(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】コロナウイルス感染症の治療及び予防
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20230606BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230606BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61K38/16
A61P31/14
A61K45/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567233
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021030994
(87)【国際公開番号】W WO2021226294
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596118493
【氏名又は名称】アカデミア シニカ
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【住所又は居所原語表記】128 Sec 2,Academia Road,Nankang,Taipei 11529 TW
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】マ, チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ジーア・ツロング
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA21
4C084BA44
4C084CA15
4C084CA53
4C084CA59
4C084MA52
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB112
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB352
4C084ZC212
(57)【要約】
コロナウイルス感染症を治療又は予防する方法がここに開示され、それはフジマメ由来のFlt3受容体相互作用レクチン(FRIL)を含む有効量の組成物を、それを必要とする被検体に投与するステップを備える。薬学的に許容可能な賦形剤、フジマメFRIL及び追加の治療剤を含む薬学的組成物も開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルス感染症を治療又は予防する方法であって、フジマメ由来のFlt3受容体相互作用レクチン(FRIL)を含む有効量の組成物を、それを必要とする被検体に投与するステップを備える方法。
【請求項2】
前記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)又は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記FRILは、フジマメから単離された天然タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記FRILは、組換え又は合成タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記FRILは、四面体構成の四量体タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記FRILは、配列番号2のアミノ酸配列を有する領域及び配列番号3のアミノ酸配列を有する領域を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記FRILは、配列番号1のアミノ酸配列を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記FRILは、コロナウイルス上の1以上の糖鎖に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記被検体は、コロナウイルス感染症に罹患しており若しくは罹患し易く、又はコロナウイルスに感染していると疑われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、さらに第2の治療剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の治療剤は、抗炎症薬、抗ウイルス薬、コロナウイルス用ワクチン、抗生物質、栄養補助食品及びコロナウイルス感染症を治療する他の任意の緩和治療法からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の治療剤は、抗ウイルス薬である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗ウイルス薬は、リバビリン、ペンシクロビル、ニタゾキサニド、ナファモスタット、クロロキン、レムデシビル(GS-5734)及びファビピラビル(T-705)、インターフェロン、アデホビル、テノホビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン並びにザナミビルからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物は、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口、筋肉内又は頭蓋内に投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
薬学的に許容可能な賦形剤と、フジマメFRILと、追加の治療剤とを備える薬学的組成物。
【請求項16】
前記追加の治療剤は、抗ウイルス剤である、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記追加の治療剤は、リバビリン、ペンシクロビル、ニタゾキサニド、ナファモスタット、クロロキン、レムデシビル(GS-5734)及びファビピラビル(T-705)、インターフェロン、アデホビル、テノホビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン並びにザナミビルからなる群から選択される、請求項15に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2020年5月7日出願の米国仮特許出願第63/021648号の優先権及び利益を主張し、その全体が参照によりここに取り込まれる。
【0002】
本開示は、ウイルス感染症の治療に関する。より具体的には、本開示の発明は、コロナウイルス感染症の治療及び予防に関する。
【背景技術】
【0003】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)の出現によって引き起こされたCOVID-19の進行中のパンデミックは世界的流行をもたらし、100万人超の感染者及び数万人の死者をもたらした。今日まで、COVID-19に対する特定の医学的治療又はワクチンは認可されていない(WHOコロナウイルス疾患(COVID-2019)状況報告-105)。
【0004】
レクチンは、糖タンパク質上に表れる固有の糖鎖(glycans)を認識する。種々の供給源由来のレクチンは、臨床的に重要なウイルス病原体の感染を阻害することにより、有効な抗ウイルス性を示すことが証明されている。いくつかのレクチンが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びコロナウイルス(SARS-CoV及びMERS-CoV)のウイルス伝播の予防における有望な治療剤として認識されている[Mitchell、C.他、Antiviral Res.2017]。しかし、SARS-CoV-2感染症の治療及び予防に有効であると報告されているレクチン、特に植物レクチンはない。
