(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ピリミジンシクロヘキシルグルココルチコイド受容体モジュレーターの製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/505 20060101AFI20230607BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230607BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230607BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230607BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230607BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230607BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230607BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230607BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230607BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61K31/505
A61P1/16
A61P3/04
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/20
A61K47/12
A61K47/04
A61K9/20
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567364
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 US2021030923
(87)【国際公開番号】W WO2021226258
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503345477
【氏名又は名称】コーセプト セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】イプ-フォン チア
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン アーボレーダ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン アルスメイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン デイビス
(72)【発明者】
【氏名】タイラー クライクマン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC16
4C076CC21
4C076DD05
4C076DD29
4C076DD41C
4C076EE10
4C076EE31
4C076EE32B
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4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA52
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZC42
(57)【要約】
本発明は、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオンの製剤、並びにその作製方法及び使用方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
15.0~32.0%(w/w)の量の化合物I、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン:
【化1】
と;
15.0~32.0%(w/w)の量のポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]と;
10.0~32.0%(w/w)の量の持続ポリマーと;
10.0~25.0%(w/w)の量の結晶セルロースと;
5.0~11.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記化合物Iが、20.0~28.0%(w/w)の量で存在し;
前記ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]が、20.0~28.0%(w/w)の量で存在し;及び
前記持続ポリマーが、10.0~28.0%(w/w)の量で存在する、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]が、Eudragit L100である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記持続ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である、請求項1~3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記持続ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレード(high fine grade)(HPMCAS-H)である、請求項1~4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
22.0~28.0%(w/w)の量の化合物Iと;
22.0~28.0%(w/w)の量のEudragit L100と;
13.0~28.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
13.0~20.0%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
5.0~11.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と、
を含む、請求項3~5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
0.5~5.0%(w/w)の量でラウリル硫酸ナトリウムを更に含む、請求項1~6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1.25~1.75%(w/w)の量でラウリル硫酸ナトリウムを更に含む、請求項1~7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
1.3~1.5%(w/w)の量でラウリル硫酸ナトリウムを更に含む、請求項1~8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
約22.8%(w/w)の量の化合物Iと;
約22.8%(w/w)の量のEudragit L100と;
約1.4%(w/w)の量のラウリル硫酸ナトリウムと;
約23.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約19.4%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む、請求項1~9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
0.1~2.0%(w/w)の量でコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)を更に含む、請求項1~9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記コロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)が、0.50%~1.5%(w/w)の量で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
約22.8%(w/w)の量の化合物Iと;
約22.8%(w/w)の量のEudragit L100と;
約1.4%(w/w)の量のラウリル硫酸ナトリウムと;
約23.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約18.4%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約1.0%(w/w)の量のコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む、請求項1~9、11又は12の何れか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記結晶セルロース(Avicel PH102)が、10.0~30.0%(w/w)の量で存在する、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項15】
前記結晶セルロース(Avicel PH102)が、13.0~20.0%(w/w)の量で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]に対する化合物Iの重量比が、約1:1である、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
約25.0%(w/w)の量の化合物Iと;
約25.0%(w/w)の量のEudragit L100と;
約25.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約13.75%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約0.75%(w/w)の量のコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む、請求項14~16の何れか一項に記載の組成物。
【請求項18】
約22.9%(w/w)の量の化合物Iと;
約22.9%(w/w)の量のEudragit L100と;
約22.9%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約19.8%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約1.0%(w/w)の量のコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む、請求項14~16の何れか一項に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1~18の何れか一項に記載の組成物の調製方法であって、前記方法が、
a)溶媒、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]、及び化合物I、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン:
【化2】
を含む混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、中間体混合物を生成することと;
c)前記中間体混合物、持続ポリマー、結晶セルロース、及びクロスカルメロースナトリウムを含む第一の粒内混合物を配合することと;
d)前記第一の粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e)前記ローラー圧縮された混合物及びクロスカルメロースナトリウムを含む第一の粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記溶媒が、メタノール及びジクロロメタンを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]が、Eudragit L100である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物Iが、結晶無水物である、請求項19~21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記持続ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である、請求項19~22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記持続ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレード(HPMCAS-H)である、請求項19~23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、
a)前記溶媒、Eudragit L100、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及び化合物Iを含む混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、前記中間体混合物を生成することと;
c1)前記中間体混合物、HPMCAS-H、結晶セルロース、及びクロスカルメロースナトリウムを含む前記第一の粒内混合物を配合することと;
