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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】フェノールが豊富なブドウ
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20230606BHJP
   A61K 36/87 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/405 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230606BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230606BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230606BHJP
   C12N 5/04 20060101ALN20230606BHJP
   C12N 15/29 20060101ALN20230606BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
C12N5/10
A61K36/87
A61P31/14
A61K31/198
A61K31/405
A61K31/4015
A61K31/7034
A61K31/05
A61K31/343
A61K31/353
A61K31/7048
A61P37/04
A23L33/10
A23L33/105
C12N5/04
C12N15/29
C12N15/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565592
(86)(22)【出願日】2021-04-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 IL2021050474
(87)【国際公開番号】W WO2021220268
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/015,575
(32)【優先日】2020-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/111,639
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509219903
【氏名又は名称】ザ ステイト オブ イスラエル ミニストリー オブ アグリカルチャー アンド ルーラル ディベロップメント アグリカルチュラル リサーチ オーガニゼイション (エー.アール.オー.) (ボルカニ インスティテュート)
【氏名又は名称原語表記】THE STATE OF ISRAEL, MINISTRY OF AGRICULTURE & RURAL DEVELOPMENT, AGRICULTURAL RESEARCH ORGANIZATION (ARO)(VOLCANI INSTITUTE)
【住所又は居所原語表記】Volcani Center, P.O. Box 15159, Rishon-LeZion, Israel
(71)【出願人】
【識別番号】518286264
【氏名又は名称】ビー.ジー.ネゲブ テクノロジーズ アンド アプリケーションズ リミテッド, アット ベン‐グリオン ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パール、アヴィハイ
(72)【発明者】
【氏名】オレン-シャミール、ミカル
(72)【発明者】
【氏名】フライドマン-エイナット、ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】ワン、リュー
(72)【発明者】
【氏名】フェイト、アーロン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD08
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF14
4B065AA88X
4B065AA88Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA05
4B065CA18
4B065CA44
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BC08
4C086BC13
4C086CA01
4C086EA08
4C086EA11
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB33
4C088AB56
4C088BA07
4C088BA08
4C088BA11
4C088BA32
4C088CA03
4C088MA02
4C088MA04
4C088MA52
4C088NA12
4C088NA14
4C088ZB09
4C088ZB33
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206FA53
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA12
4C206NA14
4C206ZB09
4C206ZB33
(57)【要約】
本開示は、トランスジェニック(遺伝子組み換え)ブドウ細胞、該細胞またはその抽出物もしくは画分を含む組成物、及び、対象(患者)におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの発生を阻害または低減するためのそれらの使用に関する。また、本開示は、コロナウイルス感染症またはその症状を予防、治療、発生率低減、抑制、また阻害する方法に関する。
【選択図】図14A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞であって、
(i)AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、
(ii)スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子またはフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物と、
を含む、細胞。
【請求項2】
請求項1に記載の細胞であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞である、細胞。
【請求項3】
請求項1に記載の細胞であって、
前記AroG遺伝子は、3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素をコードする、細胞。
【請求項4】
請求項3に記載の細胞であって、
前記3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素は、フィードバック非感受性DAHPS酵素である、細胞。
【請求項5】
請求項2または3に記載の細胞であって、
前記3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素は、当該細胞内の少なくとも1つのアミノ酸のアベイラビリティを高める、細胞。
【請求項6】
請求項3~5のいずれかに記載の細胞であって、
前記3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素は、当該細胞内のフェニルアラニンのアベイラビリティを高める、細胞。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の細胞であって、
前記スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、スチルベンシンターゼ(STS)酵素をコードする、細胞。
【請求項8】
請求項7に記載の細胞であって、
前記スチルベンシンターゼ(STS)酵素は、スチルベンを産生する、細胞。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の細胞であって、
前記スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ・スチルベンシンターゼ(VvSTS)遺伝子である、細胞。
【請求項10】
請求項9に記載の細胞であって、
前記スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、VvSTS5、VvSTS10、及びVvSTS28からなる群から選択される、細胞。
【請求項11】
請求項1~6のいずれかに記載の細胞であって、
前記フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、フラボノールシンターゼ(FLS)酵素をコードする、細胞。
【請求項12】
請求項11に記載の細胞であって、
前記フラボノールシンターゼ(FLS)酵素は、フラボノイドを産生する、細胞。
【請求項13】
請求項1~8のいずれかに記載の細胞であって、
前記フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ・フラボノールシンターゼ(VvFLS)遺伝子である、細胞。
【請求項14】
請求項13に記載の細胞であって、
前記フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、VIT_07s0031g00100である、細胞。
【請求項15】
請求項1~10のいずれかに記載の細胞であって、
前記AroG遺伝子及び前記スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも一方が、構成的プロモータに機能的に結合している、細胞。
【請求項16】
請求項15に記載の細胞であって、
前記AroG遺伝子及び前記スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の両方が、構成的プロモータに機能的に結合している、細胞。
【請求項17】
請求項15に記載の細胞であって、
前記AroG遺伝子及び前記スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、異なる構成的プロモータに機能的に結合している、細胞。
【請求項18】
請求項1~6及び請求項11~14のいずれかに記載の細胞であって、
前記AroG遺伝子及び前記フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも一方が、構成的プロモータに機能的に結合している、細胞。
【請求項19】
請求項18に記載の細胞であって、
前記AroG遺伝子及び前記フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の両方が、構成的プロモータに機能的に結合している、細胞。
【請求項20】
請求項18に記載の細胞であって
前記AroG遺伝子及び前記フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、異なる構成的プロモータに機能的に結合している、細胞。
【請求項21】
請求項15~20のいずれかに記載の細胞であって、
前記構成的プロモータは、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV) 35S RNAプロモータ(35Sプロモータ)である、細胞。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の細胞であって、
(i)フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CAからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
(ii)トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
(iii)ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
(iv)シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
(v)上記の(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の任意の組み合わせを、
該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する、細胞。
【請求項23】
請求項1~22のいずれかに記載の細胞であって、
(i)少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイド、
(ii)少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイド、
(iii)少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、
(iv)少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリン、または
(v)上記の(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の任意の組み合わせ、を含む、細胞。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載の細胞であって、
(i)約1.26mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、
(ii)約10.8mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリン、またはその両方を含む、細胞。
【請求項25】
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつ、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞を維持する方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む、方法。
【請求項28】
請求項25に記載の方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む、方法。
【請求項29】
請求項25~28のいずれかに記載の方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約2~5mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約5mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項31】
請求項25~30のいずれかに記載の方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.3mMの濃度のp-クマル酸を含有する組成物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項32】
請求項1~24のいずれかに記載のダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞、またはその抽出物もしくは画分を含む、医薬組成物。
【請求項33】
請求項32に記載の医薬組成物であって、
前記ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、請求項25~31のいずれかに記載の方法によって維持される、医薬組成物。
【請求項34】
非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞、または、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含むシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞を含む医薬組成物であって、
請求項25~31のいずれかに記載の方法によって維持された前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞、またはその抽出物もしくは画分を含む、医薬組成物。
【請求項35】
請求項32~34のいずれかに記載の医薬組成物であって、
(i)フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CAからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
(ii)トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
(iii)ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
(iv)シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
(v)上記の(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の任意の組み合わせ、を含む、医薬組成物。
【請求項36】
請求項32~35のいずれかに記載の医薬組成物であって、
ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞の抽出物を含む、医薬組成物。
【請求項37】
請求項32~35のいずれかに記載の医薬組成物であって、
ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞の細胞質画分を含む、医薬組成物。
【請求項38】
請求項32~35のいずれかに記載の医薬組成物であって、
ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞のポリフェノール画分を含む、医薬組成物。
【請求項39】
請求項32~38のいずれかに記載の医薬組成物であって、
ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞の液胞を含む、医薬組成物。
【請求項40】
請求項32~39のいずれかに記載の医薬組成物であって、
実質的に脱水された組成物である、医薬組成物。
【請求項41】
請求項32~40のいずれかに記載の医薬組成物であって、
無傷の細胞を実質的に欠いている、医薬組成物。
【請求項42】
請求項41に記載の医薬組成物であって、
破裂した細胞を実質的に欠いている、医薬組成物。
【請求項43】
患者におけるコロナウイルス感染症またはその症状を、予防、治療、発生率低減、抑制、または阻害する方法であって、
請求項32~42のいずれかに記載の医薬組成物の治療有効量を前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法であって、
前記症状は、サイトカインストームである、方法。
【請求項45】
請求項43または44に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、前記患者に全身投与される、方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、
前記医薬組成物は、前記患者に経口投与される、方法。
【請求項47】
請求項43~46のいずれかに記載の方法であって、
前記コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症を含む、方法。
【請求項48】
作物植物またはその一部であって、
(i)AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、
(ii)スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子またはフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物と、
を含む、作物植物またはその一部。
【請求項49】
請求項48に記載の作物植物またはその一部であって、
前記作物植物は、ヴィティス・ヴィニフェラである、作物植物またはその一部。
【請求項50】
請求項49に記載の作物植物またはその一部であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラは、ガメイレッド品種である、作物植物またはその一部。
【請求項51】
患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームを、治療、予防、改善、阻害、または発生率低減する方法であって、
請求項32~42のいずれかに記載の医薬組成物の治療有効量を前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、
前記サイトカイン放出症候群(CRS)または前記サイトカインストームは、コロナウイルス感染症またはその症状に関連している、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、
前記コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症を含む、方法。
【請求項54】
患者におけるサイトカイン濃度の上昇を予防または治療するための方法であって、
請求項32~42のいずれかに記載の医薬組成物の治療有効量を前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法であって、
前記サイトカインは、IL-6、IFN-γ、TNF-α、及びIL-1-βからなる群から選択される、方法。
【請求項56】
請求項54または55に記載の方法であって、
前記サイトカイン濃度の上昇は、コロナウイルス感染症またはその症状に関連している、方法。
【請求項57】
請求項54から56のいずれかに記載の方法であって、
前記サイトカイン濃度の上昇は、前記患者の白血球または血清中で測定される、方法。
【請求項58】
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞において、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベンの濃度を上昇させる方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項59】