【0005】
国際公開第2020/051397号は、フジマメ(Lablab purpureus)由来のFlt3受容体相互作用レクチン(FRIL)がインフルエンザウイルス感染症に対して効果があることを開示する。コロナウイルス感染症、特にSARS-CoV-2感染症に対するフジマメFRILの特異的活性は報告されていない。
【0006】
SARS-CoV-2によって引き起こされる健康危機に対処する効果的な方法を見出すことの差し迫ったニーズがある。ヒトにおける新たに出現したコロナウイルス感染症の効果的な治療及び予防のための新規な薬剤及びアプローチが強く望まれている。
【発明の概要】
【0007】
以下に、読者に基本的な理解を与えるために本開示の簡略な概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概要ではなく、本発明の主要/重要な要素を特定するものでも本発明の範囲を規定するものでもない。その専らの目的は、ここに開示される一部のコンセプトを、より詳細な、後に提示される説明に対する前置きとして簡略化した形式で提示することである。
【0008】
本開示は、フジマメ由来のFlt3受容体相互作用レクチン(FRIL)タンパク質はSARS-CoV-2を阻害及び中和するための有効な活性を示し、結果として、ヒトにおける新たに出現したコロナウイルス感染症を治療及び/又は予防する手段を提供するという予想外の知見に基づく。これは、植物レクチン(例えば、フジマメFRIL)がSARS-CoV-2を有効に中和することができる抗ウイルス活性を示すことについての最初の報告である。この知見は、フジマメFRILが、新たに出現したコロナウイルスに対する中和剤として作用し得ることを示す。
【0009】
したがって、本発明はコロナウイルス感染症を治療又は予防する方法を提供し、方法は、有効量のFlt3受容体相互作用レクチン(FRIL)又はそれを含む組成物を、それを必要とする被検体(例えば、哺乳動物)に投与するステップを備える。ここに記載するように、FRILはフジマメFRILである。ここに記載するコロナウイルスは、SARS-CoV-2を含み、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)及び中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)も含み得る。好適な実施形態では、コロナウイルス感染症は、SARS-CoV-2によって引き起こされるものである。
【0010】
特定の実施形態では、FRILは、配列番号(SEQ ID No:)1のアミノ酸配列、又は配列番号1と実質的に同一のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、FRILは、切断型の(ループドメインの除去による)FRILポリペプチドを含む。具体的には、切断型のFRILは、N末端ドメイン(ベータサブユニット、例えば、配列番号2)及びC末端ドメイン(アルファサブユニット、例えば、配列番号3)を含む。ある実施形態では、ベータサブユニット及びアルファサブユニットが結合されて一量体を形成し、さらに、そのような一量体の2ユニットが結合されて二量体を形成することもあり、二量体の2ユニットが結合されて四量体を形成することもある。好ましくは、FRILは、四量体の形態である。ある実施形態では、FRILは、四面体構成(tetrahedral configuration)に配置された四量体(tetramer)の形態である。
【0011】
ある実施形態では、FRILは、フジマメの抽出物から精製された天然のFRILである。ある実施形態では、FRILは、フジマメの水性抽出物から精製された天然のFRILである。ある実施形態では、FRILは、細菌、酵母、昆虫細胞、バキュロウイルス、哺乳動物細胞又はヒト細胞から過剰発現され得る組換え体であってもよい。
【0012】
ある実施形態では、FRILは、1以上の炭水化物認識ドメインを含む。ある実施形態では、FRILは、適宜の表層糖類(例えば、マンノース)を示すコロナウイルスに結合する。ある実施形態では、FRILは、コロナウイルスの表面の1以上のグリカンに結合する。ある実施形態では、FRILは、コロナウイルスのスパイク(S)糖タンパク質上の1以上のグリカンに結合する。
【0013】
ある実施形態では、ここに記載する組成物は、第2の治療剤をさらに含み得る。特定の実施形態では、第2の治療剤は、抗炎症薬、抗ウイルス薬、コロナウイルス用ワクチン、抗生物質、栄養補助食品、及びコロナウイルス感染症を治療する他の任意の緩和療法剤からなる群から選択される。特定の実施形態では、第2の治療剤は、抗ウイルス薬である。特定の実施形態では、抗ウイルス薬は、リバビリン、ペンシクロビル、ニタゾキサニド、ナファモスタット、クロロキン、レムデシビル(GS-5734)及びファビピラビル(T-705)、インターフェロン、アデホビル、テノホビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン並びにザナミビルからなる群から選択される。
【0014】
ここに記載する被検体は、コロナウイルス感染症に罹患しており若しくは罹患し易く、又はコロナウイルスに感染した疑いがある。被検体は、ヒト又は非ヒト生物であり得る。好ましくは、被検体はヒトである。
【0015】
ここに記載する組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、皮下、脳室内、経皮、皮間、直腸、膣内、腹腔内、局所、粘膜、鼻腔、頬、経腸、舌下、気管内及び気管支からなる群から選択される経路による投与のために処方され得る。特定の実施形態では、投与は、気管内及び気管支への点滴注入による。特定の実施形態では、ここに記載する組成物は、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口、筋肉内又は頭蓋内に投与される。特定の実施形態では、ここに記載する組成物は、経口スプレー、鼻腔用スプレー又はエアロゾルとして処方される。
【0016】
さらに他の態様では、本発明は、フジマメFRIL、追加的な治療剤及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。ある実施形態では、追加的な治療剤は、抗ウイルス剤である。ある実施形態では、抗ウイルス剤は、リバビリン、ペンシクロビル、ニタゾキサニド、ナファモスタット、クロロキン、レムデシビル(GS-5734)及びファビピラビル(T-705)、インターフェロン、アデホビル、テノホビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン並びにザナミビルからなる群から選択される。
【0017】
提供される薬学的組成物は、コロナウイルス感染症を治療又は予防するのに有用である。薬学的組成物は、任意選択的に、例えば、経口又は鼻腔吸入による薬学的組成物の投与のための装置に含まれてもよい。
【0018】
ある実施形態では、本発明は、投与装置を介した投与のために処方されたここに記載する組成物(例えば、フジマメFRIL及び任意選択的に第2の治療剤)を含むキットを、そのような投与装置とともに、1以上の容器を備えるセットで提供する。ある実施形態では、適宜の投与装置が、シリンジ、針、スプレー、フィルター、アプリケーター及びそれらの組合せからなる群から選択される。ある実施形態では、提供されたキットは、使用のための使用説明書を含む。
【0019】
提供される組成物及び方法は、例えば、研究において及び/又は医療において有用である。ある実施形態では、提供される組成物及び方法は、例えば、コロナウイルスの予防、治療及び/又は研究において有用である。
【0020】