c2)前記第一の粒内混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二の粒内混合物を配合することと;
d)前記第二の粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e1)前記ローラー圧縮された混合物及びクロスカルメロースナトリウムを含む前記第一の粒外混合物を配合することと;
e2)前記第一の粒外混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二の粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む、請求項19~24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第一の粒内混合物が、第一の流動促進剤を更に含み;
前記第一の粒外混合物が、第二の流動促進剤を更に含む、
請求項19~25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第一の流動促進剤及び第二の流動促進剤各々が、コロイド状二酸化ケイ素を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
a)前記溶媒、Eudragit L100、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及び化合物Iを含む混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、前記中間体混合物を生成することと;
c1)前記中間体混合物、HPMCAS-H、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一の粒内混合物を配合することと;
c2)前記第一の粒内混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二の粒内混合物を配合することと;
d)前記第二の粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e1)前記ローラー圧縮された混合物、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一の粒外混合物を配合することと;
e2)前記第一の粒外混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二の粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
a)前記溶媒、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]、及び化合物Iを含む前記混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、前記中間体混合物を生成することと;
c1)前記中間体混合物、HPMCAS-H、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一の粒内混合物を配合することと;
c2)前記第一の粒内混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二の粒内混合物を配合することと;
d)前記第二の粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e1)前記ローラー圧縮された混合物、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一の粒外混合物を配合することと;
e2)前記第一の粒外混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二の粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
グルココルチコイド受容体を調節することによる障害又は病態の治療方法であって、前記方法は、請求項1~18の何れか一項に記載の組成物の治療有効量を、かかる治療を必要とする対象に投与することにより、前記障害又は病態を治療することを含む、方法。
【請求項31】
グルココルチコイド受容体をアンタゴナイズすることによる障害又は病態の治療方法であって、前記方法は、請求項1~18の何れか一項に記載の組成物の治療有効量を、かかる治療を必要とする対象に投与することにより、前記障害又は病態を治療することを含む、方法。
【請求項32】
脂肪性肝疾患の治療方法であって、前記方法は、請求項1~18の何れか一項に記載の組成物の治療有効量を、脂肪性肝疾患の治療を必要とする対象に投与することにより、脂肪性肝疾患を治療することを含む、方法。
【請求項33】
前記脂肪性肝疾患が、アルコール関連肝疾患(ARLD)又は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アルコール関連肝疾患が、アルコール脂肪性肝疾患(AFL)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)又はアルコール性肝硬変である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記非アルコール性脂肪性肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は非アルコール性肝硬変である、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記非アルコール性脂肪性肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
抗精神病薬による体重増加の治療方法であって、前記方法は、請求項1~18の何れか一項に記載の組成物の治療有効量を、抗精神病薬による体重増加の治療を必要とする対象に投与することにより、抗精神病薬による体重増加を治療することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年5月6日に出願された米国特許仮出願第63/020,919号の優先権を主張し、この各々はその全文において全ての目的のため本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
ヒトを含むほとんどの種では、生理的グルココルチコイドは、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)である。グルココルチコイドは、ACTH(コルチコトロピン)に応答して分泌され、ストレス及び食物に応答して日周性リズム変化及び上昇の両方を示す。コルチゾール値は、外傷、手術、運動、不安及びうつを含む多くの身体的及び精神的ストレスに対して数分以内に応答する。コルチゾールは、ステロイドであり、細胞内グルココルチコイド受容体(GR)との結合により作用する。I型グルココルチコイド受容体(GRI)としても公知のミネラルコルチコイド受容体(MR)は、ヒトにおいてアルドステロンにより活性化され得る。GR及びMRの1つ又は両方のモジュレーターを含む組成物を使用して、様々な疾病及び障害を治療してよい。男性では、GRは、2つの形態:777アミノ酸のリガンド結合GRα;及び50カルボン酸末端残基を欠くGRβアイソフォームで存在する可能性がある。これらの残基がリガンド結合ドメインを含むので、GRβは、天然リガンドと結合することができず、恒常的に核に局在化する。
【0003】
高コルチゾール血症が原因のものを含むコルチゾールの生物効果は、アゴニスト、部分的アゴニスト及びアンタゴニストなどの受容体モジュレーターを用いてGRレベルにおいて調節され得る。薬剤のいくつかの異なる分類は、GRアゴニスト結合の生理効果を阻害することができる。これらのアンタゴニストとしては、GRとの結合により、GRと効果的に結合及び/又は活性化するアゴニストの能力を阻害する組成物が挙げられる。1つのかかる公知のGRアンタゴニスト、ミフェプリストンは、ヒトにおいて効果的な抗グルココルチコイド薬であることが分かった(Bertagna(1984)J.Clin.Endocrinol.Metab.59:25)。ミフェプリストンは、10-9Mの解離定数(Kd)の高親和性でGRと結合する(Cadepond(1997)Annu.Rev.Med.48:129)。
【0004】
コルチゾールに加えて、他のステロイドの生物効果は、アゴニスト、部分的アゴニスト及びアンタゴニストなどの受容体モジュレーターを用いてGRレベルにおいて調節され得る。ステロイドの生物効果を必要とする対象に投与される場合、ステロイドは、目的の治療効果並びにマイナスの副作用の両方を提供する可能性がある。
【0005】
脂肪性肝疾患とも呼ばれる脂肪肝は、幹細胞によるトリグリセリド及び脂質の細胞内蓄積で現れる細胞病理である。脂肪肝は、いくつかの原因から生ずる可能性がある流行の肝臓病態である。かかる肝疾患としては、脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコールによる脂肪性肝疾患(AFLD)、薬物若しくはアルコール関連肝疾患、ウイルス性疾患、免疫性肝疾患、代謝性肝疾患、及び肝不全及び/又は肝移植に関連する合併症が挙げられる。非アルコール性脂肪性肝疾患は、ほとんど又は全くアルコールを消費しない個体におけるアルコールによる脂肪性肝疾患のものと同様な組織的特徴を有する一般的肝疾患である。脂肪肝の効果的治療は、不充分なままである。今までに、かかる患者のための治療薬治療は確立されていない。したがって、脂肪肝を管理するための新規治療の選択肢に対するニーズがある。
【0006】
抗精神病薬投与は、多くの精神障害のための重要な治療であり、かかる障害に罹っているほとんど20百万人の患者に著しい改善を提供する。残念ながら、オランザピン、リスペリドン、クロザピン、クエチアピン、セルチンドール、及び他のかかる薬物療法など抗精神病薬療法は、精神病症状の軽減だけでなく著しい体重増加をもたらすことが多い。多数の報告は、長期間の抗精神病薬療法を受ける患者の約40~80%は、最終的に患者の理想的体重を20%以上超える実質的体重増加を経験することを示している(例えば、Umbricht et al.,J Clin.Psychiatry 55(Suppl.B):157-160,1994;Baptista,Acta Psychiatr.Scand.100:3-16,1999参照)。かかる体重増加は、循環器疾患、脳卒中、高血圧、II型糖尿病、及び特定の種類のがんなどの肥満症に関連する多くの深刻な健康問題のリスクを増大する。加えて、望ましくない体重増加は、抗精神病薬の投与に対する患者の不履行の最も共通の理由の1つである。
【0007】
アルコール、乱用の薬物、タバコ、及び他のものなど物質の乱用は、健康問題、疾病及び場合により死をもたらすことが多い深刻な問題である。かかる乱用と関連する医学的問題に加えて、精神的問題、かかる物質を乱用する者の家族における問題、職場における問題、及び一般社会における問題を含む他の問題が起こる。
【0008】
米国特許第8,685,973号明細書の化合物は、これらの病態の1つ以上を治療するための有用性を実証した。必要であるものは、これらの組成物の新規形態である。驚くべきことに、本発明は、これらのニーズ及び他のニーズを満足する。
【発明の概要】
【0009】
1つの実施形態では、本発明は、
15.0~32.0%(w/w)の量の化合物I、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン:
【化1】
15.0~32.0%(w/w)の量のポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]と;
10.0~32.0%(w/w)の量の持続(sustaining)ポリマーと;
10.0~25.0%(w/w)の量の結晶セルロースと;
5.0~11.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と、
を含む組成物を提供する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、本発明の組成物の調製方法であって、前記方法は:
a)溶媒、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]、及び化合物I、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン:
【化2】
を含む混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、中間体混合物を生成することと;
c)前記中間体混合物、持続ポリマー、結晶セルロース、及びクロスカルメロースナトリウムを含む第一粒内混合物を配合することと;
