(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】カバーアセンブリ、電池セル、電池、電力消費装置、方法及び機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/147 20210101AFI20230606BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/16 20210101ALI20230606BHJP
【FI】
H01M50/147
H01M50/30
H01M50/159
H01M50/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567104
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2020124528
(87)【国際公開番号】W WO2022087919
(87)【国際公開日】2022-05-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】蒙万秋
(72)【発明者】
【氏名】劉倩
(72)【発明者】
【氏名】叶永煌
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC02
5H011CC06
5H011KK01
5H011KK04
5H012AA07
5H012BB02
5H012DD01
5H012EE01
5H012GG01
5H012JJ01
5H012JJ10
(57)【要約】
本出願の実施例は、カバーアセンブリ、電池セル、電池、電力消費装置、方法及び機器を提供する。カバーアセンブリは、カバープレート、固定部材、通気膜及び支持部材を含み、カバープレートは、第1の貫通孔を有し、固定部材は、カバープレートに接続されるためのものであり、固定部材は、第1の貫通孔とガス連通するように構成される第2の貫通孔を有し、通気膜は、固定部材に接続され、通気膜は、第2の貫通孔を覆うためのものであり、支持部材は、第2の貫通孔に充填され、且つ固定部材に接続され、支持部材は、通気膜を支持し且つ通気膜を経るガスを通過させるためのものである。本出願は、電池セルの内部のガスの放出要件を満たすことができるとともに、電池セルの安全性能を保証できる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルのカバーアセンブリであって、
第1の貫通孔を有するカバープレートと、
前記カバープレートに接続されるためのものであり、前記第1の貫通孔とガス連通するように構成される第2の貫通孔を有する固定部材と、
前記固定部材に接続され、前記第2の貫通孔を覆うための通気膜と、
前記第2の貫通孔に充填され、且つ前記固定部材に接続され、前記通気膜を支持し且つ前記通気膜を経るガスを通過させるための支持部材とを含む、電池セルのカバーアセンブリ。
【請求項2】
前記支持部材の融点は、前記通気膜の融点よりも大きい、請求項1に記載のカバーアセンブリ。
【請求項3】
前記支持部材の融点と前記通気膜の融点との差値は、10℃以上である、請求項2に記載のカバーアセンブリ。
【請求項4】
前記支持部材と前記固定部材との接続箇所でのせん断強度は、0.3MPa以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項5】
前記支持部材の通気量は、前記通気膜の通気量よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項6】
前記固定部材は、前記第2の貫通孔を有する金属リングであり、前記支持部材は、疎水性と通気性のある材料を含み、前記支持部材と前記固定部材は、化学結合によって接続され、又は金属結合によって接続される、請求項1~5のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の貫通孔の径方向において、前記通気膜の最大サイズと前記支持部材の最大サイズとの差値は、8mm以上であり、且つ前記第1の貫通孔の軸方向において、前記通気膜の幾何学的中心の正投影は、前記支持部材の幾何学的中心の正投影と重なり合う、請求項1~6のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項8】
前記通気膜から離れた方向に沿って、前記第2の貫通孔の孔径は変化しない、請求項1~7のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項9】
前記通気膜から離れた方向に沿って、少なくとも一部の長さの前記第2の貫通孔の孔径は、減少する傾向にある、請求項1~7のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項10】
前記通気膜から離れた方向に沿って、前記第2の貫通孔の孔径は、次第に減少し、
又は、前記通気膜から離れた方向に沿って、前記第2の貫通孔の孔径は、段階的に減少し、
又は、前記通気膜から離れた方向に沿って、前記第2の貫通孔の孔径は、最初に減少し、次に増大する、請求項9に記載のカバーアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の貫通孔は、収容段及び前記収容段から伸びる延長段を含み、前記収容段の孔径は、前記延長段の孔径よりも大きく、前記固定部材及び前記支持部材は、少なくとも一部が前記収容段内に収容される、請求項1~10のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項12】
前記収容段は、前記延長段を取り囲む底壁を有し、前記通気膜は、前記第2の貫通孔と前記延長段を隔絶するように、少なくとも一部が前記固定部材と前記底壁との間に挟み込まれ、前記支持部材は、前記通気膜の前記延長段から離反した側に設置される、請求項11に記載のカバーアセンブリ。
【請求項13】
