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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】量子ビットの選択的周波数シフト
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/00 20230101AFI20230607BHJP
   H10N 60/12 20230101ALI20230607BHJP
   G06N 10/40 20220101ALI20230607BHJP
【FI】
H10N60/00 G
H10N60/12 Z ZAA
G06N10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563242
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 FI2021050334
(87)【国際公開番号】W WO2021224551
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】20173395.3
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519394241
【氏名又は名称】アイキューエム フィンランド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ラフテーンマキ パシ
(72)【発明者】
【氏名】ハッセル ユハ
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AC08
4M113AC45
4M113AC48
4M113AC50
(57)【要約】
量子コンピューティングシステム及び量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を提供することが目的である。一実施形態によれば、量子コンピューティングシステムにおいて量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置は、少なくとも第一の量子ビットと第二の量子ビットとを備える複数の量子ビットと、少なくとも第一の結合制御共振器と第二の結合制御共振器とを備える複数の結合制御共振器と、1つの結合制御信号線と、を備える。第一の結合制御共振器は、結合制御信号が第一の結合制御共振器の共振周波数帯内の周波数成分を含むとき、第一の量子ビットの共振周波数をシフトさせるように構成され得る。配置、量子コンピューティングシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置であって、
少なくとも第一の量子ビットと第二の量子ビットとを備える複数の量子ビットであって、前記第一の量子ビットと前記第二の量子ビットのそれぞれは、それぞれの共振周波数を有する、複数の量子ビットと、
少なくとも第一の結合制御共振器と第二の結合制御共振器とを備え、それぞれがそれぞれの共振周波数帯を有する複数の結合制御共振器と、
少なくとも前記第一の結合制御共振器と前記第二の結合制御共振器とに結合制御信号を供給するための1つの結合制御信号線と、
を備え、
前記第一の結合制御共振器は、前記結合制御信号が前記第一の結合制御共振器の前記共振周波数帯の周波数成分からなるとき、前記第一の量子ビットの前記共振周波数をシフトさせるように構成され、前記第二の結合制御共振器は、前記結合制御信号が前記第二の結合制御共振器の前記共振周波数帯の周波数成分からなるとき、前記第二の量子ビットの前記共振周波数をシフトさせるように構成される、配置。
【請求項2】
前記複数の量子ビットは、第三の量子ビットと第四の量子ビットをさらに備え、前記第三の量子ビットと前記第四の量子ビットのそれぞれは、それぞれの共振周波数を有し、前記第一の量子ビットは前記第三の量子ビットに容量結合され、前記第二の量子ビットは前記第四の量子ビットに容量結合される、請求項1に記載の配置。
【請求項3】
前記複数の量子ビットにおける各量子ビットは、少なくとも1つのジョセフソン接合を備える、請求項1又は請求項2に記載の配置。
【請求項4】
前記複数の量子ビットにおける各量子ビットが、超伝導量子干渉素子(SQUID)を備える、請求項1又は請求項2に記載の配置。
【請求項5】
前記第一及び/又は第二の結合制御共振器の前記共振周波数帯は、前記第一の量子ビットの前記共振周波数及び前記第二の量子ビットの前記共振周波数よりも小さい周波数範囲に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の配置。
【請求項6】
前記第一の量子ビットの前記共振周波数のシフトは、前記第一の結合制御共振器の前記共振周波数帯における前記周波数成分の振幅に比例し、及び/又は前記第二の量子ビットの前記共振周波数のシフトは、前記第二の結合制御共振器の前記共振周波数帯における前記周波数成分の振幅に比例する、請求項1~5のいずれか一項に記載の配置。
【請求項7】
前記第一の量子ビットと前記第二の量子ビットは互いに容量結合しており、前記第一の量子ビットと前記第二の量子ビットが共振状態に設定されると、前記第一の量子ビットと前記第二の量子ビットに対して量子ゲート演算が実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の配置。
【請求項8】
前記第一の結合制御共振器は、前記第一の量子ビットのジョセフソンインダクタンスを調整することによって、前記第一の量子ビットの前記共振周波数をシフトさせるように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の配置。
【請求項9】
前記第一の結合制御共振器は、前記第一の量子ビットを介して磁束を誘導することにより、又は前記第一の量子ビットを介して電流フローを引き起こすことにより、前記第一の量子ビットのジョセフソンインダクタンスを調整することによって、前記第一の量子ビットの前記共振周波数をシフトさせるように構成される、請求項8に記載の配置。
【請求項10】
前記1つの結合信号線を含む複数の結合制御信号線をさらに備える、配置であって、
前記複数の量子ビットが行列に配置され、前記複数の量子ビットにおける各量子ビットがそれぞれの共振周波数を有し、前記複数の結合制御信号線の各結合制御信号線が前記行列の列/行に対応し、
前記複数の結合制御共振器の各結合制御共振器は、対応する結合制御信号線における結合制御信号がその結合制御共振器の前記共振周波数帯の周波数成分を含むとき、前記複数の量子ビットのうちの対応する量子ビットの前記共振周波数をシフトさせるように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の配置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の配置と、
前記配置の前記1つの結合制御信号線に電気的に結合された制御ユニットであって、前記制御ユニットが、
前記複数の量子ビットにおける前記第一の量子ビットの前記共振周波数と別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差に従って、前記第一の結合制御共振器の前記共振周波数帯における前記周波数成分の振幅を設定し、
前記結合制御信号を前記1つの結合制御信号線に送信するように、構成されている、制御ユニットと、
