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特表2023-524819てんかんを治療するための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】てんかんを治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230606BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P25/08
A61K39/395 D
A61K31/7088
A61K48/00
A61K51/10 200
A61K49/00
A61P43/00 121
A61K45/06
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567591
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021030930
(87)【国際公開番号】W WO2021242493
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/020,245
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516203081
【氏名又は名称】ザ ジェイ. デヴィッド グラッドストーン インスティテューツ, ア テスタメンタリー トラスト エスタブリッシュド アンダー ザ ウィル オブ ジェイ. デヴィッド グラッドストーン
(71)【出願人】
【識別番号】516008350
【氏名又は名称】アネクソン,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パズ,ジャンヌ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】サンカラナラヤナン,セテュ
(72)【発明者】
【氏名】イェドノック,テッド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084NA14
4C084ZA06
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085HH03
4C085HH11
4C085KA03
4C085KA04
4C085KA05
4C085KB57
4C085LL13
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA06
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、一般に、てんかんを予防するか、その発症リスクを低下させるか、またはそれを治療する方法であって、古典的補体経路の阻害剤を対象に投与することを含む、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
てんかんを予防するか、その発症リスクを低下させるか、またはそれを治療する方法であって、古典的補体経路の阻害剤を対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記てんかんは、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかんである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記症候性部分てんかんは、側頭葉てんかんである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記阻害剤は、発作の間または発作後の最初の4週間以内に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記阻害剤は、発作の間または発作後の最初の1週間以内に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記阻害剤は、発作の間または発作後24時間以内に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記阻害剤は、発作の間または発作後1、2、3、4、5、もしくは6時間以内に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記阻害剤は、前記発作によって誘発されるシナプス損失を阻害する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群に罹患している患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記脳感染症は、脳炎、髄膜炎、内側側頭葉硬化、または脳腫瘍である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記てんかんは、前記外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群によって誘発される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記てんかんは、TBI誘発てんかんである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記阻害剤は、前記外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群によって誘発されるシナプス損失を阻害する、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、または脳卒中の間またはその後の最初の4週間以内に投与される、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、または脳卒中の間またはその後の最初の1週間以内に投与される、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、または脳卒中の間またはその後24時間以内に投与される、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、または脳卒中の間またはその後1、2、3、4、5、もしくは6時間以内に投与される、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記古典的補体経路の前記阻害剤は、C1q阻害剤である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記C1q阻害剤は、抗体、アプタマー、アンチセンス核酸または遺伝子編集剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記阻害剤は、抗C1q抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗C1q抗体は、C1qと自己抗体との間またはC1qとC1rとの間、またはC1qとC1sとの間の相互作用を阻害する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗C1q抗体は、循環または組織からのC1qのクリアランスを促進する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体は、100nM~0.005nMまたは0.005nM未満の範囲の解離定数(K)を有する抗C1q抗体である、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体は、20:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合する抗C1q抗体である、請求項20~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体は、6:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合する抗C1q抗体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記抗体は、2.5:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合する抗C1q抗体である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記抗体は、C1qに特異的に結合し、かつその生物学的活性を中和する、請求項20~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記生物学的活性は、(1)自己抗体に対するC1q結合、(2)C1rに対するC1q結合、(3)C1sに対するC1q結合、(4)IgMに対するC1q結合、(5)IgGに対するC1q結合、(6)ホスファチジルセリンに対するC1q結合、(7)ペントラキシン-3に対するC1q結合、(8)C反応性タンパク質(CRP)に対するC1q結合、(9)球状C1q受容体(gC1qR)に対するC1q結合、(10)補体受容体1(CR1)に対するC1q結合、(11)ベータ-アミロイドに対するC1q結合、(12)カルレチキュリンに対するC1q結合、(13)アポトーシス細胞に対するC1q結合、または(14)B細胞に対するC1q結合である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記生物学的活性が、(1)古典的補体活性化経路の活性化、(2)抗体及び補体依存性細胞傷害の活性化、(3)CH50溶血、(4)シナプス損失、(5)B細胞抗体産生、(6)樹状細胞成熟、(7)T細胞増殖、(8)サイトカイン産生、(9)ミクログリア活性化、(10)免疫複合体形成、(11)シナプスもしくは神経終末の食作用、(12)補体受容体3(CR3/C3)発現細胞の活性化、または(13)神経炎症である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記CH50溶血は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、アカゲザル、及び/またはカニクイザルCH50溶血を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体は、CH50溶血の少なくとも約50%~少なくとも約90%を中和することが可能である、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記抗体は、150ng/ml未満、100ng/ml未満、50ng/ml未満、または20ng/ml未満の用量でCH50溶血の少なくとも50%を中和することが可能である、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、抗体断片、またはその抗体誘導体である、請求項20~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗体断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗体は、標識基に連結される、請求項20~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記標識基が、光学標識、放射性同位体、放射性核種、酵素基、ビオチニル基、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、または蛍光標識である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項20~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸を有するHVR-H3を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項20~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗体は、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む、請求項20~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記抗体は、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸を有するHVR-H3を含む、請求項20~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記重鎖可変ドメインは、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記抗体断片は、配列番号39の重鎖Fab断片及び配列番号40の軽鎖Fab断片を含む、請求項33~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記古典的補体経路の前記阻害剤は、C1r阻害剤である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記C1r阻害剤は、抗体、アプタマー、アンチセンス核酸または遺伝子編集剤である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記阻害剤は、抗C1r抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗C1r抗体は、C1rとC1qとの間もしくはC1rとC1sとの間の相互作用を阻害するか、または前記抗C1r抗体は、C1rの触媒活性を阻害するか、もしくはpro-C1rの活性プロテアーゼへの処理を阻害する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗体は、100nM~0.005nMまたは0.005nM未満の範囲の解離定数(K)を有する抗C1r抗体である、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記抗体は、20:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1rに結合する抗C1r抗体である、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記抗体は、6:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1rに結合する抗C1r抗体である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記抗体は、2.5:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1rに結合する抗C1r抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗C1r抗体は、循環または組織からのC1rのクリアランスを促進する、請求項46~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記古典的補体経路の前記阻害剤は、C1s阻害剤である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記C1s阻害剤は、抗体、アプタマー、アンチセンス核酸または遺伝子編集剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記抗体は、抗C1s抗体である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記抗C1s抗体は、C1sとC1qとの間またはC1sとC1rとの間またはC1sとC2もしくはC4との間の相互作用を阻害するか、あるいは前記抗C1s抗体は、C1sの触媒活性を阻害するか、またはpro-C1sの活性プロテアーゼへの処理を阻害するか、またはC1sの活性化形態に結合する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記抗体は、100nM~0.005nMまたは0.005nM未満の範囲の解離定数(K)を有する抗C1s抗体である、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記抗体は、20:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1sに結合する抗C1s抗体である、請求項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記抗体は、6:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1sに結合する抗C1s抗体である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記抗体は、2.5:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1sに結合する抗C1s抗体である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記抗C1s抗体は、循環または組織からのC1sのクリアランスを促進する、請求項55~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記古典的補体経路の前記阻害剤は、抗C1複合体抗体であり、任意選択的に、前記抗C1複合体抗体は、C1rもしくはC1s活性化を阻害するか、またはC2もしくはC4に作用するそれらの能力を妨げる、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記抗C1複合体抗体は、前記C1複合体内の組み合わせエピトープに結合し、前記組み合わせエピトープは、C1q及びC1sの両方、C1q及びC1rの両方、C1r及びC1sの両方、またはC1q、C1r及びC1sのそれぞれのアミノ酸を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記抗体は、モノクローナル抗体である、請求項19~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記抗体は、C4の切断を阻害し、かつC2の切断を阻害しない、請求項19~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記抗体は、C2の切断を阻害し、かつC4の切断を阻害しない、請求項19~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記抗体は、哺乳動物C1q、C1r、またはC1sに結合する、請求項19~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記抗体は、ヒトC1q、C1r、またはC1sに結合する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記抗体は、哺乳動物C1複合体に結合する、請求項19~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項19~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及びF(ab’)断片から選択される抗体断片である、請求項19~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、請求項19~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記第1の抗原は、C1q、C1r、及びC1sから選択され、前記第2の抗原は、血液脳関門を横断する輸送を容易にする抗原である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第2の抗原は、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマ単一ドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンジオペプチド、またはANG1005である、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
前記抗体は、少なくとも30%~少なくとも99.9%の範囲の量で、前記古典的補体活性化経路を阻害する、請求項19~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記抗体は、C1q結合によって開始される代替補体活性化経路を阻害する、請求項19~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記抗体は、少なくとも30%~少なくとも99.9%の範囲の量で、前記代替補体活性化経路を阻害する、請求項19~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記抗体は、補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDCC)を阻害する、請求項19~77に記載の方法。
【請求項79】
前記抗体は、少なくとも30%~少なくとも99.9%の範囲の量で、補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDCC)活性化経路を阻害する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記抗体は、自己抗体及び補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDCC)を阻害する、請求項78または79に記載の方法。
【請求項81】
抗C1q抗体、抗C1r抗体、及び抗C1s抗体から選択される第2の抗体を投与することを更に含む、請求項20~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記対象に、治療的有効量の抗体依存性細胞傷害(ADCC)の阻害剤を投与することを更に含む、請求項1~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記対象に、治療的有効量の前記古典的補体活性化経路の阻害剤を投与することを更に含む、請求項1~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記対象に、治療的有効量の前記代替補体活性化経路の阻害剤を投与することを更に含む、請求項1~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象に、治療的有効量の前記自己抗体とその対応する自己抗原との間の相互作用の阻害剤を投与することを更に含む、請求項1~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群による対象のてんかん発症リスクを決定する方法であって、
(a)抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体を前記対象に投与することであって、前記抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体は、検出可能な標識に連結される、前記投与することと、
(b)前記検出可能な標識を検出して、前記対象におけるC1q、C1r、もしくはC1sの量または位置を測定することと、
(c)前記C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を参照と比較することであって、前記てんかん発症リスクは、C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を前記参照と比較することに基づいて特徴付けられる、前記比較することと、を含む、前記方法。
【請求項87】
前記脳感染症は、脳炎、髄膜炎、内側側頭葉硬化、または脳腫瘍である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記検出可能な標識は、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、放射性同位体、ビオチン、または蛍光標識を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及びF(ab’)断片から選択される抗体断片である、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記抗C1q抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項86~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記抗C1q抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸を有するHVR-H3を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項86~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記抗C1q抗体は、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む、請求項86~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記抗C1q抗体は、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸を有するHVR-H3を含む、請求項86~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記重鎖可変ドメインは、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記てんかんは、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかんである、請求項86~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記症候性部分てんかんは、側頭葉てんかんである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記症候性全般てんかんまたは前記症候性部分てんかんは、外傷性脳損傷によって誘発される、請求項96に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、ARMY/MRMCによって授与されたW81XWH-16-1-0576の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願
この特許出願は、2020年5月5日に出願された米国仮特許出願番号63/020,245の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
シーケンスリスト
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、かつその全体が参照により本明細書に組み込まれるシーケンスリストを含む。当該ASCIIコピーは、2021年5月3日に作成され、ANH-01025_SL.txtと名付けられ、41,770バイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
てんかんは、一般的な神経学的障害であり、神経細胞の損傷または喪失を伴う最も一般的な神経学的障害のうちの1つとして同定されている。世界保健機関の推計によると、世界中で約5,000万人がてんかんに罹患しており、罹患者の80%近くが途上国に居住している。10人に1人が正常寿命中に少なくとも1回てんかん発作を起こし、そのうちの3分の1はてんかんを発症する。全ての年齢層がてんかん発作を起こす可能性があるが、この障害は若年者及び高齢者の間で最も一般的である。てんかんは、米国で最も一般的な重篤な神経障害のうちの1つであり、しばしば長期的な管理が必要である。米国では毎年15万人がてんかんを有すると新たに診断されている。
【0005】
最近の抗てんかん薬(エゾガビン、プレガバリン、レベチラセタム、ラモトリギン、トピラメート、バルプロ酸塩、ルフィナミド、ガバペンチン、カルバマゼピン、クロナゼパム、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、及びフェニトイン)が入手可能であるにもかかわらず、利用可能な治療オプションは、疾患を予防または治療するのに十分な有効性がなく、発作は完全に根絶することが困難であり、約3分の1の患者は依然として制御されていない発作を有し、更に高い割合が少なくとも1つの抗けいれん関連の副作用(例えば、気分の変化、眠気、または歩行の不安定性)に罹患している。更に、発作はてんかんの最も劇的な特徴であるが、多くのてんかん患者は神経または精神疾患(記憶または認知障害、うつ病等)を発症する。例えば、内側側頭葉てんかんは、通常、おそらく海馬系の損傷及び/または脳の炎症に起因する記憶欠損を伴う。
【0006】
てんかんの治療は過去10年間で進化してきたが、利用可能な治療オプションは、発作が進行したときのそれらの予防に焦点を当てており、現在の薬は、疾患の経過を治すことも改善することさえできない場合がある。現在市販されている抗てんかん薬は、抗てんかん原性薬ではないようである。これは、現在の薬剤が、疾患の進行を防止するために機械的に不適切な方法で作用するという事実に起因する可能性がある。よって、てんかんを予防及び治療するための新たな療法が当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、一般に、補体の活性化を阻害することによって、例えば、古典的補体経路を阻害することによって、てんかんを予防するか、その発症リスクを低下させるか、またはそれを治療する方法を対象とする。
【0008】
本開示は、一般に、古典的補体活性化を阻害することによって、例えば、補体因子Clq、Clr、もしくはClsを阻害することによって、例えば、これらの補体因子のうちの1つ以上に結合するモノクローナル抗体、キメラ、ヒト化抗体、抗体断片、抗体誘導体等の抗体を投与することを通じて、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、もしくは症候性部分てんかん等のてんかんを予防するか、そのリスクを低下させるか、またはそれを治療する方法を対象とする。
【0009】
いくつかの実施形態では、C1q、C1r、またはC1s等の補体因子の活性は、古典的補体経路の活性化を阻止し、かつ特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、もしくは症候性部分てんかん等のてんかんを遅らせるか、または予防するように阻害される。古典的補体経路の阻害は、レクチン補体経路及び代替補体経路をインタクトなままとして、それらの正常な免疫機能を発揮する。特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんにおいてC1q、C1r、またはC1s等の補体因子を中和することに関連する方法が、本明細書に開示される。
【0010】
一態様では、本開示は、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん(例えば、側頭葉てんかん)等のてんかんを予防するか、その発症リスクを低下させるか、またはそれを治療する方法であって、古典的補体経路の阻害剤を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0011】
本明細書に記載の本発明の任意の態様に適用され得る多数の実施形態が更に提供される。例えば、いくつかの実施形態では、阻害剤は、発作の間もしくは発作後の最初の4週間以内、発作の間もしくは発作後の最初の1週間以内、発作の間もしくは発作後24時間以内、または発作の間もしくは発作後1、2、3、4、5、もしくは6時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、阻害剤は、発作によって誘発されるシナプス損失を阻害する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群に罹患している患者に投与される。脳感染症は、脳炎、髄膜炎、内側側頭葉硬化、または脳腫瘍であり得る。てんかんは、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群によって誘発され得る。てんかんは、TBI誘発てんかんであり得る。いくつかの実施形態では、阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群によって誘発されるシナプス損失を阻害する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、もしくは脳卒中の間またはその後の最初の4週間以内、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、もしくは脳卒中の間またはその後の最初の1週間以内、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、もしくは脳卒中の間またはその後24時間以内、あるいは外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳損傷、脳感染症、もしくは脳卒中の間またはその後1、2、3、4、5、もしくは6時間以内に投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、古典的補体経路の阻害剤は、C1q阻害剤である。例えば、C1q阻害剤は、抗体、アプタマー、アンチセンス核酸または遺伝子編集剤であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、抗C1q抗体である。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qと自己抗体との間、またはC1qとC1rとの間、またはC1qとC1sとの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、循環または組織からのC1qのクリアランスを促進する。いくつかの実施形態では、抗体は、100nM~0.005nMまたは0.005nM未満の範囲の解離定数(KD)を有する抗C1q抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、20:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合するか、6:1~1.0:1もしくは1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合するか、または2.5:1~1.0:1もしくは1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合する抗C1q抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、C1qに特異的に結合し、かつその生物学的活性を中和し、生物学的活性は、(1)自己抗体に対するC1q結合、(2)C1rに対するC1q結合、(3)C1sに対するC1q結合、(4)IgMに対するC1q結合、(5)IgGに対するC1q結合、(6)ホスファチジルセリンに対するC1q結合、(7)ペントラキシン-3に対するC1q結合、(8)C反応性タンパク質(CRP)に対するC1q結合、(9)球状C1q受容体(gC1qR)に対するC1q結合、(10)補体受容体1(CR1)に対するC1q結合、(11)ベータ-アミロイドに対するC1q結合、(12)カルレチキュリンに対するC1q結合、(13)アポトーシス細胞に対するC1q結合、または(14)B細胞に対するC1q結合等である。生物学的活性の別の例は、(1)古典的補体活性化経路の活性化、(2)抗体及び補体依存性細胞傷害の活性化、(3)CH50溶血、(4)シナプス損失、(5)B細胞抗体産生、(6)樹状細胞成熟、(7)T細胞増殖、(8)サイトカイン産生、(9)ミクログリア活性化、(10)免疫複合体形成、(11)シナプスもしくは神経終末の食作用、(12)補体受容体3(CR3/C3)発現細胞の活性化、または(13)神経炎症である。いくつかの実施形態では、CH50溶血は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、アカゲザル、及び/またはカニクイザルCH50溶血を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、150ng/ml未満、100ng/ml未満、50ng/ml未満、もしくは20ng/ml未満の用量でCH50溶血の少なくとも約50%~少なくとも約90%を中和するか、またはCH50溶血の少なくとも50%を中和することが可能である。
【0013】
本抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、抗体断片、またはその抗体誘導体、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子であり得る。抗体は、光学標識、放射性同位体、放射性核種、酵素基、ビオチニル基、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、または蛍光標識等の標識基に連結され得る。
【0014】
ある特定の好ましい実施形態では、抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む軽鎖可変ドメインを含む。同様に、ある特定の好ましい実施形態では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸を有するHVR-H3を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸配列を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸配列を有するHVR-H3を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列を含む。他の好ましい実施形態では、抗体断片は、配列番号39の重鎖Fab断片及び配列番号40の軽鎖Fab断片を含む。
【0015】
他の実施形態では、古典的補体経路の阻害剤は、C1r阻害剤である。いくつかの実施形態では、C1r阻害剤は、抗体、アプタマー、アンチセンス核酸または遺伝子編集剤である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗C1r抗体である。いくつかの実施形態では、抗C1r抗体は、C1rとC1qとの間もしくはC1rとC1sとの間の相互作用を阻害するか、または抗C1r抗体は、C1rの触媒活性を阻害するか、もしくはpro-C1rの活性プロテアーゼへの処理を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体は、100nM~0.005nMまたは0.005nM未満の範囲の解離定数(KD)を有する抗C1r抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、20:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲、6:1~1.0:1もしくは1.0:1未満の範囲、または2.5:1~1.0:1もしくは1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1rに結合する抗C1r抗体である。いくつかの実施形態では、抗C1r抗体は、循環または組織からのC1rのクリアランスを促進する。
【0016】
他の実施形態では、古典的補体経路の阻害剤は、C1s阻害剤である。C1s阻害剤は、抗体、アプタマー、アンチセンス核酸または遺伝子編集剤であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、抗C1s抗体である。いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、C1sとC1qとの間またはC1sとC1rとの間またはC1sとC2もしくはC4との間の相互作用を阻害するか、あるいは抗C1s抗体は、C1sの触媒活性を阻害するか、またはpro-C1sの活性プロテアーゼへの処理を阻害するか、またはC1sの活性化形態に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、100nM~0.005nMまたは0.005nM未満の範囲の解離定数(KD)を有する抗C1s抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、20:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲、6:1~1.0:1もしくは1.0:1未満の範囲、または2.5:1~1.0:1もしくは1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1sに結合する抗C1s抗体である。いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、循環または組織からのC1sのクリアランスを促進する。
【0017】
他の実施形態では、古典的補体経路の阻害剤は、抗C1複合体抗体であり、任意選択的に、抗C1複合体抗体は、C1rもしくはC1s活性化を阻害するか、またはC2もしくはC4に作用するそれらの能力を妨げ、例えば、抗C1複合体抗体は、C1複合体内の組み合わせエピトープに結合し、当該組み合わせエピトープは、C1q及びC1sの両方、C1q及びC1rの両方、C1r及びC1sの両方、またはC1q、C1r及びC1sのそれぞれのアミノ酸を含む。抗体は、モノクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、C4の切断を阻害し、かつC2の切断を阻害しないか、またはC2の切断を阻害し、かつC4の切断を阻害しない。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗体は、哺乳動物C1q、C1r、もしくはC1sに結合するか、またはヒトC1q、C1r、もしくはC1sに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、哺乳動物C1複合体に結合する。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及びF(ab’)2断片から選択される抗体断片である。いくつかの実施形態では、抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である。例えば、第1の抗原は、C1q、C1r、及びC1sから選択され得、第2の抗原は、血液脳関門を横断する輸送を容易にする抗原であり得る。第2の抗原は、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマ単一ドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンジオペプチド、またはANG1005であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、抗体は、少なくとも30%~少なくとも99.9%の範囲の量で、古典的補体活性化経路阻害する。いくつかの実施形態では、抗体は、C1q結合によって開始される代替補体活性化経路を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体は、少なくとも30%~少なくとも99.9%の範囲の量で、代替補体活性化経路阻害する。いくつかの実施形態では、抗体は、補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDCC)を阻害し、例えば、抗体は、少なくとも30%~少なくとも99.9%の範囲の量で、補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDCC)活性化経路を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体は、自己抗体及び補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDCC)を阻害する。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、抗C1q抗体、抗C1r抗体、及び抗C1s抗体から選択される第2の抗体を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に、治療的有効量の抗体依存性細胞傷害(ADCC)の阻害剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に、治療的有効量の古典的補体活性化経路の阻害剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に、治療的有効量の代替補体活性化経路の阻害剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象に、治療的有効量の自己抗体とその対応する自己抗原との間の相互作用の阻害剤を投与することを更に含む。
【0022】
別の態様では、外傷性脳損傷、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群による対象のてんかん発症リスクを決定する方法であって、(a)抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体を対象に投与することであって、抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体は、検出可能な標識に連結される、投与することと、(b)検出可能な標識を検出して、対象におけるC1q、C1r、もしくはC1sの量または位置を測定することと、(c)C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を参照と比較することであって、てんかん発症リスクは、C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を参照と比較することに基づいて特徴付けられる、比較することと、を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、脳感染症は、脳炎、髄膜炎、内側側頭葉硬化、または脳腫瘍である。検出可能な標識は、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、放射性同位体、ビオチンまたは蛍光標識を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及びF(ab’)2断片から選択される抗体断片である。
【0023】