前記固定部材は、前記第2の貫通孔を取り囲んで設置された凹溝を有し、前記通気膜は、少なくとも一部が前記凹溝内に収容される、請求項1~12のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ。
【請求項14】
電池セルであって、
開口を有するケースと、
前記ケースに収容された電極アセンブリと、
請求項1~13のいずれか一項に記載のカバーアセンブリとを含み、前記カバーアセンブリは、前記ケースに接続され、且つ前記ケースの開口を覆い、前記通気膜は、前記電極アセンブリと前記支持部材との間に位置する、電池セル。
【請求項15】
請求項14に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項16】
電気エネルギーを供給するための、請求項15に記載の電池を含む、電力消費装置。
【請求項17】
電池セルの製造方法であって、
開口を有するケースを提供することと、
電極アセンブリを提供し、前記電極アセンブリを前記ケース内に入れることと、
カバープレート、固定部材、通気膜及び支持部材を含むカバーアセンブリを提供し、前記ケース内のガスが前記通気膜を経て前記固定部材を通過するように、前記カバーアセンブリを前記開口に設置し、且つ前記カバープレートによって前記ケースに接続することとを含み、前記カバープレートは、第1の貫通孔を有し、前記固定部材は、前記カバープレートに接続されるためのものであり、前記固定部材は、前記第1の貫通孔とガス連通するように構成される第2の貫通孔を有し、前記通気膜は、前記固定部材に接続され、前記通気膜は、前記第2の貫通孔を覆うためのものであり、前記支持部材は、前記第2の貫通孔に充填され、且つ前記固定部材に接続され、前記支持部材は、前記通気膜を支持するためのものである、電池セルの製造方法。
【請求項18】
電池セルの製造機器であって、
開口を有するケースを提供するように構成される第1の組立装置と、
電極アセンブリを提供し、前記電極アセンブリを前記ケース内に入れるように構成される第2の組立装置と、
カバープレート、固定部材、通気膜及び支持部材を含むカバーアセンブリを提供し、前記ケース内のガスが前記通気膜を経て前記固定部材を通過するように、前記カバーアセンブリを前記開口に設置し、且つ前記カバープレートによって前記ケースに接続するように構成される第3の組立装置とを含み、前記カバープレートは、第1の貫通孔を有し、前記固定部材は、前記カバープレートに接続されるためのものであり、前記固定部材は、前記第1の貫通孔とガス連通するように構成される第2の貫通孔を有し、前記通気膜は、前記固定部材に接続され、前記通気膜は、前記第2の貫通孔を覆うためのものであり、前記支持部材は、前記第2の貫通孔に充填され、且つ前記固定部材に接続され、前記支持部材は、前記通気膜を支持するためのものである、電池セルの製造機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特にカバーアセンブリ、電池セル、電池、電力消費装置、方法及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な電池セルは、エネルギー密度が高く、パワー密度が高く、繰り返し利用回数が多く、貯蔵期間が長いなどの利点を有するため、電気自動車において既に広く用いられている。現在、電池セルの排気の安全性が電池セルの発展を制限しているため、電池セルの安全性能に関する関連技術研究は、研究の課題の一つとなっている。
【発明の概要】
【0003】
本出願の実施例は、カバーアセンブリ、電池セル、電池、電力消費装置、方法及び機器を提供する。カバーアセンブリは、電池セルの内部のガスの放出要件を満たすことができるとともに、電池セルの安全性能を保証できる。
【0004】
一態様によれば、本出願の実施例は、電池セルのカバーアセンブリを提案し、それは、カバープレート、固定部材、通気膜及び支持部材を含み、カバープレートは、第1の貫通孔を有し、固定部材は、カバープレートに接続されるためのものであり、固定部材は、第1の貫通孔とガス連通するように構成される第2の貫通孔を有し、通気膜は、固定部材に接続され、通気膜は、第2の貫通孔を覆うためのものであり、支持部材は、第2の貫通孔に充填され、且つ固定部材に接続され、支持部材は、通気膜を支持し且つ通気膜を経るガスを通過させるためのものである。
【0005】
本出願の実施例によるカバーアセンブリは、カバープレート、固定部材、通気膜及び支持部材を含み、第2の貫通孔が第1の貫通孔とガス連通し、且つ通気膜が通気機能を有するため、電池セルによって生成されたガスは、通気膜を経て電池セルの外部に排出でき、それにより、ガスがケースの内部に蓄積することを回避し、電極アセンブリの性能を改善し、電池セルの寿命を延長する。支持部材の設置により、通気膜に支持を提供し、電池セルの内圧が大きい場合でも通気膜が依然としてその完全性を維持することを保証し、通気膜の破裂の発生を回避し、電池セルの寿命期間にわたる通気膜の通気性を確保することができ、さらに電池セルの安全性能を保証することができる。
【0006】
本出願の実施例の一態様によれば、支持部材の融点は、通気膜の融点よりも大きい。電池セルの温度が通気膜の融点に達すると、通気膜が変形して流動するが、支持部材の融点が通気膜の融点よりも大きいため、この時、支持部材の材料は、その融点に達しておらず、通気膜材料に対する骨格支持作用を果たし、通気膜の流動及び変形を減らすことができる。
【0007】
本出願の実施例の一態様によれば、支持部材の融点と通気膜の融点との差値は、10℃以上である。通気膜が変形して流動する時に支持部材が変形することを効果的に回避し、通気膜材料に対する支持作用を保証することができる。
【0008】
本出願の実施例の一態様によれば、支持部材と固定部材の接続箇所でのせん断強度は、0.3MPa以上である。それにより、電池セルの内圧が増大する時、支持部材の形状の安定性及び支持部材と固定部材との接続強度の安定性を保証し、通気膜に対する支持効果を確保し、通気膜の変形ひいては破裂を回避し、通気膜の通気効果を保証することができる。
【0009】
