(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ポーションカプセルの製造方法およびポーションカプセル
(51)【国際特許分類】
B65B 51/22 20060101AFI20230606BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20230606BHJP
A47J 31/36 20060101ALI20230606BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B65B51/22 100
B65B51/22 ZBP
A47J31/06 320
A47J31/36 120
A47J31/40 107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567685
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2021062065
(87)【国際公開番号】W WO2021224421
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507163714
【氏名又は名称】チボ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ラルフ
【テーマコード(参考)】
3E094
4B104
【Fターム(参考)】
3E094AA06
3E094BA06
3E094BA20
3E094CA22
3E094CA31
3E094FA11
3E094HA20
4B104AA19
4B104AA20
4B104BA35
4B104BA46
4B104EA38
4B104EA39
(57)【要約】
本発明は、カプセルを製造するための方法に関し、方法は、ベース領域(5)と、周方向側壁(6)と、周方向側壁に隣接する周方向ベース本体フランジ(41)とを有するプラスチック製のベース本体(2)を提供するステップと、プラスチック製のカバー(3)を提供するステップと、ベース本体(2)を抽出材料で充填するステップと、カバーの締結部がベース本体フランジ(41)に接触するようにカバー(3)をベース本体(2)上に配置するステップと、超音波溶接によってカバーフランジをベース本体フランジに締結するステップと、を含む。これにより、カバーフランジを締結するときに、締結部の内面(33)が、ベース本体フランジのフランジ面(43)と面接触する。機械的振動が加えられ、エネルギーディレクタ(52)を有するソノトロード(50)が、締結部またはベース本体フランジの外面(34)に押し付けられ、その結果、機械的振動の影響により、カバーまたはベース本体フランジのプラスチック材料が外面で液化し始める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出生成物を生成するための抽出材料で充填されたポーションカプセル(1)を製造するための方法であって、
ベース領域(5)と、周方向側壁(6)と、周方向側壁に隣接する周方向ベース本体フランジ(41)とを有するプラスチック製のベース本体(2)を提供するステップと、
プラスチック製のカバー(3)を提供するステップと、
前記ベース本体(2)を抽出材料で充填するステップと、
前記カバーの締結部が前記ベース本体フランジ(41)に接触するように前記カバー(3)を前記ベース本体(2)上に配置するステップと、
超音波溶接によって前記カバーフランジを前記ベース本体フランジに締結するステップと、
を含み、
前記締結部の内面(33)が、前記カバーフランジを取り付けるときに前記ベース本体フランジのフランジ面(43)と面接触し、機械振動が加えられエネルギーディレクタ(52)を有するソノトロード(50)が、前記締結部または前記ベース本体フランジの外面(34)に押し付けられ、それにより、前記カバーおよび前記ベース本体フランジのプラスチック材料が、前記機械振動の効果により前記外面で液化し始めることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ベース本体(2)が工具(70)によって支持されている間に、前記カバーフランジ(41)を締結するときに前記ソノトロード(50)が前記締結部に押し付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記締結部の前記内面(33)と前記ベース本体フランジの前記フランジ面(43)が平坦で