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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】抗IL-33抗体の処方物
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230606BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230606BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230606BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/12
A61K9/08
A61P43/00 105
A61P11/06
A61P37/08
A61P17/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P3/10
A61K47/34
C07K16/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568439
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021062310
(87)【国際公開番号】W WO2021228760
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】20200100239
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】エキゾグルー,ソフィア
(72)【発明者】
【氏名】アーメッド,マハンマド サイエド マスタファ
(72)【発明者】
【氏名】エスファンディアリー,レザ
(72)【発明者】
【氏名】パルプディ,アルン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC07
4C076CC15
4C076CC17
4C076CC18
4C076DD43Z
4C076DD51Z
4C076DD60Z
4C076EE23F
4C076FF61
4C076FF63
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE07
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、界面活性剤、アルギニン及び緩衝液を含む組成物を対象とする。本組成物を作製するための方法及び対象において疾患を処置する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも170mMのアルギニン又は少なくとも150mMのリジン及び緩衝液を含む組成物であって、前記抗IL-33抗体が、
i.配列番号1の配列を有するVHCDR1、配列番号2の配列を有するVHCDR2、配列番号3の配列を有するVHCDR3を含む重鎖可変ドメインと;
ii.配列番号5の配列を有するVLCDR1、配列番号6の配列を有するVLCDR2及び配列番号7の配列を有するVLCDR3を含む軽鎖可変ドメインと、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記抗IL-33抗体が、
i.
i.配列番号4と少なくとも95%、90%、85%又は80%同一であるアミノ酸の配列;又は
ii.配列番号11と少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列
である、重鎖可変ドメイン;
ii.
i.配列番号8と少なくとも95%、90%、85%又は80%同一であるアミノ酸の配列;又は
ii.配列番号12と少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列
である、軽鎖可変ドメイン;又は
iii.(a)の重鎖可変ドメイン及び(b)の軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗IL-33抗体がIgG1抗体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗IL-33抗体が、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号4のアミノ酸を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~3の何れかに記載の組成物。
【請求項5】
前記抗IL-33抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~4の何れかに記載の組成物。
【請求項6】
前記抗IL-33抗体が、インビトロHTRF競合結合アッセイにおいてIL-33への結合について33_640087-7Bと競合する、請求項1~5の何れかに記載の組成物。
【請求項7】
前記抗IL-33抗体が、約200mg/ml未満、任意選択的に約180mg/ml未満、任意選択的に約130mg/ml~約170mg/mlの濃度で存在する、請求項1~6の何れかに記載の組成物。
【請求項8】
前記抗IL-33抗体が150mg/ml±10%の濃度で存在する、請求項1~7の何れかに記載の組成物。
【請求項9】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~8の何れかに記載の組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤がポリソルベートであり、任意選択的に前記界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート80又はそれらの混合物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が、約0.005%(w/v)~約0.05%(w/v)の濃度である、請求項9又は10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
0.03%(w/v)±0.010%(w/v)の界面活性剤を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤がポリソルベート80である、請求項10~12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも約190mMのアルギニン、任意選択的に約190mM~約250mMのアルギニンを含む、請求項1~13の何れかに記載の組成物。
【請求項15】
約220mMのアルギニンを含む、請求項1~14の何れかに記載の組成物。
【請求項16】
前記アルギニンがL-アルギニン塩酸塩である、請求項1~15の何れかに記載の組成物。
【請求項17】
約150mM~約250mMのリジン、任意選択的に約170mMのリジンを含む、請求項1~13の何れかに記載の組成物。
【請求項18】
前記緩衝液が、ヒスチジン、コハク酸塩又は酢酸塩である、請求項1~17の何れかに記載の組成物。
【請求項19】
前記緩衝液がヒスチジンであり、任意選択的に前記緩衝液がL-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記緩衝液が、約10mM~約30mM、任意選択的に約16mM~約24mM、任意選択的に約17mM~約24mM、任意選択的に約18mM~約24mMの濃度である、請求項1~19の何れかに記載の組成物。
【請求項21】
前記緩衝液が、約19mM~約21mMの濃度であり、任意選択的に20mM±10%緩衝液である、請求項19又は20の何れかに記載の組成物。
【請求項22】
液体である、請求項1~21の何れかに記載の組成物。
【請求項23】
pHが約pH6.0未満であり、任意選択的に前記pHが約pH5.0~約pH6.0である、請求項1~22の何れかに記載の組成物。
【請求項24】
pHが約pH5.5である、請求項1~23の何れかに記載の組成物。
【請求項25】
20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0及びより低濃度の前記抗IL-33抗体、例えば50mg/mlを含む組成物中の前記抗IL-33抗体の粘度と比較して、粘度が低下していることを特徴とする、請求項22~24の何れか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記粘度が、約5cP~約20cP、任意選択的に約10cP未満、例えば約9cPなどである、請求項22~25の何れかに記載の組成物。
【請求項27】
前記抗IL-33抗体が、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0及びより低濃度の抗IL-33抗体、例えば50mg/mlを含む組成物中の前記抗IL-33抗体の可逆的自己会合と比較して、減少した可逆的自己会合を有することを特徴とする、請求項22~26の何れか1項に記載の組成物。
【請求項28】
約35%~約50%の重量%単量体を含む、請求項1~27の何れかに記載の組成物。
【請求項29】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した場合、約2C~約8Cでの約12ヶ月~約18ヶ月の保管後、前記抗体のうち約5%未満、任意選択的に約2%未満が凝集する、請求項1~28の何れかに記載の組成物。
【請求項30】
i.約130mg/ml~約170mg/mlの33_640087-7B、約0.03%(w/v)±0.015%ポリソルベート80、約220mMアルギニン及び約16~約24mMヒスチジン緩衝液(pHはpH5.5±0.5である);
ii.約130mg/ml~約170mg/mlの33_640087-7B、約0.02%(w/v)±0.015%ポリソルベート80、約170mMリジン及び約16~約24mMヒスチジン緩衝液(pHはpH5.5±0.5である);又は
iii.約130mg/ml~約170mg/mlの33_640087-7B、約0.02%(w/v)±0.015%ポリソルベート80、約190mMアルギニン及び約16~約24mMヒスチジン緩衝液(pHはpH5.5±0.5である)
を含む、組成物。
【請求項31】
約150mg/mlの33_640087-7Bを含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
約18mM~約22mMヒスチジン緩衝液、任意選択的に約20mMヒスチジン緩衝液を含む、請求項30又は31の何れかに記載の組成物。
【請求項33】
液体である、請求項30~32の何れかに記載の組成物。
【請求項34】
請求項1~33の何れかに記載の組成物を含み、任意選択的に0.5ml~約5ml(例えば1ml~約3ml)の前記組成物を含む、製品。
【請求項35】
請求項1~33の何れかに記載の組成物を含み、任意選択的に約0.5ml~約5ml(例えば1ml~約3ml)の前記組成物を含む、バイアル。
【請求項36】
対象においてIL-33介在性障害を処置する方法であって、治療的有効量の請求項1~33の何れか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項37】
前記IL-33介在性障害が、喘息、アトピー性皮膚炎又は慢性閉塞性肺障害又は糖尿病性腎症である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
約10cP未満の粘度を有し、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン又は約150mMのリジン、界面活性剤及び緩衝液を含む安定液体組成物を作製する方法であって、
i.約100mg/mL~約200mg/mLの抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン又は約150mMのリジン及び緩衝液を含む溶液を得るために溶液中で前記抗体、アルギニン及び緩衝液を合わせ;
ii.約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)の最終的な界面活性剤濃度を達成するために前記溶液に界面活性剤を添加する、
段階を含む、方法。
【請求項39】
前記安定液体組成物が約220mMアルギニンを含み、任意選択的に前記アルギニンがL-アルギニン塩酸塩である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記界面活性剤がポリソルベート80であり、前記緩衝液がヒスチジンから調製される、請求項38又は39の何れかに記載の方法。
【請求項41】
約pH5~約pH6、任意選択的に約pH5.5のpHを有する安定な液体処方物が得られる、請求項38~40の何れかに記載の方法。
【請求項42】
前記抗IL-33抗体が、請求項1~5の何れかで定められるとおりである、請求項38~41の何れか1項に記載の方法。
【請求項43】
cPが23℃で測定される、請求項38~42の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年5月11日に提出されたギリシャ国特許出願第20200100239号に対する優先権を主張する。本願の内容は、その全体が本明細書中に参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、33_640087-7B及びそのバイオシミラーの高濃度水性処方物を含む抗IL-33抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
