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特表2023-524897ロボットアームの多負荷適応重力補償法、装置及び制御デバイス
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  • 特表-ロボットアームの多負荷適応重力補償法、装置及び制御デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ロボットアームの多負荷適応重力補償法、装置及び制御デバイス
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
B25J9/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569139
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2020124400
(87)【国際公開番号】W WO2021238049
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】202010466099.X
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522198922
【氏名又は名称】杭州鍵嘉医療科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Jianjia Medical Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甘 博涵
(72)【発明者】
【氏名】許 ▲ジン▼
(72)【発明者】
【氏名】喬 天
(72)【発明者】
【氏名】文 理為
(72)【発明者】
【氏名】杜 思傲
(72)【発明者】
【氏名】董 旭亮
(72)【発明者】
【氏名】榮 健
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707AS34
3C707AS35
3C707BS13
3C707KS06
3C707KS16
3C707KS35
3C707KV01
3C707LV18
3C707LV19
3C707MS05
3C707MS27
3C707MT01
3C707MT04
(57)【要約】
本発明は、ロボットアームの多負荷適応重力補償法を提供する。当該ロボットアームの多負荷適応重力補償法は、ロボットアームの運動学モデルを構築するステップS1.1と、動力学モデルの重力項を再構築するステップS1.2と、無負荷静的位置サンプリングをするステップS1.3と、各ツールを取り付けた後にそれぞれ静的位置サンプリングをするステップS1.4と、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値をそれぞれ計算するステップS1.5と、各ツールの質量及び質量中心をそれぞれ計算するステップS1.6と、現在取り付けられているツールによりフランジに加えられる力を計算するステップS2.1と、ツールの重力を補償するステップS2.2とを備える。当該方法は、操作ステップを減らし、効率及び重力補償の性能を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの運動学モデルを構築するステップS1.1と、
動力学モデルの重力項を再構築するステップS1.2と、
無負荷静的位置サンプリングをするステップS1.3と、
各ツールを取り付けた後にそれぞれ静的位置サンプリングをするステップS1.4と、
各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値をそれぞれ計算するステップS1.5と、
各ツールの質量及び質量中心をそれぞれ計算するステップS1.6と、
現在取り付けられているツールによりフランジに加えられる力を計算するステップS2.1と、
ツールの重力を補償するステップS2.2と、を備えることを特徴とするロボットアームの多負荷適応重力補償法。
【請求項2】
ステップS1.1においては、標準D-H法を用いてロボットアームの関節座標系を構築することを特徴とする請求項1に記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法。
【請求項3】
ステップS1.3においては、ロボットアームが無負荷の状況で、作業空間内の任意の非特異位置に移動し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングすることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法。
【請求項4】
ステップS1.4においては、各ツールをツール毎の順次にロボットアームの末端に取り付け、ステップS1.3を繰り返して静的位置サンプリングを行うことを特徴とする請求項3に記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法。
【請求項5】
ステップS1.4においては、各ツールについて、当該ツールをロボットアームの末端に取り付けた後、当該ツールのサイズに基づいて当該ツールに対応するロボットアームの現在の有効な作業空間を決定し、さらに有効な作業空間に基づき、ステップS1.3を繰り返して当該ツールに対して静的位置サンプリングを行うことを特徴とする請求項4に記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法。
【請求項6】
ステップS1.5においては、ステップS1.3及びステップS1.4で得られたサンプリングデータを、ツールに基づいてグループ化し、順にステップS1.2の重力項に代入することを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法。
