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特表2023-524844反応性ガスを有する燃料をパージする為のシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】反応性ガスを有する燃料をパージする為のシステム
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/30 20060101AFI20230606BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20230606BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20230606BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20230606BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
F02C3/30 D
F02C3/22
F23R3/28 F
F02C7/22 B
F23N5/24 106C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567813
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2021062428
(87)【国際公開番号】W WO2021228820
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】2004746
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510020974
【氏名又は名称】ジーイー・エナジー・プロダクツ・フランス・エスエヌセー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンターニュ,ピエール
(57)【要約】
【要約】
水素を含有する燃料をパージする為のこのシステムは、ガスタービンを含む。ガスタービンは、燃料の少なくとも一つの噴射器(52)を備える少なくとも一つの燃焼室(20)と、排気区分と、燃焼室(20)から排気区分まで延在する高温ガス回路とを含む。このシステムは、高温ガス回路に配置された空気及び/又は不活性ガスの少なくとも一つの噴射点(A,A’)を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含有する燃料をパージする為の、ガスタービン(10)を含むシステムであって、前記ガスタービン(10)が、前記燃料の少なくとも一つの噴射器(52)を備える少なくとも一つの燃焼室(20)と、排気区分(30)と、前記燃焼室(20)から前記排気区分(30)まで延在する高温ガス回路(40)とを含み、前記高温ガス回路に配置された空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の少なくとも一つの噴射点(A,A’)を含む、パージシステム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの噴射点(A,A’)が前記燃料の前記少なくとも一つの噴射器(52)の燃焼区画の下流に設置される、請求項1に記載のパージシステム。
【請求項3】
前記高温ガス回路(40)に設置された固定ブレード(S1N,S2N)を有する冷却回路を付加的に含んで、前記少なくとも一つの噴射点(A,A’)が前記冷却回路(50)に設置される、請求項1に記載のパージシステム。
【請求項4】
前記排気区分(30)の下流で排気孔(74)の内側に設置された分配リング(75)を付加的に含んで前記少なくとも一つの噴射点が前記分配リング(75)に設置される、請求項1に記載のパージシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの噴射点が外部供給源(60;77)に接続される、請求項3又は4に記載のパージシステム。
【請求項6】
前記不活性ガスが窒素である、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のパージシステム。
【請求項7】
前記不活性ガスが二酸化炭素である、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のパージシステム。
【請求項8】