を備える、量子コンピューティングシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、事前構成された結合パラメータに従って、前記第一の結合制御共振器の前記共振周波数帯の前記周波数成分を含むパルスの持続時間を設定するようにさらに構成され、前記事前構成された結合パラメータは、前記第一の量子ビットと前記別の量子ビットとの間の意図する結合強度を示す、請求項11に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記第一の結合制御共振器の前記共振周波数帯の前記周波数成分と前記第二の結合制御共振器の前記共振周波数帯の前記周波数成分とを周波数分割多重化して、前記結合制御信号にするように、さらに構成される、請求項11又は12に記載の量子コンピューティングシステム。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の配置を含む量子コンピューティングシステムにおいて、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせる方法であって、前記方法が、
前記複数の量子ビットにおける前記第一の量子ビットの前記共振周波数と別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差に従って、前記第一の結合制御共振器の前記共振周波数帯における前記周波数成分の振幅を設定するステップと、
前記結合制御信号を前記1つの結合制御信号線に送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコードがコンピュータ上で実行されると、請求項14に記載の方法を実行するように構成された、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子電子デバイスに関し、より具体的には、量子コンピューティングシステム、及び量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置に関する。
【背景技術】
【0002】
量子コンピューティングシステムにおける量子ビットの共振周波数を選択的にシフトさせる能力は、大規模な量子コンピューティングにとって望ましい。量子ビットの共振周波数をシフトさせることによって、量子ビットは、システム内の別の量子ビットと共振させることができる。共振させる能力は、量子ビットを用いて量子論理ゲート演算を行うのに重要なことがある。
【発明の概要】
【0003】
この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主要又は本質的な特徴を特定することも、特許請求される主題の範囲を制限するために使用することも意図したものでもない。
【0004】
目的は、量子コンピューティングシステム及び量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を提供することである。前述の目的及び他の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態は、従属請求項、説明、及び図面から明らかである。
【0005】
第一の態様によれば、量子ビットの共振周波数を選択的にシフトさせるための配置は、少なくとも第一の量子ビット及び第二の量子ビットを含む複数の量子ビットであって、第一の量子ビット及び第二の量子ビットのそれぞれはそれぞれの共振周波数を有する、複数の量子ビットと、それぞれが共振周波数帯を有する第一の結合制御共振器及び第二の結合制御共振器と、少なくとも第一の結合制御共振器及び第二の結合制御共振器に結合制御信号を供給するための1つの結合制御信号線と、を備え、第一の結合制御共振器は、結合制御信号が第一の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分からなるとき、第一の量子ビットの共振周波数をシフトさせるように構成され、第二の結合制御共振器は、結合制御信号が第二の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分からなるとき、第二の量子ビットの共振周波数をシフトさせるように構成される。配置は、例えば、第一の量子ビット及び/又は第二の量子ビットの共振周波数を選択的にシフトさせることが可能であってもよい。
【0006】
第一の態様の実施形態において、複数の量子ビットは、第三の量子ビット及び第四の量子ビットをさらに備え、第三及び第四の量子ビットのそれぞれは、それぞれの共振周波数を有し、第一の量子ビットは、第三の量子ビットに容量結合し、第二の量子ビットは、第四の量子ビットに容量結合する。配置は、例えば、第一の量子ビットを第三の量子ビットと選択的に共振させること、及び/又は第二の量子ビットを第四の量子ビットと選択的に共振させることが可能であってもよい。
【0007】
第一の態様のさらなる実施形態において、複数の量子ビットにおける各量子ビットは、少なくとも1つのジョセフソン接合を備える。配置は、例えば、超伝導性量子ビットを用いて実装されてもよい。
【0008】
第一の態様のさらなる実施形態において、複数の量子ビットにおける各量子ビットは、超伝導量子干渉素子(SQUID)を備える。
【0009】
第一の態様のさらなる実施形態において、結合制御共振器の共振周波数帯は、第一の量子ビットの共振周波数及び第二の量子ビットの共振周波数よりも小さい周波数範囲に位置する。配置は、例えば、結合制御信号が量子ビットの動作と大きく干渉しないようにしながら、量子ビットの共振周波数をシフトさせることが可能であってもよい。
【0010】
第一の態様のさらなる実施形態において、第一の量子ビットの共振周波数のシフトは、第一の結合制御共振器の共振周波数帯における周波数成分の振幅に比例し、及び/又は、第二の量子ビットの共振周波数のシフトは、第二の結合制御共振器の共振周波数帯における周波数成分の振幅に比例する。したがって、第一の量子ビットの共振周波数及び/又は第二の量子ビットの共振周波数は、対応する周波数成分の振幅を使用して制御され得る。
【0011】
第一の態様のさらなる実施形態において、第一の量子ビットと第二の量子ビットは互いに容量結合し、第一の量子ビットと第二の量子ビットが共振状態に設定されると、量子ゲート演算が第一の量子ビットと第二の量子ビットに対して実行される。このように、第一の量子ビットと第二の量子ビットを互いに共振させることで、量子コンピューティングに利用することができる。
【0012】
第一の態様のさらなる実施形態において、第一の結合制御共振器は、第一の量子ビットのジョセフソンインダクタンスを調整することによって、第一の量子ビットの共振周波数をシフトさせるように構成される。配置は、例えば、第一の量子ビットの共振周波数を効率的にシフトさせることが可能であってもよい。
【0013】
第一の態様のさらなる実施形態において、第一の結合制御共振器は、第一の量子ビットを通る磁束を誘導することによって、又は第一の量子ビットを通る電流フローを引き起こすことによって、第一の量子ビットのジョセフソンインダクタンスを調整することにより、第一の量子ビットの共振周波数をシフトするように構成される。配置は、例えば、結合制御共振器と量子ビットの間の磁気結合を介して、又は電気結合を介して、ジョセフソンインダクタンスを調整することが可能であってもよい。
【0014】
第一の態様のさらなる実施形態において、配置は、さらに、1つの結合信号線を含む複数の結合制御信号線と、第一の結合制御共振器及び第二の結合制御共振器を含む複数の結合制御共振器と、を備え、複数の量子ビットは行列に配置され、複数の量子ビットにおける各量子ビットはそれぞれの共振周波数を有し、複数の結合制御信号線の各結合制御信号線は行列の列/行に対応し、複数の結合制御共振器の各結合制御共振器は、対応する結合制御信号線における結合制御信号がその結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分を含むとき、複数の量子ビットにおける対応する量子ビットの共振周波数をシフトするように構成されている。配置は、例えば、複数の量子ビットの中で選択された量子ビットの共振周波数をシフトさせることが可能であってもよい。
【0015】
上述した第一の態様の実施形態は、互いに組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。実施形態のうちのいくつかは、さらなる実施形態を形成するために一緒に組み合わされてもよい。
【0016】