d)前記第一粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e)前記ローラー圧縮された混合物及びクロスカルメロースナトリウムを含む第一粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む、方法を提供する。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、グルココルチコイド受容体を調節することによる障害又は病態の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、かかる治療を必要とする対象に投与することにより、障害又は病態を治療することを含む、方法を提供する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、グルココルチコイド受容体をアンタゴナイズすることによる障害又は病態の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、かかる治療を必要とする対象に投与することにより、障害又は病態を治療することを含む、方法を提供する。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、脂肪性肝疾患の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、脂肪性肝疾患の治療を必要とする対象に投与することにより、脂肪性肝疾患を治療することを含む、方法を提供する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、抗精神病薬による体重増加の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、抗精神病薬による体重増加の治療を必要とする対象に投与することにより、抗精神病薬による体重増加を治療することを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、化合物I形態BのXRPDパターンを示す。
【0016】
【
図2】
図2は、化合物I形態BのXRPDピークを示す。
【0017】
【
図3】
図3は、化合物I形態BのDSC及びTGAサーモグラムを示す。
【0018】
【
図4】
図4は、化合物I(CORT118335)を用いた製剤D1、D2、D3及びE1の溶解グラフを示す。
【0019】
【
図5】
図5は、C1、D3及びE1組成物により調製された錠剤を投与されたサルにおける化合物I(ミリコリラント)のインビボバイオアベイラビリティーの結果を示す。新しい製剤で調製された錠剤は、以前の製剤で調製された錠剤より優れた性能を発揮し;インビボでのバイオアベイラビリティーの改善は、以前の製剤と比較して数倍であった。
【0020】
【
図6】
図6は、C1に対する組成物D3及びE1に関するPKデータの表を示す。
【0021】
【
図7】
図7は、C1、D1及びD2に関するPKデータの表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I.全般
本明細書において、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン(化合物I):
【化3】
の製剤を開示する。
【0023】
II.定義
「約(about)」は、特に指定されない限り、特定値の±5%を表す。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「組成物」は、特定量の特性成分、並びに特定量の特性成分の組合せから直接的又は間接的に由来するいずれかの製品を含む製品を包含することを意図される。「薬剤的に許容可能な」は、担体、希釈剤又は賦形剤は、製剤の他の成分と適合し、及びそのレシピエントに有害でないものでなければならないことを意図される。
【0025】
「持続ポリマー」は、持続ポリマーを含まない比較組成物に対して環境中、インビボ環境又はインビボ環境の活性薬の溶解濃度を増大することができるポリマーを表し、長時間より大きい溶解濃度を維持する。
【0026】
「薬剤的に許容可能な賦形剤」は、活性剤の投与及び対象による吸収を助ける物質を表す。本発明に有用な医薬用賦形剤としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、コーティング剤、甘味料、香料及び着色料が挙げられるが、これらに限定されない。 当業者は、他の医薬用賦形剤が本発明に有用であることを認識するだろう。
【0027】
「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、緩解;寛解;症状又は傷害、症状又は病態が患者に耐えられる;減退又は衰退速度を遅延する;減退の終点をより衰弱させない;患者の身体的又は精神的幸福を改善するなどの何れかの客観的又は主観的パラメータを含む傷害、症状又は病態の治療又は寛解における何れかの成功のしるしを表す。症状の治療又は寛解は、客観的又は主観的パラメータに基づき得;身体検査、神経精神医学的検査、及び/又は精神医学的評価の結果が挙げられる。
【0028】
「投与すること」は、対象への経口投与を表す。
【0029】
「患者」又は「対象」は、本明細書に提供されている医薬組成物の投与により治療することができる疾病又は病態を患っている又は該疾病又は病態になる傾向がある生物を表す。非限定例としては、ヒト、他の哺乳類、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、雌ウシ、シカ、ウマ、及び他の非哺乳類動物が挙げられる。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。
【0030】
「治療有効量」は、特定された疾病若しくは病態を治療若しくは寛解するために、又は検出可能な治療若しくは阻害効果を示すために有用な化合物又は医薬組成物の量を表す。正確な量は、治療の目的に依存し、及び公知技術を用いて当業者により解明可能であろう(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar,Dosage Calculations (1999);and Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams & Wilkins参照)。
【0031】
「グルココルチコイド受容体」(「GR」)は、デキサメタゾンなどのコルチゾール及び/又はコルチゾール類似体と特異的に結合する細胞内受容体のファミリーの1つを表す(例えば、Turner & Muller,J.Mol.Endocrinol.October 1,2005 35 283-292参照)。グルココルチコイド受容体は、コルチゾール受容体とも呼ばれる。用語は、GRのアイソフォーム、組換えGR及び変異GRを含む。
【0032】
コルチゾール受容体は、「グルココルチコイド受容体」(「GR」)、詳細にはII型GRであり、デキサメタゾンなどのコルチゾール及び/又はコルチゾール類似体と特異的に結合する(例えば、Turner & Muller,J.Mol.Endocrinol.October 1,2005 35 283-292参照)。
【0033】
「ミネラルコルチコイド受容体」(MR)は、ヒトにおいてアルドステロンにより活性化されるI型グルココルチコイド受容体(GRI)を表す。
【0034】
「グルココルチコイド受容体モジュレーター」(GRM)は、グルココルチコイド受容体とアゴニストとの結合と関連する何れかの生物応答を調節する何れもの化合物を表す。本明細書で使用されるとき、GRMに関して、グルココルチコイド受容体は、GR、又は両方であってよい。例えば、デキサメタゾンなどのアゴニストとして作用するGRMは、HepG2細胞(ヒト肝臓肝細胞がん細胞株;ECACC、英国)においてチロシンアミノ基転移酵素(TAT)の活性を増強する。ミフェプリストンなどのアンタゴニストとして作用するGRMは、HepG2細胞内のチロシンアミノ基転移酵素(TAT)の活性のアゴニスト誘導性増加を阻害する。TAT活性を、A.Ali et al.,J.Med.Chem.,2004,47,2441-2452による文献に概要が述べられているように測定することができる。
【0035】
「グルココルチコイド受容体アンタゴニスト」(GRA)は、グルココルチコイド受容体とアゴニストとの結合と関連する何れかの生物応答を阻害する何れもの化合物を表す。本明細書で使用されるとき、GRAに関して、グルココルチコイド受容体は、GR、又は両方であってよい。したがって、GRアンタゴニストを、デキサメタゾンの効果を阻害する化合物の能力の測定により同定することができる。TAT活性を、A.Ali et al.,J.Med.Chem.,2004,47,2441-2452による文献に概要が述べられているように測定することができる。阻害薬は、10マイクロモーラー未満のIC50(半最大阻害濃度)を有する化合物である。米国特許第8,685,973号明細書の実施例1を参照。この全内容はその全文の参照により本明細書に援用される。
【0036】
「調節する」及び「調節すること」は、その明白な通常の意味に従って使用され、1つ以上の特性を変更又は変化する作用を表す。「調節」は、1つ以上の特性を変更又は変化する方法を表す。例えば、標的タンパク質に対するモジュレーターの効果に適用されるとき、調節することは、標的分子の特性若しくは機能の増加若しくは減少又は標的分子の量の増加若しくは減少により変化することを意味する。
【0037】
「モジュレーター」は、標的分子のレベル又は標的分子の機能又は標的分子の物理的状態を増加又は減少させる組成物を表す。
【0038】
「アンタゴナイズする」及び「アンタゴナイズすること」は、受容体分子におけるアゴニストの結合を阻害すること、又は受容体アゴニストにより産生されるシグナルを阻害することを表す。受容体アンタゴニストは、遺伝子発現などのアゴニスト媒介応答を阻害又は弱める。
【0039】
「アンタゴニスト」は、所与の遺伝子又はタンパク質の発現又は活性を検出可能な程度に低下させることができる物質を表す。アンタゴニストは、アンタゴニストの非存在下のコントロールと比較して、発現又は活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以下阻害することができる。いくつかの実施形態では、阻害は、アンタゴニストの非存在下の発現又は活性より、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又はそれ以上である。
【0040】
「阻害」、「阻害する」及び「阻害薬」は、特定の作用又は機能を妨げる化合物又は妨げる方法を表す。
【0041】
「障害」又は「病態」は、本発明のグルココルチコイド受容体モジュレーターを用いて治療することができる患者又は対象の存在状態又は健康状態を表す。いくつかの実施形態では、障害又は病態の例としては、肥満症、高血圧症、うつ、不安、及びクッシング症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「脂肪性肝疾患」は、少なくとも部分的に肝脂質沈着異常が原因の疾病又は病的状況を表す。脂肪性肝疾患としては、例えば、アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、及び妊娠の急性脂肪肝が挙げられる。脂肪性肝疾患は、例えば、大滴性脂肪変性又は小滴性脂肪変性であり得る。
【0043】
「非アルコール性脂肪性肝疾患」(「NAFLD」)は、過剰アルコール使用以外の原因により脂肪が肝臓内で沈着する(脂肪症)場合に起こる脂肪肝の型の1つを表す。NAFLDは、疾患活動性のスペクトルを包含すると考えられる。このスペクトルは、肝臓内の脂肪蓄積(脂肪肝)として始まる。NAFLDのほとんどの人々は、ほとんど症状がないか又は全く症状がない。患者は、疲労、倦怠感、及び鈍い右上腹部不快感を訴える場合がある。これはまれであるが、軽度の黄疸に気付くかも知れない。より一般的に、NAFLDは、定期的血液検査中、肝機能異常後に診断される。定義により、20g/日を超えるアルコール消費(正味エタノール約25ml/日)は、条件の余地を与えない。
【0044】
「非アルコール性脂肪性肝炎」(「NASH」)は、NAFLDの最も極端な形態を表す。NAFLDは進行して、脂肪症が炎症及び線維症と同時発生する状態(脂肪性肝炎)である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)になる可能性がある。NASHは、進行性疾患である。10年の期間にわたって、NASH患者の20%以下は、肝臓の硬変症を発症し、10%は、肝疾患関連死する。
【0045】
「物質使用障害」は、その使用の不快又は有害な結果にもかかわらず、物質の強迫的使用を表す。物質使用障害は、制御障害(例えば、本来の意図より物質の過剰量、又は長期間にわたっての使用)、社会的障害(例えば、仕事、学校、又は家庭での主要な役割の義務を満たすことができなかったこと)、危険な使用(例えば、物質が身体的に有害である状況においてその物質の反復使用)、及び医薬的基準(例えば、認容性又は休薬)を含んでよい。物質使用障害は、以前に「中毒」と呼ばれていたかも知れないが、精神障害の診断と統計マニュアル第5版DSM-5(以後「DSM-V」と呼ぶ)の出版物から、「中毒」及び「中毒になる」などの用語は、用語「物質使用障害」(「中毒」に代わって)及び物質使用障害に罹っている(「中毒になる」に代わって)人に置き換えられた。物質使用障害に罹っている人を、特定の物質に関連する物質使用障害に罹っていると呼んでよく;DSM-V出版前、かかる人は、その物質に「中毒」であると説明されていたかも知れない。例えば、人が刺激物質に関連する物質使用障害を有する場合、その人は、DSM-V出版前、その人は、その刺激物質に「中毒」であると説明されていたかも知れない。
【0046】
「前記物質に関連する物質使用障害物質使用障害」及び「物質に関連する物質使用障害物質使用障害」などのフレーズで述べられる「物質」は、患者が切望する、又はその使用の不快又は有害な結果にもかかわらず患者が強迫的に使用する物質を表す。したがって、かかる「物質」は、その物質に関連する物質使用障害に罹っている人により使用される、又は消化される、さもなければ投与される物質である。用語「中毒物質」、及び「乱用物質」は、かかる物質を表すために以前使用されてきたかも知れず、この物質は、以前に「中毒性物質」と呼ばれていたかも知れない(例えば、DSM-V出版前)。
