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特表2023-524868骨導聴覚装置の状態を検出する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】骨導聴覚装置の状態を検出する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20230606BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20230606BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20230606BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20230606BHJP
   H04R 3/02 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H04R29/00
G01H17/00 Z
H04R25/00 F
H04R1/00 317
H04R3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568470
(86)(22)【出願日】2020-08-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2020112328
(87)【国際公開番号】W WO2022041168
(87)【国際公開日】2022-03-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】唐 惠芳
(72)【発明者】
【氏名】李 伯▲誠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 冰岩
【テーマコード(参考)】
2G064
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB14
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC43
2G064DD02
5D017AB11
5D220CC00
(57)【要約】
本願の実施例は、骨導聴覚装置の状態検出方法及びシステムを開示し、骨導聴覚装置は、少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含み、該方法は、スピーカーにより、信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、マイクロフォンにより、第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、フィードバック分析ユニットにより、マイクロフォンのフィードバック信号及び第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、フィードバック経路伝達関数と少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、信号処理ユニットにより、比較結果に基づいて、骨導聴覚装置の状態を決定するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含む骨導聴覚装置の状態検出方法であって、
前記スピーカーにより、前記信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、
前記マイクロフォンにより、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、
前記フィードバック分析ユニットにより、前記マイクロフォンのフィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、
前記信号処理ユニットにより、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップと、を含む、骨導聴覚装置の状態検出方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数、異常フィードバック経路伝達関数を含み、異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数、異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含み、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップは、
前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが標準フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数の異常タイプを決定するステップを含み、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽であると決定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数が少なくとも2つを含む場合、差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を前記所定のフィードバック経路伝達関数として決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップは、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が正常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異常であると決定するステップを含み、下記の通り前記骨導聴覚装置の異常タイプを決定するステップをさらに含み、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確である場合、前記骨導聴覚装置の状態が着用不正確であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が構造異常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物侵入であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物遮蔽であると決定する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記骨導聴覚装置の状態に基づいて、前記骨導聴覚装置のパラメータを適応的に調整するか又は注意喚起情報をユーザに送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記骨導聴覚装置の状態は、正常状態と、異常状態とを含み、異常状態は、着用不正確と、骨導聴覚装置構造異常と、異物侵入と、異物遮蔽とのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含む骨導聴覚装置の状態検出システムであって、
前記スピーカーは、前記信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成するように構成され、
前記マイクロフォンは、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するように構成され、
前記フィードバック分析ユニットは、前記マイクロフォンのフィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定し、
少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得し、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するように構成され、
前記信号処理ユニットは、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するように構成される、骨導聴覚装置の状態検出システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数及び異常フィードバック経路伝達関数を含み、異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数及び異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含み、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップは、
前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップと、を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが標準フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数の異常タイプを決定するステップを含み、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽であると決定するステップをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数が少なくとも2つを含む場合、差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を前記所定のフィードバック経路伝達関数として決定するステップを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップは、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が正常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異常であると決定するステップを含み、下記の通り前記骨導聴覚装置の異常タイプを決定するステップをさらに含み、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確である場合、前記骨導聴覚装置の状態が着用不正確であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が構造異常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物侵入であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物遮蔽であると決定する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号処理ユニットは、
前記骨導聴覚装置の状態に基づいて、前記骨導聴覚装置のパラメータを適応的に調整するか又は注意喚起情報をユーザに送信するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記骨導聴覚装置の状態は、正常状態と、異常状態とを含み、異常状態は、着用不正確と、骨導聴覚装置構造異常と、異物侵入と、異物遮蔽とのうちの1つ以上を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成する音声生成モジュールと、
前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するフィードバック信号生成モジュールと、
前記フィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定し、
少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得し、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するフィードバック分析モジュールと、
比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定する信号処理モジュールと、を含む、骨導聴覚装置の状態検出システム。
【請求項16】
コンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータは、前記記憶媒体における前記コンピュータ命令を読み取ったら、
前記コンピュータが生成したテスト信号である第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、
前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、
前記フィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、
比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップとを実行することを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、聴覚装置の技術分野に関し、特に骨導聴覚装置の状態検出方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
聴覚装置(例えば、補聴器)は、一般的にマイクロフォンとスピーカーを同時に備え、聴覚装置の状態は、聴覚装置の使用に対する影響が極めて大きい。聴覚装置の状態が異常であれば、聴覚装置の出力感度が大幅に低下するか又は聴覚装置の故障(例えば、ハウリングが発生する)を直接的に引き起こす。したがって、聴覚装置の状態の検出は、聴覚装置の正常な使用を保証し、聴覚装置の異常による可能性のある損傷を低減することに対して重要な意味を有する。骨伝導聴覚装置(例えば、骨伝導補聴器)において、フィードバック経路伝達関数は、聴覚装置の状態を反映する重要な指標である。いくつかのシナリオにおいて、骨伝導聴覚装置のフィードバック経路伝達関数を検出して評価することにより、骨伝導聴覚装置のリアルタイム状態を直感的に反映することができる。
【発明の概要】
【0003】
本願の一実施例は、骨導聴覚装置の状態検出方法をさらに提供し、前記骨導聴覚装置は、少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含み、前記方法は、前記スピーカーにより、前記信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、前記マイクロフォンにより、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、前記フィードバック分析ユニットにより、前記マイクロフォンのフィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、前記信号処理ユニットにより、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップと、を含む。