ある特定の好ましい実施形態では、抗C1q抗体は、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸を有するHVR-H3を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を有するHVR-L1、配列番号6のアミノ酸を有するHVR-L2、及び配列番号7のアミノ酸を有するHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号4及び35~38から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を有するHVR-H1、配列番号10のアミノ酸配列を有するHVR-H2、及び配列番号11のアミノ酸配列を有するHVR-H3を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号8及び31~34から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、てんかんは、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん(例えば、側頭葉てんかん)である。いくつかの実施形態では、症候性全般てんかんまたは症候性部分てんかんは、外傷性脳損傷によって誘発される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】mTBIの3週間後に、損傷した皮質及び機能的に接続された視床が慢性炎症及びニューロン損失を示すことを示す。図1A~1Bは、制御された皮質衝撃の部位及び深さ(図1A)、ならびにS1皮質及びnRT及びVB視床領域の位置(図1B)を示すマウス冠状脳切片の概略図を示す。インパクターの直径は3mmであり、インパクトは0.8mmの深さで右体性感覚皮質に送達された。図1Cは、C1qについて染色されたmTBIマウスからの代表的な冠状脳切片を示す。海馬における両側C1q発現は、生理学的状態に特有であり、シャムマウス及びmTBIマウスの両方に存在する。図1Dは、C1q、神経細胞マーカーNeuN、アストロサイトマーカーGFAP、及びミクログリア/マクロファージマーカーIBA1について染色されたS1(上)、VB及びnRT(中)のクローズアップ画像、ならびにnRT(下)の共焦点画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。nRTにおける矢印は、共焦点画像の位置を示す。300μm(上/中)及び20μm(下)のスケールバー。図1Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり5~7匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図1B】mTBIの3週間後に、損傷した皮質及び機能的に接続された視床が慢性炎症及びニューロン損失を示すことを示す。図1A~1Bは、制御された皮質衝撃の部位及び深さ(図1A)、ならびにS1皮質及びnRT及びVB視床領域の位置(図1B)を示すマウス冠状脳切片の概略図を示す。インパクターの直径は3mmであり、インパクトは0.8mmの深さで右体性感覚皮質に送達された。図1Cは、C1qについて染色されたmTBIマウスからの代表的な冠状脳切片を示す。海馬における両側C1q発現は、生理学的状態に特有であり、シャムマウス及びmTBIマウスの両方に存在する。図1Dは、C1q、神経細胞マーカーNeuN、アストロサイトマーカーGFAP、及びミクログリア/マクロファージマーカーIBA1について染色されたS1(上)、VB及びnRT(中)のクローズアップ画像、ならびにnRT(下)の共焦点画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。nRTにおける矢印は、共焦点画像の位置を示す。300μm(上/中)及び20μm(下)のスケールバー。図1Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり5~7匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図1C】mTBIの3週間後に、損傷した皮質及び機能的に接続された視床が慢性炎症及びニューロン損失を示すことを示す。図1A~1Bは、制御された皮質衝撃の部位及び深さ(図1A)、ならびにS1皮質及びnRT及びVB視床領域の位置(図1B)を示すマウス冠状脳切片の概略図を示す。インパクターの直径は3mmであり、インパクトは0.8mmの深さで右体性感覚皮質に送達された。図1Cは、C1qについて染色されたmTBIマウスからの代表的な冠状脳切片を示す。海馬における両側C1q発現は、生理学的状態に特有であり、シャムマウス及びmTBIマウスの両方に存在する。図1Dは、C1q、神経細胞マーカーNeuN、アストロサイトマーカーGFAP、及びミクログリア/マクロファージマーカーIBA1について染色されたS1(上)、VB及びnRT(中)のクローズアップ画像、ならびにnRT(下)の共焦点画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。nRTにおける矢印は、共焦点画像の位置を示す。300μm(上/中)及び20μm(下)のスケールバー。図1Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり5~7匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図1D】mTBIの3週間後に、損傷した皮質及び機能的に接続された視床が慢性炎症及びニューロン損失を示すことを示す。図1A~1Bは、制御された皮質衝撃の部位及び深さ(図1A)、ならびにS1皮質及びnRT及びVB視床領域の位置(図1B)を示すマウス冠状脳切片の概略図を示す。インパクターの直径は3mmであり、インパクトは0.8mmの深さで右体性感覚皮質に送達された。図1Cは、C1qについて染色されたmTBIマウスからの代表的な冠状脳切片を示す。海馬における両側C1q発現は、生理学的状態に特有であり、シャムマウス及びmTBIマウスの両方に存在する。図1Dは、C1q、神経細胞マーカーNeuN、アストロサイトマーカーGFAP、及びミクログリア/マクロファージマーカーIBA1について染色されたS1(上)、VB及びnRT(中)のクローズアップ画像、ならびにnRT(下)の共焦点画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。nRTにおける矢印は、共焦点画像の位置を示す。300μm(上/中)及び20μm(下)のスケールバー。図1Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり5~7匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図1E】mTBIの3週間後に、損傷した皮質及び機能的に接続された視床が慢性炎症及びニューロン損失を示すことを示す。図1A~1Bは、制御された皮質衝撃の部位及び深さ(図1A)、ならびにS1皮質及びnRT及びVB視床領域の位置(図1B)を示すマウス冠状脳切片の概略図を示す。インパクターの直径は3mmであり、インパクトは0.8mmの深さで右体性感覚皮質に送達された。図1Cは、C1qについて染色されたmTBIマウスからの代表的な冠状脳切片を示す。海馬における両側C1q発現は、生理学的状態に特有であり、シャムマウス及びmTBIマウスの両方に存在する。図1Dは、C1q、神経細胞マーカーNeuN、アストロサイトマーカーGFAP、及びミクログリア/マクロファージマーカーIBA1について染色されたS1(上)、VB及びnRT(中)のクローズアップ画像、ならびにnRT(下)の共焦点画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。nRTにおける矢印は、共焦点画像の位置を示す。300μm(上/中)及び20μm(下)のスケールバー。図1Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり5~7匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2A】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2B】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2C】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2D】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2E】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2F】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2G】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2H】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図2I】傷害皮質と同側のnRTが、mTBIの3週間後にニューロン損失ならびにIPSC及びEPSC特性の変化を示すことを示す。図2A~2Cは、「頭部」、「胴体(body)」、及び「尾部」(図2A)への分割の高倍率冠状画像、ならびに同側nRT全体にわたるニューロン数(図2B)またはシャム群からの中央値に対して正規化された1区分当たりのニューロン数(図2C)の定量を示す。ニューロン数データは、マン-ホイットニー検定による、平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、平均)。図2D~2Eは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的なIPSC記録(図2D)、ならびに4匹のシャムマウスからの13個の後部nRTニューロン及び6匹のmTBIマウスからの22個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2E)を示す。IPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2F~2Gは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける代表的なnRTニューロンからの自発的EPSC記録(図2F)、ならびに6匹のシャムマウスからの11個の後部nRTニューロン及び7匹のmTBIマウスからの9個の後部nRTニューロンにおける周波数及び振幅分布(図2G)を示す。挿入図は、同じスケールでプロットされた、シャムマウス及びmTBIマウス由来の単一nRTニューロンからの平均EPSCトレースを示す。EPSCデータは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05)である。図2Hは、シャム手術(左)及びmTBI(右)(アスタリスクでマークされた損傷部位)を有するThy1-GCaMP6fマウスからの冠状脳切片の代表的な画像を示す。下のパネルは、皮質からVB及びnRTへの投影末端を示す。1mm(上)と500μm(下)のスケールバー。N=6mTBIマウスにおいて、皮質からVB及びnRT(矢印でマーク)への投影末端の減少が観察された。図2Iは、シャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域とのThy1-GCaMP蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図3A】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図3B】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図3C】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図3D】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図3E】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図3F】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図3G】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図3H】ミクログリアが、mTBIの3週間後の視床におけるC1qの供給源であることを示す、単一核RNA配列決定を示す。図3Aは、視床組織切除の位置を示す冠状脳切片の概略図を示す。図3B、3C、及び3Eは、細胞型系統(図3B)、核C1qa発現(図3C)、またはC4b発現(図3E)によって着色された単一核(データクリーニング後、n=4,908個の偽細胞、n=4,338個のmTBI細胞)の均一なマニホールド近似及び投影(UMAP)投影を示す。図8Aに記載されている系統マーカー。着色は、補間を使用してレンダリングされる。上に示される正規化された発現スケールは、各パネルの最大値とともに0-maxである。図3D及び3Fは、ウイルコクソンの順位和検定(n.s.=有意ではない)で分析したシャムマウス及びmTBIマウス由来のクラスター3(オリゴ3、図9E)からの、ミクログリア核にけるC1qa発現(図3D)ならびにオリゴデンドロサイト核におけるC4b発現(図3F)のバイオリンプロットを示す。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製物を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図3G及び3Hは、バルク細胞質RNA中のC1qa(図3E)及びC4b(図3H)転写産物のRT-qPCR定量を示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。
図4A】抗C1q抗体がmTBIの3週間後に慢性炎症及びニューロン損失を低減することを示す。図4A及び4Bは、抗C1q抗体で処置し、C1q、NeuN、GFAP、及びIBA1について染色されたmTBIマウス由来のS1(上)、VB、及びnRT(下)の代表的な冠状脳切片(図4A)及びクローズアップ(図4B)を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。1mm(A)、500μm(B)のスケールバー。図4Cは、対照ならびに抗体処置されたシャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との間のnRTニューロン数及び蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析は、1群当たり6~8匹のマウスを含む(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図4B】抗C1q抗体がmTBIの3週間後に慢性炎症及びニューロン損失を低減することを示す。図4A及び4Bは、抗C1q抗体で処置し、C1q、NeuN、GFAP、及びIBA1について染色されたmTBIマウス由来のS1(上)、VB、及びnRT(下)の代表的な冠状脳切片(図4A)及びクローズアップ(図4B)を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。1mm(A)、500μm(B)のスケールバー。図4Cは、対照ならびに抗体処置されたシャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との間のnRTニューロン数及び蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析は、1群当たり6~8匹のマウスを含む(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図4C】抗C1q抗体がmTBIの3週間後に慢性炎症及びニューロン損失を低減することを示す。図4A及び4Bは、抗C1q抗体で処置し、C1q、NeuN、GFAP、及びIBA1について染色されたmTBIマウス由来のS1(上)、VB、及びnRT(下)の代表的な冠状脳切片(図4A)及びクローズアップ(図4B)を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。1mm(A)、500μm(B)のスケールバー。図4Cは、対照ならびに抗体処置されたシャムマウス及びmTBIマウスにおける同側領域と対側領域との間のnRTニューロン数及び蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析は、1群当たり6~8匹のマウスを含む(n=マウス1匹当たり3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図5A】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図5B】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図5C】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図5D】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図5E】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図5F】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図5G】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図5H】慢性的に記録されたmTBIマウスが、異なるECoG周波数帯域にわたって力が変化したことを示すことを示す。図5Aは、mTBIの最初の24時間以内の同じ時点で撮影された、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な10分間のスペクトログラムを示し、同側S1からのECoGトレースが重ねられている。mTBIスペクトログラムは脳波上の発作(electrographic seizure)を示し、シャムスペクトログラムは正常なECoG活性を示す。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5Bは、mTBIの2~3週間後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す、シャムマウス(左)及びmTBIマウス(右)からの代表的な7日間のスペクトログラムを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図5C、5E、及び5Gは、mTBI後の最初の1(図5C)、最初の3(図5E)、及び最初の11(図5G)週間にわたって平均化された、シャムコホート及びmTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を示す。Cにおける挿入図は、代表的なシャムマウス及びmTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。詳細については、方法を参照のこと。図5D、5F、及び5Hは、mTBI後の最初の1(図5D)、最初の3(図5F)、及び最初の11(図5H)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、たとえマウスが死亡するか、または実験的エンドポイントの前に電池が切れたとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した(*p<0.05、**p<0.01)全てのマウスを表す。n=7匹のシャムマウス、11匹のmTBIマウス。1匹のマウスは、mTBI後2日以内に死亡した。残りのマウスを、mTBI後の最初の1週間について記録し、次いで、mTBI後の11週間まで交互に記録した。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図6A】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoGスペクトル特徴に対して適度な効果を有することを示す。図6Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、mTBIの1ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図6B及び6Dは、対照処置mTBIコホート及び抗体処置mTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を、mTBI後の最初の1(図6B)または最初の3(図6D)週間にわたって平均化したものを示す。挿入図は、代表的な対照処置mTBIマウス及び抗体処置mTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。図6C及び6Eは、mTBI後の最初の1(図6C)及び最初の3(図6E)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した全てのマウスを表す。n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図6B】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoGスペクトル特徴に対して適度な効果を有することを示す。図6Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、mTBIの1ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図6B及び6Dは、対照処置mTBIコホート及び抗体処置mTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を、mTBI後の最初の1(図6B)または最初の3(図6D)週間にわたって平均化したものを示す。挿入図は、代表的な対照処置mTBIマウス及び抗体処置mTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。図6C及び6Eは、mTBI後の最初の1(図6C)及び最初の3(図6E)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した全てのマウスを表す。n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図6C】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoGスペクトル特徴に対して適度な効果を有することを示す。図6Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、mTBIの1ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図6B及び6Dは、対照処置mTBIコホート及び抗体処置mTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を、mTBI後の最初の1(図6B)または最初の3(図6D)週間にわたって平均化したものを示す。挿入図は、代表的な対照処置mTBIマウス及び抗体処置mTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。図6C及び6Eは、mTBI後の最初の1(図6C)及び最初の3(図6E)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した全てのマウスを表す。n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図6D】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoGスペクトル特徴に対して適度な効果を有することを示す。図6Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、mTBIの1ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図6B及び6Dは、対照処置mTBIコホート及び抗体処置mTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を、mTBI後の最初の1(図6B)または最初の3(図6D)週間にわたって平均化したものを示す。挿入図は、代表的な対照処置mTBIマウス及び抗体処置mTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。図6C及び6Eは、mTBI後の最初の1(図6C)及び最初の3(図6E)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した全てのマウスを表す。n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図6E】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoGスペクトル特徴に対して適度な効果を有することを示す。図6Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、mTBIの1ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。カラーバーは、パワー(mV2/Hz)を表す。図6B及び6Dは、対照処置mTBIコホート及び抗体処置mTBIコホートからのECoG活性のパワースペクトル密度を、mTBI後の最初の1(図6B)または最初の3(図6D)週間にわたって平均化したものを示す。挿入図は、代表的な対照処置mTBIマウス及び抗体処置mTBIマウスからのパワースペクトル密度プロットの例を示す。図6C及び6Eは、mTBI後の最初の1(図6C)及び最初の3(図6E)週間の周波数帯域にわたる平均パワーの二元配置分散分析(two-way ANOVA)を示す。各ドットは、1つのマウスのパワーを表す。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録され、二元配置分散分析で分析した全てのマウスを表す。n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hzである。
図7A】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7B】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7C】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7D】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7E】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7F】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7G】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7H】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図7I】TBIを有する患者からの死後脳組織を示し、TBIの8日後に慢性炎症を示す。図7Aは、ミクログリア及びマクロファージにおいて発現されるMHCクラスII細胞表面受容体のマーカーであるHLA-DRについて染色された1人の対照患者からの死後脳組織を示す。症例情報:78歳男性。スケールバー、1cm。図7Bは、HLA-DRについて染色された1人のTBI患者からの死後脳組織を示す。症例情報:79歳男性;転倒事故、傷害重症度(GCS):中等度、CT:脳浮腫;てんかんなし(TBI後:8日);前回の臨床評価に基づき、神経疾患の既往なし、認知機能低下の徴候なし;原発性神経変性病理の徴候なし、外傷性(trauma-induced)びまん性軸索損傷の徴候なし。スケールバー、1cm。図7Cは、(図7A)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Dは、(図7B)と同じであるが、GFAPについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7Eは、(図7A)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm。図7F~7Iは、(図7B)と同じであるが、C1qについて染色されたものを示す。スケールバー、1cm(図7F~7G)及び40μm(図7H~7I)。
図8A】単一核RNA配列決定が、mTBIの3週間後のシャム視床組織とmTBI視床組織との発現に大きな差異を示さないことを示す。図8Aは、図3Bにおける各クラスターを定義するために使用される主要な系統遺伝子のバイオリンプロットを示す。図8Bは、複製物によって着色されたシャム及びmTBI核のUMAPプロットを示す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図8Cは、Aにおいて定義される系統の各々における、シャム(n=4,908)及びmTBI(n=4,338)視床組織について収集された核のパーセントを示す。各系統の回収は、複製物間で類似している。各ドットは、生物学的複製物を表す。
図8B】単一核RNA配列決定が、mTBIの3週間後のシャム視床組織とmTBI視床組織との発現に大きな差異を示さないことを示す。図8Aは、図3Bにおける各クラスターを定義するために使用される主要な系統遺伝子のバイオリンプロットを示す。図8Bは、複製物によって着色されたシャム及びmTBI核のUMAPプロットを示す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図8Cは、Aにおいて定義される系統の各々における、シャム(n=4,908)及びmTBI(n=4,338)視床組織について収集された核のパーセントを示す。各系統の回収は、複製物間で類似している。各ドットは、生物学的複製物を表す。
図8C】単一核RNA配列決定が、mTBIの3週間後のシャム視床組織とmTBI視床組織との発現に大きな差異を示さないことを示す。図8Aは、図3Bにおける各クラスターを定義するために使用される主要な系統遺伝子のバイオリンプロットを示す。図8Bは、複製物によって着色されたシャム及びmTBI核のUMAPプロットを示す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図8Cは、Aにおいて定義される系統の各々における、シャム(n=4,908)及びmTBI(n=4,338)視床組織について収集された核のパーセントを示す。各系統の回収は、複製物間で類似している。各ドットは、生物学的複製物を表す。
図9A】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図9B】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図9C】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図9D】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図9E】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図9F】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図9G】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図9H】C1qa及びC4bが、mTBIの3週間後に視床組織において見出される主要な補体マーカーであることを示す。図9Aは、ウイルコクソンの順位和検定(各バイオリンプロットの上に示される調整されたp値)で分析したシャム及びmTBIにおける、ミクログリアにおけるApoe及びCst3の発現レベル、ならびにアストロサイトにおけるApoe及びCluの発現レベルを示す。図9Bは、シャム及びmTBI視床組織からプロファイリングされた細胞の主要系統における補体系成分のバイオリンプロットを示す。図9Cは、オリゴデンドロサイト系統のサブクラスター化を示す。図9Dは、補完によってレンダリングされた、C4bの発現によって着色されたと同じ(図9C)UMAPを示す。図9Eは、ウイルコクソンの順位和検定で分析した、シャム及びmTBIオリゴデンドロサイトサブクラスターにおけるC4b発現のバイオリンプロットを示す。C4bは、オリゴデンドロサイトクラスター3(オリゴ3)において差次的に発現する。分析は、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスをまとめて表す、両方の技術的複製を組み合わせる。各ドットは、単一核を表す。図9Fは、成熟したオリゴデンドロサイトに関連するKirrel3及びOpalin、分化するオリゴデンドロサイトに関連するEnpp6、及びオリゴデンドロサイト成熟に関連するアラルミンであるIl33の発現によって着色された、(図9C)におけるものと同じUMAPを示す。図9Gは、バルク細胞質RNAから抽出したRNAからのC2発現のRT-qPCRを示す。各ドットは、1つの複製物から抽出されたバルクRNAを表す(n=2つの生物学的プール、各点は、n=3つの技術的複製物を表す)。第1の複製物は、5匹のシャムマウス及び6匹のmTBIマウスを含み、第2の複製物は、4匹のシャムマウス及び4匹のmTBIマウスを含む。図9Hは、核RNA配列データ及び細胞質RNA qPCRからの全ての補体タンパク質の発現をまとめた表を示す。
図10A】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10B】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10C】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10D-1】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10D-2】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10D-3】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10E】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10F】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図10G】単一核RNA配列決定が視床GABA作動性ニューロン内の発現勾配を示すが、シャムマウスとmTBIマウスとの間には差異がほとんどないことを示す。図10Aは、補完によってレンダリングされた、Slc17a6(左)及びSlc17a7(右)の発現によって着色された、全てのプロファイルされた核(シャム及びmTBI)のUMAPを示す。破線円内の核を、GABA作動性ニューロンのサブクラスターに対して選択した。図10Bは、新しいサブクラスターによって着色されたA)からのGABA作動性ニューロンのUMAP投影を示す。図10Cは、9匹のシャムマウス及び10匹のmTBIマウスにおけるGABA作動性ニューロン核の総数における各サブクラスターのパーセンテージを示す。各点は、2つの生物学的複製物のうちの1つを表す(rep1:n=5匹のシャムマウス、n=6匹のmTBIマウス、rep2:n=4匹のシャムマウス、n=4匹のmTBIマウス)。図10Dは、(上)補完による、Ecel1及びSpp1発現によって着色されたUMAP投影を示す。「オーバーラップ」パネルは、2つのパネルを左側に組み合わせ、2つの遺伝子間に強いオーバーラップを有する核を含む。(下)上と同じ、Sst及びPvalbを含む。灰色の円は、発現を有しない核を表す。図10Eは、(図10B)におけるサブクラスターからのSlc17a7、Gad2、Pvalb及びSstのバイオリンプロットを示す。図10Fは、GABA作動性ニューロンサブクラスターにおけるニューロン機能に関連するいくつかの遺伝子のヒートマップを示す。各遺伝子の大まかなカテゴリーが、右側に注釈されている。色は、全てのサブクラスターの平均に対して正規化されたスケーリングされた表現を表す。サブクラスターは、カドヘリンファミリー(Cdh12、Cdh13、Cdh18)及びプロトカドヘリンファミリーの遺伝子、セマフォリン遺伝子(Sema5b、Sema3e)、ならびに軸索誘導及び成長に関連するエフリン受容体ファミリー遺伝子(Epha5、Epha6)を含む、接着及び誘導分子の発現の点で異なる。サブクラスターはまた、グルタミン酸受容体(Gria1、Grin2a、Grik4)、細胞外マトリックスタンパク質(Col12a1、Col25a1)、及びPvalb陽性ニューロンを調節すると考えられる上皮成長因子ファミリーメンバーであるNrg1等の細胞シグナル伝達分子の発現の点でも異なっていた。図10Gは、全てのGABA作動性ニューロンにわたってシャムマウスとmTBIマウスとの間で差異的に発現される遺伝子の火山プロットを示す。灰色の線は、有意性カットオフ基準を示す。選択された数のミトコンドリア遺伝子が標識される。
図11A】mTBIの4週間後に、損傷した皮質及び機能的に接続された視床が慢性炎症及びニューロン損失を示すことを示す。図11Aは、C1q、NeuN、GFAP、及びIBA1について染色された、S1(上)、VB、及びnRT(中)のクローズアップ画像、ならびにnRT(下)の共焦点画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。nRTにおける矢印は、共焦点画像の位置を示す。300μm(上/中)及び20μm(下)のスケールバー。図11Bは、シャムマウス及びTBIマウスにおける同側領域と対側領域との蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり4~6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり1~3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図11B】mTBIの4週間後に、損傷した皮質及び機能的に接続された視床が慢性炎症及びニューロン損失を示すことを示す。図11Aは、C1q、NeuN、GFAP、及びIBA1について染色された、S1(上)、VB、及びnRT(中)のクローズアップ画像、ならびにnRT(下)の共焦点画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。nRTにおける矢印は、共焦点画像の位置を示す。300μm(上/中)及び20μm(下)のスケールバー。図11Bは、シャムマウス及びTBIマウスにおける同側領域と対側領域との蛍光比の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり4~6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり1~3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図12A】C1q-/-マウスがmTBIの3週間後に炎症及びニューロン損失の減少を示すことを示す。図12Aは、GFAP、IBA1、及びNeuNについて染色されたTBI C1q-/-マウスからの代表的な冠状脳切片を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。1mmのスケールバー。図12Bは、GFAP、IBA1、及びNeuNについて染色されたS1(上)、VB、及びnRT(下)のクローズアップ画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。500μmのスケールバー。図12Cは、シャムマウス及びTBI C1q-/-マウスにおける、同側領域と対側領域との蛍光比及びnRTニューロン数の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり4~6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり1~3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図12B】C1q-/-マウスがmTBIの3週間後に炎症及びニューロン損失の減少を示すことを示す。図12Aは、GFAP、IBA1、及びNeuNについて染色されたTBI C1q-/-マウスからの代表的な冠状脳切片を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。1mmのスケールバー。図12Bは、GFAP、IBA1、及びNeuNについて染色されたS1(上)、VB、及びnRT(下)のクローズアップ画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。500μmのスケールバー。図12Cは、シャムマウス及びTBI C1q-/-マウスにおける、同側領域と対側領域との蛍光比及びnRTニューロン数の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり4~6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり1~3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図12C】C1q-/-マウスがmTBIの3週間後に炎症及びニューロン損失の減少を示すことを示す。図12Aは、GFAP、IBA1、及びNeuNについて染色されたTBI C1q-/-マウスからの代表的な冠状脳切片を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。1mmのスケールバー。図12Bは、GFAP、IBA1、及びNeuNについて染色されたS1(上)、VB、及びnRT(下)のクローズアップ画像を示す。右S1皮質の損傷部位は、アスタリスクでマークされている。500μmのスケールバー。図12Cは、シャムマウス及びTBI C1q-/-マウスにおける、同側領域と対側領域との蛍光比及びnRTニューロン数の定量を示す。データは、マン-ホイットニー検定による、最小値から最大値までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、1群当たり4~6匹のマウスが含まれる(n=マウス1匹当たり1~3つの切片、1領域当たり1枚の画像)。
図13A】血漿及び脳PK/PDが、抗C1q薬物処置されたシャムマウス及びTBIマウスにおいて、遊離薬物及び還元されたC1qの存在を示すことを示す。図13Aは、TBI及びシャムマウスを100mg/kgの抗C1qまたはアイソタイプ対照抗体の2回用量で処置した後、サンドイッチELISAを使用して遊離薬物(free drug)、C1qフリー(C1q-free)及び総C1q(C1q-total)の血漿レベルを測定したことを示す。点線は、定量の下限を示す。図13B~13Dは、サンドイッチELISAを使用して、同側(上)及び対側(下)の脳溶解物中の、遊離薬物(図13B)、C1qフリー(図13C)及び総C1q(図13D)のレベルを測定した。ナイーブマウスは、陰性対照であった。点線は、定量の下限を示す。データは、TBI対照とTBI抗C1qとの間の、マン-ホイットニー検定による、最小から最大までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)である。分析には、1群当たり3~15匹のマウスが含まれる。
図13B】血漿及び脳PK/PDが、抗C1q薬物処置されたシャムマウス及びTBIマウスにおいて、遊離薬物及び還元されたC1qの存在を示すことを示す。図13Aは、TBI及びシャムマウスを100mg/kgの抗C1qまたはアイソタイプ対照抗体の2回用量で処置した後、サンドイッチELISAを使用して遊離薬物(free drug)、C1qフリー(C1q-free)及び総C1q(C1q-total)の血漿レベルを測定したことを示す。点線は、定量の下限を示す。図13B~13Dは、サンドイッチELISAを使用して、同側(上)及び対側(下)の脳溶解物中の、遊離薬物(図13B)、C1qフリー(図13C)及び総C1q(図13D)のレベルを測定した。ナイーブマウスは、陰性対照であった。点線は、定量の下限を示す。データは、TBI対照とTBI抗C1qとの間の、マン-ホイットニー検定による、最小から最大までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)である。分析には、1群当たり3~15匹のマウスが含まれる。
図13C】血漿及び脳PK/PDが、抗C1q薬物処置されたシャムマウス及びTBIマウスにおいて、遊離薬物及び還元されたC1qの存在を示すことを示す。図13Aは、TBI及びシャムマウスを100mg/kgの抗C1qまたはアイソタイプ対照抗体の2回用量で処置した後、サンドイッチELISAを使用して遊離薬物(free drug)、C1qフリー(C1q-free)及び総C1q(C1q-total)の血漿レベルを測定したことを示す。点線は、定量の下限を示す。図13B~13Dは、サンドイッチELISAを使用して、同側(上)及び対側(下)の脳溶解物中の、遊離薬物(図13B)、C1qフリー(図13C)及び総C1q(図13D)のレベルを測定した。ナイーブマウスは、陰性対照であった。点線は、定量の下限を示す。データは、TBI対照とTBI抗C1qとの間の、マン-ホイットニー検定による、最小から最大までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)である。分析には、1群当たり3~15匹のマウスが含まれる。
図13D】血漿及び脳PK/PDが、抗C1q薬物処置されたシャムマウス及びTBIマウスにおいて、遊離薬物及び還元されたC1qの存在を示すことを示す。図13Aは、TBI及びシャムマウスを100mg/kgの抗C1qまたはアイソタイプ対照抗体の2回用量で処置した後、サンドイッチELISAを使用して遊離薬物(free drug)、C1qフリー(C1q-free)及び総C1q(C1q-total)の血漿レベルを測定したことを示す。点線は、定量の下限を示す。図13B~13Dは、サンドイッチELISAを使用して、同側(上)及び対側(下)の脳溶解物中の、遊離薬物(図13B)、C1qフリー(図13C)及び総C1q(図13D)のレベルを測定した。ナイーブマウスは、陰性対照であった。点線は、定量の下限を示す。データは、TBI対照とTBI抗C1qとの間の、マン-ホイットニー検定による、最小から最大までの全ての点を表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、***p<0.0001)である。分析には、1群当たり3~15匹のマウスが含まれる。
図14A】mTBIを有するマウスが、θ~α周波数範囲において、mTBIの4週間後に視床破裂を伴うタイムロックされた自発性発作様イベントを有することを示す。図14Aは、インビボ実験のための記録位置の図を示す。左:ECoG記録部位及びmTBI位置をマウス頭蓋上で示す。右:nRTに一方的に埋め込まれたタングステン深度電極の近似位置。図14Bは、皮質記録部位からの代表的なECoGトレース、及び自発性発作様イベントを示すnRTからのマルチユニットトレースを示す。図14Cは、シャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分間における、異なる周波数帯域にわたる平均パワーを示すパワースペクトル分析を示す。図14Dは、代表的なシャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分から得られた周波数にわたるパワーを示すペリオドグラムを示す。データは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析は、1群当たり12~14匹のマウスを含む。
図14B】mTBIを有するマウスが、θ~α周波数範囲において、mTBIの4週間後に視床破裂を伴うタイムロックされた自発性発作様イベントを有することを示す。図14Aは、インビボ実験のための記録位置の図を示す。左:ECoG記録部位及びmTBI位置をマウス頭蓋上で示す。右:nRTに一方的に埋め込まれたタングステン深度電極の近似位置。図14Bは、皮質記録部位からの代表的なECoGトレース、及び自発性発作様イベントを示すnRTからのマルチユニットトレースを示す。図14Cは、シャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分間における、異なる周波数帯域にわたる平均パワーを示すパワースペクトル分析を示す。図14Dは、代表的なシャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分から得られた周波数にわたるパワーを示すペリオドグラムを示す。データは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析は、1群当たり12~14匹のマウスを含む。
図14C】mTBIを有するマウスが、θ~α周波数範囲において、mTBIの4週間後に視床破裂を伴うタイムロックされた自発性発作様イベントを有することを示す。図14Aは、インビボ実験のための記録位置の図を示す。左:ECoG記録部位及びmTBI位置をマウス頭蓋上で示す。右:nRTに一方的に埋め込まれたタングステン深度電極の近似位置。図14Bは、皮質記録部位からの代表的なECoGトレース、及び自発性発作様イベントを示すnRTからのマルチユニットトレースを示す。図14Cは、シャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分間における、異なる周波数帯域にわたる平均パワーを示すパワースペクトル分析を示す。図14Dは、代表的なシャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分から得られた周波数にわたるパワーを示すペリオドグラムを示す。データは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析は、1群当たり12~14匹のマウスを含む。
図14D】mTBIを有するマウスが、θ~α周波数範囲において、mTBIの4週間後に視床破裂を伴うタイムロックされた自発性発作様イベントを有することを示す。図14Aは、インビボ実験のための記録位置の図を示す。左:ECoG記録部位及びmTBI位置をマウス頭蓋上で示す。右:nRTに一方的に埋め込まれたタングステン深度電極の近似位置。図14Bは、皮質記録部位からの代表的なECoGトレース、及び自発性発作様イベントを示すnRTからのマルチユニットトレースを示す。図14Cは、シャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分間における、異なる周波数帯域にわたる平均パワーを示すパワースペクトル分析を示す。図14Dは、代表的なシャムマウス及びTBIマウスにおける、同側S1皮質からのベースラインECoG信号の最初の15分から得られた周波数にわたるパワーを示すペリオドグラムを示す。データは、マン-ホイットニー検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析は、1群当たり12~14匹のマウスを含む。
図15A】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoG力に対する慢性疾患修飾効果を有することを示す。図15Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、処置終了後4週間であったTBIの2.5ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。図15Bは、TBI後の最初の日における異なる周波数帯域にわたってサンプリングされた対照処置コホート及び抗体処置コホートの累積分布関数を示す。各記録の開始から24時間以内に48ポイントをサンプリングした。図15Cは、Bと同じであるが、TBI後3週間であることを示す。各記録開始から15.25~20.1日の間に232点をサンプリングした。図15Dは、Bと同じであるが、TBI後9~15週間であることを示す。各記録開始から104.6日から110日の間に296ポイントをサンプリングした。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録された全てのマウスを表す。対照処置マウス1匹及び抗体処置マウス1匹は、TBI後3週間以内に死亡し、対照処置マウス2匹は、TBI後6週間以内に死亡し、残りのマウスは、TBI後少なくとも9週間記録した。24時間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。3週間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。9~15週で、n=6匹の対照処置マウス、4匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hz。ns=p>0.05。
図15B】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoG力に対する慢性疾患修飾効果を有することを示す。図15Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、処置終了後4週間であったTBIの2.5ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。図15Bは、TBI後の最初の日における異なる周波数帯域にわたってサンプリングされた対照処置コホート及び抗体処置コホートの累積分布関数を示す。各記録の開始から24時間以内に48ポイントをサンプリングした。図15Cは、Bと同じであるが、TBI後3週間であることを示す。各記録開始から15.25~20.1日の間に232点をサンプリングした。図15Dは、Bと同じであるが、TBI後9~15週間であることを示す。各記録開始から104.6日から110日の間に296ポイントをサンプリングした。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録された全てのマウスを表す。対照処置マウス1匹及び抗体処置マウス1匹は、TBI後3週間以内に死亡し、対照処置マウス2匹は、TBI後6週間以内に死亡し、残りのマウスは、TBI後少なくとも9週間記録した。24時間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。3週間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。9~15週で、n=6匹の対照処置マウス、4匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hz。ns=p>0.05。
