(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】虚血の治療
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
A61B17/22 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022567231
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2021061925
(87)【国際公開番号】W WO2021224357
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/081386
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/081399
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521193304
【氏名又は名称】ヴァーソノ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VERSONO MEDICAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】SSL BUILDINGS, PARKMORE WEST BUSINESS PARK, GALWAY,H91 HP4F, IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ドラン,フィンバー
(72)【発明者】
【氏名】オドナヒュー,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】タルピー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】コルビー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ギルフォイル,ディオン
(72)【発明者】
【氏名】キンセラ,ベン
(72)【発明者】
【氏名】コノリー,パット
(72)【発明者】
【氏名】ムーニー,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】オドナヒュー,メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ケイン,メール
(72)【発明者】
【氏名】スメッドリー,ジム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE19
4C160MM36
(57)【要約】
血管内の障害物を通過するための血管内装置は、ワイヤなどの細長い血管内要素を備える。要素は、近位セクションと、近位セクションよりも小さい直径の遠位先端セクションと、近位先端セクションと遠位先端セクションとの間に延在する遠位にテーパする中間セクションとを有する。装置は、要素を超音波作動させるために要素の近位セクションに機械的に結合され、したがって遠位先端セクションを励起して障害物を通過することを容易にする超音波トランスデューサを備える。カテーテルは要素を取り囲み、要素の遠位先端セクションの少なくとも一部は、カテーテルの遠位端を越えて遠位に突出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内の障害物を通過するための血管内装置であって、前記装置は、
ワイヤなどの細長い血管内要素であって、前記要素は、近位セクションと、前記近位セクションよりも直径が小さい遠位先端セクションと、前記近位セクションと前記遠位先端セクションとの間に延在する遠位にテーパする中間セクションとを備える、細長い血管内要素と、
前記要素を超音波作動させるために前記要素の前記近位セクションに機械的に結合され、したがって前記遠位先端セクションを励起して前記障害物を通過することを容易にする超音波トランスデューサと、
前記要素を取り囲むカテーテルであって、前記要素の前記遠位先端セクションの少なくとも一部は、前記カテーテルの遠位端を越えて遠位に突出する、カテーテルと、を備える、血管内装置。
【請求項2】
前記カテーテルは、前記遠位先端セクションの突出長さを調整するために、前記作動した要素に対して長手方向に移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カテーテルは、前記要素の周囲に可変半径方向間隙を画定する、調整可能直径の内腔を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記カテーテルは、前記要素に向かって半径方向内向き方向に伸長可能な内部遠位カラーを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記遠位カラーは、半径方向内向きに自己拡張することができる材料の本体を取り囲む外側シースを備え、前記カテーテルは、遠位位置において、前記自己拡張に対して前記材料を拘束し、近位位置において、前記自己拡張のために前記材料を解放する、長手方向に移動可能な内側スリーブを更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記遠位カラーは、環状内部バルーンを備える、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記カテーテルは、前記カテーテルの少なくとも2つの対向する側面から半径方向外向きの方向に伸長可能な外部遠位センタリング装置を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記センタリング装置は、前記カテーテルに沿って供給される流体によって膨張可能な少なくとも1つの外部バルーンを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記カテーテルは、前記カテーテルの遠位端及び前記要素を長手方向軸から横方向に偏向させるために、少なくとも1つの半径方向外向き方向に前記カテーテルから伸長可能である外部ステアリング構成を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記カテーテルは、フィラメントの内側バンドル及び外側バンドルを含み、一方のバンドルの前記フィラメントは、他方のバンドルの前記フィラメントに対して前記カテーテルの長手方向軸の周りでねじれており、前記バンドルは、圧縮されている前記カテーテルの遠位端部分に応答して、前記カテーテルの壁にねじり力を印加するように協働可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記カテーテルは、前記要素の周囲で前記カテーテルから展開可能であり、展開されると、長手方向にテーパする形状を有する、少なくとも1つの半径方向に自己拡張する支持体を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記カテーテルの遠位端部分は、遠位にテーパする、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記カテーテルの近位端は、前記トランスデューサから超音波エネルギーを受け取るために前記トランスデューサに結合される、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記カテーテルは、前記要素を前記トランスデューサに結合するコレットをバイパスする伝送経路上で前記トランスデューサに結合される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記カテーテルは、前記要素を前記トランスデューサにも結合するコレットを通って延在する伝送経路上で前記トランスデューサに結合される、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
1つ以上の導波管が、その近位端から前記カテーテルに沿って延在し、前記導波管は、伝送経路を介して前記トランスデューサに結合される、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記カテーテルは、前記カテーテルの長さの少なくとも大部分に沿って延在する長手方向スリットを備え、前記スリットは、前記要素を収容するために前記カテーテルの内腔と連通する、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記スリットは、前記カテーテルの遠位端の手前で終端する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記カテーテルは、少なくとも2つの平行な内腔を画定し、それらの内腔のうちの第1の内腔は、前記要素を収容するためのものである、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記カテーテルの第2の内腔は、前記第2の内腔に沿って流体流を駆動するための、又は前記第2の内腔内の流体を加圧するためのポンプに接続するための継手と連通する、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第2の内腔は、前記第1の内腔と流体連通している、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第2の内腔は、周縁が前記カテーテルの長手方向軸に対して鋭角で傾斜している遠位開口部を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記カテーテルは、前記カテーテルの壁から半径方向内向きに移動可能であり、前記作動した要素と接触することができる減衰要素を備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記カテーテル及び前記要素は、前記カテーテル及び前記要素の相対的な長手方向位置に関するフィードバックを提供するために、相対的な長手方向移動によって協働可能である戻り止め構成を備える、請求項1から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
血管内の障害物を通過するための血管内装置であって、前記装置は、
ワイヤなどの細長い血管内要素であって、前記細長い血管内要素は、近位セクションと、前記近位セクションよりも直径が小さい遠位先端セクションと、前記近位セクションと前記遠位先端セクションとの間に延在する遠位にテーパする中間セクションとを備える、細長い血管内要素と、
前記要素を超音波作動させるために前記要素の前記近位セクションに機械的に結合され、したがって前記遠位先端セクションを励起して前記障害物を通過することを容易にする超音波トランスデューサと、
前記要素を取り囲むチューブであって、前記チューブは前記トランスデューサを収容する作動ユニットから遠位に延在するチューブと、を備える、血管内装置。
【請求項26】
前記チューブの少なくとも一部は、長手方向の剛性よりも横方向の剛性が大きい構造を有する請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記チューブは、長手方向に伸長可能であり、かつ折り畳み可能である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記チューブの一部は、横方向の剛性よりも長手方向の剛性が大きい構造を有する、請求項25から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記チューブの一部は、前記要素と接触するように半径方向内向きの方向にユーザ圧縮可能である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
血管内の障害物を通過する方法であって、前記方法は、前記ワイヤの遠位先端セクションを超音波エネルギーで作動させることと、前記遠位先端セクションを、遠位振動及び近位振動を伴う一次長手方向モードで移動させるとともに、横方向モード及び微分高調波の二次モードを伴う半径方向にも移動させることと、を含む方法。
【請求項31】
血管内の障害物を通過する方法であって、前記方法は、ワイヤなどの細長い血管内要素の遠位先端セクションを、前記要素のより広い近位セクションから前記要素の遠位にテーパする中間セクションに沿って前記遠位先端セクションに超音波エネルギーを伝達することによって励起することを含み、前記励起が、前記要素内の長手方向共振によって駆動される長手方向振動に加えて、前記遠位先端セクション内に横方向副高調波振動を生成する、方法。
【請求項32】
