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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】脳送達のための合成脂質様材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 323/12 20060101AFI20230606BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230606BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230606BHJP
   C07D 209/14 20060101ALI20230606BHJP
   C07F 5/02 20060101ALI20230606BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20230606BHJP
   C07H 17/08 20060101ALN20230606BHJP
   C07H 15/252 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
C07C323/12
A61K9/14 ZNM
A61K47/22
A61K31/7088
A61K48/00
A61K31/7048
A61K31/704
A61K47/54
A61K38/02
A61P31/04
A61P35/00
A61P25/00
A61K47/20
A61K47/18
C07D209/14
C07F5/02 C
B82Y5/00
C07H17/08 K CSP
C07H15/252
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567136
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 US2021030664
(87)【国際公開番号】W WO2021226092
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/019,530
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319009901
【氏名又は名称】トラスティーズ オブ タフツ カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】シュィ,チアオビン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C084
4C086
4H006
4H048
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057BB05
4C057CC04
4C057DD01
4C057JJ50
4C057KK24
4C076AA30
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC27
4C076CC31
4C076DD49
4C076DD49N
4C076DD55
4C076DD55N
4C076DD60
4C076DD60N
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084MA05
4C084MA43
4C084NA13
4C084ZA01
4C084ZB26
4C084ZB35
4C086AA01
4C086AA02
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA43
4C086NA13
4C086ZA01
4C086ZB26
4C086ZB35
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006TB73
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB20
4H048VA20
4H048VA30
4H048VA32
4H048VA40
4H048VA75
4H048VB10
(57)【要約】
(i)式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩;および(ii)式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含むリピドイドナノ粒子;ならびに血液脳関門を通過する医薬送達のためのビヒクルとしてのそれらの使用を開示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
[式中、
Yは神経伝達物質に由来する部分であり;
Wは、-NR20-、-O-、または-S-であり;
脂質は、独立して、置換もしくは非置換のC1-20アルキル、置換もしくは非置換のC1-20アルケニル、置換もしくは非置換のC1-20アルキニル、置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルケニル、または置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルキニルであり;
20は、R脂質、H、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、またはC1-6アルキニルである]。
【請求項2】
Yは
【化2】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yは
【化3】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Wは、-NR20-または-S-である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Wは-NR20-である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Wは-S-である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
Wは-NR20-であり、R20はR脂質である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Yは
【化4】
であり、
Wは-NR20-であり、
20はR脂質である
請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
脂質は、下記構造:
【化5】
[式中、
およびRの各例は、独立して、-H、-OH、-NHR30、または-SHであり;
およびRは共に-Hである;または、RおよびRは一緒にオキソ(=O)基を形成し;
Zは、-CH-、-O-、-NR30-、または-S-であり;
XおよびYは、独立して、-CH-、-NR30-、-O-、-S-、または-Se-であり;
mは1~3から選択される整数であり;
nは1~14から選択される整数であり;
pは0または1であり;
qは1~10から選択される整数であり;
tは0または1であり;
30は、-H、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、またはC1-6アルキニルである]
のものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
およびRの各例は、独立して、-Hまたは-OHである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
およびRは-Hである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
は-Hであり;Rは-OHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
およびRは-Hである、請求項9~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
およびRは一緒にオキソ(=O)基を形成する、請求項9~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Zは、-CH-、-O-、または-NR30-である、請求項9~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Zは-CH-である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Zは-O-である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
Zは-NR30-である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
およびRは-Hであり、RおよびRは一緒にオキソ(=O)基を形成し、ZはOである、請求項9に記載の化合物。
【請求項20】
は-Hであり、Rは-OHであり、RおよびRは-Hであり、Zは-CH-である、請求項9に記載の化合物。
【請求項21】
XおよびYは、独立して、-CH-または-O-である、請求項9~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
XおよびYは、独立して、-CH-または-O-であり、XとYは同じではない、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
XおよびYは、独立して、-CH-または-S-である、請求項9~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
XおよびYは両方とも-CH-である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
XおよびYは両方とも-S-である、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
mは1または2である、請求項9~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
mは1である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
mは2である、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
nは4~12から選択される整数である、請求項9~28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
nは6~10から選択される整数である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
pは0である、請求項9~30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
pは1である、請求項9~30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
qは2~8から選択される整数である、請求項9~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
qは4~8から選択される整数である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
tは0である、請求項9~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
tは1である、請求項9~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
またはそれらの薬学的に許容されるその塩からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物を含む、リピドイドナノ粒子。
【請求項39】
タンパク質をさらに含む、請求項38に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項40】
前記タンパク質はGFP-Creである、請求項39に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項41】
核酸をさらに含む、請求項38~40のいずれか一項に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項42】