互いに平行である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギーディレクタ(52)は周方向リブの形状を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ベース本体フランジ(41)およびそれに溶接された前記締結部から生じる共通フランジ(4)の外側部は溶接後に切断される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記外側部は、溶接中に前記エネルギーディレクタが作用した領域も切断されるように切断される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カバー(3)および前記ベース本体(2)は同じプラスチックから作られる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カバー(3)および/または前記ベース本体(2)は生分解性プラスチックから作られる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記カバーおよび前記ベース本体は、例えばPVOHから作られた拡散障壁層を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カバー(3)は剛体である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記カバー(3)は、溶接中に前記締結部を形成する周方向カバーフランジから半径方向内側に外向きドームを形成する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ベース本体は、前記ベース本体フランジの領域において実質的に長方形の断面を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
抽出生成物を生成するための抽出材料で充填されたプラスチック製のポーションカプセル(1)であって、
プラスチック、特にバイオプラスチックから作られ、ベース領域(5)と周方向側壁(6)とを有するベース本体(2)と、
抽出材料または抽出物、特に挽いたコーヒー豆の充填物と、
プラスチック、特にバイオプラスチックから作られ、前記ベース本体に取り付けられたカバー(3)と、
を備え、
前記カバーは、特に周方向フランジに沿って前記ベース本体に取り付けられ、
前記ポーションカプセルは、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法によって製造される、ポーションカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挽いたコーヒーなどのカプセル内に存在する抽出材料から飲料などを調製することに関する。本発明は、特に、抽出材料で充填されたカプセルを製造するための方法、および前記方法によって製造されたカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
ポーションパッケージ内に存在する抽出材料から飲料を調製するための抽出装置は、例えばコーヒー、エスプレッソ、またはティーマシンとして知られており、人気が高まっている。多くの対応するシステムでは、ポーションパッケージは、例えば、抽出材料が気密に封入されたカプセルとして実装される。抽出のために、カプセルは互いに対向する2つの側面に穿刺される。抽出液(典型的には温水)が第1の側面に導入される。抽出生成物は、第2の側面でカプセルから排出される。調製される飲料およびシステムに応じて、カプセルの内部にかなり大きな圧力が存在しなければならない。ポーションカプセルが穿刺されるシステムの代わりに、穿孔が既に設けられたカプセルを有するシステムもあり、前記穿孔は保護フィルムによって覆われ、例えば、前記フィルムは抽出プロセスの前に除去または溶解される。
【0003】
アルミニウム、およびポリプロピレンなどのプラスチックは、カプセル材料として特に知られるようになってきた。アルミニウムカプセルは、抽出材料の非常に良好な安定性(香味保護)をもたらすが、その製造は非常にエネルギー集約的である。ポリプロピレンカプセルは、エネルギー要件および廃棄の点で有利であるが、穿刺機構および香味保護の要件が増大している。アルミニウムおよびプラスチックは両方とも、カプセル材料として批判されており、前者は生産における高いエネルギー消費に起因し、後者は特に廃棄物の問題に起因する。