本発明の特定の実施形態の詳細をここに上述した。本発明の他の特徴、課題及び有利な効果は、詳細な説明、図面、実施例及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【0021】
本記載は、添付図面に照らして読まれる以下の詳細な説明からより深く理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、抗SARS-CoV-2Nタンパク質抗体によって検出されるVeroE6細胞上のSARS-CoV-2に対するFRILのマイクロ中和力価を示す。
【
図2】
図2は、プラークがクリスタルバイオレット染色によって可視化されたVeroE6細胞上のSARS-CoV-2に対するFRILのプラーク減少中和力価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態の以下の詳細な説明では添付図面が参照され、添付図面では、同様の符号は同様の要素を示し、本開示が実施され得る特定の実施形態が例示として示される。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施することができるように充分詳細に記載されており、他の実施形態が利用されてもよく、論理的な、構造的な、機能的な及び他の変更が本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0024】
ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、以下で特に断りがない限り、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有するものとする。ここで採用される技術への参照は、当技術分野において一般的に理解されるような技術に言及するものであり、当業者には明らかとなる、これらの技術に対する変形又は均等物若しくは後発技術の代替を含む。さらに、本発明である主題をより明確かつ簡明に記載するために、明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる特定の用語に対して以下の定義が与えられる。
【0025】
ここで使用されるように、用語「天然FRIL」は、タンパク質が天然発現したマメ科植物から単離されたFRILを意味する。特定の実施形態では、天然FRILは、タンパク質が天然発現したフジマメ(Lablab purpureus)の種子から単離される。
【0026】
ここで使用されるように、用語「組換えFRIL」は、限定することなく、FRILをコードする組換え構築物でトランスフェクトされた細菌、酵母、植物又は動物の細胞を含む組換え遺伝子によってタンパク質が発現した生物から単離されたFRILを意味する。組換えFRILは、天然FRILと同一のアミノ酸配列、又はその機能を実質的に変化させることのないサイレント突然変異、例えば、限定することなく、N末端付加若しくは欠損、C末端付加若しくは欠損及びキメラタンパク質を含む1以上のアミノ酸の挿入、欠損及び/若しくは置換を含むアミノ酸配列を有し得る機能的等価物を有し得る。
【0027】
ここで使用されるように、用語「FRIL」とは、天然FRILタンパク質又は組換えFRILタンパク質のことをいうことがある。特定の実施形態では、FRILは、約272個のアミノ酸を含むタンパク質である。それは、通常は成熟タンパク質から切断されるN末端における8個のアミノ酸残基長の先頭配列で始まる。9から約121~138の残基はN末端ドメイン(ベータサブユニット、約12~18kDa)を構築し、約122~139から272の残基はC末端ドメイン(アルファサブユニット、約12~18kDa)を構築し、約122~138からの残基は、種々の程度で(完全に又は部分的に)タンパク質分解性消化されるループドメインを構築する。FRILのアミノ酸配列は、国際公開第2020/051397号に記載されるものである(配列番号1)。特定の実施形態では、アミノ酸残基9~121(配列番号2)はN末端ドメイン(ベータサブユニット)を構築し、アミノ酸残基139~272(配列番号3)はアミノ酸残基122~138(配列番号4)のループドメインループによって結合されるC末端ドメイン(アルファサブユニット)を構築する。特定の実施形態では、アミノ酸残基1~8(配列番号5)は、シグナルペプチドを構築する。特定の実施形態では、ベータサブユニット及びアルファサブユニットは、結合されて一量体(αβ)を形成し得る。特定の実施形態では、そのような一量体の2ユニットが、結合されて二量体(α2β2)を形成し得る。特定の実施形態では、そのような二量体の2ユニットが、結合されて四量体(α2β2+α2β2)を形成し得る。
【0028】
全長FRILは、(i)配列番号1で上述したアミノ酸配列と実質的同一(例えば、配列番号1と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%又は97%)同一)であり、かつ(ii)ここに上述したFRILをコードする任意の核酸配列に対して少なくとも中程度のストリンジェントな条件下においてハイブリッド化することができる核酸配列、又はここに上述したFRILをコードする任意の核酸配列に対して少なくとも中程度のストリンジェントな条件下においてハイブリッド化することができるが同義コドン(例えば、同一のヌクレオチド配列を有しないが同一のアミノ酸をコードするコドン)の使用のための核酸配列によってコード化されたアミノ酸配列を備えるもの、を含んでいてもよい。
【0029】
ここに記載するFRILは、被検体におけるコロナウイルス感染症の予防又は治療の用途を見出す。ここに記載する被検体は、コロナウイルス感染症に罹患しており若しくは罹患し易く、又はコロナウイルスに感染している疑いがある。被検体は、ヒト又は非ヒト生物であり得る。好ましくは、被検体はヒトである。ここに記載するコロナウイルスは、SARS-CoV-2、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)及び中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)を含み得る。好ましくは、ここに記載するコロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0030】
投与が考慮される「被検体」は、これに限定されないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性又は女性、例えば、小児被検体(例えば、幼児、子供、青少年)又は成人被検体(例えば、若年成人、中年成人又は高齢成人))及び/又は他の非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ及び/又はイヌなどの商業的に関係する哺乳動物)、鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ及び/又はシチメンチョウなどの商業的に関係する鳥類)、爬虫類、両生類及び魚類を含む。特定の実施形態では、非ヒト動物は哺乳動物である。非ヒト動物は、オス又はメスであって任意の成長段階にあり得る。非ヒト動物は、遺伝子導入動物であってもよい。
【0031】
ここで使用される用語「投与する」、「投与している」又は「投与」とは、発明の化合物若しくはその薬学的組成物を移植すること、吸着すること、摂取すること、注入すること、吸入すること、又は導入することをいう。
【0032】
ここに記載するような「有効量」の化合物又は任意の活性成分は、所望の生物学的反応を引き出す、すなわち、状態を治療するのに充分な量をいう。当業者には分かるように、有効量の化合物は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、治療されている状態、投与のモード、被検体の年齢及び健康状態などの要因に応じて変わり得る。有効量は、治癒的及び予防的治療を包含する。
【0033】