【0047】
「物質使用障害に罹っている人」は、特定の物質、又は、場合によっては、2つ以上の特定の物質に関連する物質使用障害に罹っている人を表す。かかる「物質」は、薬物、又はアルコール、又はタバコ、人が摂取(消化)するかの知れない他の物質であってよい。例えば、かかる「物質」は、アルコール、刺激物質、オピオイド、又は他の物質であってよい。
【0048】
本明細書において置換の基又は「置換基」を表す際に使用されるとき、「A」、「an」、又は「a(n)」は、少なくとも1つを意味する。例えば、化合物が「an」アルキル又はアリールにより置換されている場合、化合物は、少なくとも1つのアルキル及び/又は少なくとも1つのアリールにより置換されていてもよく、各アルキル及び/又はアリールは異なっていてよい。別の例では、化合物が、「a」置換基により置換されている場合、化合物は、少なくとも1つの置換基により置換されており、各置換基は異なっていてよい。
【0049】
III.組成物
本発明は、化合物Iの驚くほど改良されたバイオアベイラビリティーを提供する(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン(化合物I、米国特許第8,685,973号明細書参照)の薬剤的に許容可能な組成物を提供する。化合物Iは、医薬組成物において使用するために適した形態で可溶化することが難しく;通例の方法では、この化合物の薬剤的に許容可能な組成物を提供が上手くいかないことが証明された。驚くべきことに、本明細書に開示されている組成物は、溶解性及びバイオアベイラビリティーの前の問題を克服し、化合物Iの投与による治療の影響を受けやすい病態及び障害の治療において使用するために適したバイオアベイラビリティーが増強された薬剤的に許容可能な組成物を提供する。
【0050】
本発明は、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン(化合物I;ミリコリラント;米国特許第8,685,973号明細書参照)の組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、構造:
【化4】
を有する化合物Iを含む組成物を提供する。化合物を、6-(trans-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)メチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン又は6-((1r,4r)-4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンとも呼ぶことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明は、
15.0~32.0%(w/w)の量の化合物I、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン:
【化5】
と;
15.0~32.0%(w/w)の量のポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]と;
10.0~32.0%(w/w)の量の持続ポリマーと;
10.0~25.0%(w/w)の量の結晶セルロースと;
5.0~11.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と、
を含む組成物を提供する。
【0052】
化合物Iは、何れかの適切な量で組成物中に存在することができる。化合物Iの代表的な量としては、約10mg、又は20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、又は約500mgが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物は、約150mgの量で化合物Iを含む。
【0053】
化合物Iは、何れかの適切な重量パーセンテージで組成物中に存在することができる。組成物中の化合物Iの代表的な量としては、1~50%(w/w)、又は5~45%、又は5~40%、又は10~35%、又は15~32%、又は16~31%、又は17~30%、又は18~29%、又は20~28%、又は21~27%、又は22~26%、又は23~25%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。組成物中の化合物Iの他の量としては、約15%(w/w)、又は約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は約35%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、化合物Iは、20.0~28.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、22.0~28.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、約22.8%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、約22.9%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、約25.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、約26.1%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、約27.3%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、化合物Iは、約30.0%(w/w)の量で存在する。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、
20.0~28.0%(w/w)の量で存在する化合物Iと;
20.0~28.0%(w/w)の量のポリマーと;
10.0~28.0%(w/w)の量の持続ポリマーと、
を含む。
【0055】
組成物は、1つ以上のポリマーを含むこともできる。代表的なポリマーとしては、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、セルロース、その他が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーは、ホモ重合体及び共重合体を含むことができる。共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、その他を挙げることができる。共重合体のモノマーは、10:1~1:10など、何れかの適切なモル比で存在することができる。例えば、ポリマーとしては、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]を挙げることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物は、
20.0~28.0%(w/w)の量で存在する化合物Iと;
20.0~28.0%(w/w)の量のポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]と;
10.0~28.0%(w/w)の量の持続ポリマーと、
を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、Eudragit L100である。
【0058】
ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、化合物Iに対して何れかの適切な比で存在することができる。例えば、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]に対する化合物Iの重量比は、5:1~1:5、又は4:1~1:2、3:1~1:2、2:1~1:1.5、又は1.5:1~1:1.5であり得る。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]に対する化合物Iの重量比は、約1:1である。
【0059】
ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、何れかの適切な重量パーセンテージ組成物中に存在することができる。組成物中のポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]の代表的な量としては、1~50%(w/w)、又は5~45%、又は5~40%、又は10~35%、又は15~32%、又は16~31%、又は17~30%、又は18~29%、又は20~28%、又は21~27%、又は22~26%、又は23~25%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。組成物中のポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]の他の量としては、約15%(w/w)、又は約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は約35%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、20.0~28.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、22.0~28.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、約22.8%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、約22.9%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、約25.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、約26.1%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、約27.3%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、約30.0%(w/w)の量で存在する。
【0060】
本発明の組成物は、持続ポリマーを含むこともできる。例えば、持続ポリマーとしては、イオン化可能なセルロース系ポリマー、イオン化が可能でないセルロース系ポリマー、イオン化可能な非セルロース系ポリマー、イオン化が可能でない非セルロース系ポリマー、又はこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0061】
イオン化可能なセルロース系ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、メチルセルロースアセテートサクシネート、エチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネート、セルロースプロピオネートサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート、エチルピコリン酸セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、エチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0062】
イオン化が可能でないセルロース系ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート、及びヒドロキシエチルエチルセルロース、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0063】
イオン化可能な非セルロース系ポリマーとしては、カルボン酸官能化ポリメタクリレート、カルボン酸官能化ポリアクリレート、アミン官能化ポリアクリレート、アミン官能化ポリメタクリレート、タンパク質、及びカルボン酸官能化デンプン、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0064】