前記不活性ガスが蒸気である、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のパージシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ガスタービンへの供給に使用される水素(より明確には分子水素)などの反応性ガスに基づいて燃料をパージする為のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、燃焼システムの分野、特に燃焼室と燃焼ガスの為の高温空気通路とを含むガスタービンに属する。
【0003】
ガスタービンは概して、主に一以上の圧縮段を含む空気圧縮区分から成る。
【0004】
圧縮空気の大半は、焼却される為に噴射器を通して少なくとも一つの燃焼室へ噴射される気体又は液体燃料と混合される。一般的に、燃焼システムは環状タイプ、すなわちコンプレッサから生じた空気との連通状態にある幾つかの燃焼室を含むタイプである。
【0005】
燃焼で発生する高温ガスの流れは、その後、排気区分又は回収ボイラへ排出される前に、高温ガスキャビティを通って、一以上の膨張段を含む膨張タービンまで通過する。タービン区分内の通過は回転を引き起こし、こうしてロータでの機械エネルギーの回収を可能にする。回転エネルギーの一部は、コンプレッサ及びオルタネータのロータ区分を回転させるのに使用される。極端な温度、高温ガスの速度、そしてロータの速度ゆえに、ブレードの内部冷却により熱応力を軽減することが必要である。
【0006】
膨張タービンは、ロータに対して固定方式で取り付けられた少なくとも一列または一段のブレードから成る。ブレードが中空であるので、コンプレッサから生じた圧縮空気を固定ブレードへ送るのを可能にする内部冷却回路を設けるのをこれらのブレードのキャビティが可能にすることが知られている。これらのブレードの各々は、流れの圧力を受ける側と、後縁部により接続される吸引側とを備える空気力学的プロファイルを含む。
【0007】
特許文献1には、低負荷燃焼モード(拡散モード)あるいは全負荷燃焼モード(予混合モード)について、燃料油/空気混合気の為の噴射器を含んで酸化窒素又は一酸化炭素の放出の削減を可能にする燃焼室が記載されている。
【0008】
特許文献2にも、幾つかの燃焼段と、一次燃焼区画又は一次区分と、一次区分の下流において燃焼ガス流の方向で軸上に配設される二次燃焼区画又は二次区分とを含む燃焼室が記載されている。二次区分は空気/燃料油混合気の為の付加的な入口を含む。
【0009】
特許文献3には、ステータに取り付けられた固定ブレードにより離間及び分離されてタービンのロータに取り付けられる可動ブレードの列を含んでこれらのブレード全ての冷却が可能である、ガスタービンのコンプレッサ区分及びタービン区分が記載されている。
【0010】
更に、水素など反応性ガス画分を含み得る天然ガスなどの気体燃料の混合気の使用には、幾つかの利点、特に、濃厚混合気と二酸化炭素放出の削減とが見られる。例えば、水素が30%である燃料の混合気は二酸化炭素放出の10%削減を可能にする。
【0011】
特に、誤始動の後のタービンの始動中に、100%までの範囲であり得る百分率の水素を含有し得るか水素などの反応性ガス画分を含有する燃料又は燃料混合気では、未焼却燃料を吐出する為に、燃料供給管とタービン区分のキャビティとをパージする動作を行う必要がある。これは、天然ガスより低い最小点火エネルギーを有して点火が容易であり得る空気/燃料混合気を燃料中の水素画分が形成するからである。
【0012】
こうして、誤始動のケースでは、燃焼システム及びその下流を通過する停滞空気/燃料混合気には、蓄積及び爆発の高いリスクが見られ、爆燃は、排気管など膨張区分の下流に設置された装備品、また実際に複合サイクルのケースでは回収ボイラをも損傷し得る。
【0013】
特に、水素が大気圧及び大気温である時に、空気中での点火範囲は4%と75%の間であって、その最小点火エネルギーは、水素及び酸素の濃度と混合気の化学量論性(各水素分子については酸素分子の半分)に応じて変化する。他方で、水素が自然発生的に点火する自己点火はおよそ585℃/858Kであり、ゆえに他の可燃性ガスの大部分より高い。
【0014】
反応性ガス雲の点火は、火炎前面及びブラスト波の伝搬を結果的に起こす突然のエネルギー放出を生じ得る。空気中での水素の爆発の理論的条件は、本質的に、燃料中でのその濃度、例えば4%から8%の範囲の濃度に依存し、一方で、爆燃は8%から達成されて、幾つかのケースで爆轟は11%から起こり得る。
【0015】
しかしながら、水素画分の使用は、装備品の適応化の為の設計において重要な課題となる。これは特に、圧縮区分から生じた圧縮空気により強制される時には特に、空気中での高い拡散能力により、燃焼の下流でのタービンのキャビティにガス混合気が閉じ込められるというケースである。
【0016】
