(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】鉛蓄電池のための金属硫酸塩システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/06 20060101AFI20230606BHJP
H01M 10/08 20060101ALI20230606BHJP
H01M 10/12 20060101ALI20230606BHJP
H01M 4/14 20060101ALI20230606BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230606BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/437 20210101ALI20230606BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20230606BHJP
【FI】
H01M10/06 Z
H01M10/08
H01M10/12 M
H01M4/14 Q
H01M4/62 B
H01M50/463 B
H01M50/434
H01M50/417
H01M50/414
H01M50/429
H01M50/437
H01M50/451
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567140
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021030538
(87)【国際公開番号】W WO2021226000
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505458359
【氏名又は名称】ダラミック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】マニカム,クマール
(72)【発明者】
【氏名】ウィアー,ジェイ.,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,マーガレット,アール.
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC02
5H021CC04
5H021CC09
5H021EE03
5H021EE04
5H021EE07
5H021EE11
5H021EE21
5H021EE28
5H021HH01
5H028AA06
5H028BB03
5H028BB10
5H028EE04
5H028FF04
5H028HH01
5H028HH02
5H028HH05
5H028HH10
5H050AA07
5H050BA09
5H050CA06
5H050CB15
5H050DA13
5H050DA19
(57)【要約】
陽極と;陰極と;セパレータと;金属硫酸塩を含む電解質と、を含む鉛蓄電池が開示され、該鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と;
陰極と;
セパレータと;
金属硫酸塩を含む電解質と、
を含む、鉛蓄電池であって、
前記鉛蓄電池の150回のサイクル動作の後に形成される硫酸鉛結晶が、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する、鉛蓄電池。
【請求項2】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1種から本質的になる、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
前記鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶が、0.4ミクロン~0.9ミクロンの一次元の平均径を有する、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項4】
ピーク電流密度が、金属硫酸塩が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも20%低い、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項5】
-1.4Vでの水素ガス発生電流が、金属硫酸塩が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも70%低い、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項6】
前記セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、前記陽極、前記陰極、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つが、金属硫酸塩を含む、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項7】
金属硫酸塩が、セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、前記陽極、及び前記陰極、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つで塗装される、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項8】
前記金属硫酸塩が、1g/sqm~4.0g/sqmの量で存在する、請求項7に記載の鉛蓄電池。
【請求項9】
前記金属硫酸塩が、ローラ塗装、浸漬塗装、又は噴霧塗装される、請求項7に記載の鉛蓄電池。
【請求項10】
前記セパレータが、マイクロポーラス材料で作製される、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項11】
前記金属硫酸塩が、1%以下の濃度で前記電解質中に存在する、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項12】
前記金属硫酸塩が、硫酸亜鉛を含む、請求項2に記載の鉛蓄電池。
【請求項13】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウムを含み、5つ未満の樹枝状又はデンドライト状構造が、サイクル動作の間に成長する、請求項2に記載の鉛蓄電池。
【請求項14】
前記金属硫酸塩が、硫酸カリウムを含む、請求項2に記載の鉛蓄電池。
【請求項15】
前記請求項1~14のいずれかに記載の電池を含む車両。
【請求項16】
サイクル動作の間の鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法であって、
金属硫酸塩を前記鉛蓄電池中の電解質溶液に添加すること、及び/又は金属硫酸塩を前記電解質溶液中に放出することを含み、前記鉛蓄電池の150回のサイクル動作の後に形成される硫酸鉛結晶が、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する、方法。
【請求項17】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせから本質的になる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶が、金属硫酸塩が存在しない鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶より少なくとも60%小さい一次元の平均径を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電解質溶液が、1%以下の濃度の金属硫酸塩を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記金属硫酸塩が、硫酸亜鉛を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウムを含み、5つ未満の樹枝状又はデンドライト状構造が、サイクル動作の間に形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記金属硫酸塩が、硫酸カリウムを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