【請求項7】
ステップS1.6においては、各ツールについて、当該ツール携帯時にキャリブレーションされたパラメータ値と無負荷でキャリブレーションされたパラメータ値を比較し、比較結果および当該ツールの質量、当該ツールの質量中心、ロボットアームのエンドセグメントアームの質量及びエンドセグメントアームの質量中心の関連関係に基づき、当該ツールの質量及び質量中心を計算することを特徴とする請求項1~6の何れか1つに記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法。
【請求項8】
ロボットアームの運動学モデルを構築するように配置されているモデル構築モジュールと、
動力学モデルの重力項を再構築するように配置されている重力再構築モジュールと、
無負荷静的位置サンプリングをするように配置されている位置サンプリングモジュールと、
ツールを取り付けた後に静的位置サンプリングをするようにさらに配置されている位置サンプリングモジュールと、
各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値をそれぞれ計算するように配置されているパラメータキャリブレーションモジュールと、
各ツールの質量及び質量中心をそれぞれ計算するように配置されている質量パラメータ計算モジュールと、
現在取り付けられているツールによりフランジに加えられる力を計算するように配置されている外力計算モジュールと、
ツールの重力を補償するように配置されている重力補償モジュールと、を備えることを特徴とするロボットアームの多負荷適応重力補償装置。
【請求項9】
前記モデル構築モジュールは、ロボットアームの運動学モデルを構築する過程において、標準D-H法を用いてロボットアームの関節座標系を構築することを特徴とする請求項8に記載のロボットアームの多負荷適応重力補償装置。
【請求項10】
前記位置サンプリングモジュールは、ロボットアームが無負荷の状況で、作業空間内の任意の非特異位置に移動するように制御し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングすることを特徴とする請求項8又は9に記載のロボットアームの多負荷適応重力補償装置。
【請求項11】
前記位置サンプリングモジュールは、各ツールをツール毎の順次にロボットアームの末端に取り付けた後、各ツールについて、当該ツールのサイズに基づいて当該ツールに対応するロボットアームの現在の有効な作業空間を決定し、さらに有効な作業空間に基づき、ロボットアームが有効な作業空間内の任意の非特異位置に移動するように繰り返して制御し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングすることを特徴とする請求項10に記載のロボットアームの多負荷適応重力補償装置。
【請求項12】
前記パラメータキャリブレーションモジュールは、前記位置サンプリングモジュールにより得られたサンプリングデータを、ツールに基づいてグループ化し、順に前記重力再構築モジュールにより得られた重力項に代入して計算することで、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値を取得することを特徴とする請求項8~11の何れか1つに記載のロボットアームの多負荷適応重力補償装置。
【請求項13】
前記質量パラメータ計算モジュールは、各ツールの質量及び質量中心を計算する過程において、各ツールについて、当該ツール携帯時にキャリブレーションされたパラメータ値と無負荷でキャリブレーションされたパラメータ値を比較し、比較結果および当該ツールの質量、当該ツールの質量中心、ロボットアームのエンドセグメントアームの質量及びエンドセグメントアームの質量中心の関連関係に基づき、当該ツールの質量及び質量中心を計算することを特徴とする請求項8~12の何れか1つに記載のロボットアームの多負荷適応重力補償装置。
【請求項14】
メモリ及びプロセッサを含むロボットアームの制御デバイスであって、
前記メモリには、前記プロセッサで実行することが可能なコンピュータプログラムを記憶しており、
前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~7の何れか1つに記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法を実現することを特徴とするロボットアームの制御デバイス。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されている読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサに実行されると、請求項1~7の何れか1つに記載のロボットアームの多負荷適応重力補償法を実行することを特徴とする読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ロボット技術分野に関し、特に、ロボットアームの多負荷適応重力補償法、装置及び制御デバイスに関する。
【0002】
<関連出願の相互引用>
本願は、2020年5月28日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010466099.Xであり、名称が「ロボットアームの多負荷適応重力補償法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