こうして、ガスタービンの始動の為に燃料混合気で水素を使用するケースでは、以下の点が検討されるべきである。
‐燃焼の下流、特に排気孔でガス塊に蓄積されるエネルギーを制限する。
‐混合気の低位発熱量(LHV)及び高位発熱量(HHV)を修正する。
‐可燃範囲から解放する。
‐自己点火温度を上昇させる。
‐爆発に対する装備品の耐性を強化する。
【0017】
タービンのキャビティでの爆発性ガス塊の存在と関連するリスクを軽減する為に、幾つかのアプローチが提案されている。すなわち、
‐装備品の設計中に、起こり得る爆燃の間に放出されるエネルギーを考慮する。
‐空気又は不活性ガスあるいは燃焼抑制ガスによる燃焼の下流での水素の希釈。
‐始動中の燃料量の減少。
‐空気流の増加による、そしてタービンのキャビティの洗浄において、ガスのパージを可能にする速度での火炎の点火。
【0018】
最も簡単で最も経済的なアプローチは、混合気のLHV及びHHVを修正する為に空気又は不活性ガスにより水素混合気を希釈することに存する。しかしながら、この解決法は、高温ガスキャビティと燃焼の下流の通路へ不活性ガスを噴射する為の手段を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,491,970号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/187893号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/096306号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
発明の目的は、特に誤始動のケースにおいて、空気又は不活性ガスの付加的な流れの為の通路を設ける必要なく、混合気のLHV及びHHVを修正するとともに、ガスタービンの高温ガス回路に存在する可能性のある反応性燃料をパージするように、例えば水素画分を含有する反応性燃料混合気の希釈を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これを目標として、本発明は、水素を含有する反応性燃料をパージする為の、ガスタービンを含むシステムを提供し、ガスタービンは、少なくとも一つの燃料噴射器を備える少なくとも一つの燃焼室と、排気区分と、燃焼室から膨張タービンを通って排気区分まで延在する高温ガス回路とを含み、高温ガス回路に配置された空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の少なくとも一つの噴射点を含むという点で注目に値する。
【0022】
こうして、提供される解決法は、空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の付加的な流れを使用するパージシステムを、燃焼室及びその下流のキャビティに追加することを可能にする。特に、本発明は、混合気での水素などの反応性ガス画分についてせめて希釈を行なう為に、最適条件下で空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の流れを設けようとする。この希釈は、高温ガス回路での噴射点の分配及び/又は設置により行われ得る。
【0023】
空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の噴射の為の少なくとも二つの区分、つまり燃焼の中断を回避する為の火炎の下流での噴射と、膨張タービンの出口にある排気区分の入口での噴射とが考えられ得る。好ましくは、希釈の有効性を高める為に、二種類の噴射は逆の流れで行われるべきである。
【0024】
こうして、特定実施形態において、少なくとも一つの噴射点は、少なくとも一つの燃料噴射器の下流に設置され、好ましくは火炎区画の下流での噴射である。
【0025】
この特定実施形態において、少なくとも一つの噴射点は排気区分の入口に設置され得る。
【0026】
高温ガス回路に設置された固定ブレードを有する冷却回路を膨張タービンが付加的に含む別の特定実施形態において、少なくとも一つの噴射点はこの冷却回路に設置される。
【0027】
別の特定実施形態において、排気区分の下流で排気孔の内側に載置される分配リングをパージシステムが付加的に含み、少なくとも一つの噴射点は分配リングに設置される。
【0028】
これらの特定実施形態全てにおいて、パージシステムの少なくとも一つの噴射点は外部供給源に接続され得る。
【0029】
パージシステムにより使用される不活性ガスは、窒素又は二酸化炭素又は蒸気である。
【0030】
パージシステムにより使用される燃焼抑制ガスは、ブロモメタン、テトラクロロメタン、又はハロゲン炭化水素、実際にはハイドロフルオロカーボンでもあり得る。
【0031】
