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特表2023-524756流体Fに含有され、アクリル酸の調製の際に形成されたマイケル付加物を再解離する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】流体Fに含有され、アクリル酸の調製の際に形成されたマイケル付加物を再解離する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/347 20060101AFI20230606BHJP
   C07C 57/04 20060101ALI20230606BHJP
   C07C 51/487 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C07C51/347
C07C57/04
C07C51/487
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567180
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2021060803
(87)【国際公開番号】W WO2021224044
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】20172654.4
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】タイル・ギースホフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・ハモン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・レイス
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・シュリープハケ
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・カタリーナ・デュル
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ヴァン・ロヴェレン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・レイン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC13
4H006AD11
4H006BC10
4H006BS10
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの分離カラムK、蒸発器V及びポンプPを含む再解離装置内で流体F中に含有されるアクリル酸のマイケル付加物を再解離する方法であって、分離カラムKの液溜室内の残留物Rの粘度が望ましくない態様で上昇する場合、再解離装置への流体Fの流入を中断し、分離カラムKの液溜室内の残留物Rを溶媒1で希釈し、冷却し、分離カラムKの液溜室を空にする、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体Fに基づいて少なくとも10質量%のアクリル酸のマイケル付加物を含む液体F中に存在し、アクリル酸の調製の際に形成された、アクリル酸のマイケル付加物を、下から上に向かって、塔底空間と、分離内部構造を含み塔底空間に隣接する分離空間と、後者と隣接する塔頂空間とからなり、気相内の圧力が下から上に向かって減少する少なくとも1つの分離カラムK、蒸発器V及びポンプPを含む再解離装置内で再解離する方法であって、液体F中に存在するマイケル付加物は、130℃~240℃の温度で分割され、蒸留により除去され、残りの残留物Rは排出され、分離カラムKの塔底空間内で残留物Rの不要な粘度上昇が生じた場合、方法は、再解離装置への液体Fの供給を停止する工程、分離カラムKの塔底空間内の残留物Rの全体積に基づいて、少なくとも10体積%の溶媒1で分離カラムKの塔底空間内の残留物Rを希釈及び冷却する工程、並びに分離カラムKの塔底空間を空にする工程を含み、ここで、溶媒1は、1013hPaにおける沸点が少なくとも150℃であり、25℃における水への溶解度が水100g当たり少なくとも10gである、方法。
【請求項2】
液体Fが、液体Fに基づいて少なくとも40質量%のアクリル酸のマイケル付加物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体F中に存在するマイケル付加物が、155~180℃の温度で分割される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1013hPaにおける溶媒1の沸点が、少なくとも210℃である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶媒1の25℃における水への溶解度が、水100g当たり少なくとも40gである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
溶媒1がアルコール、カルボキサミド、スルホキシド及び/又はスルホンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
溶媒1が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2-エトキシエタノール、スルホラン、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド及び/又はN,N-ジメチルホルムアミドから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
溶媒1がオキソ法からの残留物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
分離カラムKの塔底空間内の残留物Rの全体積に基づいて、少なくとも40体積%の溶媒1で分離カラムKの塔底空間内の残留物Rを希釈する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