金属硫酸塩を含む電池セパレータを鉛蓄電池中に配置することを含む、鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法であって、
前記鉛蓄電池の150回のサイクル動作の後に形成される前記硫酸鉛結晶が、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する、方法。
【請求項24】
前記金属硫酸塩が、前記セパレータの表面の細孔内に、前記セパレータの表面に、若しくはその両方に塗装されるか、又は前記金属硫酸塩が、ペースティングペーパー、織布、不織布、ガントレット、電極、若しくはガラスマットの露出面若しくは内面に存在するか、又は前記金属硫酸塩が、前記電池セパレータのマトリックス内に存在し、例えばそれが、前記電池セパレータを形成するために押し出された混合物中に含まれた、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記金属硫酸塩を塗装することが、金属硫酸塩を含む溶液またはスラリーを前記セパレータ、前記織布、前記不織布、前記ガントレット、前記ガラスマット、前記電極、又は前記ペースティングペーパー上にローラ塗装すること、浸漬塗装すること、カーテン塗装すること、又は噴霧塗装することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせから本質的になる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶が、金属硫酸塩が存在しない鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶より少なくとも60%小さい一次元の平均径を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記金属硫酸塩が、硫酸亜鉛を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウムを含み、5つ未満の樹枝状又はデンドライト状構造が、サイクル動作の間に形成する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記金属硫酸塩が、硫酸カリウムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
金属硫酸塩を含む、電池セパレータ、ガラスマット、織布不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項32】
前記電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、電極、又はそれらの組み合わせが、電池中で用いられる場合、前記金属硫酸塩が、1g/sqm~4.0g/sqmの量で、又は適当な量の金属硫酸塩を前記電解質中に放出するのに充分な量で存在する、請求項31に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項33】
前記金属硫酸塩を含む溶液又はスラリーが、前記電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極の表面にローラ塗装、浸漬塗装、カーテン塗装、又は噴霧塗装される、請求項32に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項34】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種である、請求項31に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項35】
前記セパレータが、酸混合リブの特性を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項36】
酸混合リブの特性を含む、請求項31に記載の電池セパレータ。
【請求項37】
前記セパレータが、酸混合リブの特性を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項38】
約1グラム/平方メートル(gsm)より大きく、約12gsm未満の量の硫酸アルミニウムを含む塗装を含む、電池セパレータ。
【請求項39】
前記塗装の重量が、約3gsmより大きく、約10gsm未満である、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項38】
前記塗装の重量が、約5gsmより大きく、約8gsm未満である、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項39】
前記塗装の重量が、6gsmである、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項40】
前記電池セパレータが、時間の経過により改善された電荷受容性(60%SOC)を呈する、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項41】
前記改善が、硫酸アルミニウムを有さない対照セパレータに比較して少なくとも5%である、請求項40に記載の電池セパレータ。
【請求項42】
前記改善が、少なくとも10%である、請求項41に記載の電池セパレータ。
【請求項43】
前記電池セパレータが、前記マトリックス中に金属硫酸塩を含み、例えば前記金属硫酸塩が、前記電池セパレータを形成するように押し出された混合物に添加された、請求項32に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも選択された実施形態において、本開示又は発明は、新しい、又は改善された電池セパレータ、電池電解質、成分、材料、鉛蓄電池、システム、並びに/又は関連の生成及び/若しくは使用の方法を対象とする。少なくとも特定の実施形態において、本開示又は発明は、鉛蓄電池における使用のための添加剤;鉛蓄電池中の電解質における使用のための添加剤;鉛蓄電池中の電池セパレータとの使用のための添加剤;添加剤を有する電池セパレータ;及び/又はそのようなセパレータを含む電池;及び/又はそのような電池を含む製品、デバイス若しくは車両を対象とする。少なくとも特定の選択された実施形態において、本開示は、低減された硫酸鉛結晶サイズを有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池及び/若しくはシステム及び/若しくは車両、並びに/又はそれらの製造及び/若しくは使用の方法に関する。少なくとも選択された実施形態において、本開示は、硫酸鉛結晶サイズを低減する添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池、鉛蓄電池セパレータ、若しくはシステム;鉛蓄電池の電荷受容性を改善する添加剤若しくは電池電解質添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池、鉛蓄電池セパレータ、システム;鉛蓄電池中の水素ガス発生を低減し、及び/若しくはピーク電流密度を低減する添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池、鉛蓄電池セパレータ、電解質添加剤、若しくはシステム;並びに/又はそのような添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池及び鉛蓄電池セパレータを構築するための方法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、近代社会に遍在し、自動車から芝刈り機、そして建設機械まで、あらゆるものに電力供給する。鉛蓄電池の構造成分は、数十年にわたり劇的に変化したが、基本的化学作用は、同じままである。同時に、電池故障の最も慣例的な理由は、この基本的化学作用を実施するための電池の故障に関係する。
