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特表2023-524906リターン信号の偏光解消比を利用した自律走行車両制御システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】リターン信号の偏光解消比を利用した自律走行車両制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/499 20060101AFI20230606BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20230606BHJP
【FI】
G01S7/499
G01S17/894
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573306
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021035331
(87)【国際公開番号】W WO2022005675
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】16/916,981
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520390450
【氏名又は名称】オーロラ・オペレイションズ・インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】AURORA OPERATIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】280 North Bernardo Avenue,Mountain View, CA 94043, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】クラウチ・ステファン
(72)【発明者】
【氏名】バーバー・ゼブ
(72)【発明者】
【氏名】カドレック・エミル
(72)【発明者】
【氏名】ギャロウェイ・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】スピレイン・ショーン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AC02
5J084BA03
5J084BA20
5J084BA39
5J084BA40
5J084BA48
5J084BB15
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA08
5J084CA65
5J084EA27
(57)【要約】
自律走行車両制御システムは、送信器がレーザソースからの送信信号を送信させるようにし、受信器がオブジェクトによって反射されたリターン信号を受信させるようにし、一つ以上の光学系が第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成させるようにし、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成させるようにし、第1偏光信号の平均信号対雑音比(SNR)値と第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算することで、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比を計算させるように構成される一つ以上のプロセッサを含む。一つ以上のプロセッサは、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて車両を作動するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出と測距(LIght Detection And Ranging、LIDAR)システムであって、
レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、
オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、
第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される一つ以上の光学系と、
前記第1偏光信号の平均信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio、SNR)値と前記第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算して、前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比を計算するように構成されるプロセッサと、を含むLIDARシステム。
【請求項2】
前記一つ以上の光学系は、
前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第1偏光信号を生成し、前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成するように構成される偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter、PBS)と、
前記第1偏光信号を検出するように構成される第1検出器と、
前記第2偏光信号を検出するように構成される第2検出器と、を含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記第2偏光信号の位相をシフト(shift)するように構成される位相シフタを更に含むが、
前記第1検出器及び前記第2検出器は、
前記第1偏光信号を検出し、
前記位相シフトされた第2偏光信号を検出するように構成される単一検出器である請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記送信器及び前記受信機は単一送受信器である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
一つ以上のプロセッサを含む自律走行車両制御システムであって、
前記一つ以上のプロセッサは、
送信器がレーザソースから送信信号を受信させるようにし、
受信器がオブジェクトによって反射されたリターン信号を受信させるようにし、
一つ以上の光学系が第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するようにし、
前記第1偏光信号の平均信号対雑音比(SNR)値と前記第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算して、前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比を計算し、
前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて車両を作動するように構成される自律走行車両制御システム。
【請求項6】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記一つ以上の光学系の偏光ビームスプリッタ(PBS)が前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第1偏光信号を生成させるようにし、
前記PBSが前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成させるようにし、
前記一つ以上の光学系の第1検出器が前記第1偏光信号を検出させるようにし、
前記一つ以上の光学系の第2検出器が前記第2偏光信号を検出させるようにするために更に構成される請求項5に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項7】
前記第1検出器及び前記第2検出器は単一検出器であり、
前記一つ以上のプロセッサは、
位相シフタが前記第2偏光信号の移送をシフトさせるようにし、
前記単一検出器が前記第1偏光信号を検出させるようにし、前記位相シフトされた第2偏光信号を検出させるようにするために更に構成される請求項6に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項8】
前記送信器及び前記受信機は単一送受信器である請求項5に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項9】
前記第1偏光信号は前記第1偏光を有する前記オブジェクトの第1画像を示し、前記第2偏光信号は前記第2偏光を有する前記オブジェクトの第2画像を示し、
前記一つ以上のプロセッサは、
前記第1画像の平均SNR値と前記第2画像の平均SNR値との間の比を計算することで前記反射率の比を計算し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトの類型を決定し、
前記オブジェクトの類型に基づいて前記車両の経路(trajectory)を制御するように更に構成される請求項5に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項10】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように更に構成される請求項9に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項11】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトが金属柱であることを決定するように更に構成される請求項9に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項12】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を一人以上の人であると決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域を決定するように更に構成される請求項9に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項13】
請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項によるLIDARシステムを含む自律走行車両制御システム。
【請求項14】
自律走行車両であって、
レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、
オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、
第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される一つ以上の光学系と、を含む光検出と測距(LIDAR)システムと、
操向システムまたは制動システムのうち少なくとも一つと、
前記第1偏光信号の平均信号対雑音比(SNR)値と前記第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算して、前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比を計算し、
前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて前記操向システムまたは前記制動システムのうち少なくとも一つの作動を制御するように構成される一つ以上のプロセッサを含む車両制御器と、を含む自律走行車両。
【請求項15】
前記第1偏光信号は前記第1偏光を有する前記オブジェクトの第1画像を示し、前記第2偏光信号は前記第2偏光を有する前記オブジェクトの第2画像を示し、
前記車両制御器は、
前記第1画像の平均SNR値と前記第2画像の平均SNR値との間の比を計算することで前記反射率の比を計算し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトの類型を決定し、
前記オブジェクトの類型に基づいて前記操向システムまたは前記制動システムのうち少なくとも一つの作動を制御するように更に構成される請求項14に記載の自律走行車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術の相互参照
本出願は2020年6月30日付で出願された米国特許出願第16/916,981号に対する利益及び優先権を主張し、その全体の開示内容は本願に参照として含まれる。
【背景技術】
【0002】
自律走行車両に関する技術の課題のうち一つは、車両の周辺環境に対する情報の収集及び解釈と共に、該当環境を介して車両をナビゲーションするように車両のモーションを適切に制御するための計画及び実行の命令に関する。例えば、測定データは自律走行車両(または自律走行車両センサが取り付けられた車両)の一つ以上のセンサから獲得されるが、これは車両の周辺環境内における動的オブジェクトを追跡及び/または決定するのに使用される。オブジェクトに対する応答として効果的な自律走行意思決定を可能にするために十分な精密度及び正確度でオブジェクトの形状を感知し追跡することは難しい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の具現例は、光検出と測距(LIght Detection And Ranging、LIDAR)を利用して車両を制御するためのシステム及び方法に関し、より詳しくは、オブジェクトによって反射されたリターン信号の偏光解消比(depolarization ratio)を利用してオブジェクトを検出することで車両を制御するシステム及び方法に関する。
【0004】
本開示の一部の具現例において、光検出と測距(LIDAR)システムは、レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、一つ以上の光学系と、プロセッサと、を含む。一つ以上の光学系は、第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される。プロセッサは、第1偏光信号と第2偏光信号との反射率の比を計算するように構成される。
【0005】
本開示の一部の具現例において、自律走行車両制御システムは一つ以上のプロセッサを含む。一つ以上のプロセッサは、送信器がレーザソースからの送信信号を送信させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、受信器がオブジェクトによって反射されたリターン信号を受信させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系が第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて車両を作動するように構成される。
【0006】
本開示の一部の具現例において、方法は、レーザソースから送信信号を送信するステップと、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するステップと、を含む。方法は、一つ以上の光学系によって、第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成するステップを含む。方法は、一つ以上の光学系によって、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成するステップを含む。方法は、一つ以上のプロセッサによって、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて車両を作動するステップを含む。
【0007】
一様態において、本開示は、光検出と測距(LIDAR)システムに関する。LIDARシステムは、レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、一つ以上の光学系と、プロセッサと、を含む。一つ以上の光学系は、第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される。プロセッサは、第1画像の信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio、SNR)値と第2画像のSNR値に基づいて反射率値を計算するように構成される。
【0008】
一部の具現例において、一つ以上の光学系は、第1偏光にリターン信号を偏光させて第1偏光信号を生成するように構成される。一つ以上の光学系は、第2偏光にリターン信号を偏光させて第2偏光信号を生成するように構成される。一つ以上の光学系は、第1偏光信号及び第2偏光信号を検出するように構成される。一つ以上の光学系は、第2偏光信号の位相をシフト(shift)し、位相シフトされた第2偏光信号を検出することで第2偏光信号を検出するように更に構成される。
【0009】
一部の具現例において、プロセッサは、第1偏光信号の平均SNR値と第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算することで反射率の値を計算するように更に構成される。
【0010】
他の様態において、本開示は、一つ以上のプロセッサを含む自律走行車両制御システムに関する。一つ以上のプロセッサは、送信器がレーザソースからの送信信号を送信させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、受信器がオブジェクトによって反射されたリターン信号を受信させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系が第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成させるように構成される。第1偏光信号は第1偏光を有するオブジェクトの第1画像を示し、第2偏光信号は第2偏光を有するオブジェクトの第2画像を示す。一つ以上のプロセッサは、第1画像の信号対雑音比(SNR)値と第2画像のSNR値に基づいて反射率値を計算し、反射率値に基づいて車両を作動するように駆動される。