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞において、ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドの濃度を上昇させる方法であって、
前記ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法。
【請求項60】
請求項32~42のいずれかに記載の医薬組成物を含む、食用または飲用の組成物。
【請求項61】
請求項32~42のいずれかに記載の医薬組成物であって、
徐放または持続放出するように製剤化された、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トランスジェニック(遺伝子組み換え)ブドウ細胞、該細胞またはその抽出物もしくは画分を含む組成物、及び、対象(患者)におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの発生を阻害または低減するためのそれらの使用に関する。また、本開示は、コロナウイルス感染症またはその症状を予防、治療、発生率低減、抑制、また阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブドウを原料とするワインに含まれるフェノール成分には、ワインの味、色、口当たりに影響を与える数百種類もの大きなグループの化学化合物が含まれる。このような化合物としては、フェノール酸、スチルベノイド、フラボノール、ジヒドロフラボノール、アントシアニン、フラバノールモノマー、及びフラバノールポリマーなどが挙げられ、フラボノイド類と非フラボノイド類との2つの種類に大別される。フラボノイド類には、ワインの色や口当たりに寄与するアントシアニンやタンニンが含まれ、非フラボノイドには、レスベラトロールやフェノール酸などのスチルベノイドが含まれる。
【0003】
スチルベンは、1、2-ジフェニルエチレン骨格によって特徴付けられるフェニルプロパノイドの小グループであり、その大部分は単量体単位であるトランス-レスベラトロールからの誘導体である(「Chong et al., 2009; Rimando et al., 2012」)。フィトアレキシンの特徴を有するこのユニークな二次代謝産物群は、限られた数の別個の植物種で合成される(「Shen et al., 2009」)。スチルベンは、薬理学的及び栄養学的に優れた価値を有しており、クランベリー、ピーナッツ、ココア、そして特にブドウなどの様々なスチルベン産生植物が、人間の食事の一部となっている(「Counet et al., 2006; Yin et al., 2016」)。ブドウは、ヒトの栄養におけるスチルベンの主要供給源であり、異性体、ポリマー、及びグリコシル化体などの複数のスチルベン由来化合物を蓄積する。
【0004】
スチルベンは、その抗菌特性に起因して、植物の病原菌感染部位に蓄積する(「Ahuja et al., 2012」)。スチルベンのうちで、レスベラトロールの脱水素二量体であるビニフェリンは、強力な抗真菌活性を示し、ブドウの木の真菌耐性品種に高濃度で存在する。感受性ブドウ品種と抵抗性ブドウ品種とを比較した一例では、抵抗性品種の真菌病変(灰色かび病菌(Botrytiscinerea)やブドウべと病菌(Plasmoparaviticola))は、低濃度のレスベラトロールと、高濃度のそのオリゴマーα-及びε-ビニフェリンを含有することが示された(「Langcake, 1981」)。ブドウの木のべと病(downy mildew)に関する2番目の研究では、すべての品種でレスベラトロールの産生が誘導されたが、感受性品種では、グリコシル化されて非毒性のスチルベンであるピセイド(5、4´-ジヒドロキシスチルベン-3-O-β-グルコピラノシド)になり、耐性品種では、酸化されて毒性のビニフェリン(ペゼ他、2004年)になることが示された(「Pezet et al., 2004」)。また、精製したε-ビニフェリンは、ブドウべと病菌及び灰色かび病菌に対してレスベラトロールよりも強いフィトアレキシンであることが示された(「Chong et al., 2009; Schnee et al., 2013」)。よく研究されているレスベラトロールと比べて抗真菌作用が強いことから、ビニフェリン含有量は、耐性ブドウ品種を選択するための基準となりつつある(「Gindro et al., 2006」)。
【0005】
レスベラトロールは、ヒトにおいて、抗がん作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び神経保護作用などの健康増進作用があることが示された(「Baur and Sinclair, 2006; Kalantari and Das, 2010」)。ブドウやワインにレスベラトロールと同程度の濃度で蓄積されるε-ビニフェリンは、レスベラトロールよりも高い薬理活性を示す(「Vitrac et al., 2005」)。一例として、がん予防においては、ビニフェリンは、レスベラトロールと比較して、シトクロムP450(CYP)酵素活性の阻害作用が高い(「Piver et al., 2003」)。別の例は、老人斑における凝集したアミロイドβペプチドの細胞外蓄積を防止することによるアルツハイマー病の発症の抑制である:ε-ビニフェリンはレスベラトロールと比較して代謝的に安定しているため、アミロイドβの凝集の防止、及び、抗炎症活性または抗酸化活性の発揮においてより効果的である(「Vion et al., 2018」)。3番目の例は、心血管機能の保護である:ビニフェリンは、レスベラトロールとは異なり、自然発症の高血圧ラットにおいて、血圧を下げ、心不全を予防するための重要な治療アプローチであるアンジオテンシン変換酵素(ACE)活性を阻害し、心筋量を改善することが見出された(「Zghonda et al., 2012」)。
【0006】
レスベラトロールは、有害な炎症性サイトカイン及びそれに関連するマイクロRNAに対して複数の活性を有する。レスベラトロールの抗炎症作用は、動物モデル、細胞株、ヒト被験者で研究されており、炎症性細胞の産生及び炎症性サイトカインの蓄積を減少させるのに非常に有効であることが証明されている(「Rafe et al., 2019」)。
【0007】
フラボノイドは、ヒトの食事に最も豊富に含まれるポリフェノールであり、その抗酸化作用及び抗炎症作用のために、健康増進化合物であると考えられている。フラボノイドの大量摂取は、がん、心血管疾患、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症の予防と相関する(「Babu et al., 2009, Hollman and Katan, 1999, Kris-Etherton et al., 2004」)。ブドウには、フラボノール、フラバン-3-オール、及びアントシアニンの3つの主要なフラボノイド・サブグループがある(「Blancquaert et al., 2019」)。フラボノイドの健康関連の特性の多くは、そのフラボノール・サブクラスに起因している(「Owens et al., 2008; Harborne et al., 2000」)。フラボノールの健康効果のうち、ケンペロールは、がんを含む慢性疾患のリスクを低下させ(「Chen et al., 2013」)、ケルセチンは、哺乳類の寿命延長を増加させ(「Haigis et al., 2010」)、ミリセチンは、がんと糖尿病のリスクを低下させることが分かっている(「Feng et al., 2015」)。
【0008】
フラボノールシンターゼ(FLS)は、ジヒドロフラボノールから、3つの主要なフラボノール、すなわち、ケンペロール、ケルセチン、及びミリセチンの合成を触媒する。FLSの過剰発現は、フラボノール濃度の上昇をもたらす。一例は、シロイヌナズナにおけるセイヨウアブラナFLSの過剰発現であり、ケンペロール及びケルセチンの濃度が上昇した(「Vu et al., 2015」)。タバコにおけるFLSの過剰発現も、ケンペロールの濃度の上昇をもたらした(「Jiang et al., 2020」)。一方、リシアンサス属植物のFLS阻害は、フラボノール生合成を阻害した(「Nielsen et al., 2002」)。
【0009】
植物細胞懸濁液は、植物全体とは異なり、地理的、環境的、季節的な制約を受けず、迅速な収量と比較的均一な品質を有する明確な産生システムを提供する(「Davies and Deroles, 2014」)。植物細胞培養のこれらの利点から、ヴィティス・ヴィニフェラ種は誕生した。ガメイ細胞懸濁液は、レスベラトロール及びその誘導体を産生するのに有望な材料である。
【0010】
Pheのアベイラビリティ(利用可能性)の増加が、スチルベンを含むPheに由来するいくつかの代謝経路に影響を与えることが分かっている。DAHSP(3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ)のフィードバック非感受性細菌型であるAroGの過剰発現は、シロイヌナズナ(「Tzin et al., 2012」)、ペチュニア(「Oliva et al., 2015」)、トマト(「Tzin et al., 2015」)、及びヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞懸濁液において、芳香族アミノ酸、特にPheの産生を増加させた(「Manela et al., 2015」)。すべての場合で、AroGの過剰発現は、二次代謝産物の産生を増加させたが、植物によって差があった。ブドウ細胞懸濁液においてAroG過剰発現の影響を受けたスチルベンはレスベラトロールのみであり、その濃度は20倍に増加した(「Manela et al., 2015」)。
【0011】
スチルベンを増加させる第2の方法は、スチルベンシンターゼ(STS)を過剰発現させ、p-クマロイルCoAと3単位のマロニルCoAとの縮合を触媒し、レスベラトロールを産生することである。同様に、植物細胞培養でSTSを過剰発現させる研究のほとんどで、レスベラトロールの産生増加が報告されており、レスベラトロールのみが特定されている(「Aleynova et al., 2016; Chu et al., 2017; Hidalgo, 2017; Kiselev and Aleynova, 2016; Suprun et al., 2019」)。ビニフェリン濃度も上昇することを示唆した研究は、1件のみであった(「Suprun et al., 2019」)。
【0012】
COVID-19やインフルエンザなどの病気は、サイトカインストームと呼ばれる体の免疫系の過剰反応によって死に至ることがある。サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストーム症候群(CSS)は、ウイルス感染などの様々な要因によって引き起こされる全身性炎症反応症候群(SIRS)の一種である。重症例は、「サイトカインストーム」と呼ばれる。サイトカインは、体内の様々な細胞、例えば免疫系の細胞から放出される小さなタンパク質であり、感染に対する体の反応を調整し、炎症を引き起こす。時には、感染に対する身体の反応が過剰になることもある。例えば、COVID-19のパンデミックの背景となったウイルスであるSARS-CoV-2が肺に侵入すると、免疫反応が引き起され、免疫細胞がウイルスを攻撃する領域に集まり、局所的な炎症が発生する。しかし、一部の患者では、過剰または制御不能な濃度のサイトカインが放出され、それによって、より多くの免疫細胞が活性化され、炎症が過剰になる。その場合、患者に深刻な被害を与え、死に至ることさえある。サイトカインストームは、COVID-19やインフルエンザだけでなく、SARSやMERSなどのコロナウイルスによる呼吸器疾患でもよくみられる合併症である。また、サイトカインストームは、多発性硬化症や膵炎などの非感染性疾患にも関連している(「https://www.newscientist.com/term/cytokine-storm/#ixzz6JhDBRH7E」)。
【0013】
現在、スチルベンは、その貴重な薬理学的特性や、フィトアレキシンとしての役割から、高い需要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、フェノールに富む細胞、組成物、及び組成物を製造する方法を提供する。植物由来のポリフェノールの健康上の利点が古くから知られており、このようなフェノールに富む生成物は、ヒトの治療のいくつかの分野で有用である。
【0015】
本開示の原理によれば、植物細胞、特に遺伝子組換え植物細胞を、自然界に見られるポリフェノール濃度をはるかに超えて、有益なポリフェノール化合物で濃縮する方法が提供される。
【0016】
一態様では、本発明は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞であって、(i)AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、(ii)スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子またはフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物と、を含む細胞を提供する。
【0017】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞である。
【0018】
特定の実施形態では、AroG遺伝子は、3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素をコードする。
【0019】
特定の実施形態では、3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素は、フィードバック非感受性DAHPS酵素である。
【0020】
特定の実施形態では、3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素は、細胞内の少なくとも1つのアミノ酸のアベイラビリティを高める。
【0021】
特定の実施形態では、3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素は、細胞内のフェニルアラニンのアベイラビリティを高める。
【0022】
特定の実施形態では、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、スチルベンシンターゼ(STS)酵素をコードする。
【0023】
特定の実施形態では、スチルベンシンターゼ(STS)酵素は、スチルベンを産生する。
【0024】
特定の実施形態では、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ・スチルベンシンターゼ(VvSTS)遺伝子である。
【0025】
特定の実施形態では、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、VvSTS5、VvSTS10、及びVvSTS28からなる群から選択される。
【0026】
特定の実施形態では、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、フラボノールシンターゼ(FLS)酵素をコードする。
【0027】
特定の実施形態では、フラボノールシンターゼ(FLS)酵素は、フラボノイドを産生する。
【0028】
特定の実施形態では、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ・フラボノールシンターゼ(VvFLS)遺伝子である。
【0029】
特定の実施形態では、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、VIT_07s0031g00100である。
【0030】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも一方が、構成的プロモータに機能的に結合している。
【0031】
特定の実施形態では、構成的プロモータは、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV) 35S RNAプロモータ(35Sプロモータ)である。
【0032】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の両方が、構成的プロモータに機能的に結合している。
【0033】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子は、異なる構成的プロモータに機能的に結合している。
【0034】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも一方が、構成的プロモータに機能的に結合している。
【0035】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の両方が、構成的プロモータに機能的に結合している。
【0036】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子は、異なる構成的プロモータに機能的に結合している。
【0037】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、
(i)フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CAからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
(ii)トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
(iii)ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
(iv)シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
(v)上記の(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の任意の組み合わせを、
該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0038】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、(i)少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイド、
(ii)少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイド、
(iii)少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、
(iv)少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリン、または
(v)上記の(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の任意の組み合わせ、を含む。
【0039】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、
(i)ミリセチン、ケルセチン-3-グルコシド、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、及びプロシアニジンからなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
(ii)シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
(iii)上記の(i)及び(ii)の任意の組み合わせを、
該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、同程度またはそれ以下の濃度で含有する。
【0040】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、
(i)約1.26mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、
(ii)約10.8mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリン、またはその両方を含む。
【0041】
別の態様では、本発明は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつ、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞を維持する方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0042】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。
【0043】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。
【0044】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。
【0045】
特定の実施形態では、本方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約2~5mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む、
【0046】
特定の実施形態では、本方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約5mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0047】
特定の実施形態では、本方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.3mMの濃度のp-クマル酸を含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0048】
さらに別の態様では、本発明は、上記の本開示のダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞、またはその抽出物もしくは画分を含む医薬組成物を提供する。
【0049】
特定の実施形態では、本開示のダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、上記の本開示の方法によって維持される。
【0050】