【0003】
電池放電の間、カソード及びアノードを含む材料の一部が、PbSO4結晶に変換される。逆電圧を加えることにより、PbSO4をPb(複数可)(アノード)及びPbO2(複数可)(カソード)に逆変換する逆の化学反応が、実施され得る。PbSO4結晶の平均サイズは、重要である。結晶が小さければ、結晶の全体的表面積が大きくなり、PbSO4をPb(複数可)及びPbO2(複数可)への完全な逆変換を容易にする。しかし、PbSO4結晶が大きいほど、小さな全体的表面積を有し、変換工程が緩やかになる。不幸にもこれらのより大きな結晶は多くの場合、Pb(複数可)及びPbO2(複数可)に完全に逆変換せず、硫酸鉛結晶の凝集及び互いの融合に導き、最終的には高不溶性の硫酸鉛堆積物を形成する。この硫酸塩堆積物は、電極上に不活性の不動態層を緩やかに作り上げ、多くの場合、電極から剥げ落ち、遂にはセルの短絡又は自己放電を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、放電の間に小さなPbSO4結晶を形成する電池は、電池の寿命を延長することに有益となろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、鉛蓄電池は、陽極と;陰極と;セパレータと;硫酸鉛以外の金属硫酸塩を含む電解質と、を含み、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する。幾つかの実施形態において、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、0.4ミクロン~0.9ミクロンの一次元の平均径を有する。
【0006】
幾つかの実施形態において、硫酸鉛以外の金属硫酸塩は、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、又は硫酸ニッケルを含む、又はそれから本質的になる、又はそれからなる。該金属硫酸塩は、電解質中に存在することができ、幾つかの例において、電解質中に1%以下の濃度で存在することができる。幾つかの例において、本明細書に記載された鉛蓄電池のピーク電流密度は、硫酸鉛以外の金属硫酸塩が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも20%低い。幾つかの例において、本明細書に記載された鉛蓄電池のための-1.4Vでの水素ガス発生電流は、金属硫酸塩が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも70%低い。
【0007】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたセパレータは、金属硫酸塩を含む。該金属硫酸塩は、幾つかの例においてセパレータ上に塗装される。幾つかの例において、該金属硫酸塩は、1g/sqm~4.0g/sqmの量でセパレータ上に塗装される。しかし、適当な量の金属硫酸塩が、電解質中に存在するようになる限り、セパレータ上の任意の量が許容され得る。該金属硫酸塩は、セパレータ上にローラ塗装、浸漬塗装、噴霧塗装され得るか、又はそれらの組み合わせであり得る。幾つかの例において、該セパレータは、マイクロポーラス材料で作製される。
【0008】
幾つかの実施形態において、該セパレータは、少なくとも1つの面にリブを含んでもよい。該リブは、連続的、不連続的、鋸歯状、胸壁状(embattlemented)、及び同様のものであってもよい。幾つかの実施形態において、該セパレータは、Daramic LLCにより販売されるRipTide(商標)セパレータのものの様なリブを有してもよい。幾つかの好ましい実施形態において、該セパレータは、リブを含んでもよく、該リブは、酸混合特性で配列されてもよい。例えば該リブは、不連続的、鋸歯状、胸壁状、又は同様のものであってもよい。Daramic LLCにより販売されるRipTide(商標)セパレータのリブの特性は、ことによると好まれる酸混合特性の一例である。任意の特定の理論に結び付けるのを望むものではないが、酸混合リブの特性を有するセパレータを使用することが、金属硫酸塩がセパレータ上に塗装された実施形態において、電解質中への金属硫酸塩の放出を支援し得ると考えられる。酸混合特性はまた、電解質中への金属硫酸塩の分散を支援し得る。
【0009】
幾つかの実施形態において、電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、陰極、陽極、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つが、本明細書に記載された金属硫酸塩を含んでもよい。該ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、陰極、陽極、又はそれらの任意の組み合わせが、電池中で用いられる場合に、適当な量の金属硫酸塩が、電解質中に放出され、及び/又は放出若しくは任意の他の手段により電解質に存在するようになる量で、該金属硫酸塩が、セパレータガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、陰極、陽極、又はそれらの任意の組み合わせの表面に存在してもよい。幾つかの実施形態において、該金属硫酸塩は、セパレータガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、陰極、陽極、又はそれらの任意の組み合わせの表面に1g/sqm~4.0g/sqmの量で存在する。金属硫酸塩は、セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、陰極、陽極、又はそれらの任意の組み合わせの表面にローラ塗装、浸漬塗装、噴霧塗装され得る。
【0010】
幾つかの実施形態において、車両が、本明細書に記載された任意の鉛蓄電池を含む。
【0011】
別の態様において、サイクル動作の間の鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法は、硫酸鉛以外の金属硫酸塩を鉛蓄電池中の電解質溶液に添加することを含み、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する。幾つかの例において、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、硫酸鉛以外の金属硫酸塩が存在しない鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶より少なくとも60%小さい一次元の平均径を有する。幾つかの例において、該電解質溶液は、1%以下の濃度の、硫酸鉛以外の金属硫酸塩を含む。
【0012】
一態様において、サイクル動作の間の鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法は、硫酸鉛以外の金属硫酸塩を含む電池セパレータを形成させること;及び塗装された電池セパレータを鉛蓄電池中に配置すること、を含み、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する。幾つかの実施形態において、硫酸鉛以外の金属硫酸塩は、セパレータの表面の細孔内に、セパレータの表面に、又はその両方に塗装される。硫酸鉛以外の金属硫酸塩を提供するための方法は、幾つかの例において、セパレータ上に硫酸鉛以外の金属硫酸塩を含む組成物をローラ塗装すること、浸漬塗装すること、又は噴霧塗装することを含む。幾つかの実施形態において、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、金属硫酸塩が存在しない鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶より少なくとも60%小さい一次元の平均径を有する。
