチ解の計算された平均振幅(ML1A又はMS1Aで与えるような)。すなわち、現在の船のピッチ状態。
MSCA:短周期ルール表の行列 - 現在はFFT_PreProc.xlsxの第2のシートにある
MLCA:長周期ルール表の行列 - 現在はFFT_PreProc.xlsxの第3のシートにある
RppA:周波数領域(秒)で観察されたロール周期のベクトル
【0070】
関数TRANS
記述:
データ加工(パーシング、トレンド除去、フィルタリング)、実際の変換、及びスペクトル解析の全てを実行する。全ての動作はデータを含む各列に対して行われる。
** Matr:得られる行列
** Frq2:パーシング動作後の行列の所望周波数
** Len2:SfからFrq2までパーシングされるパーシング動作後のデータ組の長さ
Indx:周期性指数のHz単位の乗数
--- Indx=(Frq2/2)/(Len2/2)
Sdev:各ペリオドグラムの標準偏差のベクトル
Mean:各ペリオドグラムの平均値のベクトル
*Frqs:単に各ペリオドグラムの最大値として観測されたロール周波数ベクトル(hz)
Strg:各ペリオドグラムで観測した際の各周波数の強さのベクトル
*Ingy:各信号の平均からの標準偏差の個数として導かれた健全性値のベクトル ***(標準的な信号対雑音方式を採用した方が良い場合がある)
--- Ingy=(Frqs-Mean)/Sdev
**Mainから得られる
*Mainに返す
【0071】
プロシージャ KLMrp
記述:
ロール周期の後処理用に1次元カルマンフィルタを実施
**Zsbk:FFTから導かれた測定値「Zk」(Frqsベクトル)
**Intg:FFTから得られる健全性値(Ingyベクトル)
RPkO:「X-hat0」各反復におけるロール周期の事前状態変数、Rolに初期化
Kalm:「Kk」カルマンゲイン
Psbk:「Pk」過去誤差共分散
*RPkl:「X-hatl」ロール周期の事後状態変数
Atrn:「A」遷移乗数、既定値は1
Bcon:「B」制御乗数、既定値は1
Usbk:「Uk」、Dに基づく制御信号、既定値は0
Time:KLMrpの最後の反復からの経過時間(BconとUsbkを用いる場合のみ必要)
** Mainから得られる
*Mainに返す
【0072】
プロシージャ KLMgm
記述:
傾心高(GM)の後処理としてカルマンフィルタを実施
**Zsbk:Mainから受信した測定値「Zk」
**Intg:FFTから導かれた健全性値(Ingyベクトル)
GMkO:「X-hatO」各反復におけるロール周期の事前状態変数、Rolに初期化
Kalm:「Kk」カルマンゲイン
Psbk:「Pk」事前誤差共分散
SetErr=Psbkを各反復の後で設定する。
*GMkl:「X-hatl」ロール周期の事後状態変数
Atrn:「A」トランジション乗数、既定値は1
Bcon:「B」制御乗数、既定値は1
Usbk:「Uk」、Dに基づく制御信号、既定値は0
Time:KLMrpの最後の反復からの経過時間(BconとUsbkを用いる場合のみ必要)
**Mainから得られる
*Mainに返す
【0073】
擬似コードはRPSDプログラムを提供する。
// プログラム RPSD
// コース mod2
void main()
{
長さBS1Aの短行列MS1Aの読み込み-記録開始;
//ロール周期が長いことが分かっている場合、長短の両方の行列を同時に生成
if(Rol>=Spならば)
長さBS1Aの長行列MS1Aの読み込み-記録開始;
if(MS1A又はML1Aが完全ならば)
{
Assign Matl=完全行列;
//いずれかの行列を完全ならば,TRANS関数を用いて時間領域から周波数領域へ変換
TRANS(Matl,FL2A,BL2A);
//処理された行列は各々,付随する強度値を有する少なくとも3個の周期を生成
}
while(真)
{
if(Ingy(l)<Ihならば)
{
Ingy(l)及びFrqs(l)を破棄
}
さもなければ
{
//強度が充分な全ての信号をロール周期カルマンフィルタに提供
KLMrp(Frqs(l),Ingy(l));
if(MenR<Raならば)
{
//ロール振幅がより小さいサンプルから導かれた信号も傾心高カルマンフィルタへ送られてよい
KLMgm(Frqs(l),Ingy(l));
}
}
if(Ingy=空ならば)
break;
}
ユーザーへの書き出し:Rol,Erp,GMc,Egm,;
}
ベクトル変換(Matr,Frq2,Len2)
{
//サンプル周波数をセンサが提供する値からデータ解析に最適な速度に下げる
1.SfからFrq2までMatrをパーシング --- 現在Len2行を含む
//時間領域から周波数領域への変換の前にステップ2~4でデータの前処理を行う
2.各列から母平均を除外する
3.線形回帰を用いて、トレンドラインがあれば各列から削除
4.全列の非因果律ローパスフィルタ-カットオフ周波数はLco
5.各列で時間から周波数領域への変換を実行
6.得られたN個のペリオドグラムを乗数Indxで索引付け
7.各ペリオドグラムの索引及び最大値を観察:Frqs
//信号対雑音比、平均からの標準偏差、又は他の方式を用いて健全性ベクトルを判定
8.健全性ベクトルIngyを判定
Frqs、Ingyを返す
}
【0074】
void KLMgm(Zsbk,Intg)
{
//燃料消費に関連付けられた遷移変数を用いて傾心高を推定
次の傾心高を予測
測定値及び推定値の不確かさを考慮しながら、予測された傾心高及びFFTからの健全性値を前提として測定の条件付き確率を適用
新たな測定値により予測を訂正
カルマン更新されたGM及び誤差共分散を各々用いてグローバル変数GMc及びEgmを更新;
}
【0075】
void KLMrp(Zsbk,Intg)
{
//燃料燃焼に関連付けられた遷移変数を用いてロール周期を推定
以降のロール周期を予測;
//予測されたロール周期及びFFTからの健全性値を前提として測定値及び推定値の不確かさを考慮しながら測定値の条件付き確率を適用
新たな測定により予測を訂正;
カルマン更新されたGM及び誤差共分散を各々用いてグローバル変数Rol及びErpを更新;
【0076】
本明細書に記述する開示の多くの変形及び他の実装は、上の記述及び付随する図面に示す教示の利点を有する本開示の技術分野の当業者には想到されよう。従って、本開示が、開示された特定の実装に限定されず、変更及び他の実装が添付の請求項の範囲に含まれるよう意図されていることを理解されたい。更に、上の記述及び付随する図面は、複数の要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせの関連で複数の実装例を記述しているが、添付の請求項の範囲から逸脱することなく、複数の要素及び/又は機能の異なる組み合わせが代替的な実装により提供できることが理解されよう。この点に関して、例えば、上で明示的に記述したものとは異なる複数の要素及び/又は機能の組み合わせもまた、添付の請求項のいくつかに記述されていると考えられる。本明細書で特定の用語を採用しているが、これらは一般的及び説明的な意味でのみ用いられており、本発明を限定することを目的としていない。
【国際調査報告】