【0004】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数、異常フィードバック経路伝達関数を含み、異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数、異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含み、前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップは、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップと、を含む。
【0005】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップは、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが標準フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数の異常タイプを決定するステップを含み、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽であると決定するステップをさらに含む。
【0006】
いくつかの実施例では、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数が少なくとも2つを含む場合、差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を前記所定のフィードバック経路伝達関数として決定するステップを含む。
【0007】
いくつかの実施例では、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップは、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が正常であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異常であると決定するステップを含み、下記の通り前記骨導聴覚装置の異常タイプを決定するステップをさらに含み、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確である場合、前記骨導聴覚装置の状態が着用不正確であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が構造異常であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物侵入であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物遮蔽であると決定する。
【0008】
いくつかの実施例では、前記方法は、前記骨導聴覚装置の状態に基づいて、前記骨導聴覚装置のパラメータを適応的に調整するか又は注意喚起情報をユーザに送信するステップをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記骨導聴覚装置の状態は、正常状態、異常状態のうちの少なくとも1種を含み、異常状態は、着用不正確と、骨導聴覚装置構造異常と、異物侵入と、異物遮蔽とのうちの1つ以上を含む。
【0010】
本願の一実施例は、少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含む骨導聴覚装置の状態検出システムをさらに提供し、前記スピーカーは、前記信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成するように構成され、前記マイクロフォンは、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するように構成され、前フィードバック分析ユニットは、前記マイクロフォンのフィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定し、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得し、前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するように構成され、前記信号処理ユニットは、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するように構成される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数、異常フィードバック経路伝達関数を含み、異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数、異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含み、前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップは、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップは、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが標準フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数の異常タイプを決定するステップを含み、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入であると決定するか、又は前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽であると決定するステップをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数が少なくとも2つを含む場合、差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を前記所定のフィードバック経路伝達関数として決定するステップを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップは、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が正常であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異常であると決定するステップを含み、下記の通り前記骨導聴覚装置の異常タイプを決定するステップをさらに含み、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確である場合、前記骨導聴覚装置の状態が着用不正確であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が構造異常であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物侵入であると決定するか、又は前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物遮蔽であると決定する。
【0015】
いくつかの実施例では、前記信号処理ユニットは、前記骨導聴覚装置の状態に基づいて、前記骨導聴覚装置のパラメータを適応的に調整するか又は注意喚起情報をユーザに送信するように構成される。
【0016】
いくつかの実施例では、前記骨導聴覚装置の状態は、正常状態、異常状態のうちの少なくとも1種を含み、異常状態は、着用不正確と、骨導聴覚装置構造異常と、異物侵入と、異物遮蔽とのうちの1つ以上を含む。
【0017】
本願の一実施例は、信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成する音声生成モジュールと、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するフィードバック信号生成モジュールと、前記フィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定し、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得し、前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するフィードバック分析モジュールと、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定する信号処理モジュールと、を含む、骨導聴覚装置の状態検出システムを提供する。
【0018】
本願の一実施例は、コンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、コンピュータは、前記記憶媒体における前記コンピュータ命令を読み取ったら、前記コンピュータが生成したテスト信号である第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、前記フィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップとを実行する。
【0019】
例示的な実施例によって本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願のいくつかの実施例に係る伝達関数検出システムの適用シナリオの概略図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得方法の例示的なフローチャートである。
図3】本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得システムの例示的なブロック図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る検出器が第1の位置に位置する場合の伝達関数検出システムの概略図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係る検出器が第2の位置に位置する場合の伝達関数検出システムの概略図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る第1のフィードバック経路伝達関数のグラフである。
図7】本願のいくつかの実施例に係る第2のフィードバック経路伝達関数のグラフである。
図8】本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数のグラフである。
図9】本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置の状態検出方法の例示的なフローチャートである。
図10】本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置の状態検出システムの例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図中の同じ番号は、同じ構造又は操作を示す。
【0022】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別する方法であることが理解されよう。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0023】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈を通して明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的に、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素のみを含むように提示し、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、また他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0024】
本願では、フローチャートを使用して本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に応じて正確に実行されるとは限らないことが理解されよう。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0025】
説明を容易にするために、以下、骨伝導スピーカー又はスピーカーを例として発音ユニットの使用及び応用過程を説明する。なお、以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではない。
【0026】
以下、一般性を失うことなく、本発明における骨伝導の関連技術を説明する場合、「骨導聴覚装置」、「骨伝導聴覚装置」、「骨伝導スピーカー」、「スピーカー装置」又は「骨伝導イヤホン」の説明を用いる。該説明は、単に骨伝導の応用の一形態にすぎず、当業者であれば、「スピーカー」又は「イヤホン」は、例えば「プレーヤ」、「補聴器」などの他の同様の単語で置き換えられてもよい。実際に、本発明における様々な実施形態は、スピーカー以外の他の聴覚装置に容易に適用することができる。例えば、当業者は、骨伝導スピーカーの基本原理を理解した上で、この原理から逸脱することなく、骨伝導スピーカーを実施する具体的な方法及びステップの形態及び詳細に様々な修正及び変更を行うことができ、特に、環境音のピックアップ及び処理機能を骨伝導スピーカーに追加することにより、該スピーカーが補聴器の機能を実現することができる。例えば、マイクロフォンなどの音響伝達器は、ユーザ/着用者の周囲環境の音声をピックアップし、特定のアルゴリズムで処理された音声(又は生成された電気信号)を骨伝導スピーカーに伝送することができる。すなわち、環境音のピックアップ機能を追加するように骨伝導スピーカーを変更し、特定の信号処理を行った後に骨伝導スピーカーにより音声をユーザ/着用者に伝達することにより、骨伝導補聴器の機能を実現するように変更してもよい。例として、ここで説明するアルゴリズムは、ノイズキャンセレーション、自動利得制御、音響フィードバック抑制、ワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的環境認識、能動的騒音防止、指向処理、耳鳴防止処理、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的ハウリング抑制、音量制御などの1種又は複数種の組み合わせを含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施例では、聴覚装置(例えば、補聴器)は、一般的にマイクロフォンとスピーカーを同時に備える。スピーカーから発した音声の一部がマイクロフォンに受信される可能性があるため、ハウリングが発生するか、又はユーザ(例えば、着用者)が該装置を使用する過程にエコーを聞くことを引き起こす。エコー又はハウリングを抑制するために、スピーカーのマイクロフォンに対する影響をできるだけ小さくする必要がある(例えば、マイクロフォンが受信した信号からスピーカーが発した音声を除去する)。一般的に、スピーカーのマイクロフォンに対する影響は、スピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数で表示することができる。いくつかの実施例では、骨伝導聴覚装置(例えば、骨伝導補聴器)において、骨伝導スピーカーが生成した音声は、同時に振動及び空気伝導の方式でマイクロフォンに影響を与える。したがって、骨伝導スピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路は、空気伝導伝達経路を含むだけでなく、振動伝達経路を含む。これら2種類の伝達経路は、骨伝導スピーカーからマイクロフォンまでの異なる伝達関数に対応する。いくつかのシナリオでは、骨伝導スピーカーが異なる伝達経路、特に振動伝達経路を介して、マイクロフォンに与える影響をより上手く評価する必要がある。振動伝達関数の測定については、一般的に加速度センサなどの追加部品を使用する必要があり、テストが複雑である。