前記核酸はタウ-ASOである、請求項41に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項43】
小分子をさらに含む、請求項38~42のいずれか一項に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項44】
前記小分子は抗真菌剤または化学療法剤である、請求項43に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項45】
前記小分子は、ボルテゾミブ、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ダコミチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、シタラビン、フルオロウラシル、イリノテカン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、メトトレキサート、パクリタキセル、ビンクリスチン硫酸塩、エピルビシン、ドセタキセル、シクロホスファミド、カルボプラチン、レナリドミド、イブルチニブ、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、ペメトレキセド、パルボシクリブ、ニロチニブ、エベロリムス、ルキソリチニブ、エピルビシン、ピラルビシン、イダルビシン、バルルビシン、アムルビシン、ブレオマイシン、フレオマイシン、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、ストレプトゾテシン、ペントスタチン、マイトサン マイトマイシンC、エンジイン カリケアマイシン、グリコシド レベッカマイシン、マクロライドラクトン エポチフィロン、イクサベピロン、ペントスタチン、サリノスポラミドA、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ビノレルビン、ドセタキセル、カンプトテシン、ハイカムチン、ペデリン、テオペデリン、アンナミド(annamide)、トラベクテジン、アプリジン、およびエクテイナシジン743(ET743)からなる群より選択される、請求項43に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項46】
前記小分子は、アムホテリシンBまたはドキソルビシンである、請求項43に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項47】
約25nm~約1000nmの粒径を有する、請求項38~46のいずれか一項に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項48】
約50nm~約500nmの粒径を有する、請求項47に記載のリピドイドナノ粒子。
【請求項49】
請求項38~48のいずれか一項に記載のリピドイドナノ粒子、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年5月4日に出願された米国仮出願第63/019,530号に対する優先権の利益を主張する;その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【政府支援】
【0002】
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられた許可番号TR002636およびEB027170の下で政府の支援により行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
神経変性障害、脳腫瘍、脳感染および脳卒中などの中枢神経系(CNS)疾患の処置は、血液脳関門(BBB)がほとんどの小分子薬物および高分子(例えば、ペプチド、遺伝子薬物、およびタンパク質薬物)の脳内への輸送を妨げるため、血液脳関門によって厳しく制約される。これまで、脳送達効率を高めるために、直接CNS投与、BBBの破壊、およびキャリアビヒクル媒介送達を含む広範な努力がなされてきた。しかしながら、CNSへの直接投与は侵襲的であり、感染および組織損傷を引き起こす可能性があり、また拡散距離および数時間以内のCNSからの薬物の急速な流出によっても制限される。浸透圧破壊、生化学的破壊、および超音波媒介破壊などの技術を用いたBBBの破壊は、薬物を脳に導入するのに有効であるが、これら一過性のBBB開口は脳への血漿タンパク質の漏出も可能にし、脳における神経毒性、血管病変、および慢性神経病理学的変化をもたらす。したがって、特に遺伝子および核酸療法のための、BBB不透過性カーゴのCNSへの安全かつ効率的な送達のためのアプローチが依然として望まれている。
【0004】
キャリアビヒクル媒介脳薬物送達は、有望で多用途の脳送達システムと考えられている。例えば、ウイルスベクター、エキソソーム、分子トロイの木馬および様々なナノ粒子製剤などの、様々なキャリアビヒクルが脳送達を増強するために開発されている。ウイルスベクターは脳への遺伝子送達に有効であるが、製造コストおよび安全性の懸念などの制限を有する。エキソソームは、その非免疫原性により、小分子、タンパク質および核酸を脳に送達するために利用されている;しかしながら、単離方法、カーゴ搭載手順、in vivoでの毒性および薬物動態において多くの課題が依然として存在する。受容体特異的モノクローナル抗体またはペプチドに依存して遺伝的に融合されたカーゴを脳に運ぶ分子トロイの木馬のアプローチは、BBBを横切る生物学的物質の送達において有望である。しかしながら、その製造プロセスは、異なる生物学的カーゴのそれぞれに対して特異的に適合させる必要があり、その安定性、安全性、および免疫原性は臨床開発にとって難題である。リポソーム、カチオン性ポリマー、無機ナノ粒子およびナノカプセルなどの様々なナノ粒子を用いてBBBを通過させることは、様々なカーゴのCNSへの送達において有望であることが示されているが、製造される粒子がBBB透過性であることを確実にするために、複雑な修飾が常に必要とされる。
【0005】
神経伝達物質は、神経伝達を可能にする内因性化学物質である。特に、いくつかの神経伝達物質がBBBを通過することが実証されている。例えば、ジメチルトリプタミンおよび他のトリプタミン誘導体は、内皮細胞膜を横切る能動輸送によってBBBを通過することが示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、神経伝達物質由来の合成脂質を使用して、カーゴを脳に送達するための単純かつ効果的なアプローチが開示される。このアプローチは非常に堅牢であり、すべて同じ単純なナノ粒子設計を使用して、異なるクラスのカーゴ(小分子、核酸、およびタンパク質など)を首尾よく送達するために使用することができる。
【0007】
一態様では、下記式の化合物またはその薬学的に許容される塩が開示される:
【化1】
[式中、
Yは神経伝達物質に由来する部分であり;
Wは、-NR20-、-O-、または-S-であり;
脂質は、独立して、置換もしくは非置換のC1-20アルキル、置換もしくは非置換のC1-20アルケニル、置換もしくは非置換のC1-20アルキニル、置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルケニル、または置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルキニルであり;
20は、R脂質、H、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、またはC1-6アルキニルである]。
【0008】
特定の態様では、本明細書に記載の化合物を含むリピドイドナノ粒子が開示される。
【0009】
特定の態様では、本明細書に記載のリピドイドナノ粒子、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】脳へのカーゴ送達のためのNT-リピドイドドープLNPの製剤化の概略図である。
図1B】リピドイド合成に使用される神経伝達物質の合成経路、脂質命名法、および化学構造の概略図である。
図1C】1mg/kgのDiR標識NT-LNPの1回静脈内注射の1時間後の解剖脳の代表的なex vivo蛍光画像である。DiRを10%の重量比でNT-LNPにドープした。切開前にマウスを生理食塩水で灌流した。
図2A】PBA-Q76-O16B、NT1-O12Bの化学構造、およびドープされたNT1-リピドイドAmB製剤の概略図である。
図2B】異なる量のPBA-Q76-O16BでドープされたNT1-O12B(重量比を使用する)中のAmB製剤の写真である。純粋なNT1-O12B/AmB封入体は不透明な懸濁液として見えたが、封入体の外観は、PBA-Q76-O16Bリピドイドのドーピング比が増加するにつれて半透明溶液から均質な透明黄色溶液に変化した。
図2C】DLS測定によって決定された異なるNT-LNP/AmB製剤の流体力学的直径および多分散指数を示すグラフである。
図2D】1mg/kgのDiR搭載NT1-O12B/PBA-Q76-O16B LNPの1回の静脈内注射の1時間後のマウスの解剖脳の代表的な蛍光画像である。LNP中のDiRの重量比は10%である。
図2E】HPLCを用いて測定した様々なのNT1-O12B/PBA-Q76-O16B LNP製剤中の5mg/kgのAmBの静脈内注射の24時間後の脳組織におけるAmB濃度を示すグラフである(n=4/群)。マウスを生理食塩水で灌流した後に切開した。一元配置分散分析(one-way ANOVA)、Sidak事後解析(post hoc analysis)、p<0.05、**p<0.001または***p<0.0001。グラフデータは、個々の点を重ねた箱ひげ図として表され、エラーバーは最大値および最小値を表し、ボックス内の線は中央値を表す。
図3A】306-O12B-3、NT1-O14Bの化学構造、および脳送達のためのドープされたNT-リピドイドタウ-ASO製剤の概略図を示す。
図3B】ASO/NT-LNP複合体を用いてまたは用いずに処理したHEK-GFP細胞のGFPサイレンシング効率を示すグラフである。NT1-O14B LNPは単独ではサイレンシング効力を示さなかったが、NT1-リピドイドを306-O12B-3 LNPにドープすると、in vitroでの遺伝子サイレンシングの成功をもたらした。p<0.01 同じ群の他の全ての試料に対して。
図3C】異なる比率の306-O12B-3でドープされたNT1-O14B、生理食塩水、またはスクランブルタウ-ASO-LNPを用いて製剤化されたタウ-ASO(Tau-ASO)を、尾静脈を介してC57BL/6Jマウス(n=6匹/群)に静脈内注射し、脳を総タウmRNAレベルについて分析したことを示すグラフである。グラフデータは、個々の点を重ねた箱ひげ図として表され、エラーバーは最大値および最小値を表し、ボックス内の線は中央値を表し、p<0.05または**p<0.001である。
図3D】NT1-O14B/306-O12B-3=3:7群の総タウタンパク質レベルを、生理食塩水またはスクランブルタウ-ASOのものと比較して示すグラフである。**p<0.001、一元配置分散分析(One-way ANOVA)、Sidak事後解析
図4A】脳へのGFP-Creタンパク質の送達のためのNT1-O14BおよびPBA-Q76-O16Bを使用する混合LNP製剤の概略図である。
図4B】異なるLNP製剤中の(-27)GFP-Creで処置したAil4マウスの脳切片の蛍光画像である。Ai14マウスに、NT1-O14B/PBA-Q76-O16B=3:7、10:0または0:10のLNPと複合体形成した(-27)GFP-Creを静脈内注射した。3週間後、NT1-O14B/PBA-Q76-O16B=3:7の群は、大脳皮質、海馬および小脳におけるCre媒介組換えを示すtdTomato発現を示した。スケールバー:100μm。
図5】NT1-LNPのTEM画像および流体力学的サイズ、多分散指数、ゼータ電位の表である。
図6】1mg/kgのDiR標識NT-LNPの1回の静脈内注射の1時間後の解剖脳組織の相対蛍光強度をまとめたグラフである。DiRを10%の重量比でNT-LNPにドープした。切開前にマウスを生理食塩水で灌流した。一元配置分散分析(One-way ANOVA)、Sidak事後解析、p<0.05または**p<0.01。