第二の態様によれば、量子コンピューティングシステムは、第一の態様による配置と、配置の1つの結合制御信号線に電気的に結合された制御ユニットとを備え、制御ユニットは、複数の量子ビットにおける第一の量子ビットの共振周波数と別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差に従って、第一の結合制御共振器の共振周波数帯における周波数成分の振幅を設定し、結合制御信号を1つの結合制御信号線に送信するように構成されている。制御ユニットは、例えば、第一の量子ビットを別の量子ビットと共振させることが可能であってもよい。
【0017】
第二の態様の実施形態において、制御ユニットは、事前構成された結合パラメータに従って、第一の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分を含むパルスの持続時間を設定するように、さらに構成され、事前構成された結合パラメータは、第一の量子ビットと別の量子ビットとの間の意図する結合強度を示す。制御ユニットは、例えば、事前構成された結合パラメータに従って、量子ビット間の結合を制御することが可能であってもよい。
【0018】
第二の態様のさらなる実施形態において、制御ユニットは、第一の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分と第二の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分とを結合制御信号に周波数分割多重化するように、さらに構成される。制御ユニットは、例えば、第一の量子ビットの共振周波数と第二の量子ビットの共振周波数を、遅延を減らして、又は実質的に同時にシフトさせることが可能であってもよい。
【0019】
上述した第二の態様の実施形態は、互いに組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。実施形態のうちのいくつかは、さらなる実施形態を形成するために一緒に組み合わされてもよい。
【0020】
第三の態様によれば、第一の態様による配置を含む量子コンピューティングシステムにおいて、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための方法が提供される。この方法は、複数の量子ビットにおける第一の量子ビットの共振周波数と別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差に従って、第一の結合制御共振器の共振周波数帯における周波数成分の振幅を設定するステップと、結合制御信号を1つの結合制御信号線に送信するステップと、を含む。
【0021】
第四の態様によれば、コンピュータプログラムがコンピューティングデバイス上で実行されると、第三の態様による方法を実行するように構成されたプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0022】
付随する特徴の多くは、添付図面と関連して考慮される以下の詳細な説明を参照することによって、よりよく理解されるようになるので、より容易に評価されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下では、添付の図及び図面を参照しながら、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【0024】
図1】一実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を概略的に示す。
図2】別の実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を概略的に示す。
図3】一実施形態によるシミュレーション結果を概略的に示す。
図4】さらなる実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を概略的に示す。
図5】一実施形態に従って、磁束の関数としての量子ビット共振周波数のプロット図を示す。
図6】さらなる実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を概略的に示す。
図7】さらなる実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を概略的に示す。
図8】一実施形態による量子コンピューティングシステムを概略的に示す。
図9】一実施形態による制御ユニットを概略的に示す。
図10】一実施形態による方法のフローチャート図を示す。
【0025】
以下では、添付図面において、同様の部品を指定するために、同様の参照符号を使用する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明において、本開示の一部を構成する添付図面を参照し、その中に、本開示が置かれ得る特定の態様を例示的に示す。他の態様が利用されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく構造的又は論理的な変更がなされてもよいことが理解される。したがって、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によって定義されるので、以下の詳細な説明は、限定的な意味で取られるものではない。
【0027】
例えば、説明された方法に関連する開示は、その方法を実行するように構成された対応するデバイス又はシステムにも当てはまる場合があり、その逆もまた然りであることが理解される。例えば、特定の方法ステップが記載されている場合、対応するデバイスは、そのようなユニットが明示的に記載されていなくても、あるいは図面に示されていなくても、記載された方法ステップを実行するためのユニットを含んでもよい。一方、例えば、特定の装置が機能ユニットに基づいて記載される場合、対応する方法は、そのようなステップが明示的に記載されていなくても、あるいは図面に示されていなくても、記載された機能性を実行するステップを含んでもよい。さらに、本明細書に記載された様々な例示的態様の特徴は、特に断りのない限り、互いに組み合わせることができることが理解される。
【0028】
図1は、一実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置100を概略的に示す。
【0029】
一実施形態によれば、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置100は、少なくとも第一の量子ビット101_1と第二の量子ビット101_2とを含む複数の量子ビットを備え、第一の量子ビット101_1と第二の量子ビット101_2のそれぞれは、それぞれの共振周波数を有する。
【0030】
第一の量子ビット101_1の共振周波数は、第二の量子ビット101_2の共振周波数と等しくなくてもよい。
【0031】
複数の量子ビットの各共振周波数は、1~100ギガヘルツ(GHz)の範囲内であっても、あるいは、4~12GHz、4~10GHz、又は4~8GHzなど、この任意のサブ範囲内であってもよい。
【0032】
第一の量子ビット101_1の共振周波数と第二の量子ビット101_1の共振周波数との間の周波数差は、例えば、10メガヘルツ(MHz)超、及び/又は1GHz未満であってもよい。例えば、周波数差は、10~300MHzの範囲内であってもよい。
【0033】
配置100は、それぞれが共振周波数帯を有する第一の結合制御共振器102_1及び第二の結合制御共振器102_2をさらに含んでもよい。
【0034】
結合制御共振器102の共振周波数帯は、結合制御共振器102を共振させる周波数からなる周波数帯を意味することがある。共振周波数帯は、結合制御共振器102の物理的及び/又は電気的特性によって決定されてもよい。
【0035】
例えば、図1の実施形態では、結合制御共振器102は、それぞれがコンデンサとインダクタを備えるLC共振器を使用して実装されている。したがって、理想化された場合、そのような共振器の共振周波数fは、