本出願の実施例の一態様によれば、支持部材の通気量は、通気膜の通気量よりも大きい。通気膜が電池全体の通気効果を制御する材料であるため、通気膜を通過するガスは、支持部材から電池セルの外部に順調に排出することを可能にする必要がある。支持部材の通気量を通気膜の通気量よりも大きくすることにより、電池セルの内部の通気膜を経るガスは、支持部材から順調に排出でき、それにより、電池セルの安全性能を保証する。
【0010】
本出願の実施例の一態様によれば、固定部材は、第2の貫通孔を有する金属リングであり、支持部材は、疎水性と通気性のある材料を含み、支持部材と固定部材は、化学結合によって接続され、又は金属結合によって接続される。上記設置により、通気膜に対する支持要件を満たす上で、通気膜を経るガスが支持部材を順調に通過できることを保証できるとともに、通気膜の通気効果を保証でき、且つ水蒸気などを遮断して、水蒸気が電池セルの内部に入って電池セルに影響を与えることを回避できるとともに、電池セルの内部の電解液の漏れを回避でき、且つ支持部材と固定部材との接続強度を保証できる。
【0011】
本出願の実施例の一態様によれば、第1の貫通孔の径方向において、通気膜の最大サイズと支持部材の最大サイズとの差値は、8mm以上であり、且つ第1の貫通孔の軸方向において、通気膜の幾何学的中心の正投影は、支持部材の幾何学的中心の正投影と重なり合う。それにより、通気膜の周囲と支持部材との結合面積を保証することができるとともに、通気膜と支持部材との複合強度及びシール性を保証することができる。
【0012】
本出願の実施例の一態様によれば、通気膜から離れた方向に沿って、第2の貫通孔の孔径は変化しない。
【0013】
本出願の実施例の一態様によれば、通気膜から離れた方向に沿って、少なくとも一部の長さの第2の貫通孔の孔径は、減少する傾向にある。カバーアセンブリが電池セルに用いられる場合、その通気膜の一方側は、電池アセンブリに向けられ、且つ電池セルの内部のガスと直接接触する。通気膜から離れた方向に沿って、少なくとも一部の長さの第2の貫通孔の孔径が減少する傾向にあるようにすることにより、通気膜が電池セルの内圧の作用で外向きに予変形する時、第2の貫通孔を取り囲む孔壁は、孔径の減少した位置で通気膜に一定の支持を提供し、その変形を回避し、通気膜の通気効果及び安全性能を保証する。
【0014】
本出願の実施例の一態様によれば、通気膜から離れた方向に沿って、第2の貫通孔の孔径は、次第に減少する。
【0015】
本出願の実施例の一態様によれば、通気膜から離れた方向に沿って、第2の貫通孔の孔径は、段階的に減少する。
【0016】
本出願の実施例の一態様によれば、通気膜から離れた方向に沿って、第2の貫通孔の孔径は、最初に減少し、次に増大する。
【0017】
本出願の実施例の一態様によれば、第1の貫通孔は、収容段及び収容段から伸びる延長段を含み、収容段の孔径は、延長段の孔径よりも大きく、固定部材及び支持部材は、少なくとも一部が収容段内に収容される。それにより、固定部材の占有空間を減らし、電池セルの全体的な高さを低下させる。
【0018】
本出願の実施例の一態様によれば、収容段は、延長段を取り囲む底壁を有し、通気膜は、第2の貫通孔と延長段を隔絶するように、少なくとも一部が固定部材と底壁との間に挟み込まれ、支持部材は、通気膜の延長段から離反した側に設置される。異なる孔径の収容段と延長段は、段差面(即ち、底壁)を形成し、段差面は、固定部材を支持でき、固定部材とカバープレートを溶接する時の固定部材の位置決めに役立つ。
【0019】
本出願の実施例の一態様によれば、固定部材は、第2の貫通孔を取り囲んで設置された凹溝を有し、通気膜は、少なくとも一部が凹溝内に収容される。凹溝を設置することにより、通気膜の占有空間を減らし、固定部材と通気膜の全体的な厚さを減少させることができる。
【0020】
別の態様によれば、本出願の実施例は、電池セルを提供し、それは、開口を有するケースと、ケースに収容された電極アセンブリと、上記のカバーアセンブリとを含み、カバーアセンブリは、ケースに接続され、且つケースの開口を覆い、通気膜は、電極アセンブリと支持部材との間に位置する。
【0021】
本出願の実施例による電池セルは、上記各実施例によるカバーアセンブリを含み、その内部で生成されたガスは、通気膜を経て電池セルの外部に排出でき、それにより、ガスがケースの内部に蓄積することを回避し、電極アセンブリの性能を改善し、使用寿命を延長する。且つそのカバーアセンブリにおける支持部材の設置により、通気膜に支持を提供し、電池セルの内圧が大きい場合でも通気膜が依然としてその完全性を維持することを保証し、通気膜の破裂の発生を回避し、電池セルの寿命期間にわたる通気膜の通気性を確保することができ、それにより、電池セルは、より優れた安全性能を備える。
【0022】
さらなる態様によれば、本出願の実施例による電池は、上記の電池セルを含む。
【0023】
さらなる態様によれば、本出願の実施例は、電力消費装置を提供し、それは、電気エネルギーを供給するための上記の電池を含む。
【0024】
さらなる態様によれば、本出願の実施例は、電池セルの製造方法を提供し、それは、
開口を有するケースを提供することと、
電極アセンブリを提供し、電極アセンブリをケース内に入れることと、
カバープレート、固定部材、通気膜及び支持部材を含むカバーアセンブリを提供し、ケース内のガスが通気膜を経て固定部材を通過するように、カバーアセンブリを開口に設置し、且つカバープレートによってケースに接続することとを含み、カバープレートは、第1の貫通孔を有し、固定部材は、カバープレートに接続されるためのものであり、固定部材は、第1の貫通孔とガス連通するように構成される第2の貫通孔を有し、通気膜は、固定部材に接続され、通気膜は、第2の貫通孔を覆うためのものであり、支持部材は、第2の貫通孔に充填され、且つ固定部材に接続され、支持部材は、通気膜を支持するためのものである。
【0025】
さらなる態様によれば、本出願の実施例は、電池セルの製造機器を提供し、それは、
開口を有するケースを提供するように構成される第1の組立装置と、