33_640087-7Bは、ヒトインターロイキン(IL)-33に結合し、IL-33のその受容体ST2への結合を防ぎ、ジスルフィド結合(DSB)IL33への変換を阻害する、ヒト免疫グロブリン(Ig)G1モノクローナル抗体(mAb)である。33_640087-7Bは、多くの疾患において治療可能性を有し、中等度から重度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息及びアトピー性皮膚炎(AD);及び糖尿病性腎症(DKD)の処置に対して現在開発されている。
【0004】
33_640087-7Bは、将来的に皮下注入を介して投与されることを目的とする。本開示はこの要求に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
33_640087-7Bの第1相試験臨床試験(Study D9180C00001)が完了した。Study D9180C00001は、33_640087-7Bの安全性、忍容性、PK及び免疫原性を評価するための、88名の参加者(パートI:軽度アトピーの病歴がある56名の健常ボランティアにおける単回投与漸増試験(SAD);パートII:軽度の慢性閉塞性肺疾患の24名の参加者における反復投与漸増試験(MAD);パートIII:8名の健常日本人ボランティアにおける単回投与)における、ヒトで最初の、ランダム化プラセボ対照盲検(医師及び参加者に対して盲検;スポンサーは非盲検)臨床試験であった。33_640087-7Bは、一般に安全で忍容性に優れていることが分かっており、この試験のパートI及びIIIにおいて、最大300mgの33_640087-7Bの静脈内(IV)投与後、安全性の懸念はなかった。この試験のパート2において、COPD患者は、14日間隔で33_640087-7Bの皮下投与を3回受けた。
【0006】
第1相臨床試験に対して、33_640087-7Bは、無菌の白色~灰白色の凍結乾燥粉末としてバイアル中で供給された。各バイアルには、IV又はSC投与を目的とする名目上50mgの活性33_640087-7Bが含まれた。1.2mLの注射用の滅菌水での再構成時に、溶液は、20mM Lヒスチジン/Lヒスチジン-塩酸塩、80mM L-アルギニン-塩酸塩、120mMスクロース、0.02%(重量/体積[w/v])ポリソルベート80、pH6.0中で50mg/mL 33_640087-7Bを含有した。
【0007】
33_640087-7Bの予想される有効用量は、ある種の状態に対して300mgと同程度の(又はそれを超える)量であり得る。従って低濃度処方物は、皮下投与に対して、特に慢性状態での使用に対して、障壁をもたらし得る。慢性障害に罹患している患者が、治療用量を受けるために6ml以上の薬物製品を日常的に皮下投与されることを予想することは、現実的ではない。
【0008】
そうであるので、特に皮下投与のための薬物処方物中の33_640087-7Bの濃度を上昇させることが必要とされる。
【0009】
しかし、薬物処方物中のタンパク質濃度が上昇すると、安定性を伴う問題が起こり得、例えばタンパク質凝集の結果、高分子量種(HMWS)の形成が起こる。HMWS、特に抗体のネイティブ立体配置の殆どを保つものは、一部のタンパク質処方物において特別な関心事であり得る。高タンパク質濃度により誘導される可逆的自己会合(RSA)ゆえに、可溶性のより高次の種が形成され得る。凝集は、治療タンパク質の皮下バイオアベイラビリティ及び薬物動態に影響を及ぼす可能性もあり得る。さらに、高濃度での可溶性の高次種の形成によって、溶液の粘度が上昇し得、それにより、特にプレフィルドシリンジなど、背圧が高い装置から薬物製品を送達することが困難になる。
【0010】
高濃度の抗体を含有しながら、低粘度であり、可逆的自己会合性の特徴が抑えられた、抗IL-33抗体に対する改善された処方物が本明細書中で提供される。
【0011】
一態様では、本開示は、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン及び緩衝液を含む組成物を提供し、この抗IL-33抗体は、配列番号1の配列を有するVHCDR1、配列番号2の配列を有するVHCDR2、配列番号3の配列を有するVHCDR3を含む重鎖可変ドメインと;配列番号5の配列を有するVLCDR1、配列番号6の配列を有するVLCDR2及び配列番号7の配列を有するVLCDR3含む重鎖可変ドメインと、を含む。いくつかの例では、本組成物は界面活性剤をさらに含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約150mMのリジン及び緩衝液を含む組成物を提供し、この抗IL-33抗体は、配列番号1の配列を有するVHCDR1、配列番号2の配列を有するVHCDR2、配列番号3の配列を有するVHCDR3を含む重鎖可変ドメインと;配列番号5の配列を有するVLCDR1、配列番号6の配列を有するVLCDR2及び配列番号7の配列を有するVLCDR3を含む重鎖可変ドメインと、を含む。いくつかの例では、本組成物は界面活性剤をさらに含む。
【0013】
いくつかの例では、本組成物は液体である。いくつかの例では、本組成物は、より低濃度の抗IL-33抗体、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース及び0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0を含む組成物と比較して、粘度が低いことを特徴とする。いくつかの例では、本組成物は、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース及び0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0及びより低濃度の抗IL-33抗体を含む組成物中の抗IL-33抗体の可逆的自己会合と比較して、抗IL-33抗体の可逆的自己会合性が低下していることを特徴とする。
【0014】
さらなる態様では、本開示は、約130mg/ml~約170mg/mlの33_640087-7B、約0.03%(w/v)±0.015%ポリソルベート80、約220mMアルギニン及び約16~約24mMヒスチジン緩衝液を含む組成物を提供し、ここでpHはpH5.5±0.5である。
【0015】
さらなる態様では、本開示は、約130mg/ml~約170mg/mlの抗IL-33抗体、約0.03%(w/v)±0.015%のポリソルベート80、約220mMのアルギニン及び約16~約24mMヒスチジン緩衝液を含む組成物を提供し、ここでpHはpH5.5±0.5である。
【0016】
さらなる態様では、本開示は、本明細書中で開示される組成物を含む、例えば、0.5ml~約5ml(例えば1ml~約3ml)の本組成物を含む、製品を提供する。
【0017】
さらなる態様では、本開示は、本明細書中で開示される組成物を含む、例えば約0.5ml~約5ml(例えば1ml~約3ml)の本組成物を含む、製品を提供する。
【0018】
さらなる態様では、本開示は、治療的有効量の本明細書中で開示される組成物を対象に投与することを含む、対象においてIL-33介在性障害を処置する方法を提供する。
【0019】
さらなる態様では、本開示は、約10cP未満の粘度を有し、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン、任意選択的に界面活性剤及び緩衝液を含む、安定液体組成物を作製する方法を提供する。本方法は、(i)約110mg/mL~約200mg/mLの抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン及び緩衝液を含む溶液を得るために、第1の濃度の抗体及び緩衝液を含む第1の溶液をアルギニンと合わせ;任意選択的に(ii)約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)の界面活性剤の最終濃度を達成するためにその溶液に界面活性剤を添加する段階を含む。
【0020】
さらなる態様では、本開示は、約10cP未満の粘度を有し、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約150mMのリジン、任意選択的に界面活性剤及び緩衝液を含む安定液体組成物を作製する方法を提供する。本方法は、(i)約110mg/mL~約200mg/mLの抗IL-33抗体、少なくとも約150mMのリジン及び緩衝液を含む溶液を得るために、第1の濃度の抗体及び緩衝液を含む第1の溶液をアルギニンと合わせ、任意選択的に(ii)約0.02%(w/v)±0.015%(w/v)界面活性剤の最終濃度を達成するためにその溶液に界面活性剤を添加する段階を含む。
【0021】
本発明の実施形態は、次の図面を参照して、例として説明する:
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、6ヶ月間にわたり2℃~8℃で保管した場合の、本開示の組成物、33_640087-7Bの可溶性高次種の%分布の安定性を示す。
図2図2は、経時的な不溶性凝集体の形成の関数(月-M)として測定した、本開示の組成物中での33_640087-7Bの長期安定性を示す。ガラスバイアル及びプレフィルドシリンジ(PFS)中での保管中に凝集レベルを測定した。組成物を2~8℃で保管した。
図3図3は、経時的な不溶性凝集体の形成の関数(月-M)として測定した、本開示の組成物中での33_640087-7Bの安定性を示す。ガラスバイアル及びプレフィルドシリンジ(PFS)中での保管中に凝集レベルを測定した。組成物は25℃で保管した。
図4図4は、経時的な不溶性凝集体の形成の関数(月-M)として測定した、本開示の組成物中での33_640087-7Bの安定性を示す。ガラスバイアル及びプレフィルドシリンジ(PFS)中での保管中に凝集レベルを測定した。組成物は40℃で保管した。
図5図5は、処方物粘度に対するアルギニン及び温度の影響を示す。
図6図6は、処方物粘度に対する33-640087_7B濃度、アルギニン及び温度の影響を示す。5℃、18℃、25℃及び30℃にて各アルギニン濃度で各33-640087_7B濃度で粘度(Cp)を測定した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本明細書で示されており且つ説明されている特定の実施は実施例であり、如何なる形であれ他の方法で本出願の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【0024】
本明細書で言及されている公開特許、特許出願、ウェブサイト、会社名、及び科学文献は、それぞれが参照により組み込まれることが具体的に且つ個別に示されていたのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、具体的に、それらが指す用語の複数形も包含する。
【0026】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者により決定される場合の特定の値に対する許容可能な誤差を意味し、その値がどのように測定又は決定されるかに一部依存する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3又は4標準偏差内を意味する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、与えられた値又は範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%又は0.05%内を意味する。「約」又は「およそ」という用語が一連の2つ以上の数値における最初の数値の前に来る場合はいつも、「約」又は「およそ」という用語がその一連の数値の各1つずつに適用されると理解されたい。
【0027】
本明細書中で開示される方法及びその個々の段階の実施は、手作業で、及び/又は電気的装置により提供される支援又は自動化により実施され得る。特定の例を参照して工程を記載してきたが、当業者は、本方法と関連する作用を行う他の方法が使用され得ることを容易に認めよう。例えば、別段の記載がない限り、本方法の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な段階の順序を変化させ得る。さらに、個々の段階のいくつかを、組み合わせ得るか、省略し得るか又はさらなる段階にさらに細分し得る。
【0028】
本組成物及び方法は、別段の記載がない限り、以下でさらに記載される(図面で示されるものを含む)さらなる任意選択的な要素、特性及び段階の1つ以上の何らかの組み合わせを含む実施形態を含むことが企図される。
【0029】
別段定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する分野の熟練者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。以下を含むが限定されない参考文献は、本開示で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する:Singleton et al.,DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(2d Ed.1994);THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY (Walker Ed.,1988);THE GLOSSARY OF GENETICS,5th Ed.,R.Rieger et al.(Eds.),Springer Verlag(1991);及びHale&Marham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY(1991)。
【0030】
