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特表2023-524925強力なヒト神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬
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  • 特表-強力なヒト神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】強力なヒト神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/73 20060101AFI20230607BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20230607BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
C07D213/73 CSP
A61K31/44
A61P43/00 111
A61P25/28
A61P25/06
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/14
C07D401/10
A61K31/4439
A61K31/5377
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551041
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020019466
(87)【国際公開番号】W WO2021173111
(87)【国際公開日】2021-09-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ビー.シルバーマン
(72)【発明者】
【氏名】ハー ティー.ドゥー
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA03
4C055BA27
4C055BA35
4C055BA52
4C055BB02
4C055CA01
4C055DA06
4C063AA01
4C063BB06
4C063CC12
4C063DD02
4C063DD03
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA16
4C086ZC20
(57)【要約】
一酸化窒素合成酵素(NOS)の阻害薬として使用するための、2-アミノピリジン誘導体化合物が、明らかにされる。特に、本発明の分野は、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の阻害薬として使用するための、2-アミノピリジン誘導体化合物に関し、これは、nNOSに関連した疾患及び障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病、並びに筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、脳卒中/虚血性脳損傷、及び片頭痛などを治療するための医薬組成物として製剤化される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物又はその塩もしくは溶媒和物:
【化1】
(式中:
【化2】
は、単結合、二重結合、又は三重結合を表し;
Yは、置換されたアリール又は置換されたヘテロアリールであり、及びYは、1又は複数の環位置で、式-X-Rを有する置換基により置換され;
Xは、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、及びC-C-アルキニルから選択され;
は、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、又は少なくとも1個の窒素原子を含み、及びそのヘテロ環が、1もしくは複数の位置で、アルキル、アルコキシ、もしくはハロにより任意に置換されている、4~6員のヘテロ環から選択され;並びに
ここで、Yは、1又は複数の環位置で、ハロにより任意に置換されている)。
【請求項2】
前記Rが、1又は複数の位置で、アルキル又はアルコキシ又はハロにより任意に置換されたピロリジニル、1又は複数の位置で、アルキルにより任意に置換されたアゼチニル、及び1又は複数の位置で、アルキルにより任意に置換されたモルホリニルから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(I)を有する、請求項1記載の化合物:
【化3】
(式中、R、R、R、及びRは、各々独立してH又はハロゲンである)。
【請求項4】
前記Rが、ハロゲンである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
前記Rが、ハロゲンである、請求項3又は4記載の化合物。
【請求項6】
前記Rが、ハロゲンであり、及びRが、ハロゲン(例えば、フルオロ)である、請求項3記載の化合物。
【請求項7】
前記Xが、メチル、エチル、又はプロピルである、請求項1~6のいずれか記載の化合物。
【請求項8】
前記Rが、ジメチルアミノである、請求項1~7のいずれか記載の化合物。
【請求項9】
下記式である、請求項1~8のいずれか記載の化合物:
【化4】
(式中、R、R、R、及びRは、各々独立してH又はハロゲンである)。
【請求項10】
下記式である、請求項1~9のいずれか記載の化合物:
【化5】
【化6】
【化7】
【請求項11】
前記化合物が、少なくとも約8×10-6cm/sの血液脳関門に関する有効透過性Pを有する、請求項1~10のいずれか記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、少なくとも約30の、iNOSに対するnNOSの選択性を有する、請求項1~11のいずれか記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、少なくとも約1000の、eNOSに対するnNOSの選択性を有する、請求項1~12のいずれか記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか記載の化合物、及び医薬として許容し得る担体を含有する、医薬組成物。
【請求項15】
一酸化窒素合成酵素に関連した疾患又は障害を、それを必要とする対象において、治療又は予防する方法であって、請求項1~13のいずれか記載の化合物、又は請求項14記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記疾患又は障害が、神経変性疾患又は障害である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記疾患又は障害が、アルツハイマー病である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記疾患又は障害が、ハンチントン病である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記疾患又は障害が、パーキンソン病である、請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記疾患又は障害が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項15記載の方法。
【請求項21】
前記疾患又は障害が、脳性麻痺である、請求項15記載の方法。
【請求項22】
前記疾患又は障害が、片頭痛である、請求項15記載の方法。
【請求項23】
細胞内の一酸化窒素合成酵素(NOS)を阻害する方法であって、請求項1~13記載の化合物のいずれかと細胞を接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府支援の研究開発に関する陳述
本発明は、米国立衛生研究所(NIH)により授与された基金番号GM049725の下で米国政府の支援により実施された。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
背景
本発明の分野は、一酸化窒素合成酵素の阻害薬として使用するための、2-アミノピリジン誘導体化合物に関する。特に本発明の分野は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、脳卒中/虚血性脳損傷、及び片頭痛を含むが、これらに限定されるものではない、神経学的疾患又は障害の治療のための医薬組成物として製剤化される、一酸化窒素合成酵素の阻害薬として使用するための2-アミノピリジン誘導体化合物に関する。
【0003】
一部の局面において、開示された主題は、神経学的疾患及び障害、特に神経変性疾患を治療する方法に関する。一般に公知のアルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病などの神経変性疾患は、患者の筋肉運動及び精神機能に問題を引きおこす、中枢神経系(CNS)のニューロンの緩やかな変性及び死滅により特徴付けられる。緊急の医学的必要性にもかかわらず、これらの疾患の包括的治療は、依然非常に限定されたものである1,2。CNS創薬における最も困難な課題の一つは、主に、血管と脳組織の境界に位置した血液脳関門(BBB)の存在に起因した、ヒト脳への治療的薬剤の効果的送達である3。BBBは、外部毒素のアクセスを防止する密着結合による内皮細胞の層で構成され、その結果脳を保護し、且つその最適な生理的環境を維持する。しかしこの細胞層は、価値のある治療的薬剤の脳へのアクセスも制限する4。BBBを超えるためのCNS薬剤の主要経路は、その脂質膜を通る受動拡散である。内皮細胞の密着結合に加え、BBB上の排泄トランスポーター、特にP-糖タンパク質(P-gp)の高い発現レベルは、CNS薬剤の限定された脳曝露に大きく寄与している5。結果的に、受動透過性を増大すること、及びP-gp媒介した排泄を低下することの組合せを含む戦略を確立することが、CNS創薬において必要とされる3,6,7
【0004】
神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)は、神経変性疾患の新規治療の開発における有望な治療標的として認証されている8-10。脳において、nNOSにより生成された一酸化窒素(NO)は、ニューロンの信号伝達に参加する11。しかし細胞内のNOの過剰生成は、有害である。特に、CNSにおいて過剰活性化されたnNOSにより形成された過剰なNOは、タンパク質の過剰なニトロ化及びニトロシル化の原因となり得、これはそれらのミスフォールディング及び凝集に繋がる12。加えて、スーパーオキシド陰イオンとNOの反応は、強力な酸化剤である過酸化亜硝酸塩を生じ、これはDNAを損傷し、且つ脂質の過酸化を引きおこす。これらのプロセスは、神経細胞死及びニューロンの信号伝達における機能障害に繋がる13,14。従って、nNOSの阻害によるNO生成の制限は、ニューロンを保護し、且つ特定の変性疾患を治癒する可能性がある本質的アプローチとなり始めている15,16
【0005】
nNOSは、ホモ二量体酵素であり、各単量体は、1個のC-末端レダクターゼドメイン及び1個のN-末端オキシゲナーゼドメインを含む。C-末端レダクターゼドメインは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、及びフラビンモノヌクレオチド(FMN)を含むのに対し、N-末端オキシゲナーゼドメインは、非触媒性亜鉛、テトラヒドロビオプテリン(HB)、及びヘムを含む。これら2つのドメインは、カルモジュリンドメインにより互いに結合されている。二量体化が起こると、レダクターゼドメインからオキシゲナーゼドメインへの電子流れが促進され、これを介して、L-Argは、L-Citに酸化され、及びNOが放出される15、17。この酵素の活性部位でL-Arg結合と競合する分子を推進することは、nNOSを阻害するための基本的アプローチの一つである16。このタスクの課題は、nNOS阻害薬の効能に関与するのみではなく、nNOSのそれに対し非常に類似した構造的特徴を共有している2つのアイソフォームであるeNOS及びiNOSの両方に勝るnNOSへのそれらの結合の選択性にも関連している18,19。eNOS阻害は、循環不全を生じ得る一方で、iNOS阻害は、免疫系の破壊を引きおこし得るので、eNOS及びiNOSの両方の過剰阻害を避けることが必要である20
【0006】
近年、優れた効能及び高いアイソフォーム活性を持つnNOS阻害薬を実現するという本発明者らの努力は、2-アミノピリジンスカフォールドを保有する有望な分子クラスに繋がっている。この分子スカフォールドを使用し、本発明者らは、<30nM範囲の濃度で優れた活性を示すnNOS阻害薬を得た15,21,22。しかし、2-アミノピリジンスカフォールドを保有するnNOS阻害薬の第一世代は、非常に低いCaco-2透過性により明らかにされたように、BBBを通る透過の予想された不良を示した23。最近本発明者らは、nNOSに関するそれらの高い阻害活性を保持しながら、2-アミノピリジンnNOS阻害薬の細胞膜透過性を改善することができた。本発明者らは、リード化合物(1、図1)を先に確定したが、これはヒトnNOに対し優れた効能及び選択性を示し(K hnNOS=30nM;hnNOS/heNOS=2799)、並びにCaco-2アッセイにおいて排泄比(ER)5.9を示した24。CNS創薬へ進むために、2-アミノピリジンnNOS阻害薬の細胞膜透過性は、有望なCNS(+)薬剤であるために必要とされるER<2.5を伴うように、更に改善されなければならない7,25
【発明の概要】
【0007】
概要
一酸化窒素合成酵素(NOS)活性に関連した疾患又は障害を治療する、2-アミノピリジン化合物、医薬組成物及び方法が、明らかにされる。本開示の化合物、医薬組成物、及び方法により治療される疾患及び障害は、神経学的疾患又は障害を含むことができる。開示された2-アミノピリジン化合物により治療される神経学的疾患又は障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病などの神経変性疾患、並びに筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、脳卒中/虚血性脳損傷、及び片頭痛を含むが、これらに限定されるものではない。
【0008】
開示された化合物は、2-アミノピリジンの誘導体を含む。開示された化合物は、下記式を有することができ:
【0009】
【化1】
【0010】
式中、
【0011】
【化2】
【0012】
は、単結合、二重結合、又は三重結合を表し;Yは、置換されたアリール(例えば、置換されたフェニル)又は置換されたヘテロアリール(例えば、置換されたキノリン-3-イルなどの、置換されたキノリニル)であり、及びYは、1又は複数の環位置で、式-X-Rを有する置換基により置換され;Xは、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、及びC-C-アルキニルから選択され;Rは、アミノ、アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ)、ジアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ)、又は少なくとも1個の窒素原子を含み、及びそのヘテロ環が、1もしくは複数の位置で、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、エトキシ)、もしくはハロ(例えば、フルオロ)により任意に置換されている、4~6員のヘテロ環から選択され;並びに、Yは、1又は複数の環位置で、ハロ(例えば、2,3-ジフルオロ-フェニル)により、任意に置換されている。開示された化合物の医薬として許容し得る塩を含む、開示された化合物の塩も、企図される。開示された化合物の溶媒和物も、企図される。
【0013】
具体的には、開示された化合物は、式(I)を有することができ:
【0014】
【化3】
【0015】
式中、R、R、R、及びRは、各々独立してH又はハロゲン(例えば、フルオロ)である。
【0016】
開示された化合物は、それを必要とする対象のための治療方法において使用するために、医薬として許容し得る担体中に、本化合物又はその医薬として許容し得る塩を含有する医薬組成物として製剤化されることができる。一部の実施態様において、開示された化合物及び医薬組成物は、一酸化窒素合成酵素活性に関連した疾患又は障害を治療するために利用されることができる。特に、開示された化合物及び医薬組成物は、それを必要とする対象において一酸化窒素合成酵素を阻害するため、並びに一酸化窒素合成酵素活性に関連している疾患又は障害を治療するために利用されることができる。一部の実施態様において、開示された化合物及び医薬組成物は、それを必要とする対象において、神経学的疾患又は障害を治療するために利用されることができる。特に、開示された化合物及び医薬組成物は、アルツハイマー病、パーキンソン病及び/又はハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳性麻痺、及び片頭痛を治療するために利用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1。化合物1の構造修飾。(i)不飽和C-C三重結合による剛性の増強;(ii)ピロリジン環の取込みによる親油性及び剛性の増強;(iii)中央リンカーへのより多くのフッ素の取込みによる親油性の増大;(iv)不飽和C-C三重結合と共に取込まれたジフルオロベンゼンリンカー;(v)ピロリジン環と共に取込まれたジフルオロベンゼンリンカー;(vi)アミノテール基のpKの調節。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本発明は、以下に示されたような、本明細書を通じたいくつかの定義を用いて説明される。
【0019】
定義
【0020】
開示された主題は、以下の定義及び専門用語を用いて、更に説明され得る。本明細書において使用される定義及び専門用語は、単に特定の実施態様を説明する目的のためであり、限定することを意図しない。
【0021】
本明細書及び請求項において使用される単数形「ある(a、an)及びその(the)」は、別に文脈に明記されない限りは、複数形を含む。例えば、用語「ある置換基」は、別に文脈に明記されない限りは、「1又は複数の置換基」を意味すると解釈されるべきである。
【0022】
本明細書において使用される「約」、「およそ」、「実質的に」及び「有意に」は、当業者により理解されるものであり、且つそれらが使用される状況をある程度変動するであろう。それが使用される状況において与えられる分野の業者にとって明確でない用語の使用が存在する場合、「約」及び「およそ」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味し、且つ「実質的に」及び「有意に」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%よりも多くを意味するであろう。
【0023】
本明細書において使用される用語「含む」及び「含んでいる」は、用語「含有する」及び「含有している」と同じ意味を有する。用語「含有する」及び「含有している」は、請求項に引用されたそれらの構成要件に更なる追加の構成要件の包含を可能にする、「制約のない」接続句であると解釈されるべきである。用語「成る」及び「から成る」は、請求項に引用されたそれらの構成要件以外の追加の構成要件の包含はできない、「制約のある」接続句であると解釈されるべきである。用語「本質的にからなる」は、部分的に制約され、且つ請求された主題の性質を根本的に変更することがない追加の構成要件のみを包含することができると解釈されるべきである。
【0024】
語句「など」は、「例えば、を含む」と解釈されるべきである。更に、非限定的に「など」を含む、任意の及び全ての例証的語句の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることが意図され、且つ別に請求されない限りは、本発明の範囲の限定をもたらさない。
【0025】
更に、「A、B及びCなどの少なくとも1」に類似した慣例が使用されるような場合において、概して、そのような構造は、当業者がその慣例を理解するであろうという意味が意図される(例えば、「A、B及びCの少なくとも1を有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、並びに/又はA、B、及びCを一緒にを有するシステムを含むが、これに限定されるものではない)。更に、説明又は図面のいずれかにおいて、2以上の代替用語を表す事実上任意の隣接語及び/又は隣接語句は、それらの用語の一つ、いずれかの用語、又は両方の用語を含む可能性を企図していると理解されるべきであることは、当業者により理解されるであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0026】
「に至るまで」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「未満」及び同類のものなどの全ての言葉は、引用された数値を含み、且つ範囲及び部分範囲にその後細分され得る範囲を指す。範囲は、各個別の数値を含む。従って、例えば1~3のメンバーを有する群は1、2、又は3のメンバーを有する群を指す。同様に、6のメンバーを有する群は、1、2、3、4、又は6のメンバーを有する群を指すなどである。
【0027】
法助動詞「may」は、いくつかの説明された実施態様又はそれに含まれる特徴の中の、1又は複数の選択項目又は選択肢の好ましい使用及び選択を指す。選択項目又は選択肢が、特定の実施態様又はそれに含まれる特徴に関して明らかにされない場合、法助動詞「may」は、説明された実施態様又はそれに含まれる特徴のどのように作製又は使用するか及び局面に関する、積極的措置を指すか、或いは説明された実施態様又はそれに含まれる特徴に関する特定の技術の使用に対する決定的確定を指す。この後者の文脈において、法助動詞「may」は、助動詞「can」と同じ意味及び含意を有する。
【0028】
本明細書において利用される「それを必要とする対象」とは、上昇したNOレベルが望ましくないような疾患又は障害などの、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)活性及び/又は一酸化窒素(NO)レベルに関連した疾患又は障害について治療を必要としている対象を指す。用語「対象」は、用語「個人」及び「患者」と互換的に使用されてよく、並びにヒト及び非ヒト哺乳動物の対象を含む。
【0029】
nNOS活性に関連した疾患及び障害は、神経学的疾患並びに疾患及び障害を含み得るが、これらに限定されるものではない。神経学的疾患及び障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン病、並びに筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、脳卒中/虚血性脳損傷、及び片頭痛などの、神経変性疾患及び障害を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0030】
開示された化合物は、非限定的にnNOS活性を含む酵素活性を調節するために利用されてよい。用語「調節する」は、酵素活性を「阻害する」及び/又はそうでなければ酵素活性を調節することを含むように、広範に理解されるべきである。
【0031】
新規化学実体
【0032】
新規化学実体が、本明細書において開示され、且つ当該技術分野において公知であり及び本明細書において定義された用語を用い説明されてよい。
【0033】
本明細書において使用される用語「アルキル」は、飽和された線状又は分岐した炭化水素、例えば、本明細書においてC-C12アルキル、C-C10-アルキル、及びC-C-アルキルと称される、各々、1~12、1~10、又は1~6個の炭素原子の線状又は分岐した基を指す。
【0034】
用語「アルキレン」は、アルキル基のジラジカルを指す。例証的アルキレン基は、-CHCH-である。
【0035】
用語「ハロアルキル」は、少なくとも1個のハロゲンにより置換されたアルキル基、例えば、-CHF、-CHF、-CF、-CHCF、-CFCFなどを指す。
【0036】
本明細書において使用される用語「ヘテロアルキル」は、少なくとも1個の炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、N、又はS原子)により置き換えられている「アルキル」基を指す。ヘテロアルキル基のひとつの型は、「アルコキシル」基である。
【0037】
本明細書において使用される用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する不飽和の線状又は分岐した炭化水素、例えば、本明細書においてC-C12-アルケニル、C-C10-アルケニル、及びC-C-アルケニルと称される、各々、2~12、2~10、又は2~6個の炭素原子の線状又は分岐した基を指す。「シクロアルケン」は、(例えば、3個以上の炭素原子の)環構造を有し、且つ少なくとも1個の二重結合を含む化合物である。
【0038】
本明細書において使用される用語「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する不飽和の線状又は分岐した炭化水素、例えば、本明細書においてC-C12-アルキニル、C-C10-アルキニル、及びC-C-アルキニルと称される、各々、2~12、2~10、又は2~6個の炭素原子の線状又は分岐した基を指す。
【0039】
用語「シクロアルキル」は、例えば、シクロアルカン由来の「C4-8-シクロアルキル」などと本明細書で称される、3~12、3~8、4~8、又は4~6個の炭素の、一価の飽和された環式、二環式、又は架橋された環式(例えば、アダマンチル)の炭化水素基を指す。別に特定しない限りは、シクロアルキル基は、1又は複数の環位置で、例えば、アルカノイル、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミジノ、アミノ、アリール、アリールアルキル、アジド、カルバメート、カーボネート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ケトン、ニトロ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、スルフェート、スルフィド、スルホンアミド、スルホニル又はチオカルボニルなどにより、任意に置換される。いくつかの実施態様において、シクロアルキル基は、置換されず、すなわちこれは非置換である。
【0040】
用語「シクロアルキレン」は、シクロアルキル基のジラジカルを指す。
【0041】
用語「部分的不飽和カルボシクリル」は、カルボシクリルの少なくとも1個の環は芳香族でない、環原子間に少なくとも1個の二重結合を含む、一価の環状炭化水素を指す。部分的不飽和カルボシクリルは、環炭素原子の数に従い特徴付けられてよい。例えば、部分的不飽和カルボシクリルは、5~14、5~12、5~8、又は5~6個の環炭素原子を含むことができ、それに従い、各々、5~14、5~12、5~8、又は5~6員の部分的不飽和カルボシクリルと称される。部分的不飽和カルボシクリルは、単環式炭素環、二環式炭素環、三環式炭素環、架橋炭素環、スピロ環式炭素環、又は他の炭素環系の形であることができる。例証的部分的不飽和カルボシクリル基は、部分的に不飽和である、シクロアルケニル基及び二環式のカルボシクリル基を含む。別に特定しない限りは、部分的不飽和カルボシクリル基は、1又は複数の環位置で、例えば、アルカノイル、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミジノ、アミノ、アリール、アリールアルキル、アジド、カルバメート、カーボネート、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ケトン、ニトロ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、スルフェート、スルフィド、スルホンアミド、スルホニル又はチオカルボニルなどにより、任意に置換される。いくつかの実施態様において、部分的不飽和カルボシクリルは、置換されず、すなわちこれは非置換である。
【0042】
用語「アリール」は、当該技術分野において承認されており、且つ炭素環式芳香族基を指す。代表的アリール基は、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどを含む。用語「アリール」は、2個以上の炭素が、2個の隣接環と共有されている(これらの環は「縮合環」である)、2個以上の炭素環を有する多環式環系を含み、ここでこれらの環の少なくとも1個は、芳香族であり、並びに例えば他方の環(複数可)は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、及び/又はアリールであることができる。別に特定しない限りは、この芳香環は、1又は複数の環位置で、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、カルボン酸、-C(O)アルキル、-COアルキル、カルボニル、カルボキシル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール部分、-CF、-CNなどにより、置換されてよい。いくつかの実施態様において、芳香環は、1又は複数の環位置で、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、又はアルコキシルにより、置換されている。いくつかの他の実施態様において、芳香環は、置換されず、すなわちこれは非置換である。いくつかの実施態様において、アリール基は、6~10員の環構造である。
【0043】
用語「ヘテロシクリル」及び「複素環基」は、当該技術分野において承認されており、且つ環構造が1~4個のヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及びイオウなどを含む、飽和、部分的不飽和、又は芳香族の3-~10-員の環構造、又は3-~7-員の環を指す。複素環基の環原子の数は、5 Cx-Cx命名法を用い特定することができ、ここでxは、環原子の数を特定する整数である。例えば、C-C複素環基は、1~4個のヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及びイオウを含む、飽和又は部分的不飽和の3-~7-員の環構造を指す。定義「C-C」は、その複素環は、環原子の位置を占拠する任意のヘテロ原子を含み、合計3~7個の環原子を含むことを示す。