電極アセンブリを提供し、電極アセンブリをケース内に入れるように構成される第2の組立装置と、
カバープレート、固定部材、通気膜及び支持部材を含むカバーアセンブリを提供し、ケース内のガスが通気膜を経て固定部材を通過するように、カバーアセンブリを開口に設置し、且つカバープレートによってケースに接続するように構成される第3の組立装置とを含み、カバープレートは、第1の貫通孔を有し、固定部材は、カバープレートに接続されるためのものであり、固定部材は、第1の貫通孔とガス連通するように構成される第2の貫通孔を有し、通気膜は、固定部材に接続され、通気膜は、第2の貫通孔を覆うためのものであり、支持部材は、第2の貫通孔に充填され、且つ固定部材に接続され、支持部材は、通気膜を支持するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働をしない前提で、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
【
図1】本出願の一実施例による車両の構造概略図である。
【
図2】本出願の一実施例による電池パックの分解構造概略図である。
【
図3】本出願の一実施例による電池モジュールの部分構造概略図である。
【
図4】本出願の一実施例による電池セルの構造概略図である。
【
図5】本出願の一実施例による電池セルの側面図である。
【
図6】
図5におけるA-A方向に沿った断面図である。
【
図8】本出願の一実施例によるカバーアセンブリの部分分解構造概略図である。
【
図9】本出願の一実施例によるカバープレートの部分構造概略図である。
【
図10】本出願の別の実施例によるカバーアセンブリの部分構造概略図である。
【
図11】本出願のさらなる実施例によるカバーアセンブリの部分構造概略図である。
【
図12】本出願のさらなる実施例によるカバーアセンブリの部分構造概略図である。
【
図13】本出願のさらなる実施例によるカバーアセンブリの部分構造概略図である。
【
図14】本出願の一実施例による電池セルの製造方法のフローチャートである。
【
図15】本出願の一実施例による電池セルの製造機器の構造概略図である。 図面において、図面は、実際の縮尺に応じて描かれるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面と実施例を結び付けて、本出願の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な記述と図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を限定するために用いることはできず、即ち、本出願は、説明される実施例に限定されない。
【0028】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語によって指示される方位又は位置関係は、単に本出願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、言及される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解されるべきではない。「垂直」とは、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」とは、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0029】
下記の記述に現れる方位用語は、いずれも図面に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明確に規定及び限定されていない限り、「取り付ける」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接的な接続であってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解されてもよい。
【0030】
出願人は、通気膜を有するカバーアセンブリの作動中に通気膜が破裂しやすいということを発見した後、カバーアセンブリに対して研究分析を行った。出願人は、カバーアセンブリに使用された通気膜の厚さが非常に薄いため、強度が低く、且つ変形しやすいなどの問題があり、その結果、通気膜が引っ張る時に塑性変形すると、その内部のナノ孔又は微細孔の数が多くなり、且つ孔径が大きくなり、さらに通気量の増大につながることを発見した。電池セルの内部ガスの外向き透過量が増大すると同時に、過剰な外部の水蒸気も電池セルの内部に浸透するため、電池セルの電気的性能(例えば、寿命、DCRなど)及び安全性能にリスクをもたらす。そして、電池セルの内圧が増大すると、通気膜が破裂するリスクがあり、電池セルの液漏れによる一連の故障につながる。
【0031】
出願人の発見した上記問題に基づき、出願人は、電池セルの構造を改良し、以下では、本出願の実施例をさらに記述する。
【0032】
本出願をよりよく理解するために、以下では、
図1~
図15を結び付けながら、本出願の実施例を記述する。
【0033】
図1に示すように、本出願の実施例は、電池10を電源として使用する電力消費装置を提供する。この電力消費装置は、車両、船舶又は航空機などであってもよいが、それらに限らない。本出願の一実施例は、車両1を提供する。車両1は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。本出願の一実施例では、車両1は、モータ1a、コントローラ1b及び電池10を含んでもよい。コントローラ1bは、モータ1aに給電するように電池10を制御するためのものである。モータ1aは、伝動機構によって車輪に接続され、それにより、車両1の走行を駆動する。電池10は、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスに代わって又は部分的に代わって車両1に駆動動力を提供してもよい。一例では、車両1の底部、先頭又は後尾に電池10が設置されてもよい。電池10は、車両1に給電するために用いられてもよい。一例では、電池10は、車両1の回路システムのための車両1の操作電源として使用されてもよい。例示的に、電池10は、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の作動電力需要を満たすために用いられてもよい。