図15C】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoG力に対する慢性疾患修飾効果を有することを示す。図15Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、処置終了後4週間であったTBIの2.5ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。図15Bは、TBI後の最初の日における異なる周波数帯域にわたってサンプリングされた対照処置コホート及び抗体処置コホートの累積分布関数を示す。各記録の開始から24時間以内に48ポイントをサンプリングした。図15Cは、Bと同じであるが、TBI後3週間であることを示す。各記録開始から15.25~20.1日の間に232点をサンプリングした。図15Dは、Bと同じであるが、TBI後9~15週間であることを示す。各記録開始から104.6日から110日の間に296ポイントをサンプリングした。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録された全てのマウスを表す。対照処置マウス1匹及び抗体処置マウス1匹は、TBI後3週間以内に死亡し、対照処置マウス2匹は、TBI後6週間以内に死亡し、残りのマウスは、TBI後少なくとも9週間記録した。24時間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。3週間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。9~15週で、n=6匹の対照処置マウス、4匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hz。ns=p>0.05。
図15D】抗C1q抗体が、mTBIを有するマウスのECoG力に対する慢性疾患修飾効果を有することを示す。図15Aは、対照処置マウス(左)及び抗体処置マウス(右)からの例示的なスペクトログラム(上)及びヒストグラム(下)を示し、処置終了後4週間であったTBIの2.5ヶ月後の異なる周波数帯域にわたるパワーを示す。パワーバンドは、30分毎にサンプリングされる。図15Bは、TBI後の最初の日における異なる周波数帯域にわたってサンプリングされた対照処置コホート及び抗体処置コホートの累積分布関数を示す。各記録の開始から24時間以内に48ポイントをサンプリングした。図15Cは、Bと同じであるが、TBI後3週間であることを示す。各記録開始から15.25~20.1日の間に232点をサンプリングした。図15Dは、Bと同じであるが、TBI後9~15週間であることを示す。各記録開始から104.6日から110日の間に296ポイントをサンプリングした。データは、処置が終了する前に死亡したとしても、記録された全てのマウスを表す。対照処置マウス1匹及び抗体処置マウス1匹は、TBI後3週間以内に死亡し、対照処置マウス2匹は、TBI後6週間以内に死亡し、残りのマウスは、TBI後少なくとも9週間記録した。24時間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。3週間で、n=7匹の対照処置マウス、7匹の抗体処置マウス。9~15週で、n=6匹の対照処置マウス、4匹の抗体処置マウス。Δ=1~4Hz、θ=5~8Hz、α=9~12Hz、σ=13~15Hz、β=16~30Hz、γ=31~50Hz。ns=p>0.05。
図16A】mTBIの3週間後に、抗C1q抗体が睡眠紡錘波の減少を回復することを示す。図16Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。トレースは、バンドパス(BP)フィルタリングされたECoGを表す。水平線:検出された紡錘波を示す。矢印はてんかんのスパイクを示す。図16Bは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスからの図16Aと同じものを示す。図16Cは、12時間のウィンドウ内に検出された、同側ECoGにおける睡眠紡錘波と対側ECoGにおける睡眠紡錘波との比を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=7匹の抗体処置mTBIマウス(右)が含まれる。図16Dは、(図16C)におけるマウスからの対側及び同側ECoGにおける睡眠紡錘波の頻度、正規化された振幅及び持続時間を示す。データは、クラスカル・ウォリスの順位に基づく一元配置分散分析検定(Kruskal-Wallis One Way Analysis of Variance on Ranks)、全てのペアワイズ多重比較手順(ホルム-シダック(Holm-Sidak)法)で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。灰色の線は、各マウスの対側及び同側のデータを表す。
図16B】mTBIの3週間後に、抗C1q抗体が睡眠紡錘波の減少を回復することを示す。図16Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。トレースは、バンドパス(BP)フィルタリングされたECoGを表す。水平線:検出された紡錘波を示す。矢印はてんかんのスパイクを示す。図16Bは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスからの図16Aと同じものを示す。図16Cは、12時間のウィンドウ内に検出された、同側ECoGにおける睡眠紡錘波と対側ECoGにおける睡眠紡錘波との比を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=7匹の抗体処置mTBIマウス(右)が含まれる。図16Dは、(図16C)におけるマウスからの対側及び同側ECoGにおける睡眠紡錘波の頻度、正規化された振幅及び持続時間を示す。データは、クラスカル・ウォリスの順位に基づく一元配置分散分析検定(Kruskal-Wallis One Way Analysis of Variance on Ranks)、全てのペアワイズ多重比較手順(ホルム-シダック(Holm-Sidak)法)で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。灰色の線は、各マウスの対側及び同側のデータを表す。
図16C】mTBIの3週間後に、抗C1q抗体が睡眠紡錘波の減少を回復することを示す。図16Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。トレースは、バンドパス(BP)フィルタリングされたECoGを表す。水平線:検出された紡錘波を示す。矢印はてんかんのスパイクを示す。図16Bは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスからの図16Aと同じものを示す。図16Cは、12時間のウィンドウ内に検出された、同側ECoGにおける睡眠紡錘波と対側ECoGにおける睡眠紡錘波との比を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=7匹の抗体処置mTBIマウス(右)が含まれる。図16Dは、(図16C)におけるマウスからの対側及び同側ECoGにおける睡眠紡錘波の頻度、正規化された振幅及び持続時間を示す。データは、クラスカル・ウォリスの順位に基づく一元配置分散分析検定(Kruskal-Wallis One Way Analysis of Variance on Ranks)、全てのペアワイズ多重比較手順(ホルム-シダック(Holm-Sidak)法)で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。灰色の線は、各マウスの対側及び同側のデータを表す。
図16D】mTBIの3週間後に、抗C1q抗体が睡眠紡錘波の減少を回復することを示す。図16Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。トレースは、バンドパス(BP)フィルタリングされたECoGを表す。水平線:検出された紡錘波を示す。矢印はてんかんのスパイクを示す。図16Bは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスからの図16Aと同じものを示す。図16Cは、12時間のウィンドウ内に検出された、同側ECoGにおける睡眠紡錘波と対側ECoGにおける睡眠紡錘波との比を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=7匹の抗体処置mTBIマウス(右)が含まれる。図16Dは、(図16C)におけるマウスからの対側及び同側ECoGにおける睡眠紡錘波の頻度、正規化された振幅及び持続時間を示す。データは、クラスカル・ウォリスの順位に基づく一元配置分散分析検定(Kruskal-Wallis One Way Analysis of Variance on Ranks)、全てのペアワイズ多重比較手順(ホルム-シダック(Holm-Sidak)法)で分析した平均±SEMを表し、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01)である。灰色の線は、各マウスの対側及び同側のデータを表す。
図17A】mTBIの3週間後に発症する焦点てんかんスパイクを減少させる抗C1q抗体を示す。図17Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。水平の破線は、スパイク検出閾値を表す。垂直の赤い線は、検出されたスパイクを示す。図17BAは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスの図17Aと同じものを示す。A-Bのトレースは、NREM睡眠のエピソードから得られている。図17Cは、12時間のウィンドウ内で検出されたてんかんスパイクの数を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定(*p<0.05、**p<0.01)で分析した平均±SEMを表す。挿入図:(B)に示されるmTBIマウスからの平均てんかんスパイク(n=592個のスパイク;平均(黒)±SD(灰色)。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=6匹の抗体処置mTBIマウスが含まれる。図17D~17Eは、図17Cにおけるマウスからの睡眠紡錘波の比に対するてんかんスパイクの数を示す。個々の点は、各マウスを表し、エラーバーは、両方の軸にわたる平均±SEMを表す。
図17B】mTBIの3週間後に発症する焦点てんかんスパイクを減少させる抗C1q抗体を示す。図17Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。水平の破線は、スパイク検出閾値を表す。垂直の赤い線は、検出されたスパイクを示す。図17BAは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスの図17Aと同じものを示す。A-Bのトレースは、NREM睡眠のエピソードから得られている。図17Cは、12時間のウィンドウ内で検出されたてんかんスパイクの数を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定(*p<0.05、**p<0.01)で分析した平均±SEMを表す。挿入図:(B)に示されるmTBIマウスからの平均てんかんスパイク(n=592個のスパイク;平均(黒)±SD(灰色)。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=6匹の抗体処置mTBIマウスが含まれる。図17D~17Eは、図17Cにおけるマウスからの睡眠紡錘波の比に対するてんかんスパイクの数を示す。個々の点は、各マウスを表し、エラーバーは、両方の軸にわたる平均±SEMを表す。
図17C】mTBIの3週間後に発症する焦点てんかんスパイクを減少させる抗C1q抗体を示す。図17Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。水平の破線は、スパイク検出閾値を表す。垂直の赤い線は、検出されたスパイクを示す。図17BAは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスの図17Aと同じものを示す。A-Bのトレースは、NREM睡眠のエピソードから得られている。図17Cは、12時間のウィンドウ内で検出されたてんかんスパイクの数を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定(*p<0.05、**p<0.01)で分析した平均±SEMを表す。挿入図:(B)に示されるmTBIマウスからの平均てんかんスパイク(n=592個のスパイク;平均(黒)±SD(灰色)。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=6匹の抗体処置mTBIマウスが含まれる。図17D~17Eは、図17Cにおけるマウスからの睡眠紡錘波の比に対するてんかんスパイクの数を示す。個々の点は、各マウスを表し、エラーバーは、両方の軸にわたる平均±SEMを表す。
図17D】mTBIの3週間後に発症する焦点てんかんスパイクを減少させる抗C1q抗体を示す。図17Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。水平の破線は、スパイク検出閾値を表す。垂直の赤い線は、検出されたスパイクを示す。図17BAは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスの図17Aと同じものを示す。A-Bのトレースは、NREM睡眠のエピソードから得られている。図17Cは、12時間のウィンドウ内で検出されたてんかんスパイクの数を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定(*p<0.05、**p<0.01)で分析した平均±SEMを表す。挿入図:(B)に示されるmTBIマウスからの平均てんかんスパイク(n=592個のスパイク;平均(黒)±SD(灰色)。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=6匹の抗体処置mTBIマウスが含まれる。図17D~17Eは、図17Cにおけるマウスからの睡眠紡錘波の比に対するてんかんスパイクの数を示す。個々の点は、各マウスを表し、エラーバーは、両方の軸にわたる平均±SEMを表す。
図17E】mTBIの3週間後に発症する焦点てんかんスパイクを減少させる抗C1q抗体を示す。図17Aは、mTBIの3週間後のシャムマウス及びmTBIマウスからの代表的なECoG記録を示す。水平の破線は、スパイク検出閾値を表す。垂直の赤い線は、検出されたスパイクを示す。図17BAは、アイソタイプ対照または抗C1q抗体で処置したmTBIマウスの図17Aと同じものを示す。A-Bのトレースは、NREM睡眠のエピソードから得られている。図17Cは、12時間のウィンドウ内で検出されたてんかんスパイクの数を示す。データは、マン-ホイットニー順位和検定(*p<0.05、**p<0.01)で分析した平均±SEMを表す。挿入図:(B)に示されるmTBIマウスからの平均てんかんスパイク(n=592個のスパイク;平均(黒)±SD(灰色)。分析には、n=6匹のシャムマウス、n=9匹のmTBIマウス(左)、n=7匹の対照処置mTBIマウス、n=6匹の抗体処置mTBIマウスが含まれる。図17D~17Eは、図17Cにおけるマウスからの睡眠紡錘波の比に対するてんかんスパイクの数を示す。個々の点は、各マウスを表し、エラーバーは、両方の軸にわたる平均±SEMを表す。
図18】睡眠紡錘波の検出を示す。同時に、mTBI周辺皮質及び対側皮質からのECoG信号(黒色)を8~15Hzでバンドパスフィルタリングし(灰色のトレース)、睡眠紡錘波検出閾値(Thr.)を適用した。描写される記録は、mTBIの3週間後の抗C1q処置mTBIマウス(図17Bと同じマウス)からのものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本説明は、限定的な意味で理解されるべきではなく、単に本発明の一般的な原理を例示する目的で作成される。本発明の詳細な説明のセクションタイトル及び全体的な構成は、便宜上の目的のみであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0027】
生涯80年間にてんかんを有する確率は約3%と推定されている。症例の約30%において、てんかん(症候性てんかん)の発症を引き起こした脳への識別可能な損傷が存在する。更に30%の患者は、原因が特定されていない症候性てんかんであると推定されている。外傷性脳損傷(TBI)、脳卒中、てんかん発作重積状態及び感染症/炎症等の脳損傷は、通常、潜伏期間の後に生じ、しばしば進行性である後天性てんかんの原因のうちのいくつかである(すなわち、発作は、経時的により頻繁かつ重篤になる)。てんかん発作は、脳の手術の結果として回復中の患者でも生じ得る。加えて、集団の約1%について、てんかん発作は、明らかな理由またはその他の神経学的異常を伴うことなく、自発的である。このような自然発症てんかんは特発性てんかんと名付けられ、遺伝子由来であるとされる。
【0028】
てんかんは、特定の疾患、または単一の症候群でさえなく、むしろ、様々な病理学的プロセスに対して二次的であり得る任意の数の無秩序な脳機能から生じる広範なカテゴリーの症状群である。けいれん性障害、発作性障害、及び脳発作という用語は、いずれも、行動のステレオタイプな変化によって現れる脳機能障害の再発発作性エピソードを指すため、てんかんと同義で使用される。てんかん発作は、皮質に影響を及ぼすニューロンネットワークの電気的な過同期の結果である行動の突然の変化として知られている。てんかん発作は、機能の一過性障害に対する正常な脳の自然な応答でもあり得、したがって、てんかん障害の適応とは限らない。このような発作は、しばしば、誘発性、急性症候性、または反応性と称される。
【0029】
電圧ゲート及びリガンドゲートイオンチャネルのタンパク質サブユニットをコードする一部の遺伝子は、異なる形態のてんかん及び乳児発作症候群に関連している。制御されていない発作を有する患者は、有意な罹患率及び死亡率を経験する。
【0030】
てんかんでは、脳は病態生理学的または構造的に永続的に変化し、異常な過同期ニューロン発火を引き起こしている。発作を繰り返した結果、進行性の脳損傷が生じることがある。例えば、発作回数の関数としての、時間の経過に伴う海馬体積の漸進的な減少が報告されている。いくつかの臨床及び実験データは、慢性または急性発作を引き起こす際の血液脳関門(BBB)機能の不全を示唆している。
【0031】
40種類を超えるてんかん発作が特徴付けられており、これらは全般性(脳の両半球における発作発症)と部分性(焦点性;脳の一部における発作発症)に分けられる。全般発作は、欠神発作、ミオクローヌス発作、無緊張発作、及び強直性発作に更に分類され、部分発作は、単純発作及び複雑発作に細分化される。部分発作は全成人症例の約60%を占め、側頭葉てんかん(TLE)は部分発作の最も一般的な形態である。TLE患者は、熱性発作、てんかん発作重積状態、及び感染症等の初期のリスク要因の病歴を有することが多い。無発作期間は、制御されていない部分発作が始まる前に存在し得る。発作頻度の増加及び認知機能の低下等の進行性の特徴がある。
【0032】
てんかんの病因は謎のままである。しかしながら、免疫経路の活性化がヒトてんかんにおいて役割を果たし、この炎症応答が発作の発生及び再発、ならびに発作関連ニューロン損傷の両方に寄与することを示唆する証拠がある。アストロサイトは、広範囲の免疫学的に関連する分子を産生することによって、CNSの炎症性環境に寄与することが知られている。これらは、クラスII主要組織適合性複合体抗原を発現し、多様なケモカイン及びサイトカインを産生することができる。そのような免疫因子はまた、ミクログリアを活性化し得る。
【0033】
例えば、側頭葉てんかん(TLE)患者では、海馬内でのミクログリア活性化の徴候があり、これが活性化された免疫応答の証拠となる。核因子カッパB過剰発現は、ヒト海馬硬化症検体において、反応性アストロサイト及び生存ニューロンにおいて示されている。加えて、活性化されたグリア細胞と神経細胞の両方を含むIL-1B系の顕著かつ持続的な活性化が存在する。対照的に、ヒト中間型TLE検体では、適応免疫の細胞(CD3/CD8陽性Tリンパ球)はわずかしか検出されていない。更に、ヒトTLEにおける炎症経路の活性化は、遺伝子発現プロファイル分析によっても支持される。最近の研究では、薬剤耐性中間型TLEを有する患者における主要な炎症性因子発現と発作頻度との相関が示されている。Toll様受容体4(TLR4-TLE動物モデルにおけるいくつかのサイトカインの転写を誘発することが以前に示された炎症の主要なトリガー)遺伝子発現は直接相関するが、転写因子3(TLR4の負の調節因子)の活性化及びIL-8発現は発作頻度と逆相関する。
【0034】
調節不全の持続性炎症、血液脳関門損傷、及び制御されていない発作の間の相互作用は、TLEを含む様々なてんかん障害の進行を引き起こす制御されていない炎症を引き起こす自己永続的なサイクルを作出することができる。例えば、1つの重要な炎症媒介物質は、補体系である。補体系は、約30の流体相及び細胞膜関連タンパク質からなる免疫応答に関与するタンパク質カスケードである。カスケードの活性化産物は、他の炎症媒介物質の産生に寄与し、したがって、炎症部位における組織の損傷を促進することができる。補体系成分の合成は主に肝臓で行われるが、グリア及びニューロンの両方が、病理学的条件においてこれらの炎症媒介物質を発現することができる。C3a及びC5aは、補体活性化に応答して産生される最も強力な炎症促進分子である。古典的補体カスケードの開始分子であるC1qは、ストレス下でのニューロンのシナプスを認識する。C1qの活性化は、シナプス表面上の下流補体成分C4b及びC3bの沈着をもたらし、免疫細胞による認識及びシナプスの物理的除去をもたらす。補体系の活性化はまた、リン脂質二重層内に孔を形成することによって標的細胞を損傷または溶解する膜攻撃複合体の形成をもたらす。ニューロンは、特に補体媒介性損傷を受けやすい。加えて、補体因子は、漏出したBBBを介して脳に侵入する可能性があるが、発現の増加の一部は、活性化されたグリア細胞に由来する可能性が高い。興味深いことに、膜攻撃経路の個々のタンパク質(C5b6、C7、C8、及びC9)を、覚醒し、自由に動くラットの海馬へ連続的に注入すると、行動性及び脳波上の発作ならびに細胞傷害の両方が誘発され、これはてんかん発生における補体系の役割を示唆する。
【0035】
加えて、外傷性脳損傷(TBI)は、世界で毎年約6,900万人に影響を及ぼし、認知機能障害、感覚処理の困難、睡眠障害、及び前述のようにてんかんの発症につながる可能性がある。これらの有害な健康転帰のほとんどは、TBIの数ヶ月後または数年後に発生し、最初の影響の長期的な結果をもたらす間接的な二次損傷によって引き起こされる。
【0036】
TBIは皮質を急性に破壊するが、ほとんどのTBI関連障害は、経時的に発生する二次損傷を反映する。視床は、皮質と相互に接続しているため、二次損傷の可能性が高い部位である。直接皮質下構造(mTBI)を損傷しない軽度の皮質損傷のマウスモデルを使用して、我々は、皮質視床回路において特異的にC1q発現の慢性的な増加を見出した。C1q発現の増加は、ニューロン損失及び慢性炎症と共局在し、睡眠紡錘波の破壊及びてんかん活性の出現と相関した。C1qを遮断することは、これらの結果の大部分に対抗し、C1qがmTBIにおける疾患修飾因子であることを示した。単一核RNA配列決定は、ミクログリアが視床C1qの供給源であることを示し、視床C1qは、オリゴデンドロサイト及びアストロサイトのサブセットに作用する可能性が高い。皮質は、頭蓋骨の真下に位置し、皮質-視床-皮質ループを含む多くのより大きな回路の一体的な部分であるため、しばしば主要な損傷の部位である。この回路は、感覚処理、注意、認知、及び睡眠に重要であり、これらは全てTBIによって障害される可能性がある。視床自体は、TBIでは急性に損傷していないが、おそらく大脳皮質との長距離相互接続のために、二次損傷を経験する。視床の構造変化は、疲労及び認知機能障害を含むいくつかの長期的なTBI関連の健康転帰に関与しており、TBIを有する患者は、視床核に二次的及び慢性的な神経変性及び炎症を示す。
【0037】
慢性神経炎症は、二次創傷部位の一般的な特徴である。しかしながら、広範な抗炎症剤を用いたTBI後認知転帰を改善しようとするほとんどの試みは、おそらく異なる時点で保護的及び病原性の両方の役割を果たす多くの炎症経路があるため、失敗している。TBI後の炎症及び損傷の潜在的な媒介物質は、ヒト及びげっ歯類の両方における脳病変の損傷周辺領域で活性化される補体経路である。補体活性化は、中枢神経系損傷における炎症及び神経毒性に寄与し、損傷、てんかん、及びアルツハイマー病に罹患しているヒト脳において増加する。古典的補体カスケードの開始分子であるC1qの異常な活性化は、機能的シナプスの除去を引き起こし、神経変性疾患の進行に寄与し得る。一方、C1qは、発達中の正常なシナプス刈り込み(synapse pruning)に関与し、補体系は、細胞破片を除去し、感染症から中枢神経系を保護することによって、脳の恒常性において重要な役割を果たす。
【0038】
軽度の皮質損傷の機械的に牽引可能で高度に再現性のあるマウスモデルにおける、皮質視床回路に対するTBI後の二次損傷におけるC1q経路の役割の発見が本明細書に提供される。このモデルは、治療窓、炎症性表現型、及び二次損傷の程度等の因子を同定し、これらは、TBI後転帰の治療における標的化アプローチを支持する。
【0039】
TBI後の体性感覚皮質視床回路全体を研究するために使用する1つの強力なツールは、慢性ECoG記録であり、TBI後4ヶ月までの外傷後てんかん発症の進行及び皮質リズムの変化を研究するために特に使用される。細胞及び回路レベルでのこのような電気生理学的アプローチを使用して、TBIが、視床網核(nRT)ニューロンのシナプス特性を変化させ、ブロードバンド活性の増加を含む、皮質視床回路における病理学的状態を媒介する可能性のある増加したC1q蓄積と関連することを示す。
【0040】
TBI後の長期の二次障害の遺伝子座としてのnRT
重度の頭部損傷の以前の観察では、ヒトnRTにおける神経変性が見られる(42)。我々の研究では、軽度の皮質損傷であっても、損傷から3週間後のnRTでのニューロン損失につながる可能性があることが示されている。この神経変性の原因は、nRTにおける興奮毒性を引き起こす皮質入力の損失であり得、これは、皮質からの軸索求心性神経の高密度に起因する脆弱な脳領域であり得る(42)。また、我々のRNA配列決定結果により、全てのGABA作動性ニューロンサブクラスターにわたるmTBI視床組織におけるミトコンドリア機能に関連する遺伝子の発現の増加が同定される。この観察は、TBI後の神経変性の別の潜在的なメカニズムとして、ミトコンドリア媒介性細胞死を指摘する。
【0041】
nRTにおけるニューロンの損失は、この領域におけるシナプス変化のうちの一部を説明することができる。特に、TBIの3週間後には、nRTニューロンにおいてIPSCの頻度が減少した。多くのマイクロ回路において、GABA作動性ニューロンに対する阻害の減少は、阻害の正味の増加をもたらす。対照的に、nRTにおけるGABA作動性阻害の喪失は、皮質視床回路過剰興奮性をもたらし、てんかん様活性を誘発する可能性さえある。実際、nRT内GABA作動性接続は、興奮性視床核への阻害性出力を調整し、振動性視床活動を制御するために重要であり、それらの喪失は皮質視床回路に対して有害である。nRTにおけるGABA作動性ニューロンの死は、nRT内阻害の減少に寄与し得る。この低下した阻害は、発作の感受性の増加に寄与し得、外傷後てんかん活性を発症する可能性の増加に寄与し得る、フィードフォワードGABA作動性阻害の喪失を引き起こし得る。
【0042】
nRT EPSCにおいても、特により低い頻度及び振幅ならびにより遅い動態において、欠損が観察された。これらの変化は、皮質nRTグルタミン酸作動性シナプスでGluA4 AMPA受容体を欠くてんかんのマウスモデルからの所見と類似する。この欠陥は、視床におけるフィードフォワード阻害の喪失、及びてんかん活性をもたらす。したがって、nRT EPSCの変化は、皮質視床回路の過同期及び発作に寄与するように見えるが、TBI後のnRTへの皮質グルタミン酸作動性入力の喪失に起因する可能性が高い。
【0043】
皮質視床回路、特にnRTに見られる変化がてんかん活性及び認知機能低下に関与していることを考えると、これらの結果は、長期的なTBI転帰を治療するための新たな潜在的な標的としてこの回路をピンポイントで指摘している。特に興味深いことに、睡眠紡錘波が認知機能に大きな役割を果たしている。我々の所見は、睡眠紡錘波を治療し、mTBI後のてんかんスパイクを予防するための標的としてC1qをピンポイントで指摘している。
【0044】
nRTニューロンとは異なり、層-5錐体ニューロン及びGABA作動性の高速スパイク介在ニューロン等の皮質ニューロンは、慢性時点では、軽度TBI(mTBI)によって変化しなかった。これらの観察は、皮質におけるTBI後の慢性的な過剰興奮性を回復または減少させる恒常性メカニズムの存在を示唆している。また、TBIの少なくとも特定の長期的転帰は、単に皮質の損傷からではなく、nRT機能障害から生じるはずであることも確認されている。この点で、皮質ニューロンが慢性期には正常な興奮性及びシナプス機能を有するように見える一方で、ECoGは睡眠紡錘波及びてんかんスパイクにおいて「局所的」な欠損を示すことが興味深い。この観察は、軽度TBI(mTBI)を有するヒトにおける以前の電磁式脳造影研究、重度TBIを有するヒトにおけるEEG研究、及び重度TBIを有するラットからのEEG研究と一致し、TBI後の早期の時点でデルタ活動の増加が観察された。正常な状態では、デルタ活動は、徐波睡眠、静かな覚醒(quiet wakefulness)、及びより高い認知機能と関連している。損傷の場合、デルタ波は白質病変と関連付けられる。したがって、軽度TBI(mTBI)の主な長期的影響は、皮質-視床-皮質ループの視床端にある。nRTが感覚皮質に局所的な睡眠紡錘波を生成する新たな役割を果たすことを考えると、nRTに対する二次損傷は、少なくとも部分的には、皮質における睡眠紡錘波の「局所的な」喪失の原因となり得る。
【0045】
疾患修飾因子としての慢性C1q
C1qは、発達中のシナプス刈り込み等の正常な脳機能、ならびに重度TBIを含むいくつかの神経学的疾患への関与において十分に記録された役割を有する。加えて、C1qの発現は、TBI後4ヶ月までの間、皮質視床回路で高度に増加した。本明細書に開示される研究は、皮質視床回路に焦点を当てており、電気生理学的記録を使用してmTBI後の皮質視床回路を初めて機能的に特徴付け、かつ、mTBI後の睡眠紡錘波の喪失及びてんかんスパイクの発生にC1q経路が関与することを初めて実証する。
【0046】
軽度TBI(mTBI)マウスは、遮断C1qが抗発作効果を有するかどうかを判定するための慢性GTCSを発現しなかったが、抗C1q抗体の他の多くの保護効果が観察され、炎症及び神経変性の低下、ならびにTBI後の変化した皮質状態の回復、例えば、睡眠紡錘波の破壊及びてんかんスパイクに対する保護等が挙げられる。これらの観察及び保護的な炎症性細胞型と有害な炎症性細胞型との差異を暗示する以前の文献に基づいて、C1qは、異なる役割を果たすが、病理学の異なる段階では異なる役割を果たす。損傷の時点で、C1qは、皮質の主要部位内の損傷のサイズを制限するグリア瘢痕の形成を補助する。しかしながら、慢性期では、C1q増加は、nRTにおける慢性炎症及び二次的な神経変性を促進する。
【0047】
皮質はまた、C1qの増加を呈するが、この部位でまたはこの時点では損傷的な役割を有さないように見えるか、または視床とは異なり、神経生理学は、慢性的な時点でシャムマウス及びTBIマウスの皮質において類似しているため、対抗的な初期保護的役割を果たす可能性がある。これらの所見は、抗C1q治療が、皮質での恒常的な回復を損なうことなく視床への二次損傷を防止することができる時間窓の存在を示唆する。
【0048】
我々のRNA配列決定結果は、ミクログリアがC1qの主な供給源であり、C4bのアストロサイト及びオリゴデンドロサイトであることを示唆し、その所見は、C1q分子自体の上流(ミクログリア)及び下流(アストロサイト及びオリゴデンドロサイト)の両方の更なる細胞特異的治療標的を示し得る。C4はまた、C4-/-マウスの運動障害の減少によって示されるように、重度TBI後の損傷を媒介するように見える。我々の配列決定データにおけるHc発現の欠如は、nRTニューロン死のメカニズムが膜攻撃複合体媒介性溶解ではないことを示唆しているが、このメカニズムは配列決定アプローチだけでは決定できない。
【0049】
本明細書に開示される研究は、特定の時間窓内でTBIの破壊的転帰を治療するためにC1qを標的とすることができる疾患修飾因子として特定している(この研究では、損傷の24時間後に治療を開始する)。視床C1qはまた、長期にわたる二次損傷を発症する可能性のある個体を同定するのに役立つバイオマーカーとしても役立つ可能性がある。この研究は、mTBI後の慢性的な時点で皮質と視床の両方で電気生理学的記録を実行し、皮質損傷の慢性的な転帰として、nRTにおけるニューロン死及びIPSC低下を同定する最初の研究である。加えて、nRTにおけるmTBIの慢性的な生理学的転帰を示すことにより、nRTを、感覚処理の変化、睡眠障害、及びてんかん等のTBI後転帰の治療のための新規の標的として同定する。
【0050】
異なる免疫経路、TLE、及びTBI後の二次傷害(例えば、TBI誘発てんかん等)の役割に関するこれらの研究にもかかわらず、てんかん及びその関連する進行を予防及び治療するための新たな組成物及び方法が当該技術分野において必要とされている。したがって、初期補体活性化経路の阻害は、例えば、補体活性化経路を含む、補体活性化の初期段階を阻害する抗C1q、抗C1r、及び抗C1s抗体を使用した、てんかんの有望な治療戦略であり得る。抗体には、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体断片、及び/またはその抗体誘導体が含まれる。
【0051】
C1q、C1r、またはC1s等の補体因子の活性を中和することは、古典的補体活性を阻害し、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんを遅くするか、または予防する。特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんにおいてC1q、C1r、またはC1s等の補体因子を中和することに関連する方法が、本明細書に開示される。
【0052】
本開示で挙げられる全ての配列は、米国特許第10,316,081号、米国特許第14/890,811号、米国特許第8,877,197号、米国特許第9,708,394号、米国特許出願第15/360,549号、米国特許第9,562,106号、米国特許第10,450,382号、米国特許第10,457,745号、国際特許出願第PCT/US2018/022462号(これらの各々は、それが開示する抗体及び関連する組成物について参照により本明細書に組み込まれる)から参照により組み込まれる。
【0053】
ある特定の態様では、本明細書に開示されているのは、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんを予防するか、その発症リスクを低下させるか、またはそれを治療する方法であって、補体経路の阻害剤を対象に投与することを含む、方法である。
【0054】
本明細書に開示されているのは、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんを阻害する方法であって、抗Clq抗体、抗Clr抗体、または抗Cls抗体等の抗体を患者に投与することを含む、方法である。ある特定の好ましい実施形態では、抗体は、C1q、C1r、またはC1sに結合し、補体活性化を阻害する。抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、その抗体断片、及び/またはその抗体誘導体であり得る。
【0055】
全長抗体は、組換えDNA操作技術の使用によって調製され得る。そのような操作バージョンには、例えば、天然抗体のアミノ酸配列内にまたはアミノ酸配列への挿入、欠失または変化によって天然抗体可変領域から作製されるものが含まれる。このタイプの特定の例には、1つ目の抗体からの少なくとも1つのCDR及び任意に1つ以上のフレームワークアミノ酸及び2つ目の抗体からの可変領域ドメインの残りを含有するそれらの操作された可変領域ドメインが含まれる。抗体をコードするDNAは、全長抗体をコードするDNAの所望の部分以外の全てを欠失させることによって調製され得る。キメラ化抗体をコードするDNAは、ヒト定常領域を実質的にまたは独占的にコードするDNA、及びヒト以外の哺乳動物の可変領域の配列に実質的にまたは独占的に由来する可変領域をコードするDNAを組換えることによって調製され得る。ヒト化抗体をコードするDNAは、対応するヒト抗体領域に実質的にまたは独占的に由来する定常領域及び相補性決定領域(CDR)以外の可変領域をコードするDNA、及びヒト以外の哺乳動物に実質的にまたは独占的に由来するCDRをコードするDNAを組換えることによって調製され得る。
【0056】
抗体をコードするDNA分子の好適な供給源には、全長抗体を発現するハイブリドーマ等の細胞が含まれる。例えば、抗体は、抗体の重鎖及び/または軽鎖をコードする発現ベクターを発現する宿主細胞から単離され得る。
【0057】
抗体断片及び/または抗体誘導体はまた、抗体可変及び定常領域をコードするDNAの操作及び再発現を含む組換えDNA操作技術の使用によって調製され得る。標準的な分子生物技術は、所望により、更なるアミノ酸またはドメインを改変、付加または欠失させるために使用され得る。可変または定常領域に対する任意の変化は、依然として、本明細書で使用される用語「可変」及び「定常」領域に包含される。いくつかの例では、C1ドメインの翻訳が鎖間システインで停止するように、C1の鎖間システインをコードするコドンの直後に終止コドンを導入することによって抗体断片を生成するためにPCRが使用される。好適なPCRプライマーを設計するための方法は当該技術分野でよく知られており、抗体C1ドメインの配列は容易に利用可能である。いくつかの実施形態では、終止コドンは、部位特異的変異誘発技術を使用して導入され得る。
【0058】
本開示の抗体は、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEならびにそのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む)を含む任意の抗体アイソタイプ(「クラス」)に由来し得る。ある特定の好ましい実施形態では、抗体の重鎖及び軽鎖は、IgGに由来する。抗体の重鎖及び/または軽鎖は、マウスIgGまたはヒトIgGに由来し得る。ある特定の他の好ましい実施形態では、抗体の重鎖及び/または軽鎖は、ヒトIgG1に由来する。更に他の好ましい実施形態では、抗体の重鎖及び/または軽鎖は、ヒトIgG4に由来する。
【0059】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、抗Clq抗体、抗Clr抗体、または抗Cls抗体等の抗体である。抗C1q抗体は、C1qと自己抗体との間、またはC1qとC1rとの間、またはC1qとC1sとの間の相互作用を阻害し得る。抗C1r抗体は、C1rとC1qとの間、またはC1rとC1sとの間の相互作用を阻害し得る。抗C1r抗体は、C1rの触媒活性を阻害し得、または抗C1r抗体は、pro-C1rの活性プロテアーゼへの処理を阻害し得る。抗C1s抗体は、C1sとC1qとの間、またはC1sとC1rとの間、またはC1sとC2もしくはC4との間の相互作用を阻害し得、または抗C1s抗体は、C1sの触媒活性を阻害し得、またはそれは、pro-C1sの活性プロテアーゼへの処理を阻害し得る。いくつかの例では、抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体は、循環または組織からのC1q、C1rまたはC1sのクリアランスを引き起こす。
【0060】
本明細書で開示される抗体は、例えば、哺乳動物C1q、C1r、またはC1s、好ましくはヒトC1q、C1r、またはC1sに結合する、モノクローナル抗体であり得る。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗体断片、またはその抗体誘導体であり得る。本明細書に開示される抗体はまた、血液脳関門(BBB)を通過し得る。抗体は、BBB受容体媒介性輸送系、例えば、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、レプチン受容体、LDL受容体、またはIGF受容体を利用する系を活性化し得る。抗体は、ヒトへの投与に好適な十分なヒト配列を有するキメラ抗体であり得る。抗体は、グリコシル化または非グリコシル化であり得;いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、CHO細胞における翻訳後修飾によって生成されるグリコシル化パターンで、グリコシル化される。いくつかの実施形態では、抗体は、E.coliで産生される。
【0061】
抗体は、第1及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体であり得、例えば、第1の抗原は、C1q、C1r、及びC1sから選択され、及び/または第2の抗原は、抗体が、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマ単一ドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンギオペプチド、またはANG1005から選択される抗原等の、血液脳関門を通過することを可能にする抗原である。
【0062】
本開示の抗体は、C1q、C1r、C1s、またはC1に結合し、その生物学的活性を阻害し得る。例えば、(1)自己抗体に対するC1q結合、(2)C1rに対するC1q結合、(3)C1sに対するC1q結合、(4)ホスファチジルセリンに対するC1q結合、(5)ペントラキシン-3に対するC1q結合、(6)C反応性タンパク質(CRP)に対するC1q結合、(7)球状C1q受容体(gC1qR)に対するC1q結合、(8)補体受容体1(CR1)に対するC1q結合、(9)Bアミロイドに対するC1q結合、または(10)カルレチキュリンに対するC1q結合。他の実施形態では、C1qの生物学的活性は、(1)古典的補体活性化経路の活性化、(2)抗体及び補体依存性細胞傷害の活性化、(3)CH50溶血、(4)シナプス損失、(5)B細胞抗体産生、(6)樹状細胞成熟、(7)T細胞増殖、(8)サイトカイン産生、(9)ミクログリア活性化、(10)アルツス反応、(11)シナプスもしくは神経終末の食作用、(12)補体受容体3(CR3/C3)発現細胞の活性化である。
【0063】
いくつかの実施形態では、CH50溶血は、ヒト、マウス、及び/またはラットCH50溶血を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、CH50溶血の少なくとも約50%~少なくとも約95%を中和することが可能である。抗体はまた、150ng/ml未満、100ng/ml未満、50ng/ml未満、または20ng/ml未満の用量でCH50溶血の少なくとも50%を中和することが可能であり得る。
【0064】
補体活性を測定するための他のin vitroアッセイには、補体活性化中に形成する補体成分または複合体の分割生成物の測定のためのELISAアッセイが含まれる。古典的経路を介する補体活性化は、血清中のC4d及びC4のレベルを追跡することによって測定され得る。代替経路の活性化は、循環におけるBbまたはC3bBbP複合体のレベルを評価することによってELISAで測定され得る。in vitro抗体媒介性補体活性化アッセイもまた、C3a生成の阻害を評価するために使用され得る。
【0065】
本開示の抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、その抗体断片、またはその誘導体であり得る。
【0066】
本開示の抗体はまた、抗体断片、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子であり得る。
【0067】
本明細書に開示されるのは、第2の薬剤、例えば、第2の阻害剤を対象に投与する方法である。いくつかの実施形態では、第2の阻害剤は、抗体(例えば、抗Clq抗体、抗Clr抗体、または抗Cls抗体)である。他の実施形態では、第2の阻害剤は、抗体依存性細胞傷害、代替補体活性化経路の阻害剤、及び/または自己抗体と自己抗原との間の相互作用の阻害剤であり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、対象のてんかん(特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等)発症リスクを決定する方法であって、(a)抗体(すなわち、抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体)を対象に投与することであって、抗体は、検出可能な標識に連結される、投与することと、(b)検出可能な標識を検出して、対象におけるC1q、C1r、もしくはC1sの量または位置を測定することと、(c)C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を参照と比較することであって、てんかん(特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等)発症リスクは、C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を参照と比較することに基づいて特徴付けられる、比較することと、を含む、方法が提供される。検出可能な標識は、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、放射性同位体、ビオチンまたは蛍光標識を含み得る。いくつかの例では、抗体は、ビオチン化のプロセスを使用してビオチン等の補酵素で標識され得る。ビオチンが標識として使用される場合、抗体の検出は、アビジンまたはその細菌性対応物であるストレプトアビジン等のタンパク質の添加によって達成される(そのいずれかが、検出可能なマーカー、例えば、前述した色素、蛍光マーカー、例えば、フルオレセイン、放射性同位体または酵素、例えば、ペルオキシダーゼに結合され得る)。いくつかの実施形態では、抗体は、抗体断片(例えば、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、またはF(ab’)断片)である。
【0069】
本明細書に開示される抗体はまた、標識基、例えば、放射性同位体、放射性核種、酵素基、ビオチニル基、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、または蛍光標識に連結され得る。標識基は、潜在的立体障害を減少させるために任意の好適な長さのスペーサー腕部を介して抗体に連結され得る。タンパク質を標識するための様々な方法が当該技術分野で知られており、そのような標識抗体を調製するために使用され得る。
【0070】
様々な投与経路が企図される。そのような投与方法には、局所、非経口、皮下、腹腔内、肺内、髄腔内、鼻腔内、及び病巣内投与が含まれるがこれらに限定されない。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。中枢神経系の状態の治療のために、抗体は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、または更には経口投与等の非侵襲的末梢経路に続く血液脳関門を通過するように適合され得る。
【0071】
好適な抗体には、補体成分C1q、C1r、またはC1sに結合する抗体が含まれる。そのような抗体には、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体断片、及び/またはその抗体誘導体が含まれる。
【0072】
好ましい抗体は、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター及びモルモット)を(1)ヒト血漿または血清からの精製された補体成分の酵素消化に由来する天然補体成分(例えば、C1q、C1r、またはC1s)、または(2)真核生物系または原核生物系のいずれかによって発現した組換え補体成分、またはその誘導断片で免疫することによって樹立され得るモノクローナル抗体である。他の動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒト免疫グロブリンを発現するトランスジェニックマウス、及びヒトBリンパ球が移植された重症複合免疫不全(SCID)マウスが免疫のために使用され得る。
【0073】
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、病原体に対する免疫系の反応において免疫グロブリン(Ig)分子として天然に生成される。ヒト血清において8mg/mlの濃度を有する優勢的な形式である約150kDaのIgG1分子は、2つの同一の約50kDaの重鎖及び2つの同一の約25kDaの軽鎖から構成される。
【0074】
ハイブリドーマは、免疫された動物からのBリンパ球をミエローマ細胞と融合させることによって従来の手順によって生成され得る。加えて、抗C1q、C1r、またはC1s抗体は、ファージディスプレイシステムにおいてヒトBリンパ球からの組換え一本鎖FvまたはFabライブラリをスクリーニングすることによって生成され得る。ヒトC1q、C1r、またはC1sに対するMAbの特異性は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンイムノブロッティング、または他の免疫化学的技術によって試験され得る。