【0013】
別の態様において、金属硫酸塩を含む、電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極が、本明細書で開示される。該金属硫酸塩は、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸亜鉛を有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図1B】
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸亜鉛を有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図1C】
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸亜鉛を有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図1D】
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸亜鉛を有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図1E】
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸亜鉛を有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図2A】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸アルミニウムを有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図2B】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸アルミニウムを有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図2C】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸アルミニウムを有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図2D】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸アルミニウムを有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図2E】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eは、それぞれ0%、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の硫酸アルミニウムを有する電解質の存在下で形成された硫酸鉛結晶の走査電子顕微鏡像を示す。
【
図4】
図4は、金属硫酸塩の核化に媒介された硫酸鉛結晶形成の図解である。
【
図5】
図5は、異なる金属硫酸塩の存在下での酸比重増加及び硫酸鉛形成の提案された化学的工程を示した化学的図式である。
【
図6】
図6は、異なる濃度の金属硫酸塩での硫酸鉛溶解度を示した図形表現である。
【
図7】
図7は、硫酸アルミニウム(AS)を含有しない対照に比較された、異なる塗装重量の硫酸アルミニウム(AS)を含む本明細書に記載された実施形態のためのデータを示す。
【
図8】
図8は、硫酸アルミニウム(AS)を含有しない対照に比較された、異なる塗装重量の硫酸アルミニウム(AS)を含む本明細書に記載された実施形態のためのデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載された実施形態は、以下の詳細な記載及び実施例を参照することによってより即座に理解され得る。しかし、本明細書に記載された要素、装置及び方法は、詳細な記載及び実施例に提示された具体的実施形態に限定されない。これらの実施形態が本開示の原理の例示に過ぎないことが、認識されなければならない。数多くの改良及び適合が、本開示の主旨及び範囲を逸脱することなく、当業者に即座に明白となろう。
【0016】
加えて、本明細書に開示された全ての範囲が、その中に包摂されたあらゆる部分的範囲を包含することが理解されなければならない。例えば、言及された「1.0~10.0」の範囲は、1.0~5.3、又は4.7~10.0、又は3.6~7.9など、最小値1.0以上で始まり、最大値10.0以下で終わる、あらゆる部分的範囲を含むと見なされなければならない。
【0017】
本明細書に開示された全ての範囲はまた、他に明確な断りがなければ、範囲の終点を含むと見なされなければならない。例えば「5~10の間」、「5から10まで」、又は「5~10」の範囲は概して、終点5及び10を含むと見なされなければならない。
【0018】
さらに、語句「までの」は、量又は数量に関連して用いられる場合、その量が少なくとも検出可能な量又は数量であることが、理解されなければならない。例えば指定された量「までの」量で存在する材料は、検出可能な量から指定された量まで、そして指定された量を含んで存在し得る。
【0019】
少なくとも選択された実施形態において、本開示又は発明は、新しい、又は改善された電池セパレータ、電池電解質、成分、材料、鉛蓄電池、システム、並びに/又は関連の生成及び/若しくは使用の方法を対象とする。少なくとも特定の実施形態において、本開示又は発明は、鉛蓄電池における使用のための添加剤;鉛蓄電池中の電解質における使用のための添加剤;鉛蓄電池中の電池セパレータとの使用のための添加剤;添加剤を有する電池セパレータ;及び/又はそのようなセパレータを含む電池;及び/又はそのような電池を含む製品、デバイス若しくは車両を対象とする。少なくとも特定の選択された実施形態において、本開示は、低減された硫酸鉛結晶サイズを有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池及び/若しくはシステム及び/若しくは車両、並びに/又はそれらの製造及び/若しくは使用の方法に関する。少なくとも選択された実施形態において、本開示は、硫酸鉛結晶サイズを低減する添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池、鉛蓄電池セパレータ、若しくはシステム;鉛蓄電池の電荷受容性を改善する添加剤若しくは電池電解質添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池、鉛蓄電池セパレータ、システム;鉛蓄電池中の水素ガス発生を低減し、及び/若しくはピーク電流密度を低減する添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池、鉛蓄電池セパレータ、電解質添加剤、若しくはシステム;並びに/又はそのような添加剤を有する新しい、若しくは改善された鉛蓄電池及び鉛蓄電池セパレータを構築するための方法に向けられる。
【0020】
I.電池
一態様において、鉛蓄電池(「電池」)が、本明細書に記載される。該電池は、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池(VRLA)、液式強化電池(EFB)、及び同様のものなどの、本開示の目的と矛盾しない任意の鉛蓄電池であり得る。幾つかの好ましい実施形態において、該電池は、部分充電状態で動作するものであってもよい。
【0021】