【0028】
したがって、本願のいくつかの実施例は、骨伝導スピーカーから他の位置(例えば、ハウジングにより骨伝導スピーカーに接続されるマイクロフォンが位置する位置)までの振動伝達関数の取得方法を提供し、検出器を用いてそれぞれ第1の位置で空気伝導伝達経路と振動伝達経路により伝達された第1の音声と、第2の位置で空気伝導伝達経路のみにより伝達された第2の音声を受信することにより、振動伝達関数を算出し、該測定方法は、効率がより高く、操作しやすい。
【0029】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る伝達関数検出システムの適用シナリオの概略図である。説明を容易にするために、伝達関数検出システム100は、システム100と略称されてもよい。システム100は、検出器110、聴覚装置120、データベース130及びプロセッサ140を含んでもよい。該システム100における各アセンブリの間は、無線接続、有線接続、又はデータ送信及び/又は受信を可能にする任意の他の通信及び/又は接続及び/又はこれらの接続の任意の組み合わせで接続されてもよい。いくつかの実施例では、システム100に基づいて骨導聴覚装置の振動伝達関数の取得と骨導聴覚装置の状態検出の目的を達成することができる。
【0030】
いくつかの実施例では、有線接続は、金属ケーブル、光ケーブル、又は金属光学ハイブリッドケーブルによる接続を含むが、これらに限定されず、例えば、同軸ケーブル、通信ケーブル、フレキシブルケーブル、スパイラルケーブル、非金属シースケーブル、金属シースケーブル、多芯ケーブル、ツイストペアケーブル、リボンケーブル、シールドケーブル、電気通信ケーブル、対ケーブル、二芯平行配線、及びツイストペアを用いる。
【0031】
上述した例は、説明を容易にするためのものに過ぎず、有線接続の媒体は、他のタイプの媒体、例えば、他の電気信号又は光信号などの伝送キャリアであってもよい。無線接続は、無線通信、自由空間光通信、音声通信、及び電磁誘導などを含むが、これらに限定されない。無線通信は、IEEE302.11標準規格、IEEE302.15標準規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)技術及びジグビー技術など)、第1世代移動通信技術、第2世代移動通信技術(例えば、FDMA、TDMA、SDMA、CDMA及びSSMAなど)、汎用パケット無線サービス技術、第3世代移動通信技術(例えば、CDMA2000、WCDMA(登録商標)、TD-SCDMA及びWiMAXなど)、第4世代移動通信技術(例えば、TD-LTE及びFDD-LTEなど)、衛星通信(例えば、GPS技術など)、近距離無線通信(NFC)、及び他のISMバンド(例えば、2.4GHzなど)における他のオペレーティングを含むが、これらに限定されず、自由空間光通信は、可視光信号、赤外線信号などを含むが、これらに限定されず、音声通信は、音波信号、超音波信号などを含むが、これらに限定されず、電磁誘導は、近距離無線通信技術などを含むが、これに限定されない。上述した例は、説明を容易にするためのものに過ぎず、無線接続の媒体は、他のタイプのもの、例えば、Z-wave技術、市民向け又は軍事用の他の有料無線周波数帯などであってもよい。
【0032】
いくつかの実施例では、聴覚装置120は、一般的には空気伝導スピーカーと骨伝導スピーカーを含んでもよい。いくつかの実施例では、聴覚装置120は、骨伝導スピーカー(例えば、図4及び図5に示した骨伝導スピーカー122)とハウジング121を含んでもよい。骨伝導スピーカー122及び他の部材(例えば、マイクロフォン)は、ハウジング121内に収容することができる。骨伝導スピーカー122のマイクロフォンに対する影響を抑制するために、骨伝導スピーカー122から装置の関心のある位置(例えば、図1及び図4における123に示す位置)までの振動伝達関数を算出する必要がある。関心のある位置は、あるマイクロフォン(例えば、聴覚装置120に実際に取り付けられたマイクロフォン)の配置位置であってもよく、聴覚装置120の内部又は外部の任意の位置(例えば、聴覚装置120の骨伝導スピーカー122に剛性的又は弾性的に接続された任意の部位)であってもよいことが理解されよう。
【0033】
いくつかの実施例では、検出器110は、骨伝導スピーカー122から発した音声を受信して、該音声に基づいてフィードバック信号を生成することができる。上記フィードバック信号は、骨伝導スピーカー122の検出器110(位置した位置)に対する影響を反映することができる。例えば、該フィードバック信号は、プロセッサ140に送信され、さらにプロセッサ140により該フィードバック信号に基づいて骨伝導スピーカー122から検出器110までのフィードバック経路伝達関数を算出する。いくつかの実施例では、検出器110は、環境の音声を受信し、該音声に基づいて音声信号を生成することができる。環境の音声は、例えば、人の声、車の声、周囲の騒音等を含んでもよい。いくつかの実施例では、検出器110は、該音声信号を骨伝導スピーカー122及びプロセッサ140に送信することができ、骨伝導スピーカー122は、該音声信号に基づいて音声を生成することができる。いくつかの実施例では、検出器110は、該音声信号をプロセッサ140に送信し、さらにプロセッサ140により骨伝導スピーカー122に送信することができ、骨伝導スピーカー122は、該音声信号に基づいて音声を生成することができる。いくつかの実施例では、検出器110は、音響電気変換器、例えば、マイクロフォンを含んでもよい。例示的には、マイクロフォンは、リボンマイクロフォン、微小電気機械システム(MEMS)マイクロフォン、動的マイクロフォン、圧電マイクロフォン、コンデンサマイクロフォン、カーボンマイクロフォン、アナログマイクロフォン、デジタルマイクロフォン等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。さらに例えば、マイクロフォンは、全指向性マイクロフォン、単一指向性マイクロフォン、双指向性マイクロフォン、ハート形マイクロフォン等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、検出器110は、空気伝導マイクロフォンと骨伝導マイクロフォンを含んでもよい。説明を容易にするために、本願では、マイクロフォンを検出器110として説明する。
【0034】
プロセッサ140は、検出器110、骨伝導スピーカー122、データベース130又はシステム100の他のアセンブリから取得されたデータ及び/又は情報を処理することができる。例えば、プロセッサ140は、マイクロフォンにより骨伝導スピーカー122が発した音声をピックアップしてから生成された電気信号を処理し、これにより骨伝導スピーカー122からマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を算出することができる。いくつかの実施例では、プロセッサ140は、単一のサーバ又はサーバ群であってもよい。サーバ群は、集中型又は分散型サーバ群であってもよい。いくつかの実施例では、プロセッサ140は、ローカル又は遠隔プロセッサであってもよい。例えば、プロセッサ140は、検出器110、骨伝導スピーカー122及び/又はデータベース130から情報及び/又はデータにアクセスすることができる。さらに例えば、プロセッサ140は、検出器110、骨伝導スピーカー122及び/又はデータベース130に直接接続されて情報及び/又はデータにアクセスすることができる。
【0035】
いくつかの実施例では、プロセッサ140は、テスト信号生成ユニット141及びフィードバック経路計算ユニット142(図4及び図5に示す)を含んでもよい。テスト信号生成ユニット141は、骨伝導スピーカー122及びフィードバック経路計算ユニット142にテスト音声信号(例えば、第1のテスト音声信号)を送信することができる。骨伝導スピーカー122は、テスト音声信号に基づいて音声(例えば、第1の音声)を生成することができ、検出器110は、骨伝導スピーカー122が発した音声を受信した後に該音声に基づいてフィードバック信号(例えば、第1のフィードバック信号)を生成し、該フィードバック信号をフィードバック経路計算ユニット142に送信することができ、フィードバック経路計算ユニット142は、テスト音声信号及び検出器110から出力されたフィードバック信号に基づいてフィードバック経路伝達関数を算出することができる。いくつかの実施例では、空気伝導伝達経路及び振動伝達経路を含むフィードバック信号とそれらに対応するテスト音声信号に基づいて、フィードバック経路計算ユニット142は、対応するフィードバック経路伝達関数(すなわち、第1のフィードバック経路伝達関数)を決定することができ、空気伝導伝達経路のみを含むフィードバック信号とそれに対応するテスト音声信号に基づいて、フィードバック経路計算ユニット142は、対応するフィードバック経路伝達関数(すなわち、第2のフィードバック経路伝達関数)を決定することができる。いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、前述の決定された2つのフィードバック経路伝達関数に基づいて振動伝達関数を決定することができる。
【0036】
いくつかの実施例では、プロセッサ140は、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットをさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、プロセッサ140は、検出器110のフィードバック信号に基づいて、骨導聴覚装置の骨伝導スピーカー122から検出器110までのフィードバック経路伝達関数をリアルタイムに決定することができる。プロセッサ140は、さらに、リアルタイムに決定されたフィードバック経路伝達関数と所定の他のフィードバック経路伝達関数を比較して、骨導聴覚装置のリアルタイムな状態を決定することができる。
【0037】
データベース130に、データ、命令及び/又は任意の他の情報、例えば、上記第1のフィードバック経路伝達関数などを記憶することができる。いくつかの実施例では、データベース130に、検出器110、骨伝導スピーカー122及び/又はプロセッサ140から取得されたデータを記憶することができる。いくつかの実施例では、データベース130に、本願に説明された例示的な方法を実施するためにプロセッサ140が実行するか又は使用するデータ及び/又は命令を記憶することができる。いくつかの実施例では、データベース130は、大容量メモリ、リムーバブルメモリ、揮発性読み書きメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)等又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、データベース130は、クラウドプラットフォームで実現されてもよい。
【0038】
いくつかの実施例では、データベース130は、システム100における少なくとも1つの他のアセンブリ(例えば、プロセッサ140)と通信することができる。システム100における少なくとも1つのアセンブリは、データベース130に記憶されたデータ(例えば、第1のフィードバック経路伝達関数)にアクセスすることができる。いくつかの実施例では、データベース130は、プロセッサ140の一部であってもよい。
【0039】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得方法の例示的なフローチャートである。具体的には、方法200は、システム100(例えば、プロセッサ140)により実行されてもよい。例えば、方法200は、プログラム又は命令の形態で記憶装置(例えば、データベース130)に記憶されてもよく、システム100(例えば、プロセッサ140)が該プログラム又は命令を実行する場合、方法200を実現することができる。
【0040】
ステップ210では、テスト信号生成ユニット141により、第1のテスト音声信号及び第2のテスト音声信号を生成する。いくつかの実施例では、ステップ210は、テスト音声生成モジュール310により実行されてもよい。
【0041】
いくつかの実施例では、テスト信号生成ユニット141は、一定の特徴を有する電気信号を生成して出力することができる信号源であってもよい。例えば、第1のテスト音声信号又は第2のテスト音声信号は、ホワイトノイズ信号、ピュアトーン信号、パルス信号、狭帯域ノイズ、狭帯域ワーブルトーン、変調音及び/又はスイープ音声信号を含む。発音装置(例えば、骨伝導スピーカー122)がホワイトノイズ信号を受信する場合、発音装置は、全ての周波数で同じエネルギー密度を有するノイズ、すなわち、ホワイトノイズを生成することができる。発生装置がピュアトーン信号を受信する場合、発音装置は、単一トーンの音声、すなわち、ピュアトーンを生成することができる。発生装置がスイープ音声信号を受信する場合、発音装置は、同じ周波数帯域内で、周波数が高から低へ(又は低から高へ)連続的に変化する音声、すなわち、スイープ音声を生成することができる。
【0042】
いくつかの実施例では、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、テスト信号生成ユニット141により異なるタイミングで順に生成され、それぞれテスト対象の装置のテストに用いられる信号である。いくつかの実施例では、前後2回のテスト条件の一致性を維持するために、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、完全に同じであってもよく、すなわち、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、タイプと周波数がいずれも同じてあってもよい。例えば、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、完全に同じスイープ信号であってもよい。いくつかの実施例では、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、タイプが異なってもよい。例えば、第1のテスト音声信号は、ホワイトノイズであってもよく、第2のテスト音声信号は、ピュアトーンであってもよい。