【0075】
スクリーニングプロセスにおいて同定された抗体の補体活性化に対する阻害活性は、代替補体経路の場合は未感作ウサギまたはモルモットRBC、または古典的補体経路の場合は感作ニワトリまたはヒツジRBCを使用して溶血アッセイによって評価され得る。古典的補体経路に特異的な阻害活性を示すそれらのハイブリドーマは、限界希釈によってクローニングされる。抗体は、上述したアッセイによってヒトC1q、C1r、またはC1sに対する特異性についての特性化のために精製される。
【0076】
抗C1q、C1r、またはC1s抗体の可変領域の分子構造に基づいて、分子モデリング及び合理的分子設計が使用されて、抗体の結合領域の分子構造を模倣し、C1q、C1r、またはC1sの活性を阻害する小分子が生成され、スクリーニングされ得る。これらの小分子は、ペプチド、ペプチド模倣物、オリゴヌクレオチド、または有機化合物であり得る。模倣分子は、炎症症状及び自己免疫疾患において補体活性化の阻害剤として使用され得る。代替的には、コンビナトリアル化合物のライブラリから好適な小分子を単離するためにその分野で一般的に使用される大規模スクリーニング手順が使用され得る。
【0077】
本明細書に開示される抗体の好適な投薬量は、10~500μg/mLの血清であり得る。実際の投薬量は、最適な投薬量を決定するための従来の方法論に従った臨床試験、すなわち、様々な投薬量を投与し、どの用量が望ましくない副作用を伴わずに好適な有効性を提供するかを決定するための臨床試験において決定され得る。
【0078】
組換えDNA技術の出現の前は、抗体分子の構造を切断し、分子のどの部分がその様々な機能を担っているのかを決定するために、ポリペプチド配列を切断するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が使用されていた。プロテアーゼパパインでの限定消化は、抗体分子を3つの断片に切断する。Fab断片として知られている2つの断片は同一であり、抗原結合活性を含有する。Fab断片は、抗体分子の2つの同一の腕部に対応し、その各々は、重鎖のV及びC1ドメインと対合した完全軽鎖からなる。他の断片は、抗原結合活性を含まないが、容易に結晶化することが当初観察され、この理由からFc断片(結晶化可能断片)と名付けられた。
【0079】
Fab分子は、定常ドメインC2及びC3を欠く重鎖を有するIg分子の人工の約50kDaの断片である。2つの異好性(V-V及びC-C1)ドメイン相互作用は、Fab分子の2つの鎖の構造の基礎にあり、これはCとC1との間のジスルフィド架橋によって更に安定化される。Fab及びIgGは、6つの相補性決定領域(CDR)(3つはそれぞれV及びVに由来する(LCDR1、LCDR2、LCDR3及びHCDR1、HCDR2、HCDR3))によって形成される同一の抗原結合部位を有する。CDRは、抗体の超可変抗原結合部位を画定する。最も高い配列バリエーションは、LCDR3及びHCDR3に見られ、これは天然免疫系では、それぞれV及びJ遺伝子またはV、D及びJ遺伝子の再編成によって生成される。LCDR3及びHCDR3は典型的には、抗原結合部位のコアを形成する。6つのCDRを接続し、提示する保存領域は、フレームワーク領域と称される。可変ドメインの三次元構造において、フレームワーク領域は、外側では超可変CDRループによって及び内側では保存ジスルフィド架橋によって連結された2つの対向する逆平行β-シートのサンドイッチを形成する。
【0080】
定義
本明細書で使用される場合、「a」または「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書において請求項(複数可)で使用される場合、用語「含む」と併せて使用される場合、用語「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。例えば、「抗体」に対する言及は、1つから多くの抗体の言及である。本明細書で使用される場合、「別の」は、少なくとも第2のまたはそれ以上を意味し得る。
【0081】
本明細書で使用される場合、別の化合物または組成物と「併せた」投与は、同時投与及び/または異なる時点での投与を含む。併せた投与はまた、異なる投薬頻度または間隔、及び同じ投与経路または異なる投与経路を使用することを含む、共製剤としての投与または別々の組成物としての投与を包含する。
【0082】
用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書で「抗体」と互換的に使用される。本明細書における用語「抗体」は、最も広義に使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、所望の生物学的活性を示す場合に限り抗体断片、及び抗体誘導体を具体的に包含する。
【0083】
基本的な4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。V及びVが一緒に対合すると、単一の抗原結合部位が形成される。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Ed.,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton&Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。
【0084】
任意の脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てられ得る。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。5つのクラスの免疫グロブリンが存在する:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM(アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)及びミュー(「μ」)と標記される重鎖をそれぞれ有する)。γ及びαクラスは、CH配列及び機能の比較的小さな相違に基づいてサブクラス(アイソタイプ)に更に分類され、例えば、ヒトは、次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構成はよく知られており、一般に、例えば、Abbas et al.,Cellular and Molecular Immunology,4th ed.(W.B.Saunders Co.,2000)に記載されている。
【0085】
用語「薬剤」は、本明細書で使用される場合、特に補体経路を介してシナプス損失を調節する能力を有する任意の分子、例えば、タンパク質または医薬品を記載する。候補薬剤には、遺伝子要素、例えば、C1q発現を阻害するアンチセンス分子及びRNAi分子、ならびに補体阻害剤、例えばCD59等をコードする構築物も含まれる。候補薬剤は、典型的には有機分子であるが、多数の化学クラスを包含し、例えば、分子量が50超及び約2,500ダルトン未満である小さな有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質、特に水素結合との構造的相互作用に必要な官能基を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル、またはカルボキシル基、好ましくは官能性化学基のうちの少なくとも2つを含む。候補薬剤は、多くの場合、上記官能基のうちの1つ以上で置換された環状炭素もしくは複素環式構造及び/または芳香族もしくは多芳香族構造を含む。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的類似体、またはそれらの組み合わせを含む生体分子の中に見出される。通常、複数のアッセイの混合は、様々な濃度に対する異なった反応を得るために異なる薬剤濃度で並行して実行される。典型的には、これらの濃度のうちの1つは、陰性対照として、すなわち、ゼロ濃度または検出レベル未満で機能する。
【0086】
「全長抗体」は通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖を含む約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されている一方で、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖は、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(V)と、それに続くいくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を有し、その他端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
【0087】
「単離された」分子または細胞は、それが生成された環境において通常関連する少なくとも1つの混入分子または細胞から同定及び分離された分子または細胞である。好ましくは、単離された分子または細胞は、生成環境に関連する全ての成分と会合しない。単離された分子または細胞は、天然に見られる形態または状況以外の形態である。そのため、単離された分子は、細胞に天然に存在する分子とは区別され;単離された細胞は、組織、器官、または個体に天然に存在する細胞とは区別される。いくつかの実施形態では、単離された分子は、本開示の抗C1s、抗C1q、または抗C1r抗体である。他の実施形態では、単離された細胞は、本開示の抗C1s、抗C1q、または抗C1r抗体を生成する宿主細胞またはハイブリドーマ細胞である。
【0088】
「単離された」抗体は、その生成環境(例えば、天然または組換え)の成分から同定、分離、及び/または回収されたものである。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その生成環境からの全ての他の混入成分と会合しない。組換えトランスフェクション細胞に起因するもの等のその生成環境からの混入成分は、抗体の研究、診断的または治療的使用を典型的に妨げるであろう物質であり、これには酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。ある特定の好ましい実施形態では、ポリペプチドは、(1)例えば、ローリー法によって決定される、抗体の95重量%超、いくつかの実施形態では、99重量%超になるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用して、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クマシーブルー、または好ましくはシルバー染色を使用して、非還元または還元条件下でSDS-PAGEによって均質性が得られるまで、精製されるであろう。単離された抗体には、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、組換えT細胞内でin situの抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製工程を含むプロセスによって調製される。
【0089】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ「V」及び「V」と称され得る。これらのドメインは通常、抗体の最も可変性の高い部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含有する。
【0090】
用語「可変」は、可変ドメインのある特定のセグメントが、抗体によって配列が大幅に異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインの両方において、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、ベータ-シート構造を接続し、いくつかの場合では、ベータ-シート構造の一部を形成するループを形成する3つのHVRによって接続されたベータ-シート立体配置を大いに採用する4つのFR領域を含む。各鎖内のHVRは、FR領域によって近接して互いに結び付いており、他方の鎖のHVRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接的に関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与を示す。
【0091】
本明細書で使用される場合、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内に見られる非連続的抗原結合部位を意味することが意図されている。CDRは、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977);Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of proteins of immunological interest”(1991)(本明細書ではKabat 1991とも称される);Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)(本明細書ではChothia 1987とも称される);及びMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)(定義には、互いに対して比較した場合にアミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる)に記載されている。それにもかかわらず、抗体もしくはグラフト抗体またはそのバリアントのCDRを指すためのいずれの定義の適用も、本明細書で定義及び使用される用語の範囲内であることが意図されている。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「CDR-L1」、「CDR-L2」、及び「CDR-L3」は、それぞれ、軽鎖可変領域における第1、第2、及び第3CDRを指す。本明細書で使用される場合、用語「CDR-H1」、「CDR-H2」、及び「CDR-H3」は、それぞれ、重鎖可変領域における第1、第2、及び第3CDRを指す。本明細書で使用される場合、用語「CDR-1」、「CDR-2」、及び「CDR-3」は、それぞれ、いずれかの鎖の可変領域の第1、第2及び第3CDRを指す。
【0093】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団の個々の抗体は、微量で存在し得る天然に存在する変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性体化、アミド化)を除き、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して仕向けられている。異なる決定基(エピトープ)に対して仕向けられた異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して仕向けられている。それらの特異性に加え、モノクローナル抗体は、典型的にはハイブリドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンが混入されていないので有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団として得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495-97(1975);Hongo et al.,Hybridoma,14(3):253-260(1995),Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2d ed.1988);Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 101(34):12467-472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004))、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座もしくはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部もしくは全てを有する動物においてヒトまたはヒト様抗体を産生するための技術(例えば、WO1998/24893;WO1996/34096;WO1996/33735;WO1991/10741;Jakobovits et al.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993);Bruggemann et al.Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;及び第5,661,016号;Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992);Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994);Morrison,Nature 368:812-813(1994);Fishwild et al.Nature Biotechnol.14:845-851(1996);Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996);ならびにLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照のこと)を含む、様々な技術によって作製される。
【0094】
用語「全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「完全抗体」は、抗体断片または抗体誘導体とは対照的に、実質的にインタクトな形態の抗体を指すために互換的に使用される。具体的には、完全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであり得る。いくつかの場合では、インタクトな抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
【0095】
抗体の「抗体断片」または「機能的断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合及び/または可変領域または改変されたFcR結合能力を保持するまたは有する抗体のF領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)及びFv断片;ダイアボディ;及び線状抗体が含まれる(米国特許5,641,870、実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)参照)。抗体断片の追加の例には、抗体誘導体、例えば、抗体断片から形成される一本鎖抗体分子、一価抗体及び多重特異性抗体が含まれる。
【0096】
「抗体誘導体」は、抗体の抗原結合領域を含む任意の構築物である。抗体誘導体の例には、抗体断片から形成される一本鎖抗体分子、一価抗体及び多重特異性抗体が含まれる。
【0097】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される1つの残留「Fc」断片とが生成される。Fabフラグメントは、L鎖全体に加えて、H鎖の可変領域ドメイン(V)、ならびに1つの重鎖の第1の定常ドメイン(C1)からなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関しては一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、単一の大型F(ab’)断片をもたらし、これは、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合したFab断片にほぼ対応し、依然として抗原を架橋することができる。Fab’断片は、C1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、いくつかの更なる残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における呼称である。F(ab’)抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも既知である。
【0098】
Fcフラグメントは、ジスルフィドによって一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域における配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0099】
本明細書における「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用され、天然配列のFc領域及びバリアントFc領域が含まれる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによると残基447)は、例えば、抗体の生成もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって、除去されてもよい。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全K447残基が除去された抗体母集団、除去されたK447残基がない抗体母集団、及びK447残基を有する抗体と有しない抗体との混合物を有する抗体母集団を含んでもよい。本開示の抗体における使用に好適な天然配列のFc領域には、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が含まれる。
【0100】
「天然配列Fc領域」は、天然で見られるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ)、天然配列ヒトIgG2 Fc領域、天然配列ヒトIgG3 Fc領域、及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびにそれらの天然に存在するバリアントが含まれる。
【0101】
「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変、好ましくは1つ以上のアミノ酸置換(複数可)によって天然配列Fc領域のものとは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域中または親ポリペプチドのFc領域中に約1~約10個のアミノ酸置換、及び好ましくは約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバリアントFc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、ならびに最も好ましくは、それらと少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらと少なくとも約95%の相同性を保有する。
【0102】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)と結合し、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び選択的スプライシング形態を含むものであり、FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは主にその細胞質性ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(「ITAM」)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(「ITIM」)をその細胞質性ドメインに含有する。(例えば、M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照のこと)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.CLIN.Med.126:330-41(1995)において検討されている。将来特定されるものを含む他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。FcRは、抗体の血清半減期を増加させ得る。
【0103】
ヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドのインビボでのFcRnへの結合及び血清中半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスもしくはトランスフェクトヒト細胞株において、またはバリアントFc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類においてアッセイすることができる。WO2004/42072(Presta)は、FcRへの結合が改善また低減された抗体バリアントについて記載している。また、例えば、Shields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照のこと。
【0104】
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する最小の抗体フラグメントである。このフラグメントは、1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、抗原結合特異性を抗体に与える、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性であるが、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)でさえも、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0105】
「sFv」または「scFv」とも短縮される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に結合されるVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、V及びVドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含んでおり、sFvが抗原結合に所望される構造を形成することを可能にする。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照のこと。
【0106】
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合を達成し、それによって二価フラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメントが得られるように、VドメインとVドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFvフラグメント(前の段落を参照されたい)を構築することによって調製された小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のV及びVドメインが異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、EP 404,097;WO 1993/011161;WO/2009/121948;WO/2014/191493;Hollinger et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:6444-48(1993)においてより詳細に記載されている。
【0107】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」は、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である抗体(免疫グロブリン)、ならびにそのような抗体の断片を指し、これは、それらが所望される生物学的活性を呈する限りにおいてである(米国特許番号4,816,567;Morrison et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,81:6851-55(1984))。本明細書における対象となるキメラ抗体には、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれ、ここで、この抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルに目的の抗原で免疫付与を行うことによって生成される抗体に由来する。本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットである。
【0108】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVRからの残基が、所望される特異性、親和性、及び/または能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)のHVRからの残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFR残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含み得る。これらの改変は、結合親和性等の抗体の性能を更に改良するために行われ得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、ここで、超可変ループの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域には、結合親和性、異性体化、免疫原性等の抗体の性能を向上させる1つ以上の個々のFR残基置換が含まれてもよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は典型的には、H鎖では6以下、及びL鎖では3以下である。ヒト化抗体はまた、任意に、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含む。更なる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照のこと。また、例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy, Asthma&Immunol.1:105-115 (1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994);ならびに米国特許第6,982,321号及び第7,087,409号を参照のこと。
【0109】
「ヒト抗体」は、ヒトによって生成された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製する技術のうちの任意のものを用いて作製されたものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む当該技術分野で既知の種々の技術を使用して生成され得る。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載の方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。また、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)を参照のこと。ヒト抗体は、抗原攻撃に応答してそのような抗体を生成するように改変されているが、その内因性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化異種マウス(xenomice)に抗原を投与することにより調製され得る(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関しては、米国特許第6,075,181及び6,150,584を参照のこと)。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体についても、Li et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)を参照されたい。
【0110】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、配列が超可変性であり、及び/または構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。概して、抗体は、6つのHVRを含み、3つがVHにあり(H1、H2、H3)、3つがVLにある(L1、L2、L3)。天然抗体において、H3及びL3は、これらの6つのHVRのうちで最も高い多様性を呈し、特にH3が、抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000);Johnson and Wu in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003))を参照されたい。実際には、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ科抗体は、軽鎖の不在下で機能的であり、安定している。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1993)及びSheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照のこと。
【0111】
いくつかのHVR描写が本明細書で使用され、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)であるHVRは、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(上記のKabat et al.)。Chothiaは、そうではなく、構造的ループの位置を指す(Chothia及びLesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、Kabat CDRとChothia構造的ループとの間の妥協案を示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらのHVRの各々由来の残基が以下に記載される。


【表1】
【0112】
HVRは、以下のように「伸長HVR」を含み得る:VLにおける24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び89~97または89~96(L3)、ならびにVHにおける26~35(H1)、50~65または49~65(好ましい実施形態)(H2)、及び93~102、94~102、または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの伸長HVRの定義の各々について上記のKabat et al.に従って番号付けされる。
【0113】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0114】
「Kabatにあるような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatにあるようなアミノ酸位置番号付け」という語句、及びそれらの変形は、上記のKabat et al.における抗体の編集物の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮、またはそれへの挿入に対応するより少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従って残基52a)を、また重鎖FR残基82後に挿入された残基(例えば、Kabatに従って残基82a、82b、及び82c等)を含んでもよい。残基のKabat番号付けは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによって番号付けされた配列との相同領域での整合によって決定され得る。
【0115】
Kabatナンバリングシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(大体、軽鎖の1~107残基及び重鎖の1~113残基)に言及する際に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。(1991))。「EU番号付けシステム」または「EU指標」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及する際に使用される(例えば、上記のKabat et al.で報告されているEU指標)。「KabatにあるようなEU指標」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。本明細書に別途述べられない限り、抗体の可変ドメインにおける残基番号への言及は、Kabat番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。本明細書で別途述べられない限り、抗体の定常ドメインにおける残基番号への言及は、EU番号付けシステムによる残基番号付けを意味する(例えば、米国特許公開番号2010-280227参照)。
【0116】
「アクセプターヒトフレームワーク」は、本明細書で使用される場合、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク由来のVLフレームワークまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それと同じアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれは既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。いくつかの実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。既存のアミノ酸変化がVHに存在する場合、好ましいそれらの変化が位置71H、73H、及び78Hのうちの3つ、2つ、または1つにのみ存在し、例えば、それらの位置のアミノ酸残基は、71A、73T、及び/または78Aであり得る。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列において、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0117】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を代表する、フレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行われる。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)にあるようなサブグループである。例には、VLに関するものが含まれ、サブグループは、上記のKabat et al.にあるようなサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVであり得る。更に、VHについては、サブグループは、上記のKabat et al.にあるようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであり得る。
【0118】
指定された位置における「アミノ酸改変」は、指定された残基の置換もしくは欠失、または指定された残基に隣接する少なくとも1個のアミノ酸残基の挿入を指す。指定された残基に「隣接する」挿入は、その1~2個の残基内への挿入を意味する。挿入は、指定された残基のN末端側またはC末端側であり得る。本明細書における好ましいアミノ酸改変は、置換である。
【0119】
「親和性成熟」抗体は、その1つ以上のHVRに1つ以上の変化を有し、これらの変化が、それらの変化(複数可)を有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらすものである。いくつかの実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモルまたは更にはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で公知の手順によって生成される。例えば、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発は、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809-3813(1994);Schier et al.Gene 169:147-155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
【0120】
本明細書で使用される場合、用語「特異的に認識する」または「特異的に結合する」は、生物学的分子を含む分子の異種集団の存在下で標的の存在を決定する、標的と抗体との間の引力または結合等の測定可能な及び再生可能な相互作用を指す。例えば、標的またはエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、他の標的または標的の他のエピトープに結合する場合よりも高い親和性、アビディティで、より容易に、及び/またはより長い持続時間でこの標的またはエピトープに結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部位)は、第2の標的に特異的または優先的に結合する場合があり、または結合しない場合があることも理解される。このように、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的な結合を(含み得るが)必ずしも必要とするわけではない。標的に特異的に結合する抗体は、少なくとも約10-1または10-1、時に約10-1または10-1、他の例では約10-1または10-1、約10-1~10-1、または約1010-1~1011-1またはそれ以上の結合定数を有し得る。特定のタンパク質と特異的免疫反応性の抗体を選択するために多様なイムノアッセイ形式が使用され得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的免疫反応性のモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用される。特異的免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイ形式及び条件の説明については、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照されたい。
【0121】
「同一性」は、本明細書で使用される場合、アライメントされた配列における任意の特定の位置でアミノ酸残基が配列間で同一であることを示す。「類似性」は、本明細書で使用される場合、アライメントされた配列における任意の特定の位置でアミノ酸残基が配列間で類似するタイプのものであることを示す。例えば、ロイシンは、イソロイシンまたはバリンの代わりに用いられ得る。しばしば互いに置換され得る他のアミノ酸には、以下が含まれるがこれらに限定されない:
-フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸);
-リジン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸);
-アスパルテート及びグルタメート(酸性側鎖を有するアミノ酸);
-アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);及び
-システイン及びメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)
【0122】
同一性及び類似性の度合いは、容易に計算できる。(例えば、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing.Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991を参照のこと)。
【0123】
本明細書で使用される場合、補体タンパク質と第2のタンパク質との間の「相互作用」は、限定されないが、タンパク質-タンパク質相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、及びイオン結合を包含する。本明細書で使用される場合、抗体が2つのタンパク質間の相互作用を破壊し、減少させ、または完全に排除する場合、抗体は、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。抗体またはその断片が2つのタンパク質のうちの1つに結合する場合、本開示の抗体、またはその断片は、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。
【0124】
「遮断」抗体、「アンタゴニスト」抗体、「阻害」抗体、または「中和」抗体は、それが結合する抗原の1つ以上の生物学的活性、例えば、1つ以上のタンパク質との相互作用を阻害または減少させる抗体である。いくつかの実施形態では、遮断抗体、アンタゴニスト抗体、阻害抗体、または「中和」抗体は、抗原の1つ以上の生物学的活性または相互作用を実質的にまたは完全に阻害する。
【0125】
用語「阻害剤」は、標的生体分子の活性または発現を減少させることによるものかどうかにかかわらず、標的生体分子、例えば、mRNAまたはタンパク質の生物学的機能を阻害する能力を有する化合物を指す。阻害剤は、抗体、小分子、または核酸分子であり得る。用語「アンタゴニスト」は、受容体に結合し、受容体の生物学的反応を阻止または減衰させる化合物を指す。用語「阻害剤」はまた、「アンタゴニスト」を指し得る。
【0126】
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因するそれらの生物学的活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。
【0127】
本明細書で使用される場合、用語「親和性」は、2つの物質(例えば、抗体及び抗原)の可逆的結合についての平衡定数を指し、解離定数(KD)として表される。親和性は、非関連アミノ酸配列に対する抗体の親和性よりも少なくとも1倍高く、少なくとも2倍高く、少なくとも3倍高く、少なくとも4倍高く、少なくとも5倍高く、少なくとも6倍高く、少なくとも7倍高く、少なくとも8倍高く、少なくとも9倍高く、少なくとも10倍高く、少なくとも20倍高く、少なくとも30倍高く、少なくとも40倍高く、少なくとも50倍高く、少なくとも60倍高く、少なくとも70倍高く、少なくとも80倍高く、少なくとも90倍高く、少なくとも100倍高く、または少なくとも1,000倍高く、またはそれ以上であり得る。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル濃度(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル濃度(pM)、または約100nM~約1フェムトモル濃度(fM)またはそれ以上であり得る。本明細書で使用される場合、用語「アビディティ」は、2つ以上の物質の複合体が希釈後に解離することに対する抵抗性を指す。用語「免疫反応性」及び「優先的に結合する」は、抗体及び/または抗原結合断片に関して本明細書で互換的に使用される。
【0128】
用語「結合」は、例えば、塩架橋及び水架橋等の相互作用を含む、共有結合性、静電気性、疎水性、及びイオン性及び/または水素結合相互作用による、2つの分子間の直接的会合を指す。例えば、対象抗C1s抗体は、補体C1sタンパク質内のエピトープに特異的に結合する。「特異的結合」は、少なくとも約10-7M以上、例えば、5×10-7M、10-8M、5×10-8M、及びそれ以上の親和性での結合を指す。「非特異的結合」は、約10-7M未満の親和性、例えば、10-6M、10-5M、10-4M等の親和性での結合を指す。
【0129】
用語「kon」は、本明細書で使用される場合、抗原に対する抗体の会合についての速度定数を指すことが意図されている。
【0130】
用語「koff」は、本明細書で使用される場合、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての速度定数を指すことが意図されている。
【0131】
用語「K」は、本明細書で使用される場合、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことが意図されている。
【0132】
本明細書で使用される場合、ペプチド、ポリペプチド、または抗体配列に関して、「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「相同性」は、配列同一性最大パーセントを達成するために、配列を整合させ、必要に応じてギャップを導入した後の、配列同一性の一部としていずれの保存的置換も考慮しない、特定のペプチドもしくはポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合を指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、例えば、公共に利用可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアを使用して、当該技術分野における技術内の様々な方法で達成され得る。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要な当該技術分野で知られている任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定し得る。
【0133】
「生物学的サンプル」は、個体から得られる多様なサンプルタイプを包含し、診断またはモニタリングアッセイにおいて使用され得る。その定義は、血液及び生物学的起源の他の液体サンプル、固体組織サンプル、例えば、生検試料または組織培養物またはそれに由来する細胞及びその子孫を包含する。その定義にはまた、それらの調達後に任意の方法で、例えば、ポリヌクレオチド等のある特定の成分について試薬での処置、可溶化、または濃縮によって操作されたサンプルが含まれる。用語「生物学的サンプル」は、臨床サンプルを包含し、培養細胞、細胞上清、細胞ライセート、血清、血漿、生体液、及び組織サンプルも含む。用語「生物学的サンプル」には、尿、唾液、脳脊髄液、間質液、眼液、滑液、血液分画、例えば、血漿及び血清等が含まれる。用語「生物学的サンプル」にはまた、固体組織サンプル、組織培養サンプル、及び細胞サンプルが含まれる。
【0134】