図7-1】1mg/kgのDiR標識LNPまたはNT1-O12BドープNT LNP(比3:7、w/w)の1回の静脈内注射の1時間後の解剖脳の代表的なex vivo蛍光画像、ならびに76-O16B、EC16-80、および113-O16Bの化学構造を示す。DiRを10%重量比でNT-LNPにドープした。切開前にマウスを生理食塩水で灌流した。
図7-2】図7-1の続きである。
図7-3】図7-2の続きである。
図8-1】NT-リピドイドおよびジメチルトリプタミンの化学構造、ならびに1mg/kgのDiR標識NT-LNPの1回の静脈内注射の1時間後の解剖脳の代表的なex vivo蛍光画像を示す。DiRを10%の重量比でNT-LNPにドープした。切開前にマウスを生理食塩水で灌流した。
図8-2】図8-1の続きである。
図8-3】図8-2の続きである。
図9】HPLCを用いて測定した、様々なNT1誘導体中の5mg/kgのAmBの静脈内注射の24時間後の脳組織におけるAmB濃度を示すグラフである。切開前にマウスを生理食塩水で灌流した。
図10A】異なるテール長を有するNT1-リピドイド(018B、O16B、O14B、O12B)中のAmB製剤の写真である。4つのNT1/AmB封入体は全て不透明な懸濁液を示した。
図10B】DLS測定によって決定されたNT-LNPの流体力学的直径および多分散性指数を示すグラフである。
図11】NT1-O12B/PBA-Q76O16B-3/7-AmB複合体のTEM画像、ならびにAmB/NT-LNP複合体の流体力学的サイズ、多分散指数、ゼータ電位、およびDLCをまとめた表である。
図12】1mg/kgのDiRを搭載したNT1-O12B/PBA-Q76-O16B LNPを1回静脈内注射した1時間後の解剖脳組織の相対蛍光強度をまとめたグラフである。LNP中のDiRの重量比は10%である。**p<0.001。一元配置分散分析(one-way ANOVA)、Sidak事後解析。
図13】HPLCによる415nmでの0.005~0.5μg/mL(低濃度)または0.007~3.0μg/mL(高濃度)の範囲のメタノールに溶解したAmB濃度の検量線である。
図14】HPLCによる5mgAmB/kgの単回用量でのNT1-O12B/PBA-Q76O16-LNP(比:3/7)-AmB複合体での静脈内処置の24時間後の脳組織におけるAmB濃度のmAU-時間グラフである。
図15-1】HPLCによって測定された5mg/kgのAmBの静脈内注射の24時間後の他の器官におけるAmB濃度を示すグラフである。
図15-2】図15-1の続きである。
図15-3】図15-2の続きである。
図16】ブランクおよびASO搭載NT1-O14B/306-O12B-3(比:3/7)ナノ粒子のTEM画像、および水力学的サイズ、多分散指数、ゼータ電位の表である。
図17】ブランクおよび(-27)GFP-Cre搭載NT1-O14B/PBAQ76O16B(比:3/7)ナノ粒子のTEM画像、および流体力学的サイズ、多分散指数、ゼータ電位の表である。
図18A】IEテールの合成を示すスキームである。
図18B】PBA-Q76O16BおよびPBA-Q80O16Bの合成を示すスキームである。
図18C】NT1-Neuの合成を示すスキームである。
図19図19A~19Nは、Ail4マウスの脳切片の蛍光画像である。マウスに、Dlin-MC3/NT1-O14B LNPと複合体形成したCre mRNAを注射した。LNP製剤はスライド1に記載した。
図20図20A~20Bは、Ail4マウスの脳切片の蛍光画像である。PBA-Q76O16B/NT1-O14B LNPと複合体形成したCre mRNAをマウスに注射した。LNP製剤はスライド1に記載した。
図21図21A~21Bは、Ail4マウスの脳切片の蛍光画像である。マウスに、Dlin-MC3/NT1-O14B LNPと複合体形成したCre mRNAを注射した。LNP製剤はスライド1に記載した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一態様では、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を開示する:
【化2】
[式中、
Yは神経伝達物質に由来する部分であり;
Wは、-NR20-、-O-、または-S-であり;
脂質は、独立して、置換もしくは非置換のC1-20アルキル、置換もしくは非置換のC1-20アルケニル、置換もしくは非置換のC1-20アルキニル、置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルケニル、または置換もしくは非置換のC1-20ヘテロアルキニルであり;
20は、R脂質、H、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、またはC1-6アルキニルである]。
【0012】
特定の実施形態において、Yは
【化3】
から選択される。
【0013】
特定の好ましい実施形態では、Yは
【化4】
である。
【0014】
特定の実施形態において、Wは、-NR20-または-S-である。特定の実施形態において、Wは-NR20-である。特定の実施形態において、Wは-S-である。
【0015】
特定の実施形態において、Wは-NR20-であり、R20はR脂質である。
【0016】
特定の実施形態において、Wは-NR20-であり、R20はR脂質であり、Yは
【化5】
である
【0017】
特定の実施形態において、R脂質は、下記構造のものである:
【化6】
[式中、
およびRの各例は、独立して、-H、-OH、-NHR30、または-SHであり;
およびRは共に-Hである;または、RおよびRは一緒にオキソ(=O)基を形成し;
Zは、-CH-、-O-、-NR30-、または-S-であり;
XおよびYは、独立して、-CH-、-NR30-、-O-、-S-、または-Se-であり;
mは1~3から選択される整数であり;
nは1~14から選択される整数であり;
pは0または1であり;
qは1~10から選択される整数であり;
tは0または1であり;
30は、-H、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、またはC1-6アルキニルである]。
【0018】
特定の実施形態において、RおよびRの各例は、独立して、-Hまたは-OHである。特定の実施形態では、RおよびRは-Hである。特定の実施形態において、Rは-Hであり;かつRは-OHである。
【0019】
特定の実施形態において、RおよびRは-Hである。特定の実施形態では、RおよびRは一緒にオキソ(=O)基を形成する。
【0020】
特定の実施形態において、Zは、-CH-、-O-、または-NR30-である。特定の実施形態において、Zは-CH-である。特定の実施形態において、Zは-O-である。特定の実施形態において、Zは-NR30-である。
【0021】
特定の実施形態では、RおよびRは-Hであり、RおよびRは一緒にオキソ(=O)基を形成し、ZはOである。
【0022】
特定の実施形態において、Rは-Hであり、Rは-OHであり、RおよびRは-Hであり、Zは-CH-である。
【0023】
特定の実施形態において、XおよびYは、独立して、-CH-または-O-である。特定の実施形態において、XおよびYは、独立して、-CH-または-O-であり、ここでXとYは同じではない。特定の実施形態において、XおよびYは、独立して、-CH-または-S-である。特定の実施形態において、XおよびYは両方とも-CH-である。特定の実施形態では、XおよびYは両方とも-S-である。
【0024】
特定の実施形態において、mは、1または2である。特定の実施形態において、mは1である。特定の実施形態において、mは2である。
【0025】
特定の実施形態において、nは4~12から選択される整数である。特定の実施形態において、nは6~10から選択される整数である。
【0026】
特定の実施形態において、pは0である。特定の実施形態において、pは1である。
【0027】
特定の実施形態において、qは2~8から選択される整数である。特定の実施形態において、qは4~8から選択される整数である。
【0028】
特定の実施形態において、tは0である。特定の実施形態において、tは1である。
【0029】
特定の実施形態では、化合物は、
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
からなる群より選択されるかまたはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0030】
特定の態様では、本明細書に記載の化合物を含むリピドイドナノ粒子が開示される。
【0031】
特定の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、タンパク質をさらに含む。
【0032】
特定の実施形態では、タンパク質はGFP-Creである。
【0033】
特定の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、核酸をさらに含む。
【0034】
ある特定の実施形態では、核酸は、タウ-ASO(Tau-ASO)である。
【0035】
特定の実施形態では、本明細書に記載のナノ粒子は、小分子をさらに含む。
【0036】
ある態様において、小分子は抗真菌剤または化学療法剤である。
【0037】
特定の実施形態では、小分子は、ボルテゾミブ、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ダコミチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、シタラビン、フルオロウラシル、イリノテカン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、メトトレキサート、パクリタキセル、ビンクリスチン硫酸塩、エピルビシン、ドセタキセル、シクロホスファミド、カルボプラチン、レナリドミド、イブルチニブ、酢酸アビラテロン、エンザルタミド、ペメトレキセド、パルボシクリブ、ニロチニブ、エベロリムス、ルキソリチニブ、エピルビシン、ピラルビシン(pirirubicin)、イダルビシン、バルルビシン、アムルビシン、ブレオマイシン、フレオマイシン、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、ストレプトゾテシン、ペントスタチン、マイトサン類 マイトマイシンC、エンジイン類 カリケアマイシン、グリコシド類 レベッカマイシン、マクロライドラクトン類 エポチフィロン、イクサベピロン、ペントスタチン、サリノスポラミドA、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ビノレルビン、ドセタキセル、カンプトテシン、ハイカムチン、ペデリン、テオペデリン、アンナミド(annamide)、トラベクテジン、アプリジン、およびエクテイナシジン743(ET743)からなる群より選択される。
【0038】
ある特定の実施形態では、小分子は、アムホテリシンBまたはドキソルビシンである。
【0039】
特定の実施形態では、リピドイドナノ粒子は、約25nm~約1000nmの粒径を有する。特定の実施形態では、リピドイドナノ粒子は、約50nm~約500nmの粒径を有する。
【0040】
特定の態様では、本明細書に記載のリピドイドナノ粒子および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物が開示される。
【0041】
定義
本明細書において別段定義されない限り、本出願において使用される科学用語および技術用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。一般的に、本明細書に記載される化学、細胞および組織培養、分子生物学、細胞およびがん生物学、神経生物学、神経化学、ウイルス学、免疫学、微生物学、薬理学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法、ならびにそれらの技術は、当技術分野においてよく知られている通常使用されるものである。
【0042】