【0044】
用語「アミン」及び「アミノ」は、当該技術分野において承認されており、且つ非置換及び置換の両方のアミンを指し、ここで置換基は、例えば、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアリールを含んでよい。
【0045】
用語「アルコキシル」又は「アルコキシ」は、当該技術分野において承認されており、且つそれに結合された酸素ラジカルを有する、先に定義されたような、アルキル基を指す。代表的アルコキシル基は、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシなどを含む。
【0046】
「エーテル」は、酸素により共有的に連結された2個の炭化水素である。従って、そのアルキルをエーテルとするアルキルの置換基は、アルコキシルであるか、又はそれに類似し、例えば-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニルなどの一つにより表されてよい。
【0047】
本明細書において使用される用語「カルボニル」は、ラジカル-C(O)-を指す。
【0048】
本明細書において使用される用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、ラジカル-COOH又はその対応する塩、例えば-COONaなどを指す。
【0049】
本明細書において使用される用語「アミデ(amide)」又は「アミド」又は「カルボキシアミド」は、-RC(O)N(R)-、-RC(O)N(R)R-、-C(O)NR、又は-C(O)NHの形のラジカルを指し、ここでR、R及びRは、各々独立してアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバメート、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、水素、ヒドロキシル、ケトン、又はニトロである。
【0050】
本開示の化合物は、1又は複数のキラル中心及び/又は二重結合を含むことができ、従って、幾何異性体、エナンチオマー又はジアステレオマーなどの、立体異性体として存在する。本明細書において使用される場合用語「立体異性体」は、全ての幾何異性体、エナンチオマー又はジアステレオマーからなる。これらの化合物は、ステレオジェニックな炭素原子の周りの置換基の配置に応じて、記号「R」又は「S」により指定され得る。本発明は、これらの化合物の様々な立体異性体及びそれらの混合物を包含している。立体異性体は、エナンチオマー及びジアステレオマーを含む。エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物は、命名法において「(±)」と指定されるが、当業者は、構造は、キラル中心を暗に表示し得ることを認めるであろう。化学構造、例えば全般的化学構造の図示は、別に指定しない限りは、特定された化合物の全ての立体異性体型を包含していることが、理解される。
【0051】
医薬組成物
【0052】
本明細書において開示された組成物及び方法において利用される化合物は、医薬組成物として投与されることができ、従って本化合物を取込んでいる医薬組成物は、本明細書において開示された組成物の実施態様であると考えられる。そのような組成物は、医薬として許容し得る任意の物理的形状をとることができ;具体的には、これらは、経口投与され得る医薬組成物であることができる。そのような医薬組成物は、開示された化合物の有効量を含有し、この有効量は、投与されるべき化合物の1日量に関連している。各用量単位は、所定の化合物の1日量を含むことができるか、又は各用量単位は、1日量の1/2もしくは1/3など、1日量の一部を含むことができる。各用量単位に含まれるべき各化合物の量は、一部、療法のために選択された特定の化合物のアイデンティティに応じて、及びそのために与えられる適応症などの他の要因に応じて決まる。本明細書に開示された医薬組成物は、周知の手順を利用することにより、患者への投与後、活性成分を即時放出、持続放出、又は遅延放出を提供するように、製剤化されることができる。
【0053】
本明細書に開示された方法に従い使用するための化合物は、単独の化合物又は化合物の組合せとして投与されることができる。例えば、神経型一酸化窒素合成酵素を阻害する化合物は、単独の化合物として、又は神経型一酸化窒素合成酵素を阻害するか又は異なる薬理活性を有する別の化合物との組合せで投与されることができる。
【0054】
先に示したように、本化合物の医薬として許容し得る塩が、企図され、且つ同じく開示された方法において利用されてよい。本明細書において使用される用語「医薬として許容し得る塩」は、本化合物の塩を指し、これは生体に対し実質的に無毒である。代表的医薬として許容し得る塩は、本明細書に開示された化合物の、医薬として許容し得る鉱酸もしくは有機酸又は有機塩基もしくは無機塩基との反応により調製されたそれらの塩を含む。そのような塩は、酸付加塩及び塩基付加塩として公知である。本明細書に開示された化合物のほとんど又は全ては、塩を形成することが可能であること、並びに医薬品の塩の形は、一般に使用され、その理由としてこれらは、頻繁に遊離酸又は遊離塩基よりも、より容易に結晶化され且つ精製されることは、当業者により、理解されるであろう。
【0055】
酸付加塩を形成するために通常利用される酸は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸など、並びに有機酸、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などを含むことができる。好適な医薬として許容し得る塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩-、ブチン-1,4-ジオアート、ヘキシン-1,6-ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩などを含むことができる。
【0056】
塩基付加塩は、無機塩基、例えばアンモニウム又はアルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などに由来したものを含む。そのような塩を調製するために有用な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどを含む。
【0057】
本明細書に開示された化合物の任意の塩の一部を形成する特定の対イオンは、総じて塩が医薬として許容し得る限り、及び対イオンが総じて塩に対し望ましくない品質に貢献しない限りは、本化合物の活性に重要ではない。望ましくない品質は、望ましくない溶解度又は毒性を含み得る。
【0058】
本化合物の医薬として許容し得るエステル及びアミドもまた、本明細書に開示された組成物及び方法において利用することができる。好適なエステルの例は、アルキル、アリール、及びアラルキルのエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ドデシルエステル、ベンジルエステルなどを含む。好適なアミドの例は、非置換アミド、一置換されたアミド、及び二置換されたアミド、例えばメチルアミド、ジメチルアミド、メチルエチルアミドなどを含む。
【0059】
加えて本明細書に開示された方法は、本化合物又はそれらの塩、エステル、及び/もしくはアミドの溶媒和物型を用いて、実践することができる。溶媒和物型は、エタノール溶媒和物、水和物などを含むことができる。
【0060】
本医薬組成物は、神経型一酸化窒素合成酵素活性に関連した疾患又は障害を治療する方法において、利用することができる。本明細書において使用される用語「治療している」又は「治療する」は、各々、症状を緩和すること、一時的もしくは永続的のいずれかで生じる症状の原因を排除すること、及び/又は名前を挙げられた疾患もしくは障害の生じた症状の出現を防止もしくは遅延するか又はその進行もしくは重症度を逆行することを意味する。従って、本明細書に開示された方法は、治療的投与及び予防的投与の両方を包含している。
【0061】
本明細書において使用される用語「有効量」は、診断又は治療される対象に所望の効果を提供する、対象への単回又は反復投与量の投与時の、本化合物の量又は投与量を指す。開示された方法は、神経型一酸化窒素合成酵素活性に関連した疾患又は障害を治療するために、開示された化合物(例えば、医薬組成物中に存在するような)の有効量を投与することを含むことができる。
【0062】
有効量は、公知の技術の使用により、及び類似の状況下で得られた結果を観察することにより、当業者としての担当の診断医により、容易に決定され得る。投与される化合物の有効量又は投与量を決定する際に、以下のような数多くの要因が、担当の診断医により考慮され得る:対象の人種;その体格、年齢、及び全身の健康状態;関与した疾患又は障害の関与の程度又は重症度;個々の対象の反応;投与される特定の化合物;投与様式;投与される調製品の生物学的利用能の特徴;選択された投与レジメン;併用薬の使用;並びに、他の関連する状況。
【0063】
代表的1日量は、本治療方法において使用される各化合物を約0.01mg/kg~約100mg/kg(例えば、約0.05mg/kg~約50mg/kg及び/又は約0.1mg/kg~約25mg/kg)含有することができる。
【0064】
組成物は、単位剤形で製剤化されることができ、各用量は、個別に又は単独の単位剤形中に、各化合物約1~約500mg、例えば約5~約300mg、約10~約100mg、及び/又は約25mgを含有する。用語「単位剤形」は、患者にとって単位用量として適している物理的に個別の単位を指し、各単位は、好適な医薬担体、希釈剤、又は賦形剤と共に、所望の治療効果をもたらすよう計算された活性物質の予め決定された量を含む。
【0065】
経口投与は、本明細書に開示された組成物及び方法において利用される化合物の例証的投与経路である。他の例証的投与経路は、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、口腔内、髄腔内、脳内、又は直腸内の経路を含む。投与経路は、利用される化合物の物理特性並びに対象及び看護者の便宜により限定された、任意の方法で変動されてよい。
【0066】
当業者が理解するように、好適な製剤は、2つ以上の投与経路に適しているものを含む。例えば、本製剤は、髄腔内投与及び脳内投与の両方に適しているものであることができる。あるいは、好適な製剤は、ただ1種の投与経路に適しているもの、並びに1又は複数の投与経路に適しているが、1又は複数の他の投与経路には適していないものを含む。例えば、本製剤は、経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、口腔内、及び/又は髄腔内投与に適しているが、脳内投与には適さないものであることができる。
【0067】
本医薬組成物の不活性成分及び製剤の様式は、常用のものである。薬科学で使用される通常の製剤方法が、ここで使用されてよい。錠剤、咀嚼錠剤、カプセル剤、液剤、非経口液剤、鼻腔内噴霧剤又は散剤、トローチ剤、坐剤、経皮貼付剤、及び懸濁剤を含む、通常の組成物の型は全て、使用されてよい。概して組成物は、所望の投与量及び使用される組成物の型に応じて、本化合物を合計で約0.5%~約50%含有する。しかし本化合物の量は、「有効量」、すなわち、そのような治療を必要とする患者にとって所望の投与量を提供する化合物の量として最良に規定される。本明細書に開示された組成物及び方法において利用される化合物の活性は、組成物の性質に大きく左右されるとは考えられず、従って本組成物は、第一に又は単に利便性及び経済性について選択され且つ製剤化されることができる。
【0068】
カプセル剤は、本化合物を好適な希釈剤と混合し、及びこの混合物の適量をカプセル内に充填することにより調製される。通常の希釈剤は、不活性の粉末化された物質(例えばデンプン)、粉末化されたセルロース(特に結晶性及び微結晶性セルロース)、糖類(例えば、果糖、マンニトール及びショ糖)、穀粒粉、及び類似の食用散剤を含む。
【0069】
錠剤は、直接圧縮、湿式造粒、又は乾式造粒により調製される。それらの製剤は通常、(本化合物に加え)希釈剤、結合剤、滑沢剤、及び崩壊剤を混入している。代表的希釈剤は、例えば、様々な種類のデンプン、乳糖、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウム又は硫酸カルシウム、無機塩(例えば塩化ナトリウム)、及び粉砂糖を含む。粉末化されたセルロース誘導体も、使用することができる。代表的錠剤の結合剤は、デンプン、ゼラチン、及び糖類(例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖など)などの物質を含む。アカシアゴム、アルギネート、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどを含む、天然ゴム及び合成ゴムも、使用することができる。ポリエチレングリコール、エチルセルロース、及びワックスもまた、結合剤として働き得る。
【0070】
錠剤は、例えば風味増強剤及び封止剤として、糖類によりコーティングされることができる。これらの化合物はまた、製剤中で大量の苦味矯正剤、例えばマンニトールを使用することにより、咀嚼錠剤として製剤化されてもよい。例えば、患者が剤形を消費することを確実にし、且つ一部の患者が固形物質を嚥下することに困難を覚えることを避けるために、即時溶解錠様の製剤も、利用することができる。
【0071】
滑沢剤は、打錠機における粘着から錠剤を保護し且つ打ち抜くために、錠剤の製剤化において使用することができる。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、及び硬化植物油などの、滑りやすい固形物から選択することができる。
【0072】
錠剤はまた、崩壊剤を含有することもできる。崩壊剤は、湿った場合に膨潤し、錠剤を破壊し、本化合物を放出する物質である。これらは、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、及びゴムを含む。更なる例として、トウモロコシ及びジャガイモのデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末化された天然の海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、及びカルボキシメチルセルロースが、使用され得る。
【0073】
組成物は、例えば、活性成分を胃の強酸性の内容物から保護するために、腸溶剤として製剤化されることができる。そのような製剤は、固形剤形を、酸性環境において不溶性であり且つ塩基性環境において可溶性であるポリマーフィルムにより被覆することにより作製され得る。例証的フィルムは、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0074】
経皮貼付剤も、本化合物を送達するために使用することができる。経皮貼付剤は、その中に本化合物が溶解されるか又は部分的に溶解された樹脂性組成物;並びに、本組成物を保護し、且つ皮膚に接触するように樹脂性組成物を保持するフィルムを含む。他に、それを通じて薬物が浸透圧作用によりポンプ送達される複数の細孔が貫通された膜を有するものなど、より複雑な貼付剤組成物も使用することができる。
【0075】
同じく当業者が理解するように、本製剤は、製剤をヒトへの投与に適したものにする特性(例えば純度)を有する、材料(例えば、活性賦形剤、担体(例えばシクロデキストリン)、希釈剤など)と共に調製されることができる。或いは、本製剤は、製剤を非ヒト対象への投与に適したものにするが、ヒトへの投与には適さない純度及び/又は他の特性を有する材料により調製されることができる。
【0076】
2-アミノピリジン誘導された化合物及びその使用
【0077】
2-アミノピリジン誘導された化合物、その化合物を含有する医薬組成物、並びに神経型一酸化窒素合成酵素活性に関連した疾患及び障害を治療するためのその化合物及び医薬組成物を使用する方法が、本明細書において開示される。開示された化合物は、下記式を有する、2-アミノピリジン化合物の誘導体又はその塩を含むことができ:
【0078】
【化4】
【0079】
式中、
【0080】
【化5】
【0081】
は、単結合、二重結合、又は三重結合を表し;Yは、置換されたアリール(例えば、置換されたフェニル)又は置換されたヘテロアリール(例えば、置換されたキノリン-3-イルなどの、置換されたキノリニル)であり、及びYは、1又は複数の環位置で、式-X-Rを有する置換基により置換され;Xは、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、及びC-C-アルキニルから選択され;Rは、アミノ、アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ)、ジアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ)、又は少なくとも1個の窒素原子を含み、及びそのヘテロ環が、1もしくは複数の位置で、アルキル(例えば、メチル)、アルコキシ(例えば、エトキシ)、もしくはハロ(例えば、フルオロ)により任意に置換されている、4~6員のヘテロ環から選択され;並びに、Yは、1又は複数の環位置で、ハロ(例えば、2,3-ジフルオロ-フェニル)により、任意に置換されている。開示された化合物の塩も、本明細書において企図される。同じく開示された化合物の溶媒和物も、企図される。
【0082】
一部の実施態様において、開示された化合物は、任意に1又は複数の位置でアルキル(例えば、N-メチル-ピロリジン-2-イル又は4-メチル-ピロリジン-2-イル)又はアルコキシ(例えば、4-エトキシ-ピロリジン-2-イル)又はハロ(例えば、4-フルオロ-ピロリジン-2-イル)により置換されたピロリジニル(例えば、ピロリジン-2-イル)、任意に1又は複数の位置でアルキル(例えば、N-メチル-アゼチン-2-イル)により置換されたアゼチニル(例えば、アゼチン-2-イル)、並びに任意に1又は複数の位置でアルキル(例えば、N-メチル-モルホリン-3-イル)により置換されたモルホリニル(例えば、モルホリン-3-イル)から選択されたRを有することができる。
【0083】
一部の実施態様において、開示された化合物は、式(I)を有することができ:
【0084】
【化6】
【0085】
式中、R、R、R、及びRは、各々独立してH又はハロゲン(例えば、フルオロ)である。
【0086】
一部の実施態様において、Rは、ハロゲン(例えば、フルオロ)である。
【0087】
一部の実施態様において、Rは、ハロゲン(例えば、フルオロ)である。
【0088】
一部の実施態様において、Rは、ハロゲン(例えば、フルオロ)であり、及びRは、ハロゲン(例えば、フルオロ)である。
【0089】
一部の実施態様において、Xは、メチル、エチル、又はプロピルである。
【0090】
一部の実施態様において、Rは、ジメチルアミノである。
【0091】
一部の実施態様において、開示された化合物は、下記式を有することができ:
【0092】
【化7】
【0093】
式中、R、R、R、及びRは、各々独立してH又はハロゲン(例えば、フルオロ)である。
【0094】
具体的には、本明細書に開示された化合物は、以下から選択された式を有する化合物を含むことができ:
【0095】
【化8】
【0096】
【化9】
【0097】
【化10】
【0098】
【化11】
【0099】
【化12】
【0100】
【化13】
【0101】
【化14】
【0102】
【化15】
【0103】
【化16】
【0104】
【化17】
【0105】
【化18】
【0106】
【化19】
【0107】
【化20】
【0108】
【化21】
【0109】
【化22】
【0110】
【化23】
【0111】
開示された化合物の塩は、本明細書において企図される。特に、開示された化合物の医薬として許容し得る塩は、企図される。
【0112】
開示された化合物、その塩、及び/又はその水和物は、医薬として許容し得る担体中に、本化合物、その塩、及び/又はその水和物を含有する医薬組成物として製剤化されることができる。本医薬組成物は、一酸化窒素合成酵素活性に関連した疾患又は障害を治療するために製剤化されることができる。
【0113】
一部の実施態様において、開示された化合物及び医薬組成物は、一酸化窒素合成酵素(NOS)に関連した疾患又は障害を有する対象の治療又は予防に利用されることができ、この方法は、対象へ、本化合物及び/又は医薬組成物を投与することを含む。これらの方法において、対象は、NOS活性を阻害するのに十分な量の本化合物が投与されることができる。
【0114】
一部の実施態様において、開示された化合物及び医薬組成物は、それを必要とする対象において、神経変性疾患又は障害を治療又は予防するために利用されることができる。これらの方法において、対象は、NOS活性を阻害するのに十分な量の本化合物が投与されることができる。これらの方法において、対象は、非限定的に、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳性麻痺、及び片頭痛から選択される神経変性疾患又は障害を有し得る。
【0115】
一部の実施態様において、開示された化合物及び医薬組成物は、それを必要とする対象においてNOSを阻害するために利用されることができる。これらの方法において、対象は、NOS活性を阻害するのに十分な量の化合物が投与されることができる。
【0116】
一部の実施態様において、開示された化合物により阻害されるNOSは、神経型NOSである。一部の実施態様において、開示された化合物は、約100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、1nM、0.5nM、0.1nM未満又はそれよりも低い、ヒトnNOSに関するKを有する。
【0117】
一部の実施態様において、開示された化合物により阻害されるNOSは、iNOSに対し選択的に阻害される神経型NOSである。一部の実施態様において、本化合物は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれよりも高い、iNOSに対するnNOSの選択性(n/i)を示す。
【0118】
一部の実施態様において、開示された化合物により阻害されるNOSは、eNOSに対し選択的に阻害される神経型NOSである。一部の実施態様において、本化合物は、少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、又はそれよりも高い、eNOSに対するnNOSの選択性(n/e)を示す。
【0119】
一部の実施態様において、開示された化合物により阻害されるNOSは、それを必要とする対象の脳内に存在する神経型NOSである。これらの方法において、開示された化合物は、好ましくは、血液脳関門に関する有効透過性(P)の少なくとも約5×10-6cm/s、6×10-6cm/s、7×10-6cm/s、8×10-6cm/s、9×10-6cm/s、10×10-6cm/s、11×10-6cm/s、12×10-6cm/s、13×10-6cm/s、14×10-6cm/s、15×10-6cm/s、16×10-6cm/s、17×10-6cm/s、18×10-6cm/s、19×10-6cm/s、又は20×10-6cm/sを示す。
【0120】
例証的実施態様
下記の実施態様は例示であり、請求された主題の範囲を限定すると解釈されるものではない。
【0121】
実施態様1。 下記式の化合物又はその塩もしくは溶媒和物:
【0122】
【化24】
【0123】
(式中:
【0124】
【化25】
【0125】
は、単結合、二重結合、又は三重結合を表し;
Yは、置換されたアリール(例えば、置換されたフェニル)又は置換されたヘテロアリール(例えば、置換されたキノリン-3-イルなどの、置換されたキノリニル)であり、並びにYは、1又は複数の環位置で、式-X-Rを有する置換基により置換され;
Xは、C-C-アルキル、C-C-アルケニル、及びC-C-アルキニルから選択され;
は、アミノ、アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ)、ジアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ)、又は少なくとも1個の窒素原子を含み及びヘテロ環が1又は複数の位置でアルキル(例えばメチル)、アルコキシ(例えばエトキシ)、もしくはハロ(例えばフルオロ)により任意に置換された4~6員のヘテロ環から選択され;並びに
ここで、Yは任意に、1又は複数の環位置で、ハロ(例えば、2,3-ジフルオロ-フェニル)により置換される)。
【0126】
実施態様2。 Rが、1又は複数の位置で、アルキル(例えば、N-メチル-ピロリジン-2-イルもしくは4-メチル-ピロリジン-2-イル)又はアルコキシ(例えば、4-エトキシ-ピロリジン-2-イル)又はハロ(例えば、4-フルオロ-ピロリジン-2-イル)により任意に置換されたピロリジニル(例えば、ピロリジン-2-イル)、1又は複数の位置で、アルキル(例えばN-メチル-アゼチン-2-イル)により任意に置換されたアゼチニル(例えば、アゼチン-2-イル)、及び1又は複数の位置で、アルキル(例えば、N-メチル-モルホリン-3-イル)により任意に置換されたモルホリニル(例えば、ルホリン-3-イル)である、実施態様1の化合物。
【0127】
実施態様3。 式(I)を有する実施態様1の化合物:
【0128】
【化26】
【0129】
(式中、R、R、R、及びRは、各々独立してH又はハロゲン(例えば、フルオロ)である)。
【0130】
実施態様4。 Rが、ハロゲン(例えば、フルオロ)である、実施態様3の化合物。
【0131】
実施態様5。 Rが、ハロゲン(例えば、フルオロ)である、実施態様3又は4の化合物。
【0132】
実施態様6。 Rが、ハロゲン(例えば、フルオロ)であり、及びRが、ハロゲン(例えば、フルオロ)である、実施態様3の化合物。
【0133】
実施態様7。 Xが、メチル、エチル、又はプロピルである、前述の実施態様のいずれかの化合物。
【0134】
実施態様8。 Rが、ジメチルアミノである、前述の実施態様のいずれかの化合物。
【0135】
実施態様9。 下記式の、前述の実施態様のいずれかの化合物:
【0136】
【化27】
【0137】
(式中、R、R、R、及びRは、各々独立してH又はハロゲン(例えば、フルオロ)である)。
【0138】
実施態様10。 下記式の、前述の実施態様のいずれかの化合物:
【0139】
【化28】
【0140】
【化29】
【0141】
【化30】
【0142】
実施態様11。 化合物が、血液脳関門に対する有効透過性Pの少なくとも約5×10-6cm/s、6×10-6cm/s、7×10-6cm/s、8×10-6cm/s、9×10-6cm/s、10×10-6cm/s、11×10-6cm/s、12×10-6cm/s、13×10-6cm/s、14×10-6cm/s、15×10-6cm/s、16×10-6cm/s、17×10-6cm/s、18×10-6cm/s、19×10-6cm/s、又は20×10-6cm/sを有する、前述の実施態様のいずれかの化合物。
【0143】
実施態様12。 化合物が、少なくとも約30のiNOSに対するnNOSの選択性を有する、前述の実施態様のいずれかの化合物。
【0144】
実施態様13。 化合物が、少なくとも約1000のeNOSに対するnNOSの選択性を有する、前述の実施態様のいずれかの化合物。
【0145】
実施態様14。 前述の実施態様のいずれかの化合物及び医薬として許容し得る担体を含有する、医薬組成物。
【0146】
実施態様15。 実施態様1-13のいずれかの化合物又は実施態様14の医薬組成物を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象において、一酸化窒素合成酵素に関連した疾患又は障害を治療又は予防する方法。
【0147】
実施態様16。 疾患又は障害が、神経変性疾患又は障害である、実施態様15の方法。
【0148】
実施態様17。 疾患又は障害が、アルツハイマー病である、実施態様15の方法。
【0149】
実施態様18。 疾患又は障害が、ハンチントン病である、実施態様15の方法。
【0150】
実施態様19。 疾患又は障害が、パーキンソン病である、実施態様15の方法。
【0151】
実施態様20。 疾患又は障害が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、実施態様15の方法。
【0152】
実施態様21。 疾患又は障害が、脳性麻痺である、実施態様15の方法。
【0153】
実施態様22。 疾患又は障害が、片頭痛である、実施態様15の方法。
【0154】
実施態様23。 実施態様1-13の化合物のいずれかを、細胞と接触させることを含む、細胞において一酸化窒素合成酵素(NOS)を阻害する方法。
【実施例
【0155】
実施例
下記実施例は、例示であり、且つ請求される主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0156】
実施例1
【0157】
表題-CNS創薬のための2-アミノピリジンスカフォールドを保有する強力且つ選択的ヒト神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬に対する低下したP-糖タンパク質基質ライアビリティによる血液脳関門透過性の最適化
【0158】
2019年2月25日に刊行されたDoらの原稿「2-アミノピリジンスカフォールドを有する強力且つ選択的ヒト神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬による血液脳関門透過性の最適化」(J. Med. Chem. 2019, 62, 5, 2690-2707)を参照し、その内容はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0159】
一般に知られているアルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病などの神経変性疾患は、中枢神経系(CNS)のニューロンの緩やかな変性及び死滅により特徴付けられ、これは患者の筋肉運動及び精神機能に問題を引きおこす。緊急の医学的必要性にもかかわらず、これらの疾患の包括的治療は、依然非常に限定されている1,2。CNS創薬における最も困難な課題の一つは、主に、血管と脳組織の境界に位置した血液脳関門(BBB)の存在に起因した、治療的薬剤のヒト脳への効果的送達である3。BBBは、外来毒素のアクセスを防止する密着結合による内皮細胞の層で構成され、その結果脳を保護し、且つその最適な生理的環境を保持する。しかしこの細胞層は、有益な治療的薬剤の脳へのアクセスも制限する4。BBBを超えるためのCNS薬剤の主要経路は、その脂質膜を通る受動拡散である。内皮細胞の密着結合に加え、BBB上の排泄トランスポーターの、特にP-糖タンパク質(P-gp)の高い発現レベルは、CNS薬剤の限定された脳曝露に大きく寄与している5。結果的に、受動透過性の増大とP-gp媒介した排泄の低下の間の組合せからなる戦略を確立することが、CNS創薬には必要である3,6,7