一般に、本明細書に記載される電池は、陽極と;陰極と;セパレータと;電解質と、を含む。該セパレータは、陰極と陽極の間に置かれ、該電解質は、陰及び陽極と、セパレータの両方に接触しているか、又はそれらと連通している。該陰及び陽極は、鉛蓄電池電極のために当該技術分野で知られる任意の材料で作製され得る。該セパレータもまた、鉛蓄電池セパレータのために当該技術分野で知られる任意の材料で作製され得る。幾つかの実施形態において、該セパレータは、多孔質ポリオレフィン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、セルロース、ガラス、天然若しくは合成不織繊維、又は他の公知材料など、マイクロポーラス材料で作製される。幾つかの特定の実施形態において、該セパレータは、ノースカロライナ州シャーロットのDaramic(登録商標)LLCにより製造された任意のセパレータ材料であり得る。
【0022】
本明細書に記載された電解質は、本開示の目的と矛盾しない鉛蓄電池のために当該技術分野で知られる任意の電解質組成物を含み得る。例えば幾つかの例において、該電解質は、硫酸などの水性の酸である。幾つかの実施形態において、該電解質は、金属硫酸塩添加剤を含む。該金属硫酸塩添加剤は、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、又は硫酸ニッケルであり得る。幾つかの実施形態において、該金属硫酸塩添加剤は、1種の金属硫酸塩から本質的になる、又はそれからなる。他の実施形態において、該金属硫酸塩添加剤は、1種、2種、又はより多くの金属硫酸塩を含む、それから本質的になる、又はそれからなる。幾つかの実施形態において、該金属硫酸塩添加剤は、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸ニッケル、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つからなる、又はそれから本質的になる。幾つかの実施形態において、該金属硫酸塩添加剤は、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、及び硫酸ニッケルからなる群から選択される1種からなる。
【0023】
幾つかの好ましい実施形態において、該金属硫酸塩は、該金属硫酸塩を含むセパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、電極、又はそれらの任意の組み合わせから電解質中に放出される。一部の金属硫酸塩が、セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極上に残留して、一部が、セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、電極、又は幾つかのそれらの組み合わせから電池の電解質中に放出されてもよい。幾つかの他の実施形態において、該金属硫酸塩は、例えば金属硫酸塩を含む錠剤を電解質に添加することにより、電解質に直接添加されてもよい。幾つかの実施形態において、該金属硫酸塩は、セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、電極、又はそれらの任意の組み合わせから電解質に放出され、加えて、例えば硫酸亜鉛を含む錠剤を介して、添加されてもよい。
【0024】
幾つかの実施形態において、電解質への金属硫酸塩添加剤の添加は、金属硫酸塩添加剤を含まない電解質を有する電池に比較して、本明細書に記載された電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶のサイズを低減し、電池の電荷受容性を増加させ、電池のピーク電流密度を減少させ、及び/又は電池の水素ガス発生を低減することが可能である。
【0025】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、金属硫酸塩添加剤が電解質中に存在する場合、1.0ミクロン以下、0.95ミクロン以下、0.9ミクロン以下、0.85ミクロン以下、0.8ミクロン以下、0.75ミクロン以下、0.7ミクロン以下、0.65ミクロン以下、0.6ミクロン以下、0.55ミクロン以下、又は0.5ミクロン以下の一次元の平均径を有する。幾つかの例において、金属硫酸塩添加剤を有する電解質中で鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、0.3ミクロン~1ミクロン、0.4ミクロン~0.9ミクロン、0.4ミクロン~0.8ミクロン、0.4ミクロン~0.7ミクロン、0.4ミクロン~0.6ミクロン、0.4ミクロン~0.5ミクロン、0.4ミクロン~1ミクロン、0.5ミクロン~1ミクロン、0.6ミクロン~1ミクロン、0.7ミクロン~1ミクロン、0.8ミクロン~1ミクロン、0.5ミクロン~0.9ミクロン、0.6ミクロン~0.9ミクロン、0.7ミクロン~0.9ミクロン、又は0.5ミクロン~0.8ミクロンの一次元の平均径を有する。
【0026】
本明細書において以前に先に記載された通り、鉛蓄電池の放電サイクルの間に、硫酸鉛(PbSO
4)結晶が、アノード及びカソード電極の一方又は両方の表面で生成される(即ち、「ブランク」又は「対照」)。
図1Aは、150回のサイクル動作の後に電極上に生成された硫酸鉛結晶の走査顕微鏡(SEM)像であり、鉛蓄電池中で用いられた電解質は、金属硫酸塩添加剤を有さない。
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1Eは、150回のサイクル動作の後に電極上で生成された硫酸鉛結晶のSEM像であり、鉛蓄電池中で用いられた電解質は、それぞれ、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の濃度で電解質中に添加及び/又は放出された硫酸亜鉛を有する。
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1Eは、硫酸亜鉛の添加が、金属硫酸塩添加剤が用いられない対照に比較してより小さな硫酸鉛結晶を生じることを示している。表1は、セパレータ上の異なる元々の塗装量(g/sqm)及び硫酸亜鉛の電解質中の濃度(%)で形成された硫酸鉛結晶の一次元の平均サイズを記載している。セパレータ上に塗装された硫酸亜鉛の一部は、表1に示された量(%)で電解質に存在するようになる。
【0027】
【0028】
図2Aは、150回のサイクル動作の後に電極に生成された硫酸鉛結晶の走査顕微鏡(SEM)像であり、鉛蓄電池中で用いられた電解質は、金属硫酸塩添加剤を有さない。
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eは、150回のサイクル動作の間に電極で生成された硫酸鉛結晶のSEM像であり、鉛蓄電池中で用いられる電解質は、それぞれ、0.25%、0.5%、0.85%、及び1.7%の濃度で添加された硫酸アルミニウムを有する。
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eに示された通り、電極表面に形成された硫酸鉛結晶の一次元の平均サイズは、
図2Aの対照に比較して、硫酸アルミニウムが添加された実施例ではより低い。しかし、0.85%以上の硫酸アルミニウムの量が電解質に添加され、及び/又は電解質中に放出された場合に、樹枝状又はデンドライト状構造が形成されることが、
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eを見ることにより理解され得る。
図2D及び
図2Eを参照されたい。これらの構造は、電池の性能を損う場合があり、したがって不都合である。したがって、0.85%以上の硫酸アルミニウムの添加で成長することが示された樹枝状又はデンドライト状構造であるため、0.85%未満の量の硫酸アルミニウムが好ましいであろう。
【0029】
理論に結び付けるつもりはないが、金属硫酸塩は、電極表面で核化剤として作用して、硫酸鉛の結晶成長を開始すると考えられる。その結果、急速な硫酸鉛結晶形成が起こり、電池の放電の間に多くの小さな結晶を形成させる。この概念が、硫酸亜鉛を例示的金属硫酸塩添加剤として用いた