100℃の温度における分離カラムKの塔底空間中の残留物Rの粘度が12Pa s未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ストリッピングガスを、分割装置の分離カラムKの塔底液体の上且つ最下部の分離内部構造の下に導入する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
分離カラムKの塔底空間内で残留物Rの不要な粘度上昇が生じた場合、分割装置へのストリッピングガスの供給を停止する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
排出された残留物Rが溶媒2で希釈される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
溶媒2がメタノール生成からの残留物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって得られる希釈された残留物R。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの分離カラムK、蒸発器V及びポンプPを含む再解離装置内で液体F中に存在するアクリル酸のマイケル付加物を再解離する方法であって、分離カラムKの塔底空間内で残留物Rの不要な粘度上昇が生じた場合、再解離装置への液体Fの供給を停止し、分離カラムKの塔底空間内の残留物Rを溶媒1で希釈及び冷却し、分離カラムKの塔底空間を空にする、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸は、例えば、ポリマー分散体(アルコールとのそれらのエステルの形態を含む)及び高吸収性物質の調製で使用が見出される重要な中間体である。
【0003】
アクリル酸は、とりわけ、高温における固体触媒上で分子酸素による(例えば、DE 10 2007 055 086 A及びDE 10 2006 062 258 A)アクリル酸のC3前駆体化合物の不均一系接触気相部分酸化によって得られる(この用語は、より詳細には、アクリル酸の還元によって形式的な意味で得られる化合物を含むことを意図しており;既知のアクリル酸のC3前駆体は、例えばプロパン、プロペン、アクロレイン、プロピオンアルデヒド及びプロピオン酸であるが;用語はまた、前述の化合物の前駆体化合物、例えばグリセロールを含むことを意図している(グリセロールから生じ、例えば、気相中での不均一系接触酸化脱水素によりアクリル酸を得ることができる;例えば、EP 1 710 227 A、WO 2006/114506及びWO 2006/092272を参照))。
【0004】
接触気相部分酸化の過程で生じる多くの併発反応及び後続の反応のために、また部分酸化の過程で使用すべき不活性希釈ガスのために、接触気相部分酸化で得られるものは純粋なアクリル酸ではなく、むしろ本質的にアクリル酸、不活性な希釈ガス及び副生成物を含む反応ガス混合物(生成物ガス混合物)であり、それらからアクリル酸を除去する必要がある。
【0005】
通常、反応ガス混合物からアクリル酸を除去する1つの方法は、吸収及び/又は凝縮手段を使用することにより、まずアクリル酸を気相から凝縮(液)相に変換することである。このように得られた液相からのアクリル酸のさらなる除去は、続いて抽出、蒸留、脱離、結晶化及び/又は他の熱分離プロセスを用いて通常行われる。
【0006】
このような不要な副反応は、それ自体と遊離基重合して、アクリル酸ポリマー又はオリゴマーを形成する。この副反応に関する不都合は、これが本質的に不可逆的であり、遊離基アクリル酸ポリマーに変換したモノマーアクリル酸がアクリル酸の製造工程で失われ、製造工程のアクリル酸収率が下がることを意味する。アクリル酸の不要な遊離基重合に関する利点は、しかしながら、重合阻害剤の添加によって少なくとも減少させることができることである。
【0007】
これは、液相中でのアクリル酸の不要な第2の副反応の場合には当てはまらない。この副反応は、アクリル酸分子を別のアクリル酸分子に付加してダイマーマイケル付加物(「ダイマーアクリル酸」)を形成するいわゆるマイケル付加であり、既に形成されたマイケル付加物にアクリル酸分子(「モノマーアクリル酸」)を更にマイケル付加してオリゴマーマイケル付加物(「オリゴマーアクリル酸」)を形成することによって継続することができる。
【0008】
ダイマーマイケル付加物及びオリゴマーマイケル付加物は、本書では「マイケル付加物」という用語で総称して呼ばれる。本書において「マイケル」という接頭語がない場合には、「オリゴマー」及び「ポリマー」という用語は、遊離基反応によって生じる化合物を意味する。
【0009】
アクリル酸の遊離基重合とは対照的に、マイケル付加物を形成する反応は通常、可逆的な形成反応である。アクリル酸の沸点はマイケル付加物(それから改良された)の沸点よりも低いので、適切な圧力勾配の重ね合わせにより反応平衡から改良されたアクリル酸を連続的に除去でき、したがって逆反応を徐々に完了することができる。
【0010】
このようにして生じたマイケル付加物中で化学結合したアクリル酸の回収は、アクリル酸の調製の際の標的生成物の収率を向上させることができる点で望ましい。
【0011】
比較的に高い沸点により、マイケル付加物は、一般に、アクリル酸の調製の過程で液体反応生成物混合物の熱分離の際に塔底液体の成分として得られる。通常、このような塔底液体は、それらの質量に基づいて、≧10質量%のマイケル付加物を含む。
【0012】
更に、このようなマイケル付加物、並びにアクリル酸を含む液体は、通常沸点がマイケル付加物のものとは異なる他の成分も含む。
【0013】
これらの沸点は、マイケル付加物のものよりも高いか低くてもよい。したがって、アクリル酸の調製の際に形成されたマイケル付加物を含む液体が、熱エネルギーの供給により、その中に存在するマイケル付加物の再解離方法にかけられる場合、再解離生成物の少なくとも一部分を含む得られた分流ガスを好ましくは向流精留にかけて、分流ガス中に存在する再解離生成物を高い純度で回収する(例えば、WO 2004/035514参照)。
【0014】
したがって、液体の質量に基づいて、≧10質量%の質量による割合で液体中に存在するマイケル付加物の再解離方法を実施するのが通例であり、これらは再解離装置中でアクリル酸の調製の際に形成される(例えば、WO 2010/066601参照).