【0160】
神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)は、神経変性疾患のための新規治療の開発における有望な治療的標的として認証されている8-10。脳において、nNOSにより生成される一酸化窒素(NO)は、ニューロンの信号伝達に参加する11。しかし細胞内のNOの過剰生成は、有害である。特に、CNSにおいて過剰活性化されたnNOSにより形成された過剰なNOは、タンパク質の過剰なニトロ化及びニトロシル化の原因となり得、これはそれらのミスフォールディング及び凝集に繋がる12。加えて、NOのスーパーオキシド陰イオンとの反応は、強力な酸化剤である過酸化亜硝酸塩を生じ、これは、DNAを損傷し、且つ脂質の過酸化を引きおこす。これらのプロセスは、神経細胞死及びニューロンの信号伝達における機能障害に繋がる13,14。従って、nNOSの阻害によるNO生成の制限は、ニューロンを保護し、且つ特定の神経変性疾患を治癒する可能性がある本質的アプローチとなり始めている15,16
【0161】
nNOSは、ホモ二量体酵素であり、各単量体は、1個のC-末端レダクターゼドメイン及び1個のN-末端オキシゲナーゼドメインを含む。C-末端レダクターゼドメインは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、及びフラビンモノヌクレオチド(FMN)からなるのに対し、N-末端オキシゲナーゼドメインは、非触媒性亜鉛、テトラヒドロビオプテリン(HB)、及びヘムを含む。これら2種のドメインは、互いに、カルモジュリンドメインにより結合されている。二量体化が起こると、レダクターゼドメインからオキシゲナーゼドメインへの電子流れが促進され、その時点でL-Argは、L-Citへ酸化され、及びNOが放出される15,17。その酵素の活性部位でL-Arg結合と競合する分子を推進することは、nNOSを阻害するための基本的アプローチの一つである16。このタスクの課題は、阻害薬の効能に関与するのみではなく、nNOSのそれと非常に類似した構造上の特徴を共有している2種のアイソフォームであるeNOS及びiNOSの両方に勝るnNOSへのそれらの結合選択性にも関連している18,19。eNOS阻害は、循環不全を生じ得る一方で、iNOS阻害は、免疫系の破壊を引きおこし得るので、これら2種のNOSアイソフォームの過剰阻害を避けることが、必要である20
【0162】
近年、優れた効能及び高いアイソフォーム活性を持つnNOS阻害薬を実現するという本発明者らの努力は、2-アミノピリジンスカフォールドを保有する有望な分子のクラスに繋がっている。この分子スカフォールドを使用し、本発明者らは、30-nMを下回る範囲の濃度で優れた活性を発揮するnNOS阻害薬を得た15,21,22。しかし本発明者らの2-アミノピリジンスカフォールドを保有する第一世代のnNOS阻害薬は、非常に低いCaco-2透過性により明らかにされたように、BBBを通る透過の予想された不良を示した23。最近、本発明者らは、それらの高い阻害活性を保ちながら、本発明者らの2-アミノピリジンnNOS阻害薬の細胞膜透過性を改善することができた。本発明者らの先行する報告において、本発明者らは、優れた効能及びヒトnNOSに対する選択性を示し(K hnNOS=30nM;hnNOS/heNOS=2799)、並びにCaco-2アッセイにおいて排泄比(ER)5.9を発揮する、新規リード化合物(1、図1)を得た24。CNS創薬へ進むために、これらの2-アミノピリジンnNOS阻害薬の細胞膜透過性は、有望なCNS(+)薬剤であるために必要とされるER<2.5を伴うように、更に改善されなければならない7,25
【0163】
この投稿において、本発明者らは、多くの化学修飾のためのリード化合物として1を使用し、2-アミノピリジンnNOS阻害薬の細胞膜透過性を改善し、且つP-gp基質ライアビリティを低下するための、自分たちの最適化について報告している。アナログの活性及び透過性に対する構造の作用を理解するための洞察は、分子内の塩基性アミノ基のpKaを調節することと共に、新規アナログの親油性及び剛性を増強することを含む、様々な医薬品化学アプローチを介して得られる(図1)。これらの構造修飾は、1のものと同等のそれらの効能及び選択性を保持しながら、脳へのnNOS阻害薬の配置(disposition)を増強することに集中している。更にこの研究において、本発明者らは、初めて、全てのヒトNOSアイソフォームを使用し、可能性のある化合物の阻害試験を調べることを目的とし、このことは、アイソフォーム選択性の直接比較のみではなく、任意の試験したnNOS阻害薬を創薬の後続の段階に進める場合の臨床試験のためのより強固なデータも提供する助けとなる。
【0164】
1の構造修飾(図1)は、最初に、これらの分子の剛性を増強するために、不飽和C-C三重結合が新規アナログ(化合物2及び3)に取込まれているテール鎖に行った。1の親油性を増強し、その結果透過性を増大するために、テール鎖にピロリジン環を持つアナログ4-9を、リード分子により多くの炭化水素基を導入し、並びに分子内の回転可能な結合を減少するように設計した。ピロリジン環の異なるエナンチオマーも、これらの分子の活性及び選択性に対するキラリティーの効果を調べるために、試験した。更に、1個のフッ素原子を、ピロリジン環のC4位置に取込み(8及び9)、この環状アミンの塩基度を低下し、且つ代謝からこれを保護した。別の方向において、新規アナログの親油性を、1の中央のフルオロベンゼンリンカーへの追加のフッ素原子の取込みにより増強した。中央リンカーの様々な相対位置に2又は3個のフッ素原子を保有する様々な化合物(10-14)を、設計し且つ合成した。不飽和C-C三重結合によりもたらされる増強された剛性と、化合物15及び16において認められるような、マルチ-フルオロベンゼンリンカーに関連した増大された親油性の組合せもまた、新規アナログの細胞膜透過性への組合せ効果への洞察を得るために調べた。その後本発明者らは、最適なマルチ-フルオロベンゼンリンカーを、1由来のほとんどのnNOS阻害活性を保持するピロリジンテール鎖と組合せることにより、更なる構造修飾を行い、ここで化合物17及び18は、可能性のある親油性の最大化を得た。最後に、テール鎖内の環状アミノ基、すなわちピロリジン環のpKaを、モルホリン(19)及びアゼチジン(21)を含む異なるヘテロ環を用い、並びにピロリジン環(20)へ電子求引基を導入して、調節した。全ての新規アナログは、NO-ヘモグロビン捕獲アッセイを用いて、それらのnNOS阻害、並びにeNOS及びiNOSに勝る選択性について試験し、他方でそれらの細胞膜透過性を、血液脳関門に関する平行人工膜透過性(PAMPA-BBB)アッセイを使用して調べた。高い効能、選択性及び透過性を伴う化合物は、それらのP-gp基質ライアビリティを評価するために、Caco-2双方向アッセイにおいて更に試験した。
【0165】
結果及び考察
【0166】
化学
【0167】
テール鎖において増強された剛性を伴う化合物2及び3の合成を、スキーム1に示した。ピロール-保護された2,4-ジメチルピリジン22の、n-BuLiによる脱プロトン化、それに続く生成された陰イオンの求電子剤23との反応は、カップリングされた2-アミノピリジンヘッド及び中央リンカーを伴う中間体24を提供した。24の、N-Boc-N-メチル-プロパルギルアミン(25a)又は3-ジメチルアミノ-1-プロピン(25b)のいずれかとの薗頭カップリングは、Boc-保護された二級アミン(26a)又は三級アミン(26b)を保持するアルキンをもたらした。26aのBoc-脱保護、それに続くピロール脱保護は、標的化合物2を生じたのに対し、26bのピロール脱保護は、化合物3を生成した。
【0168】
【化31】
【0169】
試薬及び条件:(a)(i)n-BuLi 1.6M/THF、THF、-78℃→-20℃、15分間、(ii)23、THF、-78℃→-20℃、20分間;(b)25a又は25b、Pd(PPh、CuI、TEA:DMF(9:1)、マイクロウェーブ、120℃、30分間;(c)20%TFA、CHCl、RT、1h;(d)NHOH・HCl、EtOH/HO(2:1)、100℃、20h。
【0170】
ピロリジンアナログ4-9の合成は、ピロリジノアルキン32a-cの調製を通じて実行した(スキーム2)。これらのピロリジノアルキンの純粋なエナンチオマーは、セイファース-ギルバート増炭反応を用いて、それらの対応するアルデヒド(30a-c)から直接合成した。アルデヒド30a-cは、市販の給源(29a及び29b)から、又はカルボン酸前駆体(28)から合成された(29c)かのいずれかにより得られた、それらの対応するアルコールの酸化から調製した。スキーム3は、32a-cからの4-9の合成経路を示している。中間体24の様々なピロリジノアルキン(32a-c)との薗頭カップリング、それに続くBoc-脱保護及び水素化の配列は、中間体34a-cを生じる。これらの中間体のピロール-脱保護は、第二級アミンアナログ4、6、及び8を提供した。別の経路において、ホルムアルデヒド/NaBHを使用する第二級アミノ基のメチル化、それに続くピロール保護基の除去は、第三級アミンアナログ5、7、及び9を作製した。
【0171】
【化32】
【0172】
試薬及び条件:(a)BH 1M/THF、THF、0℃→RT;(b)デス-マーチンペルヨージナン、CHCl、RT、3h;(c)31、MeOH、RT、15h。
【0173】
【化33】
【0174】
試薬及び条件:(a)32a-c、Pd(PPh、CuI、TEA:DMF(9:1)、マイクロウェーブ、120℃、30分間;(b)20%TFA、CHCl、RT、1h;(c)Pd/C、H、MeOH、RT、20h;(d)(i)HO中37%HCHO、(ii)NaBH、MeOH;(e)NHOH・HCl、EtOH/HO(2:1)、100℃、20h。
【0175】
ジ-及びトリ-フルオロベンゼンリンカーを含むアナログ(10-14)の合成は、市販の給源からのリンカー成分(36a-e)の調製で出発した(支援する情報を参照)。スキーム1に示したようなnNOS阻害薬の一般的合成経路に従い、合成されたリンカー(36a-e)を、n-BuLiを使用し、炭素-炭素結合形成を通じて、ピロール-保護された2-アミノピリジンヘッド22とカップリングさせた。その後生成された中間体(37a-e)を、アルキン25bと薗頭カップリングさせ、リード化合物1と同じテール鎖を保持した。中間体38a-eのアルキン還元、それに続くピロール脱保護は、所望の生成物10-14を生じた(スキーム4)。
【0176】
【化34】
【0177】
試薬及び条件:(a)(i)n-BuLi 1.6M/THF、THF、-78℃→-20℃、15分間、(ii)36a-e、THF、-78℃→-20℃、20分間;(b)25b、Pd(PPh、CuI、TEA:DMF(9:1)、マイクロウェーブ、120℃、30分間;(c)Pd/C、H、MeOH、RT、20h;(d)NHOH・HCl、EtOH/HO(2:1)、100℃、20h。
【0178】
細胞膜透過性における最高の可能性のある改善を得るために、増強された親油性及び増大した剛性の両方を伴う化合物の新規セットを、合成した。新規アナログは、それらの親油性を増大するか又は回転可能な結合の数を減少するために、各々、ジフルオロベンゼン中央リンカー及びテール鎖内にピロリジン環又はアルキンアミノ基のいずれかを含むテール鎖を有するように、設計した。これらのアナログ(15-18)の合成は、スキーム5に示している。先に合成された37aの、様々なアルキン(25a-b、32a-b)との薗頭カップリング反応は、中間体39及び41-43を生じた。39のBoc-脱保護は、中間体40を生成し、これは41と共にピロール-脱保護を受け、テール鎖内にアルキンアミノ基を保有する2種の所望の化合物(15及び16)を生じた。他方で、42及び43は、Boc-脱保護、Pd/Cによる水素化、ホルムアルデヒドによるメチル化、及びピロール脱保護を含む、一連の反応を受け、それらのテール鎖内にピロリジン環を含む標的生成物(17及び18)を生じた。
【0179】
【化35】
【0180】
試薬及び条件:(a)25a-b又は32a-b、Pd(PPh、CuI、TEA:DMF(9:1)、マイクロウェーブ、120℃、30分間;(b)20%TFA、CHCl、RT、1h;(c)Pd/C、H、MeOH、RT、20h;(d)(i)HO中37%HCHO、(ii)NaBH、MeOH;(e)NHOH・HCl、EtOH/HO(2:1)、100℃、20h。
【0181】
テール鎖内のアミノ基のpKaを調節するための化合物19-21の合成は、最初に、対応するアルキン-官能基化したテール鎖(44a-c)に関与し、その合成は、「支援情報」に認めることができる。薗頭カップリングを再度使用し、これらのテール鎖を、中間体37aに結合した。標的化合物(19-21)を、(i)Boc/Cbz脱保護、(ii)アルキンの水素化、(iii)HCHO/NaBHによる第二級アミンの第三級アミンへのメチル化、並びに(iv)ピロール脱保護を含む後続の反応により得た。これらの反応は、19の合成に関して効果的に働いたが、20及び21の合成におけるCbz基の除去は、H気体下での、Pd(OH)/Cの使用を必要としたことは、価値がある言及である。Cbz基を除去するためのPd/C、Hの使用は、水素気体の110psiまでの高圧であっても、所望の生成物を生じなかった。加えて、妥当な収率及びより少ない分離不可能な副産物を得るために、アゼチジンアルキン44cの薗頭カップリングは、異なるPd触媒及び塩基(すなわち、各々、Pd(PPhCl及びジエチルアミン)の使用を必要とした(スキーム6)。
【0182】
【化36】
【0183】
試薬及び条件:(a)44a又は44b、Pd(PPh、CuI、TEA:DMF(9:1)、マイクロウェーブ、120℃、30分間;(b)44c、Pd(PPhCl、CuI、PPh、DEA:DMF(1:1)、マイクロウェーブ、120℃、20分間;(c)45a→46a:(i)20%TFA、CHCl、RT、1h、(ii)Pd/C、H、MeOH、RT、20h、(iii)HO中37%HCHO、NaBH、MeOH;(d)45b-c→46b-c:(i)Pd(OH)/C、H(1atm)、MeOH、RT、20h、(ii)HO中37%HCHO、NaBH、MeOH;(e)NHOH・HCl、EtOH/HO(2:1)、100℃、20h。
【0184】
生物活性
【0185】
新規アナログ2-21のnNOS阻害活性及び選択性を、NOヘモグロビン捕獲アッセイにより決定し、且つ結果を、比較のための化合物1の結果と共に、表1にまとめた。スクリーニングに基づいて、これらの化合物は、最初に、ラット及びヒトのnNOS並びにマウスのiNOSに対して試験し、これらの酵素の発現及び精製の容易さのためにそれらの効能及び選択性を評価した。iNOSに勝るnNOS(n/i)の選択性に加え、ラット及びヒトnNOSに対するこれらの化合物の阻害活性(hn/rn比)は、前臨床試験から臨床試験に移る際の有益な情報であるので、この比も比較した。血液脳関門に関する平行人工膜透過性(PAMPA-BBB)アッセイを使用し、本発明者らの構造修飾の2-21の細胞膜透過性に対する効果を評価し、これはこれらの化合物の構造-透過性の関係を理解する助けとなった。
【0186】
【表1】
値は、チェン-プルソフ式を使用し、用量-反応曲線のIC50値から計算した。6から9種の濃度を試験し、IC50は、少なくとも2種の2つ組からの平均から算出した。標準誤差は、10%未満である。
【0187】
1の構造修飾は、最初に、テール鎖で行なわれ、そこではビスメチレン基が、アセチレン基(one)により置き換えられ、分子の剛性を増強した。NOS阻害試験は、化合物2及び3は、ラット及びヒトの両方のnNOS効能の減少を示し、ここでKのhnNOS/rnNOS比は約2であり、ヒト種に対しより有意な作用であることを明らかにした。テール鎖に第三級アミノ基を伴う化合物3は、第二級アミンアナログ(2)の効能よりも、より低い効能を発揮し、ここで3の効能は、1の効能と比べ、ラット及びヒトnNOSに関して、各々、2倍及び4倍より大きく下落する一方で、2の効能は、わずかにのみ減弱される。効能の減少にもかかわらず、3は、P値18.8×10-6cm・s-1という、優れた透過性を有し、このことは、1の柔軟性の減少は、その細胞膜透過性を増強することを補助する可能性があることを指摘している。
【0188】
1の親油性を増大し、その結果その透過性を潜在的に増大するために、テール鎖にピロリジン環を伴う化合物4-9は、リード分子へより多くの炭化水素基を導入するように設計された。4-9のラット及びヒトnNOS阻害に関する試験は、ピロリジン環上にフッ素原子を保持するアナログである8(K=65nM)及び9(K=128nM)を除いて、全ての化合物は、ラットnNOSに対し優れた効能(K=~30nM)を発揮したことを示した。8及び9のrnNOS阻害活性の減少は、おそらくテールアミノ基の束縛又はpKaの減少の結果であり、このことは本発明者らの先行する報告においても認められる24。化合物4-7は、1と比べ、中等度のhnNOS効能を維持する一方で、8及び9は、それらの活性の有意な下落(各々、1の1/4及び1/7)を示す。これらの2種のエナンチオマー対の活性には、わずかな差のみ存在し、4及び5は、rnNOS及びhnNOSの両方について、6及び7のそれと比べ、各々、類似したK値を示す。しかし、マウスのiNOSに勝るこれらの化合物の選択性は、(R)-異性体(4、5)から(S)-異性体(6、7)へスイッチする場合に、わずかに増強される。PAMPA-BBBアッセイにおいて、テールに第三級アミノ基を伴う化合物は、それらの対応する第二級アミンアナログ(各々、5、7及び9、対、4、6及び8)よりも、より多く脂質膜を透過する傾向を示す。更に、ピロリジン環上の追加のフッ素原子は、nNOS阻害薬の透過性の改善を補助し、例えば、8及び9は、各々、4及び5よりも、より高いP値を発揮する。第三級アミノ基及び追加のフッ素原子の両方の存在は、化合物9について18.9×10-6cm・s-1の優れた透過性を生じ、これは、1のそれ(P=14.8×10-6cm・s-1)よりも有意に高い。しかし、その高いP値にもかかわらず、9は、nNOSの効能及び選択性において劇的減少を表す。
【0189】
1の細胞膜透過性を増強する別の修飾の方向性は、本発明者らのnNOS阻害薬の中央フルオロベンゼンリンカー上への追加のフッ素原子の取込みにより達成された。フッ素原子が互いに異なる相対位置に配置されている、ジ-及びトリ-フルオロベンゼンリンカーを保有する化合物(10-14)が設計され、且つ合成された。生物活性試験の結果は、中央ベンゼン環上のフッ素原子間の相対位置は、5種の生じる修飾された化合物のnNOS阻害活性及び選択性に特定の効果を有することを明らかにした。特に、オルト-(10)及びメタ-(11)ジフルオロベンゼンリンカーを含むアナログは、rnNOS及びhnNOSの両方に対し、パラ-ジフルオロベンゼンリンカー(12)を含むアナログの効能よりも、より高い効能を発揮する。リード化合物1と比べ、アナログ12は、当初の効能の1/2を超える喪失を発揮する一方で、10は、rnNOS及びhnNOSの両方に対し、わずかにより良い効能を示す。トリフルオロベンゼン中央リンカーを含む化合物13及び14は、ラット及びヒトの両方のnNOS効能において、1及び10と比べ、中程度の減少を発揮する。しかし、中央リンカーへのフッ素原子の追加は、ジ-及びトリ-フルオロベンゼンアナログの両方について、ラットnNOS/マウスiNOSの選択性を低下する。他方で、PAMPA-BBBアッセイは、10-12における1個の追加のフッ素の取込みは、1のP 値と比較しわずかではあるが、これらの新規アナログのP 値の増加を補助することを指摘している。これらのジフルオロベンゼン-含有アナログは、2個のフッ素原子間の異なる位置配列には関わりなく、約16×10-6cm・s-1という類似の有効透過性を示す。トリフルオロベンゼン-含有アナログ13及び14において認められるような、中央リンカーへのより多くのフッ素の更なる取込みは、細胞膜透過性の有意な改善を生じた。とりわけ、13及び14のP値は、テール鎖にフルオロピロリジン基を伴うアナログである9のP 値とほぼ同じである。従ってPAMPA-BBBアッセイによるこれらの透過性試験は、修飾された化合物の十分なnNOS阻害及びアイソフォーム選択性を維持している一方で、透過性を増強するための中央リンカーへの追加のフッ素原子の取込みによる本発明者らの修飾の適切な方向付けを裏付けている。
【0190】
10のオルト-ジフルオロベンゼン環に会合された中央リンカーは次に、その優れたnNOS阻害及びPAMPA-BBBアッセイで示された透過性の改善のために、新規アナログを構築するために採用された。これらの新規アナログは、回転可能な結合の数を減少するか、又はそれらの親油性を増加するために、各々、テール鎖に取込まれたアルキンアミノ基(15、16)及びピロリジン環(17、18)を持つように設計された。これら2種の修飾の方向性は、生じるアナログの透過性の増強を補助することが予想される。これらの新規化合物のnNOS阻害に関する本発明者らの生物学的試験は、アルキン基の取込みは、15及び16のnNOS効能の下落を引きおこすことを明らかにしており、ここでそのテール鎖に第三級アミノ基を伴う化合物16は、第二級アミンテール鎖を伴うアナログ15よりも、効能のより大きい喪失を阻害する。興味深いことに、15は、ジフルオロベンゼンリンカーの導入により先に減弱されたマウスのiNOSに勝るrnNOSへの選択性を回復することができる。またアルキンテール鎖及びフルオロベンゼン中央リンカーを保持する化合物(2、3)で、同様の傾向が認められることも、注目に値し、ここで第二級アミンアナログ(2)は、第三級アミンアナログ(3)よりも、nNOS阻害及び選択性の両方で、より良い性能を発揮する。PAMPA-BBBアッセイにおいて、15及び16の両方は、P 値約18×10-6cm・s-1のそれらの透過性の増強を示す。興味深いことに、16と比べ、15は、CNS薬剤の細胞膜透過性において重要な役割を果たすことが多い、過剰な水素結合ドナーを保有することとは関わりなく、15及び16の2種のアナログの間の細胞膜透過性には、驚くほど無視できる差が存在する。この知見は、アナログの透過性に対する構造の剛性の有意な効果を示唆している。しかし、nNOS効能及びアイソフォーム活性の減弱のため、この剛性のアルキン-含有テール鎖を使用するnNOS阻害薬の修飾は、更なる研究にとって好ましくはない。
【0191】
アナログ17及び18は、ジフルオロベンゼン中央リンカー及びテール鎖のピロリジン環の両方の組合せられた修飾を通じて得られた。ヘモグロビンNO捕獲アッセイは、両方の化合物は、nNOS阻害において優れた効能を発揮し、ここで(S)-異性体18は、そのカウンターパートである(R)-異性体17よりも、より高い効能及び選択性を示すことを明らかにした。有望なことに、アナログ18は、リード化合物1と比べ、ラット及びヒトnNOS阻害の増強を示し、ここでrNOS及びhNOSに対する18の阻害活性は、各々、1の活性のおよそ2倍及び1.5倍である。17及び18のPAMPA-BBBアッセイによる細胞膜透過性試験は、両方の化合物は、18.0×10-6cm・s-1に近いP値の、増強された透過性を発揮したことを指摘している。これらの結果は、リード分子の親油性及び/又は剛性を増加することにより、nNOS阻害薬の細胞膜透過性を改善するという本発明者らの提唱した方向性を裏付けている。
【0192】
次に本発明者らは、nNOS活性、選択性及び細胞膜透過性に対するその優秀さを考慮し、18の構造的スカフォールドを基に更なる修飾を実行した。化合物19、20、及び21において認められるような、各々、モルホリン、(4-エトキシ)ピロリジン、及びアゼチジンを含む様々なヘテロ環を、その透過性を増強し且つこれを代謝から保護する可能性がある、ピロリジン環の第三級アミノ基の塩基度を調節するために利用した26。生物学的試験は、18のピロリジン環の、19のモルホリン環による置き換えは、ラット及びヒトの両方のnNOSに対するこの化合物の阻害活性の1/2よりも大きい喪失を生じたことを明らかにした。同様に、ピロリジン環のC4でのエトキシ基の導入は、20のnNOS効能の減少を引きおこした。対照的に、ピロリジン環の代わりのアゼチジン環の使用は、生じる化合物21の高いnNOS阻害に繋がり、21は18のそれと同等のrnNOS及びhnNOSのK値、並びにアイソフォーム選択性を有した。細胞膜透過性に関して、nNOS阻害活性の喪失にもかかわらず、19は、P値21.1×10-6cm・s-1の透過性の有意な改善を発揮し、これは、2-アミノピリジンスカフォールドを基にした本発明者らのnNOS阻害薬に関して本発明者らが得た最高の透過性値であり、並びに陽性対照化合物であるベラパミル(P=20.2×10-6cm・s-1)に匹敵する。他方で、2種のアナログ20及び21に関するPAMPA-BBB試験は、18のピロリジン環の(4-エトキシ)ピロリジン(20)及びアゼチジン(21)との置き換えによる、本発明者らの構造修飾は、これらのアナログの透過性を保持することを明らかにし、有効透過性は、18のそれと比べ、20(P=17.7×10-6cm・s-1)及び21(P=16.3×10-6cm・s-1)とほとんど変化しないことを指摘している。
【0193】
nNOS阻害薬の細胞膜透過性を増強するための本発明者らの努力に加え、本発明者らはまた、全てのヒトNOSアイソフォームを使用し、選択性の正確な比較を提供するために、本発明者らのnNOS阻害薬のアイソフォーム選択性を得ることも目的とした。ウシeNOS及びマウスiNOSを、アイソフォーム選択性について先に使用した一方で、本発明者らのhiNOS酵素の調製の最近の成功は、本発明者らが初めて全てのヒトNOSに対するこの選択性試験を実行することを可能にした。先の生物活性試験を基に、優れたヒトnNOS阻害活性、並びにそれらの構造的多様性を持つ6種の化合物(10、14、15、17、18及び21)を、ヒトeNOS(heNOS)及びヒトiNOS(hiNOS)に勝る選択性試験のために選択し、並びにこれらの化合物に関するヒトNOSの阻害に対するアイソフォーム選択性の結果を、表2にまとめている。このデータは、ほとんどの選択された化合物は、hnNOSについて、heNOSに勝る優れた選択性を示し、hnNOS/heNOS選択比394を有するアナログ15を除いて、hnNOS/heNOS比は、900~1200の範囲であることを明らかにしている。ヒトiNOSに関して、ジフルオロベンゼンリンカーの使用は、リード化合物1と比較して選択されたアナログの選択性の減少を生じる傾向があり、このことは、マウスiNOSに勝るrnNOS選択性に関する知見と一致している(表1)。他のアナログとは異なり、18及び21は、hnNOS/hiNOS選択性に関するある程度の保持可能性を示し、選択比は各々、106及び77である。結果として、これら2種の化合物を、CNS薬剤となるそれらの可能性を評価するための、P-gp基質ライアビリティを含む本発明者らの試験のために選択した。
【0194】
【表2】
【0195】
P-gp基質ライアビリティ
【0196】
P-糖タンパク質(P-gp)は、脳の外へ、なんらかの有害な分子、並びに可能性のある薬剤を迅速に流出するためにBBBで高度に発現される、排泄トランスポーターである5,27。従って、P-gp基質としての化合物の可能性の評価は、CNS創薬の重要な工程の一つである。化合物のP-gp基質ライアビリティは、頂端ウェルから基底ウェルへ(A→B)又は基底ウェルから頂端ウェルへ(B→A)のいずれかの2つの方向で、発現されたP-gpを伴う結腸細胞の単層を横断する化合物の能力を測定する、Caco-2双方向アッセイ28から得られた排泄比(ER)を通じて評価することができる。その後ER比は、B→AのA→Bに勝るみかけの透過性(Papp)の比により、決定される。化合物が3よりも大きいERを伴う場合、脳への限定された浸透を伴うP-gpの基質として考えられることが多い3
【0197】
本発明者らの先行する試験において、CNS創薬における更なる試験のためのリード化合物1の主な弊害は、Caco-2双方向アッセイにおいて明らかにされたような、この化合物の望ましくない高い排泄比(ER=5.9)である。従って1のERの低下は、これらの化合物を創薬の次の段階、すなわち動物試験に進める前の、本発明者らの2-アミノピリジンnNOS阻害薬にとって重要な工程である。優れた効能、維持されたアイソフォーム選択性、及びPAMPA-BBBアッセイによる高い細胞膜透過性のために、アナログ18及び21を、Caco-2双方向アッセイにおけるそれらのERの評価のために選択した。表3にまとめた結果は、これら2種の化合物は、極めて有望な排泄比を表すことを明らかにしている。アナログ18は、2.1のERを示し、これはリード化合物1のそれ(ER=5.9)よりもはるかに低く、且つより重要なことに、恐らくCNS(+)薬剤である分子に必要とされる排泄比のレジメ内(2.5未満)である。より興味深いことに、化合物21は、P-gp基質となる非常に低いライアビリティの指標である、0.8と低いERを示している。これらの結果は、これら2種のアナログの、BBBを超え且つ脳へ浸透する大きい可能性を示唆している。理由は不明であるが、18は、Caco-2アッセイにおいて低い透過性、わずかに1.1×10-6cm・s-1のPapp(A→B)を発揮することは、注目に値する。それにもかかわらず、本発明者らが最も有望とする化合物であるアナログ21は、優れたnNOS阻害及び選択性を発揮するのみではなく、PAMPA-BBB及びCaco-2の両アッセイにより示されたように、BBBを超え、脳へ浸透するその能力における大きい可能性も示す。21のCaco-2アッセイにおけるPapp(A→B)値の17.0×10-6cm・s-1はまた、PAMPA-BBB結果から得られた有効透過性(P=16.3×10-6cm・s-1)との優れた整合性も示している。
【0198】
【表3】
【0199】
結論
【0200】