イオン化が可能でない非セルロース系ポリマーとしては、ヒドロキシ、アルキルアシルオキシ、及び環式アミドから成る群から選択される少なくとも1つの置換基を有するビニルポリマー及び共重合体;少なくとも1つの親水性ヒドロキシル含有反復単位及び少なくとも1つの疎水性アルキル又はアリール含有反復単位のビニルポリマー;非加水分解性形態の反復単位の少なくとも一部を有するポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールポリビニルアセテート共重合体、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体、ポリビニルピロリドン、及びポリエチレンポリビニルアルコール共重合体、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ(ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)(PVPVA)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、又はこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、HPMCAS又はPVPVAを含む。HPMCASは、例えば、HPMCAS-HF(HPMCAS-Hとも呼ぶ)又はAffinisol(登録商標)126 HPMCASポリマー(The Dow Chemical社)であってよい。HPMCAS-HFは、レーザー回折により測定されるとき、5pmの平均粒度など、<10pmの平均粒度を有する。HPMCAS-HF及びAffinisol(登録商標)126 HPMCAS各々は、10~14重量%のアセチル含有物、4~8重量%のサクシノイル含有物、22~26重量%のメトキシ含有物、及び6~10重量%のヒドロキシプロポキシ含有物を有する。HPMCAS-HF及びAffinisol(登録商標)126 HPMCASは、0.7mmol酸/グラムの酸含有物を有し、pH>6.5で可溶性である。PVPVAは、例えば、PVPVA64-N-ビニルピロリドン及び酢酸ビニルが6:4の比を有する直鎖ランダム共重合体であってよい。1つの市販例は、Kollidon(登録商標)VA64ポリマー(BASF社)である。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、PVPVAを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)は、いくつかの異なるグレードの1つであってよく、高微細グレード(high fine grade)(HPMCAS-H又はHPMCAS-HF)、並グレード(HPMCAS-M)、及び低グレード(HPMCAS-L)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレード(HPMCAS-H)である。
【0067】
持続ポリマーは、化合物Iの何れかの適切な比で存在することができる。例えば、持続ポリマーに対する化合物Iの重量比は、5:1~1:5、又は4:1~1:2、3:1~1:2、2:1~1:1.5、又は1.5:1~1:1.5であり得る。いくつかの実施形態では、持続ポリマーに対する化合物Iの重量比は、約2:1である。いくつかの実施形態では、持続ポリマーに対する化合物Iの重量比は、約1.3:1である。いくつかの実施形態では、持続ポリマーに対する化合物Iの重量比は、約1:1である。いくつかの実施形態では、HPMCAS-Hに対する化合物Iの重量比は、約1:1である。
【0068】
持続ポリマーは、何れかの適切な重量パーセンテージで組成物中に存在することができる。組成物中の持続ポリマーの代表的な量としては、1~50%(w/w)、又は5~45%、又は5~40%、又は10~35%、又は10~30%、又は13~28%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。組成物中の持続ポリマーの他の量としては、約10%(w/w)、又は約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は約30%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、13.0~28.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、約14.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、約20.5%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、約22.9%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、約23.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、約25.0%(w/w)の量で存在する。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、約26.1%(w/w)の量で存在する。
【0069】
本発明の組成物は、何れかの適切な量で少なくとも1つの充填剤を含むこともできる。代表的な充填剤としては、デンプン、ラクチトール、ラクトース、無機カルシウム塩、結晶セルロース、ショ糖、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、充填剤は、結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態では、充填剤は、結晶セルロース(Avicel PH102)を含む。いくつかの実施形態では、充填剤は、結晶セルロース(Avicel PH101)を含む。
【0070】
本発明の組成物は、何れかの適切な量で少なくとも1つの崩壊剤を含むこともできる。代表的な崩壊剤としては、寒天、アルギニン酸、炭酸カルシウム、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、粘度、他のアルギン酸塩、他のセルロース、ゴム(ジェランなど)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、
22.0~28.0%(w/w)の量の化合物Iと;
22.0~28.0%(w/w)の量のEudragit L100と;
13.0~28.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
13.0~20.0%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
5.0~11.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と、
を含む。
【0072】
本発明の組成物は、何れかの適切な量でラウリル硫酸ナトリウムを含むこともできる。組成物中のラウリル硫酸ナトリウムの代表的な量としては、0.1~10%(w/w)、又は0.2~9%、又は0.3~8%、又は0.4~7%、又は0.4~6%、又は0.5~5%、又は1~5%、又は1~4%、又は1~3%又は1~2%、又は1.0~1.9%、又は1.2~1.8%、又は1.25~1.75%、又は1.3~1.5%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。組成物中のラウリル硫酸ナトリウムの他の量としては、約1.0%(w/w)、又は約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は約2.0%(w/w)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~5.0%(w/w)の量でラウリル硫酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1.25~1.75%(w/w)の量でラウリル硫酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1.3~1.5%(w/w)の量でラウリル硫酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1.4%(w/w)の量でラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0073】
本発明の組成物は、滑沢剤を含むこともできる。代表的な滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、植物系脂肪酸滑沢剤、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、組成物は、
約22.8%(w/w)の量の化合物Iと;
約22.8%(w/w)の量のEudragit L100と;
約1.4%(w/w)の量のラウリル硫酸ナトリウムと;
約23.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約19.4%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤であり得る。錠剤組成物は、これらに限定されないが、25、50、75、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、又は1000mg錠剤など、何れかの適切な大きさであり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、650mg錠剤である。
【0076】
いくつかの実施形態では、組成物は、
約150mgの量の化合物Iと;
約150mgの量のEudragit L100と;
約9.3mgの量のラウリル硫酸ナトリウムと;
約152mgの量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約128.1mgの量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約66mgの量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約3.3mgの量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む。
【0077】
本発明の組成物は、何れかの適切な量で少なくとも1つの流動促進剤を含むこともできる。いくつかの実施形態では、組成物は、タルク及びコロイド状二酸化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、コロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.1~2.0%(w/w)の量でコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.1~1.5%(w/w)の量でコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.5~2.0%(w/w)の量でコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.50~1.5%(w/w)の量でコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、組成物は、
約22.8%(w/w)の量の化合物Iと;
約22.8%(w/w)の量のEudragit L100と;
約1.4%(w/w)の量のラウリル硫酸ナトリウムと;
約23.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約18.4%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約1.0%(w/w)の量のコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、組成物は、
約150mgの量の化合物Iと;
約150mgの量のEudragit L100と;
約9.3mgの量のラウリル硫酸ナトリウムと;
約150.9mgの量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約120.7mgの量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約65.6mgの量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約6.6mgの量のコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)と;
約3.3mgの量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む。
【0080】
本発明の組成物は、何れかの適切な量で少なくとも1つの充填剤を含むこともできる。代表的な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、粒状又は粉末状)、リン酸水素カルシウム、第3リン酸カルシウム、硫酸カルシウム(例えば、粒状又は粉末状)、結晶セルロース、粉末状セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、デキストロース、フルクトース、ハチミツ、無水ラクトース、ラクトース一水和物、ラクトース及びアスパルテーム、ラクトース及びセルロース、ラクトース及び結晶セルロース、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、結晶セルロース&)グアーガム、糖蜜、ショ糖、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物は、結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10.0~30.0%(w/w)の量で結晶セルロース(Avicel PH102)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、13.0~20.0%(w/w)の量で結晶セルロース(Avicel PH102)を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、組成物は、
約25.0%(w/w)の量の化合物Iと;
約25.0%(w/w)の量のEudragit L100と;