【0043】
いくつかの代替的な実施例では、テスト対象の装置に対する第1のテスト音声信号によるテストと、第2のテスト音声信号によるテストと、を一回で同時に完了するように置き換えることができる。この場合、テスト信号生成ユニット141は、1種類のテスト音声信号のみを生成してもよく、例えば、第1のテスト音声信号又は第2のテスト音声信号のみを生成して、同様にテストの目的を達成することができ、具体的な内容は、ステップ230の関連説明を参照する。
【0044】
ステップ220では、骨伝導スピーカー122により第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号に基づいて、それぞれ第1の音声と第2の音声を生成する。
【0045】
第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、電気信号の形態で骨伝導スピーカー122に伝達されてもよく、骨伝導スピーカー122は、上記電気信号をそれぞれ第1の音声と第2の音声に変換することができる。いくつかの実施例では、骨伝導スピーカー122は、振動板とトランスデューサを含んでもよい。トランスデューサは、振動を発生させるように構成されてもよく、例えば、第1のテスト音声信号及び第2のテスト音声信号に対応する電気信号を機械的振動に変換することにより振動を発生させる。トランスデューサは、振動するように振動板を駆動することができる。単に一例として、振動板は、トランスデューサに機械的に接続され、トランスデューサと共に振動することができる。実際の使用時(例えば、ユーザが聴覚装置120を着用する場合)、振動板は、ユーザの皮膚に接触し、人体組織及び骨格を介して振動を聴覚神経に伝達することができ、それによりユーザに音声を聞かせる。
【0046】
いくつかの実施例では、骨伝導スピーカー122は、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号に基づいて、順に第1の音声と第2の音声を生成することができる。例えば、先に第1の音声を生成し、マイクロフォンが第1の音声を受信し、第1のフィードバック信号を出力してから第2の音声を生成してもよい。又は、先に第2の音声を生成し、マイクロフォンが第2の音声を受信し、第2のフィードバック信号を出力してから第1の音声を生成してもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、第1の音声と第2の音声は、同一の骨伝導スピーカー122により同一の聴覚装置120の同一の位置で順に生成されてもよい。この場合、マイクロフォンの位置を変更すれば、該骨伝導スピーカー122が発した音声の異なる位置に対する影響を取得することができ、それにより異なる音響経路に対応する伝達関数を取得する。他のいくつかの実施例では、骨伝導スピーカー122は、構造及び材質が同じである2つの骨伝導スピーカー122を含んでもよく、2つの骨伝導スピーカー122は、それぞれ第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号に基づいて、順に第1の音声と第2の音声を生成する。
【0048】
ステップ230では、少なくとも1つの検出器によりそれぞれ第1の位置で第1の音声を受信した後に第1のフィードバック信号を出力し、第2の位置で第2の音声を受信した後に第2のフィードバック信号を出力する。
【0049】
少なくとも1つの検出器は、それぞれ第1の音声と第2の音声を受信し、第1の音声と第2の音声に基づいて第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号を生成し、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号をフィードバック経路テスト装置(例えば、フィードバック経路計算ユニット142)に送信することができる。
【0050】
説明を容易にするために、以下、少なくとも1つの検出器が気導マイクロフォン(例えば、図4及び図5に示すマイクロフォン)を含むことを例として説明する。マイクロフォンは、上記第1の位置で骨伝導スピーカー122が第1種の方式で伝達した第1の音声を受信することができる。例えば、骨伝導スピーカー122は、聴覚装置120に固定されてもよく(すなわち、骨伝導スピーカー122と聴覚装置120は、剛性的又は弾性的に接続される)、上記第1の位置は、聴覚装置120(例えば、図1又は図4におけるハウジング121)に当接する他の位置であってもよい。マイクロフォンが上記第1の位置に位置する場合、マイクロフォンと聴覚装置120は、剛性的又は弾性的に接続される。骨伝導スピーカー122の発音原理から分かるように、骨伝導スピーカー122が第1の音声を生成する場合、振動するように聴覚装置120(のハウジング)を駆動し、聴覚装置120の振動は、聴覚装置120に当接するマイクロフォンに伝達される。例えば、図4に示すように、第1の位置は、聴覚装置120のハウジング121に密着されたある位置であってもよい。ハウジング121の振動方向がマイクロフォンの振動膜の振動方向と平行である場合、ハウジング121が振動すると同時にマイクロフォンの振動膜を振動させる。同時に、骨伝導スピーカー122が第1の音声を生成する時に周囲の空気を振動させ、空気の振動は、空気伝導の方式でマイクロフォンに伝達される。したがって、第1の音声は、同時に振動伝導と空気伝導の方式でマイクロフォンに伝達される。つまり、上記第1種の方式は、振動伝導と空気伝導を含む。
【0051】
いくつかの実施例では、マイクロフォンは、上記2種類の伝達経路により伝達された第1の音声に基づいて第1のフィードバック信号を生成することができ、マイクロフォンは、さらに第1のフィードバック信号をフィードバック経路計算ユニット142に送信するか、及び/又は記憶装置(例えば、データベース130)に記憶することができる。
【0052】
同様に、マイクロフォンは、上記第2の位置で骨伝導スピーカー122が第2種の方式で伝達した第2の音声を受信することができる。例えば、第2の位置は、聴覚装置120(のハウジング121)に接触しないが、上記第1の位置に接近してもよい。マイクロフォンが上記第2の位置に位置する場合、マイクロフォンが聴覚装置120に対してサスペンションして設置されると考えることができる。好ましくは、上記第2の位置は、聴覚装置120の(ハウジングの)内部又は外部に位置してもよく、マイクロフォンが該位置で聴覚装置120に剛性的又は弾性的に接続されなければよい。例えば、図5において、マイクロフォンが第2の位置に位置する場合にハウジング121と接触しないため、マイクロフォンの振動膜は、空気により伝達された音声のみを受信し、ハウジング121の振動による影響を受けることはない。したがって、第2の音声は、空気伝導の方式のみでマイクロフォンに伝達される。つまり、上記第2種の方式は、空気伝導のみを含む。いくつかの実施例では、マイクロフォンは、空気伝導伝達経路により伝達された第2の音声に基づいて第2のフィードバック信号を生成することができ、マイクロフォンは、さらに第2のフィードバック信号をフィードバック経路計算ユニット142に送信するか、及び/又は記憶装置(例えば、データベース130)に記憶することができる。第2の位置と第1の位置との間の距離が小さい(例えば、1mm、5mm、1cm、5cmより小さい)場合、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの空気伝導経路と骨伝導スピーカー122から第2の位置までの空気伝導経路が実質的に同じであると考えることができることが理解されよう。
【0053】
いくつかの代替的な実施例では、マイクロフォンが第1の位置に位置し、ハウジング121の振動方向がマイクロフォンの振動膜の振動方向に垂直である場合、ハウジング121の振動は、マイクロフォンの振動部材(例えば、振動膜)の振動を引き起こすことがない。この場合、マイクロフォンが第1の位置に位置する場合に依然として空気により伝達された音声のみを受信すると考えることができる。したがって、上記マイクロフォンがハウジング121から離れた第2の位置で第2の音声を受信する過程を、マイクロフォンが第1の位置に位置する場合に振動膜の振動方向がハウジング121の振動方向に垂直であるように、マイクロフォンの向きを調整することに置き換えることができる。振動膜がハウジング121の振動による影響を受けないため、マイクロフォンがハウジング121に密着されても、それが受信した第2の音声は、空気伝導のみにより伝達される。したがって、マイクロフォンの振動膜の振動方向がハウジング121の振動方向に垂直である場合、フィードバック経路伝達関数を計算する場合に空気伝導フィードバック経路伝達関数のみを考慮すればよい。骨伝導スピーカー122がそれぞれ第1の音声と第2の音声を生成する場合、第1の位置で、マイクロフォンの振動膜の振動方向をそれぞれハウジング121の振動方向と平行であるか又は垂直であるように設定するだけでよく、マイクロフォンは、受信された第1の音声と第2の音声に基づいて、それぞれ第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号を出力することができることが理解されよう。
【0054】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの検出器(例えば、気導マイクロフォン又はマイクロフォン)は、構造及び材質が同じである第1の検出器(例えば、第1の気導マイクロフォン)と第2の検出器(例えば、第2の気導マイクロフォン)を含んでもよい。いくつかの実施例では、少なくとも1つの検出器(例えば、気導マイクロフォン又はマイクロフォン)は、さらに構造及び材質が異なる第1の検出器(例えば、シリコンマイクロホン)と第2の検出器(例えば、エレクトレットマイクロフォン)を含んでもよい。いくつかの実施例では、マイクロフォンは、気導マイクロフォン又は骨導マイクロフォンであってもよい。理解を容易にするために、本願では、マイクロフォンは、気導マイクロフォンであってもよい。それぞれ上記第1の音声と第2の音声を受信する場合、第1の検出器と第2の検出器は、それぞれ第1の位置と第2の位置に位置してもよく、第1の音声と第2の音声を受信する。前述した実施例と同様に、第1の検出器は、第1の音声を受信してから第1のフィードバック信号を出力することができ、第2の検出器は、第2の音声を受信してから第2のフィードバック信号を出力することができる。
【0055】
他のいくつかの実施例では、第1の検出器と第2の検出器をそれぞれ同時に第1の位置と第2の位置に配置することができ、第1の検出器と第2の検出器は、同一の音声を同時に受信することができる。例えば、骨伝導スピーカー122は、1つのみのテスト音声信号(例えば、第1のテスト音声信号)に基づいて第1の音声を生成し、第1の検出器と第2の検出器は、それぞれ第1の位置と第2の位置に位置し、第1の音声を同時に受信する。本実施例では、第1の検出器と第2の検出器は、同一の音声を受信したが、第1の検出器が受信した第1の音声の伝達経路が空気伝導伝達経路と振動伝達経路を含み、第2の検出器が受信した第1の音声が空気伝導伝達経路のみを含むため、第1の検出器と第2の検出器が出力したフィードバック信号が異なり、便宜上、第1の検出器が出力したフィードバック信号を第1のフィードバック信号と称してもよく、第2の検出器が出力したフィードバック信号を第2のフィードバック信号と称してもよく、前述した実施例と同様に、同一の検出器がそれぞれ第1の位置と第2の位置に位置して出力した第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号との差異が小さい場合、実質的に同じであると考えることができる。
【0056】
ステップ240では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声信号、第2のテスト音声信号、第1のフィードバック信号及び第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定する。いくつかの実施例では、ステップ240は、処理モジュール320により実行されてもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、マイクロフォンが出力した第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号を受信した後、フィードバック経路計算ユニット142は、フィードバック経路伝達関数の測定原理により、第1のテスト音声信号、第2のテスト音声信号、第1のフィードバック信号及び第2のフィードバック信号に基づいて、フィードバック経路伝達関数を算出することができる。いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、テスト信号生成ユニット141から第1のテスト音声信号を取得することができる。いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声信号と第1のフィードバック信号を受信した後、第1のテスト音声信号と第1のフィードバック信号に基づいて、第1の音声が骨伝導スピーカー122から第1の位置まで伝達される第1のフィードバック経路伝達関数を計算することができる。例えば、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声信号と第1のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1のテスト音声変換信号と第1のフィードバック変換信号を得ることができる。いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、Z変換を用いて第1のテスト音声信号と第1のフィードバック変換信号に対して変換処理を行うことができる。例えば、骨伝導スピーカー122が入力した第1のテスト音声信号に対してZ変換を行ってから第1のテスト音声変換信号を得て、気導マイクロフォンが出力した第1のフィードバック信号に対してZ変換を行ってから第1のフィードバック変換信号を得る。他のいくつかの実施例では、アルゴリズム変換は、フーリエ変換、ラプラス変換又は線形予測エンコーダ等の音声モデル求解法等をさらに含んでもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、伝達関数の測定方法は、相互相関法、適応推定法等を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、伝達関数の測定方法について、音声信号と電気信号に対してアルゴリズム変換を行って変換後の信号を得て、さらに変換後の信号に基づいて、伝達関数を算出してもよく、具体的な内容は、式(1)-式(5)の計算方法を参照する。