まとめると、本発明者らは、血液脳関門を超えることができるようこれらの阻害薬の細胞膜透過性を改善する一方で、それらの優れた阻害活性及び高いアイソフォーム選択性を維持していることに重点をおいた、2-アミノピリジンスカフォールドを保有するnNOS阻害薬の最適化を報告する。新規の一連の強力且つ選択的ヒトnNOS阻害薬は、リード分子1の塩基性アミノテール基の親油性の増強、分子剛性の増加、及びpKaの調節に関与する、様々な医薬品化学のアプローチを利用することにより、設計及び合成される。NOヘモグロビン捕獲アッセイ及びPAMPA-BBBアッセイが、nNOS阻害効能及びアイソフォーム選択性に対する構造修飾の効果、並びに新規アナログの細胞膜透過性を理解するために、使用される。本発明者らは、追加のフッ素原子のフルオロベンゼン中央リンカーへの導入及びテール鎖内のアゼチジン環の使用は、ヒトnNOSに関する優れた阻害(K =23nM)並びにヒトeNOS(hn/he=956)及びヒトiNOS(hn/hi=77)に勝る高い選択性を示すのみではなく、脳浸透の大きい可能性も示す、化合物21の発見に繋がったことを、認めた。Caco-2双方向アッセイは、21は、わずか0.8の排泄を有し、これはリード化合物1(ER=5.9)及びCNS(+)薬剤について必要とされるER<2.5よりも有意に低いことを明らかにした。Caco-2双方向アッセイはまた、21は、Papp値17.0×10-6cm・s-1の高い細胞膜透過性を有し、これはPAMPA-BBBアッセイにより決定された有効透過性(P=16.3×10-6cm・s-1)と良く一致していることも明らかにした。本発明者らの結果は、CNS創薬における2-アミノピリジンnNOS阻害薬の更なる探求及び医薬品化学のアプローチを使用するBBBを克服する戦略への洞察のための基礎を提供する。
【0201】
実施例1の参考文献
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46. Emsley, P.; Codan, K., Coot: model-building tools for molecular graphics. Acta Crystallographica Section D, 2004, 60, 2126-2132.
【0248】
47. Adams, P. D.; Afonine, P. V.; Bunkoczi, G.; Chen, V. B.; Davis, I. W.; Echols, N.; Headd, J. J.; Hung, L.-W.; Kapral, G. J.; Grosse-Kunstleve, R. W.; McCoy, A. J.; Moriarty, N. W.; Oeffher, R.; Read, R. J.; Richardson, D. C.; Richardson, J. S.; Terwilliger, T. C.; Zwart, P. H., PHENIX: a comprehensive Python-based system for macromolecular structure solution. Acta Crystallographica Section D, 2010, 66, 213-221.
【0249】
48. Li, H.; Jamal, J.; Plaza, C.; Pineda, S. H.; Chreifi, G.; Jing, Q.; Cinelli, M. A.; Silverman, R. B.; Poulos, T. L., Structures of human constitutive nitric oxide synthases. Acta Crystallographica Section D, 2014, 70, 2667-2674.
【0250】
49. McCoy, A. J.; Grosse-Kunstleve, R. W.; Adams, P. D.; Winn, M. D.; Storoni, L. C.; Read, R. J., Phaser crystallographic software. Journal of Applied Crystallography, 2007, 40, 658-674.
【0251】
50. Winn, M. D.; Isupov, M. N.; Murshudov, G. N., Use of TLS parameters to model anisotropic displacements in macromolecular refinement. Acta Crystallographica Section D, 2001, 57, 122-133.
【0252】
51. Liebschner, D.; Afonine, P. V.; Moriany, N. W.; Poon, B. K.; Sobolev, 0. V.; Terwilliger, T. C.; Adams, P. D., Polder maps: improving OMIT maps by excluding bulk solvent. Acta Crystallographica Section D, Structural Biology, 2017, 73, 148-157.
【0253】
実施例2
【0254】
下記実施例は、以下のような実施例1において開示された情報に関する支援情報を提供する。
【0255】
2019年2月25日に刊行されたDoらの原稿「2-アミノピリジンスカフォールドを有する強力且つ選択的ヒト神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬による血液脳関門透過性の最適化」(J. Med. Chem. 2019, 62, 5, 2690-2707)を参照し、その内容はその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0256】
全般的手順。特定しない限りは、全ての試薬は、Sigma-Aldrich、Combi-blocks及びOakwood Chemicalから入手した。無水溶媒(THF、CHCl、MeCN、及びDMF)は、使用前に、活性アルミナ及び担持銅レドックス触媒で構成されたカラムを通過させることにより、精製した。薗頭カップリングは、Biotageマイクロウェーブバイアル(0.5-2mL、2-5mL及び10-20mL)を使用し、Biotage Initiatorマイクロウェーブにおいて実行した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Silicycleからのシリカゲル60 F254の予めコーティングされたプレート(0.25mm)上で行い、成分は、紫外線(254nm)及び/又はKMnOもしくはニンヒドリン染色により可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Varianカラムステーション及び様々なSilicycleカートリッジ(4-80g、40-63μm、60Å)を備える、Agilent 971-FP自動フラッシュ精製システム上で行った。H及び13C NMRスペクトルは、CDCl又はCDODを溶媒として、各々、500MHz及び126MHzで、Bruker Avance-III NMR装置上で記録した。化学シフトは、ppmで報告し、多重度は、s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、sep=七重線、dd=二重二重線、dt=二重三重線、m=多重線、br=幅広共鳴により示した。カップリング定数‘J’は、Hzで報告した。高分解能質量分析データは、Northwestern大学のIntegrated Molecular Structure Education and Research Center (IMSERC)において、Agilent G1312A HPLCポンプ及びAgilent G1367B自動注入器を備えた、エレクトロスプレーイオン化を使用する、陽イオンモードで、Agilent 6210 LC-TOF装置上で得た。化合物の純度は、UV吸光度254nmで検出する、Agilent Poroshell 120 EC-C18カラムを備えた、逆相分析用Agilent Infinity 1260 HPLCを使用し、試験した。生物試験した全ての化合物は、純度>95%を有した。
【0257】
全般的手順A:ピロール脱保護:マイクロウェーブバイアル内に、出発材料26b又は41(1当量)及びNHOH・HCl(3-4当量)を添加した。これらを、EtOH/水(2:1)で希釈し、0.16M溶液を形成した。このマイクロウェーブバイアルに蓋をし、反応混合物を、100℃で20h進行させた。キャップを取り外し、反応混合物を、減圧下で濃縮した。粗生成物の混合物を、逆相フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、最終生成物3又は16を生じた。
【0258】
全般的手順B:Boc及びピロール脱保護:出発材料26a又は39(1当量)を、CHCl(0.1M)中に溶解し、引き続きTFA(1.1当量)を0℃で添加し、この反応を、RTで進行させた。RTで1時間撹拌した後、粗生成物を、減圧下で濃縮し、CHClで戻し希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機層を、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、粗生成物を生じ、これを全般的手順Aのプロトコールに従うピロール脱保護に提供し、2又は15を生じた。
【0259】
全般的手順C:アルキン還元及びピロール脱保護:出発材料38a-e(1当量)を、MeOH(0.1M)中に溶解した。この溶液を、5分間脱気し、10%wt.Pd/Cを添加した。反応を、水素バルーン(1atm)下で、RTで20h進行させた。その後粗混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を、減圧下で濃縮した。精製せずに、粗生成物を、全般的手順Aのプロトコールに従うピロール脱保護に提供し、10-14を生じた。
【0260】
全般的手順D:Boc脱保護、アルキン還元、還元的アミノ化、ピロール脱保護:出発材料(33a-c、42、43、又は45a)を、CHCl(0.1M)中に溶解し、TFA(1.1当量)を、0℃で添加した。反応を、RTで1h進行させた。その後、溶媒及びTFAを、減圧下で除去した。粗混合物を、CHClで戻し希釈し、飽和NaCOにより洗浄した。次に有機層を濃縮し、粗生成物を、精製することなく、アルキン還元を実行した。粗生成物(1当量)を、MeOH(0.1M)中に溶解し、この溶液を5分間脱気し、引き続き10%wt.Pd/Cを添加した。反応を、水素バルーン(1atm)下で、RTで20時間進行させた。その後粗混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を、減圧下で濃縮した。粗還元生成物を、MeOH(0.24M)中に希釈し、引き続きHO中の37%HCHO(3当量)を添加した。反応を、RTで5分間進行させた。その後、反応物を0℃とし、NaBH(3当量)をゆっくり添加した。反応を、更に2時間、RTで進行させた。完了時に、反応を、水によりクエンチし、メタノールを減圧下で除去した。この水性混合物を、酢酸エチルにより3回抽出し、有機層を一緒にし、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、粗生成物を生じ、これを、精製することなく、ピロール脱保護に提供した。その後粗生成物を、全般的手順Aのプロトコールに従う、ピロール脱保護に提供し、5、7、9、17、18、及び19を生じた。テールに第二級アミンのみを保有する、化合物4、6、及び8について、それらの合成は、HCHOによる還元的アミノ化を省略した以外は、同じプロトコールに従った。
【0261】
全般的手順E:Cbz脱保護、還元的アミノ化、ピロール脱保護:出発材料45b-c(1当量)を、MeOH(0.1M)中に溶解した。この溶液を、5分間脱気し、10%Pd(OH)/Cを添加した。反応を、水素バルーン(1atm)下、RTで24時間進行させた。完了後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を、減圧下で濃縮し、粗生成物を生じ、これを、全般的手順Dに説明した同じプロトコールに従い、ホルムアルデヒドによる還元的アミノ化、及びピロール脱保護に提供し、20-21を生じた。
【0262】
【化37】
【0263】
6-(3-フルオロ-5-(3-(メチルアミノ)プロパ-1-イン-1-イル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(2)。化合物2(74mg、2工程について50%)を、26b(237mg、0.5mmol)から、全般的手順Bに従い調製した。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.08 (s, 1H), 6.98 - 6.91 (m, 2H), 6.29 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 3.58 (s, 2H), 2.92 (dd, J = 6.5, 9.4 Hz, 2H), 2.79 (dd, J = 6.3, 9.2 Hz, 2H), 2.48 (s, 3H), 2.17 (s, 3H)。 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 162.4 (d, JC-F = 246.2 Hz), 157.6, 154.4, 147.9, 143.2 (d, JC-F = 8.1 Hz), 127.8 (d, JC-F = 2.9 Hz), 123.1 (d, JC-F = 10.1 Hz), 116.5 (d, JC-F = 21.5 Hz), 116.3 (d, JC-F = 23.5 Hz), 113.6, 109.6, 86.5 (d, JC-F = 3.6 Hz), 79.3, 38.0, 33.7, 33.6, 31.5, 20.6。HRMS-ESI:C18H20FN3 [M + H]+ の計算値298.1714、実測値298.1716。
【0264】
【化38】
【0265】
6-(3-(3-(ジメチルアミノ)プロパ-1-イン-1-イル)-5-フルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(3)。化合物3(132mg、90%)を、26b(184mg、0.47mmol)から、全般的手順Aに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.34 (s, 1H), 7.23 - 7.14 (m, 2H), 6.69 (s, 1H), 6.62 (s, 1H), 4.36 (s, 2H), 3.38 - 3.28 (m, 2H), 3.13 - 2.97 (m, 8H), 2.36 (s, 3H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 166.4 (d, JC-F = 246.4 Hz), 161.6, 158.4, 151.9, 147.2 (d, JC-F = 8.1 Hz), 131.8 (d, JC-F = 2.8 Hz), 126.7 (d, JC-F = 10.2 Hz), 120.8 (d, JC-F = 21.8 Hz), 120.4 (d, JC-F = 23.7 Hz), 117.5, 113.5, 92.1 (d, JC-F = 3.5 Hz), 81.8, 69.4, 45.5 (2C), 37.6, 37.5, 24.5。HRMS-ESI:C19H22FN3 [M + H]+の計算値312.1871、実測値312.1874。
【0266】
【化39】
【0267】
(R)-6-(3-フルオロ-5-(2-(ピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(4)。化合物4(78mg、3工程について33%)を、33a(362mg、0.7mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.06 (s, 1H), 6.94 - 6.86 (m, 2H), 6.68 (s, 1H), 6.63 (s, 1H), 3.56 - 3.50 (m, 1H), 3.36 - 3.34 (m, 1H), 3.23 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 3.11 - 2.98 (m, 4H), 2.76 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.31 - 2.22 (m, 1H), 2.17 - 1.94 (m, 4H), 1.79 - 1.66 (m, 1H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 161.5 (d, JC-F = 244.8 Hz), 156.1, 152.9, 146.8, 141.8 (d, JC-F = 7.8 Hz), 141.0 (d, JC-F = 7.9 Hz), 122.7, 112.1, 111.4 (d, JC-F = 21.6 Hz), 111.3 (d, JC-F = 21.4 Hz), 107.9, 58.5, 43.3, 32.5, 32.4, 31.9, 30.5, 28.2, 21.6, 19.0。HRMS-ESI:C20H26FN3 [M + H]+の計算値328.2184、実測値328.2185。
【0268】
【化40】
【0269】
(R)-6-(3-フルオロ-5-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(5)。化合物5(41mg、4工程について15%)を、33a(401mg、0.8mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.06 (s, 1H), 6.91 (dd, J = 9.6, 20.1 Hz, 2H), 6.68 (s, 1H), 6.63 (s, 1H), 3.72 - 3.68 (m, 1H), 3.37 - 3.36 (m, 1H), 3.23 - 3.12 (m, 1H), 3.09 - 2.99 (m, 4H), 2.94 (s, 3H), 2.84 - 2.67 (m, 2H), 2.47 - 2.38 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.34 - 2.27 (m, 1H), 2.22 - 2.03 (m, 2H), 1.97 - 1.78 (m, 2H)。 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 163.1 (d, JC-F = 244.7 Hz), 157.7, 154.4, 148.4, 143.3 (d, JC-F = 7.5 Hz), 142.6 (d, JC-F = 7.8 Hz), 124.2, 113.6, 113.0 (d, JC-F = 21.4 Hz), 112.8 (d, JC-F = 21.6 Hz), 109.5, 68.7, 55.9, 38.5, 34.0, 33.9, 31.9, 31.7, 29.2, 21.1, 20.5。HRMS-ESI:C21H28FN3 [M + H]+の計算値342.2340、実測値342.2342。
【0270】
【化41】
【0271】
(S)-6-(3-フルオロ-5-(2-(ピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(6)。化合物6(47mg、3工程について28%)を、33b(257mg、0.5mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.05 (s, 1H), 6.89 (t, J = 10.9 Hz, 2H), 6.68 (s, 1H), 6.63 (s, 1H), 3.59 - 3.45 (m, 2H), 3.40 - 3.34 (m, 1H), 3.10 - 2.98 (m, 4H), 2.76 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.32 - 2.23 (m, 1H), 2.18 - 1.91 (m, 4H), 1.79 - 1.62 (m, 1H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 163.1 (d, JC-F = 244.9 Hz), 157.7, 154.4, 148.4, 143.4 (d, JC-F = 7.8 Hz), 142.6 (d, JC-F = 7.8 Hz), 124.2, 113.6, 112.9 (d, JC-F = 21.8 Hz), 112.8 (d, JC-F = 21.6 Hz), 109.4, 60.1, 44.9, 34.0, 33.9, 33.4, 32.0, 29.7, 23.1, 20.5。HRMS-ESI:C20H26FN3 [M + H]+ の計算値328.2184、実測値328.2180。
【0272】
【化42】
【0273】
(S)-6-(3-フルオロ-5-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(7)。化合物7(42mg、4工程について24%)を、33b(257mg、0.5mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.07 (s, 1H), 6.95 - 6.88 (m, 2H), 6.70 (s, 1H), 6.63 (s, 1H), 3.71 (ddd, J = 5.0, 8.0, 11.5 Hz, 1H), 3.34 - 3.30 (m, 1H), 3.17 (dt, J = 8.4, 11.4 Hz, 1H), 3.05 (s, 4H), 2.94 (s, 3H), 2.84 - 2.67 (m, 2H), 2.45 - 2.38 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.33 - 2.26 (m, 1H), 2.21 - 2.04 (m, 2H), 1.98 - 1.80 (m, 2H)。 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 163.0 (d, JC-F = 244.7 Hz), 157.6, 154.4, 148.3, 143.4 (d, JC-F = 7.8 Hz), 142.6 (d, JC-F = 7.8 Hz), 124.2, 113.6, 113.0 (d, JC-F = 21.4 Hz), 112.8 (d, JC-F = 21.6 Hz), 109.5, 68.7, 55.9, 38.5, 34.1, 33.9, 31.9, 31.7, 29.3, 21.1, 20.6。HRMS-ESI:C21H28FN3 [M + H]+ の計算値342.2340、実測値342.2341。
【0274】
【化43】
【0275】
6-(3-フルオロ-5-(2-((2R,4S)-4-フルオロピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(8)。化合物8(62mg、3工程について30%)を、33c(310mg、0.6mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.08 (s, 1H), 6.88 (dd, J = 17.5, 9.6 Hz, 2H), 6.69 (s, 1H), 6.61 (s, 1H), 5.44 (dt, J = 3.4, 52.3 Hz, 1H), 3.89 - 3.80 (m, 1H), 3.71 (ddd, J = 3.9, 13.9, 34.7 Hz, 1H), 3.64 - 3.49 (m, 1H), 3.09 - 2.99 (m, 4H), 2.85 - 2.71 (m, 2H), 2.60 - 2.48 (m, 1H), 2.34 (s, 3H), 2.20 (ddt, J = 7.0, 9.3, 14.0 Hz, 1H), 2.14 - 1.91 (m, 2H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 162.9 (d, JC-F = 244.5 Hz), 157.5, 154.2, 148.2, 143.0 (d, JC-F = 7.4 Hz), 142.4 (d, JC-F = 7.6 Hz), 124.1, 113.5, 112.9 (d, JC-F = 21.6 Hz), 112.8 (d, JC-F = 21.8 Hz), 109.4, 91.9 (d, JC-F = 175.9 Hz), 58.5, 51.0 (d, JC-F = 24.7 Hz), 37.5 (d, JC-F = 20.9 Hz), 33.9, 33.8, 32.9, 31.9, 20.5。HRMS-ESI:C20H25F2N3 [M + H]+ の計算値346.2089、実測値346.2088。
【0276】
【化44】
【0277】
6-(3-フルオロ-5-(2-((2R,4S)-4-フルオロ-1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(9)。化合物9(30mg、4工程について24%)を、33c(180mg、0.35mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.08 (s, 1H), 6.94 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 6.68 (s, 1H), 6.64 (s, 1H), 5.45 (dd, J = 5.1, 52.5 Hz, 1H), 3.94 (t, J = 15.0 Hz, 1H), 3.58 - 3.46 (m, 2H), 3.07 - 3.03 (m, 4H), 3.02 (s, 3H), 2.97 - 2.69 (m, 3H), 2.36 (s, 3H), 2.24 - 2.09 (m, 2H), 2.01 - 1.94 (m, 1H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 163.1 (d, JC-F = 244.7 Hz), 157.6, 154.4, 148.3, 143.0 (d, JC-F = 7.7 Hz), 142.7 (d, JC-F = 7.7 Hz), 124.2, 113.6, 113.0 (d, JC-F = 21.4 Hz), 112.9 (d, JC-F = 21.6 Hz), 109.5, 90.6 (d, JC-F = 176.0 Hz), 67.5, 61.6 (d, JC-F = 23.5 Hz), 38.4, 36.8 (d, JC-F = 22.7 Hz), 34.1, 33.9, 32.6, 31.5, 20.5。HRMS-ESI:C21H27F2N3 [M + H]+ の計算値360.2246、実測値360.2246。
【0278】
【化45】
【0279】
6-(5-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-2,3-ジフルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(10)。化合物10(25mg、2工程について39%)を、38a(80mg、0.2mmol)から、全般的手順Cに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.13 - 7.06 (m, 2H), 6.71 (s, 1H), 6.60 (s, 1H), 3.21 - 3.15 (m, 2H), 3.15 - 3.03 (m, 4H), 2.92 (s, 6H), 2.70 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.11 - 2.01 (m, 2H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 157.6, 154.4, 150.1 (dd, JC-F = 246.6, 13.3 Hz), 147.9, 147.3 (dd, JC-F = 244.4, 12.6 Hz), 137.4 - 137.2 (m), 128.7 (d, JC-F = 12.5 Hz), 125.3 (t, JC-F = 3.0 Hz), 115.3 (d, JC-F = 17.5 Hz), 113.6, 109.6, 56.9, 42.1, 32.7, 31.1, 27.5, 25.7, 20.5。HRMS-ESI:C19H25F2N3 [M + H]+ の計算値334.2089、実測値334.2089。
【0280】
【化46】
【0281】
6-(3-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-2,6-ジフルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(11)。化合物11(35mg、2工程について35%)を、38b(122mg、0.3mmol)から、全般的手順Cに従い調製した。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.27 (q, J = 7.9 Hz, 1H), 6.91 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.49 (s, 1H), 3.24 - 3.19 (m, 2H), 3.14 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.02 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.92 (s, 6H), 2.73 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.32 (s, 3H), 2.04 (t, J = 8.2 Hz, 2H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 160.0 (dd, JC-F = 244.8, 8.2 Hz), 159.2 (dd, JC-F = 245.6, 8.2 Hz), 157.5, 154.4, 147.8, 129.3 (dd, J = 6.6, 10.0 Hz), 123.0 (dd, J = 3.7, 17.0 Hz), 114.4 (t, J = 20.6 Hz), 113.7, 110.7 (dd, J = 3.6, 22.3 Hz), 109.7, 56.9, 42.1, 31.9, 25.1 (d, J = 2.4 Hz), 24.8, 21.4, 20.5。HRMS-ESI:C19H25F2N3 [M + H]+ の計算値334.2089、実測値334.2090。