さらに別の態様では、本発明は、非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞、または、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含むシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞を含む医薬組成物であって、
上記の本開示の方法によって維持されたヴィティス・ヴィニフェラ細胞、またはその抽出物もしくは画分を含む、医薬組成物を提供する。
【0051】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、
(i)フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CAからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
(ii)トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
(iii)ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
(iv)シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、マルビジン、マルビジン-3-o-グルコシド、マルビジン-3-com-グルコシド、マルビジン-3-アセチル-グルコシド、及びペチュニジン-3-com-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
(v)上記の(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の任意の組み合わせ、を含む。
【0052】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞の抽出物を含む。
【0053】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞の細胞質画分を含む。
【0054】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞のポリフェノール画分を含む。
【0055】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型ヴィティス・ヴィニフェラ細胞の液胞を含む。
【0056】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、実質的に脱水された組成物である。
【0057】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、無傷の細胞を実質的に欠いている。
【0058】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、破裂した細胞を実質的に欠いている。
【0059】
さらに別の態様では、本発明は、患者におけるコロナウイルス感染症またはその症状を、予防、治療、発生率低減、抑制、または阻害する方法であって、
上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0060】
特定の実施形態では、症状は、サイトカインストームである。
【0061】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、患者に全身投与される。
【0062】
特定の実施形態では、コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症を含む。
【0063】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、患者に経口投与される。
【0064】
さらに別の態様では、本発明は、作物植物またはその一部であって、
(i)AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、
(ii)スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子またはフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物と、
を含む、作物植物またはその一部を提供する。
【0065】
特定の実施形態では、作物植物は、ヴィティス・ヴィニフェラである。
【0066】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラは、ガメイレッド品種である。
【0067】
さらに別の態様では、本発明は、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームを、治療、予防、改善、阻害、または発生率低減する方法であって、
上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0068】
特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームは、コロナウイルス感染症またはその症状に関連している。
【0069】
特定の実施形態では、コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症を含む。
【0070】
さらに別の態様では、本発明は、患者におけるサイトカイン濃度の上昇を予防または治療するための方法であって、上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0071】
特定の実施形態では、サイトカインは、IL-6、IFN-γ、TNF-α、及びIL-1-βからなる群から選択される。
【0072】
特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、コロナウイルス感染症またはその症状に関連している。
【0073】
特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、患者の白血球または血清中で測定される。
【0074】
さらに別の態様では、本発明は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞において、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベンの濃度を上昇させる方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0075】
さらに別の態様では、本発明は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞において、ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドの濃度を上昇させる方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0076】
さらに別の態様では、本発明は、上記の本開示の医薬組成物を含む、食用または飲用の組成物を提供する。
【0077】
さらに別の態様では、本発明は、本開示の医薬組成物は、徐放または持続放出するように製剤化される。
【0078】
本開示の他の態様及び特徴は、添付図面と併せて、特定の実施形態に関する以下の説明を読むことによって、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1A図1は、AroGのみ、または、AroG+STS遺伝子を過剰発現するヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞培養物の作製を示す。(図1A)pART27ベクターにおける導入遺伝子発現カセットの概略図。遺伝子構築物では、導入遺伝子発現は35Sプロモータの制御下にあった。35S、CaMV35Sプロモータ;Ω、TMV;HA:HAタグ配列;AcV5、AcV5タグ配列;T、OCSターミネータ;KanR、カナマイシン耐性マーカー;LB、T-DNA左縁;RB、T-DNA右縁;3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)のフィードバック非感受性細菌型であるAroG;STS、スチルベンシンターゼ。
図1B】(図1B)AroGの発現は、抗HA抗体(1:500)抗体を用いた免疫ブロット解析によってモニタした。35及び45kDaのAroGの主要なタンパク質バンドを示した。
図1C】(図1C)STSの発現は、抗AcV5抗体(1:1000)抗体による免疫ブロット解析によってモニタした。STSの35kDaの主要なタンパク質バンドを示した。
図1D】(図1D)再培養の日(0日目)から細胞死の開始までの生重量の増加によって、各構築物から選択された株の成長曲線を測定した。
図1E】(図1E)9日目の各株の細胞形態をライカMZ FLII顕微鏡で撮影した。
図2図2は、対照、AroG、及びAroG+STS試料で検出されたフェニルプロパノイド代謝物の主成分分析プロットを示す。この分析に使用される値は、ピークの高さを正規化した後、対数変換したデータである。各クラウドは、各行の8つの複製を表す。
図3-1】図3は、Vitis形質転換細胞におけるスチルベン生合成前駆体とスチルベンの蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(3つの株を含む)、AroG株ではn=32(4つの株を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図3-2】図3は、Vitis形質転換細胞におけるスチルベン生合成前駆体とスチルベンの蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(3つの株を含む)、AroG株ではn=32(4つの株を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図3-3】図3は、Vitis形質転換細胞におけるスチルベン生合成前駆体とスチルベンの蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(3つの株を含む)、AroG株ではn=32(4つの株を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図4-1】図4は、Vitis形質転換細胞におけるフラボノイド蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(2つの株の12の試料を含む)、AroG株ではn=32(4つの株の8つの試料を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株の8つの試料を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図4-2】図4は、Vitis形質転換細胞におけるフラボノイド蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(2つの株の12の試料を含む)、AroG株ではn=32(4つの株の8つの試料を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株の8つの試料を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図4-3】図4は、Vitis形質転換細胞におけるフラボノイド蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(2つの株の12の試料を含む)、AroG株ではn=32(4つの株の8つの試料を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株の8つの試料を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図4-4】図4は、Vitis形質転換細胞におけるフラボノイド蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(2つの株の12の試料を含む)、AroG株ではn=32(4つの株の8つの試料を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株の8つの試料を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図4-5】図4は、Vitis形質転換細胞におけるフラボノイド蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(2つの株の12の試料を含む)、AroG株ではn=32(4つの株の8つの試料を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株の8つの試料を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図4-6】図4は、Vitis形質転換細胞におけるフラボノイド蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(2つの株の12の試料を含む)、AroG株ではn=32(4つの株の8つの試料を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株の8つの試料を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図4-7】図4は、Vitis形質転換細胞におけるフラボノイド蓄積に対するAroG及びSTSの共発現の影響を示す。代謝物のレベルは、対照株(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。Boxplotは各複製での代謝物含有量の混合物であった。対照群ではn=24(2つの株の12の試料を含む)、AroG株ではn=32(4つの株の8つの試料を含む)、各AroG+STSではn=24(3つの株の8つの試料を含む)であった。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株(空ベクター)とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、シングルAroG株とダブルトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(p≦0.05;p≦0.01;p≦0.001)。
図5図5は、倍率変化を対照(空のベクトル)に正規化した代謝変化の概略図である。示されたレベルは、異なるトランスジェニック株間の各代謝物の中央値である。異なるトランスジェニック株を、五角形(シングルAroG株)、ダイヤモンド(AroG+STS5)、三角形(AroG+STS10)、六角形(AroG+STS28)で表示した。
図6A図6は、Phe濃度とp-クマル酸濃度との差異が成長と形態に及ぼす影響を示す。(図6A)異なるPhe濃度処理による7日目の試料の細胞重量。(図6B)異なるp-クマル酸濃度処理による7日目の試料の細胞重量。(図6C)7日目のAroG+STS(株16)細胞の顕微鏡写真(ライカMZFLII顕微鏡で撮影)。青色染色は、死んだ細胞をエバンスブルーで染色したものである。
図6B図6は、Phe濃度とp-クマル酸濃度との差異が成長と形態に及ぼす影響を示す。(図6A)異なるPhe濃度処理による7日目の試料の細胞重量。(図6B)異なるp-クマル酸濃度処理による7日目の試料の細胞重量。(図6C)7日目のAroG+STS(株16)細胞の顕微鏡写真(ライカMZFLII顕微鏡で撮影)。青色染色は、死んだ細胞をエバンスブルーで染色したものである。
図6C図6は、Phe濃度とp-クマル酸濃度との差異が成長と形態に及ぼす影響を示す。(図6A)異なるPhe濃度処理による7日目の試料の細胞重量。(図6B)異なるp-クマル酸濃度処理による7日目の試料の細胞重量。(図6C)7日目のAroG+STS(株16)細胞の顕微鏡写真(ライカMZFLII顕微鏡で撮影)。青色染色は、死んだ細胞をエバンスブルーで染色したものである。
図7A図7は、AroG+STS16変換株(株16)へのPhe及びp-CAフィーディングがスチルベン産生に及ぼす影響を示す。スチルベンの濃度(平均値±標準誤差、mg/gDW)は、異なる濃度のPhe(図7A)とp-CA(図7B)で処理した7日後(黒色)と9日後(灰色)の試料である。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図7B図7は、AroG+STS16変換株(株16)へのPhe及びp-CAフィーディングがスチルベン産生に及ぼす影響を示す。スチルベンの濃度(平均値±標準誤差、mg/gDW)は、異なる濃度のPhe(図7A)とp-CA(図7B)で処理した7日後(黒色)と9日後(灰色)の試料である。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図8-1】図8は、AroG+STS16形質転換株へのPheフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図8-2】図8は、AroG+STS16形質転換株へのPheフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図8-3】図8は、AroG+STS16形質転換株へのPheフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図8-4】図8は、AroG+STS16形質転換株へのPheフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図8-5】図8は、AroG+STS16形質転換株へのPheフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図8-6】図8は、AroG+STS16形質転換株へのPheフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。
図9-1】図9は、AroG+STS16形質転換株へのp-CAフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。異なる試料のp-CAレベルは、外因性のため比較しなかった。
図9-2】図9は、AroG+STS16形質転換株へのp-CAフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。異なる試料のp-CAレベルは、外因性のため比較しなかった。
図9-3】図9は、AroG+STS16形質転換株へのp-CAフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。異なる試料のp-CAレベルは、外因性のため比較しなかった。
図9-4】図9は、AroG+STS16形質転換株へのp-CAフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。異なる試料のp-CAレベルは、外因性のため比較しなかった。
図9-5】図9は、AroG+STS16形質転換株へのp-CAフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。異なる試料のp-CAレベルは、外因性のため比較しなかった。
図9-6】図9は、AroG+STS16形質転換株へのp-CAフィーディングが前駆体代謝物及びフラボノイドの産生に及ぼす影響を示す。異なる濃度のPheを7日間(黒色)及び9日間(灰色)投与したときの代謝物のレベル(平均値±SE)をピークの高さとして示す。文字は、双方向ANOVA(P<0.05)とそれに続くテューキーのHSD検定によって分析した試料間の有意差を表す(P≦0.05)。異なる試料のp-CAレベルは、外因性のため比較しなかった。
図10図10は、9日間の処理後に採取されたPheフィーディング細胞と対照との代謝物及び遺伝子発現レベルの変化を示す概略図である。遺伝子発現レベルは、対照に対して正規化した倍率変化として表した。
図11図11は、AroG+STS16形質転換株のPheフィーディングがCHS及びSTS遺伝子発現に及ぼす影響を示す。遺伝子発現レベル(平均値±SE)は、対照試料に対して正規化された倍率変化として表した。星は、スチューデントt検定を用いて、対照(黒色)と5mMのPheを与えた試料(灰色)との遺伝子発現の有意差を表す(P<0.05)。
図12図12は、LPSによるmRNAレベルでのニワトリ白血球の抗炎症遺伝子発現の誘導と、本発明によるポリフェノール抽出物(GCE)によるその阻害を示す。
図13図13は、ブドウ細胞粉末(GCP)を7日間フィーディングしたニワトリの脾臓をLPSで2時間刺激すると、炎症性サイトカイン(INF-G、TNF、IL-6)のmRNA発現量が抑制され、抗炎症性サイトカインmRNA(IL10)が誘導されることを示す。縦線は標準誤差を示す(各群n=10)、P<0.05(t検定)。
図14A図14は、AroG及びFLS遺伝子を発現するヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞培養物の作製を示す。(図14A)Vヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞培養物におけるAroG及びFLSの共発現によって設計されたフラボノイド及びスチルベン生合成経路の提案。
図14B】(図14B)pART27ベクターにおける導入遺伝子発現カセットの概略図。遺伝子構築物では、導入遺伝子発現は35Sプロモータの制御下にあった。35S、CaMV35Sプロモータ;Ω、TMV;HA:HAタグ配列;AcV5、AcV5タグ配列;T、OCSターミネータ;KanR、カナマイシン耐性マーカー;LB、T-DNA左縁;RB、T-DNA右縁;3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)のフィードバック非感受性細菌型であるAroG;FLS、フラボノールシンターゼ。
図14C】(図14C)トランスジェニック株におけるAroGの蓄積。抗HA抗体(1:500)を用いて免疫ブロット解析を行った。35kDaのポリペプチドはAroGタンパク質を表す。
図14D】(図14D)トランスジェニック株におけるFLSの蓄積。抗AcV5抗体(1:1000)を用いて免疫ブロット解析を行った。35kDaのポリペプチドはFLSタンパク質を表す。