約25.0%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約13.75%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約0.75%(w/w)の量のコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は、
約22.9%(w/w)の量の化合物Iと;
約22.9%(w/w)の量のEudragit L100と;
約22.9%(w/w)の量のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレードと;
約19.8%(w/w)の量の結晶セルロース(Avicel PH102)と;
約10.0%(w/w)の量のクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)と;
約1.0%(w/w)の量のコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil MP5)と;
約0.5%(w/w)の量のステアリン酸マグネシウムと、
を含む。
【0083】
本発明の組成物を、多種多様な経口用剤形で調製及び投与することができる。経口用製剤としては、患者による消化に適した錠剤、丸剤、散剤、糖衣剤、カプセル剤、スラリー剤、懸濁剤などが挙げられる。したがって、本発明は、1つ以上の薬剤的に許容可能な担体及び/又は賦形剤並びに化合物、又は化合物の薬剤的に許容可能な塩のいずれかを含む医薬組成物も提供する。
【0084】
化合物Iから組成物を調製するため、薬剤的に許容可能な担体は、固体又は液体のいずれかであり得る。固体形態製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香料、界面活性剤、結合剤、防腐剤、タブレット崩壊剤、又はカプセル化材としても機能を果たし得る1つ以上の物質であり得る。製剤化及び投与のための技術の詳細は、科学文献及び特許文献によく記載されており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Maack Publishing Co, Easton PA (”Remington’s”)の最新版参照。
【0085】
散剤では、担体は、微粉化された固体であり、微粉化有効成分との混合物である。錠剤では、有効成分を、適切な割合で必要に応じて、必要な結合特性を有する担体及び追加の賦形剤と混合し、所望の形状及び大きさに圧縮する。
【0086】
適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂、及び同様のものである。用語「製剤(preparation)」は、他の賦形剤を含むか又は含まない有効成分が担体で取り囲まれるカプセルを提供し、したがって、有効成分と会合する、担体としてカプセル化材を用いた活性化合物の製剤を含むことを意図される。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びトローチ剤を、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0087】
適切な賦形剤は、炭水化物又はタンパク質であり、ラクトース、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類;トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ、又は他の植物由来のデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;及びアラビアゴム及びトラガントを含むゴム類;並びにゼラチン及びコラーゲンなどのタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギニン酸、又はアルギニン酸ナトリウムなどのこれらの塩など、崩壊剤又は可溶化剤を添加してよい。
【0088】
糖衣剤コアは、濃縮糖液などのコーティングを備え、コーティングは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含んでもよい。色素又は顔料を、製品の識別のため、又は活性化合物量(すなわち、投与量)を特徴づけるように錠剤又は糖衣剤コーティングに添加してよい。本発明の医薬製剤を、例えば、ゼラチン製押込み型カプセル剤、並びにゼラチン製軟質密封カプセル及びグリセロール又はソルビトールなどのコーティングを用いて経口用に使用することもできる。押込み型カプセル剤は、ラクトース又はデンプンなどの充填剤又は結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、及び、必要に応じて安定化剤と混合された組成物を含むことができる。軟質カプセル剤では、組成物を、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に、安定化剤と共に又は安定化剤なしで溶解又は懸濁してよい。
【0089】
加えて、本発明の医薬組成物で使用される担体又は賦形剤は、市販されている。更なる例証を用いて、従来の製剤化技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Md.(2000);及びH.C.Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Md.(1999)に記載されている。
【0090】
医薬製剤を、単位剤形で調製することができる。かかる形態では、製剤を、適切な量の有効成分を含む単位用量に細分する。単位剤形は、パッケージ化された製剤、パケット錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤など、分離した量を含むパッケージであり得る。更に、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はトローチ剤それ自体であり得るか、又は単位剤形は、パッケージ形態中のこれらの何れかの適切な数であり得る。
【0091】
単位用量製剤の有効成分量は、有効成分の特定の適用及び効力に応じて、0.1mg~10000mg、1.0mg~1000mg、又は10mg~500mgで変更又は調整してよい。組成物は、必要に応じて、他の適合可能な治療薬を含むこともできる。
【0092】
投与レジメンは、当技術分野において周知の薬物動態パラメータ、すなわち、吸収速度、バイオアベイラビリティー、代謝、クリアランス、及び同様のものも考慮する(例えば、Hidalgo-Aragones(1996)J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611-617;Groning(1996)Pharmazie 51:337-341;Fotherby(1996)Contraception 54:59-69;Johnson(1995)J.Pharm.Sci.84:1144-1146;Rohatagi(1995)Pharmazie 50:610-613;Brophy(1983)Eur.J.Clin.Pharmacol.24:103-108;上記最新Remington’s参照)。最先端技術は、臨床医が、各個々の患者、GR及び/又はMRモジュレーター及び治療される疾病若しくは病態のための投与レジメンを決定することを可能とする。
【0093】
組成物の単回又は反復投与を、患者により必要とされる及び忍容される投与量及び頻度に応じて投与することができる。化合物は、疾病状態を効果的に治療するために充分な量の活性薬を提供すべきである。したがって、いくつかの実施形態では、化合物の経口投与のための医薬製剤は、1日毎に体重キログラム当たり約0.5~約30mgの毎日の量である。いくつかの実施形態では、1日毎の患者当たり体重kg当たり約1mg~約20mgの投与量を使用する。血流、体腔又は臓器の内腔に経口投与することと対照的に、特に、脳脊髄液(CSF)腔など解剖学的に隔離された部位に薬物を投与する場合に、より低投与量を使用することができる。非経口投与可能な製剤の実際の調製方法は、当業者に公知又は明白であり、上記Remington’sのような出版物により詳細に記載されている。Nieman,In “Receptor Mediated Antisteroid Action,”Agarwal,et al.,eds.,De Gruyter,New York(1987)も参照。
【0094】
本明細書に記載されている化合物Iを、グルココルチコイド受容体の調節に有用であることが知られている他の活性薬と、又は単独では有効でないかも知れないが、活性薬の有効性に寄与し得る補助薬との組合せで使用することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、同時投与は、第2の活性薬の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、又は24時間以内に1つの活性薬を投与することを含む。同時投与としては、2つの活性薬を同時に、ほぼ同時に(例えば、互いに約1、5、10、15、20、又は30分以内)、又は何れかの順序で順次投与することが挙げられる。いくつかの実施形態では、同時投与を、合剤、すなわち、両活性薬を含む単一の医薬組成物を調製することにより行うことができる。いくつかの実施形態では、活性薬を、別々に製剤することができる。いくつかの実施形態では、活性薬及び/又は補助薬を、互いと連結又は結合してよい。
【0096】
本発明の化合物を含む医薬組成物を1つ以上の許容可能な担体に製剤した後、この製剤を適切な容器に収容し、適応される病態の治療のためにラベルすることができる。化合物Iの投与のため、かかるラベリングは、例えば、投与の量、頻度及び方法に関する説明書を記載することになる。
【0097】
IV.製剤の作製方法
本発明の組成物を、様々な方法により調製することができる。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の組成物の調製方法であって、前記方法は:
a)溶媒、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]、及び化合物I、(E)-6-(4-フェニルシクロヘキシル)-5-(3-トリフルオロメチルベンジル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン:
【化6】
を含む混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、中間体混合物を生成することと;
c)前記中間体混合物、持続ポリマー、結晶セルロース、及びクロスカルメロースナトリウムを含む第一粒内混合物を配合することと;
d)前記第一粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e)前記ローラー圧縮された混合物及びクロスカルメロースナトリウムを含む第一粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む、方法を提供する。
【0098】
混合物は、何れかの適切な溶媒又は溶媒の組合せを含むことができる。適切な溶媒としては、石油エーテル、C1~C3アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)、エチレングリコール及びPEG400などのポリエチレングリコール、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、及び酢酸ブチルなどのアルカン酸エステル、アセトニトリル、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン(MPK)及びメチルiso-ブチルケトン(MIBK)などのアルカノン、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン及び1,4-ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素などのハロゲン化溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、並びにジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な溶媒としては、ハロゲン化C1~C3アルコール(トリフルオロメタノール、トリフルオロエタノール(TFE)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIPA)も挙げられるが、これらに限定されない。例えば、溶媒は、とりわけ、ジクロロメタン、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(AcCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの非プロトン性極性溶媒であり得る。溶媒は、更に、とりわけ、t-ブタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、酢酸などのプロトン性極性溶媒であり得る。溶媒は、更に、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン及び1,4-ジオキサン、クロロホルム、及び四塩化炭素などの非極性溶媒であり得る。
【0099】