「抗体」又は「免疫グロブリン」という用語は、それぞれ可変領域及び定常領域を含む、2本の重鎖及び2本の軽鎖からなる四量体糖タンパク質を指す。抗原結合部分は、組み換えDNA技術により、又はインタクトな抗体の酵素的又は化学的切断により、作製され得る。「抗体」という用語には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、及びヒト化抗体が含まれる。
【0031】
抗体変異体は、カノニカルな四量体抗体の構造に対する変化がある、抗体断片及び抗体様タンパク質を含む。一般的に、抗体変異体は、定常領域に対する変化があるV領域、又は或いは、任意選択的に非カノニカルに、定常領域にV領域を付加することを含む。例としては、多特異性抗体(例えば余分なV領域がある二特異性抗体)、抗原に結合し得る抗体断片(例えば、Fab’、F’(ab)2、Fv、単鎖抗体、ダイアボディ)、所望の生物学的活性をそれらが示す限り前述のものを含む二パラトープ性の(biparatopic)及び組み換えペプチドが挙げられる。
【0032】
抗体断片は、とりわけFab、Fab’、F(ab’)2、Fvを含む抗体の抗原結合部分(即ち抗原結合断片”)、ドメイン抗体(dAb)、相補性決定領域(CDR)断片、CDR移植抗体、単鎖抗体(scFv)、単鎖抗体断片、キメラ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、直鎖状抗体;キレートする組み換え抗体、トリボディ又はバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、低分子のモジュラー免疫医薬(SMIP)、抗原結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、単ドメイン抗体(ラクダ化抗体を含む)、VHH含有抗体又はその変異体若しくは誘導体及び、抗体が所望の生物学的活性を保持する限り、1、2、3、4、5又は6個のCDR配列など、ポリペプチドに対して特異的な抗原結合を付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドを含む。
【0033】
「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」及び「処置(treatment)」という用語は、本明細書中に記載の障害と関連する事象、疾患又は状態の臨床症状、徴候又は進行を、一時的又は永久の何れかで、部分的又は完全の何れかで、排除するか、軽減するか、抑制するか又は寛解させることを指す。関連分野で認められるように、治療剤として使用される薬物は、ある種の疾患状態の重症度を軽減させ得るが、有用な治療剤としてみなされるために疾患の全徴候をなくす必要はない。同様に、予防的に施される治療は、実行可能な予防剤を構成するために、状態の発症を予防することにおいて完全に有効である必要はない。疾患の影響の単純な軽減(例えば、その症状の数若しくは重症度の低下によるか又は別の処置の有効性を向上させることによるか、又は別の有益な効果を生じさせることによる)又は、対象において疾患が起こるか又は悪化する可能性を低下させることは、十分である。本開示の一実施形態は、処置の効果を判定するための方法を対象とし、この方法は、特定の障害の重症度を反映する指標のベースラインにわたり、持続的な改善を誘導するために十分な量で十分な時間にわたり治療剤を患者に投与することを含む。
【0034】
本明細書中で使用する場合、「IL-33」タンパク質とは、インターロイキン33、具体的には哺乳類インターロイキン33タンパク質、例えばUniProt番号095760で寄託されるヒトタンパク質を指す。IL-33は、還元及び酸化形態で存在する。「IL-33」及び「IL-33ポリペプチド」という用語は、交換可能に用いられる。特定の実施形態では、IL-33は完全長である。別の実施形態では、IL-33は成熟切断型IL-33(アミノ酸112~270)である。最近の研究は、完全長IL-33が活性であることを示唆している(Cayrol and Girard,Proc Natl Acad Sci USA 106(22):9021-6(2009);Hayakawa et al.,Biochem Biophys Res Commun.387(1):218-22(2009);Talabot-Ayer et al,J Biol Chem.284(29):19420-6(2009))。しかしながら、aa 72~270、79~270、95~270、99~270、107~270、109~270、111~270、112~270を含むがこれらに限定されないN末端プロセシングを受けたか又は切断型のIL-33は、亢進した活性を有し得る(Lefrancais 2012,2014)。
【0035】
「酸化IL-33」又は「oxIL-33」とは、本明細書中で用いられる場合、RAGEに結合してRAGE介在性シグナル伝達を惹起する型のIL-33を指す。酸化IL-33とは、例えば非還元条件下でのウエスタンブロット分析によって特徴的なバンドとして現れる、特に対応する還元型よりも4Da少ない質量を有するタンパク質を指す。詳細には、これは、システイン208、227、232及び259から独立して選択されるシステイン間に1つ又は2つのジスルフィド結合を有するタンパク質を指す。一実施形態では、酸化IL-33はST2への結合を示さない。
【0036】
「還元IL-33」又は「redIL-33」とは、本明細書で使用される場合、ST2に結合してST2媒介シグナル伝達を惹起する型のIL-33を指す。特に、還元型のシステイン208、227、232及び259はジスルフィド結合していない。一実施形態において、還元IL-33はRAGEへの結合を示さない。
【0037】
「IL-33介在性障害」という用語は、本明細書中で使用される場合、IL-33系が介在するか又はそれと関連する何らかの障害又は状態を指す。いくつかの例では、IL-33介在性障害は、身体において局所的及び/又は全身的に非定型症状がIL-33のレベル又は活性ゆえに顕在化し得る過剰なIL-33レベル又は活性と関連する。代表的なIL-33介在性障害としては、炎症状態、免疫障害、線維性障害、好酸球性障害、感染、疼痛、中枢神経系障害、固形腫瘍及び眼科的障害が挙げられる。IL-33介在性障害は、例えばその全体において参照により本明細書中に組み込まれるLiew et al.Nature Reviews Immunology 10:103-110,2010に記載されている。「IL-33介在性障害」は、本明細書中で「IL33により推進される障害」も指し得る。
【0038】
いくつかの例では、IL-33介在性炎症性疾患は、喘息、敗血症、敗血症性ショック、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、COPDオーバーラップ症候群(ACOS)、慢性気管支炎、肺気腫、鼻茸を伴うか又は伴わない慢性副鼻腔炎、脈管炎、GvHD、ブドウ膜炎、慢性特発性蕁麻疹、副鼻腔炎又は膵炎の何れかであり得る。
【0039】
いくつかの例では、IL-33介在性障害は糖尿病性腎症であり得る。本明細書中で定義される糖尿病性腎症とは、2型糖尿病の診断、及び30~75ml/分の推定糸球体濾過率(eGFR)を指す。典型的には、DKDは、1gのクレアチニンに対して100~3000mgアルブミンのUACR比の診断としてさらに定義される。「治療的有効量」という用語は、疾患又は障害と関連する疾患の症状又は兆候を寛解させるか又は和らげるために有効である治療剤の量を指す。
【0040】
可逆的自己会合性が低い組成物
33_640087-7Bは、非経口投与される300mgまでの用量でヒトにおいて安全であり、一般に忍容性に優れることが示されている。疾患及びインターロイキン-33の局所的な生物学に依存して、治療的有効量の33_640087-7Bは300mgと等しいものであり得るか又はそれを超え得る。
【0041】
IL-33が疾患に介在すると考えられている多くの状態は、慢性であり、長期間続く。これは、患者にとって疾患の症状を効果的に管理するために、患者に対して抗IL-33に基づく治療剤が長期的に投与される必要があり得ることを意味する。従って、治療的使用に適切である33_640087-7Bを含む組成物は、長期処置が患者に対してできる限り快適であるものにすべきである。
【0042】
そのため、非経口投与(例えば皮下又は静脈内投与)に適切な高濃度処方物が望ましい。しかし、高タンパク質濃度の処方物は、開発可能性の観点から困難であり得る。例えば、33_640087-7Bは、中程度に高い濃度(例えば約50mg/ml)で可逆的に自己会合することが示されている。可逆的自己会合(RSA)は、高濃度処方物に対する重要な開発可能性パラメーターである。RSAは、可溶性の可逆的なより高次の種の形態で顕在化することが多く(例えば非共有二量体)、製造及び薬物投与中に問題が生じ得る。例えば、RSAの存在は、粘度上昇につながり得る。高粘度であると、例えば濾過工程中にフィルターが詰まることにより、製造が非常に困難になり得る。これは次に、精製工程中、より高次の種が単量体から精製される際に製剤原料の顕著な量が失われる場合、収量の低下につながり得る。粘度上昇はまた、特に薬物が皮下投与などにより非経口投与される場合、本抗体を投与するために使用される装置の機能性を低下させることによって、薬物投与にも負の影響を与え得る。このような状況において、高粘度であることにより、エンドユーザー(例えば患者又は医療従事者)が手作業で注入する能力が損なわれ得る。
【0043】
高濃度の抗IL-33抗体(100mg/mlを超えることを意味する)、任意選択的に界面活性剤、高濃度のアルギニン又はリジン及び緩衝液を含む長期又は短期保管され得る非経口投与に適切な安定液体組成物(即ち「液体処方物」)が本明細書中で提供される。本明細書中で使用される場合、「高濃度のアルギニン」は、約170mMよりも高いアルギニンの濃度、例えば約190mM超など、を指す。「高濃度のリジン」は、約150mMよりも高いリジンの濃度を指す。本明細書中で開示される組成物は、驚くべきことに、第I相処方物においてより低い33_640087-7B濃度で以前観察された可逆的自己会合(RSA)と比較して、高濃度液体組成物中で33_640087-7BのRSAを減少させることが示された(実施例1参照)。
【0044】
特定の例では、抗IL-33抗体は、約100mg/mlより高い濃度及び任意選択的に約200mg/ml未満の濃度で本組成物中に存在する。いくつかの例では、抗IL-33抗体は、約105mg/ml、約110mg/ml、約115mg/ml、約120mg/ml、約125mg/ml、約130mg/ml、約135mg/ml、約140mg/ml、約145mg/ml、約150mg/ml、約155mg/ml、約160mg/ml、約165mg/ml、約170mg/ml、約175mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml又は約195mg/mlの濃度で本組成物中に存在する。いくつかの例では、抗IL-33抗体は、約105mg/ml~約190mg/ml、約110mg/ml~約180mg/ml、約110mg/ml~約170mg/ml、約110mg/ml~約165mg/ml、約110mg/ml~約160mg/ml、約120mg/ml~約160mg/ml、約130mg/ml~約160mg/ml又は140mg/ml~約160mg/mlの濃度で組成物中に存在する。いくつかの例では、抗IL-33抗体は、約110mg/ml±10%、約115mg/ml±10%、約120mg/ml±10%、約125mg/ml±10%、約130mg/ml±10%、約135mg/ml±10%、約140mg/ml±10%、約145mg/ml±10%、約150mg/ml±10%、約155mg/ml±10%、約160mg/ml±10%、約165mg/ml±10%、約170mg/ml±10%、約175mg/ml±10%、約180mg/ml±10%、約185mg/ml±10%、約190mg/ml±10%又は約195mg/ml±10%の濃度で本組成物中に存在する。一例では、抗IL-33抗体は、約150mg/mlの濃度で本組成物中に存在する。
【0045】
いくつかの例では、本開示の組成物は界面活性剤を含む。界面活性剤は、両親媒性である界面活性(頭部は極性であり、尾部は疎水性)のある物質である。界面活性剤は優先的に界面で蓄積し、その結果、界面張力が低下する。界面活性剤の使用はまた、大きなタンパク質性粒子の形成を緩和するためにも役立ち得る。いくつかの例では、本開示の組成物中に存在する界面活性剤は、両新媒性及び/又は非イオン性界面活性剤である。代表的な界面活性剤としては、界面活性剤のクラス内又は界面活性剤のクラスの間の何れかで、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えばポリソルベート20、ポリソルベート80)、アルキルアリールポリエーテル、例えばオキシエチル化アルキルフェノール(例えばTriton(商標)X-100)及びポロキサマー(例えばPluronics(登録商標)、例えばPluronic(登録商標)F68)及び前述のものの何れかの組み合わせが挙げられる。ポリソルベート20及びポリソルベート80(及び任意選択的にそれらの混合物)が特に企図される。代表的な例における界面活性剤は、約0.050%(w/v)±0.015%(w/v)以下の濃度で組成物中に存在する。例えば、本組成物は、約0.005%(w/v)~約0.05%(w/v)の界面活性剤、例えば約0.005%(w/v)、約0.015%(w/v)、約0.02%(w/v)、約0.025%(w/v)、約0.03%(w/v)、約0.035%(w/v)、約0.04%(w/v)、約0.045%(w/v)又は約0.05%(w/v)を含み得る。いくつかの例では、本組成物中の界面活性剤は、0.03%(w/v)±0.015%(w/v)の濃度である。いくつかの例では、本組成物中の界面活性剤は、0.03%(w/v)±0.01%(w/v)の濃度である。いくつかの例では、本組成物中の界面活性剤は、約0.02%(w/v)~約0.04%(w/v)の濃度である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80を含む。