ここに記載する組成物は、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と混合されて、コロナウイルスを阻害し、及び/又はコロナウイルスによって引き起こされる感染症を治療する際の使用のための薬学的組成物を形成し得る。ここで使用されるように、「阻害している」、「阻害」、「阻害する」、「阻害物質」などは、コントロールビヒクルに対する細胞において特定の生物学的プロセス(例えば、コロナウイルスの複製)の活性を軽減、遅延、停止又は予防する抗コロナウイルス剤の能力をいう。ある事例では、抗コロナウイルス剤は、少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%)だけウイルス複製のレベルを阻害可能である。
【0034】
用語「治療する」又は「治療」は、コロナウイルスに感染し、その症状を有し又はそれに向かう素因を有する被検体(例えば、ヒト患者)に治療効果を与えること、例えば、感染、その症状又はそれに向かう素因を治癒、軽減、改質、刺激、改善又は予防する目的で1以上の抗コロナウイルス剤(例えば、ここに記載する組成物)を投与することをいう。そのような被検体は、いずれかの適宜の診断法による結果に基づいて医療従事者によって特定され得る。
【0035】
薬学的組成物の担体は、製剤の活性成分に適合可能である(かつ好ましくはそれを安定化させることができる)という意味で「許容可能」であり、かつ治療される被検体に有害でないものでなければならない。例えば、ここに記載する抗ウイルス剤との、より可溶性の高い複合体を形成するシクロデキストリンなどの可溶化剤、又はより多くの可溶化剤が、抗ウイルス剤の送達のために薬学的担体として利用可能である。他の担体の例は、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びD&C Yellow#10を含む。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版(Lippincott Williams & Wilkins、2005)並びにGoodman及びGilmanの「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第10版、Gilman、J.Hardman及びL.Limbird、eds.、McGraw-Hill Press、155-173、2001参照。
【0036】
薬学的に許容可能な賦形剤/担体は、特定の所望の投与形態に適した、任意の全ての溶媒、希釈剤又は他の液体ビヒクル、分散剤、懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤又は乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などを含む。薬学的組成物剤の処方及び/又は製造における一般的な検討は、例えば、RemingtonのPharmaceutical Sciences、第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1980)及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版(Lippincott Williams & Wilkins、2005)に見られる。
【0037】
ここに記載する薬学的組成物は、薬理学の技術分野において公知の任意の方法によって調製可能である。一般的に、そのような薬理学的方法は、本発明の化合物(「活性成分」)を担体及び/又は1以上の他の付属成分と結合させてから、必要及び/又は所望に応じて、生成物を所望の単回又は複数回投与量単位に成形又は包装する工程を含む。
【0038】
薬学的組成物は、単回単位投与量として及び/又は複数の単回単位投与量として、バルクで調製、包装及び/又は販売され得る。ここで使用するように、「単位投与量」は、所定量の活性成分を含む薬学的組成物の個々の量である。活性成分の量は、被検体に投与されることになる活性材料の用量、及び/又は例えば、その用量の2分の1、3分の1など、その用量の使い勝手の良い割合に概ね等しい。
【0039】
本発明の薬学的組成物における活性成分、薬学的に許容可能な賦形剤及び/又は任意の追加成分の相対量は、治療される被検体のアイデンティティ、サイズ及び/又は状態に応じて、並びにさらには組成物が投与される経路に応じて変わることになる。例示として、組成物は、0.1%~100%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0040】
提供される薬学的組成物の製造において使用される薬学的に許容可能な賦形剤は、不活性希釈剤、分散及び/若しくは造粒剤、界面活性剤及び/若しくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、潤滑剤並びに/又はオイルを含む。ココアバター及び坐剤用ワックス、着色料、コーティング剤、甘味料、香料及び香味料などの賦形剤が、組成物において存在していてもよい。
【0041】
例示的な希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖及びこれらの混合物を含む。
【0042】
例示的な結合剤は、スターチ(例えば、コーンスターチ及びスターチペースト)、ゼラチン、糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、モラッセ、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然及び合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモス抽出物、パンワールゴム、ガティガム、イサポールハスク粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、アセチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)及びラーチアラボガラクタン)、アルギン酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリル酸塩、ワックス、水、アルコール及び/又はこれらの混合物を含む。
【0043】
例示的な防腐剤は、酸化防止剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤及び他の防腐剤を含む。
【0044】
例示的な酸化防止剤は、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムを含む。
【0045】
例示的なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)並びにその塩及び水和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウムなど)と、クエン酸並びにその塩及び水和物(クエン酸-水和物)と、フマル酸並びにその塩及び水和物と、リンゴ酸並びにその塩及び水和物と、リン酸並びにその塩及び水和物と、酒石酸並びにその塩及び水和物とを含む。例示的な抗菌防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキサチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール及びチメロサールを含む。
【0046】
例示的な抗真菌防腐剤は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸を含む。
【0047】
例示的なアルコール防腐剤は、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート及びフェニルエチルアルコールを含む。
【0048】