【0034】
図2に示すように、電池10は、二つ以上の電池モジュール20を含んでもよい。いくつかの任意選択的な実施例では、電池10は、筐体をさらに含む。電池モジュール20は、筐体内に設置される。二つ以上の電池モジュール20は、筐体内に配列して配置される。筐体のタイプが制限されない。筐体は、枠状筐体、ディスク状筐体又はボックス状筐体などであってもよい。例示的に、筐体は、電池モジュール20を収容するための第1のハウジング11と、第1のハウジング11とカバーする第2のハウジング12とを含む。第1のハウジング11と第2のハウジング12は、カバーした後に電池モジュール20を収容する収容部を形成する。いくつかの実施例では、電池10は一つの電池モジュール20を含んでもよい。他の任意選択的な実施例では、電池10は、筐体11と、筐体内に直接設置された複数の電池セルとを含む。
【0035】
図3に示すように、異なる電力需要を満たすために、電池モジュール20は、一つ又は複数の電池セル30を含んでもよい。複数の電池セル30を直列接続、並列接続又は直並列接続して電池モジュール20を構成してから、複数の電池モジュール20を直列接続、並列接続又は直並列接続して電池を構成してもよい。直並列接続は、直列接続と並列接続の組み合わせを指す。例示的に、電池10は、複数の電池セル30を含んでもよく、ここで、複数の電池セル30同士は、直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。複数の電池セル30は、筐体内に直接設置されてもよい。つまり、複数の電池セル30から電池10を直接構成してもよく、電池モジュール20を構成してから、電池モジュール20から電池10を構成してもよい。電池セル30は、リチウムイオン含有電池セル、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池を含むが、それらに限らない。
【0036】
本出願の実施例の電池セル30が車両1に用いられる時、電池セル30の幅は、車両1の高さと同じである。車両1の高さ方向の空間制限により、電池セル30の幅の大きさも厳しく制限されており、それにより、電池セル30の容量を増大させる必要がある時、電池セル30の幅を無制限に増大させることができないが、電池セル30の長さを増大させることができる。
【0037】
図4~
図6に示すように、本出願の実施例の電池セルは、ケース31と、ケース31内に設置された電極アセンブリ32とを含む。本出願の実施例のケース31は、四角形構造又は他の形状である。ケース31は、電極アセンブリ32と電解液を収容する内部空間と、内部空間と連通する開口とを有する。ケース31は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はプラスチックなどの材料で製造されてもよい。電極アセンブリ32は、充放電機能を実現するための電池セル30のコア部材である。
【0038】
本出願の実施例の電極アセンブリは、第1の極板、第2の極板及び第1の極板と第2の極板との間に位置するセパレータと共に積層又は巻回することにより形成されてもよく、ここで、セパレータは、第1の極板と第2の極板との間にある絶縁体である。本実施例では、例示的に第1の極板を正極板、第2の極板を負極板として説明を行う。正極板と負極板は、いずれも塗布領域と未塗布領域を含み、正極板活物質は、正極板の塗布領域に塗布されるが、負極板活物質は、負極板の塗布領域に塗布される。塗布領域では、活物質は、薄板金属箔によって形成された集電体上に塗布されるが、未塗布領域では、活物質が塗布されない。電極アセンブリ32は、二つのタブ、即ち、正タブと負タブをさらに含む。正極板の塗布領域と負極板の塗布領域は、本体部を形成する。正極板の未塗布領域は、積層されて正タブを形成するが、負極板の未塗布領域は、積層されて負タブを形成する。いくつかの実施例では、本体部は、高さ方向に沿って対向して設置された二つの端面を有し、正タブと負タブは、本体部の一つの端面からそれぞれ延出してもよい。
【0039】
本出願の実施例の電池セル30は、カバーアセンブリ33をさらに含む。カバーアセンブリ33は、ケース31に接続され、且つケース31の開口を閉じる。例示的に、カバーアセンブリ33は、ケース31に溶接接続されてもよい。
【0040】
図4~
図9に示すように、本出願の実施例によるカバーアセンブリ33は、カバープレート331、固定部材332、通気膜333及び支持部材334を含み、カバープレート331は、第1の貫通孔337を有する。固定部材332は、カバープレート331に接続されるためのものであり、固定部材332は、第1の貫通孔337とガス連通するように構成される第2の貫通孔338を有する。通気膜333は、固定部材332に接続され、通気膜333は、第2の貫通孔338を覆うためのものである。支持部材334は、第2の貫通孔338に充填され、且つ固定部材332に接続され、支持部材334は、通気膜333を支持し且つ通気膜333を経るガスを通過させるためのものである。
【0041】
電極アセンブリ32が充放電中にガス(例えば、CO、CO2、CH4、C2H6、H2などのガス)を生成するため、ガスが蓄積するにつれて、ケース31の内部の内圧が継続的に増加し、電池の変形及び電極アセンブリ32の性能の低下のリスクを引き起こしやすい。第1の例示的な実施例による電池セル30において、第2の貫通孔338が第1の貫通孔337とガス連通し、且つ通気膜333が通気機能を有するため、生成されたガスは、第1の貫通孔337、通気膜333及び第2の貫通孔338を経て電池セル30の外部に排出でき、それにより、ガスがケース31の内部に蓄積することを回避し、電極アセンブリ32の性能を改善し、電池セル30の寿命を延長する。
