(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】板状調和減速機
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
F16H1/32 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548934
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2021001741
(87)【国際公開番号】W WO2021162430
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0016640
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509274234
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力園
【氏名又は名称原語表記】SNU R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェホン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、スンビン
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FA17
3J027FA36
3J027GC06
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE01
3J027GE11
(57)【要約】
本発明は、板状調和減速機に関し、さらに詳細には、設計がさらに簡単であり、製造コストが節減されうる板状調和減速機に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中心軸と所定半径を有する円盤状のサーキュラスプライン部材と、
第2中心軸と所定半径を有する円盤状に構成され、弾性材質によって構成されるフレックススプライン部材と、
第3中心軸を有するウェーブジェネレータ部材と、を含み、
前記フレックススプライン部材は、前記サーキュラスプライン部材上に位置し、
前記ウェーブジェネレータ部材は、前記フレックススプライン部材上に位置し、
前記第1中心軸、前記第2中心軸及び前記第3中心軸は、互いに同一線上に位置し、
前記サーキュラスプライン部材は、第1歯車部を含み、
前記第1歯車部は、前記サーキュラスプライン部材の上面に形成され、前記サーキュラスプライン部材の外側周囲に沿って形成され、
前記フレックススプライン部材は、第2歯車部を含み、
前記第2歯車部は、前記フレックススプライン部材の下面に形成され、前記フレックススプライン部材の外側周囲に沿って形成され、
前記第1歯車部と前記第2歯車部は、上下方向に重なるように位置し、
前記ウェーブジェネレータ部材は、
前記フレックススプライン部材の少なくとも一部分を加圧し、前記第1歯車部の少なくとも一部分と、前記第2歯車部の少なくとも一部分とが互いに噛合するようにし、
前記ウェーブジェネレータ部材が前記第3中心軸を中心にして回転すれば、前記第1歯車部と前記第2歯車部とが互いに噛合される部分が可変し、
前記第1歯車部の歯車数と、前記第2歯車部の歯車数は、互いに異なる、板状調和減速機。
【請求項2】
前記ウェーブジェネレータ部材は、所定の入力端と連結されて回転自在であり、
前記フレックススプライン部材は、所定の出力端と連結され、
前記出力端の回転速度は、前記入力端の回転速度に比べ、所定の減速比を有して減速される、請求項1に記載の板状調和減速機。
【請求項3】
前記ウェーブジェネレータ部材は、
水平方向に延長されるバー状に構成され、
前記第3中心軸を中心にし、前記ウェーブジェネレータ部材の一端部と、反対方向の他端部とには、下方向に突出されるプレシング突部が具備され、
前記プレシング突部は、前記フレックススプライン部材の前記第2歯車部上に位置し、
前記第1歯車部と前記第2歯車部は、
前記プレシング突部の下に位置する部分が互いに噛合される、請求項1に記載の板状調和減速機。
【請求項4】
センターシャフトをさらに含み、
前記センターシャフトは、前記フレックススプライン部材の前記第2中心軸に連結され、
前記フレックススプライン部材と前記センターシャフトとが一体に回転する、請求項1に記載の板状調和減速機。
【請求項5】
前記サーキュラスプライン部材は、中心に上下に貫通された第1貫通孔を有し、
前記センターシャフトは、前記第1貫通孔を貫通し、下方向に延長される、請求項4に記載の板状調和減速機。
【請求項6】
前記第1貫通孔内には、
前記センターシャフトが上下に貫通される第1ベアリング部材が配置される、請求項5に記載の板状調和減速機。
【請求項7】
前記ウェーブジェネレータ部材は、中心に上下に貫通された第3貫通孔を有し、
前記センターシャフトは、前記第3貫通孔を貫通し、上方向に延長される、請求項4に記載の板状調和減速機。
【請求項8】
前記第3貫通孔内には、
前記センターシャフトが上下に貫通される第2ベアリング部材が配置される、請求項7に記載の板状調和減速機。
【請求項9】
前記サーキュラスプライン部材は、
上面に前記第1中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第1傾斜面を有する、請求項1に記載の板状調和減速機。