【0004】
コーヒーポーションカプセルは、国際公開第2010/118543号から知られており、プラスチック製のほぼ立方体形状を含み、既知のカップ形状カプセルとは対照的に、1つの(上部)カバー表面の平面上にフランジを含まない。そのような周方向フランジは、他の理由の中でもとりわけ、カバーとして機能するフィルムによってカプセルを密封するために従来技術によるカプセルシステムに必要である。超音波溶接によって封止する場合、フランジはエネルギーディレクタを収容するために必要である。カプセルが熱封止によって封止される場合、カバーが十分に広い領域にわたって接触するようにフランジが必要である。これに対して、国際公開第2010/118543号によればドーム状のカバーが用いられており、封止は、例えば超音波切断および溶接によって行われる。したがって、国際公開第2010/118543号の教示に従って製造されたカプセルは、その(「立方体」)形状とは無関係に、カバー表面によって画定された平面間に最小のフランジのみを形成する周方向溶接隆起部を有するが、その広がりおよび横方向突出部は、既知のカプセルのフランジと比較して実質的に減少する。
【0005】
いわゆるバイオプラスチックもカプセル材料として議論されている。再生可能資源から製造されたプラスチックは、そのように呼ばれる(いわゆるバイオ系プラスチック)。バイオプラスチックは、生分解可能なプラスチック(いわゆる生分解性プラスチック)でもある。ポーションカプセルを製造するために提案されているプラスチックは生分解性であり、バイオ系プラスチックの一部を部分的に含む。
【0006】
本明細書において、「生分解性」は規格EN13432(バージョン:2019年末)に従って生物学的に分解性であることを意味し、「バイオ系」は「化石燃料系ではなく再生可能資源から作られる」を意味する。
【0007】
利用可能なバイオプラスチック、特に生分解性プラスチックは、前記プラスチックが比較的低温で軟化し、したがって既に低温(低いガラス転移温度)で一定の流動性を有するという特性を有するが、前記プラスチックは、完全に流動性になる前に(すなわち、融点は、定義される場合、特に低くはない)、比較的高い温度まで加熱されなければならない。これは、非常に流動性の高い状態(定義される場合、融点より上)への転移が信頼性の高い溶接の前提条件であり、その結果、材料が基本的に流動性である期間が従来のプラスチックよりも長いため、溶接に特に課題をもたらす。
【0008】
したがって、カプセルを製造するために、例えば、特に国際公開第2010/118543号または例えば国際公開第2015/096990号に記載されているような形状を有するカプセルの場合のように、カバーとして封止フィルムを有さず、むしろ3次元形状を有するプラスチック本体を有するカプセルについて、特定の課題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、低いガラス転移温度を有するプラスチック、特に生分解性および/またはバイオ系プラスチックを使用する場合に、より簡単な製造を可能にし、カプセルの確実な封止を可能にするために、例えば国際公開第2010/118543号に記載されているタイプのカプセルの製造方法を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、カプセルを製造するための方法は、以下のステップ、すなわち、
-ベース領域と、周方向側壁と、周方向側壁に隣接する周方向ベース本体フランジとを有するプラスチックベース本体を提供するステップと、
-カプセルを封止するため、すなわち、ベース本体とともに閉鎖カプセルを形成するためのプラスチックカバーを提供するステップと、
-ベース本体を抽出材料で充填するステップと、
-カバーの締結部がベース本体フランジに接触するようにカバーをベース本体上に配置するステップと、
-超音波溶接によってカバーフランジをベース本体フランジに締結するステップと
を含み、
-締結部の内面が、カバーフランジを取り付けるときにベース本体フランジのフランジ面と面接触し、機械振動が加えられエネルギーディレクタを有するソノトロードが、締結部またはフランジの外面に押し付けられ、それにより、カバーおよびベース本体フランジのプラスチック材料が、機械振動の効果により、外面から始まって液化し始める。
【0011】