本開示の方法および技法は、別段の指示がない限り、通常、当技術分野でよく知られておりかつ本明細書を通して引用および考察される様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されている従来の方法に従って実施される。例えば、“Principles of Neural Science”, McGraw-Hill Medical, New York, N.Y. (2000); Motulsky, “Intuitive Biostatistics”, Oxford University Press, Inc. (1995); Lodish et al., “Molecular Cell Biology, 4th ed.”, W. H. Freeman & Co., New York (2000); Griffiths et al., “Introduction to Genetic Analysis, 7th ed.”, W. H. Freeman & Co., N.Y. (1999);およびGilbert et al., “Developmental Biology, 6th ed.”, Sinauer Associates, Inc., Sunderland, MA (2000)を参照されたい。
【0043】
本明細書で使用される化学用語は、本明細書で他に定義されない限り、“The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms”, Parker S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco, C.A. (1985)によって例示されるような、当技術分野における従来の使用法に従って使用される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「任意選択の」または「任意選択で」という用語は、後で説明される事象または状況が生じても生じなくてもよく、その記載にはその事象または状況が生じる場合ならびに生じない場合が含まれることを意味する。例えば、「任意選択で置換されたアルキル」とは、アルキルが置換されていてよいことを指し、アルキルが置換されていない場合も指す。
【0045】
本発明の化合物上の置換基および置換パターンは、容易に入手可能な出発物質から当該技術分野において公知の技術ならびに以下に記載される方法によって容易に合成することができる化学的に安定な化合物をもたらすように、当業者によって選択され得ることが理解される。置換基がそれ自体1つより多くの基で置換される場合、これら複数の基は、安定した構造が得られる限り、同じ炭素上にあってもまたは異なる炭素上にあってもよいことが理解される。
【0046】
本明細書で使用する場合、「任意選択で置換された」という用語は、所与の構造中の1~6個の水素ラジカルを、次のものを含むがこれらに限定されない特定の置換基のラジカルで置き換えることを指す:ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロゲン、アルキル、ニトロ、シリル、アシル、アシルオキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アミノ、アミノアルキル、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-OCO-CH-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキル)、または-CH-OP(O)(O-アルキル)。好ましくは、「任意選択で置換された」とは、所与の構造中の1~4個の水素ラジカルを上記の置換基で置き換えることを指す。より好ましくは、1~3個の水素ラジカルが、上記の置換基によって置き換えられる。置換基はさらに置換され得ることが理解される。
【0047】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」などの冠詞は、そうでないと示されない限り、または文脈から明らかでない限り、1つまたは複数を意味し得る。群の1つまたは複数のメンバーの間に「または」を含む請求項または記載は、反対の指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、群のメンバーの1つ、1つまたは複数、または全てが所与の製品またはプロセス中に存在するか、それらで使用されるか、またはそれらに別様に関連する場合に満たされると考えられる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが所与の製品またはプロセス中に存在するか、それらで使用されるか、またはそれらに別様に関連している実施形態を含む。本発明は、群のメンバーの1つまたは複数または全てが、所与の製品またはプロセス中に存在するか、それらで使用されるか、またはそれらで別様に関連している実施形態を含む。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、飽和脂肪族基を指し、限定されないが、C~C10直鎖アルキル基またはC~C10分枝鎖アルキル基が含まれる。好ましくは、「アルキル」基は、C~C直鎖アルキル基またはC~C分岐鎖アルキル基を指す。最も好ましくは、「アルキル」基は、C~C直鎖アルキル基またはC~C分岐鎖アルキル基を指す。「アルキル」の例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオペンチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、1-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、1-オクチル、2-オクチル、3-オクチルまたは4-オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「アルキル」基は置換されていてもよい。
【0049】
用語「アシル」は、当該技術分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)-、好ましくはアルキルC(O)-によって表される基を指す。
【0050】
用語「アシルアミノ」は、当該技術分野で認識されており、アシル基で置換されたアミノ基を指し、例えば、式ヒドロカルビルC(O)NH-によって表すことができる。
【0051】
用語「アシルオキシ」は、当該技術分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O-、好ましくはアルキルC(O)O-によって表される基を指す。
【0052】
用語「アルコキシ」は、それに結合した酸素を有するアルキル基を指す。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。
【0053】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基を指し、一般式アルキル-O-アルキルで表すことができる。
【0054】
用語「アルキル」は、飽和脂肪族基を指し、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基が含まれる。好ましい実施形態では、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格に30個以下の炭素原子(例えば、直鎖についてC1-30、分岐鎖についてC3-30)、より好ましくは20個以下の炭素原子を有する。
【0055】
さらに、「アルキル」という用語は、本明細書、実施例、および特許請求の範囲を通して使用される場合、非置換アルキル基と置換アルキル基の両方を含むことが意図され、後者は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素に置き換わる置換基を有するアルキル部分を指し、トリフルオロメチルおよび2,2,2-トリフルオロエチルなどのハロアルキル基が含まれる。
【0056】
「Cx-y」または「C~C」という用語は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学的部分と共に使用される場合、鎖中にx~y個の炭素を含有する基を含むことを意味する。Cアルキルは、基が末端位置にある水素、内部であれば結合を示す。C1-6アルキル基は、例えば、鎖中に1~6個の炭素原子を含む。
【0057】
本明細書で使用される「アルキルアミノ」という用語は、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基を指す。
【0058】
用語「アルキルチオ」は、本明細書で使用される場合、アルキル基で置換されたチオール基を指し、一般式アルキルS-によって表され得る。
【0059】
用語「アミド」は、本明細書で使用される場合、下記の基:
【化8】
を指し、式中、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、またはRおよびR10は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0060】
用語「アミン」および「アミノ」は、当該技術分野で認識されており、非置換アミンおよび置換アミンの両方ならびにそれらの塩を指し、例えば、
【化9】
によって表される部分を指し、式中、R、R10、およびR10’は、それぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表すか、またはRおよびR10は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0061】
用語「アミノアルキル」は、本明細書で使用される場合、アミノ基で置換されたアルキル基を指す。
【0062】
用語「アラルキル」は、本明細書で使用される場合、アリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0063】
本明細書で使用される用語「アリール」は、環の各原子が炭素である置換または非置換の単環芳香族基を含む。好ましくは、環は5~7員環、より好ましくは6員環である。用語「アリール」はまた、2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、2つ以上の炭素は、2つの隣接する環に共通であり、環の少なくとも1つは、芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであり得る。アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
【0064】
用語「カルバメート」は、当該技術分野で認識されており、下記の基:
【化10】
を指し、式中、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表す。
【0065】
用語「カルボシクリルアルキル」は、本明細書で使用される場合、炭素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0066】
用語「炭素環」は、5~7員の単環式環および8~12員の二環式環を含む。二環式炭素環の各環は、飽和、不飽和および芳香族環から選択され得る。炭素環は、2つの環の間で1つ、2つまたは3つ以上の原子が共有される二環式分子を含む。用語「縮合炭素環」は、環の各々が他の環と2つの隣接する原子を共有する二環式炭素環を指す。縮合炭素環の各環は、飽和、不飽和および芳香族環から選択され得る。例示的な実施形態では、芳香族環、例えばフェニルが、飽和もしくは不飽和環、例えばシクロヘキサン、シクロペンタン、またはシクロヘキセンに縮合され得る。飽和、不飽和および芳香族二環式環の任意の組み合わせは、原子価が許す限り、炭素環式の定義に含まれる。例示的な「炭素環」には、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-シクロオクタジエン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタ-3-エン、ナフタレンおよびアダマンタンが含まれる。例示的な縮合炭素環としては、デカリン、ナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インデンおよびビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エンが挙げられる。「炭素環」は、水素原子を有することができる任意の1つまたは複数の位置で置換され得る。
【0067】
用語「カルボシクリルアルキル」は、本明細書で使用される場合、炭素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0068】
用語「カルボネート」は、当該技術分野で認識されており、基-OCO-を指す。
【0069】
用語「カルボキシ」は、本明細書で使用される場合、式-COHによって表される基を指す。