「単離された」核酸分子は、それが生成された環境において通常関連する少なくとも1つの混入核酸分子から同定及び分離された核酸分子である。好ましくは、単離された核酸は、生成環境に関連する全ての成分と会合しない。本明細書におけるポリペプチド及び抗体をコードする単離された核酸分子は、天然に見られる形態または状況以外の形態である。そのため、単離された核酸分子は、細胞において天然に存在する本明細書における任意のポリペプチド及び抗体をコードする核酸とは区別される。
【0135】
用語「ベクター」は、本明細書で使用される場合は、それが連結された別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指すことが意図されている。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、これは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAを指す。ベクターの別のタイプは、ファージベクターである。ベクターの別のタイプは、ウイルスベクターであり、この場合、追加のDNAセグメントがウイルスゲノム内にライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入すると宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それにより宿主ゲノムとともに複製される。更に、ある特定のベクターは、それらが機能可能に連結された遺伝子の発現を指示することが可能である。そのようなベクターは、本明細書で「組換え発現ベクター」、または単純に「発現ベクター」と称される。通常、組換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしば、プラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に使用される形態のベクターであるため互換的に使用され得る。
【0136】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」、または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドまたは塩基、及び/またはそれらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってまたは合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチド及びそれらのアナログを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、ポリマーのアセンブリの前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって隔てられていてもよい。ポリヌクレオチドは、合成後に生成される改変(複数可)、例えば、標識へのコンジュゲーションを含み得る。他のタイプの改変には、例えば、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上をアナログと置換する「キャップ」、ヌクレオチド間改変、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホン酸塩、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)によるもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジン等)等の懸垂部位を含むもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラーレン等)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、改変結合(例えば、アルファアノマー核酸等)によるもの、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の未改変形態が含まれる。更に、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置き換えられるか、標準的な保護基により保護されるか、もしくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を生成してもよく、または固体もしくは半固体支持体にコンジュゲーションされてもよい。5’及び3’末端OHは、リン酸化され、またはアミンもしくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部位と置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環糖アナログ、α-アノマー糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、アクリル酸アナログ、及び塩基性ヌクレオシドアナログ、例えば、メチルリボシドを含む、当該技術分野において一般的に知られているリボースまたはデオキシリボース糖のアナログ形態を含み得る。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替連結基によって置き換えられ得る。これらの代替連結基には、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH(「ホルムアセタール」)(式中、各RまたはR’は、独立して、H、またはエーテル(-O-)結合を任意に含有する置換もしくは非置換アルキル(1~20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルキルである)によって置き換えられた実施形態が含まれるがこれらに限定されない。ポリヌクレオチドにおける全ての結合が同一である必要はない。先述の記載は、RNA及びDNAを含む、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0137】
「遺伝子編集剤」は、本明細書で使用される場合、その代表例として、Cas9及びCpfl gRNA等のCRISPR関連ヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼのArgonauteファミリー、クラスター化された規則的に間隔が空いた短い回文反復(CRISPR)ヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、他のエンドヌクレアーゼ及び/またはエキソヌクレアーゼが挙げられる、遺伝子編集剤として定義される。Schiffer,2012,J Virol 88(17):8920-8936(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0138】
「RNA干渉剤」は、本明細書で使用される場合、RNA干渉(RNAi)による標的バイオマーカー遺伝子の発現を妨げるかまたは阻害する任意の薬剤として定義される。そのようなRNA干渉剤には、本発明の標的バイオマーカー遺伝子に相同なRNA分子またはその断片、小分子干渉RNA(siRNA)、及びRNA干渉(RNAi)による標的バイオマーカー核酸の発現を妨げるかまたは阻害する小分子を含む核酸分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0139】
「RNA干渉(RNAi)」は、標的バイオマーカー核酸と同一もしくは非常に類似の配列のRNAの発現または導入が、その標的遺伝子から転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の配列特異的分解または特異的転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)(Coburn,G.and Cullen,B.(2002)J.of Virology 76(18):9225を参照のこと)をもたらし、それによって標的バイオマーカー核酸の発現を阻害する、進化的に保存されたプロセスである。一実施形態では、RNAは、二本鎖RNA(dsRNA)である。このプロセスは、植物、無脊椎動物、及び哺乳動物細胞に記載されている。自然界では、RNAiは、dsRNA特異的エンドヌクレアーゼDicerによって開始され、これは、siRNAと呼ばれる二本鎖断片への長いdsRNAのプロセッシブな切断を促進する。siRNAは、標的mRNAを認識し、切断するタンパク質複合体に組み込まれる。RNAiはまた、標的バイオマーカー核酸の発現を阻害するかまたはサイレンシングするために、核酸分子、例えば、合成siRNA、shRNA、または他のRNA干渉剤を導入することによって開始され得る。本明細書で使用される場合、「標的バイオマーカー核酸発現の阻害」または「マーカー遺伝子発現の阻害」は、標的バイオマーカー核酸によってコードされる標的バイオマーカー核酸もしくはタンパク質の発現またはタンパク質活性またはレベルのいずれかの減少を含む。減少は、標的バイオマーカー核酸の発現、またはRNA干渉剤によって標的化されていない標的バイオマーカー核酸によってコードされるタンパク質の活性もしくはレベルと比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%以上であってよい。
【0140】
RNAiに加えて、ゲノム編集は、C1q、C1r、及び/またはC1s等の補体経路成分等の、対象となるバイオマーカーの構成的または誘発されるノックアウトまたは変異等の、対象となるバイオマーカーのコピー数または遺伝子配列を調節するために使用され得る。例えば、CRISPR-Cas系は、ゲノム核酸の正確な編集のために(例えば、非機能的またはヌル変異を作製するために)使用され得る。そのような実施形態では、CRISPRガイドRNA及び/またはCas酵素が、発現されてもよい。例えば、ガイドRNAのみを含有するベクターは、Cas9酵素トランスジェニック動物または細胞に投与することができる。同様の戦略が使用され得る(例えば、デザイナー亜鉛フィンガー、転写活性化因子様エフェクター(TALE)またはホーミングメガヌクレアーゼ)。そのようなシステムは、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第8,697,359号、Sander and Joung (2014)Nat.Biotech.32:347-355;Hale et al.(2009)Cell 139:945-956;Karginov and Hannon (2010)Mol.Cell 37:7;米国特許公開第2014/0087426号及び第2012/0178169号;Boch et al.(2011)Nat.Biotech.29:135-136;Boch et al.(2009)Science 326:1509-1512;Moscou and Bogdanove (2009)Science 326:1501;Weber et al.(2011)PLoS One 6:e19722;Li et al.(2011)Nucl.Acids Res.39:6315-6325;Zhang et al.(2011)Nat.Biotech.29:149-153;Miller et al.(2011)Nat.Biotech.29:143-148;Lin et al.(2014)Nucl.Acids Res.42:e47を参照のこと)。そのような遺伝子戦略は、当該技術分野でよく知られている方法に従って、構成的発現系または誘発性発現系を使用することができる。
【0141】
「Piwi相互作用RNA(piRNA)」は、非コードRNA小分子の最大のクラスである。piRNAは、piwiタンパク質との相互作用を通じてRNA-タンパク質複合体を形成する。これらのpiRNA複合体は、生殖系細胞、特に精子形成における生殖系細胞におけるレトロトランスポゾン及び他の遺伝子要素のエピジェネティック遺伝子サイレンシング及び転写後遺伝子サイレンシングの両方に関連している。これらは、サイズ(21~24ntではなく26~31nt)、配列保存性が欠如している、及び複雑性が増加している点でマイクロRNA(miRNA)とは異なる。しかしながら、他の小分子RNAと同様に、piRNAは、遺伝子サイレンシング、具体的にはトランスポゾンのサイレンシングに関与していると考えられている。piRNAの大部分は、トランスポゾン配列に対してアンチセンスであり、これは、トランスポゾンがpiRNA標的であることを示唆している。哺乳動物では、トランスポゾンサイレンシングにおけるpiRNAの活性は、胚の発達の間に最も重要であるようであり、C.elegans及びヒトの両方において、piRNAは、精子形成に必要である。piRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)の形成を介したRNAサイレンシングにおける役割を有する。
【0142】
「アプタマー」は、特定の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子である。「核酸アプタマー」は、インビトロ選択の反復ラウンドを通じて、または等価的に、SELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)を通じて操作されて、小分子、タンパク質、核酸、更には細胞、組織及び生物等の様々な分子標的に結合する核酸種である。「ペプチドアプタマー」は、特定の標的分子に結合するように選択または操作される人工タンパク質である。これらのタンパク質は、タンパク質骨格によって示される可変配列の1つ以上のペプチドループからなる。これらは、典型的には、組み合わせライブラリから単離され、多くの場合、その後、定向変異または可変領域変異誘発及び選択のラウンドによって改善される。ペプチドアプタマーの進化である「アフィマータンパク質」は、特定の標的タンパク質に対して高親和性結合面を提供するペプチドループを示すように操作された、高度に安定した小タンパク質である。シスタチンのシステインプロテアーゼ阻害剤ファミリーに由来する、低分子量12~14kDaのタンパク質である。アプタマーは、バイオテクノロジー及び治療用途に有用であり、一般的に使用される生体分子である抗体に匹敵する分子認識特性を提供する。それらの識別認識に加え、アプタマーは、試験管内で完全に操作することができ、化学合成によって容易に生成され、所望の貯蔵特性を有し、治療用途において免疫原性がほとんどまたはまったく誘発されないので、抗体よりも利点がある。
【0143】
本明細書でも「小分子干渉RNA」と称される「小分子干渉RNA」(siRNA)は、例えばRNAiによる標的バイオマーカー核酸の発現を阻害するように機能する薬剤として定義される。siRNAは、化学的に合成されてもよく、インビトロ転写によって産生されてもよいし、宿主細胞内で産生されてもよい。一実施形態では、siRNAは、約15~約40ヌクレオチド長、好ましくは約15~約28ヌクレオチド長、より好ましくは約19~約25ヌクレオチド長、及びより好ましくは約19、20、21、または22ヌクレオチド長の二本鎖RNA(dsRNA)分子であり、約0、1、2、3、4、または5ヌクレオチドの長さを有する各鎖上に3’及び/または5’オーバーハングを含有してもよい。オーバーハングの長さは、2本の鎖間で独立しており、すなわち、1つの鎖上のオーバーハングの長さは、第2の鎖上のオーバーハングの長さに依存しない。好ましくは、siRNAは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)の分解または特異的転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)を通じて、RNA干渉を促進することが可能である。
【0144】
別の実施形態では、siRNAは、小分子ヘアピン(ステムループとも呼ばれる)RNA(shRNA)である。一実施形態では、これらのshRNAは、短い(例えば、19~25ヌクレオチド)アンチセンス鎖、続いて5~9ヌクレオチドループ、及び類似のセンス鎖から構成される。あるいは、センス鎖は、ヌクレオチドループ構造の前であってもよく、アンチセンス鎖は後であってもよい。これらのshRNAは、プラスミド、レトロウイルス、及びレンチウイルスに含有され得、例えば、pol III U6プロモーターまたは別のプロモーターから発現され得る(例えば、Stewart,et al.(2003)RNA Apr;9(4):493-501(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0145】
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチド挿入物の組み込みのためのベクター(複数可)のためのレシピエントであり得、レシピエントとなっている個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は、天然、突然、または意図的変異のため、必ずしも元の親細胞と(形態においてまたはゲノムDNA相補体において)完全に同一である必要はない場合がある。宿主細胞には、本開示のポリヌクレオチド(複数可)でインビボでトランスフェクションされた細胞が含まれる。
【0146】
本明細書で使用される「担体」は、用いられる投薬量及び濃度でそれに曝露されている細胞または哺乳動物に対して非毒性の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤が含まれる。しばしば、生理的に許容可能な担体は、水性pH緩衝液である。生理的に許容可能な担体の例には、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;及び/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)及びPLURONICS(登録商標)が含まれる。
【0147】
「予防すること」という用語は、当該技術分野で認識されており、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかん等の状態に関連して使用される場合、当該技術分野で十分に理解されており、組成物を投与されない対象と比較して、対象における医学的状態の1つ以上の症状の頻度もしくは重症度を低下させるか、またはその発症を遅らせる組成物の投与を含む。同様に、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんの予防は、療法を受けていない患者と比較して、療法を受けている患者が、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、もしくは症候性部分てんかん等のてんかん、または関連する症状を発症する可能性を低減することを含む。
【0148】
用語「対象」は、本明細書で使用される場合、生存している哺乳動物を指し、用語「患者」と互換的に使用され得る。哺乳動物の例には、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、非ヒト霊長類、例えば、チンパンジー、及び他の類人猿及びサル種;牧場動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;家庭動物、例えば、ウサギ、イヌ、及びネコ;齧歯類、例えば、ラット、マウス及びモルモットを含む実験動物等が含まれるがこれらに限定されない。その用語は、特定の年齢または性別を示さない。
【0149】
本明細書で使用される場合、用語「処置すること」または「処置」は、病態の症状、臨床的兆候、または根底にある病理を減少、停止、または逆行させて、対象の病態を安定化または改善することまたは対象の病態が対象が処置を受けなかった場合と同じ程度悪化する可能性を低下させることを含む。
【0150】
対象の処置方法に関して化合物の「治療的有効量」という用語は、(哺乳動物、好ましくはヒトに対する)所望の投薬レジメンの一部として投与される場合、例えば、任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で、疾患または病態が処置されるために、または化粧品目的のために臨床的に許容可能な標準に従う、症状を軽減する、病態を改善する、または疾患病態の発症を遅らせる調製物における化合物(複数可)の量を指す。本明細書における治療的有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の反応を引き起こすための抗体の能力等の要因に応じて変わり得る。
【0151】
本明細書で使用される場合、特定の疾患、障害、または病態を発症する「リスクのある」個体は、検出可能な疾患または疾患の症状を示してもいなくてもよく、また、本明細書に記載の処置方法の前に検出可能な疾患または疾患の症状を示してもいなくてもよい。「リスクのある」は、個体が、当該技術分野で知られているように、特定の疾患、障害、または病態の発症と相関する測定可能なパラメータである、1つ以上のリスク要因を有することを意味する。これらのリスク要因のうちの1つ以上を有する個体は、これらのリスク要因のうちの1つ以上を有さない個体よりも特定の疾患、障害、または病態を発症する可能性が高い。
【0152】
「慢性」投与は、初期の治療効果(活性)を長期間維持するように、急性様式とは対照的に連続した医薬品(複数可)の投与を指す。「間欠的」投与は、中断することなく連続的に投与されるのではなく、事実上周期的/定期的である処置を指す。
【0153】
本明細書で使用される場合、別の化合物または組成物と「併せた」投与は、同時投与及び/または異なる時点での投与を含む。併せた投与はまた、異なる投薬頻度または間隔、及び同じ投与経路または異なる投与経路を使用することを含む、共製剤としての投与または別々の組成物としての投与を包含する。
【0154】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載のもの類似または同等の任意の方法及び物質も本発明の実践または試験において使用され得るが、好ましい方法及び物質をこれより説明する。本明細書に言及される全ての刊行物は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003));the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995);及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)に記載される広く利用されている方法論等、これらの刊行物が引用されるものに関連して、方法及び/または材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0155】
抗補体C1q抗体
本明細書で開示される抗C1q抗体は、C1qの強力な阻害剤であり、任意の期間にわたって抹消及びCNSの両方における継続的阻害のために投薬され、次いでその活性がCNSの修復にとって重要であり得る時点で正常なC1q機能の回復を可能にするために任意に停止され得る。動物研究において本明細書に開示される抗C1q抗体で得られた結果は、同じ抗体のヒト化バージョン(本明細書に開示される抗体はマウス及びヒトC1qと交差反応する)、ならびにその断片及び/または誘導体を用いて臨床に容易に進展させることができる。
【0156】
C1qは、18個のポリペプチド鎖(6個のC1qのA鎖、6個のC1qのB鎖、及び6個のC1qのC鎖)からなる460kDaの大型多量体タンパク質である。C1r及びC1s補体タンパク質は、C1q尾部領域に結合してC1複合体(C1qr)を形成する。
【0157】
好適な阻害剤としては、古典的補体活性化経路のC1複合体における補体因子C1q及び/またはC1qに結合する抗体が挙げられる。結合した補体因子は、限定されないが、任意の哺乳動物生物、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ラクダ、ヒツジ、ヤギ、またはブタを含む補体系を有する任意の生物に由来し得る。
【0158】
本明細書で使用される場合、「C1複合体」は、限定されないが、1つのC1qタンパク質、2つのC1rタンパク質、及び2つのC1sタンパク質を含み得るタンパク質複合体(例えば、C1qr)を指す。
【0159】
本明細書で使用される場合、「補体因子C1q」は、野生型配列及び天然に存在するバリアント配列の両方を指す。
【0160】
本開示の抗体によって認識される補体因子C1qの非限定的な例は、3つのポリペプチド鎖A、B、及びCを含むヒトC1qである:
C1q,鎖A(homo sapiens),アクセッション番号 タンパク質
データベース:NP_057075.1;GenBank No.:NM_015991:
>gi|7705753|ref|NP_057075.1|補体C1q
サブコンポーネントサブユニットA前駆体[Homo sapiens]
(配列番号1)
MEGPRGWLVLCVLAISLASMVTEDLCRAPDGKKGEAGRPGRRGRPGLKGEQGEPGAPGIRTGIQGLKGDQGEPGPSGNPGKVGYPGPSGPLGARGIPGIKGTKGSPGNIKDQPRPAFSAIRRNPPMGGNVVIFDTVITNQEEPYQNHSGRFVCTVPGYYYFTFQVLSQWEICLSIVSSSRGQVRRSLGFCDTTNKGLFQVVSGGMVLQLQQGDQVWVEKDPKKGHIYQGSEADSVFSGFLIFPSA。
C1q,鎖B(homo sapiens),アクセッション番号 タンパク質
データベース:NP_000482.3;GenBank No.:NM_000491.3:
>gi|87298828|ref|NP_000482.3|補体Clq
サブコンポーネントサブユニットB前駆体[Homo sapiens]
(配列番号2)
MMMKIPWGSIPVLMLLLLLGLIDISQAQLSCTGPPAIPGIPGIPGTPGPDGQPGTPGIKGEKGLPGLAGDHGEFGEKGDPGIPGNPGKVGPKGPMGPKGGPGAPGAPGPKGESGDYKATQKIAFSATRTINVPLRRDQTIRFDHVITNMNNNYEPRSGKFTCKVPGLYYFTYHASSRGNLCVNLMRGRERAQKVVTFCDYAYNTFQVTTGGMVLKLEQGENVFLQATDKNSLLGMEGANSIFSGFLLFPDMEA。
C1q,鎖C(homo sapiens),アクセッション番号 タンパク質
データベース: NP_001107573.1;GenBank No.:
NM_001114101.1:
>gi|166235903|ref|NP_001107573.1|補体C1q
サブコンポーネントサブユニットC前駆体[Homo sapiens]
(配列番号3)
MDVGPSSLPHLGLKLLLLLLLLPLRGQANTGCYGIPGMPGLPGAPGKDGYDGLPGPKGEPGIPAIPGIRGPKGQKGEPGLPGHPGKNGPMGPPGMPGVPGPMGIPGEPGEEGRYKQKFQSVFTVTRQTHQPPAPNSLIRFNAVLTNPQGDYDTSTGKFTCKVPGLYYFVYHASHTANLCVLLYRSGVKVVTFCGHTSKTNQVNSGGVLLRLQVGEEVWLAVNDYYDMVGIQGSDSVFSGFLLFPD。
【0161】
したがって、本開示の抗C1q抗体は、C1qタンパク質のポリペプチド鎖A、ポリペプチド鎖B、及び/またはポリペプチド鎖Cに結合し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗C1q抗体は、ヒトC1qまたはそのホモログ、例えば、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ラクダ、ヒツジ、ヤギ、またはブタC1qのポリペプチド鎖A、ポリペプチド鎖B、及び/またはポリペプチド鎖Cに結合する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。
【0162】
好適な抗体としては、補体C1qタンパク質に結合する抗体(すなわち、本明細書で抗C1q抗体及びC1q抗体とも称される抗補体C1q抗体)及び特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんを予防するか、その発症リスクを低下させるか、またはそれを治療する方法のためのそのような抗体をコードする核酸分子が含まれる。
【0163】
C1qタンパク質に結合するのに好適な他の抗C1q抗体は、当該技術分野でよく知られており、それには、例えば、抗体カタログ番号:AF2379、AF1696、MAB1696、及びMAB23791(R&D System)、NBP1-87492、NB100-64420、H00000712-B01P、H00000712-D01P、及びH00000712-D01(Novus Biologicals)、MA1-83963、MA1-40311、PA5-14208、PA5-29586、及びPA1-36177(ThermoFisher Scientific)、ab71940、ab11861、ab4223、ab72355、ab182451、ab46191、ab227072、ab182940、ab216979、及びab235454(abcam)等が含まれる。更に、C1q発現を低減するための複数のsiRNA、shRNA、CRISPR構築物は、SiRNA製品番号sc-43651、sc-44962、sc-105153、sc-141842、ShRNA製品番号sc-43651-SH、sc-43651-V、sc-44962-SH、sc-44962-V、sc-105153-SH、sc-105153-V、sc-141842-SH、sc-141842-V、CRISPR製品番号sc-419385、sc-419385-HDR、sc-419385-NIC、sc-419385-NIC-2、sc-402156、sc-402156-KO-2、sc-404309、sc-404309-HDR、sc-404309-NIC、sc-404309-NIC-2、sc-419386、sc-419386-HDR、sc-419386-NIC、sc-419386-NIC-2(Santa Cruz Biotechnology等)等の上記会社の商業製品リストに見出すことができる。
【0164】
以下の20段落で挙げられる全ての配列は、米国特許番号9,708,394(それが開示する抗体及び関連する組成物について参照により本明細書に組み込まれる)から参照により組み込まれる。
【0165】
抗体M1の軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列
標準的な技術を使用して、抗体M1の軽鎖可変及び重鎖可変ドメインをコードする核酸及びアミノ酸配列を決定した。抗体M1の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、
【0166】
【0167】
軽鎖可変ドメインの超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。いくつかの実施形態では、M1軽鎖可変ドメインのHVR-L1は配列RASKSINKYLA(配列番号5)を有し、M1軽鎖可変ドメインのHVR-L2は配列SGSTLQS(配列番号6)を有し、M1軽鎖可変ドメインのHVR-L3は配列QQHNEYPLT(配列番号7)を有する。
【0168】
抗体M1の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、
【0169】
【0170】
重鎖可変ドメインの超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。いくつかの実施形態では、M1重鎖可変ドメインのHVR-H1は配列GYHFTSYWMH(配列番号9)を有し、M1重鎖可変ドメインのHVR-H2は配列VIHPNSGSINYNEKFES(配列番号10)を有し、M1重鎖可変ドメインのHVR-H3は配列ERDSTEVLPMDY(配列番号11)を有する。
【0171】
軽鎖可変ドメインをコードする核酸配列は、
GATGTCCAGATAACCCAGTCTCCATCTTATCTTGCTGCATCTCCTGGAGAAACCATTACTATTAATTGCAGGGCAAGTAAGAGCATTAACAAATATTTAGCCTGGTATCAAGAGAAACCTGGGAAAACTAATAAGCTTCTTATCTACTCTGGATCCACTTTGCAATCTGGAATTCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGTACAGATTTCACTCTCACCATCAGTAGCCTGGAGCCTGAAGATTTTGCAATGTATTACTGTCAACAACATAATGAATACCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA(配列番号12)。
【0172】
重鎖可変ドメインをコードする核酸配列は、
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAGCTGGTAAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGTTGTCCTGCAAGTCTTCTGGCTACCATTTCACCAGCTACTGGATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTGGATTGGAGTGATTCATCCTAATAGTGGTAGTATTAACTACAATGAGAAGTTCGAGAGCAAGGCCACACTGACTGTAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCGGCGGTCTATTATTGTGCAGGAGAGAGAGATTCTACGGAGGTTCTCCCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA(配列番号13)。
【0173】
物質の寄託
以下の物質は、ブダペスト条約に従ってAmerican Type Culture Collection,ATCC Patent Depository,10801 University Blvd.,Manassas,Va.20110-2209,USA(ATCC)に寄託された:
【表2】
【0174】
培養物の入手が特許出願の係属中及び30年間、または最新の請求から5年後、または特許の有効期間のうち長い方まで利用可能となることを保証する条件下でM1抗体を生成するハイブリドーマ細胞株(マウスハイブリドーマC1qM1 7788-1(M)051613)がATCCに寄託された。寄託物は、その期間中に生存できなくなった場合に置き換えられる。寄託物は、本出願の対応出願、またはその子孫が出願された国における外国特許法によって要求されるように利用可能である。しかしながら、寄託物の利用可能性は、政府の措置によって付与された特許権を逸脱して本発明を実施するためのライセンスを構成するものではないことが理解されるべきである。
【0175】
本明細書では、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含む抗C1q抗体を投与する方法が開示される。抗体は、少なくともヒトC1q、マウスC1q、またはラットC1qに結合し得る。抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体、またはヒト抗体であり得る。抗体は、モノクローナル抗体、その抗体断片、及び/またはその抗体誘導体であり得る。軽鎖可変ドメインは、アクセッション番号PTA-120399で寄託されたハイブリドーマ細胞株によって生成されるモノクローナル抗体M1のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む。重鎖可変ドメインは、ATCCアクセッション番号PTA-120399で寄託されたハイブリドーマ細胞株によって生成されるモノクローナル抗体M1のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、HVR-L1の配列番号5、HVR-L2の配列番号6、HVR-L3の配列番号7、HVR-H1の配列番号9、HVR-H2の配列番号10、及びHVR-H3の配列番号11のうちの1つ以上を含む。
【0177】
抗体は、好ましくはHVR-L1 RASKSINKYLA(配列番号5)、HVR-L2 SGSTLQS(配列番号6)、及びHVR-L3 QQHNEYPLT(配列番号7)を保持しつつ、配列番号4と少なくとも85%、90%、または95%同一の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含み得る。抗体は、好ましくはHVR-H1 GYHFTSYWMH(配列番号9)、HVR-H2 VIHPNSGSINYNEKFES(配列番号10)、及びHVR-H3 ERDSTEVLPMDY(配列番号11)を保持しつつ、配列番号8と少なくとも85%、90%、または95%同一の重鎖可変ドメインアミノ酸配列を含み得る。
【0178】
本明細書では、C1qと自己抗体との間の相互作用を阻害する抗C1q抗体を投与する方法が開示される。好ましい実施形態では、抗C1q抗体は、循環または組織からのC1qのクリアランスを引き起こす。
【0179】
抗C1q抗体は、C1qタンパク質に結合してもよく、(a)配列番号1のアミノ酸残基196~226(配列番号16)、または配列番号1のアミノ酸残基196~226(GLFQVVSGGMVLQLQQGDQVWVEKDPKKGHI)(配列番号16)に対応するC1qタンパク質鎖A(C1qA)のアミノ酸残基、(b)配列番号1のアミノ酸残基196~221(配列番号17)、または配列番号1のアミノ酸残基196~221(GLFQVVSGGMVLQLQQGDQVWVEKDP)(配列番号17)に対応するC1qAのアミノ酸残基;(c)配列番号1のアミノ酸残基202~221(配列番号18)、または配列番号1のアミノ酸残基202~221(SGGMVLQLQQGDQVWVEKDP)(配列番号18)に対応するC1qAのアミノ酸残基;(d)配列番号1のアミノ酸残基202~219(配列番号19)、または配列番号1のアミノ酸残基202~219(SGGMVLQLQQGDQVWVEK)(配列番号19)に対応するC1qAのアミノ酸残基;及び(e)配列番号1のアミノ酸残基Lys219及び/またはSer202、または配列番号1のLys219及び/またはSer202に対応するC1qAのアミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基内のC1qタンパク質の1つ以上のアミノ酸に結合してもよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、抗体は、更に、(a)配列番号3のアミノ酸残基218~240(配列番号20)、または配列番号3のアミノ酸残基218~240(WLAVNDYYDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号20)に対応するC1qタンパク質鎖C(C1qC)のアミノ酸残基;(b)配列番号3のアミノ酸残基225~240(配列番号21)、または配列番号3のアミノ酸残基225~240(YDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号21)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(c)配列番号3のアミノ酸残基225~232(配列番号22)、または配列番号3のアミノ酸残基225~232(YDMVGIQG)(配列番号22)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(d)配列番号3のアミノ酸残基Tyr225、または配列番号3のアミノ酸残基Tyr225に対応するC1qCのアミノ酸残基;(e)配列番号3のアミノ酸残基174~196(配列番号23)、または配列番号3のアミノ酸残基174~196(HTANLCVLLYRSGVKVVTFCGHT)(配列番号23)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(f)配列番号3のアミノ酸残基184~192(配列番号24)、または配列番号3のアミノ酸残基184~192(RSGVKVVTF)(配列番号24)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(g)配列番号3のアミノ酸残基185~187、または配列番号3のアミノ酸残基185~187(SGV)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(h)配列番号3のアミノ酸残基Ser185、または配列番号3のアミノ酸残基Ser185に対応するC1qCのアミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基内のC1qタンパク質の1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0181】
ある特定の実施形態では、抗C1q抗体は、配列番号1に示されるヒトC1qAのアミノ酸残基Lys219及びSer202、または配列番号1に示されるLys219及びSer202に対応するヒトC1qAのアミノ酸、及び配列番号3に示されるヒトC1qCのアミノ酸残基Tyr225、または配列番号3に示されるTyr225に対応するヒトC1qCのアミノ酸残基に結合する。ある特定の実施形態では、抗C1q抗体は、配列番号1に示されるヒトC1qAのアミノ酸残基Lys219、または配列番号1に示されるLys219に対応するヒトC1qAのアミノ酸残基、及び配列番号3に示されるヒトC1qCのアミノ酸残基Ser185、または配列番号3に示されるSer185に対応するヒトC1qCのアミノ酸残基に結合する。
【0182】
いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qタンパク質に結合し、(a)配列番号3のアミノ酸残基218~240(配列番号20)、または配列番号3のアミノ酸残基218~240(WLAVNDYYDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号20)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(b)配列番号3のアミノ酸残基225~240(配列番号21)、または配列番号3のアミノ酸残基225~240(YDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号21)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(c)配列番号3のアミノ酸残基225~232(配列番号22)、または配列番号3のアミノ酸残基225~232(YDMVGIQG)(配列番号22)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(d)配列番号3のアミノ酸残基Tyr225、または配列番号3のアミノ酸残基Tyr225に対応するC1qCのアミノ酸残基;(e)配列番号3のアミノ酸残基174~196(配列番号23)、または配列番号3のアミノ酸残基174~196(HTANLCVLLYRSGVKVVTFCGHT)(配列番号23)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(f)配列番号3のアミノ酸残基184~192(配列番号24)、または配列番号3のアミノ酸残基184~192(RSGVKVVTF)(配列番号24)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(g)配列番号3のアミノ酸残基185~187、または配列番号3のアミノ酸残基185~187(SGV)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(h)配列番号3のアミノ酸残基Ser185、または配列番号3のアミノ酸残基Ser185に対応するC1qCのアミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基内のC1qタンパク質の1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示の抗C1q抗体は、C1qとC1sとの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qとC1rとの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qとC1sとの間及びC1qとC1rとの間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qと別の抗体、例えば、自己抗体との間の相互作用を阻害する。好ましい実施形態では、抗C1q抗体は、循環または組織からのC1qのクリアランスを引き起こす。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、2.5:1;2.0:1;1.5:1;または1.0:1未満の化学量論でそれぞれの相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、C1q抗体は、およそ等モルの濃度のC1q及び抗C1q抗体で、C1q-C1s相互作用等の相互作用を阻害する。他の実施形態では、抗C1q抗体は、20:1未満;19.5:1未満;19:1未満;18.5:1未満;18:1未満;17.5:1未満;17:1未満;16.5:1未満;16:1未満;15.5:1未満;15:1未満;14.5:1未満;14:1未満;13.5:1未満;13:1未満;12.5:1未満;12:1未満;11.5:1未満;11:1未満;10.5:1未満;10:1未満;9.5:1未満;9:1未満;8.5:1未満;8:1未満;7.5:1未満;7:1未満;6.5:1未満;6:1未満;5.5:1未満;5:1未満;4.5:1未満;4:1未満;3.5:1未満;3:1未満;2.5:1未満;2.0:1未満;1.5:1未満;または1.0:1未満の化学量論でC1qに結合する。ある特定の実施形態では、抗C1q抗体は、20:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合する。ある特定の実施形態では、抗C1q抗体は、6:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合する。ある特定の実施形態では、抗C1q抗体は、2.5:1~1.0:1または1.0:1未満の範囲の結合化学量論でC1qに結合する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qとC1rとの間、またはC1qとC1sとの間、またはC1qとC1r及びC1sの両方との間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qとC1rとの間、C1qとC1sとの間、及び/またはC1qとC1r及びC1sの両方との間の相互作用を阻害する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qのA鎖に結合する。他の実施形態では、抗C1q抗体は、C1qのB鎖に結合する。他の実施形態では、抗C1q抗体は、C1qのC鎖に結合する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qのA鎖、C1qのB鎖及び/またはC1qのC鎖に結合する。いくつかの実施形態では、抗C1q抗体は、C1qのA鎖、B鎖、及び/またはC鎖の球状ドメインに結合する。他の実施形態では、抗C1q抗体は、C1qのA鎖、C1qのB鎖、及び/またはC1qのC鎖のコラーゲン様ドメインに結合する。
【0184】
本開示の抗体が2つ以上の補体因子間の相互作用、例えば、C1q及びC1sの相互作用、またはC1qとC1rとの間の相互作用を阻害する場合、抗体の存在下で生じる相互作用は、本開示の抗体が非存在の対照と比べて少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%減少し得る。ある特定の実施形態では、抗体の存在下で生じる相互作用は、本開示の抗体が非存在の対照と比べて少なくとも30%~少なくとも99%の範囲の量だけ減少する。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、本開示の抗体が非存在の対照と比べて、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、または少なくとも30%~少なくとも99%の範囲の量だけ、C2またはC4切断を阻害する。C2またはC4切断を測定するための方法は、当該技術分野でよく知られている。C2またはC4切断に関して本開示の抗体のEC50値は、3μg/ml;2.5μg/ml;2.0μg/ml;1.5μg/ml;1.0μg/ml;0.5μg/ml;0.25μg/ml;0.1μg/ml;0.05μg/ml未満であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、およそ等モル濃度のC1q及びそれぞれの抗C1q抗体でC2またはC4切断を阻害する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、本開示の抗体が非存在の対照と比べて、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、または少なくとも30%~少なくとも99%の範囲の量だけ、自己抗体依存性及び補体依存性細胞傷害(CDC)を阻害する。自己抗体依存性及び補体依存性細胞傷害の阻害に関して本開示の抗体のEC50値は、3μg/ml;2.5μg/ml;2.0μg/ml;1.5μg/ml;1.0μg/ml;0.5μg/ml;0.25μg/ml;0.1μg/ml;0.05μg/ml未満であり得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、本開示の抗体が非存在の対照と比べて、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%、または少なくとも30%~少なくとも99%の範囲の量だけ、補体依存性細胞媒介性細胞傷害(CDCC)を阻害する。CDCCを測定するための方法は、当該技術分野でよく知られている。CDCC阻害に関して本開示の抗体のEC50値は、3μg/ml;2.5μg/ml;2.0μg/ml;1.5μg/ml;1.0μg/ml;0.5μg/ml;0.25μg/ml;0.1μg/ml;0.05μg/ml未満であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、CDCCを阻害するが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を阻害しない。
【0188】
ヒト化抗補体C1q抗体
本開示のヒト化抗体は、古典的補体経路のC1複合体における補体因子C1q及び/またはC1qタンパク質に特異的に結合する。ヒト化抗C1q抗体は、ヒトC1q、ヒト及びマウスC1q、ラットC1q、またはヒトC1q、マウスC1q、及びラットC1qに特異的に結合し得る。