【0046】
本開示の組成物は、少なくとも約170mMのアルギニンも含む。いくつかの例では、本組成物は、少なくとも約190mMのアルギニンを含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、L-アルギニンを含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、L-アルギニン-塩酸塩を含む。いくつかの例では、本組成物は、190mMを超えるアルギニンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約500mM未満のアルギニンを含む。例えば、本組成物は、約200mM、約210mM、約220mM、約240mM、約260mM、約280mM、約300mM、約350mM、約400mM又は約450mMのアルギニンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約220mMのアルギニンを含む。高濃度(即ち約190mMを超える濃度)のアルギニンは、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0及びより低濃度の33_640087-7B(約50mg/ml)を含む組成物中で観察される可逆的自己会合と比較した場合の、安定液体組成物中での33_640087-7Bの可逆的自己会合の驚くほどの減少に寄与することが分かった。いくつかの例では、本開示の組成物は、本組成物が約150mg/mlの抗IL-33抗体を含む場合、約220mMのアルギニンを含む。
【0047】
別の態様では、本開示の組成物は或いは、少なくとも約150mMのリジンを含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、L-リジンを含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、L-リジン-塩酸塩を含む。いくつかの例では、本組成物は、150mMを超えるリジンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約500mM未満のリジンを含む。例えば、本組成物は、約160mM、約170mM、約180mM、約200mM、約220mM、約240mM、約260mM、約280mM、約300mM、約350mM、約400mM又は約450mMのリジンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約170mMのリジンを含む。高濃度のリジン(即ち約150mMを超える濃度)は、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0及びより低濃度の33_640087-7B(約50mg/ml)を含む組成物で観察される粘度と比較した場合の、安定液体組成物中での33_640087-7Bの粘度の驚くほどの低下に寄与することが分かった。いくつかの例では、本開示の組成物は、本組成物が約150mg/mlの抗IL-33抗体を含む場合、約170mMのリジンを含む。
【0048】
いくつかの例では、本開示の組成物は、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0及びより低濃度の抗IL-33抗体を含む組成物と比較して、抗IL-33抗体の可逆的自己会合が減少していることを特徴とする。いくつかの例では、このRSAは、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0中でより低濃度の抗IL-33抗体を含む液体組成物中の抗IL-33抗体のRSAと比較して、2分の1に低下する。いくつかの例では、より低濃度の抗IL-33抗体は50mg/mlである。RSAはタンパク質濃度と正の相関がある。従って、治療用タンパク質の濃度の上昇が、治療用タンパク質のRSAの上昇につながることが予想される。RSAは、液体組成物中の可溶性種の%単量体の関数として表され得る。この例は、予想外に、新規処方物が、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0を含む組成物において観察される重量%単量体と比較して、治療用タンパク質の濃度が3倍上昇する場合に重量%単量体を2倍上昇させ得ることを示す。いくつかの例では、本開示の組成物は、少なくとも約30%、例えば、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%又は約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、約35%~約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、約40%~約45%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、約2℃~約8℃の温度で約3ヶ月の保管後、約35%~約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、約2℃~約8℃の温度で約3ヶ月の保管後、約40%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、約2℃~約8℃の温度で約6ヶ月の保管後、約35%~約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本開示の組成物は、約2℃~約8℃の温度で約6ヶ月の保管後、約40%からの重量%単量体を含む。RSA及び%単量体は、濃度(mg/mL)の関数として測定されるボルトでの静的光散乱強度を使用して計算し得る。これは、次に、レイリーの式を使用して各濃度で見かけの分子量(kDa)に変換され得る。別段述べられない限り、この方法は、本明細書中で開示される安定液体組成物中でRSAを測定するために使用されている。
【0049】
本開示の組成物は緩衝液を含む。本緩衝液は、例えば有機緩衝液であり得る。いくつかの例では、本緩衝液は、25℃でpH5~pH6.5の前後又はpH5~pH6に集中させられる。いくつかの実施形態では、本緩衝液は、25℃にてpH5.4~pH5.6の1pH単位内でpKaを有し得る。代表的な緩衝液は、pKaが25℃で約pH6.09であるヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩である。別のこのような緩衝液は、pKaが25℃で約4.75である酢酸/酢酸塩である。企図される他の代替的な緩衝液としては、プロピオン酸塩(pKaが25℃で4.87)、リンゴ酸塩(pKaが25℃で5.13)、ピリジン(pKaが25℃で5.23)、ピペラジン(pKaが25℃で5.33)及びコハク酸塩(pKaが25℃で5.40)を含むイオンに基づく緩衝液が挙げられる。ヒスチジンに基づく緩衝液が特に企図される。いくつかの例では、緩衝液はヒスチジンである。
【0050】
いくつかの例では、本組成物中の緩衝液は、約1mM~約50mM、約1~40mM又は約1mM~約30mMの濃度で存在する。いくつかの例では、本組成物は、約5mM~約50mM、約10mM~約40mM、約15~約30mM緩衝液又は約15~約25mM緩衝液を含む。いくつかの例では、本組成物中の緩衝液は、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM 約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM又は約30mMの濃度で存在する。いくつかの例では、本緩衝液は、約16mM~約24mM、約17mM~約24mM、約18mM~約24mM又は約19mM~約21mMの濃度である。いくつかの例では、本組成物は、約20mM±10%緩衝液を含む。
【0051】
例において、本開示の組成物は、さらなる構成成分を含み得る。本組成物は、様々な態様において、例えば酸性化剤、添加物、吸着剤、エアロゾル噴霧剤、空気置換剤(air displacement agent)、アルカリ化剤、凝固防止剤、抗凝固剤、抗菌剤、保存剤、抗酸化剤、防腐剤、基剤、結合剤、緩衝化剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、洗剤、希釈剤、消毒剤、崩壊剤、分散剤、溶解促進剤、色素、皮膚軟化剤、乳化剤、乳液安定化剤、充填剤、フィルム形成剤、風味促進剤、香味剤、流動性促進剤、ゲル化剤、造粒剤、保水剤、滑沢剤、粘膜付着剤、軟膏基剤、軟膏、油性ビヒクル、有機基剤、トローチ基剤、顔料、可塑剤、研磨剤、保存剤、封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、坐剤基剤、表面活性化剤、界面活性剤、懸濁剤、甘味料、治療剤、濃厚剤、等張剤、毒性物質、粘度上昇剤、吸水剤、水混和性共溶媒、水軟化剤又は湿潤剤を含む、あらゆる薬学的に許容可能な成分を含む。例えば、その全体において参照により組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients,Third Edition,A.H.Kibbe(Pharmaceutical Press,London,UK,2000);その全体において参照により組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)を参照。
【0052】
いくつかの例では、本開示の組成物は液体である。特定の例では、液体のpHは約6.0未満、任意選択的に約5.5である。いくつかの例では、pHは、約5.0~約6.0又は約5.3~約5.8、例えば、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7又は約5.8、約5.4である。いくつかの例では、pHは約5.5である。
【0053】
いくつかの例では、本組成物は、より低濃度の抗IL-33抗体、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0を含む処方物と比較して粘度が低下していることを特徴とする。いくつかの例では、本組成物は、抗IL-33抗体の濃度が165mg/mL未満であるとき、23℃で、粘度が約25センチポアズ(cP)未満であること、任意選択的に抗IL-33抗体の濃度が約150mg/mLであるときに粘度が約9cPであること又は抗IL-33抗体の濃度が約130mg/mLであるときに粘度が約5cPであることを特徴とする。特定の態様では、本組成物は、抗IL-33抗体の濃度が約150mg/mL未満(例えば、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL)であるときに、粘度が約5cP~約20cP、例えば、約5cP~約15cP、約5cP~約10cP、約10cP~約20cP、約15cP~約20cP又は約5cP、約6cP、約7cP、約8cP、約9cP、約10cP、約11cP、約12cP、約13cP、約14cP、約15cP、約16cP、約17cP、約18cP、約19cP、約20cPであることを特徴とする。代表的な態様では、本組成物は、本抗体の濃度が約130mg/mL~約170mg/mLであるときに粘度が約10cP±5cPである。いくつかの例では、本組成物は、抗IL-33抗体の濃度が約150mg/mLであるときに23℃での粘度が約10センチポアズ(cP)未満であることを特徴とする。いくつかの例では、粘度は、約5cP~約20cP、任意選択的に約10cP未満、例えば約9cPなどである。別段述べられない限り、本明細書中で開示される全ての粘度は、23℃及び約1000l/sのせん断速度で回転式粘度計を使用して測定された粘度を指す。
【0054】
代表的な態様では、本組成物は、対象への皮下投与を目的とし、従って本組成物は目的の投与部位と等張である。例えば、本組成物の浸透圧は、いくつかの例では、約340~約520mOsm/kg又は約344~約516mOsm/kg又は約400~約500mOsm/kgの範囲である。代表的な例では、本液体医薬組成物は、約300mOsm/kg~約600mOsm/kg又は約340mOsm/kg~約520mOsm/kg又は約360mOsm/kg~約500mOsm/kgの範囲の浸透圧を有する。いくつかの例では、浸透圧は約452mOsm/kgである。
【0055】
本開示の組成物は有利に、長期又は短期保管に適切である。いくつかの例では、本組成物は、冷凍若しくは冷蔵温度又はより高い温度での長期又は短期保管に適切である。従って、本開示の組成物は、0℃を下回る温度(例えば、約-80℃~約-10℃、約-60℃~約-20℃又は約-30℃)又は約1℃~約10℃の温度(例えば約2℃~約8℃)で保管され得る。任意選択的に、これらの温度(10℃下回る)での保管は、長期保管、例えば少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月少なくとも24ヶ月少なくとも30ヶ月、少なくとも36ヶ月であり得る。本開示の組成物は、室温(例えば、約20℃~約30℃、約23℃~約27℃、約25℃又は約30℃)で保管され得る。いくつかの例では、本開示の組成物は、室温を上回る温度(例えば30℃超(例えば約35℃~約45℃、約40℃)で保管され得る。
【0056】