【0070】
用語「エステル」は、本明細書で使用する場合、基-C(O)ORを指し、ここでRはヒドロカルビル基を表す。
【0071】
本明細書で使用される「エーテル」という用語は、酸素を介して別のヒドロカルビル基に結合したヒドロカルビル基を指す。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル-O-であり得る。エーテルは対称であっても非対称であってもよい。エーテルの例としては、複素環-O-複素環およびアリール-O-複素環が挙げられるが、これらに限定されない。エーテルには、一般式アルキル-O-アルキルによって表すことができる「アルコキシアルキル」基が含まれる。
【0072】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0073】
用語「ヘタラルキル」および「ヘテロアラルキル」は、本明細書で使用される場合、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0074】
「ヘテロアリール」および「ヘタリール(hetaryl)」という用語は、その環構造が少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、より好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含む置換または非置換の芳香族単環構造、好ましくは5~7員環、より好ましくは5~6員環を含む。「ヘテロアリール」および「ヘタリール」という用語はまた、2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通しており、環の少なくとも1つはヘテロ芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであり得る。ヘテロアリール基には、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどが含まれる。
【0075】
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄である。
【0076】
用語「ヘテロシクリルアルキル」は、本明細書で使用される場合、複素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0077】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環」および「複素環式」は、その環構造が少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、より好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含む、置換または非置換の非芳香族環構造、好ましくは3~10員環、より好ましくは3~7員環を指す。用語「ヘテロシクリル」および「複素環式」はまた、2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通であり、環の少なくとも1つは複素環式であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基には、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが含まれる。
【0078】
用語「ヒドロカルビル」は、本明細書で使用される場合、=Oまたは=S置換基を有さない炭素原子を介して結合され、典型的には少なくとも1つの炭素-水素結合および主として炭素骨格を有する基を指すが、任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよい。したがって、メチル、エトキシエチル、2-ピリジルなどの基、およびトリフルオロメチルさえも、本出願の目的ではヒドロカルビルであると考えられるが、アセチル(連結炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(炭素ではなく酸素を介して連結される)などの置換基はそうではない。ヒドロカルビル基としては、限定されないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
用語「ヒドロキシアルキル」は、本明細書で使用される場合、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0080】
用語「低級」は、例えば、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシなどの化学的部分と併せて使用される場合、置換基中に10個以下、好ましくは6個以下の原子が存在する基を含むことを意味する。「低級アルキル」は、例えば、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基を指す。特定の実施形態では、本明細書で定義されるアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、それらが単独で現れるかまたはヒドロキシアルキルおよびアラルキル(この場合、例えば、アルキル置換基中の炭素原子を数えるとき、アリール基内の原子は数えない)の記載におけるなど他の置換基と組み合わせて現れるかにかかわらず、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである。
【0081】
用語「ポリシクリル」、「多環」および「多環式」は、2つ以上の原子が2つの隣接する環に共通である2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリル)を指し、例えば、環は「縮合環」である。多環の環のそれぞれは置換されていても置換されていなくてもよい。特定の実施形態では、多環の各環は、環中に3~10個、好ましくは5~7個の原子を含む。
【0082】
用語「サルフェート(硫酸塩)」は、当該技術分野で認識されており、基-OSOHまたはその薬学的に許容される塩を指す。
【0083】
用語「スルホンアミド」は、当該技術分野で認識されており、一般式:
【化11】
により表される基を指し、式中、RおよびR10は、独立して、水素またはヒドロカルビルを表す。
【0084】
用語「スルホキシド」は当該技術分野で認識されており、基-S(O)-を指す。
【0085】
「スルホネート」という用語は、当該技術分野で認識されており、SOH基またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0086】
用語「スルホン」は当該技術分野で認識されており、基-S(O)-を指す。
【0087】
用語「置換された」は、骨格の1つまたは複数の炭素上の水素に置き換わる置換基を有する部分を指す。「置換」または「で置換された」は、そのような置換が、置換された原子および置換基の許容される原子価に従い、さらにはその置換が、例えば、転位、環化、脱離などによる変換を自発的に受けない安定な化合物をもたらすという暗黙の条件を含むことが理解されるであろう。本明細書中で使用される場合、用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが企図される。広い態様において、許容される置換基には、有機化合物の非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が含まれる。許容される置換基は、適切な有機化合物について1つまたは複数であり、同じでも異なっていてもよい。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有し得る。置換基は、本明細書に記載の任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオ酢酸エステル、またはチオギ酸エステルなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含むことができる。炭化水素鎖上で置換された部分は、適切な場合、それら自体が置換されていてよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0088】
用語「チオアルキル」は、本明細書で使用される場合、チオール基で置換されたアルキル基を指す。
【0089】
用語「チオエステル」は、本明細書で使用される場合、基-C(O)SRまたは-SC(O)R(式中、Rはヒドロカルビルを表す)を指す。
【0090】
本明細書で使用される「チオエーテル」という用語は、酸素が硫黄で置き換えられたエーテルと等価である。
【0091】
用語「尿素」は、当該技術分野で認識されており、一般式:
【化12】
により表すことができ、式中、RおよびR10は、独立して、水素またはヒドロカルビルを表す。
【0092】
本明細書で使用される「調節する(modulate)」という用語は、機能または活性(細胞増殖など)の阻害または抑制、ならびに機能または活性の増強を含む。
【0093】
「薬学的に許容される」という語句は、当該技術分野で認識されている。ある特定の実施形態では、この用語は、妥当な利益/リスク比に相応する、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適した、健全な医学的判断の範囲内の組成物、賦形剤、アジュバント、ポリマー、ならびに他の材料および/または剤形を含む。
【0094】
「塩」は、酸付加塩または塩基付加塩を指すために本明細書において使用される。
【0095】
本開示の方法および組成物において有用な化合物の多くは、その構造中に少なくとも1つの立体中心を有する。この立体中心は、RまたはS配置で存在してよく、前記RおよびS表記は、Pure Appl. Chem. (1976), 45, 11-30に記載される規則に対応して使用される。本開示は、化合物、塩、プロドラッグまたはそれらの混合物(すべての可能な立体異性体の混合物を含む)のエナンチオマーおよびジアステレオマー形態などのすべての立体異性体形態を企図する。例えば、国際公開第01/062726号を参照されたい。
【0096】
さらに、アルケニル基を含む特定の化合物は、Z(ツザメン)またはE(エントゲーゲン)異性体として存在し得る。それぞれの場合において、本開示は、混合物および別々の個々の異性体の両方を含む。
【0097】
化合物のいくつかはまた、互変異性体の形態で存在し得る。そのような形態は、本明細書に記載されている式に明示的に示されていないが、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0098】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府や州政府の規制機関、または米国以外の国の対応機関によって承認されているまたは承認可能であるか、あるいは動物、特にヒトへの使用に関して米国薬局方または他の一般に認められている薬局方に掲載されていることを意味する。
【0099】
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理活性を有する本発明の化合物の塩を指す。特に、このような塩は非毒性であり、無機または有機の酸付加塩および塩基付加塩であり得る。具体的には、そのような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸を用いて形成される;または、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-l-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸を用いて形成される、酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンなどにより置換されたとき;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基と配位したときに形成される塩が含まれる。塩にはさらに、単なる例示として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど;ならびに化合物が塩基性官能基を含有する場合には、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの非毒性の有機酸または無機酸の塩が含まれる。
【0100】