【請求項10】
前記フレックススプライン部材は、
下面に前記第2中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-1傾斜面を有する、請求項1に記載の板状調和減速機。
【請求項11】
前記サーキュラスプライン部材は、
上面に前記第1中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第1傾斜面を有し、
前記フレックススプライン部材は、
下面に前記第2中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-1傾斜面を有し、
前記第1傾斜面と前記第2-1傾斜面との傾斜角度は、互いに異なる、請求項1に記載の板状調和減速機。
【請求項12】
前記フレックススプライン部材は、
上面に前記第2中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-2傾斜面を有する、請求項1に記載の板状調和減速機。
【請求項13】
前記ウェーブジェネレータ部材は、
水平方向に延長されるバー状に構成され、
前記ウェーブジェネレータ部材の一端と他端とには、
それぞれプレシングローラが具備され、
前記プレシングローラは、前記フレックススプライン部材の前記第2歯車部上に位置し、
前記第1歯車部と前記第2歯車部は、
前記プレシングローラの下に位置する部分が互いに噛合される、請求項1に記載の板状調和減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状調和減速機に関し、さらに詳細には、設計がさらに簡単であり、製造コストが節減されうる板状調和減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの制御及び作動に使用される減速機として、RV減速機、遊星歯車と共に、調和減速機(harmonic reducer)が使用されている。
【0003】
図1及び
図2は、既存の調和減速機の構造を示した図面である。
図1及び
図2を参照し、既存の調和減速機の原理について説明すれば、以下の通りである。
【0004】
既存の調和減速機は、シャフトとベアリングとを除けば、三種の主要部品によって構成される。すなわち、最外側のサーキュラスプライン部材10、真ん中のフレックススプライン部材20、及び中心部のウェーブジェネレータ部材30である。フレックススプライン部材20は、例えば、弾性金属や弾性剛体のような変形自在な(flexible)材質によって構成される。
【0005】
サーキュラスプライン部材10の内側には、第1歯車部12が具備され、フレックススプライン部材20の外側には、第2歯車部22が具備される。
【0006】
第1歯車部12と第2歯車部22は、互いに一定数の歯車数を有し、第1歯車部12の歯車数と、第2歯車部22の歯車数は、互いに差を有する。
【0007】
ウェーブジェネレータ部材30は、所定の入力端に連結され、フレックススプライン部材20は、所定の出力端に連結される。併せて、サーキュラスプライン部材10は、所定のハウジングにも連結される。
【0008】
ウェーブジェネレータ部材30に入力動力T1が入力されれば、ウェーブジェネレータ部材30が矢印R1のように回転することができる。第1歯車部12と第2歯車部22は、噛合部分D1,D2で互いに噛合される。従って、ウェーブジェネレータ部材30が回転すれば、第1歯車部12と第2歯車部22との歯車数差により、フレックススプライン部材20が矢印R2のように回転し、出力端に出力動力T2を出力する。
【0009】
このとき、第1歯車部12と第2歯車部22との歯車数差により、出力端の回転角速度は、入力端の回転角速度に比べ、一定比の減速比に減速される。
【0010】
そのような調和減速機は、高減速比、回転精度、ゼロバックラッシュ(Zero backlash)、小型及び軽量化などの長所を有しているために、幅広く使用されている。
【0011】
しかしながら、楕円形のウェーブジェネレータ部材30のプロファイル設計が困難であり、製造工程が複雑であるという短所がある。また、ロボット関節部は、軽量化され、体積が小さいほど制御が容易であり、優秀なトルク効率や低騷音のように、追い求めなければならない解決課題が多いが、従来の調和減速機は、そのような解決課題を十分に解決することができない実情である。併せて、従来の調和減速機は、入力端の回転方向と、出力端の回転方向とが互いに反対である。
【0012】
また、既存の調和減速機は、
図1に図示されているように、フレックススプライン部材20がカップ形態であり、比較的大きい上下幅Tを有する。従って、薄型の調和減速機設計が困難であるという問題がある。
【0013】
従って、前述の問題を解決することができる調和減速機の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、設計がさらに簡単であり、製造コストが節減されうる板状(plate)調和減速機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態による板状調和減速機は、第1中心軸と所定半径を有する円盤状のサーキュラスプライン部材と、第2中心軸と所定半径を有する円盤状に構成され、弾性材質によって構成されるフレックススプライン部材と、第3中心軸を有するウェーブジェネレータ部材と、を含み、