図14E】(図14E)ライカMZFLII顕微鏡で撮影した9日目の対照(空ベクター)及び2つのAroG+FLS株の細胞形態。青色染色は、死んだ細胞をエバンスブルーで染色したものである。
図15図15は、AroG及びFLSの共発現がヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞におけるPhe、Trp、及びp-CAの蓄積に及ぼす影響を示す。代謝物レベル(平均値±SE、n=8)は対照(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、灰色のアスタリスクは、AroG株とAroG+FLSトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
図16図16は、AroG及びFLSの共発現がヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞におけるスチルベン蓄積に及ぼす影響を示す。代謝物レベル(平均値±SE、n=8)は対照(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、AroG株とAroG+FLSトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
図17A図17は、AroG及びFLSの共発現がヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞における、(a)フラボノール、(b)フラバン-3-オール、及び、(c)アントシアニンの蓄積に及ぼす影響を示す。代謝物レベル(平均値±SE、n=8)は対照(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、AroG株とAroG+FLSトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
図17B-1】図17は、AroG及びFLSの共発現がヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞における、(a)フラボノール、(b)フラバン-3-オール、及び、(c)アントシアニンの蓄積に及ぼす影響を示す。代謝物レベル(平均値±SE、n=8)は対照(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、AroG株とAroG+FLSトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
図17B-2】図17は、AroG及びFLSの共発現がヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞における、(a)フラボノール、(b)フラバン-3-オール、及び、(c)アントシアニンの蓄積に及ぼす影響を示す。代謝物レベル(平均値±SE、n=8)は対照(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、AroG株とAroG+FLSトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
図17C-1】図17は、AroG及びFLSの共発現がヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞における、(a)フラボノール、(b)フラバン-3-オール、及び、(c)アントシアニンの蓄積に及ぼす影響を示す。代謝物レベル(平均値±SE、n=8)は対照(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、AroG株とAroG+FLSトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
図17C-2】図17は、AroG及びFLSの共発現がヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞における、(a)フラボノール、(b)フラバン-3-オール、及び、(c)アントシアニンの蓄積に及ぼす影響を示す。代謝物レベル(平均値±SE、n=8)は対照(空ベクター)と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示した。統計的有意性は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって分析した。黒のアスタリスクは、対照株とトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表し、灰色のアスタリスクは、AroG株とAroG+FLSトランスジェニック株との代謝物含有量の有意差を表す(P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。
図18A図18は、AroG及びFLSの形質転換、及び、外因性Pheフィーディングに起因する、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞における代謝物及び遺伝子発現の変化の概要。代謝物(図18A)及び遺伝子発現(図18B)のレベルは、非フィーディング対照と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示されている。遺伝子発現レベルは、log2倍率変化値で表し、これを行ごとにセンタリング及びスケーリングし、ヒートマップで可視化した。略称:acet、アセチル;glu、グルコシド;coum、クマロイル;PAL、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ;C4H、ケイ皮酸4-ヒドロキシラーゼ;4CL、4‐クマロイル:CoA リガーゼ;CHS、カルコンシンターゼ;CHI、カルコンイソメラーゼ;F3H、フラバノン3-ヒドロキシラーゼ;F3´H及びF3´5´H、フラボノイド3´及び3´5´ヒドロキシラーゼ;FLS、フラボノールシンターゼ;DFR、ジヒドロフラボノール-4-レダクターゼ;LDOX、ロイコアントシアニジンジオキシゲナーゼ;LAR、ロイコアントシアニジンレダクターゼ;ANR、アントシアニジンレダクターゼ;UFGT、ウリジン二リン酸-グルコース:フラボノイド3-O-グルコシルトランスフェラーゼ;OMT、O-メチルトランスフェラーゼ;STS、スチルベンシンターゼ。
図18B図18は、AroG及びFLSの形質転換、及び、外因性Pheフィーディングに起因する、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド形質転換細胞における代謝物及び遺伝子発現の変化の概要。代謝物(図18A)及び遺伝子発現(図18B)のレベルは、非フィーディング対照と比較したトランスジェニック株の倍率変化として示されている。遺伝子発現レベルは、log2倍率変化値で表し、これを行ごとにセンタリング及びスケーリングし、ヒートマップで可視化した。略称:acet、アセチル;glu、グルコシド;coum、クマロイル;PAL、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ;C4H、ケイ皮酸4-ヒドロキシラーゼ;4CL、4‐クマロイル:CoA リガーゼ;CHS、カルコンシンターゼ;CHI、カルコンイソメラーゼ;F3H、フラバノン3-ヒドロキシラーゼ;F3´H及びF3´5´H、フラボノイド3´及び3´5´ヒドロキシラーゼ;FLS、フラボノールシンターゼ;DFR、ジヒドロフラボノール-4-レダクターゼ;LDOX、ロイコアントシアニジンジオキシゲナーゼ;LAR、ロイコアントシアニジンレダクターゼ;ANR、アントシアニジンレダクターゼ;UFGT、ウリジン二リン酸-グルコース:フラボノイド3-O-グルコシルトランスフェラーゼ;OMT、O-メチルトランスフェラーゼ;STS、スチルベンシンターゼ。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明は、フラボノイド及びスチルベン、特にレスベラトロールの産生を増加させる方法及び組成物を提供する。
【0081】
本開示の原理によれば、Pheのアベイラビリティの増加と、スチルベンシンターゼ(STS)またはフラボノールシンターゼ(FLS)の過剰発現との組み合わせにより、植物のPhe代謝をスチルベン経路及び/またはフラボノイド経路に転換させることができる。Pheのアベイラビリティの増加は、AroGの過剰発現と、細胞培養に外部Pheを供給することとの両方によって達成された。これらの試みは、いくつかのレスベラトロール由来スチルベンの産生の増加をもたらし、特に、ビニフェリンの濃度が、非処理培養物と比較して600倍増加した。
【0082】
一態様では、本発明は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物とを含む細胞を提供する。
【0083】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、植物細胞である。特定の実施形態では、植物細胞は、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)細胞である。特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞(Vitis Vinifera cv. Gamay Red cell)である。
【0084】
特定の実施形態では、AroG遺伝子は、植物遺伝子である。特定の実施形態では、AroG遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ遺伝子である。特定の実施形態では、AroG遺伝子は、3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)酵素をコードする。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、次の化学反応を触媒する:ホスホエノールピルビン酸+D-エリスロース4-リン酸+HO=3-デオキシ-D-アラビノ-ヘプト-2-ウロソン酸7-リン酸+リン酸。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、フィードバック非感受性である。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、フェニルアラニン非感受性である。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、チロシン非感受性である。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、トリプトファン非感受性である。
【0085】
特定の実施形態では、DAHPS酵素は、細胞内の少なくとも1つのアミノ酸のアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、細胞内のフェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸のアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、細胞内のフェニルアラニンのアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、細胞内のチロシンのアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、DAHPS酵素は、細胞内のトリプトファンのアベイラビリティを高める。
【0086】
特定の実施形態では、STS遺伝子は、植物遺伝子である。特定の実施形態では、STS遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ遺伝子である。特定の実施形態では、STS遺伝子は、STS酵素をコードする。特定の実施形態では、STS酵素は、次の化学反応を触媒する:3マロニル-CoA+4クマロイル-CoA=4CoA+3、4´、5-トリヒドロキシスチルベン(レスベラトロール)+4CO
【0087】
特定の実施形態では、STS酵素は、細胞内のデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、エストロン、プレグネノロン、コレステロール、及びレスベラトロールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物のアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、STS酵素は、細胞内のDHEAのアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、STS酵素は、細胞内のエストロンのアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、STS酵素は、細胞内のプレグネノロンのアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、STS酵素は、細胞内のコレステロールのアベイラビリティを高める。特定の実施形態では、STS酵素は、細胞内のレスベラトロールのアベイラビリティを高める。
【0088】
特定の実施形態では、STS酵素は、スチルベンを生成する。特定の実施形態では、STS酵素は、スチルベノイドを産生する。特定の実施形態では、スチルベノイドは、レスベラトロールである。特定の実施形態では、スチルベノイドは、レスベラトロール誘導体である。特定の実施形態では、レスベラトロール誘導体は、ピセイドである。
【0089】
特定の実施形態では、STS遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ・スチルベンシンターゼ(VvSTS)遺伝子である。特定の実施形態では、STS遺伝子は、VvSTS5、VvSTS10、及びVvSTS28からなる群から選択される。特定の実施形態では、STS遺伝子は、VvSTS5である。特定の実施形態では、STS遺伝子は、VvSTS10である。特定の実施形態では、STS遺伝子は、VvSTS28である。
【0090】
一態様では、本発明は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物とを含む細胞を提供する。
【0091】
特定の実施形態では、FLS遺伝子は、植物遺伝子である。特定の実施形態では、FLS遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ遺伝子である。特定の実施形態では、FLS遺伝子は、FLS酵素をコードする。特定の実施形態では、FLS酵素は、次の化学反応を触媒する:2-オキソグルタル酸+a(2R、3R)-ジヒドロフラボノール+O=フラボノール+CO+HO+コハク酸エステル。
【0092】
特定の実施形態では、FLS酵素は、フラボノイドを産生する。特定の実施形態では、FLS酵素は、フラボノールを産生する。特定の実施形態では、フラボノイドは、フラボノールである。特定の実施形態では、フラボノイドは、フラバン-3-オールである。特定の実施形態では、フラボノイドは、アントシアニンである。特定の実施形態では、フラボノールは、ミリセチンである。特定の実施形態では、フラボノールは、ケルセチン-3-グルコシドである。特定の実施形態では、フラボノールは、ケンペロールである。
【0093】
特定の実施形態では、FLS遺伝子は、ヴィティス・ヴィニフェラ・フラボノールシンターゼ(VvFLS)遺伝子である。特定の実施形態では、FLS遺伝子は、VIT_07s0031g00100である。
【0094】
一態様では、本発明は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子またはフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物とを含むダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞を提供する。
【0095】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びSTS遺伝子の少なくとも一方が、構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びSTS遺伝子の両方が、構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びFLS遺伝子の少なくとも一方が、構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びFLS遺伝子の両方が、構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、構成プロモータは、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV) 35S RNAプロモータ(「35Sプロモータ」としても知られている)である。
【0096】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びSTS遺伝子は、異なる構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びSTS遺伝子は、同一の構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びSTS遺伝子は、STS遺伝子の上流に見られるAroG遺伝子の上流に見られる同一の構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びSTS遺伝子は、AroG遺伝子の上流に見られるSTS遺伝子の上流に見られる同一の構成的プロモータに機能的に結合している。
【0097】
特定の実施形態では、AroG遺伝子及びFLS遺伝子は、異なる構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びFLS遺伝子は、同一の構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びFLS遺伝子は、FLS遺伝子の上流に見られるAroG遺伝子の上流に見られる同一の構成的プロモータに機能的に結合している。特定の実施形態では、AroG遺伝子及びFLS遺伝子は、AroG遺伝子の上流に見られるFLS遺伝子の上流に見られる同一の構成的プロモータに機能的に結合している。
【0098】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1つのスチルベノイドを高濃度で含有する。特定の実施形態では、スチルベノイドは、レスベラトロールを含む。特定の実施形態では、スチルベノイドは、トランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、スチルベノイドは、シス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、スチルベノイドは、ε-ビニフェリンを含む。
【0099】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1つのフラボノイドを高濃度で含有する。特定の実施形態では、フラボノイドは、フラボノールを含む。特定の実施形態では、フラボノイドは、フラバン-3-オールを含む。特定の実施形態では、フラボノイドは、アントシアニンを含む。特定の実施形態では、フラボノールは、ミリセチン、ケルセチン-3-グルコシド、またはケンペロールを含む。特定の実施形態では、フラボノールは、ミリセチンを含む。特定の実施形態では、フラボノールは、ケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、フラボノールは、ケンペロールを含む。特定の実施形態では、フラバン-3-オールは、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、またはプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、アントシアニンには、シアニジン-3-グルコシド、シアニジン-3-アセチル-グルコシド、シアニジン-3-クマロイル-グルコシド、ペオニジン-3-グルコシド、ペオニジン-3-アセチル-グルコシド、ペオニジン-3-クマロイル-グルコシド、デルフィニジン3-グルコシド、デルフィニジン3-アセチル-グルコシド、デルフィニジン3-クマロイル-グルコシド、マルビジン-3-グルコシド、マルビジン-3-アセチル-グルコシド、マルビジン-3-クマロイル-グルコシド、ペチュニジン-3-グルコシド、ペチュニジン-3-アセチル-グルコシド、またはペチュニジン-3-クマロイル-グルコシドが含まれる。
【0100】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、
フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CA(p-クマル酸)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
マルビジン-3-o-グルコシド、マルビジン-3-com-グルコシド、マルビジン-3-アセチル-グルコシド、及びペチュニジン-3-com-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
上記の任意の組み合わせを、
該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0101】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、
フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CA(p-クマル酸)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
上記の任意の組み合わせを、