カバーフランジを締結するときに締結部の内面がベース本体フランジのフランジ面と面接触することは、特に、エネルギー入力が印加または開始される時点でそのような接触が発生することを意味する。従来技術による手順では、面接触はいずれの時点でも発生しない、すなわち、従来技術による超音波溶接プロセスの最初には、面接触はなく、むしろエネルギーディレクタによって画定された縁部に沿った接触(線接触)のみであり、最後には要素は互いに溶接され、そのため面接触も発生しない。
【0012】
前記手順の効果は、溶融物が最初に外面で、エネルギーディレクタとプラスチック材料との間の接触点で、したがって本質的に裏側から発生することである。すなわち、液化は外面(「裏側」)で始まり、液化は、最初に外面で起こる。外面の材料は、特に、面接触位置の材料が依然として固体である時点で液体になる。
【0013】
次いで、ソノトロードの連続的な圧力および連続的な機械的振動により、エネルギーディレクタがプラスチック材料内に押し込まれる。液化は、特に、締結部またはベース本体フランジの材料を疑似的に通過する。その結果としてのみ、例えば、溶融物がカバーまたはフランジの材料を通って外側から反対側の内面まで侵入するという点で、ベース本体フランジと締結部との間の境界で溶融物が形成される。これは従来技術とは対照的であり、従来技術によれば、ベース本体またはカバー自体がエネルギーディレクタを備え、そのため、通常、ベース本体とカバーとの間で最初に線接触が生じ、プラスチックの溶融はエネルギーディレクタおよび接触線から始まる。
【0014】
溶接は、プロセスの最初にカバーがフランジ面と面接触する場所で、すなわち面接触の位置で、特に線を囲む領域で発生し、その位置はソノトロードのエネルギーディレクタによって、すなわちエネルギーディレクタによって形成された縁部からの最小距離の線によって画定される。ベース本体フランジが、カプセルを封止するために封止フィルムが押し込まれるクリンプなどを備える実施形態とは対照的に、ベース本体フランジおよび締結部の材料の溶融は、特に互いに平行に接触する平坦面に沿って起こる。
【0015】
驚くべきことに、裏側から溶融物を発生させる明らかに効率の悪い手順は、例えばバイオプラスチックなどのプラスチックにとって最適な結果をもたらし、既に比較的低温でわずかに流動性になることが分かった。そのような材料のためのプラスチック上でエネルギーディレクタを使用する従来の手順では、得られる溶接はしばしば不十分である。これに対する1つの可能な説明は、前記材料が柔らかすぎてエネルギー吸収が不十分であるため、エネルギーディレクタが、低温でのプラスチック軟化のための溶接プロセスの早期の時点で有効性を失うことである。さらに内側に配置されたエネルギーディレクタもまた、プラスチック上に弱い点を形成する可能性があり、これは、材料がそこで激しく変形して溶融するためである。
【0016】
特に、エネルギー入力がカバー側から行われること、すなわち、ベース本体が工具(アンビル)内に支持されている間に、カバーフランジを締結するときにソノトロードが締結部に押し付けられることができる。次いで、例えば前記溶融物が外面から前記点まで侵入し、フランジの材料も伝達された熱によって液化されるという点で、溶融物がベース本体フランジとの境界面でも形成されるまで、外面で最初に液化されるのはカバーのプラスチック材料である。前記配置は、逆の配置(ベース本体側、すなわち下方からの超音波の効果)と比較して、特にベース本体が充填され、超音波がベース本体に直接作用するときに充填が妨げられないことを保証しなければならないため、しばしば有利である。下から作用する超音波はまた、安定性の理由からソノトロードをそれに応じて容易にサイズ調整することができないため、実際に実施する上で問題を引き起こす可能性がある。
【0017】
ソノトロード上のエネルギーディレクタは、溶接されるプラスチック部品のエネルギーディレクタと同様に、例えばV字形のプロファイルを有するリブの形状を有することができる。そのようなリブは、フランジの経路に周方向に平行に配置することができる。互いに平行な複数、例えば2つのリブも考えられる。エネルギーディレクタの他の形状も考えられ、例えば、個々の山状突出部などの周方向配置の形態である。
【0018】
互いに接触するベース本体フランジの表面部分とカバーの締結部とは、特に互いに平行であり、面接触をもたらすことができる。前記表面部分は、特に、エネルギーディレクタまたは他の突出部または凹部を含まない。
【0019】
実施形態では、ベース本体のフランジおよびそれに溶接された締結部から生じる共通フランジの外側部は、溶接後に、例えばパンチングによって切断される。特定の実施形態のグループでは、これは、溶接中にエネルギーディレクタが作用した領域、すなわち、溶接のコア領域に類似する領域も切断されることで行われる。言い換えれば、切断は、エネルギーディレクタの位置の半径方向内側、すなわち、周方向側壁によって画定される領域の近くで行われる。