前記遠位先端セクションは、前記遠位先端セクションよりも実質的に広いトンネルを前記障害物内に掘削するために、中心長手方向軸の周りの軌道運動を受ける、請求項30又は請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記遠位先端セクションは、前記遠位先端セクションよりも実質的に広いトンネルを前記障害物内に掘削するために、多高調波運動を受ける、請求項30から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記要素の前記遠位先端セクションを前記障害物を通って遠位に前進させてアパーチャを形成することと、前記障害物の遠位側の前記遠位先端セクションに軌道運動及び/又は多高調波運動を誘発することと、前記アパーチャを広げるために、前記障害物を通って前記軌道運動又は多高調波運動遠位先端セクションを近位に移動させることと、を含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記要素を取り囲むカテーテル内で前記要素を支持し、前記遠位先端セクションの少なくとも一部を前記カテーテルの遠位端を越えて遠位に突出させたままにすることを更に含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記要素と前記カテーテルとの間の相対的な長手方向移動を実行することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記カテーテルを長手方向に移動させて、前記障害物の近位側の前記遠位先端セクションに軌道運動及び/又は多高調波運動を誘発することと、前記障害物を通るアパーチャを形成又は広げるために、前記軌道運動又は多高調波運動遠位先端セクションを前記障害物を通って遠位に移動させることとを含む、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記カテーテルの内腔の直径を調整して、前記カテーテルと前記要素との間の半径方向クリアランスを変化させることを含む、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記カテーテルから少なくとも2つの反対方向に半径方向外向きのセンタリング力を加えることによって、前記血管内で前記カテーテルをセンタリングすることを含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記センタリング力は、少なくとも1つの膨張可能なバルーンによって加えられ、前記方法は、前記障害物を通過するために前記要素を使用する前に、前記カテーテルをセンタリングするために前記バルーンを膨張させることと、
前記バルーンを前記障害物内のアパーチャ内に前進させることと、前記バルーンを前記アパーチャ内で再膨張させることと、を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
超音波エネルギーを前記要素から前記バルーンを通して前記障害物内に伝導することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記血管内で前記カテーテルをステアリングして、前記カテーテルから少なくとも1つの方向に半径方向外向きのステアリング力を加えることによって、前記カテーテルの遠位端及び前記要素を長手方向軸から横方向に偏向させることを含む、請求項35から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記障害物の遠位側及び/又は近位側で前記カテーテルから少なくとも1つの半径方向自己拡張支持体を展開することを含む、請求項35から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記カテーテルの近位端から前記カテーテルに沿って遠位に振動を伝達することを更に含む、請求項35から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
患者の血管内の障害物を通過するための、ワイヤなどの細長い血管内要素を取り扱う方法であって、前記方法は、
作動ユニットを前記患者の身体に向かって遠位に前進させることであって、前記作動ユニットは、前記要素に結合されて、前記要素を超音波で作動させる、ことと、
前記作動ユニットから遠位方向に延在し、前記要素の一部を取り囲むチューブによって、前記本体に向かう前記作動ユニットの遠位方向の前進を制限して、前記要素の一部を前記本体の外側に保持することと、を含む、方法。
【請求項46】
患者の血管内の障害物を通過するための、ワイヤなどの細長い血管内要素を取り扱う方法であって、前記方法は、
前記要素を超音波で作動させるために前記要素に結合された作動ユニットから遠位に延在するチューブ内で前記患者の体外で前記要素の一部を支持することと、
前記チューブの一部を半径方向内向きに押圧して前記要素と接触させることと、を含む、方法。
【請求項47】
前記チューブの一部を押圧することによって前記要素を把持しながら、前記作動ユニットから前記チューブを取り外すことを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
患者の血管内の障害物を通過するための、ワイヤなどの細長い血管内要素を取り扱う方法であって、前記方法は、
前記要素を超音波で作動させるために前記要素に結合された作動ユニットから遠位に延在するチューブ内で前記患者の体外で前記要素の一部を支持することと、
前記チューブの入れ子式構造、蛇腹式構造又は編組構造に長手方向の力を加えることによって、前記チューブの長さを変化させることと、を含む、方法。
【請求項49】
患者の血管内の障害物を通過するための、ワイヤなどの細長い血管内要素を取り扱う方法であって、前記方法は、
前記本体と、前記要素に結合されて前記要素を超音波で作動させる作動ユニットとの間に延在するチューブ内に、前記患者の体外にある前記要素の一部を支持することであって、前記チューブの壁は長手方向スリットによって貫通されている、ことと、
事前に、前記要素の一部の少なくとも一部を、前記スリットを通って前記チューブ内に挿入すること、
又は
その後、前記要素の一部の少なくとも一部を、前記スリットを通って前記チューブから引き出すことと、を含む、方法。
【請求項50】
前記スリットは、前記チューブの遠位端の手前で終端し、前記要素は前記チューブの遠位部分内に拘束される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
血管内の障害物を通過する方法であって、前記方法は、ワイヤに沿って超音波エネルギーを伝達することによって、前記ワイヤなどの細長い血管内要素の遠位先端セクションを励起することであって、前記要素はカテーテルの周囲の第1の内腔内に支持され、流体は前記カテーテルの第2の内腔から前記要素の周りの前記第1の内腔内に駆動される、ことを含む、方法。
【請求項52】
血管内の障害物を通過する方法であって、前記方法は、ワイヤに沿って超音波エネルギーを伝達することによって、前記ワイヤなどの細長い血管内要素の遠位先端セクションを励起することであって、前記要素はカテーテルの周囲の第1の内腔内に支持され、流体は、前記カテーテルの第2の内腔に沿って駆動されて、前記要素の前記遠位先端セクションの励起によって前記障害物から除去された破片を吸引する、ことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波作動ワイヤを使用して血管内の遮断物を通過し、任意選択的に、後続治療デバイスの導入を容易にすることによる虚血の治療に関する。
【0002】
本発明は、本発明者らのPCT/EP2019/080449号(国際公開第2020/094747号として公開)、PCT/EP2020/081386号、及びPCT/EP2020/081399号(両方ともまもなく公開される)において表現された概念を発展させ、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
これらの出願において説明されているように、虚血とは、体内の臓器への不十分な血液供給のことである。アテローム硬化性血管では、脈管壁の病変から生じる障害物、アテローム硬化性プラーク、又は他の原因から生じる塞栓によって血管が遮断された結果として、虚血が発生する。アテローム硬化性プラークは、その構造が時間の経過とともに次第に硬くなる物質で構成されている。血管を部分的又は完全に塞ぐことにより、遮断物は、遮断物の遠位にある組織へ流れる血液を制限し、細胞死及び組織の健康状態の急速な悪化を引き起こす。
【0004】
このような遮断物を治療するための優先的な方法は、低侵襲の血管内血管形成術によるものである。これらの処置では、小径の治療デバイスを脈管系内に導入して、静脈及び動脈の内腔を介して遮断物までナビゲートして、病変部位において展開して開存性を回復する。慢性アテローム硬化性プラークの治療における冠状動脈及び末梢動脈内の閉塞を血行再建するこれらの処置は、急性塞栓性閉塞、血栓、閉塞性血餅又は慢性全閉塞(CTO)の治療にも使用することができる。
【0005】
これらの処置が行われる解剖学的構造には、下肢に供給するものを含む冠状動脈、神経脈管動脈、及び末梢動脈が含まれるが、これらに限定されない。異なる解剖学的構造が異なる病変に関連付けられている。様々な末梢脈管に見られる病変は、冠状動脈に見られる病変と異なるタイプの課題をもたらす。腸骨動脈、大腿動脈、膝窩動脈、及び膝窩下動脈は、様々な蛇行があり、多くの場合、冠状動脈又は神経の脈管系よりも実質的にかなり小さい。しかしながら、これらの動脈は、血管内処置の成功に深刻な障害をもたらす、広範囲の石灰化の影響を受けやすい。
【0006】
血管内処置では、脈管系へのアクセスを得るのに使用するための動脈が選択され、採用される。選択は、標的部位への目的の診断又は治療デバイスの通過に対応する動脈の能力、並びに組織及び患者の外傷を最小限に抑えることができる程度に基づいている。
【0007】
末梢動脈の血行再建処置では、多くの場合、大腿動脈、膝窩動脈、及び足動脈への外科的切開及び穿刺によってアクセスが行われ、これは、医学用語では、セルディンガー法として一般に知られている。アクセスが行われると、イントロデューサワイヤ及びイントロデューサシースが脈管内へ挿入され、部位に固定される。このシースは、デバイスの導入、引き抜き、及び交換のためのポートとして機能し、動脈組織の剥離を最小限に抑える。次に、ガイドカテーテル及びガイドワイヤが動脈内へ導入されて、更なる保護を提供し、標的部位へのデバイスナビゲーションを支援する。
【0008】
ガイドワイヤは、脈管壁に外傷を引き起こさないように注意深く脈管の内腔に沿って押され、障害物の部位にナビゲートされる。成功した処置では、ガイドワイヤは、次に、障害物の向こう側へ、又は障害物を通って押され、その場に保持されて、バルーンカテーテル及びステントなどの診断又は治療デバイスが閉塞の部位までその上をトラックされるガイドとして機能する。
【0009】
ガイドワイヤは、他の低侵襲処置において、他のデバイス及び器具を脈管又は体内の他の空洞内へ導入して、検査、診断、及び異なるタイプの治療を可能にするために使用される。ガイドワイヤは、例えば、バルーン血管形成術、胃腸管処置、泌尿器科処置、及び婦人科処置に使用される。このような処置は全て、より大きな診断用又は治療用デバイスを体内の病変又は病変の遠位に標的化された他の組織の部位に通過することを容易にするために、遮断物を通して形成される通路を必要とする。
【0010】
解剖学的構造を通して前進させられるガイドワイヤ及び他のデバイスの進行の可視化は、典型的には、X線又は二重超音波によって行われる。MRIは、他の生体構造においてますます普及している。
【0011】
ガイドワイヤは、多くの異なる設計を有する様々な材料、最も典型的にはステンレス鋼、及びNiTi(ニチノール)を含む様々な合金から製造される。一例として、ワイヤの長さに沿って異なる程度の可撓性を生成するために、ワイヤの長さにわたって特定のテーパが設けられてもよい。したがって、その遠位端において、ワイヤは、血管の形状に適合するのに十分な可撓性と、先端に力を伝達する強度(「先端剛性」)又は病変を通過する力とを有する。
【0012】
ワイヤは、治療している解剖学的構造に関連付けられた様々な外径で利用可能になっている。直径0.010インチ(約0.25mm)のオーダーのワイヤが、神経脈管系で一般的に使用されるが、外径が0.014インチ(約0.36mm)のワイヤが、通常、冠状動脈用途で使用される。このようなワイヤはまた、多くの末梢脈管系にも、通常、膝窩下の足及び脛骨の解剖学的構造にも使用される。腸骨、大動脈、及び胸部の脈管などの罹患した大径で真っ直ぐな脈管にアクセスして治療する場合、0.035インチ(約0.89mm)の通常の外径のワイヤが使用され得る。直径0.018インチ(約0.46mm)のワイヤは、下腿に使用することができる。
【0013】
血管内処置で使用されるワイヤの長さも、それらが動作する可能性が高いと考えられる距離によって異なる。一例として、通常、750mm~最大900mmの長さのワイヤが、大腿骨又は膝窩の解剖学的構造に導入され得るか、又は同側の腸骨大腿膝窩及び膝窩下動脈内の遮断物までトラックし、遮断物を通る必要がある多くの末梢用途で使用される。対側及び冠状動脈の用途で使用されるワイヤは、長さが1200mm、1500mm、又は1700mmのオーダーになる傾向がある。実際に、対側でトラックされ得るワイヤは、おそらく2000mm~2250mm、2500mm又は3000mm以上の長さのオーダーで、より長くなる可能性がある。
【0014】
場合によっては、伸長ワイヤを使用して、特定の治療デバイスの展開を容易にすることができる。この場合、ワイヤの近位端は特定の特徴を必要とする場合がある。
【0015】
多くの従来の血管内ワイヤは、アクティブコンポーネントを有さないパッシブ機械デバイスである。パッシブワイヤは、臨床医によって印加されるエネルギー以外のいかなるエネルギーも伝達しない。それらは、遮断物サイトにナビゲートするために、それらの近位端が押され、引っ張られ、トルクを与えられることによって操作され、次いで、遮断物を通して、又はその周りに押される。しかしながら、非常に多くの場合、閉塞は、従来のワイヤが通過するには困難すぎる。これらのパッシブワイヤは、意図したとおりにはガイドワイヤとして機能しないか、又は、かなり石灰化している可能性のあるほぼ又は完全に塞がれた遮断物を横断しようとする際は制限を受ける。ワイヤが閉塞の周囲でトラックされる状況、例えば、内膜下状況では、そのようなワイヤは、多くの場合、真腔に再進入することに失敗する。
【0016】
本発明は、遮断物を横断するためにワイヤに沿って伝達される超音波振動の使用に関する。小径カテーテル及びアセンブリに沿った超音波振動の伝達は、米国特許第3433226号明細書に開示されている。米国特許第5971949号明細書は、異なる構成及び先端幾何学形状の導波管を介した超音波エネルギーの伝送を説明する。米国特許第5427118号明細書は、超音波ガイドワイヤシステムを記載しているが、ワイヤの近位幾何形状、又はワイヤ上の方法を介して後続デバイスをどのように容易にするかについて詳細に論じていない。
【0017】