【数1】
である。ここで、Lはインダクタのインダクタンスであり、Cはコンデンサのキャパシタンスである。しかしながら、LC共振器は、損失などの不完全性により、単一の共振周波数のみで共振するのではなく、共振周波数帯で共振することもある。したがって、結合制御共振器102は、バンドパスフィルタとして機能することもある。
【0036】
結合制御共振器102の共振周波数帯の幅は、例えば、結合制御共振器102の半値全幅(FWHM)帯域幅を用いて、定義してもよい。
【0037】
結合制御共振器の共振周波数帯は、例えば、1~10GHzの範囲内であっても、あるいは、1~8GHz、2~7GHz、又は1~5GHzなど、この任意のサブ範囲内であってもよい。
【0038】
結合制御共振器102は、またバンドパスフィルタ、結合バンドパスフィルタ、又は類似のものと呼ばれることもある。
【0039】
本明細書の実施形態では、LC共振器などの結合制御共振器102のいくつかの例を開示したが、結合制御共振器102は、様々な他の方法で、様々な他の構成要素を使用して実装されてもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、結合制御共振器102は、例えば、任意のタイプのバンドパスフィルタを使用して実装されてもよい。例えば、結合制御共振器102は、高次バンドパスフィルタに対応するより複雑な幾何学的形状を用いて実装されてもよい。そのような高次バンドパスフィルタは、理想的なバンドパスフィルタの矩形の自由周波数応答を近似することができる。
【0040】
一実施形態によれば、第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯と第二の結合制御共振器102_2の共振周波数帯は、重ならないか、部分的にのみ重なっている。
【0041】
配置100は、少なくとも第一の結合制御共振器102_1及び第二の結合制御共振器102_2に結合制御信号を供給するための1つの結合制御信号線103を更に備えてもよい。
【0042】
結合制御信号線103は、ゲートバス又は類似のものとも呼ばれることがある。結合制御信号線103は、例えば、プリント回路基板(PCB)上のトレースとして、ケーブルとして、伝送ラインとして、導波路として、又は類似のものとして実装されてもよい。
【0043】
第一の結合制御共振器102_1及び/又は第二の結合制御共振器102_2は、結合制御信号線103に電気的に結合されてもよい。
【0044】
第一の結合制御共振器102_1は、結合制御信号が第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯の周波数成分からなるとき、第一の量子ビット101_1の共振周波数をシフトさせるように構成され、第二の結合制御共振器102_2は、結合制御信号が第二の結合制御共振器102_2の共振周波数帯の周波数成分からなるとき、第二の量子ビット101_2の共振周波数をシフトさせるように構成される。
【0045】
第一の結合制御共振器102_1は、結合制御信号が第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯の周波数成分を含んでいることに応答して、第一の量子ビット101_1の共振周波数をシフトさせるように構成されてもよい。
【0046】
第二の結合制御共振器102_2は、結合制御信号が第二の結合制御共振器102_2の共振周波数帯の周波数成分を含んでいることに応答して、第二の量子ビット101_2の共振周波数をシフトさせるように構成されてもよい。
【0047】
結合制御信号は、例えば、無線周波数(RF)信号又はマイクロ波信号などの交流(AC)信号から構成されてもよい。
【0048】
結合制御共振器102は、量子ビット101のジョセフソンインダクタンスを調整することによって、対応する量子ビット101の共振周波数をシフトさせることができる。結合制御共振器は、例えば、量子ビット101の非線形性と交流磁束パルスを利用して、量子ビット101のジョセフソンインダクタンスを調整してもよい。例えば、図1の実施形態では、各結合制御共振器102によって生成された磁束は、対応する量子ビット101と結合することができる。こうして、磁束は、結合制御信号が結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分からなるとき、量子ビット101の共振周波数をシフトさせることができる。
【0049】
結合制御共振器102_1、102_2の共振周波数帯の周波数成分は、対応する量子ビット101_1、101_2を通るAC磁束をもたらす。交流磁束は、平均して、量子ビット101_1、101_2の実効臨界電流を低下させ、したがって、実効ジョセフソンインダクタンス(LJ~1/IC、ICはジョセフソン効果に従って磁束に比例する臨界電流)を増加させ、したがって、量子ビット101_1、101_2の実効共振周波数を低下させる。
【0050】
シフトは、例えば、量子ビット間の容量結合を介して、最初は異なる周波数にある2つの量子ビット101を共振させることができる。2つの量子ビット101が共振状態にあるとき、量子論理ゲート演算が量子ビットに対して実行されてもよい。共振状態にある量子ビットは、エンタングルするようになる可能性がある。量子ビット101を用いた様々な量子論理ゲート演算を実施するために、量子ビット101間のエンタングルメントが必要とされることがある。
【0051】
各結合制御共振器102は異なる共振周波数帯を有し得るので、複数の周波数成分を結合制御信号に周波数分割多重化することができる。結合制御共振器102は、結合制御信号から周波数成分を逆多重化することができる。したがって、各周波数成分を使用して、単一の量子ビットの共振周波数をシフトさせることができる。このように、単一の結合制御信号線103を使用して、複数の量子ビットを実質的に同時にアドレス指定することができる。これにより、チップ設計を簡素化し、ドリフト源としての直流(DC)を排除することができる。
【0052】
結合制御共振器102の共振周波数帯の周波数成分は、対応する量子ビット101の量子ビット共振周波数のシフトをもたらすことがある。周波数シフトは、周波数成分の振幅に比例してもよい。量子ビット101は、対応する結合制御共振器102の共振周波数帯外の周波数成分に対して非感受性のままであってもよい。
【0053】
量子ビットのパラメータは、較正中に決定されてもよい。対応する量子ビットの共振周波数のシフトは振幅に比例するので、結合制御共振器の共振周波数帯内の周波数成分の振幅は、パラメータに従って構成することができる。結合キャパシタンスの値も、較正段階で決定することができる。結合キャパシタンスは、共振状態にある量子ビットがエネルギーを交換する速度に関連し、したがって、量子ビットが所望の量のエネルギーを交換するために、結合制御パルスの持続時間を決定する。
【0054】
結合制御共振器102は、対応する量子ビット101の共振周波数を下げることも、上げることもできる。結合制御共振器102及び/又は量子ビット101の実装によっては、量子ビット101の共振周波数を上げることのみ、又は下げることのみが可能/実用的なことがある。
【0055】
いくつかの実施形態では、2つの量子ビット101は、一方の量子ビットの共振周波数を下げ、他方の量子ビットの共振周波数を上げることによって、共振させることができる。
【0056】
一実施形態によれば、第一の量子ビットの共振周波数のシフトは、第一の結合制御共振器の共振周波数帯内の周波数成分の振幅に比例し、及び/又は、第二の量子ビットの共振周波数のシフトは、第二の結合制御共振器の共振周波数帯内の周波数成分の振幅に比例する。
【0057】
周波数シフトは、例えば、第一/第二の量子ビットを配置100内の別の量子ビットと共振させることを可能にし得る。第一/第二の量子ビット及び別の量子ビットは、容量結合されてもよい。別の量子ビットは、例えば、第一/第二の量子ビットの最近接量子ビットを含んでもよい。また、周波数成分は、結合制御信号が量子ビット101の動作に干渉しないように、量子ビット共振周波数よりもはるかに低くすることができる。