【0011】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系が第1偏光にリターン信号を偏光させて第1偏光信号を生成させようにし、一つ以上の光学系が第2偏光にリターン信号を偏光させて第2偏光信号を生成させるようにし、一つ以上の光学系が第1偏光信号及び第2偏光信号を検出させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系が第2偏光信号の位相をシフトし、一つ以上の光学系が位相シフトされた第2偏光信号を検出することで第2偏光信号を検出させるように更に構成される。
【0012】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは、計算された反射率値に基づいてオブジェクトの一つ以上の特徴を決定し、オブジェクトの一つ以上の特徴に基づいて車両の経路(trajectory)を制御するように更に構成される。オブジェクトの一つ以上の特徴はオブジェクトの類型を含む。一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定し、反射率値に基づいてオブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように更に構成される。一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱(utility pole)のうち一つと決定し、計算された反射率値に基づいてオブジェクトが金属柱であることを決定するように更に構成される。一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型を一つ以上の人と決定し、計算された反射率値に基づいて一人以上の人の皮膚及び服のそれぞれの領域を決定するように更に構成される。
【0013】
他の様態において、本開示は、自律走行車両制御システムに関する。自律走行車両は、光検出と測距(LIDAR)システムを含む。LIDARシステムは、送信器と、一つ以上の光学系と、一つ以上のプロセッサと、を含む。送信器は、レーザソースと、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、一つ以上の光学系と、操向システムまたは制動システムのうち少なくとも一つと、車両制御器からの送信信号を送信するように構成される。一つ以上の光学系は、第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される。車両制御器は、一つ以上のプロセッサを含む。一つ以上のプロセッサは、第1画像の信号対雑音比(SNR)値と第2画像のSNR値に基づいて反射率値を計算するように構成される。一つ以上のプロセッサは、操向システムまたは制動システムのうち少なくとも一つの作動を反射率値に基づいて制御するように構成される。
【0014】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系が第1偏光にリターン信号を偏光させて第1偏光信号を生成させるようにし、一つ以上の光学系が第2偏光にリターン信号を偏光させて第2偏光信号を生成させるようにし、一つ以上の光学系が第1偏光信号及び第2偏光信号を検出させるように更に構成される。一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系が第2偏光信号の位相をシフトし、一つ以上の光学系が位相シフトされた第2偏光信号を検出することで第2偏光信号を検出させるように更に構成される。
【0015】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは、計算された反射率値に基づいてオブジェクトの一つ以上の特徴を決定し、オブジェクトの一つ以上の特徴に基づいて自律走行車両の経路を制御するように更に構成される。オブジェクトの一つ以上の特徴はオブジェクトの類型を含む。一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定し、計算された反射率値に基づいてオブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように更に構成される。一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定し、計算された反射率値に基づいてオブジェクトが金属柱であることを決定するように更に構成される。一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型を一つ以上の人と決定し、計算された反射率値に基づいて一人以上の人の皮膚及び服のそれぞれの領域を決定するように更に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
特許または出願ファイルには少なくとも一つのカラー図面が含まれている。カラー図面(ら)が含まれた本特許出願刊行物の写本は、それに必要な手数料を支払って要請すれば該当事務局によって提供される。
【0017】
本具現例のこれらのまたは他の様態及び特徴は、特定の具現例に関する以下の説明を以下の添付した図面と共に検討する際に当業者に明白になるはずである。
【0018】
図1a】一部の具現例による自律走行車両のためのシステム環境の一例を示すブロックダイヤグラムである。
【0019】
図1b】一部の具現例による自律走行商用トラック運送車両のためのシステム環境の一例を示すブロックダイヤグラムである。
【0020】
図1c】一部の具現例による自律走行商用トラック運送車両のためのシステム環境の一例を示すブロックダイヤグラムである。
【0021】
図1d】一部の具現例による自律走行商用トラック運送車両のためのシステム環境の一例を示すブロックダイヤグラムである。
【0022】
図2】一部の具現例によるコンピューティングシステムの一例を示すブロックダイヤグラムである。
【0023】
図3a】一部の具現例によるLIDARシステムの一例を示すブロックダイヤグラムである。
【0024】
図3b】一部の具現例によるLIDARシステムの他の例を示すブロックダイヤグラムである。
【0025】
図4a】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4b】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4c】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4d】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4e】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4f】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4g】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4h】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4i】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
図4j】一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
【0026】
図5】一部の具現例による偏光解消比に基づいて車両の経路を制御するための例示的な方法論を示すフローチャートである。
【0027】
図6】一部の具現例による偏光解消比に基づいて車両を作動させるための例示的な方法論を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
所定の様態によると、本開示の具現例は、光検出と測距(LIDAR)を利用して車両を制御するためのシステム及び方法に関し、より詳しくは、オブジェクトによって反射されたリターン信号の偏光解消比を利用してオブジェクトを検出することで車両を制御するシステム及び方法に関する。
【0029】
所定の様態によると、自律走行車両制御システムは一つ以上のプロセッサを含む。一つ以上のプロセッサは、送信器がレーザソースからの送信信号を送信させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、受信器がオブジェクトによって反射されたリターン信号を受信させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系が第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて車両を作動するように構成される。
【0030】
従来のLIDARシステムにおいて、レーザ信号(LS)は線形に偏光される。LIDARシステムから送信された信号を反射する際、世の中の多くのオブジェクトはリターン信号を偏光解消(depolarize)させる。例えば、各オブジェクトのリターン信号は偏光されたLSと同じ偏光状態または偏光されたLSとは異なる偏光状態に戻る。しかし、LIDARシステムは偏光されたLSと一致するリターン信号の偏光部分のみを検出する。結果的に、リターン信号の他の偏光は測定されるか活用されない。
【0031】
このような問題を解決するために、一部の具現例において、偏光感受型(polarization-sensitive)LIDARは、リターン光の2つの偏光状態が独立に検出されるようにリターン光を2つの偏光状態に分割することで提供される。次に、2つの偏光状態に分割された信号はオブジェクト(またはターゲット)がリターン信号をどれぐらい偏光解消させたのかを推定するために比較される。LIDARシステムは、偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter、PBS)を含む。PBSは、偏光ビームスプリッタ/コンバイナ(Polarization Beam Splitters/Combiners、PBSC)である。分割されたリターン信号は異なる偏光状態のオブジェクトのそれぞれの個別画像を示す。LIDARシステムは、互いに異なる偏光状態のオブジェクトの個別画像の間の比(「偏光解消比」と称される)を計算する。
【0032】
一部の具現例において、LIDARシステムはスプリッタを使用してリターン信号からそれぞれの偏光信号を検出するように構成される2つの検出器を含む。分割器は偏光ビームスプリッタ(PBS)である。LIDARシステムは、リターン信号を単一検出器で多重化(multiplexing)することで、スプリッタ及び位相シフタを使用してリターン信号から2つの偏光信号を検出するように構成される単一検出器を含む。
【0033】
一部の具現例において、2つの偏光信号の検出に応答して、一つ以上の検出器はそれに相応する2つの電気信号を個別チャネルから生成し、2つの電気信号はプロセッシングシステムによって独立に処理される。2つの電気信号は異なる偏光状態のオブジェクトのそれぞれの個別画像を示す。LIDARシステムは、互いに異なる偏光状態のオブジェクトの個別画像の間の偏光解消比を計算する。
【0034】
一部の具現例において、システムは偏光感受型LIDARの2つのビームを有し、これらそれぞれは独立した信号処理のための2つの受信/デジタイザ(receive/digitizer)チャネルを有する。システムは、2つの独立したチャネルにおいて、クラウドのポイントからの独立したストリームを処理する。
【0035】
一部の具現例において、プロセッシングシステムは、それぞれの偏光におけるオブジェクトに対する画像を生成するようにそれぞれのチャネルにおける電気信号に対して簡単な後処理を行う。プロセッシングシステムは、複数のサンプルにわたってオブジェクトの画像の平均反射率を計算する。プロセッシングシステムは、ボクセル(voxel)当たりの空間平均化を行う。例えば、プロセッシングシステムは、偏光状態のオブジェクトを示す複数のボクセルを効率的に生成するためにハッシュ基盤のボクセライザ(hash-based voxelizer)を含む。ハッシュ基盤のボクセライザを使用してプロセッシングシステムはボクセルを迅速に検索する。プロセッシングシステムは、複数のサンプルにわたって複数のボクセルそれぞれのボクセル内の平均反射率を計算する。結果的に、計算された平均反射率は反射率の測定値とは異なり得る。例えば、各測定値は互いに相関関係を有しないが、平均は相関関係を有する。平均化のためのサンプル数は100個未満である。例えば、5つまたは12個のサンプルが使用される。プロセッシングシステムは、2つのチャネルの間のそれぞれのボクセル内の平均反射率の比を計算する。
【0036】
一部の具現例において、空間の一部の領域にわたる(例えば、一部のボクセルにわたる)平均反射率はオブジェクトの偏光を理解するに当たって意味を有する。一部の具現例において、平均反射率の使用は、例えば、コヒーレント(coherent)LIDARシステムが使用される際、レーザスペックル(speckle)によって引き起こされた反射率測定における分散を効果的に減少させる。複数のサンプルに対するボクセルの平均反射率はパラメータ、例えば、空間解像度または精密度(例えば、5cm×10cmサイズのボクセル)の選択によって影響を受ける。一般に、より小さいボクセルの平均化はオブジェクトの全体画像の平均化により小さい寄与度を有するに対し、(オブジェクトをより区別できるようにする)画像のコントラストにより大きく寄与する。適切なパラメータの選択は純水反射率の測定からまた他の次元を提供し、それによってデータの価値が上げられる。
【0037】
所定の様態によると、本開示は、レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、一つ以上の光学系と、プロセッサと、を含む光検出と測距(LIDAR)システムに関する。一つ以上の光学系は、第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成し、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される。プロセッサは、第1偏光信号と第2偏光信号との反射率の比を計算するように構成される。
【0038】
所定の様態によると、本開示の一部の具現例は、レーザソースから送信信号を送信するステップと、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するステップとを含む方法に関する。方法は、一つ以上の光学系によって、第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号を生成するステップを含む。方法は、一つ以上の光学系によって、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号を生成するステップを含む。方法は、一つ以上のプロセッサによって、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて車両を作動するステップを含む。
【0039】
本開示の多様な具現例は、以下の利点及び利益のうち一つ以上を有する。
【0040】
第一、本開示の具現例は、従来に使用される信号、例えば、単独の反射率信号に加えて、偏光解消比に基づいてポイントクラウド(point cloud)上にマッピングされたまた他の固有信号を使用して異なるオブジェクトの明確性を改善するための有用な技術を提供する。一部の具現例において、偏光解消比に基づくオブジェクトの検出は、いくつかの主な表面、例えば、(1)アスファルト(vs.芝、荒いコンクリート、または砂利)、(2)金属柱(vs.木または電信柱(telephone/utility pole))、(3)レトロ表示板(retro-signs)(vs.金属表面)、(4)車線表示(lane markings)(vs.路面の表面)、及び(5)車両のナンバープレート(vs.車両の表面)を明確にする。この明確化技術は、特定の道路表示、表示板、歩行者などを認識するのに役に立つ。偏光解消比は希少(sparse)特徴(例えば、相対的により小さい領域を有する特徴)を検出するか認識するが、このような希少特徴は異なるオブジェクトの明確化のために容易に登録される。偏光解消比に基づく異なるオブジェクトまたは物質の明確化は、認識システムが車両の周辺環境内のオブジェクトを(例えば、人工知能技術を使用して)より正確に検出、追跡、決定、及び/または分類することを助ける。
【0041】
第二、本開示の具現例は、変化する条件(例えば、天気の変化―雪、氷、雨など)にわたって低い分散を導くべき差等測定(例えば、異なる偏光状態を有する信号の間の反射率の割合)を利用することで、オブジェクト検出の安定性及び正確性を改善するための有用な技術を提供する。
【0042】
第三、本開示の具現例は、特定のデータ製品に比べLIDARシステムをより相互交換可能にする有用な技術を提供する。金属または正反射表面(specular surface)は、時々レーダデータでより強力な「グリント(glint)」リターンを生成する。このような「グリント」効果は、他の通常のLIDAR波長(つまり、905nm対1550nm)でより小さい分散を示す。つまり、反射率基盤の特徴は時々異なる波長で大きく変わる。偏光比の測定は正確な波長にさほど敏感ではないため、LIDARシステムを特定データ製品に比べてより相互交換可能にすることができる。
【0043】
第四、偏光解消比はLIDARビームとオブジェクトとの間の入射角のサイズに関する。これは、位置測定(localization)及びマッピング(mapping)に一般に使用される表面法線を決定するのに役に立つ。一部の具現例において、入射角のサイズに関する一つ以上のデータの類型または情報のかけらが偏光解消比の測定から獲得されて、例えば、位置測定及びマッピングに役に立つ。
【0044】
第五、本開示の具現例は、位置測定(例えば、車両と停止したオブジェクトとの間の空間的関係)、カメラシミュレーション、LIDAR/レーダシミュレーション、レーダ測定のような他の技術分野を改善するための有用な技術を提供する。例えば、通常の建築資材のコントラスト感知は位置測定に活用される。一部の具現例において、偏光解消比は表面が乱反射または正反射の特性を有するのか否かを示すか表示する。乱反射または正反射に対する表面特性情報は偏光解消比に基づいて獲得されて高画質(HD)マップで表現されるが、このような表面特性情報は自律走行車両制御システムによって抽出される。このような表面特性情報は、多様な照明条件をモデリングするカメラシミュレーションに使用される。類似して、偏光解消比は統合されたLIDAR/レーダシミュレーションに活用される。このような表面特性情報はまた、レーダデータまたはカメラデータの分析に活用される。

