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特表2023-524686TRKB活性化剤としてのN-アセチルセロトニン誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】TRKB活性化剤としてのN-アセチルセロトニン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/14 20060101AFI20230606BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C07D209/14
C07D403/12 CSP
A61K31/4045
A61K31/4439
A61K31/454
A61P37/02
A61P27/02
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566080
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2021029908
(87)【国際公開番号】W WO2021222577
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/017,383
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アイヴォーネ,ポール マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,フランク エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,クリストファー リー
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC11
4C063CC12
4C063DD06
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC21
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA68
4C086ZB07
(57)【要約】
本開示は、外傷性脳損傷、視力喪失、神経細胞虚血、及び網膜変性疾患の治療又は予防に使用される、神経保護特性を有するN-アセチルセロトニン誘導体に関する。特定の実施形態において、本開示は、N-アセチルセロトニン誘導体及び薬剤として許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

(式中、Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;
は、水素、メチル、又はアルキルであり;
は、水素、メチル、又はアルキルであり;及び
は、2-オキソピペリジニル、ピリジニル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、ここでRは、ハロゲン、メチル、又はアルキルで任意に置換される)
を有する化合物、又はその塩。
【請求項2】
前記化合物が式Iの化合物であり、式中、Rがアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式:
【化2】

(式中、Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;
は、水素、メチル、又はアルキルであり;
は、水素、メチル、又はアルキルであり;
は、水素又はフルオロ(F)であり;
は、CH、CF、又はNであり;
は、CH、CF、又はNであり;及び
は、CH、CF、又はNである)
を有する化合物、又はその塩。
【請求項5】
がCFである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
がNである、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
がCHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
2-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミドである、請求項3に記載の化合物、又はその塩。
【請求項9】
5-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミドである、請求項3に記載の化合物、又はその塩。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物と、薬剤として許容される担体と、を含む医薬組成物。
【請求項11】
頭部又は眼球に物理的衝撃を受けた対象に、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与することを含む、視力喪失を治療又は予防する方法。
【請求項12】
その必要がある対象に、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与することを含む、眼球虚血性損傷を治療又は予防する方法。
【請求項13】
眼球虚血性損傷が、網膜、網膜血管、又は視神経への損傷である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
その必要がある対象に、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を有効量で投与することを含む、TrkB治療可能な疾患又は症状を治療又は予防する方法。
【請求項15】
前記対象が、TrkB治療可能な疾患又は症状を有するリスクがあるか、有すると疑われるか、又は診断されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記TrkB治療可能な疾患又は症状が、視神経症、神経疾患、自己免疫疾患、自己免疫脳脊髄炎、多発性硬化症、免疫拒絶反応、炎症性腸疾患、ハンチントン病、アルツハイマー病、又はパーキンソン病である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月29日出願の米国特許仮出願第63/017,383号の利益を主張する。この出願の全体が、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、国防総省によって与えられたW81XWH-12-1-0436の下にて政府支援で行われた。政府は本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
爆破装置からの外傷性爆風損傷は、頭蓋顎顔面損傷の一般的な原因である。外傷性爆風損傷はしばしば、眼球損傷、及び視神経又は中心視野の障害のために、視力喪失(vision loss)を引き起こす。外傷性爆風誘発眼球損傷の場合には、網膜が、爆発からの圧力波によって直接損傷を受け得る。さらに、外傷性視神経症は、衝撃力又は穿通損傷が原因のせん断などのいくつかの因子によって引き起こされ得る。かかる損傷は通常、現在の治療法で予防不可能である。鈍傷から視力喪失が起こる視神経症のその他の原因としては、自動車事故、スポーツ負傷、及び素手でのなぐり合いが挙げられる。網膜及び中心視野における外傷誘発神経細胞変性を遅らせる、又は予防する治療法が必要とされている。
【0004】
トロポミオシン関連キナーゼB(TrkB)、チロシンキナーゼ受容体は、脳由来神経栄養因子(BDNF)のコグネイト(cognate)受容体である。高眼圧後に、BDNFはアップレギュレートされない。BDNFは、細胞生存シグナル伝達経路のTrkBリン酸化及び活性化を促進する。Iuvoneらによって、N-[2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド(HIOC)が選択的にTrkBを活性化し、TrkB依存的様式でカイニン酸誘発神経細胞死を低減することが報告されている。Adv Exp Med Biol.2014,801:765-771。
【0005】
本明細書に記載の参考文献は、先行技術の承認ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示は、外傷性脳損傷、神経細胞虚血、及び網膜変性疾患の治療又は予防に使用される、神経保護特性を有するN-アセチルセロトニン誘導体に関する。特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体が以下の式:
【化1】