【0058】
一実施形態によれば、結合制御共振器の共振周波数帯は、第一の量子ビットの共振周波数及び第二の量子ビットの共振周波数よりも小さい周波数範囲に位置する。これにより、上述したように、結合制御信号と複数の量子ビットにおける量子ビットの間の干渉を低減することができる。
【0059】
一実施形態によれば、複数の量子ビットにおける各量子ビット101は、少なくとも1つのジョセフソン接合104から構成されている。
【0060】
例えば、図1の実施形態では、各量子ビット101は、2つのジョセフソン接合104から構成される。他の実施形態では、複数の量子ビットにおける各量子ビットは、量子ビットのタイプに応じて、任意の数のジョセフソン接合104から構成されてもよい。
【0061】
一実施形態によれば、複数の量子ビットにおける各量子ビット101は、超伝導量子ビットから構成される。
【0062】
一実施形態によれば、複数の量子ビットにおける各量子ビット101は、超伝導量子干渉素子(SQUID)を備える。SQUIDは、ループ状に接続された2つのジョセフソン接合から構成されてもよい。このようなループは、SQUIDループと呼ばれることもある。
【0063】
いくつかの実施形態は、特定のタイプの量子ビットを参照して本明細書で開示されることもあるが、これらの量子ビットのタイプは例示的なものに過ぎない。本明細書に開示される任意の実施形態において、量子ビットは、様々な方法で、様々な技術を使用して実装されてもよい。
【0064】
複数の量子ビットは、例えば、磁束量子ビット、位相量子ビット、及び/又はトランスモンから構成されてもよい。異なるタイプの量子ビットは、簡単な回路の修正でジョセフソンインダクタンス調整機能を有するようにすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、RF又はマイクロ波などの交流電流をSQUID又はジョセフソン接合に流して、量子ビットの共振周波数のシフトを実現することができる。同様の機能は、SQUID又はジョセフソン接合において、ジョセフソンインダクタンスが、磁束によるものと定性的に同様の方法で、電流によっても制御され得るという事実から導かれる。
【0066】
一実施形態によれば、第一の結合制御共振器102_1は、第一の量子ビット101_1のジョセフソンインダクタンスを調整することによって、第一の量子ビット101_1の共振周波数をシフトさせるように構成される。追加又は代替として、第二の結合制御共振器102_2は、第二の量子ビット101_2のジョセフソンインダクタンスを調整することによって、第二の量子ビット101_2の共振周波数をシフトさせるように構成されてもよい。
【0067】
一実施形態によれば、第一の結合制御共振器102_1は、第一の量子ビット101_1を通る磁束を誘導することによって、又は第一の量子ビット101_1を通る電流フローを引き起こすことによって、第一の量子ビット101_1のジョセフソンインダクタンスを調整することにより、第一の量子ビット101_1の共振周波数をシフトさせるように構成される。追加又は代替として、第二の結合制御共振器102_2は、第二の量子ビット101_2を通る磁束を誘導することによって、又は第二の量子ビット101_2を通る電流フローを引き起こすことによって、第二の量子ビット101_2のジョセフソンインダクタンスを調整することにより、第二の量子ビット101_2の共振周波数をシフトさせるように構成されてもよい。
【0068】
図2は、さらなる実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置100を概略的に示す。
【0069】
図2の実施形態において、複数の量子ビットは、第一の量子ビット101_1及び第二の量子ビット101_2に加えて、第三の量子ビット101_3をさらに含む。
【0070】
一実施形態によれば、第一の量子ビット101_1と第二の量子ビット101_2とは、互いに容量結合される。例えば、図2の実施形態では、第一の量子ビット101_1と第二の量子ビット101_2は、キャパシタを介して互いに容量結合されている。
【0071】
第一の量子ビット101_1及び/又は第二の量子ビット101_2は、複数の量子ビットにおける任意の別の量子ビットに容量結合されてもよい。例えば、図2の実施形態では、第二の量子ビット101_2は、第一の量子ビット101_1及び第三の量子ビット101_3に容量結合されている。
【0072】
図2の実施形態では、第一の量子ビット101_1、第二の量子ビット101_2、及び第三の量子ビット101_3の共振周波数は、それぞれ6.8GHz、6.7GHz、及び6.6GHzである。さらに、第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯は、周波数1.6GHzからなり、第二の結合制御共振器102_2の共振周波数帯は、周波数1.8GHzからなる。したがって、1.6GHzの周波数成分からなる結合制御信号は、1.6GHzの成分が第一の共振器102_1によって逆多重化され、次いで、第一の量子ビット101_1のジョセフソンインダクタンスを調整するため、第一の量子ビット102_1の共振周波数をシフトさせることができる。同様に、1.8GHzの周波数成分を含む結合制御信号は、第二の量子ビット102_2の共振周波数をシフトさせることができる。
【0073】
配置100は、第三の量子ビット101_3の共振周波数をシフトさせるための第三の結合制御共振器102_3を更に備えてもよい。
【0074】
図3は、図2の実施形態に示される配置に対するシミュレーション結果のプロット図を示す。
【0075】
図3の実施形態は、各量子ビット101_1、101_2、101_3にわたる電圧のシミュレーションされた包絡線201_1、201_2、201_3をそれぞれ示している。図3の実施形態は、2つのパルス203_1、203_2からなる結合制御信号202をさらに示している。
【0076】
図3の実施形態は、動作原理のみを示しており、シミュレーションに使用されるパラメータは最適化されていない。さらに、いずれの波形にもDCは存在しない。むしろ、波形は、視覚化の明確化のためにシフトされている。結合制御信号202は、図に適合するように縮小されている。
【0077】
シミュレーションの開始時に、第一の量子ビット101_1は励起状態にあり、第二の量子ビット101_2と第三の量子ビット101_3の両方が最初は基底状態にある。これは、量子ビット201_1、201_2、201_3の電圧で観察することができる。
【0078】
第一の量子ビット101_1は、周波数1.6GHzの30ナノ秒(ns)AC信号パルス203_1によって、時間瞬間t=65nsに第二の量子ビット101_2と共振状態にされる。第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯はパルス203_1の周波数1.6GHzからなるので、第一の結合制御共振器102_1は、第一の量子ビット101_1の共振周波数を第二の量子ビット101_2の共振周波数と実質的に一致するように、下へシフトさせる。
【0079】
このように、結合制御信号線103からの結合制御信号202は、第一の結合制御共振器102_1を介して、第一の量子ビット101_1、すなわち、標的量子ビットに逆多重化され、ルーティングされる。第一の量子ビット101_1と第二の量子ビット101_2は、共振している間、容量結合によりエネルギーを交換する。したがって、エネルギーは、第一の量子ビット101_1から第二の量子ビット101_2へ移送され、これは、量子ビット201_1、201_2上の電圧から観察することができる。
【0080】
時間瞬間t=315nsにおいて、周波数1.8GHzの第二の結合制御信号パルス203_2が、第二の量子ビット101_2を第三の量子ビット101_3と共振させる。したがって、エネルギーは、第一の量子ビット101_1及び第二の量子ビット101_2について上述したのと同様の方法で、第二の量子ビット101_2から第三の量子ビット101_3へ移送される。