1.自律走行車両のためのシステム環境
【0045】
図1aは、一部の具現例による自律走行車両のためのシステム環境の一例を示すグロックダイヤグラムである。
【0046】
図1aを参照すると、本願に開示の多様な技術が具現される例示的な自律走行車両110Aがある。車両110Aは、例えば、エネルギー源196によって動力を供給されてドライブトレイン198に動力を供給する原動機194を含むパワートレイン192と、方向制御装置182、パワートレイン制御装置184、及びブレーク制御装置186を含む制御システム180と、を含む。車両110Aは人及び/または貨物を輸送し多様な環境で走行する車両を含む、任意の数の異なる類型の車両として具現されるが、上述したコンポネント180乃至198はこれらのコンポネントが活用される車両の類型に基づいて広範囲に変化し得るということを理解できるはずである。
【0047】
単純化のために、以下で論議される具現例は自動車、バン、トラック、バスなどのような車輪陸上車両(wheeled land vehicle)に焦点を合わせる。このような具現において、原動機194は(他のものの中でも)一つ以上の電気モータ及び/または内燃機関を含む。エネルギー源は、例えば、燃料システム(例えば、ガソリン、ディーゼル、水素などを提供する)、バッテリシステム、太陽電池パネル、また他の再生可能エネルギー源、及び/または燃料電池システムを含む。ドライブトレイン198は、原動機194の出力を車両の運動に変換するための変速機及び/または任意の他の機械的駆動コンポネントと共に、輪及び/またはタイヤだけでなく、車両110Aを制御できるように停止または減速するように構成される一つ以上のブレーキと、車両110Aの経路を制御するのに適合した方向または操向コンポネント(例えば、車両110Aの一つ以上の輪がおよそ垂直軸を中心に回転して車両の縦軸に対して輪の回転面の角度を変化させることを可能にするラック(rack)及びピニオン(pinion)操向連結部)と、を含む。一部の具現例において、パワートレイン及びエネルギー源の組み合わせが(例えば、電気/ガスハイブリッド車両の場合)使用され、一部の場合は多数の電気モータが(例えば、個別の輪または車軸専用の)原動機として使用される。
【0048】
方向制御装置182は、車両110Aが望みの経路に沿って行けるように、方向または操向コンポネントからフィードバックを受信するための一つ以上のアクチュエータ及び/またはセンサを含む。パワートレイン制御装置184はパワートレイン102の出力を制御して、例えば、原動機194の出力動力の制御、ドライブトレイン198の変速機のギヤの制御などで、車両110Aの速度及び/または方向を制御するように構成される。ブレーキ制御装置116は、車両110Aを減速または停止する一つ以上のブレーキ、例えば、車両の輪に結合されるディスクまたはドラムブレーキを制御するように構成される。
【0049】
オフロード車両、全地形(all-terrain)または軌道車両、建設装備などを含むが、これに限らない他の車両類型は異なるパワートレイン、ドライブトレイン、エネルギー源、方向制御装置、パワートレイン制御装置、及びブレーキ制御装置を使用する必要がある。更に、一部の具現例において、例えば、車両の方向制御が一つ以上の原動機の出力を変更することで主に処理される場合、コンポネントのうち一部が結合される。よって、本願に開示の具現例は自律走行車輪陸上車両において本願に記載の技術の特定適用に制限されない。
【0050】
車両110Aに対する多様なレベルの自律走行制御は、一つ以上のプロセッサ122及び一つ以上のメモリ124を含む車両制御システム120で具現されるが、それぞれのプロセッサ122はメモリ124に保存されているプログラムコード命令語126を実行するように構成される。プロセッサ(ら)は、例えば、グラフィックプロセッシングユニット(ら)(「GPU(ら)」)及び/または中央プロセッシングユニット(ら)(「CPU(ら)」)を含む。
【0051】
センサ130は、車両の作動を制御するのに使用するために車両の周辺環境から情報を収集するに適合した多様なセンサを含む。例えば、センサ130は、レーダセンサ134、LIDARセンサ136、3Dポジショニングセンサ138、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、またはGPS(Global Positioning System)、GLONASS(Globalnaya Navigazionnaya Sputnikovaya Sistema、またはGlobal Navigation Satellite System)、BeiDou Navigation Satellite System(BDS)、Galileo、Compassなどのような衛星ナビゲーションシステムのうちいずれか一つを含む。3Dポジショニングセンサ138は、衛星信号を利用して地球上の車両の位置を決定するのに使用される。センサ130は、カメラ140及び/または慣性計測装置(inertial measurement unit、IMU)142を含む。カメラ140はものグラフィックまたはステレオグラフィックカメラであり、スチール及び/またはビデオ画像を録画する。IMU 142は、3方向に車両の線形及び回転運動を検出する多数のジャイロスコープ及び加速度計を含む。ホイールエンコーダ(wheel encoder)のような一つ以上のエンコーダ(図示せず)は、車両110Aの一つ以上の輪の回転をモニタリングするのに使用される。それぞれのセンサ130は他のセンサ130のデータ速度とは異なる多様なデータ速度でセンサデータを出力する。
【0052】
センサ130の出力は、位置測定サブシステム152、計画サブシステム156、認識サブシステム154、及び制御サブシステム158を含む制御サブシステム150のセットに提供される。位置測定サブシステム152は、その周辺環境内、及びおよそ一部の基準フレーム内での車両110Aの位置及び方向(時々「ポーズ」とも称される)を正確に決定するような機能を行う。自律走行車両の位置はラベル付けされた(labeled)自律走行車両のデータ生成の一部であって、同じ環境にある追加の車両の位置と比較される。認識サブシステム154は、車両110Aを囲む環境内のオブジェクトを検出、追跡、決定及び/または識別するような機能を行う。マシンラーニングモデルはオブジェクトを追跡するのに活用される。計画サブシステム156は、望みの目的地及び環境内の停止及び移動オブジェクトに対して与えられた一部の時間フレームにわたって車両110Aに対する経路を計画するような機能を行う。マシンラーニングは車両の経路を計画するのに活用される。制御サブシステム158は、車両110Aの計画された経路を具現するために車両制御システム120において多様な制御装置を制御するための適切な制御信号を生成するような機能を行う。マシンラーニングモデルは計画された経路を具現するために自律走行車両を制御するよう、一つ以上の信号を生成するのに活用される。
【0053】
車両制御システム120について、図1aに例示したコンポネントの集合は本質的に単なる例示であることを理解すべきである。個別センサは一部の具現例において省略される。追加的または代案的に、一部の具現例において、図1aで例示された類型の多数のセンサは重複(redundancy)のために及び/または車両周辺の異なる領域をカバーするために使用されるが、他のタイプのセンサが使用されてもよい。同じく、制御サブシステムの異なる類型及び/または組み合わせが他の具現例で使用されてもよい。また、サブシステム152乃至158はプロセッサ122及びメモリ124から分離されていると示されているが、一部の具現例において、サブシステム152乃至158の機能のうち一部または全部は一つ以上のメモリ124に常住し一つ以上のプロセッサ122によって実行されるプログラムコード命令語126で具現されてもよく、このようなサブシステム152乃至158は一部の場合は同じプロセッサ(ら)及び/またはメモリを使用して具現される。サブシステムは、多様な専用回路ロジック、多様なプロセッサ、多様なFPGA(Field Programmable Gate Arrays)、多様なASIC(Application-Specific Integrated Circuits)、多様なリアルタイム制御器などを利用して少なくとも部分的に具現され、上述したように多数のサブシステムは回路、プロセッサ、センサ、及び/または他のコンポネントを利用する。また、車両制御システム120内の多様なコンポネントは多様な方式でネットワーク化される。
【0054】
一部の具現例において、車両110Aはまた、車両110Aのための重複またはバックアップ制御システムとして使用される補助車両制御システム(図示せず)を含む。補助車両制御システムは、車両制御システム120で異常イベント(adverse event)が発生したら自律走行車両110Aを全的に作動させるが、他の具現例において、補助車両制御システムは、例えば、メイン車両制御システム120で検出された異常イベントに応答して車両110Aの制御された停止を行う制限された機能のみを有してもよい。また他の具現例において、補助車両制御システムは省略される。
【0055】
およそソフトウェア、ハードウェア、回路ロジック、センサ、ネットワークなどの多様な組み合わせを含む無数の異なるアーキテクチャが図1aに例示した多様なコンポネントを具現するのに使用される。それぞれのプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサと具現され、それぞれのメモリはメイン保存場所を含むランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)装置だけでなく、例えば、キャッシュ(cache)メモリ、非揮発性またはバックアップメモリ(例えば、プログラム可能な(programmable)またはフラッシュ(flash)メモリ)、読み取り専用(read-only)メモリなどのような補充的なレベルのメモリを示す。また、それぞれのメモリは車両110A内の他のところに物理的に位置するメモリ保存装置、例えば、プロセッサ内の任意のキャッシュメモリだけでなく、例えば、大容量保存装置または他のコンピュータ制御器上に保存されているような仮想メモリとして使用される任意の保存容量を含むとみなされる。図1aに示した一つ以上のプロセッサまたは完全に別のプロセッサは、自律走行制御の目的以外に、例えば、エンターテインメントシステムの制御、ドア、照明、便宜仕様などの作動のような車両110A内の追加的な機能を具現するのに使用される。
【0056】
また、更なる保存のために、車両110Aは一つ以上の大容量保存装置、例えば、他のものの中でも、ポータブルディスクドライブ、ハードディスクドライブ、直接アクセス記憶装置(Direct Access Storage Device、DASD)、光学ドライブ(例えば、CDドライブ、DVDドライブなど)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ネットワークアタッチドストレージ(network attached storage)、ストレージアレアネットワーク(storage area network)、及び/またはテープドライブ(tape drive)を含む。
【0057】
加えて、車両110Aは、車両110Aが使用者または運営者からの多数の入力を受信し、使用者または運営者のための出力を生成することを可能にするためのユーザインタフェース164、例えば、一つ以上のディスプレイ、タッチスクリーン、音声及び/またはジェスチャーインタフェース、ボタン及び他の触覚制御装置などを含む。そうではなければ、使用者入力は他のコンピュータまたは電子装置を介して、例えば、モバイル装置上のアプリまたはウェブインタフェースを介して受信される。
【0058】
また、車両110Aは、例えば、車両110Aがその自律走行制御に使用するための環境及び他のデータを受信するクラウドサービスのような中央サービスを含む他のコンピュータ及び電子装置との通信を可能にするために、一つ以上のネットワーク170(例えば、他のものの中でも、構内通信網(Local Area Network、LAN)、広域通信網(Wide Area Network、WAN)、無線ネットワーク、及び/またはインターネットなど)と通信するのに適合した一つ以上のネットワークインタフェース(例えば、ネットワークインタフェース162)を含む。一つ以上のセンサ130によって収集されたデータは追加的なプロセッシングのためにネットワーク170を介してコンピューティングシステム172にアップロードされる。アップロードされる前に、車両データの各インスタンスにタイプスタンプが追加される。多くの具現例によるコンピューティングシステム172による自律走行車両データの追加的なプロセッシングは図2に関して記述される。
【0059】
図1aに例示したそれぞれのプロセッサ及び本願に開示の多様な追加的な制御器及びサブシステムはおよそ運営体制(operating system)の制御の下で作動し、以下でより詳細に記載されるように、多様なコンピュータソフトウェアアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、データ構造などを実行するか、そうではなければこれに依存する。加えて、多様なアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュールなどはまたネットワーク170を介して車両110Aに連結される他のコンピュータ内の一つ以上のプロセッサ、例えば、分散されているクラウド基盤、またはクライアント-サーバコンピューティング環境上で実行されるが、それによってコンピュータプログラムの機能を具現するのに必要なプロセッシングはネットワークを介して多数のコンピュータ及び/またはサービスに割り当てられる。
【0060】
およそ運営体制の一部として具現されるか、特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュールまたは命令後のシーケンス、更にはこれらのサブセットとして具現されるのか否かとは関係なく、本願に記載の多様な具現例を具現するために実行されるルーティンは本願で「プログラムコード」と称される。プログラムコードは多様なメモリ及び保存装置のうち多様な時間に常住する一つ以上の命令語を含み、一つ以上のプロセッサによって読み取られ実行される際、本開示の多様な様態を具現するステップまたは要素を実行するために必要なステップを行う。また、具現例は以下で完全に作動するコンピュータ及びシステムの脈略で記述されるが、本願に記載の多様な具現例は多様な形態のプログラム製品として配布されてもよく、具現例は実際に配布を行うのに使用される特定類型のコンピュータで読み取り可能な媒体に関係なく具現される。
【0061】
コンピュータで読み取り可能な媒体の例は、他のものの中で、揮発性及び非揮発性メモリ装置、フロッピーディスク及び他のポータブルディスク、SSD、ハードディスクドライブ、磁気テープ、及び光ディスク(例えば、CD-ROM、DVDなど)のような具体的な形態の非一時的媒体を含む。
【0062】
また、後述する多様なプログラムコードは特定具現例で具現されるアプリケーションに基づいて識別される。これに伴う任意の特定プログラム命名法は単に便宜のために使用され、よって、本開示はこのような命名法によって識別されて/されるか示唆される任意の特定アプリケーションでのみ使用されるように制限されてはならないことを認識すべきである。加えて、コンピュータプログラムがルーティン、手順、方法、モジュール、オブジェクトなどに組織化される通常無数の方式及びプログラム機能が一般的なコンピュータ内に常住する多様なソフトウェア階層の間で割り当てられる多様な方式(例えば、運営体制、ライブラリ、API、アプリケーション、アプレット(applet)など)を考慮すれば、本開示は本願に記載のプログラム機能の特定組織及び割り当てに制限されないことを認識すべきである。
【0063】
図1aに例示された環境は本願に開示の具現例を制限するためのものではない。実際に、他の代案的なハードウェア及び/またはソフトウエア環境が本願に開示の具現例を範囲を逸脱せずに使用される。

2.自動車アプリケーションのためのFM LIDAR
【0064】
トラックはLIDARシステム(例えば、図1aの車両制御システム120、図3aのLIDARシステム300、図3bのLIDARシステム350など)を含む。一部の具現例において、LIDARシステムは光信号をエンコーディングするために周波数変調を使用し、エンコーディングされた光信号を光学系を使用して自由空間に散乱させる。エンコーディングされた光信号とオブジェクトから反射されたリターン信号との間の周波数差を感知することで、周波数変調(Frequency Modulated、FM)LIDARシステムはオブジェクトの位置を決定し/するか、ドップラー効果を使用してオブジェクトの速度を正確に測定する。FM LIDARシステムは、連続波(「FMCW LIDAR」または「コヒーレント(coherent)FMCW LIDAR」と称される)または準連続波「FMQW LIDAR」と称される)を使用する。LIDARシステムは光信号をエンコーディングするために位相変調(Phase Modulation、PM)を使用し、エンコーディングされた光信号を光学系を使用して自由空間に散乱させる。
[0052]
FMまたは位相変調(PM)LIDARシステムは、自動車及び/または商用トラックの運送アプリケーションに関して従来のLIDARシステムに比べ相当な利点を提供する。まず、一部の場合、オブジェクト(例えば、暗い服を着ている歩行者)はそのオブジェクトにぶつかる光の少ない量(例えば、10%未満)のみをFMまたはPM LIDARシステムのセンサ(例えば、図1aのセンサ130)に更に反射するということから低い反射率を有する。他の場合、オブジェクト(例えば、光る道路表示板)はそのオブジェクトにぶつかる光の多い量をFM LIDARシステムのセンサに更に反射するということから高い反射率(例えば、10%超過)を有する。
[0053]
オブジェクトの反射率とは関係なく、FM LIDARシステムは従来のLIDARシステムより遠い距離(例えば、2×)でオブジェクトを検出(例えば、分類、認識、発見など)することができる。例えば、FM LIDARシステムは300メートル以上の距離にある低反射率のオブジェクト及び400メートル以上の距離にある光反射率のオブジェクトを感知することができる。