例示的な酸性防腐剤は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸及びフィチン酸を含む。
【0049】
他の防腐剤は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム、セトリミド、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、グリダントプラス(Glydant Plus)、フェノニップ(Phenonip)、メチルパラベン、ゲルマール(Germall)115、ゲルマベン(Germaben)II、ネオローン(Neolone)、カトン(Kathon)及びユキシル(Euxyl)を含む。特定の実施形態では、防腐剤は、酸化防止剤である。他の実施形態では、防腐剤は、キレート剤である。
【0050】
例示的な緩衝剤は、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化物リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール及びこれらの混合物を含む。
【0051】
例示的な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、モルト、ベヘン酸グリセリル、水添植物オイル、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物を含む。
【0052】
例示的な天然オイルは、アーモンド、アプリコットカーネル、アボカド、ババス、ベルガモット、ブラックカレントシード、ボリジ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウバ、キャスター、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラレバー、コーヒー、コーン、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、フラックスシード、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウ種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンディン、ラベンダー、レモン、リツエアクベバ、マカデミアナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、ヤシ、パームカーネル、ピーチカーネル、ピーナッツ、芥子粒、カボチャ種子、ナタネ、米糠、ローズマリー、サフラワー、サンダルウッド、サスクアナ、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコ-ン、大豆、ヒマワリ、ティートリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミ及び小麦胚芽油を含む。例示的な合成オイルは、これに限定されないが、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーンオイル及びそれらの混合物を含む。
【0053】
経口及び非経口投与のための液体投与形態は、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体投与形態は、例えば、水、又はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(例えば、綿実、落花生、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシ及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル並びにこれらの混合物など、他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤などの当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤の以外に、経口組成物は、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、甘味料、香料並びに調味料などのアジュバントを含み得る。非経口投与のための特定の実施形態では、本発明のコンジュゲートは、クレモフォール、アルコール、オイル、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー及びこれらの混合物などの可溶化剤と混合される。
【0054】
有効量は、当然に、治療されている特定の状態、状態の重篤度、年齢、体調、サイズ、性別及び体重を含む個々の患者のパラメータ、治療期間、(それがある場合には)併用治療法の性質、具体的投与経路、並びに医療従事者の知識及び専門性内での同様の要因に依存することになる。これらの要因は、当業者には周知であり、ルーチン的実験だけで対処可能である。個々の成分又はそれらの組合せの最大投与量、すなわち、適正な医療的判断に従う最大安全投与量が使用されることが一般に好適となる。ただし、患者は医学的な理由、心理的な理由又は事実上他の何らかの理由のため、より低い投与量又は許容投与量を主張することがあり得ることが当業者には理解されるはずである。
【0055】
ここに記載する薬学的組成物のいずれかが、治療を必要とする被検体に、任意の従来的な経路を介して投与され、例えば、経口で、非経口で、吸入噴霧により、局所、直腸、鼻腔、頬、膣から、又は移植された容器を介して投与され得る。ここで使用される用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、髄腔内、髄膜内及び頭蓋内注入又は点滴技術を含む。
【0056】
無菌注入可能組成物、例えば、無菌注入可能水性又は油性懸濁液は、適宜の分散又は湿潤剤(Tween80など)及び懸濁剤を用いて当技術分野で公知の技術に従って処方可能である。無菌注入可能調製物は、非毒性で非経口的に許容される希釈剤又は溶媒において、例えば、1,3-ブタンジオールにおける溶液として、無菌注入可能溶液又は懸濁液であってもよい。ビヒクル及び溶媒の中でも、採用可能な許容可能なものは、マンニトール、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌固定オイルが、溶媒又は懸濁液媒体として従来から採用されている(例えば、合成モノ-又はジ-グリセリド)。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブオイル又はヒマシオイル、特にそれらをポリオキシエチル化されたものなど、天然の薬学的に許容可能なオイルであるので、注射剤の調製に有用である。これらのオイル溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール系希釈剤若しくは分散剤又はカルボキシメチルセルロース若しくは同様の分散剤も含有してもよい。Tween若しくはSpanなどの他の一般的に使用される界面活性剤又は薬学的に許容可能な固体、液体又は他の投与形態の製造において一般的に使用される他の同様の乳化剤若しくはバイオアベイラビリティエンハンサーも、処方の目的で使用可能である。
【0057】
薬剤の効能を延長するため、皮下又は筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅延させることが望ましいことが多い。これは、水可溶性の低い結晶質又は非晶質の液体懸濁物の使用によって実現可能である。そして、薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、それは同様に結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与剤の吸収の遅延は、オイルビヒクルにおいて薬剤を溶解又は懸濁することによって実現される。
【0058】