【0189】
以下の16段落で挙げられる全ての配列は、米国特許第10,316,081号(それが開示する抗体及び関連する組成物について参照により本明細書に組み込まれる)から参照により組み込まれる。
【0190】
いくつかの実施形態では、ヒト重鎖定常領域は、配列番号47のアミノ酸配列、または配列番号47と少なくとも70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の相同性を有するアミノ酸配列を含むヒトIgG4重鎖定常領域である。ヒトIgG4重鎖定常領域は、Kabat番号付けに従って1つ以上の改変及び/またはアミノ酸置換を有するFc領域を含み得る。そのような場合では、Fc領域は、位置248におけるロイシンからグルタメートへのアミノ酸置換を含み、そのような置換は、Fc領域がFc受容体と相互作用することを阻害する。いくつかの実施形態では、Fc領域は、位置241におけるセリンからプロリンへのアミノ酸置換を含み、そのような置換は、抗体におけるアームスイッチを防止する。
【0191】
ヒトIgG4(S241P L248E)重鎖定常ドメインのアミノ酸配列は、ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号47)
【0192】
抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み得、重鎖可変ドメインは、配列番号31~34のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列、または配列番号31~34のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定のそのような実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号35~38のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列、または配列番号35~38のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0193】
重鎖可変ドメインバリアント1(VH1)のアミノ酸配列は、
【0194】
VH1の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0195】
重鎖可変ドメインバリアント2(VH2)のアミノ酸配列は、
【0196】
VH2の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0197】
重鎖可変ドメインバリアント3(VH3)のアミノ酸配列は、
【0198】
VH3の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0199】
重鎖可変ドメインバリアント4(VH4)のアミノ酸配列は、
【0200】
VH4の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0201】
カッパ軽鎖可変ドメインバリアント1(Vκ1)のアミノ酸配列は、
【0202】
Vκ1の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0203】
カッパ軽鎖可変ドメインバリアント2(Vκ2)のアミノ酸配列は、
【0204】
Vκ2の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0205】
カッパ軽鎖可変ドメインバリアント3(Vκ3)のアミノ酸配列は、
【0206】
Vκ3の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0207】
カッパ軽鎖可変ドメインバリアント4(Vκ4)のアミノ酸配列は、
【0208】
Vκ4の超可変領域(HVR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0209】
抗体は、HVR-L1 RASKSINKYLA(配列番号5)、HVR-L2 SGSTLQS(配列番号6)、及びHVR-L3 QQHNEYPLT(配列番号7)を保持しつつ、配列番号35~38と少なくとも85%、90%、または95%同一の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含み得る。抗体は、好ましくはHVR-H1 GYHFTSYWMH(配列番号9)、HVR-H2 VIHPNSGSINYNEKFES(配列番号10)、及びHVR-H3 ERDSTEVLPMDY(配列番号11)を保持しつつ、配列番号31~34と少なくとも85%、90%、または95%同一の重鎖可変ドメインアミノ酸配列を含み得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1q抗体は、Fab領域を含有する重鎖可変領域及びFc領域を含有する重鎖定常領域を含み、Fab領域は本開示のC1qタンパク質に特異的に結合するが、Fc領域はC1qタンパク質に結合することが不可能である。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプに由来する。いくつかの実施形態では、Fc領域は、補体活性を誘導することが不可能であり、及び/または抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することが不可能である。いくつかの実施形態では、Fc領域は、限定されないが、アミノ酸置換を含む、1つ以上の改変を含む。ある特定の実施形態では、本開示のヒト化抗C1q抗体のFc領域は、Kabat番号付け慣例に従う位置248またはKabat番号付け慣例に従う位置248に対応する位置で、及び/またはKabat番号付け慣例に従う位置241またはKabat番号付け慣例に従う位置241に対応する位置でアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、位置248または位置248に対応する位置でのアミノ酸置換は、Fc領域がFc受容体と相互作用することを阻害する。いくつかの実施形態では、位置248または位置248に対応する位置でのアミノ酸置換は、ロイシンからグルタメートへのアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、位置241または位置241に対応する位置でのアミノ酸置換は、抗体におけるアームスイッチを防止する。いくつかの実施形態では、位置241または位置241に対応する位置でのアミノ酸置換は、セリンからプロリンへのアミノ酸置換である。ある特定の実施形態では、本開示のヒト化抗C1q抗体のFc領域は、配列番号47のアミノ酸配列、または配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1q抗体は、C1qタンパク質に結合してもよく、(a)配列番号1のアミノ酸残基196~226(配列番号16)、または配列番号1のアミノ酸残基196~226(GLFQVVSGGMVLQLQQGDQVWVEKDPKKGHI)(配列番号16)に対応するC1qタンパク質鎖A(C1qA)のアミノ酸残基、(b)配列番号1のアミノ酸残基196~221(配列番号17)、または配列番号1のアミノ酸残基196~221(GLFQVVSGGMVLQLQQGDQVWVEKDP)(配列番号17)に対応するC1qAのアミノ酸残基;(c)配列番号1のアミノ酸残基202~221(配列番号18)、または配列番号1のアミノ酸残基202~221(SGGMVLQLQQGDQVWVEKDP)(配列番号18)に対応するC1qAのアミノ酸残基;(d)配列番号1のアミノ酸残基202~219(配列番号19)、または配列番号1のアミノ酸残基202~219(SGGMVLQLQQGDQVWVEK)(配列番号19)に対応するC1qAのアミノ酸残基;及び(e)配列番号1のアミノ酸残基Lys219及び/またはSer202、または配列番号1のLys219及び/またはSer202に対応するC1qAのアミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基内のC1qタンパク質の1つ以上のアミノ酸に結合してもよい。
【0212】
いくつかの実施形態では、ヒト化抗C1q抗体は、更に、(a)配列番号3のアミノ酸残基218~240(配列番号20)、または配列番号3のアミノ酸残基218~240(WLAVNDYYDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号20)に対応するC1qタンパク質鎖C(C1qC)のアミノ酸残基;(b)配列番号3のアミノ酸残基225~240(配列番号21)、または配列番号3のアミノ酸残基225~240(YDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号21)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(c)配列番号3のアミノ酸残基225~232(配列番号22)、または配列番号3のアミノ酸残基225~232(YDMVGIQG)(配列番号22)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(d)配列番号3のアミノ酸残基Tyr225、または配列番号3のアミノ酸残基Tyr225に対応するC1qCのアミノ酸残基;(e)配列番号3のアミノ酸残基174~196(配列番号23)、または配列番号3のアミノ酸残基174~196(HTANLCVLLYRSGVKVVTFCGHT)(配列番号23)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(f)配列番号3のアミノ酸残基184~192(配列番号24)、または配列番号3のアミノ酸残基184~192(RSGVKVVTF)(配列番号24)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(g)配列番号3のアミノ酸残基185~187、または配列番号3のアミノ酸残基185~187(SGV)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(h)配列番号3のアミノ酸残基Ser185、または配列番号3のアミノ酸残基Ser185に対応するC1qCのアミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基内のC1qタンパク質の1つ以上のアミノ酸に結合してもよい。
【0213】
ある特定の実施形態では、本開示のヒト化抗C1q抗体は、配列番号1に示されるヒトC1qAのアミノ酸残基Lys219及びSer202、または配列番号1に示されるLys219及びSer202に対応するヒトC1qAのアミノ酸、及び配列番号3に示されるヒトC1qCのアミノ酸残基Tyr225、または配列番号3に示されるTyr225に対応するヒトC1qCのアミノ酸残基に結合してもよい。ある特定の実施形態では、抗C1q抗体は、配列番号1に示されるヒトC1qAのアミノ酸残基Lys219、または配列番号1に示されるLys219に対応するヒトC1qAのアミノ酸残基、及び配列番号3に示されるヒトC1qCのアミノ酸残基Ser185、または配列番号3に示されるSer185に対応するヒトC1qCのアミノ酸残基に結合する。
【0214】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1q抗体は、C1qタンパク質に結合してもよく、(a)配列番号3のアミノ酸残基218~240(配列番号20)、または配列番号3のアミノ酸残基218~240(WLAVNDYYDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号20)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(b)配列番号3のアミノ酸残基225~240(配列番号21)、または配列番号3のアミノ酸残基225~240(YDMVGI QGSDSVFSGF)(配列番号21)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(c)配列番号3のアミノ酸残基225~232(配列番号22)、または配列番号3のアミノ酸残基225~232(YDMVGIQG)(配列番号22)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(d)配列番号3のアミノ酸残基Tyr225、または配列番号3のアミノ酸残基Tyr225に対応するC1qCのアミノ酸残基;(e)配列番号3のアミノ酸残基174~196(配列番号23)、または配列番号3のアミノ酸残基174~196(HTANLCVLLYRSGVKVVTFCGHT)(配列番号23)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(f)配列番号3のアミノ酸残基184~192(配列番号24)、または配列番号3のアミノ酸残基184~192(RSGVKVVTF)(配列番号24)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(g)配列番号3のアミノ酸残基185~187、または配列番号3のアミノ酸残基185~187(SGV)に対応するC1qCのアミノ酸残基;(h)配列番号3のアミノ酸残基Ser185、または配列番号3のアミノ酸残基Ser185に対応するC1qCのアミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基内のC1qタンパク質の1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0215】
抗C1q Fab断片
組換えDNA技術の出現の前は、抗体分子の構造を切断し、分子のどの部分がその様々な機能を担っているのかを決定するために、ポリペプチド配列を切断するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)が使用されていた。プロテアーゼパパインでの限定消化は、抗体分子を3つの断片に切断する。Fab断片として知られている2つの断片は同一であり、抗原結合活性を含有する。Fab断片は、抗体分子の2つの同一の腕部に対応し、その各々は、重鎖のV及びC1ドメインと対合した完全軽鎖からなる。他の断片は、抗原結合活性を含まないが、容易に結晶化することが当初観察され、この理由からFc断片(結晶化可能断片)と名付けられた。Fab分子をIgG分子と比較した場合、Fabは、それらのより高い移動性及び組織浸透能力、それらの減少した循環半減期、抗体エフェクター機能を媒介することなく一価で抗原に結合するそれらの能力、ならびにそれらのより低い免疫原性のため、ある特定のインビボ用途についてIgGよりも優れていることが見出された。
【0216】
Fab分子は、定常ドメインC2及びC3によって短縮された重鎖を有するIg分子の人工の約50kDaの断片である。2つの異好性(V-V及びC-C1)ドメイン相互作用は、Fab分子の2つの鎖の構造の基礎にあり、これはCとC1との間のジスルフィド架橋によって更に安定化される。Fab及びIgGは、6つの相補性決定領域(CDR)(3つはそれぞれV及びVに由来する(LCDR1、LCDR2、LCDR3及びHCDR1、HCDR2、HCDR3))によって形成される同一の抗原結合部位を有する。CDRは、抗体の超可変抗原結合部位を画定する。最も高い配列バリエーションは、LCDR3及びHCDR3に見られ、これは天然免疫系では、それぞれV及びJ遺伝子またはV、D及びJ遺伝子の再編成によって生成される。LCDR3及びHCDR3は典型的には、抗原結合部位のコアを形成する。6つのCDRを接続し、提示する保存領域は、フレームワーク領域と称される。可変ドメインの三次元構造において、フレームワーク領域は、外側では超可変CDRループによって及び内側では保存ジスルフィド架橋によって連結された2つの対向する逆平行β-シートのサンドイッチを形成する。Fab及びIgGの抗原結合部位の安定性及び汎用性のこの独自の組み合わせは、疾患の診断、モニタリング、予防、及び処置のための臨床業務においてその成功を強調する。
【0217】
全ての抗C1q抗体Fab断片配列は、米国特許出願第15/360,549号(それが開示する抗体及び関連する組成物について参照により本明細書に組み込まれる)から参照により組み込まれる。
【0218】
ある特定の実施形態では、本開示は、重鎖(V/C1)及び軽鎖(V/C)を含むC1qタンパク質に結合する抗C1q抗体Fab断片であって、抗C1q抗体Fab断片は、6つの相補性決定領域(CDR)(3つはそれぞれV及びVに由来する)(HCDR1、HCDR2、HCDR3、及びLCDR1、LCDR2、LCDR3)を有する、抗C1q抗体Fab断片を提供する。抗体Fab断片の重鎖は、IgG1の第1の重鎖ドメインの後で切断され(配列番号39)、以下のアミノ酸配列を含む:
【0219】
【0220】
配列番号1の相補性決定領域(CDR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0221】
抗体Fab断片の軽鎖ドメインは、以下のアミノ酸配列(配列番号40)を含む:
【0222】
【0223】
配列番号2の相補性決定領域(CDR)は、太字かつ下線の文字で示されている。
【0224】
抗補体C1s抗体
好適な阻害剤には、補体C1sタンパク質に結合する抗体(すなわち、本明細書で抗C1s抗体及びC1s抗体とも称される抗補体C1s抗体)及びそのような抗体をコードする核酸分子が含まれる。補体C1sは、補体カスケードにおいて上流にあり、狭い範囲の基質特異性を有するので魅力的な標的である。更に、活性化形態のC1sに特異的に結合する抗体(例えば、限定されないが、モノクローナル抗体)を得ることが可能である。
【0225】
以下の2段落で挙げられる全ての配列は、米国特許出願第14/890,811号(それが開示する抗体及び関連する組成物について参照により本明細書に組み込まれる)から参照により組み込まれる。
【0226】
ある特定の態様では、本明細書では、抗C1s抗体を投与する方法が開示される。抗体は、マウス抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体であり得る。いくつかの実施形態では、軽鎖可変ドメインは、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、重鎖は、5/15/2013にATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株またはその子孫(ATCCアクセッション番号PTA-120351)によって生成されるマウス抗ヒトC1sモノクローナル抗体5A1のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む。他の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含み、重鎖可変ドメインは、5/15/2013にATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株またはその子孫(ATCCアクセッション番号PTA-120352)によって生成されるマウス抗ヒトC1sモノクローナル抗体5C12のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、抗体は、C1sまたはC1sプロ酵素に特異的に結合し、その生物学的活性、例えば、C1qに対するC1s結合、C1rに対するC1s結合、またはC2もしくはC4に対するC1s結合を阻害する。生物学的活性は、C1sのタンパク質分解酵素活性、C1sプロ酵素の活性プロテアーゼへの変換、またはC2もしくはC4のタンパク質分解切断であり得る。ある特定の実施形態では、生物学的活性は、古典的補体活性化経路の活性化、抗体及び補体依存性細胞傷害の活性化、またはC1F溶血である。
【0228】
以下の62段落における全ての配列は、Van Vlasselaer、米国特許番号8,877,197(それが開示する抗体及び関連する組成物について参照により本明細書に組み込まれる)から参照により組み込まれる。
【0229】
本明細書では、補体成分C1sのドメインIV及びVを包含する領域内のエピトープに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体を投与する方法が開示される。いくつかの場合では、抗体は、補体成分4(C4)に対するC1sの結合を阻害し、及び/またはC1sのプロテアーゼ活性を阻害しない。いくつかの実施形態では、方法は、高いアビディティでC1複合体における補体成分C1sに結合するヒト化モノクローナル抗体を投与することを含む。
【0230】
本明細書では、アミノ酸配列配列番号57を含む抗体軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)の1つ以上及び/またはアミノ酸配列配列番号58を含む抗体重鎖可変領域のCDRの1つ以上を有する抗C1s抗体を投与する方法が開示される。抗C1s抗体は、ヒトまたはラット補体C1sタンパク質に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、補体C1sタンパク質によって切断される少なくとも1つの基質の切断を阻害する。
【0231】
ある特定の実施形態では、抗体は、a)配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、及び配列番号56から選択されるアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR);及び/またはb)配列番号62、配列番号63、配列番号53、配列番号64、配列番号65:及び配列番号66から選択されるアミノ酸配列を有するCDRを含む。
【0232】
抗体は、アミノ酸配列配列番号51を有するCDR-L1、アミノ酸配列配列番号52を有するCDR-L2、アミノ酸配列配列番号53を有するCDR-L3、アミノ酸配列配列番号54を有するCDR-H1、アミノ酸配列配列番号55を有するCDR-H2、及びアミノ酸配列配列番号56を有するCDR-H3を含み得る。
【0233】
他の実施形態では、抗体は、配列番号67のアミノ酸配列を有する可変領域の軽鎖CDR、及び/または配列番号68のアミノ酸配列を有する可変領域の重鎖CDRを含み得る。
【0234】
抗体は、補体成分C1sに特異的に結合するヒト化抗体であって、その抗体は、エピトープとの結合についてアミノ酸配列配列番号57または配列番号67を含む抗体軽鎖可変領域のCDRの1つ以上、及び/またはアミノ酸配列配列番号58または配列番号68を含む抗体重鎖可変領域のCDRの1つ以上を含む抗体と競合する、ヒト化抗体であり得る。
【0235】
他の例では、抗体は、補体C1sに特異的に結合するヒト化抗体であり得、その抗体は、a)補体C1sタンパク質内のエピトープに特異的に結合するヒト化抗体であって、抗体が、エピトープとの結合について配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、及び配列番号56から選択されるアミノ酸配列を有するCDRを含む抗体と競合する、ヒト化抗体;及びb)補体C1sタンパク質内のエピトープに特異的に結合するヒト化抗体であって、抗体が、エピトープとの結合について配列番号62、配列番号63、配列番号53、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66から選択されるアミノ酸配列を有するCDRを含む抗体と競合する、ヒト化抗体から選択される。いくつかの場合では、抗体は、エピトープとの結合についてa)配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号69、配列番号55、及び配列番号56;またはb)配列番号62、配列番号63、配列番号53、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66を含む重鎖及び軽鎖CDRを含む抗体と競合する。
【0236】
抗体は、別々のポリペプチドに存在する軽鎖領域及び重鎖領域を含み得る。抗体は、Fc領域を含み得る。
【0237】
本明細書では、アミノ酸配列配列番号57と90%同一のアミノ酸配列の軽鎖可変領域、及びアミノ酸配列配列番号58と90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗C1s抗体が開示される。
【0238】
抗C1s抗体は、抗原結合断片、Igモノマー、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、scFv、scAb、dAb、Fv、シングルドメイン重鎖抗体、シングルドメイン軽鎖抗体、単一特異性抗体、二重特異性抗体、または多重特異性抗体から選択され得る。
【0239】
本明細書では、抗体IPN003(本明細書で「IPN-M34」または「M34」または「TNT003」とも称される)が結合するエピトープへの結合について競合する抗体、例えば、抗体IPN003等の抗体IPN003の可変ドメインを含む抗体を投与する方法が開示される。
【0240】
いくつかの実施形態では、方法は、補体C1sタンパク質内のエピトープに特異的に結合する抗体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、単離された抗C1s抗体は、活性化したC1sタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗C1s抗体は、不活性形態のC1sに結合する。他の例では、単離された抗C1s抗体は、活性化したC1sタンパク質及び不活性形態のC1sの両方に結合する。
【0241】
いくつかの実施形態では、方法は、C4の切断を阻害するモノクローナル抗体を投与することを含み、単離されたモノクローナル抗体は、C2の切断を阻害しない。いくつかの実施形態では、方法は、C2の切断を阻害するモノクローナル抗体を投与することを含み、単離されたモノクローナル抗体は、C4の切断を阻害しない。いくつかの場合では、単離されたモノクローナル抗体は、ヒト化されている。いくつかの場合では、抗体は、古典的補体経路の成分を阻害する。いくつかの場合では、抗体によって阻害される古典的補体経路の成分はC1sである。本開示はまた、C4の切断を阻害する単離されたモノクローナル抗体、または単離されたモノクローナル抗体を含む薬学的組成物をそれを必要とする個体に投与することによって、補体媒介性疾患または障害を処置する方法であって、単離されたモノクローナル抗体は、C2の切断を阻害しない、方法を提供する。
【0242】
いくつかの実施形態では、方法は、C1sによるC2またはC4の切断を阻害する、すなわち、C2またはC4のC1s媒介性タンパク質分解切断を阻害するモノクローナル抗体を投与することを含む。いくつかの場合では、モノクローナル抗体は、ヒト化されている。いくつかの場合では、抗体は、C1sに対するC2またはC4の結合を阻害することによってC1sによるC2またはC4の切断を阻害する;例えば、いくつかの場合では、抗体は、C1sのC2またはC4結合部位に対するC2またはC4の結合を阻害することによってC2またはC4のC1s媒介性切断を阻害する。よって、いくつかの場合では、抗体は、競合阻害剤として機能する。本開示はまた、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんの治療を必要とする個体に、C1sによるC2またはC4の切断、すなわち、C2またはC4のC1s媒介性タンパク質分解切断を阻害する単離されたモノクローナル抗体を投与することによって、それを行う方法を提供する。
【0243】
いくつかの実施形態では、方法は、C1sによるC4の切断を阻害するモノクローナル抗体を投与することを含み、抗体は、C1sによる補体成分C2の切断を阻害せず;すなわち、抗体は、C4のC1s媒介性切断を阻害するが、C2のC1s媒介性切断を阻害しない。いくつかの場合では、モノクローナル抗体は、ヒト化されている。いくつかの場合では、モノクローナル抗体は、C1sに対するC4の結合を阻害するが、C1sに対するC2の結合を阻害しない。いくつかの実施形態では、方法は、C1sによるC4の切断を阻害する単離されたモノクローナル抗体をそれを必要とする個体に投与することによって、補体媒介性疾患または障害を処置することを含み、抗体は、C1sによる補体成分C2の切断を阻害せず;すなわち、抗体は、C4のC1s媒介性切断を阻害するが、C2のC1s媒介性切断を阻害しない。方法のいくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化されている。
【0244】
いくつかの実施形態では、方法は、C1sのドメインIV及びVを包含する領域内のエピトープに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体を投与することを含む。例えば、ヒト化モノクローナル抗体は、図1に図示され、配列番号70に示されるアミノ酸配列のアミノ酸272~422内のエピトープに特異的に結合する。いくつかの場合では、ヒト化モノクローナル抗体は、図1に図示され、配列番号70に示されるアミノ酸配列のアミノ酸272~422内のエピトープに特異的に結合し、C1sに対するC4の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、方法は、図1に図示され、配列番号70に示されるアミノ酸配列のアミノ酸272~422内のエピトープに特異的に結合し、C1sに対するC4の結合を阻害するヒト化モノクローナル抗体をそれを必要とする個体に投与することによって、補体媒介性疾患または障害を処置することを含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、方法は、C1sのドメインIV及びVを包含する領域内のコンフォメーションエピトープに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体を投与することを含む。例えば、図1に図示され、配列番号70に示されるアミノ酸配列のアミノ酸272~422内のコンフォメーションエピトープに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体。いくつかの場合では、ヒト化モノクローナル抗体は、図1に図示され、配列番号70に示されるアミノ酸配列のアミノ酸272~422内のコンフォメーションエピトープに特異的に結合し、C1sに対するC4の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、方法は、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんを含み、図1に図示され、配列番号70に示されるアミノ酸配列のアミノ酸272~422内のコンフォメーションエピトープに特異的に結合し、C1sに対するC4の結合を阻害するヒト化モノクローナル抗体を、それを必要とする個体に投与することを含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、方法は、C1複合体における補体成分C1sに結合するモノクローナル抗体を投与すること含む。C1複合体は、6分子のC1q、2分子のC1r、及び2分子のC1sから構成される。いくつかの場合では、モノクローナル抗体は、ヒト化されている。よって、いくつかの場合では、C1複合体における補体成分C1sに結合するヒト化モノクローナル抗体。いくつかの場合では、抗体は、高いアビディティでC1複合体に存在するC1sに結合する。
【0247】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体(例えば、補体C1sタンパク質におけるエピトープに特異的に結合する対象抗体)は、a)IPN003抗体の1、2、または3つのVL CDRを含む軽鎖領域;及びb)IPN003抗体の1、2、または3つのVH CDRを含む重鎖領域を含み、VH及びVL CDRは、Kabat(例えば、表1及びKabat 1991を参照のこと)によって定義されるとおりである。
【0248】
他の実施形態では、抗C1s抗体(例えば、補体C1sタンパク質におけるエピトープに特異的に結合する対象抗体)は、a)IPN003抗体の1、2、または3つのVL CDRを含む軽鎖領域;及びb)IPN003抗体の1、2、または3つのVH CDRを含む重鎖領域を含み、VH及びVL CDRは、Chothia(例えば、表1及びChothia 1987を参照のこと)によって定義されるとおりである。
【0249】
IPN003抗体のCDRアミノ酸配列、ならびにVL及びVHアミノ酸配列を表2に示す。表2は、アミノ酸配列のそれぞれに割り当てられた配列番号も示す。
【0250】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体(例えば、補体C1sタンパク質におけるエピトープに特異的に結合する対象抗体)は、a)配列番号51、配列番号52、及び配列番号53から選択される1、2、または3つのCDRを含む軽鎖領域;及びb)配列番号54、配列番号55、及び配列番号56から選択される1、2、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。これらの実施形態の一部において、抗C1s抗体は、ヒト化VH及び/またはVLフレームワーク領域を含む。
配列番号51:SSVSSSYLHWYQ;
配列番号52:STSNLASGVP;
配列番号53:HQYYRLPPIT;
配列番号54:GFTFSNYAMSWV;
配列番号55:ISSGGSHTYY;
配列番号56:ARLFTGYAMDY。
【0251】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、及び配列番号56から選択されるアミノ酸配列を有するCDRを含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号51、配列番号52、及び配列番号53を含む軽鎖可変領域を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号54、配列番号55、及び配列番号56を含む重鎖可変領域を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号51を有するCDR-L1、アミノ酸配列配列番号52を有するCDR-L2、アミノ酸配列配列番号53を有するCDR-L3、アミノ酸配列配列番号54を有するCDR-H1、アミノ酸配列配列番号55を有するCDR-H2、及びアミノ酸配列配列番号56を有するCDR-H3を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
配列番号57:
DIVMTQTTAIMSASLGERVTMTCTASSSVSSSYLHWYQQKPGSSPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTFYSLTISSMEAEDDATYYCHQYYRLPPITFGAGTKLELK。
【0256】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号58:
QVKLEESGGALVKPGGSLKLSCAASGFTFSNYAMSWVRQIPEKRLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNARDTLYLQMSSLRSEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTSVT。
【0257】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号57と90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号58と90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号58を含む重鎖可変領域を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号57と90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及びアミノ酸配列配列番号58と90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号57を含む軽鎖可変領域及びアミノ酸配列配列番号58を含む重鎖可変領域を含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、補体C1sタンパク質内のエピトープに特異的に結合し、抗体は、エピトープとの結合についてアミノ酸配列配列番号57を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR及びアミノ酸配列配列番号58を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む抗体と競合する。
【0264】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号57を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR及びアミノ酸配列配列番号58を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体(例えば、補体C1sタンパク質におけるエピトープに特異的に結合する対象抗体)は、a)配列番号62、配列番号63、及び配列番号53から選択される1、2、または3つのCDRを含む軽鎖領域;及びb)配列番号64、配列番号65、及び配列番号66から選択される1、2、または3つのCDRを含む重鎖領域を含む。
配列番号62:TASSSVSSSYLH;
配列番号63:STSNLAS;
配列番号53:HQYYRLPPIT;
配列番号64:NYAMS;
配列番号65:TISSGGSHTYYLDSVKG;
配列番号66:LFTGYAMDY
【0266】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号62、配列番号63、配列番号53、配列番号64、配列番号65、及び配列番号66から選択されるアミノ酸配列を有するCDRを含む。
【0267】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号62、配列番号63、及び配列番号53を含む軽鎖可変領域を含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号64、配列番号65、及び配列番号66を含む重鎖可変領域を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号62を有するCDR-L1、アミノ酸配列配列番号63を有するCDR-L2、アミノ酸配列配列番号53を有するCDR-L3、アミノ酸配列配列番号64を有するCDR-H1、アミノ酸配列配列番号65を有するCDR-H2、及びアミノ酸配列配列番号66を有するCDR-H3を含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号67に示されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
配列番号67:
QIVLTQSPAIMSASLGERVTMTCTASSSVSSSYLHWYQQKPGSSPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTFYSLTISSMEAEDDATYYCHQYYRLPPITFGAGTKLELK。
【0271】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号68に示されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
配列番号68:
EVMLVESGGALVKPGGSLKLSCAASGFTFSNYAMSWVRQIPEKRLEWVATISSGGSHTYYLDSVKGRFTISRDNARDTLYLQMSSLRSEDTALYYCARLFTGYAMDYWGQGTSVTVSS。
【0272】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号67と90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号68と90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号67を含む軽鎖可変領域を含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号68を含む重鎖可変領域を含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号67と90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及びアミノ酸配列配列番号68と90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号67と95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及びアミノ酸配列配列番号68と95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号67を含む軽鎖可変領域及びアミノ酸配列配列番号68を含む重鎖可変領域を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、補体C1sタンパク質内のエピトープに特異的に結合し、抗体は、エピトープとの結合についてアミノ酸配列配列番号67を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR及びアミノ酸配列配列番号68を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む抗体と競合する。
【0280】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、アミノ酸配列配列番号67を含む抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR及びアミノ酸配列配列番号68を含む抗体重鎖可変領域の重鎖CDRを含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号67に示されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、配列番号68に示されるアミノ酸配列と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0283】
抗C1s抗体は、配列番号79に示され、図2に図示されるアミノ酸配列(VHバリアント1)と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0284】
抗C1s抗体は、配列番号80に示され、図3に図示されるアミノ酸配列(VHバリアント2)と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0285】
抗C1s抗体は、配列番号81に示され、図4に図示されるアミノ酸配列(VHバリアント3)と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0286】
抗C1s抗体は、配列番号82に示され、図5に図示されるアミノ酸配列(VHバリアント4)と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0287】
抗C1s抗体は、配列番号83に示され、図6に図示されるアミノ酸配列(VKバリアント1)と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0288】
抗C1s抗体は、配列番号84に示され、図7に図示されるアミノ酸配列(VKバリアント2)と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0289】
抗C1s抗体は、配列番号85に示され、図8に図示されるアミノ酸配列(VKバリアント3)と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。
【0290】
抗C1s抗体は、表3(図9)に示される、IPN003親抗体FRアミノ酸配列に対して、フレームワーク(FR)アミノ酸置換のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個を含む重鎖可変領域を含み得る。
【0291】
補体の阻害
補体の活性を阻害するいくつかの分子が知られている。既知の化合物に加えて、好適な阻害剤は、本明細書に記載の方法によってスクリーニングすることができる。上述のように、正常細胞は、補体活性を阻止するタンパク質、例えば、CD59、C1阻害剤等を産生することができる。本開示のいくつかの実施形態では、補体は、そのようなポリペプチドをコードする遺伝子の発現を上方制御することによって阻害される。
【0292】
補体活性化を阻止する分子の修飾も当該技術分野で知られている。例えば、そのような分子には、可溶性CR1等の修飾された補体受容体が含まれるが、これらに限定されない。CR1の最も一般的なアロタイプの成熟タンパク質は、1998個のアミノ酸残基:1930個の残基の細胞外ドメイン、25個の残基の膜貫通領域、及び43個の残基の細胞質ドメインを含有する。細胞外ドメイン全体は、短いコンセンサス反復(SCR)または補体制御タンパク質反復(CCPR)と称される30個の反復単位から構成され、それぞれが60~70個のアミノ酸残基からなる。最近のデータは、C1qがヒトCR1に特異的に結合することを示す。したがって、CR1は、3つ全ての補体オプソニン、すなわちC3b、C4b、及びC1qを認識する。膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを欠く組換えヒトCR1(sCR1)の可溶性バージョンが産生され、天然CR1の全ての既知の機能を保持することが示されている。虚血/再灌流損傷の動物モデルにおけるsCR1の心臓保護の役割が確認されている。いくつかのタイプのヒトC1q受容体(C1qR)が記載されている。これらには、C1qのコラーゲン様ドメインに結合するため、cC1qRと称される、遍在的に分布する60~67kDa受容体が含まれる。このC1qRバリアントは、単球貧食作用を調節する126kDa受容体であることが示された。gC1qRは、膜結合分子ではなく、C1qの球状領域に対する親和性を有する分泌型可溶性タンパク質であり、補体活性化の流体相調整因子として機能し得る。
【0293】
崩壊促進因子(DAF)(CD55)は、4つのSCR、及び広範囲のO-結合型グリコシル化が可能なセリン/トレオニン濃縮ドメインから構成される。DAFは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーによって細胞膜に結合され、C4b及びC3bに結合するその能力を通じて、C3及びC5変換酵素を解離することによって作用する。可溶性バージョンのDAF(sDAF)は、補体活性化を阻害することが示されている。
【0294】
セリンプロテアーゼ阻害剤の「セルピン」ファミリーのメンバーであるC1阻害剤は、流体相C1活性化を防止する重グリコシル化血漿タンパク質である。C1阻害剤は、C1r及びC1sの活性部位を遮断し、それらをC1qから解離することによって、補体活性化の古典的経路を調節する。
【0295】
補体活性化のペプチド阻害剤としては、C5aが挙げられ、他の阻害分子としては、フカンが挙げられる。
【0296】
核酸、ベクター及び宿主細胞
本開示の方法において使用するのに好適な抗体は、例えば、米国特許番号4,816,567に記載されているように、組換え方法及び組成物を使用して生成され得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗C1q、抗C1rまたは抗C1s抗体のV/Cを含有するアミノ酸配列及び/またはV/C1を含有するアミノ酸配列をコードし得る。いくつかの実施形態では、そのような核酸を含有する1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。そのような核酸を含有する宿主細胞も提供され得る。宿主細胞は、(1)抗体のV/Cを含有するアミノ酸配列及び抗体のV/C1を含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有するベクター、または(2)抗体のV/Cを含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有する第1のベクター及び抗体のV/C1を含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有する第2のベクターを含有し得る(例えば、形質導入されている)。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、E.coli等の細菌である。
【0297】
抗C1q、抗C1rまたは抗C1s抗体を作製する方法が本明細書に開示される。方法は、抗C1q、抗C1rまたは抗C1s抗体をコードする核酸を含有する本開示の宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。いくつかの実施形態では、抗体はその後、宿主細胞(または宿主細胞培地)から回収される。
【0298】
本開示のヒト化抗C1q、抗C1rまたは抗C1s抗体の組換え生成のため、抗体をコードする核酸は単離され、宿主細胞において更なるクローニング及び/または発現のための1つ以上のベクターに挿入される。そのような核酸は、慣用の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、シーケンシングされ得る。
【0299】
本開示の抗体、または本明細書に記載のその断片ポリペプチド(抗体を含む)のいずれかをコードする核酸配列を含有する好適なベクターには、限定されないが、クローニングベクター及び発現ベクターが含まれる。好適なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築され得、または当該技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは、使用されることが意図された宿主細胞に応じて変わり得る一方で、有用なクローニングベクターは通常、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼのための単一の標的を保有し得、及び/またはベクターを含有するクローンを選択する際に使用され得るマーカーのための遺伝子を有し得る。好適な例には、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、及びシャトルベクター、例えば、pSA3及びpAT28が含まれる。これらの及び多くの他のクローニングベクターがBioRad、Stratagene、及びInvitrogen等の商業的ベンダーから利用可能である。