【0059】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト変換信号及び第1のフィードバック変換信号に基づいて、式(1)により第1のフィードバック経路伝達関数を得ることができる。
【0060】
【数1】
【0061】
ここで、Y(z)は、第1のテスト音声変換信号であり、X(z)は、第1のフィードバック変換信号であり、F(z)は、第1のフィードバック経路伝達関数である。前述したように、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)は、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの空気伝導伝達経路と振動伝達経路の影響を含む。
【0062】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、テスト信号生成ユニット141から第2のテスト音声信号を取得することができる。いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第2のテスト音声信号と第2のフィードバック信号を受信した後、第2のテスト音声信号と第2のフィードバック信号に基づいて、第2の音声が骨伝導スピーカー122から第2の位置まで伝達される第2のフィードバック経路伝達関数を計算することができる。例えば、フィードバック経路計算ユニット142は、第2のテスト音声信号と第2のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第2のテスト音声変換信号と第2のフィードバック変換信号を得ることができる。いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、Z変換を用いて第2のテスト音声信号と第2のフィードバック信号に対して変換処理を行うことができる。例えば、骨伝導スピーカー122が入力した第2のテスト音声信号に対してZ変換を行ってから第2のテスト音声変換信号を得て、マイクロフォンが出力した第2のフィードバック信号に対してZ変換を行ってから第2のフィードバック変換信号を得る。
【0063】
同様に、説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第2のテスト音声変換信号及び第2のフィードバック変換信号に基づいて、式(2)により第2のフィードバック経路伝達関数を得ることができる。
【0064】
【数2】
【0065】
ここで、Y(z)は、第2のテスト音声変換信号であり、X(z)は、第2のフィードバック変換信号であり、F(z)は、第2のフィードバック経路伝達関数である。前述したように、第2のフィードバック経路伝達関数F(z)は、骨伝導スピーカー122から第2の位置(又は、第1の位置)までの空気伝導伝達経路の影響のみを含む。
【0066】
上記式(1)と式(2)による計算により、フィードバック経路計算ユニット142は、空気伝導伝達経路と振動伝達経路により伝達された第1の音声に対応する第1のフィードバック経路伝達関数と、空気伝導伝達経路により伝達された第2の音声に対応する第2のフィードバック経路伝達関数と、を決定することができ、さらに後続の計算により、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することができる。
【0067】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)と第2のフィードバック経路伝達関数F(z)に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することができる。
【0068】
具体的には、マイクロフォンが第1の位置で受信した第1の音声の第1の伝達経路が空気伝導伝達経路と振動伝達経路を含み、マイクロフォンが第2の位置で受信した第2の音声の第2の伝達経路が空気伝導伝達経路のみを含むため、気導マイクロフォンの2回の出力信号(すなわち、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号)は、異なる。
【0069】
説明の目的のために、空気伝導経路と振動伝達経路を含む第1のフィードバック経路伝達関数は、以下のように表すことができる。
【0070】
【数3】
【0071】
ここで、A(z)は、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの空気伝導フィードバック経路伝達関数であり、B(z)は、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数である。
【0072】
図6は、式(3)により決定された第1のフィードバック経路伝達関数F(z)のグラフを示す。
【0073】
いくつかの実施例では、第2の位置と第1の位置との間の距離が極め小さいことを考慮すると、骨伝導スピーカー122から第2の位置までの空気伝導経路が骨伝導スピーカー122から第1の位置までの空気伝導経路と実質的に同じであるとみなすことができる。したがって、空気伝導経路のみを含む第2のフィードバック経路伝達関数は、以下のように表すことができる。
【0074】
【数4】
【0075】
ここで、A(z)は、骨伝導スピーカー122から第2の位置までの空気伝導フィードバック経路伝達関数であり、それは、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの空気伝導フィードバック経路伝達関数A(z)と同じであるか又は実質的に同じである。図7は、式(2)により決定された第2のフィードバック経路関数F(z)のグラフを示す。前述したように、第2のフィードバック経路伝達関数F(z)は、骨伝導スピーカー122から第2の位置(又は、第1の位置)までの空気伝導伝達経路の影響のみを含む。
【0076】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)と第2のフィードバック経路伝達関数F(z)に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することができる。具体的には、第2のフィードバック経路伝達関数F(z)が空気伝導フィードバック経路伝達関数A(z)のみを含むが、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)が空気伝導フィードバック経路伝達関数A(z)と振動伝達関数B(z)を含むため、フィードバック経路計算ユニット142は、式(3)から式(4)を減算して、振動伝達関数B(z)を算出することができる。
【0077】
【数5】
【0078】
図6は、空気伝導経路と振動伝達経路を含む第1のフィードバック経路伝達関数のグラフである。図6におけるグラフは、対応する周波数で、第1の位置で受信された第1の音声が同時に空気伝導フィードバック経路と振動伝達経路を有する状況を示す。分かるように、1000Hz付近の範囲内(例えば、600Hz-1000Hz)で、骨伝導スピーカーが同時に空気伝導フィードバック経路と振動伝達経路を介して第1の位置に与える影響は、他の周波数範囲に対してディップが現れ(すなわち、ここで影響が小さいと理解することができる)、300Hz-400Hz及び2000Hz-3000Hzの範囲内で、骨伝導スピーカーが同時に空気伝導フィードバック経路と振動伝達経路を介して第1の位置に与える影響は、他の周波数範囲に対してピークが現れる(すなわち、ここで影響が大きいと理解することができる)。
【0079】
図7は、空気伝導経路のみを含む第2のフィードバック経路伝達関数のグラフである。図7におけるグラフは、対応する周波数で、第2の位置で受信された第2の音声が空気伝導フィードバック経路のみを有する状況を示す。周波数が0Hz-1000Hzの範囲内にある場合、骨伝導スピーカーが空気伝導フィードバック経路を介して第2の位置に与える影響は、小さく、周波数が1000Hz-3000Hzの範囲内にある場合、骨伝導スピーカーが空気伝導フィードバック経路を介して第2の位置に与える影響は、大きい。いくつかの実施例では、図6における第1のフィードバック経路伝達関数から図7における第2のフィードバック経路伝達関数を減算すると、図8に示すグラフを得ることができる。図8から分かるように、振動伝達経路は、周波数が0Hz-1000Hzの部分に対する影響が大きく、周波数が1000Hz以上の部分に対する影響が小さい。図6図7及び図8を合わせて分かるように、骨伝導スピーカーが振動伝達経路を介して第1の位置に与える影響は、主に低い(例えば、1000Hzより低い)周波数範囲に集中し、骨伝導スピーカーが空気伝導伝達経路を介して第1の位置(又は、第2の位置)に与える影響は、主に高い(例えば、1000Hzより高い)周波数範囲に集中する。
【0080】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動フィードバック信号を決定することができる。
【0081】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号に基づいて、式(6)により振動フィードバック信号を得ることができる。
【0082】
【数6】
【0083】
ここで、Xは、第1のフィードバック信号であり、Xは、第2のフィードバック信号であり、Xは、振動フィードバック信号である。
【0084】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声信号、第2のテスト音声信号及び振動フィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することができる。
【0085】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声信号、第2のテスト音声信号及び振動フィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1のテスト音声変換信号、第2のテスト音声変換信号及び振動フィードバック変換信号を得ることができる。例えば、第1のテスト音声信号Yに対してZアルゴリズム変換を行って第1のテスト音声変換信号Y(z)を得て、第2のテスト音声信号Yに対してZアルゴリズム変換を行って第2のテスト音声変換信号Y(z)を得て、第2のテスト音声信号Xに対してZアルゴリズム変換を行って第2のテスト音声変換信号X(z)を得る。
【0086】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声変換信号、第2のテスト音声変換信号及び振動フィードバック変換信号に基づいて、発音ユニットから上記第1の位置までの第1のフィードバック経路伝達関数を決定することができる。具体的には、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声変換信号と第2のテスト音声変換信号の平均値又は加重平均値を求めて、テスト音声平均値変換信号を得ることができる。
【0087】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のテスト音声変換信号と第2のテスト音声変換信号に基づいて、式(7)によりテスト音声平均値変換信号を得ることができる。
【0088】
【数7】
【0089】
ここで、Y(z)は、第1のテスト音声変換信号であり、Y(z)は、第2のテスト音声変換信号であり、Y(z)は、テスト音声平均値変換信号である。
【0090】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、テスト音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を得ることができる。
【0091】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、テスト音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号に基づいて、式(8)により骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を得ることができる。
【0092】
【数8】
【0093】
ここで、Y(z)は、テスト音声平均値変換信号であり、X(z)は、振動フィードバック変換信号であり、B(z)は、振動伝達関数である。
【0094】
いくつかの実施例では、フィードバック経路計算ユニット142は、さらに第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号の平均値、加重平均値を求めて、テスト音声平均値信号を得ることができる。テスト音声平均値信号と振動フィードバック信号に対してアルゴリズム変換を行って、テスト音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号を得る。次にテスト音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を得る。
【0095】
以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではないことに注意されたい。当業者であれば、本願の内容の指導の下で、様々な変更及び修正を行うことができる。本願に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、他の例示的な実施例及び/又は代替的な実施例を得ることができる。例えば、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の計算ユニットと第2の計算ユニットを含んでもよく、第1の計算ユニットは、第1のフィードバック経路の第1のフィードバック経路伝達関数を計算することができ、第2の計算ユニットは、第2のフィードバック経路伝達関数を計算することができる。しかしながら、これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱しない。
【0096】
図3は、本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得システムの例示的なブロック図である。振動伝達関数取得システム300は、システム300と略称されてもよい。図3に示すように、該システム300は、テスト音声生成モジュール310と処理モジュール320を含んでもよい。いくつかの実施例では、該システム300は、図1に示すシステム100(例えば、プロセッサ140)により実現されてもよい。
【0097】