該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0102】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CA(p-クマル酸)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を、該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0103】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベンを、該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0104】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドを、該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0105】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、マルビジン-3-o-グルコシド、マルビジン-3-com-グルコシド、マルビジン-3-アセチル-グルコシド、及びペチュニジン-3-com-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニンを、該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0106】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニンを、該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0107】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CA(p-クマル酸)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を、該細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0108】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベンを、該細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0109】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドを、該細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0110】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、マルビジン-3-o-グルコシド、マルビジン-3-com-グルコシド、マルビジン-3-アセチル-グルコシド、及びペチュニジン-3-com-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニンを、該細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0111】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニンを、該細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、高濃度で含有する。
【0112】
特定の実施形態では、本開示の細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。
特定の実施形態では、本開示の細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、同数のAroG遺伝子の複製物を含む。
【0113】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.3mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイド、少なくとも0.3mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイド、少なくとも0.1mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、少なくとも0.02mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリン、または、上記の任意の組み合わせを含む。
【0114】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.3mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.3mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.1mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.02mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。
【0115】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.3mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイド、少なくとも0.3mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイド、少なくとも0.1mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、及び、少なくとも0.02mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。
【0116】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイド、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイド、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリン、または、上記の任意の組み合わせを含む。
【0117】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のトランス-ピセイドを含む。
【0118】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度の量シス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のシス-ピセイドを含む。
【0119】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.3mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。
【0120】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。
【0121】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のミリセチンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のミリセチンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のミリセチンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量ミリセチンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のミリセチンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のミリセチンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のミリセチンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のミリセチンを含む。
【0122】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のケルセチン-3-グルコシドを含む。
【0123】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のカテキンを含む。
【0124】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のエピカテキンを含む。
【0125】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のエピガロカテキンを含む。
【0126】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB1を含む。
【0127】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.5mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.6mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.7mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.8mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも0.9mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.0mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.1mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、少なくとも1.2mg/g乾燥重量の濃度のプロシアニジンB2を含む。
【0128】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、
ミリセチン、ケルセチン-3-グルコシド、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、及びプロシアニジンからなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
上記の任意の組み合わせを、
該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、同程度またはそれ以下の濃度で含有する。
【0129】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、ミリセチン、ケルセチン-3-グルコシド、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、及びプロシアニジンからなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドを、該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、同程度またはそれ以下の濃度で含有する。
【0130】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニンを、該細胞に対応する非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞と比較して、同程度またはそれ以下の濃度で含有する。
【0131】
特定の実施形態では、本開示の細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞に対応するシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、同数のAroG遺伝子の複製物を含む。
【0132】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、約1.26mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロール、約10.8mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリン、またはその両方を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、約1.26mg/g乾燥重量の濃度のレスベラトロールを含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、約10.8mg/g乾燥重量の濃度のε-ビニフェリンを含む。
【0133】
別の態様では、本発明は、
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつ、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞を維持する方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
上記の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0134】
別の態様では、本発明は、
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつ、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞を維持する方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
上記の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0135】
別の態様では、本発明は、
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつ、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞を維持する方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
上記の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0136】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、トランスジェニック型細胞である。特定の実施形態では、本開示の細胞は、植物細胞である。特定の実施形態では、本開示の細胞は、トランスジェニック植物細胞である。特定の実施形態では、本開示の植物細胞は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞である。特定の実施形態では、本開示の細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、STS遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、FLS遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、AroG遺伝子の単一の複製物を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、STS遺伝子の単一の複製物を含む。特定の実施形態では、本開示の細胞は、FLS遺伝子の単一の複製物を含む。
【0137】
特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、少なくとも約0.2mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、少なくとも約0.5mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、少なくとも約1.0mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、少なくとも約2.0mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、少なくとも約5.0mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0138】
特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.2~5mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.5~5mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約1~5mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約2~5mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0139】
特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.2mMの濃度のフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.5mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約1mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約2mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約5mMのフェニルアラニンを含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0140】
特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、少なくとも約0.1mMの濃度のp-クマル酸を含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、少なくとも約0.3mMの濃度のp-クマル酸を含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0141】
特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸を含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0142】
特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.1mMの濃度のp-クマル酸を含有する組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、約0.3mMの濃度のp-クマル酸を含有する組成物と接触させるステップを含む。
【0143】
さらに別の態様では、本発明は、上記の本開示のダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞、またはその抽出物もしくは画分を含む医薬組成物を提供する。
【0144】
特定の実施形態では、上記の本開示のダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、上記の本開示の方法によって維持される。
【0145】
さらに別の態様では、本発明は、非トランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞、または、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含むシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞を含む医薬組成物であって、上記の本開示の方法によって維持されたヴィティス・ヴィニフェラ細胞、またはその抽出物もしくは画分を含む、医薬組成物を提供する。
【0146】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、
フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CAからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
マルビジン-3-o-グルコシド、マルビジン-3-com-グルコシド、マルビジン-3-アセチル-グルコシド、及びペチュニジン-3-com-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
上記の任意の組み合わせを、含む。
【0147】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、
フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CA(p-クマル酸)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸;
トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベン;
ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイド;
シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニン;または
上記の任意の組み合わせを、含む。
【0148】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、フェニルアラニン、トリプトファン、及びp-CAからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベンを含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドを含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドを含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、マルビジン-3-o-グルコシド、マルビジン-3-com-グルコシド、マルビジン-3-アセチル-グルコシド、及びペチュニジン-3-com-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニンを含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ペチュニジン、及びマルビジンからなる群から選択される少なくとも1つのアントシアニを含む。