【0300】
対象となる核酸を含有するベクターは、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を用いるトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;及び感染(例えば、ベクターはワクシニアウイルス等の感染性物質である)を含む、多数の適切な手段のいずれかによって宿主細胞に導入され得る。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する選択はしばしば、宿主細胞の特徴に依存する。いくつかの実施形態では、ベクターは、本開示の抗C1q、抗C1rまたは抗C1s抗体をコードする1つ以上のアミノ酸配列を含有する核酸を含有する。
【0301】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、原核生物または真核細胞が含まれる。例えば、本開示の抗C1q、抗C1rまたは抗C1s抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合、細菌において生成され得る。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現について、(例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、及び第5,840,523号;ならびにCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254は、E.coliにおける抗体断片の発現について記載している)。他の実施形態では、本開示の抗体は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)において産生され得る(例えば、米国特許出願第14/269,950号、米国特許第8,981,071号、Eur J Biochem.1991 Jan 1;195(1):235-42)。発現後、抗体は、可溶性画分における細菌細胞ペーストから単離され得、更に精製され得る。
【0302】
対象となる病態
てんかんは、脳内の神経細胞の活動が妨害され、発作、または異常な行動の期間、感覚、及び時には意識の喪失を引き起こす一群の神経学的障害である。てんかん発作は、短時間でほとんど検出されないものから、長時間の激しい振せんまで様々なエピソードである。てんかんでは、発作は再発する傾向があり、直接の根本的な原因はない。ほとんどのてんかんの原因は不明であるが、脳損傷(例えば、TBI)、脳卒中、脳腫瘍、及び物質使用障害の結果としててんかんを発症する人もいる。遺伝子変異が関連している疾患の割合は、わずかである。てんかん発作は、脳における過剰かつ異常な皮質神経細胞活性の結果である。診断には、典型的は、失神等の同様の症状を引き起こす可能性のある他の状態を除外することを含む。加えて、診断を下すことは、アルコール離脱または電解質の問題等の任意の他の発作の原因が存在するかどうかを決定することを含む。これは、脳を画像化し、血液検査を実行することによって行われ得る。てんかんはしばしば脳波検査(EEG)で確認できるが、正常な検査ではその状態は除外されない。他の脳イメージング技術はまた、ある形態のてんかんを検出し得、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、磁気共鳴分光法(MRS)、陽電子放出断層撮影(PET)、及び単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)等である。
【0303】
てんかんは、腫瘍、脳卒中、頭部外傷、中枢神経系の以前の感染症、遺伝子異常、及び出生時前後の脳損傷を含む多数の他の状態の結果として生じ得る。てんかんにはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因、症状、及び治療が異なる。てんかんの大きく分けた2つのタイプは、特発性(遺伝的原因)、症候性または潜因性(推定症候性、原因不明)である。特発性全般てんかんでは、多くの場合、必ずしもそうではないが、てんかんの家族歴がある。特発性全般てんかんは、小児期または青年期に現れる傾向があるが、成人期まで診断されない場合がある。このタイプのてんかんでは、発作以外の神経系(脳または脊髄)の異常は、EEGまたは画像研究(MRI)のいずれにおいても同定できない。脳は、脳磁気共鳴画像(MRI)スキャンでは構造的に正常であるが、特別な研究では、出生時から存在していた可能性のある脳の瘢痕または微妙な変化を示す可能性がある。特発性全般てんかんを有する人々は知能が正常であり、神経学的検査及びMRIの結果は通常正常である。脳波検査(EEG-脳内の電気インパルスを測定する検査)の結果は、脳内の単一の領域または複数の領域に影響を及ぼすてんかん性放電(いわゆる全般放電)を示す可能性がある。特発性全般てんかん患者に影響を及ぼす発作のタイプとしては、ミオクローヌス発作(四肢の突然で非常に短い期間のけいれん)、欠神発作(凝視発作)、及び/または全身性強直性間代性発作(けいれん大発作)が挙げられる。特発性全般てんかんは、通常、薬物療法で治療される。小児期の欠神てんかん及び多数の若年性ミオクローヌスてんかん患者の場合と同様、この状態を超えて発作を起こさなくなる人々もいる。
【0304】
特発性部分てんかんは、小児期(5歳~8歳)に始まり、家族歴の一部である可能性がある。小児期の良性焦点てんかん(BFEC)としても知られており、これは最も軽度のタイプのてんかんのうちの1つと考えられている。ほとんどの場合、思春期までになくなり、成人で診断されることはない。発作は睡眠中に生じる傾向があり、ほとんどの場合、顔面及び二次性全般(大発作)発作を含む単純な部分運動発作である。このタイプのてんかんは、通常、EEGで診断される。
【0305】
症候性全般てんかんは、広範囲にわたる脳損傷によって引き起こされる。症候性全般てんかんの最も一般的な原因は、出生時の損傷である。発作に加えて、これらの患者は多くの場合、精神遅滞または脳性麻痺等の他の神経学的問題を有する。副腎白質ジストロフィー(ADL)または脳感染症(髄膜炎及び脳炎等)等の特定の遺伝性脳疾患は、症候性全般てんかんを引き起こす可能性もある。症候性全般てんかんの原因が特定できない場合、この障害は、潜因性てんかんと称され得る。これらのてんかんには様々なサブタイプが含まれる。最も一般的に知られているタイプは、レノックス・ガストー症候群である。これらの患者では、複数のタイプの発作(全身性強直性間代性発作、強直性発作、ミオクローヌス発作、強直性発作、脱力発作、及び欠神発作)が一般的であり、制御が困難である可能性がある。
【0306】
症候性部分(または焦点)てんかんは、成人期に始まる最も一般的なタイプのてんかんであるが、小児でも頻繁に発生する。このタイプのてんかんは、外傷性脳損傷、脳卒中、腫瘍、外傷、先天性(出生時に存在する)脳異常、脳組織の瘢痕化もしくは「硬化」、嚢胞、または感染症に起因する可能性がある、脳の局所的な異常によって引き起こされる。MRIスキャンではこれらの脳の異常が見られることがあるが、顕微鏡的であるため、何度も試みたにもかかわらず同定できないことがしばしばある。
【0307】
症候性部分(または焦点)てんかんの1つの例は、側頭葉てんかん(TLE)であり、これは、主に神経細胞の過剰興奮性によって引き起こされる扁桃体-海馬の機能の異常調節を伴う一群の障害である。特に内側TLE(MTLE)は、おそらく全てのてんかんの中で最も特徴的な電気臨床症候群であり、成人における焦点てんかんの最も頻繁な形態である。MTLEを呈する患者の少なくとも70%は、現在利用可能な薬剤に耐性を有する。側頭葉が焦点発作に陥りやすい固有の可能性は、扁桃体-海馬複合体及び内髄皮質を含む独特の解剖学的機能ネットワークに基づく。難治性TLEを有するほとんどの患者は、CA1及びCA4サブフィールドにおける分節性ニューロン細胞消失、アストログリオーシス、顆粒細胞分散及び軸索再編成によって特性化される重度の片側性海馬萎縮、いわゆる海馬硬化症(HS)を呈する。ほとんどの場合、TLEの病因は不明(特発性)であるが、この障害は、熱性発作、外傷、脳卒中、脳感染症またはてんかん発作重積状態(SE)を含む初期の誘発(precipitating)損傷にしばしば関連する。このような損傷は、てんかん発症プロセスを引き起こす脳内での病理学的変化を引き起こし、数ヶ月~数年の潜伏期間の後にてんかんを引き起こす可能性があるという一般的な合意がある。発作以外に、薬剤耐性TLEは、認知機能の低下、特に記憶機能への関与、及び精神医学的併存疾患によって特性化される。TLEの行動欠陥は、疾患の負荷に大きな影響を与え、多くの場合、発作自体よりもはるかに患者の生活の質に対する悪影響の原因となる。
【0308】
薬学的組成物及び投与
本開示の補体阻害剤(例えば、抗体)は、薬学的組成物の形態で投与され得る。
【0309】
本開示の阻害剤(例えば、抗体)の治療製剤は、所望の純度を有する阻害剤を任意の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.[1980])と混合することによって保存のために凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製され得る。許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、これには緩衝液、例えば、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、プロリン及び/またはリジン;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
【0310】
リポフェクションまたはリポソームもまた、抗体または抗体断片を細胞に送達するために使用され得、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合するエピトープまたは最小断片が好ましい。
【0311】
阻害剤はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)中、またはマクロ乳濁液中に取り込まれ得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0312】
投与のために使用される製剤は無菌であり得る。これは、滅菌濾過膜を介する濾過によって容易に達成される。
【0313】
持続放出調製物が調製され得る。持続放出調製物の好適な例には、阻害剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタミン酸エステルのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸等のポリマーが100日間にわたる分子の放出を可能にする一方で、ある特定のヒドロゲルは、より短い期間にわたってタンパク質を放出する。
【0314】
本開示の抗体及び組成物は典型的には、局所、非経口、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、及び病巣内投与を含むがこれらに限定されない様々な経路によって投与される。非経口投与経路には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、硝子体内、髄腔内、または皮下投与が含まれる。
【0315】
薬学的組成物はまた、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与のための薬学的組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルとして定義される、希釈剤の薬学的に許容可能な非毒性担体を含み得る。希釈剤は、組み合わせの生物学的活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、緩衝水、生理的生理食塩水、PBS、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス溶液である。加えて、薬学的組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療性、非免疫原性安定化剤、賦形剤等を含み得る。組成物はまた、おおよその生理的条件のための追加の物質、例えば、pH調整及び緩衝剤、毒性調整剤、湿潤剤及び洗浄剤を含み得る。
【0316】
組成物はまた、例えば、抗酸化剤等の多様な安定化剤のいずれかを含み得る。薬学的組成物がポリペプチドを含む場合、ポリペプチドは、ポリペプチドのインビボ安定性を向上させるか、またはそうでなければその薬理学的特性を向上させる(例えば、ポリペプチドの半減期を増加させる、その毒性を低下させる、他の薬物動態及び/または薬力学的特性を向上させる、または溶解性もしくは取り込みを向上させる)様々なよく知られている化合物と複合体化され得る。そのような改変または錯化剤の例には、スルフェート、グルコネート、シトレート及びホスフェートが含まれる。組成物のポリペプチドはまた、それらのインビボ属性を向上させる分子と複合体化され得る。そのような分子には、例えば、炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)、及び脂質が含まれる。様々なタイプの投与に好適な製剤に関する更なる指針は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)で見ることができる。薬物送達のための方法の簡潔なレビューについては、Langer,Science 249:1527-1533(1990)を参照されたい。
【0317】
活性成分の毒性及び治療的有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定することを含む、細胞培養及び/または実験動物における標準的な薬学的手順に従って決定され得る。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、それは比LD50/ED50として表され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。
【0318】
細胞培養及び/または動物研究から得られたデータは、ヒトのための投薬量の範囲を策定する際に使用され得る。活性成分の投薬量は典型的には、低い毒性でED50を含む循環濃度の範囲内に収まる。投薬量は、用いられる投薬形態及び利用される投与経路に応じてこの範囲内で変わり得る。
【0319】
本明細書に記載の薬学的組成物は、多様な異なる方法で投与され得る。例には、経口、鼻腔内、直腸、硝子体内、局所、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、真皮下、経皮、髄腔内、及び頭蓋内方法を介して薬学的に許容可能な担体を含有する組成物を投与することが含まれる。
【0320】
経口投与のために、活性成分は、カプセル、錠剤、及び粉末等の固体剤形で、またはエリキシル剤、シロップ剤、及び懸濁液等の液体剤形で投与され得る。活性成分(複数可)は、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロースまたはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、滑石、炭酸マグネシウム等の不活性成分及び粉末担体とともにゼラチンカプセルに封入され得る。望ましい色、味、安定性、緩衝能、分散、または他の既知の望ましい特徴を提供するために添加され得る追加の不活性成分の例は、赤色酸化鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、及び食用白インクである。同様の希釈剤は、圧縮錠剤を作製するために使用され得る。錠剤及びカプセルの両方は、数時間にわたる薬剤の連続的な放出を提供するために、持続放出製品として製造され得る。圧縮錠剤は、任意の不快な味を覆い隠し、雰囲気から錠剤を保護するために糖コーティングまたはフィルムコーティングされてもよいし、消化管内での選択的崩壊のために腸溶性コーティングされてもよい。経口投与のための液体剤形は、患者の受容性を増加させるための着色剤(coloring)及び香料(flavoring)を含有し得る。
【0321】
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性の等張性滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。
【0322】
薬学的組成物を製剤化するために使用される成分は、好ましくは、高純度のものであり、潜在的に有害な混入物質を実質的に含まない(例えば、少なくとも国の食品(National Food)グレード、通常は少なくとも分析グレード、より典型的には少なくとも薬学的グレード)。更に、非経口的使用のために意図される組成物は通常、無菌である。所与の化合物が使用前に合成されなければならない限り、得られる生成物は、合成または精製プロセスの間に存在し得る任意の潜在的に毒性の物質、特に任意のエンドトキシンは典型的には実質的に含まれない。非経口投与のための組成物もまた、典型的には実質的に等張性であり、GMP条件下で生成される。
【0323】
本開示の組成物は、任意の医学的に適切な手順、例えば、血管内(静脈内、動脈内、毛細血管内)投与、脳脊髄液への注射、硝子体内、局所、空洞内、または脳内への直接注射を使用して投与され得る。髄腔内投与は、既知の技術に従って、オマヤレザバーの使用を通じて実施され得る。(F.Balis et al.,Am J.Pediatr.Hematol.Oncol.11,74,76(1989))。
【0324】
治療剤が脳内に局所的に投与される場合、本開示の治療組成物の投与のための1つの方法は、任意の好適な技術、例えば、直接注射(必要に応じて、注射シリンジの定位位置決めによって補助される)によって、または投与のためにオマヤレザバーの先端を空洞もしくは嚢胞内に配置することによって、部位内またはその近くに沈着させることである。あるいは、対流強化送達カテーテルは、部位内に、自然もしくは外科的に作成された嚢胞内に、または正常な脳塊内に直接埋め込まれ得る。そのような対流強化薬学的組成物送達デバイスは、脳塊全体にわたる組成物の拡散を大幅に改善する。これらの送達デバイスの埋め込まれたカテーテルは、拡散性の流れではなく、(約0.5~15.0μl/分の範囲の流量での)高流量のマイクロ注入を利用して、治療組成物を脳塊及び/または腫瘍塊に送達する。そのようなデバイスは、米国特許第5,720,720号(参照により本明細書に完全に組み込まれる)に記載されている。
【0325】
特定の患者に与えられる治療組成物の有効量は、多様な要素に依存し得、そのいくつかは患者毎に異なり得る。適任の臨床医は、患者に投与するための治療剤の有効量を決定することができる。薬剤の投薬量は、治療、投与経路、治療剤の特質、患者の治療剤に対する感受性等に依存する。LD50動物データ及び他の情報を利用して、臨床医は、投与経路に応じて、個体のための最大安全用量を決定し得る。通常の技術を利用して、適任の臨床医は、日常的な臨床試験の過程で特定の治療組成物の投薬量を最適化することができる。組成物は、一連の複数回の投与で対象に投与され得る。治療組成物に関して、定期的な周期的投与が時に必要とされる場合があり、または望ましい場合がある。治療レジメンは薬剤に応じて変わる;例えば、いくつかの薬剤は、1日1回または1日2回のベースで長期間摂取され得る一方で、より選択的な薬剤は、例えば、1、2、3日またはそれ以上、1週以上、1ヶ月以上等のより規定された期間で1日1回、1日2回、週2回、週1回等で摂取されるように投与され得る。
【0326】
製剤は、脳内での保持及び安定化のために最適化され得る。薬剤が頭蓋区画内に投与される場合、薬剤は、区画内で保持され、拡散しないことまたはそうでなければ血液脳関門を通過しないことが望ましい。安定化技術には、分子量の増加を達成するために、架橋、多量体化、またはポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体等の基への連結が含まれる。
【0327】
保持を増加させるための他のストラテジーには、生分解性または生体内分解性埋込物における薬剤の取り込みが含まれる。治療的活性剤の放出の速度は、ポリマーマトリックスを介する輸送速度、及び埋込物の生分解によって制御される。ポリマー障壁を介する薬物の輸送はまた、化合物溶解性、ポリマー親水性、ポリマー架橋の程度、ポリマー障壁が薬物に対してより透過性となるような水吸収時のポリマーの膨張、埋込物の形状等によって影響を受ける。埋込物は、埋込の部位として選択された領域のサイズ及び形状にふさわしい寸法のものである。埋込物は、粒子、シート、パッチ、プラーク、繊維、マイクロカプセル等であり得、選択された挿入部位と適合する任意のサイズまたは形状のものであり得る。
【0328】
埋込物は、モノリシック(すなわち、ポリマーマトリックスを介して均一に分布した活性剤を有する)であり、または封入され得る(活性剤のリザーバがポリマーマトリックスによって封入される)。用いられるポリマー組成物の選択は、投与の部位、所望の処置期間、患者忍容性、処置される疾患の特質等に応じて異なる。ポリマーの特性には、埋込の部位での生分解性、対象となる薬剤との相溶性、封入の容易性、生理的環境における半減期が含まれる。
【0329】
用いられ得る生分解性ポリマー組成物は、分解された場合にモノマーを含む生理的に許容可能な分解生成物をもたらす有機エステルまたはエーテルであり得る。無水物、アミド、オルトエステル等が、それ自体でまたは他のモノマーと組み合わせて利用され得る。ポリマーは、縮合ポリマーであり得る。ポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。特に興味深いものは、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー(ホモポリマーまたはコポリマーのいずれか)、及び多糖類である。対象となるポリエステルには、D-乳酸、L-乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸のポリマー、ポリカプロラクトン、及びそれらの組み合わせが含まれる。L-乳酸またはD-乳酸を用いることにより、徐々に生分解するポリマーが達成される一方で、分解はラセミ体で実質的に促進される。グリコール酸及び乳酸のコポリマーが特に興味深く、その場合、生分解の速度が乳酸に対するグリコール酸の比によって制御される。最も急速に分解するコポリマーは、おおよそ等量のグリコール酸及び乳酸を有し、いずれのホモポリマーも分解に対してより抵抗性である。乳酸に対するグリコール酸の比はまた、埋込物の脆さに影響を与え、より柔軟性のある埋込物がより大きな形状にとって望ましい。対象となる多糖類には、アルギン酸カルシウム、及び官能化セルロース、特に水不溶性であり、分子量が約5kD~500kDであることによって特性化されるカルボキシメチルセルロースエステル等がある。生分解性ヒドロゲルも、本開示の埋込物に使用され得る。ヒドロゲルは典型的には、液体を吸収する能力によって特性化されるコポリマー物質である。用いられ得る例示的な生分解性ヒドロゲルは、Heller in:Hydrogels in Medicine and Pharmacy,N.A.Peppes ed.,Vol.III,CRC Press,Boca Raton,Fla.,1987,pp137-149に記載されている。
【0330】
処置方法
本発明の方法は、補体の阻害剤である薬剤を投与することを通じて、てんかんに対する免疫応答を調節するためのものである。てんかんは、外傷性脳損傷(TBI)、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、または遺伝的症候群によって誘発され得る。好ましい実施形態では、てんかんは、TBI誘発てんかんである。理論に拘束されることなく、未熟アストロサイトは、発達中にニューロン内のC1qタンパク質の発現を誘発する。TLE患者では、海馬内でミクログリア活性化の徴候があり、これは、免疫応答の活性化を示唆している。補体因子等の炎症媒介物質は、通常、健康な脳組織において非常に低いレベルで発現されるが、感染症、虚血、損傷、及び発作等の脳に対する多様な傷害によって急速に誘発され得る。C1q、C1r、及びC1sの活性化は、発作及び発作関連ニューロン損傷の発生及び再発とともに、シナプス損失につながる炎症応答に寄与する。調節不全の持続性炎症、血液脳関門損傷、及び制御されていない発作は、TLEの進行を引き起こす。TLEの発症プロセス中、C1q、C1r、及びC1sの過剰発現は、補体活性化のためのシグナル、例えば、β-アミロイド、APP、IFNγ、TNFα等のサイトカインと連結され得、また炎症をもたらす。
【0331】
補体活性化を阻害する薬剤を投与することによって、そうでなければ失われるであろうシナプスを維持することができる。そのような薬剤には、C1q、C1r、及びC1s阻害剤、天然補体阻害剤の発現を上方制御する薬剤、ニューロンにおけるC1q、C1r、またはC1s合成を下方制御する薬剤、補体活性化を阻止する薬剤、補体活性化のためのシグナルを阻止する薬剤等が含まれる。
【0332】
補体活性化を阻害する薬剤を投与することによって、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんを媒介する抗原特異的抗体の産生を低減することができる。そのような薬剤には、抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体阻害剤が含まれる。他の薬剤には、天然補体の発現を上方制御する阻害剤、または細胞におけるC1q、C1rまたはC1s合成を下方制御する薬剤、補体活性化を阻止する薬剤、補体活性化のためのシグナルを阻止する薬剤等が含まれ得る。
【0333】
方法は、シナプス損失に関連する状態においてニューロン機能の改善された維持を促進する。神経接続の維持は、未処置の患者に対する神経変性疾患における機能的改善を提供する。シナプス損失の防止は、1、2、3、4、5、6日間または少なくとも1週間の期間にわたってそのような処置を欠く対照に対する少なくとも測定可能な改善、例えば、シナプス数の少なくとも10%の改善、少なくとも20%の改善、少なくとも50%の改善、またはそれ以上を含み得る。
【0334】
好ましくは、本発明の薬剤は、任意の副作用を最小限に抑えながらシナプス損失を減少させる投薬量で投与される。組成物は、インビボ使用のために医師の指導の下で得られ、使用されるであろうことが企図される。治療製剤の投薬量は、疾患の特質、投与の頻度、投与の様式、宿主からの薬剤のクリアランス等に応じて広く変わるであろう。
【0335】
特定の患者に与えられる治療組成物の有効量は、多様な要素に依存し、そのいくつかは患者毎に異なるであろう。通常の技術を利用して、適任の臨床医は、日常的な臨床試験の過程で特定の治療用または画像化組成物の投薬量を調整することができる。
【0336】
治療剤、例えば、補体の阻害剤、遺伝子発現の活性化剤等は、適切な薬学的に許容可能な担体または希釈剤との組み合わせによって治療投与のための多様な製剤に組み込まれ得、固体、半固体、液体または気体形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイクロスフィア、及びエアロゾルに製剤化され得る。したがって、化合物の投与は、経口、口腔内、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、髄腔内、鼻、気管内等の投与を含む様々な方法で達成され得る。活性剤は、投与後に全身的になり得、または局所的投与、壁内投与の使用、または埋込部位で活性用量を保持するように作用する埋込物の使用によって局在化され得る。
【0337】
血液脳関門(BBB)を通じた薬物送達のための1つの戦略は、マンニトールまたはロイコトリエン等の浸透手段による、またはブラジキニン等の血管活性物質の使用による生化学的な、BBBの破壊を伴う。特定の薬剤を標的とするためにBBB開口を使用する可能性もある。BBB破壊剤は、組成物が血管内注射によって投与される場合、本発明の治療組成物と同時に投与され得る。BBBを通過するための他の戦略は、グルコース及びアミノ酸担体等の担体媒介性トランスポーター、インスリンまたはトランスフェリンのための受容体媒介性トランスサイトーシス、ならびにp糖タンパク質等の活性流出トランスポーターを含む内因性輸送系の使用を伴い得る。活性輸送部位はまた、本発明で使用するための治療化合物または画像化化合物にコンジュゲートされてもよく、血管の上皮壁を通過する輸送を容易にする。あるいは、BBBの背後にある薬物送達は、オマヤレザバーを通じてのように、治療剤または画像化剤を頭蓋骨に直接くも膜下腔内送達することによって行われる。
【0338】
方法は、補体の生物学的活性を中和する。影響を受ける補体の生物学的活性は、(1)自己抗体に対するC1q結合、(2)C1rに対するC1q結合、(3)C1sに対するC1q結合、(4)IgMに対するC1q結合、(5)IgGに対するC1q結合、(6)ホスファチジルセリンに対するC1q結合、(7)ペントラキシン-3に対するC1q結合、(8)C反応性タンパク質(CRP)に対するC1q結合、(9)球状C1q受容体(gC1qR)に対するC1q結合、(10)補体受容体1(CR1)に対するC1q結合、(11)ベータ-アミロイドに対するC1q結合、(12)カルレチキュリンに対するC1q結合、(13)アポトーシス細胞に対するC1q結合、または(14)B細胞に対するC1q結合であり得る。影響を受ける補体生物学的活性は、(1)古典的補体活性化経路の活性化、(2)抗体及び補体依存性細胞傷害の活性化、(3)CH50溶血、(4)シナプス損失、(5)B細胞抗体産生、(6)樹状細胞成熟、(7)T細胞増殖、(8)サイトカイン産生、(9)ミクログリア活性化、(10)アーサス反応、(11)シナプスまたは神経終末の食作用、または(12)補体受容体3(CR3/C3)発現細胞の活性化であり得る。
【0339】
組成物は、インビボ使用のために医師の指導の下で得られ、使用され得ることが企図される。治療製剤の投薬量は、疾患の特質、投与の頻度、投与の様式、宿主からの薬剤のクリアランス等に応じて広く変わり得る。
【0340】
特定の患者に与えられる治療組成物の有効量は、多様な要素に依存し得、そのいくつかは患者毎に異なり得る。通常の技術を利用して、適任の臨床医は、日常的な臨床試験の過程で特定の治療用または画像化組成物の投薬量を調整することができる。
【0341】
治療剤、例えば、補体の阻害剤、遺伝子発現の活性化剤等は、適切な薬学的に許容可能な担体または希釈剤との組み合わせによって治療投与のための多様な製剤に組み込まれ得、固体、半固体、液体または気体形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイクロスフィア、及びエアロゾルに製剤化され得る。したがって、化合物の投与は、経口、口腔内、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、髄腔内、鼻、気管内等の投与を含む様々な方法で達成され得る。活性剤は、投与後に全身的になり得、または局所的投与、壁内投与の使用、または埋込部位で活性用量を保持するように作用する埋込物の使用によって局在化され得る。
【0342】
化合物のスクリーニング
本発明の一態様において、阻害剤として使用される候補薬剤は、シナプス損失を調節する能力についてスクリーニングされる。そのような化合物のスクリーニングは、in vitroモデル、遺伝子変化した細胞もしくは動物、または精製タンパク質を使用して実施され得る。多様なアッセイがこの目的のために使用され得る。一実施形態では、特定の補体タンパク質(例えばC1q)及び補体活性化シグナル(例えばβ-アミロイド、APP等)を含む補体のアンタゴニストまたはアゴニストであることが予測される化合物は、以下に記載されるようにin vitro培養システムで試験される。
【0343】
例えば、候補薬剤は、既知の薬理学によって、構造分析によって、コンピュータベースのモデリングを使用した合理的な薬物設計によって、結合アッセイによって等で同定され得る。化合物が結合するかどうか、またはそうでなければ補体活性に影響を及ぼすかどうかを決定するために様々なin vitroモデルが使用され得る。そのような候補化合物は、シナプス損失を許容する環境下でニューロンに接触するために使用される。そのような化合物は、シナプス損失に対する効果について、in vivoモデルにおいて更に試験され得る。
【0344】
スクリーニングはまた、ニューロンにおけるC1q発現を誘発するアストロサイト、例えば、未熟アストロサイトによって産生される分子についても実行され得る。そのようなアッセイでは、ニューロンとアストロサイトの共培養は、C1q発現を誘発する分子の産生または発現について評価される。例えば、遮断抗体を培養物に添加して、ニューロンにおけるC1q発現の誘発に対する効果を決定してもよい。
【0345】
シナプス損失は、培養物中のニューロンに候補薬剤を投与し、薬剤の不在または存在下でシナプスの存在を決定することによって定量される。本発明の一実施形態において、ニューロンは、例えば、RGCの一次培養物である。RGCの精製集団は、連続免疫パニング等の従来の方法によって得られる。細胞は、通常、適切な成長因子(例えば、CNTF、BDNF等)を含むであろう好適な培地で培養される。神経細胞(例えば、RCG)を、堅牢なプロセスの成長(outgrowth)を可能にするのに十分な期間培養し、次いで候補薬剤で約1日~1週間の期間培養する。多くの実施形態では、ニューロンは、シナプス損失のためのシグナル伝達を誘発するために、生きたアストロサイト細胞フィーダー上で培養される。アストロサイトフィーダー層を培養する方法は、当該技術分野で知られている。例えば、皮質グリアは、非接着性細胞を除去して、ニューロンが生存できない培地中に配置することができる。
【0346】
シナプス定量のために、当該技術分野で知られているように、培養物を固定し、遮断し、洗浄し、次いで、抗体特異的シナプスタンパク質(例えば、シナプトタグミン等)で染色し、適切な試薬で可視化する。染色の分析は、顕微鏡的に実行され得る。一実施形態では、蛍光発光のデジタル画像は、ピクセル値範囲の未使用部分を除去するように調整されたカメラ及び画像キャプチャソフトウェアを備え、使用されたピクセル値は、ピクセル値範囲全体を利用するように調整される。対応するチャネル画像は、個々のカラーチャネルとして2つのシングルチャネル画像を含むカラー(RGB)画像を作成するためにマージしてもよい。共局在化点は、ローリングボールバックグラウンド減算アルゴリズムを使用して、各画像チャネルから低周波バックグラウンドを除去することで識別することができる。画像内の全てのシナプトタグミン、PSD-95、及び共局在化点の数、平均面積、平均最小及び最大ピクセル強度、ならびに平均ピクセル強度が記録され、分析のためにディスクに保存される。
【0347】
候補薬剤は、合成または天然化合物のライブラリを含む多様な供給源から得られる。例えば、無作為化オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含む、多種多様な有機化合物及び生体分子の無作為かつ指向性合成のための多数の手段が利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリが入手可能であるか、または容易に生成される。加えて、天然または合成で作製されたライブラリ及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段を通じて容易に改変され、組み合わせライブラリを生成するために使用され得る。既知の薬理学的薬剤は、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等の直接的またはランダムな化学的改変を受けて、構造的類似体を生成し得る。試験剤は、例えば、天然物ライブラリまたは組み合わせライブラリ等のライブラリから得ることができる。
【0348】
候補化合物のライブラリはまた、合理的な設計によって調製できる。(一般に、Cho et al.,Pac.Symp.Biocompat.305-16,1998;Sun et al.,J.Comput.Aided Mol.Des.12:597-604,1998を参照のこと。それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、ホスファターゼ阻害剤のライブラリは、組み合わせ化学ライブラリの合成によって調製することができる(一般に、DeWitt et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:6909-13,1993;国際特許公開第WO94/08051号;Baum,Chem.&Eng.News,72:20-25,1994;Burbaum et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 92:6027-31,1995;Baldwin et al.,J.Am.Chem.Soc.117:5588-89,1995;Nestler et al.,J.Org.Chem.59:4723-24,1994;Borehardt et al.,J.Am.Chem.Soc.116:373-74,1994;Ohlmeyer et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:10922-26を参照のこと。これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)
【0349】
任意のスクリーニング方法によって最初に特定される化合物は、見かけの活性を検証するために更に試験できる。このような方法の基本的な形式は、初期スクリーニング中に特定されたリード化合物を、ヒトのモデルとなる動物に投与し、次いで、シナプス損失に対する効果を決定することを含む。検証研究で利用されている動物モデルは、一般に哺乳動物である。好適な動物の具体例には、霊長類、マウス、及びラットが含まれるが、これらに限定されない。
【0350】
組み合わせ処置
本開示の補体阻害剤は、限定されないが、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんの任意の追加の処置と併せて使用され得る。
【0351】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される抗体、抗体断片及び/または抗体誘導体は、第2の阻害性抗補体因子抗体、例えば、抗C1qまたは抗C1r抗体、または抗C1s抗体と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、抗C1s抗体、抗C1q抗体、及び/または抗C1r抗体等の第2及び第3の阻害性抗補体因子抗体とともに投与される。
【0352】
いくつかの実施形態では、本開示の阻害剤は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の阻害剤と組み合わせて投与される。ADCC阻害剤には、限定されないが、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cを認識するキラー細胞Ig様受容体(KIR)及びHLA-Eを認識するC型レクチンCD94/NKG2Aヘテロ二量体等の可溶性NK細胞阻害受容体(例えば、Lopez-Botet M.,T.Bellon,M.Llano,F.Navarro,P.Garcia&M.de Miguel.(2000),Paired inhibitory and triggering NK cell receptors for HLA class I molecules.Hum.Immunol.61:7-17;Lanier L.L.(1998)Follow the leader:NK cell receptors for classical and nonclassical MHC class I.Cell 92:705-707)、及びカドミウム(例えば、Immunopharmacology 1990;Volume20,Pages73-8を参照のこと)が含まれ得る。
【0353】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体、抗体断片及び/または抗体誘導体は、補体活性化の代替経路の阻害剤と組み合わせて投与される。そのような阻害剤には、限定されないが、B因子阻害抗体、D因子遮断抗体、可溶性、膜結合型、タグ付きもしくは融合タンパク質形態のCD59、DAF、CR1、CR2、CrryまたはC3の切断を阻止するコムスタチン(Comstatin)様ペプチド、非ペプチドC3aRアンタゴニスト、例えば、SB290157、コブラ毒因子または非特異的補体阻害剤、例えば、ナファモスタットメシル酸塩(FUTHAN;FUT-175)、アプロチニン、K-76モノカルボン酸(MX-1)及びヘパリン(例えば、T.E.Mollnes&M.Kirschfink,Molecular Immunology 43(2006)107-121を参照のこと)が含まれ得る。
【0354】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体、抗体断片及び/または抗体誘導体は、自己抗体とその自己抗原との間の相互作用の阻害剤と組み合わせて投与される。そのような阻害剤には、精製された可溶形態の自己抗原、または抗原模倣物、例えば、ペプチドまたはRNA由来ミモトープ(AQP4抗原のミモトープを含む)が含まれ得る。代替的には、そのような阻害剤には、古典的補体経路を引き起こさずに、自己抗原を認識し、自己抗体の結合を防止する遮断薬が含まれ得る。そのような遮断薬には、例えば、自己抗原結合RNAアプタマーまたはFcドメインにおいてC1q結合部位を欠く抗体(例えば、C1qに結合しないように操作されたFab断片または抗体)が含まれ得る。
【0355】
キット
本発明はまた、本開示の抗体、抗体断片、及び/または抗体誘導体を含むキットを提供する。本発明のキットは、本開示の精製された抗C1s、抗C1qまたは抗C1r抗体を含む1つ以上の容器及び当該技術分野で知られている方法に従って使用するための指示書を含む。通常、これらの指示書は、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等のてんかんを処置または診断するための阻害剤の投与の説明を含む。キットは、個体が疾患を有するかどうか及び疾患の病期を特定することに基づいて、処置に適した個体を選択する説明を更に含み得る。
【0356】
指示書は通常、意図された処置のための投薬量、投薬スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)または副次単位用量であり得る。本発明のキットにおいて供給される指示書は典型的には、ラベルまたはパッケージ挿入物(例えば、キットに含まれる紙シート)上の書面による指示書であるが、機械が読み取り可能な指示書(例えば、磁気または光学的保存ディスク上に保持される指示書)も許容可能である。
【0357】
ラベルまたはパッケージ挿入物は、組成物がTBI誘発てんかんの治療のために使用されることを示し得る。TBI誘発てんかんのための指示書は、本明細書に記載の方法のいずれかを実施するために提供され得る。
【0358】
ラベルまたはパッケージ挿入物は、組成物がTLEを治療するために使用されることを示し得る。TLE指示書は、本明細書に記載の方法のいずれかを実施するために提供され得る。
【0359】
本発明のキットは、好適な包装内に配置される。好適な包装には、バイアル、ボトル、瓶、フレキシブル包装(例えば、密閉マイラーまたはプラスチックバッグ)等が含まれるがこれらに限定されない。特定のデバイス、例えば、吸入具、鼻投与デバイス(例えば、噴霧器)、または注入デバイス、例えば、ミニポンプと組み合わせて使用するためのパッケージも企図される。キットは、滅菌アクセスポート(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋またはバイアルであり得る)を有し得る。容器はまた、滅菌アクセスポート(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋またはバイアルであり得る)を有し得る。組成物における少なくとも1つの活性剤は、古典的補体経路の阻害剤である。容器は、第2の薬学的活性剤を更に含み得る。
【0360】
キットは、追加の成分、例えば、緩衝液及び説明情報を任意に提供し得る。通常、キットは、容器及び容器上のまたは容器に関連するラベルまたはパッケージ挿入物(複数可)を含む。
【0361】
診断の用途
てんかん発作を有する人の中には、異常なEEGを有する人もいるが、有しない人も多い。発作のタイプとその影響を特定するのに役立ついくつかの更なる試験がある。これらには、てんかん及び関連する状態のための完全な神経学的相談、日常的なEEG及び外来患者及び入院患者のビデオEEGモニタリングを含む神経生理学的検査、頭皮または頭蓋内電極を用いた長期の入院患者のビデオEEGモニタリング、神経画像診断(例えば、MRI、MRS、PET、fMRI)、神経心理学、ならびに音声及び聴覚処理評価が含まれる。
【0362】
例えば、側頭葉てんかんは、部分的または局在関連てんかんの最も一般的な形態である。一般的に、側頭葉てんかんには2つのタイプがある。1つは側頭葉の内側または内部構造を伴い、2つ目は新皮質側頭葉てんかんと呼ばれ、側頭葉の外側部分を伴う。対象の側頭葉てんかん(TLE)発症リスクを決定するのに有用ないくつかの特徴を理解することが重要である。TLEの1つの特徴は、意識の喪失(アウラの有無にかかわらず)または焦点認知障害発作(意識の喪失を伴う)を伴わない単純な焦点発作である。意識の喪失は、発作が両側葉を含むように広がるときに、焦点認知障害発作の間に生じる。疫学の用語では、焦点てんかんは側頭葉由来であることが多いが、TLEの真の有病率は分かっていない。提示に関しては、アウラは側頭葉発作の大部分で生じる。アウラ及び自動運動の大部分は、数秒または1~2分という非常に短い期間持続する。アウラは、感覚症状、自律神経症状、または精神的症状を引き起こす可能性がある。体性感覚及び特別な感覚現象には、幻覚とともに、嗅覚、聴覚及び味覚の錯覚が含まれる。患者は、物体の形状、サイズ、及び距離の歪みを報告することがある。このような視覚錯覚は、形成された視覚像が存在しない点で、後頭葉発作に関連する視覚幻覚とは異なる。例えば、物体は、通常よりも小さく、または大きく見えることがある。加えて、後上側頭回に発作を伴ってめまいが生じることがある。超心理現象には、既視感(既知)または未視感(未知)の感覚、離人感(例えば、自分から離れる感覚)または現実感喪失(周辺が非現実的に見える)、恐怖または不安が含まれ、患者は外から自分の身体を見ていると説明することがある。自律神経現象には、心拍数の変化及び発汗等がある。患者は、上腹部満腹感または吐き気を感じることがある。
【0363】
アウラに続いて、側頭葉焦点認知障害発作は、広目で動かない視線、拡張した瞳孔、及び行動の停止から始まる。舌鼓(lip-smacking)、咀嚼、及び嚥下が指摘されることがある。手の自動運動または四肢の片側ジストニア姿勢も生じることがある。焦点認知障害発作は、全身性強直性間代性(GTC)発作に進化することがある。患者は通常、発作後の混乱期を経験する。発作後期は、数分間続くことがある。両側半球の関与のため、焦点認知障害発作の間に記憶喪失が生じる。
【0364】
TLEの根本的な原因には、過去の感染症(例えば、ヘルペス脳炎または細菌性髄膜炎)、外傷性脳損傷、脳悪性腫瘍または皮質瘢痕をもたらす頭部損傷もしくは出血、低酸素脳損傷、脳感染症、脳卒中、過誤腫、神経膠腫、遺伝的症候群、血管奇形(例えば、動静脈奇形、海綿状血管腫)、潜因性(原因は推定されるが、特定されていない)、または特発性が含まれる。TLEの他の根本的な原因には、小児期後半に始まり、軽快するが、青年期または成人期初期に難治性の形態で再発する、内側側頭葉てんかんから生じる海馬硬化症が含まれる。加えて、複雑な熱性けいれんを持つ小児の中には、晩年にTLEを発症するリスクがあるようなので、熱性発作はTLEにつながる可能性がある。
【0365】
鑑別診断は、TLEのリスクがある人の診断及び評価に使用されることがある。TLE診断で使用される鑑別診断のいくつかの特徴には、過度の昼間の眠気(例えば、睡眠時無呼吸またはナルコレプシーに起因する)、周期的四肢運動障害、遅発性ジスキネジア及び後頭葉てんかんが含まれ、これらは側頭葉に広がり、側頭葉発作と臨床的に区別できないことがある。心因発作(心因発作を有する患者もてんかん発作を有し得る)も、鑑別診断において使用される。TLEの鑑別診断では、欠神発作、認知障害発作、及び前頭葉焦点認知障害発作も使用される。欠神発作は、アウラを伴わない突然の発症によって特性化され、通常30秒未満持続し、発作後の混乱はなく、複雑な自動運動とは関連しない。焦点認知障害発作は、通常、明確なアウラの前に起こり、1分を超えて持続し、発作後の混乱の期間がある。前頭葉焦点認知障害発作は、突然発症して終了する短時間の発作のクラスターに現れる。最小限の発作後状態があり、発声ならびに複雑な運動及び性的な自動運動を伴う行動の変化を引き起こすことがある。TLEとの鑑別には、脳波計(EEG)の位置確認(localization)が必要な場合がある。
【0366】
更に、対象の側頭葉てんかん発症リスクを決定するための診断及び従来の方法に関して、MRIは、一般に、選択される神経画像診断である。特定のラベルを使用した脳の常套的なMRIは、コンピュータ断層撮影(CT)によって検出されない病変(例えば、小さな腫瘍、血管奇形、及び皮質異形成)を検出する。例えば、1つの検出可能な標識は、60~90%の感度を有する間欠的な[18F]フルオロデオキシグルコース-陽電子放出断層撮影(18FDG-PET)である。別の検出可能な標識は、動脈スピン標識(ASL)であり、これは、磁気標識された動脈血の標的領域への流入を測定することによって、局所的な脳血流を定量することが可能である。
【0367】
薬剤耐性てんかんの評価のために実施されるMRIには、専門的なプロトコルが必要である。例えば、海馬硬化症は、ニューロン損失及び神経膠症によって特性化される。HSは、外科的に処置された成人のてんかんの最も一般的な病理学的基質であり、67%の患者に見られる。新たにてんかんと診断された患者において、HSは、成人の1.5~3%で報告されている。内側側頭構造(海馬、扁桃体、内髄皮質、及び海馬傍回)を評価する場合、MRIは、サイズ、シグナル、形状、及び二重病理(SSSD)を評価するために使用される。HSの典型的なMRI所見は、T1加重SPGR上の海馬の萎縮(典型的には90~95%の症例で見られる)を含む。萎縮は、海馬体で最も顕著である。