【0042】
支持部材334の設置により、通気膜333に支持を提供し、電池セル30の内圧が大きい場合でも通気膜333が依然としてその完全性を維持することを保証し、通気膜333の破裂の発生を回避し、電池セル30の寿命期間にわたる通気膜333の通気性を確保することができ、さらに電池セル30の安全性能を保証することができる。
【0043】
任意選択的に、カバーアセンブリ33は、電極端子335をさらに含み、電極端子335は、カバープレート331に設置され、電極端子335は、カバープレート331の外部に延出し、且つそれぞれ正極板と負極板に電気的に接続され、電極端子335の形状は、円形であってもよく、四角形であってもよく、ここではそれを限定しない。二つ以上の電池セル30は、それぞれの電極端子335によって直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。
【0044】
任意選択的に、カバープレート331は、金属薄板として形成され、電解質溶液を注入するための注入孔と前記注入孔をシールするためのシール栓が設けられる。カバープレート331には貫通した端子孔がさらに設けられ、電極端子335は、カバープレート331の一方側に設置され、且つ端子孔を覆う。電極端子335は、円筒状に形成され、且つその外周を取り囲む接続部材によってカバープレート331上に固定される。
【0045】
任意選択的に、カバーアセンブリ33は、ケース31の内圧が設定値に達した時に破裂するように構成される防爆板336をさらに含む。
【0046】
任意選択的に、カバープレート331には貫通した排気孔が設けられ、防爆板336は、カバープレート331に固定され、且つ排気孔を覆う。防爆板336は、脆弱領域を有する。電極アセンブリ32が過度に充電、短絡などの原因により大量のガスを生成した時、電池セル30の内圧が増大し、且つ前記脆弱領域で防爆板336を突破し、ガスが排気孔を介して電池セル30の外部に排出され、それにより、電池セル30の爆発リスクを低減する。
【0047】
図7~
図9に示すように、任意選択的に、本出願の上記各実施例によるカバーアセンブリ33において、そのカバープレート331の第1の貫通孔337は、カバープレート331の両側の空間を連通させる。一実施例では、第1の貫通孔337は、カバープレート331の厚さ方向に沿ってカバープレート331を貫通し、つまり、第1の貫通孔337の軸線は、カバープレート331の厚さ方向に平行である。
【0048】
いくつかの実施例では、固定部材332は、カバープレート331に接続される。任意選択的に、固定部材332は、溶接方式によってカバープレート331に固定接続される。
【0049】
任意選択的に、固定部材332の第2の貫通孔338は、カバープレート331の厚さ方向に沿って固定部材332を貫通し、つまり、第2の貫通孔338の軸線もカバープレート331の厚さ方向に平行である。第1の貫通孔337内のガスは、第2の貫通孔338に自由に流入することができ、無論、第2の貫通孔338内のガスも第1の貫通孔337に自由に流入することができる。
【0050】
いくつかの任意選択的な実施例では、固定部材332は、第2の貫通孔338を有する金属リングであり、構造が簡単であり、カバープレート331との接続及び通気膜333の取り付けに役立つ。
【0051】
いくつかの任意選択的な実施例では、通気膜333は、通気特性を有するポリマー材料(例えば、PP、PE及びPUのうちの一つ又は二つ以上の組み合わせ)で製造され、且つ液体を遮断することができる。通気膜333と固定部材332が一体に接続され、且つ第1の貫通孔337を塞ぐため、通気膜333と固定部材332は、電解質溶液を遮断し、電解質溶液の漏れを回避することができる。
【0052】
任意選択的に、通気膜333と固定部材332は、化学結合(イオン結合又は共有結合)によって接続される。具体的には、まず、通気膜333と固定部材332に対して表面処理を行って、通気膜333の表面と固定部材332の表面に官能基を形成し、次に、熱複合によって通気膜333と固定部材332を接続する。通気膜333と固定部材332の接合面において、通気膜333の官能基と固定部材332の官能基は、化学結合によって接続される。
【0053】
通気膜333が化学結合によって固定部材332に直接接続されることにより、通気膜333と固定部材332との接続強度を効果的に高め、通気膜333がガスの衝撃下で固定部材332から脱離するリスクを低減し、電池セル30のシール性を向上させることができる。
【0054】
任意選択的に、通気膜333は、少なくとも一部が固定部材332とカバープレート331との間に挟み込まれる。固定部材332とカバープレート331は、通気膜333をクランプしてもよく、それにより、通気膜333の脱落のリスクをさらに低減する。
【0055】
任意選択的に、
図9に示すように、第1の貫通孔337は、収容段337a及び収容段337aから伸びる延長段337bを含み、収容段337aの孔径は、延長段337bの孔径よりも大きい。収容段337aと延長段337bは同軸の孔である。延長段337bは、収容段337aの電極アセンブリ32に近い側に位置する。固定部材332は、少なくとも一部が収容段337a内に収容され、それにより、固定部材332の占有空間を減らし、電池セル30の全体的な高さを低下させる。
【0056】
収容段337aは、延長段337bを取り囲む底壁337cを有し、固定部材332は、底壁337cの一方側に位置する。異なる孔径の収容段337aと延長段337bは、段差面(即ち、底壁337c)を形成し、段差面は、固定部材332を支持でき、固定部材332とカバープレート331を溶接する時の固定部材332の位置決めに役立つ。収容段337aは、固定部材332を取り囲む側壁をさらに有し、底壁337cと側壁は、収容段337aを取り囲む。
【0057】