【0149】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の抽出物を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の抽出物を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、シングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の抽出物を含む。
【0150】
特定の実施形態では、抽出物は、ポリフェノール抽出物である。特定の実施形態では、抽出物は、乾燥粉末の形態である。特定の実施形態では、抽出物は、ブドウ細胞のポリフェノール抽出物(GCE)である。特定の実施形態では、抽出物は、ブドウ細胞の乾燥粉末(GCP)の形態である。
【0151】
特定の実施形態では、画分は、ポリフェノール画分である。特定の実施形態では、画分は、乾燥粉末の形態である。特定の実施形態では、画分は、ブドウ細胞のポリフェノール画分(GCF)である。特定の実施形態では、画分は、ブドウ細胞の乾燥粉末の形態である。
【0152】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の細胞質画分を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の細胞質画分を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、シングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の細胞質画分を含む。
【0153】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞のポリフェノール画分を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞のポリフェノール画分を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、シングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞のポリフェノール画分を含む。
【0154】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞またはシングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の液胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ダブルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の液胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、シングルトランスジェニック型のヴィティス・ヴィニフェラ細胞の液胞を含む。
【0155】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、実質的に脱水された組成物である。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~50重量%の水を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~40重量%の水を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~30重量%の水を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~20重量%の水を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~10重量%の水を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~5重量%の水を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~1重量%の水を含む。
【0156】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、無傷の細胞を実質的に欠いている。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~50重量%の無傷の細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~40重量%の無傷の細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~30重量%の無傷の細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~20重量%の無傷の細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~10重量%の無傷の細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~5重量%の無傷の細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~1重量%の無傷の細胞を含む。
【0157】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、破裂した細胞を実質的に欠いている。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~50重量%の破裂した細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~40重量%の破裂した細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~30重量%の破裂した細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~20重量%の破裂した細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~10重量%の破裂した細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~5重量%の破裂した細胞を含む。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0~1重量%の破裂した細胞を含む。
【0158】
特定の実施形態では、本発明は、患者におけるウイルス感染症、疾患、障害、またはその症状を、予防、治療、発生率低減、抑制、または阻害する方法を提供する。
【0159】
特定の実施形態では、患者におけるウイルス感染症、疾患、障害、またはその症状を、予防、治療、発生率低減、抑制、または阻害する本開示の方法は、上記の本開示の医薬組成物を患者に投与するステップを含む。
【0160】
特定の実施形態では、「ウイルス性疾患」という用語は、患者の体内のウイルスの存在により、直接的または間接的に引き起こされる病理学的状態を包含する。「ウイルス性疾患」という用語は、ウイルスの感染に起因または関連する臨床症状をさらに包含し、そのような臨床症状には、これに限定しないが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされるウイルス性疾患が含まれる。
【0161】
特定の実施形態では、「ウイルス」及び「ウイルス性」という用語は、コロナウイルス(CoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス、及びインフルエンザウイルス感染症を含む病原体を包含する。
【0162】
特定の実施形態では、患者におけるウイルス感染症、疾患、障害、またはその症状を、予防、治療、発生率低減、抑制、または阻害する本開示の方法は、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームを低減することを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)を減少させることを含む。特定の実施形態では、本開示の方法は、患者におけるサイトカインストームを減少させることを含む。
【0163】
特定の実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス(CoV)感染症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、またはインフルエンザウイルスを含む。
【0164】
特定の実施形態では、コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症を含む。特定の実施形態では、ウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症を含む。
【0165】
一実施形態では、「SARS-CoV-2」という用語は、コロナウイルスとして知られるコロナウイルス科に属するポジティブセンス一本鎖RNA(+ssRNA)ウイルスを指す。「SARS-CoV-2」は、「2019新型コロナウイルス(2019-nCoV)」、「重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARSr-CoV)」、「武漢コロナウイルス」、「武漢ウイルス」、「中国ウイルス」、「COVID-19ウイルス」、または「コロナウイルス」とも呼ばれている。SARS-CoV-2は、2019年12月に、中国の武漢で最初に確認された。特定の実施形態では、SARS-CoV-2は、一般に、くしゃみ、咳、または呼気としての呼吸飛沫を介して、ヒトからヒトへ感染する。当業者であれば、SARS-CoV-2は、サルベコウイルス亜属の一員であり、約3万塩基の長さのRNA配列を有していることを認識するだろう。本発明は、すべてのコロナウイルス変異体を治療する方法を含む。当業者であれば、7種類のコロナウイルスがヒトに感染することが知られていることを認識するだろう。特定の実施形態では、コロナウイルスには、ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)が含まれる。特定の実施形態では、コロナウイルスには、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43)が含まれる。特定の実施形態では、コロナウイルスには、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV)が含まれる。特定の実施形態では、コロナウイルスには、ヒトコロナウイルスNL63(HCoV-NL63、ニューヘイブンコロナウイルス)が含まれる。特定の実施形態では、コロナウイルスには、ヒトコロナウイルスHKU1が含まれる。特定の実施形態では、コロナウイルスには、以前は新型コロナウイルス2012またはHCoV-EMCとして知られていた中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)が含まれる。特定の実施形態では、コロナウイルスには、SARS-CoV-2が含まれる。
【0166】
特定の実施形態では、疾患には、コロナウイルス病2019(COVID-19)が含まれる。
【0167】
特定の実施形態では、SARS-CoV-2ウイルス感染症は、「コロナウイルス病2019」(COVID-19)と呼ばれる呼吸器疾患、別名、「新型コロナウイルス肺炎(NCP)」、「SARS-CoV-2急性呼吸器疾患」、及び「2019-nCoV急性呼吸器疾患」を引き起こす。特定の実施形態では、COVID-19の症状は、2~14日間の潜伏期間後に現れる。特定の実施形態では、コロナウイルスは、主に下気道に影響を及ぼす。特定の実施形態では、コロナウイルスは、主に上気道に影響を及ぼす。特定の実施形態では、COVID-19の症状は、発熱、咳、息切れ、筋肉痛、疲労感、肺炎、急性呼吸窮迫症候群、敗血症、敗血症性ショック、死亡、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0168】
特定の実施形態では、ウイルス性疾患は、SARS-CoV-2によって引き起こされる。特定の実施形態では、ウイルス性疾患は、コロナウイルスによって引き起こされる。特定の実施形態では、ウイルス性疾患は、SARSウイルスによって引き起こされる。特定の実施形態では、ウイルス性疾患は、MERSウイルスによって引き起こされる。特定の実施形態では、ウイルス性疾患は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる。
【0169】
特定の実施形態では、「サイトカイン放出症候群(CRS)」には、感染症や特定の薬物などの様々な要因によって誘発される全身性炎症反応症候群(SIRS)またはサイトカインストーム症候群(CSS)が含まれる。特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)は、炎症性サイトカインを放出する白血球の活性化を含む。特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)は、MCP-1、IL-8、IL-6、TNF-α、IFN-γ、IL-10などの様々なサイトカインの濃度の上昇を含む。当業者であれば、「サイトカインストーム」には、即時発症型CRSが含まれることを理解するだろう。特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームは、コロナウイルス病2019(COVID-19)を含む感染症または非感染症の結果として発生し得る。
【0170】
一実施形態では、「上昇」という用語は、量または濃度の増加を包含し、例えば、「サイトカイン濃度の上昇」とは、健常者の血液サンプルで測定されたサイトカイン濃度よりも高いサイトカイン濃度を指す。
【0171】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ウイルス感染症の治療または予防に使用される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、コロナウイルス感染症の治療または予防に使用される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、SARSの治療または予防に使用される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、MERSの治療または予防に使用される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、インフルエンザの治療または予防に使用される。
【0172】
特定の実施形態では、本発明は、患者におけるウイルス性疾患、例えばCOVID-19を予防または治療する方法であって、上記の本開示の組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0173】
特定の実施形態では、ウイルス性疾患には、コロナウイルス(CoV)感染症、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、インフルエンザウイルス、またはそれらの変異が含まれる。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症には、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症が含まれる。特定の実施形態では、ウイルス感染症には、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症が含まれる。
【0174】
さらに別の態様では、本発明は、患者におけるコロナウイルス感染症またはその症状を治療するための方法であって、上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、患者におけるコロナウイルス感染症またはその症状を予防、治療、発生率低減、抑制、または阻害する方法であって、上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症の症状は、サイトカインストームである。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症の症状は、サイトカイン濃度の上昇を含む。別の実施形態では、コロナウイルス感染症の症状は、IL-6濃度の上昇を含む。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症の症状は、IL-8濃度の上昇を含む。別の実施形態では、コロナウイルス感染症の症状は、IL-17A濃度の上昇を含む。
【0175】
特定の実施形態では、本発明は、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームを、治療、予防、改善、阻害、または、発生率低減する方法を提供する。特定の実施形態では、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームを、治療、予防、改善、阻害、または、発生率低減する本開示の方法は、上記の本開示の医薬組成物を患者に投与するステップを含む。
【0176】
特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームを治療、予防、改善、抑制、または発生率低減する本開示の方法は、治療薬または抗ウイルス薬を含む1以上の追加的な組成物を患者に投与するステップをさらに含む。
【0177】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、患者に全身投与される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、患者に経口投与される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。
【0178】
さらに別の態様では、本発明は、作物植物またはその一部であって、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む、作物植物またはその一部を提供する。
【0179】
さらに別の態様では、本発明は、作物植物またはその一部であって、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物とを含む、作物植物またはその一部を提供する。
【0180】
さらに別の態様では、本発明は、作物植物またはその一部であって、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、スチルベンシンターゼ(STS)遺伝子またはフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物とを含む、作物植物またはその一部を提供する。
【0181】
さらに別の態様では、本発明は、作物植物またはその一部であって、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物と、フラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物とを含む、作物またはその一部を提供する。
【0182】
特定の実施形態では、作物植物の一部は、単離された細胞ではない。
【0183】
特定の実施形態では、作物植物は、ヴィティス・ヴィニフェラである。
【0184】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラは、ガメイレッド品種(Gamay Red cultivar)である。
【0185】
さらに別の態様では、本発明は、患者におけるサイトカインストームを予防または治療するための方法であって、上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0186】
さらに別の態様では、本発明は、患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームを、治療、予防、改善、阻害、または、発生率低減する方法であって、上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0187】
特定の実施形態では、本開示の方法は、予防を目的とした方法である。特定の実施形態では、本開示の方法は、治療を目的とした方法である。
【0188】
特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームは、コロナウイルス感染症またはその症状に関連している。特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームは、コロナウイルス感染症に関連している。特定の実施形態では、サイトカイン放出症候群(CRS)またはサイトカインストームは、コロナウイルス感染症の症状に関連している。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症を含む。
【0189】
さらに別の態様では、本発明は、患者におけるサイトカイン濃度の上昇を予防または治療する方法であって、上記の本開示の医薬組成物の治療有効量を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0190】
特定の実施形態では、サイトカイン濃度は、血液または血清中で測定される。特定の実施形態では、サイトカイン濃度は、全血中で測定される。特定の実施形態では、サイトカイン濃度は、血清中で測定される。特定の実施形態では、サイトカイン濃度は、血球中で測定される。
【0191】
特定の実施形態では、サイトカインは、IL-6、IFN-γ、TNF-α、及びIL-1-βからなる群から選択される。特定の実施形態では、サイトカインは、IL-6である。特定の実施形態では、サイトカインは、IFN-γである。特定の実施形態では、サイトカインは、TNF-αである。特定の実施形態では、サイトカインは、IL-1-βである。
【0192】
特定の実施形態では、本発明は、炎症性サイトカインの産生を減少させる方法を提供する。特定の実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-6を含む。特定の実施形態では、炎症性サイトカインは、IFN-γを含む。特定の実施形態では、炎症性サイトカインは、TNF-αを含む。特定の実施形態では、炎症性サイトカインは、IL-1-βを含む。