又はその塩を有し、式中、Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、2-オキソピペリジニル、ピリジニル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、Rは、ハロゲン、メチル、又はアルキルで任意に置換される。特定の実施形態において、ハロゲンはフルオロである。
【0007】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるN-アセチルセロトニン誘導体の治療有効量と、薬剤として許容される担体と、を含む医薬組成物に関する。他の実施形態において、かかる医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、吸入剤、経鼻スプレー溶液、坐剤、液剤、乳剤、軟膏剤、点眼液又は点耳剤として製剤化される。
【0008】
特定の実施形態において、本開示は、頭又は眼球に物理的衝撃を受けた対象に、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を有効量で投与することを含む、視力喪失を治療する、又は予防する方法に関する。特定の実施形態において、本開示は、その必要がある対象に、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を有効量で投与することを含む、眼球虚血性損傷を治療又は予防する方法に関する。特定の実施形態において、眼球虚血性損傷は、網膜、網膜血管、又は視神経に対する損傷である。
【0009】
特定の実施形態において、本開示は、その必要がある対象に、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を有効量で投与することを含む、TrkB治療可能な疾患又は症状を治療又は予防する方法に関する。特定の実施形態において、その対象は、TrkB治療可能な疾患又は症状を有するリスクがある、有すると疑われる、又は診断されている。特定の実施形態において、TrkB治療可能な疾患又は症状は、視神経症、神経疾患、自己免疫疾患、自己免疫脳脊髄炎、多発性硬化症、免疫拒絶反応、炎症性腸疾患、ハンチントン病、アルツハイマー病、又はパーキンソン病である。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0010】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体及びそれを含む医薬組成物が、眼球に局所的若しくは局在的に(つまり、結膜下、硝子体内、眼球後、眼房内、硝子体内注入/インプラント及び眼周囲注入)、及び/又は全身的に投与されることを企図する。特定の実施形態において、本開示は、結膜嚢におけるクリーム剤、軟膏、又は液滴製剤としての投与を企図する。特定の実施形態において、本開示は、単独での、又は局所的送達と併せての、全身送達又は経口送達を企図する。
【0011】
特定の実施形態において、本開示は、患者においてTrkB治療可能な疾患又は症状を治療するための薬物であって、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を治療有効量で含む薬物に関する。特定の実施形態において、本開示は、TrkB治療可能な疾患又は症状を治療するための薬物の製造における、本開示のN-アセチルセロトニン誘導体の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
図1】視覚機能のTBI誘発喪失に対するHIOCの作用についてのデータを示す。頭の右側に向けた単一の70psi爆風にマウスを曝露した。爆風に曝露した15分後に、HIOC又は賦形剤を投与し、次の6日間毎日投与した。偽のコントロール群が比較のために含まれた。爆風から1週間後に視覚機能を試験した。
図2】本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体、例えばHIOCのO-、N-、及びC-アルキル誘導体を例示する。
図3】本開示の実施形態を例示する。
図4】本開示の実施形態を例示する。
図5】本開示の実施形態のデータを示す。異なる濃度の2-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミド(類似体147)をNIH-3T3-TrkB細胞において試験した。70~80%コンフルエンシーでの細胞が、一晩血清欠乏され、次いで異なる濃度の類似体147で30分間刺激された。タンパク質抽出物を回収し、ウェスタンブロット分析にかけた。類似体147及び類似体127のどちらも、1μMよりも低いナノモル濃度で高い活性を有する。類似体147は、10nMで最良のTrkB活性化(左)を示したのに対して、類似体127は濃度100nMにてより優れた応答を有する(右)。ライン1~14の試料を初代ラット皮質ニューロン培養において試験した。**ヒトTrkBを発現する培養NIH3T3細胞において、ライン17~27における試料を試験した。「+」=リン酸化の増加;「-」=リン酸化の減少;「nc」=変化なし。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本開示がより詳細に説明される前に、本開示は、記載の特定の実施形態に制限されず、したがって、当然のことながら変化し得ることは理解されたい。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることから、制限的であることを意図するものではないことも理解されたい。
【0014】
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様な、又は等しいいずれかの方法及び材料も、本開示の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料がここに記載される。
【0015】
本明細書に記載のすべての公開物及び特許は、あたかも個々の公開物又は特許がそれぞれ、参照により組み込まれるように具体的及び個々に示され、及び参照により本明細書に組み込まれるがごとく、記載される公開物と関連して方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。いずれかの公開物の記載は、出願日の前のその開示のためであり、本開示が、先の開示によってかかる公開物に先行する権利が与えられないという承認として解釈すべきではない。さらに、提供される公開物の日付は、独立して確認される必要があり得る実際の公開日と異なり得る。
【0016】
本開示を読めば、当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例証される個々の実施形態は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離される、或いはそれらと合わせられる、別々の構成要素及び特徴を有する。記載のあらゆる方法は、記載の事象の順序で、又は論理的に可能な他のいずれかの順序で行うことができる。
【0017】
本開示の実施形態は、別段の指定がない限り、当技術分野内にある、医薬、有機化学、生物化学、分子生物学、薬理学等の技術が用いられる。かかる技術は、文献に十分に説明されている。
【0018】
種々の実施形態を説明する前に、別段の指定がない限り、以下の定義が提供され、使用されるべきである。さらに、本明細書に示される表題は単に便宜上示されており、請求項の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0019】
本開示の化合物は、1種若しくは複数種の塩、互変異性体、溶媒和化合物を形成し得て、又は1つ若しくは複数のキラル中心を含有し得て、異なる光学活性形態で存在し得る。化合物が1つのキラル中心を含有する場合、化合物は鏡像異性体を含む。本開示は、塩、立体異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又は溶媒和化合物の混合物を含む。鏡像異性体は、結晶化、キラルクロマトグラフィー等の当技術分野で公知の方法によって分割することができる。化合物が複数のキラル中心を含有する場合に、ジアステレオマーが存在し得る。本開示は、分割されている特定の光学的に純粋な異性体、並びにジアステレオマーの混合物を含む。ジアステレオマーが、結晶化及び分取クロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の方法によって分割することができる。
【0020】
文脈で特に指定がない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」及びその変形形態、例えば「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(including)」、「含有する(containing)」、又は「特徴付けられる」という言葉は、オープンな、包含的意味で、つまり「限定されないが、~を含む」と解釈すべきであり、追加の、未記載の要素又は方法工程を排除しない。対照的に、「からなる(consisting of)」という移行句は、請求項に指定されていない要素、工程、又は成分を除外する。「~から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、指定の材料又は工程、並びに「請求項に記載の本発明の基本的及び新規な特徴に実質的に影響しない材料又は工程」に特許請求の範囲を限定する。移行句として含む(comprising)という用語が使用される実施形態又は特許請求の範囲において、かかる実施形態は、「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語と、「含む(comprising)」との置換も想像することができる。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される、単数形の「1つ」、「1種類」及び「その」は、明確に特に指定がない限り、複数の指示物を包含することを留意しなければならない。以下の本明細書及び特許請求の範囲において、反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を有するように定義される数多くの用語が言及される。
【0022】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」、又は「投与」という用語は、化合物(対象となる作用剤とも呼ばれる)又は化合物の薬剤として許容される塩(対象となる作用剤)又は組成物を対象に直接投与することを意味する。
【0023】
本明細書で使用される「担体」という用語は、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、組織層にわたる薬剤若しくは他の作用剤の運搬若しくは輸送に関与する、材料、組成物又は賦形剤、例えば液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒を意味する。
【0024】
本明細書で使用される、「予防する」及び「予防すること」という用語は、再発、転移又は発症の予防を含む。本開示は、完全な予防に限定されることを意図しない。一部の実施形態において、疾患の発症を遅らせるか、又は疾患の重症度が低減される。
【0025】
本明細書で使用される、「治療する」及び「治療すること」という用語は、対象(例えば、患者)が治癒し、疾患が根絶される場合に限定されない。むしろ、本開示の実施形態は、症状を単に低減し、及び/又は増悪を遅らせる治療も企図する。
【0026】
本明細書で使用される、「薬剤として許容される塩」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なく、ヒト及び下等動物の組織との接触に使用するのに適しており、及び妥当な利益/リスク比と釣り合う、塩を意味する。その塩は、開示の化合物の単離及び精製中にその場で調製することができ、又は適切な塩基若しくは酸それぞれと、開示の化合物の遊離塩基若しくは遊離酸を反応させることによって別々に調製することができる。薬剤として許容される、非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸で、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸などの有機酸で、又はイオン交換などの当技術分野で使用されている他の方法を使用することによって、形成されたアミノ基の塩である。他の薬剤として許容される塩としては、アジピン酸塩、アルジネート塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウ脳酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコへプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、硫酸ラウリル、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。更なる薬剤として許容される塩としては、しかるべき場合に、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される非毒性アンモニウム、第4級アンモニウム、並びにアミンカチオンが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される、「誘導体」という用語は、同定された類似体の十分な機能的特性を保持する構造的に類似の化合物を意味する。それが1つ又は複数の原子を欠いているため、置換されていてもよく、異なる水和/酸化状態のプロドラッグ、塩であり得るか、或いは分子内の1つ又は複数の原子が、交換され、例えば、限定されないが、ヒドロキシル基を付加し、酸素原子を硫黄原子で置き換え、又はアミノ基をヒドロキシル基で置き換え、ヒドロキシル基をカルボニル基へと酸化し、カルボニル基をヒドロキシル基へと還元し、及び炭素間二重結合をアルキル基へと還元し、又は炭素間単結合を二重結合へと酸化するため、誘導体は構造的に類似し得る。誘導体オプションは1つ又は複数の置換を有する。参照により本明細書に組み込まれる、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Wiley,6th Edition(2007)Michael B.Smith or Domino Reactions in Organic Synthesis,Wiley(2006)Lutz F.Tietzに記載されるように、合成化学又は有機化学のテキストブックに示される様々な合成方法又は適切な適応によって誘導体が調製され得る。
【0028】
本明細書で使用される、「アルキル」とは、非環状直鎖若しくは分枝鎖、不飽和又は飽和炭化水素、例えば炭素原子を1~6個(C~C)又は1~10個(C~C10)含有する炭化水素を意味する。「高級アルキル」とは、炭素原子を6個以上有する不飽和又は飽和炭化水素を意味する。「C~C18」とは、炭素原子を8~18個含有するアルキルを意味する。同様に、「C~C22」とは、炭素原子を6~22個含有するアルキルを意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-セプチル、n-オクチル、n-ノニル等が挙げられ;飽和分枝鎖アルキルとしては、イソプロピル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、イソペンチル等が挙げられる。不飽和アルキルは、隣接炭素原子間に少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含有する(「アルケニル」又は「アルキニル」とそれぞれ呼ばれる)。代表的な直鎖及び分枝鎖アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル等が挙げられ;代表的な直鎖及び分枝鎖アルキニルとしては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1-ブチニル等が挙げられる。
【0029】
「有効量」及び「治療有効量」という用語は、本開示において区別なく使用され、対象に投与した場合に、対象において疾患の症状を低減することができる化合物の量を意味する。「有効量」又は「治療有効量」を含む実際の量は、限定されないが、疾患の重症度、患者の体重及び健康、及び投与経路などの多くの条件に応じて異なる。熟練した医師であれば、医療分野で公知の方法を用いて適切な量を容易に決定することができる。
【0030】
「薬剤として許容される」というフレーズは、過度の毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題、或いは合併症なく、ヒト及び/又は他の哺乳動物の組織との接触に使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比と釣り合う、対象の作用剤/化合物、塩、組成物、剤形等を意味するために用いられる。いくつかの点で、薬剤として許容されるとは、哺乳動物(例えば、動物)、さらに詳しくはヒトにおける使用に関して、アメリカ合衆国政府の規制当局によって承認されている、或いは米国薬局方に、又は他の一般に認識される薬局方に記載されていることを意味する。
【0031】
本明細書で使用される「薬剤として許容される賦形剤」という文言は、薬剤投与と適合性の、いずれかの、及びすべての担体、溶媒、希釈剤、賦形剤、補助剤、分散培地、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、並びに吸収遅延剤等を含むことが意図される。
【0032】
本明細書で使用される、「医薬製剤」及び「医薬組成物」は区別なく使用することができる。
【0033】
「患者」及び「対象」という用語は同義であり、本発明の化合物で治療され得る生体を意味すると解釈され得る。したがって、「患者」及び「対象」という用語は、限定されないが、非ヒト哺乳動物、霊長類又はヒトを含み得る。一部の実施形態において、「患者」又は「対象」は、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、又はヒトなどの哺乳動物である。一部の実施形態において、患者又は対象は、成人、子供又は乳児である。一部の実施形態において、患者又は対象はヒトである。
【0034】
N-アセチルセロトニン誘導体
特定の実施形態において、本開示は、N-アセチルセロトニン誘導体に関する。特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体は、1つ若しくは複数の、同一又は異なる置換基で置換された本明細書に開示の化合物、或いはその塩である。特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体は以下の式I:
【化2】