直腸又は膣投与のための組成物は、通常は、ここに記載される抗コロナウイルス剤をココアバター、ポリエチレングリコール又は坐剤用ワックスなどの適宜の非刺激性賦形剤又は担体に混合することによって調製され得る坐剤であり、それらは周囲温度では固体であるが体温では液体となるので、直腸又は膣腔において溶融して活性成分を放出するものである。
【0059】
経口投与のための組成物は、これに限定されないが、カプセル、タブレット、エマルジョン及び水性懸濁液、分散剤並びに溶液を含む任意の経口的に許容可能な固体投与形態であり得る。経口用途のためのタブレットの場合、一般的に使用される担体は、ラクトース及びコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、通常は添加される。カプセル形態における経口投与について、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液又はエマルジョンが経口投与される場合、活性成分は、乳化又は懸濁剤と混合された油相において懸濁又は溶解され得る。所望の場合には、特定の甘味料、香料又は着色料が添加されてもよい。
【0060】
そのような固体投与形態では、活性成分は、クエン酸ナトリウム若しくは第二リン酸カルシウムなどの少なくとも1つの不活性の薬学的に許容可能な賦形剤若しくは担体、並びに/又はa)スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸などの充填剤若しくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース及びアカシアなどの結合剤、c)グリセリンなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ポテト若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセリンなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトなどの吸着剤、及びi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物などの滑沢剤と混合される。カプセル、タブレット及びピルの場合、投与形態は、緩衝剤を含み得る。
【0061】
同種の固体組成物が、ラクトース又は乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いた軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として採用され得る。タブレット、ドラジエ(drage(eにアクセント記号付き)es)、カプセル、ピル及び顆粒の固体投与形態が、腸溶性コーティング及び薬学的な処方技術において公知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルによって調製可能である。それらは任意選択的に乳白剤を含んでいてもよく、それらが活性成分のみを又は優先的に、腸管の特定の部分で、任意選択的に遅延させて放出する組成のものであってもよい。使用可能な組成物を実現する例は、高分子物質及びワックスを含む。同種の固体組成物が、ラクトース又は乳糖、及び高分子量のポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いた軟質及び硬質充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として採用され得る。
【0062】
活性成分は、上述した1以上の賦形剤による微細カプセル化形態であってもよい。タブレット、ドラジエ、カプセル、ピル及び顆粒の固体投与形態は、腸溶性コーティング、放出制御性コーティング及び薬学的な処方技術において公知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルによって調製され得る。このような固体投与形態では、活性成分は、スクロース、ラクトース又はスターチなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合可能である。このような投与形態は、通常の実施として、不活性希釈剤以外に追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロースなどのタブレット用潤滑剤及び他のタブレット助剤を含み得る。カプセル、タブレット及びピルの場合、投与形態は、緩衝剤を含み得る。それらは、任意選択的に乳白剤を含んでいてもよく、それらが活性成分のみを又は優先的に、腸管の特定の部分で、任意選択的に遅延させて放出する組成のものであってもよい。使用可能な組成物を実現する例は、高分子物質及びワックスを含む。
【0063】
本発明の化合物の局所及び/又は経皮投与のための投与形態は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤及び/又はパッチを含み得る。一般に、活性成分は、必要となり得るように、薬学的に許容可能な担体並びに/又は任意の必要な防腐剤及び/若しくは緩衝剤と無菌条件下で混合される。追加的に、本発明は、経皮吸収パッチの使用を考慮し、それは身体への活性成分の制御された送達を提供する追加の有利な効果を有することが多い。そのような投与形態は、例えば、適切な媒体に活性成分を溶解及び/又は分散させることによって調製可能である。代替的に又は追加的に、速度は、速度制御膜を設けることによって並びに/又は活性成分をポリマーマトリクス及び/若しくはゲルに分散させることによって制御され得る。
【0064】
ここに記載する皮下用薬学的組成物を送達する際の使用のための適切な装置は、米国特許第4886499号、5190521号、5328483号、5527288号、4270537号、5015235号、5141496号及び5417662号に記載されるものなどの短針装置を含む。皮下用組成物は、国際公開第99/34850号に記載されるもの及びその機能的等価物など、皮膚への針の有効貫通長を制限する装置によって投与可能である。角質層を貫通して真皮に到達するジェットを生成する液体ジェット噴射器を介して及び/又は針を介して液体ワクチンを真皮に送達するジェット噴射装置が適する。ジェット噴射装置は、例えば、米国特許第5480381号、5599302号、5334144号、5993412号、5649912号、5569189号、5704911号、5383851号、5893397号、5466220号、5339163号、5312335号、5503627号、5064413号、5520639号、4596556号、4790824号、4941880号、4940460号並びに国際公開第97/37705号及び97/13537号に記載される。圧縮ガスを用いて粉末形態のワクチンを皮膚の外皮を通じて真皮まで加速するバリスティック粉末/粒子送達装置も適している。代替的に又は追加的に、従来のシリンジが皮下投与の古典的なマントゥー法において使用されてもよい。
【0065】
本発明の薬学的組成物は、頬側口腔を介した経肺投与に適した製剤において調製、包装及び/又は販売され得る。この製剤は、活性成分を含むとともに約0.5~約7ナノメートル又は約1~約6ナノメートルの範囲の直径を有する乾燥粒子を含み得る。この組成物は、好都合には、促進剤の流れが粉末を分散させるように方向付けられ得る乾燥粉末容器を備える装置を用いた、並びに/又は密閉容器内に低沸点促進剤に溶解及び/若しくは懸濁された活性成分を含む装置などの自己促進溶媒/粉末分注容器を用いた投与のための乾燥粉末の形態である。その粉末は粒子を含み、重量において粒子の少なくとも98%が0.5ナノメートル超の直径を有し、数量において粒子の少なくとも95%が7ナノメートル未満の直径を有する。あるいは、重量において粒子の少なくとも95%が1ナノメートル超の直径を有し、数量において粒子の少なくとも90%が6ナノメートル未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、糖などの固体微粉希釈剤を含んでいてもよく、好都合には単位投与量形態で提供される。