多くの現在の単一トランスデューサシステムは、超音波作動ガイドワイヤではなく、代わりに、物質を撹拌及び切除するためのワイヤ部材を含む超音波作動カテーテルである。米国特許第6855123号明細書及び米国特許第4979939号明細書は、そのようなシステムを記載している。これらのカテーテル自体は、それらがナビゲートするのを助けるために別個のパッシブガイドワイヤを必要とし、したがって、別個のガイドワイヤが遮断物を横断するのを容易にするためのツールである。米国特許第9629643号明細書は、ある範囲の遠位先端構成を有するシステムを示すが、全てアクセスのために別個のガイドワイヤを必要とする。
【0018】
これらの超音波作動デバイスは、血管再生の代替方法を送達することを対象とし、多くの場合、アテローム切除術デバイス、通過デバイス、又は血管形成デバイスとして説明される。当技術分野では、これらのデバイス及び再疎通ワイヤデバイスは、血管再生を向上させ、病変を形成するプラークを除去することによって病変のかさを減らすことによって、アテローム切除術を提供するか、又は行う。
【0019】
超音波作動カテーテル及びワイヤシステムは、過去において、アテローム切除術の方法として、及び血管形成治療のために血管を準備するために考慮されてきた。いくつかの製品は過去に市販されており、いくつかは依然として市場で入手可能であり、いくつかの新しいシステムは最近市場に出回っている。そのようなカテーテル及びワイヤシステムは、多くの場合、超音波発生器及び超音波トランスデューサを含む。超音波発生器は、電気を、その電圧振幅、電流及び周波数によって規定される超音波波形に変換する。超音波トランスデューサ、及びしばしば増幅ホーンは、電気エネルギーを、振動の周波数及び振幅によって規定される高周波機械振動に変換する。
【0020】
波送達システム、超音波送達システム又は伝達部材としての役割を果たす小径ワイヤ又は導波管は、トランスデューサに直接、又は任意のホーンを介して結合され、機械的振動をワイヤの遠位先端に伝達する。この結果、ワイヤ導波管の遠位先端は、物質を掘削し、最終的に身体全体の血管及び解剖学的構造の血管再生又は再疎通を容易にする目的で、所望の振幅及び周波数で振動する。遠位先端付近の組織及び物質は、先端の超音波運動と、圧力波成分からのその直接的な機械的摩耗、アブレーション及びキャビテーションと、先端の周りのゾーンからアブレーションされた物質を除去する音響流との組合せによって影響を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第3433226号明細書
【特許文献2】米国特許第5971949号明細書
【特許文献3】米国特許第5427118号明細書
【特許文献4】米国特許第6855123号明細書
【特許文献5】米国特許第4979939号明細書
【特許文献6】米国特許第9629643号明細書
【特許文献7】国際公開第2020/094747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
一般的に言えば、本発明のデバイスは、慢性完全閉塞及び他の複雑な病変などの血流を妨げる遮断物を通過する目的で、超音波振動をワイヤの遠位先端に伝達する目的で、手持ち式作動ユニットと血管内ワイヤとの組合せを使用する。作動ユニットは、超音波トランスデューサと、血管内ワイヤの通過を可能にするためにトランスデューサ及びコレットを通る中心内腔を有する結合コレットとを収容する。このような構成では、作動ユニットは、血管内ワイヤ上を摺動することができ、ワイヤに沿った複数の位置で互いに結合することができる。
【0023】
ワイヤに結合されると、作動ユニットは、ワイヤを通して超音波エネルギーを伝送し、それに続いて、非アクティブ化され、ワイヤ上の別の場所に移動され、結合され、再アクティブ化されることができる。その後、作動ユニットは、例えばワイヤ上を近位に摺動させることによって、ワイヤから取り外されて完全に除去され得る一方で、ワイヤはその場に留まり、後続の処置を可能にする。しかしながら、デバイスはまた、独立型の処置で使用されて、血管再生をもたらし、足用途又は他の場合に血流を回復させることができる。
【0024】
公知の超音波作動血管内ワイヤ又はカテーテルシステムでは、ガイドワイヤの近位端がトランスデューサに接続されている。国際公開第2020/094747号として公開された本発明者らの特許出願では、ワイヤはトランスデューサを通って延び、トランスデューサから遠位方向だけでなく近位方向にも延びる。これにより、ユーザは、ワイヤを切断する必要なく、トランスデューサを任意の所望の位置でワイヤに結合し、トランスデューサから遠位先端までのワイヤの遠位部分の全長を調整することができる。
【0025】
ワイヤの遠位部分の調整可能な全長は、例えば、ワイヤ先端が患者の体内で移動する必要がある軌道の予想される長さに適合させるために、実用目的に非常に有用であり得る。また、ワイヤの制御は、活性化源を調整又は再接続しながら、その位置を血管内腔内に維持することにおいて強化される。加えて、ワイヤの調整可能な長さの遠位部分は、任意の所望の周波数における遠位先端での共振を達成及び最適化するのに役立つ。
【0026】
ワイヤを励起するために超音波エネルギーを使用するとき、ワイヤの遠位先端における変位振幅を最大にして、病変を掘削することが望ましい。また、患者の体外に残るワイヤの近位部分であって、作動ユニットから遠位方向及び近位方向の両方に延びる近位部分の変位又は移動を最小限に抑えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0027】
ある意味で、本発明は、血管内の障害物を通過するための血管内装置に関する。装置は、ワイヤなどの細長い血管内要素であって、細長い血管内要素は、近位セクションと、近位セクションよりも直径が小さい遠位先端セクションと、近位セクションと遠位先端セクションとの間に延在する遠位にテーパする中間セクションとを備える、細長い血管内要素と、要素を超音波作動させるために要素の近位セクションに機械的に結合され、したがって遠位先端セクションを励起して障害物を通過することを容易にする超音波トランスデューサと、要素を取り囲むカテーテルであって、要素の遠位先端部分の少なくとも一部は、カテーテルの遠位端を越えて遠位に突出する、カテーテルと、を備える。
【0028】
カテーテルは、遠位先端セクションの突出長さを調整するために、アクティブ化された要素に対して長手方向に移動可能であり得る。カテーテルはまた、要素の周囲に可変半径方向間隙を画定する、調整可能直径の内腔を有し得る。例えば、カテーテルは、環状内部バルーンなど、要素に向かって半径方向内向き方向に伸長可能な内部遠位カラーを備え得る。
【0029】
カテーテルはまた、カテーテルの少なくとも2つの対向する側面から半径方向外向きの方向に伸長可能な外部遠位センタリング装置を備え得る。これはまた、少なくとも1つの外部バルーンを採用してもよい。同様に、カテーテルは、カテーテルの遠位端及び要素を長手方向軸から横方向に偏向させるために、少なくとも1つの半径方向外向き方向にカテーテルから伸長可能である外部ステアリング構成を備え得る。
【0030】
カテーテルは、要素の周囲でカテーテルから展開可能であり、展開されると、長手方向にテーパする形状を有する、少なくとも1つの半径方向に自己拡張するケージ状ステント又は支持体を含み得る。
【0031】
カテーテルの近位端は、トランスデューサから超音波エネルギーを受け取るためにトランスデューサに結合され得る。例えば、カテーテルは、要素をトランスデューサに結合するコレットをバイパスする伝送経路上でトランスデューサに結合され得る。代わりに、カテーテルは、要素をトランスデューサに結合するコレットを通って延びる伝送経路上でトランスデューサに結合され得る。1つ以上の導波管が、カテーテルに沿って延在してもよい。
【0032】
好都合には、カテーテルは、カテーテルの長さの少なくとも大部分に沿って延在する長手方向スリットを備え、スリットは、要素を収容するためにカテーテルの内腔と連通し得る。そのようなスリットは、カテーテルの遠位端の手前で終端してもよい。
【0033】
カテーテルは、少なくとも2つの平行な内腔を画定してもよく、それらの内腔のうちの第1の内腔は、要素を収容するためのものであり、それらの内腔のうちの第2の内腔は、その第2の内腔に沿って流体流を駆動するため、又はその第2の内腔内の流体を加圧するためのポンプに接続するための継手と連通している。第2の内腔は、第1の内腔と流体連通してもよい。
【0034】
これに対応して、本発明の概念は、血管内の障害物を通過するための血管内装置であって、ワイヤなどの細長い血管内要素であって、細長い血管内要素は、近位セクションと、近位セクションよりも直径が小さい遠位先端セクションと、近位セクションと遠位先端セクションとの間に延在する遠位にテーパする中間セクションとを備える、細長い血管内要素と、要素を超音波作動させるために要素の近位セクションに機械的に結合され、したがって遠位先端セクションを励起して障害物を通過することを容易にする超音波トランスデューサと、要素を取り囲むチューブであって、チューブはトランスデューサを収容する作動ユニットから遠位に延びる、チューブと、を備える血管内装置を包含する。
【0035】
チューブの少なくとも一部は、長手方向よりも横方向の剛性が大きい構造を有してもよい。例えば、チューブは、長手方向に伸長可能かつ折り畳み可能であってもよい。逆に、チューブの一部は、横方向の剛性よりも長手方向の剛性が大きい構造を有してもよい。例えば、チューブのその部分は、要素と接触するように半径方向内向きにユーザ圧縮可能であってもよい。
【0036】
本発明の概念はまた、血管内の障害物を通過する方法を包含する。1つの表現では、方法は、ワイヤの遠位先端セクションを超音波エネルギーで作動させることと、遠位先端セクションを、遠位振動及び近位振動を伴う一次長手方向モードで移動させるとともに、横方向モード及び微分高調波の二次モードを伴う半径方向にも移動させることと、を含む。別の表現では、血管内の障害物を通過する方法であって、方法は、ワイヤなどの細長い血管内要素の遠位先端セクションを、要素のより広い近位セクションから要素の遠位にテーパする中間セクションに沿って遠位先端セクションに超音波エネルギーを伝達することによって励起することを含み、励起が、要素内の長手方向共振によって駆動される長手方向振動に加えて、遠位先端セクション内に横方向副高調波振動を生成する。
【0037】
有利には、遠位先端セクションは、遠位先端セクションよりも実質的に広いトンネルを障害物内に掘削するために、中心長手方向軸の周りの軌道運動又は多高調波運動を受ける。例えば、要素の遠位先端セクションは障害物を通って遠位に前進されてアパーチャを形成し、続いて障害物の遠位側の遠位先端セクションに軌道運動及び/又は多高調波運動を誘発し、アパーチャを広げるために、障害物を通って軌道運動又は多高調波運動遠位先端セクションを近位に移動させることができる。
【0038】
要素は、カテーテルの遠位端を越えて遠位に突出する遠位先端セクションの少なくとも一部を残して、周囲カテーテル内に支持されてもよい。要素とカテーテルとの間の相対的な長手方向移動は、カテーテルが障害物の近位側の遠位先端セクションに軌道運動及び/又は多高調波運動を誘発し、続いて、障害物を通るアパーチャを形成又は広げるために、軌道運動又は多高調波運動遠位先端セクションを障害物を通って遠位に移動させることを可能にする。
【0039】
センタリング力は、少なくとも1つの膨張可能なバルーンによって加えられ、方法は、障害物を通過するために要素を使用する前に、カテーテルをセンタリングするためにバルーンを膨張させることと、バルーンを障害物内のアパーチャ内に前進させることと、バルーンをアパーチャ内で再膨張させることと、を含み得る。
【0040】
本発明は、患者の血管内の障害物を通過するための、ワイヤなどの細長い血管内要素を取り扱う様々な方法に及ぶ。1つのそのような方法は、作動ユニットを患者の身体に向かって遠位に前進させることであって、作動ユニットは、要素に結合されて、超音波で作動させる、ことと、作動ユニットから遠位に延在し、要素の一部を囲繞するチューブによって、身体に向かって作動ユニットの遠位前進を制限し、要素のその一部を身体の外側に保つこととを含む。
【0041】
別のそのような方法は、要素を超音波で作動させるために要素に結合された作動ユニットから遠位に延在するチューブ内で患者の体外で要素の一部を支持することと、チューブの一部を半径方向内向きに押圧して要素と接触させることと、を含む。好都合なことに、チューブは、チューブの一部を押し込むことによって要素を把持し続けながら、作動ユニットから取り外すことができる。
【0042】
別のそのような方法は、要素を超音波で作動させるために要素に結合された作動ユニットから遠位に延在するチューブ内で患者の体外で要素の一部を支持することと、チューブの入れ子式構造、蛇腹式構造又は編組構造に長手方向の力を加えることによって、チューブの長さを変化させることと、を含む。
【0043】
別のそのような方法は、本体と、要素に結合されて要素を超音波で作動させる作動ユニットとの間に延在するチューブ内に、患者の体外にある要素の一部を支持することであって、チューブの壁は長手方向スリットによって貫通されている、ことと、事前に、要素の部分の少なくとも一部を、スリットを通ってチューブ内に挿入すること、又は、その後、要素の一部の少なくとも一部を、スリットを通ってチューブから引き出すことと、を含む。スリットは、チューブの遠位端の手前で終端し、要素はチューブの遠位部分内に拘束され得る。
【0044】
要素がカテーテルの周囲の第1の内腔内に支持される場合、流体は、カテーテルの第2の内腔から要素の周囲の第1の内腔内に駆動されてもよい。別のアプローチでは、流体は、カテーテルの第2の内腔に沿って駆動され、要素の遠位先端セクションの励起によって障害物から除去されたデブリを吸引してもよい。
【0045】
超音波活性化の結果として、ワイヤの遠位テーパ状領域における運動は、軸方向成分及び半径方向成分の両方又は側方成分から構成され、軸方向成分は、駆動周波数でのトランスデューサにおける長手方向変位によって駆動され、一方、半径方向成分は、大きさ及び形状(振幅及び周波数)がワイヤの幾何学的形状及び可撓性、移行領域の寸法、並びにワイヤの遠位セクションの幾何学的形状によって決定される一連の横方向モードから構成される。