又はその塩を有し、式中、Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、2-オキソピペリジニル、ピリジニル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、ここでRは、ハロゲン、メチル、又はアルキルで任意に置換される。特定の実施形態において、Rはメチルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、2-オキソピペリジニル、ピリジニル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、ここでRは、ハロゲン、メチル、又はアルキルで任意に置換される。特定の実施形態において、Rはメチル又はアルキルである。
【0035】
特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体は以下の式IA:
【化3】

又はその塩を有し、式中、Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルである。特定の実施形態において、Rはメチルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルである。特定の実施形態において、少なくとも1つのR~Rがメチル又はアルキルであることを条件とする。特定の実施形態において、R~Rの少なくとも1つ、又は1つのみがメチル又はアルキルであり、他のR~Rは水素である。
【0036】
特定の実施形態において、化合物は、
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、
N-(2-(1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、
N-(2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、
N-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、
N-(2-(5-ヒドロキシ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、
N-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-N-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-1-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-3-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、及び
N-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-N-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド、又はその塩から選択される。
【0037】
特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体は以下の式IB:
【化4】

又はその塩を有し、式中、Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルである。特定の実施形態において、Rはメチルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルである。特定の実施形態において、R~Rの少なくとも1つがメチル又はアルキルであることを条件とする。特定の実施形態において、R~Rの少なくとも1つ、又は1つのみがメチル又はアルキルであり、他のR~Rは水素である。
【0038】
特定の実施形態において、化合物は、N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド及びN-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)シクロヘキサンカルボキサミド、又はその塩である。
【0039】
特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体は以下の式IC:
【化5】

又はその塩を有し、式中、Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、又はフルオロ(F)であり;Xは、CH、CF、又はNであり;Xは、CH、CF、又はNであり;Xは、CH、CF、又はNである。
【0040】
特定の実施形態において、XはCFである。
【0041】
特定の実施形態において、XはNである。
【0042】
特定の実施形態において、XはCHである。
【0043】
特定の実施形態において、化合物は、2-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミド又はその塩である。
【0044】
特定の実施形態において、化合物は、N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ベンズアミド又はその塩である。
【0045】
特定の実施形態において、化合物は、
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ベンズアミド、
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ピコリンアミド、
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)イソニコチンアミド、
3-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ピコリンアミド、
5-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ピコリンアミド、
6-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ピコリンアミド、
2-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミド、
5-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミド、
3-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)イソニコチンアミド、及び
2-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)イソニコチンアミド、又はその塩から選択される。
【0046】
特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体は以下の式II:
【化6】

又はその塩を有し、式中、Rは水素であり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、2-オキソピペリジニル、ピリジニル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、ここでRは、ハロゲン、メチル、又はアルキルで任意に置換される。特定の実施形態において、Rは水素であり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、2-オキソピペリジニル、ピリジニル、シクロヘキシル、又はフェニルであり、ここでRは、ハロゲン、メチル、又はアルキルで任意に置換される。
【0047】
特定の実施形態において、N-アセチルセロトニン誘導体は以下の式IIA:
【化7】