[0054]
検出能力におけるこのような改善を達成するために、FM LIDARシステムはセンサ(例えば、図1aのセンサ130)を使用する。一部の具現例において、これらのセンサは単一光子(single photon)に敏感であるが、これはこれらができる限り最も少ない量の光を検出することができるということを意味する。FM LIDARシステムは一部の応用分野で赤外線波長(例えば、950nm、1550nmなど)を使用するが、赤外線波長の範囲(例えば、近赤外線:800nm乃至1500nm、中間赤外線:1500nm乃至5600nm、及び遠赤外線:5600nm乃至1,000,000nm)に限らない。赤外線波長でFMまたはPM LIDARシステムを作動することで、FMまたはPM LIDAシステムは目の安全標準を満たすと共により強い光パルスまたは光ビームをブロードキャスティングする。従来のLIDARシステムは時々単一光子に敏感ではなく/ないか近赤外線波長でのみ作動するため、目の安全上の理由で高出力(及び距離感知能力)が制限される。
[0055]
よって、より遠い距離でオブジェクトを感知することで、FM LIDARシステムは予期せぬ障害物に反応するためにより長い時間を有する。実際に、特に高速道路の速度で走行する大型車両(例えば、商用トラック運送車両)の場合、数ミリ秒の追加時間だけでも安全と乗り心地を向上させることができる。
[0056]
FM LIDARシステムの他の長所は、各データポイントに対して正確な速度を瞬間的に提供するということである。一部の具現例において、速度の測定は、半径方向の速度(例えば、検出されたオブジェクトとセンサとの方向ベクトル)またはレーザ信号の周波数のうち少なくとも一つに基づいて、オブジェクトから受信された光の周波数をシフトさせるドップラー効果を使用して行われる。例えば、速度が秒当たり100メートル(m/s)未満のオンロード(on-road)状況で発生する速度の場合、1550ナノメートル(nm)波長においてこのようなシフトは130メガヘルツ(MHz)未満の周波数シフトに当たる。このような周波数シフトは光学系ドメインで直接感知することが難しいくらい小さい。しかし、FMCW、PMCW、またはFMQW LIDARシステムのコヒーレント検出を使用することで、信号は周波数シフトが多様な信号プロセッシング技術を使用して計算されるようにRFドメインに変換される。それによって自律走行車両制御システムは収集されるデータをより速くプロセッシングすることができる。
[0057]
瞬間速度(instantaneous velocity)の計算は、FM LIDARシステムが距離を決定するか、希少データポイントをオブジェクトとして決定し/するか、このようなオブジェクトが時間が経つにつれどのように移動するのかを追跡することをより容易にする。例えば、FM LIDARセンサ(例えば、図1aのセンサ130)は300m距離のオブジェクトに対して単に数個のリターン(例えば、ヒット(hit))のみを受信するが、これらのリターンが関心のある速度値(例えば、>70mphの速度で車両に向かって移動)を提供すれば、FM LIDARシステム及び/または自律走行車両制御システムは該当オブジェクトに関する確立に対するそれぞれの重みを決定する。
[0058]
FM LIDARシステムのより速い識別及び/または追跡は自律走行車両制御システムが車両を操縦するに当たってより多くの時間を提供する。オブジェクトがどれぐらい速く移動するのかをよりよく理解することができれば、自律走行車両制御システムはよりよい反応を計画することができる。
[0059]
FM LIDARシステムの他の長所は従来のLIDARシステムに比べ少なく静的(static)であるということである。つまり、光により敏感であるように設計された従来のLIDARシステムは、通常明るい光の下ではろくに作動しない。このようなシステムはまた、クローストーク(crosstalk)(例えば、センサが互いの光パルスまたは光ビームによって混線を引き起こす場合)及び自己干渉(self-interference)(例えば、センサが自らの以前の光パルスまたは光ビームによって混線を引き起こす場合)によって性能が低下する傾向がある。このような短所を克服するために、従来のLIDARシステムを使用する車両は時々このような「ノイズ」を管理するための追加のハードウエア、複雑なソフトウェア、及び/またはより多くの計算能力を必要とする。
[0060]
それに対し、FM LIDARシステムは各センサが自らの光特性(例えば、光ビーム、光波、光パルス)にのみ反応するように特別に設計されているため、このような類型の問題が生じない。リターン光が元々伝送された光のタイミング、周波数及び/または波長と一致しなければ、FMセンサは該当データポイントをフィルタリング(例えば、除去、無視など)する。よって、FM LIDARシステムはより少ないハードウエアまたはソフトウェアの要求事項を使用してより正確なデータを生産(例えば、生成、導出)して、より安全でスムーズな走行を可能にする。
[0061]
最後に、FM LIDARシステムは従来のLIDARシステムより拡張することがより容易である。より多くの自律走行車両(例えば、自動車、商用トラックなど)が道路に登場しているが、FM LIDARシステムで駆動される車両はセンサクロストークによる干渉問題から逸脱することができる。また、FM LIDARシステムは従来のLIDARセンサより少ない光ピーク電力(optical peak power)を使用する。このように、FM LIDARのための光学コンポーネントの一部または全部は単一チップ上で製造されるが、これは本願で論議されるようちそれ自体の利点を生成する。
3.商用運送トラック
[0062]
図1bは、一部の具現例による自律走行商用トラック運送車両のためのシステム環境の一例を示すブロックダイヤグラムである。環境100Bは貨物106Bを運ぶための商用トラック102Bを含む。一部の具現例において、商用トラック102Bは長距離貨物運送、地域貨物運送、複合貨物運送(つまり、道路基盤車両が貨物を移動させるための複数の運送モードのうち一つとして使用される運送)、及び/または任意の他の道路基盤の貨物運送アプリケーションのために構成される車両を含む。商用トラック102Bは、フラットベッド(flatbed)トラック、冷蔵トラック(例えば、リーファー(reefer)トラック、ベントバン(vented van)(例えば、乾式バン)、移動(moving)トラックなどである。貨物106Bは商品及び/または製品である。商業用トラック102Bは、プラットベッドトレーラー、ローボーイ(lowboy)トレーラー、ステップデック(step deck)トレーラー、拡張可能なプラットベッドトレーラー、サイドキット(sidekit)トレーラーなどのような貨物106Bを運ぶためのトレーラーを含む。
[0063]
環境100Bは、トラックから30メートル以下の距離範囲内にあるオブジェクト110B(図1bで他の車両として図示)を含む。
[0064]
商用トラック102Bは、オブジェクト110Bまでの距離を決定し/するかオブジェクト110Bの速度を測定するためのLIDARシステム104B(例えば、FM LIDARシステム、図1aの車両制御システム120、図3aのLIDARシステム300、図3bのLIDARシステム350など)を含む。図1bは一つのLIDARシステム104Bが商用トラック102Bの前面に取り付けられることを示しているが、LIDARシステムの個数及び商用トラック上のLIDARシステムへの取り付け領域は特定個数または特定領域に制限されない。商用トラック102Bは、商用トラック102Bに対する任意の自由空間内におけるオブジェクトの検出を容易にするために、商用トラック102Bの任意の領域(例えば、前面、後面、側面、上端、下端、下及び/または底)の上に取り付けられる任意の数のLIDARシステム104B(または、センサ、変調器、コヒーレント信号発生器などのようなコンポーネント)を含む。
【0065】
図示したように、環境100B内のLIDARシステム104Bは商用トラック102Bから近い距離(例えば、30メートル以下)にあるオブジェクト(例えば、他の車両、自転車、木、街の表示板、窪んだところなど)を検出するように構成される。
【0066】
図1cは、一部の具現例による自律走行商用トラック運送車両のためのシステム環境の一例を示すブロックダイヤグラムである。環境100Cは、環境100Bに含まれる同じコンポーネント(例えば、商用トラック102B、貨物106B、LIDARシステム104Bなど)を含む。
【0067】
環境100Cは、商用トラック102Bから(i)30メートル超過及び(ii)150メートル以下の距離範囲内にあるオブジェクト110C(図1cに他の車両として図示)を含む。図示したように、環境100C内のLIDARシステム104Bは商用トラック102Bからの一定距離(例えば、100メートル)にあるオブジェクト(例えば、他の車両、自転車、木、街の表示板、窪んだところなど)を検出するように構成される。
【0068】
図1dは、一部の具現例による自律走行商用トラック運送車両のためのシステム環境の一例を示すブロックダイヤグラムである。環境100Dは、環境100Bに含まれる同じコンポーネント(例えば、商用トラック102B、貨物106B、LIDARシステム104Bなど)を含む。
【0069】
環境100Dは、商用トラック102Bから150メートル超過した距離範囲内にあるオブジェクト110D(図1dに他の車両として図示)を含む。図示したように、環境100D内のLIDARシステム104Bは商用トラック102Bから一定距離(例えば、300メートル)にあるオブジェクト(例えば、他の車両、自転車、木、街の表示板、窪んだところなど)を検出するように構成される。
【0070】
商用トラック運送アプリケーションにおいて、増加された重量及びそれによってこのような車両に必要なより長い停止距離のため、全ての範囲にあるオブジェクトを効果的に感知することが重要である。FM LIDARシステム(例えば、FMCW及び/またはFMQWシステム)またはPM LIDARシステムは上述した利点のため商用トラック運送アプリケーションに非常に適切である。結果的に、このようなシステムが取り付けられた商業用トラックは短距離または長距離にわたって人及び物品を安全に移動させる向上された能力を有し、商用トラックだけでなく周辺車両の安全も改善することができる。多様な具現例において、このようなFMまたはPM LIDARシステムは、商用トラックに運転者があり、商用トラックの一部の機能がFMまたはPM LIDARシステムを使用して自律的に作動する半自律走行アプリケーション、または商用トラックが単独にまたは他の車両システムと共にFMまたはLIDARシステムによって全的に作動する完全自律走行アプリケーションに使用される。
4.連続波(Continuous Wave)変調及び準連続波(Quasi-Continuous Wave)変調
【0071】
CW変調を使用するLIDARシステムにおいて、変調器はレーザ光を連続して変調する。例えば、変調サイクルが10秒であれば、入力信号は10秒全体にわたって変調される。一方、準CW変調を使用するLIDARシステムにおいて、変調器は活性部分と非活性部分をいずれも有するようにレーザ光を変調する。例えば、10秒サイクルに対して、変調器はレーザ光を8秒間(時々「活性部分」と称される)のみ変調し、2秒間(時々「非活性部分」と称される)はレーザ光を変調しない。このようにすることで、変調器が連続した信号を提供する必要がないため、LIDARシステムは2秒間の電力消耗を減らすことができる。
【0072】
自動車アプリケーション用の周波数変調連続波(Frequency Modulated Continuous Wave、FMCW)LIDARにおいて、光信号が常にオン状態(例えば、活性化、電源供給、伝送など)ではなくても、FMCW測定及び信号処理方法論を使用する準CW変調を使用してLIDARシステムを作動することが有利である。一部の具現例において、準CW変調は1%以上及び最大50%の作動サイクルを有する。オフ状態(例えば、非活性、パワーダウンなど)でエネルギーが実際の測定時間の間に消耗される場合、信号対雑音比(SNR)に対するブースト及び/またはより長時間スケールで全てのエネルギーを一貫して統合するための信号プロセッシング要件の減少があり得る。
5.リターン信号の偏光解消比を利用したLIDARシステム
【0073】
図2は、一部の具現例によるコンピューティングシステムの一例を示すブロックダイヤグラムである。
【0074】
図2を参照すると、図示した例示的なコンピューティングシステム172は、通信システム240(例えば、バス)を介してメモリ260と通信する一つ以上のプロセッサ210と、ネットワーク(図示せず)にアクセスするためのネットワークインタフェースポートを有する少なくとも一つのネットワークインタフェース制御器230と、他のコンポネント、例えば、ディスプレイ(図示せず)及び入力装置(図示せず)にアクセスするための入力/出力(「I/O」)コンポネントインタフェース450とを含む。およそプロセッサ(ら)210はメモリから受信された命令語(またはコンピュータプログラム)を実行する。図示したプロセッサ(ら)210はキャッシュメモリ220を統合するか、それに直接連結される。一部の場合、命令語はメモリ260からキャッシュメモリ220内に読み取られ、キャッシュメモリ220からプロセッサ(ら)210によって実行される。
【0075】
より詳しくは、プロセッサ(ら)210は命令語、例えば、メモリ260またはキャッシュ220からフェッチされた命令語をプロセッシングする任意の論理回路である。一部の具現例において、プロセッサ(ら)210はマイクロプロセッサユニットまたは特殊目的のプロセッサである。コンピューティング装置400は、本願に記述されるように作動する任意のプロセッサ、またはプロセッサのセットに基づく。プロセッサ(ら)210は単一コアまたはマルチコアプロセッサ(ら)である。プロセッサ(ら)210は多数の別個のプロセッサである。
【0076】
メモリ260は、コンピュータで読み取り可能なデータを保存するのに適合した任意の装置である。メモリ260は固定の保存場所を有する装置またはポートブル保存媒体を読み取るための装置である。これらの例は全ての形態の非揮発性メモリ、媒体及びメモリ装置、半導体メモリ装置(例えば、EPROM、EEPROM、SDRAM、及びフラッシュメモリ装置)、磁気ディスク、磁気光ディスク、及び光ディスク(例えば、CD-ROM、DVD-ROM、及びBlu-Ray(登録商標)ディスク)を含む。コンピューティングシステム172はメモリ260であって、任意の数のメモリ装置を有する。
【0077】
キャッシュメモリ220は、およそ迅速な読み取り時間のためにプロセッサ(ら)210に近接して配置されるコンピュータメモリの一形態である。一部の具現例において、キャッシュメモリ220はプロセッサ(ら)210の一部であるか、これと同じチップ上にある。一部の具現例において、多数のレベルのキャッシュ220、例えば、L2及びL3キャッシュ階層が存在する。
【0078】
ネットワークインタフェース制御器230は、ネットワークインタフェース(時々ネットワークインタフェースポートと称される)を介したデータ交換を管理する。ネットワークインタフェース制御器230は、ネットワーク通信のためのOSIモデルの物理的及びデータリンク階層を処理する。一部の具現例において、ネットワークインタフェース制御器の作業のうち一部はプロセッサ(ら)210のうち一つ以上によって処理される。一部の具現例において、ネットワークインタフェース制御器230はプロセッサ210の一部である。一部の具現例において、コンピューティングシステム172は単一制御器230によって制御される多数のネットワークインタフェースを有する。一部の具現例において、コンピューティングシステム172は多数のネットワークインタフェース制御器230を有する。一部の具現例において、それぞれのネットワークインタフェースは物理的ネットワークリンク(例えば、cat-5イーサネットリンク)に対する連結ポイントである。一部の具現例において、ネットワークインタフェース制御器230は無線ネットワーク連結を支援し、インタフェースポートは(例えば、IEEE 802.11プロトコール、近距離無線通信「NFC」、ブルートゥース(登録商標)、ANT、または任意の他の無線プロトコールに対する)無線(例えば、ラジオ)受信器/送信器である。一部の具現例において、ネットワークインタフェース制御器230はイーサネットのような一つ以上のネットワークプロトコールを具現する。コンピューティング装置172は、およそネットワークインタフェースを介した物理的または無線リンクを介して他のコンピューティング装置とデータを交換する。ネットワークインタフェースは、他の装置に直接、または中間装置、例えば、ハブ、ブリッジ、スイッチ、またはルータのようなネットワーク装置を介して他の装置に連結されるが、それによってコンピューティング装置172をインターネットのようなデータネットワークに連結する。
【0079】
コンピューティングシステム172は、一つ以上の入力または出力(「I/O」)装置を含むか、それに対するインタフェースを提供する。入力装置は、キーボード、マイクロフォン、タッチスクリーン、フット(foot)ペダル、センサ、MIDI装置、及びマウスまたはトラックボールのようなポインティング装置を含むが、これに限らない。出力装置は、ビデオディスプレイ、スピーカ、再生可能な点字端末(refreshable Braille terminal)、照明、MIDI装置、及び2Dまたは3Dプリンタを含むが、これに限らない。
【0080】
他のコンポーネントは、I/Oインタフェース、外部直列装置ポート、及び追加の補助プロセッサを含む。例えば、コンピューティングシステム172は、入力装置、出力装置、または追加のメモリ装置(例えば、ポータブルフラッシュドライブまたは外部メディアドライブ)を連結するためのインタフェース(例えば、USB(universal serial bus)インタフェース)を含む。一部の具現例において、コンピューティング装置172は補助プロセッサ(co-processor)のような追加的な装置を含む。例えば、数学補助プロセッサは高精密であるか複雑な計算でプロセッサ210を補助する。
【0081】