【0046】
その可撓性を決定し、横方向変位を表現することを可能にするこれらのワイヤ設計特徴は、駆動周波数の副高調波周波数での結合を促進するように選択される。結果として、遠位領域におけるワイヤの幾何学的形状は、主に軸方向に掘削、研磨又は切除するように、あるいは軸方向又は長手方向移動に加えてより顕著な横方向移動を有するように最適化され得る。遠位領域における軸方向移動及び半径方向移動の両方の使用は、掘削中及びその後の後続処置のために開口外形を増加させることを支援する。
【0047】
好ましい実施形態では、本発明のシステムは、信号電力発生器と超音波トランスデューサと、任意の音響ホーンと、高周波超音波振動をその遠位先端に伝達して、動脈を遮断している非適合材料及び他の材料を通してアブレーションすることができ、標準的な診断及び治療デバイスの送達を容易にする寸法である、伝達導波管又は横断ワイヤと、損失を最小限に抑え、高周波機械エネルギーの忠実な伝達を可能にする、伝達ワイヤを音響ホーンに、又は直接トランスデューサに結合する取付機構である、継手とを含む。
【0048】
本発明のシステムは、医療デバイスの動作を制御するために、手持ち式であってもなくてもよく、以下の部品、すなわち、信号発生器、超音波トランスデューサ、音響増幅ホーン(ホーンはトランスデューサアセンブリの一部であってもよく、又は省略されてもよい)、及びインタフェース結合コンポーネント、並びにデータ取得、処理、及びシステム制御の全て又はいくつかを収容するコンパクトハウジングユニットを備えてもよい。いくつかの実施形態では、これらのコンポーネントの全てが単一のユニットに集約される。他の実施形態では、コンポーネントは分解され、発生器は別個に収容される。別の実施形態では、トランスデューサホーンは分離される。別の実施形態では、継手は、トランスデューサスタックに直接接続する。
【0049】
遮断された又は部分的に遮断された解剖学的通路の低侵襲経皮外科的再疎通のために、交換可能な可撓性伝達部材アセンブリ又は横断ガイドワイヤのセット、種類又はシリーズが提供される。継手は、横断ワイヤが超音波トランスデューサ及び/又はホーンアセンブリに接続されることを可能にする。
【0050】
使用時に、信号発生器は、トランスデューサに電気エネルギーを供給し、圧電超音波トランスデューサは、その電気エネルギーを機械的振動に変換し、機械的振動は音響ホーンによって更に増幅され得、伝達部材は、音響トランスデューサ又はホーンに結合され、超音波振動は伝達部材を介して伝達され、伝達部材の遠位先端は、病変組織又は他の物質を有益に破壊する能力を伴って所定の周波数及び振幅で振動する。超音波トランスデューサは、一定の振動振幅を達成するために、適切なコントローラによって制御され得る。
【0051】
超音波発生器、主ハウジング、回路及び結合コンポーネントは、患者の体外に残る。伝達部材の長さの大部分及び任意の末梢カテーテルのコンポーネントは、患者の身体に入る必要があるシステムの唯一の部分である。伝達部材の近位セクション及び任意の末梢カテーテルコンポーネントは、主要ユニットへの結合並びにステアリング及び制御の処置要件を容易にするために、外部のままである。
【0052】
好ましい動作方法では、血管内横断ワイヤは、最初に、超音波振動のないパッシブモードで解剖学的通路内で使用することができる。ワイヤが解剖学的通路内に残っている間に、横断ワイヤを、必要に応じてハウジング内に設置された音響ホーン/トランスデューサアセンブリに結合して、伝達部材として機能するワイヤにエネルギー付与するか又はワイヤを介して超音波振動を伝達することができる。その結果、遠位先端に振動が生じ、病変の横断がもたらされる。
【0053】
超音波アクティブ化に続いて、横断ワイヤは、必要に応じて、ハウジング内に設置された音響ホーンから切り離されるか又は結合分離されて、パッシブワイヤ構成に戻り、更なる後続のデバイス又は治療を容易にすることができる。
【0054】
超音波トランスデューサ、ホーン、結合手段、信号発生器、電源、及び制御回路は全て、同じ手で持ち運び可能な軽量のコンパクトハウジングユニットに設置することができる。別の実施形態では、信号発生器は別個であり、コネクタケーブルを介して、トランスデューサ及びホーンを含むコンパクトハウジングユニットに接合されている。
別の実施形態では、システム全体を使い捨てデバイスとして設計することができる。別の実施形態では、超音波トランスデューサ、ホーン、結合手段、発生器、及び制御回路は全て、同じ持ち運び可能なコンパクトハウジングユニット内に設置され、ケーブルを介して電源に接続され得る。
【0055】
遠位特徴は、解剖学的構造を通してトラックするために最適化されるワイヤの制御及びステアリング性を含む、ナビゲーション及び通過における性能を向上させるために、また、達成される開口外形を増加させるために含まれることができる。更に、マーカバンドが、蛍光透視法又はX線の下で可視性を提供するために含まれ得る。放射線不透過性マーカは、例えば、ワイヤの作業長及び横断先端を示してもよい。
【0056】
デバイスは、例えば、20kHz~60kHz、好ましくは35kHz~45kHz、より好ましくは37kHz~43kHz、最も好ましくは約40kHzの設定又は可変周波数で動作してもよい。デバイスはまた、所望の低電力、例えば、1W~5Wの範囲、又は最大3W、10W、若しくは15Wで動作してもよい。例えば1W~5Wの所望の低電力範囲にわたる自動制御に加えて、デバイスの出力は、ユーザがこの範囲を超えて電力を増幅することを可能にし、したがって予期せぬ干渉を補償し、高速で有効な横断を保証するように制御されることができる。したがって、デバイスはまた、より高い電力レベル、例えば50W~100Wまでの最大負荷をもたらして、困難な病変を積極的に横断し、先端の減衰又は偏向を克服することができる。
【0057】
本発明による血管内装置によれば、ワイヤの遠位先端における変位振幅をエネルギー効率的に最大化することが可能である。最適な効率のために、トランスデューサによって提供される電力の大部分が、ワイヤを通る縦波によって遠位先端に伝えられることが重要である。したがって、ワイヤの横方向振動によるエネルギーの損失は最小限に抑えられる。ワイヤの破断に対する耐性を向上させることも望ましい。
【0058】
患者の体外にある血管内ワイヤの近位部分の長手方向及び横方向の動きを減衰させることは、ワイヤの近位部分の変位又は移動を最小限にする。近位ワイヤ部分の望ましくない動きを低減することは、ユーザの安全を確実にするため、及びワイヤ自体を含む高価で敏感な機器の損傷を回避するために重要である。
【0059】
ワイヤは、導波管又は波送達システムとして使用され得る細長い血管内要素の一例である。例えば、要素は、ワイヤとカテーテルとのハイブリッドであってもよい。特に、要素の近位部分、例えば、近位端から要素の最初のメートル付近は、カテーテルに類似する様式で封入されたワイヤを有することができ、一方、遠位端まで延在する要素の遠位部分は、封入されていないワイヤとすることができる。本発明のワイヤ又は他の要素は、全体的な波送達システムの内部コンポーネントであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明をより容易に理解することができるように、例として添付の図面を参照する。
【
図3】カテーテルから遠位方向に突出する本発明のアクティブワイヤの詳細側面図である。
【
図4】血管を遮断していた病変内のトンネルを掘削するアクティブワイヤを示す一連の図である。
【
図5】病変部にトンネルを掘削するアクティブワイヤを示す一連の図である。
【
図6】病変部にトンネルを掘削するアクティブワイヤを示す一連の図である。
【
図7】病変部にトンネルを掘削するアクティブワイヤを示す一連の図である。
【
図8】作動ユニットに結合されたアクティブワイヤ及びカテーテルの長手方向断面の側面図である。
【
図9】病変部を掘削するためのセンタリングに使用され、その後、掘削後の病変部の血管形成術に使用される本発明のセンタリング機能を示す。
【
図10】病変部を掘削するためのセンタリングに使用され、その後、掘削後の病変部の血管形成術に使用される本発明のセンタリング機能を示す。
【
図12】アクティブワイヤの周りでカテーテルの内腔を変化させるための機構を示す。
【
図14】カテーテルにねじれを加えて、病変部又は障害物の通過を容易にする構成を示す。
【
図15】カテーテルにねじれを加えて、病変部又は障害物の通過を容易にする構成を示す。
【
図16】カテーテルの遠位端が掘削構造を有する変形例を示す。
【
図17】ステント状支持体がカテーテルから脈管内に展開され得る変形例を示す。
【
図18】ワイヤがカテーテルの側面窓を通してアクセスされる変形例を示す。
【
図19】ワイヤ及びカテーテルがマーカを担持する変形例を示す。
【
図20】病変上に衝撃波を集束させるための概念を示す。
【
図21】カテーテルの拡大され角度を付けられた遠位端を示す。
【
図22】使用時にワイヤを受け入れて保護するための長手方向にスリットを有するスリーブを示す。
【
図23】長手方向にスリットを有する二重内腔カテーテルを示す。
【
図24】長手方向にスリットを有する二重内腔カテーテルを示す。
【
図25】吸引のためのポンプに結合された
図24のカテーテルを示す。
【
図26】長手方向スリットカテーテルの更なる詳細を示す。
【
図27】ワイヤが短いカラーによって吸引カテーテルに対して保持されている変形例を示す。
【
図28】カテーテルの隣接する内腔間の流体連通を提供する変形例を示す。
【
図29】ワイヤとカテーテルとの間の相対的な長手方向位置の触覚フィードバックを提供する変形例を示す。
【
図30】カテーテルがワイヤの励起を減衰させるための減衰レバーを有する変形例を示す。
【
図31】カテーテルと作動ユニットとの間の代替的なカップリングを示す。
【
図32】カテーテルと作動ユニットとの間の代替的なカップリングを示す。
【
図33】ワイヤの周囲で作動ユニットから延在する遠位チューブを示す。
【
図34】ワイヤを操作し、その挿入を制御するために使用される、
図33と同様の遠位チューブを示す。
【
図35】ワイヤを操作し、その挿入を制御するために使用される、
図33と同様の遠位チューブを示す。
【
図36】ワイヤを操作し、その挿入を制御するために使用される、
図33と同様の遠位チューブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、本発明によるシステムの全体的な構成を示し、そのようなシステムのいくつかの主要なコンポーネントを示す。この例は、手持ち式超音波作動ユニット2を特徴とし、血管内導波管又はワイヤ4の形態の可撓性伝達部材が、これを通って中心に整列して延びる。
【0062】
ワイヤ4は、患者の脈管構造に挿入され、その遠位端を病変の位置に移動するように横断され得る。ワイヤ4がそれを横断することに抵抗する複雑な病変に遭遇すると、作動ユニット2は、適切な長手方向位置でワイヤ4に結合され得る。アクティブにされると、作動ユニット2は、超音波振動をワイヤ4に、かつワイヤ4に沿って伝達し、アブレーション及び他の機構を介してワイヤ4が病変を横断する能力を高める。それによって、ワイヤ4は、血管内の閉塞を通過するための横断ワイヤとして機能し、その後、病変を治療するために後続の治療デバイスを送達するためのガイドワイヤ又はレールとして機能するように、インサイチュに留まることができる。
【0063】
典型的には、ワイヤ4は、例えば、2mを超えて3mまでの長さであってもよい。例えば、足の中又は足を通しての病変へのアクセスは、同側、対側、又は橈骨アプローチが選択されるかどうかに応じて、脈管系内で、通常は、1200mm~2000mmの距離をワイヤが移動することを伴い得る。この点で、その先端で細いワイヤになるように、遠位にテーパしているワイヤ4は、足動脈に、及び背側動脈と足底動脈との間の足の土踏まずの周りにナビゲートすることができる。しかしながら、本発明は、足の鼠径部下又は末梢血管に限定されるものではなく、例えば、蛇行した小径動脈内を進んで掘削するワイヤ4の能力も有益である冠状動脈用途に使用することができる。
【0064】
ワイヤ4の遠位部セクションの直径は、その遠位セクションの可撓性、及びそれが通過することが意図される解剖学的構造の形状に容易に適合するその能力を決定する。したがって、例えば、蛇行した(足又は冠状動脈の)解剖学的構造において、例えば0.005インチ~0.007インチの直径の適切な長さの遠位セクションは、適切な可撓性と、特定の熱転移温度を有する特定のニチノールのための閉塞物質を掘削する能力とを組み合わせる。
【0065】
作動ユニット2は、ユーザ制御部6と、任意選択的にディスプレイとを含んでもよい。作動ユニット2は、ユーザがユニット2及びワイヤ4の中心長手方向軸を中心に回転することができる遠位ハンドトグル8を更に備える。特に、作動ユニット2は、ワイヤ4上を摺動することができ、トルクを加えてトグル8を回転させることによって、複数の長手方向に離間した位置でワイヤ4に結合することができる。
【0066】
結合を行うために、後の図面に示すように、トグル8は、ワイヤ4を取り囲み、ワイヤ4と同軸である作動ユニット2内のコレットに作用する。トグル8が締め付けられると、コレットはワイヤ4を把持して、作動ユニット2内の一体化された超音波トランスデューサから、任意選択でトランスデューサに結合された増幅器ホーンを介して超音波エネルギーを伝達する。ワイヤ4は、いくつかの実施形態ではトランスデューサに直接結合されてもよく、その場合、ホーンは省略されてもよい。
【0067】
トグル8の動きは、ワイヤ4から作動ユニット2を解放するために可逆的である。これにより、異なる目的のために異なる寸法、構成又は材料のワイヤ4を交換することができる。作動ユニット2内でトランスデューサ、ホーン及び/又はコレットを交換する可能性もある。
【0068】
図1に例示される分解構成では、超音波信号発生器10は、作動ユニット2とは別個であり、コネクタケーブル12によって作動ユニット2に接続される。超音波信号発生器10が作動ユニット2のハウジング内に組み込まれる一体化された構成も可能である。