【0066】
低沸点促進剤は、大気圧において華氏65度以下の沸点を有する液体促進剤を一般に含む。一般に、促進剤は組成物の50~99.9%(w/w)を構成し、活性成分は組成物の0.1~20%(w/w)を構成し得る。促進剤は、液体非イオン性及び/又は固体アニオン性の界面活性剤及び/又は固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同じオーダーの粒子サイズを有し得る)などの追加の成分をさらに含み得る。
【0067】
肺送達のために処方された本発明の薬学的組成物は、溶液及び/又は懸濁液の液滴の形態において活性成分を与え得る。この製剤は、任意選択的に無菌の、活性成分を含む水性及び/又は希釈アルコール溶液及び/又は懸濁液として調製、包装及び/又は販売可能であり、任意のネブライザー及び/又は噴霧装置を用いて好都合に投与され得る。この製剤は、これに限定されないが、サッカリンナトリウムなどの香料、揮発性オイル、緩衝剤、界面活性剤、及び/又はメチルヒドロキシ安息香酸などの防腐剤を含む1以上の追加の成分をさらに含んでいてもよい。この投与経路によって与えられる液滴は、約0.1~約200ナノメートルの範囲の平均径を有し得る。
【0068】
肺送達に有用なものとしてここに記載した製剤は、本発明の薬学的組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に適した他の製剤は、活性成分を含み、約0.2~500マイクロメートルの平均粒径を有する粗粉末である。この製剤は、鼻孔付近に保持される粉末の容器から鼻道を通じた急速吸入によって投与される。
【0069】
鼻腔用エアロゾル又は吸入組成物は、薬学的処方の技術分野で公知の技術によって調製可能である。鼻腔投与のための製剤は、例えば、概ね少ない方で0.1%(w/w)から多い方で100%(w/w)までの活性成分を含んでいてもよく、ここに記載する追加の成分の1以上を含み得る。本発明の薬学的組成物は、頬側投与用の製剤で調整、包装及び/又は販売可能である。この製剤は、例えば、従来の方法を用いて製造されるタブレット及び/又はトローチの形態であってもよく、例えば、0.1~20%(w/w)の活性成分、経口溶解性及び/又は分解性組成物を含む残余部、並びに任意選択的に、ここに記載される追加の成分の1以上を含有し得る。あるいは、頬側投与用の製剤は、活性成分を含む粉末並びに/又はエアロゾル化及び/若しくは霧化された溶液及び/若しくは懸濁液を含み得る。この粉末化、エアロゾル化及び/又はエアロゾル化された製剤は、分散されると、約0.1~約200ナノメートルの範囲の平均粒子サイズ及び/又は液滴サイズを有し、ここに記載する追加の成分の1以上をさらに含んでいてもよい。
【0070】
特定の実施形態では、70kgの成人のヒトに対する1日1回以上の投与について、ここに記載する有効量の抗コロナウイルス剤は、単位投与形態あたり約0.0001mg~約3000mg、約0.0001mg~約2000mg、約0.0001mg~約1000mg、約0.001mg~約1000mg、約0.01mg~約1000mg、約0.1mg~約1000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約100mg、約10mg~約1000mg、又は約100mg~約1000mgの化合物を含み得る。
【0071】
他の実施形態では、抗コロナウイルス剤は、所望の治療効果を得るために、1日1回以上、1日あたり被検体体重の約0.001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg~約40mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10 mg/kg、約0.1mg/kg~約10 mg/kg、及びより好ましくは約1mg/kg~約25mg/kgを送達するのに充分な投与レベルにおいて、経口又は非経口投与され得る。
【0072】
ここに記載する投与量範囲は、成人に対して与えられる薬学的組成物の投与のためのガイダンスを与えることが分かるはずである。例えば、子供又は青少年に対して投与されるべき量は、医師又は当業者によって決定され得るものであり、成人に対して投与されるもの未満又はそれと同じとなり得る。
【0073】
ここに記載する組成物は1以上の追加の治療活性剤と組み合わせて投与されてもよいことが分かるはずである。化合物又は組成物は、それらのバイオアベイラビリティを向上し、それらの新陳代謝を低下及び/若しくは修正し、それらの排出を阻害し、並びに/又は体内のそれらの分布を修正する追加の治療活性剤との組合せで投与されてもよい。採用される療法は、同じ障害に対して所望の効果を達成する場合もあれば及び/又は異なる効果を達成する場合もあることも分かるはずである。
【0074】
ポリペプチド又は組成物は、1以上の追加の治療活性剤と同時に、それよりも前に又はその後に投与されてもよい。一般的に、各薬剤は、その薬剤に対して決定された投与量及び/又は時間スケジュールで投与されることになる。この組合せにおいて利用される追加の治療活性剤は、単一の組成物とともに投与され又は異なる組成物において別個に投与され得ることがさらに分かるはずである。レジメンにおいて採用する特定の組合せは、追加の治療活性剤に対する発明の化合物の適合性及び/又は達成すべき所望の治療効果を考慮することになる。一般的に、組合せで利用される追加の治療活性剤は、それらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが想定される。ある実施形態では、組合せで利用されるレベルは、個々に利用されるものよりも低いことになる。
【0075】
キット(例えば、薬学的パック)も、本開示に包含される。提供されるキットは、発明の薬学的組成物又はポリペプチド及び容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ及び/若しくはディスペンサーパッケージ、又は他の適宜の容器)を備え得る。ある実施形態では、提供されるキットは、任意選択的に、発明の薬学的組成物又はポリペプチドの希釈又は懸濁のための薬学的賦形剤を含む第2の容器をさらに含み得る。ある実施形態では、容器及び第2の容器内に提供された発明の薬学的組成物又は化合物が組み合わされて1単位投与形態を形成する。
【0076】
更なる詳述なしに、上記説明は本発明を充分に可能としているものと考えられる。したがって、以下の実施例は、単に説明用のものであり、いかなる態様でも本開示の残余部分を限定するものと解釈されるべきではない。ここに引用される刊行物の全ては、ここに参照される目的又は主題についてその全体において参照によりここに取り込まれる。
【実施例】
【0077】
ここに記載する本発明をより完全に理解可能とするため、以下の実施例を説明する。これらの実施例は説明用目的のためだけのものであり、いかなる態様においても本発明を限定するものと解釈されるものではないことが理解されるべきである。
【0078】
材料及び方法
細胞及びウイルス
確認された台湾のCOVID-19患者からSARS-CoV-2株を単離した。10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS、Gibco)を補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Gibco)において維持したVeroE6株において、ウイルスを繁殖させた。ウイルス力価を、Karber法を用いて、50%組織培養感染用量(TCID50/ml)としてVeroE6株により96-ウェルマイクロプレートにおいて決定した。
【0079】
実施例1:フジマメ由来のFRILタンパク質の生成