又はその塩を有し、式中、Rは水素であり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルである。特定の実施形態において、Rは水素であり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルであり;Rは、水素、メチル、又はアルキルである。
【0048】
使用方法
本開示の実施形態は特定のメカニズムによって限定されることを意図しないが、TrkB活性化は外傷の作用を軽減すると考えられる。特定の実施形態において、本開示は、頭部又は眼球に物理的衝撃を受けた対象に、本開示のN-アセチルセロトニン誘導体を有効量で投与することを含む、視力喪失を治療又は予防する方法に関する。特定の実施形態において、本開示は、その必要がある対象に、本開示のN-アセチルセロトニン誘導体を有効量で投与することを含む、眼球虚血性損傷を治療又は予防する方法に関する。特定の実施形態において、眼球虚血性損傷は、網膜、網膜血管、又は視神経に対する損傷である。
【0049】
特定の実施形態において、本開示は、その必要がある対象に、本開示のN-アセチルセロトニン誘導体を有効量で投与することを含む、TrkB治療可能な疾患又は症状を治療又は予防する方法に関する。特定の実施形態において、対象は、TrkB治療可能な疾患又は症状を有するリスクがある、有すると疑われる、又は診断されている。特定の実施形態において、TrkB治療可能な疾患又は症状は、視神経症、神経疾患、自己免疫疾患、自己免疫脳脊髄炎、多発性硬化症、免疫拒絶反応、炎症性腸疾患、又はパーキンソン病である。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0050】
特定の実施形態において、本開示は、その必要がある対象に、本開示のN-アセチルセロトニン誘導体を投与することを含む、コントラスト感度及び視力/空間周波数閾値などの視覚機能を改善する方法に関する。特定の実施形態において、対象は軍事関連の損傷を有する。
【0051】
特定の実施形態において、本開示は、眼球構造及び視覚系の後続事象(consequent)に対する損傷を治療又は予防する方法に関する。
【0052】
特定の実施形態において、本開示は、眼球構造及び視覚系への損傷及び疾患、例えば視神経症、網膜損傷、及び眼球多発損傷などを治療又は予防する方法に関する。
【0053】
特定の実施形態において、本開示は、視力喪失、網膜におけるミクログリア活性化、神経繊維層の薄層化、及び例えば、爆風への曝露から生じる視神経軸索の損失を低減する方法に関する。
【0054】
特定の実施形態において、本開示は、眼窩及び眼球組織(視神経、網膜、及びブドウ膜)への外傷性損傷後に、形態及び機能を改善する方法に関する。
【0055】
特定の実施形態において、その対象は、視力喪失の恐れがある損傷(vision threatening injury)を受けたために治療を必要とし、或いは神経疾患の緑内障、及び/又は虚血性網膜症を有するリスクがある、有すると疑われる、又は診断されている。
【0056】
特定の実施形態において、本開示は、網膜、神経節細胞及び脳においてTrkBを活性化する方法であって、本開示のN-アセチルセロトニン誘導体を有効量で、その必要がある患者に投与することを含む方法に関する。
【0057】
組成物は、特に、動物又はヒト生物体における薬理学的応答を高めるのに有効な量で患者に投与され得る。本明細書で使用される、「有効量」という用語は、所望の生物学的効果を実感するのに十分な量を意味する。適切な投薬量は、特定の作用薬の薬力学的特性、宿主生物の年齢、健康状態、及び体重;治療される症状、症状の性質及び程度、併用される治療の種類、治療の頻度、予防若しくは治療の必要性、及び/又は望まれる効果など、公知の因子に応じて異なり得る。投薬量は、選択される特定の投与経路に応じても算出されるだろう。治療に適切な投薬量を決定するのに必要な計算の更なる改良は、関連する状況を考慮に入れて医師によって通常通りに行われる。力価は、従来の技術によって決定され得る。
【0058】
本明細書に開示の化合物の治療有効量が、単回投与で、又は一定の時間間隔後に、1回若しくは複数回繰り返される投与で投与され得る。実施形態において、治療有効量は毎日、又は2日若しくは3日ごとに、又は1週間に1回投与される。投与は、1日に1回、2回若しくは3回、例えば1日500mgの単回投与、850mgの単回投与、1日2回850mg又は1日3回850mg、1日1,000mgの単回投与、1日100mgの単回投与、200mgの単回投与、400mgの単回投与、1日2回100mg、又は1日3回200mgの投与であり得る。実施形態、治療有効量は、2週を超える期間、10週、30週、1年の期間、又は症状若しくは疾患が存在する限り、毎日又は1日おきに投与される。
【0059】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体及びそれを含む医薬組成物が局所的に、局部的に眼球に(つまり、結膜下、硝子体内、眼球後、眼房内、硝子体内注入/インプラント及び眼周囲注入)、及び/又は全身に投与されることが企図される。特定の実施形態において、本開示は、結膜嚢におけるクリーム剤、軟膏、又は液滴製剤としての投与を企図する。特定の実施形態において、本開示は、単独での、又は局所的送達と併せての、全身送達又は経口送達を企図する。
【0060】
実施形態において、その方法は、ステロイド、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンフレトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、二酢酸トリアムシノロン、リドカイン、アルチカイン、ブピバカイン、アドレナリンなどの第2作用薬と、他の麻酔薬との同時投与を含み得る。実施形態において、同時投与は、本明細書に記載の同じ医薬組成物又は異なる(separated)医薬組成物の一部であり得る。実施形態において、同時投与は、本明細書に記載の組成物の投与と同時に、実質的に同時に、投与前又は投与後に行われ得る。
【0061】
医薬組成物
実施形態において、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体は、医薬組成物中に存在する。実施形態において、本開示の医薬組成物は、ヒト又は動物生体への注入によるその送達に適した担体及び/又は希釈剤を含む。かかる担体及び/又は希釈剤は、用いられる用量及び濃度にて非毒性である。特定の実施形態において、医薬組成物は、点眼液組成物又は眼内若しくは静脈内組成物である。
【0062】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体の治療有効量と、薬剤として許容される担体と、を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、かかる医薬組成物は、静脈内、眼球若しくは眼球内投与、経口投与、経直腸投与、吸入、経鼻投与、及び/又は局所投与用に製剤化される。他の実施形態において、かかる医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、吸入剤、経鼻スプレー溶液、坐剤、液剤、乳剤、軟膏剤、点眼剤又は点耳剤として製剤化される。
【0063】
本開示の医薬組成物は、様々な形態、例えば固体状態(例えば、粉末、凍結乾燥状態)、又は液体状態(例えば、水溶液)であり得る。固体組成物の場合には、調製の一般的な方法は真空乾燥及び凍結乾燥であり、それによって、以前に滅菌濾過されたその溶液から、作用薬の粉末に加えて、更なる所望の成分が得られる。かかる溶液は、所望の場合には、注入に備えて、滅菌水を添加することによって再構成する準備が整った状態で滅菌アンプルに保存することができる。
【0064】
点眼液組成物は通常、滑沢剤及び/又は他の作用剤を任意に含有する生理食塩水溶液である。特定の実施形態において、溶液は、サッカリド、多糖、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミノメチルプロパノール、ホウ酸、デキストラン、グリセリン、ヒプロメロース、ソルビトール、ポリソルベート、ポリビニルアルコール、ポビドン、ポリカチオンポリマー、保存剤、塩化ベンザルコニウム、ステロイド、デキサメタゾン、抗ヒスタミン薬、交感神経作用薬、β受容体遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗生物質、ポリミキシン、ネオマイシン、抗真菌剤、又は局所麻酔薬を含む。
【0065】
経口投与に関しては、医薬組成物は通常、単位剤形又は複数回量剤形をとるか、又は連続若しくは周期的注入による直接注入のための組成物である。それは一般に、等張性、低張性又はやや高張性であり、及び糖、多価アルコール及び等張性生理食塩水溶液によって提供されるような、比較的低いイオン強度を有する。代表的な例としては、滅菌水、生理的食塩水(例えば、塩化ナトリウム)、静菌性水、リンガー液、グルコース又はショ糖溶液、ハンクス液、及び他の生理的平衡塩類水溶液が挙げられる(例えば、Remingtonの最新版:The Science and Practice of Pharmacy,A.Gennaro,Lippincott,Williams&Wilkinsを参照されたい)。本開示の組成物のpHは通常、一般に生理学的又はわずかに塩基性のpH(約pH8~約pH9であり、特に好ましくはpH8.5である)にてヒト又は動物における使用に適するようにするために、適切に調整され、緩衝される。適切な緩衝液としては、リン酸緩衝液(例えば、PBS)、重炭酸緩衝液及び/又はトリス緩衝液が挙げられる。一般的な組成物は、1Mショ糖、150mM NaCl、1mM MgCl、54mg/l Tween80、10mM Tris(pH8.5)中で製剤化される。別の一般的な組成物は、10mg/mlマンニトール、1mg/ml HAS、20mM Tris(pH7.2)、及び150mM NaCl中で製剤化される。
【0066】
医薬組成物は、望ましい薬剤又は薬力学的特性を提供する、例えば、製剤のpHオスモル濃度、粘度、透明性、色又は無菌性、安定性、溶解速度を変更又は維持する、ヒト若しくは動物内への放出若しくは吸収を変更又は維持する、他の薬剤として許容される賦形剤も含有し得る。例えば、ポリエチレングリコールなどのポリマーを使用して、溶解性、安定性、半減期及び他の薬学的に有利な特性の望ましい特性が得られる(Davis et al.,1978,Enzyme Eng.4,169-173;Burnham et al.,1994,Am.J.Hosp.Pharm 51,210-218)。安定化成分の代表的な例としては、ポリソルベート80,L-アルギニン、ポリビニルピロリドン、トレハロース、及びその組み合わせが挙げられる。粘度向上剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、及びデキストランが挙げられる。組成物は、特定の臓器の血液関門又は膜を通る透過若しくは輸送を促進するために、技術分野で公知の物質も含有し得る(例えば、トランスフェリン受容体に対する抗体;Friden et al.,1993,Science 259,373-377)。ポリリジンとラクトースのゲル複合体(Midoux et al.,1993,Nucleic Acid Res.21,871-878)又はポロキサマー(poloxamer)407(Pastore,1994,Circulation 90,1-517)を使用して、動脈の細胞における投与を促進することができる。
【0067】
特定の実施形態において、本開示は、吉草酸エステルプロドラッグなど、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体の親油性アシルエステルプロドラッグを企図する。Tirucherai,J Ocul Pharmacol Ther.2002;18(6):535-548を参照されたい。特定の実施形態において、本開示は、スクシンアミド酸及びマレアミド酸プロドラッグなど、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体の親水性アミドプロドラッグを企図する。Malik,Mol Pharm.2012;9(3):605-614を参照されたい。
【0068】
特定の実施形態において、本開示は、筋肉内注射に使用される装置と類似の自動注入装置内に収容される、例えばボタンを押すと、シリンジ針が自動的に挿入され、薬物が投与されるように構成された引き込み式針又はスプリング式シリンジ、或いは皮膚を通して液体の微細な噴出を促す加圧ガスの容器、及びマイクロニードルに収容される、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を企図する。特定の実施形態において、本開示は、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体の、マイクロニードルでの投与を企図する。マイクロニードルは、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体又はそれを含む医薬組成物を強膜又は脈絡膜上腔(SCS)内へ浸透し、沈着するように設計され得る。デポ製剤(depot)は通常、深部眼球組織(つまり、脈絡膜及び神経網膜)内への拡散を促進する。
【0069】
特定の実施形態において、本開示は、デンドリマー及びシクロデキストリン内に含有される、又はデンドリマー及びシクロデキストリンに結合される、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を企図する。特定の実施形態において、本開示は、デンドリマー及びシクロデキストリン内の、又はデンドリマー及びシクロデキストリンに共有結合された、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を企図する。デンドリマーの例としては、ポリ(アミドアミン)(PAMAM)及びポリプロピレンイミンが挙げられる。
【0070】
特定の実施形態において、本開示は、ナノ粒子、リポソーム又はナノミセル内に含有される、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体を企図する。特定の実施形態において、本開示は、ナノ粒子、リポソーム又はナノミセル内に含有される、本明細書に開示のN-アセチルセロトニン誘導体の投与を企図する。ナノ粒子は、脂質、タンパク質、及び天然若しくは合成ポリマーシステムで構成され得る。例としては、アルブミン、ヒアルロン酸(HA)、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリ(ラクチド-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、PEG、及びポリ(グリコール酸)(PGA)を含むポリマーシステムが挙げられる。
【0071】
ナノミセルは、5~200nmのサイズを有する両親媒性モノマー/分子から自己組織化する。モノマーは、自己凝集を開始する傾向がある。リポソーム及びナノミセルは、界面活性剤(イオン性、非イオン性、双性イオン性)又はブロックコポリマーのいずれかから製造され得る。例としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n-ドデシルテトラ(エチレンオキシド)、及びジオクタノイルホスファチジルコリンが挙げられる。ブロックコポリマー。ポリマーブロックは、異なる様式で配列し得る。例としては、PEG、PLL、ポリエチレンオキシド、ポリ(D,L-乳酸)、ポリプロピレンオキシド、PCL、PGA、及びポリ(アミノ酸)、例えばポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(L-リジン)、及びポリ(ヒスチジン)が挙げられる。
【0072】
頭部外傷後の視力障害の予防
本開示は、不可逆性神経細胞変性及び視力喪失が起こる前の重要な期間に、戦場又は野戦病院にて投与することができる、外傷により誘発される視力喪失の薬剤治療を企図する。眼球及び視覚系への爆風損傷の影響を特徴付けるために、マウスの爆風損傷モデルが使用された。爆風損傷の結果、(1)炎症反応(ミクログリア活性化及び反応性神経膠症)並びに先天及び獲得免疫システムの活性化;(2)視覚機能の喪失(コントラスト感度及び視力);(3)網膜の神経繊維層の薄層化;(4)視神経の軸索消失;が起こる。N-アセチルセロトニン誘導体、N-[2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル]-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド(HIOC)は、爆風曝露後数時間以内に投与された場合に、視力喪失を有効に軽減する(図1)。1週間毎日投与することによって、爆風により誘発された視覚機能の低下が少なくとも4か月間低減され、又は予防され、無治療にて時間の経過にしたがって起こる進行性視力喪失を軽減する。HIOCのこの治療効果は、TrkB、脳由来神経栄養因子(BDNF)のコグネイト受容体の活性化によって仲介される。N-アセチルセロトニン及びHIOCの両方がTrkBを活性化し、神経保護特性を有する。TrkBは1回注入後に16時間まで活性化されるため、HIOCの薬物動態学的特性は生体内(in vivo)での治療に望ましい。HIOC治療は、爆風への曝露から生じる、視力喪失、網膜におけるミクログリア活性化、神経繊維層の薄層化、及び視神経軸索消失を低減する。
【0073】
HIOCは全身投与されて、血液-網膜及び血液脳関門(BBB)を横切り、網膜及び脳におけるTrkBを活性化し得る。網膜において、TrkBの活性化は、注目すべきことには神経節細胞において顕著であった。HIOCは他の神経保護作用を有する。それは、有毒な光曝露から生じる光受容体損傷を低減し、くも膜下出血からの脳損傷を減弱し、カイニン酸、神経毒により誘発される神経細胞の神経細胞アポトーシスを阻害する。
【0074】
一般に、損傷を受けた眼球構造、並びに軍事関連損傷及び鈍傷の他の形態に対する視覚系後続事象の不適切な軽減及び治療に対処する必要がある。視神経症、網膜損傷、及び眼球多発損傷を生じる、眼球構造及び視覚系への損傷及び疾患を管理する不適切な治療が存在する。したがって、眼窩及び眼球組織(視神経、網膜、及びブドウ膜)に対する外傷性損傷後に、形態及び機能を戻す治療の有効性を提供することが望ましい。
【実施例
【0075】
実施例
視覚機能のTBI誘発喪失に対するHIOCの効果
頭部に向けられた爆風から生じる視覚機能の喪失を軽減する、HIOCの能力を調べた(図1)。頭部右側に向けた約70psiの単一爆風にマウスを曝露した。爆風から1週間後にコントラスト感度を測定した。HIOC(80mg/kg)は、コントラスト感度のTBI誘発低下を完全に防いた(図1)。同様な結果が視力でも見られた。
【0076】
HIOCのモノメチル類似体
図2は、メチル基での水素結合ドナー原子の位置選択的置換のために企図された化合物を例示する。これらの類似体は、Setterholm et al.,Tetrahedron Lett.2015,56(23):3413-3415,Nelson et al.,Chiral Anion Phase Transfer of Aryldiazonium Cations:An Enantioselective Synthesis of C3-Diazenated Pyrroloindolines.Angew.Chem.Int.Ed.2014,53,5600-5603;Xu et al.,An environmentally friendly protocol for oxidative halocyclization of tryptamine and tryptophol derivatives.Green Chem.2017,19,2952-2956);Taborsky et al.,Synthesis and Preliminary Pharmacology of Some 1-Methylindoles.”J.Med.Chem.1965,8,460-466;Somei et al.,The Chemistry of Indoles.CIII.Simple Syntheses of Serotonin,N-Methylserotonin,Bufotenine,5-Methoxy-N-methyltryptamine,Bufobutanoic Acid,N-(Indol-3-yl)methyl-5-methoxy-N-methyltryptamine,and Lespedamine Based on 1-Hydroxyindole Chemistry.Chem.Pharm.Bull.2001,49,87-96;Loreto et al.,Novel Spiroheterocycles by Aziridination of α-Methylene-γ-and-δ-lactams.Eur.J.Org.Chem.2007,2365-2371;and Banerjee et al.,An enantiodivergent synthesis of Cα-methyl nipecotic acid analogues fromδ-lactam derivatives obtained through a highly stereoselective cyclization strategy.Tetrahedron:Asymmetry 2015,26,1292-1299)に報告されている化学選択的N-アシル化法を適用することによって調製され得る。
【0077】
N-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド(149):
【化8】