前記フレックススプライン部材は、前記サーキュラスプライン部材上に位置し、前記ウェーブジェネレータ部材は、前記フレックススプライン部材上に位置し、前記第1中心軸、第2中心軸及び第3中心軸は、互いに同一線上に位置し、
前記サーキュラスプライン部材は、第1歯車部を含み、前記第1歯車部は、前記サーキュラスプライン部材の上面に形成され、前記サーキュラスプライン部材の外側周囲に沿って形成され、
前記フレックススプライン部材は、第2歯車部を含み、前記第2歯車部は、前記フレックススプライン部材の下面に形成され、前記フレックススプライン部材の外側周囲に沿って形成され、
前記第1歯車部と前記第2歯車部は、上下方向に重なるように位置し、
前記ウェーブジェネレータ部材は、前記フレックススプライン部材の少なくとも一部分を加圧し、前記第1歯車部の少なくとも一部分と、前記第2歯車部の少なくとも一部分とが互いに噛合するようにし、
前記ウェーブジェネレータ部材が前記第3中心軸を中心にして回転すれば、前記第1歯車部と前記第2歯車部とが互いに噛合される部分が可変し、前記第1歯車部の歯車数と、前記第2歯車部の歯車数は、互いに異なる。
【0016】
一実施形態によれば、前記ウェーブジェネレータ部材は、所定の入力端と連結されて回転自在であり、前記フレックススプライン部材は、所定の出力端と連結され、前記出力端の回転速度は、前記入力端の回転速度に比べ、所定の減速比を有して減速される。
【0017】
一実施形態によれば、前記ウェーブジェネレータ部材は、水平方向に延長されるバー状に構成され、前記第3中心軸を中心にし、前記ウェーブジェネレータ部材の一端部と、反対方向の他端部とには、下方向に突出されるプレシング突部が具備され、前記プレシング突部は、前記フレックススプライン部材の第2歯車部上に位置し、前記第1歯車部と前記第2歯車部は、前記プレシング突部の下に位置する部分が互いに噛合される。
【0018】
一実施形態によれば、センターシャフトをさらに含み、前記センターシャフトは、前記フレックススプライン部材の前記第2中心軸に連結され、前記フレックススプライン部材と前記センターシャフトとが一体に回転する。
【0019】
一実施形態によれば、前記サーキュラスプライン部材は、中心に上下に貫通された第1貫通孔を有し、前記センターシャフトは、前記第1貫通孔を貫通し、下方向で延長される。
【0020】
一実施形態によれば、前記第1貫通孔内には、前記センターシャフトが上下に貫通される第1ベアリング部材が配置される。
【0021】
一実施形態によれば、前記ウェーブジェネレータ部材は、中心に上下に貫通された第3貫通孔を有し、前記センターシャフトは、前記第3貫通孔を貫通し、上方向に延長される。
【0022】
一実施形態によれば、前記第3貫通孔内には、前記センターシャフトが上下に貫通される第2ベアリング部材が配置される。
【0023】
一実施形態によれば、前記サーキュラスプライン部材は、上面に前記第1中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第1傾斜面を有する。
【0024】
一実施形態によれば、前記フレックススプライン部材は、下面に前記第2中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-1傾斜面を有する。
【0025】
一実施形態によれば、前記サーキュラスプライン部材は、上面に前記第1中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第1傾斜面を有し、前記フレックススプライン部材は、下面に前記第2中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-1傾斜面を有し、前記第1傾斜面と前記第2-1傾斜面との傾斜角度は、互いに異なる。
【0026】
一実施形態によれば、前記フレックススプライン部材は、上面に前記第2中心軸を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-2傾斜面を有する。
【0027】
一実施形態によれば、前記ウェーブジェネレータ部材は、水平方向に延長されるバー状に構成され、前記ウェーブジェネレータ部材の一端と他端とには、それぞれプレシングローラが具備され、前記プレシングローラは、前記フレックススプライン部材の第2歯車部上に位置し、前記第1歯車部と前記第2歯車部は、前記プレシングローラの下に位置する部分が互いに噛合される。
【発明の効果】
【0028】
従来技術による調和減速機の場合、中心部に楕円状のウェーブジェネレータ部材が位置した。そのような構造は、調和減速機のサーキュラスプライン部材の内部をいずれも充填する形態になる。従って、ウェーブジェネレータが大きい体積と重さとを有することになる。また、従来技術による調和減速機の場合、楕円のプロファイル設計が容易ではないという問題点もある。また、従来技術による調和減速機の楕円形ウェーブジェネレータ部材は、弾性変形のためのフレックススプライン部材だけではなく、ボールベアリングに対しても、持続的に変形が加えられる構造である。従って、ベアリングの寿命と精度とが悪化しうる。併せて、従来技術による調和減速機の場合、カップ型のフレックススプライン部材が必要であり、薄型の調和減速機の提供に限界があった。