【0081】
図3の半古典解析から観察できるように、結合制御共振器102は、量子ビット101の共振周波数とは異なる周波数での外部駆動によって、対応する量子ビット101のジョセフソンインダクタンスを調整することができる。これは、量子ビット101の共振周波数をシフトさせる効果がある。結合制御共振器102は、適切な量子ビット101の共振周波数がシフトされるように、結合制御信号202から異なる周波数成分を逆多重化することができる。異なる回路方式も、また同じ機能を遂行することができる。
【0082】
図3の実施形態では、結合制御信号202の周波数成分は、量子ビット101の共振周波数と比較して低い周波数である。他の実施形態では、周波数成分の周波数は、量子ビット101の共振周波数より高くてもよい。このような場合、結合制御信号は、経時変化する周波数制御を引き起こすことができ、すなわち、相関する量子ビットの共振周波数は、経時変化することもある。時間平均化の後、これは、例えば、2つの量子ビットの間でエネルギーが移送されることがある。
【0083】
しかしながら、高周波結合制御信号を用いて、低周波結合制御信号と比較して、量子ビット101のインダクタンスがどのように調整されるかに、いくつかの定性的な違いがあってもよい。
【0084】
高周波結合制御信号の場合、調整中のジョセフソンインダクタンスは、結合制御信号パルス中に本質的に一定であってもよく、一方、低周波結合制御信号の場合、ジョセフソンインダクタンス(及びしたがって結合)は経時変化する。
【0085】
図4は、さらなる実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置を概略的に示す。
【0086】
一実施形態によれば、複数の量子ビットは、第三の量子ビット101_3と第四の量子ビット101_4とをさらに備え、第三の量子ビットと第四の量子ビットのそれぞれは、それぞれの共振周波数を有する。
【0087】
第一の量子ビット101_1は、第三の量子ビット101_3に容量結合され、第二の量子ビット101_2は、第四の量子ビット101_4に容量結合されてもよい。
【0088】
結合制御信号線103の結合制御信号を用いて、本明細書に開示されるように、第一の量子ビット101_1の共振周波数をシフトさせることにより、第一の量子ビット101_1を第三の量子ビット101_3と共振させてもよい。
【0089】
同様に、結合制御信号線103の結合制御信号を用いて、本明細書に開示されるように、第二の量子ビット101_2の共振周波数をシフトさせることにより、第二の量子ビット101_2を第四の量子ビット101_4と共振させてもよい。
【0090】
また、第三の量子ビット101_3及び/又は第四の量子ビット101_4は、それぞれの結合制御共振器を介して結合制御信号線103に結合されてもよい。あるいは、第三の量子ビット101_3及び/又は第四の量子ビット101_4は、それぞれの結合制御共振器を介して第二の結合制御信号線に結合されてもよい。配置100は、任意の数の結合制御信号線を備えてもよい。
【0091】
図5は、一実施形態に従って、磁束の関数としての量子ビット共振周波数のプロット図を示す。
【0092】
図5の実施形態では、SQUID量子ビットの共振周波数fSQUID500は、SQUIDを介して印加される磁束Φに起因してシフトさせる。したがって、SQUID量子ビットの共振周波数は、磁束Φを変化させることによって調整することができる。他のタイプの量子ビットは、少なくともシンプルな回路の変更が量子ビットに適用される場合に、同様の挙動を示す可能性がある。共振周波数の同様の調整は、本明細書に開示されるように、磁束の代わりに、電流を介して達成されることもある。
【0093】
図6は、さらなる実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置100を概略的に示す。
【0094】
配置100は、前記1つの結合信号線を含む複数の結合制御信号線103を備えてもよい。例えば、図6の実施形態では、2つの結合制御信号線103が図示されている。
【0095】
配置100は、第一の結合制御共振器及び第二の結合制御共振器を含む複数の結合制御共振器102を更に備えてもよい。例えば、図6の実施形態では、4つの結合制御共振器102が図示されている。
【0096】
複数の量子ビットは、行列に配置されてもよい。複数の量子ビットにおける各量子ビット101は、それぞれの共振周波数を有してもよい。複数の結合制御信号線における各結合制御信号線103は、行列の列/行に対応してもよい。例えば、図6の実施形態では、行列に配置された4つの量子ビット101が図示されている。図示された量子ビット101は、大きな行列に構成されてもよい。
【0097】
複数の結合制御共振器における各結合制御共振器102は、対応する結合制御信号線103における結合制御信号がその結合制御共振器102の共振周波数帯における周波数成分からなるとき、複数の量子ビットのうちの対応する量子ビット101の共振周波数をシフトさせるよう構成されてもよい。例えば、図6の実施形態では、複数の量子ビットにおける各量子ビット101は、対応する結合制御共振器101を有する。
【0098】
対応する結合制御信号線103は、当該結合制御共振器102と行列の同じ列/行にある結合制御信号線103を意味することがある。例えば、図6の実施形態では、各結合制御信号線103は行列の列に対応するので、対応する制御信号線103は、当該結合制御共振器102と行列の同じ列にある結合制御信号線103を意味することがある。
【0099】
複数の量子ビットにおける各量子ビット101は、各最近接量子ビットと容量結合されてもよい。例えば、図6の実施形態では、各量子ビットは、2つの別の量子ビットと容量結合されている。量子ビットのより大きな行列では、各量子ビット101は、少なくとも3つ又は4つの最近接量子ビットに容量結合されてもよい。
【0100】
配置は、複数の回転信号線501をさらに備えてもよい。各回転信号線501は、行列の行/列に対応してもよい。例えば、図6の実施形態では、各回転信号線501は、行列の列に対応する。
【0101】
配置100は、複数の回転共振器502をさらに備えてもよい。各回転共振器502は、対応する量子ビット101に結合されてもよい。各回転共振器502は、対応する回転信号線503に結合されてもよい。したがって、量子ビット101の量子状態は、回転信号線501を使用して回転されてもよい。
【0102】
配置は、複数の読み出し信号線503をさらに備えてもよい。各読み出し信号線503は、行列の行/列に対応してもよい。例えば、図6の実施形態では、各読み出し信号線503は、行列の行に対応している。
【0103】
配置100は、複数の読み出し共振器504をさらに備えてもよい。各読み出し共振器504は、対応する量子ビット101に結合されてもよい。各読み出し共振器504は、対応する読み出し信号線503に結合されてもよい。したがって、量子ビット101の状態は、読み出し信号線503を使用して測定されてもよい。
【0104】
配置100を使用して、量子ビットの回転、ゲート、及び/又は量子ビットの状態の測定が実行されてもよい。これは、配置100で必要とされる接続の数を増加させることなく行われてもよい。
【0105】
各結合制御共振器103、回転共振器502、及び/又は読み出し共振器504は、量子ビットごとのバンドパスフィルタとして機能することができる。したがって、同じ信号が意図せずに一度に複数の異なる量子ビット101上で動作することによる望ましくない効果を導入することなく、周波数シフト、回転、及び読み出しを各量子ビット101上で独立して実行することができる。
【0106】
図7は、さらなる実施形態に従って、量子ビット共振周波数を選択的にシフトさせるための配置100を概略的に示す。
【0107】
一実施形態によれば、第一の結合制御共振器102_1は、第一の量子ビットを通る電流フローを引き起こすことによって、第一の量子ビット101_1のジョセフソンインダクタンスを調整することにより、第一の量子ビット101_1の共振周波数をシフトさせるように構成される。