ロボットアーム製造業及びセンサー産業の更なる発展に伴い、ロボットアームは、既に生産ラインに役立つだけでなく、生活の様々な分野にも徐々に参入し始めている。従来の産業用ロボットアームは、人身事故を防ぐために、セキュリティ範囲を設定し、操作中に人員が作業エリアに立ち入ることを厳しく禁止する必要がある。しかしながら、多くの生活の応用シナリオでは、セキュリティ範囲を設定する際に多くの不都合が生じ、人間と機械の協調作業の際においても効率が高くない。人間と機械の作業空間を分断しないことにより、本当の高効率で且つ高精度の人間と機械の協調作業を実現するために、人々は、協調型ロボットアームを設計した。協調型ロボットアームは、接触力を感知する能力を有し、人体とロボットアームの物理的な接触に反応することができるため、オペレーターとロボットアームは、作業空間を共有することができる。協調型ロボットアームの登場により、ホームケア、教育娯楽、健康医療、高度な製造業等の産業におけるロボットアームの応用が大幅に拡大され、ロボットアームの高効率、高精度、高安定性の特徴を利用して生活のあらゆる側面を改善することができた。
【0004】
ゼロフォース制御技術とは、ドラッグティーチングの過程では、ロボットアーム自身の重力の影響を受けていないかのように、ロボットアームがスムーズに外力に応じて移動できることを意味する。この技術は、ドラッグティーチングの労働強度を軽減し、人間によりロボットアームを制御する際の流暢さを向上させることができる。ロボットアームがエンドツールをクランプした状態でも、依然としてゼロフォース制御を実現することができるために、ロボットアーム本体とツールに対してそれぞれパラメータのキャリブレーションをし、リバースエンジニアリング手法を用いてロボットアームの各セグメントのアーム及びツールの質量及び質量中心を正確に計算する必要がある。ロボットアーム本体のパラメータのキャリブレーションの技術は、文献Identifying the dynamic model used by the KUKA LWR: A reverse engineering approach.(C.Gaz,F.Flacco)及びGravity compensation of KUKA LBR IIWA Through Fast Robot Interface.(C.Hou,Y.Zhao)に詳しく紹介されているが、エンドツールのパラメータのキャリブレーションに関する資料が比較的少ない。一部の複雑な応用では、ロボットアームは、作業を完了するために、エンドツールを交換する必要がある。この場合、ロボットアームは、異なるエンドツールの全てがゼロフォース制御を得られるために、如何にツールの重力を適応的に補償できるかが、協調作業がスムーズであるかどうかの鍵になる。
【0005】
現在、ロボットアームの重力補償の方案は、一般的には、まず、計量器を用いてエンドツールの質量を測定し、吊り下げ法又は支持法を用いてツールの質量中心を測定する必要がある。次に、測定して得られたデータをロボットアームの制御システムに導入し、制御システムにツールのパラメータに基づいて重力の補償を行わせ、ロボットアームにゼロフォース制御を実現させる。ただし、ツールの質量と質量中心を測定する際には、ツールがシステムと分離されている状態であり、測定して得られたパラメータは、取り付けプロセスが質量と質量中心に対する影響を省略する傾向がある。また、一度に1つのツールのパラメータのみに対して重力の補償を行うことができ、ツールを切り替える時にプログラムを停止する必要があり、複数のツールを頻繁に切り替える必要がある場合、効率が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の目的の1つとしては、ロボットアームの多負荷適応重力補償法、装置、制御デバイス及び読み取り可能な記憶媒体を提供することで、操作ステップを減らし、効率及び重力補償の性能を高めることが含まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を実現するために、本願による技術案は、以下の通りである。
【0008】
第一の局面においては、本願の実施例は、以下のステップを備えるロボットアームの多負荷適応重力補償法を提供する。
【0009】
ステップS1.1においては、ロボットアームの運動学モデルを構築する。
【0010】
ステップS1.2においては、動力学モデルの重力項を再構築する。
【0011】
ステップS1.3においては、無負荷静的位置サンプリングをする。
【0012】
ステップS1.4においては、各ツールを取り付けた後にそれぞれ静的位置サンプリングをする。
【0013】
ステップS1.5においては、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値をそれぞれ計算する。
【0014】
ステップS1.6においては、各ツールの質量及び質量中心をそれぞれ計算する。
【0015】
ステップS2.1においては、現在、取り付けられているツールによりフランジに加えられる力を計算する。
【0016】
ステップS2.2においては、ツールの重力を補償する。
【0017】
1つの可能な実現方法では、ステップS1.1において、標準D-H法を用いてロボットアームの関節座標系を構築する。
【0018】
1つの可能な実現方法では、ステップS1.3において、ロボットアームが無負荷の状況で、作業空間内の任意の非特異位置に移動し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングする。
【0019】
1つの可能な実現方法では、ステップS1.4において、各ツールが何回かに分けてロボットアームの末端に取り付けられ、ステップS1.3を繰り返して静的位置サンプリングを行う。
【0020】
1つの可能な実現方法では、ステップS1.4において、各ツールについて、当該ツールをロボットアームの末端に取り付けた後、当該ツールのサイズに基づいて当該ツールに対応するロボットアームの現在の有効な作業空間を決定し、有効な作業空間に基づいてステップS1.3を繰り返して当該ツールに対して静的位置サンプリングを行う。