【0015】
しかしながら、残留物の粘度が連続操作中に予想外に上昇する可能性があることは、再解離方法では不利であることがわかっている。
【0016】
EP 3 255 030 Aは、残留物の分割中に高級アルコールの添加を教示しており、ここで残留物中に存在する無水マレイン酸が重合感受性の低いマレイン酸エステルに変換される。
【0017】
US 6,414,183は、酢酸、水及びメタノール等の溶媒で排出される残留物の希釈を教示している。
【0018】
WO 2007/147651は、沸騰油の存在下での重合感受性残留物の蒸留について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】EP 1 710 227 A
【特許文献2】WO 2006/114506
【特許文献3】WO 2006/092272
【特許文献4】DE 10 2007 055 086 A
【特許文献5】DE 10 2006 062 258 A
【特許文献6】WO 2004/035514
【特許文献7】WO 2010/066601
【特許文献8】EP 3 255 030 A
【特許文献9】US 6,414,183
【特許文献10】WO 2007/147651
【特許文献11】WO 2004/035514
【特許文献12】DE 103 36 386 A
【特許文献13】DE 29 01 783 A
【特許文献14】DE 103 32 758 A
【特許文献15】EP 1 095 685 A
【特許文献16】DE 10 2004 015 727 A
【特許文献17】DE 10 2007 004 960 A
【特許文献18】WO 2008/090190
【特許文献19】WO 2008/077767
【特許文献20】EP 0 780 360 A
【特許文献21】DE 197 01 737 A
【特許文献22】EP 1 357 105 A
【特許文献23】DE 10 2008 001 435 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の目的は、改善された再解離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、液体Fに基づいて少なくとも10質量%のアクリル酸のマイケル付加物を含む液体F中に存在し、アクリル酸の調製の際に形成された、アクリル酸のマイケル付加物を、下から上に向かって、塔底空間と、分離内部構造を含み塔底空間に隣接する分離空間と、後者と隣接する塔頂空間とからなり、気相内の圧力が下から上に向かって減少する少なくとも1つの分離カラムK、蒸発器V及びポンプPを含む再解離装置内で再解離する方法であって、液体F中に存在するマイケル付加物は、130℃~240℃の温度で分割され、蒸留により除去され、残りの残留物Rは排出され、分離カラムKの塔底空間内で残留物Rの不要な粘度上昇が生じた場合、方法は、再解離装置への液体Fの供給を停止する工程、分離カラムKの塔底空間内の残留物Rの全体積に基づいて、少なくとも10体積%の溶媒1で分離カラムKの塔底空間内の残留物Rを希釈及び冷却する工程、並びに分離カラムKの塔底空間を空にする工程を含み、ここで、溶媒1は、1013hPaにおける沸点が少なくとも150℃であり、25℃における水への溶解度が水100g当たり少なくとも10gである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
液体Fは、好ましくは少なくとも20質量%のアクリル酸のマイケル付加物、より好ましくは少なくとも30質量%のアクリル酸のマイケル付加物、最も好ましくは少なくとも40質量%のアクリル酸のマイケル付加物を含み、いずれの場合も液体Fに基づいている。
【0023】
液体F中に存在するマイケル付加物は、好ましくは140~220℃、より好ましくは150~200℃、最も好ましくは155~180℃の温度で分割される。
【0024】
再解離で放出されたアクリル酸の蒸発は、種々の方法で補助することができる。再解離は、例えば、減圧下で実施してもよい。或いは、ストリッピングガスを、分割装置の分離カラムKの塔底液体の上且つ最下部の分離内部構造の下に導入することもできる。後者の場合、分離カラムKの塔底空間内で残留物Rの不要な粘度上昇が生じた場合に、分割装置へのストリッピングガスの供給を停止することが有利である。
【0025】
溶媒1は、1013hPaにおける沸点が、好ましくは少なくとも170℃、より好ましくは少なくとも190℃、最も好ましくは少なくとも210℃であり、25℃における水への溶解度が、好ましくは水100g当たり少なくとも20g、より好ましくは水100g当たり少なくとも30g、最も好ましくは水100g当たり少なくとも40gである。