【0069】
図1に示される例は、外部から電力供給される超音波信号発生器10を有し、したがって、外部電力源に接続する電力ケーブル14を備える。他の例は、超音波信号発生器ユニット10又は作動ユニット2に組み込まれ得る内部電池によって電力供給され得る。
【0070】
一般に、システムの構成要素は、好ましくは持ち運び可能であり、より好ましくは手持ち式である。コンポーネントは、無線、再充電可能、再使用可能及びリサイクル可能であってもよい。電力又は信号を伝達するための任意の外部ケーブル12、14は、スリップリングを通して結合され、ケーブル12、14の自由回転を可能にし、ワイヤ4との絡み合いを回避してもよい。
【0071】
ワイヤ4を励起するために超音波エネルギーを使用するとき、ワイヤの遠位先端部分における変位振幅を最適化して、病変を掘削して横断することが望ましい。逆に、患者の体外にあり、その一部が作動ユニット2の近位側から自由に垂れ下がる可能性があるワイヤ4の近位端部分の変位又は移動を最小限に抑えることが望ましい。これを達成するために、遠位先端から作動ユニット2がワイヤ4に結合される場所までのワイヤ4の遠位長さは、超音波の4分の1波長の奇数倍であるべきである。これは、遠位先端に振動する腹を有するワイヤ内に定常波を生成し、したがって、遠位先端における振動の振幅を最大化する。
【0072】
ここで
図2も参照すると、ワイヤ4は、直径の変化をもたらすように幾何学的形状がテーパする領域を含む。具体的には、
図2に示されるワイヤ4は、実質的に直線状の近位セクション16と、病変を横断するための掘削部分を提供する実質的に直線状の遠位先端セクション18とを備える。遠位セクション18は、近位セクション16より狭く、テーパ状であってもよく、又はその長さに沿って直径が均一であってもよい。
【0073】
遠位セクション18は、遠位にテーパする移行部20によって近位セクション16に接合されている。近位セクション16、遠位セクション18及び移行部20は、ワイヤ4の中央長手方向軸に沿って互いに同軸に整列しているが、それらの長さに沿って曲げられるように実質的に可撓性である。
【0074】
テーパ状移行部20の目的は、利得を提供し、ワイヤ4を通る超音波エネルギーの伝達を持続させることである。増幅の目的のために、断面積の変化は、ワイヤ4における横方向及び長手方向の両方の変位振幅の利得のレベルを表す。遠位セクション18の長さ及び直径は、軸方向及び半径方向における変位のモード及び大きさを決定する。移行部20はまた、ワイヤの遠位セクション18において変位の横方向モードがどのように確立され得るかに影響を及ぼす。
【0075】
ワイヤ4の遠位セクションが、
図3に示されるように、周囲のシース又はカテーテル22から出現する場合、更なる低周波数の側方振動が生じ得る。運動の自由度は、横方向成分が表現されることを可能にし、運動のいくつかの成分は、カンチレバー効果から生じ得る。この点に関して、
図3は、ワイヤ4をこのようにしてスリービングすることにより、所望の遠位長さが図示されるように横方向に自由に振動できるようにする方法を示す。スリービングの遠位範囲、したがってワイヤ4の自由端の長さは、ワイヤ4の遠位セクション18による掘削を制御する。カテーテル22の遠位端が共鳴又は高調波長さと実質的に一致するように、共鳴又は高調波長さまでワイヤ4をスリービング又は被覆することは、ワイヤ4がより大きなアパーチャを掘削することを可能にする。
【0076】
必要に応じて、カテーテル22及び/又はワイヤ4は、例えば、後の図面に示されるようにカテーテル22の外側スリーブに作用する作動ユニット2上のサムホイールを回転させることによって、示されるように遠位方向及び近位方向に互いに対して長手方向に移動され得る。また説明されるように、ワイヤ4の挙動はまた、カテーテル22とワイヤ4との間の半径方向間隙を調整することによって、又は
図3にも示されるようにワイヤ4の周囲にカテーテル22から半径方向内向きの力を印加することによって、影響され得る。バルーンなどのカラーを使用したワイヤの圧迫又は強制的な半径方向拘束は、そのときの周波数、並びに音響源の相対位置、及び音響源がワイヤに結合される場所に応じて、可変効果を有する。
【0077】
全ての血管内ワイヤと同様に、「トラッカビリティ」として表される可撓性と、「プッシャビリティ」又は「ステアリング性」として表される剛性との間のバランスが必要とされる。プッシャビリティは長手方向の円柱剛性を必要とし、ステアリング性はねじれ剛性を必要とする。しかしながら、パッシブワイヤとは異なり、ワイヤ4はまた、病変を横断するのを支援するために、超音波エネルギーを遠位セクション18に伝達することができなければならない。このようにして、ワイヤ4は、その先端だけでなく、その長さの一部に沿って掘削機として機能する。特に、遠位セクション18は、
図4に示すように、血管28内の病変26にアパーチャ24を開けるための横方向掘削デバイスとして半径方向に作用する。ワイヤ4はまた、半径方向の掘削を増幅するために遠位成形長さを有してもよい。
【0078】
アクティブ化されたワイヤ4の目標は、掘削によって病変26を通過することであるので、その寸法は、所与の入力で可能な限り大きなアパーチャ24を掘削する目的で最適化される。この点に関して、
図4は、ワイヤ4の遠位セクション18が、直径がワイヤ4の直径よりも大きいアパーチャ24を病変26内にどのように掘削し、したがって、治療が病変26に導入され得るより大きい内腔をどのように作成し得るかを示す。
【0079】
具体的には、ワイヤ4の遠位セクション18は、超音波エネルギーでアクティブにされると、一次長手方向モードで移動し、出入りし、また半径方向に移動し、ワイヤ4に沿った横方向移動又は半径方向変位を介して遠位端でより大きなボリュームをマッピングし、掘削する。ワイヤ4の遠位セクション18はまた、作動周波数、遠位セクション18の長さ、及び解剖学的構造のねじれに依存して、共振波及び微分高調波の二次モードの下で、駆動周波数又はその付近での横方向及び波状運動を通して移動することが分かる。これらの波形は、互いに干渉し、異なる瞬間に物質を掘削する際に多かれ少なかれ効果的である可能性がある。
【0080】
したがって、アクティブにされると、ワイヤ4は、ワイヤ4の長手方向移動によってワイヤ4の先端18の遠位の物質を掘削し、次いで、トンネルの直径を開く横方向のオフセットを提供する脈管内のワイヤ4のオフセットされた並進又は横方向の動きによってその経路をトンネリングする掘削ツールとして機能する。したがって、ワイヤ4は、その遠位先端18だけでなく、遠位先端18から近位に延在するその長さの一部に沿っても閉塞の内面を研磨し、ワイヤ4上の後続治療デバイスの通過のためのより広いアパーチャを形成する。
【0081】
ワイヤ4の様々な部分16、18、20の直径は、標準寸法の後続デバイスがワイヤ4をガイドワイヤとして使用することを可能にすることに加えて、プッシャビリティとトラッカビリティとの間の最適なバランスのために選択される。例として、近位セクション16は、0.43mmの直径を有し得、遠位セクション18は、0.18mm又は0.25mmの直径を有し得る。中間移行部20のテーパはわずかであり、したがってこれらの図面では大幅に誇張されている。移行部20は、長さがλの倍数又は長さがλの分数にわたって延在してもよく、その分数は、好ましくは、分子が1であり、分母が偶数である(例えば、1/2、1/4、1/8...の配列である)のに対して、遠位セクション18は、長さがλ/2又はλ/2の倍数又はλ/4などのλ/2の分数であってもよい。セクション18及び20に対して考慮されている材料に対して我々が見出した最適な長さは、λ、λ/2であり、より低い副高調波において、及び細いワイヤに対して潜在的にλ/4である。
【0082】
公称直径及び長さを含むワイヤ4の全体的な幾何学的形状、並びにシステムの駆動周波数は、ワイヤの材料における固有音速によって決定される。この特性は、その材料の特性及びその幾何学的形状の関数である。選択された周波数は、ワイヤの長さに沿って高調波を生成し、ワイヤ4の先端の負荷は、定常波を確立するのを助ける。システムは、駆動周波数の周波数範囲から離れた周波数範囲にわたって横方向及び長手方向の変位を生成することができ、多くの場合、遠位セクション18における周波数の副高調波で生じる。
【0083】
他の寸法を排除しない一実施例では、近位セクション16を画定する0.43mmのコア断面直径を有するワイヤ4は、直径0.18mmの遠位セクション18に移行するように最適に配置されたテーパ状移行セクション20を有する。ワイヤ4の各部分16、18、20の長さは、駆動周波数、例えば40kHz又はその付近に長手方向共振モードを有するように選択することができ、20kHz又はその付近、10kHzなどに強い低調波を有する。適切な設計により、40khz及び20khz付近などに隣接する横方向モードがある。テーパ全体で約2.4倍又は他の適切な値の増幅があり得る。
【0084】
その結果、ワイヤ4が長手方向振動で駆動される場合であっても、材料、幾何形状、及び遠位設計の特徴を適切に選択することによって、
図2及び
図4に示すように、望ましい横方向モードが励起される。同時に、長手方向及び横方向の振動は、病変26の掘削に寄与し、その結果、ワイヤ4は、内径がワイヤ4の直径よりも実質的に大きいアパーチャ24又は病変26内の内腔を開く。
【0085】
図5、
図6及び
図7は、ワイヤ4及びカテーテル22の相対的な長手方向位置を変更する能力をどのように利用してワイヤ4の遠位端の横方向運動に影響を与え、それによって病変26内のワイヤ4による病変26の二次的又は横方向の掘削、掘削又はトンネル形成に影響を与えることができるかを例示している。特に、
図5、
図6及び
図7は、
図5に示すように、ワイヤ4の遠位端が最初に病変26を貫通して長手方向のアパーチャ24を形成し、次に、ワイヤ4の横方向の振動が最適化された状態でアパーチャ24を広げて
図6及び
図7に示すような所望の直径の内腔を形成する方法を概略的に示す。
【0086】
ワイヤ4の十分な自由端長さ、例えば、いくつかの例では約20mm~30mmである約λ/4より大きい長さが病変26を越えて遠位方向に延在するとき、その自由端部分における横方向振動は、
図6に示すように、病変26の遠位セグメントの横方向掘削を開始する。この段階では、図示のように、カテーテル22と病変26との間に、例えば約2mmの長手方向の間隔又はクリアランスを維持することができる。
【0087】
次に、
図7に示すように、カテーテル22と病変26との間のワイヤ4の部分において最適化されている横方向の振動によって補助されて、活性化されたワイヤ4を病変26を通して近位方向に引き戻すことにより、アパーチャ24が延びて広がる。この点において、カテーテル22と病変26との間の長手方向の間隔を約λ/4(一例として、再び約20mm~30mm)に延ばすことは、病変26の近位セグメントにおけるワイヤ4の横方向の振動を最大化する。ワイヤ4の自由端は、やはり一例として、病変26を約2mm超えて遠位に延在することができる。必要であれば、次に、アパーチャ24を更に広げるために、アクティブ化されたワイヤ4を病変26を通して遠位方向に押し戻すことができる。
【0088】
ここで
図8を参照すると、これは、ワイヤ4が長手方向に延在する超音波作動ユニット2を示す。この例では、作動ユニット2は外部から電力を供給され、任意選択でケーブル12を介して超音波信号が供給される。
【0089】
図8は、作動ユニット2が、超音波トランスデューサ30と、トランスデューサ30の遠位面に取り付けられた遠位にテーパする音響ホーン32とを含むことを示す。コレット34は、ワイヤ4をホーン32の遠位端に結合する。
【0090】
トランスデューサ30、ホーン32、及びコレット34は、ワイヤ4の通過を可能にするために中央内腔によって貫通される。それによって、ワイヤ4は、作動ユニット2の全長を通って延び、作動ユニット2から近位に出現する。他の構成では、ワイヤ4は、代わりに、コレット34に対して近位位置で作動ユニット2から横方向に出ることができる。
【0091】
作動ユニット2は、電気モータ及びカム又はスピンドルを使用してワイヤの振動を駆動して回転運動を直線運動に変換する従来技術とは異なることに留意されたい。代わりに、作動ユニット2は、圧電セラミックスタックの圧電効果を利用する超音波トランスデューサ30を使用し、圧電セラミックスタックでは、電気エネルギーが高周波軸方向線形振動に変換される。また、従来技術とは異なり、本発明は、作動ユニット2をワイヤ4に沿って移動させ、次いでワイヤ4に沿った複数の長手方向に離間した位置のいずれかにおいてワイヤ4に超音波エネルギーを伝達するように結合させることを可能にする。アクティブワイヤ4は、一貫した単調な方法で異なる高調波でワイヤ4の軸方向平面からのワイヤ4の周回を介して、長手方向、軸方向、又は方向掘削、並びに半径方向、横方向、又は軌道掘削の両方を実行する。
【0092】
図8において、ワイヤ4を取り囲み支持するカテーテル22は、ワイヤ4の遠位領域に結合され得る。結合は、機械的結合を介して行われてもよいが、この例では、カテーテル22内の遠位環状バルーン36によって行われ、遠位環状バルーン36は、カテーテル22の遠位内腔内に拡張して、カテーテル22の内腔を狭め、ワイヤ4の周りに同心支持を提供する。これは、病変26によって遮断された血管28の内腔の中心付近でワイヤ4を安定させる。バルーン36がワイヤ4に当接するように設計されている場合、バルーン36の表面は、例えば、膨張した材料が破裂点まで摩耗しないように保護する圧縮リング又は他の手段によって、超音波アクティブワイヤ4のフレッチング効果に耐えることができなければならない。
【0093】
バルーン36は、カテーテル22の壁のチャネルを介してバルーン36と連通するカテーテル22上の膨張ポート38を介して、液体又は気体で膨張され得る。例えば、掘削中に発生した塞栓又は断片若しくは粒子の吸引を提供するために、追加のポート及び内腔をカテーテル22に含めることができる。
【0094】