通気膜333は、第2の貫通孔338と延長段337bを隔絶するように、少なくとも一部が固定部材332と底壁337cとの間に挟み込まれ、支持部材334は、通気膜333の延長段337bから離反した側に設置される。通気膜333は、全体的に延長段337bの外側に位置し、且つその外周の環状縁部は、固定部材332と底壁337cとの間に挟み込まれる。それにより、シール性を向上させ、電解質溶液が底壁337cと通気膜333との間から流出することを回避し、縁部は圧縮状態にある。
【0058】
任意選択的に、固定部材332は、第2の貫通孔338を取り囲んで設置された凹溝339を有し、通気膜333は、少なくとも一部が凹溝339内に収容される。凹溝339を設置することにより、通気膜333の占有空間を減らし、固定部材332と通気膜333の全体的な厚さを減少させることができる。通気膜333の厚さは、凹溝339の深さよりわずかに大きくてもよく、固定部材332とカバープレート331を組み立てる時、固定部材332が底壁337cに貼り合わせられ、通気膜333が圧縮され、それにより、シール性を向上させる。
【0059】
任意選択的に、固定部材332は、カバープレート331に溶接される。具体的には、溶接は、側壁と固定部材332の外縁との境界に沿って行われる。
【0060】
一つの任意選択的な実施形態として、本出願の実施例によるカバーアセンブリ33において、支持部材334は、疎水性と通気性のある材料を含み、支持部材334は、疎水性と通気性のある材料を採用し、通気膜333に対する支持要件を満たす上で、通気膜333を経るガスが支持部材334を順調に通過できることを保証できるとともに、通気膜333の通気効果を保証でき、且つ水蒸気などを遮断して、水蒸気が電池セル30の内部に入って電池セル30に影響を与えることを回避でき、且つ電池セル30の内部の電解液の漏れを回避できる。
【0061】
任意選択的に、支持部材334は、第2の貫通孔338に充填され、且つ固定部材332と化学結合(イオン結合又は共有結合)によって接続される。例示的に、まず、支持部材334と固定部材332に対して表面処理を行って、支持部材334の表面と固定部材332の表面に官能基を形成し、次に、熱複合によって支持部材334と固定部材332を接続する。支持部材334と固定部材332の接合面において、支持部材334の官能基と固定部材332の官能基は、化学結合によって接続される。無論、いくつかの実施例では、支持部材334と固定部材332との接続強度要件を満たす限り、支持部材334と固定部材332は、金属結合によって接続されてもよく、機械的に締まりばめされてもよく、又は接着嵌合されてもよい。
【0062】
図10に示すように、一つの任意選択的な実施形態として、通気膜333から離れた方向に沿って、第2の貫通孔338の孔径は変化しなくてもよく、それにより、第2の貫通孔338の成形及び支持部材334の設置を容易にし、通気膜333に対する支持要件を保証する。
【0063】
図11~
図13に示すように、いくつかの実施例では、通気膜333から離れた方向に沿って、少なくとも一部の長さの第2の貫通孔338の孔径は、減少する傾向にある。カバーアセンブリ33が電池セル30に用いられる場合、その通気膜333の一方側は、電池アセンブリに向けられ、且つ電池セル30の内部のガスと直接接触する。通気膜333から離れた方向に沿って、少なくとも一部の長さの第2の貫通孔338の孔径が減少する傾向にあるようにすることにより、通気膜333が電池セル30の内圧の作用で外向きに予変形する時、第2の貫通孔338を取り囲む孔壁は、孔径の減少した位置で通気膜333に一定の支持を提供し、その変形を低減又は回避し、通気膜333の通気効果及び安全性能を保証する。
【0064】
例示的に、
図11に示すように、通気膜333から離れた方向に沿って、第2の貫通孔338の孔径は、次第に減少してもよく、第2の貫通孔338は、テーパ孔の形式であってもよく、支持部材334は、第2の貫通孔338に充填され、且つ固定部材332に接続される。
【0065】
いくつかの例では、
図12に示すように、通気膜333から離れた方向に沿って、第2の貫通孔338の孔径は、段階的に減少してもよく、第2の貫通孔338は、階段孔の形式であってもよく、支持部材334は、第2の貫通孔338に充填され、且つ固定部材332に接続される。
【0066】
無論、いくつかの他の例では、
図13に示すように、通気膜333から離れた方向に沿って、第2の貫通孔338の孔径が減少してから、増大するようにしてもよく、それにより、同様に通気膜333の通気効果及び安全性能要件を満たすことができる。
【0067】
いくつかの任意選択的な実施例では、支持部材334の融点は、通気膜333の融点よりも大きい。電池セル30の温度が通気膜333の融点に達すると、通気膜333が変形して流動するが、支持部材334の融点が通気膜333の融点よりも大きいため、この時、支持部材334の材料は、その融点に達しておらず、通気膜333材料に対する骨格支持作用を果たし、通気膜333の流動及び変形を減らすことができる。
【0068】
一つの任意選択的な実施形態として、本出願の実施例によるカバーアセンブリ33において、支持部材334の融点と通気膜333の融点との差値は、10℃以上である。上記設置により、通気膜333が変形して流動する時に支持部材334が変形することを効果的に回避し、通気膜333に対する支持作用を保証することができる。
【0069】
いくつかの任意選択的な実施例では、支持部材334と固定部材332の接続箇所でのせん断強度は、0.3MPa以上である。上記設置により、電池セル30の内圧が増大する時、支持部材334の形状の安定性及び支持部材334と固定部材332との接続強度の安定性を保証し、通気膜333に対する支持効果を確保し、通気膜333の変形又は破裂さえも回避し、通気膜333の通気効果を保証することができる。
【0070】
一つの任意選択的な実施形態として、本出願の実施例によるカバーアセンブリ33において、その支持部材334の通気量は、通気膜333の通気量よりも大きい。通気膜333が電池全体の通気効果を制御する材料であるため、通気膜333を通過するガスは、支持部材334から電池セル30の外部に順調に排出できる必要がある。支持部材334の通気量を通気膜333の通気量よりも大きくすることにより、電池セル30の内部の通気膜333を経るガスは、支持部材334から順調に排出でき、それにより、電池セル30の安全性能を保証する。