【0021】
1つの可能な実現方法では、ステップS1.5において、ステップS1.3及びステップS1.4で得られたサンプリングデータを、ツールに基づいてグループ化し、順にステップS1.2の重力項に代入する。
【0022】
1つの可能な実現方法では、ステップS1.6において、各ツールについて、当該ツール携帯時にキャリブレーションされたパラメータ値と無負荷でキャリブレーションされたパラメータ値を比較し、比較結果および当該ツールの質量、当該ツールの質量中心、ロボットアームのエンドセグメントアームの質量及びエンドセグメントアームの質量中心の関連関係に基づき、当該ツールの質量及び質量中心を計算する。
【0023】
第二の局面においては、本願の実施例は、モデル構築モジュール、重力再構築モジュール、位置サンプリングモジュール、位置サンプリングモジュール、パラメータキャリブレーションモジュール、質量パラメータ計算モジュール、外力計算モジュール及び重力補償モジュールを備えるロボットアームの多負荷適応重力補償装置を提供する。
【0024】
モデル構築モジュールは、ロボットアームの運動学モデルを構築するように配置されている。
【0025】
重力再構築モジュールは、動力学モデルの重力項を再構築するように配置されている。
【0026】
位置サンプリングモジュールは、無負荷静的位置サンプリングをするように配置されている。
【0027】
位置サンプリングモジュールは、さらに、各ツールを取り付けた後にそれぞれ静的位置サンプリングをするように配置されている。
【0028】
パラメータキャリブレーションモジュールは、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値をそれぞれ計算するように配置されている。
【0029】
質量パラメータ計算モジュールは、各ツールの質量及び質量中心をそれぞれ計算するように配置されている。
【0030】
外力計算モジュールは、現在、取り付けられているツールによりフランジに加えられる力を計算するように配置されている。
【0031】
重力補償モジュールは、ツールの重力を補償するように配置されている。
【0032】
1つの可能な実現方法では、前記モデル構築モジュールは、ロボットアームの運動学モデルを構築する過程において、標準D-H法を用いてロボットアームの関節座標系を構築する。
【0033】
1つの可能な実現方法では、前記位置サンプリングモジュールは、ロボットアームが無負荷の状況で、作業空間内の任意の非特異位置に移動するように制御し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングする。
【0034】
1つの可能な実現方法では、前記位置サンプリングモジュールは、各ツールをロボットアームの末端に何回かに分けて取り付けた後、各ツールについて、当該ツールのサイズに基づいて当該ツールに対応するロボットアームの現在の有効な作業空間を決定し、有効な作業空間に基づき、ロボットアームが有効な作業空間内の任意の非特異位置に移動するように繰り返して制御し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングする。
【0035】
1つの可能な実現方法では、前記パラメータキャリブレーションモジュールは、前記位置サンプリングモジュールにより得られたサンプリングデータを、ツールに基づいてグループ化し、順に前記重力再構築モジュールにより得られた重力項に代入して計算することで、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値を取得する。
【0036】
1つの可能な実現方法では、前記質量パラメータ計算モジュールは、各ツールの質量及び質量中心を計算する過程において、各ツールについて、当該ツール携帯時にキャリブレーションされたパラメータ値と無負荷でキャリブレーションされたパラメータ値を比較し、比較結果および当該ツールの質量、当該ツールの質量中心、ロボットアームのエンドセグメントアームの質量及びエンドセグメントアームの質量中心の関連関係に基づき、当該ツールの質量及び質量中心を計算する。
【0037】
第三の局面においては、本願の実施例は、メモリ及びプロセッサを含むロボットアームの制御デバイスを提供する。前記メモリは、前記プロセッサで実行することが可能なコンピュータプログラムを記憶しており、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、前記ロボットアームの多負荷適応重力補償法を実現する。
【0038】
第四の局面においては、本願の実施例は、コンピュータプログラムが記憶された読み取り可能な記憶媒体を提供する。前記コンピュータプログラムがプロセッサに実行されると、前記ロボットアームの多負荷適応重力補償法が実行される。
【発明の効果】
【0039】