【0029】
本発明の実施形態による板状調和減速機は、従来技術の板状調和減速機が有する楕円状のウェーブジェネレータ部材を除去したので、軽量化と小型化とを達成することができる。また、本発明の実施形態による板状調和減速機は、プロファイル設計も、既存の調和減速機に比べて容易である。併せて、本発明の実施形態による板状調和減速機は、ベアリングの寿命と精度とが一定に維持されうる。また、本発明の実施形態による板状調和減速機は、カップ型のフレックススプライン部材を除去し、板状のフレックススプライン部材を使用したので、薄肉の板状調和減速機を提供することができる。
【0030】
また、従来技術による調和減速機のフレックススプライン部材は、円筒状に構成されるので、歯形に作られた金型に押し入れて回転させながら歯車を形成する短所があった。
【0031】
一方、本発明の実施形態による板状調和減速機のフレックススプライン部材は、1ステーション(1回打ち付けて成形完了)で完成される製造上の長所がある。併せて、本発明の実施形態による板状調和減速機は、そのような製造工程により、軸方向隙間または予圧を介して性能に影響を与える組み立て精度を制御することができる。従って、本発明の実施形態による板状調和減速機は、同一性能基準を達成するための要求機械加工精度が相対的に低い。すなわち、本発明の実施形態による板状調和減速機は、楕円状加工工程がなく、各部品別要求精度も相対的に低い。従って、本発明の実施形態による板状調和減速機は、量産時、生産効率にすぐれ、製造コストが節減されうる。
【0032】
従来技術による調和減速機は、局所部位において、大きい変形を起こさなければならない短所を有する。
【0033】
一方、本発明の実施形態による板状調和減速機は、弾性変形を起こすフレックススプライン部材の面積が大きい。従って、本発明の実施形態による板状調和減速機は、弾性変形部位における応力集中が低減されるために、トルク効率が改善され、金属の疲労累積が少なくなりうる。
【0034】
また、従来技術による調和減速機は、接触面を増大させれば、軸方向に長さが直接に長くなるので、市場で必要とする要求条件を合わせ難いという短所を有する。それは、ギアの噛合改善のための接触角、接触面積などの変換を困難にする。
【0035】
一方、本発明の実施形態による板状調和減速機は、円の枠から中心部に向かう方向に接触面積が決定されるために、必要な要求条件により、設計変更が容易である。従って、本発明の実施形態による板状調和減速機は、板状調和減速機設計において困難な核心設計事項のうち一つである歯型設計面において長所を有する。
【0036】
また、本発明の実施形態による板状調和減速機は、サーキュラスプライン部材とフレックススプライン部材との噛合過程において、垂直に上下に押す力が、水平の回転力として伝達される傾斜面効果を有するように設計される。従って、本発明の実施形態による板状調和減速機は、従来技術による調和減速機に比べ、歯型設計が単純になりうる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】従来技術による調和減速機の構造を示した図である。
【
図2】従来技術による調和減速機の構造を示した図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による板状調和減速機の分解構造を、それぞれ異なる角度で示した図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による板状調和減速機の分解構造を、それぞれ異なる角度で示した図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による板状調和減速機のサーキュラスプライン部材上に、フレックススプライン部材が置かれた状態を示した断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による板状調和減速機の作動を示した図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による板状調和減速機の分解構造を、それぞれ異なる角度で示した図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による板状調和減速機の分解構造を、それぞれ異なる角度で示した図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による板状調和減速機の結合図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を示す添付図面を参照し、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0039】
図3及び
図4は、本発明の第1実施形態による板状調和減速機1の分解構造を、それぞれ異なる角度で示した図であり、
図5は、
図4の断面図を示した図である。
【0040】
サーキュラスプライン部材100は、円盤状の部材によって構成される。従って、サーキュラスプライン部材100は、第1中心軸C1と所定半径を有する。
【0041】
一実施形態によれば、サーキュラスプライン部材100の上面には、第1中心軸C1を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第1傾斜面110が形成されうる。第1傾斜面110は、所定の傾斜角度を有することができる。