別の実施形態において、少なくとも一つの噴射点は、空気と不活性ガスと燃焼抑制ガスとの混合気を含み得る。
【0032】
空気との、あるいは二酸化炭素、窒素、又は蒸気などの不活性ガスとの燃焼性混合気の希釈は、低爆発レベル(LEL)を修正するか低下させること、使用される不活性ガスの体積を最小化すること、そしてプロセスの経済性を向上させることを可能にする。
【0033】
他方で、(不均一な希釈により蓄積のリスクが生じる可能性があるので)爆轟の問題に対処することが望ましい場合には、燃焼性混合気の爆轟性を抑制するのに不活性ガスを使用する為に空気と不活性ガスとの使用を組み合わせることが好ましいが、一方で、燃焼抑制剤の使用は、起こり得る爆燃爆轟の伝搬の停止を可能にする。
【0034】
このシステムは、高温ガス回路の異なる場所に配置される幾つかの噴射点を含み得る。
【0035】
発明の他の態様及び利点は、いかなる点でも限定的ではない例として挙げられた特定実施形態についての以下の詳細な記載を、添付図面を参照して読むことで明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】追加される不活性ガスが窒素である発明によるパージシステムの特定実施形態において、不活性ガスの追加百分率に応じた空気と水素の燃焼性混合気の爆轟及び可燃性の曲線を表すグラフである。
図2】追加される不活性ガスが二酸化炭素である発明によるパージシステムの特定実施形態において、不活性ガスの追加百分率に応じた空気と水素の燃焼性混合気の爆轟及び可燃性の曲線を表すグラフである。
図3】主要コンポーネント及び高温ガス回路を備える従来のガスタービンの長手断面の線図である。
図4】膨張タービンの高温ガス通路の詳細な描写の線図である。
図5】発明の第一実施形態を図示する線図である。
図6】発明の第二実施形態を図示する線図である。
図7】発明の第三実施形態を図示する線図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1のグラフで、横座標の軸は空気と水素の燃焼性混合気に追加された窒素の体積百分率であり、水素の体積百分率は縦座標の軸上に示されている。
【0038】
連続ラインとしての曲線は可燃性区画の限界を表し、破線での曲線は爆轟区画の限界を表す。
【0039】
点Dで、燃焼性混合気は水素を30体積%と空気を70体積%含む。点Cでは、水素濃度が13体積%まで低下して58体積%の窒素が追加された場合に、爆轟区画から脱することが可能であって、そのケースで混合気は29体積%の空気を含むことが分かる。
【0040】
図2のグラフで、横座標の軸は、空気と水素の燃焼性混合気に追加される二酸化炭素の体積百分率であり、水素の体積百分率は縦座標の軸上に示されている。
【0041】
連続ラインとしての曲線は可燃性区画の限界を表し、破線の曲線は爆轟区画の限界を表す。
【0042】
点Dで、燃焼性混合気は、30体積%の水素と70体積%の空気とを含む。点Cでは、30体積%の二酸化炭素の追加により水素濃度が13体積%まで低下した場合に爆轟区画から脱することが可能であり、そのケースで混合気は57体積%の空気を含むことが分かる。
【0043】
図3は、従来のガスタービン10の長手断面の図を線図で表している。ガスタービン10の主要コンポーネントは以下の通りである。コンプレッサ16と空気入口14と圧縮空気出口38とを含む圧縮区分12。高温ガスとして知られる燃焼ガスストリーム40が放出される燃焼システム区分18。固定ブレードと、回転軸28のロータ26に取り付けられた可動ブレードとを含む膨張区分又はタービン22。ロータ26は、圧縮区分12と膨張タービン22と一以上の燃焼室20とを接続し、高温ガス40の流れは、排気区分30の入口まで(膨張区分22の)膨張タービン24の段を横断する。
【0044】
図4は、高温ガス40が横断する膨張タービン24の上部の詳細な描写を示す。ブレード32A,32B,32Cの段はステータに固定され、一方で可動ブレード34A,34B,34Cは、図3に図示されているロータ26に固定されている。こうして、図3に図示されている燃焼室20から出る高温ガスの通路及びキャビティが、図3に図示されている排気区分30の上流に形成される。
【0045】
図5は、好ましくは燃焼室の火炎又は燃焼区画の下流において、燃焼システムへの空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の噴射点「A及びA’」をパージシステムが含む発明の第一実施形態を図示している。
【0046】
所定の割合の水素を含有する燃料について検討する。
【0047】