本願の実施例の有益な効果の1つとしては、D-H法によりロボットアームの関節座標系を構築し、関節座標系に基づいて各セグメントのロボットアームの質量中心位置に対して座標系を構築することが含まれている。元の重力項においては、関節位置に関連する項と質量中心に関連する項を分割し、分割過程においては、キャリブレーション待ちのパラメータを適切に組み合わせ、分割後の項を2つの行列に入れ、それらの乗算が、元の重力項を依然として満たせるようにする。次に、無負荷状態のロボットアームの静的位置をサンプリングし、その後に、各ツールをロボットアームの末端に取り付け、再度それぞれ静的位置をサンプリングする。サンプリングデータを、ツールに基づいてグループ化し、重力項に代入し、SVD分解を用いて組み合わせ後のパラメータの値を取得し、最後に、組み合わせオブジェクトパラメータ分離の方法を用いて組み合わせ後のパラメータからツールの質量及び質量中心を抽出する。無負荷でキャリブレーションされたパラメータとリアルタイムの関節位置のフィードバックに基づき、現在取り付けられているエンドツールによりフランジに加えられる力の大きさを計算することができる。フランジでの外力を測定することにより、システムは、現在フランジにどのツールが取り付けられているかを知ることができるため、キャリブレーションされたパラメータ値を直接に用いてツールの重力を補償した後の外力測定を行うことができ、又は、得られた質量及び質量中心をロボットアームの配置に応用することができる。当該方法は、ツールパラメータを事前に計算して取得することにより、実際応用時の操作手順を簡素化し、協調作業の流暢さを大幅に高めることができる。また、関節位置及びモーメントセンサーを用いてツールに対してパラメータをキャリブレーションすることにより、キャリブレーションされたツールパラメータは、ロボットアームの運動学及び動力学の特徴をより適合し、ゼロフォース制御の性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本願の実施例によるロボットアームの多負荷適応重力補償法のフローチャートである。
図2】本願の実施例によるロボットアームの多負荷適応重力補償法のツール及びロボットアームの末端の模式図である。
図3】本願の実施例によるロボットアームの多負荷適応重力補償法のロボットアームの複数のツールの取り付けの模式図である。
図4】本願の実施例によるロボットアームの多負荷適応重力補償装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、具体的な実施例及び図面を参照しながら、本願を更に述べ、説明する。
【0042】
図1図3に示すように、完全なロボットアームの動力学方程式には、慣性項、遠心力及びコリオリ力項、重力項と摩擦力項が含まれている。なお、慣性項は関節加速度に関係し、遠心力及びコリオリ力項は関節速度に関係し、摩擦力項も関節速度に関係するが、関節加速度及び関節速度は、ロボットアームが静的状態である時に何れもゼロであるので、静的位置に対する研究は、重力項だけに対して展開しても良い。重力項を含む動力学方程式を構築するには、ロボットアームの関節位置及びモーメントを入力とする必要があるので、ロボットアームのハードウェアに対してある程度の要求がある。KUKA LBR Med 7 R800を例とすれば、当該ロボットアームは、7軸協調型ロボットアームであり、各関節には、高精度の位置センサー及びモーメントセンサーが装備されており、本願におけるロボットアームのハードウェアに対する配置要求を満たしている。KUKA LBR Med 7 R800の7軸協調型ロボットアームを例として挙げて実際の操作を説明する。
【0043】
ステップS1.1においては、ロボットアームの運動学モデルを構築する。
【0044】
本実施例の1つの可能な実現方法においては、ロボットアームの運動学モデルを構築する際、ロボットアームの関節座標系の構築は、古典的なD-H法(A Kinematic Notation for Lower-Pair Mechanisms Based on Matrices, J.Denavit,R.S.Hartenberg)を採用する。KUKA LBR Med 7 R800については、そのD-Hパラメータ表は、次の通りである。
【0045】
【表1】
なお、αは、コネクティングロッドの回転角度を表し、aは、コネクティングロッドの長さを表し、dは、コネクティングロッドのオフセット距離を表し、θは、関節角度を表す。関節座標系が構築された後、一定の規則で各セグメントのロケットアームの質量中心位置に対して質量中心座標系を構築する。質量中心座標系を構築する際には、座標系の原点が各セグメントのアームの質量中心に位置することを保証すれば良く、回転角度は、i+1番目の関節の回転角度と一致しても良い。
【0046】
ステップS1.2においては、動力学モデルの重力項を再構築する。
【0047】
本実施例においては、静的状態のロケットアームは、重力項がロケットアームの関節モーメントに等しく、式は、次のように表される。
【数1】
式から分かるように、重力項は、関節角度θ、質量m及び質量中心cに関係する。なお、質量m及び質量中心cは、ツールのキャリブレーションに直接関係し、抽出する必要があるため、重力項Gは、次のように分割する必要がある。
【数2】
簡単に分かるように、質量m及び質量中心cは、重力項において結合されており、別々に分離できない。よって、キャリブレーション待ちのパラメータの行列Aを作成するには、式を満たしながら、パラメータを合理的に組み合わせ、キャリブレーションされたパラメータを組み合わせのm及びcにする必要がある。パラメータを組み合わせる際には、Aのパラメータの数をできるだけ減らし、これにより、線形方程式系の解が局所最適に陥らないようにし、より良いキャリブレーション効果を得ることができる。
【0048】
ステップS1.3においては、無負荷静的位置サンプリングをする。
【0049】
本実施例においては、ロケットアームが無負荷状態であることを確認し、ロケットアームを作業空間の非特異位置に移動させ、各関節の静止後に関節の位置及びモーメントを収集する。サンプリングポイントが作業空間全体にできるだけ広がるように、サンプリングのステップを繰り返す。サンプリング過程においては、僅かのサンプリングポイントが特異位置に非常に接近する場合があるが、特異位置が原因で、ロケットアームの自由度の不足により、モーメントのフィードバックが不正確であることを招くので、これらのサンプリングポイントがサンプリングセットから除去されるべきである。
【0050】
図3に示すように、ステップS1.4においては、各ツールを取り付けた後にそれぞれ静的位置サンプリングをする。