バルーン36は、コンプライアント材料又はノンコンプライアント材料であってもよい。バルーン36の特性及び接触長さは、掘削及びトンネル性能を最適化するように調整されてもよく、ワイヤ4に対する負の減衰効果を最小限に抑えながら、ワイヤ4に十分な支持を提供する。
【0095】
必要に応じて、バルーン36又は他のカップリングは、ワイヤ4を把持するように構成され得、ワイヤ4の遠位部分に内向きのクランプ力を適用する。このシナリオでは、超音波エネルギーは、カテーテル22の導波管要素を通して結合され、電気機械エネルギーを、カテーテル22から、バルーン36を通る接続を介してワイヤ4の遠位先端領域まで伝達することができる。この目的のために、バルーン36は、カテーテル22からワイヤ4へのエネルギーの伝達を容易にするための金属要素又は箔を備えることができ、又は他のそのような要素がバルーン36とワイヤ4との間に挿入されてもよい。外部金属要素は、切断要素若しくは研磨要素の形態であってもよく、又はバルーン36とともに拡張する自己拡張ケージの形態であってもよい。アテロームは、バルーン36に固定して取り付けることができる。
【0096】
これらの特徴は、切断又は横断性能を向上させることができ、特にカテーテル22を作動させるときに横方向の切断を向上させることができる。カテーテル22を作動させることにより、蛇行した解剖学的構造を通るカテーテルの通過を容易にすることもできる。
【0097】
カテーテル22の近位端は、アダプタ要素40などの機械的カップリングを介してトランスデューサ30に結合されてもよい。後の図面は、カテーテル22とトランスデューサ30との間の結合のための他の構成を拡大し、可能なカテーテル導波管要素構成を説明する。アダプタ要素40の近位端は、コレット34の周りでホーン32の遠位端に当接し、それによって、超音波エネルギーを受け取るようにトランスデューサ30に結合される。
【0098】
原則として、アダプタ要素40は、3つの動作モード、すなわち、ワイヤ4は独立してアクティブにされる、カテーテル22は独立してアクティブにされる、又は、カテーテル22及びワイヤ4が同時にアクティブにされる、のいずれかにおいて、トランスデューサからのエネルギーの伝達を容易にすることができる。第1のモードでは、アダプタ要素40は、例えば、ホーン32から離れて遠位に移動されることによって、ホーン32から係合解除される。第2のモードでは、コレット34は、ホーン32から離れて遠位に移動されるか、又はワイヤ4から離れて半径方向に移動されるかのいずれかによって、ホーン32又はワイヤ4から係合解除される。
【0099】
トランスデューサ30とカテーテル22との間のアダプタ要素40は、そうでなければコレット34とカテーテル22への近位入口との間で支持されないままであるワイヤ4の長さを最適化し、支持するように調整され得る。例えば、アダプタ要素40は、オペレータがワイヤ4とカテーテル22との相対位置を規定された動作範囲内で修正することを可能にする可変長ユニットであってもよい。一例では、アダプタ要素40は、より広い動作範囲にわたってワイヤ4に横方向の支持を提供する伸縮カップリングであってもよい。これは、ワイヤ4の破損のリスク、又はカテーテル22の外側のワイヤ4の過剰な振動の他の悪影響(定常波形成又はカテーテル22への損傷など)を低減する。
【0100】
図9、
図10及び
図11は、カテーテル22の外部のバルーン42が様々な有益な目的のためにどのように使用され得るかを示す。そのような外部バルーン42は、個別に、又は
図8に示されるような内部バルーン36に加えて、使用されることができる。例えば、
図9及び
図10では、外部遠位環状バルーン42がカテーテル22の遠位端部分を取り囲む。
【0101】
図9は、病変26の近くの血管28に沿って前進した後のカテーテル22を示す。次いで、バルーン42は、例えば、カテーテル22の壁内の膨張チャネルを介して膨張される。これにより、膨張したバルーン42は、血管38の周囲壁に当接して、カテーテル22、したがってカテーテル22内に同心状に配置されたワイヤ4を、血管28の内腔に対してセンタリングする。このように膨張して血管28と係合すると、バルーン42はまた、ワイヤ4がカテーテル22に対して前進して病変26を横断する際に、カテーテル22を介してワイヤ4に支持又は減衰を提供する。
【0102】
図10は、ワイヤ4が病変26を横断し、ワイヤ4よりも広いアパーチャ24を病変26に掘削した後の任意選択の次のステップを示す。次に、バルーン42を収縮させて病変26に入れ、次に血管形成術の方法で病変26内で再膨張させる。次に、ワイヤ4を再び作動させて、ワイヤ4からバルーン42を通して周囲の病変26に超音波エネルギーを伝達することができる。それによって、バルーン42は、病変26のより広い断面積を取り除くように機能する。しかしながら、バルーン42を膨張させるだけで、病変26内のアパーチャ24を広げるのに役立ち得るので、これは任意選択である。
【0103】
バルーン42は、2回以上収縮させ、移動させ、再膨張させることができ、各回は、任意選択で、フォローアップ治療が施される前に病変26のより多くを取り除くために、アクティブ化されたワイヤと結合される。
【0104】
超音波エネルギーをワイヤ4から周囲の病変26に伝達するために使用される場合、バルーン42は、超音波エネルギーをワイヤからバルーンを通して病変に伝達するときに媒体として作用する液体などの流体を収容することができる。これは、超音波浴のように作用して、エネルギー伝達の有効性を改善することができる。再び、上述したように、バルーン42は、活性化されたワイヤ4からの摩耗に耐えるために、又はバルーン42とワイヤ4との間に挿入される保護層又は要素のために、保護材料を必要とし得る。
【0105】
バルーン42を介した機械的振動の伝達は、血管形成術において膨張してプラークを変位させるその能力に有益な効果を有し得る。
【0106】
図11において、外部バルーン42は、カテーテル22の片側にオフセットされている。ワイヤ4を含むカテーテル22を血管28に沿って病変26に向かって前進させると、バルーン42の少なくとも一部が膨張して周囲の血管28を圧迫する。結果として生じる非対称の力は、カテーテル22を血管28の長手方向中心線から離れるように横方向に偏向させ、したがってワイヤ4を中心線の一方の側に向ける。それによって、バルーン42は、病変26が蓄積する場所に応じて、ワイヤ4を横方向にオフセットされた病変26と整列させるのを助ける。
【0107】
ここでも、バルーン42は、膨張して血管28と係合すると、ワイヤ4がカテーテル22に対して前進して病変26を横断する際に、カテーテル22を介してワイヤ4に支持又は減衰を提供する。
【0108】
血管28の中心線から離れるように偏向されると、ワイヤ4は、カテーテル22をその中心長手方向軸の周りに回転させることによってステアリングされ得ることが明らかであろう。このようにして、ワイヤ4は、横方向にオフセットされた病変26により正確に向けられることができる。ワイヤ4はまた、大きな病変26に対して角度を付けて移動されて、中心線と整列されたままであることによって可能であるよりも多くの病変26を掘削することができる。
【0109】
バルーンは、カテーテル22内でワイヤ4をセンタリングして支持する唯一の方法ではない。例えば、
図12に示される構成において、より具体的には
図12の詳細Aにおいて、カテーテル22は、ワイヤ4の周りに同心円状に配置された複数の層又はチューブ状コンポーネントを備える。これらのコンポーネントは、外側シース44と、外側シース44内の発泡体又はメッシュの半径方向に圧縮可能な本体46と、本体46をアクティブワイヤ4から絶縁するための、本体46内の任意選択の絶縁層48と、内側シース50とを含む。
【0110】
本体46は、例えば、負荷時の応力-ひずみ曲線において変曲点を有する強化された弾性特性を示すように処理された形状記憶合金メッシュから形成されてもよい。
【0111】
内側シース50は、例えば、示されるように、作動ユニット2のハウジング上に、又はカテーテル22の近位ハブ上に位置し得る、サムホイール52等のユーザ起動機構を介して、近位に後退させられ、遠位に前進させられることができる。
【0112】
図12の詳細Bに示される静止状態では、本体46の壁は、本体46の内径が内側シース50の外径よりも小さくなるように拡張する。したがって、内側シース50が本体46と長手方向に位置合わせされる場合、本体46は、内側シース50によって半径方向外向きに変形される。
【0113】
具体的には、内側シース50が遠位方向に前進すると、本体46の壁を外側シース44の内側に対して圧縮する。換言すれば、本体46の内面は半径方向外向きに押される。逆に、内側シース50がサムホイール52を回転させることによって近位に後退させられるとき、本体46は、再び半径方向内向きに自由に拡張し、その静止状態に向かって戻る。このようにして、拡張体46は、ワイヤ4の周りを支持するようにカテーテル22の内腔を狭め、ワイヤ4を押し下げることができる。
【0114】
有利なことに、その発泡体又はメッシュ構成によって画定される本体46の多孔性は、病変26の石灰化物質の超音波破壊によって生成される粒子を捕捉するのに役立ち得る。
【0115】
ここで図面の
図13を参照すると、これは、同様に輪郭付けられたワイヤ4を内部で補完する、段付きの遠位にテーパする内側内腔外形を伴うカテーテル22を示す。これらの外形の対向する停止構造又は肩部54の間のインターロックは、特定の点を越えたワイヤ4の更なる遠位移動を防止し、したがって、ワイヤ4の所定の長さのみがカテーテル22を越えて遠位に延在することができることを確実にする。相補的な外形はまた、カテーテル22内でワイヤ4を中心に置くのに役立つ。
【0116】
カテーテル22が血管28の内腔を通って病変26に向かって押され、病変26又は特に蛇行した経路に遭遇すると、カテーテル22への外圧が高い静止摩擦又はつまりを引き起こす可能性があり、それがカテーテル22を前進させる困難さを更に増大させる可能性がある。
図14及び
図15は、この問題に対処する本発明の実施形態を示す。
【0117】
この実施形態では、カテーテル22は、遠位にテーパする端部を有し、
図14の詳細Aに見られるように、束ねられたフィラメントの2つのチューブ状コイル、すなわち入れ子式の関係で外側コイル58内の内側コイル56を含む。外側コイル58はカテーテル22の内部に固定されている。各コイル56、58のフィラメントは、各コイル56、58がカテーテル22の中心長手方向軸の周りにねじられるように、部分螺旋経路をたどる。コイル56、58は、カテーテル22の半径方向内向きの圧縮によって駆動される外側コイル58の半径方向内向きの移動又は内側コイル56の近位方向の移動が、外側コイル58をカテーテル22の中心長手方向軸の周りで回転させるように、反対方向にねじられる。
【0118】
したがって、カテーテル22の遠位端が、カテーテル22に加えられる遠位方向の力を増加させる必要がある病変26などの障壁に遭遇すると、テーパ状の遠位端に作用するこの軸方向の力によって、コイル56、58は、
図14の詳細
図Bに示すように一緒に押され、相互作用する。コイル56、58間の相互作用は、カテーテル22の遠位端を回転させるねじり力を生成し、したがって、静摩擦の代わりに動摩擦を生成して、カテーテル22の更なる遠位移動を容易にする。例えば、カテーテル22は、
図15に示されるように、病変26を既に通過したワイヤ4の後ろをたどるとき、長手方向軸の周りの回転によって病変26により容易に進入することができる。
【0119】
カテーテル22のテーパ状遠位先端は、超音波エネルギーの伝導を増加させ、したがって、ワイヤ4がアクティブ化され、それらの要素と結合されるとき、病変26の掘削を増加させるために、1つ以上の金属要素を含んでもよい。カテーテル22のテーパ状遠位先端はまた、病変26に遭遇する際のその切断性能を向上させるために、鋸歯状縁部又はバリを含むことができる。
【0120】
この点に関して、
図16は、ここでは血管28を遮断していることが示されている病変26に遭遇したときのそのトンネリング性能を高めるために、鋸歯状縁部、バリ、又は条線60を含むテーパ状遠位先端を有するカテーテル22を示している。カテーテル22は、超音波作動下で病変26内に前進するワイヤ4に支持を提供し、具体的には、血管28内のワイヤ4のセンタリング支持を提供することに加えて、プッシャビリティのための円柱剛性及びステアリング性のためのねじれ支持を提供する。相乗的に、この相互作用及び支持は、ワイヤ4及びカテーテル22の両方の病変通過性能を向上させることができる。ワイヤ4を支持し、鋭い点又は表面を回避することは、裂傷を回避し、病変26の摩耗を促進する。
【0121】
図17は、カテーテル22、したがってワイヤ4を脈管構造内でセンタリングするために使用され得る別の補助具、すなわち、カテーテル22の遠位端における開放セルケージ62、64の2つの変形例を示す。ケージ62、64は、カテーテル22の遠位端においてワイヤ4の周りで長手方向にテーパが付けられたメッシュ又はウェブ構造であり、
図17の詳細
図Aのケージ62に示されるように遠位方向に、又は
図17の詳細
図Bのケージ64に示されるように近位方向にテーパされている。ケージ62、64は、カテーテル22に対してワイヤ4をセンタリングするために、カテーテル22の内径よりも小さくなるように先細りになっていてもよい。
【0122】
ワイヤ4のセンタリングとは独立して、ケージ62、64の多孔性又は有孔性構造は、病変26の超音波破壊によって生成された石灰物質の粒子を捕捉するのに役立ち得る。ケージ62、64はまた、病変26を横断又は貫通した後の塊物質の回収に役立ち得る。
【0123】
ケージ62、64のいずれか又は両方は、カテーテル22内の内側スリーブ50上に支持される。カテーテル22の外側シース44は、例えば、作動ユニット2上のサムホイール52を使用して、内側スリーブ50に対して後退させることができ、その結果、ケージ62、64又は各ケージ62、64は、自己拡張型ステントとして血管28内に展開することができる。
【0124】