図3aは、一部の具現例によるLIDARシステムの一例を示すブロックダイヤグラムである。一部の具現例において、LIDARシステム300はLIDARセンサ136(図1aを参照)である。LIDARシステム300は、レーザ302と、変調器304と、サーキュレータ光学系306と、スキャナ308と、偏光ビームスプリッタ(PBS)312と、第1検出器314と、第2検出器316と、プロセッシングシステム318とを含む。PBSは偏光ビームスプリッタ/コンバイナ(PBSC)である。一部の具現例において、LIDARシステム300はコヒーレントFMCW LIDARである。
【0082】
一部の具現例において、レーザ302は搬送波303であってレーザ出力(LO)信号を放出する。スプリッタ(図示せず)は、変調されていないLO信号を、同じ偏光状態(第1偏光状態と称する)にある搬送波303、LO信号321、及びLO信号323に分割する。
【0083】
一部の具現例において、変調器304は搬送波303を受信し、搬送波303を位相または周波数変調して第1偏光状態にある変調された光信号305を生成する。変調器304は、周波数シフティング装置(音響-光学(acousto-optic)変調器)である。変調された光信号305はローカル発振器の波形変調の時間遅延を利用して生成される。変調器304は(FM)LIDARシステムが光信号をエンコーディングし、エンコーディングされた光信号を光学系を使用して自由空間に散乱させるように周波数変調(FM)を使用する。FM LIDARシステムは、連続波(「FMCW LIDAR」と称される)または準連続波「FMQW LIDAR」と称される)を使用する。変調器304は(PM)LIDARシステムが光信号をエンコーディングし、エンコーディングされた光信号を光学系を使用して自由空間に散乱させるように位相変調(PM)を使用する。一部の具現例において、変調器304は偏光変調を使用する。
【0084】
一部の具現例において、変調された光信号305はサーキュレータ光学系306を介してスキャナ308に入力される信号307に加工される。サーキュレータ光学系306は、光サーキュレータ(optical circulator)(例えば、光繊維結合サーキュレータ)であるが、これに限らない。例えば、サーキュレータ光学系306は光アイソレータ(optical isolator)であってもよい。一部の具現例において、サーキュレータ光学系306は自由空間ピッチキャッチ光学系(free-space pitch catch optic)(例えば、ピッチ光学系及びキャッチ光学系)である。
【0085】
一部の具現例において、送信信号309はオブジェクト310(または関心領域)を照明するようにスキャナ308を介して伝送される。送信信号309は第1偏光状態である。一部の具現例において、スキャナ308は、スキャニング光学系(図示せず)、例えば、複数のミラーまたは面(facet)を有する多角形スキャナを含む。スキャナ308はオブジェクト310によって反射されたリターン信号311を受信する。リターン信号311は、第1偏光状態の信号部分及び/または異なる偏光状態(「第2偏光状態」と称される)の信号部分を含む。第1偏光状態は第2偏光状態と直交する。スキャナ308はリターン信号311をリターン信号313に再指向(redirect)する。
【0086】
一部の具現例において、リターン信号313はサーキュレータ光学系306によってPBS 312に入力されるリターン信号315に更に再指向される。PBS 312は、リターン信号315を第1偏光状態の第1偏光光信号317及び第2偏光状態の第2偏光光信号319に分割し偏光する。サーキュレータ光学系306及びPBS 312は偏光ビームスプリッタ/コンバイナ(PBSC)に統合される。
【0087】
一部の具現例において、第1検出器314は単一対をなす(single paired)または対をなさない(unpaired)検出器、または対をなすまたは対をなさない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイである。第1検出器314はLO信号321を基準信号として受信する。第1検出器314は光信号を検出するように構成される光検出器である。第1検出器314は第1偏光信号(例えば、第1偏光光信号)を検出して第1電気信号325を出力または生成する。
【0088】
一部の具現例において、第2検出器316は単一対をなすまたは対をなさない検出器、または対をなすまたは対をなさない検出器の1次元(1D)または2次元(2D)アレイである。第2検出器316はLO信号323を基準信号として受信する。第2検出器316は光信号を検出するように構成される光検出器である。第2検出器316は第2偏光信号(例えば、第2偏光光信号)を検出して第2電気信号327を出力または生成する。2つの電気信号は異なる偏光状態にあるオブジェクトのそれぞれの個別画像を示す。
【0089】
一部の具現例において、プロセッシングシステム318はコンピューティングシステム172と類似した構成を有する(図2を参照)。プロセッシングシステム318は、コンピューティングシステム172と類似した構成を有する一つ以上のコンピューティングシステムである。プロセッシングシステム318は第1電気信号325及び第2電気信号327を受信し、該当電気信号に基づいて偏光解消比(以下で定義される)を計算する。第1電気信号325は第1偏光状態を示す第1チャネルでオブジェクトの画像を示し、第2電気信号347は第2偏光状態を示す第2チャネルでオブジェクトの画像を示す。プロセッシングシステム318は、第1チャネルで第1電気信号325をプロセッシングし、第2チャネルで第2電気信号327をプロセッシングする。
【0090】
一部の具現例において、プロセッシングシステム318(またはそのプロセッサ)は、オブジェクト(またはターゲット)がリターン信号をどれぐらい偏光解消させたのかを(以下で定義されるような偏光解消比を計算することで)推定するために、信号を2つの偏光状態(例えば、電気信号325、327)と比較するように構成される。2つの偏光信号を検出することに応答して、電気信号がプロセッシングシステム318によって独立にプロセッシングされるように、一つ以上の検出器(例えば、第1及び第2検出器314、316)は別のチャネルで対応する2つの電気信号(例えば、図3aの電気信号325、327)を生成する。LIDARシステム(例えば、LIDARシステム300)は互いに異なる偏光状態を有する2つのビーム(例えば、図3aの第1偏光光信号317及び第2偏光光信号319)の独立した信号プロセッシングを行うために、2つの受信/デジタイザチャネル(例えば、第1及び第2チャネル)を提供する。このような方式で、システムは、2つの独立したチャネルにおいて、クラウドのポイントからの独立したストリームを処理する。
【0091】
一部の具現例において、プロセッシングシステム318(またはそのプロセッサ)は、第1偏光光信号317と第2偏光光信号319との間の反射率の比を計算することで偏光解消比を計算するように構成される。LIDARシステムは、互いに異なる偏光状態にあるオブジェクトの個別画像(例えば、第1及び第2電気信号で表現される画像)の間の反射率の比を計算することで偏光解消比(Depolarization Ratio)を計算する。LIDARシステムは以下の数式に基づいて偏光解消比を計算する。
【0092】
【数1】
ここで、SNR(channel_p)は偏光チャネル(例えば、第1偏光状態を示す第1チャネル)におけるオブジェクトの画像の信号対雑音比(SNR)であり、SNR(channel_d)は偏光解消チャネル(例えば、第2偏光状態を示す第2チャネル)におけるオブジェクトの画像のSNRである。一部の具現例において、SNR(channel_p)は偏光チャネルにおけるオブジェクトの画像の平均SNRであり、SNR(channel_d)は偏光解消チャネルにおけるオブジェクトの画像の平均SNRである。
【0093】
一部の具現例において、偏光解消比は互いに異なる偏光状態にある2つの画像の間の平均反射率の比を利用して計算されるが、ここで平均反射率とは空間の一部の領域に対して(例えば、一部のボクセルに対して)定義される。複数のサンプルの平均反射率は一つ以上のボクセルに対して計算される。一つ以上のボクセルに対する複数のサンプルの平均反射率はパラメータ、例えば、空間解像度または精密度(例えば、ボクセルの次数)の選択によって影響を受ける。一般に、より小さいボクセルに対する平均はオブジェクトの全体画像の平均により小さい寄与度を有するに対し、コントラストにより大きく寄与することでオブジェクトをより区別できるようにする。平均反射率を計算するための適切なパラメータ(例えば、ボクセルの次数、サンプルの数など)の選択は純粋な反射率の測定でまた他の次元を提供することができるため、データの価値を上げることができる。計算された平均反射率の特性は測定された反射率値の測定とは異なり得る。例えば、各測定値は互いに相関関係を有しないが、平均は相関関係を有する。一部の具現例において、5cm×10cm次数のボクセルが使用される。平均化のためのサンプル数は100個未満である。例えば、5つまたは12個のサンプルが使用される。
【0094】
一部の具現例において、プロセッシングシステム318はそれぞれの偏光におけるオブジェクトのそれぞれの画像(例えば、第1偏光状態における第1画像及び第2偏光状態における第2画像)を生成するようにそれぞれのチャネルで電気信号325及び327に対する後処理を行う。プロセッシングシステム318は、複数のサンプルにわたってオブジェクトのそれぞれの画像の平均反射率を計算する。プロセッシングシステム318は、ボクセル当たりの空間平均化を行う。例えば、プロセッシングシステム318は、偏光状態のオブジェクトを示す複数のボクセルを効率的に生成するためにハッシュ基盤のボクセライザを含む。ハッシュ基盤のボクセライザを使用してプロセッシングシステム318はボクセルを迅速に検索する。プロセッシングシステム318は、複数のサンプルにわたって複数のボクセルの各ボクセル内の平均反射率を計算する。プロセッシングシステム318は、2つのチャネル(例えば、第1チャネルの電気信号325及び第2チャネルの電気信号327)の間の各ボクセル内の平均反射率の比を計算する。
【0095】
一部の具現例において、LIDARシステムは、レーザソース(例えば、図3aのレーザ302)からの送信信号(例えば、図3aの送信信号311)を送信するように構成される送信器(例えば、図3aのスキャナ308)と、オブジェクト(例えば、図3aのオブジェクト310)によって反射されたリターン信号(例えば、図3aのリターン信号313)を受信するように構成される受信器(例えば、図3aのスキャナ308)と、一つ以上の光学系(例えば、図3aのサーキュレータ光学系306、PBS 312)と、プロセッサ(例えば、図3aのプロセッシングシステム318のプロセッサ)とを含む。一つ以上の光学系は第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号(例えば、図3aの第1偏光光信号317)生成し、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号(例えば、図3aの第2偏光光信号319)を生成するように構成される。送信器及び受信器は単一送受信器(例えば、図3aの単一スキャナ308)である。
【0096】
一部の具現例において、一つ以上の光学系は、偏光ビームスプリッタ(図3aのPBS 312)と、第1検出器(例えば、図3aの検出器314)と、第2検出器(例えば、図3aの検出器316)とを含み、それによって偏光感受型(Polarization-sensitive)LIDAR(例えば、図3aのLIDARシステム300)を提供する。PBSは、リターン信号の第1偏光信号及び第2偏光信号が独立に検出されるように、リターン信号を第1偏光信号及び第2偏光信号に分割するように構成される。PBSは、リターン信号の第1偏光に偏光して第1偏光信号(例えば、図3aの第1偏光光信号317)を生成し、リターン信号の第2偏光に偏光させて第2偏光信号(例えば、図3aの第2偏光光信号319)を生成するように構成される。第1検出器は第1偏光信号を検出するように構成される。第2検出器は第2偏光信号を検出するように構成される。
【0097】
一部の具現例において、2つの偏光状態に分割された信号を(これらの間の反射率の比を計算することで)比較して、オブジェクト(またはターゲット)がリターン信号をどれぐらい偏光解消させたのかを推定する。2つの偏光信号を検出することに応答して、電気信号がプロセッシングシステム(例えば、図3aのプロセッシングシステム318)によって独立にプロセッシングされるように、一つ以上の検出器は別のチャネルで対応する2つの電気信号(例えば、図3aの電気信号325、327)を生成する。システムは偏光感受型LIDARの2つのビーム(例えば、図3aの第1偏光光信号317及び第2偏光光信号319)を有するが、これらそれぞれは独立した信号プロセッシング(例えば、図3aのプロセッシングシステム318による信号プロセッシング)のための2つの受信/デジタイザチャネル(例えば、第1及び第2チャネル)を有する。システムは、2つの独立したチャネルにおいて、クラウドのポイントからの独立したストリームを処理する。
【0098】
図3bは、一部の具現例によるLIDARシステムの他の例を示すブロックダイヤグラムである。一部の具現例において、LIDARシステム350はLIDARセンサ136(図1aを参照)である。図3bを参照すると、LIDARシステム350のレーザ302、変調器304、サーキュレータ光学系306、スキャナ308、及び偏光ビームスプリッタ(PBS)312それぞれは図3aを参照して記述されたものと同じであるか類似した構成を有する。LIDARシステム350は、検出器354と、シフタ356と、プロセッシングシステム368とを更に含む。
【0099】
一部の具現例において、検出器354は単一対をなすまたは対をなさない検出器である。第1検出器354はレーザ302からのLO信号355を基準信号として受信する。検出器354は光信号を検出するように構成される光検出器である。第1検出器354は第1偏光光信号317を検出して第1電気信号359を出力または生成する。
【0100】
一部の具現例において、シフタ356は周波数シフタまたは周波数シフティング装置である。例えば、シフタ356は音響-光学周波数シフタである。シフタ356は第2偏光光信号319を受信し、検出器354に向かう周波数シフトされた光信号357生成する。検出器354は周波数シフトされた光信号357を検出して第2電気信号361を出力または生成する。
【0101】
一部の具現例において、プロセッシングシステム368はプロセッシングシステム318と類似した構成を有する(図3aを参照)。プロセッシングシステム368は第1電気信号359及び第2電気信号361を受信し、該当電気信号に基づいて(前記で定義された)偏光解消比を計算する。第1電気信号359は第1偏光状態を示す第1チャネルでオブジェクトの画像を示し、第2電気信号361は第2偏光状態を示す第2チャネルでオブジェクトの画像を示す。プロセッシングシステム368は、第1チャネルで第1電気信号359をプロセッシングし、第2チャネルで第2電気信号361をプロセッシングする。
【0102】
一部の具現例において、LIDARシステム(例えば、図3bのLIDARシステム350)はリターン信号を単一検出器内に多重化することで、スプリッタ(例えば、PBS 312)及び位相シフタ(例えば、図3bのシフタ356)を使用してリターン信号(例えば、信号311、313、315)からの2つの偏光信号(例えば、図1及び第2偏光光信号317、319)を検出するように構成される単一検出器(例えば、図3bの単一検出器354)を含む。位相シフタ(例えば、図3bのシフタ356)は第2偏光信号(例えば、第2偏光光信号319)の位相をシフトするように構成される。単一検出器は第1偏光信号(例えば、第2偏光光信号317)を検出し、位相シフトされた第2偏光信号(例えば、第2偏光光信号319)を検出するように構成される。
【0103】
図3a及び図3bは、オブジェクトから反射された光をローカル発振器LOからの光と混合することでオブジェクトの位置を見つけるコヒーレントLIDARシステムの例を示している。本開示はこれに限らず、一部の具現例において、直接検出(またはパルスされた)LIDARシステムが偏光解消比を計算するのに使用されてもよい。一部の具現例において、偏光/偏光解消比を測定するための直接検出LIDARシステムのハードウェアの構成は、コヒーレントLIDARシステムのハードウェアの構成とは異なる。例えば、直接検出LIDARシステムは、出るパルスを特定的に偏光しリターン信号の異なる偏光状態に特定的な測定を行うために追加的な光学系を追加する必要がある。追加的な光学系を使用して、直接検出LIDARシステムはリターン信号の偏光を行う。それに対し、コヒーレントLIDARシステムにおいて、測定された信号は本質的にローカル発振器LOと同じ偏光状態にあるリターン信号の一部である。
【0104】
図4a乃至図4jは、一部の具現例による偏光解消比データの多様な例を示す画像である。
【0105】
図4aは、図4b乃至図4jに示した偏光解消比画像に使用される色構成表401を示す画像を示している。色構成表によると、より赤色の色は該当オブジェクトがより大きい偏光を維持している(つまり、偏光解消比が0に近い)ことを示し、より青色の色は該当オブジェクトがより偏光解消されている(つまり、偏光解消比が1に近い)ことを示す。
【0106】
図4bは、原本シーンを示すカラー画像411と、原本シーンの反射率を示す画像412と、原本シーンの偏光解消比を示す画像413とを示す。図4bは、アスファルト道路と砂利が類似した反射率を有するため反射率画像412で明確に区別されないことに対し、アスファルト道路414と砂利415が異なる偏光解消比を有するため偏光解消比画像413では明確に区別されることを示す。また、図4bは、図4aの色構成表によって、アスファルト道路414はより高い偏光を維持するに対し砂利415はより偏光解消されるということを示す。
【0107】
図4cは、原本シーンを示すカラー画像421と、原本シーンの反射率を示す画像422と、原本シーンの偏光解消比を示す画像423とを示す。図4cは、アスファルト道路と車線表示が類似した反射率を有するため反射率画像422で明確に区別されないことに対し、アスファルト道路4424と車線表示425が異なる偏光解消比を有するため偏光解消比画像423では明確に区別されることを示す。また、図4cは、図4aの色構成表によって、アスファルト道路424はより高い偏光を維持するに対し、車線表示425はより偏光解消されるということを示す。