図4に示される。
【0030】
予想外に、一次元の平均サイズが減少すると、硫酸鉛結晶の全体的な四次形状(quaternary shape)が変化する。例えば表2に記載され、
図1B、
図1C、
図2B、及び
図2Cに示される通り、硫酸亜鉛又は硫酸アルミニウムが、およそ0.25~0.5%の濃度で電解質中に存在する場合、微小な硫酸鉛結晶が形成され、より大きな結晶の形成及び成長を制御する核化中心として役立つ。金属硫酸塩の濃度が、約0.25%未満に減少するか、又は約0.5%を超えて増加すると、同じく表2に記載され、
図1B、
図1C、
図1D、及び
図1E、並びに
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eに示される通り、より大きな平均結晶サイズを通して、及び/又は大きな四次構造若しくはデンドライト状構造若しくは樹枝状構造の形成を通して、個々の結晶サイズの平均が、金属硫酸塩濃度0.25%~0.5%の下での結晶サイズに比較して増加し始める。個々の結晶サイズの平均は、濃度増加に伴ってより小さくなり、有益には電池のピーク電流密度を低減するが、これらの小さな硫酸鉛結晶はまた、一元(例えば、Z方向)の硫酸鉛成長も促進し得る。これは、硫酸鉛のデンドライト状成長の樹枝状四次構造の形成をもたらし、それは、
図2D及び
図2Eにおいて、金属硫酸塩の少なくとも0.85%濃度で特に顕著である。
図3A及び
図3Bは、
図2D及び
図2Eと同じSEM像の一部であるが、デンドライト状成長が、これらの樹枝状四次構造をはっきりと際立たせるために輪郭が描かれている。そのようなデンドライト状成長は、得られた鋭利な縁がセパレータを穿刺してセパレータの細孔を詰まらせ、潜在的に他方の電極と接触してセルの短絡を引き起こす可能性があるため、望ましくないと思われる。
【0031】
幾つかの実施形態において、金属硫酸塩添加剤を有する電解質を含む本明細書に記載された鉛蓄電池は、金属硫酸塩添加剤が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又は75%低いピーク電流密度を有する。再度、理論に結び付けるつもりはないが、硫酸鉛結晶の一次元の平均サイズの減少は、電解質中の金属硫酸塩のより低いピーク電流密度効果を担うと考えられる。例えば表2に示される通り、最大のピーク電流密度低減が、電解質中に0.25%及び0.5%の金属硫酸塩濃度の電解質で示される。これらの2種の濃度は、表1に示される通り、テスト濃度で最小の平均硫酸鉛結晶サイズを呈した。
【0032】
【0033】
硫酸鉛結晶の平均サイズが減少するほど、硫酸鉛の表面積は増加する。したがって、再充電の間に、水性硫酸が、より小さな硫酸鉛結晶のより大きな表面積に接触して、鉛及び酸化鉛成分へのより急速かつより完全な逆変換に導き、アノード及びカソード電極を形成する。電極材料上の不動態の硫酸鉛塗装が、結果的に低減され、つまりより活性の電極材料が存在することになる。対照的に、対照及びより高濃度の金属硫酸塩での硫酸鉛結晶の一次元の平均サイズ(例えば、硫酸鉛デンドライト状形成)は、より大きいため、より大きな硫酸鉛結晶の各表面積は、より小さくなり、そのため再充電の間の鉛及び酸化鉛成分への逆変換は、より緩やかになり、電極は、必ずしも完全には充電されない。その後、任意の残留する未変換の硫酸鉛結晶は、凝集して互いに高不溶性付着物及び堆積物に融合する可能性がある。最終的にこれらの未変換の硫酸鉛結晶は、電極上で不動態堆積層を形成して、存在する活性材料の量を低減し、電池のピーク電流密度を上昇させる可能性がある。加えて、硫酸鉛は、電極から剥げ落ち、セパレータの細孔を詰まらせて遮断し、電池のイオン伝導度を低減する可能性がある。
【0034】
幾つかの実施形態において、金属硫酸塩添加剤を有する電解質を含む本明細書に記載された鉛蓄電池は、金属硫酸塩添加剤が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%低い、-1.4Vでの水素ガス発生電流を有し得る。表2は、金属硫酸塩濃度の関数としての-1.4Vでの水素ガス発生電流を示す。示された通り、ZnSO
4が、少なくとも0.25%~0.5%で電解質中に存在する場合、-1.4Vでの水素ガス発生電流が劇的に減少している。再度、理論に結び付けるつもりはないが、硫酸鉛結晶の一次元の平均サイズの減少は、水素ガス発生電流の低減に寄与すると考えられる。例えば
図2に示される通り、最大の水素ガス発生電流低減は、金属硫酸塩がテスト範囲で0.25%~0.5%の濃度を有する場合に存在する。加えて、
図5に示された通り、陰極での放電の間、通常は硫酸鉛及び水素イオン(例えば、H
+)が、生成される。金属硫酸塩が、電解質に直接添加され、及び/又は電解質中に放出される場合、SO
4
2-イオンがH
+イオンと反応して酸濃度を上昇させ、H
+濃度を低減すると考えられる。H
+濃度の低減は、水素ガス形成の低減に対応するように思われる。ZnSO
4添加が増加すると、より多くのSO
4
2-イオンがより多くのH
+イオンと反応し続けるため、酸比重も増加する。酸比重の増加(酸濃度の増加と相関する)は、PbSO
4の溶解度を直接上昇させ、より小さなPbSO
4結晶形成に導き、再充電の間にPbSO
4から鉛及び酸化鉛へのより完全な逆変換に導く。しかし、
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、
図E、
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、及び
図2Eに示される通り、有益効果が最適になる金属硫酸塩の濃度範囲が存在し、濃度がこの有益濃度から離れて上昇又は低下すると利益を低減し、不利益が増加する。
【0035】
図6は、電解質中に存在する金属硫酸塩と相関させた、酸濃度増加の関数としての硫酸鉛結晶の溶解度上昇を図で示している。示された通り、硫酸鉛は、硫酸濃度がおよそ1:28g/cc未満である「活性領域」で最も可溶性がある。硫酸鉛は、酸濃度がおよそ1:28g/ccより大きな不動態領域で最小の可溶性である。不動態領域では、この低い硫酸鉛溶解度により電池の電荷受容性が降下し、つまり電池は完全に充電しない場合があり、電極(複数可)上での鉛のサルフェーションのせいで、サイクル寿命が短縮するであろう。
【0036】
したがって、電池中の硫酸鉛結晶のサイズの低減は、ピーク電流密度及び水素ガス発生の観点から望ましいが、この低減の有益効果が実現される予想外の範囲がある。幾つかの実施形態において、これらの有益効果は、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1%以下、0.95%以下、0.9%以下、0.85%以下、0.8%以下、0.75%以下、0.7%以下、0.65%以下、0.6%以下、0.55%以下、0.5%以下、0.45%以下、0.4%以下、0.35%以下、0.3%以下、0.25%以下、0.2%以下、0.15%以下、0.1%以下、0.09%以下、0.08%以下、0.07%以下、0.06%以下、0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、0.01%以下、0.01%~1%、0.05%~1%、0.1%~1%、0.2%~1%、0.25%~1%、0.3%~1%、0.35%~1%、0.4%~1%、0.45%~1%、0.5%~1%、0.55%~1%、0.6%~1%、0.65%~1%、0.01%~0.75%、0.01%~0.65%、0.01%~0.6%、0.01%~0.55%、0.01%~0.5%、0.01%~0.45%、0.01%~0.4%、0.01%~0.35%、0.01%~0.3%、0.01%~0.25%、0.01%~0.2%、又は0.01%~0.1%の濃度で電解質中に存在する金属硫酸塩により実現される。