【0051】
本実施例においては、順に各ツールをロケットアームの末端に取り付け、ステップS1.3を繰り返して各ツールごとに対して1ラウンドのモーションサンプリングを実行し、特異位置を除去した後のデータセットを保存する。ツール自体が一定のサイズを持っているため、ロボットアームの運動範囲に対してある程度の制限を与え、運動過程においては、ロボットアーム本体又は周囲の障害物と衝突する事故が発生する可能性があるので、ツールとロボットアームの静的位置をサンプリングする過程においては、有効的な作業空間を再確認し、合理的な運動軌跡を設計し、サンプリングポイントをできるだけ作業空間に広がりながら、衝突の発生を防止する必要がある。よって、本実施例の1つ可能な実現方法では、各ツールについて、当該ツールがロボットアームの末端に取り付けられた後、当該ツールのサイズに基づいてロボットアームの現在の当該ツールに対応する有効的な作業空間を決定し、有効的な作業空間に基づいてステップS1.3を繰り返して当該ツールに対して静的位置サンプリングを行う。
【0052】
ステップS1.5においては、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値をそれぞれ計算する。
【0053】
本実施例においては、ステップS1.5を実行するために、収集された全てのデータをツールに基づいてグループ化し、以下に示すように、各グループのデータをステップS1.2で得られた方程式系に積み上げる必要がある。
【数3】
なお、データセット内の関節位置は、行列
に積み上げられるが、関節モーメントは、
に積み上げられる。積み上げ行列
が既に確認されたので、キャリブレーション待ちの行列A(m,c)は、SVD分解により線形方程式系を求める方法で得られる。行列
は、次の形式に分解することができる。
【数4】
なお、左特異行列U及び右特異行列Vは、何れも直交行列であるため、過決定方程式
【数5】
に対して、
とすると、新しい式ができる。
ΣX=B
上述した式においては、Σは、対角行列であり、対角要素は、全て行列
の特異値σであり、且つσ≧σ…≧σ>0であるため、Xを計算することができる。最後に、A=VXに基づいて行列Aの中のキャリブレーション待ちのパラメータを求めることができる。
【0054】
ステップS1.6においては、各ツールの質量及び質量中心をそれぞれ計算する。
【0055】
本実施例においては、ステップS1.5を実行するプロセスでは、剛体としてのツールをロボットアームの末端に設置してからパラメータのキャリブレーションを実行することが必要であるため、キャリブレーションされたパラメータにおける最後のセグメントの剛体の質量及び質量中心は、実際的には、ロボットアームの最後のセグメントとツールの結合後のパラメータである。よって、ツールの質量及び質量中心は、ツール付きのキャリブレーションされたパラメータと無負荷でキャリブレーションされたパラメータを比較し、ツールの質量及び質量中心とロボットアームのエンドセグメントアームの質量及び質量中心の関連関係を特徴付けるために用いられるマルチボディシステムの質量中心公式と組み合わせて決定することができる。故に、本実施例の1つの可能な実現方法では、各ツールについて、当該ツール携帯時にキャリブレーションされたパラメータ値と無負荷でキャリブレーションされたパラメータ値を比較し、比較結果および当該ツールの質量、当該ツールの質量中心、ロボットアームのエンドセグメントアームの質量及びエンドセグメントアームの質量中心の関連関係に基づき、当該ツールの質量及び質量中心を計算する。
【0056】
なお、KUKA LBR Med 7 R800の末端を例として挙げ、図2に示すように、ツールをクランプした後のロボットアームシステムに対応するマルチボディシステムの質量中心公式は、次の物理的な特性がある。
【数6】
なお、cは、ツールとエンドセグメントアームの結合後の質量中心であり、m及びcは、それぞれツールの質量及び質量中心であり、m及びcは、それぞれエンドセグメントアームの質量と質量中心である。上述した式とキャリブレーションされたパラメータ式を連立すると、ツールの質量m及び質量中心cを取得することができる。
【0057】
また、本願は、ツールのパラメータを自動的に選択し、重力補償に用いるシステムを設計した。当該システムは、関節モーメント及び位置センサーの出力をシステムの入力とし、システムの内部において現在ツールによりロボットアームの末端に加えられている力を計算することで、クランプしているツールのタイプを判断する。次に、S1で計算されたパラメータを適用して重力補償を完成する。以下、実施のステップを詳しく説明する。
【0058】
ステップS2.1においては、現在取り付けられているツールによりフランジ(ロボットアームの末端)に加えられる力を計算する。
【0059】
本実施例においては、無負荷状態でキャリブレーションされたパラメータを用いることができ、現在位置におけるロボットアーム本体により生じる関節モーメントτrobotを計算することができる。リアルタイムで測定された関節モーメントτmeasureをτrobotと減算をさせ、外力による関節モーメントτextを取得する。ヤコビ行列を用いて外力を関節空間から作業空間にマッピングし、作業空間におけるロボットアームの末端(フランジ)にかかる外力を計算することができる。
【0060】
ステップS2.2においては、ツールの重力を補償する。
【0061】