【0108】
図4dは、原本シーンを示すカラー画像431と、原本シーンの偏光解消比を示す画像432とを示す。図4dは、アスファルト道路433はより高い偏光を維持するに対し、芝434はより偏光解消されるということを示すが、これは舗装された道路を検出するのに有用であることを示す。図4dはまた、植物435がより高い偏光を維持するに対し、植物436はより偏光解消されるということを示す。本発明者らは、植物435のこのような低い偏光解消比が分割ピクセルプロセッシングアーチファクト(split-pixel processing artifact)の問題のため間違って計算されたものであることを明らかにした。一般に、希少オブジェクトまたはターゲット(例えば、茂み、木の枝など)は分割ピクセルプロセッシングアーチファクトによる間違った測定を引き起こす可能性がある。
【0109】
このような分割ピクセルプロセッシングアーチファクトの問題を解決するために、一部の具現例において、このような希少オブジェクトは主成分分析(Principal Component Analysis、PCA)を利用して検出され廃棄される。システム(例えば、図3a及び図3bのプロセッシングシステム318、358)は、ボクセル内ポイントの分布を計算するか獲得する。システムはポイント分布に基づいて、平面上のポイントが(1)平らであるのか、広がっているのか、ソリッド(solid)であるのか、または(2)希少であるか線形に配列されているのか否かを決定するためにPCAを行う。平面上のポイントが(2)希少であるか線形に配列されていると決定することに応答して、システムは偏光解消比の測定または計算で該当ポイントを廃棄する。PCAを行うに当たって、システムは分布の共分散行列(covariance matrix)から固有値(eigenvalue)を識別し、いくつかの最も大きい固有値に基づいてオブジェクト(またはポイント)の希少性(sparsitiy)を決定する。
【0110】
図4eは、街シーンの偏光解消比を示す画像441及び442をそれぞれ示している。画像441において、停止表示板444の金属後面及び柱はより高い偏光を維持するに対し、その上の街の表示板(または看板)443はより偏光解消されることが示されている。画像442において、アスファルト道路445(例えば、黒色のアスファルト道路)はより高い偏光を維持するに対し、車線表示446(例えば、道路上の白色のペイント)はより偏光解消されることが示されている。
【0111】
図4fは、街シーンの偏光解消比を示す画像451及び452をそれぞれ示している。(画像451において)表示板の柱454及び(画像452において)表示板の柱457はより高い偏光を維持するに対し、(画像452において)表示板456の前面はより偏光解消されることが示されている。(画像452において)アスファルト道路455はより高い偏光を維持するに対し、(画像451において)芝453及び(画像452において)コンクリート歩行路または縁石(curb)458はより偏光解消されることが示されている。
【0112】
図4gは、原本シーンを示すカラー画像461と、原本シーンの偏光解消比を示す画像462とを示す。画像462において、金属柱467はより高い偏光を維持するに対し、表示板465の前面はより偏光解消されることが示されている。また、アスファルト道路463はより高い偏光を維持するに対し、コンクリート歩行路または縁石464はより偏光解消されることが示されている。また、車両のナンバープレート466はより偏光解消されるに対し、該当車両の他の表面(例えば、ヘッドライト)はより高い偏光を維持することが示されている。
【0113】
図4hは、原本シーンを示すカラー画像470と、原本シーンの偏光解消比を示す画像471、472とをそれぞれ示す。(画像471において)表示板の柱474及び表示板の後面、(画像472において)表示板の柱478及び(画像472において)チェーン連結フェンス477はより高い偏光を維持するに対し、(画像472において)表示板479の前面はより偏光解消されることが示されている。また、(画像472において)木473、475及び芝476はより偏光解消されることが示されている。
【0114】
図4iは、原本シーンを示すカラー画像481と、原本シーンの偏光解消比を示す画像482とを示す。画像482において、異なる建築資材(例えば、建物の表面483、484、485)は異なる偏光解消比を有することが示されている。
【0115】
図4jは、それぞれ人の画像の偏光解消比を示す画像491及び492を示している。皮膚(例えば、顔面494、497、腕493、496)はより高い偏光を維持するに対し、毛髪499及び衣服495、498はより偏光解消されることが示されている。類似した偏光解消比が動物の画像から獲得される。
【0116】
図4a乃至図4jからの観察に基づいて、オブジェクトの類型が偏光解消比に基づいて決定されるか検出される。一部の具現例において、偏光解消比に基づくオブジェクトの検出は様々な主要シーンを明確にする。例えば、(1)アスファルトはより高い偏光を維持するに対し、芝、荒いコンクリート、または砂利はより偏光解消される;(2)金属柱はより高い偏光を維持するに対し、木または電信柱はより偏光解消される;(3)金属表面(または表示板の後面)はより高い偏光を維持するに対し、レトロ表示板(retro-sign)(または表示板の前面)はより偏光解消される;(4)道路表面はより高い偏光を維持するに対し、車線表示はより偏光解消される;(5)車両のナンバープレートはより偏光解消されるに対し、車両の他の表面はより高い偏光を維持する;(6)(人や動物の)皮膚はより高い偏光を維持するに対し、毛髪及び衣服はより偏光解消される
【0117】
この明確化技術は、特定の道路表示、表示板、歩行者などを認識するのに役に立つ。一部の具現例において、偏光解消比はオブジェクトの希少特徴(例えば、相対的により小さい領域を有する特徴)を検出するか認識するが、このような希少特徴は異なるオブジェクトの明確化のために容易に登録される。例えば、人の希少特徴(例えば、低い偏光解消比に基づいて片出された皮膚の特徴)は歩行者を検出するか認識するのに有用である。
【0118】
一部の具現例において、偏光解消比に基づく異なるオブジェクトまたは物質の明確化は、認識システム(例えば、図1aの車両制御システム120の認識サブシステム154)、または計画システム(例えば、図1aの車両制御システム120の計画サブシステム156)が、(例えば、人工知能技術を使用して)車両の周辺環境内のオブジェクトをより正確に検出、追跡、決定し/するか、分類することを助ける。認識サブシステム154は、LIDARシステム(例えば、図3a及び図3bに示したLIDARシステム)から獲得されたオブジェクトの画像の偏光解消比を計算するか、LIDARシステムによって計算された偏光解消比を受信する。認識サブシステム154は、(1)獲得された偏光解消比、及び(2)主要特徴表面(例えば、アスファルト、芝、荒いコンクリート、砂利、金属柱、木、電信柱、表示板の表面、車線表示、車両の表面、車両のナンバープレート、皮膚、毛髪などと上述したこれらの偏光解消比との関係に基づいてオブジェクトを分類する。マシンラーニングモデルまたは技術はオブジェクトを分類するのに活用される。このようなマシンラーニングモデルまたは技術は、指導学習、非指導学習、半指導学習(semi-supervised learning)、回帰(regression)アルゴリズム、インスタンス基盤の(instance-based)アルゴリズム、正規化アルゴリズム、意思決定ツリー(decision tree)アルゴリズム、ベイズ(Bayesian)アルゴリズム、クラスタリング(clustering)アルゴリズム、人工神経網、ディープラーニング(deep learning)アルゴリズム、次元減少(dimension reduction)アルゴリズム(例えば、PCA)、アンサンブル(ensemble)アルゴリズム、サポートベクトルマシン(Support Vector Machine、SVM)などを含むが、これに限らない。
【0119】
図1aを参照すると、認識サブシステム154は、オブジェクト分類の結果に基づいて、車両110Aを囲む環境内のオブジェクトを検出、追跡、決定及び/または識別するような機能を行う。計画サブシステム156は、オブジェクト分類の結果に基づいて、望みの目的地及び環境内の停止及び移動オブジェクトに対して与えられた一部の時間フレームにわたって車両110Aに対する経路を計画するような機能を行う。制御サブシステム158は、オブジェクト分類の結果に基づいて、車両110Aの計画された経路を具現するために車両制御システム120において多様な制御装置を制御するための適切な制御信号を生成するような機能を行う。
【0120】
一部の具現例において、自律走行車両制御システム(例えば、図1aの車両制御システム120)は、一つ以上のプロセッサ(例えば、図1aのプロセッサ122、図3aのプロセッシングシステム318のプロセッサ、図3bのプロセッシングシステム358のプロセッサ)を含む。一つ以上のプロセッサは、送信器(例えば、図3aのスキャナ308)がレーザソース(例えば、図3aのレーザ302)からの送信信号を送信させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、受信器(例えば、図3aのスキャナ308)がオブジェクト(例えば、図3aのオブジェクト310)によって反射されたリターン信号(例えば、図3aのリターン信号311)を受信させるように構成される。送信器及び受信器は単一送受信器(例えば、図3aのスキャナ308)である。一つ以上の光学系は、一つ以上の光学系(例えば、図3aのサーキュレータ光学系306及びPBS 312)が第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号(例えば、図3aの第1偏光光信号317)生成し、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号(例えば、図3aの第2偏光光信号319)を生成させるように構成される。
【0121】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは一つ以上の光学系の偏光ビームスプリッタ(PBS)(例えば、図3aのPBS 312)が第1偏光にリターン信号を偏光させて第1偏光信号を生成させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、PBSが第2偏光にリターン信号を偏光させて第2偏光信号を生成させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系の第1検出器(例えば、図3aの第1検出器314)が第1偏光信号を検出させるように構成される。一つ以上のプロセッサは、一つ以上の光学系の第2検出器(例えば、図3aの第2検出器316)が第2偏光信号を検出させるように構成される。
【0122】
一部の具現例において、第1及び第2検出器は単一検出器(例えば、図3aの単一検出器354)である。一つ以上のプロセッサは、位相シフタ(例えば、図3bのシフタ356)が第2偏光信号の位相をシフトさせるように構成される。一つ以上のプロセッサは、単一検出器が第1偏光信号を検出し、位相シフトされた第2偏光信号(例えば、図3bの位相シフトされた第2偏光信号357)を検出させるように構成される。
【0123】
一つ以上のプロセッサは、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比(例えば、偏光解消比)に基づいて車両を作動するように構成される。一部の具現例において、第1偏光信号は第1偏光を有するオブジェクトの第1画像を示し、第2偏光信号は第2偏光を有するオブジェクトの第2画像を示す。一つ以上のプロセッサは、(例えば、数1を使用して)第1画像の平均信号対雑音比(SNR)値と第2画像の平均SNR値との間の比を計算することで反射率の比を計算するように構成される。
【0124】
一つ以上のプロセッサは、計算された反射率の比に基づいてオブジェクトの類型を決定するように構成される。例えば、認識サブシステム154(図1aを参照)は、(1)獲得された偏光解消比、及び(2)主要特徴表面(例えば、アスファルト、芝、荒いコンクリート、砂利、金属柱、木、電信柱、表示板の表面、車線表示、車両の表面、車両のナンバープレート、皮膚、毛髪など)とこれらの偏光解消比との関係に基づいてオブジェクトを分類する。一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型に基づいて車両の経路を制御するように構成される。例えば、計画サブシステム156(図1aを参照)は、オブジェクト分類の結果に基づいて、車両110A(図1aを参照)に対する経路を計画するような機能を行う。制御サブシステム158(図1aを参照)は、オブジェクト分類の結果に基づいて、車両110Aの計画された経路を具現するために車両制御システム120(図1aを参照)内の多様な制御装置を制御するための適切な制御信号を生成するような機能を行う。
【0125】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定するように構成される。一つ以上のプロセッサは、計算された反射率の比に基づいてオブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように構成される。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトをアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つに分類し、オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいのか否かを決定する。オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトがアスファルト道路であることを決定する。
【0126】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定するように構成される。一つ以上のプロセッサは、計算された反射率の、比に基づいてオブジェクトが金属柱であることを決定するように構成される。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトを金属柱、木、または電信柱のうち一つに分類し、オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいのか否かを決定する。オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトが金属柱(または金属柱ら)であることを決定する。
【0127】
一部の具現例において、一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型を一人以上の人であると決定するように構成される。一つ以上のプロセッサは、計算された反射率の比に基づいて、一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域を決定するように構成される。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトを一人以上の人に分類し、オブジェクトの第1部分の偏光解消比が予め決定された第1臨界値より小さいのか否かを決定し、オブジェクトの第2部分の偏光解消比が予め決定された第2臨界値より大きいのか否かを決定する。オブジェクトの第1部分の偏光解消比が予め決定された第1臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトの第1部分が皮膚であることを決定する。オブジェクトの第2部分の偏光解消比が予め決定された第2臨界値より大きいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトの第2部分が毛髪または衣服であることを決定する。
【0128】
図5は、一部の具現例による偏光解消比に基づいて車両の経路を制御するための例示的な方法論を示すフローチャートである。この例示的な方法論において、プロセスは、ステップ510において、一つ以上のプロセッサ(例えば、図1aのプロセッサ112、図3aのプロセッシングシステム318のプロセッサ、図3bのプロセッシングシステム358のプロセッサ)によってLIDARシステム(例えば、図1aのセンサ136、図3a及び図3bのLIDARシステム300、350)から獲得されたオブジェクトの一つ以上の画像に基づいてオブジェクトの類型を決定することで開始する。
【0129】
一部の具現例において、ステップ520において、一つ以上のプロセッサは、オブジェクトがアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利であるのか否かを決定する。オブジェクトがアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利であると決定することに応答して、ステップ550において、一つ以上のプロセッサは、計算された反射率の比に基づいてオブジェクトがアスファルト道路であることを決定する。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトをアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つに分類し、オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいのか否かを決定する。オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトがアスファルト道路であることを決定する。
【0130】
ステップ530において、一つ以上のプロセッサは、オブジェクトが金属柱、木、または電信柱であるのかを決定する。オブジェクトが金属柱、木、または電信柱であると決定することに応答して、ステップ550において、一つ以上のプロセッサは、計算された反射率の比に基づいてオブジェクトが金属柱(または金属柱ら)であることを決定する。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトを金属柱、木、または電信柱に分類し、オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいのか否かを決定する。オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトが金属柱(または金属柱ら)であることを決定する。