いくつかの例では、本開示の組成物は、非常に安定であり、冷蔵又は冷凍温度での長期保管に耐え得る。本開示の組成物は、液体として又は固体として非常に安定である。任意選択的に、抗IL-33抗体の約5%未満(例えば約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が、約2℃~約8℃(例えば、約2℃、約4℃、約8℃、約-20℃)での約1ヶ月~約3ヶ月の保管の後に凝集する。本明細書中で使用される場合、「凝集体」は、抗IL-33抗体の不溶性凝集体を指す。いくつかの例では、SECにより測定した場合、約2℃~約8℃(例えば約2℃、約4℃、約8℃、約10℃)での6ヶ月又は12ヶ月の保管後に、抗IL-33抗体の約5%未満(例えば約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が凝集する。いくつかの例では、SECにより測定した場合、約2℃~約8℃(例えば、約2℃、約4℃、約8℃)での18ヶ月の保管後に、抗IL-33抗体の約5%未満(例えば約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が分解する。いくつかの例では、SECにより測定した場合、ガラスバイアル又はシリンジ中、約2℃~約8℃(例えば約2℃、約4℃、約8℃)での18ヶ月の保管後に、抗IL-33抗体の95%超がインタクトである。いくつかの例では、SECにより測定した場合、約2℃~約8℃、(例えば、約2℃、約4℃、約8℃)での約18ヶ月の保管後に、本開示の組成物中の抗体の約5%未満(例えば約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が凝集する。
【0057】
いくつかの例では、本開示の組成物は、非常に安定であり、室温での長期保管に耐え得る。任意選択的に、約23℃~約27℃、(例えば、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃)での約1ヶ月~約3ヶ月の保管の後に、抗IL-33抗体の約5%未満(例えば約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が凝集する。いくつかの例では、SECにより測定した場合、約23℃~約27℃での約6ヶ月の保管後に、抗IL-33抗体の約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が凝集する。例において、SECにより測定した場合、ガラスバイアル又はシリンジ中での約23℃~約27℃での約6ヶ月の保管後に、抗IL-33抗体の95%超がインタクトである。いくつかの例では、SECにより測定した場合、約23℃~約27℃での約6ヶ月の保管後に、本開示の組成物中の抗IL-33抗体の約5%未満(例えば約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が分解する。
【0058】
様々な例では、本開示の組成物は、非常に安定であり、非常に安定であり(is highly stable and highly stable)、ストレスがある保管条件下での短期保管に耐え得る。いくつかの例では、約38℃~約42℃、(例えば、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃)での約1ヶ月~約3ヶ月の保管後に、抗IL-33抗体の約5%未満(例えば約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が凝集する。いくつかの例では、SECにより測定した場合、ガラスバイアル又はシリンジ中、約38℃~約42℃、(例えば、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃)での約3ヶ月の保管後に、抗IL-33抗体の95%超がインタクトである。いくつかの例では、SECにより測定した場合、約38℃~約42℃、(例えば、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃)での約3ヶ月の保管後に、本開示の組成物中の抗IL-33抗体の約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が凝集する。
【0059】
特定の例では、本組成物は、例えば単回使用バイアル、単回使用シリンジ又はガラス、ガラスに裏打ちされる又はガラスコーティングされた一次容器中での保管又は使用のために提供される。代表的な例では、本組成物は、凍結保管用の、単回使用システムバッグ又はポリカーボネートカルボイ中で提供される。代替的な例では、本組成物は、保管のために、約2℃~約8℃での長期保管又はより高い温度(例えば、約25℃、約30℃、約40℃)での保管のために、ガラスバイアル又はシリンジ中に含有される。
【0060】
特定の例では、本組成物は、既製である及び/又は自己投与のために設計された送達系での使用のために提供される。特定の例では、本組成物は、プレフィルドシリンジ又は自動注入装置、ペン型注入器、デュアルチャンバーペンなどの中で提供される。このような製品は、当技術分野で公知であり、市販されている。例えば、Shire,Steven,Monoclonal Antibodies:Meeting the Challenges in Manufacturing,Formulation,Delivery and Stability of Final Drug Product,Chapter 8:Development of delivery device technology to deal with the challenges of highly viscous mAb formulations at high concentration,Woodhead Publishing,Cambridge,UK,pages153-162(2015)を参照。
【0061】
本開示の組成物は、非経口及び具体的には皮下を含む何れかの許容可能な経路による投与に適切であり得る。例えば、皮下投与は、上腕、大腿上部又は腹部に対するものであり得る。他の経路としては、例えば静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、節内及び脾臓内が挙げられる。皮下経路が好ましい。いくつかの例では、静脈内経路が好ましい。例えば安定液体組成物は、静脈内経路を介した送達前にIV液中で希釈され得る。
【0062】
本明細書中で開示される組成物は、抗IL-33抗体を含む。インターロイキン-33(IL-33)は、IL-1F11とも称され、2型免疫応答に特有の細胞、サイトカイン及び免疫グロブリンの生成を刺激するIL-1サイトカインファミリーのメンバーである。IL-33は、2つのドメイン:ホメオドメインとサイトカイン(IL-1様)ドメインとからなる270個のアミノ酸のタンパク質である。ホメオドメインには核移行シグナル(NLS)が含まれる。IL-33は、Th2細胞、マスト細胞及び多種多様な他の細胞型に発現する受容体であるST2を介してシグナル伝達を媒介する。
【0063】
細胞外型のIL-33はST2に結合することによって標的細胞を刺激し、続いてNFKB及びMAPキナーゼ経路を活性化させて、サイトカイン及びケモカインの産生を含めた様々な機能的応答をもたらす。可溶性ST2(sST2)はデコイ受容体であって、IL-33シグナル伝達を妨げると考えられている。
【0064】
ヒトでは、IL-33は平滑筋及び気管支上皮で恒常的に発現することが見出された。肺及び皮膚線維芽細胞ではIL-Ιβ及びTNF-αによって発現が誘導され得る(Schmitz et al.(2005))。喘息患者の血清及び組織中では、可溶性ST2タンパク質及びIL-33 mRNA/タンパク質のレベルが上昇する(Oboki et al.,Allergology International 59:143-160(2010))。
【0065】
インビボでは、IL-33は、IL-4、IL-5及びIL-13の発現を誘導し、粘膜器官の重篤な病変を引き起こす。マウスへのIL-33の投与は、重度の血中好酸球増加、IL-5及びIgE血清レベルの上昇及び粘膜表面の杯細胞過形成を含め、強力な炎症効果を有する(Schmitz et al.(2005))。IL-33をマウスに腹腔内投与又は鼻腔内投与すると、IL-13及びSTAT6依存性経路を通じた肺及び腸粘膜での好酸球性炎症の誘導につながった(Oboki et al.(2010))。従って、IL-33は、喘息などのアレルギー性疾患及び慢性閉塞性肺障害(COPD)などの炎症性気道疾患に関与し得る。
【0066】
従って、抗IL-33抗体を含む組成物が、喘息又はCOPDなどのIL-33介在性疾患の処置において有用であり得ることが企図される。
【0067】
いくつかの例では、本発明の組成物中に存在する抗体は、配列番号1の配列を有するVHCDR1、配列番号2の配列を有するVHCDR2、配列番号3の配列を有するVHCDR3を含む重鎖可変ドメインと;配列番号5の配列を有するVLCDR1、配列番号6の配列を有するVLCDR2及び配列番号7の配列を有するVLCDR3を含む軽鎖可変ドメインと、を含む。
【0068】
いくつかの例では、本発明の組成物中に存在する抗体は、(a)配列番号4と少なくとも95%、90%、85%又は80%同一であるアミノ酸の配列又は配列番号11と少なくとも95%、90%、85%又は80%同一であるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列である重鎖可変ドメイン、(b)配列番号8と少なくとも80%同一であるアミノ酸の配列又は配列番号12と少なくとも95%、90%、85%又は80%同一であるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列である軽鎖可変ドメイン、又は(c)(a)の重鎖可変ドメイン及び(b)の軽鎖可変ドメインを含む。
【0069】
いくつかの例では、本抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、組み換え抗体、抗原結合抗体断片、単鎖抗体、単量体の抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体及びIgG4抗体である。いくつかの実施形態では、本抗IL-33抗体はIgG1抗体である。
【0070】
いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含む。
【0071】
いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含む。
【0072】
いくつかの例では、本組成物は、インビトロHTRF競合結合アッセイにおいてIL-33への結合について33_640087-7Bと競合する抗IL-33抗体を含む。抗体は、それが所与のエピトープに対する参照抗体の結合をある程度遮断する限りにおいてそのエピトープに特異的に結合する場合に、当該のエピトープに対する参照抗体の結合を競合的に阻害すると言われる。競合的阻害は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、競合ELISAアッセイなどの固相アッセイ、解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA(登録商標)、Perkin Elmer)及び放射性リガンド結合アッセイによって決定され得る。例えば、当業者は、参照により本明細書中に組み込まれる国際公開第2016/156440号パンフレットの段落881~886に記載されているHTRFアッセイなどのインビトロ競合結合アッセイを使用することにより、その抗体がIL-33への結合について競合するか否かを判定し得る。例えば、当業者は、第1の抗IL-33抗体をドナー蛍光体で標識し、複数の濃度をアクセプター蛍光体で標識されたredIL-33の固定濃度試料と混合し得る。続いて、各試料内のドナー蛍光体とアクセプター蛍光体との間の蛍光共鳴エネルギー転移を測定して、結合特性を確認し得る。競合的な結合抗IL-33抗体を明らかにするため、当業者は、最初に様々な濃度の試験抗体を表6の固定濃度の標識化抗体と混合し得る。標識化抗体のみの陽性対照と比較した、混合物を標識されたIL-33とともに温置した場合のFRETシグナルの低減は、IL-33に対する競合的な結合を示す。結合分子又はその断片は、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、又は少なくとも50%、競合的に阻害すると言われ得る。
【0073】
いくつかの例では、本組成物は、抗IL-33抗体33_640087-7B(参照により本明細書中に組み込まれる国際公開第2016/156440号パンフレットに記載のとおり)を含む。国際公開第2016/156440号パンフレットは、33_640087-7Bが、特に高い親和力でredIL-33と結合し、ST-2及びRAGE依存性の両方のIL-33シグナル伝達を減衰させることを開示する。
【0074】
他の代表的な抗IL-33抗体としては、エトキシマブとして知られるANB020(国際公開第2015/106080号パンフレットに記載のとおり)、9675P(米国特許出願公開第2014/0271658号明細書に記載のとおり)、A25-3H04(米国特許出願公開第2017/0283494号明細書に記載のとおり)、Ab43(国際公開第2018/081075号パンフレットに記載のとおり)、IL33-158(米国特許出願公開第2018/0037644号明細書に記載のとおり)、10C12.38.H6.87Y.581 lgG4(国際公開第2016/077381号パンフレットに記載のとおり)又はそれらの結合断片が挙げられる。他の代表的な抗IL-33抗体又はその抗原結合断片としては、全て参照により本明細書中に組み込まれる、国際公開第2016/156440号パンフレット、同第2015/106080号パンフレット、米国特許出願公開第2014/0271658号明細書、同第2017/0283494号明細書、国際公開第2018/081075号パンフレット、米国特許出願公開第2018/0037644号明細書又は国際公開第2016/077381号パンフレットに記載の他の抗IL-33抗体の何れかが挙げられる。