【0026】
1013hPaにおける溶媒1の沸点は、可能なら残留物Rの温度よりも高くあるべきである。
【0027】
適当な溶媒1は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び2-エトキシエタノール等のアルコール、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド及びN,N-ジメチルホルムアミド等のカルボキサミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、及びスルホラン等のスルホンである。純粋な物質よりもむしろこれらの物質を含む残留物を使用することも可能である。適当な溶媒1は、例えば、オキソ法からの残留物である。
【0028】
分離カラムKの塔底空間内の残留物Rは、不要な粘度上昇が生じた場合、それぞれの場合に分離カラムKの塔底空間内の残留物Rの全体積に基づいて、好ましくは少なくとも20体積%、より好ましくは少なくとも30体積%、最も好ましくは少なくとも40体積%の溶媒1で希釈する。
【0029】
100℃の温度における分離カラムKの塔底空間中の残留物Rの粘度は、好ましくは12Pa s未満、より好ましくは10Pa s未満、最も好ましくは8Pa s未満である。
【0030】
排出された残留物Rは、溶媒2で希釈してもよい。適当な溶媒2は、例えば、アルコール、カルボキサミド、スルホキシド及びスルホンである。純粋な物質よりもむしろこれらの物質を含む残留物を使用することも可能である。適当な溶媒2は、例えば、メタノール生成からの残留物である。
【0031】
マイケル付加物を含み、アクリル酸の調製の際に形成された液体Fは、例えば、アクリル酸を調製するプロセスで得られ、その際に、アクリル酸のC3前駆体化合物の接触気相部分酸化によって得られるアクリル酸を含む生成物ガス混合物は、場合によって冷却後に、分離内部構造を備えた分離カラム内で粗製アクリル酸を側部引出し除去しながらそれ自体が上昇して分別凝縮され、形成されたアクリル酸のマイケル付加物を含む液体は、凝縮カラムの塔底から連続的に排出され、その中に存在するアクリル酸のマイケル付加物の再解離に液体Fとして供給される(例えば、WO 2004/035514参照)。
【0032】
液体Fは、不均一系接触気相部分酸化からの生成物ガス混合物中に存在するアクリル酸が、吸着剤への吸収によって液相に変換され、続いて、DE 103 36 386 A及びDE 29 01 783 Aに開示されているような精留及び/又は結晶化分離法を用いてアクリル酸が被吸収剤から分離される場合にも生じることがあると理解されよう。
【0033】
一般に、液体Fは、それらの質量に基づいて、重合阻害剤を少なくとも10質量ppm、しばしば少なくとも50質量ppm、多くの場合には少なくとも150質量ppm含む。一般に、液体F中の重合阻害剤の含有量は、同じ基準により1質量%以下、又は0.5質量%以下である。フェノチアジン(PTZ)及び/又はヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及びその変換生成物に加えて、この種の有用な重合阻害剤は、アルキルフェノール(例えばo-、m-又はp-クレゾール(メチルフェノール))、ヒドロキシフェノール(例えばヒドロキノン)、トコフェロール(例えば o-トコフェロール)及びN-オキシル(例えばヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンN-オキシル)等の化合物並びに文献で既知のその他の重合阻害剤であってもよい。
【0034】
アクリル酸及びマイケル付加物以外の液体Fの成分は、主に標準圧力でアクリル酸よりも沸点が高い化合物である。
【0035】
使用する分離カラムKは、原則としてそれ自体が既知の精留カラムのいずれかのタイプであってもよい。
【0036】
これらは全て、分離内部構造を含むカラムであり、有用な分離内部構造は、例えば、規則充填物、不規則充填物及び/又はトレイである。分離内部構造の目的は、分離カラムK中を上昇する気相と分離カラムK中を下降する液体の間の交換面積を増やすことであり、したがって2相間の物質移動と熱交換を改善することである。それらは、分離カラムK中を上昇するガスと、分離カラムK中を下降する液体の両方を透過する。
【0037】