オーブン乾燥された三口フラスコに、2-オキソピペリジン-3-カルボン酸(179mg,1.25mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,200mg,1.24mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタン(8mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。5-メトキシトリプタミン塩酸塩(280mg,1.24mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(8mL)を添加した。5分後に、少量の5-メトキシトリプタミンが溶けないまま残り、その上にトリエチルアミン(251mg,2.48mmol,2当量)を添加し、均一な溶液が形成された。反応混合物を室温で12時間攪拌した。12時間後、反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,酢酸エチル:メタノール(97:3)溶離剤、p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(149)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、5-メトキシトリプタミン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相が、軽い水相から分離された。分液漏斗において、次いで、振盪及びベント(venting)しながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチル:メタノール(97:3)に溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:メタノール勾配によって溶出した。酢酸エチル:メタノール(97:3,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、メタノールの濃度を10%に増加し、その時点で、生成物(149)が溶出し始め、続いてTLC分析(97:3,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、白色の固体を得た。目的の生成物149は、収率63%で生成された(248mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.61(s,1H),8.03-8.02(t,J=5.7Hz,1H),7.62(s,1H),7.18-7.16(d,J=9Hz,1H),7.08(s,1H),6.98(d,J=2.4Hz,1H),6.67-6.65(dd,J=2.4Hz,1H),3.72(s,3H),3.30-3.25(m,2H),3.08(m,2H),3.04-3.01(t,J=7.2Hz,1H),2.75-2.72(t,J=7.2Hz,2H),1.87-1.86(m,1H),1.78-1.74(m,2H),1.54-1.49(m,1H).
13C-NMR:170.1,168.7,153.4,131.8,127.9,123.8,112.4,111.9,111.5,100.5,55.8,48.4,41.8,40.3,25.5,24.9.
HRMS:C1722[M+H]計算値316.16557;測定値316.16534
【0078】
N-(2-(1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド(145):
【化9】