【0075】
作製方法
本開示の組成物を作製する方法が本明細書中でさらに提供される。従って、約10cP未満の粘度を有し、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン、例えば少なくとも約190mMのアルギニンなど、任意選択的に界面活性剤及び緩衝液を含む安定液体組成物を作製する方法がさらに提供される。いくつかの例では、本方法は、(i)約100mg/mL~約200mg/mLの抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン、例えば少なくとも約170mMのアルギニンなど、例えば少なくとも約190mMのアルギニンなど、及び緩衝液を含む溶液を得るために、溶液中で本抗体、アルギニン及び緩衝液を合わせ、(ii)約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)の最終的な界面活性剤濃度を達成するために、その溶液に界面活性剤を添加することを含む。
【0076】
約10cP未満の粘度を有し、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約150mMのリジン、任意選択的に界面活性剤及び緩衝液を含む安定液体組成物を作製する方法がさらに提供される。いくつかの例では、本方法は、(i)約100mg/mL~約200mg/mLの抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン、例えば少なくとも約150mMのリジンなど、及び緩衝液を含む溶液を得るために、溶液中で本抗体、アルギニン及び緩衝液を組み合わせ、(ii)約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)の最終的な界面活性剤濃度を達成するために、その溶液に界面活性剤を添加することを含む。
【0077】
いくつかの例では、本安定液体組成物は、0.03%(w/v)±0.01%(w/v)の濃度で界面活性剤を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約0.02%(w/v)~約0.04%(w/v)の濃度で界面活性剤を含む。
【0078】
いくつかの例では、本安定液体組成物は、0.02%(w/v)±0.01%(w/v)の濃度で界面活性剤を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約0.01%(w/v)~約0.02%(w/v)の濃度で界面活性剤を含む。
【0079】
いくつかの例では、本安定液体組成物は、約150mg/mLの本抗IL-33抗体を含む。
【0080】
いくつかの例では、本安定液体組成物は、170mMを超えるアルギニンを含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、190mMを超えるアルギニンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約500mM未満のアルギニンを含む。例えば、本組成物は、約200mM、約210mM、約220mM、約240mM、約260mM、約280mM、約300mM、約350mM、約400mM又は約450mMのアルギニンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約220mMのアルギニンを含む。
【0081】
いくつかの例では、本安定液体組成物は、少なくとも約150mMのリジンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約500mM未満のリジンを含む。例えば、本組成物は、約160mM、約170mM、約180mM、約200mM、約220mM、約240mM、約260mM、約280mM、約300mM、約350mM、約400mM又は約450mMのリジンを含む。いくつかの例では、本組成物は、約170mMのリジンを含む。
【0082】
いくつかの例では、高濃度のアルギニンを伴う安定液体組成物の粘度は、より低濃度の抗IL-33抗体、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0を含む液体組成物と比較して低下しており、ここでより低濃度とは、この安定液体組成物中の抗IL-33抗体の濃度と比較したものである。
【0083】
いくつかの例では、本安定液体組成物の粘度は、約10cP未満である。いくつかの例では、本安定液体組成物の粘度は、約9cPである。いくつかの例では、粘度は23℃で測定される。
【0084】
いくつかの例では、本安定液体組成物内の本抗IL-33抗体の可逆的自己会合(RSA)は、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0中のより低濃度の抗IL-33抗体を含む液体組成物中の抗IL-33抗体のRSAと比較して低下しており、ここで、より低濃度とは、本安定液体組成物中の抗IL-33抗体の濃度と比較したものである。
【0085】
いくつかの例では、RSAは、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0中のより低濃度の抗IL-33抗体を含む液体組成物中の抗IL-33抗体のRSAと比較して2分の1に低下している。
【0086】
いくつかの例では、本安定液体組成物は、少なくとも約30%、例えば、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%又は約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約35%~約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約40%~約45%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約2℃~約8℃の温度での約3ヶ月の保管後に、約35%~約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約2℃~約8℃の温度での約3ヶ月の保管後に、約35%~約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約2℃~約8℃の温度での約3ヶ月の保管後に、約40%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約2℃~約8℃の温度での約6ヶ月の保管後に、約35%~約50%の重量%単量体を含む。いくつかの例では、本安定液体組成物は、約2℃~約8℃の温度での約6ヶ月の保管後に、約40%の重量%単量体を含む。
【0087】
いくつかの例では、界面活性剤はポリソルベート80又はポリソルベート20である。いくつかの例では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。
【0088】
いくつかの例では、緩衝液はヒスチジンから作製される。いくつかの例では、安定液体組成物は、約16mM~約24mM、任意選択的に約17mM~約24mM、任意選択的に約18mM~約24mMの最終緩衝液濃度を有する。
【0089】
いくつかの例では、本安定液体組成物は約pH5.5のpHを有する。
【0090】
いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、本明細書中に記載のものの何れかである。いくつかの例では、本抗IL-33抗体は、33_640087-7Bである。
【0091】
製品、シリンジ及びバイアル
本開示は、本開示組成物の何れか1つを含む、任意選択的に約0.5mL~約5mL(例えば、約0.5mL~約4.5mL、約0.5mL~約4mL、約0.5mL~約3.5mL、約0.5mL~約3mL、約0.5mL~約2.5mL、約0.5mL~約2mL、約0.5mL~約1.5mL、約0.5mL~約1mL、約1mL~約5mL、約1.5mL~約5mL、約2mL~約5mL、約2.5mL~約5mL、約3mL~約5mL、約3.5mL~約5mL、約4mL~約5mL、約4.5mL~約5mL)の本組成物を含む、製品を提供する。いくつかの例では、本組成物は、約100mg/mlを超える抗IL33抗体(例えば33_640087-7B)を含む。いくつかの例では、本組成物は、約130mg/ml~約170mg/mlの抗IL-33抗体(例えば33_640087-7B)、約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)ポリソルベート80、約220mMアルギニン及び約16mM~約24mMヒスチジンを含み、ここでpHは、約6未満、任意選択的に約pH5.5である。任意選択的にpHは約Ph5.0~約pH6.0である。
【0092】
本開示は、本開示組成物の何れか1つを含む、任意選択的に約0.5mL~約5mL(例えば、約0.5mL~約4.5mL、約0.5mL~約4mL、約0.5mL~約3.5mL、約0.5mL~約3mL、約0.5mL~約2.5mL、約0.5mL~約2mL、約0.5mL~約1.5mL、約0.5mL~約1mL、約1mL~約5mL、約1.5mL~約5mL、約2mL~約5mL、約2.5mL~約5mL、約3mL~約5mL、約3.5mL~約5mL、約4mL~約5mL、約4.5mL~約5mL)の組成物を含む、プレフィルドシリンジ(PFS)も提供する。いくつかの例では、本組成物は、約100mg/mlを超える抗IL33抗体(例えば33_640087-7B)を含む。いくつかの例では、本組成物は、約130mg/ml~約170mg/mlの抗IL-33抗体(例えば33_640087-7B)、約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)のポリソルベート80、約220mMのアルギニン及び約16mM~約24mMのヒスチジンを含み、ここでpHは約6未満、任意選択的に約pH5.5である。
【0093】
本開示組成物の何れか1つを含む、任意選択的に、約0.5mL~約5mL(例えば、約0.5mL~約4.5mL、約0.5mL~約4mL、約0.5mL~約3.5mL、約0.5mL~約3mL、約0.5mL~約2.5mL、約0.5mL~約2mL、約0.5mL~約1.5mL、約0.5mL~約1mL、約1mL~約5mL、約1.5mL~約5mL、約2mL~約5mL、約2.5mL~約5mL、約3mL~約5mL、約3.5mL~約5mL、約4mL~約5mL、約4.5mL~約5mL)の組成物を含む、バイアルも提供される。いくつかの例では、本組成物は、約100mg/mlを超える抗IL33抗体(例えば33_640087-7B)を含む。いくつかの例では、本組成物は、約130mg/ml~約170mg/mlの抗IL-33抗体(例えば33_640087-7B)、約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)ポリソルベート80、約220mMアルギニン及び約16mM~約24mMヒスチジンを含み、ここでpHは約6未満、任意選択的に約pH5.5である。
【0094】
キット
本開示は、添付文書、パッケージのラベル、説明書又は、本明細書中で開示される方法の何れかを指示若しくは開示する他のラベル付けと一緒に本明細書中に記載の組成物を含むキットも提供する。特定の例では、本開示は、単回投与の投与単位を作製するためのキットを提供する。本開示の特定の例では、シングルチャンバー型及びマルチチャンバー型のプレフィルドシリンジ(例えば液体シリンジ)を含有するキットが含まれる。
【0095】
処置方法
本開示は、IL-33介在性疾患がある対象を処置するための薬剤の製造における、33_640087-7B又は本明細書中で開示される別の抗IL-33抗体又はその抗原結合部分の使用も提供する。
【0096】
対象においてIL-33介在性疾患を処置するための方法が本明細書中で提供される。いくつかの例では、本開示は、対象におけるIL-33介在性疾患の処置での使用のための本明細書中で開示される組成物を提供する。本明細書中で提供される場合、本開示は、IL-33介在性疾患の対象を処置するための薬剤の製造における抗IL-33抗体の使用も提供し、ここでこの薬剤は、本明細書中で開示される何れかの組成物を含む。
【0097】
いくつかの例では、本明細書中で提供される方法、使用のための組成物又は使用は、喘息、アトピー性皮膚炎及び慢性閉塞性肺障害から選択されるIL-33介在性障害の処置のためである。
【0098】
いくつかの例では、本明細書中で提供される、本方法、使用のための組成物又は使用は、糖尿病性腎症の処置のためである。
【0099】
いくつかの例では、対象はヒトである。
【0100】
実施形態
1.約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも170mMのアルギニン又は少なくとも150mMのリジン及び緩衝液を含む組成物であって、前記抗IL-33抗体が、
i.配列番号1の配列を有するVHCDR1、配列番号2の配列を有するVHCDR2、配列番号3の配列を有するVHCDR3を含む重鎖可変ドメインと;
ii.配列番号5の配列を有するVLCDR1、配列番号6の配列を有するVLCDR2及び配列番号7の配列を有するVLCDR3を含む軽鎖可変ドメインと、
を含む、組成物。
2.前記抗IL-33抗体が、
i.