【0282】
【化47】
【0283】
6-(3-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-2,5-ジフルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(12)。化合物12(32mg、2工程について42%)を、38c(93mg、0.23mmol)から、全般的手順Cに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.11 - 6.92 (m, 2H), 6.72 (s, 1H), 6.59 (s, 1H), 3.25 - 3.18 (m, 2H), 3.14 - 3.01 (m, 4H), 2.92 (s, 6H), 2.75 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.13 - 2.01 (m, 2H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 158.4 (d, JC-F = 242 Hz), 157.6, 155.2 (d, JC-F = 241 Hz), 154.4, 147.9, 128.9 (dd, J = 8.1, 19.2 Hz), 128.2 (dd, J = 8.2, 19.3 Hz), 115.0 (ddd, J = 4.7, 20.3, 24.5 Hz, 2C), 113.6, 109.6, 56.9, 42.1, 32.5, 27.7, 25.4, 24.5, 20.6。HRMS-ESI:C19H25F2N3 [M + H]+ の計算値334.2089、実測値334.2092。
【0284】
【化48】
【0285】
6-(3-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-2,5,6-トリフルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(13)。化合物13(10mg、2工程について24%)を、38d(50mg、0.12mmol)から、全般的手順Cに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.24 (ddd, J = 6.9, 8.8, 10.6 Hz, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.54 (s, 1H), 3.23 - 3.13 (m, 4H), 3.03 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.91 (s, 6H), 2.73 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.08 - 1.96 (m, 2H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 156.1, 153.0, 152.9 (ddd, JC-F = 1.3, 5.0, 242.0 Hz), 146.0, 145.8 (ddd, JC-F = 8.8, 13.9, 245.7 Hz), 145.1 (ddd, JC-F = 2.5, 12.6, 244.4 Hz), 121.9 (dt, JC-F = 5.1, 19.2 Hz), 115.2 (dd, JC-F = 16.6, 23.1 Hz), 114.5 (dd, JC-F = 5.9, 19.5 Hz), 112.2, 108.3, 55.3, 40.6, 30.2, 23.3, 23.0, 20.2, 19.0。HRMS-ESI:C19H24F3N3 [M + H]+ の計算値352.1995、実測値352.1996。
【0286】
【化49】
【0287】
6-(5-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-2,3,4-トリフルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(14)。化合物14(48mg、2工程について36%)を、38e(160mg、0.37mmol)から、全般的手順Cに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.15 (td, J = 7.6, 2.4 Hz, 1H), 6.64 (s, 1H), 6.58 (s, 1H), 3.24 - 3.16 (m, 2H), 3.12 - 2.98 (m, 4H), 2.91 (s, 6H), 2.77 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.11 - 2.01 (m, 2H)。 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 156.5, 155.2, 149.3, 148.1 (dd, JC-F = 245.7, 10.1 Hz, 2C), 139.6 (td, JC-F = 250.7, 16.4 Hz), 124.8 (dd, JC-F = 7.6, 3.8 Hz), 124.3 (dd, JC-F = 13.9, 5.0 Hz), 124.0 (dd, JC-F = 13.9, 3.8 Hz), 113.6, 109.2, 56.8, 42.1, 33.4, 27.4, 24.7, 24.6, 20.4。HRMS-ESI:C19H24F3N3 [M + H]+ の計算値 352.1995、実測値352.1997。
【0288】
【化50】
【0289】
6-(2,3-ジフルオロ-5-(3-(メチルアミノ)プロパ-1-イン-1-イル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(15)。化合物15(80mg、2工程について63%)を、39(198mg、0.4mmol)から、全般的手順Bに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.42 - 7.33 (m, 2H), 6.72 (s, 1H), 6.59 (s, 1H), 4.18 (s, 2H), 3.16 (dd, J = 6.3, 9.0 Hz, 2H), 3.06 (dd, J = 6.2, 9.0 Hz, 2H), 2.85 (s, 3H), 2.35 (s, 3H)。 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 157.6, 154.5, 149.9 (dd, JC-F = 248.4, 13.6 Hz), 149.6 (dd, JC-F = 250.6, 13.0 Hz), 147.5, 129.8 (d, JC-F = 13.5 Hz), 129.6 - 129.4 (m), 118.9 (d, JC-F = 19.3 Hz), 117.9 - 117.8 (m), 113.6, 109.8, 85.7, 79.1, 38.0, 32.4, 31.5, 27.2, 20.5。HRMS-ESI:C18H19F2N3 [M + H]+ の計算値316.1620、実測値316.1618。
【0290】
【化51】
【0291】
6-(5-(3-(ジメチルアミノ)プロパ-1-イン-1-イル)-2,3-ジフルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(16)。化合物16(65mg、66%)を、41(122mg、0.3mmol)から、全般的手順Aに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.45 - 7.38 (m, 2H), 6.70 (s, 1H), 6.60 (s, 1H), 4.35 (s, 2H), 3.15 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 3.10 - 2.98 (m, 8H), 2.36 (s, 3H)。 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 157.7, 154.5, 150.0 (dd, JC-F = 248.8, 13.7 Hz), 149.8 (dd, JC-F = 250.9, 12.9 Hz), 147.6, 129.8 (d, JC-F = 13.5 Hz), 129.7 (t, JC-F = 3.5 Hz), 119.1 (d, JC-F = 19.5 Hz), 117.5 (dd, JC-F = 8.8, 4.7 Hz), 113.6, 109.8, 87.4, 77.7, 46.9, 41.5 (2C), 32.4, 27.2, 20.5。HRMS-ESI:C19H21F2N3 [M + H]+ の計算値 330.1776、実測値330.1777。
【0292】
【化52】
【0293】
(R)-6-(2,3-ジフルオロ-5-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(17)。化合物17(55mg、4工程について46%)を、42(173mg、0.33mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 7.18 - 7.06 (m, 2H), 6.71 (s, 1H), 6.60 (s, 1H), 3.77 - 3.67 (m, 1H), 3.35 - 3.30 (m, 1H), 3.21 - 3.15 (m, 1H), 3.15 - 3.02 (m, 4H), 2.95 (s, 3H), 2.79 - 2.65 (m, 2H), 2.47 - 2.38 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.33 - 2.24 (m, 1H), 2.22 - 2.03 (m, 2H), 1.95 - 1.80 (m, 2H)。 13C NMR (126 MHz, MeOD) δ 157.6, 154.4, 150.1 (dd, JC-F = 246.9, 13.0 Hz), 147.9, 147.3 (dd, JC-F = 244.4, 13.9 Hz), 137.8 - 137.1 (m), 128.7 (d, JC-F = 12.4 Hz), 125.3 (d, JC-F = 3.2 Hz), 115.2 (d, JC-F = 17.3 Hz), 113.6, 109.6, 68.6, 55.9, 38.5, 32.7, 31.9, 31.2, 29.2, 27.5, 21.1, 20.5。HRMS-ESI:C21H27F2N3 [M + H]+ の計算値360.2246、実測値360.2247。
【0294】
【化53】
【0295】
(S)-6-(2,3-ジフルオロ-5-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(18)。化合物18(64mg、4工程について38%)を、43(244mg、0.47mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.15 - 7.07 (m, 2H), 6.70 (s, 1H), 6.60 (s, 1H), 3.71 (ddd, J = 5.0, 8.0, 11.6 Hz, 1H), 3.21 - 3.09 (m, 4H), 3.05 (dd, J = 6.6, 9.3 Hz, 2H), 2.95 (s, 3H), 2.80 - 2.63 (m, 2H), 2.46 - 2.38 (m, 1H), 2.34 - 2.24 (m, 1H), 2.21 - 2.04 (m, 2H), 1.94 - 1.80 (m, 2H)。 13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 157.7, 154.4, 150.1 (dd, JC-F = 246.8, 13.4 Hz), 147.9, 147.3 (dd, JC-F = 244.4, 13.9 Hz), 137.5, 128.7 (d, JC-F = 12.5 Hz), 125.2, 115.2 (d, JC-F = 17.3 Hz), 113.6, 109.6, 68.7, 55.9, 38.5, 32.7, 31.9, 31.2, 29.2, 27.5, 21.1, 20.5。HRMS-ESI:C21H27F2N3 [M + H]+ の計算値360.2246、実測値360.2245。
【0296】
【化54】
【0297】
(S)-6-(2,3-ジフルオロ-5-(2-(4-メチルモルホリン-3-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(19)。化合物19(68mg、4工程について28%)を、45a(346mg、0.65mmol)から、全般的手順Dに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.19 - 7.03 (m, 2H), 6.70 (s, 1H), 6.59 (s, 1H), 4.15 (dd, J = 13.2, 3.5 Hz, 1H), 4.09 - 4.01 (m, 1H), 3.93 - 3.77 (m, 1H), 3.63 (dd, J = 13.2, 10.4 Hz, 1H), 3.50 (dd, J = 12.9, 2.2 Hz, 1H), 3.30 - 3.25 (m, 1H), 3.17 - 3.02 (m, 4H), 2.99 (s, 3H), 2.80 - 2.59 (m, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.32 - 2.23 (m, 1H), 1.93 - 1.78 (m, 1H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 157. 7, 154.4, 150 (dd, JC-F = 248.2, 13.9 Hz), 147.9, 147.4 (dd, JC-F = 244.4, 12.6 Hz), 137.2 (d, JC-F = 5.0 Hz), 128.8 (d, JC-F = 12.5 Hz), 125.3 (d, JC-F = 3.3 Hz), 115.3 (d, JC-F = 17.8 Hz), 113.6, 109.6, 67.6, 63.7, 63.3, 54.0, 39.9, 32.7, 30.1, 28.0, 27.5, 20.5。HRMS-ESI:C21H27F2N3O [M + H]+ の計算値376.2195、実測値376.2197。
【0298】
【化55】
【0299】
6-(5-(2-((2S,4R)-4-エトキシ-1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)-2,3-ジフルオロフェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(20)。化合物20(22mg、3工程について41%)を、45b(75mg、0.13mmol)から、全般的手順Eに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 6.96 (ddd, J = 11.3, 7.3, 2.2 Hz, 1H), 6.82 (t, J = 5.1, 2.2 Hz, 1H), 6.28 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 3.98 (td, J = 6.6, 6.1, 3.5 Hz, 1H), 3.47 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 3.18 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.00 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.82 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 2.68 - 2.59 (m, 1H), 2.54 - 2.47 (m, 1H), 2.42 (dt, J = 13.5, 7.4 Hz, 1H), 2.35 (dd, J = 11.0, 5.8 Hz, 1H), 2.31 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.06 - 1.97 (m, 1H), 1.60 - 1.51 (m, 2H), 1.19 (t, J = 7.0 Hz, 3H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 159.3, 157.5, 150.1 (dd, JC-F = 245.6, 13.3 Hz), 149.7, 147.0 (dd, JC-F = 242.9, 12.8 Hz), 138.3 (d, JC-F = 5.2 Hz), 130.3 (d, JC-F = 12.7 Hz), 125.1 (t, JC-F = 3.3 Hz), 114.2 (d, JC-F = 17.3 Hz), 113.2, 106.7, 76.3, 65.4, 63.9, 62.2, 39.0, 38.4, 37.3, 34.4, 31.6, 28.6, 19.6, 14.3。HRMS-ESI:C23H31F2N3O [M + H]+ の計算値404.2508、実測値404.2510。
【0300】
【化56】
【0301】
(S)-6-(2,3-ジフルオロ-5-(2-(1-メチルアゼチジン-2-イル)エチル)フェネチル)-4-メチルピリジン-2-アミン(21)。化合物21(15mg、3工程について11%)を、45c(213mg、0.4mmol)から、全般的手順Eに従い調製した。 1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 6.93 (ddd, J = 11.3, 7.3, 2.2 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 6.27 (s, 2H), 3.38 (td, J = 7.7, 2.3 Hz, 1H), 3.05 (qd, J = 7.9, 5.9 Hz, 1H), 2.99 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.89 - 2.84 (m, 1H), 2.82 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 2.58 - 2.45 (m, 2H), 2.32 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.08 - 2.01 (m, 1H), 1.93 - 1.84 (m, 1H), 1.83 - 1.67 (m, 2H)。13C NMR (126 MHz, CD3OD) δ 159.4, 157.6, 150.1 (dd, JC-F = 245.6, 13.2 Hz), 149.6, 147.0 (dd, JC-F = 242.9, 12.8 Hz), 138.2 - 138.1 (m), 130.3 (d, JC-F = 12.7 Hz), 125.1 (t, JC-F = 3.2 Hz), 114.2 (d, JC-F = 17.1 Hz), 113.2, 106.7, 68.0, 52.4, 43.4, 37.3, 37.2, 30.5, 28.6, 23.6, 19.6。HRMS-ESI:C20H25F2N3 [M + H]+ の計算値346.2089、実測値346.2091。
【0302】
全般的手順SA:薗頭カップリング。マイクロウェーブバイアル内に、臭化アリール24又は37a-e(1当量)及びアルキン25a-b、32a-c、又は44a-c(1.5~2当量)を添加した。この混合物を、EtN/DMF(9:1)で希釈し、0.16M溶液を形成した。この混合物を5分間脱気した後、Pd(PPh(5~10mol%)及びCuI(5~10mol%)を、一気に添加した。このマイクロウェーブバイアルに蓋をし、反応混合物を、Biotageマイクロウェーブ反応器内で、120℃で30~40 分間進行させた。蓋を取り外し、反応混合物を、セライトのパックを通して濾過した。濾液を、酢酸エチルで希釈し、水、塩化アンモニウム、及びブラインにより洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物の混合物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、26a-b、33a-c、38a-e、39、41、42、43、又は45a-cを生じた。
【0303】
【化57】
【0304】
tert-ブチル (3-(3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-5-フルオロフェニル)プロパ-2-イン-1-イル)(メチル)カルバメート(26a)。化合物26aを、全般的手順SAに従い、臭化アリール24(200mg、0.65mmol)、アルキン25a(164mg、0.97mmol)、Pd(PPh(38mg、0.0325mmol)、及びCuI(6.2mg、0.0325mmol)を用いて合成した。26aを、10%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(250mg、81%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.02 (s, 1H), 6.91 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.81 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.86 (s, 2H), 4.24 (brs, 2H), 3.04 - 3.02 (m, 4H), 2.94 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 2.10 (s, 6H), 1.47 (s, 9H)。13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ 162.4 (d, JC-F = 244.5 Hz), 160.1, 155.3, 151.7, 149.6, 144.1 (d, JC-F = 7.5 Hz), 128.5, 127.8 (d, JC-F = 2.4 Hz), 124.4 (d, JC-F = 10.0 Hz), 122.7, 120.3, 116.1 (d, JC-F = 22.9 Hz), 115.8 (d, JC-F = 21.0 Hz), 106.7, 85.4, 82.5 (d, JC-F = 3.4 Hz), 80.2, 39.0, 35.1, 35.0, 33.6, 28.4, 21.0, 13.2。
【0305】
【化58】
【0306】
3-(3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-5-フルオロフェニル)-N,N-ジメチルプロパ-2-イン-1-アミン(26b)。化合物26bを、全般的手順SAに従い、臭化アリール24(194mg、0.5mmol)、アルキン25b(63mg、0.75mmol)、Pd(PPh(29mg、0.025mmol)、及びCuI(4.7mg、0.025mmol)を用い合成した。26bを、5%メタノール/ジクロロメタンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(183mg、94%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.03 (s, 1H), 6.93 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.87 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.80 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 3.43 (s, 2H), 3.04-3.02 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.34 (s, 6H), 2.10 (s, 6H)。 13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ 162.4 (d, JC-F = 244.4 Hz), 160.2, 151.8, 149.6, 144.1 (d, JC-F = 8.0 Hz), 128.5, 127.8 (d, JC-F = 2.4 Hz), 124.7 (d, JC-F = 10.0 Hz), 122.7, 120.3, 116.1 (d, JC-F = 22.8 Hz), 115.5 (d, JC-F = 21.0 Hz), 106.8, 85.4, 84.3 (d, JC-F = 3.4 Hz), 48.5, 44.3, 39.1, 35.1, 21.0, 13.2。MS ESI [M+H]+ = 390.04。
【0307】
【化59】
【0308】
tert-ブチル (S)-2-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-5-フルオロフェニル)エチニル)ピロリジン-1-カルボキシラート(33a)。化合物33aを、全般的手順SAに従い、臭化アリール24(387mg、1mmol)、アルキン32a(292mg、1.5mmol)、Pd(PPh(58mg、0.05mmol)、及びCuI(9.5mg、0.05mmol)を用い合成した。33aを、10%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(374mg、75%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.99 (s, 1H), 6.93 - 6.82 (m, 3H), 6.78 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 4.80 - 4.49 (m, 1H), 3.56 - 3.21 (m, 2H), 3.08 - 2.95 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.20 - 2.00 (m, 9H), 1.91 (s, 1H), 1.47 (s, 9H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 162.3 (d, JC-F = 245.5 Hz), 160.2, 154.1, 151.7, 149.6, 144.0, 128.5, 127.6, 124.8 (d, JC-F = 10.0 Hz), 122.6, 120.3, 115.9 (d, JC-F = 21.9 Hz), 115.5 (d, JC-F = 20.8 Hz), 106.7, 90.7, 80.6, 79.7, 48.7, 45.6, 39.1, 35.1, 33.8, 28.6, 23.8, 21.0, 13.2。
【0309】
【化60】
【0310】
tert-ブチル (R)-2-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-5-フルオロフェニル)エチニル)ピロリジン-1-カルボキシラート(33b)。化合物33bを、全般的手順SAに従い、臭化アリール24(387mg、1mmol)、アルキン32b(292mg、1.5mmol)、Pd(PPh(58mg、0.05mmol)、及びCuI(9.5mg、0.05mmol)を用い合成した。33bを、10%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(258mg、51%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.99 (s, 1H), 6.93 - 6.82 (m, 3H), 6.78 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 4.80 - 4.50 (m, 1H), 3.58 - 3.23 (m, 2H), 3.11 - 2.95 (m, 4H), 2.34 (s, 3H), 2.14 - 2.00 (m, 9H), 1.91 (s, 1H), 1.47 (s, 9H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 162.3 (d, JC-F = 246.3 Hz), 160.2, 154.1, 151.7, 149.6, 144.1, 128.5, 127.6, 124.8 (d, JC-F = 9.6 Hz), 122.6, 120.3, 115.9 (d, JC-F = 21.5 Hz), 115.5 (d, JC-F = 21.0 Hz), 106.7, 90.6, 80.5, 79.7, 48.7, 45.6, 39.1, 35.1, 33.8, 28.5, 23.8, 21.0, 13.2。
【0311】
【化61】
【0312】