分離カラムKは、好ましくはトレイ及び/又は規則充填物だけを含む。使用するトレイは、有利にはデュアルフロートレイであり、分離カラムKは、専らデュアルフロートレイを分離内部構造として含むことが特に有利である。
【0038】
本書では、デュアルフロートレイは、簡単な通路(ホール、スロット等)を有するプレートを意味するものと理解される。分離カラムK中を上昇するガスと分離カラム中を下降する液体は、同じ通路を介して互いに逆に流れる。通路の断面は、既知の方法で分離カラムKの負荷に適合させる。それが小さすぎる場合には、上昇する分流ガスは、分離カラムK中を下降する液体が本質的に分離作用なしに運ばれるような高い速度で通路を流れることになる。通路の断面が大きすぎる場合には、上昇する分流ガスと下降する液体は、本質的に交換せずに互いに通り過ぎることになり、トレイを乾燥したまま作動させるリスクが生じる。通常、デュアルフロートレイは、それらを次のトレイと連結する下降管を有していない。各デュアルフロートレイは、もちろん精留カラムの壁と同一平面に仕上げることができる。或いは、ランドを介して連結されていてもよい。精留カラムの負荷の減少とともに、液密封止されるクロスフロートレイとは対照的にデュアルフロートレイは乾燥したまま作動する。
【0039】
液体Fが分離カラムK内に導入される供給点Iは、分離カラムK内の最下部の分離内部構造よりも上にある。したがって、トレイカラムの場合には、供給点Iは最下部のトレイよりも上にある。
【0040】
分離カラムKが単に規則充填物を含むカラムである場合には、供給点Iは、最下部の規則充填物よりも上にある。
【0041】
単にデュアルフロートレイを含む分離カラムKは、60以下のデュアルフロートレイ又はそれ以上を含んでいてもよい。有利には、これらは、開口部の比(分流ガスを透過するトレイ面積(D)とトレイの全面積(U)の割合から形成されるD:Uの比)が10%~20%、好ましくは10%~15%である。
【0042】
有利には、単にデュアルフロートレイを有するトレイカラム(例えば最大で40段の等距離デュアルフロートレイ)の場合の供給点Iは、下から上に向かって観察して、4~10番目のデュアルフロートレイの範囲内にある。適用条件で適切には、供給点Iにおける液体Fの供給温度は、分離カラムKを下降する液体のその点での温度に相当する。有利には、前述の2つの温度は、互いに10%以下(それらの算術平均に基づいて)だけ異なる。適用条件で適切には、分離カラムKとその供給及び排出導管は、周囲から断熱されている。
【0043】
一般に、2~25段の理論段を有する分離カラムKが十分である。理論段は、エネルギー損失なしに熱力学的平衡に基づいて物質の濃縮をもたらす分離カラムKの分離内部構造を含む分離空間の空間ユニットを意味するものと理解される。
【0044】
好ましくは、分離カラムKの供給点Iは、下から上に向かって観察して、2~8番目の理論段の範囲内にある。
【0045】
分離カラムKの還流液は、分離カラムKの塔頂空間(内)に流れるガス流Gを直接的及び/又は間接的に冷却することによって生成することができる。本発明によれば、直接的な冷却方法を使用するのが有利である。
【0046】
このために、最も簡単な方法で、分離カラムKの最上部の分離内部構造を通って、それより上にある塔頂空間に流れるガス流Gは、例えば、塔頂空間に組み込んでもよい急冷装置に供給される(この場合、例えば煙突トレイを用いて塔頂空間と分離空間が離されており;塔底空間と塔頂空間は、分離内部構造を含まない)。
【0047】
原則として、急冷装置は、或いは、分離カラムKの外側に配置することもできる。この種の有用な急冷装置は、先行技術でこの目的に既知のいかなる装置(例えば噴霧スクラバー、ベンチュリスクラバー、バブルカラム又は液体が滴り落ちる表面をもつ他の装置)であってもよく、ベンチュリスクラバー又は噴霧冷却器を使用するのが好ましい。有利には、並流装置(例えば、インピンジメント板ノズルをもつもの)を使用する。急冷液を間接的に冷却するために、それは通常(間接的)伝熱器又は熱交換器を通して導入される。これに関して、全ての標準的な伝熱器又は熱交換器が適切である。多管式熱交換器、プレート式熱交換器及び空気冷却器が好ましい。適当な冷却媒体は、対応する空気冷却器の場合には空気であり、他の冷却装置の場合には冷却液、特に水(例えば表流水)である。適用目的で適切には、使用する急冷液は、急冷操作で形成される凝縮物の一部である。急冷操作の際に形成される凝縮物の他の部分は、通常は分離カラムK内最上部の分離内部構造に還流液として実質的に戻される(必要な場合には、凝縮物の一部を排出することもできる)。塔頂空間内及び/又は塔頂空間の外側に組み込まれた間接的熱交換器を専ら用いてこれらにガス流Gを通すことにより凝縮を実施することももちろんできる。