本実施例においては、ツール間の違いが外力の値に反映される。例えば、工具間の質量差が大きい場合、外力のXYZ方向の値を、工具の識別基準として用いることができる。ツール間の質量差が小さく、質量中心の差が比較的大きい場合、外力のABC方向のトルクを識別基準とすることが考えられる。質量及び質量中心の差が何れも大きくない場合、それらを1つのツールとして見なし、同じセットのキャリブレーションされたパラメータを適用すれば、同様に比較的に良い補償効果を得ることができる。ツールのパラメータを入力して重力補正を自動的に行うロボットアームの場合、ステップS1.6で計算されたツールの質量と質量中心を、ロボットアームの配置に直接的に書き込み、ロボットアームの組み込みプログラムでツールにかかる外力を計算させることができる。重力補償機能のないロボットアームの場合、ステップS1.5でキャリブレーションされたパラメータを直接的に用いて現在ツールにかかる外力を計算することができる。よって、ロボットアームが感じる外力は、ツールの重力を補償した後の外力であり、当該外力を入力とする制御戦略もツールの影響を省略し、即ち、ゼロフォース制御を実現することができる。
【0062】
また、図4に示すように、本願は、ロボットアームの多負荷適応重力補償装置100を更に提供し、当該多負荷適応重力補償装置100に含まれる様々な機能実現モジュールにより、上述したロボットアームの多負荷適応型重力補償方法を実行する。なお、前記多負荷適応重力補償装置100は、モデル構築モジュール110、重力再構築モジュール120、位置サンプリングモジュール130、パラメータキャリブレーションモジュール140、質量パラメータ計算モジュール150、外力計算モジュール160及び重力補償モジュール170を備える。
【0063】
モデル構築モジュール110は、ロボットアームの運動学モデルを構築するように配置されている。
【0064】
重力再構築モジュール120は、動力学モデルの重力項を再構築するように配置されている。
【0065】
位置サンプリングモジュール130は、無負荷静的位置サンプリングをするように配置されている。
【0066】
位置サンプリングモジュール130は、さらに、各ツールを取り付けた後にそれぞれ静的位置サンプリングをするように配置されている。
【0067】
パラメータキャリブレーションモジュール140は、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値をそれぞれ計算するように配置されている。
【0068】
質量パラメータ計算モジュール150は、各ツールの質量及び質量中心をそれぞれ計算するように配置されている。
【0069】
外力計算モジュール160は、現在、取り付けられているツールによりフランジに加えられる力を計算するように配置されている。
【0070】
重力補償モジュール170は、ツールの重力を補償するように配置されている。
【0071】
本実施例の1つの可能な実現方法においては、前記モデル構築モジュール110は、ロボットアームの運動学モデルを構築するプロセスにおいて、標準D-H法を用いてロボットアームの関節座標系を構築する。
【0072】
本実施例の1つの可能な実現方法においては、前記位置サンプリングモジュール130は、ロボットアームが無負荷の状況で、ロボットアームを作業空間内の任意の非特異位置に移動するように制御し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングする。
【0073】
本実施例の1つの可能な実現方法においては、前記位置サンプリングモジュール130は、各ツールを何回かに分けて(ツール毎の順次に)ロボットアームの末端に取り付けた後、各ツール毎につき、当該ツールのサイズに基づいて当該ツールに対応するロボットアームの現在の有効な作業空間を決定し、次に、有効な作業空間に基づき、ロボットアームが有効な作業空間内の任意の非特異位置に移動するように繰り返して制御し、関節の位置及びモーメントの読み取り値をサンプリングする。
【0074】
本実施例の1つの可能な実現方法においては、前記パラメータキャリブレーションモジュール140は、前記位置サンプリングモジュールにより得られたサンプリングデータを、ツールに基づいてグループ化し、順に前記重力再構築モジュールにより得られた重力項に代入して計算することで、各ツールのキャリブレーション待ちのパラメータ値を取得する。
【0075】
なお、本願の実施例による多負荷適応重力補償装置100は、その基本原理及び技術的な効果は、前記多負荷適応重力補償方法と同じである。説明を簡潔にするために、本実施例で言及されていない部分については、前記多負荷適応重力補償方法の説明内容を参照することができる。
【0076】
また、本願は、ロボットアームの制御デバイスを更に提供し、当該制御デバイスは、メモリ及びプロセッサを備える。なお、前記メモリは、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を含むことができ、前記コンピュータプログラム製品は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリ等のような、様々なタイプの読み取り可能な記憶媒体を含むことができる。前記揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ及び/又はキャッシュメモリ等を含むことができる。前記不揮発性メモリは、例えば、リードオンリーメモリ、ハードディスク、フラッシュメモリ等を含むことができる。前記読み取り可能な記憶媒体には、1つ又は複数のコンピュータプログラムを記憶することができる。プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行することにより、前記ロボットアームの多負荷適応重力補償方法により表される機能及び/又は他の所望の機能を実現することができる。前記読み取り可能な記憶媒体には、さらに様々なアプリケーションプログラム及び様々なデータを記憶することができ、例えば、前記アプリケーションプログラムが使用及び/又は生成された様々なデータ等である。
【0077】