【0042】
実施形態によれば、サーキュラスプライン部材100の中心には、上下に貫通された第1貫通孔130が形成されうる。前記第1貫通孔130内には、第1ベアリング部材500が投入されうる。
【0043】
サーキュラスプライン部材100の上面の外側周囲部には、第1歯車部120が形成される。
【0044】
前記第1歯車部120は、前記サーキュラスプライン部材100の上面の外側周囲に沿って形成される。前記第1歯車部120は、上方向に突出された歯車が、サーキュラスプライン部材100の円周方向に沿って反復的に形成される構成を有することができる。
【0045】
前記第1歯車部120は、所定の歯車数(N1)を有する。
【0046】
フレックススプライン部材200は、円盤状の部材によって構成される。従って、フレックススプライン部材200は、第2中心軸C2と所定半径を有する。
【0047】
フレックススプライン部材200は、伸縮変形自在(flexible)に形成される。すなわち、フレックススプライン部材200は、弾性変形自在な材質によっても構成される。例えば、フレックススプライン部材200は、弾性的な金属や合成樹脂材質によってもなる。
【0048】
一実施形態によれば、フレックススプライン部材の上面には、第2中心軸C2を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-1傾斜面210が形成されうる。第2-1傾斜面210は、所定の傾斜角度を有することができる。
【0049】
一実施形態によれば、フレックススプライン部材の下面には、第2中心軸C2を中心にし、半径方向外側に行くほど、下方向に傾いた第2-2傾斜面212が形成されうる。第2-2傾斜面212は、所定の傾斜角度を有することができる。
【0050】
一実施形態によれば、前記第2-1傾斜面210と第2-2傾斜面212との傾斜角度は、同一でもある。一実施形態によれば、前記第2-1傾斜面210と第2-2傾斜面212との傾斜角度が互いに異なることも可能である。
【0051】
併せて、前記第1傾斜面110と第2-1傾斜面210との傾斜角度は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0052】
一実施形態によれば、フレックススプライン部材200の中心には、上下に貫通された第2貫通孔230が形成されうる。前記第2貫通孔230内には、後述するセンターシャフト400が連結されうる。
【0053】
フレックススプライン部材200の下面の外側周囲部には、第2歯車部220が形成される。
【0054】
前記第2歯車部220は、前記フレックススプライン部材200の下面の外側周囲に沿って形成される。前記第2歯車部220は、下方向に突出された歯車が、フレックススプライン部材200の円周方向に沿って反復的に形成される構成を有することができる。
【0055】
前記第2歯車部220は、所定の歯車数(N2)を有する。
【0056】
ウェーブジェネレータ部材300は、水平方向に所定の長さを有して延長されるバー(bar)状部材によっても構成される。ウェーブジェネレータ部材300の長手方向中心には、第3中心軸C3が具備されうる。
【0057】
前記ウェーブジェネレータ部材300の水平方向(長手方向)の一端と他端とには、下方向に突出されるプレシング突部320が具備されうる。プレシング突部320は、他部分に比べ、下方向にさらに突出された部分によって構成される。
【0058】
例えば、図面に図示されているように、ウェーブジェネレータ部材300の下面に、第3傾斜面322が形成されることも可能である。すなわち、ウェーブジェネレータ部材300の下面が、ウェーブジェネレータ部材300の第3中心軸C3から外側端部方向に行くほど下向きになる傾斜面としても構成される。従って、前記ウェーブジェネレータ部材300の外側端部部分が、他部分より下方向に突出され、前記突出された部分が、前記プレシング突部320を構成する実施形態を有することができる。
【0059】
一実施形態によれば、ウェーブジェネレータ部材300の長手方向中心には、上下方向に貫通された第3貫通孔310が形成されうる。第3貫通孔310内には、第2ベアリング部材600が具備されうる。
【0060】
センターシャフト400は、上下方向に延長される所定のシャフトである。センターシャフト400は、フレックススプライン部材200の第2中心軸C2に連結され、上下方向にも延長される。従って、センターシャフト400は、フレックススプライン部材200と一体に回転する。
【0061】
センターシャフト400には、フレックススプライン部材200に固定されうる所定の固定手段410が具備されうる。
【0062】
以下においては、サーキュラスプライン部材100、フレックススプライン部材200、ウェーブジェネレータ部材300及びセンターシャフト400の結合関係について説明する。
【0063】
サーキュラスプライン部材100上に、フレックススプライン部材200が位置し、フレックススプライン部材200上にウェーブジェネレータ部材300が位置する。サーキュラスプライン部材100の第1歯車部120上に、フレックススプライン部材200の第2歯車部220が位置する。
【0064】