【0108】
図7の実施形態は、量子ビット101を通る電流フローを使用して、量子ビット101のジョセフソンインダクタンスを調整する一例を示す。上記に開示された実施形態と同様に、各量子ビット101は、対応する結合制御共振器102に結合される。各結合制御共振器102は、結合制御信号線103に結合されてもよい。図7の実施形態では、結合制御信号が第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯の周波数成分からなるとき、電流は、第一の結合制御共振器102_1を介して第一の量子ビット101_1に流れる。したがって、第一の量子ビット101_1のジョセフソンインダクタンスは、電流によって調整され、第一の量子ビット101_1の共振周波数はシフトする。
【0109】
磁束による調整と同様に、電流フローによってジョセフソンインダクタンスをチ調整する場合、結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分は、対応する量子ビットの共振周波数よりも低い周波数であっても、高い周波数であってもよい。磁束調整と同様に、量子ビットの共振周波数よりも低い周波数の結合制御信号により、ジョセフソンインダクタンスを実質的に瞬時に制御するためのパラメトリック調整機構が提供される。
【0110】
量子ビットの共振周波数よりも高い周波数の結合制御信号の場合、結合制御信号の振幅と周波数の関数として、実効ジョセフソン接合臨界電流Ic,effの解析的近似が存在する。これは、
【数2】
で表すことができる。ここで、Icは結合制御信号なしのジョセフソン接合の臨界電流、I1は結合制御信号の電流振幅、Φは磁束量子、fは結合制御信号の周波数、Cはジョセフソン接合の容量、Jは一次の第一種ベッセル関数である。これにより、ジョセフソンインダクタンスLeffは、交流結合制御信号(振幅I、周波数f)により、
【数3】
のように調整可能である。次いで、共振周波数
【数4】
は、共振条件に従ってシフトする。
【0111】
共振周波数のシフトを用いて、第一の量子ビット101_1を第二の量子ビット101_2と共振させることができる。
【0112】
同様の方法で、第二の量子ビット101_2の共振周波数及び/又は第三の量子ビット101_3の共振周波数をシフトさせてもよい。第二の量子ビット101_2は、第一の量子ビット101_1及び/又は第三の量子ビット101_3と共振させてもよい。代替又は追加として、第三の量子ビット101_3は、第二の量子ビット101_2と共振させてもよい。
【0113】
各量子ビット101は、シャントキャパシタをさらに備えてもよい。シャントキャパシタは、各量子ビットのジョセフソン接合と並列に配置されてもよい。シャントキャパシタは、明確にするために、図7の実施形態では図示されていない。
【0114】
量子ビット101のジョセフソンインダクタンスを、電流を使用して調整する場合、量子ビット101は、単一のジョセフソン接合から構成されてもよい。これは、配置100を磁気ノイズ及び干渉に対してより鈍感にするという利点を有し得る。電流駆動のためにガルバニック接触が必要なので、回路設計に何らかの課題が生じる可能性がある。
【0115】
図8は、一実施形態による量子コンピューティングシステム700を概略的に示す。
【0116】
一実施形態によれば、量子コンピューティングシステム700は、配置100と、配置100の1つの結合制御信号線103に電気的に結合された制御ユニット701とを備える。
【0117】
システム700が動作しているとき、配置100は、クライオスタット又は同様のものの中に物理的に配置されてもよい。クライオスタットは、配置100内の複数の量子ビットを極低温に冷却してもよい。このことは、複数の量子ビットにおける量子ビットが、例えば、超伝導量子ビットである場合に必要とされ得る。制御ユニット701は、クライオスタットの外側に配置されてもよい。
【0118】
制御ユニット701は、第一の量子ビット101_1の共振周波数と複数の量子ビットにおける別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差に応じて、第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯における周波数成分の振幅を設定し、結合制御信号を結合制御信号線103に送信するように構成されてもよい。
【0119】
代替又は追加として、制御ユニット701は、第二の量子ビット101_2の共振周波数と複数の量子ビットにおける別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差に応じて、第二の結合制御共振器102_2の共振周波数帯における周波数成分の振幅を設定し、結合制御信号を結合制御信号線103に送信するように構成されてもよい。
【0120】
結合制御信号の振幅は、例えば、結合制御信号の電流振幅、電圧振幅、又は電界振幅を意味することがある。
【0121】
別の量子ビットは、例えば、複数の量子ビット中の第二の量子ビット101_2、第三の量子ビット101_3、又は任意の別の量子ビットで構成されてもよい。別の量子ビットは、第一/第二の量子ビットに容量結合されてもよい。
【0122】
第一/第二の量子ビット101_1、101_2の周波数シフトは、第一/第二の結合制御共振器102_1、102_2の共振周波数帯における周波数成分の振幅に比例していてもよい。したがって、制御ユニット701は、結合制御信号を用いて、第一/第二の量子ビット101_1を別の量子ビットと共振させることができるように、振幅を設定することができる。
【0123】
第一/第二の量子ビットの共振周波数と別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差は、例えば、制御ユニット701に事前構成されてもよい。事前構成は、例えば、システム700の較正中に実行されてもよい。
【0124】
一実施形態によれば、制御ユニット701は、事前構成された結合パラメータに従って、第一の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分を含むパルスの持続時間を設定するように、さらに構成され、事前構成された結合パラメータは、第一の量子ビットと別の量子ビットとの間の意図された結合強度を示している。
【0125】
代替又は追加として、制御ユニット701は、事前構成された結合パラメータに従って、第二の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分を含むパルスの持続時間を設定するように、さらに構成されてもよく、事前構成された結合パラメータは、第二の量子ビットと別の量子ビットとの間の意図する結合強度を示している。
【0126】
結合制御信号は、第一/第二結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分を含むパルスから構成されてもよい。
【0127】
第一/第二の結合制御共振器の共振周波数帯の周波数成分からなるパルスの持続時間は、例えば、1~100nsの範囲であっても、あるいは10~100ns、10~80ns、5~50nsなど、この任意のサブ範囲であってもよい。
【0128】
第一/第二の量子ビット101_1、101_2と別の量子ビットとの間の結合の強度は、パルスの持続時間に比例してもよい。したがって、制御ユニット701は、パルスの持続時間を調整することによって、第一/第二の量子ビット101_1、101_2と別の量子ビットとの間の結合の強度を制御してもよい。パルスの持続時間と結合の強度との関係は、結合制御共振器及び/又は量子ビットの実装に依存してもよい。
【0129】