前記プロセッサは、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ及びプログラマブルロジックアレイのうちの少なくとも1つのハードウェアの形で実現することができる。前記プロセッサは、中央処理ユニット、又は、データ処理機能及び/又は命令実行機能を有する他の形の処理ユニットの中の1つ又は複数の組み合わせであってもよく、所望の機能を実行するように、前記制御デバイスの中の他のアセンブリを制御することができる。前記プロセッサは、コンピュータプログラムが表す機能を実現するように、前記メモリに記憶されている当該コンピュータプログラムを相応的に実行することができる。
【0078】
本実施例の1つの可能な実現方法においては、前記ロボットアームの多負荷適応重力補償装置100は、ソフトウェア又はファームウェアの形で前記制御デバイスのメモリに記憶してもよく、前記制御デバイスのプロセッサにより、前記メモリの中の前記多負荷適応重力補償装置100に含まれるソフトウェア機能モジュールおよびコンピュータプログラム等を実行することにより、前記ロボットアームの多負荷適応重力補償方法に対応する機能を実現する。
【0079】
上述したように、前記方案は、D-H法によりロボットアームの関節座標系を構築し、次に、関節座標系に基づいて各セグメントのロボットアームの質量中心位置に対して座標系構築を行う。元の重力項では、関節位置に関係する項目と質量中心に関係する項目を分割し、分割過程においてキャリブレーション待ちのパラメータを適切に組み合わせる必要があり、分割後の項目を2つの行列に入れ、それらの乗算が、元の重力項を依然として満たさせる。次に、無負荷状態でのロボットアームの静的位置をサンプリングし、その後に、各ツールをロボットアームの末端に取り付け、さらにそれぞれ静的位置サンプリングを行う。サンプリングされたデータをツールに基づいてグループ化した後、重力項に代入し、SVD分解を用いて組み合わせ後のパラメータの値を取得し、最後に組み合わせオブジェクトパラメータ分離の方法を用いて組み合わせ後のパラメータからツールの質量及び質量中心を抽出することができる。無負荷でキャリブレーションされたパラメータとリアルタイムの関節位置のフィードバックに基づき、現在取り付けられているエンドツールによりフランジに加えられる力の大きさを計算することができる。フランジでの外力を測定することにより、システムは、現在フランジにどのツールが取り付けられているかを知ることができるため、キャリブレーションされたパラメータ値を直接に用いてツールの重力を補償した後の外力測定を行うことができ、又は、得られた質量及び質量中心をロボットアームの配置に応用することができる。当該方法は、ツールパラメータを事前に計算して取得することにより、実際応用時の操作手順を簡素化し、協調作業の流暢さを大幅に高めることができる。また、関節位置及びモーメントセンサーを用いてツールに対してパラメータをキャリブレーションすることにより、キャリブレーションされたツールパラメータは、ロボットアームの運動学及び動力学の特徴をより適合し、ゼロフォース制御の性能を改善することができる。
【0080】
最後に、上述した実施例は、本願の技術案を説明するものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではないことに留意されたい。選択可能な実現方法を参照して本願を詳しく説明したが、当業者は、本願の技術案の精神及び範囲から逸脱しない限り、本願の技術案に対して補正又は等価置換を行うことができることが理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本願の実施例は、ロボットアームの多負荷適応重力補償法、装置、制御デバイス及び読み取り可能な記憶媒体を提供し、D-H法によりロボットアームの関節座標系を構築し、次に、関節座標系に基づいて各セグメントのロボットアームの質量中心に対して座標系構築を行う。元の重力項では、関節位置に関係する項目と質量中心に関係する項目を分割し、分割過程においてキャリブレーション待ちのパラメータを適切に組み合わせる必要があり、さらに分割後の項目を2つの行列に入れ、それらの乗算が、元の重力項を依然として満たさせる。次に、無負荷状態でのロボットアームの静的位置をサンプリングし、その後に、各ツールをロボットアームの末端に取り付け、さらにそれぞれ静的位置サンプリングを行う。サンプリングされたデータをツールに基づいてグループ化した後、重力項に代入し、SVD分解を用いて組み合わせ後のパラメータの値を取得し、最後に組み合わせオブジェクトパラメータ分離の方法を用いて組み合わせ後のパラメータからツールの質量及び質量中心を抽出できる。無負荷でキャリブレーションされたパラメータとリアルタイムの関節位置のフィードバックに基づき、現在取り付けられているエンドツールによりフランジに加えられる力の大きさを計算することができる。算出されたフランジでの外力に基づいて、システムは、現在フランジにどのツールが取り付けられているかを知ることができるため、キャリブレーションされたパラメータ値を直接に用いてツールの重力を補償した後の外力測定を行うことができ、又は、得られた質量及び質量中心をロボットアームの配置に応用することができる。当該方法は、ツールパラメータを事前に計算して取得することにより、実際応用時の操作手順を簡素化し、協調作業の流暢さを大幅に高めることができる。また、関節位置及びモーメントセンサーを用いてツールに対してパラメータをキャリブレーションすることにより、キャリブレーションされたツールパラメータは、ロボットアームの運動学及び動力学の特徴をより適合し、ゼロフォース制御の性能を改善することができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】