ケージ62、64の一方のみがカテーテル22内に装填されてもよいし、両方がカテーテル22内に装填されてもよい。両方のケージ62、64がカテーテル22の中に装填される場合、外側シース44の更なる後退とともに、遠位にテーパするケージ62が最初に解放されることができ、近位にテーパするケージ64が次に解放されることができる。例えば、詳細Cに示すように、遠位にテーパするケージ62を病変26の遠位側に配置することができ、近位にテーパするケージ64を病変26の近位側に配置して、石灰性又は塊物質を捕捉することができる。
【0125】
カテーテル22は、ケージ62、64が拡張されるとき、特に、
図17の詳細Bに示される近位にテーパするケージ64の場合、カテーテル22の中へより大量の物質を吸引するために使用され得る。ケージ62、64がカバーによって閉じられる場合、それはまた、病変26等の閉塞までの血流を停止又は減速させ得る。
【0126】
任意選択的に、各ケージ62、64は、例えば、そのより広い端部に、塊の線維部分又は脈管に接着するための固定点又は構成を有することができるが、脈管の侵入のリスクはない。
【0127】
図18は、カテーテル22の別の適合を示しており、この例では、カテーテル22の遠位端付近の側部における窓又はスロットなどの開口部66を示している。横向き開口部66は、アクティブワイヤ4を病変26又は血管28の壁に対して横断方向又は横方向から露出させる。これにより、ワイヤ4を横方向に変位させて病変26又は血管28の壁を標的とすることができ、横向き、横方向又は方向性のアテローム切除術又は減量術が可能になる。ワイヤ4は、開口部66からループ状に出て、脈管壁とより強く接触することができる。
【0128】
この例では、
図18の詳細Aで最もよく理解されるように、開口部66と位置合わせされたワイヤ4の部分は、開口部66を通って突出することができる、又は窓に隣接して配置された病変26とより良好に係合することができる側方突出部を画定する波状外形を有する。
図18の詳細Bはまた、カテーテル22内のワイヤ4がアパーチャ又は開口部66によってどのように露出されるかを示す。
【0129】
図19は、ワイヤ4及びカテーテル22の両方の遠位端における放射線不透過性マーカ68を示す概略図である。特定の方法で位置合わせされると、これらのマーカ68は、最大共振のためにワイヤ4をクランプする場所をオペレータに示す。これは、装置の近位端におけるマーカの必要性を回避するが、アクチュエータユニット2のコレット34がカテーテル22の近位端から固定された距離でロックされることを必要とし得る。
【0130】
カテーテル22の遠位端におけるワイヤ4の長手方向振動は、血管28を満たす流体、すなわち血液内に圧力波を生成する。超音波周波数では、これらの圧力波はキャビテーションを引き起こすことができ、これは有利には、慢性完全閉塞又はCTOのような病変26の物質などの固体物質を侵食する可能性を有する。しかしながら、圧力波は、周囲の表面、特にCTO病変26の一端のキャップ及び血管28の円筒壁からのランダムな反射を伴って、全ての方向に伝搬する。強化された定常波パターンが結果的に存在しない場合、キャビテーションのエネルギーは消散される。
【0131】
ここで
図20を参照すると、これは、カテーテル22の変形可能な半径方向に拡大された遠位面70を示す。カテーテル22の遠位面70が放物面を形成し、その面70の直径が血管28の断面を実質的に満たすのに十分な大きさである場合、血管28内の流体中の圧力波72は放物線の焦点に向けられる。このようにして、波72のエネルギーは、病変26上に集中させられてもよく、キャビテーションは、CTOの石灰化物質を浸食する。キャビテーションによるこのような侵食は、活性化されたワイヤ4の機械的作用による侵食を増大させる。
【0132】
詳細Aは、カテーテル22の遠位面70の放物線形状を示す断面図である。その表面の凹面曲率が増加すると、放物線の焦点距離は減少する。
【0133】
図21は、ワイヤ4の長手方向軸に対して鋭角をなす平面内に実質的に位置する拡大遠位端又は口部74を有する別のカテーテル22を示す。カテーテル22の端部におけるこのより広い口部74は、吸引時に物質又は破片をより良好に受け入れる。放射線不透過性材料又はマーカを傾斜面に固定して、遠位端における口部74の位置又は向きの視覚化を可能にすることができる。
【0134】
有益なことに、口部74の鋭角に傾斜した平面は、カテーテル22のためのよりテーパ状の又は鋭く尖った遠位外形を作り出し、より低い横断外形及びより容易な貫通をもたらす。この場合、角度付き口部74はまた、前方穿孔又はCTO病変26のキャップのみの穿孔が必要とされるとき、血管28の側壁への損傷を防止するために、アクティブワイヤ4の片側の被覆を提供する。これは、ワイヤ4を真の内腔内に保持すること、又はワイヤが血管28の壁と病変26との間を移動することを意図している。
【0135】
ここで
図22に移ると、これは、可撓性チューブ状保護カテーテル又はシース76を示す。処置の最初に、シース76は、作動ユニット2と、患者の体内に通じる入口ポート78を画定するルアー又はイントロデューサとの間に延在するワイヤ4の遠位部分に沿ってかつその周りに延在する。シース76の目的は、ワイヤ4のこの長さを包囲して保護することであり、さもなければ、ワイヤ4は、患者の体内に進められる前に露出される。ワイヤ4は、緩いシース76を容易に通過することができ、シース76は、ワイヤ4を汚染する可能性がある任意の物質とワイヤ4が接触することを防止する。カテーテル又はシースは、カテーテル又はシースの長さにわたって側方構成要素を拘束すること、並びにワイヤがその長さにわたって液体媒体中に浸漬されることを可能にすることを支援することができる。
【0136】
シース76は、長いワイヤ4が患者の体内に挿入されなければならない場合、例えば、遠位脛骨動脈又は足動脈の遮断物を横断する場合に特に有用である。特に、支持を提供するか、又はねじれを防止することによって、シース76は、ワイヤ4のそのような実質的な長さが、作動ユニット2が代わりにワイヤ4に繰り返し締め付けられ、ワイヤ4から解放される場合のように、一連のより短い移動において断続的にではなく、単一の連続移動において挿入されることを助ける。シース76は、遠位端がその長さの一部、例えば20cmにわたって支持カテーテル内に挿入され得るように、少なくとも部分的にサイズ決定され得る。
【0137】
したがって、イントロデューサ78の近くに保持される代わりに、作動ユニット2は、入口ポート78から離れた位置でワイヤ4に結合され、したがって、ワイヤ4の全長が標的血管内に導入される準備ができている。その結果、ユーザは、患者の身体から1メートル以上離れた近位位置で作動ユニット2をワイヤ4に単に締め付けることができ、次いで、単一の中断されない動作で、ワイヤ4の長い部分を作動させて体内に送達することができる。これは、ワイヤ4の送達又はトラックを容易にするためにワイヤ4の作動が必要とされ得る場合に有用である。
【0138】
シース76は、入口ポート78に向かう作動ユニット2及びワイヤ4の遠位方向の移動を妨げてはならない。したがって、シース76は、作動ユニット2及びワイヤ4が遠位に前進させられるにつれて、その長さに沿って折り畳まれるか、又は蛇腹状になってもよい。別のアプローチでは、ここに示されるように、シース76は、その長さに沿って溝又はスリット80等の長手方向クロージャ又はアパーチャを有し、長手方向に分割され、次いでワイヤ4から剥がされる。これは、作動ユニット2及びワイヤ4がシース76を通って一緒に遠位方向に前進するときにクリアランスを提供する。
【0139】
図22のシース76に示されている長手方向クロージャの原理は、
図23~
図27を参照して説明するように、カテーテルにも適用することができる。これらの実施形態はまた、少なくとも2つの平行な内腔を備える多内腔カテーテル22を開示する。具体的には、これらの実施形態は、超音波作動ワイヤ4を受け入れて収容するためのガイドワイヤ内腔82と、追加の若しくは代替のデバイスを受け入れるための、又は例えば処置中に病変から除去された塞栓物質を吸引するための流体を搬送するための第2の内腔84とを備える二重内腔構成を開示する。したがって、カテーテル22は、二重目的吸引及び作動カテーテルになる。
【0140】
ガイドワイヤ内腔82は、ワイヤ4の収容、ワイヤ4の横方向変位の安定化及び抑制、並びにワイヤ4がアクティブにされるときのワイヤ4の均一な減衰を提供する。
【0141】
長手方向クロージャは、近位端だけでなくカテーテル22の長さに沿ったほぼ任意の場所で、ガイドワイヤ内腔82への又はガイドワイヤ内腔からのワイヤ4の出入りを提供する。したがって、ワイヤ4は、遠位側入口点又は近位側入口点でガイドワイヤ内腔82に出入りすることができる。特に、ガイドワイヤ内腔82は、その近位端から、その遠位端から約150mm~300mmの距離まで延在するスリット80などのクロージャを有する。これは、ワイヤ4が血管を通って移動し、流体励起又は減衰などの実用的な目的のためにユーザがワイヤ4を収容したい場合に、ガイドワイヤ内腔82からの又はガイドワイヤ内腔82へのワイヤ4の出入りを容易にする。したがって、この特徴は、ワイヤ4が超音波で作動されるときに、カテーテル22が脈管及び/又は任意の病変を通って前進させられるときに、ワイヤ4がカテーテル22を横方向に突破することを可能にする。
【0142】
図26の詳細Aで最もよく理解されるように、ガイドワイヤ内腔82の近位部分は、スリット80によって分割される対向するウェブを備えるチャネルセクションによって画定されてもよい。チャネルセクションの弾性は、スリット80の周りでウェブを一緒に押して、ワイヤ4を取り囲み、収容する。次いで、ウェブは、
図26の詳細Bの左側及び右側にそれぞれ示されるように、互いに当接するか、又は重なってもよい。
図26はまた、第2の内腔84が、ガイドワイヤ内腔82を越えて近位に終端し得ることを示す。
【0143】
スリット80がカテーテル22の遠位端の手前で終端しているとき、ガイドワイヤ内腔82の壁は無傷のままであり、その遠位部分86において円周方向に連続している。遠位部分86の完全性は、ワイヤ4がカテーテル22を脈管構造を通る所望の経路に沿って案内することを可能にする。カテーテル22及びワイヤ4の全長に対して遠位部分86が短いことにより、処置中に一人のオペレータがカテーテル22をワイヤ4に装着したり取り外したりすることが容易かつ迅速になる。
【0144】
ガイドワイヤ内腔82の遠位端は、カテーテル22の端部と同じ高さであってもよく、又はカテーテル22の遠位先端から近位にオフセットされてもよい。逆に、第2の内腔84は、軟質プラーク又は他の塞栓物質の捕捉及び吸引を容易にするために、大きい面積を有する開口部を作成するように、その遠位先端において成形される。例えば、開口部は、カテーテル22の中心長手方向軸に対して鋭角で第2の内腔84と交差する平面内に位置することができる。
【0145】
別の実施形態では、第2の内腔84の直径は、遠位セクションよりも近位セクションにおいて大きくてもよい。第2の内腔84の遠位テーパは、バルク粒子又は脆弱性プラークをより効率的に吸い上げることを可能にし得る。
【0146】
吸引は、第2の内腔84と連通する近位ポートに結合される、真空下のシリンジ等の
図25に示される陰圧吸引ポンプ88を通して行われる。処置の適切な時点で、吸引ポンプ88をアクティブにして、病変部の通過中に生成された破片を吸引して除去することができる。
【0147】
上述したように、
図26は、第2の内腔84がガイドワイヤ内腔82を越えて近位で終端し得ることを示す。この可能性は、ガイドワイヤ内腔82が、第2の内腔84の遠位端領域に取り付けられ、カテーテル22の遠位先端から短い距離だけ近位に延在するカラーまで短縮される、
図27に示す変形形態では、極端に解釈される。ワイヤ4は、短縮されたガイドワイヤ内腔82によってカテーテル22に固定されるだけであり、ガイドワイヤ内腔82の近位側で第2の内腔84から離れて自由に広がる。機能的には、ガイドワイヤ内腔82は、
図23のスリット80の遠位端を越える短い遠位部分86に類似している。
【0148】
カテーテル22のシャフトに少なくとも2つの内腔を設けることは、他の目的のために利用することができる。例えば、
図28は、注入内腔として使用される第2の内腔84と、第2の内腔84とガイドワイヤ内腔82との間の壁を貫通する通気孔90とを示す。通気孔90は、第2の内腔84からガイドワイヤ内腔82に入る流体の注入のためのクロスチャネルとして機能し、それによって、ガイドワイヤ内腔82内の作動ワイヤ4の動きを潤滑にする。
【0149】
注入される流体は、おそらく溶解を促進するために、水若しくは生理食塩水、又は冷却流体、又は薬剤の形態であり得る。
【0150】
流体を運ぶ第2の内腔84は、流体が高圧で通気孔90を通して送達されるように、遠位先端で閉鎖され得る。これは、ワイヤ4の遠位端に圧力を発生させ得るか、又は遠位セクションを押し下げ得、何らかの利益のためにワイヤの横方向運動に影響を及ぼし得る。遠位側方減衰は、高粘度若しくは低粘度を有し得るか、又はコントラスト流体であり得る送達された流体を介してもたらされ得る。
【0151】
カテーテル22の近位端に戻ると、
図29は、ワイヤ4に向かって半径方向内向きに面する内部戻り止め突起92を含むカテーテル22の変形例を示す。これに対応して、ワイヤ4は、カテーテル22に向かって半径方向外向きに面する相補的な突起92を有する。ワイヤ4上のそのような突起92は、例えば、ワイヤ4の周りのバンドによって画定され得る。
【0152】
カテーテル22とワイヤ4との間の相対的な入れ子式移動の間、対向するセットの突起92は、弾性クリック又はスナップ作用で互いに乗り上げる。これは、その入れ子式移動中のカテーテル22とワイヤ4との相対的な長手方向位置に関して、聴覚的及び触覚的フィードバックをユーザに提供する。
【0153】
図29に示されるカテーテル22はまた、その近位端又はハブ端の近くに一体的な球根状拡大部94を備える。拡大部94は、ユーザの指が、カテーテル22の近位端を越えて露出され得るアクティブにされたワイヤ4に不注意に触れることを回避するために、ユーザの指のための便利なレスト又はストップを提供する。この点に関して、カテーテル22内の突起92は、その遠位側で拡大部94の近くに配置され、したがって、触覚フィードバックを強化するためにユーザの指と位置合わせされることに留意されたい。