【0020】
カバーのプラスチック材料とベース本体のプラスチック材料とは同一であり得る。しかしながら、カバーは、異なる組成を有するが、ベース本体プラスチックに溶接することができるプラスチックで作られることも可能である。
【0021】
カバーおよび/またはカップのプラスチック材料は、特にバイオプラスチックであり得る。前記材料は、特に生分解性プラスチックであり得る。加えて、または代替的に、プラスチック材料は、少なくとも部分的にバイオ系プラスチックを含むことができる。
【0022】
第2の態様によれば、抽出材料で充填されたポーションカプセルが、それに応じて抽出生成物を生成するために提供され、ポーションカプセルは、
-ベース領域と周方向側壁とを有する生分解性プラスチック製のベース本体と、
-抽出材料または抽出物、特に挽いたコーヒー豆の充填物と、
-ベース本体も作られる生分解性プラスチックから作られ、ベース本体に取り付けられたカバーと
を備え、
-カバーは、特に周方向フランジに沿ってベース本体に溶接される。
【0023】
第2の態様は、以前の視点とは対照的に、カバーを有するカプセルが、バイオプラスチックを使用して製造され、特に封止されることもでき、前記カバーは単に封止フィルムではなく、3次元の剛体であるという洞察に基づいている。締結は、特に第1の態様による方法によって行うことができる。
【0024】
第2の態様によるそのようなカプセルは、特に、第1の態様について上述したように実施および製造することができる。
【0025】
前記カプセルは、第1の態様のものを含むすべての実施形態について、特に、ベース本体およびカバーが一緒になって、例えばフィルムなどによって覆われた開口部なしに抽出材料を完全に包囲するように実装することができる。前記カプセルは、特に、例えば適切な拡散障壁を備えることによって、酸素を漏らさない方法で気密封止することができる。前記カプセルは、本明細書に記載の形状の長方形断面を特に有することができる。カバーは、特に、本明細書に記載されるように、3次元物体としての単純なフィルムまたはプレートから様々に実装することができ、例えば外向きドームを形成することができる。
【0026】
ベース本体および/またはカバーは、以下に一般的に示すように、すべての態様にも適用可能であり、射出成形または熱成形によって製造することができる。材料は、いくつかの実施形態では、市販の典型的なバイオプラスチック、例えば、BASFによるEcovio、生分解性ポリエステル(ポリブチレンアジペートテレフタレート)とポリラクチドとの化合物であってもよい。
【0027】
ベース本体およびカバーは、バイオプラスチックに加えて拡散障壁層を特に備えることができ、それにより、カプセルは、外側包装なしでも芳香密封性である。拡散障壁層の例は、PVOH(ポリビニルアルコール)である。
【0028】
実施形態では、ベース本体および/またはカバーは、例えば、バイオプラスチック(例えば、Ecovio)/PVOH/バイオプラスチックを使用する多層システムとして存在することができ、PVOHは拡散障壁層を形成する。特に深絞り層システムの場合、PVOH層とバイオプラスチックとの間にいわゆるタイ層、すなわち結合層も存在することができ、その結果、構造はバイオプラスチック/タイ/PVOH/タイ/バイオプラスチックとすることができる。生分解性タイ層が知られるようになり、例えば天然ワックスとして市販されている。
【0029】
実施形態では、カバーは、前記カバーが、溶接中に締結部を形成する周方向カバーフランジから半径方向内側に外向きドームを形成し、周方向カバーフランジが、ベース本体フランジと一致するように寸法決めされることを特徴とする。したがって、本実施形態によるカバーは、平坦なカバー要素、例えばフィルムまたはプレート状要素とは区別される。
【0030】
一般に、カバーは、単純なフィルムとは異なることができ、3次元的に形成され、特に剛体であり得る。
【0031】