テスト音声生成モジュール310は、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号を生成することができる。いくつかの実施例では、第1のテスト音声信号又は第2のテスト音声信号は、ホワイトノイズ信号、ピュアトーン信号、パルス信号、狭帯域ノイズ、狭帯域ワーブルトーン、変調音及び/又はスイープ音声信号のうちの少なくとも1種を含んでもよい。いくつかの実施例では、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、タイプ及び周波数が同じであり、例えば、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、同一の周波数のピュアトーン信号であってもよい。いくつかの実施例では、第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号は、タイプが異なってもよい。例えば、第1のテスト音声信号は、ホワイトノイズであってもよく、第2のテスト音声信号は、ピュアトーンであってもよい。いくつかの実施例では、テスト音声生成モジュール310は、1種類のテスト音声信号のみを生成してもよく、例えば、第1のテスト音声信号又は第2のテスト音声信号のみを生成して、同様に振動伝達関数を取得するという目的を達成することができ、具体的な内容は、ステップ230の関連説明を参照する。
【0098】
処理モジュール320は、第1のテスト音声信号、第2のテスト音声信号、第1のフィードバック信号及び第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することができ、第1のフィードバック信号は、骨伝導スピーカー122から振動伝達経路及び空気伝導伝達経路を介して第1の位置に伝達された信号を反映し、第2のフィードバック信号は、骨伝導スピーカー122から空気伝導伝達経路を介して第2の位置に伝達された信号を反映する。第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号は、少なくとも1つのマイクロフォンにより、それぞれ第1の位置で第1の音声を受信してから出力されてもよく、第2の位置で第2の音声を受信してから出力されてもよい。第1の音声と第2の音声は、骨伝導スピーカー122により、それぞれ第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号に基づいて生成されてもよい。第1のテスト音声信号と第2のテスト音声信号に基づいて、第1の音声と第2の音声を生成することに関するより多くの内容ついて、ステップ220の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0099】
いくつかの実施例では、処理モジュール320は、第1のテスト音声信号を受信してから、第1のテスト音声信号と第1のフィードバック信号に基づいて第1の音声が骨導スピーカー122から第1の位置まで伝達される第1のフィードバック経路伝達関数を計算することができる。第1のフィードバック経路伝達関数の計算に関するより多くの内容について、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0100】
いくつかの実施例では、処理モジュール320は、さらに第2のテスト音声信号と第2のフィードバック信号に基づいて、第2の音声が骨導スピーカー122から第2の位置まで伝達される第2のフィードバック経路伝達関数を計算することができる。第2のフィードバック経路伝達関数の計算に関するより多くの内容について、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0101】
いくつかの実施例では、処理モジュール320は、第1のフィードバック経路伝達関数と第2のフィードバック経路伝達関数に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することができる。骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することに関するより多くの内容について、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0102】
いくつかの実施例では、処理モジュール320は、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動フィードバック信号を決定することができる。いくつかの実施例では、処理モジュール320は、さらに第1のテスト音声信号、第2のテスト音声信号及び振動フィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することができる。骨伝導スピーカー122から第1の位置までの振動伝達関数を決定することに関するより多くの内容について、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0103】
以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではないことに注意されたい。当業者であれば、本願の内容の指導の下で、様々な変更及び修正を行うことができる。本願に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、他の例示的な実施例及び/又は代替的な実施例を得ることができる。例えば、処理モジュール320は、第1の処理モジュールと第2の処理モジュールを含んでもよく、第1の処理モジュールは、第1のフィードバック経路の第1のフィードバック経路伝達関数を計算することができ、第2の処理モジュールは、第2のフィードバック経路伝達関数を計算することができる。しかしながら、これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱しない。
【0104】
本願の他のいくつかの実施例では、少なくとも1つのプロセッサ140と少なくとも1つのデータベース130を含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、少なくとも1つのデータベース130は、コンピュータ命令を記憶し、少なくとも1つのプロセッサ140は、コンピュータ命令のうちの少なくとも一部の命令を実行して以上のような方法200を実現する。
【0105】
本願の他のいくつかの実施例では、さらに骨導聴覚装置の状態検出方法を提供する。図9は、本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置の状態検出方法の例示的なフローチャートである。上記骨導聴覚装置は、少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含んでもよい。いくつかの実施例では、本実施例におけるマイクロフォンは、骨導マイクロフォン、気導マイクロフォン等を含んでもよく、上記マイクロフォンは、いずれも本願の他の実施例に開示された検出器であり、例えば、図4及び図5に示すマイクロフォンであってもよい。本実施例におけるスピーカーは、骨伝導スピーカーであり、前述した実施例における骨伝導スピーカー122と同じであってもよく、異なってもよいが、いずれも電気信号を振動信号に変換することができる。上記マイクロフォンと骨伝導スピーカーは、それぞれ骨導聴覚装置の異なる位置に取り付けられる。例えば、上記マイクロフォンとスピーカーは、それぞれ骨導聴覚装置のハウジングの異なる位置に固定される。いくつかの実施例では、フィードバック分析ユニットと信号処理ユニットは、2つの独立した装置であってもよく、1つの装置における2種類の異なる機能を実現する部材であってもよい。例えば、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットは、組み合わせて状態検出装置を形成することができる。状態検出装置は、上記マイクロフォン、スピーカーと組み合わせて一体装置を形成してもよく、上記マイクロフォン、スピーカーと独立して設置された装置であってもよいことが理解されよう。上記2種類の設置方式を区別するために、以下、2つの適用シナリオで説明する。例えば、状態検出装置が上記マイクロフォン、スピーカーと組み合わせて一体装置を形成する場合、該骨導聴覚装置は、使用前又は使用中に状態の自己検出を実現し、正常状態又は異常状態にあるか否かを検出することができ、異常状態は、着用不正確、骨導聴覚装置構造異常、異物侵入、異物遮蔽のうちの1つ以上を含む。さらに例えば、状態検出装置が上記マイクロフォン、スピーカーと独立して設置される場合、該骨導聴覚装置は、使用前又は使用中に検出装置と通信するか及び/又は接続して該骨導聴覚装置の状態を検出して、該骨導聴覚装置が正常状態又は異常状態にあるか否かを検出することができ、異常状態は、着用不正確、骨導聴覚装置構造異常、異物侵入、異物遮蔽のうちの1つ以上を含む。
【0106】
骨導聴覚装置の状態検出方法は、以下のステップ910~960を含んでもよい。
【0107】
ステップ910では、スピーカーにより、第1の信号に基づいて第3の音声を生成する。いくつかの実施例では、上記第1の信号は、上記第1のテスト音声信号又は第2のテスト音声信号と同様であってもよく、ここでは説明を省略する。いくつかの実施例では、ステップ910は、音声生成モジュール1010により実行されてもよい。
【0108】
いくつかの実施例では、信号処理ユニットにより第1の信号(すなわち、テスト音声信号)を生成してもよく、該第1の信号は、スピーカーに伝達されてもよく、スピーカーは、第1の信号を第3の音声に変換することができる。
【0109】
ステップ920では、マイクロフォンにより、第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成する。いくつかの実施例では、ステップ920は、フィードバック信号生成モジュール1020により実行されてもよい。
【0110】
スピーカーが生成した音声は、マイクロフォンにより受信され、対応するフィードバック情報を生成する。いくつかの実施例では、マイクロフォンは、第3の音声を受信してから、第3の音声に基づいてフィードバック信号を生成し、フィードバック信号をフィードバック分析ユニットに送信することができる。いくつかの実施例では、マイクロフォンは、前述した実施例における第1のフィードバック信号の生成方式に類似するか又は同様の方式でフィードバック信号を生成してもよい。
【0111】
ステップ930では、フィードバック分析ユニットにより、マイクロフォンのフィードバック信号と第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定する。ステップ930は、フィードバック分析モジュール1030により実行されてもよい。
【0112】
いくつかの実施例では、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数の決定方法は、図2における第1のフィードバック経路伝達関数F(z)及び/又は第2のフィードバック経路伝達関数F(z)の決定方法と同じであってもよい。説明の目的のために、式(9)により骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数F(z)を決定することができる。
【0113】
【数9】
【0114】
ここで、Y(z)は、骨導聴覚装置が入力した第1の信号に対してZ変換を行って得られた第1の変換信号を示し、X(z)は、マイクロフォンが出力したフィードバック信号に対してZ変換を行って得られたフィードバック変換信号を示す。
【0115】
第1の信号とフィードバック信号に対してZ変換を行うことで、第1の変換信号Y(z)とフィードバック変換信号X(z)をそれぞれ得ることができる。したがって、式(9)により骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定することができる。
【0116】
ステップ940では、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得する。ステップ940は、フィードバック分析モジュール1030により実行されてもよい。
【0117】
所定のフィードバック経路伝達関数は、所定のフィードバック経路伝達関数又は記憶装置(例えば、データベース130)に予め記憶されたフィードバック経路伝達関数であると理解される。いくつかの実施例では、所定のフィードバック経路伝達関数は、本願の他の実施例(例えば、ステップ240)に開示された方法で決定されたフィードバック経路伝達関数、例えば、第1のフィードバック経路伝達関数を含んでもよい。いくつかの実施例では、所定のフィードバック経路伝達関数は、また操作者が経験に基づいて手動で設定したフィードバック経路伝達関数であってもよい。いくつかの実施例では、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数又は異常フィードバック経路伝達関数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。標準フィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が正常状態にある場合に対応するフィードバック経路伝達関数であってもよい。例えば、標準フィードバック経路伝達関数は、該骨導聴覚装置が広範囲の人々に着用される場合のフィードバック経路特徴関数を反映することができ、ある特定のユーザが正常に着用し、正常に使用する場合の個別化フィードバック経路特徴関数であってもよい。異常フィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が異常状態にある場合に対応するフィードバック経路伝達関数であってもよい。異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数、異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施例では、異常フィードバック経路は、発生の可能性のある複数種の異常フィードバック状況を含んでもよい。いくつかの実施例では、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が異なる状態にある場合にスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を含んでもよい。上記骨導聴覚装置の異なる着用状態は、ユーザに着用されている場合の状態(この場合、骨導聴覚装置のスピーカー又はハウジングは、ユーザの顔に貼り付けられる)と、ユーザに着用されていない場合の状態(この場合、骨導聴覚装置のスピーカー又はハウジングは、ユーザの顔に貼り付けられない)と、を含んでもよい。それに応じて、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置がユーザに着用されている場合のフィードバック経路伝達関数(「第1の所定のフィードバック経路伝達関数」と称してもよい)と、ユーザに着用されていない場合のフィードバック経路伝達関数(「第2の所定のフィードバック経路伝達関数」と称してもよい)と、を含んでもよい。
【0118】