【0368】
水抑制反転回復(FLAIR)撮影を使用して、シグナルの増加が海馬で観察される。神経膠症の変化は、T2加重MRIで増加したシグナルとして現れる水分含有量を増加させるため、FLAIRは、海馬におけるシグナル変化を検出するのに理想的である。FLAIRシーケンスは、従来の薄いスライスT2加重スピンエコー画像上で、側脳室の側頭角における脳脊髄液(CSF)のシグナル強度の増加と、海馬におけるシグナルの増加を小さくすることができる脈絡膜裂を無効にする。FLAIR MRI上の海馬のベースラインシグナルは、皮質のシグナルよりも大きい。小児では、新たに診断されたTLE患者の21%にHSが認められ、難治性TLE患者の最大57%にHSが認められる。難治性TLEを有する小児におけるより一般的な所見としては、MCD及び発達性腫瘍が挙げられる。
【0369】
CTスキャンは、発作の緊急評価、またはMRIが禁忌である場合(例えば、患者がペースメーカーまたは金属埋込物を使用している場合)に役割を果たす。造影剤を使用しないCTスキャンでは、いくつかの血管病変及び腫瘍を特定できない。CTは、難治性てんかんの評価において限定的な役割しか果たさない。心拍の障害がてんかんを模擬する可能性がある場合、意識の変化を有する全ての患者、特に高齢者層の評価においても心電図検査(ECG)を実施してもよい。24時間の外来ECG及び他の心血管検査(埋込式ループデバイスを含む)も役立つ可能性がある。放射性同位体フルオロデオキシグルコース(18)(FDG-PET)を検出可能な標識として使用した陽電子放出断層撮影(PET)は、MRIの結果が正常である場合に有用である。TLE患者の3分の1が両側性の独立した側頭間葉型てんかん異常を有するため、発作間EEGは頭皮電極からの記録を得るためにも使用される。加えて、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)は、外科的介入の候補に有用であり、ビデオ-EEGテレメトリーは、術前評価の一部として使用される。TLEの診断がまだ確定していない場合にも使用される。
【0370】
本発明は、対象のてんかん(特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等)発症リスクを部分的に決定する方法であって、抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体を対象に投与することであって、抗C1q、抗C1r、または抗C1sは、検出可能なラベルに連結されている、投与することと、検出可能なラベルを検出して、対象におけるC1q、C1r、もしくはC1sの量または位置を測定することと、C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を参照と比較することであって、てんかん(特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、または症候性部分てんかん等)発症リスクは、C1q、C1r、もしくはC1sのうちの1つ以上の量または位置を参照と比較することに基づいて特徴付けられる、比較することと、を含む、方法を提供する。
【0371】
C1q、C1r、またはC1sのレベルを検出するための例示的な方法であって、したがって、試料が、特発性全般てんかん、特発性部分てんかん、症候性全般てんかん、もしくは症候性部分てんかん、またはその臨床サブタイプ等のてんかんに関連しているかどうかを分類するために有用である、方法は、対象から生体試料を取得することと、生体試料を、C1q、C1r、またはC1sを検出することができる抗体と接触させることを含み、その結果、C1q、C1r、またはC1sのレベルが生体試料中で検出される。特定の例では、統計的アルゴリズムは、単一の学習統計分類システムである。例えば、単一の学習統計分類システムを使用して、予測値または確率値、ならびにC1q、C1r、またはC1sの存在またはレベルに基づいて、試料をC1q、C1r、またはC1s試料として分類することができる。単一の学習統計分類システムの使用は、典型的には、感度、特異性、陽性予測値、陰性予測値、及び/または少なくとも約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の全体的な精度を有するC1q、C1r、またはC1s試料として試料を分類する。
【0372】
他の適切な統計的アルゴリズムは、当業者によく知られている。例えば、学習統計分類システムは、複雑なデータセット(例えば、対象となるマーカーのパネル)に適合し、そのようなデータセットに基づいて決定を行うことができる機械学習アルゴリズム技術を含む。いくつかの実施形態では、分類ツリー(例えば、ランダムフォレスト)等の単一の学習統計分類システムが使用される。他の実施形態では、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の学習統計分類システムの組み合わせが、好ましくは、連動して使用される。学習統計分類システムの例には、帰納的学習(例えば、ランダムフォレスト、分類及び回帰ツリー(C&RT)、ブーストツリー等の決定/分類ツリー)を使用するものが含まれるが、これらに限定されない。確率的で近似的に正しい(PAC)学習、コネクショニスト学習(例えば、ニューラルネットワーク(NN)、人工ニューラルネットワーク(ANN)、ニューロファジーネットワーク(NFN)、ネットワーク構造、多層パーセプトロン等のパーセプトロン、多層フィードフォワードネットワーク、ニューラルネットワークの応用、信念ネットワークにおけるベイズ学習等)、強化学習(例えば、ナイーブ学習、適応動的学習、及び時間差学習等の既知の環境における受動学習、未知の環境における受動学習、未知の環境における能動学習、学習行動値関数、強化学習の応用等)、ならびに遺伝的アルゴリズム及び進化的プログラミングが含まれるが、これらに限定されない。他の学習統計分類システムは、サポートベクターマシン(例えば、カーネル法)、多変量適応回帰スプライン(MARS)、リーベンバーグ-マルカートアルゴリズム、ガウス-ニュートンアルゴリズム、混合ガウス分布(mixtures of Gaussians)、勾配降下アルゴリズム、及び学習ベクトル量子化(LVQ)を含む。
【0373】
一実施形態では、本方法は、C1q、C1r、もしくはC1sによって媒介される状態または障害を有しない対象からの対照生体試料(例えば、生体試料)、寛解中またはC1q、C1r、C1sによって媒介される状態または障害を発症する前の対象からの生体試料、またはC1q、C1r、もしくはC1sによって媒介される状態もしくは障害の発症の治療中の対象からの生体試料を得ることを更に含む。
【0374】
C1q、C1r、もしくはC1sの存在または非存在を検出するための例示的な方法は、対象に対する抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体であり、抗C1q、抗C1r、または抗C1s抗体は、検出可能な標識に連結される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、放射性同位体、ビオチン、または蛍光標識を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、x線、CT、MRI、超音波、PET及びSPECTのための造影剤を使用して検出され得る。いくつかの実施形態では、蛍光標識は、フルオレセイン、ローダミン、シアニン色素またはBODIPYから選択される。
【0375】
本明細書に記載の様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつかまたは全ては、本明細書で提供される組成物及び方法の他の実施形態を形成するために組み合わされ得ることが理解されるべきである。本発明に関連する実施形態の全ての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、ありとあらゆる組み合わせが個別にかつ明確に開示されたかのように本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態及びそれらの要素の全ての副次的組み合わせも本発明によって具体的に包含され、ありとあらゆるそのような副次的組み合わせが個別にかつ明確に本明細書に開示されたかのように本明細書に開示される。本明細書で提供される組成物及び方法のこれらの及び他の態様は、当業者に明らかになる。
【実施例
【0376】
実施例1:材料及び方法
動物
ほとんどの実験に成体(P30-P180)雄のCD1マウスを使用した。成体雄のThy1-GCaMP6fマウス(Tg(Thy1-GCaMP6f)GP5.17Dkim ISMR_JAX:025393;C57BL/6コンジェニック)、野生型C57BL/6マウス(ISMR_JAX:000664)、及びC1qヌルマウス(C1qatm1Mjw、ISMR_APB:1494;C57BL/6コンジェニック)を特定の実験に使用した。
【0377】
制御式皮質衝撃(CCI)
2~5%のイソフルランでマウスを麻酔し、定位フレームに配置した。ブレグマから-1mm後方、正中線から+3mm外側を中心とした右体性感覚皮質(S1)に対して3mmの頭蓋切開を実行した。以下のパラメータを使用して、金属ピストンを装備したCCIデバイス(Impact One Stereotaxic Impactor for CCI、Leica Microsystems)を用いてTBIを実行した。先端直径3mm、角度15°、硬膜からの深さ0.8mm、速度3m/s、滞留時間100ミリ秒。シャム動物は同一の麻酔及び頭蓋切開を受けたが、損傷は伝達されなかった。
【0378】
免疫染色及び顕微鏡検査
致死量のFatal-Plus(drugs.com/vet/fatal-plus-solution.htmlのワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web)を参照)でマウスを麻酔し、1XPBS中の4%パラホルムアルデヒドで灌流した。連続した冠状切片(厚さ30μm)を、Leica SM2000Rスライディングミクロトーム上で切断した。切片を、C1q(1:700、ウサギ、Abcam、ab182451、640 AB_2732849)、GFAP(1:1000、ニワトリ、Abcam、ab4674、AB_304558)、GFP(1:500、ニワトリ、Aves Labs、AB_10000240)、Iba1(1:500、ウサギ、Wako、019-19741、AB_839504)、及びNeuN(1:500、マウス、Millipore、MAB 377、AB_2298772)を対象とした抗体とともに、4℃で一晩インキュベーションした。洗浄後、Alexa Fluorコンジュゲーション二次抗体(1:300、Thermo Fisher Scientific、A-11029)で切片を室温で2時間インキュベーションした。切片を褪色防止培地(antifade medium)(Vectashield)に取り付け、Biorevo BZ-9000 Keyence顕微鏡を使用して10~20倍で撮像した。Plan Apochromat 10×/0.45 NA空気対物レンズまたは63×/1.4 NA油浸対物レンズを装備した共焦点レーザー走査顕微鏡(LSM 880、ZEISS)を使用して共焦点撮像を行った。AlexaFluor 488の488nm励起には多重線アルゴンレーザーを使用し、AlexaFluor 594の561nm励起にはHeNeレーザーを使用した。
【0379】
ヒト組織の免疫染色
ホルマリン固定パラフィン包埋組織を6μmで切片化し、オルガノシランコーティングスライド(SIGMA,St.Louis,MO)上に取り付けた。検体の代表的な切片を、ヘマトキシリン/エオシン及び免疫細胞化学のために処理した。C1q(1:200、ウサギポリクローナル;DAKO,デンマーク)の免疫細胞化学を、前述のようにパラフィン包埋組織上で実施した。切片を室温で1時間インキュベーションした後、一次抗体で4℃で一晩インキュベーションした。Powervision法及び3,3-ジアミノベンジジンを色素原として用いて、単一標識免疫細胞化学を実行した。切片をヘマトキシリンで対比染色した。pTau(AT8)、β-アミロイド、pTDP-43及びα-シヌクレイン等のマーカーを含む、広範囲な神経病理プロトコルを使用した(Brain-Net Europe consortium;Acta Neuropathologica 115(5):497-507・2008の推奨に基づく)。
【0380】
電気生理学のためのスライス調製
マウスを、4%のイソフルランで安楽死させ、234mMのスクロース、11mMのグルコース、10mMのMgSO4、2.5mMのKCl、1.25mMのNaH2PO4、0.5mMのCaCl2、及び26mMのNaHCO3を含有する氷冷スクロース切断溶液で灌流し、95%のO2及び5%のCO2(pH7.4)で平衡化し、首を切断した。視床記録のための250μm厚の水平スライス、及びLeica VT1200ミクロトーム(Leica Microsystems)を用いた新皮質記録のための冠状スライスを調製した。スライスを、126mMのNaCl、10mMのグルコース、2.5mMのKCl、2mMのCaCl2、1.25mMのNaH2PO4、1mMのMgSO4、及び26mMのNaHCO3を含有する人工脳脊髄液(ACSF)中で32℃で1時間、次いで24~26℃でインキュベーションし、95%O2及び5%CO2(pH7.4)で平衡化した。視床スライス調製は、記載の通りに実行した。
【0381】
パッチクランプ電気生理学
前述のように記録を行った。Olympus顕微鏡及び赤外線ビデオカメラを備えた差動コントラスト光学によって、S1、nRT、及びVBニューロンを視覚的に識別した。ホウケイ酸ガラス製の記録電極は、細胞内溶液で充填した場合、2.5~4MΩの抵抗を有した。全ての記録でアクセス抵抗を監視し、アクセス抵抗が<25MΩの場合にのみ、分析のためにセルを含めた。固有の破裂特性及び自発的興奮性シナプス後電流(EPSC)を、ピクロトキシン(50μM、Sigma)の存在下で記録し、内部溶液は、120mMのグルコン酸カリウム、11mMのEGTA、11mMのKCl、10mMのHEPES、1mMのCaCl2、及び1mMのMgCl2を含有し、KOH(290mOsm)でpHを7.4に調整した。-15mVの液間電位について電位を補正した。
【0382】
自発的抑制性シナプス後電流(IPSC)をキヌレニン酸(2mM、Sigma)の存在下で記録し、内部溶液は、135mMのCsCl、10mMのEGTA、10mMの685HEPES、5mMのQx-314(リドカインN-エチルブロミド)、及び2mMのMgCl2を含有し、CsOHでpHを7.3に調整した(290mOsm)。
【0383】
単一核RNA配列
組織解離
4%のイソフルランでマウスを安楽死させ、氷冷1XPBSで灌流し、首を切断した。Leica VT1200ミクロトーム(Leica Microsystems)を用いて300μm厚の冠状スライスを調製し、nRT及び隣接するリレー視床核の視覚誘発顕微鏡切断のためのZeiss SteREO Discovery.V8立体顕微鏡(Zeiss)の下に(図3Aに示すように)配置した。
【0384】
この試験のために、2つのシャム及びmTBI複製物群を収集した。複製物1は、n=5匹のシャムマウス及びn=6匹のmTBIマウスからの組織を含有した。複製物2は、n=4匹のシャムマウス及びn=4匹のmTBIマウスからの組織を含有した。
【0385】
単一核単離
前述のように、核をnRT/視床及び皮質から単離した(62及びdx.doi.org/10.17504/protocols.io.6t8herw)。簡単に述べると、組織を、200単位のRNasin Plusリボヌクレアーゼ阻害剤(Promega)を含む1mLの均質化緩衝液を用いて、予め冷却されたDounce組織グラインダーに入れた。組織試料を、緩い「A」ペストル10ストローク及びタイトな「B」サイズのペストル15ストロークで均質化した。溶解物を40μmのFlowMiストレーナーに通し、核を500RCF、4℃で強打した(pelted)。細胞質RNAを含有する得られた上清の一部を、下流分析のために凍結した。ペレット化された核を均質化緩衝液中に再懸濁し、ヨウジキサノール勾配を使用して精製し、すぐにsnRNA-seqに使用した。過剰の核をBamBanker(Wako Chemicals)で凍結保存した。
【0386】
単一核RNAライブラリ構築及び配列決定
SnRNA-seqライブラリは、メーカーの仕様に従って、Dual Indexes(10x Genomics)を有するChromium Next GEM Single Cell 3’v3ライブラリキットを使用して処置した。全ての試料について、核を核希釈緩衝液中で1,000個の核/μlに希釈し、9,900個の核をクロム上に装填し、6,000個の核の標的回収を行った。複製物1及び2の核を異なるクロムラン上で処理した。ライブラリをモル濃度に基づいてプールし、S1フローセル及びv1 300サイクル試薬キットを使用してIllumina NovaSeq 6000システム上で配列決定した。読み取り1については28サイクル、読み取り2については90サイクル、インデックスi7については10サイクル、インデックスi5については10サイクルであった。Cell Ranger(4.0.0)(10X Genomics)を使用して、試料の脱多重化、バーコード処理、及びシングルセル遺伝子UMIカウントを実行した。読み取りをmm10にマッピングした(GENCODE vM23/Ensembl 98、10×から)。複製物1から、1細胞当たりの平均リード数が92,533であるシャムマウスから2,337個の核を、1細胞当たりの平均リード数が162,363であるmTBIマウスから650個の核を回収した。複製物2から、1細胞当たりの平均リード数が47,592であるシャムマウスから3,891個の核を、1細胞当たりの平均リード数が平均値41,658の2,200個の遺伝子であるTBIマウスから4,575個の核を回収した。生データは、GEO上にアクセッション番号で保存される。
【0387】
核クラスターの解析
CellRangerで処置した後、Seuratを用いてデータマトリックスを分析した。分析の前に、デフォルトのパラメータを使用してSoupXを使用して周辺のRNAを除去した。DoubletFinderを使用して、各GEM反応物から潜在的なダブレットを除去した。複製物1では、90個のダブレットをシャムから除去し、147個をTBIから除去した。複製物2では、28個のダブレットをシャムから、181個をTBIから除去した。DoubletFinderによる核シングレットを下流解析に利用した。二重特異性を除去することに加えて、ミトコンドリアRNAの発現が1%を超える核を除去した。発現を対数スケールで正規化し、上位2000の特徴をPCA及び下流クラスター化及びUMAPに使用した。Harmonyを使用して、別々の複製物を組み合わせた。Harmony補正後、複製物間の差異は観察されなかった。クラスターはFindClustersを使用して呼び出し、キー系統マーカーを使用して手動で注釈付けした。Slc17a7/Slc17a6陰性ニューロンを選択した後、GABA作動性核を再びサブクラスター化した。FinderMarkers機能を使用して、クラスター間及びシャムとmTBIとの間の両方で、差次的に発現した遺伝子(DEG)を分析した。P値は、ウイルコクソンの順位和検定を使用して計算した。UMAPプロジェクトにおける発現の視覚化のために、RNA発現値を、細胞のMarkov Affinity-based Graph Imputation(MAGIC)を使用して推定した。
【0388】
細胞質RNAの定量的リアルタイムPCR
前述のように、バルク細胞質RNAを各複製試料から抽出した(62)。簡単に述べると、150μLのホモジネートを1.5mLのTrizma(Zymo)と混合した。水層を保持し、エタノールと混合し、Zymo GCカラム(Zymo Quick RNAミニキット)に充填し、Zymoについての製造業者の仕様に従った。分光光度計を使用してRNA濃度を定量した。200ngの各試料を、ランダムヘックスプライマーを用いたメーカーの仕様に従って、SuperScript III First-Strand Synthesisキット(Invitrogen)を使用したcDNA合成のための入力として使用した。具体的な標的cDNAを、メーカーの仕様に従ってSSO Advanced Universal Sybr Green Supermix(BioRad)を用いて定量した。アクチンを内部参照として使用するデルタ-デルタCT法を用いて相対発現を計算した。バックグラウンドを決定するために、逆転写酵素を用いずに処理した試料を使用した。C1qa-F 5’-ATGGAGACCTCTCAGGGATG-3’(配列番号69)、C1qa-R 5’-ATACCAGTCCGGATGCCAGC-3’(配列番号70)、アクチン-F:5’-ATACCAGTCCGGATGCCAGC-3’(配列番号71)、アクチン-R:5’-TCACCCACACTGTGCCCATCTACGA-3’(配列番号72)、C4b-F:5’-GACAAGGCACCTTCAGAACC-3’(配列番号73)、C4b-R:5’-CAGCAGCTTAGTCAGGGTTACA-3’(配列番号74)、C1ra-F:5’-GCCATGCCCAGGTGCAAGATCAA-3’(配列番号75)、C1ra-R:5’-TGGCTGGCTGCCCTCTGATG-3’(配列番号76)、C1s1-F:5’-TGGACAGTGGAGCAACTCCGGT-3’(配列番号77)、C1s-R:5’-GGTGGGTACTCCACAGGCTGGAA-3’(配列番号78)、C2-F:5’-CTCATCCGCGTTTACTCCAT-3’(配列番号79)、C2-R:5’-TGTTCTGTTCGATGCTCAGG-3’(配列番号80)、C3-F:5’-AGCAGGTCATCAAGTCAGGC-3’(配列番号81)、C3-R:5’-GATGTAGCTGGTGTTGGGCT-3’(配列番号82)C4-F:5’-ACCCCCTAAATAACCTGG-3’(配列番号83)、C4-R:5’-CCTCATGTATCCTTTTTGGA-3’(配列番号84)、Hc-F:5’-AGGGTACTTTGCCTGCTGAA-3(配列番号85)、Hc-R:5’-TGTGAAGGTGCTCTTGGATG-3’(配列番号86)。
【0389】
ECoG(皮質脳波計測)及びMUA(マルチユニット活動)を同時に記録するための装置の外科的埋め込み
自由に行動するマウスにおける同時ECoG、MUA記録、及び光学操作のためのデバイスは、全て、に記載されているように、Pazラボでカスタムメイドされたものであった。概して、記録は、体性感覚サブネットワーク(一次体性感覚皮質(S1)、体性感覚腹基底視床(VB)、及び体性感覚網状視床核(nRT))の評価のために最適化された。皮質ネジを、S1上の両側に(損傷の対側:ブレグマから後方-0.5mm、側方-3.25mm、同側:ブレグマから前方+1.0~1.4mm、側方+2.5~3.0mm)、PFCの中央に(ブレグマから前方+0.5mm、側方0mm)、V1上の右半球に(ブレグマから後方-2.9mm、側方+2.7mm)埋め込んだ。VBにおけるMUA記録については、ブレグマから後方-1.65mm、側方+1.75mmに電極を埋め込み、光ファイバーの先端を3.0mmに、皮質表面に対して腹側3.25mm及び3.5mmに2本の電極を埋め込んだ。nRTにおけるMUA記録については、ブレグマから後方-1.4mm、側方+2.1mmに電極を埋め込み、光ファイバーの先端を2.7mmに、皮質表面に対してそれぞれ腹側2.9mm及び3.0mmに2本の電極を埋め込んだ。
【0390】
インビボ電気生理学及び行動
自由に行動するマウスにおける非慢性MUA電気生理学的記録は、カスタムメイドオプトロードデバイスを使用して記載されるように実行した。ECoG及び視床LFP/MU(局所電場電位/マルチユニット)信号を、RZ5(TDT)を使用して記録し、1221Hzでサンプリングし、24kHzで視床MUA信号をサンプリングした。信号取得に同期したビデオカメラを使用して、動物を継続的に監視した。各記録の開始時に2%のイソフルランで動物を短時間麻酔して、記録のために接続した。各記録トライアルは15~60分間続いた。概日リズムを制御するために、通常の明暗サイクルを使用して動物を収容し、午前9時から午後6時の間に記録を実行した。記録は全て目覚めている間に実行した。突然死を起こさず、脳を回復させ、処理することができたマウスにおいて、安楽死後の組織学的検査により、オプトロードの位置を検証した。
【0391】
慢性ECoG記録のためのデバイスの外科的埋め込み
慢性ECoG記録に使用した無線テレメトリーデバイスはData Sciences International(DSI)から購入したものである。制御式皮質衝撃手術を実行した後、上述したようにS1上に両側性皮質スクリューを埋め込んだ。バッテリー/トランスミッタ装置を右肩の皮膚の下に配置した。マウスが手術から回復するとすぐに記録を始めた。マウスは、自宅のケージに単独で収容された。ケージは、信号を取得コンピュータに送信する受信機の上に配置された。Ponemahソフトウェア(DSI)を使用して、最大8匹のマウスからECoG信号を同時に連続的に記録し、500Hzでサンプリングした。
【0392】
統計分析
全ての数値は平均値として与えられ、エラーバーは特に断りのない限り、平均(SEM)の標準誤差である。パラメトリック試験とノンパラメトリック試験を適宜選択し、図の凡例で報告した。データ分析を、MATLAB(登録商標)(SCR_001622)、GraphPad Prism 7/8(SCR_002798)、ImageJ(SCR_003070)、Ponemah/NeuroScore(SCR_017107)、pClamp(SCR_011323)、及びSpike2(SCR_000903)で実行した。
【0393】
画像解析及び細胞定量
ImageJ(SCR_003070)で開いた10×Keyence顕微鏡画像からS1、nRT、VBの対象領域(ROI)を選択した。各ROIが損傷部位の同側面及び対側面の同じ領域を確実に覆うように、最初のROIを複製し、反対側の半球上に配置し直した。次いで、画像を8ビットに変換した。上限閾値を255の最大値に調整し、下限閾値を0からピクセルの外観が元の画像からの蛍光染色と最も密接に一致するまで増加させた。粒子分析を、同じ染色を有する全ての切片について同じ閾値境界を使用して、ROI上で実行した。同側積分画素密度を対側積分画素密度で割ることによって、各脳領域について積分密度比を計算した。動物当たり3つの切片からの積分密度比を平均化して、各動物の脳面積当たりの単一の平均比を得た。
【0394】
NeuNで染色した切片でnRT細胞カウントを実行した。nRTは、ImageJ(SCR_003070)に概説されており、マニュアルカウンタープラグインを使用して、神経細胞体のマニュアル細胞カウントを実行した。
【0395】
電気生理学的特性の分析
入力抵抗(Rin)及び膜時間定数(τm)を、低強度電流ステップ(-20~-60pA)に応答して膜過分極から測定した。報告されたレオベース平均及びSEMは、記録毎の刺激中に最初に少なくとも1つの活動電位を引き起こした電流に基づいて計算された。GraphPad 755 Prism 7(SCR_002798)を使用して、α=0.05(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001)のマン-ホイットニー検定を使用して、全てのデータを分析した。
【0396】
各細胞からの200個のランダムに選択されたイベントを使用して、11個のシャムnRTニューロン及び9個のTBIニューロンからの累積確率分布をMATLAB(登録商標)(SCR_001622)中で生成した。
【0397】
ECoGにおける紡錘波(spindle)及びてんかんスパイクイベントの検出
8~15Hzの周波数範囲の主軸を検出するために、Morlet Wavelet関数を使用した。ECoGパワーの[1.5×S.D.+1×平均]の閾値を検出し、少なくとも0.5秒間持続したこの閾値を超える全てのイベントを検出した(図16図18)。検出された全てのイベントは、群に対して盲検化された科学者によって視覚的に検証された。紡錘波イベントの開始及びオフセット時間は、閾値の前後の交差0で最も近いサイクルまで延長した。紡錘波の振幅は、オンセットからオフセット時間までの紡錘波の平均振幅(8~15Hz)から計算し、ECoG信号のRMSで割って、マウス毎に平均化した。紡錘波の頻度は、各紡錘波イベントのFFTの大きさからピーク頻度を抽出し、続いてマウス1匹当たりの平均周波数を計算することによって決定した。てんかんスパイクを含む偽陽性イベント(7×SD+1×ベースラインの平均値、図16及び17の閾値を超えるイベントとして定義される)は、群に対して盲検化された科学者の目視検査後に拒否された。
【0398】
睡眠スコアリング及びデータ分析は、Spike2(version 7.20,Cambridge Electronic Design,Cambridge,UK)及びPython 3.7(Python Software Foundation)を使用して実行した。5秒のエポックを自動的にスコアリングし(Spike 2)、覚醒、REM睡眠(REM)、及びNREM/徐波睡眠として割り当てた。自動スコアリングは、処置群に対して盲検化された経験豊富な科学者によって更に目視検査された。ECoGの総パワーに対するデルタ(δ、1.5~4Hz)の比(1.5~80Hz)が、ロコモティブ活動がない場合の閾値よりも高かった場合、エポックをNREM睡眠として割り当てた。睡眠紡錘波解析は、mTBI/シャム手術後20日目または21日目の12時間(午前7時~午後7時)にNREM睡眠中に実行した。同時間枠中に、てんかんスパイクを分析した。運動中に記録は分析されなかった。これは、運動アーチファクトをてんかんスパイクから確実に区別することが困難であったためである(図17)。
【0399】
抗補体C1q抗体
本明細書に記載される抗C1q抗体M1は、マウスC1qへの堅牢な結合を示し、様々な動物種由来の血清における機能的補体活性を阻害することができる(Lansita et al 2017を参照のこと)。以前の研究では、げっ歯類及びサルにおける毒性は報告されておらず(Lansita et al 2017を参照のこと)、いくつかのマウスモデルにおいてin vivo阻害が実証されている(McGonigal et al 2013、Vukojicic et al 2019を参照のこと)。マウスに、抗C1q抗体M1またはマウスIgG1アイソタイプ対照抗体を、TBIまたはシャム手術の24時間後に静脈内注射し、3日毎(TBIの4日後、TBIの7日後等)、3週間にわたって処置を続けた。
【0400】
治療パラダイム及び組織溶解
PK研究のために、マウスは0日目にシャム手術またはTBI手術を受け、1日目及び4日目に100mg/kgの抗C1q抗体(M1)またはアイソタイプ対照で腹腔内処置した。5日目に、マウスにPBSを灌流した。血漿及び脳(同側及び対側)を採取し、フラッシュ凍結した。(嗅球及び小脳を含まない)脳を、1:10w/vのBupH(商標)トリス緩衝生理食塩水(Thermo Scientific 28379)+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Thermo Scientific A32963)中で、Qiagen TissueLyser中の7mmのスチールビーズで2分間、30Hzで均質化することによって溶解した。次いで、溶解物を17,000×gで20分間スパニングした。上清をELISAアッセイに使用した。
【0401】
薬力学(PK)及び薬力学(PD)ELISAアッセイ
遊離抗C1q薬物M1(PK)、C1qフリー(free C1q)、総C1q(total C1q)、C1s及びアルブミンのレベルをサンドイッチELISAを使用して測定した。黒色96ウェルプレート(Nunc 437111)を、75μLのそれぞれの捕捉タンパク質/抗体:PKの場合にはヒトC1qタンパク質(complement Tech)、C1qフリーの場合にはマウスモノクローナル抗C1q(Abcam,ab71940)、ならびにC1sの場合にはウサギポリクローナル抗C1q(Dako,A0136)及びウサギポリクローナル抗マウスC1s(LSBio,C483829)で、重炭酸緩衝液(pH9.4)中で4℃で一晩コーティングした。翌日、プレートをdPBS pH7.4(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、3%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するdPBSでブロッキングした。アッセイ緩衝液(0.3%BSA及び0.1%Tween(登録商標)20を含有するdPBS)中の精製タンパク質で標準曲線を作成した。試料を、適切な希釈でアッセイ緩衝液中で調製した。ブロッキング緩衝液をタッピングによってプレートから除去した。標準及び試料を1ウェル当たり75μLで2回(in duplicates)添加し、PK測定のために300rpmで室温で1時間振盪しながらインキュベーションした。補体アッセイのために、試料を4℃で一晩インキュベーションし、続いて37℃で30分間インキュベーションし、次いで室温で1時間インキュベーションした。次いで、プレートを0.05% Tween(登録商標)20を含有するdPBSで3回洗浄し、75μLのアルカリホスファターゼがコンジュゲーションされた二次抗体(PKの場合にはヤギ抗マウスIgG、C1qフリーの場合にはM1、総C1qの場合にはウサギポリクローナル抗C1q、C1sの場合にはウサギポリクローナル抗C1s)を全てのウェルに添加した。プレートを振盪しながら室温で1時間インキュベートし、0.05%Tween(登録商標)20を含有するdPBSで3回洗浄し、75μLのアルカリホスファターゼ基質(Life Technologies,T2214)を使用して展開した。室温で20分後、プレートをルミノメーターを使用して読み取った。アルブミンアッセイは、Abcam(ab210890)からのマッチした抗体対を、続いて検出のためのAvidin-AP二次抗体を使用して行った。標準を4PLロジスティックフィットを使用してフィッティングし、未知の濃度を決定した。分析物レベルを希釈因子について補正した。
【0402】
実施例2:二次C1q発現は、視床における慢性炎症、神経変性、及びシナプス機能障害と一致する。
mTBIの二次的、長期的な影響を判定するために、成体マウスの右一次体性感覚皮質(S1)に軽度の皮質衝撃損傷を誘発し(図1A)、3週間後に脳へのその影響を評価した。この期間は、脳が損傷後に適応的かつ不適応的な変化を受けているヒトでの潜伏期に相当する。我々は、ニューロン(NeuN)及びグリア炎症(C1q、古典的補体経路;GFAP、アストロサイト;IBA1、ミクログリア/マクロファージ)のマーカーを用いた冠状脳切片の免疫蛍光染色によって、皮質視床回路におけるニューロン数及びグリア炎症を決定した(図1C~1E)。術後3週間、mTBIマウスは、TBI周辺S1皮質及び機能的に接続された腹基底視床(VB)及び網膜視床核(nRT)において、シャムマウスよりも有意に高いGFAP、C1q及びIBA1発現を有した(図1B~1E)。皮質の炎症は、負傷後24時間以内に生じ、機能的に接続されたnRT及びVBは、5日後頃にのみグリア変化を示し、これは、視床炎症が皮質損傷の二次的な結果であることを示唆している。また、ヒトTBI患者からの視床組織における類似の炎症性マーカーの発現の増加を見出し、視床炎症がヒトにおいてもTBIの結果であることを確認した(図7)。
【0403】
グリア炎症は、視床領域、特にnRT(図1D~1E、図2A)において著しいニューロン損失と関連し、nRTは、そのグルタミン酸作動性入力の大部分を皮質から受け取る。mTBIマウスのnRTは、特に、その興奮性入力のほとんどを損傷した体感覚皮質から受ける「体」領域において、シャムマウスのnRTよりも有意にニューロンが少なかった(図2B~2C)。この結果は、炎症が損傷した皮質から接続された視床までの長距離の皮質視床回路に従うことを示唆している。
【0404】
C1qがこの回路の機能的損傷をマークする可能性があるかどうかを試験するために、損傷から3~6週間後に得られた脳スライスの皮質及び視床で全細胞パッチクランプ記録を実行した。TBI周辺S1皮質における層5の錐体ニューロン及び高速スパイクGABA作動性介在ニューロン、VBにおけるグルタミン酸作動性ニューロン、及びnRTにおけるGABA作動性ニューロンを記録した。ニューロンの固有膜電気的特性ならびに自発的興奮性及び抑制性シナプス後電流(sEPSC及びsIPSC)特性は、TBI周辺皮質及びVB視床の両方において、シャムマウスとmTBIマウスとの間で類似していた(詳細は表4を参照)。しかしながら、nRTにおいて、mTBIは、sIPSCの頻度の低下をもたらした(図2D~2E)。更に、nRT sEPSCは、振幅が小さく、より低い頻度に傾向があった(図2F~2G)。皮質視床ニューロンにおける神経細胞カルシウムレベルのマーカーであるThy1-GCaMP6fを発現するマウスにおけるGFPの免疫蛍光染色は、mTBI後の視床における蛍光の減少を明らかにし(図2H~2I)、皮質視床回路が実際に障害されることを示唆した。
【0405】
皮質視床回路に対するmTBIの主な長期的影響は、nRTにおけるシナプス伝達の破壊を含み、これは、C1q発現の増加、皮質入力の減少、及び局所的ニューロン損失と一致すると結論づけられる。対照的に、TBI周辺皮質及びVB内のニューロンは、mTBI後の慢性期において正常に見え(表4)、これらの領域における炎症(特に、C1q発現の増加)は、神経細胞興奮性またはシナプス機能における長期的な機能障害とは関連していないことを示唆している。
【0406】
表4S1皮質、VB、及びnRTから記録された固有の特性、EPSC、及びIPSCデータの要約マウスをTBI後3~6週間の間記録し、記録条件は本方法のパッチクランプ電気生理学セクションに記載する。統計解析のためにマン-ホイットニー検定を実行した。


【表3-1】
【表3-2】
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
【0407】
実施例3:C1qの慢性的な増加は、視床のミクログリアによって媒介される
視床におけるC1qの細胞起源を決定するために、損傷の3週間後にnRT及びVB組織を微細解剖し(図3A)、シャムマウス由来の6,228個の核、及びmTBIマウス由来の5,220個の核に対して単一核RNA配列決定(snRNA-seq)を実行し、単離アーチファクトを伴わずに、同じ調製物由来の神経細胞集団及びグリア集団を堅牢に捕捉することを可能にした。周辺のRNAについて補正し、潜在的なダブレットを除去した後、クラスター分析は、隣接する視床皮質リレー核に由来するミクログリア(Cx3cr1、P2ry12)、アストロサイト(Cldn10、Fgfr3)、オリゴデンドロサイト(Mobp、Olig1)、オリゴデンドロサイト前駆体(Sox8、Pdgfra)、GABA作動性ニューロン(Gad1、Gad2)、及びグルタミン酸作動性ニューロン(Slc17a6、Slc17a7)を含む予想される細胞型を特定した(図3B図8A)。細胞組成物は、シャム試料とmTBI試料との間で類似していた(図8B~8C)。
【0408】
ミクログリアは、C1qの18サブユニットを共にコードする3つの遺伝子であるC1qa、C1qb、及びC1qcの高レベルを発現した(図3C図9B)。しかしながら、核RNA内でのそれらの発現は、mTBIと偽試料との間で有意差はなく(図3D図S3B)、細胞質RNAにおけるミクログリア活性化のコードに関する以前の報告と一致した。古典的補体経路においてC1qの下流に作用するC4bを発現した、シャムマウス及びTBIマウスの両方における成熟オリゴデンドロサイト及びアストロサイト(図3E)。核RNAにおけるC4b発現は、mTBI後のオリゴデンドロサイトの1つのサブクラスターにおいて5.2倍増加したが(図3F図9C~9F)、アストロサイトにおいて有意に増加しなかった。C2及びHc等の補体経路の他の成分の転写産物は検出されなかった(図9B、9H)。
【0409】
これらの観察は、ミクログリアをC1qタンパク質の可能性のある供給源としたが、mTBI後の視床におけるC1qの急増についての説明にはならなかった。この不一致に対処するために、qRT-PCRを使用して、我々の核調製物のバルク細胞質画分におけるC1qa mRNAを調べた。この分析は、視床及び皮質の両方において、mTBI後のC1qa mRNA発現の有意な増加を示した(図3G)。同様に、これらの2つの領域におけるmTBIマウスにおいて、C4b発現が上方制御されたが、C3またはHc(C5)等の他の補体分子の発現は上方制御されなかった(図3H図9H)。
【0410】
総じて、我々の結果は、ミクログリアがmTBIマウスにおける慢性C1qのレベルの増加の原因であり、C1qがC4b発現オリゴデンドロサイト及びアストロサイトを活性化する可能性が高いことを示唆している。これらの観察と一致して、TBI後のミクログリア(Apoe、Cst3)及びアストロサイト(Apoe、Clu)活性化の少数のマーカーのみを検出した(図9A)。
【0411】
実施例4:mTBIは、nRTにおけるミトコンドリア遺伝子発現の選択的変化をもたらす
mTBI後のnRTでシナプス異常及びニューロン損失を検出していたことから、nRT GABA作動性ニューロンにおける遺伝子発現の潜在的変化も調査した。GABA作動性ニューロン(Slc17a7及びSlc17a6陰性、Gad2陽性、図10A)のクラスター化は、nRTにおいて以前に報告された遺伝子(Pvalb、Spp1及びEcel1、Cacna1h及びCacna1e)の発現によって特性化される9つのサブクラスター(図10B)を明らかにした。また、Pvalbレポーターマウスを用いて細胞選択を行った以前の研究では見逃されていたであろう、Pvalb陰性であった3つのクラスター(サブクラスター2、8及び9、図10D~10F)を観察した。特に、サブクラスターの相対サイズは、mTBIとシャムマウスとの間で変化せず(図10C)、nRT内の選択的脆弱性の欠如を示唆した。
【0412】
補体経路の成分は、いずれのGABAレギュラーサブクラスターにおいても、mTBIとシャムとの間で差異的に発現されなかった。対照的に、Cox6c及びCox5aを含む、ミトコンドリア機能及び酸化的リン酸化に関連するいくつかの遺伝子は、mTBI後の全てのGABA作動性ニューロンにおいて上方制御された(図10G)。
【0413】
全体的に、これらのデータは、Pvalb、Spp1、及びEcel1等の主要なマーカー遺伝子の発現において異なる、nRT GABA作動性ニューロンの複数のサブクラスターの存在を支持する。これらの観察により、mTBI後の視床C1q源がニューロンではないことが確認される。また、これらは、mTBI後のGABA作動性nRTニューロンにおけるニューロン損失またはシナプス機能障害の潜在的な媒介物質としてのミトコンドリアを示唆している。
【0414】
実施例5:C1q機能を遮断することで、慢性グリア炎症及びニューロン損失を減少させる
C1q発現の増加は慢性的であり(図11A~11B)、したがってmTBIの長期的な効果を説明し得た。この仮説を試験するために、C1qに特異的に結合し、その下流活性を阻止する抗体を使用した。mTBIまたはシャム手術の24時間後に、マウスにC1q抗体またはマウスIgG1アイソタイプ対照の静脈内注射を行い、続いて週2回、3週間にわたって処置を行った。
【0415】
抗C1q抗体で処置したmTBIマウスは、免疫蛍光染色によって監視されるように、対照処置したmTBIマウスと比較して、炎症の大幅な減少及びニューロン損失の減少を示し(図4A~C)、平均して、抗体で処置したシャムマウスと同じ数のnRTニューロンを有した(図4C)。対照IgGで処置したmTBIマウスは、mTBIの3週間後に依然として炎症及びニューロン損失を示した(図4)。抗体処置の代替的なアプローチとして、C1q-/-マウスを用いて研究を繰り返し、TBI後のnRTにおいても、それらが慢性炎症の減少及びニューロン損失の減少を示したことを見出した(図12)。
【0416】
抗C1q抗体が末梢ではなく脳内でその効果を発揮したことを確認するために、その濃度ならびに脳及び血漿中のC1qの濃度を測定した(図13)。遊離抗C1q抗体は、抗体処置されたシャムマウス及びmTBIマウスの脳内で、同側(0.4~8.6ug/ml)の濃度が対側(0.09~3.8ug/ml)よりも若干高いことが検出された。これは、抗C1q抗体を受けていないシャムマウスまたはmTBIマウスよりも低いC1qの濃度を伴い、最も顕著なのは同側であった(図13C~13D)。これらの観察は、抗C1q抗体が、mTBI後のC1qの蓄積を防止することを強く示唆している。抗体を受けたシャムマウス及びmTBIマウスの血漿は、遊離または抗体結合のいずれかで、検出可能な量のC1qタンパク質を有しておらず、C1qフリーが循環から完全に消失していることを示す。
【0417】
これらの転帰は、C1qがmTBIにおける炎症及びニューロン損失をもたらし得ること、ならびにC1qの脳内での蓄積を阻止することが、これらの有害な影響を低減することを示す。
【0418】
実施例6:TBIは、皮質状態の長期的な変化と、自由に行動するマウスの興奮性につながる
次に、脳リズムを皮質視床回路機能のインビボでの読み出しとして使用して、mTBIの縦衝撃を調査した。このために、頭蓋切開/mTBI誘発手術中に慢性無線電気皮質(ECoG)デバイスをシャム及びmTBIマウスに埋め込み、慢性記録のためにマウスを自宅のケージに戻し、mTBIの1、3及び11週間後のECoGパワーの変化を分析した(図5)。光エポック(図5C~5H)及び暗エポックの両方の間に、mTBIにおけるブロードバンドパワーの慢性的な増加を観察した。
【0419】
経時的に重篤なTBIがてんかんの発生につながることが示されており、mTBIについても真実である可能性があるかどうかを調査した。以前に報告された分類を用いて、てんかん様スパイク、てんかん性放電、棘徐波放電、ならびにmTBIの24時間後及び3週間後の自発性焦点発作または全般発作を含む様々なタイプのてんかん活性を定量した。最初の24時間で、16匹のmTBIマウスのうち3匹が、8匹のシャムマウスのいずれも、全身性強直性間代性発作を示さなかった(GTCS、表5)。いずれのマウスも、後の時点(最大3週間)でGTCSを示さなかった(表5)。しかしながら、mTBIの3週間後に、我々は、mTBIマウス(n=9)において、シャムマウス(n=5)よりも多くのてんかん様スパイクを見出し、これは興奮性の増加を示唆している(表5)。同様に、同時ECoG及びマルチユニット視床記録を使用した別の記録設定では、mTBIマウスは、mTBIの1週間後及び最大3週間後に早くも、同期視床破裂及び正規化θ力の増加を含む自発性てんかん様イベントを有した(図14)。
【0420】
mTBIは、慢性的な時点で早期発作の可能性とブロードバンドECoGパワーを増加させることによって、皮質ECoG活性を変化させると結論づけられる。
【0421】
表5シャム、TBI、対照処置TBI、及び抗体処置TBIマウスにおけるてんかん様活性分析の要約マウスを、TBIの日からTBIの数週間後まで連続的に記録した。外科的及び記録状態は、「慢性ECoG記録のためのデバイスの外科的埋め込み」というタイトルの方法セクションに記載されている。解析は、TBI後の最初の24時間、及びTBI後の3週間に、48時間の窓にわたって実行した。統計解析のために、混合効果ANOVAの反復測定を行った。

【表6-1】
【表6-2】
【0422】
実施例7:抗C1q抗体は、TBIを有するマウスにおける慢性皮質状態の変化を防ぐ
C1qを遮断することが皮質状態の変化を救済することができるかどうかを判定するために、mTBIの24時間後に開始して、抗C1q抗体またはアイソタイプ対照で5週間マウスを処置し、一方でmTBIの9~15週間後までECoG記録を維持した(図6A図15)。ECoGスペクトル特徴は、抗C1q抗体または対照処置の最初の週内で同様であった(図6B~6C、図15B)。3週間で、抗C1q群は、ほとんどの周波数帯域にわたってパワーの減少に傾向した(図6D~6E、図15C)が、その減少は統計的に有意ではなかった。
【0423】
特に、てんかん様活動は、抗C1q抗体の影響を受けなかった(表5)。mTBIの3週間後、対照処置mTBIマウスと抗体処置mTBIマウスとの間に、GTCSは見られず、てんかんイベントの頻度に差は見られなかった(表5)。
【0424】
これらの結果をまとめると、TBI損傷後にC1qを遮断することで、マウスにおける皮質状態の二次的変化から保護することが示唆される。
【0425】
実施例8:mTBIは、抗C1q処置によって防止される睡眠紡錘波の喪失及びてんかんスパイクの増加をもたらす
次に、脳リズムを皮質視床回路機能の読み出しとして使用して、インビボでのmTBIの影響を調査した。このために、頭蓋切開/mTBI誘発手術中に慢性無線電気皮質(ECoG)デバイスをシャム及びmTBIマウスに埋め込み、慢性記録のためにマウスを自宅のケージに戻し、術後3週間の12時間以内にECoGリズムの変化を分析した(図16)。nRTは、マウスの非急速眼球運動睡眠(NREMS)中の感覚皮質特異的睡眠紡錘波の供給源であることを考慮して、睡眠紡錘波の分析に焦点を当てた。術後3週間、シャムマウスは左右の感覚皮質に類似した数の睡眠紡錘波を有したが、mTBIマウスでは、損傷に対する同側皮質は、対側皮質よりも少ない睡眠紡錘波を示した(図16A~16D)。mTBIマウスはまた、損傷に対する同側焦点てんかんスパイクを有した(図16A~16D)。次に、C1qを遮断することがこれらの変化を防止することができるかどうかを判定するために、mTBIの24時間後から開始する抗C1q抗体またはアイソタイプ対照でマウスを処置し、mTBIの3週間後にECoGを分析した。抗C1q抗体で処置したマウスは、アイソタイプ対照で処置したマウスよりも正常な数の睡眠紡錘波(図16B、16D、16E)、及びより少ないてんかんスパイクを示した(図17B~17F)。これらの結果は、mTBIがmTBI周辺皮質における睡眠紡錘波の喪失をもたらし、てんかんのスパイクを引き起こすこと、及びmTBI後のC1q媒介経路を遮断することが、これらの転帰の両方を防止することを示している。
【0426】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、本明細書の任意の定義を含む本出願が優先される。
【0427】
均等物
当業者らは、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または単なる通常の実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10A
図10B
図10C
図10D-1】
図10D-2】
図10D-3】
図10E
図10F
図10G
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18
【配列表】
2023524819000001.app
【国際調査報告】