オーブン乾燥された三口フラスコに、2-オキソピペリジン-3-カルボン酸(363mg,2.54mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,407mg,2.51mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタン(8mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。トリプタミン塩酸塩(494mg,2.51mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(8mL)を添加した。15分後に、トリプタミン塩酸塩の完全な溶解を確認した。トリエチルアミン(514mg,5.08mmol,2当量)を添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌し、その後、TLC分析(酢酸エチル:メタノール(95:5)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)から、トリプタミン塩酸塩が消費され、生成物(145)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。反応混合物に、水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相が、軽い水相から分離された。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチル:メタノール(95:5)に溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:メタノール勾配(95:5,v/v)を溶出し、続いてTLC分析を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、白色の固体を得た。目的の生成物145は、収率37%で生成された(267mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.78(s,1H),8.07-8.05(t,J=5.0Hz,1H),7.64(s,1H),7.51-7.50(d,J=8.2Hz,1H),7.30-7.29(d,J=7.62,Hz,1H),7.13(s,1H),7.03-7.01(t,J=7.61Hz,1H),6.94-6.92(t,J=7.32Hz,1H),3.30-3.25(m,2H),3.08(s,2H),3.05-3.02(t,J=7.03Hz,1H),2.79-2.77(t,J=7.03Hz,2H),1.90-1.85(m,1H),1.78-1.73(m,2H),1.53-1.50(m,1H).
HRMS:C1619[M+H]計算値286.15500;測定値286.15457
【0079】
N-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド(149):
【化10】

オーブン乾燥された三口フラスコに、2-オキソピペリジン-3-カルボン酸(179mg,1.25mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,200mg,1.24mmol,0.99当量)アルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタン(8mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。5-メトキシトリプタミン塩酸塩(280mg,1.24mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(8mL)を添加した。5分後に、少量の5-メトキシトリプタミンが溶けないまま残り、その上にトリエチルアミン(251mg,2.48mmol,2当量)を添加し、均一な溶液が形成された。反応混合物を室温で12時間攪拌した。12時間後、反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,酢酸エチル:メタノール(97:3)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(149)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、5-メトキシトリプタミン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相が、軽い水相から分離された。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で、振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチル:メタノール(97:3)に溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:メタノール勾配によって溶出した。酢酸エチル:メタノール(97:3,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、メタノールの濃度を10%に増加し、その時点で、生成物(149)が溶出し始め、続いてTLC分析(97:3,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、白色の固体を得た。目的の生成物149は、収率63%で生成された(248mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.61(s,1H),8.03-8.02(t,J=5.7Hz,1H),7.62(s,1H),7.18-7.16(d,J=9Hz,1H),7.08(s,1H),6.98(d,J=2.4Hz,1H),6.67-6.65(dd,J=2.4Hz,1H),3.72(s,3H),3.30-3.25(m,2H),3.08(m,2H),3.04-3.01(t,J=7.2Hz,1H),2.75-2.72(t,J=7.2Hz,2H),1.87-1.86(m,1H),1.78-1.74(m,2H),1.54-1.49(m,1H).
13C-NMR:170.1,168.7,153.4,131.8,127.9,123.8,112.4,111.9,111.5,100.5,55.8,48.4,41.8,40.3,25.5,24.9.
HRMS:C1722[M+H]計算値316.16557;測定値316.16534
【0080】
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-1-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド(151):
【化11】

オーブン乾燥された三口フラスコに、1-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボン酸(404mg,2.57mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,417mg,2.56mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタン(8mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(547mg,2.56mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(8mL)を添加した。15分後に、少量のセロトニン塩酸塩が溶けないまま残り、その上にトリエチルアミン(520mg,5.14mmol,2当量)を添加し、均一な溶液が形成された。反応混合物を室温で12時間攪拌した。12時間後、反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,酢酸エチル:メタノール(98:2)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(151)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、セロトニン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相を軽い水相から分離した。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で、振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチル:メタノール(98:2)に溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:メタノール勾配によって溶出した。酢酸エチル:メタノール(98:2,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、メタノールの濃度を10%に増加し、その時点で生成物(151)が溶出し始め、続いてTLC分析(90:10,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、白色の固体を得た。目的の生成物151は、収率26%で生成された(214mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.46(s,1H),8.56(s,1H),8.00(t,J =Hz,1H),7.61(s,1H),7.09-7.07(d,J=8.4Hz,1H),7.03-7.02(d,J=1.8Hz,1H),6.80-6.79(d,J=1.8Hz,1H),6.56-6.54(dd,J=2.1Hz,1H),3.28-3.19(m,4H),3.10-3.08(t,J=6.9Hz,1H),2.79(s,3H),2.70-2.67(t,J=7.5Hz,2H),1.93-1.91(m,1H),1.84-1.80(m,2H),1.66-1.63(m,1H)
HRMS:C1722[M+H]計算値316.16557;測定値316.16522
【0081】
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)-3-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボキサミド(170):
【化12】