事前構成された結合パラメータは、例えば、ユーザによって設定されてもよい。意図された結合強度は、量子ビットによって実行されるコンピューティング操作のタイプに依存する場合がある。ユーザは、第一/第二の量子ビット及び別の量子ビットが、例えば、量子論理ゲート演算を実行することを必要とする場合がある。したがって、制御ユニット701は、ユーザが必要とする量子論理ゲート演算に従って、事前構成された結合パラメータを設定してもよい。
【0130】
一実施形態によれば、制御ユニット701は、第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯の周波数成分と第二の結合制御共振器102_2の共振周波数帯の周波数成分を、結合制御信号に周波数分割多重化するように、さらに構成される。
【0131】
第一の結合制御共振器102_1の共振周波数帯の周波数成分と第二の結合制御共振器102_2の共振周波数帯の周波数成分は、例えば、時間的に重なっていてもよい。第一結合制御共振器102_1及び第二結合制御共振器102_2は、結合制御信号から周波数成分を逆多重化してもよいので、制御ユニット701は、第一の量子ビット101_1及び第二の量子ビット101_2の周波数を、少ない遅延でシフトさせてもよい。
【0132】
図8の実施形態では、配置100と制御ユニット701との間の接続702が単一の接続として概略的に図示されているが、制御ユニット701は、配置100内の複数の結合制御信号線103に電気的に結合されてもよい。また、制御ユニット701は、配置100内の複数の回転信号線501及び/又は複数の読出信号線503に電気的に結合されてもよい。したがって、制御ユニット701は、配置100における量子ビットの周波数シフト、回転、及び/又は読み出しを制御するように構成されてもよい。
【0133】
複数の量子ビットにおける任意の量子ビットの共振周波数、複数の結合制御共振器の任意の結合制御共振器の共振周波数帯、結合制御信号中の任意の周波数成分の振幅、及び/又は結合制御信号中の任意のパルスの持続時間など、配置100に関連する任意のパラメータは、制御ユニット701に事前構成されてもよい。事前構成は、例えば、システム700の較正の間に実行されてもよい。
【0134】
図9は、一実施形態による制御ユニット701を概略的に示す。
【0135】
制御ユニット701は、少なくとも1つのプロセッサ801を備えてもよい。少なくとも1つのプロセッサ801は、例えば、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、制御ユニット701、デジタル信号プロセッサ(DSP)、DSPを伴う又は伴わない処理回路などの様々な他の処理デバイス、あるいは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサユニット(MCU)、ハードウェア加速器、専用コンピュータチップなどの集積回路を含む様々な他の処理デバイスの1つ以上を備えてもよい。
【0136】
制御ユニット701は、メモリ802をさらに備えてもよい。メモリ802は、例えば、コンピュータプログラムなどを格納するように構成されてもよい。メモリ802は、1つ以上の揮発性メモリデバイス、1つ以上の不揮発性メモリデバイス、及び/又は1つ以上の揮発性メモリデバイスと不揮発性メモリデバイスとの組合せを備えてもよい。例えば、メモリ802は、磁気ストレージデバイス(ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、磁気テープなど)、光磁気ストレージデバイス、及び半導体メモリ(マスクROM、PROM(プログラマブルROM)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュROM、RAM(ランダムアクセスメモリ)など)として具現化されてもよい。
【0137】
メモリ802は、例えば、事前構成された結合パラメータ、第一/第二の量子ビットの共振周波数と別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差、及び/又は配置100に関連する他の任意のパラメータを備えてもよい。
【0138】
制御ユニット701は、図9の実施形態に図示されていない他の構成要素をさらに含んでもよい。制御ユニット701は、例えば、制御ユニット701を配置100に接続するための入出力バスを含んでいてもよい。さらに、ユーザは、入出力バスを介して制御ユニット701を制御してもよい。ユーザは、例えば、制御ユニット701及び入出力バスを介して、配置100が実行する量子計算演算を制御してもよい。
【0139】
制御ユニット701が何らかの機能を実施するように構成される場合、少なくとも1つのプロセッサ801及び/又はメモリ802などの制御ユニット701の何らかの1つ及び/又は複数の構成要素は、この機能を実施するように構成されてもよい。さらに、少なくとも1つのプロセッサ801が何らかの機能を実施するように構成される場合、この機能は、例えば、メモリ内に含まれるプログラムコードを使用して実施されてもよい。
【0140】
制御ユニット701は、例えば、コンピュータ、何らかの他のコンピューティングデバイスなどを用いて実施されてもよい。
【0141】
図10は、一実施形態による方法900のフローチャート図を示す。
【0142】
一実施形態によれば、方法900は、複数の量子ビットにおける第一の量子ビットの共振周波数と別の量子ビットの共振周波数との間の周波数差に従って、第一の結合制御共振器の共振周波数帯における周波数成分の振幅を設定するステップ901を含む。
【0143】
方法900は、結合制御信号を1つの結合制御信号線に送信するステップ902をさらに含んでもよい。
【0144】
方法900は、例えば、制御ユニット701によって実行されてもよい。
【0145】
本明細書で与えられる任意の範囲又はデバイス値は、求められる効果を失うことなく、拡張又は変更することができる。また、任意の実施形態は、明示的に禁止されていない限り、別の実施形態と組み合わせてもよい。
【0146】
主題は、構造的特徴及び/又は行為に特有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴又は行為に限定されないことが理解されるであろう。むしろ、上述した特定の特徴及び行為は、請求項を実施する例として開示され、他の同等の特徴及び行為は、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0147】
上述した利益及び利点は、1つの実施形態に関するものであっても、複数の実施形態に関するものであってもよいことが理解されよう。実施形態は、記載された問題のいずれか又は全てを解決する実施形態、あるいは記載された利益及び利点のいずれか又は全てを有する実施形態に限定されない。「1つの」アイテムへの言及は、それらのアイテムのうちの1つ以上を指すことがあることも、さらに理解されよう。
【0148】
本明細書に記載された方法のステップは、任意の適切な順序で、又は適切な場合には同時に実施されてもよい。さらに、個々のブロックは、本明細書に記載される主題の精神及び範囲から逸脱することなく、方法のいずれかから削除されてもよい。上述した実施形態のいずれかの態様は、求められる効果を失うことなく、上述した他の実施形態のいずれかの態様と組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。
【0149】
「含む」という用語は、識別された方法、ブロック又は要素を含むことを意味するために本明細書で使用されるが、そのようなブロック又は要素は排他的リストを構成せず、方法又は装置は追加のブロック又は要素を含むことができる。
【0150】
上記の説明は、例としてのみ与えられており、当業者によって様々な修正がなされ得ることが理解されよう。上記の仕様、例及びデータは、例示的な実施形態の構造及び使用に関する完全な説明を提供する。様々な実施形態が、ある程度の特殊性をもって、又は1つ以上の個々の実施形態を参照して上述されてきたが、当業者は、本明細書の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】