フジマメ由来のFRILタンパク質を国際公開第2020051397号に記載の方法に従って精製した。精製タンパク質を分析するため、インゲル消化を適用して、質量分析のために全6バンドを収集した。結果として、精製タンパク質は、Flt3受容体相互作用レクチン(FRIL)であることを確認した。
【0080】
FRILをさらに精製するため、60%硫酸アンモニウムを用いて沈降及び再浮遊処理を実行し、続いてマンノース-セファロースビーズを用いたアフィニティークロマトグラフィーを実行した。次に、150mMのNaClにおいて開始するQカラムを用いた陰イオン交換を適用して、55~72kDのMWを有する非特異バンドを枯渇させた。精製FRILを陰イオン交換クロマトグラフィ中にフロースルーにおいて収集した。精製FRILの収量は、4mg/g豆粉よりも多かった。
【0081】
実施例2:抗SARS-CoV-2活性の評価
10%FBSで補充されたDMEMにおけるVeroE6細胞を96ウェルプレート(100μl/ウェル)にアリコートし、5%のCO2により37℃で一晩インキュベートしてコンフルエンスに達した。ウェルあたり100μlのウイルス成長培地(2%FBSによるDMEM)で細胞を一回洗浄した。培地を吸引し、50μg/mlで開始した50μlの2倍連続希釈したFRILを培地に直ちに2回で添加した。P3研究室において操作し、50μlの100TCID50のSARS-CoV-2を96ウェルプレートの各ウェルに添加した。96ウェルプレートを5%CO2により37℃で3日間静置した。そして、細胞の細胞変性形態を記録し、ImageXpressナノ自動化セルラ画像システムによって撮影した。各実験を2回実行した。
【0082】
図1は、SARS-CoV-2に対するFRILのマイクロ中和力価を示す。FRIL及びSARS-CoV-2ウイルスを、1.5×10
4細胞数/ウェルのVeroE6細胞を含有する96ウェル組織培養プレート上において37℃で1時間インキュベートした。そして、プレートを無血清培地において48時間培養し、10%のホルムアルデヒドで24時間定着させた。そして、VeroE6細胞に0.1%TritonXを浸潤させ、抗SARS-CoV-2のNタンパク質抗体を用いてウイルス力価を検出した。HRP標識二次抗体及びペルオキシダーゼ基質溶液(TMB)を用いてELISAリーダーにおけるOD
450での検出を促進した。
【0083】
100TCID50のSARS-CoV-2ウイルスを中和する50%効果濃度(EC50)のFRILを、5.89nMに対応するGraphpadPrism8を用いて0.66μg/mlであると特定した(四量体FRILは112kDaの分子量を有する)。
【0084】
実施例3:SARS-CoV-2についてのプラーク減少アッセイ
VeroE6細胞を、2×10
5細胞数/ウェルで6ウェルプレート上に播種し、90%コンフルエンスとなるまで培養培地においてインキュベートした。コンフルエンスとなった後、培養培地を吸引し、プレートをPBSで2回洗浄した。1%FBSによるDMEMにおける200μlのSARS-CoV-2(100PFU)で細胞を被膜し、37℃で30分間インキュベートしてウイルス付着を促進した。そして、ウイルス溶液を吸引し、10μg/mL、5μg/mL、2.5μg/mL、1.25μg/mL、0.625μg/mL及び0.3125μg/mLでの2倍連続希釈濃度のFRILを含有する0.6%の低融点アガロースを個々のウェルに被膜した。プレートを室温で30分間にわたって固化させ、その後に37℃で4日間、又は細胞変性効果(CPE)が観察されるまでインキュベートした。4日後、細胞を10%ホルマリンで定着させ、アガロースプラグを除去し、0.5%のクリスタルバイオレットで染色した。プラークを更なる推定のためにプロットした。FRILのEC
50は、
図2に示すようにGraphPadPrism8を用いて0.714μg/mLであると特定された。データは、このFRILはSARS-CoV-2感染症を予防することを示す。
【0085】
上記実施形態の説明は例示としてのみ与えられていること及び種々の変形が当業者によってなされ得ることが理解されるはずである。上記明細書、実施例及びデータは、本発明の例示的な実施形態の構造及び使用の完全な説明を与える。本発明の種々の実施形態を特定の程度の具体性で又は1以上の個々の実施形態を参照して上述したが、当業者は本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく開示の実施形態に対して多数の変更を行うことができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者におけるコロナウイルス感染症を治療又は予防する
薬学的組成物であって、フジマメ由来のFlt3受容体相互作用レクチン(FRIL)を含む
薬学的組成物。
【請求項2】
前記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)又は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)である、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項3】
前記FRILは、フジマメから単離された天然タンパク質である、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項4】
前記FRILは、組換え又は合成タンパク質である、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項5】
前記FRILは、四面体構成の四量体タンパク質である、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項6】
前記FRILは、配列番号2のアミノ酸配列を有する領域及び配列番号3のアミノ酸配列を有する領域を備える、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項7】
前記FRILは、配列番号1のアミノ酸配列を備える、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項8】
前記FRILは、コロナウイルス上の1以上の糖鎖に結合する、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項9】
前記被検体は、コロナウイルス感染症に罹患しており若しくは罹患し易く、又はコロナウイルスに感染していると疑われる、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項10】
前記
薬学的組成物は、さらに第2の治療剤を含む、請求項1に記載の
薬学的組成物。
【請求項11】
前記第2の治療剤は、抗炎症薬、抗ウイルス薬、コロナウイルス用ワクチン、抗生物質、栄養補助食品及びコロナウイルス感染症を治療する他の任意の緩和治療法からなる群から選択される、請求項10に記載の
薬学的組成物。
【請求項12】
前記第2の治療剤は、抗ウイルス薬である、請求項11に記載の
薬学的組成物。
【請求項13】
前記抗ウイルス薬は、リバビリン、ペンシクロビル、ニタゾキサニド、ナファモスタット、クロロキン、レムデシビル(GS-5734)及びファビピラビル(T-705)、インターフェロン、アデホビル、テノホビル、アシクロビル、ブリブジン、シドフォビル、ホミビルセン、フォスカルネット、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン並びにザナミビルからなる群から選択される、請求項12に記載の
薬学的組成物。
【請求項14】
前記
薬学的組成物は、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口、筋肉内又は頭蓋内に投与される、請求項
1に記載の
薬学的組成物。
【国際調査報告】