tert-ブチル (2S,4S)-2-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-5-フルオロフェニル)エチニル)-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシラート(33c)。化合物33cを、全般的手順SAに従い、臭化アリール24(235mg、0.6mmol)、アルキン32c(194mg、0.9mmol)、Pd(PPh(35mg、0.03mmol)、及びCuI(5.7mg、0.03mmol)を用い合成した。33cを、20%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(180mg、58%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.00 (s, 1H), 6.90 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 6.86 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.78 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.86 (s, 2H), 5.26 (dt, J = 4.2, 52.6 Hz, 1H), 4.83 (d, J = 58.0 Hz, 1H), 3.88 - 3.72 (m, 1H), 3.62 (ddd, J = 4.4, 13.2, 35.2 Hz, 1H), 3.05 - 2.98 (m, 4H), 2.47 (t, J = 16.2 Hz, 1H), 2.41 - 2.23 (m, 4H), 2.10 (s, 6H), 1.48 (s, 9H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 162.9 (d, JC-F = 245.5 Hz), 160.2, 154.1, 151.7, 149.6, 144.0, 128.5, 127.6, 124.8 (d, JC-F = 11.0 Hz), 122.7, 120.3, 115.9 (d, JC-F = 21.6 Hz), 115.5 (d, JC-F = 20.1 Hz), 106.7, 90.5 (d, JC-F = 174.3 Hz), 90.7, 80.4, 79.7, 58.5, 51.0, 39.1, 35.1, 28.5, 23.8, 21.0, 13.2。MS ESI [M+H]+ = 520.07。
【0313】
【化62】
【0314】
3-(3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-4,5-ジフルオロフェニル)-N,N-ジメチルプロパ-2-イン-1-アミン(38a)。化合物38aを、全般的手順SAに従い、臭化アリール37a(103mg、0.5mmol)、アルキン25b(83mg、1mmol)、Pd(PPh(58mg、0.05mmol)、及びCuI(9.5mg、0.05mmol)を用い合成した。38aを、10%メタノール/ジクロロメタンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(156mg、77%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.04 (ddd, J = 2.1, 7.1, 10.5 Hz, 1H), 6.97 (dd, J = 3.0, 4.9 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 3.40 (s, 2H), 3.12 - 2.99 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.32 (s, 6H), 2.10 (s, 6H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.9, 151.7, 150.0 (dd, JC-F = 13.9, 248.2 Hz), 149.6, 149.1 (dd, JC-F = 12.6, 249.5 Hz), 132.1 (d, JC-F = 9.9 Hz), 130.9 (d, JC-F = 13.4 Hz), 129.0, 128.5, 122.6, 120.3, 118.2 (d, JC-F = 18.5 Hz), 106.7, 85.0, 83.4, 48.5, 44.3, 37.8, 28.6, 21.0, 13.2。MS ESI [M+H]+ = 408.88。
【0315】
【化63】
【0316】
3-(3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-2,4-ジフルオロフェニル)-N,N-ジメチルプロパ-2-イン-1-アミン(38b)。化合物38bを、全般的手順SAに従い、臭化アリール37b(405mg、1mmol)、アルキン25b(166mg、2mmol)、Pd(PPh(115mg、0.1mmol)、及びCuI(19mg、0.1mmol)を用い合成した。38bを、10%メタノール/ジクロロメタンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(245mg、60%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.24 - 7.19 (m, 1H), 6.84 (s, 2H), 6.75 (td, J = 1.4, 8.7 Hz, 1H), 5.86 (s, 2H), 3.48 (s, 2H), 3.11 - 2.98 (m, 4H), 2.35 (s, 6H), 2.33 (s, 3H), 2.09 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 161.7 (dd, JC-F = 8.8, 252.0 Hz), 161.1 (dd, JC-F = 7.6, 249.5 Hz), 160.1, 151.7, 149.4, 131.3 (dd, JC-F = 2.7, 10.0 Hz), 128.5, 122.4, 120.2, 117.2 (t, JC-F = 20.5 Hz), 111.0 (dd, JC-F = 3.9, 23.4 Hz), 107.7 (dd, JC-F = 3.8, 17.6 Hz), 106.6, 89.2, 78.1, 48.6, 44.1, 37.3, 22.7, 20.9, 13.2。
【0317】
【化64】
【0318】
3-(3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-2,5-ジフルオロフェニル)-N,N-ジメチルプロパ-2-イン-1-アミン(38c)。化合物38cを、全般的手順SAに従い、臭化アリール37c(203mg、0.5mmol)、アルキン25b(83mg、1mmol)、Pd(PPh(58mg、0.05mmol)、及びCuI(9.5mg、0.05mmol)を用い合成した。38cを、10%メタノール/ジクロロメタンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(191mg、94%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.92 (ddd, J = 3.2, 5.1, 8.3 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.85 (s, 1H), 6.76 (ddd, J = 3.2, 5.5, 8.6 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 3.50 (s, 2H), 3.09 - 3.00 (m, 4H), 2.35 (s, 6H), 2.35 (s, 3H), 2.09 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.9, 157.6 (ddd, JC-F = 3.8, 18.9, 243.2 Hz), 151.7, 149.6, 131.2 (ddd, JC-F = 8.2, 18.5, 234.4 Hz), 128.5 (d, JC-F = 12.6 Hz ), 128.5, 122.6, 120.3, 117.3, 117.1, 112.5 (dd, JC-F = 10.4, 19.6 Hz), 106.7, 90.8 (d, JC-F = 3.8 Hz), 78.1 (d, JC-F = 2.7 Hz), 48.6, 44.2, 37.6, 29.0, 21.0, 13.2。
【0319】
【化65】
【0320】
3-(3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-2,4,5-トリフルオロフェニル)-N,N-ジメチルプロパ-2-イン-1-アミン(38d)。化合物38dを、全般的手順SAに従い、臭化アリール37d(211mg、0.5mmol)、アルキン25b(83mg、1mmol)、Pd(PPh(58mg、0.05mmol)、及びCuI(9.5mg、0.05mmol)を用い合成した。38dを、50%酢酸エチル/ジクロロメタンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(106mg、50%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.06 (ddd, J = 6.5, 8.6, 10.0 Hz, 1H), 6.89 - 6.80 (m, 2H), 5.86 (s, 2H), 3.47 (s, 2H), 3.14 - 2.98 (m, 4H), 2.34 (s, 3H), 2.34 (s, 6H), 2.09 (s, 6H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 162.5, 159.7, 159.7 - 158.2 (m), 151.8, 150.1 - 147.7 (m), 149.5, 146.4 (ddd, JC-F = 244.2, 13.1, 2.5 Hz), 128.5, 122.4, 120.4, 119.2 (dd, JC-F = 21.8, 17.4 Hz), 117.9 (d, JC-F = 20.6 Hz), 106.7, 90.5 (2xC), 48.6, 44.2, 37.1, 23.0, 20.9, 13.2。
【0321】
【化66】
【0322】
3-(5-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-2,3,4-トリフルオロフェニル)-N,N-ジメチルプロパ-2-イン-1-アミン(38e)。化合物38eを、全般的手順SAに従い、臭化アリール37e(411mg、0.97mmol)、アルキン25b(161mg、1.94mmol)、Pd(PPh(112mg、0.097mmol)、及びCuI(18mg、0.097mmol)を用い合成した。38eを、40%酢酸エチル/ジクロロメタンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(380mg、92%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.94 (td, J = 7.3, 2.4 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.85 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 3.47 (s, 2H), 3.08 - 2.98 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.33 (s, 6H), 2.09 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.7, 151.8, 151.4 - 149.2 (m), 150.7 - 148.5 (m), 149.7, 140.0 (dt, JC-F = 251.0, 15.8 Hz), 128.5, 127.6 (t, JC-F = 4.3 Hz), 125.4 (dd, JC-F = 13.9, 4.1 Hz), 122.6, 120.4, 108.6 (dd, JC-F = 12.7, 4.0 Hz), 106.8, 90.7 (2xC), 48.5, 44.1, 37.7, 28.3, 21.0, 13.2。MS ESI [M+H]+ = 426.46。
【0323】
【化67】
【0324】
tert-ブチル (3-(3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-4,5-ジフルオロフェニル)プロパ-2-イン-1-イル)(メチル)カルバメート(39)。化合物39を、全般的手順SAに従い、臭化アリール37a(203mg、0.5mmol)、アルキン25a(169mg、1mmol)、Pd(PPh(58mg、0.05mmol)、及びCuI(9.5mg、0.05mmol)を用い合成した。39を、20%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(197mg、80%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.03 (ddd, J = 2.0, 7.2, 9.9 Hz, 1H), 6.97 (dt, J = 1.8, 6.0 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.85 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 3.11 - 3.00 (m, 4H), 2.92 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 2.10 (s, 6H), 1.46 (s, 9H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.9, 155.3, 151.7, 149.9 (dd, JC-F = 14.0, 248.6 Hz), 149.6, 149.1 (dd, JC-F = 12.4, 249.7 Hz), 132.1 (d, JC-F = 9.8 Hz), 131.0 (d, JC-F = 13.9 Hz), 129.1, 128.5, 122.6, 120.4, 118.2 (d, JC-F = 18.8 Hz), 106.7, 85.0, 81.7, 80.2, 39.7, 37.7, 33.6, 28.6, 28.4, 21.0, 13.2。
【0325】
【化68】
【0326】
tert-ブチル (S)-2-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-4,5-ジフルオロフェニル)エチニル)ピロリジン-1-カルボキシラート(42)。化合物42を、全般的手順SAに従い、臭化アリール37a(203mg、0.5mmol)、アルキン32a(195mg、1mmol)、Pd(PPh(58mg、0.05mmol)、及びCuI(9.5mg、0.05mmol)を用い合成した。42を、15%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(170mg、66%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.00 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 4.63 (d, J = 65.1 Hz, 1H), 3.40 (d, J = 69.7 Hz, 2H), 3.13 - 2.96 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.10 (s, 6H), 2.08 - 1.84 (m, 4H), 1.46 (s, 9H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 160.0, 154.1, 151.8, 149.8 (dd, JC-F = 13.4, 248.6 Hz), 149.6, 149.0 (dd, JC-F = 12.4, 249.7 Hz), 132.0 (d, JC-F = 9.5 Hz), 131.0 (d, JC-F = 13.9 Hz), 129.0, 128.5, 122.5, 120.3, 118.2 (d, JC-F = 18.5 Hz), 106.7, 90.6, 80.5, 79.7, 48.5, 45.6, 37.8, 33.6, 33.1, 28.6, 28.5, 21.0, 13.2。
【0327】
【化69】
【0328】
tert-ブチル (R)-2-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-4,5-ジフルオロフェニル)エチニル)ピロリジン-1-カルボキシラート(43)。化合物43を、全般的手順SAに従い、臭化アリール37a(297mg、0.7mmol)、アルキン32b(205mg、1mmol)、Pd(PPh(81mg、0.07mmol)、及びCuI(13mg、0.07mmol)を用い合成した。43を、15%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(242mg、67%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.00 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 4.63 (d, J = 64.7 Hz, 1H), 3.40 (d, J = 70.6 Hz, 2H), 3.10 - 2.95 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.10 (s, 6H), 2.07 - 1.88 (m, 4H), 1.46 (s, 9H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 160.0, 154.1, 151.8, 149.8 (dd, JC-F = 12.4, 249.5 Hz), 149.6, 149.0 (dd, JC-F = 13.0, 248.5 Hz), 132.0 (d, JC-F = 9.4 Hz), 131.0 (d, JC-F = 13.1 Hz), 129.0, 128.5, 122.5, 120.4, 118.2 (d, JC-F = 18.4 Hz), 106.7, 90.2, 80.5, 79.7, 48.6, 45.6, 37.8, 33.8, 33.2, 28.6, 28.5, 21.0, 13.2。
【0329】
【化70】
【0330】
tert-ブチル (S)-3-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-4,5-ジフルオロフェニル)エチニル)モルホリン-4-カルボキシラート(45a)。化合物45aを、全般的手順SAに従い、臭化アリール37a(460mg、1.1mmol)、アルキン44a(286mg、1.3mmol)、Pd(PPh(130mg、0.011mmol)、及びCuI(21mg、0.011mmol)を用い合成した。45aを、20%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(435mg、72%)として単離した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.06 (ddd, J = 10.4, 7.1, 2.0 Hz, 1H), 7.01 (dt, J = 6.0, 1.8 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.85 (s, 1H), 5.86 (s, 2H), 4.89 (s, 1H), 3.94 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.90 (dd, J = 11.8, 3.1 Hz, 1H), 3.72 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.63 (dd, J = 11.3, 3.2 Hz, 1H), 3.47 (td, J = 11.8, 2.7 Hz, 1H), 3.32 (t, J = 11.7 Hz, 1H), 3.11 - 2.99 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.10 (s, 6H), 1.47 (s, 9H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.9, 154.4, 151.8, 149.8 (dd, JC-F = 13.0, 248.5 Hz), 149.6, 149.0 (dd, JC-F = 13.0, 245.5 Hz), 130.9 (d, JC-F= 13.2 Hz), 129.3 (t, JC-F = 3.4 Hz), 128.5, 122.6, 120.4, 118.7 - 118.6 (m), 118.5, 118.4, 106.7 (2xC), 86.3, 81.9, 80.9, 70.0, 66.9, 60.4, 37.8, 28.7, 28.4, 21.0, 13.2. MS ESI [M+H]+ = 536.11。
【0331】
【化71】
【0332】
ベンジル (2R,4R)-2-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-4,5-ジフルオロフェニル)エチニル)-4-エトキシピロリジン-1-カルボキシラート(45b)。化合物45bを、全般的手順SAに従い、臭化アリール37a(300mg、0.74mmol)、アルキン44b(223mg、0.81mmol)、Pd(PPh(85mg、0.074mmol)、及びCuI(14mg、0.074mmol)を用い合成した。45bを、25%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(221mg、50%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ7.43 - 7.24 (m, 5H), 7.02 (d, J = 17.7 Hz, 1H), 6.95 - 6.90 (m, 1H), 6.87 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 5.24 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 5.08 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 4.81 - 4.71 (m, 1H), 4.10 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.08 (m, 1H), 3.66 - 3.46 (m, 2H), 3.11 - 2.95 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.29 (m, 2H), 2.10 (s, 6H), 1.24 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 160.0, 154.4, 151.8, 149.8 (dd, JC-F = 13.0, 248.5 Hz), 149.6, 149.0 (dd, JC-F = 12.9, 248.0 Hz), 136.7 (d, JC-F = 11.9 Hz), 130.8, 129.0 (d, JC-F = 24.5 Hz), 128.5, 128.4, 128.2 - 127.9 (m, 1C), 127.7, 122.5, 120.3, 119.2, 118.3 (d, JC-F = 18.6 Hz), 106.7, 89.8, 80.5, 76.3, 67.1, 64.3, 60.4, 52.1, 47.1, 37.8, 28.6, 21.1, 15.4, 13.2。
【0333】
【化72】
【0334】
ベンジル (R)-2-((3-(2-(6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン-2-イル)エチル)-4,5-ジフルオロフェニル)エチニル)アゼチジン-1-カルボキシラート(45c)。化合物45cを、一部改変し全般的手順SAに従い合成した。臭化アリール37a(122mg、0.3mmol)及びアルキン44c(71mg、0.33mmol)を、DEA:DMF(1:1)中に溶解し、この混合物を5分間脱気した。Pd(PPhCl(10.5mg、0.015mmol)、CuI(3mg、0.015mmol)及びPPh(16mg、0.06mmol)を、順次添加した。反応を、マイクロウェーブ反応器内で、120℃で20分間進行させた。45cを、25%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、黄色油状物(123mg、76%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.40 - 7.24 (m, 5H), 7.06 - 6.96 (m, 2H), 6.88 (s, 1H), 6.85 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 5.19 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 5.07 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 5.00 (dd, J = 8.8, 6.0 Hz, 1H), 4.05 (td, J = 8.7, 5.6 Hz, 1H), 3.95 (td, J = 8.7, 6.5 Hz, 1H), 3.12 - 2.98 (m, 4H), 2.66 - 2.56 (m, 1H), 2.42 - 2.31 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.10 (s, 6H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.9, 156.0, 151.8, 150.0 (dd, JC-F = 13.8, 248.6 Hz), 149.6, 149.0 (dd, JC-F = 12.8, 249.0 Hz) 136.6, 134.7 (d, JC-F = 6.6 Hz), 131.0 (d, JC-F = 13.7 Hz), 130.1 (d, JC-F = 11.3 Hz), 129.2, 128.5, 128.4, 128.0, 122.5, 120.4, 118.4 (d, JC-F = 18.9 Hz), 106.7, 88.0, 83.7, 66.7, 51.0, 47.1, 37.8, 28.6, 24.4, 21.0, 13.2。 MS ESI [M+H]+ = 540.07。
【0335】
全般的手順SB:ピロリル-ルチジン及び臭化アリールのカップリング。火炎乾燥させた丸底フラスコ内に、n-BuLi 1.6M/THF(1.1~1.2当量)を添加し、THFにより希釈し、0.8M溶液を形成した。-78℃で、22(THF中1M、1当量)を、n-BuLi溶液へ滴加した。次に反応を、-20℃で15分間進行させた。その後、反応物を、-78℃へ戻し、臭化アリール23又は36a-e(THF中1M、1.1~1.2当量)を、この反応混合物へ滴加した。反応を、-20℃で20分間進行させ、その後飽和NHCl溶液によりクエンチした。粗反応混合物を、酢酸エチルと水の間で分配し、有機層を、HO及びブラインにより洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、24又は37a-eを生じた。
【0336】
【化73】
【0337】
2-(3-ブロモ-5-フルオロフェネチル)-6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン(24)。化合物24を、全般的手順SBに従い、22(2g、10mmol)及び23(3.08g、11mmol)を用い合成した。24を、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、淡-黄色油状物(2.55g、66%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.10 (t, J = 1.6 Hz, 1H), 7.06 (dt, J = 8.2, 2.1 Hz, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.87 (s, 1H), 6.82 (dt, J = 9.4, 2.2 Hz, 1H), 5.89 (s, 2H), 3.05 - 2.98 (m, 4H), 2.37 (s, 3H), 2.12 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 162.6 (d, JC-F =.9, 151. 250.1 Hz), 1598, 149.7, 145.6 (d, JC-F = 7.8 Hz), 128.5, 127.6 (d, JC-F = 2.9 Hz), 122.7, 122.3 (d, JC-F = 10.1 Hz), 120.4, 116.7 (d, JC-F = 24.5 Hz), 114.4 (d, JC-F = 20.9 Hz), 106.8, 39.0, 35.0, 21.0, 13.2。
【0338】
【化74】
【0339】
2-(5-ブロモ-2,3-ジフルオロフェネチル)-6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン(37a)。化合物37aを、全般的手順SBに従い、22(1g、5mmol)及び36a(1.57g、5.5mmol)を用い合成した。37aを、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、淡-黄色油状物(1.14g、56%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.14 (ddd, J = 2.5, 6.7, 9.3 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 2.6, 5.0 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.86 (s, 1H), 5.88 (s, 2H), 3.17 - 2.87 (m, 4H), 2.36 (s, 3H), 2.10 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.6, 151.8, 150.5 (dd, JC-F = 13.9, 252.0 Hz), 149.7, 132.5 (d, JC-F = 13.8 Hz), 148.4 (dd, JC-F = 11.3, 245.7 Hz), 128.5, 128.4, 122.6, 120.4, 118.5 (d, JC-F = 20.2 Hz), 106.8, 37.6, 28.6, 21.0, 13.2。