「薬学的に許容されるカチオン」という用語は、酸性官能基の許容されるカチオン性対イオンを指す。このようなカチオンとして、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどが例示される(例えば、Berge, et al., J. Pharm. Sci. 66 (1):1-79 (January 77)を参照されたい)。
【0101】
「薬学的に許容されるビヒクル」は、それと共に本発明の化合物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体を指す。
【0102】
「薬学的に許容される代謝的に切断可能な基」は、in vivoで切断されて、本明細書に示される構造式の親分子を生じる基を指す。代謝的に切断可能な基の例としては、-COR、-COOR、-CONRRおよび-CHORラジカルが挙げられ、ここで、Rは、各出現において独立して、アルキル、トリアルキルシリル、炭素環式アリール、あるいはアルキル、ハロゲン、ヒドロキシもしくはアルコキシのうちの1つまたは複数で置換された炭素環式アリールから選択される。代表的な代謝的に切断可能な基の具体例としては、アセチル基、メトキシカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシメチル基、およびトリメチルシリル基が挙げられる。
【0103】
「プロドラッグ」は、本発明の化合物の誘導体を含み、切断可能な基を有しかつ加溶媒分解によりまたは生理学的条件下で生体内において薬学的に活性な本発明の化合物になる化合物を指す。このような例には、コリンエステル誘導体など、N-アルキルモルホリンエステルなどが含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物の他の誘導体は、それらの酸形態および酸誘導体形態の両方において活性を有するが、酸感受性形態において、しばしば、哺乳動物生物における溶解性、組織適合性、または遅延放出の利点をもたらす(Bundgard, H., Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam 1985を参照されたい)。プロドラッグには、当業者によく知られた酸誘導体が含まれ、例えば、親酸と適切なアルコールとの反応により調製されたエステル、親酸化合物と置換または非置換のアミンとの反応により調製されたアミド、酸無水物、または混合無水物などが挙げられる。本発明の化合物にペンダントされた酸性基に由来する単純な脂肪族または芳香族エステル、アミドおよび無水物は、特定のプロドラッグである。場合によっては、(アシルオキシ)アルキルエステルまたは(アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステルなどのダブルエステル型のプロドラッグを調製することが望ましい。特に、本発明の化合物のC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、アリール、C~C12置換アリール、およびC~C12アリールアルキルエステルである。
【0104】
「溶媒和物」は、通常、加溶媒分解反応によって、溶媒または水(「水和物」とも呼ばれる)と会合した化合物の形態を指す。この物理的会合には水素結合も含まれる。従来の溶媒として、水、エタノール、酢酸などが挙げられる。本発明の化合物は、例えば、結晶形態で調製され、溶媒和または水和され得る。適切な溶媒和物には、水和物などの薬学的に許容される溶媒和物が含まれ、さらに化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物の両方が含まれる。特定の例では、「溶媒和物」は、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合に単離可能となる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物として、水和物、エタノール和物(ethanolate)、メタノール和物(methanolate)などが挙げられる。
【0105】
投与が企図される「対象」には、ヒト(任意の年齢層の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、乳児、小児、青年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、高齢成人))、および/または非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコ、および/またはイヌなどの哺乳類動物含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、対象はヒトである。ある実施形態では、対象は非ヒト動物である。「ヒト」、「患者」、および「対象」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0106】
「有効量」は、疾患を治療または予防するために対象に投与したときに、そのような治療または予防をもたらすのに十分な化合物の量を意味する。「有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療対象の年齢、体重などに応じて変動し得る。「治療有効量」は、治療的処置のための有効量を指す。また、「予防有効量」は、予防的処置のための有効量を指す。
【0107】
「予防する」または「予防」または「予防的処置」は、疾患または障害を獲得または発症するリスクの低減(すなわち、疾患の発症に先立ち、疾患を引き起こす物質にまだ曝露されていないかまたは疾患にかかりやすい対象において、疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを発症させないこと)を指す。
【0108】
「防御(Prophylaxis)」という用語は、「予防(prevention)」に関連し、病気の治療や治癒ではなく、予防を目的とした手段または処置を指す。予防手段の非限定的な例には、ワクチンの投与;体を動かさないために血栓症のリスクがある入院中の患者への低分子ヘパリンの投与;およびマラリアが風土病であるかマラリアに罹患するリスクが高い地域への訪問に先立って行われるクロロキン等の抗マラリア剤の投与が含まれ得る。
【0109】
任意の疾患または障害を「処置する(treating)」あるいは疾患または障害の「処置(treatment)」もしくは「治療的処置(therapeutic treatment)」は、一実施形態では、疾患または障害を改善すること(すなわち、疾患を停止すること、またはその臨床症状の少なくとも1つの徴候、程度もしくは重症度を軽減すること)を指す。別の実施形態では、「処置する」または「処置」は、少なくとも1つの身体的パラメータを改善することを指し、それは対象により認識可能でなくてもよい。さらに別の実施形態では、「処置する」または「処置」は、身体的に(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)、またはその両方で、疾患または障害を調節することを指す。さらなる実施形態では、「処置する」または「処置」は、疾患の進行を遅らせることに関する。
【0110】
本明細書で使用される場合、「同位体バリアント」という用語は、そのような化合物を構成する原子の1つまたは複数に不自然な割合の同位体を含む化合物を指す。例えば、化合物の「同位体バリアント」は、例えば重水素(HまたはD)、炭素13(13C)、窒素15(15N)などの1つまたは複数の非放射性同位体を含むことができる。このような同位体置換が行われた化合物では、存在する場合、以下の原子は、例えば、任意の水素がH/Dであり、任意の炭素が13Cであり、または任意の窒素が15Nであり得るように変動してよく、そのような原子の存在および配置は、当業者の技能の範囲内で決定され得ることが理解されるであろう。同様に、本発明は、例えば、得られた化合物が薬物および/または基質の組織分布研究に使用され得る場合には、放射性同位体を用いた同位体バリアントの調製を含むことができる。放射性同位元素であるトリチウム(H)および炭素14(14C)は、組み込みが容易でありかつ検出が容易であるという観点から、この目的に特に有用である。さらに、11C、18F、15O、13Nなどの陽電子放出同位体で置換された化合物を調製することもでき、これらは基質受容体の占有率を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究に有用である。本明細書に提供される化合物のすべての同位体バリアントは、放射性物質であるか否かにかかわらず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0111】
また、同じ分子式を有するが、原子の結合の性質や配列、空間におけるそれら原子の配置が異なる化合物は「異性体」と称されることも理解されたい。空間における原子の配置が異なる異性体は「立体異性体」と呼ばれる。
【0112】
互いに鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、互いに重ね合わせることができない鏡像であるものは「エナンチオマー(鏡像異性体)」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する場合、例えばそれが4つの異なる基に結合する場合、一対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置によって特徴づけられ、CahnおよびPrelogのR-およびS-の配列決定規則によって、または分子が偏光面を回転させる様式によって記載され、右旋性または左旋性(すなわち、それぞれ(+)-または(-)-異性体)として指定される。キラル化合物は、個々のエナンチオマーとしてまたはその混合物として存在し得る。同じ比率のエナンチオマーを含む混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0113】
「互変異性体」は、特定の化合物構造の交換可能な形態であり、水素原子および電子の変位が異なる化合物を指す。したがって、2つの構造は、電子および原子(通常はH)の移動によって平衡状態になり得る。例えば、エノールとケトンは、酸または塩基のいずれかで処理することによって迅速に相互変換されるため、互変異性体である。互変異性の別の例は、フェニルニトロメタンのアシ-およびニトロ-形態であり、これらは同様に酸または塩基での処理によって形成される。互変異性体は、目的の化合物の最適な化学反応性および生物学的活性の達成に関連し得る。
【0114】
本明細書では、純粋なエナンチオマー化合物は、その化合物の他のエナンチオマーまたは立体異性体を実質的に含まない(すなわち、エナンチオマー過剰である)。言い換えれば、化合物の「S」形態は、化合物の「R」形態を実質的に含まず、したがって、「R」形態のエナンチオマー過剰である。「エナンチオマー的に純粋」または「純粋なエナンチオマー」という用語は、化合物が95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、98.5重量%超、99重量%超、99.2重量%超、99.5重量%超、99.6重量%超、99.7重量%超、99.8重量%超、または99.9重量%超のエナンチオマーを含むことを意味する。ある実施形態では、重量は、化合物のすべてのエナンチオマーまたは立体異性体の総重量に基づく。
【0115】
本明細書で使用される場合、他に示されない限り、「エナンチオマー的に純粋なR化合物」という用語は、少なくとも約95重量%のR-化合物および最大で約5重量%のS-化合物、少なくとも約99重量%のR-化合物および最大で約1重量%のS-化合物、または少なくとも約99.9重量%のR-化合物および最大で約0.1重量%のS-化合物を指す。ある実施形態では、重量は化合物の総重量に基づく。
【0116】
本明細書で使用される場合、他に示されない限り、「エナンチオマー的に純粋なS化合物または「S化合物」という用語は、少なくとも約95重量%のS-化合物および最大で約5重量%のR-化合物、少なくとも約99重量%のS-化合物および最大で約1重量%のR-化合物、または少なくとも約99.9重量%のS-化合物および最大で約0.1重量%のR-化合物を指す。ある実施形態では、重量は化合物の総重量に基づく。
【0117】