【0193】
特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、コロナウイルス感染症またはその症状に関連している。特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、コロナウイルス感染症に関連している。特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、コロナウイルス感染症の症状に関連している。特定の実施形態では、コロナウイルス感染症には、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症が含まれる。
【0194】
特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、患者の白血球(WBC)または患者の血清中で測定される。特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、患者の白血球中で測定される。特定の実施形態では、サイトカイン濃度の上昇は、患者の血清中で測定される。
【0195】
さらに別の態様では、本発明は、
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞において、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、及びε-ビニフェリンからなる群から選択される少なくとも1つのスチルベンの濃度を上昇させる方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0196】
特定の実施形態では、少なくとも1つのスチルベンは、トランス-ピセイドである。特定の実施形態では、少なくとも1つのスチルベンは、シス-ピセイドである。特定の実施形態では、少なくとも1つのスチルベンは、レスベラトロールである。特定の実施形態では、少なくとも1つのスチルベンは、ε-ビニフェリンである。
【0197】
さらに別の態様では、本発明は、
AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含むヴィティス・ヴィニフェラ細胞において、ケルセチン-3-グルコシド、ミリセチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、プロシアニジンB1、及びプロシアニジンB2からなる群から選択される少なくとも1つのフラボノイドの濃度を上昇させる方法であって、
ヴィティス・ヴィニフェラ細胞を、
(a)約0.2~5mMの濃度のフェニルアラニン、
(b)約0.1~0.3mMの濃度のp-クマル酸、または
(c)上記の(a)及び(b)の組み合わせを含有する組成物と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0198】
特定の実施形態では、少なくとも1つのフラボノイドは、ケルセチン-3-グルコシドである。特定の実施形態では、少なくとも1つのフラボノイドは、ミリセチンである。特定の実施形態では、少なくとも1つのフラボノイドは、カテキンである。特定の実施形態では、少なくとも1つのフラボノイドは、エピカテキンである。特定の実施形態では、少なくとも1つのフラボノイドは、エピガロカテキンである。特定の実施形態では、少なくとも1つのフラボノイドは、プロシアニジンB1である。特定の実施形態では、少なくとも1つのフラボノイドは、プロシアニジンB2である。
【0199】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含む。特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含み、かつスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含む。特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含み、かつスチルベンシンターゼ(STS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。
【0200】
特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含む。特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含み、かつフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含む。特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を任意選択で含み、かつフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。特定の実施形態では、ヴィティス・ヴィニフェラ細胞は、AroG遺伝子の少なくとも1つの複製物を含み、かつフラボノールシンターゼ(FLS)遺伝子の少なくとも1つの複製物を含む。
【0201】
さらに別の態様では、本発明は、上記の本開示の医薬組成物を含む、食用または飲用の組成物を提供する。
【0202】
さらに別の態様では、本発明は、徐放または持続放出するように製剤化された、上記の本開示の医薬組成物を提供する。
【0203】
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、徐放するように製剤化される。
特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、持続放出するように製剤化される。
【0204】
(定義)
【0205】
本明細書で使用するとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、その指示対象の複数形も含むことを意図している。例えば、「分子」という用語には、複数の分子も含まれる。本明細書で使用するとき、「約(about)」という用語は、示された数値または数値範囲からの0.0001~5%の逸脱を包含し得る。一実施形態では、「約」という用語は、示された数値または数値範囲からの1~10%の逸脱を包含し得る。本出願の全体を通じて、本発明の様々な実施形態を範囲形式で示すことがある。範囲形式での記載は単に便宜上及び簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲形式での記載は、その範囲内に含まれる個々の数値だけでなく、その範囲内に含まれるすべての可能性のある下位範囲を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、1から6までという範囲の記載は、例えば、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6まで、・・・、という下位範囲、並びに、その範囲内に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5、及び6)を具体的に開示したものと見なされるべきである。このことは、範囲の幅に関係なく適用される。本明細書において数値範囲を指定している場合は常に、指定された数値範囲内に含まれるすべての数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1の指定数と第2の指定数と「の間の範囲」という表現、及び、第1の指定数「から」第2の指定数「までの範囲」という表現は、本明細書では互換的に使用され、第1の指定数及び第2の指定数、並びにこれらの間のすべての分数及び整数を含むことを意味する。
【0206】
本明細書で使用するとき、「治療」、「治療」、または「治療」という用語(及びその変形)は、疾患または状態に関連する望ましくない生理学的変化を予防または遅延(軽減)することを目的とする予防処置を含む治療処置を指す。有益なまたは望ましい臨床結果には、これに限定しないが、検出可能であるか検出不可能であるかに関わらず、症状の緩和、疾患または状態の範囲の縮小、疾患または状態の安定化(すなわち、疾患または状態が悪化しない場合)、疾患または状態の進行の遅延または軽減、疾患または状態の改善または緩和、及び、疾患または状態の寛解(部分的であるか全体的であるかに関わらず)が含まれる。治療を必要とする人々には、疾患または状態に既に罹患している人々だけでなく、疾患または状態に罹患しやすい人々や、疾患または状態を予防すべき人々が含まれる。
【0207】
「対象」、「個人」、及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、本発明の組成物または製剤による治療が提供されるヒトまたは非ヒト動物を指す。
【0208】
上述の実施形態は、例示のみを意図している。当業者であれば、特定の実施形態に、様々な変更、修正、及び変形を加えることができる。特許請求の範囲は、本明細書に記載された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、全体として本明細書と一致する方法で解釈されるべきである。
【0209】
(実施例)
【0210】
実施例では、以下の材料及び方法を用いる。
【0211】
植物材料及び細胞の成長
【0212】
ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞の懸濁液を、前述のように若いブドウ果実から確立した(「Kiselev et al., 2013」)。野生型(wt)細胞を、250mg/Lのカゼイン加水分解物、100mg/Lのミオイノシトール、0.2mg/Lのキネチン、0.1mg/LのNAA、2%のスクロース(w/v)を添加した固体B5培地で維持した。11、27液体細胞懸濁培養物を、同一の栄養素及びホルモンの組成で調製し、一定の光条件下(25μmolm-2s-1)で、連続的に穏やかに振盪しながら25±1°Cで維持した。週1回、5gの細胞を新鮮な培地に継代培養して、50mLの浮遊細胞ストックを維持した。
【0213】
プラスミドの生成及び安定的に形質転換された細胞株の作製
【0214】
AroGとFLSまたはSTSとの異所性発現のためのバイナリーベクター構築物を、前述のベクター及びクローニングシステム(「Wang et al., 2021」)を用いて作製した。VIT_07s0031g00100(NCBI:XM_002283156)の完全長FLS cDNA、または、VvSTS5、VvSTS10、及びVvSTS28のSTS cDNAを、pGEM(登録商標)-T Easy Vector Systems(米国ウィスコンシン州マディソン、プロメガ社(Promega))にクローニングした。
【0215】
FLS及びSTSのORFを、ダブルカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモータの制御下でpART7ベクターにクローニングし、C末端のAcV5タグと融合させた。AroG遺伝子をPCR増幅し、Gibson Assembly cloning system(「Gibson et al., 2009」)を用いて上記のFLS及びSTS遺伝子カセットと共に空のpART27ベクターを構築した。この構築物は、カナマイシン選択マーカーを含む。アグロバクテリウム・ツメファシエンスEHA105を、凍結融解法を用いてこれらの構築物で形質転換した。アグロバクテリウムを用いた形質転換は、前述のように行った(「Wang et al., 2021」)。
【0216】
免疫ブロット解析
【0217】
AroGタンパク質の検出にはモノクローナル抗HA抗体(sc-7392;1:500希釈;米国テキサス州ダラス、サンタクルズ・バイオテクノロジー社(Santa Cruz Biotechnology, Inc.))を使用し、FLS及びSTSタンパク質の検出にはマウスモノクローナル抗Acv5抗体(sc65499;1:500倍希釈;米国テキサス州ダラス、サンタクルズ・バイオテクノロジー社)を使用して、免疫ブロット解析を実施した。
【0218】
LC-MSによる代謝物抽出及びプロファイリング
【0219】
9日目にブドウ細胞を採取し、冷たいdH2Oで3回洗浄した。凍結乾燥後、ref40に記載されている方法に従って、40mgの細胞を代謝物のために抽出した。代謝物の分離及び同定は、四重極飛行時間型質量分析計(UPLC-QTOF-MS、米国マサチューセッツ州、ウォーターズ社(Waters))に接続された超高速液体クロマトグラフィを使用して行った。分析標準:シグマアルドリッチ社(Sigma-Aldrich;米国ミズーリ州セントルイス)からレスベラトロールとピセイドを入手し、エキストラシンシース社(Extrasynthese;ZI Lyon Nord, Genay Cedex, France)からε-ビニフェリンを入手した。
【0220】
Pheフィーディング
【0221】
5mMのPhe(ドイツ国ダルムシュタット、メルク社(Merck))を用いたフィーディング実験を、前述のように継代培養の4時間後に3連で行った(「Wang et al., 2021)」)。9日後、LC-MS及び遺伝子発現解析のために試料を採取した。
【0222】
リアルタイムPCR解析
【0223】
ZR Plant RNA MiniprepTM(米国カリフォルニア州アーバイン、ザイモリサーチ社(Zymo Research))と、それに続くDNアーゼ処理(米国カリフォルニア州バレンシア、キアゲン社(Qiagen))とによって、ブドウ細胞から全RNAを単離した。RevertAid逆転写酵素(米国マサチューセッツ州ウォルサム、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermo Fisher Scientific Inc))を用いて2μgのRNAから一本鎖cDNAを合成し、「Wang et al., 2021.」に記載のプロトコルに従ってRT-qPCRを行った。相対的な発現は、ユビキチン及びβ-アクチンの参照遺伝子の値を正規化することによって求めた。PAL、CHS、F3´H、F3´5H、DFRメンバーは、ブドウの木PN 4002412X V2カバレッジに基づいて同定した。
【0224】
統計解析
【0225】
LC-MSデータは、内部標準と試料重量に正規化した。対照と遺伝子組み換え試料との代謝プロファイルの比較、または、AroG株とAroG+FLS株またはAroG+STS株との代謝プロファイルの比較を、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定によって行った。異なる株に対するフィーディング前後の遺伝子発現の差を、テューキーのHSD検定に従った双方向ANOVAによって分析した。統計解析はすべて、JMP14.0(米国ノースカロライナ州ケーリー、SASインスティテュート社(SAS Institute, Inc,))を用いて行った。遺伝子発現レベルは、log2倍率変化値で表し、これを行ごとにセンタリング及びスケーリングし、「ggplot2」パッケージ(RStudioにおけるRv4.0.1)を用いてヒートマップで可視化した。
【0226】
実施例1:AroG及びAroG+STS遺伝子を過剰発現するヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞培養物の作製。
【0227】
先行研究により、ガメイレッド細胞培養物におけるAroGの過剰発現により、Phe及びその由来代謝物(レスベラトロールを含む)の濃度が上昇することが明らかになった(「Manela et al., 2015」)。このことは、Pheのアベイラビリティがレスベラトロールの産生における制限因子であることを示唆している。スチルベンの濃度をさらに上昇させるために、ガメイレッド細胞培養物を、(a)アミノ酸、特にPheのアベイラビリティを高めるための3-デオキシ-D-アラビノヘプツロソン酸7-リン酸シンターゼ(DAHPS)のフィードバック非感受性細菌型であるAroG、及び、(b)炭素フローをスチルベンの産生に誘導するためのSTS、の両方で形質転換した。
【0228】
ブドウの48個のヴィティス・ヴィニフェラ・スチルベンシンターゼ(VvSTS)遺伝子のうち、VvSTS5、VvSTS10、及びVvSTS28を選択し、クローン化した。これは、これら3つのSTS遺伝子を一時的に発現させた後のピセイドの濃度が、N.benthamianaの葉の他の選択されたSTS遺伝子よりも高いという結果に基づくものである(「Parage et al., 2012」)。35Sプロモータの制御下で発現するAroG、AroG+STS5、AroG+STS10、AroG+STS28遺伝子を含む4つの構築物を設計した(図1A)。
【0229】
これら4つの構築物は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス媒介形質転換を用いて、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞培養物で発現させた。対照は、カナマイシン耐性カセットのみを含む空ベクターで形質転換した野生型細胞株である。各構築物の独立した形質転換株は、そのカナマイシン耐性と、AroGHAタグ付きタンパク質(図1B)及びSTSAcV5タグ付きタンパク質の蓄積とに基づいて選択され、タンパク質蓄積量は株間で一定のばらつきがあった(図1C)。
【0230】
遺伝子組み換え株におけるAroGタンパク質の蓄積により、2つのポリペプチド、約35及び45kDaが明らかになった(図1B)。これは、過去の報告(Tzin、Oliva、Manela)と同様に、成熟ポリペプチド及び非切断タンパク質の予測サイズと一致した。
【0231】
遺伝子組み換え培養物は、成長速度を増加させるため及び細胞の均一な環境を維持するために、実験前に液体培地で3週間培養した。
【0232】
4つのAroG株と、各二重構築物の3つの株(AroGとSTS5、STS10、STS28)を、それらの安定した活力に基づいて代謝分析のために選択した。液体培地におけるAroG+STS株の成長速度は、培養物の生重量(新鮮重量)の増加によって求められ、対照及び単一のAroG株よりも約1.8倍遅かった(図1D)。遺伝子組み換え細胞の視覚的表現型は、対照とほぼ同じであった(図1E)。
【0233】
実施例2:AroG及びSTS遺伝子の共発現がブドウ細胞培養物の代謝プロファイルに及ぼす影響。
【0234】
対照、AroG、及び、AroG+STS遺伝子組み換え株の間で、メタボロミクス比較を行った。9日目の試料(図1D)を超高速液体クロマトグラフィタンデム質量分析(UPLC-MS)分析に供し、遺伝子組み換え株に、差異的に蓄積する代謝物を検出した。
【0235】
注釈付き代謝物データに対して主成分分析(PCA)を行った(図2A)。代謝物プロファイルの差異により、PCAプロット上で対照株と遺伝子組み換え株とが明確に分離された(図2B)。AroGとAroG+STSとの代謝物データの差はわずかであった。PCAの特徴は、シキミ酸由来の代謝物及びスチルベンが、対照株と遺伝子組み換え株との差異に大きく寄与していることを示唆している(表1)。
【0236】
表1:代謝物の固有ベクトル値(降順)をPCAアルゴリズム成分ごとに計算した。
【0237】
【表1】
【0238】
AroG及びSTS導入遺伝子の発現がブドウの代謝に及ぼす影響の全体像を把握するために、(i)対照株と遺伝子組み換え株との比較、及び、(ii)AroG単独株と二重遺伝子組み換え株との比較、の2つの代謝物比較分析をデータに対して行った(すべての株は、グループ/プールとしての同一の構築物に由来する(図3及び図4))。
【0239】
すべての遺伝子組み換え株は、シキミ酸経路に由来する3つの芳香族アミノ酸のうちの2つであるPhe及びトリプトファン(Trp)、並びに、スチルベン経路及びフラボノイド経路の両方の共通前駆体であるPhe由来のp-CA(p-クマル酸)の濃度が有意に高かった(図3、上部パネル)。これらの結果は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、トマト、ペチュニア、及びブドウの細胞培養物において、AroGの過剰発現によりアミノ酸及びフェノール酸の産生が増加したという従来の知見と一致する(「Manela et al., 2015; Oliva et al., 2015; Tzin et al., 2012; Tzin et al., 2015」)。
【0240】
二重遺伝子組み換え株(AroG+STS)では、PheレベルはAroG単独と比較してSTS10遺伝子で有意に高く、Trp及びp-CAレベルはAroGと比較してAroG+STS10及びAroG+STS28で有意に増加した(図3)。
【0241】
形質転換株は、注釈付きの定量化された4つのスチルベン、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、レスベラトロール、ε-ビニフェリンに大きな影響を与えた。AroG株では、レスベラトロール及びε-ビニフェリンは、対照と比較して、遺伝子組み換え株で有意に増加した(図3図5)。二重形質転換株(AroG+STS)では、AroG単独と比較して、スチルベンのレベル(濃度)がさらに増加した:AroG+STS5と28ではトランス-ピセイド及びシス-ピセイドのレベルが増加し、AroG+STS5と10ではε-ビニフェリンのレベルが増加した(図3図5)。興味深いことに、レスベラトロールのレベルは、AroG図3図5)に加え、3つのSTS遺伝子のいずれかの過剰発現によっても有意に増加しなかった。
【0242】
ブドウ細胞培養物で確認された4種類のスチルベンのうち、試験したすべての遺伝子組み換え株で有意に増加したのはε-ビニフェリンのみであった(表2)。ε-ビニフェリンの濃度が最も高かった株は、AroG+STS10-182であり、対照と比較して74倍増加し、0.74mg/g乾燥重量の濃度に達した(表2)。この株では、レスベラトロール値は、対照の9倍高かった。二重形質転換細胞株は、アミノ酸の産生を増加させ、炭素フラックスをスチルベン生合成経路に誘導し、より高濃度の追加のスチルベン、特にε-ビニフェリンを蓄積した。
【0243】
表2:AroG及びAroG+STSのそれぞれの細胞株におけるスチルベン含量(mg/g乾燥重量)。数値は平均値±標準誤差(n=8)で表した。対照は、n=24、3つの株を含む。太字の数字は、対照株と比較して遺伝子組み換え株が有意に増加していることを示す(P<0.05、ダネットの検定)。
【0244】
【表2】
【0245】