【0340】
【化75】
【0341】
2-(3-ブロモ-2,6-ジフルオロフェネチル)-6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン(37b)。化合物37bを、全般的手順SBに従い、22(500mg、2.5mmol)及び36b(786mg、2.75mmol)を用い合成した。37bを、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、淡-黄色油状物(725mg、71%)として単離した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.37 - 7.30 (m, 1H), 6.87 - 6.83 (m, 2H), 6.74 (td, J = 1.7, 8.7 Hz, 1H), 5.86 (s, 2H), 3.15 - 3.08 (m, 2H), 3.07 - 2.97 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.10 (s, 6H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 160.6 (dd, JC-F = 7.6, 248.2 Hz), 159.9, 157.7 (dd, JC-F = 9.1, 247.3 Hz), 151.7, 149.5, 130.8 (d, JC-F = 9.6 Hz), 128.5, 122.4, 120.3, 118.6 (t, JC-F = 21.3 Hz), 112.2 (dd, JC-F = 3.8, 23.9 Hz), 106.7, 103.7 (dd, JC-F = 4.0, 22.3 Hz), 37.2, 23.2, 20.9, 13.2。
【0342】
【化76】
【0343】
2-(3-ブロモ-2,5-ジフルオロフェネチル)-6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン(37c)。化合物37cを、全般的手順SBに従い、22(1g、5mmol)及び36c(1.57g、5.5mmol)を用い合成した。37cを、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、淡-黄色油状物(1.27g、63%)として単離した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.10 (ddd, J = 3.1, 5.1, 7.8 Hz, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.86 (s, 1H), 6.79 (ddd, J = 3.1, 5.3, 8.5 Hz, 1H), 5.88 (s, 2H), 3.15 - 3.01 (m, 4H), 2.36 (s, 3H), 2.10 (s, 6H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.7, 157.9 (dd, JC-F = 2.8, 246.1 Hz), 154.0 (dd, JC-F = 3.1, 241.7 Hz), 151.8, 149.7, 131.1 (dd, JC-F = 8.0, 19.4 Hz), 128.5, 122.6, 120.4, 118.0 (d, JC-F = 26.4 Hz), 116.3 (dd, JC-F = 4.3, 23.4 Hz), 109.0 (dd, JC-F = 10.7, 24.6 Hz), 106.8, 37.5, 29.3, 21.0, 13.2。
【0344】
【化77】
【0345】
2-(3-ブロモ-2,5,6-トリフルオロフェネチル)-6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン(37d)。化合物37dを、全般的手順SBに従い、22(1.06g、5.3mmol)及び36d(1.77g、5.82mmol)を用い合成した。37dを、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、淡-黄色油状物(1.45g、65%)として単離した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.30 - 7.20 (m, 1H), 6.92 - 6.85 (m, 2H), 5.88 (s, 2H), 3.21 - 3.00 (m, 4H), 2.37 (s, 3H), 2.11 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.5, 159.3, 154.7 - 152.4 (m), 151.8, 149.7, 149.6, 148.2 (ddd, JC-F = 249.2, 13.5, 7.4 Hz), 146.8 (ddd, JC-F = 249.2, 14.3, 3.9 Hz), 128.5, 122.4, 120.4, 118.3 (d, JC-F = 21.8 Hz), 102.6 (ddd, JC-F = 24.2, 7.7, 4.4 Hz), 37.0, 23.5, 21.0, 13.2。
【0346】
【化78】
【0347】
2-(5-ブロモ-2,3,4-トリフルオロフェネチル)-6-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-4-メチルピリジン(37e)。化合物37eを、全般的手順SBに従い、22(1g、5mmol)及び36e(1.67g、5.5mmol)を用い合成した。37eを、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュカラムクロマトグラフィー後、淡-黄色油状物(1.19g、57%)として単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ7.15 (ddd, J = 9.3, 6.7, 2.5 Hz, 1H), 7.02 (dt, J = 5.4, 2.1 Hz, 1H), 6.89 (s, 1H), 6.87 (s, 1H), 5.88 (s, 2H), 3.12 - 3.00 (m, 4H), 2.36 (s, 3H), 2.11 (s, 6H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.7, 151.8, 150.5 (dd, JC-F = 13.9, 243.2 Hz), 149.7, 148.4 (dd, JC-F = 10.1, 245.7 Hz), 128.5, 128.4 (t, JC-F = 3.5 Hz ), 122.6, 120.5, 118.6, 118.5, 115.3 (dd, JC-F = 8.2, 4.4 Hz), 106.8, 37.6, 28.6, 21.0, 13.2。MS-ESI [M+H]+ = 425.33。
【0348】
全般的手順SC:アルキン32a-c及び44a-cの合成。アルキン32a-c及び44a-cを、それらの対応するアルデヒドから、セイファース-ギルバート増炭反応を用いる先に報告されたプロトコールに従い、合成した1。全般的に、乾燥した丸底フラスコに、p-トルエンスルホニルアジド(1.3当量)及びKCO(4.5当量)を充填した。この混合物を、MeCN(0.1M)中に溶解し、引き続きジメチル-2-オキソプロピルホスホネート(1.2mmol)を添加した。この混合物を、RTで2h撹拌し、その後MeOH(0.1M)中に溶解したアルデヒド(1.0当量)を滴加した。その後反応物を、RTで15h撹拌した。完了時に、反応混合物を、セライトを通して濾過し、溶媒を、減圧下で除去した。残渣を、EtO及び水の間で分配し、有機層を、水、ブラインで洗浄し、無水NaSOにより乾燥した。溶媒を除去し、粗混合物を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、アルキン32a-cを提供した。
【0349】
【化79】
【0350】
tert-ブチル (S)-2-エチニルピロリジン-1-カルボキシラート(32a)。化合物32aを、全般的手順SCに従い、30a(647mg、3.25mmol)から合成した。32a(428mg、67%)を、10%酢酸エチル/ヘキサンにより単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ (4.49 (s) + 4.33 (s), 1H), 3.47 - 3.28 (m, 2H), 2.16 - 2.01 (m, 1H), 1.88 - 1.64 (m, 4H), (1.42 (s) + 1.38 (s), 9H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ 154.0, 84.4, 79.8, (69.8 + 69.4, 1C), (48.0 + 47.8, 1C), (45.9 + 45.5, 1C), (33.7 + 33.0, 1C), 28.5, (24.4 + 23.6, 1C)。
【0351】
【化80】
【0352】
tert-ブチル (R)-2-エチニルピロリジン-1-カルボキシラート(32b)。化合物32bを、全般的手順SCに従い、30b(1g、5mmol)から合成した。32b(821mg、84%)を、10%酢酸エチル/ヘキサンにより単離した。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ (4.50 (s) + 4.39 (s), 1H), 3.46 - 3.43 (m, 1H), 3.34 - 3.30 (m, 1H), 2.18 (brs, 1H), 2.04 - 1.99 (m, 3H), 1.87 brs, 1H) 1.45 (s, 9H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ 154.0, (84.4 + 84.1, 1C), 79.8, (69.8 + 69.4, 1C), (48.0 + 47.8, 1C), (45.9 + 45.5, 1C), (33.7 + 33.0, 1C), 28.5, (24.4 + 23.6, 1C)。
【0353】
【化81】
【0354】
tert-ブチル (2S,4S)-2-エチニル-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシラート(32c)。化合物32cを、全般的手順SCに従い、30c(1.57g、7.23mmol)から合成した。32c(1g、67%)を、20%酢酸エチル/ヘキサンにより単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.27 (brs, 1H), 4.62 (brd, J = 53.6 Hz, 1H), 3.79 - 3.73 (m, 1H), 3.58 (dd, J = 35.5, 10.7 Hz, 1H), 2.42 (t, J = 16.2 Hz, 1H) 2.29 - 2.22 (m, 2H), 1.46 (s, 9H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ 153.6, (93.0 (d, JC-F = 119.7 Hz) + 91.5 (d, JC-F = 119.6 Hz), 1C), 83.2 (d, JC-F = 33.5 Hz), 80.5, 70.4 (d, JC-F = 45.7 Hz), 52.7, 46.5 (d, JC-F = 22.8 Hz), 39.4 (d, JC-F = 77.0 Hz), 28.4。
【0355】
【化82】
【0356】
tert-ブチル (S)-3-エチニルモルホリン-4-カルボキシラート(44a)。化合物44aを、全般的手順SCに従い、S1(336mg、1.56mmol)から合成した。44a(200mg、61%)を、20%酢酸エチル/ヘキサンにより単離した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.71 (s, 1H), 4.01 - 3.83 (m, 2H), 3.68 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.57 (dd, J = 11.3, 3.2 Hz, 1H), 3.44 (td, J = 11.8, 2.8 Hz, 1H), 3.29 (t, J = 13.5 Hz, 1H), 2.28 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 1.46 (s, 9H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 154.4, 80.8, 80.4, 71.9, 69.9, 66.8, 44.4, 40.3, 28.3。
【0357】
【化83】
【0358】
ベンジル (2R,4R)-4-エトキシ-2-エチニルピロリジン-1-カルボキシラート(44b)。化合物44bを、全般的手順SCに従い、S2(480mg、1.73mmol)から合成した。44b(220mg、45%)を、30%酢酸エチル/ヘキサンにより単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.32 - 7.13 (m, 5H), 5.15 - 4.94 (m, 2H), 4.56 - 4.44 (m, 1H), 3.96 (brs, 1H), 3.61 - 3.49 (m, 1H), 3.48 - 3.42 (m, 2H), 3.40 - 3.31 (m, 1H), 2.26 - 2.10 (m, 3H), 1.11 (t, J = 7.0 Hz, 3H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ 154.4, (136.7 + 136.6, 1C), 128.4, 128.1, 127.9, 83.8, 83.4, 76.4, 70.5, 67.1, 64.4, (52.1 + 52.0, 1C), (46.9 + 46.5, 1C), (38.2 + 37.1, 1C), 15.2. MS-ESI [M+H]+ = 274.28
【0359】
【化84】
【0360】
ベンジル (R)-2-エチニルアゼチジン-1-カルボキシラート(44c)。化合物44cを、全般的手順SCに従い、S3(926mg、4.23mmol)から合成した。44c(500mg、55%)を、30%酢酸エチル/ヘキサンにより単離した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.28 - 7.16 (m, 5H), 5.01 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 4.70 (ddd, J = 8.6, 5.9, 2.0 Hz, 1H), 3.92 (td, J = 8.8, 5.8 Hz, 1H), 3.81 (td, J = 8.7, 6.4 Hz, 1H), 2.49 - 2.41 (m, 1H), 2.43 (s, 1H), 2.25 - 2.17 (m, 1H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 156.0, 136.5, 128.4, 128.0, 127.9, 82.5, 73.8, 66.8, 50.3, 47.3, 24.1。 MS-ESI [M+H]+ = 216.04。
【0361】
【化85】
【0362】
tert-ブチル-メチル(プロパ-2-イニル)カルバメート(25a)。25aを、先に報告したものと同様に合成した。メタノール中のN-メチルプロパルギルアミン(1当量)の溶液へ、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.05当量)を、RTでゆっくり添加した。この反応物を、RTで一晩撹拌した。完了時に、反応混合物を、減圧下で濃縮し、25aを淡-黄色油状物(87%)として生じた。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.00 (brs, 2H), 2.86 (s, 3H), 2.17 (s, 1H), 1.42 (s, 9H)。13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 155.2, 80.1, 79.2, 77.3, 71.6, 33.4, 28.3;MS ESI [M+H]+ = 170.03。
【0363】
【化86】
【0364】
tert-ブチル (S)-2-ホルミルピロリジン-1-カルボキシラート(30a)。アルデヒド30aを、市販のアルコール29aから、デス-マーチンペルヨージナン(DMP)酸化を用い合成した。乾燥した丸底フラスコに、アルコール29a(1g、4.97mmol、1当量)を充填し、CHCl(0.3M)で希釈した。0℃で、DMP(2.3g、5.46mmol、1.1当量)を添加し、反応を、RTで3h進行させた。完了時に、反応物をCHClで希釈し、飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させた。有機層を、減圧下で濃縮し、粗混合物を、30%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、30a(0.84g、85%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ (9.52 (d, J = 2.2 Hz) + 9.43 (d, J = 3.0 Hz), 1H), (4.17 (td, J = 3.2, 6.1, 7.0 Hz) + 4.01 (ddd, J = 3.0, 6.3, 9.0 Hz), 1H), 3.47 (m, 2H), 2.16 - 1.76 (m, 4H), (1.44 (s) + 1.39 (s), 9H)。
【0365】
【化87】
【0366】
tert-ブチル (2S,4S)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシラート(29c)。乾燥した丸底フラスコ中に、28(2g、8.57mmol、1当量)を添加し、THF(0.5M)で希釈した。0℃で、BH 1M/THF(11mL、11mmol、1.3当量)を滴加した。反応を、RTで24h進行させ、その後HOでクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより3回抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物29c(1.8g、97%)を精製せずに、次工程を実行した。
【0367】
tert-ブチル (2S,4S)-4-フルオロ-2-ホルミルピロリジン-1-カルボキシラート(30c)。乾燥した丸底フラスコに、アルコール29c(1.8g、8.35mmol、1当量)を充填し、CHCl(0.3M)で希釈した。0℃で、DMP(3.9g、9.2mmol、1.1当量)を添加し、反応を、RTで3h進行させた。完了時に、反応物を、CHClにより希釈し、飽和NaHCO溶液、ブラインにより洗浄し、NaSOにより乾燥させた。有機層を、減圧下で濃縮し、粗混合物を、30%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、30c(1.57g、87%)を生じた。 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 回転異性体混合物) δ 9.50 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.31 (dt, J = 3.2, 52.3 Hz, 1H), 4.26 (t, J = 10.3 Hz, 1H), 3.71 - 3.47 (m, 2H), 2.47 - 2.18 (m, 2H), (1.44 (s) + 1.38 (s), 9H)。13C NMR (126 MHz, DMSO-d6, 回転異性体混合物) δ (202.7 + 202.3, 1C), (154.4 + 153.6, 1C), (93.5 (d, JC-F = 121.9 Hz) + 92.2 (d, JC-F = 121.7 Hz), 1C), 80.1, (63.9 + 63.7, 1C), (53.7 (d, JC-F = 22.1 Hz) + 53.4 (d, JC-F = 22.0 Hz), 1C), (35.4 (d, JC-F = 20.8 Hz) + 34.6 (d, JC-F = 20.4 Hz), 1C), (28.5 + 28.3, 1C)。
【0368】
【化88】
【0369】
tert-ブチル (S)-3-(ヒドロキシメチル)モルホリン-4-カルボキシラート(S1b)。乾燥した丸底フラスコ内に、S1a(500mg、2.2mmol、1当量)を添加し、THF(0.5M)により希釈した。0℃で、BH 1M/THF(3mL、3mmol、1.3当量)を滴加した。反応を、RTで24h進行させ、その後HOによりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより3回抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物S1b(449mg、94%)を、精製せずに、次工程を実行した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.98 (s, 1H), 3.90 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 3.87 - 3.77 (m, 3H), 3.74 - 3.69 (m, 1H), 3.54 (dd, J = 11.8, 3.5 Hz, 1H), 3.44 (td, J = 11.8, 3.1 Hz, 1H), 3.16 (t, J = 13.4 Hz, 1H), 1.45 (s, 9H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 155.4, 80.5, 66.7, 66.4, 60.6, 52.1, 40.1, 28.4. MS-ESI [M+H]+ = 218.14。
【0370】
tert-ブチル (R)-3-ホルミルモルホリン-4-カルボキシラート(S1)。乾燥した丸底フラスコに、アルコールS1b(449mg、2mmol、1当量)を充填し、CHCl(0.3M)で希釈した。0℃で、DMP(965mg、2.3mmol、1.1当量)を添加し、反応を、RTで3h進行させた。完了時に、反応物を、CHClにより希釈し、飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。有機層を、減圧下で濃縮し、粗混合物を、30%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、S1(336mg、75%)を生じた。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.6 (s, 1H), 4.5 - 4.2 (m, 2H), 3.9 - 3.7 (m, 2H), 3.6 (dd, J = 12.0, 4.2 Hz, 1H), 3.5 (dd, J = 8.0, 4.2 Hz, 1H), 3.3 - 3.0 (m, 1H), 1.5 (s, 9H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3, 回転異性体混合物) δ (199.3 + 190.0, 1CH), (155.6 + 155.1, 1C), 81.03 (1C), (66.6 + 66.3, 1CH2), (64.5 + 64.4, 1CH2), (61.7 + 60.5, 1CH), (42.42 + 41.08, 1CH2), 28.2。
【0371】
【化89】
1-ベンジル 2-エチル (2R,4R)-4-エトキシピロリジン-1,2-ジカルボキシラート(S2b)。乾燥した丸底フラスコ内に、S2a(500mg、1.89mmol、1当量)を添加し、DMF(0.25M)で希釈した。0℃で、鉱油中の60%NaH(196mg、4.9mmol、2.6当量)を添加し、反応を、同じ温度で30分間進行させた。その後、ヨウ化エチル(0.76mL、9.4mmol、5当量)を滴加し、反応をRTで24h進行させ、NHClによりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を、20%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、S2b(347mg、57%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.32 - 7.19 (m, 5H), 5.08 (s, 2H), 4.38 (dd, J = 8.6, 3.7 Hz, 1H), 4.32 (dd, J = 7.0, 5.3 Hz, 1H), 4.14 - 4.07 (m, 2H), 4.00 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.46 (ddd, J = 14.9, 11.6, 2.9 Hz, 2H), 2.23 - 2.19 (m, 2H), 1.17 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.05 (t, J = 7.0 Hz, 3H)。MS-ESI [M+H]+ = 322.47。
【0372】
(2R,4R)-1-((ベンジルオキシ)カルボニル)-4-エトキシピロリジン-2-カルボン酸(S2c)。丸底フラスコに、S2b(2.2g、7.18mmol、1当量)を充填し、THF(0.25M)で希釈した。0℃で、LiOH 1M(11mL、11mmol、1.5当量)を滴加した。反応を、0 ℃で3h進行させた。完了時に、THFを真空下で除去し、反応混合物を、2M HClによりpH=1まで酸性化した。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物S2c(1.7g、80%)を、精製することなく次工程を実行した。MS-ESI [M+H]+ = 294.34。
【0373】
ベンジル (2R,4R)-4-エトキシ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシラート(S2d)。乾燥した丸底フラスコ内に、S2c(1.7g、5.8mmol、1当量)を添加し、THF(0.5M)で希釈した。0℃で、BH 1M/THF(8mL、8mmol、1.4当量)を滴加した。反応を、RTで24h進行させ、その後HOによりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物S2d(1.26g、79%)を、精製せずに次工程を実行した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.29 - 7.18 (m, 5H), 5.02 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.12 - 4.06 (m, 1H), 3.96 - 3.84 (m, 1H), 3.70 - 3.63 (m, 1H), 3.48 (dd, J = 11.9, 5.1 Hz, 2H), 3.41 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 3.38 - 3.33 (m, 1H), 2.17 - 2.05 (m, 1H), 1.84 - 1.69 (m, 1H), 1.07 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 156.5, 136.4, 128.5, 128.1, 128.0, 76.8, 67.3, 66.4, 64.6, 59.6, 52.6, 34.4, 15.2。MS-ESI [M+H]+ = 280.30。
【0374】
ベンジル (2R,4R)-4-エトキシ-2-ホルミルピロリジン-1-カルボキシラート(S2)。乾燥した丸底フラスコに、S2d(1.2g、4.5mmol、1当量)を充填し、CHCl(0.3M)で希釈した。0℃で、DMP(2.1g、5mmol、1.1当量)を添加し、反応を、RTで3h進行させた。完了時に、反応物を、CHClで希釈し、飽和NaHCO溶液、ブラインにより洗浄し、NaSOにより乾燥させた。有機層を、減圧下で濃縮し、粗生成物S2(0.96g、77%)を、精製せずに次工程を実行した。MS-ESI [M+H]+ = 278.26。
【0375】
【化90】
【0376】
ベンジル (2R,4R)-4-エトキシ-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシラート(S3b)。乾燥した丸底フラスコ内に、S3a(2g、8.5mmol、1当量)を添加し、THF(0.5M)により希釈した。0℃で、BH 1M/THF(12mL、12mmol、1.4当量)を滴加した。反応を、RTで24h進行させ、その後HOによりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物S3b(1.2g、64%)を、精製せずに次工程を実行した。MS-ESI [M+H]+ = 222.15。
【0377】
ベンジル (2R,4R)-4-エトキシ-2-ホルミルピロリジン-1-カルボキシラート(S3)。乾燥した丸底フラスコに、S3b(1.3g、5.8mmol、1当量)を充填し、CHCl(0.3M)で希釈した。0℃で、DMP(2.7g、6.4mmol、1.1当量)を添加し、反応を、RTで3h進行させた。完了時に、反応物をCHClで希釈し、飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させた。有機層を、減圧下で濃縮させ、粗混合物を、40%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、S3(0.92g、72%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.71 (s, 1H), 7.20 - 7.13 (m, 5H), 5.01 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 4.67 - 4.56 (m, 1H), 3.86 - 3.61 (m, 2H), 2.45 - 2.34 (m, 1H), 2.24 - 2.15 (m, 1H)。MS-ESI [M+H]+ = 220.04。