そのような実施形態におけるカバーの形状は、外側から内側にかけて、カバーフランジ、湾曲した遷移領域、および実際の上部カバー表面を形成する中央平坦領域を備えることができる。そのような平坦領域は、ドームをもたらす遷移領域に起因して、カバーフランジの平面から外側にオフセットされる。遷移領域は、例えばS字形に湾曲することができ、またはフランジ平面に対してある角度で外側部分から中央の平坦領域まで定常的に湾曲することができる。これにより、その寸法は、例えば、中央の平坦領域が光学的に優位になるように選択され、前記領域は、例えば、ベース領域と同じサイズであるか、またはベース領域よりわずかに(例えば、最大10%)小さい。全体的な直方体または立方体形状としてのカプセルの一実施形態では、特に前記平坦領域が直径の60%超、したがって面積の少なくとも40%を占めるようにすることができる。
【0032】
カバーフランジは、一般に、カバー側に面し、フランジの外縁からドームの開始部まで延在する周方向領域を形成する。実施形態では、ドームの開始部は、フランジが隣接する側壁の部分と比較して内側にオフセットされるようにすることができる。そのようなオフセットは、例えば、最小0.2mmとすることができる。
【0033】
ベース本体および/またはカバーは、例えば、射出成形または深絞り加工によって製造することができる。
【0034】
実施形態では、ベース本体は、フランジの領域内に実質的に長方形、例えば正方形の断面を有する。ベース本体およびカバーから形成されたカプセルは、製造後に残っているフランジを除いて、ほぼ立方体形状とすることができる。フランジ自体、例えばその外縁は、実質的に長方形、特に正方形であってもよい。「実質的に長方形」および「実質的に正方形」は、特に丸みを帯びた角部を排除せず、「ほぼ立方体形状」はまた、丸みを帯びた縁および角を排除しない。立方体形状はまた、例えば深絞りされたベース本体の製造プロセスによって引き起こされる、軸(床および/またはカバー領域上の垂線)に対する最大3°、特に最大2°または最大1.5°の周方向側面の傾斜を排除しない。
【0035】
しかしながら、代替形態では、ベース本体は、円錐形または潜在的に回転円筒形の周方向側壁を有する、それ自体既知のタイプのカップ形状を有することも可能である。
【0036】
ベース本体の領域の壁厚は、特に0.2mm~0.4mm、例えば0.25mm~0.35mmである。カバーの壁厚についても同様であり得る。一実施形態では、カバーの壁厚は、ベース本体の壁厚にほぼ対応する。
【0037】
第1の態様による方法によって製造され、抽出材料を有するカプセルは、
-プラスチック、特にバイオプラスチックから作られ、ベース領域と周方向側壁とを有するベース本体と、
-抽出材料または抽出物、特に挽いたコーヒー豆の充填物と、
-ベース本体に取り付けられプラスチック、特にバイオプラスチックで作られたカバーと
を備え、
-カバーは、特に周方向フランジに沿ってベース本体に取り付けられ、
-カプセルは、記載された種類の方法によって製造される。
【0038】
ベース本体フランジおよび/またはカバーフランジは、過大として提供することができる。溶接後、または溶接と同時に、余分な領域は、例えば超音波または打ち抜きによって切断される。
【0039】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図面の同一の参照番号は、同一または類似の要素を示す。図面は縮尺通りではなく、図ごとに異なるサイズの対応する要素を部分的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】
図1によるカプセルを製造するためのベース本体を示す図である。
【
図3】従来技術によるカバーを断面で示す図である。
【
図4】従来技術によるさらなるカバーを同じく断面で示す図である。
【
図5】ベース本体、カバー、アンビル、およびソノトロードを有する、詳細にのみ示されている構成を示す図である。
【
図6】超音波溶接プロセス中の
図5による構成を示す図である。
【
図7】超音波溶接手順の後でカプセルフランジの外側部分を切断する前に、同じく詳細にのみベース本体およびそれに溶接されたカバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1によるカプセル1は、丸みを帯びた縁部を有する立方体の形状を実質的に有する。しかしながら、その広がりは、純粋に数学的な観点から、カプセルが角錐台の形状を有するように、上面に向かってわずかに増加する。ベース面5に垂直な面、すなわち、当然ながら、ベース面と対応する側面との間の縁部を通って延びるベース面に垂直な平面に対する図の側面の傾斜角は、非常に小さく、例えば、好ましくは2°以下または約1°だけである。ベース面上のカプセルの高さはまた、ベース面縁部の長さにほぼ対応する。
【0042】