【0131】
ステップ540において、一つ以上のプロセッサは、オブジェクトが一人以上の人であるのか否かを決定する。一部の具現例において、ステップ550において、一つ以上のプロセッサは、計算された反射率の比に基づいて、一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域を決定する。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトを一人以上の人に分類し、オブジェクトの第1部分の偏光解消比が予め決定された第1臨界値より小さいのか否かを決定し、オブジェクトの第2部分の偏光解消比が予め決定された第2臨界値より大きいのか否かを決定する。オブジェクトの第1部分の偏光解消比が予め決定された第1臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトの第1部分が皮膚であることを決定する。オブジェクトの第2部分の偏光解消比が予め決定された第2臨界値より大きいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトの第2部分が毛髪または衣服であることを決定する。
【0132】
ステップ560において、一つ以上のプロセッサは、オブジェクトの類型(例えば、ステップ550で決定されたアスファルト道路または金属柱の類型)に基づくか、オブジェクトの領域(例えば、ステップ550で決定された領域、または皮膚、毛髪、または衣服)に基づいて車両の経路を制御する。例えば、計画サブシステム156はオブジェクトの決定された類型(例えば、アスファルト道路または金属柱の類型)に基づいて、環境内の静的オブジェクトに対して車両110Aの経路を計画するような機能を行う。計画サブシステム156はまた、オブジェクトの決定された領域(例えば、一人以上の人の領域、または皮膚、毛髪、または衣服)に基づいて動的オブジェクト(例えば、一人以上の人)の経路を決定し、該当動的オブジェクトの経路に基づいて該当環境内の動的オブジェクトに対して車両110Aの経路を決定する。
【0133】
図6は、一部の具現例による偏光解消比に基づいて車両を作動させるための例示的な方法論を示すフローチャートである。この例示的な方法論において、プロセスは、ステップ620において、レーザソース(例えば、図3aのレーザ302)からの送信信号(例えば、図3aの送信信号309)を送信し、オブジェクト(例えば、図3aのオブジェクト310)によって反射されたリターン信号(例えば、図3aのリターン信号311)を受信することで開始する。一部の具現例において、送信信号の送信及びリターン信号の受信は単一送受信器(例えば、図3aのスキャナ308)によって行われる。
【0134】
一部の具現例において、ステップ640において、第1偏光を有するリターン信号の第1偏光信号(例えば、図3aの第1偏光光信号317)は一つ以上の光学系(例えば、図3aのサーキュレータ光学系306及びPBS 312)によって生成される。第1偏光信号を生成するステップにおいて、第1偏光信号を生成するためにリターン信号は一つ以上の光学系(例えば、図3aのPBS 312)の偏光ビームスプリッタ(PBS)によって第1偏光に偏光される。第1偏光信号は一つ以上の光学系の第1検出器(例えば、図3aの第1検出器314)によって検出される。
【0135】
一部の具現例において、ステップ660において、第1偏光に直交する第2偏光を有するリターン信号の第2偏光信号(例えば、図3aの第2偏光光信号319)は一つ以上の光学系によって生成される。第2偏光信号を生成するステップにおいて、第2偏光信号を生成するためにリターン信号はPBSによって第2偏光に偏光される。第2偏光信号は一つ以上の光学系の第2検出器(例えば、図3aの第2検出器316)によって検出される。
【0136】
一部の具現例において、第1及び第2検出器は単一検出器(例えば、図3bの単一検出器354)である。第1偏光信号を生成するステップにおいて、第1偏光信号は単一検出器によって検出される。第2偏光信号を生成するステップにおいて、第2偏光信号の位相は位相シフタ(例えば、図3bのシフタ356)によってシフトされる。位相シフトされた第2偏光信号(例えば、図3bの第1位相シフトされた第2偏光信号357)は単一検出器(例えば、図3bの単一検出器354)によって検出される。
【0137】
ステップ680において、車両(例えば、図1aの車両110A)は、第1偏光信号と第2偏光信号との間の反射率の比(例えば、偏光解消比)に基づいて、一つ以上のプロセッサ(例えば、図1aのプロセッサ122、図3aのプロセッシングシステム318のプロセッサ、図3bのプロセッシングシステム358のプロセッサ)によって作動される。一部の具現例において、第1偏光信号は第1偏光を有するオブジェクトの第1画像を示し、第2偏光信号は第2偏光を有するオブジェクトの第2画像を示す。反射率の比を計算するステップにおいて、第1画像の平均信号対雑音比(SNR)値と第2画像の平均SNR値との間の比を(例えば、式1を使用して)計算する。
【0138】
反射率の比に基づいて車両を作動するステップにおいて、オブジェクトの類型は計算された反射率の比に基づいて決定される。例えば、認識サブシステム154は(図1aを参照)、(1)獲得された偏光解消比、及び(2)主要特徴表面(例えば、アスファルト、芝、荒いコンクリート、砂利、金属柱、木、電信柱、表示板の表面、車線表示、車両の表面、車両のナンバープレート、皮膚、毛髪など)とこれらの偏光解消比との関係に基づいてオブジェクトを分類する。一部の具現例において、車両の経路はオブジェクトの類型に基づいて制御される。例えば、計画サブシステム156(図1aを参照)は、オブジェクト分類の結果に基づいて、車両110A(図1aを参照)に対する経路を計画するような機能を行う。
【0139】
オブジェクトの類型を決定する一部の具現例において、オブジェクトの類型は、アスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定される。計算された反射率の比に基づいてオブジェクトがアスファルト道路であることが決定される。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトをアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つに分類し、オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいのか否かを決定する。オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトがアスファルト道路であることを決定する。
【0140】
一部の具現例において、オブジェクトの類型を決定するステップにおいて、オブジェクトの類型は金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定される。計算された反射率の比に基づいてオブジェクトが金属柱であることが決定される。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトを金属柱、木、または電信柱のうち一つに分類し、オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいのか否かを決定する。オブジェクトの偏光解消比が予め決定された臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトが金属柱(または金属柱ら)であることを決定する。
【0141】
一部の具現例において、オブジェクトの類型を決定するステップにおいて、オブジェクトの類型は一人以上の人であると決定される。計算された反射率の比に基づいて、一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域が決定される。例えば、認識サブシステム154は(例えば、偏光解消比を使用せずにLIDARシステムから獲得された画像に対してマシンラーニング技術を適用することで)オブジェクトを一人以上の人に分類し、オブジェクトの第1部分の偏光解消比が予め決定された第1臨界値より小さいのか否かを決定し、オブジェクトの第2部分の偏光解消比が予め決定された第2臨界値より大きいのか否かを決定する。オブジェクトの第1部分の偏光解消比が予め決定された第1臨界値より小さいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトの第1部分が皮膚であることを決定する。オブジェクトの第2部分の偏光解消比が予め決定された第2臨界値より大きいという決定に応答して、認識サブシステム154はオブジェクトの第2部分が毛髪または衣服であることを決定する。
【0142】
上述した説明は当業者が本願に記載の多様な様態を実施し得るようにするために提供される。これらの様態に対する多様な変形は当業者に容易に明白になるはずであり、本願に定義された一般的な原理は他の様態にも適用される。よって、本願の請求項は本願に開示の様態に限ると意図されないが、言語で表現された請求項と一致する全体範囲が与えられるべきであり、ここで単数の要素に対する言及は特に別に言及されない限り「たった一つ」を意味するのではなく、逆に「一つ以上」を意味すると意図される。別に具体的に言及されない限り、用語「一部」は一つ以上を意味する。当業者に公知さているか後ほど公知される前記説明全体にわたって説明された多様な様態の要素に対する全ての構造的及び機能的均等物は本願に明白に参照として含まれ、請求項に含まれると意図される。加えて、本願に開示の全ての内容なこのような開示が請求項に明示的に引用されたのか否かに関わらず、大衆にのみ提供されると意図されない。全ての請求項の要素は「~のための手段」という文句を使用して明示的に言及されない限り手段及び機能に解釈されてはならない。
【0143】
開示されたプロセスにおけるブロックの特定順番または階層構造は例示的な接近法の例であることを理解すべきである。設計の選好度に基づいて、プロセスにおけるブロックの特定順番または階層構造は以前の説明の範囲内に残っていながら再配列されてもよいことを理解すべきである。伴う方法請求項はサンプルとしての順番で多様なブロックの要素を提示し、提示された特定の順番または階層構造に限ることを意味しない。
【0144】
開示された具現例の上述した内容な、当業者が開示されたテーマを製造するか使用するようにするために提供される。このような具現例に対する多様な変形は当業者に容易に明白になるはずであり、本願に定義された一般的な原理は前記説明の思想または範囲を逸脱しないながらも他の具現例に適用される。よって、前記説明は本願に示した具現例に限ると意図されず、本願に開示の原理及び新規特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0145】
例示されて説明された多様な例は請求項の多様な特徴を説明するための例として提供されるのみである。しかし、任意の与えられた例に関して図示され説明された特徴は必ずしもこれに関する例に限らず、図示され説明される他の例と共に使用されるか組み合わせられる。また、請求項はいずれか一つの例によって制限されると意図されない。
【0146】
上述した方法の説明及びプロセスのフローチャートは単に例示的な例として提供され、多様な例のブロックは提示された順に行われるべきであると要求されるか示唆する意図を有しない。当業者が理解できるように、上述した例におけるブロックの順番は任意の順に行われてもよい。「続けて」、「その後」、「次に」などのような単語はブロックの順番を制限するためのものではない。これらの単語は単に方法に関する説明を介して読者をガイドするために使用される。また、請求項に対する任意の単数での言及、例えば、冠詞「一」、「一つ」、または「一つの」を使用する言及は該当要素を単数に限ると解釈されてはならない。
【0147】
本願に開示の例に関して説明された多様な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムブロックは電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはこれらの組み合わせとして具現される。ハードウェア及びソフトウェアのこのような相互交換性を明白に説明するために、多様な例示的なコンポネント、ブロック、モジュール、回路、及びブロックがこれらの機能性の観点でおよそ上述されている。このような機能性がハードウェアまたはソフトウェアで具現されるのか否かは、全体のシステムに課された特定応用プログラム及び設計の制約条件によって異なり得る。熟練した技術者はそれぞれの特定アプリケーションに対して多様な方式で説明された機能性を具現することができるが、このような具現の決定が本開示の範囲を逸脱すると解釈されてはならない。
【0148】
本願に開示の例に関して記載された多様な例示的なロジック、論理ブロック、モジュール、及び回路を具現するために使用されるハードウェアは、本願に開示の機能を行うように設計された汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能なロジック装置、離散ゲートまたはトランジスタロジック、離散ハードウェアコンポネント、またはこれらの任意の組み合わせで具現されるか行われる。汎用ソフトウェアはマイクロプロセッサであるが、代案的にプロセッサは任意の従来のプロセッサ、制御器、マイクロ制御器、または状態マシンである。プロセッサはまた、コンピューティング装置の組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと結合された一つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のこのような構成として具現される。代案的に、一部のブロックまたは方法は与えられた機能に特定的な回路によって行われる。
【0149】
一部の例示的な例において、記述された機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせで具現される。ソフトウェアとして具現される場合、機能は非一時的なコンピュータで読み取り可能な保存媒体、または非一時的なプロセッサで読み取り可能な保存媒体に一つ以上の命令語またはコードとして保存される。本願に開示の方法またはアルゴリズムのブロックは、非一時的なコンピュータで読み取り可能なまたはプロセッサで読み取り可能な保存媒体上に存在し得るプロセッサで実行可能なソフトウェアモジュールで具現される。非一時的なコンピュータで読み取り可能なまたはプロセッサで読み取り可能な保存媒体は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされる任意の保存媒体である。これに限らない例として、このような非一時的なコンピュータで読み取り可能なまたはプロセッサで読み取り可能な保存媒体はRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM、または他の光ディスク保存装置、磁気ディスク保存装置または他の磁気保存装置、または命令語またはデータ構造の形態で望みのプログラムコードを保存するのに使用され、コンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体を含む。本願で使用されるディスク(diskまたはdisc)はコンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びブルーレイディスクを含むが、ここでディスク(disk)は一般にデータを磁気的に再生するに対し、ディスク(disc)はデータをレーザで光学的に再生する。上述した組み合わせはまた、非一時的なコンピュータで読み取り可能な及びプロセッサで読み取り可能な保存媒体の範囲内に含まれる。付加的に、方法またはアルゴリズムの作動はコンピュータプログラム製品に統合される非一時的なプロセッサで読み取り可能な保存媒体及び/またはコンピュータで読み取り可能な保存媒体上に一つまたは任意の組み合わせまたはコードのセット及び/または命令語として存在する。
【0150】
開示された例の上述した内容は、当業者が本開示を具現するか使用するようにするために提供される。このような例に対する多様な変形は当業者に容易に明白になるはずであり、本願に定義された一般的な原理は本開示の思想または範囲を逸脱しないながらも一部の例に適用される。よって、本開示は本願に示した例に限ると意図されず、本願に開示の以下の請求項及び原理、そして新規特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図4j
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出と測距(LIght Detection And Ranging、LIDAR)システムであって、
レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、
オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、
第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される一つ以上の光学系と、
前記第1偏光信号の平均信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio、SNR)値と前記第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算して、前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比を計算するように構成されるプロセッサと、を含むLIDARシステム。
【請求項2】
前記一つ以上の光学系は、
前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第1偏光信号を生成し、前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成するように構成される偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter、PBS)と、