【0048】
適用目的で有利には、分離カラムKは、重合を阻害して作用させる。この目的のために使用できるような重合阻害剤は、原則として先行技術でアクリル酸モノマーに関して既知の全ての重合阻害剤である。これらの例には、フェノチアジン(PTZ) 及びヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)がある。
【0049】
これらの2種はしばしば組み合わせて使用される。適切には、これらは純粋な再解離生成物中に溶解した還流液に加えられる。MEHQは、好ましくは溶融形態で軽量される。
【0050】
使用される蒸発器Vは、原則としてそれ自体が既知の全てのタイプの蒸発器であってもよい。
【0051】
このために、最も簡単な方法で、分離カラムKの塔底空間で部分流Iとして取り出された残留物Rは、間接的循環熱交換器を用いて加熱し、このように加熱した残留物Rは、供給点IIを介して部分流IIとして分離カラムに再循環させる。残留物Rは、ここでポンプPを用いて間接的循環熱交換器(強制循環熱交換器)を介して運ばれる。
【0052】
間接的循環熱交換器の場合には、混合によって強制される流体熱媒体と加熱すべき液体混合物との間の直接接触によって熱は移動されない。代わりに、隔壁によって分離される流体間で間接的に熱が移動される。熱移動に有効な伝熱器(熱交換器)の有効分離面は、熱交換又は移動面と呼ばれ、熱移動は、熱移動の既知の法則に従う。
【0053】
流体熱媒体も残留物Rも間接的循環熱交換器を流れる。言い換えれば、これらは両方とも熱交換器に流入し、再び流出する(一方は少なくとも1つの第1の空間を通り、他方は少なくとも1つの第2の空間を通る)。
【0054】
本発明によるプロセスの有用な流体熱媒体は、原則として全ての可能な熱ガス、蒸気及び液体である。
【0055】
主要な流体熱媒体は蒸気であり、それは異なる圧力及び温度であってもよい。しばしば、蒸気が、間接的熱交換器を通過する際に凝縮することが好ましい(飽和蒸気)。
【0056】
プロセスに適した間接的循環熱交換器は、特に同心円管、多管式、フィンチューブ、スパイラル式又はプレート式伝熱器である。同心円管伝熱器は、2つの同心円管からなる。
【0057】
複数のこれらの同心円管は、結合して管壁を形成してもよい。内管は平滑であっても、又はリブが備えられていて熱移動が改善されていてもよい。個々の場合に、管束が内管と置き換わっていてもよい。熱交換する流体は、並流又は向流で動いてもよい。本発明によれば適切には、液体Fは、内管中を上方向に運ばれ、熱い蒸気は、例えば環状空間を下方向に流れる。
【0058】
多管式伝熱器は、本発明によるプロセスに特に適している。これらは通常、管板に固定された、小さな直径を有する多数の平滑な又はフィン付き伝熱器の管を囲む密閉された幅広な外管からなる。
【0059】
供給点II(部分流IIが供給管路から出て塔底空間に流れる分離カラムKの塔底空間内の点を意味するものと理解される)は、分離カラムKの最下部の分離内部構造よりも下、且つ塔底液体(分離カラムKの塔底空間へ流出する液体)のレベルSよりも上にある。本発明により有利には、塔底空間に流出する液体(塔底液体)のレベルSは、距離Aの40%未満、好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満であるように調節される。しかしながら、一般に、レベルSは、距離Aの5%未満にはならない(安全な液体レベル)。
【0060】
本発明により有利には、この安全な高さは、塔底空間内に置換体を取り付けるか又は塔底空間がその下端に向かって細くなっていることで少しの容量の塔底液体で達成される(DE 103 32 758 Aの図6或いはEP 1 095 685 A及びDE 10 2004 015 727 Aの図1参照)。
【0061】
特に有利には、塔底空間はその下端に向かって細くなり、塔底空間に流出する液体のレベルS(塔底液体のレベル)は、塔底空間が細くなっている塔底空間の部分にある(すなわち内径が減少した部分)。
【0062】
一般に、供給点IIは、塔底液体のレベルSの少なくとも0.25×A上にある(塔底液体の液体レベルの上)。
【0063】
部分流IIは、分離カラムKの塔底空間内の塔底液体に向かわない方法で部分流IIが分離カラムKの塔底空間に再循環される(つまり、部分流IIが対応する供給から出て塔底空間に流れるこの流れのベクトルの延長は、塔底液体にぶつからないが、塔底液体以外の固形物にぶつかる(すなわち塔底空間の壁、バッフルプレート等))。