本発明によるパージシステムは、図3を参照して上に記載されたガスタービン10のタイプのガスタービンを含む。特に、ガスタービン10は、上述の燃料の少なくとも一つの噴射器52を備える少なくとも一つの燃焼室20を含む。ガスタービン10はまた、排気区分30(図3参照)と、燃焼室20から排気区分30まで延在する高温ガス回路40とを含む。
【0048】
図5に図示されている燃焼室20は一般的に、一方では入口において燃料噴射器52の為の入口接続が見られるカバー51により、他方では出口において膨張タービン24(図5に表示されていないが図3には見られる)の段に延出する尾筒53により制限される。
【0049】
燃焼室20の内側で、ライナ56は、コンプレッサ16(図3に図示)から生じて燃料噴射器52の吸気口までの圧縮空気57の通過を可能にする。燃焼室20の内側では、燃焼区画54と希釈区画55とが動作時に形成され得る。
【0050】
参照符号A及びA’は、この第一実施形態において、空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の少なくとも一つの噴射点を指している。この噴射点は、始動時点火のケースで、火炎が存在すると推定される区画のすぐ下流の高温ガス回路にある。こうして噴射点A及びA’は、燃料噴射器52の下流に設置される。
【0051】
図5の特定実施形態において、噴射点A及びA’は燃焼区画54に配設される。こうして、ガスタービンがコントローラ(不図示)を装備しているので、反応性ガス流を制御して燃焼システムの始動を可能にする為のバルブの開口をコントローラが可能にする。この始動と同時に、タービンの燃焼室20及び高温ガス回路にある水素ベース燃料と混合される流れFを生じる空気及び/又は不活性ガスの噴射の為に、コントローラはまた、事前あるいは同時にパージシステムを活性化する。
【0052】
図6は、固定ブレードを有する冷却回路をガスタービンが含む、発明の第二実施形態を図示している。この第二実施形態において、空気及び/又は不活性ガスの噴射は冷却回路を通して行われ得る。こうして冷却回路50における空気及び/又は不活性ガスの少なくとも一つの噴射点を利用可能にするだけで充分である。
【0053】
冷却回路50は、図6の参照符号S1N及びS2Nが指しているものを含めて複数の固定ブレードを含む。これらのブレードは、高温ガス通路及びキャビティ40でステータに固定されている。更に、冷却回路に噴射されるソースは、コンプレッサ16から導出される空気、あるいは、空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の外部供給源60であり得る。
【0054】
図7は、膨張タービン24のすぐ下流に設置された排気区分74の内側に載置される分配リング75をガスタービンが含む、発明の第三実施形態を図示している。この第三実施形態において、空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の噴射は分配リング75を通して行われ得る。その為には、分配リング75の少なくとも一つの噴射点を利用可能にするだけで充分である。更に、分配リング75へ噴射されるソースは、空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の外部供給源77であり得る。
【0055】
非限定的な例としての上に記載の実施形態全てにおいて、パージに使用される不活性ガスは窒素又は二酸化炭素又は蒸気であり得る。
【0056】
言うまでもなく、上に記載の実施形態全てにおいて、噴射されるように選択される空気及び/又は不活性ガス及び/又は燃焼抑制剤の体積及び流量は、燃料の水素画分に、そして誤始動の為に噴射された燃料の体積に、あるいはタービンの高温ガス回路の体積にも依存する。
【0057】
更に、水素画分を含む燃料と空気及び/又は不活性ガスを混合することを可能にする効果的な解決法を提供する為に、記載された三つの実施形態が組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0058】
10 ガスタービン
12 圧縮区分
14 空気入口
16 コンプレッサ
18 燃焼システム区分
20 燃焼室
22 膨張区分/タービン
24 膨張タービン
26 ロータ
28 回転軸
30 排気区分
32A,B,C ブレード
34A,B,C 可動ブレード
38 圧縮空気出口
40 高温ガス回路
50 冷却回路
51 カバー
52 噴射器
53 尾筒
54 燃焼区画
55 希釈区画
56 ライナ
57 圧縮空気
60 外部供給源
74 排気孔
75 分配リング
77 外部供給源
A,A’ 噴射点
F 流れ
S1N,S2N 固定ブレード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】