前記第1偏光信号を検出するように構成される第1検出器と、
前記第2偏光信号を検出するように構成される第2検出器と、を含む請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記第2偏光信号の位相をシフト(shift)するように構成される位相シフタを更に含み、
前記第1検出器及び前記第2検出器は、
前記第1偏光信号を検出し、
前記位相シフトされた第2偏光信号を検出するように構成される単一検出器である請求項2に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記送信器及び前記受信機は単一送受信器である請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
一つ以上のプロセッサを含む自律走行車両制御システムであって、
前記一つ以上のプロセッサは、
送信器がレーザソースから送信信号を受信させるようにし、
受信器がオブジェクトによって反射されたリターン信号を受信させるようにし、
一つ以上の光学系が第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するようにし、
前記第1偏光信号の平均信号対雑音比(SNR)値と前記第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算して、前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比を計算し、
前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて車両を作動するように構成される自律走行車両制御システム。
【請求項6】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記一つ以上の光学系の偏光ビームスプリッタ(PBS)が前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第1偏光信号を生成させるようにし、
前記PBSが前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成させるようにし、
前記一つ以上の光学系の第1検出器が前記第1偏光信号を検出させるようにし、
前記一つ以上の光学系の第2検出器が前記第2偏光信号を検出させるようにするために更に構成される請求項5に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項7】
前記第1検出器及び前記第2検出器は単一検出器であり、
前記一つ以上のプロセッサは、
位相シフタが前記第2偏光信号の位相をシフトさせるようにし、
前記単一検出器が前記第1偏光信号を検出させるようにし、前記位相シフトされた第2偏光信号を検出させるようにするために更に構成される請求項6に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項8】
前記送信器及び前記受信機は単一送受信器である請求項5に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項9】
前記第1偏光信号は前記第1偏光を有する前記オブジェクトの第1画像を示し、前記第2偏光信号は前記第2偏光を有する前記オブジェクトの第2画像を示し、
前記一つ以上のプロセッサは、
前記第1画像の平均SNR値と前記第2画像の平均SNR値との間の比を計算することで前記反射率の比を計算し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトの類型を決定し、
前記オブジェクトの類型に基づいて前記車両の経路(trajectory)を制御するように更に構成される請求項5に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項10】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように更に構成される請求項9に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項11】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトが金属柱であることを決定するように更に構成される請求項9に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項12】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を一人以上の人であると決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域を決定するように更に構成される請求項9に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項13】
自律走行車両であって、
レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、
オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、
第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するように構成される一つ以上の光学系と、を含む光検出と測距(LIDAR)システムと、
操向システムまたは制動システムのうち少なくとも一つと、
前記第1偏光信号の平均信号対雑音比(SNR)値と前記第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算して、前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比を計算し、
前記第1偏光信号と前記第2偏光信号との間の反射率の比に基づいて前記操向システムまたは前記制動システムのうち少なくとも一つの作動を制御するように構成される一つ以上のプロセッサを含む車両制御器と、を含む自律走行車両。
【請求項14】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記一つ以上の光学系の偏光ビームスプリッタ(PBS)が前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第1偏光信号を生成させるようにし、
前記PBSが前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成させるようにし、
前記一つ以上の光学系の第1検出器が前記第1偏光信号を検出させるようにし、
前記一つ以上の光学系の第2検出器が前記第2偏光信号を検出させるようにするために更に構成される請求項13に記載の自律走行車両。
【請求項15】
前記第1検出器及び前記第2検出器は単一検出器であり、
前記一つ以上のプロセッサは、
位相シフタが前記第2偏光信号の位相をシフトさせるようにし、
前記単一検出器が前記第1偏光信号を検出させるようにし、前記位相シフトされた第2偏光信号を検出させるようにするために更に構成される請求項14に記載の自律走行車両。
【請求項16】
前記送信器及び前記受信機は単一送受信器である請求項13に記載の自律走行車両。
【請求項17】
前記第1偏光信号は前記第1偏光を有する前記オブジェクトの第1画像を示し、前記第2偏光信号は前記第2偏光を有する前記オブジェクトの第2画像を示し、
前記一つ以上のプロセッサは、
前記第1画像の平均SNR値と前記第2画像の平均SNR値との間の比を計算することで前記反射率の比を計算し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトの類型を決定し、
前記オブジェクトの類型に基づいて前記自律走行車両の経路(trajectory)を制御するように更に構成される請求項13に記載の自律走行車両。
【請求項18】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように更に構成される請求項17に記載の自律走行車両。
【請求項19】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記オブジェクトが金属柱であることを決定するように更に構成される請求項17に記載の自律走行車両。
【請求項20】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を一人以上の人であると決定し、
前記計算された反射率の比に基づいて前記一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域を決定するように更に構成される請求項17に記載の自律走行車両。
【請求項21】
光検出と測距(LIght Detection And Ranging、LIDAR)システムであって、
レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、
オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、
第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するように構成されるが、前記第1偏光信号は前記第1偏光を有する前記オブジェクトの第1画像を示し、前記第2偏光信号は前記第2偏光を有する前記オブジェクトの第2画像を示す一つ以上の光学系と、
(i)前記第1画像の平均信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio、SNR)値と前記第2画像の平均SNR値との間の比に基づいて反射率の値を計算し、(ii)車両が前記反射率の値に基づいて作動するように前記車両に前記反射率の値を提供するように構成されるプロセッサと、を含むLIDARシステム。
【請求項22】
前記一つ以上の光学系は、
前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第1偏光信号を生成し、
前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成し、
前記第1偏光信号及び前記第2偏光信号を検出するように更に構成される請求項21に記載のLIDARシステム。
【請求項23】
前記一つ以上の光学系は、
前記第2偏光信号の位相をシフトし、
前記位相シフトされた第2偏光信号を検出することで前記第2偏光信号を検出するように更に構成される請求項22に記載のLIDARシステム。
【請求項24】
前記プロセッサは第1偏光信号の平均SNR値と第2偏光信号の平均SNR値との間の比を計算することで前記反射率の値を計算するように更に構成される請求項21に記載のLIDARシステム。
【請求項25】
一つ以上のプロセッサを含む自律走行車両制御システムであって、
前記一つ以上のプロセッサは、
送信器がレーザソースからの送信信号を送信させるようにし、
受信器がオブジェクトによって反射されたリターン信号を受信させるようにし、
一つ以上の光学系が前記第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成させるようにするが、前記第1偏光信号は前記第1偏光を有する前記オブジェクトの第1画像を示し、前記第2偏光信号は前記第2偏光を有する前記オブジェクトの第2画像を示し、
前記第1画像の平均信号対雑音比(SNR)値と前記第2画像の平均SNR値との比に基づいて反射率の値を計算し、
前記反射率の値に基づいて車両を作動するように構成される自律走行車両制御システム。
【請求項26】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記一つ以上の光学系が前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて第1偏光信号を生成させるようにし、
前記一つ以上の光学系が前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成させるようにし、
前記一つ以上の光学系が第1偏光信号及び前記第2偏光信号を検出させるように更に構成される請求項25に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項27】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記一つ以上の光学系が前記第2偏光信号の位相をシフトさせるようにし、
前記一つ以上の光学系の前記位相シフトされた第2偏光信号を検出することで前記第2偏光信号を検出させるように更に構成される請求項26に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項28】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記計算された反射率の値に基づいて前記オブジェクトの一つ以上の特徴を決定し、
前記オブジェクトの一つ以上の特徴に基づいて前記車両の経路(trajectory)を制御するように更に構成される請求項25に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項29】
前記オブジェクトの一つ以上の特徴は前記オブジェクトの類型を含む請求項28に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項30】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の値に基づいて前記オブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように更に構成される請求項29に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項31】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の値に基づいて前記オブジェクトが金属柱であることを決定するように更に構成される請求項29に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項32】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を一人以上の人であると決定し、
前記計算された反射率の値に基づいて前記一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域を決定するように更に構成される請求項29に記載の自律走行車両制御システム。
【請求項33】
自律走行車両であって、
レーザソースからの送信信号を送信するように構成される送信器と、オブジェクトによって反射されたリターン信号を受信するように構成される受信器と、
第1偏光を有する前記リターン信号の第1偏光信号を生成し、前記第1偏光に直交する第2偏光を有する前記リターン信号の第2偏光信号を生成するように構成されるが、前記第1偏光信号は前記第1偏光を有する前記オブジェクトの第1画像を示し、前記第2偏光信号は前記第2偏光を有する前記オブジェクトの第2画像を示す一つ以上の光学系と、を含む光検出と測距(LIDAR)システムと、
操向システムまたは制動システムのうち少なくとも一つと、
前記第1画像の信号対雑音比(SNR)と前記第2画像のSNRとの比に基づいて反射率の値を計算し、
前記反射率の値に基づいて前記操向システムまたは前記制動システムのうち少なくとも一つの作動を制御するように構成される一つ以上のプロセッサを含む車両制御器と、を含む自律走行車両。
【請求項34】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記一つ以上の光学系が前記第1偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第1偏光信号を生成させるようにし、
前記一つ以上の光学系が前記第2偏光に前記リターン信号を偏光させて前記第2偏光信号を生成させるようにし、
前記一つ以上の光学系が第1偏光信号及び前記第2偏光信号を検出させるように更に構成される請求項33に記載の自律走行車両。
【請求項35】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記一つ以上の光学系が前記第2偏光信号の位相をシフトさせるようにし、
前記一つ以上の光学系の前記位相シフトされた第2偏光信号を検出することで前記第2偏光信号を検出させるように更に構成される請求項34に記載の自律走行車両。
【請求項36】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記計算された反射率の値に基づいて前記オブジェクトの一つ以上の特徴を決定し、
前記オブジェクトの一つ以上の特徴に基づいて前記自律走行車両の経路を制御するように更に構成される請求項33に記載の自律走行車両。
【請求項37】
前記オブジェクトの一つ以上の特徴は前記オブジェクトの類型を含む請求項36に記載の自律走行車両。
【請求項38】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型をアスファルト道路、車線表示、荒いコンクリート道路、芝、または砂利のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の値に基づいて前記オブジェクトがアスファルト道路であることを決定するように更に構成される請求項37に記載の自律走行車両。
【請求項39】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を金属柱、木、または電信柱のうち一つと決定し、
前記計算された反射率の値に基づいて前記オブジェクトが金属柱であることを決定するように更に構成される請求項37に記載の自律走行車両。
【請求項40】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの類型を一人以上の人であると決定し、
前記計算された反射率の値に基づいて前記一人以上の人の皮膚及び衣服のそれぞれの領域を決定するように更に構成される請求項37に記載の自律走行車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図4j
図5
図6
【国際調査報告】