【0064】
簡単な方法で、前述の本発明の条件は、部分流IIが塔底空間内に水平に流れ込むように実施することができる(例えば簡単な供給口により)。
【0065】
しかしながら、有利には、部分流IIは、塔底空間に通じる管路Aから分離カラムKの塔底空間内に供給され、その出口開口部は塔底空間で下方を向いているが、塔底液体ではなくインピンジメント装置Aに向けられており(流れ分配器に向かって)、これは塔底液体のレベルSよりも上の塔底空間に取り付けられており、これはインピンジメント装置にぶつかる場合には部分流IIを上方向にそらす(例えば、DE 10 2004 015 727 Aの図1参照)。
【0066】
しばしば、強制循環熱交換器は、強制循環フラッシュ型伝熱器、好ましくは強制循環多管式フラッシュ型伝熱器としても設計されている。単なる強制循環伝熱器の場合とは対照的に、これは通常スロットル装置(例えば最も簡単な場合には多孔板(又は他のレストリクター)による;バルブは代替の選択肢である)によって分離カラムK内の供給点IIと隔てられている。
【0067】
上記の措置により、伝熱器(熱交換器)の少なくとも1つの第2の空間内、例えば多管式伝熱器の管内を循環して送出された少なくとも1つの部分流Iの任意の沸騰が抑制される。分離カラムKの塔底空間に存在するガス圧GDに関して、循環して送出された少なくとも1つの部分流Iは、代わりに少なくとも1つの第2の空間内で過熱され、沸騰プロセスはこのようにスロットル装置の通路側に完全に移動する(つまり、多管式伝熱器の管の内容は、単相形態であり;多管式伝熱器は単に過熱器として機能する)。スロットル装置は、伝熱器(熱交換器;例えば多管式熱交換器)と圧力側の供給点IIを分離し、且つ本発明によるポンプの出力を適切に選択することにより、塔底空間に存在するガス圧GDを上回るスロットル供給圧力の確立が可能になり、それは塔底空間に存在するガス圧GDを上回り、伝熱器の少なくとも1つの第2の空間を流出する部分流IIの温度に対応する沸騰圧を上回る。蒸発沸騰は、流れ方向にスロットルを越えてのみ発生する。強制循環フラッシュ型熱交換器の使用が好ましい。
【0068】
ここでスロットル供給圧力と塔底空間に存在するガス圧GDとの差は、通常0.1~5バール、しばしば0.2~4バール、多くの場合には1~3バールである。
【0069】
原則として、蒸発器Vは、分離カラムKに組み込まれた薄膜蒸発器であってもよい。薄膜蒸発器は、分離カラムKの分離空間と塔底空間の間にある。部分流として分離カラムKの塔底空間で部分流として取り出された残留物Rは、ここでポンプPを用いて薄膜蒸発器に戻される。
【0070】
「ストリッピングガス」を、分離カラムK内の再解離生成物(分割生成物)の共留剤(同伴ガス或いは支援ガス)として部分的に使用する場合、本発明のプロセスでは、これは同様に、分離カラムKの塔底液体のレベルSより上、且つ最下部の分離内部構造より下で、分離カラムKの塔底空間に導入される(そこから分離カラムKの塔頂空間に流れ込む)。後者は、分離カラムKの塔底空間内のガス流が塔底液体に向けられないように再度行われる。(すなわちガス流が対応する管路から出て塔底空間に流れる流れ反応器の延長は、塔底液体にぶつからない)。
【0071】
これは簡単な方法で、ストリッピングガス流が塔底空間内に水平に流れ込むように達成することができる(例えば簡単な供給口により)。
【0072】
しかしながら、有利には、ストリッピングガス流は、塔底空間に通じる管路Bから分離カラムKの塔底空間内に供給され、その出口開口部は塔底空間で下方を向いているが、塔底液体ではなくインピンジメント装置Bに向けられており(流れ分配器に向かって)、これは塔底液体のレベルSよりも上の塔底空間に取り付けられており、これはインピンジメント装置にぶつかる場合にはストリッピングガス流を上方向にそらす(例えば、DE 10 2004 015 727 Aの図1参照)。
【0073】
重合阻害の理由で、ストリッピングガスは、好ましくは分子酸素を有する。その有用な例には、空気、酸素欠乏空気及び/又はサイクルガスがある。サイクルガスは、アクリル酸を調製するために使用されるC3前駆体化合物(例えばプロペン、プロパン、アクロレイン、グリセロール)の不均一系接触気相部分酸化の生成ガス混合物から、アクリル酸を液体吸着剤による吸収又は分別凝縮によって物質の液体状態に変換する場合に残るテールガスを意味するものと理解される(例えば、WO 2004/035514参照)。このテールガスの大部分の量は、反応ガス混合物を希釈するために循環において部分酸化に戻される。