本明細書では、エナンチオマー的に純粋な化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグは、他の活性成分または不活性成分とともに存在し得る。例えば、エナンチオマー的に純粋なR化合物を含む医薬組成物は、例えば、約90%の賦形剤および約10%のエナンチオマー的に純粋なR化合物を含むことができる。ある実施形態では、このような組成物中のエナンチオマー的に純粋なR化合物は、例えば、化合物の総重量に対して、少なくとも約95重量%のR化合物、および最大約5重量%のS化合物を含み得る。例えば、エナンチオマー的に純粋なS-化合物を含む医薬組成物は、例えば、約90%の賦形剤と約10%のエナンチオマー的に純粋なS化合物を含むことができる。ある実施形態では、このような組成物中のエナンチオマー的に純粋なS化合物は、例えば、化合物の総重量に対して、少なくとも約95重量%のS化合物、および最大約5重量%のR化合物を含み得る。ある実施形態では、活性成分は、賦形剤または担体をほとんどまたは全く含まずに製剤化することができる。
【0118】
本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を有し得る;したがって、そのような化合物は、個々の(R)-または(S)-立体異性体として、あるいはそれらの混合物として製造することができる。
【0119】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲における特定の化合物の記載または命名は、個々のエナンチオマーおよびその混合物(ラセミ体またはその他)の両方を含むことが意図される。立体化学の決定および立体異性体の分離のための方法は、当技術分野で周知である。
【0120】
有機合成の当業者であれば、安定な化学的に実現可能な複素環式環に含まれるヘテロ原子の最大数は、それが芳香族であるか非芳香族であるかにかかわらず、環のサイズ、不飽和度、およびヘテロ原子の原子価によって決定されることを認識するであろう。一般に、複素環式環は、複素芳香族環が化学的に実現可能でかつ安定である限り、1~4個のヘテロ原子を有し得る。
【実施例
【0121】
本明細書に記載された発明がより完全に理解され得るように、以下の実施例を示す。本願に記載された実施例は、本明細書で提供される化合物、組成物、材料、デバイス、および方法を説明するために提供されており、その範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0122】
材料および方法
一般
脂質合成に使用した全ての化学物質は、Sigma-Aldrich社から購入し、そのまま直接使用した。全てのASOおよびDNA断片は、Integrated DNA Technologies(IDT)から購入した。ASOは、IDTから提供されたものを使用し、記載される場合、安定性を改善する化学修飾を含むように会社によって提供されているASO製品を使用した。HeLa-DsRedおよびGFP-HEK細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS、Sigma-Aldrich)および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma-Aldrich)中で維持した。GFP-HEK細胞の蛍光強度をフローサイトメーター(BD FACS Calibur,BD Science,CA)によって分析した。(-27)GFP-Cre(addgene #89253)タンパク質を発現させ、BL21大腸菌(E.coli)から抽出し、Ni-NTAカラム(Qiagen)によってさらに精製した。ナノ粒子サイズおよびゼータ(ζ)電位はZetaPALS粒子径分布測定装置(particle size analyzer)で記録した。TEM画像は、FEI社のTechnai Spirit透過型電子顕微鏡によって撮影した
【0123】
脂質合成
脂質合成に使用される全てのヘッドアミンは、Sigma-Aldrich社から市販されている。全てのカチオン性リピドイド(NT1-O12B~O18B、NT2-O12B~O18B、NT3-O12B~O18B、NT1-EC16、NT1-C18、NT1-1E、NT2-EC16、NT2-1E、NT3-EC16、NT3-1E、306-O12B-3、76-O16B)を、我々の以前の報告に従って合成した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーを用いて粗生成物を精製した。1Eテールは、図18Aに示すように合成した。フェニルボロン酸四級化リピドイドは、図18Bに示すように合成した。NT1-Neuは図18Cに示すように合成した。1H NMRおよびエレクトロスプレーイオン化(ESI)MSを使用して脂質構造を確認した。
【0124】
マウスの脳におけるDiR標識NT-LNPの生体内分布
NT-リピドイドおよびDiRを10:1の重量比で100%エタノールに一緒に溶解させる。次いで、100μLの溶液を300μLの酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH5.2)に滴下し、短時間ボルテックスした。最後に、12時間のdiHO(脱イオン水)に対する透析(MWCO 35kDa、ThermoFisher)によって製剤中のエタノールを除去した。次いで、DiR標識LNPをBALB/Cマウス(メス、6週齢)に静脈内注射した。1時間後、マウスを麻酔し、生理食塩水で灌流した。その後、マウスの脳を採取した。Spectrum CT Biophotonic Imager(PerkinElmer、マサチューセッツ州ボストン)を用いて蛍光シグナル分布を可視化した。
【0125】
AmB/NT-リピドイドナノ粒子製剤の調製
AmBは、以前の我々の報告に従って調製した。簡単に説明すると、各リピドイド(固体)1mgをジメチルスルホキシド(DMSO)300μL中の1mgのAmBと混合した。その混合物を30分間超音波処理し、次いで完全に溶解するまで10分間ボルテックスした。その溶液を600μLの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を含むガラス瓶に、700rpmで連続的にホモジナイゼーションしながら滴下した。さらに、透析チューブ(MWCO 35kDa)を使用して、その溶液を蒸留水に対して一晩透析して、DMSOおよび非封入AmBを除去した。
【0126】
AmB/NT-リピドイドナノ微粒子製剤の特徴付け
全ての封入体の粒径および多分散指数(PDI)を、動的光散乱(DLS)を使用して測定した。ZetaPALS粒子径分布測定装置でゼータ電位を記録した。我々の以前の報告に従いAmBのDLCを計算した。FEI社のTechnai Spirit透過型電子顕微鏡によってTEM画像を撮影した。
【0127】
統計分析
統計分析は、一元配置分散分析(ANOVA)とそれに続く2つより多い群についてのTurkey-Kramer多重比較検定を用いて行った。Prism(v.8、GraphPadソフトウェア、カリフォルニア州ラホヤ)を用いて2つの群を比較するためにスチューデントt検定を使用した。p<0.05の値を有意とみなした。
【0128】
NT-リピドイドの合成およびNT-LNPのBBB透過性研究
合成リピドイドの構造的基礎として、神経伝達物質トリプタミン、フェネチルアミン、およびフェニルエタノールアミンを選択した。NT-リピドイドは、我々が以前に公開したコンビナトリアル脂質ライブラリー合成戦略と同様のアプローチを用いて、70℃で48時間のガラスバイアル中の神経伝達物質の第一級アミンとアクリレート含有疎水性テールとの間のマイケル付加によって合成した(図1B)。その結果はNT-リピドイドのコンビナトリアルライブラリーであり、各々が、ヘッド基として1つの特定の神経伝達物質、およびテール基として1つの特定の生体内還元性疎水性構造を含む。NT-リピドイドは「NTn-O[x]B」(n=1、2、3)と命名され、ここでNT1はトリプタミンであり、NT2はフェネチルアミンであり、NT3はフェニルエタノールアミンであり、O[x]Bは生体内還元性疎水性テールを表し、ここで[x]は図1Bに示されるアクリレートの疎水性テール中の炭素原子の数を示す。例えば、NT1-O12Bは、トリプタミンヘッド基と12個の炭素原子を含む疎水性テール基とを含むリピドイドを示す。フラッシュクロマトグラフィーを用いて全てのNT-リピドイドを精製し、ESI-MSによって特徴付けた(図5)。得られたNT-リピドイドは両親媒性であり、したがって、水溶液中で調製した場合、ミセルまたはリポソームのいずれかに自己集合することができる。NT-リピドイドの動的光散乱(DLS)および透過型電子顕微鏡(TEM)は、これらの構造が実際に球状リポソーム様構造に自己集合したことを示した(図6)。
【0129】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0130】
蛍光色素(DiR)をモデルカーゴとして使用して、これらNT-リピドイドが全身静脈内送達でBBBを通過することができるかどうかをさらに研究した。DiRなどの疎水性小分子は、ミセルおよびリポソームの疎水性領域に分配することができ、これら構造の生体内分布を追跡するためにしばしば使用されている。DiR搭載NT-リピドイド(DiR-loaded NT-lipidoid)を製剤化するために、NT-リピドイドおよびDiRを10/1(w/w)比でエタノール中において混合し、その混合物を酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH5.2)に滴下し、次いで透析によってエタノールを除去した。DiR搭載NT-リピドイドナノ粒子溶液を尾静脈注射によりマウスに注射した。1時間後、動物を屠殺し、生理食塩水で灌流した。頭蓋骨を除去し、IVISイメージングデバイス(PerkinElmer)を用いて750nmの励起波長で脳をイメージングした。
【0131】
図1Cに示されるように、蛍光シグナルが非常に弱いDiR/NT2-リピドイドおよびDiR/NT3-リピドイドで処置したマウスの脳と比較して、DiR/NT1-リピドイドナノ粒子で処置したマウスの脳において強いDiR蛍光シグナルが観察される。より短い脂肪族鎖長を含むNT1-リピドイドはより大きな蛍光強度をもたらし、脂肪族テール鎖の長さが観察される蛍光強度に大きな影響を及ぼすことも観察される(図7)。これらNT1由来リピドイド間で、流体力学的サイズ、多分散指数、ゼータ電位、および形態などの物理的特性の有意な差はない(図6)。
【0132】
NT1-O12BなどのNT1-リピドイドを他のBBB-不透過性脂質製剤にドープすることで、得られる脂質製剤がBBBを通過するようになったと推定される。このDiRを脳に送達する能力を調べるために、以前開示された合成脂質、76-O16B、EC16-80、および113-O16Bを使用した。その結果、これらの脂質はいずれも単独ではDiRをマウスの脳に送達するのに有効ではなかったが、これらの脂質にNT1-O12Bをドープすると、マウスの脳において強いDiRシグナルを観察することができたことがわかった(図8)。
【0133】
NT1の化学構造は、内皮細胞膜を横切る能動輸送によってBBBを通過することが報告されている神経伝達物質ジメチルトリプタミンに基づく21。我々の結果も能動輸送によってもたらされたものであり、NT1脂質の化学構造の変化がBBBを通過するその能力を調節するであろうと推測される。我々は、脂質化後のトリプタミン(NT1)のα-アミンのイオン化能(ionizability)が、誘導体がBBBを通過するための重要な因子であると具体的に仮定した。この仮説を検証するために、図9に示すように、異なるリンカーを有する一連のNT1誘導体を合成した。NT1-neuを除く全てのNT1誘導体で処置したマウスの脳からDiRシグナルが観察された。NT1-neuでは、トリプタミンのα-アミンがアミド結合を介して連結され、イオン化可能でないが、他のNT1誘導体のα-アミンは全てイオン化可能である。さらに、任意のリンカーを有するNT2およびNT3由来リピドイドで処置したマウスの脳から強いDiRシグナルは観察されなかった。
【0134】
マウスの脳への小分子AmBの送達