オーブン乾燥された三口フラスコに、3-メチル-2-オキソピペリジン-3-カルボン酸(330mg,2.10mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,337mg,2.08mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタン(6mL)を添加し、混合物を90分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(446mg,2.09mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(6mL)を添加した。15分後に、少量のセロトニン塩酸塩が溶けないまま残り、その上にトリエチルアミン(424mg,4.19mmol,2当量)を添加し、均一な溶液が形成された。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,酢酸エチル:メタノール(97:3)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(170)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、セロトニン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相を軽い水相から分離した。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で、振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチル:メタノール(97:3)に溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:メタノール勾配によって溶出した。酢酸エチル:メタノール((97:3,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、メタノールの濃度を5%に増加し、その時点で、生成物(170)が溶出し始め、続いてTLC分析(95:5,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、軽やかな白色固体を得た。目的の生成物170は、収率25%で生成された(166mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.45(s,1H),8.55(s,1H),7.69(s,1H),7.67-7.64(t,J=8.7,1H),7.09-7.06(d,J=12.6Hz,1H),6.97(d,J=3.6Hz,1H),6.82-6.81(d,J=3.6Hz,1H),6.56-6.53(dd,J=3.6Hz,1H),3.26-3.23(m,2H),3.09-3.06(t,J=4.8Hz,2H),2.69-2.65(t,J=10.8Hz,2H),2.26-2.21(m,1H),1.60-1.41(m,3H),1.23(s,3H).
13C-NMR:173.2,172.2,150.6,131.2,128.3,123.6,112.0,111.7,111.0,102.7,49.2,42.0,40.5,31.8,25.6,25.1,19.9.
HRMS:C1722[M+H]計算値316.16557;測定値316.16576
【0082】
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-32-イル)エチル)ベンズアミド(83):
【化13】

オーブン乾燥された三口フラスコに、安息香酸(350mg,2.87mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,460mg,2.84mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタン(9.5mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(603mg,13.8mmol,1当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(9.5mL)を添加した。30分後に、大部分のセロトニン塩酸塩が溶解したが、少量が溶けないまま残った。トリエチルアミン(581mg,5.74mmol,2当量)を添加し、反応混合物を室温で8時間攪拌した。8時間後に、反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,ヘキサン:酢酸エチル)(1:1)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(83)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。反応混合物を回転蒸発によって濃縮し、粘性オイルが生成され、それを最小量の酢酸エチルに溶解し、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、ヘキサン:酢酸エチル(1:1v/v)によって溶出し、続いてTLC分析を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体生成物83を収率17%で得た(135mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.47(s,1H),8.59(s,1H),8.58-8.56(t,J=5.7Hz,1H),7.83-7.82(d,J=7.4Hz,2H),7.50-7.47(t,J=7.2,Hz,1H),7.44-7.42(d,J =Hz,2H),7.12-7.09(d,J=7.8Hz,1H),7.05-7.04(d,J=1.8Hz,1H),6.87(d,J=1.8Hz,1H),6.58-6.56(dd,J=2.4Hz,1H),3.50-3.47(q,J=6.6Hz,2H),2.84-2.82(t,J=7.5Hz,2H).
13C-NMR:166.5,150.6,135.2,131.5,131.2,128.7,128.4,127.6,123.5,112.1,111.7,111.3,102.7,65.32,40.5,25.8.
HRMS:C1717[M+H]計算値281.12845;測定値281.12869
【0083】
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミド(85):
【化14】

オーブン乾燥された三口フラスコに、ニコチン酸(250mg,2.03mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,326mg,2.01mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタンン(7mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(427mg,2.01mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(7mL)を添加した。15分後に、少量のセロトニン塩酸塩が溶けないまま残り、その上にトリエチルアミン(407mg,4.02mmol,2当量)を添加し、均一な溶液が形成された。反応混合物を室温で8時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,酢酸エチル:メタノール(90:10)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(85)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、セロトニン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相を軽い水相から分離した。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で、振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチル:メタノール(90:10)に溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:メタノール(90:10)によって溶出し、続いてTLC分析(90:10,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体を得た。目的の生成物85は、収率35%で生成された(201mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.47(s,1H),8.96(d,J=1.2Hz,1H),8.77-8.75(t,J=5.4 1H),8.66-8.65(d,J=4.8Hz,1H),8.57(s,1H),8.15-8.13(dd,J=2.1Hz,1H),7.48-7.45(dd,J=4.8Hz,1H),7.09-7.08(d,J=8.4Hz,1H),7.04(s,1H),6.84(d,J=1.8Hz,1H),6.56-6.54(dd,J=2.4Hz,1H),3.50-3.48(q,J=6.5Hz,2H),2.84-2.82(t,J=7.5Hz,2H).
13C-NMR:172.5,165.1,152.2,150.6,148.8,135.3,131.2,130.6,128.4,123.9,123.6,112.1,111.7,111.2,102.7,65.3,25.7
HRMS:C1616[M+H]計算値282.12370;測定値282.12400
【0084】
化合物105及び107は、化合物85と同じ手法で調製された。特徴付けデータと共に精製の変形形態を以下のとおり示す:
【0085】
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3yl)エチル)ピコリンアミド(105):
【化15】

精製:シリカゲルに吸着された粗生成物混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:ヘキサン勾配によって溶出した。酢酸エチル:ヘキサン(50:50,v/v)を使用して、最も低い極性の物質を溶出して、その後、メタノールの濃度を60%に増加し、その時点で、生成物(105)が溶出し始め、続いてTLC分析(50:50,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体を得た。目的の生成物105は、収率32%で生成された(184mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.46(s,1H),8.83-8.82(t,J=5.4Hz,1H),8.59-8.58(d,J=4.8 1H),8.56(s,1H),8.02-8.01(d,J=8.4Hz,1H),7.97-7.94(t,J=8.4Hz,1H),7.56-7.54(dd,J=6Hz,1H),7.09-7.07(d,J=1.8Hz,1H),7.04(s,1H),6.87-6.86(d,J=2.4Hz,1H),6.56-6.54(dd,J=1.8Hz,1H),3.55-3.51(q,J=7.2Hz,2H),2.84-2.81(t,J=7.5Hz,2H).
HRMS:C1616[M+H]+計算値282.12370;測定値282.12343
【0086】
N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)イソニコチンアミド(107):
【化16】

精製:シリカゲルに吸着された粗生成物混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、酢酸エチル:メタノール(95:5)によって溶出した。TLC分析(95:5,v/v)によって画分をモニターした。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体を得た。目的の生成物107は、収率36%で生成された(204mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d6):10.47(s,1H),8.87-8.85(t,J=5.4Hz,1H),8.69-8.68(d,J=5.42H),8.57(s,1H),7.72-7.71(d,J=6Hz,2H),7.09-7.08(d,J=9Hz,1H),7.04(s,1H),6.84(s,1H)6.56-6.55(d,J=6.6Hz,1H),3.49-3.46(q,J=7.2Hz,2H),2.84-2.81(t,J=7.5Hz,2H).
HRMS:C16H16N3O2[M+H]計算値282.12370;測定値282.12334
【0087】
5-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3イル)エチル)ピコリンアミド(112):
【化17】