【0071】
いくつかの任意選択的な実施例では、第1の貫通孔337の径方向において、通気膜333の最大サイズと支持部材334の最大サイズとの差値は、8mm以上であり、且つ第1の貫通孔337の軸方向において、通気膜333の幾何学的中心の正投影は、支持部材334の幾何学的中心の正投影と重なり合う。上記設置により、通気膜333の周囲と支持部材334との結合面積を保証することができるとともに、通気膜333と支持部材334との複合強度及びシール性を保証することができる。
【0072】
図14に示すように、別の態様によれば、本出願の実施例は、
図4~
図13に示す実施例の電池セルを製造するために用いられてもよい電池セル30の製造方法をさらに提供する。方法は、以下のステップを含む。
【0073】
S100、開口を有するケース31を提供する。
【0074】
S200、電極アセンブリ32を提供し、電極アセンブリ32をケース31内に入れる。
【0075】
S300、カバーアセンブリ33を提供し、カバーアセンブリ33は、カバープレート331、固定部材332、通気膜333及び支持部材334を含み、カバープレート331は、第1の貫通孔337を有し、固定部材332は、カバープレート331に接続されるためのものであり、固定部材332は、第1の貫通孔337とガス連通するように構成される第2の貫通孔338を有し、通気膜333は、固定部材332に接続され、通気膜333は、第2の貫通孔338を覆うためのものであり、支持部材334は、第2の貫通孔338に充填され、且つ固定部材332に接続され、支持部材334は、通気膜333を支持するためのものである。ケース31内のガスが通気膜333を経て固定部材332を通過するように、カバーアセンブリ33をケース31の開口に設置し、且つカバープレート331によってケース31に接続する。
【0076】
本出願の実施例による電池セル30の製造方法で製造された電池セル30において、その内部で生成されたガスは、通気膜333を経て電池セル30の外部に排出でき、それにより、ガスがケース31の内部に蓄積することを回避し、電極アセンブリ32の性能を改善し、電池セル30の寿命を延長する。支持部材334の設置により、通気膜333に支持を提供し、電池セル30の内圧が大きい場合でも通気膜333が依然としてその完全性を維持することを保証し、通気膜333の破裂の発生を回避し、電池セル30の寿命期間にわたる通気膜333の通気性を確保することができ、さらに電池セル30の安全性能を保証することができる。
【0077】
図15に示すように、さらなる態様によれば、本出願の実施例は、
図4~
図13に示す実施例の電池セルを製造するために用いられてもよい電池セル30の製造機器100をさらに提供する。機器100は、第1の組立装置101、第2の組立装置102及び第3の組立装置103を含む。第1の組立装置101は、開口を有するケース31を提供するように構成される。第2の組立装置102は、電極アセンブリ32を提供し、電極アセンブリ32をケース31内に入れるように構成される。第3の組立装置103は、カバーアセンブリ33を提供し、カバーアセンブリ33は、カバープレート331、固定部材332、通気膜333及び支持部材334を含み、カバープレート331は、第1の貫通孔337を有し、固定部材332は、カバープレート331に接続されるためのものであり、固定部材332は、第1の貫通孔337とガス連通するように構成される第2の貫通孔338を有し、通気膜333は、固定部材332に接続され、通気膜333は、第2の貫通孔338を覆うためのものであり、支持部材334は、第2の貫通孔338に充填され、且つ固定部材332に接続され、支持部材334は、通気膜333を支持するためのものであり、そして、ケース31内のガスが通気膜333を経て固定部材332を通過するように、カバーアセンブリ33を開口に設置し、且つカバープレート331によってケース31に接続するように構成される。
【0078】
本出願の実施例による電池セル30の製造機器は、上記各実施例による電池セル30を製造するために用いられてもよく、且つ製造された電池セル30の内部で生成されたガスは、通気膜333を経て電池セル30の外部に排出でき、それにより、ガスがケース31の内部に蓄積することを回避し、電極アセンブリ32の性能を改善し、電池セル30の寿命を延長する。支持部材334の設置により、通気膜333に支持を提供し、電池セル30の内圧が大きい場合でも通気膜333が依然としてその完全性を維持することを保証し、通気膜333の破裂の発生を回避し、電池セル30の寿命期間にわたる通気膜333の通気性を確保することができ、さらに電池セル30の安全性能を保証することができる。
【0079】
好ましい実施例を参照しながら、本出願について説明したが、本出願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行うことができ、且つそのうちの部品を等価物で置換することができる。特に、各実施例で言及された各技術的特徴は、構造の矛盾が生じない限り、任意に組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術的解決手段を含むものである。
【符号の説明】
【0080】
1-車両、1a-モータ、1b-コントローラ、10-電池、11-第1のハウジング、12-第2のハウジング、20-電池モジュール、30-電池セル、31-ケース、32-電極アセンブリ、33-カバーアセンブリ、331-カバープレート、332-固定部材、333-通気膜、334-支持部材、335-電極端子、336-防爆板、337-第1の貫通孔、337a-収容段、337b-延長段、337c-底壁、338-第2の貫通孔、339-凹溝、100-機器、101-第1の組立装置、102-第2の組立装置、103-第3の組立装置。
【国際調査報告】