【0378】
【化91】
5-ブロモ-2,3-ジフルオロベンズアルデヒド(S4b)。丸底フラスコ内に、S4a(1.4g、10mmol、1当量)を添加し、5mLのHSOで希釈した。NBS(2.1g、12mmol、1.2当量)を、30分間で3部分で添加し、反応を、60℃で3h進行させた。完了時に、反応混合物を、氷水へ注ぎ、混合物を、EtOで抽出した。一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、S4b(1.2g、44%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 10.30 - 10.20 (m, 1H), 7.80 - 7.70 (m, 1H), 7.60 (ddt, J = 9.0, 7.1, 2.1 Hz, 1H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 184.4 (dd, JC-F = 6.3, 3.1 Hz), 151.9 (dd, JC-F = 261.7, 13.2 Hz), 150.6 (dd, JC-F = 256.7, 13.0 Hz), 126.6 (d, JC-F = 6.5 Hz), 126.3 (d, JC-F = 2.9 Hz), 126.2 (d, JC-F = 12.9 Hz), 125.8 (d, JC-F = 20.5 Hz)。
【0379】
(5-ブロモ-2,3-ジフルオロフェニル)メタノール(S4c)。乾燥した丸底フラスコ内に、S4b(1.1g、5mmol、1当量)を添加し、MeOH(0.2M)で希釈した。0℃で、NaBH(265mg、7mmol、1.4当量)を添加した。反応を、RTで3h進行させ、その後HOによりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を、20%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、S4c(1g、81%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.35 (dt, J = 2.2, 5.1 Hz, 1H), 7.24 (ddd, J = 2.4, 7.1, 9.3 Hz, 1H), 4.73 (s, 2H), 2.15 (s, 1H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 150.1 (dd, JC-F = 13.6, 253.1 Hz), 147.4 (dd, JC-F = 12.9, 248.6 Hz), 131.7 (d, JC-F = 12.5 Hz), 126.5 (t, JC-F = 3.3 Hz), 119.8 (d, JC-F = 20.1 Hz), 115.9 (dd, JC-F = 4.4, 8.0 Hz), 58.3 (t, JC-F = 3.6 Hz)。
【0380】
5-ブロモ-1-(ブロモメチル)-2,3-ジフルオロベンゼン(36a)。乾燥した丸底フラスコ内に、S4c(1g、4.5mmol、1当量)を添加し、CHCl(0.2M)で希釈した。0℃で、PBr 1M/CHCl(5.4mL、5.4mmol、1.2当量)を滴加した。反応を、0℃で1h進行させ、その後飽和NaHCO溶液でクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を、5%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、36a(0.7g、60%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.29 - 7.19 (m, 2H), 4.37 (s, 2H)。 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 150.4 (dd, JC-F = 13.5, 254.2 Hz), 148.0 (dd, JC-F = 13.1, 252.6 Hz), 129.0 (d, JC-F = 12.4 Hz), 128.8 (d, JC-F = 3.5 Hz), 121.0 (d, JC-F = 20.3 Hz), 115.8 (dd, JC-F = 4.8, 8.1 Hz), 23.4 (t, JC-F = 3.7 Hz)。
【0381】
【化92】
【0382】
1-ブロモ-3-(ブロモメチル)-2,4-ジフルオロベンゼン(36b)。乾燥した丸底フラスコ内に、S6(2g、9.7mmol、1当量)、NBS(2g、12mmol、1.2当量)及び(PhCO)(75mg、0.3mmol、0.03当量)を添加した。この混合物を、CCl(0.125M)により希釈し、水銀ランプを、RTで1h照射した。完了時に、反応物を、セライトパックを通して濾過し、濾液をCHClにより希釈し、水、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮した。粗混合物を、100%ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、36b(2.34g、85%)を生じた。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.48 (td, J = 5.9, 8.3 Hz, 1H), 6.83 (td, J = 1.8, 8.8 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 160.0 (dd, JC-F = 5.8, 252.8 Hz), 157.3 (dd, JC-F = 7.2, 252.2 Hz), 133.5 (dd, JC-F = 1.8, 9.9 Hz), 116.1 (t, JC-F = 19.5 Hz), 112.7 (dd, JC-F = 4.1, 22.7 Hz), 104.2 (dd, JC-F = 4.1, 21.4 Hz), 17.5 (t, JC-F = 4.4 Hz)。
【0383】
【化93】
【0384】
1-ブロモ-3-(ブロモメチル)-2,5-ジフルオロベンゼン(36c)。乾燥した丸底フラスコ内に、S7(3.4g、16.4mmol、1当量)、NBS(3.2g、18mmol、1.1当量)及び(PhCO)(120mg、0.5mmol、0.03当量)を添加した。この混合物を、CCl(0.125M)で希釈し、水銀ランプをRTで1h照射した。完了時に、反応物を、セライトパックを通して濾過し、濾液をCHClにより希釈し、水、ブラインで洗浄し、減圧下で濃縮した。粗混合物を、100%ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、36c(1.64g、35%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.24 (ddd, J = 3.1, 5.4, 7.6 Hz, 1H), 7.07 (ddd, J = 3.1, 5.3, 8.2 Hz, 1H), 4.43 (s, 2H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 159.0 - 156.4 (m), 153.5 (dd, JC-F = 2.7, 245.8 Hz), 127.5 (dd, JC-F = 8.4, 17.8 Hz), 120.7 (d, JC-F = 26.4 Hz), 116.8 (dd, JC-F = 2.5, 24.1 Hz), 109.8 (dd, JC-F = 10.4, 23.8 Hz), 24.4 (d, JC-F = 3.8 Hz)。
【0385】
【化94】
3-ブロモ-2,5,6-トリフルオロ安息香酸(S8b)。LDA生成:火炎乾燥した丸底フラスコ内に、n-BuLi 1.6M/THF(1.4mL、2.2mmol、1.1当量)を添加し、2mLのTHFで希釈した。-78℃で、DIPA(0.34mL、2.4mmol、1.2当量)を添加し、反応を、0℃で15分間進行させた。
【0386】
別の乾燥した丸底フラスコ内に、S8a(422mg、2mmol、1当量)を添加し、4mLのTHF(0.5M)で希釈した。-78℃で、新たに生成したLDAを、S8aへカニューレにより滴加し、この反応物を、同じ温度で10分間撹拌した。その後EtO中のドライアイスを添加し、反応を、RTまで温め、30分間進行させ、その後1M HClによりクエンチした。この反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインにより洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物(453mg、88%)を、精製せずに次工程を実行した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.45 (s, broad, 1H), 7.59 (td, J = 6.2, 8.4 Hz, 1H)。
【0387】
(3-ブロモ-2,5,6-トリフルオロフェニル)メタノール(S8c)。乾燥した丸底フラスコ内に、S8b(450mg、1.76mmol、1当量)を添加し、THF(0.5M)で希釈した。0℃で、BH 1M/THF(2.5mL、2.5mmol、1.4当量)を滴加した。反応を、RTで24h進行させ、その後HOによりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより3回抽出し、一緒にした有機層を、ブラインにより洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物S8c(327mg、77%)を、精製せずに次工程を実行した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.46 - 7.29 (m, 1H), 4.79 (s, 2H), 2.29 (s, 1H)。
【0388】
1-ブロモ-3-(ブロモメチル)-2,4,5-トリフルオロベンゼン(36d)。乾燥した丸底フラスコ内に、S8c(241mg、1mmol、1当量)を添加し、CHCl(0.2M)で希釈した。0℃で、PBr 1M/CHCl(1.2mL、1.2mmol、1.2当量)を滴加した。反応を、0℃で1h進行させ、その後飽和NaHCO溶液によりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層をブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を、100%ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、36d(273mg、90%)を生じた。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.25 (td, J = 6.4, 8.6 Hz, 1H), 4.36 (t, J = 1.5 Hz, 2H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 153.1 (dt, JC-F = 4.1, 248.8 Hz), 147.9 (ddd, JC-F = 6.3, 13.9, 255.8 Hz), 146.8 (ddd, JC-F = 5.0, 13.9, 250.7 Hz), 120.9 (d, JC-F = 21.5 Hz), 117.4 (dd, JC-F = 15.9, 21.3 Hz), 103.2 (ddd, JC-F = 4.8, 7.9, 23.8 Hz), 16.9 (t, JC-F = 3.3 Hz)。
【0389】
【化95】
3-ブロモ-2,5,6-トリフルオロ安息香酸(S9b)。LDA生成:火炎乾燥した丸底フラスコ内に、n-BuLi 1.6M/THF(1.6mL、2.6mmol、1.1当量)を添加し、2.6mLのTHFで希釈した。-78℃で、DIPA(0.4mL、2.9mmol、1.2当量)を添加し、反応を、0℃で15分間進行させた。
【0390】
別の乾燥した丸底フラスコ内に、S8a(500mg、2.4mmol、1当量)を添加し、4mLのTHF(0.5M)で希釈した。-78℃で、新たに生成したLDAを、S8aへカニューレにより滴加し、この反応物を、同じ温度で10分間撹拌した。その後EtO中のドライアイスを添加し、反応を、RTまで温め、30分間進行させ、その後1M HClによりクエンチした。この反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層を、ブラインにより洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物(410mg、67%)を、精製せずに次工程を実行した。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.66 (broad, s, 2H), 8.05 (td, J = 6.9, 2.4 Hz, 1H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.8 (t, JC-F = 3.3 Hz), 152.3 (ddd, JC-F = 258.9, 11.4, 3.1 Hz), 151.4 (ddd, JC-F = 268.2, 11.3, 2.8 Hz), 141.1 (dt, JC-F = 257.5, 15.9 Hz), 129.8 (d, JC-F = 3.9 Hz), 115.6 (dd, JC-F = 7.4, 4.0 Hz), 104.9 (dd, JC-F = 18.6, 4.6 Hz)。
【0391】
(3-ブロモ-2,5,6-トリフルオロフェニル)メタノール(S9c)。乾燥した丸底フラスコ内に、S9b(3.6g、14.12mmol、1当量)を添加し、THF(0.5M)で希釈した。0℃で、BH 1M/THF(19.8mL、19.8mmol、1.4当量)を滴加した。反応を、RTで24h進行させ、その後HOによりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより3回抽出し、一緒にした有機層を、ブラインにより洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を、20%酢酸エチル/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、S9c(3.16g、93%)を生じた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.24 (td, J = 6.9, 2.5 Hz, 1H), 4.56 (s, 2H), 3.70 (s, 1H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 148.2 (dt, JC-F = 250.2, 3.4 Hz), 148.1 (ddd, JC-F = 250.1, 5.0, 3.4 Hz), 140.2 (dt, JC-F = 255.7, 16.1 Hz), 129.7 (d, JC-F = 3.8 Hz), 125.8 (dd, JC-F = 12.8, 4.1 Hz), 125.6 (t, JC-F = 4.0 Hz), 104.5 (dd, JC-F = 18.1, 4.3 Hz), 58.0 (t, JC-F = 3.0 Hz)。
【0392】
1-ブロモ-3-(ブロモメチル)-2,4,5-トリフルオロベンゼン(36e)。乾燥した丸底フラスコ内に、S9c(3.16g、13mmol、1当量)を添加し、CHCl(0.2M)で希釈した。0℃で、PBr 1M/CHCl(6.6mL、6.6mmol、0.5当量)を滴加した。反応を、0℃で1h進行させ、その後飽和NaHCO溶液によりクエンチした。反応混合物を、酢酸エチルにより抽出し、一緒にした有機層をブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗混合物を、100%ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーカラムにより精製し、36e(1.68g、42%)を生じた。 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.38 (td, J = 6.9, 2.6 Hz, 1H), 4.42 (s, 2H)。13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 148.9 (dd, JC-F = 2.5, 252.0 Hz), 148.8 (dd, JC-F = 2.5, 252.0 Hz), 140.5 (dt, JC-F = 256.7, 16.0 Hz), 127.8 (t, JC-F = 3.2 Hz), 123.6 (dd, JC-F = 12.7, 4.2 Hz), 104.7 (dd, JC-F = 18.4, 4.6 Hz), 23.2 (t, JC-F = 3.1 Hz)。
【0393】
NOS酵素阻害アッセイ。2-21のNOS阻害活性を、先に説明されたプロトコールに従い、ヘモグロビン(Hb)NO捕獲アッセイにより測定した24,29。簡単に述べると、このアッセイは、10%グリセロールを含む100mM HEPES緩衝液(pH7.4)中で、10μM L-Arg、10μM HB、100μM NADPH、0.83mM CaCl、320ユニット/mLカルモジュリン、及び3μMヒトオキシヘモグロビンの存在下、37℃で行った。L-Argの濃度10μMは、NOS脱カップリングを引きおこさないよに十分であり、並びに競合的阻害薬が効果的に検出され得る3種全てのNOSアイソフォームのK値に近いので、利用した。このアッセイは、Biotek Gen5(商標)マイクロプレートリーダーを用い、96-ウェルプレートにおいて行った。NO生成は、410nmで、6分間、速度論的にモニタリングした。ラットnNOS30、ヒトnNOS31、マウスマクロファージiNOS32、ヒトiNOS33及びヒトeNOS34を、先に報告されたように、大腸菌において発現させ、精製した。全てのNOSに関する阻害定数(K)を、チェン-プルソフ式を用い、用量-反応曲線のIC50値から算出した:K=IC50/(1+[S]/K35、並びにK(ヒトnNOS:1.6μM;ラットnNOS:1.3μM;マウスiNOS:8.2μM;ウシeNOS:1.7μM;ヒトeNOS:3.9μM;ヒトiNOS:8.0μM)36,37。用量-反応曲線は、7~9の試験濃度(200μM~50nM)から構成し、且つIC50値は、GraphPad Prismソフトウェアを使用し、非線形回帰により計算した。このアッセイの用量-反応曲線から計算した標準偏差は、全てのNOSの10%未満であった。
【0394】
PAMPA-BBBアッセイ。PAMPA-BBBアッセイは、先に説明されたプロトコールに従い行った24。簡単に述べると、このアッセイは、10mM PBS緩衝液(pH=7.5)中で行い、且つ化合物は、濃度200μMで試験した。ドナープレートを、最初に4μLのブタ脳脂質(ドデカン中20mg/mL)によりコーティングし、次に被験化合物250μLを添加した。アクセプタープレートに、PBS 250μLを充填し、及びドナープレートを、アクセプタープレートの上部に、「サンドイッチ」を作製するように、慎重に配置した。このプレートを、飽和湿度の大気中、100rpmで旋回撹拌しながら、25℃で17hインキュベーションした。ベラパミル及びテオフィリンを、各々、陽性対照及び陰性対照として使用した。インキュベーション後、被験溶液150μLを、両側(ドナー及びアクセプター)の各ウェルから採取し、測定のためにUVプレートへ移した。有効透過性(P)は、下記式38を用いて計算し:
【数1】
式中、Pは、有効透過性(cm/s)であり、V及びV は、各々、アクセプターウェル及びドナーウェルの容積(0.25cm)であり、C(t)は、t時点での、アクセプターウェルの濃度であり、C(0)、C(t)は、各々、t及びt時点での、ドナーウェルの濃度であり、Aは、フィルターウェル面積(0.21cm)である。tは、インキュベーション時間(s)である。τssは、定常状態に達するまでの時間(通常インキュベーション時間に比べ非常に短い)である。Rは、保持膜因子であり、下記式を用い算出した:
【数2】
は、標準偏差を伴う3つ組の平均として報告した。
【0395】
Caco-2アッセイ。双方向Caco-2アッセイを、Sai Life Sciences(プネー、インド)又はChempartner(上海、中国)により行った。簡単に述べると、このアッセイは、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)の緩衝液(pH=7.4)において、37℃で90分間行った。化合物を、濃度5μM(0.1%DMSO)で試験した。試験した化合物は、頂端側(A→B方向)又は基底側(B→A方向)のいずれかに適用した。みかけの透過性(Papp)を、下記式を用いて算出し:Papp=(dQ/dt)/C.A、式中、dQ/dtは、経時的なレシーバーチャンバー内の被験化合物の濃度の変化であり、Cは、ドナーウェル中の化合物の最初の濃度であり、Aは、フィルターウェル面積(0.7cm)である。排泄比は、A→Bのみかけの透過性に対するB→Aのみかけの透過性の比により規定される。3を上回るER値は、化合物は、P-gp又は他の能動排泄トランスポーターの基質の可能性があることを示唆している。
【0396】
阻害薬複合体結晶の調製。シッティングドロップ蒸気拡散法を使用し、ラットnNOS(20mMヒスチジンを含有する8mg/mL)、ヒトnNOS K301R/R354A/G357D変異体(10mg/mL)、及びヒトeNOS(7mg/mL)のヘムドメインについて、4℃で、結晶化させた。結晶化条件は、先に説明されている39。新鮮な結晶は、最初にクライオプロテクタント溶液を段階的に通過させ、その後5~10mM阻害薬に、4℃で3~4h浸漬し、その後液体窒素により瞬間冷却し、且つデータ収集まで貯蔵した。ウシeNOSのヘム活性部位近傍の酢酸イオンの存在は、一部の阻害薬において結合モードでの干渉を引きおこした40。heNOS結晶化条件中の高濃度の酢酸マグネシウムもまた、活性部位近傍に酢酸塩を導入することがあり、これは阻害薬の結合モードに影響を及ぼし得る。構造内にこの酢酸塩を有することを避けるために、クライオプロテクタント溶液中の酢酸マグネシウムは、MgClと置き換えた。
【0397】
X線回折データ収集、データ処理、及び構造の精密化。極低温(100K)X線回折データを、Stanford Synchrotron Radiation Lightsource(SSRL)又はAdvanced Light Source(ALS)において、データ収集制御ソフトウェアBlu-Ice41及び結晶-マウント用ロボットにより、リモートで収集した。CCD検出装置を使用する場合は、データの100-125°を、典型的には1フレームにつき0.5°で収集した。Pilatusピクセルアレイ検出装置を使用する場合は、細かくスライスした(fine-sliced)データの140-160°は、1フレームにつき0.2°で収集した。生のCCDデータフレームを、iMOSFLM42を用いて、指数付けし、積分し、且つスケーリングしたが、ピクセルアレイデータは、XDS43で処理し、且つAimless44によりスケーリングした。阻害薬の結合は、REFMAC45により算出した、異常分散差(initial difference)フーリエマップにより検出した。次に、阻害薬分子を、Coot46でモデル化し、REFMAC又はPHENIX47を用いて精密化した。MgCl浸漬したheNOS結晶の結晶パッキングをわずかに変更し、これは先に報告された斜方晶系P2から48、単斜晶系P2への対称の変化を生じ、β角は当初の90°と比べわずかに0.6~0.7°小さい。従って、PHASER-MR49による分子置換の計算が、構造を解明するために必要であった。P2空間群において、非対称単位において2種のheNOS二量体が存在した。NOS活性部位において結合した阻害薬の部分的ディスオーダーが認められることが多く、これは時には密度品質の不良を招いた。しかし、部分的構造特徴は、シグマA重み付けた2m|Fo|-D|Fc|マップの等価位置レベルが、0.5σに落とし込まれる場合には、通常依然明らかであり、このことはディスオーダー領域への妥当なモデルの構築を可能にした。水分子を、PHENIXに加え、Cootによりチェックした。TLSプロトコール50は、1つのTLS群としての各サブユニットによる精密化の最後の段階において実行した。Fo-Fc密度オミットマップは、PHENIX(2000Kの初期温度によるアニーリングプロトコールをシミュレーションした)におけるTLS精密化のもう一つのラウンドを試行する前に、インプットPDBファイルから阻害薬座標(coordinates)を除くことにより、算出した。得られたマップ係数DELFWT/PHDELWTを使用し、マップを作製した。一部の最新の構造に関して、PHENIXにおけるPolderマップファシリティを使用し、結合した阻害薬に関する密度オミットマップを計算した51。精密化した構造は、タンパク質データバンクに寄託する前に、Cootにおいて検証した。
【0398】
参考文献
【0399】
1. Muller, S.; Liepold, B.; Roth, G. J.; Bestmann, H. J., An Improved One-pot Procedure for the Synthesis of Alkynes from Aldehydes. Synlett, 1996, 1996, 521-522.
【0400】
2. Wang, H.-Y.; Qin, Y.; Li, H.; Roman, L. J.; Martasek, P.; Poulos, T. L.; Silverman, R. B. Potent and Selective Human Neuronal Nitric Oxide Syntherhase Inhibition by Optimization of the 2-Aminopyridine-Based Scaffold with a Pyridine Linker. Journal of Medicinal Chemistry, 2016, 59, 4913-4925
【0401】
実施例3
【0402】
脳において、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)により生成される一酸化窒素(NO)は、ニューロン伝達に加担する。しかし過剰活性化されたnNOSによるNOの過剰生成は、有害であり、且つパーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、及び虚血性脳卒中を含む、多くの神経変性疾患において関与している。従って、nNOSの阻害は、これらの疾患の新規薬剤を開発するための有望な治療的アプローチを保持している。CNS創薬において、治療的薬剤のヒト脳への効果的送達は、ほとんどの可能性のある分子が脳へ侵入することを排除する血液脳関門(BBB)の存在のために、最も課題が多い作業の一つである。この研究において、本発明者らは、それらのBBB透過を増強することに焦点を当て、新規ヒト神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)阻害薬の本発明者らの設計及び合成を報告している。本発明者らは、nNOS阻害において優れた効能(K<30nM)及び高いアイソフォーム選択性を発揮するのみではなく、PAMPA-BBBアッセイにおける高い受動透過性及びCaco-2双方向アッセイにおける低い排泄比により指摘されるような、脳への浸透における著しい改善も示す、いくつかの新規アナログを開発した。
【0403】
アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)として一般に公知の神経変性疾患の治療は、依然非常に限定されたものである。現在の治療は、単に症状を遅らせることを補助するだけである。加えて、患者数の増加(2017年にADの生存しているアメリカ人は500万人以上である)並びに治療に必要な膨大なコストは、これらの疾患に関する切迫した医学的必要性を強調している。ヒトnNOSの阻害は、これらの障害を治療するための価値のある治療的ツールとしての見込みを保持している。本発明により表示されたヒトnNOS阻害薬は、単に高い効能及び選択性を示すのみではなく、脳への浸透の増強も示し、このことは、神経変性のための新規治療的薬剤の更なる開発に関する高い可能性を示している。
【0404】
【表4-1】
【表4-2】
【0405】
表4の化合物は、実施例2に概説した手順に類似した手順を用いて調製した。同様に、これらの化合物は、実施例2に概説した手順に従い試験した。
【0406】
先の説明において、当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱しない限りは、変動する置換及び修飾を、本明細書に開示された発明に行うことができることは、容易に明らかであろう。本明細書において例証的に説明された本発明は好適には、具体的には本明細書に開示されていない1又は複数の要素、1又は複数の制限が存在しなくとも、実行され得る。使用される用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定としては使用されず、且つそのような用語及び表現の使用において、示され且つ説明された特徴又はその一部の任意の同等物を排除する意図は存在しないが、しかし様々な修飾が本発明の範囲内で可能であることは認められる。従って本発明は、具体的実施態様及び任意の特徴により例証されるが、本明細書に開示された概念の修飾及び/又は変動が当業者により行使され、且つそのような修飾及び変動は、本発明の範囲内であると考えられることは理解されなければならない。
【0407】
数多くの特許及び非特許文献の引用が、本明細書において行われる。引用された参考文献は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。本明細書中の用語の定義と引用された参考文献における用語を比べその定義間に矛盾が存在する事象において、この用語は、本明細書における定義を基に解釈されるべきである。
図1
【国際調査報告】