オーブン乾燥された三口フラスコに、5-フルオロ-2-ピリジンカルボン酸(250mg,1.77mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,284mg,1.75mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタンン(5.5mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(373mg,1.75mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(5.5mL)を添加した。10分後に、セロトニン塩酸塩の完全な溶解が確認され、その上にトリエチルアミン(358mg,3.54mmol,2当量)を添加した。反応混合物を室温で19時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,ヘキサン:酢酸エチル(50:50)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(112)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、セロトニン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相を軽い水相から分離した。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、静置すると、黄色の沈殿物が有機層に形成し始め、メタノール5mLを添加して、その沈殿物を再溶解し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチルに溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、ヘキサン:酢酸エチル勾配によって溶出した。ヘキサン:酢酸エチル(50:50,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、酢酸エチルの濃度を60%に増加し、その時点で、生成物(112)が溶出し始め、続いてTLC分析(50:50,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体を得た。目的の生成物112は、収率42%で生成された(224mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.44(s,1H),8.80-8.78(t,J=6Hz,1H),8.58(s,1H),8.55(d,J=1.8Hz,1H),8.09-8.06(m,1H),7.88-7.85(t,J=7.2Hz,1H),7.08-7.06(d,J=9.6Hz,1H),7.03(s,1H)6.85(s,1H),6.55-6.53(d,J=6.6Hz,1H),3.52-3.49(q,J=6.6Hz,2H),2.82-2.80(t,J=7.2Hz,2H).
HRMS:C1615F[M+H]計算値300.11428;測定値300.11396
【0088】
3-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)イソニコチンアミド(114):
【化18】

オーブン乾燥された三口フラスコに、3-フルオロ-4-ピリジンカルボン酸(250mg,1.77mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,284mg,1.75mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタンン(5.5mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(373mg,1.75mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(5.5mL)を添加した。10分後に、セロトニン塩酸塩の完全な溶解が確認され、その上にトリエチルアミン(358mg,3.54mmol,2当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,ヘキサン:酢酸エチル(40:60)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(114)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、セロトニン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相を軽い水相から分離した。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で、振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチルに溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、ヘキサン:酢酸エチル勾配によって溶出した。ヘキサン:酢酸エチル(40:60,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、酢酸エチルの濃度を70%に増加し、その時点で、残存する非極性物質が溶出され、生成物(114)が80%酢酸エチルにて溶出し始め、続いてTLC分析(40:60,ヘキサン:酢酸エチル,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体を得た。目的の生成物114は、収率32%で生成された(169mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.48(s,1H),8.71(s,1H),8.64(s,1H),8.59(s,1H),8.48-8.47(d,J=3.6Hz,1H),7.53-7.52(t,J=5.1Hz,1H),7.10-7.09(d,J=8.4Hz,1H),7.05(s,1H)6.89(s,1H),6.57-6.56(d,J=6.6Hz,1H),3.48-3.45(q,J=5.3Hz,2H),2.83-2.81(t,J=7.2Hz,2H).
HRMS:C1615F[M+H]計算値300.11428;測定値300.11400
【0089】
5-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル)ニコチンアミド(127):
【化19】

オーブン乾燥された三口フラスコに、5-フルオロ-3-ピリジンカルボン酸(300mg,2.13mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,341mg,2.10mmol,0.99当量)をアルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタン(6.5mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(452mg,2.10mmol,0.99当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(6.5mL)を添加した。10分後に、セロトニン塩酸塩の完全な溶解が確認され、その上にトリエチルアミン(430mg,4.25mmol,2当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,ヘキサン:酢酸エチル(40:60)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(127)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、セロトニン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相を軽い水相から分離した。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で、振盪及びベントしながら、有機層を0.5MHCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、静置すると、沈殿物が有機相中に形成し始め、メタノール5mLを添加することによって、それを溶解し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して、有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチルに溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、ヘキサン:酢酸エチル勾配によって溶出した。ヘキサン:酢酸エチル(40:60,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、酢酸エチルの濃度を70%に増加し、その時点で、残存する非極性物質が溶出され、生成物(127)が80%酢酸エチルにて溶出し始め、続いてTLC分析(40:60,ヘキサン:酢酸エチル,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体を得た。目的の生成物127は、収率25%で生成された(159mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.47(s,1H),8.85(s,1H),8.70-8.69(d,J=2.4Hz,1H),8.58(s,1H),8.03-8.02(d,J=9.6Hz,1H),7.10-7.09(d,J=8.4Hz,1H),7.05(s,1H),6.84(s,1H)6.57-6.56(d,J=7.8Hz,1H),3.51-3.48(q,J=6.6Hz,2H),2.85-2.83(t,J=7.5Hz,2H).
HRMS:C1615F[M+H]計算値300.11428;測定値300.11398
【0090】
2-フルオロ-N-(2-(5-ヒドロキシ-1H-インドール-3yl)エチル)ニコチンアミド(147):
【化20】

オーブン乾燥された三口フラスコに、2-フルオロニコチン酸(401mg,2.84mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI,460mg,2.84mmol,1当量)アルゴン雰囲気下にて添加した。無水ジクロロメタンン(8mL)を添加し、混合物を30分間攪拌した。セロトニン塩酸塩(604mg,2.84mmol,1当量)を一度に添加し、続いて無水ピリジン(8mL)を添加した。10分後に、セロトニン塩酸塩の完全な溶解が確認され、その上にトリエチルアミン(575mg,5.68mmol,2当量)添加した。反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を薄層クロマトグラフィー(TLC,ヘキサン:酢酸エチル(40:60)溶離剤,p-アニスアルデヒドで染色された)によって分析した。生成物(147)に相当する新たな紫色のスポットが確認された。TLCから、セロトニン塩酸塩が消費されたことが示された。反応混合物に水(3mL)を添加し、混合物を分液漏斗に移した。振盪後、重いジクロロメタン(有機)相を軽い水相から分離した。分液漏斗において、次いで、振盪及びベントしながら、5%(w/v)重炭酸ナトリウム溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水層を除去し、次いで有機相を水(2mL)で1回洗浄した。振盪及びベントしながら、5%酢酸溶液(2mL)で有機相を洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相から有機相を分離した後、次いで有機相を水(2mL)で洗浄した。続いて、分液漏斗中で、振盪及びベントしながら、有機層を0.5M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、プロセスを3回繰り返した。水相を分離した後、有機相を1M HCl水溶液(2mL)で洗浄し、このプロセスを3回繰り返した。最後に、有機層を水(2mL)で洗浄し、続いてブライン(5mL)で洗浄した。水層を除去し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)を使用して、有機層を乾燥させた。濾過した後、有機層を回転蒸発によって濃縮し、粘性のオイルが生成され、それを最小量の酢酸エチルに溶解して、シリカゲルをそれに添加し、粗生成物を吸着した。回転蒸発によって濃縮して、酢酸エチルを除去した後、シリカゲルに吸着された粗生成物の混合物をクロマトグラフィーカラム上に乾燥ローディングし、ヘキサン:酢酸エチル勾配によって溶出した。ヘキサン:酢酸エチル(30:70,v/v)を用いて、最も低い極性の物質を溶出して、その後、酢酸エチルの濃度を80%に増加し、その時点で、生成物(147)が溶出し始め、続いてTLC分析(40:60,ヘキサン:酢酸エチル,v/v)を行った。合わせた画分を回転蒸発によって濃縮して、固体を得た。目的の生成物147は、収率27%で生成された(232mg)。
H-NMR(600MHz,DMSO-d):10.47(s,1H),8.57(s,2H),8.30-8.29(d,J=6Hz,1H),8.12-8.09(t,J=9Hz,1H),7.42-7.40(t,J=6Hz,1H),7.08-7.07(d,J=6Hz,1H),7.05(s,1H)6.83-6.82(d,J=6Hz,1H),6.56-6.54(dd,J=6Hz,1H),3.47-3.43(q,J=9Hz,2H),2.82-2.79(t,J=9Hz,2H).
HRMS:C1615F[M+H]計算値300.11428;測定値300.11395
【0091】
生物活性
生物活性について類似体をスクリーニングするために、ヒトTrkBを発現する培養NIH/3T3細胞において、及びラット皮質神経細胞の初代培養において、TrkB及びAKTのリン酸化状態、TrkB活性化のダウンストリームシグナル伝達メディエーターを調べた(図5を参照されたい)。
【0092】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】