【0037】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された電池セパレータは、金属硫酸塩を含む。該金属硫酸塩は、本明細書に記載された任意の金属硫酸塩、又は本開示の目的と矛盾しないものであり得る。該金属硫酸塩は、幾つかの例において、セパレータの表面に塗装され得、及び/又はセパレータの細孔の幾つかの内部に塗装され得る。塗装されたセパレータが、本明細書に記載された電池の中に組み込まれる場合、該金属硫酸塩は、本明細書の以前に記載された有益濃度で電解質に溶解する。時には塗装された金属硫酸塩の100%未満が、電解質に溶解するが、時には電解質に、ほぼ100%が、溶解し得る。例えば、電解質に、90%を超えて溶解し得る、95%を超えて溶解し得る、96%を超えて溶解し得る、97%を超えて溶解し得る、98%を超えて溶解し得る、又は99%を超えて溶解し得る。該金属硫酸塩は、セパレータ上にローラ塗装、浸漬塗装、又は噴霧塗装され得る。
【0038】
幾つかの実施形態において、金属硫酸塩は、1g/sqm~4g/sqm、1.5g/sqm~4g/sqm、2g/sqm~4g/sqm、2.5g/sqm~4g/sqm、3g/sqm~4g/sqm、3.5g/sqm~4g/sqm、1g/sqm~3.5g/sqm、1g/sqm~3g/sqm、1g/sqm~2.5g/sqm、1g/sqm~2g/sqm、1g/sqm~1.5g/sqm、1.5g/sqm~3g/sqm、1.5g/sqm~2.5g/sqm、2g/sqm~3.0g/sqm、0.5g/sqm、0.75g/sqm、1g/sqm、1.25g/sqm、1.5g/sqm、1.75g/sqm、2g/sqm、2.25g/sqm、2.5g/sqm、2.75g/sqm、3g/sqm、3.25g/sqm、3.5g/sqm、3.75g/sqm、4g/sqm、4.25g/sqm、4.5g/sqm、4.75g/sqm、5g/sqm、5.25g/sqm、5.5g/sqm、5.75g/sqm、6g/sqm、6.25g/sqm、6.5g/sqm、6.75g/sqm、又は7g/sqmの量でセパレータ上に塗装される。
【0039】
幾つかの実施形態において、車両が、金属硫酸塩添加剤を含む本明細書に記載された電池を含む。
【0040】
II.方法
別の態様において、サイクル動作の間の鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法は、鉛蓄電池中の電解質溶液に金属硫酸塩を添加することを含み、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する。金属硫酸塩は、第I節に列挙された任意の濃度の任意の金属硫酸塩であり得る。
【0041】
さらに別の態様において、サイクル動作の間に鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法が、本明細書に記載され、金属硫酸塩を含む電池セパレータを形成させること;及び塗装された電池セパレータを鉛蓄電池中に配置すること、を含み、鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する。第I節に記載された通り、該金属硫酸塩は、セパレータの細孔内に、セパレータの表面に、又は細孔内とセパレータ表面の両方に、塗装され得る。その上、幾つかの実施形態において、金属硫酸塩を塗装することは、金属硫酸塩をセパレータ上にローラ塗装すること、カーテン塗装すること、浸漬塗装すること、又は噴霧塗装することを含む。1種又は複数の金属硫酸塩を含むスラリー又は溶液が、前述の方法又は他の適切な方法を利用して塗装されてもよい。塗布後に、塗装が乾燥されてもよい。乾燥は、熱、空気、光、又はそれらの組み合わせの適用をはじめとする任意の適切な方法を含んでもよい。
【0042】
第I節に記載された通り、この節に記載された方法による鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶は、金属硫酸塩が存在しない鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶より少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は少なくとも100%小さい一次元の平均径を有し得る。
【0043】
幾つかのさらなる実施形態において、本明細書に記載された1種又は複数の金属硫酸塩は、電池セパレータを形成するために用いられる混合物、例えばポリオレフィン、フィラー、及びプロセス油を含む混合物の中に存在してもよい。そのような実施形態において、該1種又は複数の金属硫酸塩は、粉末として添加されてもよい。そのような実施形態において、該金属硫酸塩は、セパレータのマトリックス内に存在するようになる。
【0044】
本開示における様々な実施形態が、本発明の様々な目的の成就において記載された。これらの実施形態が、開示された原理の例示にすぎないことが、認識されなければならない。それの数多くの改良及び適合が、本開示の主旨及び範囲を逸脱することなく、当業者に即座に明白となろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と;
陰極と;
セパレータと;
金属硫酸塩を含む電解質と、
を含む、鉛蓄電池であって、
前記鉛蓄電池の150回のサイクル動作の後に形成される硫酸鉛結晶が、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する、鉛蓄電池。
【請求項2】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1種から本質的になる、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
前記鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶が、0.4ミクロン~0.9ミクロンの一次元の平均径を有する、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項4】
ピーク電流密度が、金属硫酸塩が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも20%低い、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項5】
-1.4Vでの水素ガス発生電流が、金属硫酸塩が存在しない電解質を有する鉛蓄電池より少なくとも70%低い、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項6】
前記セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、前記陽極、前記陰極、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つが、金属硫酸塩を含む、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項7】
金属硫酸塩が、セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、前記陽極、及び前記陰極、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つで塗装される、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項8】
前記金属硫酸塩が、1g/sqm~4.0g/sqmの量で存在する、請求項7に記載の鉛蓄電池。
【請求項9】
前記金属硫酸塩が、ローラ塗装、浸漬塗装、又は噴霧塗装される、請求項7に記載の鉛蓄電池。
【請求項10】
前記セパレータが、マイクロポーラス材料で作製される、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項11】