上に示されるように、NT1由来リピドイドは、単独で使用される場合または他のLNPにドープされる場合のいずれかにおいて、疎水性色素(DiR)を脳に送達することができることが特定される。これらのNT1由来リピドイドを用いて、治療関連疎水性薬物分子の脳への送達を調べた。アムホテリシンB(AmB)をモデル薬物として選択した。AmBは、古典的なポリエン抗真菌薬であり、重篤な全身性真菌感染症の治療のためのゴールドスタンダードである。しかしながら、AmBは、そのBBB不透過性のため、脳の真菌感染症の処置のために臨床的に使用することができない。最近、AmBを合成リピドイドナノ粒子中に製剤化し、従来の合成脂質ナノ粒子を使用してAmB製剤の徹底的なPKおよび体内分布研究を行ったが、その研究では、我々の脂質ナノ粒子はいずれもBBBを透過してAmBをマウスの脳に送達させることはできなかった27
【0135】
DiR封入と同様の手順を用いて、AmBを純粋なNT1-リピドイド(すなわち、NT1-O12B、NT1-O14B、NT1-O16B、およびNT1-O18B)に封入した(encapsulated)。AmB搭載NT1-リピドイドナノ粒子を、マウスあたり5mg/kgのAmBの用量で尾静脈を介してマウスに注射した。24時間後、動物を屠殺し、脳を採取し、生理食塩水で灌流し、ホモジナイズした。HPLCを用いて脳組織中のAmBの濃度を定量した(詳細な方法はSIにある)。図10に示すように、4つの群全ての脳組織におけるAmB濃度は約150ng/g組織であった。注目すべき点として、本発明者らの以前の報告では、伝統的な合成リピドイドによる全身送達後に脳においてAmBは検出不可能であり、NT1-リピドイド製剤がマウスの脳へのAmB送達を増強したことを示す。
【0136】
しかしながら、NT-リピドイド製剤に製剤化されたAmBは不透明な溶液を示し(図11A)、溶液中の粒子のサイズが大きいことが示された。DLSの結果(図11B図12)は、ナノ粒子が直径750~800nmの範囲であることを示した。NT1-リピドイドナノ粒子をより小さくすることが、脳送達効率を改善するのに役立ち得ると推定される。以前の報告では、四級化リピドイドが、非四級化脂質と比較して、より小さい粒径を有する安定なAmB製剤を提供したことが見出された27。したがって、四級化リピドイドをNT1-リピドイドでドープすると、BBBを透過する能力を維持または改善しながら、より小さいナノ粒子サイズをもたらし得ると仮定される。
【0137】
ここで、AmB封入のための新しいフェニルボロン酸四級化リピドイド、PBA-Q76-O16B(図2A)を合成した。NT1-O12Bは、全てのNTリピドイドの中で最も高いDiR蛍光強度を示した(図1C)ため、脳送達を増強するためのドーパントとしてNT1-O12Bを選択した。2つのリピドイドを異なる重量比(7:3、5:5、3:7、1:9、および純粋なPBA-Q76-O16B)で混合したNT1-O12BとPBA-Q76-O16Bの混合物中にAmBを製剤化した。図2Bに示すように、AmB封入体は、製剤中のPBA-Q76-O16Bリピドイドの割合が増加するにつれて、徐々に均質な透明で黄色の溶液になった。流体力学的サイズも800nmから100nmに減少した(図2C図12)。カーゴとしてDiRを使用して、本発明者らは、NT1-O12BとPBA-Q76-O16Bを3:7(w/w)比で含有するリピドイドが、他の全ての脂質比と比較して、マウスの脳において最も強い蛍光シグナルをもたらしたことを観察した(図2D)。3:7の比での蛍光シグナル強度は、純粋なNT1-O12B中に製剤化されたDiRで処置された脳の蛍光シグナル強度よりも4.5倍高かった(図13)。混合脂質を用いたAmB送達をさらに研究し、マウスあたり5mg/kgのAmBの静脈内注射の24時間後のマウスの脳組織におけるAmB濃度を決定した。図2Eに示すように、脳において検出されたAmBの量は、PBA-Q76-O16Bのドーピング比が0%(すなわち純粋なNT1-O12B)から70%(すなわち3:7の比)に増加するにつれて増加し、約300ng/gの最高濃度に達し、これは純粋なNT1-O12Bよりも約2倍高かった。ドーピング比がさらに90%(すなわち、1:9)に増加した場合、AmB濃度はわずかに低下したが、純粋なNT1-O12B中に製剤化されたAmBで処置した場合よりも依然として高かった。したがって、AmB送達の結果は、DiR送達の結果と非常によく一致した(図2Dおよび2E)。興味深いことに、NT1-リピドイドでのドーピングなしでは、AmBは、純粋なPBA-Q76-O16B/AmBの静脈内注射後に脳においてほとんど検出できなかった。これらの結果は、脳送達の促進におけるNT1リピドイドの重要な役割、および最適なドーピング比を見つけることの重要性を示した。
【0138】
遺伝子ノックダウンのためのマウスの脳への核酸タウ(Tau)-ASOの送達
緑色蛍光タンパク質(GFP)を安定的に発現するHEK細胞にGFP mRNAを標的とするASOを送達することにより、in vitroでのASO送達のための混合リピドイド製剤の効率を評価した(図3B)。NT1-O14B単独はGFPサイレンシング効果を示さず(図3Bの10:0比)、このリピドイド単独はASOを細胞内に送達するのに有効ではないことが示された。しかしながら、NT1-O14Bと306-O12B-3の混合物を含有するLNPを使用してASOを送達した場合、GFPサイレンシングが観察された。306-O12B-3のドーピング比が50%超(すなわち、306-O12B-3に有利な5:5以上の重量比)の場合、GFP-HEK細胞におけるGFPサイレンシングが観察され、306-O12B-3ドーピング比が増加するにつれてサイレンシング効率が増大した。リポフェタミン2000(LPF 2K)によって送達されたスクランブルASOはGFPサイレンシングを示さず、GFPサイレンシングが真にASO配列特異的であることを示した。
【0139】
次いで、混合リピドイド製剤(NT1-O14Bおよび306-O12B-3)が脳にASOを送達し、in vivoで遺伝子ノックダウンを媒介することができるかどうかを調べた。脳室内(ICV)ポンプを用いたタウ-ASOの局所注射後にASO媒介性のタウの減少はアルツハイマー病(AD)の治療において有望な結果を示しているので、治療標的としてタウを選択し、タウmRNAを標的とするASOを設計した31、32
【0140】
タウ-ASOの配列は、公開文献31に従って選択され、IDTによって合成された。有効性を改善するために、各核酸間のホスホロチオエート基、ならびに5’および3’末端の5ヌクレオチド中のリボースの2’-O-メトキシエチルによる化学修飾を含むタウ-ASOを供給した。静脈内注射用のASOを製剤化するために、ASOを製剤化されたLNP溶液と1/15の重量比(総脂質に対するASO)で混合する。各マウスに1mg/kgのASOを5回注射し、各注射は3日間間隔をあけた。最後の注射の4日後にマウスを屠殺し、灌流し、脳組織を採取し、ホモジナイズして全RNAを抽出した。総タウmRNAレベルを定量的PCRによって分析した。図3Cに示すように、純粋なNT1-O14Bまたは純粋な306-O12B-3のいずれかを用いてASOを送達した場合、脳組織におけるタウmRNAの減少は検出されなかった。混合リピドイド製剤については、NT1-O14Bと306-012B-3の5:5および3:7のw/w比のみが、脳におけるタウmRNAの減少を示した。これら2つの製剤は、それぞれ約25%および約50%のmRNAの減少をもたらした。他の比(すなわち、7:3および1:9)の混合リピドイド製剤では、タウmRNAのサイレンシングは観察されなかった。
【0141】
ASO送達がタウの機能的ノックダウンをもたらしたことを確認するために、本発明者らはまた、ELISAを用いてASO処置マウスのタウタンパク質レベルを調べた(図3D)。未処置群と比較して、NT1-O14B/306-O12B-3(3:7 w/w)中に製剤化されたタウ-ASOで処置したマウスは、実質的に減少した総タウタンパク質レベルを示した。さらに、機能的ASOの方法と全く同じ方法を用いて、スクランブルタウ-ASOを最良の比(NT1-O14B/306-O12B-3、3:7 w/w)で送達した。示されるように、タウmRNAサイレンシング効果もタウタンパク質減少も検出されず、タウノックダウンが配列特異的ASOサイレンシングに特異的に起因することが実証された。
【0142】
Ai14マウスの脳における遺伝子組換えのためのGFP-Cre融合タンパク質の送達
GFP融合Creリコンビナーゼを、Ail4モデルマウス系統を用いる研究のためのモデルタンパク質として選択した(図4A)。Ail4マウス系統は、flox-stop-flox tdTomato構築物を含む。Ail4マウスの細胞にCreタンパク質がうまく細胞内送達されると、遺伝子組換えをもたらし、tdTomatoの発現がオンになり、これは、追加の染色なしで赤色蛍光シグナルとして直接可視化することができる。ここでは、(-27)GFP-Creタンパク質を使用した。PBA-Q76-O16BをドープしたNT1-O14B LNPを、これらのナノ粒子が(-27)GFP-Creをうまく送達することができたため、選択した。NT1-O14BとPBA-Q76-O16Bの重量比は、AmBおよびASO送達から観察された結果に基づいて、3:7に固定した。脂質製剤は、ASO送達のための製剤について記載されたアプローチを使用して調製した。簡単に説明すると、(-27)GFP-Creタンパク質とLNPを1/4の重量比で混合し、静脈内注射前にその溶液を室温で15分間インキュベートした。注射あたり50μgのタンパク質の用量でマウスに4回注射した。最後の注射の5日後、マウスを屠殺し、脳組織を採取し、固定し、脱水した。次いで、組織を15μmのスライスに凍結切片化し、蛍光イメージングのためにDAPIで対比染色した。図4Bに示すように、大脳皮質、海馬および小脳を含む脳の複数の領域で強力なtdTomatoシグナルが観察された。対照的に、純粋なNT1-O14B(10:0)または純粋なPBA-Q76-O16B(0:10)のいずれかを用いたLNP製剤を注射したマウスでは、脳においてtdTomato発現は観察されなかった。
【0143】
Ai14マウスの脳における遺伝子組換えのためのGFP-Cre融合タンパク質の異なる製剤の送達
NT1-O14Bを、306-O12B、PBA-Q76O16B、Dlin-MC3を含む様々な脂質ナノ粒子製剤にドープして、静脈内(i.v.)注射によるAil4マウスの脳へのCre mRNA送達についてドープLNP製剤を調べた。NT1-O14Bと他のイオン化可能な脂質(例えば、306-O12B、PBA-Q76O16B、Dlin-MC3)の重量比は3:7である。安定なLNPを形成するために、(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](DSPE-PEG2000))、コレステロールおよびDOPEを含む他の共脂質も含めた。CreリコンビナーゼをコードするmRNAをLNPに搭載し、Ai14マウスに注射した。マウスを特定の時点で屠殺し、脳組織を採取し、固定し、脱水した。次いで、組織を15μmのスライスに凍結切片化し、蛍光イメージングのためにDAPIで対比染色した。tdTomatoシグナルが脳の複数の領域で観察され、全身注射によるこのようなLNP製剤を用いた脳細胞へのCre mRNAの送達の成功を示した。Ai14マウスの脳切片の蛍光画像を図19A~19N、図20A~20Bおよび図21A~21Bに示す。NT1-O14Bをドープした306-O12Bは、PBA-O76O16BまたはDlin-MC3 LNPにドープしたものと比較して、最も高い脳送達を示した。
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【0145】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての米国およびPCT特許公報ならびに米国特許は、あたかも各個々の特許公報または特許が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、本明細書の任意の定義を含め、本出願が支配する。
【0146】
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または単なる日常的な実験を使用して確認することができるであろう。本明細書に記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲に記載される通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、この記載に対する様々な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
図19G
図19H
図19I
図19J
図19K
図19L
図19M
図19N
図20A
図20B
図21A
図21B
【国際調査報告】