ステップ950では、フィードバック経路伝達関数と少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較する。ステップ950は、フィードバック分析モジュール1030により実行されてもよい。
【0119】
いくつかの実施例では、ステップ930で決定されたフィードバック経路伝達関数と所定のフィードバック経路伝達関数とを比較して、骨導聴覚装置の状態を決定してもよい。いくつかの実施例では、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの標準フィードバック関数との差が所定の閾値範囲内にあるか否かを決定してもよく、そうれあれば、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定し、そうでなければ、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定する。他のいくつかの実施例では、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの標準フィードバック関数との比が所定の閾値範囲内にあるか否かを決定してもよく、そうであれば、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定し、そうでなければ、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定する。いくつかの実施例では、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの異常フィードバック関数との差が所定の閾値範囲内にあるか否かを決定してもよく、そうであれば、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定し、そうでなければ、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定する。他のいくつかの実施例では、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの異常フィードバック関数との比が所定の閾値範囲内にあるか否かを決定してもよく、そうであれば、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定し、そうでなければ、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定する。いくつかの実施例では、上記所定の閾値範囲は、人為的に設定されてもよく、異なる状況に応じて調整可能であり、本願は、これを限定しない。
【0120】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数が少なくとも2つを含む場合、フィードバック経路伝達関数との差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を所定のフィードバック経路伝達関数として決定する。例えば、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、第1の所定のフィードバック経路伝達関数と第2の所定のフィードバック経路伝達関数を含み、第1の所定のフィードバック経路伝達関数とフィードバック経路伝達関数との差が第2の所定のフィードバック経路伝達関数とフィードバック経路伝達関数との差より大きい場合、第2の所定のフィードバック経路伝達関数を所定のフィードバック経路伝達関数として決定する。
【0121】
ステップ960では、信号処理ユニットにより、比較結果に基づいて、骨導聴覚装置の状態を決定する。ステップ960は、信号処理モジュール1040により実行されてもよい。
【0122】
いくつかの実施例では、比較結果は、フィードバック経路伝達関数が正常であるか又は異常であることを含んでもよい。いくつかの実施例では、フィードバック経路伝達関数が正常である場合、骨導聴覚装置の状態が正常であると決定し、フィードバック経路伝達関数が異常であれば、骨導聴覚装置の状態が異常であると決定する。いくつかの実施例では、骨導聴覚装置の状態は、正常状態、異常状態を含んでもよく、異常状態は、着用不正確、骨導聴覚装置構造異常、異物侵入、異物遮蔽のうちの1つ以上を含んでもよい。着用状態は、骨導聴覚装置が着用者の身体に着用されていると理解されてもよく、非着用状態は、骨導聴覚装置が着用者の身体に着用されていないと理解されてもよく、構造正常状態は、骨導聴覚装置の構造及び/又はアセンブリが正常な動作状態にあり、骨導聴覚装置を正常に使用することができることを指してもよく、構造異常状態は、構造正常状態と逆であり、骨導聴覚装置の構造及び/又はアセンブリが正常な動作状態にないことを示し(例えば、衝突による骨導聴覚装置におけるアセンブリの位置ずれ、移動、破損)、異物侵入状態は、骨導聴覚装置の構造及び/又はアセンブリ以外の他の物体が骨導聴覚装置の内部に入ることを指してもよい。いくつかの実施例では、構造正常状態を正常状態に分類することができ、構造異常状態、異物侵入状態を異常状態に分類することができる。他のいくつかの実施例では、比較結果は、骨導聴音装置の着用状態、例えば、着用状態、非着用状態を反映することができる。
【0123】
いくつかの実施例では、図2における方法で正常状態(例えば、構造正常状態)と異常状態(例えば、異物侵入状態)で骨導聴覚装置のフィードバック経路伝達関数をそれぞれ決定し、それらを所定のフィードバック経路伝達関数としてデータベース130に記憶することができる。いくつかの実施例では、所定のフィードバック経路伝達関数のうちの異常状態(例えば、異物侵入状態)での骨導聴覚装置に対応するフィードバック経路伝達関数を異常フィードバック経路伝達関数としてもよく、正常状態(例えば、構造正常状態)での骨導聴覚装置に対応するフィードバック経路伝達関数を標準フィードバック経路伝達関数としてもよい。いくつかの実施例では、データベース130に複数の所定のフィードバック経路伝達関数を記憶することができ、各所定のフィードバック経路伝達関数は、いずれも骨導聴覚装置の状態(正常状態、異常状態)に対応する。ステップ950と960によれば、現在の骨導聴覚装置のフィードバック経路伝達関数とデータベース130における所定のフィードバック経路伝達関数とを比較することで、データベース130における現在の骨導聴覚装置のフィードバック経路伝達関数に最も近い所定のフィードバック経路伝達関数にマッチングすることができ、マッチングされる上記所定のフィードバック経路伝達関数に対応する骨導聴覚装置の状態は、該骨導聴覚装置の現在の状態である。したがって、以上に説明された過程に基づいて、骨導聴覚装置の現在の状態をリアルタイムに決定することができる。
【0124】
いくつかの実施例では、比較結果は、所定のフィードバック経路伝達関数の異なる分類を識別することを含んでもよく、さらに骨導聴覚装置の異なる状態を決定することができる。いくつかの実施例では、所定のフィードバック経路伝達関数のタイプは、標準フィードバック経路伝達関数及び異常フィードバック経路伝達関数を含んでもよく、異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数及び異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含む。フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、上記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定することができ、さらに骨導聴覚装置の異なる状態を決定する。例えば、取得された所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが、密着することに対応すると決定すれば(すなわち、骨導聴覚装置がユーザに密着する)、フィードバック経路伝達関数のタイプも、密着することに対応し、それに応じて、骨導聴覚装置がユーザに密着することを反映することができる。さらに例えば、取得された所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが、密着しないことに対応すると決定すれば、フィードバック経路伝達関数のタイプも、密着しないことに対応し、それに応じて、骨導聴覚装置がユーザに密着しないことを反映することができる。さらに例えば、異なる所定のフィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が着用される異なる頭部部位に対応する。取得された所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが頭部のある部位(例えば、乳様突起、側頭骨又は前額部)に着用されることに対応すると決定すれば、フィードバック経路伝達関数のタイプも該頭部部位に対応し、それに応じて、ユーザが骨導聴覚装置を着用する頭部の位置(例えば、乳様突起、側頭骨又は前額部)を反映することができる。
【0125】
いくつかの実施例では、骨導聴覚装置の状態を決定した後、信号処理モジュール1040は、上記状態に対して、骨導聴覚装置のパラメータを適応的に調整することができる。いくつかの実施例では、骨導聴覚装置の状態を決定した後、信号処理モジュール1040は、さらに上記状態に対して、ユーザに注意喚起情報を送信することができる。いくつかの実施例では、骨導聴覚装置の状態が異常であれば、骨導聴覚装置の状態を調整するようにユーザの注意を喚起する。いくつかの実施例では、ユーザの注意を喚起する方式は、音声提示、警告ランプ提示、振動提示、テキスト提示、遠隔メッセージ等を含むが、これらに限定されない。具体的には、音声提示は、骨導聴覚装置が送信した音声情報、例えば、「装置に異物が侵入する」という音声情報であってもよい。警告ランプ提示は、骨導聴覚装置に警告ランプを設置し、骨導聴覚装置の状態が正常である場合、緑のランプを表示し、骨導聴覚装置の状態が異常である場合、赤のランプを表示し、それにより着用者の注意を喚起することであってもよい。振動提示は、骨導聴覚装置の状態が異常である場合、骨導聴覚装置が振動することであってもよく、例えば、3回振動する場合、構造が異常であることを示し、振動し続ける場合、異物が侵入することを示す。テキスト提示は、骨導聴覚装置又は骨導聴覚装置と通信されるか及び/又は接続された端末にユーザの注意を喚起するための文字情報、例えば「装置に異物が侵入する」、「装置の構造が異常である」という文字情報を表示することであってもよい。
【0126】
以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではないことに注意されたい。当業者であれば、本願の内容の指導の下で、様々な変更及び修正を行うことができる。本願に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、他の例示的な実施例及び/又は代替的な実施例を得ることができる。例えば、骨導聴覚装置の状態が複数種を含むが、どの状態が正常状態に属するか、どの状態が異常状態に属するかは、操作者により経験に基づいて設定されてもよく、ユーザにより自ら設定されてもよく、信号処理モジュール1040により設定されてもよい。しかしながら、これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱しない。
【0127】
図10は、本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置の状態検出システムの例示的なブロック図である。骨導聴覚装置の状態検出システム1000は、システム1000と略称されてもよい。図10に示すように、いくつかの実施例では、システム1000は、音声生成モジュール1010、フィードバック信号生成モジュール1020、フィードバック分析モジュール1030及び信号処理モジュール1040を含む。
【0128】
音声生成モジュール1010は、信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成することができる。いくつかの実施例では、音声生成モジュール1010は、骨伝導スピーカーであってもよく、骨伝導スピーカーの一部であってもよい。第1の信号に基づいて第3の音声を生成することに関するより多くの内容ついて、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0129】
フィードバック信号生成モジュール1020は、第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成することができる。いくつかの実施例では、フィードバック信号生成モジュール1020は、マイクロフォンであってもよく、マイクロフォンの一部であってもよく、いかなる電気音響センサ又は振動センサであってもよい。フィードバック信号を生成することに関するより多くの内容ついて、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0130】
フィードバック分析モジュール1030は、フィードバック信号と第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定することができ、フィードバック分析モジュールは、さらに少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得することができ、また、フィードバック分析モジュールは、フィードバック経路伝達関数と少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較することができる。フィードバック経路伝達関数の決定、フィードバック経路伝達関数と少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数との比較に関するより多くの内容について、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0131】
信号処理モジュール1040は、比較結果に基づいて、骨導聴覚装置の状態を決定することができる。骨導聴覚装置の状態決定に関するより多くの内容ついて、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0132】
本願の他のいくつかの実施例では、コンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、コンピュータは、記憶媒体におけるコンピュータ命令を読み取ったら、コンピュータが生成したテスト信号である第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、フィードバック信号と第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、フィードバック経路伝達関数と少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、比較結果に基づいて、骨導聴覚装置の状態を決定するステップと、を実行する。