カプセルは、ベース本体(またはカップ)2と、周方向フランジ4に沿ってそれに取り付けられたカバー3とを備える。ベース本体は、図の上部で、カプセルベース5と、軸方向(軸10)に対してその外側端部でフランジ4によって閉鎖された周方向側壁6とを形成する。カバーは、カプセルベース5に実質的に平行なカバー表面9が周方向フランジ4と比較して外側にオフセットされているという点で、外向きにドーム状である。
【0043】
図2は、充填前および封止前のベース本体2(カップ)を示す。ベース本体フランジ41は、完成したカプセルのフランジ4の広がりよりも大きい広がりを有する。
【0044】
図1に示されるタイプのカプセルおよび
図2に示されるタイプのベース本体2もまた、先行技術から、例えば国際公開第2015/096990号から既に知られている。
【0045】
カプセルを製造するために、まずベース本体2に抽出材料を充填し、次いでカバー3を配置する。次いで、超音波溶接が行われる。従来のカプセル材料を使用する場合、カバー3またはベース本体2には、この目的のために、周方向フランジの領域に、例えば周方向リブの形状でエネルギーディレクタが設けられる。
【0046】
図3および
図4は、従来技術によるカバー3の一実施形態を各々示す。
図3によるカバー3は、深絞り加工により製造されている。カバーフランジ34の領域に形成されたエネルギーディレクタ23は、断面が略V字形の周方向リブの形状を有する。これに伴い、裏側(すなわち、外面上)に周方向溝11が形成されている。
図4は、エネルギーディレクタ23を有する、深絞りではなく射出成形によって製造されたカバー3を示す。
【0047】
比較的低温で既に軟化しているカプセル材料およびカバー材料を使用する場合、溶接は、
図3または
図4によるカバーを使用する場合、必ずしも確実に良好な結果をもたらさないことは明らかである。
【0048】
図5~
図7は、一例を用いた本発明による方法を示す。生分解性プラスチックで作られたベース本体2はまた、
図2に示すように、その上面(フランジ面43)に実質的に平坦な周方向のベース本体フランジ41を備える。周方向側壁6とベース本体フランジ41との間の遷移部において、ベース本体は、補強するように作用する任意選択の半径方向内側の肥厚部42を実装する。
【0049】
カバー3は、ベース本体と同様に、剛体であり、同じ生分解性プラスチックで作られ、取り付けのためにフランジ面43と面接触する平坦な内面33を備え、ベース本体フランジ41はアンビル70によって支持されている。溶接のために、ソノトロード50がカバーフランジの外面34に押し付けられ、超音波が印加される。ソノトロード50は、エネルギーディレクタ52を備える。前記エネルギーディレクタは、遠位活性面51の上方に突出する突出部によって、すなわち、ほぼV字形の断面を有し、前記断面形状により下方に縁部を形成する周方向リブとして、実装される。
【0050】
図6に示すように、ソノトロード50に入力されたエネルギーは、エネルギーディレクタ52との接触に沿ってカバー3の材料を最初に液化させ、その結果、前記エネルギーディレクタは材料に侵入することができる。溶融物61は、エネルギーの連続的な印加によりエネルギーディレクタの位置から形成されて膨張し、カバーフランジの材料を裏側から表側に貫通して、ベース本体フランジの材料に侵入する。加えて、または代替的に、カバーフランジとベース本体フランジとの間の境界でエネルギー吸収を行うこともできる。従来技術と比較して、結果として生じる溶接62は、比較的広い領域(
図7を参照)をカバーする。ソノトロードを除去した後、窪み66はエネルギーディレクタの位置に留まることができる。
【0051】
溶接後、半径方向外側に突出するフランジの一部は、例えば打ち抜きによって、任意選択的に超音波支持、超音波切断などによって切断することができる。一選択肢によれば、これは、エネルギーディレクタが超音波溶接中に作用した位置の半径方向内側の1つの点で起こり得る。
図7において、線71は、切断が行われる位置を示す。前記位置は、窪み66の形態でマークを残したエネルギーディレクタの位置の半径方向内側(すなわち、
図7の詳細における右側)である。前記解決策の利点は、視覚的により魅力的なフランジが得られることである。エネルギーディレクタの効果の位置で得られる形状も、常に正確に再現されるとは限らない。切断は、前記形状が常に正確に再現可能であるとは限らず、カプセルの一部であり、いくつかの状況では、取り扱い中および抽出プロセス中に抽出チャンバと相互作用するときに問題を引き起こす可能性があることをもたらす。
【国際調査報告】