i.配列番号4と少なくとも95%、90%、85%又は80%同一であるアミノ酸の配列;又は
ii.配列番号11と少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列
である重鎖可変ドメイン;
ii.
i.配列番号8と少なくとも95%、90%、85%又は80%同一であるアミノ酸の配列;又は
ii.配列番号12と少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸の配列
である軽鎖可変ドメイン;又は
iii.(a)の重鎖可変ドメイン及び(b)の軽鎖可変ドメイン
を含む、実施形態1に記載の組成物。
3.前記抗IL-33抗体がIgG1抗体である、実施形態1又は2に記載の組成物。
4.前記抗IL-33抗体が、配列番号4のアミノ酸を含む重鎖可変ドメイン、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号4のアミノ酸を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態1~3の何れかに記載の組成物。
5.前記抗IL-33抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態1~4の何れかに記載の組成物。
6.前記抗IL-33抗体が、インビトロHTRF競合結合アッセイにおいて、IL-33への結合について33_640087-7Bと競合する、実施形態1~5の何れかに記載の組成物。
7.前記抗IL-33抗体が、約200mg/ml未満の濃度で存在する、実施形態1~6の何れかに記載の組成物。
8.前記抗IL-33抗体が、約180mg/ml未満の濃度で存在する、実施形態1~7の何れかに記載の組成物。
9.前記抗IL-33抗体が、約160mg/ml未満の濃度で存在する、実施形態1~8の何れかに記載の組成物。
10.前記抗IL-33抗体が、約100mg/ml~約200mg/mlの濃度で存在する、実施形態1~9の何れかに記載の組成物。
11.前記抗IL-33抗体が、約130mg/ml~約170mg/mlの濃度で存在する、実施形態1~10の何れかに記載の組成物。
12.前記抗IL-33抗体が、150mg/ml±10%の濃度で存在する、実施形態1~11の何れかに記載の組成物。
13.界面活性剤をさらに含む、実施形態1~12の何れかに記載の組成物。
14.前記界面活性剤が両親媒性及び陰イオン性である、何れかの実施形態13に記載の組成物。
15.前記界面活性剤がポリソルベートである、実施形態14に記載の組成物。
16.前記界面活性剤がポリソルベート20又はポリソルベート80又はそれらの混合物である、実施形態15に記載の組成物。
17.前記界面活性剤が、約0.005%(w/v)~約0.05%(w/v)の濃度である、実施形態13~16の何れか1つに記載の組成物。
18.0.03%(w/v)±0.010%(w/v)の界面活性剤を含む、実施形態17に記載の組成物。
19.約0.015%(w/v)、0.03%(w/v)又は0.045%(w/v)の界面活性剤を含む、実施形態17に記載の組成物。
20.前記界面活性剤がポリソルベート80である、実施形態16~19の何れか1つに記載の組成物。
21.少なくとも約190mMのアルギニンを含む、実施形態1~20の何れかに記載の組成物。
22.約190mM~約250mMのアルギニンを含む、実施形態1~21の何れかに記載の組成物。
23.約220mMのアルギニンを含む、実施形態1~22の何れかに記載の組成物。
24.前記アルギニンがL-アルギニン塩酸塩である、実施形態1~23の何れかに記載の組成物。
25.約150mM~約250mMのリジンを含む、実施形態1~20の何れかに記載の組成物。
26.約170mMのリジンを含む、実施形態25に記載の組成物。
27.前記リジンがL-リジンである、実施形態1~20、25又は26の何れかに記載の組成物。
28.前記緩衝液が、コハク酸塩、ヒスチジン又は酢酸塩である、実施形態1~27の何れかに記載の組成物。
29.前記緩衝液がヒスチジンである、実施形態28に記載の組成物。
30.前記緩衝液が、L-ヒスチジン/L-ヒスチジン塩酸塩である、実施形態29に記載の組成物。
31.前記緩衝液が、約10mM~約30mMの濃度である、実施形態1~30の何れかに記載の組成物。
32.前記緩衝液が、約16mM~約24mM、任意選択的に約17mM~約24mM、任意選択的に約18mM~約24mMの濃度である、実施形態31に記載の組成物。
33.前記緩衝液が、約19mM~約21mMの濃度である、実施形態31又は32の何れかに記載の組成物。
34.20mM±10%の緩衝液を含む、実施形態1~33の何れかに記載の組成物。
35.液体である、実施形態1~34の何れかに記載の組成物。
36.pHが約pH6.0未満である、実施形態1~35の何れかに記載の組成物。
37.pHが約pH5.0~約pH6.0である、実施形態1~36の何れかに記載の組成物。
38.pHが約pH5.2、約pH5.5又は約pH5.8である、実施形態1~37の何れかに記載の組成物。
39.pHが約pH5.5である、実施形態1~38の何れかに記載の組成物。
40.80mM以下のアルギニンを含む組成物と比較して粘度が低下していることを特徴とする、実施形態35~39の何れか1つに記載の組成物。
41.より低濃度の抗IL-33抗体、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0を含む組成物と比較して粘度が低下していることを特徴とする、実施形態35~39の何れか1つに記載の組成物。
42.粘度が23℃で約10cP未満であり、前記抗IL-33抗体の濃度が約150mg/ml±10%であることを特徴とする、実施形態35~41の何れか1つに記載の組成物。
43.前記粘度が約5cP~約20cPであり、任意選択的に約10cP未満、例えば約9cPなどである、実施形態35~41の何れかに記載の組成物。
44.前記抗IL-33抗体の可逆的自己会合が、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0及びより低濃度の抗IL-33抗体、例えば50mg/mlを含む組成物中の抗IL-33抗体の可逆的自己会合と比較して、低下していることを特徴とする、実施形態35~43の何れか1つに記載の組成物。
45.約35%~約50%の重量%単量体を含む、実施形態35~44の何れかに記載の組成物。
46.サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した場合、約2℃~約8℃での約12ヶ月~約18ヶ月の保管後に、前記抗体の約5%未満、任意選択的に約2%未満が凝集する、実施形態1~45の何れかに記載の組成物。
47.約130mg/ml~約170mg/mlの33_640087-7B、約0.03%(w/v)±0.015%ポリソルベート80、約220mMアルギニン及び約16~約24mMヒスチジン緩衝液を含み、pHがpH5.5±0.5である、組成物。
48.約150mg/mlの33_640087-7Bを含む、実施形態47に記載の組成物。
49.約18mM~約22mMヒスチジン緩衝液、任意選択的に約20mMヒスチジン緩衝液を含む、実施形態47又は48の何れかに記載の組成物。
50.前記アルギニンがL-アルギニン塩酸塩である、実施形態47~49の何れか1つに記載の組成物。
51.約130mg/ml~約170mg/mlの抗IL-33抗体、約0.03%(w/v)±0.015%ポリソルベート80、約220mMアルギニン及び約16~約24mMヒスチジン緩衝液を含み、pHがpH5.5±0.5である、組成物。
52.液体である、実施形態47~51の何れかに記載の組成物。
53.実施形態1~52の何れかに記載の組成物を含み、任意選択的に0.5mL~約5ml(例えば1mL~約3ml)の前記組成物を含む、製品。
54.実施形態1~52の何れかに記載の組成物を含み、任意選択的に約0.5mL~約5ml(例えば1mL~約3ml)の前記組成物を含む、バイアル。
55.対象においてIL-33介在性障害を処置する方法であって、治療的有効量の実施形態1~52の何れか1つに記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
56.前記IL-33介在性障害が、喘息、アトピー性皮膚炎又は慢性閉塞性肺障害である、実施形態55に記載の方法。
57.前記IL-33介在性障害が糖尿病性腎症である、実施形態55に記載の方法。
58.約10cP未満の粘度を有し、約100mg/mlを超える抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン又は約150mMのリジン、界面活性剤及び緩衝液を含む、安定液体組成物を作製する方法であって、
i.約100mg/ml~約200mg/mlの抗IL-33抗体、少なくとも約170mMのアルギニン又は約150mMのリジン及び緩衝液を含む溶液を得るために、溶液中で前記抗体、アルギニン及び緩衝液を合わせ;
ii.約0.03%(w/v)±0.015%(w/v)の最終界面活性剤濃度を達成するために界面活性剤を前記溶液に添加する、
段階を含む、方法。
59.前記安定液体組成物が190mMを超えるアルギニンを含む、実施形態58に記載の方法。
60.前記安定液体組成物が約220mMのアルギニンを含む、実施形態58又は59の何れかに記載の方法。
61.前記アルギニンがL-アルギニン塩酸塩である、実施形態58~60の何れか1つに記載の組成物。
62.前記安定液体組成物内の前記抗IL-33抗体の可逆的自己会合(RSA)が、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0中のより低濃度の前記抗IL-33抗体を含む液体組成物中の前記抗IL-33抗体のRSAと比較して減少している、実施形態58~61の何れか1つに記載の方法。