図6は、本発明の第1実施形態による板状調和減速機1のサーキュラスプライン部材100上に、フレックススプライン部材200が置かれた状態を示した断面図である。
【0065】
前記サーキュラスプライン部材100の上面と、フレックススプライン部材200の下面との間には、間隙Sがあることになる。従って、前記サーキュラスプライン部材100とフレックススプライン部材200は、第1歯車部120及び第2歯車部220以外の他部分の接触が最小化されうる。
【0066】
このとき、前述のように、前記第1傾斜面110の傾斜角度θ1と、第2-1傾斜面210の傾斜角度θ2は、異なりうる。
【0067】
一例として、
図6のように、前記第1傾斜面110と第2-1傾斜面210との傾斜角度が異なる場合について説明すれば、以下の通りである。
【0068】
サーキュラスプライン部材100上に、フレックススプライン部材200が置かれたとき、第1中心軸C1と第2中心軸C2とが互いに同一線上に位置する。前記第1傾斜面110の傾斜角度θ1が、第2-1傾斜面210の傾斜角度θ2より大きい場合には、前記間隙Sは、中心軸C1,C2から半径方向外側に行くほど、さらに大きくなりうる。そのように、第1傾斜面110と第2-1傾斜面210との傾斜角度が異なる場合、サーキュラスプライン部材100とフレックススプライン部材200との接触摩擦が最小化され、設計がさらに簡単になりうる。
【0069】
ウェーブジェネレータ部材300のプレシング突部320は、フレックススプライン部材200の第2歯車部220の一部分上に位置する。
【0070】
センターシャフト400は、フレックススプライン部材200の第2貫通孔230に投入されて結合されうる。センターシャフト400とフレックススプライン部材200は、一体に回転することができる。
【0071】
図面においては、センターシャフト400が、フレックススプライン部材200の上下方向に同時に延長されているが、それに必ずしも限定するものではない。センターシャフト400は、フレックススプライン部材200の上方向、下方向または上下方向にも延長される。
【0072】
前記センターシャフト400がフレックススプライン部材200の上方向に延長されれば、前記ウェーブジェネレータ部材300の第3貫通孔310及び第2ベアリング部材600を貫通することができる。
【0073】
前記センターシャフト400がフレックススプライン部材200の下方向に延長されれば、前記サーキュラスプライン部材100の第1貫通孔130及び第1ベアリング部材500を貫通することができる。
【0074】
併せて、サーキュラスプライン部材100の第1中心軸C1、フレックススプライン部材200の第2中心軸C2、及びウェーブジェネレータ部材300の第3中心軸C3は、同一線上に位置して同軸構成を有することができる。
【0075】
以下においては、本発明の実施形態による板状調和減速機1と、入力端及び出力端との連結、ウェーブジェネレータ部材300による第1歯車部120と第2歯車部220との噛合関係について説明する。
【0076】
図7は、本発明の一実施形態による板状調和減速機1の作動を示した図面であり、
図8は、
図7のA部分の拡大図である。ただし、
図8は、明確な把握のために、若干誇張されるように図示されている。
【0077】
ウェーブジェネレータ部材300は、所定の入力端と連結される。該入力端は、所定のモータのような回転動力機と連結される。従って、ウェーブジェネレータ部材300は、前記回転動力機から入力される入力動力により、第3中心軸C3を中心にし、所定の角速度で回転することができる。
【0078】
フレックススプライン部材200は、所定の出力端と連結される。さらに正確には、フレックススプライン部材200は、センターシャフト400と連結され、センターシャフト400を介して出力端と連結されうる。ここで、センターシャフト400自体が出力端でもあるということは、言うまでもない。
【0079】
前述のように、センターシャフト400は、フレックススプライン部材200の上方向、下方向または上下方向にも延長される。それにより、出力端は、板状調和減速機1の上側、または下側に位置することができる。
【0080】
ウェーブジェネレータ部材300のプレシング突部320は、フレックススプライン部材200を押して加圧し、フレックススプライン部材200の少なくとも一部分(変形部分)を変形させる。前記変形部分は、第2歯車部220が形成された部分の一部分である。前記変形部分は、下に位置するサーキュラスプライン部材100の第1歯車部120と噛合される。
【0081】
従って、
図7に図示されているように、第1歯車部120と第2歯車部220との各部分のうち、プレシング突部320下に位置する部分は、互いに噛合される噛合部分D1,D2になる。また、前記噛合部分D1,D2によって動力を伝達することができる。
【0082】
一方、前記噛合部分D1,D2以外の他部分は、
図8に図示されているように、第1歯車部120と第2歯車部220とが互いに離隔され、互いに噛合されていない非噛合部分になる。
【0083】
従って、本発明の実施形態による板状調和減速機1において、フレックススプライン部材200の第2歯車部220は、ウェーブジェネレータ部材300のプレシング突部320下に位置する部分だけが、弾力的に、サーキュラスプライン部材100の第1歯車部120と部分噛合される。
【0084】
以下では、さらに