【0133】
システム及びその装置/モジュールに対する上述した説明は、説明を容易にするためのものに過ぎず、本願を列挙された実施例の範囲内に限定することができないことに注意されたい。当業者であれば、該システムの原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、様々な装置/モジュールを任意に組み合わせたり、サブシステムを形成して他の装置/モジュールに接続したりできることが理解されよう。例えば、図10に開示されたフィードバック分析モジュール1030と信号処理モジュール1040は、1つの装置(例えば、プロセッサ140)における異なるモジュールであってもよく、上記2つ以上のモジュールの機能を実現する1つのモジュールであってもよい。例えば、フィードバック分析モジュール1030と信号処理モジュール1040は、2つのモジュールであってもよく、信号分析及び信号処理の機能を同時に有する1つのモジュールであってもよい。さらに例えば、各モジュールは、それぞれ各自の記憶モジュールを有してもよい。さらに例えば、各モジュールは、1つの記憶モジュールを共用してもよい。このような変形は、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0134】
本願の実施例がもたらす可能性のある作用効果は、以下のものを含むが、これらに限定されない。(1)加速度計等の外部装置を使用せずに骨導スピーカーの振動伝達関数を測定することができ、テスト過程がより簡単で、便利であり、(2)フィードバック経路伝達関数に基づいて、現在の骨導聴覚装置の状態を検出し、骨導聴覚装置の状態に基づいて、対応する提示をユーザに送信することができ、それによりユーザが骨導聴覚装置の状態を知るか又は調整し、ユーザ体験を向上させる。なお、異なる実施例によって達成可能な作用効果が異なるが、異なる実施例において、達成可能な作用効果は、以上のいずれかの1つ又は複数の組み合わせであってもよく、他の任意の達成可能な作用効果であってもよい。
【0135】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0136】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本願の様々な部分で2つ以上言及されている「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0137】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明の目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0138】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。むしろ、特許請求される主題は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴より少ない場合がある。
【0139】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0140】
110 検出器
120 聴覚装置
130 データベース
140 プロセッサ
122 骨伝導スピーカー
121 ハウジング
141 テスト信号生成ユニット
142 フィードバック経路計算ユニット
310 テスト音声生成モジュール
320 処理モジュール
1010 音声生成モジュール
1020 フィードバック信号生成モジュール
1030 フィードバック分析モジュール
1040 信号処理モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含む骨導聴覚装置の状態検出方法であって、
前記スピーカーにより、前記信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、
前記マイクロフォンにより、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、
前記フィードバック分析ユニットにより、前記マイクロフォンのフィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、
前記信号処理ユニットにより、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップと、を含む、骨導聴覚装置の状態検出方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数、異常フィードバック経路伝達関数を含み、異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数、異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含み、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数から、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定するステップは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが標準フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数の異常タイプを決定するステップを含み、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽であると決定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数から、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数が少なくとも2つを含む場合、差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を前記所定のフィードバック経路伝達関数として決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップは、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が正常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異常であると決定するステップを含み、下記の通り前記骨導聴覚装置の異常タイプを決定するステップをさらに含み、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確である場合、前記骨導聴覚装置の状態が着用不正確であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が構造異常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物侵入であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物遮蔽であると決定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記骨導聴覚装置の状態に基づいて、前記骨導聴覚装置のパラメータを適応的に調整するか又は注意喚起情報をユーザに送信するステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記骨導聴覚装置の状態は、正常状態と、異常状態とを含み、前記異常状態は、着用不正確と、骨導聴覚装置構造異常と、異物侵入と、異物遮蔽とのうちの1つ以上を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットを含む骨導聴覚装置の状態検出システムであって、
前記スピーカーは、前記信号処理ユニットが生成した第1の信号に基づいて第3の音声を生成するように構成され、
前記マイクロフォンは、前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するように構成され、
前記フィードバック分析ユニットは、前記マイクロフォンのフィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、前記骨導聴覚装置の前記スピーカーから前記マイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定し、
少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得し、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するように構成され、
前記信号処理ユニットは、比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するように構成される、骨導聴覚装置の状態検出システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数及び異常フィードバック経路伝達関数を含み、異常フィードバック経路伝達関数は、着用不正確フィードバック経路伝達関数、骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数、異物侵入フィードバック経路伝達関数及び異物遮蔽フィードバック経路伝達関数のうちの1つ以上を含み、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較することは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数から、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定することと、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定することと、を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、前記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定することは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが標準フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数の異常タイプを決定することを含み、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入であると決定するか、又は
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽フィードバック経路伝達関数である場合、前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽であると決定することをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数から、前記フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を決定することは、
前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数が少なくとも2つを含む場合、差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を前記所定のフィードバック経路伝達関数として決定することを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定することは、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが正常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が正常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異常であると決定することを含み、下記の通り前記骨導聴覚装置の異常タイプを決定することをさらに含み、
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが着用不正確である場合、前記骨導聴覚装置の状態が着用不正確であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが骨導聴覚装置構造異常である場合、前記骨導聴覚装置の状態が構造異常であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物侵入である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物侵入であると決定するか、又は
前記フィードバック経路伝達関数のタイプが異物遮蔽である場合、前記骨導聴覚装置の状態が異物遮蔽であると決定する、請求項8~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号処理ユニットは、
前記骨導聴覚装置の状態に基づいて、前記骨導聴覚装置のパラメータを適応的に調整するか又は注意喚起情報をユーザに送信するように構成される、請求項8~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記骨導聴覚装置の状態は、正常状態と、異常状態とを含み、前記異常状態は、着用不正確と、骨導聴覚装置構造異常と、異物侵入と、異物遮蔽とのうちの1つ以上を含む、請求項8~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
コンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータは、前記記憶媒体における前記コンピュータ命令を読み取った場合、
前記コンピュータが生成したテスト信号である第1の信号に基づいて第3の音声を生成するステップと、
前記第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成するステップと、
前記フィードバック信号及び前記第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置のピーカーからイクロフォンまでのフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得するステップと、
前記フィードバック経路伝達関数と前記少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較するステップと、
比較結果に基づいて、前記骨導聴覚装置の状態を決定するステップとを実行することを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【国際調査報告】