63.前記液体処方物の粘度が、より低濃度の抗IL-33抗体、20mMヒスチジン、80mMアルギニン、120mMスクロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80、pH6.0を含む液体処方物と比較して低下している、実施形態58~62の何れかに記載の方法。
64.前記界面活性剤がポリソルベート80である、実施形態58~63の何れかに記載の方法。
65.前記緩衝液がヒスチジンから作製される、実施形態58~64の何れかに記載の方法。
66.結果として、約16mM~約24mM、任意選択的に約17mM~約24mM、任意選択的に約18mM~約24mMの最終緩衝液濃度を有する安定液体処方物が得られる、実施形態65に記載の方法。
67.結果として、約pH5~約pH6、任意選択的に約pH5.5のpHを有する安定液体処方物が得られる、実施形態58~66の何れかに記載の方法。
68.前記抗IL-33抗体が実施形態1~5の何れかで定められるとおりである、実施形態58~67の何れか1つに記載の方法。
69.cPが23℃で測定される、実施形態58~68の何れか1つに記載の方法。
【実施例
【0101】
特徴が改善された処方物の作製
33_640087-7Bは、ヒトインターロイキン(IL)-33に結合するヒト免疫グロブリン(Ig)G1モノクローナル抗体(mAb)であり、IL-33のその受容体ST2への結合を防ぎ、ジスルフィド結合(DSB)IL33への変換を阻害する。
【0102】
33_640087-7Bの第1相臨床試験(Study D9180C00001)が完了した。33_640087-7Bは、最大300mgの33_640087-7Bの静脈内(IV)投与後、一般に安全であり、忍容性に優れており、安全性の懸念がないことが分かった。33_640087-7Bは、凍結乾燥粉末としてバイアルに入れられて供給された。各バイアルは、名目上50mgの33_640087-7Bを含んだ。注射のための1.2mLの滅菌水での再構成時に、溶液は、20mM Lヒスチジン/Lヒスチジン-塩酸塩、80mM L-アルギニン-塩酸塩、120mMスクロース、0.02%(重量/体積[w/v])ポリソルベート80、pH6.0中で50mg/mL 33_640087-7Bを含有した(「第I相処方物」)。
【0103】
この例は、その後の臨床試験のために、より高い単位用量/ml組成物を達成するために、33_640087-7Bを再処方しようとする試みの驚くべき結果を記載する。
【0104】
静的光散乱を使用して、重量%単量体及び可溶性の可逆的なより高次種を得ることによって、第I相処方物での33_640087-7Bの可逆的自己会合の特徴を測定した。ボルトでの静的光散乱強度は、濃度(mg/mL)の関数として測定され、これは、レイリーの式を使用して見かけの分子量(kDa)に変換される。有効な剛体粒子モデルを使用した測定された見かけの分子量から、単量体及び可溶性の可逆的な高次種の重量分画が抽出された(Fernandez and Minton(2009)Biophys J 96:1992-8)。
【0105】
表1は、水性の第I相組成物の可逆的自己会合の特徴を示す:
【0106】
【表1】
【0107】
次に、33_640087-7Bの濃度を3倍に上昇させて150mg/mlにして、23℃で粘度を測定した。粘度を測定したところ、約24センチポアズとなった。
【0108】
次に33_640087-7Bを再構築することを試みた。予想外に、本組成物中で賦形剤量を変更すると、第1相試験処方物と比較して、処方物のRSAの特徴の改善につながることが分かった。
【0109】
表2は、水性第1相及び次世代組成物の可逆的自己会合の特徴を示す。
【0110】
【表2】
【0111】
RSAの低下は、同等の抗体濃度を含む第1相試験組成物の粘度(約24cP)と比較した場合、23℃で測定した粘度の顕著な改善(約9cP)につながった。特に、この改善は、3倍のタンパク質濃度で観察された。
【0112】
RSAの特徴が長期に安定であることも分かった。可溶性高次種の%分布は、6ヶ月間にわたり2~8℃で保管した場合、顕著に変化しなかった。複数の抗体濃度で次世代組成物においてRSA安定性が観察された(図3)。
【0113】
表3は、経時的な単量体及び三量体及び六量体(即ち可溶性のより高次の種)の重量%分布を示す。
【0114】
【表3】
【0115】
複数の時点で複数の濃度にて次世代組成物の長期安定性を試験した。ガラスバイアル又はプレフィルドシリンジの何れかにおいて保管された組成物に対して安定性データを作成した。
【0116】
表4は、元の抗体濃度(約150mg/ml)のパーセンテージとして表される不溶性凝集体形成の関数として長期安定性の特徴を示す。
【0117】
【表4】
【0118】
このデータは、図2、3及び4で図示する。
【0119】
次に、複数の33-640087_7B及びアルギニン濃度にわたり、粘度(Cp)の単変量分析を行った(残留する処方物構成成分を固定した)。
【0120】
結果は、図5に示す。複数の高アルギニン濃度(150mM、190mM、220mM及び250mM)で、25℃でのCpは、23℃の第1相試験処方物に対して計算されたCp(24Cp)よりも顕著に低かった。5℃のCpは、アルギニンの濃度上昇により改善した。
【0121】
複数のタンパク質濃度(135mg/ml、150mg/ml及び165mg/ml)でもCpを試験した。結果は図6に示す。複数温度(5℃、18℃、25℃及び30℃)でCpを測定した。分析から、特に18℃よりも高い温度では、高いタンパク質濃度でさえ、アルギニン濃度の上昇によりCpが低下することが明らかになる。一般に少なくとも190mMのアルギニンが使用される場合、約25℃での粘度は、処方物が165mg/mlの33-640087_7Bを含むとき、所望の10Cp値以下である。
【0122】
いくつかの温度、pH、アルギニン濃度及び賦形剤濃度で33-640087_7B処方物のロバスト性も分析した。40℃、25℃又は2~8℃の何れかで1、6又は11ヶ月間、それぞれ処方物を保管した。各条件下で複数時点で試料を採取し、標準的な分析技術を使用して凝集体形成を調べた。パーセント凝集体形成/月を計算した。得られたプロットからの斜面勾配を表5で示す。この結果は、試験された条件下で、pH、界面活性剤又はアルギニン濃度の範囲内で凝集速度が安定していることを示す。1ヶ月の加速安定性条件(40℃)においてpH5.0で凝集速度の僅かな上昇が観察された。
【0123】
【表5】
【0124】
複数のさらなる処方物を試験した。特に興味深いこととして、20mMヒスチジン/ヒスチジン-HCl、170mMリジン-HCl、0.02%PS80、pH5.5及び約160mg/mlの33-640087_7Bを含む処方物も、23℃でCpの顕著な改善を示した(8.7Cp)。150mg/mlの33-640087_7B及び150mM又は190mMの何れかのリジン(及び20mMヒスチジン/ヒスチジン-HCl、0.02%PS80、pH5.5)を含む処方物の23℃でのCpの分析も、第1相試験処方物のCpと比較して、顕著な粘度の改善を示し、即ちCpが10未満となった。
【0125】
結論
高い抗体濃度でのRSAの驚くべき低下につながる次世代処方物が開発された。次世代処方物は、抗IL-33抗体のより高い単位用量/体積の投与を可能にし得、より高い治療用量を投与することを可能にする。これは、例えば皮下送達のために、注射部位に送達しようとする薬物製品の体積を減少させることにより、患者の不快感を軽減し得、これは患者のコンプライアンスの向上につながる。これにより、診療所で用量のより高いダイナミックレンジを探索することも可能になり得、最大の治療的有効用量を発見する可能性を向上させる。
【0126】
さらに、本処方物は、長期安定性プロファイルが許容可能であり、粘度が低下している。粘度低下は、本抗体を投与するために使用される装置の機能性を向上させることにより、薬物投与に対して正の影響を及ぼし得る。同様に、低粘度であることによって、医療従事者又は患者が薬物を患者に手作業で注入する能力が向上し得る。
【0127】
配列
配列番号1:33_640087-7B VH CDR1
Ser Tyr Ala Met Ser
配列番号2:33_640087-7B VH CDR2
Gly Ile Ser Ala Ile Asp Gln Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys Gly
配列番号3:33_640087-7B VH CDR3
Gln Lys Phe Met Gln Leu Trp Gly Gly Gly Leu Arg Tyr Pro Phe Gly Tyr
配列番号4:33_640087-7B VH
【化1】
配列番号5:33_640087-7B VL CDR1
Ser Gly Glu Gly Met Gly Asp Lys Tyr Ala Ala
配列番号6:33_640087-7B VL CDR2
Arg Asp Thr Lys Arg Pro Ser
配列番号7:33_640087-7B VL CDR3
Gly Val Ile Gln Asp Asn Thr Gly Val
配列番号8:33_640087-7B VL
【化2】
配列番号9:33_640087-7B HC
【化3】
配列番号10:33_640087-7B LC
【化4】
配列番号11:33_640087-7B VH DNA
【化5】
配列番号12:33_640087-7B VL DNA
【化6】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2023524866000001.app
【国際調査報告】