対照的に、スチルベンと同じ前駆体、すなわちPhe及びp-CAを有するフラボノイド及びアントシアニンのレベルは、AroGまたはAroG+STSの過剰発現による影響は軽微であり、ほとんどの場合、それらのレベルは対照と比較して低下した(図4図5)。AroG+STS28株は、例外的にいくつかのアントシアニン及びフラボノイドのレベルが上昇し、AroG+STS5株は、2つのフラボノイドである、ケルセチン3-グルコシド及びプロシアニジンB2のレベルが上昇した(図4図5)。
【0246】
実施例3:AroG+STS形質転換株のPhe及びp-CAフィーディングがその代謝プロファイルに及ぼす影響。
【0247】
遺伝子組み換えAroG及びAroG+STS株のメタボロミクス分析により、基質のアベイラビリティがスチルベン産生におけるボトルネックであることが明確に示された。スチルベン産生のための前駆体がさらに増加することで、スチルベンのレベルがさらに高くなるかどうかを調べるために、遺伝子組換えブドウ細胞株にPheまたはp-CAを供給した。AroG+STS28遺伝子組み換え株はスチルベンの濃度(レベル)への影響において最も一貫しており、3つの株において、スチルベンであるビニフェリン、レスベラトロール、及びt-ピセイドの濃度が有意に高かった(表2)。そこで、最も強いAroG+STS16株を選択し、その代謝物の前駆体を供給することによってスチルベンの蓄積をさらに増加させる可能性を試験した。
【0248】
供給実験で選択したPheとp-CAの濃度は、細胞の生存に影響を与えないが、細胞の成長(増殖)が遅くなる濃度であった。増殖速度を比較するために、増殖培地1mlあたりの細胞の生重量(FW)を増殖7日目に測定した。7日目のPhe処理細胞の重量は、0.2mM及び0.5mMの濃度では対照と同様であったが、1mM、2mM、及び5mMの濃度では、対照と比べて有意に低かった(図6A)。p-CAは水溶性ではないため、処理の効果を、0.2%エタノールで増殖させた細胞と比較したところ、0.3mMのp-CAで増殖させた細胞では増殖が遅かった(図6B)。0.5~5mMのPheで処理した場合と、0.1~0.3mMのp-CAで処理した場合とでは生存率はほぼ同じであったが、液体培地でのより大きな塊を形成し、その増殖パターンに違いが見られた(図6C)。
【0249】
2mM及び5mM濃度のPheを供給すると、二重形質転換株AroG+STS28-16のレスベラトロール及びε-ビニフェリン含量が有意に増加した(図7A)。両スチルベンの最も有意な増加は、5mMのPheで処理した場合の、細胞培養が最も多くのポリフェノールを蓄積することが知られている9日目であった(「Manela et al., 2015」)。レスベラトロール濃度は6倍に増加し、濃度は1.26mg/g乾燥重量となり、ε-ビニフェリン濃度は30倍に増加し、10.8mg/g乾燥重量に達した(図7A)。AroG+STS28-16株にp-CAを供給すると、スチルベン、特にε-ビニフェリンのレベルが有意に上昇し、ε-ビニフェリンのレベルの最も有意な上昇は、0.3mMのp-CAで処理した7日目に見られた(図7B)。
【0250】
AroG+STS28-16株にPhe及びp-CAを供給した場合にも、いくつかのフラボノイドの有意な増加を引き起こした(図8及び図9)。5mMのPheを与えた細胞では、ほとんどのアントシアニン及びその誘導体のレベルは、対照と比較して有意に増加した(図8)。AroG+STS28-16株に0.3mMのp-CAを与えた場合、エピガロカテキン及びペチュニジン-3-O-グルコースの2種類のフラボノイドのレベルが上昇した(図9)。
【0251】
要約すると、スチルベンの生成に対する最も強い影響は、AroG+STS28-16株において、Pheによる形質転換及び供給により、レスベラトロール及びビニフェリンの濃度が約24倍及び約600倍に増加したことであった。この遺伝子組み換え株に基づく前駆体供給ストラテジーは、STS及びカルコンシンターゼまたはナリンゲニン-カルコンシンターゼ(CHS)の遺伝子発現の変化を引き起こさなかった(図10及び図11)。
【0252】
実施例4:GCEによる、ニワトリの白血球(WBC)におけるLPS誘発性サイトカインストームの抑制。
【0253】
論理:WBCはサイトカインストームのバーストにおいて主要な役割を果たしているため、本研究のこの部分では、インビボでのより焦点を絞った実験(実施例5)のための基本的なデータを提供する。
【0254】
実験計画:9日目にブドウ細胞を採取し、冷たいdH2Oで2回洗浄した後、凍結乾燥して-80°Cで凍結した(GCP)。GCPからポリフェノールを以下のように抽出した:試料は、金属ビーズを備えた凍結ミキサーミルで均質化した。次に、予め冷却した70%メタノールをチューブに加えた。試料をオービタルシェイカーで室温にて20分間インキュベートした後、全速力で10分間遠心分離し、上清を新しいチューブ(70%メタノール中のGCE)に移した。上清をSpeed Vac Concentratorで室温にて真空乾燥させた後、50%DMSOに溶解させた。最終的な溶液は、さらなる分析及び使用のために-80°Cで保存した(50%DMSO中のGCE)。
【0255】
オスのレイヤータイプのニワトリを購入して育てた。生後14日目に採血してWBCを精製し、図12に示すようにGCE及びLPSで処理した。GCE用量の範囲は広くし(0.1mg/ml~1mg/mlの粉末に相当)、挿管前の期間は様々にし(0時間~16時間)、より完全な種類のサイトカインプローブを用いた。GCEによるサイトカインストーム改善を最適化するために、いくつかの実験は2連で実施した。さらに、最適化されたプロトコルが、GCEの新規な製剤の効率を、インビボ実験(ラット)で採用されている従来の製剤と比較するために用いられ、これは、インビボ実験における有効用量の範囲を推定するのに役立つ。
【0256】
結果:予備実験結果に基づき、これらの実験により、白血球に対するGCE効果の詳細な特性評価が可能となり、インビボ研究のための基盤が確立された。
【0257】
実施例5:GCPフィーディングによる、ニワトリにおけるLPS誘発性サイトカインストームの抑制。
【0258】
論理:LPSチャレンジは、哺乳類とニワトリの両方におけるサイトカインストームのよく特付けられたモデルであり、そのため、インビボでのGCEによるサイトカインストーム抑制のための優れたアッセイシステムを提供する。この一連の実験により、実施例6の実験において、未知の変異体が少ない、より焦点を絞った実験が可能になる。
【0259】
実験計画:週齢の20羽のブロイラータイプのニワトリ(ブラウンアンドサンズ社(Brown and sons, LTD)から購入)を、10羽の2群に無作為に分けた。処置群のニワトリには、ブドウ細胞粉末(GCP;約170mg/kg体重/日)を7日間与えた。対照群には、通常の栄養剤を与えた。7日目、殺処分2時間前に、すべてのニワトリの翼静脈にリポ多糖類(LPS;1mg/kg体重)を注射した。頚椎脱臼による殺処分の直後に脾臓を摘出し、RNA-Laterに保存した。全RNAミニキット(ジーンエイド社(Geneaid))を用いてRNAを抽出し、標準的な手順に従ってqPCRによってmRNA発現量を分析した。
【0260】
結果:ニワトリにGCPを与えると、サイトカインストームサージの誘起が改善された。図13は、ブドウ細胞粉末を7日間与え、LPSで2時間刺激したニワトリの脾臓における炎症性サイトカイン(INF-G、TNF、IL-6)のmRNA発現レベルの抑制と抗炎症性サイトカインmRNA(IL-10)の誘導を、LPSを与えたニワトリの脾臓と比較して示す。
【0261】
要約すると、ブドウ細胞粉末(GCP)を与えると炎症性サイトカインが減少し、抗炎症性サイトカインが誘導された。これらの結果は、CRSまたはサイトカインストームの予防のためのGCPの使用を支持する。
【0262】
実施例6:GCPフィーディングによる、IBV誘発性サイトカインストーム及び症状の抑制。
【0263】
実験計画:雄のニワトリを購入し維持する。生後14日目に、通常のワクチン接種に比べて4倍及び8倍の用量の弱毒化IBVワクチン(H-120、バイオバック社、イスラエル国オア・アキバ)をニワトリの両側の気嚢に直接接種して感染させた。IBV感染の臨床徴候(咳、ラトリング(rattling)、体温)を、回復または死亡するまで毎日記録した。ウイルス量は、RT-qPCRによって、毒性IBVチャレンジ後の5日目と10日目の気管スワブ検体で測定した。最適な感染条件を選択した後、IBV感染のGCP処置を採用した実験を、実施例5に記載した同様の実験計画で、かつ、最適なGCP用量と治療スケジュールのみを用いて実施した。サイトカインストーム改善の特性評価に加えて、病気の症状を長期的に追跡するために、1群あたりの鳥の数を3倍にした。組織採取は、肺と気管を追加したこと以外は、実施例5と同様である。すべての組織試料を3つに分けてqPCRによるRNA分析を行い、サイトカインストーム抑制が最も優れた実験にのみタンパク質量分析とRNA-seqを行った。
【0264】
結果:高用量ワクチン接種により、ヒトコロナウイルスのヒトSARS-CoVファミリーと類似性の高い疾患症状が誘発され、GCPを与えると、サイトカインストームと疾患症状の重症度との両方が軽減された。
【0265】
実施例7:Alzet(登録商標)浸透圧ポンプを使用して適用されるGCEによる、IBV誘発性サイトカインストーム(CS)と疾患症状の抑制。
【0266】
論理:本発明の強みの1つは、ブドウ細胞株を過剰発現させたスチルベン、主に、強い抗炎症活性で知られるε-ビニフェリンである。ユニークなスチルベン混合物の最大のバイオアベイラビリティとその相乗効果を確実にするために、Alzet(登録商標)浸透圧ポンプを使用した徐放システムでの供給による適用の効果を試験した。
【0267】
実験計画:GCEを充填した浸透圧ポンプ(Alzet(登録商標);2.5μl/時の流量が可能な2ML4ポンプ)を第7頚椎の接合部の皮下に移植した。移植及びIBV感染のタイミングは、実施例5及び実施例6の最適化実験に基づいて決定した。
【0268】
結果:GCEによるCS改善効果は高かった。
【0269】
実施例8:AroG及びFLS遺伝子を共発現する遺伝子組み換え型ヴィティス・ヴィニフェラ種ガメイレッド細胞の作製。
【0270】
炭素フラックスをフラボノイド産生に誘導する試みとして、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッドブドウ細胞を、35Sプロモータ(図14A図14B)下で、AroGとフラボノールシンターゼ(FLS)との両方を含む構築物で形質転換した。ブドウで同定された6つのFLS遺伝子のうち(「Anesi et al., 2015; Fugita et al., 2006」)、形質転換に選択されたのは、ヴィティス・ヴィニフェラ種ガメイレッド細胞培養物で発現する唯一のFLS遺伝子であるVIT_07s0031g00100(NCBI:XM_002283156)であった。このFLS遺伝子は、ブドウ細胞培養物の形質転換のために、AroGとFLSとの両方を含む構築物を作製するためにクローニングした(図14B)。
【0271】
独立して形質転換された細胞株のAroG及びFLSタンパク質の蓄積を分析した(図14C図14D)。両タンパク質を発現する10種の遺伝子組み換え株のうちの4種を、その活性活力に基づいて選択し、幅広いメタボロミクス分析を行った(図14C図14E)。
【0272】
実施例9:AroG及びFLS遺伝子の共発現がブドウ細胞培養物の代謝プロファイルに及ぼす影響。
【0273】
AroG株と同様に、形質転換したAroG+FLS株は、対照と比較して、より高いレベルでPhe及びp-クマル酸(p-CA)を蓄積した(図15)。両代謝物は、スチルベン及びフラボノイドの一般的な前駆体である。さらに、いくつかのAroG+FLS株は、AroG株と比べて、Phe及びp-CAのレベルがさらに高く、加えて、さらに高いレベルでトリプトファン(Trp)を蓄積した(図15)。
【0274】
興味深いことに、AroG+FLSの共発現により、AroG単独での形質転換によって引き起こされるのと同様に、ブドウ細胞培養物中のスチルベンのレベルを増加させた(図16)。FLS遺伝子はフラボノイド生合成経路の一部であるにもかかわらず、これは事実であった。ほとんどの場合、細胞培養で確認された4種類の異なるスチルベンである、レスベラトロール、トランス-ピセイド、シス-ピセイド、及びε-ビニフェリンのレベルは、単一のAroG形質転換株と同様であり、かつ対照よりも高かった。レスベラトロールのレベルは約6倍(0.3mg/gDW)に増加し、ビニフェリンの濃度は約30倍(0.3mg/gDW)に増加したが、他のスチルベンはそれよりも低いレベルにとどまった(図16)。明らかに、AroG+FLSの共発現は、スチルベンへの代謝フラックスを減少させなかった。
【0275】
また、AroG+FLSの形質転換は、ブドウ細胞培養物中のフラボノイドのレベルの増加をもたらした。FLS酵素の2つの直接生成物であるフラボノールのミリセチン及びケルセチン3-O-グルコースのレベルが有意に増加した(図17A)。4つのAroG+FLS株のうちの2つは、対照及び単一のAroG株と比較して、有意に高いレベル(最大3.5倍)のフラボノールを蓄積した。フラバン-3-オール及びアントシアニンを含む別のフラボノイドは、共発現に起因して、AroGと対照株の両方よりも高いレベルに増加した(図17)。
【0276】
フラボノイドのレベルは、AroG株で高かったマルビジンを除いて、AroG株で対照群と比較して低いか同じであった。AroG+FLS株は、AroGと比較して、また場合によっては対照と比較して、5つの識別されたフラバン-3-オール、及び15のアントシアニングルコシドを含むフラボノイドのレベルが有意に高かった(図17B図17C)。4つのAroG+FLS株のうち、株2は、例外的に、いくつかのフラバン-3-オール及びアントシアニンのレベルが非常に低かった。興味深いことに、この株は、Phe、p-CA、及びビニフェリンのレベルが非常に高かった(図15図16)。
【0277】
これらのメタボロミクス分析の結果は、AroG+FLS株によるヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッドブドウ細胞培養物の形質転換によって、AroG株と比較して、フェニルプロパノイド産生に誘導した総炭素フラックスが増加することを示す。具体的には、AroG+FLS株のフラボノイドレベルの増加に加えて、スチルベンは両方の場合で同様のレベルまで蓄積した。
【0278】
実施例10:AroG+FLS形質転換株におけるスチルベン及びフラボノイドのレベルに対するPheフィーディングの影響。
【0279】
Pheのアベイラビリティは、ガメイレッド細胞培養物のスチルベン産生における律速因子である。AroG+FLS株は、スチルベン及びフラボノイドの両方を高レベルで蓄積した。両フェニルプロパノイドサブグループの産生がさらに増加するかどうかを試験するために、細胞培養にPheを与えた。
【0280】
Pheフィーディング実験のために選択されたAroG+FLS株は、スチルベン及びフラボノイドの両方のレベルが最も高い株(株22)であった。対照、AroG、及びAroG+FLS-22株にPhe(5mM)を与えたところ、3つの株すべてで、特にAroG+FLS-22株で、スチルベン及びフラボノイドの両方が増加した(表3)。
【0281】
表3:対照、AroG、及びAroG+FLSにおける、Pheフィーディングのフェニルプロパノイド、フラボノイド、スチルベンのレベルに対する影響。
【0282】
【表3】
【0283】
値(平均値±SE、n=3)は、非フィーディング対照と比較した場合の倍率変化である。網掛けをした代謝物は、一方向ANOVAとそれに続くダネットの検定を用いる、これらの値が有意に増加したことを示す(P<0.05)。太字の代謝物は、AroG+STS株が、AroG株と比較して、レベルがより高いことを示す(スチューデントのt検定によって分析、P<0.05)。略称:acet、アセチル;glu、グルコシド;coum、クマロイル。
【0284】
3つの株のすべてで、外因性フィーディングに起因して、細胞内のPheレベルが増加した。AroG+FLS-22株では、Trp及びp-CAの両方が、対照とAroG株の両方と比較して有意に高いレベルまで増加した(表3)。スチルベン、特にレスベラトロール及びビニフェリンは、Pheフィーディングによってすべての株でレベルが有意に増加し、AroG株、及びAroG+FLS-22株でも同様にレベルが劇的に増加した(表3、図18A)。
【0285】
Pheフィーディングにより、AroG+FLS-22株におけるFLS酵素の2つの生成物である、フラボノールのミリセチン及びケルセチン3-グルコシドの有意な増加を引き起こし、AroG+FLS-22株におけるフラバン-3-オールの若干の増加も引き起こした(表3)。加えて、3つ株のすべてで、アントシアニン、主にデルフィニジン系アントシアニン(表3、図18A)のレベルが上昇した。アントシアニンの倍率変化の増加は、AroG+FLS-22株で有意に高かった。
【0286】
AroG株は、スチルベンのレベルが有意に高く、それは、Pheフィーディングに起因してさらに強化された。AroG株で唯一レベルが高かったアントシアニンであるマルビジン系アントシアニンは、Pheフィーディングにより若干増加した(図18A)。AroG+FLS-22株では、スチルベンのレベルは、対照と比較して増加した。また、AroG+FLS-22株では、AroG株と同様に、アントシアニンのレベルは、両株と比較して有意に増加した。AroG+FLS-22株のPheフィーディングはこの効果を高め、スチルベン及びフラボノイドの両方のレベルをさらに増加させた(図18A)。
【0287】
実施例11:AroG+FLS形質転換及びPheフィーディングに起因するメタボロミクス変化が、遺伝子発現レベルの変化に依存するかどうかを検討した。
【0288】
AroG、AroG+FLS-22、及びPheのフィーディングに起因する形質転換がブドウ細胞培養物における遺伝子発現レベルに及ぼす影響を定量的リアルタイムPCR解析によって調べた。スチルベン及びフラボノイドの生合成経路に沿った遺伝子の発現レベル、並びに、転写因子が、これらの経路に影響を与えることが知られている。ブドウの48個のVvSTS遺伝子のうちから、遺伝子発現解析のために3つの遺伝子(VvSTS5、VvSTS10及びVvSTS28)を選択した。これは、これらの3つの遺伝子をベンサミアナタバコの葉で一時的に発現させると、いくつかのスチルベンが最も増加するという事実に基づいている(「Parage et al., 2012」)。さらに、これら3つのSTS遺伝子は、3つの主要なVvSTS亜系統発生ファミリーを表している(「Vannozzi et al., 2012」)。ブドウの6つのVvFLS遺伝子のうち、ブドウ細胞培養物で発現したのは1つだけであり、それは、遺伝子組み換えAroG+FLS株で過剰発現したFLS遺伝子と同一であった。スチルベン生合成を調節するMYB14及びMYB15(「Holl et al., 2013」)、及び、ヴィティス・ヴィニフェラにおいてフラボノイド生合成を調節するMYBPA及びMYBA(「Czemmel et al., 2012」)の4つのR2R3-MYB転写因子の発現レベルを分析した。
【0289】
AroGの過剰発現が遺伝子発現レベルに及ぼす影響は比較的小さく、STS10やMYB14などのいくつかの遺伝子の発現が低下した(図18B)。AroG導入に起因して劇的に(15~20倍)誘導された遺伝子はF3´5´Hであり、フラボノイド生合成をデルフィニジン関連のアントシアニンに誘導した。この誘導は、この遺伝子組み換え株におけるマルビジンアントシアニンのレベル上昇と相関している(図18A)。3つのSTS遺伝子の発現レベルは、AroG株で低かった。
【0290】
遺伝子発現パターンは、FLSの追加過剰発現で異なっていた。AroG及びFLSを共発現させると、PAL、C4H、及び4CLなどのフェニルプロパノイド経路に沿った遺伝子や、アントシアニン生合成経路に沿った多くの遺伝子が、有意に誘導された(図18B)。これは、この株におけるフラボノイド及びアントシアニンの増加と相関している。LARの誘導は、このAroG+FLS-22株におけるいくつかのフラバン-3-オールのレベルの上昇と直接的に相関している(図18B)。ここでも、MYB15のわずかな増加を除けば、スチルベンのレベルの劇的な増加にもかかわらず、STS遺伝子の有意な誘導は見られなかった。
【0291】
外因性Pheのフィーディングは、このフィーディングによるデルフィニジン関連アントシアニンの増加に関連して、F3´5´H遺伝子の誘導を含む、対照株の遺伝子発現レベルにわずかな影響を与えた(図18B)。Pheフィーディングの最も顕著な効果はAroG株で認められ、その結果、フラボノイド経路及びアントシアニン経路に沿ったいくつかの遺伝子と同様に、非フィーディングAroG+FLS細胞と同レベルまでPAL、C4H、及び4CLが誘導された。
【0292】
これらの結果は、Phe産生を増加させるためのAroGと、炭素フラックスをフラボノイド生合成に転換させるためのFLSとの両方で細胞を形質転換することによって、ブドウ細胞培養物におけるスチルベン及びフラボノイドの両方が有意に増加したことを示す。この共発現と外因性Pheの添加とにより、両グループの健康促進化合物に富むブドウ細胞が得られた(図18A)。AroG+外部Pheフィーディングの過剰発現によって、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞培養物でのPheのアベイラビリティが高い場合、スチルベンのレベルは劇的に増加したが、フラボノイドの増加はわずかであった(図18A)。しかしながら、AroG+FLSの共発現は、AroGのみで形質転換した細胞株と同様のスチルベンのレベルをもたらし、かつ、フラボノイドの蓄積をさらに増加させた。このことは、AroG株と比較して、AroG+FLS株では、スチルベン及びフラボノイドの生合成の両方に対する総炭素フラックスが増加したことを示す(図18、表3)。
【0293】
結論として、Pheのアベイラビリティを高め、FLSを過剰発現させると、フェニルプロパノイド産生に誘導した総炭素フラックスが増加し、その結果、ヴィティス・ヴィニフェラ種のガメイレッド細胞懸濁液におけるスチルベン及びフラボノイドの健康促進代謝群の両方のレベルが上昇した。
【0294】
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図1A
図1B
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【国際調査報告】