【0154】
球根状近位拡大部94もまた、
図30に示されるカテーテル22の特徴である。この場合、カテーテル22は、その遠位側の拡大部94の近くに減衰レバー96を備え、したがって、やはりユーザのグリップと位置合わせされる。減衰レバー96は、カテーテル22の壁に弾性的にヒンジ結合され、カテーテル22の壁の対向する開口部100によって受容され得るスタッド98をその下側に備える。減衰レバー96が、例えば、ユーザの親指によって押下されると、これは、スタッド98を開口部100を通してアクティブワイヤ4と接触するように押動し、半径方向減衰力をワイヤ4に印加する。スタッド98は、ワイヤ4による摩耗に抵抗する制動材料を含むことができる。
【0155】
図8のいくつかの態様は、作動ユニット2とカテーテル22との間のインタフェースを例示していることが想起されるであろう。これに関して、
図31及び
図32は、カテーテル22を作動ユニット2のトランスデューサ30によって生成される超音波エネルギーに結合するための他の構成を示す。
【0156】
図31では、ねじ付きコレット34がワイヤ4をトランスデューサ30に結合し、二次カップリングがカテーテル22をコレット34に接続する。二次カップリングは、コレット34の雄ねじを補完する雌ねじを有するカテーテルアダプタキャップ102と、カテーテルアダプタキャップ102によって受容され、ワイヤ4がアセンブリを妨げられずに通過することを可能にする貫通孔を有するカテーテル結合フェルール104とを備える。結合フェルール104の近位端フランジは、コレット34とのそのねじ係合に沿って近位にアダプタキャップ102を締め付けることによって、コレット34に対して圧縮されることができる。
【0157】
カテーテル22のチューブ状壁は、カテーテル22の長さに沿って遠位に延在し、遠位塊108で終端し得る、細長い導波管106を含有する。カテーテル22が、作動ユニット2のハウジングに取り付けることができるハブ110に受け入れられるそれらの近位端において、導波管106は、導波管端子112で終端する。導波管端子112は、導波管106を結合フェルール104の遠位端に接続し、したがって、結合フェルール104を介してトランスデューサ30に接続する。したがって、トランスデューサ30は、ワイヤ4及びカテーテル22を同時に作動させるために、コレット34を介してワイヤ4及びカテーテル22に結合される。
【0158】
導波管106は、
図31に示されるように、直線縦方向構成で配列されてもよい。あるいは、それらは、カテーテル22の中央長手方向軸の周りに螺旋状にねじれてもよい。カテーテル22は、1つ以上の導波管106を有してもよい。2つ以上の導波管106が採用される場合、それらは、互いに平行に延在してもよく、又は編組されてもよい。
【0159】
図32に示す代替構成では、カテーテルアダプタキャップ102は、トランスデューサ30の雄ねじ付き遠位ホーン部分に取り付けられている。アダプタキャップ102は、カテーテル結合フェルール104の近位フランジをトランスデューサ30の遠位端に押し付ける。したがって、結合フェルール104は、トランスデューサ質量体と直接接触して保持される。この目的のために、結合フェルール104は、トランスデューサ34と別個にねじ係合しているコレット34を取り囲む。結合フェルール104の遠位側は、カテーテル22に沿って延在する導波管106に結合される。したがって、トランスデューサ30は、コレット34を介してワイヤ4に結合され、結合フェルール94を介してカテーテル22に結合されて、ワイヤ4及びカテーテル22を同時にアクティブにする。
【0160】
近位ハブ110は、カップリング機構を包囲し、ハブ110の本体上の1つ以上のポート38を介して、膨張及び/又は吸引デバイスをカテーテル22に取り付ける手段を提供する。
【0161】
図31及び
図32の構成では、摩擦テーパ嵌合、ルアーコネクタ、又はバヨネットコネクタなど、嵌合ねじ山以外の接続手段を使用して、コレット34又はトランスデューサ30への接続を行うことができる。
【0162】
次に
図33を参照すると、これは、ワイヤ4の周りにチューブ状ノーズ、スリーブ、又はシースを形成する、剛性の細長い遠位に延在するチューブ114を有する作動ユニット2を示す。チューブ114は、作動ユニット2の遠位端から遠位方向に突出し、作動ユニット2に隣接するワイヤ4の部分を取り囲み、被覆する。チューブ114は、ワイヤ4にひずみ逃がしを提供する。
【0163】
1つの使用モードにおいて、チューブ114は、カテーテルの近位端でハブに接続することができる。これにより、ユーザは、ハブを作動ユニット2に固定することができる。第2の使用モードでは、チューブ114は、ハブ及びカテーテルがチューブ114に沿って入れ子式に移動することを可能にしながら、カテーテルの近位端に嵌合することができる。その場合、ワイヤ4は、作動ユニット2及びカテーテルのハブが互いに近づくように又は更に離れるように移動されるときに、覆われたままであり得る。両方の場合において、チューブ114は、作動ユニット2から突出するワイヤ4を覆い、ユーザ及びワイヤ4自体を保護する。
【0164】
図33はまた、長手方向に離間したマーカ116を有するワイヤ4の選択肢を示す。そのようなマーカ116は、ワイヤ4の遠位端における病変の掘削を最適化するために、作動ユニット2がワイヤ4に結合されるべき位置に関してユーザを案内することができる。
【0165】
ワイヤ4の周りで作動ユニット2から遠位に延びるチューブ114は、本発明による様々な目的に使用することができる。例えば、
図29のカテーテル内の突起のような相補的な突起は、チューブ114とワイヤ4との間の入れ子式移動中にクリック又はスナップ動作を通じて聴覚的及び触覚的フィードバックを提供することができる。同様に、チューブ114は、
図30のカテーテル上に示されているような減衰レバーを有することができ、それによって、ユーザはワイヤ4に横方向の減衰力を加えることができる。
【0166】
次に
図34~
図36を参照すると、これらの図面は、ワイヤ4が破断した場合に患者の体内でワイヤ4が失われるリスクがあり得る処置中に、作動ユニット2が患者に向かって遠位に遠くまで前進することを防止するためにチューブ114が使用される安全機能を示す。
【0167】
特に、
図35に示されるように、チューブ114は、ユーザが、患者の体内に通じる入口ポート78を画定するルアー又はイントロデューサまでずっと作動ユニット2を前進させることを防止するスペーサとして機能する。チューブ114の長さは、作動ユニット2と入口ポート78との間にスタンドオフ距離を課す。チューブ114の遠位端は、チューブ114が入口ポート78に入るのを防止するエンドストップ又は挿入リミッタとして機能するように、示されるように、球根状又は他の方法で拡大されてもよい。
【0168】
チューブ114の長さは、ワイヤ4が破断しても、ワイヤ4の一部が常に患者の体外に留まることを保証する。具体的には、ワイヤ4が作動ユニット2内のトランスデューサ20へのその結合点の近くで破断した場合、少なくともチューブ114と同じ長さの、典型的にはチューブ114よりもいくらか長いワイヤ4の長さは、常に入口ポート78の外側に残る。この場合、ワイヤ4とチューブ114との間の摩擦は、ワイヤ4がチューブ114に沿って遠位方向に滑って患者の体内に入るのを防止するのに役立つ。
【0169】
図36は、チューブ114が、破損した場合にチューブ114内でワイヤ4を把持するように、ユーザの指の間で半径方向に圧縮可能であるという更なる属性を有し得ることを示す。これは、ユーザがワイヤ4の破断した端部が患者の体内に引き込まれることを防止するのに役立つ。チューブ114は、このようにして、その近位端又はその長さに沿った任意の点において圧縮可能であってもよいが、好ましくは、示されるように、その遠位端又はその近傍において圧縮可能である。
【0170】
有利には、チューブ114はまた、ワイヤ4への迅速なアクセスを可能にするために、作動ユニット2から容易に取り外され得る。この目的のために、チューブ114は、チューブ114の近位端にある取り外し可能なコネクタ118をトグル8の遠位側から解放することによって、作動ユニット2の遠位端から容易に取り外し可能である。そこで、チューブ114は、例えば、ツイストオフ(twist-off)又はプレス/プル(press/pull)構成によって作動ユニット2から取り外され得る。
【0171】
したがって、ユーザは、チューブ114を圧搾して、破断したワイヤ4を把持することができ、次いで、ワイヤ4を依然として把持しながら、チューブ114を作動ユニット2から引き離して、ワイヤ4が患者の体外に留まることを確実にすることができる。
【0172】
最後に
図37~
図39を参照すると、これらの図面は、遠位チューブ114が、作動ユニット2の遠位端に取り付けられたままで、遠位に伸長可能であり、近位に折り畳み可能である実施形態を示す。
【0173】
長手方向の延長部を設けることにより、チューブ114の長さを調整して、ワイヤ4の異なる長さにわたる減衰の調整を可能にすることができる。それはまた、チューブ114の長さが、作動ユニット2と、前述の実施形態に示されるようなカテーテル22の近位端、又は
図35に示されるような入口ポート78等の作動ユニット2の遠位に配置される他の構造との間の長手方向間隔の差を可能にするように調整されることを可能にする。それによって、チューブ114は、作動ユニット2と作動ユニット2の遠位に配置された構造との間のコネクタとして機能することができる。
【0174】
したがって、
図37~
図39に示す遠位チューブ114は、長手方向に伸長可能かつ圧縮可能であるが、ワイヤ4を保護して案内するために、又はワイヤ4に減衰力を加えるために、横方向又は半径方向に剛性であってもよく、そうでなければ圧縮性が低くてもよい。特に、ある程度の横方向剛性は、ワイヤ4に減衰力を加えるのを助けることができる。
【0175】
図37において、チューブ114は、入れ子式の一連の剛性管状セクション120を備える。チューブ114は、
図37の詳細Aにおいて、折り畳まれた状態及び拡張された状態で示されている。
【0176】
図37の詳細Bに最もよく示されるように、セクション120の最遠位は、ユーザがセクション120を引き出してチューブ114を延在させるときに把持するための球根状先端122を有する。チューブ114の近位端上のバンプフィット特徴124は、チューブ114の作動ユニット2への容易な取り付けを可能にする。チューブ114の中央部分120内の着色バンド126は、ワイヤ4の遠位先端で病変のアテローム切除術を実施するために、チューブ114がワイヤ4にとって最適な伸長状態にあるときをユーザが識別できるように、視覚的合図を提供する。
【0177】
図38は、作動ユニット2とカテーテルのハブとの間でワイヤ4の周りに延在する補助シース又は接続アダプタとして機能することができる編組チューブ114を示す。長手方向スリット128は、チューブ114の全長に沿って延在し、必要に応じてワイヤ4をチューブ114の内腔内に横方向に入れる。チューブ114の剛性端部取付具の作動ユニット2及びカテーテルハブへの接続は、スナップ嵌め、バンプ嵌め、又は他の好都合な手段によって行うことができる。
【0178】
チューブ114の編まれた中央部分は、長手方向の拡張及び収縮を可能にする。この点において、チューブ114は、
図38の詳細Aにおいて、折り畳まれた状態及び拡張された状態で示されている。したがって、チューブ114は、オペレータが規定された動作範囲内でワイヤ4とカテーテルとの相対的な長手方向位置を変更することを可能にする可変長ユニットである。チューブ114の伸長性はまた、より広い動作範囲にわたってワイヤ4にひずみ逃がし又は横方向支持を提供し、ワイヤ4が破断するリスク又はカテーテルの外側でのワイヤ4の過剰な振動の悪影響を低減する。
【0179】
最後に、
図39は、伸長可能な中央部分がベローズ状、蛇腹式、又はアコーディオン構造を有するチューブ114を示す。チューブ114の着色された中間部分130は、チューブ114が伸ばされると現れ、
図39の詳細Aに示されるようにチューブ114が完全に伸ばされると完全に見ることができる。再び、これは、視覚的合図を提供し、その結果、ユーザは、ワイヤ4の遠位先端において病変のアテローム切除術を実施するために、チューブ114がワイヤ4にとって最適な伸長にあるときを識別することができる。
【0180】
剛性などの特性に応じて、
図33~
図39に示すチューブ114は、様々な機能を有することができる。例えば、チューブ114は、NiTiがひずみに敏感であり、コレットの領域におけるひずみが破損を促進することに留意して、ワイヤ4を横方向の動きに対して局所的に拘束することによって、ワイヤ4に加えることができる曲げの程度を制限するためのひずみ逃がしを提供することができる。チューブ114はまた、ワイヤ4と接触することによって安全性を高め、ユーザが望む場合にアクティブワイヤ4とインタフェースすることができるようにする。
【0181】
チューブ114はまた、ワイヤ4が濡れており、流体で滑りやすく、したがって、特にアクティブなときに把持することが困難であり得るので、ワイヤの捕捉を容易にすることができる。チューブ114は、上述したように、破損したワイヤ4を捕捉するために使用することができるが、より一般的には、チューブ114は、ワイヤ4の位置を失わないようにワイヤ4を所定の位置に捕捉して保持するために使用されてもよく、これは、後続の治療にとって重要であり、また、作動のためのワイヤ4の最適な位置決めの補助として使用されてもよい。チューブ114はまた、液体などの流体媒体中へのワイヤ4の浸漬を可能にする手段を提供する。チューブ114の長手方向の伸長性はまた、ルアーロックなどのポートに対して連続的かつ制御された距離を保つのに有用である。
【0182】
本発明の概念の範囲内で多くの他の変形が可能である。例えば、多内腔カテーテルは、別の内腔内のパッシブガイドワイヤと並行して、又は同時に、1つの内腔内に治療用アクティブワイヤを送達することができる。
【国際調査報告】