図7及び図を参照し、本発明の一実施形態による板状調和減速機1の作動についてさらに詳細に説明する。
【0085】
前述のように、ウェーブジェネレータ部材300は、所定の入力端と連結される。該入力端は、所定のモータのような回転動力機と連結される。従って、該回転動力機から伝達さえた入力動力T1により、ウェーブジェネレータ部材300は、第3中心軸C3を中心にし、矢印R1のように、所定の角速度で回転することができる。
【0086】
該入力端から伝達される回転力により、前記ウェーブジェネレータ部材300が、前記第3中心軸C3を中心にして自転すれば、ウェーブジェネレータ部材300のプレシング突部320が第3中心軸C3を中心にして公転する。
【0087】
前述のように、プレシング突部320は、フレックススプライン部材200を加圧変形させ、第1歯車部120と第2歯車部220との一部分(プレシング突部320下の部分)を噛合させ、噛合部分D1,D2を発生させる。
【0088】
従って、前記第1歯車部120と前記第2歯車部220とが互いに噛合される噛合部分D1,D2が、前記ウェーブジェネレータの回転方向に沿って巡回することになる。
【0089】
このとき、第1歯車部120の歯車数と、第2歯車部220の歯車数とが互いに異なるので、フレックススプライン部材200が所定の角速度で矢印R2のように回転することになる。従って、出力動力T2が発生する。
【0090】
例えば、フレックススプライン部材200の第2歯車部220の歯車数(N2)は、52個であり、サーキュラスプライン部材100の第1歯車部120の歯車数(N1)は、50個である場合を考慮すれば、以下の通りである。
【0091】
ウェーブジェネレータ部材300がサーキュラスプライン部材100上を1回転する場合を考察する。サーキュラスプライン部材100は、相対的に固定されたものであるので、ウェーブジェネレータ部材300のプレシング突部320は、第1歯車部120の歯車50個を過ぎれば、サーキュラスプライン部材100の同じ歯車位置に戻ってくる。しかし、フレックススプライン部材200は、歯車50個を過ぎても、回転が始まった位置に位置する同じ歯車位置へ戻ることができなくなる。そのような不一致を解消するために、フレックススプライン部材200、及びフレックススプライン部材200に連結されたセンターシャフト400は、回転軸1回転ごとに、フレックススプライン部材200の歯車2個に該当する角度ほどウェーブジェネレータの回転方向に回転することになる。
【0092】
フレックススプライン部材200は、センターシャフト400と結合されており、センターシャフト400には、出力端が連結される。結局、前述のように、フレックススプライン部材200の第2歯車部220の歯車数(N2)は、52個であり、サーキュラスプライン部材100の第1歯車部120の歯車数(N1)は、50個である場合には、入力端と連結されたウェーブジェネレータが26回転するたびに、センターシャフト400の1回転がなされる。従って、1/26の大きい減速比を有する回転動力伝達がなされる。
【0093】
ここで、フレックススプライン部材200の第2歯車部220の歯車数と、サーキュラスプライン部材100の第1歯車部120の歯車数とをそれぞれ選択するころにより、減速比が選択されうるということは、言うまでもない。例えば、フレックススプライン部材200の第2歯車部220が102個の歯車数を有し、サーキュラスプライン部材100の第1歯車部120が100個の歯車数を有すれば、1/50の減速比を具現することができる。
【0094】
以下では、本発明の実施形態による板状調和減速機1の効果について説明する。
【0095】
従来技術による調和減速機の場合、中心部に楕円状のウェーブジェネレータ部材が位置した。そのような構造は、調和減速機のサーキュラスプライン部材の内部をいずれも充填する形態になる。従って、ウェーブジェネレータが大きい体積と重さとを有することになる。また、楕円のプロファイル設計が容易ではないという問題点もある。また、従来技術による調和減速機の楕円形ウェーブジェネレータ部材は、弾性変形のためのフレックススプライン部材だけではなく、ボールベアリングに対しても、持続的に変形が加えられる構造である。従って、ベアリングの寿命と精度とが悪化しうる。
【0096】
本発明の実施形態による板状調和減速機1は、従来技術の楕円状のウェーブジェネレータ部材300を除去したので、軽量化と小型化とを達成することができる。また、プロファイル設計も、既存の板状調和減速機1に比べて容易である。併せて、ボールベアリングの寿命と精度とが一定に維持されうる。また、カップ型のフレックススプライン部材を除去し、板状(plate)のフレックススプライン部材200を使用したので、薄肉の板状調和減速機1を提供することができる。
【0097】
また、従来技術による調和減速機のフレックススプライン部材は、円筒状に構成されるので、歯形に作られた金型に押し入れて回転させながら歯車を形成するという短所があった。
【0098】
一方、本発明の実施形態による板状調和減速機1のフレックススプライン部材200は、1ステーション(1回打ち付けて成形完了)で完成される製造上の長所がある。併せて、そのような製造工程により、軸方向隙間または予圧を介して性能に影響を与える組み立て精度を制御することができる。従って、同一性能基準を達成するための要求機械加工精度が相対的に低い。すなわち、楕円状加工工程がなく、各部品別要求精度も相対的に低い。従って、量産時、生産効率にすぐれ、製造コストが節減されうる。