2つ以上の溶媒を、何れもの適切な比の溶媒混合物で使用することができる。例えば、第1溶媒と第2溶媒との比は、10:1~約1:10(体積/体積又は重量/重量)、又は約10:1~1:5、又は10:1~1:1、又は10:1~5:1、又は5:1~1:5、又は5:1~1:1、又は4:1~1:1、又は3:1~1:1、又は2:1~1:1であり得る。他の溶媒比としては、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は約1:10(体積/体積又は重量/重量)が挙げられる。
【0100】
いくつかの実施形態では、溶媒は、メタノール及びジクロロメタンを含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトンを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]は、Eudragit L100である。
【0102】
方法は、何れかの適切な形態の化合物Iを含むことができる。例えば、化合物Iは、非晶又は結晶であり得る。いくつかの実施形態では、化合物Iは、結晶無水物である。いくつかの実施形態では、化合物Iは、結晶形態Bである。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、化合物Iの結晶無水形態を含む。いくつかの実施形態では、化合物I形態Bは、16.7、17.0、17.3、17.7、19.0、19.6、及び23.6°2θ±0.2°2θにおいてピークを含むXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物I形態Bは、9.8、10.4、11.2、11.8、13.4、13.7、14.8、15.8、16.2、16.6、16.7、17.0、17.3、17.7、18.0、19.0、19.6、20.3、20.5、20.8、21.0、21.3、22.0、22.3、22.7、23.6、23.8、24.4、25.4、25.6、25.7、26.3、28.1、28.7、及び37.2°2θ±0.2°2θにおいてピークを含むXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物I形態Bは、実質的に
図1に示されているXRPDパターンを特徴とする。
【0104】
いくつかの実施形態では、化合物I形態Bは、約255℃で立ち上がる少なくとも1つの吸熱を有する示差走査熱量(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物I形態Bは、実質的に
図3に示されているDSCサーモグラムを特徴とする。
【0105】
いくつかの実施形態では、化合物I形態Bは、(a)16.7、17.0、17.3、17.7、19.0、19.6、及び23.6°2θ±0.2°2θにおいてピークを含むXRPDパターン;並びに(b)約255℃で立ち上がる少なくとも1つの吸熱を有する示差走査熱量(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、化合物I形態Bは、(a)実質的に
図1に示されているXRPDパターン;及び(b)実質的に
図3に示されているDSCサーモグラムを特徴とする。
【0106】
持続ポリマーは、上記何れかの適切な持続ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である。いくつかの実施形態では、持続ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート高微細グレード(HPMCAS-H)である。
【0107】
いくつかの実施形態では、方法は、
a)前記「溶媒、Eudragit L100、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及び化合物Iを含む混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、前記中間体混合物を生成することと;
c1)前記中間体混合物、HPMCAS-H、結晶セルロース、及びクロスカルメロースナトリウムを含む前記第一粒内混合物を配合することと;
c2)前記第一粒内混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二粒内混合物を配合することと;
d)前記第二粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e1)前記ローラー圧縮された混合物及びクロスカルメロースナトリウムを含む前記第一粒外混合物を配合することと;
e2)前記第一粒外混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む。
【0108】
方法は、上記何れかの適切な流動促進剤を含むこともできる。いくつかの実施形態では、第一粒内混合物は、第一流動促進剤を更に含み;及び第一粒外混合物は、第二流動促進剤を更に含む。いくつかの実施形態では、第一流動促進剤及び第二流動促進剤各々は、コロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、方法は、
a)前記「溶媒、Eudragit L100、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、及び化合物Iを含む混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、前記中間体混合物を生成することと;
c1)前記中間体混合物、HPMCAS-H、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一粒内混合物を配合することと;
c2)
前記第一粒内混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二粒内混合物を配合することと;
d)前記第二粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e1)前記ローラー圧縮された混合物、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一粒外混合物を配合することと;
e2)前記第一粒外混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、方法は、
a)前記溶媒、ポリ[(メタクリル酸メチル)-co-(メタクリル酸)]、及び化合物Iを含む前記混合物を生成することと;
b)前記混合物を噴霧乾燥して、前記中間体混合物を生成することと;
c1)前記中間体混合物、HPMCAS-H、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一粒内混合物を配合することと;
c2)前記第一粒内混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二粒内混合物を配合することと;
d)前記第二粒内混合物をローラー圧縮して、ローラー圧縮された混合物を生成することと;
e1)前記ローラー圧縮された混合物、クロスカルメロースナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を含む前記第一粒外混合物を配合することと;
e2)前記第一粒外混合物及びステアリン酸マグネシウムを含む第二粒外混合物を配合することにより、前記組成物を調製することと、
を含む。
【0111】
方法を使用して、例えば、グラムからキログラムまでの何れかの適切な規模で組成物を調製することができる。例えば、方法は、少なくとも5g、10g、15g、20g、25g、30g、35g、40g、45g、50g、60g、70g、80g、90g、100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1kg、2kg、3kg、4kg、5kg、10kg、20kg、30kg、40kg、50kg、60kg、70kg、80kg、90kg、100kg、200kg、250kg、300kg、400kg、500kg、又は少なくとも1000kg以上の量で化合物Iを含むことができる。
【0112】
混合物及び反応工程の温度は、0℃~100℃、又は20℃~50℃などの何れかの適切な温度であり得る。
【0113】
本発明の方法を、何れかの適切な圧下で行うことができる。例えば、方法は、大気圧下であり得る。方法の様々な工程を、大気の気体、又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガスなど何れかの適切な環境に暴露することもできる。
【0114】
V.使用方法
いくつかの実施形態では、本発明は、グルココルチコイド受容体を調節することによる障害又は病態の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、かかる治療を必要とする対象に投与することにより、障害又は病態を治療することを含む、方法を提供する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明は、グルココルチコイド受容体をアンタゴナイズすることによる障害又は病態の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、かかる治療を必要とする対象に投与することにより、障害又は病態を治療することを含む、方法を提供する。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている技術を用いてグルココルチコイド受容体活性の調節方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、GRを本発明の組成物の有効量と接触させること、及びGR活性の変化を検出することを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている技術を用いてグルココルチコイド受容体活性の調節方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、GR又は両方を本発明の組成物の有効量と接触させること、及びGR、MR活性、又は両方の活性の変化を検出することを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、グルココルチコイド受容体モジュレーターは、GR活性若しくはMR活性、又はGRとMRとの両方のアンタゴニストである(本明細書において「グルココルチコイド受容体アンタゴニスト」とも呼ぶ)。本明細書で使用されるとき、グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、グルココルチコイド受容体アゴニスト(例えば、コルチゾール、又はアルドステロン、及び合成若しくは天然コルチゾール若しくはアルドステロン類似体)とGRとの結合を部分的又は完全に阻害(アンタゴナイズ)することにより、GRとアゴニストとの結合に関連する何れかの生物応答を阻害する何れかの組成物又は化合物を表す。
【0119】
いくつかの実施形態では、グルココルチコイド受容体モジュレーターは、特異的グルココルチコイド受容体アンタゴニストである。本明細書で使用されるとき、特異的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、むしろ核内受容体(NR)よりGRと優先的に結合することにより、別のGRとアゴニストとの結合に関連する何れかの生物応答を阻害する組成物又は化合物を表す。いくつかの実施形態では、特異的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、むしろアンドロゲン受容体(AR)、エストロゲン受容体(ER)又はプロゲステロン受容体(PR)より、GRと優先的に結合する。いくつかの実施形態では、特異的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、むしろプロゲステロン受容体(PR)より、GRと優先的に結合する。いくつかの実施形態では、特異的グルココルチコイドアンタゴニストは、むしろアンドロゲン受容体(AR)より、GRと優先的に結合する。いくつかの実施形態では、特異的グルココルチコイドアンタゴニストは、むしろエストロゲン受容体(ER)より、GRと優先的に結合する。
【0120】
いくつかの実施形態では、特異的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、AR又はPRのKdより少なくとも10倍小さい解離定数(Kd)でGRと結合する。いくつかの実施形態では、特異的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、AR又はPRのKdより少なくとも100倍小さい解離定数(Kd)でGRと結合する。いくつかの実施形態では、特異的グルココルチコイド受容体アンタゴニストは、AR、PR又はERのKdより少なくとも1000倍小さい解離定数(Kd)でGRと結合する。
【0121】