前記金属硫酸塩が、1%以下の濃度で前記電解質中に存在する、請求項1に記載の鉛蓄電池。
【請求項12】
前記金属硫酸塩が、硫酸亜鉛を含む、請求項2に記載の鉛蓄電池。
【請求項13】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウムを含み、5つ未満の樹枝状又はデンドライト状構造が、サイクル動作の間に成長する、請求項2に記載の鉛蓄電池。
【請求項14】
前記金属硫酸塩が、硫酸カリウムを含む、請求項2に記載の鉛蓄電池。
【請求項15】
前記請求項1~14のいずれかに記載の電池を含む車両。
【請求項16】
サイクル動作の間の鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法であって、
金属硫酸塩を前記鉛蓄電池中の電解質溶液に添加すること、及び/又は金属硫酸塩を前記電解質溶液中に放出することを含み、前記鉛蓄電池の150回のサイクル動作の後に形成される硫酸鉛結晶が、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する、方法。
【請求項17】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせから本質的になる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶が、金属硫酸塩が存在しない鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶より少なくとも60%小さい一次元の平均径を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電解質溶液が、1%以下の濃度の金属硫酸塩を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記金属硫酸塩が、硫酸亜鉛を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウムを含み、5つ未満の樹枝状又はデンドライト状構造が、サイクル動作の間に形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記金属硫酸塩が、硫酸カリウムを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
金属硫酸塩を含む電池セパレータを鉛蓄電池中に配置することを含む、鉛蓄電池中の硫酸鉛結晶のサイズを低減する方法であって、
前記鉛蓄電池の150回のサイクル動作の後に形成される前記硫酸鉛結晶が、1.1ミクロン未満、1.0ミクロン未満、0.95ミクロン未満、又は0.9ミクロン未満の一次元の平均径を有する、方法。
【請求項24】
前記金属硫酸塩が、前記セパレータの表面の細孔内に、前記セパレータの表面に、若しくはその両方に塗装されるか、又は前記金属硫酸塩が、ペースティングペーパー、織布、不織布、ガントレット、電極、若しくはガラスマットの露出面若しくは内面に存在するか、又は前記金属硫酸塩が、前記電池セパレータのマトリックス内に存在し、例えばそれが、前記電池セパレータを形成するために押し出された混合物中に含まれた、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記金属硫酸塩を塗装することが、金属硫酸塩を含む溶液またはスラリーを前記セパレータ、前記織布、前記不織布、前記ガントレット、前記ガラスマット、前記電極、又は前記ペースティングペーパー上にローラ塗装すること、浸漬塗装すること、カーテン塗装すること、又は噴霧塗装することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせから本質的になる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶が、金属硫酸塩が存在しない鉛蓄電池のサイクル動作の間に形成される硫酸鉛結晶より少なくとも60%小さい一次元の平均径を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記金属硫酸塩が、硫酸亜鉛を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウムを含み、5つ未満の樹枝状又はデンドライト状構造が、サイクル動作の間に形成する、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記金属硫酸塩が、硫酸カリウムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
金属硫酸塩を含む、電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項32】
前記電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、電極、又はそれらの組み合わせが、電池中で用いられる場合、前記金属硫酸塩が、1g/sqm~4.0g/sqmの量で、又は適当な量の金属硫酸塩を前記電解質中に放出するのに充分な量で存在する、請求項31に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項33】
前記金属硫酸塩を含む溶液又はスラリーが、前記電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極の表面にローラ塗装、浸漬塗装、カーテン塗装、又は噴霧塗装される、請求項32に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項34】
前記金属硫酸塩が、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸ニッケル、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種である、請求項31に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【請求項35】
前記セパレータが、酸混合リブの特性を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項36】
酸混合リブの特性を含む、請求項31に記載の電池セパレータ。
【請求項37】
前記セパレータが、酸混合リブの特性を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項38】
約1グラム/平方メートル(gsm)より大きく、約12gsm未満の量の硫酸アルミニウムを含む塗装を含む、電池セパレータ。
【請求項39】
前記塗装の重量が、約3gsmより大きく、約10gsm未満である、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項40】
前記塗装の重量が、約5gsmより大きく、約8gsm未満である、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項41】
前記塗装の重量が、6gsmである、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項42】
前記電池セパレータが、時間の経過により改善された電荷受容性(60%SOC)を呈する、請求項38に記載の電池セパレータ。
【請求項43】
前記改善が、硫酸アルミニウムを有さない対照セパレータに比較して少なくとも5%である、請求項40に記載の電池セパレータ。
【請求項44】
前記改善が、少なくとも10%である、請求項41に記載の電池セパレータ。
【請求項45】
前記電池セパレータが、前記マトリックス中に金属硫酸塩を含み、例えば前記金属硫酸塩が、前記電池セパレータを形成するように押し出された混合物に添加された、請求項32に記載の電池セパレータ、ガラスマット、織布、不織布、ガントレット、ペースティングペーパー、又は電極。
【国際調査報告】