【0099】
従来技術による調和減速機は、局所部位において、大きい変形を起こさなければならないという短所を有する。
【0100】
一方、本発明の実施形態による板状調和減速機1は、弾性変形を起こすフレックススプライン部材200の面積が大きい。従って、弾性変形部位における応力集中が低減されるために、トルク効率が改善され、金属の疲労累積が少なくなりうる。
【0101】
また、従来技術による調和減速機は、接触面を増大させれば、軸方向に長さが直接に長くなるので、市場で必要とする要求条件を合わせ難いという短所を有する。それは、ギアの噛合改善のための接触角、接触面積などの変換を困難にする。
【0102】
一方、本発明の実施形態による板状調和減速機1は、円の枠から中心部に向かう方向に接触面積が決定されるために、必要な要求条件により、設計変更が容易である。従って、調和減速機設計において困難な核心設計事項のうち一つである歯型設計面において長所を有する。
【0103】
また、本発明の実施形態による板状調和減速機1は、サーキュラスプライン部材100とフレックススプライン部材200との噛合過程において、垂直に上下に押す力が、水平の回転力として伝達される傾斜面効果を有するように設計される。従って、従来技術による調和減速機に比べ、歯型設計が単純になりうる。
【0104】
また、本実施形態によれば、入力端の回転方向と、出力端の回転方向とを同方向にすることができる。また、入力端の入力側と出力端の出力側とを同じ直線上に位置するようにすることができる。従って、本発明の実施形態による板状調和減速機1は、高い減速比を有し、同一回転方向に動力伝達が必要なところに設けて使用することができる。
【0105】
図9及び
図10は、本発明の第2実施形態による板状調和減速機2の分解構造を、それぞれ異なる角度で示した図面であり、
図11は、本発明の第2実施形態による板状調和減速機2の結合図面である。
【0106】
第2実施形態による板状調和減速機2は、第1実施形態による板状調和減速機1に対応し、サーキュラスプライン部材100、フレックススプライン部材200、ウェーブジェネレータ部材700及びセンターシャフト400を含む。ここで、サーキュラスプライン部材100、フレックススプライン部材200、センターシャフト400の構成は、第1実施形態と同一でもある。従って、重複説明は、説明を省略し、第1実施形態と違いがある構成であるウェーブジェネレータ部材700に係わる説明のみを記述する。
【0107】
第2実施形態による板状調和減速機2のウェーブジェネレータ部材700は、回転ボディ710及びプレシングローラ720を含んでもよい。
【0108】
回転ボディ710は、水平方向に所定の長さを有して延長されるバー状の部材によっても構成される。回転ボディ710の長手方向中心には、第3中心軸C3が具備されうる。
【0109】
前記回転ボディ710の長手方向の一端と他端とには、回転ボディ710の長手方向に突出される連結軸714が具備されうる。
【0110】
プレシングローラ720は、前記連結軸714に連結される。プレシングローラ720は、回転ボディ710の長手方向に延長される中心軸を中心にして回転自在である。プレシングローラ720は、連結軸714に連結される転がり軸受730と、前記転がり軸受730の外周部に結合されるローラボディ740と、を含んでもよい。
【0111】
プレシングローラ720の底面は、回転ボディ710の底面より下方向に突出されている。
【0112】
従って、第2実施形態による板状調和減速機2のウェーブジェネレータ部材700がフレックススプライン部材200上に結合されれば、プレシングローラ720は、下方向に、フレックススプライン部材200を加圧することができる。従って、プレシングローラ720は、他の概念としては、第3中心軸C3方向に圧力をかけ、前記第3中心軸と直交する方向に延長される軸(radial axis)を中心に回転する径方向ローラ(radial roller)でもある。
【0113】
それにより、プレシングローラ720がフレックススプライン部材200の第2歯車部220上に位置し、第2歯車部220と第1歯車部120とを互いに噛合させることがある。ウェーブジェネレータ部材700が、フレックススプライン部材200上で回転すれば、プレシングローラ720は、フレックススプライン部材200上において、第3中心軸C3を中心にして転がって公転する。
【0114】
従って、前記プレシングローラ720は、第1実施形態による板状調和減速機1のウェーブジェネレータ部材300のプレシング突部320と実質的に同一機能を達成する。ただし、プレシングローラ720は、フレックススプライン部材200上を転がって公転するので、摩擦発生は、さらに少なくなるのである。
【0115】
以上においては、望ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は、前述の特定実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を外れることなしに、当該発明が属する技術分野で当業者により、多様な変形実施が可能であるということは、言うまでもなく、そのような変形実施は、本発明の技術的な思想や展望から個別的に理解されるものではない。
【国際調査報告】