いくつかの実施形態では、障害又は病態は、嗜癖障害であり得る物質使用障害である。物質乱用及び物質依存症などの嗜癖障害は、アルコール又は薬物の乱用を含むよく見られる障害である。障害として物質乱用は、不法物質の乱用又は合法物質(例えば、アルコール)の乱用を表す。物質依存症は、これらの使用に関連する深刻な問題が発生した場合でさえ、薬物又はアルコールの連続使用を説明する嗜癖障害である。徴候としては、認容性増加-すなわち、所望の効果を達成する物質の量増加の必要性;使用を減少したときの禁断症状;使用を減少するための努力の失敗;物質を得るための活動に費やす時間の増加;社会的及び娯楽的活動からの離脱;並びに物質使用の程度により直面する身体的又は精神的問題を意識してもなお物質の継続的使用が挙げられる。化学物質依存症は、化学物質(通常、薬物又はアルコール)の強迫的使用及びこれらの化学物質が原因の全ての問題にもかかわらずこれらの化学物質の使用を止めることができないことを説明する嗜癖障害でもある。特に嗜癖障害の青少年により頻繁に乱用される物質としては、アルコール、マリファナ、幻覚剤、コカイン、アンフェタミン、アヘン剤、タンパク質同化ステロイド、吸入薬、メタンフェタミン、又はタバコが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
いくつかの実施形態では、本発明は、物質使用障害の治療方法であって、前記方法は、本明細書に開示されている医薬組成物の治療有効量を、物質使用障害の治療を必要とする対象に投与することにより、物質使用障害を治療することを含む、方法を提供する。
【0123】
いくつかの実施形態では、本発明は、脂肪性肝疾患の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、脂肪性肝疾患の治療を必要とする対象に投与することにより、脂肪性肝疾患を治療することを含む、方法を提供する。
【0124】
いくつかの実施形態では、障害又は病態は、脂肪性肝疾患、アルコール関連肝疾患(ARLD)又は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態では、アルコール関連肝疾患は、アルコール脂肪性肝疾患(AFL)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)又はアルコール性肝硬変である。
【0125】
いくつかの実施形態では、障害又は病態は、非アルコール性脂肪性肝疾患である。いくつかの実施形態では、非アルコール性脂肪性肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は非アルコール性肝硬変である。いくつかの実施形態では、障害又は病態は、非アルコール性脂肪性肝炎である。
【0126】
NAFLDは進行して、脂肪症が炎症及び線維症と同時発生する状態(脂肪性肝炎)である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)になる可能性がある。NASHは、進行性疾患である。10年の期間にわたって、NASH患者の20%以下は、肝臓の硬変症を発症し、10%は、肝疾患関連死する。
【0127】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の第二薬剤(例えば、治療薬)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量で1つ以上の第二薬剤(例えば、治療薬)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、第二薬剤は、グルココルチコイド受容体の調節に有用であると知られている薬剤である。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明は、抗精神病薬による体重増加の治療方法であって、前記方法は、本発明の組成物の治療有効量を、抗精神病薬による体重増加の治療を必要とする対象に投与することにより、抗精神病薬による体重増加を治療することを含む、方法を提供する。
【実施例】
【0129】
VI.実施例
実施例1.化合物Iの調製
化合物Iを、米国特許第8,685,973号明細書、実施例6、化合物3bに記載されているように調製することができる。
【0130】
実施例2.結晶化合物Iの調製
結晶化合物Iを、“Polymorphs of Pyrimidine Cyclohexyl Glucocorticoid Receptor Modulators”と題された2020年5月6日に出願された米国特許仮出願第63/020,919号に記載されているように調製することができる。
【0131】
化合物Iの結晶形態Bを、下記方法により調製することができる。
・ジクロロメタン(8.4体積)を槽に投入し、次いで、乾燥し、残存酢酸に対するそのアッセイ含有率に基づいた粗化合物Iを1H-NMRにより決定する。
・それから、メタノール(1.7体積)を投入し、次いで、得られた混合物を30℃~35℃まで温めて溶液を得る;
・得られた溶液を第2槽に研磨ろ過し、次いで、供給源槽をジクロロメタン(DCM)(2.6体積)及びメタノール(0.5体積)の混合物で洗浄し、第2槽に移し、約13.5体積の総バッチ体積を得る;
・得られた溶液を環境圧(約38~40℃)で還流まで加熱し、蒸留して20体積の溶媒を除去する。蒸留と同時に、蒸留中約13~14体積の総溶媒体積を維持するために集められた蒸留物の各体積のためにメタノール(約1体積)の添加により、溶媒交換を行う。適切な蒸留速度を維持する必要に応じて蒸留温度を上昇する;
・約3体積の溶媒をメタノールに交換した後、約0.025体積のメタノール中約0.05%重量/重量の再結晶化化合物I形態Bを含むスラリーをバッチに播種し、次いで、バッチ外観の何れもの変化を注意しながら、約10分間バッチを保持する;
・メタノールにより4分の1の体積の溶媒交換を完了後、約0.025体積のメタノール中約0.05%重量/重量の再結晶化化合物I形態Bを含むスラリーの再投入により第2播種操作を行い、次いで、約10分間バッチを維持し、バッチ外観の何れもの変化を注意する;
・次に、5分の1体積の溶媒をメタノールに交換し、約10分間バッチを保持し、バッチを目視検査して結晶化が起こったかどうかを確認する。この時点で結晶化が起こらなかった場合、第3播種操作を行う:
・一旦バッチの再結晶化が確認されれば、粗化合物Iの溶解に続いて、更なる15体積の溶媒が交換されるか又は約20体積の溶媒の全部が回収されるまで、蒸留及びメタノールによる溶媒交換を継続する;
・一旦内部バッチ温度が約65℃に達して約64℃で安定したならば、別の4体積の溶媒を回収し、約10体積までバッチ体積を減少する;
・それから、得られたスラリーを、最短2時間にわたって約10℃まで冷却し、次いで、少なくとも2時間その温度で保持し、ろ過する;
・元の槽を、約10~15℃で撹拌しながら約2体積のメタノールで洗浄する;
・それから、メタノールをフィルターに移し、ろ過ケーキ上で浸漬を可能とし、次いで、真空下除去する。この洗浄操作を反復し、次いで、固形物の湿式ケーキ純度の工程内管理(IPC)分析のためにサンプリングする;
・それから、ろ過ケーキを、≦50℃で72時間まで乾燥し、IPC分析のために少なくとも12時間の乾燥時間後にサンプリングして残留溶媒含有率を決定する;
・一旦残留溶媒のIPC規格を満足するならば、固形物を帯電防止ポリライナーに排出し、秤量する。
・それから、再結晶化された化合物Iを、2mm篩スクリーンを備えた振動篩を用いて何れもの大きな塊の固形物を細分化するために篩にかけて、0.2m/秒の目標振動速度で処理する;
・得られた篩にかけた化合物Iをライナーに移し、秤量し、次いで、再結晶化された化合物Iを、上記のように得られた化合物Iのバッチが多形性形態Bと一致することを確認するために粉末X線回折(XRPD)を含む分析のためにサンプリングする。
【0132】
実施例3.化合物Iの製剤
錠剤製剤を、下表に記載されている量を使用して調製した。例えば、150mg化合物Iの単位用量及び656mgの錠剤重量を有する製剤D3を、次の通り調製した。
【0133】
中間体混合物(噴霧乾燥混合物)の調製。
化合物I、Eudragit L100、及び必要に応じてラウリル硫酸ナトリウムを、メタノール及びジクロロメタンに溶解した。化合物I、Eudragit L100、及び必要に応じてラウリル硫酸ナトリウムは、全溶液の5%~7%を含んでよい。
【0134】
得られた溶液を、利用された装置に特有のプロセス条件を用いて噴霧乾燥した。GEA Niro Mobile Minorを用いた場合、1300g/分の乾燥ガス流速並びに、それぞれ、86℃及び40℃の入口温度及び出口温度を利用して120g/分の速度で溶液を噴霧した。逆に、実験室規模の小型噴霧乾燥機を用いる場合、3300g/分の乾燥ガス流速並びに、それぞれ、65℃及び30℃の入口温度及び出口温度を利用して200g/分の速度で溶液を噴霧した。
【0135】
噴霧乾燥完了時、中間体混合物から過剰な残留溶媒を除去するために第二乾燥方法を行った。所定レベルまで残留溶媒を除去するように総持続時間を指定して、全乾燥対流式トレイ乾燥機を40℃~60℃の温度で操作して第二乾燥を行った。
【0136】
粒内混合物の調製。中間体混合物及び粒内物質(持続ポリマー、充填剤、崩壊剤、流動促進剤)を、200Lビン中7分間9RPMで配合した。それから、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)をビンに添加し、内容物を5分間9RPMで配合した。それから、配合された混合物を、3.0kN/cmのプレス力及び2RPMのロール速度でGerteis Roller Compactorを用いてローラー圧縮した。
【0137】
粒外混合物の調製。粒内混合物及び粒外物質(崩壊剤、流動促進剤)を、200Lビン中20分間9RPMで配合した。それから、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)をビンに添加し、内容物を5分間9RPMで配合した。
【0138】
錠剤の調製
それから、粒外混合物を、Korsch XM12回転式錠剤成形機を用いてコア錠剤に加圧した。必要に応じて、コア錠剤を、水性又は溶媒系着色液を用いて薄膜コートしてよい。
【表1】
【表2】
【表3】
【0139】
実施例4.サルPK試験
4カニクイザルを、試験するために割り当てた。各フェーズの投与間の最低7日の休薬期間を設けて各フェーズのために、同じ動物を使用した。投与前から血液サンプル採取の最初の4時間まで少なくとも8時間、全動物は絶食した(適用可能な場合、4時間の採取間隔で最後の血液サンプルの採取後、30分以内で食べ物を戻した)。
【0140】
各動物は、次の試験設計表に要点を述べられているように適切な試験物質製剤の経口錠剤用量を受けた。投与後(胃管用チューブ除去前)、胃管用チューブを約10mLの水道水でリンスした。
【0141】
【0142】
実施例5.サルPK試験
4カニクイザルを、試験するために割り当てた。各フェーズの投与間の最低7日の休薬期間を設けて各フェーズのために、同じ動物を使用した。投与前から血液サンプル採取の最初の4時間まで少なくとも8時間、全動物は絶食した(適用可能な場合、4時間の採取間隔で最後の血液サンプルの採取後、30分以内で食べ物を戻した)。
【0143】
各動物は、次の試験設計表に要点を述べられているように適切な試験物質製剤の経口錠剤用量を受けた。投与後(胃管用チューブ除去前)、胃管用チューブを約10mLの水道水でリンスした。
【0144】
【0145】
実施例6.ヒトPK試験-100mg錠剤
非盲検試験を、6健康ボランティアにおいて行い、ミリコリラント100mg錠剤の安全性、認容性及び薬物動態を評価した。2×100mg錠剤としてミリコリラント200mgの単回経口用量を、朝食摂取後30分に投与した。集中的薬物動態(PK)サンプルを、投与後1、2、4、8、12、16、24、36、48、72及び96時間に採取した。ミリコリラントの血漿中濃度を、検証されたLC/MS生化学分析アッセイを用いて決定した。幾何平均Cmaxは、184ng/mL(投与後4時間)であり、幾何平均AUC0-24は、2270ng・時/mLであった。
【0146】
実施例7.ヒトPK試験-150及び300mg錠剤
無作為試験を、12健康ボランティアにおいて行い、ミリコリラントC1 300mg錠剤及びD3 150mg錠剤の安全性、認容性及びPKを評価した。対象は1:1に無作為化され、3×C1 300mg錠剤としてミリコリラント900mgの単回用量又は2×D3 150mg錠剤としてミリコリラント300mgの単回用量の何れかを受けた。両投与レジメンを、朝食摂取後30分以内に投与した。集中的薬物動態(PK)サンプルを、投与後1、2、4、8、12、16、24、36、48及び72時間に採取した。ミリコリラントの血漿中濃度を、検証されたLC/MS生化学分析アッセイを用いて決定した。C1 300mg錠剤の900mg用量のため、幾何平均Cmaxは、408ng/mL(投与後4時間)であり、幾何平均AUC0-lastは、6680ng・時/mLであった。D3 150mg錠剤の300mg用量のため、幾何平均Cmaxは、265ng/mL(投与後4時間)であり、幾何平均AUC0-lastは、3540ng・時/mLであった。したがって、用量差は3倍(300mg D3錠剤と比較した900mg C1錠剤)であったが、AUC差は2倍未満であり、C1錠剤と比較してD3錠剤の優れた性能を示した。
【0147】
前述の本発明を、理解を明確にする目的のため例証及び実施例を用いていくらか詳細に説明したが、添付のクレームの範囲内で特定の変更及び修正を行ってよいことを当業者は理解するだろう。加えて、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、海外特許、海外特許出願及び本明細書で言及された非特許出版物を含む各参考文献は、本明細書と矛盾しない限度においてこれらの全文の参照により本明細書に援用される。本願及び本明細書で提供されている参考文献の間に矛盾がある場合、本願が優先する。
【国際調査報告】