【0074】
一般に、水性相は、ストリッピングガスとして使用する前に、前述のテールガスから凝縮され、これは一般にアクリル酸(酸水)の残留量を含み、有機抽出剤を用いた抽出によりこの水性相から得られた抽出物に分離することができる。本発明によるプロセスにおいてストリッピングガスとしてテールガスを任意に使用する前に、テールガスは前述の抽出物からアクリル酸を除去するために使用された可能性もある(DE 10 2007 004 960 A参照)。通常は、ストリッピングガスは、塔底液体の温度未満で、100℃超、場合によっては150℃超の温度で供給される。
【0075】
供給点Iで1時間当たりに供給される液体F 1kgに対して、供給されるストリッピングガス流は、例えば、1~100kg/hであってもよい。ストリッピングガスは、特に蒸発器Vが強制循環フラッシュ型熱交換器である場合に部的に使用される。
【0076】
ストリッピングガスの計量添加により、分離カラムK内の(再)解離生成物の分圧を、減圧を課す(適用する)のと同様に、対応する方法で低下させることができる。
【0077】
分離カラムKにストリッピングガスが供給されない場合には、有利には1バール未満(且つ、例えば、100ミリバール)である動作圧力がカラムの塔頂で使用される。
【0078】
ストリッピングガスを部分的に使用する場合には、分離カラムKの塔頂での動作圧力は一般に、1~3バール、好ましくは1.5~2.5バールの圧力である。
【0079】
塔底空間にレベルSで存在する塔底液体の温度は一般に、140~220℃、しばしば150~200℃、多くの場合には155~180℃の範囲である。
【0080】
残留物Rの部分流は、残留流として排出され、廃棄、例えば焼却に送られる。
【0081】
本発明によるプロセスでガス流Gの部分凝縮の際に残り、且つ排出されるガス流は、先行技術に既に記載されているのと同様に、形成された凝縮物のうち還流液として使用されない部分と同様に更に使用することができる(例えば DE 103 32 758 A、WO 2004/035514、WO 2008/090190、WO 2008/077767、EP 0 780 360 A、DE 197 01 737 A及びEP 1 357 105 A)。
【0082】
例えば、DE 10 2008 001 435 Aで推奨されているように、分離カラムKの塔底液体に分散剤(例えば界面活性剤)及び/又は脱泡剤を加えることができることが理解されよう。それらの添加は、分離カラムKの塔頂で行ってもよい。
【0083】
本発明は更に、発明のプロセスによって得られる希釈された残留物を更に提供する。
【実施例
【0084】
実施例1及び実施例2では、WO 2010/066601の実施例に基づいて分離カラムK内で生成された残留物Rを使用した。
【0085】
(実施例1)
残留物R 500gを1l丸底フラスコ中で170℃まで加熱し、撹拌した。6時間後、混合物をエチレングリコール500gで希釈し、撹拌しながら冷却した。
【0086】
試料を実験中に採取し、粘度を100℃で測定した。
【0087】
【表1】
【0088】
(実施例2)
残留物R 500gを1l丸底フラスコ中で170℃まで加熱し、撹拌した。6時間後、混合物をプロピレングリコール500gで希釈し、撹拌しながら冷却した。
【0089】
試料を実験中に採取し、粘度を100℃で測定した。
【0090】
【表2】
【0091】
(実施例3)
WO 2008/090190の例示的な実施形態に記載されているように実施したアクリル酸へのプロピレン(化学グレード)の2工程の不均一系接触部分気相酸化からの生成物ガス混合物に、WO 2008/090190の例示的な実施形態のように分別凝縮を行って、部分酸化からの生成物ガス混合物中に存在するアクリル酸をそこから分離した。
【0092】
WO 2008/090190の例示的な実施形態に記載されているように、高沸点の液体を凝縮カラムの塔底部から取り出し、WO 2010/066601の例示的な実施形態のように再解離装置に供給した。
【0093】
分離カラムKの塔底空間内の温度は、168℃であった。分離カラムKの塔底空間内の残留物Rの量は、約25m3であった。4日後、120℃における粘度は、流体から極めて粘性が高くなった。
【0094】
分離カラムKへの高沸点の液体及びストリッピングガスの供給を停止する。分離カラムKへの還流を同様に停止する。続いて、分離カラムKの塔底空間内の残留物Rをエチレングリコール約20m3で希釈する。希釈した残留物Rを排出し、焼却する。
【国際調査報告】